1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月十一日(水曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 松前 重義君
理事 齋藤 憲三君 理事 濱地 文平君
理事 中垣 國男君 理事 橋本登美三郎君
理事 井手 以誠君
秋田 大助君 宇田 耕一君
川崎末五郎君 椎熊 三郎君
佐々木更三君 成田 知巳君
森本 靖君 八木 一男君
前田榮之助君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 松田竹千代君
出席政府委員
郵政事務官
(簡易保険局
長) 白根 玉喜君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局資金課
長) 福田 勝君
郵政事務官
(大臣官房文書
課長) 佐方 信博君
郵政事務官
(大臣官房人事
部長) 宮本 武夫君
専 門 員 稲田 穣君
専 門 員 山戸 利生君
専 門 員 吉田 弘苗君
専 門 員 中村 寅市君
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五月十日
林田郵便局の電報配達業務存続に関する請願(
田万廣文君紹介)(第五三二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一九号)
郵便年金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二〇号)
簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第
二二号)
郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二五号)
郵便振替貯金法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二六号)
紫雲丸積載郵便物の被害状況等に関する件
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001・松前重義
○松前委員長 これより会議を開きます。
この際森本委員より発言を求められておりますので、これを許します。森本靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/1
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002・森本靖
○森本委員 これはけさのラジオで報道されたわけですが、宇高連絡船が衝突をして沈没したという報道がされておりますが、これに対しまして相当郵便物が積まれておつたわけでありますが、その詳細な報告が入つておつたら説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/2
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003・松田竹千代
○松田国務大臣 ただいまの森本委員の御質疑でありますが、まだ詳しい報告は参つておりません。高松市を六時四十分に出帆いたしました紫雲丸というのが、女木島沖合いを去る約二十分くらい、距離にいたしまして高松より〇・六海里の辺でございますが、貨物船の国鉄第三宇高丸と衝突いたしまして、直ちに沈没したということなんでございます。乗客が四百名から五百名くらい、修学旅行の人々でございますが、郵政省といたしましては、通常郵便物、大郵袋が二、小包郵便物が六ということになつておりまして、乗務員が高松鉄郵事務官が一人、川野広文という人でありますが搭乗しておつたわけでありますが、生死のほどは不明になつておりまして、それだけの報告よりまだ参つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/3
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004・森本靖
○森本委員 この連絡船に搭載されておつた郵便物は、通常郵便袋が二個と小包郵便袋が二個、その四個でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/4
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005・松田竹千代
○松田国務大臣 両方合計で八個でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/5
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006・森本靖
○森本委員 もう一回その郵袋の個数をおつしやつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/6
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007・松田竹千代
○松田国務大臣 通常郵便物、大郵袋が二個、小包郵便物は六個でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/7
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008・森本靖
○森本委員 その通常郵袋の二個の内容と、それから小包郵袋の六個の内容はまだ詳細にわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/8
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009・松田竹千代
○松田国務大臣 今のところまだはつきりいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/9
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010・森本靖
○森本委員 この事故に関しましては、この郵便物の帰趨に関しまして相当関心を持つていると思いますので、早急にこの郵便物の調査並びにその内容等の発表できるようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/10
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011・松田竹千代
○松田国務大臣 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/11
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012・森本靖
○森本委員 それではこの件はこれで打ち切りまして、別途に緊急にちよつとお伺いしたいわけでありますが、過日私の方からちよつと申し上げましたように、新潟県の横越特定郵便局長の任用の件であります。これに対して委員会において説明ができる方おられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/12
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013・佐方信博
○佐方説明員 政府委員が別の委員会に呼ばれておりますのでちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/13
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014・森本靖
○森本委員 それでは大臣にお聞きいたしますが、この公務員に対する退職金の支給は、今大体どういう考え方に基いて退職金を支給されておりますか。たとえば公務員に対する退職金を支給するというのは、その退職される人の将来の生活保障とか、そういう意味において退職金が支給されておると思うのでありますが、それについての御見解をちよつと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/14
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015・松田竹千代
○松田国務大臣 退職金の問題につきましてはそれぞれ規定があると思いますから、それに準じて支給していると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/15
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016・森本靖
○森本委員 この問題は、大体普通郵便局の次長といえば相当な、現業では上の方ですが、そういう方がこの三月に倍額の退職金の支払いを受けて退職をして、それで二日後に特定郵便局長に任用せられた、こういう問題が持ち上つておるわけでありますが、これは明らかに退職金の詐取というようなことになりはせぬですか。これは私が土曜日の委員会のときに、この問題を委員会に出すから十分に検討しておいていただきたい、こういうことを申し上げてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/16
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017・松田竹千代
○松田国務大臣 この問題につきましては、当局であります人事部長から直接に的確にお答え申し上げた方がよろしいと思いますので、別の機会にお願いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/17
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018・椎熊三郎
○椎熊委員 ちよつとそれに関連して。突然来て何ですが、こういう問題が出たから、この機会に聞きたいのです。樺太の特定郵便局長か戦争で引き揚げて来たのですが、それには退職金というものは行つてないです。かつて衆議院の方でも参議院の方でも請願が採択になつておるのです。普通の内地における局長の退職金と同じ待遇にしてやれという請願が採択になつておるが、いまだにやつていないのだそうであります。その陳情が猛烈に最近来ておりますが、恩給局の方で聞くと、やめる時分に五万円かの金をやつた、その金の性質は何か違うのであつて、退職金の内容でないものをやつてあるのだそうです。それをやつてあるからやらぬというのですが、実際はどうなつておるのですか。毎年この問題が起きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/18
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019・松田竹千代
○松田国務大臣 政府委員より答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/19
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020・宮本武夫
○宮本説明員 新潟県の特定郵便局長の任用についてお尋ねだと思いますので、お答えいたします。これは新潟県の横越という特定郵便局のことでありまして、新潟県の郵便局の次長をやつておりました飯田という者を、三月の末に横越の局長に任用したことであります。いきさつを申し上げますと、三月におきまして郵便局長級の整理を若干行なつた次第でございます。これは御承知の通り、二十九年度におきまして特別待命並びに臨時待命による行政整理が行われたのでありますが、郵政省といたしまして、閣議決定による整理資金が若干残つておりましたから、一応臨時待命、特別待命は去年の六月で済んだことでありますが、年度末までにその整理資金を支給し得る方法がありましたので、なお希望者によりまして、整理資金をもらえれば退職しても差しつかえないのだという者も若干あるというふうな考えからしまして、全国におきまして約十四、五名の郵便局長、次長という者を、整理資金を支給しまして退職さしたことがあるのでございます。たまたま飯田という新潟郵便局の次長が、年令その他の点からいたししまして、長野郵政局におきまして本人にこれを話しましたところ、整理の退職金がもらえるならば退職しても差しつかえない、こういうふうに話がありました。それは二月の末のことであります。そして三月の初めにその話が大体きまりまして、この次長は多年郵政の部内に奉職して相当功労があつたのであります。長町郵政局におきましてこれを整理退職に入れることにいたしまして、その措置をとつた次第でございます。当時この飯田次長は、自分は整理資金をもらつて今度退職したいが、しかしこのまま遊んでいるわけにもいかぬ、あるいは新しい商売を始めるか、それもなかなかめんどうだろうから、もし適当な機会に適当な特定局長にしてもらえば、ぜひしていただきたいということの意思を表明されておつたのであります。それで、三月の末になりまして、私どもの方といたしましては、大体退職のことは三月のごく初めにきまつておつたのであります。が、本人のためを考えまして、三月一ぱいに退職せしめればいいのでありますから、発令をずつと延ばして、三月の二十八日に退職発令をいたした次第でございます。その当時新潟県の横越という特定局がたまたまいろいろな事情から、そこの局長をその近所の特定局へ転勤せしめることになりまして、その横越の局長があいた次第でございます。横越の特定局というのは、従来成績がやや不振でありまして、後任の局長としては練達堪能の者をぜひ局長にしたい、こういう長野郵政局の見解でありまして、たまたま飯田次長が退職したものでありますから、なるべく早くこれを埋めた方がいいという考えからいたしまして、三十日に飯田前次長を横越の特定局長に任用いたした、こういういきさつでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/20
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021・椎熊三郎
○椎熊委員 ついでに樺太の方も。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/21
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022・宮本武夫
○宮本説明員 その点は調べまして、御返事申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/22
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023・森本靖
○森本委員 三月三十日に任用した飯田局長の号俸と金額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/23
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024・宮本武夫
○宮本説明員 十一級の二号か三号です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/24
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025・森本靖
○森本委員 この整理退職の退職金を普通の倍額支払うということは、あなたは非常に老齢になられてお気の毒だから、倍額の退職金を出すから、国家的見地からやめてもらいたい、こういう趣旨です。そういうことでやめる人に倍額の退職金を二十八日に出してやめていただいて、そうして三十日二日おいてすぐ十一級、これは相当高級ですが、十一の二号で採用するということは、政府はみずから冗費節約ということを言つているのですが、一体大臣はこういうことをどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/25
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026・松田竹千代
○松田国務大臣 この飯田某の局長任命が、退職後、しかも退職手当を出したあと二日後に任命されたということ、は、それだけ承わつただけではもちろんいい格好ではないと考えます。しかしその地方の実情、また急速に任命しなければならなかつた実情等も勘案いたしますと、そういう場合もやむを得なかつたのだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/26
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027・森本靖
○森本委員 それは地方の実情でいかなる実情があつたにせよ、二十八日にしかも倍額の退職金を支払つて、二日後に十一級二号なり三号なりで採用するということは、どう考えても国民の血税をむだに使つておる、こう考えても仕方がないと思うのです。その点大臣はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/27
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028・松田竹千代
○松田国務大臣 退職の当時には、やがて二日後に任命するということは予想しなかつたのであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/28
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029・森本靖
○森本委員 そういう答弁はおかしいと思うのです。こういうことを郵政当局が話をしておる際に、大体何日に退職をして何日ごろにこれが特定郵便局長になるかという、そういう見通しのもとに退職金を支払つてやつておるわけでしよう。だからこれは何も退職金を支払わなくても、三月二十八日付で横越郵便局長にそのまま現職で横がわりするということは、現在できるわけです。退職金を支払わずに、転勤命令によつてそれはできるはずだ。そういうことをやるのが普通であつて、こういうことは明らかに行政上のミスであるというふうに考えるのですが、大臣はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/29
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030・松田竹千代
○松田国務大臣 森本委員のお話を伺えば、そういうようなおつしやるような事情でございますならば、さかのぼつて二十八日に引き続いて任命する形をとつた方がよろしかつたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/30
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031・森本靖
○森本委員 それでは、将来はこういうことはもう絶対にやらないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/31
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032・松田竹千代
○松田国務大臣 そういうことはやるべきでないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/32
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033・宮本武夫
○宮本説明員 私から大体補足して御説明申し上げます。確かにその格好だけを見ますれば、二十八日に退職発令をいたしまして、三十日に特定郵便局長に任用した限り、その期間がわずか二日でありまして、一般の例から申しますれば、後任局長の補充に相当の日にちを要する実例からいたしますれば、確かに非常にまれな例であると私ども考えております。ただ先ほどもちよつと申し上げましたように、二十八日に発令いたしましたのは、やはり三月一ぱいまでは整理後でもその地位にあるのでありますからして、三月のごく初めに話はきまつておつたのでありますが、三月一ぱいと申しますか、月末近くまで現職にやはり置いてやるというふうにこちらが親切に考えた次第でございまして、三月の初めに話をしましたときには、決して横越に持つていくことを条件にしたり、あるいはそれを予定してやつたということはないのであります。わずかに二日の期間でありますから、いかにも計画的にやつたというふうに考えられるかと思うのでございますけれども、決してそういうふうに計画的にやつたことではないのでありまして、退職の話がきまりましたときにはそういうことになつていた。ただ本人としては適当な特定郵便局長があれば、適当な機会にお願いしたい、こういうわけでございました。
それから転換でも差しつかえないじやないかということでありますが、それは結果から見ますれば確かに転換でも差しつかえないのであります。私は、長野郵政局としますれば、おそらく普通の退職の場合でしたならば、転換の措置をとつたのだろうと思いますが、たまたま本人が整理退職を希望して、それをやるということに話がきまつておつた関係と、もう一つにはやはり整理資金というものは、三十年度も三十一年度も果してそれがもらえるのかどうかわかりませんので、たまたまそういうふうな恩典があります場合に、多年の功労者に親切心からそれをそのまま退職金というものを支給してやろう、また本人もそれを希望しておつた、こういう関係にあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/33
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034・森本靖
○森本委員 そういう答弁をせられると、やはり私はもう一回質問をしたくなるわけです。というのは、そういう郵政当局の親心ということはよくわかりますが、そういう倍額の退職金を支払つてもらつて、しかも二日、三日して特定郵便局長に任用せられた。特定郵便局長は終身官ですから、終身官は死ぬまでやれる。それだけ生活が安定するなんということはない。ところがすべての公務員がそういう方向で恩典に浴するかというと、決してそうではない。ですから、すべての公務員、すべての働く者がそういう恩典に浴することがあれば別ですが、郵政省のごく一部分があずかるところの恩典、しかもそういうことは国民の税金によってなされる、そういうことは決してすべきではない、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。あなたがおっしゃられるような、そういう従業員がかわいいということはよくわかりますけれども、それがごく一部分の者に限られてやられるということは、大局的に見て決して穏当な措置ではないと思う。ですから、将来についてはこういうことをやらないと大臣は言っておられるのですから、事務当局としては、現在のこのやり方については確かに悪かったら悪かった、将来はやらない、こういう御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/34
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035・宮本武夫
○宮本説明員 将来十分注意いたしまして、こういうふうな事態の起らないように考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/35
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036・椎熊三郎
○椎熊委員 関連して。私は事務当局の考え方に非常に大きな間違いがあるのではないかと思います。行政整理で倍額までの手当をやってやめさせるというのは、官吏全体の機構をこの機会に整理したかったのでしょうが、私はなるべく有能の人は残しておきたいと思う。今おっしゃるように、練達堪能の士だというが、そういう人には金までくれてやめさせる必要はない。時間の問題はともかくとして、やめさせて二日後にそれを採用しなければならぬという趣旨が違ってくる。それでは行政整理にならない。時間的には、皆さんきっと知っていて、法の盲点をついて金をくれたに違いないと思うのです。そういうやり方はよくない。今度考えた倍額までやって行政整理をやるという趣旨とは、全く矛盾したやり方をやったのだろうと思う。今後大臣もそういうことをやらないとおっしゃるのですから、十分注意していただきたい。行政整理をする場合には、なるべく有能の人を残して、無能でもあるまいが、あまり役に立たない者はやめさせてやめさせた者を、これは有能だからといって再び取り上げるくらいならば、初めからやめさせなければいい。これば、この機会に何とか行政整理をやって、うんと政府の金を使ってやれという官吏の悪い考え方であって、全くむだな金の使い方です。そういうことをしてはいけないと思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/36
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037・宮本武夫
○宮本説明員 その点は将来十分注意いたしたいと思います。
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038・松前重義
○松前委員長 それでは次に簡易生命保険法の一部を改正する法律案、郵便年金法の一部を改正する法律案、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案、郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、以上五法律案を一括議題として、前会に引き続きまして質疑を行います。井手以誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/38
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039・井手以誠
○井手委員 私は過日の委員会におきまして簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その第六号に新たに加えられます長期信用銀行について、大臣並びに事務当局にお尋ねいたしましたけれども、残念ながら満足すベき答弁を得られなかったのであります。おそらくほかの委員の方も同じ感じを受けられたであろうと存ずるのであります。従って私は七当日質疑を一応打ち切って、当局が検討の上に御答弁をいただくことにしておきましたが、本日あらためてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
積立金の運用については、御承知の通り昭和二十七年の第十三国会でございますか、この法律案を提案された根本の理由として、積立金の運用の対象については、保険契約者などに対する貸付、地方債及び地方公共団体その他政令で定める公共団体に対する貸付とするということが、はっきりと明示されておるのであります。すなわち地方還元が建前になっておる。その建前にかかわらず、今回の改正法律案においては、産業に対する長期金融を受け持つところの長期信用銀行に対してまでワクを広げて、零細な地方民の保険金並びに年金の金を回そうとすることは、私はこの積立金運用の根本の性格に反するものである、積立金運用の性格を一変するものであるという考えを持っておるのであります。そういう観点から私は、そういう地方に還元すべき性格を持っておる積立金を、何ゆえに民営であり、株式会社である長期信用銀行にワクを広げようとなさるのであるか。この民営の産業は、先般お尋ねいたしますると、食品工業その他いろいろな工業もあるようでありますが、そういうものになぜワクを広げようとなさるのか、またそういうものが果して公共事業であると言えるのであるか。私は先般も申し上げましたが、もし一たん、地方に還元すべき性格を持っておるこの積立金を、産業の方に窓口を開くといたしますならば、時の情勢によっては、かりにここに第三条において十分の一の規定があるといたしましても、将来どんどんそれが広げられていくということを、私は非常に心配するのであります。私は基本的にこの地方還元の性格を一変しようとするこの第六号前段、長期信用銀行に融資のワクを広げようとする趣旨に対して、郵政当局の基本的な態度について承わりたいのであります。大臣から明確な御答弁が願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/39
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040・松田竹千代
○松田国務大臣 先般の井手委員の御質疑並びにただいまの御質疑の趣旨でございます、簡保の運用資金の貸付の範囲を拡大するという理由につきまして、先艇お答え申し上げたことは、省りみてまことに不十分であったと考えます。従ってただいまの御質問に対してあらためてお答えいたしたいと思うのであります。
政府の財政投融資計画で決定される地方債の引き受け総額は、地方の公共団体の資金の需要と政府資金の蓄積量とを一応は考慮いたしますけれども、必ずしもその資金の需要と蓄積量によるわけではございませんで、地方財政の現状に照らして、いろいろやろうとする公共事業施設のその緊急性をまず考える。そうしてその地方の住民の担税能力に基く債務の償還能力を勘案いたしまして、最も適当な額だと考えられるものに対して貸付を行なっていくようなわけでございます。資金の需要量と蓄積量が多いからといって、地方財政の実情を考えず、これを悪化させるような起債を多額に許すわけには参らないわけでございまして、それとともに計画上貿易振興とか、あるいは電源開発とか、その他資金の需要される方面から特に圧迫を受けて、そのために地方債が引き受けできないというような、地方債に出す金が減少するというわけでもないのであります。現に地方財政上占めているこれまでの負債の償還金は、ほぼ新規の起債額に近づきつつあるような状態でありまして、これ以上地方に貸付をするということは、地方住民のとうていその負担にたえない結果になるというようなことも考えられますので、これが運用範囲を少し広めまして、そうして他の、国に対する貸付だとか、あるいは公共団体の法の許すものに対して貸し付けていくという趣旨でございまして、ただいまのお話の長期信用銀行に対する貸付も、これは主として重要産業に対して貸し付けるものでございます。重要産業の発達によって中小企業その他の育成もできるわけでございますから、そういう見地におきまして貸付をいたす分には、法の示す公共的性質のあるものに対して貸付をするという趣旨にもとらないものであると考えておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/40
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041・井手以誠
○井手委員 郵政当局では十分御研究の上に、今統一した見解を大臣から御答弁になったと存じてはおりますけれども、それにしてはあまりにも不十分であると私は存じます。私、地方財政計画についてはある程度承知をいたしております。決して郵政当局が負担能力あるいは返済能力を云々すべきものではなくして、これはやはり大蔵省と自治庁において地方財政計画を立てる場合に、十分検討されるものであります。今日までの実績によりますと、地方の必要な起債に対して半額を積立金において運用いたしているようでございますが、それは基本の問題でありまして、返済能力がどうである、あるいは昭和三十五年度になると起債と返還が同額になるとか、そういったものではないのでありまして、地方財政計画の立場から郵政大臣が管理して、幾ら運用しなくちゃならぬかという問題ではありません。またここで地方公共団体に返済能力があるかないかということについては、これは行き過ぎた論議だと私は考えております。私が聞かんとするところは積立金の運用、産業に回すべきであるかという根本問題でございまして、地方債についてのワクの問題ではございません。それは財政計画にきまっておりますから、その範囲においてやっていただければけっこうであります。おそらく大臣も御承知でございましょうが、積立金、簡易保険あるいは年金というものの金は、あなた方が零細な金を集められたものは、あなた方はもちろん地方に還元して、地方の発展に寄与するものであるという趣旨から勧誘なさって、今日の大をなしておるのであります。その地方還元を建前とするものを、民間営利会社とも言える株式会社に対して、産業方面に融資するということの妥当性があるかどうかということを、私はお尋ねしておるのであります。大臣初め事務当局にあらためてお尋ねいたしますが、その前に大蔵省の方から理財局資金課長がお見えになっておるようでございますから、大蔵省にお尋ねをいたします。今度提案されました積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案、この中に地方還元を建前とするこの積立金運用について、新たに長期信用銀行にも融資のワクを広げようとするこの改正法律、この点に私は多くの疑義を持っておるのであります。私の考えによりますると、もし国が必要であるとする重要産業に対する融資については、当然預金部資金においてまかなうべきものであると私は考えます。また大蔵省も今までさようにお考えになって、預金部資金を運用されたものであると考えております。ところが今回は住宅政策の影響であるか、あるいはどういう事情か知りませんけれども、契約者または地方公共団体に貸すべき性格を持っておるこの簡保の積立金を、長期金融を預かる長期信用銀行に広げようとすること、このやり方に対して重要産業に対する融資は預金部資金、積立金については地方還元、これが建前になっておるという立場から、大蔵省の見解を承わりたいのであります。それが第一点。
第二点は、私ばかりではございませんが、おそらくこういう立法の趣旨に反した改正案を出そうとする根拠は、事務当局の考えではなかろうと私は存じております。大蔵省と事務当局との折衝の経過についても、あわせて承わりたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/41
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042・福田勝
○福田説明員 ただいま御質問になりましたことについてお答え申し上げます。
第一の現行の法制におきましては、地方還元の建前から簡保というものを運用し、それから重要産業その他を含めたものは大蔵省の方の資金運用部の方でやるという建前になっておることに対して、今度の改正案の考え方というものは、住宅政策の関係とかいろいろな関係かどうかわからぬが、おかしいじゃないかとおっしゃる点につきましては、大した問題じゃございませんが、住宅政策に今度の新しい内閣で重点を入れられたということとは、何ら関係がございません。この問題は政府の財政投融資全体の計画の組み方によってどうにでもできることでございまして、またわれわれが郵政省の方から簡保の積立金運用範囲の拡大問題について、最初交渉を事務的に受けましたときには、それよりずっと前の段階でございました。それからその最も大事な簡保の積立金というものは、一体独立運用になったときの法制の建前というか、精神からいって、全面的に地方還元という線に行くべきである。その点についてはおっしゃるような一つの考え方というものは、十分私は成り立つと思います。従いまして、本件に関しましては大蔵省におきましても、いろいろなあらゆる観点から慎重審議いたしまして、もとより私の代表しております資金運用部方面もしくは産業資金をやっておる理財局の関係だけでなしに、全体の予算の関係の主計局も、あるいは金融機関の監督の任に当っております事務当局も全部入りましたところで、何回も慎重に審議いたしました次第であります。その結果、戦前における簡保の独立運用が行われておった当時のことから考えてみますと、これは私は簡易保険の実は専門家でも何でもございませんので、おそらく記憶に間違いはないと思いますが、戦前における運用の実績は、おそらく簡易保険というものと、それから必ずしも地方団体還元の運用というものとだけが結びついておったのではなくて、もっと広い範囲に戦前逓信省時代において運用があったように承知いたしております。従いまして簡易保険という制度そのものが、全部地方還元元というのは非常に重要な一つのポイントであるけれども、しかし全部が全部そうでなければならないという建前で、前から成立していたものではないじゃないかという点は明らかだと思います。その点につきまして、私から申し上げるのは妥当ではないので、むしろ郵政省の方から御答弁になるべき筋合いのものだと思いますが、関連して一面そういうことが現在の段階から、しからば長期信用銀行というものが入るということが、その地方還元の問題以外に広がるという点においてはいかぬということであれば、それはもう問題になりませんけれども、しかし長期信用銀行というものに運用するということが、一私立企業と申しますか、先ほど仰せになりましたような点に対する単なる運用ではないかというふうな点になりますと、これは現在の日本の金融制度の問題になるわけでございますが、長期にわたって必要なる基幹産業、電力であるとか、海運であるとか、あるいは鉄鋼、石炭等につきまして、みな政府の立てまする基本的な何カ年かの計画というようなものについて、設備資金を投下してやっておりますけれども、その投下の方法としては大体二つございまして、一つは開発銀行であるとか、輸出入銀行であるとかいうような政府関係の金融機関というものが、大部分の一つの大きな支柱になっておりますが、さらにそれと別に資金量その他も足りませんので、それからまた長年、昔からの日本におけるそういう設備資金供給の金融期間制度としては、そういう政府関係の金融機関ができる前から、この唯一の制度として金融債を発行して、興銀その他が設備資金というものを重要産業に供給して参った金融制度の実態があるわけであります。これが戦後におきまして長期信用銀行法という法律によって、そういう制度がさらに拡大されまして、そして現在では日本長期信用銀行、興業銀行の二つが金融債を発行して、そういう普通の市中銀行ではできないような重要産業の設備資金というものを長期的に見てやっている、こういうふうになつております。これはずっと前の話だと存じますが、資金運用部におきましてもそういう金融債の引き受けというものが、ある制約のもとに運用されて、それで全体として地方還元その他の問題ともバランスをとって、結局多角的に運用が行われておる、こういうふうな状況になっておる次第でございます。
それからお尋ねにございました第二点、すなわち郵政省と大蔵省との間の交渉の経緯が、事務的ではなくて政治的だったのじゃないかというお話でございます。この点については、郵政大臣その他がお見えになっておりますので、あえて私から言及すべきであるかどうかとも思いますが、私の承知しておる限りにおきましては、この問題はきわめて事務的に御連絡があって、郵政省側の御要望が強いものですから、そういう御要望に対して、われわれの方では先ほど申し上げましたようなあらゆる観点から慎重に審議しました結果、一応賛成する。なお私の記憶では、この点について何でも二回ぐらい、郵政委員会における決議があったようにたしか記憶しておりますが、そういうふうな線ともあわせて国会の御審議もあるし、それから郵政省側の事務当局の方からの御希望もあるので、大蔵省としても賛成して政府案になった、こういうふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/42
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043・井手以誠
○井手委員 最後の国会の要請もあったということは、郵政省の局舎改築という方面にワクを広げるという意味の、あるいはまた国会の議決を経、または承認を経なければならぬ法人の発行する債券、そういう方面に広げるという意味のものでありました。私もさきに郵政委員をいたしておりましたが、産業方面に融資を広げようということは一回もございません。そういう意味のものは、片りんも現われたことはなかったのであります。郵政委員は専門家がおられまして、郵政事業についてはよく理解を持っておられますが、地方還元を建前とする、またそういうことで勧誘しておる積立金を産業に持っていけなどということは、だれ一人として言った者はございませんから、誤解のないように願います。
あなたにお尋ねしたかったことは、郵政省に限らず、各省に対して大蔵省から圧力を加えられておるということ。台所を守っておるという優位の立場から、よく各省に対して、ああせよ、こうせよという要求があることを、私はよく承知いたしております。またこのたびもこういう妙なものをしたのではないかという疑いを持っておりますので、あえてあなたを呼んでお尋ねをしたわけであります。ただいまの御答弁によりますと、郵政当局の切なる要望があったから、検討の上その結論を得た、こういうことでございますか、了解をいたしました。なお答弁の冒頭において、重要産業に対する融資は預金部資金においてまかなう、簡保積立金は地方に還元することが建前であると考えておる、こういう御答弁でございましたが、さようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/43
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044・福田勝
○福田説明員 私が申し上げましたのは、おっしゃるような一つの考え方も十分成り立っておって、それが今までの現行制度における考え方だっただろうというふうに推定をいたしておりますということを申し上げたのでございまして、大蔵省の現在の見解もしくは私どもの考えが、そうであった方がいいということを申し上げた趣旨ではございません。その点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/44
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045・井手以誠
○井手委員 あらためてお尋ねをいたします。預金部資金の運用並びに簡保積立金の運用について、産業に対する融資はどの方面からなすべきであるか、簡保積立金はいかに運用すべきであるか、どの方面に運用されるべきであるか、こういうことに対する大蔵省側の御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/45
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046・福田勝
○福田説明員 今お尋ねの点につきましては、われわれといたしましては、資金運用部資金法の冒頭に国会の御趣旨として書かれております有利、確実に運用するというのが、憲法的な一つの考え方だと考えております。簡保の問題につきましては、むしろ白根局長の方からお答えになると存じますが、要するにそういう紋切り型な形式的なことではなくて、多少実質的に、有利確実にということの意味を申し上げれば、これは少し私見にわたるところもあるかと思いますけれども、あらゆる零細ないろいろの資金というものが集中される、そうして蓄積された資金を国家の手によって運用するわけでございますから、何と申しましても資金を蓄積した人々に対する信頼というもの、それからまた利回りその他に対する期待というものに対して、有利に、そうして償還その他によってできるだけ確実に運用するということになると思います。一方今度は、いろいろ多方面から零細な資金が蓄積されて参るのでございますので、地域的に見ますると、全国の津々浦々から集まってくるという性格から見ると、これを地域的に地方に還元するという一つのきわめて自然な要請が出てくる。従ってそういう地方還元の問題に対しては、これは簡保において一つの支配的な方針であられますように、独立運用で、簡保が集めた後の資金運用部におきましても、われわれとしては、地方還元ということが、資金運用部の資金の運用において考慮されなければならないきわめて重大なる一つのポイントである。従って、たとえば今ここに電力に対して非常に金が足らぬ、電源開発に非常に足りないから、産業の方に重点的に投資して、日本経済を非常に急角度に再検討しなければならぬとか、あるいは輸出の振興のために、あるいはプラント輸出のために金が要るから、日本経済を短期間に安定さすためには、そういう金を急カーブをもって投資しなければならぬとかいうような要請がございましても、資金運用部の金というものを全部産業資金に持っていって充てるということは、資金運用部においても決してよくない、こういうふうに考えております。すなわち、資金運用部においても依然として地方債に投融資をするということは、全国的なレベルにおいて吸収されてきた金というものの運用の面において、考慮されなければならないきわめて重要な問題である。ただ問題は、資金運用部はそればかりではございませんで、ほかの会計、厚生保険の会計もございます。その他、失業保険、外国為替特別会計等、あらゆる会計からの金が集まるのでございますので、非常に多角的な社会保障に対する金も出さなければならない。それからいろいろの各特別会計、あるいは公社であるとか、国鉄であるとか、電信電話の事業であるとか、そういったような政府の建設の事業に対しても、当然資金を供給しなければならない。要するにそういうあらゆる面に、非常にいいバランスのとれた運用をしなければならない。そうしておいて、できればそれによって、同時にまたそのときどきにおいて要請されている日本経済の再建ということにも応分の寄与をする。ということは、その資金の利率が市中よりは非常に安いのでございますから、当然全般の社会の金になる、こういつたような考えでやっております。
それからなお付言いたしますが、先ほどどうも大蔵省は各省に非常に圧力を加えるというお話がございましたが、私はそういうことのないように注意してやっておるつもりでございます。なお将来一そうそのように努力いたしますが、しかし本件の問題に関する限りは、決してそういう事実はなかったのでございますから、その点は重ねて付言することをお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/46
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047・井手以誠
○井手委員 大蔵省に対するお尋ねは、大体今の御答弁で私は了解いたします。最後の重ねておっしゃいました圧力云々のことも、それでよろしゅうございます。ほかの方がお聞きになるかもしれません。私は大体それでいいと思います。
そこで、大体交渉の経緯はわかりましたが、問題は、郵政大臣の積立金運用に関する基本的な考え方に移るわけであります。ただいまも大蔵省の見解が述べられましたが、重要産業に対する政府の政策、財政投融資、こういつたものは一般会計あるいは預金部資金でまかなうのが建前である。これは国務大臣として松田さんもよく御承知であろうと存じます。何もほかの機関に、地方還元を建前とする預金部資金からわざわざ進んで奉仕をしなくてはならない理由はないのであります。そういったことはちゃんと一般会計なりあるいは預金部資金で考えられておる。その預金部資金においても、ただいま大蔵省でおっしゃったように、地方財政あるいは重要産業のバランスをとって決定されておる。そういうものにわざわざ趣旨に反して飛び込んでいくというその疑いについて、今から大臣並びに当局に対して十分審議を尽したいと存じます。
大臣お読みになったかもしれませんが、この積立金運用の提案説明、これは先刻も私読み上げましたが、保険契約者あるいは地方公共団体に貸し付けるものであるという一項が、これはもう厳たる事実であります。天下周知の慣例であります。この事実や慣例を破って、産業方面にこの大事な金を回そうということは、これは立法精神にもとりはしませんか。先日来重要産業の定義についていろいろ御意見があったようでありますが、まずお尋ねいたしたいことは、この立法の精神にもとりはしないか。その他そのとき必要なものについてはということがありますれば、私はまた答弁のしようもあるかもしれぬと考えますけれども、提案説明に明確に書いてある。はっきりしておる。その積立金運用に対して、今回何がゆえに産業に対して窓口を聞こうとなさるのであるか。もし郵政当局にそれほどの余裕があるといたしますならば、なぜ当局からあれほど熱望されておる局舎改築について、たったの五億円そこそこの金で済まそうとなさるのであるか。十億も二十億もなぜ出さないのか。余っておるからその方にも貸すなどということについては、私は了解しかねるのであります。まず最初に立法の精神からのお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/47
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048・松田竹千代
○松田国務大臣 ただいまの御質疑は、特に重要産業といっても、産業方面にワク広げをするということは、立法精神にもとるのじゃないかという御質疑でございますが、もちろんこの立法の趣旨として、この金は地方より集まった金であるから、これは地方に還元すべきものであるという基本観念は少しもゆるみはないのであります。そこでこの金の一部を、国家の出資しておる銀行または特別関係のある銀行に対して融資する、最も重要にして緊急とされる重要産業または輸出銀行等にこの資金の一部分、きわめて少額の部分とも言えると思います。五百億に近い金のうちの約二十五分の一に当る二十億円くらいの程度のものでありまして、基本観念としては少しも間違っておりません。地方に還元するということを主としてやっておるのでありまして、これが特別関係ある銀行または輸出銀行などに特別必要な場合にその一部分、二十五分の一くらいのものを貸し出しするということに対して、その重要産業の急を救い、そしてよってもって中小企業その他の育成をしていくということは、やはり公共の利益を増進することに合致するものであると考える次第でありまして、立法の精神をじゅうりんしているということにならないと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/48
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049・井手以誠
○井手委員 法律の第一条によりますと、公共の利益になるように運用する、かように明確に規定されております。公共ということがどういう見解であるかは、常識でわかることであります。またその解釈ともいうべき政府提案の説明には、もう一ぺん読み上げますと簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用の対象でありますが、これは簡易保険契約者などに対する貸付、地方債及び地方公共団体その他政令で定める公共団体に対する貸付とし、かように明確に運用の対象を規定されておるのであります。公共の利益ということは、考えによると、どんなもの、たとえばパチンコでもそれは回り回れば若干の公共の利益になるかもしれません。それは常識でわかることでしょう。どんな事業でもやはり国民の生活に何らかの寄与をしておることは事実であります。そうかといって、すべての公共の利益だとは申しておりません。公共とは、私がここで解釈を申し上げるまでもございませんが、国または地方自治団体、そういったものの営む事業、こういつたことが中心であると私は考える。私はこの際誤解を避けたいと思いますが、あなたは中小企業とか農民とか言われておりますが、私は農中とか商中のことについては申し上げておりません。それについては私必要であると存じておりますが、お尋ねしておるのは、長期融資を対象とする長期信用銀行のことについてでございます。重要産業、これは見方によって幾らかの違いも出てくるかもしれませんけれども、産業なんだから若干間接的に公共の利益になるかもしれないということで、公共の利益になる。公共という文字を解釈いたしますならば、さように長期信用銀行が一般の需要これは銀行法による銀行ではまかないきれないほど業務が分化しておるので、長期の金融を受け持つ任務を持って長期信用銀行を作るものであるということが、長期信用銀行法に規定されておる。それは産業界の融資のために、長期金融が必要であるという建前から特に作られたもの、だからといって、これは公共事業だとは認めがたいのであります。大臣はあくまでもこの長期信用銀行が公共の事業であるとお考えになるのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/49
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050・松田竹千代
○松田国務大臣 お示しのように、第一条に「この法律は、簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金を確実で有利な方法により、且つ公共の利益になるように運用することによって、簡易生命保険事業及び郵便年金事業の経営を健全ならしめる」とうたつておりまするので、公共という文字だけで厳密に言えば、産業団体、銀行等に貸し付けるということは、果して的確に公共と言えるかというお説のように承わりまするけれども、この方面に貸付をすることも、やはりこの条文にうたってありますように、公共の利益になるように運用するという点について考えますると、必ずしも御趣旨に反するようにも思えないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/50
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051・井手以誠
○井手委員 おそれ入った解釈だと思います。私が先刻読み上げました提案の説明の方がもっと具体的だと考えます。しかしこれはまたあとでお尋ねするといたしまして、それでは大臣は長期信用銀行にお貸しになって、その金の貸先並びに金額まで御指定になる御用意でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/51
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052・松田竹千代
○松田国務大臣 おっしゃる点まではこまかく監視していくわけに参らぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/52
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053・井手以誠
○井手委員 それはおかしいじゃありませんか。国家として非常に重要な産業に公共の福祉になるというつもりでお貸しする、こういう建前でありますならば、貸す先までちゃんと指定しなければならぬでしょう。ちゃんと予定しておかなくちゃならぬと私は思う。この点については先般松井委員も追及されておったようでありますが、長期信用銀行に貸し、そのプールされたものをどこに貸すかわからない。あるいは食品工業に貸したり、あるいはパチンコ屋の資金になったりパチンコ屋まではならぬかもしれませんが、どこにでも貸されるようなことでは困るでしょう。こういう性格を異にする重要な改正案については、十分な用意が必要である。もし長期信用銀行に貸すならば、この産業、この産業、こういうものについてだけ貸すのである、少くともこういうわくをきめて提案されるのが、正しい提案の仕方だと思うのです。それを考えていないということでは、私は納得できません。おそらく事務当局では、重要産業とはこういうものである、一たん長期信用銀行の話があれば、こういうようにするという具体案があるはずでありますが、この際御提示を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/53
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054・松田竹千代
○松田国務大臣 重要産業と申しましても、最も重点を置くものは電力あるいは石炭、鉄鋼、海運といったようなものでありまして、現に長期信用銀行に対して貸し付けておるものは二三・九%、興銀に対しては一六・五%前後といったようなあんばいでありまして、石炭に対しては長期信用銀行から三・二%、全体で申しますと長期信用銀行では五二%、興銀の方では四五%強ということになっております。重要産業と申しましても、こういうものに最も重点を置いて貸し付けるという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/54
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055・井手以誠
○井手委員 私がお尋ねしておるのは、あなたの方は重要産業に貸すとおっしゃいますが、それではその貸先はだれがきめるのですか。あなたの方は重要産業というばく然たるもので長期信用銀行にお貸しになる。それを電力会社にやるとか、あるいは食品工業会社に貸すとかいうことは、郵政大臣が関与なさるのでありますか。向うの信用銀行で自由に自主的におきめになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/55
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056・松田竹千代
○松田国務大臣 その点は郵政省できめるわけではございません。先方できめるわけでございますけれども、おのずからそういう場合にも事務当局の方において話し合いが出ることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/56
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057・井手以誠
○井手委員 そういう場合には自主的に銀行がきめるけれども、話し合いがあると思うそれではこの重要産業に融資しよう、金融債を引き受けようという趣旨とは違うようですね。向うが自主的にきめますならば、どこの産業にあなたの方の金を回そうと、それはわからないでしょう。あなたの方でこういうものが鳩山内閣としては重要産業と認めて融資するのだ、金融債を引き受けるのだ、こういうならば、それは重要産業はこの方面にはどのくらい、この方面にはどのくらいと、ちゃんと規定しておかねばならぬはずであります。向うは資金を各方面から集めて、興業銀行なんかは政府出資はないはずです。それほど国策銀行とは今考えられてないのでございますが、向うが勝手にきめる、こっちは重要産業だと考える、しかしそれはどこでけじめをつけるのか。向うが勝手に自主的にきめるのでは、話し合いがあるかもしれないくらいでは、なかなか郵政省の考え通りには行かないでしょう。どういう腹案があるか私は知りませんので今からお尋ねいたしますが、その案はそんなばく然たるものでは、私どもこの案を通すわけには参りません。もう少し事務当局に腹案がありますならば伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/57
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058・松田竹千代
○松田国務大臣 この点は政府委員から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/58
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059・白根玉喜
○白根政府委員 おっしゃる点は、こちらで長期信用銀行に融資いたしましても、融資自体の方針は長期信用銀行で自主的にやるのだから、実際問題としてはタッチできないじゃないか、そういうことでは簡易保険の資金を流すのは危険じゃないかということであろうと存ずるわけでございます。まず先ほど大臣が御説明申し上げましたように、われわれが長期信用銀行に融資する際におきましては、融資先の融資の事項は、やはり基礎物資の生産をやるところの、たとえば四大基礎産業部面の融資に限定するというような方向で行く。またその融資をやるのについて、ただ話し合いと申しましたのは、話し合いは融通条件としてやりたいと思うわけでございます。もし融通条件をきめて、その結果実際の融通がそれに反していくようなことになるといたしますと、われわれといたしましては今後の融資その他の面のこともございますし、また警告等も発せられると思うわけでございます。なるほど電力なら電力の分野におきまして、どの配電会社とか、どこにやるかという個々の事業会社まではわれわれとしては指定いたしませんが、われわれの融資する資金はどの対象に融資するようにということを融資の条件につけたい、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/59
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060・井手以誠
○井手委員 局長から御答弁になりましたから、ついでに局長にお尋ねいたします。この法律の改正については、何でも郵政省出身に非常な熱意があったそうでございます。先般松井委員に対する御答弁の中に、利回りがいい、こういうことがあった。当局は積立金がどういうものであるかは十分御承知になっておるから申し上げませんが、利回りのために性格をも変えてまでそうしなくちゃならない理由から、そういうことをお考えになったのか。もう郵政省内部の局舎改築その他には必要ない。地方の方にもこれ以上やる地方公共団体の能力がない。そういったことであり余っておるから、金融債にでも一応余った金を回そうじゃないか、そういうことでございますか。その点を一つはっきりお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/60
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061・白根玉喜
○白根政府委員 その点について御答弁申し上げますと同時に、前に御質問なさったことに対しましての大臣の御答弁にも補足して、一括してやらしていただきたいと思います。
なるほど簡易保険の資金の融資の力点は、地方公共団体なり契約者への貸付に重点を置かなければならぬことは、当然のことでございます。従いましてこれのできたときは、御承知のようにあの法律になっておるわけであります。ところが簡易保険の資金は、少し内輪になるかもしれませんが、大体毎年百億前後ふえて参ると存ずるのでございます。そういたしますと、市町村の資金の需要が現在千億前後になっております。百億ずつふえていきますと、本年度の金は六百億くらい入ると思うのでございます。毎年百億前後のものがふえて参りますと、市町村の需要に対しまして、簡易保険の資金が独占的になるという格好に相なる場合が出てくると存じます。一面先ほど大蔵省の説明員の方から御説明がありましたように、地方公共団体に対する貸付に対しまして、簡易保険の資金だけを重点的につぎ込んでいいかという問題があるわけでございます。と申しますのは、資金運用部の資金の大半を占めておりますところの貯金の金も、これはひとしく零細資金を吸収した金でございまして、金といたしましては地方還元的な面にも使わなければならぬものがあると存ずるのでございます。現に戦争中に大蔵省とその当時における逓信省との協定によりまして、地方公共団体に対して資金を貸す率をどの程度にやるかというのを協定したことがございます。その当時におきましては簡易保険の金が四割、それから当時の預金部の金が六割、こうなっておったわけでございます。それにもかかわらず昨年やったのは、大蔵省の資金が大体五二%、私の方の資金が四八%、資金比率からいけば三十数パーセントになるのを、簡易保険の地方還元の性質を強調してその程度になっておるわけでございます。去年は金額といたしましては四百五十五億、今年度は四百二十八億、こういうことに相なっておりますが、これは投資計画上地方公共団体に対する貸付原資が減少したためでございまして、大蔵省の分担分と簡易保険の分担分との比率は、前年度と同様でございます。しかも前年度は簡易保険始まって以来、地方公共団体に対する貸付比率は多いのでございます。そういうような面で、金額は減しましたが、本年度も地方公共団体に対する貸付に対しまして、こちらの持ち分ということも相当考えなければならないので、そういうふうにやったのでございます。
なお公共の利益の面からいたしまして、長期信用銀行のようなく会社的なものに融資をするのは、公共の利益に反するではないか。公共の利益ということを考えておらないのじゃないかというのが、法律的な観点からの御質問であったと存ずるわけでございます。もっとも簡易保険のあの法律の中には、公共事業に対する融資によりとは書いてないわけであります。公共の利益をはかることにより、と書いてあるわけであります。のみならず同種の規定をしておる資金運用部の法律の第一条にも、公共の利益をはかることによりということが書いてございますにもかかわらず、そういうふうに書いてあっても、国会の御審議を経た貸金運用部の法律の中にも、長期信用銀行に対する融資というものが入っておるわけでございます。従いまして公共の利益をはかるということは、公共事業に対する融資によりというよりは少し幅が広いのじゃないか、そういう観点からいたしますと、公共の利益をはかるというものにつきましては、すでに国会の御審議を経た資金運用部の法律の中にも、同じような字句が書いてある。公共の利益をはかることによりという字句の解釈として、長期信用銀行に対する融資も含むと認定いたしまして、資金運用部の方には、長期信用銀行の方にも貸すことができるようになっておるという関係からいたしまして、法律的に申しますと、公共専業に対する融資によりというよりか幅が広いので、公共の利益をはかることによりという観点があって、一面同種の法系である資金運用部の規定におきましても、公共の利益をはかることによりという、公共の利益という観念の中に長期信用銀行も入っておるという解釈が成り立つので、そういう観点からワクを広げる法律的な基礎ができたのじゃないか、こう考えるわけでございます。
その次は、こういうようなワクを広げるといたしましても、こういう長期信用銀行のようなものに融資をするのは悪いではないかという実体論に相なると思うのでございます。その際におきましては、われわれといたしまして、も、この長期信用銀行なり興業銀行なりに対しまして、融資に重点を置くという考え方は毛頭持っておりません。重点は問題なく地方公共団体に対する貸付、契約者貸付を第一順位としていきたいと思うわけでございます。さて、しからばなぜこういうような長期信用銀行のごときに貸すのか、こういう関係でございます。公共の利益をはかる事業であることは間違いない。間違いないけれども、現に資金運用部で貸すことになっているじゃないか。それにまかせればいいじゃないか、こちらで貸さないでもいいじゃないかというのが、最後の論点であると存ずるわけでございます。その点につきましては、理論としてはお説の通りだと存じます。そんなにたくさん貸すべきものではないと存じます。しかし御承知のように今回局舎に対しまして五億円の融資をいたしました。この五億円の融資は、必ずしも来年度五億円程度じゃないと思います。先ほどおっしゃいました御心配のように、われわれのところでは十億程度は持ってもいいのだ、十五億程度持ってもいいのだということを、大蔵省の方に申し上げたのです。これは理財局というよりもむしろ主計局の観点から、全体の観点から予算上締められて、ああいう結果になったのでございます。従いまして、来年度五億以上貸さないという考え方は毛頭持っておりません。場合によっては二十億もけっこうだというような考え方を持っているのでございます。のみならず、この種の業種が必ずしも局舎だけに限定されるかという問題もあると思います。将来六分の利子で融資するものが、他の融通対象事業について出ないとも限らない、こういうことも考えられないこともないと思います。そういたしますと、予定利率が相当下って参ります。下って参りますと、保険料の計算基礎を三分五厘から四分に今度上げたことは、加入者に対するサービスのために、保険料を下げるために、そうなっておるわけであります。なお今後の利益配当の面からいいましても、予定利率が上るということは、利益配当の増額にもなると思います。そういたしますと、そういう六分階級の対象事業がふえるふえないといたしましても、現在の局舎に対する貸付料が将来ふえていくということになりますと、その利子の五分減のカバ一ということも考えなければならぬ。従ってわれわれといたしましては、今後は大蔵省の資金運用部の融通利率と全く同一にしたいと思うわけでありますが、戦前におきましては、そういう加入者面に対する保険料に対する影響あるいは利益配当に対する影響等を考えまして、大蔵省の利率よりか高い利子で地方公共団体に貸しておった例もございます。われわれとしましては、高くするという気持は全然ございませんが、少くとも金利の低くなるところの対象事業がふえる。その事業に対する資金が相当またふえていくということになりますと、やはりその面から最低限度の融資を、長期信用銀行なり興業銀行なりにも、ある程度道を開いてもらっておきたいというのが真意でございます。このワク広げ全体につきましては、先ほど大蔵御当局から御説明がありましたよりに、実は郵政省の方からお願いをいたしまして、この内閣だけではなくて、前内閣時代から事務的な折衝をしてできたのがこの案でございまして、どうか一つ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/61
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062・井手以誠
○井手委員 真意を承わりましたが、おそれ入ったものでございます。私はあなたと今ここで、公共事業についての解釈の論議をしようとは思いません。そんなこじつけな論議なら承わりたくないのであります。第十三国会ですか、この提案理由の説明をもう一ぺんお読み願いたいと思います。どんなことを書いてあるか、それでおわかりだと思います。資金がだぶついて、地方公共団体にもワクがあって貸せない、こういうことですが、それは一定不変のものではないのであります。私どもは反対しておりますけれども、地方財再建整備法による起債についても、相当額の需要があるでありましょう。また地方公共団体からは切実な起債のワクの増加が次々に訴えられている。これは内閣の方針によって一定限度に押えられておるから、そういうことになっておる。地方としての需要は多いのであります。地方還元が建前でありますならば、そういう用意のためには私はいつまでも鳩山内閣が続くだろうとは考えておりません。この地方債についても、いつまでもこの方針であるとは言えないのであります。そういうことを考えますと、だぶついておるから、ほかに融資の道を広げたいということは当らないのであります。結局あなたが考えておられるのは、利回りをよくしよう、こういうことでございましょう。商売気を出されておるわけでしょう。そのために、こういうふうなこじつけな答弁がなされておると考えております。十億円の場合に、そのさやはたった四千万円ではございませんか。六分五厘と八分五厘の差の二分というものはそんなものでしょう。わずかばかりの金額のために性格を変える。私は先刻ちょっと言うことを忘れましたので、途中でお尋ねしますが、あなたは公共の何とかおっしゃいましたが、それでは普通銀行も各方面の重要産業に投資をいたしておりますので、あなたの解釈を延長いたしますと、銀行法による普通銀行についても、公共の利益に合うようになるわけでございますね。その点をまず聞いてから、またお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/62
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063・白根玉喜
○白根政府委員 普通銀行が現在の性格のままであるとしますと、それは公共の利益であるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/63
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064・井手以誠
○井手委員 それでは政府出資のない興業銀行はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/64
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065・白根玉喜
○白根政府委員 興業銀行は、御承知のように長期資金を供給するために、普通銀行と機能が違っております。興業銀行につきましては、預金は特殊の場合を除いて認められておりません。そのかわりに債券の発行が二十倍程度になっております。しかも融資の対象につきましては、先ほど申し上げましたように、根幹の基礎産業に対しましてほぼ五〇%程度流しているわけでございます。一般銀行の業務内容と違いまして、興業銀行に対しましては、普通の金融機関のいやがる長期金融までもやる性格を与えているのでございまして、そういう観点から、資金運用部法におきましても、公共の利益という中に入っていると思うのでございます。われわれといたしましては、この点は特殊のものではないかと考えております。一面長期信用銀行に対しましては、政府出資が三分の一ございます。株を持っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/65
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066・井手以誠
○井手委員 それでは原則を一つ聞いておきます。公共の利益になるようなものとならないものとは、どの線によって解釈なさるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/66
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067・白根玉喜
○白根政府委員 それは公共事業に対する融資ということになると、相当観念がはっきりすると思いますが、公共の利益をはかるものという観念は、相当相対的なものに相なると存ずるわけであります。少くとも政府が特殊な作業によって、一般よりもその機能なり業務内容なりに公共的な目的から相当の制限を置く、それが最低ベースであると存じます。それより以上に行くのは、政府出資をやるか、さらに半官半民にいくかということになりますが、最低ベースといたしましては、事業に関連しますと、営業の自由に対して、一般的でなくて、特殊の国家的な目的から一定のワクをはめて、そのワクに対して国からある程度の特権的と申しますか、特権的なものが慰められているというようなワク以下のものについては、公共の利益をはかるとは言われませんが、それより以上のものについては、公共の利益をはかる中に入るという観念が成り立つのではないかと思うわけであります。もっともこれは相当相対的なものでございまして、観念的にいえばはっきりしないじゃないかという論議にもなりますが、そのワクの中で融資の対象を選ぶときに、この程度でいいか悪いかということは、さらにその中から選定すべきものであろう、かように存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/67
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068・井手以誠
○井手委員 普通銀行だって、大蔵省の相当な監督を受けております。御存じのように興業銀行は政府出資もございません。何がゆえに興業銀行は公共の利益に合って、普通銀行は合わないか。私は多くの意見を持っておりますが、これ以上は申し上げません。問題は利ざやになるようでございます。年間に何千万円かの金のために、積立金運用の性格を変えるというのはそれは大部分は地方に還元されるでしょうけれども、重要産業と普通の産業はどこで線を引くか、それはわかりません。その時と人によって違う場合もありますから……。そこに窓口を開く何千万円かの金で、そうまでしたければならなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/68
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069・白根玉喜
○白根政府委員 局舎に対する貸付は、本年度は五億円でございます。しかし局舎に対する貸付五億円というのは、将来とも毎年五億円ではないと思います。現に郵政省といたしましては、本年度の局舎に対する資金の貸付については五億円では足らぬ。われわれとしても資金としては五億円では足らぬ、十億でも二十億でも大蔵省で予算上きまればいいという考え方を持っておったわけでございます。しかし予算全体の面からいたしまして、五億に落ちついたわけなのです。しかしその五億も本年だけが五億でございまして、来年度はおそらく郵政省といたしましては、五億以上になる要求をするだろうと思います。しかも長期信用銀行に対する本年度の出投資計画は二十億であります。しかもその金融債の中には、長期信用銀行と興業銀行と農林中金、商工中金があるわけでありますが、農林中金と商工中金にウェートをかけないで、長期信用銀行なり興業銀行にウェートをかけるとは一つも説明してないと同時に、われわれは逆に考えております。従ってもちろん現在におきましては、やはり農林中金、商工中金は加入者の利益に接着する部分が直接的であります。従いましてそのワクは一つのワクでありますが、その方面にウェートをかけたい、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/69
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070・井手以誠
○井手委員 それではなぜ農中とか商中のように、預金者と接着しておる機関に二十億という金を回さないのですか。一般産業を含む場合もあるでしょう。あなたは重要産業とおっしゃいますけれども、実際運用する長期信用銀行においてどこに融資するか、それはわからぬ。なぜ農中や商中に二十億なさらないのか。また将来局舎改築に十億もしたいという希望があるということをおっしゃいましたが、現在でも切実な要求があるのに、なぜ局舎改築に十億も二十億も回さないのか。そういう切実な要求があるものを五億そこそこに削っておる。われわれの疑義の多いこの積立金運用について性格を一変するような疑義の多い産業に対して、融資の道を開こうとするか。あなたは部内の要求をそんなに簡単にお考えになっておりますか。また農中や商中、それほど大事なものになぜ同じ金額を配分なさらないのか、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/70
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071・白根玉喜
○白根政府委員 二十億のワクは、長期信用銀行と興業銀行だけに限っておるわけではありません。二十億のワクは、長期信用銀行と興業銀行と農林中金、商工中金を含んででございます。さてその中をどのように分けるかということは、まだ未決定であります。その内訳はまだはつきりしておりません。従ってその際におきましては、われわれといたしましては先ほどその気持を申し上げたのでございまして、今年度から二十億にいたしましても、その二十億の内訳がまだ確定いたしておるわけではございません。なおそういうことであれば、なぜ郵便局の局舎に五億程度にしたか、こういうお話でございますが、これは井手先生おわかりのように、金を貸す額よりも先行するのは予算が先行するのでございまして、予算の際に局舎に対してどのくらいのものを貸すかということがきまるわけでございまして、局で言いますれば、大蔵省の主計局が先行するわけでございます。そのときに財源の裏づけがあろかないかという問題でございます。財源の裏づけがあるということは、私は主計局長にも話しましたし、また理財局長にも話をしたわけでございます。ただ営善計画なり、全体の面から申しまして、いわゆる国家予算の面でやられたのでございます。資金の面からやられたのではないのでございます。従いましてわれわれとしては、資金の面から局舎の改善にブレーキをかける気持はございません。その点を一つ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/71
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072・井手以誠
○井手委員 予算全体の立場からとおっしゃいますけれども、その場合には資金の裏づけとおっしゃいました。その通り、あなたの方は資金の裏づけはあるじゃございませんか。そうすればなぜ強調なさらなかったか。今の大蔵省の答弁によると、私の方の希望ではございません。それは郵政当局から切なる産業への融資希望がありましたので、そのように決定した、かように答弁があった。なぜそのときにもつと強力に強調なさらなかったか。またあなたは二十億のワクはきめておるけれども、どこにいくからまだ決定してない、かようにおっしゃいましたけれども、あなたの方の資料によると五億ずつ分けてありますよ。目標は五億ずつになっておりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/72
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073・白根玉喜
○白根政府委員 私の方ではなっていないと思います。もしあったとしましても、私はまだそれにタッチする段階の資料ではございません。それを一つ御了承いただきたいと思います。あるいは向こうとの折衝過程のどこかの資料だと思います。私が認定したところの資料ではございません。現に私としても大蔵省とまだ交渉段階に入っておりません。これを御了承いただきたい。それから一面は、それを資金の方でなぜ局舎の方について大蔵省に当らないか、こうおつしゃるけれども、これはやはり私の方では、資金があるからぜひ頼むとは申しました。さて予算の面になりますと、局舎に対してどのくらい必要であるかということは、局舎計画その他の主管の方から強くやったのはやったのですけれども、大蔵省で査定されたのでございまして、私の申し上げますのは、そういう気持もあるからこそ、こういうふうに別ワクを広げる気持になったのでございまして、私の方で、資金の方でブレーキをかけるということでないことだけはうそも隠しもないですから、一つ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/73
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074・井手以誠
○井手委員 ほかの委員の方もお待ちでございますので、私はきょうはあと一点だけで打ち切りたいと思います。いろいろ尋ねたいことがございますけれども、あとに譲ります。それでは局長は二十億の配分をどのようにお考えになっておるか。ただ漫然と二十億ということではおそらくないでしょう。ずっと数字が積み重なって二十億ということになるわけです。大体の見当がつくと思う。片一方は答弁の際に工合が悪いから内容は言わない。しかし片一方は一億であって、片一方は十九億などということは考えられないことですから、一つ正直にこの際御答弁がいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/74
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075・白根玉喜
○白根政府委員 この点は先ほど申し上げましたように、まだその点に具体案を私の方は持っておらないのでございます。まだ具体案を私の方では持っておらぬので、また私の方の計画を出しましても、資金運用の方でも御計画があると思います。それで郵政省の計画だけで無理押しするということでなく、また向うの計画で私の方に無理押しするということは、私の方でもできないことでございます。従いまして実はまだそこまではっきり具体的になっておりませんから、ただウェートを先ほど申し上げました気持を持っておるということだけで、一つ今後大体の考え方が固まりましたら御説明する機会を与えていただきたい、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/75
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076・松前重義
○松前委員長 それではこの程度で今回は散会いたします。次会は明日午後一時より開会いたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204816X01119550511/76
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