1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年七月七日(木曜日)
午後一時五十八分開議
出席小委員
小委員長 永井勝次郎君
菅野和太郎君 中村庸一郎君
野田 武夫君 南 好雄君
田中 武夫君 八木 昇君
菊地養之輔君 松平 忠久君
出席政府委員
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 秋山 武夫君
小委員外の出席者
議 員 秋田 大助君
議 員 小笠 公韶君
議 員 笹本 一雄君
議 員 首藤 新八君
議 員 山手 滿男君
議 員 加藤 清二君
議 員 片島 港君
議 員 帆足 計君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局経済部
長) 坂根 哲夫君
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局経済部
団体課長) 吉田 仁風君
参 考 人
(日本タオル調
整組合連合会理
事長) 矢野 喜八君
参 考 人
(日本輸出絹人
絹織物機械染色
調整組合常務理
事) 小沢 了君
参 考 人
(日本燐寸調整
組合東京事務所
長) 吉竹 博愛君
参 考 人
(日本スフ織物
工業連合会専務
理事) 野沢 久雄君
参 考 人
(日本輸出向絹
織物調整組合連
合会専務理事) 丸山 清君
参 考 人
(群馬県綿スフ
織物調整組合理
事絹人絹織物調
整組合委員) 境野 武夫君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
—————————————
六月二十八日
松平忠久君同月二十日委員辞任につき、委員長
の指名で小委員に補欠選任された。
七月四日
森山欽司君六月七日委員辞任につき、委員長の
指名で小委員に補欠選任された。
同月七日
八木昇君同日委員辞任につき、委員長の指名で
小委員に補欠選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
中小企業安定法の一部を改正する法
律案について参考人より意見聴取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/0
-
001・永井勝次郎
○永井小委員長 これより会議を開きます。
本日は中小企業安定法の一部を改正する法律案について、御出席の参考人各位より御意見を伺うことにいたします。
御出席の参考人は、矢野喜八君、小沢了君、吉竹博愛君、野沢久雄君、丸山清君、境野武夫君、以上六名の方々であります。
参考人の方々には、御多用中のところ本小委員会に御出店下さいまして、厚く御礼を申し上げます。
今日中小企業は幾多の困難な諸問題に当面し、深刻な様相を呈しております。本委員会は問題解決のため鋭意調査検討を続けて参りましたが、今回その打開のための一方策として、中小企業安定法の一部改正案が提案されたものと存じます。本改正案は、過度の競争を除去し、いわゆる不況要件を緩和するとともに、輸出貿易振興のためにも適用し得るように改正しようとするものでありますが、本案について直接調整組合の事業に携わっておられる方方から忌憚のない御意見を承わりたいと存じます。御意見御開陳の時間は別に制限いたすわけでありませんが、お一人おおむね十分程度とし、その順序は勝手ながら小委員長におまかせを願いたいと存じます。なお、御意見御発表の後小委員の側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。
それでは最初に矢野喜八君よりお願いいたします。矢野参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/1
-
002・矢野喜八
○矢野参考人 日本タオル調整組合連合会の現状におきまする状態を申し上げまして皆さんの御尽力にあずかりたいと存じます。
わがタオル業界は関係方面の御指導と御援助により、昨年四月初の中小企業安定法第二十九条の適用を受けまして、タオル製造業生産設備制限規則が公布せられ、保有設備の登録を行うとともに、続いて六月には未登録タオル織機設置制限規則が制定せられ、ここに初めて設備の新規増加に終止符が打たれ、自後における生産調整の基礎が確立されたのであります。しかしながら第二十九条の発動申し出以来、設備制限の公布までに相当長期の日時を経過したため、その間増設が行われ、現有設備は戦前の最高時昭和十八年の一万八百台をはるかに凌駕いたしまして、約四一%増の一万五千五百台となり、深刻な設備過剰に苦慮している次第であります。これに加えまして、二十八年末よりデフレ政策によりまする金融引き締めにより資金は逼迫し、二十九年三月以来有力タオル問屋が相次いで整理に入り、生産者も約五億円のしわ寄せをこうむって、連鎖倒産あるいは企業の縮小、休業等様相は悪化の一途をたどり、このまま推移いたしますれば業界は崩壊のほかなき状態に立ち至ったのであります。
ここにおきまして、従来より実施しておりました三割生産調整をさらに強化いたしまして、二十九年八月より四割といたしまして、織機の封減制と生産数量の割当制を実行しました。しかし封減制も不需要期においては確実に実行されましたが、需要期においては完全実施は困難になる実情にありました。よって業界は根本的の対策といたしまして、過剰設備の徹底的整理を決意し、関係官庁、金融機関の支援のもとに、次の三点を実行に移したのであります。一応ここでわれわれ業界の設備を参考に申し上げますと、昭和十八年の四月には企業者数が二百九十七名で一万八百台、それから二十一年の八月、終戦直後でありますが、九十九名で四千百六十七台、二十五年の九月が二百六十八名で六千三百六十八台、二十七年の三月三百八十九名に対しまして一万七百六十七台、二十七年の八月四百二十五名に対しまして一万一千五百九十五台、二十七年十二月四百八十二名に対しまして、一万三千百四十四台、二十九年の六月、これは設備制限公布によりまする登録台数でありますが、六百三十名、一万五千五百十六台、三十年の五月に六百十六名で一万五千五百八十四台であります。これが規則公布後の猶予期間中の増加がありますのでこれだけになったわけであります。そこでその間におきましても、大阪タオル調整組合の組合員数が三百二十三名で六千六百九台、今治−中四国でありますが、これは百五十二名で五千二百七十三台、中部が九十五名で一千五百五十台、九州が久留米市でありますが十二名で、六百一台で、この四組合の組合員が五百八十二名で一万五千三十二台でございます。非組合員が三十四名ありましてこれが五百五十二台になっております。ところがこれは織機の六月五日の調査でいきますと、大阪タオル調整組合が四十五工場の脱落者、倒産者でありますが、それが四百四十三台、中四国が九工場で二百七十一台、中部が十四工場で二百五十六台、九州が二工場で四十一台、合計七十名の脱落者で、台数が一千十一台というものが、このパニックのために倒産の憂き目にあったわけであります。でありまするために、四割を封減いたしましても時間延長のために増産を行うきらいがありまするので、設備の拡充のたな上げと、それから生産の制限、規制をいたしまして、内地の価額の安定をはかっていただきたい、それにつきましては安定をはかって輸出方面に全力を上げていただくのが目的でありまして今度の生産制限を強力にお願いするゆえんであります。
以上申し上げまして参考に願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/2
-
003・永井勝次郎
○永井小委員長 次に日本輸出絹人絹織物機械染色調整組合常務理事小沢了君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/3
-
004・小沢了
○小沢参考人 私御指名にあずかりました小沢でございますが、実は本日のこの委員会に参考人としてまかり出ましたのは、御審議の安定法に関して何かいろいろ現場にいる者としての意見を徴する場合もあるというような御趣意と存ぜられましたので、こちら側から一般的に概貌を申し上げるような仕組みはなかったのであります。心がまえといたしまして、実はただいまはなはだ唐突の間であわてたのでございますが、私ども一同が安定法の改正をお願いをしているものでございまするので、その観点からお願いの筋をちょっと申し上げてみたいと存じます。
申し上げるまでもなく二十七年に議員立法として安定法が生まれましてからたしか今日まで三回かの、両二回の途中の改正があったと思っているのでございますが、毎年々々この安定法のおかげで、組合を作っておりまする業者としまして現在の法律では不十分であるということを考え、毎年々々お願いをしているところの一つの流れが今度の国会でもお願いするように相なったのであると私は思っております。ところで関係している業界も非常に多いのでございますし、この業界の事情もいろいろ違っておりまするので、大ぜいの願っておりまする問題は、現在の改正法案となっておりまするよりも相当広範囲であったのでございますが、いわゆる最大公約数と申しまするか、その範囲内でただいまのような改正案が出たものと推測しているのでございます。従来からの関係から申し上げますると、いろいろの御批判もあるかと存ずるのでございますが、そもそも安定法を設けられた御趣意から見まして、実際の運用面を考えて参りますと、行政面の方におきまする事情もあって、なかなか思うようにいっておりませんので、できるだけほんとうにこういう業態を救うために設けられたる法案であるならば、それをもう少し簡単に具現するように、何とかして改正していただきたいというのが、私ども一同の考え方でないかと、ひそかに考えておるわけであります。そういう次第でございますので、個人的の好みから申し上げますならば、もっといろいろな点を考えられるのでございますが、少くとも現在改正案として出されておりまする法案は、すみやかに通過するよう御審議していただきたいということが要望の最大のものなのであります。一応これをもって私の意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/4
-
005・永井勝次郎
○永井小委員長 次に吉竹博愛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/5
-
006・吉竹博愛
○吉竹参考人 日本燐寸調整組合東京事務所長でありますが、私は吉竹と申します。私の方のマッチの組合が、安定法に定められたきめ手であるところの二十九条の命令を、現在の法律に定められている最高の限度において出していただいている唯一の業界であるのであります。そのためにこの組合の運営に当っておりますわれわれは、常に安定法は中小企業の安定にいかに役立つか、また中小企業の安定には、現在の安定法ではあるいは十分でないというのか、そうした点の最もいいテスト・ケースとなるのだから、われわれは法の定める範囲内におきまして、できるだけ忠実にその調整を実施して今日に至ったのであります。それでよくお前の方はうまく行っているかと聞かれるのであります。そのときに私はちゅうちょなくおかげさまでうまくいっておりますと答えておるのであります。うまくいっているということは相対的な意味でありまして、昭和二十七年の十月一日に調整組合を設立する前の状態と比べまして非常にうまくいっているということなのであります。しかしながら今日ただいまの現状におきましては、まだ不需要期の間におきまして御参考に申し上げますれば、マッチは一年のうち半分は非常によく売れて半分はよく売れない。需給の緩繁が非常にはなはだしい品物であります。ちょうど今ごろから売れ出す品物でありまして、正月から今ごろまでは売れない。そうしたあとを受けましたために、現在はまたあのわれわれ業者が最も忌みきらうところの特売サービス競争をやっている次第であります。これでは最後的に安定をしたとは言い得ないんじゃないかと思いますのに、すでに調整を始めてから三年を経過して現状にあるのであります。ここに現在の安定法の中小企業の最後の振興策としては、あるいは欠けている点があるんじゃないかということを考えるものであります。そのためにわれわれといたしましてはできましたならば中小企業等協同組合法の持っている同志的な結合による振興安定対策をこの組合の長所と相取り入れまして、われわれの業界にその調整と並んで行うことができるようになりますならばと考えまして、実はこのたびの改正案が取り上げられるということを承わりましたときに、そのことも加えて陳情した次第であります。しかしながらこのたびは、その問題が波及するところが非常に大きいということでございましょう、改正案の中からは削られました。しかしいつかのときにどうかこの点をお考え下さいまして、この安定法と中小企業等協同組合法の持つ両者の長所を取り入れたこの中小企業に対する根本的な振興策というものをお考え下さることを切に希望するものでございます。それではなぜお前のところはお前が言うように一生懸命にやっておりながら、今日まだそうした一部に特売をやるというような現象が現われておるのかと聞かれますならば、次のことが申し上げたいのであります。それは二十七年十月安定法が施行されまして組合を作りますときのわれわれの業者は、組合員が八十六、アウトサイダーが六、合せて九十二であったのであります。そうして組合ができますと同時に、生産と出荷の調整を組合の手で実施して参ったのであります。ところが、われわれがその組合の調整を始めると同時に、きめ手であるところの二十九条の発動を役所にお願いしたのであります。しかしながら、種々の事情もありましょうし、また当時の臨時措置法の法文の書き方が当時のお役人ではなかなか踏み切れない、その業並びに関連産業の存立に重大な影響と、こうしたやかましい文句がついておりましたためか、ついに二十九条の命令は一年八カ月間発令されなかったのであります。その間組合員は涙をのんで組合の調整に従いましたが、アウトサイダーは、いずれはあの連中命令の発動を仰ぐに違いない、今の間にかせげというわけで、実績かせぎをやる新規業者が出たのであります。その数が、昭和二十九年五月の十日に二十九条第一項の命令の出るときには、さきのインサイド八十六が九十六に、アウトサイダー六が二十になり、全業者の数としては二十四増加いたしまして、百十六になったのであります。しかも私の方の業種といたしましては、設備の関係が非常に簡単でありますために、設備をもって割当をきめる根拠にするのには非常にむずかしい点があるのでありますために、一方物品税を一応法的な機関を通す便利もありましたために、割当の基準をきめるのには実績主義をとったのであります。これはマッチの業界何十年間いろいろなことを見るときには常にそうした何をとってきておるのであります。だからアウトサイダーも新規業者も、いずれ実績主義をとるに違いないというので非常にかせいで、そうした今申し上げましたような数字となったのであります。幸い二十九年の五月に二十九条の命令の発動があり、十一月にはそれが履行命令に移行されましたが、その間にできました既成事実は、組合といたしましてはいろいろな制約を設けることは、現在の協同組合法の精神にもどるという点もございまするので、従来組合の調整に従ってきた正直な組合員と同じ取扱いをせざるを得ないという現状になってきたので、あります。ために全体の数字が非常に膨張してくる。そうして一たんこの膨張したものを、たとい調整の命令が出たからといって非常に少く削るということはまずむずかしいのであります。また一方そうした競争のあとの疲弊が続いておりますために、わずかに半年の不需要期にすら耐えられずに、現状においてはまだ特売が続いておる状態であります。ただ幸いなことに、ここに皆さんに喜んでいただきたいことは、この調整を始めた最初において、われわれが念願した国内の安定と同時に輸出の振興という点についていささか努力をいたしました結果、二十八年には一万六トン、二十九年には万六千七百トン、そうして三十年は、すでに一月から五月までの間に一万六千トンの輸出を見ております。本年度のお役所に出しました輸出の目標は三万トンでございますが、この模様でいきますと、おそらく目標を完全に突破できると考えております。これも調整組合ができる三年前の状態でありますならば、品質の点その他の点において、とうていここまでは伸びてなかったと考えまして、この安定法のおかげを非常にこうむっておることを、この法律の成立に過去三年非常な御努力をいただきました代議士の皆さんにお礼を申し上げますと同時に、どうか今申し上げましたような点から、完璧な法律にしていただきたい。またそれと同時に法律で定められたものが、迅速に行政の面において実施されるようになることを特にお願いいたしまして、一応の意見を開陳させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/6
-
007・永井勝次郎
○永井小委員長 次に日本綿スフ織物工業連合会専務理事野沢久雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/7
-
008・野沢久雄
○野沢参考人 野沢でございます。日本綿スフ織物業者の調整活動事務を担当しておる者でございます。
調整活動が始まりまして以来、それらの体験によりまして、さらにこの法律の完璧を期する意味において、いろいろな改正についての希望を御陳情申し上げておったのでありますが、今回幸いにもこのうち一部につきまして、御決定を見るような運びになりましたことを衷心御礼を申し上げたいと思います。特にわれわれが強く熱望しておりました、品種の制限またはその品質の検査等について、調整組合が調整活動の中に入れていただいたということについては、私ども綿スフ織物業界というものが、非常に広範囲な業界でありまする関係上、その具体の生産的制限、生産調整というものの実施を、やはりその種類別に行う必要があるために、どうしてもその品種別の検査なりあるいは品種の制限ということが必要であることを痛感しておりましたので、今回その趣旨に基く改正ができることについて、非常に喜んでいる次第でございます。
なおそれに付随いたしまして、かねがね御陳情申し上げていることでありまするが、このような機会がめったにないのでありますので、この機会にまた重ねてお願い申し上げておきたいと思います。
一つは、御承知のように綿織物業者、スフ織物業者というものが、非常に零細な業者が全国に約一万五、六千軒にわたって分布されておるのでありまするが、現在繊維業界が非常な苦しい経済事情にありまするさ中に、この一万数千軒の機屋が、更生の道をこの安定法によって求めるということになりますると、どうしてもある程度業者の組織を強化するような方向に持っていっていただく必要があるのじゃなかろうかと思います。現在の法律でもすでに二十九条の生産命令あるいは設備の制限命令というふうな各項がございまするが、私どもとしては、こいねがわくばさらに進んで、組合の組織に強制加入あるいはまた脱退の制限ということができ得るような方法を、一つ御研究願いたい。
それからもう一つは、今のことにも関係するのでありまするが、調整組合が、現在われわれのところでは二十九条の命令を実施しております。これに関する経費の面等のことになりますが、二十九条の命令が実施された場合における調整活動に要する費用は、全体の業者が全部で公平に負担できるというふうな方法等も、一つあらためて御研究願いたい、かように思います。
またさらに、業界の深刻なる程度が進んでいきますと、現在行なっております生産制限等もより強化しなければならぬ実情になって参りますので、その場合にはどうしても資金的な裏づけを必要として参ります。それに関連いたしましては、現在の法律でもうすでに利子補給等の制度もございまするので、これが予算化等についても、さらに一段の御支援のほどをお願いしたい、かように思っております。
またもう一つ、本法令に関連することで、現在輸出入取引法の改正の問題が出ているようでございますが、輸出業者が輸出カルテルを作ってもよろしいということに、取引法が改正されるように承知いたしておりますが、その輸出入取引法の改正によりまして、輸出業者がカルテルを結成した場合におきましては、それに対応する生産業者の立場として、特に中小企業者の立場といたしまして、中小企業者の生産に関する組織の確立を、並行的に実施していただくということが必要でなかろうかと思います。その方法の一つといたしましては、輸出業者がそのカルテルを結成したる場合におきましては、それに対応する中小企業の生産につきましては、現在のこの中小企業安定法の二十九条の生産制限を直ちに発令して、裏づけをしていただきたい。そうでないと、片一方の貿易業者は、大体において相当の資本を持っている業者でありますので、中小企業でありますわれわれ生産業者が、現在より以上に不況な立場に追い込まれてしまうということになるので、直接本法令の内容とは関係がないのでありますが、法令の運用につきまして、かようにお願い申し上げたいと思います。
大体以上で私の意見を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/8
-
009・永井勝次郎
○永井小委員長 次に日本輸出向絹人絹織物調整組合連合会専務理事丸山清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/9
-
010・丸山清
○丸山参考人 私は日本輸出向絹人絹織物調整組合連合会の専務をしております丸山でございます。この機会をかりまして、かねがね御先生方にはいろいろ御厄介になっておりますのみならず、中小企業安定法の改正その他二十九条の発令等につきまして、深甚なる御考慮をいただいておりますことを、衷心から感謝しているものであります。
今回さらに第三回の、中小企業安定法の改正が行われたのでございますけれども、これは実はわれわれが諸先生方に要望した点でございますが、先ほど他の参考人からもるる申し上げました通り、われわれのこの要望を一〇〇%取り上げられていないことを、はなはだ遺憾に思うのであります。しかし事ほどさように、この安定法の改正というものが、一挙に進まないということもわかるわけでございますので、今回改正されます範囲内において、一日も早く通過させていただきたいことを、われわれは念願しているわけでございます。
特に今回の改正の要点とする点につきましては、われわれ絹人絹織物業界におきまして特に痛切に感じておるところでございますが、これは御案内の通り、われわれが輸出向けの方の調整組合を作りましてから、直ちに生産設備の制限と同時に、その裏づけとなる設備の生産制限命令というものを御当局に申請したのでございますけれども、その間一年有余の間引っぱられました関係から、いろいろな悪弊が出て参ったわけでございます。のみならず、通産当局におかれましてこれを引っぱられました一つの理由といたしましては、結局この中小企業安定法の目的というものにさかのぼって、その目的が需給の均衡が著しく不均衡を生じた場合にのみ限られておるのでございますので、こういった中小企業安定法の根本的な目的というものが、どろなわ式の、不況になった場合に初めてやられるというふうな点から考えますと、結局われわれ中小企業者がどたんばに、死ぬ間ぎわになりましていかなる特効薬を注入されましてもきかないと同じような結果になっておるわけであります。従いましてこの目的そのものを根本から変えていただかなければならないのではないかということをかねがね要望しておったわけであります。すなわちそういうどろなわ式でなくても、中小企業の真の安定をこいねがうという大きい目的というものを織り込んでいただく、同時に輸出振興を妨げるような、取引の不公正とかあるいは輸出振興の大きいガンとなるような点が出てきた場合においてもこれをやっていただくというふうに、目的のものを変えていただくと同時に、その目的に沿って各中小企業の各条項を変えていただくということをお願いしたわけであります。今回その大目的が変更されましたことを非常に喜ばしく存じておる次第でございます。従ってその目的に沿って二十九条の命令の発動要件というものを、もっと今後広範囲に運用方面でも考えていただかなければならないと考えるのでございます。もともとこの中小企業安定法は臨時的処置法でございまして、恒久的な考え方はなかったのでございますが、今回はっきりと恒久的な考え方が目的にも盛られたということを非常に喜んでおる次第でございます。最後に私申し上げたい点かあるのでございます。特に今回諸先生方の御尽力によりまして、安定法がもちろんより有利に改正されましても、結局これを運用実施されるのは通産省御当局なのでございますので、この機会において通産省御当局の方々によくお願いしておきたい点があるわけでございます。ということは幾ら安定法が改正されましても、これを実施されます御当局の方にその運用面においてある程度まで踏み切ってやっていただかなければ、結局無意味に終ってしまうということでございます。特に中小企業の実態というものをよく把握願いますと同時に、中小企業安定法の趣旨というものをよく御認識下さいまして、今後二十九条発動その他の点につきましては、役所関係の実施面において強力果敢に、逡巡するところなく、おそれず一つ出していただきたいというふうに、私最後に特にお願いするものでございます。
以上で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/10
-
011・永井勝次郎
○永井小委員長 次に群馬県綿スフ織物調整組合理事境野武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/11
-
012・境野武夫
○境野参考人 私はただいまの皆様方がやっておりますところの絹人絹の調整組合連合会であるとか、野沢さんの綿スフの連合会であるとか、こういうものの下について地方で調整組合をやっておりながら、自分はうちで機を織っておる者でございます。こういうところから中小企業安定法というものを見ますと、今のままでいったならば、こんなのんきなことをやっていられたんじゃとてもかなわないという感じを持つのでございます。
御存じのように上州の桐生というところは、輸出織物をたくさん織っておりますが、北陸や何かで織っておりますところの輸出織物とは全然違っておりまして、糸を先に染めまして、そうしてほとんどが紋織物でございます。こういう関係から、紋織物はジャガードから縦糸を上げる装置をつけませんと織れません。それから絞紙を切らなければ織れないのでありますが、この二つのものがちょうど織機の三分の一の価格を現在とっております。こういう関係からこのいわゆるわれわれの方の国で染物といいますが、架物の宿命に追われまして、どうしても輸出競争をしなければならないところへ追い込まれておるのであります。この架物を取りかえることは四万、五万というふうに金がかかりますから、どうしてもその架物のままで織っていきたい、こういうことでございますから貿易商店にはたたかれ、バイヤーにはたたかれて輸出競争をしておる、こういうことで、われわれの国で唯一に織っておりますところの西アフリカ向けの人絹の紋マフラーがございます。これを織っておるところは桐生だけでございます。それから買う方は、これも西アフリカのナイジェリア、ゴールド・コースト、それからベルジァン・コンゴ、この三カ所たけしか世界中でも買わないのであります。こういうように、織っておるところが一つであって、買うところが連続して三つである。三つとも同じような場所にある。こういうものに対しましてどういうふうに競争が行われて、これが値が下って現在織れなくなってしまったか。昭和の二十四年のころには、一枚が百二十一円五十銭で売れておりました。これは二尺四寸四方ぐらいが一枚になっておるのであります。そうして百二十一円五十銭の中で糸の占める割合は二十六円二十五銭でございまして、九十五円二十五銭というものが工費と利益になっておりまして、それは現在が一枚が四十五円でしか売れません。しかも糸の占める位置は、その当時に比べて上っておりまして三十一円を占めておりますので、工費並びに利益が十四円しかないのです。しかもこれは買う方には非常に利益があると見えまして、輸出商社が契約いたしますとすぐLCが参ります。このために非常に商社に喜ばれる商品でございまして、年産百三十万ダースは必ず毎年平均出しております。こういう商品に対しまして、中小企業安定法の二十九条をもし円滑種別に出していただけるとすれば、これはわれわれ最も安定するのじゃないか、こういう、ふうに思っております。中小企業安定法が二十九条を持っており、非常によいということは前々からわれわれも、われわれとともに働いておるところの約二百名の機屋並びに機屋の職工は考えております。ところが出て参りました中小企業安定法と二十九条の設備制限規則というものを見てあぜんとせざるを得ないのでございます。なぜかというと、全然これを調整するどころではないのでございまして、まるで悪口を言えばばかみたいなものじゃないかと私は思うのであります。こういう意味では戦争前の工業組合法の九条、商業組合法の八条というものですら施行できなかった政府が、とうてい私は二十九条なんというものはやれないのじゃないかと思っていたのですが、二十九条が出ました。出たところが一向にこれは何にもなっておりませんで、現在このマフラーは十四円しませんで、十一円になろうとしている。こういうことで、昨日も夜十二時まで騒いで、そうしてあした議会へ行ってお前言うんだったら、ぜひ頼んでこい、何とかして品種別の調整をしてもらわなければわれわれは死んでしまうんだ、しかも織るところが日本中で一つ、しかも輸入をする方も九五%ぐらいは桐生の商品が入っておる、そういうものを買う方もわずかにベルジァン・コンゴとかナイジェリアとか、ゴールド・コーストという、続いておるようなところで買ってくれる、こういうものを安定法でもって現実に何とかしてくれなければ生きていけない、それだから一つみんなうしろでもって応援するからぜひ頼んでこい、こう申しております。ぜひとも先生たちに頼みまして、この安定法を生きた安定法にしていただいて、そうしてこういう最もプリミティブな形で輸出ができる、しかも生産から輸出につながっておるという典型的なものではないかと思われますので、これに二十九条を有効に発動させてもらいまして、これを救っていただきたい、このように考えて、ぜひともお願いする次第でございます。これにつきましては先ほど野沢さんが申しましたように、輸出入取引法も、これははっきりすぐ出てくるものでございます。これは見込みで織っておる者や何かでございませんで、全部バイ・オーダーのものでございますから、これにも輸出入取引法というものが先ほど申したようにして当ってくる場合には、中小企業の方が圧迫されてしまう、生産部門が圧迫されてしまうという形が必ず起るんじゃないか、こう思いますのでぜひともお願いいたします。品種別の調整がすぐできるようなことにしていただきたい。それからそのとめた場合に何とか動かすために資金の裏づけをしていただきたい。この二つをお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/12
-
013・永井勝次郎
○永井小委員長 これをもって参考人の御意見の御開陳は終りました。
質疑に入ります。通告がありますからこれを許します。
なおこの際小委員外の商工委員の方方の御発言も随時これを許すことにいたしたいと存じますので、御了承を願います。
なお政府側からは中小企業庁振興部長秋山政府委員が出しております。山手滿男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/13
-
014・山手滿男
○山手滿男君 境野さんにお尋ねしておきたいのですが、今お話のありましたマフラーの問題でありますが、あなたの所属をしておられまする絹人絹織物調整組合ですか、それはマフラーだけでなく、いろいろな織物を作っておるとお述べになりましたが、品種別に調整組合を作らしてくれというふうなお話しでありましたが、その場合は私はむしろ——今度輸出入取引法の改正がされますが、輸出入取引法による輸出組合が商社の届出によってカルテルを認められる。そうするとそれに見合うメーカーのカルテルを作ることの方が適切じゃなかろうか。今お話のありました百万ダース余りの商品だけのために、絹、人絹は総合的にやるのでありますからよろしゅうございますが、全然新規な、まだ調整組合の三十九条の問題なんかが問題になっていないほかの組合が、ただ多くの品物の中の一つだけとらえて品種別の組合をこの法律において作っていくということがいいのかどうか、私は多少疑問があるような気がするのでありますが、どういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/14
-
015・境野武夫
○境野参考人 調整組合を品種別に作るのではないのでございまして、数量調整を品穂別にしていただけるようにしてもらえばよろしいと思います。つけ加えますと、先ほど申しましたように、LCの来るのが非常に早いために、注文をすぐとるのでございます。その金を、いわゆる輸出保証手形でございますが、あれで商社がほとんど使ってしまうのでございます。われわれの方で輸出保証手形のことについてお願いしたいと思うのは、話は非常にいいのでございますが、あれが連記制になっておって、生産者と同社が押さなければあの輸出保証手形というのは成立しないことになっておるのでございます。ところが商社は生産者に対して一応買ってやるんだということから白紙の手形を送ってよこして、全部判こをとってしまうんです。そういうふうになっておりますから、とても生産者があの輸出保証手形を使うということは——現在桐生においては一枚も使えないんです。そういう意味ですからぜひ一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/15
-
016・山手滿男
○山手滿男君 野沢さんにお伺いをいたしますが、独禁法を緩和して輸出入取引法を少しいじろうということが今問題になっております。今度の改正案からいきますと、貿易業者は届出によってカルテルを作ることになります。そうしますと、今お話がありましたように、メーカーの方が弱くなって押されるから、直ちにこの調整組合の二十九条の発動ができるようにしてもらいたいというお話であります。そこでそういうこともあろうかということで、われわれの方では調整組合のそういう措置とは別個に、輸出入取引法において輸出業者がカルテルの結成を認められましたならば、メーカーにおいても同時にカルテルができるように皆さんの方でメーカーとしてそれにある意味で対抗するカルテルのできるようなふうにしようではないかという議論が今持ち上っておるのでありますが、輸出組合法によるカルテルの問題と、それから安定法の皆さんの御希望との関連をどういうふうにお考えでございますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/16
-
017・野沢久雄
○野沢参考人 先ほど取引法の改正に伴ってそれに裏づけする輸出業者のカルテルに対応する組織を作る必要があるのだ、それがためにはとりあえずこの安定法による組織の方が望ましいのだということを申し上げたわけでありますが、ただいま山手先生お話のように、取引法によるカルテルの方法も考えられます。考えられますが、御案内のように、かりに生産業者が紡績業者等の場合においてはその頭数も制約されます。そこで比較的迅速にカルテルを作ることもできようかと思いますが、われわれ中小企業者は、今さしあたりわれわれの方で考えられるのは、両毛地区のお話もありましたが、播州地区の繊維製品がその対象になろうかと思います。その場合におきまして、播州地区でカルテルをもう一ぺん作り直すということでは時間的に相当大へんなことになろう、前々からわれわれとしては中小企業者の組織として、できれば協同組合組織、あるいは今回の調整組合組織、これらのものをなるべく簡単にしていただきたいということをかねがねお願い申し上げておったのであります。同様な意味におきまして、またこの取引法のカルテルとうい組織が別にできるのだということになりますと、そうでなくても大へんな中小企業者の組織がこんがらかってどうにもこうにもならなくなるのではないかというようなことをおそれて、でき得れば従来の組織でそのまま実行できるような方法を御指導願いたいというふうに申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/17
-
018・永井勝次郎
○永井小委員長 南君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/18
-
019・南好雄
○南小委員 どなたでもけっこうですから、一つ御意見だけをお伺いしておきたいのであります。まだ国会を通っているわけではないのでありますから、どうなるかわからないのですが、輸出入取引法の一部改正が提案されております。この法律によりますと、輸出入品については現行法でも一種のカルテルができることになっておりますがそれでは不十分で、つまり機械とか、あるいは鉄鋼などはメーカーみずからも輸出組合の中に入っております。ところが承わりますと、繊維関係は大きなメーカーは輸出組合の中に入っておらぬそうであります。そうしますと、繊維の輸出についての協定は、入らなければ拘束を受けないというような関係で、それは非常に困るというて入るわけにもいかぬというので、今度の法律改正で、一種の輸出に関係して、入らずに、しかも生産者が協定できる、組合規定だとか、理事長だとか専務とかなんとかむずかしいことをやらずに、つまり隠れた、匿名的なカルテルができるようにしてくれるというのが、今度の法律の改正であります。どうも認めた方がよかろうという意見が多いようでありますが、もしもそういうことになりますと、調整組合とのバランスが一体どうなるか、中小企業の集まりであるあなた方との均衡問題については、皆さん方はそれぞれ調整組合の幹部であられるのですが、今度の法律改正に関連して、研究しておいでになるかどうか。もしもあの法律が通ったといたしますと、繊維関係につきましては、たとえば紡績会社にいたしましても別に輸出入組合に入らなくても、いわゆる輸出に関係する物価の国内取引について生産協定をすることができる。しかもこれは全部を網羅せずに、大手筋の十社か十五社だけで、利子を払うわけでなく、出資をするわけでもなく、特定地域向けの物資に対してはその国内取引についてまで干渉し得る相当強固な組合ができるわけです。そしてこの協定に違反した場合は、取引法に基く罰則までもついておるというまことに至れり尽せりのりっぱな法律なのでありますが、そういうことになりますと、皆さん方の所属するいわゆる調整組合とのバランスは一体どうなるのか。しかもあなた方が今作られているものはことごとく輸出に関係したものであります。そうして中小企業の集まりには公取の同意だとか何とか委員会だとかなかなかむずかしい問題がありまして、容易に窓口が開かないわけでありますが、今度の輸出入取引法ではそれが輸出に関係するということから、いわゆる大きな法律改正が行われておるのであります。そういう点についての皆さん方のふだんの研究なり、御意見を率直にここでお述べ願いたい、この法律改正についての参考意見に承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/19
-
020・野沢久雄
○野沢参考人 先ほど山手先生に御返事申し上げたことが、大体私どもの予定なのであります。われわれ綿関係、あるいはスフも同様でありますが、大体輸出なら輸出というものの実態の中心が大部分紡績でございます。紡績が、輸出業者からのオファーによりましてやるとかやらぬとかが大体そこできまってしまうわけでございまして、われわれ中小企業者の活動する面は、今申し上げた紡績と輸出業者との間できまったものの委託加工を愛ける場合、紡績の方から原綿を幾らで売るから、できたものをお前のところで幾らで作れ、こういう委託加工によって生産をするわけであります。それから一部先ほど申し上げました播州地区等の非常に手の込んだこまかい品物でございますが、これらのものは自分が直接輸出業者から注文を受けてやる、こういう二通りの行き方になるわけでございます。大体今度の取引法の改正につきましては、われわれも一応その相談の中に入っておったのでありますが、輸出業者だけでは輸出そのものの実態を運営するわけにはいかないので、どうしても生産業者とのうらはらでなければ円満な輸出の行為ができない。従って輸出業者が協定をすると同時に、そのうらはらとなる生産業者にも協定を許してほしい、これが一般的な原則でございます。しかしながら先ほど申し上げましたように、われわれ中小企業の業界におきましては、いわゆる紡績の数社の間であれば簡単にできるカルテルも、実際問題としてカルテルの結成ということが、機動的になかなか行われないのではないかというために、われわれとしては取引法の改正がかようになった場合におきましては、取引法のカルテルの形でなくて、先ほど申し上げましたように安定法の調整組合の調整活動の一分野として、その輸出部門の組織と対抗していこう、こういうふうなつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/20
-
021・南好雄
○南小委員 私の質問が半分しかわかっていないようですが、この間からいろいろと話を聞いてみますと、いわゆる輸出に関するメーカー協定と申しますものは、特定商社を指定することができるし、特定工場も指定することができるのだそうであります。そうしますと、そういうような規定がもしできた場合においては、あなた方と利害関係面において相当衝突する面が出てくるのではないかということを私非常に心配しておる。これは認可にかかっておりますから、いずれそういうような場合には認可にならぬとか、あるいは輸出をするためにはやむを得ぬとか、一般の組合に出しては品質が非常に粗雑になる、だからほんとうにしっかりとした工場しか、染物屋にもやらぬし、機屋にも出さぬのだということになっても、私はこれには一つの理屈があると思う。そしてそういう場合における利害を調整いたしますことは私はまことにむずかしいことだと思うが、この点どういうふうに考慮しておるか、これを参考のために秋山さんにお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/21
-
022・秋山武夫
○秋山政府委員 輸出入取引法の方の国会の御審議の様子を実はあまり詳しく承知いたしておりませんけれども、先ほど野沢参考人からもちょっと意見が出ておりましたが、私どもとしては政府原案で大体矛盾もなく、いわば中小企業の面においてはどちらでもいけるというふう考えております。ただ一あの場合輸出入取引法は、御承知の通り協定という形でやる建前になっております。組合形式が許されておりますのは輸出業者であります。もちろん先ほどお話のようにメーカーも参加しておる輸出組合もございますけれども、現在主として安定法に関係を持ちます業界では、実はメーカーの参加しておる輸出組合というものは比較的少いわけでございます。これはやはり中小企業の多いそういう特定の業界のまたそれぞれの事情によるも一で、従って先ほど野沢参考人もお述べになりましたように、協定という形でまず第一に成立し得るかどうか、それからそれを守らせる場合に、組合形式によるよりも困難が多いのではないかというふうに考えるわけです。従いまして、これは中小企業と一概に申しましてもいろいろ内容に差はございますから、あるいは協定によるもので十分いける、あるいはその方が都合がいいという業界もございましょうし、組合形式によって、安定法の体系によって調整組合を作って、場合によっては二十九条まで発動して取締りを強くやっていくという方が実効がある場合もあろうかと思います。そういう意味において、今回安定法の改正案に、輸出貿易を阻害しておる場合を取り上げたということは、私ども一の念願がかなったというような印象を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/22
-
023・南好雄
○南小委員 政府当局としてはわかったようなわからぬような御答弁をされるのは無理ではないと思います。それでは私はもっと具体的に申し上げます。これは、日本の現下の情勢から見ますと、それも仕方のないことだと思う。そこで紡績連合会加盟の大紡績のように兼業状態にあるものについては、私は比較的問題はないと思う。しかし必ずしもそういう業態ばかりでなく、特定物資を輸出するについて、自分の工場に能力が足らぬ。しかし他に、たとえば他の組合に出しても、組合全般の仕事といたしましては品質の方その他で非常に心配だというようなことで、輸出に関する協定といたしまして、特定工場を一軒ないし二軒だけを指定するということも、生産者協定だろうと私は思います。しかもこれは大企業であり、比較的利潤追求の立場において私は容易に行われ得ると思うのですが、そういうような協定が輸出の振興という見地だけで認可の対象になるものであり、そういうふうに簡単に認可されるものかどうか、これを一つ私は秋山さんにお聞きしたい。そういうような場合は認可せぬのだというならまた私はそういうふうに考えますが、そういう場合に認可するのだということになってきますと、この調整組合の今後の運用の仕方ということについて特段に法律改正をもう少し高度にやっていかないと、中小企業は大企業に圧迫される。事輸出に籍口されて何でもできるということになってしまうと、中小企業安定法も根本的に改訂する必要が出てくるのではないかと私は思うのですから、秋山さん、あなたの個人的見解でもけっこうです、そういうような場合でも輸出ということで通産省はどんどん許す方針かどうか。もし許す方針なら、ここに小笠君もおりますから、一つ安定法を根本的に改正しで。中小企業だけの独占カルテルみたいなものをこしらえてやらなければならぬような事態も発生してくる。私は、何も階級的にけんかさせる腹でも何でもないが、法律的の立場から見て、輸出入の大きな改正が行われるのでありますから、中小企業の方においては特例な考慮をしなければならぬ。そういう商社指定とか工場の指定まで事輸出に関係するのなら簡単にできるんだ、これがいわゆるメーカー協定の対象になるんだということだと、これはもうすぐ目先で大問題を起すのであります。非常にむずかしい問題でありますが、秋山振興部長の個人的見解でけっこうですから一つお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/23
-
024・秋山武夫
○秋山政府委員 私、実は立場上輸出入取引法を直接あずかっておるものではございませんので、公式な考え方を申し上げるのはいささかはばかられるわけでありますが、まあ個人的見解でという御指名でありますから私の考えを申し上げるわけでありますが、これは釈迦に説法になるかもしれませんが、輸出入取引法と安定法というものは、おそらくでき上りました場合、動き方におきましてあるいは似たような、あるいはほとんど同一な動きをするかもしれないことは容易にわかるのであります。ただやや理届っぽくなりますが、突き詰めてみますと、本来の目的は違うのであります。安定法の方は文字通り中小企業者の安定ということがやはり究極のねらいでございまして、輸出貿易の振興をうたってはございますが、これまた究極の目的は中小企業の安定のためで、輸出貿易の振興にも一種の制約を受けておるとも考えられるのであります。一方輸出入取引法の方は、端的にいえば日本の外貨をふやすといいますか、貿易を振興するということがほとんど唯一の目的でございまして、結果としてこれが中小企業の安定になる、あるいは大企業の振興になるということもけっこうでございますけれども、立場自体としてはもり少し抽象的であります。従って発動の仕方におきましても、時として差異か起ることもこれはやむを得ない場合かあろうかと存じます。もう一つ、御承知のように取引法の成案を得ますまでの過程におきましては、相当公正取引委員会あたりともむずかしい折衝も重ねられたというふうに聞いております。従いましてただいまどういう場合を御想定かは私よくわかりませんけれども、かりに極端な場合で、ある業界で窓口として一商社を指定したという場合がかりにあったとすれば、これはむしろ安定法とか取引法とかいう考え方の問題を離れまして、日本全体の公正取引といいますか、むしろ独禁法的は思想に立ってそのこと自体の可否を判断すべきではないだろうか。取引法かああいう改正が行われた、従ってこれは全面的に独禁法に精神的に反対するいかなる事態が起っても、独禁法は手が出せないというほどの考え方をすべきものではないというふうに私どもは理解をいたしております。もし取引法の運用の上において、中小企業者のためにはなはだ不利益だというような事態が現実に起るような場合には、これらは私どもとして放置することは許されないのでありまして、中小企業庁設置法の中にもそういう場合には相当強力に発言し得るというようなことは、理屈でございますが、条文もございます。またそういうことはおそらく世間的あるいは経済秩序というようなことからいっても、そのまま許されるということは考えられないのではないか。現在は放任状態で、窓口がばらばらになっておる、そして勝手な競争をするということは、われわれの立場から見ても好ましくないわけでございますが、さればといってそれが行き過ぎて、ごく特定少数のものにいわば独占させるような形になっても、それが輸出振興だからということで無条件に許されるということはいささか過ぎている、その間おのずから常識的に調和し得る点があり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/24
-
025・南好雄
○南小委員 秋山さんの個人的の見解ですから、それでもけっこうですが、そうじゃないのですよ。今までの説明を聞いてみますと、数量とか価格の調整では不十分だ、銘柄から、商社から一本に指定することが輸出振興に非常にいいから、そういうことができるために輸出入取引法を改正する、そこで公取と正面衝突をして、公取の方は業務利益とかいろいろなことを考えるが、事輸出に関係するからやむを得ない、そういうものをいわゆる協定のできるよう、俗な言葉で言うとカルテルができる、生産者協定ができるということを許すために今度の改正をやる。そんなことはあり得ないのだとあなたは言われるのですけれども、そのために今度の改正をする。いわゆる中小企業の立場における調整組合あたりとの均衡ということを——もうそれ以上あなたにお聞きすることはどうかと思いますが、私たちは、まことに考えなければならぬと思っておりますが、非常にむずかしい問題が今度は起きてきているということをあなたに一応御注意申し上げているのです。そうじゃない、そういうものは許さないのだ、それも独禁法の考えだということではなくて、そういうことをやらすために今度独禁法を押えつけて取引法を改正しようというのです。だから中小企業安定法もそういう趣旨で、輸出のためにはもっと生産調節も簡単にでき、価格の協定も簡単にできるように、事輸出に関係する限りにおいては法律を運用しなければなりませんし、またじゃまをする規定があればそれも改正しなければならぬ時期に来ているのだ、私個人としてはそう考えております。そこで秋山さんに、あなたはどうお考えになるかと聞いているのです。今度の輸出入取引法の一部改正というのは、平気で銘柄も指定できるし、一商社も指定できるし、一特定工場も指定できる、そうするために今度の改正をやるのであります。だから独禁法があればそんなことは当然できぬことはわかっている、しかし独禁法を改正しても衝突する、その独禁法の部門は今度は働かぬことにして、事輸出に関係する限りにおいては何でもできるようにしようじゃないかというのが今度の改正なので、そのことまで踏み切っていったら、中小企業安定法もそれら以上に改正をしてやろう、事輸出に関係するにおいては、生産協定もそうです、価格の協定を思い切って認めていかなければ、今度は中小企業の部門だけをいじめて、大企業の方は非常にルーズになるというおそれが出てきて、容易ならぬむずかしい問題が起きてくるのだ、こういうことを私は心配しておる。幸いあなたは中小企業振興部門の最高の責任者ですから、一つ中小企業安定法もあまりむずかしいことを言わずに、生産調節、価格の協定をどんどん許すように、しかしこれは輸出振興のことでありまするし、輸出振興に限ってこれはそういうふうにお考え願いたい。そういうふうに今後はやっていただかないと、中小企業はほんとうにかわいそうだ。今では手を縛り、足を縛って、わずかに息ができるような状態になっておりますが、一方輸出入取引法の方は、今度の独禁法があれどもなきがごとしというふうに、輸出さえすれば何でもやろう。一つの商社でも何でもできる。もちろん恒久的ではありませんが、ある取引については勝手にできる。こういうことをするために今度の法律を改正する。それができぬということになってくれば、今度の改正なんかやらなくてもいい。そこまで輸出入取引法は、独禁法を排除しております。今度は中小企業の保護の面から考えても、輸出振興の面から考えても、従来と同じようなお考えでこの法律を運用されたりしては、非常に片手落ちになるおそれが出てくる。輸出に関係する場合の生産調節、価格の協定はいろいろむずかしい問題がありますが、日本の置かれた立場、あるいは中小企業の置かれた立場の将来の育成ということで、踏み切っていただくように、ぜひともお願いしたい。繊維局あたりは、なかなかむずかしい考えを持っているようであります。ここにお見えになっている方は、繊維関係の方が多いのでありますが、ぜひこれはお願いしておきます。それに関連してお気づきの点があったら、幸い一部改正が出ておりますので、私は、中小企業安定法もついでに改正してやらなければならぬのじゃないかと思いますので、楽屋裏を一切御存じの秋山さんにいい知恵を貸していただいて、安定法もついでに改正していただくように、特にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/25
-
026・秋山武夫
○秋山政府委員 私、先ほどの南先生の御質問の趣旨を多少取り違えておったところがあったと思います。特殊の銘柄については、確かにお話のようなことがあり得ることは、私も承知しております。きわめて例外の場合だというふうに心得ております。一般的にそれが中小企業を圧迫するような形において、行われる場合、それが取引法上当然なんだから、われわれは黙っておらなければならぬとは考えておりませんので、この点だけは、特に誤解していただきませんように、お願いしておきます。
それから、ただいまの生産調整の問題でございますが、これは実は安定法の改正問題のときにもいろいろ検討いたしましたが、法規的に見ます場合、今回の安定法の改正は、私どもの目で見ました範囲においては、ほとんど漏れた部分はない。こまかい点は別といたしまして、根本問題として考えられますものは、一応盛ったつもりでございます。ただ先ほども、どなたでしたか、御意見がございましたが、協同組合との関係においては、実は片方は古い歴史を持っており、しかも建前として違う態勢をとっておるということから、どうも時日の関係上、今回の改正までに研究が終りませんでした。その点の関係だけは、残念ながら今回の改正に盛られませんでしたけれども、これは引き続き検討を続けていきたいと思っております。その以外の点については、今中の改正でおよそ希望点はほとんど網羅されたと考えております。今の生産調整の問題についても、実はこれは実行上の問題、いわばわれわれが実施いたします上での問題が主でございますから、私どももちろん中小企業者の利益を擁護するということで日夜働いておるわけでございます。その点において、何ら責任を怠っておるとはみずから考えておりませんけれども、実際問題として、役所として業界にある決定的意思表示をするという場合には、やはりそれ相当準備も調査もしなければならぬ。また業界の態勢なり、あるいは近い将来でのそれの成り行きなりについての大よその見通しくらいは持たざるを得ない。希望があればすべて許すということは、そう簡単にも参りかねる事情であります。人数が足りない等の関係から、事務的におくれている場合がありますことは、まことに申しわけないのでございますが、われわれとしては、誠心誠意できる限りの努力を傾けてやっているつもりでございます。ただきたものをすべて許すということはわれわれとしても職責上必ずしもそうばかりはいかない場合もございます。しかしそれが百点でなければ許さぬというふうにかたく考えているつもりは毛頭ないのでございまして、やる以上はせめて及第点をとりたいという程度のところが、私どもの偽わらざる気持でございます。従って従来いろいろ問題がありましたときには、押し返してもう一ぺんこういう点を検討してもらいたいというようなこと千幾たびかやりとりもございますが、いわばこれはお互いの立場の差からくる検討の視点の差というような問題が主でございまして、決してそれをつぶすためにやっているつもりは毛頭ないつもりでございます。この点は御了察をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/26
-
027・南好雄
○南小委員 大体御意見を拝承いたしまして非常に安心したのでありますが、輸出に関係いたしまして特殊の銘柄だと秋山さん言われたのですが、大体メーカー協定をするようなものは、マフラーの一万本や五千本のためにメーカー協定をするなんというのは、これこそレア・ケースである。ほんとうに競争があってダンピングをすることから守らにゃならぬというようなものは、名前は特殊銘柄とは申しますものの、日本の市場において相当たくさんの競争相手があり、売れるものについて安売りをするから、メーカー協定が要る、輸出の協定が要るという結論になる。五千本や一万本のマフラーが売れるような場合は、こんなものは売れてしまえば競争相手もないのですから、わざわざ輸出協定などする心配はないのであります。ですから、名前はそうなっておりましても、実際は非常に大きな取引量に達し、値くずしのおそれのあるものについての生産協定であり、輸出協定である。ですからこの点秋山さんはうまいこと答弁されましたが、実際はなかなか大きな問題で、調整組合あたりなんかそれを大問題としがちであり、なりがちなんです。
それからこれは私が申し上げなくてもあなたは十分おわかりだと思うのですが、輸出関係ということに広げて参りますと、内地だけのもので輸出がないというようなものは、ないとは申しませんが、非常に少いのであります。輸出があるとともに内地に出るというので、なかなかむずかしいのであります。二重価格の問題が出、あるいはいろいろな品質の不均衡の問題が出る。そういうふうに考えて参りますと、今度の輸出入取引法の改正と申しますものは、独禁法のほんとうの骨抜きだと思う。そこまでおりてくるならば、安定法に関する限りは、一番最初に、この法律に基いてやるものは思い切って独禁法は適用がないんだ、こう書いておいていいくらいにきているように思うのですが、秋山さん、そこまでいかなくても、安定法は最近にできた法律ですから、手が込んでおります、ああいうものをのけるこちにそういう御意見ですか。審議会にかけるとか、それからいろいろむずかしいのがありますが、輸出に関係することは審議会にかけなくてもよろしい。二十日ほどたったらもう認可があったものとみなすくらいまでやってもけっこうだと私は思っておるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/27
-
028・秋山武夫
○秋山政府委員 ただいま安定法と独禁法との関係についての御意見をお伺いいたしましたが、大体私も同感であります。ちょうど今公取の坂根さんが見えましたが、安定法について独禁法を動かす問題に関しましては、おそらく私も坂根さんとそう意見の食い違いはないと思います。また中小企業に関しまして、独禁法上個々の特殊の場合は別といたしまして、安定法なりあるいは協同組合法なりの運用の仕方がよろしくないということで、公正取引委員会とわれわれの意見が食い違ったというケースは、私の記憶には実はないわけであります。私自身も中小企業者というものは、その地位の弱さなりあるいは数の多さなりということから、およそ独占ということは事実上起り得ない階層であるというぐらいまで考えております。そういう意味でもし御心配があるとすれば、これは決して御心配下さる必要はないと申し上げてよろしいかと思います。御注意の点もございましたので、取引法の運用上の問題につきましては、私どもまた中小企業者の立場を代表して遺漏のないようにがんばって参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/28
-
029・南好雄
○南小委員 幸い公取のどなたかがおいでになったそうですから、一つだけこれは一般的なものをお聞きしておきたいと思います。輸出入取引法の一部改正について先ほどいろいろお聞きしたのですが、今度はいわゆるメーカー協定というものができることになった。そのメーカー協定はいずれ横田君に私聞きますけれども、これは非常に大きな法律改正だと思う。今でもある一軒のメーカーと輸出組合とが協定をすることは、別に独禁法違反ではないと私は思う。ところが今度の改正において、何軒か知らぬが、メーカー輸出組合と輸出に関係することについては協定ができるというふうになるのだと思う。輸出ということの制約ももちろんあります。もっともこれは認可がかかっております。いわゆる独禁法と正面衝突するような部門は認可しないのだといえばそれまでのことでありますが、認可しないということになると輸出振興を阻害することになって、これは非常にむずかしい問題であります。そういうことを考えられてあの法律が出たのか、いずれもう一ぺん正式に委員会にお聞きしますが、これは特定のメーカーを輸出組合とは、輸出に関係して約束をしても独禁法違反にならぬと思う。なぜかといったら、それは独占形態ではない。そうでしょう。ところが独占形態で独禁法に違反するということになれば、日本の過半数の生産業者と輸出組合と協定して輸出するから独禁法違反になる。ところが今度それができるというのです。ただしそれは輸出振興という見地からいって、そういう場合に、一体どういう立場において一軒々々、たとえば六割なら、六割、七割なら七割くらいの生産実績を持っておる会社と個々に輸出組合が協定をするのか、それとも組合法の適用も受けず、法人格を持ってない、いわゆる実力だけの団体と協定してもいいのか、そこまで御研究になっておるかどうか、これは研究しておいてあとでけっこうですが、もしそういうことを研究なさっておいでになるならば、公取の御返事を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/29
-
030・坂根哲夫
○坂根説明員 ただいまの御質問なかなかむずかしい問題かと思いますが、今回輸出入取引法の改正については、通産省といろいろ御相談申し上げましてかような政府提案になったような次第であります。私どもといたしましては、輸出振興の点から、独禁法に対しましては、波打ちぎわから向うの協定、輸出業者の協定は、国内の取引に関する影響が非常に少いという点で、これは大幅に独禁法の緩和をしているわけであります。輸出入取引法は、独禁法を緩和した一番初めの法律でございます。その次には安定法という工合に、独禁法の本質からいいまして、ある程度それぞれ固有の産業の状況において問題がある点は、独禁法と調整しながら今日まで緩和といいますか、そういうことでやっております。ただいま南先生のお話のように、生産業者の協定は、今回政府提案の原案では、一応通産省の認可を願って公取の同意ということになっておりますが、これとても問題の重要性その他から考えまして、いわゆる独禁法における国内事業分野における関連の事業者あるいは消費者に対し、その生産業者の輸出に関する協定が非常に大きな影響を与えない限りは、おそらく同意をしていくという建前をとっているかと思いますが、運用上から申しますと、私どもは、今回の輸出入取引法の制限においてまかなっていけると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/30
-
031・南好雄
○南小委員 私の質問があまり遠回し過ぎておわかりにならなかったかと思いますが、私の聞いているのは、輸出という制約はあるが、その輸出ということであるならば、メーカーだけで、相当内地の関係でも過半数の生産実績を持っている業者が協定を結んでも独禁法の違反にならぬということが、この輸出入取引法改正の趣旨である。つまり輸出業者とメーカーとの協定にあるのではない。それは波打ちぎわから外の場合には別だ。波打ちぎわから内の場合は、今までは事いやしくも過半数の生産実績を持っている業者が協定したらすぐ独禁法の違反になりますが、今度輸出に関する限りは百パーセント協定を結んでも独禁法の違反に認可さえあればならぬということですね。一種の法人格のない隠れたる匿名カルテルを認めるということだ。そこまで割り切ってああいう協定ができたのか、それか一聞いている。そこまで割り切ってああいう協定ができたならば、安定法もバランスをとって、ごたごたした制限をみなとって、輸出入に関する限りは、公取の同意さえあればいいが、認可をもちろんひっかからせますが、やってやる必要がないかということをあなたに聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/31
-
032・坂根哲夫
○坂根説明員 ただいまの問題は、要するに輸出入取引法の場合ならば、輸出だけ切り離して輸出それ自体の問題で、結局生産業者の協定でも、国内との関係なくして輸出それ自体の問題であるならばどうかということになりますれば、これはおそらく現実的にそういうものがあり得るかどうか私よく存じませんが、そういうことを考えていけば、それ自体は独禁法の問題はないのではないかと考えます。安定法の方もいろいろお話がありましたけれども、先ほど秋山振興部長が言われましたように、私どもは、中小企業の立場は十分了承しております。そして南先生からこの法案を一番初めに見せていただいたことを私記憶しておりますが、その際に十分われわれの立場もお話し合いいたしまして、今できておる段階でも、中小企業者にそう無理のない格好で運営されているのではないか、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/32
-
033・永井勝次郎
○永井小委員長 首藤新八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/33
-
034・首藤新八
○首藤新八君 私は振興部長と公取委の経済部長さんにちょっとお尋ねいたします。
今同僚の南君から、現在の行き詰まった経済状態のもとで、中小企業が深刻な不況にあえいでおる。それを打開するためにはいたずらに法規法令に拘泥することなく、もう少し実態に即するような方法をとったらどうかという南君の質問に対して、私は全く同感です。以下私が質問しようといたしますのも、これと大体同じ思想に立った内容であります。われわれがこの安定法を立案いたしましたのは、この自由経済下において、いろいろの重圧のためにある業界が非常な過当競争に陥らざるを得ないような事態に立ち至った。このまま放任いたしますれば、この業界の共倒れは、ひいては日本全体の経済に大きな悪影響を及ぼすおそれがある。端的に申し上げますならば、これは一人の病人であります。従ってこの病人を安定法という病院に入れて、そうしてしばらく休養させる。そしてしそれがなおったならば自由に活動できるような方向に持っていきたい。すなわちこれが日本の経済の実態から見てきわめて適切な措置であり、かくしなければならぬという実は強い信念のもとにこの安定法を立法したのであります。以来この安定法は漸次修正されて、当初よりもよほど実態に即してきましたことは、われわれも非常に喜んでおるところでありますとともに、特に当時最も法的解釈に忠実であったと申しまするか、非常に狭義に解釈されておった公取が、その後漸次広義に解釈されて、そうして実態に即するような方向に出てきたことは、これは何といってもこの日本経済界のために公取の方針と態度に敬意を表してもいい。特に今回の輸出入取引法に対して公取の与えた了解は、これは近来にない大きなヒットである。公取がここまで進んできたかと、私たちはいささか驚きもし、またそれだけ強い敬意を払っておるのであります。どらか今後も一つ日本の経済の実態に即するように、しゃくし定木な解釈をせずに、それによって中小業者あるいは広く日本経済が堅実な発展ができるような方法をとってもらいたいということをまず私は希望しておきたいのであります。
そこで私が今日質問いたしたいと考えますのは、御承知の通り、いわゆる現在の中小企業という定義でありますが、これは資本金が一千万円以下で従業員が三百人以下であるという一つのラインが引かれている。ところが、この三百人以下という従業員は、資本的に見てはりっぱな中小企業でありながら、その製品の操業過程の内容といいますか、いわゆる手工業に属するものは、企業の内容は中小企業であるけれども従業員は三百人ではおさまらない。四百人、五百人もいるというのが非常にあるのであります。しかもこれらの業界はやはりごたぶんに漏れず、この深刻なデフレ経済の圧迫によって、どうにもならぬ。一日も早くこの安定法を適用いたしたいという強い要望を持っている。申請しようと思いながらこの制約が壁になって、どうしてもこれが適用できない。しかもこれがために病気はだんだんと重くなっていって、どうしても何とか早くしていただかなければ死んでしまうという状態に実は置かれておるのであります。よって私は先般、幸いこの安定法が修正されるからこの機会に三百人以下というのを特殊の産業に対してはこの限りにあらずという例外措置を設けるか、あるいは一足飛びに三百人を五百人に引き上げるとかいう方法をとるべきである、かように考えて、企業庁とも相談したのでありますが、企業庁の方は振興部長の先ほどの解釈のような思想によって、なかなかかたい解釈をされておる。また同時に実際において安定法を修正いたしますれば、協同組合法とかあるいはまた金融公庫法であるとか、いわゆる中小企業の定義を同じくしておるもろもろの法案をことごとく修正しなければならぬ。この国会では先般協同組合法並びに公庫法を実は修正したのでありますが、そのときにはこれは問題にならなかったので、今さらこれを再び修正するということもどうかというような御意向もありますが、これはごもっともである。そこでその点は一応理解できるけれども、片一方の病人は理解できたというだけで放任できない。一日放任すれば一日その病人は重くなるのでありますから、どうしてもこの際暫定的な適正な処置をもって、そうしてこの混乱しておる業界が一日も早く安定法を適用されるような処置を講ずべきではないか、実はかような考え方を持っておるのであります。
一例を申し上げますればゴム工業でありますが、ゴム工業は御承知のごとく大中小、いろいろ企業体の内容は分れておりますが、中小企業が多い。ところがその中に、はきものであるとかあるいはホースであるとかいう業種は、先ほど私が申し上げたように企業体は中小企業でありながら、その操業の過程において手工業であります関係上非常にたくさんな従業員を必要とする。そこでいろいろ苦心をして何とかしてこれを第十条ですか、これに合せるようにやるのですが、いずれにしても一人反対するとすぐそれが欠格条件になって設立をやめなければならぬという状態になってくるのであります。よってこの際いたずらに法案に拘泥することなく、経済の実態に重点を置いて、法律の解釈もなるべく広義に解釈するような方法をとっていただきたい。ちょうど公取が今回の輸出入取引法に臨んだあの思想をもって、今後こういう企業に対しては多少の欠陥がありましてもすみからすみまでせんさくすることなく、大体において条件に合致しておるということが認められましたならば、私はこれはちゅうちょなく許可してもらいたい。そうしてそういう業界が一日も早く安定法を適用するような方策をとっていただきたいという考え方を持つものでありますが、これに対してまず振興部長並びに公取がどういうお考えを持っておるかを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/34
-
035・秋山武夫
○秋山政府委員 中小企業の定義の問題でございます。現在は、資本金は別といたしまして、従業員数は三百人というところを一応の基準にいたしております。中小企業に関する各種の法規ほとんど全部その線でそろえてあるわけでございます。これは別に特に理由があって三百人ということがきめられたというふうには承知いたしておりませんが、従来相当長い間にわたってその基準が一つの目安になっておる。安定法を作りました際も、協同組合法あるいは信用保険法というようなものにならってやはり三百人という線を一応きめたわけであります。しかしこれは、たとえばアメリカあたりの——向うは小企業法でございますが、小企業法を見ますと、業種別にそれぞれ制限を付してやっております。つまりむしろ実態に即して従業員数に差をつけた段階的なきめ方をしておるというような例があるわけでございます。ただこの例は、御承知のアメリカの小企業庁、スモール・ビジネス・エージェンシーが軍需品についての発注をいたします場合、その発注の相手をきめる一つの基準というような形できめられた人数でございまして、現在日本の各種の中小企業関係の法律がきめております基準とは基準の性格がやや違うわけでございますが、とにかくそういう例はございます。従って理論的には当然そういうふうにきめるべきであろうかと思います。御承知の中小企業金融公庫法を作ります場合も、鉱山関係におきましては千人とかいうような例外を設けております。これは例外とわれわれは考えておるわけですが、すでにそういう前例もないわけではございませんので、できればそういうふうに業種別に実態をにらんで、これは中小企業である、これはそうじゃないというふうに分けるのが、本来理論的には正しい、これは私どももそう心得ておるわけでございます。ただ日本は中小企業関係の問題が非常に多いのでございますから、その研究がなかなかまとまってできにくい、それをやり出しますと大へんな手間がかかるということから、いわば私どもそこまで手が伸びずに現在のような非常に常識的な、いわゆる腰だめという形で三百人、一千万円というような線がきめられておるわけであります。従って私どももこれを固執するつもりは毛頭ないわけでございまして、できれば今申しましたような実態に即したきめ方をするのが望ましいわけでございますが、これは相当時間がかかりそうだ、その時間はわれわれにも一つお許しを願いたいというふうな考えでおるわけでございます。
先ほどゴムの例が出ましたが、これはまさにお説の通りの適例なんでございます。ほとんどが手で作られる、工員数は非常に多いのでありますけれども、その一人々々のやっている作業はほとんど機械らしい機械にはついていないで、手先の仕事一本でやっておるというような形でございます。ただいま設立に関しての九条の問題が出ましたが、これはある基礎的なところまで掘り下げない、現在あります姿での解釈から、現に申請されておる組合は九条に適合し得るという判定がなされましたので、近くこれは設立される見込みでございます。将来そういう憂いを断っためには、確かにその基準についてもう少し突っ込んだ研究をすべきであるということを痛感いたしておる次第であります。ただこれは単に法律関係のみならず、実は各種の統計も昔からいろいろございましたのでばらばらでございますが、御存じのように、中小企業関係は非常に統計に乏しいために、私どもも何か数字的な根拠になるような資料をほしいと思いまして、あれこれ研究をしておるわけでございますが、いろいろな切り方をいたしております。簡単に例を申し上げますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/35
-
036・永井勝次郎
○永井小委員長 秋山君に申し上げますが、本会議が始まって採決をしますので、早目に、簡略に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/36
-
037・秋山武夫
○秋山政府委員 たとえば総理府でやっております事業所統計は二百人というところで一応区切りをつけております。これは私どもとして非常に利用価値が薄いので特に申し入れをして三百人に切りかえをしてもらったというような例もございました一つまり三百人に動かすということは、関係の法律だけを直せばよろしいという問題ではない、このほかの統計についてまで研究を及ぼしていかなければならぬというような問題があったということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/37
-
038・坂根哲夫
○坂根説明員 ただいま首藤先生の三百人の問題は、秋山君から御説明いたしましたように、私ども理論的にはそう考えております。そして公取の最近の態度をおほめになりましてわれわれも恐縮いたしたわけでありますが、ゴムホース、ゴムはきものにつきましては、ただいま秋山振興部長が言いましたように設立を認めておりますし、私どももそのように聞いておりますから、あとの調整規程の問題はこれまた法令の解釈によって十分理解ある態度で臨みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/38
-
039・首藤新八
○首藤新八君 ただいま御両者の御答弁で私も満足いたしました。今後各業種別の申請が業界からあった場合には、ぜひそういう方針でやってもらいたいということを申し上げておきます。
そこで私たちは今度の安定法に対しましては、近い将来において全面的に三百人とか五百人にする、あるいは特別を設けるというような附帯決議を用意しておるのであります。従って以上申し上げたことは、暫定措置としてそういう方針でやってもらいたいということを申し上げたわけであります。
同時にもう一点念のために質問しておきたいと思いますのは、二十九条第一項であります。ここに「大部分」というような抽象的な文字を使ってあります。これは今日まで公取の方では大部分とは七五%以上である、あるいは第二項に「極めて少い」とありますが、そのきわめて少い標準は一〇%以下である、これはアウトサイダーの場合を目安にしておるということを聞いておるのでありますが、この調整組合の核心は何といっても二十九条であります。従ってただいま申し上げましたようなことで許可していただいた場合には、二十九条発動の申請があった場合、あまり小さい問題に拘泥することなく、大局に着眼されて、いわゆるケース・バイ・ケースと申しますか、業界の実態に即するような方針でちゅうちょなくそれを許可していただきたいと考えるのでありますが、これに対して御両者の御意見をあわせて承わってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/39
-
040・秋山武夫
○秋山政府委員 大体同感でございます。私どもあまりそれを機械的に運用することはいかぬ、実態に即して目的を誤まらないように運用して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/40
-
041・坂根哲夫
○坂根説明員 ただいまのお話の中に七五%とかいうようなお言葉が出たようでございますが、それは何かのお間違いの情報かと思います。私どもはただいま秋山さんが言ったように、何も機械的にそういうことを考えてはおりません。おっしゃったようにケース・バイ・ケースということでやっていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/41
-
042・永井勝次郎
○永井小委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204519X00419550707/42
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。