1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年七月二十六日(火曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君
理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君
理事 奧村又十郎君 理事 横路 節雄君
理事 春日 一幸君
有馬 英治君 菅 太郎君
杉浦 武雄君 中山 榮一君
坊 秀男君 前田房之助君
山本 勝市君 淺香 忠雄君
川野 芳滿君 黒金 泰美君
小西 寅松君 小山 長規君
石村 英雄君 横山 利秋君
井上 良二君 川島 金次君
田万 廣文君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤枝 泉介君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 村上孝太郎君
大蔵事務官
(理財局長心
得) 石野 信一君
人事院事務官
(給与局長) 瀧本 忠男君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 鹿野 義夫君
大蔵事務官
(理財局証券課
長) 小林 鎮夫君
建設事務官
(大臣官房人事
課長) 美馬 郁夫君
会計検査院
(事務検査第三
局長) 小峰 保栄君
専 門 員 椎木 文也君
—————————————
七月二十六日
理事坊秀男君理事辞任につき、その補欠として
内藤友明君が理事に当選した。
—————————————
七月二十五日
金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に
関する法律案(内閣提出第一五〇号)
同 日
酒税率引下げ並びに三級清酒設定に関する請願
(廣川弘禪君紹介)(第四四九二号)
同(井手以誠君紹介)(第四五四二号)
同(池田清志君紹介)(第四五六〇号)
酒税率引下げに関する請願(大平正芳君紹介)
(第四四九三号)
同(中垣國男君紹介)(第四四九四号)
同(山本勝市君紹介)(第四五六一号)
三級清酒設定反対に関する請願外一件(小林信
一君紹介)(第四四九五号)
同(神近市子君紹介)(第四五四一号)
在外財産の補償暫定措置に関する請願(鈴木周
次郎君紹介)(第四五六四号)
旧外貨債の有効化に関する請願(保科善四郎君
紹介)(第四五六五号)
錦海湾の塩田化促進に関する請願(和田博雄君
紹介)(第四五〇四号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
理事の互選
小委員会設置に関する件
証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一九号)(参議院送付)
証券投資信託法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一二〇号)(参議院送付)
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法
律案(内閣提出第一四七号)
金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に
関する法律案(内閣提出第一五〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/0
-
001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
まず理事の辞任についてお諮りいたします。理事であります坊秀男君より理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/1
-
002・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってこれを許可するに決しました。
引き続き理事の補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして選挙の手続を省略して、委員長より御指名いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/2
-
003・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、内藤友明君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/3
-
004・松原喜之次
○松原委員長 次に、昨二十五日当委員会に審査を付託されました金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案を議題として、政府側より提案理由の説明を聴取いたします。藤枝大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/4
-
005・藤枝泉介
○藤枝政府委員 ただいま議題となりました金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案は、日本経済の自立とその健全な発展に資するため、金融機関の資金の運用を調整して緊要な長期産業資金の調達を円滑にすることを目的として、所要の規定を整えようとするものであります。
以下簡単にこの法律案の内容の基本となる諸点を申し上げます。
第一に、銀行その他の金融機関の資金の運用に関しましては、従来とも大蔵大臣が随時行政指導を行なって参ったのでありますが、この際本法の目的を達成するための勧告を行うことができることを法文に示すことといたしました。
第二に、緊要な長期産業資金の調達を円滑にするため必要かつ適切であると認める場合には、大蔵大臣は、金融機関の預金等が増加した場合は、その一定割合に相当する金額を、金融債、いわゆる公社債、緊要な長期産業資金の調達のための社債、国債、地方債等の保有の増加に充てなければならない趣旨の命令をすることができることといたしました。
第三に、この法律の運用に当り、大蔵大臣の諮問に応じて金融機関の資金の運用に関する基本方針を審議し、及びこれに関し必要と認める事項を建議する機関として、大蔵省に各界の権威者をもって組織する金融機関資金運用審議会を設置することといたしました。
以上金融機関の資金運用の調整のための臨時措置に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を申し上げた次第であります。
何とぞ御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/5
-
006・松原喜之次
○松原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。本法律案に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/6
-
007・松原喜之次
○松原委員長 次に証券取引法の一部を改正する法律案、証券投資信託法の一部を改正する法律案の両法律案を一括議題として質疑を続行いたします。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/7
-
008・春日一幸
○春日委員 まず第一番に理財局にお伺いをいたしたいのでありますが、政府は一体現行証券取引の制度をどのように考えておるか。これが完全無欠なものであるか。あるいはこれは随所に多くの欠陥を持っておるものであるので、早急にそれらの欠陥を補うための法的措置を講じなければならないと考えておるかどうか。この点をまずお伺いをいたしたいと思うのであります。と申しますのは、この現行制度が始まって以来、たしか昭和二十四年でありましたが、この六カ年間において証券業者として登録をいたしたものが、われらの調査によりますと、すでに五千数百に上ったと思うのでありますが、その後この六カ年間において証券業者が破産、倒産、それぞれ事業が成り立たずして転業したもの、こういうものが四千数百にわたって、残存証券業者というのは、現在の数において七百幾つでしかないといわれておるのであります。これは一見証券業者の盛衰の消長を物語るものではあるけれども、しかしその証券業者が破産したり、倒産したり、転業したりするときには、必ずこれに対して大衆の被害を伴うておるのでございます。こういうような事情によりまして、現在の証券取引の制度というものは、この証券業者の倒産の実情、消長の現状等から考えて、わが国の経済事情、特に証券市場の実情にそぐわないものではないかと思うのでありますが、こういうような問題について政府はどのような検討を加え、どのような見解を現在持っておるのであるか。まずこの一点について、政府がこの六カ年間の実績について考えるところがあれば、この機会に明らかにしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/8
-
009・石野信一
○石野政府委員 ただいまの御質問につきましては、将来日本の経済状態が非常に正常化して参りました場合の証券取引制度というものを前提として考えます場合には、現在の制度についていろいろ検討を加えていかなければならないという問題もあると存じます。しかしながらこういう制度というものは、やはりそのときどきの経済状態というものを前提にいたさなければなりませんので、今御指摘の数字は、当方の方の数字と多少違う点もございまして、何でございましたら、後ほど証券課長から御説明いたします。しかし実情は、確かに証券業者は、今の経済状況において非常に苦しい立場に置かれているということは事実でございますが、これは基本的に日本の経済事情というものに基因しておると存じますので、証券取引制度だけの観点でこれを救済する、あるいは対策を立てて適宜に処置し得るという問題でもないのでございますので、その辺は経済の実情とのかね合いで勘案していかなければならない、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/9
-
010・春日一幸
○春日委員 いずれにいたしましても、産業の原動力であるところの、この資金供給の任を負う証券取引業の実情が、そのときの経済の実情にやはり合致したものでなければならぬことは、これはお説の通りであると思うのであります。そこで問題は、私がまさに指摘をせんとする焦点は、現行証券取引法なるものが戦後アメリカのサゼスチョンによってその骨格をなし、その後インフレーション高進期においては、あるいは成功した面もあったかと思うのでありますが、その後デフレーションになり、あるいはディスインフレーションの経済状況下においては、これが制定した当時の経済界の現状とは、はなはだかけ離れたものがあると思うのであります。従いまして、私どもはこういうような、すなわち経済がやや健康状態に入り、あるいはまたこれがデフレに傾きつつあるというようなときには、証券取引の制度もやはりそれに合致したものでなければならぬと思う。今や問題は、中小証券業者の立ち行かない状態になってきておるということは、政府に対しても東京、名古屋、大阪のそれぞれの業界から切実な陳情書が寄せられておる事柄によっても明らかに御承知の通りであろうと思うのであります。私は、現行証券取引法が投資着の擁護、公正な取引、これを確保するために作られておることは、私は大いに尊重するものであり、この概念は今もなお踏襲されなければならぬと思うが、しかしながら、同時にやはり証券業者たちが立ち行ける、やればやっていけるという態勢を確保しなければ私はうそではないかと思う。かりに、いかに大衆がどのような利益を擁護されようとしておったといたしましても、その衝に当る証券業者たちがやっていけないということでは、いわゆる委託者、あるいはまたその投資に参加するところの大衆、こういうようなものの利益というものは擁護されるはずがない。私は、すなわち一般証券取扱い業者が立っていけるような制度、さらに極端に言葉をかえれば証券業者の擁護、このためには、一般大衆、すなわちこの証券に投資するとか、あるいはこれを委託するとか、こういうような委託者の擁護が大前提でなければならぬと思う。そこで問題は、あなた方に寄せられておりまする中小証券業者が立ち行けるような方途いかん、こういう問題になってくると思うのでありますが、現在四大証券はとにもかくにも事業を継続しておるが、それかといって最近における決算において彼らが示しておりますところの損金というものは、これはまた膨大なものになっております。
そこで私は、大証券も赤字を出し、中小証券業者はもう成り立たない、破産、倒産続出、こういうような現行制度は——現在の経済情勢に適合せしめるように、今証券取引法を抜本塞源的にまさに改正すべき段階に立ち至っておると思うが、この問題について政府はどのような分析理解をいたしておるのであるか。この点を一つお伺いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/10
-
011・石野信一
○石野政府委員 確かに今日中小証券業者が——全般的に証券界というものが不振でありまするために、証券業者が事業の経営に苦しんでおるという点御説の通りでございまして、まことにお気の毒には存ずるのでございますが、かと申しまして、やはりこういう証券市場というものの発達は、何と申しましても経済が正常化して参りまして、そうして自然に投資者がこれに投資して、だんだんに証券市場を利用しての投資というものがふえていく、そういうことによって取引活動が増大して参るということによって解決していく以外には、基本的にはどうしても方法がないわけでございます。と申しますのは、そこに無理な取引制度というようなものを導入するとか、あるいは一時的な何かの振興策を講ずるというようなことをいたしましても、同時にそれらの弊害というものも伴うことに相なりますので、その辺はただ救済という見地でなくて、やはり国民経済全体としての動きというものを考えてやっていかなければならない、そういうふうに存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/11
-
012・春日一幸
○春日委員 それならばお伺いしますが、中小証券業者が今や全面的に行き詰まりを来たしておるこの原因、これは一体何であるとお考えになっておるか、これを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/12
-
013・石野信一
○石野政府委員 今のお尋ねでございますが、やはり基本的には取引量が少いということであると思います。ただこれは、最近における経済状況から特にそういう状態でございますが、金融の正常化等が進んで参りますれば、やはりだんだんに株式市場に対する投資というものも増加して参るというふうに期待はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/13
-
014・春日一幸
○春日委員 取引量の少い原因は、単に中小証券業者の資金量が少いから取引最が少いのだ、こういう工合にあなたは断定し切っておられるのであるか、この点一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/14
-
015・石野信一
○石野政府委員 中小証券業者の資金量が少いからというのではございません。そうでなくて、やはり経済の実情で、全体の会社の資本構成というような関係からも、もっと自己資本が増加していく方がいいという状態にあるのでございますが、まだそういう面でも不十分である、金融の面でも正常化しておらないという関係からこういう状態が起っておるのでございますが、経済の正常化に伴って次第にそういう点は是正され、株式市場もだんだん拡大していくというふうに考えておる次第であります。決して中小証券業者の資金量が少いということばかりではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/15
-
016・春日一幸
○春日委員 そこで、現在の中小証券業者の取引量が少いというのは、これはある面において資金量が少いというような問題もあるであろうけれども、現在の取引制度が現物取引を中心に動いておる、そうしてそれに局限しておるところに取引量が少くて商質が成り立たないということがある。そのことは、結局証券界の沈滞を来たすものであり、証券界の沈滞は、結局その産業資金の調達に対して大きな障害をもたらしておるということは言をまたないだろうと思います。私は、結局現在の取引制度が現物取引に局限され、わずかに例外として信用取引が行われておるが、この二本建だけでは取引量の増大を期することができないのではないか、すなわちそれが現在の証券界の行き詰まりであり、これが産業界に対してもはなはだ悪い影響を与えておると思うのであります。
そこで私どもは、まず基本的な概念を定めてかからなければならないと思うのでありますが、少くともこの証券取引の業務のメーン・ポイントは、何といったところでブローカー業務ではないかと思います。すなわち証券を入手せんとする需要者とそれを供給しようとするところの間に立って、そういうブローカー業務を善良に管理していくならば、資金量という事柄は大した影響力を持たないで、なお証券界の健全な発達を期することができるのではないかと思うのであります。これは私の意見ではなく、いろいろな資料、文献によってわれわれが検討したところによると、証券業はブローカー行であることが本筋であって、従って、資本の大小よりも善良なる管理能力いかんにかかっているというような規定をいたしておる識者もある、その論証といたしまして、こういうことが述べられておるわけなのです。それは昭和二十八年九月から二十九年九月までの株式価格は、単価において百六十八円から九十四円に暴落した、すなわち四割の値下りである、これは平均単価であるから、ある種の株は九割、十割も暴落し、あるものは二割くらいのものもあるが、いずれにしても四割の平均値下りである、そこで証券会社の所有証券は、おおむね売れ残りの株式が多いことが常とされておるから、従って証券会社の所有証券の値下りは、最低平均値下りの四割以上であることは間違いない、そうすれば、四大証券の二十八年九月決算期の表を見ると、最低五十五億から六十三億の所有証券が計上されておるから、従ってこの値下りの四割を乗じて考えれば、最低一社について四大証券は二十二億ないし二十五億の損失となっておる、これらの資本金が一社について十億円であるが、この資本金は一見巨大のごとくには思われるけれども、この一期の二十二億の値下りに比べるならば、これはとても資本金で弁じ得るものではない、こういうことで論証をいたしておるのであります。こういう工合に考えて参りますと、現在の証券業者、特に中小証券の行き詰まりの実態は、その資金量が少いとか、あるいは将来証券金融会社を作ることによって中小証券に資金量を大量に供給し得る態勢ができたならば、この行き詰まりが打開されるとかいう問題ではなくして、これは結局現在の取引制度、すなわち現物取引に局限されておる事柄が中小証券の行き詰まりを来たしておるのだから、従ってこの際これは現行制度について根本的な改正をしなければならぬ、取引高の大小というものは、資本によってむろん影響力は与えるけれども、証券取引の本筋から考えるならば、結局善良なる管理能力によって、投資者たちに対して奉仕する役割というものはおのずから別にある、こういう工合にこの論者は主張いたしておるものであります。
そういうような意味合いにおいて、私はこの際現在の現物取引とそれの補助的な役割をしておる信用取引のほかに、長期取引というか、清算取引というか、そういうような制度を新しく加えて、すなわち戦前において行われておった事柄を復活せしめて、市場に対して刺激を与えていく。そして、一応
は管理業務の形ではあるかもしれないけれども、証券市場に対する大衆参加のそういう措置を講ずることによって、これがすなわち取引員を増大せしめる形になり、よってもって証券界を繁栄せしめ、そういうような取引によって、日本の産業があの戦前の大きな地盤をつちかってきたような、そういう効果を産業界にもたらし得るのではないか、こういう工合に考えておるのでありますが、これに対して当局はどういうような分析をし、検討をされておるか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/16
-
017・石野信一
○石野政府委員 長期清算取引を現物取引、信用取引以外にこの際認めようという要望は、一部にかなり強く言われておるのでございます。ただ先ほども申し上げましたように、現在の経済状況、特に資本市場が、全体の均衡ということを考えますと発達をしておらないと申しますか、さらに拡大しなければならないという状況におきましては、やはり一般の投資家の資本市場に対する親しみと申しますか、資本市場の利用というような点につきましてできるだけ育成確保していかなければならない、そういう観点から申しますと、長期清算取引は非常に過当投機に陥る危険があるのでありまして、過当投機になりますと、結局何か特別にこの株式市場というものを見るような傾向が出て参りまして、一般投資家がどうしても近づきにくいものになる、こういう懸念があるのでございます。また今の証券業者というものの経営の基礎がしっかりしていないということは、また逆に、そういう長期清算取引を認めるにはまだ尚早であるというような問題もございまして、今日は長期清算取引を認めますと、弊害の方が大きいというふうに考えますので、御趣旨に反するのでございますが、その点は、長期清算取引は認めない方がよいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/17
-
018・春日一幸
○春日委員 現行制度が証券市場を過当投機から防衛しておるという説も、それは私どももいろいろ考えておるのではありますけれども、しかしその考え方に骨がらみになってしまうということは、さらにまた考え直さなければならぬ事柄ではないかと思う。すなわちそれをあまりナーバスに考えて、そして投機というものを全部否定するというような考え方は、これは果して証券市場そのものの持つ本質から考えてどうであろうかと考える。ただ単に証券市場を問わず、青物市場でも魚市場でも、その市場の持つ本質的なものは、やはり投機性というものが大なり小なり含められておる。市場から投機性というものをとってしまったならば、何の妙味もない無味乾燥なものになってしまう。だから私は適当な投機性というものは、これはむしろその市場そのものの中に温存せしめ、これを適当に培養しなければならぬのではないかとすら考える。すなわち、過当投機に対する弊害があるならば、その弊害の面だけを法律によって、あるいは行政措置によってこれを是正することによって、すなわち投機性を市場の中に確保することによって、一般大衆の興味をそこへ刺激をしていかなければならぬのじゃないかと私は思う。そこで、私は長期清算取引、こういうものを開いてくれという要望もあり、さらにまた学説的にも、そういうような論述者たちがその事柄を指摘して、これを強調しておるのであります。すなわち、実物取引は、現在の実際の投資家たちのために、これはあくまで確保してやる。それから、今の信用取引というのは、これは補助的な存在としてやっていくのだが、やはり大量取引の専門家たちがここに参加ができて、そうしてその株価の操作、あるいはその先物に対する値段の上り下りに対して、大衆がそれぞれの興味と慎重な検討を加えて、それに参加できるという態勢を持つことなくしては、証券市場の健全な発達はあり得ないのじゃないかと思う。と申しますのは、大体において、いろいろな産業に対しては、そのときの経済の情勢とか、あるいは経済の先に対する見通しとか、あるいは政治、政策上のいろいろな動きというものが、その産業に影響を与えていく。従って産業に影響を受ければ、株価の上り下りに直接の影響を与えるべきであるのだが、現在においては、何らそういう作用が株価に影響を与えるような組織になっていないではありませんか。たとえば、先物に対して、これは上るか下るかというような事柄は、やはりこういうような長期清算取引によって、そのつどそういうような着想なり見解なりが株の売買を通じて市場の中に具体的に現われてくることによって、私は証券界が、もっとより以上に活発化してくると思う。こういう長期清算取引がかつて日本にはあったのだが、これはいろいろな弊害ももたらしたけれども、私はそのまま弊害をも含めてこれをやれというのではなくして、かつてわれわれの懸念したところの弊害を、あるならばその弊害の面だけをつみとって、いい面だけを復活せしめたらどうか。わが国の一証券市場も、産業界も、そういうような長期清算取引を行うことによって、世界を相手に四カ年間闘うような大きな国力も私はつちかってきたのではないかと思う。従って、私はわが産業界が今やこういうようなディスインフレになって、安定期に入り、そうしてなおかつ現状のまま実物だけに局限された取引のワクの中に閉じこもっておって、そうして証券界はだんだんとつぶれていく、大衆の株に対する興味は次第に薄らいでいく、こういうような情勢に向っておるということは、私はひとり証券界の将来のことばかりではなく、わが国の産業界の将来のためにこれはとるべき道ではないと思うが、この問題について、藤枝政務次官は大所高所から考えて、わが国の証券市場の将来と産業資金の将来を考えて、一体この問題についてはどういうような検討をしておるのであるか、この点、一つこだわりのない御意見を述べられたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/18
-
019・藤枝泉介
○藤枝政府委員 証券市場の問題につきまして、特に長期清算取引を復活したらどうかという強い御意見のありますることは、私どもも承知をいたしております。またただいま春日さんから御指摘になりましたように、現在の不振をきわめておる証券市場に活を入れる一つの方法かとも存じます。しかし先ほど来石町君からお答えを申し上げておりますように、証券そのものにつきましても、やはり日本の現状というものを十分考えながら持っていかなければならないのじゃないか。先ほど来春日さんのお話しに、何か現在の証券の取引に全然投機性と申しますか、そうしたものをネグレクトしておるようなお話しもありましたが、現在の信用取引その他についても、やはりある程度の投機性と申しますか、そうしたものを、投機的な要素を取り入れておるということは御承知の通りであります。私どもといたしましては、現在の日本の経済状態等を考えますると、やはり長期清算取引にまで踏み切るのには、そういう経済情勢にはなっていないのじゃないか、ここしばらくの間はこの現状を続けていく、そうして、しかもその間におきまして、あるいは一面において、証券市場における金融の円滑化をはかりあるいは株に対する、証券等に対する税法上の措置その他によりまして、大衆のこれに対する投資の促進をはかる、こうした各般の処置をとりまして証券市場を強化していくという方法が、現状といたしましては妥当な処置ではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/19
-
020・春日一幸
○春日委員 この問題はきわめて深遠な問題でありますので、従って今この質疑応答を通じて直ちに現在の機構がそのまま変えられるとは私も考えておりませんけれども、結局の話が、取引所の機能というものを考えまするとき、それは結局そのときどきにおけるところの経済事情とか、さらにまた政治事情、法律によってこうなるとかああなるとか、あるいは軍需生産がどうなるとか、税制がどうなるとかいうような、そういういろいろな情勢が取引市場に鋭敏に機動的に反映して、そうして株価の前途に対していろいろな影響力を与えていくという、それでこそ私は初めて投資に対する大衆参加、こういう態勢ができ上るのではないか。従いまして、取引所の機能を百パーセント発揚せしめるためには、やはりかつてわれわれが戦前においてやってきたような、そういういわば長期清算取引によって、これはある程度の仮需要ではあるけれども、そういうような大口取引の参加によってやはり株価に変動を与えてそうしてそこに妙味が生れてくる、こういう態勢を作るということは、株式市場としても必要欠くべからざる事柄であろうと思いますので、どうかこの点については、かねてからの強い要望が東京、大阪、名古屋にあり、特に東京等においては、反対意見もあったようでありますけれども、先般来いろいろな資料によって検討いたしますと、その反対意見も、逐次その角度を曲げつつあると開いておるのであります。そういう意味で、この清算取引の可能性について、政府はさらに十分時宜に適した方法を御考究願いたいことを強く要望いたしておきます。
次は、証券信託投資についてお伺いをいたしたいと思います。まず第一番に信託投資の現状についてでありますが、一体政府は現在の信託投資の実情を、これでいいと思っておるのかどうか。さらに約定期間が到来をしてから一年間先に延期されたのであるけれども、やがて来年の三月には、さらにその契約期間の満了するものがありまして、その額は実に膨大なものに上ろうといたしておる。一体これの始末をどうする考えであるのか、この点一つお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/20
-
021・石野信一
○石野政府委員 証券投資信託の設定額、これは最近においては設定もいたしておりますが、解約もございまして、大体ずっと横ばいの状態にございます。その上場株式総数に対する比率は七%程度で、この程度のものならば、別に過大であるというふうには考えておらないのでございます。この償還期が参りましたときに一度にどっと償還をするということにいたしますと、これがための株価への影響という点が問題に相なりまするので、昨年の十月以降、これの一年間の延長を認めたものでございます。その場合も、希望者に対しては希望通りに償還を認める、そして延長を希望する者には延長を認めるというふうに、当事者の希望をいれて考えたのでございます。それでこの秋また一年間たちまして償還期が参るわけでございますが、これは一応二年間ということになっておりまして、さらに一年延長をいたすべきかどうか、これはそのときの株価の事情等も考えなければなりませんので、今日ではまだ方針は決定いたしておりません。しかしながら、要するに株価その他に無理なことが起らないように善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/21
-
022・春日一幸
○春日委員 この証券信託投資の制度が始まりましたのは、昭和二十六年の六月でありますが、これによって募集された証券投資信託の総合計が千四百億、それで現在残っておりますのが七百何十億、こういう工合に言われておるわけであります。そこでお伺いをいたしたいことは、現在、ただいま申しましたような証券界の不振、デフレーション、これによって投信の額面の五千円が今では台判れをして、四千六百円とかなんとか言われておるわけでありますが、こういう額面を割って償還する、こういうことでは困るからとかなんとかいうような理屈で一年間延期されて、さらにまた一年間延期されようとしておるのであります。問題は、現在この証券投資信託によって保有されております株が大体八億株でありますから、かりにその八億株の中の一割の人々が解約したい、法律で延期しようと延期しまいと私は返してもらいたいんだということになれば、一割ということで八千万株を償還しなければならぬと思う。八千万の株を短期に処分するというようなことになれば、現在東京証券取引所がかりに一日当り三百万株の取引をしているとすれば、八千万株というものが全国で一ぺんに解約されるのでありまするから、とにかくこれを売り出さなければならぬと思うのだが、そういう場合、株が一ぺんに大暴落をし、株界の大恐慌を来たしはしないかと思う。一方法律によって当然期限が来たならば返してもらうべきだし、期限到来前といえども、投資信託は解約を禁止してはいない。それで本人が台割れでもいいから返してもらいたいといって、十人のうちわずか一人ずつ、一別が解約を希望すれば、結局投資信託そのものは、全面的に証券界に対しておそるべき株価の大暴落という現象を来たすおそれありとわれわれ心配しておるのであるが、この問題に対して、政府はどういうふうな考え方を持っておるのであるか、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/22
-
023・石野信一
○石野政府委員 先ほども申しましたように、償還期が参りました場合に、その解約を希望する者に対してはこれに応ずることにいたしておるわけであります。昨年の秋にも約七%程度のものは解約をしたのでありますが、しかし同時に募集もいたしておりますので、全体としての設定額が大体横ばいにいっておりますので、さしあたり影響なしに参ったのでございます。要するにそういうように延期の措置をとりますのは、額面を割っておるからというような問題でございませんで、やはり証券市場への影響という点を考えまして延期の措置をとったのでありますが、昨年の経験に徴しまするに、大体円滑に推移いたしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/23
-
024・春日一幸
○春日委員 この延期の措置が額面を割っておるから体裁が悪いとか、あるいは募集のときに額面割れのことがあるというようなことを言ってないので、額面を割って償還すると、インチキをやったようなそしりを免れない、従ってそういうようなことでなく、これはもっぱら証券市場の安定というような考えから延期したのだ、こういう答弁をなさっていらっしゃるが、私はこれは物事がめちゃくちゃではないかと思う。たとえば証券市場を安定するために、この受益者たちを何のために犠牲にしなければならぬのであるか。受益者たちは、この投資信託に参加した諸君は、別に証券市場を安定せしめるためにこういう契約をしたわけではない。その当時証券会社では、これに参加して株を買ってもらえば、たとえば五千円のものが一万二千円に上っておるし、大へんな利益になるんだからというような、いわば誇大宣伝ともおぼしき宣伝まで現実に行われ、それでもうけようと思って欲得で投資信託へ入ったわけです。ところが入ってみると、期限がくると株価が暴落いたし、額面を割っておる。利益どころか大損失である。こういうような場合に、かりに一年間延期をしたならば額面を取り戻すか、あるいは額面より上になるという政府の保証なり信託会社の保証でもあるならば、それでよろしい。けれども、一年たってみなければ、そのときに上っておるやら下っておるやら、政府からもその委託者からも何の保証もない。ただ一年間たな上げしてもらうだけのことなのであって、それは一体何であるかというと、とにかくただいたずらに証券界の恐慌を防ぎ安定をはかる、そんな受益者の犠牲において証券界というものは安定をはからるべきものではないでしょう。証券界の安定をはかるために、受益者がその犠牲を全部自分のからだで受けるという、こんなばかげた措置がありますか。この点についてどういう工合にお考えになっておるか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/24
-
025・石野信一
○石野政府委員 投資信託というものは、制度そのものの本質から申しまして元本を保証するものではございませんで、結局その運用資産の価値の増減によって元本を割る場合もあるわけであります。それで、その元本を割りました場合に、体裁が悪いからとかなんとかいうような意味でございませんで、証券界の実情が悪い時期にそういう償還を行いますと、証券市場の値が下る、株価の値が下る、下りますとその信託資産の価値も下るということに相なるわけでございます。従いまして、これは信託契約にも最初から延長することができることに相なっておるわけでございます。そして受益者の利益は十分に考えまして、償還を希望する者には最初の条件とちっとも変りなしに規定通りに償還を認める。償還を希望しないで、むしろ延期を希望する者はそのままやっておいてもいい、こういうふうに処置いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/25
-
026・春日一幸
○春日委員 要するに延期の申請を大蔵大臣に行う場合には、その受益者の五分の一程度の賛成者を得て、そうして大臣がこれに対して延期の認定を行う、許可を行うというような制度になっておると思うが、問題は、この間ラジオ・アンケートでもこの資料が出されておりますけれども、何でもいいから、元本を割っておってもいいから返してくれというパーセンテージは相当なものに上っておる。たしか延期してくれてもいいというのが四八%で、割ってもいいからそのまま返してくれというのが三八%ではなかったかと思うが、現実に、とにかく返してくれというそのパーセンテージは相当高いのです。それにもかかわらずこれが延期されるという形になれば、それは受益者たちの意思に反した執行がここに行われるという形になるのです。すなわち証券界の価格の変動あるいは価格の暴落、こういうようなものを防ぐために、受益者たちは金を返してくれ返してくれと言っておるのに、返さないどころか、これを一年間たな上げし、さらにこれを一年間たな上げすることができるという形になれば、これは何と考えたところで、弱い者が結局泣かざるを得ない、すなわち証券界の安定という美名のもとに、この七百六十億という金は凍結されて、証券業者とその金を利用しておる産業者、企業家、そういうような者にこの金が襲断されておるというこの事柄は、私は特に政治問題として重視されなければならぬと思う。現在の受益者の口数は百五十万口座といわれておるが、重複するものを避けてかりにこれを百万人とすると、実に十人に一人というような割合になって、今やこの証券の信託投資という問題は、国民全般的に利害を伴ってきておる重大問題である。この問題を、証券業界を安定せしめる、証券界の価格の変動を防ぐということだけでさらにこれを二カ年延ばすという事柄は、受益者の利益というものが何らはかられてはいない、すなわち証券市場の価格操作のためにこの七百六十億という金が凍結され、犠牲にされておると思うが、私はこんなことは不当ではないかと思う。藤枝さんは、一体この問題をどういう工合に理解されておりますか。こんなめちゃくちゃなことを許しておいてそれでいいと思われるかどうか、これが一つの質問である。それからもう一つの問題は、それはいかぬ、こんなことは証券業者に対して、受益者に対して非常にむざんであり過酷である。だからこれを返してやろうということになって、七百六十億円の金を一ぺんに市場で売り出すということになれば、これはゼネラル・パニックに通ずるものです。従ってこちらをやるわけにもいかぬ、あちらを立てるわけにもいかぬということで、よってもってこの投資信託の制度そのものが今や根本的に論議され、証券市場のためにも、あるいはまた産業資金調達の将来のためにも、あるいはこれに参加しておるところの全国の百万人の人々のためにも私は特に慎重に検討されなければならぬと思うが、一体この問題を政治的にどういう工合に考えておられるか。こんなばかげた一方的な措置で世の中は通ると思っておられるかどうか、その点を一つお伺いいたしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/26
-
027・藤枝泉介
○藤枝政府委員 ただいま春日さんが御指摘になりましたように、あちら立てればこちらが立たずというような状態で、非常に問題のありますことは承知いたしておるのであります。ただ先ほどからお答え申し上げておりますように、実はその期限を延長するということは、何も春日さんがおっしゃるように、証券市場そのものの利益擁護のために投資者を犠牲にするというような考え方ではないのでありまして、ただいま御指摘がありましたように、直ちにこれを放出することによってむしろ投資者に不測の損害を与える可能性がある。そういう点を考慮いたしまして延長をいたしておるのでありますが、先ほどからお答え申し上げましたように、返還を希望する者には、それはそのまま申し込みに応ずるわけでありまして、いわゆる凍結をしておるわけではないのであります。そういう意味で、一方において春日さんがおっしゃるように、一時にこれが解約あるいはその返還をいたすために、大きな数の株が放出されまして出資者が不測の損害を受けるということを防止しつつ、また契約者の自由な意思も尊重して、そうして何とかこの急場を切り抜けていきたいという気持をもちましてやっておることを御了承いただきたいと思います。もちろんこの投資信託そのものについてもいろいろ問題がございましょう。それでわれわれといたしましても、今後十分研究をいたしまして、投資者の保護と証券市場の安定のための処置は十分考究いたして参りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/27
-
028・春日一幸
○春日委員 それはほとんど抽象論議であって、具体的な御答弁にはならない。問題は、現在償還延期された上に、残存元本額というものが昭和二十九年十月以降三十年三月までに十九億七千八百万円、これに四月から九月までの分を合せて、合計三百六十五億四千三百万円、こういう大きな金額が結局一年間延長されるという形になって、別の言葉で言えば凍結という形になる。
そこで藤枝さんに伺いたいのは、かりに一年でも二年でも延期してあるいはその元本を取り戻した場合には、それで受益者に対しては親切という形になる。今処分すれば四千六百円のものであるけれども、しかし政府の措置によってこれが一年間延期すれば、五千円とかあるいは五千五百円とかになる、こういうことならば、それは受益者は納得ができるが、そのときになって依然として四千六百円であったり、さらにはまたデフレーションでこれが四千円になったときにはどうするか。一本この法律措置によって延期されて、そうして業者はそれによって得をせざるのみか、逆に損をするというような場合には、株価はなま身であるから、上る場合もあれば下る場合もある。一体下ったときに、この受益者の損失というものは何によって償われるのであるか、この点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/28
-
029・石野信一
○石野政府委員 証券投資信託の本質的な性格の問題でございますが、これは、ある意味では株式に投資するのと同じでございまして、決して最初から元本を保証するという建前のものではございません。従って、一般には株価の状況が設定当時よりもよくなればその価値は上ります。そうでなくて、逆に株価が下りました場合はその価値は下る。そういうことは、基本的に制度の本質としての前提でございますので、元本を保証するというような意味で考えることは本質的に無理な問題でございますが、場合によって下る場合もあるし、上る場合もあるというふうに、むしろその点を周知徹底させるということは必要であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/29
-
030・春日一幸
○春日委員 もとより元本の保証がないということは法律上明らかになっておるけれども、現在七百六十億の残があるのだが、受益者たちは、果してそういうような理解の上に立ってこれに参画したかどうかという問題、これをよく政府は考えてやる必要があると思う。昭和二十八年のインフレーション時代には、五千円のものがたちまち一万二千円にも上ったので、その事実を誇大に宣伝して、そうして投資信託というものはきわめて有利なものである、こういうことでその大多数の諸君はこれに応募いたしておるのであります。最近ラジオでも、あるいは新聞でもいろいろ投資信託の宣伝をしておるけれども、その場合、株はなま身だからあるいは額面を、元本を割って値下りをする場合もあるぞというような警告を発して募集したものは一つもない。これは募集の場合でありますから、そんなことをすれば当然逆効果になるので、募集の場合はこれをいわないのだ、約款の中にも、元本を割る場合もあるのだということを明示した条項は一つもない。従って、大衆は元本を割る場合ということは夢にも想像しない。ただこれは有利である、そうして専門家たちの株操作によって損をするというようなばかげたことはない、いろいろの入れかえによったり操作によって、必ずその元本以上の利益があるという、そういう誇大な宣伝に眩惑されて、ついにここに参画をした人々が多いわけであります。だから、いわばその受益者たちがこの投資信託に参画をした当時の実情ということを政府はよく考えて、そうして今回これを延期するならば、延期する場合におけるその措置を誤まってはならないと私は思う。たとえば現在一年間これをさらに延期することによって株価が上るという見通しを政府が持っておるならば、あるいは一年間延期するということもこれは親切であろう、さらにまた証券市場の価格の安定をはかる上においても効果があるであろうけれども、しかしながら現在の情勢下においては、現在ダウ相場で三百五十円のものが三百八十円にならなければ五千円にならぬといわれておるけれども、今のいろいろの専門家たちの分析によると、別に朝鮮戦争が新しく起きるというわけでもなく、あるいはまた経済情勢が急速にインフレに転ずるというような徴候もない、そうすれば、一年間に五千円の元本のままで戻ってくるというような可能性を持っておるものはないわけです。ところが、政府が果してその確信があるというならば、これはまたその理由をこの際明示してもらいたい。すなわち一年間延期することによって五千円の元本額を取り戻すことができるという確たる見通しがあるならば、これは一年間延期することも、受益者に何ら犠牲をしいることにはならない。けれどもそういう見通しがない状況下において、一年間延期したものをさらに一年間延期するということは、これは大衆の七百六十億の預金を不当にたな上げするというものであって、私はこういうようなことは許さるべきではないと思う。一体これはどういうことですか、一つ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/30
-
031・石野信一
○石野政府委員 一点誤解がございますといけませんので、繰り返すようでありますが、念のために申し上げます。延期をいたします場合に、受益者が償還を希望すれば償還はされるのでございます。その意味では決して絶対に、強制的に延期をするというような意味の凍結ではないのであります。それで株価のことでございますから、いつになればよくなる、いつになれば悪くなるというようなことを、政府が見通しを立ててどうこうするということはできないのでございます。そういう観点から延期をいたしたのではございませんで、ただ証券事情が悪いときに一度にそれを放出するというようなことになりますると、株価が下りまして受益者自体が損失をこうむる。それで受益者の希望に応じてこういうどちらにでもということにいたして、返してもらいたい者は返してやる、延ばしたい者は延ばしてもいい、こういう措置をとったのでございます。その点誤解があるといけませんので、繰り返すようでありますが念のために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/31
-
032・春日一幸
○春日委員 そういたしますと、たとえば現在の八億株、大体百万人の人の中で、このラジオ・アンケートによると三八%の人が返してもらいたいと言っておる。そうすると三八%の人に期限到来と同時にこれを解約するという形を次々にとっていくとすると、これは一割だけでも八千万株だが、かりに三八%ということになると、二億何千万株という株を処分しなければならない形になってくると私は思う。そういうような事態が起きた場合、証券界にゼネラル・パニックが来るようなことはないと思うか、これを一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/32
-
033・石野信一
○石野政府委員 ただいまの三八%というような数字は、あるいは何か特定の雑誌か何かの世論調査のようなものではないかと思うのでありますが、全体の数字で申しますと、七%程度のものが解約を希望いたしたのでございます。従いまして、そういう七%程度のものがやりまして、別に大して影響なく過ぎたのでございますが、これは要するに設定の解除の方と同時に募集をいたしておりまするので解除の方だけおとりになりましてお考えになりますと非常に数字が大きくなって、影響が大きいようにお考えかと存じますが、同時に募集をいたしておりまして、大体設定額は横ばいの状態になって参っておりますので、そのときの影響の心配はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/33
-
034・春日一幸
○春日委員 私の申し上げました資料は、産業経済研究所の投資信託年報の中に、ラジオ・アンケートによって、返してもらいたいか、そのまま継続するか、あるいは委託者の裁量にゆだねるか、この三つを照会した回答が出ておりまして、それをそのまま資料として申し上げておるわけであります。私は、産業経済研究所は少くともこの問題について最も権威ある資料を出しておると思いますので、政府の出しておられまする資料七%とこの三八%との間には、あまりに大きな開きがあります。この問題は、その対策を政府が立てるに当って資料のあやまちがあってはならぬと思いますから、私はその事情をさらによく御検討を願いたいと思います。
それから今局長の御寺弁の中に、償還希望の額は逐次新しい設定によって補われつつあるから、証券界に対する実際上の影響は少いと言われておりまするが、これまたその資料によりますると、このオーバーがだんだんと減ってきておるということがうたわれておる。三十年の四月末で、差引逆に十二億の減になっておる。こういう工合で、今ではその元本割れの実情が次第に大衆に浸透してきて、投資信託に応募する者がだんだん減ってきた、従って償還だけは多くして新規に募集されてもなかなかこれに応募しない。こういうことで、二十六年から二十八年の十二月までの二カ年半で一千億を越えた応募が、二十九年においては二百四十一億円に激減して、そのうち解約償還額を差し引いた純増加はわずかに十九億、三十年の四月に入ると、そのものがさらに逆転をして、差引十二億の減という形になってきている。こういうような状況下において、七%にしろ三八%にしろ、さらに解約の希望が続出してくるという形になると、証券市場の将来はどうなるか。これは政府も国会も証券業界も、ともどもにこの問題と真剣に取り組んで深い検討をするのでなければ、どうにも始末の負えないような状況になることを最も憂うるのであります。
そこで私は、さらに問題を推し進めて、ならば、今政府は、特に大蔵省は、この四大証券、投資信託会社に対して、どのような監督を行っておるのであるか、この監督の模様について二、三お伺いをいたしたいと思うのであります。
まずそれは、いろいろのしかけが行われておるのではないかという疑いが多分に持たれておるのであります。ある批判者は、こういうような工合にこれを述べております。それは、大いにもうかるとの宴伝に、善男善女は毎月四十億ないし六十億の金を預けた、応募した。そうしてその金の使途については、あらかじめ株式の種目だけを示されただけで、全部信託証券会社の老練な手段に一任しようといったような、いわば保全経済会の方式、あの匿名組合の方式、あんな方式と何ら隔たるものがない、まあこういう工合にこれをうたっておる。ところがこの証券会社の手数料の収入のごときは、これはわずかな収入であって、集まった金をもってあらかじめ証券市場で株式を買いつける。まず市場にある浮動株式を買い集める。買い集めれば株がだんだん高くなることはきまっておる。そうしていよいよ信託の設定日まで待って——設定広告してから設定まで大体一カ月余裕がある。その間毎日のごとくに金が集まってくるので、その金によって浮動株を買い集めると、だんだん株の値段が上ってくる。このような工合に、市場の価格を高くあおり続けて、その最も高い値段で信託勘定で買いつけたことに帳簿の操作をしておる。たとえて言うならば、その月の募集が十億円ある場合、また来月もあるから、今のうちに甲の株を一株八十円で百万株買っても、これは八千万円である。そこで買い入れて、そうしてその設定期日にその株を市場からまた買いあさっておるとすると、株はその日にまたぱっと上る。その場合に、八十円で実際的にその証券会社が買いあさっておいたものを、今度は信託勘定で百二十円でその設定をする。そういう形になれば、まあ十億のユニットで実に四億円ですか、そういう膨大な利潤をこの証券会社がここに収めることができる、こういう工合にこれを指摘しておる。すなわち、この証券会社と投資信託会社とが同一人格でこれを行っておる。従って、一カ月間その金を活用して、どんどん市場の浮動株を買って買って買いあさって、設定する前日にさらに大きくどっと買うと、その日においてどんと上る。上ったときに、八十円で買った、九十円で買ったものを百二十円で設定するということによって、この信託会社は大衆の資金というものをひそかに襲断することによって、証券会社自体利潤を膨大におさめておるのだ。こういうことを言っているが、こういうような事実があるかないか。監督し、あるいは帳簿を精査して、そういうような嫌疑事項に出会ったことはないかどうか、この点、一つお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/34
-
035・石野信一
○石野政府委員 まず第一に申し上げたいと存じますことは、証券投資信託は、保全経済会とは制度的に根本的に違うという点であります。これは信託投資法に基きまして、証券会社が信託銀行と契約をいたしまして、受益者の払い込みました金は信託財産になりまして、信託銀行の名儀で信託銀行が保管をしているのであります。従いまして、この信託財産に対しましては銀行検査を十分にいたしておりまして、信託銀行が管理いたしておりますから、これを保全経済会の場合のように勝手に処分をするというようなことはできないのでありまして、その売買の指図をするだけでございます。その場合の売買につきましても、取引所の認める価格でやることになっておりますので、保全経済会とはその点全然本質が違うということを申し上げたいと存じます。
それから投資信託を扱っております証券業者は七社でございますが、これらにつきましても信託財産のみならず、そういう証券会社につきましても、随時報告、資料の徴収、それから検査をいたしておりまして、今お話しのようなことを発見したことはございません。と申しますのは、これが今申されましたようなことをかりにするといたしますと、どういうことになるかと申しますと、元本の設定が非常に高くなります。従いまして、七社で競争をいたしておりますから、その会社の投資信託は非常に不利になりまして、結局競争に負けてしまうわけでございますので、そういうことは不利になるという点からもできないわけでございます。できないのみならず、実際にも検査をいたして、そういうことはない、また監督もいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/35
-
036・春日一幸
○春日委員 それはあまりに皮相な御答弁だと思うのです。これはまた別の資料でありますが、これは政府にも、お互い議員のところにも配付されていると思うのだが、今や四大証券会社は、競争することは事実であるけれども、しかしある限界において、四社の申し合せが行われていることは歴然たるものがある。それの十二ページにはこういうことが書いてある。そのよい例が前期の決算である。扱い高も、収入も、規模も、信用も異なる四社が、いかに資本金が十億円で同列であるとはいえ、そろって三億二千万円の赤字が出るはずはないというのである。すなわち、この四大証券会社がそういうきわめて浮沈の多い事業を行いもし、そうして規模も信用も違っておるものが、資本金がお互いに十億円であるからといって、そのときにおける決算、これが四社とも申し合せたように三億二千万円の赤字と報告されている。税金ですら今年はこれだけもうかったことにしよう、来年はこれだけ損したことにしよう、こういう工合に申し合せが行われている。さらに証券設定期日とか、あるいは元本の記載の事柄だとか、こういうような事柄について有無相通ずるところの申し合せがないというはずは断じてない。私にこの資料を提供した男は、こういうことを言っております。こういうようなむちゃくちゃなインチキををやるということは、これは世間周知の事実である。もし当局が知らぬといえば、うかつ以上の疑いがかけられなければならぬ。果してこの点について調査したことがあるかということを聞いてくれと言っている。四大証券会社の本支店の調査は、一体何月何日にやったのであるか。たとえば中小証券に対しては、随時帳簿の検査を行なって厳重にその監督をされているそうだけれども、四大証券に対してその本支店の帳簿極査、すなわち、受益者から金を預かって、それを設定までにどういう工合に運営しているかという実際的な調査が今まで行われたことがないということを言っておる。現実にやられたならば、公共の利益のために、何月何日にどこの証券会社をどういう工合に調査したかということを明らかにしてもらいたい、こういうことをその行き詰まっておるところの中小証券業者たちは指摘しておるが、一体この辺のいきさつはどういうふうになっておりますか、一つ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/36
-
037・石野信一
○石野政府委員 ただいまのお話しの中に、証券投資信託は四社によって行われておるということがあったと存じますが、これは七社でございます。それで五千万円以上の資金を有する会社につきまして、その信用等につきましての認可基準に合うものは、これは投資信託ができるということになっておる。決してそういう意味で、非常に独占的に四社に認めておるというわけではございません。それで調査につきましても、これは随時この資料、それから帳簿内容等をとりまして、調査をいたしております。また検査もいたしておるのでございますが、どの会社につきましていつ検査をしたとか、その検査内容につきましては、これは今の銀行検査につきましても同様でございますが、これは明らかにいたさないことになっておるのでございますが、決してやっておらないというわけではございませんで、必要な程度におきましてはやっております。こまかいことは証券課長からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/37
-
038・小林鎮夫
○小林説明員 ただいまの投資信託委託会社に対しまする検査に関しましては、はっきした期日を覚えておらないのでございますけれども、特に投資信託を中心といたしまして昨年も行いましたし、本年に入りましては、信託銀行を中心といたしまして、銀行局の方と検査をやっております。私どもも法律解釈によりまして、信託会社に対する検査権もございますので、検査をやったこともございます。ちょっとはっきりした時日は今お答えできませんが、十分投資信託の運営に関しまして、法律、約款等に違反のないように調べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/38
-
039・春日一幸
○春日委員 それは、銀行業法とか証券業法とかいうものは、いろいろ内容に秘密を保たなければならぬこともあろうから、私はその調査の内容をここで明らかにしてもらおうとは思わぬのですが、少くとも今中小証券業者によって指摘されております四大証券、これが制度化されてから四カ年間に、一体何月何日にどこの証券会社をどういうふうな形で調査したか、調査した結果はどうであったか、こういう報告書くらいは、内容の秘密事項に触れるものではないと思うから、これは一つ資料として御提示を願いたい。中小証券業者たちの言っておるのは、四大証券の調査はほとんど行われていない。そして形式的な調査はあるかもしれないけれども、ほとんど自由放任的な状態であって、従ってこの委託会社とそれから信託勘定との間にはなはだ不正が行われておるということも指摘してきておる。ないのが普通であって、あってはかなわぬから、問題はそういうことがあるかないかということを調査してもらわなければならぬ。
そこで私がお伺いしたいことは、一体この募集期間は、広告をしてから募集を開始して、その信託を設定する日まで、一カ月間の余裕があると思うが、その間に受益者たちが金を振り込んでくるが、その振り込んできた金は、その設定されるまでの間どういう工合に使われ、または保管しておるのですか、これを一つお伺いしたい。法律はどういう建前になっておるのか、法律の建前を一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/39
-
040・小林鎮夫
○小林説明員 投資信託の募集期間は大体三十日ないし四十日程度ございます。投資信託の設定は、募集期間満了と同時に設定いたします。募集に応じまする応募者は、募集期間満了後におきまして、設定日の前に、代金を委託会社の方に引き渡すというのが多いようでございますが、中には募集期間中に早目に会社の方に引き渡しする、こういう場合もあるわけであります。その場合におきましては、これは証券会社といたしましては、信託元本になります金の前受け金のような性質のものでございまして、この金を一たん受益者のために預かっておくわけであります。さようにいたしておりますが、全体としての割合からいきますと、ほとんど信託設定の前に受け取る場合が多いようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/40
-
041・春日一幸
○春日委員 ただいま伺いますと、募集期間中に、契約すると同時に、金を払い込むというのではなくて、仮契約をしておいて、設定される前日に同時に払い込むという御答弁でありましたが、私は事実はそうでないと思う。従って、私はこの機会に公益のために次の資料を要求する。
すなわち四大証券が投資信託を募集した場合に、ここに資料で詳細に書かれておるが、その場合においてその受益君たちは、一体どういう工合に金の払い込みを行なったのであるか。今小林さんが御答弁なさったように、仮契約だけしておいて、金はちっとも払わないで、設定日前日に金を払い込んだものなら問題はない。こういう疑いをかけたり非難をしておる人たちの非難が間違っておるという形になる。しかし実際はそんなことはあり得ないと思う。から契約では、そんな大きな金額について受託会社は心配で、そういうことを締め切ることはできない。あなたは契約金だとか、あるいはまた全額だとか、そういうものを契約成立と同時に取るということが通常であり、またそうでなければこういう大規模の仕事というものはできるものではない。私は今まで設定されたところの千三百何十億というような投資信託、この受益者たちがどんな工合に金を払っておるかということが、投資信託そのものの将来、この制度そのもののいいか悪いかという問題についての大きな資料になると思うので、これはすみやかに御調査を願って、そして先に払った金が、ユニットを設定する日までにおいて、いかなる形において管理されておるか、この問題を四大証券について厳重調査の上、一つ本委員会に資料の御提出を願いたいと思います。
それから、その問題はそれといたしまして、さらに進んでお伺いいたしたいことは、今回の法律の改正によりまして、この二十条の第四項に、今度は帳簿の閲覧を拒むことができるという、この法律改正を行わんとしておる。その場合に、その拒むことができるのは、いわば相当の理由があるということになっておるのだが、それは、結局証券会社の一方的な判断によって、これが相当の理由だと思えば閲覧を拒むことが、できることになると思う。これは受益者の帳簿閲覧権を剥奪する形になりはしないか。これは相互会社のようなもので、従ってその受益者たちは、その委託会社の事業の運営、あるいは自分の信託をしたところの金銭の管理、そういうものがどういう工合に行われておるかということは、これは見たいに相違ないし、また見ることによってのみ受益者の利益は保護されると思う。ところが肝心の条項が今回の法律改正においてまさに剥奪されんとしておるのだが、これは一体何の目的でこういうことをしようとするのであるか、一体いかなる理由でこんな必要が生じてきたのであるか、その実情について一つお述べを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/41
-
042・石野信一
○石野政府委員 この規定は、商法の帳簿閲覧権に関する規定と同じ建前の規定でございます。従いまして、受益者が自分の投資いたしました財産がどうなっておるかというような意味においてこの請求をいたした場合は、当然相当の理由がございますので、それは請求を拒むことはできない。受益者が見るのは当然のことでございますので、その点は解釈もはっきりいたしておりますが、限られた弊害があって、むしろ受益者共同の利益を害するというようなおそれのある場合だけ拒むことになるのでございまして、その点は、解釈についても会社の方に徹底させておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/42
-
043・春日一幸
○春日委員 その場合は一体だれが認定するのですか。一体受益者の利益を害するというような場合の基準が明確ではない。この法律によると、その請求を受けた委託会社が、これは受益者の共同の利益を阻害する、こういうふうに思えば、それを拒むことができるとある。それはあまりに抽象的であって、明確を欠くと思う。これによって証券会社は、だれがきても、これはこういうような理由によって受益者全体の利益を——どろぼうだって三分の理屈があるのだから、いわんや証券会社が理屈をつけようと思えば事欠くことはない。従って私は、共同の利益を阻害するという工合に認定するのは拒む側が認定すると思う。証券会社としては、そんなものは見てもらいたくない。見てもらいたくないところに見に来るのだから、適当な理屈をつければ、法律に基いて拒むことができる。こういう形になって、いわばこの投資信託法の精神、すなわち受益者の利益を保護するという最大の眼目はこれによって圧殺されてしまうと思うが、こんな法律で果してその目的が達せられると思うのか。私はかえって伴う弊害が大きいと思うが、これについてどういう考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/43
-
044・石野信一
○石野政府委員 この規定で、拒むことができる、できないという認定をだれがするかという問題は、要するに法律の解釈の問題でございますから、これは最後に参りますと結局裁判所の問題になるのでございまして、その意味におきまして、この法律の解釈を私どもの方ではっきりいたしまして、ただいまのように受益者が閲覧を請求するようなものは当然相当の理由がある、相当の理由と申しますか、拒み得ないものでありますので、これは当然閲覧をさせるべきであるというような法律の解釈を会社の方にもはっきり示しておきたいと考えております。単に会社が自分の都合でこれを認定するというべきものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/44
-
045・春日一幸
○春日委員 それは説明すればそういう形になるのですが、どういう場合はできるということを、やはり法律の中で制限列挙のような形ででも明文化しておかないと、これは、そういう工合に認定した場合には拒むことができるといえば、どんな場合でも認定できる。その認定のしそこないについての制裁規定は何もない。裁判所に持っていかなければ最終的な決定がされない、判例によらなければ執行のできない、そんなばかげた法律を初めから出すことがありますか。法律というものは、やはり読めばそのものずばりで、これは証券会社ばかりでなくて、どんな愚鈍な大衆でもはっきりわかるというそういう規定を置かなければ、これはあまりに証券会社保護一辺倒の条項になる。私は当然この委員会において、こんな法律が通るとは考えない。適当な機会にこれは修正されると思うけれども、これはあまりに委託会社保護に堕し、そうして受益者が常時閲賢ができたものが、今回特にこの法律の改正を必要とするようなことは、これは見ようによっては、あるいはこの委託会社の中に非常に暗いものが多い、従って世論がだんだんと高まってきたので、続々と見られては困るので、法律によってこれを拒むことができる条項を作ってくれという、そんな要請がこのような法律を作らしめたのではないかとすらおもんぱからざるを得ない。従って、私はこういうような一方的な自由裁量にまかせるようなそんな法律は、大体提案者の良識を疑わざるを得ない。いずれこれは本国会の権威において適当な修正を加えるでありましょうが、こういうようなばかげた法律を出すべきでないということを私は強く警告をしておきたい。
それからもう一つお伺いをいたしたいことは、これは局長にお伺いをしたいが、問題となるのは、今この委託会社が証券業と信託業と両方を同一人格で行なっておるということについて、いろいろの疑惑を持たれ、またその疑惑を生ずるところなんです。この際この人格を切り離して、その職能を分化するの必要を認めないか。すなわち証券会社が自分の証券を常時これはディーラーとして手持ちをしておる。従ってその持ちあぐんだ株券なんかは信託勘定の方へこれをつけかえてみたり、今申し上げたような委託会社が募集したところのその金を、委託会社が操作して、そうして不当な利益をおさめる場合もなしとはしない。従いまして、私はこの証券業者の利害と委託者の利害とは必ずしも同一コースではない、ときにはこれは相反する場合が多いと思う。従って、この委託会社と証券会社とは同一人格で行わないように、すなわち適当にこれを分離分割して、全然別個のものにこれをやらせる、こういうことによってこの疑惑を払拭する、あるいはそのような間違いをなくする、これを制度上の問題として考えるべきであると思うが、局長はこの問題についてどのような見解を持っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/45
-
046・石野信一
○石野政府委員 最初の御質問につきまして「相当の理由がある場合を除くほか、その請求を拒むことができない。」という規定を今度入れようといたしますのは、今までの規定は、ただ「閲覧又は謄写を請求することができる。」とありまして、そういう意味において、その場合に拒むことができるとかできないとかいうような問題について必ずしもはっきりしておらない、むしろこれを商法の会社法の規定と同じにいたしまして、特に理由がない限りは拒み得ないのだという点をはっきりいたす趣旨でございます。
それから第二点の御質問でございますが、これは証券の運用につきまして、証券会社がいろいろの知識経験を持っておる、従いましてその運用について、現に証券会社が信託財産の運用を指図をするということにいたしておるのでございますが、法律的にはこれは別個のものになっております。そこで混淆しておるのじゃないかという疑惑を持つ向きがあるということでございますが、これは先ほども申しましたように、そういうよりに混淆いたしますと、結局投資信託の方がうまく参りませんということに相なりますので、そういうことは、現に今検査等によりましてもないのでございますし、また監督上もそういうことのないことを期しておるのでございます。まあ現行の制度で、特に弊害があるというふうには認めておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/46
-
047・春日一幸
○春日委員 ただいまの御答弁では、私は了解ができないと思う。すなわちこれこれの場合以外には拒むことができないということは、たとえば共同の利益云々ということ以外には拒むことができないということは、そのことに関する限りは拒むことができるという形になって、いわば拒否権というものは、この前の法律よりもはるかにこれが増大しておるのではなしに、新しく拒否権がここに設定されようとしておるのですよ。今までは拒否権はなかった。ところが今回の法律の改正によって、閲覧権というものに対して、これは大きな制限を加えられる。場合によっては、共同の利益ということに籍口して、これを全面的に拒否することができるという法律がここに新しく作られようとしておる。それはあなたの詭弁であって、これによって受益者の利益が特に保護されるなどということは、これはだれだって了承できるところではありません。この問題は、私は特に本委員会を通じて明確にしなければならぬと思う。ただですら疑惑のあるこの投資信託の問題について、この閲覧権によって、その不正だとかいろいろな事柄が受益者に明らかにされる機会が作られておったのに、今回この法律によって閲覧権が拒否され、剥奪されるという形になったならば、受益者の利益というものはどこにも守られるというところがない。受益者が直接自分でその経営の中に立ち入って、自分で調査をするということがなくなってしまう。だから私は、そういうようなあいまいな条文というものは作るべきではないし、どうしてもその共同の利益を守る必要があるとするならば、これこれの場合——どういう場合があるか知りませんけれども、いわゆる総会ごろとかなんとかいう恐喝する連中が来た場合においては、あるいは適当な制限を設けて、それを拒否することができる場合もときに必要があるかもしれないけれども、少くともその受益者が帳簿を見せてくれというような場合に、一方的な考え方でこれを拒否することができるというような条項は作るべきじゃないと思う。これはいずれこの条文を本委員会において十分検討を加えて、適当な修正が行われるでありましょう。
最後にお伺いをしたいことは、今度はさらにもとへ戻って、現在のいろいろな行き詰まりを何とかして打開しなければならぬが、これは証券業界の人人やあるいは学者たちがいろいろの文献をものしておられるのですが、異口同音に彼らの指摘しているのは、長期清算取引を開始するという事柄に集約されておると思うのです。そこでこの問題はいずれにしても深遠な問題であるから、政府においても、業界においても、われわれの側においても、さらに深く検討を加えるではあろうが、この際に明らかにしておきたいことは、現在の法律で、この長期清算取引を許すことができるかどうか。国会もまさに会期が終らんとして機会がなくなるので、この点は一つ法律解釈だけ明らかにしておきたい。すなわち、現在のこの法律によりますと、一体これはどういう工合になっているかと申し上げるならば、現行法の解釈論では、証券取引所法第百八条に、証券取引所の業務規程に定める事項として、売買取引の種類及び期限、売買取引の契約の締結の方法、受け渡しその他の決済方法、売買取引に必要な事項が規定されている。そこで第八十五条の二の第一項には、証券取引所は、業務規程を変更しようとするときは、大蔵大臣の認可を受けなければならないということが規定されている。そこでこれらの規定から見れば、証券取引所が定期取引を実施しようとする場合には、取引所の業務規程を変更して、定期取引に関する細則を定めた上、大蔵大臣に変更認可の申請をすれば、これによって手続が踏める、こういう解釈が成り立つ。すなわちこの長期清算取引というものは、別に新しく法律の変更を行わないでも、この八十五条の二の大臣の認可権、すなわち業務規程の変更に対する認可を受ければ、これでできる。こういう現行法の解釈論があるが、一体そういうものであるかどうか、であるならばよし、でないならば、一つそれに対して反論をお述べ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/47
-
048・石野信一
○石野政府委員 法律の明文をもって、長期清算取引を行なってはならないというふうにはなっておりません。その点は認可でできるという建前になっておりますが、ただ全体の法律の考え方が、長期清算取引を行う建前になっておりませんために、個々の規定につきましては、これに抵触するような規定がございますので、実際問題としては、やはり法律の改正が必要になると思いますが、なお詳細なことが必要でありましたら、証券課長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/48
-
049・春日一幸
○春日委員 次の機会まで法律に触れることができませんし、またこういう証券取引の根幹に触れるようなことは、倉皇の間に触れることは無理でありましょうが、今御答弁によると、法律に触れなくてもこれはできないことはないのだが、全体の法律の構成がそういう工合になっていないからというのでありますが、現行法の中で、長期清算取引に支障を来たすような法律の条項というものは、一体どこにあるか、この際お示しおきを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/49
-
050・小林鎮夫
○小林説明員 現行の法律では、いわゆる現物取引を基本として、普通取引として信用取引をやる建前でできていると思われるのでありまして、たとえば長期清算取引でございますと、戦前は、長期清算取引に関する取引所の法律があったのでありますが、それらの法律と今立て方が非常に違っておりまして、たとえば取引所員についても、従来免許であったが、現在においては登録でございまして、自由にやれるというようなことになっているのでございますし、また長期清算取引をやる場合についてのいろいろの制約に関するような規定ももちろん入っておりますが、特に現在の法律の条文といたしまして、たとえば百三十三条でから売りに関する、いわゆる有価証券を有しないでその売り付けをするというようなことが禁止されております。長期清算取引はから売り、から買いと申しますか、先売り決済でございますので、さようなところから見ましても、抵触するのじゃなかろうか、かように考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/50
-
051・春日一幸
○春日委員 立法論はあなた方はくろうとでございまして、私もその検討は十分でありませんから、あるいは十分意見を交えることは困難であると思いますが、ただいま承わった範囲では、長期清算取引は、今あなたのおっしゃったから売りというような概念のものじゃない。考えようによりましては、実物の売買を行なって、その先に清算を行うということであって、本人がそれだけの実物を受け渡すという認定の上に立てば、これは必ずしもから売りと断定すべきものではない。ただ問題は、から売りであるかどうかということは、その証拠金の多寡にもよるだろうと思う。証拠金が低くて大量の株が売買されるという形になれば、これはから売り的傾向が多いのだが、しかしそれは、いわば過当投機の心配が多いということで、これが禁止されておるとすれば、これはそういう弊害を除去することは何も困難ではない。たとえば証拠金の額をふやすとか、あるいは価格の変動によって追い証拠金をさらにとるとか、こういうようなことによって、その長期取引についての実物性を付与するということは、これは取引所の業務規程の中で十分足らざるところを補うことができると思う。この問題は非常に大きな問題だから、今ここで結論を得ることは困離であるが、私が申し上げたこれらの理論は単なる私の着想ではなく、これは業界の多くの人々の持っておる、一方の意見であるかもしらぬけれども、これは非常に熱心な年来の意見であり、さらにいろいろな学者やあるいは経験者たちがものしておる著述の中にも、このことはあまりに強く強調されておる。さらに現在証券界が非常に萎靡沈滞をしておる、そうしてこの投資信託の将来をめぐって非常な恐慌が予想されるという、こういうような具体的な事実の上に立って、証券界の将来と産業資金というものの将来をよく考えて、政府があやまたざるところの対策、すなわち法律の欠陥を補うとか、あるいは必要な取引を新しく開始するとか、こういうような適切な方途を講ぜられんことを私は強く主張いたしまして、もう十二時半になりましたから、私の質問は一応これで終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/51
-
052・松原喜之次
○松原委員長 次に、請願審査小委員会設置の件についてお諮りいたします。今会期中当委員会に審査を付託された請願は五百数十件に上りましたので、これら各請願審査のため小委員会を設置し、本委員会におきましては、小委員会の報告に基いて各請願の採否を決するように取り計らいたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/52
-
053・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお請願審査小委員会の小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より御指名することに御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/53
-
054・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。委員長におきましては、後刻公報をもって各小委員及び小委員長を御指名いたします。
午削中の会議はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
午後零時二十二分休憩
————◇—————
午後二時四十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/54
-
055・松原喜之次
○松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
証券取引法の一部を改正する法律案、証券投資信託法の一部を改正する法律案の両法律案を一括議題として質疑を続行いたします。石村英雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/55
-
056・石村英雄
○石村委員 証券取引法についてまずお尋ねいたしますが、証券取引法の第二章で、有価証券の募集または売り出しについて届出事項を規定しておりますが、この精神は、すべてこの中にも書いてありますが、公益または投資者保護のため、こういうことになっていると思うのですが、こういう届出制度をおやりになって何か積極的な効果というか、届出に対して、その書類を大蔵省としてお調べになって訂正させるとかなんとか、いろいろそういう具体的な効果があったことがあるかないか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/56
-
057・石野信一
○石野政府委員 御承知の通り、有価証券の届出制度は、有価証券の発行、売り出しを行います者か届出をいたして参ります。そうしてその届出につきまして、形式的に不備があるとか、内容が不十分だとか、間違っているということがわかりました場合には、これを訂正せしめるということになっております。なかなか書類審査のことでございますので そういう内容が間違っているかどうかというようなことは発見がむずかしいのでございますが、そういうことをいたした場合もございます。しかしいずれにいたしましても、この届出を行いました書類を一般の縦覧に供しているわけでございます。そうして、これは一般の投資者から見ると、確かにこの制度の内容が未発達でございまして、そういう意味で、内容を十分に大蔵省で審査をする能力がございませんけれども、一応そういうふうにして届け出られましたものにつきましては、虚偽の記載事項があったような場合には、賠償の責任を届出者が負うというようなことになっておりまするので、具体的に訂正せしめるというようなことは十分にはいっておりませんけれども、全体としての制度の効果はやはりあるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/57
-
058・石村英雄
○石村委員 そういたしますと、単に形式的な不備とかなんとかという意味でなしに、内容的にも大蔵省としてある程度その書類によってお調べになっていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/58
-
059・石野信一
○石野政府委員 できるだけそういう観点で努力をいたしておりまするが、何分今会社の帳簿等において書面審査だけでなかなかわからない点がございまするので、それが十分に行われているというふうに申し上げる自信はございませんけれども、そういうふうに努めておるということは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/59
-
060・石村英雄
○石村委員 それでは具体的な例についてお尋ねいたしますが、せんだって御承知のように、東洋繊維にああした事態が起ったんですが、それまで二割の配当は続け、そうして増資をし、増資をしたとたんに会社はつぶれる、こういう状態で、届出なり書類は、形式的にはおそらく整っていただろうと思うんです。それがそういうことになったということで、大蔵省として、東洋繊維が増資に当って出した書類について——あとの祭ではありますが、さらにお調べになって、その原因等を追及せられたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/60
-
061・石野信一
○石野政府委員 あの問題につきましても、確かに御指摘の通り、届出書を形式的に審査いたしまして、事実の発見ができなかったわけであります。ただいま、形式的には整っておる書類の内容が、どういう点で虚偽でありましたかどうか、そういうような点につきましては、調査中でございまするが、今申しましたように、必ずしもああいうふうにして届け出ているもののすべてについて、内容を具体的に虚偽があるとかないとかいうようなことを発見するのは、なかなかむずかしいのでございまして、すべてにおいて完全を期するというだけの自信はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/61
-
062・石村英雄
○石村委員 ただいまの東洋繊維の問題は、これは私の想像ですが、増資をさせて、おもな取引銀行が、貸出金の回収をその増資の金によってやってしまったんじゃないかというふうな——これは憶測にすぎないんですが、外部から見るとそういうようにとれるわけなんですが、そういう事実がありましたかどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/62
-
063・石野信一
○石野政府委員 なお今調査中でございまするが、そういう点については、まだ結論を得ておりませんので、わかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/63
-
064・石村英雄
○石村委員 調査中でわからないということですが、しかしこういう届出制度をしき、こういう制度があることによって、投資者に一応の安心感を与えておると思うのです。それに対して大蔵省が、できたことだからしようがないということだけでは、どうも無責任だと思うのです。すみやかに具体的な調査をして、また届出の従来のやり方について誤まりがあるかないかという検討をなさるべきだと思うのですが、それはやっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/64
-
065・石野信一
○石野政府委員 確かにこの制度は、発足後まだ期間がたっておりませんで、これは一応届出をする、確かに政府の方でこれに対しまして審査をすることはできまするし、またすべきことではございますが、なかなか現在の状況において、そういう書類が出て参りまして、それの内容まですべてを完全に把握することが困難なことも、やむを得ないところでございます。だんだんにこういう届出制度で、一般的にそういう虚偽の記載が行われないように、公認会計士の検査等呼とも関連いたしまして発達させなければならないと思いますが、現に法律の二十三条にも、こういう届出をしておって、その効力が発生したからといって、その中の事項についてそれが真実かつ正確である、あるいは一向に欠けたところがないというふうに認定すべきではないというふうになってあるくらいでございまして、制度自身がまだ未発達でございますので、御要望のようなふうにはなかなか参っておりません。従いまして、なおよく制度そのもの、あるいはその運用について十分に御指摘の通り検討、研究を続ける考えでございます。現状においては、遺憾ながらそこまで発見できなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/65
-
066・石村英雄
○石村委員 なるほど二十何条かにそういう規定がございます。ございますが、それは逃げ口上で、やはり大蔵省としては、政治的な責任を感ぜられるのが当然じゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/66
-
067・石野信一
○石野政府委員 今その会社の内容について、ガラスばりにいたしたいという理想は、確かにその方向にだんだん進めていこうというので、その制度がございますけれども、実際問題として、取引銀行さえ知らないでいる。従いまして、常時その会社の内容について接触しておりましたので、ただ届出が出ているというだけで会社の内容を完全に把握するということは、なかなか困難な状態でございます。従いまして、ああいう事件が起りまして、はなはだ遺憾には存じますけれども、現状の制度として、やむを得ないと御了承願わなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/67
-
068・石村英雄
○石村委員 どうもあまり政治的な責任を感じていらっしゃらないようで、遺憾に思いますが、取引銀行でさえという言葉があったのですが、これは主たる取引銀行にはおそらくわかっていたんだろうと思います。それはそれとして、もしそういう主たる取引銀行がこういう増資をやらして、貸出金の回収をして、そのあと会社はつぶれたってかまわない、こういう処置をとった場合は、これは今公正取引委員会の方がいらっしゃらないのですが、大蔵省として、独占禁止法の不公正取引になるのではないか、こう考えられますが、もしそういう事実があった場合に、単に東洋繊維に限らずに、一般的にそういう行いを銀行がかりにしたという場合に、大蔵省としてはどういう御判断でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/68
-
069・石野信一
○石野政府委員 御指摘の通り、公正取引委員会の方の所管の問題でございまして、あるいはそちらの方の違反の問題が起るのかと思いますが、大蔵省の所管事項といたしましては、特に証券取引法の届出の関係といたしましては、直接そういうものにまで監督するという権限はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/69
-
070・石村英雄
○石村委員 賠償責任の問題ですが、東洋繊維のような場合には、賠償責任を負うことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/70
-
071・石野信一
○石野政府委員 それは、結局届出書に虚偽の記載というようなものがあったかどうかという問題になるわけでございます。この十八条に違反をいたしておったかどうかというような問題でございます。なおよく今調査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/71
-
072・石村英雄
○石村委員 ただいまの虚偽という問題ですが、虚偽でないという、たとえばバランス・ミートに載っておるものをそのまま書いて出したという場合には、虚偽でない実体を正直に書くというだけでなしに、形式的に整っておれば虚偽でないということにやはりなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/72
-
073・石野信一
○石野政府委員 実体と違ったことを書いてありますと、虚偽になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/73
-
074・石村英雄
○石村委員 では、この問題はこれだけにいたしまして、次に投資信託の方ですが、春日委員からいろいろと投資信託についてお話しがあったのです。この期限延長問題ですが、御説明を聞きますと、解約したいという者はそれで解約させるんだ、延長するという意思の者は延長させるというので、凍結ではない、こういう御説明だったと思います。そういたしますと、凍結でないという意味から考えると、継続という形をとらずに、新規の募集をする、一方期限の来たものはそれで打ち切るというやり方をするのと、ただいまのような継続したいという者だけは期限の延長をさせるというやり方との区別ですね。これは、そういう継続という方が非常に有利な点があるのですか、事務的とかなんとかいういろいろな意味で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/74
-
075・石野信一
○石野政府委員 継続の制度を認めましたのは、要するにその償還の参ります信託につきまして、その財産の株を売り出すということによって、急に無理に売り出しますと、そのときの証券市場の状態にもよるのでありますが、株が下って売れないというようなことに相なりますと、受益者が非常に損をするということになる可能性があるわけでございます。従いまして、その場合に、証券市場等の状況から考えて、これは結局受益者の判断によるわけでありますが、ここで償還をなさった方がいいと判断する人はしてもいい、また先へいけば上るだろうということで、そのままにしておいた方がいいと思う入は、そういうふうにした方がいいという制度であります。そういう考え方でいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/75
-
076・石村英雄
○石村委員 私の聞くのは、もしただいまの御説明のように、本人が、期限が来たがそのままやるというようなことを、期限で全部打ち切るということにすると、株が一時に売り出されるということになって、株価が下っていけない、こういうような御説明でしたが、もしそういう期限通りにやりたいという希望者が多ければ、やはり同じ現象が起るのであります。それで、一方期限は期限で打ち切ってやってしまって、同時に新規募集をするというやり方をしても同じではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/76
-
077・石野信一
○石野政府委員 要するに、その単位の持っております株につきましては、やはり希望者が多い場合には売り出す形になるのですから、それだけ値が下るという可能性があるわけです。ですから、その辺は受益者の利益も考えて、受益者の判断にまかせるということにいたしましたところが、大体希望、いたしました方が七%程度でございしまして、大部分が延長する、そういうことに相なったわけでございます。全部を認めない場合とは、そこに相違があることを認めなければ必ず売り出さざるを得ない、株価が下るという形になるわけでございます。その辺は自由にまかせまして、受益者のある意味での利益をはかっておる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/77
-
078・石村英雄
○石村委員 具体的のやり方を存じないので、あるいは見当違いの質問になるかと思うのでありますが、同時に新しい投資信託の募集をすればいいわけです。何も継続させなくてもいいわけじゃないか。株が一時に市場に出て困るという問題は、それで解決がつくんじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/78
-
079・石野信一
○石野政府委員 とりあえす、どういうふうな方法によりますか、証券課長から具体的にお答えを申し上げた上で、なお御質問をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/79
-
080・小林鎮夫
○小林説明員 具体的のやり方といたしましては、これはやはり部分解約という形になるわけでございますが、償還日のだいぶ前におきまして、新聞広告もありますし、受益者に対しては通知もいたしまして、その意思を問うわけでございます。それは、現在この投資財産は幾らになっておるか、こういうような内容になっておりますが、延長について、あるいは償還について、どちらを御希望されるかということを委託会会社をして通知をさせることをいたします。それによりまして申し出を受けまして、それぞれ希望によって処置をする、大体今までは七%程度にとどまっておりまして、大部分のものが延長をしておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/80
-
081・石野信一
○石野政府委員 従いまして、ただいまかりに五千円のものが四千八百円なら四千八百円にその償還の日に下っておるという場合に、受益者がそれを解約して、また新しい五千円に応募するということが得だと考えるか、あるいは四千八百円ですから、そのまま持っておればあるいはこれが上るというふうに考えますか。そこらにつきましては、受益者の考えによってやらしても差しつかえないんではないか、こういうふうに考えまして、そういう意味で、受益者のむしろ選択でどちらにでもできるようにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/81
-
082・石村英雄
○石村委員 そういたしますと、今度期限がきても、大蔵省としてはやはり昨年おとりになったような方法をおとりになるお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/82
-
083・石野信一
○石野政府委員 その点につきましては、まだことしの十月ぐらいまで時期がございますので、経済界の状態がどういうことに相なるかわからないのでございますが、状況がよければ、むしろその場合に償還の希望者が多いという形になって、延期の制度を認める必要も起らぬかもしれない。ただ同じような状態においては、同じような措置をとった方がいいんじゃないかというふうに考えるのでございますが、まだことしの秋についての方針は検討中でありまして、実情に応じて処理したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/83
-
084・石村英雄
○石村委員 今までの御説明の趣旨からいくと、経済状態がどう、株界の状態がどうなろうとも、本人の意思によって決定させるというのだから、一向期限の継続を認めても差しつかえない。そのときの経済状態で大蔵省は判断するという理由は出てこないように思われるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/84
-
085・石野信一
○石野政府委員 しかし、やはり単位としてごく少額のものが残るという形になりましても、これは投資信託の運用から申しまして、やはりかなり広範囲にいろいろの危険を分散する意味での投資が必要でございますので、あまりちょっぴりしか残らないということになると、投資信託の単位として無理になるわけであります。従いまして、償還を希望する者が大勢として非常に多いという情勢におきましては、この延期の制度をとるということは意味をなしませんので、その辺のところを実情に応じて申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/85
-
086・石村英雄
○石村委員 継続の希望者が多くなければ意味がないということですが、なるほど意味はないと思うのですが、そういう考え方に立つと、継続の希望者が多くないということは、先行き不安でだめだという経済的な状況にあるからこそ、期限が来て戻せという人が多いということになるんじゃないかと思うのです。大蔵省として継続させるとかさせぬとかいうような判断の資料には、この問題はならぬのじゃないか、こう考えられるわけです。今までの御説明でいくと、いかなる場合においても継続をさせるという方針が出てきそうに思われるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/86
-
087・石野信一
○石野政府委員 残ります部分が五分の一以下になりますと、これは先ほども申しましたように、もう継続していく意味がないということになりますので、確かにそれの判断はむずかしいのでございますが、ただ、今非常にいいから、ここで現金化しようというふうに考える受益者も多いでしょうし、その場合に、先々必ずだめになるからというわけでなくとも、とりあえずこの辺で現金にしようという考え方もいろいろあると思いますので、大体として申しますと、全体として市場の状況が悪いような場合には、こういう制度をとって延ばしていった方がいいというふうに考えるのでございまして、市場の状態が非常によくなって参りますと、延期を希望するよりも、一ぺん現金にしようというふうな考え方になる人が多いんじゃないか、ただしかし、その場合にも、必ずしも現金にかえて、絶対に先に下ると見ているか、あるいはその場合に、またほかのものに投資したいと考えるか、その辺のところはわからないわけでございますけれども、要するにそういう意味において、昨年と同じような状況でございましたら、同じような制度を考えてもいいんじゃないかというふうにも考えておりますが、これは実情に応じて処理したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/87
-
088・石村英雄
○石村委員 そこで、延期させるか、させないかという問題についてもう少しお聞きしたいのですが、もちろん期限を延長することになれば、継続者が多いと思うのです。これの期限が来たからやめてしまって、そうして新規の設定の分へ乗りかえるということよりも、非常に継続の方が事実的には多いのじゃないかと思うのであります。今日の日本経済界を見ますと、来年度自由党の主張せられるような公債政策がどんどん行われることによって、インフレになるということになれば、あるいは株界は好況を呈する、株価も上るということが起るかもしれませんが、そういうインフレに持っていく政策をとらないということになると、今後の日本の株界の好景気というものは、当分は望めないんじゃないか。これをこのままで延長という形でいくと、先ではどうにも始末がつかない事態が来るんではないかということが一応予想されるわけなのです。従って、今のうちに一応期限が来れば、それで打ち切ってしまう。そうして新たに設定するという意思のある者は、新たな設定に切りかえさせるということが将来のことを思うとかえっていいのではないか。このままずるずると行って、上げも下げもならないという事態を引き起すよりも、今のうちに処理した方がいいのではないか、こういうふうに考えるのですが、大蔵省御当局はいかがなお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/88
-
089・石野信一
○石野政府委員 方針としては、確かにおっしゃいましたように、ずるずるといつまでもぬるま湯に入ったように延長していくということは、よくない。それでございますから、その株の処分等につきましても、できるだけ逐次に処分いたしておって、そうして大体最後の償還期にはあまり影響なしに返還ができるように持っていけることは理想だと考えるのであります。ただ現在の状況から申しまして、この秋どうするかということになりますると、その辺は、必ずしもそういうふうに打ち切ってしまうとも言い切れませんので、なおよく検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/89
-
090・石村英雄
○石村委員 けさほど春日委員から、清算取引の問題でお尋ねがありまして、春日委員に対する御答弁は、消極的なお考えでございましたが、もう一度大蔵省のお考えを確かめる意味でお尋ねしておきたいと思います。現在の証券界がこういう状態にある、小さな証券業者がつぶれていく、結局取引が少いということになるんですが、これは日本の経済の実態を反映しておるのであって、これを救済するために清算取引を始めるということは、本末転倒なやり方ではないかと思うわけでございます。商品なんかのような場合には、あるいは先物取引で売りつなぐとかなんとかいう問題があるかもしれませんが、株のような問題では、経済に積極的な好影響を与えるような効果は期待できないと思うんですが、大蔵省としての御判断を、ただ一言でいいのですが、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/90
-
091・石野信一
○石野政府委員 御趣旨の通りに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/91
-
092・松原喜之次
○松原委員長 両法案に対する残余の質疑は、次会に延期いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/92
-
093・松原喜之次
○松原委員長 次に、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案を議題として、質疑を行います。井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/93
-
094・井上良二
○井上委員 まず第一に伺いたいのは、この法案によると、補助金、負担金、利子補給金その他国が交付する金銭について、交付の申請、決定の手続を規定しょうとしているが、この補助金、負担金、利子補給金、これは三十年度予算にどのくらい計上されておりますか、これをまず明らかにされたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/94
-
095・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 現在この適正化法案に書いてございます補助金等というものに属するものは、大体三千億というふうに計算をしております。その端数につきましては、あとから正確な数字を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/95
-
096・井上良二
○井上委員 それは補助金だけですか、負担金、利子補給金も含んでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/96
-
097・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 補助金等と申し上げましたのは、交付金、利子補給金、負担金等をすべて入れた意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/97
-
098・井上良二
○井上委員 この法案は、第十九国会で審議未了となった法案でございます。内容は、第十九国会に提案された内容とほとんど変っておりません。ただ罰則規定を多少軽くした程度になっておるようであります。そこで補助金の不正受領また流用を押えまして、これを適正に使わすように、補助金政策の根本的な対策をきめるということには、われわれ何ら反対はございません。ただ不正受領や流用等をやかましく政府が言う前に、政府みずから、補助金の政策についてもっと根本的に検討を加えて、非能率的な、あるいは非効果的な補助金に対してもっと整理をして、重点的に効果的な面にこれを行うという必要があるじゃないか、このことは、十九国会においても本委員会で非常に議論になったところであります。従って、本国会にこれを再び提案するに当って、さようなことについていかなる整理を行い、いかなる配分を行なって、補助金の効果的な活用をはかったか、たとえば二十九年度予算と三十年度予算と比較をしてどういう点が改まったか、この点を明確にされたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/98
-
099・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 ただいま井上委員のおっしゃいましたごとく、この補助金の予算の執行の適正化というものは、いろいろな方法によって初めて達成されるものでございます。この法案に現在盛っておりますその重点は、受領します立場からいたしまして、いわば補助金等のごとく反対給付のつきませんものは、金をもらいましても何らの義務が生じないということで、いわばもらい得と申しますか、きわめて放漫に流れるおそれがあるということで、そちらの方にまず重点を置いておるわけでございますが、他面国の方におきましても、昨年井上委員から御指摘になりましたように、各省の間の関係を密にして、昭和二十八年度の会計検査員の報告にもたくさん載っておりますが、たとえば二重査定というようなものにつきましては、確かに建設省と農林省との間に非常に緊密な事務の横の連係がございますれば、官庁側から防止できるものでございます。そういうものにつきましては、そうした横の連係を確実にして、建設省に申請しますもの、農林省に申請しますもの、たとえば一本の川の水の取り入れ口と河川の水路というようなものそれぞれについて、そうした混淆とか二重査定の行われぬような機構も考えております。
それからまた単価というふうなものがきわめてきついということから、員数でごまかすというような誘因を生じまして、ためにこの補助金の不正確というようなことが起りませんように、ことしの予算におきましては、現在補助職員と申しております者約八万人の中の半分に達する四万人近い者について、相当大幅な単価の引上げをいたしております。
それからまた御指摘のような補助金というものの効率を高める上からも、あまり総花式的なものはいけないということで、重点的にやってはどうかという御意見も、昨年この法案の審議の際に井上委員から指摘されておるようでございますが、それにつきましては、たとえば河川、道路、都市、港湾、漁港等々の公共事業につきましては、一件の金額百万円以下というふうなものにつきましては、むしろ人件費の方が高くつくというようなことから、その重点的な配合を顧慮しまして、百万円以下の非常に少額なものにつきましては、なるたけこれを避けるというような措置もやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/99
-
100・井上良二
○井上委員 会計検査院の方にお伺いをいたしますが、会計検査院がこれら補助金、負担金、利子補給金等についていろいろ綿密な現地調査をやって、適正に使われたかどうかという点について、非常に熱意をこめた調査の結果による報告がされております。この会計検査院の検査の実情から見まして、ただいま申しましたような補助が実際不正に使われ、あるいはこれが不正に受領されておるというような面だけではなしに、ただいま申しておりますような全く非能率的な、総花的な補助が行われた結果、地元といたしましても、その使い道に非常に苦慮して、やむを得ずこれが不正に流用される現実を見ておるのではないか。だから予算編成の場合、もっと補助対象について綿密な査定を加えて補助をやるべきではないか、こういうことをお気づきになりませんか、その点につきまして会計検査院の御意向を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/100
-
101・小峰保栄
○小峰会計検査院説明員 お答えいたします。現在の広い意味の補助でありますが、非常に数がふえたということは、井上さんがよく御承知の通りだと思うのであります。中には効果に疑問を持たれるもの、あるいは総花的にばらまくというために、ひどいのは農家一軒にわずか一円補助金が行ったというような例さえ検査の結果わかっているのであります。三十円、五十円というのが相当に多い。こういうようなことで、国費の総額といたしましては相当な額になるのでありますが、実際にはとても効果を発揮しそうもないというような使われ方をしている例さえ間間見受けるのであります。私どもといたしましても、従来公共事業関係、主として災害復旧でありますが、これについて、検査を最重点的にやっておったのでありますが、昨年あたりから、公共事業関係だけでは不十分で、今の一般補助工事以外の補助についても検査の手を延ばしてきているのであります。今申し上げましたようなものも相当に見受けられる次第であります。何とか補助事業を、もう少し効果的なものだけをよって予算化できるようにということを、私どもとしてはぜひお願いしたいのであります。また大蔵省もそういう方向に相当努力されているのでありますが、現実はなかなかそうでなく、相当な種類の補助が予算化される現状でございまして、私どもとしては、何とかこれをもう少し効果的なものに集約整理するという方向に行っていただけないだろうか、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/101
-
102・井上良二
○井上委員 総予算の約一三分の一に匹敵いたします補助金、しかもこれが国民の血税による補助金であります関係上、これをいかに適正に使わすかということについて不断の努力を大蔵当局も払っておるようでございますけれども、ただいま会計検査院の検査の実績から想定して考えたところによりましても、大蔵省の補助金の交付方針といいますか、各省から要求してきます補助金に対して査定を加えます場合、まことに効果の上らぬ、全く非能率的な、補助金をもらったためにかえって府県市町村はその配分に非常な迷惑をこうむる、あるいはまた府県、市町村がそれぞれ予算を組んで新しく負担をしなければいかぬ、こういう実情になってくるし、末端では補助金をもらったために非常に困っておるということをわれわれ聞くのであります。ただいま小峰局長からのお話しによりましても、今日農家一戸当りわずかに一円や三十円くらいの補助金をもらって、それが一体何の足しになるでしょうか。そういうことをあんた方は、だれが要求してくるか知らぬけれども、それをやすやすとよう認めてやっておりますね。そういうことをしているから、横流しをしたり着服をしたり、使わぬで置いておいたりして、一方会計検査院からは厳重な検査の追及があって困るという板ばさみになっておるわけなんです。だからこれを、肝心の大蔵省の財布を握っているあなた方の方で、もう少し実情をよく把握して、単に帳簿の上、帳面の上だけで査定するというのでなしに、もう少し現実の補助金配分についての実情を調べておやりになるようにしなければ、ただ会計検査院のいたずらなる負担を増すだけじゃないか。そうして末端だけやかましく言って、なわで縛ってしまって、もとの方では悪いことをするようにやらしているのじゃないか、もとは一向責任を持とうとしない。そういう補助金の出し方をして、政府は一体どういう責任をおとりになりますか。その政府の方は一向だれも責任をとらぬでおいて、もらった方は、そういう金は一向効果が上らぬからというわけで、効果のある方へ使えば流用したといって怒られるし、使わぬでおけば使わなかったといって怒られるし、下はえらい目にあう。そういう点に対して、一体政務次官はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/102
-
103・藤枝泉介
○藤枝政府委員 補助金の問題は、もう井上さんのおっしゃる通りでありまして、大蔵省は、大いに財布のひもを締めているつもりでございますが、ただいま会計検査院からもお答えがありましたような補助金が存在いたしますことは、十分承知いたしております。従いまして、特に昨年来一般に補助金については再検討を加えまして、国会の御審議等もいただいておるわけであります。ただ補助金の打ち切りに対する臨時特例の法律案の国会の御審議も、相当難航するような状態でございまして、なかなか思うにまかせぬことは、大へん私どもも残念に思っております。しかしながら、ただいまも御指摘がありましたように、一戸当り、あるいは一単位当りの補助金が零細なもの、あるいはもうすでに補助の目的を達成して全国的に普及されたもの、そうしたものを中心にいたしまして、今後とも補助金の全面的な、根本的な整理について最善の努力をいたして参りたいと考えている次第でございます。何か補助金を交付するために、かえってそこに罪人を出すというようなことになりましては、これはもちろんいけないことでございまして、また補助金の性質も、どうも最近あまりにも細分化し過ぎて動きがとれない。従ってただいま御指摘のように、この金をほかの類似の事業に使えば、非常に有効に使えるけれども、それをやると流用になって、いろいろ会計検査院の指摘も受けるというようなものもありますことは御指摘の通りでありますので、今後そうした補助金の打ち切りとともに、補助金の幅を広げまして、効果的な補助金になりますように、その面においても努力を重ねて参りたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/103
-
104・井上良二
○井上委員 政府の方で、今後そういう非能率的な総花式の補助金の交付はできるだけやめるようにする、こういうお話しでございますから、これ以上この問題については追及いたしませんが、そういうことを政府の方ではっきりせずに、ただ検査院の方の検査の結果、膨大な不正使用という報告書が出まして、この報告書が新聞等に発表されまして、いかにも補助金が末端において不正に使われているということで、末端の者だけが責任を負わされている。補助金政策の根本的な検討というものが加えられていない。そういう点について、政府はもっとこの問題に真剣に取り組むべきだということを私は申し上げておきたい。
次に、補助金の交付、あるいは利子補給とか負担金とかをいただきますために、各都道府県、市町村及びこれにつながっておりまする事業団体等の人が毎年々々各省庁に向って補助金交付の陳情にやってくるわけです。これはどういうことでそんなことをしなければならないかというと、政府みずから補助金を交付するといっておきながら、なかなか最後の交付決定までいたずらに日にちを費して、容易に最終決定を発表しないところにあるのです。今度のこの法案を見ましても、補助金を交付される方については、その適正化についてきわめてこまかく規定をしておりますが、交付する各省庁の事務については、第六条で簡単に、すみやかに決定するようと規定しておるにすぎないのです。交付事務に関して、たとえば申請の日から何日間すれば必ず最終決定をする、こういうような厳格な、申請から決定までの期間を法文上に明記すべきであります。そうしなければ、いたずらに全国各都道府県、市町村の代表者及びこれに付随する議会代表者、事業団体の代表者が、毎年毎年東京に数万の人が押し寄せてくるのです。それは全く政府の補助金交付に対する検討がいたずらにおくれる結果であります。こういうむだな費えをあなた方の方では一体どうお考えでありますか。交付される方についてはきわめてこまかい規定を設けておいて、交付する各省の方においては一向何らの規定がなくて、抽象的に、すみやかに決定するなんといってごまかしておる。交付期間についての的確な規定は何らありやせぬ。そんなむちゃなことはありません。あなた方の都合のいいことばかりきめておるじゃないか。政務次官、どう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/104
-
105・藤枝泉介
○藤枝政府委員 補助の決定がおくれたりすることによりまして、全国からいわゆる陳情に相当な費用をかけて来られている現状というものは、決して正しいと申しますか、適当なことでないということはおっしゃる通りだと思います。歴代の政府といえども、陳情政治と申しますか、こうした弊害に悩みまして、なるべく書面審査を急ぐ、あるいはそうした陳情がなくなるような努力をして参ったのでありますが、依然としてそれが十分に徹底できないことは、非常に残念であると思います。そういう点にもかんがみまして、今後も行政のやり方につきまして、いわゆる陳情に大挙して来なければ物事が決定しないというような態勢を極力改めて参りたいと考える次第であります。
なお今回提案して御審議を願っておりまする法律の中にも、単に六条に、抽象的にすみやかに交付の交付をせいということを書いてあるばかりでなく、御承知のように二十四条には、不当に遅延させたり、あるいは必要な限度を越えて不当な干渉をしたりすることを禁止をいたしております。その他行政官庁側としてやるべき基準も、御承知のように規定をいたしておるような次第でございます。ただただいま井上さんの御指摘になりましたように、申請があってから何日できめなければいけないというような制限をいたしましますることは、これは補助の性質によっていろいろございます。また概算補助もありましょうし、清算の補助もありまして、これを一律に、何日間以内に決定せいということを法律に書きますことは、相当困難があるのではないかと思いまして、実はこの二十四条のような、不当に遅延させるというような言葉で書いてはありまするが、その気持は、先ほど申しましたように、こうした補助金等の交付の決定がおくれますゆえに、地方の団体その他が非常に負担をかけて陳情しなければならぬというような事態を起さないように、今後も最善の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/105
-
106・井上良二
○井上委員 そうすると、あなたのおっしゃいます、すみやかに決定するというその期間は、予算成立後どのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/106
-
107・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 すみやかにと書いてございますが、このすみやかにという文字の解釈は、第三条の関係者の責務というところで、この補助金の原資といいますか、財源になっておりますものは、国民から徴収された税金その他の貴重な財源だから、公正かつ効率的に使用せねばならぬ、こう書いてございます。従って私の方としましては、第三条に書いてございますところの関係者の責務からいいまして、補助金が最も効率的にいきますように交付をきめなければならぬ。そういう意味からいって、すみやかに、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/107
-
108・井上良二
○井上委員 その解釈は、私が今聞いておる解釈とは違う。あなたの言うのは、不正使用なり流用をやられては困るから、適正な使い方をするように、そのためにすみやかに最終的態度をきめよう、そういう考え方らしい。私の方では、予算が通過をいたしまして後、およそどのくらいたてば交付する最終決定がきまるか、それを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/108
-
109・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 私が申し上げましたのは、第三条の一項の各省、各庁の長に対する規定でございます。各省、各庁の長に対する規定で、効率的に使え、こういうことになりますれば、各省、各庁が交付するということも入るだろうと思います。従って各省、各庁の長が交付の決定をいたしまする場合には、その当該補助金が最も効率的にいきますような時期におきまして交付決定処分をすべきである、こういうふうに申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/109
-
110・井上良二
○井上委員 次に、交付に当って任意に現地調査をすることになっておりますが、これは現在の各省庁の機構及び人員をもってして一体不正流用や不正使用を防止し、適正使用をするための指導をされるお考えがありますか、またやり得る自信がありますか。それから、もし各省庁が自分の管轄内においての補助金の適正使用についての現地調査をやるという場合、会計検査院の現地調査との間の職務上の権限がどうなりますか。そういう二重の実地調査をやってみなければならないほど現地を信頼ができないのですか。少くとも現地を信頼をして大蔵省の方で査定をして交付をした場合は、その交付通り仕事がされておるかどうかということは、会計検査院のなわ張りであります。これを各省庁が足らぬ人員をもって、それでどういう権限でおやりになるか知りませんが、そういうことをやられるというと、各省庁は各省庁で検査に来たというて現地に乗り込む、市町村府県は、これはえらいことだということで、それぞれこれらの現地調査員を現場に案内して、一々綿密な調査の立ち会いをしなければならぬ、これが済んだと思うと、今度は会計検査院の方からやってくる、これにも立ち会わなければならぬ。こういうことになって、地元としては二重、三重の手間を取られ、非常な経費がそのためにかかることになりますが、職務権限の上からいうて、あなたの方は適正な補助の対象として要求があるならば、これを認める、それが適正に行われておるか行われていないか、この法律の実施に基いて適正に行われてない場合は会計検査院がこれを摘発するのであって、一体その会計検査院の権限とこの現地調査をやろうとする各省庁の権限とはどういうことになりますか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/110
-
111・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 まず第一に、第六条に書いてございます交付の決定処分をいたします前に現地調査をいたします。この現地調査が会計検査院の検査とどう区別さるべきか、こういう問題だろうと思うのでございます。この点は、われわれの考えといたしましては、補助金を交付するかどうかというその交付の決定に至るまでの調査というものは、従来大体書面審査でやった例があるのでございますが、書面審査のために、たとえば公共事業費等、特に災害等におきましては非常にずさんな査定が行われたというふうな例がございますので、交付の決定に至る以前におきましても、ある程度申請の当否というものを現地において調査する必要があるんじゃなかろうか、こういう考えから第六条に書いたわけでございます。これに対しまして会計検査院の検査は、これは検査院法に基きまして、交付が決定ということにきまりましたあとで、流された金の使途がどう使われておるかというようなことを検査することであろうかと思います。その点で、交付の決定に至るまでの調査と、交付決定後の、補助金を交付するときまりました後の国家資金がどういうふうに使われておるかということを検査する会計検査院の検査とは、理論的には区分され得るわけでございます。ただこれは先ほど井上委員もおっしゃいましたように、あまり同じところへ何度も政府の検査が行くというのは非常に好ましくないのでございまして、第六条の現地調査と申しますものも、これは書面審査では非常に、弊害の多いというものについて特に行われるべき調査手段であろうかと思うのであります。またこの法律が、人を見たらどろぼうと思えというふうに、補助金を受領するものはすべて不正だというふうに考えておるような感じを与えるわけでございますけれども、私どもといたしましては、決してそうじゃないのでございまして、御指摘なされますように、現在の行政官庁の能力といたしましては、千件に余りますところの各補助金、その補助金につきましてまた何百件、何千件とあるわけでございましょうから、何万件というふうな個々の交付につきまして、すべて現地調査をやるだけの能力はないだろうと存じます。ただ私の方といたしましては、こうした法律によりまして、従来補助金はとった方がいいのだ、とるだけ得だというふうなパブリック・ファンドと申しますか、公けの金に対する考え方というものが、この法律によりまして、はっきりとそれは反公益的なものであるというふうな規定を置きまして、分けの金に対するいわば道義的な考え方が確立いたしまして、これを申請なさる方でも大いに自粛をなさるであろう、そうしたいわば社会通念の変化によって、この法律は、罪人を作ることなくしてうまくいくようにということを期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/111
-
112・井上良二
○井上委員 ただいまの御説明によると、第六条の規定によって、補助金の交付をいたします前に、その申請が適正であるかどうかということを現地調査をするというお話しでございますが、これは一応御説明としては当然のことのように承わりますが、しかし補助対象の事業件数は、農林省なり、あるいは厚生省なりあるいは文部省なり、相当莫大な件数に上っておるのであります。ことに農林省所管のごときは、森林から始まって漁港に至るまであるわけですから、これらを一々全部現地調査が一体できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/112
-
113・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、そのすべてにわたって現地調査をすることは不可能でございましょう。従って私の方は、この法律によりまして、補助金と申しますよりは、公けの金というものに対して皆さんの考え方をもっと神聖視していただくことによりまして、申請そのものが自粛してくるということと両々相待ってやりたいと思っておるわけであります。また特に現地調査というふうなことを書きましたのは、昨年十九国会で御指摘になりましたときに、二重査定の問題がございまして、農林省、建設省両省で同じ補助金を出しておるというふうな非常にばかげたことがございましたが、それに関するいろいろな防止の対策を立てました。たとえば、ここは建設省ですでに補助金の対象に選んだという場合におきましては、識別した標識を立てるとか、いろいろ現地においてその査定をするということもございますので、そういうことのために第六条の現地調査という規定があろわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/113
-
114・井上良二
○井上委員 それではちょっと小峰さんに伺いますが、大体補助事業件数に対して、たとえば二十八年度あるいは二十九年度、最近の例でけっこうですが、どのくらいの不正使用の割合になっておりますか。補助金を出している件数に対して、何割くらいが不正に流用使用されているかということがわかっておりましたら、一つお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/114
-
115・小峰保栄
○小峰会計検査院説明員 昨年公共事業を主といたしまして検査したわけでございますが、従来からやっておりましたいわゆる事後検査、それから二十八年災害に備えまして、あの大災害の結果膨大な災害復旧費が出るということになりまして、早期の検査をしたわけであります。それで、私どもの事後検査におきましては、これは不当工事ということで金を返してもらうか、あるいは工事の手直しをするかというような措置をとるわけであります。それから今の早期の検査につきましては、まだ工事に着手していないものが多いのでありまして、先ほどお話しがしばしば出ておりました、たとえば二重査定というようなものを、片方はやめてもらう、それから便乗工事は落してもらう、こういうようなことをやったわけでありますが、個々のそれぞれ検査いたしました工事に対して何%落ちたか、あるいは不当工事があったかということは、これは資料はあるのでございますが、ちょっと手元に持っておりませんけれども、一番多かったのは、たとえば農林省の災害復旧の早期検査などでは、金額にいたしまして、たしか三割近いものが私どもの検査の結果落ちた例がございます。それから、その次に多いのは農林省関係の事後検査でありますが、これも相当の比率、多分一割をこえていないかと思いますが、検査をいたしました金額の一割以上のものが不当工事として発見されるこういう段階になっております。それから建設省関係になりますと、この比率はずっと落ちて、農林省よりは検査の結果発見する悪いものの比率がずっと低い、こういう実態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/115
-
116・井上良二
○井上委員 それらの不正使用に対して、政府にそれぞれ警告を発して、それに対する政府の善後措置といいますか、対策をとらしてきているようでございますが、そういう不正を発見しまして政府に警告を発して、当該各省庁は、あなた方のその警告によって一体どうそれを改めておりますか。一向改まりませんのか、どんな工合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/116
-
117・小峰保栄
○小峰会計検査院説明員 この補助事業につきましては、私ども公共事業関係は、数年来検査しているわけでございます。これは井上先生よく御存じだと思うわけでございますが、この検査の結果、一般の国の公務員が直接国費を使う場合などですと、これはすぐに会計検査の結果が反映しまして、再び同じ悪いことを繰り返すというようなことはあまりないのであります。こういうことをやっておりますと、首が持たぬのであります。ところが補助事業につきましては、非常に改善のテンポがおそいということが言えると思うのであります。悪くは決してなっておりません、全体として見ますと、いい方向に向いているということは申し上げられますが、このテンポが非常におそい。特に国側の責任によりますものと、受ける方の責任によりますもの、この二通りに大別できると思うのでありますが、国側の責任に属します事項は、割合に改善もやりやすいのであります。たとえば先ほどもお話しが出ましたが、従来建設省なり農林省の査定がまずいために起きた不当工事が相当にあるのでございます。これにつきましては、たとえば建設省などは、ことしは全部一〇〇%実地査定をやる、こういって非常に努力されております。一昨々年あたりに比べますと、一昨年あの大災害の直後でも、八〇%近いものを実地査定をやっております。昨年は九〇%以上のものを実地査定をやっているのであります。ことしはこれを一〇〇%に上げるといって、がんばっておるわけであります。こういうふうになりますと、査定の結果、これは主として机上査定によったものが多かったのでありますが、現場を見ないで机の上で査定して決定してしまう、こういうふうなことによる不当事項はずっと減ると私どもは見ております。
ところが主として受給者側の責任に基くと思われるような、たとえば御承知のように、補助事業は地元が相当割合の工事費を負担するというのが、現在の法律の建前でありますが、この負担をいやがってしないで、工事の手を抜かれる、こういうようなものになりますと、だんだんよくはなっておりますが、まだまだいつになったらこういう悪いことがなくなるかという点になりますと、とても先の見通しがわれわれとしても立ちにくい、こういう関係にあるのでありまして、国の仕事ですと、直りが非常に早い、それから補助事業でも、国側の直せることですと、比較的テンポが早くよくなるようでありますが、必ずしもそうでない面が相当大きな部分を占めておる、これだけ申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/117
-
118・井上良二
○井上委員 次に交付に当って条件をつけることになっておる。それは、工事が完了いたしまして、収益がありますときは、補助金等の一部または全部を返還させることを考えているのであります。こういうことになってきますと、これは補助金というよりも、いっそのこと政府資金の起債と同じことになりはせぬかと思いますが、これはどういうことでこういう考え方が起ってきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/118
-
119・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 第七条の二項に、一般的に補助事業から収益が生ずると認められる場合には、補助金等の交付の目的に反しない場合に限り、その交付した補助金等の全部または一部を返還する、こう書いてございます。ここに書いてございます規定で御注意いただきたいことは「補助金等の交付の目的に反しない場合に限り、」という言葉でございまして、この条項の適用がございますのは、補助金の中でも非常に特殊の性格を持っておるものというふうになろうかと思うのであります。たとえば、現在この適正化法を待たずして、石油の試掘の補助に出しております補助金は、たとえば帝石の八橋の油田を掘った、非常にたくさんの油が出てくる、こういうような場合には、これを返せという規定がございます。この法律の精神といたしますところは、いわば補助金と申しますものは、いろいろの種類がございますけれども、今申しました石油の試掘のごとき補助金は、これは本来ならば、資本主義的な膚己資産によってやるべき仕事である。しかし石油の賦存というものは、たとえば石炭あるいはメタルというものに比べまして、非常に地下におけるあり方というものが不規則である。従って試錐をいたしましても、出てくる確率が非常に少い。そこにいわば資本主義的な経済採算から申しますと、非常に危険の度合いが多過ぎる。しかし国は、たとえば燃料政策の面から、国の資源を開発せねばならぬということで、そうした試掘を必要とするというような場合に、一般の企業採算では解決できないような危険負担を国がやるという場合に、補助金を出すということもあり得るわけでございます。こうした場合に、出しました補助金によってきわめて大きな油田が当ったというふうな場合には、その資本の計算にはもはや全然危険はないのでございますから、そうした大きな油田を当てました場合に、補助金をやりっぱなしにしておくということは、むしろ一般納税者の利益負担と申しますか、負担の公平という点からおかしいということもあり得るわけでございまして、こうした補助金につきましては、収益の出ましたときにそれを納付してもらう、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/119
-
120・井上良二
○井上委員 そういう石油というような特殊な資源を開発をする場合に、ちょうど大山を当てた、そういう場合は、そういうことで一応了解をしてもいいが、これが農地の、たとえば干拓または改良等によって、そこに完了後において非常に収益が高まってきたということで、これが適用されたら、大へんなことになってしまう、そんなことは考えておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/120
-
121・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 山を当てた場合と農地の比較でございますが、これは補助金等の交付の目的に反しない場合に限るということを申し上げたのでありまして、たとえば現在干拓に対してどういう補助金が出ておるか、そういうことはつまびらかにいたしませんが、もしその場合に、干拓に対する補助金というものが、そうした農地造成については一般の経済原則では無理だから、農地を作ってやろうということで出ておるといたしますれば、農地ができて、そこで通常の収穫があるということは当りまえの話でありまして、通常に米ができたからといって、補助金を返さすということはおかしいかと存じます。それはケース・バイ・ケースでございまして、ここに書いてございますように「補助金等の交付の目的に反しない場合に限り、」ということは、良識をもって解釈いただきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/121
-
122・井上良二
○井上委員 次に、交付決定後、状況の変化によって決定を取り消すということを一方的にきめております。状況の変化ある場合となっておりますが、一方的に国がこの認定を取り消すということになりますならば、補助事業というものに対する非常な疑問が起って参りますが、交付決定後、つまり現地調査をして、これならええということで交付が決定して、工事が始まる、その後状況の変化で一方的にそれは取り消す、こうなったら、地元はえらい迷惑です。そういう場合に当てはまる現地の状況の変化というものは、どういうことをお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/122
-
123・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 ただいま井上委員の御指摘になりました、交付決定後に事情の変化によって取り消す必要が生じた場合、これは第十条の御指摘だろうと存ずるのでございますが、この第十条の取り消しをそう再々やられますと、いろいろ資金を用意し、いろいろ生産手段を準備しました補助事業者側としては、非常に迷惑をこうむるわけでございます。この第十条の二項に書いてございますように、交付決定後の風情の変化によりまして、補助事業等の全部または一部を継続する必要がなくなった場合、これはそこに天災地変その他云々というふうにきわめて例外的なことが規定してございますが、この十条の適用自身というものは、私はきわめてまれにしかないものとは存ずるのでございますが、一例を申し上げますと、たとえば洪水に対する予防として、堤防の事業のいうようなことに対して補助金が出ておる。ところがその後の事情の変更によりまして、上流に大きなダムを作るということによって、災害に対する対策も十分に行くし、さらに灌漑用水の調節もできる、あるいはさらにまた発電もできるということになるかもしれませんが、そうした非常によい、大きな効果を生み得るようなものに対して、国が直轄でやるとか、あるいは補助金を出してやるということによりまして、従来の堤防工事に対する補助金が全く無意味になったというふうな場合がもしありましたときには、その以前に交付を決定いたしました堤防に対する補助金の方は取り消しをする。ただしそのために、たとえば請負工事に出しておって請負者に対する違約金を地方公共団体が払わなければならぬとか、あるいは準備した資、材、資金その他がむだになったというような場合に、必要な経費については国が見ておげましょう。いわば国がいろいろな補助事業に対する補助金を出しておりますが、まず第一に、交付決定を受けた補助事業者の目的とすることが、事情の変更により別の方法によっても十分に達成せられるというふうな例外的な場合が起りました際に、交付決定取り消しという処分によりまして、国といたしましては同じ金を最も効率的に使う道を開いておきたい、こういうような意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/123
-
124・井上良二
○井上委員 次に、この補助金の返還を命ぜられても返還をしないときは、他の補助金を差し押えて、その工事を一時停止さす、こういうことになっておる。これは現在の地方財政の窮迫の現状から、かようなことはちょっと行き過ぎじゃないでしょうか。それから、返せといって返さぬ場合は、延滞金を加算日歩の形で取り上げるわけです。日歩が三銭五厘、これは税金の場合の延滞金が三銭五厘の日歩になっておる。これと同じ計算になっておる。そんなむちゃなことをやってもらっては困る。そのやっておる当該の事業に不正があったからやらぬということは言えるけれども、他の事業が正規でやっておるのを、その事業に出している金を差し押える。その金を返せと言われて、しかもとめておけば延滞金で三銭五厘取ってしまう、そんなことをやられたらたまったものではありません。何でそこまできついことをするんですか。その町村は、あるいは事業団体は、一つの工事で不正をやったから、他の事業も全部不正をやっている、こう認定した上の処置ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/124
-
125・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 現状におきますところの地方公共団体の非常な財政的な窮迫という事情については、われわれはこれに目をおおうものではございません。しかしながら、先ほども御指摘になりましたように、国の財政の三分の一を占める三千億という巨額な補助金というものの資金効率を高めるということ、これはまた八千万国民の非常に期待いたしているところでございます。従って現在の地方団体の財政の窮迫ということに対する対策というものは当然あるべきでございますが、この三千億の補助金を十分に、適正に執行するために、この法律によりまして、交付金に対する不正な使用というものは非常に反社会的な行為なんだということを規定いたしました以上、不正な使用をしておって、そこで返還をしてもらいたいというような命令が国からありましたときに、これを返さぬというのは、返さぬ方が非常に間違っておるのでありまして、返さぬ限りにおいて、他の補助金の交付を一時停止したり、または未交付額との相殺をするというのは、私はそんなに残酷な措置ではない、こういうふうに思っておるわけでございます。
それからこの三銭の延滞金を取るというわけでございますが、返すべき人に金をまた返さないというときに、いわば一般の金利水準から見て、三銭という割合で計算した延滞金は決して高いものではないのでございまして、税金の場合には、自分の金を納めないということに対して三銭かかるのでありますから、人の金を返さないということに対して三銭返しますのは、当然のことではなかろうか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/125
-
126・井上良二
○井上委員 ただいまの説明は、はなはだ一方的な説明であって、ただいまあなたみずから説明されておりますように、一応補助事業対象に対しましては、交付決定前に現地調査をするのです。そうして大体これならよかろうということで交付決定をいたします。従って、これはパスしたことになっているので、パスして当該事業がそれをやっている間に不正があるということで補助を打ち切るというのは、どう考えてもあなたの方のやり方が悪いのであって事業者には何の責任もない。ただし工事完了後において会計検査院の検査の結果使うべき材料を使うてない、以るいは設計通りの工事が行われてないということが指摘されて、そこで不正工事が行われておるから、予算通りの工事でないから、その余った分は返せ、こういうのならまだ話がわかる。あなたの方は、初めから現地調査をしますと公文にうたっておいて、その調査の結果交付金を決定して決定後工事をやっておるものを一方的に取り消して、その取り消しする際も、たとえば農林関係の補助事業をやっておる責任者と、厚生関係の補助事業をやっている責任者は、各府県、市町村においても全然人が違うのです。農林省の関係の補助事業をやっている不正を何で厚生関係の者が責任を負わなければならぬのですか。そんなあほうなことがありますか。そんな理屈に合わぬことを言ったっていけない。そうでしょう。役場の全体の責任はあるかもしれないけれども、やっておる者は、それぞれ農林関係は農林関係の工事を担当してやっておる。片一方厚生関係は、厚生関係をやっておる。農林関係に不正があるからというので、厚生関係が正常な仕事をやっているのに、それを一緒にとめてしまう、それに補助金をやらぬ、工事は中止する、こうなるそんなむちゃなお話はない。兄貴が悪いことをしたら、一体何で弟が責任を負わなければならぬのか、そんなむちゃなことがあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/126
-
127・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 お答え申し上げます。最初に御指摘になりました第六条の補助金等の交付の決定に際しては、現地調査までやって交付するというふうにきめたのであって、いわばパスしたものだ。パスしているにかかわらず、あとでいわぬといって取り上げるのはおかしいというお話しでございますが、これをパスしたという意味は、交付の際につけましたいろいろの条件、各省各庁の長は、こういうことに従ってやってほしいという補助金交付の内容と申しますか、その内容に従って行われるということにおいてのみパスしているわけでございます。従って、その内容の通りに行われないことになりますと、われわれの方としては、それはちょっと無理ではないかということを申し上げるわけでございまして、その点何ら、パスしたからお前はあこぎであるという御非難はないのではないかと思うのであります。また十一条の不正使用ということにつきまして、摘発される原因といたしましては、もちろん会計検査院の検査によってやられる場合が大部分でございましょう。それは何人がその不正使用の事実を摘発してもいいわけでありますが、そういう意味で、会計検査院でないのに云々という御非難は変らないのではないかと思うわけでございます。
最後に、地方公共団体のそれぞれ部局を異にしておりますものについて、農林関係が厚生関係の補助金によって迷惑をこうむるというふうなことについては、そこに「同種の事務又は事業について」と書いてございますので、できるだけ江戸のかたきを長崎で討たさないというような配慮もいたしてあるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/127
-
128・井上良二
○井上委員 なお私は、この補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案ではいろいろ質問がございます。特に会計検査院の小峰局長にいろいろ質問がございますが、時間もだいぶん迫っておりますから、私の質問は保留をいたしますが、ただ最後に一点伺っておきたいのは、地方公共団体の長及び職員、これがこの法律で処罰されることになる規定がございます。ところがこれらの人々は公務員法が適用されている、それから刑法もこれまた適用され得る。公務員法に規定してある罰則、それから刑法による罰則というものがあるのに、さらにこの法律による罰則規定をもう一ぺんかけねばならぬというのはどういうわけですか。公務員法の罰則の解釈とこの法律による罰則解釈とは一体どう違うのか、どちらが優先するのかということですね。刑法と公務員法とそれから本法、この三つでどちらが一体法律上妥当ですか。おかしいじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/128
-
129・村上孝太郎
○村上(孝)政府委員 たとえば偽わりその他不正の手段により補助金等の交付を受けた場合に、これはたとえば刑法における詐欺罪にも該当するではないか、それとこれとの関係いかん、こういうふうな御趣旨の質問であろうと思います。ここに書いてございます第二十九条のような事実が起りましたときには、偽わりの手段によって相手を欺罔するということになると、刑法に規定してございます詐欺の要件と同じ要件を具備する場合があるかと存じます。しかしながら、この補助金に関して偽わりの手段によって相手を欺罔したという場合には、この二十九条が特別法になりまして、これが適用される結果になります。それから刑事罰と刑事罰以外の、たとえば公務員法における行政上の秩序罰というふうなものとの関係でございますが、これは従来といえども、私は別々に成立するものではないかと思うのでございますが、現在刑事局の方がおられませんので、詳しい御説明がもし必要でしたら、あとから担当の方からお答えしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/129
-
130・井上良二
○井上委員 私なお質問がありますけれども、本日のところはこれで保留して、次会にさらに続行したいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/130
-
131・松原喜之次
○松原委員長 川島金次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/131
-
132・川島金次
○川島(金)委員 暑いですから明日にと思ったのですが、せっかく委員長から御連絡がありましたので、簡単に、議案に直接関係はないのですが、お尋ねいたしたいと思います。まず人事院の関係者にお尋ねしますが、現在建設省を初め各現場を全国に持っておりますところの非常勤職員と称せられるものは、全体でどのくらいの数に上っておるか。それから、同時にまたそれらの非常勤職員に対する一般職との待遇の比較というものはどういうことになっているか。それからもう一つついでに聞きますが、その非常勤職員に対しては、雇用契約の内容はどういうふうな内容になっておるか、これをまずお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/132
-
133・瀧本忠男
○瀧本政府委員 ただいまの非常勤の概数でございますが、非常勤職員と申しますものは、もちろん一般職ではございますが、これは定員の外でございます。日々雇用の形で雇用されておるものでございますが、実質的にその中に、日々雇用されております者と、それから日々雇用されることが事実上継続いたしまして、相当長期間にわたって現実に雇用されております者と、いろいろあるわけでございます。非常勤職員全部を含めてみますると、人事院の調査によりますると、本年の四月現在で、これは各省合せた数字でございますが、約四十二万の非常勤職員がおります。この中には、先ほど申しましたように、いわゆる日々雇用の形の労務者というようなものもおりまするし、それから各種統計調査員というようなものもおりまするし、また中には大学の講師というような、いろいろな種類のものがおるわけでございます。そういうものが概数でございますが、おそらくその中で問題にされますものは、いわゆる常勤的非常勤というものの数であろうと思います。この数につきましては、われわれの方といたしましても正確な調査はないのでございます。従いまして、これは二十七年当時にやりましたわれわれの調査から現在を類推いたしまして、常勤的非常勤の数がほぼどれくらいあるかということを類推するよりいたし方がないのでございますが、その類推をいたしてみますると、おおむね二万七千程度がいわゆる常勤的非常勤であろうというふうに考えております。こういう人々の待遇がどうなっておるかということでございますが、これは給与法の第二十二条によりますと、非常勤職員の給与の決定につきましては、常勤の職員の給与との権衡をはかってこれを定める。しかしながら、きめますものは各省、各庁の長でございます。これは給与法で各省、各庁の長に委任をしてございますので、各省、各庁の長が、それぞれ自分のところの常勤職員との均衡をはかりまして、これをきめておるという状況であろうと思います。その詳しい内容につきましては、われわれ現在はっきりわかっておらないのでありまして、ただ人事院が最近調べましたところによりまして、多少の例について話をしろということでございますれば、それは申し上げることができょうかと思います。雇用の関係につきましても、これは各省、各庁の長がそれぞれやっておりますので、人事院といたしましては、総括的には何とも申し上げられない実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/133
-
134・川島金次
○川島(金)委員 今お話しによりますと、常識的に、一般公務員と同じような仕事をしながら、常勤的な姿で勤務をしております数は、類推の人員だけでも二万七千の多きに上るということが明らかになっておるのでありますが、人事院はかつてこれらの職員の組合に対しまして、現在あるところの常勤労務者制度にこれらのものを置きかえることが適切であるという言明をされたということを承わっておるのでありますが、そういう事実はございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/134
-
135・瀧本忠男
○瀧本政府委員 御指摘の通り、建設省関係の非常勤職員から行政措置の要求が出まして、そのときの判定に、御趣旨のようなことを申しております。これは、建設省の職員からそういう要求が出たから考えたということでなしに、非常勤職員の問題は従来から非常にむずかしい問題でございまして、絶えず研究はいたしておったのでございますが、なかなか結論に到達し得なかったというのが従来の経過でございます。それで現在は、法改正ということになりますとまたいろいろな問題が起って参りますので、人事規院則の範囲内でできることはどういうことであろうかということをいろいろ研究いたしました結果、非常勤職員に対しまして有給休暇を与えるということは、解釈としてできるのではなかろうか。現に労働基準法におきましては、日々雇い入れます者が実質上一カ年継続して勤務いたした場合には、六日間の有給休暇を与え得るというような措置がございます。そういうことを引用いたしまして、人事院は、人事院規則一五——四というものを七月二十日に改正いたしたのでございます。それによりますと、労働基準法第三十九条に定める基準に準じまして、この休暇のほか、有給休暇を認めるというふうに改正いたしたのでございます。目下その運用方針につきましていろいろ練っておりますが、なるべくこれを解釈上有利にできるようにいたしたい。ただ現在は、国家公務員法並びに人事院規則の建前からいたしまして、継続して勤務する、日々雇用でなしに、二日以上の期間を定めまして雇用するという形は、どうしても人事院規則の範囲内でできないことでございますので、その点はなるべく近い機会に、この公務員法改正等が考えられます際にあわせて考えたいということで、有給休暇を認めるということだけはいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/135
-
136・川島金次
○川島(金)委員 そこで建設省にお伺いいたしますが、今人事院からの御説明で大体明らかになったのでありますが、ことに一番多いのは、建設省の非常勤職員ではなかろうかと思うのです。この建設省内におけるあなた方の方の非常勤職員、に対して、かつて大蔵省に対して、これを準職員とすべきものという要求をされて、何か折衝されたという事実があるように聞いておるのでありますが、その折衝された結果は、大蔵省との間にはどういうことになっておるのか、それを教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/136
-
137・美馬郁夫
○美馬説明員 ただいまの問題につきましては、建設省系統の補助員の大部分は、いわゆる事業費の内訳の問題になっておりまして、人事院の判定がありまして、私どもはできるだけこれを尊重いたしまして、私どもで調査いたしましたところによると、いわゆる常勤的非常勤職員は一万一千という数字になっておりまして、この数字を大蔵省当局に要求いたしております。内容につきましては、大蔵省の見通しでは、大体今月一ぱいくらいに——これは建設省だけの問題ではなくして、農林省なりその他各省にもありますから、そういうところの資料が出そろってから結論を出したい、こういうふうなお話しになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/137
-
138・川島金次
○川島(金)委員 それでは大蔵省側にお尋ねいたしますが、建設省その他各現場を持っております、非常勤職員をかかえておる役所があります。これは建設省と大蔵省だけの間の折衝ではないことはもちろん言うまでもございませんが、今建設省のお話しによりますれば、この問題について大蔵省は、七月中に具体的に結論を出す、こういうことを言明されておることは明らかであります。すでに七月も残すところ四、五日ということになったわけでありますが、この問題について、大蔵当局はどのような結論に到達しておりますか、それを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/138
-
139・鹿野義夫
○鹿野説明員 ただいまお話しのように、建設省の方から補助員を常勤労務者に直してほしいという御要求が来ております。これは約一万一千名の御要求か来ております。それから運輸省からも、同じく約二千名以上のものの御要求が来ております。農林省からも来ております。また北海道開発庁からも同じように御要求が来ております。林野庁からも来ておりますが、それぞれいろいろな資料をお願いいたしまして、目下具体的内容を検討しておるところでございます。実態は非常にむずかしく、線の引き方の問題にもなりますし、内容的にも十分検討しなければならないし、総体の数字といたしましては相当大きな数にもなっておりますものですから、十分検討いたしたいと思いまして、いろいろな面から、それぞれのやっておられる事業量と実際の定員との関係その他をながめて、目下いろいろ検討いたしております。今建設省の方から、七月中にはというお話しがありましたが、われわれの努力目標といたしましては、七月中には結論を出したいと思って、いろいろ資料を出していただいたり、内部で検討もいたしております。ただこれだけの省の関係がありますものですから、中には資料がまだ不十分な点がありまして、実は早急に結論を出し得ないで弱っておる次第でございますが、その点も目下督促いたしておりますので、できれば七月中には結論を出したいというふうに考えてはおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/139
-
140・川島金次
○川島(金)委員 あと五分でやめます。残りはいずれかの機会にやります。
今のお話しによりますと、大蔵省は七月中に建設省その他に対してこの問題は結論を出す、こういうふうに言明をした。今の建設省からの話でも、やはりその言明が明らかになったのであります。それが、今度は八月中には何とかというようなことでは、まことにおもしろくないことであるのであります。少くとも役所は、こういう問題について期限を切って、公式であろうとなかろうと、かりそめにも言明した以上は、その線に沿って最大の努力を傾けて、できるだけ早く結論を出して、これらの問題に対する終末をつけるようなことに努力をすべきであろうと思うのであります。そこで時間がないから適当に端折って、あとはまたの機会に譲りますが、今、適当なところで線を引いて結論を出したいと言われたのでありますが、その適当な線というのが問題であろうと私は思うのです。適当の線とは勤務年限のことを言うのか、あるいはまた職種とか職務の内容等も勘案をしなければならぬであろうし、あるいは男女の性別の問題等も当然に考慮されなければならぬことになろうと思うのでありますが、その場合、常識的にわれわれ国民の立場からいえば、非常勤というのは、連続して勤務をするのでなくて、適当な時期に仕事に携わる、あるいはまた時間的にも制約を受けない、こういった立場の者が非常勤である。それからまた、かりに一定の時間と一定の期間を勤めるにいたしましても、せいぜい三月とか半年を限って勤務をする者、こういった者も、あるいは臨時的な非常勤職員だという考え方を持つのは当然かもしれませんが、少くとも一般職員と同じように、半年以上一年、長ければ七年にもわたるという職員が数多くあると私は聞いておるのであります。こういうように、職務の内容においても、職務の種類においても、他の一般職員と少しも変らない状態において、一つの職務で同一のところに連続勤務を長年月にわたってしている者に対して、なおかつ従来通り非常勤職員としての待遇で放置しているということは、きわめて合理的でない事柄である、こういうように私は思うわけであります。そこで、こういった問題について大蔵省の結論を十分に期待をいたしますがこれらの問題について、一体どのくらいの期間を待ったならば結論を出せるのか、また出せるとすればどういった点に——およそのことでけっこうでありますから、腰だめ的な、この線くらいまでは何とか考えているのだということを、この際できれば一つ言明をしておいてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/140
-
141・鹿野義夫
○鹿野説明員 先ほど申し上げましたのは、八月じゃなくて、七月一ぱいを目標にしてわれわれもいろいろ努力し、かついろいろな資料を御要求申し上げて、その整理をお願いし、現在検討しておりますところですから、あくまで七月一ぱいには結論を出したいと思っておりますが、ただ、七月にはっきりできるというふうなことを言明したというふうなことを申されて、七月が一日おくれても困るというふうなことをおっしゃられても、私どもとしては、その点は事務的な問題ですし、資料が思うように出ないこともありますから、なかなかできませんけれども、そういうことで、できるだけ今努力をしつつあるところでございます。
それから今先生がおっしゃられたところの、何か腰だめ的にでも一つの線をお前が話せということでございますが、現在、申し上げましたようにいろいろ内部で検討しておりますけれども、確かにおっしゃられるように、仕事の内容、工事の量等いろいろ毎年変ってきておりますし、現場の定員の関係などにつきましてもいろいろ変化がございます。場所々々についてのバランスの問題もございますし、なかなか一様に申し上げられません。現在としては検討しておりますところで、その線をただいまここで申せと申されても、なかなか無理ではないかと思いますので、ごかんべんを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/141
-
142・川島金次
○川島(金)委員 時間がきましたからこれで一応やめますが、これに関連してまだ私質問が残っておりますので、その残余の質問はいずれの機会にあらためて申し上げることにいたしまして、最後に大蔵省に、この問題に関する限りは、できるだけ一日も早く結論を出すように強く要望して、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/142
-
143・松原喜之次
○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より開会することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X03819550726/143
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。