1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月九日(木曜日)
午前十一時三分開議
出席委員
委員長 田中 角榮君
理事 田中 彰治君 理事 長谷川四郎君
理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君
理事 永井勝次郎君 理事 中崎 敏君
秋田 大助君 大倉 三郎君
小笠 公韶君 菅野和太郎君
齋藤 憲三君 笹本 一雄君
首藤 新八君 鈴木周次郎君
野田 武夫君 神田 博君
小平 久雄君 堀川 恭平君
南 好雄君 村上 勇君
加藤 清二君 櫻井 奎夫君
田中 武夫君 伊藤卯四郎君
菊地養之輔君 佐々木良作君
田中 利勝君 松平 忠久君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
通商産業政務次
官 島村 一郎君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(重工業局長) 鈴木 義雄君
通商産業事務官
(軽工業局長) 吉岡千代三君
中小企業庁長官 記内 角一君
委員外の出席者
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 秋山 武夫君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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六月九日
委員南條徳男君辞任につき、その補欠として田
中彰治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事田中彰治君委員辞任につき、その補欠とし
て同君が理事に当選した。
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六月八日
過度経済力集中排除法等を廃止する法律案(内
閣提出第四二号)(参議院送付)
同日
横浜繊維製品検査所川俣支所を本所に昇格等の
請願(鈴木周次郎君紹介)(第二〇四六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五一号)
中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二三号)
通商産業行政の基本施策に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/0
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001・田中角榮
○田中委員長 これより会議を開きます。
日程に先だち理事会の結果を御報告申し上げます。本日は通商産業行政の一般質問に兼ね、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を議題となして審議を進めたいと思います。なお明十日はアルコール専売法の一部を改正する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。なお来週の水曜日には石油資源開発会社法及び繊維に関する一般質問を行います。翌木曜日、金曜日は石炭鉱業合理化臨時措置法案及び重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案を議題とすることに決定いたしましたから、さよう御了承願います。
では日程に従い、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案と、あわせて通商産業行政の基本施策について調査を進めます。質疑の通告がありますから、順次これを許します。なおこの際皆様に申し上げておきますが、各党の持ち時間は先ほど理事会の御決定の通りおおむね三十分ずっとなし、質疑者の順序は民、自、左社、右社の順に交互に行うことにいたします。内田常雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/1
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002・内田常雄
○内田委員 私は目下本委員会に付託をされております商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、研究の上、明日修正の動議を提出する予定でおりますけれども、御承知のように国会法の規定によりますと、予算に影響を及ぼす法律案の修正につきましては、内閣に意見を述べる機会を与えなければならないことになっておりますし、またとの修正動議の提出につきましては、予算に影響を与えるその経費の内容等を示す書類を添付しなければ修正案が出せないことになっております。私が目下考えております修正案は、商工組合中央金庫に対する政府の出資金につきましては、先般も通商産業大臣に私の意見を述べておきましたように、現在の法律では政府の出資金に対する剰余金の分配をしないでもよいという規定が昭和二十七年限り停止をされておるのであります。たまたま今回政府御提出の法律案によりますと、政府は一般会計から商工中金に対して十億円を出資せられることになっておりますので、この点はまことにけっこうなことで、歓迎すべきであると思いますけれども、政府は不用意にも十億円の出資をしながら、この政府出資に対して剰余金の分配を辞退する規定をこの際生かすための改正を忘れておられると思いますので、私はその点につきまして明日修正の動議を提出いたすつもりでおります。政府の方におかれましては、石橋通商産業大臣は十億円の出資をいたしましても、それに対して剰余金の分配いわゆる配当を受けるつもりは毛頭なかった、こうおっしゃっておられましたけれども、あるいは内閣の一部、ことに大蔵省方面におきましては、この十億円の出資に対して何カ月分かの配当を受けるつもりで歳入に計上をいたしているような次第でありますと、内閣の方はお困りになる。それだけ歳入の欠陥を生ずる。これは微々たる金額でありましょうけれども、数字の上から申しますと、さようなことにもなるわけでありますから、明日私はその点に関する修正動議を提出いたしますので、この際私は明日内閣が私どもの修正案に対して意見を申し述ぶる機会を与えたいと存じますので、あらかじめここにそのことを申し上げておきます。なおこれはむろん石橋通商産業大臣は内閣を代表せられて——中小企業金融の円滑を期し、また商工中金におきまする利下げを円滑ならしめることでありますから、もちろん御異存はない、御賛成であろうと思いますが、念のためにここに申し上げておく次第であります。
それからもう一点は、先ほども申しましたように、予算に影響を及ぼす限度についての経費の説明書をつけなければなりませんが、もし私が考えますように、この十億円の出資につきまして配当を要しないという改正をいたします場合には、どのくらい歳入に影響を及ぼすことにおりますか。これは中小企業庁長官がおられますので、私は明日その説明書をつけなければならないものですから、ここでちょっと御説明を願えれば幸いと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/2
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003・記内角一
○記内政府委員 御承知の通り、商工中金に対しましては現在二百十万円の政府出資、それから三億円余の優先出資がございます。そのほかに本年度の一般会計から十億円の出資をしたいということで、予算が衆議院の御可決を経ているわけでございます。もしその修正案が優先出資についてはそのままであって、一般の政府出資について配当を免除するということに相なりますと、二百十万円に対する配当——現在五分をいたしておりますが、これは本年度の予算に歳入として計上になっておるかと思います。残り新しく追加される十億円、これはいつからになりますかわかりませんが、これが出資に繰り入れられますと、その配当は来年度に行われるわけでございますので、今年度の歳入には関係なくなるかと考えます。本年度の予定はどのくらい——これからの配当はもうすでに昨年度の分について本年度歳入として二百十万円に対する五分の配当ということが決定いたしておりますので、これはもう納めなければならぬようになるのじゃないかと思いますので問題はないかと思います。来年度の分につきまして十億についての免除ということであれば、これに対しておおむね五%、つまり五千万円、それから十億と既存の二百十万円ということになりますとさらに二百十万円分だけ増加するということに相なろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/3
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004・内田常雄
○内田委員 大体了承いたしました。ただ商工組合中央金庫の問題につきましては、今回の両党による予算の協同修正の結果、従来資金運用部資金をもって引き受けることを予定しておりました商工中金債の引き受けが、全部これを民間の金融機関で引き受けてもらわなければならないという事態になりましたために、必ずしも有力でない商工中金が、他の興業銀行とかあるいは長期信用銀行、農林中金等と並んで、果して一般市中においてこの債券の消化が容易であるかどうか、私ども非常に心配をいたしております。御承知のように今年度におきまして、商工中金は二十四億円の商工中金債を発行する予定になっておりますが、果してこれがうまくいくかどうかということにつきまして懸念があるのでありまして、私どもこの点につきましては、政府に大いに力をかしていただいて、商工中金の債券の消化を容易にする、あるいは資金委員会等もできるようなお話を聞いておりますので、さような機構の運営によりまして、優先的に商工中金の債券が市中で消化のできるように政府の力をかしていただくということが必要になると思います。各委員の方におきましても、今回の予算修正に関連して、商工中金や中小企業金融公庫等の受けます影響につきましていろいろの御意見があるようでございますので、私はこれは他の委員に譲りまして、きょうはこの問題を申し上げません。質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/4
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005・田中角榮
○田中委員長 田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/5
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006・田中武夫
○田中(武)委員 大臣にちょっとお伺いしたいと思います。先日の自由党と民主党の予算折衝におきまして妥協いたしました結果が、中小企業金融公庫の出資金、これが政府が最初予定しておった十五億円が五億円に減った。そうして資金運用部資金の方で十五億ふやすということになっておるのですが、政府としては十億円減資ということを、自民両党の話し合いの結果を無条件にのんでおると思いますので、これは政府として立てられた政策に対して大きな変更を生ずる結果にもなる、こういうわけで、もっと政府の立場を明らかにされなかったのか。ただ両党の妥協案を無条件にのまれたということに大きな政治的責任があると思うのですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/6
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007・石橋湛山
○石橋国務大臣 ちょっと御質問の何がはっきり聞えなかったのですが、財政一般ですか、予算一般ですか。それとも今の中小企業金融公庫の話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 公庫の減資のことについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/8
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009・石橋湛山
○石橋国務大臣 わかりました。こまかい数字などについては、なおここに政府委員がおられますからお答えいたさせますが、私の調べましたととろでは、今内田委員が心配されたように、商工中金の方はいささか市中消化というようなことで心配を持っておりますが、中小企業金融公庫の方は、あの修正がなければもう一層金利を下げる方向に持っていけたかと思うのであります。それがいささか金利を下げる程度が妨げられたという故障は多少ありますけれども、これはまあ実は中小企業金融については金利を下げるがいいか、それとも金利はむしろ現在のままでも、融資の額をふやす方がいいかということも相当研究の余地があることでありますから、大体において私はこの修正によって大いなる支障はないものと認めてどれを承諾したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/9
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010・田中武夫
○田中(武)委員 大した支障はないと思って承知したと、こう言われるのですが、金融公庫発足の当時に付帯決議がなされておる。これは公庫の貸付金金利は七分五厘くらいでせよといった付帯決議がなされておる。これは当時の与党野党ともに賛成したことであります。ところがすでに六分五厘の利息のつく金をもってやるということになりますれば、この決議に逆行するといいますか、そういう結果になると思うのですが、そういうことについての御見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/10
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011・石橋湛山
○石橋国務大臣 先ほど申し上げましたように、前の決議の御趣旨に基いて次第に金利を下げるということで努力しておるさなかでございますから、その点には若干の支障のあることは事実であります。これはその原資が、金利が上ってなお金利を引き下げる余裕がよけいにできたというようなことは、理窟に合わぬことでありますから、確かに御指摘の通りある程度の支障があるということは、残念ながら認めざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/11
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012・田中武夫
○田中(武)委員 今度の修正の結果は、何といいますか、運用部資金の隠れた金をふやして、表面に出るところの金を減らしたというようね、ちょっとインチキ的なところが見えると思うのですが、そんな点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/12
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013・石橋湛山
○石橋国務大臣 その点は、私は資金運用部のことは存じませんので、そういうお話のことがあるかどうかは、ここではっきり申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/13
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014・田中武夫
○田中(武)委員 それではこの件はおきまして、次に生産性本部のことについてお伺いしたいと思います。先日生産性本部の問題につきまして、経審長官に伺ったのですが、結局これは通産関係である、こういうようなことだったので、大臣にお伺いしたいと思う。まず生産性本部における計画によって企業の合理化、生産性の向上を推進する、こういうように言っておられるのですが、今まで労働者は企業合理化という美名によって首を切られ、あるいは生産性の向上という名のもとに労働強化をしいられてきたわけです。従ってこういうことを聞くと、ただちに首切りあるいは労働強化を連想するわけなんですが、そういうようなことが生産性本部の計画の上においてなされておるのかどうか、またそういうことについて、政府との何らかの連絡があるのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/14
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015・石橋湛山
○石橋国務大臣 今までの日本の生産性向上という場合には、たとえば従業者一人当りの生産高とか、あるいは資本一単位当りの生産高、いわゆるプロダクティピティの方の科学的研究をして行うというよりは、とにかくさしづめ従業者を減らすとか何とかいうことでやりましたので、あるいは労働時間を延ばすということでやりましたので、お話のようないわゆる労働強化ということがあったと思いますが、今度の生産性本部の目的は全然それに反して労働強化でなく、つまり労働者一人当り、資本一単位当りの生産をいかにふやすか、こういう問題でありますから、その結果もし生産向上が起って、そのために労務者が要らないというような、配置転換を必要とする事態は起らないとは言えませんが、いわゆる労働強化によって生産性を向上しようという趣旨は全然ない、それと反対の目的をもって生産性向上本部をこしらえたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/15
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016・田中武夫
○田中(武)委員 今日生産性を向上させようとする場合は、労働者の十分な理解と協力がなければいけないと思います。そういうことについては大臣はお認めになりますかどうですか。お認めになるとするならば、十分労働者の意向をくみ取って計画を立てねばならぬと思う。しかるに生産性本部発足に当りましては、何ら労働者ないし労働組合の意向を聞かずに出発しておられるように思うのです。また生産性本部の計画を中心に、これを強力に推進すると言っていますが、生産性本部の立てた計画を具体的に実施する場合は、どういう方法でやられるのか。これに強制力を持たすのかどうか。持たせないと思うのですが、そのようなことについてはどうお考えにはりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/16
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017・石橋湛山
○石橋国務大臣 労務者側の協力の問題は、この間もどなたかから御質問があったときに申し上げたのでありますが、生産性向上のためにはむろん労働組合、労働者の協力を必要とすることは言うまでもない。従って今回の生産性本部の発足に当っても労働組合に呼びかけて、その協力を求めた次第でありましたが、残念ながら総評のごときは、何らかの誤解があるのかどうか知りませんけれども、とにかく今のところでは表向き協力できないというよう血態度をとっていることは、われわれとしてはなはだ遺憾なんです。総評はさようなわけでありますが、しかし全部の労働者が生産性本部の仕事に不協力というわけでもないように私は考えております。むろん今後努力して総評においても生産性本部に協力するようにお願いしたいと思っております。これは協力するのが当然だと思うのです。これに反対する理由は何もないと思う。もし生産性本部の仕事に疑いがあるなら、内部へ入ってきてやって下さればいい。外にいていろいろ事情をつまびらかにせずに反対されるということは、私は労働組合として間違いじゃないかと考えておる。その点は今後も努力するつもりであります。
それからそれに続いての御質問でありますが、今の計画は調査でありますから、日本から幾つかのチームを出してアメリカの状況を視察する。これは単に技術上の問題だけでなく、経営上のいろいろのマネージメントの方面の研究もさせて、その結果をもって、あるいは向うからチームが来まして、日本の実情を見てそれの指導に当る、その結果を見て、これを各個にそれぞれ自主的に各企業が実行するということになります。政府がこれを強制するという意図は持っておらないのであります。実際の教育運動にすぎないものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/17
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018・田中武夫
○田中(武)委員 今大臣は、労働者が外部にあってとやかく批判するのは間違いである、中へ入るべきである、こういうふうに言われたのですが、労働者に対して発足当初から呼びかけがなかった。これはアメリカの何とかという人と経済同友会を初め四つの団体との話し合いの中から出発したものであって、ちゃんと計画ができてしまって発足してから呼びかけてきた結果だと思うのです。また先ほど全部の労働者がそうではなくして、一部の労働者はということでございますが、なるほど個人的には労働組合の中にある人が名を連ねておりますが、これはむしろあくまで個人的な立場で入っておられると私聞いておりまして、その人の所属している労働組合がまだこれに対してはっきりした意思決定はなされていねいと思う。そのような場合において、大臣が今のようなことを言われることもおかしいと思いますし、今後はまたどのような方法によって、それでは労働者及び中小企業者の意向をくみ入れ、また参加するような道を開くように考えておるのか、それを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/18
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019・石橋湛山
○石橋国務大臣 生産性本部の仕事には現在もう門戸を開いておるのでありまして、労働組合からお入り下さるととは歓迎しておるわけであります。それからなるほど今の労働者の一部の人が入っておるというのは、決して組合の代表とかいう意味ではなくて、個人的な考えから一部名を連ねておる方があるということでありますが、しかしそれは労働組合に所属する人たちの中にも、生産性本部というものは必ずしも総評などで言っておるように、労働階級に対して敵対的のものであるという思想を持っておる方々ばかりではないということの証明にはなろうかと思う。実は生産性本部の発足の場合に、私がその衝に当っておらなかったものですから、私はそのときの報告を受けただけで詳細はよく知らないのでありますが、しかし相当に組合の方にも働きかけてその参加を求めたということは、私は報告を受けております。それが十分であったかなかったかということは御批評がありましよう。ですから今後私は、自分でも一つ働きかけをある時期に、必要な時期にやってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/19
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020・田中武夫
○田中(武)委員 前に経審長官にお伺いしたときも、私は発足についてはよく知らないと言う。今また大臣は、発足の当初のことは私は特に当っていなかったので、こう言われますが、そうするとこれはあくまで民間で出発したものなんですか、政府は出発に当っては関係なかったわけですか。——それではお伺いしたいのですが、そのようなものに対して一般会計から五千万円でしたか、それから財政投融資から一億千万円の融資をすることになっておりますが、それはどういうわけでそういうことをされるのか。
もう一つお伺いしたいのは、現在の生産というものは経営者といいますか、資本家と労働者、また中小企業、この三つの柱によってささえられておると思う。ところがこれの出発はその一つであるところの資本家団体の代表のみによって話が進められてきて、でき上ったときからお入りなさいといっても、労働者、中小企業者がこれに対して批判的な眼を持つのは当然だと私は思う。戦時中に産業報国会というものがあったのは大臣御承知だと思う。あれも官制によって出されたもので、その後は労働者といいますか、従業員の参加を認めました。しかしそれがどのような役割を戦時において労働者に対してしたかということは御承知と思います。われわれ労働者が考えておることは、かつての産業報国会的なものに将来なるのではないか、またこれが現在の政府が考えておられるところの日本の再軍備あるいはMSA受け入れ態勢の強化、このようなものと大きな関係があると見ておるので、批判的な眼をもって見ているのは当然だと思う。そういうような点についてはっきりした解決を与えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/20
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021・石橋湛山
○石橋国務大臣 この計画はうそも隠しもない、これはかねてからアメリカがそういう運動を世界的にやっておりまして、英国あたりも数年前に同じチームを作って、日本でいう生産性本部のようなものを作ってやりました。その結果は大きな報告書になって現われて、その効果は相当に産業界にもあったということが言われておる。ですから日本でも同じように今の日本の経済自立をはかる上においてもプロダクテイヴィティを向上することはぜひとも必要だから、それをやったらどうかという呼びかけはアメリカ側からあったということは事実です。それに日本側が乗った。しかしこれはいわゆる政府の事業ではないのでありまして、政府もむろん必要なことでありますから援助もし、出資もいたしますが、しかしながらやることはどこまでも民間の仕事としてやってほしい、民間の仕事としていろいろのチームを作って、これを交換してお互いに研究をするという方向をとってもらいたいということでやっております。
それから私が出発に際して知らなかったというのは、生産性本部ができましたのは最近のことでありますが、それまでお話のように、生産性本部を作るまでに労働組合にどういう働きかけをしたか、それまでの準備が足りないではないかという話でありますが、実はそのとき私はおりませんでしたので、その準備についてはよく存じませんが、しかし私の報告を聞いておる限りにおいては相当総評等にも話し合いをしたということを聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/21
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022・田中武夫
○田中(武)委員 大臣、ちゃんとでき上ってしまっておる。機構ができて重要なポストの人もきまり、あるいは計画の基本も立って、それからお入りなさいといっても入らないと思う。これに対して先ほど来私が申し上げておるように、労働者は首切りあるいは労働強化その他の例からいたしまして批判的な態度をとるのは当りまえだと思う。ほんとうに大臣の言われておるようなものならば、もう一度つぶしてしまって、初めから労働者も中小企業代表者も一対一の立場において、今後日本の生産性を向上するにはどうするかというようなことを根本的に立て直す必要があると思いますが、そのことについてはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/22
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023・石橋湛山
○石橋国務大臣 いつから相談するということは、すべてこういう問題についてはもっと早く相談しろという御意見が出ることもごもっともと思いますが、ああいう仕事というものは、とにかくある程度の計画を作って、その計画を少くも原案としてやらなければまとまりがつかないのでありますから、仕事をやる順序としてお話のようにある程度のオルガニゼーションができて、そこに労働組合の方も呼びかけるという手続になったのかもしれません。しかしこれはそうであるからといって、労働組合の方も初めからつむじを曲げてしまうのもどうですか、もう少し虚心坦懐にやってもらえないものかと私は思うのです。やって下さるように御協力を願いたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/23
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024・田中武夫
○田中(武)委員 それでは今後どのような方法によって協力を求め、労働者なり中小企業者の意思が生産性本部の基本的な計画を樹立した場合にくみ取られ、またいれられるような方法をとろうとしておられるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/24
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025・石橋湛山
○石橋国務大臣 実は生産性本部はすでに出発いたしまして、石坂君が会長で始めておりますから、生産性本部がどういうふうにやろうとしておるか実はよく存じません。しかし私が報告を受けておる限りでは、これからでも一つ総評等に呼びかけたいという意思を持っておるのですが、実際少しこわがっているのではないですか。呼びかけてもなかなか承知してくれないのではないかというようなことで、少々おそれをなしてちゅうちょしておるのではないかと思われる節がある。ですからよく調べてみまして、そういうわけなら私もそういうように処置をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/25
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026・田中武夫
○田中(武)委員 何か言うと、私は出発の際にも知らなかった、生産性本部は政府のものじゃないのですからそれぞれに役員がおり、やっておられるわけです。だからそこでやるのだ、こう言われるのですが、それではなぜ両方合せて二億円といったような支出をしておるわけなんでしょうか。勝手に向うがやるのだ、こう言ったり私は知らないというようなものに対して、私は二億円という支出は軽率じゃないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/26
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027・石橋湛山
○石橋国務大臣 いや決して責任をのがれる意味で知らないとかなんとか言っておるのではないのです。実情を申し上げておる、だから責任は負います。
それから生産性本部というものは始まりから民間の一つのムーブメントとしてやってほしいというのが主意であります。そのムーブメントは必要だから、そういうある種のいろいろな運動に対して補助金が出されるように、生産性本部に対しても政府が支出するということは間違いではないだろうと思います。これは国家としても社会としてもぜひ必要なことだとわれわれは考えております。ただ問題はそこに企業者の方は今参画しておるけれども、労働者の方が、少くとも労働組合として空式に参画していないことが残念だということであります。この間、これも専務理事か何かやっております鹿内君が来ましてこれからも総評等に大いに話しかけようと思うと私に申しておりました。それは単に申しておったのですから、私の方から今ああせいこうせいと指図をする段階ではございませんから見ておるのでありますが、しかしながら今生産性本部の事務をやっておる連中もそのことには始終努力するつもりでおるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/27
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028・田中武夫
○田中(武)委員 今日の生産機構の中にあっては、労働者の腹からの理解のある協力がなければ、どんなに太鼓をたたいても、実際計画をどんなに立ててみても、それがスムーズに行われないということについては大臣お認めになりますか、どうですか。それであるならば、先ほどのお話によると石坂さんですかが会長をしておるが、総評その他がおそれをなしておるのではなかろうかというようなことで、労働組合が反対だからこっちで勝手にこうやろうといって立てられても、紛争を起すばかりだと思う。しかもそのようなものであるにかかわらず、いわゆる労使双方のほんとうの腹からの協力体制ができ上ってやるというものに対しての支出はいいと思うのですが、今の状況であるならば、紛争を起す原因になろうとしか考えられぬ生産性本部に金を出しておられるということが問題ではないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/28
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029・石橋湛山
○石橋国務大臣 最初から労働組合の協力を得られればそれに越したことはない。それを私も今でも切望しておりますが、私は生産性本部というものをやっておるうちには労働組合が現在抱いておる疑いは解けると思うのです。初めからの目的がそうではなくて、またやる仕事がそうではないのでありますから、私は疑いが解けると思う。そして今生産性本部を経営しておる事務の中心になっておるものもそういうつもりで、今は残念ながら表面労働組合の協力を得られない、代表者が出てもらえないが、しかしながらわれわれのやっておる間には必ず労働組合の方の疑いが解けて参画してもらう時期があるということを確信しておるものなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/29
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030・田中武夫
○田中(武)委員 それでは労働組合に対して理解を求めるためにはどのような方法で今後呼びかけたらいいとお考えになりますか。確信をしておりますと今大臣は言われたのですが、どのような方法で呼びかける、あるいはどのような方法で参加を求めていったら実現するとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/30
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031・石橋湛山
○石橋国務大臣 私は今の質問のどのような方法ということが、私からどういう答弁を求める御意図であるかよくわからぬですが、これはぶつかっていく以外にないでしょう。ですから必要の場合、あるいは機会があれば私自身もぶつかっていくというつもりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/31
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032・田中武夫
○田中(武)委員 それでは今度はちょっと方面を変えまして、中小企業の面からいきたいのです。生産性本部の計画の中に中小企業の専門化ということが立てられておると思う。現在公正な取引という面から親会社の下請企業に対する不公正取引の関係が当面の問題になっており、あるいは支払い代金の問題が問題になっておるわけです。下請会を専門化していけばいくほど下請会社は親会社に隷属しておる結果になると思う。そうするならば公正取引という面、あるいは下請代金の支払いという面から、より一そう現状より悪くしていくのではないかというような考え方が持たれますが、その点いかがでしょう。
もう一つは海外へ研究に派遣するとか、海外から専門家に来てもらうとか、あるいは企業診断とかいろいろなことが行われておるようですが、これはすべて大体大企業を中心とした計画の立て方ではないか。従ってこれに対して中小企業家がある程度の批判的な態度であり、かつまた構成メンバーの中にも、一、二の中小企業の代表の人がただ単に参与といったような名前で入っておるにとどまっておると思う。だからこれはあくまでも大企業のためのものである、こういうように一般に見られておるのであります。こういうものに対する誤解を解く方法及び今後そういうことのないような運営をするようにするにはどうしたらいいか、体的に一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/32
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033・石橋湛山
○石橋国務大臣 中小企業者にもそういう疑いがあるかもしれませんが、生産性本部というものは日本の実情に即して、いかにして生産性を向上するかという問題でありますから、日本の実情において中小企業を閑却することができるはずはないのであります。ですからわれわれは大企業の生産性を向上してだけ決して満足のできるものではありませんから、そういうつもりはないし、生産性本部の構成においてもそのため中小企業のチームを作ってその研究にしかるべき方法を講じたい。こういう意味で中小企業のチームもできるということになっております。
それからその結果がどんなことになりますか。中小企業者の企業がいわゆる下請で親会社に結びつけられてまずいことになるか、あるいはうまいことになるかということは研究の結果でありますから、研究をした結果、日本の中小企業をどうして生かすかという研究をするのが今の生産性本部の仕事でありますから、生産性本部ではあらかじめ結論を持って出かけるわけにはいきません。いけなければ実行しないわけでありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/33
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034・田中武夫
○田中(武)委員 それでは最後に希望を申し上げてみたいと思います。大臣はいろいろ言われておりますが、大臣も先ほど来感じておられるように、大体の労働組合及び労働者はこれ対して反対である。これが一つの大きな理由といたしましては、西欧諸国におけるこの種の運動がマーシャル・プランに関係があるように、日本における生産性本部はMSA受け入れの問題に関係があり、アメリカが日本の経済をより確実に支配する態勢を確立するためにサゼスチョンを与えて作らしたものである、こういう考え方を持っております。先ほど私申しましたように、かつて戦時中において、産業報国会がいわゆる労使協調の宣伝の上に立って、あるいはひどいときには報国精神とかなんとかいうことを鼓舞いたしまして、労働者をおどかしておった、このようなものに将来はなっていくのではないか、こういうような危惧の念を持つので大きく反対をし、またこれに参加することを快しとしていないのであります。この点を申し上げまして、十分改善と、こういうことについて誤解のないような方法、あるいはこれについての十分な釈明というか、説明をするように考えていただきたいと思います。それでなくては、あくまで労働者は反対だろうと思いますから、一言申し上げて終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/34
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035・石橋湛山
○石橋国務大臣 御注意ありがとうございます。これはむろんでありまして、私は必ず労働組合も欣然として参加してくれるような態勢に持っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/35
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036・田中角榮
○田中委員長 佐々木良作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/36
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037・佐々木良作
○佐々木(良)委員 私は通産行政の基本的調査の一環といたしまして、自動車産業に関する問題をお伺いいたしたいと思います。具体的な問題をお伺いしたいのでありますが、それに先だちまして、御承知のように今日本の自動車産業というものは、昨年昭和二十九年の例をとりましても、年間一千八百億円の生産高を上げておりまして、鉄鋼、石炭、造船などと一緒に基幹産業として重要な地位を占めておるのでありまして、特に自動車産業に関連しておる、自動車産業で飯を食っておる労働者の数は約五十万といわれますし、従って家族を含めますと百数十万の連中が自動車産業にぶら下っておるということになっております。ところが御承知のように、最近におきましては、特に滞貨の増大が目を引く状態と相なって参りまして、生産状況はだんだんと減産の態勢を続けなければならない状態と相なって、産業の基礎を脅かすような状態があると聞いております。現内閣はこの自動車産業に対しまして、特に官庁用の自動車には外車を使わないようにする等々の話もあると聞いておりまするが、根本的に自動車産業に対しまして、特に外車との関係で、今後大体どういう方針をおとりになるつもりか、自動車産業の育成に関して相当積極的な態度で臨まれるのか、あるいは全然経済的な立場から自動車産業というものに対せられるのか、根本的な方針をまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/37
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038・石橋湛山
○石橋国務大臣 お説のように今日本の自動車産業は非常に振わないといわれていながら、いつの間にやら相当の生産額を上げておるような形であります。これはますます大いに、ことに総合的な一種の機械工業でありますから、ぜひ一つ日本の国産車を十分発達させたいと考えております。現在トラックとかなんとかいうものについては海外の競争をおそれるに足りない程度になり、輸出も相当伸びておるようでありますが、ただ問題は、乗用車は遺憾ながら国産車は外国車に比して性能が劣るようであります。ことしになりまして各社とも新型を発表してかなりいいものができました。政府はできるだけ買いかえる場合には国産車にするというので、私ども通産省でもことしは相当多数のトヨペット等を買い入れたようなわけであります。そこで問題は、一つは需要でございまして、どうしても海外へ輸出でもできるようになりませんと、今のようなありさまですと、日本の自動車というものの生産高を十分に多量生産に持っていくことができないという悩みがありますので、何とか輸出の道を開き、また国内の需要も国産車に切りかえまして、そうして多量生産ができるような方向に持っていくということが一つ。そうして価格——今何といいましても、少くとも乗用車においては比較的国産車の価格が高いのであります。その価格が下るように持っていきたい、かように考えてせっかく努力をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/38
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039・佐々木良作
○佐々木(良)委員 自動車産業を根本的に育成しょうという態度を政府はとっておられますことが、今の通産大臣の御答弁で明らかになりましたので、以下少し具体的に二、三お伺いいたしたいと思います。
まず輸出を増大をしたいというお話でありましたが、御承知のように戦前におきまして自動車の一番たくさん出ておって、関係を深く持っておったのは中国大陸であります。御承知のように終戦のときには、約二万八千台の車が大陸に置き放しになったというように聞いております。それが御承知のようにココムの制限等のために、一番大切な市場に今進出できないという状態になっておる、特に私よくわからぬのでありますが、新しい大型のトラックやバスが行かないだけでなくて、自動車の部分品もその制限になっておるという話でありますけれども、これはほんとうでありましょうか。あるいはあるとすれば他の外国も同様な状態であるのか、それらの解除の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/39
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040・石橋湛山
○石橋国務大臣 戦前シナ大陸へ日本の車が多く行っておりましたのは、日本人が多く行っておった、あるいは向うに日本の陸軍が多数に行っておった、あるいは日本の投資が相当行われたというようなこと、いろいろの事情でありますから、今日中共との貿易が開けまして、すぐに戦前ほどの輸出が行われるかどうかは多少疑問もありますが、しかしそれにしても現在のように禁輸品になっておっては話にならないのでありますから、ぜひとも禁輸品にならないようにいたしたいと考えております。しかしココムは、最近一両日の間の新聞など見ますと、だいぶ先方でも緩和しなければならぬというような議論も現れつつあるようであります。しかしソ連に対する禁輸よりははるかに厳重なものでありまして、もしソ連並みに禁輸が解かれるはら、日本からの輸出も相当できるものと思います。私もこまかいことは知りませんが、自動車については部分品も禁輸品の中に入っておると思います。だからこれはどうしても解いてもらうように、特にわれわれは努力するということを申し上げる以外には方法がないのであります。では西欧はあすこへ入っておるかと申しますと、入っていないと思いますが、昨年の八月ぐらいまでは、日本と西欧諸国とは少し中共に対する禁輸の制限が違いました。日本は特に強い制限を——これは司令部の関係でありましょうが——受けております。これはその後西欧並みに全部解除されましたから、現在は日本と西欧との差は中共に対してはない、こう申し上げて間違いはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/40
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041・佐々木良作
○佐々木(良)委員 今の対中共の貿易は、貿易特別委員会でも今問題の軸中でありますので、質問は省略いたしますが、今大臣の話にもありましたように、いま一層の、特段の御努力をお願いいたしたいと存じます。
次に移りまして、次はMSA協定によって貸与あるいは供与される車両が、基盤の弱い日本の現在の自動車産業の生産計画に対しまして、相当の圧迫を来たしておると存じます。この問題と、もう一つは新聞等をにぎわしておりますように、十分御存じのあの無為替輸入の問題についてお伺いをいたしたいと思います。御承知のようにMSAの現物支給によりましては、大体聞くところによると年平均約九千台くらいの車が入ってきて、国産車が圧迫を受けておるというふうに聞いております。最近はだんだん減少の傾向にあるとは聞きますけれども、大体たとえば今年度三十年度の予算との関連において——特にこれは自衛隊の車でありまするから、大体見当がつくと思います。三十年度の予算との関係におきまして、この現物支給の関係を一つお聞かせを願いたいと思います。聞くととろによりますと、だんだん今年度あたりから減ってくる。しかしながら、減ってはくるけれども、御承知のように今年度自衛隊は、今年度分の増強二、三万を加えまして、全部で十五万程度になるということになっておりまするが、その今年度あたりからそろそろ現物支給が減ってくるということは、大体自衛隊の十五万分を、もうだんだん入ってしまったからいいんだというようなことでありまして、そうすると、国内の新車を買うということはほとんど期待できないというような感じもするわけでありまするけれども、この辺の事情、特に最近現物支給が漸減傾向にあるということと対応いたしまして、それならば国内の国産車が買い入れられるのは漸増傾向にあるかどうか、その辺の事情をお聞かせ願いたいと思います。
それからあわせて次の無為替輸入の問題、これも同じでありまするけれども、御承知のように、二十八年、二十九年という実績をたどってみましても、乗用車につきましては、国内生産とほぼ同じくらい、少しは少いけれども、大かた同じくらいまで無為替輸入がある。聞くところによりますと、たとえば西ドイツとかヨーロッパの方では、持ってくるのは仕方がないから持ってきてもいいが、持ってくるなら帰るときは持って帰れというような、何か取締りがあるやに聞いておりますけれども、まだ日本においてはそれほどの状態にまでなっていない。従ってこの無為替輸入の問題につきましての今後の取締り対策につきまして、具体的なお考えがあったら、あわせてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/41
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042・石橋湛山
○石橋国務大臣 こまかいことは政府委員から申し上げさせますが、第一の防衛庁の関係は、確かに車両がMSAの援助として入ってきていることは事実であります。これが今どのくらいの数になり、また漸減するということにつきましては、通産省の政府委員がどれほど知っておりますか、防衛庁関係でありますから多少わからぬことがあればしょうがありませんが、今数字について申し上げさせます。
それから第二の無為替輸入のことは、実際これは非常に困って、いろいろアメリカ側に交渉いたしまして、最近はだいぶ厳重な制限を加えました。年式が新しいものは輸入してからどれだけたたなければ売らせないというような、ずいぶん厳重な制限を加えましたので、これは相当減少するものと考えております。これも数字については政府委員から申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/42
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043・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 第一の問題でありますが、従来自衛隊に納めました国産車及び国産貨車で、大体一昨年あたりは年に五千台ぐらい納めております。従いまして従来の昨年までの統計をとりますと、国産で約一万三千台納めております。これに対しまして貸与されたものが約一万四千台程度になっておりまして、ほぼ同じような量になっております。昨年は予算の関係で非常にしぼられまして、昨年の国産車の買い上げが非常に減少した反面貸与がふえた、こういうような状況になっております。本年は昨年よりもできるだけ通産省といたしましては自衛隊の買い上げを希望しておりまして、予算的には昨年よりある程度増加を見ております。具体的に申し上げますと、昨年の防衛庁のこの種予算は七億でございましたが、今年度は、われわれが聞いておりますところでは十七億というふうに聞いておりますが、この程度ふえることが期待されるわけであります。
それから第二の問題の無為替輸入の問題でございますが、無為替輸入のいわゆる貿易量、入ってくる無為替輸入はごく軽少でございまして、御指摘の点はやはり軍人・軍属及びそれらの家族から国内に販売されるものをおさしになったものと存じます。これは実は一昨年あたりでありますと非常に大きな数字でありまして、御指摘の通り年に一万二、三千台の数が入っております。昨年は九月までの統計で六千台程度のものが入っております。従いまして年末までを見ましたらさらに大きな数量が入っている、こういうふうに考えられます。これにつきましてはわれわれもできるだけ、ただいま大臣からお話がありました通り、この輸入を締めていくというふうな方針で先方と話し合いをいたしまして、輸入を締めまする方針を強化しております。その考え方は、大臣からお話のありました点をもう少し具体的に申し上げますと、一つは、結局縛れるのは日本側の買手でございますが、向う側では使用して一年以内のものは売ってはならないということが一つ、それから二番目は、型式において二年以内の新しい型式のものはいけない、それもことしは一九五五年型でございますから、売れるのは五三年以前のものに限る、こういうふうになるのであります。それから三番目は、売手の側から見まして、三年半の以内に一つ売った者は三年以内には新しくは売れない、こういうような三つの規制をすることにいたしてありまして、できるだけ国内に流入することを防ぐというふうに話し合いがつきまして、それによって現在措置しておる状態であります。従いまして今年度は絶無とは申し上げませんが、従来よりよほど減ってくるということを期待しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/43
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044・佐々木良作
○佐々木(良)委員 時間がありませんので先に進みたいと思いますが、今の自衛隊の関係の、特にMSAの現物支給の問題は、これは御承知のように自衛隊会計というのか、あそこのやり方は、例の問題を起こしました冬服の問題にいたしましても、きわめて私どもは信頼を置けない状態があると考えますので、特に通産省で、これはわが国の通産行政の一つの重要な産業の盛衰にかかわる問題を含んでおりますから、一つ十分に考慮を払われ、将来向けの対策を慎重に立てられるようにお願いいたしたいと存じます。
それから無為替輸入の問題につきましても同様でありますが、もし政府が全然違った立場で、技術が日本のやつはおくれているから、外国のものでも何でもいい、持ってきて、それで競争させようというような感じがあるなら別でありますが、先ほどのような根本的な方針をとられる限り、これはあくまでもその取締り強化以外にはないわけでありますから、だんだんと努力はされておるようでありますけれども、実績がまだ相当な額に上っておりますことを十分考慮されまして、いま一段と一つ取締り方策を厳重にされんことを望みまして、次に移ります。次の問題は簡単でありますが、聞くところによりますと、ガット加入の問題につきまして、その加入の条件みたいに自動車の関税を引き下げるというような話が向うからあるとかないとかいううわさが、たとえば今の四〇%のものを二〇%程度に下げてくれといわれたのか、どうせ非公式の話でありましょうけれども、そういううわさがあるやに聞くのであります。御承知のように、ガット加入は私どもあくまでも望むところでありますけれども、それが一番大事な、これから育成しようとする産業が、しかも国際的な資本の圧迫を感ずるような形で犠牲に供されるということは、とてもこれは耐えられぬことだと思います。もしそういうようなうわさがあるとしますれば、一つ十分慎重な態度を望みたいと思いますが、この問題につきまして今一体どういうことになっておりますか。うわさであるならば、一つ完全に打ち消していただきたいと思いますし、現在の状況をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/44
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045・石橋湛山
○石橋国務大臣 ガットの加入の問題は、たしかこの十日に一斉にアメリカも日本も発表することになっておって、それまでは絶対秘密ということになっております。その意味は、何も日本には秘密にする必要はないのですが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/45
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046・田中角榮
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/46
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047・田中角榮
○田中委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/47
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048・石橋湛山
○石橋国務大臣 自動車のことについては、十分注意をしておりますが、何しろ日本の貿易を伸張しようとすると、やはり向うと取引になるのですから、英国でもドイツでもアメリカでもその輸出品の非常に重要なものとして自動車を考えておるものですから、何とか日本に自動車を入れろ、そのかわり日本のものを入れてやるとか、関税を下げてやるとかいう取引が起りますので、まことに困るわけでございますが、御心配になるようなことは、ただいまございません。それだけは申し上げていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/48
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049・佐々木良作
○佐々木(良)委員 心配のあるようなことがないように一つ格段の御努力をお願いいたします。今その関税の問題につきまして今のようなお話があり、そうして通産省としてもそういう態度をとられようとするならば——今度はさかさに国内の税金の問題でございますが、御承知のように国産の小型自動車はまだ一五%の物品税がかかっております。この物品税というのは御承知のような戦時中でしたかの法律によって、ぜいたく品にかける税金になっておるわけでございます。まことに私は今の関税問題とからんで見る場合、国内政策の矛盾もはなはだしいと思うわけであります。これは大蔵大臣の方に属する問題かと思うわけでありますが、それにしましても通産大臣といたしましてはっきりした方針を少くともお持ち願いたいと思います。現在国産小型自動車の物品税に対しまして、廃止あるいは軽減をしようとするお考えありやなしや。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/49
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050・石橋湛山
○石橋国務大臣 お話はごもっともでありまして、できるだけ税金を下げるという方向に持っていきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/50
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051・佐々木良作
○佐々木(良)委員 大体このごろ日本でよくはやるところの、総合対策とか何とかいうことを盛んに言われるけれども、役所でいわれる総合という意味はほんとうの総合という意味をなしていない。たとえば国産車に対して保護育成対策をとるという方針をとられるならば、一方において関税を引き上げるという対策をとれば、当然国内においての税金を下げるという対策をとってこそ総合対策になると思います。それを平板に並べておるのでは決してこれは総合にならないのでありまして、次の機会に十分一つ突っつきたいと思っております。総合燃料対策等におきましても、相矛盾する対策を国内に並べておいて、それでもって総合というのでは、総合という文字が泣きます。十分一つ御考慮をお願いいたしたいと思います。今の物品税の問題につきましては、私は小型自動車以外の問題につきましてもいろいろあると思いますけれども、省内におきましても根本的にこの物品税という問題を十分にお考えを願いたい。特に今の自動車問題はきわめて大きなパーセントで、御承知だろうと思いますけれども、二十八年度の例を見ましても、全部の物品税中の一五%、金目にして車両関係が約二百五十億、大きな税金です。これが大きな一つの阻害になっておることは間違いないのでありますから、今のような対策を考えられるならば、十分にその一環として御考慮あらんことをお願いいたして、時間がないものですから先に行きます。
これは問題が少し純粋経済の問題からそれるかと思いますが、自動車産業をほんとうに育成しようとするならば、これは一方におきまして技術の向上を何としてもはからなければ——もし技術の向上をはからずにおって、関税等の対策でもって国内の自動車の使用を日本国民に強要しようとすることは、いたずらに犠牲を需要者に転嫁することになるわけでありまして、本気になってこれをやろうと思うならば、これは当然に生産費を下げ、同時に技術を向上させるための根本的な方策がとられなければならぬと考えます。ただ技術向上に対しましては、御承知のように非常に大きな総合工業でありま出すから、普通の考えでいきますと、たとえば全国自動車協会みたようなものが総合研究所みたようなものを設置するのが建前だと思います。イギリスにおきましても、あるいはアメリカにおきましてもそうであります。しかしながらこれほど大きく立ちおくれておる日本の自動車産業の部門にそれを要求することは、ほとんど無理にひとしい。そうするならば、国策として自動車産業を育成しようという方針がきまりましたならば、これはどうしても仕方がないから国家融資によるか、あるいは国家自身でもってその技術を向上させるための研究所を作るとか、いつか問題になったところの標準悪路あるいは最高速の試験路といったものを作るとかいうことが、国家の手で、あるいは国家の資金でなされなければならないと考えますが、現在のところ大体どういうお考えでありますか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/51
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052・石橋湛山
○石橋国務大臣 通産省でもそれには努力したいのですが、その詳細は一つ重工業局長から申し上げさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/52
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053・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 ただいまの技術関係の研究は、従来機械試験所の自動部によってやっておりましたが、最近では機械試験所の第四部でやっております。そのほかおもな会社は、それぞれ大きな研究所を持ってやっております。お話の通り、さらにこれらの点については力を尽して、自動車工業の発展をはからなければならないと思うのであります。国としてやる場合には、予算を必ず伴いますので、そういう方面と十分かみ合せて研究しなければならないと考えるわけであります。それから御指摘の道路の関係は、実は今年度も予算の要求をいたしましたが、予算の全体のワクの関係で、これは困難であります。しかしながらわれわれといたしましては、先般通りました競輪等の臨時特例によるボート・レースの収入がありますので、その資金を使いましてテスト用の道路建設に約一千五百万円ばかり支出したいということを事務的に今考えて、近く機械工業振興協議会に諮りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/53
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054・佐々木良作
○佐々木(良)委員 今の後段の説明の、道路に千五百万円を出したいというお話でありますが、大体標準悪路とか最高速試験路というものは、いつでしたか、木曽川のまっすぐいく堤防の上でやったらどうかという問題がありましたが、あれは建設省の所管なのか、あるいは通産省の所管なのか。大体役所の所管はややこしくて、とても仕事にならないところですが、今の標準悪路なり、あるいは最高速試験路というのは、通産省で金を出してやるのか、建設省でやるのか、この点はどういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/54
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055・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 ただいま私が申しました一千五百万円の金は、機械試験所のテスト用の道路を作りたいというので、木曽川の方は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/55
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056・佐々木良作
○佐々木(良)委員 あとの方の問題は、やるとすればどこの所管になるわけですか。——これはこまかい問題ですし、まだはっきりわからないらしいですから、時間の関係で別の機会に伺いたいと思います。とにかく日本ではいつでもそうなんですが、必要だといっておっても、することをせぬからおかしいことになるのだと思うのです。この点一つ十分お考えを願いたいと思います。
最後に一つ、今言われましたように、ほんとうに自動車産業を保護育成しようと思うならば、単なる関税政策や、それから外国車の入ってくるのをなるべくやめるということだけでは、どうしても犠牲を需要者に転嫁することになりまして、純粋経済競争を政治のワクの中でとどめるということで、むしろ問題があろうかと思います。従って本気に政府がこの問題を取り上げられるならば、今立ち遅れておる自動車産業を、少くとも国際競争場裏の競争に耐え得るところまで、何らかの期限を区切ってでもいいですから、特別の措置をもってこれをぐっと育てることが必要になってくる。それの一番中心は、どうしても技術向上以外には手はない。技術を向上させるための一番もとは、御承知のように生産設備がまだ近代的と言い得ないような、旋盤を使っているような状態が日本には多いだろうと思いまして、おそらくこの問題のかぎは日本の自動車生産業者の設備を最も近代化するという一言に尽きると思います。そして近代化するということの一番ポイントは、おそらく近代化するための設備資金をどこから求めるかということに尽きると私は思います。通産大臣が普通の御答弁をされようと思うならば、それは輸出入銀行なり、中小企業金融公庫なりがあるじゃないか、その辺でいいじゃないかということを答えられるだろうと思いますけれども、この辺で問題が解決していないというような現状でありまして、おそらくこういう短期融資でなくて、三年なり五年なりという長期の、従って低利のそういう特別融資が必要なのだろうと思います。ほんとうに通産省といたしまして、国内の自動車産業を育成しようという根本的な方針をとられるならば、当然に一番大きな問題の結論がここに来なければならないと思いますが、現在のところこの辺に対してどの程度までお考えが熟しておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/56
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057・石橋湛山
○石橋国務大臣 お説はごもっともでありまして、私からの答弁も佐々木委員がして下さったようなわけであります。金融のことは開銀からある程度出させるようにしておるようであります。それから今の機械の方の融資を世界銀行にも要求しておりますが、これはどうなりますか、まだ実はよくわからぬことですが、とにかくその点もできるだけのことをやるように現在もしておりますが、なお一つ今後十分御意見を取り入れましてやるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/57
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058・佐々木良作
○佐々木(良)委員 時間がありませんので、一応これできょうの質問はやめたいと思いますが、大体承わってみますと、最初根本的な方針はどうかという私の質問に対しまして、大臣はともかく本気になって国内自動車産業を育成したいという方針だと私は承わりました。ところが具体的に今問題になっている一、二を聞いてみますと、今少しでも手を打たれかけておるというのは、せいぜい関税や、それから今の現物支給の問題や、無為替の問題等の取締りという程度の、従来あるのを少し強化しようかというぐらいのところしかないよう血気がいたします。まだほんとうに自動車産業を育成するだけの根本的な対策がないと私は断定せざるを得ないのであります。先ほど申し上げましたように、これは非常に近代的な総合工業でありまして、おざなりの育成対策、保護対策ではほとんど意味をなさない。要するに国際競争に打ち勝つだけのもとを、この数年間のうちに強引に作るという方針がなければ、いっそのこと自動車産業の育成方針というものはやめた方がよろしい。そして別な方針をとられる方が筋が通るというふうに私は考えるわけであります。しかしながらそのためには、先ほど言いましたように、五十万、百万のこれに結びついておる私ども労働者なり家族が、全部一挙の問題としてぶら下っておる問題であります。そういう別な転換はほとんど不可能だろうと私は思います。従いまして別の機会にこれは委員長にお願いいたしまして、十分に一つ対策を立てるためのチャンスをお与えいただきたいと思いますが、同時に政府に、今私が申し上げましたことを総合対策として一つ早急に立案され、樹立されるようにお願いいたしまして、あとはまた別の機会に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/58
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059・田中角榮
○田中委員長 永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/59
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060・永井勝次郎
○永井委員 大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、中小企業金融公庫、商工中金に対する今度の修正案あるいは金融措置、そういうものの変更についてわが党の田中武夫君の質問に対して大臣の答弁があったのですが、何か内容がはっきりしないので、はっきりとお伺いをいたしたいのです。今度の修正で中小企業金融公庫の場合・商工中金の場合ともに原案に対して有利に修正されたとお考えになるか、あるいは非常に不利に解決されたとお考えになるか、あるいはイコールであったとお考えになるか、これを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/60
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061・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは率直に申して有利に修正されたとは、何といっても申し上げかねる。なぜかというと、原資がとにかく高くなるのですから、それはもう有利だということを申したら強弁になるから申し上げません。しかしそれならあれで処理ができないかというと、決して処理ができないことはない。中小企業金融公庫においては、特にこれはもう少し現在より金利を下げる程度でありまして、今度の修正によりましてやはりこれはある程度下げられると思います。この方は市場に債券を売らなければならぬだけに、商工中金より少しむずかしいと思いますが、これも大蔵大臣はできるだけの努力をすると言うてくれておりますし、また預金部といいますか、資金運用部からのずっと今までの融資に対して、金利の引き下げが行われるならば、これは今度の修正によってすぐに打撃は受けない、こう考えておる。ただしかしそれでも修正されなければもっとよかったということは事実でありますから、修正は決してあの限りにおいてはここでありがとうございますということを申し上げかねることは事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/61
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062・永井勝次郎
○永井委員 原案に対して非常な不利な修正であった、非常という形容詞がいいかどうか、とにかく不利な修正が行われた。それならば原案はどうであったかといえば、原案は現在の中小企業の金融難であるという実情に沿うべくあまりにつめのあかほどの金額である。大企業に対して合理化の名によって財政投融資を政府が考えられておる。比較から申しますならば問題にならないほどの原案であったと思うのですが、その原案からさらに不利に後退したということについては、これはやはり中小企業に対する現内閣の——まあ現内閣が主導役をとったのでなくて、自由党がこの修正の主役を演じたのでありますが、その罪は一等低いといたしましても、とにかく同罪であるという点については同様であろうと思うのであります。そこで一般の金融界においては一厘金利の引き下げというように、オーバー・ボローイングを解決するためのいろいろな努力はされても、中小企業の場合は原案よりさらに後退した、こういうことが問題でありますが、大臣はこの修正に対して、わずかでもとにかく原案から修正によって有利に解決されたという場合には、精神的な一つの中小企業に与えるところのアピールあるいはそれに対する思いやり、共感、こういった政治的な影響が非常に多いと思う。経済的には少くとも、政治的には大きいと思うのでありますが、それがわずかな条件がさらに後退したことについては、これはやはり中小企業は結局見殺しにされていくんだ、首は絞められていくんだ・こういう政治的な影響が非常に大きいと思うのですが、これに対する大臣の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/62
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063・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいま修正されなかったらもっといいと申しましたのは、これは数字の上においてそうでありますが、そのかわり、御承知のように今度は資金の量はふやしてもらいました。中小企業金融公庫も国民金融公庫も、問題はただ金利の問題なんです。金利の方は、これはまた一つのいいチャンスかもしれないのでありまして、今までの資金運用部からの金利をこの修正によって、一つ下げてもらいたいと前から思っておりましたが、これは下げてもらい得れば、かえってこれをチャンスにして、金利においても前の計画よりは何とかもう少し色がつくということにならぬとは言えないのであります。ですから、お話のように、そう頭から、今度の修正によって中小企業者をいじめつけるんだという結論にいくのは、少し早過ぎやしないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/63
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064・永井勝次郎
○永井委員 私はここで、中小企業金融公庫なり商工中金に対して修正せられた措置に対して、政府の弁解を聞こうという意思ではなかった。修正されたことは不本意であった、しかしいろいろな政治情勢からこうなったので、ほんとうはもっとこういう意思があるのだという中小企業へのアピールが、得意とする石橋通産大臣の口からこの議場を通して放送されるのかと思ったら、そうではない。どろぼうにも三分の理があるというような弁解をここで聞くのはまことに残念である、こう思いますが、この問題はまあこれで何しておきます。
次に硫安肥料の問題でありますが、硫安肥料の輸出会社に対して国内消費量の一割をここで備蓄しておくという問題。これが最近、よけいなものを備蓄することによって、金融的にもあるいはコスト的にも非常に不利になる、こういう説が非常に高まってきて、備蓄の問題がくずれそうになってきておる。また輸出会社は、輸出によって生ずる赤字分をここに積み上げておくのだという立法措置から逸脱して、最近においてはここに外貨の割当をして輸入もやらせようというような措置が考慮されている、こういうことを聞くのでありますが、これらの問題について一つお伺いをいたしたいと存じます。大臣が詳しくおわかりにならなければ、事務当局からでもけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/64
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065・石橋湛山
○石橋国務大臣 政府委員から申し上げさせた方が間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/65
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066・吉岡千代三
○吉岡政府委員 輸出会社は輸出業務をやるのが使命でございますから、輸入業務はやっておりません。ただし輸出をいたしますと、各地域別にこれに対する一割——本年の三月からは五%の特別外貨の割当がございます。これは特別外貨によって輸入を許されておるものの輸入にも使用できますし、また輸出に関する経費あるいは海外視察等の経費にも充当できる、こういう制度になっておりまして、現に輸出会社におきましても、インドに対する調査団の派遣等にこれを使用しております。ただしこれでは額として余るわけでございますし、一方特別外貨は一つの輸入の権利と考えることができますので、これをただそのまま一これは七カ月たてば失効いたしますので、輸出会社の業務の管理運営の一部といたしまして、輸出の実際の取扱いをいたしました商社にこれを割り当てまして、それだけ輸出会社に対する手数料の値引きをしてもらっておる、こういう事実はございます。その他に直接輸入業務をいたしておるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/66
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067・永井勝次郎
○永井委員 輸出会社に対して輸入外貨の割当をしてほしいというようなとが、事務的に折衝があったかどうか、そういう折衝は全然安かったか、そして一部では、それでは困ると事務当局の間でいろいろ論議があって、それじゃこういう法規にこういうことがあるから、その他という線で輸入外貨の割当をすれば輸入業務は可能であろうというようなことで輸入を考慮されているのではないか、今局長のようなお話でありますが、今までの、そこに落ちついた経過について正直にお話しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/67
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068・吉岡千代三
○吉岡政府委員 特別外貨は、輸出業者あるいはサプライヤーと申しますか、取扱い業者いずれでも申請ができる、こういう制度になっております。それで先ほど申しましたように、当初は取扱い商社の名義で特別外貨の申請をいたしまして、輸出会社としては、そのかわりに取扱い手数料をなるべく安くしてもらう、こういう制度をとっておりましたので、これならば制度的に何ら問題ないわけでございます。ところが一時、本年の初めころであったと思いますが、輸出会社は、ただいまお話しのように相当の赤字を累積しておりますので、直接使用する目的ではございませんが、輸出会社の名義で外貨割当を申請いたしまして、これを商社に、手早く申しますと、ある対価をもって譲渡する、こういうことをやった事実がございます。これはいろいろの面で非常に誤解を生じますので、厳に注意をいたして、一回限りでやめまして、その後は本来の形である取扱い商社から申請する、こういうことにいたしております。従って現状におきましては、御指摘のような事実は毛頭ないということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/68
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069・永井勝次郎
○永井委員 肥料の合理化の法律ができ、それに並行して輸出会社法案が出ました場合、これらの審議過程においてはわれわれも相当論議いたしまして、結局ここで表面は輸出と言っておるけれども、輸入もやることになるのではないか、たとえば輸出の赤字分だけをここに積み上げておいて、一面硫安の合理化措置によって、そこから上る黒字分で、この輸出会社に積み上げておく赤字を消していくというようなことはとうてい不可能なことではないか。一応そういうような措置で出発しておけば、やがてこの輸出会社の中で自まかないで消す方法が講じられるではないかということをわれわれが強く追及した場合には、そのようなことは断じてない、これは輸出の赤字分を積み上げておいて、そうして合理化によってやがて国際市場における競争力もできて、赤字を消していく条件もできるのだ、こういうことを説明していただいたのですが、ただいま御説明を聞いても・単に局長の言ったところにすなおにおちついたのではなく、輸出会社が輸入をやろうとした、それがいろいろな環境の条件からできなかったというだけのことであって、本意は赤字分を消すためにここでまた輸入をやろうという動きがあったことは明らかでありますが、一体現在輸出会社にはどれくらいの赤字が堆積されていて、合理化資金の財政投融資によってどれくらいの合理化が促進され、政府が議会において約束した合理化のプログラムが、どのような足取りで進んでおるかどれを明確に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/69
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070・吉岡千代三
○吉岡政府委員 肥料二法律の審議の過程において、当時輸出価格——海外の市況も現在のように好調でございませんでしたので、輸出会社ないしは硫安会社の合理化自体によっては、五カ年間に赤字を消すということは非常にむずかしいのではねいか、従ってたとえばバナナその他の有利な輸入をやることによって、この赤字を消すことを考えてはどうかというような議論が一部にあったことは承知いたしております。しかし現状は、御承知のようにその後海外の市況も非常に好調でございますし、国内価格も合理化によって非常に安くなっておりますので、現状を申し上げますと、以前海外市価の低い時期に台湾等と長期契約をした分がございますので、今年度はおそらく約三億円程度の赤字になると思います。しかし現在はむしろ国内価格よりも輸出価格の方が高い現状でありますので、来年度の輸出価格が幾らにきめられるかということにもよると思いますが、おそらく今後一両年を出ずして赤字は消えると考えておりますので、その他の輸入業務等によってこれが解決をはかるということは毛頭考えておらないわけであります。また先ほど申し上げました特別外貨の額等も、現在は輸出価額の五%でございます。またこの制度自体が、近くIMF等の関係から廃止されるというような関係もございますので、これに期待して云々ということは毛頭考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/70
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071・永井勝次郎
○永井委員 審議過程において輸入もやらしたらどうかというようなことは、これは一部に意見があったかもしれませんけれども、みんなの意見ではありません。ここを足場にしてそういうことをやるのではないか。そういうことではない、輸出だけをやるのだという政府の答弁でありました。ところが、その案が通ってから一年足らずのうちに、すでに輸入もやろうとしておる。どういうふうに、合理化資金を受ける分においてはいかにもつつましくやって、できてしまうと今度は大胆になって、それを足場にして自分に有利なことはつめをといで、何でもかっちゃくろう、こういうようなことをやる。また赤字が少いというけれども、今赤字が少いならば、合理化によってもっともっと硫安の価格というものは下げなければならぬ。ところが、合理化資金の投融資の場合はうんと下げることができるのだと言いながら、硫安のコストの上で一番ウエートを占めている、たとえば石炭の問題にいたしましても、これだけ値下りしているのに、それに対する引き下げも十分になされないというような、まるで通産当局は肥料会社の利益代表者のような感じがいたしておるのであります。われわれはその点からいって、硫安のコストの問題が一番問題だと思う。そうして、適正利潤を見ることは当然でありますが、海外市場その他等を見て、政府は赤字を積み上げるという条件ではなくて黒字を積み上げておく、そして赤字だ赤字だといっていろいろな操作をする一つのおとりにしておるのではないかと、われわれはこの硫安行政については非常に疑義を持っておるのでありますが、大臣はこういうことによって十分に財政投融資をして値段を引き下げるのだ、日本農業の基本的な重要な生産資材である肥料を安心して農家に適正な価格で配給するんだという約束をしておるのでありますが、それがこういう組織の中で実行ができるとお考えになりますかどうか、そして、もしこれができないとすれば、どういう方向においてこれを解決しようとしておるのか。農林大臣から強力に値下げをしろと言われて値下げをしなければならないということは、通産行政としては恥辱であると思うのです。通産行政自身の中で自主的にそういう問題は解決せられなければいけない。担当省が農林省からの横やりでいやいやながら引き下げるというような利益代表的な考え方は、払拭しなければならないと思うのですが、これに対して大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/71
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072・石橋湛山
○石橋国務大臣 必ずしも農林省の横やりで下げたという意味ではございません。それからまた近いうちに肥料審議会も開かなければならぬのですが(「みんなごまかしの資料を出しておる」と呼ぶ者あり)資料はむろん検討しなければいけませんが、そうして肥料を下げるつもりでおります。国内の価格についてはそういう準備を今いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/72
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073・永井勝次郎
○永井委員 この輸出会社に輸入外貨を割り当てて貿易をやらすというようなことは断じてやらすべきでない。法案を議決したときの趣旨というものは正しく実行しなければならぬ。その他という事項でやればやれるのだ、こういうこざかしい役人根性でそういうことをやらしてはいかぬと思いますが、大臣はこれに対してどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/73
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074・石橋湛山
○石橋国務大臣 肥料の輸出会社ばかりではないのです。今はそういうことで輸出をする赤字をカバーするために輸入品から利益を得させるということは、すでに全然神経質なくらいに各方面でとめておりますので、御懸念はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/74
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075・田中角榮
○田中委員長 本日の質疑はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/75
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076・田中角榮
○田中委員長 この際理事の補欠選任についてお諮りいたします。去る七日理事田中彰治君が委員を辞任され、理事が一名欠員となっておりましたが、同君が本日再び委員に選任されましたので、同君を理事に指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/76
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077・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。次会は明十日午前十時より開会することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02319550609/77
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