1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月三十日(月曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 江崎 真澄君 理事 森 三樹二君
理事 田原 春次君
林 唯義君 眞崎 勝次君
粟山 博君 山本 正一君
小金 義照君 田中 正巳君
船田 中君 茜ケ久保重光君
飛鳥田一雄君 鈴木 義男君
中村 高一君
出席政府委員
内閣官房長官 根本龍太郎君
経済審議政務次
官 田中 龍夫君
委員外の出席者
会計検査院長 東谷伝次郎君
会計検査院事務
総長 池田 直君
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
専 門 員 遠山信一郎君
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五月二十八日
軍人恩給支給額引上げ等に関する請願(眞崎勝
次君紹介)(第一一五〇号)
同(福井順一君紹介)(第一一五一号)
恩給法の一部を改正する法律の一部改正に関す
る請願(亘四郎君紹介)(第一一五二号)
旧軍人関係者の恩給不均衡是正に関する請願(
井出一太郎君紹介)(第一一五三号)
養護教諭の恩給不合理是正に関する請願(草野
一郎平君紹介)(第一一五四号)
建設省職員の行政整理反対に関する請願(西村
力弥君紹介)(第一一五五号)
山形県下に薪炭手当支給に関する請願(池田正
之輔君外一名紹介)(第一一五六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
会計検査院法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三七号)
経済審議庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
会計検査院法の一部を改正する法律案を議題として、これより質疑に入ります。田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/1
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002・田原春次
○田原委員 会計検査院は、直接には国の補助金を受ける機関を主として、たとえば日本開発銀行あるいは日本輸出入銀行等、政府の財政投資もしくは融資という、一種の国営銀行的な性格のものに対しては、その貸付状況、回収状況等に立ち入って検査はできないかどうか。今までそういうことをやったことがあるかどうか。また立ち入りを拒否されたことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/2
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003・東谷伝次郎
○東谷会計検査院長 ただいまの御質問でございますが、貸付状況については相当に検査をいたしております。ただ御質問の趣旨が、あるいは融資先の会社なり事業体に行って検査しておるかどうかということでありますと、それは検査権限がそこまで及んでおりませんので、検査としてはただいま実行いたしておりません。しかしやはり融資先を見なければ、融資が適当であるかどうかということがつまびらかにならぬこともありますので、そういう場合には開発銀行などに話しまして、開発銀行の人に一緒に行ってもらいまして、会計検査院の者が向うの融資先の了解をも得て調査をいたしまして、それで大体今のところ会計検査院の検査は滞りなくいっておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/3
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004・田原春次
○田原委員 融資先の了解を得てということでしたが、たとえば先方が拒否した場合にはどうなっておりますか。調べることはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/4
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005・東谷伝次郎
○東谷会計検査院長 これは先ほど申し上げましたが、開発銀行に会計検査院は検査に行っておるのでありまして、開発銀行の説明が納得がいかない場合には、開発銀行にさらに突っ込んだ説明を求めるのでありますが、その場合に開発銀行は融資先に行けるのでありますから、開発銀行の者と一緒に行って見ることが事実上できております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/5
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006・田原春次
○田原委員 次に、先般もちょっと質問したのですが、きょうは院長が見えているから、特にあらためてもう一度はっきりしておきたいと思うのですが、会計検査院から地方調査に行く場合に、実情としては先方のごちそうになって帰ってくるような、つまりおざなりの調査で帰ってくるような場合があるのではないか、こういうことを国民は心配しているのです。従ってさようなことではほんとうの調査はなかなか困難ではないか。今度の改正に際しては、むしろ相当額の予算をもって、検査院自身が地方に行った場合は、先方の関係者をごちそうくらいして、材料の聞き込みをするというようにしたらどうか。それからこういう誘惑や間違いが起るのは、やはり検査院の職員の待遇が他の官庁に比して同格であるか低いためではないか。これは国民としては、やはり国の予算を使います各機関を正確に厳正に調べてもらいたいと思っているので、むしろ必要とあらばもっと待遇を改めて、相当の権威をもって間違いなくやってもらいたいと思うのでありますが、今度の改正に対してはそういう用意をされておりますか、一つ聞いておきたいと思います。が、これは御承知のような状態でございますので、たくさんいただくほどよろしいのでありますけれども、やはり公務員としての関係もございますので、他よりも悪くされるということであれば私どもは政府に強く要望するのでありますが、他と同じ待遇を受けておるということでありますので、特に会計検査院をよくしてもらいたいという要求をこの際いたすという気持は持っておらぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/6
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007・宮澤胤勇
○宮澤委員長 森三樹二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/7
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008・森三樹二
○森(三)委員 私は会計検査院長に、せんだって当委員会で出席を促したのは、本法案の質疑に関しまして、われわれはやはり会計検査に関する国政一般の質疑をなす場合もしばしばあるわけです。従いましてあなたの御出席を私は願ったのです。過般もいろいろ各委員諸君からお尋ねがありましたが、私は会計検査院の内部における組織やあるいは秩序や綱紀が、非常に紊乱しているというようなことは申し上げるものでございませんけれども、しかしややともすれば、今日の日本のあらゆる行政面において、御承知の通り、汚職、疑獄——造船疑獄あるいはその他の疑獄がたくさんありました。私は会計検査院としては、時の政府にきぜんたる態度をもって、国の財政上の支出等に関して調べなければならない、そこに何らかの政府の圧力なんかが加わり、またその圧力に会計検査院が押されるということがあっては、これは私は国家のためにまことにとらざるところであると思うのであります。そこで院長といたしましては、その点について確固不動の御所信を持っておられると思うのでありますが、この際その院長の信念について一応お尋ねしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/8
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009・東谷伝次郎
○東谷会計検査院長 森さんからこの前の委員会のとき、なぜ院長出ないのかというお言葉があったそうでありますが、実は不熱心だから出ないのではないのでありまして、この法案自体はむろん会計検査院から政府にお願いしたのでありますが、提案は政府がされておりまして、政府の責任者であられる官房長官が出られる。その際に会計検査院からは事務総長が出て細部にわたる説明に当ってくれろというような御要求がございましたので、事務総長だけが実は出たようなわけであります。そういう際も私が出ればよかったのでありますが、そういう次第でありますので、その点は御了承願いたいと思います。
会計検査院が検査する場合においてはやはり納得のいく検査をしなければならない。納得のいく検査をするには、自分が清らかでなくてはならぬということでありますので、会計検査院の中におきましては、しょっちゅう講習その他を開きまして、あるべき道、あるべき姿を講習しているような次第でありまして、汚職その他がいろいろあるようでありますが、会計検査院におきましても千人余りの職員がおりますので、多数の中には時たま不心得の者が多少あるのであります。そういう場合には、他では見られないような峻厳な態度で臨みまして、いやしくも人から指をさされるような者は会計検査院の中にはおらないようにという方針で、新聞種になりましただけでも厳格な態度をもって諭旨的な退官を迫るというふうにいたしまして、少しでも汚れた者のおらないようにする方針でございますし、今後もそういう方針でいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/9
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010・森三樹二
○森(三)委員 院長が当委員会に本日御出席されまして、その御意見を表明されましたことにつきましては、まことに私はけっこうなことだと思います。せんだって事務総長が出席されて、いろいろ答弁されておりましたが、事務総長だけでなく、院長も同席されて、事務総長でもって答弁が足りない根本的な会計検査院の態度等については、院長みずから答弁されることが望ましいと思っておりましたが、本日院長より御所信を承わりまして、今後とも会計検査院は内閣に独立した機関として、国の財政一般に関する厳格なる監督を十分していただきたいと思います。
そこで、会計検査院は全国各地に対しまして、毎年の会計年度の終了後、検査に回っておるようでありますが、検査に行くということについて、あらかじめ通告をして行っておるようであります。通告をしておいて行くことが、一応整理の関係等もありまして、都合がよろしいかと思いますけれども、そのために、会計検査院が検査に来るのだというので、つじつまを合わす、あるいは帳簿を改ざんするというようなことが、しばしば行われておる。そこで、会計検査院としては定期的な検査のほかに、臨時といいますか、何ら予告なしに検査を行うという制度がとられておるのか。その点について、いろいろ技術的な問題もあると思います。現在行われておる検査あるいは具体的な事例等に対して、会計検査院として、こういうような事案について、自分たちとしては予告なく検査をして、実際上具体的な事件を解決したことがあるというような点について、御所見を承わりたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/10
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011・東谷伝次郎
○東谷会計検査院長 ただいまの点でありますが、森さんも御承知でありまして、検査をいたしますのには、やはりある程度検査ができるような態勢に相手方があるということが、検査をする上には便利なのでありまして、それで、いついつからいついつまであなたのところの検査を実行するということを示すのであります。これは旧院法といいますか、帝国憲法時代の会計検査院では、そうしなければならないようになっておったのです。制度の上で、勅令の上で、会計検査院があらかじめ通告して、実地検査をする、こういうことに相なっておったのであります。しかし今お示しのように、それだけではやはり目的を達しないものが多々あるのであります。従って日本国憲法になりましたとき、ただいまの院法を制定するに当りましては、そこのところを考慮いたしまして、いわゆる抜き打ち検査といいますか、無通告検査ができるような仕組みに法律上いたしたわけであります。それで、定期的に通告をして行きます実地検査も相当ありますが、現在においては、抜き打ち的な検査も相当に実行しておるのであります。現金であるとか、あるいは物品であるものについては、大体において抜き打ち的に検査をいたしております。先般も私北海道の風倒木を見に行ったのでありますが、その際にある官庁の検査に行ってみましたが、それは無通告でやっておるようなわけで、無通告の検査は相当ひんぱんにやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/11
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012・森三樹二
○森(三)委員 その無通告の検査は、院長が他の検査員と合議されて、地域的に、あるいは何か一つの事案が発生したことを契機とし——無通告検査についても、へんぱでなく、日本全国を地域的にわけてやっておられるのか。あるいは何か事案がそこに想定されて、風聞その他があって発動されているのか。計画的に無通告検査をやっているのか、あるいはその地方において何か起っていないかという予感等によって無通告検査をされているのか、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/12
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013・東谷伝次郎
○東谷会計検査院長 別に地域的ということは考えておりません。全国的にやっております。北海道もやれば、同時に東京の膝下もやりますし、九州もやり、四国もやるということで、非常に広くひんぴんとやっておりますから、地域的にここをやってここをやらないという意味もありませんし、ここをやったからここをやらなければならぬというふうにも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/13
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014・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/14
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015・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に経済審議庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。——本案に対しましては、高碕国務大臣に対する質疑が残っておりますから、それを次会に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01219550530/15
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