1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十三日(水曜日)
午前十一時十一分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君
理事 古井 喜實君 理事 鈴木 直人君
理事 前尾繁三郎君 理事 加賀田 進君
理事 門司 亮君 川崎末五郎君
木崎 茂男君 纐纈 彌三君
渡海元三郎君 徳田與吉郎君
丹羽 兵助君 熊谷 憲一君
山崎 巖君 古田 重延君
川村 継義君 北山 愛郎君
五島 虎雄君
出席国務大臣
国 務 大 臣 川島正次郎君
出席政府委員
自治政務次官 永田 亮一君
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
委員外の出席者
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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七月十二日
委員足立篤郎君辞任につき、その補欠として大
野市郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一二九号)
地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う
関係法律の整理に関する法律案(内閣提出第一
三〇号)
市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案
(大矢省三君外四名提出、衆法第四二号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一一八号)(参議院送付)
地方財政等に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
まず去る六日、参議院より送付せられました地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題として提案理由の説明を聴取することにいたします。永田政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/1
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002・永田亮一
○永田政府委員 地方公営企業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な改正事項の概略を御説明申し上げます。
地方公共団体が処理いたします事務は、いわゆる権力行政のほか非権力行政にわたる広範な分野に及ぶものでありまして、非権力行政のうちでも住民全般に対してよりよいサービスを提供することにより直接住民の福祉の増進に寄与するところの上下水道事業、交通事業、電気事業、ガス事業等の各種の公営企業が最も重要な役割を占めていることは申すまでもないところであります。このように重要な意義を有する地方公営企業をしてますますその経済性を発揮せしめるとともに、住民の福祉の増進に一層寄与するよう経営させるため、去る昭和二十七年八月一日地方公営企業法が制定施行されたのであります。その後の運営の状況を見ますと、適用事業の数は漸次増加しつつあり、現在水道事業九十団体、軌道事業十五団体、自動車事業三十団体、地方鉄道事業三団体、電気事業十団体、ガス事業十団体、その他の事業九団体計百六十七団体の多数に上り、これらの企業の営業収益合計額は、昭和二十八年度において四百六十七億円、資産総額は、昭和二十九年三月末日において約二千百億円、これらの企業に従事いたします職員の数は、六万人をこえるという状況に達しております。
法律施行以来各地方公営企業においては、本法制定の目的であるところの企業の経済性の発揮と公共の福祉の増進に向って日夜努力を傾注し、その成果には見るべきものが少くないと考えられますが、政府におきましては、法律施行以来の経験にかんがみ、なお若干の改正を必要とする点があると考え、諸般の調査研究を加えるとともに各方面の意見をも聴収しました結果、今日成案を得まして、地方公営企業法の一部改正法律案として、今期国会の御審議をわずらわすことに相なった次第であります。
次に、本案の内容につき、その概要を御説明申し上げます。
まず改正の第一は、地方公共団体の長と管理者の間における事務の配分の合理化その他地方公営企業の能率的運営に必要な規定の整備をはかったことであります。
従来の規定のもとにあっては、管理者が業務の執行に関し担任する事務の範囲が必ずしも明確でない点が若干見受けられ、そのため事務の能率的遂行が妨げられる懸念がありましたので、今次改正案におきましては、地方公営企業の基本計画案の議会に対する提出及びその原案の作成に関する取扱い方法を明確にするとともに、地方公営企業の経営にかかる許可、認可等行政庁の処分を必要とするもののうち軽微なものについては、管理者が当該地方公共団体を代表して申請等に関する事務を処理することができるようにしたものであります。また、交通事業のごとき事業にあっては、同一業種の民間会社等との間において連絡切符を発売する等の要請が漸次高まってきており、これがためには、公金徴収事務を委託しなければならないわけでありますが、従来地方自治法第二百四十三条の規定との関係において疑問が存しましたので、この際地方公営企業の料金の徴収に限り一定の条件のもとに民間会社等に委任することができるようにいたした次第であります。
改正の第二は、減債積立金制度の創設等予算、決算及び会計制度について合理化をはかつたことであります。
地方公営企業の予算、決算及び会計制度につきましては、現行規定のもとにおきましても企業の経済性を発揮することができるよう一般の官庁財務に比し種々の特別規定が設けられているのでありますが、その合理化を一層徹底するため若干の改正を加える必要が生じたのであります。すなわち、計理の方法に関する原則を明確にし、国の財政法の規定にならい事故繰越の制度を採用し、剰余金及び欠損の処理に関する原則を明確にすることといたしました。特に剰余金の処分につきましては、従来商法の観念にならい決算上の利益はその一定割合を利益準備金として積み立てるものとされておりましたが、地方公営企業におきましては、会社と異なり株式による払込資本金というものがなく、企業債によって建設を行なっている状況にありますので、今後は利益の一定割合を減債積立金または利益積立金とし積み立てることに改め、もつて企業経営の健全化をはかることとした次第であります。
改正の第三は、地方公営企業の経営に関する助言及び報告に関する規定を整備したことであります。
地方公営企業の経営が法律に定められている経常の基本原則すなわち、経済性の発揮と住民の福祉の増進に寄与するよう政府は、従来とも必要に応じ助言を行い、もしくは報告を求めていたのでありますが、今後一層この点に留意して対処していくために本法中に地方公営企業の経営に関する助言、勧告及び報告に関する規定を設けることとした次第であります。
以上、地方公営企業法の一部を改正する法律案について、その概要を御説明いたしたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/2
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003・大矢省三
○大矢委員長 これにて提案理由の説明は終りました。なお質疑は後日に譲りまして、本日は説明を徴することにとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/3
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004・大矢省三
○大矢委員長 次に市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、提案者より趣旨の説明を聴取いたします。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/4
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005・門司亮
○門司委員 ただいま議題に供されました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
市町村職員共済組合法は、本年一月一日施行されたのでありますが、同法によりますと、共済組合はその組合員に対して長期給付を行うに当りまして、同法の施行に伴って厚生年金保険の被保険者から組合員となった者については、厚生年金保険の被保険者であった期間を組合員としての期間に合算するとともに、一定の金額を厚生保険特別会計から共済組合に交付すべきことを規定いたしております。一方、同法の規定の適用を受けない市町村は、同法の長期給付に相当する給付を別に行わなければならないのでありますが、この場合厚生年金保険の被保険者であった期間の合算については明確な規定がなく、また厚生保険特別会計からの交付金の規定もなく、その間の取扱いに均衡を失するものがあるのであります。そこで、適用除外市町村が長期給付に相当する給付を行う場合におきましても、市町村職員共済組合の場合と同様に右の合算措置を講ずべきものといたしますとともに、これに伴い厚生保険特別会計から一定の金額を適用除外市町村に交付することといたしたいのであります。
以上が本法案の提案の趣旨並びに内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議をいただきまして、すみやかに本法案の成立を見ますようお願い申し上げる次第であります。
なおこの機会につけ加えて申し上げておきたいと思いますことは、この措置をいたすに当りまして、大体これの適用を受けまする従来の厚生年金その他の関係を持っておりました適用除外の市町村職員のうち、被保険者でありましたものの数は、大体二万人と推定をされるのでございます。そうしてこれが標準報酬月額の平均を一万円にいたしますると、被保険者期間の平均が約七十カ月でありまして、被保険者の年齢の平均を三十二才と仮定いたしますると、大体社会保険からこの法案によって市町村共済組合に交付されます金額の総数は、大体四千九百万円くらいになると考えておりますので、つけ加えて御了承を得たいと思います。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/5
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006・大矢省三
○大矢委員長 これにて提案の理由の説明は終りました。本日は説明聴取にとどめておき、質疑は次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/6
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007・大矢省三
○大矢委員長 次に地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の両案を一括議題として質疑を行います。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/7
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008・北山愛郎
○北山委員 そういうふうな議事日程はいつきまったのですか。地方自治法をやるというようなことは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/8
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009・大矢省三
○大矢委員長 前から大体の予定で、きょう審議することにして、通告したのです。五島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/9
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010・五島虎雄
○五島委員 地方自治法の一部改正の審議に入ります前に、ちょっと議事進行というとおかしいのですけれども、これに関連するような問題で、非常に地方団体の一職員組合が困っておる問題が一つあるわけです。それで審議する前において、ちょっとこの問題について自治庁の見解を聞いておきたいと思いますので、お許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/10
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011・大矢省三
○大矢委員長 よろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/11
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012・五島虎雄
○五島委員 どうもありがとうございました。実は兵庫県内の一市なんですが、これが四月の市長選挙あるいは市会議員選挙を通じまして年間予算を組んだわけです。しかし交付税の見積額等に非常に誤算を生じまして、追加更正予算を諮らなければならないような状態になってきた。従って市の理事者がこの年間予算を追加更正するための市会を招集いたしまして、二割方の削減を行おうとした。そうして今この委員会で問題になっておりまする地方財政再建促進特別措置法等々に関連してかどうかわかりませんけれども、その市で——この市の名前は丘庫県の相生市です。そこで相生市財政の特別措置条例というものが提案されておる。そうしてその条例が市会を通過いたしてしまったわけです。ところがこの年間予算の追加更正の問題で更正された金額は八百十六万円になるわけなんですが、その二割に該当する費用が、すべて職員の給与の中から削減された。その他ほかの事業費等々は削減されないで、すべて給与費の中から削減されておるということです。そうして地方公務員法でもいろいろこの給与の問題については五十五条にうたわれておるわけなんです。この給与の問題については組合とよく相談をする。それからその他、地方の同地域内の給与とできるだけ見合せるようにバランスをとって給与は改訂されるだというようなこと、それからまたスト権が地方公務員にはない、そのスト権の喪失にかわって、地方公務員法という保護の法律ができたと考えるわけなんですけれども、相生市におきましては、市の決議によって条例ができてしまった。そうしてその節約の趣旨が、すべて職員の給与から二割の削減ということがぽんときめられて、組合が交渉しようとしても、市の財政を建て直すためには断じてこれを通過させなければならないと市長が言っておるそうです。聞いたことはないのですけれども……。こういうようなことが相生市ばかりでなくて、全国でもあるように聞くわけです。ちょうどきのうも自治二法案についての参考人が来ましたが、自治労の書記長の陳述の中から、秋田県の問題が出ております。自治庁のだれが言われたかわかりませんが、首切りをするならば、資金仲介の労をとろうと言われたというようなことを、秋田県知事が秋田県会の総務委員会で発表されたということが、きのう公述の中にいわれ、そうしてわが党の加賀山君がこれを念を押して、間違いないという確信を持って公述されておるわけなんです。それからまたきのうの知事代表、茨城県知事の友末さんの参考資料として出された中に、夏季手当の問題について、全県下で〇・五あるいは〇・四、あるいは秋田県のごときは〇・二五の夏季手当しか出してなくて、あとの〇・五とかあるいは〇・二五の支給は見通し困難であるという備考が付されております。こういうように地方財政が非常に逼迫をいたしておる、その中にこの二法案がいまだ審議の過程あるいは審議に入っていないような状態のとき、地方においてはこういうように再建整備の条例等々がどんどん通過していって、そしてその通過する中に地方公務員自体の給与が、ぽんと根こそぎ二割あるいは一割というように削られていくということになるならば、われわれは非常に重大な関心を持たざるを得ないわけです。今までの昭和三十年度における財政計画方針なんかの説明と、それから北山さんや門司さんたちを中心として、いろいろ五百数十億円にわたるところの赤字の問題について、それぞれ当局の説明を聞いておるわけですが、何としても地方財政は非常時局である。非常時局であるといわれるから、どんどん地方が先走って、そうして再建条例等々をどんどん地方で出していく。そのしわ寄せといったら語弊のある言葉かもしれませんけれども、しわ寄せが地方公務員の給与に直接影響してくる。そうしてスト権もないところの職員組合は非常に因っている。二割の給与の削減か、首切りになるのかあるいは賃金の低下になるのかというようなことさえも、いまだにわからないような彷徨状態におる。こういうようなことが兵庫県の相生市のみならず、全国至るところにあるやに聞き及ぶ。従って自治庁としては、一体こういうことがいいのか悪いのか、それについての見解を聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/12
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013・小林與三次
○小林(與)政府委員 ただいまお話の相生市の問題は、実はわれわれも具体的によく承知をしておらないのでありまして、お話のような何か似たような問題であろうと思いますが、地方からも出てきておるということは聞いておりますが、具体的のお話を聞いておらないのであります。それで実情をよく聞いてみまして、どういう趣旨で、その条例で何をきめたのかということもよくわかりませんし、予算の構成等の経緯もわかりませんし、そういう点は事情をよく聞いてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/13
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014・五島虎雄
○五島委員 聞いてみるということは、相生市に直接お調べになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/14
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015・小林與三次
○小林(與)政府委員 何かそれに関連いたしまして、地方の職員組合の方が出てきておられるそうでありますから、とりあえずその方から実情をよく聴取いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/15
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016・加賀田進
○加賀田委員 今相生市の問題で、いわゆる予算の補正に基いてほとんど人件費のみにそれがしわ寄せされておる、首切りが出ておるということを聞きましたが、昨日私が参考人からお聞きいたしました秋田県の問題も、ややよく似ているんじゃないかと思うのです。ここで質問いたしたいのは、昨日の質問の中では総務委員会とかなんとかいっていましたが、私の知る範囲では、秋田県の県会で四日の午後三時からの県会の再開のときに、公式の席上で小畑知事がそれを言明しているということが明らかになりました。その内容といたしますものは別として、やはり自治庁の方から相当のこれに対する示唆があるように私は聞くのです。小畑知事と谷藤議長が自治庁の方に参りまして、川島長官並びに小林行政部長といろいろ話をして、そして機構改革あるいは行政整理に基いてそういうものを断行すれば、融資とかあるいは特別起債の問題は認めるというようなことが、はっきりと公式の席上で言明され、速記録に載っているそうです。こういうことを考えてみますと、自治庁としてはこういう再建法案と関連いたしまして、現在の地方の財政の赤字を解決するために地方団体にどういう指導をしておるのか、われわれの知る範囲では、まず地方公務員の首切りを行なって人件費を削減する、それが第一条件のような印象を受けるのですが、これに対して長官並びに小林行政部長から現在の赤字団体の問題をどういうふうに解決していくのか、具体的に説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/16
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017・川島正次郎
○川島国務大臣 ただいま加賀田君の指摘の秋田県の問題は、私は秋田県知事と会ったことはございませんから、私自身がそういうことを指示したことはございません。地方財政の立て直しのやり方は、もととも赤字の原因が地方団体別によって違うのでありますから、一概にはどういう方針とは言えないのでございます。私どもは地方の自主性を尊重いたしまして、地方独特の原因がありますから、その原因を排除して赤字の解消に持っていくと思うのであります。こちらから人件費を削れとか、事業費を削れとかいうようなことは指図はいたしません。また今御審議願っておりまする地方財政再建促進措置法にいたしましても、そういう指導をいたしてないのであります。どこまでも地方の自主性に基きまして再建をしてもらいたい、こういう考え方です。これが今日自治庁のとっております方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/17
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018・北山愛郎
○北山委員 関連して、長官のただいまのお話でございますと、地方財政の問題あるいは今度の赤字処理の問題、こういう問題については再建計画をどういうふうに出すかということは地方団体の自主性にまかせる、こういう御方針であると、はっきり言明されておるわけです。そういたしますと今度御提案になっておる再建促進法、この中には再建計画を自治庁長官に提出するわけでございますが、それを自治庁長官は変更したりすることができるような規定になっておるわけです。ですからそういう法案の趣旨ではただいまの長官のお話とは相反する、自治庁長官はあくまで地方団体が人件費を削るか、物件費を削るかというようなことは、地方団体それぞれの自主性にまかせるのだというようなことを言っておりますが、それならば再建促進法の中では、やはり再建計画というものは地方団体の自主性にまかせて提出をしただけでもよろしいということになりはしないかと思うのですが、その辺どうも矛盾を感じますので、長官のお考えを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/18
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019・川島正次郎
○川島国務大臣 再建計画を立てます場合には、地方議会の承認を得てこれを自治庁に持ってきまして、自治庁長官の承認を得る、こうなっておるのであります。私どもはそれに対して非常に不合理な遂行不可能な再建計画等に、これは多少の慣行として修正をすることがあり得るかもしれませんけれども、長期にわたる再建計画が遂行し得るということでありますれば、その内容に対してかれこれ言うわけではないのであります。遂行し得ないようなあらかじめむちゃな計画を持ってくれば、それに対して是正を求める場合もあるかもしれません。こういう意味でありまして、特に私の方から指示して、お前の団体では人件費を減らせとかなんとか、そういうことまで立ち入って言う考えは毛頭ございませんし、また今度の再建促進法の精神がそうでありまして、地方の自主性を尊重することはあくまでも貫こうとしているのでありますから、北山さんの御心配のようなことは、私どもはやらぬつもりでありますし、またない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/19
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020・北山愛郎
○北山委員 地方団体がどのような財政措置をするか、そういうことについては自治庁としては白紙であるというようなお話でございます。しかし、これは自治庁が従来やってきておる実績から見ましても、あるいは法律、制度の上から見ても、どうしても合致しないように考えます。たとえば、長官のお話のようでございますと、地方公務員法の最後の方にある規定は不必要だということになる。地方団体の運営について自治庁長官は必要な技術的な助言その他をやり得るようになっておる。だから自治庁は、この公務員法の精神にのっとってそれが正しく運営されるように、その監督とか指揮権はございませんけれども、地方団体に対して少くとも必要な助言とか、そういうものはできるような建前に法律ではなっておるわけなんで、全然自治庁が白紙であるなんということは制度の上からも考えられない。また事実そういう線に従って、たとえば山形県上山市の場合におきてましても、必要な通牒を長官はお出しになったはずです。どんなようになっても、それが不可能でない計画でありさえすればのむのではなくて、やはりそこには、指揮監督という権限はないにしても、ある程度の責任といいますか、自治庁長官としての背任はあるのではないか。また実際再建促進法が出た場合には、その線に従ってああせい、こうせいというようなことを言われるに違いない、こういうふうに思われるのですが、今までやってきておられる自治庁の仕事とは、ただいまのお話はだいぶ食い違っておるように思うのですが、今までやってきておることは矛盾しないかどうか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/20
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021・川島正次郎
○川島国務大臣 自治庁長官の権限は、今のお話のように助言、勧告の範囲内でありまして、それ以上強力な監督権はないのであります。やむを得ざる場合に限って、たとえば上山市事件のような場合に限って、特に助言をするようなことがありますけれども、大体において自治庁というものは地方の自主性を尊重するというのが法律の精神でありまして、この再建整備法もやはりその考え方でできておりますから、従来の自治庁のやり方と少しも矛盾はしないのでありまして、依然として地方の自主性は尊重いたします。再建計画にいたしましても、一々こまかいことを干渉するなんという考えは毛頭持っておりません。実行不可能なような再建整備計画を持ってきた場合には、これに対して是正を求めることがあり得るかもしれませんけれども、そういうことは異例でありまして、各地方独特の、各地方の実情に応じた再建計画を作るのでありますから、これを尊重することがやはり必要だと考えております。先ほども御答弁申し上げたのですが、赤字の原因がみな違うのでありますから、その違う原因に従って、それに対応するような再建計画を立てるのでありますから、私たちもこれを尊重することが一番地方財政の立て直しにはいいやり方だ、こう考えておるのでありまして、今までのやり方はちっとも矛盾していない、また矛盾しないようにやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/21
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022・北山愛郎
○北山委員 赤字の原因はそれぞれ地方団体によって違うということをお話になったのです。それも私はどうも納得しがたい。もしも地方団体の赤字はそれぞれ違う原因であって、従って一律の方法はとれないということであれば、なぜ鳩山内閣は——ことしの三月の二十五日に鳩山総理の名前で地方財政白書を出した。その中に地方財政の赤字の原因としていろいろな原因を列挙しておる。共通の原因がそこに列挙されているが、そういうことが言えないはずです。個々の団体によって赤字原因か違うのだというような大臣の御答弁は、私はやはり財政白害にはっきり書いてあることは矛盾するように思うのですが、この点もあわせてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/22
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023・川島正次郎
○川島国務大臣 赤字の原因は多種多様であることは、北山さんよく御承知の通りであります。あの白書の中に書いてある赤字の原因は、最大公約数を表わしたものでありまして、最大公約数をあげればああいうことになるのであります。しかし個々の団体を見ればみな違うことは、北山さんもよく御存じのところでございまして、特に給与によって赤字になっておるところもありますし、事業が過重になって赤字になったところもあるし、みな違うのでありますから、私の申し上げたことは決して追わないと思います。あの白書の中には、最大公約数があれだということを示してあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/23
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024・北山愛郎
○北山委員 ですからあの白書の中の赤字原因というものは、最大公約数というか、多数の団体に共通な赤字の原因のおもなものをあそこに書いたということは、もちろんわれわれもそう思つております。それならば個々の一体について見た場合においてもあの赤字原因の解決ということは、それを一体地方団体の側で措置すべきか、国の側で措置すべきか、それぞれ赤字原因によって違うのではないかと思うのです。たとえば補助単価が安くて、それが赤字の原因になった、地方の方で継ぎ足しをして、自己負担が多くなったことが、あの白書の原因の第二番目に書いてある。それを解消するのに、地方団体がどういうふうな措置ができるでしょうか。それはやはり国の方でやらなければならぬのではないのですか。あるいは給与単価の問題にしても、給与単価の食い違いがあるということを赤字原因として認めておる。しかし果して地方の公務員の給与単価が高いか低いかという問題は、給与の実態を調査してみなければわからぬと政府は言っておる。それならば給与が高過ぎるということはいえないはずだ。その原因もやはり実態調査の結果を待って、必要な部分については、国の方で措置すべきものは措置をするということによって、赤字原因が解消されるのです。ところがそういうことをしないで、財政白書でははっきりそういうことを言っておきながら、赤字原因は個個の団体についてこれを見て、自主的に再建計画を立てさせるということは、やはり国は自分の責任を果さないで、その責任を個々の地方団体に負わせる、こういう結果にしかならないし、また先ほど来の大臣の、地方の自主性を尊重するという言葉は、言葉はいいのですが、結局地方団体の責任において赤字の問題を解決をさせるんだというような、まことに冷淡な、国の方が責任を負わないで、地方団体に責任をおっかぶせるという言葉にしか聞えない。もう一ぺ私の疑いに対してお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/24
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025・川島正次郎
○川島国務大臣 地方財政再建促進法は、従来の赤字を解消するというのが目的でありまして、今後の赤字をどうするかということは別の問題であります、従来の赤字を解消するには、二百億の長期資金を出して、これによってたな上げをしよう、こういうのでありますからして、その点において国が責任を感じておるわけでありまして、もともと地方財政の立て直しは地方だけではできません。国と地方と一体にならなければできないことは当然であります。国も三十年度、三十一年度両年度にまたがって、相当な施策をしよう、こういうことを打ち出しておるのでありまして、決して私どもは全部地方の責任においてこれを解決しろということは、主張もいたしませんし、またそれは不可能なんでありますから、必要があれば国でもこれに対して相当の措置はするのでございます。それにつきましても現在の地方財政というものが、毎回申し上げるのでありますが、全部じゃありませんが、深刻な赤字に悩んでおる地方団体というものは、世間では、あれは水ぶくれしておるんだというようなことで、非難もあるのでありますから、贅肉を落して、すっきりしたものにしてもらいたい、その上に給与の点あるいは事業の点において、必要ならばこれを補給しようじゃないか、こういう考えに立っておるわけでありまして、一切を地方の責任において、蓄積した赤字を解決しろ、地方財政の立て直しをしろ、こういうことを私は要求しているのではないのでありまして、これはもう数回申し上げておる点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/25
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026・北山愛郎
○北山委員 くどいようですが、贅肉を落してということは、いわゆる仕事のやり過ぎを是正するという意味だろうと思うのですが、それがすなわち今度の地方財政計画上単独事業費を百何十億も落し、また公共事業費を百数十億落し、そういう事業をやめるということが贅肉を落すことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/26
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027・川島正次郎
○川島国務大臣 赤字の原因がどこにあるかということをよく探求しまして、その赤字の原因を解消するような財政計画を立てることが贅肉を落す、こういう意味であります。それは単に単独事業を私は申し上げてないのであります。それこそ各地方団体によってみな原因が違うのだ、こういうことを申し上げておるのでありますから、単独事業一本だ、こういうふうに割り切って申し上げるわけにはいかないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/27
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028・北山愛郎
○北山委員 割り切ってというよりは、地方財政計画上、政府の方でそういうふうに計画を出しているのですから、それを贅肉とみなして落せという意味だろうと思うのですが、要するに節約をする分として事業費を三百億ないし四百億切っておるのですから、そういうものが仕事のやり過ぎとして単独事業なりあるいは公共事業をやめてしまえ、これがすなわち贅肉を落す、贅肉の一部であると政府はみなしておるのではないか、こうとしか思われないのです。これは個々の団体によって違うでしょう、けれども財政計画なり政府の施策あるいは政府が少くとも地方団体に賢肉を落してもらいたいというようなことを一般的に要望する限りにおいては、やはり計画上そういうふうな数字が現われておる、だからそれが行き過ぎであると大臣はお考えになっておるかどうか、私どうもその点疑問ですが、それは答弁なさらなくてもよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/28
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029・五島虎雄
○五島委員 長官は地方団体の赤字はいろいろな状態があると言われるが、それでこれをいかにして再建するかということは、各地方自治体の自主性にまかしていくという考え方は、従来から大体わかっているわけなんですけれども、この自主性にまかせるという方法が非常に問題を生ずるおそれがある。各地方団体においてあるいは理事者と議会とあるいは理事者と職員間においてあるいは市町村民、県民との問題において、非常に問題が出てくるのではなかろうか。それで言葉を最初の私の発言に返していきたいと思いますが、他の委員の方たちは参考書類もなくて私がこういうことを言うということは、非常に御迷惑に考えられるだろうと思っておそれ入るわけなんですが、実は相生市というところは三万七千人の小さい市である、そうして年間予算にしても一億八千万円程度です。その中に従来一億円程度の赤字を持っている。そうしてその中からどうしても追加更正をし、そうして節約をしなければならぬ、その節約する方針が何か、今審議をされつつあるところの再建整備特別措置法が国会を通過すれば赤字団体にならなけばならぬ。赤字団体になりたくない。従って今のうちに再建しておかなければならぬ、赤字が出ないようにしておかなければならぬということで考えられておるようにも思われる。そこで無理に無理をして人件費の削減というような挙に出た。そうするとわれわれが審議しつつあるところに先がけて地方の公務員の首が切られたりあるいは賃金が低下されたりするという現象を自治庁はどう考えるか、そういうことがいいのかどうか。これをしも地方の自主性にまかしていくというならば、自治庁はきのうも公述の中に言われた、親と子の関係であるとか、親と孫の関係であるとか、そうして相協力することによって地方団体の運営を強化し、円滑な運営をしていかなければならぬという公述も行われたわけなんですが、それが地方公務員としては非常に動揺を来たす、こう考えるわけです。そうしてまたこの二割削減の内容は、さいぜん申しましたように八百十六万円程度の問題ですが、しかし内容をつぶさに検討してみますると、県立高等学校の校舎の建設費用として今年度五百万円の寄付金、分担金をしてもらいたいということが、指令ではないですよ、電報一本で来た。ところがその二割削減しなければならない相生市は、その予算の中に五百万円計上してしまった。そうすると寄付金を五百万円するがゆえに八百十六万円の節減をする。その八百十六万円の節減が地方公務員の賃金を二割削減するというようなことをずっと考えて結論を論ずれば、いわゆるしわ寄せという言葉は変に聞えますけれども、結局はだんだんと回り回って地方公務員の首切り、あるいは賃金の二割の減退が来た。こういうことを市長が確信と自信と、そうして当然私の任期中にやらなければならぬ事柄であるというように豪語するに至っては、今審議しつつある二法案に非常に関連性かあるように思われるわけなんであります。従って小林部長がこれからお会いになって調査される場合にも、そういう面についてよく聞いておいてもらいたい。それからこれに関する書類は私だけが持っていて、そうして他の委員の方たちは参考資料も持たれないので、できるだけ早くその書類を参考として整理したいと思っております。ところで私がここで相生市の問題をなぜ取り上げるかということは、秋田県の問題もある。あるいはその他全国の地方団体では何とか整備しなければならないということでこの法案の通過前にいろいろ再建に努力してきた。そうして今までも県あるいは市町村が再建のために非常に努力してこられてその中に無理が生じつつあるのではないか。あまりに無理が生じつつあって、その中に現象として生活の問題にまで波及してくるのではないかというように思われるわけです。従ってこういう条例がいいか、あるいは地方公務員法をどう考えておるかというようなことについて、一つの財政再建計画とか、いかに地方が計画をしておるか、無理を重ねておるかというたくさんの例の中に、相生市といういなかの小さな市を取り上げたわけであります。これが現在地方団体の一つの縮図ではないかと考えるわけであります。従って小林部長が聞かれないからまだ把握されてないということはよくわかるのですが、こういうことが現実に行われているということから推測して、私はここに委員長のおはからいによってこの相生市の問題をいかなる考え方によって条例が通過し、いかなる考え方によって二割の削減がされ、相生市の職員の賃金を低下されようとするのか。そうしてその中には五百万の寄付金、分担金の問題等も入っております。これがなかりせば三百万円の削減が可能であるというような問題等も含まれておるわけです。きのうの参考人で市長の代表者でしたか町村長の代表者でしたか、寄付金、分担金の問題について警察署の問題、派出所の問題、あるいは学校建設の問題で非常に困っておるという陳述もわれわれの大きな参考になると思う。従ってそういう問題を幾つか包含されたところの相生市の問題について、われわれはここに市長等関係者を呼んで、この二法案審議の上における大きな参考とし、また自治庁がいかに考え、いかにこれを解決するかということについての参考としたいと存じますので、ほかの委員の方には御迷惑であろうと存じますけれども、委員長のおはからいをもって参考人呼び出しのおとりはからいをお願いしたいと存じます。
また加賀田さんからも希望があると思いますけれども、秋田の問題について同様におとりはからい願えたら非常に幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/29
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030・大矢省三
○大矢委員長 私からも申し上げますが、今相生市の代表者が来ておられるそうですから、一つその真相を聞いて調査していただいて、明日でも報告のできるように行政部長の御配慮をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/30
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031・門司亮
○門司委員 この際自治庁に確かめておきたいと思いますが、今問題になっておる相生市の条例の中にこういうことが書いてあります。市費をもってする補助金、負担金、寄付金等は原則としてこれを支出しないというのです。寄付金などは原則として負担しなくてもあるいはいいかもしれないが、補助金とか負担金というようなものについては、なかなかそうはいかぬのじゃないか。ことに負担金のごときは、やはりある程度の措置は当然しなければならぬものではないかというように考えられるものがあるのであります。自治法には条例は、上級官庁というわけではありませんが、市町村にあっては府県の条例に違反してはならない、あるいは国の法律に違反してはならない、違反するものは無効であると書いてある。そういう点から考えると、われわれには多少の行き過ぎがあるように考えられるのです。
それからもう一つは、財政の再建を主として人件費に求めておるというところに、私はきわめて安易な道をたどっておる傾向があるように思うのであります。かりに二割の節約をする——これは極力これを節約するという文字が使ってありまして、何割節約するということは書いてありませんが、市当局の御意向は、当初二割という文字をはっきり書きたかったのだが工合が悪かったということで、これは文字のあやであって、刑に問題にならぬと思いますが、そういう安易な道をたどろうとする傾向があるのであります。そしてこのことは直ちに市の行政の能率に非常に大きな関係を持ってくるのです。私が自治庁の長官や政府の連中の言うことであまりおもしろくないと思うことは、ややもすると人件費が多い、人間が多過ぎるということをすぐ言うことなんです。権力を持たない官庁であり企画を立てない官庁であって、すべて行政措置のための現業官庁としての性格を持ち、サービス官庁として第一線の役所である限りにおいては、人件費の節約ということは即住民に対する不親切ということにならざるを得なくなります。この点は自治庁もよほど考えてもらいたいと思う。ややもすると給料が高いとか人間が多いとかいって、本庁と同じように人間を減らしていったりしたら、地方の住民に対するサービスができぬと思う。こういう点はもう少し自治庁が考えなければならぬと思いますが、そういう小言は別にして、今の条例に対する前段に申し上げましたことを自治庁はどうお考えになっておるか。これが事実とすれば、この法律を少し掘り下げて検討しないと問題が出てきやしないかと思います。
もう一つこの際はっきり聞いておきたいと思いますことは、自治庁がいう再建整備に対しては、これらの処置をいち早くとって、自主的に解決しようとする一つのものの考え方は、私は必ずしも悪いとは申し上げませんが、しかしこの条例を見てみますと、大体期間は一年に限っております。こういう財政の立て直しを一年に限ろうとすれば、やはり人件費その他が一番大きな問題にならざるを得ないのです。こういう行き方がいいか悪いかということです。ほかのことにはちっとも手を触れておりません。寄付金を節約することと、人件費を減らすことと、旅費規程によって二等を三等にする等、人の待遇に関することだけが大体これの規定になっておるようでありますが、こういう再建整備の仕方がいいか悪いかということについて、一応聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/31
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032・後藤博
○後藤政府委員 私ごく最近のことは知りませんが、相生市というのは非常に赤字を出しております。そのいきさつは結局二十五年、二十六年の朝鮮ブームのために、あそこにある播磨ドックから非常に税収が上ったのであります。その当時実は財政規模をふくらましまして、事業も相当やったのでありますが、その後造船関係の所得が零になって参りまして、税金が入ってこなくなった。しかも職工の方々の給与も思うように払ってくれない、失職者が相当出た、こういう関係で税をまけざるを得なくなった。つまり税の減免が非常に多かったのであります。しかし財政規模の方はそう簡単に縮少できないということで、その穴をどうして埋めるかということが長い間の問題で、私ども昨年の特別交付税のときに市長からこまごまと話を聞いたのであります。その当時はそう大きな人員整理をやるというような話は実は聞いておりませんでしたが、そういう特別な市でございますので、財政規模をどうして縮小していくか、その方法としていろいろ寄付金とか人件費に手をつけたのではないかと思います。なお税の減免をどの程度やるかという問題にひっかかっておりまして、よその市とは違ったケースではないかと思います。それから寄付金の多いことも事実でありますが、寄付金はああいう赤字の団体はできるだけやめるようにということを申しております。ああいう団体で、大体一千万円内外の寄付金がございます。そういうものをまず出さないようにすべきではないか、こういうことを私たちは申しております。そのほかに負担金、補助金をやめるということは、たしかこれはその市の出します負担金、補助金というようなものではないかと思うのであります。国から出しますものの負担をやめるというわけには参らぬのじゃないか、これは別に事業をやらなければ問題がないのでありまして、事業をやるかやらぬかの問題でございますから、これは条例で書く必要もないことでありますし、もちろん書くとすれば、その当該団体が他の区域内のいろいろな団体に対する補助、負担金をやめる、こういう意味の条例ではないか、こういうように想像をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/32
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033・北山愛郎
○北山委員 ただいまのケースはいろいろな資料がなければ判定ができないでしょうが、いただいた資料だけでわれわれ判断しますと、県立の高等学校に五百万円の寄付金を予算に計上しておる。そうして一方においては八百十何万円かの人件費の節約をしようとしておる。これが適当かどうかということなんです。ただいまの財政部長のお話では、市町村の義務でもない県の負担すべき県立高等学校に五百万円など出すことをやめて、その辺で節約をすべきではないか。寄付金の方は五百万円計上しておいて、そうして人件費の方をそういう荒療治をするのは適当でないのじゃないかと思います。この点について川島長官はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/33
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034・川島正次郎
○川島国務大臣 相生市の高等学校の改築費五百万円寄付を県から通達を受けました。これは県独自の考えでやったのか、あるいは教育委員会の要求によってやったのかということは、私はよく存じませんけれども、あるいに教育委員会の関係でそういう予算が出たのではないかと思います。一般的に申し上げれば、そうした寄付金のためにしわ寄せが公務員に来るということは、決して望ましい状態ではございません。これははっきり申し上げておきます。なお相生市のことはよく調べますが、今来ておりますのは職員組合の諸君だけのようでありますから、理事者も呼ぶ必要がありますので、明日というわけには参りませんが、なるべく速急に調べてお答え申し上げます。
なお加賀田さんのお話の秋田県のことも、同時に調べてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/34
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035・加賀田進
○加賀田委員 今私の質問で、秋田県の三百四十七名の首切りを中心とした問題で、長官は小畑知事と会ったことがないというお話だったのですが、それでは小林部長がもし会って、そのような具体的な問題でお話があったというなら、いろいろ御説明を願いたいと思います。なお今北山委員から関連質問があった地方財政再建促進特別措置法案との関連性ですが、こういう赤字の状態がいろいろ地方団体によって異なるので、地方の自主性においてこれらの問題の解決の方法を立ててもらいたいという長官の説明であったのですが、それと同時に地方議会が決定された再建案は、今長官自身が実施不可能だという見解のもとに、修正を加えたり、あるいは意見を加えたりすることができるようになった。そのことは地方の自主性を侵さないというお話であったのですか、私はこの再建案を作るためには、やはり地方の議会の承認を得て、決議を経て提出さるべきものだと思うのです。地方の議会というものは、地方住民の代表として公選に基いて出て参った議員が決定されるわけですから、それは実施不可能だというような再建案というものは、ほとんど皆無といっていいほどそれはないのじやないかと思います。しかしもしそういうことが長官として実施不可能だという見解になれは、やはり今の民主的な機構とすれば、そういう案に対してさらに再議を要請するとか、もう一度その問題に対して、こういう欠陥があるから再審議を要求するという形で、問題を解決すべきであって、地方住民の代表が決定された再建案を、長官が実施不可能だといって自由にそれが変更されるというならば、地方議会の権限というものは全くなくなってしまう。それこそ中央集権という実態がその中から現われてくると思うのですが、その点に対して長官はどういうふうにお考えになっておるか、あわせて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/35
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036・川島正次郎
○川島国務大臣 これは繰り返して御答弁申し上げる通り、長期にわたる再建計画が、私ども全国的に見まして、いろいろな資料が集まっておりますから、それらを勘案してみて、実施不可能だと考えた場合に限って反省を求めるのでありまして、大体において地方の自治を尊重することは言うまでもないのであります。ことに歳出の面よりも歳入の面において、いろいろ計算などが違う点が出てくるのではないか、こう思うのであります。決して地方の自主性を害してまでその修正を求めるという考えは毛頭持っておらぬのであります。この点は重ねて特に申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/36
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037・小林與三次
○小林(與)政府委員 ただいま私の名前も出ておりましたけれども、私も実は全然会っておりません。何か人違いではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/37
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038・加賀田進
○加賀田委員 もし私の聞き違いであったとすれば、長官も小林部長も会っていないということになりますが、それでは具体的に資料を取り寄せていただきたいと思うのですが、四日の本会議において当時の自由党の渋谷委員の質問に答えて、知事がそういうことを言ったといっております。だから会議録を取り寄せていただけば、そのことが事実であるかどうかということが明確になると思います。小林部長としてその点よろしく御配慮願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/38
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039・川村継義
○川村(継)委員 この際長官のお考えを少しお聞きしておきたいと思います。今の問題と関連するわけでありますが、ただいま加賀田委員の御質問で、秋田の問題が出ておる。なお相生の問題も出てきておる。実は六月の初めだったと思いますが、秋田県で公務員の夏季手当の支給を六月はやらないということになった、これについてどういうふうに考えておるか、実際はどうなっておるかということをお聞きしたことがあります。そのときに財政部長の答弁では、それは給与に見合うだけの措置はできておるはずだから、いろいろ県自体のやりくりであるいはそういうような事態になっておるかもしれないということがあったわけです。ところが今日だんだん明らかになったのは、夏季手当の問題にいたしましても、いわゆる〇・七五のほかに、国家公務員には〇・〇五が出た。これは全部支給済みになっておる。なお企業体関係においては、それよりももっと上回った支給があったところもあるようです。しかるに地方公務員関係は、これは都道府県関係だけ見ましても、国家公務員に見合う〇・〇五が支給されたのは、大阪とか神奈川とか、愛知、東京といった三、四の府県にしかすぎない。ほかはみな〇・七五である。なおそのほかに全然〇・七五も出ていない県が数県、また秋田のごとく、〇・二五というような支給にしかなっていない県も相当ある。このような状態をいわゆる地方公務員に措置されておる。この問題を長官としては一体どう見ておられるか、どうお考えであろうか、これを一つ長官のお考えをまずお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/39
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040・川島正次郎
○川島国務大臣 先般の夏季手当の際には、資金的措置をしたことは、あの当時御説明申し上げた通りであります。しかしその資金的の措置は、〇・
○五だけを特に貸すのではなくて、大体七月におきまして給与その他において足りない場合において政府資金を貸す、その一つの原因として〇・〇五を勘定していい、こういうことを通達をいたしたわけであります。しかし県の財政状態、市町村の財政状態おのおの違うのでありますから、今のお話のように、全部が〇・七五なりあるいはその他に加算した〇・〇五を支給しておるとは私も思っておりません。資料が集まっておりませんから、正確な統計は申し上げられないのでありますけれども、財政の窮迫した地方団体においては、あるいは条例にきめてある通りの〇・七五さえ出なかったところもあるのじゃないかということを想像し得るのであります。しかし資金措置はしてあるのでありまして、その資金措置内におけるところの財政の運営は、これは地方にまかすより仕方がないのであります。地方の長と議会と相談してやってもらう以外、私ども一々個々の地方団体に対してこれを左右するところの権限もなし、またそういうこともいたさぬつもりでおります。全くこれはこれこそ地方の自主性にまかしてやってもらう。ただ政府としては方針として示してある。これは今日の自治体に対する地方自治法の命じてあるところなのであります。それ以上は何とも処置がない。そういう事態になることは望ましくないのでありますけれども、現在の状態においてはやむを得ないのだ、こういうことを申し上げる以外にないのでありまして、決して望ましい状態であるとは考えておりませんけれども、窮迫した地方団体に対しましてはあるいはそういうことができ得ることも、これは全然想像できないことではないのであります。しかしそれ以上財源的措置はできないわけでありますから、資金的措置だけをしたのでありまして、この程度以上には何ともお答えできない、こういうふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/40
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041・川村継義
○川村(継)委員 長官の御意思はわかるのですが、資金的措置をなさったということは、結局これだけ手当をしてやったから出せるのじゃないかという意味にはなりませんね。地方の団体はかりに十億なら十億の起債を認める、短期融資を認めるとおっしゃっても、もうそういうのを借りて融資を受けて、公務員に特別の国家公務員並みのそれをしてやろうという力がないんですよ。そこまで財政が窮迫しているということをおそらく御存じだと思うのです。口では資金面を考えてやったんだから、こうおっしゃっても結局できないのじゃないかということが結論だと思うのです。まあそれはそれといたしまして、私がお聞きしていることはもっとそういう意味でなくして、そのように非常に困難な、いわゆる公務員に対してわずかの手当さえも出し得ないような状態に追い込まれておる公務員の立場に立って考えるときに、長官としてやむを得ないことだ、仕方がないのだ、それはもうできないやつはできないのだ、こういった見殺し的にしておられるというようなお気持であるか、これはやはりそういう苦しいところもあろうけれども、国家公務員並みにあるいはできるだけ地方の公務員の生活状態を考えてしてやらねばならぬという、いわゆる親心と申しますか、そういったお気持に立っておられるのか、それをお聞きしている。そこに結局その長官のお考えと、これまで長官がるる説明して参られました財政再建への考えとのズレが出てくるのじゃなかろうかとおそれているのです。その点もう一つお聞かせ置き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/41
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042・川島正次郎
○川島国務大臣 私どもは赤字に悩んでおる市町村を見殺しにするなんという考えは毛頭ないのであります。それでこそ再建促進措置法を出して御審議を願っておるわけであります。毎回申し上げるのでありますけれども、地方財政がすっきりした姿になれば、その上に給与の面、事業の面において足りない点は国においてこれを見るのだ、従って三十年度だけじゃこれはできないので、三十年度、三十一年度両年度にまたがって地方財政の健全化をはかろう、こういうことを——これは私一個ではありません、せんだって大蔵大臣も来まして、そのことは言明しておるわけであります。閣議等においてもそういう線ははっきりきめておるわけでありまして、ただきょう困る金をどうするかという問題になりますと、一時前に資金措置をする以外に仕方がない、財源措置になりますればこれは別の法的措置が要るのでありますから、これはすぐにはできませんけれども、とにかく今年、明年にまたがりましては全般に向って地方財政の立て直しをやるのだ、こういうことをはっきり考え、またそういう点について現に御審議願っておる各種の法律案、予算案以外にも今後のあり方についてはいろいろ研究もし、施策も練っておるわけであります。必ず三十一年度においては地方財政を立て直すことには全力を尽してやりたい、こういう気持でありますから、私どもは決してこれをうっちゃらかしておくという気持ではないのであります。どうかその点にぜひ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/42
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043・川村継義
○川村(継)委員 長官のお気持はわかるのですが、さっきの秋田の問題にしろ相生市の問題にしろ非常に地方の財政あるいは地方自治行政そのものに混乱が起きているのです。その波乱が起きている原因は、結局政府が今度の財政計画で非常に無理な圧縮された計画を立てたというようなこと、地方交付税の税率も二二%でそのまま押えられておる等の原因で、先の財政的な見通しが立たないということも大きな原因じゃないかと思うのです。それと半面には自治法の改正あるいは再建法案というようなものによって、ずいぶん締めつけられていくようなことが、都道府県においてもあるいは市町村においてもちょうど本年度の本予算の編成期に当って、今問題になっておるような混乱が出てきているのじゃないかと思うのであります。われわれといたしましては、政府とされましてはこのような混乱を生じさせない方面において、できるだけの財政的な裏づけをしてやりながら長官の考えておられるような今後の財政の立て直しということにいっていただかなければならないと思う。長官にたびたびお話しいただいたように、ことしはこれを二百億ぐらいのあれでやるんだ、三十一年度からこういう考えを持っている、だから再建法案をすっきりしたものに直したい、よくすっきりしたという言葉をお使いになりますけれども、長官の頭の中では非常にすっきりしているようですけれども、現実的にはどうもすっきりした姿になって出てこないのではないかと思うのです。たとえば単独事業なんかの財政計画の中では非常に圧縮されてくることはいなめないと思います。これは生きた実例ですが、地方に参りますと、二十七年の台風で落ちて流れた橋がある。わずか四、五十メートルの橋なんです。町と町との間にかかっている。この一方の町の方がその橋を通っていけばわずか二、三十分で隣りの町の駅に出られる。ところがその橋が落ちて修復ができないためにぐるっと大回りしますから、一時間以上もかかって駅に行かなければならない。そういう生きた実例がある。その橋一つを町としてはかけかえたいというのでやっておりますけれども、これができないでおる。こういうことは結局住民の仕合せをもたらす問題ではないと思う。非常に仕合せを犠牲にしておることだと思います。そういう町村は、一例なのですけれども、早くそれをやりたいのです。今度のように財政計画等ができたり、あるいはそれだけの財源が出てこないと、地方としては国の力、あるいは市町村になりますといろいろ県の力等も仰ぎたいと思っておりながらそれができない。今度の財政計画案が通った、あるいは再建法案が通ったといたしましても、私は今のままではそういうような仕事はおいそれとできそうにないと思うのです。給与の面から申しましても非常に混乱ができておる。だから再建法を今度お考えになるにしても、あるいは地方自治法の一部改正をお考えになるにいたしましても、もう少し財源的な裏づけに全力をあげて、みなの方が全力をあげて地方財政の現実をよくがっちり握って取り組んでいただいて、今問題になっておるような波乱が起きないようにして再建をすべきではないか、こういうことを考えるのです。長官のその辺についてのお考えをお聞きしておきたいと思うのです。今までのお話を聞いておりまして、長官のお気持はよくわかるのです。お考えには非常に賛意を表しますけれども、実際やっておられる、再建法において考えておられるところの思想なり、あるいは自治法の一部改正等のやり方というものは、やはり地方を犠牲にする、あくまでも地方にその責任を全部おっかぶせていってやらせていこうというようなお立場に立っておられるのではないか。われわれの考えている再建の道というものと比べて、長官がお考えになっておるのは、どうも賛意を表しかねるということがありますので、今の点をお聞きするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/43
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044・川島正次郎
○川島国務大臣 先ほど五島さんからお話になりました相生市の問題を取り上げて考えましても、過去数カ年間相生市の財政運営が放漫に流れて、その結果ではないかということも想像し得る。言いかえれば、播磨造船があそこにありまして、朝鮮ブームで非常に景気がよくなって、固定資産税にしてもまた法人税にしてもその他非常に収入が多かった、その波に乗って非常に財政規模を拡張して朝鮮ブームが終っても拡張したままこの一年間継続して市政運営をやってきた、そこで行き詰まりが今日きたのだ、こういうふうに見られる部面もあるのであります。そのしわ寄せが公務員の整理ということにくることについては、相当考究の問題がありますけれども、そういう市こそまず自分でもって財政規模を縮小して健全な姿に持ってきて、それに対して国がどう援助するかということが必要でありまして、そうした財政規模が拡張したままのその地方団体が金が足りないからといって、すぐここでもって国からして交付金その他でもって援助しても、これは結局いつまでたっても財政が健全化しないのじゃないか、やはり地方にまず自粛してもらって、健全な姿に直して、その上において今お話しのような橋の足りないところはかける費用を出させるとか、あるいは公務員の給与の面で見るということが必要なのでありまして、それでこそ三十年度におきましてはやや苦しくても地方において健全なる財政の姿にしてもらいたいということを私は希望しておるわけであります。相生市のことはよく調べますけれども、おそらく相生市などもその一例でありまして、今までの放漫政策がたたってここへきたのでありますから、その放漫政策のしりぬぐいをするだけの金を政府が出すということは、これはできないのじゃないかという気持がするのであります。これはよく調べて報告するようにしますけれども、そういうことも各市にあります。ですから毎回申し上げます通り三十年度におきましては地方財政を一つ健全化してもらいたい、その上に国では適当な処置をとりたい、こういう考えでありますから、その点も御了解願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/44
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045・門司亮
○門司委員 これは今五島君が話したのですけれども、私も記憶があるのです。今ノートを繰ってみますと、昨年かその前の年の国会であったかに地方産業と各都市の状況を調査した資料がここにあります。その中に相生市がちょっと書いてあります。これはことに造船産業を中心とした問題として長崎、玉野、因島、相生の四つの市と造船産業との関連性を一応調査した資料があります。これを今見てみますると、いろいろの問題がありまするが、しかしさっきの五島君のおっしゃったことに非常に誤まりだと思うし、それから自治庁の答弁は誤まりだと思う。もう少しよく実態を調べなければならぬと思うのですが、市税は出初予算よりも約一千万円ふえております。ちゃんと予算に書いてある。そうして減っているものは千七百万円の交付税が減っているのであります。これは政府の責任ですよ。さっき交付税がどうのこうのと言ったけれども、交付税は減ってきている。税金の方はふえている。財政のつじつまが合わなくなったのはここにあるのじゃないか。それから公債費が少し減っている。この公債費はどこから借りたか知らぬが、一時借入金にしたから公債の元利償還がなくなったからという理由が書いてある。それは公債費の減ったのはどっちから借りようと借金になることに同じことだと思う。市がだらしがないというが、国の方がだらしがない。千七百万円交付税が減っていることが書いてある。そういうところは必ずしも私は地方自治体が放漫政策をやり過ぎているのじゃなかろうと思う、大体市の建て直りを見て造船界は今外国船をやっておりますから、事実上この四つの市でもわれわれが調査したときの状態ではないと思います。ところがそれを五島君が去年かおととしのものをそのままここへ持ってきて当てはめられては、私は相生市がかわいそうだと思う。この予算面に、最初の収入から交付税が減ったとはっきり書いてあります。この辺は少し、予備知識というか政府の方で考えてもらって、そうして処置をしてもらいたい。そのしわ寄せが直ちに公務員だけにくるということは、さっき申し上げましたように住民に対するサービスその他が非常に低下してきて、必ずしも行政の建前からいえばいい結果にはならない、こういうことになると思いますので、その辺は一つ調査されるようにもう少し考えてもらいたい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/45
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046・大矢省三
○大矢委員長 それでは本日の議題であります地方自治法の一部を改正する法律案に対する質疑の通告がございます。通告順によってこれを許します、亀山孝一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/46
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047・亀山孝一
○亀山委員 やっと地方自治法の改正案に入りましたので、当局に御質問を申し上げたいと思います。今度の改正法案に関します基本的の態度はどういうような態度でありますか、この点を長官にまずお伺いしたいと思います。これに関連いたしまして、今回の改正に地方制度調査会の答申を尊重しておられるというように伺っておりますが、答申以外の事項もあり、また答申とやや反するような点もあると思いますので、その点に関する長官の御意見を拝聴したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/47
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048・川島正次郎
○川島国務大臣 地方自治法の一部を改正します根本の考え方は、地方政治を合理化しようということが一つと、同時にこれによって地方財政の膨張を避けようという地方財政の面と、この両面から考えて改正案を実は御審議を願っておるわけであります。大体地方制度調査会の意見を尊重いたしまして、これに基いた改正案を作ったのでありまするが、御指摘のように食い違いの点があろうかと存じます。その点は政府委員から一応御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/48
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049・小林與三次
○小林(與)政府委員 地方制度調査会の答申と違う点が実はないわけじゃないのであります。ほとんどその趣旨にのっとっておりますが、実は答申にない事項がございます。これは、答申は、重要な問題については個別的に議論をしてありますが、その他の問題については執行機関その他の能率化をはかることを一般的に答申してあるのでありまして、その趣旨にのっとって自治法の全般につきまして、いろいろな問題を取り上げて解決をしたのでありまして、そういう面は法律の基本精神をわれわれは具体化したものと考えておるのでございます。ただ、答申と違っておるという点が実は一つありまして、信任、不信任の議案の取扱いに関する問題がそれでございます。これにつきましては、答申は原行通りということを明らかにしておられるのでありますが、その後地方における実情を見ますと、長と議会との関係はほとんど大半は円滑に合理的に動いておるのでございますけれども、ときにその間の調整がうまくつかないので、自治の運営が非常に停滞しておるという事例もありまして、そういう場合におきましてはむしろ長と議会との間の責任関係を明確にした方が、自治の運営を軌道に乗せる方法じゃないか、こういう実情に徴しましてこの改正が必要であろう、こういうことを考えたのでございます。それ以外の点はすべて答申の趣旨を具体化したものにほかならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/49
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050・亀山孝一
○亀山委員 それでは今回の改正で大体今までの地方制度調査会の答申に関する改正は、ほぼ済んだというのかどうかという問題と、それから承われば第二次の地方制度調査会を現在進行中であると聞いておるのですが、これらの答申及びその調査の進行状況をにらみ合せまして、今回の改正法がどういうような立場をとるか、その点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/50
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051・川島正次郎
○川島国務大臣 大体従来地方制度調査会からの答申に基きまして、自治法の一部を改正する法律案を作成して御提案申し上げたのでありますが、従来の答申は取り入れているわけであります。ただいままで地方制度調査会でやっていますことは道州制、府県の廃合を主として取り扱っておりますので、これは小委員会へかけて熱心に御審議を願ったのでありますが、実は今月の十七日かで地方制度調査会の任期が切れますので、その任期の切れる前に一応結論を出して総会に御報告を願いたい、かように私は希望いたしておったのでありますが、小委員会の中の意見がまとまりませんで、結局まとまらぬまま経過を総会に報告をいたしまして、これは引き続いて新たに任命されて開会されます地方制度調査会にこの問題を移そう、こういう段階になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/51
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052・亀山孝一
○亀山委員 そこで、今度の収正法案につきまする世上の最も強い非難は、地方議会に関する改正の部分は地方議会を弱体化しようとするものであると同時に、執行機脚を強化するものであるという非難が最も多いように思いますが、これに対します自治庁長官の御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/52
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053・川島正次郎
○川島国務大臣 今度の改正案は執行部に対する改正と、行政委員会に対する改正と、議会に対する改正と、三点あるのでありまして、執行部に対しましては部局の縮小を要請いたしておる改正案であります。行政委員会に対しましては、一番問題になるのは教育委員会でありますけれども、教育委員会につきましては、主管大臣である文部大臣といろいろ熟議を重ねた結果、これは単に経費節約などの面から見ずに、教育問題全般として取り上げて根本的の修正をしたいからということで意見が一致いたしまして、これは次の機会に譲ることにいたしました。次の機会において必ずこの問題に対しては何らかの措置をするということになりましたので、行政委員会につきましては別に御審議を願うはずになっております。地方公務員法の改正案につきましては公平委員会だけを廃止することになっております。議会に対しては数点、改正点があるのであります。
全体を通じまして、率直に申し上げまして今度の改正案は執行部の権限を多少強化いたしております。せんだって当委員会に参考人としてお見えになりました埼玉県熊谷市の市長などの話も大いに参考になったと私は聞いておったのでありますが、熊谷市では年度当初——二十九年度でありますが、歳入を勘案して歳出を大体二億で予算を組む、それが年四回常設的に聞かれておる定例市会なり、また常任委員会などの活動によって、これが決算的には一億五千万円ほど上まわり、約倍額近くなっている。しかもあとの増額は赤字として処理しなければならぬような事態に追い込まれておるわけでありまして、議会の活動が必ずしも全部赤字の原因とは申し上げないのでありますが、何としても歳入歳出を勘案して予算を作って、これを議会に提案して議会の承認を得て、これを執行する最終の責任者は長であります。従いまして長に対してもっと責任を持たせなければならぬ、責任を持たせるのにはある程度の権限を与えることが必要ではないか、今までは議会と長との間の権限がややともすると法律的に混同されておるのであります。現に私どものところへ陳情に参りますが、長よりもむしろ議会の方の陳情の方が多い。最近起債の陳情が来ますが、ほとんど議会人です。この間もある市の市会議長その他がおいでになりましたから、なぜ執行部が来ないのかと反問いたしました次第で、今日では執行部の仕事まで議会が立ち入っているという現状でありまして、執行部と議会の権限は違うのでありますから、この点を明確にいたしまして、まず執行部に責任を持たせることが必要ではないか。それには多少の権限を与えなければ責任の遂行ができないのでありますから、そういう意味の考えの根本の修正——流れはあります。しかし今度の改正でたとえば年四回開かれる定例会を、年一回の通常会にして、あとは議会の四分の一の要求があれば、これは必ず開会しなければならぬ、しかも会期は議会できめるというふうな修正案なり、縦割りの行政部門別の常任委員会を横の連絡のあるような委員会にしようというようなことは、これは決して地方議会の権限を縮小して、一概にこれが官僚化とか、中央集権化になるということはないのでありまして、地方議会の本来の権限を無視した改正案ではないのであります。この程度のことは決して地方議会の権限をじゅうりんするとはいえないと考えておるのであります。まして今は官選ではありませんし、市町村長にしても、知事にしても全部住民の公選の時代でありますから、多少長の権限がふえても、それが官僚化であるとか、中央集権化であるという非難は当らないのではないか、こう考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/53
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054・亀山孝一
○亀山委員 地方議会に対する弱体化ということになるとともに、もう一つは各行政委員会及び委員等に対して同様に、やはり地方団体の長の権限の強化又びこれら行政委員会及び委員等の弱体化というような非難もあるのでありますが、それにつきましてどういうようなお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/54
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055・川島正次郎
○川島国務大臣 行政委員会で一番問題になりますのは教育委員会の問題でありまして、教育委員会が持っておりまする予算に対する特殊の権利というものは、これがために地方財政が膨張する一つの原因になっておった。これは幾多の事例があって事実でありますけれども、今回の二法案の改正においてはこの問題は一応取り上げない、先ほど申し上げましたように、次の機会を待ってこれを根本的に審議しようと考えております。行政委員会に対しては事務局の職員をある程度執行部の職員と兼任することができるという点に触れているだけでありまして、行政委員会そのものを弱体化するというような改正案はないのであります。町村にある公平委員会は事実何ら活動いたしておらぬのでありますから、これはやめて、この仕事を県の人事委員会に持っていこう、こういう考え方であります。ただ問題になりましたのは給与の面でありまして、歳費的の性格の給与をよして、行政委員会に対してはこれを日当制にしよう、こういう改正案を出しているわけであります。行政委員会の性格上これが適当ではないか。こう考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/55
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056・亀山孝一
○亀山委員 ただいま地方議会なり、あるいは各行政委員会もしくは委員等に関しまする世上のいろいろの批判もありますが、全般的にこの地方自治法の改正がどうも地方自治中心というよりも、官僚行政中心の方に変りつつあるといういろいろな批判もあります。つきましては先ほども川村委員から御指摘もありましたが、いろいろ誤解もあるし、また同時に非常にうがった御意見もあったので、これらに対する、つまり地方自治法の改正に対しまする中央新聞の意見あるいはその他の関係方面からの意見等をもしも自治庁においてまとめておられるものがあれば——ただ関係の地方議会あるいは教育委員会の陳情等はわれわれの方にしょっちゅう参っておりますが、いわゆる中立の立場からするような意見を、われわれはぜひ拝見したいと思うのですが、そういう資料は自治庁にありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/56
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057・小林與三次
○小林(與)政府委員 今の地方自治法の改正案につきましての意見というのは、われわれの方でもいろいろ各方面のを注意して見ておるのでありまして、お話の通り一応各紙の意見は集めております。しかしまだ初めでありますので、雑誌その他に出ないと思いますから、そういうものはございませんが、そういう今まで手に入ったものだけなら準備しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/57
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058・亀山孝一
○亀山委員 準備しておられるならぜひそれを一つわれわれに拝見させていただきたい。委員長、時間もだいぶ過ぎましたから、私の質問はこの次まで留保させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/58
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059・大矢省三
○大矢委員長 それでは一時十分前でありますから、きょうはこの程度にいたしまして、明日続行することにいたします。
それではこれをもって散会いたします。
午後零時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X03919550713/59
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