1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十八日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 田中 角榮君
理事 長谷川四郎君 理事 内田 常雄君
理事 前田 正男君 理事 永井勝次郎君
理事 中崎 敏君
大倉 三郎君 小笠 公韶君
笹本 一雄君 鈴木周次郎君
野田 武夫君 淵上房太郎君
神田 博君 小平 久雄君
南 好雄君 櫻井 奎夫君
多賀谷真稔君 田中 武夫君
帆足 計君 八木 昇君
伊藤卯四郎君 田中 利勝君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
経済審議政務次
官 田中 龍夫君
総理府事務官
(経済審議庁調
整部長) 松尾 金藏君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(石炭局長) 齋藤 正年君
労働政務次官 高瀬 傳君
労働事務官
(職業安定局
長) 江下 孝君
委員外の出席者
議 員 加藤 清二君
大蔵事務官
(銀行局総務課
長) 谷村 裕君
通商産業事務官
(石炭局炭政課
長) 及川 逸平君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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六月二十八日
委員和田博雄君及び水谷長三郎君辞任につき、
その補欠として櫻井奎夫君及び松平忠久君が議
長の指名で委員に選任された。
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六月二十四日
中小企業振興対策確立に関する請願(永山忠則
君紹介)(第二五四六号)
菜種かす及び棉実かすの輸入促進に関する請願
(池田清志君紹介)(第二五八二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会における参考人招致の件
石炭鉱業合理化臨時措置法案(内閣提出第一一
三号)
中小企業安定法の一部を改正する法律案(小笠
公韶君提出、衆法第二四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/0
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001・田中角榮
○田中委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。木材利用の合理化に関する小委員長より、小委員会において、木材利用の合理化に関し、参考人山陽パルプ株式会社社長難波経一君及び日本瓦斯協会会長本田弘敏君より参考意見を聴取いたしたい旨の申し出があります。小委員長の申し出の通り参考人の出頭を求めることといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/1
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002・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/2
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003・田中角榮
○田中委員長 次に議事進行に関し、永井委員より発言を求められております。これを許します。永井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/3
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004・永井勝次郎
○永井委員 大臣に一つ御意見を伺いたいのですが、石炭鉱業合理化については、各委員からいろいろな資料の提出を求めてあります。この資料の提出が非常におくれておるということ、それから経済的な関係の資料の要求に対して、必要な資料が提出されておらないのであります。この法案は、自己資金を含めて一千二百数十億の金をつぎ込み、国民の税金の何百億というものをこれにつぎ込むことによって、二割の炭価が下るのだ、そうしてこれだけの企業の合理化ができるのだという数字を出しておるのであります。これを会社で言うならば、この会社の企業目録、企業計画に対して投資をするかどうかということをきめるためには、こういうずさんな資料では、われわれは国民の税金を何百億つぎ込んでいいか悪いかという判断をする材料が足りないのであります。個人の営利会社に対する投資にいたしましても、十分な資料を提出させて投資をするかどうかということを決定するのでありますから、国の何百億という金をつぎ込むことのいいか悪いかを判断する資料としては、非常にずさんであるし、資料の出し方が不誠意である。この点に関して一つ大臣から部下に対して十分督励するとともに、委員に対してもっと責任のある答弁をわずらわしたいと思うし、十分なる資料を提出されなくてはわれわれは判断に困るわけでありますから、この際大臣の資料提出に対するお考えを伺いたい。まあ議員にはこの程度のものを出して、さわりのないいいかげんな資料を与えておけばいい、あとは執行権限でやるのだ、こういう考えであるならば、われわれはそういう考えでこれに対処しなければならない。現在調査し得ておる資料を全部議員に提出して、ことに経済関係の資料は十分に出して判断してもらうというならば、もっと資料の出しようがあるとわれわれは考えるのでありますが、大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/4
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005・石橋湛山
○石橋国務大臣 永井君の言われるように、われわれは資料を隠すつもりもなし、できるだけの資料は提出するつもりでありますから、もし不足でありますならなお追加して出します。決しておっしゃるような意味ではございません。資料が不足であるといっても、今お話のような意味で出ししぶっておるとか何とかいうことではございませんから、この点はどうぞ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/5
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006・田中角榮
○田中委員長 石炭鉱業合理化臨時措置法案を議題となし質疑を続行いたします。質疑は通告順によってこれを許します。神田博君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/6
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007・神田博
○神田(博)委員 前回お尋ねいたしました続きでございますが、持ち時間も非常に減っておりますので、簡単にお尋ねいたしますから要領よく御答弁を願いたいと思います。
先般私が石炭鉱業の合理化をするというならば、どうしても原価の中に五〇%も占めておる人件費の問題すなわち労働組合の協力なくしてはとうてい石炭鉱業の合理化というものはできないと思う、今までの経過を考えますと、その面において非常に案じられる。一方において合理化の投資をする、一方においてその合理化に伴う失業者が出る、実働時間も非常に少いというようなことでは、今度の合理化法案によって諸般の施策をいたしましても十分の効果を上げがたいのではないか、こういうようなお尋ねをいたしたのでありますが、通産大臣は、それはその通りである、そこで今度のこの合理化法案については労働組合は必ずや協力してこの合理化の終局の目的は達成できるのだ、こういうような御答弁があったのであります。そこで伺いたいのは、それならば政府がこの法案を御提出なさるまでの間において、労働組合と十分なる話し合いがついておって、これならば協力できる、この石炭鉱業の危機に際会して、労使一体となって、さらに政府も一体となってやるのだ、そういうような話し合いができての御答弁であったのか、あるいはそうでなく、それは通産大臣の希望的観測であったのかどうか、これはきわめて重大だと思う。通産大臣並びに労働大臣の答弁をお願いしたい。政府も一体となって、口だけでなく、それはこういうような事情で経過しておるからできるのだということを明瞭に一つ聞かせていただきたい、御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/7
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008・石橋湛山
○石橋国務大臣 遺憾ながらまだ労働組合と十分話し合いをしているということはいたしておりません。しかしこの法案が正しく理解されるならば、労働組合側の誤解も解け十分協力してもらえるものと、かように信じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/8
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009・高瀬傳
○高瀬政府委員 お答えいたします。実はこの法案が本国会に提出されましたのは、総予算が大体済んだ後でありまして、われわれとしては一般の失業対策につきましては特に本年は留意いたしまして、百六十八億の予算をとりました。しかしながら特にこの炭鉱合理化法案の通過に伴うところの失業対策については、その当時としては具体的に予算をとっておりません。しかしながらその後われわれはそのことの重要性にかんがみまして、種々考慮をめぐらし、具体的に処置をとるべく努力をいたしております。また労働組合の諸君の意見も十分聞き入れまして、今後具体的にこの法案が通った場合にとる処置については私どもただいま考慮中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/9
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010・神田博
○神田(博)委員 そういたしますと、私は先般来お尋ね申し上げて非常に心配しておったのでありますが、必ずや労働組合が協力する、こういうようなことは政府の希望的観測であったということに相違ないのであります。もちろん今後期間もございまするから、労働組合との十分な協議連絡があることと思いまするが、これだけの法案をお出しになる、しかるにこういうようなことはまだ何もしておらないということについて、政府としての見方が甘いというか、あるいは手落ちというかどうも——もちろんこれは法案でありますから何も相談しなければできないという問題じゃない、政府が一定の見通しをお立てになって、こうすることが国家的見地からいいということであれば、それはけっこうでありますが、少くとも労働問題というものについて相当大きな影響が出てくる、そういう影響が出てくるのを必ずや協力するであろうというようなことでお出しになっておられると、あとへいって私の心配することがこの法案が通過するという過程を考えてもなかなか容易じゃないというように考えるのでありまして、これらの点については十分政府としてもお考え願いたいと思います。
それから先を急ぐわけでありますが、この石炭鉱業合理化臨時措置法案を拝見いたしますると、政府は政府機関の貸し出し利息を二分減らす、そこで五カ年間で四十億の金を生み出し、あるいは石炭の出炭量に応じた賦課金によって四十億円を生み出して、八十億で一つやろう、こういうようなことでありまするが、これについても政府が何も金を出さないで、石炭鉱業に利息は負けてやると言いながら、一方で負けてやって片一方で取り立てる、それから石炭鉱業が困っておるというのに賦課金をかけていく、その金で弱体炭鉱の閉鎖をやる、政府は一つも金を出しておらぬわけです。事業団というものを作る、すなわち政府がおやりになっておることは、このごろはやりのどうもブローカーの仕事をなすっておられるような関係に見える、標準価格をおきめになって、価格操作によって炭価の維持をして、そうしてこれで石炭鉱業が合理化だ、一方においては重油の規制をやる、そこで石炭の価格を見合って合理化をするのだ、私はこういう考え方の浅い、全く事務的の考慮に基いておやりになっておるような気がする、大臣が御就任以来石炭鉱業のあり方というものをほんとうに御検討になって、ここで本気になって一つ石炭鉱業というものの合理化をはかる、日本の産業のすべての立ち上りの基礎でありまするから、ここから始めるのだというような熱意というか、断固たるお考えが私はないように思う。石炭業者の負担において、しかも政府機関の事業団というものがそこから経費をとって、そして価格操作でやっていく、重油のボイラー規制でやっていくというような、何かこれはブローカーのような仕事です。おそらく政府はいやそうじゃない、失業者が出るのだから失業者が出た場合においては、それを救済するのだという予算を用意しておるというようなことをおっしゃるかもしれません。しかしそれは何も石炭鉱業に限らない、いやしくもいかなる事情にあるといたしましても、失業者が出た場合にはどの政府でもこれを失業対策として、国民の一人々々を十分就職させるだけの責任があるわけでありますから、石炭鉱業の場合においても特にそういう予算をとるからというようなことで、申しわけ的な説明では私は納得できない。何か私がお尋ねしている以外に、通産大臣が大きな観点から石炭鉱業のあり方というものについて、実は政府として、一体こういうような意図のもとでやっておるというのであれば話がわかりますが、事業団というブローカー機関みたいなものを作って、石炭鉱業の困って、もうがたがたになっておるものから、利息を負けてやるというような甘言をもってつって、負けてやったのを全部とってしまう、さらに今トン当り五百円の赤字をしようというのに、十五円あるいは十八円とか言っておりますが、一トン当りそれだけ負担をとっていく、これでは私は政府としておやりになっておることがどうもけちくさいというか、ブローカーがこのごろやっておるような考え方じゃないかと思うのです。他人のふところにおいてこれをやっていこう、こういうような感じがするのであります。これは法案を一覧してのお話でありますから、そのほか政府としてそうじゃないのだ、こういうような意図でやっておるのだというようなことでございましたらお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/10
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011・石橋湛山
○石橋国務大臣 最初の御質問の続きの労働組合の問題は、全然話し合いをしてないのではありません。今までも何回か話し合いをしておりますけれども、まだその話し合いが十分に熟しておらぬということであります。今後もやるつもりでおります。
なおあとのブローカー云々という御質問ですが、ブローカーというのはどういうものか知らぬが、とにかくさっき永井君も言われたように、相当国家資金をこれからつぎ込む事業なのです。こういうわけでありますから、業者自身もやはり相当の犠牲を払うべきだ、ことにいわゆる弱小炭鉱と申しますか、予定では約三百万トンくらいの炭鉱は若干の補償金はもらえるといいながら、その業務をやめていかなければならぬ、こういうわけでありますから、それに対して残るところの炭鉱が全然何らの犠牲を払わないということは、やはり不公平だと思う。でありますから残る炭鉱の出炭量において、ある若干の納付金を納める、それから金利を負けますが、全部の炭鉱に均一に、今まで財政資金が出ておるなら大へんいいのでありますが、そうでない、相当違います。そうするとその金利を負けた部分、それから今まで財政資金を借りておるものは、金利負担の軽減によって特別の利益を得るというようなことになりますから、そこで整理がつくものは金利負担分については、軽減分については大体全額を出してもらうが公平であろう。こういうことで金利の逓減については大体全額を出してもらう、その残りの必要な資金については出炭高によって平均に出してもらう、かような考えでやっておるのでありまして、単にブローカーとかあるいはすべて何もかも困難な炭鉱業者の負担によってやろうという意味ではありません。適当な犠牲も払ってもらうというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/11
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012・神田博
○神田(博)委員 どうも御答弁を聞いておると、やはり私がお尋ねをしておるようなことではないかと思う。政府は将来において財政資金の投融資を考えている。それはおそらく縦坑の資金をさしてのお話だろうと思う。縦坑六十八カ所の開発についての投融資の資金が相当額に上ることは、お説の通りであります。しかしながらこの縦坑をやるという経営者はわずかなんです。それは全部ではないのです。六十八カ所について、私も今ちょっと忘れましたが、企業家としてはたしか十前後しかないと思う。だからこの石炭鉱業合理化全体の問題から考えれば、これは一部なんだ、そんな気がするのであります。非常に困って頼んでくるから、そこでこの辺で一つ何とかしなければならぬ。手を打たなければならぬ。これはもうおぼれる者はわらをもつかむという状態で、非常に困っておる。毎日つぶれておる。失業しておるというような業界の状態なんです。そこでこれはおそらくこういう小乗的なお考え方では、ほんとうに石炭鉱業の合理化という問題が解決されるような方向でないと考える。ほんとうの根本的な解決というものは、この法案がもし通るとすれば、通ったあとでまた大きな解決をしなければならぬような段階にくるのではないか。私はほんとうに石炭鉱業のあり方というものを考えて、この合理化が日本経済全体の上に及ぼすのでありますから、もっともっと突っ込んだ案が必要なのではないかと思うのであります。しかし政府が今お出しになって、これが一番いいのだ、ベターなんだということを再三お話になっておるのでありますから、これ以上申し上げることは、意見になりますし、議論になりますからやめますが、私としては十分納得できないので、次の機会にまたこれはお尋ねいたしたいと思います。
そこで今の貸出利率の二分減でありますが、これは一体どの利息から二分減らすというのであるか。このごろ金利の引き下げが全産業で行われるわけでありますので、それをベースとしておやりになると思いますが、念のために、一体貸出利息を二分減らすということは、貸出利息のどこをベースとしてそこから二分減らすのか、これはこまかいことになりますが、大事なことでありますから、ちょっとお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/12
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013・石橋湛山
○石橋国務大臣 大体現在炭鉱が使っております資金は平均して八分五厘ぐらいになると思いますが、これはいろいろでこぼこがありまして、全部同じではございません。しかし今のあれは、それを六分五厘まで下げよう、こういうことでありますから、八分五厘のものであれば二分下る。それより高ければもう少し下る。それより安いものは二分まで下らない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/13
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014・神田博
○神田(博)委員 もっとこまかくお尋ねするわけでありますが、今は平均して八分五厘とおっしゃっておられますが、私のお尋ねしておるのは、今金利の引き下げということが、これは金融機関も考えておれば、実行もしようとしておるわけです。全産業において一分下げようということが、政府の御方針としてこれをおやりになっておると思う。全産業として一分下げるなら、その一分は全産業として均霑に浴して、そのほかに二分お下げになるのか、こう聞いているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/14
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015・石橋湛山
○石橋国務大臣 全体に金利を下げたいという意思は持っておりますが、まだ下ってもおりませんし、下げるという具体案ができておるわけでもないのでありますから、そのことは別といたしまして、とにかく炭鉱については六分五厘まで下げる、かような考えでありますから、今後の問題は別であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/15
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016・神田博
○神田(博)委員 今後の問題は別だということは、すなわち一般金利が下ってきて、そこで一つのベースができれば、そのベースを基準として、そのほかに二分下げる、こういうふうに考えてよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/16
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017・石橋湛山
○石橋国務大臣 二分下げる、こういうふうには言うておらないのです。とにかく炭鉱の金利は六分五厘にする、こういう考えを持っていますから、かりに一般の金利が一分下りましても——今のままであれば、一般の金利との差は一分五厘しかない、こういうことになろうかと思います。しかし全体の金利が下った場合には、これはあらためて考える必要がある、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/17
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018・神田博
○神田(博)委員 くどいようでありますが、一般産業の金利が下った場合には、一般産業はその下った金利は、自分のいわゆる合理化なり何なりの留保になるわけです。しかしそれを石炭鉱業の方が六分五厘だというようなことになりますれば、他の産業に比べて全部吐き出さなければならないから、そこで私はお聞きしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/18
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019・石橋湛山
○石橋国務大臣 極端なことを申せば、一般の金利が六分五厘以下に下った場合にはどういうことになるか、こういうようなことになりましょうが、それはそのときに考えるべきことでありまして、炭鉱の事情もそれまでには相当の変化をしていましようし、今からそれをきめる必要はないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/19
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020・神田博
○神田(博)委員 標準価格を決定することになっておるようでありますが、これはどこでおきめになるのか、どういうきめ方になるのか、これは非常な関心を持っておるわけでありますが、どういうようにお考えになるのか、一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/20
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021・石橋湛山
○石橋国務大臣 その責任は通商産業大臣にありますが、しかしながらそのきめるまでの経過としては、生産者、消費者、あるいは労働者というような、できるだけ各方面の事情に通じた委員を設けて、審議会を作って、それに諮問をしてやることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/21
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022・神田博
○神田(博)委員 そういたしますと、まだそこについては何ら——何らというとちょっと言葉が過ぎるようでありますが、いろいろなお検討中である、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
そこで次にお伺いいたしたいのでありますが、政府が需要喚起をすると言っておられますが、どういうような具体的な需要喚起をなさっておるのであるか、これをお聞きいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/22
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023・石橋湛山
○石橋国務大臣 これはこまかなことは政府委員からお答えさせますが、たとえばガス事業を奨励するとか、あるいは低品質炭の利用で発電させるとか、あるいは石炭化学の奨励をするとか、かような方法によって需要喚起をするつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/23
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024・神田博
○神田(博)委員 これはまた先に詳しくお尋ねいたしますが、もう一つお尋ねいたしたいのは、重油規制と申しましょうか、ボイラーの法案が出ておりますが、この法案を拝見いたしますと、今度の石炭鉱業の合理化法案と表裏をなしておるように私は見ておりますが、これは両方通って、初めてこの所期の目的を達成するという政府のお考えの意図があるのじゃないかと考えておるのであります。この点一つ詳細に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/24
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025・石橋湛山
○石橋国務大臣 お話の通り、石炭合理化法案も燃料総合対策の一環でありますし、重油のボイラーの規制も同じく総合燃料対策の上から考えておる。この石炭の合理化をやりますには、やはり重油のボイラーの規制をやって、相互の燃料の、あるいはエネルギーの消費について、適当なあんばいをするということがぜひとも必要でありますから、表裏一体をなしておると解釈してけっこうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/25
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026・神田博
○神田(博)委員 もう一つお伺いいたします。脆弱性といいますか、弱体炭鉱の閉鎖、買い上げということが、やはり本案の重要なねらいの一つのようでありまするが、この弱体炭鉱、不良炭鉱の買い上げというものは一体現に稼働しておるものを対象としてお考えになっておられるのか、あるいはすでに閉鎖した、もう事業を休んでいるというようなものまで及ぶのであるか、この弱体炭鉱の買い上げの基準と申しましょうか、これは十分政府の方でお考えになっておられると思いますが、一体どこの山がその対象になっておるのか。とにかく三百からの炭鉱を閉鎖して、三百万トンに上る出炭の制限をそれによってやろうとしているのでありますから、これは重要な問題だと思うのであります。現に稼働しているものだけ、この法案が公布の日まで稼働したものを対象としておるのか、すでに閉鎖したものも含まれておるのか。これは時期の問題が一つと、それからもう一つは大体もう山が予定されておるならば、その山というものは、これは資料でけっこうでありまするから、お出し願いたいと思います。どういうような基準であるか、これは委員会にもかけるようでありますが、しかし時期という問題はこの法案と関連した問題でありまするから、政府の方で大体のお腹はきまっているのだろうと思いますので、一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/26
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027・石橋湛山
○石橋国務大臣 その点も正確には政府委員からお答えさせていただくことにしますが、大体は事業団の判定に基いてやります。それでわれわれの今の考えとしましては、全然閉鎖してしまった古い炭鉱を買い上げるというようなことは考えておらない。とにかく稼行しているものあるいは非常に困難であるが、とにかく再稼行をする態勢にあるというような炭鉱についてはそれぞれの事業主の申し出によりまして事業団が判定をして買い上げる、かように考えておけます。
これ以上は一つ政府委員にお答えをきせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/27
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028・齋藤正年
○齋藤(正)政府委員 大臣からお答えした通りでございますが、もう少し具体的に申し上げますと、法律の三十一条に買収の対象となるべき採掘権の基準というものが明示してございまして、その第二号に「その売渡の申込の日前六月以内に」事業を休止したことがないということを明記してございます。この事業の休止という字句の解釈の問題になるわけでございますが、採掘作業は何らかの理由で中止しておりましても坑内の保坑と申しますか、いつでも採掘できる態勢に維持されております場合には、やはり二号の適用がある、こういうふうに考えております。その趣旨は、三百万トンというものは生産能力として、三百万トン分を買うということでございますので、そういった山はいつでも生産し得る態勢にあるということでありますから、第二号の適用がある、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/28
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029・神田博
○神田(博)委員 まだいろいろお尋ねいたしたいのでありますが、もう時間がないそうでありますから、次の機会に譲ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/29
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030・田中角榮
○田中委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/30
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031・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず大臣にお尋ねいたしたいのは、エネルギー総合対策が樹立されておりますが、エネルギー消費の実績は、アメリカにおきましては、少し年度が古いのですが私の手元に新しい統計がありませんので、一九四九年には十トンになっておる。英国におきましては四・二トンになっておる。フランスにおきましては一・八トンを数えておるのですが、日本におきましては一体どの程度が現在においては妥当である、またエネルギー総合対策の一応樹立します一九六〇年、昭和三十五年におきましては一人当り消費が幾らであるというように考えられておりますか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/31
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032・石橋湛山
○石橋国務大臣 その点は、数字に関しますから、政府委員に答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/32
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033・齋藤正年
○齋藤(正)政府委員 昭和二十八年度のエネルギー総需要でございますが、一億八百万トンくらいございます。昭和三十五年の数字はたしか一割強増加する予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういうふうに不正確であるからお尋ねをしておったわけですが、実はわれわれに配られた官報の付録として、エルギー総合対策の資料が出ておりますが、これによりますと、三十五年には石炭に換算いたしまして一億二千七百万トン、こういうように出ております。そうしますと、そのときの人口で割りましても一・三五トンにしかならない。しかるに経審長官は、参議院の本会議におきましては三十五年度においては一・六〇になるのだ、こういうお話をされておるのであります。一・六〇ということになりますと、かなり高い数字になってきて、われわれは、これはエネルギー総合対策が相当確立するのじゃなかろうか、こういう希望に燃えておったわけですが、その後出された資料によりますと、一・四に満たない、こういう状態でありますが、これほど大きな差はどういうところから生じたか、これをお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/34
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035・松尾金藏
○松尾政府委員 お答えいたします。御承知のように経済総合六カ年計画の計数は、前にしばしば御説明のときにも触れましたように、計数といたしまして最終的な計数にはまだ到達していないわけであります。大体の構想、規模その他は、基調は変らないにいたしましても、たとえばただいま御指摘のございましたエネルギー・バランス等の点につきましても、今後さらに詳細な検討を要する点があるわけであります。しかし、先ほど経審長官がお答え申し上げましたような計数は一応六ケ年計画の組み立てをいたします際にそういう計数で組み立てをいたしておったのでありますが、その後実は御承知のように年次別の計画を出すというように、また計画プランを割ったわけであります。そのときになりますと、前に六カ年計画の計数を組み立てます際には、二十九年度の計数実績がまだ十分にそろっておりませんでしたので、主として二十八年度までの実績をベースに六カ年計画の構想を組み立てたのでありますが、今度三十二年度までの年次別の計画を組み立てます際には、大体二十九年度の実績が出て参ったのであります。そういう関係もございまして二十九年度の実績の上に組み立てて参りますと、その間に若干の計数の食い違いが出て参ります。この点は前の六カ年計画を組み立てます際の三十二年度目標と、今度の年次別計画の三十二年度目標は、若干計数の上で改訂をいたしたような次第であります。その点がただいま御指摘のございましたようなエネルギー・バランスにおいても当初のエネルギー・バランスよりもやや低目な数字に三十二年度目標の線でも変ってきたという点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 数字が少し違うのはやむを得ないものと思いますが、これは石炭に換算しますと五年間に二千五百万トンも違うというような計数を出されている。これはなかなか簡単に計数のあやまちでしたというわけにはいかないと思う。二十八年と二十九年の実績がわからなかったことをおっしゃいましたけれども、二十八年と二十九年はこの各種エネルギー供給見通しによると、おのおの実績ですが、そう大差はない。あるいは二十八年はずっと大きくて、二十九年度が案外ずっと下回っておったということならば、なるほど計数としては二十九年度実績がわからなかったからということで修正になってもいいと思いますが、むしろ二十九年度は上回っている、こういう状態。しかも数字的に言いますとそう大差はないのですけれども、石炭に換算しますと五年間に二千五百万トンも見通しが違う。こういうことで一体経済審議庁は役目が勤まると思いますか。これは大へんな間違いです。昨年この委員会の席上で、時の通産大臣愛知さんは本年は四千八百万トン大体石炭は需要があると考える、こうおっしゃった。ところが四月になり、だんだん下って、そのうちには四千六百万トンになり四千三百万トンになった。そこで業界は御存じのような非常な混乱を生じたわけですが、これだけでもすでに二千五百万トンも数字が違うということにはどうも承服できない。いやしくも経済立法を出す場合には、私は経済資料が確実でなければなかなか立案は困難であろうと思うのですが、一体どうしてこういう間違いをされたか、これをお尋ねいたしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/36
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037・松尾金藏
○松尾政府委員 ただいま御指摘のございました点は、通産省で計算をいたしました総合エネルギーの計数と経済審議庁で従来やっておりました総合エネルギーの数字との間には若干の数字に食い違いがあることは御指摘の通りであります。その数字の基調にはもちろん食い違いはあるわけではないのでありますが、たとえば石油の関係におきましては、これを石炭に換算する場合の計数等に若干食い違いがあった点等に食い違いのおもな原因があるのでありますが、これは先ほど申しましたように、六カ年計画の最終的な決定までの間には、その過程で調整するというふうに現在も事務的には計数を詰めることをやっている次第であります。なお同じく経審の数字の間で、三十二年度目標の数字について、先ほど改訂をしたという点を申し上げたのでありますが、三十五年度の目標数字は実はまだいじっていないのであります。これは六カ年計画を作りました当時の数字がそのまま三十五年度目標になっているのでありますが、これも六カ年計画の最終的な計数を今度検討いたして参ります際には若干そこに計数の改訂を要するようなことになるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 きわめて驚くべきことを聞いたわけですが、三十五年度については何ら改訂していないということになりますと、経審の方ではあくまでも一人当りカロリー消費は一・六〇である、こういう主張になるわけです。そういたしますと、いやしくも官報付録として国会議員に資料として出され、これは国会だけでなく官報でありますから当然各国民にも全部行っていると思いますが、そのわれわれも一応権威あると考えられる資料で、しかもそれは大体一・三五程度になる。そういたしますと、いろいろデータが違って改訂をいたしましたという先ほどの答弁では話は済まないのでありまして、依然として改訂されてないのです。三十五年度の話をわれわれはしているのですから、そう了解せざるを得ないのですが、これは一体大臣どうですか。通産省と経審で対外的に発表されて、一つは国会の本会議において大臣が堂々と答弁している、一つは官報付録によって資料として出されている、この二つの資料が二千五百万トンから違う。こういうことは一体どういうような事情からなっているのか、国務大臣としての通産大臣に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/38
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039・石橋湛山
○石橋国務大臣 その食い違いがもしそうあるとすれば、事情をよく存じませんが、なお一つ十分調査いたしましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/39
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040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これだけ大きな相違がある経済資料について、われわれはこれ以上合理化法案を審議するわけにはいかないのです。一つこの点をはっきりしてもらいたい。もう一度大臣からこの点はどういうふうになっているのか、三十五年度の政府の見通しはどうなっているのか。三十二年度を修正するといたしましてもやはり三十五年度の見通しがなければ修正できないはずである。しかるに三十五年度において石炭換算二千五百万トンも資料が違う。しかも正式に堂々と両方とも発表されている。こういうことではわれわれこれ以上審議できないのですが、一体どういうような状態にあるのか、はっきりしてもらいたい。二千五百万トンも需要があるということになりますと、買い上げの対象になんかする必要はないのです。二千五百万トンも石炭があるというのですから、私はもうこの法案自体が要らない、かように考えるのですが、一体どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/40
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041・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいま経審の方からお答えいたしたように、最初の六カ年計画の数字は今検討中でありますので、私は通産省から出しましたエネルギーの供給見通しというものが基礎になるべきもの、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/41
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042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 経審の次官が見えておりますから、次官から国務大臣にかわって御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/42
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043・田中龍夫
○田中(龍)政府委員 お答えいたします。ただいま仰せられました経審の方の数字は六カ年計画の方の数字でございまして、これは大臣からも常に申し上げておりますように、わが国経済の向うべき一つの構想としていろいろ検討いたし、また作業して参ったものであります。ただいまのお話の総合エネルギー換算におきまして石炭換算すると二千数百万トンの開きがある、かようなお話でございますが、石炭だけにとって考えますれば通産省の数字もあるいはまた経審の方の数字も大差はないと存じます。またあとの外貨資金その他の関係から石油その他の燃料になりますと、一つには外貨状況等の見通しの差もございますし、同時にまた換算率におきましてただいま申し上げたように通産省並びに経審の方の若干の開きが出て参ります。その他総合燃料対策でございますから、その他の各種の燃料も含まれますので、これを石炭一本に御換算になりますと大きな石炭だけの開きのようになりますが、全体といたしました関係におきましてはやはり一つの見通しとしての経審の方の数字に対し、実施を担当されております通産省の方におかれましては、同時にまたいろいろこれについての御研究もしておられるわけであります。この点につきまして、一方は構想として検討いたした数字でございますし、さような関係からさらによく調査いたしまして検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そんな簡単な数字でないのですよ。なぜかと申しますと、日本の今までの最高のエネルギーを使ったときが一・五八なんです。その従来の戦争中の最高よりもさらにオーバーしている数字を出すには、やはり相当慎重な考慮が払われてしかるべきである。なるほど重油の問題で、重油の換算率が違う点はわかります。あるいは二にしたり一・八にしたり、しかしそれにしてもそんな大きな数字にならない。なるほど石炭だけを考えてみますと、三十五年度において五千万トンということで、その点はわかるのですが、しかしながらそれほどエネルギーが要るならば、今こんなに買い上げをしなくても、石炭の方に転換をするなり、あるいは都市ガスその他によって転換すれば、こういう法案がなくても十分総合エネルギー対策は立つ、私はかように考える。ですから、戦争中最高のエネルギーの消費量よりもさらにオーバーした消費量をもって発表しておる、これはどうしても納得できない。簡単に数字の誤差であるとか、こう言われますが、単に数字の誤差ではないのです。この点国務大臣として、もう二度とお聞きいたしませんから、一つ通産大臣は責任ある御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/44
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045・石橋湛山
○石橋国務大臣 希望としては、もう戦時中どころじゃない、一・六でも一・七でもエネルギーの消費があるような経済状態にしたいということは考えておりますが、現在の実際問題として石炭を処理する場合に、ほかの換算でどういうことになりましたか、こまかいことはわかりませんが、とにかく石炭については大体五千万トンというものが三十五年度の目途であるということには、経審の数字もわれわれの方の数字も同じでありまして、その立場から一つ御審議を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/45
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046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は質問をする気力を失ったわけなんですが、経済資料にこんな大きな差がありますと、今後私はかなりこまかく質問を展開したいと思って、いろいろデータを調べておるのですが、もう根本的な問題に差があるから、ましてやそのほか需要の見通しなんというのに差があるのは当然である。今の政府としては当然であろうと考えられるほど大きな差を生じておるわけですが、一つこれはこの審議が行われる次の委員会、すなわち木曜日ですが、木曜日の委員会の劈頭に御答弁願いたい、かように私は考えます。
では続いての質問に入りますが、これもあるいは違うかもしれませんが、国連事務局に長期エネルギー需給の見通しとして近く回答することになっております文書を新聞で発表されておる。それによりますと、石炭の出炭ベースは年間五千万トンが経済に適合したものである、こういうことを書かれておる。そういたしますと、一応石炭は五千万トンが経済出炭であるので、将来にわたってかなり長期的にもうそれ以上増さない、こういうつもりであるかどうかお尋ねいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/46
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047・齋藤正年
○齋藤(正)政府委員 お答えいたします。どのくらいの石炭の生産量が経済的に最も適当かということは、他の競合エネルギーの価格とも関連して考えなければならない問題でございますが、資源調査会等のその方面の専門家が計算したところによりますと、日本の石炭の埋蔵量から考えて、五千万トンよりもあまり多量の増加をすることは、コストの関係からも、また日本の資源の賦存状況からも適当じゃないという考え方でありまして、そういう考え方から、実は五千万トン以上一トンも掘るべきではないのだというような強い意味ではございませんが、大体五千万トン程度をもって今後移行するものと考える。御承知のように国連の要求は非常に長い先のことでございますので、それまでには——御存じのように現在埋炭調査というものをやっておりまして、石炭の埋蔵量もあらためて調べ直しております。それによってまたこの五千万トンという数字が変ることもあり得るわけでございますが、現在までの調査に基いて、その方面の専門家がまずこの程度が適当だろうということでありますので、五千万トンという数字を出したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/47
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048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 では五千万トンに固執するものでなく、将来のエネルギー総合対策としては、五千百万トン、五千二百万トンになることがあり得ると了承してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/48
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049・齋藤正年
○齋藤(正)政府委員 長期の見通しとしまして、今五千万トンというものを申し上げたわけでありますが、それも今申し上げたような理由でありまして、五千万トンきっちりで、それ以上全然ふやす余地がないんだというような、固定的な考え方ではございません。大体の目安を五千万トン程度と置いたわけでございます。ただここに計画にあげておりまする昭和三十五年度までの関係から申しますと、需要の関係から五千万トン以上は困難だ、他の競合エネルギー等の消費の分野が何らかの特殊事情で非常に大きく変動しない限り、需要の面から五千万トン以上の出炭は困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/49
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050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に石炭需要の見通しでありますが、まず私は電力の消費量についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。それは総合エネルギー対策におきまして、昭和二十九年度に比べまして、三十五年度は四〇%増加と見込んでおる。そこで発電端電力量を八百五億キロワット・アワーと算定しておる。火力は二百七億キロワット・アワーと見込んでおる。これに要する火力用炭が九百十万トンである、こういうことを発表されております。ところがどう計算をいたしましても、これはえらい少な過ぎるわけですが、一体どういうような事情になっておるか、局長から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/50
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051・齋藤正年
○齋藤(正)政府委員 これはこの総合エネルギー対策をわれわれのところで計算いたしましたときにも実は非常に問題になった点でございますが、これは公益事業の発電の計画の方は、すべて平水ベースで計算することになっておるのでありますが、過去の実績を見ますと、ここ数年間はずっと豊水続きでありまして、従ってわれわれの計算からすれば、特にさっき多賀谷委員から御指摘がありましたように、電力関係の計画は、平水ベースの計画に従って需要予想をいたしまして、それが減少して、非常に大きな影響を与えた前例もございますので、実はわれわれの方では四、五%程度の豊水という前提で計算をいたしました。従って火力発電量が非常に少いということになるのでございます。それからもう一点は、新鋭火力がどんどんできるに従いまして、石炭の原単位が非常に低下しておるわけでございます。その原単位の低下を相当強く織り込みましたので、予想よりも非常に少い数字になった、こういう関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/51
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052・多賀谷真稔
○多賀谷委員 平水と豊水の点が若干わかりましたけれども、それにしてもどうも納得できないのは、この豊水をたしか四%の豊水率に見ておられると私は計算をしたわけです。なぜ四%に見られたか。一体平水というのは過去十カ年の雨量の平均であると考えるのですが、そういう平水率をもってするということがきまっておるにかかわらず、なぜ政府の方では豊水四%として計算をされるのか。そういうことになれば、何も平水ということを基準にして公益事業局あたりが需給の計画をする必要はないと考えるのですが、一体どういうようになっているかお尋ねしたい。
時間がありませんからさらに続いてお尋ねしておきます。三十年度の計画を見ますると、さらに大きな差があるわけです。これは通産省が決定をしておるのですが、通産省の需給計画によりますと、総供給量が水力において五百三十七億キロワット・アワー、さらに火力において百三十五億キロワット・アワー、そうして燃料の消費が九百五十二万五千トン、そのうち石炭が八百九十三万トンであると決定を見ておる。その決定を見ておるにかかわらず、この石炭局から出されました資料によると、七百二十五万五千トンとなっておる。三十年度だけでも同じ省でこれだけの差がある。どうもこういう点は納得しかねるわけですが、一体どういう事情であるかお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/52
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053・齋藤正年
○齋藤(正)政府委員 お答えいたします。先ほど御説明いたしましたように、公益事業の関係は、主として電力会社の経理の面から平水ベースで計算をいたしておるわけでございます。それに対しまして、ここ数年の実績は御存じの通り非常に豊水でございまして、昨年も一昨年も六百万トン台の需要しかございません。それから見まして御指摘の九百万トンに近い石炭の消費ということは、いかにも現実離れがしておるようにわれわれには感じられるわけでございます。平水ベースというものはお話の通り過去十カ年のうちで最高、最低の分を除いた平均でございますが、この豊水状況がここ数年間の特殊な現象でございまして、それが永続するものかどうかわからないという点から、公益事業局の方は、従来の過去十カ年の平均をとるということは各国共通した一つの計算方法だそうでありまして、それを固執しておるのでありますが、石炭の需給の面からそれを信頼してその通りに需給計画を立てますと、むしろ過小消費で非常に問題が起りますので、われわれとしては安全を確保する意味で、ここ二年間の実績からこの程度というふうに査定をして計上したわけでございます。もちろんこれ以上渇水になりまして需要がありますれば、決してそれは重油でたくわけでございませんで、石炭の需要として出てくることになるわけであります。生産態勢の面から見れば、この程慶の需要見通しを基礎にして生産態勢をきめることの方が妥当であるという見地からこういう数字を計上しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/53
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054・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣お聞き及びの通りですが、同じ省で公益事業局の方では渇水準備金というものを電気業者に積み立たせるために平水をとっておる。平水をとるというのが各国共通であるというならば石炭局のいき方がおかしいのでありますが、一方金を積み立てるときは平水をとっておる。そうしてそれを一般に発表しておる。これはたしか告示か何かでするのではなかろうかと思うのですが、電気事業連合会ですか、その方から持ってきたものを省で修正をして発表しておるわけです。一方の方では平水をやる、一方の方ではこれが豊水になるだろう、いな豊水がどうも平常の状態のようだ、こういうわけで勝手に豊水の供給の見通しの案を立てておる。それだけでも二百万トンくらい違う。金を準備する場合にはどうも事業者に都合のいいといいますか、そういうようにしておって、また石炭の方の消費の場合においては引っ込めてしまっておる。同じ省でしかも通産省決定として両方とも出されておる。どうも納得できないのです。これだけ同じ局で違うのですが、大臣としては一体どういうように一律に考えられておるか、これをお尋ねいたしたい。
〔委員長退席、内田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/54
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055・石橋湛山
○石橋国務大臣 これは過去のいきさつ、いろいろの立場からそういうふうに計算がいっているものと思いますが、なお一つよく調べまして調整は十分とるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/55
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056・多賀谷真稔
○多賀谷委員 調べましてということですが、これはかなり大きな問題です。一割豊水となるとならないとでは、御存じのように、水力は火力の大体三倍使っておる。七五%が水力、二五%が大体火力であると言われておる。そこで一割豊水ということになりますと、火力の一割でないのでありますかり、水力の一割でありますから、現在八百万トンなら八百万トン、七百万トンなら七百万トン使っておるとすれは、七百万トンの三倍であるから、そうすると二千百万トンという差が出てる。一割ふえるかふえないかによって二千百万トンの差が出てくる。これを政府の方におきましては一方の方は平水でやり、一方は豊水で見ておる。こういうことで一体政治ができるでしょうか、これは大臣腹を締めてはっきり調整してもらいたい。この点を一つ御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/56
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057・石橋湛山
○石橋国務大臣 需給関係から申しますと、かたく計算をするというのがよつしいと思います。ただ例の渇水準備金については問題がありますから、なお別に検討を実はいたしておるのであります。今まで通り今の準備金を積み立たせることが適当であるかどうかということは事務局と検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/57
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058・永井勝次郎
○永井委員 先ほど来多賀谷君の質問に対して、総合エネルギーの数字において、また電力関係の石炭の消費の面においてずいぶん数字が違う。これはそのときどきの都合のいいような数字を基礎にしてわれわれがここで論議いたすということはこれはできないのでありまして、もし今出したのが石炭鉱業の方の間違いのない最近の数字であるというならば、今まで出していた数字というもの、電気の場合に出したもの、それから官報に発表したもの、こういうものは虚偽の数字ということになるわけであります。虚偽の数字であるというなら、今まで虚偽の数字で議会をごまかしたという政治責任というものは重大であろうと思います。もし過去の数字が正しいとするならば、現在の石炭鉱業について提出しておるこの法案というものはこれは間違いである。この数字をもって委員会をごまかそうとしておる案であるとわれわれは認めなければならないのであって、数字でありますから、どっちが正しくて、どっちが間違いであったかということが明確にならなければ、多賀谷君のこれから進めていく論議はできないと思うのであります。これに対する政治的責任をわれわれは明らかにしなければならないとともに、数字のごまかしがどこにあるかということを明確にしてもらわなければ、これ以上の論議、質問の発展はできないと思うのであります。今出しておる数字が間違いであるのか、過去の数字が間違いであったのか、これに対して大臣は一つ明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/58
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059・石橋湛山
○石橋国務大臣 私はここに出しました数字に間違いがあるとは信じておりませんが、しかしどうして過去の数字と食い違いがあるかということはなおよく経審その他とも打ち合せまして調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/59
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060・八木昇
○八木(昇)委員 非常におかしな御答弁を聞くのですけれども、電気料金を算定する場合の基礎としては平水年度をとって、これだけ石炭の消費をするから、従ってこれこれ幾らの電気料金だ、こういうことでもってわれわれにしょっちゅう言っておられる。ところが今度は石炭の合理化法案を出すときには平水年プラス四%、これをもってこれが確実である。しかもその差たるや、二百万トンの石炭の消費量の差でしょう。しかもこの合理化法案の中で一番骨子となるものは、わずか三百万トンの買い上げであります。この基礎だけで二百万トンです。こういうふうな立場のまま捨ておいて論議を進めるということは、非常におかしいことではありませんか、もう一度お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/60
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061・石橋湛山
○石橋国務大臣 今ここに出しました数字は、需給の数字でありますので、十分慎重に、間違いのないように計算をいたしたのであります。電力の経理の問題の方は、今まで歴史上にとられておった方式によってやっておったのでありますが、現在はさっき申しましたように問題がありますので、それは今検討を加えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/61
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062・永井勝次郎
○永井委員 多賀谷委員の現在の質問は、政府の提出した資料に基いて論議を進めたのですが、その数字に重大な間違いがあるということであるならば、これは資料としての資料になりませんから、これについて一つ吟味するために、暫時休憩をいたしまして、事後の取扱いについて相談をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/62
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063・内田常雄
○内田委員長代理 永井君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/63
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064・内田常雄
○内田委員長代理 それでは暫時休憩をして、理事会を開きます。
午前十一時五十二分休憩
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午後零時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/64
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065・内田常雄
○内田委員長代理 休憩前に引き続いて会議を開きます。
休憩前に問題となりました資料の誤差に関しまして、石橋通商産業大臣から釈明の発言がございます。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/65
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066・石橋湛山
○石橋国務大臣 先ほど申し上げましたように、今二つ問題がありまして、一つは経審の数字と、今回石炭合理化法案について通産省から出ました数字とに狂いがある。これは経審の方は、先ほど経審の方からお答えしたように、三十四年度以下の数字はただいまさらに検討中でありまして、この検討が加えられればこれはおそらく通産省の数字とほぼ一致するものになるように考えております。しかしなお正確にはさらに経審、の万に連絡いたしまして、次の機会にお答えいたします。
〔内田委員長代理退席、委員長着席〕
もう一つは、電気料金を計算する場合の石炭の需要量、それから今回の合理化法案における石炭の電気に対する需要量との食い違いでありますが、これも先ほどお答え申し上げましたように、この電気料金の計算は、ずっと前からの歴史がございまして、いわゆる平水によって計算をしておる。そうするとただいま、昨年度でありますか、昨年度におきましても八百万トン以上の石炭を必要とする。これは電気の分だけを考えてその安全率をとれば八百万トン要るという数字が出ざるを得ないわけです。しかしながら実際にはそれでは需要が幾らあったかというと、六百万トン程度で、すでに二百万トンの食い違いがあったために、石炭鉱業は現状においてそれだけでも打撃を受けておるのでありますから、私どもは石炭合理化法案を御審議願う場合には、実際の需要量に合せてやらなければならぬ。こういう立場から今日御審議を願いました数字を見たのであります。しかしながら、何としましてもそこに食い違いがあるということは事実でありますから、これはただ数字の食い違いではなく、考え、目的の食い違いでありますが、それについてもなお十分公益事業局の方と連絡し、石炭局との間の問題を調整いたしまして、次の機会にお答えすることにいたします。さようなわけでありますから、それはそれとして、どうか御審議の御継続を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/66
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067・田中角榮
○田中委員長 ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/67
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068・田中角榮
○田中委員長 速記を始めて。本法律案に対する質疑は後日行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/68
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069・田中角榮
○田中委員長 次に、中小企業安定法の一部を改正する法律案が委員会に付託になりましたので、同案を議題となし、提案者の趣旨説明を求めます。小笠公韶君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/69
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070・小笠公韶
○小笠委員 今回商工委員会に付託となりました中小企業安定法の一部を改正する法律案につきまして、提案者といたしまして、その提案の理由を申し上げます。
中小企業の当面する困難な諸問題につきましては、すでに皆様御承知の通りでありますが、なかんずく企業が零細であり、過剰であることから生じまする過当な競争による弊害は、顕著なものがありまして、中小企業がわが国の経済に占めておりまする重要性にかんがみ、すみやかにこれが対策を講じて、業界を安定せしめる必要があることは申すまでもありません。中小企業安定法は、この趣旨に基き制定されたものでありまして、中小企業が、その製品の需給均衡を著しく失し、不況に陥りました場合において、需給調整の措置を講ずることができるようにし、もって中小企業の安定をはかろうとするものであります。この法律は昭和二十七年八月に施行、二回の改正を経ているのでありますが、今日まで三カ年近くの間に、この法律に基き、二十三業種にわたって、二百をこえる調整組合が設立せられ、それぞれ調整活動を行なっており、また法第二十九条に基くアウトサイダー規制命令も、六業種について発動せられ、中小企業者の当面する不況の打開に一応の成果を上げてきているのであります。しかしながら最近日本経済がいわゆる正常化の方向に進むにつれて、中小企業のいわば慢性的不況の状態は放置することを許さなくなってきておりますのみならず、過度の競争の結果輸出産業の面においても国家的に多大の損失を見ているような状態であります。
今回の安定法改正案の趣旨といたしまする点は、法律施行後の経験と、最近における上述のような事態の要請とに応じまして、この法律の適用要件につき、いわゆる不況要件を緩和するほか、輸出貿易の振興のためにも適用し得るようにして、機宜に応じ、かつ、弾力的に運用し得るようにすることに主眼があり、それとともに調整事業の範囲を若干拡張するために所要の改正を行うことにあります。次に、その主要な改正点の概要を御説明申し上げます。
第一は、法第一条の目的及び第二条の業種指定の要件についてであります。まず法律適用の範囲を、従来の国内不況の場合に加えて、輸出貿易の阻害せられる場合を加え、さらに、これらの場合について次のように適用要件の緩和をはかっております。すなわち、現行法におきましては、製品の需給が著しく均衡を失し、その事態を放置してはその業種の事業経営に相当の損失を生じ、その産業の存立及び関連産業の存立に重大な影響を及ぼすおそれがある場合と規定せられておりますのを、常に過当な競争と不況事態の発生に脅かされている中小企業の実情にかんがみまして、深刻な不況に陥る前に、過当な競争を抑制し、不況を回避し、または輸出の振興をはかることができるようにするため、過度の競争により国内取引または輸出貿易の円滑な運行が阻害され、または阻害されるおそれがある場合ということに改めんとするのであります。
第二は、法第二十九条のいわゆるアウトサイダー規制命令につきまして第一に述べました趣旨に従い発動要件の緩和をはかりましたことと、同条第二項に基く命令の期間に関する規定につきましては、同命令を短期、臨時的なものとして発動することは、必ずしも実態に合わないので、これを削除し、第一項に基く命令と同様の取扱いによることといたした点であります。
第三は、調整組合及び同連合会の事業範囲を拡張しまして、製品の品質または品種に関する制限を行うことができるようにし、調整活動の強化をはかった点であります。
以上、改正法案の提案の理由と大要につきまして御説明申し上げたのでありますが、何とぞすみやかに御審議いただきまして御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/70
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071・田中角榮
○田中委員長 本案に対する質疑は後日に行います。
本日の会議はこの程度にとどめまして、次会は明二十九日午前十時より特定の物質の輸入に関する臨時措置に関する法律案等の審議を行う予定であります。
本日はこれをもって散会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X03119550628/71
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