1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月三十一日(火曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 江崎 真澄君 理事 森 三樹二君
理事 田原 春次君
長井 源君 保科善四郎君
眞崎 勝次君 粟山 博君
山本 正一君 大坪 保雄君
田中 正巳君 飛鳥田一雄君
石橋 政嗣君 鈴木 義男君
中村 高一君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 川崎 秀二君
労 働 大 臣 西田 隆男君
出席政府委員
内閣官房長官 根本龍太郎君
総理府事務官
(大臣官房審議
室統轄参事官) 賀屋 正雄君
労働事務官
(職業安定局
長) 江下 孝君
委員外の出席者
厚生事務官
(大臣官房総務
課長) 小山進次郎君
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
専 門 員 遠山信一郎君
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五月三十日
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇七号)
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一〇号)
同日
恩給額調整に関する請願(野田武夫君紹介)(
第一二五五号)
恩給法の一部を改正する法律の一部改正に関す
る請願(岡崎英城君紹介)(第一二五六号)
千葉県松尾町の地域給指定に関する請願(森清
君紹介)(第一二五七号)
栃木県粟野町の地域給指定に関する請願(野澤
清人君紹介)(第一二五八号)
京都府峯山町外五箇町村の地域給指定に関する
請願(柳田秀一君紹介)(第一二五九号)
京都府中郡外二箇郡下の寒冷地手当引上げの請
願(柳田秀一君紹介)(第一二六〇号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一四号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第六四号)
労働省設置法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第七三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/1
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002・田原春次
○田原委員 今回の厚生省設置法の一部を改正する法律案審議の機会に、厚生行政全般に対しての質問をしてみたいと思います。各国の厚生省もしくはこれと同性質の行政機構を見ますと、スポーツ局というか競技局というものがある、たとえばブラジルにおいてもある。しかるに日本はスポーツ行政が各省に分散しておる。たとえば競馬は農林省所管になっておる。それから競輪、オート・レース等は通商産業省になっておる。最近できたモーターボート・レースは運輸省になっておる。またアマチュア・スポーツ、さらにまたプロ・スポーツ等、あるものは従来のままになっておる。そのために、たとえば開催期日の重複であるとか、開催時間の重複、いろいろの点においてまちまちになっておる例がある。さらに私どもが考えるのは、厚生省には、たとえば精神病舎あるいは結核療養施設あるいはガンあるいはらい病、その他社会保障的施設で相当国の予算を要するものもあるわけであります。これはその都度国会を通じ大蔵省等から予算をとっておるわけでありますが、この際、プロ並びにアマチュアのスポーツ行政を一元化して、厚生省に一局を設ける、そうして一般の行事等に対する調整もやる、並びにオリンピック派遣であるとか、あるいは国際的なスポーツ競技の日本における主催についても、開催期日や時間の調整をやる。それから一般行政のほかに、最近御承知のように、建設省ではガソリン税を取りまして、それを道路改良に使うという一種の目的税的なものにしております。そこで、先ほどあげた各省にまたがっておる競馬、競輪、オート・レース等から政府に納付する金がありますが、もし厚生省にスポーツ局というものを作って一元化したならば、これらの納付金は一度大蔵省が取っても、厚生省の所管であるところの精神病舎、結核療養所等の施設の維持、拡張あるいは職員の待遇の改善等に使えるじゃないか。今回の一部改正法律案には何らそういう施策が現われておりませんが、この機会に厚生大臣として、スポーツ行政一元化の問題並びに納付金の社会保障施設への転用といったような問題について、意見があればまずこれを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/2
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003・川崎秀二
○川崎国務大臣 ただいま田原委員から御意見もまじえての御質問でありましたが、原則として社会福祉行政を預かっております厚生省が、ひとり消極的なる保健対策だけでなしに、積極的なる国民の体力改造、保健施策という面から、将来スポーツ行政も厚生省として取り上げてはどうかということのお考えには、基本的に賛成であります。御承知とも思いますが、戦争中の体育行政がやや指導統制に流れ過ぎまして、戦後、占領軍が日本を占領するとともに、体育局はこれがために閉鎖をされまして、自来、スポーツ行政を一元的に行っておる機関はないのであります。元来スポーツは民間のものでありまして、民間が主体になって、アマチュア競技を興隆さす形でプロ競技をいんしんにさせるというのが本来の行き方でありますが、やはり種々の行政上の指導的面も相当に考えなければならぬ点もありますので、スポーツを一元的に見守っておる機関は私もかねてから必要であると考えておったのであります。ただいまだんだん御指摘の通り、アマチュア競技の大本は大体文部省で見ておりますけれども、プロ競技については、競馬は農林省、オート・レース、自転車競技等は通産省というように分れておりまして、これもスポーツの面からするところの指導というよりは、自転車の車体の改造とか、あるいは競馬にいたしましても、馬の品質の改良というような面にのみ行政が片寄っております。従って、スポーツ行政全体としての動きがにぶいことははなはだ遺憾に思っておった次第であります。御指摘のように、南米だけではなく、フランスや、スエーデン等北欧諸国におきましても、スポーツ行政を一元的に行っているところもありますし、ところによりましては体力省というようなものもあるやに聞いております。従いまして、日本としてもぜひスポーツ行政には将来力を入れなければならないのではないか。その精神としては、指導統制というのではなくして、やはり労働省が労働者にサービスするように、スポーツを育成して行くということに指点を置いた指導の仕方が必要であるというふうに考えるのであります。ことに最近スポーツをやるものがだんだんふえて参りまして、かつては中学から高等学校、大学というような学生本位の競技が、最近のスポーツ人口を詳しく統計をとったことはありませんが、多分二十二、三才から三十七、八才のいわゆる学校を卒業して後、余暇においてスポーツを楽しむ大衆が非常にふえているのでありますから、その意味では、いわゆる社会大衆層を相手にスポーツ行政をして行く省があってよいと思うのであります。その際は、保健衛生との密接な関連からいたしまして、これを取扱う省はやはり厚生省が適当であるやに思っております。ことにただいまお話の通り、一九五八年のアジア大会あるいは一九六〇年のオリンピック大会を東京に招致しようというときに、強力な施策が必要でありますから、スポーツ局の新設ということについては十分考慮をいたし、また実現をしたいと思っております。ただこの際お断わりをしなければならないことは、世論も、また内閣の方針も、行政機構はなるべく縮小したい、改革をし行政整理をしたいというのがこの内閣の方針であり、世論もこれを支持しておるようであります。ただ、こういう必要なる部局の改廃につきましては、例外的な措置も設けられると思うのでありますが、これらは今後スポーツ界を初め世論が醸成されて来た際におきまして十分に考慮をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/3
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004・田原春次
○田原委員 大臣のお話の中に、たとえば競馬、競輪等は品質の改善、改良というような意味で農林省や通産省がやるのだというお話があったのですが、それならばプロ野球等も結局ミットやグローブ改善になれば通産省ということになる。みんな道具を使うのです。私の言うのはそういうのではなくして、最後にあなたの答弁になった行政整理という面から見ても、いたずらに各省にあってその各省がめいめい勝手に予算をとり、そうしてめいめい勝手に日にちをきめて競合的にやっている。今ただちに競馬、競輪、オート・レース等を全面的に禁止しろとは考えていないが、まず弊害をためる。そのためには、これらが発足した当時から所管している官庁にそのまま置くことは弊害の矯正にならぬと思うのです。スポーツ面を強調して行くために、厚生省に一局をつくることが私は縮小になるし、行政整理になると思うのです。それは必ずしも行政官庁をふやすという意味にはならぬと思うのです。たまたま今次国会に各省の設置法の一部改正が次ぎ次ぎとここで説明されたのでありますが外務省においても局と部をふやしている。これは閣議においても十分検討していると思いますが、行政整理ということは減すことばかりではないのでありまして、集中することが行政整理になると思います。そこでたとえばプロ・スポーツ等を海外から呼ぶ、あるいは日本からアマチュア・スポーツが海外に行くというような場合に、今のような状態でありますと、一々これは大蔵省の為替局の管理課に行かなければならぬ。そうすると為替管理のことばかり考えておる人が、スポーツもついでに考えるというような妙な形に今分散しておる。そこでプロ・アマチュア全般のスポーツのために代弁するサービス機関が集約されることが望ましいのじゃないか。この内閣も私はそんなに長くないと思っておる。従って川崎厚生大臣もそんなに長くいないのじゃないかと思っておる。せめてあなたが大臣になっておる間に——農林省でも河野一郎がなかなかがんばるでありましょう。通産省でも石橋湛山ががんばると思う。それからモーター・ボートについては三木輸輸大臣ががんばるでしょうが、それから取り上げて、そうして国民が納得されるような集中されたる行政整理を一つ残す。そのくらいのことをやらぬと、引揚援護局の舞鶴の人を何人か首切るようなことを厚生大臣がやってもつまらぬ。私はむしろ激励の意味でお話しをしておる。あなたも腹をきめて——直ちにこの法案に修正しようというのではないけれども、この内閣が通常国会まで存続するならば、そのころまでには一つプロ並びにアマチュアのスポーツ行政の整備、強化をやってもらいたい。たとえば相撲等についても、大日本相撲協会の興隆もありますが、また地方の青少年の間に相撲がはやっておる。私は全般的な運動、体育の楽しみと体力の増進をもっと盛んにすることが必要だと思う。この方がむしろ主じゃないか。青少年の気持をよくする意味においては、それが文部省であるか、厚生省であるか、通産省であるか、農林省であるかわからぬようなことではなくして、一つにしてはどうかという意味でありますから、もう一回あなたの確固たる決意を私は聞いておきたいと思う。なおまた、先ほどありました各省に分れておるがゆえに非常に弊害が多いのですから、この辺でスポーツ行政を一元化しますと、いろいろまつわっております弊害も除去されます。あるいは開催時間も午後に繰り下げるとか、いろいろな点において非常にいいのじゃないかと思いますが、もう一度御意見を聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/4
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005・川崎秀二
○川崎国務大臣 だんだんの御教授でありまして、私も大体田原さんのお考え方と同様に思っておる面が多いのであります。ことに現在のスポーツが戦前よりは一般大衆層に浸透して参りましたけれども、しかしまだまだ学生偏重のきらいがありまして、スポーツ全般が国民のものになっておらぬということは、国政上から見ましてまだまだ足りない点ではないかと思うのであります。ことに勤労者並びに学校を出ました社会人の競技熱が高くなっておるにかかわらず、競技場の施設の不備あるいは競技器具の入手の困難等からいたしまして、十分に行き渡っておらないことが残念なのでありますから、国の施策といたしましてはひとり青少年のみならず、壮年の方々がスポーツに親しまれる機会を作りたいというのが私どもの念願であります。従って将来このような広範な大衆を相手にするスポーツを取り扱う一省があってしかるべきだという御意見は、当然な御議論でありまして、ことにオリンピック大会等をも招致しようとしておる東京都に対しまして、これを政府がバック・アップしなければ、十分なる招致能力も国際的には出てこないと思っております。従いまして、スポーツ行政を近々の機会において一元化し、一元化した際においてはこれはどう考えましても保健衛生との関係並びに対象が、次第に青壮年層に移るという関係からいたしまして、厚生省が主管をすることが望ましいと考えておりますので、御激励もありますから十分にその方向に向って準備をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/5
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006・田原春次
○田原委員 今のその問題についてはしばらくお手並みを拝見することにして、その点はそれで終っておきますが、厚生省設置法の一部改正の参考資料についてちょっとお尋ねしたい点がある。それは資料第六、国立療養所附属養成所関係の点と、それからその前の資料の第五の三の昭和三十年度予算、三十五ページの予算を見ますと、栄養試験費年間四十四万二千円となっておる。そうすると一口大体千円くらいのものだ。一日千円くらいで一体何を試験するのか、ちょっとした実験道具等を買い上げてもこれじゃ間に合わぬと思います。かまえははなはだ大きいようで、名前も国立栄養研究所なんて書いてありますけれども、実際は一日千円となっておりますが、これは大体どういうつもりでこういうことをしたのか、おそらくこれは厚生省の社会保障的な施設に対する予算が足らぬからだろうが、足らぬとすれば、これは先ほどの話に戻りますけれども、競馬、競輪等からの上り金を何となしに大蔵省が取っておるというのでなくて、これをみんな社会保障施設に回すということにしなければならぬ。この予算は小さく切ってありますが、一体どういう事情でこういうことになっておるのか、このくらいで果して栄養研究というものがやれるかどうか、数字についてちょっと聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/6
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007・小山進次郎
○小山説明員 ただいまお話のございました国立栄養研究所の栄養試験費の四十四万二千円でございますが、これは今度の設置法の改正に関連しました費用だけを上げたのでございまして、この費用は外部から委託試験を受けまして、これに対して栄養研究所が研究をいたします場合に、研究所において必要とする費用だけを計上したものでございます。この歳出に対応する歳入は次の三十六ページに歳入見込額として掲げてございますが、これに対応したものだけを掲げたものでございまして、栄養研究所の研究費の全部ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/7
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008・田原春次
○田原委員 舞鶴その他の地方復員部の減員に伴って、それに勤めておった職員についてはどういう処置をとられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/8
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009・小山進次郎
○小山説明員 引き揚げ援護業務の進捗に伴う人間の縮減につきましては、昨年四年間の年次計画を立てまして、昭和二十九年度の当初におきまして千六百二十二名ございますものを、四ヵ年間のうちに二百七十一名に減員をするという計画を立てたのでございます。この計画におきまする第二年次の昭和三十年度の減員数が総計いたしまして四百十八名に当るわけでございますが、これは昨年から予定された計画でもありますので、今までの間にも努めて職業安定方面とも連絡をとり、また関係各官庁の協力を求めまして、できるだけそういう方面に吸収をしていただく。なおこういう人々の転換が円滑にいきますようにということで、特に行政管理庁と協議をいたしまして、今までの待命制度ではございませんけれども、待命制度に実質的に準じますような制度を実施することにいたしまして、この転換を円滑にしていくというようなことをしておるわけでございます。必ずしも全部が全部確実に漏れなく転換できるというわけにも参らぬと思いますけれども、現状では比較的順調に転換が進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/9
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010・田原春次
○田原委員 中央官庁がいろいろな都合上、廃止や拡充されることは必要があろうと思いますけれども、僻地において勤めております職員の立場からみると、機構が廃止になって、そのまま失業者の多い社会におっぽり出されてしまうということは、家族を持っておる者の身になってみればたいへんなことになる。そこで今回は厚生省内においても配置転換を考えるようにしてはどうか。並びにこの委員会にかかってきます各省設置法、それから行政機関の増員等を含んだ改正案も出ておるわけですから、そこで国全体としての他省にまたがる配置転換を考えて、なるべく現在勤めておる者に失業のうき目を与えないようにすることが必要ではないか。また一面労働省でも失業対策部を設け中央官庁がふえる一面では、現場にいる者が首になってはたいへんだと思う。この内閣委員会にきます陳情等を見ますと、たとえば調達庁関係でも近く相当減員になるようです。またほかの省にもあります。それはみなその省のことだけを考えてやっている。いやしくもあなた方が厚生行政、労働行政をやっておって、役所の都合で機構を廃止したから、それで首になってもいい、あるいは多少の待命制度なり、幾らかの退職手当の率の問題はあるかもしれませんが、それだけではこの非常に不景気な世の中に出て、官吏諸君はたいへんだと思う。だから機構の改正に伴う首切りはやらないようにする、そうして必ず相当の親切をもって配置転換をする。これが必要ならばそのための特殊な講習をして、事務系統でも初歩的な技術系統に回るようにするのが当然だと思うが、それに対する考慮が何らこの中に払われていないので、この点に対する御決意を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/10
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011・小山進次郎
○小山説明員 ただいまのお話は全く先生のおっしゃる通りでございまして、実は私ども昨年来そういう気持でしておるのでございます。具体的に申しますと、整理される人のうちで、土地をかえて勤務のできる形態の人、これは多く本官と言っております事務官なり技官——援護関係は全部事務官でございますが、比較的そういうものが多うございます。これにつきましては本省内はもちろんのこと、関係各省にもお話の通り協力を求めまして、できるだけとってもらうようにしております。また引揚援護局の場合は、地元の京都府はもちろんのこと、近畿の各府県に協力を求めまして、努めて吸収してもらう、また厚生省関係の地方事務官で、保険関係に相当各府県におりますので、こういうものに欠員が出ました際には、努めて優先的に採用してもらうというようなことをいたしております。それから用買といわれる人々は、なかなか土地をかえて勤務することがむずかしい人々でありまして、この人々の転換に私どもは非常に頭を悩ますわけでございまして、こういう人々はあまりに離れたところにお世話しましても、実際上住居を変えてこちらに勤めることができないという事情がございますので、こういう人々については、どうも地元の市あるいは県、こういうところに極力頼みまして、少しずつ吸収してもらう、また付近の民間の会社なりその他の方への吸収につきましては、地元の職業安定担当局の協力を得まして話を進める、こういうふうにしているわけであります。今後ともお話の線に従って、努力をして参りまして、一人でも多く順調な再出発ができるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/11
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012・田原春次
○田原委員 そういう用意は当然なことでありますが、今お話の中の、たとえば用員、舞鶴なら舞鶴に家を持っておってほかに行けない者もあります。厚生省の中には当然他の授産場というような予算もあり、地方庁との連繋もあり小規模のことをやっているところもある。そういう廃止に伴う用買等に対して何か修理業のような、女だったらミシン修業場というようなものを臨時に設けて、退職してもそちらで生活できる。数は少数でも問題は大きいと思う。全国に散在しておりまして中央、地方の用員がこういう機構の改正ごとにほうり出されるということは非常に大きな問題でありますから、必ず厚生省としては特に自分の省内の本官や用員が十分食っていけるような転職もしくは職業技能を授ける、たまたまあなたの方に課がある、それを自分の方に活用してもらう、そういう点を今後大いに気をつけてもらうことにいたしまして質問を打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/12
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013・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかに御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/13
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014・森三樹二
○森(三)委員 私は厚生省につきましてはいろいろ問題があると思うのですが、新聞に大きく取り上げられております輸血業者の問題とかいろいろな問題はありますけれども、非常にわれわれの健康にとって重大な問題だと思う。これは厚生省もいろいろその取り締りについては非常に力を尽されていると思うのでありますが、結局今日の社会の情勢からいたしまして輸血業者も生活ができない。その生活苦のために輸血業者ばかりでなく、売春とかその他いろいろな社会悪が発生していると思うのです。しかしながらこれはわれわれの生命に直接影響のある問題である。われわれは安心して輸血を受けることができないということになりましたならば、これはゆゆしき問題だと思います。そこで厚生省がこの輸血業者並びにまた受け入れ態勢、それらについてどのような監督をしているか一応伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/14
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015・小山進次郎
○小山説明員 ただいまお話のございました輸血に伴う問題は、御指摘のように、非常に多くの問題をひそめておりまして、現に最近では多少減って参りましたけれども、ときどき採血をする元の血液がよくないために間違ったことが行われるというようなことがあって困った事件が起きておりまして、この面の監督には非常に心を砕いているのでございますが、率直に申し上げまして、なかなか軌道に乗せた取り扱いがむずかしいというような事情がございまして、今日のところまだはっきりした制度なりあるいは扱い方というものを確立することができないのでございますが、幸いにしてこういう輸血を行いまする病院等はおのずから限られておりますので、そういう病院の当局者を通じてこの問題を軌道に乗せるように努力をしているわけでございます。まず何といってもただいまお話になりましたように、健全ならざる血液が輸血されるというようなことが、これは何といってもこの問題を考える場合に解決をしなければならぬ問題でございますので、この点については病院の責任者に最大限の注意をしてもらうようにいろいろ手配を講じているわけでございます。
もう一つの問題は、これまた御指摘のあったような、今度は血液を提供する側の人々が不当に搾取されることがないようにという問題と、もう一つは、かりに経済的な意味で搾取がないとしても、その人の健康の状態から見て許容される限度を越えて供血を続けていくというようなことがあってもいけませんので、これを何とか行わないようにしていくという問題があるわけでございますが、これも今のところ特に一律にこれといった方法をまだ考えつくところまで参っておりません。もっぱら病院の担当者を通じて、その間行き過ぎのないようにしていくというようなことをしているわけでございます。いずれにいたしましても、この問題はもう少し根本的に軌道に乗せた解決をはかりたいということで研究しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/15
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016・森三樹二
○森(三)委員 ただいまお答えがありまして、まだこれが本格的に制度化されていないというのですが、私非常に前途を憂うるものであります。やはり血液を提供する側の健康とか、あるいはその人の遺伝性とか、そういうような問題もいろいろあるだろうと思うのです。従って私はできるならば、それらの血液を提供する者の健康診断をするとか、何か登録制というような制度がなくてはならぬのではなかろうかと思うのであります。しかも先ほど言いましたように、自分の生活を維持するために、自分の血液提供量といいますか、その提供する能力がないにかかわらず、無理をして一家の生計をささえるために血液を提供する、そのためにその人がとうとう死ななければならぬという場合もしばしば起きているように新聞に出ております。それからまたこの輸血を受ける側、需要者の側におきましても、それと関連してその血液の適合がうまくいかないために生命を失った者もあるやに聞いております。これに対して血液を提供する者の厳格な登録制というようなものを施行する、そういう制度化したものを厚生省としてはお考えになっていないのかどうか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/16
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017・小山進次郎
○小山説明員 先ほど申し上げましたように、ただいま先生がおっしゃいました問題は、いずれも研究をしておりますけれども、まだそこへ踏み切るまでの態度をきめかねているというような事情になっております。ただし非常に多くの輸血をするような病院等におきましては、やはり信頼のできる血液を、しかも比較的支障の起らない方法で獲得する必要がありますので、自然に一種の登録に近い状態で、自分のところに血液を提供してくれる人々はこれこれ、これこれの人々の血液ならば、今までのところ十分信頼ができるというような関係は、固まってきているようでございます。なお健康診断の点につきましては、もちろんいかなる場合でも採血する以前に医者が健康診断をするということをしております。
それからもう一つ、最近この問題について多少実際の扱いの上で問題を起すことを防げるようになりましたのは、血液の保存がきくというような方法ができたわけでございまして、御承知の血液銀行というようなものでそれをやっておりますので、相手方といいますか、供血者の都合のいいときに、しかも都合のいい状態において血液の提供を受けておいて、これを保存しておくということができるようになりましてから、だいぶ両者の問の関係が健全に向いつつあるという状態でございますので、なおしばらく時をかしていただきまして、この問題はおっしゃるように非常に重大な問題でございまして、厚生省としても絶えず宿題として頭をいためている問題でありますので、解決するようにさしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/17
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018・宮澤胤勇
○宮澤委員長 田中正巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/18
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019・田中正巳
○田中(正)委員 第五条の二十七号の三を廃止いたしまして、精神衛生相談所の許可を廃止するというような規定がございますが、この点について提案理由の説明も別にありませんでしたので、その間の説明をちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/19
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020・小山進次郎
○小山説明員 これは今までの精神衛生法では、都道府県とか指定市以外のものが精神衛生相談所を設置しようとする場合には、知事の許可を受けるということになっていたのでございます。それを昨年の法令整理の際に、精神衛生相談所の設置について一々知事の許可を受けることをしなくともよろしいというふうに改正したのでございます。その改正の趣旨は、精神衛生相談所というものがどういうものであるべきかという内容についての規定が一応ございますだけで、それ以上の規制がございません。また精神衛生相談所という看板を掲げて、特に弊害のあるような行為をしておるという事例もありませんので、そういう事情で一々許可を受けるというような煩瑣なことをしないで、むしろ作るなら自由に作ることができるようにする、ただし監督は十分にしていくという趣旨で、その許可の規定が廃止されたのであります。その当時それに対応して、厚生省設置法の中にありまするこれを調整しておくべきであったのでありますが、調整漏れになりましたので、今回これを調整するということで、かような扱いをすることにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/20
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021・田中正巳
○田中(正)委員 先ほど厚生大臣の説明に、なるべく行政機構の整理縮減をしたいという話がありましたが、これに関連いたしまして、設置法の第三十五条にある医務出張所の存在について、かねてよりこの問題については存廃がかなり問題になっていたように私ども聞くのでございますが、そのままの姿で今後もやっていくようにお考えになっておるか、あるいは医務出張所の組織が必要であったとしましても、これを今後コンバインして整理していったらいいのではないか。これはかねてより問題があったところでありますが、今後の厚生省の考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/21
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022・小山進次郎
○小山説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、行政簡素化の話が出ますたびに、医務出張所が問題にされるのでございます。私どももそういう意味において、いつもこの問題を検討しておるのでありますが、現実の問題といたしまして、約二百に近い療養所と百五十に近い病院を管理しておるわけでございますので、これを東京で直接管理するということはなかなか容易でないのでございます、というよりもむしろ不可能に近いのでございます。病院の管理の場合に問題になりますことは、最近ではおもに患者に対する処遇の問題等のほかに、職員相互の間においてもう少し医療技術の向上という点に向って、それぞれの仕組みを能率的に作り上げさしていくといったような問題があるわけでございます。実際の事情から申し上げますと、国立病院なり国立療養所に迎えるお医者さん方は、いずれも相当臨床の経験を経た人々でありますけれども、病院、療養所の管理という面の仕事になりますと、必ずしも堪能でないわけであります。そういう意味におきまして、いろいろな組織上の一種の突っかい棒は考えておりますけれども、しょせんそれは突つかい棒であるにとどまりまして、それぞれの病院なり療養所だけで十分に問題を処理し切ることができないという場合が多くあるわけであります。こういう場合に一々本省から指示するということも、実際上問題があるかどうかということ自体も、発見が困難でありますために、不可能に近いのでございまして、どうしても中間的にある種の組織を置きまして、そこで幾つかの病院なり療養所を管理をしていくという仕組みは、現実の必要として生じて参るわけであります。そういう意味におきまして、中間機関としては、地方支分部局としては、きわめて小さな支分部局でありますけれども、ただいま問題としておっしゃいました医務局の医務出張所を設けているわけでございます。ただ現在の医務出張所が、そういう目的に対して最大限の能率を発揮しているかどうかということにつきましては、おっしゃいますように、なお私どもとして研究していかなければならぬ点が残されておりますので、この点は今後とも改善に努めていくように心がけておりますが、存在としては、どうしてもこういうものは残していかなくちゃならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/22
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023・田中正巳
○田中(正)委員 この問題については、将来とも運営その他の面で考究をしていただきたいと思います。
次に、医務局の清算指導課において、日本医療団の清算事務を従来からやっておるようでございますが、他の清算機関、たとえば閉鎖機関整理委員会等においてはかなり進捗をしまして、この事務はだんだん縮小、閉鎖の傾向にある。しかるに日本医療団の清算をやっている厚生省の清算指導課の仕事は、今後ともお続けになるのでしょうか。あるいはそろそろ一課を構成するだけの事務分量がなくなってきているのか、それを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/23
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024・小山進次郎
○小山説明員 医療団の清算事務が多少おくれて参っておりますことは、お話の通りでございまして、この点医療団の清算事務当局としては非常な努力をしてくれていますが、若干おくれておりましたことは大へん遺憾なことであります。しかし幸いにいたしまして、大体ことしくらいでほぼケリをつけ得るような段階に進んで参っておりますので、おそらくただいま御指摘になりました清算指導課も、そう遠くないうちに、やがては店をしまうことができるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/24
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025・田中正巳
○田中(正)委員 麻薬取締りの件でございますが、麻薬取締りについては、御承知の通り、厚生省、警察あるいは税関等にいろいろつながりのある問題を持っておると思うのです。現在これがそれぞれ別の官庁でやられるようになっておりますが、これでは真の意味の麻薬取締りができるかどうか。あるいはこういったようなものは、一つの機関にまとめていくような連絡を持ってやっていった方がよろしいと思うのです。今後ともこの姿でもって取締りをおやりになるか。その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/25
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026・小山進次郎
○小山説明員 麻薬取締り上の問題につきましても、お話のように、警察機構の一元化の問題として論議されることが多いのでございますが、結論を先に申し上げますならば、この問題については、私ども厚生当局としては、いろいろの角度から検討いたしましたけれども、現在のような別立ての姿が最もよろしいという考えを持っているのでございます。この点を多少説明さしていただきますと、麻薬の犯罪は、御承知の通り、実は全国に平均に発生するわけではございませんので、大都市及びおもな港を中心にして発生するという、非常に地域的な偏在性を持っております。その意味におきまして、全国的に平均に警備力を振りまいているような警察組織の中で、これをこなすことはなかなかむずかしい事情があるということが、統合する場合に支障になる一つの点でございます。それから第二の点は、麻薬の犯罪は、申すまでもなく麻薬自体が非常に技術的な性質を持っているものでございますので、これを調査し摘発するためには、非常に特殊な専門技術を必要とするわけでございます。ところが一般の警察組織の中において、一般の警察官としての教養訓練だけをしていきましたのでは、こういう能力をつけさせることが不可能なわけでございまして、これはどうしても特殊の部門として、多少片寄った教育をしていかなければならぬという性質があるわけでございます。その意味におきまして、そういう技術を心得た者がそういう取締りに当っていくような組織を考えていかなくちゃいかぬということがあるわけでございます。それから第三の問題点としましては、麻薬犯罪の摘発をしますためには、非常に長期の事前の内偵が必要になるわけでございます。ほかの事件のように何とかの一斉検挙というような工合にやるわけにはいかぬのでございまして、ある一つのものにねらいをつけて、非常に長い間あらゆる方面から調査しておって、最後に検挙するならするというふうにしていかなければならぬ点があるわけでございます。こういうような点からいたしまして、どうも一般の警察の中に溶け込ませることは、非常に工合が悪い。また中央からの一元的な指揮が麻薬犯罪の性質上要求されますので、その意味において麻薬に関する仕事を所管しております厚生省でこれを管理することが、最も効果的だと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/26
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027・田中正巳
○田中(正)委員 かねてより問題になっております水道行政の問題ですが、共管事務が非常に多いということで、役所のセクショナリズムが、一般国民に迷惑を及ぼしておることこれよりひどいものはないと思います。この点もし厚生大臣がおいでになれば、もっとはっきりした説明が聞けるのではなかろうかと思いますが、今後これを定員法その他に関係いたしまして申し上げようと思いますが、厚生省におきましてはこれを一元化する気持があるか、またそういう具体的な努力をしておるかどうか、この政府になってからの御意向と実際の模様をお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/27
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028・小山進次郎
○小山説明員 水道行政を一元化することが望ましいという点は、お話の通りでございまして、この点は厚生省としてもそうでございますし、また水道行政について絶えず厚生省と対比してあげられます建設省においても同様だと思います。ただ違いますところは、厚生省は厚生省の立場において一元化したいという強い考えを持っておりますし、建設省は建設省の立場において一元化したいという、これまた強い考えがございまして、そういう事情からはなはだ中途半端な状態でございますけれども、現在のような状態に落ちついているわけでございます。これは御承知のように、非常に古い沿革を持っているわけでございまして、まだ内務省としまして土木行政なりあるいは衛生行政をやっておりました当時においても、これが同じ省の中で局を違えて処理をされていて、その後昭和十三年に厚生省が設置されましてから後も、厚生省と内務省との間において分けて所管をされておったというような事情がございますので、いろいろ議論はありますけれども、今日のような状態になっているわけでございます。それで現在厚生省なり建設省として努めております点は、水道行政の一元化という問題は、問題として常に行政管理庁を中心にして御検討願っておりますが、それはそれとしても、一応分れておっても、もう少し国民の立場から見て能率的な水道行政の運用はできないかということで、この点は技術的にももっと解決する余地がありはしないかというので、いろいろ協議をいたしました結果、昨年の春に厚生省、建設省及び通商産業省の共同の所管になる法律案を提案したのでございます。不幸にしてこの法案はその後審議未了になって廃案になっておりますが、関係省としましては、大体そういうような線に沿って今後ともこの問題のまず第一次的な解決をはかっていきたい。それから先生がおっしゃいました根本的な問題については、行政管理庁を中心にして何か方法がないかということで、御研究を願っているというようなことになっておる次第でございます。一応事情だけを御説明申し上げますと、そういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/28
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029・田中正巳
○田中(正)委員 この問題については、後ほど定員法その他の問題について政府全般に質疑をすることにいたしまして保留いたしますが、ついてはあの水道法案は一応廃案になったのですが、今後再び厚生省でお出しになる考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/29
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030・小山進次郎
○小山説明員 この法案は厚生省としては前回あのような経緯で廃案になったことでもありますし、また先生がおっしゃいましたように、役所間の縄張り争いのために明治二十三年以来水道条例というような形で、法的規制がその後一向改善していないというようなことでは申しわけないという気持からいたしまして、譲るべき点は譲り合って出したいという気持で協議をしておりますが、その後建設当局においてもう少し考えさしてほしいというような問題を幾つか持って参りまして、今のところまだ十分話し合いがついておりませんので、この法案はおそらく今国会には提案することがむずかしいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/30
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031・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑はこれをもって終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/31
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032・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に、労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/32
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033・田原春次
○田原委員 今回の改正によって新たに職業安定局に失業対策部を設けて、強力に失業対策を推進するというのでありますが、具体的にはどういう数字になっておりますか。現在推定されまする失業者をどういう程度に吸収するのか、一体何に吸収するのか、御承知のように、炭鉱等においてむしろ失業者が出る傾向であります。一般産業もそれほど盛んでないのでありますから、失業対策部を設けるからには相当の成案があるのではないかと思いますので、まずその成案を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/33
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034・西田隆男
○西田国務大臣 三十年度の予算編成に当りまして、想定いたしました三十年度の完全失業者数は、二十九年度よりも約二十万名増加するであろうという想定に基きまして、労働省の失業対策事業費を考え、二十九年度百十九億であったものが今度百六十八億計上いたしております。その内容は、特別失業対策事業といたしまして、三万人を一カ月二十五日間稼働せしめるという考え方で、約三十五億円計上しております。それから普通の一般対策事業費として計上しておりますものは、二十九年度が十七万名であったものを、十九万名失業対策事業の対象人員にするという考え方でおります。これは労働省の予算の中に計上されておりまする失業対策事業費でございます。これと関連性をもちまして、建設省の中の道路整備事業というのがありますが、この中で昨年は九億円でありましたものを五十億円に増額しました。四十一億円増で、約二万五千から三万の失業者を吸収する。それから通産省に計上してありまする鉱害対策事業費の中から、これも九億であったものを十三億二千万円、四億二千万円増額いたしまして、これで一万から一万五千の労務者を収容する。大体こういうふうな観点に基いて予算を計上して、総計労働省予算に計上されましたものは五万名、鉱害復旧、道路建設事業等にふえましたものが四万五千名、そのほかに統計あるいは国勢調査等によって収容し得ますものが一万名、この人数で、これを二十一日間の就業日数に直しますと、約十四万名をとりあえず収容する。二十万名できるうちの十四万名収容したのでは、あとはどうするかという問題が起きてきますが、これは職業補導所の経費をふやしまして、この中に年間を通じて五万ないし六万の職業補導教育をいたします。これによって万全でないまでもどうにか三十年度の二十万名増加する失業者というものが吸収できるんじゃないか。こういう観点に基いて三十年度予算に計上しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/34
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035・田原春次
○田原委員 大体の政府の予定はわかったのでありますが、それでもなお完全に失業者の全員に対する就労の機会はむずかしいと思います。そこで私どもが心配し、また考えておりますことは、これを海外の問題に関連して考えてはどうか、たとえば最近ブラジル等は農業移民を主としておりますが、なお手工業的な企業に、あるいは小資本をもって独立開業できるようなものが要望されております。そのほか、たとえば最近ついに実現はしなかったけれども、アラスカにおいて日本関係の事業のアラスカ・パルプ会社で二百人ばかりの労働者を希望して参りましたが、これは実現いたしておりません。アメリカの在留日本人が夏アラスカに、キャナリー・ボーイといって、サケの漁に行くのが大体年に五万人あるわけです。在留一世の老令化とともにこの労働力が減っております。それからまたアメリカでは、従来メキシコから野菜の季節農業労働者に、五万から七万名を入れておるのです。ところがこれもメキシコの事情によって減ることと、それから労働能力の悪いことによって、最近は日本から大規模に季節的農業労働者を入れようとしておる。これは移民ではございません。現に那須農学博士等も行って交渉しておりますし、われわれのところにもそういう問い合せが来ております。
そこで視野を世界的に求めて、優秀にして勤勉な日本人は農業移民としても定着する移民でありますが、季節的労働者というものに対しては、ただ労働省が国内でやきもきするということでなくて、外交機関を通じ、あるいは宗教団体とかあるいは海外の有識者に訴えて、広く労働口のあるところにはどこにでも流れて行くようにしたらよいと思います。そういう意味からいたしますと、言葉では失業対策ではありますけれども、事実は日本人の労働可能人口の世界的な分布という高い見地に立って参りたいと思います。そういう点について用意をすべきものだと思いますが、大臣はどういう御見解を持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/35
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036・西田隆男
○西田国務大臣 お説ごもっともでございます。今まで移民と申しますと、外務省と農林省でしょっちゅうやっておったのでございます。今回はその中に労働省も加わりまして、移民に関しましては労働者の移民——農民でなく、他の移民を考えるという考え方の上に立って、基本的な話し合いを現在進めております。ことしは六千名ぐらいしか予定しておりませんが、来年度からは一万五千名ぐらいを予定しまして、移民に関する経費も三億五千万円外務省の方ではつけております。特に私の考えておりますのは、中南米方面では工業移民を非常に要求しておる石炭の開発その他につきまして、ただいま調査団を派遣すべく経審長官と話し合っております。この調査団が帰りました結果、かりにコール・マインにしろ、メタル・マインにしろ、向うで機械設備と労働力を提供してくれという話もございますので、そういう機会でもありますれば、御説のように、労働省所管にかかる労働力の移民でなくて、労働力の輸出、と申しますと語弊がありますけれども、そういう形においての労働力の吸収はできるであろう。そういう点につきましては、労働省といたしましては今後積極的にやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/36
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037・田原春次
○田原委員 中南米に対してそういう方針に出ることは非常にけっこうだと思いますから、大いに推進していただきたいと思います。なお賠償交渉の成立に従いまして、東南アジアにおいては、特にインドネシアとビルマにわれわれも行って現地の当局とも話したことでありますが、これは事業の進出並びにこれに伴う技術家及び労働者の進出というものは十分可能でありますので、進んではそういう面も一つ目を開いて労働人口の国際的な伸展ということを強力に進めて参りたいと思っております。一応私の希望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/37
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038・西田隆男
○西田国務大臣 お説まことにごもっともでございます。賠償問題にからみまして、向うに起します事業施設に対する問題をただいま検討いたしておりますので、経審長官、通産大臣等々とお話し合いをいたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/38
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039・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかに質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑はこれをもって終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/39
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040・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題として、これより質疑に入ります。田原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/40
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041・田原春次
○田原委員 今度の設置法の改正には、海外移住審議会を新設するということになっておりますが、これはどういう程度の規模、人員等を考えて原案を作成したか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/41
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042・賀屋正雄
○賀屋政府委員 お答えいたします。海外移住審議会の所掌事務等につきましては、政令でもってこれを定めることにいたしておるのでありますが、ただいま政令案につきましては、関係各省と寄り寄り協議をいたしまして準備をいたしておるのでありまして、まだ確定的なほどの結論には達しておりませんが、大体の構想は、委員といたしましては二十五名以内といたしまして、構成員は関係各大臣、それから内閣官房長官、その他民間人として、学識経験者のうちから内閣総理大臣の任命する者でもってこれを構成することにいたそうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/42
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043・田原春次
○田原委員 民間の学識経験者というのは非常に漠然としておってなかなかわからないが、何かそれは推薦母体みたいなものを作ってやるのですか。あるいは各省から何名ずつか推薦して、その民間人を委嘱するようになっているのですか。実際はどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/43
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044・賀屋正雄
○賀屋政府委員 ただいまのところでは、大体各省にお願いいたしまして、各省から候補者を推薦していただきまして、その中から内閣総理大臣が任命するという方法で参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/44
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045・田原春次
○田原委員 新聞等の伝えるところによりますと、海外移民政策につきましては、外務省と農林省との間に今後やられる規模について、必ずしも見解が一致していなかったといわれておりますが、一致した結果がこうなっているのか、あるいはこれらの問題をあと回しにしてこういうものを作られたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/45
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046・賀屋正雄
○賀屋政府委員 ただいまのところは、外務省と農林省との間に意見の食い違いはすでに解消いたしておりまして、両者完全に意見が一致いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/46
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047・田原春次
○田原委員 関係各省というのは、外務省と農林省のほかに何省が入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/47
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048・賀屋正雄
○賀屋政府委員 この点につきましても、まだ最終的な結論には達しておりませんが、海外移住問題に対して関係の深い各省を考えてみますと、外務省、農林省は当然のことでありますが、そのほか工業移民等の関係もありまして、通産省あるいは労働省、運輸省といったところが最も関係の深いところであろうかと思っております。民間委員の数との振り合い等もありまして、あまり大臣の委員の数が多いのもいかがかと思いますので、一応はこの辺でしぼったらどうかという考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/48
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049・田原春次
○田原委員 総理府にあります他の調査会あるいは委員会、宋議会等の前例によりますと学識経験者の中で、純然たる民間人と、議席を持っている衆参両院の議員の中から出ている場合もあるし、その都度国会の承認等を経ておりますが、今度のこの審議会の構成は、どういう程度のものになりますか。衆参両院議員の中から出すのか。あるいは学識経験者といっても非常に範囲が広く、学校で授業をやっているような者もありますが、実際にその任命についてはきまっていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/49
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050・賀屋正雄
○賀屋政府委員 まだその点については結論に達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/50
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051・田原春次
○田原委員 それでは結局どこできめるのか。制度を作った後にどの機関が実際にきめるのか。そういう人選等の原案を作るところはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/51
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052・賀屋正雄
○賀屋政府委員 ただいま申しましたように、大体各省大臣から推薦いたしました者のうちから任命いたすわけでありまして、もちろん内閣総理大臣が任命いたすわけでありますので、その取りまとめは内閣でありますが、その際には十分に各省と御相談いたしまして、各省と意見の相違を来たすことのないように取り計らって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/52
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053・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑はこれをもって終了いたします。
本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。
午前十一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01319550531/53
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