1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十日(金曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 田中 角榮君
理事 長谷川四郎君 理事 山手 滿男君
理事 内田 常雄君 理事 永井勝次郎君
理事 中崎 敏君
秋田 大助君 大倉 三郎君
小笠 公韶君 菅野和太郎君
齋藤 憲三君 笹本 一雄君
首藤 新八君 鈴木周次郎君
中村庸一郎君 野田 武夫君
淵上房太郎君 小平 久雄君
堀川 恭平君 村上 勇君
片島 港君 櫻井 奎夫君
田中 武夫君 帆足 計君
八木 昇君 伊藤卯四郎君
佐々木良作君 田中 利勝君
松平 忠久君
出席政府委員
通商産業政務次
官 島村 一郎君
中小企業庁長官 記内 角一君
委員外の出席者
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 秋山 武夫君
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部金融課長) 馬郡 巌君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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本日の会議に付した案件
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第二三号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第二四号)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/0
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001・田中角榮
○田中委員長 これより会議を開きます。
まず商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。ただいま委員長の手元に、各派共同提出にかかる本案に対する修正案が提出されております。この際その趣旨弁明を許します。内田常雄君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/1
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002・内田常雄
○内田委員 ただいま各派共同で発議をせられました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨弁明をいたします。最初に修正案を読み上げます。
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を次のように修正する。
第八条ノ二の次に一条を加える改正規定の次に次の改正規定を加える。
第四十九条を次のように改める。第四十九条 商工組合中央金庫ハ
法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第一条ノ規定二拘ラズ毎事業年度二於ケル配当シ得ベキ剰余金額ガ政府以外ノ者ノ払込済出資額二対シ年百分ノ六ノ割合ニ達スル迄政府ノ払込済出資額(旧銀行等の債券発行等に関する法律(昭和二十五年法律第四十号)第十七条第一項ノ規定二依リ国ガ引受ケタル優先出資額ヲ除ク以下同ジ)二対シ剰余金ノ配当ヲ為スコトヲ要セズ
商工組合中央金庫ノ毎事業年度ニ於ケル出資ニ対シ配当シ得ベキ剰余金額が政府以外ノ者ノ払込済出資額ニ対シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者二対シ年百分ノ六ノ割合ヲ超エ剰余金配当ヲ為サントスルトキハ其ノ超過スル剰余金額ハ剰余金配当額が総払込済出資額二対シ均一ノ割合二達スル迄政府以外ノ者ノ払込済出資額及政府ノ払込済出資額二対シ一ト四トノ割合ヲ以テ之ヲ配当スベシ
以上が修正案でございます。これに対しまして各党を代表いたしまして私から御説明を申し上げます。
御承知のように、商工組合中央金庫は政府と中小企業等協同組合の共同出資になる特別の協同体法人でありますけれども、従来政府の出資は、民間の出資十三億円ありますのに対してわずかに二百十万円という少額にとどまったのであります。ここにおいて今回政府において、新たに十億円の政府出資を昭和三十年度の予算においてなすことになりまして、その趣旨の改正が政府提案の商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案に盛り込まれておるのでありますが、ただまことに私どもが考えまして残念であると考えます点、おそらくこれは政府の手落ちではないかと考えられます点、あるいはまた政府が中小企業者に対して思いやりがない結果がかくのごときことを生じたのではないかと思われます点が一点あるのであります。それは現行法の第四十九条という規定がありまして、その規定によりますと、従来政府の出資に対しては「剰余金ノ配当ヲ為スコトヲ要セズ」という規定があるのでありますけれども、まことに残念ながら、この規定の効果が昭和二十七年三月をもって消滅をいたしておるのであります。従って今回政府が十億円の新規出資を商工組合中央金庫にいたしますと、この出資金に対しては配当金を民間と同じようにしなければならない結果と相なるのでありまして、十億円に対してかりに年五分の配当をするといたしましても、年々五千万円の配当を政府にしなければならない。この配当率が上るにつれまして、政府にも五千万円から六千万円、七千万円、一億円というような配当をしなければならないことになるのでありまして、このことはせっかく十億円の出資を商工組合中央金庫にいたしながら、他面においてはこの商工中金の経済を苦しめまして、その結果商工中金の利下げが容易でないということになりますので、われわれはどうしても従来の四十九条の精神を生かしまして、この十億円に対して政府は配当を求めない、そうしてその余力をもって商工中金の金利引き下げを行う、御承のように商工中金の金利は、現在地の金融機関に比べまして非常に高いのでありまして、一年をこえる貸付金につきましては年一割三分というような高金利を取って、中小企業者を苦しめているのでありますから、私はこの際どうしてもこの金利を引き下げてもらわなければならぬ。これはもう各党一致の意見でありますので、そこでただいま読み上げましたように、新しく四十九条の規定を置きまして、従来死んでしまっている四十九条の規定に置きかえる。かくして民間に対して六分の配当をなすまでは政府の出資に対しては配当を取らない。しかし民間に対して六万以上の配当をなすことができる場合には、それに応じて政府も配当を受けられる。かような合理的の規定を設けることが一番事態に即する。かように考えて、この修正案を発議した次第でありまして、おそらく政府におかれましても全く御異存がない、むしろ政府の手の及ばなかったところを、われわれ委員によって民意をここに生かしたという結果に相なると私は考えるのであります。
なお私は、この修正案はまことにりっぱな修正案であると、みずから自画自讃をいたすものでありますけれども、これに関連いたしまして商工組合中央金庫が今後新しく発行をいたします商工中金債の消化の問題につきまして、いささか意見もあり、また改善をしたい点もあるのでありますが、これは今回の法律事項ではございませんので、私はもっぱらここに法律の修正案のみを提出をいたしまして、この商工中金債券の消化の円滑化とか、あるいはまたすでに発行いたしておる商工中金債の資金運用部資金による引き受け、利下げの問題等につきましては、他の委員の方々から意見を出していただきまして、附帯決議等によりまして政府を鞭撻いたしたい、かように考えるのであります。どうか委員の諸君におかれましても、この発議に全員一致で御賛成をいただき、委員長からもこれをお取り上げ下さらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/2
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003・田中角榮
○田中委員長 以上で趣旨弁明は終りました。本修正案は国会法第五十七条の三の規定に該当するものでありますので、内閣に意見があれば、この際その意見を求めることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/3
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004・島村一郎
○島村政府委員 ただいま議題となりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の修正案につきまして、政府の意見を申し述べます。
商工組合中央金庫は、御承知の通り、その資金コストが高いため貸出金利も一般金融機関に比しまして割高となっておりますために、その引き下げにつきましては、当委員会におかれましても強い御要望があったわけでございます。本修正によりまして商工組合中央金庫の負担はかなり軽減されることとなりますので、政府といたしましては、この負担軽減分はすべて貸出金利の引き下げに充当し、さらに商工中金自体においてその経営の合理化に努力を払いまして、経費の節約を行い、できるだけ早い機会におきまして金利の引き下げを行うよう、指導監督に遺憾なきを期したい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/4
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005・田中角榮
○田中委員長 討論の通告がありませんので直ちに採決に入ります。
まず修正案を採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/5
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006・田中角榮
○田中委員長 起立総員。よって本修正案は可決せられました。
次に修正部分を除いて原案について採決いたします。修正部分を除いて原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/6
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007・田中角榮
○田中委員長 起立総員。よって本案は内田君提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。
ただいま委員長の手元に八木昇君より本案について附帯決議案が提出せられております。この際提出者の趣旨弁明を許します。八木昇君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/7
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008・八木昇
○八木(昇)委員 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨の弁明をいたします。
最初に決議の案文を読み上げます。
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
一、資金運用部資金法第七条第一項に掲げる商工組合中央金庫金融債に対する引受利子年八分五厘は六分五厘に引下げるよう措置すること。
二、同法第七条第一項に掲げる貸付先に商工組合中央金庫をつけ加えること。
三、商工組合中央金庫の金融債消化については、市中銀行をして、極力協力せしめるよう格段の措置を講ずること。
右決議する。
以上が案文でございます。
なお御承知の通りに現在大蔵委員会におきまして、資金運用部資金法の一部改正に関しまして審議が続行中であると承わっておりますので、この決議がもし採択をせられまするならば、大蔵委員長に申し入れをする方法などもあわせて御考慮をいただきたい、こういう趣旨の提案でございます。
ただいまから簡単に提案の趣旨弁明を申し上げます。現在のわが国の中小企業が、軒並みに文字通りあえぎ苦しんでおるという実情を考えまするときに、政府の中小企業対策はまことに不十分と言わざるを得ないと考えます。中小企業対策はその金融対策の面におきましても、もっと抜本的な方策がこの際必要であると私は考えておるのであります。このことは一応さておきまして、当面の全く最小限度の方策として考えてみましても、少くとも公庫あるいは商工中金いずれも一体にコマーシャル・ベースが高過ぎるという現状から考えますときに、たとえば公庫、中金ともに一般会計支出予算において、利子補給として一億数千万円くらいを見込むという程度のことば当然なすべきことである、こういうふうに考えます。また商工中金への出資につきましても、仄聞するところによりますると、公庫から中金への二十億の貸付は、中金に対する政府出資の予定分が、公庫設立の決定によって公庫出資に振りかえられ、公庫よりのまた貸しの形となったということでありまして、このいきさつから見ましても、少くとも民間出資と同額になる程度、すなわち十三億増資の措置くらいはやってほしかったのであります。ところがこれはわずかに十億に過ぎず、しかも反面十億は公庫に返還しなければならないというのでは全く見せ金に終っておるのであります。このような実情に加えて、今回の予算修正によりまして、本年度資金運用部において引き受け予定の二十四億円がワク外にはずれ、勢い市中銀行に肩がわりするという結果に至ったのでありまして、商工中金金融債七十九億に、さらにこれが加算されるに至ったわけであります。これではほんとうに日に日に窮迫の度を加えていきますところの中小企業対策としては、あまりにも不十分と言わざるを得ない。こう考えるわけであります。こういうふうな観点から、とにかくさしあたって今日のこの状態を救うための最小限の措置として、先ほど申し上げました三項目の附帯決議案を提案いたしたようなわけであります。
何とぞ各委員の御同意をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/8
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009・田中角榮
○田中委員長 附帯決議案について採決をいたします。本案にただいま提案の附帯決議を付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/9
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010・田中角榮
○田中委員長 起立総員。よって本案は附帯決議を付することに決しました。
この際お諮りをいたします。本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/10
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011・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/11
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012・田中角榮
○田中委員長 次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑はありませんか。——質疑がないようでありますから、以上をもって質疑を打ち切ることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/12
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013・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、質疑は終了いたしました。
引き続き本案を討論に付します。討論の通告がありませんので、これを省略いたし、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/13
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014・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認めます。
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/14
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015・田中角榮
○田中委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際お諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/15
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016・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/16
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017・田中角榮
○田中委員長 次に中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
ただいま委員長の手元に西田常雄君外二十六名提出の民主党、自由党共同提案にかかる本案に対する修正案が提出されておりますので、この際提出者の趣旨弁明を許します。内田常雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/17
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018・内田常雄
○内田委員 最初に中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案を読み上げます。
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を次のように修正する。
第五条の改正規定中「百七十億円」を「百六十億円」に改める。
次に修正発議の趣旨弁明をいたします。中小企業金融公庫は、御承知のように国民金融公庫あるいはまた先ほど修正意見に一致いたしましたところの商工組合中央金庫などと並んで、中小企業のきわめて重要なる面をつかさどる政府関係の金融機関であることは御承知の通りでありまして、この中小企業金融公庫にできるだけ多くの資金を供給するということは、われわれ委員一致の意見であり希望であったわけであります。しかるに今回民主党内閣におきまして提出せられました昭和三十年度の予算並びに中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案によりますと、本年度出資金において一般会計から十五億円、財政投融資計画におきまして資金運用部資金をもって九十五億円、会計百十億円という政府関係の資金をこの中小企業金融公庫に供給することになっておるのでありまするけれども、われわれの意見をもってすれば、この百十億円ではまことに少な過ぎる、何とか十億でも二十億でもこの金庫に対する政府関係資金の供給を多くしたいということを念願いたして参ったものであります。しかるに一方、昭和三十年度の予算案を拝見いたしますると、われわれ自由党の者といたしましてはまことに不満足な点がある。国民に非常に高い税金を課しながら、その高い税金の財源をもって、国民金融公庫でありますとか中小企業金融公庫あるいは農林漁業金融公庫あるいは住宅金融公庫等に、一般会計からの資金を供給いたしておるのでありまするが、かくては一方において国民に高い税金をしいる反面、税金を財源とするのでありますから、これらの政府関係金融機関に対する資金供給の限度にもおのずから制約がありまして、両面においてまことに不満足な金融を与えておったのでありまして、われわれは御承知の通り昭和三十年度予算に対しまして組みかえ要求の決議をいたし、その原則といたしまして、財政投融資の資金は租税をもっては負担をしない、その一方減税を勇敢に行いまして、減税によって増加するであろうところの一般市中における預貯金の一部分を政府がコントロールいたしまして、これをもって中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫その他の財政投融資の財源に充てることこそ、今日の時代に即する最もいい予算の方針であるということをわれわれは信じたのでありまして、この意味におきまして民主党の同調を得て今回予算の修正を見たのであります。その結果この中小企業金融公庫に対しましても、先ほど申しましたような資金運用部からの財政投融資九十五億円を、今回二十億円増額をいたしまして、これを百十五億円にいたす反面、ただいま修正案を発議いたしましたように、税金をもってする一般会計からの当公庫に対する出資というものを十億円減額をいたしまして、しかも差引においては政府原案の百十億円を百二十億円の資金に増額をして、これを中小企業金融公庫に供給をいたし、一般中小企業者の利便をはかろう、かような趣旨をもちまして今回衆議院を通過いたしました予算にあわせまして、この法律案の修正を発議いたさんとするものでございます。この法律だけを見ますると、この百七十億円が百六十億円に、十億円減っておるようなことになっておりますけれども、この法律の裏面においては、繰り返し申し述べますように資金運用部資金は二十億円増加供給をせられまして、百十五億の供給ということになるのでありまして、あるいは社会党の諸君におかれましてはただ法律の表面だけを見て裏面の財政投融資というものの運営について御理解のないために、この認識不足のために、研究不十分のために、あるいは反対の御意見が出るかとも思いますけれども、われわれ両党の修正動議は以上申し述べますように、まことに正々堂々として中小企業者の利便をはかるものでありますので、何とぞ社会党も含めた各委員の御賛成をお願いいたすところであります。
なおまいたこれにつきまして、従来税金をもって供給される金は無利息であります。これにかえて資金運用部から供給される金は若干の金利がかかるのでありまして、そのために中小企業金融公庫全体における資金運用の面におきまして、若干の経理の圧迫があるように見えますけれども、これは御承知のように現在中小企業金融公庫におきましては剰余金を生じた場合に政府に納付するという規定がございまして、年々剰余金の納付をいたしておりまするが、この剰余金を生み出す必要はないのでありまして、これは御監督をなさる通商産業大臣あるいは所管の部局におきまして、この際思い切って中小企業金融公庫における貸付金利を引き下げて、剰余金を生ぜず、従って政府に剰余金の納付を要しないように監督運営せられんことを望むものでありまして、これをもって私はこの面の解決もつくものと信ずるものであります。この点をも諸君において御理解せられ、委員長においてすべからくこれを取り上げ、議院に報告せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/18
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019・田中角榮
○田中委員長 風上で趣旨弁明を終ります。本修正案に対する質疑がありますれば、許します。——質疑がないようでありますから、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案並びに修正案を一括して討論に付します。討論の通告があります。これを許します。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/19
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020・田中武夫
○田中(武)委員 私はただいま議題となりました、民主、自由両党委員から提案の中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案に対し、社会党左派委員を代表いたしまして、反対するものであります。
本修正案は、さきに行われた本年度予算の政府案を、民主、自由両党が野合的な取引による話合いによって修正いたしました結果、政府の当初予定いたしておりました中小企業金融公庫に対する政府出資金十五億円増額を五億円に減額したためであって、内閣提出の原案をより一そう後退せしむるものであります。私は反対理由を政治面と経済面との二面から申し上げたいと存じます。
まず政治的な面から申し上げますならば、先ほど申しましたように、内閣提出の原案を一歩後退させなければならないような羽目に立ち至らしめましたところの民主、自由両党の政治的責任が追及せられねばならないと思います。また両党の予算修正を無条件にのんだ内閣の態度も納得できないのであります。自由党は、中小企業の金融梗塞打開をスローガンに掲げてさきの選挙に臨んだのであります。本年一月、自由党政調事務局の編集である自由党政策一問一答、すなわちこれでありますが、これの八十七ページにも、わが党は今後金融と減税の特別措置に重点を置き、中小企業の振興を促進すると、明確に掲げてあるのであります。今や金融逼迫のために倒産、破産が続出しており、一家心中の悲劇すら見ておる中小企業者が、自由党の公約した中小企業金融の特別措置が中小企業金融公庫の政府出資金十億円の減額であったと知らされた場合に、中小企業の味方であると宣伝した自由党の実体を知った場合に、どのように感ずるでありましょうか。自由党の諸君ほどのように責任をとられようとしておるのでありますか。また民主党は、同じく今年一月、党より発行いたしました選挙対策資料第一輯、日本民主党政策要綱の十四ページに、中小企業の金融機関たる中小企業金融公庫、商工組合中央金庫及び国民金融公庫につき、その運用を改善して能率化を期するとともに、その資金の増強をはかると述べてあります。これを公約として選挙に臨んだのでありますが、予算修正において政府出資金十億円減額を自由党に押し切られたのであります。民主党の諸君は、中小企業者に対してどのように弁明せられようとしておるのでありますか。ともにその政治責任を痛感せされ、反省をしていただきたいのであります。
次に経済的な面について申し述べます。まず第一に、中小企業金融公庫は十五億円の政府出資増額を予定して、事務所の拡充、人員の増強の方針を立てていると思うが、十億円の減額でこれら計画が果して実施できるでありましょうか。また利息を必要としない出資金を十億円減じたかわりに、六分五厘の利息を必要とする資金運用部資金貸付金を二十億円増額しておるのでありますが、このような措置は公庫発足に当り、野党与党ともに賛成してつけられました附帯決議の、公庫の貸付金利は七分五厘程度にせよとの決議にますます逆行するものであるといわねばならぬのであります。次に予算修正に当り支出予算の膨張を糊塗するために、資金運用部資金による支出によって支出予算を擬装するやり方に対して、私は財政上幾多の疑義を持つものであります。資金運用部資金の貸付金二十億円の六分五厘の利息の穴埋めといたしまして、公庫利益金の政府上納金の免除や、貸し倒れ準備金の減額が考えられているそうでありますが、元来利益金は、予算表上は政府に出すことになっているが、事実は、今日までいまだ一銭も納入せられていないと聞いております。貸し倒れ準備金は法定準備金以上あればあるに越したことはないのであって、これを減額することは、公庫の基礎を不健全にするものであります。このような措置は、苦しまぎれのインチキ措置と言わねばならないのであります。
われわれ社会党が、中小企業の金融措置についてどのように熱意を持って考えておるということは、われわれがさきに提出いたしました予算の組みかえにおいて、なお十億円の増額を予定しておりましたことによっても明らかでありますように、われわれは、政府の原案をもってもなお不満としておるのであります。いわんや、これをさらに後退せしめる修正案には、以上のような理由から絶対に反対であります。
最後に、私は、民主、自由両党委員諸氏の善処を要望して、反対討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/20
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021・田中角榮
○田中委員長 松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/21
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022・松平忠久
○松平委員 私は、ただいま内田常雄君外二十六名から提出された中小企業金融公庫法の一部改正に対する修正案に対して、日本社会党を代表しまして、反対の討論を試みんとするものであります。
現在わが国における中小企業の実情が、いかに危機の関頭に立っておるかということについては、民自両党の諸君もよく御存じの通りであります。従って、中小企業の圧倒的に多い日本としては、あらゆる施策をもってこれを救済していかなければならぬ、保護育成していかなければならぬということでありますけれども、現在まで政府はほとんど大資本優位の方策をとって参りまして、金融面においても、中小金融として、商工中金とか、あるいは国民金融公庫、中小企業金融公庫等、ただ若干の措置によって当面を糊塗してきたというふうに思われるのであります。従って、現在の状況からしては、中小企業金融関係の資金の需要面から見ただけでも、現在の資金量というものをおそらく数倍にふやさなければならぬということは、ほとんど専門家の一致した議論であって、このことは、当委員会においても、公聴会等においてうかがわれたのであります。従ってわれわれとしては、先般の組みかえ案におきましても、中小企業金融公庫に対して十億円出資を増加し、そのほか、投融資から約八十億くらいの金は増加しなければならぬ、こういう考え方を持っておったのであります。従って、かかる観点から、私は、若干の理由を付して反対せんとするものであります。
まず第一は、中小企業の金融というものは、今さら申すまでもなく、安定した低利の金を必要とする、長期の金も必要とする、こういうのでありますが、このデフレ下の市中銀行においては、中小企業向けの金融は極度に逼迫しておるという関係から、どうしても政府の出資による以外に方法はない、こういう考え方であるのであります。従って、一般会計からの投融資は、少くとも昨年以上にしなければならぬというのが私どもの考え方であるのでありまして、昨年の政府の原案である十五億からさらにこれを減らすというようなことは全く考えられないことであります。全く中小企業者の希望を無視したようなやり方ではないかと思う。
従って、第二の理由としては、この安定性を欠くに至るおそれのあるような修正、これは、今回の、一連のやみ取引の一般会計からの出資分の削減額、つまり、百五十五億というものを投融資に割り込んでいくために、興銀、長銀その他の関係分が市銀債へ追いやられるというかっこうになるから、結局市中銀行の中小企業向けの金融が相当影響を受けるということで、このために市中銀行の中小企業向けの貸付というものは、ことしはますます逼迫してくると思うのであります。
なお、ここで特に注意を喚起しておきたいと思いますことは、このために市中銀行は手元資金が非常に苦しくなってくる、従って、実質的に日銀の追加信用で公債を発行していくのと同じ結果になって、インフレの気がまえが起ってくる、そしてこれは国際収支にも悪い影響を与えていき、この影響が必ず中小企業者のところへはね返ってくると思っておるのであります。また、日銀がこの傾向を阻止しようという方針を現在とろうとしており、おそらく、この特別国会終了後におきまして公定歩合を引き上げ、日歩一銭六厘を一銭九厘ないし二銭にするという案がすでに協議をされておる。特別国会終了後においてこれを二銭に引き上げるということになりますと、これは一段と金融の引き締めとなるのでありまして、中小企業者は市中銀行からの金がほとんど借りられないということになると思うのであります。従ってこれは、他の部門の今回の取引の一連の修正と相待って、きわめて重大なる悪影響を中小企業の金融に与えると私は考えているのであります。
そのことについては、自由党もそうでありますけれども、責任のある政府並びに民主党の面目がまるきりつぶれてしまったのであって、この点についての政治的責任を追及しなければなりませんが、これはともかくとして、中小企業金融公庫自体におきましても、今までの、この方針でやっていこうという既定の方針がすっかりくずれてくるということになるわけでありまして、運営をここで改めていかなければならぬ、そういうおそれがあるのであります。
従って、かかる観点でこの修正案が出て、中小企業金融公庫の運営も改めていかなくちゃならぬということになれば、やはりその信用問題も出てきて、はなはだまずい結果が積み重なってくると思うのであります。こういう観点から、私は、内田常雄君外二十六名の諸君の出された修正案に対して、あくまで反対の意思を表明せんとするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/22
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023・田中角榮
○田中委員長 以上で討論を終局いたしました。まず修正案を採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/23
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024・田中角榮
○田中委員長 起立多数。よって本修正案は可決せられました。次に、修正部分を除く原案について採決をいたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/24
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025・田中角榮
○田中委員長 起立多数。よって本案は、内田常雄君外二十六名提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。
この際お諮りをいたします。本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/25
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026・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
本日はこの程度にいたし、次会は十五日水曜日午前十時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会をいたします。
午前十一時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X02419550610/26
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