1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十七日(水曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 田中 角榮君
理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君
理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君
理事 南 好雄君 理事 永井勝次郎君
理事 中崎 敏君
阿左美廣治君 秋田 大助君
小笠 公韶君 菅野和太郎君
齋藤 憲三君 笹本 一雄君
椎名悦三郎君 野田 武夫君
淵上房太郎君 森山 欽司君
山本 勝市君 加藤 精三君
神田 博君 小平 久雄君
堀川 恭平君 村上 勇君
片島 港君 櫻井 奎夫君
多賀谷真稔君 田中 武夫君
帆足 計君 八木 昇君
伊藤卯四郎君 菊地養之輔君
松平 忠久君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
通商産業事務官
(鉱山局長) 川上 為治君
委員外の出席者
議 員 加藤 清二君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 菅田清治郎君
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七月二十七日
委員渡邊惣藏君辞任につき、その補欠として櫻
井奎夫君が議長の指名で委員に選任された。
七月二十六日
輸出カナリヤの海外市場調査に関する請願(堀
内一雄君紹介)(第四六一四号)
石材産業振興に関する請願(小林かなえ君紹
介)(第四六一五号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
商工組合中央金庫の貸出金利引下げに関する陳
情書(第四一五
号)
重油の消費規制反対等に関する陳情書
(第四一六号)
石炭鉱業合理化臨時措置法制定反対に関する陳
情書外二件
(第四二九号)
同外三件
(第四六二号)
北海道に石油精製工場設置の陳情書
(第四三〇号)
百貨店法制定反対に関する陳情書
(第四三一号)
特定地域総合開発事業促進に関する陳情書
(第四六八号)
石炭鉱業合理化臨時措置法に関する陳情書
(第四九二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した案件
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置
に関する法律案(内閣提出第一一四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/0
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001・田中角榮
○田中委員長 これより会議を開きます。
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案を議題とし質疑を続行いたします。質疑は通告順によってこれを許します。永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/1
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002・永井勝次郎
○永井委員 今重油ボイラーの政府原案に対して与党である民主党と準与党的役割を働いている自由党との間に修正案の話し合いが進められまして、骨抜きのような修正が行われようとしております。この修正に対して政府はどういうふうに考えられているか、これを承わりたいと思うのであります。
先般本委員会を通りました石炭鉱業合理化法案、これは基盤となっているのが総合燃料対策であり、総合燃料対策の一環として国内石油資源開発の特殊会社もできたし、その法案を通しましたし、またその一つとしてこの重油ボイラーの制限が立法化されようとしているのでありまして、その基盤がくずれますならば政府の石炭鉱業の背景となっている総合燃料対策というものがくずれてくる。その土台が狂ってくるので、それならばこの石炭合理化を通すときに政府がいろいろ約束した消費量の問題、あるいは今後のいろいろな石炭の合理化を推進していく上における基本的なプログラムが狂ってくるのではないかと思うのでありますが、その関係について明確な答弁を望みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/2
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003・石橋湛山
○石橋国務大臣 お尋ねでございますが、むろん提案者といたしましては原案をどうしても御支持願いたいということを申し上げるのは当然の話であります。しかしながら国会の権威によって御修正を受けるならこれまたやむを得ませんが、実はまだ御修正になっておりませんから、とやかく先走って意見を申し上げることはいかがかと思いますが。私が漏れ承わる範囲においては、原案通りならベターでありますが、その御修正によりましても大体今のお尋ねのように総合燃料対策にさしたる支障を来たすとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/3
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004・永井勝次郎
○永井委員 これによりますと、政府の提案説明なり及び法文を貫いておる性格というものは、総合燃料対策の一環として油の規制をする、あるいは価格についても適正価格の指示ができるというような、こういう措置を講じて、国内資源としての石炭の需要をできるだけ増強していこう、こういうことが内容になっていたと思うのであります。ところがこの修正案は、重油のボイラーのかわりのものがないものについては使用を禁止することができないとか、あるいは第六条において、「緊急な用途に対する重油の供給を確保するため必要な措置を採らなければならない。」とか、この修正部分は、大体において、消費量の規制について強制的な面を取り除く、価格に対する政府のいろいろな行政指示というような面を取り除くというふうに、このボイラーという柱だけは残しておいて、内容はすりかえてしまう、油の消費を大いに刺激していこう、輸入をどんどん入れていこう、こういう性格のものに変ってきておるのであります。こういうことになると、重油の規制による石炭の需要の増という関係の数量が狂ってくるのではないかと思うのでありますが、数字的な関係はどうであるか。この修正によって、実際に予定していた重油の規制量が減らない、重油がふえる、こういうことがないのかどうか、その点の差引勘定を明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/4
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005・川上為治
○川上政府委員 こういう修正案でありましても、私どもの方としましては、従来の、本年度五百十万キロリットルということでやっていく方針でありまして、この第六条は、通産大臣は、緊要な用途に対する重油の供給を確保するため必要な措置をとらなければならないというふうに書いてありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、やはり重油を相当規制しますので、どうしても緊要な方面に対しまして数量の確保ができない心配がありますし、また価格も非常に上るおそれがありますから、そういう場合におきましては必要な措置をとらなければならないというふうに私どもの方は解釈いたしますので、そういたしますとほとんど変らないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/5
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006・永井勝次郎
○永井委員 議事進行に関してですが、もう民主、自由両党の修正案がまとまっておるので、これの修正部分の提案説明を求めて、これと原案と並行して質疑をした方が、時間的に能率が上るだろうと思うのであります。そうでないと、きょう一日かかってもこの法案は上らないと思うので、一つ議事進行の立場から、そういうふうなお運びを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/6
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007・田中角榮
○田中委員長 ちょっと速記を中止願います。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/7
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008・田中角榮
○田中委員長 速記を始めて下さい。
この際お諮りをいたします。ただいまの永井君の発言通り、修正案の説明を求め、本案とあわせ審議するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/8
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009・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認めます。
ただいま南好雄君外二十六名提出、民自共同提案にかかる重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案に対する修正案が提出せられておりますので、その趣旨の説明を求めます。南好雄君。
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重油ボイラーの設置の制限等に
関する臨時措置に関する法律案
に対する修正案
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案の一部を次のように修正する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/9
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010・南好雄
○南委員 重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案に対する修正案を御説明申し上げます。本文を読みます。
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案の一部を次のように修正する。
第四条中「認めるときは、」の下に「次の各号に掲げる事項を勘案して定める基準に従い、」を加え、同条に次の三号を加える。
一 その者が、重油以外の燃料を
使用することができるボイラー
を設置しているかどうか。
二 その者の生産若しくは加工に
係る製品の品質を損じ、又はそ
の品質に与える影響のため輸出
に支障を及ぼすこととなるおそ
れがないかどうか。
三 その者の行う事業の操業度を
著しく低下させるおそれがない
かどうか。
第六条を次のように改める。
(緊要な用途に対する重油の確保
措置)第六条通商産業大臣は、緊要な用
途に対する重油の供給を確保する
ため必要な措置を採らなければな
らない。
第九条中「第七条」を「第八条」に改め、同条及び第十条をそれぞれ第十条及び第十一条とする。
第七条及び第八条をそれぞれ第八条及び第九条とし、第六条の次に次の一条を加える。
(審議会)第七条通商産業省に、重油ボイ
ラー規制審議会(以下「審議会」と
いう。)を置く。2 審議会は、通商産業大臣が第二
条若しくは第三条の通商産業省令
を制定し、第四条に規定する基準
を定め、又は第六条に規定する措
置を採ろうとする場合において、
通商産業大臣の諮問に応ずる。3 審議会の委員は、重油に関する
学識経験者のうちから、通商産業
大臣が任命する。4 前三項に規定するもののほか、
審議会の組織、権限及び運営に関
する事項その他審議会に関し必要
な事項は、政令で定める。附則第二項中「十年」を「五年」に改める。
附則第三項の次に次の一項を加える。4 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を
次のように改正する。以上であります。
修正案の理由につきましては、ただいま朗読いたしました通りであります。いささか説明を要するのは第六条中のところでありまして、この第六条は「通商産業大臣は、緊要な用途に対する重油の供給を確保するため必要な措置を採らなければならない。」これも書いてある通りであります。
なおこの案に通商産業省設置法を改正しておりますのは、ここに審議会ができますと、その審議会の権限事項等を規定しておかなければ動かぬ関係から、これにつけ加えたものであります。
いずれ案は皆様のお手元に配付いたしますが、どうぞ十分慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/10
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011・田中角榮
○田中委員長 右修正案に対する質疑の通告がありますので、順次これを許します。永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/11
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012・永井勝次郎
○永井委員 提案者にお尋ねいたします。見るところによると自由、民主、政府三者共同の修正案のようでありますから、政府の原案が間違っていたなら間違っていたということを、率直に政府の方から答弁を補足することも質問者は何らいとうところではありませんから、悪かったならば、原案が悪かったのだからこういうふうに直したのだということを御答弁願いたいと思います。
そこで修正案提案者にお尋ねをいたしますが、第六条の緊要な用途に対する重油の供給を確保するためというのは、たとえばどういうものがこれに該当するのか、具体的な事例を一つお示し願いたい。それから必要な措置ということはどういうことであるか。輸入量をふやせということであるかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/12
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013・南好雄
○南委員 お答え申し上げます。第六条の規定は書いてある通りでありまして、少くとも提案者の考え方は、一種の訓示規定だと思います。緊急用途に対して重油の供給を確保する必要上、場合によっては、今御質問のありましたように、外貨を増加して重油を入れなければならぬ場合もありましょう。あるいはまたそういう安易な状態でないような場合においては、一部の消費規制も必要になってくる。いずれにいたしましても、通商産業大臣は緊急用途に対する重油の供給を確保するために、あらゆる必要な措置をとらなければならないという、いわゆる訓示規定だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/13
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014・永井勝次郎
○永井委員 これは重油ボイラーの消費規正に対する案であります。それに対して一般的な訓示規定だというなら、すべてのものにこういうものを作らなければならない。そうでなければこれは意味がないことだと思う。今の通りならばこれでよろしいのです。それに今までなら必要なだけどんどん輸入をし、必要なだけ使ってきたので、そこに規制をして石炭と総合燃料の立場で一定の規制を与える——もちろん規制という条件のときには、どんなことでもやってよろしいということをわれわれは考えておるのじゃなくて、善良な意味において、一つの安定した条件のもとに規制をしようというのであって、ただ規制のための規制をやれというのではないのでありますから、趣旨から言うならばこんな必要はないのであります。ところが特にこういう規定に書き改めたというところには、何らかの修正の趣旨の明確なものがなければならないと思う。その明確な趣旨は何であるか。お話のように一般的な訓示規定だというようなことでは了承できません。これは具体的にどういう場合のどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/14
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015・南好雄
○南委員 永井さんも御承知のように、現在通産省においては重油関係についてはいろいろのむずかしい問題があります。すでに相当長期にわたって規制もやっておるし、価格の指示もやっております。その効果については十分目的を達しておると見る人もありますし、目的を達していないと見る人もあります。いずれにいたしましても、そういう行政指導をやっているような場合において、根拠法規がないというのが通産省の一つの悩みであった。そこでこの際重油ボイラーの設置規制という問題が起きたので、その根拠を与えるために第六条の規定を置いたのであります。従ってそういうふうに御理解下さればけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/15
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016・永井勝次郎
○永井委員 提案者の説明は何を言っておるのかわからないということに理解をいたします。
時間がありませんから次に移ります。第四条では「同条に次の三号を加える。」とありまして、一号、二号、三号とありますが、これは具体的にどういうようなことを言うのか、一号の場合は具体的に何をさすのか、第二具ほどうか、第三号はどうか。そうしてこの関係から、具体的に政府原案と修正案との間にどういう消費量の差異が出てくるのか、その点をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/16
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017・南好雄
○南委員 その数量の回答はいずれ政府委員からしていただきますが、この案に書いてあることにつきましては、御承知の通り審議会を置きまして、ここで一つの規制基準というものをきめていきたい。その規制基準につきましては、この一号に書いてあることは、重油以外の燃料を使用することができるボイラーを設置しているかどうか、そういう事実があるかどうか。これは御承知でもありましょうが、たとえば染色会社の中には石炭を使うボイラーと重油を使うボイラ、と両方持っておるような場合と、重油ボイラーしか持っておらぬ場合とあります。これはセメントについてもそういう工場があります。そういうような場合に重油以外の燃料を使用することができるボイラーを設置しておるかどうか、こういうことです。
それから「その者の生産若しくは加工に係る製品の品質を損じ、又はその品質に与える影響のため輸出に支障を及ぼすこととなるおそれがないかどうか。」これもまた重油でそういうことをやります場合と、石炭ボイラーに変えた場合に製品の品質を害したり、あるいは非常に価格が高くなったりして、そうして輸出に大きな影響を及ぼすかどうか、こういう事実の一つの基準であります。それからもう一つは、「その者の行う事業の操業度を著しく低下させるおそれがないかどうか。」これもパーセンテージです。歩どまりが一体どう変っていくかどうか、それもほんのちょっとした歩どまりか、大きな歩どまりか、どの程度の歩どまりに下ったならばどうかということを、一つの基準をこの審議会にきめていただく、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/17
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018・永井勝次郎
○永井委員 これはもうこういう法文の形式からいっても、成文としての一つの何からいっても、ひどい文章だと思うのです。そこでお尋ねいたしますが、この修正の趣旨は、規制を適正にやらせようという趣旨にあるのか、政府原案の規制は非常に間違っておる、たとえば先日お話のあった、自由経済の原則に反しておる、そういう点を基本的に直そうという趣旨からこういう修正が行われたのか、修正の趣旨を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/18
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019・内田常雄
○内田委員 提案者の一人といたしまして、私からお答えを申し上げます。四条の修正案を出しました趣旨は、すでに原案の提出者であられる政府と、われわれ委員との間のたびたびの質疑応答で明らかになっておりますように、政府原案の四条というものは非常な行き過ぎである。一方において、石炭合理化を達成するために、総合エネルギー対策の見地から、重油の消費について深甚なる考慮を払う必要のあることは、われわれ委員としても認めて参ったけれども、政府の原案というものは、新しく重油ボイラーを作ったり、あるいは混焼ボイラーを新たに重油しかたけない専焼ボイラーにかえることを押えるにとどまらず、すでに昭和二十七年以来、政府の積極的指導のもとに、今までの石炭ボイラーを重油ボイラーに直しまして、現在は石炭ボイラーがない。また重油ボイラーに直しました結果、非常に経済効率が上りまして、そのために品質の改良ができ、そのために輸出が伸びた。こういうものまでも、再び政府が燃料政策の一貫性をくつがえして、全部また石炭ボイラーに直させるような、既存のものであって、すでにそのために経済の運営がうまくいっているものを押え込む、さらにまた中小企業等でありまして、石炭をたいたのではどうしても企業が成り立たないというもので、石炭に変えることができないようなものをも、従来の四条であると押え込むようなことにしか解釈できない建前になっておりまして、これは行き過ぎであるということを、われわれ委員多くの者が認めましたために、この四条は、この法律によってねらうところは、主として新しく重油を使う道を押えて、既存の重油でやっておってうまくいっておる、また今さら石炭に変えると経済の基礎をくつがえすというようなものは、それらの根拠を十分に審議会の定める基準によって判断をして、経済運営の適正をはかろう、こういう趣旨でこれを修正したわけであります。
第六条につきましては、これはわれわれ委員の間に政府に対する一番不審のあった条文でございます。この条文を見ますると、これは再びここで読む必要はありませんが、しばしば問題になったように、物資需給調整法あるいは価格統制法、さらにまた総動員法にも類するような規定でありまして、重油ボイラーの設置を制限するこの法律の体系から見ましても、非常に逸脱しておる条文である。これをこのまま成立させるようなことになりますと、いかなる事態を生ずるかはかりしれない。ことにまたいわゆる官僚統制の弊を来たすようなことにもなるということが一番心配されましたので、そこでわれわれはいろいろ研究をいたしました結果、この重油ボイラーの制限、あるいは重油の規制につきましては、従来ともある程度の行政指導をやって参ってきておる。この行政指導は、われわれ自由党あるいはその他の政党、国会方面におきましても、ある程度までそのしかるゆえんを認めて参ったものでありますから、その程度の行政指導ができる範囲にいたしまして、それを逸脱するような官僚統制や物価、需給の統制ということまで入ることができないように、かような訂正をいたしました。この訂正をいたしました結果、この条文は決して物価統制あるいは需給統制の根拠法規と解釈されてはならないのでありまして、第五条までの間において、重油ボイラーに対する重油の使用を押える、その反面重要産業については、重油を十分に供給をして経済の運営を円滑ならしめるという、むしろサービスに重きを置いた一つの訓示規定である、かように解釈せらるべきものである、かような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/19
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020・永井勝次郎
○永井委員 そういたしますと、原案の規定は行き過ぎである、また実際に重油消費者に対して不当な圧迫を加えるから、それを緩和する趣旨からこの修正を行なった。それから第六条は、行政措置で需給調整など官僚として思い上ったやり方はさせない、こういう趣旨でこの修正が行われたのだ。そういたしますと、これは政府原案の立法の趣旨からは本質的に変ってきておる。従ってこの結果、第四条におきましては、一つの消費規正をする場合の基準というものがここに具体的に示されたのでありますから、これは最初政府が示した総合燃料対策の重油規正量というものからは、非常な数字の狂いがくると思うのであります。ところが内田提案者が出席する前、こういう修正が行われても、政府としては、既定の、先般石炭合理化促進法の審議過程において示した消費規正量は断固として行うものであって、何ら規制を受けるものでない。支障がない、計画の変更をする必要はない、こういうことを言ったのであります。これは提案者が最もきらうところの官僚独善のはなはだしい答弁であったと思うのでありますが、あなたは消費規正を相当緩和しなければいけないのだ、そのためにこれをやったのだという、だから具体的な効果が上らなければ改正の趣旨はないと思います。それから官僚独善の方は、これは思った通りにやるのだと言うのでありますが、この間の食い違いはここで明確にしてもらわなければいけない、これによってどのくらいの消費量の数字的な狂いがくるのか、これは明確にしてもらわなければならない、ただ口先で適当にやるのだ、あるいは行政措置で適当にやるのだというような、口先だけの答弁ではいけないと思います。この段階にきて、石炭合理化の基本をなすところの、土台をなすところの一角がくずれてこようとしておるのでありますから、これについては、われわれも重大な問題だと思いますので、一つ両者から明確な説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/20
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021・内田常雄
○内田委員 お答え申し上げます。御質問の趣旨は、石炭合理化特別措置法の趣旨を私は少しはき違えているのではないかと思われる点がございます。石炭合理化は、われわれも賛成するにやぶさかでなく、先般の委員会及び本会議におきましても賛成をして、これを通過せしめたのでありますが、この法律に関する政府の説明は、石炭合理化はどうしても必要である、そのねらいは、石炭の値段を輸入燃料あるいは他のエネルギー資源と十分に太刀打ちのできるように安くすることが目標である、こういう説明を堂々と政府はなさっておるのでありまして、またこれに伴う資料につきましても、三年後には、輸入原油を石炭とメリットで換算をいたしてみますると、石炭の合理化達成によって十分輸入原油と太刀打ちができる、また輸入の石炭とも太刀打ちができる、こういう資料が出てきておるのでありまして、石炭の合理化を達成するために重油の消費を押えるとか、あるいは重油の値段をいろいろな操作によって上げて、消費者の犠牲において石炭合理化を達成せんと、かような趣旨ではないことは政府の説明によりましても明らかであります。従ってわれわれはこの政府の説明通りに忠実に、政府の説明の限界において重油ボイラー設置の制限に関する法律を修正することは、政府の石炭合理化の趣旨を達成するよりよい方法である、かような信念を持っておるのであります。もしいたずらに重油の制限をして一般消費者、中小企業、輸出振興を妨げたりするようなやり方をして、他方において石炭合理化を達成しようといたしますことは、石炭合理化の真の目標を達成するゆえんではない、かように考えまして今回の修正案を出したのでございまして、これは石炭合理化法の趣旨と比べましても何ら矛盾はないということを確信いたしております。
さらにこの修正の結果、重油の使用量にいかなる影響を与えるかという御質問でありましたけれども、政府の原案によりますと第二条、第三条によって新しくボイラーが重油を使用することを押えることのほか、従来すでに平穏公然と重油ボイラーを使って重油を消費しておるものにつきましてどこまで押えるかわからない。これは通商産業大臣が必要と認める場合には、微量消費を除いて、重油ボイラーの改造を阻止したり、あるいは一滴の重油も供給しないこともできる、またその消費量を減らすことができるという乱暴な規定がありまして、かようなことをやるとすれば——御承知のように昨年の重油の消費量の五百三十六万キロに対しまして、ことしの政府の目標が大体五百十五万キロ、別に予備が五万キロある。さらに御承知のように先般——これからもこういうことをやるかどうかということを私も確かめておきたいのでありますが、もしそれ石橋通産大臣が大蔵委員会に参られ、そこで言明したと伝えられること、つまり別ワクで漁業用重油を十万キロ外貨割当をするということになりますと、五百三十万キロということで、去年とほとんど同じ消費量を予定いたしておるのでありますが、さような五百三十万キロの数量がなく、さらに第四条でずっと押え込みますれば、さらに重油の消費量は減ってしまう。ところが世論を聞いてみますと、一般の化学工業その他の方面におきましても、大体重油の消費量というものは目標をつけてもらいたい、あるいは昨年の消費量五百三十六万キロの予定をつけて、その中で化学工業も操作をするし、さらに石炭というものもその範囲内で合理化の目標を達成したいということでございますので、今度の四条を修正して、ちょうど五百三十万キロないし五百三十六万キロというので去年の水準で十分いける、かように私どもは計算をいたし、また信じておるものであります。御安心願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/21
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022・川上為治
○川上政府委員 私どもの方でも第四条の説明に当りまして、修正案のたとえば第二号の生産、加工にかかわる製品の品質を損じたり、あるいは輸出に非常に障害を与えるとかいうようなものに対しましては、転換を勧告するようなことばしないということをこの前の委員会でも説明を申し上げております。
またその次の操業度を非常に低下させるという場合におきまして、やはり転換の勧告をするということは、私どももどうかと考えております。しかしこれば従来いろいろ説明をいたして参ったのでありますが、そう言うけれども、官僚独善でやりはせんだろうかというような御心配があるというので、こういうことをちゃんと書きまして、そういうことを勘案して基準を作って、その基準に従ってやれというようなお話であったのでありまして、私どもが従来考えておりましたこととそう大差はないと考えますので、これは差しつかえないのではないかというふうに考えております。
それから一につきましては、これは石炭のボイラーを持っているか持っていないかということもよく調べた上で、しかも石炭のボイラーを持っているならば、これは勧告をしてもいいではないか、しかしながら石炭のボイラーを持っていないで、しかも施設を作るときに非常に莫大な金がかかるという場合におきましてはどうするかというようなこともよく勘案して、検討した上でやれというわけでございますから、私の方としましては、その点も十分検討した上で勧告をするということでございますから、その点私の方としても差しつかえないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/22
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023・永井勝次郎
○永井委員 官僚は無性格であって、そのときどきの風の吹き回しで右向けと言えば右、左向けと言えば左というような性格であることが適者生存の道ではあろうけれども、それにしてもあまりにも無性格で、ふんどしを締めているのかどうかわからない。これは口で言うのでありますから、どうでも言えるのでありまして、この点については前回の答弁とはだいぶ内容が違ってきていると思うので、これは問題点であると思う。
それから内田委員が言われた石炭合理化の問題と油の規制の問題とは違うということでありますが、われわれも基本的には、石炭の合理化と安定を期するために油の消費規正を行う、あるいは価格操作を行う、一方的に権力的な力で経済問題を左右するというような事柄に対しては一考を要するものがあると考えます。しかしながら石橋通産大臣が先般来説明した通りに、石炭合理化の問題は合理化措置を講じたからといって直ちに効果が上ってくるものではないのだ、これを四年なり、五年なりの時限立法でやって、そうして五年後から順次効果が上ってくるのだ。従って石炭合理化の投資をして、その効果の上ってくる期間は、これは非常措置として、油の規制もあるいは時限的な立法としてあるのですから、そういう石炭の合理化と安定をはかる一つの経過的な措置として油の規制を行うということは、これは政策として当然考えられていいことであると思うのであります。従って内田委員の提案説明のように、油は油、石炭は石炭、両建にして、石炭のために油を犠牲にするようなことはいけないというのは、一つの意見でありましょうけれども、それならば同じ条件で油と石炭と競争させておいて、そうして石炭の合理化をはかる、そういう経済効果が一体最も能率的であるかどうかということは三歳の童子でもわかると思う。そういう合理化の効果の上る期間油に対して規制を与えるというこの法案に対しては、われわれは暫定的な措置として当然なさねばならぬ総合燃料対策としての総合的な措置であるというふうに考えるのであります。従って大臣に伺いますが、今提案者が説明したような趣旨で石炭合理化のために総合燃料の立場で油を規制することはいけないのだという立場で修正が行われているのですが、これでもなおかつ三者共同の修正にけっこうでございますと言って賛成なさるのかどうか。この修正の結果、石炭合理化の経済効果というものが先ほど来答弁した通り何ら支障なく進むかどうか。しかも今度はこの時限立法は十カ年であったものが五カ年に減らされているが、石炭合理化がようやく合理化の実を上げてこようとするときに、この油が打ち切られてしまうのでありますが、こういう形で石炭の合理化の前進に支障がないかどうかを一つ明確に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/23
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024・石橋湛山
○石橋国務大臣 私は、修正者の御意思は油の規制をしていけないというのではない、さっき政府委員から申し上げたように、第四条の修正のごときは、実は私どもも大体御趣旨のように無理なことはしませんということは繰り返して申し上げている。今後新規にどれほどふえてくるかわからない重油ボイラーに対して相当の規制ができればけっこうなんです。既存のものに対して無理な転換をさせようとは初めから思っておりません。その意味のことは常に申しているわけですから、多少はこういう基準かできまして——ことに第一号のごときは重油ボイラー以外のものを持っている場合ならば特にいいが、それがないときには考慮しろ、こういうことでありますから、多少の食い違いがあるかもしれませんが、私はあまり違いはないと思う。従ってこの修正案によりましても石炭合理化と関連して総合燃料対策は遂行し得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/24
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025・永井勝次郎
○永井委員 われわれが石炭合理化の法案を審議した場合、実は政府には総合燃料対策というような土台はなかったと思う。ところが委員会においてやかましく言われたのでこれは用意しなければならぬと思って、あわてて作ったものだ。だから石炭合理化というのは石炭合理化だけを政府は考えていて、そうして油や何かの関係はそう考えていない。従ってこのような原案を一応は出したけれども、実行に当っては油業者の圧力によってどうでもこれは行政措置で伸び縮みをしょう、こういう腹構えがあった。従ってこの関係についてはどんな修正があっても痛くもかゆくもない、もともとまじめにやろうとして石炭合理化という総合燃料の中の一環として組み立てられたものでなくして、盲腸のようによけいなものがちょっとくっついているものだから、今のように修正の趣旨がどういう趣旨であろうと、あるいは修正部分がどういうような内容であろうと、実際のこれからのやり方に影響はない、もともと実行する意思も何もなかったのじゃないか、こういうようにわれわれは思うのであります。その点政府の合理化対策、総合燃料対策というものは机上プランであって、具体的な科学的な基礎を持ったものでないということを確認して、こういうのれんに腕押しのような、どんなに修正されてもこれでやりますというような、尾っぽを切られたら別々で動きますというような、こういう考え方の政府に対しては何を質問してもだめだと思いますから、これ以上は質問しませんが、ただ先日大臣は山本委員及び長谷川委員から自由主義経済の原則に立たなければならない、このような法案を出すとは憲法違反である、こういう議論が出ましたときに、御説はごもっともであるというような前提で御答弁がなされたように私は記憶しているのであります。そういう趣旨をもってこれらの法案に今後対処されますならば、われわれはいろいろ問題があると思う。石炭の合理化には国民の税金を相当多額つぎ込む。つぎ込む場合は自由主義経済も何も議論は出てこなかった。そうして今度消費規正の方、価格をどうしようという面に対しては自由主義経済が出てくる。それから軍隊を作るというようなときには憲法違反というような問題は出てこないで、油の価格とか消費規正というような問題が出てくると大げさに憲法違反だというような問題が出てくる。ずいぶん勝手な議論もあればあるものだと思う。金を取る方はどんどん自由につぎ込ませる、これは自由主義経済に何ら違反するものでない、何か国民経済的な立場で独占資本の独占利潤の横暴を押えるというような面が出てくると、これは自由主義経済だ。こういうのが民主党、自由党を通じて保守党の基本的な性格だと思うのですが、大臣はこの法案を運営するに当って、先般御答弁になったような基本的な考え方を土台として、これからこういう法律を具体的に経済の面の運用に活用していかれ、これを動かしていかれるお考えであるのかどうか。経済に対する一つの基本的な態度を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/25
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026・石橋湛山
○石橋国務大臣 先般の長谷川、山本両君の御発言の中に、なるほど憲法云々の言葉がありましたが、私は特に憲法問題をあのときに私の方から申し上げたつもりはない。ただ産業革命のときには新しいものが出てきて、今までの設備ややり方というものと矛盾が起る。そのときにもし単純な自由主義で参りますれば、もう古いものはどんなに困っても差しつかえない、新しいものにやられるがよい、こういう議論も成り立ちます、これも一つの行き方でありましょうから、その点においては一応ごもっともな議論でありますが、しかしながら現実の問題としてはやはり日本全体の産業の立場を考えてやらなくちゃならぬのでありますから、石炭の合理化に相当の力を注ぐと同時に、燃料全体の問題を考えて、重油に対してもある程度の規制をする必要があるということを申し上げたつもりであります。そういう考えで今後もやるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/26
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027・永井勝次郎
○永井委員 油については単に輸入外貨の節約ということだけでなしに、輸入された油関係が製油過程で非常な暴利をむさぼっている。そして国内の生産が一割内外よりないという事情から、売り手市場の関係から、もうけほうだいに日本の市場が油によって荒されている。こういう実情に対してどういうふうにお考えになっているか。この価格関係についてはある程度行政的措置なりあるいは関税、消費税その他国民経済的な立場でもう少しこの問題についてはメスを入れていく必要があるとわれわれは考えるのでありますが、この点については大臣はどういうふうに考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/27
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028・石橋湛山
○石橋国務大臣 お話のように現在の製油業者が相当多額の利益を得ているという事実はございます。従って今までも行政措置によってできるだけそれらの価格を押えて、末端の消費者に安く手に入るように措置をして参った。今後も同じようにやります。しかしながら根本的には今お話のように結局売り手市場、買い手市場ということで決定するのでありますから、私どもとしてはできるだけ今後油を輸入するにしましても一方的でなく、いろいろの系統の油を入れて、その競争によって価格を下げる。これは外貨の関係から申しますれば現在は油をもっと入れても差しつかえないのでありまして、外貨の方はそう現状においては心配をいたしておりませんけれども、今の石炭の関係その他のことから実は油もあまり入れておりませんけれども、そういうことからとかく価格が上りがちになるということはこれは現状においてはまことに経済的にはやむを得ない次第でございますが、できるだけこれを押えると同時に、たとえ制限している油であっても、できるだけいろいろの油を入れて、それによって押えるという方法をとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/28
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029・永井勝次郎
○永井委員 今回の重油ボイラー設置あるいは油に対する関税定率法の問題あるいは石炭の合理化、こういう問題に関連して石油業者が議会に働きかけてきたということは事実であります。これらの働きかけの過程を通しまして、石油業者から国内資源を開発する特殊会社に対して出資をする、そのかわり今後関税についてはこれ以上かけないようにしてくれ、というようなことで大臣が何か約束したかどうか。あるいは消費規正その他あるいは消費税、こういった問題に関して油業者と、今後の油業者の利益を守るという立場において取引をしたといううわさがもっぱらでありますが、そういう事実があるかどうか。あるいはこの修正なんかもほんとうに総合燃料という立場でこれを超党派的に考えたならば、自由経済であるとか憲法違反であるとかいうような、とてつもないような議論に発展をしないで、問題は経済行為の分野において、その領域においてそう違った考えでないものがずっとまとまってくると思っていたのでありますが、最後の段階においてこういう修正を行われるということについては、われわれは心外にたえないのであります。大臣は、特殊会社に対する製油業者の出資を求めるその代償として、今後石油業者の利益を守る立場における関税、消費税あるいは価格、消費規正、こういう問題について何らかのやみ取引があったかどうか、これを、うわさでありますから伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/29
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030・石橋湛山
○石橋国務大臣 国会に対して油屋がどんな運動をしたか、私は存じません。私のところへは、これは来ても役に立たぬと思ったかどうか、一つも運動がございません。従って今お話しのような——これはどういうわけでそういううわさがありますか、参議院の委員会でもそういう話が出ましたから、そんなうわさがどこかにあるものと見えますが、しかしながらそういう油の関税とかあるいは消費税の問題と引きかえに出資させるとか何とかいう約束などはいたしたことが絶対にございません。そんな場面にぶつかったことはございません。どうぞ御安心を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/30
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031・田中角榮
○田中委員長 中崎敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/31
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032・中崎敏
○中崎委員 きわめて簡単に質問いたしたいと思います。
石炭合理化法案の審議の際におきまして、政府の方では、石炭合理化の達成のために重油の消費量を計画的に漸次減少していくのだということで、その数量についても年々の規制の目標範囲であります。そこでこの際においてもう一度確認しておきたいと思うのでありますが、政府の方で重油の消費量を今後五カ年の間にどういうふうに規制していくような考え方を持っておるのかをあらためてお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/32
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033・川上為治
○川上政府委員 これは石炭局長からも再々話があったと思うのですが、私どもとしましては、五カ年の間に現在の消費量よりも大体七十万程度削減したいというような考えでやっております……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/33
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034・中崎敏
○中崎委員 それでいいんです。大体の傾向を聞けばいいのですから……。
さて、そうなりますと、行政指導によっては現在の程度の重油の消費規正でもう手一ぱいである、そこでこれ以上の重油の規制をするがためには、何らか法的措置が必要であるという考え方の上に立って本法案が提案されたのは明らかだと思うのであります。そこで今政府の言われるように、今後五カ年の間に七十万キロ程度の規制をするとするならば、当然そうした新しい法律が必要であるということになるのでありますが、さて今度はそれと第六条との関連性であります。政府の原案によりますると、それがために必要な数量並びに価格等については、必要と認められる範囲においての指示をする、言いかえますと、数量がだんだん少くなってくると、需要供給の原則で、勢い重油の価格も相当につり上るおそれがある、それでは国の経済秩序を保つ上において相当の支障があるから、価格の点についてもこれ以上値段を上げてはいけない、こういう方面にはこの程度の値段で売れとかいうところの規制をすることがはっきりと書いてあったのであります。ところが今回の民、自党の修正案になりますと、価格並びに数量についての何らの具体的な規定がされていないのであります。そこで私たちが重大な関心を持っておりまするのは、この新しい修正案によりますると、価格並びに数量について必要な限度においてさえも規制することができるのかできないのか、そういうことをねらっておるのかいないのかということでありますが、これを提案者の一人である内田君にお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/34
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035・内田常雄
○内田委員 この政府原案の趣旨というものも、重油の需要をはなはだしく圧迫をして、ぜひ重油でなければ用が達せられないというようなものまでも押え込んでしまうという趣旨でないことは、今日通商産業大臣及び政府委員からもあらためて話があった通りでありますが、ただ政府原案の書き方というものは、たとえば第四条をとってみますと、全くの自由裁量になっておる。通商産業大臣が必要があると認めるときはと書いてあって、実際に今の通商産業大臣あるいは今の通産省の局長が考えておられる通りに将来も行われるとすれば、あるいは不安がないかもしれませんが、大臣がかわり、局長がかわって、この四条を法文通りに動かす場合には、自由裁量になってしまって、必要欠くべからざる重油の消費までも無理に押えるという規定になってしまう。そこでわれわれは四条の自由裁量を——むずかしい言葉を使って恐縮でありますが、法規裁量の形に直していく、政府の考えている通りに、政府の言われたことをそのまま法文に表わしたということでありまして、必要な部門に対する重油の供給を継続することは、これはやってもらわなければならないけれども、これは切ってもよろしいというような重油につきましては、ここに書いてありますところの法規裁量の基準を作って、その範囲で押えていくということでありまして、御心配のようなことはございません。
それから六条の問題でありますが、これは正直に申しまして、政府なりあるいは政府委員が当初に考えておられたことと、われわれ議員、ことに修正案の提出者であるわれわれが考えておることと、あるいは根本的に違うのかもしれません。言うところは、政府原案のような六条の書き方であっても、決して無理はしない。たとえば水産業者等に対する重油はぜひ必要であるし、また今回関税の復活においても、A重油には関税がかからないことになっておるから、従ってA重油をB、C重油のような関税のかかるものと同じような値段で販売業者が水産業者に販売をするということにならない程度にとどめる、こういう御説明でありますけれども、これも第六条に書いてあることをそのまま読みますと、大臣がかわり、局長がかわりますと、たびたび申しますように、これは総動員法規であり、また物資需給調整、価格統制法規である——御承知のように、昨年国際的供給不足物資等の臨時措置に関する法律でさえも廃止したような事態のもとにおきまして、かような第六条のような思いきった統制を、自由裁量また官庁の権限だけでやるということは、いかにも私ども国会議員の考え方と合わないということで、現実におきましては政府のなさんとすることと同じことを所期しながら、思想的には、私どもは自分の思想を生かしまして、この第六条をかように修正いたしたわけであります。従って、ただいま御質問にありますように、重油をむやみにどんどん押える、必要な方面まで無理に押える——政府は五カ年年間でおおむね七十万キロリットル押えると言っておるが、これはやろうと思えば百万キロでも百五十万キロでも押えられる。さような場合には、御想像のように重油の供給が減るのでありますから、必要欠くべからざる部門におきましては、重油の争奪競争が起って、値段が上るということもありましょうが、われわれは初めからさようなことを考えておりませんので、四条の修正に示すように、必要欠くべからざる方面には適量の重油を供給するということを前提として出発しておりますから、ただいまお尋ねのような心配は修正六条のもとにおきましても起らない。これによって、重油の供給というものは、総合燃料対策の一環として、石炭の合理化やあるいは需要の増大をも考えながら、重油を使わしむべきところには使わしていくという政策を合理的にとることによって、重油がむやみに不足して値段が上る、そうして総動員権限を発動しなければならないというようなことは考えてもおらぬことでありまして、心配なかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/35
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036・中崎敏
○中崎委員 議事進行に関係しますか、今のは自由党ですから、今度は民主党の側の提案者に質問したいのであります。そこでだれか一人出てもらいたいと思います。
ただいま自由党を代表しての内田君の説明によりますと、重油については必要な面には必要な量を流すのであるから、価格等については困難はないであろう、従って価格などを押えるという考えはない。数量についての答弁はまだありませんが、数量についても同じような考え方で、たとえば政府としては特にこういう面で押えたい——しかし需要者や業者の側には、たくさん使いたいというようなものもあると思うのでありますが、それについてもまた工合が悪いというのであるかどうか。まだはっきり答弁を得ておりませんが、いずれにしても一番大きな価格の問題について、政府の方では今お話のように今後五カ年間に七十万キロ、現在よりもなお圧縮して押えつけていこうというのであります。従って一応方向としては重要度の方向に向けられるでありましょうけれども、しかし需要供給の面からいえば、国の産業としては重油でないが、重油を使って仕事をやった方が効果的な仕事があるかもしれぬ。そういう方面には重油が回されないから、勢いそこに値段のつり上げということがあり得る。たとえば農林水産の場合でもそうです。一般の重油の場合には関税が引き上げられたけれども、農林水産の場合には引き上げないで値段を押えていこうというのが政府の方針でありますが、こういうようなことについても、このままほっておけば、農林水産の方に重油を流すと安いから、販売業者からいえば高い方に売りたいというので、勢い農林水面の方の油をよその方に回すということがあります。そういう場合、数量についても必要な規制を政府の方から指令しなければならぬ場合もあり得る。そういうふうに、油というものは自由に流れるもので、それに数量が少いのだから、政府の方針では今後七十万キロ押えるというのだけれども、勢い需要供給の関係で値段が乱雑になってくるというおそれがあるのです。そういう場合においても、内田君から言えば値段についてはこれでは考えないと言うが、経済の原則はそう単純なものじゃないのです。当然値段のゆるみはあり得ると考えられる。そういう場合において、民主党の側においてもやはり自由党が考えておるのと同じような考え方の上に立ってこの修正案を出されたのかどうか。
さらにこの第六条の修正案の内容について、価格の場合については政府としては措置を講ずるような指令を全然出すことができないのかどうか。また数量についてもそうです。たとえば農林水産業の重油については必要な数量を確保すると言っておる。ところが実際においては、値段を安く供給しようとしておるが、全体の数量が足りないために、こうした法的根拠によって、一定の方針に従って政令なり何なりによってこれを実行していかなければ実際うまくいかない。そういう数量に関するような重要な部分について、なおかっこの第六条の修正案では全然規制できないのかどうかということをお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/36
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037・山手滿男
○山手委員 私どもの考えておりますことは、内田さんのおっしゃったことと全然同様でございますが、ただ、今お話のありましたように、水産業界で起きますような事態について、第六条によって十二分に対処させたいというのが私どもの意図でございまして、水産業者の必要とする重油について、今中崎さんからお話のありましたように、べらぼうな値段で売りつけるというような事態が起きましたときには、当然価格についても適当ないわゆる必要な措置もとられるでありましょうし、あるいは水産用の重油について不足が起るような場合、あるいは何かの事情で不当に品物を売り渡さないというような事態が起きました場合には、当然必要な措置がとられるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/37
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038・中崎敏
○中崎委員 そこで通産大臣にお聞きしたいのでありますが、今お聞きの通りに、同じ修正案の形をとって出てきておりますけれども自由党の提案者の説明するところと民主党の提案者の説明するところとは明らかに大きな食い違いを生じてきておるのであります。いわゆる同床異夢といいますか、そうした大きな内容の相違というものは、この法律の実体の効力いかんを決定すべき重大な要素であると思うのであります。
そこでかりにこうした論議をはらみつつこの法律案が通過したときに、通産大臣は一体どういう腹がまえをもってこれを実行されていくのか。たとえば数量価格等について、緊急やむを得ない場合においては必要な指示をやるというような考え方を持たれるのか。同時に、これは政令として出されるようになると思いますが、そこらの点について意のあるところをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/38
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039・内田常雄
○内田委員 通産大臣がお答えになる前に、今の御質問によりますと、自由党の私のお答えと民主党の山手君のお答えとが違うというようなお話でありましたから一言つけ加えておきます。先ほど永井委員からの御質問の際にもお答えいたしましたけれども、私どもは六条の裏として、政府が現在までやってきておるような行政指導はこれを認める。これはあくまでも法律に基くものではなしに行政指導は認めるということを申しておるのでありますが、価格の問題につきましては、今までどういうことをやってきておるかと申しますと、今後水産用重油等については、価格についても行政指導があるものと私は考えますが、これは必ずしも政府原案の六条がなければやれないということではないので、御承知のように水産業者等に供給する重油につきましては、重油の小売販売業者の中小企業等協同組合がございまして、この協同組合は法律で独占禁止法の適用を排除されておる。従って協同組合の共同行為として価格の協定が行われるのでありまして、さような方法を通じて政府の行政指導のもとに、協同組合員である油の小売業者から水産業者に対する油の価格が安く一定の水準に保たれる、こういう方法でいき得ることを私は承認をし前提といたしておりますから、決して山手君のお答えと私の答えとは矛盾をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/39
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040・中崎敏
○中崎委員 これは法に明るい内田君の考え方とも思えないのであります。別の法律を借りてきて、その法律の効力として重大な権利義務の制限ができるというなら、この法律は必要でないのであります。ただ行政指導だけを認めるというなら、行政指導を従前通りやらしておけばいいのであって、それじゃこの法案に一切反対するという上に立ってこそ初めて筋が立つと思うのであります。それはしばらく別といたしましても、これでは納得できませんので、一応大臣の所信をお聞きしておきたい思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/40
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041・石橋湛山
○石橋国務大臣 今のお尋ねは主として第六条の問題と思いますが、この原案におきましては「緊要な用途に対する重油の供給を確保するため特に必要があると認めるときは」云々と長たらしく書いてありますが、それが修正案では「緊要な用途に対する重油の供給を確保するため必要な措置を採らなければならない。」これは通産大臣が必要な措置をとらなければならないと命ぜられておるのでありますから、私はこの中で緊要な用途に重油の供給を確保するためにはいかなる措置でも必要な措置はとり得るものと考えておる次第であります。むろん審議会の意見は徴しますけれども、必要な措置はとり得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/41
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042・中崎敏
○中崎委員 ただいまの大臣の言明によりまして、その解釈としての重要な問題が一応わかったのであります。そこで今度はもう一度内田君に聞きたいのでありますが、従来も行政指導で価格に関する指令、指示、勧告等もやっておった。こういうことは私は少くとも法治国家におけるところの姿として一体あり得るものかどうか。たとえば、値段はこれだけで売れ、数量は幾ら、ここはこれだけ出してはいかぬというような、こうした問題まで行政指導で今までもやってきておる。今後においてもこうした法律を作るにもかかわらず、依然としてそういうことを認めるというような、常習的なというか、常の姿としてこれを認めるというようなあり方は、私はどうしても納得がいかないのでありますが、内田君に対して、もう一度この重油の問題についても、一つ意見を聞いておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/42
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043・内田常雄
○内田委員 そのようなお尋ねの趣旨がありますために、私どもは政府原案の第六条を修正を試みたのでありまして、政府原案の第六条によりますると、通商産業大臣は、重油の生産業者、輸入業者、販売業者に対して販売価格に関し必要な指示をなす、直接指示と書いてありますが、おそらく実体は命令でありましょう。あたかも公定価格と同じようなことを個々の業者あるいは各重油に関する段階の業態のものに命令をし得るような規定が書いてあるが、これはわれわれと思想が違う。従来やって参ったことは、先ほども申しましたように、われわれが承知いたしておるところによりますと、かような第六条がもし通ったならば、通商産業大臣が行うであろうような価格に関する指示ではなしに、現在できておりますところの中小企業等協同組合の価格に関する協定行為を、通商産業大臣が内諾をしたといいますか、了承をしておるという形において行政指導をしておる。この程度のことは、これは先般の関税法——あなた方が特に大賛成をなさって通過をさせたところの関税法におきまして、同じ重油でありながら、B、C重油は六・五%の関税をかけ、A重油は関税をかけない、なぜならば、これは言うまでもなく、A重油は漁業者にいく重油であるがゆえに、値段を安くするために関税をかけない、こういう趣旨のもとに、同じ重油に関税をかけるものとかけないものを作られた。さようなことを前提といたしますならば、水産業者に対してA重油が関税のかからない値段でいくように、油を購入する協同組合の価格協定等に政府が適当なる行政指導をするということは、これは認められなければならない。かような趣旨で私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/43
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044・中崎敏
○中崎委員 この問題は重要な問題ですから、もう一度聞きたいのです。第一に、この問題の価格等については、中小企業等協同組合に関するところの通産大臣の指定権を行使していきたいというのでありますが、たとえば油関係の業者が全部中小企業等の協同組合を結成しておるものとも考えられないのであります。そこでまた、中小企業等協同組合にかりに入らないものが油を扱ったら一体どうなるか、その価格については一体どういうふうな規定によってこの規制を受けるのか、ここらの問題も明らかでないのでありまして、内田君の言うのは、その場のがれの言いのがれだというふうに私は考えるのであります。そこで私は、まずこういう重要法案が民自両党の共同修正の形において出されたのでありますから、この重要問題の調整をもう一度民自両党においてされて、そうしていわゆる方針を統一されてこの国会に臨んでいただきたいということが、私の第一の要求であります。そうして第二には、通産大臣といたしましても、またいわゆる民主党の側に立っておるところの内閣であり大臣であるのだから、そうした側に立って、まず政府の間の意見と民自両党との間の意見をも調整することを努力を払っていただいて、そうして統一したところの意見をもってやっていただかないと、初めからこっちはこっちというような同床異夢の法案を出されたのでは、国民が非常に迷惑しますので、この点をすみやかに一つ意見の調整をはかっていただいて、後ほどこの委員会においてもう一度まみえたいというふうに考えておるのであります。
次にもう一度お聞きしておきたいのでありますが、審議会ができることになるのでありますが、その委員は、重油に関する学識経験者のうちから通商産業大臣が任命するというのでありますが、たとえば石炭の関係者なども、いわゆる燃料の総合的な対策を確立する上において、こうした重油と石油との間の適正な運用をする上において、その意見を聞く必要があると思うのであります。その学識経験者というふうなものの範囲を広げて、重油に関するということでなしに、そういうふうなもの並びに消費者というふうなものの代表的なものを加えていいのではないかと思うのでありますが、これについての提案者の意向を一つお聞きしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/44
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045・内田常雄
○内田委員 お答えを申し上げます。これは私どもも非常に議論をして考えました結果、各界、各層あるいはまた供給者、需要者というような方面を委員に加えまして、従って代表の集まりというようなことにいたしますことは、いたずらに紛糾を来たすのみでありますから、そこで学識経験のある者を通商産業大臣の諮問機関とした。従って、ここには重油に関する学識経験者とあるけれども、これは重油業者ということではむろんございませんし、重油学者ということではございません。重油に関して公正なる判断をなし得る人物、かような趣旨で書いてありまして、この選任等につきましては、通商産業大臣におまかせをするということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/45
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046・中崎敏
○中崎委員 それでは、重油に関すると書いてあるけれども、これは問題が重油であるということだけであって、学識経験者を広くその必要と認める範囲において選ぶのであるというふうに解釈してよいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/46
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047・内田常雄
○内田委員 さような趣旨であります。私は重油業界並びに石炭業界にどのような人物があるか知りませんが、石炭業界にそのような人物があるならば入って、もしなければ入らない、これはともかく大臣がやるのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/47
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048・田中角榮
○田中委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/48
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049・多賀谷真稔
○多賀谷委員 議事進行に協力する意味においてごく簡単に二点だけ質問いたします。第一点は、本法案は石炭合理化法案の前提法案でありますが、その石炭合理化法案の審議に際して、政府からは石炭の需要を喚起する意味におきまして、重油の規制は鉱工業、暖厨房用で七十万キロ、ところが七十万キロと申しますのは、石炭に競合する部分と非競合の部分があるのでありまして、すなわち大口の炉の方はむしろふやしていく、こういう形になりますので、実際重油から石炭に転換をされるものが、大体百万キロ予定されておるのであります。百万キロといいますと、石炭に換算して百八十万トンですが、しかし百八十万トンそのまま石炭に使われるというわけではない、電気とかガスに使われるので、その三分の二を見て百二十万トンというのが、三十二年度までの石炭の需要計画に重油から転換分を見てある。そこで私は、この修正案によってどういうように変化を来たしておるのか、あくまでも重油から石炭への転換は百二十万トンと押えていいのかどうか、これを提案者並びに政府にお尋ねいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/49
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050・川上為治
○川上政府委員 これは今お話がありましたように、また従来からたびたび私なりあるいは石炭局長の方から話がありましたように、私どもとしましては、そういう考え方でやはり転換をはかっていく方針でございます。そうしてまた、そうした方面については、重油の数量を減らしていく方針であります。今回の修正案によりましても、こういう点について十分一つ勘案してやってもらいたい、また審議会を置いてやってもらいたい、めちゃくちゃに官僚独善的にやってはいけないというような規定でございますので、私どもはこういう規定によって慎重にやりますけれども、私どもの今まで計算しておるところでは、こういうことも十分考えて、そして今申し上げましたような程度の数量を削減していくという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/50
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051・多賀谷真稔
○多賀谷委員 もう一点、これは提案者にお尋ねいたしたいのですが、実は第四条に次の二号を加えるという場合の一号の問題であります。一号の問題は、重油以外の燃料を使用することができるボイラーを設置していない場合はどうも制限をしないというような大体趣旨であるように解せられるわけであります。ところが第四条の原案によりますと、「重油ボイラーを改造して重油ボイラー以外のボイラーとし、」ということが書いてある。あなたの方では原案が三つの号になります事情を説明されていないのですから、どうも私たちははっきりしないのですが、そうすると、第一号におきましては、重油以外の燃料を使用することができるボイラーを持っていないと、実際はこの転換を命じないように思われる。ところが重油ボイラーを改造して重油ボイラー以外のボイラーにするということが書いてある。そうすると、この法律の条文からどちらにしていいのか——先ほど局長の方から、容易に転換のできるものについては、改造のできるものについてはというお話がありましたが、そういう要素が入っているのか入っていないのか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/51
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052・内田常雄
○内田委員 先ほど川上局長から御説明があった通りに実際はなると思います。実はこの四条の修正案のできました経緯を申し上げますと、自由党も案を出し、民主党も案を出しました結果かような通りに落ちついたのでありますが、少くとも私が当初考えましたところは、このような重油以外の燃料を使用するボイラーを設置しておるかどうか、あるいは輸出に支障を及ぼすおそれがあるかどうかというようなところを判断の基準にして別個に基準を作るということではなしに、ここの一号、二号、三号に掲げられておるような場合に該当するときには、改造の指示とかあるいは重油以外の燃料の使用を一切しないというような明確な除外例にしなかったのでありますけれども、衆議を認めるのが民主主義でございますから、お互いに歩み寄りまして法規裁量という形において、重油しかたけないボイラーを持っておりまして、ほかに何らこれにかわるべき施設のないものにいきなり改造を命ずるということにいたしますことが、果してそのままの企業の継続を可能ならしめるか、あるいはその後の企業の運営が続くかどうかというようなことを判断して、それを基準にして審議会の定める運用の基準を作るということにいたしたわけです。従って実際の結果は、第一号に該当する場合におきましても、きわめて容易に石炭ボイラーに転向ができるし、また石炭ボイラーでやって差しつかえないものは、おそらく準則が作られます場合には、第四条が正面から発動されるようなことになるでありましょうし、そうでない場合は第四条の発動をしてはならないもの、こういうことになるものと思います。さらに申し上げますと、第一号は第二号と重複をいたしまして、第一号の準則で判断が不明確でありましても、第二号に該当するというようなことのために、合せて一本ということで重油ボイラーの変更を命じないというようなことがあると思います。たとえばそれは京染めその他の高級染料産業におけるがごとき場合であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/52
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053・多賀谷真稔
○多賀谷委員 二号、三号を総合的に勘案するというようなことはわかりますが、一号は客観的にだれが見てもあるかないかはっきりしておるのであります。ここは割合に幅がなくて、判断する人によって違いがあるということはないのであります。ところかあなたの方は、自由党案としては、改造し云々は削りたい、こういう意向であったということのようですけれども、条文としてここに勘案する基準が書かれておりません。全くこの法律としては、第一号についてのみは実におかしな条文になるので、これが容易に改造ができるかどうか。こういうような表現でありますと、これは容易に改造できるかどうかについて判断をして、容易に改造できる分については改造さす、こういうことになるのでありますが、あるかないか、これは改造ではないのでありますから、ないとなりますと改造はできないと解釈せざるを得ない。そうすると改造するのはないじゃないかということになります。これは改造して使うのではないので、予備に石炭ボイラーがあればそれを使うのですから、条文の体裁として、いな、趣旨がはっきりしない。容易に改造する部分は入ると言われますけれども、条文の解釈上は入る余地があるのかどうか、それすらわからない。要するに矛盾した条文が二つ並んでいるというところに法技術の問題としてもはっきりしない面があると思う。その点をどういうように考えておられるのか、あるいはわれわれの質問が終ったらもう一回話し合われるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/53
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054・内田常雄
○内田委員 先ほども申し上げましたように、それが本条を修正いたしまして法規裁量にいたしたゆえんでございまして、法規裁量でございますから、法規で基準も作れば、またその裁量に幅もあるということでございます。端的に申し上げますと、たとえば丸ノ内のビルディングとかホテルなどで重油をたくボイラーしかないというようなものはどうするかということが第一号に当るのでありますが、これはボイラーが技術的に改造できるかどうかということばかりでなく、資金的に容易であるか、それからホテル等の場合には部屋をよごすとか、外客誘致とか、その他の要素もあります。石炭がらの処理、石炭の置き場とかの問題もありまして、たとえば川奈ホテルにつきましては、一号は積極的に解釈され、帝国ホテルについては消極的に解釈されるということで、これは事態に応じていろいろな要素を取り入れてこの問題に関連した基準を審議会で作っていただく、これが法規裁量でありますから、十分うまくいくと思います。原案のように大臣が朝ごきげんが悪かったら、みなボイラーの改造をやめてしまう、また朝ごきげんがよかったら、下僚に命じてボイラーを全部改造すべしというような乱暴な規定は許せないのでありまして、それよりは数段まさった修正案だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/54
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055・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは政治的に発言しているのではないのです。実際的に条文が矛盾しているのではないかと思うのであります。なぜかというと、一号によって重油以外の燃料を使用することのできるボイラーを設置している場合、これは改造して使うのではなくて、別個のものを使うのですから、改造ということが起ってこない。ですから、改造というこの字の問題につきましては、私はどうも法律の条文が矛盾したものを二つ含んでいるのではないかと考えますが、鉱山局長はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/55
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056・川上為治
○川上政府委員 別に私はそう矛盾しているものではないというふうに考えるのですが、ただこの規定は先ほど内田先生からお話がありましたように、あまりむちゃくちゃにやるな、重油のボイラーを持っていて、これを改造する場合に、相当多額な金がかかって非常に無理であれば、そういうことはやるな、またどうしても石炭がらを捨てたり、そういうところがないというような場合においてはこれはやるな、そういうことであって、そうむちゃくちゃをやるなという意味に私たちは解釈しているわけでございまして、別に条文上非常に矛盾しているというふうには考えられないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/56
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057・八木昇
○八木(昇)委員 関連して。くどいようですが、大事なことですから伺いますが、今多賀谷委員の言われるように、これは別々に分けて読んでおりますとそうおかしくはないようですけれども、これを一緒に読んでごらんなさい。全く文章の体をなしておらないのですよ。ちょっと読んでみますと、「必要があると認めるときは、その者が、重油以外の燃料を使用することができるボイラーを設置しているかどうかを勘案して重油ボイラーを設置している者に対し、その重油ボイラーを改造して重油ボイラー以外のボイラーとし」云々、何々を指示することができる、こういうことになるわけでしょう。こういうふうに、別項に一、二、三としないで、一号を本文の中に入れますと今のような文章になるわけです。ですからこれは全然文章の体をなしておらない。そこでその解釈をどういうふうにとるかということは、重油ボイラーについて、重油以外の燃料を使用することができるようなボイラーを設置していようがいまいが、通産大臣が制限する必要があると認めるときにはそういう指示をするのかどうかということをお伺いしたい。それから第二の点は、いやそうではない、必要なのだけれども容易に改造ができないというような場合には指示はしない、こういう意味なのか。そういう点を明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/57
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058・内田常雄
○内田委員 まず第一に第四条の文章の続きに関する形式論理の問題でありますけれども、これは八木君がお読みになったように、第四条本文の「次の各号に掲げる事項を勘案して」というところにいきなり第一号なり第二号なりを文章として当てはめて読むことは作文の習慣上無理と申しますか間違いではないかと私は思うのでありまして、ここではどうしても第四条の本文は「次の各号」ということを入れて、そのまま読み切ってしまいまして、「次の各号」はそれの例示と申しますか列挙条項として掲げてあるので、これはわれわれが信頼する法制局の職員の諸君とも十分研究した結果でありまして、現今の形式論理及び法律作文の習慣から申せば一向差しつかえないという結論に達しております。
次に実際の運用の問題でありますが、具体的に申し上げますと、石炭ボイラーを別に予備ボイラーとして持っている。そして本ボイラーとして重油ボイラーを別に持っている。こういう場合におきましては、四条によりまして通商産業大臣がその重油ボイラーをつぶしてしまいたいというような必要をお認めになった場合には、予備ボイラーとして石炭ボイラーがあるのでありますから、おそらく審議会で基準を作りましても、予備ボイラーがあるものはよほどの無理がかからない限り重油を供給することをやめるとか、あるいはその重油ボイラーをつぶしてしまってもいいということになる可能性が多うございましょうし、また予備ボイラーとして石炭ボイラーを持っておらない場合には、四条の前段で通商産業大臣がそれをつぶしたりあるいは重油を供給したくないと認めましても、予備ボイラーがないのでありますから、そのボイラーの改造が短期間にきわめて容易で、しかも改造の結果、自後のその企業の運営に支障がないという確信がない限り、これは通商産業大臣がそうしたいと思っても、さような指示は発動しないことがよかろうというおそらく審議会等においても結論といいますか、基準が設けられると思います。かりに私がその審議会の委員の一人になることがあったとしますれば——さようなことはありませんけれども、私は委員の一人としてそのようなことを主張いたして、そういたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/58
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059・八木昇
○八木(昇)委員 そういたしますと、通産大臣の必要があると認め、制限をしたい、こう判断したということ、そのことよりは比較的容意に切りかえがしやすいというような場合、そちらの方によけいウエートがかかっている、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/59
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060・内田常雄
○内田委員 そうではございません。あくまでも四条の前段は通産大臣がこの重油ボイラーをそのまま使わせることは適当でないということを認めてからの問題でありまして、認めた場合に、たとえば第一号の問題につきましては二つありまして、予備ボイラーがある場合とない場合がある。予備ボイラーがある場合には、通産大臣が認めたことがその通りいくようなケースが多かろうし、また予備ボイラーがない場合には通産大臣がいかに必要があると認めても、それは無理である。またさようなことは国民経済全体から見て困難であるという審議会の判断のもとにその基準が作られるだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/60
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061・八木昇
○八木(昇)委員 それでは通産大臣が制限の必要ありと認めている。認めているのだが石炭などの予備ボイラーがないという場合、しかもその切りかえもそう簡単にはいかないというような場合には、一切通産大臣の指示ができない、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/61
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062・内田常雄
○内田委員 これは何べんも申しますように、法規裁量の問題でありますから、裁量の余地を残しているのでありますが、私提案者といたしましては、ただいま八木君が最後に言われたようなことになることを希望し、期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/62
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063・八木昇
○八木(昇)委員 しかしながら最終的には審議会にかけるということですね。ではこれで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/63
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064・田中角榮
○田中委員長 片島港君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/64
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065・片島港
○片島委員 簡単にお聞きしたいと思いますが、先ほどの御答弁ではっきりしないところがあるのです。既設の重油ボイラーを制限しないというような御答弁であったと思いますが、第四条の第一号を加えることにおいて、すなわち「その者が、重油以外の燃料を使用することができるボイラーを設置しているかどうか。」これは設置していないということになれば、一つの基準になりますから、ほかにこれを転換することができない。石炭のボイラーを持たぬという場合には規制ができないことになるわけです。ところが政府原案の第五条にはこれが転換をするということを前提として、「政府は、重油ボイラーを重油ボイラー以外のボイラーに改造するため必要な資金の確保に努めるものとする。」ということがあるわけです。実は第四条一号がなかったものですから、第五条を設けて転換させようと思っておったところが、第四条でこういう規制をまた規制するということになって、規制を規制するということは規制しないということになってくるわけなのですが、第五条というものが要らぬようになってしまった。新設以外のもの、今までの既設のものはそのままにしておくのだ、こういうようなことにしなければ、第四条の一号が立たぬ。これを立てようとすれば第五条は無用な文章になってしまうということになるのですが、通産大臣はこの点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/65
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066・内田常雄
○内田委員 提案者の一人である私からお答えした方が適当だと思いますからお答えいたしますが、今の片島君の御質問の通りではございません。いろいろ考えました結果五条はやはり存置する必要があるのでございまして、と申しますのは四条はこれによってすべて現在重油ボイラーをたいているものについては、既設の重油ボイラーについてはその改造なりあるいは改装を全部させることをやめてしまったりするのではないのでありまして、ここに掲げてある事項を参考として、わかりやすい言葉で言えば、改造さしても差しつかえないものについては、やはり改造指示を出すのであります。改造指示が出ました場合には、やはり政府で資金のめんどうはできるだけ見てやる、こういうことが必要になるわけであります。一号につきましても追いつめていきますと、予備ボイラーを持っていないもの、重油ボイラーしか持っていないという場合でも通産大臣がその改造を必要と認める場合であって、しかも国民経済的にもこれは改造させて差しつかえない、こういう場合には別に定められる基準で改造を命ぜられることがあるのでありまして、さような場合には五条によって政府が資金的なめんどうはできるだけ見て参る。こういうことから五条を残してあります。四条の修正と五条は矛盾いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/66
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067・片島港
○片島委員 いや、それは矛盾いたします。先ほどの政府委員の答弁にも、重油を燃料として使用しておって、これをほかに転換する場合に相当金がかかる、こういうことになればと、こうありますが、これは相当金がかかるとか何とかいうことは書かないで、ほかの方に使用することができるボイラーを持っておるか持っておらぬかという基準なんです。持っておらぬ場合は——持っておるかどうかと、こういうふうに二つ書いてあるのですから、持っておる場合には転換をさせる、持っていない場合には転換をさせない、こういう二つしか基準はないわけです。それで通商産業大臣も無理なことはしないと言っておるが、ほかに転換をすればただ政府が金をくれるというならばやりましょう、やるかもしれません。しかし、やはり資金を確保する——ということは、これは融資のあっせんをするということでございましょうが、金を借りてまでわざわざほかの方に転換しなくても、今持っておる方が楽だというならば、いやがることはきまり切っておりますし、そういうものを国の経済上むやみにどうじゃこうじゃといって因縁をつけて改造させることは、第四条のこの一項の建前からいってできぬと思う。そういう不公平なえこひいきはできぬと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/67
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068・内田常雄
○内田委員 片島君のただいまの御質問は、私の考え方と全く同じで、私は非常にありがたいと思うのですが、私は初めそういうふうに考えまして、およそ予備ボイラーを持っていない者は一転換が容易であろうとなかろうと、また政府が金を貸してくれようとくれまいと、既存のものは押えぬ方がいいという考えで修正案を作ったのでありますが、しかし衆議の結果私どもも、実際の総合エネルギー対策あるいは石炭合理化計画等の趣旨にもかんがみまして、最終的にはここまで譲ったものでございます。結果は、これは字句の説明をいたすようで大へん恐縮でございますが、四条の一、二、三に書かれてあるのは、このもの自体が基準ではないのでありまして、これはこの四条の本文にありますように一つの事項でありまして、こういう事項を勘案して別に基準を作るのであります。従って、追い詰めて申しますと、先ほども申しましたように、別に予備ボイラーとして石炭ボイラーを持っていない、現在重油ボイラーしか持っていないという者につきましても、それは重油ボイラーしか持っていないのであるから、転換をさせないということではないので、転換をさせる場合とさせない場合が出てくる。させる場合は、これは転換をさせても国民経済の上から見て支障もないし、むしろそうすべきである、また当該企業の存立から見ても差しつかえがない、多少の金が要るけれども、その金のめんどうは国で見てやれば何とかいくというようなものは、予備ボイラーがなくても転換きせる場合が出てくるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/68
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069・片島港
○片島委員 どうも内田さんも法律には相当詳しいので、そういう苦しい解釈をされるということは、いろいろと反対や賛成があってむずかしいから、結局ああだこうだといって解釈をしておられるのだろうと私は思う。しかし、そういうふうにやっていただくならば、これはけっこうです。こういうことでは、実際運用する場合に、この法律は、設置しているかどうか——中間があれば別だけれども、いるかどうかという二つの基準しか示されておらぬのだから、また何かその他の基準を作らなければならない、それに合せようということは、実際上実行は困難だと思う。しかし、それをあまり長くなにしてもあれですから……。
それでは、少くとも原則としては、現在予備のものを持たない場合には規制をしない、新設——このままにほうっておいたならば重油の消費が非常に増大するから、その増大を防ごうというのならば、私はこれによって十分防ぐことができると思いますが、それでは重油の消費の増大を防ぐだけであって、今ある、今使っておる消費量を規制するということにはならぬのであります。しかしながら、今使っておる重油をある程度規制をして減らさなければ、総合燃料対策として、石炭合理化法案などから見ても——今あるものを減らすためにはどうするのですか、この法律が出た場合に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/69
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070・内田常雄
○内田委員 簡単にお答え申し上げますと、四条は今使っておる重油を減らす条項であります。減らすか減らさぬかは、ここにありますように、であるかどうかですから、簡単に申しますと減らすものが半分、減らさないものが半分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/70
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071・片島港
○片島委員 そういうことを言うと、原則的には予備を持っておる者が半分、予備を持ってない者が半分ということになりますよ。そうじゃありません。予備を持たない者が多いので、予備を持っておる者の方が非常に少い。そうすれば、半分々々じゃなくて、八割二割か、九割一割くらいにしかならぬのです。いやそれでもいいからと言うならだけれども、半分々々ということなら、そういうことじゃ、あなたの答弁は答弁にはなりませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/71
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072・内田常雄
○内田委員 ではもう一度御説明いたします。私の説明と片島君の御理解と食い違うところがあるのでありますが、予備を持っておらない者は全部生かすというのではないのでありまして、予備を持っていない者でも、審議会で考慮する——ここに書いてあるのは事項でありまして、基準ではない、基準となるべき事項でありますから、予備を持っておるかおらないかという事項について審議会で基準を作るのであります。従ってこれは五割々々であるかどうかわかりませんが、一号、二号、三号の形を通じまして、弥縫法規が本文にあります、従って四条の関係では、従来使っておったものでも、これは新たに押え込むものがある程度出てくるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/72
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073・片島港
○片島委員 私は了解はいたしません。了解はいたしませんが、委員長の方でも議事を非常に促進しておられますし、あとに質問者もあるようでありますから……。(「遠慮せぬで、堂々と質問しなさい。」と呼ぶ者あり)遠慮せぬでと言ったって、今のあれでは答弁になりませんよ。
それではお聞きしますが、今重油ボイラーを持っておる者で——これはあなたたちが作られた修正案ですから、予備を持っておる者と予備を持っておらぬ者の数、その比率を調査になったことがありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/73
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074・内田常雄
○内田委員 詳しい数字は調査をいたしておりませんけれども、重油の規制というものは昭和二十七年から今日に至る過程において問題が起りましたために、予備を持っておる者も持っておらない者も両面あることを私どもは承知いたしております。従ってその現状に即してやるということで、そこまでこまかいことは調査しておりませんけれども、これは事態に即して執行部にやってもらう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/74
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075・片島港
○片島委員 それじゃあなた、せっかく法律を作ろうという場合には、この法律を作ることによって幾らの重油が規制できるか——これは規制する法律でしょう。規制する法律ならば、これを作った場合にどの程度になるか、これは通産当局はどうですか。あなたたちは前のときにはほかに予備のない者でもあなた方の考えによってこれは相当規制をしよう、しかし今度はこういう基準ができますから——しかしいずれこしてもその場合に、今重油ボイラーを持っておる者のうち、ほかに予備を持っておるからそのまま転換できるというのが何パーセントあるか、それから予備を持ってないが、しかしながら切って捨てようと考えたのが、残ったうちの何割になるか、こういう点をあなたたち調査しておると思う。重油の規制をする上において、数字もはじかないで、文字だけここに並べて規制をしようたってできやしませんよ。通産省はどうですか、そういうことを調べたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/75
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076・川上為治
○川上政府委員 正確な数字はまだ出ておりませんが、従来調べましたところでは、大口工場につきましては、大体予備のボイラーを持っておるようでございます。それから小口の中小企業につきましては、ほとんど予備のものを持っていないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/76
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077・田中角榮
○田中委員長 これにて政府原案及び修正案に対する質疑は終了いたしました。
なお、本修正案は、国会法第五十七条の三に該当するものでありますので、内閣に意見があれば、この際その意見を徴します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/77
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078・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいま質疑応答の中において、大体私どもとしてお答えした通り、修正によりましてもわれわれの目的を達し得るものと思います。ただ本修正の結果必要とする経費、つまり規制審議会の設置に伴う経費がございます。本年度予算六十五万円くらい、平年度約百三十万円くらい要るだろうという見込みでございますから、これを御了承おき願います。予備費の支出か何かをいたさなければなりませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/78
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079・田中角榮
○田中委員長 速記中止。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/79
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080・田中角榮
○田中委員長 速記を始めて。
引き続き政府原案及び修正案を一括して討論に付します。
討論の通告がありませんから直ちに採決をいたします。
まず南好雄君外二十六名提出、民自共同提案にかかる修正案について採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/80
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081・田中角榮
○田中委員長 起立多数。よって本修正案は可決せられました。
次に、ただいま決定しました修正部分を除く政府原案につき採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/81
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082・田中角榮
○田中委員長 起立総員。よって本案は、南好雄君外二十六名提出、民自共同提案にかかる修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。
なお修正議決の結果、字句等に整理を要する点がありますれば、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/82
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083・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/83
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084・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
本日はこの程度にとどめ、次会は明二十八日午後一時より会議を開くこととなし、これにて散会いたします。
午後零時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X05019550727/84
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