1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十四日(火曜日)
午前十一時三分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 安藤 覺君 理事 池田 清志君
理事 古井 喜實君 理事 前尾繁三郎君
理事 加賀田 進君 理事 門司 亮君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
櫻内 義雄君 渡海元三郎君
徳田與吉郎君 丹羽 兵助君
長谷川四郎君 青木 正君
熊谷 憲一君 山崎 巖君
吉田 重延君 川村 継義君
北山 愛郎君 坂本 泰良君
西村 彰一君
出席政府委員
自治政務次官 永田 亮一君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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本日の会議に付した案件
入場譲与税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四〇号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
入場譲与税法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありまするので、これを許します。門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/1
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002・門司亮
○門司委員 大臣がまだ来ていないので、奧野君に聞いておきます。去年この問題が出たときは百五十五億ばかりの見込み額であったものが、税率を半分に下げることによって七十億余りの財源不足ができることはわかっておった。わかっておったのだが、しかし結果は自由党と民主党との合作でああいうものができてしまった。そうしてつじつまが合わなくなって一般会計から三十五億ばかり地方財政に繰り入れておる。そういういきさつがあって、ことし一割から頭をはねるのも大蔵省としては少し良心がとがめるというようなことで、これを全額払い戻そうという考え方だろうと思う。しかし全額地方に出してみたところで、足りないものはやはり足りないのです。かりに去年税制の改正をしなかったとすれば、ことし全額地方に出せば一体どれくらいの財源になるかということの計算ができていますか。もしそちらにできているとすれば、一応それを出していただきたいと思う。そのことを私が聞いておきますのは、税金は五割下げた、しかし映画の料金というものはちっとも下っておらぬ、だから税金を下げたということは、単に業者だけに利益を与えたということで、これを観賞する大衆にはちっとも利益が与えられておらない、こういう結果が出てきておるからです。この税金については、結果的には非常にまずいものができていると同時に、政府の大きな失策だったと私どもは思うのですが、これに対する自治庁としての見方を、御説明ができたら二つ説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/2
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003・奧野誠亮
○奧野政府委員 昨年府県税でありました入場税を国税に移します際に、従来府県税で確保されておった収入額はなお維持するけれども、税率については若干引き下げる、こういう方針がとられたわけであります。その際に、平年度三百十八億円という入場税収入額が予定されておったわけであります。たまたま昨年国税移管の時期がずれました関係上、門司さんが先ほどおっしゃっておりました数字は九・五カ月分の収入に当るわけであります。二百十八億円予定しておりました収入が本年度百三十五億しか見込めませんので、それだけは予定をはずれたということになってしまうのでございます。昨年国会におきましてさらに税率の修正が行われましたその際、政府部内におきましても、大蔵省と自治庁との間で、見込みが若干違っておったことも御承知の通りだと思います。減収の見込みを、大蔵省が言っておりましたよりも自治庁の方はもっと大きいと申し上げておったわけであります。結果はそれよりもさらに大きいというふうなことになってしまったわけでございます。三十年度の入場税の収入見込みは、昨年の五月から今年の二月までの実績を基礎にして十二カ月分に延ばしました金額が百二十七億円であります。これに消費増等を十二分の一見込みまして、百三十五億円と予定しているわけであります。ところが、先ほど申し上げましたように、当初移管に当りましては、平年度二百十八億というものを予定しておりましたので、その間に八十数億円の開きが生じて参ってきておるわけであります。これは政府といたしましても相当な見込み違いをやったということを、はっきり申し上げざるを得ないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/3
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004・北山愛郎
○北山委員 昨年の入場税の税率引き下げでございますが、入場税の税率を引き下げるということは、要するに入場者に対する料金をそれだけ下げるということでなければならぬと思います。従って、入場税の税率引き下げの結果として、入場料金にどういう影響を及ぼしておるか、税金は下げたけれども、入場料金は下らないということでは何にもたらないわけなんです。映画館の利益あるいはフィルム業者の利益にだけ吸収されてしまう。結局、映画館等に入場する者の負担を軽減しようというところに目的があったので、そういう結果が出てこなければならぬわけです。どういうふうな結果になっておるか、お調べになっておるならばお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/4
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005・奧野誠亮
○奧野政府委員 昨年府県税から国税に移管になりました際に、税率引き下げ等も行われましたので、北山さんのおっしゃいますような形が出てこなければならないということで、国税当局におきましても入場料金の引き下げを強く興業主に干渉して参ったようでございます。その結果、移管から秋ごろまでは、一般的な傾向といたしましては、入場料金が現実に若干引き下げられておるのでございます。ところが、また暮れ近くなりましてから、漸次入場料金が引き上げられた結果、もととあまり変らないというふうな姿が相当多く出て参っておるようでございます。しかし反面、興業関係の競争といいましょうか、そういうようなことから、一本建の興業が二本建になり、二本建のところが三本建になってくるというような形も現われて参っておりまして、その面におきましては、あるいは映画を見る人たちに対するサービスがふえてきておるというような見方もできるのではないかと思うのであります。率直に申し上げまして、大体の傾向は今申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/5
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006・北山愛郎
○北山委員 入場税の引き下げが映画業者、フィルムを貸す業者、映画会社等に対して間接に影響を及ぼして、その結果フィルムの貸付の料金が高くなるというようなことはございませんか。その点について、何かお調べになっておるならばお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/6
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007・奧野誠亮
○奧野政府委員 今おっしゃいましたように、製作業者が、たとえば歩合収入によっております場合に、その収入歩合を引き上げたというふうな話は全然聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/7
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008・大矢省三
○大矢委員長 よろしゅうございますか。他に質疑はございませんか。——他に質疑がないようでございますならば、本案に対する質疑はこれを打ち切りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/8
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009・大矢省三
○大矢委員長 御異議ないものと認め、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
次に討論に移りますが、別に通告もないようですから、討論はこれを省略して、直ちに採決に入ることにいたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/9
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010・大矢省三
○大矢委員長 それでは採決いたします。入場譲与税法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/10
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011・大矢省三
○大矢委員長 起立総員。よって本案は、全会一致原案通り可決いたしました。
この際お諮りいたします。本案に関する委員会の報告書作成につきまして、は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/11
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012・大矢省三
○大矢委員長 異議なきものとして、さよう計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/12
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013・大矢省三
○大矢委員長 次に、地方税法の改正に対する質疑を継続いたしたいと思います。これを議題にいたします。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/13
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014・北山愛郎
○北山委員 この前も固定資産税についてはいろいろお伺いをしたのですが、最近新聞等でも書いてございますけれども、東京都の固定資産税、土地、家屋等の評価を三割ばかり値上げをするということが大きな問題になっておるようであります。これは自治庁でも、先ほどお話があったように、昨年指示されましたいわゆる二八%ですか、そういう評価の基準を値上げをして通告をしている。これに基いて東京都がやろうとしておることだろうと思います。ところで問題になるのは、この東京都における固定資産の評価基準を引き上げる結果といたしまして、それが地代や家賃に響いてきて、地代、家賃が、固定資産の評価が上るに従って上ってくるということが、新聞等にも報ぜられておるわけであります。自治庁としては、これについてどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/14
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015・奧野誠亮
○奧野政府委員 御承知のように地代や家賃の統制額は、固定資産の評価額が基礎になっております関係上、評価額が引き上げられますと、自然統制額も引き上げられていく結果になって参るわけであります。現在、地代や家賃につきましては、最近に建設された家屋であるか、古くからあった家屋であるかということによりまして、家賃には非常に大きな開きがあるわけであります。固定資産の評価額が引き上げられるにつれて家賃が上げられますと、その開きが若干縮まって参るわけでありますけれども、しかし、とうてい問題にならないような大きな額に上っておると思います。もちろん地代や家賃が、かりに他のものと比べまして非常に低いものでありましても、引き上げられることが好ましいものとは思っていたいわけでありますけれども、しかし、全体の中で占めている増加部分がどの程度になるかというふうな問題で判断するよりいたし方がないのではないかというふうに思います。あるいは所得税が減税されますと、若干地代、家賃が引き上げられましても吸収される程度のものであるか、吸収されない程度のものであるかというようなことも、あわせて考えなければならないわけでありまして、その他いろいろな要素がありますけれども、全体を総合して考えました場合に、この程度のものであるならば、ある程度地代、家賃に影響を及ぼすことになってもやむを得ないじゃないか、こういう考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/15
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016・北山愛郎
○北山委員 そうすると、自治庁でも、固定資産の評価基準を引き上げたことによって、その結果として地代、家賃が値上りになるということはお認めになっておる。ところが、この前お伺いしたときには、実際の物価がそれだけ上ってきておるから、それに相応じて固定費産税も引き上げなければならぬのだ、こういうようなお話でありましたが、話が逆ではないか。固定資産税は、宅地やその他そういうものが上ったから、それに応じて、そのあとからついてこれを上げなければならぬ、こういうことを言われたのですが、実際は、今度の引き上げによって、その結果として地代、家賃が引き上げられるというような結果になっておる、こういうようなことでありますから、前に御説明になったのとは非常に食い違いがあるのではないかと思うのであります。これが一つであります。
それからもう一つは、ただいまのお話しで、値上りをするということはお認めになって、その一般の大衆に対する負担というものが減税等において吸収されるかされないか、そういうことをいろいろと勘案してきめなければならぬのだというようなお話しでありますが、それならば減税とそれから地代家質の値上りと、どういうふうな数字的な関連になっているかということを、具体的にお示しをいただかなければその議論はできないと思うのでございます。そこで減税がどのくらいであって、家賃地代の値上りが生計費に響く比率はどのくらいであるか、そういうふうな数字を一つお示し願いたいのであります。これはこの前、国税の減税と地方税の変化、増税これらの関係もあわせて資料としてお願いしておきましたので、こういうこともあわせてお答えがいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/16
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017・奧野誠亮
○奧野政府委員 第一番目の問題は、固定資産の評価額を引き上げたのは、他の物価が上ってきたからそれに関連して引き上げたと言っていたにもかかわらず、違っているじゃないかというお話しのようでございますが、それはやはり、従来から申し上げておりまするように、土地の売買価格その他が引き上って参っておりますので、それに合せまして固定資産の評価額も引き上げて参っておるわけでございます。地代は地価が上ったならばそのまま地代を引き上げることができるのではなしに、地価が上りましても、固定資産税の課税標準となります評価額を上げなければ地代の引き上げを行うことができないという建前になっておるわけでございます。従いまして、地価が上っておったけれども、固定資産の方では、評価額を引き上げていなかったから地代には何ら関係はなかったが、今回評価額を引き上げることになりますと地代に影響を及ぼしてくる、こういうことになるわけであります。
なお第二の問題でありますが、単に所得税だけじゃございませんで、全体を総合して考えなければならぬと思うのでございますけれども、所得税との関係だけで申し上げますならば、今委員部へ資料をお届けしたところでございまして、これをごらんいただきますと大体どの階層で負担がどの程度下がるかという数字が出て参ってきているわけであります。地代、家賃の問題につきましては、標準的な家屋を考えなければならぬわけでございますが、いずれそういう数字をつくって提出いたしたいと思います。ただしかしながら地代、家賃の問題は、従来から古い家屋に住んでおる人たちだけが恵まれた地代、家賃で保護をされておるわけでございまして、それ以外に新しい家屋等に住んでおる人たちも相当たくさんあるわけでございます。こういう人たちには何ら影響は及んで参らないことも御了承をいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/17
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018・北山愛郎
○北山委員 しかしながら少くとも政府の一つの物価政策として考える場合には、家賃、地代にしろ、あるいはその他の電気料金なりあるいは鉄道の運賃、こういうものにしろ、そこには一つの政策というものが行われておるわけでありまして、従って単に野放しにしておいて、実態がこうであるからこれにただついていくのだということだけでは——これはそこにやはり一つの政策というものが加味されてくるのだ、かように考えるのです。そうすると鳩山内閣は、少くとも家賃、地代については値上げをしてもやむを得ないのだというような政策をとっておる、こう考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/18
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019・奧野誠亮
○奧野政府委員 地代、家賃全体を値上げするということじゃございませんで、先ほど申し上げましたように、固定資産の評価を適正にする結果、古い家屋に住んでおった人について、家賃統制の非常な恩典を受けている人たちに若干影響が及ぶところがある。影響を及ぼさせることを主体に考えて評価を上げているわけじゃございません。ただ評価を上げました結果、若干間接的ないろいろなところに影響を及ぼしてくる、しかしその影響が耐えがたいものであるか耐えられるものであるか、こういう判断がいるんじゃないかと思います。税の問題につきましても、その他の問題でもそうでございますが、なるたけ全体について均衡の得られるような政策をとっていかなければならぬ、国民それぞれが均衡の得られる姿においてすべての政策を定めていかなければならぬじゃないか、従ってまた現内閣が原則として減税方策をとっておりますけれども、一部間接税についてはその穴埋めに増税もやむを得ないというような趣旨の法案も、国会に提案いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/19
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020・北山愛郎
○北山委員 新しいものと古いものと差がある、これは認めなければなりませんが、しかし古いもの、安いものを修正をして引き上げることによって、高い方が逆に安くなるかというとそうじゃなくて、やはりそれにつれて多少とも値上りの方向へ影響を受けるだろう。下がるということは考えられない。むしろそういうふうな新しいものすらも押し上げるというような傾向になることは認めなければならぬと思うのです。従って問題は、家賃、地代等については多少値上りしても、大衆の負担が多くなってもやむを得ないのだというようなお考えで、この固定資産税の評価基準をお上げになった、どうしてもこう考えざるを得ない。こういう均衡という点をその部分についてはお話しになるのでありますけれども、均衡ということを見るならば、現在の政府がその政策としてあらゆる部面において均衡の政策をとっておるならば、固定資産税について、なぜ電力会社については——それ以外の税についても同様でありますが、固定資産税について当然必要な金額を、電力会社等の大きな資本については減免をし、そして力のない農民に対してはどんどんこれを上げていくということは決して均衡のある政策じゃない、かように考えるのでございますが、これは何回も触れた点でありますが、均衡政策をあらゆる部面においてとるならば、そういう面は矛盾ではないか、だからしてただこの宅地やあるいは家屋、家賃、地代についてそういうふうな均衡政策をとっておるのだということだけで、私は今の政府が公平な均衡政策をとっているのだというふうには認められない、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/20
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021・奧野誠亮
○奧野政府委員 電気関係の固定資産については、税をかなり軽減しているじゃないかという御意見でございました。まさにその通りでございます。反面また固定資産税はこの程度しか負担しないものだとして電気の料金はきめておるわけでございます。電気事業の収入は、それに相応いたしまして少くなって参っておるわけでございます。また農業の関係者に対しましては、田畑に固定資産税を課しておりますので、かなり重い負担を背負っておるのでありますが、しかしながら、反面事業税は農業に対しましては課さない方針をとっておるわけでございます。従いましてあらゆる施策を総合的に考えていただきませんと、いろいろ御意見がわかれてくるんじゃないだろうかというふうに思うのでございまして、固定資産の評価の問題にいたしましても、やはり御指摘のように、土地や家屋、償却資産、三者均衡のとれた評価をしていかなければならぬというふうなことを中心に、検討をいたして参っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/21
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022・北山愛郎
○北山委員 電気料金をなるべく上げないために固定資産税を安くしているということは、理屈としてはわかるのですが、しかし電力料金のコストの中で占めている固定資産税は、たしか千分の五くらいのものでしょう。ところが、実際電力会社が負担をしておる一番大きなものは、その資本の利子であるということは明らかです。ですから銀行に払う利子、これは民間の市中銀行等については、相当高率な利子を払っておるのです。あるいは一割二分くらいの配当もしているでしょう。そういうことは手をつけないで、わずかに十分の五くらいの固定資産税の力を負けてやる、これはちょっとおかしいじゃないかと思うのです。趣旨としては電力料金の値上げを防ぐのだという趣旨で、そういう口実でやっておることはよく認めるのですが、しかしそれならばもっとほかにやるべき手があるんじゃないか。そういうことを考えるならば、どうも今のお話しでは私どもは納得ができないのです。しかもこの前に御指摘を申し上げた通り、そういうように少しばかりの固定資産税を安くしてやって、わざわざ電力料金を上げさせまいとして地方が犠牲を払っておるにもかかわらず、二つの電力会社で一億の寄付金をやっておる。こんな経営上の不合理をやっておる。そういうことを考えるならば、私どもは今の電力会社の場合と、農業用の固定資産税の関連を考えた場合に、どうも均衡があるなどというようなことは受け取りがたい。重ねてお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/22
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023・奧野誠亮
○奧野政府委員 電気料金を統制してかなり低く抑えていきます場合に、そのしわをどこに寄せるかということにつきましては、考え方によっていろいろだ立場が起きて参るだろうと思うのであります。固定費産税の軽減につきましては、もちろんそういう事情も一つの考慮ではあったわけでございますけれども、たびたび申し上げますように、市町村の財政運営から考えましても、たまたま発電所の設けられたときに莫大な税収入が入ってくる、だんだん減ってしまうというよりは、もう少し安定した収入が得られるようにした方が、健全な財政運営を期待できるんじゃないだろうか、こういうふうな考え方もあったわけでございます。もちろん金利にしわ寄せするか、給与にしわ寄せするか、あるいは税について軽減をするかというような問題がございまして、これは人によって多分に意見は異なってくるのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/23
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024・北山愛郎
○北山委員 立場によって意見が違うという話しでありますから、これ以上議論しません。ただこういうことにも関係しますが、減税をやっておる、こういうふうなことを言うのですが、実は私はきのううちへ帰って参りますと、そこの中小企業——小さい店で、自分が毎日々々車を引いて野菜を売っておる商人が、事業税の問題について、今度基礎控除が幾らになるか——十万円になる、七万円から十万円に上るから、それだけ税金が減るだろう、こう言ったところが、税務署の所得決定は、頭から去年よりも五万円ふやしてきておる、だから三万円基礎控除がふえたけれども、五万円所得の方の見方がふえたのであるから、差し引き二万円だけが今度は余分に税金が高くなるのだ、こういうお話でございます。そうしますと、これは住民税も同様に上る、事業税も上る、所得税も上るということになれば、減税には一向ならない。私は少くとも事業税については実質上この財政計画においても絶対額がマイナスになっておるような計算だから、そういうような小さい商人については少くとも絶対額が減るのでなければうそだと考えておりましたが、頭から税務署がそういうような所得決定をするというのでは、何にもならないという感じがしてきたわけであります。そこで税務署が所得決定をするときには、物価指数でもって、去年のよりことしは十何%物価が上ったということでもって、それを基準にして所得をふやしてくるそうでありますが、一体そういう事情について自治庁はよく御承知ですか。国税関係ですけれども、税務署がそのように所得決定をやってくる、こういう事情について承知しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/24
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025・奧野誠亮
○奧野政府委員 所得でありますので、毎年事業の運営がよかったか悪かったか、それぞれの事業者によってかなり違っているのじゃないかと思うのであります。ただ御承知のように二十八年から二十九年にかけまして国民所得は全体として三%くらい増が見込まれているわけであります。三%くらい増であれば大体横ばいだということになるのかもしれませんけれども、しかし個人の間には、ことに事業所得でありますと、大きな変化があるのじゃないだろうかというふうに考えております。ただ北山さんが指摘されますように、何も事情がないのに、ただ所得決定だけを引き上げてくる、こういうことがあってはなりませんし、そういうことは地方税におきましても慎しんでいきたいと思いますが、国税につきましても、そういう問題があるような話は全然承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/25
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026・北山愛郎
○北山委員 これは私もただ話を聞くだけで実態をつかまえておらないのですが、やはりそういうような話はしょっちゅう聞くのであります。要するにその個人々々の市業者によって違うというけれども、しかしその所得決定というものは、その個人の申告や何かでなくて、頭から向うでもってきめてくるのだ、そしてそれは税務署でも話しておるそうでありますが、やはり物価が上ったのだからそれだけ所得がふえたのだ、こういう理屈をいって上げてくる、こういうことを聞くのでありますが、そういうような実態については、自治庁は御存じはないというわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/26
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027・奧野誠亮
○奧野政府委員 意識的にそういう運営をしていることは国税の面においてもあり得ないという感じがするのであります。もちろんたまたま大きな錯誤で、そういう事例を起したということでありますならば、それは十分監督の責任をとっていかなければならぬ問題じゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/27
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028・北山愛郎
○北山委員 これは大蔵委員会あたりでいろいろ議論もされておるようでありますし、また国税関係の問題であるからここではこれ以上聞きません。ですが、その点については、やはり自治庁としても大きな関心を持っていただきたいと思うのです。事業税は地方税で、住民税も地方税ですが、その基礎になるのは、やはり税務署が決定する所得金額なんです。それをとられて参りますと、税率を下げたとか、あるいは基礎控除をふやしたとかいっても、実際には何にもならない。結局年々税額だけはふえていくというような結果になるのでございますから、自治庁としても国税の力の徴税当局がどんな方針で、実際上どういうふうな所得のきめ方をしておるか、これについては十分調べて、そこに間違いがあれば、地方税の立場からやはり要求をするというようなことがなければならぬと思うのです。ただ理論上そういうことはあり得ないんだというような御答弁は、私は非常に不満足でございます。ただこっちは地方税の税率や基礎控除をきめればそれでいいんだというようなものではないと思いますから、その点についてはよく実態を、税務署がきめる所得の金額のきめ方については、やはり自治庁としても十分な考え方と御研究を願いたい、こういうことを要望いたしておきます。
それから県民税の問題でありますが、県民税については、これは奧野さんからお話があったように、今度の改正で地域的な不均衡をできるだけ是正をしたというふうなお話しであった。しかしそれは町村合併の場合、その場合だけではないが、それ以外のいわゆる市町村でもって、それぞれ市町村民税の第一方式をとりあるいは第二方式をとり、そのただし書きというようなものをとっておる。そのやり方がそれぞれ違っておる。こういうことに伴う県民税の不均衡というものは、やはり今度の改正によっても是正はされておらないのじゃないか、こう思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/28
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029・奧野誠亮
○奧野政府委員 前段の問題につきましては、われわれといたしましても御趣旨に沿うように努力をいたして参りたいと思います。
後段の問題につきましては、市町村民税の課税方式が市町村間において異なります。従ってまた住民の租税負担が違っておりましても、府県民税の各市町村への配分に当りましては、所持税額を基準にして行なっておりますので、県民税に関する限りは市町村間において均衡がとれるというような形になっておるわけでございます。これは従来と同じわけであります。ただ昨年、北山さんが、町村合併を行なった場合に、一つの町村内で地域を異にして課税方式が異なる場合には不均衡が生ずるじゃないか、こういう御指摘があったわけでございます。この点につきましては今回御意見に沿えるように法律案の修正を行おうとしているということをお話し申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/29
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030・北山愛郎
○北山委員 問題は町村合併の場合ばかりでなくて、やはり市町村間の均衡という点から考えれば御説の通りですが、やはり現在の制度では個人単位に考えると、県民税を納める個人々々の間には不均衡が町村によって出てくる。この事実だけは今度の改正では直すことができない。何かこれについてお考えになったのですか。やはりこれは町村ごとに市町村民税のとり方が違うのですから、そうすればたとえば市町村間の全体としての県民税の負担額については均衡がとれたとしても、個人として比べた場合にはやはり不均衡じゃないか。同じ県民でも違う。同じ条件の個人が違う県民税を納めるという結果にならざるを得ないのじゃないか。これは避けられないじゃないかと思うのです。これについて何か改善の方法なり御意見があれば承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/30
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031・奧野誠亮
○奧野政府委員 どういう姿でやる場合に県税として一番均衡のとれた課税であるかということにつきましては、いろいろ議論があるのだろうと思います。国税の額に比例しておれば、それが一番均衡がとれておるのだということにも参らないのじゃないだろうかというようなふうにも思うわけでございますが、この前配当所得の四分の一が所得税額から控除されるということを例にあげられまして、それを基礎にしたのでは市町村の住民相互間の負担の均衡が満たされたいのだということを申し上げたわけでございます。もとより北山さんの御指摘になるような問題があるわけでございまして、市町村を異にする場合に、同じような所得者でありながら県民税においてたまたま所属の市町村の異なる結果若干負担に差が出て参る、これは事実でございます。その場合に、県税だから必ず負担を一緒にしなければならないということを重視していくのか、あるいはそれぞれの市町村の平和といいましょうか、円満といいましょうか、それを重視していくのかというようなことで、考え方の角度が多少違ってくるのじゃないだろうかと思います。県民税ではございますけれども、県民税でありながら市町村で一括して配付するような姿をとり、県民税と市町村民税とは常に一つにして賦課徴収しているというふうなやり方をして参ってきておるのでございます。この場合に、同じ所得者であるならば所属の市町村が違ってもやはり同じ負担の額でなければならないというのも一つの行き方でございましょうし、半面同じ市町村内におる限りは、市町村民税の負担と全く並行して県民税の負担がなされた方が市町村の円満のために望ましいのだという考え方も一つだろうと思うのであります。現在の法律の建前は、後者を重視して県民税の個人々々の賦課額を定めるという建前をとってきておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/31
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032・北山愛郎
○北山委員 ただいまの御説明は県民税創設のときの御趣旨とはちょっと違ってきているんじゃないかと思うのです。やはり県民税創設の趣旨は何も町村単位じゃない、県民に対してやはり広く県の経費を負担させる、納入させるという趣旨なんだ、だからやはり県ということを単位にして考えなければならぬ、ただ今の県民税の取り方が市町村にそういうふうなやり方をするために技術的に不均衡が生ぜざるを得ないということを認めなければならぬ、私はそう申し上げたのであって、従ってこの県民税というものが技術的にも徴収の方法がむずかしいのであるから、こういう税はやめた方がいい、こういうふうなことを昨年来申し上げておるわけであります。
次に遊興飲食税でございますが、これも実際に取る方法については非常な不合理があるわけであります。場所によっては正規のやり方をやって取っておるところもある。ところが場所によっては組合に対して徴税当局の方から割当をして、まあ一千万円なら一千万円出せというふうに割当をして、組合の方では同業者にこれを割り当ててやっていくようなことを実際には行なっておる、こういうところもあるわけなんです。そういう実態については当然これは自治庁もお認めになっておる、こう考えておるわけでありますが、今度提案にならない前に作られたこの前の政府原案の中では法定の受領証というふうな案になっておったと聞いております。それが一体どうしてその領収書をやめにされたのであるか、そのわけを一つ聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/32
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033・奧野誠亮
○奧野政府委員 自治庁の事務当局で遊興飲食税の抜本的な改革方法を考えておりまして一つの成案を得ておったことは事実でございます。遊興飲食税につきましては料飲業者に徴収してもらうものでありまするので、ことに料飲業者の協力の得られる姿において運営していかなければならないだろう、こういうことを根本的に考えているわけでございます。たまたま一つの成案を得たわけでありますけれども、この成案に対しまして反対される向きもありますので、なお成案を実施するのには一層了解を得るなり、あるいはまた反対される向きにつましてよりよい案を考えられるなり、なお若干検討した方がよいのではなかろうかというような考え方のもとに、一応提案を思いとどまったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/33
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034・北山愛郎
○北山委員 そうするとその反対したというのは業者が反対したわけですか。どこが反対したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/34
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035・奧野誠亮
○奧野政府委員 業界の一部で強い反対意向を表明されておった向きがあるわけであります。もとより業界の反対があれば、一切改正をしないという態度をとろうとしているわけではございませんで、その内容につきましてよく理解をしてもらわなければなりませんし、また反対があるということは非常にわずらわしいことでもございましょうから、なるだけ煩瑣な手数をかけないでいい方法がないだろうか、なお若干検討しなければならないだろう、こういうふうな考え方を持ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/35
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036・北山愛郎
○北山委員 どうもそれはふだんの奧野さんに似合わない非常に軟弱なやり方である。業者だけが反対したために、しかも一部の業者が反対したために引っ込んでしまったなどというのは、どうもふさわしくないように考えまするが、これはもちろん与党の間で反対された結果、あの方法は取りやめになったと私どもは了解をいたしております。その与党の反対の最後にはやはり業者の反対があったであろうと思うのでありますが、しかし何としても現在の遊興飲食税の取り方というものは正規の取り方をしておらない。特に大衆飲食等について、こういう少額の飲食についてまで税金を取ることはどうかというような考え方をわれわれは持っておるのですが、しかしこれを引き下げるということが消費者の利益にはならないで、業者の利益になるかもしれないという心配を持っておるわけです。従ってやはり取り方について奧野さんがお考えになったような何らかの改善措置をしなければ、二の税率の引き下げ等についても若干懸念があるのではないかと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/36
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037・奧野誠亮
○奧野政府委員 全く同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/37
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038・北山愛郎
○北山委員 今の遊興飲食税の取り方について改善する方法としては、領収書以外に何かうまい方法がないでしょうか。まあ税金を取らなければめんどうくさいことがなくて一番いいのですが、うまい方法がいろいろあると思うのですが、何かございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/38
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039・奧野誠亮
○奧野政府委員 課税につきましては課税の標準となるべき金額が明確に定まってこなければならないだろうと思うのであります。そういう意味においては、消費金額が幾らであったかということが、その都度明らかにされる必要があると考えるのでございます。その意味において領収書の制度が一つでなかろうかと思うのであります。またしかし、青色申告というものが非常に厳正に行われているのならば、これに乗っかるのも一つでございましょうけれども、現状においてはまだそこまではいかないだろう、また青色申告の制度というものが恩恵的に利用されるというふうな形式がとられておりますので、これにそのまま乗っかることも不可能だと思います。そういう意味で事務当局では一応領収書の制度を考えたわけであります。
もう一つは徴収を確保するという制度があろうかと思うのでございます。きまった税額が正しく納められる、そういう方法としては営業税的な性格を遊興飲食税に植え付けたらどうだろう、たとえて言えば滞納税金がある場合には営業を許可しない、こういうような方式をとることも一つであろうと思うのであります。要するに一面には消費金額を明らかにする意味においては領収書発行の制度も一つの方法であろう、他面にはきまった金額が必ず納付されるようにする、そういうような意味をもって納付的な色彩を付与することも一つの方法じゃないだろうか、こういうことも研究いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/39
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040・北山愛郎
○北山委員 もう一つ大規模の償却資産については自治庁長官みずからが評価額を決定するというような規定があるわけであります。これに基いて船であるとかあるいはその他の資産を自治庁長官がみずから評価しておるものがあると思うのですが、その評価はどういうふうな方法でおやりになっておるか、私どもいろいろ規定を拝見いたしましても、その価格等について何らかの基準がなければならぬと思うのですが、自治庁長官が勝手に自分でやり方をきめて評価をするというのであるか、どういう基準でおやりになっておるのであるか、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/40
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041・奧野誠亮
○奧野政府委員 固定費産評価基準というものを自治庁長官から市町村に示しています。その中で、償却資産についてどういう評価の方式をとるかということを述べておるわけでありますが、収得価格に対しまして、取得時期に応ずる評価倍数というものも定めておるわけでございます。この取得価格に評価倍数を乗ずるわけでありまして、同時に減価償却の計算もいたさなければなりませんが、それは原則として逓率法による減価償却の計算の仕方をしております。これで評価額がきまるわけでございますけれども、陳腐化の問題もございまして、陳腐化の問題を個々の資産一つ一つについて見て参りますことは実際問題として不可能なことでございますので、収益率の非常に悪い事業につきましては、その収益率の程度に応じて補正の率も定めておるわけであります。どのような割合で補正するかということも、固定資産評価基準の中に示しておるわけでおります。このような基準によりまして補正をいたしまして、最後の評価決定額を算出いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/41
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042・北山愛郎
○北山委員 かりに建造に十億円かかった船の評価額は一体どのくらいになりますか。一例として計算例を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/42
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043・奧野誠亮
○奧野政府委員 十億円で建造されました新船であります場合には、決定額はやはり十億円となります。年数がたって参りますと、減価焼却の計算を行います結果、それだけ軽減されて参るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/43
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044・北山愛郎
○北山委員 その収益率の補正とか、そういうものはないわけですか。建造したばかりのやつは十億なら十億でやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/44
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045・奧野誠亮
○奧野政府委員 償却資産の評価につきましては、別途に、簿価を下って評価することはできない、こういう規定もございまして、十億円の簿価になるわけでありますので、十億円を下って評価することはあり得ないわけであります。ただ船会社は最近収益が非常に悪いわけでございますが、収益の悪いものにつきましては、これは収益率によって違うのでありますが、最大限度二割まで逓減する。従って八割の評価額とする、これが一番低くした場合の率であります。欠損会社につきましてこういう率を定めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/45
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046・北山愛郎
○北山委員 どうも変なんです。収益率でもって補正するというのは、ほかの資産についてそういうようなことをやっておるのですか。一体法律に基かないで、そういう評価をしていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/46
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047・奧野誠亮
○奧野政府委員 すべての資産につきまして、陳腐化の度合を見る一つの尺度として、結局収益率によらざるを得ない、こういうことから収益率補正という二とも評価基準に定めておるわけでございます。その場合でも、もとより帳簿価格を下って評価することはできないという規定の適用を受けるわけでございますので、自然それ以下に下って評価することはあり得ないわけであります。新船の場合につきましては、そういうことは起らないのでありますが、古い船につきましては、再評価をいたしましてもかなり低い再評価になって、言いかえれば船が非常に古い型なんかありますので、限度一ぱい評価しない。従って自治庁が示しております評価基準に従いました場合には、簿価よりはもとより著しく高い評価額になるわけでございます。それを簿価との関係でどこまで落すかという場合であっても、赤字会社であって、最大二割以上は落さない、こういうことを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/47
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048・北山愛郎
○北山委員 それでは一つ実際の例に従って、船の場合今の計算基準に従った計算例を幾種類か出していただきたいと思うのです。最終的に評価がどのくらいになっているかということ、その間計算上どういうふうな補正が行われているかということも知りたいと思うのです。ほかの固定資産の場合と関連がございますから伺うわけであります。たとえば船を作った場合に、リベートがあってもそのリベートは引かないでやるだろうと思うが、念のために聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/48
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049・奧野誠亮
○奧野政府委員 国からの補助金を受けたりいたしました場合には、御承知のように圧縮記帳をすることができるようになっております。しかし固定資産の評価をいたします場合には、圧縮記帳をしております場合でも、それだけの財産価値があるわけでございますので、現実の時価に引き直した評価をする方式を採用して参っておるわけでございます。なお計算例は、北山さんがもしこの会社について示せとおっしゃるならどの資産でもけっこうでございます。もし特別な御指定がございませんければ適当に拾い上げて提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/49
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050・北山愛郎
○北山委員 それではその点資料をお願いします。
それから次官にお伺いいたします。今度政府の提案されました地方財政再建促進の特別措置法、あの特別措置法によって今度百五十億の公募債を再建財源として見込んでおるわけです。ところが御承知のように、地方銀行協会ではこれに対して反対の要望をしておると新聞で伝えられておりますが、そういう要望が政府の方に参っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/50
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051・永田亮一
○永田政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、百五十億の公募債について、地方銀行においてこれをあまり好まないというようなことを新聞では私拝見いたしましたけれども、正式に政府の方には何らそういう申し入れが今のところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/51
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052・北山愛郎
○北山委員 よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/52
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053・大矢省三
○大矢委員長 門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/53
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054・門司亮
○門司委員 この間もちょっと聞いた問題でありますが、今聞かれておりました償却資産の問題です。これの基礎になっております数字はどこから取られたのですか。これはもしそちらに基礎になるものがあったら一つ知らせてもらいたいと思います。私がそういうことを先に聞きますのは、この徴収歩合が大体九〇%になっているので、果してこういうことができるかどうかということでありまして、この点について政府で調べた資料があるなら、この際出しておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/54
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055・奧野誠亮
○奧野政府委員 償却資産に対しまする固定資産税の見込みを出しまするに当りましては、在来の資産につきましては、従来の固定資産税の実績を基礎にして見込んでおります。新規増加分につきましては、経済審議庁あるいはそれぞれの関係省から投融資計画をもらいまして、その投融資計画の中で償却資産に投ぜられるものが、どれだけあるかというふうなことを推定して、在来分にプラスして参っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/55
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056・門司亮
○門司委員 今お話になった財政投融資その他に関する問題で、税額から言うと約二割くらいでありますか、二割ちょっと越えますか、たくさんの増加分が見込んでありますが、最近不況の状態にあるときに、一体償却資産をこういうふうに二割以上も見込んで、九〇%の徴収が完全に得られると自治庁は考えられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/56
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057・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘のように、投融資計画のあり方も変ってきておるわけでありまして、電源開発に投ぜられるものもだんだん少くなって参っておるわけであります。それぞれ昭和二十九年度において実行せられました投融資計画でございますので、まず間違いはないだろうというふうに思っております。三十年度の固定資産税につきましては、三十年の一月一日現在において存在しているものでなければ課税できませんので、従いまして投融資計画も三十年分ではございませんで、二十八年、二十九年におきまする計画を基礎にして推定をいたして参っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/57
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058・門司亮
○門司委員 それからもう一つ、これはただ徴税率だけで、償却資産に対しては補足率が書いてないのですが、これは一体どのくらい捕捉する予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/58
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059・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほど申し上げました投融資計画から償却資産に投ぜられるものを推定いたしておりますが、それ全体が捕捉されるというふうに見込んでおるわけでございます。ただその場合に償却資産に投ぜられるというふうに見込んでおる部分につきまして、あるいは意見がいろいろ分れるかもしれませんけれども、それ以外の捕捉率というような計算の仕方はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/59
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060・門司亮
○門司委員 この償却資産の特に捕捉の問題と、それから課税の対象になるものとの関係ですが、これは非常にむずかしいと私は思うのです。ここに捕捉率が出ていないで、今の説明からいけばこれは一〇〇%捕捉する、そして九〇%の徴税をするという形になっていると私は思いますが、先ほどから申し上げておりますように、それは一応それとしておいておきまして、現在の社会の経済状態から、特に中小商工業者の全くの行き詰まり等から考えて、一〇〇%捕捉して、そうして九〇%の徴税ができるというようなことはわれわれはちょっと考えられないような気がするのですが、この点は自治庁にその確信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/60
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061・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほど申し上げましたように、投融資されたものの中で償却資産として把握されるものがその金額の何%であるかというふうなことで算定をして参っているわけでございます。従って結果的にはその中に補足率も含まれることになるのではないかという議論も出るかもしれませんけれども、それは度外視いたしまして、一応各行の意見を求めて今申しますような計算をいたしております。従来の傾向から見ていきますと、償却資産につきましては、従来見込んでおりました程度の増加はあるようでございますので、もちろん将来事情も変ってくるかもしれませんけれども、現在のところこの程度の償却資産に対する固定資産税の収入額を確保することはまず確実だろう、こういう予想をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/61
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062・門司亮
○門司委員 私がそういう質問をしておりますのは、地方の自治体の納税の成績ですが、もしおわかりでしたら、各税種目ごとに地方の現在までの滞納はどのくらいにたっているかということの数字を知らしていただきたい。私が今自治庁の見積りが少し過大でないかということを聞いておりますのは、地方の財政関係が非常に逼迫いたしております今日、国の財政の規模を立てられますときに、先ほどから申し上げておりますようにその見込みが少し大き過ぎはしないか、過大に見積ってはいないか。この見積り方は、見方によってはそれだけ税収入を見込んでおりますから、それだけとってもらいたいという督励になり、あるいは徴収をすることは当然ということになるかもしれないと思いますが、実際上の問題としては、もし自治庁の案が非常に過大であったとすれば、それだけ地方財政を圧迫する、こういう形にならざるを得ないと私は思う。こういうむずかしい税金についてはどのくらいの滞納になつているかということを、ぜひ知らしておいていただきたい。それからもう一つは、この償却資産のこれは非常にむずかしい大きな資料になると思いますが、従来の、という言葉でありますが、私が聞いておりますのは、償却資産を最初算定いたしますときに、私どもとかなり大きな意見の違いがあったわけでございます。従ってそれがずっと今日まで基礎になって追われてきているとすると、償却資産全体に対する見方がかなり違いはしないかと思う。従って償却資産のここに書かれております価格の算定の基礎になったものの、できるだけ詳細な資料をここにお出し願えれば非常にけっこうだと思います。もしあったらその資料を出しておいていただきたいと思いますが、ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/62
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063・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方税に関する参考計数資料、その二の四十三ページのところに、昭和二十八年度決算見込み額調べというものを掲げております。その中で調定済み額が幾らであり、収入済み額が幾らであるかということを出しております。その差額が滞納になっていくわけであります。昭和二十九年度分につきましては、府県分しかわかりませんので、府県分だけは百八ページのところに掲げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/63
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064・門司亮
○門司委員 私はそれを聞いているのじゃない。私の聞いておりますのは、それの基礎になった数字があるわけです。工業会その他を調べれば、大体日本にどのくらいの機械があるのか、それからその生産から割り出して来れば日本の償却資産がどのくらいあるかという数字が出てくるわけです。その算定の基礎になった前年度を追うということは、あなた方は前年度を追うと言っておりますけれども、前年度を追うというならば、昭和二十五年の税制改正のときに、この問題は非常に大きな開きがあったわけです。当時政府は大体これを五五%か六〇%くらいしか捕捉しておらない。われわれはこれを九〇%ないし九五%捕捉すれば、個々の固定資産税の税率は一・六を〇・八に下げてもいいという主張をしてきた。これは私はシャウプと話し合ったこともある。そのときの数字をずっと政府が追うとすれば、私は非常に大きな誤りができていはしないかと考える。従って税制改正をしようとするならば、やはり前年度を追うというようなことでなく、現実に日本に償却資産がどのくらいあるかということを私は評価の上に表わす必要があると思う。それが私は正しい指標だと思う。去年これだけ税金がとれたから、これだけ加算していくということになると、一応あなた方の計算の基礎はそれでいいかもしれませんけれど、実態の償却資産がどれだけあるかということがわかっておらない。この数字をできればこの機会に出してもらいたいと思う。これは決してむずかしい仕事じゃない、できない仕事じゃないと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/64
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065・奧野誠亮
○奧野政府委員 昭和二十五年に償却資産に対しまして固定資産税が課せられるようになりました当時は、御承知のように再評価限度額というふうなものが基礎になりまして当時の見込み額を立てたわけでございます。自来関係の事業につきましては、できるだけ御指摘のようなものを調査するように努力して参っておるわけでございますが、現在の日本の統計の状況におきましては、門司さんに御満足いただけるような資料を早急にまとめることは不可能でございます。しかし今後もなお努力いたしまして、もし間に合いますならば、資料を提出したいと思います。しかし船舶でありますとか、何でありますとかいうふうな場合には、比較的まとまっておりますけれども、それ以上になって参りますと、現在のところではむずかしいのじゃないかというふうに思います。もちろん努力はいたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/65
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066・門司亮
○門司委員 それからこれは各税目別にまたあとで質問することにいたしたいと思いますが、総括して一応聞いておきたいと思いますことは、政府の出して参ります税制改正の方針でありますが、私は税制の改正というものは、そうむやみにするものじゃないというふうに大体考えておる。そうしてやはり一応きめたら、できるだけそれを守っていくということがいいのじゃないかと私は考える。ただ、そうは言っても現在の社会情勢、経済的の変動が非常に多いので、必ずしもそうはいかないというふうな議論があるかもしれませんが、大体の方針としては、この税制はあまりいじらぬ方かいいのじゃないかというように実は考えておりますが、政府の考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/66
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067・永田亮一
○永田政府委員 ただいまお話の通り私どもも考えておりまして、政府といたしましても税制をたびたび変えるということは、国民に対しても大へんに迷惑をかけることであります。私どもは昨年の十九国会で税制調査会の答申によって改革を行いましたので、大体地方税の安定を得たものと考えまして、このたびはそれほど大きな改正をいたさないのでありまして、ただ時代の変化に上ってやむを得ぬと思われるもののみにつきまして、このたび御提案をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/67
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068・門司亮
○門司委員 方針は一応伺いましたが、現実はなかなかそういきそうもない状態にあるようです。その次に聞いておきたいと思いますことは、これはこの前委員会で資料を要求しておったので、あるいは資料が出ているかどうか知りませんが、例の法定外の普通税であります。これが一体どのくらいの種類があって、どのくらいの額になっているかということを、この前特に別の表で出してもらいたいと言っておったのでありますが、これの集計は出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/68
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069・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方税に関する参考資料その二の六十四ページ以下に項目別に詳しく掲げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/69
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070・門司亮
○門司委員 それでは私はあとから見ることにいたしたいと思いますが、一応聞いておきたいと思いますことは、その性格とそれからもう一つはいろいろな問題になる税種目の中で、今の普通税の中に木材の引取税があるわけでありますが、この税の総額は十六億ぐらいで大したものじゃない。しかしこの税金は非常に片寄った税金であって、普通税としての考え方からいくならば、ほとんどないといっていい町村もあるいはあるかもしれない。あるいはこれを非常に大きな財源に充てておる町村もないわけではない、それで町村別によってかなり大きな浮動性を持つものである。それから同時にこの税金の性格からくる一つの状態として、木材の統制があった時代には、割合にこの税金はとりよかったのである。しかし木材の統制がなくなってからはほとんど——現状から見れば国有林の払い下げ等については正確な数字が出て参りますが、あと民有林の伐採等については、ほとんどその実態をつかむことが困難だというような話を聞いておるのでありますが、これらの問題について税の把握が非常にむずかしいということと、それから必ずしも普遍的の税金というような形を現実の姿の上に持っておらないというような点から、木材引取税に対する当局の一つのお考えがあるなら、この際聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/70
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071・奧野誠亮
○奧野政府委員 木材引取税は総額は十六億円あまりを見込んでおるだけでございますので、地方税全体の中では必ずしも有力な税種だと言えないかもしれません。しかしながら関係市町村は限られておりまして、市町村によりましては税収入の五割以上を木材引取税に求めていろというような団体もあるわけでございます。大体において木材引取税の収入のありますような市町村におきましては、他の税収入が非常に少いわけでございます。従いましてまたそういう意味では木材引取税が税収入を普遍的に市町村に与えていくという意味合いにおいては、大きな役割を果してきておるのだ、こういうふうに思っておるわけであります。なお把握の問題でございまするが、森林法によりまして立木を伐採いたします際には許可を受けなければなりませんので、ある程度正確につかんでいくことができるんじゃないかというふうに思います。もとより従前のように木材の検査が行われております場合には、もっと的確に把握できたかもしれませんけれども、木材検査がなくなりました今日におきましても、伐採につきましては許可を要することになっておりますので、それほど把握に困難する税だとは思っていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/71
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072・門司亮
○門司委員 これもあとでまた多少の議論になるかと思いますが、税総体から見て私はやはり普遍的の税金ではない。ただ全体から見て、調整の上から見ればあるいはそういうことが言えるかもしれない、これは税の調整の上からいくと、山村のような非常に普通の税金が少いところ、そこにそういう税金があるということは、相対的の普遍性はあるかもしれないが、税自体の普遍性はないと思う。それからこの機会に聞いておきたいと思いますことは、道路譲与税に対する自治庁の考え方であります。これは税法によりますると目的税ということが書かれておる。大臣の説明の中にはっきり書いてある。その目的税であるということになって参りますと、おのずから使用の範囲が限定されなければなりません。従ってこれは道路に使うべきだということが明確に書いてあります。ところが、地方財政の側からいいますと、これらの税金は、目的税というような形でなくして、地方の財政の普遍的な財源にする方がいいのじゃないかというような考え方を持つのであります。同時に目的税については、私は恒久的な性格が非常に薄い。一応一つの事業を目的としての受益者に負担をさせる性格を持っておるのであって、恒久的な税金としては、あるいは目的税という形においてはあまり関心したものではないというふうな気持がするが、この点に対する自治庁の考え方はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/72
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073・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘のように、財政力の強固でない土地におきましては、なるたけ財政運用を弾力あらしめるようにしていかなければなりませんので、税収入を特定の歳出に固定してしまうということは避けた方がよろしいのじゃないかと思います。しかし反面、特定の政策を国全体として強力に推し進めていこうというふうに考えます場合には、その種の歳出に特定の財源を固定してしまう必要が起ってくるんじゃないかと思うのでございます。現に国の財政の上におきまして、御承知のように、道路整備費等の財源に関する臨時措置法が制定されまして、揮発油税が一つの目的税的なものになっております。これにはずを合せまして、地方に対しましても道路整備の財源を目的税的なもので与えていくということも必要じゃなかろうかというふうに考えられるのでございます。ただこれを臨時的なものにするか、恒久的なものにするかということになって参りますと、現在の道路整備の状況がどの程度に達しているかということとあわせて考えなきゃならぬと思うのでございます。御承知のように、現在道路整備五カ年計画が作られるわけでございますけれども、その五カ年計画の対象そのものが、国道、府県道全体の一割にも当っていないというふうな状況でございますので、道路整備のためには、今後なお相当の期間の年月を経なきゃならないのじゃないか、かように考えられるわけでございますので、地方道路税を道路のための目的税として制定いたしまするに当りましても、必ずしも五年とか十年とか限って、短かい期間にする必要はないんじゃないだろうかというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/73
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074・門司亮
○門司委員 もう一つだけ聞いておきたいのでございます。これはあとで譲与税の場合に問題になるかと思いますが、あの内容を読んでみますと、必ずしも都道府県全体にこれをまかせるというようなことが書いてないのであります。この間建設大臣は、いや絶対にそういうことになっているのだという話しでありましたけれども、法案の内容を読んでみますと、都道府県、それから五大市の管理する道路、さらにそれにつけ加えて国の道路整備五カ年計画ありますか、これにもやはりそれが使われるような形が出て来ておると思う。私はこの法案については、この間建設大臣にだいぶ聞いてみましたが、建設大臣は、絶対にそういうことはないと言っておるのですが、自治庁としてはあれを受け入れるという考え方ですか。絶対に道路整備五カ年計画にも使うというようなことになると、去年と同じような形が出てくると思うのです。国は国で道路五カ年整備計画に使う費用は五大市にも都道府県にも十分使う、そのほかにあれがあるのならば一応は話がわかるのでありますけれども、この点について自治庁の考え方はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/74
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075・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方道路譲与税は、都道府県や五大市の道路に関する費用に充てなきゃならぬというふうに、法案の中で残務づけておるわけでございます。しかしそれ以上には何ら義務づけてはおりません。従いましてどの道路に充てようと自由であります。反面五カ年計画の対象になっておりまする道路の地方負担分に充てることももちろん自由ございます。しかしそれに充てなければならないということは毛頭ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/75
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076・門司亮
○門司委員 もう一度念を押しておきますが、法律の中には道路整備五カ年計画の費用にも充てると書いてあるのです。そうすると今税務部長が言われるようなことがひっかかってくるから、私はお伺いしている。だから五カ年計画に当るところはそれでやってもいいのだから、お前さんの方でやりなさい、国の方はそこは知らないということになると、実際に地方に出した費用は去年と同じ形になるのではないか。ことしは全額地方に出すような形を示しておる。去年は四十八億だけはひもをつけておった。ことしはただひもがなくなったというだけであって、実質的にはそれは去年と同じような結果にたりはしないかという心配があるから聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/76
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077・奧野誠亮
○奧野政府委員 御承知のように道路整備五カ年計画におきましては、どの道路が対象になっておるということがはっきりわかっているわけでございます。昨年は御心配になりましたように五カ年計画の対象の中に取り入れられておって、しかも国がそれについては負担金を出さない、こういうふうにしておったわけでございます。従いまして地方にはその財源の使い方について、何ら自主性はなかったわけでございます。これからは道路整備五カ年計画の対象になっておりますような道路につきまして、国が負担金を出さないのに、先に府県が地方道路譲与税を財源として、その整備に取りかかっていくというようなことはあり得ないわけでございます。負担金が交付されるということになって初めてその裏財源に使う場合があるかもしれません。しかしそういうことがないのに、御心配になりますように積極的に自分で整備してかかるということになりますと、国から負担金を受けられないようなことにもなりかねないわけでございますので、そういうことはあり得ないのじゃないだろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02019550614/77
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078・大矢省三
○大矢委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時半から開くことにし、これをもって散会いたします。
午後零時二十三分散会
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