1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十二日(水曜日)
午後一時五十一分開議
出席委員
商工委員会
委員長 田中 角榮君
理事 長谷川四郎君 理事 山手 滿男君
理事 内田 常雄君 理事 前田 正男君
理事 中崎 敏君
阿左美廣治君 秋田 大助君
大倉 三郎君 小笠 公韶君
齋藤 憲三君 笹本 一雄君
鈴木周次郎君 中村庸一郎君
野田 武夫君 加藤 精三君
神田 博君 小平 久雄君
堀川 恭平君 片島 港君
櫻井 奎夫君 田中 武夫君
伊藤卯四郎君 菊地養之輔君
佐々木良作君 田中 利勝君
貿易振興に関する調査特別委員会
委員長 前田榮之助君
理事 池田正之輔君 理事 宇田 耕一君
理事 首藤 新八君 理事 古川 丈吉君
理事 加藤 清二君 理事 中村 高一君
櫻内 義雄君 山本 勝市君
鹿野 彦吉君 石村 英雄君
帆足 計君 田原 春次君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
通商産業政務次
官 島村 一郎君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(通商局長) 板垣 修君
通商産業事務官
(通商局次長) 大堀 弘君
委員外の出席者
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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本日の会議に付した案件
輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三一号)
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〔田中商工委員長委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/0
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001・田中角榮
○田中委員長 これより商工委員会貿易振興に関する調査特別委員会連合審査会を開会いたします。
先例により、案件を所管する委員会の委員長である私が本連合審査会の委員長の職務を行います。
輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題といたし、まず政府側よりその趣旨の説明を求めます。石橋通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/1
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002・石橋湛山
○石橋国務大臣 輸出入取引法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
現行の輸出入取引法の沿革をたずねますと、最初は輸出取引法として、不公正な輸出取引を防止するとともに、一定の範囲において輸出業者の協定の締結及び輸出組合の設立を認めることにより、輸出取引の秩序の確立をはかることを目的として、昭和二十七年八月に制定され、次いで、翌昭和二十八年八月に至り、その一部を改正して、輸出業者の協定締結の範囲を拡大するとともに、輸入取引についても、輸出取引の場合に準じて、一定の要件のもとに、輸入業者の協定の締結及び輸入組合の設立を認め、さらにこれらの協定の実効を確保するため、いわゆるアウトサイダー規制に関する規定を設け、その名も輸出入取引法と改めたのであります。
ところが、この改正案を施行しましてから今日に至るまで約二年を経過するうちに、わが国の貿易取引の実況は、この法律の規定をさらに一そう強化拡充する必要を痛感せしめるに至った次第であります。すなわち、最近の輸出貿易の状況は、業者間の無用の競争をいよいよはなはだしくいたしまして、いわゆる過度競争の結果、必要以上の安値輸出を行う傾向がますます強くなり、一面においてわが国輸出品の声価を失墜させると同時に、相手方の関係業界に不測の損害を与えるというような弊を生みますと同時に、他面においては無用に外貨収入を減少するという二重の国家的損失をこうむっている次第であります。日本の貿易業界がその業務の増進のために奮闘努力しておられることは深く敬意を表する次第でありますが、しかしながら、それがために以上のごとき競争が続く限りにおいては、今後きわめて困難な事態を発生することは必至であって、貿易を中心とする経済自立計画に重大なる支障を与えるものと深く憂慮せざるを得ないのであります。従いまして、この際、貿易業者間の無用の競争を極力避け、合理的な自主的協調によって取引秩序の確立をはかることは、焦眉の急務であると思われる次第であります。
このたび提案いたしました輸出入取引法の一部を改正する法律案は、このような事態に対処いたしまして、協調貿易の確保をより一そう容易ならしめようとするものでありまして、その主要な改正点は次の通りでございます。
第一に、不公正な輸出取引をした輸出業者に対し、その行為がわが国の輸出業者の国際的信用を著しく害すと認められるときは、通商産業大臣は、直ちに、貨物の輸出の停止を命じ得ることといたしました。
第二に、輸出業者の協定に対する制限を大幅に緩和し、特に狭義の輸出取引に関する協定につきましては、現行の認可制を廃して、届出をもって足りることとし、その効果の急速なる実現を期することといたしたのであります。
第三に、輸出業者の協定の締結が困難であり、あるいはその協定をもってしてもなおかつ輸出取引の秩序の確立が困難である場合には、必要な最小限度におきまして、生産業者または販売業者が輸出すべき貨物の国内取引に関する事項につき協定を締結する道を開きました。第四に、特定の地域との輸出入の円滑な調整をはかりますため、特に必要があると認められる地域、たとえば中共とかインドネシアのごときがそれに当るものと思いますが、その地域との輸出入の調整を主たる目的とする輸出入組合の設立を認めることといたしました。第五に、輸出及び輸入に関するアウトサイダー規制命令につきましては、規制の範囲を若干拡大いたしますとともに、その機動性を高めるよう所要の改正を加えました。なお、以上に述べました輸出入の調整につきましても、これらに準じてアウトサイダー規制ができるようにいたしております。これを要するに、この法律案は、わが国貿易の特質と実情とに即応するよう、輸出入取引法の規定を一段と整備拡充しようとするものでありまして、これが成立を見ますれば、必ずや公正にして秩序ある輸出入取引の体制を確立し、わが国貿易の対外的信用を高め、もって外国貿易の健全なる発展に寄与することを確信しておる次第であります。以上が、この法律案の提案理由及びその内容の大体であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決下さらんことを切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/2
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003・田中角榮
○田中委員長 これより質疑に入ります。質疑は通告順によってこれを許します。田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/3
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004・田原春次
○田原委員 不公正な輸出取引をした輸出業者に対して、この法律によって戒告を与えることになっておりますが、過去において日本の商品で不公正な取引をした輸出物がありますか。どういうケースがありますか承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/4
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005・板垣修
○板垣政府委員 この法律によりまして処分をした例はございませんが、ちょうど同様なケースが起りまして、輸出貿易管理令の方で船積みの停止処分をしたいというようなケースは相当ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/5
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006・田原春次
○田原委員 たとえばどういう品物について、どういう国においてそのトラブルがあったか、一、二の例を示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/6
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007・板垣修
○板垣政府委員 従来のケースを二、三申し上げますと、一つはミシンの問題で、対米向けに不正な取引をした、リベート取引をやったというような場合に停止処分をしたことがございます。それから毛織物、陶器などについて、従来例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/7
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008・田原春次
○田原委員 私どもが新聞で承知しておるところによると、戦時中日本の商品が外国に輸出されなかった間に、外国のメーカーが日本の商品を模造し、マークを模造して売っております。今度新しく日本側から再開しようという場合に、むしろじゃまになっておる例があるのであります。従ってそのような自粛規定を入れるのならば、たとえば仁丹であるとかその他の薬品の模造品が東南アジアにおいては横行しておる例があるのです。これに対して何か日本商品を保護する外交交渉なりあるいは第三国人のメーカーを罰するわけにはいかぬだろうか、何らかの方法があるだろうが、これは当然考えていいことだと思うのですが、これらの交渉をした実例がありやいなや。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/8
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009・板垣修
○板垣政府委員 お話の通り特に東南アジア諸国におきましては逆に日本の商品が模造を受けておる例が相当ありまして、これに関しましては一々の例を今具体的に申し上げられませんけれども、従来必ず政府間で外交交渉として取り上げております。ただ一方今度は日本側がイギリスその他の外国の模造をするというケースの多いわけでございまして、この法律はそういう面を取り締ろうというふうに規定いたした次第でございまして、日本の商品がまねられる分につきましては日本の法律では規定することができませんので、これは外交交渉で解決するよりほかに手段がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/9
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010・田原春次
○田原委員 すでに日本側でこういう一種の自粛規定を作るならば、国際関税会議あるいはその他の適当な国際的な会議の席において相当強く相手方に対しても主張せねばいかぬ、そういうめどがついたからこれを作るのであるか、ただ単に不当なる不公正なる輸出取引を取り締るだけでは私は徹底しないと思います。そういう点についてもしこの法律を通すならば、改正後において正当な日本商品の海外進出に対する相手国における不公正な競争者もしくは模造者等を取り締るような方法が国際的にできるかどうか、これができないならば国内的にはその損失をこうむった業者に対して、国内において何か損失を補償するような方法があるかないか、こういうことも考えてもらいたいと思いますが、これはやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/10
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011・板垣修
○板垣政府委員 国際的に不公正な取引をやってはいかぬということは、これは国際的に確立いたしました商慣習でございましてこれはいかなる国も守らなくてはならぬわけでありまして、日本も先進国といたしまして、こういう国際慣習は守っていきたいという意味で、日本の法律体制を整備する次第でございます。ただ世界の国々には相当遅れている国もありまして、必ずしもこの商慣習を守っていないということが相当あろうと思います。これにつきましては外国のことでございますので強制はできませんけれども、その場合々々に応じまして外交交渉で解決していくしか方法はないと存じます。なお国内的にそういうような損害を受けたものを補償するかどうかという点につきましては、政府としてそういう措置をとる前に、商業ベーシスでもって交渉をいたしまして、解決も得る部分が相当あると思いますので、その点で第一に解決をし、それが不可能な場合には政府間で外交交渉として取り上げていくというふうに措置をいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/11
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012・田原春次
○田原委員 次はこの輸出入組合の設立要綱の第六の点について、輸出組合設立についての資格であります。つまりこれは過去の実績主義といったようなものを持ってくるのかどうかということです。この提案理由を見ますと輸出取引の秩序の確立ということがある、これとこの第六の輸出入組合を設立することができるという点から想像してみまするに、加入に対して何か制限があるのではないか、その制限は大きい業者保護あるいは大きい実績を持ったものを保護するようなことに重点を置かれるのではないか、そういうことは全国で概略二千数百の貿易業者があるのでありますから、これは多過ぎるということを盛んに言われますけれども、できるにはできるだけの理由があってできておると思うのであります。従ってこの組合の設立の際、少数有力なものだけが設立に参加し、もしくは加入して小さな業者を何かの形で制圧し、絶滅していくのではないかという不安が小さい業者の間にあるのであります。この点は、取引品目別か国別に、あるいは地域別にやるというところにそういう隠された意図があるのではないかどうかということを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/12
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013・板垣修
○板垣政府委員 輸出入組合を設ける道を開きました趣旨は、特定の地域につきまして輸出と輸入とを調整する必要がある場合に認めるという趣旨でございますので、従って今お話のように輸出入組合の加入者の資格につきまして制限をするという意思はございません。ただここにいろいろと組合設立の要件を限定いたしましたのは、ただいま申しました輸出と輸入とを調整するという機能が主たる目的でありますので、その組合員がやはり貿易額について相当支配的な地位を占めていないと、その組合自体が輸出と輸入を調整するという機能を果せません。従って法律にありますように、過去三年間の貿易額が全体の三分の二を占める必要があるというのは、そういう趣旨からでありまして、その組合に加入するものが従来実績のなかったものであるとか、あるいは小さい業者を除くとかそういう趣旨は毛頭ございません。ただ輸出組合を作ろうという人たちの間で定款を作ります際に、あるいは一定の資格を制限するということはあり得るかもしれません。これにつきましては政府といたしましてはこれが不当に差別的でないという場合には許可していきたいという考でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/13
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014・田原春次
○田原委員 そういう場合、A、B、Cとでも分けますか、過去の取引量、あるいは実績、規模等に応じまして、大きいものだけでただ一つの単一の地域別、特定地域のものを作って、その他のものは加入させない、除外するということになれば、貿易業者の間に、特に小さい商社の間には混乱が起ると思う。従って大業者、中業者、小業者というか、特定地域に対して単一の一個の輸出入組合を作るという第七項は、その点において少し問題があるのではないかと思う。これが第一点。同じ第七項の特定地域ごとに全国を通じて一個とした場合、たとえば台湾あるいは中共、ソ連に対して貿易するものに対しては、英米の方面では取り消したりいろいろなことがある。またその逆の場合もあると思う。特定地域ごとに全国を通じて一個の輸出組合というものはかえって実情にそぐわないのではないか。取引量においてA、B、Cと分ける方法をとる、あるいは地域ごとに単一にするということは実情にそぐわないのではないかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/14
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015・板垣修
○板垣政府委員 今お話の全国を通じて一個といたしました趣旨も、先ほど申しました通りに輸出と輸入とを調整する必要上、全国一つでなければ不可能であるという前提に立っておるわけでありまして、たとえば中共との貿易につきまして、中共に対する輸出全体、輸入全体の調整をとることが必要なのであります。これをかりに大、中、小と分けますか、あるいは日本内の地域別にいたしますか、二つないし三つの輸出調整組合ができますと、それぞれが勝手に調整するということは、結局全体としての日本の対中共貿易の輸出と輸入の調整ができないことになりますので、この点はこの輸出入組合を認めます趣旨から申しまして、どうしても全国一円でなければならぬというふうに私どもは信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/15
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016・田原春次
○田原委員 この点は議論になることでありますが、過去のいろいろな貿易会であるとか業者の協議会でありますとか、こういうものから見ますと、確かにねらいはりっぱなねらいでありますけれども、実際においてこれから新しく貿易をやろうとするものに対する非常に禁止的な、拒絶的な制限となっておる。また現在あります二千数百のうちの小さな業者の加入を拒否するような形になってくると思います。これは本日は議論はいたしませんが、何かの形ですべての輸出入業者が単一の団体に入る。そうして漸次その内部において整理されるということはやむを得ぬといたしましても、初めから有力者本位に団体を作ることは好ましくないと思います。時間の関係がありますから自分の意見だけを申し上げて私の質問をこれで打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/16
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017・田中角榮
○田中委員長 中村高一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/17
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018・中村高一
○中村(高)委員 大臣がおられるから一つだけ聞いておきます。この輸出入取引法の改正をせられまする趣旨は、もちろん日本の輸出を振興するという趣旨において、いろいろの険路を調整するということが目的であることは明らかでありますが、今後日本の貿易を振興させるといたしまするならば、どうしても優良な品物を価格を低くするというところに国際競争に勝つ大きな原因があると思うのであります。しかしあまりに価格が安くなれば、ダンピングだといって今まで関税で報復をされたり、あるいは外交上の攻撃を受けたりなどいたして参りましたことは過去において幾らもあることでありますが、今後日本の貿易を発展をさせるといたしまするならば、もちろん品物が優秀ということが前提でありまするけれども、コストを引き下げるということに重点があることは申すまでもないと思うのであります。こういう場合において、一体戦前に日本の商品が海外に出ていったというようなことを顧みますと、いずれも価格が安かったというところにあると思うのでありますが、今後こういう輸出組合というようなものを作って、価格の協定をいたしたり、いろいろ制限をむろんいたすのだろうと思いますが、それによって一部においては業者あるいは国益を保護するということはできまするけれども、あまりに組合で縛るというようなことは一結局はまた貿易の競争の上において負けてしまうというような結果にもなると思うのであります。今後の貿易振興についてその価格引き下げとダンピングに関しましては、大臣はどういうふうな御所見を持っておられますか、承わっておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/18
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019・石橋湛山
○石橋国務大臣 第一に輸出品は競争でありますから、むろん海外の同種製品との競争上必要な程度においては価格を下げるという必要はありますが、無理に下げる必要はない。なるべく高く売る方がいい。ただしそのために輸出が阻害されるということはむろん好ましくありませんから、そしてこの輸出入組合あるいは輸出組合、輸入組合というものも決して貿易を減らすことを彼らは利益といたしませんから、組合ができましても、お話のように特に価格をむやみに上げて輸出が阻害されるような処置をとることは実際上経済的に考えても絶対ないと思います。コストが下って値段が下るということは、ダンピングになりません。むろん議論は起りましょうけれども、ほんとうに日本のコストが下る、また労働条件も相当のものでありながら日本の製品が安いということになれば、当然向うからダンピングの抗議がありましても対抗ができると思います。こういうわけで組合ができるということで御心配のようなことは起らない、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/19
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020・中村高一
○中村(高)委員 同じ戦争で破れました例を考えてみましても、たとえばドイツのごときはやはり日本と同様に破れた国でありながら、今日輸出貿易の振興によって国家財政の上において黒字になるというような非常な工業の進歩で、しかも戦争の疲れを早く回復しておる国の実態を見ますると、たとえばドイツの輸出品などを見ましても非常に優良であるばかりでなく、価格の点においてどの国にも太刀打ちができる。たとえば肥料の国際入札の競争であのドイツがインドで勝ってしまう。あるいは中共あたりにいろいろの工業製品を輸出いたしておりまする実態を見ますると、これはいずれも優良であってしかも価格の点においてどこの国にも負けないというような、そういう大方針に立っておるところに国際貿易に勝つゆえんがあると思うのであります。もちろんこういう法的な措置をとるということも必要ではありましようけれども、むしろそういう点は小さな点でありまして、法律上の保護を加えるというふうなことよりは、特に日本のような、情勢に非常に恵まれない国におきまして輸出の振興をはかるには、やはり日本の政府が中心になって、日本が輸出国になるというような大方針を立てるということの方が先決問題でありまして、こういう問題について、末梢的な問題よりはむしろそういう点に重点を置くという方針を一つ通産省では打ち立てられまして、そうして今後の貿易についても、業者指導とかあるいは貿易の実際の取り締りというような面に当って、そういう点についてどうすれば国際競争に勝てるかというような点に重点が置かれなければ、こういう一片の法律を改正して、小さな点について目を配っても大した輸出の増加にはならぬように私は考えるのでありまするけれども、その方針について一つ大臣から御所見を承わりたいと思うのであります。
〔田中商工委員長退席、前田貿易
振興特別委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/20
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021・石橋湛山
○石橋国務大臣 申すまでもなく、お話のように、日本の輸出を振興しようとするためには、根本的に日本の製品の価格を下げる、または品質をよくするということが必要であることは言うまでもありませんから、通産省としてはむろんそれに最も大いなる努力を払うつもりでありまして、最近問題になっております生産性向上本部というようなものにつきましても、同じ趣旨からそういうことをやっておるわけであります。その他種々やっておりますが、しかし同時に輸出市場を見ますと、非常な激しい競争の結果、価格をだんだんせり下げて、そのためにかえって海外市場で信用を失墜する、海外市場をかえって狭めるという状況が起っておることも事実でありますから、それもやはり手を打たなければならぬ。お話の根本策をとることは言うまでもありませんが、同時にこの法律によって輸出市場の秩序を保つという方策をわれわれ急速に講じなければならぬ、こういうふうに確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/21
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022・中村高一
○中村(高)委員 もう一つ、これは局長でけっこうでありますが、今までも輸出貿易につきましては、いわゆる独禁法の除外を受けて共同行為ができるようになっていたと思うのでありますが、今度の法律の改正を見ますと、やはり同じようなことが述べられておるようでありますが、前からこれは貿易に関しては独禁法の除外を受けて共同行為はできるようになっていたと思うのですが、そこは何か今までの点についてどこかに足らないところでもおありになるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/22
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023・板垣修
○板垣政府委員 仰せの通りでございます。従来の程度の除外では非常に不十分なので、この法律を改正さしていただきまして、貿易商社が共同行為をなし得る範囲を広げたのが今度の改正案の趣旨でありますが、そのおもなる点を申し上げますと、第一には輸出業者の純粋の輸出取引については、従来四つの場合しか許されなかったのを、今度はその制限を全部撤廃いたしました。かつ従来は認可制であったのを届出制にしたという非常に大きな変化でございます。第二の点は輸出業者の国内取引も従来制限がありましたのを制限を撤廃いたしまして、必要な場合には輸出業者が国内取引を結び得るというふうにいたしました。第三点といたしましては、場合によりましては生産業者の輸出に関する協定もできるというふうに、要するに禁独法除外の範囲が拡大されたというのが今度の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/23
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024・前田榮之助
○前田委員長 帆足計君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/24
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025・帆足計
○帆足委員 きょうは最初の審議の機会でありますので、私どもの要望を申し上げるより、まず法案の趣旨をよく理解したいと思いまして御質問いたします。
現在の輸出入取引法またはその改正法では、組合員の強制加入という条項はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/25
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026・板垣修
○板垣政府委員 現行法におきましても、今度の改正法におきましても、組合員の強制加入という制度は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/26
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027・帆足計
○帆足委員 そういたしますと、これは海外輸出に対する一つの統制法規ですから、統制の条項をきめますが、まず問題は二つあると思うのであります。一つは、一つの商品の輸出または輸入に対して、業者の数が非常に多い、しかし業者の数を限定するような権能は今度の改正案にはないのですか。
それからついでにお尋ねしておきますが、米の輸入とか塩の輸入などには指定商というものがありますが、あれはどういう法律に基いておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/27
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028・板垣修
○板垣政府委員 第一の御質問につきましては、輸出組合がその組合員の資格をきめることになっておりますので、その定款においてもし資格の制限をきめてありましたらきめますけれども、一応今までのモデルの定款によりますと、資格を制限しておるという実例はございません。しかし全然道がないわけではございません。政府は制限いたしませんが、もし組合設立者の間で定款によって申し合せができれば、制限はできるわけでございます。
それから指定商につきましては、それぞれ食管法あるいは専売法にその根拠があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/28
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029・帆足計
○帆足委員 特定の地域に対する貿易商社の数をあまり多くしましたところで別に国益がないと考えますときに、またそれがおそらく業者の利益と一致するでしょうから、とにかく定款で制限をいたしますような場合には届出でいいのでしょうか、政府の積極的認可を必要とするのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/29
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030・板垣修
○板垣政府委員 現在はその定款は政府が認可をすることになっておりますので、政府の方でその定款による組合員の資格の制限があまりに不当に差別的である場合には認可がしがたいと思いますが、そうでないと認定したときは政府が認可をいたす場合があり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/30
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031・帆足計
○帆足委員 もちろんただいまの点は、やはり政府の認可という条件が絶対に必要だと思います。自主統制というものには限界がありますから、その限界以上のことはやはり政府の任務であって、政府の意思並びにその手続が民主化されておるかどうかということだけが問題であろうと思いますから同感です。
その次には地域的の、たとえば中国なら中国という地域を対象とする全国組合を作りましたときに、地域別の商品別によって事情がまったく違うし、取扱い商社が違うわけです。ところが、地域別組合の全国組織の理事会はおそらく一本になると思いますが、その理事者は大豆を取り扱っておれば大豆、米は米、硫安は硫安というふうに、ある商社はこれを取り扱わず、ある商社は取り扱っておる、ある商社はそれに新規加入したいと思っており、ある商社はもうこれ以上取扱い商社をふやされては困る、こういうふうな実情であろうと思うのであります。従って商品別に一つの統制基準をきめることは、当該関係業者が集まれば一つの妥結点があると思いますが、中国なら中国の地域別組合の全理事会かまたは総会か具体的に商品別のことをきめる最終決定機関であるとすれば、私は論議がまとまらぬのではないかと思うのですが、それらの点について法規並びに運用上どのように御考慮になったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/31
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032・板垣修
○板垣政府委員 たとえば中国なら中国の場合へ輸出と輸入全体の調整をはかるというような組合員の順守すべき事項を定める場合は、今お話の通り輸出入組合の理事会できめなればならぬと思っております。しかしながら、特定の商品につきまして関連のある業者だけが協定を結ぶということも可能であると思います。その場合は、組合の協定ということでなくて、たまたま組合を構成しておる輸出業者とか輸入業者の協定としてお届けになれば運用ができるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/32
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033・帆足計
○帆足委員 ただいまの御趣旨は、たとえば商品別部会の幹部で原案をきめていいという意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/33
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034・板垣修
○板垣政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/34
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035・帆足計
○帆足委員 次にお尋ねいたしますが、一定の協定をいたしまして、そうしてある商品の品質、価格等について商品別の部会がきめましたことは、そのまま商品別部会から直接政府に届出をしまして、政府の方でそれが必要であると認めたとき、アウトサイダーに対して一般に強制命令を出す、こういう手続で当該組合の理事会にかけないで直ちに政府の方にそれが届出認可または申請がいって差しつかえないというふうに理解していいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/35
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036・板垣修
○板垣政府委員 今の輸出業者間の協定が第五条の条件にかなっております場合は、お話の通りでけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/36
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037・帆足計
○帆足委員 この法律の中に、組合に加入する基準を、大体商売をなし得る資格がある条件が備わっておれば加入させねばならぬというような意味のことが書いてあるように伺いましたが、しかし特定の商品に対して業者の数を適当数に、すなわち経済単位として妥当であると認めるくらいの数に制限しようとしますと、一種の指定商を置くような観念になりまして、おのずから業者の数を制限せねばならぬことになりますが、そういうことはきわめて重大な制限でございますから、私は業界としては意見がまとまらぬのではなかろうかと思うのです。たとえば米なら米を十社で輸入させるか、二十社で輸人させるか、幸いにして米には指定商制度がありますから何とかまとまっておりますけれども、指定商制度のない商品につきましては、そうして商社の数が非常に多いと、結局一つの船に積む一単位にも当らない注文を獲得いたしまして、書類だけでも膨大なものになりますし、コストも非常に高くつく。そうかといって商社の数を限定しますと、ときには中小企業に対する不当な圧迫にもなりましょうし、既得権を持っておる者だけの独占にもなりますので、私はこれは非常にむずかしい課題であると思いますが、そういう問題に対してこの組合がどの程度まで機能を発揮し、また政府がどの程度までこれを分担するか、その辺の手順をお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/37
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038・板垣修
○板垣政府委員 多少御理解のいっていない点があるのではないかと思いますが、まず第一に申し上げたいのは、この輸出入組合は、先ほど申し上げましたように輸出と輸入の調整機能を主たる任務といたしますので、ただいま帆足先生から御質問のありました、輸出だけ、輸入だけという場合は全然別問題であります。その場合は輸出組合の問題であり、輸入組合の問題であるということになる次第であります。従って今特におあげになりました輸入の方の問題になりますと非常にむずかしい問題でありまして、従来とも現行法で輸入組合の道が開かれておるのに、一つもできておりません。というのは、今お話のありました非常な困難がありまして、結局輸入組合は結成できないという実情に基きまして、従って中共からの輸入の問題だけについて何らか組織を作ろうということになれば、やはり何か根本的な別の方策を立てない限り、現状ではむずかしい問題が残るというふうに思います。
それからもう一つお尋ねになりました輸出の場合の加入者の資格の制限の問題、これもなかなかむずかしい問題がございますが、今のところ政府でこれだけのものしか入ってはいかぬということはできません。先ほど申し上げましたように、もし話がついて定款で何らか制限ができれば制限がし得るということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/38
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039・帆足計
○帆足委員 ただいまの輸出組合、輸入組合、それから輸出入組合の三者の関係がわれわれにもよく理解できないのです。おそらく直接貿易関係であられない同僚議員の皆さん方も同じような疑問を持っておると思うのであります。従ってもう一度輸出組合、輸入組合、輸出入調整組合の三者の関係を簡単に御説明願いたいと思います。
それから同時に輸出入調整ということはよくわかりますが、輸出入調整組合がありました場合に、輸出なら輸出統制だけ、輸入なら輸入統制だけということをいたしますときは、それを別個に考えて、事務所は同じでも重複してそういう組合を作ることになるのでしょうか、それらの点もお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/39
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040・板垣修
○板垣政府委員 現行の立て方からいいますると、いわゆる輸出業者が共同行為をもしやり得る場合は、結局組合と関係なく、一定の特定数の輸出業者間の話し合いで協定を結ぶ場合、これが第一でございます。それから第二には、今申し上げました輸出組合あるいは輸入組合で、組合自体が組合員の順守すべき事項を定める、共同行為をきめる、こういう二つに分れております。それからさらに組合の単位からいいますと、輸出に関しましては輸出組合、輸入に関しましては輸入組合というのが現行法でありますし、今後もそれをそのまま認められるわけでありますが、さらにつけ加えまして今度輸出入組合を設けましたのは、輸出組合と輸入組合の合同という意味ではありませんので、輸出と輸入の特定の事情のある場合において、輸出全体と輸入全体を調整する機能を主として作ったのが輸出入組合であります。従ってただいまのわれわれの考えとしては、むしろ組合自体が輸出入組合に入ることはできないと考えております。従って中共に例をとりますれば、中共に対して輸入をやっておる業者や輸出をやっておる業者が全部業者として入る、そうして輸出入組合自体の機能は、中共との間の輸出と輸入の調整機能——最も、わかりやすい例を申しますと現在トーマス残がございます。このトーマス残を組合に集中してまたこれを譲渡させる、こういうような輸出全体と輸入全体とを調整するのを主たる目的とするわけであります。従って輸出だけの場合、輸入だけの場合につきましては、ただいまのところ地域別の輸入組合、輸出組合は認められていないので、中共向けの輸出組合はできないわけであります。
それから輸出に関して中共との共同行為はどうするかと申しますと、先ほど申しました通り、輸出組合に入っておるある特定の人たちが集まって、最初に申し上げました業者協定を結べばいいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/40
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041・帆足計
○帆足委員 そういたしますと、たとえば卑近な例を申し上げますと、雑穀なら雑穀を中国から輸入します場合に、現在のように非常に競争が激しくて、雑穀の値段を不当につり上げてしまう、国内でもアズキの値段が高いせいもあるでしょう、そういうことを防止するために輸入する雑穀の品質に対して一つのシーリング・プライスを業者が共同できめる、それ以上高いものを買うことは国益を阻害するし、業者に高い原料を提供することになるから、ある公正な値段でそれ以上高い不利益な値段で買うことはやめようという協定を輸入業者がする、並びに雑穀を輸入しますためには、一業者として経済単位というものがあるわけです。その経済単位を切って五合ますを持って天津に雑穀を買いに行くようなことは、結局眠り口銭をとるような結果になってしまいますから、最低の取引単位を一つきめようじゃないか、一社当り最低の取引単位はこのくらい、ひいてはその次に起る問題は、雑穀の輸入に対しては従来ある程度の実績のあるものを、一つ何社か指定してやろうではないか、その当否は別ですけれども、一応それが肯定し得るような一つの案であったとき、それは現在の法律でいくと、どれに適用されることになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/41
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042・板垣修
○板垣政府委員 それは今度の法律改正案では改正になっておりません。従来通りに現行法でいくわけでありますが、輸入に関する業者間の協定でできるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/42
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043・帆足計
○帆足委員 今度はそういう条件で雑穀を入れたかわりに、過燐酸石灰を見返りとして輸出せねばならぬし、過燐酸石灰がないときは人絹糸を輸出しなければならぬということがそれと結びついて起ったとしまして、その過燐酸石灰と人絹糸とが、その雑穀輸入商の手によってははかばかしく進まなかったために、業界共同で逆トーマスとして輸入しなければならぬという状況が起ったときは、今の輸出入組合の関係と、一方においては取引法による特定業者の共同行為としての申し合せとの関連はどういうことになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/43
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044・板垣修
○板垣政府委員 ただいまの雑穀を買うという輸入取入協定と、その見返りの過燐酸なりその他の見返り輸出のものとが、その協定が同時に行わなくちゃならぬといたしますれば、これは輸出と輸入との調整の問題でございますので、この輸出入組合できめていただくことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/44
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045・帆足計
○帆足委員 そういたしますと、バーターまたは総合的な貿易協定、逆トーマスなどの問題が関連しておりましたときは、それと関連事項ということで、輸出または輸入の数量、品質、価格について、輸入組合がそのままの機能を発揮して協定を結んでも差しつかえない、こういうふうになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/45
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046・板垣修
○板垣政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/46
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047・中村高一
○中村(高)委員 ちょっと関連して……。そうすると輸出入組合が実際において機能を発揮できるのはバーター制のような場合が多いので、ストレートの場合は輸出入組合はあまりいらないわけでしょうね。ストレートである場合は輸出組合と輸入組合だけでよくて、今度これを作るということは主としてバーター制に対処するために輸出入組合を作るものだと思ってよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/47
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048・板垣修
○板垣政府委員 必ずしもバーターだけに限りませんが、バーターの場合はもちろんであります。しかしまた一方インドネシアの場合のように特殊の輸出権制度なり輸入権制度というものをやらなければ、輸出と輸入の不均衡というものが調整できないという場合には、この輸出入組合の機能が大きな役割を果すと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/48
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049・帆足計
○帆足委員 私はまことにうかつなことを申し上げて恐縮ですが、先ほどの特定商品の輸出または輸入の協定を特定業者が結ぶという場合がある、それは組合を作らないで業者が集まって、輸出入取引法において協定をしただけでいいのですか。その場合に業者が何社以上とか、実績の何割以上のものとかいうような制限、そういう点は現在の法規ではどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/49
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050・板垣修
○板垣政府委員 その通りでございまして、極端に言えば、一人の輸出業者と一人の輸入業者との協定でも可能なわけでございます。ただ実効はあまり上らない協定になるというだけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/50
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051・帆足計
○帆足委員 その場合に協定を業界全体に強制してもらうというときはどういうふうになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/51
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052・板垣修
○板垣政府委員 業界全体に協定する場合は、どうしても政府の権力が発動されますので、その基礎になりました協定自体が相当支配的なものでなければならぬということが前提になりますので、やはり取引額が相当数を占めておるとか過半数であるという点が必要になって参るわけであります。その場合は政府が安んじてこれはやはり大多数の意見と認定いたしまして、それに基きまして、政府としまして業界全体に対する固有の政府命令を出すことになる、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/52
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053・帆足計
○帆足委員 今日例を中国に引きますと、中国との貿易で輸出入のバーターが大体原則になっておりますから、輸出入調整が必要であると世間では一般に言われておりますけれども、実情は必ずしもそうなっていないのです。と申しますのは、日本の商社は総合商社が多うございますから、輸入いたしまして逆トーマスになりますと、実は内心それを喜んでおる。それで政府の輸出許可があり、またはバトル法の緩和があり、中国から活発な引き合いがあれば、別に輸出入組合に更改しなくても、そのグループの商社で自主的に、法律の規制を待たずとも十分やれるのです。ただ中国側が必要とする商品がきわめて限定されておりますため、それとバトル法の規制が非常に強いために、それを同業組合に更改しようと、グループで共同作業をしようと、一社でやろうと、実は大した相違はない現状でございます。また数社のグループの中にも、一社や二村は専門業者がおりましても、あとの三、四社というのは大てい総合商社でございますから、大体どの商品でも原則として取り扱い得るというのが、私は現状ではないかと思います。むしろ中国貿易における困難は、その問題よりも、他の一般の貿易と全く同じように、輸出においては過当競争がこちらで行われて、先方は一社である。そのためにダンピングの弊害が現われる。買うときは、向うが一社で、こちらがおびただしい商社の数でありますから、原料価格を不当に引き上げてしまう。中国側としてもどこに問題点があるか去就に迷うような状況になるというわけで、まず常識で考えますということになるのではないかと思います。雑貨は別といたしまして、数量の限られておる、比較的統制されておりますような形の重要商品におきましては、商社の数があまり多くては工合が悪い。この点につきましては、貿易商と生産業者とはまた社会的意義が違うと思います。貿易商の場合は大体コミッション・マーチャントのような役割を演じて、生産者そのものでないわけでございまして、品物を安くよいものを適当な機会に敏速に買い、また敏速に売らねばならぬという役割のものです。従いまして輸入につきましては、よい品物を安く買うことがその機能でありまして、それは量い大小ということもございますけれども、同時に国民経済に寄与する能力ということも考えねばならぬ。輸出の場合はまた輸入と多少違いまして、今度は多少じゃになりましても、活発に未知の市場に食い込むような力を持っておる力があるならば、これも一面われわれは認めねばならぬ。そうしませんと、ただダンピング防止のことばかり一面に考えておりますと、それも必要ですけれども、輸出における活力を逆にそぐというようなことになっても困りますので、それらのバランスが必要であると思います。従いまして問題点は、輸出と輸入と非常に違いますし、商品別に違いますし、ある商品においては業者の数が多い方がいい、ある商品においては国民経済的に見て、業者の数がむしろ限定されて、多少は非難を招くくらいの数の方が、国民経済上有利な点もあると思います。それからまた輸出の場合は輸入の場合と違いますから、結論としましては、買うものを安く買うこと、売るものを適当な値段で売ること、商社の数がその必要に応ずるような数になっておることなどが、抽象的に考えて一番望ましい状況と思うのです。それらの状況を生むように、この輸出入取引法がうまくなっておるかどうかという点に、問題点があると思うのです。私の貿易組合法の方が簡単でよかったのではないかというような気もいたしますけれども、その方がわかりやすかったと思うのですが、輸出入調整組合の方は、総合的に国がバーター協定、経済協定を結んでおります場合の調整に役立つと思いますけれども、しかしそれはそれとして、別に輸出組合または輸入組合を作らぬばならぬとするならば、私はそこに若干の不合理がありはしないかと思うのです。と申しますのは、すべての輸入がただちに逆トーマスになっておる場合もあるし、今回は逆トーマスであるけれども、次回はストレートで買うというようなこともありますので、輸出入組合を作りましても、そうして輸入の統制条項または輸出の統制条項にひっかかっておるにかかわらず、輸出入組合の理事会または部会としてはいつも取り扱う立場にない。従いましてある問題においては、せっかく輸出入組合はありますのに、別個の行為として輸出協定を行い、輸入協定を行なって、理事会から遊離してしまうというようなことが起りはしないかと、しろうと的に考えられますが、そういう点は技術的にどういうふうにお考えになっておりましょうか、二、三例を引いてお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/53
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054・板垣修
○板垣政府委員 最初にお話のあった点は、その通りであると存じます。しかしながらその商社を限定するというような問題は、これは営業自由の原則という基本問題にも触れますし、現在の状況として政府としてどうということはできませんので、私どもの考えといたしましては、第一次的にはこの輸出入取引法を改正いたしまして、輸出業者、輸入業者の業者協定というものを拡大して、この共同行為によって、そういうような過当競争を防ぐということを第一段に考えたのでございます。従ってこの法律自体で、そういうような業者の過剰競争なり、あるいはある商品について業者が多過ぎるというような状態が、実際上にどうしても防ぎ得ないというような状態になりますれば、やはりそういう方面の政策に対して根本的な再検討をする事態に迫られるかと存じております。昔のような貿易組合あるいは強制加入的なものがいいかどうかというような点は、私どもまだ検討しておりません。そういう方円に進まざるを得ない事態も来るかもしれませんが、そういう点については私はまだ全然結論が出ておりません。それから今の輸出入組合とほかの中国向けの輸出組合との関連でございますが、私どもといたしましては、この輸出入組合を認めますのは非常に特例でございますので、結局中共にいたしましても、インドネシアにいたしましても、やはり今の問題といたしましては、輸出と輸入が非常にアンバランスであり、またこれを均衡させるということが一番主眼でありますので、そういう意味で輸出入組合といたしたのでございまして、その他にこれと離れまして、輸出の問題なり輸入の問題があるといたしますれば、これは組合を作りなくても、現在の商品別の輸出組合の部会を利用して可能であり、またその他の地域についても、現在は地域別組合が認められておりませんので、それでやっておりますから、さしあたりはそれでやっていけると思います。将来事態が変ればまた再検討する事態が来るかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/54
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055・帆足計
○帆足委員 時間の都合もございますから、あと一、二通商局長にお尋ねしたいのは、ただいまのような場合は、この輸出入組合のほかに、同じ事務所に二枚看板で輸出組合または輸入組合を商品別に作らねばならぬのかどうか、そういう組合を作らないで運用でやれるのかどうか。
それからもう一つ、今度は大臣にお尋ねしたいのですが、輸出統制規定の認可または統制命令の発動に当りまして、官庁の独断でおやりになるのか、適当な何か審議会のようなものをお考えになてっおるのか、また民間からこれに抗告、抗弁する場合の機関、手続はどのようになっておるのか。私は統制ということはある程度必要な場合がしばしばあると思いますが、官庁統制になりましては、どうしても権力のあるものが横暴を来たすことになりますので、できるだけそれは国民の自主性を尊重するような、常識のある、そうして消費者や関係方面の利益を十分考慮した統制でなければならぬと思います。それを一番私ども憂慮しておるわけです。よく社会党は官僚統制になるのじゃないかといわれますけれども、私どもはそれと正反対のことをいつも考えておる次第でありますから、お尋ねする次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/55
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056・板垣修
○板垣政府委員 最初のお尋ねにつきましては、輸出入組合の中に地域別に、たとえば中共向けの輸出組合を認めることは、現行ではできません。従って私どもといたしましては、輸出入組合の中で、重要な商品について部会をお作りになって、それで運用していけると思います。
それから第二の点もついでにお答え申し上げます。輸出入組合の設立などにつきまして、民間の意見を聞くために、輸出入取引審議会というものがございますので、そういうものに諮問をいたすことになっております。なおこういうものにつきまして不服等がありました場合には、不服の申し立ての法律的条項がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/56
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057・帆足計
○帆足委員 通産大臣にお尋ねしたいのですが、こうしてだんだん統制がふえて参りますと、私は弾圧、無秩序よりも、必要な場合に計画性があり、必要の場合に秩序があるということは賛成でございますけれども、その秩序や統制を最後にきめる者はだれであるか、それは役人であるということでは、過去の弊害を繰り返すことになりますので、官僚統制をどういうふうにして——今後統制のたびごとに問題になる問題ですが、是正すればよいか。これは野人であり、マンチェスター学派であられた石橋さんにはよく御了解願え、お互いに肝胆相照らすことがそういう一面ではでき得ると思うのです。従いまして通産大臣からお気持だけでも伺っておくことは有益であると思いますので、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/57
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058・石橋湛山
○石橋国務大臣 お説のように無用の統制をして窮屈にすることは困ると思います。そこでこの法律を実施するについても、今政府委員が言いましたように、審議会を設けて、これは通産大臣が任命するのでありますが、よく民間の意見も聞いて、誤まりのないように、いわゆる官僚統制にならないように、できるだけの処置をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/58
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059・帆足計
○帆足委員 それではお尋ねいたしますが、従来審議会というと、もう藤山愛一郎、石川一郎、石坂泰三ときまった顔ぶれで、これは何かそういうようなヴォキャブラリーができておるのではないかと思われるほどです。私はそういう審議会というものは、国民から信頼されるようなもの、中小企業者からもなるほどもっとものであると思われるようなもの、個々の審議会みな性格が国民の期待にふさわしいものでなくてはならぬと思うのに、あれは何かそういう辞書でもあるのでしょうか、いつもきまり切って石川一郎である。科学であれ、芸術であれ、軍事であれ、みなそうなっておるですね。まことにあきれて物が言えぬと思うのです。従いまして貿易の問題では貿易らしく、長い間貿易で苦労した人とか、その生産関係の人、また中小企業の立場に立って相当の正論を吐いて、お役所の耳に痛いようなことも言うような方も入れておく、そういうことでなければ、審議会というものは刺身のつまであって、私は何の役にもなっていないと思うのです。審議会でやかましいものは肥料審議会くらいのものです。肥料審議会がやかましいのは百姓を背景にしてやかましいのでしょうけれども、そのくらいのもので、あとの審議会というものは全く用をなしていないと思うのですが、通産大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/59
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060・石橋湛山
○石橋国務大臣 私もいろいろな審議会が同じ顔ぶれであることは決して満足しておりません。しかしなるべく視野の広い人を集めるということになりますと、ああいうことになるのでございましょう。そこでまたこれがいろいろの利益代表的になって、いたずらに議論の多いことも困る場合があると思うのでございます。しかしこれは決してあれに満足しているのではありませんから、たとえば今度経済審議庁の方の委員などは少し顔ぶれを変えてみようということで、この間変えてそういう評議もしておるわけですから、だんだんそういうふうにしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/60
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061・前田榮之助
○前田委員長 加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/61
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062・加藤清二
○加藤(清)委員 私は午前の審議に引き続きまして、この協定以前の問題を二、三お尋ねしてみたいと存じます。
まず輸出入の組合でございまするが、先ほどの御説明でよくわかりましたが、ただいま実際に行われておりまする輸入組合、輸出組合はどの程度ございまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/62
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063・板垣修
○板垣政府委員 輸出組合は現在三十四ございます。詳細はおそらく資料でお配りしてあると思います。それから輸入組合は今一つもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/63
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064・加藤清二
○加藤(清)委員 毛製品輸入組合が一つある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/64
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065・板垣修
○板垣政府委員 正式に認めたものはないそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/65
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066・加藤清二
○加藤(清)委員 やがてこれは正式に認められるでございましょう。だから私は言っておる。私のお尋ねは実際に行われている組合はどの程度数がございますかと、認可したとかしないということは別なのです。事実行われている組合、それはどの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/66
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067・板垣修
○板垣政府委員 輸入につきましては、輸入に関する協議会というものは相当ございまするが、輸入組合としてはまだ一つもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/67
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068・加藤清二
○加藤(清)委員 実質行われておるのがあるでしょう。毛製品輸入組合、丸紅の木村さんが組合長になってやっておるのがあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/68
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069・板垣修
○板垣政府委員 輸入組合という名前ではないそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/69
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070・加藤清二
○加藤(清)委員 それが実際に権限を発揮していないとなりますると、ただいまは輸出組合だけでございますね。輸出組合だけであるところへ輸入組合を作るあるいは輸出入の総体の調整の組合をこれから作る、こういうことに相なるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/70
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071・板垣修
○板垣政府委員 それは少し違うのでございまして、輸出組合、輸入組合の制度がありまして、その上に作るのでありませんで、中共とかインドネシアとか特定の地域において輸出と輸入との調整を必要とする場合のみ、輸出入組合というものを設け得る道を開くということであります。非常に特定の場合に限られるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/71
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072・加藤清二
○加藤(清)委員 普通一般の場合は、輸出と輸入の組合を別個に設ける、同じ品目であったとしても、たとえば綿製品の輸入組合と輸出組合と別個に置かれる、こういうことになるわけですね。そう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/72
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073・板垣修
○板垣政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/73
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074・加藤清二
○加藤(清)委員 これが過去においてもさようでございましたが、先ほど同僚委員から御質問がございましたが、この組合ができる、あるいは輸入組合を作らなければならないということによって、政府としてはより多くの組合員をこれに包含しようとしていらっしゃるのか、あるいはそこに何らかの制限を設けて、より少い員数でこれを行おうとしていらっしゃるのか、その点を一度はっきりお答え願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/74
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075・板垣修
○板垣政府委員 輸出組合なり輸入組合の制度を認めます以上、できる限りこの組合が関係業者を多く包含することが望ましい次第でございまして、政府といたしましては別に措置はとりませんが、希望といたしましては、輸入組合の加入者が多いほど望ましいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/75
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076・加藤清二
○加藤(清)委員 つまりアウトサイダーに悩まされ抜いてきた過去の組合の実態にかんがみて、なるべくがアウトサイダーを少くする、すなわち現在仕事を行なっている輸出輸入の業者はより多く包含しよう、こういう意図でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/76
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077・板垣修
○板垣政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/77
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078・加藤清二
○加藤(清)委員 これに対して政府は、将来組合員になろうする、つまり組合を作ろうとしている方々にどのような指導措置をとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/78
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079・板垣修
○板垣政府委員 政府といたしましては、特に別に行政上の指導措置はとりません。ただ先ほど帆足委員などの御質問がありましたように、今度その組合員の中で、たとえば輸出業者たるの資格のない者あるいは実力のない者が入ることを防ぐということは、これは当然過当の競争なりあるいは不正競争を防止する面においては望ましいことでございますので、輸出組合を結成する人々の間において定款にそういう面の資格制限を定めるということの道が開かれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/79
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080・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは組合員——ここでは組合員と呼んでおきますが、業者が組合を結成する場合に定款で何がしの制限をする、その制限のおかげでアウトサイダーが数多くできたというようなことが将来できた場合に、政府としてはこれに対してどのような指導措置をとられますか。——わからなければ具体的に申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/80
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081・板垣修
○板垣政府委員 それでは具体的に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/81
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082・加藤清二
○加藤(清)委員 政府の方で、アウトサイダーは少いほどよろしい、組合員にはなるべく多くを包含しよう、こういう精神がもしありとするならば、それはまことにけっこうでございます。そうなればこの法律に対して、われわれはまず第一番の懸念がなくなるわけです。ところが過去において政府がおとりになった措置、指導方法というものは、必ずしも今あなたがおっしゃったようになっておりません。むしろ逆に相なっております。一例をつい最近にとってみましょう。たとえばミシンの輸出がチェック・プライス、フロア・プライスを破って出血が行われる、これは困るという。それを政府の方で、それは困るからというのである程度の指導をした。ところがその指導は行き届かなかった。ついに組合を結成しようじゃないかということになって参りました。東京でもできました、中京地区でもできました、関西もできました。その関西でできまする折に一体どのような措置をとられたですか。そのことはあなたたちはよく御存じのはずでございます。業者は三百有余あったうちで、この組合に加入した者は一体幾つあるのです。百に足りませんよ。六十七でした。それに対して政府側は二つの意見がある。中小企業庁は数多く入れた方がよろしいというあなたと同じ意見、ところが悲しいことに重工業局の方はそうじゃない。逆にしぼる方の指導をなさったはずであります。そのおかげで、今度関西で発足しましたミシンの輸出組合なるものは、なるほど表向きあなたがおっしゃいましたように定款でしぼった。ところがこぼれたアウトサイダーの方が多い。これはアウトサイダーがこぼれようとどうしようと勝手でございましょうけれども、そのおかげで輸出事業に今まで従事していた方が輸出の権限をもらえなくなる、こういうことが出来してきたので、あれが大きな問題をかもし出してきたのでございますが、こういう法律がなくてもすでにそういうことが行われておる。果して局長のおっしゃいましたような、なるべく数多くのものを入れてアウトサイダーをなるべく少くして、そうして輸出、輸入の政府の指示したところのチェック・プライスやフロア・プライスを保たせるよう指導する用意があるかないか、通産大臣にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/82
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083・板垣修
○板垣政府委員 私から申し上げます。ただいまお話の点、私どもといたしましては輸出組合ができるだけアウトサイダーが少い方がいいという点については変りありません。ただいま御例示になりました問題はミシンのメーカーの組合のことと存じまするが、これはまたこの輸出組合と違いまするので、果してこの加入者を制限したかどうかちょっと存じません。ミシンの調整組合は三つお話のようにできました。輸出組合につきましては日本全国ミシン輸出組合だけでございまして、この方はむしろアウトサイダーをなるたけ少くしようとしておりますが、なかなかアウトサイダーが入ってこないという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/83
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084・加藤清二
○加藤(清)委員 できましたのはなるほどメーカーの組合でございますが、これはミシン・メーカーのための組合ではございません。ミシンを輸出するための組合であって、これは輸出事業の組合なんです。何も内地のミシン販売のためにできた組合ではございませんことは、あなたが一番よく知っている。しかも大阪でもめたのは、その売り先がほとんどアメリカである、その権限がもらえなくなるということで起きていることは事実なんです。これは事実行われていることなのだから、こんなところの答弁がうまくいったからといって逃げられる問題でも何でもない。今生きているんです。だから、この際は答弁をうまくやろうとかどうとかいうことでなくして、事実具体に即してこれをどう指導していくかということを研究していただきたい。なぜかならば、私はわざわざ向うへ行きまして、局長の桐山君に会いました。そうしたら、これでいけなければ将来幾らでも是正する用意があります、是正させるよう指導させますということをはっきり言っておられる。だから私は、あなたの精神はりっぱである、この法律を作られた精神はりっぱであるけれども、ワクのないときでさえもなおそうやって権限の奪い合いが行われる、役の取り合いが行われる。そのゆえに、せっかく作らないでもいいところのアウトサイダーを自然に作ってしまうようにできているのが実態なのだ。だから政府としては、せっかく法律を作る以上は、この指導態度というものをきぜんとしておいていただかないというと、立法の親心子知らずという結果が生じて、ついにそのアウトサイダーの値くずしのおかげで貿易がくずれていってしまう、高く売れるべきものがくずされてしまう、こういう結果に相なりまするので、この点は一つ事実現われているその具体的なことにかんがみても、この指導方針だけははっきり確立しておいていただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/84
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085・板垣修
○板垣政府委員 ミシンの場合の実態につきましては、私実情をよく承知しておりませんので、直ちに取り調べますが、最初に申し上げました指導方針は堅持するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/85
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086・加藤清二
○加藤(清)委員 それではもう一つ具体的にお尋ねいたしますが、この法律ができる前に、この法律と同じ企画のことをおやりになった例はほかにございますか、ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/86
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087・板垣修
○板垣政府委員 この法律と申しますのは、輸出……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/87
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088・加藤清二
○加藤(清)委員 さようでございます。輸出入取引法の一部改正。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/88
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089・板垣修
○板垣政府委員 現行法以前……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/89
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090・加藤清二
○加藤(清)委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/90
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091・板垣修
○板垣政府委員 と申しまするのは戦前の状態でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/91
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092・加藤清二
○加藤(清)委員 戦後の状況でもよろしいです。——局長さんが御存じなくてこれができたとなりますと、これまた問題でございまするが、貿易自由の原則、営業自由の原則を破って異例の貿易調整措置が過去においてとられております。しかも、ことしになってからでございますが、すなわち日土通商協定が二月八日にアンカラで調印、即日発効ということに相なっておるわけでございますが、これの業者指定ということは、これは明らかに異例の貿易調整措置と考えます。幸いこの即日発効されました協定の内容については非常にうまくいっているようでございます。すなわちオープン・アカウント地域における清算勘定期間は延ばした方がいいというので十八カ月になっている。あすから行われようとしている日英会談は一年間ということでございますが、これは十八カ月、一年半でございます。しかも計画は六カ月ごとに交代で行われておりますが、これがどういうことでございましょうか、輸出権制度、商社の資格限定の制度が行われたようでございます。そういうことをしなければならなかったその理由、その法的根拠をお尋ねしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/92
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093・板垣修
○板垣政府委員 ただいまの具体的御質問ならばわかりましたが、トルコにつきましては御承知のように本年二月貿易取りきめができたわけでございますが、トルコは特殊の経済状態に現在ございますので、あそこから買いますものは主として綿花であります。その綿花は国際的な値段から見まして非常に割高である、従ってこの割高な物資を買うためには、やはり日本からの輸出品の価格をある程度調整をしなければならぬというような非常に特殊な貿易方式をとらざるを得ないという状態に、少くともさしあたりはなっているわけでございます。従ってこれを自由な競争にまかせますと、日ト貿易は全然進展をしないということがきわめて明らかであったのであります。しかしながらただいまお話がありましたように、商社を限定するとか、政府が指定するというような権能はございません。従って私どもといたしましては、従来トルコとの貿易実績があるものという一定の基準を置いたのでございます。その結果たまたま六社ないし七社という数に限られたのでございますが、これは政府が商社を指定した結果ではございません。戦後のトルコとの貿易の実績なんです。こういうやり方は、たとえば輸入の場合においてはしばしば定められる基準でございますので、この基準の結果、商社がたまたま七社に限定されたということになるのでございまして、これももちろん好ましいことではございませんけれども、ただいま申し上げましたようなトルコどの貿易を維持発展させるためにやむを得ない暫定的措置として考えられた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/93
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094・加藤清二
○加藤(清)委員 そうお答えになるだろうと予想をしておりました。まさか法的根拠がないとは言えません。法律的にはまことにうまく言いのがれができるようになっておるのでございます。きめられたのは七社と言うけれども、ほんとうは東綿、日綿、日物、三菱、いわゆるイスタンブールに商社の支店を持っているもののみに限定されたわけでございます。そこでお尋ねいたしますが、その限定はトルコとの話し合いの上で行われたのでございましょうか、国内のその商社とのみの相談で行われたのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/94
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095・板垣修
○板垣政府委員 これは日本の貿易政策の問題でございますので、トルコ側とは相談をいたしておりません。しかし国内におきましても通産省といたしまして、トルコとの貿易維持上やむを得ないというのでとられた措置でございますから、商社とも特別な相談はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/95
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096・加藤清二
○加藤(清)委員 やはりそうお答えになるのも無理のないことですが、事実相談が行われていないということはすでにあがっておるのでございまして、場所までわかっておるのでございます。言えとおっしゃれば言いますけれども、私はそのことを調査するのが目的ではございません。要はトルコとの貿易の進展をはかるということが目的でございますので、続いてお尋ねいたしますが、そのきめられた結果、貿易の実績は上っておるのでございましょうか、上っていないのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/96
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097・板垣修
○板垣政府委員 これを実行いたしまして——しかしこの制度が悪いということではなくして、トルコとのその後のいろいろな情勢からいいまして、綿花の買付も非常におくれている。従ってその見返りの綿布の輸出もおくれたというような関係で今までのところ相当おくれがちでございます。しかしながらこの制度がまだ悪いという結論が出るわけではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/97
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098・加藤清二
○加藤(清)委員 あなたがお認めの通りこの実績が上っていないということは、これは万人の認めるところでございます。なぜ上っていないかは制度上の問題ではないとおっしゃったのでございますが、問題は現在あなたが最初にお答えになりましたように、輸入組合というものはまだ一つも実績を上げているものはございません。輸出組合はそれぞれが相当に実績を上げております。特にあなたが今おっしゃいましたように、この国との貿易の品目は輸入が綿花ないしは羊毛あるいは鉱石、塩というようなものなのであります。ところで輸出の方はタイヤ、チューブ、機械、鉄鋼、化学製品、大体こうなっているようでございます。どうせ実績をとるならば、ほんとうに実績を上げている輸出組合の実績をおとりになると成績は必ず上ったでございましょうに、向うのインフレの再起の心配から輸入先行で、この国との貿易で輸入をしている実績を多くおとりになったと思うが、結局輸出するところの意欲がない人にその権限が与えられていると巷間伝えられております。貿易業界でもこのようでございます。すでに局長さんのお耳にもこのことは達していることと存じますが、これでよろしというので、この制度は永続なさるおつもりでございましょうか、あるいは悪ければ時を見て手を打って改良しようというお考えがおありか、この点をお尋ねするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/98
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099・板垣修
○板垣政府委員 今御指摘のような点は私どももなお検討いたしたいと存じまするが、いずれにいたしましてもこの制度はさしあたり半カ年ということで、八月には再検討するということになっておりますので、その際あらためて今御指摘のような点も考慮に入れまして、果してこの制度でそのまま続けた方がいいか、あるいは多少改善した方がいいか、そういう点につきまして結論を出したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/99
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100・加藤清二
○加藤(清)委員 この点大臣はいかようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/100
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101・石橋湛山
○石橋国務大臣 トルコの事情は私よく知りませんが、あなたのおっしゃるようなことであるならば、むろん改善しなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/101
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102・加藤清二
○加藤(清)委員 あえて私はあやまちとは申しませんけれども、あやまちを改むるにやぶさかでないことの方が賢明であることは、大臣の方がよく御存じでございまするし、また大臣としては拡大貿易があなたのモットーでございましたので、この国との貿易はそれこそあなたのおっしゃる拡大貿易にドンピシャリでございます。なるほど輸入する物資は綿花にいたしまして、一、二割高に相なっております。ところが輸出される物資はインフレのおかげでトルコの国内の相場はわれわれの踏む相場と比べますと、二倍にも相なっているようでございます。幸い通商局長の御努力によりまして生まれましたこの協定の総体の金額は片道六百五十五万ドルでございますから、これが三回行われまして、両方合せて三千九百三十万ドルという膨大な額に上るわけでございます。これが実際に行われたとすれば、これはこの協定を結んだ人の功績と同時に、あなたのおっしゃる拡大貿易論を実地に行うという結果に相なって、これは日本経済に大きなプラスになるではないかと思われるのでございます。ただ問題は、向うから入れました二割高の綿、あるいは鉱石、塩等々を輸出でカバーしなければならないという問題があるわけでございますが、その輸出価格のアップをトルコ国の価格審議委員会がどうこれを認めるかという点にポイントがあるわけでございます。この四社にしぼられたことにつきましては、必ずしもトルコ国といえども満足の意を表していないということは、向うの新聞の論説その他ではっきりしている事実でございます。問題は相手あっての商売でございまするから、ほんとうに相手も買いやすいという貿易以前のおぜん立てを作ることが必要ではないかと思われるわけでございまするが、この点大臣としてはいかようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/102
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103・石橋湛山
○石橋国務大臣 どうも相手の国がインフレでありますと、買うものがどうしても高くなる。しかもこの場合インフレ通りに向うが買ってくれればいいけれども、そこにまた政府が干渉して買わないというようなことがトルコばかりでなくほかにもあるようにも思いますが、そういう貿易は非常に困難なのです。ですから今の四社にしぼったことがいいか悪いかということは再検討いたしますが、とにかくトルコの貿易もお話のようにできればけっこうですから、十分研究をして拡大ができるように努力をいたします。むろん縮小していいという考えを持っておる者は一人もないのでありますから、できるだけ拡大をするように努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/103
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104・加藤清二
○加藤(清)委員 協定が結ばれない前でございますれば困難性が多いでございましょうけれども、協定が結ばれましたということは、その国とその国とがほんとうに相手国を信頼しあってこれをきめたことでございますから、これを実行に移すということは、すでに国家的な義務でもあると考えるわけでございます。そこでこの義務を遂行するに当りまして、もし当方側に難点があるということであれば、これが国内市場できめられることであるならば当然すみやかにこれを実行に移されるべきが賢明な措置ではないかと考えるわけでございます。結ばれました協定の内容等々につきましては、通商局長以下大勢の方々の御努力によりまして、まことにけっこうな内容のように承わっておるわけでございまするけれども、ただこの協約を実行するに当っての実行者、輸出入貿易者が今まで輸入のことは非常に努力されていた方が多いようでありますが、輸出のことについてはなお努力をしていた方々がだいぶ漏れておるようでございます。そこでそのために輸入先行ということでございますようですが、そのお陰でなかなかと実績が上らないと巷間では伝えております。私は私の言うことが確実であるとは申しません。ただ向うの新聞を見たり、あるいはこちらの意見を聞いたりしたところの知識でございまするので、必ずしも私の考え方が万能であるとは考えておりません。従いまして願わくば、実績が上っていないことは事実なんですから、至急に御調査願いまして、もしそれが事実であるとするならば、あと一カ月で一期はおしまいなんですから、次の余す一年間はほんとうにスムーズに貿易が行われ、協定が実現されるように御努力願いたいのでございます。希望を付して私の意見を申しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/104
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105・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは申すまでもなく、御意見のようにさっそく調査いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/105
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106・前田榮之助
○前田委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑はないようでございますから、本日はこ程の度で散会いたします。
午後三時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204529X00119550622/106
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