1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月九日(月曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 松前 重義君
理事 齋藤 憲三君 理事 濱地 文平君
理事 中垣 國男君 理事 橋本登美三郎君
理事 井手 以誠君 理事 松井 政吉君
川崎末五郎君 竹内 俊吉君
愛知 揆一君 塚田十一郎君
佐々木更三君 成田 知巳君
森本 靖君 前田榮之助君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 松田竹千代君
出席政府委員
郵政事務官
(貯金局長) 小野 吉郎君
郵政事務官
(簡易保険局
長) 白根 玉喜君
委員外の出席者
専 門 員 稲田 穣君
専 門 員 山戸 利生君
専 門 員 吉田 弘苗君
専 門 員 中村 寅市君
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五月七日
郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二五号)
郵便振替貯金法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二六号)
同日
長尾郵便局の電話施設拡充に関する請願(伊瀬
幸太郎君紹介)(第三五八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一九号)
郵便年金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二〇号)
簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
二二号)
郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二五号)
郵便振替貯金法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二六号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/0
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001・松前重義
○松前委員長 これより会議を開きます。一昨七日、本委員会に付託になりました郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、この両案を一括議題といたしまして御審議を願いたいと思います。
まず政府当局より提案趣旨の説明を求めます。郵政大臣松田竹千代君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/1
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002・松田竹千代
○松田国務大臣 ただいま議題となりました郵便貯金法及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
まず郵便貯金法の一部を改正する法律案について申し上げますと、この法律案は、郵便貯金の貯金総額の制限額並びに積立郵便貯金及び定額郵便貯金の預け入れ金額を引き上げるとともに、積立郵便貯金について新たに小切手による預け入れの取扱いをすることによって、預金者の利便をはかり、あわせて貯蓄の増強をはかろうとするものでありまして、その内容は次の通りであります。
第一点は、郵便貯金の一預金者の貯金総額の制限額は、昭和二十七年四月十万円に引き上げられて現在に至ったのでありますが、この金額が現在の物価、国民所得の水準等から見て低過ぎ、制度の目的達成及び貯蓄の増強に支障を生じておりますので、これを引き上げる必要があると存ずるのであります。その引き上げの程度は、昭和九年から十一年までを基準とする最近の消費者物価指数及び分配国民所得、郵便貯金の増加高等の指数を根拠として、昭和九年当時の百倍である二十万円に引き上げようとするものであります。
第二点は、貯金総額の制限額の引き上げに伴う改正でありまして、積立郵便貯金の一回の預け入れ金額につきましては、その最高金額を現行の四千円から八千円に引き上げ、また定額郵便貯金の預け入れ金額につきましては、現行の八種のうち二百円及び三百円を削り、新たに三万円及び五万円を加えようとするものであります。
第三点は、郵便貯金の小切手による預け入れは、現在通常郵便貯金及び定額郵便貯金について取り扱われ、積立郵便貯金については取り扱われていないのでありますが、今回の改正が実施されますときは、積立郵便貯金の一回の預け入れ金額は最高八千円に引き上げられますので、小切手による預け入れが予想されること及び定額郵便貯金の局外における預け入れの取扱いの実績に照らし、事務取扱い上支障がないと認められることなどの理由により、新たに取扱いをしようとするものであります。
次に、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案につきまして申し上げますと、この法律案は、国民金融公庫または中小企業金融公庫の貸付金の償還をする者の利便をはかるのが目的でありまして、現在地方公共団体が徴収改す地方税等の徴収金や住宅金融公庫の貸付金の償還金などについて、特殊郵便振替貯金の取扱いをいたしておりますが、これらの公庫の貸付にかかる償還金につきましても、右と同様に一般の料金よりも低廉な料金による取扱いをいたそうとするものであります。
以上が二法律案の概要でありますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/2
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003・松前重義
○松前委員長 次にただいま提案趣旨の説明を聴取いたしました両法案並びに簡易生命保険法の一部を改正する法律案、郵便年金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案、以上五つの法律案を一括議題といたしまして質疑を行います。この際質疑の通告がございますのでこれを許します。井手以誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/3
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004・井手以誠
○井手委員 私は簡易生命保険及び郵便年金の積立運用について大臣にお尋ねいたしたいと存じます。
大臣は提案説明に、積立金の運用は毎年資金が増加してきたこと、また国会において各種公共事業の施設改善に融資するよう決議のあったことを理由にして、範囲を拡大されておることを説明されておりまして、その改正案の中に第六号として、長期信用銀行法による長期信用銀行に運用する道を開くことを提案されておりますが、この積立金運用に関する法律の立法精神からいたしましても、民営の株式会社、長期信用銀行に積立金を運用することが、果して妥当であるかどうかという点についてお尋ねをいたしたいと思います。ここでいろいろ申し上げるまでもなく、公共事業に運用するのが目的であります。地方に還元するのがねらいであります。しかも長期信用銀行の審議当時における委員長の報告その他をいろいろ検討いたしますると、この積立金をその方面に運用することは、その法律の精神に反するのではないかという疑いを私は持つものであります。この点について私はしばらくお尋ねいたしたいと思いますが、果して立法の精神にかなっておるかどうか。民間の会社に、しかも重要産業に対して民間の零細な保険金や年金を融資する道を開くことは、この大事な金を今後どんどん資本家に放出する道を開くことにもなるのであります。この点について私は大臣の所信をお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/4
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005・松田竹千代
○松田国務大臣 井手さんの御質疑は、今度の簡保資金の貸付についてワク広げをする改正案の方は、この簡保の金の運用については本来の趣旨から言えば、保険契約者を主として地方還元の趣旨を徹底すべきである、しかるに今度のワク広げの趣意は、これにもとるのではないかという御趣旨と解しましたが、必ずしもさようには考えないのでありまして、この長期信用銀行及び日本興業銀行に対する融資は、積立金運用の趣旨に沿わないのではないか——地方の中小企業に融資することが、必ずしも本来の趣旨に反するものでないというふうに私どもは考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/5
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006・井手以誠
○井手委員 重ねてお伺いいたしますが、その前に局長にお尋ねいたしたい。局長は、長期信用銀行のこの案に対して賛成ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/6
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007・白根玉喜
○白根政府委員 お尋ねの趣旨は、簡易保険の運用をやる趣旨からいたしまして、地方還元に重点を置かなければならないのじやなかろうか。にもかかわらず、長期信用銀行あたりに融資するのは、この趣旨に反するのじゃないかという御趣旨のように拝聴いたしたわけでございますが、私どもの考えといたしましては、むろん地方還元について濃淡の度合いによって、融資の重点を持っていかなければならないのは事実でございます。その面からいたしますと、長期信用銀行に対する融資がボーダー・ラインになるか、ならぬかの問題だろう、かように存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/7
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008・井手以誠
○井手委員 いや、私は賛成か何だか、それだけ聞けばいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/8
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009・白根玉喜
○白根政府委員 賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/9
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010・井手以誠
○井手委員 最初この積立金運用の法律が出た場合に委員会としては、当時の記録によりますと、積立金は社会政策の目的に限り運用せらるべきものであるという委員長の報告もあっておるのであります。社会政策ばかりでなくて、公共の利益になればいいということでございまするけれども、民間の重要産業の長期金融を目的とした長期信用銀行が、果して公益事業であるかどうか。事務当局は賛成だとはおっしゃったけれども、私はあるいは事務当局はこれに賛成であるとは考えられない。おそらく一部の圧力があったのではないかという疑いを持つものであります。大臣にお尋ねしたいことは、長期信用銀行が果して公共の事業であるか。公共団体の行うような事業と同一と見るべきであるか。重要産業に金を貸すこと、それほどまた積立金がどの民間の産業にも貸せるだけの余裕があるのかどうか。今でも郵政省自身非常にお困りになっていると思う。そういう場合にここに民間の会社に貸す道を開くということは、今後この道が開けますと、どんどん重要産業に一部の圧力によって貸すことができるおそれがあると私は心配するのであります。この点について、果して長期信用銀行の民間に対する長期融資が公共の事業であるか、その点をお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/10
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011・松田竹千代
○松田国務大臣 簡保の金の大部分と申しますか、中心はむろん地方自治体に対する貸付が主となっておりますので、今回の法律改正の目的は、そのほかに、ここに列記いたしてありまする各種国の法律で指定された公共団体に貸すということになっておりますが、今心配いただきます長期信用銀行に対する貸付によって一般産業、特におっしゃるように大きい産業に対してこの金が流れるのではないかという御心配でございますけれども、長期信用銀行に貸し付ける場合でも、個々の場合をよく精査いたしまして貸付をいたすのでございますから、その御心配はないと思いまするし、またそういう方面に回る金額は、全体から申しますと、きわめて一部分に相なりますので、御心配の点はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/11
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012・井手以誠
○井手委員 一部分である、また附則によりますと、金融債は十分の一をこえてはならぬとは書いてありますけれども、いかに少額とはいえども、一割以内とはいえども、民間に対する長期金融は公共の事業でございますから、その点が私は一番重大な点であると思います。私はほかの範囲を広げたことについては異議はございません。賛成です。先刻私が何か反対のような意味にとられた答弁がありましたけれども、それは誤まりでありまして、ほかのものについては私は賛成であります。特に国に対する貸付などについては賛成でありますが、民間に対する長期金融に対しては私は賛成しかねるのです。まあ意見はともかくといたしまして、重ねてお尋ねいたしますが、長期信用銀行法の精神から考えまして、民間の産業に対して大事な、零細な保険金なりあるいは年金を振り向けることが、果していいか悪いか、私はこれは今後非常に重要な問題になると思いますので、特に私は念を押しておきたいと思うのです。大臣は公共の事業だ、一々精査するとおっしゃいましたけれども、しかしこれは民間に貸すことができることになりますれば、どんどん広げられますよ。公共事業でやるという一つの限定があるにかかわらず、民間の方にどんどん貸すということになれば、大きな将来の問題になると思うのです。重ねて大臣にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/12
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013・松田竹千代
○松田国務大臣 御心配の点はもっともと思われますけれども、しかしその方面に対する貸付の場合は特に確実性、またその金の用途等について特別に厳重なる監査をもっていたす方針でございますから、その御心配はなかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/13
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014・井手以誠
○井手委員 実際の運用に当っての態度をお尋ねしておるわけではございません。積立金運用に関する法律の目的からしまして、この第六号に加えられる長期信用銀行が公共事業であるかどうか、この法律の目的に反しはしまいかということをお尋ねいたします。運用についてはよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/14
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015・松田竹千代
○松田国務大臣 銀行法によりまして特殊銀行として指定せられておるものでございますから、その点大丈夫と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/15
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016・井手以誠
○井手委員 銀行法とおっしゃいますが、特殊銀行ではないのです。国民金融公庫とか、公庫というような政府出資のものではございません。民営の株式会社でございます。長期信用銀行というのは株式会社でございます。政府出資でありません。この民間の会社に貸すことが、法の目的に反しはしまいかということを私はお尋ねしておるのです。特殊銀行じゃございません。日本銀行じゃございません。重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/16
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017・松田竹千代
○松田国務大臣 この点は事務当局から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/17
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018・白根玉喜
○白根政府委員 公共性というのを非常に厳格に解するか、しないかによって違うかと思います。むろん政府出資なり、政府の補助政策が入っておるような意味における特殊銀行ではないと存じております。しかしながら一般の普通銀行に比較いたしまして、長期銀行法によりまして設備資金なり、いわゆる中小企業だけに限定したとは限っておるわけではございませんが、中小企業等に対する設備資金あたりをも目的にいたしまして、長期銀行法によってこの二項におきましてそういう業務内容ができるというふうにされておる点からいしたますと、公共性を厳格に解釈すればおっしゃるような面も出るかもしれぬと思いますが、しかしまたあまり厳格にいたしますと、このたびワクを広げる範囲の問題につきましてもいろいろ問題が出ると思うのでございまして、範囲を広げた客体の対象の中でも、非常に厳格に公共性の解釈をしますと、これはまたオミットしなければならぬ面も出てくると思う。しかも先ほど大臣が御説明申し上げましたように、これは運用の面でもむろん融資対象を厳査してやるという面もございますが、この金融債の中で私どもといたしましてはやはり一点を打ちたいのは長期信用銀行とか、興業銀行よりもむしろ農林中央金庫とか商工組合中央金庫、これはこの号の中に入っておるわけです。これらとしましても公共性ということを非常に厳格に解釈いたしますと、これは公共性の範囲に入らないのじゃないかと思うわけでございます。たとえばこの金庫は組合員に対して貸し付けるわけでございます。そういたしますとそれらの面からいたしましても、非常に厳格に、いわゆる法律概念からする公共性、不特定かつ多数というところから見ますと、これは広げた対象の中にも議論になる対象があるわけでございます。さような意味からいたしまして、これは経済上の意味における法律上の厳格な意味の公共性ということまでいかないまでも、常識的な意味における公共性程度にお考えしていただかないと、融資対象が制限されなければならぬようになって参るのでございまして、要するに普通の銀行と比較いたしまして長期信用銀行なり興業銀行は——私ども間違っておるかもしれませんけれども、中小企業等に対する長期性を持っておる設備資金が枯渇しておって、そうして会社の方々のお困りになっておるということで、こういう長期銀行法の法律ができたのだろうと思います。これは非常に厳格に言えばおっしゃる通りになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/18
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019・井手以誠
○井手委員 私は白根さんの答弁とは受け取りかねるのでございます。この積立金運用に関して非常に熱意を持った郵政当局が、そういう答弁をなさるとは私は受け取りがたいのであります。あなたは常識だとおっしやいましたけれども、民間の株式会社がどこに公共性がありますか。私の言うのとあなたのとどちらが常識ですか。あなたはもう一度運用金に関する法律と、長期信用銀行に関する法律審議経過の議事録でも読んで下さい。内容がどんなものであるか、民間の普通の産業に貸すのではないですか。中小企業ではございませんよ。これは大企業の長期金融ですよ。一般ではまかない切れないから、長期金融のために特別に長期信用銀行法というものが作られた。民間の営利会社に零細な保険金や年金の積立金を運用されてどうなりますか。あなたは郵政省自身がもっと局舎の改築その他にほしいのじゃないですか。私はこの質問はまだ続けるつもりですが、大臣初め研究してもう一度出直しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/19
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020・松前重義
○松前委員長 森本君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/20
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021・森本靖
○森本委員 この簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案ですが、今井手さんの方からもこれに対する質問がありましたが、この前の逓信委員会で私の方から大臣にお聞きしたときに、例の問題になっておりましたところの局舎の保全、整備、強化について、局長並びに従業員その他が一緒になって、しかもその経営がよろしい、こういうふうに郵政当局が認定をした場合には、それに融資する方法を考える、こういう御答弁がございました。その答弁の内容が今回の提案の中には全然ないわけでございますが、その点についてのお考えはいかがでございますか。——これは大臣が私に対して回答いたしておりますので、大臣の方から御回答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/21
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022・松田竹千代
○松田国務大臣 森本さんの御質疑は、要するに郵便局舎その他直接郵政事業関係に関して資金の要請されている面が多々あるのに、その方面に重点を置かずして、こういうワク広げをやることがいけないというように承わりましたが、この中の「国に対する貸付」という項によってカバーされておるのではないかと考えるのでございますが、そうじゃないのですか、ちょっと御質問が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/22
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023・森本靖
○森本委員 この逓信委員会の議事録の第六号の七ページを読んでいただいたらよくわかりますが、上から二段目の最後の方に、私の、簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用範囲を拡大して、こういう法人に貸すことも考えておられるかどうかという質問に対して、大臣の方から、そういう考えも持っておる次第でございますと答弁になっております。そこで、今申し上げておるのは、この国に対する貸付とはまた別個の問題であります。特定郵便局舎が現在の国費ではなかなか建たない、これを従業員ないしは局長自身が法人としての認可を郵政大臣から得て、それによって建築をしていこう、こういう計画がなされておる。これに対して郵政当局が十分に検討して、大丈夫だというお考えならば融資をする考えがあるかどうかという私の質問に対して、大臣はそういう考えを持っておりますという答弁であります。今回の法律案を提案する際に、その答弁の方向に従ってお考えになったかどうかということをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/23
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024・松田竹千代
○松田国務大臣 お説のような法人に対して貸付をするという問題は、さような御答弁がこの前の委員会であったようでございますが、これは全然今でもないわけではございません。今後やはり研究の課題として、後日そういう御方針に沿うようなこともあり得るかと思いますが、ただいまのところでは、今回の場合はそれが入っておらないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/24
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025・森本靖
○森本委員 そうすると、この前の答弁のことは今回緊急には間に合わない、しかしそういうことを十分検討して、それでよろしいということであれば、将来もこの法律を改正してこれに融資する道を開く、そういう考えもある、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/25
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026・松田竹千代
○松田国務大臣 今申し上げましたように、研究課題として十分に検討を進めていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/26
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027・森本靖
○森本委員 研究課題というのはちょっとおかしいと思うのです。この前の答弁では、そういう考え方を持っているという御答弁をなさっておる。だから、あのときはああいうふうに考えておったけれども、現在よくよく考えてみると、そういうことは無理だからという考え方に考え方が変れば別でございますが、考え方がこの前の答弁の通りであるといたしますならば、今回の法律案の提案には緊急であったので間に合わないけれども、将来はそういう方向に従って検討を進めていきたい、こういうことであれば私はいいと思いますが、今になって研究するということでは、この前の答弁と全然筋が違ってくるのではないかと考えますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/27
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028・松田竹千代
○松田国務大臣 今回の案では、この前の答弁の趣旨に基いて決定されませんでしたけれども、今後やはり検討して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/28
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029・森本靖
○森本委員 それではこの前の答弁の趣旨通り、そういう趣旨には大体同意ができるから、将来検討してやっていきたい、こういうことですね。この前の答弁ではそういうことでございましたが、その答弁がひっくり返ることはない、こういうことですね。はっきりお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/29
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030・松田竹千代
○松田国務大臣 そうです。後日御趣旨に完全に沿い得るようなことにもなり得ると思いますけれども、今のところでは研究してやって参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/30
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031・森本靖
○森本委員 それでは次に簡易生命保険法の一部改正の点で、一昨日の委員会において、この点の質問に対して、当局の方から第三十一条第二項の「年齢十年に満たないで死亡したとき。」の倍額支払いの項について、おもに財政的な考慮における御答弁があったわけでございますが、さらに「年齢十年に満たないで死亡したとき。」というのを適用しないことにした理由を、詳細に説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/31
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032・白根玉喜
○白根政府委員 この理由につきましては、先般御説明申し上げたわけでございますが、大体考え方といたしまして、倍額支払いを受ける相互の公平をはかるがいいか、それともこのうちから一部サービス・ダウンになりましても、全体の財源を一般加入者に対する配当財源に回すがいいかというのが、議論の対象になるのではないかと思うわけでございます。倍額支払いの対象のうちで先般御説明申し上げましたように、十才以下の者が人数といたしまして約四割ないし五割程度になっておる。金額にいたしましても相当数になっておって、当初は削減期間等の関係がありまして、少しは少くなって参りますが、三年後になりますと、三千五百万円程度になり、逐次これが上って参っていくのでございます。しかも死因別の順位から見て申しましても、昨日の答弁には少し間違いがございましたので訂正させていただきますが、戦前におきましては災害死というのは第十順位でございます。それが最近になりますと、第五順位程度に上っておるのでございます。交通事故等の災害死のケースが相当ふえて参るといたしますと、それに要する倍額支払いの金も相当多くなって参るのでございます。一面加入者の数からいきますと、災害死のうちで四〇%ないし五〇%のものが十歳未満でございます。従いまして交通事故等の災害死のケースがだんだんふえて参る。そのうちでの占める割合が、約半数程度の加入者が小児であるという面から考えて参りますと、ここ二、三年後ではわずかに三千五百万円程度でございますが、これがだんだんふえていく傾向に相なるのではないか。そういたしますとその財源をむしろ一般加入者に対する利益配当の財源の方へ持っていく方が合理的ではなかろうか。と申しますのは、倍額支払い条項を設定いたしました趣旨といたしまして、これは不時の際における災害に伴う物質的な負担を緩和したいという気持でやったわけでございますが、それにいたしましても現在の保険加入者は、世帯主が大半の六〇%を占めております。そういたしますとやはり現在のような実情から見ますと、世帯主が死亡なりしたときにおける給与補充と申しますか、保険的な財源に重点を置いていく方がいいのではないか。しかも私どもがそういうことをやるにつきましては、なるほど災害死された方方の面におきましては、十歳未満をオミットするということは何か権衡をそこなうようでございますが、その財源が相当多くなっていくならば、むしろ世帯主等の死亡の際における保険金の支払い並びに利益配当の増額原資に回した方がいいのではなかろうかというのが、この改正案を出した趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/32
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033・森本靖
○森本委員 それから次に、先ほど郵便貯金法の一部を改正する法律案の提案理由の説明がありましたが、この中でお聞きしたいのは、積立貯金の場合、現在国民の中には一年の積立貯金もやってもらいたい、そういう要望がかなり強いわけでございますが、そういう点についての当局のお考えはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/33
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034・小野吉郎
○小野政府委員 積立貯金を、現行の期間よりも短期なそれを要望されておる声はよく聞きます。その点につきましてはわれわれもいろいろ検討いたしたこともあるのでありますが、何しろ現在の預貯金の全般につきまして、最も理想的なそれは長期資金の獲得でございます。その面から言えば現在の二年のそれは、一年のものよりも郵便貯金のあり方としてはふさわしいのでありまして、ごく短期に引きおろしをしなければならないような種類のものにつきましては、郵便貯金としては各種の種類を設けております。通常貯金もございますし、そういった面から申しまして、理想としてはできるだけ長期のものを吸収いたしたい。かつて積立貯金の期間は三年であったわけでありますが、これもできるだけ短期を要望されるその声にもこたえまして、二年に短縮したわけであります。さらにそれを一年ということも、われわれ必ずしも反対ではないのでありまして、そういう要望があれば郵便貯金としては、各種のそういった要望を漏れなく取り入れるような制度の建前にすべきであることは十分認めるのでありますが、他面郵便貯金の運営の内容充実の点から申しまして、コスト等に対する影響も考えなければなりません。そこで一年制のものを設けることになりますと、われわれとしては一定の条件を具備し得るものでなければならないわけであります。現在も二年制積立貯金の平均一件当りの金額は、毎月七百円の掛金をするというような状況になっておりますが、そういった現状そのままで一年制にいたしましては、非常に割高につくわけであります。従って現在の二年制のものにしましても、七百円が平均であることは非常に低いのでありまして、われわれの希望といたしましては千円見当を希望しているわけであります。ところがなかなかそこまで参りません。いわんやこれを一年制にいたしますと、平均二千円近くにならないとコストの面で非常に難点があるわけであります。実際にそういったコストの平均をもちまして一年制積立貯金が獲得できるものならば、われわれもこれを設けるにやぶさかではないのでありますが、この点について各郵政局方面では在来一年制を非常に要望しております。そういった向きについて与えられたそういった条件を満たし得るものであるかどうか、満たし得るならば一年制をやってもいい、こういうことで諮ってみたのでありますが、各郵政局とも一年制に希望ではありますが、そういったわれわれの方の要望するような内容の積立貯金を獲得することは自信がない、困難であるということで、実はしり込みするというような状況であります。そういう状況で現在の段階では、直ちに一年制積立貯金を設定することは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/34
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035・森本靖
○森本委員 貯金の趣旨からいっても、あなた方は長期に預かるのが一番いいのでありますが、預ける方にすれば、やはり短期でやってもらえば一番便利であると考えられるのは当然でありまして、国民一般やはり現在の二年制よりも、一年制という要望が非常に強いわけであります。今のコストの単価にいたしましても、これを多数募集するという建前に立っているならば、必ずしもそのコストが割高になるということは考えられないと思います。そういう点から考えてみますと、今の場合一年制が無理だとは必ずしも断定ができないと思います。この問題についても私は将来というよりも、今回のこの法案の改正の際に出してもらいたかったわけでありますが、当局の方はそういう問題について、近い将来にそういう方向の改正をする御意思がありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/35
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036・小野吉郎
○小野政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように一年制を開くとすれば、かなりコストの面から一年制の内容のあり方について希望があるわけであります。それをもって今日一年制を全然新設する意志が皆無であるというようなことは、必ずしも結論づけられないわけであります。将来におけるいろいろな研究問題であろうと思います。近い機会にそういうものを設定するかどうかという点につきましては、どこまでもコストの面から与えられたそういう必要な条件を具備するものでなければなりませんので、そういった点に対する成算を見ない限り、現在のところ何ともお答え申し上げることができない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/36
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037・森本靖
○森本委員 それではかりに現在の二年制の場合、七百円という数字が出るということでありますが、それについて今一年制でやった場合、どれだけの金額をとった場合に採算がとれるかということについて、詳細に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/37
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038・小野吉郎
○小野政府委員 先ほどいわゆる数でこなす、よけい取れば一口平均の金額は上らないでもコストは引き合うのではないか、こういうお話もありましたが、今の二年制で行っておりまして、これが切りかえ時になりますと、大体通常いわゆるそういった制度が長く続行している、こういう状態で見ますと、なるほどお説のように数でよけいこなせば、コストは二千円までいかなくても引き合うということは明らかに言えるわけであります。ところが切りかえ時におきまして、一年でばたばた全部おりてしまう。この切りかえは、コストの面でいけば非常な不利な要素になってくるわけでありまして、特に現在の郵便貯金事業としましては、コストの面でまだこれを切り下げなければならないような状況にあります。現在の預託収入をもちましては、年々四十億以上の不足を来たすような実情でありますので、さらに切りかえ時にそういった面から不足分がよけい出ることは、われわれとして最も痛いところでございます。そういった関係で、今直ちに一年制を、そういったコスト面に対する影響なしに、ただ国民の要望があるというだけでこれを新設することは、ちょっと不可能ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/38
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039・森本靖
○森本委員 その切りかえ時というのは、これは二年制であろうが一年制であろうが、切りかえ時における不足額というのは当然出てくるわけでありまして、その際に、現在の二年制であろうとも、なるべくこれを次に切りかえるという方向にいっておると思う。だから一年制の場合でも、切りかえの際にそういう努力は当然しなければならぬのですが、具体的に二年制の場合には七百円という単価が今答弁がありましたので、一年制の場合にはどのくらいの単価になる。それでどのくらいの範囲で、全国的にどのくらいの件数になれば採算が取れるか、そういうふうなことを御説明願いたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/39
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040・小野吉郎
○小野政府委員 先ほど申しましたように、一年制で現在コストが合うようにするには二千円見当を要するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/40
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041・森本靖
○森本委員 一件二千円ということでありますと、その場合一件当り二千円というのは、全国でその募集総額を幾らときめて、その中における一年制が一件当り二千円であれば採算が取れる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/41
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042・小野吉郎
○小野政府委員 現在の二年制のものの取扱いの件数がございます。大体それが移り変るものとして計算いたしまして、一口平均二千円見当にならないと、現在の積立貯金と同じ程度のコストではやっていけないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/42
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043・森本靖
○森本委員 その二千円の場合、その件数を多く募集すれば、単価が下るという理屈にはならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/43
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044・小野吉郎
○小野政府委員 先ほど御答弁いたしました通り、普通の状態で考えればそのようになるわけであります。ただ切りかえがありますので、一年々々でせっかくその年度の目標に対して集積いたしましても、一年末には全部それが払い戻しになる。これが郵便貯金の純増の面から申しますと非常に痛いのでありまして、そういった面を打開していくためには、あるいはその普通の状態の倍数を取る、あるいはそれ以上を取るというような、募集の面で非常な強化をしていかないと、カバーできないわけであります。この面は、幾ら数でこなせばと申しましても限度があろうと思いますので、現在考えられる状況では数で幾ら取りましても、現在の二年制の平均七百円見当、これがかりに一千円になりましても、一年制ではコストは償わないということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/44
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045・森本靖
○森本委員 そうすると、現在の単価でいくと、一年制の場合その二千円というのを千円にすれば、大体現在の件数の倍取ればできるという仮定になるわけでありますが、その場合切りかえにおけるところの純増が減るということですが、これは二年制の場合でもそういうことが言えるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/45
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046・小野吉郎
○小野政府委員 その切りかえ時における影響は同様であります。しかし現在二年制として数年続けておりますので、その切りかえに対するあとのカバーのそれが計画的に順調に流れております。それをさらに短期な一年のものをここに加えることによりまして、切りかえの措置が、現在の二年制をずっと続行いたしますよりも、初年度、次年度あたりには影響がひどく現われるわけであります。これはあらゆるものの切りかえ時において当然起ることでありまして、これはいたし方ない見通しであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/46
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047・森本靖
○森本委員 この問題はここであまりやっておると長くなりますので、詳細な資料なりデータがありましたら御提出を願いたいと思います。なお私の方も自分でその数字によって一度検討してみたいと思いますので、郵政当局の方もこれについての検討を将来お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/47
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048・松井政吉
○松井委員 ちょっと大臣にお尋ねします。簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の改正内容についてでありますが、先ほど同僚井手君が質問したものに関連するのでございますが、銀行業務を営む銀行という第二のところに「重要産業に対して長期資金を融通し」こういう説明をなさっておりますが、この場合の重要産業とは具体的にいっていかなるものをさし、いかなる企業体、いかなる産業を想定しておるか、具体的にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/48
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049・松田竹千代
○松田国務大臣 重要産業とはどういうものをさすかというお尋ねですが、これは一々法律でこれこれを重要産業とするということは、的確にここの場合においても指定されているのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/49
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050・松井政吉
○松井委員 それだから私は大臣の説明書の中に、また説明なさった言葉の中に「重要産業に対して長期資金を融通し」とあるが、それは法律できめられておるのでございましょうけれども、あなたの方で想定をされました重要産業とはいかなるものであるか、これを具体的にお答え願いたい、こういうことなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/50
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051・松田竹千代
○松田国務大臣 重要産業というのは、ここでは要するに長期信用銀行なり興業銀行なりの考えておる重要産業を考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/51
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052・松井政吉
○松井委員 それはちょっとおかしいじゃないですか。要するに長期信用銀行法による銀行業務が取扱っておる融資あるいはその融通先を重要産業と考えて法律案を出すというのは、ちょっとおかしいじゃないですか。要するにこの簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の中において、大臣は管理をしたり運用の責任を負わなければならぬでしょう。明確にうたっておりますね。その大臣が、少くとも長期資金を融通しようという相手方を想定して、法律の改正を行なっているわけであります。その場合に、その相手方が銀行法による銀行であるから、銀行にまかせばいいということはあり得ないのではないですか。その銀行を通じて重要産業とはいかなるものの産業をさすか、こういう具体的な想定がなければ、この説明は行われないはずだ。その具体的な業態の説明をしてほしい、こう言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/52
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053・松田竹千代
○松田国務大臣 特定のこれこれの重要産業ということを今お答え申し上げかねるのでございますが、たとえば長期信用銀行の場合でございますが、こういう左に掲げる業務を営むものというふうに考えております。設備資金または長期運転資金に関する貸付、手形の割引、債務の保証または手形の引き受け、国債、地方債、社債その他の債券、株式または出資証券の応募その他の方法による取得ただし、社債その他の債券、(政府が元本の償還及び利息の支払いについて保証しているものを除く)株式または出資証券については、売り出しの目的で取得する場合を除く。それから国もしくは地方公共団体または貸付先、社債募集の委託会社その他の取引先からの預金のお受け入れ、これらの業務を営むものの考えておるものを対象としてやるという考え方であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/53
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054・松井政吉
○松井委員 そうすれば、たとえば今あなたが説明をされましたのは、それは金融機関ですね。要はその金融機関を通じて貸し与えられる、あるいは融通してやる重要産業とは、一体、どれを想定しているか、こういう質問ですから、その重要産業なるものは想定しないのですか。考えないのですか。大臣がわからなかったら、わかる人に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/54
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055・白根玉喜
○白根政府委員 業務内容は先ほど大臣が御説明したように抽象的になっておりますが、さて融資するときに当りましては、融資の条件、融資先等を私の方で貸す際によく調べまして、それで決定したいと思うのでございます。重要産業はどういう融資先か、どういう対象で、どこの範囲かというところまでは法律に書いてもございませんし、なるほどおっしゃるように、長期信用銀行なり、興業銀行の融資先には、場合によっては大産業の方に融資する場合もあると思いますが、しかしその先の融資の際に認定いたしまして融資したいのでありまして、これは現在の資金貸付状況の業種別を説明いたしますと、これは長期信用銀行でございますが、食品製造業、繊維品製造業、紙類等製造業、化学工業というふうにいろいろありますが、その際に実際の融資の先をよく調べましてやりたいということでございまして、法律的にそのワクがきまっておるわけではございません。ただ御趣旨は、そういうような銀行に貸し付けるのは、公共の簡易保険の資金の性質上おかしいのじゃないかというのが根本だと思いますが、なるほどある程度われわれといたしましてはお説ごもっともの点もございます。しかし一面、これから簡易保険の運用の際におきまして、低利のものに貸さなければならぬ事態が出てくると思うのであります。たとえば現在六分が一番最低でございますが、郵便局舎あたりに貸し付ける際におきましては六分になる。今までは六分以上になっておるわけでございます。そういたしますと、将来国家政策的な建前からいたしまして、六分のグループに貸さなければならぬケースも相当出て参ると思うわけでございます。そういたしますと非常に予定利率が低くなって参ります。あまりに予定利率が低くなって参りますと、保険料の引き下げとかなんとかいうときに相当な問題が出てくるわけであります。従いまして長期信用銀行なり日本興業銀行なりに対しましては、それは額として相当多くやるわけでは全然ないわけであります。せめて六分程度の低利な金利で貸さなければならないという事態が出まして、現に今年は局舎に対しまして五億円でございますが、将来は五億くらいではないと思います。大蔵省から予算的に認められれば、私の方といたしましても五億が十億になってもいいと思うのあります。そうしますと、六分五厘以上で融資しておるのが、六分の客体が出てくるわけでございます。そうするとその利ざやの逆ざやの分程度のものは、ある程度利子収入を少し向上させて、保険料の引き下げなり、利益配当の原資なりに持って参りたい。なるほどこれは金融債にとっては一つのグループにはなっておりますが、さてそれをやるに当りましても、同じ項目に長期信用銀行なり、それから興業銀行域外に商工中金とか農林中金とかあるわけでございます。従いましてこの項の中でウエートをかけて運用をしたいのは、長期信用銀行とか興業銀行よりも、商工中金なり農林中金の方に重点を置いて行きたい。それは一つのワクがそうなっておりますから、そうなっておりますが、一面公共性はむろん維持しなければならぬし、地方公共団体に対する貸付に重点を置くことは問題ない。それに近い、加入者に接着した投資先に投資するのはむろんやるけれども、局舎に対する貸付を六分五厘以上のものを六分でやるというグループが、将来ふえてくる可能性もあると思いますが、そのグループのふえてくる金利差の不利の程度だけは、ある程度金融債でやりたい。しかも金融債の運用の客体としては、金融債の中でも長期信用銀行とか興業銀行よりか、やはり商工中金、農林中金に重点を置いて参りたい。ことに商工中金なり農林中金は御承知のように、一般の人に貸すのでなくて、組織体を通じて貸しておるわけでございます。そういう組織体を通じて組合に貸すことになりますと、えらい厳格な法理論から行けば、これまた公共性がないわけです。むしろ公共性があるのは、銀行方面が公共性があるということが言えるかもしれませんが、とにもかくにも多少公共性というものが形式上くずれても、商工中金なり農林中金のような客体に貸して、加入者の利益に接着した方面に貸したい。そこへたまたま一番最初に長期信用銀行と書いてあるものですから、大産業に非常に重点を置くようにお取りになるのではないかと思いますが、そういう趣旨では毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/55
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056・松井政吉
○松井委員 非常に質問以上のことまで答弁願いまして、御親切にありがとうございましたが、そういう意味ならば、これは削ったらどうですか。「第二は、重要産業に対して」から「銀行業務を営む銀行、」までを削れば、あなたが説明した趣旨が全部生きて参ります。「農林中央金庫及び商工組合中央金庫の発行する」というところで生きてくるのですから、御説明の趣旨がその通りであり、考え方がその通りならば、その間をお削りになったらどうですか。たとえばあなたや大臣が説明するけれども、銀行を通じて融通する場各の相手方は把握していないようです。またそれを考えていないようです。考えていない、想定することのできないところを相手にするよりも、明瞭に農林中央金庫、商工組合中央金庫は、あなたの御説明なさったようにちゃんと相手はわかっておるのです。だからそういう意味から言えば、大臣の説明にある、あるいは法律の改正の中にうたわれておる「第二の、重要産業」から「営む銀行、」までをお削りになる方がよろしいと思う。これはただいまこう言ったってあなた方の方は、はい承知しました、削りましょうと言わぬでしょうから、われわれが審議の過程においてもっと掘り下げて研究したいと思いますが、そういう考え方で答弁をお伺いしても、こういう説明の仕方とこういう法律の出し方については、われわれとしては非常に納得いかないものがある。もっと検討して出すべきだと思うのです。これは手続の問題ですからよけいなことは申し上げませんが、そこでお伺いをいたしますが、ただいま「重要産業に対して長期資金を融通し、」から「銀行法による」というところは重大でないのだ、こういう説明がなされましたが、その考え方はわれわれも同じことなんです。けれどもここえうたってある限り、うたってあるものとして質問しなければならないのであります。たとえばただいまのこの積立金並びに郵便年金、簡保等は、全部零細なる全国民が積み立てているものと考えなければならない、あるいは保険金として納めたものと考えなければならない。その場合に、今日の地方自治体の赤字並びに県債、それとこの関係というものについて十分に考えたことがございますか。それとも全然そういうことについて考慮なさったことがないかどうか。この法律案提出までにおける経過の中にそういうことがあったかどうか、ちょっとこれをお伺いしたいと思います。大臣は法律を提出するまでの間参画してないのですか。大臣がわからなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/56
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057・松田竹千代
○松田国務大臣 一応の説明は伺ったわけでありますけれども、また詳しいことは、その経緯についてはその時日がありませんでしたからわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/57
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058・松井政吉
○松井委員 それでは大臣わからぬとおっしゃるから、一つあなたの方から説明を詳しく伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/58
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059・白根玉喜
○白根政府委員 ちょっと聞き漏らして、あるいは御答弁にならぬことになるかもしれませんが、御質問の趣旨に合わなかったらもう一ぺん御答弁さしていただきます。御承知のように、地方公共団体に重点を置いて現在の運用法はなっておりまして、それがこういうふうに変った経緯はどうかというお話だったと拝聴しておりますが、間違っておったらまたあとで御答弁申し上げます。
考え方といたしましては、地方還元といたしましても、地方公共団体に対する貸付だけが地方還元でなくて、地方銀行といたしましても、各地方に散布しておるような銀行で、しかも特殊といっても特殊銀行とまでいきませんが、やはり中小企業等の融資の対象に実際動いておる銀行をキャッチしたのが、この提案の趣旨であります。なるほどおっしゃるように、この種の銀行でも大企業に投資しておる部分が相当多いことはよく承知しておりますが、しかし先ほど申し上げました金利の向上の面もございますし、また一面、操作資金として短期の融資をしないと、御承知のように、現在の余裕金が大蔵省に預けまして、そうしてある一定の期限の間は引き出すわけにいかないわけでありますが、その間に短期融資はしなければならない、長期融資もしなければならない。その調節を円満にやるためには、相当短期の融資という性格を持たなければならぬ部分が多いのでございます。ところが、このうちでも商工中金とか農林中金とかいうのは、どちらかと申しますと長期性を相当持って参るわけでございます。従いまして操作資金の面からいたしまして、多少長期銀行なり興業銀行なりに融資する場合が予定されますので、主として金利の面も考え、しかも操作資金を円滑にすることは短期融資なり長期融資を円滑にする趣旨になる、こういう意味でこれをプラスしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/59
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060・松井政吉
○松井委員 そういうことを聞いているのじゃありません。全然お伺いしたことと答弁が違っておる。なぜ私は大臣にその経緯を聞いたかというと、これは郵政省だけの問題ではないのです。内閣の財政経済計画につながる問題だから、国務大臣としての責任において、この法律案提出までの経緯について大臣にお答えを願いたい。というのは、私が聞かんとするところはこういうことなんです。具体的に申し上げますと、かりに今地方財政の赤字は五百億になろうとしておりますね。そうすると、一つの県において、早く言えば直接の赤字を二十億円持っておる。債券によるそういうものを含めると五十億ある。そうすると、合計して七十億からの借金と赤字を持っている県があったと仮定をする。ところがその県においては、郵便年金と簡易保険を寄せると百五十億円の県民の積立金がきておる。そういう場合の扱い方、それよりもこの重要産業とうたった銀行法による方の融資が大切だとお考えになったのかどうか。この法律を提出するまでの間に、大蔵省との関係において、地方財政の赤字を克服するために、県民の納めた簡保の金と積立金を使うような議論はなされておったか。なされなかったか。なされておったとすれば、どういうふうになされておったか。全然なされなかったとすれば、考慮に置かなかったということになる。たとえば二十億円の直接赤字を持っている県で、十億円のいわゆるただいまの融資が回っただけでも、地方財政の赤字というものは非常に克服しやすくなるのです。それを全然やらない。この地方財政の赤字というものは単に県民が作った赤字ではないのです。県の自治体だけが作った赤字ではないのです。これは国が地方の所得税を中心とした配付税法を変えて、そして平衡交付金制度を行い始めたところから出発している赤字なんです。これは大臣よく御承知の通りなんです。そういうものについて、県民が積み立てる金、県民が保険として加入している金が、かりに公共団体を中心に融通できるとすれば、今度の改正法案等はそういうところが中心に改正されてこなければならないのに、何で民間銀行を通じて重要産業とおっしゃる側にやらなければならないか。額は少くてもいいです。一割というのですが、百五十億の県民が積み立てておる運用資金から一割といえば十五億、今十五億を県の自治体にやってごらんなさい。県の赤字は日本全国大半救われます。そういうことについて研究したことがあるか、議論になったことがあるか、考慮したことがあるか、なかったかということを説明してほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/60
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061・松田竹千代
○松田国務大臣 松井さんのお説の通りでございまして、むしろそれはこの簡保の制度の本来の趣旨から申しましても当然のことでございますので、むろんそうあるべきことであると思っております。従って、地方還元の趣旨を体して、大体においてこれまでもその通りにやって参ったわけであります。現在も地方自治体に対する貸付を中心として運用しておるわけでございますが、先ほど来事務当局から御説明申し上げたような点もございまして、このワク広げとなったのでございますが、特に一般産業に対して貸し付けることになった点についての御指摘の点、本来の趣旨に反するではないかという考え方はむろん当然であろうと思います。しかしこれもまた重要産業にとどまらず、商工中金、農林中央金庫その他一般に対しまして融資することも、全然本来の趣旨を没却するということにはならないという考え方もできると思います。またこれらを長期信用銀行なりその他に貸し付ける面に対しましては、その内容について公共性を十分検討し、さらに国家的見地からその緊急性も十分に検討した上でなければ、やはり貸付が現実において行なわれないものと考えておりますから、この点も差しつかえないのではないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/61
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062・松井政吉
○松井委員 それではお伺いいたしますが、今大臣はそういう目的で運用するのが、この積立金運用の当然の趣旨だとはっきり御答弁になりました。大胆もその通り考えておる、こういうことですね。それが法律上はこういう工合に変ってきた。いわゆる積立金の運用に関する法律の第二条では「積立金は、郵政大臣が管理し、及び運用する。」というように、法律上明白に権限が与えられておる。その権限を与えられておるあなたがそう考えておられるにかかわらず、それに反する法律案が提出されておる。これはどこでそうなったのですか。責任者のあなたが私の質問する通りに、そういう工合にやりたいと考えているが、出てきた法律案は趣旨が違う。どこであなたの趣旨が曲げられたのか、その点を参考までにお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/62
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063・松田竹千代
○松田国務大臣 私も就任以来いろいろ事務当局より説明を伺っておりますけれども、まだ聞いておらない面もたくさんあるのでございまして、たまたまこの法律案の出るに至った経緯について詳しい説明を受けていなかったので、御質疑に対して十分御満足のいくようなお答えのできないことを遺憾とします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/63
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064・松井政吉
○松井委員 議論をするわけではございませんが、要するに大臣はその経緯を知らなかったということになりますが、たとえば大蔵省の方でそれがいれられなかったということになれば、われわれは大蔵省当局にも出てもらって質疑を行なわなければならない。そういうことが考えられるのでお伺いしたのだけれども、とにかく経緯を知らなかったということですが、それならば国務大臣の資格において、私がこれから質問することに御答弁願いたい。
たとえば一般会計、特別会計、政府関係機関予算が今審議されておりますが、予算提出の責任は国務大臣としてあなたも一部負わなければいかぬ。その予算とこれとは関係がございますよ。国家財政の立場から関係のないはずはない。大蔵省とも打ち合せをしていないはずはない。そうでございましょう。そうなってくると、あなたが知ちないということはでき得ないことになりますよ。よろしゅうございますか。しかも地方財政の赤字は、地方の県民や都氏の責任でないのにできた赤字である。これはやはり国が救ってやらなければならない今日の至上命令です。それを救うために現内閣は今一体何を考えているか。要するに今度は固定資産税の百分の一・四を引き下げたという形で減税を逃げて、事実は評価額を上げている。土地を中心とした農産物の売買をする農民に対する土地の評価というものは、全国平均三〇%上っているのです。そうすると簡易保険金を積んでいる、年金を積んでいる農民が、それを利用して自分たちの県の赤字を減らしたり、財政を豊かにすることができなくて、二割から三割の税金の負担をこうむらなければならないのです。それとこの積立金の運用というものは、国家の金融計画、財政計画、経済計画と切り離して考えることのできないものなのです。それを国務大臣の資格におけるあなたが、こういう重要な法律を提出する場合に、いかなる考え方でお答えになったか知らぬけれども、「国民経済の振興」だとか、「国民生活の安定上」という言葉を用いている。一体県民というのは国民なんです。県民が集まって国をなしているのです。そういう場合のことが議論をされないで、軽々にこういう法律が出せるはずがない。予算の審議と税制改革の問題とについて、国務大臣としてあなたは参画したのかしないのか、協議にあずかったのかあずからなかったのか、明確に御答弁願いたい。経過はわからぬでは、責任は負えませんぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/64
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065・松田竹千代
○松田国務大臣 私はこの法律案を提出する過程において、その経緯を詳しく聞いている時がなかったということだけを申し上げたのであって、決して予算に関係のあるこの法律案を出すことについて、責任を持っておらぬということを申し上げているのではないのでありまして、むろんこの法律案の改正によって、その改正の趣旨が簡保本来の趣旨にもとると考えているものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/65
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066・松井政吉
○松井委員 それではあなたの考え方は答弁ごとに違うようです。先ほど私が申し上げたように、あなたは運用に関する趣旨と、根本の原則というものはお認めになっている。その考え方が、先ほど説明員の方が親切に御説明になった第二項の「農林中央金庫」までの間の文字が誤解になっている。文字でなくて、実際にやろうとすることについて誤解になっている。そういうことについてあなたは経過を知らないと言って逃げたり、あるいは責任を負うと言ってみたり、あるいは趣旨は全く同感だと言ってみたり、どれが一体ほんとうなのですか。そういうことのやりとりを私はしているのではないのです。問題は趣旨に反しない運用をすることが一番重大であるのと、国民生活の安定と国民経済の振興を考えるならば、第二項の「重要産業」からの文字はむしろ重要視するのではなくて、地方財政の赤字克服のために県民が積み立てた金を使うという趣旨にのっとり、それが日本経済の上で一番重要だ、こう考える。そのことについてあなたは賛成なさった。賛成なさっているにもかかわらず、この法律案はあなたの考え方と違っていたのであるが、この経過の中においてどこの部分がそういうことではいけないと言ったので変ったのか。あなたの考え方の変った場所を一つ聞かせて下さい。その場所についてわれわれはつまびらかに質疑を行いたい。どこの場所で違ったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/66
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067・松田竹千代
○松田国務大臣 私の考え方は変っていないつもりであります。今おっしゃったように、この制度は御説のような趣旨で運営されべきものであり、またそうされていると信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/67
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068・松井政吉
○松井委員 それならばちょっとお伺いいたしますが、この法律案を提出する前に、当然郵政省だけでなく各省間において、あるいは内閣においても協議なさたっと思います。その協議をなさった場合に、たとえば日本の金融関係全体の元締めといわれる大蔵省側の見解は、一体どういう見解であったかおわかりですか。おわかりであったら大臣から御説明願いたい。わかっているとさっきから言っているのだから、責任を持つと言っておるから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/68
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069・松田竹千代
○松田国務大臣 大蔵省も郵政省と同等の考えをもってやっておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/69
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070・松井政吉
○松井委員 同等の考えといったって、あなたの考え方は違うじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/70
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071・松田竹千代
○松田国務大臣 違いませんつもりです。私の考えは変っておらぬつもりでおります。どの点ですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/71
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072・松井政吉
○松井委員 それではあなたにお伺いしますが、それならば先ほど申し上げたように、地方の県民諸君が年金や保険金を納めている。それは県民生活の安定のために使うことが趣旨である。あるいは県民即国民全体の要するに経済振興のために使うことが目的であるということをお認めになりましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/72
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073・松田竹千代
○松田国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/73
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074・松井政吉
○松井委員 そうなればこの重要産業よりも、先ほど私が言ったように、県債の引き受けに充てるか、さもなければ赤字克服のための融資をするか、その方が先だと言ったら、あなたはその通りだとおっしゃっておる。そうでしょう。松田国務大臣そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/74
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075・松井政吉
○松井委員 そうなれば、その考え方と第二項の重要産業からの考え方とは矛盾しているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/75
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076・松田竹千代
○松田国務大臣 全然矛盾しているとは私は考えておりませんので、主としてやはり地方自治体を中心としてこの簡保の資金が逆用されておる。現在でも今後もそういう方針でやっていかれるものと思います。ただその一部の資金を、ここに出しておりますワク広げの法律改正によって、その方に回すということでありまして、それは必ずしも本来の趣旨に全然もとるとは考えておりません。これもやはり国家全体の産業を助長する上において役立つことであり、関連を持つものであって、全然本来の趣旨を没却したものだとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/76
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077・松井政吉
○松井委員 そこまで来るとあなたの言うことは支離滅裂だけれども、結論は考え方の相違ということになりますが、それならば新たにもう一ぺん、この説明書に書いてあるだけではなくて、変っていないと言いながら、新たな貸付のワクを、そうして新たな幅の広いワクを——先ほど金利の六分のことでお伺いいたしましたけれども、この趣旨に基いた公共団体対象でなくて、銀行屋の仲間入りをしなければならないような考え方においてワクを広げたというのは、一体どういう意味なのですか。これは大臣からお伺いしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/77
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078・松田竹千代
○松田国務大臣 銀行業務を営むようなことをするということは、けしからぬじゃないかというお話でありましたね。これも特定のものをさしておるのであって、その事業内容等から考えてみけして、私は趣旨を全然失っておるものでないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/78
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079・松井政吉
○松井委員 もう打ち切りますが、特定のものと言うから、特定のものという、重要産業とはいかなるものかとさっきから聞いておるじゃないですか。それでは特定のものを説明していただきましょう。特定のものと答えながら重要産業とうたった、その重要産業の種類をあげていただきましゃう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/79
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080・松田竹千代
○松田国務大臣 私の申し上げた特定というのは、重要産業を指定したのでなくして、この特定の銀行を限ってのことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/80
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081・松井政吉
○松井委員 だって、法律案とあなたの説明の中には、重要産業に対して長期融資をすると書いてあるじゃないか。それでいて特別というのは重要産業でないというのは、一体どういうことだ一体それはどういうことなんです。特定とあなたは言いながら、あなたの説明の特定の中には、「重要産業に対して長期資金を融通し、」と書いてあるじゃないですか。その重要産業の内容は一体何かというのです。わからないで法律案を出すはずはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/81
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082・松田竹千代
○松田国務大臣 その要産業と申すのは、説明にあるわけですが、私の申し上げた特定の相手というものは、長期信用銀行法による長期信用銀行をさしたのですが、その他農林、中小企業金融公庫その他をさしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/82
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083・松井政吉
○松井委員 それでは整理をして申し上げますが、それではあなた方は、この説明には重要産業と書いてあるが、これは間違いであって、あなた方の特定という意味は、やはり長期信用銀行法による銀行をさしておるのだ。だから銀行へ行くまでの間が、あなた方の今度の法律の内容であって、銀行がどの産業に貸そうとも、それは銀行にまかしてしまうのだという意味ですか、どういう意味なんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/83
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084・松田竹千代
○松田国務大臣 まかしてしまうというわけではございません。それは個々の県が上ってきたときに、十分に厳重に調べて、調査の上で妥当なりと考えた場合にのみ貸しつけるわけでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/84
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085・松井政吉
○松井委員 その個々の上ってくるケース、その個々の上ってくる相手方というものの想定をしたことがあるかとさっきから聞いているのだけれども、ないということです。想定なくして法律が出せるはずはないじゃないですか。どういうものを上げてくるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/85
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086・松前重義
○松前委員長 政府委員でようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/86
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087・松井政吉
○松井委員 大臣がわからなければ、わかる人でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/87
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088・白根玉喜
○白根政府委員 先ほど来御質問に間違ったことを申し上げて、大へん恐縮でございます。御趣旨を誤解いたしまして、答弁になっていなかったことをおわびいたします。先ほど来の御質問の要旨は、現在の地方公共団体の現状から見て、それに対する資金量を相当拡大する必要があるときに、金融債のごときをワクを広げてやるのは行き過ぎじゃないか、こういうお話でございまして、しかもそれは郵政省だけの問題でなくて、大蔵省の投資計画全体を含んでの御質問のようであったわけでございます。その点について、これは大蔵省でなければ全体の問題は責任もって御答弁はできませんけれども、一応私手元に持っておる資料を中心にして御説明をさしていただきたいと、かように存ずるわけでございます。
なるほど御説のように、地方公共団体の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/88
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089・松井政吉
○松井委員 いや、あなたに聞いているのは、それを聞いているのじゃない。ただいま部分的に大臣にお伺いいたしました、重要産業で銀行を通じて個々別々に上ってくると思われるその産業というものは、どういうものかということだけを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/89
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090・白根玉喜
○白根政府委員 それは大臣の御説明の中に重要産業と申し上げましたが、これは気持を申し上げますと、普通の銀行と違いまして、長期信用銀行法に基く銀行は特別な措置で法律ができておるので、その銀行の性格は、普通銀行に比較いたしまして重要産業に投資する性格を持っておるのだろうと、こう認定してやっただけでございまして、個々のケース、それはどの事業どの事業という対象でやったのでないのでございまして、そこは一つ松井先生、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/90
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091・井手以誠
○井手委員 議事進行について。この長期信用銀行に関する新たな指定については、当局も非常に苦しそうだったから私は遠慮したのです。実はあなたが先刻来金利がどうのとかいう商売気も出されたようですし、また今松井委員の質問に対して財政投融資計画も出ておるようであります。これはいわゆる鳩山内閣の一枚看板である住宅政策に関連して、このワクが広げられたという印象が非常に強いのであります。この財政投融資計画を見ますとはっきりいたします。そこで私はこの際、郵政省の考えでこういうものができたとはどうも考えかねるのであります。この際大蔵省も呼んでいただいて、引続き審議を進めたいと思います。委員長においてさよう取り計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/91
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092・成田知巳
○成田委員 ちょっと関連して。今の松井委員と郵政大臣の質疑応答を聞いておりましたが、松井委員は郵政大臣の考え方が変ったと言うし、大臣は変っていないと言われる。もともと変ったのじゃないので、大臣はお考えがないものと思う。そこで一つお伺いしたいのですが、今松井委員の質問に対して、簡易生命保険の積立金を性格上地方公共団体へ返すのが趣旨だ、こう言われました。現在完全に地方公共団体にそれが回っているかどうか。今松井委員は十五億とか二十億とか例を出して質問されておりましたが、現在地方公共団体へ簡易生命保険の金が満足するほど回っておるかどうか、これをまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/92
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093・松田竹千代
○松田国務大臣 大部分の金は地方公共団体の方に回っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/93
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094・成田知巳
○成田委員 それは積立金の大部分が回っているというのですが、地方公共団体の立場からいって、自分たちが満足するだけ回してくれているとお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/94
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095・松田竹千代
○松田国務大臣 郵便貯金の方も全国から出ておる金でありますから、これまた地方還元をしている、そういう意味において趣旨は大体同じだ、郵便貯金の金も同じであると思います。従って全部が全部地方団体に適当に還元しているかといえば、現在のところは全部ではございませんけれども、大部分はそういうことになっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/95
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096・成田知巳
○成田委員 その積立金の全額が回っているか回っていないかということを聞いておるのじゃないのです。大部分回っておるかもしれませんが、地方公共団体が満足する状態までいっているかどうか。もとの趣旨からいえば地方公共団体へ還元すべきものだ。これはあなたもお認めになっておるが、現在の実情は地方団体が満足するまでいっていないと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/96
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097・松田竹千代
○松田国務大臣 地方が赤字財政に悩む現状として、満足する程度にいっているとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/97
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098・成田知巳
○成田委員 そこで満足する程度までいっていないのに、現在ワクを広げて、さらに他の産業に回すというような法案の改正をなぜお出しになったのか。現在完全に満足して余裕があれば、その余裕あるものは他の産業に回す、こういう態勢をお考えになるのは当然だと思うのですが、現在でさえまだ満足にいっていない、こういうときになぜワクを広げて他の産業にお回しになるのか。そこはやはり大蔵省の圧力に屈したのじゃないかという感じがするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/98
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099・松田竹千代
○松田国務大臣 私が地方が必ずしも満足している程度までいっていないということを申し上げたのは、地方の自治体の要請する資金は、多々ますます弁ずる方がいいのでありますから、そういう意味合いにおいて私は満足している程度にまでいっていないということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/99
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100・成田知巳
○成田委員 多々ますます弁ずると言われた。それは当然そうだろうと思う。しかし現在でもまだ資金運用部資金、簡易生命保険積立金ですか、あるいは郵便貯金ですか、この運用状況からいくと、地方の財政からいってもう少しもらいたいのだ。しかもこの積立金の運用資金というものは、やはり地方公共団体に還元するのが趣旨だろうと思うのです。現在でも満足してないのに、さらにワクを広げるということは私はわからない。一応趣旨通りにいって、地方公共団体が満足する状態になっておれば、しかも余裕があればワクを広げるということはわかるが、現在まだ十分満足するまでいってない段階において、なぜワクを拡げるようにお考えになるか。私はそこを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/100
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101・松田竹千代
○松田国務大臣 むろん主張もいたしました。しかしこの地方の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/101
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102・成田知巳
○成田委員 負けたのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/102
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103・松田竹千代
○松田国務大臣 そうではない。私の言うのはワクを広げることによって、むしろある意味においては地方の自治体のみならず、地方民によけいに必要な方面に還元するのではないかという考え方を持っておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/103
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104・成田知巳
○成田委員 ある意味においてはそういう点はあるかと思いますが、それは趣旨からいって間接的だろうと思う。地方公共団体その他に回すということが趣旨だと思う。まず余裕ができた場合に他のワクに持っていく。それが結果として間接的に地方公共団体に還元する。まず重点的に直接的な効果をねらってやるのがほんとうではないか。それを現在の状態においてワクを広げて、間接的な効果をねらっておるとしか思われない。これは大蔵省の圧力に屈したのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/104
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105・松田竹千代
○松田国務大臣 決して大蔵省の要請に基いてこれをやったわけではございません。私どもの考えといたしましても皆さんの御承知の通り、地方自治体に対しての貸付のことを考えてみましても、従来往々にしてそれほど緊急でないと思われるようなことにも貸してきているような面もある。たとえば自治体の庁舎のごとき、いわば自治体としての晴れ着、普段着よりも晴れ着に金を使ってきておるというような面も、ある程度行き過ぎておるのではないかというような考え方も持てると思う。従って地方自治体のほかのこれこれの公共性を持った団体、法の許す団体に貸し付けるということも、決して地方還元の趣旨にもとるわけでもなし、適当なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/105
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106・成田知巳
○成田委員 地方公共団体に貸し付けた金が不要不急の方に使われた、こういうわけですが、もちろん運用の間違いがあったと思う。しかし精神はあくまでも地方公共団体に還元する、これが第一だと思うのです。何回も繰り返すようですが、余裕ができて初めて他のワクに回すべきだ。まだ余裕もない、地方財政が非常に苦しいときに、なぜワクを広げて他の産業に回すようにお考えになったか、私の聞きたいのはそこなんです。もちろん今までの地方に還元した金で、地方公共団体が正しい使い方をしなかった点もあるでしょう。しかしそれは一つの例外なんです。だからといって、現在の状態で他のワクに持っていくということは、やはり運用の根本趣旨に反する、こういうことをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/106
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107・松田竹千代
○松田国務大臣 いずれを先にすべきかという点も、むろんお話の通り主として地方に貸し付けていかなければならぬということは、先ほどから申し上げるように同じ趣旨でやっておるわけであります。それに全然もとらぬ範囲内においてワク広げをやっておる、こういうような格好になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/107
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108・松前重義
○松前委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01019550509/108
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