1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十八日(木曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 池田 清志君 理事 亀山 孝一君
理事 鈴木 直人君 理事 前尾繁三郎君
理事 加賀田 進君 理事 門司 亮君
唐澤 俊樹君 川崎末五郎君
木崎 茂男君 纐纈 彌三君
渡海元三郎君 徳田與吉郎君
長谷川四郎君 青木 正君
熊谷 憲一君 灘尾 弘吉君
山崎 巖君 吉田 重延君
川村 継義君 北山 愛郎君
五島 虎雄君 伊瀬幸太郎君
西村 彰一君
出席政府委員
自治政務次官 永田 亮一君
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
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七月二十七日
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
案(伊東隆治君外二十六名提出、衆法第七二
号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員及び小委員長の選任
地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一二九号)
地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う
関係法律の整理に関する法律案(内閣提出第一
三〇号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一一八号)(参議院送付)
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
案(伊東隆治君外二十六名提出、衆法第七二
号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を行います。加賀田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/1
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002・加賀田進
○加賀田委員 二、三の点に対して御質問いたしたいと思います。この改正案の中で従来公営企業が事務的な問題を独自でやっていたが、公営企業と同種の事業を経営する会社にその業務の一部を委任することができることになっておりますが、大体考えられている範囲というものを一応御説明願いたいと思います。もしこうした同種の事業に経営の一部を委任するということになりますと、集金等そうした事務処理まで委任することができるのかどうかということに対して一応御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/2
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003・後藤博
○後藤政府委員 公営企業法の二十一条の三項のお話であると思いますが、従来自治法の二百四十三条の三項によりますと、公共団体は公共団体以外のものに料金の徴収をさせてはならないという禁止規定があります。しかし公営企業の実態を見ますと、ここで考えていますのは交通事業でありますが、連絡切符でありますとか連絡定期を発売いたすような措置をいたしますると、どうしても他の事業、私鉄でありますとか国鉄等に料金の徴収を委託せざるを得ないのであります。従ってそういうふうな場合を予想いたしましてこの改正をいたしたいと考えたのであります。同種事業を経営する会社と申しますのは、いわゆる私鉄であります。それからその他政令で定めるものと申しますのは、私どもの考えておりますのは、国鉄でありますとか交通公社を予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/3
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004・加賀田進
○加賀田委員 同種の事業を経営する会社とその他政令でということで、もし水道を経営している公共企業が集金等を銀行等に委任することができるかできないか。これはもし政令で決定されればできるということになりますけれども、法案の趣旨としては、今申し上げたような私鉄等のみに限定するという意図を持っているのかどうかということをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/4
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005・後藤博
○後藤政府委員 現在のところ私どもは政令で定めるものは、先ほど申しましたように国鉄とか交通公社だけを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/5
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006・加賀田進
○加賀田委員 法律が決定されますと、法令に基いて、大体同種とみなされた事業に対してそういう事務を委任するということができるのではないかと思います。そういうような場合に集金等をもし委任するとするならば、地方公営企業というものは、やはり住民のサービス機関として相当サービスしなければならないし、集金等におきましてそういう住民のいろいろの希望等をいれて、企業の円滑、あるいは住民のサービス機関としての機能を十分発揮しなければならぬという場合が起るわけですが、そういう公共企業以外の従業員が集金等に参りますと、そういう問題がほとんどなくなるのではないかというおそれがあるのです。政令できめるというばく然としたことでは今申し上げたような懸念があるわけですが、そういう懸念がないようにこの点何とか考慮できないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/6
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007・後藤博
○後藤政府委員 法律案のときに、無条件で政令で定めるというふうにいたさないで、「地方公営企業と同種の事業を経営する会社その他政令で定める者」こういうふうに書いたわけです。その場合には、同種の事業を経営する会社に類したもの、それからそれに近いものというふうに法律的には限定されるわけであります。従って無制限に料金の徴収をまかせるということはこの法律からはすぐ出てこない、こう解釈をいたしましてこういう法律といたしましたので、私どもとしては今のところ交通事業しか考えていない、それも特殊な場合しか考えていない。これも、再三これまで公営企業の団体からわれわれの方にどうしてもこれをやってもらいたいということをいっておりますので、私どもは必要であろうと考えたのであります。他の事業のところは現在考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/7
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008・加賀田進
○加賀田委員 そういたしますと、再確認いたしますが、この法文からいきますと、同種の事業を行なっている企業に対しての事務の、特に連絡パス等を中心にした料金の徴収というものを考えているのであって、法の解釈からいっても、他の事業、たとえば銀行等に集金を頼むことはできないと解釈していいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/8
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009・後藤博
○後藤政府委員 この規定からすぐ解釈できないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/9
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010・門司亮
○門司委員 これは自治庁に聞いてもちょっと無理だと思うんだが、自治庁でもし答弁ができるのならしておいてもらいたいと思う。全国市長会の要望の中に、公営企業と民間企業との許可、認可の関係、はっきり言うと、道路運送法並びに自動車営業法についての改正をしてもらいたいという意思表示があったと思いますが、これらについて自治庁はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/10
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011・後藤博
○後藤政府委員 市長会等の希望の内容をはっきり覚えておりませんが、前からそういう話がございます。今のところ便宜私どものところでいろいろ連絡をいたしております。それで私どもは実情がよくわかりませんので不十分でございますが、最近の動き方といたしましては、公営企業、特に交通が問題でありますので、交通企業をやっております都市が寄りまして一つの団体を作って、もっぱらそういう各都市の交通企業を代表するような機関を作って、そこを中心に関係官庁に働きかけていこう、同時にわれわれがそれをバックしていこう、こういうふうな態勢を作ることになりまして、現在そういう会が一つできましたので、それを中心にして考えていきたい。われわれは、その経営の内容でありますとか、許可、認可の具体的な問題になりますと、実際技術的な能力もございませんので、今のところでは単に取次程度のことしかしておりません。従ってそういう機関でもできますれば、それを中心にしてもっと専門的に援助していく、こういうこともできるんじゃないかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/11
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012・門司亮
○門司委員 それで大体いいと思いますが、実情は、公営企業で交通の仕事をしておるのと民間の経営とが錯綜しておって、たとえば一つの路線を市のバスも通っておる、Aの会社のバスもBの会社のバスも通っておって、これはいずれの会社も損をしておることはわかり切っておる。しかし住民の要望があり、また私企業の方では権利の確保というようなことでやらないわけにはいかない。そうして住民が便利を得ておるかというと、案外得ておらない。どの会社のどの車が来るのか、行先も違っておるとか、いろいろな問題が出てくる。これは公営企業の形の上においてどう統制していくかということが――私はこの間市長会の意見は一応もっともだと思って聞いてきたのです。従って自治庁としてはこういう問題が、許可、認可の権限が運輸省にある、あるいは建設省の関係があるからといって、私はほうっておくことはないと思う。ことに最近における都市の交通行政というものはかなり大きな役目をしておる。従って単に公営企業というだけでなくて、都市行政の形の上から言えば、やはり自治庁としてはこれを重要視して一つの政策として取り上げるべきだと考える。従って今のようなことでなくて、どうなんです。都市の交通行政としての立場から、自治庁でもう少し深い研究をする必要があるんじゃないか。私は何も公営企業が成り立つとか成り立たないということでなくして、要は住民の利害であって、そうして――これは事実を言うと非常に長くなると思うが、各都市でやっておる実情を見ると、実にこっけい千万だと思われるようなことがこれからきておる。必ずしも住民のためにならないんだが、そういう都市行政の一環としての交通行政に対する自治庁の考え方があるなら――これは大臣が来ておいでなら大臣に聞くのが一番いいんですが、どうなんです。次官で御答弁できるなら、一つ御答弁願っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/12
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013・永田亮一
○永田政府委員 この法律を制定した目的が、企業の経済性の発揮と、それから今門司さんが強調されました公共の福祉の増進ということが主たる目的でございます。それで今御指摘がありましたように、公営企業と私企業とが同じ種種の事業経営をいたしております以上、両者の間に競争関係が起きるということはあり得ることでありまして、特に交通事業などにおきましては、こういうことがたびたび起るのでありまして、私どもといたしましては、原則としてそういう場合には相互協定をやるとか、あるいは一路線一社主義ということによって免許を出す、こういうような措置によってなるべく摩擦をなくしていきたいと考えております。それで一般市民の福祉の向上をはかりたいと考えておるのであります。水道条例のような法律にありましては、公益のために公共団体が強制買収ができるというような規定を設けまして、公営企業の優越性を認めておることもあるのであります。こういう点から考えまして、なるべく公営企業の優先的な取り扱いをはかって、できるだけ競争によるところの国民の福祉の増進に障害を来たさないようにやっていきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/13
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014・門司亮
○門司委員 それからその次に聞いておきたいと思いますことは、この法律の中に、政令という文字がわずかな条文の間に非常に多く出てきておるのでありますが、これはこういうふうに全部政令といわなければまずいのですか。法律にもう少しはっきり書けないですか。この点であまり政令にゆだね過ぎておるように私は感ずるのでありますが、こういうことはどうなんですか。自治庁としては一応政令ということにしておかぬと仕事がしにくい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/14
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015・後藤博
○後藤政府委員 私どもとしては従来政令事項のものを法律に直したものも相当ございます。それから新しく入れたものの中に新しい政令という文句の入ったものもございます。できるだけ法律の中に書きたいと思っておりますが、非常に冗長な条文になったり、それから法律の中に入れるよりも政令の方がよろしいというように考えたものだけを政令にいたしておるのであります。そう多くはないように私ども思っておるのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/15
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016・門司亮
○門司委員 多くはないと言っても、三十二条には二つついておるし、四十条にもくっついておる。条文は幾らでもないのにみんなくっついておる。
それからもう一つ聞いておきたいのは、四十条にこういう一項を加えるというのだが、これはやはり総理大臣の監督権限をここまで強くしなければ――助言と勧告と書いてあるが、これは事実上監督権限でありますが、そういう必要がありますか。もしあるとするなら具体的事実を一つ示しておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/16
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017・後藤博
○後藤政府委員 四十条の二の規定は、今までわれわれの方では自治法に基く自治報告令によりまして一応財政関係の報告を集めておったのであります。ところがいろいろ先ほどからもお話がございますように、われわれ経営の面を全然知らないわけであります。従ってそういうふうな従来の自治報告令だけでは足りませんので、それをはっきり法律で報告を求めることにいたしまして、それを基礎にいたしまして、ひどいところにつきましては助言、勧告をいたしたいというふうに考えまして、この一項を入れたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/17
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018・門司亮
○門司委員 その助言、勧告の内容は、一体どの程度を予想しておるのですか。公営企業に対して今問題点であると考えられるのは、地方の議会というか、要するに定めておる監査の権限が比較的弱いということ等は、一応この経理の上で考えられるのであるが、これを総理大臣がそこまでくちばしを入れなければならないということは、われわれはちょっと考えがつかないのです。独立採算制をとっておる業態ではあるが、しかしどうしてもやっていけなければ、一般財源の厄介にならなければならないだろうし、同時にいわゆる料金値上げその他等で市民により以上の負担がここにかけられて、それでカバーされるということであって、市民生活に直接かなり大きな影響を持つことは間違いないと思う。今日の公営企業法と自治法との関係からいけば、議会の公営企業に対する監督の面というものは非常に少いのであって、そういう点の改正はある程度必要ではないかというふうな考え方もないわけではないのでありますが、われわれから考えると、中央の官庁が助言し、あるいは勧告して、さらに必要があればこういう書類を提出させる監督権限のようなものを認めなくてもいいのじゃないかと考えるのだが、自治庁はそれでもこういう必要があるという何か考え方がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/18
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019・後藤博
○後藤政府委員 経営の内容につきましては、運輸省にそれぞれ監督権限がある程度あるわけであります。しかし自治庁といたしましては、従来は一般的な助言、勧告の規定はございますけれども、はっきりと法律にうたってはいないのであります。しかしこの際報告につきましても、従来の財政関係の報告以外に経営に関する報告も必要がある場合には出していただきまして、それを基礎にいたしましてはっきり助言、勧告することができるという規定を設けた方がいいのじゃないか。これは法律が別にございますし、その助言、勧告をする場合には、公営企業法の三条のいわゆる経済性を発揮しておるかどうか、それが住民の福祉を増進するように運営されておるかどうか、そういうことを基礎にいたしまして助言、勧告をいたしたい。かように考えてこの規定を入れたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/19
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020・門司亮
○門司委員 この助言、勧告の規定は、一応今の説明のようでいいかもしれませんが、問題になるのは公営企業に対する政府の取扱いです。この前の委員会でもしばしば申し上げましたように、公営企業に対する起債の認可というものが非常に不円滑です。市町村の要求額の大体二十二、三%しかここ四、五年やっていないでしょう。大体二二%というのがこの五年ぐらいずっと続いているでしょう。そして一般起債の方には大体五六%ないし六〇%近いものが認可されておる。私は公営企業に対する自治庁の認識というものがどうなっておるのかわからぬのであります。仕事をしようとすれば、当然起債でやるべき仕事ではあるが、起債はある程度押える。ある程度よりも二二%くらいの認可率ということになると、かなり低く押えておいて監督権限だけは強くするという政府のものの考え方がわからぬのです。もし政府がほんとうに地方公共団体に親切であるならば、やはり当然起債で認可すべき性質のものであり、また起債以外になかなか財源が得られない、こういう形のものであって、都市の行政上最も必要である公営企業は、住民の福祉に直接利害関係を持つ、こういう仕事にこそ私は起債の認可が相当あってしかるべきであると思う。地方の自治体もそうむやみに認可申請はしてこないと思う。それを自治庁が五分の一ぐらいに削ってしまって二〇%から二二%に――調べてごらんなさい。そんな数字しか出はしませんから……。もしあなたの方でわからないなら、私の方に数字があるから話してもいいと思うが、そういう取扱いをしておる。そうして監督だけを強くするという自治庁の行き力はあまり感心したものではないと思う。将来公営企業に対する自治庁の起債認可のあり方はどうお考えになるつもりなのか、その点をもう一度聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/20
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021・後藤博
○後藤政府委員 おっしゃいましたことは、起債の額が非常に少いものでありますから、地方の公共団体の要望には沿わない。私ども公共企業全体の起債のワクがか非常に少い、かように考えて、毎年努力をしておりますが、ここ数年来毎年二十二億程度はふえておるのであります。しかしふえておりましても、やはりおっしゃいます通り、全体の希望から申しますと、二〇%くらいにしかならぬのであります。しかし、たとえば水道事業のような継続的にやる事業を一ぺんにやるという計算をされれば、そういうことになるかもしれませんが、一どきにできない場合もありますから、その総量からすぐ二〇%という額が割り出されるということも、ちょっと困るのであります。それはそれといたしまして、私どもとしては、いつでも起債のところで申しますように、起債の総ワクが千億というのは少くない、ただしその中で公営企業の量をどんどんふやしていって、一般財源のような使い方をしておる起債を少くしていく、これが私どもの方向ではないか、従って、一般財源に使っております起債は、できるだけ漸次税とか交付税に置きかえていく方針で進みまして、公営企業の起債をそのかわりにふやしていく、これが私どもの基本的な考えなのであります。そういう意味で、公営企業につきましては、毎年少しずつではありますがふやしていっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/21
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022・北山愛郎
○北山委員 この公営企業の起債に関連するのですが、このワクの相当な部分を占めておるのはやはり公営電気事業じゃないかと思うのですが、各府県等の県営電気事業について、政府はどのように持っていくつもりであるか。今年の配分百二十億ですか、そういうものの配分の方針としては、継続分についてだけ考えて、新しいものは押えてしまうというような方針のわけです。各府県においても、いろいろ新しい計画を持っておるだろうと思うのですが、その計画が、果して待っておればそのうちにはつくのか、あるいま今まで取りかかった分だけをやって、あと新しい分は認めないという方針であるのか、それらの点について政府の方針がどこにあるかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/22
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023・後藤博
○後藤政府委員 公営の電気事業につきましては、二つのケースがあるわけであります。一つは、総合開発に伴う発電事業と、もう一つは電気オンリーの、いわゆる電気だけをやる事業と、二つございます。私どもといたしましては、総合開発に伴うところの発電事業は、公共事業と並行いたしまして電気の起債を認めていく、そういう方針でおります。それから電気オンリーの企業につきましては、この際はできるだけ遠慮していただくように、電気だけの企業は認めないという気持を私どもは持っております。これは政府全体の方針ではなくて、私どもの起債の認可の方針としてはそういうことになるのであります。
それから新規を全然入れないかということでありますが、これは、総合開発になりますと、ある一定段階になりますと、やはりこういう公営電気とのアロケーショシの問題がありますので、入れていかざるを得ないのであります。従ってどの段階から入れていくかという問題でありまして、今年にするか来年にするか、今年から準備していくか、来年から入れるかという問題になって参りまして、当然入れなければならぬものであります。その年度をいつにするかという問題で、今年は入れるとか入れないとか、こういう問題が起ってくるのであります。しかしこれは、ある程度進めば当然にやはりつけていかたければならない、かような考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/23
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024・北山愛郎
○北山委員 ところで、国の電気事業、電気政策全般に関連する問題ではないかと思うのですが、その一環として、発電事業というものを公共団体に許すべきかどうかという問題だと思うのですが、その際に判断の基準となるのは、従来の公共団体の電気事業というものが、果して県民の有利になるような一つの公共的な役割を果しておるかどうかということです。従ってお伺いをしたいのは、府県等でやっておる発電事業、それが単に現在の電力会社に充電をするというような形になっておるのであれば、わざわざ膨大な起債をつけて、そうして県民が借金をしょって発電を県営でやるという必要がそこに認められないのじゃないか、むしろそういう起債のワクが百億なら百億あるとすれば、それを、今足りないというお話ですから、もっと規模の小さい、しかも直ちに住民の利益になるような公営事業の方に回した方がいいじゃないか、こういう考えも立つわけです。従って現在までの公共団体の電気事業というものが果してどういう形態になっているか、これを一つ概要でよろしゅうございますからお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/24
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025・後藤博
○後藤政府委員 電気事業の中で、先ほど申しました、電気オンリーのものは三分の一くらいであります。三分の二が総合開発に伴うものであります。これをやるかやらぬかという問題がございますが、しかしせっかく総合開発の事業でやる際でありますから、これはこの際電気を起したらどうかという意見もごもっともだと思っております。しかし先ほど申しましたような電気オンリーは、この段階ではおっしゃいますような意見もございますし、私どももそう思いますので、やはりしばらく休むべきじゃないか、売電の問題もございますし、実際売電単価と、実際の起債をつけた工事の単価と、そういうものを考えますと、多少の利益は現在のところはあるようであります。しかし膨大な財源としてこれを期待するということになりますと、やはり問題があるのであります。電気事業だけをやるということになりますと、利益が相当あって一般財源に寄与するということになるかどうかということもわかりかねるので、私どもは押えていきたい、こういうことであります。しかし総合開発に伴う電気事業になりますと、必ずしも採算だけの問題からはいかないものがあるのであります。従って、私どもはもちろん採算を考えて売電交渉をするように指導をいたしておりますが、必ずしもそうはいかない場合があり得る。しかし全体としてみますればやはりコストと売電単価との間に多少開きがありますので、多少ずつは利益が一般会計の方に入ってくるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/25
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026・北山愛郎
○北山委員 総合開発だからその分だけは認められるといいますけれども、かりに総合開発という名のもとに県営発電をやっても、その電気を直接使うわけにいかない。直接県が配給するわけにいかない。従って所在の電力会社に売ってしまう。そうすると、その分だけその県民が安い電気の供給を受けるというならばまだ公営でやる意味もあるけれども、電気料金の方は御承知の通り独占的にきめられるということであり、しかもその電気料金が昨今のようにどんどん上っておるというような状態のもとにおいては、かりに県という団体の採算は幾らかつくかもしれぬが、しかし公営までやる必要性はそれだけでは乏しいじゃないか。各地方でそういう現象が起っておるのではないかと思うのです。これは非常に大きな問題ですから、しかも自治庁だけの問題でなく、政府全体の電力政策の問題にも関連することでありましょう、どの部分を電力会社でやり、県で開発をやり、あるいは公営電気やるというような、大きな電力政策の問題になりますから、ここで直ちに結論的なことを要求いたしませんが、しかしこの公営起債とか、いわゆる国家資金をいかに有効に使うかという点においては、われわれといえども非常に重大な問題だと考えます。そこで一つ公営電気事業の現況について資料を出していただきたいと思うのです。現在やっておりますのはどういう形になっているか、直接配給しているものがあればどういう形、あるいは電力会社にこれを発電しているのはどこどこだ、その値段はどうだ、その利益はどうだ、それらの関係についての資料を当委員会にお出しを願いたいと思うのです。その上で公営事業の起債配分について大きな部分を占めているこの公営発電事業について、果してこれは公営でやらすべきものであるか、あるいはその金があれば百億以上というものをもっと別な有効な直接に、もっと早く効果の上るような公営事業の方に回せないかという判断がつくと思いますから、一つそのような資料をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/26
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027・後藤博
○後藤政府委員 ただいまの資料は作って提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/27
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028・大矢省三
○大矢委員長 私からちょっとお尋ねいたしますが、今度乗り継ぎ切符の料金徴収について何か政令で定めることになっておりますけれども、現在民間の案内所その他停留所で立ち売りなどをやっておりますものに対して、これは制限を加える御意思があるのかどうか、現状でさしつかえないものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/28
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029・後藤博
○後藤政府委員 あれはこれとは直接関係ないのでありまして、あれは直接売っておりますから、料金徴収を委任するという問題はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/29
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030・大矢省三
○大矢委員長 それでは今の旅館案内、温泉その他の案内に対し、それぞれ乗り継ぎ切符を売っておりますが、これは交通公社だけに限られて、そういう民間の会社では取り扱えなくなるのかどうか、そういう御意思はあるのかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/30
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031・後藤博
○後藤政府委員 都電についてはそういうことはないと思うのでありますが、おそらくそういう場合もやはり徴収事務の委任ではなくして、売ってしまっておるのじゃないかと思います。だから、料金はもうすでにそのときに入ってしまっておるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/31
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032・大矢省三
○大矢委員長 それでは、他に御質疑は、ございませんか。――なければ本案に対する質疑はこれをもって打ち切りたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/32
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033・大矢省三
○大矢委員長 御異議なければ、これをもって本案に対する質疑は終了いたしました。
これより討論に入ります。討論の通告がありますから、順次これを許します。加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/33
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034・加賀田進
○加賀田委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に対して賛成をいたしますが、今質問の中でも申し述べました点に対して、二、三の希望意見を付しておきたいと思います。
第二十一条の二項の改正につきましても、「同種の事業を経営する会社その他政令で」となっておりますが、これはやはり今政府からの答弁のように同種の事業を行う経営ということで、政令の中にも今後の運営に対しては限定をしていただきたいということと、それから第四十条の二の二項については、これは何としても中央集権のにおいがないとは言い切れないと思うのであります。従来とも報告あるいは助言、勧告等を行なってきたと思いますが、これを明確にこの中に規定いたしますと、従来われわれが絶えずこの法案の中で懸念いたしております中央の公営企業に対する支配権が非常に強まってくる懸念もなしとは言い得ないので、この点についても公営企業の自主性を十分尊重いたしまして、この本条適用に対しては十二分の留意を希望し、本案に対して賛成の意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/34
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035・大矢省三
○大矢委員長 次に門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/35
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036・門司亮
○門司委員 この法案については先ほどから御質問いたしました諸点が私どもにはまだ十分納得がいかないのでありますが、しかし法案の全部に反対すべき筋合いもないかと思いますので、われわれも賛成の意を表するのでございますが、ただこの問題については、やはりできるだけ地方住民の利害を十分忖度されて公営企業の取扱いをしていただきたいということであります。
それから政策的にはやはり先ほど申し上げましたように、公営企業に対して政府が権限だけを付与するということではなくして、やはり地方自治体の要求する公営企業については、できるだけ政府は親切な態度を持ってもらいたい。起債のワクがないからといって、これを一般財源に多く求めておるということ、これが地方の赤字財政の上に非常に大きな問題を投げかけておるということはしばしば申し上げた通りでありまして、起債で処置すべからざるものについて、政府がこれに起債を認可しておる、従って当然起債で行わるべき方面が圧縮されておるという今日の実情については、政府は十分注意をしていただきたい。そうして四十条の二にこういう事項を入れるというならば、やはりそれに見合う政府の態度というものが望ましいのであります。一応こういうことを申し上げまして、私は本案に賛成の意を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/36
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037・大矢省三
○大矢委員長 これに討論は終局いたしました。
これより地方公営企業法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/37
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038・大矢省三
○大矢委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なおこの際お諮りいたします。本案に対する委員会報告書等の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/38
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039・大矢省三
○大矢委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。
それでは午前中の会議はこの程度にして休憩し、午後一時半から再開いたします。
午前十一時五十七分休憩
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午後二時三十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/39
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040・大矢省三
○大矢委員長 休憩前に、引き続き会議を開きます。
昨二十七日付託せられました伊東隆治君外二十六名提出にかかる奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題として、提案者より提案理由の説明を聴取いたします。池田清志君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/40
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041・池田清志
○池田(清)委員 ただいま議題となりました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案は、自由党、日本社会党両派及び日本民主党の共同提案でありますが、便宜私から提案の説明をさしていただきます。
奄美群島は長きにわたりましてアメリカ政府の行政下にありましたが、幸いにいたしまして完全に復帰して参っておりますが、その際における本群島の復帰に関するわが国とアメリカ合衆国との協定に基きまして、いわゆるガリオア物資の供給に伴う債権等約五億九千万余円が去る五月二十五日両国政府間において確認され、日本国政府に無償で移転されることと相なりました。
しかしながらこの債権の取り立てについてはいろいろと問題が少くなく、また債権を回収しっぱなしにいたしますと、産業資金は枯渇し、産業の復興はおろか、現在における経済活動も停止する危険が予想されるのであります。
これらの問題に対処するため、アメリカ合衆国から譲り受けた債権を基礎として本群島の復興に必要な金融の円滑化をはかるため、特別の信用保証制度を設けることといたしたいのであります。すなわち、国はアメリカ合衆国から譲渡を受けた債権を出資して奄美群島復興信用保証協会を設置し、本群島において復興事業に従事する中小規模の事業者等が金融機関から融資を受ける際に、その債務を保証することといたしたいのであります。しこうしてこの信用保証協会の役員の選任、業務の運営、債権の回収等に関する監督は国において適切に行うものとし、もって本群島の復興事業に伴う金融の円滑化をはかり、復興事業の遂行に遺憾のない措置を講じたいのであります。
以上この法律案の提案の理由及びその内容の概略について御説明いたしたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを御願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/41
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042・大矢省三
○大矢委員長 これにて提案理由の説明は終りました。
次に質疑を行います。質疑はございませんか。質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて打ち切りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/42
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043・大矢省三
○大矢委員長 御異議なければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
次に討論に移ります。別に討論の通告もございませんので、討論はこれを省略して、直ちに採決いたします。奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/43
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044・大矢省三
○大矢委員長 起立総員。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決しました。(拍手)
この際委員長からお諮りいたします。本案について付帯決議を付したいと思いますが、まず案文を朗読いたします。
付帯決議案
政府は、奄美群島の経済の現状に鑑み、本法の施行について遺憾なきを期せられたいが、特に本法案中、アメリカ合衆国から譲渡を受けた債権で本法案による奄美群島復興信用保証協会が成立するまでの間に回収されたものについては、同協会に対する出資から除去するものとされているが、本債権の特殊性と奄美群島における金融状勢に鑑みこれを、速かに、奄美群島復興信用保証協会に出資するよう措置するとともに同島の復興を促進するため更に適切な金融措置を講ぜられたい。
右決議する。
以上の文案でございます。これに対して採決を行います。本動議に賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/44
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045・大矢省三
○大矢委員長 起立総員。よって付帯決議の動議は右のごとく決することにいたします。
なお本案に対する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/45
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046・大矢省三
○大矢委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/46
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047・永田亮一
○永田政府委員 ただいまの付帯決議の御趣旨はよく了承いたしましたので、でき得る限り御期待に沿うように努力をいたしたいと思います。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/47
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048・大矢省三
○大矢委員長 この際小委員会設置に関してお諮りいたします。本委員会に付託されました請願書審査のため、請願審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/48
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049・大矢省三
○大矢委員長 御異議なければ、請願審査小委員会を設置することに決しました。なお小委員会の人数、小委員及び小委員長の人選につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/49
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050・大矢省三
○大矢委員長 異議なければ、さよう取り計らいます。それではその数は十一名とし、小委員会には川崎末五郎君、小委員には
纐纈 彌三君 徳田興吉郎君
横井 太郎君 青木 正君
熊谷 憲一君 吉田 重延君
五島 虎雄君 川村 継義君
伊瀬幸太郎君 西村 彰一君
川崎末五郎君
以上十一名を指名いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/50
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051・大矢省三
○大矢委員長 加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/51
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052・加賀田進
○加賀田委員 ちょっと自治庁に御質問いたしたい点がある。これは先般委員会を通過いたしました再建に関する特別措置法案との関連性がございますが、同法案の審議の過程には、われわれは首切りの問題で、この法案は首切り促進法案となるのではないかということで、いろいろ懸念をして質問いたしましたが、その法案と関係して、すでに富山県下にこういう問題が具体的に起っておりますので、自治庁から私の質問に対して答弁を願いたいと思うのですが、実は二十一日に富山の県知事が新聞記者会談を行いまして、そこで約二百名程度の人員整理をする、そのことはすでに自治庁とも大体話し合って了解済みだ、しかもその法案が通りますと大体六千万円の首切りの起債が認められるので、そういう形で、従来の慣例あるいは従来の状態から見ると、六千万円ぐらいの退職金が割当てられるのじゃないか、こういうようなことで二百名の首切りを発表いたしまして、今富山県下ではいろいろ問題を起しておりますが、こういう問題で、議会の中におきましても知事は自治庁とこういう問題に対してはすでに話し合いを進めておる、法案通過とともにこれを実施をいたしたいし、八月には退職金に対する特例条例も提出する予定だ、こういうことで発表いたしております。どうも自治庁としては法案の通過前に、今度法案が通過いたしましたら、各地方団体に首切りを促進させるような示唆あるいは指導を行なっているのではないかということは、従来も私どもいろいろ疑義を持っておりましたが、すでに今参議院で審議中の法案で、こういう疑義が具体的に起っておりますので、富山の知事に対して、自治庁としてそうした百切りの問題を、再建の目的の中でいろいろ相談を受けたか、あるいは相談の結果そういう示唆を与えたか、指導を与えたかどうかということに対して御説明をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/52
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053・永田亮一
○永田政府委員 再建法案は決して首切りを目途として提出いたしたものではございません。ただいま御指摘にありました富山県の問題は私まだよく存じておりませんので、さっそく取り調べまして御報告をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/53
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054・加賀田進
○加賀田委員 大臣がいないので残念ですが、小林行政部長からでも、そういう自治庁として相談を受けたかあるいは、どういうようにして指導されたかということに対して、知っている点がありましたら御報告願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/54
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055・小林與三次
○小林(與)政府委員 今お尋ねの富山の問題、実は私も全然存じておりませんから、至急部内へ帰って調査してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/55
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056・加賀田進
○加賀田委員 そうしますとこういう事実があったかなかったかということも知らないというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/56
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057・小林與三次
○小林(與)政府委員 私は全然知っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/57
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058・加賀田進
○加賀田委員 これは新聞発表もされておりますし、富山県下においても知事が言明している点で、事実私はそういう点があったんではないかと思います。従って調査の結果そういう事実があったとしたならば、本委員会において、どういうように指導されたかということを、もしそういう事実がないとするならば、富山の知事はそういう事実がないにもかかわらず、そういうことを法的に発表したということは、知事としても責任があるんじゃないか、そういう点を明確にしていただきたいと希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/58
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059・五島虎雄
○五島委員 今のように今までこの委員会でこれに類似した問題が所々方々で行われたわけですが、そのとき自治庁の政府委員の方もあるいは自治長官も全然知らなかったことを、まことしやかに各地方団体の長等が説明をされるというようなことは、トラの威を借るキツネも同然だというように思う。だから今後そういうことがある場合には、自治庁はどういう態度をもって臨まれるかということをこの際聞いておきたいと思います。連絡もない、示唆もないというようない場合に、自治庁がこう言ったといって自治体でいろいろの問題が紛議を生ずる、こういうことは自治庁としても非常に困ることだろうと思います。こういうようなことについては自治庁はどう考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/59
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060・永田亮一
○永田政府委員 今五島先生のご質問でございますが、現在の自治庁はトラの威を借るどころかネコほども威力はないのでありまして、まことにそれほどの力はないと思っておりますが、ただそういう問題が起った場合には、個々の事態について、よく調査をしてみないと、総体的に言えないことが多いかと思いますので、一つ一つの事態についてよく慎重に調査をいたして御報告をするなり善処をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/60
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061・大矢省三
○大矢委員長 北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/61
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062・北山愛郎
○北山委員 この前行政部長にいろいろ資料などをお願いしておきましたが、できましたならばお出しを願いたいと思いますがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/62
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063・小林與三次
○小林(與)政府委員 資料はおそらく今日中にできるものがあるはずでございますから、できたものからすぐお届けします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/63
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064・北山愛郎
○北山委員 資料が出て来てからいろいろお聞きすることがあると思います。もっぱら町村合併の問題でありますが、この前もこれは問題になったことでありますが、特別市制の問題です。私はこの特別市制の問題について歴史的な経過を知りませんので、どういうわけで現在法律の中にはっきりと書いてある特別市制というものが実施をされないのであるか。いろいろ聞いてみると、これはその関係の特定の市を特別市に指定する場合には、やはり住民が必要であるとか、いろいろなことを言っておるわけなのであります。そこでなぜ特別市制が実施されないかという根本の困難になっておる原因について行政部長からお説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/64
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065・小林與三次
○小林(與)政府委員 特別市制の規定は、今お話しの通り自治法の中にあるのでございますが、この特別市の実施につきましては、そういう実質上と申しますか、住民投票等の条件の問題もあります。それで問題が困難だという事情もありますが、もっと根本的に、現在の府県制度のもとにおいて特別市を作るということ自体の当否の問題も、実は根本的にあるんじゃないかと思うのであります。と申しますのは、御承知の通り特別市は、府県と全然同じ地位の市ができることでありまして、いわば府県を分轄して府県を二つ作るという結果になることにほかならないのでありまして、それは現在の行政の実態から考えて、根本的に適当かどうか、こういう根本問題もありまして、その点につきましては、今の線のままでこれを分轄するにひとしいということにするということには非常な問題がある。それに関連するいろいろな問題を総合的に解決しなければ妥当な問題の解決にならないのでありまして、そういう意味の根本問題もあろうと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/65
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066・大矢省三
○大矢委員長 それはまだ議題になっておりませんので、地方自治法の一部を改正する法律案及び同整理法案を一括議題として、前日に引き続き質疑を行います。質疑の通告がありますから許します。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/66
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067・北山愛郎
○北山委員 もちろん地方自治には関係がある問題でございます。第一点の住民投票が必要だということは、法律しの解釈としては、必ずそうならなきゃならぬという解釈に決定してあるのかどうか。これはその当時おそらく法律的な論争はしたと思うのですが、果して憲法第九十五条ですか、そういう場合に当てはまるかどうか、やはり法律解釈の上からも、果して特別市制の法律でやるという場合に、それは必ず住民投票が必要であるという解釈が直ちに出て来ないようにも思えるのですが、どういうわけでそういう解釈になっておるか、一つここで法律的な根拠といいますか、その点を説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/67
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068・小林與三次
○小林(與)政府委員 われわれといたしましては、法律上当然にそうなると思うのでありまして、自治法の二百六十条に「特別市は、人口五十万以上の市につき、法律でこれを指定する。」こういう規定がございます。それでございますから、特別市の指定は、個々の市について、何々市を特別市に指定する、こういう法律が要るわけであります。そういたしますと、その法律はまさしく憲法にいうところの一の地方公共団体のみに適用される特別法になることはきわめて明瞭じゃないかと思うのであります。そういう意味で憲法上住民投票が当然に必要である。こういう解釈にならざるを得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/68
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069・渡海元三郎
○渡海委員 関連して。この問題につきましては一昨日亀山委員、昨日、五島委員、ただいま北山委員から質問がありました。ただいま小林行政政部長からも言われましたように、この問題は法律には作られても実際適用されたことがない、府県の現在の情勢においてこれを実施することが制度上いかがなものであるかということにも問題があることはその通りでありますが、現段階においては、結局提案されました地方自治法の一部改正法案にありますように、一部の事務を移譲することによって解決することが最も大切なものだとして出されたものである、亀山委員に対しての答えは一応これで終止符を打つというようなことを言われたように考えておりますが、そういった解釈でありますならば、あの条文をいじられれば大問題となっていつも紛争の種になりますので、地方自治法の第三編第一章の特別市というものを一応消してしまって、そうしてあの解決案としての事務移譲というものを出されるのが当然でなかったか、かように考えるのでございます。なおこの問題は現在地方制度調査会におきましていろいろ論議されておる問題でありますから、その解決を待ってこれを消すかどうかということを考えるのだという御答弁であるとしましたならば、事務の移譲も当然にその時期まで待たれるのが適当であって、現在出されておるのはまだ時期尚早ではないかとも考えられるのでありますが、これらに対します部長の御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/69
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070・小林與三次
○小林(與)政府委員 今の渡海委員の御質問にお答えいたします前に、北山委員にもう一つ申し上げておきたいと思います。二百六十五条の第九項に、その法律は二百六十一条及び二百六十二条の規定により、関係都道府県の選挙人の賛否の投票に付さなければならないということがありまして、法律的にも住民投票が要り、しかも全県下だという趣旨のことを書いてありますから、御了承願いたいと思います。
それから今の御質問でございますが、これはわれわれも現在の府県制度のもとにおいては、特別市を直ちに実施することに根本的な問題があろう、どうしても府県制度の根本的な改革に相関連して、この問題を解決するのが適当であると考えておるのであります。しかしながら現在の情勢のもとにおいても、大都市につきましては、それぞれ大都市の実力と規模に応ずるように、できるだけ大都市において処理する事務は大都市をして処理させることが、大都市行政の運営のために適切だと考えられるのでありまして、この点は地方制度調査会の答申におきましても、さしあたり大都市問題につきましては事務の配分によって大都市行政の問題を解決する、こういうとりあえずの答申を実は出しておるのであります。
〔委員長退席、加賀田委員長代理着席〕
そうして特別市を置くか置かぬかという問題を府県制度の根本的改革の際に譲っておるのでございまして、そういう答申の趣旨にかんがみましても、われわれはさしあたってこの事務の配分によって問題を一応解決いたしたい、こういうふうに存じております。そうすれば当然に特別市の規定を削るべきではないかという御議論でございまして、これは私はごもっともな面もあると思うのでございますが、根本的な特別市そのものの問題は、府県制度の全般的な改正とあわせて考えるという調査会の趣旨もございますので、これを削るということにいたしましても、またその問題に触れざるを得ないので、これはそのまま据え置きにいたしまして、さしあたり事務配分によって解決をする、こういう態度をとることにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/70
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071・渡海元三郎
○渡海委員 ただいま地方制度調査会の答申にも待って根本的な改革は将来に譲るのであるが、答申にある通りに一部事務を移譲することによってこの問題の一応の解決をしたい、こういう御答弁であったと思うのであります。答申の中にある事務移譲はなるほど現在あげられておるような条項も一応必要だろうということも書いてあるのでございますが、その前提となるものは、府県が行う補完行政に属する事務の中で特に大都市に譲るものを譲ってというように、補完業務に限定されておるのでありまして、そのことであの例示を掲げられているのじゃなかろうかと思うのでございます。ところが今度の改正案で規定されておるのを見ますならば、補完業務を越えて、それよりも多く根本的にこれらの業務を移譲しておるという形になっておるのじゃないかと思うのでございます。それらの規定はもちろんこれを表わすために政令でこれを定めるということによってこの点の完備がなされると思うのです。その政令の概要につきましてせんだっては山崎委員よりお尋ねがありましたが、まだ腹案というようなものができていないということでございましたけれども、これではいけないと思いますので、各省との打ち合せ等もございましょうが、大体の趣旨でもこの際御言明をしていただきたい、かように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/71
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072・小林與三次
○小林(與)政府委員 今地法制度調査会の答申にもお触れになりましたが、調査会の答申によりますと、「大都市の区域内において府県が行う補完行政に属す事務とみなされるものは、大都市の事務とするものとする」こういう答申とともに、「法令による委任事務で広域的又は統一的処理を必要とする事務以外の事務は、原則として、大都市の事務とするものとする」こういう規定もございまして、そういう前提で事務配分の事例を掲げておるとわれわれは考えておるのでございます。それでありますから、この掲げております事務を基礎にいたしまして、今度の事務配分の問題を具体的に考えたわけでございまして、必ずしも補完行政だけではなしに、その他の委任事務につきましても答申があるわけでございます。そこでわれわれといたしましてこの法令の事務につきましての基本的な考え方は、現在の府県制度のもとにおきましては、府県としての統一的あるいは広域的な処理を全般的に要するものは、答申にも府県に留保する必要のあるものを除く趣旨が明らかに出ておりますので、これは一応除きまして、ほんとうに現場における実施事務を中心にしてこれをおろしたい、こういうふうに考えておるのであります。ことに列挙しましたいろいろな事務につきましては、現在市におきましてもたとえば民生関係ならば社会福祉事務所あるいは保健関係なら保健所というようなものはみな市の施設として市がやっておるわけであります。それから建築とか都市計画というような問題を考えましても、そういう都市計画の実施、道路の築造等はみな市が現に市の権限としてやっておるわけであります。それに関連するいろいろな建物の制限の許可とかあるいは建物の認可、一般の住宅の認可というようなものは、むしろ市が現にやっておる行政の一環として現場で処理した方が市民のためにもなれば行政の効率的な処理にも相なるわけでありまして、そういう意味のいわば現場で処理して差しつかえないものはむしろ全部市におろす、そうでなしに全県下にわたって統一的にやらなくちゃならぬようなものは、今の府県制度のもとにおいては府県に保留しておく方が適当じゃないか、こういうふうな考え方で、それぞれの法令につきまして具体的に事務のふるい分けをいたしたいというふうに存じておりまして、各省ともそういう趣旨で話し合いを進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/72
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073・北山愛郎
○北山委員 特別市制の問題は、現行法のもとでは住民投票によらなければならぬという意見は、ただいまお示しの二百六十五条の九項によってはっきりしておると思う。ただ私変だと思うのは、これは憲法九十五条の趣旨を法律的に表わしたと思うのですが、もしも特別市制というものを一般的に規定をして、そうしてその市の指定については政令によるというような規定をすれば、住民投票は要らないというような結果になりはしませんか。それでもけっこうじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/73
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074・小林與三次
○小林(與)政府委員 法律的にはそういうことになると思います。従来政府もそういうふうに解釈しておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/74
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075・北山愛郎
○北山委員 そうすると結局住民投票を避けて、もしも政府がやろうとする御趣旨であるならば、これがじゃまならば、そういうふうな規定のやり方をとればそれでもいいのじゃないか、それでも憲法上は差しつかえないのではないかという感じもしたのでお聞きしたわけです。ことにこの住民投票の場合、廃置分合とか、そういう点について考えてみますと、現在行われておる町村合併等においても、団体は小さくてもその団体が長年続いてきておる団体をやめて合併してしまうというときですらも、住民投票をやらないで、単なる議会の過半数の議決でやるというようなまことに簡単なやり方をとっておる。ところが特別市をやるという場合には、住民投票をやらなければならぬというのは、いささかつり合いがとれないような感じがするのでお伺いするのですが、その点については行政部長はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/75
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076・小林與三次
○小林(與)政府委員 これはそういう御議論もあり得ると思いますが、特別市の制度は、現行の建前によりますと、いわば府県と市との性格と事務をあわせ持つ全く特殊の自治団体なのであります。それでありますから、そういう特別市の設置については、やはり法律上新たなる団体を作るのでありますから、国家意思でもって作るのが適当であろう、そういう基本的な立法政策に基いてできておるのじゃないかと私は思うのであります。これは御承知の通りに、一般の町村につきましては、今のような議会の処分で廃置分合ができるようになっておりますが、都道府県になりますと、都道府県の廃置分合または境界変更はやはり法律で定めることになっております。これはそれと相並ぶ規定でありますから、法律事項に規定されておるものだと解するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/76
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077・北山愛郎
○北山委員 とにかくただいまお話申し上げたように、規定を変えることは憲法上は何も差しつかえがないというふうに政府側で解釈しておられる。そこで法律を変えるならば、やはり住民投票を避けることも法律上可能だというふうに解釈せられるわけです。
もう一つの点で支障があるというのは、いわゆる府県との問題でありましょう。ところが府県から独立した特別市を作るということは初めからわかっておることなんです。府県から独立することを当然のこととして特別市の制度をここに明定しているのですから、初めからそんなことは百も承知の上で規定が作られておるのです。だからそのことは、少くとも法律上は何ら新しく結果として起ってきた支障ではなくて、初めから覚悟の上でそういうことをやっておるのですから、そうなると事実上はともかくも、制度上はやろうとするならばできないことはない。決定的な支障がそこにないということになるのです。そこで一体政府は、この特別市、大都市の問題を将来どのように持っていくかということにかかってくるわけなんです。そうすると、先ほどお話があったように、現状維持をして事務配分をして、幾らかこれを改善していくという方式でいくか、あるいは一ぺんに特別市制の制度を適用していくか、どちらにするか、そこに方針がなければならぬ。そこで今度の自治法の改正にも関連するのですが、そうしますと、政府は当分この特別市制の規定を活用する気持がない、そういうことを前提にして今度の自治法の改正にあのような事務配分をやってきたのか、こういうふうに解釈していいのかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/77
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078・小林與三次
○小林(與)政府委員 今の北山委員のお話の通りでございまして、法律的には特別市制の制度を設けた以上は作ってよいことは明瞭であります。しかしながら、先ほども例を申し上げました通り、この特別市の指定については、さらに別の法律に譲っておるのでありまして、その法律を作るか作らないかというような立法上の政策的な考慮というようなものは当然あってよいと思うのであります。その点は府県の廃置分合が法律できめられるというように書いてあるのと一緒でありまして、しからば現在において法律ですぐきめれば府県の廃置分合がすぐにやれるかやれぬかということになれば、別の法律上の政策的考慮が要るということと同じ問題だと思います。現在の段階のもとにおきましては、府県の現状を基礎にして特別市の指定をするということは、制度は別として、根本的に問題があると考えておるのであります。そのもとにおきましては、事務配分によって大都市問題を解決することが最も適切なる解決方策であろう。これは今の府県の規模をさらに大きくするとか、その他そうした実質的な変化を前提として特別市の問題を考えるならば考えるべきじゃないか、こういうふうに存じておるのでありまして、その点につきましては、府県のそうした全般的な改正はきわめて重大な根本的な問題でありますので、地方制度調査会の討議に待つことにいたしておりますから、それの一環としてこの問題もあわせて検討していただいて、その方針に従って善処するべきである、こういう考え方に立っておるわけでございます。
それからもう一つ、憲法上法律を政令にかえてもよいじゃないかというお話でありますか、これは全く解釈問題だけの問題でありまして、そういうことが適正かどうかというような政策的な判断は全然別でありますから、そういう意味で御了承を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/78
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079・北山愛郎
○北山委員 そうしますと、少くとも自治庁は今回のこの自治法の内容になっておるような改正をやるということにおいては、現在ここにある特別市制を活用しないというつもりでありますか。そういうふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/79
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080・小林與三次
○小林(與)政府委員 特別市を活用しないというよりも、現在のもとにおいては大都市問題は事務配分によって解決すべきだ、その方が一番適当である、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/80
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081・北山愛郎
○北山委員 先ほどの行政部長のお言葉の中にも、特別市の問題は府県の区域等の問題と関連して、地方制度調査会等において検討すべき問題である、こう言われた。そこでやはり事務の配分の問題も、それと関連してその結果を待ってこれはやるべき問題ではなかろうか。今回それと切り離して一応の答申があったかもしれませんが、その事務配分だけを取り上げてここに入れるということは、すなわち今後における府県とかあるいは特別市のあり方について、すでに描いたものを自治庁当局が持っておって、それを前提にしての専務配分ではなかろうか、そのように考える。これは邪推ではないと思うのですが、ただいまの小林さんのお話からみても、将来別に府県の区域の問題とか特別市との関連で、これは考えるべき問題だというようなお話もあって、いよいよその感を深くするわけであります。従って一部の事務を特別市といいますか、大都市に与えるということは、将来の大都市と府県のあり方、その関係をもうすでに想定してかかっておるのじゃないか、こういうふうに考えるのは当然じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/81
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082・小林與三次
○小林(與)政府委員 将来の府県のあり方とか特別市のあり方というものにつきましては、そういう予定と申しますか、前提というものは全然ないのであります。そこでそういうものにつきましては根本的な検討を願わなくちゃならないという考え方でございます。しかしながら現在の府県制度と現在の大都市の現状を基礎にして考えれば、大都市問題はこういう形で、大都市行政を能率的にやるために、その規模、能力にふさわしい行政事務はおろしてやらした方がより合理的であり、効果的ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。将来どういう形になるかは、府県制度そのものをどうするかという根本的な問題として考えるべきでありまして、それにつきましては考え方というものは、全然特定いたしておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/82
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083・北山愛郎
○北山委員 しかし大ざっぱに言って、ここの法案にある特別市の制度というのは、これは府県から独立的のそういう地域を作ろうという考えである。大都市を府県から独立した地域にして、府県と同格にしようという考え方なんです。ところが現状は府県と都市、大都市といえども、府県のもとに置いて、ほかの市町村とはちょっと違った立場ではあるが、その二段階といいますか、二段階で置こうという考え方、それをどちらでいくかということを、いわば地方制度調査会というようなところで、大方針として検討せられるべき問題で、未定な問題とするならば、やはり今当面する地方制度の大改革を前にして、この事務配分だけをここでやるということは、むしろ独立をさせないという建前に立っている、こういわざるを得ないのですが、どうですか。あるいは地方制度調査会の結論は特別市制をやるべしという結論になるかもしれない。だけれども、こうしてしまえば、こういう考え方は今までの行きがかりだかもしれないけれども、府県と大都市との関係をもうすでに既定のものとして、将来性質上は変更しないものとしても、頭の中に画いた今度の改正ではなかろうか、こういう点で、私は非常に疑問を持っているのですが、重ねてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/83
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084・小林與三次
○小林(與)政府委員 それは将来大都市制度というものがどうなるかということが、府県制度の根本的の考え方とからんで、どういう結論が出てくるかわからない。今お話の通り、現在の自治法に書いてある特別市と同じような形にやるべしという結論が、あるいは出てくるかもしれません。しかしかりに出ればそのときそうした体系でものを考えればいいのでありまして、その場合にはそれにふさわしいような府県制度というようなものが選定されておるに違いないと考えられるわけでございます。いずれにいたしましても、そうした府県制度の全般的改正ということは、きわめて重大で根本的な問題でございまして、慎重な討議を要する問題なのであります。しかしそれにいたしましても、大都市の実態というものは、現在直ちにこの現状に即して一日も早くこの大都市行政の問題を何らかの形で是正改善するという必要はあるのでございまして、そういう必要を基礎にいたしまして、現在の府県制度のもとで問題を考えれば、この方式によって問題を解決する以外にはむしろ道がない、道がないというよりも、その方が一番適切であるという結論に達しまして、こういうふうに考えたのであります。それで地方制度調査会におかれてもいろいろ考究の結果、さしあたりの措置というものと、それから将来の根本的措置というものをお分けになって、さしあたりの措置としてこの問題をこういうふうに解決する、あとの問題は根本的な調査研究とあわせ考えて問題を決定しよう、こういう態度をとられたものと思うのでありまして、その御趣旨に従うことが、われわれといたしましても問題の具体的な処理としては最も妥当な方策であろう、こういうふうに考えて立案いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/84
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085・北山愛郎
○北山委員 しかしこの特別市あるいは大都市の問題は、今後地方制度調査会等の意見を聞いて、新しく出てくるということよりも、むしろすでに現行法がそれを認めておる、いろいろな困難はその中にあるにしろ制度としては認めておるのですから、政府としてはやはりそれを無視するわけには行かないじゃないか。従ってこの法律にある特別市の方法で行くか、あるいはそういう部分的な事務配分をちょこちょこやっていくのであるかということ等は、現行の法律にそういう制度がある限りは、これがたとえば地方制度調査会の答申によって、どうするかということがきまっているのではないのですから、それがきまってきてからきめてもいいじゃないか、新しい問題じゃなくて、すでにはっきりと府県から独立するという形を現行地方自治法は認めておるのです。ただ実行はむずかしいというだけです。しかしあらためてお聞きしたいのは、自治庁が現行の特別市の市制を実行に移すということが、やはりきまらない、きまらない原因は、今の住民投票とかそういうことだけのことでありますか、それともほかに理由がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/85
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086・小林與三次
○小林(與)政府委員 住民投票だけの問題ではさらさらないのでありまして、住民投票というものは、結局そうやることが適当だという場合に、さらに住民の意思によって問題をきめるというだけでありますから、それは住民の意志で右でも左でも決定すればいいわけであります。そうじゃなしに、そもそも現在の府県制度を前提にして、自治法に書いてあるような特別市を実施するということが、自治法にはあるか、政策的に適当であるかどうか、こういう根本的な問題があるのでありまして、われわれといたしましては、現在の府県を直ちにいわゆる大都市とその他周辺郡部とに分けて事実上分割して、府県を二分割にするような形で、問題を解決するということは、その地方における行政運営上適当だとは考えられない。そういう意味で、この前提のもとにおいては特別市を、実施することは当を得たものとは考えておらぬのであります。それならばほっといていいかといえば、それは大都市には大都市の力、規模、能力がありまして、大都市の行政を最も円満に合理的に遂行していくということの必要は現実にあるわけでありまして、その現実にある問題を最も適切な方法で解決していくことを待つ必要はあるが、将来の根本的な解決まで放置していいかといえば、それは放置する必要はないのであります。その解決だけは急がなくちゃいけない、こういう考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/86
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087・北山愛郎
○北山委員 そうすると、現在特別市制というものが法律にはあるけれども、政府はこれに反対だ、全然異なった考え方を持っておる、こういうことになるわけですね。しかし今のような反対論としてあげたこと、府県から独立するのはいけないということは、数年前この法律を作った当時からもう明らかなことです。それが明瞭にわかっておってしかもなおこういう制度を作ったのですから、それを否認するといいますか、それは意味がないというなら、なぜこれを改正するような提案をしないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/87
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088・小林與三次
○小林(與)政府委員 今お話の通り自治法にあるから、このあるものを否認するなら改正すべきじゃないか、それはごもっともな御議論であります。そこで、今申しました通り特別市そのものをどうするかという問題は、今の府県制度そのものをどうするかという問題と一環的な問題ありまして、それは総合的に解決すべきである、こういうわれわれの考えです。そういう意味で、地方制度調査会においても、この大都市問題を含めた府県制度あるいは首都制度というものを総合的に検討を願って、その結果によって問題を処理しよう、こういうように事柄が進んでおりますので、その結論が出るまで規定はそのままにしておいた方がより適当じゃないかという考え方をしておるのであります。しかしながらそれならその規定はそのままにして、実施する別の法律を作るかという問題になれば、われわれは今のまま直ちにそうすることが適当とは認めない。そこで事務配分によって問題を具体的に処理しよう、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/88
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089・北山愛郎
○北山委員 しかし政府はこの特別市の制度が現行法律にあるのだが、これはどうも尊重なさらない。過去の政府がこの規定を尊重したかどうか私は知りませんが、こういうことはめったにないと思う。現在の法律にあっても、そしてそれが初めからわかっておる事情によって反対する。立法当時とは事態が変って別な事情が発生してきたというなら別だが、初めから府県から独立するということはもうわかり切った話なんです。特別市というのはそうなんです。そうしてわかり切って立法されたものについて、その点を理由にして反対されるということはまことにおかしいとは思いますが、それは別としてもあなたはおかしいと思われぬか。しかし今後この問題をどのようにやっていくか。従来の特別市の制度を生かして、これが実行できるもののようにしていこうという結論になるかならないかということは、いわば地方制度調査会等の意見を聞いた上で決定される。その意見を聞こうと政府が言っておられるんでしょう。そういう態度でおる以上は、そのときに初めてこの制度が無意味になるか、これをやらないでいいかどうか、あるいはこれを強行するかというような方針がそこできまってくるわけなんです。従ってそれ以前に一部の事務配分を、いわばその直前にやろうとするのはどうもおかしいんじゃないかと思うんですが、おかしくはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/89
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090・小林與三次
○小林(與)政府委員 私はちっともおかしくないと思うのでありまして、特別市の制度そのものを根本的にやるかやらないかという問題は今の調査会の研究にまってやろう。しかしそれまで今のままでほうっておくのがいいか、こういう問題でありまして、その結論が出ぬ以上は今のままでほうっておいてもいいじゃないか、こういう御議論ですが、今の大都市の実情を考えて、大都市行政をもっと円滑にやる方法として適切な方法があるんだが、さしあたりの措置としてその方策を実現するということは一向に矛盾しておらぬのであります。それからさらにこれをやることが将来特別問題を扱う場合に、妨害になるとか逆行するとかいうことになってはもちろんいかぬわけでありますが、そういう心配は一つもないのでございまして、かりに事務配分をおろすものはおろして、そしてやらした上でさらに特別市という現行制度と同じようなものを適用しても一向おかしくないし、あるいは事務配分をさらに強行する制度をとっても一向おかしくない。この姿は逆に戻るということはあり得ない問題なのでありますから、その点は御心配になるようなことはちっともない。今日の問題としてなすべき是正改善の方法はできるだけ早くやった方がよかろう、こういうふうに考えております。それだからこそ地方制度調査会も、そういう趣旨の御答申をなさったに違いないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/90
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091・北山愛郎
○北山委員 特別市の制度に対する今回の事務配分についてだけのお話しであれば、まだ私は納得がきると思いますが、やはり特別市と府県の関係あるいは府県と他の市町村の関係、そういうことにも今回の改正案というものは、やはり何かお考えになっているように思うんですが、大体において現在の事態をただ現わしただけだ、やはり今度の改正案というものは大体現状を認めておるのだ、そういうふうに了解してもいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/91
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092・小林與三次
○小林(與)政府委員 おそらく今の問題は府県と市町村の二条の事務配分の規定にお触れになっておるのだろうと思いますが、それは私は現状を基礎にしていると考えているのでございまして、現在の制度は実際の府においても当然府県はかくあるべし、市町村はかくあるべしと、そういう姿を明らかに、しただけでありまして、現行の自治法の運営上、府県と市町村というものの地位をはっきりさして、運営の合理化をもっと徹底させよう、こういう趣旨にほかならぬのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/92
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093・北山愛郎
○北山委員 問題は現在の府県というものをどの部分において変えたかということなんです。たとえば一つの例としては、府県を市町村を包括する団体だと言っておる、ところがそれはこの前聞いたところでは、区域として包括するという答弁なんです。区域として包括するというならば、すでに自治法にその規定があるわけです。市町村を包括する、区域によるということが書いてあるのですから、事新しくまた市町村を包括する公共団体だというようなことを書く必要もないじゃないか、かりにたとえば一例としてその包括するという言葉についてだけお聞きをしますが、その第二条にある「包括」などという言葉は、これは従来何条でしたか知りませんがあった市町村の区域を包括するという、その意味と同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/93
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094・小林與三次
○小林(與)政府委員 包括するという意味は別に違っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/94
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095・北山愛郎
○北山委員 第五条でしたか、要はその意味と同じことなんですね、地理的に府県の区域は百なら百の市町村を集めたその区域を区域としている団体だという意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/95
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096・小林與三次
○小林(與)政府委員 包括するということは今おっしゃいました通り五条と全然同じに使っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/96
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097・北山愛郎
○北山委員 それからたとえば広域というふうな概念がその中に入っておりますが、今まで広域という概念が自治法の中にはございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/97
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098・小林與三次
○小林(與)政府委員 そういう言葉は特に使っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/98
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099・北山愛郎
○北山委員 そうすると広域というのはどの程度のことを言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/99
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100・小林與三次
○小林(與)政府委員 これはどの程度といって、面積何平方メートル以上は広域だ、そういう趣旨の問題というよりも、これは要するに府県と市町村というものを比較して、現在御承知の通り自治法では府県も市町村も地方公共団体として、その事務も第二条に同じ規定でこれを使い分けいたしておらぬのであります。府県市町村をひっくるめてその公共事務云々を処理するとか、その事務の例示はその通りであるといって、全部これは一様に書いてあるわけであります。しかしながら府県と市町村というものは同じ地方公共団体にしろ、おのずからその実体が異なっております。また実体が異なるということは、機能も地位も違っているはずなのであります。全然一緒のものなら大体区別をする必要はないのでありますから。そこで府県というものと市町村というものを比較して、市町村というものは基礎的な地方公共団体としてこういう趣旨の仕事をやり、府県というものはむしろ市町村を包括した市町村よりもより広い広域な団体として、こういう趣旨の事務をやるのが府県というものの使命役割であるぞ、こういう趣旨に使い分けいたしまして、現行の地方自治法のもとにおける府県と市町村の地位というものを明らかにして、そうして両者の間の機能の発揮というものを円滑ならしめよう、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/100
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101・北山愛郎
○北山委員 そうすると、要するに市町村よりは大きい、市町村の区域をこえるというのが広域というわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/101
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102・小林與三次
○小林(與)政府委員 広域の地方公共団体という意味は、数市町村か数十市町村か、要するに市町村を数十かひっくるめたようにした広い区域、市町村と比較して広い区域を前提にした地方公共団体である、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/102
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103・北山愛郎
○北山委員 そうすると、かりに現在の府県にしてもいろいろ大きい小さいはありますけれども、大体今の府県は広域ですか、広域でないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/103
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104・小林與三次
○小林(與)政府委員 今の府県のことを書いておるわけでございまして、それぞれの絶対的な面積を何平方メートル以上が広域だとか狭域だとかという趣旨ではないのでございまして、つまり府県というものはいわば二重構造になっているわけであります。それでその土台になっている市町村は、数十とか数百かをこえる市町村を包括した区域を前提にする地方公共団体、これが府県だと思うのでありまして、そういう意味の広域という意味でございます。それでありますから、たとえば現在町村だって香川県よりも大きい町村があるではないか、そういう面積のことを言っておるわけではないのであります。その数十あるいは数百の市町村をひっくるめたその区域の行政を全体的にやろうという公共団体である、そういう意味で広域という趣旨を持ってきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/104
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105・加賀田進
○加賀田委員長代理 北山委員に申し上げますけれども、実は三時三十分から本会議を開会することになっておるようですが、質問はまだあるとは思いますけれども、できるだけ簡略にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/105
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106・門司亮
○門司委員 時間がないそうですから……。今までの討論を聞いておりますと、行政部長の方で広域行政の解釈について違うところがあるんじゃないですか。ここでいう広域行政というのは、いわゆる個々の市町村の区域にまたがる一つの行政の問題をさしておるのであって、いわゆる自治行政の本体というものがもし市町村にあるとするなら――そういうことを定義いたしておりますが、そうだとすれば、同じ区域の中で行政が二重になるということになると私は思う。いわゆる住民参加の自治行政というものが市町村と府県と二つに分れてきておるということは、これは純理論からいけば多少の矛盾があると思う。しかし今の日本の行政区画はそういうことになっておる。またそういう運営をしてきておる。またそういう運営でなければできないということになっておる。結局住民参加の行政の中に広域行政があるということになる、あるいは広域行政の中に住民参加の行政が含まれておる。従って府県が自治体であるという定義がここにされていると思う。今日の府県が自治体であるという定義は私はそこにあると思う。住民が参加しない行政ならそれは自治行政ではない。ところが市町村だけではなかなか行政の措置がつかない一つの大きな行政がある。しかもその行政は住民参加の行政である。従ってこれをさしてわれわれは従来広域行政という名前を使っておったのである。そういうことが考えられると私は思うのだが、今の行政部長の答弁ではどうも一その点があいまいになっておって、一向わからないのですが、もう少しはっきり答弁をしておいてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/106
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107・小林與三次
○小林(與)政府委員 今門司委員のおっしゃった通りのことをこっちも考えておりますし、そういう意味のことを申し上げたんですが、北山委員は広域の地方公共団体という意味、広域の意味をお問いになったものですから、少し説明が回りくどくなったと思いますが、ただいま門司委員のおっしゃる通りに五項の一号に書いてある広域にわたるという意味、いわゆる広域行政という意味を押えれば、まさしく今おっしゃった通りでございます。そういう意味の行政を処理するものとして府県を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/107
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108・加賀田進
○加賀田委員長代理 それでは次会は公報をもってお知らせすることにし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十三分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204720X05119550728/108
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