1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年五月二十日(金曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 内藤 友明君 理事 大平 正芳君
理事 奧村又十郎君 理事 横路 節雄君
理事 春日 一幸君
有馬 英治君 宇都宮徳馬君
遠藤 三郎君 杉浦 武雄君
中山 榮一君 坊 秀男君
前田房之助君 森下 國雄君
山本 勝市君 淺香 忠雄君
川野 芳滿君 黒金 泰美君
薄田 美朝君 古川 丈吉君
石村 英雄君 石山 權作君
木原津與志君 横山 利秋君
井上 良二君 川島 金次君
田万 廣文君 平岡忠次郎君
町村 金五君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局長) 森永貞一郎君
大蔵事務官
(主税局長) 渡辺喜久造君
大蔵事務官
(理財局長) 阪田 泰二君
大蔵事務官
(管財局長) 窪谷 直光君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
国税庁長官 平田敬一郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(国税庁次長) 大槻 義公君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
—————————————
本日の会議に付した案件
公聴会開会承認要求の件
連合審査会開会の件
連合審査会開会申入れの件
農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるた
めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内
閣提出第七号)
昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に
対して米麦を特別価格で売り渡したことにより
食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための
一般会計からの繰入金に関する法律案(内閣提
出第八号)
漁船再保険特別会計における給与保険の再保険
事業について生じた損失をうめるための一般会
計からの繰入金に関する法律案(内閣提出第九
号)
臨時通貨法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一〇号)
あへん特別会計法案(内閣提出第一一号)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一六号)
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二一号)
日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二八号)
地方道路税法案(内閣提出第三一号)
輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法
律案(内閣提出第三三号国税徴収法の一部を改
正する法律案(内閣提出第三四号)
砂糖消費税法案(内閣提出第三五号)
昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十
年度における国債整理基金に充てるべき資金の
繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出第三六号)
租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第四一号)
厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案
(内閣提出第四六号)
開拓者資金融通特別会計法の一部を改正する法
律案(内閣提出第四七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/0
-
001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたします。当委員会に付託されている歳入法案中の所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、地方道路税法案、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、来たる二十七日公聴会を開きたいと存じますが、これに関する議長に対する公聴会開会承認要求の手続、さらに公聴会開会に関する公示、公述人の選定等の手続などにつきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/1
-
002・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/2
-
003・松原喜之次
○松原委員長 連合審査会開会の件についてお諮りいたします。社会労働委員会より、あへん特別会計法案について連合審査会の開会の申し入れがあります。また建設委員会より、地方道路税法案について連合審査会開会の申し入れがあります。これをいずれも受諾して連合審査会を開くことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/3
-
004・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお地方行政委員会において審査中の地方道路譲与税法案につきまして、当委員会より連合審査会開会を申し入れ、さらに地方行政委員会より、地方道路税法案について、連合審査会開会の申し入れがあったときは、これを受諾することとし、でき得れば先ほど決定いたしました建設委員会との連合審査会とあわせて地方道路法案及び地方道路譲与税法案の両法案について、三委員会の連合審査会を開会するよう取り計らいたいと存じまするが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/4
-
005・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
なお連合審査会開会の日時は、委員長間の協議によって決定いたしますが、大体来たる二十四日午前中に社会労働委員会と、同日午後に地方行政委員会及び建設委員会との連合審査会を開く予定でございますので、あらかじめ御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/5
-
006・松原喜之次
○松原委員長 農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案外十六法律案を一括議題として質疑を続行いたします。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/6
-
007・横山利秋
○横山委員 これは委員長にお願いをいたしますが、委員長初め、本日は野党側、特に社会党側が非常にたくさん出席をして、大蔵大臣にお伺いをしようと思っておりますので、与党側——自由党の皆さんもそうではございましょうけれども、非常に御出席が悪いので、至急御出席方を一つ手配を願いたいと思います。
大蔵大臣にお伺いをいたします。政府が今次総選挙に当って、大体税制において重点を置いて公約されておりましたのは、いろいろございますが、これを要約いたしますならば、中小企業に対して軽減措置をとること、低額所得者に対して税の軽減をすること、同時にまた複雑多岐なる税制をこの際根本的に改革すること、この三点にあろうかと思うのであります。しかしながらこの三点——今日提案をされております諸般の税制に関する法案を見てみますと、いずれも政府与党の最も主張しておりました三点の片鱗も見えないことを私は遺憾といたし、主として大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思うのです。
その第一は、中小企業に対する軽減措置について、いかに政府は今回公約履行をしようとせられておるのか、その法案はどういうものがあるか、まずそれを大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/7
-
008・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。法人につきましては、これは一般法人と同じでありますが、四二%から四〇%、それから地方税でありますが、個人事業税の基礎控除を引き上げる。それから所得税の減税におきまして、低額所得者というのは別だろうと思いますが、中小企業はこういう面からも恩典を受ける。なおこの中小企業につきましては、単に税ばかりではなく、金融面からも相当処置すべき点があろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/8
-
009・横山利秋
○横山委員 ただいま税関係については三つの点に集約をされたようでありますが、第一にその法人税についてであります。法人税を四二%から四〇%にお下げになったことはよく承知をいたしております。しかしそれは、大法人にしても中小法人にしても一律に下げられたところであって、何ら中小企業に対する税の軽減という目的を達しておらない。すでに二月総選挙に際して、全国事業税反対対策協議会なる大きな中小企業の団体に対して、政府並びに与党から正式に、大企業に対する各種特典を大幅に制限する意図を持っておられるかいなかという質問に対して、行き過ぎは認めるが、中小企業も特典を活用し恩恵を受ければよい、大企業の特典の多過ぎることは認めると回答をしておられるのです。今日大企業に対して、この法人税を中心として非常に特典があることは、すでに各方面において認めておるところであります。また政府においても、これまた認められたところであろうと思います。そういうふうに認めながら、何ゆえ四二%を一律に四〇%にせられたのか、この点を重ねてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/9
-
010・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。いずれまた詳しい専門的なことは、政府委員から十分補足答弁をさせますが、これは私の考えでありますけれども、むろん規模が小さくあっても、法人に与えてある税法上のいろいろな特典はみな均霑することだと思います。同時に中小企業の法人は、他面実質は個人企業であるが、個人を税の関係から法人の形態にしているというようなものは、実際上非常に多いだろうと思います。こういう面からみても、中小企業の法人は、実質的には相当税法上の優遇を受けたことになるというふうにも考えてそういう均衡といいますか、関係も考慮しなくてはならぬ、こういうように考えて、今回は一般法人につきましては一律に四二%を四〇%に下げる、こういうふうにしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/10
-
011・横山利秋
○横山委員 私は今大臣に、抽象的な答弁を求めようとは思いません。正式に、大法人に特典が多過ぎる、実効税率上においても明白になっておるように、御回答になったように、大法人に特典が多過ぎるという事実を大臣はお認めになるかどうか、その点を重ねてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/11
-
012・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 多過ぎるかどうかという点、これはいろいろと幾つも条件があると思いますから、政府委員から答弁をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/12
-
013・横山利秋
○横山委員 おそらく金融専門の大臣としては、大法人と小法人との実効税率についての御研究が、率直なことを言ってまだお足りにならないのではないかと私は思うのです。この際ぜひとも認識を新たにして、一律四〇%、一律二%を低減した方式というものがいかに大きなあやまちを犯しておるかという点について、御理解を願わなければなりません。これは私どもが申すばかりでなく、すでに大蔵省において昨年御調査をなさった結果が現われておるわけであります。きのういただきました資本金一億円以上の法人の繰入金額調というものを見ましても、明らかなところでありますし、その次の五百万円未満の法人の云々の状況と比較をいたしましても、これは明らかなところであります。大蔵省の調査を別な資料からとってみますと、小法人では、東京都内五百万円未満の七百三十六社を調べられた結果によりますと、四二%よりも低い利益を得られておるのは、小法人ではわずかに二百五社くらいしかない。なぜかというと、第一には、特典というものが小法人にはほとんど影響がない。また第二には、複雑多岐であって、これらの特典を利用すべき人件費その他について小法人ではやりようがない。これに反して大法人の一億円以上の実効税率を調べてみますと、二十五年の上半期では三六%、下半期で三一・八%、二十六年に至ると三三・一%が上半期、下半期は三二・九%、二十七年度は上半期が三二、下半期は二八、二十八年度二八・七から二七・八、二十九年度になりますとまさに二六・一%にまで実効税率が落ちているのです。このようなことは、単に法律上の面から見て同率である、だから大法人も中小法人も同じように下げたという理屈では、絶対に中小法人なり中小企業者は納得するどころではありません。すでにこの実効税率を調べられて、その特典が大法人に多過ぎることは、党も、また政府も認めておられるところでありますのに、何がゆえに今日もまた一般的な形式上の二%を下げられたのか、そのゆえんをさらに重ねて大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/13
-
014・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 政府委員から詳しく答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/14
-
015・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 よくいわれます実効税率の問題につきましては、この間も横路委員に対して多少お答えいたしましたが、われわれかなり疑問を持っております。と申しますのは、現在よくいわれております、措置法なり法人税法なりによるいろいろな特典といわれているものの中を見てみますと、金額的に一番大きいのは貸し倒れ準備金、退職手当準備金、価格変動準備金、この三つが一番大きなものでございます。これらの準備金につきましては、価格変動準備金は特別措置法に規定されておりますが、退職の準備金と貸し倒れ準備金は法人税法の方の規定になっております。会計原則におきましても、やはりこういう準備金を積んでおいて、一応その期、その期における突発的な上り下りといいますか、利益の上下するやつは調整すべきだ、こういうふうな理論がございます。価格変動準備金につきましては、かつては税法の上には規定がございませんでしたが、一応取扱いの上でもって、一割程度の評価減をするということは認めていたこともございます。そういうような意味におきまして、いわゆる実効税率といいますのは、そういう準備金は、これはほんとうにフェーヴァという考えに立ちまして、準備金を積み立てない前の利益がほんとうの利益であって、積み立てた後においての利益は、いわばフェーヴァを与えられた後の利益である。従って積立金を積み立てない前の利益でもって実際の税率を割ったのがほんとうの税率だといったような意味の実効税率という言葉のように聞いております。しかしわれわれは、今言ったように会計原則的に、やはり認められておるある程度の準備金というものは、特別のフェーヴァとして考えなくていいものじゃないだろうかという点も一点考えております。しかしそれはそれとしまして、一応それでは、そういういわば前の実効税率的な理論に立って計算してみたらどうなるだろうという点を出しましたのが、そこに御提出申し上げました数字でございますが、二十八年二月から二十九年三月までをとってみますと、一割一分くらいマイナスになるという数字が一応そこに出るわけでございます。この中で、たとえば渇水準備金とか特別修繕引当金というのがございますが、渇水準備金というのは電力会社が積み立てておるものでごいます。ある年においては非常に豊水である。これを豊水であるがゆえに、すぐそこでもって税金をかけてしまう。そうすると渇水の年には非常に石炭をたかなければならぬがゆえに赤字になる。そういうのが会社としても非常に因るからといったような、ある意味における利益の平準化の思想、それから特別修繕引当金といいますのは、溶鉱炉の分でございます。溶鉱炉は五年くらいいたしますと、れんがを全部巻きかえなければならぬ、その分についての引き当てをしておるのであります。これはある意味においての一つの減価償却的なものと考えられるものと考えております。しかしそういった意味におきまして、これはいずれも特殊なものでございまして一一%になる。小法人はどうかという点について、これは私自分で税務署に行ってだいぶひねくり回してみたのですが、小法人におきまして、最近の利用状況はかなりふえてきております。これはこういう準備金の制度が最近非常に使いやすいというふうに漸次改められてきておるということが一つの理由ではないかと思っております。価格変動準備金は、従前におきましては、時価の一割減まで価格変動準備金を積み立てることができる、こういう制度になっておりましたために、一々時価を評価しなければならぬ。大法人はそれができますが、小法人はできないということのゆえに、今まで使いにくかった。現在におきましては、時価または原価の一割減ということになっております。原価さえわかればとにかく積み立て得るというので、使いやすくなっておる。貸し倒れ準備金につきましても、これは非常に簡単でございまして、使い方もふえておりますし、限度一ぱいにお使いになれば、そこにありますように、大体大法人と似たり寄ったり。退職積立金につきましては、私は小法人は別の理由からなかなか積み立てにくい理由というものがあろうと思いますが、価格変動と貸し倒れだけを使いましても相当率が変って参ります。どうもこの方が使いにくいという理由がよくわからないというふうに感じております。それと同時に、もう一つ御参考に申し上げておきたいと思いますが、現在の法人税は昔の法人税と違いまして、法人自体についての担税能力といったところから問題が出ているのじゃなくて、いわげ配当といいますか、個人の所得税の前取りだ、こういう考え方でできていて、これはシャウプ税制以来でありますが、配当で二割五分控除しておるのはその理由でございますが、その点を考えて参りますと、どうも大きな会社の場合におきましても、小さな所得の株主もございますし、それからいわゆる小法人、小法人とおっしゃいますが、これは個人の所得者に直してみますと、少くとも五十万以上、百万、二百万といった事業者が、いわゆる小法人という名前で話題に出ているわけでございまして、そういうことを考えて参りますと、個人の事業者の負担とも十分権衡をとる必要がある。その意味におきまして、今度の税制改正におきましては、まずもって個人の中小企業者を中心にして減税を行っていくべきじゃないか。それで先ほど大臣が申し上げたような意味の改正案を提出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/15
-
016・横山利秋
○横山委員 しまいにきてひっかかるお言葉が出てしまったのです。私は法人を中心にして第一にお伺いをいたしているのですが、結果的に大臣にお伺いしますが、この法人税の減税については、中小企業の法人についての特別な軽減措置というものは公約されたけれども、法人税については行われ得なかったことをお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/16
-
017・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。その意味は、たとえばほかの大法人に比して中小企業に特別税を負ける、そういうことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/17
-
018・横山利秋
○横山委員 そういたしますと、政府が選挙に当って天下に公約されました、中小企業の軽減措置については、法人税については行い得なかった、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/18
-
019・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/19
-
020・横山利秋
○横山委員 第二番目に、この中小企業に対して、このたびまた重ねて増税があるのです。それは言うまでもなく揮発油税並びに地方道路税、この二つの税を中心にして、去年二千円上げましたものが、さらに本年二千円、わずか一年の間に四千円を上げる、こういう提案が今政府からされておるわけでありますが、一体この二千円上げようとするのは、揮発油が安いからなさろうとするのか。それとも政府の提案では三百三十二億というのでありますが、その道路なり何なりを直そうとするからなさるのか、どちらにほんとうの目的があるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/20
-
021・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。これは両方と申しますか、揮発油の価格、それから地方に財源を与えて、そうして道を作っていく、そういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/21
-
022・横山利秋
○横山委員 一年間に四千円といいますと、まず一キロリッタ一当りでも三割八分ですか、そのくらいの増税になる。今日減税の時代に、かくもべらぼうなたくさんの増税をほかになさったものがありましょうか。何がゆえにこれだけたくさんの増税をなさろうとするのでありましょう。世間が一般に減税の時代だといっておる、政府もまた減税をするといっておる。減税をするといったことを国民が一般常識的に考えておりますのは、増税をしない、こういうように認識をしておるはずでありましょう。その一般的な認識を裏切って、しかるに一年の間に二回にわたって三割何分というたくさんの増税をするゆえんも、ひとつ納得のできるように大臣から御説明を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/22
-
023・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ガソリンの税率にしても価格にしても、この程度の増税をしてもそう特に他と比べて高いと考えていない。特にガソリン税を取りまして、これは御承知のように道路を大規模にやっていく、地方の団体から見れば非常にそのために財源が枯渇をする、苦しい財政に追い込まれる、こういうようなことで、諸般の、今申し上げましたようないろいろな条件を考えまして、今回二千円引き上げて四千円を地方に譲与する、こう考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/23
-
024・横山利秋
○横山委員 他と比較して揮発油が安いというのは、大臣はどのような根拠でそれをおっしゃるのか、何と比べておられるのか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/24
-
025・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 一応これは比較の問題でありまして、これがどれだけの論拠を持つかという点については御議論があると思っておりますが、各国の事例を見て参りますと、たとえばイギリスにおきましては一キロリッター、一応これは税抜きの価格に対する税金の割合ですが十六割三分、フランスが十二割五分、ベルギーが十七割五分、西ドイツは一番高い方でございまして二十一割四分、イタリーは二十四割九分、日本でございますと五割二分というのが現状でございます。もちろん揮発油税というものにつきましてどれだけの担税力を揮発油に認めるか、これはいろいろ議論があるのでありますが、何といたしましても道路をよくしようということが当面非常に要請されている。それで道路五ヵ年計画というものができております。この通路五ヵ年計画に揮発油税の財源は繰り入れなければならない。それは国会で成立しました法律にそうなっているわけです。その場合におきまして、どうも裏づけであります地方の財源が十分にめんどうをみてない。従って揮発油の税収がふえればふえるほど道路費用はふえますが、それだけに地方の財源はいよいよ足りなくなってくるというのが現在の仕組みになっておりますから、これでは地方財政が因っている現状におきましては、ちょっと仕事ができません。そこで昨年上げました二千円に相当します部分、それに合せましてもう二千円だけやはり地方に財源を与えたい。そうしませんと、どうも道路五ヵ年計画はとうてい成立できないのではないかという観点に立って、今度の引き上げを提案しているわけであります。
〔委員長退席、横路委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/25
-
026・横山利秋
○横山委員 これは私も驚いたのでありますが、他の物価と比較してというのは、総合的に言って日本の他の国内物価と比較してである。というのはどの物価であろうかと私は頭の中で想像しておったのであります。これ一つだけ取り上げて、外国の揮発油と比較して安いのか高いのかと、こう議論なさるのはまことに意外のことと思う。いわんや二千円を二回にわたって上げる、この二千円上げることによって運賃なり、あるいは一般物価に影響することをお考えなさらず、外国の揮発油と比較して安い高いということは、とうてい今日の議論とならないと思う。それはさておくといたしまして、この揮発油税あわせて三百三十二億の算出の根拠になっております点について、先般も御質問しましたが、この際一つ大臣にお伺いをしておきたいと思う。この根拠となっておりますのは、年間消費量が、先般の局長のお話ですと、一年の消費量が二百五十万キロリッターということでありました。ところがすでに消費者はもちろん、これに関連をいたしました各方面においては、本年度の消費量は二百六十八万キロリッターとして通産省、大蔵省の間の了解が立ち、この数字がはじき出されているということは隠れもない事実であります。十八万キロリッターのサバを見て、それによって見てみましても、二十四億の水増し財源がここに隠されているということは隠れもない事実でありまして、ふんまんにたえないところになっているわけであります。一体こういうことをどうしてなさるのか、この揮発油が安いから上げるとか、あるいは道路が何とかいいましても、もっとこれは正確に、すなおにこの国会に審議をお求めになる必要があるのではないか、なぜそういうふうな水増しをここに盛っておられるのか、大蔵大臣の誠意のある御答弁をお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/26
-
027・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そういうように大蔵省が了解を与えていることはないと思います。何も私は承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/27
-
028・横山利秋
○横山委員 おそらくそういうような御答弁であろうと思いました。しかしながら、しからば翻って考えてみますると、きのう政府からもらいました表を見てみますると、二十五年度以降揮発油の消費量並びに揮発油税の予算額及び収入額を見ますると、二十九年度と三十年度の合計で、わずか四千四百キロリットルしか増加がない、こういうことで、去年とことしでは揮発油の消費量が四千四百キロリットルだけしか増加しないということは、私どもが納得する数字であると思いますか。一体本年上半期の外貨割当量がすでにきまって新聞に載っておるわけでありますが、この中で、上半期において揮発油の消費量としてきまった数字は幾らでありますか、何キロリットルでありますか、大臣は御承知でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/28
-
029・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 ちょっと事務的な数字になりますので、私からあらかじめ御答弁さしていただきたいと思います。現在横山さんの御比較になりました分は、これは課税引取数量についての御比較のようでございます。それでその増加量が非常に少いというお話でございますが、実は二十九年度におきましては、当委員会でもいろいろな御論議がありまして、揮発油税の徴収の猶予期間を実は半月短縮いたしました。従いまして、二十九年度に入っております数字は、十二ヵ月分でございませんで、十二ヵ月半分実は入っております。従いまして、その点を一応計算を補正した上で比較していただくとすれば、現在やはりそこにある程度の増加が見込まれているということは御了解願えるものだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/29
-
030・横山利秋
○横山委員 それは理解をしております。理解をしてなおかつ少な過ぎる。少な過ぎるということは、ここに水増し量があるのであるということになるわけです。先ほど御質問いたしました、これはこまかい数字でえらい恐縮でありますが、大臣よく聞いておいていただきたい。最後にあなたに、こういうわけだからこそということになるわけです。先ほど聞きました本年上半期の外貨割当に使いました揮発油の消費量は、幾らでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/30
-
031・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 上半期の分につきましては、御承知のように現在は相当原油でもって入ってきておりまして、そして国内で精製しまして揮発油にするというので、それから一応の揮発油の数量が積算できるはずでございますが、今ちょっと手元に持っておりませんので、至急取り寄せたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/31
-
032・横山利秋
○横山委員 手元になければ、私の言う数字が間違っておったら訂正して下さい。百二十六万キロリットルです。それを今度は計算をして行きましょう。百二十六万キロリットル、かりに下半期と同じであってもすでに二百五十二万キロリットルです。あなたの方の年間消費量の数字とぴしゃっと合うわけです。しかし常識的に考えましても、今年は三割自動車がふえるだろうといわれておる。また年末年始の輸送が相当あるだろうということが勘定に上せられておるわけなのです。自衛隊やあるいはまた飛行機の揮発油の増加量もまた当然考えられる、また毎年毎年の外貨の割当を上半期と下半期と比べますと、当然下半期が多いのです。従って政府自体が百二十六万ときめられ、そして下半期を想定した場合に、絶対二百五十というばかげた数字は出るはずがございません。しかも、もうこれ以上申し上げるのはいかがかと思われるのでありますが、大蔵省と通産省と運輸省との合議の際に、大蔵省としても、税制の関係上これだけの数字に考慮してもらいたいということをいわれておるはずでございます。二百五十はその数字よりも少いのであります。かかるばかげたことをおやりになって、そうして、だから二千円上げるということは、絶対にこれは納得ができないところなのです。従って大臣に、最後に一つこの問題についてお伺いをいたしますが、このような水増しをしてそうして簡単な計算だけでも二十四億、そのほか先般も言いましたように、府県へ渡る金が、道路に使う金が警察費に渡ったり、いろいろな方面に渡っております金がございます。私の知っている県だけでも、五、六県でこの問題が県会で問題になりました。そういうことをさせておいて、二千円値上げだ。しかもその二千円値上げが実際には水増しを数十億も考えておるような、こういうやり方で、私どもはこれはあるいはだまされるかもしれない。しかし国民が知っておるのです。こういうようなことではいかぬ。毎年々々年度当初の消費見込みとなるものと実績というものはべらぼうもなく違っておる。予算額に比しましても、最後の決算とべらぼうもなく違っておる。揮発油税に関する限りは、政府の年度当初の引取数量、消費見込みと、それから予算額というものは、絶対に決算の場合には非常な違いをしておる。従ってことし二百五十万キロリットルといっても、これは過去の実績もそうであります。これは理解のできないことになっておる。いっても揮発油税並びに譲与税については再検討をされて、納得のいく数字を率直に、一つ正直に出してもらって、それで検討を私どもに願われるようにしなくては、この両税法案については、これは審議の対象にもならぬと、私はそう考えるのでありますが、大臣の誠意のある答弁を一つ重ねてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/32
-
033・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。その数字につきましては、私は今お話のようなことはないと思っております。なお、そういう金の使途につきましていろいろ御注意もありましたので、十分注意をいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/33
-
034・横山利秋
○横山委員 大臣にもう一面お尋ねいたします。そのようなことはないと思いますとおっしゃいますけれども、今私がるるとお話ししたことは御理解なさいましたか、それについて再検討されますか、再検討されないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/34
-
035・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 数字のことでありますから、幾ら見てもよろしいのでありまするが、今基礎になっておる数字は、これは正しい数字と私は確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/35
-
036・横山利秋
○横山委員 あまりにこれは誠意がなさ過ぎると思うのです。正しいと思うならば、私が申し上げた点について、大臣はそれに対して、お前の言うのは間違っておるという根拠を、大臣としては御承知でございましょうか。今主税局長がお答えなさろうとしておるのですけれども、主税局長が説明されておることについて、大臣としては間違っていないとおっしゃるならばいざ知らず、まだ十分に御理解になっていないのに、間違っていないということを答弁なさるのはいかがかと思うのですが、その点私の言ったことについて、私が言っておることが間違っておるなら間違っておるとして、具体的に大臣として御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/36
-
037・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 大蔵省から出してある数字は間違っていないのであります。その間違っていないことについて、主税局長から説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/37
-
038・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、運輸省などでもって二百六十八という数字を言っておることは、われわれは聞いております。ただ大蔵省としましては、大体二百五十くらいで、これは主として外貨の関係でございますが、何とか片づけていきたいということを主張しておりました。まだ話がきまっておりません。従いましてわれわれとしましては、予算を組む場合におきましては、一応大蔵省で主張している数字で大体考えていかざるを得ないというのが現状でございます。それで、一言つけ加えさせていただきたいと思いますが、現在の法律の建前で参りますると、まあまだきまってないのだから、あるいはそれよりふえるのじゃないか、こういうお話は当然あると思いますが、もし最後の決定でふえまして実績がふえて参りますと、そのふえた分だけは、これは翌年度以降におきまして道路財源に繰り入れなければならぬ、こういう一応の建前になっております。従いまして、横山委員のお話でございますと、たとえば二十何億そこでもって財源があるじゃないか、それを地方の財源に回せば、あえて揮発油税を上げなくてもいいじゃないか、こういうふうな御意見のように承わるのでございますが、現在の道路関係の法律の建前からいきますと、もしも二十五億そこに増収があったといたしますと、その増収のあった分は、今度は翌年度以降におきまして、地方の道路に使わなければならぬ、こういう束縛がそこにあるわけでございます。そうしますと、先ほど申しましたように、地方におきましては、それの全部の裏づけができておりませんものでございますから、増収があればあるほど地方財源が減ってくる。従いまして、道路の法律の全体の建前をころっと変えまして、それだけの増収がある場合には道路の事業はそれ以上ふやさぬ、従ってそれはむしろ地方の財源に充てるのだ、こういうふうに法律全体の建前を組みかえますれば、たとえば増収がありましても、お話しのような点は解決するかと思いますが、現在の道路関係の法律の建前からいきますと、増収があればあっただけ国の費用がふえるのであります。従いまして、裏づけとしての地方の道路費用はいよいよもって財源的には減ってくる。こういう建前になっておりますから、その考え方が一応あのままである限りにおきましては、やはり地方の財源を見るというときには、増収問題とは別個にどうしても考えなければならぬのじゃないか、こういう考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/38
-
039・横山利秋
○横山委員 道路が悪くて金が要るということは、わからないはずがない。しかしながらあなたの御答弁は、その反面において、一年間に四千円も上げられる。関連業者あるいは間接的な影響を受ける国民の生活ということについては、懸念をお考えになっていないようであります。その点を二回目のこの二千円値上げについては重点を置いて考えるべきではありませんか。それについて考えもなさらずに、ただ道路ということでは理解ができかねるところであります。それはさておきまして、地方譲与税、揮発油税を年間四千円も上げる。この税金については、先ほど指摘いたしましたような水増しもございます。この際ぜひとも数字の上においても、内容の点についても、いま一度再検討していただくように一つ私は要望しておきたいと思う。
時間がございませんから次に移ります。第二番目の低額所得者の税の軽減の問題については、自由党の奧村君がきのういろいろと数字をあげられました。全くそれは同感であります。しかし改正の率については、私どもとしては少し異論のところがあるのでありますが、根底となる思想については、全く同感なのであります。きのうは減税の結果について、中間がよくなって、いわゆるほんとうのすなおな意味における低額所得者は少しもよくならぬ、こういう結論を下されております。事実その通りであります。一万五千円引き上げるにいたしましても、これは月に五万五千円から七万五千円くらいの人たちが恩典を受けるだけであります。ほかのほんとうの低額所得の人たちに対しては恩典がございません。扶養控除をそのままにせられたことも、また同じような結果を来たすと思うわけであります。一体、低額所得者の税の軽減というすなおな実行をなぜなさらないのでありましょうか。この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/39
-
040・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今回の所得税の改正におきましては、いろいろと考え方はあるかもしれませんが、私どもの考え方としては、低額所得者に対しても軽減ができておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/40
-
041・横山利秋
○横山委員 これ以上は議論になるからどうかと思いますが、低額所得者の税の軽減というその理解は、大臣と一般国民との間に違いがあるのでありましょうか、そういうことはないと思うのです。低額所得者とは、言うなれば給料の安い者、所得の少い者、暮しに困っておる者のことであります。ところがあなたの方の今回出されております案はそうではないのです。中間層が一番軽減されるのです。低額所得者はそれと比較して軽減されないのです。大臣、一体このことは御承知でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/41
-
042・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私の考えでは、あるいは私誤解しておるかもしれませんが、御質問の要旨は、所得の少い人に絶対的な額で税はたくさん軽減さるべきであるという御意見かと思います。今回の税の改革におきましても、割合から見れば、低額所得者は決して軽減額が小さくなっていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/42
-
043・横山利秋
○横山委員 これは率直に申しますけれども、大臣は今までずっと金融の方をやっていらっしゃって、税制に関しては、こまかい数字について御検討なさる機会がなかったかと思うのです。この際ぜひとも数字的に御検討されて、特に法人税ならびに所得税については、あなたがうたっておられたことと今ここに出ておる案とは格段の違いがある、公約のすなおな実行という点とかけ離れた点があるので、もう一度謙虚な態度で御検討をしていただきたい。低額所得者は、文字通り給料の少い者であります。そういうものが一番たくさん税金が少くなる、あるいはただになる、こういう方向をお選びになってこそ、初めて公約が完全に履行されたということになるのであります。まん中だけ一番税を安くするというのであれば、それは中額所得者の税の軽減というように公約をお改めにならなければならないのであります。今回はそれが違うのであります。この点はいささか大臣の認識不足ということに相なるだろうと思います。もう一度よくこれは御検討を願いたい。
時間もございませんので、最後に簡単なことを大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、昭和二十七年以来国有機械の交換払い下げが始まりました。ところが簡単に申しますと、御存じかとは思いますが、昨年評価額の改訂をされまして、非常な高額になりました。それで今まで需要があったものが一頓坐をいたしております。その間において、機械は私も見てきましたが、国有機械は破れほうだい、こわれほうだいの家屋に手入れも十分でないままに放置されておるわけであります。値段が高くなったので、中小企業の皆さんはのどから手が出るほどほしがっておっても高ねの花になってしまいました。これについては、会計検査院から少し安過ぎるではないかという御忠告があって、大蔵省としては高くされたそうでありますけれども、本来の国有財産特別措置法の趣旨にかんがみますときには、法の趣旨に逆行した、こういう事情になっていると私は確信をいたします。この国有財産の払い下げについて、今度法案が準備されているそうでありますが、どういう法案が出るかということは事務当局からお伺いしまして大臣としては、今日の現状について改善の意思があるか、どういうふうにされようとするのかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/43
-
044・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 国有財産の払い下げについては、むろん諸般の事情を考えまして、他に御迷惑にならぬようにしなければならないのは言うまでもありませんが、同時に払い下ぐべきものは早く処理するのがいいという考え方を私はいたしております。先ほどちょっと話があったかと思うのですが、機械なんかで、たくさんの機械が雨ざらしになってさびついてしまっているのは、はなはだ私も遺憾にいたしております。特にこういう機械で、もしも十分使えるものがあれば、こういう機械こそ中小企業あたりに特に払い下げるということも考えていいのではないかというふうに思っております。できるだけ国有財産払い下げについては、国有財産の払い下げというに値するような処置を十分とっていきたいと考えております。なおこまかいことは政府委員から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/44
-
045・窪谷直光
○窪谷政府委員 大臣の御説明に若干補足して申し上げますが、払い下げ値段と申しますか、交換の価格と申しますか、これは最近非常に高いという話を私どもも聞いております。これは両方の御批判がございまして、高過ぎるという御批判と低過ぎるという御批判と両方あったのでございます。それで私どもとしては、従来のやり方が大体適正なところではなかろうかということでやっておったのでありますけれども、両方の御批判があるものですから、また昨年の秋に十分に検討をいたしました結果、どうも一般的な基準としては安過ぎたということを私ども認めざるを得ないということから、昨年の秋一般的な基準の引き上げをいたしたのであります。ところが引き上げをいたしてみますと、どうも従来の価格に比べまして、相当の値上りになったものでありますから、これでは困るという声がことに中小企業の方から出て参りました。これで私どもとしては、またさらにこれでは再検討しなければならぬというので、価格の基準自体を目下再検討いたしておりますが、そのほかに法案の準備をいたしておりますのは、時価の算定を適正にいたしますと同時に、さらにその時価から何割かの減額をして交換に応ずるということによって中小企業の設備の改善に寄与するということが、この際としては適当な措置ではないかということで、目下立案をいたしております。まもなく御審議を仰ぐことができることになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/45
-
046・横路節雄
○横路委員長代理 石山委員発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/46
-
047・石山權作
○石山委員 私たち昔から納税の義務ということを何回も何回も頭にたたき込まれているので、大いに納税の成績は上げたい。しかし納税の成績は上っても、使い道によってはいろいろともんちゃくがあるというのは当然だと思います。今回の民主党内閣の場合、特に第二次内閣ができる場合には、大蔵大臣はいろいろなうまいことを言っておりました。たしか八合目においてミルクを飲ましてやるとか、いろいろ減税をするとか言っていたようでございますが、今回の予算全般を見ますと、どうもわれわれの方の税金とにらみ合せて見て、不要不急の面が多々あるように思われてなりません。特に六ヵ年計画経済をやるというような触れ込みでございましたけれども、予算面を見てみますと、どこに一体六ヵ年計画の精神があるのか。蔵相がミルクを飲ますというのは一体どこにミルクを飲ましているのか。こういう疑問を持たざるを得ないのでございます。私は特に今回の場合、納税の義務を感じている、こういう納税の成績を上げたいという腹がまえでございます。それだけに、歳入における要素をよく見きわめるためにも、大臣が今回の予算に組んだ点について、腹にあることを率直に言ってもらうことによって、今後のわれわれの審議に非常に好都合である。これは大臣としては非常に説明しやすくて、むしろわれわれに説教するというような立場にもあるわけの好題目なんですから、大いにお話しをしていただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/47
-
048・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。二十九年度の予算は、御承知のように一兆円である。それから日本の経済の地固め、特に貿易に依存している日本として、国際競争力を考える場合に、いよいよ地固めを完成する必要があるという意味で、三十年度も一兆円の予算。こういうふうな財政をやっていきますと、ここに必ず困る方がある。特に社会を構成している層の中で、弱い層に私はどうしてもしわが寄るといいますか、苦労がかかり過ぎるということは否定し得ないだろうと思う。そういう階層の方々には、一年目のデフレで相当経済も進んで来ているから、二年目のデフレの過程において、ある程度手を差し伸べつつ二年度をやっていく必要があるという意味で、先ほどお話しがありましたような表現もあったのであります。それが具体的には、一兆円の予算を組むという関係からもありますが、いろいろと批判があることはやむを得ないと思います。具体的には、それが実は私の考えでは低額者の減税になり、それから住宅に至り、それからむろんいろいろと金額の問題は制約を受けておりますが、できるだけいろいろな社会保障とか失業者の手当、こういうようなことになる。これが私の考えであったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/48
-
049・石山權作
○石山委員 大臣のきのうからの話を聞いていると、貿易を非常に重大視している。これはもちろんのことと思いますが、貿易をなす場合に、よくいわれている為替レートの問題とコストの問題が当然起きてくると思いますが、為替レートは、大臣が毎回言われているように、簡単にいじらないということはわかるのでありますが、コストの問題になりますと、今までの例から言いますと、コストを引き下げるための企業整備、合理化をしなければならないと言われている。企業整備と合理化は、われわれの概念からすれば、まず質金ストップ、首切り、工場閉鎖、こういうことをやることによって合理化が行われ、コストが引き下るということを言っておりますが、それと同じことを今回も考えていられるかどうか。自由党の在来のとってきたコスト引き下げの方法を探してみますと、ほとんどそれに尽きると思う。新しくできた民主党も、コスト引き下げの題目としては、そういうことを勘定に入れているかどうかということを私はお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/49
-
050・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 コストの引き下げについて、どういうところを取り上げるべきかということについては、これはそのときの経済のある姿を把握してやるのでなくてはならない。原則的には、私の考えでは、自由党の内閣でも、民主党内閣でも、みなこれ資本主義、自由主義に立脚している経済である。これは、基本的な考え方は変ることはないと思っております。特に貿易をいかにして、生産コストをいかに下げるかという考え方の基本において違ったことはない。ただ今日私どもが、それならコスト引き下げについて何を一番重視しておるかと、こう言えば、これはいろいろありますが、結局経済六ヵ年計画においても当然取り上げているので、具体化していくだろうと思うのでありますが、私の考えでは、設備、技術等においては、なおむろん今後の改善に待たなくてはなりませんが、これは日本も相当のところへきておる。ただ企業規模とか、あるいはこういうふうな企業のあり方についてはなお……。特にたとえば貿易については、貿易商というものがだいぶ最近は統合して強くなりつつありますが、従来はこれが非常に弱かったので、いたずらな競争ということになっておったようであります。特に私が今後そういう点について気をつけたいのは、原料をいかにして安く入手するかということ、これは私は大きく生産コストを下げることだと思う。この点については、何としても今後燃料対策というものを確立していくというようなところからやりたい。たとえば石炭においてはどうする。私の持論は、石炭という原料を全産業にいかにすれば安く供給し得るだろうかということを、常に考えています。それによって各商品の生産コストが下るというような考え方でありますが、そういうふうな考え方で何を取り上げるかは、そのときにおける日本の経済のある姿と、そのときに最も考慮すべき点を取り上げるというようにお答えしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/50
-
051・石山權作
○石山委員 大臣の今の答弁の中で、コスト引き下げの問題についてある一つの重大な落度があるのではないか、お忘れではないかと思うのですが、金融機関出身の大臣として、私は特に奇妙な感に打たれました。というのは、特にこれは産業として最も大切であるけれども、量の少い石油の問題を、私は最近研究しているのでございますが、そのとき当面の石油に関係のある鮎川氏の意見を聞きますと、金利が高いということを言われております。平均しますと、二銭四厘というふうにいわれていますけれども、何だかんだと申しまして、どうしても三銭以上、年一割の利率であるということを言っておるのでございます。そうした場合に、外国市場と比べて一割五分ないし二割高いという日本の物資は、金利に左右される面がまことに多いのではないか、こういうことを私は考えてみますと、コスト引き下げの場合には、いろいろな困難はあるだろうと思いますけれども、どうしてもここの場合、金利引き下げの運動を起す必要があるのではないか、こういうふうに思っているのですが、どんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/51
-
052・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 当然のこととして言及しませんでしたが、お説の通りであります。特に終戦後における日本の企業というものは、借入金に対する依存度が非常に高い。自己資金が少い結果、戦前に比べて、平均した利子負担というものが非常に大きい。この点は、特に私はやはり考えなくてはならない。しかしそれにしても、ただ日本銀行から金を出しても資金が潤沢になるわけでもありませんし、どうしてもここで国民所得をふやして、その国民所得の中から蓄積をしてもらう以外に方法がありません。ですからそういう形において、まず資金量をふやす、同時に金融機関に十分経営の合理化をやる。そういう点について、まだまだ考える余地があるのではないか。そうして銀行が私企業である点もむろん考えなくてはなりませんが、しかし同時に公共性に十分目ざめて、自分から進んで金利を下げていく、政府としても、行政指導にもよりますが、金利を下げるように持っていく。今日これにできるだけ努めておりますので、遠からず私は金利引下げがある程度実現すると確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/52
-
053・石山權作
○石山委員 今回の均衡予算において、政府は貯金をうんとして資本の蓄積をはかる、こういうことを提案されております。国民大衆を動員して貯金をするということになりますと、金融機関の持つ性格というものが非常に大きな影響を与えてくると私は思うのでございます。普通いうところの金融機関の信用ということは、一体何をさして言っておるか、大臣にお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/53
-
054・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは、金融機関が金融界としての職責を十分に尽して、従って国民の信頼を高めていく、抽象的にこういうふうに思います。その結果が、貸し出しが適正であり、預金は増大をしていく、こういう現象に現われてくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/54
-
055・石山權作
○石山委員 金融機関の信用の中に、私はもう一つあると思う。個人の預金、その他財産に関する秘密が完全に守られるという事項が入っておると思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/55
-
056・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/56
-
057・石山權作
○石山委員 金融機関が信用をなくした場合には、政府がどんなに声を大にして貯金、貯蓄を叫んでもだめだと思うのです。また、金融機関の中の一つ、昨年の国会でできた労働金庫の件につきましてお伺いしたいのでございますが、労働金庫も金融機関の一つであるということには間違いないと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/57
-
058・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 さようにお考えになってけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/58
-
059・石山權作
○石山委員 労働金庫も普通の商業銀行も相違がない、普通の銀行でもそうでありますし、労働金庫もそうでありますが、監督官庁の調査を受ける、これは当然であると思います。その調査を受けた場合の措置は、今まで慣例上どういうふうにしておられるかということをお聞きしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/59
-
060・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 調査の結果をどうしておるかということでございますか——調査の結果につきましては、その調査の結果に基いていろいろとお話し合いもいたしております。またなるべくその調査が利用できますよういろいろ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/60
-
061・石山權作
○石山委員 私はもう少しお聞きしたいのですが、よく最近は経理の民主化とかなんとかいわれておるのですが、調査の結果、善悪にかかわらず堂々と報道機関が発表すべきものであるかどうか、かつてはそういうふうにいたしたものであるかどうかということをお聞きしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/61
-
062・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 調査の結果を発表するかといことは、これは内容、程度の問題で、事柄によっては発表すべきでないし、またせない方がよいということもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/62
-
063・石山權作
○石山委員 そうしますと、発表するときもあるし、発表しないときもあるということは、要するに程度の問題だ、その程度の問題ということは、どこに線が引かれておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/63
-
064・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 おそらくきまって発表することになっておるものについては、基準があって、線が引かれると思いますが、その他のものについては、やはりそれぞれ責任者の判断に待たなくてはならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/64
-
065・石山權作
○石山委員 私は、先ほどの金融機関の信用という問題の中にもこういう問題がひそんでおると思うのです。つまりある種の第三者からの入れ知恵、故意なる妨害のために信用機関が誇大に報道される、誇大にニュースが提供される、こうした場合が予想されるので、在来の調査を見てみますと、ほとんどこれは報道機関などに発表しないという慣例を作っているのでございます。発表するときは、もうその会社は整理の段階に入っておる。そうでなければ発表しないでいる。しかるに今回、たまたま私たちの調べによりますと、千葉の労働金庫では大へんなあやまちを犯しているのではないか。金庫の内容には何ら批判されるべき面がないにもかかわらず、これが報道機関に発表されておる。これは私から見ますると、非常に逸脱したやり方でなかったか、こういうふうに思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/65
-
066・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 具体的な御質疑のようでありますので、銀行局長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/66
-
067・河野通一
○河野(通)政府委員 ただいま千葉の労働金庫の問題についてお話ありましたが、この問題につきましては、去年の暮れに検査いたしました結果に基きました示達書の内容と称されるものが、たしか先月か、あるいは今月の初めくらいの地方版でしたか、一部の新聞に報道されたという事実があったということを報告を受けております。これはただいま御質問がありましたように、個々の金融機関の検査の内容、検査の結果ということは、信用を第一といたしておりまする金融機関でありますから、これは外に公表すべきことでない。これは現在までかたく守って参っております。事柄の性質上、個々の銀行の信用ということに影響がない、公益を害しないというようなものにつきましては、一部公表いたしたことはありますけれども、おおむね検査の結果というものは、その銀行の信用機関としての公益に影響があると思いますので、発表はいたしておりません。また漏らすべきでない。これは検査を担当いたすべき者の、最も重要な機密の一つであろうと私ども考えております。
この新聞に出ましたこと、その内容は、必ずしも示達に書かれておりますこととは一致いたしておりませんが、いずれにいたしましても、そういうことが新聞紙に報道されるということは、はなはだ遺憾だと存じております。どういうルートでこれらが出たかということにつきましては、私ども実は調査がまだよくできておりませんが、いろいろ調べてはおります。これらの問題につきましては、大蔵省当局はもちろん、関係の労働省にも、また県の御当局にも、これらのことについてそういった遺憾の点がないように、今後も十分注意していただくようにいたしておりますが、今回の問題につきましては、新聞にそういうことが出たということ自体は、非常に遺憾なことと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/67
-
068・石山權作
○石山委員 労働金庫は、御承知のように、非常に少額の金をば寄せ集めて、労働者の共済機関として出発しているのでございます。私たちは何とかしてこの機関をば順調に育成させたい。こういう場合には、監督官庁としては、私はいろんな点があると思うけれども、既成の、大磐石の組織の上にすわっている銀行よりも特別なものの見方で育てていかないと、まずい点がたくさんあるのじゃないか、こう思っているんですが、既成の商業銀行、大磐石に乗った銀行よりも冷酷、苛酷に取り扱っている、こういうのは私は非常に残念だと思います。特に機構上からしても、これは大臣、銀行局長その他に考えていただかなければならぬのは、銀行としてありながらも、また大蔵省、労働省の管轄下にあるということと、もう一つ大へん困ることは、県知事に調査事項その他の権限も委任されている点でございます。今回の発表も、おそらくは県庁の末端機関において、金融機関なるものの性格を把握できない公務員によって、あやまちとして行われたものではないか、これはよく見て、そういうような気持も持っているのですが、これらの機構上も一つこれからわれわれ考えて、お互いにあやまちのないように、銀行なら銀行としてのすっきりした整備の形で育てるように、私の方でも研究しますから、当局の方でも一つ研究をしていただきたいと思います。
それからもう一つ、これは一昨年だったと思いますが、特に税金などの問題と大へん関係のあるのは、印紙の問題でございます。印紙の偽造問題が起きたことがございました。私の記憶によりますと、たしか約百億程度の印紙の偽造が行われたのでございます。この印紙の問題があの当時どういうふうにして処理されておるか、その経緯を一つ聞きたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/68
-
069・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 御指摘になりました点は、公団などへ印紙で納めた、そのすでに使用済みの印紙をまた再使用した、あるいは登記所にも正常な印紙納付の形ですでに使用済みのものを、また再使用したということによりまして、そうしてそこに不正があった。これはわれわれとしても非常に遺憾に思っておりますが、問題になりましたものは、御承知のように全部刑事事件になりまして、そうしてその後刑事事件の結果がどうなったかというのは、今ここに詳細には持っておりません。なおその事件によりまして、一応二度目に再使用の印紙を使って、たとえば登記したといった人につきましては、これは善意の人もあれば悪意の人もある。善意の人といいますのは、結局登記所のいわゆる昔の代書人ですか、司法書士ですか、これがその間に立って、金は取っておきながらそうした使用済みの印紙を使った、こういったようなことであります。従来の登録税の場合におきましては、そうした事実が実はずっと長い間なかったものでございますから、そうした場合に、税金をもう一ぺん取るかといった点につきましては、従来は実は税法上そういう規定がございませんものですから、善意の人についてはもちろんでございますが、悪意の人につきましても、その点につきましては実は手が打てなかったのであります。それで、これは二十八年の改正だと思いますが、その問題がありましたすぐ後におきましては、そうした不正使用の形で、使用済みの印紙を使って税金を納めたという形の場合におきましては、それが発見され次第——もちろん刑事的な問題になるのは別としましても、政府としてもすぐにこれが徴収できるというふうに国会の御承認を得まして法律的にも改正をいたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/69
-
070・石山權作
○石山委員 この問題につきましては、金額も相当に上りますし、善意と悪意の境目があいまいもことして、その後の処置もいたずらに明確さを欠かせるような方向で移行してきたという形跡があるわけでございます。そのために、今回またぞろ偽造印紙が横行するというような気配がある。ちょうど二年目でございますから、そういう気配があるという通達がある団体から出ておるそうでございます。こういうことを考えておりますと、いつまでも善意と悪意の境目をほやかしておくようなことは絶対に避けなければならないのではないか、こう思っておりますが、これは後ほどまたお話ししたいと思います。
もう一つ、大臣がいるので聞きたいのは、地方財政の問題でございますが、これはきょう私の同志である横山委員からもいろいろ出ているような例の道路税、これらの問題、あるいは大口の固定資産税の問題といわゆる地方財政の立て直しの問題でございます。シャウプ勧告は、われわれこの際ほんとうにじっくり考えて、見直す時期が来ておるのではないか、つまり地方財政の建て直しと業者の生産性の向上によるところの減税と、こういうものの相剋が現在ほど強い時期が私はなかったと思っております。経済界が安定してくると、そういうふうな相剋の現われもまたはっきりしてくると思うのですが、今がその大幅な税制改革の時期だと思うのです。大臣はどういうふうに考えていられますか。特に大臣は、ここに工夫をこらさなければならないという言葉を使っておる。日本の産業、あるいは日本の国の発展のためには合理化その他のいろいろなことをやらなければならないし、忍耐も必要だけれども、工夫をこらさなければならない。その工夫の中の一つに入るのではないかと思うのですが、特に大臣は、その工夫ということがどういうものであるかという暗示を示してないのであります。大臣は何か日本財政を建て直すために特別の工夫があるなら、二、三事例を示していただきたい。税制改革に対して抜本的の措置を講ずる時期に達しておるというのが、私の質問の要旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/70
-
071・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 たいへんよくわかります。十分考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/71
-
072・横路節雄
○横路委員長代理 午前中はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時二十二分休憩
————◇—————
午後二時三十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/72
-
073・松原喜之次
○松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案外十六法案を一括議題として質疑を続行いたします。
質疑に先だちまして大蔵大臣から発言を求められております。これを許します。大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/73
-
074・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 本日は一時半から大蔵委員会が始まることは承知いたしておりましたが、やむを得ないことで遅れまして、はなはだ相済みません。おわびいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/74
-
075・松原喜之次
○松原委員長 川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/75
-
076・川島金次
○川島(金)委員 大蔵大臣に対する質疑は、都合上時間の若干の制限があるような申し合せがございますので、なるべく大臣にだけこの際総括的なお尋ねをしておきたいと思いますが、大臣の答弁は、私どもの席から聞いておりますと、ややもすると半分くらいわからないときがあります。そういう点を十分に御留意を願いまして、質問者にも明瞭に大臣の答弁が聴取できるようにお願いを申し上げておきたいと思います。
まず最初にお伺いいたしたいのは、これは本委員会に上程されておりまする議案に直接の関係はございませんが、日本経済と産業等の上にもきわめて重大な関連がありますので、一言だけお尋ねをしておきたいと思うのであります。それは、先般行われておりまする予算委員会の席上において、原子力利用を中心とした、言いかえれば濃縮ウランの問題について二十日までにはその受け入れ態勢について明確な結論を出すと、明白に日本政府側は予算委員会の席上で答えておるのであります。それで、しかも本日は、予算委員会で明白に答弁をされました二十日の当日に当っておるのでございますが、大蔵大臣は国務大臣の一人といたしまして、これは当面きわめて至要な国民の関心事でございますので、その点、閣内におきましてはいかなるお話し合いが進められておりまするかを、まずお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/76
-
077・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この点は外務大臣から一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/77
-
078・川島金次
○川島(金)委員 外務大臣にお伺いすることはわかっておるのでありますが、少くともこの問題は、閣議に上程される問題であると私は信じておる。政府は予算委員会の席上で国民に向ってこの問題の受け入れについては、少くとも二十日までに明確に決定をするであろうと回答を与えたのであります。従ってその回答に基いて、本日は二十日でございますので、少くとも本日閣議が行われますれば、閣議の席上等において当然にその問題が話題になるか、もしくは協議事項として上程されなければならぬと私どもは想像をいたすのでありますが、そういう気配は全然ないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/78
-
079・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 政府において、きょうそのことについてお答えをするというお約束を予算委員会でしてある以上、関係の大臣からその点について報告はあるだろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/79
-
080・川島金次
○川島(金)委員 どうも大蔵大臣の語尾が、きわめて率直に申し上げますと不明瞭でありまして、われわれの席上ではよく聞えないのでありますが、もう少し明白に、力を入れて御回答を願いたいと思うのであります。おそらく政府が国民の前に約束をいたしたのでありますから、その約束に基いて、本日の閣議もしくは昨日あたりに閣議を開いて、この問題が当然に討議されてなければならないと、こう私は思う。なぜそのことを私は追及してお尋ねするかというと、そのことの受け入れ態勢がもし結論的に政府においてきまるならば、それが直ちに予算の上にも関係がある、財政的な措置も必要であろう。こういうことになりますので、実は劈頭において、大蔵大臣は国務大臣としての立場からどう考えるかと、私はお尋ねをいたしたのでありますが、もし政府において、その問題についてはいまだに何らの措置がされておらないというならば、これはまた別の機会にお尋ねを申し上げたいと思うのであります。
しからば次にお尋ねいたしますが、大蔵大臣は、ただいま予算委員会で審議を進めておりますところの六月の予算並びに本予算、ことに本予算案が今月中に衆参両院を無事に通過をして、これが成立を見るものであるという確固たる見通しを持たれておるかどうか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/80
-
081・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今の御指摘の点は、今月中に衆参両院を通過するかという見通しでございますか、六月中ですか——私といたしましては、御支持を得まして、ぜひとも六月中に衆参両査院を通過することをお願いするものであります。(「今月中のことを聞いておる」と呼ぶ者あり)その点はっきりしなかったので、ただいまお尋ね申し上げたわけですが、五月には今のところ通過の見込みを持っておりません。従いまして、六月の暫定予算をお願いをいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/81
-
082・川島金次
○川島(金)委員 ではあわせてお伺いしますが、六月の暫定予算は、今月中に成立を遂げるという確固たる見通しを持たれておりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/82
-
083・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それはその通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/83
-
084・川島金次
○川島(金)委員 そこでお伺いをいたしますが、この問題は、予算委員会あるいはこの委員会において、どなたかから論議されたのではないかと私は実は危ぶむものでありますが、念のためにさらにお伺いを申し上げたいと思います。
この政府の本予算案に対しまして、一説には、相当な方面からきわめて根本的な修正が提出されるのではなかろうかということがいわれておるのであります。しかも、その内容は、大蔵大臣もすでに御承知済みと思うのでございますが、率直に申し上げますれば、自由党側から一種の組みかえ的な修正案が考えられて上程されるであろう、こういうことが伝えられております。その内容につきましては、大蔵大臣も御承知の通り、財政投融資の問題と、一方それに並行した減税額の大幅な増額、この二つの問題をねらいとした組みかえと申しますか、修正案がきわめて強く一部に伝えられておるわけであります。すなわち財政投融資の一般会計の繰り入れ二百六十一億という額を取りやめて、それを一般の民間の蓄積に肩がわりをさせよう、そうしてその内容としては、市中銀行に毎月預金増の一定率の積み立てをさせ、それの見返りとして公債もしくは金融債を発行して財源としていこう、そしてその二百六十一億の取りやめた財政投融資は、これをそのまま減税に振り向けよう、こういう一つの試案が強く主張されておるかのごとくに伝えられておるわけでありますが、万一こういうような説が事実でありといたしましたならば、大蔵大臣は当面の責任者としてこのような試案に対してどのような御見解を持っておられますか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/84
-
085・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は今御審議をお願い申し上げておる三十年度予算案、これを最上のものと考えて、信念を持って提出をいたしておるわけでありまして、その他の案については考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/85
-
086・川島金次
○川島(金)委員 ではお尋ねいたしますが、これは自由党から出ておる試案ということでありますから、そういう答弁になりましょうが、そうでなく、今度は一般論的に、こういった案というものは、大蔵大臣としてはどういう見解であるか。もっと率直に申し上げますならば、事業の施行に当って、公債あるいは金融債等を発行していくことの方がよろしいのか、そういうことでない、いわゆる健全財政で貫くことの方がよろしいのか。いやしくも公債発行等のごときものは、これを絶対に大蔵大臣としては当面認めることはできない、こういう見解に立っておられるのかどうか。その点を一般論的にお伺いをいたしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/86
-
087・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お話の諸点につきまして、一般論と申しましても、私はそういうふうないろいろな案について論議は差し控えたいと思います。ただ公債を発行しないということが三十年度予算編成の基本方針の一つであるということだけは申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/87
-
088・川島金次
○川島(金)委員 大蔵大臣は、今上程しておるところの本予算が最上唯一の予算である、従って修正等は考えておらないというような意味のお話でありましたが、これは大蔵大臣としても政府としても、断固としてその立場を貫くという決意と方針を持っておるかどうか、あらためてそれを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/88
-
089・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 先ほど申しましたように、私は信念をもってやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/89
-
090・川島金次
○川島(金)委員 議会の諸般の情勢からいたしまして、私は、今大蔵大臣が言われておりますごとくに、その信念が貫けるというような政局の実情ではないという認識の上に立っております。従ってもし万一の場合、大蔵大臣が、これは最上唯一の財政計画であり予算であるという信念に基いておりながら、いささかでも結論において修正をされるような事態に立ち至りましたときには、一体大蔵大臣はいかなる見解といかなる責任に立つか、その点をこれまた一般論的にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/90
-
091・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。さようないろいろな考え方、あるいは将来の仮説について今私が責任的なことを申し上げるときでないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/91
-
092・川島金次
○川島(金)委員 仮説とはいいますが、これは最高唯一の財政計画である、予算案である、その大蔵大臣が信念するところの唯一の予算案が、いささかでも修正されるようなことになりますれば事態は重大であろうと思う。大蔵大臣の考え方が、議会政治というものは民主政治である、従って多数の意向を尊重するという立場から、かりにこれが修正されても、その方法、範囲、また内容等によれば別だという考え方ならば、私は別な御質問を申し上げたいのでありますが、大蔵大臣はこれが最高唯一だという信念を持っておる。そういう信念のもとに立っております大蔵大臣の提出いたしました予算案が、いささかでも修正を受けようとしておりますことは、現実のまぎれもない事実であると私どもは認識をいたしておるわけであります。従って全然根拠のないことを、私はこの貴重な時間に、貴重な場所において大蔵大臣にお尋ねをしておるのでは決してございません。ただ、この議会の中における、もっと大きくいえば政局の現段階の推移から見て、いかに大蔵大臣が唯一最高のものであろうと言われても、場合によれば修正を免れぬであろうという現実の動きが今日起っておる。大蔵大臣といえども、決してこれにほおかむりすることはできないと私は思うのであります。従って政治家というものは、起ったその事態にすなおな観察を下しながら、それに対処する方法や見通し等を持つことが、やはり政治家の責任であろうと私は思う。そういう意味において、私は貴重な時間をさきながら、この問題が重大なるがゆえにお尋ねをいたしておるのでありますが、この予算は絶対に修正なしで成立するという確信と見通しをお持ちであるかどうか。重ねてお尋ねいたしますが、もしいささかでも修正されるようなことがあったら、今のお答えによりますれば、あなたは重大な責任をとらなければならぬことになるが、その点はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/92
-
093・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私が先ほど申しましたのは、私といたしましては、最もよい案として信念をもって出した、こう申したのでありまして、いかにもそれは、私としてはそう考えるということであるのであります。客観的に、だれが見ても最高唯一とはだれも言い切れないかもしれません。私はそういう信念でやったのであります、こういうように申しておるのであります。
なお将来修正等があったときにどうかというようなことについては、私今日何もお答えすることはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/93
-
094・川島金次
○川島(金)委員 その問題はその程度にしておきまして、次にお尋ねいたしますが、今審議されておりまする予算案に対しては、この委員会に上程されておりまする所得税改正案等を中心としてきわめて密接な関係があるわけでありますが、しかもその予算案は、いうところのデフレ政策というものを基礎といたしまして編成されたものだとわれわれは理解するものであります。従って、そのデフレ政策を基盤として編成されましたこの予算が、昭和三十年度内におけるところの日本の経済等に及ぼします影響は非常に重大であろうと思います。そこでお尋ねをいたすのですが、この三十年度の予算がかりに無事に成立を遂げまして、施行されるとした場合におきまして、大蔵大臣としては、日本の三十年度内におけるところの経済と国民の生活等に及ぼしますところの影響はどういうふうであるかという見通し等は、さだめしお持ちであろうかと思うのであります。すなわち三十年度予算の施行に伴う日本経済の将来の見通し等につきましての御見解がありましたら、この機会に参考のために伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/94
-
095・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 三十年度の予算は、しばしば申しましたように、基本的に申し上げまして、二十九年度に引き続いて日本の経済を健全化する地固めの仕事をやっていく、こういうところに中心があるのであります。しかしそういうふうなことをやるとともに、そういういわゆるデフレ的な政策の遂行がすでに一年半に及んでおる。そこでこの間においていろいろとでこぼこの経済現象が起っておる。言いかえればしばしば申し上げますように、このデフレ政策で特によくない影響を多く受けておる部面がある。それに対しまして手を差し伸べつつ、いわゆる経済のでこぼこを是正しつつ、経済の健全化を進めるとともに、他方また日本の経済の基礎をよりよくすること、広い意味における合理化によって、将来の経済拡大への基盤を他面作っていこう、こういうのが今回の予算のねらいになっております。そうしてこれを実行していく上において、日本の経済の推移から申せば、これは経済審議庁からも出ておりますが、国際収支においては大体とんとん、若干黒字が出るだろうというようなこと、また物価の推移は、年間を通ずれば二%ぐらいの低下を見ていくだろう、こういうことで、ごく大ざっぱにいえば、経済現象は大体横ばいで、二十九年に比べて若干よくなっていきはしまいか、こういうふうな見方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/95
-
096・川島金次
○川島(金)委員 大蔵大臣は、この予算の年度内において、今日よりも物価の面においては低水準で落ちつくであろう。また貿易も拡大していくであろう。こういうふうに言われておるのであります。そうなることは、われわれも国民といたしまして望むところではございますが、果して現実においてそういうことになるかどうかということがきわめて問題であり、政府の責任であろうと思うのであります。
私の手元には最近の資料がないので、恐縮なんでありますが、念のためにお尋ねし、かつ当局からの最近の資料があればそれをお聞かせ願いたいと思うのでありますが、この国会図書館の立法考査局から発行いたしておりまする四月号の書類によりますと、総合的な物価指数は、むしろ逆にわずかずつながら上っておるという数字が明瞭にされております。すなわち昨年の暮れよりも本年の一月、二月、三月になって若干ずつ上っております。さらにまた、本日どういう意味か知りませんがわれわれに配られましたエコノミストのやはり誌上をかりて申し上げますと、これまた東京における小売物価は、日銀の調査によりますると、むしろ国会図書館の立法考査局の数字よりも上っております。それから消費者物価指数も、これは総理府の調査でありますが、これまた上っております。こういう実情でございます。しかしながら、これはもちろん本年の一月から三月に入っての指数でございますので、正確とは申されませんが、こういう状態になっております。これに対して、政府の調べました四月、五月の物価指数というものはどういう動きを示しておるか、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/96
-
097・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今私手元に資料を持っておりませんので、四月の物価指数等について具体的なお話を申し上げることができませんが、物価の趨勢については、今御指摘がありましたように、私どもも昨年の秋くらいからやはり心配をいたしておることを率直に申し上げます。当時は主として金属類を中心に——金属を除けば大体物価は横ばいである、こういうふうに私は考えております。なおかつ今御指摘の小売物価になりますと、どうも下り渋っておるという状況もあるのであります。他面銀行の貸し出しなんかにしても、第三・四半期といいますか、その辺からどうも若干膨脹する状況もある。それで非常に懸念はいたしております。こういうふうなことも、一にはやはり日本の今日の経済を、国際経済に比べて、いわゆる地固めをしていかなければならぬ、こういうふうな考え方をするゆえんであります。それで、今後もこういう財政並びに金融の施策をとっていけば、物価の上昇も押えることができるし、小売物価も下っていく、こういうふうな考え方であります。大体最近では、そういうふうな小売関係も、すぐに価格の上に及んではいませんが、下る傾向を示しつつあるように思います。これは私自身がちょっと調査をしたところですけれども、最近では、東京都内等のデパートの売れ行きも、徐々でありますが低下を見せつつあるという情勢を呈しておる。これは長い期間でありませんから、なお統計的にはとってみないとわかりませんが、そういう点もありますことを申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/97
-
098・川島金次
○川島(金)委員 どうも今のお話は、大蔵大臣個人としての、身辺で接触した範囲におけるところの一つの勘で言われておるのであろうと思いますが、国会図書館にいたしましても、あるいはまた審議庁等にいたしましても、これは比較的科学的な調査が、経費をかけて行われておるのであります。その調査によると、小売物価あるいは卸売物価、ともに横ばいではなくして、かすかながらも上昇しておる。こういう形は、政府のデフレ政策のねらいとするところとおよそ相反した現象になっておる。こういうことにわれわれは理解せざるを得ないのでございまして、政府はいかなる具体的な見通しを持ってこの物価の引き下げというものを——また予算の説明書の冒頭にありますように、本年は昨年度よりも物価水準においては若干の低水準に落ちつくであろう、こういうふうに実は明確にうたい出して、いろいろの説明をいたしておるのです。今大蔵大臣は、二%程度は下るであろう、こう言われておりますが、どうもそういう気配が今のところではないような感じが私どもにはいたすのであります。それは、大蔵大臣の言う感じと違って、こういう書類から推察をいたしまして、そういう感を強くいたすのでありますが、その点について大蔵大臣は、断固本年の物価水準は昨年の物価水準よりもほんとうに下る、こういう具体的な見通しを持っておられるかどうか、あらためてこの際念を押して聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/98
-
099・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。先ほどお示し下さいました統計に基く物価の趨勢でありますが、それは私そういうふうな状況と思います。それでその点を心配しておるということも先ほど申し上げまして、そういう点が、やはり今後日本の経済を地固めしていかなければならぬ一つの指標でもある、こういうふうに申し上げたのでありますが、今後物価をどうしても一兆円——一兆円予算ということも、ごく端的に言えば、物価の関係においては、やはり物価は低下をするということを目標にいたしておる。具体的にどういうふうに物価を下げるかということについては、今後生産コストを下げるという方向において——単に金融を引き締める、流通過程においての物価の引き下げということではとうてい目的は達せられないので、このデフレ政策のもう二年半経過した今日では、今までもむろん生産コストの引き下げには力はいたしておりますが、今後一そうこれをやらなくてはなるまい。そういうような意味合いにおいて、今後、たとえば石炭、鉄、こういうものについて、他面また金融面からいえば、大きい借入金に依存しておるこの金利を低下さしていく。同時にむろん全体の今日経済がデフレということに対する適応性と申しますか、覚悟が今日ではすっかりできております。従ってこれに対応した健全なる経営をしようという機運も助長されつつありますから、この趨勢でいけば、私は物価も十分押え得る。今申し上げた二分程度は、低落させ得るという確信を持って進んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/99
-
100・川島金次
○川島(金)委員 今大蔵大臣は、物価引き下げの一つの方策として、コストの引き下げに重点を置くというお話でありました。しかしこの生産コストの中に占めまする、お話のありました金利、これはきわめて重大な位置を占めておるわけであります。きのうわが党の井上委員からもいろいろ質問があったのですが、それに対する大蔵大臣の回答は、きわめて抽象的で、私どもの理解に苦しむところであります。ところが本日の新聞を拝見いたしますと、すでに昨日大蔵大臣は、全銀連並びに地方銀連の代表者と会見をいたし、市中銀行の金利引き下げについて具体的な懇談をされておると新聞は報道いたしております。きのうの大蔵大臣の答弁によりますると、これは単に地方銀行等の自主的にまかせるものである、こういうふうに聞えるような答弁でありましたが、そうでなく、すでに昨日全銀連及び地方銀連の代表者と懇談をいたしまして、少くとも一厘ないし一厘五毛の引き下げはしなければならぬであろうというようなことについて、きわめて具体的に話し合いをされたという新聞が出ておりますが、これは誤りでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/100
-
101・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ああいう話はほんとうに全然いたしておりません。これは私何もここで強弁をして、御質問に対して何か違ったことを言うのじゃありません。これは正真正銘ああいう話はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/101
-
102・川島金次
○川島(金)委員 そうすると昨日東京銀行、全国銀行の代表者とこの金利の引き下げ問題で具体的に会ったということは、事実無根なのでございますか。会ったことは会ったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/102
-
103・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私も新聞を見てちょっと意外に感じたのですが、そういう話題には触れませんでした。また私の談なんかが出ておりますけれども、その談はその会見談じゃないので、その後に晩おそく私のところに新聞の方が来られて、そうしてきょう二人に会ったのだというふうなことで、金利などについてあなたはどういうふうにお考えになっておりますかとかいうような座談的なものが、そういうふうに並べられておるというような状況であります。若干向うから来たときに、こういふうな報告ぐらいはあったかもしれないが、私はそういう点に触れませんでした。それは間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/103
-
104・川島金次
○川島(金)委員 それではお尋ねいたしますが、国際金利に比較いたしましてわが国の金利は非常に高い。この金利の高いことは、すなわち言いかえれば大蔵大臣の念願とする生産コストの引き下げに非常な障害になる、こういうことは言えるのであります。従ってこのコストの上に大きな部面を占めておる金利の問題の何らかの解決をしなければならぬ。これは大蔵大臣にとっても重大な任務であり責任であろうと思うのであります。そこでお尋ねいたしますが、しからばきのうそういう会見がなかったということでありますがそれはよろしいといたしまして、この金利問題についてきのうからも論議が重ねらてれおるのでありますが、大蔵大臣はどういう具体的な考え方と、どういう時期にどうしたならよろしいというような程度のことは、責任のある説明が国民の前にあってしかるべきではないか。今天下はあげてこの金利問題で非常にごうごうたる論議を重ねております。それだけに、日本の経済にとってきわめて重大であればこそ、この問題が大きな問題として取り上げられておるのではないかと私は理解をいたしておるのでございますが、その点についていかなる御見解を持たれるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/104
-
105・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答え申し上げます。金利を下げるとか、あるいは金利が下るとかいうことがいかに今日の日本に好ましいかは申すまでもないのでありますが、私は金利の低下について、政府の政策といたしまして金利を低下させるということは、当然とるべき政策だと思います。しかし、しからば一体具体的に金利を何ぼにしていくかというところまで政府がタッチするのは適当ではない。それで、今日の制度の上から見てそういうふうにはなっておらないのであります。従いましてこういう問題については、むろん金利を下げるという以上は、大蔵省においてもいろいろな指数といいますか、銀行経営の内容、いろいろの観点からこうあつてほしいという大蔵省としての見解を持っておりますが、そういうようになるべくなるように、今日の事態ではやはり金融機関の自主的な立場から持っていくというのが今日のやり方でありまして、大体金利については、御承知のように従来から金融機関の協定でやっておったのでありますが、戦後において公取の関係からこれは禁止されておる。今日では法律に基いてそれをきめるということになりまして、金利調整審議会というのがあるのであります。この金利調整審議会が諮問をいたしまして、それに基いて日本銀行の政策委員会が金利をきめ、大蔵大臣にその結果を報告する、こういう形になっております。従いまして、むろん政府としては金利の低下をなるべく早く、しかも銀行の経営等に別に悪影響がないという形においてやりたいという希望は持っておりまするし、そういう推進はいたしておると思いますが、具体的にきめるのは今言うような形においてきめることになっておる。こういうふうな経済的ないろいろの事柄にこまごまとあまりに干渉すべきではないという立場で私はやっております。金利の引き下げに関する具体的措置については、そういうふうにお考えを願いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/105
-
106・川島金次
○川島(金)委員 どうも私にはちょっと理解ができかねるのでありますが、事いやしくも日本経済の自立、そうして将来は日本経済の拡大均衡に持っていきたい、この事柄についてはわれわれ異議はございません。しかしそのためには、何といいましても物価の引き下げ、物価の引き下げは生産コストの引き下げである。これが一つ。その生産コストの引き下げの大きな問題としては金利の問題がある。この金利の問題は、日本経済の一致して要求する問題なのであります。この問題が解決せずにずるずると三十年度が経過すれば、おそらく政府が念願とするところのいわゆる経済自立、拡大均衡の大基盤を作るということがきわめて困難になってくる。貿易拡大にも大きな障害になるであろう。こういうことに私はならなければならぬと思うのでありまして、その点について、国民の一人として懸念を持っておるのでありますが、大蔵大臣は、ただ金利調整審議会の具申を待つだけであるとか、あるいは日銀政策委員会の決定を待つ以外に仕方がないというような投げやりの立場であってはならないと思います。法律上はどうあろうとも、一国の大蔵大臣はそういう金利問題について、財政問題について、経済問題についての最高の責任者である。その最高の責任者が、自分が念願として掲げておるところの政策を強力に遂行するために障害となるものがあれば、それに対して、その障害を取り除くという政治的努力というものは当然なさなければならぬ。法律上どうあるという問題ではありません。法律論でなくして、政治的問題として考えて私は聞いておるのであります。そういうことについて、大蔵大臣はいかなる積極的な努力をしようと考えておるか。今の答弁によりますと、念願しておるけれども、そういうこまかいことはかまうことはできないというが、こまかい問題ではないので、一分、一厘の値下げの問題ということは、日本経済の現状と将来に大きな影響がある。そうして物価、コストの面で非常な重大な関連を持っておる。そういうことを考えますと、これはさまつなことではなくして、大蔵大臣は最高の責任者として、政治的に積極的な努力を傾けるということは当然の任務ではなかろうかと思います。そういう意味で聞いておりますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/106
-
107・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えいたします。お考えの通りでありまして、私もお考えの通りの態度でもって臨んでおる。ただ今日では、もはやそういうふうな段階を経まして、具体的に一体どういうものをどうするか、何を何厘下げるかというところの具体的の段階に入っておりますから、そういうものはこういうふうにしてきめるのであるから、やるのを待っておるのだ。こういうふうに申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/107
-
108・川島金次
○川島(金)委員 押し問答をしてもしようがありませんが、それでは具体的に聞きますが、新聞の報ずるところによりますと、普通手形を一厘引き下げたい。それが東京並びに全国の銀行の代表者の会合の席上では大体一致した目途だ、こういうことです。かりに普通手形において一厘金利の引き下げができますといたしました場合、それが最も好ましい引き下げの率であるか、そういう点はいかがでありますか。これはかりに東京銀行や全国銀行の決定ということを基礎としなくともよろしい、今の日本経済の現状に照して普通手形一厘の引き下げで十分であるかどうか、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/108
-
109・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えいたします。実は具体的にどういろ範囲にわたってどういう程度の引き下げが、単に借りる方ばかりではない、日本の経済というような観点ばかりでなく、また同時に銀行、金融機関の立場からもいいかという点を、今関係者において具体的に検討を加えておる段階でございます。そういうふうな全体の意見並びに調査終了を待って判断をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/109
-
110・川島金次
○川島(金)委員 くどいようでありますが、もう一言これについてお尋ねいたします。それならば、今の情勢から見通して大蔵大臣はいつごろそういう問題の結論が出るお見通しを持っておられますか。まさかことしの暮れだとか、来年の三月ごろだとかいうことではないと思います。非常に急を要する問題だと思いますので、くどいようでありますが、重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/110
-
111・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 決して遠き将来——将来ということもおかしいのですが、そう遠くないうちに実現いたすと思います。少くとも予算が通過するというようなときは、実行になるとお考え下さって差しつかえありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/111
-
112・川島金次
○川島(金)委員 これ以上追及してもむだのようですから、この程度にいたします。
次に税金の問題でお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/112
-
113・松原喜之次
○松原委員長 ちょっと川島委員、約束の時間が経過しておりますから、一つ簡単にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/113
-
114・川島金次
○川島(金)委員 今までずっと聞いておりますと、時間通りではないようでありますから、どうぞ委員長がしかるべく善処を願いたいと思います。
大蔵大臣は今度民主党と相ともに率いて、総選挙に当って——幾度もこの席上で論議されているのですが、低額所得者に対する税金を減税して、低額所得者の生活の安定、あるいは資金の蓄積にそれが寄与されればまことに好ましい、こういったことで減税政策が実行された形でございますが、どうも全体的に通覧をしてみますと、私はこの減税は本物でないという気がするのであります。まことに耳ざわりなことを申し上げて恐縮なんですが、昭和二十八年度の自由党が作った最後の予算の減税政策のときにも、なるほど直接税で三百二十一億ばかり減税をしたのです。ところが間接税であにはからんや二百七十六億ばかり増税をして、そして足りない四十五億はピースか何かを値上げして埋め合せてしまった。従って国民全体の負担の上においては、一銭一厘も減税されなかったという、私どもから言えばまことに国民を欺瞞するもはなはだしい減税政策をとったという記憶を持っておる。数字は、私の記憶ですが間違いありません。ところがそれと相似た減税政策が、またしても鳩山内閣の一萬田蔵相のもとにおいて行われるのじゃないかと私は実は心配をいたしまして、一萬田蔵相のために衷心から悲しむ一人でございます。具体的な例をあげて申し上げますれば、なるほど減税分として三十年度の予算を見ますと、所得税、法人税以下それぞれの減額がなされております。そしてこれを前年度に比較いたしましての数字を照らし合せてみますと、二百五十二億五千八百万円、これが前年度対比の数字の集計でございます。これが前年度と比較しての実際的な減税額となるのではないかと私は思う。ところがその反面、相続税だとか酒、砂糖、揮発油などというものを大幅に引き上げる。酒は、税金を上げたのではなくて増石するのだと言ってしまえばそれまででありますが、酒の大半というものは、やはり大衆の飲むものです。大衆の負担に帰することは、これは明白な事柄である。こういった酒だとか砂糖とかいうような、大衆が直接負担するところの問題に対しましては、比較的大幅に増収を見積っておる。その結果といたしまして、そのトータルは二百九十九億八千二百万円、従ってこの二百九十九億八千二百万円が昭和三十年度における国民大衆の直接こうむるところの負担増である。これはまぎれもない事実であろうと思う。にもかかわらず、今申し上げましたように、昨年度の対比から見ますれば、所得税その他の減額分というものは二百五十二億五千八百万円、差引何のことはない、四十七億二千四百万円の、むしろ国民の立場から見れば負担増ということになるおそれが十分にあると思う。こういうふうに私は感じておるのでありますが、その点は、大蔵大臣はいかような見解でございますかお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/114
-
115・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。一面直接税で減税はしているが、間接税の酒や砂糖等で増収しておるから、それで減税はおかしいじゃないかというようなお話と承わるのですけれども、この間接税の方の酒にしても、今日非常に密造が多いのであります。これは取締りを今後厳重にいたすつもりであります。そうしますと、どうしても酒の造石数をふやすが、それは別に国民の消費をふやしておるということはないと思う。そういうわけで、税率を上げるわけじゃありませんが、自然に増収になる。一面密造の酒を飲んでいる人が必ずしもそれを飲むかというと、それはいろいろありましょうが、とにかく大っぴらで酒を飲む人がふえるということはおもしろくない、そういうことも言えるかもしれません。それから砂糖の点も、これは今日九十五万トン輸入しておりますが、これが増収になる。砂糖の場合は、今日輸入をこの程度しないと、一そう市価が騰貴する。こういう状況にあって、これから増収になる。これも一面、砂糖を消費するものが多いから、こう言われればそれもまた一つの理屈でありますが、しかしこれは自然増収の結果である。特に税金として他面国民の負担になるといば、砂糖の消費を節約し、なるべく酒を飲まないようにしてもらえばいいということも反面言えるのてす。これは全体の問題であると思います。一応直接税はほんとうに税を軽減する、そうして間接税の増収によっておる、こういうふうに御了解願いたい。ほんとうを言いますと、直接税も間接税も減らすことができれば、減税がはっきりしていいのですけれども、日本の今日の情勢では、そこまで徹底していくだけの財源を持っておりませんので、こういうふになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/115
-
116・川島金次
○川島(金)委員 時間がありませんから急ぎますが、大蔵大臣も御承知の通り、戦前戦後——戦争直後までですが、当時は、月額百円の収入に対しては所得税はかかっていなかった。年額千二百円以上のものに対して初めて所得税がかかっておる。これを今日の物価指数に引き比べたならばどれくらいになりますか、正確ではないと思いますが、かりに三百倍といたしましても、千二百円ならば三十六万円、二百五十倍にいたしまして三十万円、こういったものに対しては所得税がかかっていなかった。私は何も戦争前のことを引っぱり出してそうしろという意味ではございませんけれども、日本の経済状態も、終戦直後に比べますればようやく安定の域に達したということはまぎれもない現実でございます。それで、この辺で勤労所得税というものの存廃という問題を研究したらどうか。勤労所得税を今日までのようにとっていくということがよろしいのか、ことに勤労所得税の中には、御承知の通り扶養家族控除なんというのがある、この扶養家族控除なんというのは、大蔵大臣御承知の通り、東条内閣当時の生めよふやせよ、いわゆる人口増殖の一つの手段でもあり、一つは生計の支柱でもあった、こういう二つのねらいをもって扶養家族の控除制なんというものを制定したと私は記憶をいたしておる。今日日本は人口オーバーで、この人口調節についてお互いにどうすべきかという問題に取り組まなければならぬことになっておるときに、戦時中に制定された扶養家族控除制というものが果して妥当なものかどうか、また国策の線に立ったときに、一体それが合理的なものであるかどうかこういったことを考えてみましたときに、私はこの際思い切って、これは私見でありますが、勤労所得税は撤廃したらいいと思う。しからば一体勤労所得というものはどの程度までが勤労所得で、どういう内容を持ったものが勤労所得ではないのかというようなことについては、若干研究の余地があろうと思います。端的に申しますが、今勤労控除は、五十万で七万五千円が最高である、そうすれば年額五十万円までは勤労所得を認めておるのですから、私見とすれば、この五十万円以下の勤労所得税は撤廃してしまって、それが予算上、財政上きわめて困難だとすれば、少くともわれわれが主張しておる年収二十四万、月額二万円、この程度のものは完全なる勤労所得とみなしてこれは免除する、こういった思い切った抜本的な措置をとるべきときが来たのではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、そんなことについて大蔵大臣ほどういうふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/116
-
117・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御意見のような点は、今後十分研究いたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/117
-
118・川島金次
○川島(金)委員 今度税制改革が出てきましたが、従来自由党の内閣のときには、税制改革に関する調査会——名称は具体的には忘れましたが、委員会があった。その税制改革に関する調査会の答申に基いて、吉田内閣は二十八年度において税制改革をいたしたことは、おそらく大蔵大臣も知っておることであろうと思う。そしに基いてさらに今回の改正が行われまして、大体税制調査会が答申したことを八〇%まで今度の鳩山内閣に至って初めて実現した、端的に言えばそういうようなことになりますが、この税制改革の案を出しまするときに、前にすでに自由党が作っておりました調査会というものは廃したのかどうか、そして今度の内閣におきましては、そうした税制の中央地方を通じての改革が非常に国民の要望として追られておるわけであります。内閣といたしましても非常にこれは重大な問題でありますので、自由党の内閣当時におけるような税制に関する調査会を設置して、その調査会に基いて大いに今後中央地方を通じての抜本的な一大税制改革を行う、こういった積極的な意図があるのかどうか、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/118
-
119・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ぜひともりっぱな調査会を作って、税制の根本改革について調査をしてみたいとお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/119
-
120・川島金次
○川島(金)委員 調査をしてみたいというのではなくて、調査会を設置する意思があるかないかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/120
-
121・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 調査会をつくる意思があるかないか——意思があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/121
-
122・川島金次
○川島(金)委員 それでは時間がなくなりましたから、最後に一言だけお伺いいたしまして、お譲りを申し上げたいと思います。
昨年来から経済界に何となく三白時代、三白ブームといいますか、そういったものが世間にやかましくいわれておることは、大蔵大臣御承知の通りであります。肥料と砂糖とセメント、こういった三つのものが世の不況をよそにいたしまして、会社自体の表面的な経理はどうか知りませんが、実質的にはわが世の春をうたったというので、非常にデフレにあえぐ中小企業、国民の層から文字通り怨嗟の的になりかねないような実情であることは御承知の通りでございます。ことにその三白時代を現出いたしました一つであります砂糖、今度のこの委員会でも砂糖消費税の問題でわれわれ審議をしておるのでありますが、この砂糖問題をめぐりまして、いろいろ世間では諸説紛々、中にはまことに好ましからざる問題等がまことしやかに世間に流布されておりまして、言葉の上だけならいざ知らず、出版物にまで公然と砂糖に関する疑獄とも申し上げるような事態が報道されております。大蔵大臣は、この問題は御承知かどうかは私は知りませんが、いやしくもこの今日のデフレ下にありまして、日本の勤労大衆、日本の中小全産業があげて歯を食いしばった思いで日本経済の自立達成のために、いろいろの不満と不平をこらえながら、全力をあげて経済再建のため戦っております。そういうときに当りまして、ひとり砂糖業者のみがわが世の春をうたうようなことあるいはまた何ぞ知らん、その裏面におきましては、世間でとかくのうわさをされるような事態がかりに事実だといたしますれば、きわめてゆゆしき問題だと私は考えておるのでありますが、大蔵大臣はこうした問題につきまして、何かお聞き及びのことがあったかどうか、その点をまずちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/122
-
123・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 何も私報告を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/123
-
124・川島金次
○川島(金)委員 おそらく大蔵大臣も耳があり目があるのでありますから、知っておるでありましょう。聞いたのだろうけれども、しかし聞いていないと言った方がまことにこの席ではいい、こういう御都合主義の答弁のように思うのであります。
それではさらにお伺いいたしますが、精糖会社から大蔵省なりあるいは国税庁が当然に徴収すべきところの消費税があります。この消費税は一、ニヵ月の猶予期間がありますけれども、このたびの委員会に配付されました各会社の貸借対照表を見ますと、目勘定で勘定しただけでも実に——なるほど猶予期間があるからそういうことになるであろうと言ってしまえばそれまででありますけれども、実に百億近くの消費税未納分が各会社にそれぞれ計上されておる、なるほど二月の猶予があるのだから、そのくらいになるであろうと言ってしまえばおしまいでありますが、私ども国民の立場から申し上げますと、たとい一万円の税金を滞納いたしましても、大蔵大臣御承知の通り、税務署からやかましく督促をされる、そうして督促状、次には差し押え、その次には競売、こういうことが日本全国至るところに行われております。そのおかげをもって、中小企業のある面においては、心中をしたり自殺をしたりというような事態、あるいは発狂して痛ましき姿になったという事態さえもこの国内には多いのであります。そういうように、一面には弱い者には血も涙もないような徴税処置をとっておきながら、一方こういう大きな会社、しかも独占事業にひとしいような精糖会社の徴税に対しては、何となく手ぬるい、こういう感じを私ども国民といたしましてはうかがえる、この数字から見ましても約百億なんです。これは当然にとらるべきところの税なんです。これは本来ならば国民の血税です。それがたまっておる。この百億に及ぶような税金の滞納というものは、おそらく猶予期間中のものもあるでしょう。しかしながらその期間を経過したものでさえも、相当多額に上っておるのではないか、こういうように私どもは邪推ではない、推察をいたすのでありますが、この点はどういうことでございますか。こういう状態が大蔵大臣としては好ましい姿であるかどうかということをお聞きしたいと同時に、あわせてこの内容の実態的な問題について、国税庁の方がおられましたならば伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/124
-
125・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 主税局長から十分御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/125
-
126・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 砂糖会社におきましての税の問題につきましては、砂糖消費税については滞納はないと思っております。御承知のように砂糖消費税につきましては、いわゆる引取課税の制度をとっておりまして、砂糖の製造所から出ますとすぐに一応税金を課税する、こういう建前になっておりますので、従いまして、きょう砂糖が庫出しされますと、もうその砂糖に対する税金の分は、すぐに一応会社の方としては砂糖消費税の債務として計上される、こういう姿になるわけでございます。これが酒のような税金でございますと、一月分をまとめて計上いたしますが、砂糖の場合は、きょう出た分がきょう一応債務になる。酒でございますと、今月中に出たものが初めて一月まとめてということになりますが、砂糖の方はその点が出たらすぐ債務になるという点で、その間の事情は違うわけでございます。それで、今貸借対照表の中に計上されてございます金額が百億になるかどうか、これは実は私どもの方で計算しておりませんので、そういうことになるかどうかということはちょっと存じませんが、目の子で計算して参りますと、月に四十億前後の砂糖消費税、これは月によっていわゆるフラクチュエートが多少ありますが、大体四十億見当の砂糖消費税があるわけであります。それで現在一応法律の上では、担保を提供いたしますと三ヵ月の徴収猶予ができるわけでございますが、前の国会だと思いますが、いろいろ御批判も出まして、現在二ヵ月の徴収猶予ということで取り扱っております。従いまして二ヵ月ということになりますれば、八十億見当の一応徴収猶予の額が出て来る。これは滞納というよりも、徴収猶予という制度としてあるわけでございます。この徴収猶予の制度が現状において甘いじゃないかという御意見は、過般井上委員からございまして、われわれの方としましては、砂糖会社としましても、代金回収がいろいろな関係である程度の日時が必要なわけでありますから、そこで徴収猶予の制度があるわけであります。現在砂糖会社の代金回収状況はどうなっておるかといったような御質問もございましたが、この点については、現在調べて資料を提出するようになっております。そのような事情であることを一応御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/126
-
127・大槻義公
○大槻説明員 ただいまの御質問に対しまして主税局長から答弁がありましたが、国税庁としましても、ただいまの答弁の通りでございまして、さらに加える点はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/127
-
128・川島金次
○川島(金)委員 今主税局長からのお話によりますと、砂糖というものは、砂糖会社から庫出しをすると取引をするわけで、すぐ現金が入る。従って滞納というものはなかなかないのだ、こう言われたのですが、そういう取引の現実にもかかわらず、何ゆえに今日まで政府は二ヵ月間の長期の猶予を置いて、この砂糖業者というもののめんどうを見たか。これは国民感情としてはなかなか納得のできない問題であろうと私は思うのであります。国民は、この間井土委員からもお話がありましたように、われわれ勤労者はその職場において月末には給料袋から差し引かれる。そしてまた一般の中小業者というものは、矢の催促を受けて、いやおりなしに督促を受ける。少しでもたまればすぐ延滞日歩、こういった措置をされる。その上に差し押えがされる。そして競売されるというのが、国民の立場においては現実のまぎれもない事実だ。しかるに砂糖会社の方は、三白時代とまでいわれているような大会社、ことに独占的な企業会社に対しまして、取引は直接行われて現金は収納したにかかわらず、二ヵ月も政府がめんどうを見る。一体こういうことが政治のあり方として正しいものかどうか、これは国民感情といたしましては絶対に納得のできない問題であるということは、私一人の感情ではないと思います。そういうことについて一体どういう考えで今日まで放置して参ったのか、その点の基本的な考え方をこの機会にあらためて聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/128
-
129・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 直接税の関係と間接税の関係では、私はやはり納期の問題とか、そういう問題については、多少違った考え方があっていいのじゃないかというふうに思っております。物品税などにおきまして、やはり相当の期間を認めております。砂糖消費税においても認めております。結局品物を出しましても、すぐに金が回収になるかという問題がそこにあるわけでございまして、金が回収にならない間に納期が来ますれば、むしろ税金を納税者が立てかえなければならぬ。そこで金が回収された後に納期が来る、そうしますれば、これはむしろ税金が逆に運用できるというところに問題があり、砂糖会社の場合におきましては、あとの方に当るのだから、これはそんなに徴収猶予をする必要がないじゃないか、こういうふうな御意見だと思っております。ただわれわれの方で従来扱って来ておりますのは、やはり税のことは、そのときの代金の回収関係は、そのときどきの市場の状況によりまして、売手市場になれば回収が早くなり、買手市場になれば回収がおそくなる。そうした関係でいろいろそのときどきに変って参りますが、税の関係においてあまりそこに、今月までは二ヵ月、しかし来月は一ヵ月にし、また今度逆に二ヵ月にする、そういったようなことにしますのも、会社の方の経理の見通しなどから見ましてもいかがか、こういうふうな考え方から、できればやはりできるだけ安定した姿のもので行きたい、これが実は一つあります。昨年いろいろ御批判を受けて調べてみましたところ、どうも三ヵ月では少し長過ぎるというので、二ヵ月に縮めまして、その後まだ一年もたっておりませんので、さらにもっと検討したいとは思っておりますが、あまりひんぴんと変えるのもどうかというので、現在までは少くとも二ヵ月になった、こういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/129
-
130・井上良二
○井上委員 ちょっと関連して。ただいま主税局長の方では、昨年この問題が取り上げられたときに、いろいろ調べた結果、どうも三ヵ月では長過ぎるから、二ヵ月が妥当であろうというので、二ヵ月に縮めた、こういう御答弁である。そのときにお調べになったのには、二ヵ月待ってやらなければならぬ取引をしておる実情がありましたか。それから国税庁の方は、一体税金を取り立てる方ですが、現実に砂糖に庫出課税をやります場合に、荷物が出ますと翌日決済、よほど長いところで、私の調べたところによると、一週間ないし二週間、これは北海道あたりまで荷物が行きます関係で、そういうことになる。その他は全部翌日決済、売買契約は成立いたしましても、その月中に荷物を引き取らなければ、売買契約が破棄される、こういう商習慣になっております。それをどこからどう考えてみても、二ヵ月待たなければならぬという一切の材料が上って来ないのであります。私は現実にそういう商習慣が行われて、——税を徴収するのに円滑にしたという立場からおやりになることについて、文句を言うておるのではありません。そういう実態がないのに、どういうわけでこれほど大きな金を——これはわれわれの納めた税金なんです。われわれの納めた砂糖消費税がそこでストップしておる。一ヵ月四十億という大きな金が遊んでおる。二ヵ月では八十億になりますよ。今日これだけの大きな金を融通する金融機関が一体どこにありますか。特殊な産業にそんな大きなまとまった金を融資する金融機関はどこにもないのであります。しかるに、政府がみずからこれだけの大きな金を無利子でもって金融をしておることに、裏づけ的にはなるのでありますが、国税庁は一体どういう調査をして税金をとっているのですか。その点、渡辺さんが去年お調べになったときに、二ヵ月くらいは待たなければならないだろう、そういうことで二ヵ月待つことになったのですが、そのときに長期の取引をやっている実情はどこにあったのですか、それを具体的に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/130
-
131・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 昨年の調査の点につきましては、今手元に資料を持っておりませんので、これはちょっと時間的御猶予をいただきたいと思っております。そのときの調査について私が今記憶しておりますところでは、大部分の砂糖会社が、いわば自分の販売部のようなものを別会社にしておりまして、そうしてその会社と砂糖会社との決済は一つございますが、その販売部のような別会社が一応大卸になりまして、そしてそれが小卸あるいは小売、こういうふうに品物を渡していく、それが販売部の場合でございますと、ある程度の期間がかかるが、そこが別会社なるがゆえに、割合に砂糖会社としては早く決済ができるといったような一応の姿があったようであります。従いまして、その別会社のものを一体どう考えていくかといったような点になりますと、必ずしも井上さんのおっしゃるきょう売ってあした金が入るといった問題ではなかったように思っております。ただそれが正確に二ヵ月という数字になったかどうかというのは、私は記憶しませんが、もう一つそのとき配慮いたしましたのは、今まで一応三ヵ月猶予されてきておりましたのを急に縮めるというのは、これは確かに政府の資金融通だからかまわないじゃないかといえばそれまでですが、一応やはり会社の実情も考えてやらなければなるまい、そこでとにかくお話のように、金も相当大きな額でございますので、とりあえず一ヵ月猶予を縮めようということで、現在の二ヵ月の制度を作ったということを記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/131
-
132・大槻義公
○大槻説明員 ただいま主税局長から答弁がありましたが、私も昨年のその当時の資料を詳細に記憶しておりませんが、井上委員のお話になったような短かい取引のものもあり、さらに取引形態として二ヵ月あるいはそれ以上かかるものもあり、いろいろその取引の相手と申しますか、会社により実態がいろいろな形があった、そのように私記憶しております。それこれの実態を通じて、二ヵ月まで縮めることが妥当である、こういう結論に到達した、こういうことでございます。なおその取引形態の詳細等はただいまここに資料を持ち合せておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/132
-
133・井上良二
○井上委員 大蔵大臣に一点伺っておきたいのですが、ただいま質問をいたしておりますように、実際会社から庫出しをいたします場合は、ほとんど大部分が卸を中心にする特約店であります。従って特約店が荷物を引き取ります場合は、直ちに引き取った翌日決済ということになっておる。そういう実情にあるのです。それを二ヵ月も延納を認めるというこの処置は、大蔵大臣として妥当なる処置とお考えになりますか。
それから大槻さんに伺うのですが、その二ヵ月以上にもなっておる会社があるというのですが、それはどこの会社ですか。実際はあなたが税を徴収しておる最高責任者ですから具体的にどこの会社が二ヵ月の長期の取引決済をやっておるかということを明確に願いたい。抽象的ではいけません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/133
-
134・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 二ヵ月が適当であるかどうかということについてのお返事ですが、これは私としてみましては、金額、期日、期間等につきましてとくと検討を加えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/134
-
135・大槻義公
○大槻説明員 具体的にどの会社がどうという記憶はございませんが、いろいろ取引の形態に種類があって、お話のように短かいものも確かにあったことを承知しております。しかし総じて結論的にその取引の実態をにらんで、二ヵ月が適当であるという結論を出したことを記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/135
-
136・井上良二
○井上委員 ちょっと大槻さんに伺いますが、精糖会社の砂糖の消費税の延納を認められております。それで会社は、あなたが実際記憶にないほどというようにたくさんの会社じゃありませんよ。そんなに何百も何千も会社があるのと違うのです。中心になっておる会社はわずかにここに出ておる十八社しか全国にありません。その十八のうちで、どれとどれとが一体そういう長期の取引をしておるか、そのくらいのことがあなたの方でわからないでどうしますか。そんなことがわからないで一体税の最高行政ができますか、そんなだらしのない答弁はありませんよ。何十も何百もあるなら、それはちょっとわからぬということも言えますでしょうけれども、わずか十八しかないじゃありませんか、十八のうちどれとどれかと聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/136
-
137・大槻義公
○大槻説明員 私その当時の記憶でそういう記憶があるものですから申し上げまして、具体的にどの会社がどうだという実態を承知していませんことから生じた私の答弁の至らない点があることにつきましては、御了承を得たいと思います。なお取引の実態についての詳細な実情は、ただいま別に調べさせておりますから、それを待って正確に御答弁いたすのが適当かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/137
-
138・井上良二
○井上委員 国会をごまかしたらいけませんよ。主税局長もそうですよ。これは昨年まで三ヵ月延納を認められておったのです。ところが調べたところが、そういう事実もなくなってきたから、二ヵ月にするが妥当であろうということで二ヵ月に縮めた、そうすれば、そのときにすでに、わずか十八くらいの会社ですから、このうちどことどこの会社が、いわゆる子会社を作って末端の取引までやっておる関係から、こういう事態が起っておるというくらいのことがわからないでどうしてやれますか。何十億という金を動かしているのですよ、それがあなた方にわからないでどうします。そんなだらしのない話はありませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/138
-
139・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 私の方で調べました資料によって、どの会社とどの会社がどうなっているということは当然答弁ができます。ただ私は手元にそれを持っておりませんのでどうも私の頭が記憶が悪いので、非常におしかりをこうむって恐縮なのですが、あれは去年の夏だと思います。そのときに一応ずっと見てみました。そしてかなり多くの会社が子会社を作っていたことを覚えていますが、その会社のどれがどう作っていたということは、この問題を二ヵ月に縮めたことで、一応そのときの問題としては片づいたものでございますから、大体それで忘れてしまったわけなのでございます。ただその書類はもちろん残っておりますし、それから同時に最近の状況につきましては、井上委員からも御要求がございまして、現在調査を整理しておりますので、これは非常におしかりをこうむって恐縮なのですが、できるだけ早い別の時期に、さらに資料としても提出し、正確な御答弁ができるようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/139
-
140・井上良二
○井上委員 私は申し上げておきますが、現実の取引において、そういう長期の決済を待ってやらなければならぬという事態があるなら、それまで私は認めないとは言いません。ところが、私が常識的に今日砂糖取引の実情を調べたところが、そういうことはほとんど行われていないということが明らかになってきたから、ここで問題にしておるわけなんです。だから、あなたの方でそういう実態があるというから、その実態を私どもの方にお示しを願った上でこの問題はさらに御検討申し上げますが、同時にこの際、特に資料として出していただきたいのは、酒の方の延納といいますか、それはどのくらい認められておるか。ガソリン消費税はどのくらい認められておるか。特に関税で大きな延納を認められています部分について、それぞれその品目、税額、延納の期間、延納を認められておる主要会社等を一つ資料としてお出しを願いたい、これだけお願いを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/140
-
141・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 今の資料要求でございますが、税目別に金額とか、あるいは延納の期間、これは出ます。従いまして、これはいずれか最近の一つの時期をとってしませんと金額が変りますけれども、これは出しますが、会社別ということになりますと、これは数の少い分は考えられますが、酒の会社のようになりますと、御承知のように数が多くなりますし、物品税になりましても、非常に数が多くなりますので、われわれの方でいずれ井上さんの御意向も伺いたいと思いますが、数の少い部分についてはある程度会社別に出せます。数の多いものについて会社別に出すということは、これはちょっと作業できませんので、その点だけ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/141
-
142・川島金次
○川島(金)委員 長くなりますからこれでやめたいと思いますが、最後に、精糖会社の消費税の問題は、大蔵大臣も今お聞き及びのような実情でございます。どうぞ一つさらに御調査を願いまして、国民が納得のできるような姿に置きかえてもらいたい、これを私は強く要望するのであります。大体この砂糖の原価というものは、私の調べたところによりますと、一斤二十三、四円、それがわれわれ国民消費者が買いまするときには九十円ぐらいするというようなべらぼうな価格になる。もっともこれは原糖の値段でありますから、それに加工賃とか運賃とか入りますことはわれわれも認めます。それにいたしましても、加工賃はわずかに一斤について十円内外、そうして原料の値段は二十二、三円、それが消費者の国民がなめるときには百円近くで、九十円も払わなければならぬ、こういうような状態です。そこで砂糖の超過利潤吸収制度というものを政府が考えられたのでありましょうが、こんな程度では、私は砂糖を国民大衆が安く適正な値段で消費するということにはならない、むしろ逆に、こんなことにすると今の高い値段でもって安定してしまう。そうしてその結末としては、国民がいたずらに高い砂糖をなめさせられてしまう。こういうことにならざるを得ない。そうして一方において若干の国庫収入がある、こういったことで終ってしまうのでなかろうかと私は思う。この砂糖の問題については、いかにしたらそれが国民に適正な値段で売り渡されるか、消費できるかということについて、政府としては考えなければならないことであろうと私は思う。利潤吸収制度、そんなことはほんとうに末の末の技術だと私は思う。それよりもっと根本的に、砂糖というものはどういう姿に置くのが国民のためであり、日本経済のためであるかということを、私は大いに研究をしてもらいたいと思う。そこで河野農林大臣は、内閣を組織すると同時に、いきなり砂糖の専売制というものを発言したことがあるのですが、一体あれはどういうことになっておるか、大蔵大臣お聞き及びでありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/142
-
143・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 砂糖の専売制を農林大臣が考えておったか、こういうことですか——私よく聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/143
-
144・川島金次
○川島(金)委員 そこで専売制をとらない限りにおいて一体砂糖の適正な価格ということで安定帯を置くというのは、どういう具体的な方法があるのですか。私は、この利潤吸収制度程度ではそんなことはできない、そう信じておりますが、政府は、この程度だけで一体砂糖というものが適正な値段で国民に消費されるという確信と見通しを持っておられるのですか。それとも、他にまたさらに別な方法を考えておられるか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/144
-
145・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 非常に大切な問題でありますので、これは一つ通産大臣と農林大臣ともよく相談しまして、適切にやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/145
-
146・松原喜之次
○松原委員長 次に大平正芳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/146
-
147・大平正芳
○大平委員 所得税の問題につきまして、若干質疑をいたしたいと思います。預金利子の免税問題につきましては、同僚の奧村君からも執拗な御追及があったのでございますが、すでに預金につきましては、ご承知のように無記名預金に踏み切ったし、それから源泉分離課税にいたしましたし、税率もさらに下げたということで、ほかの要因も作用いたしまして、だんだんと資本の蓄積ができて参りましたことは御承知の通りでございます。そこで銀行側は蓄積がふえましたから、だんだんと日本銀行の貸し出しに依存する部面も軽減されてきておるように見受けられて、これはけっこうな傾向だと思っておりますが、ただ一方事業体の方の借入金過多の現象は、その後ちっとも改善を見ていないように存じておるのでございます。特にことしの産業資金の供給見込みを政府が御発表になったところによりますと、株式につきましても、昭和二十九年度は千百八十億円、昭和三十年度は千二百億と、ほとんど変りがない金額になっておりますし、社内留保の方は、逆に千八百五十億から千八百億に減っておるというような数字が出ておるのでございます。この事業体の方の借入金過多の現象をどのように解決するかということは、これは税制だけでいける問題ではありませんしよほど根本的な対策が必要だと思うのでございますが、今度の政府の御提案になっております予算案、主として税制面につきましては、自己資本の配当所得について何らの新しい施策が見られないのでございますが、政府の方では、税制でなくて、何か別な方法で自己資本の充実というか、借入金過多の現象を解消していくために御政策をお持ちなのかどうか、その点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/147
-
148・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。企業の借入金が多い。この改善については、実はほんとうに苦慮いたしておるのでございますが、結局これは私の考えでは、まずできるだけ内部保留ができるようなふうに考えております。しかし内部保留するのには、企業はやはり利益を上げないとなかなかそうはいかない。ですから、結局今借入金と自己資金との関係がアンバランスになっておりますから、増資ということも考えていかなければなるまい。あるいはまた借入金で短期のものがすでに長期に固定しておるというものは、まあ社債にかえる。しかしこういうような借入金の間違いは、やはり外部の何によるのでありますが、そういうふうないろいろな手を打って、会社の資金を、借入金を案定しつつやって行く。むろんそういうふうな資金の蓄積を待って徐々にオーバー・ボローイングが解消するという本筋とともに、適当な時期が来て適当な方法があれば、政策的にも解消することを助長して行きたい。とりあえずは、私はこのオーバー・ボローイングというのもある程度解消しつつあると思うのですが、何にしてもこの負担をまず軽くするということが一番大事なのじゃないか。言いかえれば金利が下って行く、金利が下るということは蓄積資金が豊富になる、こういうふうな方向にまずいきたい、こういうふうに思っておるのですが、税の上等におきましても、今回は特に社内保留を法人税等において四二%を四〇%に下げているという程度にとどまっておりますが、今申したような方向でいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/148
-
149・大平正芳
○大平委員 さて産業資金の供給見込みを見ますと、預金の方では、昭和二十九年度が五千九百億、それが三十年度は六千二百億になるのだ、貸し出しの方は三千七百億が四千九百億になるのだというような数字を出しておるのでありますが、逆に社内留保や株式の方は至って貧困な数字になっておるのです。アンバランスがますますひどくなっておるような感じがするのでございます。つまり自己資本と他人資本との割合が権衡をますます失墜しつつあるような感じがする。ちょうどそういう時期に、政府の方では預金利子の免税をやろう、こういう思い切ったアクションに出られておるわけでございますが、預金利子免税によりまして一体どのくらいの資本の蓄積が実現可能かというような、こないだの奧村君の御質問に対しましては、政府の方では確たる見通しはまず持っていないようです。もっとも非常に推定がむずかしいのだろうと思いますけれども、全体として受ける印象は、まあ何か役に立つだろうというぐらいのお気持じゃないかというように私ども受け取ったのでございますが、こういったアンバランスがますますひどくなっておるときに、その上にさらに預金利子についてしかも非常に確信を持って、これだけの蓄積は可能にするのだという非常な熱意が見られないような御提案があるのでございますが、一体こういう状況で、この配当を通じまして自己資本を充実さしていこうということに非常な支障を来しはしないか。言葉をかえて言えば、臨時課税になっておったのが、さらに今度は全免せよということになりますと、かりにそれが時限立法といたしましても、これを撤廃するということはなかなか困難だと思います。そうしますと、今株を持っておる者が、ちょうど市況がこういう停滞の時期でございまするから、株を売って預金にくらがえする、あるいは貸付信託の方にいくというような現象が起ることを予想しなければならぬと思うのですけれども、金融界にそういった異変が起らないという自信がおありかどうか。つまり預金利子と配当所得との間のバランスがこれでとれておるという確信を持たれるのか、もう一つは、こういう措置を講ずることによりまして、株式の売却等が横行いたしまして、頭金や貸付信託の方に逃げる傾向を助長しやしないか、そういう点に、そういうことは起らぬのだという確信をお持ちかどうか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/149
-
150・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御心配は非常にごもっともだと思います。それでできるだけ、できるだけというとまた悪いかもしれぬが、十分事務的な利回りの計算も見ておるわけでございます。なおそういう情勢でもありますれば、これは当然私は預金利息をむろん下げていくという方向でこれは是正していく。それで一そう貸出金利も下げていく。こういうふうに資金量の増加、これは相当増加をしないと、そういう情勢は私は成立しない、そういうふうに思っております。個々におきまして、ある者が株を売って預金にする、預金を引き出してまた株を買う。個々の場合はいろいろありましょうが、大勢的に見てそういうふうな気配があるということは、当外資金量がふえていく、当然預金の金利も調整をすべきだ、金利の引き下げという、こういうことになるという考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/150
-
151・大平正芳
○大平委員 そこで主税局長にお伺いしますが、配当所得というのは一体幾らくらいあるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/151
-
152・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 配当所得という言葉は、おそらく個人の関係ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/152
-
153・大平正芳
○大平委員 個人の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/153
-
154・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 しかし一応現在では、源泉課税しておりますのは、個人と法人と両方合せてやっておりますが、必ずしも両方はっきり区別した数字は出ておりませんが、いわゆる配当金額として一応考えられておりますのは、二十九年度におきましては八百七十億、三十年度でもって九百四十億、こういう数字に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/154
-
155・大平正芳
○大平委員 それの法人、個人の別はわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/155
-
156・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 正確な数字はわかりませんが、個人は五割五分、法人が四割四分というのが過去における大体の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/156
-
157・大平正芳
○大平委員 そうしてこの配当金ですね。これを税務当局では、完全に今総合課税になっておるわけですが、一体捕捉できておるのですかどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/157
-
158・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 その点になりますと、国税庁からあるいは御答弁申した方がいいかとも思いますが、われわれの見ておりますところでは、現在支払い調書は一件三千円以上の分について出してもらっております。この支払い調書によりまして大体課税をしておりますが、所得の小さい人の場合におきましては二割五分の控除、現在でありますと、一割五分の源泉課税、そういうことで大体四割になりますので、総合課税してみましても、それほどすぐに税金にならぬ分もある程度あります場合は、どこまで的確に追いかけているか、多少疑問を持っております。それから支払い調書につきましても、住所、氏名などにおきまして必ずしも正確に出ていない場合がある。それは総合、できない資料として、また元へ返して調査し直すことにしておりますが、それが常に円滑にやっているということには必ずしもいっていないのじゃないかと思っております。ただしかし、大きな所得者に関します限りにおいては、相当的確なる課税ができているものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/158
-
159・大平正芳
○大平委員 だとしますと、八百七十億、ことしは九百四十億というのはなまの配当ですか、課税の対象になっておるというか、もっと正確にいえば、三千円以下の資料がこない分もみな含めているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/159
-
160・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 今申し上げました数字は、御承知のように配当については二つの関係で課税が出ております。第一は配当の源泉課税、この源泉課税は、会社が支払うときに課税しているもので、そのときに一応数字が出ます。それからあとの方でまた総合課税になりまして、いわゆる総合課税の数字として配当所得の数字が出て参るわけでありますが、ただいま申し上げました数字は、源泉課税として把握されている分、従いまして会社が支払う分でありますから、この分につきましては、法人の分も入っておりますし、個人の分も入っております。と同時にこの場合におきましては、今の三千円の資料とか、そういうことに関係いたしませんで、的確に一応源泉徴収がされているというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/160
-
161・大平正芳
○大平委員 どうもそこがちょっと私にはあいまいなんですが、源泉による配当所得が今百三十数億になったと思いますが、それで八百七十億、約九百億円見当の配当金というのは、これからいろいろな控除があったり、捕捉が十分でなかったり、あるいは他人名義その他で散ってしまうというような、総合される過程までには逃げる分だと思いますが、総合課税で一番締めくくった最後の配当所得でどれくらいの税金がとれておるものか。私の申し上げる意味は、つまり源泉でしぼって、そして総合でしぼり上げられておりますけれども、その過程にいろいろ複雑な事情で捕捉しきれない分もあるだろう、この二重課税の方式でどれだけの実益が上っておるのか、その点を的確につかみたいのです。今の御説明ではどうもわかりかねるのです。つまり総合で二重にバック・アップしていく効果ですね、それを少し御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/161
-
162・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 総合課税の中で、免税点以下でもって——免税点といいますか、あるいは課税にならないで入ってくる分とかいろいろございますが、とにかく一応課税になるものとしてわれわれの方で計算しておりますのは、百七十億という数字を考えております。結局先ほども申しましたように、小さな額の場合におきましては割合に散逸的な結果になると思いますが、大きな所得者におきましては、相当的確につかんでいるものと思っております。現在高額所得者の中で、特に配当取得の大きい人を見て参りますと、名前をあげるのはどうかと思いますが、たとえばブリヂストン会社の社長さんであるとか、そういったような意味の、同族会社ではありませんが、かなり同族会社的な色彩を持つ会社の首脳部で、相当大きな株を持っているような人の面が非常にはっきり表に出ております。こういうものにつきましては、そう課税漏れがあるというふうにはわれわれは思っておりません。従いまして課税漏れがあるとすれば、いわゆる小株主の分——もっともこれも方々の会社の株を分散的に持っている場合においては、あるいはその金額も相当の額に上るということも考えられるのでありますが、大きな会社、大きな配当につきましては、相当的確な把握ができる、その分だけで大体今申しました百七十億くらいは予定されるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/162
-
163・大平正芳
○大平委員 それでは逆に源泉一本にしてしまうと、今あなたが言われるような高額の者が逃げていくという欠点は確かにあるのですが、配当所得五十万円以上とか、三十万円以上とかいう一定の限度を設けて、その上は総合にするんだというようなことは税務行政上非常にむずかしいことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/163
-
164・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 技術的に見ますと、それはおそらく現在の総合課税の建前でそのままやって、そのあとで分離するとかしないとかいうような問題になってくるのではないかと思います。現在としましては、要するに山林の所得のようなものですが、ああいうような姿になってしまうのではないか。それはやればやれないことはないと思っておりますが、非常に妙な姿になってくるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/164
-
165・大平正芳
○大平委員 今度法人税の税率を四二彩から四〇%に下げられておりますが、所得税法の何条でしたか、農協であるとか、あるいは中小企業協同組合等の特別な法人は三五%で課税されていると思いますが、これはそのまま据え置きになっておりますが、農協等の三五%の税率を適当とされている法人は税制上大してふえてもいないから、一応そのままにしておこうというのですか、また検討されまして、こういったものは手をつけなくても十分バランスがとれるのだというお考えなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/165
-
166・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 その点につきましては、いろいろ検討してみたのでございますが、過去の事例から見て参りまして、普通法人も、今御指摘になったような法人も、一応シャウプ税制の際には三五%で課税されていったのであります。その後普通法人だけにつきまして引き上げが行われたのでありますが、これを元の姿に戻してほしいという声が相当高いという点をも考えまして一応四二%から四〇%にしたという点が一つございます。それともう一つ、これは大平委員よく御存じですが、現在におきましては、これは別の見地ではございますが、そういう組合につきましては、資本金の四分の一の留保分に対して税金を免除しているのでありますが、今度中小企業協同組合等につきましても、そういう点をさらに考慮するということも入れてございますので、法人税の引き下げの幅が大きければさらに検討すべきであると思いますが、二%の引き下げでございますので、その方面の税率については手をつけなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/166
-
167・大平正芳
○大平委員 こまかい問題は相当ございますが、きょうは大臣に対する質問でありますから、あとに譲ることにいたしまして、最後に大臣に一言お伺いいたしたいのですが、先ほど川島君の御質問中、税制調査会なるものを設けるというようなことをおっしゃいました。私ども初耳でございますが、一体いつごろどういう構想で設けられるのか、具体的に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/167
-
168・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 まだ具体的に構想までは立っておりませんが、なるべく早い機会によく相談をしまして——私の考えでは、ほんとうによくわかる人々にお願いをして実効の上るようにということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/168
-
169・山本勝市
○山本(勝)委員 関連して伺いますが、ただいまの大平君の質問は非常に重大な質問であると思います。配当の所得と金利の所得との間にバランスがくずれるようなことがあれば、預金の利子を引き下げるというような御答弁があったようであります。そう了解をいたしたのでありますが、預金に対しての税金を免除するという建前を一方でとっておいて、そうして配当所得との間にバランスがくずれてきた場合には、預金の金利を下げるという考え方をすると、税金を免除したという意味は結局なくなって、資本蓄積というものを盛んにするという目的が消えてしまいやせぬか。むしろバランスがくずれてきたような場合には、ただいま大平君から質問されたように、配当所得の総合を全部やめるということは、主税局長が言われるように大きな所得者から税が取れないということになりましょうが、すでに三千円以下というものは報告する義務がないというので、金額は少いですけれども、一定の額以下のものは総合を事実上免除しておることと同じになっておるのですから、その場合三千円ということでなしに、一つの銘柄で五十万とか三十万とかいうふうな限度を置いて、それ以下は総合を取らないような考え方にしたら——どの限度をとるかは別ですけれども、その考えを進めていってもらうべきじゃないかと思う。結局源泉における税率は高くても、これは最初に取られてしまうのですから、めんどうはない。事実どなたでもそうだと思いますけれども、あとになって配当の所得を書き出すということはなかなかめんどうだ。それを書き出さなければ脱税ということになり、結局正直者がばかを見るということになるから、源泉の所得税率を一割五分を一割に下げるということよりも、それは一割五分のままでもいい。なるべく総合の方をやめて申告をしないでもいいようにして、三千円というのをもう少し限度を上げて、たとえば一つの銘柄で千株とか二千株くらい持っておる程度のものは申告しないでいいということに考えを進めていってもらうべきじゃないか、これは御考慮を願います。主税局長だいぶ意見がありそうですから、意見があったら聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/169
-
170・渡辺喜久造
○渡辺政府委員 いずれまたあらためて御答弁申し上げる機会もあると思いますが、ただ一言だけ申し上げておきます。現在の三千円というのは、これは一回の支払いになっております。従いまして配当率によって違いますが、大体千株程度の場合におきますと、現在の三千円のものがこれに該当してくる、これだけを一応申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/170
-
171・松原喜之次
○松原委員長 横路節雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/171
-
172・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣にお尋ねいたします。昭和三十年度の財政投融資の資金計画によると、余剰農産物資金のうち、農業開発に三十億を使うことになっておりますが、具体的な計画内容がきまっておれば一つお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/172
-
173・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 まだ具体的には決定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/173
-
174・横路節雄
○横路委員 政府の方としても、昭和三十年度の予算については、早く衆議院側であげることに努力をしておるのだろうと思うのですが、この余剰農産物資金の協定の方の今の進行状態はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/174
-
175・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この余剰農産物は、近いうちにアメリカ側と話が妥結する見通しになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/175
-
176・横路節雄
○横路委員 近いうちというのはいつごろですか。これは、当然大蔵委員会には特別会計法について出さなければならないし、当然本予算が通るまでに昭和三十年度の財政投融資資金計画もあわせて具体的に出さなければならないと思うのです。これだけを通しておいて、あとになって大蔵委員会に出す。また別途特別会計については予算委員会にかけるというのはおかしいと思う。具体的にはいつごろ協定ができるのですか、その進行状態はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/176
-
177・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 経審長官がこの交渉の衝に当っておりますが、長官の予算委員会の御答弁で、今月一ぱいで大体妥結する見通しだと言っておったように私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/177
-
178・横路節雄
○横路委員 そこで開発銀行の点についてちょっとお尋ねしたいのですが、本日は先ほどいろいろ金利の問題についてお話がありました。大蔵大臣は、造船関係の金利については、開発銀行は何ぼかということは御承知になっていらっしゃると思うのです。——これは御承知のように三分五厘になっておる。そこでこの点については、当初はたしか五分に下げ、五分と三分五厘との差額については、昭和二十九年度については、当初はいわゆる利子補給をすることになっておったが、去年の初めの国会で、当時の運輸大臣と開発銀行総裁との間で話し合いをつけて、内部操作でやるということになった。今、海運関係については三分五厘なんです。石炭関係についてはどうなっておりますか。金利については、市中銀行においては適当にやればいいというさっきのお話ですが、開発銀行は政府関係機関なんです。石炭についてはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/178
-
179・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 石炭は一割くらいになっておると思います。炭住の方は五分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/179
-
180・横路節雄
○横路委員 この点は、大蔵大臣としてはどう思いますか。海運関係については三分五厘、炭住は復金の方の金なんです。開銀は石炭について一割なんです。政府関係機関として、これはちょっと妥当を欠いていませんか。ことに炭鉱の合理化であるとか、この間から石炭との競合についての重油については関税を下げるとか、あるいは通産省においては、重油の規正法案を出すといっておる。しかし大蔵大臣は、たびたびこの委員会で言っておるように、やはり一番問題になるのは金利なんです。開発銀行の一割というのは不当ではないでしょうか。市中銀行には下げろと言っておりながら、自分の政府関係機関については何ら話をしておらないということはおかしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/180
-
181・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 石炭については、引き下げることにいたしております。今どの程度引き下げるか検討を加えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/181
-
182・横路節雄
○横路委員 そういうふうに、大蔵大臣が率直に言ってもらえばいいのです。石炭について下げるということですが、ではこの点は一体どこまで下げるのですか。実はあすにでも開銀総裁に来てもらおうと思っておるのですが、たとえば開銀総裁は、六分五厘に下げるとも言い、また新聞の報道によると、大蔵大臣はさすがに三分五厘に下げるとは言ってないのですが、通産大臣との間の話し合いで五分くらいまでは下げたいと言っている。これは新聞の間違いだろうと思いますが、とにかく非常に重要な問題なんです。開発銀行が下げることにきまれば、あとは右へならえで、市中銀行は下るのです。一体どの程度までお下げになるのですか。大蔵大臣は、大蔵委員会にはめったにおいでにならないのですから、すなおに率直にお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/182
-
183・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ほんとうに今検討いたしておるのでありまして、今幾らに下げるということは申しかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/183
-
184・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣、これは電力は六分でございましたか、六分五厘でしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/184
-
185・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これもはなはだもって恐縮なんですが、六分五厘程度と思いますが、なおよく調べましてお答えいたします。間違うといけませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/185
-
186・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣に今の点をお尋ねしますが、これは石炭だけについて下げるという考えですか。それとも石炭、鉄鋼についても下げるという考えですか、開銀については……。今の一割である石炭、鉄鋼その他について下げていくのが——とりわけ今石炭の需要供給の問題が非常にいろいろな問題があるので、石炭についてのみ下げるというのですか、これはどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/186
-
187・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今日市中金利を全般的に下げる態度をとっておりますから、政府機関の金融機関の金利も、私は下げる方針をとっておるのでありますが、ただ具体的にどうするかという点が、石炭についても——これは石炭については下げると聞いたのでありますが、それらについて検討を加えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/187
-
188・横路節雄
○横路委員 これは大蔵大臣にお尋ねしますが、開銀総裁から電力については六分五厘、従って石炭についても大体六分五厘くらいにするのが適当であろうというような話し合いは、今まで一度もなかったのかどうか、その点についてお尋ねします。われわれは、大体開銀としては、石炭についても電力同様六分五厘くらいまで下げたいという意向であるというように聞いておるのですがこの点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/188
-
189・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 いろいろそういう点について考えがあると思いますが、今そういう点について開銀の当局と大蔵省の銀行局と、いろいろの関連を考えまして検討いたしておりますから、そう遠くないうちに結論を出し得るだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/189
-
190・横路節雄
○横路委員 そこで大蔵大臣に次にお尋ねしますが、今の石炭の金利引き下げについて、通産大臣との間に——これは通産省の方で考えられているのでしょうが、炭鉱の合理化法案、それから重油の消費規正に関する法案、あわせて炭鉱の金利等に関しても通産大臣との間にいろいろお話し合いをなさったと思うのですが、先ほど大蔵大臣は、炭鉱の合理化等については非常に何か御構想があるようなお話をなさっておりました。その点は、一体今の石炭問題にからんでどういう措置をなさるか。金利の問題、重油の関税は今法案が出ましたが、重油の輸入に関する消費規正の問題、それから炭鉱の合理化はどうなっていますか。これらは全部からんでいるわけですが、通産大臣と当然この点についてお話し合いをなさったと私は思うのですが、この点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/190
-
191・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 むろんそれらの点につきまして、通産大臣とはいろいろと話しておりますが、それらについての具体的な成案は、まだ通産省の方でできていないように私は承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/191
-
192・横路節雄
○横路委員 今の開銀の金利の問題については、一度ここへ開銀総裁に来てもらって、大蔵大臣は、ある程度銀行局の方で話しはしているのだろうと思いますが、ただ単に石炭関係だけが下るというわけでもないだろうと思うので、その点は一度ここに呼んでいただきまして、われわれただしたいと思います。
次に同様に、昭和三十年度の財政投融資の資金計画のうちの、地方財政に関する地方債のことですが、この地方債につきましては、大蔵大臣御承知のように、資金運用部資金から四百六十六億、簡保資金から四百二十八億、公募債二百三十億となっておるわけなんですが、実際に大蔵大臣どうですか。これは今委員部の方に言っておるので、自治庁長官がすぐおいでになると思うので、自治庁長官がそろってからなお詳細にお尋ねしますが、この公募債が去年は二百億なんです。大蔵大臣はこの地方の自治団体に割り当てした二百億が消化されると思っておるのかどうか。それに、さらに公募債については二百三十億押しつけておる。これはどうですか。一体大蔵大臣としては、こういう地方財政の立て方はどうお思いになりますか。公募公債で去年は二百億。これは私は十分消化してないと思う。そこへまたさらに二百三十億の公募公債を押しつけておる。なぜ一体こういうことをやるのか。全部これは資金運用部資金その他でやったらいい。消化できないものを押しつけておいて、無理々々できない財政計画に当てはめておいて、いかにもできたようにつじつまを合せておるのじゃないでしょうか。どうしてこういうように、去年の二百億の公募公債に、ことし三十億をふやして、二百三十億にしたのか。大蔵大臣としては、去年の二百億について、全部消化されておるという見通しのもとにやったのかどうか、その点について私は承わりたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/192
-
193・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 地方債の二百三十億余の起債を、地方債の実際の起債成績から見てさように御心配下さること、私もほんとうに同じような心配をいたしております。がしかし金融の情勢が、昨年度とはよほど違って参るわけです。特に今日、今後におきまして地方銀行の資金繰りはよくなる見通しで、もう地方銀行で日本銀行の借入金に依存しておるような銀行はほとんどないと私は考えておるくらいで、今後資金の増大もある。そこで問題は、そういう資金ができた場合に、地方債の消化にどういうふうに振り向けるか。そこで今二百三十億をこのままにほうっておいて果して公募が十分完全にいくか、ここへ何かの施策を必要としないかということを考えておるのでありますが、もう一つ赤字の消化に百五十億ばかり、これはやはり公募債でありますが、しかし今日すでに借入金の形になっております。これは適当に振りかえて、こういうものを含めて私は地方債を——これはまだ私の試案の域にすぎませんが、こういう点については、関係者と十分研究をして、すみやかにこれが消化ができるという態勢をとらなくてはならぬと思っております。地方の再建整備に関しての債券の消化に対して特別の何かの審議会といか、協議会と申しますか、こういうふうなものを作って、この消化については、日本銀行、大蔵省の財務局等も参画して消化をはかるようにしたらどうだろうかというふうな——これは私の腹案ですけれども、そういうような、ここにどうしても消化ができるような何らかの積極的な措置をすることが必要である、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/193
-
194・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣、実はこれはお昼に私が要求しまして、自治庁からとった資料なんです。昭和二十九年度の公募地方債の消化状況なんでして、都道府県及び五大市については、五月十日現在における推計をとり、市町村分については三月末であるわけです。ところが公募公債について約二百億のうち、八十八億しか消化していない。約百十二億というものについては、今日まだ消化していないわけです。そこへ持ってきて昭和三十年度のいわゆる地方財政計画の中に二百三十億、去年よりもさらに三十億もふやして二百三十億の公募公債でやれ、こういうことでできるでありましょうか。今大蔵大臣から、この公募公債については絶対に消化できるというお話でございましたが、実際に地方財政は、大蔵大臣御承知のように逼迫している。これは一体どうやって具体的に消化させることができるのか、その点について一つ大蔵大臣のお考えをお述べいただきたい。具体的に数字が出ているのです。昭和二十九年度のものが二百億のうちまだ百十二億消化していない。具体的に消化させる最もいい方法をお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/194
-
195・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 消化させる最もいい方法を具体的にここに示せというお話でありますが、どういうふうにしてそれを消化させるか、これなら消化ができるだろうという具体案について、至急に自治庁長官とも相談して、今私考えているのでありまして、近々御報告できると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/195
-
196・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣、私は公募公債というものはできるだけ少くしなければならぬ、できるだけ資金運用部資金でやらなければならぬと思います。なぜならば、公募公債は大体年八分五厘くらいでいっているのですから、当然地方財政の負担をかけないという点からいけば、私は資金運用部資金でやらなければならぬと思うのですが、これは具体的にと言うても、おそらく大蔵大臣の方でも今具体的ないい案をお持ちでないのではないかと思う。ほんとうはここに理財局長が来ておられれば、理財局長からどういうようになっているか伺いたいのです。大体きょうは出席が悪いですよ。大蔵大臣が来ているというのに、局長も少し不勉強だ。私はそれを聞きたい。実は私がお聞きしているのは、今数字を申し上げますが、こういう不消化の状態ですから、不消化の状態のところに去年と同じだけ割り当てたというならまだ話がわかるのですが、それを去年二百億で、なお百十二億消化できないのに、去年の二百億にまた三十億ふやして二百三十億を公募公債でやれというから私は聞いているのです。これは大蔵大臣として何かお考えがあるでしょうから、この際研究中と言わないで、いい案があればここで率直にお述べいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/196
-
197・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 何も隠しているわけでも何でもないのですが、それについてはいろいろの案がないことはないのです。自治庁の方からもいろいろの案が今出ております。また従来地方債の消化についての案も、もう数年前からいろいろといわれている案もあるのであります。しかしこれはいろいろ問題があるので、そこで検討を加えて何か——何かと言うとまた悪いかもしれませんが、ほんとうに安心ができる具体的なものを今一生懸命で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/197
-
198・横路節雄
○横路委員 昭和二十九年度の地方公共団体のそれぞれ銀行に引き受けさせたいわゆる金利については、資料を出せというのに今出てこないので、明確ではありませんが、前の二十八年度分はとったわけです。大体一番低いところは七分くらいになっている。これは特殊な県で、大体八分五厘、こういうふうに差があるのです。これはなるほどそれぞれの県の財政の状態からいって、それぞれ県の指定銀行といいますか、銀行との取引で七分の場合もあるだろうし、七分五厘の場合もあるだろうし、八分五厘の場合があってもいいかもしれないけれども、しかし大蔵大臣が何らかいい案があるというなら、この際七分とか七分二厘ということで、都道府県の負担というものをできるだけ軽減するようにしてやらなければならぬと思うのですが、この金利の点についてはどうですか。何かお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/198
-
199・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 金利もお話のように、地方団体の方からすればなるべく低くといいますか、同時に地方債は地方債としての一つの地位を金利体系の上に持っておりまして、国債、地方債、社債というような関連もあり、全体との関係においてやはり考える必要があると思っております。ただ今回のような、再建整備のために従来の赤字を地方債に振りかえる、こういうものについては、今回特殊な金利の補給をする法案を御審議願うようにしているわけであります。なお消化について考えると申しましただけで、いかにも何だか準備がないようですが、いろいろ考えております。ただ初めから消化するという言い方もはなはだ悪いと思いますので、ありのままを申したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/199
-
200・横路節雄
○横路委員 私も地方財政再建整備法については承知している。従来の赤字についてそういう処置をすることは知っているのです。私の聞いているのはそうでなしに、公募公債について、その消化状況について聞いているのです。理財局長も隣に来ましたから、だんだん聞いていきますが、ほんとうはここに自治庁長官も来てもらった方がいい、間もなく来ると思うが、とにかく私の了解できないのは、今度の九千七百億の地方財政計画は、最後に地方自治庁が大蔵省に屈服して、一夜のうちに百五十億の地方財政計画だけを頭からはずして、そして全部九千七百億のうちに埋めてしまった。それは今自治庁長官が来ればよくわかると思う。九千七百億の財政計画であれば、百五十億だけは絶対に赤字が出る。今までの赤字でない、昭和三十年度で。実際国の財政ももちろん大事ですが、同時に地方財政についても同じなんです。どうして一体こういうように百五十億を一晩のうちにちょん切ってはめたのか。主計局長がおりますから、私具体的に数字を述べてみますか。どうしてこういうような無理なきめ方をしたのか。主計局長何か話があれば承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/200
-
201・森永貞一郎
○森永政府委員 地方財政計画の策定の経過におきまして、いろいろな案がございましたことは御承知の通りでございます。最終案の九千七百六十一億を決定いたします前の段階におきまして自治庁当局が作っておりました案では、ただいまお話がございましたように、若干の赤字が出ておったのでございますが、これはそれだけの赤字をそのまま出っぱなしにするという趣旨ではなかったのでございます。これにつきましては、単独事業の節約なり、ないしは公共事業の重点的施行によってこれを埋める、そういう方途で自治庁当局も臨んでおったようでございます。最終案といたしましては、その単独事業の節約も織り込んでおりますし、その他交付団体と不交付団体との間の歳出財源の配分の調整等によりまして、赤字の出ない計画は作成したわけでありまして、この計画に従って、今後地方財政に対しまして健全なる運営を望んでいる。さような経過になっているわけであります。当初の案でも、それだけの赤字をそのまま出っぱなしにするというつもりではなかったようであります。その点も十分一つ御了承いただきたい。自治庁当局からもお聞き取りいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/201
-
202・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、二十八年度の決算で、旧負担金というものが、全国都道府県市町村の地方自治体で二百六十億あるわけですね。そこで今度九千七百億の地方財政計画の中にはめるために、そこから二十四億九千四百万円というものを、いわゆる旧負担金を削ってしまったわけです。私は決してこのことが悪いとは言わない。しかし実際はそうなっていないのですよ。たとえば地方で政府直轄の建物を建てる。法務局を建て、何を建てる。そうするとその役所は、必ず地方自治体へ行って、お前のところで三百万円出せ、お前のところで五百万円出せ、そうすれば建ててやる、どうだこっちの方の町は、こうやる。そこでやむを得ず泣く泣く地方自治体はそういう金を出しているのです。二十四億九千四百万を削ることはいい。しかし削っても、やはり地方自治体としては、そういうところにそれぞれの機関を設置してもらいたい。そうするとやはり中央官庁から、金を三百万円出せ、五百万円出せ、いやならこっちへ持ってくるぞ、こうなる。だからそういう場合に、もしも中央官庁が都道府県並びに地方自治体から、そういう番付金をとったら処罰するという何か法律でも作らなければ、何ぼ二十四億九千四百万円削ってみても、こうやって出すやつは片っ端から中央官庁で喜んでもらっている。何かそういう処罰規定に関する法律案をお出しになるのでなければ、ただ単に地方財政計画に当てはめたというだけです。地方はみんなそうです。中央官庁から無理々々いわれてとられている。この点はどうなさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/202
-
203・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。その一点については、自治庁長官は非常に強いお考えを持っておりまして、私は適切に処置されるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/203
-
204・横路節雄
○横路委員 問題は大蔵大臣の方なんです。それは自治庁長官ではないのですよ。なぜならば、それぞれの所管の主務省でとるのだから。とったら、大蔵大臣、どうですか。とったら処罰でもしてやらなければ……。自治庁長官の方ではないのですよ。自治庁長官の方は出したくないのですよ。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/204
-
205・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 国がそういう寄付を地方に強要するようなこと、これはもうはなはだよろしからぬ。これは別に法律というようなものをもって規制しなくても、各省に今後十分自粛といいますか、そういうことをしないように、厳重な申し渡しをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/205
-
206・横路節雄
○横路委員 その厳重な申し渡しでできるならば、今まででもできていることなんです。それは何といったって地方に行ったら、中央の官庁からいわれれば、地方自治体は泣く泣く出しているのですよ。だからほんとうに地方自治体のために旧負担金の抑制をするというのであるならば、とった官庁については処罰規定くらいは、やはり立法措置をしたらいいのですよ。桶牒だけではだめですよ、今までやっているのだから。主計局長、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/206
-
207・森永貞一郎
○森永政府委員 ただいまお話がございましたように、各地方としては、自分のところにいろいろな役所を誘致したい、学校を誘致したい、いろいろなことで自発的に寄付の申し出があったというのが、今までの率直な実情でございますが、私ども今日の地方財政の実情にかんがみましてかりに地方が希望するといっても、新しい役所なり、学校なりの設置ということを、地方財政に犠牲をしいてまでもやることは、できるだけ抑制して参りたい、これは私どもの方の予算の運用上においても、そういう点に十分気をつけるつもりでございます。しからば法律をもって処罰するか、これは国が国を法律で処罰するというと、国自身のことでございますから、私は実行上十分自戒の実があげられぬのじゃないかと思うのでありまして、法律をもってそれを規律するというところまでは考えていないわけでございます。もっとも地方自治庁の側におきましては、地方団体の側で寄付をすることにおいては中央の承認がいるとか、そういう法的措置が請じられる可能性があるのではないかと記憶いたしておりますが、われわれの方、国の方の自粛と相待って目的が達せられるのではないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/207
-
208・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、私の与えられた時間もあまりありませんから、その次は失業対策事業について……。これは二十二億二千百万円削っておるのです。これは大蔵大臣、どこで削っておるかというと、失業対策なんです。それはどういうことかというと資材費、大蔵大臣なかなかおわかりにならないかもしれませんが、この資材費というのは失業対策ですから、まさかほうきをもって道路の掃除ばかりやっているわけにはいかぬですよ。やはりいわゆる公共事業との関係においてやるわけですから、セメントとかなんとか資材費がいるわけです。それが今まで、地方自治体においては一人当り八十四円十四銭持っておったやつを、これを三十九円頭から削って、資材費を一人当り四十五円にした。だからこの計画での地方財政計画による失業対策事業は、これで推し進めていくとどういうことになるかというと、極端に言えば、竹ぼうきをもって道路の掃き掃除をやる失業対策事業だということになるわけです。絶対にこれは生産も伴わなければ、公共事業的性格も持たないわけです。失業対策事業というのはそういうことではなしに、やはり資材費を見込んでやるべきだと思う。これは大蔵大臣、おかしいでしょう。今まで一人当り資材費が八十四円十四銭のやつを半分に切ってしまって、竹ぼうきでとにかく道路でも掃いておけ、こういう失業対策はないと思う。こういうことで無理して落しているのです。大蔵大臣これはおかしくないですか。とにかく九千七百億に当てはめるために無理々々削っておる。大蔵大臣どうですか、こういう失業対策事業はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/208
-
209・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そういう点については、主計局長から詳しく申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/209
-
210・森永貞一郎
○森永政府委員 自治庁から提出されました失業対策事業費でございますが、前年度に対しまして、地方負担が六億二千九百万円増加いたしておるわけであります。当初の案より幾分減っておる点も御指摘があったと思うのでありますが、今般国の方の予算でも、一般失業対策事業のほかに特別失業対策事業を設けまして、資材費の割合をふやすとか、あるいは単価をふやすというような配慮をいたしておるわけでございまして、失業対策事業全体として資材費が減少しておるということにもならないのじゃないかと思うわけでございます。その点は一つ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/210
-
211・横路節雄
○横路委員 時間もありませんから、それでは銀行局長にちょっとお尋ねしますが、開銀の石炭に関する金利引き下げ、大体何分に下げることに話がついておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/211
-
212・河野通一
○河野(通)政府委員 開銀の石炭企業に対する金利の問題につきましては、目下検討いたしております。従いまして、まだ下げるということまできまっておりません。まだ検討いたしておりますが、下げる方向において検討いたしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/212
-
213・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣ははっきりしておる。銀行局長、もう少しはっきり話してもらいたい。これは石炭のほかに鉄鋼その他もずっと下げるのですか、石炭だけを下げるというのですか。今までわれわれ承知しておるところでは、大体電力の六分五厘まで下げるというのか、それらの見通しはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/213
-
214・河野通一
○河野(通)政府委員 鉄鋼、肥料その他につきましては考えておりません。それから石炭につきまして下げる方向で検討いたしておりますが、どの程度下げるかについては、今はっきりしたことを申し上げられません。少くとも電力、造船以上に下げるということはございません。つまり六分五厘以下に下るということはどんなことがあってもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/214
-
215・横路節雄
○横路委員 そうすると、銀行局長にお尋ねしますが、六分五厘以下に下ることはないというと、大体六分五厘を限度にして、こういう意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/215
-
216・河野通一
○河野(通)政府委員 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/216
-
217・横路節雄
○横路委員 次に理財局長にお尋ねしますが、私も時間がございませんからこれでやめますが、実は地方財政計画のうちの地方債の問題です。公募公債を去年は二百億やって、今実際私資料を取ったのですが、八十八億しか消化してなくて、百十二億まだ消化してないわけです。それを資金運用部の方を去年より削って、二百億の公募公債を二百三十億にやった、これは一体どういうわけなんですか。こういう地方の消化状態からいけば、当然私は公募公債を削って、資金運用部の方を増さなければならぬと思う。この点は一体どういう見通しでやったのですか。いずれあなたにはこの委員会へ出てもらって詳細に聞きますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/217
-
218・阪田泰二
○阪田政府委員 資金運用部と簡保から、政府としては地方債の引き受けをやっておるわけであります。その金額は、大体昨年と同額程度ということで、昨年いろいろ災害等で自後に追加をいたしまして、昨年の最終額は少しふえておりますが、本年度の資金運用部と簡保の引き受け予定額は、昨年の年度初めの計画と同額ということになっております。それから公募の関係につきましては、公募額は昨年は二百億、本年は二百三十億というようにふえておるわけであります。これは大体御承知のように、いろいろ銀行その他の方面で引き受けておるわけでありますが、それらの方の資金もだんだん充実して参りますので、その方の増加状況等も総合しますれば、この程度の地方債の消化は十分見込み得るのではないかというふうに考えました。なお本年度の消化状況の数字でありますが、これはただいま手元にはっきりした数字は出ておりませんが、これは例年のことでありますが、地方債は、大体年度内は所要の都度に短期の借り入れを資金運用部からもいたしますし、市中銀行等からも短期の貸付をしている。それで、これを年度末出納整理期間中に取りまとめて、長期の債券に振りかえるのが長期債ということでありまして、御承知の毎月ほんとうの市場で消化しております三、四億程度のもの以外は、やはりそういうようなことで、年度末に近づいて正式に長期の地方債になるのが非常に多いわけであります。お示しになりました数字は、御承知のように正式に地方債になったものの数字であろうと思いますが、これは大体例年の例からいいましても、今ごろの時期においてわかります数字はその程度の消化状況になっております。二十九年度の二百億の地方債でございますが、今までの経過から見ますれば、大体消化できるのではないかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/218
-
219・横路節雄
○横路委員 それでは、私はあと理財局長にお願いします。自治庁の方にも資料の要求をしてございますがあなたの方に、昭和二十九年度の公募債の消化について、それぞれの県と引受銀行と、それから一体金利がどういうようになっておるのか、それを一つ表にして出していただくようにお願いします。
それから銀行局長にちょっとお尋ねしますが、いわゆる地方交付税その他政府資金の件ですが、たとえばそれぞれの県に送ってやるわけです。東京に支店があって、それぞれ県庁所在地に本店がある場合、この金をこちらでもって指定銀行に入れる。その場合に、本店に行くまでに一週間も十日もかかるわけです。これは年間通すと相当な金になる。この場合には預金という形にはならないわけですか。どうも全然利子がついてないようなところが多いのです。二百億も三百億もある場合、ちょっと納得できないのですが、どういうような取扱いになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/219
-
220・河野通一
○河野(通)政府委員 これは国庫なりあるいは府県の金庫を扱っておる銀行と、その府県自体との間の契約によっていろいろな形になると思います。おそらく十日もかかるということはないので、送金をいたします場合には、幾ら長くても大体二日ないし三日で到達しております。先方に到達した場合に、その勘定を府県なら府県の預金という勘定に入れます場合、当座預金に入るか何に入るか、預金の種類によって、当然利子がつくし、当座ならつきません。そういったことは、いついかなる勘定に入れるかによってきまってくるわけでありまして、そういった金が十日かかって府県の支出となって出ますまでの間、利子がつかないということはないと思います。しかしこれは個々の場合の、銀行と府県の間の契約によってきまると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/220
-
221・横路節雄
○横路委員 大蔵大臣、私は地方財政についてもっとお尋ねしたい点がある。今お話ししたように、われわれ最初六百七十何億という数字からどんどん迫って、百五十億は大蔵省と自治庁との折衝の最終的な段階の金だと思う。ここに自治庁長官に来てもらえば、その点はっきりすると思ったのですが、向うの委員会が終ってないのでおいでになりませんが、いずれあらためて大蔵大臣にはぜひおいでをいただいて、地方財政については、自治庁長官と御一緒の上で私からいろいろ申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/221
-
222・松原喜之次
○松原委員長 石村委員より関連質問の申し出がありますので、これを許します。石村委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/222
-
223・石村英雄
○石村委員 ごく簡単にお尋ねいたしますが、午前中の横山委員の質問に対して、大蔵大臣は、中小企業に対しては、減税問題について金融上に特別な措置をしておるというような御答弁があったように聞いたのですが、具体的にどういう措置をおとりになっていらっしゃるのか、お示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/223
-
224・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 金融のことですから、いろいろあるのですが、具体的な一つのことを例にとりますと、中小企業金融公庫というのがありますが、これは従来代理貸付になっておりましたが、今後主要な都市に支店を設けさせまして、直接に中小企業に対して融資をはからせようとか、あるいはまた国民金融公庫、中小企業金融公庫、この両公庫の三十年度の融資し得る貸付金額も、私の今の記憶では七百七億くらいと思いますが、七百億をこえて、昨年度に比べましても約九十億程度貸付資金がふえるように取り計らっております。なお従来、中小企業なるがゆえにともすると金利が高いとか、あるいはまた特に中小企業でわずかの資金を借りる場合、そういうことはないと思うのですが、やはり歩積みというものがあったりする。こういうものに対して、特に中小企業については——ほかのものもむろん当然でありますが、配慮を加えていきたい等々考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/224
-
225・石村英雄
○石村委員 ただいま代理貸付とかいうようなお話がありましたが、商工中央金庫には、なるほど今度資金を十億一般会計から出資することになっておりますが、中小企業金融公庫では、二十億、一般会計と資金運用部とで減っておるわけです。国民金融公庫でも同じく六億減っておる。こういうふうに資金量を減らしておいて、中小企業に対しては特別の措置を講じたい、代理貸付をよしたというようなことでは、一般国民は納得できないと思うのですが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/225
-
226・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これはむろん御意見もあるかと思いますが、こういうふうな金庫の三十年度において返ってくる金が——いろいろ返ることになっておるわけであります。一ぺん引き上げた金をまた貸すのだから、同じことじゃないかというような御議論もあろうかと思うのでありますが、しかし金融ではそうも限りませんので、拝借した金が、そのときにもうそれで一応の役目を果すということも十分考えられる。要するにその年に貸し付け得る金額の総額が多いということが望ましいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/226
-
227・石村英雄
○石村委員 ただいまの御答弁は納得できないのですが、時間がないからやめます。
歩積みの問題は、昨日も論議せられたのですが、大蔵大臣は非常にこれを簡単にお考えになっておる。従来この委員会でも数回となく繰り返された問題ですが、一方大蔵省も二十六年三月から三回にわたって、こういう両建、歩積みについては通牒を出していらっしゃる。最初の二十六年の三月には、臨時金利調整法の改正を行い、罰則を付する等の処置を講ずる、こういうことまで出していらっしゃるのですが、今日これは全然跡を断っておりません。むしろ銀行の高利貸し精神はますます強化されておる。これはますますひどく中小企業に対しては行われておって、もう大蔵大臣がそんなことはないだろうなんというような答弁で済む時代ではないと思う。一般並みで一厘下げるとかなんとかいうことももちろんけつこうでありますが、実際中小企業が困っておるのは、この両建、歩積みなんです。それに対してそういういいかげんな御判断では、中小企業はとうてい浮べないのですが、二十六年に罰則を付するというような通牒を出していらっしゃって、その後は数回出されるのに、ただ自粛を求めるというようななまぬるいやり方で、そうして現在もまだ大蔵大臣はその程度のお考えであるということは、非常に中小企業を憤慨させておることだと思うのですが、もっと具体的に、直ちにどういう処置を講じるということをはっきりお示し願いたいと思う。ただいいかげんにここで論議する。毎年論議していくばかりで、一向これは改まらない。むしろふえていくという状態に対して——これは銀行の資金量というような問題ではありません。五百万円貸すときに二百万円は定期にしろ、そういうやり方をしておる。そんなばかなことはないはずです。ただ銀行が金利かせぎにこういう不当な高利貸し的な処置を講じておるということに対して、いいかげんな御答弁では、中小企業の方はとうてい満足しないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/227
-
228・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。中小企業に限りませんが、歩積みその他について、具体的につかむのがいろいろの関係でやはりなかなか困難な点があることも御了承願わなければなりませんが、私はこの関係の基本的な解決は、要するに銀行が資金が少い、借り手が多い、こういうところに根本があるというのが一つの考えで、具体的には今後資金量の増大に待つ。これは今後充実されていくと思いますが、さらに、特に金利といいますか、銀行の収益を増していくような不純な意味において歩積みをとる、あるいは必要以上に担保をとるというような意味合いのものについては、これはどうしても行政的な強い措置を必要によっては考えなくちゃならぬと思っておりますが、具体的にどういうことをいたしておるかについては、銀行局長から御答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/228
-
229・河野通一
○河野(通)政府委員 歩積みの問題につきましては、きのうもいろいろ御答弁申し上げたのでありますが、数年前からお話のように、これらの問題についての自粛については強く要望いたしまして、その点についての具体的な現われは出て参っておると思います。と申しますのは、一昨年——記憶はありませんが、一昨年ではなかったかと思いますが、一昨年と昨年の二回にわたりまして、銀行協会を中心にして申し合せをいたしております。その申し合せの内容は、今お話のありましたような両建、つまり一番典型的な例は、預金を担保にした貸し出しであります。この場合における利さやを縮める——ゼロまでまだ行っておりませんが、それの第一回はこれを一銭九厘まで下げる、その他これに準ずる、いわゆる事実上拘束している、担保の形になっておらないが、事実上拘束いたしておるものについてもこれに準ずるというのが一昨年の申し合せであります。私は検査等によってこれらの問題を調査さしておりますが、私の承知いたしております限りにおいては、これは守られておると思います。
それから去年一銭九厘のものをさらに一厘下げて、預金担保の貸し出しについては、一銭八厘以下とするという申し合せができております。それからさらに預金担保になっておらないが、事実上拘束している、これがいわゆる両建といわれます場合の非常に限界がむずかしい問題でありますが、事実上拘束されておるような預金の場合におきます貸し出しと預金との利ざやについては、預金担保に準ずるような形で、その貸し出し金利をできるだけ下げる、こういうことにいたさせております。
それから歩積みにつきましても、やはり同じように二回にわたって、これの利ざやを下げる、そうして歩積みの程度をできるだけ小額にとどめるように申し合せております。これらの申し合せにつきましては、できるだけそれが守られるように従来とも監視して参りましたが、今後とも十分に監督は続けて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/229
-
230・石村英雄
○石村委員 ただいま銀行局長はたいへん楽観せられたような御答弁ですが、現実の事情は、決してそうではないということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
余剰農産物について横路委員からお尋ねがあったのですが、この余剰農産物は、大体通常の輸入量以外に輸入するということになると思うのですが、そうした結果、日本の国内の麦の価格に影響を与えて、政府買い上げ量はますますふえていくのではないか、こういうことが予想されるわけですが、その結果財政上の圧迫は当然予想しなければならぬ。これについて、大蔵大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるかお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/230
-
231・森永貞一郎
○森永政府委員 事務当局からまず申し上げます。余剰農産物の交渉に際しましては、通常の輸入量以上に買うというような条項が確かにあるわけであります。日本といたしましては、当面必要な輸入量の範囲内ということで各種の物資について交渉しておるわけでありまして、要らないものを買うというようなことではないわけでございます。食糧管理特別会計で買わなければならぬものをこの余剰農産物の交渉で買う。アメリカとの正常の輸入量の範囲外ではございますが、日本としては必要なものを買うという気持でおるわけであります。なおその点につきましては、農林省当局が折衝しておるわけでございまして、私の承知しておるところでは、さようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/231
-
232・石村英雄
○石村委員 大蔵大臣から財政上の影響について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/232
-
233・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この点は、御承知のように農産物については年々非常に巨額なものを輸入しておるわけであります。従いまして、日本が外国から輸入するものの全体を超過するということはないと思います。これが、今日アメリカの余剰農産物をああいう形でやることについて、いろいろの国から異議があるというゆえんであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/233
-
234・松原喜之次
○松原委員長 春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/234
-
235・春日一幸
○春日委員 きのうから二日間にわたりますこの代表総括質問を伺っておりましたが、大臣の御答弁は、重大な質問に対して、研究中とか考え中とかいうようなことで、的確な御答弁がほとんどございません。のみならず、ことごとの答弁が、局長連の耳打ちをそのままおうむ返しに答弁をされておるということで、われわれははなはだ遺憾に存ずるものであります。少くとも金融、税制、管財その他予算全般について、八千四百万国民の生活の明暗をあなたは双肩ににのうていらっしゃる。そういう大きな任務を負われまするあなたが、何もかも研究中であり、また答弁することは全部局長の耳打ちした事柄をそのまま伝えるというようなことでは、まことに慨嘆にたえません。少くとも政党内閣においては、大臣がかわったら政策の転換が行われることが期待されておるのでありますが、すべての答弁は、吉田内閣当時、そこにがん首をそろえて並んでおられます局長連中がわれわれに答弁したこととちっとも変っていない。私どもは、牢固として抜きがたき官僚の、毒々しき底意を感ずるのであります。(笑声)
私がこの機会に大臣に一言申し述べたいことは、ちょうど昨年の暮れころでありましたか、時の小笠原大蔵大臣が、時の日銀総裁一萬田尚登君に対しまして、これを更迭しようとしたことがある。そうしてそのとき小笠原大蔵大臣は、これは余人をもってかえがたい人ではないと思われるので、更迭した方がよいと思うということを、あなたが在任中に堂々と発表し、本委員会でも答弁をいたしました。一萬田日銀総裁の首は危うく飛ばんとしたのでありましたが、そのときわれら日本社会党両派はいろいろな論述を行なったが、それを要約するならば、一萬田日銀総裁が国立銀行の総裁としてどうであるか、こうであるかという批判を、その任免権者である大蔵大臣がなそうとするならば、少くともそれを更迭したあとで行え。国民の信頼が最も高きを期せられるところの国立銀行の総裁が、余人をもってかえがたい人間ではないなどということを言って、現任中に、いわば罵詈ざんぼうを浴びせるようなことは好ましくないではないかということで、当時小笠原大蔵大臣とわれら社会党両派とが激しい応酬を交えて、辛うじてあなたの首をつないだことがあるのであります。(笑声)いずれにいたしましても、われわれはあなたに多くを期待するものがあるのであります。
ところが、先般来の本委員会におけるわれわれ社会党の質問に対するあなたの答弁は、これは小笠原大蔵大臣が当時われわれの非難のもとに答弁をしたこととちっとも変ってはいない。もとより、保守反動の資本家政府としての民主党が自由党にかわったからといってそんなに飛躍的な変化があろうとは思えないけれども、しかしながら政権が自由党から民主党に移ったからには、やはり何かそれだけのかわりばえというものがなければならぬ。のみならず、あなたの方のこの民主党の選挙公約というものの中に、いろいろ今まで質問されておる事柄が全部公約をされておるんだが、そういう事柄に触れて質問した場合、その答弁は、これはもう自由党当時答弁されたことを、同じように河野銀行局長が答弁し、渡辺主税局長が答弁しておる。全く何にもかわりばえがなく、公約というものは一つも実現された気配がない。
こういう意味で、私があなたに申し上げておきたいことは、どうか一つ、もう少し勉強をして知識をたくわえ、そうしてそこで一つ腹をきめていただくのでなければ、これはどうしたものだ、これはどうしたものだと、一つ一つ相談されて、そうして局長の言うことをそのままあなたの方針ということでここで述べておられるのでは、私どもがせっかくあなたの日銀時代にあなたを防衛したその意味が全然なくなってしまう。人間一萬田尚登氏に寄せる社会党の期待は大したものではないけれども、しかしながらもう少しあなたは人間的に決断力のある人だとわれわれは考えておるのでありますから、どうかもう少し物事についててきぱきとした、いわば自由党とかわりばえのある答弁を願い、そうして答弁されたことは責任を持って即日これを実施に移されることを強く要望いたしまして、さて質問に入ります。
まず金利に関する問題でありますが、重複を避けます。今や金利というものは下げなければならぬ段階に参っておりますることは、もはや天下のおおいがたき世論であります。そこで市中銀行の金利については、本日の新聞によりますると、一萬田・堀会談によって一厘下げるということにほぼ意見の妥結が見られ、さらにこれは日銀政策委員会において、早晩機関決定が行われるということが報道されておりましたが、そこであなたにお伺いしたいと思うのは、政府関係の金融機関の金利をどうされるお考えであるか。商工中金の金利は、今設備資金については最高率は年一割三分、運転資金については大体において日歩三銭、一割九厘になりますか、国民金融公庫、このような零細金融ですら九分九厘六毛、中小企業金融公庫は年一割、こういう工合で、そのいずれも高いのでございます。現在の商業金融のベースの上に立ってこういう金利が策定されておると思うのでありますが、かりにここに市中金利が下るとすれば、むしろそれに先がけてこの金利に対して斧鉞が加えられなければならぬと思う。そこで大臣は、とりあえず商工中金、中小企業金融公庫、それから国民金融公庫、この三つの政府の財政投融資を受ける金融機関の貸出金利にどのように調整を加えていくお考えであろうか、この点一つ明確なる御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/235
-
236・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。その点につきましては、一般市中金利も下げることを指導いたしておるのですから、これらと相にらみ合せまして、政府金融機関の金利も下げることをただいま検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/236
-
237・春日一幸
○春日委員 国民金融公庫、中小企業金融公庫はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/237
-
238・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そういうふうな金融機関につきましても同様であります。どういうふうになし得るか、そういうことをこの際一ぺんずっと検討してみることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/238
-
239・春日一幸
○春日委員 その検討ということは、下げる方向に向って、すなわち一分下げるか、二分下げるか、三分下げるかということが前提になって検討を加えられておるのか、あるいは下げようか、下げないでおこうか、そういう検討であるか、その検討の度合いを伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/239
-
240・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 度合いというところまではいかないのでありますが、下げるべきものであるか、同時にどの程度に下げるか、こういうことを今検討さしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/240
-
241・春日一幸
○春日委員 横路君の質問に対しまして、ただいま同僚議員が、何もかも検討々々と言うので、これはまさしく検討内閣だと言うておったのでありますが、あなたは大臣に就任されてすでに半ヵ年もけみされております。のみならず、本年度予算はあなたの手によって編成されたものであり、財政金融、特に金融の問題は、あなたが生涯をささげられておる事柄である。こういうような問題について、今すでに市中金利がたとい一厘でも下ろうとしておるこの時に、それに先がけて政府は、政府の財政投融資を行う金融機関の金利をしてどの程度の下げ方を行うことによって金融市場をリードしていくか、それだけの抱負経綸なくしてどうしてあなたは大臣に——何もかも検討中だ、下げるか下げないかも検討中だというようなことでは、これは責任ある大臣として勤まりかねるのではないかと私は思うわけであります。これは余分なことを申し上げては失礼でありますが、本日の私どもの国会対策委員会で、予算委員会の諸君が来ての報告に、大臣もどうやら何もかもわからぬし、のみならずだいぶいや気がさして大臣をやめられるというようなうわさもあるようだというようなことを言っておりました。私は責任ある答弁をほとんどなさらないというあなたの態度をここに見まして、あるいは予算委員会の諸君がそういうような情報を持ってきたことも、火のないところに煙が立ったわけではないとすら思うわけでありますが、いずれにしても、こういうような重要問題については、私はてきぱきした、もう少し能率的な処理、大臣としての所信を発表されて、そうしてそれぞれの関係機関にそれぞれの反響を呼び起して、それを的確に急速に処理するというような態度こそ望ましいと思うのであります。われわれはただ唐突にこういうことを言っておるのではなく、すでに一般市中金利が下ろうとしておるときに、当然これに付随して、反射的に政府関係の中小企業金融機関の金利がどうなるかということは、国民の重大関心事である、こういう問題をここで尋ねて、そうしてあなたがまた答弁できないというようなことは、全く無責任のそしりを免れないことであります。ただ漫然と大臣になっておるのではない。あなたにはその大臣を勤めておる期間を通じて、金融、財政、管財その他を全部あなたに信託しておるわけなんです。どうかそういう意味合いにおいてものごとをもう少し的確に、一方において市中金利の動向について新聞発表が行われておるときに、政府関係の中小企業関係の金融機関の金利について、政府の意思というものが何ら表示されないということは、これはあり得ない。どうかそういう意味で、この問題についても可及的すみやかに大臣としての措置、それから指導されるべき方向というものが明示されることを強く要望いたしまして、次の質問に入ります。
次は、政府の財政投融資に大企業偏重の扱いがありはしないかという点についてお伺いをいたしたいと思うのであります。財政投融資を、政府関係金融機関について、それを大企業と中小企業とに比較いたしてみますと、これは次のような状態になります。すなわち財政投融資を受ける大企業向け金融機関を開銀、興銀、輸出入銀行、長期信用銀行の四つといたしまして、中小企業向け金融機関を国民金融公庫、中小企業金融公庫、それから商工組合中央金庫、こういうふうに分別をいたしますと、本日までの国の投融資のトータルが、大企業向けは五千四百三十二億五千万円、小企業向けは一千八十二億二千万円、こういうぐあいになりまして、その比率は五分の一に満たないものになります。ここでわれわれが考えられることは、先日も予算委員会で大臣に伺いました通り、いずれにしましても、市中銀行から別途厖大な融資を受けております。年間貸し出しをかりに三兆億と押えますと、その中の七割以上のものを占めますのは、これはもっぱら大企業であるのでございます。市中金融機関からすでに大量の資本を導入し、また導入し得る立場にありますところの大企業、かてて加えて庶民大衆の血税でありますところの国の投融資、これを大企業向けにのみ偏してこんなにたくさん投資されるというようなことは、まことに理解ができないと思うのでありますが、この点についての大蔵大臣の見解は、まず概念的にどういうものか、この点をまず明らかにいたされたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/241
-
242・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 政府関係の金融機関の資金の融投資にしても、あるいは民間の金融にしても、特に大企業の金融を尊重して中小企業の金融を怠っておるという考えは私は毛頭持っておりません。ただ御承知のように、中小企業の金融というものは本質的にむずかしいという点だけは申し上げておかなければならぬと思いますが、御指摘の財政融投資についても、できるだけ中小企業関係の三十年度の貸付総額はふやす措置をとっておる考えであるのであります。大企業方面の関係において特にふえておるのは輸出入銀行、これは東南アジア諸国に対するプラントの輸出等、あるいは船の輸出というもの、しかしこういうものも、やはり中小企業には非常なる牽連をしておるというふうに考えておるのであります。特に今後中小企業自体のあり方が、やはり大企業と系列的に牽連する、こういうふうな形において金融もやはり解決をはかっていきたい。この分が大企業、この分が中小企業というふうに考えるのが適当であるか、大企業が仮に未払いというようなものをせずに中小企業にぐっと払えば、中小企業の金融がまたぐっと違った様相で行くのではないかというふうに考えておる次第でありまして、決して中小企業の金融をおろそかにしておることでないことだけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/242
-
243・春日一幸
○春日委員 私の申し上げておりますのは、この開銀とか輸出入銀行とか、あるいは興銀とか長期信用銀行とか、そういう金融機関は中小企業とは取引がございません。あるいは第二次的な立場にあるところの、すなわち親企業からこういう金融を受けられた、大企業から仕事をもらい代金の支払いを受けるということは当然なことであります。私はそれを言っておるのではなくて、お話の中にもありました通り、中小企業というものは信用が薄い、信用が薄いから市中銀行から融資が受けがたい。従って金詰まりで困っておる。これが手形の不渡りとなり、経営不振の現状になっておるわけであります。みずからの信用が薄くして市中銀行から金を導入することのできない中小企業に対しては、すべからく財政投融資を通じて、政策金融の面によってカバーされる必要があるであろう。政治の妙諦がそこになければ相ならぬでありましょう。そこで私は、大企業といえども否定するものではありませんが、この対比率が五分の一というようなことでは少きに失する。もとより電力、石炭、肥料、造船というような基幹産業に対しては、当然相当額の財政投融資が必要であろうけれども、その度合いをこのような大きな開きとするのではなくして、すなわち政策金融というウェートをもよく見て、そうして中小企業関係の政府関係の金融機関に対して、もう少しこういう投融資をふやしてはどうか、こういうのが私の主張であるのであります。
そこで本年度の分について考えますと、今も同僚議員から質問がありました通り、国民金融公庫については二十億、それから中小企業金融公庫については六億でありますか、とにかくあの自由党内閣ですら——自由党内閣の実績を割ること二十六億なんです。それ以上本年度の回収金があると言われますが、資金需要というものは年々歳々ふえております。のみならず中小企業金融公庫並びに国民金融公庫の貸し出し能力が、申し込みに対してどの程度で応諾しておるか、このデータなんかも十分一つ御検討願わなければなりません。国民金融公庫なんかは、申込者の四分の一でありますが、それが貸し出し件数であり、しかもその金額も何分の一だけしかないのであります。従いまして、そういう方面は金がほしいといってあえいでおる、だが借りられない。だからできるだけその供給する資金源を、政府の予算編成を通じて考えていただくということは当然の事柄であります。自由党よりも二十六億もこの中小企業関係金融機関で減らすということは、口に中小企業金融の緩和を唱えながら、現実においては実際はそれと反対のことが行われておる。こういうことを私は指摘せざるを得ない。大臣に申し上げますが、たとえばこれに比較して、大企業向けはどうなっておるか。昭和二十九年度の大企業に対する財政投融資は三百三十五億であります。これが本年度は五百二十五億となって、逆にうんとふえております。百九十何億というものがふえておる。ところが中小企業向け金融機関に対しては、逆に二十六億というものが減ってきておる。大企業に対して資金源をふやし、そうして中小企業に対して、この予算の面から見るとそれだけの資金源が減って供給されておるのであります。これは一体どうしたことでありましょうか。この点一つ大臣から明確な御答弁が願いたい。大企業に対してこの財政の盛り方があまりに過大であって、中小企業の分がそれだけ蚕食されておるということを指摘しつつ、この意見を申し述べておるのであります。私はあなたの方の公約を読んでみて、その資金の増強をはかると言っておられますけれども、それはその回収を待ってということでありますが、大企業も同じように回収があります。従いまして、一方にふえて一方がうんと減っておるということは、どうしても中小企業者として納得ができない。あなたの方ではどういう見解でこういうふうな財政投融資の盛り方をされたのか、この点明確なる確信ある御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/243
-
244・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは先ほどからしばしば申し上げましたように、ここらの銀行当局ともよく相談をいたしまして、そうしてこの年度にはこういう回収金が自分の方にあるから、これが新しい貸付に回る、こういう立場にある。そういうことに基いて全体のそれらの金融機関の資金量を策定した、こういうことになるのであります。新しい投融資を少くするために特に回収を急ぐとか、特にそのために回収の金額をふやしていくというのではないのでありまして、回収金は先に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/244
-
245・春日一幸
○春日委員 本年度の範囲内におきましては、現実に大企業向け金融機関に対する財政投融資は二百億円近くふえておるのであります。それだけの資金源の余裕がありまするならば、これは昨年度の中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫、こういうものへ自由党政府が投融資をいたしました額を下回る。これを削ってというようなことでなく、そちらもふやして、そうしてまた大企業の方の必要な資金も調達する、こういうような予算の組み方こそ望ましいものであり、中小企業の危機を緩和するためにも必要にして欠くべからざるものであろうと思うのであります。この点いかがでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/245
-
246・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。大企業の方に特にふえておる印象を与えておりますが、これは先ほど申し上げましたように、三十年度は特に輸出入銀行にふえておるのであります。これは特に貿易の振興という見地から、従来の実績等から見て、また特に東南アジア諸国との経済の関係等から考慮いたしましてふやしてあるわけであります。これが一番目につく。大体これが百七十億くらい去年より比べてふえておる。これが一番ふえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/246
-
247・春日一幸
○春日委員 大企業関係ではそういう資金需要がふえておるから、こういう財政措置をしたということでありますが、中小企業関係の資金需要というものがないというわけのものではないでございましょう。東京手形交換所の不渡り件数が、さきの金融危機のときよりちっとも緩和されておりません。当今の不渡り手形は、東京手形交換所で一日当り千四、五百通というところを上下しておりまして、これは慢性状態に入っております。従いまして、中小企業の金融難を同じような形で何か政策的に緩和をはかっていかなければならぬでありましょうし、のみならず、国民金融公庫、中小企業金融公庫は娘一人に婿八人という状況で、これはなかなか借り出しが受けられない状況にあるのであります。従いまして、一方貸し出し分の償還が行われ、資金が入ってくるといたしましても、これは当然今年度の予算を通じて、あなたの方の公約に盛られておるように、やはりその資金源を財政投融資を通じて政策的にふやしていく。こういう努力が払われなければならぬのでありますが、現実にはそれと逆の方向へたどっておるのでございまして、この点はあなたの方とわれわれの主張とはまたそこに見解の相違もありましょうし、結論を得ることは困難でありましょうが、われわれはそういう分析と批判をしているということを十分しんしゃくせられまして、今後に処せられたいと思います。
次は、こういう事情でもって、中小企業金融公庫、国民金融公庫の両方とも資金がなくて困っております。そこで国の方からめんどうを見ることができないといたしますならば、他の資金を得る方法が考えられなければならないでしょう。その方法といたしましては、公債の発行、債券の発行というようなことが一応着想されるのでありますけれども、この問題については、一ころ新聞紙上で、国民金融公庫と中小企業金融公庫とに対して債券発行を許そうか、こういうような問題が政府部内の話題に上って審議されたようなことか報道されておったのでありましたが、この問題の推移はその後いかが相なっておりましょうか。さらに大臣は、この際国民金融公庫、中小企業金融公庫に対して新しく債券発行の方途を認める意思はないかどうか、そうして中小企業の要望にこたえる意思はないかどうか。この点一つ明確なる御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/247
-
248・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今私この両公庫の債券を発行するということは考えておりません。これは資金コストにも関係してくると思います。債券発行で借りようといいますと、相当高い金になりまして、今のところはそう考えておりません。なお中小企業のそういう関係においては、商工組合中央金庫に今回出資を十億いたしまして、これに基いて相当の債券発行能力を持つわけであります。同時に政府の十億につれて、おそらく民間の出資も相当ふえてくるだろうと私は考えております。かたがた相当の債券発行能力も、この方面から中小企業金融緩和に役立っていくだろう。なお中小企業の金融につきましては、むろん地方銀行等の貸し出しは、相当の部分は中小企業金融になるのであります。今度の新しい施策としては、住宅の建設に相当金を回しておりますが、この住宅建設については、中小企業に相当稗益する。私の考えでは、中小企業についてはやはりできるだけマーケットを与える。マーケットを造成するというか、作って上げる。どうも従来は、中小企業といえば金融——金融もむろん大切なことでありますが、同時に、これは内外の市場についてマーケットを与えることをもう少し考える、このマーケットに関連して、従来の問屋制度が非常に中小企業には金融の面、物の動き、流通面において稗益しておる。これが終戦後全部やめさせられた。従ってこういうようなところを、今は組合という形でいけると思いますが、もう少し補強していく。こういうようなこともあわせて考えていって、そうして中小企業の助成育成についてできるだけ遺憾なきを期したい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/248
-
249・春日一幸
○春日委員 これは大臣に特に申し上げておきたいと思うのでありますが、ひとり金融を問わず、中小企業政策は、今あなたのおっしゃったようなマーケットの造成とかなんとかいうことではなかなか解決ができないのであります。これはやはりそのものが持つ弱さ、これを財政政策を通じて認めてかからなければならない問題でありまして、そのためには、やはり社会政策的な意味をも加味して政策が立てられなければなりません。結局信用が稀薄で金が借りられないものに対して借りていかれるようにしていくには、やはり政策的配慮が必要であるのであります。そこでわれわれが今考えられることは、今度の税制措置を通じて銀行預金が相当ふえるという見通しのようであります。そうして一般資金需要は減りつつあるというのでありますが、そうすれば、こういう中小企業金融公庫や国民金融公庫の債券が発行されました場合、銀行にそれを消化するそしゃく力が次第に私はできてくると思うわけであります。現在のそういうような資金をも、こういう政策金融の中に加えて導入していく、そうしてこうした社会保障政策的な中小企業金融に対して、そういう国の潜在する力を動員していくということは、政策的に一つの着想であると思うわけであります。従いまして、財政投融資を通じて著しい——すなわち需要を満たすに足るだけの資金措置を講ずることができなければ、制度の問題として、国民金融公庫と中小企業金融公庫には、すべからくその法律を改正して、債券発行を可能ならしめ、みずから資金調達をして、そうしてともどもにこの政策金融が行えて、中小企業者や零細庶民の資金難の問題の解決がはかられるように工夫をこらすべきであると思うが、大臣はこの私の卓見に対してどういう見解をお持ちであるか、この機会にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/249
-
250・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。お考えもまさに一つのお考えと思いますが、今申されたのは、大体社会政策的な中小企業金融ということをお考えになっておるようであります。そうしてみると、社会政策的に融資をするというふうな機関の発行する債券について民間で募るということになれば——これは私必ずしもそれを悪いと言うのじゃありませんが、消化がなかなか容易でなく、自然ここは政府保証という形でもとらなければならぬ。そうしますと、これは結局政府の財政資金においてそういう社会政策的な中小企業に対する融資、これは金融のカテゴリーに入るか、その辺の実際の限界はむずかしいと思いますが、そういうような資金は、やはり財政資金から出すべきではないかというふうな考え方をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/250
-
251・春日一幸
○春日委員 金を出すべきではあると思われるが、しかし財政資金の中に余裕がないからそういう資金盛りができない、こういうような場合、残された道は、市中資金をそういうような形に変えていくより方法がないと私は思うのであります。従いまして、問題は中小企業金融こそは金融べース——コマーシャル・ベースによって明確にこれは割り切りがたいものであって、むしろ多分に社会政策的な意義を持つものである、その目的を持つものである。そこを考えますならば、債券発行の事柄はそんなにむずかしくはないと思います。それに額も零細であり、貸し出しの最高額も大きなものではありませんし、大体そのデータによりますと、償還率もそんなに悪いものではない。貸し倒れの心配もそんなにない、ただ貸す金がないので貸せない。こういうようなケースに対して政府が必要な保証を与えるというようなことは、これが国家の損失にならないということであるならば、その信用を最高度に使うということは何ら躊躇する必要のないことであると思われるのであります。いずれにいたしましても、時間も迫っておりますから、この問題は大臣の十分なる御検討をわずらわすことにいたしまして次に入ります。
税金の問題ですが、税金の問題は大分論述されておりますし、のみならずいろいろな意見やいろいろな分析が行われ、さらにそれに対する非難がいろいろと行われましても、大臣の答弁というものはてんでない。それから渡辺局長の答弁は、冒頭申しました通り、ほんとうに謄写版で刷ったみたいな味もそっけもないもので、しかもそれは自由党内閣当時と同じである。私は非常に遺憾に思うわけであります。ただ一言、これは大臣がかわられてこれが変ったということを、一つだけやってもらいたいと思うのでありますが、それはすなわちお知らせ制度であります。平田長官がうしろでにこにこと笑っておられますが、大臣に一つぜひ申し上げたいことは、今こういう徴税行政が行われておる。それは零細な業者たちの個人所得の何でありますが、それについてお知らせという制度が行われております。シャウプ勧告によりまして税制の根本的な改革が行われましてすべて徴税行政の民主化ということから、今までのような官僚行政制度は根本的に改めらるべきである、そういう示唆に基いて現在の申告納税制度が始まったと思うのであります。私の所得はこれだけだ、こういって納税者たちが申告をすべき建前になっておりますのに、平田国税庁長官はその法律を無視し蹂躙いたしまして、次のような執行をいたしておる。それは本人が申告をしようと思っておりますそれに先がけて、あなたの本年度の所得はこれこれである、こういう通達を行うのであります。たとえば本人が、私の所得は本年は三十万円と申告しようと考えておる。そうすると、そこへ税務署からお知らせが参りまして、あなたの本年度の所得は五十万円でありますという通知が来る。本人は非常に驚愕をするのでありますけれども、しかしそれに対して、その通り申告をしないと、税務署から五人でも十人でも臨検をして、たんす、長持をひっかき回し、畳をひんまくらんばかりの大騒ぎをして、そうしてその額までは所得を把握するぞ、こういう威嚇とどうかつを食らって泣く泣くそのお知らせの額を申告をしておるという現状でありますが、このお知らせ制度というものは何ら法律に根拠がございません。過ぐる国会において平田国税庁長官に対して、こういう法律によらざるところの執行は法律違反ではないか、だからこの制度は早くおやめなさって、あくまでも本人が自主的に申告する額を対象として徴税行政を執行すべきである、こういう注意と勧告を発したのでありますが、保守反動の内閣に禄をはむ平田長官は、われわれのこの正論に対して耳をふさいで、その執行を改めておりません。私は一萬田大蔵大臣に尋ねたいことは、これは平田長官に税金をとるために請負でまかしおるわけではない、法律に準じてその執行をのみゆだねておるのでありまして、法律に規定をしていないところの徴税行政のあり方というものは、私は法律違反であり職権乱用であると思うのでありますが、大臣はこれに対してどういうような御見解をお持ちでありましょうか。すなわち申告納税制度を法律で確定しております以上、その申告せんとする額を——うそであろうとインチキであろうと、それは後日の問題である。すなわちこの申告制度だけは法律に準拠して執行されなければならないし、もしそれが弊害があるとするならば、法律を改正して、そのようなお知らせ制度というものは規制しなければならぬと思うが、法律によらずしてこのような執行を行なっております国税庁の執行のあり方について、どのような御見解を大臣はお持ちであるか。すみやかにこれを改めて、法律の範囲内における執行に返す意思はないかどうか、この点明確なる御答弁を願いたいと思います。
〔委員長退席、横路委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/251
-
252・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ただいまのお知らせということは、納税者が確定申告をする場合の目安であると私は考えております。従いまして、これを押しつけがましくするわけでもないし、またしてはならぬことと考えております。こういうようなことは、私の考えでは、納税者になるべく納税をしやすいように、便宜を与えようという趣旨からきておるものと私は思うのであります。しかしものも使いよう、あるは年経るにつれてまた弊害が出るという点も考えてみなければならぬ。従いまして、私はいい点があればなお研究しますが、これは弊害が多いというのなら全部やめた方がいい、しかし納税者によっては、そういうものがあった方が便利だという人があるのじゃないかと思うのですが、よく調査いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/252
-
253・春日一幸
○春日委員 それはまことにもってめちゃくちゃな答弁だと申さなければなりません。本人が三十万で申告しようと思っておるときに、そのお知らせが、あなたは二十五万でよろしいとか、あるいは二十万でよろしいというような事例が一つだにあらげ、それはまことにもって納税者が便宜を受ける面もあるでありましょうけれども、そういうようなものは、パーセンテージの中で、一、二%も出ては参りません。本人が予定しておるその額よりもはるかに上回って、水増ししてお知らせが行われるのが現状でありまして、またそのためにこそお知らせという制度が現在とられておるのであります。私が特にこの点を強調したいのは、少くとも、かりに浅くともその納税者について調査が行われ、そうしてあなたの腹づもりは三十万のようではあるが、われわれがちょっと当ったところではこれはふえますぞ、従って調査の結果だといろいろのものをとられるので、この程度の申告はあやまちなくなすった方がいい、こういうような経過をとられてのお知らせであれば、また論議の余地もあるでありましょう。ところが現在のお知らせ制度は、税務署がその営業について調査するなどというようなことはない、門前へ立ち寄られたこともない、ただ単にこれはぽっとお知らせ——去年五十万であった方はことしは六十万、去年六十万であった方は八十万、国の予算に相呼応して、それに逆算的につじつまを合せるような水増し的、天下り的、懲罰的課税が行われておるのであります。従いまして、今やこの申告納税制度というものは有名無実になっておるのであります。調査もしないで、まるでむちゃくちゃに国民所得がふえたからというので、個々の所得というものを調査することなく、そのお知らせが出されておる、しかもそれが機械的に出されておるというところに問題があるのであります。決してあなたは、渡辺君あたりの悪知恵をとられることなく、そうして納税者にあなたが会われて、八百屋さんや、げた屋さんや、とうふ屋さんたちが、今年度どういうような形で税金を納めておるかということを十分実際に即してあなたが学びとられて、このお知らせ制度について、これが現在の法律に照らして違反であるならば、行き過ぎであるならば、すべからくすみやかにこれを廃止して、法律の範囲内に立ち戻る、こういうことを強く要望いたしておきたいと思うのであります。
いろいろ伺いたいことがたくさんございますけれども、時間もかくのごとくでありますし、なおあなたに税金問題を言ったところで、カエルの頭に小便みたいで、てんで手ごたえもありません。従いまして、いずれこういうような問題は渡辺主税局長、平田国税庁長官を相手に、さらに権威ある論述を行なうことにいたしまして、このお知らせ制度だけは、一つあなたが大臣になられたおみやげに、ぜひ撤廃されることを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。さようなら。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/253
-
254・横路節雄
○横路委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十四日午前十時よりあへん特別会計法案について社会労働委員会と連合審査会を開き、また同日午後一時より地方道路税法案及び地方道路譲与税法案について地方行政委員会及び建設委員会と連合審査会を開くことといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01019550520/254
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。