1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月十日(火曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 遠藤 三郎君 理事 加藤 高藏君
理事 内藤 友明君 理事 大平 正芳君
理事 奧村又十郎君 理事 横路 節雄君
理事 春日 一幸君
有馬 英治君 宇都常徳馬君
中山 榮一君 夏堀源三郎君
坊 秀男君 前田房之助君
森下 國雄君 山村新治郎君
山本 勝市君 淺香 忠雄君
川野 芳滿君 黒金 泰美君
小山 長規君 古川 丈吉君
石村 英雄君 木原津與志君
村口 利秋君 井上 良二君
田万 廣文君 平岡忠次郎君
町村 金五君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤枝 泉介君
大蔵事務官
(主計局次長) 正示啓次郎君
大蔵事務官
(主税局長) 渡辺喜久造君
大蔵事務官
(管財局長) 窪谷 直光君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
―――――――――――――
三月三十一日
委員春日一幸君、石村英雄君及び横山利秋君辞
任につき、その補欠として杉山元治郎君、淡谷
悠藏君及び北山愛郎君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員淡谷悠藏君辞任につき、その補欠として石
村英雄君が議長の指名で委員に選任された。
四月六日
委員森下國雄君及び河野密君辞任につき、その
補欠として松本俊一君及び西尾末廣君が議長の
指名で委員に選任された。
同月七日
委員杉山元治郎君及び西尾末廣君辞任につき、
その補欠としてかすが一幸君及び河野密君が議
長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員小畑虎之助君は死去された。
同月三十日
委員松本俊一君及び北山愛郎君辞任につき、そ
の補欠として森下國雄君及び横山利秋君が議長
の指名で委員に選任された。
五月十日
菅太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事春日一幸君委員辞任につき、その補欠とし
て同君が理事に当選した。
―――――――――――――
四月二十五日
農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるた
めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内
閣提出第七号)
昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に
対して米麦を特別価格で売り渡したことにより
食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための
一般会計からの繰入金に関する法律案(内閣提
出第八号)
漁船再保険特別会計における給与保険の再保険
事業について生じた損失をうめるための一般会
計からの繰入金に関する法律案(内閣提出第九
号)
臨時通貨法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇号)
あへん特別会計法案(内閣提出第一一号)
同月二十六日
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一六号)
五月二日
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二一号)
同月九日
日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二八号)
四月五日
石油関税の復活反対に関する請願(關谷勝利君
紹介)(第五四号)
同(長谷川四郎君紹介)(第六九号)
葉たばこの減収対策確立に関する請願(助川良
平君紹介)(第七七号)
同(鈴木善幸君紹介)(第一一二号)
旧軍港市における旧軍用財産の使用に関する請
願(小泉純也君外四名紹介)(第九二号)
同月十四日
石油関税の復活反対に関する請願(徳安實藏君
紹介)(第二一七号)
同月二十八日
第二種原動機付自転車等に対する物品税撤廃に
関する請願(首藤新八君紹介)(第二二九号)
揮発油税すえ置きに関する請願(竹谷源太郎君
紹介)(第三五八号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第二五九号)
同(神田博君紹介)(第二八五号)
同(笹本一雄君紹介)(第二八六号)
同(古井喜實君紹介)(第二八七号)
同(河野密君紹介)(第二八八号)
同(岸信介君紹介)(第三一四号)
同外二件(纐纈趨三君紹介)(第三一五号)
酒税率引下げに関する請願(加藤高藏君紹介)
(第二六〇号)
同(前尾繁三郎君紹介)(第二六一号)
同外一件(島村一郎君紹介)(第二八九号)
同(川野芳滿君紹介)(第二九〇号)
ビール税率引下げに関する請願外一件(島村一
郎君紹介)(第二九一号)
中小企業に対する減税措置に関する請願(保科
善四郎君紹介)(第二九二号)
五月七日
揮発油税すえ置きに関する請願外三件(福井盛
太君紹介)(第三二七号)
同(荒舩清十郎君紹介)(第一三八号)
同(植木庚子郎君紹介)(第三四七号)
同外三件(楯兼次郎君紹介)(第三四八号)
同(南好雄君紹介)(第三七一号)
同(中垣國男君紹介)(第三七二号)
同(青木正君紹介)(第三七三号)
同(福井順一君紹介)(第三七四号)
同(八木一郎君紹介)(第三七五号)
同(西村直己君紹介)(第三七六号)
同外二件(平野三郎君紹介)(第三七七号)
同(瀬戸山三男君紹介)(第三七八号)
同(小笠原三九郎君紹介)(第三七九号)
同(臼井莊一君紹介)(第四二〇号)
同(鈴木周次郎君紹介)(第四二一号)
同(山村新治郎君紹介)(第四二二号)
同(森山欽司君紹介)(第四二三号)
同(徳安實藏君紹介)(第四二四号)
同外一件(川野芳滿紹介)(第四二五号)
同(茜ケ久保重光君紹介)(第四二六号)
同(武藤運十郎君紹介)(第四二七号)
同(長谷川保君紹介)(第四二八号)
酒税率引下げに関する請願(川野芳滿君紹介)
(第三八〇号)
旧外貨債の有効化に関する請願(星島二郎君外
一名紹介)(第三八一号)
の審査を本委員会に付託された。
四月十三日
中小商工葉者及び労働者の減税に関する陳情書
(第五号)
税制改正に関する陳情書
(第八号)
旧軍用住宅敷地買上げに関する陳情書
(第九号)
証券に対する租税臨時措置に関する陳情書
(第六一号)
大阪兵器廠跡建造物払下げに関する陳情書
(第六二号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の互選
農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるた
めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内
閣提出第七号)
昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に
対して米麦を特別価格で売り渡したことにより
食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための
一般会計からの繰入金に関する法律案(内閣提
出第八号)
漁船再保険特別会計における給与保険の再保険
事業について生じた損失をうめるための一般会
計からの繰入金に関する法律案(内閣提出第九
号)
臨時通貨法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇号)
あへん特別会計法案(内閣提出第一一号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一六号)
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
まず理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事でありました春日一幸君が去る三月三十一日一たん委員を辞任いたしたことがありますので、理事一名が欠員となっております。この際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、選挙の手続を省略し、委員長より御指名いたすに御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/1
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002・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、春日一幸君を再び理事に御指名いたします。
次に、去る三月三十一日逓信委員会より当委員会あてにテレビ受像機に対する物品税に関する申し入れがありましたので、その申し入れの件を印刷して諸君のお手元に配付いたしておきましたから、御検討願っておきてたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/2
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003・松原喜之次
○松原委員長 次に、去る四月二十五日当委員会に審査を付託されました農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案、昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案、臨時通貨法の一部を改正する法律案、あへん特別会計法案、また去る四月二十六日付託されました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、また去る二日付託されました国民金融公庫法の一部を改正する法律案、以上八案を一活議題として審査に入ります。
まず政府側より提案理由の説明を聴取いたします。藤枝政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/3
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004・藤枝泉介
○藤枝政府委員 ただいま議題となりました農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案外七法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
最初に農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。
昭和二十九年度におきまして風水害、冷害等が異常に発生しましたため、農業共済再保険特別会計の農業勘定における再保険金の支払いが増加し、同勘定において多額の歳入不足が生ずる結果となったのであります。そこでこの歳入不足を埋めるために、昭和三十年度において一般会計から二十八億円を限度としてこの会計の農業勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。
なおこの繰入金につきましては、将来この会計の農業勘定において決算上の剰余を生じた場合には、再保険金支払基金勘定に繰り入れるべき金頭を控除して、その残額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
次に、昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。
食糧管理特別会計におきましては、昭和二十九年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律に基き、米麦等を生産する農家で、台風並びに冷害による著しい減収のため、その生産にかかる米麦等がその農家の飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けたものに対し、米麦を特別価格で売り渡したことによりまして、約一億二千万円の損失が生ずることが見込まれるのであります。この損失を埋めるため、昭和三十年度におきまして、一般会計から、一億二千万円を限度として、この会計に繰り入れることができることとしようとするものであります。
次に、漁船町保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。
漁船乗組員給与保険法の規定により、漁船の乗組員の抑留を保険事故とする給与保険につきまして、昭和二十九年度において保険事故が異常に発生いたしましたため、第二十回臨時国会において成立いたしました漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に関する法律によりまして、とりあえず一昨年十二月一日から昨年十月十五日までの間における損失を埋めるため、一般会計から、この会計の給与保険勘定に千五百万円を繰り入れることができることといたしたのでありますが、その後も引き続き保険事故が異常に発生し、さらに本年三月三十一日までに約七百万円の損失を生じたのであります。今回、この損失をうめるため、昭和三十年度におきまして、一般会計から、七百万円を限度として、この会計の給与保険勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。
次に、あへん特別会計法案について申し上げます。
今回、政府は、あへん法の規定により、政府が行うアヘンの収納、輸入または売り渡しの事業に関する経理を一般会計と区分して行うため、新たにあへん特別会計を設けることが適当と考え、この法律案を提出した次第であります。
その内容の概略について申し上げますと、この会計におきましては、一般会計からこの会計に引き継がれるアヘンの金額及び一般会計からの繰入金に相当する金額をもってその資本とし、アヘンの売払代金、一般会計からの繰入金、ケシの栽培許可に関する手数料及び付属雑収入をもって歳入とし、アヘンの収納またば輸入の代金、事務取扱い費、災害補償金、都道府県への交付金、一時借入金の利子その他の諸費をもって歳出とすることとし、その他、この会計の予算及び決算の作成並びにその提出に関する手続等特別会計に必要な事項を規定しようとするものであります。
次に、臨時通貨法の一部を改正する法律案について申し上げます。
現在臨時通貨法上認められている補助貨幣は、十円を最高の額面とするものでありまして、この系列をもってしては現在の経済取引の実情に即応し得ないうらみがありますので、同法の一部を改正し、新たに五十円の臨時補助貨幣を加えんとするものであります。この五十円の臨時補助貨幣は千円を限度として法貨として通用する旨の規定を設けてあります。
次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
国民金融公庫は、昭和二十四年六月に資本金十三億円をもって発足したのでありますが、その後たびたびの増資を行うとともに、資金運用部資金の導入に努め、昭和三十年三月末では、資本金ば百九十五億円、資金運用部借入金は百六十九億円、ほかに更生資金貸付基金三十一億円、計三百九十五億円の資金量を保有し、公庫発足以来本年三月までに千百七十五億円に上る貸付を行い、国民大衆の資金需要にこたえてきたのでありますが、公庫に対する資金需要は、本年度においても相当の額に達することが予想されますので、昭和三十年度におきまして、一般会計から二十億円を公庫に対して出資することとし、これに伴って公庫法第五条の資本金百九十五億円を二百十五億円に改めることとしたのであります。このほか昭和三十年度におきましては、資金運用部から八十五億円の借り入れが予定されていますので、これに既往貸付金の回収金二百九十五億円を加えて五百億円の資金が確保されることになり、同年度中における資金運用部に対する返済金一千八億円を差し引いても、なお四百六十二億円の貸付が可能であると考えております。
最後に、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案について、提案の理由を説明いたします。
現在の国民租税負担の状況に顧みまして、政府は、この際、勤労者、中小企業者、農民等の低額所得者の負担軽減を中心として直接税の軽減をはかるとともに、資本蓄積の促准に資する等のために所要の措置を講ずることとするほか、地方道路財源の充実をはかる等のため、必要と認められる税制の改正を行い、これにより平年度約五百億円、初年度約三百億円の減税を行うことといたしております。このうち、所租税及び法人税に関する部分につきまして、ここに改正法律案を提出した次第であります。
以下、順次二法律案についてもその大要を申し上げます。
第一に、所得税法の一部を改正する法律案でありますが、所得税につきましては、まず基礎控除額を七万円から八万円に引き上げることといたしております。これによりまして、例えば、給与所得者につきましては、夫婦及び子供三人の場合、給与の平均月額一万九千円程度までは所得税を負担しなくてもよいことになるのであります。
次に、税率につきましては、現行の税率が急激に累進して負担を加重する結果となっておりますので、これを緩和することといたしております。すなわち、今回の税制改正の趣旨に顧み、現行の税率適用区分のうち、課税所得二百万円をこえる部分に対する税率については、現行通り据え置くこととし、おおむね課税所得百万円までの部分について緩和をはかることとし、負担の軽減をはかっております。
次に、給与所得控除の限度額は、現在四万五千円となっているのでありますが、これでは給与の金額が年頭三十万円の場合にすでに控除の限度に達することとなり、必ずしも実情に即しないと認められますので、これを六万円に引き上げることといたしまして、給与所得者の負担軽減に資することといたしております。
次に、資本蓄積の促進に資するため、生命保険料控除の限度額を一万二千円から二万五千円に引き上げることとするとともに、この際生命保険料控除制度について、その適正化をはかることといたしました。すなわち、保険期間が五年未満の短期の生存保険の保険料を本制度の対象から除外することとし、契約者配当金はこれを支払い保険料から差し引くなど、所要の措置を講ずることといたしております。なお、資本蓄積の促進に資するための措置といたしましては、別途御審議を願います租税特別措置法の改正により、臨時に、預貯金、公社債等の利子課税の免除並びに配当所得に対する源泉徴収税率の引き下げを行うこととする予定であります。
さらに、青色申告者に対する専従者控除の限度額を、基礎控除額と同様に引き上げることといたしております。
これらの改正は、本年七月一日から実施することとしておりますので、昭和三十年分の所得税につきましては、月数按分により計算した初年度分の控除及び税率を定めておりますが、給与所得に対する源泉徴収につきましては、本年七月一日以降に支給される給与から、平年度計算による改正後の控除、税率によって行うことといたしております。
以上に申し述べました控除及び税率の改正により、所得税の負担は相当軽減されることになるのであります。たとえば、給与所得者について申し上げますと、月収一万円の独身者は、現在の三百九十九円の負担が二百三十六円になって、四割余の減税となり、月収二万円の夫婦者は、現在の千四百七十六円の負担が千百八十九円になって、一割九分余の減税となり、月収三万円の夫婦及び子供三人の者は、現在の二千三百九十九円の負担が千九百二円になって二割余の減税となります。また、たとえば夫婦及び子供三人の事業所得者について見ますと、平年度におきまして年所得三十万円の場合には、現在の二万六千七百円の負担が二万三千円になって、一割三分余の減税となり、年所得五十万円の場合には、現在の九万四千百円の負担が八万一千九百円になって、一割二分余の減税となるのであります。
第二に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
法人税につきましては、企業の資本蓄積の強化に資するため、普通法人に対する税率を百分の四十二から百分の四十に引き下げることとするとともに、解散した法人が継続しまたは合併することとなった場合における法人税の課税関係を明確にする等の改正を行うことといたしております。なお、別途租税特別措置法の改正により、輸出の振興をはかるため、輸出所得控除の限度額の引き上げ、住宅建設の促進に資するため、新築貸家に対する特別償却額の引き上げ等、所要の軽減措置を講ずることを予定いたしております。
このほか所得税における外国税額の控除、法人税における配当金の益金不算入等について、その適用条件を緩和し、期限後申告の場合にもこれを認めることとするとともに、調整組合及び酒類業組合については、その性格に顧み、収益事業による所得以外の所得に対しては法人税を課税しないこととする等、各税法の規定について所要の整備簡素化をはかっております。
以上二法律案につきまして、提案の理由と内容の概略を申し上げましたが、右に申し上げた措置により、本年度、所得税におきまして約二百三十億円、法人税におきまして約四十四億円の、それぞれ減収が見込まれるのであります。
以上八法律案の提案の理由を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/4
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005・松原喜之次
○松原委員長 それでは質疑に入ります。奧村又十郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/5
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006・奧村又十郎
○奧村委員 今週は総括質問ということであって、主として基本的な問題で質問いたしたい。従って大蔵大臣の御出席を要求しておりますが、しかしこれは時間の関係で、それぞれ担当の政府委員に御質問いたします。重複すると思いますが、私は大蔵大臣に対する質疑は留保して、その他の質疑をいたしたいと思います。
本日の各税法の改正案につきましての提案説明によって、これで大体民主党の公約であり、また一萬田大蔵大臣の御自慢の減税案が出されたわけであります。そこで大蔵大臣は、特に提案趣旨にもありますが、低額所得者に対して重点を置いて減税した、こういうことであります。しかしよくよく法案の内容を見てみると、これははなはだもって看板に偽わりあり、どうも民主党内閣の外交政策でも何でもそうでありますが、思いつきであって、首尾一貫していない。この低額所得者に対する減税ということは、はなはだもって実体と遠い。そこでそのおもなることといたしますと、現実に政府から出された収入予算の説明書をよく見てみますと、低額所得者よりも月収二万円から五万円程度の、あるいは年収三十万円から五十万円程度の、何と申しますか、低額というよりも中額と申しますか、そういう中間階級の減税が一番多い。しかも預金利子などに対する免税規定が設けられている。われわれが前から考えておったのは、むしろ最低の低額所得者に対して、特に勤労所得の勤労控除一五%、これをいささかでも引き上げて勤労者に報いなければならぬ、こう考えておったが、これが実現しておらぬ。これは、民主党は公約しておらなかったかもわからぬが、税の公平からいくと、これが取り残された勤労者の方々に一番申しわけのない点であったが、これは実現していない。こういう点でいろいろ承わりたいと思うのであります。それで、そういう全般の問題のためには、まずいろいろな資料が必要でありますので、資料を要求しながら、それぞれ事務当局の方々に御質問をいたしていきたいと思います。
まず、これは大蔵大臣にもお尋ねすることでありますが、本年度は減税は七月一日から実施なさる御予定である。従って本年度の減税の額は約三百二十七億、それを平年度に直せば五百十四億、そこで、本年度の三百二十七億の減税の財源は、主として酒税及び砂糖消費税、これらの税の自然増収でまかなう。そこで砂糖や酒税は自然増収である。ことしも来年もさして税収ば変らないと思う。ことしは暫定的に三百二十七億の減税で財源をまかなう。しかし来年度になれば平年度化す、五百十四億の減税になる。そうすると、来年度の五百十四億の財源は、まさか砂糖と酒の自然増収だけではまかなえないはずでありますが、来年度、平年度になった場合、今回の税制改正が果してこの通り引き続いて実施できるかどうか、その財源の見通しをお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/6
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007・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 本年度の税収の関係からしますと、今御指摘になりましたように、昭和二十九年度の予算が一般会計の分だけで申し上げますと、七千七百八十三億、こういう数字になっております。これを現行法による収入見込み額で計算してみますと八千百四十二億、但しこの分には地方道路税に回しました揮発油税、これは別途御提案申し上げるつもりでありますが、それが四十七億入っているわけでありますが、それは別にしまして八千百四十二億、これが今度の三百二十七億の減税によりまして七千八百十五億、こういう数字になるわけであります。従いまして本年度としましては、三百二十七億の減税がありますために、それが所得税におきまして二百八十七億。従いまして、前年度の予算に比べますと、減税後におきましては百二十億の減になっておりますが、減税前の数字と比べますと、これが百六十億ほどやはり増の数字が出て参ります。それから法人税におきましても、減税後においては六十八億の減、但し改正法による減税が約四十億ございます。その減は二十八億。増になっておりますのが、先ほどお話のありました酒の税の百九十億、それから砂糖消費税の六十三億、こういったような姿になっているわけであります。ことしの三百二十七億が来年になりますと約二百億近くふえる。それで一体どういうまかない方ができるかという御指摘でございますが、われわれとしましては、ことしは減税をこれだけいたしましたので、減税後の数字におきましては、二十九年度の予算額に比しまして三十一億の増にとどまっておりますが、明年度におきましては、経済がある程度ずつ発展して行くということが考えられますし、所得税、法人税等におきましてどういうことになりますか、やはり相当の増加が見込み得るんじゃないかということを考えて参ります。とにかく全体が七千八百億からの数字でございますから、三%ふえましても、そこでもって二百億という数字が出て来るわけでございます。本年度こういう減税をしましても、来年度におきまして、やはり少くとも本年度の予算額程度、あるいはそれをこす程度の歳入は見込み得るんじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/7
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008・井上良二
○井上委員 議事進行。ただいまきわめて重大な質疑をいたしておるようでございますが、ただ質疑、審査をいたします上において、税法関係全体が提案をされておりません。その税法関係全体が提案されずに、ただ所得税、法人税だけを中心にして審議するということは、はなはだ困難である。だから少くとも政府は、租税特別措置法、あるいは砂糖消費税法、関税の改正法等、税関係の法案を全部提案してもらって、その上で税関係全部を一括して審議することにしてもらいませんと、審議の上に非常に支障を来たします。一つの想定の上に議論をしなければなりませんから、成案を提出してもらって、その上で税法一本で審議をするようにお計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/8
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009・奧村又十郎
○奧村委員 ただいまの井上委員のお説はまことにごもっともでありますが、御主張の通りに、税法関係の法案が全部一括してそろうて提出されるということは、事実上なかなか至難である。今までも個々に提出されて、一つ一つ審議していったのであります。一活されればけっこうでありますが、それでは時間的にはなはだ無理がかかる。われわれは十二分に審議をしたいが、その時間的な関係から、井上委員のお説には遺憾ながら賛成できないのであります。どうしても審議上必要な資料は、適当に一つ資料要求でおとりになって、できるだけ審議を進める、かようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/9
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010・井上良二
○井上委員 政府が出しております提出時期の資料には、租税特別措置法、砂糖消費税法、国税徴収法、地方道路税法、関税定率法、こういう法律はいずれも五月上旬ということになっている。五月上旬ということは、政府はいつごろを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/10
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011・藤枝泉介
○藤枝政府委員 税法関係の提出がおくれましたことは、はなはだ申しわけございません。ただこの予定に申し上げてあります税法の中の、地方道路税法と関税定率法の改正につきましては、多少おくれるかもしれませんが、そのほかは至急に御提出申し上げて、御審議を願うことにしておりますので、どうぞよろしくお順いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/11
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012・井上良二
○井上委員 至急といっても至急の時期がありますが、これは議運においても、予算関係の法案はすみやかに出してもらわなければ困るということて、政府の方でも予算提出と並行して出すということになっておる。具体的にいつ出すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/12
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013・藤枝泉介
○藤枝政府委員 先ほど申し上げましたように、地方道路税法、それから関税定率法の一部改正は、ちょっと今週中というわけにいかぬかもしれませんが、特別措置法その他は、今週中には御提出きる見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/13
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014・奧村又十郎
○奧村委員 前の質問を継続いたします。
本年度の減税の財源は、酒税あるいは砂糖消費税等の自然増収等でまかなう。来年度においてはこの減税が平年度化して、五百十四億の財源がいる。しかし、来年になお酒税、砂糖消費税がこの上ふえるとは思えない。といたしますと、今年度よりなお二百億円以上の減税の財源は、法人税、所得税等の自然増収でまかなう。かような御答弁のように承わったのでありますが、政府はそのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/14
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015・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 酒税、消費税等におきまして、来年度以降全然自然増収が考えられないかという点につきましては、われわれは、来年度の姿を本年度と全然同じだというふうには考えておりませんが、来年度以降におきましては、所得税、法人税等におきまして、相当の自然増が考え得るだろうということで、減税後におきましても、少くとも本年度の予算、あるいほそれ以上の税収を確保できるのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/15
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016・奧村又十郎
○奧村委員 それじゃ、提案趣旨の説明には、今回の減税は、特に勤労者、農民、中小業者の低額所得者に減税する、こういうことであって、この文字通りになれば、まことにけっこうであります。しかし法案の内容を見ると、その通りにはいっていない。一体政府は、低額所得者というものはどういう層をいうのか、低額所得者というのは、年収何十万円程度までを低額所得者というのか。どうもこの法案を見ると、年収三十万円から年収五十万円が一番減税になっておるので、それをもって低額所得者のようにいわれておるような感じがするが、低頭所得者というのは、その意味は、どういうことを表わすのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/16
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017・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 低額所得者というのは、まあいろいろに使われているようでございますが、われわれの方としまして、幾ら以下を低額所得者というふうにはっきり限界をつけるべきものかどうかという点については、必ずしもそういうものじゃないのじゃないかというふうに考えております。ただ低額所得者といいますのは、やはりその通り所得額の低い人で、そこで今度の減税案でございますが、全体として考えて参りまして、たとえば二万円、一万五千円といったような意味の低額、所得者、これは現行法におきましても、たとえば夫婦子三人の場合でございますれば、その辺の人は税金が全然かかっておりません。従いまして、夫婦子三人とすれば、やはり今度の改正案でございますと、一万九千円程度でございますと、税金がかからなくて済むということになるわけであります。従いまして、税金のかかっている限度におきましてのかなり低い階層の人を中心に減税をしていくべきじゃないか、こういう考え方になっておるわけでありまして、お手元に配付してございます表をごらん願いましても、たとえば夫婦子三人で一万円でございますれば、四割四分九厘の減税になる。三万円でございますれば、二割七分の減税になる。こういうふうになって、低額所得者の方にやはり重点を置きまして、低額所得者の負担軽減を中心として減税をしていく、こういう考え方は出ているものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/17
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018・奧村又十郎
○奧村委員 そこで、一般的に低額所得者というのは、月収三万円のものよりも月収二万円のものが低額所得者だ。だから、ともかく所得の少いものに特に重点を置く、こういうように一般的に思うのです。政府もそういうお気持だろうと思うのです。ところが実際はさようにはなっていない。それで私は議論を申し上げる。特にこれは議論になるので、私一方的に申し上げるだけにしておきます。基礎控除だとか、あるいは扶養控除とか、こういうものは最低生活をまかなえる程度まで控除して、最低生活よりもゆとりがある分だけは、担税力があるとしてその担税力に公平に税をかける、こういうふうにすべきだと私は思う。ところが今回は、そうはなっておらぬのでお尋ねするのでありますが、ただいま主税局長御説明の中に、減税の割合が何パーセント、こういうことですが、一体減税の割合というのはどれからとって言っておられますか。政府から出された租税及び印紙収入予算の説明書二十九ページ、税制改正案による所得税負担額調、これの独身者、夫婦者、夫婦及び子一人、これの一番下の対現行の軽減割合、これを主として言われるのだろうと思う。提案趣旨の説明にもそういうことに書いてあります。しかし一番下のこの数字、これが妥当なものかどうか、これは私はひとつ議論せねば、このまま納得はいかぬと思うのですがね。ということは、この数字というものは、現行の税負担に対しての軽減割合です。しかし現行の税負担との軽減割合は、それは、ただ政府の方で一応こういうふうに軽減したんだというて、見せかけていうのにはまことにけっこうですが、実際税を負担する度合いからいえば、これは月収そのものに比較をすべきものである。そこでもちろん低額所得者ほど税金が少いのですから、わずか減税しても減税の割合が多い。これは当然です。しかしそんなものを比較するのは大体間違っておるので、それよりも私が申し上げたいのは、この表の二十九ぺ−ジの給与所得者の独身者の場合、月収一万円の人は、今回の減税で約二百三十六円に減税、ところが二万五千円の人、二万円の人、大体これの減税割合を見てみますと、一万円から二万円の月収の人に対しては、二万円に対して月百六十円の減税になっております。月収三万円の人になると月二百六十六円の減税になっておる。月収五万円になると月四百十五円の減税になっておる。これはどういうわけです。一万円の月収の人よりも五万円の月収の人がよけいに減税になっておる。一万円が百六十円で、五万円の人は一万円に対して四百十五円の減税になる。これでは低額所得者に特に減税とはいえぬ。この数字のもとというのは、勤労控除の一五%の率を引き上げずして、ただ単に勤労控除の限度を四万五千円から六万円に引き上げたこの今度の案のためにこういう不公平が起る。つまり月収三万円から月収五万円の人が一番減税を受ける、こういうことになっておる。しかし一番下の軽減割合の率でみると、これば出てきません。それは課税の金額がもともと大きいのだから、これは出てくるはずはない。これでいくと、軽減割合の下の表は、これはごまかしで、やはり月給に対して減税の割合を論議するのがほんとうじゃないか。こういうように思うのですが、主税局のお考えをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/18
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019・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 減税を比較する場合に、いろんな角度があるということは、私もそう思います。しかし低額所得者につきましては、従来の改正におきまして基礎控除の引き上げ、扶養控除の引き上げということを中心にやって参りましたが、税率はほとんど動かしていなかった。こういったような関係におきまして、現状におきましても、上の人に比べますと負担がかなり低くなっている。従いまして今御指摘になりました、たとえば独身者をとってみまして、一万円の場合につきましては、現行で三百九十九円、従いまして今度の改正案では、これによる減税額が百六十三円でございます。それは割合こそ多いが、絶対額が少いじゃないか、上の方にいけば、割合は少くなっても絶対額は多いんじゃないか、こういうような御指摘でございますが、現在におきましては、負担している絶対額が上の方が非常に多いわけでございますので、下の方を中心に減税をいたしましても、絶対額を比較してみますと、やはり上の方の軽減の額が多くなっているというのは、これはやむを得ないんじゃないか。われわれとしましては、やはり一応現行税制というのがございまして、それにおいて公平な負担といいますか、公平を目ざしての負担がきめてあるわけでございまして、それを単純に一割下げるといったようなことでは、低額所得者を中心として云々といったことは言いにくいと思いますが、やはり割合からしましては、低額所得者の方は、この場合におきましても四割とか三割とかいう額になり、上の方にいけば一割になっているということにおきまして、低額所得者を中心にした減税であるということは行い得るんじゃないかというふうに思います。別の面からこれを申し上げますと、現在の税制が非常に累進の角度が急ピッチに上っているということにおきまして、世帯を持って子供が何人かある方におきましては、かなり負担が重くなっているということもありまして、これが今まで何年か放置してあったのでありますが、この点につきましても、税率の累進の度をある程度ゆるくすることによりまして、負担の軽減をはかっていくということは、やはり考えていくべきじゃないか。ただその場合におき一ましても冒頭に申しましたように、低額所得者を中心としての軽減ということだけは忘れないで案を作ったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/19
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020・奧村又十郎
○奧村委員 どうもはっきりした御答弁をお伺いできませんが、今度のこの法案で、これは一番大事な点だろうと私は思うので、あくまでこの表によってお尋ねします。まことにじみな質問で恐縮ですが、しかしこれが結局この税制改正案の終局の数字です。そこで私が数字に基いてお尋ねいたしますのは、今度の税制改正の減税の恩典は、二万円の月給取りは今回百六十三円減税を受ける、それから五万円の給与所得者は月に二千七十五円減税を受ける。そうすると、一万円と五万円では月給が五倍になったんだから、二万円で百六十三円の減税を受けるとすれば、その五倍として、五万円の所得者は約九百円の減税になる。それが五万円の人は二千七十五円の減税になっておる。これで低額所得者に減税したと言えるか。それで、私は先ほど申し上げたように、これは政府の宣伝に使うのであって、これでは実際の減税の実相をつかむにはいかぬから、このせっかくの表の一万五千円、二万円というこの月収に対して、今回の現実の減税を二万円に対する歩合ではじき出すのが一番公平だ。一万円から二万円までの月収については百六十円、三万円から五万円に対しては二百円ないし三百円というように−こういうふうに、月収の多い人には累進して減税になって表に現われておるが、私のこの見方は間違っておるかどうか。私の見方が正しいなら、そのようにそれをもとにして議論をしていかなければならぬが、一つそれをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/20
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021・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 今奧村委員のおっしゃいました減税の額ですが、百円当りといいますか、あるいは二万円当りといいますか、額が上の方へ行けば行くほど今言ったような、たとえば二万円と五万円でございますと、上の方へ行った方が数字が大きくなる。これは事実としておっしゃる通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/21
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022・奧村又十郎
○奧村委員 比率としても多いのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/22
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023・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 二万円当りの額が多いということは、私はその通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/23
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024・奧村又十郎
○奧村委員 それは認めますね。これは、政府のいう低額所得者に特に重点を置いて減税をするということと根本から違っている、数字が証明しておるということでありまして、それに対する今度の税改正法案について、一つ一つ政府のお考えをお聞きいたしておきたい、かように思うのであります。
そこでこういう表に現われてくる一つの大きな問題は、勤労控除一五%はそのまま据え置いて、そして勤労排除の限度を現行四万五千円から六万円に引き上げた、ここに大きな矛盾がある。控除の限度引き上げはたびたびやってきておる。ところが勤労控除の一五%というものは、シャウプ勧告の当時の税制改正以来そのまま据え置かれている。そこで今回は、この控除限度の引き上げを、政府案によれば、月収二万五千円、年収三十万円以上年収四十五万円の人だけが恩典を受ける。それ以下の勤労階級の人は、ただ基礎控除の引き上げ、税率の調整、それだけの恩典しか受けられぬ。そこで月収二万五千円以下の勤労所得の方々に対しては非常に不公平になる。これはまあ議論になります。シャウプ勧告でもって税制を大改正して以来、主税局長も御承知の通りに、資産所得については特にいろんな大幅な減税が実施されて、ただ勤労所得の控除一五%だけが今日旧態依然として据え置かれておる。これは、シャウプ勧告以前には御存知の通り二0%であったが、なぜこれを減税する努力を払われないか。私は何も大幅に二0%まで引き上げろとは言わぬ。財源の関係で、たとい一%でも引き上げるという努力をすることか、低額所得者に対する政府の思いやりであると思う。
そこで四万五千円から六万円に引き上げた、年収三十万円以上の人に勤労排除の限度を引き上げたその理由を一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/24
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025・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 勤労控除の一五%を引き上げるべきかどうかという点につきましては、私の方でいろいろ検訂してみました。現在の勤労控除一五%というものをどういう根拠によって求につきましては、御承知のように収入金額をそのままとっておりまして、必要経費の控除をしておりません。こういうのが一五%控除の大きな一つの根拠となり得ると思っております。そのほかに、これは今さら奧村先生に申し上げることでもありませんが、財政学者の、勤労所得というものについての担税力が薄弱であるとかなんとかいったような議論、あるいはさらにまた現実的な面に立ちまして、課税の把握が一体どうだといったような議論などいろいろございます。ただ現在のいろいろな価格の構成を見て参りますと、われわれの方の考えといたしまして、勤労控除を上げるということは、同時に農業所得者についても何事かの控除を作る、あるいは中小企業者についても何事かの控除を作るという問題とからみ合ってくるのじゃないか。そういうようにして考えてみますと、結局資産所得以外の純然たる所得について、ある程度の控除を作るというのが、私は一つの考え方のように考えられますが、結局そうしますと、財源の関係からいいますと、大体におきまして基礎控除の引き上げをやるか、そちらの方をやるかということの二者択一に陥らざるを得ないのじゃないかというふうに実は考えております。それで、その二者択一の面になりますと、やはり率の引き上げをやりますよりも、基礎控除を引き上げる方が、実は低額所得者の方に割合フェーヴァーが大きく行くわけです。これは、五%なら五%というものは、額にそのまま比例いたしますから、額が小さいと五%によるフェーヴァーがそれだけ小さいわけです。そんなようなことを考え合わせまして、将来の問題として、さらにこの問題は取り上げる時期がまだ来得るんじゃないかと思いますが、現在におきましては、基礎控除を引き上げるという方がまずやるべきことではないか、こういうふうな結論を実は持ちましたものでございますから、今度の機会におきましては、基礎控除の引き上げはしますが、勤労控除のそうした割合の増加ということはしない。それじゃその次の問題で、何で勤労控除の限度額を引き上げたかという点が第二の御質問でございますが、現在の三十万円という額は、これは独身者とか、そういうものにとりましては相当の額になりますが、ある程度家族持ちの方でございますと、どうもこの点がすぐに頭打ちしてしまいまして、そうして現行の負担の割合をごらん願いますとよくおわかりだと思いますが、その辺から非常に負担割合が急激にふえているわけでございまして、またこの辺の限度で、三十万円で頭打ちする限度というのはいかにも低いではないだろうか、こういうふうに考えましたものですから、現行の負担の割合の累進性などを見まして、やはりこの辺を幾分でも上げていく必要があるのではあるまいかという考え方でもって、今度勤労所得控除の限度領だけの引き上げにとどめた、かような次第てございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/25
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026・奧村又十郎
○奧村委員 私は勤労控除の限度四万五千円を六万円に引き上げるということは、これに反対というのではありません。これはまことにけっこうですが、それをやるくらいなら、それよりも先に、もっと低額所得者の、つまり月収二万五千円以下の低額所得者の勤労排除一五%を、たとい一%でも上げるべきだ。これが税の公平の原則からいっても至当ではないか、こういう意味でお尋ねしたのです。
そこでただいまの御説明によると、勤労控除の引き上げよりも基礎控除を上げる、基礎控除を上げたからということを言われるが、これはどうもおかしい。基礎控除の引き上げは、何も勤労者だけではなしに、中小企業者も農民も一切基礎控除を引き上げておるのであります。これの恩典は、高額所得者も低額所得者もみな受けるのであります。局長御承知の通り、納税者の階層から行けば、課税所得年収約二十万円程度の納税者の人員が一番多いのです。課税所得の五万円やそこらの者は数が少い、それに一番重点を置いて減税してやれば、そういう限度引き上げの恩典を受けられぬ勤労者の方々に対しては、一般並みの基礎控除七万円の恩典以外には何もないじゃないか、これは税の公平からいっても手落ちじゃないか。しかも言うところは、低額所得者に重点を置いて減税する。これではどうも首尾一貫しないじゃないか。こう思うのでありますが、これはしかし議論になりますから、これでとどめまして、むしろ政策的には政務次官なり大蔵大臣の御答弁を願いたいと思う。そこでわれわれは修正案を用意したいが、勤労控除は、月収二万五千円以下の給与所福者の勤労控除率一五彩を二〇%に上げた場合、これだけの財源が要るか、もっと小刻みに一六%に上げたら財源はどれだけ要るか、一七%に上げたら財源はどれだけ要るか、これを資料としてお出しを願いたい。用意できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/26
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027・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 資料は提出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/27
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028・奧村又十郎
○奧村委員 次に、また予算の説明の表に移りますが、表の九ページ、現行法て昭和三十年分の所得の増加割合を見ておられますが、この中で農業だけが、特に申告及び能率の増等による調整ということまでも繰り入れて、総合して一三九%、農業課税だけがずいぶん増収を見込んでおられるが、これは御承知の通り、今国会でも農業課税の問題が非常に論議されているのに、なおその上昭和三十年度は農業のみに三九%も増収を見込む、これはどういう理由ですか、農業だけが申告及び能率の増で増収が見込めるというのは、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/28
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029・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 非常に恐縮でございますが、一一一・一%の数字のことにつきましては、ちょっと調べまして後ほど御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/29
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030・奧村又十郎
○奧村委員 次に、幸い銀行局長が見えておりますから、今回の税制改正で特に預金利子並びに公社債の利子に対する免税ということについて、政府の御方針をお尋ねいたしたいと思う。直接税に重点を置いた租税の制度でやっている各国の例を見ても、預金利子に対して所得税を全免するということは例がない。今回これを政府が取り上げて全免しよう。これは租税の公平の原則からいったら、非常にむちゃなことだと思うが、また一方にプラスの面もあるだろうと思うから、政府の方針を十分お聞きしなければならぬ。そこで税の面については、主税局長に十分一つ念を入れてお尋ねしたいが、銀行局長に一つプラスの面をお聞きしておきたいのです。
〔「法案が出ていない」と呼ぶ者あ
り〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/30
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031・松原喜之次
○松原委員長 総括質問ですから、よろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/31
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032・奧村又十郎
○奧村委員 大蔵大臣の御説明によると、租税特例措置法で、この国会中に預金及び公社債の利子に対する税は全免するということですが、そこで、現在すでに十万円までは国民貯蓄組合法によって免税になっている。それから郵便貯金は免税になっている。そうすると、それ以上の高額の預金者というものは、いわば棚当担税力のある、言葉をかえていえばお金持ちの人である。しかもこれは利子所得であるから、資産所得であるから一番担税力がある。しかもこれは現在の税法からいって、総合課税の大原則をはずして分離課税にしている。そうして年々これに対しては、資本蓄積ということでもって恩典を加えて、、分離課税で一〇%あるいは五%まで下げてきたのであるが、なおこの際これをゼロにしなければならぬという理由はどこにあるか。またそれによってどれほど資本蓄積が行われるか、これについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/32
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033・河野通一
○河野(通)政府委員 預貯金及び公社債の利子に対する課税を臨時に免税いたす趣旨は、今奧村さんもお話がありましたように、資本の蓄積を促進することが今この際として非常に必要である。これを傾斜的に政策としてとって、参らなければならぬ。こういう観点に立っておるわけであります。これは詳しく申し上げるまでもなく、よくおわかりいただいておることと思うのでありますが、金融機関を通ずる資金の蓄積、あるいは公社債を通ずる投資、そういうことを促進いたしますために、やはりいろいろ施策が必要と思うのでありますけれども、いろいろな施策のうちの一つとして、課税上もこれを優遇していきたい。そして自発的な蓄積を促進する一つの刺激剤といたしたいということが、私どもが考えております趣旨にほかならないのであります。今お話がありました、そういう税制の措置をとった場合に、一体どの程慶の蓄積の増加がこれによって期待できるかという点でありますが、この点は実はなかなか計算がむずかしい。私どももいろいろな観点から計算をいたしてみましたけれども、率直に申し上げて、なかなかはっきりした計算はできないのであります。大体私どもは、五百億から千億ぐらいのものがこの関係によって蓄積の増加として現われるのではないかというふうに一応推定いたしておりますけれども、この点については、数字的な確たる根拠をお示しすることが実はできないのであります。先般本年度の貯蓄目標と申しますか、資本蓄積の目標を八千億ということに立てたのでありますが、これらも、やはり今申し上げました課税上の特別な措置等が行われることによって、相当蓄積が増加するということも織り込んでおるわけであります。今申し上げましたような数字が大体プラスできるであろうというふうなことを頭に置いて、算定をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/33
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034・奧村又十郎
○奧村委員 どうも明確な御答弁はないようであります。局長も御存じのことと思うが、シャウプ勧告以前は、源泉徴収で五0%課税したのです。というのは、高額な所得者にとって、総合課税をすれば累進していくのだから、預金利子の半額は税金にとられる。そこで総合をはずして分離にすれば一〇%、あるいは二年以上は五%でしょう。五%ぐらいのものなら貯蓄にそうじゃまにはならぬと思うが、その五%すらはずさなければならぬという理由はどこにあるか。それからまた五%はずすから現実にこれだげふえる、それがなければ、政府もこの税の大原則を踏みにじってやるというプラスのものが出てこない、そこをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/34
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035・河野通一
○河野(通)政府委員 税の立場からの点は、主税局長から詳しく御説明いただきたいと思うのでありますが、私どもは五%と、それをゼロにした場合とどういう数字になるかという点は、先ほど申し上げましたように、的確な数字的根拠を持っておりませんが、できるだけあらゆる手を使って資金の蓄積をいたしたい、そのためには課税上の優遇を傾斜的に考えて参りたい、そういう観点に立っておるのでありまして、五%の場合と、それをゼロにした場合とどの程度数字的に違うかという点は、先ほど来申し上げましたように、はっきりしたことを申し上げることはできませんが、できるだけ課税上の制約というものを解いて、資本の蓄積を促進いたしたい、こういう観点に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/35
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036・奧村又十郎
○奧村委員 それなら、これはこれ以上お聞きしてもしかたがないから、それはそれとして、それならばそれほど犠牲を払って資本蓄積したその資金が、果して国の経済再建に有効に使われるか。金利の引き下げがそれで実現できるか。また不要不急の方に興金が流れないようになるか。それを一貫して、この資金を有効に活用するという態勢が整って初めてこの税の改正ができる。その用意を一つお聞きしなければならぬ。しかしそれまでには、私はこの預金利子に対する税の全免ということが、特に公平な税の体系をいかに根本的に踏みにじるかということのその犠牲の大きいことを、一つ銀行局長に認識してもらいたいと思うのであるが、どうもあとの方も御質問があるようなので、この程度にいたします。
主税局長にお尋ねいたします。この税の預金利子の全免、これは何としても高額所得者に対する恩典である。高額所得者に対する減税であって、政府の見積りによると、これに対する減税額は十五億である。しかしこれはたび重なる減税をして、分離課税にして、源泉徴収にして一番少くなったもので三十五億である。実際これを総合課税にして累進課税にしたならば、これはおそらく数百億、それほどの犠牲を払うのである。こういう預金利子について、一番担税力のあるものに対して全免するというようなことをやって、今後果して公平な税の制度がとれるか。われわれはこれから農業課税の問題を論議しますが、こういう資産所得——遊んでおって利子が生まれてくるその利子に対して免税をしておいて、汗水たらしてたんぼで働く農民に対する課税が厳格にとれるか、その点、主税局長はその政策についてどこまで信念を持って戦われたか、あなたは初めから賛成されたのですか。またこれをやろうとする銀行局のやり方について十分の御批判をされたか、その心がまえをまずお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/36
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037・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 税の建前からいたしますれば、預金利子について特に全免しなければならぬという理由はございませんし、むしろ全免することが、負担の公平についてはそれを害するゆえんであるということは、奧村委員のおっしゃる通りだと思います。ただ現在の資本蓄積とか、いろいろな面から見まして、総合的に考えまして、やはりこの際としては臨時に税の減免をすることが日本経済全体のために、あるいは国民のためによいのだという結論に大蔵省としてなりましたので、一応われわれとしてはそういう結論にしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/37
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038・奧村又十郎
○奧村委員 それではお尋ねしますが、日本の税制度が立ち始まって、総合課税の際に預金利子、社債の利子を全免した例が今まであったか。またあったとすればその例はどういうものか。また世界各国の例で、英国にしてもドイツにしても、やはり国民貯蓄組合の制度のように、一定限度までの免税は認めてあるが、みな課税しておる。日本のようなこういうことをやっておる例があるか、それを一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/38
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039・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 従来の例としましては、国債利子について課税しなかった例はございます。しかし今度のように、預貯金利子とか社債利子、そこまで込めて課税しなかったことは、今回の案が初めてでございます。それから各国の税制の例を見てみますと、やはり国際利子について課税しないという事例は、部分的ではございますが、間々ございます。あるいは特定の銘柄を指定しまして、あるいは一定時期に発行されたものについて課税しない、こういう事例はございます。しかし普通の先進国といわれている国では、総合的な所得税をとっておりまして、預貯金利子について税金を全然課税しないという事例はないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/39
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040・奧村又十郎
○奧村委員 主税局長の御答弁によれば、日本においても、総合課税の制度をとってから預金利子に対して全免ということはいまだかってない。世界の各国にも例がない。そこで私は、詳しい資料がないが、たとえばドイツ、イギリスあたりでは、定期預金の利子は大体四分ないし五分と聞いておる。日本の場合は、ものによって違うのでしょうが、七分くらい。そうすると、各国よりも二分も利子が高い。そういう先進国が一定限度の範囲内だけ免税して、あとは総合課税をやっている。ところが日本では、利子がうんと高いにもかかわらず全免する。資本蓄積のためにそこまで租税制度をゆがめなければならぬ理由が、主税局長として認められるか。またそれほど資本蓄積をしたいならば、預金利子の免税よりもまだすべきことがある。配当の問題がある。そういうことの検討をなさったか、その点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/40
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041・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 その点につきましては、結局資本蓄積という観点からいたしまして、免税の提案をしているわけであります。そこで配当との関係はどうかということでいろいろお話になりました。これは、われわれの方で見てみますと、預金利子は、確かに現在十万円の国民貯蓄組合の問題もございますし、ほんとうの意味の低額所得者というわけのものではないと思っております。しかし配当所得者に比べますと、やはり預金利子関係になっております人たちは、それよるはるかに低い人が大部分じゃないだろうか。それからいわゆる低額所得者の人で、小さな額として預金利子を持っている人も多いのじゃないか、こういうような観点からしまして、配当と預金利子という点からいいますと、性格がやはり違うのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/41
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042・奧村又十郎
○奧村委員 ただいまの御答弁は、多少実際とは遠いと思う。国民貯蓄組合の十万円までの貯蓄の免税は、たとえば家族が五人あれば五人の名義にする。ひどい人になると、家族五人を十人の名義に分けて、百万円までくらいは免税の恩典を受けておる。しかもこれは、なおかつそれ以上に高額の所得者への恩典です。おそらく富裕税を受けるようた人への恩典です。これは局長もおわかりの上で答弁しておるのだろうから、これ以上突っ込んだって仕方がないが……。そこで、資料を要求して、私は後刻続けて御質問いたしたいと思う。銀行局長に資料を一つお願いします。金利が高い。そこで預金コストと、それから貸付利子とその間のさや。銀行はずいぶんもうかっておる。あるいはまた不急の金をどんどん使っておるが、そういう状態のところへなお恩典を与える。さすがは一萬田さんは銀行出身だから、それを手柄にやろうと思うのかもしれぬが、その資料を一つ十分出してもらって、重ねて御質問いたしたい。預金コストの平均、それから貸付の利率の平均、銀行の経理内容などについて。それからこれほどの犠牲をかけて制度を作るについては、おそらく銀行局長としても、今までの金融政策に一般と踏み切った、新しい画期的な政策をおとりになるはずだと思う。おとりにならなければわれわれがとるつもりだ。そうしなければこの法案は通せぬというふうに思っておるので、これは後日お聞きいたします。私の質疑はこれをもって一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/42
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043・春日一幸
○春日委員 ただいま自由党を代表されて奧村又十郎君の御質問がありまして、私どもが考えている事柄を代弁願ったようなものでありますが、いずれにいたしましても総括質問であります限り、党のそれぞれの御決定に基いての御意見であろうと考えられますので、後日そのような事柄については、私ども社会党左右両派が法案の修正をもって臨みますから、必ずや自由党の御同調を得られることと考えられますが、一つこの点は、特に奧村又十郎君並びに自由党の諸君には、前もってお含みあらんことをお願い申し上げておきます。
そこで、まず私は一つ御質問いたしたいのでありますが、窪谷管財局長は、国有財産の運営管理並びにその処分について独断専行のきらいなしとしない。従いまして、私はただいま次の資料をとりあえず要求せんとするものであります。
その一つは、地方財務局長あて窪谷局長から、国有財産の賃貸料評価に関する特別の通達が出されていると聞くのであります。その通達の趣旨は、その賃貸料評価の推算に当って、現今経済情勢の窮乏にかんがみまして特殊の措置が講じられております。それはすなわち、いろいろと推算をして、大体において標準は八割ないし九割という、これは二十八年度と二十九年度ですが、賃貸料の較差が生じて参るのであります。その際、これを一割高で頭切りをすることができるという通達が行われている。ただしこの場合、五大市はこれを除くという通達が出ているのであります。もとより法律の前に国民は平等でなければならない、しかも国有財産と国民との関係は特別の関係のものでなければなりませんのに、五大市の当事者に対してのみその特典の及ばない事柄について、それぞれ当事者からいろいろな苦情が出ておりますので、この通達の全文を本委員会に御提出を願いたいと思うのであります。
それから資料の第二は、さきに中小企業の設備更新のために、賠償機械が中小企業者に払い下げられる制度ができまして、この問題は地方財務局の手を通じ、府県庁の協力を得てこれが行われておるのであります。従いましてこの問題については、当然当時閣議において決定された事柄があると思うのでありますが、ただいまそこに、お手元にその閣議決定がおありであるならばこの際お聞かせ願いたい。なければ、その当時の閣議決定の文書を本委員会に御提出願いたいと思うのであります。とりあえず話を進めて参りますにつきまして、中小企業設備更新のための賠償機械の新規交換、この問題についての決定事項をここで御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/43
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044・窪谷直光
○窪谷政府委員 中小企業の設備改善のための国有機械の交換の問題につきましては、国有財産特別措置法に基きまして法律の御制定を願ったのであります。それに基きまして、実施の細目をきめますために政令が制定されております。それ以外には格別閣議決定が特別にあったというふうなことは承知いたしておりませんが、念のために、私が担任いたします前の事項でございますので、調査をいたして、もしございましたら、その決定の文書を御提出をいたしたいと思います。それまで若干時間の御猶予をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/44
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045・春日一幸
○春日委員 これは、当時賠償のために接収をされましたところの機械がある。これを中小企業の合理化、設備更新という意味で、いわば中小企業の保護育成という政治目的から、すなわち中小企業者が持っておりまする老朽機械と新しい機械との交換の制度ができましたその法律の精神は、もとより中小企業の指導育成ということにあったわけであります。そこで私どもの了承いたしておりますのは、当時の閣議決定でありまするか、通産省との申し合せでありまするか、いずれにいたしましても、これはすなわち中小企業者の負担とならざる方式をもって、中小企業者が持っておる古いものと改良された新しいものと取りかえる、こういう大方針が決定されておったと思うのであります。ところがその後の実際の運営は、必ずしもそのように行われていないのであります。陳情がいろいろと出ておりますが、その資料によりますると、はなはだしきものになりますると、これが市価の倍近いようなばかばかしい評価をもって行われており、中小企業者は、その評価を、もってしては、せっかくの制度であるけれども、とてもとてもそんな国有機械の払い下げを受けるよりも、むしろ市場で買った方が安くつく、こういうような矛盾撞着を生じておるということを、その発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X00519550510/45
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