1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月二十七日(金曜日)
午後二時三分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 安藤 覺君 理事 池田 清志君
理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君
理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君
理事 門司 亮君
亀山 孝一君 唐澤 俊樹君
木崎 茂男君 櫻内 義雄君
渡海元三郎君 丹羽 兵助君
長谷川四郎君 熊谷 憲一君
灘尾 弘吉君 山崎 巖君
吉田 重延君 山村 繼義君
北山 愛郎君 五島 虎雄君
坂本 泰良君 杉山元治郎君
中井徳次郎君 西村 彰一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 川島正次郎君
出席政府委員
自治政務次官 永田 亮一君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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五月二十七日
委員臼井莊一君及び灘尾弘吉君辞任につき、そ
の補欠として川崎末五郎君及び福永一臣君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員福永一臣君辞任につき、その補欠として灘
尾弘吉君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八〇号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01219550527/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
本日は去る二十四日本委員会に付託されました地方交付税法の一部を改正する法律案及び一昨二十五日に付託されました地方税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。川島国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01219550527/1
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002・川島正次郎
○川島国務大臣 ただいま提案いたしました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
御承知の通り地方交付税制度は、本年第二年度目に入るわけでありますが、昨年実施されました都道府県警察の平年度化、昭和三十年度における国庫補助負担率の改訂等に伴って当然に道府県分警察費その他の経費にかかる単位費用について所要の改訂を加える必要が生じて参りますのと、警察職員の定員の減少等に伴う退職手当、奄美群島復帰善後処理費の廃止に伴う奄美群島に対する特別交付税の交付要因の増加等普通交付税の機械的算定方法によっては的確に捕捉し得ない特殊財政需要の増加が予想されることに加え、昨年度における交付税制度運営の結果にかんがみ、各地方団体について算定した基準財政需要額が基準財政収入額をこえる額の合算額が普通交付税の総額をこえる場合に交付税の総額の二%を限度として特別交付税の総額を減額して普通交付税に加える現行制度を維持することは、技術的に交付税の算定を困難にすることとなりますので、この際むしろこの制度を廃止して、特別交付税の総額は、交付税の総額の八%に相当する額としてその所要額を確保する措置をとることが必要であると考えるのであります。このほか、基準財政需要額及び基準財政収入額の算定方法になお若干の改正を加え、その合理化を推進する必要がありますのと、さらに、地方財源の現況にかんがみ、昭和三十年度に限り、三十億円を日本専売公社より交付税及び譲与税配付金特別会計へ納付し、これを地方交付税の総額に加え、地方交付税と同様の方法によりたばこ専売特別地方配付金として各地方団体へ配付することといたしましたことに伴い、地方交付税法の規定に所要の改正を加える必要が生じて参ったのであります。これが、この法律案を提案する理由であります。
次に、改正の内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。第一は、基準財政需要額の算定方法に関する事項でありします。
その一は、単位費用の訂正であります。昨年末行われました都道府県警察に要する経費の是正に伴い、平年度における道府県分警察費の単位費用を増額する必要があるほか、単位費用積算の基礎において職員の配置を想定しているものについては共済組合負担率の改訂により、国庫補助負担金を伴うものについては昭和三十年度の国庫予算案による補助負担率の改訂により算定の基礎に変動が生じて参りますので、これらの諸点について算定がえをた行い、単位費用に改訂を加えたのであります。
その二は、経費の種類及び測定単位につき、特例都市計画法の廃止に伴い、道府県分、市町村分とも経費の種類から戦災復興費を削除し、これに伴い市町村分については都市計画費の測定単位に土地区画整理事業の施行地区の面積を新設することとしたほか、従来、道府県分については水産行政費、市町村分については産業経済費に算入されていた漁港に関する経費を港湾費において算定することとするため、港湾費にかかる測定単位の数値には漁港の数値をも含むものとし、その合理化をはかったことであります。
その三は、態容補正係数の算定に用いる種地の区分を十種地から二十種地に増加させることとし、種地を異にする市町村相互間における基準財政需要額の変動を緩和することといたしたことであります。
第二は、基準財政収入額に関する事項であります。基準財政収入額の算定は逐次合理化されておりますが、これをさらに推進するとともに、地方税制度の改正にも照応し、固定資産税等数種の税目における基準税額の算定の基礎を改正するほか、道府県民税中法人税割、法人に対する事業税及び市町村民税中法人税割の基準税額の算定について、当分の間、前年度における算定過小またば算定過大と認められる額をその翌年度において精算することといたしたのであります。
第三は、交付税の種類ごとの総額に関する事項であります。現行制度におきましては、各地方団体について算定した基準財政需要額が基準財政収入額をこえる額の合算額が地方交付税の総額の九二%である普通交付税の総額をこえるときは、総額の二%を限度として、当該こえる額は、特別交付税の総額から減額してこれに充てることとされておるのでありますが、こ制度は、昨年度における実施の結果から見ても、また、本年度以降においては、都道府県警察の平年度化、奄美群島復帰善後処理費の廃止等に伴い特別交付税において措置すべき経費が増加してくること等を考慮しても、交付税の算定を技術的に著しく困難にし、特別交付税そのものに十分な機能を発揮せしめるためには、交付税の総額の八%程度の額は、これを確保する必要があると考えられますので、今回この制度を廃止し、特別交付税の総額は、交付税の総額の八%に相当する額に一定することといたしたのであります。
第四は、たばこ専売特別地方配付金に関する事項であります。地方財政の現況にかんがみ、地方財源の充実をはかるため、明年度からたばこ消費税の税率を引き上げる案につきましては、別途地方税法の一部を改正する法律案を提出いたし御審議をわずらわしているのでありますが、本年度におきましては、暫定的に、これにかえて、たばこ専売益金のうち三十億円を交付税の総額に加え、交付税法で定める方法により、たばこ専売特別地方配付命として、各地方団体に配付することとしているのであります。このため、この法律案の附則において、昭和三十年度に限り、日本専売公社より交付税及び譲与税配付金特別会計へ納付されることとなった三十億円については、これをたばこ専売特別地方配付金として配付する旨を定めるとともに、本年度分の普通交付税の総額は、この三十億円を加えた総額すなわち一千四百十八億余円の九二%の額とし、特別交付税の総額は、一千四百十八億余円の八%の額から、たばこ専売特別地方配付命に相当する三十億円を控除した額とすることとし、たばこ専売特別地方配付金は、特別交付税の交付の例により配付することとしているのであります。これにより、本年度分の普通交付税の総額は、一千四百十八億余円の九三%、特別交付税の総額は、一千四百十八億余田の八%から三十億円を控除した額となり、別途、たばこ専売特別地方配付金が特別交付税の交付方法と全く同一の方法により配付されることとなるわけでありまして、その配分の実質は、交付税の総額が三十億円増加した場合と全く一致することとなるわけであります。
以上がこの法律案の内容の概略でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられんことを希呈するものであります。
次に、地方税法の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。
昨年第十九回国会におきまして、地方制度調査会並びに税制調査会の答申の趣旨に沿って地方税制の大改正を行い、これによりまして、地方税制は一応の安定を得たものと認められますので、現政府としましても、現行地方税制についてさらに大幅の修正を加えることは考えていないのであります。従いまして、今回は、その後の国民負担の現況、改正法実施の状況等より勘案したところによりまして、若干の改正を行うにとどめているのであります。
今回の改正の骨子となる考え方は、第一には、租税負担の均衡化をはかることであります。負担の均衡化につきましては税制上常に留意すべきことでありまして、個人事業税の基礎控除額を引き上げることといたしましたほか、自動車税におきまして、揮発油を燃料とする自動車と軽油を燃料とする自動車との間の税率の均衡化をはかるなどのことをいたしているのであります。
第二は、税務行政の簡素合理化を期することであります。昨年の改正によりまして、東業税その他の税目につきまして相当徹底した措置がはかられたのでありましたが、なお改正法失地後の経過にかんがみまして、今回さらに若干の改正を行うことによって、従来ややもすれば税務行政が複雑なるがゆえに、住民の納税意欲をそこなったような傾向のありました点を是正いたしたいと考えたのであります。固定資産税の対象となる土地、家屋についての評価を、おおむね三年ごとに行うものとするほか、不動産取得税について免税点を新たに設置し、償却資産に対する固定資産税の免税点を引き上げるなどの措置をいたしているのであります。
第三は、国税の減税による地方税の減収を可及的に避けることであります。地方財政はきわめて窮迫した状態に置かれていますので、国税額を課税標準とする道府県民税や市町村民税については、減税後の国税額を課税標準とするものから、具率を調整することといたしているのであります。
右のような考え方のもとに今回改正を行っているのでありますが、次にその具体的な内容について御説明申し上げます。
改正事項の第一は総則に関する事項であります。
その一は、最近非常に進捗しております。市町村合併に伴う措置についてでありますが、合併に伴い、合併関係市町村の課税権がどのように承継されているかについて原則的な規定を設け、合併の時を境として、新市町村は旧市町村の課税権を承継するものとし、これによって町村合併に際して生ずる課税上の紛議を避けようといたすものであります。
その二は、地方税の納付または納入の委託の制度を設けたことであります。納税君または特別徴収義務者が地方税等の納付またば納入を委託するために先日付小切手等地方団体の長が定める有価証券を提供した場合には、徴税吏員は、その委託を受け、有価証券が現金化されるときに納税者または特別徴収義務者にかわって納付または納入の手続を行うことができるよう規定して、納税の便宜、合理化をはかったのであります。
その三は、延滞金、延滞加算金及び還付加算金の額を計算する場合の率についてでありますが、これらのものは利子的な性格を持つものであり、かつ、現在の一般金利水準から見ました場合に現行の日歩四銭の率はいささか高きに失するきらいがあると考えられますので、国税における改正と歩調を合せてこれを日歩三銭に改めることとしたものであります。
その四は、過納または誤納の税金を納税者に還付する場合においては、その過納またに誤納の原因が納税者の責任であるときには、現在その還付金について還付加算金をつけないことといたしているのでありますが、これを改めまして、その原因がどのようなものでありましても、地方団体に納付または納入された税金を還付する場合には常に還付加算金をつけることとし、国税の場合とその取扱いを一にいたしたのであります。
その五は罰則についてでありますが、この点に関しましては、昨年第十九回国会における論議にもかんがみ、検査拒否、虚偽申告等の秩序犯に対する罰則の合理化をはかったのであります。
改正事項の第二は、道府県民税中法人税割の税率の改正に関する事項であります。先般提案されました法人税法の一部を改正する法律案におきましては、法人税の税率は従来の百分の四十二から百分の四十に軽減するものとされておりますので、法人税割の額を従前通り据え置くために法人税の税率の引き上げに相当する率だけ税率の引き上げを行うことといたしたのであります。
改正事項の第三は事業税に関するものであります。
その一は法人の専業税についてであります。まず損害保険事業の課税標準を収入金額に改めたことであります。損害保険事業にありましては、その事業の性質上、所得の相当部分を資産の運用による利益に求めているのでありますが、他面、法人税にあっては配当所得を益金に算入しないこととしていますので、法人税の課税標準たる所得を課税標準とする事業税の課税は、損害保険事業については必ずし適正を得ていないのであります。そこで所得と収入金額の二方式を定める法人事業税の課税標準について、損害保険事業に対しましては、生命保険事業に準じ、収入金額方式をとることといたしたのであります。
次に、現在各種協同組合等について、その法定準備金の額が出資総額の四分の一の額に達しないものは、配当金額のみを事業税の課税標準としているのでありますが、このような各種協同組合等の範囲を法人税の坂扱いに準じて、積立金の額が出資総額の四分の一の額に達しないものと改めました。また、昨年の改正において年所得五十万円以下の部分についてば百分の十の軽減税率が適用されている点について、その後の実施の状況を見ますと、大法人特に分割法人の場合には納税手続が煩雑であるとの意見もありますので、今回「三以上の道府県において事務所又は卒業所を設けて聖業を行っている資本金五百万円以上の法人」については軽減税率を適用しないものとして、納税手続の簡素化をはかりましたほか、申告書についての法人の代表者等の自署押印の制度は、本店所在地の道府県に対する分のみに止めることとして、申告手続の簡素化をはかっているのであります。
その二は個人の事業税についてであります。昨年税率を従来の三分の二程度に引き下げるとともに基礎控除額を七万円とし、大幅の負担軽減の措置が行われたのでありますが、今回さらに中小個人専業者の税負担を軽減するため基礎控除額の引き上げを行うことといたしたのであります。しかしながら、これによる収入の減少ば相当額に上り、現在の窮迫せる地方財政にとっては莫大な負担となりますので、とりあえず昭和三十年度十万円、昭和三十一年度以降十二万円としたのであります。なお、これによる減税額は昭和三十年度三十二億円、昭和三十一年度五十億円、平年度六十億に上るのであります。
改正事項の第四は、不動産取得税に関するものであります。
税務行政の簡素合理化をはかる見地から、新たに免税点制度を設けることといたしましたほか、最近におけるビル建築の実情から、その主体構造部の取得者と造作その他の附帯設備の取得者が異なる場合がありますので、このような場合には主体構造部の取得者をその家屋の取得者と推定して不動産取得税を課することができるものとし、もって課税上の取扱いを明確にいたそうとするのであります。
改正事項の第五ば自動車税に関するものであります。
軽油を燃料とする自動車ば、揮発油税を負担しないことと道路の損傷度が高いことから、その税率を揮発油を燃料とする自動車の五割増に定められているのであります。しかるところ地方道路税の創設に伴い、揮発油に対する租税負担が増額され、軽油自動車と揮発油自動車との間における租税負担の不均衡がさらに拡大されることになりますので、軽油自動車の税率を揮発漁自動車のそれの、昭和三十年度においては七割五分増、昭和三十一年度以降においては十割増といたしたいのであります。その結果、トラックのうち常業用のものについては、現行二万一千円が昭和三十年度二万四千五行円、昭和三十一年以降二万八十円となるのであります。
改正事項の第六は市町村民税に関するものであります。
その一は、税率の調整をはかることであります。すなわち個人の市町村民税の所得割のうち所得税額を課税標準とするいわゆる第一方式による場合について、昭和三十一年度から従来の課税限度額に関する規定を改め、新たに税率の定めを設けようといたすのであります。今般所得税の一部を改正する法律案にあります通り、本年より所得税の軽減がはかられるのでありますが、これに伴い所得税額を課税標準とする個人所得割の負担を従来程度に据え置くとともに、その税率を明らかにし、現行の課税限度額の規定を除くことによって高額所得者と低額所得者との間の負担の均衡をはかろうとしているのであります。また法人税割については、道府県民税において御説明申し上げましたのと同趣旨により税率の改訂を行うものであります。
その二は、法人の均等割は、法人税割とあわせて申告納付の方法によって徴収するものとしたことであります。
その三は、給与所得者に対する市町村民税の特別徴収の方法について合理化をはかったことであります。従来は、市町村がその条例で特別の定めを設けた場合に限って、給与所得者の給与所得にかかる所得割及び均等割のみを、特別徴収の方法によって徴収することができるものとされていたのでありますが、徴税の合理化と納税の円滑化をはかるため、特別徴収の方法を不適当とするような場合を除いては、原則として特別徴収の方法によって徴収するものとするとともに、市町村がその条例をもって定めれば、納税者からの反対の申し立てがない限り、給与所得者の給与以外の所得にかかる所得割についても、特別徴収の方法によって徴収することができるものとしたのであります。
改正事項の第七は、固定資産税に関するものであります。
その一は、固定資産のうち土地及び家屋の評価は、おおむね三年度ごとに行うものとし、原則としてその間はその価格を据え置くものとしたことであります。固定資産の評価は、従来毎年一月一日における時価によって行うものとされていたのでありますが、物価もほぼ安定した最近の経済事情のもとにおいては、土地及び家屋について毎年あらためて繰り返し評価することは、納税者に対し、不必要にその租税負担について不安定な感じを与えるのみならず、徴税上も多大の手数を要する結果となってしまうおそれがあるのであります。このような事情のもとにおいては、土地及び家屋については、法定の基準年度において評価した価格を、原則として三年度間据え置くものとすることによって、税務行政の簡素化と合理化を期することが妥当であると考えられるのであります。従いまして、今回の改正においては昭和三十一年度、昭和三十三年度及び昭和三十三年度以降順次三年度ずつ経過することの年度を基準年度とし、この基準年度の土地及び家屋の価格を第二年度または第三年度においても据え置くものとするとともに、地目の変換、市町村の廃置分合等特別の事情のあるもの及び第二年度または第三年度において新たに固定資産税を課することとなるものについては、基準年度の価格に比準ずる価格によって評価するものとしたのでありまして、これによって固定資産税の課税は著しく安定し、かつ、合理化されることとなったものと考えられるのであります。
その二は、償却資産に対する固定資産税の免税点を昭和三十一年度から現行の五万円を十万円に引き上げ、課税事務の合理化をはかることであります。
その三は、大規模の償却資産に対して市町村が課することのできる課税限度額について、所在市町村の収入の激変を緩和するため、一定の年度間に限り、所要の措置を講ずることとしたことであります。現行の規定においては、大規模の償却資産の所在する市町村は、その前年度の基準財政収入額が基準財政需要額の一・二倍に達しないものについては、基準財政需要額の一・二倍の額に達することとなるまで、その課税限度額を引き上げて課税することができるものとされているのであり、特に昭和三十年度におきましては基準財政需要額の一・三倍の額まで保障することにより所在市町村の収入の激変を緩和するよう考慮されているのでありますが、なお、その額が、昭和二十九年度の基準財政収入額の九割の額に達しない場合においては、その程度まで課税限度額を引き上げてその収入額を保障するものとし、以後三十一年度、三十二年度についてもこの割合を順次逓減しながら同様の趣旨の措置をとることとしたのであります。また、このような激変緩和の措置を講ずることとなったのに伴い、町村合併促進法の規定によって合併した市町村についても、その合併によって課税限度額が従来より引き下げられないよう必要な措置を講ずることとしたのであります。
改正事項の第八は自転車荷車税に関するものであります。
その一は、原動機付自転車の標準税率を調整したことであります。本年四月一日から道路運送車両法の一部が改正され、従来軽自動車として自動車税を課されていたもののうち二部が原動機付自転車となることとなりましたが、これらのものについて従来の標準税率五百円をそのまま適用することは他のものとの間に負担の均衡を失することとなりますので、その税率区分の調整をはかったのであります。
その二は、徴収の方法について証紙徴収の方法によることができるものとしたことであります。すなわち、自転車または荷車の所有者は、市町村の条例の定めるところによって、その自転車または荷車に一定の標識をつけるものとした場合においては、その標識を交付する際、証紙徴収の方法によることができるものとしたのであります。
改正事項の第九は、たばこ消費税に関するものでありまして、その税率を昭和三十一年度分から引き上げたことであります。すなわち、道府県については現行の百十五分の五を百分の六とし、市町村については現行の百十五分の十を百分の九としたのでありますが、この増率による増収は、道府県分三十九億円、市町村分八億円の見込みであります。
以上、今回の地方税法の一部を改正する法律案につき内容の概略を御説明申し上げたのでありますが、これらのほか、規定の整備をはかる意味合いから若干の条文の整理改正をいたしているのであります。これらの改正によりまして本年度におきましては、改正前に比し二十九億円を減ずることとなるのでありますが、若干の自然増収に属するものもありますので、前年度に比し、五十億円を増し、地方税収入額は三千六百十一億円となる見込みであります。
何とぞ慎重御審議の上すみやかに本法案の成立を見ますようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01219550527/2
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003・大矢省三
○大矢委員長 続いて両案に対する改正細目について説明を願いますが、まず奧野税務部長から、地方税法の改正について説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01219550527/3
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004・奧野誠亮
○奧野政府委員 「地方税法改正事項細目」というのをお配りしておきましたけれども、それに従って説明させていただきます。三十数ページにわたるガリ版刷りのものでございまして、改正事項を大体全部網羅しているつもりであります。簡単な点は朗読するだけにとどめさせていただきます。
一は、廃置分合または境界変更があった場合において旧地方団体に属した地域にかかる課税権は原則として新地方団体が承継するものとすること。従いまして、また旧地方団体がきめておりました条例や規則なども、新駒方団体が条例で特別の定めをいたしません限りは、なおその条例が生きていくというようなことにいたそうと考えているのであります。
三番目は、納税者または特別徴収義務者が地方団体の徴収金の納付または納入を委託するため、駒方団体の長が定める有価証券を提供した場合においては、徴税吏員は、納付または納入の委託を受けることができるものとすること。納税者が先付の小切手等を提供いたしました場合にも、それをもって徴税吏員が納税の管理を引き受け、先付の小切手が現金化されました場合に、税金の納付があったものとみなそうとするわけであります。昨年国税につきましてこのような措置がとられたわけでありますし、地方税につきましても若干の団体で行なっているわけでありますので、はっきりした姿のもとに置き心したいというふうに考えているのであります。
三は、延滞金額及び延滞加算金額を計算する場合の率を日歩三銭に引き下げることに伴い、還付加算金額を計算する場合の率を日歩三銭に引き下げ、過納または誤納の原因が納税者等の責に帰すべき事由による場合であっても、これをつけるものとすること。現在は、納め過ぎであったのが、納税者の計算速い等の事由によります場合には、還付加算金をつけないのであります。しかしながら、還付加算金は元来利子の性格を有するものでありますので、受け取る際にその点はよくただすべきであったとも考えられますので、常に府県や市町村から、利子をつけて返すようにいたしたいのであります。
四番目は、公示送達の場合における、みなす送達の期間を、国税の取扱いに準じ、公告の初日から七日に改めること。納税者の住所がわからなかったり、あるいはまた徴税令書の受け取りをこばんだりいたしました場合には、要旨を公告いたします。そういたしますと、現在のところでは十四日を経た日に送達があったとみなされるのでありますけれども、国税の方は七日になっているのであります。事務の便宜から考えますと、できる限り国税に合せた方がよろしいわけでございますので、このように改正いたしたいのであります。
道府県民税につきましてその一は非課税の範囲に社会保険診療報酬支払差金を加え、昭和三十一年度分の通府県民税から適用するものとすること。公益法人の追加であります。
二番目は、市町村の廃置分合または境界変更があった場合においては、旧市町村にかかる配賦額、税率等を新市町村が承継するものとする等規定の整備をはかること。この点につきましては、昨年北山さんから大へん熱心な御意見がございました。合併が行われて、そこで市町村民税の均一課税がなされるような場合には、道府県民税が不均一になるのではないかということでございます。そこでこのたびの改正に当りまして、旧市町村の地域ごとに配賦された道府県民税を計算すればどれくらいの額になるか、この額を旧市町村の地域ごとの所得割の額で押えまして、旧市町村の地域ごとの道府県民税の税率を算定することができるようにいたしたいのであります。そうすることによりまして、市町村民税の所得割ば均一課税が行われるけれども、道府県民税の所得割は実質的には均一課税になるわけであります。
三は、法人税割について、減税後の法人税額を課税標準として、なお、おおむね従前通りの額を維持できるようにするため、法人税の税率の引き下げに伴い、その標準税率を百分の五・三制限税率を百分の六・三に改めること。全く同じ額を維持できるようにしたいのでありますが、税率の端数を四捨五入いたしておりまする関係上、数千万円の増収ということになって参ります。
四は、法人税割の中間申告額が確定申告額をこえる場合においては、当該こえる金額を還付し、または未納の地方団体の徴収金に充当する旨規定の整備をはかること。法人事業税については、すでにこの種の規定を置いておるわけでございまして、今回道府県民税さらにあとに出て参ります市町村民税の法人割にも及ぼしていきたいと考えております。
事業税につきましては一が、調整組合及び調整組合連合会、酒造組合、酒造組合連合会及び酒造組合中央会並びに酒販組合、酒販組合連合会及び酒販組合中央会の収益事業から生じた所得以外の所得に対しては事業税を課することができないものとすること。これも法定法人の追加であります。
二が、損害保険事業に対しては、生命保険事業に準じ、収入金額を課税標準として課するものとし、収入金額は次に掲げる損害保険の種類ごとに正味収入保険料の一定割合とすること。大臣から説明がありましたような理由で、所得を課税標準にいたしませんで、収入金額を課税標準にしようと考えておるのであります。その場合に、たとえば預金に対しましては税を課すべきではありませんように、収入保険料でありましても、それを損害事故がありました場合は、そのまま保険金として返していきます部分についてまで税を課することは、適当でないと考えられるのであります。このような準保険料、要するに返されます保険金に相当する額、これを控除した保険料を付加保険料と呼んでおるのでありますが、この付加保険料に相当いたします収入金額、これを課税標準にしていきたいと考えております。そういう意味で船舶保険にありましては正味収入保険料の百分の二十、運送保険及び積荷保険にありましては正味収入保険料の百分の二十五、その他の損害保険――火災保険でありますとか傷害保険でありますとかいうようなものでありますが、こういうものにつきましては正味収入保険料の百分の三十五というふうにいたしたいのであります。
三は、清算中の法人が継続し、または合併により消滅した場合においては、解散の日から継続または合併の日までの期間にかかる事業税は、請求中に予納すべきであった事業税をもって確定するものとし、必要な規定の整備をはかること。
四は事業税の課税標準額を配当金額にとどめている各種協同組合等の範囲を、法人税の取扱いに準じ、積立金額が出資総額四分の一の額に達しないものとするとともに課税標準額の算定を明確にすること。基礎のまだ固まっていない各種の協同組合につきましては、課税上負担を軽減するという措置が定められておるわけであります。法人税につきましても同様な規定がございます。その範囲が法人税と事業税との間で食い違いが生じておるのであります。専業税の場合には法定準備金の額だけで判定することになっております。しかし基礎が固まっておるかどうかということを判定するのに法定準備金の額だけでいたしますることは、穏当を欠くように思いますので、法人税に合せまして積立金額を基礎に使いたい、こう考えております。
五は、鉱物の掘採事業と精練棄業とを一貫して行う者の事業税の課税標準となる所得は、これらの事業を通じて算定した所得をこれらの露業の生産品について収入すべき金額を基礎とし按分して求めるものとすること。掘採事業につきましては別途鉱産税が課されておりまするので、掘採部門につきましては事業税を課さないことにしております。しかし一貫してこれらの事業を行なっておりまするものの所得は、やはり一貫して通じて算定されるわけであります。従いましてその所得のうち精練部門に属するものが幾らであるかということを計算しなければなりません。それを現在では総益金に按分しておりますが、たまたま固定資産の売却代金等が入ってきました場合には、不当に精練部門の所得が多く算定されることにもなりまするので、こういうようなものを除いて按分していきたい。そういう意味で生産品について収入すべき金額を按分の基礎に使いたいのであります。
六は、個人の事業税の基礎控除の額は、昭和三十年度分年十万円、昭和三十一年度分以降年十二万円とすること。大体研得税の基礎控除の額の一倍半見当をもって、事業税の基礎控除の額と定めたいと考えているわけであります。そういう意味で来年度以降年十二万円にいたしたいのであります。この金額を多くいたして参る場合には、減収額が非常に多くなりまして、地方財政上とうてい耐え切れないばかりでなしに、道府県の独立税として存置して参りますためには、やはりなるべく広い範囲で税金を負担してもらった方が、府県自治の円滑な運営のために必要なことではないか、こういうような考え方をしておるのであります。さようなところから考え合せまして、十二万円に定めたわけであります。現在の事業税の納税未済者数は百九十二万九千人と推定されておるのでありますが、十二万円に上げます結果、五十四万八千人が減って参りまして、百三十八万六千人程度になるのではなかろうかと考えております。
七、所得のうち年五十万円以下の金額について百分の十の軽減標準税率の適用される法人は、「三以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人で資本又は出資の金頭が五百万円以上のもの」以外のものに限るものとすること。昨年法人事業税につきまして、中小企業の負担を軽減するという趣旨のもとに、年所得五十万円以下の部分につきましては一〇%を標準税率、それをこえる部分につきましては一二%を標準税率と定めたのであります。従いまして五十万円をこえる所得を持っておる法人にありましては、五十万円部分について二%の税率の引き下げが行われた結果になりますから、税負担としては一万円だけ下ったわけであります。ところが多くの府県に事務所、事業所を持っております法人にありましては、まず五十万円部分を関係府県に分割いたしまして、それぞれの団体の税率を適用して、五十万円までの部分についての税額を算定するわけであります。さらに五十万円をこえる部分を関係府県に分割いたしまして、それぞれの団体の税率を適用して、五十万円をこえる部分の税額を算定するのであります。これらの両方の税額を合算してそれぞれの関係府県に納付するのでありますが、結果的に事務が非常に繁雑になってしまいまして、一万円負担が軽減されても、かえって事務の方でよけい金がかかる、こういうような非難が出て参ってきております。そういう意味で三以上の道府県に分割しなければならないような法人には、この軽減税率の規定を適用しない。しかしその結果弱小企業につきましてまで負担を軽減しないことになってもいけませんので、さらに資本または出資の金額が五百万円以上のものに限って適用しない、こういうことにいたしたいと考えておるのであります。
八は、法人の事業税の税率の適用区分について、清算所得に対しては解散の日現在に改めること。
九は、法人の設立後または外国法人となった後最初の事業年度が六月を越え、八月以内のときは、当該事業年度の所得に対する事業税については、中間申告納付を要しないものとすること。
十は、申告書及び修正申告書にかかる法人の代表者等の自署押印の義務は、二以上の道府県において事務所または事業所を設けて事業を行う法人が提出する申告書等にあっては、主たる事務所または事業所所在地の道府県知事に提出するものに限り、適用するものとすること。昭和三十五年のシャウプ勧告に基きます税制改正以後、税の申告書につきましては法人の代表者等が自製押印するということにされたわけであります。しかしながらその手続が煩瑣でありますために、業界の方からは自署押印の制度をやめまして記名捺印にしてくれないだろうか、こういう意見があるのであります。しかしながらこの制度にも意味がございますし、また国税についても同様な方針がとられておりますので、全廃にはいたしませんで、本店所在地の道府県分についてはやはり従来通り向暑押印の制度をとるが、その他の部分は記名捺印でよろしい、こういうふうに簡素化いたしたいのであります。
十一、法人の事業税の課税標準となる所得等が法人税において確定された所得等を基準として算定した額と異なるときは、当該額によって更正し、または決定することができるよう規定の整備をはかること。すでに法人税につきましてきまったものがありましても、たまたま書き違いが法人事務税についてそのままに申告される、こういう場合には直せるようにしておきたいという趣旨の改正であります。
十二、二以上の道府県に事物所または事業所を設けて事業を行う法人が前事業年度の確定税額を基準として予定申告を行う際、現事業年度開始の日から六月間における関係道府県ごとに分割すべき基準の数値が前事業年度のそれに比して著しく異なるときは、現事業年度の数値によって分割することができるものとすること。予定申告の際には前事業年度の状況で分割してしまうわけであります。従いまして工場を閉鎖した府県に対しましてまで予定申告納税をすることになってしまうわけであります。そういう場合には現在の状況を基礎にして分割してもよろしいというふうに改正したいのであります。
十三、清算所得にかかる分割基準の数値は、従業者の数及び事務所または事業所の数による場合であっても、解散の日または被合併法人の合併の日の属する事業年度に属する各月の末日現在における数値をそれぞれ合計した数個によるものとし、規定の整備をはかること。
十四、主たる事務研または事業所所在地の道府県知事に対する申告または修正申告と関係道府県知事に対する申告または修正申告と異なるとき、または申告がないときは、主たる事務所所在地の道府県知事が更正し、または決定することができるものとすること。
十五、個人の事業税について所得税の控除失格者が税務官署に申告した場合において、政府が更正しないときは、道府県知事が調査により事業の所御を決定できるものとすること。
四 不動産取得税であります。一、家屋の改築の範囲の判定を主要構造部の一種以上について行われた資本的支出と認められる更新(現行 過半の更新)に改めること。家屋の取得に対する不動産取得税につきましては、新築と改築、それから既存の家屋の売買の場合に、だけ課税をするわけであります。改築の範囲につきましては、現行法では主要構造部の一種以上について過半の更新、半数以上の更新が行われた場合だけだと書いているのであります。大きなビルディングになって参りますと、階段なら階段の半分以上を更新するというようなことはないのでありますけれども、しかしその規模は非常に大きなものであります。そうしますと、小さい家屋についての改築との間にバランスを失することになりますので、禍半の更新という言葉を改めまして、資本的な支出と認められる更新については改築と見るようにしたい、かように考えるわけであります。
二、家屋が建築された場合において当該家屋の主体構造部の取得者と附帯設備に属する部分の取得者とが異なるときは、主体構造部の取得者が付帯設備に属する部分をもあわせて取得したものとみなし、これに対して不動産取得税を課することができるものとすること。この場合において、生体構造部の取得者が付帯設備に属する部分の取得者と協議の上付帯設備に属する部分の取得者の所有に属する部分の価額を申し出たときはその部分の価額に基いて付帯設備に属する部分の収得者に不動産取得税を課するものとし、主体構造部の取得者に課した不動産取得税から付帯設備の取得者に課した不動産取得税に相当する額を減額するものとすること。最近の大きなビルディングの建築を見て参りますと、最初から使用者をきめておきまして、主体構造部までは建築主が行うのでありますけれども、あとのたとえば間仕切りをいたしますとかあるいは電気器具の取りつけあるいは冷暖房の装置をいたしますとか、そういうことは全部使用者にやらせる場合が多いのであります。そういたしますと、どの部分までが主体構造部の取得者の所有であり、どの部分までが使用者の所有であるかわからないのであります。しかも評価はやはり一戸の家屋として評価すべきものだろうと思います。そういう意味で一戸の家屋として評価して、主体構造部の取得者を全体の所有者と推定して不動産所得税を課税するようにいたしたいのであります。しかし、主体構造部の取得君が使用者と協議いたしまして、使用者の所有に属するものがこれだという申し出をしてきた場合につきましては、その部分については使用者に不動産取得税を課する半面、主体構造部の取得者に課しました部分からは、それだけを減額するものとするようにいたしたいと考えております。
三、市町村職員共済組合法、水産業協同組合法及び中小企業等協同組合法による組合が病院及び診療所の用に供するものとして取得した不動産の収得に対しては、不動産取得秘を課することができないものとすること。農業協同組合等につきましてこの規定を設けておりますので、均衡上やはり追加いたしたいのでございます。
四、住宅組合法による住用組合の組合員が住宅組合から譲渡を受ける場合の不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができないものとすること。住宅組合法による住宅組合が住宅を建てました場合には、不動産取得税を課していきます。そのかわり組合員が取得します場合には課さないことにするわけであります。もちろん住宅組合が建てました場合にも、住宅でありますので百万円の基礎控除等が適用になるわけであります。
五、免税点を定めるものとし、その額を土地の取得にあっては一万円、家屋の取得のうち建築にかかるものにあっては一戸につき十万円、その他のものにあっては一戸につき五万円とすること。家屋につきましては、別途市町村で固定資産税を課して参りました。しかし鶏舎でありますとか、畜舎でありますとか、あるいは農具の収納舎のようなものでありますと、特に他の家屋との間の均衡を失するという程度のものでない以上は家屋と見ないで、同時に固定資産税を課さないのがよろしいのではないか、こういうような考え方をもって指導しているわけであります。ところが不動産取得税を課していくということになりますと、家屋が建築されたから不動産取得税が課されるのでありまして、そうすると自然市町村でも固定資産税を課して参ることになります。そういうことはできる限り避けたいと考えますので、建築の場合には免税点を十万円まで引き上げていきたいと考えたのであります。従いまして古い家屋でありますと、中をとりまして二分の一の五万日に免税点を定めたい。土地についてはそういう問題はございませんから、固定資産税の免税点と同じように一万円、こう定めたいのであります。
五、娯楽施設利用税につきましては、学校の教員の引率により、学校における教育に資するため、学生、生徒または児童がスケート場の施設を利用する場合においては、当該利用に対しては、娯楽施設利用税を課することができないものとし、昭和三十年十月一日から適用するものとすること。スケート場を利用しての運動競技が漸次盛んになってきておりますので、そういう意味の利用につきましては課税々しないことが望ましいと思われますので、この程度の非課税の規定を追加したいのであります。
六、自動車税 一、地方道路税の創設による揮発油にかかる租税負担の増額に伴い、揮発油を燃料とする自動車以外の自動車に対して課する自動車税の標準税率を次の通り引き上げること。揮発油税と地方道路税の負担を合せますと、揮発油の負担が、七月一日以降一キロリットルについて一万三千円でありますものが一五%科度引き上げられまして、一万五千円になるわけであります。その結果、たとえばトラックで申しますと、揮発油税の負担が現在で十万円から十五万円程度しておるわけであります。それが一五%和度引き上げられますと、一万五千円から二万円程度さらに揮発油関係の秘負担が多くなってくるわけであります。そこで揮発油税を一州しておりません軽油を使っている自動車の税率を若干引き上げることによって、軽油には何ら秘が課されていない、それと揮発油との関係の租税負担の不均衡を是正したい、かように考えているわけなのであります。こういう事情もございまして、昨年すでに軽油を使用しております自動車の税率は、揮発油を使用しております自動車の税率の五割増しになっております。五割増しになっております税率を今年度は七割五分増しに、来年度以降は十割増しにいたしたい、かように考えているわけであります。
二、自動車税を完納した場合における完納証票の制度は、軽自動車にかかるものを除き廃止するものとすること。
七、狩猟者税。納税義務者で千八百円の税率を適用されるもののうち、「所得税を納付する義務を有しない者」の範囲を明確にするため「所得について所得税法第九条に規定する総所得金額が同法第十一条の二から簿十二条までに規定する控除額の合計額に満たない者」に改めること。現在狩猟者税の税率は、所得税を納付する義務を有しない者は千八百円でありますが、納付する義務を有する者は二倍の三千六百円であります。ところが外国人等でありますと、実質的には所得はあるわけでありますけれども、所得税の納付の義務を持っていない者が多いのであります。そういう者にはやはり三千六百円の税率を負担してもらった方がよろしいのではないかと思われますので、そういう意味でこのように規定を整備したいのであります。要するに、基礎控除額、扶養控除額その他の諸控除額の合計額に満たない者だけ、これは実質的にも所得税を納付する義務はありませんから、低い方の一税率を使います。その他の方は高い方の税率を使うという趣旨であります。
八、市町村民税につきましては、
一、扶養親族の範囲をその総所得金額四万円(昭和三十年度に限り三万八千八百円)(現行 三万五千円)以下のものとし、前年において適用されるべき所得税法における扶養親族の範囲と一致させるものとすること。
二、非課税の範囲に社会保険診療報酬支払基金を加え、昭和三十一年度分の市町村民か税ら適用するものとすること。
三、納税義務者の課税標準額、事務所筆の所在等についての申告義務は廃止し、市町村長は当該市町村の条例の定めるところにより賦課徴収上必要があると認める場合に限り必要な事項を申告させることができるものとし、昭和三十一年度分の市町村民税から適用するものとすること。何でもかんでも申告を建荊とするやり方は改めたいと考えているわけであります。どうしても必要なものについてだけ申告を徴するようにいたしたいのであります。
四、所得税額を課税標準として課する所得割について、課税限度額の規定(現行 課税総所得金額の百分の七・五)を改め、減税後の所得税額を課税標準として、なお、おおむね従前通りの額を維持できるようにするため、昭和三十一年度分から標準税率を百分の十五、制限税率を百分の十八とすること。昭和二十七年までは標準税率、制限税率の規定があったのであります。二十八年から第三方式、第三方式の場合と同じような課税制限額の規定でよろしいのではないかというようなことで、切りかえたわけであります。しかしその後の状況を考えまして、所得税額が減税された結果、この減税後の所得税願を課税標準として課します市町村民税の所得割は、どうしても率を引き上げないと減税になっていきますので、この機会にまたもとのように標準税率、制限税率の規定を復活したいと考えております。といいますのは、漸次高額所得者がふえて参りまして、高額所得君につきましては、所得税の税率が累進になっています結果、課税総所得金額の百分の七・五にひっかかって、税率そのものを引き下げなければならないような結果を生じて参るのであります。所得税額を課税標準にして比例税率を使いながら高額所得者について税率を引き下げるというような形になって参りますことが、住民の負担均衡感に悪い影響を及ぼしているきらいもございますので、このように改めたいのであります。地方財政法や地方交付秘法には標準税率に類する規定を一三%に定めております。従って標準税率を一五%として響きますと、あたかも率が引き上げられたようなことになるわけでありますが、所得税率は下って参りますので、市町村民税だけで見て参りましても、来年度は四億四千百万円のなお減収になるわけであります。平年度では三十三億一千百万円の減収になる見込みであります。従ってまた納税義務者相互間におきましても、大体みな減税でありますけれども、所得額が二百万円、三百万円と、だんだん上って参りますと、若干ふえてくる向きがございます。しかし所得税額が減税になって参りますので、合せて計算しました場合にはなお減税であります。所得額が一千万円をこえた額になって参りますと、両方合せましても端数程度の税願がふえてくるというような結果になるようであります。
五、法人税割について、減税後の法人税額を課税標準として、なお、おおむね従前通りの額を維持できるようにするため、法人税の税率の引き下げに伴い、法人税割の標準税率を百分の七・九(現行 百分の七・五)、制限税率を百分の九・五(現行百分の九)に改めること。
六、特別徴収の方法について次のように改正を加え、昭知三十一年度分の市町村民税から適用するものとすること。
1、給与所得者の給与所得にかかる所得割額及び均等割額については、給与所得者の数が少い場合その他特別の事情がある場合で特別徴収によることが不適当であると認められる市町村を除いては、特別徴収の方法によるものとすること。これも二十八年から出発した制度でありますけれども、幸い日時の経過を見ますと、この種の源泉徴収が軌道に乗って参ったようでおります。従ってどの市町村であっても、原則として給与所得については特別徴収の方法によって徴収するんだというふうに切りかえたいのであります。
同時に、
2、給与所得者について給与所得以外の所得がある場合においては、当該市町村の条例の定めるところによって、給与所得以外の所得の全部または一部についても、給与所得者から普通徴収の方法によって徴収されたい旨の申し出がない限り、特別徴収を行うことができるものとすること。給与所得以外に配当所得がありますとか、あるいは原稿料の収入がありますとか、そういう場合でありましても、その部分の所得割額を、本人がいやだと言わない限りは給料から差っ引けるようにしたい。本人がむしろそれを希望する場合も多いだろうと考えますので、そういう場合は源泉で差し引くようにしたいと考えるのであります。もちろん六月三十日までにいやだと言うなら、そういうやり方はしない、こういうことにいたしております。
七、法人等の均等割の徴収の方法は、申告納付の方法によるものとし、昭和三十一年四月一日以後に終了する事業年度分の市町村民税から適用するものとすること。
八、法人税割の中間申告額が確定申告額をこえる場合においては、当該こえる金額を還付し、または未納の地方団体の徴収金に充当する旨規定の整備をはかること。
九番目は固定資産税であります。
一、納税義務者について次の通り改正を加え、昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。
1、公有水面埋立法第三十二条の規定によって使用する竣工認可前の埋立地で工作物を設置し、その他土地を使用する場合と同様の状態で使用されているものは、これを土地とみなして、その使用者に固定資産税を課することができるものとすること。しいて課そうというわけでございませんで、どうしても均衡感から見ました場合に不都合だと思われるような場合に限りまして課することができるという規定を設けておきたいと考えたわけであります。
2、土地区画整理法による土地区画整理露業の施行にかかる土地について、施者者以外の者がかりに使用する土地また保留地についても、現行の規定に準じ、それぞれ、その仮使用地もしくは保留地の使用者または保留地の取得者に課税することができるものとすること。
二、非課税の範囲に次のものをかえ昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。
1、水産業協同組合法及び中小企業等協同組合法による組合が所有し、かつ経営する病院及び診療所において直接その用に供する固定資産。農業協同組合等の病院につきましては、固定資産税を課さないことにしておるわけでございます。その結果通産委員会等から大へんやかましい御意見がたびたび寄せられておりますので、こういう範囲に非課税の規定を広げたいと考えておるわけであります。
2、国民健康保険組合、国民健康保険組合連合会、国家公務員共済組合連合会、市町村職員共済組合、漁船保険組合、漁船保険中央会、社会保険診療報酬支払基金及び輸出水産業組合が所有し、かつ、使用する事務所または倉庫。これも同じような趣旨であります。
三、固定資産のうち土地及家屋については、昭和三十一年度及び昭和三十三年度並びに昭和三十三年度以降三年度ずつ経過する年度を基準年度とし、基準年度、第二年度及び第三年度においては次の各号による評価を行うものとし、原則として基準年度と基準年度の間は課税標準となるべき価格を据え置くものとして次の改正を加え、昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。
1、基準年度の賦課期日に所在する土地または家屋については当該土地または家屋の基準年度にかかる賦課期日における価格によって評価するものとすること。
2、基準年度の土地もしくは家屋または第二年度の賦課期日に所在する土地もしくは家屋で地目の変換、家屋の改築もしくは損壊その他これらに類する特別の事情またば市町村の廃置分合もしくは、境界変更があるため基準年度の価格もしくは第二年度の価格によることが不適当であるかまたは当該市町村を通じて固定資灘税の課税上著しく不均衡を失すると市町村長が認める場合は、第二年度または第三年度において当該土地または家屋に類する土地または家屋の基準年度の価格に比準ずる価格によって評価を行うものとすること。
3、第二年度一または第三年度において新たに固定資産税を課することとなる土地または家屋については、第二年度または第三年度において、当該土地または家屋に類似する土地または家屋の基準年度の賦課目における価格に比準ずる価格によって評価するものとすること。
4、基準年度の土地もしくは家屋または第二年度の土地もしくは家屋について地目の変換家屋の改築または損壊その他これらに類する特別の事情があるため、当該土地または家屋に類似する土地または家屋の基準年度の価格に比準する価格によって決定したときは、市町村長は、その旨を納税義務者に通知するものとすること。
5、第二年度もしくは第三年度において基準年度の土地または家屋について基準年度の価格による場合においては固定資産課税台帳に登録されている基準年度の価格をもって第二年度または第三年度において登録された価格とみなし、第三年度において基準年度の土地もしくは家屋または第二年度の土地または家屋について比準価格による場合においては固定資産課税台帳に登録されている当該比準価格をもって第三年度において登録された比準価格とみなすものとすること。
6、固定資炭課税台帳の縦覧は毎年行うが前項によって固定資産課税台帳に登録されたものとみなされる土地または家屋の価格については、地目の変換、家屋の改築または損壊その他これらに類する特別の事情により当該土地または家屋に類似する土地または家屋の基準年度の価格に比準ずる価格を決定する場合を除いては、審査の請求をすることができないものとすること。昭和三十年の一月一日、ことしの一月一日現在で自治庁から各市町村に対しまして、市町村ごとの平均価格を示しております。これに基きまして市町村はすでに評価を決定しておるわけであります。今回価格を据え置く措置をとろうとしておるわけでありますけれども、据え照置き措置のできない前に、それを予想しないで市町村が決定いたしました価格をあとからくぎづけにしてしまうことは穏当を欠くと考えますので、来年はもう一回市町村で評価できるようにしたいのであります。三十二年は一切評価はしない、据え置くわけであります。三十三年には言いかえればことしから三年目に当るわけであります。三年目に当ります三十三年には自治庁の方で各市町村に対しまして、市町村ごとの土地や家屋の評価の平均価格というものを示そうと考えております。あるいはその場合には平均価格が今よりも引き上げられる結果になるかもしれません。その場合にはまた固定資産税の税率を引き下げた方がよいじゃないかという議論も出てくるかもしれません。両方にらみ合せまして考えるベきだと思っております。来年は市町村が評価をすることはできますけれども、自治庁から示しまする平均価格は大体現在のものを据え置こうと考えております。ただ市町村が据え置きを予想しないでやっておりますので、なおそこに努力をして地域聞の評価の均衡をとるとか、あるいは自治庁の平均価格にまだ及ばないでかなり下回った評価をしておる、財政上その他の事情から引き上げなければならない、そういう例外的の場合には引き上げる町村が起ってくるかもしれません。しかし自治庁からは別に平均価格の引き上げは原則として行わない、こういう考え方を持っておるわけであります。
そこで三十三年からは三年ごとに評価が行われるようになり、その間は据え置かれるわけでありますけれども、家屋が改築されたり、あるいは損壊しました場合でもそのままにしておくことは不穏当でございますから、この場合には価格を改定いたします。改定いたしますと、納税義務者にその改定した価格を通知しなければならないことにいたしております。それに基きましてまた審査の請求ができるわけであります。固定資産課税台帳はやはり従来通り毎年縦覧に供していきたいと考えております。縦覧に供して行きますけれども、第二年度目、第三年度目におきましては原則として異議の申し立てはできない、ただ改築をしたとか、損壊したとかいうふうな人たちにつきましては審査の請求権を与えました。それ以外には審査の請求権を与えない、こういう考え方であります。もちろん新築になりましたり、地目の変換がございましたりした場合には、そのつど価格は改定することになるわけであります。
四、大規模の償却資産に対する固定資産税にかかる市町村の課税限度額について激変緩和等の措置を講ずるため次の通り改正を加えること。
1、大規模の償却資産の所在市町村の昭和二十九年度の基準財政収入額の一定割合の額が、現行の規定に基く大規模の償却資産にかかる課税限度額によって算定した荊準財政収入見込額をこえる場合においては、その額に達するまで、課税限度額を引き上げるものとすること。昨年の立法で大きな発電所がありますとか、大規模な工場があります場合には、その市町村の財政規模から見て、少し大き過ぎると思われる部分を府県の方に移したわけであります。その結果急にことしから固定資産税の収入は減ってくるという団体もございまして、やりかけた事業がやれないとかというふうな意見も多く出て参ってきておりますので、三年間は激変を緩和する措置をとろうとしておるのであります。すなわち昨年有しておった税収入の九割を下回ることとなる場合には、九割までは確保できるような課税限度額を引き上げる、言いかえれば市町村がもっとたくさん固定資産税を課税していけるようにするわけであります。その結果府県へ行く予定であったものが行かなくなりますから、府県の方では減収になる、逆に市町村の方では増収になるわけであります。来年は八割、再来年は七割、それ以後は現行規定に乗っかっていくわけであります。その結果本年度において五億六千百万円だけが県に行く予定であったものが市町村の力に残ってくる、こういうことになっていくわけであります。
2、大規模の償却資産の所在町村が他の大規模の償却資産の所在町村と昭和三十年一月二日以後において合併し、その合併について町村合併促進法の適用がある場合においては、当該合併の日以後に到来する固定資産税の賦課期日に係る年度分から三年度分の大規模の償却資産に対して課する固定資産税に限り、当該大規模の償却資産に対して当該合併後の市町村が課することができる課税限度額が当該合併前の各市町村に係る課税限度額の合算額を下ることとなるときは、当該合併後の市町村が課することができる課税限度額は当該合算額によるものとすること。
この趣旨は、市町村が合併した場合に、以前に課することができた固定資産の課税限度額よりも少くしか課税できないということが例外的に起るのであります。そういう場合には、合併前に課税できた分までは、固定資産税を合併後においても課税できる、こういうことにいたしたいという趣旨であります。そうすることによって町村合併を阻害しないようにしたい、こういう考えであります。全く例外的に起ることでございます。
3、大規模の償却資産に対する固定資産秋に係る市町村の課税限度額に係る規定は軸力自治法第百五十五条第二項の市については適用しないものとすること。五大市のような規模の大きな市は、府県に相当するような実態を持っておるわけでありますので、課税限度額のような規定を設けることは適当でないだろうというふうに考えておるわけであります。
五、電気事業者がその供給区域内の電力の周波数の統一を図る場合において、当該電気事業者から電気の供給を受けて物品の製造又は鉱物の掘採事業を行うものその他政令で定める事業を行う者が当該電力の周波数の変更によりその事業の用に供する機械設備を更新し、又は改良しなければならないときは、その更新又は改良に要する費用に充てるため、電気事業者が金銭又は資材を提供したときに限り、当該更新又は改良に係る機械設備等に対して課する固定資産税の課税標準については、企業合理化促進法の規定の適用を受ける機械設備等に準じ、課税標準の特例を認めるものとすること。
これは昨年来九州堀区において行われていることでございます。九州地区の電力需用者の中に、なお五十サイクルのものによっているのがあるようでございます。大体は六十サイクルなものですから、五十サイクルのところでさらに余分の電気を必要とするというような事例が起きましても融通がつかないのであります。そこで五十サイクルのものにつきましては、全部六十サイクルのものに切りかえていく、そのかわりそれに要する経費は電気事業者の方でも相当持っていく、こういうふうな建前のもとに切りかえが行われつつあるのでありますが、切りかえられた結果、固定資産税が増額になってくるということでは、切りかえられる方が切りかえを好まないということにもなるわけでございますので、企業合理化資産に準じまして、三カ年間は二分の一の価額をもって課税標準としていきたい、かように考えているわけであります。
六、償却資産に対する免税点を十万円(現行五万円)まで引上げるものとし昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。免税点を引き上げます結果、償却資産に対する固定資産税の納税義務者数が四二%減ずることになるのでありますけれども、税額では一・六%しか減じないのであります。同時にまた、農家が脱穀機を持っているとか、わずかばかりの機械設備を持っているからといって、一々それをあさりながら国電資産税を課していくという傾向は、できる限り避けていきたい、こういう考え方もあるわけであります。
七、固定資産税の課税標準の基礎となるべき固定資産の価格は法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費として控除すべき減価償却願又は減価償却費の計算の基礎となる固定資産の価格を下ることができない旨の規定は、家屋については適用しないものとし、昭和三十一年度分の固定資産税から適用するものとすること。
固定資産の評価に当りましては、本来あるべき帳簿価格を下って、評価してはならないということになっているのであります。しかしながら、家屋は、事業用のものは四割程度でありまして、六割までは非事業用の住宅その他に充てられているものであります。これらの家屋の評価は大体売買価格を基礎にして考えているのであります。しかも売買価格の七割程度を課税標準に押えていきたい、こういう考え方をいたしております。従いまして、新築当初におきましては、そこに投ぜられた価格よりも三割程度下回った評価をするのであります。しかし帳簿価格は、投ぜられた価格だけがそのままのっかっていくと思います。その結果、専業用の家屋については、非事業用の家屋よりもずっと高く評価をするということになっているのであります。反面、古くなって参りました家屋でありましても、減価償却費の計算によって控除されていった金額ほどは減がございません。従いまして、帳簿価格よりはずっと高い価格で評価していることになるわけであります。たまたまあるべき帳簿価格を下って評価をしてはならないという規定が、家屋についてはむしろ非事業用の分が多いわけでありますので、家屋である以上は、多い非事業用の家屋並に評価を統一してしった方が納税義務者の均衡化のために適当ではなかろうか、こう考えたわけであります。そういう意味でこの種の改正をいたしたのであります。
八、市町村の設置があった場合においては、市町村の長の職務執行者又は市町村の長は、それぞれ、市町村の長が選挙されるまでの間又は市町村の設置後最初に召集される議会の同意を得て固定資産評価審査委員会の委員が選任されるまでの間は、従前の固定資産評価審査委員会の委員のうちから選任したものを以て固定資産評価審査委員会の委員に充てることができるものとすること。
十、自転車荷車税。一、道路運送車輛法における自動車の範囲が改められ、その一部が原動機付自転車とされたことに伴い、原動機付自転車の標準税率を次の通り改めるものとすること。従来軽自動車として取扱われておったものが、この四月一日から数万台原動機付自転車に切りかえられたわけであります。それらのものは、従来は軽自動車に対する自動車税として十五百円納めておったのであります。これが原動機付の自転車になりますと、現在標準税率は五百円だけでありまして、負担がかなり下るので、この機会に少し負担を均衡のとれたものにした方がいいじゃないかというふうに考えまして、五百円、八百円、千円と三段階に区分したわけであります。
二、月割課税の場合における賦課期日は、自転車又は荷車を新に取得した日に改めるものとすること。賦課期日は四月一日にしているわけでありますが、その後に自転車を買ったりしました場合には、翌月の一日を賦課期日にしております。従いまして、届出がありましても賦課期日が来ておりませんから自転車税は徴収できません。翌月になりましてから、あらためて徴税令書を出しまして自転車税を徴収することになるのでありまして、二重手間を要するわけであります。従いまして、賦課期日を取得した日に改めますと、届出と自転車税の納付と同時に行えるようになりまして、納税者にも、市町村にも両方が都合がよいのではないかというふうに考えられるのであります。
三、自転車及び荷車については当該市町村の条例において標識を付けるべき旨の規定を設けている場合においては当該市町村の条例の定めるところにより当該標識を交付する際証紙徴収の方法により徴収することができるものとすること。標識をつけます場合に、申告書といいますか、そういうものを出すことになろうかと思うのであります。その場合に、その申告書に納税済の印を押すことによって納税を同時に済まされるようにしたい、かように考えているわけであります。
十一、たばこ消費税。一、道府県たばこ消費税の税率を百分の六(現行百十五分の五=百分の四・三四)市町村たばこ消費税の税率を百分の九(現行百十五分の十=百分の八・六九)に引上げ、昭和三十一年三月一日以後日本専売公社から小売人に売渡される製造たばこの分から適用するものとすること。昭和三十年度、本年度におきましては、専売益金から三十億円を地方交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられて地方交付税として配分されます。来年度分からは、たばこ消費税として府県や市町村の増収になって参ります。
十二、その他。延滞金額及び孤滞加算金額を計算する場合の率を日歩三銭に引き下げること。検査拒否、虚偽申告等に対する罰則を緩和すること。その他規定の整備をはかることであります。
以上で大体改正されました事項は、網羅しているだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01219550527/4
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005・大矢省三
○大矢委員長 これをもって説明が終了いたしました。両案に対する質疑は後日に譲りまして、本日はこの程度にとどめておきたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01219550527/5
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