1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十一日(土曜日)
午前十一時十二分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君
理事 大平 正芳君 理事 奧村又十郎君
理事 横路 節雄君 理事 春日 一幸君
有馬 英治君 菅 太郎君
杉浦 武雄君 前田房之助君
山本 勝市君 川野 芳滿君
小山 長規君 薄田 美朝君
古川 丈吉君 前尾繁三郎君
石村 英雄君 山崎 始男君
横山 利秋君 井上 良二君
平岡忠次郎君 町村 金五君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤枝 泉介君
大蔵事務官
(主税局長) 渡邊喜久造君
大蔵事務官
(管財局長) 窪谷 直光君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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六月九日
委員保利茂君辞任につき、その補欠として前尾
繁三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十一日
委員山本粂吉君及び小川豊明君の辞任につき、
その補欠として福田赳夫君及び山崎始男君が議
長の指名で委員に選任された。
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六月九日
銀行法の一部を改正する法律案(春日一幸君外
十二名提出、衆法第九号)
同月十日
大かん煉乳用砂糖に対する消費税免除に関する
請願(淺沼稻次郎君紹介)(第二〇八四号)
海外引揚老齢民間人の留置財産補償に関する請
願(宇都宮徳馬君外一名紹介)(第二一一九
号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
銀行法の一部を改正する法律案(春日一幸君外
十二名提出、衆法第九号)
所得税法の一部を改正する法律案に対する修正
案(前尾繁三郎君外二十五名提出)
法人税法の一部を改正する法律案に対する修正
案(前尾繁三郎君外二十五名提出)
租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対
する修正案(前尾繁三郎君外二十五名提出)
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二一号)
日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二八号)
日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資
の処理に関する法律案(内閣提出第五八号)
国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一一六号)
証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一九号)(予)
証券投資信託法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一二〇号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
議事に入る前に、まず御報告いたしておきます。去る八日、逓信委員会より物品税法の一部を改正する法律案に関し、修正意見の申し入れがありましたので、これを印刷して諸君のお手元に配付いたしておきましたから御検討願っておきたいと存じます。
次に、去る九日当委員会に審査を付託されました銀行法の一部を改正する法律案を議題として、提出者より提案の説明を聴取いたします。春日一幸君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/1
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002・春日一幸
○春日委員 ただいま議題となりました銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
金融機関が特定の企業に対して集中偏向融資を行うときは、その金融機関の経営を不健全ならしめ、預金者に損害を与えるおそれがあるばかりでなく、一つの大企業に対して集中偏向融資が行われますと、数十ないし数百の中小企業が融資の対象から除外され、中小企業金融をますます逼迫せしめる結果となるのでありまして、いずれにいたしましても、集中偏向融資が放任されておりますと、金融機関の公共性はとうてい全うすることができないことになるのであります。
しかるに、普通銀行の集中偏向融資については、何ら法律上の規制がないため、極端な事例としては、金融機関の自己資本の五〇%をこえるものも見受けられるのでありまして、これをこのまま放任するときは、前述のごとき弊害を一層はなはだしくするおそれがありますので、すでに貯蓄銀行法、相互銀行法等において規定されております例にならい、また米国の連邦準備法その他各州金融業法並びに西ドイツの信用組織法の例にならい、一企業に対する融資額は、金融機関の自己資本の一〇%をこえることができないこととする等の立法措置を講ずる必要があると考えるのであります。
以上がこの法律案を提案するに至りました理由であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/2
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003・松原喜之次
○松原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。本法律案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/3
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004・松原喜之次
○松原委員長 次に、国有財産特別措置法の一部を改正する法律案並びに国民金融公庫法の一部を改正する法律案外金融関係二法案及び証券取引法の一部を改正する法律案外一件を一括議題として質疑に入ります。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/4
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005・横山利秋
○横山委員 国有財産特別措置法の一部を改正する法律案について、若干政府の所信をただしたいと思います。
かねてこの国有財産のうち、国有機械の交換につきましては、昨年の十月、十一月、十二月の二、三回にわたって交換額が非常に高くなりまして、せっかく中小企業に対する恩典となっておりますこの交換の仕事が全国的に頓挫いたしておりますのは、政府においても御承知のところだと思うのです。今回この時価から三割を減額した額という数字が出て、交換価額を若干下げようとする趣旨については同感を表するものでありますが、しかしながら、この内容についていろいろと不審な点がございますので、まず第一に、法案の趣旨についていま少し御説明を願いたいと思うのです。
一体この法案は、二つの観点からなっておるようであります。すなわち、時価からその三割を減額した額という意味と、くず化するという意味と二つあるのでありますが、一体政府はどちら側にその焦点を置いておられるのでありますか、まず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/5
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006・窪谷直光
○窪谷政府委員 この法案はどちらに焦点を置くということは、必ずしも考えておらないのでありまして、一つ考えておりますことは、終戦後十年になりますので、この機会に、果して機械として使えるものかどうかということの整理をいたしたいというのが一つの目的でございます。それからもう一つは、中小企業に交換の趣旨をさらに徹底をいたしまして、いささかでも中小企業の設備改善による合理化の推進に寄与いたしたいということでございます。従いまして、いずれをその焦点ということでございませんで、並行いたしまして適正な進行をはかりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/6
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007・横山利秋
○横山委員 そういたしますと、少くともただいま二十五万台というふうに考えておりますが、この現存機械の中で、中小企業がこの機械は交換してほしいという希望がありますときには、それが優先して、そうでないものがくず化される、こういうふうに理解して差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/7
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008・窪谷直光
○窪谷政府委員 その通り考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/8
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009・横山利秋
○横山委員 私、実はこの法案の審議に先だちまして、国有機械の保存状況を見て参りました。管財局長は最近ごらんになったかどうか、承わりたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/9
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010・窪谷直光
○窪谷政府委員 最近と申しましても、昨年の秋になりますが、それ以前から機械の処理について検討をいたしておりますが、私自身も現場をできる限り見なければならぬというので、もちろんこれは、個所数にいたしますときわめてわずかなものでありますが、昨年の秋に見て回ったことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/10
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011・横山利秋
○横山委員 その保管状況において、どういう感じを受けられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/11
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012・窪谷直光
○窪谷政府委員 これは、保管をいたしております建物の状況等によって非常に差がございます。非常によく管理がされておりますところもございまするし、また管理の程度が不満足であるというところもございまして、いずれが多いかと申しますと、私も見た個所がわずかでございますので、全体的なことはちょっと申し上げかねるのでございますが、両方あるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/12
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013・横山利秋
○横山委員 まことに抽象的な言葉でございますけれども、少くとも今日の国有機械の保存というものは、あなたが半分くらいはいいだろうというふうな御返事と全く相反しております。私の見て参りましたのは鳥居松でありますが、国有機械の保存状況は、全く劣悪きわまるものでありまして、雨水に放置されておるもの、将棋倒しになっておるもの等々、全く言語道断といわざるを得ません。優秀な機械が将棋倒しになって、それをまくら木でささえておるがごとき状況もございますし、また最近では少くなりましたけれども、盗難の状況も続出しておったと聞いておるのであります。これに対して、先般政府から提出せられました資料を見ますると、講和発効の日から二十九年までに三億二千九百五十万、これだけの予算が機械管理費に充てられ、それに対する人員はまた相当なものが充てられておるとは思うのです。しかしながら戦後十年国有機械を放置して置いて、そうしてどうも中小工業者の希望に対して高くなった。今度はそれをくず化するというようなことでは、国有機械の保管の政府のやり万というものは、全くなっていないと思うのです。この点をどういうふうにお考えになっておりますか。またなぜこの二十五万台もあるような機械が今日まで放置せられ、国内の中小企業の施設の近代化のために十分な努力がなされなかったのか、この点をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/13
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014・窪谷直光
○窪谷政府委員 現在と申しますか、昨年末の調査で、約二十五万台のものが未利用になっておるのでありますが、終戦当時、旧軍から大蔵省が引き継ぎました機械の概数は、約四十六万程度に相なっておるのであります。その間、占領軍が中間賠償として持っていったものもございまするし、また機械として使えなくて、くず化いたしたものもございます。さらに売り払いの処分をいたしまして、それぞれ日本の産業の再建のために活用をいたしてきております。台数も相当の量には上っておりますが、何さま厖大な量でございますので、鋭意活用に努めて参りましたものの、これだけの二十五万程度のものがまだ未利用になっておるのであります。その中には、今日の状態では、機械としては使えないというふうに判断されるものが実は相当あるのであります。くず化でございますので、くずならばいつでもできる。そうあわててくず化することもなかろうというふうなことで持ってきておるものもあるのでありますが、そういうふうなために、一つの場所におきましても、くず化いたすべき機械と、さらに機械として活用すべきものとが混在をいたしておるというふうな状況でございまして、これを本来ならばもう少し早く整理をいたしまして、くず化するものはどしどしくず化をするし、必要な機械はさらにその経費を集中的に活用いたしまして、やるべき筋合いであったと私は考えております。それが何さま相当の量でございますので、これはやはり一つの方針を立てまして、一ぺん総ざらいをして、機械として使えるものと使えないものというふうなものを振り分けをいたしまして、機械として使えるものはできるだけその処分についての価格を適正にすると同時に、なお売り払いに至りません間の管理は、十全を期したいというのが今回の法律案の趣旨でございました。従来の管理の状況が必ずしも万全でなかったということは、人員でありますとか、予算のこともございまして、十分には手が回りかねておったということは実情であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/14
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015・横山利秋
○横山委員 十分には参らないというどころのお話ではないのです。この点は十分に批判をしてなされなければならないことだと思うのです。しかしそれに気がついて、今回大掃除をするという趣旨はけっこうでありますが、一体この二十五万台をどういう計画に基いてなさろうとするのでありますか。その大掃除の具体的な方法について、たとえば一回にやるのか、あるいは一年にやるのか、どういう計画を立てておられるのでありますか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/15
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016・窪谷直光
○窪谷政府委員 一つは、これは法案にも書いてありますように、政府部内で使いますものは、留保いたすのでございますが、これにつきましては、先般すでに各省に照会を発しまして、もよりの出先の機関で専門的な知識を持っておりますものが現場を調査いたしまして、必要であるかどうかということの調査を今やっている段階でございます。なお中小企業方面におきましても、すでにことしの初めであったと思いますが、中小企業庁を通じまして、各府県に中小企業向けとして、適当な機械というものを調査いたしてもらっております。これは、現実に需要をいたします個々の業者がまだ総体的に見るという段階ではございませんが、そういう方面について指導の立場にあります府県の職員及び当該地方におきますそういう関係の方々に、予備調査と申しますか、そういうものをいたしてもらっているのでありまして、すでに二十三県からは大体の回答がきております。このうちで果してどれだけが交換に出るかどうかは、なお具体的に見なければなりませんが、それによりますと約一万三千台、これは工作機械がほとんど全部でありますが、一万三千台ばかりのものが中小企業向けとして適当ではなかろうかという調査が出て参っております。各県から出そろって参りますものは、約二万台くらいになるのではないかと思います。なお残っております二十五万台のうちの機械の中で、工作機械として三夏二千台、それ以外に産業機会とか、きわめて小さな雑機械まで含めておりますが、こういう機械の方は、中小企業の面においても需要がないのが、従来の交換の実績から見ましても、このような状況であります。すでにそのような予備的調査をして進めております。私どもの計画としては、法案が成立しますれば本格的に仕事を進めまして、全体の調査は、できれば今年度内に一応の調査を終りたいということで考えております。大体明瞭なものは、その調査と並行いたしまして交換なり、あるいはまたくず化の処分もいたすのでございますが、実際のものは、来年度にもさらにいつて、仕事は残ると思うのであります。大体三十一年度末くらいには調査及びそれに基く実施を完了いたしたいということで進行いたしております。
なお中小企業向けの問題につきましては、一日もすみやかに処置をすることが適当と考えておりますので、その調査と並行いたしまして、希望しますものについてはすみやかに交換の処置をいたしたいというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/16
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017・横山利秋
○横山委員 財務局の一部におきましては、自分のところの事務の都合上ないしは整理の都合上、保管倉庫の一部だけは開放するが、あとの方は開放しない。下見をさせてくれと希望してもいたさせない、こういうようなことがあると聞いておりますが、まことに遺憾のことであります。機械について、これがほしい、あれを見せてほしいこれを希望させてもらいたいということについては、この法案の趣旨は、オープンにさせて、ほしいものから選択をさせてどんどんはかせていく、こういう方向になると思うのでありますが、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/17
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018・窪谷直光
○窪谷政府委員 まことにごもっともでございます。財務局その他出先の方面におきまして、この閲覧を断わるというふうなことがもしあったといたしましたら、私としてはきわめて心外なことに存じますので、そういうことのないように、さらに現在までも注意はいたしておったのでありますが、もしあったといたしますれば、その注意が不徹底であったことかと思うのであります。まことにごもっともな点でありまして、それにつきましても、十分の注意を払って参りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/18
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019・横山利秋
○横山委員 次に、この重点となっております「時価からその三割を減額した額」という点について御質問をしたいわけです。本日までの時価の評価方法をもっていたしますると、昨年の十月以前の評価による額と比して決して安くならないのであります。かりに評価方法をそのままにいたしますと、五割をもってなおかつ若干の高き額にとどまる、こういうふうに私は算定をいたしております。手元に大蔵省の方から資料が参っておりますが、旋盤のSの三六〇、BLの一八OO、この種のものを例にとっても、十月以前に七万二千九百円のものが、三割安にして十二万六千七百円、五割安にして九万五百円、こういうような状況でありますから、かりに評価方法をそのままにいたしましたならば、三割では十月以前の額よりも高くなり、中小企業の希望しておったところと違います。またこの法律の趣旨とも相異なるところがあると思うのでありますが、一体時価というものについてどうお考えになり、どういうふうに改善をしようとせられるのか、具体的にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/19
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020・窪谷直光
○窪谷政府委員 時価と申しますのは、抽象的に申しますれば、市場価格であることはもちろんでございますが、中古の機械につきましてのマーケットというようなものは、非常に狭いと申しますか、いろいろ私どもで調べてみますと、そのときのいろいろな状況によって非常に価格がまちまちでございまして、一つの統一的な市場価格の目安というものが、なかなか正確には把握できないということから、できるだけそういうことには努めてはおりますが、便宜の方法として、過去の価格に対して指数的な計算をやっておるのであります。この指数の計算が、先般の当委員会においてもちょっとお話を申し上げましたように、会計検査院から指摘を受けまして、私ども検討いたしてみますと、どうも道行きに誤謬を犯しておるということから、一応理屈をずっと積み上げて参りましてやりました結果、従来の指数が低過ぎるということから、昨年の十一月あるいは十月の下旬ころだったと思うのでございますが、引上げをいたしたのでございます。ところが引上げをいたしてみますと、先ほど仰せになりましたように、交換がほとんどストップしてしまったということに相なったのであります。なお市場におきます価格等も、これもなかなか的確には調べがつかないのでありますが、業界の方々等の御協力を得ましていろいろ調査をいたしますと、どうもやはり高い、実情に沿わないということがはっきりして参りまして、目下のところその検討を続けておるのであります。大体のところを申しますと、従来昨年の十月まで使っておりました方法というものは、何といいますか、その指数が出て参りました過程において理論的な誤謬はありますけれども、さらに減額をすべき要素というふうなものも必ずしも十分には見てなかったというふうなことから、総合的な結果としては、まあまあその辺が平均的時価の水準ではなかろうかというふうに現在考えております。ただ昨今の十月ころまで使って参りました方法によりましても、一律的な基準でございますので、実際には、個々の機械について見ますと、それでもなおやや高過ぎるというものがございますし、それではなお低過ぎるというものもあるようでありすが、大体のところの平均的なものとしては、まあまああの辺のところがほぼ時価に見合うところのものではなかろうかという大体の結論を今持っております。従いまして、私ども今使っております指数というのは、根本的に御鼓舞にいたしまして検討をいたしておるのであります。まだその最終的な結論には参りませんが、大ぶりのところとしては、昨年の十月まで使っておりましたくらいの水準というものは、どうも実情に即するものであるというふうな大体の見通しまではつけられるような状況に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/20
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021・横山利秋
○横山委員 最後がわからなかったのですが、あなたのお話では、時価のやり方は、十月までのやり方が大体正しかったとおっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/21
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022・窪谷直光
○窪谷政府委員 正しかったということまではいきかねると思うのでありますが、総合的な結果としては、平均的な数値としては、まずあの辺であろうということであります。従いまして、ものによりましては、あれでもやや高過ぎるというものもございます。さらにあれでは苦しく低いというものもあるようでございます。その辺につきましては、もう少し実情に即するように直したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/22
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023・横山利秋
○横山委員 法案を審議するに際しまして、基準となるのは、業者が考えておりますのは、十月ごろのものと、それから十一月から十二月ごろまでのものと、一月以降、この三つの段階に比べて、どのくらい交換価額というものが安くなるか、高くなるのかというのが常識上の基準でございます。その基準に対して、今あなたの方でお考えになっておられる時価並びにその三割というのはどの線をお考えになるのか、結果としてはどういうようになるのか、これが明確になりませんと審議も困難だと思うのであります。従いまして、時価の算出方法を変えるなら変える、そうしてこの三割を減額したならばどういうことになるかという具体的な数字を当委員会に御明示をなさって、そして審議を求められませんと、三割という数字が妥当であるかいないか、ちっともわからない。いわんや今日までの時価評価額を基準といたしまして、そのまま使いまして三割というのでは、この法案の趣旨は何にもなりません。従いまして、すみやかに時価の評価の方法並びにその三割を減額した場合においては、昨年の十月以前と比べてどこが違い、どういう価格になるかということを出していただきたいと思いますが、できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/23
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024・窪谷直光
○窪谷政府委員 私どもの作業は大体結論に近づいておりますので、きょうこの委員会で御答弁申し上げる段階まで来ておりませんが、すみやかに御提出をいたしまして、御審議を仰ぎたいと思ひます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/24
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025・横山利秋
○横山委員 次にそれと関連をいたしますが、この国有機械の個々の機械の評価につきましては、そういうものが出ましても、なかなか千差万別の国有機械でありますから、管財局へ行っていろいろとさらに具体的な調査をいたしましたところで、今日ありますように、地方によって国有機械の交換価格が違うということが起るのです。ある地域においては、あの地域に比べておれの方は安いといい、ある地域においては高いといって不平を放っているのであります。こういう点はもう少し公平にやれる方法はないものかとお尋ねをしたいのであります。特に財務局の職員の諸君の批判をするわけでありませんが、しかしながら財務局の担当しておられる人といえども、この工作機械等について多くの経験があろうとは思いません。従いまして、この点について評価委員会を設けて、法律できまりますのであらう基準に基いて公平な評価をする、こういう機構をお作りになるお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/25
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026・窪谷直光
○窪谷政府委員 評価委員会の問題でございますが、これは相当多数の機械を個々に評価をいたしますので、一々の機械につきまして評価をいたすというようなことは、あるいは実行上むずかしいかと思いますが、基準になりますような機械につきましては、そういうふうな経験者の意見を十分に聞いてみたいというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/26
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027・横山利秋
○横山委員 そうであれば、第九条に、機械器具のくず化について学識経験を有する者の意見を徴するという条文が入っておりますが、評価についても、この種の条文を挿入することについて御異議はないわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/27
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028・窪谷直光
○窪谷政府委員 このくず化の判定と申しますのは、非常に大事なことでございまして、一ぺんくず化してしまいますと、元にもどらないということでございますので、これは非常に明確なものにつきましてはその必要がないと思いますけれどせ、ボーダー・ラインに来るようなものにつきましては、どうしても専門家の意見を聞いて誤りなきを期したいというふうに考えておるのでありますが、評価の方につきましても、やはり同様のことは考えられるとは思いますが、これを法律上の制度というところまでする必要は必ずしもないのじゃなかろうかというようなことから、法律に挿入することは見合せた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/28
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029・横山利秋
○横山委員 それは少し御認識が誤まっていやしないかと思うのです。先ほど言いましたように、財務局の諸君がすべての機械に通暁した知識を持ち合せているわけでもございません。それに伴って、ともすればいろいろな不満なり不平なり疑いが起りやすいものでありますから、公正な交換をするために経験者の意見を輝くというふうなことは、局長としてもお考え面し願うべきであると考えております。
その次にお伺いしたいのは、今回交換を大々的にやる、そして役に立たないものはくず化してしまうということであるならば、今日まで原則として、同じ種類のものを交換するという立場に立って若干の幅を持っておられたようではありますが、この際英断をもって、この交換対策となる機械について幅を広めて交換をする、少くとも大分類の機械といいますか、こういう類似交換、できるならばさらに進んで、多少の制限は設けても、異種交換をおやりになる、こういうことがこの法律の趣旨に沿うゆえんであると考えるのでありますが、この点はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/29
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030・窪谷直光
○窪谷政府委員 現在の交換の制度によりましては、同種ということでやっているのは御承知の通りでありますが、今度これで交換をさらに促進をいたすということと関連いたしまして、大分類の中におきます相互の交換ということは、私どもは当然にやりたいと思っております。これは当然にそこまでは拡張をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/30
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031・横山利秋
○横山委員 どういうふうに拡張ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/31
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032・窪谷直光
○窪谷政府委員 相互の大分類の中における交換というものは、自由自在にやれるようにいたしたいというふうに今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/32
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033・横山利秋
○横山委員 それでは先ほどお願いをしました資料の提出を待ちまして、さらに質問を経続いたします。本日はこれにて終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/33
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034・松原喜之次
○松原委員長 この際御報告申し上げます。所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の三法律案に対し、それぞれ前尾繁三郎君外二十五名、すなわち民主党及び自由党の共同提案にかかる修正案が委員長の手先まで提出されております。この際これら修正案について、提出者よりそれぞれ趣旨弁明を聴取いたします。前尾繁三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/34
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035・前尾繁三郎
○前尾委員 ただいま提案されました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につき、提出者を代表いたしまして、その提案の理由及び内容につき御説明申し上げます。
政府提出の昭和三十年度予算案につきましては、審議の結果、最近の経済情勢その他諸般の要請に必ずしも十分適応していると認めがたい部分もあり、日本民主党、自由党が共同してこれを修正し、六月八日衆議院を通過いたしましたことは御承知の通りであります。
この予算案修正の一環として、ここに政府提案の所得税法の一部を改正する法律案外二税法の一部改正案に対し、修正を行わんとするのであります。
その根本の趣旨は、一つは、個人の所得税につき、主として低額所得者の負担の軽減と均衡化、合理化をはかることと、二つは、これとの均衡上、法人の低額な利益に対して税率を軽減すること、三つは、預貯金利子課税の廃止との均衡上、配当所得に対する課税上の優遇措置を講ずることであります。
以下、順次三修正案について、その大要を申し上げます。
まず所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案におきましては、寡婦等の所得税負担の軽減に資するため、政府原案においては据え置きとなっていた寡婦控除、不具者控除等の額を四千円から五千円に引き上げることといたしております。また寡婦、不具者等が戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定によって遺族年金または障害年金を受ける者である場合におきましては、現在、その特別の事情を考慮し、六千円の控除をいたしているのでありますが、今回これを七千円に引き上げることといたしたのであります。
次に、法人税法の一部を改正する法律案に対する修正案におきましては、特に中小法人の法人税負担の軽減をはかるため、普通法人の所得金額のうち年五十万円以上の金額に対する法人税の税率を軽減する等の修正を行うことといたしているのであります。すなわち第一に、普通法人に対する税率は現在は一本税率となっており、政府原案においては、これを百分の四十に引き下げることとしているのでありますが、これを二段階とし、所得金額のうち、年五十万円以下の全額に対しましては百分の三十五の軽減税率を適用し、年五十万円をこえる金額に対しては、政府原案通り百分の四十の税率を適用することといたしたのであります。第二に、公益法人及び各種の協同組合等の特別法人に対しましては、現在普通法人の場合と区別し、百分の三十五の軽減税率が適用されておるのでありますが、政府原案におきましては、この税率は現行通り据え置かれることとなっております。しかし、これらの法人の特殊性を考慮いたしますときは、普通法人の税率を引き下げることに伴いまして、その税率も軽減することが適当であると認められますので、これを百分の三十に引き下げることといたしたのであります。なおこれに伴い、特別法人の清算所得に対する税率のうち、積立金及び非課税所得からなる部分の金額以外の金額に対する税率を百分の四十一から百分の四十に引き下げることといたしたのであります。もっとも個人との権衡や財源の関係等をも考慮し、法人税についての修正部分は、本年十月一日以降に修了する事業年度分の法人税及び同日以降の解散、または合併による法人税から適用することといたしたのであります。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の修正案におきましては、低額所得者の負担軽減に資する等のため、選択による概算所得控除の制度を新設する等の修正を行なっております。すなわち、第一に、納税義務者の選択により社会保険料控除、医療費控除及び雑損控除にかえて、所得金額また給与の収入金額の百分の五に相当する金額を、二万五千円を限度として、所存金額から控除することといたしております。ただし昭和三十年分の所得税については、この修正を七月一日から実施することとしている関係上、社会保険料控除額等の二分の一に相当する金額と、七千五百円を限度として、所得金額または給与の収入金額の百分の二・五に相当する金額との選択を認めることといたしておるのであります。この措置によりまして、たとえば、夫婦及び子供三人の標準世帯の給与所得者は、平年度において、年収二十三万一千二百五十円、月収一万九千二百七十一円以下の場合には、所得税を課せられないことになります。なお給与所得者につきましては、毎月の給与に対する課税は従来通りといたしまして、年末調整を行う場合におきまして、社会保険料の額が概算所得控除額に満たない者については、概算所得控除額を控除して税額調整を行うことといたしたのであります。
第二に、政府原案におきましては、預貯金等の利子所得に対する所得税の課税を免除する半面、配当所得に対しては源泉徴収税率を引き下げることとなっておるのでありますが、現下の経済情勢に顧みまするときは、面接投資を奨励することが緊要であると考えられますので、利子所得課税との権衡を考慮し、昭和三十年及び三十一年分の所縁税に限り、配当控除額を配当所得の百分の二十五に相当する金額から、百分の三十に相当する金額に引き上げることとしたのであります。なお、この措置とあわせて、配当所得についての資料提供限度を、現在一回につき三千円、年二回配当として六千円となっておりますのを、一回につき五千円、年二回配当として一万円に引き上げることといたしまして、所得税法施行細則につき所要の改正を加えることを政府に対して要望いたしておるのであります。
以上、三修正案につきまして、提案の理由と内容の概要を申し上げましたが、右に申し述べました措置により、昭和三十年度において、政府原案に対し、所得税におきまして約五十七億円、法人税におきまして約十億円のそれぞれ減収が見込まれるのであります。
何とぞ御審議の上、賛成されんことを希望いたしまして、説明を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/35
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036・松原喜之次
○松原委員長 これにて修正案の趣旨説明は終りました。修正案に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/36
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037・松原喜之次
○松原委員長 引き続き国有財産並びに金融関係の法律案に対する質疑を続行いたします。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/37
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038・春日一幸
○春日委員 窪谷局長にお尋ねいたしますが、国有財産特別措置法案に関連して、工作機械の問題について二、三お伺いいたします。
まず第一にお伺いしたいことは、この法律の第九条の規定によりまして、多くの機械がこれを契機としてスクラップにされようと思うのでありますが、スクラップされる場合は、大体一トン幾らくらいの価格になるか。それから中小企業に割り当てられる場合は、これは第九条の改正によりまして、大体一トン幾らくらいになるのか、当然いろいろと検討されると思いますが、概算の金額でよろしいから、ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/38
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039・窪谷直光
○窪谷政府委員 スクラップで売ります場合は、これは市場のスクラップ価格によりますが、今一トン当り大体一万八千円程度になっております。それから若干解体費等の経費を控除してやらなければならぬので、それを若干下回るわけでありますが、今度これを機械として売ります場合に、一トン当り幾らになるか、今手元に数字を持ち合せておりませんので、調べましてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/39
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040・春日一幸
○春日委員 この問題は、中小企業の生産設備の近代化、更新、こういうことから中小企業者に対しての交換の制度が行われておると思うのであります。本件については、すでに昨年来の懸案事項として、本委員会でも早期の交換方について当局に対してずいぶん鞭撻を加えて参ったわけでありますが、今日なお二十五万台の多きにわたってこれが未処理の状態にある。ただいま横山委員の質問の中にも触れておられましたが、その多くのものが腐蝕するにまかされておる、雨風にたたかれて今やスクラップにしなければならぬというような状態になって参っておりますが、この問題は、少くともその保管の責任にあられた管財局長といたしまして、私は大きな責任問題であろうと思うわけであります。と申しますのは、交換を容易ならしめるためには、交換を受けんとする諸君の希望に近い価格で評価をするならば、今日十年間をけみしてなおかつ半分も処理できないというばかげたことはあり得ないわけなんです。
いたずらに政府は手続をむずかしくして、しかもその評価価格をとほうもない高い値段にして、そうしてせっかく中小企業者のために設備の近代化ということで国が決定したこの方針を、ついに誤まってしまったわけでありまして、これによってもたらされたところの国の損失は甚大なものであります。のみならず、中小企業者が当然受けるべき利益に対する損失というものも甚大なものであると思うのであります。伺うところによりますと、会計検査院から管財局の評価が安過ぎるという警告があったからというので周章ろうばいしたのか、今のあなたの御答弁によりますと、理屈を積み上げた荒唐無稽の評価を行なっておる。結局中小起業者としては、手も伸びないようなとほうもない値段を決定した。従いまして、中小企業者は交換を受けたいと希望しながらも、そんなばかげた値段では経済ベースとしてとても処理することができないので、ついにこれが、本日問題になっておる二十五万台のこういう機械を残しておるということに相なっておるのであります。従いまして、今やこの法律を契機として、あなたはこの罪滅ぼしに、今後において早期に、かつ誠意を持って処理しなければならぬと思うのであります。そこで申し上げたいことは、今スクラップにすれば一トン、二百六十七貫でもって一万八千円、交換されないものはほとんど全部スクラップになってしまうのだ。
こういう法律の趣旨から考えますならば、三割引きも五割引きも八割引きも問題じゃない。たとえばスクラップにするということは、一トンとにかく一万八千円で処理されてしまうという大前提の上に立ちますならば、中小企業者は交換できないのだから、あるいは第九条の二の一項の一、二、三、四号というものにおいて規定されておる以外は全部スクラップにしてしまわなければならないのだから、従って二百六十七貫が一万八千円だというその考え方の上に立って、この時価から何割引くかという決定を行われるのがきわめて妥当かつ公正であろうと思うわけであります。
そこで私のお伺いしたいことは、今度のこの時価なるものは、あなたの御答弁によりますと、おおむね昨年の十月以前の評価額がマーケット・プライスとして妥当なものであろうと思われるというようなことを言っておられた。この時価の基準というものは、十月以前のものを基準にされる意向であるか。あるいは聞くところによると、昨年の十一月にこの評価がえが行われて、昨年の十一月に以前の価格にプラス八〇%何ということで現在の価格が決定されておるということでございますが、これは三割、四割という問題ではなくて、大へん大きなパーセンテージの開きを持って参ります。そこで明確に伺いたいことは、この第九条の第二項にいう時価から三割を減額したという、この時価なるものは一体何をさしておられるのか。いかなるベースの上に立たれるのであるか。この点を一つ明確にもう一ぺん御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/40
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041・窪谷直光
○窪谷政府委員 時価と申しますのは、先ほど申しましたように市場の価格ということではございますが、御承知のように中古の機械につきましては、なかなかそういうふうなまとまったマーケットが的確につかみにくいということでございまして、その辺のことも、実際の取引の実例等も調査をいたしておりますが、そういうものをも参照をし、さらに過去の物価の推移等も参照をし、また機械の陳腐化の程度というふうなものも考慮いたしまして決定をすべき事柄だと思うのであります。これが普通にマーケットが整備されておりますれば、その価格を端的につかまえてくるという方法があるのでありますが、それが残念なことに、中古の機械につきましては、どうも明確につかまえられるようなマーケットがないもので、便宜の方法としていろんな指数的な計算をやらざるを得ないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/41
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042・春日一幸
○春日委員 あなたもみずから告白されておるように、理屈を積み重ねた指数計算によって作った価格というものは、実情に沿わないものであったということを今述べられましたが、そうだとすれば、今あらためての御答弁によると、さらに基準となるものが的確に捕捉いたしがたい。従ってそういうような指数計算によらざるを得ぬ。こういう相矛盾した御答弁をなすっていらっしゃいます。そうすると的確な基準というものがマーケットにないので、結局逆算的にいろんな経年数だとか、陳腐化の計算だとか、こういうものでやはり理屈を積み重ねて、その出てきた数字によって当てはめていくよりしようがないということになると、かつて犯した誤まりをもう一ぺん犯すということで、結局問題を解決することにはならぬと思うが、この辺の矛盾をもう一ぺん政府として御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/42
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043・窪谷直光
○窪谷政府委員 昨年の秋指数を引き上げましたのは、必ずしも指数が——一部分だけを適用してみますと、なるほど非常に高いということにはなるのでありますが、さらにいろいろ控除項目というのを逐次出していったわけであります。ところが控除項目の見方がなおかつ少し渋過ぎる面があるということと、もう一つは、非常に大きな影響を来たしておりましたのは終戦後の遊休の期間でありますが、この点につきましては、保存の良好なものにつきましては、現実に機械を使ってはおらないのでありますから、それを全部経過年数に見てしまうのもいかがであろうかというようなことから、これを圧縮いたしておったのであります。ところがこの辺がどうも実情にそぐわない大きな原因のようでありまして、この辺のところを修正いたしますれば、大体実情に即するようなところまで改善できるのではないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/43
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044・春日一幸
○春日委員 結局あなたの御答弁では、明確にわれわれが理解することに苦しむのでありますが、この問題は冒頭に申し上げましたように、第九条の二によりまして、一、二、三、四の項目に列記した以外のものは、全部一万八千円で処分してしまうんだ、こういう大前提に立たれますならば、経年数だとか、腐食控除だとか、いろいろな問題は、スクラップになってしまうことから考えれば、どんなに大目に見たところで大したことはない。問題はほんとうに中小企業の助長育成という国家目的から考えますとき、あなたは会計検査院がやかましいから、こういうことであまりにも神経質になっておられるようだけれども、会計検査院さえよければ国民はどうでもいい、中小企業者はどうでもいいというような、ばかげたしゃくし定木でやられては、むろん中小企業者もわれわれ国会側も納得することができないのでありまして、どうか今後の細目を決定されるに当りましては、この理解の上に立って実情に即するようにしてもらいたい。今あなたが言われた、あのパーセンテージを縮め、このパーセンテージを伸ばして、いろいろそろばんをやりまくってやれば、もう一ぺん妥当なものが出ると思うと言っておられるけれども、これはただあなたの幻想にしかすぎないのであって、現実に商売というものは、非常に複雑多岐な要素がいろいろに添加し合って、そうして現われてくるもので、とうふのような脳みそをこね回したところで、特殊なバロメーターが出てくるわけがない。従って、私は今言われたような評価に当っては、その払い下げを受けんとする団体の代表や、あるいは事情によく通暁しておる諸君の意見、そういうようなものを十分に取り入れられて、ほっておけばスクラップになるんだから、それよりは中小企業にうんと安く分けてやれば、それでもスクラップよりは高いし、それで中小企業の設備交換にも大きく役に立つんだから、この理解の上に立ってこの問題を処理されんことを強く要望いたしておきます。
それから第九条の二に「現に国内で製造されるものに照らし、性能の差異が少いもの」こういうことが書いてありますが、これは何を意味するものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/44
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045・窪谷直光
○窪谷政府委員 これは中小企業向けのものは、必ずしも性能の差異が少いものということで残すわけではないのでありまして、中小企業向けのものは中小企業の方から御希望のあるものはすべて留保するという考え方に立っておるのであります。従いましてここに書いてありますのは、中小企業向けの機械であって、陳腐化の程度が少いものという意味であります。必ずしも中小企業向けの交換に充てられるものには、この条項は適用をいたさないということに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/45
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046・春日一幸
○春日委員 「現に国内で製造されるものに照らし、性能の差異が少いもの」ということは、一にかって陳腐化の事柄だけに関連するのでございますか。この点をもう一ぺん明確に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/46
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047・窪谷直光
○窪谷政府委員 これは陳腐化の程度によるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/47
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048・春日一幸
○春日委員 今、世上一般にこういうような流説が行われております。それは国有機械二十五万台というものが今存在をしておる。従いまして、全国の工作機械の大メーカーたちが、これがあることによって実際商売を非常にはばまれておる。政府が払い下げるということを言うものだから、そういうメーカーの新しい製品を買わないで、あたらそこに望みをかけて、売れ行きが非常に阻害されておる、従ってこんなものは早くくず鉄にしてしまってくれ、でなければ工作機械メーカーというものは立っていけない、こういうような猛運動が行われて、そうしてこういう法律が出されるような政治的な機運が醸成されたというような流説も行われておるのであります。私はこれは非常に大問題であろうと思う。政府がいたずらに中小企業者が希望するような安い値段で売ってやれば、工作機械の営業妨害になるから、高い値段で、なるたけ工作機械の諸君の新しい製品が売れるように、そういうような形でもって彼らをバック・アップして、一万今度のこの法律によってこれを一掃していって、大メーカーたちのそういう障害を全面的に取り払ってしまおうとするんだ、こういうような流説が行われておるほどでありまして、従いまして、本法律の執行というものは非常に重大な、かつ複雑多岐な内容を持っておるのであります。私があなたに強く要望いたしておきたいことは、二十九年の四月二十七日に窪谷局長の名前で地方財務局長あてに「二十九年度における普通財産の貸付料について」という通達が出されておりまして、マーケットが今非常に悪いし、経済も非常に悪い状態になっておる、従って貸付料の評価等については、その評価率がうんと越える場合でも一割増しの頭金をすることができる、こういう特別の通達が行われておるのであります。と申しますのは、今あなたが申されたように、理屈によっていろいろハイ・ヴァリュエーションをしていくとか、八割高にも九割高にもなっていくけれども、現実の市況というものはそういう状態ではなく、かえってデフレ経済からだんだんと悪い状態になっておるから、一割だけの頭金にしておけというような特別の措置すらも取られております。こういうような大きな建物とか土地に対して特別の措置が行われておる。大企業、大財閥等に対しては、いろいろな措置によってあなた方から救済が行われておるにかかわらず、現に中小企業に対する工作メーカーの問題なんかは、昨年の十一月を契機として、八割何分という高い評価が行われて、そうして現実には市販価格よりもとほうもない価格にしてしまって、すでにかれこれ七、八カ月間が経過して七まった。この間交換というものは全然行われていない。結局その機械は腐るにまかされておる。一方、今度は腐ってしまったのだからスクラップにする、こういうようなめちゃくちゃな法律をここで出そうとしておるわけでありますが、こういうような政治的陰謀というか、あるいはこういう執行を通じて業界に与えるところの大損失、こういうような問題は、あなた方大蔵省において自省を願わなければならない事柄であろうと思うのであります。
いずれにいたしましても、この問題はすでに三カ年間の懸案であり、本委員会でこれを取り上げたことも一再ではございません。にもかかわらず、この委員会においてはそのつどまちまちの答弁をして、今言われたような大分類の交換という問題なんかは、前の大蔵大臣、小笠原さんのその当時の答弁の中で明確になっておる。機械でありさえすれば何でもよろしいというような形で交換をしますと言っておいて、現実に財務局の現場においては、同一同種のものでなければならぬとか、先にもらわなければならぬとかいって、結局四十六万台のものが、この長い期間を通じてわずかに十何万台しか処理されていない。こういう状況にあるのでございまするから、この法律案は、ただ単にその大綱を示されておるにとどまるものであり、ことに時価から三割も引くという、この時価なるものの基準も法律的に不明確である。一体時価とは何であるか。上ったり下ったりするものであり、しかもその時価に対する確定評価というものもなかなかない。だからそういう意味合いにおきまして、私はこの法律案が審議される過程において相当の修正を加えられなければならぬとは思うけれども、いずれにしてもスクラップにしてしまうくらいなら、中小企業者にスクラップよりもましな価格で処分しようではないか、そうしてこの多年の懸案を解決し、中小企業の振興のために貢献せしめようじやないか、こういう気持からこの問題の処理に当られることを強く要望いたしまして、ほかに質問があるようでございますから、私の質問は一応これで留保いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/48
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049・松原喜之次
○松原委員長 山崎始男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/49
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050・山崎始男
○山崎(始)委員 銀行局長にお尋ねいたします。昨年保全経済あるいは日本殖産その他の庶民金融機関の問題で、相当零細な預金大衆に非常な迷惑をかけたということは、これは申し上げるまでもありませんが、それを契機として、今日大蔵省の銀行監督権の状態といいますか、その後前と変ったような、何か監督を厳重にする、あるいは今まで通りだとかいうふうな変った御方針を持っていらっしゃるかどうか、ちょっと承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/50
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051・河野通一
○河野(通)政府委員 結論的に申し上げますと、現在、保全経済会等の問題がありました後において、銀行監督の方針等について変ったところはございません。しかし全体の問題といたしまして、預金者の保護を十全に確保いたしますために、銀行等の金融機関の監督については、従来にも増して一般と厳格にこれを行う必要がある、こういうことで、具体的にその方針に従って処置をいたしております。当然おわかり願っておると思いますが、御参考までに申し上げますと、例の保全経済会等の問題につきましては、これはいろいろ国会の万から御意見がございましたが、私どもは、あれは正規の金融機関とは考えておりません。従いまして、保全経済会の集めました資金は預金ではないという考え方に立っております。従いまして、別に責任のがれを申すわけではありませんが、保全経済会等の問題と、今お話になりました正規の金融機関に対する問題とは、厳に一線を引っぱって考えて参りたい、こういうつもりでございます。御参考までに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/51
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052・山崎始男
○山崎(始)委員 私は東京相互銀行の問題につきまして、大蔵省の銀行監督権の関連において少しお尋ねしたいと思うのであります。最初ちょっと一言つけ加えておきますが、私がこの質問を申し上げますことによって、あるいは公共の金融機関、しかも零細な預金者を持っておりまする相互銀行のことでありますので、あるいは私が質問することによって世間にかなりの混乱を起すかもわからないというおそれを一応持たれるかもしれませんが、私の調べた結果によりますと、東京相互の要求払いというものはわずか五億ぐらいしかたしかないと思いますので、たといこの委員会を通しまして私がお尋ねをいたしましても、決して取付騒ぎその他の問題が起きるということはまずないものだ、この点私深く確信いたしております。このことは私が申し上げるまでもなく、もとより当局の方が先刻御承知と思いますので、以下数点、監督権との関連においてお尋ねをいたしますから、局長においても一つ遠慮をしないで明白な御答弁を願いたいのであります。
これは申し上げるまでもなく、東京相互銀行ばかりではないと私は思いますが、昭和二十五年ごろにたくさんな無尽会社の免許がございました。二十六年でありましたかに相互銀行法がしかれまして、まだこういう庶民金融機関のおい立ちと申しますか、歴史が至って若い。従っていわばまだ幼稚園でありますから、銀行監督権というものは厳重に公正に行わなければいけないと私は思います。それから同時に普通銀行の窓口では相手にされない、非常に気の毒な小企業者が対象になっておりますので、こういう相互銀行などというものは、一刻も早く一人前になってもらって、もっともっと金利を下げてもらって、大いに所期の目的を達成してもらわなければならぬ。それには今のうちから厳重な監督に基く内容の充実ということが、私は目下の緊急事だと考えますので、いささかお尋ねをいたすのであります。東京相互銀行は最近——最近といいましても、相当前からのことでありますが、一部の重役の不正あるいは不当取扱いが非常にたくさんある。まことに伏魔殿のごとき様相を呈しておる、こういうふうに聞くのでありますが、この点に対して、局長はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、その点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/52
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053・河野通一
○河野(通)政府委員 相互銀行が発足いたしましてから、まだ四五年の日子をけみしたにすぎません。従って今お話のように、まだ十分に基礎が固まるというところまできておりませんことは、御趣旨の通りであります。従って私どもは、相互銀行が一日も早く基礎を固めて、今お話がありましたように、早く一人前になり、そして金利もできるだけ安くしていくというようなことができますことを強く念願し、そういう方向に向って私どもも指導いたして参り、また監督もいたしておるわけであります。お尋ねの東京相互銀行につきましては、昨年の暮れに検査を実施いたしました。検査の内容その他につきましては——今、山崎さんからお話もございましたが、信用機関の事柄でありますから、その内容につきましては、私からここで具体的にお話を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。しかしながら、全体的に見ますと、いろいろ取扱い上の手続、その他について不備な点もございます。これらをすみやかに改善するようにということは、命令をいたしておるのであります。現在のところでは若干固定貸し等がありますけれども、頭金者に迷惑をかけるような意味における内容の不良という銀行ではございません。そういう点におきましては、私は万心配ないと考えております。しかしながら、今御指摘がありましたように、取扱い上不備な点等も、これはないではありませんでしたから、これらについてはすみやかに改め、また担保等をとることを怠っておったようなものにつきましては、至急担保をとるとか、あるいは債権の確保についてややもすれば十分でなかったようなものにつきましては、それを補完するとか、そういうことについては、個々の貸し出しについて十分に指図をいたしてあります。その整理の計画その他につきまして、実施の報告もとるようにいたさせておる次第であります。何分、検査をいたしましてから、まだ半年近くでありますから、その後の改善の様子につきましては、そう急激な整理ということも、なかなかむずかしいかと思いますが、逐次そういう方向に向って進んでおるように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/53
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054・山崎始男
○山崎(始)委員 ただいまの御見解を承わりますと、いささか手続に遺憾な点がある、御答弁全体から受けます印象は、非常に軽く見ていらっしゃるように私は思うのであります。しかし、銀行局の万では会計検査をやっていらっしゃるのでありますから、十分御存じだと思いますが、私はそうは見ないのであります。特に今のところは、銀行として心配がまずない。あったらこれは大へんなことであります。あったら困るから、私は申し上げておるのでありまして、それでは具体的に少しばかり順次お尋ねいたします。
この東京相互がわずか一億五千万円の会社でもって、役員十三人の一年間の報酬が一千百二万円、賞与を合せますと二千万円という数字が、昨年の決算において一年間の通計で出ておるようであります。今度株式の配当を一割二分に引き上げて、今まで一割だったと思いますが、これに臨時配当二分つけた。これが全部合せて一千八百万円、たった十三人の役員の報酬、賞与が年に二千万円というようなことは、経理の専門家であるあなたの目からごらんになって、銀行監督権の立場から見て健全な経営かどうか、この点について御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/54
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055・河野通一
○河野(通)政府委員 私ちょっと今数字を持っておりませんから、東京相互銀行の重役の報酬、賞与の総額ははっきりしたことは存じません。至急調べてみたいと思いますが、ただ私どもは、相互銀行を含めて銀行の役員の報酬、賞与につきましては、そこまで大蔵省が干渉するのはいいか悪いか、実は非難さえ受けておるのでありますが、私どもは各銀行についてその銀行の状況、内容その他に応じた一つの基準を設けて、それによらしめておる。もちろんこれは認可制とか承認制とかいう法律上の根拠はないのでありますが、事実上の監督によってそういうことをやらせておる。事前に連絡するという形においてやらせております。従ってそれらの点については、十分バランスをとって検討を加えた上で、適当な数字というところで認めておるのじゃないかと思います。具体的には数字をなお検討いたしまして、それに対する見解を申し上げたいと思います。ただこの問題につきましては、私どもは個々の役員について——社長なら社長についての給与は幾らということは申しておりません。重役総員に対して大体どの程度のものがいいかということでやっておりまして、個々の役員の給与についてはやっておりませんが、今申し上げましたようなことで、事前に十分審査をいたしておりますし、しかもこちらで指図をいたしたいところに従って、それ以上に、俗な言葉でいわれる、やみにいろいろな給与を出しておるという事実も検査の結果ないようでありますから、今御指摘の点はもう少し調べて、それに対する見解を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/55
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056・山崎始男
○山崎(始)委員 私は個々の賞与のことを申し上げておるのでありませんで、一年間の十三人の役員の報酬が総計二千万円になっておる。全株主の配当金が一割二分としても一千八百万円、それをオーバーするような報酬をたった十三人の役員が取るような経営が、庶民金融機関を育成するあなた方の御方針かどうかということを聞いておるのであります。
まず退職金の場合を考えてみましても、かりに社長の退職金一つ例をとってみますと、わずか五年か六年勤めると一千万円以上になる。最近日銀の総裁であった一万田大蔵大臣が、この議会において、退職金は何ぼかという質問に対して、あの人は八年以上も総裁をやっていらっしゃって一千万円もらった。わずかに一億五千万円の、しかも庶民金融機関である相互銀行の社長が、五年か六年勤めて、日銀の総裁が八年も九年も勤められたより以上にとられるような、こういう数字が出ているのです。これは今まであなたはお気づきにならないのですか、二の点について一つ御答弁願いたい。これは私は他の例がどうとかこうとかいう数字の問題でなしに、またあなたは、監督権でもこういう問題にタッチすることはできないとは言われないのでありますが、することはどうかという非常に御思慮深い言葉でありますが、これはどうも私は納得いかないのでもあります。どうぞこの点に対し御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/56
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057・河野通一
○河野(通)政府委員 ただい御説明申し上げましたように、ほっといていいとは申しておらないのであります。私は他の金融機関なりいろいろなものとの権衡を見て、許される範囲のものについての行政上の指導はいたしておる、こう申し上げたのであります。具体的に今お示しの数字は私は存じませんから、一度よく調べてみたい。私は数多い銀行の個々の重役の総額が幾らかということは一々覚えておりませんから、その点は御指摘の点もありますのでよく調べてみたい。調べた上で、それが適当であるかないかについての見解は説明をさせていただきたい、こう申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/57
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058・山崎始男
○山崎(始)委員 銀行検査をやっていらっしゃるのでありますから、調べておられるものだし思っておりましたが、数字の持ち合せがないと言われる。この点非常に私は遺憾だと思うのでありますが、私らの目から見ると、非常にむちゃだ、よくまあ大蔵省はこれでほっといたんだと思えるのであります、かりに会議費、接待費、業務拡張費という項目を見ても、この三項目でこれまた一年間に驚くなかれ二千万円からになっている。特にこの庶民金融機関の接待費というものは、普通の事業会社とは違います。一体だれを接待するのですか。それは普通銀行ならば、大口預金者があるから、それに接待費をつぎ込むということはわかりまするが、わずか一億五千万円の、支店の数だって二十一ほどしか持っていないこの相互銀行が、この三項目で二千万円からの数字を出しているのです。こういう点の数字だけが非常に膨大で、健全な経営でないと私は申し上げると同時に、こういう実態になっているということは、あなたはそう大して重大に思っていらっしゃらないかもしれませんが、私が申し上げるのは、役員の中の一部に非常に品性の悪い者がおる、それが探ってみると、形の上ではこういうふうな形態に出てきている、これを私は申し上げておるのでありますが、まあこの数字の面はいずれあとから調べて御答弁下さるということでありますから、そのときに譲るといたしまして、それでは一つお尋ねいたしまするが、一部のある役員の、常務取締役は経歴詐称をいたしておりますか、この点は大蔵省はわかっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/58
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059・河野通一
○河野(通)政府委員 そういう事実があったやに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/59
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060・山崎始男
○山崎(始)委員 いつごろお聞きになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/60
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061・河野通一
○河野(通)政府委員 数カ月前にそういうことを聞きました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/61
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062・山崎始男
○山崎(始)委員 わずか三十三才ほどの常務取締役でありますが、昭和十一年に中央大学を卒業したという経歴を増資の目論見書とか、あるいは大蔵省の方へも書類を出しておると思います。その池中小企業金融公庫とか、各関係方面へ出しておると思うのでありますが、中央大学を卒業したということを書いておる。しかも本年の二月二日に林頼三郎学校長から調べてみますると、本人は入学したことがない、全然知らないこういうことになっておるのであります。今、局長は、数カ月前にお聞きになった、そういう者がおるやに聞いた、聞かれたあと今日まで無関心でいらっしゃったのですか。私はこれは重大だと思う。聞かれたら、なぜそのときに何か手をお打ちにならないのか、ほうっておいてもいいのですか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/62
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063・河野通一
○河野(通)政府委員 経歴を詐称するということがいいことでないということは私も認めます。しかし経歴を詐称したということに対して、私ども監督の立場にあります者が、それに具体的な措置をとるべきかどうかについては、また別途に考えもなければならぬ。私はそれはいいことでない、遺憾なことだということははっきり認めますけれども、さればといって、それに対して何か具体的な措置をとるべきかどうかについては別個に考えたい、かような見地に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/63
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064・山崎始男
○山崎(始)委員 具体的な措置をとるということは別個の考え方だと言われますが、その別個の考え方の内容は、役員をやめるように勧告する、こういう意味に解してよろしいのでありますか、その内容をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/64
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065・河野通一
○河野(通)政府委員 役員をやめさせるということまでしなければならぬかどうかについては、私は検討を要すると思いますが、今のところは、経歴を詐称したから直ちに後負をやめさせるというところまでやる必要はないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/65
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066・山崎始男
○山崎(始)委員 私はますます不可解に存ずる。そうすると、経歴を詐称をしても平気だ、逆に裏返せば、そういうことになるのでありますが、事は信用を土台とした金融機関の、しかも常務取締役、高等学校も出てない、大学ももとより出てない、その者が堂々と公文書にも比すべきものに中央大学卒業。これがはっきり判明したのが数カ月前、それに対して、やめさせる必要がないという、まことに勇気ある御答弁をされたことは、私はこれは重大だと思う。それでは私は最後に一言申し上げておきます。私は法律問題は言いたくない。言いたくないのでありますが、証券取引法その他商法相互銀行法等にも、経歴詐称はたしか五年以下、三十万円以下の罰金云々というような規定しらあると私は見ておる。お互い衆議院議員が経歴詐称をやったならば、これは当選無効なんだ。かつてその例が大阪にもあったはずだと私は見ておる。そのくらい私は重大だと思う。これは、普通の法人とは違います私は実に重大だと思う。それでは、私は言葉をかえてお尋ねしてみたいのであります。私はこれは申し上げれば無数にあるのでありますが、現在芝の増上寺の稲田稔界の問題が、刑事事件として問題になっておることは御承知の通りであります。昭和二十五年にたしか東京相互銀行から稲田稔界が土地を担保に二千万円の借り入れをしております。それがたしか昭和二十七年の十二月でありましたか、その二千万円は一応稲田稔界から東京相互銀行に返金になっております。返金になっておりますが、その返金のときに、銀行の金利を年一割八分といたしますと、大体四百万円近い金利になると思うのでありますが、それが入っていないということに私の調べではなっておるのでありますが、この点お調べになっておられますかどうか、一言お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/66
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067・河野通一
○河野(通)政府委員 その前に、今お話の経歴詐称の問題についてお答えしたいと思いますが、私はそのことがいいことであるとは申しておらぬのでありまして、また大したことでないとも思っておりません。しかしこれらの問題は、私の聞いておるところでは、すでに司直の方へ、告発か告訴かよく私存じませんが、されておるやに聞いております。なお私は、こういった問題については一々監督官庁が出ていって問題の解決に当るよりも、当事者の間で自主的に問題の解決に当られることがむしろ望ましいと考えておりますゆえに、先ほど来申し上げたような御答弁をいたしたのであります。それから今お話のありました稲田某氏に対する二千万円ですか、貸し出しの件につきましては、私は今材料を持って参っておりませんので存じませんが、検査を最近いたしておりますから、おそらくその結果については十分にわかっておるものと考えます。調査をいたした上でお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/67
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068・山崎始男
○山崎(始)委員 ただいまの私の質問に対しまて、前の経歴詐称の問題の御答弁があったのであります。いささか訂正されたように思うのでありますが、この点はあとで速記録を見ましてあらためてお尋ねしたい。また稲田稔界の金利を——これは、私の調査では受け取ってないはずなのです。もし受け取ってないということがはっきりしたら、背任罪を構成すると思う。なぜなら土地という担保がある。それは銀行業務の上で金利を負けるということはあり得るでしょう。しかしながら担保はあるが、それにもかかわらず金利を棒引きにしている。
いま一つ、私はこの問題を申し上げたからついでだから申し上げますが、この二千万円を返しますと同時に百万円貸しておる。稲田稔界は、先ほど申し上げました経歴詐称をした常務と話し合って、百万円の借り出しを受けております。二千万円払った稲田稔界に百万円の貸し出しをやっている。このときにこの百万円に対する担保物件というものは、立川市の某氏、あえて私は某氏と申し上げておきますが、この人はこれとは何ら関係がないのに、立川市の某氏の土地を担保に入れている。しかも人の印鑑証明その他の書類を——これはその某氏は常に取引がありますから、印鑑証明なり白紙委任状などは二通ぐらいは常に預けておる。これを盗用して百万円の担保にしておる。その某氏は非常に立腹して、現在ではその抵当権は解除されておりますが、その百万円は依然として残っておる。この百万円の行方には非常に疑義かあるのでありますが、こんな問題は申し上げたら切りがありません。いずれにいたしましても、きょうはだいぶ時間がたっておるようでありますし、あなたも数字を持っていらっしゃらないで、答弁が非常にあいまいでありまして、非常に遺憾であります。そこでこの際私は委員長にお願いをいたします。次の機会に、この問題は一つ継続してやらせていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/68
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069・松原喜之次
○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来る十四日午前十時より開会することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X01819550611/69
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