1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年六月二十一日(火曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君
理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君
理事 前尾繁三郎君 理事 門司 亮君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
櫻内 義雄君 渡海元三郎君
徳田與吉郎君 長谷川四郎君
青木 正君 熊谷 憲一君
灘尾 弘吉君 山崎 巖君
吉田 重延君 北山 愛郎君
五島 虎雄君 中井徳次郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 川島正次郎君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
—————————————
六月二十一日
風俗営業法の一部を改正する法律案(眞鍋儀十
君提出、衆法第二三号)
同月二十日
軽油自動車に対する自動車税すえ置きに関する
請願(保利茂君紹介)(第二三九一号)
同(小坂善太郎君紹介)(第二三九二号)
同(原茂君紹介)(第二三九三号)
同(堀川恭平君紹介)(第二三九四号)
同外一件(中島巖君紹介)(第二三九五号)
同(吉川兼光君紹介)(第二四一三号)
同(塚田十一郎君紹介)(第二四一四号)
同(淺香忠雄君紹介)(第二四一五号)
同(山本粂吉君紹介)(第二四一六号)
同(唐澤俊樹君紹介)(第二四一七号)
同(赤澤正道君紹介)(第二四一八号)
同(關谷勝利君紹介)(第二四五八号)
同(加藤清二君紹介)(第二四五九号)
同(渡邊良夫君紹介)(第二四六〇号)
同(山下榮二君紹介)(第二四八七号)
同外一件(栗原俊夫君紹介)(第二四八八号)
クリーニング業に対する事業税軽減に関する請
願(塚原俊郎君紹介)(第二三九六号)
同(灘尾弘吉君紹介)(第二三九七号)
同(横川重次君紹介)(第二四一九号)
同(保科善四郎君紹介)(第二四二〇号)
同(小牧次生君紹介)(第二四二一号)
同(亀山孝一君紹介)(第二四二二号)
同(吉川久衛君紹介)(第二四二三号)
同(滝井義高君紹介)(第二四五五号)
同(森島守人君紹介)(第二四五六号)
同(西村彰一君紹介)(第二四五七号)
同(小金義照君紹介)(第二四八一号)
同(栗原俊夫君紹介)(第二四八二号)
同(今澄勇君紹介)(第二四八三号)
同(安藤覺君紹介)(第二四八四号)
同(加藤高藏君紹介)(第二四八五号)
同(唐澤俊樹君紹介)(第二四八六号)
地方鉄道軌道業に対する事業税課税改正に関す
る請願(五島虎雄君紹介)(第二三九八号)
地方鉄道軌道業に対する固定資産税減免に関す
る請願(山口丈太郎君紹介)(第二三九九号)
遊興飲食税法の一部改正に関する請願(青木正
君紹介)(第二四一二号)
地方自治法の一部改正反対に関する請願(鈴木
周次郎君紹介)(第二四二四号)
同(淡谷悠藏君紹介)(第二四五四号)
同(原捨思君紹介)(第二四八九号)
同(床次徳二君外一名紹介)(第二四九〇号)
同(小澤佐重喜君紹介)(第二四九一号)
公衆浴場営業規制の市委譲反対に関する請願(
山本正一君紹介)(第二四二五号)
地方議会制度の強化等に関する請願(中馬辰猪
君紹介)(第二四五三号)
地方財政再建に関する請願(床次徳二君外一名
紹介)(第二四九三号)
地方公務員の停年制実施に関する請願(床次徳
二君外一名紹介)(第二四九四号)
スケート場に対する娯楽施設利用税撤廃に関す
る請願(大矢省三君紹介)(第二四九五号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/0
-
001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
本日は前日に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、項目別に質疑を続行いたします。まず不動産取得税について質疑を行います。通告順によって北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/1
-
002・北山愛郎
○北山委員 不動産取得税について、大した問題はないと思いますが、最後の、免税点を土地の取得については一万円、家屋の取得のうち、建築にかかわるものは一戸につき十万円、その他のものについては一戸につき五万円と、こういうふうにしてあるのですが、土地について一万円、家屋について十万円というふうな算定の基礎といいますか、何か一万円にしなければならぬというような特別の理由があれば、お話しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/2
-
003・奧野誠亮
○奧野政府委員 土地につきましては、固定資産税の免税点と合せたわけであります。家屋につきましては、不動産取得税の対象が家屋の取得でありますので、不動産取得税の課される限りは、その建物が家屋と決定されることになって参ります。ところが家屋というべきか、あるいはまたそうでないものと見るべきか、なかなか判断がむずかしいものがございまして、農具舎、畜舎、鶏舎というものにつきましては、できるなら家屋と見ない方がいいのではないか、こう思われます。そうしますとこういう部分につきましては、不動産取得税を課さないでおきたい、それがためにある程度免税点を置いた方がいいのではないか、そういうことから、新築の部分につきましては十万円ときめたわけであります。古い家屋につきましてはその二分の一というふうなことで、これを取得した分については免税点を五万円、こういうふうに定めようとしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/3
-
004・北山愛郎
○北山委員 そうするとごく悪く解釈すると、十万円ずつ増築していけば、不動産取得税は要らないという場合もあり得ると考えてもいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/4
-
005・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話しの通り、そういうことになろうかと思います。ただ十万円の金額でありますから、年々増築できるような人でありますれば、そういうことは実際問題としてやらぬだろう、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/5
-
006・北山愛郎
○北山委員 土地の方は坪数とか、そういうことは制限なしに一件二万円、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/6
-
007・奧野誠亮
○奧野政府委員 坪数には制限は別にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/7
-
008・大矢省三
○大矢委員長 不動産収得税については他にございませんか。——質疑がないようでございますから、次の娯楽施設利用税に移ります。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/8
-
009・北山愛郎
○北山委員 これはやはりスケート場の場合、学生生徒が利用する場合に、学校の先生が引率した場合でなければならぬというふうなことになるわけですが、必ずしもそうしないでも差しつかえないなら、学生生徒の場合においては免税した方がよいのではなかろうか、このように考えるのですが、何かそこに技術的な困難があるとか、弊害があるとか、必ず先生が引率した場合に制限した方がいいというような、何らかの理由がございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/9
-
010・奧野誠亮
○奧野政府委員 娯楽施設利用税の問題でありますが、アイス・スケート場を利用する学生の数が非常に多いわけであります。むしろ学生の数の方が一般人よりも多く利用しているというふうに見ております。アイス・スケート場を利用しますのに、一般人でありますと一時間で百五十円、学生でありますと百三十円というようなきめ方をしているのが普通のようであります。それくらいの金を支払うのなら、やはり一割程度の税金は負担してもらってもいいのじゃないか、こういうふうな考え方をとっておるわけであります。ところが近来アイス・スケート場を利用しての団体競技が漸次盛んになろうとしております。団体競技の練習をする人にまで娯楽施設利用税を課しますことは、いささか行き過ぎではなかろうかと思われますので、そういう趣旨の娯楽施設の利用に対しては課さないようにしたい、そういう意味でこの種の規定衣置いたわけであります。単に学生が利用するから課さないというわけではなしに、今申しまするような団体競技の訓練、また学校によってはそういう意味で正課に取り入れておるところもあるそうでございまして、そういう意味では課税しない、こういうふうに限定したいというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/10
-
011・大矢省三
○大矢委員長 亀山孝一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/11
-
012・亀山孝一
○亀山委員 スケート場に対します施設利用税の撤廃の嘆願書がだいぶ出ておりますが、それにつきましての当局の御意見を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/12
-
013・奧野誠亮
○奧野政府委員 従来からアイス・スケート場を運営していくのにかなり税負担が重いために、非常に困難を来たしておるというふうな意味合いで、税金を徴収しないようにしてもらいたいという意見があったわけであります。そこで昨年改正の際に娯楽施設利用税として従来の五割の課税が三割に引き下げられた。さらに学生の利用の部分につきましては一割に引き下げられたわけであります。しかしなおただいまお話のような要望が引き続いておりまして、また学校によりましては正課に取入れてアイス・スケート場を利用した運動を盛んにしていきたいというふうなところもあるようでございますので、そういう部分に対しまして租税がこれを阻止するような役割を果してもいかがかと思われますので、そういう部分についてだけ課税を取りやめるようにしたい、そういうような意味で今回そのような規定を置いているわけであります。しかしアイス・スケート場の利用全体についての課税を取りやめるという問題になって参りますと、何分一時間について百五十円の料金ないし器具の使用料を必要とする施設でもありますので、他の租税負担との均衡から考えますと、現在程度の課税負担はやむを得ないのではなかろうか、こういうふうな考え方を持ったわけであります。なお単にただいま改正しようとしているような非課税だけではなしに、学生全体についての課税を取りやめてもらいたい、こういう考え方もあるのでございます。これにつきましてはいろいろ検討いたしました結果、昨年その税率を一割に引き下げたわけであります。また学生につきまして、一時間一般には百五十円でありますのを百三十円、二十円程度割引をするというふうな運営の仕方もしているわけでありますけれども、一時間百三十円支払える学生であるなら、一割程度のものは今日のいろいろな税負担の均衡から見て負担してもらってもやむを得ないではなかろうか、こういうふうな考え方を持ったわけであります。スポーツでもありますので、映画その他と同一に論ずるわけには参らないわけでありまするけれども、現在学生について何ら考慮を払っていないわけではなくて、一般には三割の税率を一割に引き下げております。業界におきましても一般で百五十円でありますのを百三十円に引き下げております。今ここで学生に課さないことにすることが、実際に学生の負担を下げることになるのか、あるいは運営の合理化内で吸収してもらえるものが、逆に単に業界の利益だけに寄与することになるのか、その辺にも非常に問題があるわけでございますので、なおさらに将来の研究に待つことにいたしまして、今回といたしましてはただいま提案しておりまするような負担の軽減にとどめておきたい、さように考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/13
-
014・亀山孝一
○亀山委員 スケート場の経営につきましても、われわれ聞いておる範囲では、現在の状態ではなかなかむずかしくて、相当スケート場で閉鎖したものがあるようにも開いております。またスケートのスポーツにおける立場及び日本におけるスポーツの立場からいっても、スケートに対しましては大いに助成すべきスポーツでないかと思いますので、今いろいろお話がありましたが、学生といなとを問わず、こういう点についての当局においての税の問題については、いま少しお考えあってしかるべきものだと思いますが、次の機会でもこれはお考え願えるものかどうか、折り返してお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/14
-
015・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話のようにアイス・スケート場を利用した競技が、将来なお盛んになることは望ましいことだと思っております。ただこの問題につきましては、あるいはピンポン場でありますとか、いろいろ関連した施設もございますので、それらと総合して研究していかなければならないのじゃないだろうか、こういう感じを持っておるわけであります。お示しのようにわれわれも研究をいたしまして、いろいろとスポーツその他の発展について、せいぜい考究すべきものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/15
-
016・亀山孝一
○亀山委員 はなはだしつこいようでありますが、他のスポーツの関係等から見られても、現在のスケート場に対しての税のかけ方は少しどうかと思うのです。そこで今お考え下さるということはわかりましたが、次の機会でもこれをお考え願えるかどうか、もう一度しつこいようですがお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/16
-
017・奧野誠亮
○奧野政府委員 考えて参りたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/17
-
018・大矢省三
○大矢委員長 他にございませんか。ちょっと私からも尋ねますが、スケートだけで年額どのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/18
-
019・奧野誠亮
○奧野政府委員 約八千万円程度と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/19
-
020・大矢省三
○大矢委員長 他にございませんようでしたら次の自動車税に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/20
-
021・北山愛郎
○北山委員 自動車税については前にもお尋ねをしましたが、軽油自動車、軽油を燃料とする自動車について相当の自動車税の引き上げの案でございますが、ちょうど今大蔵委員会にかかっております地方道路税、ガソリン税の値上げというものが、もしも値上げにならないで前の通りに一万三千円に据え置かれる、そういう事態になると、今度の軽油自動車に対する自動車税の引き上げの理由がなくなってしまう、こういうふうに考られるわけです。これは大臣の説明要旨の中にもはっきりと書いてあるのでありまして、負担の均衡をはかるために、自動車税におきましては揮発油を燃料とする自動車と軽油を燃料とする自動車との間の税率の均衡化をはかるということもありますし、また当委員会における説明においてもそのようなことを説明されておるわけであります。従ってもしもガソリン税が値上げにならないということになれば、当然今度の自動車税についての引き上げは修正をしなければならぬじゃないか。理論上、大義明分を明らかにする意味において、当然そういう結果にならざるを得ないと思うのですが、奧野さんはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/21
-
022・奧野誠亮
○奧野政府委員 ごもっともな御疑問でありますので、少し詳しくなって恐縮でありますが、素直に経過を申し上げておきたいと思います。
実は一昨年政府に設けられました税制調査会におきまして、地方の道路財源として揮発油税を二千円増徴しようじゃないか、揮発油税を増徴した場合に、軽油に課税されていないものだから、軽油を使っている自動車の税率を上げるべきじゃないか、こういうような意見が出て参りまして、それが答申になったわけでございます。そこで昨年一方は揮発油税法を改正いたしまして、揮発油税の負担を二千円引き上げる提案がなされ、国会を通過したわけでございます。同時に自動車税のうちで、軽油を使っている自動車の税率を上げたい。税制調査会の当時のいろいろな議論から、大体揮発油を使っている自動車の十割増しの税率を定められたらどうか、こういうことで話し合いが始まったわけであります。しかし運輸省におかれましても、今急激にそう上げられることも困るというふうな議論もありまして、七割増しの税率で政府としては国会に提案をいたしたわけであります。ところがやはり急激に上げるのもいかがなものかというふうな御意見もございまして、自動車税の中で調整をいたしまして、結局五割増しの税率が正式にきまったことになったのでございます。ところが今回さらに揮発油税の増徴案が政府として国会に、地方道路税とあわせての計算でありますけれども、提案されることになり、ますます揮発油を使っている自動車と軽油を使っている自動車との間の税負担が均衡を欠くようになりましたので、さらに軽油を使っている自動車の税率引き上げを計画したわけであります。大体トラックで揮発油を使っておりまする自動車は、揮発油税を年間十万円から十五万円負担いたしております。自動車税は、軽油を使っている自動車は大体七千円ぐらいよけい負担しているのであります。七千円ぐらいよけい負担する程度では十万円ないし十五万円の揮発油税の負担との間の均衡は得られないわけでありまして、現在でも均衡を得ているわけじゃございませんものが、さらに一方が二千円引き上りますと、揮発油税の負担が年間で一万五千円から二万ぐらいふえてくることになるわけであります。そこで平年度として軽油を使っている自動車をさらに七千円ぐらい上げたい、ことしだけは三千五百円くらいにとどめておきたい、こういうふうな案になっているわけでございます。もともと自動車税につきまして改正を行おうとしましたのは、揮発油にかかる租税負担の増額が動機になっているわけでありますけれども、かりにそれが行われませんでも、軽油自動車の税率は今回提案している程度に上げた方が、揮発油を使っている自動車の負担との間の均衡が得られるのじゃないか、こういう考え方を持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/22
-
023・北山愛郎
○北山委員 いろいろ元へさかのぼって御説明を伺えばあるいはその通りかもしれない。しかし少くとも今回提案された提案の理由としては、今回のガソリン税の引き上げに伴いというようなことを理由にして提案されておるわけです。従ってこの今回の分に関する限りにおいてはやはりどうしても——もしもガソリン税が上らないということになれば、今年の改正に関する限りにおいては少くとも筋が通らないのじゃないかと思うのです。理由を変更しなければならぬ。少くとも提案の理由を変更しなければ筋が通らないようになるわけです。その点だけはお認めを願わなければならぬと思うのですが、提案理由をお変えになるわけでございますね。これは小委員会等でもいろいろそれらの点をあらゆる要素を勘案してまた御検討になると思うのですが、やはり実はこうだった、ああだったということではなくて、少くとも表面に現われた提案の理由としては筋が通らないような結果になりはしないか、従って理由を変えてしまわなければならぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/23
-
024・奧野誠亮
○奧野政府委員 先ほど申し上げましたように、自動車税の税率の改正をいたそうといたしましたのは、揮発油にかかる租税負担の増額が一つの動機になっているわけでございます。提案理由にもそのことをうたっているわけでございまして、政府が国会に提案をいたしておりまする関係におきましてはいささかも変っていないと思うのであります。国会がこれをどう御決定になりますか、これはまあ別の問題であろうかと思いますけれども、政府の考え方としては別に変っておりませんし、提案理由は改正する必要はないのじゃないだろうか、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/24
-
025・北山愛郎
○北山委員 それでガソリン税を上げていくということに伴って、今度は軽油自動車については自動車税を上げていくというような一つの変則な均衡のとり方なんですが、こういうやり方でいいのかどうかですね。私どもはどうも適当でないように思うのです。ガソリン税が上ったから、それとつり合いをとるために軽油の自動車税を上げるというような行き方は、やはり今まででも相当な矛盾を来たしておるのではないか、従って形式としてこういうやり方はよくないと思うのですが、奧野さんはどのようにしたらいいか、何かお考えがあったらば聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/25
-
026・奧野誠亮
○奧野政府委員 お示しのように必ずしもすっきりしたものではないと思います。ただ、こういうやり方をしているところがあるかないかといいますと、アメリカ等におきましてこういうやり方をしているところがございます。揮発油を使っている自動車に対しまして軽油を使っている自動車は、その負担を二倍に定めているというような例があるわけでございます。揮発油は、ほとんど全部といっていいくらいのものを自動車が使っております。ところが軽油は、自動車が使っておりますのは六割くらいでございまして、あとの四割は漁業用、農業用でございます。日本の漁業は非常に零細なものが多いものでありますから、こういうポンポン機船でありますか、そういうものについて税負担をさせることはいかがなものだろうかと思われますので、軽油課税をいたしました場合でも、用途によって課税を免除しなければならないようになるだろうと思うのであります。従って最初から用途をきめられなければ、結局税は一たん徴収しておくけれども戻し税をしていく。しかし戻し税も、非常に数が多くなってきますと煩瑣にたえなくなってしまうのであります。こういうような課税技術上の問題がございまして、軽油課税がわが国においてはなかなか行われがたいのであります。もちろん軽油課税をやっている国もたくさんあるわけでありますが、わが国の漁業の形態等から見ましてなかなかむずかしいのであります。そこでやむを得ず軽油の六割を自動車が使っておりますので、自動車の税を、軽油を使っている自動車を若干上げることによって、軽油課税をしないかわりの措置にしたい、こう考えておる次第であります。もし軽油課税がすっきりした形で行われますならば、こういうやり方はやめる方が私もいいと思います。しかしながら技術的に非常に困難であるならば、こういうやり方も一つのやり方だろう、また世界にもそういう例はあるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/26
-
027・北山愛郎
○北山委員 軽油自動車とガソリン車との一つの傾向といいますか、私も数字的なことはよくわからぬのですが、軽油を使う自動車の数がどういうふうな割合であり、そしてまたどういうふうな傾向を示しているか、そしてまた、かりに軽油自動車がふえるとすれば、そういう傾向は好ましいかどうか、そういうことについて、数字とかそういうものをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/27
-
028・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方税に関する参考計数資料にあげておるわけでありますが、自動車税の課税対象になります台数が百二十万台くらいありまして、そのうち軽油自動車の占めております部分が四万台余りであります。若干増加する傾向をたどっておるようであります。その事情は、やはり一つは揮発油を使うよりも軽油を使った方が経費が少くて済む。ことに大型バスでありますとか大型のトラックでありますと、その傾向がかなり強いようであります。その事情は、一つはまた租税負担が、揮発油について揮発油税が課されるけれども、軽油については別に課税されていない、そういう事情もあるようでございます。別にこれがどう変った方が望ましいというふうなことは何も考えておりません。これはそれぞれ自動車について性能あるいは輸出、いろいろな問題もございましょうから、それはそれぞれの趨勢があってしかるべきものだというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/28
-
029・大矢省三
○大矢委員長 自動車税に対して他にございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/29
-
030・亀山孝一
○亀山委員 遊興飲食税についてちょっと質問したいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/30
-
031・大矢省三
○大矢委員長 関連してけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/31
-
032・亀山孝一
○亀山委員 今度は遊興飲食税の改正がないようでありますが、遊興飲食税については業者からいろいろの陳情が出ておるのであります。これにつきまして、当局としてその陳情のうちのいろいろの問題についてどういうふうにお考えになりますか、一つ簡単に伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/32
-
033・奧野誠亮
○奧野政府委員 遊興飲食税につきましては多くの問題があると思います。またいろいろな事件が発生いたしております。陳情の趣旨にもごもっともな点がたくさんあるわけでありますが、まず税務行政自体を軌道に乗っけることが根本の問題じゃないか、また軌道に乗っけるということは、業界も遊興飲食税の徴収に協力していただく、こういう態勢に持っていくということが根本の問題じゃないか、その地盤ができた上で、いろいろあります不均衡の問題等を是正することになるべきじゃなかろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/33
-
034・大矢省三
○大矢委員長 他にございませんか——ないようでしたら、第七の狩猟者税についてございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/34
-
035・門司亮
○門司委員 これは例の狩猟の取締り法案がいずれ出てくるでしょうが、この委員会にかかってくると思うが、その場合に問題になるのは空気銃の問題なんだが、空気銃がああいう形で普通の猟銃と同じような法的の取扱いを受けることになると、その規模、それから能力、その使用の範囲というようなものについて、税法としても多少考える必要が私は出てきやしないかと思うが、その点について何か考え方がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/35
-
036・奧野誠亮
○奧野政府委員 まだどういういき方になるかわかりませんので、確定したことは申し上げられませんが、私も門司さんと同じように何か措置をすべきじゃなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/36
-
037・門司亮
○門司委員 その場合の処置ですが、例の今考えられておる狩猟に対する税金のあり方というものは非常に変っております。これで税率を変える程度のものは大した問題ではないと思いますが、問題は税の課税をするということにいろいろ今まで変更がなされておるのでありますけれども、今度の場合においてもそれを明らかにしようという、一応全部いわゆる均一課税にして、それではいけないということで、言葉をかえれば不均一課税というような形で出てきておる。そうしてまたこれが均一課税に戻って、今度またこういう処置をとろうというのだが、一体、こうなってくると狩猟者税の変り方というものは非常に多いのであって、私は最初からこの税金についてはやはり猟を一つの業とみなす者あるいは害鳥獣の駆除とみなされる者等に対しては、税金をかけるということは誤まりであるという考え方を持っておったのであるが、それがだんだん改正に改正をされて、そうして今度のこの改正の範囲をただ単にこれだけを読んでみると、所得税を納付する義務を有しない者についての範囲を明確にするというようになっておるのでございますが、この基本としては私はもちろん所得税の問題も問題になるとは思いますが、さっき申し上げましたような害鳥獣の駆除をするような者、それを業とするような者については、原則的にこういうものでなくて、やはり課税をしないということの方がこの税金では取扱いがよいのではないかというように考えられる、この点について一つ。従って言葉をかえて言うならば、遊猟とそれから猟を業とする者、さらに害鳥獣の駆除にこれを使う者というようなことを明確にした方が、私は税の改正の体裁からいえばいいのではないかというように考えるが、その点についての考え方はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/37
-
038・奧野誠亮
○奧野政府委員 今回改正しようとしておりますのは前年分の所得税を納付する業務を有しない者については、軽減税率を適用するのでありますけれども、外国人等につきましては所得税を納付する義務のない者がむしろ大部分でございます。なぜこういう規定が設けられたかということになりますと、狩猟者税というものが免許税の性格と奢侈税の性格とをあわせ持ったというところからだろう、こう考えておるわけであります。そうすると、自主的には担税力があるのに、所得税を納付する義務を有しないという、それだけで軽減税率が適用される、これは穏当でございませんので、そういうものについては本来の負担をしてもらおう、こういう趣旨でこの改正を企てているわけでございます。狩猟者税のあり方につきましては、門司さんのおっしゃっている考え方もごもっともだと思うのでありまして、そういう意味でまた農業を主たる生業とするものにつきましては軽減税率が適用されているのだろう、こう思うのであります。まあどういうところからそういう趣旨を、現わしていくかということなんでありますけれども、現在の制度では大体この精神が出ておるのじゃないだろうか、こういうふうに私は思っておるわけであります。将来もやはり免許税と奢侈税の両方の性格をあわせ持ったものにこの税を考えていくべきであろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/38
-
039・門司亮
○門司委員 私は今のお話で大体わかったのでありますが、この税金だけは、さっき申しましたように奢侈税であるという考え方、それから免許税であるといっておりますが、免許であるから必ず税金をかけなければならないということは私には考えられない。免許は、取締りの方針からの免許であって、鉄砲を打つ行為自身に危険が伴う、従って責任の所在を明らかにしておくということが免許制の一つの根本の問題である。税金をかけるから免許にしようという考えじゃないと思う。だから、農村の害鳥獣の駆除にこれが相当——奨励する必要はないかもしれませんが、必要性が考えられる。同時に、農村における娯楽の面から考えて参りましても、こういうものがあるということが、一面害鳥獣を駆除すると同時に農村の一つの潤いになるのじゃないかということが考えられる。従って、免許税という考え方でなくて、今日の狩猟者に対する税金というものは、奢侈税の形を多く含ませてやった方が筋が通るのじゃないか、そうなって参りますと、今ちょっとお話がありましたような外国人等に対しても、税金をかけたからといってちっとも不思議でも何でもない。それはそれでいい。ですから、奢侈税としての限界をどこに見るかということについては、一応所得税その他を勘案されることは当然だと私は思う。そういう基本になる考え方をこの際明確にしておいていいのじゃないか。これは現在ではそう大したものはないと思いますが、しばしば申し上げておりますように、地方によっては、害鳥獣の駆除のためには、どうしても農村に鉄砲を預けないわけにはいかないのである。そういうことはないと思うが、もし今日農村でかりに数が非常に減ってくるということになりますと、その反比例に、よりふえてくるのは害鳥獣だと私は思う。こういうものの考え方からすれば、さっきから申し上げておりますような奢侈税的な性格によってこれの税金を考えていくという方針の方が私は正しいような気がするのですが、それについてもう一度御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/39
-
040・奧野誠亮
○奧野政府委員 狩猟免許を与えます場合には、免許を受ける者が果して銃砲を操作する力があるかどうかという審査に重点を置かれるわけじゃなしに、大体申請してきた者につきましては原則的には許可が与えられているようであります。また、自分で育てていたものでないものを銃砲で捕獲できるわけでありまして、そういう利益が免許によって与えられるわけでありますから、反射的にある程度の税を持ってもらう、こういう考え方が私は成り立つのだと思うのでありまして、そういう意味で免許税の性格を持っておると、かように申し上げたわけであります。なお害鳥獣の駆除については大いに努力をしなければならないわけでありますが、そのことは必ずしも狩猟者税と直接の関連を持つともいえないじゃないだろうかと思うのであります。と申しますのは、害鳥獣を駆除したい場合には、それぞれ駆除についての許可を受けまして、その場合には相当大がかりな駆除対策をとることができるようになっているわけであります。狩猟免許とは別個にそういうやり方が認められているわけでありますので、そういう運用において、害鳥獣の駆除を大がかりになされておるのが、かなり多いように思っております。狩猟免許を受けておるものがそれをやっておるというよりも、むしろ必要な場合に害鳥獣の駆除の許可を受けて、そうして大がかりにそれを駆除していくというやり方、これが普通じゃないだろうかと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/40
-
041・門司亮
○門司委員 私はそういう議論はどうも納得いかないのです。害鳥獣が出てきたから従って免許を受けるのだというのでは間に合わないのだ。害鳥獣をいないようにしなければならない。イノシシが出てきたからといって、鉄砲を持って追っかけたってどうにもならぬ。イノシシがいなくなることが農村では必要だ。遊猟して遊んでおる人はイノシシがいた方がいいかもしれないが、イノシシが五匹も六匹も出てきて、村中が巻狩をするから許可してくれといってきて、警察と消防団が出てきて騒いでみたところで、それは追っつかぬ話だ。私は要するに害鳥獣の駆除というものは、常時準備され、常時行われて、その被害がないということが害鳥獣の駆除であって、出てきたものを退治するのが駆除ではないと思う。そういうやり方であってはならない。今日の繁殖の度合が非常に大きい害鳥獣、ことに日本で今全国各地被害をこうむっておるものの中にコジュケイのようなものがある。コジュケイなんて鳥は十四、五年前は禁鳥だった。あれは保護鳥以上の禁鳥であった。絶対にとってはならないというやかましい規定があった。網でとってもいけなければ何でとってもいけない。それが十四、五年たっておるうちに害鳥として繁殖してしまって、どうしても困っておる。遊ぶ人の対象にはいいかもしれないが、農村では非常に困っておる。こういう関係を持っておりますので、今のような考え方で、ふえて困ったらとったらいいじゃないかというようなことでは、私には承服できない。私はやはりさっき申し上げておりますように、雷鳥獣を駆除するというのならば、それが常時行われて被害がないという建前の上に立つべきだと思う。もし自治庁がそういうお考えとするならば、遊猟には遊猟の方法がある。たとえば禁猟区なら禁猟区というものを一応設ければよい。いわゆる狩猟区を設ければよい。これは過去においてそういう事例はたくさんあります。大して農村に被害のないところに一応禁猟区を設けて、そこをある一定の期間開放するというようなことは、私は処置によっては大いに行われると思う。だから前の遊猟の、遊ぶ方の人はそう困らぬと思うが、それより百姓の被害の方が普遍的に大きいと思う。だからこれをなくするには、やはり今のような考え方では困ると思うのですが、もう少し考え方を変えてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/41
-
042・奧野誠亮
○奧野政府委員 害鳥獣の駆除をするにつきまして、それぞれ許可を受けますと、部落単位その他でかなり大がかりの駆除対策をやっているのでありますが、必ずしも害を受けてからやるというのじゃなしに、そういう危険を予防するために、ああいうかなり大がかりなことをやる場合も多いようであります。実は私はあまり詳しくないのでありますが、自分がかつてそういう行政をやったことがございまして、また自分も狩猟免許を受けて多少遊んだこともありますので、そういう体験を中心にして申し上げておるのでありますが、何かそういう方法で、今門司さんの心配されておる方法を解決していけるのじゃないだろうか、かように考えたわけであります。将来なお農林当局ともその点につきましてはよく打ち合せをしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/42
-
043・大矢省三
○大矢委員長 ほかにございませんか。なければ次の市町村民税に移ります。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/43
-
044・北山愛郎
○北山委員 市町村民税はこの前やったのですが、この前お伺いした中で、いわゆる三百十三条の市町村民税の取り方の中で、第一方式、第二方式と第二方式のただし書きというような、いわゆる原則の第一方式以外の方法でとっておる場合の徴収分の金額というものがどの程度になっておるか、何か調べがあると思うのですが、差額がどの程度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/44
-
045・奧野誠亮
○奧野政府委員 今年度見込んでおりますのが大体百七億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/45
-
046・北山愛郎
○北山委員 それは第一方式でやった場合とその他の場合との差額が百七億と、こういうわけでございますか。その内容をもう少し詳しくお知らせを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/46
-
047・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話の通りでございます。第二方式、第三方式で行います場合に、課税総所得金額に対して平均税率何パーセントぐらいであろうか、こういうことを調査しておるわけでありまして、その税率で計算をしていきますと、結果において百七億円だけ、第一方式でやった場合よりも増収になるという結果が出たのであります。その平均で三・四五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/47
-
048・北山愛郎
○北山委員 その見積りというのは、実際の第二方式なりあるいはただし書きの方式をとっておる実態についてそれだけの差額が出るというのか、あるいはただこちらの方で、第一方式が半分で、第二その他の方式があとの半分だというような見込でいったのか。第一方式で全部やった場合と実際との食い違いをいっておるのであるか。実際との違いというならば、もう少し僕は多いのじゃないかと思うのです。それは二年ばかり前に、百二十億か百三十億くらいの数字があったと思いますが、現在ではもっとその開きが大きいのじゃないかと思うのですが、何か半分は第一方式であり、半分はそれ以外の方式だというような仮定の上に立った今の百七億の数字じゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/48
-
049・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話のように、市町民税の所得割の分量の多い時代におきましては、金額に直しました場合に、その差額が大きくなると思うのであります。昨年県民税と町村民税とに分けたものでありまして、町村民税の所得割の分量が少くなって参っておりますので、第二方式、第三方式による増収額というものは、絶対額としては少くなってくるのでございます。昨年相当数の町村を抽出調査いたしまして、今申し上げましたような率というものを見出したわけであります。三十年度の収入額としては、これを基礎に計算をしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/49
-
050・北山愛郎
○北山委員 そうすると今の抽出調査というのは、この前お話しがあったような第一方式、第二方式をとっておる町村のパーセンテージが大きくなりましたが、それはすなわち抽出調査の結果ですか、実際の数の結果ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/50
-
051・奧野誠亮
○奧野政府委員 課税団体がどういう方式を採用しておるかということは、悉皆調査に基いたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/51
-
052・北山愛郎
○北山委員 それからこの説明の中に、「所得税額を課税標準として課する所得割について、課税限度額の規定を改め、減税後の所得税額を課税標準として、なお、おおむね従前通りの額を維持できるようにするため」と、こう書いてあります。要するに所得税の方が減税になったが、このはねっ返りが住民税の方に来ないようにする、そのために率を上げたのだ、こういうことでございますが、そうすると個々の団体についても、また今度の所得税の方の減税の結果として、従来よりも住民税が減らなければそれでよろしい、こういう基準で物を考えておられるか、そういうふうに了解するのですが、それでいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/52
-
053・奧野誠亮
○奧野政府委員 個々の団体といいますと多少語弊があるのじゃないかと思うのでありますが、所得構成その他によりまして、やはり若干違ってくるだろうと思います。総額で大体従前通りのものが確保されますならば、団体相互間のものは、地方交付税で調整できますので、地方財源総額が変らなければ、それぞれの地方団体間の財政運営に大きな支障を与えないように措置することは可能ではなかろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/53
-
054・北山愛郎
○北山委員 ただいま申し上げた通り従来の市町村民税の額をどんどんふやしてもいいというのじゃなくて、大体従来の額を維持しよう、国税の減税のために少くとも減らないようにしよう、こういうところにねらいがあるのであれば、むしろ第一方式にしておいて、その率をかげんしていけばいいんじゃないか。私の計算ではきのう申し上げた通りです。府県民税を合せても百分の十八という率で、大体昨年通りの税収が上るんじゃないか、こういうふうに思うわけです。それでいいんじゃないか。それをなお第二方式なりあるいは第二方式のただし書きというものを残すというのは、むしろ増税の道をあけておくんだ、こういうふうに考えられる。増税の道をふさいでおかなければならないのに、どうも今のお話じゃただ減らないようにするんだという説明であるけれども、実際は増税の道をあけておくようにしか見えない。こういうことがいいか悪いか。鳩山内閣というのは、中央地方を通じて減税する、少くとも増税にはならない、こういうふうに思っておるのですが、実際は国税の方では減税して、地方税の方で増税をするというような結果になっては、看板に偽わりありということになるわけなんです。従って少くとも地方税についても、昨年と同程度のものが確保できるならばそれでいいんだ、そしてそれが確保できるような標準の数字を自治庁としては示せばそれでいいんじゃないか、かように考えるのですが、どうして第二方式というふうな増税の道を、いまだにその不合理な方法を残しておるのか。しかも第一方式の率まで引き上げようとしておることが、どうも私どもには納得がいかないのですがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/54
-
055・奧野誠亮
○奧野政府委員 従来の額よりも、特に所得割の分量をふやしたいというふうな考え方のないことは、北山さんのおっしゃいます通りでありまして、そういう意味で第二方式、第三方式につきましての課税限度額の規定には改正を加えていないわけであります。なお第二方式、第三方式もやはり残しておきますことが、それぞれの市町村内におきまして円滑な課税を行うための必要な方法ではなかろうかというふうに思っているわけであります。なお第一方式につきまして何らの改正を加えません場合には、所得税の課税額にそのまま比例税率を採用して乗っかっていくわけでありますので、市町村が税率をどう刻もうかということにつきましては、あまり自由裁量の余地がないわけであります。言いかえれば下の所得者につきましては、税率をどんどん上げていく裁量の余地はあるのであります。所得が四、五百万円になりますと、税率が頭打ちになるのみならず、下げていかなければならないわけであります。その市町村にどんな率を使うかということをまかしておりながら、第二方式、第三方式のような方法でありますならば、それも一つの方法なんでありますけれども、所得税の課税額にそのまま乗っかっていかなければならないとしながら、上の部分については逆に比例税率を下げてこなければならない。こういうことはどうも穏当じゃございませんので、この機会にそれを改めますと同時に、減税後の所得税額を課税標準といたしますものから率について調整を加えよう、こう考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/55
-
056・北山愛郎
○北山委員 そうすると奧野さんのお話は第二方式という方法を認めておるのは、第一方式でいけば所得税の累進の率にそのまま従っていかなければならぬ。それでは高額所得者が得をすることになるから、そこで第二方式というものを認めておる、こういう御答弁のようであります。そうなれば第二方式では所得税の累進率よりももっと傾斜のきついものを採用してもよろしいかどうか、それでいいんですか。第二方式ではそういう方法はとれるわけですから、高額所得者についてどんどん累進を、普通の所得者よりもきつい累進をかけることが第二方式でもって可能ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/56
-
057・奧野誠亮
○奧野政府委員 私たちは高額所得者の所得構成を考えていきます場合に、やはり配当所得でありますとか、預金利子所得というものが非常に多いだろうと思うのであります。ところが第一方式を採用します場合には、課税標準とすべき所得税額がすでに配当所得の二五%は控除されてしまったものでございます。こういう人につきましてさらに税率を低くしていくということは、非常に恩典を与えることになってしまいます。第二方式、第三方式の場合は配当所得はやはり所得でありますので、これに七・五%までは課税していくことができるわけであります。従いまして第一方式であります場合には、今申し上げました所得税の関係から不当に高額所得者が軽課されてしまいます。第二方式をとります場合には、そういうものは全部課税標準に採用していけるわけでございますので、第一方式によります場合よりもはるかに大きな所得税を納めてもらうことができるのではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/57
-
058・北山愛郎
○北山委員 それは全国的にいえば配当所得とか、あるいは利子所得、そういうものが非常に金持ちに多いということはわかるのですが、しかし部分的に地方的にいえば必ずしもそうは言えないのですよ。やはり経済力のある人はその所得のどのくらいの部分が配当所得であるかということは、総体から見れば比較的少いのではないかと思うのです。それでは一体配当所得とか、そういうものの所得は総体の所得のどのくらいの割合を占めるものかということをお示し願いたい。
それから第二方式がたとい奧野さんが言うような意味であろうとも、現実にはただし書きの方式によって扶養控除もとらない、勤労控除もしないというやり方が相当あるわけですが、そういうやり方をとるならば、低額所得者に対して重くなることは当りまえなんです。だから実際理屈はそういうことも考えられるけれども、現実に第二方式なり第三方式をとっているものは、実際の市町村のとり方というのは、現実から見れば下の方に重くなっておる。中堅以下のものに重くなっておるという現実だけは否定できない。だから奧野さんが言うように第二方式というものの道をあけておくということは、高瀬所得者に対する税のよけいかけ得るような道を開いておるというのはむしろ反対なんです。下の方に重くなっておる。中堅以下に重くなっておる。そういうふうに使われておるという現実は自治庁では知らないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/58
-
059・奧野誠亮
○奧野政府委員 配当所得がどのような階層の人にどの程度分布しておるかということについては調査したものを持っておりません。ただ総体的に考えまして、所得の低い人たちが配当所得を相当持っておるというふうには考えられないで、やはり傾向としては高額所得者に集中しておるというふうにはお考えいただけるんじゃないだろうかというふうに思っております。なおまた第二方式を採用することが高額者に重い租税負担をさせるためにとっているのだ、こういうことは私は申し上げていないつもりであります。ただ第一方式と第二方式との関連におきまして、第二方式では累進税率を採用しようとしても七・五%どまりではないか、こうおっしゃいますものですから、そうなんだけれども、第一方式の場合はむしろ配当所得が所得税額から相当数引かれる。逆に第二方式の場合はまるまる課税標準になるのだ、こういうことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/59
-
060・北山愛郎
○北山委員 とにかくこの第二方式のやり方によって、文句を言ってくるのはだれかというと、金持ちではない、こういうやり方をやられて実際にぐんと税金が上ってくる中堅以下の層の人たちです。だから、財界の方で、経済同友会であるとか商工会議所とか、そういうところで第二方式をやめろと言ってくるのなら、これはあなたの言う通りだが、しかしそうじゃなくて、むしろ文句を言ってくるのは地方の市町村の中堅層以下の連中で、第一方式から第二方式に移ったために住民税が急激に高くなって、大騒動を起している場合が多い。ことに最近では町村合併の場合などで、もとは中心になっておる町は第一方式をとっておった、ところが周辺の農村では第二方式ないしただし書きを適用しておった、そこで合併したために村の方のやり方を採用して、町におる、前は第一方式をとられてきた人たちが急に増税になって、非常な物議をかもしておる事例が多いのです。だから私どもはこの第二方式を問題にするのであって、少くとも第二方式を、まだその道をとっておるということは、それだけ標準以上の増税を自治庁が認めておる、こういわれてもしようがないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/60
-
061・奧野誠亮
○奧野政府委員 ただ市町村が財源をふやしたいためだけに小額所得者に対して重課していくということは避けるべきことだと思います。また現にそういう事例がないわけでもございませんし、御指摘のように現実には存在していると思います。こういう問題につきましては、一方では地方財源の総額をどう定めていくかという問題もございましょうし、あるいは地方交付税制度の運用なり、あるいは地方債の配分なり、いろいろな問題もからんでくると思いますが、実際問題としてそういう傾向が漸次払拭されるように是正していきたいと思います。ただそのことが第二方式のやり方をやめてしまうことによって解決するのだ、こうおっしゃいますならば、それについては私たちは反対だ、かように申し上げているわけであります。やはり第二方式は第二方式として課税の円滑化のために相当の役割を果しているのだ、こう考えているわけであります。御心配の点につきましては、ただいま申し上げましたような方向で漸次是正をはかるように、一そうの努力を払っていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/61
-
062・北山愛郎
○北山委員 私は、今度の地方税法の改正というのは、やはり今度の政府提案の財政再建促進法、あれと関連があると思うのです。あの法律は初めは明らかに主要な税についての約二割の増税を条文の中に書いてあった。ところが今度はそれを書かないで、単なる増収計画であるとか、そういうことにしてある。いわば表現をぼかしておるわけです。再建促進法の方では増税するとい言ことははっきりと書かないでおいて、そうして地方税法の適用によって増税の道をあけておく。この二つの部分が、すなわちこの今の住民税であり、もう一つは固定資産税の評価基準なんです。だから、固定資産税も税率の方は下げたようなふうに体裁をつくろっておいて、実際は評価基準をどんどん上げておいて増税をさせよう、こういう二つの道があるわけです。だから今度もしあの再建促進法が通過をしたならば、地方団体は何百億という大きな財源不足の穴埋めとして、一方では節約もやる、しかし足らぬ部分は増税をしなければならぬようになります。従って理屈はどうであっても、第二方式というものが残っておる限りは、市町村はその現実に押されて、第二方式なりそのただし書きの方式を不合理だと知りつつも、やむを得ずいやいやながらやらなければならぬように追い込まれる。それはせんだってここに来た佐賀市の人が、やむを得ないから重税を課しておるのだということをはっきり言っておる。だからそういう点を考えるならば、住民税、市町村民税等においてもこの第二方式、ただし書きというものを残しておるということは、将来の増税の道をあけておいてやるのだ——邪推かもしれぬが、私どもはそのように考えますが、再建促進との関係については、政府はどういうふうに考えておるか、それをお伺いしたいのです。特に長官からもお話を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/62
-
063・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方税の所得課税として、どういう課税標準がいいのだろうということを考えていきました場合には、所得税は国の政策としていろいろな見地を入れて参ります。これをそのまま個々の府県、個々の市町村に適用していって、住民の納得が得られるだろうかどうかということを考えていきますと、私はやはり国の立場、府県の立場、市町村の立場が異なっておるだろうと思うのであります。でありますから、もし課税標準を統一しなければならぬということになって参りますならば、理論的にはむしろ第一方式より第二方式によるべきではないだろうか、こういう考え方を持っておるのであります。しかしながら一体第二方式によった場合に、どういうような税率の定め方によって地方団体間の均衡をとっていくんだろうか、ここに一つのむずかしい問題があろうかと思うのであります。そういう意味で私たちはやはり第一方式だけにしてしまって、第二方式をやめるんだという議論には賛意を表しがたいと思っておるのであります。
なお再建促進との関係において第二方式が多くとられるようになるのではないかというようなことでございますけれども、やはり住民の批判力も漸次高まってきておりまして、第二方式によっておるのだから増税をしていないのだ、こういうふうには受け取っていないようでございます。そういう関係もございまして、また多くの市町村の中からは課税標準を統一してもらいたい、三つ置かれることは常にそれぞれの市町村内において、いろいろな論議が起ってきて困っておるのだ、こういう議論もあるわけであります。そう簡単に住民がごまかされるものだというふうにも私どもは思っていないのであります。また同時にいたずらに増税によって再建促進の道を見出させたいというふうにも思っていないわけでありまして、そういう趣旨はあの法案の中によく出ておるのではないかと思っております。また指導に当りましても北山さんの御心配になりまするようなことのないように努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/63
-
064・北山愛郎
○北山委員 もちろん住民はごまかされません。だからこそ第二方式に反対しておるのです。私もいなかの町長をやって、第二方式をやってみて、その矛盾を実際に感じたのです。その矛盾は今でも何年たってもそのままあるのです。そうして現実に各地でもって文句が出ておって、当局も困っておる。しかし税法を改めない限りはどうにもしようがない。ところが地方税法だけでなく、所得税法そのものを改めねばならぬことになってくる。少くとも私は自治庁当局としては、現在の住民税制度はいいものだと考えておるわけがないと思う。そう考えておるならば、よほど研究不足なんです。不勉強なんです。実態を知らぬのです。しかも今お話しになったように、第二方式の方がほんとうだというお話ならば、住民税における所得割の原則というものを非常に変更したことになるのです。もしも第二方式がいいとするならば、なぜ第一方式をいまだにとっておるのか。これが標準であるとして、標準税率をとっておるのでしょう。そういう思想の混乱した二本建のことをやっておる。そうして正しい安定した制税であるということはいえないはずだ。元来現在の住民税のとり方というものは、シャウプ税制から切りかえになって、そうしていわゆる所得賦課税的なものになってきた、これでやってきたわけなんです。やってきたところが、地方は増税をしたいがために、第二方式あるいはただし書きというものをとってきて、それが数が多くなってきた。ただ自治庁はその現実に乗っかろうとしているだけにすぎない、現実についているのだ、やはり今までの数年間のシャウプ税制以来の原則というものは所得課税でいこうとしたのだが、しかし増税もやむを得ないから、そこで第二方式の方が正しいというようなことを奧野さんが言うような段階になってきたのです。それだけの現実ははっきりと認めていただきたい。もしも第二方式がいいのならば、なぜ第二方式一本やりでいかないのですか。私はおかしいと思うのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/64
-
065・奧野誠亮
○奧野政府委員 北山さんとの間にだいぶ考え方に食い違いがあるようであります。私たちは市町村といいましてもその態様は千差万別だと思っております。やはり大都市と純農村、こういうふうに比較してみました場合に、今日所得税につきましては扶養控除の引き上げとか、基礎控除の引き上げとかいろいろな問題がございまして、ほとんど所得税を納める人がなくなって参っております。そういう場合に所得割はごく一部の人たちが負担されて、あとは全部納めない、こういう形でいいかどうかという考え方でいきますと、やはり均等割だけではございませんで、ある程度所得の高において差をつけたり、所得割を相当数の人に負担してもらった方が、その農村の自治運営というものが円滑にいくのではないか、こういうふうに思っております。また大都市方面になって参りますと、納税義務者が非常に多いものでありますから、一々国とは違った計算をするということは、非常に煩瑣なことでありまして、それがために徴税費を多額に要するというような問題にもなって参ります。従って所得税額としてはじき出されたものに、そのまま乗っかっていく、また多少住民相互間において負担が食い違っておっても、小さい自治団体ほどやかましい問題にはならないかと思うのであります。やかましい問題にならないから不均衡でよろしいというわけではございませんが、ある程度のものはがまんしてもらえるならば、徴税費をあまり金のかからぬやり方をした方がいいのじゃないか、こういうようにも考えられるわけでありまして、所得課税には違いないのでありますが、その所得課税をどうやっていくかということにつきましては、それぞれ市町村の態様が違っておりますので、市町村の住民の感情に合ったようなやり方がとれるようにしていっていいのではないだろうか、ただ最低限度の財源を保障しなければなりません。その場合にどう見るかということにつきましては、なるべく全市町村を通じまして均衡のとれた計算をしていかなければなりませんから、地方交付税の基準財政収入額の算定に当りましては、第一方式によって算定していくのだ、こういうわけになっておるわけでありまして、どれが原則だと言われますと大へん困るのではないだろうかと思いますが、基準財政収入額の算定に当っては第一方式をとって、またそれぞれの市町村が所得割についてどれによるかということになるなら、それぞれの市町村の態様により、あるいはまた住民の納得を得られる方式によって選んでいくべきではないか。ただ不幸にして今日地方財政が非常に窮屈なものでありますから、第一方式で、従来であればたとえばすぐ高額所得者について頭打ちになる、あるいは税率に制限が設けられておるというようないろいろなことからなかなか増収がはかられない。従って第二方式をとっておるという団体があることも事実であります。私たちはこれは望ましいことではないと思っておりますが、これは課税方式の改正だけでは問題は解決しないのだ。地方財政全体の問題がかかってくるのだ。こういうことを繰り返して申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/65
-
066・北山愛郎
○北山委員 だから奧野さんの言葉は私の言うことを肯定しておるのですよ。今までは反対しておったけれども、結果においては意見は同じだと思うのです。好ましくないが、財政上仕方がないからやむを得ず市町村は第二方式をとらざるを得ないのだということを、今お述べになった通りなんです。その通りなんです。それだから私言うのです。再建促進と関連があるのだ。再建促進の結果それが非常にいい促進法ならばいいのだ。ところが厖大な地方財政の財源不足に対しては、ちょっぴりと申しわけ的なことをやるにすぎないのだ。そのたった二百億の金を借りて、それによって何百億かの財源不足を圧縮しなければならぬという立場に立った市町村は、勢い一方において無理な節約をし、一方においては増徴をするでしょう。そうするとこういうことに好ましからざる第二方式がますますふえる。それでいいのかと言うのです。だから再建整備と関連があるのだ。私はこういうことを申し上げたいのです。
それからこれは所得税を基準とするという建前は、シャウプ税制以来の一貫した考え方だと思うのです。もしこれを変えるならばそれ以外の固定資産税であるとか、そういうものも全部考え直していかなければならぬのじゃないか。というのは御承知のように昔の戸数割というものの中には、資産割みたいなものを含んでおったのであります。その当時には家屋税とか地租というものが非常に安かった。たとい不公平でも税額が少かったから問題にならなかった。戸数割の中で不動産とかそういうものがある人は割合よけいのものを納めておった。ところがシャウプ税制で固定資産税を切り離してしまってそれを何倍も引き上げた。住民税の方はいわば所得税付加税のような格好になってしまった。そういう建前は今でも続いておると思うのです。もしもそうではなくてやはり農村においてもだれもが多少のものは負担するというような建前をここで設けるというならば、固定資産税とかそういうものもあわせて今までの税のとり方全体について再検討を加えなければ、今お話のような第二方式でもその市町村の実情に合うならば、それでよろしいなどというようなことは言えないはずです。だから少くとも今の建前は所得税に対する一定率ということが一つの基準になっておる。従ってやはりその建前でおる限りにおいては、第二方式というものを制度上政府としては考えなければならぬのじゃないか。好ましくないというならば、それを制限しなければならぬのじゃないかと私は申し上げるのであって、私の言うことに間違いがありますか。間違いがないというならば、少くとも第二方式のただし書きというような規定は、なぜとってしまわなかったかということをお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/66
-
067・奧野誠亮
○奧野政府委員 市町村の課税傾向が増収を得るために第二方式をとるものが数多く出てきておるのじゃないか。こういう点については北山さんのおっしゃる通り、こう申し上げておるわけであります。しかしそうだから第二方式をやめてしまえ、こうおっしゃっておる点に対しては、いやそれはそれとして意義があるから残しておきたい、こう申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/67
-
068・大矢省三
○大矢委員長 門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/68
-
069・門司亮
○門司委員 実は今の北山委員との議論で、私は当局の考え方をもう一つその点について聞いておきたいと思うのです。
今の奧野君の意見は実態とかなり離れた問題がありはしないかと思う。ただ税収を得るというならばそういうことがいいかもしれないが、しかし実際からいうとこういうことになると思うのです。第二方式によって所得の中から基礎控除を受けておる、たとえば配当所得であるとかあるいはその他の所得を捕捉するために第二方式が必要だというのでありますが、それらの諸君というものは数からいえばわずかの数なんです。それよりもやはり一般の所得税を納めていない諸君であっても、少数所得に対する課税ということになると、なかなか免除が困難になってくる。そこで実際問題として少額の所得者が非常に多額の税金を納めておるということは、大都市の第一方式をとっておるものと、第二方式をとっておる中都市以下のものとの税を比較してごらんなさい。すぐわかることです。同じような給料をもらっておって、第一方式をとっておるところの勤労者と第二方式をとってところの勤労者との市町村民税を比較してごらんなさい。すぐ問題として出てくる。だから一応理論的にはそういうこともあり得るかもしれないが、実際の問題としてはこれは少額所得者に非常に苛酷な税金にならざるを得ない、これは地方財政が非常に貧困だからやむを得ないのだ、それでおしまいになる。しかし税の徴収のものの考え方としては、やはり所得課税にするという一つの基本方式を持っております限りにおいては、私は今の奧野君の答弁は一つの考え方ではあるかもしれないが、実際には即しない、また実際にそういうことをやったのでは町村はやっていけません。私はかりに町村で、今までの政府の言うような考え方で、高額の所得者から税金をよけいに徴収するために第二方式が必要だという考え方で、小額所得者の税負担を第一方式よりも減額するということになると、ごく少数の人によけい税金をかけても、多くの人に税金がかからぬということになって、その町村は税収がなくなるというように考えるのであります。その点についてはもう少し自治庁で研究しておいてもらいたいと思う。
次に聞いておきたいと思うのは、所得税に対する勤労控除が国税で認められておる。これを地方の市町村序税の中に認められないかどうかということです。この点についての当局の考え方をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/69
-
070・奧野誠亮
○奧野政府委員 所得税額を課税標準とする第一方式の場合で毛、もちろん勤労控除後の所得額が課税標準になるわけであります。第二方式のただし書きによる場合でありましても、勤労控除後の所得額が課税の標準になるわけであります。一応所得そのものについては、均衡のとれた形において所得が決定されるという方式で市町村民税を運営しておりますので、それ以上にさらに所得の種類によっていろいろな差を設けるということは不適当だという考え方をとっておるわけであります。御存じのように、給与所得者とその他の所得者との間でいろいろ問題が起っておりますけれども、制度の建前としてはそうあるべきだというふうに存じております。
なお前段の問題でありますが、やはり国税であります場合には、あまり多数の納税義務者をあさらないで、問題は総収入額を必要だけ上げていけばよろしいのでありますけれども、地方税になって参りますと、納税義務者があまり少いとどうも円満にいかないようでありまして、そういう意味では従来からのわが国の税制におきまして、たとえば営業税の免税点を下げて、免税点以下のものについては府県税と市町村民税だけ課していくというようなやり方を、いろんな税についてやっておったわけでありますけれども、所得課税につきましても、国税の所得税と別に地方所得税というふうな考え方を持って、地方所得税においては国税の課されない人につきましても若干所得割が課されていく、それが市町村の円満な財政のために必要であるならば、そういう対策をとるということもやむを得ないのじゃないかと思っております。それが高額にわたるかわたらないかという問題でありまして、高額にわたるという問題につきましては、先ほど来たびたび申し上げましたように、いろいろな税法を総合的に運用していくことによって是正していきたいという考え方をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/70
-
071・門司亮
○門司委員 そうすると、政府の考え方を要約していけば、結局政府が高額所得者に対する税金をよけいかけることが第二方式では容易である、第一方式ではそういうことができない、そして所得税を納めている人全体にかかってくるというようなお考えで、それを是正していこうとするならば、私は従来この税金が住民税でとったと同じように資産割をかけていけば、そういう問題は解消すると思う。資産割の方式をもう一つ入れればそれは解消すると思いますが、こういう考え方はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/71
-
072・奧野誠亮
○奧野政府委員 おっしゃるように、そういう意見もあるわけであります。ただ私たちといたしましては、現在の所得課税がシャウプ勧告以来、所得の種類によって分離した税率を採用いたしませんで、総合していくという考え方が強く打ち出されて来ておりますので、なるべくならこれに歩調を合せていきたいという希望を今日もなお持っておるわけであります。しかし御意見の点につきましては、将来もなおよく研究していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/72
-
073・門司亮
○門司委員 重ねて聞いておきますが、少くとも市町村民税である限りにおいては、町村における応益課税ということも誓えると思う。従って、これは応益税だという税の性格をはっきり打ち出してくる場合においては、どうしても第一方式に全体の歩調を合せて、そうしてこれに今の資産割を入れていくということの方が、もし改正するなら妥当性がある。その方が税金としてはいいと思う。もう少し研究すると言うが、いつまでも長く研究されても困るので、役人の研究するというのは三年から五年くらいかかって、そのうちにみんなが忘れてどうにもならない。私は市町村民税は非常に問題が起きてくると思う。今北山君が非常に心配されておりますように、再建整備の法律が通ってそのしわ寄せがどこにくるかというとここにくる。町村で税金をとろうという場合に、法定外の税率を課することはなかなか困難であります。この場合は第一方式をとるか、第二方式をとるか、第三方式をとるかということが法律で許されておりますので、これはとりいいと思う。結局町村で考えるところはここに持ってくると思う。そうして今第二方式で議論しておりますが、これがかりに第三方式になってくるとえらいことになってくる。これも法律できめてありますから、町村できめようと思えば何もむずかしい仕事じゃない。新しい法定外の普通税を設定するよりも楽だと思う。そういうところに住民の負担がしわ寄せをされてくるので、今北山委員から申し上げておりますように、ただし書きというようなものは削って、ある程度国民負担の限度を押えておったらどうかという心配だと思う。従ってそういうことが現実に考えられて参りますので、政府の考え方としては、これは再建促進法にも関係を持つと思いますが、再建促進法を適用される町村においても、市町村民税に対する徴収の方法は、大体現行を維持していくというようなお考えであるならば、私はある程度納得がいくのでありますが、これには手をつけなくてもいいのだということになりますと、今の北山君の心配の点も心配されますし、さらに、第三方式もとられないことはない、あるいは従来第一方式をとっておったところでも、第二方式で徴収する限度まではとってもいいという、徴収の方法は変っても、税総額においてはやはり増徴することができるという規定を、この前の改正で織り込んでおりますので、これはそういうところに必ず持っていくと思う。そのことは、市町村民税は御承知のように第二方式をとって参りますと、全体の住民にかかってくる可能性を持っておりますので、非常に心配するわけでありますが、もし不幸にして——私は不幸にしてという言葉をよく使っておりますが、再建促進法が通過をした場合でも、これに何らかの考え方を置いて、そうして不当な税の徴収を免れるような措置が講じられるかどうか、この機会にもう一度聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/73
-
074・奧野誠亮
○奧野政府委員 再建整備の考え方の問題でございますけれども、地方財源全体を増額できないとすれば、現在の標準的な税負担でやっていけるように財政を立て直すことが根本的な点だろうと思っております。従って再建促進法においても、経費の節減というような点に重点を置いて考えることにしておりますので、御心配のような点が起らないように自治庁としても努力をしていかなければならないのじゃなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/74
-
075・門司亮
○門司委員 それからこの改正法を出されますまでは、所得税の関係が、今の本予算の修正案がなかったと思います。これは税全体に関係するかもしれませんが、大体六、七十億国税が減税になって参りまして、地方税に及ぼす影響が二、三十億関連してくると思いますが、これに対する処置を何かお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/75
-
076・奧野誠亮
○奧野政府委員 国会修正に伴いまして地方財政に影響を来たしますので、最近提案いたしました地方税法について、さらに修正案を提出さしていただきまして、来年度以降の措置として若干の修正をお願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/76
-
077・門司亮
○門司委員 この間説明されたあれで、大体来年度以降の税金は確保されるということですが、その通りですか。この問題はあとでまた地方税と中央の財政との関係を聞かなければならぬ面が出てくると思いますが、あれで間違いないのだという解釈でよろしゅうございますか。あれは総額が私の計算では、たしか十二、三億くらいしかないように記憶しておるのだが、私の勘定違いであれば別ですが、所得税の下っただけでも、今の地方税の総額からいえば、約十五、六億ないし二十億近いものがなければならない。ところがこの間説明されたのでは、十三億くらいの数字じゃなかったかと思うが、これは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/77
-
078・奧野誠亮
○奧野政府委員 今回提出いたしました修正案によりまして、減った分だけは補てんできるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/78
-
079・北山愛郎
○北山委員 今のは要するに減税は減税でも、いわゆる名目上の減税といいますか、税の総体からいえば大して変りがないというふうなところからくるんじゃないでしょうかね。そこでこの前お伺いしておいた二十八年度と二十九年度の所得税の実際の徴収実績、それに対してどれだけの影響を本年度の住民税において受けるか、こういうことで数字をお伺いしておいたんですが、わかったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/79
-
080・奧野誠亮
○奧野政府委員 住民税の収入額を計算します場合の所得税額と、それから決算の結果出て参りました所得税額との間には、あまり大きな違いはないのであります。北山さんがおっしゃいましたような事情と、自治庁で計算しております数字との違いは、現行の所得税を源泉で徴収する、あるいはまた寡婦とか未成年者についての所得税額がある、こういうもので、あるものについては住民税が課されない、あるものについては実際問題として住民税の対象として捕捉できない、そういうものを八%と見ているわけでございます。この部分だけが数字が食い違ってくるわけでありまして、結果的にはこの前申し上げましたように、第一方式によるもののほかに、第二方式をとることによって、百七億円だけ増収を期待しておる、こういう数字になっておるわけであります。
なおこの機会に、昨日法人事業税の収入がふえているのは、法人税が横ばいしたのにおかしいじゃないか、こういうことに対しまして、法人事業税は課されないが、法人税は課されているものがあるのだ、鉱産税の対象になっている鉱物掘採事業がそれなのだ、その部分が、法人対の対象所得のうちで占めている割合が減ってきたのだ、こう申し上げたわけでありますが、それは従来七・五%を見込んでおりましたのが、逆に鉱物掘採事業の所得が減ってきましたために、三・七五%程度であるという推定が得られましたので、そういう結果二十億円程度法人事業税がふえております。これがおもなものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/80
-
081・北山愛郎
○北山委員 そうすると、二十九年度の所得税の徴収実績は二千八百五十五億ですか、これは調定の金額はどのくらいかおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/81
-
082・奧野誠亮
○奧野政府委員 今わからぬようでありますから、調査してお昼にでもお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/82
-
083・門司亮
○門司委員 この税金でもう一度私は聞いておきたいと思うことは、こまかいことを聞くようですが、捕捉と徴税率の関係です。これは八十何パーセントとか、九十何パーセントとか数字を書いておりますが、ほんとうにこんなふうにとれますか。これは実績がもしあったら一つ出してくれませんか。そうでないと、これを見ていると、徴収歩合が個人の場合が八五%、法人が九〇%と書いておるのですけれども、こんなに事実上とれますか。この見込みはかなり大きなものじゃないかと思うのだが、これで間違いございませんか。どのくらいの割合になっておるか、前年度の徴収歩合を一応出してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/83
-
084・奧野誠亮
○奧野政府委員 税目別の徴収実績を、地方税に関する参考資料その二の百四ページのところにあげておるのであります。市町村の分であります。二十八年度の分でございませんと決算がわかっておりせんので、それによりますと、市町村民税が全体で収入歩合が八三%ということになっております。実績によって若干違っておりますけれども、大体今見込んでおります三千五百八十億あまりの地方税収入は、総体としてはまず確保できるということを信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/84
-
085・門司亮
○門司委員 なるほどそういう数字が出ておりますが、私の聞いておりますのは、この出された二十八年度の数字というものは、これは実際額なんですか、それとも当初の調定見込みなんですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/85
-
086・奧野誠亮
○奧野政府委員 決算額であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/86
-
087・門司亮
○門司委員 決算額ということになって参りますと、決算額においてもしこれだけのほんとうの徴収歩合があるというならば、私は徴税見込額の中に、もう少しふえていいのじゃないかと考える。これはどうなんですか。実際額から割り出したからこういう数字が出てきたというのですか、ただ漫然とこれだけとれたから、今年もこういうふうに見込んでおこうというのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/87
-
088・奧野誠亮
○奧野政府委員 大体従来の徴収実績を基礎にして考えまして、その年度に徴収になりませんものは滞納繰越分として、滞納繰越分にかかる従来の成績を基礎にしたもので、見込みをはじいておるのであります。もとより将来の問題でありますので、将来の傾向を一応頭に画いて率をきめていかなければなりませんが、そういう意味で書いておりますので、固定資産税の土地にかかる徴収歩合は、本年度の所得を見込みます場合に、若干引き下げて参ります。その他の部分につきましては特に引き下げて入れておるものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/88
-
089・門司亮
○門司委員 それからもう一つ、この機会にこまかいことを聞いておきたいと思いますのは、私がこれを申しますのは、これの滞納処分が四〇%徴収されたと書いてありますが、これは失業者が非常にふえておりまして、前年度の、二十八年度の実績から今年の徴収率を観測するということについて、私は多少誤まりがありはしないかと思うので、これを聞いておるのであります。こちらに八三%の実績がある。今度の場合は八五%の徴収率を書いてある。二%ふえておる。こういうことが一体許されるかどうか。前年度の所得を追っておりますので、国税の徴収とは少し違いまして、国税においては給料をもらったときのその年度の税金だから、大した問題はないと思いますが、失業者がふえればふえるほど、税金を納めるのは困難になってくる。従って滞納者が現実の姿からいえばふえてくる形が出てくると思います。それを税の徴収歩合を八五%見込んでおるということに、先ほどから聞いておりますように、少し無理があるのじゃないか。法人が二十八年度に九〇%だから、今度もよかろうというような考え方かもしれませんが、現実の社会はもう少し辛く見ておいた方が、私は徴収成績は間違いないと思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/89
-
090・奧野誠亮
○奧野政府委員 もちろん御心配になっておりますような点はよく検討しなければならぬのでありますが、ただ徴収成績の問題になって参りますと、税率がしょっちゅう変っておりますと、なかなか税務職員もなれませんし、納税者もよくわかりませんので、成績が上らないと思うのであります。同時に税務職員の研鑚の問題でありますとか、あるいは住民の協力的な気持でありますとか、そういう問題も大きく作用して参りますので、そういうものもあわせ考えまして、現在のような徴収成績を予定しておるわけでございます。昭和二十五年度はシャウプ勧告に基きまする新税制の時代でありますが、徴収成績は七七・七%であります。ところが二十八年度になって参りますと、八三・五%、五・八%も上昇しておるのであります。景気の状況にも大きく左右されますけれども、今申し上げましたような制度の安定その他にも大きく影響を受けて参りますので、まずこの程度なら大丈夫というふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/90
-
091・門司亮
○門司委員 もう一つだけ最後に聞いておきますが、先ほどから聞いておりますと、地方税に対する勤労控除の問題ですが、これの明確な御答弁はなかったのです。私は国税について勤労控除を認めている限りにおいては、地方税においても勤労控除を認めるべきだというふうに、かねてから主張もし、そういう計算もしているわけであります。この点に対する自治庁の説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/91
-
092・奧野誠亮
○奧野政府委員 国税で認めている通りに地方税についても認める、こういうことにしているわけであります。しかしそれ以上に認めるということは適当でない、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/92
-
093・門司亮
○門司委員 しかしそれは考え方が違うのです。それは国税で源泉徴収の分についてはいわゆる勤労控除を認めておるからそのままだ、これは当りまえなんです。これは別に私は自治庁が認めているからと言いたくない。何も前年度徴収した所得税にちゃんと書いてあるからそれは当りまえなんです。私が聞いておるのは、少くとも国民が収益で生活している以上は、その収益の土台となるべき所得に対しては、これは多いか少いかは別といたしまして、一つの勤労控除を認めるということが一応考えられる。その勤労控除を認めておりまする一つの考え方は、税の徴収と税の算定をいたします場合に、勤労所得以外の事業所得には非常にいろいろな問題がついてくる。しかしこの勤労者の税金については何らの処置をとらなくても、これははっきりしておりますから、従って捕捉は完全にできるし、それから徴税も大体完全にできている、こういう形が現実の姿として出てきておる。それと同時に、必ずしも事業所得者のようにあるいは交際費がありその他いろいろな問題を差し引くことができない。従って所得全体に税金がかかっておりますので、一応勤労控除というものが認められておる。この理論でいくと、市町村民税においてもやはり同じような考え方を持ってきて、そうしてパーセンテージは別にしても、その率は別にしても、勤労者に対する一応勤労控除を認めるべきじゃないか、認めることは正しいのじゃないかというふうに考えられる。ここに書いてあります数字は大まかに書いてありますが、地方の市町村民税におきましても、勤労所得の源泉課税、源泉徴収をすることの可能なものについては私は徴税率は非常にいいと思う。それらのものはやはり社会通念の一つの考え方として、税金だから納めるのは当りまえだから、お前の方は百パーセントとられるのは当りまえだ、こちらの方は徴税率が七三%であろうと六五%であろうと、それはやむを得ないのだという理屈には私はならぬと思う。やはり国税で勤労控除を認めている限りにおいては、地方税の市町村民税においてもそういう処置をとることが、私は徴収の建前からいけば正しいのじゃないかというふうに考えられるが、この点についてもう一応聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/93
-
094・奧野誠亮
○奧野政府委員 現在市町村では給与所得者とその他の所得者との所得割の均衡が必ずしも得られていないということが大きな問題として起きております。それでは一体勤労控除をしたらいいかということになって参りますと、それもまた所得課税の大きな体系の中一で、ちょっとやはり大問題であります。現在では、現行法制のもとにおいては私たちはそれはできない、こう考えております。しかし現実の問題を何とか解決しなければなりませんので、解決する方向としては所得税における勤労控除の程度をもっと引き上げるべきじゃないか、こういう考え方をもちまして、大蔵当局ともいろいろ話し合いをしたわけであります。その結果若干勤労控除が上げられたわけでありますけれども、私どもはこれで地方の問題は解決するものではないと思っております。それでは一体将来どうするか。私たちとしてはやはり所得税の面において、勤労控除をもっと大幅に引き上げることによって、給与所得者と他の所得者との間の均衡をとってもらいたい、こう思っております。しかしそれができない場合にどうするかということになって参りました場合、果して地方税制のもとにおいて、そういう問題を織り込んでいってうまくいくかどうか、これも大問題でありまして、いずれにしましても、なお国税当局と話し合いを続けながら調整をはかっていかなければならない非常に大きな問題だ、こう思っております。現在のところまだ結論を得ておりませんが、いき方としては私は所得税の面における勤労控除の是正によって解決をしたい、こういう気持は今日もなお持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/94
-
095・門司亮
○門司委員 私は今の考え方は一つの考え方であると思います。一つの考え方だと思うのですが、現実はそういう考え方をしておったのではどうにもならない時期にきているのではないか。それからもう一つは、かりに第二方式、第三方式がとられるようになって参りますと、それらの問題が出てこないのであります。第一方式の場合のみ、こういうものが大きく浮かび上ってくる。だからそういうことから考えて参りますと、今の単に地方の勤労控除の額を中央が引き上げるから、それで地方税の問題も解決がつくというようにはわれわれもちょっと考えられない。両方から考えてくると、やはり地方税は地方税としてこれを処置する考え方の方が正しいのではないか、同時にその方が実情に合うのではないかというように考えますが、この点についてのお考えがあるなら一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/95
-
096・奧野誠亮
○奧野政府委員 第二方式、第三方式の場合にも、課税総所得金額を計算します場合には、やはり国の所得計算に乗っかっておりますから、一五%の勤労控除はやはりやるわけであります。やったものを課税標準にするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/96
-
097・大矢省三
○大矢委員長 それでは次は固定資産税の審議に移ります。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/97
-
098・北山愛郎
○北山委員 この機会に川島大臣にお伺いしたいのですが、大臣は前に、委員会でもって質問した際に、地方税についての増税はしない、こういうことを言われたように覚えておりますが、今もなおそういう気持でおられるか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/98
-
099・川島正次郎
○川島国務大臣 先ほど再建整備と税金の関係についていろいろお話があったのでありますが、再建整備は増税によってやろうという根本の方針ではないのであります。あくまでも経費の節減によって地方財政の再建をいたしたい、こう考えておるのでありますが、やむを得ざる場合には規定の範囲内においては増徴を認める、こういうふうになっておるわけであります。一般的に申し上げまして、地方税を上げる意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/99
-
100・北山愛郎
○北山委員 しかし、おそらく今のこの税法をこのまま実施をしていくということになると、実質上相当な増税になるのではないか、こういうふうに考えられるわけです。もちろん地方財政の計画上においても、昨年度の税収の計画からは五十億ばかりふえておりますが、問題は五十億だけでなくて、地方税法の中には二つの穴があるわけです。一つの穴は、先ほど来申し上げた住民税であります。これは制限税率とか何とかいうのではなくて、第二方式というものは標準税率というようなものとかけ離れたような問題でありますから、そういう第二方式をとるよものが、しかもただし書きというように、ただ基礎控除だけをして、勤労控除も扶養控除もしないというやり方をしているのが、八割以上も占めているのですから、そういう場合においては、この住民税の今の制度ではそこに一つの穴があるわけです。もう一つは固定資産税の評価なんです。税率の方は一・四%ということで値下げをしたような格好になっておりますが、これは表面だけのことであって、評価の基準は、自治庁の方で示すために毎年二割、三割と上ってくるのです。ここに表面には出てこない増税の二つの穴があるので、実質は相当な増税になるのではないかと思うのです。固定資産税についても、二十九年度と三十年度では、土地等の評価を大幅に上げたために相当な違いが出ていると思うのですが、おそらく百億くらいになるかもしれませんが、それが増税にならないか。増税をしたくないというのですが、再建整備と関連し、また再建整備というものがなくても増税になるのではないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/100
-
101・川島正次郎
○川島国務大臣 固定資産税につきましては、法律によりまして毎年一回基準の評価がえをすることになっております。土地につきましては昨年二八%の値上げをしまして、これを府県に通知をしたわけであります。これはいわば法律通りにやったのでありまして、特に増税という意味でこういう基準がえをしたのではない——私は当局者ではありませんけれども、そう考えております。御承知の通り昨年固定資産税の税率は下りました。評価基準は土地について上ったのでありまして、納税者の立場からいうと、それがために増税になったという計算は出ないのであります。固定資産税の総額において増税になっておりますのは、主として新規にできた家屋その他に対する固定資産税分を計上しましてそういう数字が出た、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/101
-
102・北山愛郎
○北山委員 どうもはっきりしませんが、評価を上げたからには増税になるのです。二八%今までの固定資産税の評価を上げたというならば、土地が新しくふえたわけではないでしょうから、やはり税負担はそれに応じてふえることになる。だから納税者からいえば増税になるのです。やはり実質上はこれは増税ではないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/102
-
103・川島正次郎
○川島国務大臣 私の申し上げているのは、固定資産の税率が三十年度から減るという修正が昨年行われたのでありまして、評価基準を上げても、昨年と今年と比べて現実の納税者の負担はふえていない、こういうことを申し上げているわけでありまして、北山さんのおっしゃる通り税率が下ったのに、一方において基準を上げればそれは増税ではないかといえばそれは一つの見方であります。ただ現実の事実としては、一方において税率は下りましたから評価基準は上っても、昨年と今年と比べて納税者の現実に出す金は差異がない、こういうことを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/103
-
104・北山愛郎
○北山委員 しかし率の方は千分の一ですか、一・五%から一・四%に下っただけです。評価の方は二八%も上っているのですから、そこには相当膨大な違いがあるはずです。率を〇・一違えただけでその評価の値上りをカバーすることはできない。だからもしも増税をしないという御方針であるならば、鳩山内閣は中央地方を通じて税負担をふやさないという方針であるならば、評価の方はかりに法律の定めに従って上ったとしても、税率の方をそれに応じて引き下げるべきではないか。それならばわかるのですが、税率は〇・一だから大した問題ではない、そして評価の方は大幅に上げているということは、やはり結果としてはこれは増税ではないか。だから私は大臣の御答弁とは食い違いがある、そのお言葉の通り守られておらない、かように考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/104
-
105・川島正次郎
○川島国務大臣 税率は昨年の国会で御審議願って下げたのであります。ただいまの税率は適当という当時の国会の意思できめたわけであります。一方評価基準の方は年々計算をしてきめるという現在の法律でありまして、それに従って昨年の十月基準を決定して各県へ通知を出したわけであります。全くこれは違った関係に立っているのでありまして、ただ差引計算をすると納税者の出す金額は大して違いはない、こういう計算になるという、その計算を申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/105
-
106・北山愛郎
○北山委員 奧野さんにお尋ねしますが、今のあれは計算上違いませんか。率は〇・二下って評価の方は土地について二八%——家屋についても相当上げておるのですが、結果においてはやはり金額としては上らない、こういうお話ですが、それでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/106
-
107・奧野誠亮
○奧野政府委員 大臣は固定資産税全体としておっしゃっているのだろうと思います。土地だけしか持っていない人につきましては税率の下りました割合より評価基準の上げ方の割合が大きいものでございますから、租税負担の絶対額はふえているだろうと思います。固定資産税全体としては前年度よりも五十億円くらいふえているわけでありますけれども、新規に家屋や償却資産の分もそれくらいございますので、総額において変らないということになっているわけであります。なお評価の引上げを政府として決定していただきましたのは、実は前内閣の時代でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/107
-
108・北山愛郎
○北山委員 とにかく税率にせよ、あるいは評価にせよ、何も不動のものではないのです。やはり今度の評価の場合でも政策的なものを加味してあったのです。だから二八%どうしても上げなければならぬという不動の理由がそこにあるわけではない。やはり見込みで上げているのでしょう。ですから、税率だって一・四でなければならぬということはどこにもないので、法律さえ改正すればそんなことはどうにでもなるのですから、増税したくないという御方針であるならば、税率を変えるか評価を変えるかすればできるわけです。少くともそういう提案はできるはずです。税率は前にきまったものだからこれはそのまま、評価の方はまた評価の方で別個にやったんだ、やむを得ないんだというようなお言葉は、まことに情ない考えだと思うのです。政策上固定資炭税についてもこの際は国民の負担をふやすべきでないという御方針であるならば、税率とか評価はどうにでもできる。ですから、鳩山内閣は地方税につきましては多少増税はやむを得ない、こういう気持で増税したのだというふうに受け取らざるを得ないのですが、どうでしょう。しかも国税の方は表面では減税々々と言っておいて、実際はそのしわ寄せが地方税の方にいく。しかも表面上は各市町村なり府県なりがその制限税率の中で適当にやればよろしいというような道をあけて、実質上は国民負担を増すのですから、私はごまかしではないかと思いますが、それによってすっきりした鳩山内閣の減税政策というか、少くとも昨年よりも負担をふやさないという政策が貫かれているかどうか、この点をはっきりしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/108
-
109・川島正次郎
○川島国務大臣 鳩山内閣といたしまして地方税をふやすということは、現実に法律的の措置をいたしておらぬのでありまして、固定資産税につきましても昨年税率が下り、同時に昨年の十月前内閣時代に評価基準を改訂して府県に通知いたしました。それによって計算をいたしているわけであります。固定資産税で約五十億昨年よりも上回る計算をいたしているのは、新しくできた家屋とか、償却資産に対する固定資産の課税などから生み出す金でありまして、決して増税という意思でもって固定資産税をいじっているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/109
-
110・北山愛郎
○北山委員 そうしますと、評価基準にしても税率にしても鳩山内閣時代にきまったものではない、これはよくわかるのです。ただしかし今鳩山内閣はこの前の方針をそのまま踏襲しておやりになるという気持であることだけは、はっきりしておると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/110
-
111・川島正次郎
○川島国務大臣 地方財政の現況にかんがみまして、国税の面でもそうでありますが、国税で減収になりましたそのしわ寄せが地方財政にこないようにという修正案も出して、御審議を願っておるわけでありまして、国税の方は大幅に減税々する処置をとりましたけれども、地方税の方はこの困窮した地方財政でありますから、大体前年度通りの税率でもって収入を確保したい、こういう考えでやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/111
-
112・北山愛郎
○北山委員 しかしやはりそういうことも増税になると思うのです。なぜかならば、国税で減税だといっておりながら、それば大体においてその他の間接税等でカバーができるようになっておるでしょう。そうするとその国税の減税に伴う地方税の減収をカバーするというのは、結局国民の負担においてやるのです。やはり間接税は取っていくのですから。そうして国税の方はカバーされていく、プラス地方税のはね返り分ということも出てくるわけですから、その点については少くとも大した措置ではない。それから固定資産税については、私一瀞疑問に思うのは、昭和二十八年度の財政計画上の収入見積りは八百二十億です。ところが実際の決算面に出てきた収入は九百一億です。ですから昭和二十八年度の決算と八十一億の違いがある。そうすると二十九年度においても、おそらく三十年度においても、この財政計画上、あるいはこの収入の見込みと実際に国民が負担しておる固定資産税とは大きな食い違いがあるのじゃないか。この評価の率が上れば上るほど、その食い違いは大きくなっていくのじゃないか。従ってこの固定資産税の見積りは、昭和二十八年度は八百二十億、昨年は九百十七億、本年は九百六十九億です。そういうふうに政府の方の見積りもぐっとふえてきております。一昨年に比べますと百四十九億ふえておる。ところが実際の国民の固定資産税の負担というものは、相当実際には違っているんじゃないか。もっと大きなものがあるのじゃないか、こういうふうに思います。しかも九百一億というのは決算ですから、実際調査額とはまた食い違いがある。だから実際に調定をして個々の納税義務者にいった切符の方を計算すれば、一千億以上の厖大な額になっているのじゃないかと思うのです。そこへ持ってきて二八%も評価を上げたような固定資産税を賦課するということになったならば、固定資産税というものは千何百億というふうな厖大なものになりはしないか。この現実をいかにつかまえておるか。この際奧野さんから伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/112
-
113・奧野誠亮
○奧野政府委員 財政計画で収入を見込みます場合には、原則として標準税率による課税で得られる収入を見込んでおるわけでございます。しかし実際問題として、固定資産税につきましては、二十八年度において一千あまりの市町村が標準税率を超過して課税をしたようでございます。その結果私たちが財政計画において予定しておりました収入よりも多くの固定資産税収入が得られております。財政計画を立てます場合には、歳出に対応する標準的な収入というような意味で考えて見積りをしてきておりますので、そういう増税を行いまする場合には、食い違いが出て参るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/113
-
114・北山愛郎
○北山委員 だから財政計画上についても、むしろ二八%の評価基準の値上げをやらなくても、九百六十九億のものは、旧来の評価によってもあるいは確保できるかもしれない、こういうふうにも考えられる。その実際の食い違いを考えてみた場合にですよ。それならば何も二八%上げない方がいいのじゃないか。二八%上げればなおさらその食い違いがひどくなって、政府側の方では九百六十九億と見ておるけれども、実際は千億以上になってくるのじゃないか。どんどん租税負担というものは大きくなってくる。だから少くとも鳩山内閣の方針とはどうも合致しないものがあるように思う。従来の方法をそのまま踏襲したのかもしれませんけれども、この際お考えを願わなければならぬ。固定資産税というものは非常に大きな国民負担です。一千億以上なんですから……。それと住民税と、この二つの穴があいておって、今度の地方財政の赤字の財源不足をこの二つの税によって補てんするということになると、これはえらいことになる。そこでどうしても結果的にはこの二つの穴を埋めておくことによって増税の結果を招くのじゃないか。これに対して鳩山内閣はどう考えるか、こういうことなんです。ところが今の川島長官の答弁であれば、再建整備の中にも、制限税率まで徴収することは認めるわけでしょう。そうするとやはり増税じゃないですか。一体標準税率以上制限税率までのところは認めるような増収計画を地方団体から出させるのですから、増税をさせるような計画を出させることになるでしょう。今度の財政再建計画にはそういう規定がある。だから再建をしよとする団体は、必ず増税をするような計画を出さなければ、赤字債を貸してくれない。そうすると結果においてはやはり鳩山内閣はこの再建整備によって、地方税においては増税を認めるというか、奨励しておるのだ、こういうふうに言わざるを得ないのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/114
-
115・川島正次郎
○川島国務大臣 再建整備というのは、根本の方針は増税によって地方財政を建て直そうというのではないのでありまして、地方の経費の縮減によって再建をしよう、やむを得ざる場合に限っては法定の範囲内においては増税もまたやむを得ない、こう書いておるのでありまして、決して増税を主にして再建整備計画を立てるのでないのでありまして、しかも再建計画を立てるにつきましては、その議会の承認を得るのでありまして、地方の実情に即した税制、税額をきめるに違いないのであります。地方議会を無視して勝手に長がやるのではないのでありまするから、その点は私は大した心配はないと考えております。再建計画を立てる地方公共団体が全部が増税する、こう即断するのは少し早いのじゃないかという気持が私はいたすのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/115
-
116・北山愛郎
○北山委員 再建促進法の審議ではございませんけれども、話がそこへ行きましたからお伺いしますが、そうすると、かりに再建促進法ができました場合に、増収計画の方は出さないで、節約計画の方だけ出せばいいというわけですか。そういうふうな御指導をなさるつもりならば、増収計画というものは出す必要がないということになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/116
-
117・川島正次郎
○川島国務大臣 公共団体の事情がみな違うのでありますから、公共団体の自主的な再建計画を立てればいいのでありまして、増税によらなければならぬということは決して自治庁として考えておりません。各自それぞれ独自の自主的な計画を立ててもらうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/117
-
118・北山愛郎
○北山委員 お言葉だからお伺いしますが、議会の方で自主的にきめる、だから無理なことはするはずがない、こういうことをおっしゃったのですが、ちゃんと自治庁の力、政府の方では考えておるのです。あまり自主的な意思決定をしないように、再建促進計画の案の議決については、その市町村長なり府県知事が案を出す、それを否決した場合には、今度は再議にかけて、もしこれを否決した場合には、これを不信任案の議決と認めるというようなことをして、解散をもって議会をおどかして、そうしてこの再建計画を議会にのせるというような規定すら入れているじゃありませんか。だから長官の言葉とは全く相反する。議会の自由な意思によってきめるのではなくて、意思を束縛するための規定を、今度の再建促進法の中に入れている。だからむしろ議会の自由な意思決定を束縛しているのじゃないか。私は長官の今のお言葉と、今度政府が提案した再建促進法の中の規定とは、全く食い違いがあると思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/118
-
119・川島正次郎
○川島国務大臣 あの条文の精神を、北山さんは私どもとは違ってはき違えて御議論になっておるのでありますけれども、何といたしましてもこうした非常事態に、各公共団体が大改革をするのでありますから、執行部と議会とは一体となってやらなければできないのであります。執行部と議会とが遊離しておりましては、せっかく再建計画を立てましても、その実施ができない場面にぶつかるのでありまして、私どもは執行部と議会の一体になった計画を期待するがために、ああいうふうな条文を設けたわけでありまして、あの条文によって執行部が議会を圧迫するなどということは毛頭考えておりません。かりに最悪の事態にぶつかって、執行部と議会との意見が相反して、執行部がよすか、あるいはその逆に議会を解散するということになれば、再建計画の是非は、当然住民の意思によって決定するのでありますから、そういう機会を持つこともまた必要ではないか、こういうふうに考えるのでありまして、あの条文は、ただ一方的に執行部が議会を圧迫するとお考えなさることは、少し立案の精神と違うのでありまして、その点は一つ御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/119
-
120・鈴木直人
○鈴木(直)委員 それに関連して。私は大臣の考え方が間違っていると思います。あの法律は確かに、だんだん執行部と議会が相いれないことになって、そして再議に付してもそれをまた否決するという場合には解散するのだ、そしてどっちが正しいかということを、県民が新しい県議会の選挙によってきめてくれるのだということは、それはその通りでしょうが、あの計画を再議に付し、否決して、そうして解散をして県民の意思を問うというところまで強い規定を作るということは、お互い議会におる考え方から見て、解散ということは非常に大したことなのでございますから、そこまで追い込んでまで、県民の意思を聞かなければならぬという考え方ではないので、やはりあの規定は自治庁長官の方針を強行するということを、だれしも考えられる規定であるというふうに私たちは解釈しておるわけです。
そこでもう一つお聞きしたいのは、再建整備計画を自治庁長官に出した場合に、条件を付したり変更したりすることができることになっておりますが、その際に先ほど北山君が話されたように、税を今までとっているよりも府県、市町村民税を上げるというところまでは条件をつけたり変更をしない、こういう方針なんですか。自治庁長官の、変更したりあるいは条件をつけたりして承認するという際における方針を、ちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/120
-
121・川島正次郎
○川島国務大臣 私どもはどこまでも執行部と議会の円満な一致した意思のもとに、再建計画を立てることを希望しておるのでありまして、先ほども万一最悪の事態に至ったならばという言葉を用いたわけでありまして、議会が解散するなどということは決して希望はいたしておらぬのであります。できるだけ議会と執行部とが円満にやることを期待してあの法律を作ったのでありますが、しかし最悪の事態になれば、それは解散し得るようなことに立ち至らぬとも限らないのでありまして、そういうことがないことは期しますけれども、法律の建前は解散することになっておるということだけを申し上げたわけであります。
それから再建計画を立てて自治庁長官の承認を得るという規定がございます。その際に自治庁から増税をしいるのか、こういうふうな御質問でありますが、それは増税は決してしいません。これはあくまでも県民の負担を重くしない程度において、再建計画を立ててもらいたいということを考えておるのでありますから、増税によって再建計画を立てるということは考えていない。ただいろいろ事業を圧縮してもなお足りない場合は、法定以内において毛頭考えておらぬのであります。全く地方公共団体の自主的な決定にそれはまかすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/121
-
122・北山愛郎
○北山委員 そこでどうしても長官はおもに節約でその財源不足をまかなうのだ、そういう方針だというのですが、方針としてはいいでしょうが、そこで一体どのくらい節約をさせるつもりか、何百億を節約させればいいのか、そういうことについてこの前何回もやったわけですが、やはり現実からみて増税をしないでやるのには、どうしても六百億の節約をやらなければならぬ。そのことをお認めになるでしょう。この前三回ばかり、ここで三日ばかりやったんですが、六百億くらいの節約をしなければならぬのであって、大臣がおっしゃるような百四十億では済まないということを私は申し上げるのですが、それは一体どのくらい節約をさせるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/122
-
123・川島正次郎
○川島国務大臣 北山さんの六百億という点についても話がせんだってから食い違っておるのですが、かりに幾百億としても、これは個々の公共団体みな事情が違うのでありますから、幾ら節約しろといっても、ここで数字を申し上げるわけには行かないのでありまして、かりに百四十億ないし六百億なりにしましても、再建計画をしない団体もあるのでありますから、そういう団体が持っている赤字を削減すれば幾らになるかという数字も計算してみなければなりませんし、全く、これは公共団体個々によって違うのでありますから、幾ら節約しろとか、どういうふうな種目を節約しろとか、あるいはどういう点でもってもう少し税を上げろというようなことを、ここで具体的に申すことは困難な問題でありまして、具体的にはちょっと議論ができないことだと思うのですが、この点は北山さんも御了解願えると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/123
-
124・北山愛郎
○北山委員 私はそういう御答弁であれば最後までお伺いいたしません。それはなぜかなれば、少くとも国では財政計画を作ったり、あるいは地方税法をきめたり、全国的に税収の見積りを立てたり、そういうことをしておるのであって、個々の団体のことだからわからないというならば何もできないはずなんです。財政計画も何もないはずなんです。少くともその大まかな大綱については国の方でやっているでしょう。政府の方でやっているわけです。だから実際どのくらいの食い違いがあるか、六百億の食い違いということは、これは私が想像したわけではなくて、政府の方の統計資料、いろいろな資料からすれば六百億の食い違いができるのですから、現実と計画との間には六百億という違いがあるのですから、それを節約せよということになるでしょう。どこの団体が幾らということも言われないでしょうが、大体において節約でいこうということになれば、六百億を節約しろということになる。そうすれば一体どのくらいの人の首を切ればいいのであるか、石炭合理化法にしたところが、六万人なら六万人という数字が出る。その首を切った人はどこに幾ら、どこに幾らというふうな一応具体的な失業対策計画などもあるようです。ところが今度の再建整備については、六百億という膨大な金額を節約させることを計画しておきながら、あとのことは何にも具体的には言えないということでは、全くおかしい結果になるのであって、私どもが今日地方税法の審議をしている場合に、この固定資産税と住民税について特に申し上げるのは、そういうような財源不足が、勢いどうしても地方税の増税を招くのだ、かりに節約の方針をいかに貫こうとしても、あまりに金額が大きいのであるから、そこで増税になるのだ、ならざるを得ないのではないかということを申し上げておる。もしもこれを節約でいくというなら、どこをどういうふうに節約して、何によって何百億ということをお示し願えなければ、私どもの心配は解消しないわけです。だから、私はきょう決着をつけるというわけではありませんが、この問題は最後まで今までのような御答弁では、私は絶対に納得をいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/124
-
125・門司亮
○門司委員 固定貸席税のこまかいことですが、ことしの固定資産税のきめ方が、御存じのように政府が指示して約三割ばかり全部上っているわけです。そこでこれを部分的に見て参りますと、固定資産税を上げる関係の法的処置としてはむろん評価員があり、評価員の認定したものをさらに告示して、そうして異議の申請の期間を設けて、それから長が決定するということで、諸般の手続はとられておる。ところが議会の意見というものがその中に一つも入っておらない。評価員の意見と、個々別々の人で異議があれば異議を申し立てるということであって、総体的の、その地方におけるその評価価格が正しいかどうかということは評価委員会に一任して、そういう手続だけを経てきめられておる。そこで税率をきめる議会の意見というものがそこに入っておらない。従って現実の問題として、議会が、きめられた税額の課税対象になる物件の評価が非常に高い、具体的にいうなら、もしかりに三割なら三割よけいに評価額を上げるということは無理だ、従ってこれを避けるためには税率を下げなければその調整はもう困難であるという事実にぶつかる。そこで地方議会はやむを得ず税率を下げようとする。下げようとすると、標準税率までは下げることができるが、標準税率以下に下げる場合に——私は標準税率だから下げてもいいと考えておるわけですが、現在標準税率でとっておる、それを標準税率であるからといって、かりに下げてくるという場合に、地方財政法の五条に抵触するかしないか、これはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/125
-
126・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方財政法第五条によりまして、一般財源をもって充てるべき事業についての起債能力はないことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/126
-
127・門司亮
○門司委員 起債の関係が従って出てくるわけですが、その場合に、標準税率だからといって、理論的にいえば下げられるわけです。下げても差しつかえないと思う。しかし、地方財政法の五条の正号には明らかに標準税率と書いてずっと規定しておるが、実情はそういう関係に置かれておる。この評価価格はこの地方では高過ぎる、これは議会の意見としては安くした方がいいのではないかということになれば、その唯一の方法としては税率を下げる以外にない。税率を下げるということになると、結局正条に抵触して起債が困難になってくるということになると、議会の意思と全く反した過重な負担を住民にかけることになる。この点についての自治庁の意見をもう一度聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/127
-
128・奧野誠亮
○奧野政府委員 評価額がどうあるかということにつきましては、やはり歳入の見積りを通じて審議していただくことになるのだろうと思います。ただ、歳入の見積りの審議がおくれました場合には、完全にその問題についての議会側の論議がないままに決定する、こういうこともあり得るわけでございます。ただ固定資産の評価は時価に基いて算定するという法律の建前になっておるわけでありまして、所得課税等を行います場合に所得を何円と見るか、これがやはり客観的にきまるはずのものではないか、そういう意味において固定資産の時価というものはある程度きまるのではないか、そういうことをきめるのはやはり理事機関の権限であって、議会側が個々の所得をどう見るかということについて、客観的な事実の判断について立ち入っていくことは適当ではないのではないか、こういうふうな考え方を持っております。ただ大きな政策としていろいろのことは議会においても大いに論議していただかなければならぬと思うのでありますけれども、現実の価格な幾らにきめるかということにつきましては、あまり立ち入った介入は適当ではないのではないか、こういうような考え方をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/128
-
129・門司亮
○門司委員 私は今の見解は非常に大きな誤りだと思う。私が聞いておりますのは、法律の建前からいえば、課税の対象となる評価を非常に高くするということは、これに標準税率をいやが応でもかけなければならぬということになれば、これは過酷な税金になってくるということです。従って地方議会はやはり住民の権利を代表した議会に間違いないから、過酷な税制をしくということは避けるべきである。避けようとする場合に、議会の唯一の権能として与えられておるのは、税率を動かすことができる、しかしその税率を動かすことによって法律に触れるからといって、起債が認可にならないということになれば、これは議会にとっても非常に大きな問題です。起債を申請しないで一切をやれるならばいいが、そういうわけには参りません。やはり地方財政法の五条の五号に掲げておる種類のものについても起債を必要とすることになってくる。そうなって参りますと、議会というものは市民の代表機関としてありながら、みすみす過酷なる税金とは考えながら、これを徴収せざるを得ない段階に追い込まれてくる。しかしそれは今度自治庁が指示した三割方評価額を上げるという指令に基いて上げられた。自治庁が指令したのだが、評価員が勝手にやったんだ。そうして告示の期間は告示した。異議の申し立ての期間は申し立てが何もなかった。だから長はこれをきめた。法律的には何ら異議のない確定的のものだから、従ってこれで徴税をしなければ起債は認可しないということになると、私はさっき申し上げたような矛盾が議会との間にできてくる、この矛盾の解決をどうするかということであります。だから今の奧野君の言い分のように、もうきまったんだから、議会の権能は全くこれに及ばない、議会というものはそういうことにくちばしを出しては困るというなら、税率は一体だれがきめるのです。いかなる場合がございましょうとも、住民に対して過酷な税金である場合には、やはり議会の権能によって、これがある程度下げ得るものなら下げることは、決して私は議会の権能が小さいところに立ち入ったこととは考えられない。ただ地方財政法の五条との関係が残るからそういう問題が出てくるだけであって、この点について政府は、そういうむちゃくちゃな考え方でなくて、議会の権能というものは何かわけのわからぬようなものでなくて、議会はやはり住民を代表して政治をやることに間違いはない。そうして税法からいえば、標準税率以下に下げることは可能である。議会が住民の代表として可能な権限を行使しようとするときに、起債という一つの問題にひっかかって、これができないということになれば、住民にとって非常に気の毒な事態ができるから聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/129
-
130・奧野誠亮
○奧野政府委員 現在の地方税法の建前で参りますと、固定資産の評価は毎年一月一日の時価で決定していく、こういうことになっておるわけでございます。そういう意味においては所得決定と同じように理事機関が客観的に適正にきめていくべきものだ、こういう建前をとっているだろうと思います。ただ地方財政法の第五条におきましては、地方債の資金の分量が十分じゃございませんので、減税できるような余裕があるといいましょうか、自分で捻出できる財源を放棄するわけでありますから、そういったものはその部分で借金したいと思っておった仕事をやってもらいたい、従って借金はできません、こういう建前をとっているわけであります。従いましてまた固定資産の評価を低くして——低くすると言うと語弊があるかもしれませんが、とにかく時価と見られるものよりは低くして、税率は標準税率にしておく。それでもなお借金をできるようにしておきたい。これはやはり地方財政法第五条の精神から考えました場合には矛盾していると思うのであります。ただしかし門司さんがおっしゃいましたように、固定資産の評価というふうなものを、所得課税の場合の所得決定と同じように考えていっていいものかどうか、これは大いに問題があろうかと思うのであります。そこで今回この固定資産の評価の建前を改めまして、一たび決定したものは三年間据え置いていくのだ。そうしますと三年ごとに評価されるものでありますから、それをどういうふうに評価をしていくのか、こういうことは大いに議会においても論議されることになりましょうし、また時価主義を全然放棄するわけでもなしに、またそこに多少いろいろの準備期間を織り込んでいけるように、ある程度そういうふうに切りかえをしたらいいのではないか。そういう趣旨で今回改正をしようとしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/130
-
131・門司亮
○門司委員 改正の問題は別なのです。たださっき言いましたように、ごくはっきり実例を言えば、東京都なら東京都、横浜なら横浜という土地で、こういう税金が三割なら三割住宅について上ってくるということになると、これの負担はだれがするかというと、やはり住民全部が負担をする。これは地主さんが負担してくれればいいけれども、ただちに地代の値上りになるにきまっている。あるいはそれ以上になるかもしれない、あるいは税金の倍になるかもしれない。だから税金を納めなければならない義務者と、それからはね返ってくるほんとうにこの負担をする者とは違うわけです。農村の土地、自分の耕している土地にかかってくるのは、ほかに転嫁することはできないから自分で払う。あるいはそれにも一つ問題が残るかと思うが、従って地方々々によって政府が指示した額で、評価員の方は政府がこれだけの指示をしてきたからぜひ上げたい、理事者もこれは指示価格だからこれだけ上げようじゃないかという話ができるかもしれない。しかしそうしてきめられた確定したものであっても、地方議会においては、これは少し過酷だ、こういう評価を上げるということはこの土地では不向きた、自治庁ではそう指示したかもしれないが、長は認めたかもしれないが、ここではちょっと因る、そういう議会の意思はこれにちっとも反映しない。反映し得る部分は、税率を下げることは可能であるが、しかし地方財政法にひっかかってくる。そこで議会としては動きがとれないから無理な税金を市民にかけなければならないという自治体が出てくると思う。これは評価と税率との関係は非常に大きな問題があると思う。自治庁はきめたものを取ってくれなければ困るということになるかもしれませんけれども、個々の自治体ではそういう問題が必ず起ってくる。起ってきた場合の処置を一体どうするかということです。自治庁がそういう考えなら自治庁だけの考え方を少し直してもらわなければならぬと思う。たとえば今度新しく出てくる地方財政の再建整備の法律にいたしましても、地方財政法第五条の適用を除外して、そうして行政整理に関することも起債でいいなんということが平気で書いてある。政府の方は自分が一つの問題を起すとき、都合のいいときには地方財政法の五条というのはいつでも変えてくる。地方の自治体は実際それが無理であっても、この地方財政法の規定があるからといって、税金をよけい取らなければならぬということになっては、地方の自治体の議会の権能というものが疑われてくる。この五条と税率の関係を今のような答弁でなくて、できないならできないでいいのであります。できるならできるでいいのであります。ただ政府はそのときにどういう考え方でこれを処置していくかということであります。私は実際の問題に触れるからこういうことを言うのであって、何も形式的に言うのであったら、法律がこうなっているからこれはできませんよと言えば済んでしまう。それでは納税をする諸君、それを転嫁されて負担しなければならない住民が気の海だということであって、せっかく何とか考えようという議会の権能も、これによって押えられるということはあまりいい結果ではないと思う。特にそれが今度は自治庁の指令に基く値上げであります。おそらく一月一日の時価で決定するといっても、自治庁が三割あるいは幾らという指示を出さなければ、地方公共団体の評価員においてもそういう評価はしなかったと思います。自治庁が指示したからこういう評価が出てきておる。だから二面の責任は自治庁にある。こういう点についてもう一度はっきりした御答弁を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/131
-
132・奧野誠亮
○奧野政府委員 自治庁から土地や家屋を評価をする場合の平均価格を各市町村に示しております。地方税法上市町村長はこの数字に従って評価をしなければならないというふうに義務が課せられておるわけであります。この平均価格を基礎といたしまして、地方交付税の交付に当りましては基準財政収入額を測定して参ります。しかしながらかりにこの示された価格まで評価をしない、もっと下回った評価をしたと仮定いたしますと、そういう場合でありましても税率は標準税率でありさえすれば、地方財政法第五条には抵触しないことになります。しかし一たび評価決定されたものを課税標準としまして、これに乗ずべき税率が標準税率よりも引き下げられました場合には第五条に抵触して参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/132
-
133・北山愛郎
○北山委員 今のお話ですが、先ほど私が申し上げたことと関連するのですが、そうすると東京都において固定資産税で自治庁が指示した、三割くらいの値上げということをやった場合に、金額としてはどれくらい固定資産税は値上がりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/133
-
134・奧野誠亮
○奧野政府委員 現在十億と予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/134
-
135・北山愛郎
○北山委員 そうすると結局固定資産税については十億の増税を命じておる。こういうことになるわけですね。これでは金縛りにかかっておるから、東京都もこれをやらないわけにはいかない。税率を下げれば起債の許可をしないというのであるから、何としても、いやでもおうでもやらなければならないから、結局東京都の固定資産税についてだけ見ても、政府は十億円の増税を強制しておる。東京都の場合、東京都議会においては今の経済情勢から見て、固定資産税の理屈のいかんは別として、とにかくこういう時節にそういうような固定資産税を十億も上げるということは適当でない。こういう見地から何とか上げまいと思っておるが、上げることを強要されておる。だからして東京都の固定資産税についてだけ見ても、十億違う、だから鳩山内閣はこれが増税を強要しておる、こういうことになると思うのですが、私は先ほどの話と関連しますのでお伺いしますけれども、そういう結果になっておると思います。これについて川島長官のお考えを聞きたいのです。そうしてもし鳩山内閣がそういうような増税をさせまいとする気持であれば、何かこれを救済する手段、お考えはないかどうか。法律か何かを改正すればよいのですから、何とか方法がないわけではないかと思いますが、増税をさせまいというなら、そういうことを当然政府として考えるべきではないかと思いますが、どうでしょうか、妙手、名案はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/135
-
136・奧野誠亮
○奧野政府委員 一応私からお答えいたします。どうもものは言いようであると思うのでありまして、評価が上った部分だけとらえられて、増税だというならまさにその通りだと思います。他面標準税率が引き下げられましたり、またその意味において償却資産に対する固定資産税でありますと、当然減価償却分が引き下げられるというようなことにもなって参りまして、総体的に考えなければならないのじゃないかというふうに考えております。またこの評価の上ったのがけしからぬと、こういう前提でお考えになっておるようでありますが、私たちは同時に納税者の負担というものは均衡を得られるように考えていかなければならない。こういうことを非常に強く感じておるのでありまして、ただ増税をしようとしておるのではなしに、均衡を得られるように努力していきたい、こういう趣旨であるものは評価を下げる、あるものは評価を上げる、こういうことを市町村にやってもらうように、先般指示して参ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/136
-
137・門司亮
○門司委員 私はそういう当局の答弁なら、もう少しはっきりしたことを聞かなければならぬと思うが、一体固定資産税という税金の性格を当局はどう考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/137
-
138・奧野誠亮
○奧野政府委員 財産税的なものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/138
-
139・門司亮
○門司委員 財産税的なものであるならば、私は財産を持っておる者が支払うべきで、他に転嫁のできない方法を講ずべきだと思う。それなら地価を三割上げ税金を三割上げて、税金を上げただけ家賃、地代が上ってはならないという規定がはっきりあなたの方から出されておりますか。統制令等はありますが、実際にはそれは実行されておりません。私はさっき言ったように、財産税的な性格を持っておることは明らかだと思う。財産税であるならば、財産を持っておる人が支払うべきである。ところがこれは市民に直ちに転嫁されてくる危険があるのです。この税金を上げていくことは、農地とか、自分の宅地を持ち自分の家に住んでおる者は、自分の収入で支払うのだからそれで済む。ところが都会の多くの土地は、ごく少数の地主諸君が持っておることはわかり切っているのです。それらの諸君は、税金が上れば必ず地代を上げてくるでしょう。私は、たとい地代や家賃の統制令がありましても、それがこの統制令の率を上げていく一つの大きな根拠になると思う。財産税であるというはっきりした性格があるならば、そういうことのできないような方法を先に講じておかぬと困る。従って東京あるいは横浜のような大都市においては、この税金が上ることによって市民の面掛が増加してくる。市民の今日の経済状態というものは、いい状態ではございません。市民の食掛を軽くしようとするならば、たとえば価格は上ってその人の財産はふえたかもしれない、しかし税率というものにおいて一応これを押えていこう、そうしてできる、だけそういう面を押えていくというのが、市議会の方々の考え方だと思う。これが財産税的な性格をはっきり持っておって、財産を持っておる人だけがお納めになって、ほかに絶対転嫁されないというのならば私は文句を言わない。むしろ地価が上ったからと言って納めるのならばけっこうですが、そうではない。農村においては、これが上ってくることによって農産物の価格が上って、自分の収入がそれだけよけいになるわけじゃない。農民の土地は、たとい価格が上って参りましても、農地法によって売買は制限を受けておる。制限を受けておるというよりも禁止されておる。こういう実態があるときに、売買すれば、地価が上っただけ国民の負担はふえてくると思う。従ってもし政府がそういうお考えであるならば、地代家賃等は絶対に上げてはならないという考え方が十分織り込まれていないと、市民を代表する市議会ではそういう議論が出てくると思う。そうしてできるだけ押えていこうという考え方が出てくる。私は地主の肩を持つのでも何でもない、全体を考えればそういうことが出てくると思う。そこで聞いておるのでありまして、もしも、当局は現行法ではどうにもならないと言われるかもしれないが、しかしこの考え方は、そういう考え方からくる議会の権能に基く税率の引き下げについて、自治庁は法律がこうなっておるから認めるわけにいかない。いわゆる起債の方の認可を手かげんしなければならないというような考えが不当なものであるかどうかということを、もう一度念を押して聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/139
-
140・奧野誠亮
○奧野政府委員 最後の問題はそのように考えております。なお地代家賃との関係の問題につきましては、先般北山さんからも御意見があったわけでありますが、財産税的なものと考えておりますし、また租税負担がどう転嫁していくかということにつきましては、そのときの経済事情その他でいろいろ違ってくるだろうと思います。もとより固定資産税について評価を上げます場台に、それがどう影響するかということは、十分考えていかなければならないと思います。地代家賃を上げるつもりで評価を上げておるわけじゃございません。しかし別途に地代家賃をどうするかということは、これまた大へんたきな問題だろうと思います。地代家賃が小作料と同じように絶対額で押えられておったのが漸次変って参りまして、固定資産の評価鞭を基礎にするようになりました。また新しいものにつきましては統制が完全に撤廃されました。どういう方向に持っていこうとされておるのか知りませんが、評価を上げた結果どういう影響を及ぼすか、その影響が著しく不当なものであるかどうか、そういうことを総合的に判断しなければならないわけでありますが、やはり結論として、まずやむを得ないのじゃないだろうか。もとより統制額の問題でありまして、上げなければならぬことはないでしょうが、実際問題としては上っていくだろうと思います。所得税の減税その他の問題もございますので、総合的に判断をして、やむを得ない、という結論を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/140
-
141・大矢省三
○大矢委員長 本日は本会議もございますからこの程度にして、明日は午前十時半より開会いたします。
本日はこれで散会いたします。
午後一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X02519550621/141
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。