1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月九日(木曜日)
午前十一時十七分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 安藤 覺君 理事 池田 清志君
理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君
理事 加賀田 進君 理事 門司 亮君
亀山 孝一君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
櫻内 義雄君 渡海元三郎君
徳田興吉郎君 丹羽 兵助君
青木 正君 熊谷 憲一君
山崎 巖君 吉田 重延君
勝間田清一君 川村 継義君
北山 愛郎君 五島 虎雄君
坂本 泰良君 中井徳次郎君
西村 彰一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 川島正次郎君
出席政府委員
自治政務次官 永田 亮一君
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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六月九日
委員前尾繁三郎君辞任につき、その補欠として
保利茂君が議長の指名で委員に選任された。
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六月八日
クリーニング業に対する事業税軽減に関する請
願(石田博英君紹介)第一九五三号)
同(杉浦武雄君紹介)(第一九五四号)
同(鳩山一郎君紹介)(第一九五五号)
同(田万廣文君紹介)(第一九五六号)
同(今村等君紹介)(第一九五七号)
同(川野芳滿君紹介)(第一九五八号)
同(愛知揆一君紹介)(第一九五九号)
同(福井盛太君紹介)(第一九六〇号)
同(小松幹君紹介)(第一九六一号)
同(井手以誠君紹介)(第二〇〇八号)
同(辻政信君紹介)(第二〇〇九号)
同(松澤雄藏君紹介)(第二〇一〇号)
同(徳田與吉郎君紹介)(第二〇一一号)
同(櫻内義雄君紹介)(第二〇一二号)
同(藤本捨助君紹介)(第二〇一三号)
同外一件(林博君紹介)(第二〇一四号)
同(眞崎勝次君紹介)(第二〇一五号)
同(笹本一雄君紹介)(第二〇一六号)
木材引取税撤廃に関する請願(渡邊良夫君紹
介)(第一九六二号)
合併町村の育成強化に関する請願(中馬辰猪君
紹介)(第一九六三号)
軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する
請願(河野密君紹介)(第一九六六号)
同(水谷長三郎君紹介)(第二〇一九号)
飛出しナイフ及びあいくちの所持禁止緩和に関
する請願(三田村武夫君紹介)(第一九九六
号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八四号)
昭和三十年度地方財政計画に関する件
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
まず地方税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。
なお大臣は今隣の選挙法改正の委員会に出ておりますが、二十分ほどしたらこっちへ出られるということであります。従ってきのうの九州における問題はそのときに譲りたいと思います。
それから委員のうちから強く要請のありました財政計画に対しては、今印刷中でありまして、午後には説明ができるそうですから、午後にいたしたいと思います。
それではこれから質疑を通告順によって許すことといたします。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/1
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002・北山愛郎
○北山委員 税務部長にお伺いしますが、この前要求しました農地の固定資産税についての資料をいただきましたが、その資料について若干説明をして補足していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/2
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003・奧野誠亮
○奧野政府委員 昭和三十年度農地平均価額算出基礎という四枚とじのがり版刷りでありますが、それについて御説明をいたします。
田の全国平均価額の算出に当りましては、昭和二十七年から二十九年までの三年間の収益還元価額の平均の七〇%の額、言いかえれば時価ではありますけれども、不動産の時価でありますので、ある程度長期にわたる期間における平均的な時価を算出していきたい、こういう考え方で最近の三年間を選んだわけであります。同時にまた、時価といいましてもたまたま売買される、あるいはたまたまそれだけの収益をあげる、といって常に今後においてもそれだけで売買されたり、あるいは収益があげられるという保証があるわけでもございませんので、七割程度の額を目途にしたらいかがなものだろうか、こういう考え方で算定したわけであります。その額が昭和二十九年度の平均価額に比し約五七%上昇するようになりましたので、激変を緩和するために、上昇率をその二分の一程度に押さえまして、二八%としたわけであります。この額が反当三万五千六百六円になっているわけであります。現実の売買価格を調べますと、大ざっぱに申し上げまして、反当大体十万円前後じゃなかろうか、こういうふうにわれわれは見ておるわけであります。この五七%の上昇率が出ました際に用いました二十九年分の価格は、カッコ書きの中に書いてありますように、昭和二十九年九月十五日現在における推定反収を基礎として用いたわけであります。ところが、その後に実績が出て参りまして、少し食い違ってきております。その食い違ってきておりまする部分も、カッコ書きで算式の中に加えておるわけであります。その算式のところを見ていただきたいのでありますが、反当玄米収量が、昭和二十七年では二・三八石、二十八年では二・〇六石、二十九年では二・三七石、これがその後三月でありましたか、実績を発表になったところを見ますと、二・二四石に落ちて参ったわけであります。これらはいずれも農林省の発表に基くものであります。それから反当粗収入の玄米収入、これは買上価格をこれらの反当玄米収量に乗じて求めたものであります。これは農林省で発表されている数字であります。
それから裏に参りまして、反当費用。二十七年、二十八年は、農林省の方で、生産費を調査いたしますために三千戸に近い農家を指定いたしております。これらの調査から得られた数字でありまして、二十九年分についてはまだ得られませんので、パリティ指数を乗じまして推定をいたしております。差引いたしまして純益金を求め、この純益金を八%と、固定資産税の税率で還元して価格を求めたわけであります。これから石当りの価格を求め、作物統計調査推計反収、全国平均でありますが、この全国平均にかけて、(J)の欄で反当平均価額要するに全国平均額を求めたわけであります。
言い落しましたが、最初の反当玄米収量の数字は、生産費を調査いたしております対象農家における反当玄米収量でございます。それを全国平均に瞬き直しまして、全国平均の田の価格を求めておるわけであります。それぞれの数量の基礎は、算出基礎のデータのところの下に書いておりますので、御説明は省略いたしたいと思います。
それから一番終りの紙のところに、畑の全国平均価願をどうして出したかということを書いております。これは算出方法の概要のところに書きましたように、田の全国平均価額に勧銀調べによる全国中庸田畑の売買価格の比率を乗じて求めたわけであります。要するに、田と畑の比率がどうなっているかということを日本勧業銀行で調べておりまする売買価格の比率、これによりまして、さきに得られました田の全国平均価格に乗じたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/3
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004・北山愛郎
○北山委員 ただいまの説明のいろいろな基礎データ等については、また私の方でもいろいろ調べた上でお伺いをしたいと思いますが、ただこの算出基礎データの中で、反当費用について、それぞれの年度の生産費調査対象農家実績から推定したというのは、どこで推定をしたわけでございますか。自治庁の方で推定をしたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/4
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005・奧野誠亮
○奧野政府委員 全国で二千八百五十戸あるそうでありますが、農林省の方で、生産費調査対象農家として指定しております農家について調べました数字であります。二十七年も二十八年も実績でありますが、二十九年についてはまだわかりませんので、二十八年から二十九年へのバリテイ指数の割合を二十八年の費用に乗じて求めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/5
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006・北山愛郎
○北山委員 資本還元率の方は年八分となっておりますが、たしか昨年の計算は違っておったようでありますけれども、昨年も同じですか。違っておるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/6
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007・奧野誠亮
○奧野政府委員 八%はずっと継続して用いてきております。
それから、食い違ってはいけませんので少し補足しておきたいのでありますが、反当費用は、生産費調査対象農家について調査されたものでありますが、その公租公課の中には、固定資産税をまるまる含んでいるわけでありますので、公租公課の部分だけは二分の一になっております。そのかわり、資本還元いたします場合に、八分に固定資産税の税率をプラスしたもので除しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/7
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008・北山愛郎
○北山委員 こういうふうな算定の結果として問題になるのは、毎年の農地の固定資産税というものが、数年来どんどんウナギ上りに上ってきているわけであります。昭和二十五年は一万五千六百三十五円、二十六年が一万七千二百二十九円と逐次上って、昨年は二万八千百四十七円、ことしは三万五千六百円ですか、そういうふうにウナギ上りに上ってきているわけでありますが、一体、農家の方の収益が反当についてそれだけぐんぐん上っておるかどうかということ、そういう比率で上っておるかどうかということなんです。ことしは三万五千円以上というようなことになると、固定資産税は昨年に比べてもまた一段と上るわけでありますが、実際の農家の収益というものが上っておるかどうか、これについて一つ考え方をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/8
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009・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定資産税の性格をどう見ていくかということに、一つの問題があるだろうと思います。純然たる収益税でありますと、収益の額に応じて税負担を求めていくべきだと思うのであります。しかし、一応固定資産税の建前は、税法に課税標準が時価ということになっておりまするように、財産価格である、かように考えるわけであります。それでは、一体その財産価格というものが上ってきておるのかいないのかということにも、一つの問題があろうかと思います。しかし、勧銀の調べ等を通して見ていきますと、他の物価よりはおくれて上って参りましたけれども、近来相当上昇して参っておるようであります。また、かりに収益という問題をとって考えましても、買上米価というものは若干引き上げられてきているということも事実のようであります。ただ、御指摘になりましたように、評価領の引き上げられ方と農家の収益の上昇の仕方とがつり合っていけるかどうかということになると、これは問題になろうと思うのであります。ただ、土地の評価額の引き上げが、たまたま土地の価格が他の物価よりもおくれて上って参りましたために、それを追っかけているような形になっておりますので、多少ズレているきらいはあるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/9
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010・北山愛郎
○北山委員 土地の価格というものは私も不案内でありますけれども、しかし、ほかの物価とはまた一種変った財産である。その面積は限られておってちっともふえないわけであります。むしろ農地は減るばかりでふえない、だんだん減ってくるようた事態にあることは明らかでありますが、そういう関係上、土地の希少性といいますか、土地をほしい人が多いのに、土地というものはふえないで、むしろ減っていくのだ。農地は減る一方だ。こういうところからして土地の値段が上ってくるのであって、土地の収益が上ったから土地の値段が上るというふうには考えられないのじゃないか。その点はよそのいろいろな商品とか財産とはちょっと違うのじゃないかと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えでありますか。またそういうふうな固定資産税の今度の平均基準のきめ方について、土地、農地の値上りというものは、実際によその物価に追いついてどんどん上っていっているんだというような事情も考慮して、おきめになっておるのかどうか、それらの点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/10
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011・奧野誠亮
○奧野政府委員 土地については希少性の関係から、価格が動いてくる面もあるのじゃないかという点、御指摘の通りだろうと思うのであります。ことに田畑につきましては自由な売買が制限されておりますので、時価を課税標準にしながらも、その評価に当りましては収益還元方式を用いまして、一応価格を推定するというようなやり方をいたしておるわけであります。先ほどもちょっと申し上げましたように、売買時価ということになりますと、円で大体十万円内外になっているようであります。しかし全国平均で固定資産税の課税標準に用いまする時価は、三万五千円程度にしておりますので、これが特に無理な負担をしているというような姿ではないのじゃないだろうかというふうに考えております。しかしながらたまたま全体的に、他の物価よりも土地の価格の高騰がおくれてきていることは御了解いただけるのじゃないかと思うのであります。従いまして、家屋の価格は据え置きながらも、土地の価格はことし二八%程度引き上げを指示したわけであります。しかしながらそれでは家屋と土地と比べた場合に、土地の方が引き上げられ過ぎになっているのかと申しますと、そうではございませんで、家屋の方は早く引き上げてしまった。従って土地と家屋の比率を考えた場合には、土地については引き上げを必要とするということにもなってくるわけであります。ことに国税でも、相続税の場合に財産価格を調べるわけであります。その場合に固定資産税の課税標準と相続税の場合の課税標準とが、どうなっているかということを申し上げますと、家屋の場合には、市町村で評価いたしておりまするのとそう大きな差はたいのであります。ところが土地の場合には、市町村で評価しておりまするのは、相続税の場合の六割前後にしか当っていない、こういうような状態にもあったわけであります。そういうふうな関係からも、一そう土地の評価を引き上げざるを得ない。たまたま税率も下って参ってきておりますので、それほど著しく負担の過重するということも避けられるのではなかろうか、こういうふうなこともあったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/11
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012・北山愛郎
○北山委員 農家の国税及び地方税を通じまして、固定資産税というものが、どういうふうな割合になっているか、所得税あるいは住民税等と比べまして、どういうふうな割合になっているかということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/12
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013・奧野誠亮
○奧野政府委員 ちょっとお話がよくわからなかったのですが、農家の負担を国税その他について調べろということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/13
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014・北山愛郎
○北山委員 いや、農家の租税全体について、所得税あるいは住民税あるいは固定資産税というふうに、大体分けられるだろうと思うのです。その場合に固定資産税がどのくらいのウエートを占めておるかということを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/14
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015・奧野誠亮
○奧野政府委員 今調べたのを持っておりませんから、調査をした上でお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/15
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016・北山愛郎
○北山委員 それでは数字をお伺いしてからにいたします。しかし少くとも固定資産税というもののウエートが、逐次上ってきておるということだけは事実だと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/16
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017・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話の通りだと思います。所得税の面におきましては、超過供出の奨励金等が所得に算入されないというふうな問題がありましたり、扶養控除がどんどん引き上げられておりますので、所得税の納税者数は、農家については急激に減少して参ってきております。また反面市町村民税等を通じまして、給与所得君と特に比較されるのでありますが、農家の負担が軽過ぎるのじゃないか、逆に言いかえれば、給与所得者の市町村民税の負担が重過ぎるのじゃないかというようなことも、市町村においてはかなり大きな声になっているようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/17
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018・北山愛郎
○北山委員 これは御承知だと思いますが、農家といいましても一町五反とか二町歩とかいうような大きな富裕農家、中以上のいい農家の所得というものはここ数年間上って、そのかわりに五反以下の零細農家の生活は、非常に苦しくなってきている。いわゆる農家の階層の差がはなはだしくなってきているという事実は、これは動かしがたいここ数年間の傾向であろうと思います。ところが今申し上げたように、固定資産税のような、比例税というか、反当に比例してかかる税金のウエートが高まっていくということになれば、結局零細農家の方に比較的税が重くなってくるのじゃないか。収益というものを考えた場合に、二町歩以上の農家の収益というものは、あるいは一年間に何十万かある。ところが五反以下の小さな農家の収益というものは、現金収入としてはもう何千円しかないというような、収入としては何十倍もの差ができて、わずかに生活を支えるだけであるというふうに、小さい農家の生活が非常に苦しくなってきている。それを今申し上げたように、固定資産税のような面積に比例してかかるような税金のウエートを上げるということは、結局零細農家を苦しめることじゃないか、このように考えるのですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/18
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019・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話のように、農家のどの層の租税負担が軽いかというふうな問題については、議論があるだろうと思うのでありますが、ただ固定資産税の土地の評価が引き上げられた結果、農家の負担がふえた。それでは一体どれくらいふえたかというと、結局実額の問題になるのじゃないかと思うのであります。三万五千円でありますと、一・四%を乗じまして五百円前後、一反当り五百円前後の市町村に対する税を負担してもらうのでありまして、この程度であればまあがまんしていただかなければならないのではないだろうか、こういうような感じを持っているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/19
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020・北山愛郎
○北山委員 それは固定資産税という税だけをとった場合にはそうなる。しかし農家というものはそれだけの負担をしているわけじゃないのです。特にその農地を維持けるために、水利に関するいろいろな長州も相当あるはずです。その他のいわゆる公課が相当あるわけでありまして、今の固定資産税だけをとればそういうことになりますが、少くとも今申し上げたような小さい農家に対しては、たとい二千円であろうが二千五百円であろうが、これは相当な現金の支出であります。金の収入が少いのでありますから、その現金を税金として払わなければならぬということは、非常に苦痛なわけです。二町歩だとかそういうふうな大きな農家にとっては、収入も多いから多少高くても納めやすいけれども、零細農家の方は、やっとそれだけで食うや食わずでやっているのですから、その耕地から現金収入を得るという道がほとんどないのでありますから、そこでそれに税金を課されるということは、自分の生活のある部分を詰めて出さなければならぬというような結果にもなると思うのです。従って何かほかの兼業収入か何かなければ、周定資産税も払えないわけです。そういうふうな点を考えましたときに、少くともこの現在のような農家の階層がひどくなってくるような事態のもとにおいては、固定資産税のような比例税をふやすということは、そのウエートを高めるということは、実態に合わないのじゃないか。小さい農家を苦しめる方向じゃないか。これだけは認められると思うのですが、税務部長はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/20
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021・奧野誠亮
○奧野政府委員 お考えはよくわかるのでありますが、先ほど来たびたび申し上げますように、特に農家の負担をふやそうというふうな意図をもってやっているのじゃございませんで、やはり固定資産でありますと、土地と家屋と償却資産その他の間に、均衡のとれた姿に持っていかなければなりませんし、また法律が時価を課税標準とすると書いておりますにもかかわらず、土地の価格の高騰の度合いというものが他の物価におくれてきた関係上、評価の引き上げもまたおくれてきておった事情もあるわけでありまして、そういうようなことも考えあわせまして、今回、先ほど申し上げましたような程度の評価の引き上げを行なったわけでございます。将来にわたりましても、農民の負担の問題につきましては、お話のような点は十分考慮して参りたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/21
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022・北山愛郎
○北山委員 もちろんあなたの意図というものを特に問題にしているわけじゃないのです。意図のいかんにかかわらず、結果はこういうふうになっておるじゃないかと申し上げておるので、その結果が適当であるかどうかについてのお考えを聞いておるのです。少くとも今申し上げたような結果になっていると思うのです、またこの評価額を上げれば、そういう結果がますますひどくなる。これだけは認めなければならぬと思うのですが、そうなるかならないかということを聞いておるわけです。そしてそれがいいか悪いかということを聞いておるわけなんです。
それから「適正な時価」とありますが、なるほど法律にはその通りあるのですが、法律は国会で改正すれば直せるのです。もしも「適正な時価」というものが適当でなければこれは何か改正をすればいいのであって、「適正な時価」と書いてあるのが——部長としては守らなければならぬ法律でしょうが、しかしそれが適当であるかどうかは立法府たる国会としても考えなければならぬ点なのでお伺いするわけなんです。
それからなお今のいろいろなデータに基いでさらに調べた上でお伺いしたいのでありますが、これは去年も問題になりましたが、御承知のように大規模な企業の資産については、固定資産税は特別措置によって三分の一とか二分の一とかに軽減されておるわけなんです。電力会社の発電施設、送電施設というものは大幅な軽減を受け、税金が安くしてある。ところが税金が安くしてあるにもかかわらず、電気料金が逆に上っておるのです。それでは電力会社の、電気料金が上った負担を負うと同時に、固定資産税が、電力会社に対して安くなった分だけ一般の農民なり、そのほかの固定資産税を納める人たちが負わなければならぬという結果になっておるのですが、そういう事実はお認めになると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/22
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023・奧野誠亮
○奧野政府委員 評価を上げたのでありますから、農家の負担がふえたことは事実であります。しかしまた農家の負担がどの程度でいいかというような問題になって参りますと、単に固定資産税だけの問題でなしに所得税、市町村民税、都道府県民税その他を合せまして総合的に判断していかなければならないのではないかと思っております。比例税の性質上、また物税の性質上、貧農でありましょうと営農でありましょうと同じように負担はかぶって参るわけであります。しかし反面市町村の施設に対する応益的な負担の考え方もございますので、それが著しく高い場合には非常に問題でございますけれども、一反歩当り五百円程度であればがまんしていただかなければならないのじゃないだろうか、こういうふうな感じを持っておるわけであります。先ほど市町村民税についての市町村の住民の感情をちょっと申し上げたわけでございますが、今般はさらに所得税につきましても基礎控除の引き上げ等も行われていくわけでございますので、全体としてこの程度の負担が固定資産税に重くなってもやむを得ないのじゃないだろうか、こういう考え方をいたしておるわけであります。
なお発電施設に対する固定資産税の軽減の問題でございますけれども、これは御承知のように電源開発をすればするほど電気のコストが高くなってくる、こういう関係もあったわけであります。しかし反面電源開発がさらに行われていきますと、固定資産税の収入はふえてくるわけであります。こういうことを考えあわせまして、大体従来の固定資産税の総収入領を据え固く、こういう気持のもとに先般の改正も行われておるわけでありまして、電気関係の固定資産税の収入が大体従来と大同小異ではなかろうか。新しい開発分が加わって参っておりますので、そう大きく変らないのじゃないだろうか、こういうふうに見ておるわけであります。この税の負担がどう振り変ってくるかということは一つの税だけでは見られないのであって、固定資産税、所得税、住民税等を総合的に見て判断せざるを得ないのじゃないだろうか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/23
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024・北山愛郎
○北山委員 ただいまのお話でありますと、発電施設に対する固定資産税は、その施設がふえて参るのだからして軽減しても総体の固定資産税の額としては変らない。だからそのくらいは負けてやってもいいという趣旨にお伺いするのです。それだけで、たとえば発電施設についてもそうでありますが、それ以外の外航船舶の償却資産、あるいはその他企業の合理花による機械設備、あるいは輸出産業等の固定資産税というものを特別措置しておるのですが、やはり発電施設と同じようにその固定資産税は、そういう設備上ふえてくるからして総体の税額が減らないから差しつかえがないというようなお考えで、ございましょうか。それでもってそういうふうな軽減をなさっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/24
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025・奧野誠亮
○奧野政府委員 どういう理由で改正したかということは、昨年ずいぶん御論議があったので、北山さんもよく御承知のことだと思うのであります。ただ固定資産税の電気関係の負担減が農家に回っていっているのではないだろうか、こういう御心配があったものですから、そういう考え方も一つあったのだという意味で、昨年申し上げましたようなことを重ねて申し上げたわけであります。外航船につきましても、実は従前と改正後と大同小異になっております。しかしそれだからあの改正をしたわけではございませんで、地方財政上に与える影響を考えた場合に、その程度にとどまるものですから、たとえば外国との競争関係において、特に日本だけが重荷を負ってやらなければならないようなことは避けなければならないとか、あるいは市町村の財源について急激に多くなったり少くなったりすることも避けなければならないとかいうような考え方もももろんそれには加わっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/25
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026・北山愛郎
○北山委員 もちろんこれは昨年、も問題にしたのですが、そのわけがよく納得できないから、これは何べんも何べんも問題にしなければならぬのであります。要するにこういうふうな基礎産業だけはあらゆる税金を軽減して、あるいは利子補給をしたりあるいは安い金を貸してあらゆるめんどうを見なければならぬのに、なぜ農業だけはめんどうを見る必要がないのか、こういうふうな点について私どもは非常にアンバランスだ、不均衡だ、不公平だと考えたから去年もお伺いした、のですが、どうも納得のできる御説明がなかったから、そこでことしもまた同じことをお伺いしなければならぬのであります。
それは別といたしまして、これは財政部長もあるいは関係があると思いますが、福島県が六億五千万円の予算で福島県庁の庁舎を作っておるそうでありますが、その財源として約二億というものは電力会社の帯付金によっておるということであります。そのうち東北電力は一億円、電源開発が五千万円、それから東京電力が五千万円、合せて二億円という電力会社からの寄付金によって県庁の庁舎を作っておる。あと五千万円は市町村から寄付金をもらうのだ。足りない分は、職員の毎月の月給から百分の一とか二百分の一を積み立てて、それでやるというようなことを聞いておるのです。そういうことを開いておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/26
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027・後藤博
○後藤政府委員 実はもう昨年たしかでき上ったはずなんでありますが、その資金関係は私よく存じておりません。調べてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/27
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028・北山愛郎
○北山委員 それは一つ調べてお知らせ願います。なぜかならば、このようにして固定資産税について電力会社には特別に三分の一とかいうものを安くしてある。それはほかの別だ理由からなんだ、県庁の庁舎の建築資金に寄与させるために固定資産税を安くしておるわけではない、そうした点について関連があると思いますのでお伺いするのですが、その真相をぜひとも調べて当委員会に報告してもらいたい。そのようだ電力会社からの帯付金でもって建てたものであるかどうか、それからあわせてその中には職員の毎月の俸給から百分の一とか、二百分の一とかいうものを寄付させて、県庁の建築資金に使っておるというようなことを聞いておるのですが、そのことも重要でありますから、あわせてお調べになってお知らせを願いたい、これを要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/28
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029・大矢省三
○大矢委員長 勝間田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/29
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030・勝間田清一
○勝間田委員 ちょっとお尋ねしておきます。一つは、田畑の固定資産の価格をきめる場合に、便宜上収益方式をとっておりますね。そうしますと、現在の小作地についてもやはり収益価格で行こうというわけですか、その点をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/30
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031・奧野誠亮
○奧野政府委員 田畑につきましては、たれが持っているか、どういう使用状況にあるかということではなしに、一つの方式で全部通していきたい、こういう考え方でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/31
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032・勝間田清一
○勝間田委員 そうしますと、やはり小作地についても収益価格でやるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/32
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033・奧野誠亮
○奧野政府委員 同じようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/33
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034・勝間田清一
○勝間田委員 そこで、大臣に一つお尋ねしておきたい。農林委員会の方に小作料の値上げの問題がやはり出ておる。もちろん政府の決定は時効になっておりますけれども、値上げの問題が実は重大な問題になってきておる。それから農地担保の金融の問題がやはり向うに同時に出ております。そこで田畑の固定資産が二割八分値上げということになると、これらが相互関係に立つだろうと思うのです。政府が農地担保金融を出したり、小作料の引き上げをしたり、またこういったような固定資産の関係を出したりしますと、従来の農地法の関係とは全然変ったものに持って行こうという意図が、ここに明らかに出てくると思うのですが、一体農地担保や小作料の問題と、この固定資産の関係をどう考えて提出されているか、この点を大臣から一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/34
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035・川島正次郎
○川島国務大臣 自治庁といたしましては、地方財政の見地から物を処理いたしておりまして、地方税法によりまして、固定資産は毎年一回評価変えをするということに基いて、昨年十月評価変えをすることを全国に通達をして、それに基いて各公共団体がそれぞれ処置しているわけであります。土地につきましては、政府委員からもお答え申し上げたと思うのでありますが、従来の時価なりまた収益から考えまして非常に低率でありましたために、これを今回修正をして二八%の値上げをしたわけであります。家屋はそのままであります。今お話のように、他のいろいろな関連性等は、私ちょっとここで何ともお答えできないのでありますが、固定資産税そのものから申しますと、これは全く地方の財政事情から考えてやっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/35
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036・勝間田清一
○勝間田委員 それでは奧野さんにお尋ねしますが、収益価格をこうやって取っていく限りにおいては、やはり小作地の問題は、あなたの考え方からいけば小作料を値上げしなければならぬことになるではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/36
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037・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定資産税の課税標準は、やはり一つの財産価格だと考えております。ただ、農地は売買が制限されているものでありますから、そこで一応収益から資本還元して価格というものを見る、こういう見当で今のような評価額を算出して参っているわけであります。かりに小作料が統制されておりましても、その統制されておる農地というものの財産価格が、われわれが今までやっておりますような方式で算定いたしましたものと比べて著しく低いものでありません限りは差しつかえないじゃなかろうか、こういう考え方をいたしておるわけであります。固定資産税の建前が、課税標準を財産価格に求めても、小作料が非常に統制されているものだから収益価値がないじゃないか。収益価偽はないのでありますけれども、財産価値はやはりあるのであります。でありますから、その間に著しい不合理が生じてきているということにはならないではないかというふうに思っております。しかし、小作料の統制方式がそれでよいという意味で申しているのではないのでありまして、固定資産税の建前からいった場合は、必ずしも矛盾することにもならないと思うのです。かような意味で申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/37
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038・勝間田清一
○勝間田委員 そこは少し詭弁だろうと思うのです。小作料の方を統制している理由はあなたも御存じの通りだろうと思うのです。農地制度の関係からそういう制度をとっているわけです。現在の収益価格と小作料価格の関係から行きますと、現在の小作料というものは、収益価格から見て低いわけです。しかしそれは現在の農地制度の精神から行っているものなんです。しかし収益価格からすべてを計算していくということになりますれば、当然小作料を値上げするというような政策があなたの方から出てくるではないですか、直接間接に。この点は矛盾するだろうと思うのです。
もう一つあなたの考え方で行けば、畑の計算は、勧業銀行の水田に対する畑作の価格の比率をかけて持っていくわけですね。そのかける根拠になるものは水田の収益価格なんです。その水田の収益価格に今言った畑の比率をかけたものを持ってくるわけですね。畑の方には内容においては売買価格というようなものの意味が含まれておるわけです。もしほんとうに畑の方をやるならば、なぜ畑の方の収益価格を取らないかとむしろ言いたいくらいなんです。都合のよい方の論理を取っていらっしゃるではないかと実は思うのです。ここは先ほど話があったように、農地には希少価格というものがあるから、その希少価格というものがやはり作用しておるわけです。ですから、水田の方は収益価格、畑の方は今言った比率をかけてやる、こういう考え方では首尾一貫しないと思うのですが、それをどういうように統一していらっしゃるか。
それともう一つは、本来ならば小作料というものは、その土地の基礎をなすものである。収益価格に利子をかけて還元していくという方法はノルマルな方法ではないのです。それをどういうように還元していくか、財産税としてどういう方向に持って行かれるのか、その方針を聞きたいのです。過渡期の問題としてはあるかもしれませんけれども、一体移動されるのですか。移動される方向というものは、私はおそらく地主制度の復活という方向に行かれる意図ではないかと思うのです。現政府はそこを一体どういう方向に持っていかれるのか、固定資産の対象も一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/38
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039・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定資産税の課税標準であります時価には、どんな時価を採用することが一番いいかという問題になって参りますと、やはり財産価格でありますので、一般的には売買時価、これを基本にすべきだろうと思うのであります。ところが農地につきましては、先買についても強い制限が加えられておるわけであります。ことにまた農民の数が非常にふえて参りました場合には、御指摘のような希少価値を生ずるというような問題も起ってくるわけでございますので、そういうような事情をしんしゃくいたしまして、一応収益から価格を還元して求めたものを標準にし、指導していこうじゃないか、こういう建前を取って参っておるわけでございます。収益還元の価格が固定資産税の課税標準として正しいのだということではございませんで、固定資産税の課税標準としては、むしろ先買時価というものが考えられるべきであるが、農地については強い制限が加えられている、しかもまた希少価値というような問題も起っているじゃないか、こういうようなことから一応収益還元で求めた程度で指導することが、今の日本の実情に合っているのではなかろうか、こういうような考え方を持っておるわけであります。もし収益還元というような行き方を強く持っていきますれば、御指摘のように、小作地は地主の小作料収入を中心に考えなければならないじゃないか、こういう議論も起ってくるだろうと思うのであります。しかしながら、今収益還元の方式を取っておりますのは、私が申し上げたような意味で取っておるにすぎないのであります。そういう意味でございます。従って、また小作地でありましても、自作地と同じような関係で評価をいたして参っておるのでございます。それじゃ田地につきましては収益還元の計算をしていながら、畑地の評価をする場合は両者の売買価格の比率から求めているじゃないか、矛盾じゃないか、こうおっしゃるわけでございます。しかしながら田につきましても畑につきましても、売買については強い制限が加えられておりますので、本来の売買価格は元来は収益が基礎になって価格が定まってくるはずじゃないか、こういう考え方もするのであります。ただこういう制限は最近に行われたわけでございますので、必ずしも正常にそうなっているのだ、こう申し上げるわけではございませんけれども、建前から考えればそうなるのじゃないだろうか。売買が制限されている以上は収益が基礎になって価格が生まれてくるはずじゃないか、こういうふうに思われるのであります。そうすると田の売買価格も畑の売買価格も、収益に還元いたしました場合には、その比率は同じじゃないだろうか、従ってその比率を求めるだけのことでありまして、その比率を田について収益還元した価格に乗ずることによって、田の、言いかえれば収益還元の評価価格ということにたりましょうが、そういう価格を求めているんだ、こういう考え方のもとに計算をやっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/39
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040・勝間田清一
○勝間田委員 私はそれはおかしいと思うんですね。現在の農業所得の計算をしてきまして、水田の方は御存じの通り統制が加えられておりまして、早く言えば公定米価というもので計算をされてきておるわけです。それは今まで、漸次若干上ってきました。ところが畑地の方の現在の状態を見ますと、たとえば麦は、御存じの通り昨年は六十何円でしたか、下げました。米は逆に上げました。それから雑穀その他の状態も同様の措置をとっております。でありますから、収益価格をとっていくというならば、水田の主産物である米と、畑作の主産物であるいろいろの雑穀その他がございますね。これは上中下三つくらいにわけておりますが、計算をすればおそらく畑の率はずっと下ると私は思う。この計算をしてみたことがございますか。農地の価格の比率からくる差というものと、畑地における産物と水田における産物の比率との差がどれくらいの違いがあるか。その両者の間に——あなたの方はなぜそういった希少価格も加わった勧業銀行のそういった価格の差をとるかということですね、私はそこの矛盾をもう一ぺん聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/40
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041・奧野誠亮
○奧野政府委員 田につきましては、これは作っております作物が米でございますから、非常に正確に計算ができます。しかし畑につきましては、非常にいろいろな作物がございまして、しかもまた統制価格があるわけでもございませんので、非常にむずかしいと思うのであります。そういう意味で、お尋ねになりましたような計算は実はやったことがございません。ただ大体の傾向としては、先ほど申し上げましたような関係から、両者の比率を中心に考えていいじゃないだろうか、こういうようなことで、田と畑の売買価格の比率を田について求められた価格に乗ずることによって計算をいたして参っておるわけであります。いずれにいたしましても、売買時価その他から見ました場合には、かなり低いところに置かれておるわけでございますけれども、問題は田、畑、その他との関係におきまして不均衡の生じないようにしていきたい、われわれとしてはこういうようなことを一番力を置いて考えてきておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/41
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042・勝間田清一
○勝間田委員 私はそういう状況でありますから、こういう固定資産税をとっていく場合には、将来どの方向に行った方がよろしいのかという、その方向を一つ聞きたいと思うのです。現在の農地制度の立場を堅持した形でものを進めていくということがまず一つ。そうでなしに、これはもっと自由価格の形成を根本として漸次財産税的なものに持っていくという考え方ならば、その考え方も聞きたい。私はどうも現在の政府の持って行き方というものは、やはり土地ももう自由にしていき、生産物も自由販売にしていき、そして収益価格というものを作って、将来はおそらく売買価格ということによって固定貸席税をきめていこうとされておるのではないだろうか。それが担保金融や固定資産税の引上げや小作料の引上げと結びついているのではないだろうか。そうでなくて、やはり農地制度というものの精神を守った上で、そいうものを作っていこうという考えなのか、一体どもらなのか。私はやはり農地制度というものは、単なる地方自治制度によって改変されるべきものではないと思っております。その根本の精神を一つ聞かしてもらいたい。大臣、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/42
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043・川島正次郎
○川島国務大臣 私もあとでお答え申し上げますが、一応事務当局から自治庁としての考え方をお聞き取り願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/43
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044・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定資産税は地方税法のもとにおいて、課税標準を時価とすると書いてございます。しかし農地につきましては、いろいろな意味で戦後諸改革が加えられ、売買におきましても強い制限が行われておりますので、そのワクの中で時価というものを考えていかなければならない。そういう意味で、またたびたび申し上げますような収益還元の方式を用いて時価なるものを算定してきておるわけであります。従ってまた小作に付しております地主にとりましては、非常に過酷な固定資産税を課しておるという結果にもなっておるわけでございますけれども、このこと自体は農地法との関係においては矛盾はしていないのではないかというふうに思っておるわけであります。固定資産税は地方税法でいろいろ規定が行われておるわけでございますけれども、農地法その他において行われておりますいろいろな規制との脚において矛盾を生じないように運用していかなければならない、固定資産税の運用の面から農地法を変えていこうというふうな大それた考え方は、持つべきものではございませんし、また現に持っていないわけでございます。農地制度が変ってきた場合には、固定資産税の課税標準を農地についてどうとるかということは、またその間で調整のとれた方式を選ばなければならないと思います。農地法が現在の建前をくずしません限りは、そのワクの中で固定資産税の運用を考えていかなければならない、そういう気持を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/44
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045・川島正次郎
○川島国務大臣 終戦後農地が解放されて現在の況状になっておるのでありますが、固定資産税の面から、こうした根本の民主的な方針をくずして、農業経営を資本主義的に持っていこうという考えは、私としては全然持っておりません。そういう傾向が現われることは警戒しながら、すべての税法を扱わなければならない、こういう考えに立っております。これははっきり申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/45
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046・勝間田清一
○勝間田委員 最後に大臣に一つお願いをしておきたいと思うのですが、およそ現在の農業所得を考える場合に、政府では各機関が非常にまちまちな態度をとっておることを私は経験いたしております。たとえば農地が演習場等に取られた場合の補償は、御存しの通り補償要綱によって決定いたしております。それは農業所得の八掛なら八掛という形で決定をいたしております。それを年々の補償料として、いわゆる借り上げ料として漸次農民に払っておるというのが今日の状況であります。この補償要綱にとっておられる農業所得の態度は、漸次減少させようというのが今日の態度でありまして、すなわち政府は低物価政策をとり、デフレ政策をとり、そして物価安定政策をとろうとするのであるから、農業所得は漸次減少せるものと認めて、そして演習場に対する借り上げ料はこれを低下させようというのが、今月の政府のとっておる態度であります。われわれは常にそういう問題について、現在の農業収益価格を正確に計算しようという努力を続けておりますが、政府はそれを引き下げようという努力であります。しかし今度は自治庁のこういう案になってきますと、農業収益は増大いたしておるという見解をとっておられます。その計算の基礎は、こういうふうにいろいろ便宜主義をとっておりまして、ある場合には勧業銀行の場合をとってくる、ある場合にはどこをとってくる、そうして結局収益価格は上っているものと計算をいたして、固定資産税を二割八分上げようという考え方を持っていらっしゃる。それから主税局等のいわゆる税務署の関係は、また別個ないろいろな態度をとっておられます。私はそこに現在政府の農業収益に対する態度が一貫しておらないのを感ずる。これは川島さん、どうか閣議においてもはっきり研究していただきたいのですが、政府は支払う場合においても、徴収する場台においても、終始一貫して行うべきであります。支払う場合には下げていこう、徴収する場合には増大して評価をしよう、こういろ便宜主義で現在行われておるという姿は、私はきわめて遺憾に思いまするので、農業収益なりその他の収益に対する一定の見解を持ってもらいたいと私は思う。その見解が政府の方で一致しない限り、特調の方は少く見る、大蔵省は少く見る、あなたの方は多く見る、こういう関係に立っていきますから、どうか政府部内の収益価額に対する基本的態度を一致させてもらいたい、それをあなたに最後にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/46
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047・大矢省三
○大矢委員長 本案に対する質疑は後刻適当の機会に行うことといたしまして、委員各位から要望のありました、予算の修正によって変更された昭和三十年度の地方財政計画に対して御説明を聴取いたしたいと思いますが、これは午後に聞くことにして一時半まで休憩をして、一時半から再開することにいたします。
暫時休憩いたします。
午後零時十一分休憩
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午後二時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/47
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048・大矢省三
○大矢委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。
まず昨日委員より御質疑のありました自治庁松村調査課長の福岡県の県財政調査に関する問題について、自治庁長官から発言を求められておりますから、これを許します。川島長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/48
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049・川島正次郎
○川島国務大臣 昨日お話のありました、福岡県の財政調査に参りました自治庁調査課長の言動についてでありますが、福岡県における財政調査の結果はまだ出ておらぬのであります。至急に結論を出すように命令をいたしてございます。新聞社の座談会に調査課長が出まして、福岡県の赤字は全部これが給与によるのだ、こういう意見を言ったことは少し行き過ぎでありまして、やはり調査の結果をよく検討した上でなければ発言できないわけでありまして、ことに出先において、自治庁の課長がそういうことを言うことは、当然慎しむべきことだと私は考えております。福岡の赤字につきましては、ただ人件費のみならず、その他いろいろな原因があるのだと私は推定をいたしておるのでありまして、この結果につきましては、いずれ調査が完了次第、当委員会に御報告申し上げたいと思っておりまするけれども、先般の調査課長の座談会における言動は、当を得ない言動でありまして、今後ともああしたことを軽率に口外しないように、十分訓戒を加えるつもりでありまするから、御了解を願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/49
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050・坂本泰良
○坂本委員 ただいまの長官のお話で大体了承できると思いますが、この財政調査につきましては、今後いろいろ他の府県からもあると思いますが、その調査に基く勧告は、これは当委員会において地方財政再建促准法その他の法律案が、今ここに審議をされておるような情勢でありますから、一県々々について勧告でなく、本委員会において審議中にある法案ともにらみ合せて、総合的に検討した上でやっていただきたい、これを希望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/50
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051・川島正次郎
○川島国務大臣 今の御発言は、今御審議願っている法案が通った結果、この法律を適用する公共団体に対して勧告する場合には、一県々々御了解を得て、こういうことですか。そういう意味じゃないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/51
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052・坂本泰良
○坂本委員 この調査をされて、その調査をされた県に直ちに自治庁から勧告をされることなく、これはただいまこの委員会で審議が進あられておる法案との関係がございますから、この法案が通過し、その上で一般的、総合的に勧告してもらいたい、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/52
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053・川島正次郎
○川島国務大臣 御趣旨のように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/53
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054・川村継義
○川村(継)委員 福岡県において調査課長の行なった問題につきまして、ただいま長官からいろいろ言葉がありましたので、一応了解できるわけでありますが、実は新聞で発表された内容について、いろいろ調査課長みずから当時の考え方なり、その態度なりをただしておかねばならないと思ったのですけれども、それをここで取り行う必要もないんじゃないかと思っております。まだこの後いろいろ福岡県の問題を中心として財政上あるいは自治上の問題、行政上の問題として考えなければならぬ問題が非常に多いと思いますので、いろいろ後日また、こういう新聞発表等を契機として、全般の問題についてお聞きする問題があるかと思いますので、そのときに自治庁としての見解をお尋ねいたしたいと思います。ただ長官も御承知と思いますが、昨年の八月末日に自治労関係と自治庁との間には、たしか四項目かの覚書が協定されておるということを聞いております。これは長官も御存じだと思います。その第三項でございますかには、財政調査については、職員の身分、給与にしわ寄せをさせないように慎重を期するとともに、発表に当っては、軽々に発表するようなことがないように庁内に厳達し、実行させるというような協定があるということを聞いておりますので、この点につきましても、自治庁としてはその協定、覚書を尊重していただいて、調査課長が行なったようなことが、今後再発しないように取り計らっていただきたいということを希望申し上げておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/54
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055・大矢省三
○大矢委員長 次に、昭和三十年度地方財政計画に関する件について、午前中手元に資料を配付しておりますから、これについて後藤財政部長から説明を聴取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/55
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056・後藤博
○後藤政府委員 お手元に配付しました資料によりまして御説明申し上げたいと存じます。先般の国会修正に伴う歳出歳入の増減に関して簡単に御説明申し上げます。増減額は右から四行目のところにあります。それを中心に御説明申し上げます。
消費的経費のうちで、新規財政需要額の増は二十一億三千五百万円でありまして、その内訳は、公債費が六千五百万円増加いたします。これはあとで申し上げます政府資金による起債が二十億ふえて参りますが、その二十億の六分五厘の利子でありまして、十月以降の半年分をここに計上いたしたのであります。それからずっと下りまして、普通補助金の増減及び改廃に伴う経費の増減二十億七千万円、これは地方団体に関係いたします普通補助金が二十三種類ばかり増加いたしております。その二十三種類の補助金が増加いたしましたに伴いまして地方負担もあるわけでありまして、事業量が二十億七千万円ふえるのでありますが、地方負担は逆に六千三百万円減って参ります。これは市町村農業委員会の補助金が、三十年度の当初予算では交付税回しになりまして削られておったのが、約九億四千万円でありますが、それが復活いたしました関係で地方負担が大きく落ちて参ります。その関係でほかの地方負担の増が消えて参る格好になります。
次に投資的経費の方では、総額四十八億二千七百万円の増加になります。そのうち、公共事業費の増減が四十八億二千七百万円でありまして、一般公共の方が四十三億一千五百万円、災害が五億一千二百万円であります。一般公共の方でふえましたものは、大きい数字で申しますと、厚生施設で事業が十一億ばかりふえております。それから文教施設で事業が四億五千万円ばかりふえております。それから食料増産関係で事業量が九億八千万円ばかりふえてそのほか一般公共で十七億ばかりふえております。災害が五億ふえて参ります。合せて四十八億二千七百万円の財政需要が増加いたしたわけでございます。消費経費、投資経費合せまして六十九億六千二百万円の財政需要が増加いたしております。不交付団体の分も増加いたしておりますが、不交付団体の超過額を一億八千九百万円減らしております。これはあとで申し上げますが、それで財政需要としては、当初計画に比しまして六十七億七千三百万円増加いたしまして、九千八百二十九億一千九百万円、三番目の欄の一番下でありますが、そういうことに相なるわけでございます。
それから歳入の方でありますが、地方税は、法人税及び所得税の減税の国の修正ではあるのでありますが、その分は税法の改正によって税率の調整をいたしますので、収入額は変りません。譲与税も変りません。それから道路譲与税、これも変りません。それから地方交付税が十四億七千四百万円減になります。これは当初の国の予算の国税の三税の合計は六千三百十二億六千万円になっておりましたので、それの二二%を組んだのでありますが、所得、法人の減税がございますので、その関係でこの三税の総額に変動がございます。六千二百四十五億六千万円に減って参っております。従って六千二百四十五億六千万円を基礎にいたしまして、その二二%ということにいたしますると、十四億七千四百万円だけ減になるわけであります。その減の分を、その下の欄のたばこ専売特別地方配付金でもってまかなうということになりましたので、そちらの方に回って、これは交付税と同じような方式で配って参ります。従ってたばこの特別配付金が、前の三十億と合せまして、四十四億七千四百万円になるわけであります。たばこの消費税は本年だけの措置でありまして、三十一年度以降は、たばこ消費税の税率が約二%の引上げに相なるわけであります。それから国庫支出金は四十七億七千三百万円の増加になります。そのうち普通補助金の関係が二十一億三千二百万円、公共事業費の補助金が二十六億四千万円であります。公共事業費の内訳は、一般公共は二十二億一千万円、災害が四億三千万円であります。今回増加いたしました地方負担が大体投資的な経費でございますので、その財源措置は、地方債二十億を増加いたしまして、これで財源措置をいたしたのであります。この二十億のうち十九億を交付団体に持って参りまして、不交付団体の方に一億だけ持っていくことにいたしております。その関係から不交付団体におきましては、一億八千九百万円の超過額が減ずるという格好になって現われてきておるわけであります。歳入の会計は六十七億七千三百万円ふえまして、九千八百二十九億一千九百万円に相なるわけであります。
なお今申しました普通補助金の関係は、まだ農林省その他と大蔵省との間でこまかいところがきまってないようであります。これはなぜきまってないかと申しますと、二分の一補助と三分の一補助と二つのものが一諸になって補助金の上に現われてきております。従ってその地方負担金というものは多少動くかもしれませんし、また直轄的な事業もございますので、その関係で多少動くかもしれません。私ども昨日の夜まで聞いた話を基礎にいたしまして、大体財政需要及び地方負担をはじいておる次第でありますが、多少の変動がありますことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/56
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057・大矢省三
○大矢委員長 これに対する質疑は次会に譲りまして、本日は、本会議も開かれておりますから、これで散会をいたします。
午後二時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X01719550609/57
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