1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月三十日(土曜日)
午前十一時四分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 加藤 高藏君 理事 内藤 友明君
理事 森下 國雄君 理事 大平 正芳君
理事 奧村又十郎君 理事 横路 節雄君
理事 春日 一幸君
有馬 英治君 宇都宮徳馬君
菅 太郎君 杉浦 武雄君
竹内 俊吉君 中山 榮一君
福田 赳夫君 坊 秀男君
前田房之助君 淺香 忠雄君
川野 芳滿君 黒金 泰美君
小山 長規君 石村 英雄君
横山 利秋君 井上 良二君
川島 金次君 田万 廣文君
平岡忠次郎君 石野 久男君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
大蔵政務次官 藤枝 泉介君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局証券課
長) 小林 鎮夫君
専 門 員 椎木 文也君
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七月三十日
委員薄田美朝君辞任につき、その補欠として田
子一民君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
閉会中審査に関する件
委員派遣承認申請の件
日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二八号)
証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一九号)(参議院送付)
金融に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
証券取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。春日一幸君より証券取引法の一部を改正する法律案に対する各派共同提出の附帯決議について発言を求められておりますので、これを許します。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/1
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002・春日一幸
○春日委員 現在の証券市場は、実物取引を主体とし、わずかに信用取引がそれに対する補助的な取引としてあるわけでございまして、すなわち、こういうような現在の取引方式のもとにおいて、証券界ははなはだ行き詰まりを来たしておるのでございます。従いまして、この際現在のこの証券市場をもう少し活発化せしめて、同時に産業資金調達の市場としての役割を十分に活用できるような制度いかんという問題が、業界並びに学識経験者その他において研究されておるのでありますが、それらの意見は、この際長期清算取引をも新しく開始してはどうかというような意見も多々述べられておるわけでございます。従いまして、この際こういうような市場の要望並びに学識経験者の意見等をも参酌いたしまして、次の附帯決議を付したいと思うのでございます。
証券取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
長期清算取引の実施の問題については、証券取引の現状と国民経済の実情にかんがみ、政府において積極的に検討せられたい。
右決議する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/2
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003・松原喜之次
○松原委員長 ただいま春日一幸君より証券取引法の一部を改正する法律案に対して、各派を代表して附帯決議を付するの動議が提出されましたが、本動議の採決は、本案の採決が終った後にこれを行います。
本案に関する質疑はすでに大体尽されておりまするので、これにて質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/3
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004・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
これより採決に入ります。証券取引法の一部を改正する法律案を採決いたします。お諮りいたします。本案を原案の通り可決するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/4
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005・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
次いで本法律案に対する各派共同提出の附帯決議を採決いたします。本附帯決議を可決するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/5
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006・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本附帯決議は可決いたしました。
この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/6
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007・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/7
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008・松原喜之次
○松原委員長 次に、金融に関する件について調査を進めます。質疑を許します。淺香忠雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/8
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009・淺香忠雄
○淺香委員 この会期末になってこういう質問をいたしますのは、この前に公正取引の関係法案が本委員会に議題となっておりましたときに、これに関連して質問をしようと思ったんですが、それが私どもの方の理事との連絡不十分のために、ほかの議題に差しつかえがあってはならぬと思いまして、今日まで委員長の了解を求めて延び延びになっておりました。こういうわけで、この会期末に質問をせざるを得ないような立場になりましたことを皆さん方の御了承をお願いしたいと思います。
そこで、最初に銀行局長にお伺いしたいのですが、損害保険事業、あるいは損害保険ということについては法律上定義はいかになっておりますか。その問題について、実質的にはこれはどうなんですか、その点から一つ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/9
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010・河野通一
○河野(通)政府委員 保険業法あるいは商法にいっております損害保険というものの範囲は、実は非常にはっきりしない点がございます。御承知のように保険の分類の仕方は、生命保険と損害保険という分け方もありますし、自営保険というふうにいろいろやり方はあると思いますが、現在では、生命保険以外のものは損害保険という形ですべての問題を整理いたしております。従って、たとえば傷害保険等は自営保険でありますけれども、損害保険の方に入っておりまして、生命保険では取り扱わない、こういうことになっておりまして、生命保険以外の保険は損害保険ということで行政上の線を引いておる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/10
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011・淺香忠雄
○淺香委員 保険料率の問題ですが、これは概数の方式に基いて算定されておるように聞いておるのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/11
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012・河野通一
○河野(通)政府委員 保険料は、これも生命保険と損害保険で違いますが、保険料の中には純保険料、その純保険料は危険率、事故率といったようなものの経験的な計数からこれをはじき出しております。純保険料以外の附加保険料となるべき事業費その他の経費及び利潤、こういうことで形成されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/12
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013・淺香忠雄
○淺香委員 ちょっとお尋ねしたい点は、消費生活協同組合、あるいは中小企業等協同組合が最近共済事業として保険をやっておられる。ほとんど共済組合等は保険をやられるようになったのですが、これは不特定多数を近ごろ相手にしておられるような傾向があるのですが、その点について局長はどういうような見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/13
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014・河野通一
○河野(通)政府委員 消費生活協同組合、あるいは農業協同組合、あるいは中小企業協同組合等が共済事業ということで、保険と実質上近い、あるいは保険そのものを行なっておる事例が相当あるということは事実であります。しかも一応現在の体制のもとにおきましては、法的根拠がある。共済事業ということが目的になっておる、こういうことになっておるのでありますが、果して現在やっております実態が、共済事業ということでカバーできるかどうか、私どもは疑問だと思う。この点につきましては、従来から何かこれに対して適当なる法制上の裏づけが必要ではないかということで、政府におきましてもいろいろ研究は続けて参りました。それから国会におかれましても、この問題について一時御提案があったと記憶いたしております。そういったことで、従来からこの問題について研究を続けて参っておりますが、遺憾ながらまだ結論に到達いたしておりません。大体の考え方は、こういうふうな点に立っております。これらの事業を、現在あるのでありますから、これを禁止することは適当でない、これが一点であります。それから現在の法制のままでは不十分である。少くとも契約者大衆を保護するという観点から見て、不十分であると思う。従って残された問題は、現在やっております共済事業について、もっとはっきりした監督なり、あるいはいろいろな契約者大衆保護のために十分と思われる法制上の規定を整理することが必要であろう、こういうことで考えております。ただ問題は、一例を申しげ上ますと、昨年北海道の岩内に大火がありました。この際におけるあの地方にありますこの種共済事業の、これらの火災における填補の状況等を見ますと、なかなかむずかしい問題があるということが新しく出て参ったのであります。それで私どもは、この実情等を十分もう少しきわめていきたい。つまりあまり厳格な、保険会社等に対して与えているような苛酷な監督なり経理上の規定を整備するということは、なかなか一挙にはむずかしいと思います。その程度その他につきましては、実情そのものとにらみ合せて考えなければならない。こういった点で、はなはだ数年来の懸案でありますけれども、いまだわれわれとしては、はっきりした結論を得ないということになっておりまして遺憾に存じますが、今後も、なるべくすみやかにそういったことで法律案を整備いたしまして、提案申し上げたい存念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/14
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015・淺香忠雄
○淺香委員 御承知のように消費生活協同組合におきまして、一定の区域に居住しておる、あるいは職場を同じうしている、あるいはまた勤務地を同じうしている、この協同組合法によって、これに加入することによって、こういう共済事業者に契約ができるということになると思います。その場合に、県とか大都市などは、今日この協同組合法に基いて消費組合、共済組合、中小企業というような組合ができて、そうしてこの共済事業を県全体もしくは大都市区域全体にこれを及ぼしているということは、局長も御承知だろうと思う。そうすれば、これは当然いわゆる保険業法と同じ性質なものであると私ども考えるのですが、先ほどの答弁で若干わかりましたが、いま一つ突き進んであなたの御意見をこの際にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/15
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016・河野通一
○河野(通)政府委員 法律上の性質からいいますと、先ほど淺香委員からお尋ねがありましたように、保険事業と共済事業との区画、区別ということは相当重なっている面があると思います。私は共済事業でないともあえて言いませんが、保険事業でもある、しかも保険事業として、保険事業という性質を持っている以上は、その保険という契約者大衆を十分に保護するということでなければならない。あるいは共済事業であるかもしれませんが、同時に保険事業である限りには、保険事業にふさわしいような契約者大衆保護の規定を整備しなければならない。今お話しのように、だんだん広くなって、ほとんど不特定多数と思われるようなものかそういった共済事業の名において行われているということを事実耳にいたしておりまして、これらについては、すみやかに立法措置を講ずる必要があると考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/16
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017・淺香忠雄
○淺香委員 保険業法には相互会社の制度化を認められている。そうして三千万以上の資金をもってこれら会社を設立する、また社員を募集するというようなことでいけるのですから、もし協同組合にして協同組合の精神にのっとってこれをやろうとするならば、結局保険業法のもとに相互組織でやることが私は適当だと思うし、その点そういうような方式に今後やりかえたいという方針ですか、この点もう一ぺん伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/17
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018・河野通一
○河野(通)政府委員 お話しのように、共済事業の形で行われておりますものもいろいろな実態があるのであります。実態がありますが、今のところ私どもは、これを保険業法に基く保険事業として改組するとか、あるいはそれを根拠づけるというような考え方はとっておりません。これは、やはりあくまで別途の法体系のもとに契約者保護の規定を整備していくという建前でいくべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/18
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019・淺香忠雄
○淺香委員 御承知かわかりませんが、私の調べたところによりますと、たとえば福井県におきましては、共済協同組合では、県民の火災保険、その下に共済協同組合という大きな看板を掲げておる。また安い掛金、そして県民の火災保険というような名称を使っております。また京都市あたりでは、京都市の広報課発行の市民新聞に、堂堂と市民の火災保険だという宣伝をしておられることは局長御承知でしょうか、どうでしょうか。さらにこういった共済組合が保険事業ということをみずから実施していいものか、それとも法律上では共済であるけれども、これは契約においては保険なんだというふうにみなしていいものか、その点について、先ほども御答弁がありましたが、これは法律上相当疑義のある問題だと思うのです。その点もう一ぺん御意見を聞かしていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/19
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020・河野通一
○河野(通)政府委員 今お話しのようなことが関西方面で相当大規模に行われておるということは、耳にいたしております。しかし実はチラシ等を私は見ておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、そういうことが大規模に関西方面では行われているということは承知いたしております。それから保険業法と共済事業の関係でありますが、やはり私は、保険事業としての実体は持っておると思います。持っておりますが、事柄の性質から、やはり別の法体系によって規制していく方が適当ではないかと考えておりますことは、先ほど御答弁申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/20
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021・淺香忠雄
○淺香委員 これに関連して、自治庁の長官か、もしくは担当の局部長の出席を要求いたしておりますが、まだ出られないようです。一応大蔵省の銀行局長としては、この問題の今後の取扱い、あるいは意思等がはっきりいたしましたから、これで質問を終ることにいたしまして、自治庁から出ました場合に、この質問の続行をお許し願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/21
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022・松原喜之次
○松原委員長 春日一幸君より関連質問の申し入れがあります。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/22
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023・春日一幸
○春日委員 ただいま淺香さんから御質問のありました問題は、これは本委員会におきましてもすでに長い懸案の問題でありますし、特に損害保険を共済組織でやる問題については、実は国会内において各党から代表者を選んで、そうして現在の事業協同組合法中に規定いたしておりまする共済事業として、法律の根拠に基いて現在行なっておるのでありますが、しかしながら御指摘の通りに、それだけの基金をもっては、あるいは契約者に対する損害を十二分にカバーする能力ありやいなやという問題でいろいろと疑義があるわけでございます。しかしながら、この問題は中小企業対策といたしまして、たとえば北海道におけるがごとく、あるいは愛知県その他において、地方自治団体が中小企業対策として、もしこの組合において大きな火災が起きて、組合の基金をもってしてはそれをカバーすることができない場合は、それぞれ予算外の義務負担、こういうことでその損害を支弁することを保証する、こういうような事項で現在のところずっと行なっております。しかしてこれが中小企業対策ということは、どういう面であるかと申しますると、これは現在の火災保険の料率が依然として高い。従いまして、高い料率をかけることができないというので、火災保険の普及率というものは、われわれの調査した範囲によりますと、大体一八%から二〇%前後しかない。従って保険にかけていない他の八〇%の諸君は、保険料率が高いために一たん火災を受けた場合に、自力をもって更生することができないという状態にあるので、お互いに安い料率で、そうして多数の中で一人が火災を受けた場合には、他の諸君の保険料金でそれを一つ自力で立ち上るような、そういう保障をしていこうという制度に現在改められておることである。しかしこの問題については、いろいろ疑義があるから、大蔵省において単独立法で保険協同組合法を作るか、あるいは事業協同組合法のでこれを改正して、この要請にこたえていくか、こういう問題は今慎重に論議されておるところであろうと思う。全国において、すでに三十六団体が今やそういう結成を終りまして、おおむね堅実な方向にこれが動きつつあると思うのでございます。従いまして、これについての損害保険会社からのいろいろな反対の意見、運動等も顕著なものがようやくありまするけれども、しかし、あくまで弱い中小商工業者たちがその危険をみずからカバーするというそういう問題は、もうすでに現存する問題であり、しかも政治問題としてもすでに長い懸案でありますから、どうか一つ政府がそういう組合の意見をよく聴取されまして、実情に沿った適切な立法を適当な機会に行われたい。そういうことで、現在のこの三十六の組合、さらに今後だんだんと自治団体の協力で増加の傾向にあると思いますけれども、どうか一つそういう協同組合組織によるところの共済事業が健全なる発展をし得るように善処されんことを要望いたしまして、私の関連質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/23
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024・松原喜之次
○松原委員長 石村委員から関連質問の申し出があります。これを許します。石村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/24
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025・石村英雄
○石村委員 ごく簡単にお尋ねしますが、保険事業というものは、大体共済的な性格を持ったものだと思う。その共済的な事業をすることによって、事業上体である会社は営利団体であるということで、こうした問題が今後ますます大きくなってくるんだと思います。大蔵省では、現在の保険会社を営利的な性格を改めるというお考えはないものでしょうか、どうですか。これを何とか解決しなければ、一方で共済組合を押えようったって、これはとうていできない問題だと思う。必ずこの共済組合は、今後ますます大きくなって、大蔵省としては共済組合の育成という方向に進まざるを得ないと思うのですが、この点いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/25
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026・河野通一
○河野(通)政府委員 現在の保険業法では、御承知のように株式会社によって保険を行いますものと、相互会社によって行うものと二つあるわけであります。相互会社は、御承知のように組織としては営利組織じゃない。しかも現在生命保険会社のほとんど全部が相互会社の組織でやっております。損害保険の方は、株式会社組織の方が多いのでありますが、そういうわけで、株式会社組織と相互会社組織と二つある。いずれにいたしましても、私どもは今行われておるような民営による経営形態ということは、今後もその基本は維持していくべきものと考えております。しかしながら、その中において、銀行と同じように保険事業というものが非常に公共的な性格の強いものであるという点に着目いたしまして、その公共性の原則ということはできるだけそれを守っていくように指導をいたして参っておりますし、そういう方向で今後も参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/26
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027・松原喜之次
○松原委員長 次に宇都宮徳馬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/27
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028・宇都宮徳馬
○宇都宮委員 与党ですから、遠慮して、きわめて簡単に質問いたします。
実は私は、信用金庫と日銀との口座取引の開設の問題について、簡単に一つ質問したいと思うのですが、御承知の通り日銀と口座取引があるということは非常に便利です。その利用者にとっては、手形の交換が一日早く現金化できる、こういうわけで非常に便利です。また他の金融機関を通じて手形交換をいたしますには、やはりその銀行に多少金を積んでおかなければいけない。われわれは中小企業金融のためにいろいろ努力してやっているわけですが、日銀と口座取引をやらぬために、信用金庫が自分の親銀行と申しますか、その交換を代理さしておる銀行に相当お金を積んでおかなければいかぬということになって、中小企業金融業務がそれだけ減るということになります。しかも信用金庫と同じような中小企業金融の性格を持っている相互銀行は、一定の預金額があると日銀と口座取引が開けるということになっておりますが、信用金庫に限りましては、どういう規模になりましても、手形交換額がどれだけ多くなりましても、また預金量が多くなっても日銀と口座取引が開けないということになっておるわけです。これは中小企業保護の立場から申しましても、中小企業金融円滑化の立場から申しましても、非常におもしろくないと思います。これに対して銀行局長の御意見を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/28
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029・河野通一
○河野(通)政府委員 信用金庫と中央銀行たる日本銀行との間に口座取引を開くか開かないかという問題につきましては、金融機関の制度のあり方という問題について、いろいろ慎重に考えなければならぬ問題だと思います。しかし御説のように、そういうことができますと、信用金庫の側におきましては便益があるということは確かだと思います。従って、その便益の点と銀行制度というものを考えた場合に、中央銀行の機能なり性格なり使命なりとどういうふうにこれを結びつけるかという問題と、両方天びんにかけて実は考えるわけであります。御要望の点は十分検討いたしてみたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/29
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030・宇都宮徳馬
○宇都宮委員 ただいま金融体系全体の立場から、信用金庫と中央銀行とじかに取引させることはどうかというお話しがあったのですが、信用金庫のような中小企業金融機関とは日銀は取引しないというような原則的なお考えがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/30
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031・河野通一
○河野(通)政府委員 これは宇都宮委員も御承知と思いますが、中央銀行というものは、現在の組織におきましては、やはり商業金融の中央機関という形になっております。従って商業金融というものと中央銀行との関係というところに金融制度の中核があると思います。もちろん中小企業金融の中にも商業金融というものがあるのであります。これと中央銀行とのつながりは、制度的には全然あり得ないのだというふうに私は考えておりません。現に先ほど御指摘のように、相互銀行についても、従来は中央銀行と取引はなかったのでありますが、数年前からそういう取引を逐次開いてきております。しかも相互銀行は、信用金庫よりも若手その組織が銀行的な色彩が強いのですけれども、やはり中小企業金融機関だという点においては、信用金庫と似た点がある。そういう点がありますので、私どもは、この問題については十分御要望の点を検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/31
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032・宇都宮徳馬
○宇都宮委員 大へん積極的な御返事を得て心強いと思います。とにかく最近信用金庫も相当大きくなりまして、一生懸命で貯金を集めております。ですから、やはり相互銀行のように四十億以上、できたら、三十億以上というようなところに線を引く。それ以上になったら日銀と取引してもよろしいということになりますと、信用金庫としても非常に張り合いができるわけです。そして一生懸命で預金を吸収する、また組合員をふやすということになりまして、それだけ中小企業金融も円滑になるわけでありますから、日銀と信用金庫との取引開始の問題について、ぜひとも行政的に十分御努力をお願いいたしまして、はなはだ簡単でありますが質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/32
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033・松原喜之次
○松原委員長 暫時休憩いたします。
午前十一時三十六分休憩
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午後二時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/33
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034・松原喜之次
○松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
金融に関する件についての質疑を続行いたします。淺香忠雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/34
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035・淺香忠雄
○淺香委員 後藤財政部長に伺いたいのですが、今朝から大蔵省の銀行局長のお出ましを願って、消費生活協同組合、あるいは中小企業協同組合が最近非常に保険事業類似の行為をしておることについての見解をただしたのです。つきましては、自治庁の方にただしておきたいことは、消費生活協同組合にしても、また中小企業協同組合にしても、結局組合員の発意的な意思によって協同組合法に基いて作られた団体であって、これに県とか市が予算外の義務負担をやっておるということに対して、自治庁はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/35
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036・後藤博
○後藤政府委員 御説のように、私も消費生活協同組合、それから中小企業の協同組合組織による火災保険類似の事業に対して、予算外の義務負担行為をやっているという話を聞きますが、具体的な内容は聞いておりません。そういうものに現在の地方団体が関与していいか悪いかというお尋ねだろうと思うのでありますが、私はどうも現在のところは、まだ積極的に意思を表示してないのでありまして、ただ私どもとしては、そういうこともあり得るだろうから、その場合には、非常に事故が大きく起った場合には市町村が負担することになります。従って財政的に非常に裕福であれば問題はないのでありますけれども、財政的に裕福でないような市町村においてそういうことをすることは、われわれとしては現在消極的な意見を持っておる、こういう返事をいたしております。市において最近も一、二私どものところにいって参ったところがあるのでありますが、私どもは、それに対しては積極的な意思は表明いたしておりません。そういう組織でやるのがいいか、現在のような市町村府県のそれぞれのものの保険を全国的にやるのがいいかということにつきましては、まだ私どもはっきりした態度をきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/36
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037・淺香忠雄
○淺香委員 盛んになっておるという実態はお認めのようですが、これに対する対策とか、あるいは自治庁の今後の方針とかはまだお立てになっておらぬようですが、これは私は非常にうかつな話だと思うのです。というのは、今日自治体が義務負担を的確にやっておるところが神戸市、あるいは金沢市、名古屋市、京都、北海道、あるいは愛知、岐阜、秋田、福島、三重、たくさんの例があって、しかも市長なり、あるいは市の助役等が役員になっておる。そうして小さいので一千万円、三千万円、五千万円という程度の予算外の義務負担をやっているわけです。そこで私はあなたにお尋ねしたい点は、今日地方財政というものは非常に窮乏しておる。ほとんど赤字続きである。その窮乏しておる地方財政が、これだけの予算外の義務負担をやっていいかどうか、この問題についてあなたの率直な意見をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/37
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038・後藤博
○後藤政府委員 予算外の義務負担という制度は現在あるのでありまして、それがやはり住民の福祉を増進をするために予算外義務負担をするのであれば、私どもは何らとめる理由はないと思うのであります。ただその団体の財政が非常に悪いのに、予算外義務負担をして将来の負担を多くするというような結果になれば困る、こういうふうに考えております。従って今度の再建整備法の中にも、予算外義務負担等のものまでも見て参りまして、再建計画上どういうふうに処置していくか、それから将来のそういう再建団体の予算外義務負担については、注意を与えて、できるだけ財政の再建ができてからそういう負担をするように指導していきたいと思います。すでに義務負担のついておりますものを、この際やめるということはなかなかむずかしいことではないかと思いますので、すでにできておりますものはしようがないのではないか、将来の問題について、ある程度再建団体について規制をしていこうという程度の考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/38
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039・淺香忠雄
○淺香委員 これは予測できない問題でありますけれども、将来火災等が非常に多くあったといった場合に、三千万円なり五千万円なりの義務負担を決議して、これを支払いするときにその財源をどこに求めようとするのですか。たとえば地方債の発行によるのか、あるいは借入金によるのか、あるいはまた地方税の増徴によるのか、こういった点が私は考えられると思うが、これはどういった点にその財源を求めようとするのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/39
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040・後藤博
○後藤政府委員 私どもの考えでは、そういう負担はやはり地方債の問題ではなくて、一般財源、つまり税ないしは交付税でもってまかなわるべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/40
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041・淺香忠雄
○淺香委員 それにしましても、結局住民の負担になるか、あるいは国家の負担になるか、私はそうなると思うのですが、もしそういうことがありました場合に、地方財政法の第二条の精神、御承知の通り国の財政に累を及ぼすような施策を行なってはならぬということに、これは大きい関連を持つものだと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/41
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042・後藤博
○後藤政府委員 お尋ねの点がよくわからないのでありますが、おそらくそういう保険自業をやること自体が、国の施策に影響するということではないかと思います。しかしその地域内でもって住民の福祉になるような事業をやるということは、やはり自治団体でありますから、私は当然できると思います。直接やるやらぬは別でありますが、間接にこれを援助するということは、私は現在の自治制度の上でできると思っております。従って国との関係は、私はないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/42
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043・淺香忠雄
○淺香委員 そこで非常に問題になる点は、たとえば飯田とか、能代とか、熱海とか、あるいは先般ありました鳥取等のごとく、もし大火があって、その全市の三分の一なり四分の一なり焼けるような場合も想像されると思います。そうした場合に、三千万円、五千万円の義務負担で済まされるかどうかということを考えた場合に、これは追加負担をしなければならぬような場面に遭遇することも考えなければならぬと思う。そういう場合、もし追加負担でもしなければならぬというような場合に、自治庁としてどういうふうな御処置をとられるか。またひいては、地方財政に及ぼすところの影響は必ず甚大なりと私は思うのでありますけれども、これに対してあなたの見解はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/43
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044・後藤博
○後藤政府委員 すでに予算外の義務負担行為があり、そのワクが一応まとまっておりまして、その後にさらにそれを増額しなければならないような場合だろうと思います。そういう場合には、やはり自治団体が自治的に増額するかどうかをきめるべきものだと思います。ただその場合に、先ほど申し上げましたように、再建団体でありますれば、再建計画を中心に考えるべきであって、やはりその次の問題として考えていったらよろしいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/44
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045・淺香忠雄
○淺香委員 こういう実例があるのです。今の私の申し上げた点でのみ込めない点があるようでございますが、たとえば神戸に例をとりますと、現在二万二千人の加入者がある。このうち八、九十人の被災があった場合に、その内容は支払いができないようなきわめて貧弱な内容である。それは神戸共済の例をとりますと、三十年三月にこれは設立して、現在加入人員が二万二千七百幾ら、契約者が三万九千五百幾ら、共済掛金が一千二百四十七万一千七百円、組合の出資が百四十八万五百五十円、合計一千三百九十六万円、その掛金から手数料を一〇%引くと、掛金出資の合計は一千二百六十八万円、共済金、すなわち保険金額は一口十万円ですから、これを百二十七日分に割りますと、一・三三で除すと、九十五になるのです。そこで先ほど申しましたように、かりに市内の三分の一でも焼けた場合に、予算外の義務負担というものは三千万円あるいは五千万円でいけるかどうか、どうしても追加負担を決議しなければならぬ。そんなことができるかどうか、ここに私は非常に問題があると思うのです。これは重大なところですから、もう一ぺん答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/45
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046・後藤博
○後藤政府委員 ただいま具体的な例でのお話しでございますが、私どもは、その場合に負担をするかしないかにつきまして、従来はかれこれ言っておりません。従って、その地方団体がやはり議会に諮って、その負担関係をはっきり議会できめるというのでいいと思うのでありますが、ただ赤字の多い団体がそういうことをしてもらっちゃ困る、自分の団体の赤字を消すことを中心に考えてもらいたい。住民全体の場合でありますればまた別でありますが、おっしゃいますような住民全体ではなくて、住民の一部が加入しているようなものに予算外の義務負担を多くするということは、現在の自治の建前から申しましてもいいことではないのではないか、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/46
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047・淺香忠雄
○淺香委員 一、二お伺いしておきたいと思うのは、火災共済の契約募集に市の消防の方が従事しておられる。その資料は、あなた方のお手元に届いていると思うのであります。これは消防の任務にもとるのではないか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/47
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048・後藤博
○後藤政府委員 私は、募集につきましては内答をよく聞きませんので、今初めてお話しを承わったのでありますが、やはり消防職員がそれに従事することは適当ではない、かように考えます。ただ市の消防職員は限定された人でありまして、常備消防以外の消防団員というのがおりますので、そういう人がやりますことについては、私どもかれこれ申し上げる筋合いではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/48
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049・淺香忠雄
○淺香委員 非常勤消防団員とは、非常勤の意味をさすのだと思いますが、非常勤の方は差しつかえないようなお話しがありましたが、非常勤のものについては、町村の条例によってこれをきめなければならぬ。ところが条例があるところがあるかといえば、ほとんどないのです。そういう場合に、あなたの今の答弁がどうも食い違いが出ているように思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/49
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050・後藤博
○後藤政府委員 常勤の消防職員は、おそらくそういうことに携わることはだれでもいけないということになると思います。非常勤の消防団員が携わること、これは条例のある場合とない場合とあるかもしれません。多くの場合はあるのでありますが、そういう人は非常勤でありますし、ほとんど報酬をもらっておりませんから、他の職務をやることは別に差しつかえないのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/50
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051・淺香忠雄
○淺香委員 部長は参議院の方へお急ぎのようですから、簡潔に申し上げますが、消防本来の任務は、焼ける前に生命、財産を保護することをもって任務としていると思います。消防の任にある者が火災保険の募集に携わっていくことは、非常に問題があると思います。というのは、一つの例をあげますと、毎日新聞に契約募集の資料として、消防職員のことが出ておった。内容は言いませんけれども、強制されている。これに尽きると思う。強制されているというところに非常に問題があると思いますが、どうですか。
それから契約というようなものは、全部消防署を通じてでなければいかぬというようなことまでやっておりますが、こういう点について御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/51
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052・後藤博
○後藤政府委員 お話しの消防職員がどういう資格でもってやっているかというのが問題だろうと思います。もしも単なる消防職員がそういうものに関与しているとすれば、私どもは注意しなければならないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/52
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053・淺香忠雄
○淺香委員 だいぶ急いでおられるようでありますし、国会末でもあり、いろいろ客観的情勢もありますから、いろいろこれに関連して突っ込みたいのですが、一応これはこの程度にいたしまして、次会か何らかの機会にさらに続行させていただきたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/53
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054・松原喜之次
○松原委員長 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を続行いたします。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/54
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055・春日一幸
○春日委員 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案は、増資百四十億、これが本法律案の骨子であると思うわけであります。なかんずく百四十億は、一括して産業投資特別会計から投資されることに相なっているわけであります。しこうして、百四十億円のうち七十億は、特殊物資納付金処理特別会計から産投特別会計に繰り入れられる、こういうことが予算書には記載されていないけれども、説明書の中に詳細に記載されておるわけであります。ところが御承知の通り、この会計は、片一方は農林委員会において、片一方は商工委員会において継続審議になって、本国会中にはこの法案は成立しません。成立しないという状況下において、結局この原案を検討いたしますと、この所要財源、特にこの七十億の財源が特殊物資納付金処理特別会計から受け入れることができ得ない。従ってわれわれがこの法律案をかりに通したとしても、百四十億の増資をかりにここで与党並びに政府の御要請によって通したとしても、財源に事欠くという形になる。これは一体どこから七十億円を持ってこられるのであるか。現在のこの特殊物資納付金処理特別会計自体が成立をしていないし、それに必要なところの両委員会における法律もなお成立していない。七十億円という財源がなくて、法律を通したところで、全然意味をなさぬと思うし、また百四十億円の財源を得る道がないと思うが、にもかかわらず、政府はこの法律案を通せ、こういうことを強要しておるが、一体これは、どういう理由に基くものであるか、またかりにこれが通ったならば、この財源をどこから弁ずる方針であるか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/55
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056・藤枝泉介
○藤枝政府委員 輸出入銀行に対する百四十億の出資は、ただいま春日さん御指摘のように、産投特別会計からすることになっております。そしてこれも御案内の通り、産投からは、そのほか開銀及び電源開発会社にも出資をいたすことになっております。それでその産投の歳入の中に、ただいま御指摘のように、特殊物資会計からの七十億円の受け入れが歳入に上っておるわけでありまして、その七十億がもしもできなくなった場合にどうするかというお話でございますが、それは単に輸出入銀行ばかりでなく、電源、開銀等にも影響があるわけでありまして、直接に特殊物資の方から上って参ります。十億を輸出入銀行にリンクしておるという考え方ではございません。従ってこの輸出入銀行法の百四十億の出資の改正をお通しいただきまするならば、できるだけ産投の中においての電源開発、開銀とのにらみ合せも考えて、輸銀の必要性にかんがみて、その資本を充実していく、もし産投でどうしてもできない面がありますならば、他の一般的な財政投融資等の関係を考えまして、それの資金源とのにらみ合せにおいて善処いたして参りたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/56
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057・春日一幸
○春日委員 そういたしますと、この七十億円というものは、現実に本国会においては、まかなうに必要とするところの法律が未成立に終っておるから、これは調弁することができない。にもかかわらず、日本輸出入銀行の百四十億円をどうしても確保しなければならぬ、こういう形になれば、そうすると開発銀行に対する六十億と、電源開発に三十億、これを削ってここへ導入するか、あるいは按分比例で、これを三つの事業投資に分配するか、あるいはまたこの日本開発銀行と電源の出資を、これをそのままにするならば、この輸出入銀行の方において資金運用部資金から、別途七十億の借り入れを行おうとしておるが、この方面に、とにかくこれを三百五十億にふやすことによって、一応出資ではないけれども、輸出入銀行としての本年度の五百億資金計画というものは調弁することができると思う。私はこの開発銀行の六十億といえども、電源開発の三十億といえども、これは架空の見積りではなくて、それぞれの事業計画に基いて、必要欠くべからざるところの予算がここに計上されて、国会はこの予算書に基いて承認を与えておるので、今あなたの御答弁によると、開発銀行や電源開発の方を圧縮する、こういうことであるが、それで差しつかえないのであるか、現実に圧縮され得るのであるかどうか。圧縮しても、これらの事業計画は支障を来たさないものであるかどうか、この点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/57
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058・藤枝泉介
○藤枝政府委員 一例として申し上げたのでありまして、電源開発、あるいは開銀等の資金計画も、すでに御審議をいただきましたように必要なものであります。しかし先ほどもお話し申し上げましたように、特殊物資会計から産投へ入って参ります。十億というものが、そのまま輸銀にリンクされておるという考え方ではないのでありますから、従ってもしも産投の歳入の七十億というものが全然見込みがなくなったという場合は、あらためて産投としても考えなければならないことになるということを申し上げたのであります。そうして、場合によっては、他のあるいは資金運用部から産投へ回して、それを産投からの出資にするとか、あるいはまた直接に、春日さんがおっしゃったような、資金運用部資金を貸付金の形でやるということもございますが、できるだけ輸銀の出資金そのものを充実いたしたいというのが、私どもの考え方でありますから、それと投融資計画全体をにらみ合せまして、そうして輸出入銀行の資本金も充実して、ともにまた開銀にしても何らかの処置をしなければならぬ。しかし全体の財政投融資計画の資金が、予定通りにならないという場合には、あらためて実行計画を立てなければならないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/58
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059・春日一幸
○春日委員 御答弁によると、産投会計の全体のワクの中において、この七十億円の別途の操作をすると言われるのでありますけれども、産投の会計の総額は二百三十八億円です。そうしてその出資の額というものは二百三十億、操作しようと思ったら八億しか操作のできるスペースというものがない。従って二百三十億の出資計画の中で七十億というものが減ってくれば、これは明らかに電源開発、あるいは開発銀行、あるいはこれを二つを減らすか、あるいは三つを按分に分配するか、現実の問題としては方法がないのです。これが一千億とか二千億の大きな会計の話だったら、七十億円くらい捻出する、いろいろな操作ができるかもしれぬのですが、この三つの支出が二百三十八億の中で二百三十億を占めておる、操作の全然余地がない。そういう意味で、二つの法案が今継続審議になって、現段階において本委員会が、全然資金の見通しが立っていないのにこういう法律を通すということは、非常に無理ではないか、それに実情に即せないではないか。さらにまた特別会計の予算をわれわれが承認を与えたということは、これは産投からこういう金がくるから、その金をもってここへ資金を運用していくんだ、そういう説明に基いてのわれわれが理解の上に立って承認を与えておる。ただ説明された大前提というものが、全然ここでこわれてきた。従ってそういうときには、その現実に即したところの法律の修正が行われることが、当然にして必要欠くべからざることであると思う。それがいわば正論なんです。ところが今政府の答弁によりますと、どうしてもできぬ場合においては、さらに後日法律を修正して、そして資金運用部資金からの借り入れの道を講ずることによって、資金構想を立てていく。百四十億の出資を、一時総資金源の弁ぜられるだけ出資して、そして他に方途を講ずるというような御答弁もありますし、のみならず、わが日本社会党は、特に輸出振興を重大視いたしておりますので、当面輸出振興に支障があってはならないという大所高所に立ちまして、政府の提案ははなはだ支離滅裂であって、理論が一貫しないけれども、わが党は輸出振興という大局的立場に立って、一応この質問を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/59
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060・松原喜之次
○松原委員長 お諮りいたします。本法案に対する質疑はすでに尽されておりますので、この際質疑を終局し、討論を省略して、直ちに採決いたすことに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/60
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061・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさようにいたします。
これより採決いたします。本法律案を可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/61
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062・松原喜之次
○松原委員長 起立総員。よって本法律案は前会一致をもって原案の通り可決いたしました。
この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/62
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063・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/63
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064・松原喜之次
○松原委員長 次に、閉会中審査の件についてお諮りいたします。
御承知の通り、委員会は、特に議院の会議で付託された案件についてのみ閉会中も審査ができることと相なっておりますので、当委員会におきましては、次の案件について閉会中もなお審査ができ得るように議長に対し申し出をいたしておきたいと存じます。すなわち、一、特殊物資納付金処理特別会計法案、一、証券投資信託法の一部を改正する法律案、一、接収貴金属等の処理に関する法律案、一、銀行法の一部を改正する法律案、一、地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律の一部を改正する法律案、一、酒税法の一部を改正する法律案、一、北海道に在勤する者に支給される石炭手当等に対する所得税の特例に関する法律案、一、税制に関する件、一、金融に関する件、一、外国為替に関する件、一、国有財産に関する件、一、専売事業に関する件、一、印刷事業に関する件、一、造幣事業に関する件、一、補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する件、以上の通りであります。これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/64
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065・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお、申出書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願っておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/65
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066・松原喜之次
○松原委員長 次に、閉会中における小委員会の存続並びに委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。
ただいま御決定を願いました閉会中審査申し出の件が正式に当委員会に付記になりました際には、今会期中において設置いたしました税制に関する小委員会、金融に関する小委員会、国有財産に関する小委員会、専売事業に関する小委員会は閉会中もなお存続せしめ、各小委員及び小委員長は従前通りとして、それぞれ調査を進めることにいたしたいと存じまするが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/66
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067・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお、この場合の小委員並びに小委員長の補欠選任につきましては、会期中と同様に適宜委員長より指名することに御一任を願っておきます。
また、閉会中におきまして必要がありましたならば、各地に委員を派遣して、実地に実情を調査いたしたいと存じますので、議長に対し承認方を申請いたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/67
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068・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお、派遣委員の選定、期間、派遣地等並びに申請書の作成、提出手続等につきましては、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/68
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069・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/69
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070・松原喜之次
○松原委員長 この際お諮りいたします。先刻御決定願いました証券投資信託法の一部を改正する法律案につきましての閉会中審査の件が議院の会議で正式に付託されましたならば、来たる八月三日及び四日の両日委員会を開会いたしまして、この法律案について、証券会社関係者を参考人として出頭を求め、意見を聴取することに、取り計らいたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/70
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071・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお、出頭を求める参考人の選定等の手続につきましては、すべて委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/71
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072・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお、一言ごあいさつを申し上げます。
長期にわたる今国会中、ことにその最後に当りましては、炎熱焼くがごとき中にもかかわらず、皆様方の御熱心なる御審議をいただきまして、おかげをもって滞りなくすべての案件を議了いたしましたことは、委員長といたしましてまことに感謝にたえないところでございます。どうか炎熱のさなかでございますから、おのおの御自愛いただきまして、次の国会には、元気百倍のお顔を見せていただきますようお祈りいたしまして、最後のごあいさつといたします。(拍手)
これにて散会いたします。
午後三時一分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204629X04219550730/72
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