1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月八日(水曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 江崎 真澄君 理事 森 三樹二君
理事 田原 春次君
長井 源君 林 唯義君
保科善四郎君 眞崎 勝次君
粟山 博君 田中 正巳君
田村 元君 福井 順一君
船田 中君 茜ケ久保重光君
飛鳥田一雄君 石橋 政嗣君
矢尾喜三郎君
出席国務大臣
文 部 大 臣 松村 謙三君
運 輸 大 臣 三木 武夫君
国 務 大 臣 川島正次郎君
出席政府委員
総理府事務官
(行政管理庁管
理部長) 岡部 史郎君
文部事務官
(大学学術局
長) 稲田 清助君
文部事務官
(社会教育局
長) 寺中 作雄君
運輸事務官
(大臣官房長) 山内 公猷君
委員外の出席者
文部事務官
(大臣官房人事
課長) 清水 康平君
文部事務官
(大臣官房総務
課長) 田中 彰君
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小関 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
専 門 員 遠山信一郎君
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六月六日
千葉県成東町の地域給引上げの請願(千葉三郎
君紹介)(第一八二四号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員の補欠選任
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五二号)
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇七号)
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。田中正巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/1
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002・田中正巳
○田中(正)委員 前回大臣にも質疑を申し上げましたが、その締めくくりに若干続行いたしたいと思います。
このたびの行政機関職員定員法の改正案を見ますと、従来民主党が申しておったこの問題についての考え方とどうしても少し違うように思う。民主党は、前回申し上げました通り、かねて結党当時よりあるいは選挙公約を通じまして、行政機構につきましては根本的なる改革を加える、簡素合理化をはかるというふうなことを再三にわたって天下に御声明になっていたように聞いておりますし、またその記録も私の手元にございまするが、このたびのを拝見いたしますと、どうしてもそういうような思想が貫かれていないように思います。一言にして申しますれば、各官庁の要求をそのままうのみにしたような格好の改正案であるように私は思うのであります。従いまして、この法案とかねての民主党の考え方と一体どういう関係があるか、またその後においてお考えがもし変ったならば、どういう見地からであるか、その点を一応御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/2
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003・川島正次郎
○川島国務大臣 行政機構の改革につきましては、前回も申し上げたのですが、合理簡素化をいたすことは常に必要でありまして、今回いろいろ提案しましたのも、みなその線に沿ってやったのでありまして、各主務官庁の意向をそのままうのみにして提案したことは決してございません。相当に押えるべきものは押えておるのであります。民主党内閣として行政機構のどういう改革をするかということをはっきり打ち出したことはないと私は考えるのであります。民主党の公約は別といたしまして、今日政府として行政機構を根本的に改革する考えは持っておりません。ただ公務員制度というものには、現在の実情に合わない点が多いのでありまして、これは自由党内閣時代から引き続いてやっておるのでありますが、内閣の中に公務員制度調査会を設けまして、公務員制度を根本的に直そうという操作はずっと引き続いてやっております。調査会の答申も近く出るはずでありますからして、その答申を見まして、公務員制度を根本的に直すことはいたしたいと考えておりまするけれども、行政制度全般にわたって改革するという考えは今持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/3
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004・田中正巳
○田中(正)委員 行政機構一般について根本的に改革をしようというお気持がないというふうに今御説明がございましたが、私どもの拝見する資料によれば、これは選挙公約集でございますが、「現行の行政機構は、占領下著しく厖大複雑化し、そのため国費は増大して国民負担は加重の一途を辿り、」云々と書いているのであります。しこうしてその末尾には「われわれはこの行政機関を国力相応のものに簡素能率化するため行政機構に根本的な改革をはかるとともに、信賞必罰により、官界の粛正を断行する。」こういうのであります。従いまして、私どもは民主党が政権をお取りになった暁においては、当然行政機構を根本的に改革なさるものと考えておった。しかしどうもこの改正案を拝見いたしましても、またただいまの長官の御発言によっても、この趣旨とは若干違うように存ずるのであります。御承知の通り行政機構にはいろいろ問題があります。人員の点もいろいろあると思います。「著しく厖大複雑化し、そのため国費は増大して」云々というところは、公務員に対する人件費その他の問題をさすものと私は了解しております。さすればこの方面からはあるいは今後定員の一そうの削減と申しますか、こういったようなことも予定しておったのではなかろうかというふうに考えております。従いまして、前回も若干御説明がありましたが、一体政府は再度定員の削減を試みるつもりがあるかないか。いま一つは、後段の行政機構の改革でございます。つまり特にやかましいところの共管事項の問題、縦横の共管事項の問題でありますが、かねてより起債の問題であるとか、水道の問題であるとか、砂防の問題とか、いろいろあります。またこれらの問題は沿革が深いというので、その抜本塞源的な改革がなかなか困難だということも私は知っておりますが、最近の行き方を見ますと、最近問題になっているところの原子力の問題であるとか、あるいは失業対策の問題であるとか移民の問題であるとかにおきまして、さらにこの共管の問題の萠芽が今や発生しつつあるように思うのであります。原子力の問題につきましては現在の経済審議庁でありますとか、あるいは通産省、また新聞等に伝えられるところによりますと、外務省の国際協力局にもまたこれについての担当を持とうという考えもあるようであります。従いまして今後これらの問題がまた共管の種をまくような格好になる。従ってこういったような問題は、今日よほど慎重にしかも決然たる態度をもって臨まなければ、今後の共管事項の根をはやすことになる。従って今日これらの問題について相当慎重にやっていただきたいというのが私らの考えです。それはともあれ、今日まで国民が非常に迷惑しておった従来からの共管事務の問題というものに、政府は清新にして強力なる政府という銘を打っているのでありますから、一日も早く手がけていただきたいと思うのでありますが、一体それらの御用意がありますかどうか。また先ほど聞きますと、調査会、審議会等にいろいろ委嘱をしているようでありますが、これは長官の諮問機関であります。従って長官がこれに対して特別なる指示を与えることがあるかどうか。ただ慢然と審議会あるいは調査会にやらしておるのか、政府としては特別なる指導督励をしておるのかどうか、これらについて御説明を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/4
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005・川島正次郎
○川島国務大臣 人員を整理するかという問題につきましては、ただいま行政整理の意味において人員を縮小しようという考えは持っておりません。これは前会申し上げたのですが、昨年から今年にかけて二カ年計画で六万人の整理を計画しまして、大体これは今年で完了する予定になっておりますので、それ以上公務員を整理の意味において減らすということは考えておりませんが、機構の改革につれまして自然に増減することはあり得ることですから、その点は御了解願っておきます。先ほども申し上げた通り、現在の機構は占領下に作られた機構が多いのでありまして、今日の実情に合わぬ点もあろうと思いますけれども、これを一挙に根本的に改革するということは、ただいまのところでは考えていないのであります。必要に応じましてこれを徐徐に改革していこうと考えておりまして、その一端を今国会にも提案いたしたわけであります。お説の通り、現在の行政機構全体にわたって再検討して改革をしなければならぬという必要性もあるのじゃないかということを私も痛感いたしますからして、その点は田中さんの御意見も参酌してこれからよく考えみます。
共管の問題でありますが、これは閣議等においてもしばしば問題になるのでありまして、ただいま御指摘の原子力の問題、移民事務の問題などもその一例でありますが、これは閣議において調整をしまして、適当に落ちつくところに落ちつかせております。移民事務にしましても、これは農林省、労働省、運輸省などいずれも関係がありますが、結局これは外務省の主管事務にいたしまして、外務省に移住局を置くということにいたしたわけであります。その他共管等で各省が争う場合には、閣議におきましては、関係閣僚を除いて全く関係のない閣僚で裁定して、それに従わせるというような方法を現在はとっておりまして、比較的円満に進捗いたしておるのであります。今田中さんの御質問のうち一番大きな問題は、行政機構の根本的改革でありますが、この点につきましては、お話はまことにごもっともでありますからして、一応どういうふうにしたらいいかということを新しく考えてみますから、御了承願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/5
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006・田中正巳
○田中(正)委員 お話によりまして大体考え方はわかりましたが、かねてより民主党はこの問題を強力に打ち出しておるのであります。従いましてこれに対して国民は非常に期待をしておったと私どもは考えるのであります。しかし現在大臣の御説明によりますれば、どうも公約倒れのような感がなきにしもあらずであります。かようなことはまことに遺憾であります。私は国民が、一日も早くこの行政機構を簡素化し、国民の負担を軽減していただきたいというふうに念願しているものと信じてやみません。従って一日も早くこれらの問題を、強力に勇気を持って取り上げられんことを切に要望いたしまして、私の質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/6
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007・宮澤胤勇
○宮澤委員長 石橋政嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/7
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008・石橋政嗣
○石橋(政)委員 大臣に一点だけお伺いしまして、あとは政府委員の方に質問いたしたいと思います。
前会の私の質問に対して、今回の整理、特に年次計画によって整理される部面については指名退職制度というものを適用される、これは昨年の臨時待命制度と異なってあくまでも任意一本やりでやるのだ、こういうお話でございましたが、もし本人の申し出に基いていわゆる任意の形でやられる場合には、この方法によって定められただけの人員を指示し、指名退職制度の適用を受けさせるに至らなかった、結局それだけの希望者の申し出がなかったという場合にはどうなさるつもりか、この点を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/8
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009・川島正次郎
○川島国務大臣 私どもとしましては制度的に扱っているのでありまして、もし指名制度のもとに予定の人員の希望者がなかった場合にどうするかという御質問に対しては、これは一応主管大臣の方から説明をするようにいたさせます。私の扱っております行政管理庁といたしましては、制度としては指名制度を採用したい、こう考えて御審議を願っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/9
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010・石橋政嗣
○石橋(政)委員 長官のそういう答弁でございますから、この点は各省の責任のある大臣に後日質問いたしたいと思います。それで政府委員の方にお尋ねいたしますが、この間あとで詳しくということでございましたけれども、本年度の整理に当っては、実質的な出血といいますか、そういうようなものは年次計画でやられる者以外にはないのですか。ほとんど配置転換でやられるのだということを言われておりましたが、その配置転換の細部の計画といったようなものについてあとで説明するということでございましたが、本席で詳しく説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/10
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011・岡部史郎
○岡部政府委員 石橋委員にお答え申し上げます。このたびの定員法の改正におきます職員の増減は、合せまして結局四千八百四十四人の増加に相なるわけでありますが、その内訳といたしましては、各省個々に見ますと、それぞれ定員の増減があるわけでございます。各省間における増減につきましては、それぞれ各省の内部におきまして配置転換が可能の予定になっております。そのうちのおもなものといたしまして、たとえて申しますと、郵政省におきましては、電電公社の直轄による委託電話業務の減少に伴う四百人の減員がございますが、これは身分をそのまま電電公社の方に持って参りますので、これも心配ございません。それからもう一つ大きなものは建設省の営繕関係の技官二百二十名の減員でありますが、これはことしの十一月、来年の一月、来年の三月三十一日までの三段階に分けまして、二百二十人を減らしていくわけであります。これは業務量の減少に応じて逐次減らして参る。これらの職員につきましては、内部の配置転換によるほか、日本住宅公団に吸収するという予定で建設省と打ち合せをしておりますので、この点も私どもといたしましては配置転換に何らの困難を来たさない。ことに住宅建設関係に従事いたします営繕関係の職員というものは、国全体としても数がきまっておりますので、これらの職員を適当なところに吸収するということは困難でないと存じております。それから大蔵省では六百八十人のしやし繊維品消費税関係に伴う減員がございますが、これは昨年から定員をとめおきましたので、ノミナルなものでございますから、心配はございません。その他は全部省内において配置転換が可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/11
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012・田原春次
○田原委員 ちょっと関連して……。この点が実はわれわれの心配するところなんで、今の政府委員の答弁では各省内ごとでの配置転換を言っておりますが、私が行政管理庁にお尋ねしたいのは、もう少し他省にまたがって総合的な配置転換をするならば、ある一省で減員しても他の省で補充するということになって、非常にやりいいのではないか。もちろん技術の面とか俸給の面とかでいろいろでこぼこのあることはわかります。従って、なかなか予定通りにはいかないと思いますが、そういう場合、できるなら各省内の配置転換について協議会のごときものを行政管理庁の中に作って、技術の修練とか住宅の問題とかを勘案し、たとえば東京から札幌に転勤しなければならぬということもあるのですから、そういうような総合的な立場から、各中央主管庁の事務の増減による人事の配置転換ということを行政管理庁で勧告いたしていくならば、もっとスムーズにやれるのではないか。とにかく、今のように各省ごとにまとめた転換案を持ってきたからといって、それをそのまま取り次ぐというのでは意味をなさないと思うのです。これに対する大臣の見解を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/12
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013・川島正次郎
○川島国務大臣 今の田原さんの御質問まことにごもっともでございまして、一方で切っておいて、一方で増員するというようなばかな話はないわけであります。できるならば各省間の配置転換をやってスムーズにやることが当然であります。ただ御指摘のように、従来の行きがかりや技術その他の面において、いろいろ支障のあることは当然でありますけれども、できるだけそれを排除しまして、配置転換をやることはぜひ必要でありまして、これにつきましては内閣に配置転換本部というものがありまして、内閣でもってこれを一元的にやっているわけであります。御心配のことは私どもも考えておるのでありまして、内閣でもってこれを推進いたしておりますから御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/13
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014・田原春次
○田原委員 しからばその内閣にある配置転換本部を有効適切に運用されるよう、一つ長官にそういう努力をされんことを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/14
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015・川島正次郎
○川島国務大臣 ごもっともな御注文でありまして、官房長官にもよく御趣旨を伝達しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/15
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016・宮澤胤勇
○宮澤委員長 本案に対する質疑はしばらく後刻に譲ることといたします。
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017・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題として、これより質疑に入ります。田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/17
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018・田原春次
○田原委員 この機会に運輸大臣に以下数点の問題についてお尋ねしておきたいと思います。第一は自動車関係、第二は鉄道の新線関係、第三は運輸省内の配置転換、減員等の問題であります。第四は国鉄関係のベースアップの問題であります。
第一の自動車関係でありますが、これは自動車車体検査法というものがあって非常に厳格にやる反面、廃車が非常に多くなっている。従って日本ではぼろぼろの自動車とかあるいはボデーのこわれた自動車を見ることができない。しかしこれは外観はいいかもしれぬが、そのかわり廃車が多くなるので結局一台当りの自動車の価格が上ってくるということになる。運輸大臣も御承知の通り、アメリカではタクシーは非常に厳格にやるけれども、個人の、ことに学生あたりがどんなぼろ車を持っていようと、個人の所有権を尊重するから、そうした乗用車に対する車体検査というものをやっていないわけです。だから日本のような自動車の少い、しかも人口の多いところでは、なおさら個人がどんな形の自動車を持とうと、またどんなに悪い自動車を持とうと自由にするということにすれば、私はもう少し自動車の価格というものは下ってくるのではないかと思う。そこで将来において営業用自動車車体検査法というような法律を作って、営業用の自動車に対してはこれはお客さんが乗っていくのにこわれては困りますから、規定通りの検査をする。そしてそういう法律を作れば営業にあらざる個人はいかなる自動車を使っても全く自由になる、こういうことによって一台当りの自動車の価格も下ってくる。そういう用意をすべきであると思うが、大臣はどういうお考えを持っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/18
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019・三木武夫
○三木国務大臣 田原さんも御承知のように、アメリカのような場合は交通が単純です。日本の場合は人口が多い上に、リヤカーがあり、自転車があり、歩いておる人があり、非常に複雑な交通形態になっておるものですから、安全の見地をアメリカよりも日本ではもっと神経過敏に考える必要がある。アメリカのようにもうハイ、ウェイを通っておるのは自動車だけというならいいのですが、日本の場合は、いろいろ複雑な交通の形態になっておるから、安全の見地から自家用の人たちも車両検査をしないでいいというわけにはいかないと思う。しかしお話のように、営業用と自家用とは少し区別をして考えたらどうかということは検討をいたす余地があると思います。今は営業用には時間を短縮して、車両検査の間の期間が短かい、自家用はそれよりも長いということで、内容については両方とも厳格にやっておるわけでありますが、これを期間だけでなしに、もう少し区別をつけたらどうかということは検討いたしますが、アメリカのようなわけにはいかない。日本はアメリカよりもやはり交通の安全という見地を相当厳重に考えなければならない、こう私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/19
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020・田原春次
○田原委員 その点は議論になりますが、日本といえども別に衝突して死のうという考えで運転する者はだれもいないと私も思います。しかしこれは、個人に幾らか貯金をして自動車も買えて運転できるという楽しみを与えるのには、もう少し個人の運転規則をゆるめて、安く買えるようにしたらどうかと思う。しかしこれはこの程度にしておきます。
次には、この内閣の一枚看板でありました官庁用の外車を国産車に切りかえるという問題、これははなばなしく言われたが、その後何ら実行していない。大臣その他外車に乗ると気持がいいものですから、つい何とはなしにうわさの消えるのを待っておるのではないかと思う。(笑声)しかし私は何もトラックに乗れとは言わないが、日本の国産車も五、六種できておりまして乗れないことはない。幾らかクッションか悪いという程度です。そこで、あらためて運輸大臣から閣議にかけて、中央官庁の乗用自動車、国会の乗用自動車並びに裁判所等の乗用自動車は外車の購入を一切やめる、なお現在持っておる外車一台をダットサンとかプリンスとかトヨペット等の日本車二台に取りかえる、こういうことにして日本にも自動車があるということを知らせなければいかぬ。そのためには天皇陛下のお車も和製車にしなければいかぬ。第一東京都内に一時間七十キロで走る場所はありません。せいぜい二十キロから四十キロです。これなら日本車でも十分に乗れます。また国産車が悪ければ悪いだけに、大臣やその他の人が国産車に乗る機会を多く持たなければいかぬと思う。これは、私外国の友人が来てよく皮肉られるが、君のところは日本車があるというのにみな外車ばかり乗っているじゃないかと言われるのですが、まさにその通りなんです。そこで国費をもって購入する一般乗用車は、みな国産車にすべしという意見を持っている。この点では通産省と運輸省と意見が違っておる。通産省は国産奨励の上から、運輸省の方は外車輸入の上から突っぱっている。いろいろ理屈はあるけれども、最小限度官庁用の自動車は、全部国産車にしてもらいたい。民間あるいはタクシー等の外車は自由です。その点までは言いません。そこでまず三木運輸大臣自身が、運輸省の車は全部国産車に取りかえる。このくらいやったら、さすがに運輸大臣三木武夫は偉い、(笑声)閣内でも次の総理大臣の有力な候補者になる。このことはこまかい問題でありますが、国産乗用車の官公庁における優先使用ということは、議員から決議案を出したりなんかすることなく、行政措置でできると思う。がんばってもらいたい。果して三木運輸大臣はあくまで外車崇拝であるか、国産車援護の気持を持っているか、この見解を一つ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/20
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021・三木武夫
○三木国務大臣 私は、運輸省が今後購入すべき新車は全部国産車でなければならぬということを厳重に申し渡してございます。また閣議においても、他の省も新しく購入する自動車は全部国産車にするという申し合せもできておりますが、田原さんの御指摘の、今の外車をみな売り払って、そして国産車に全部かえてしまうというところまでは——今後新しく購入する車について、閣議でも申し合せをしたわけであります。私が運輸省に言ってあるのもそうでございますが、今官庁で使っておるのはほとんど外車であります。今後新しく購入する車は、国産車に切りかえていくというくらいな——お気持はわかりますが、これはいろいろ予算もありますし、外車を売れば金が出るじゃないかというお話もあるでしょうが、今後新車を購入する場合は、国産車に切りかえるというところが、まずまず妥当なところではないか、こう考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/21
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022・田原春次
○田原委員 はなはだ不徹底のようですが、まあこの内閣でやれそうなことはその程度だと思います。第一はその程度の申し合せを実行する。続いて私の言うように国産車に取りかえていくということが望ましいと思います。これはこれで打ち切ります。
次は新鉄道線の問題であります。鉄道審議会には国会からも政府からも委員が出ております。鉄道当局が消極的で、新線の決議をしても、実行しておらない。主たる理由は、金がないということです。ところが鉄道の線というのは、これは経済の動脈なんですから、金がかかったからといって、物を輸送できれば、国全体としてはそれで便利になる。これも今年はかなり消極的に減ってきておるように聞いております。たとえば福岡県で、石炭の生産地から若松の港に出す線が非常に輻湊しておるために、別に苅田という港との間に、上山田、川崎線ですか、名前ははっきりしませんが、これは二十七年に可決したけれども、実行しない。今年も鉄道審議会でやったけれども、路線の拡張、新設を必要とすることについて、通産省あたりは石炭関係で積極的であるが、運輸省は消極的である。どうしてそういうことになるのですか。今度のように一夜にして二百十五億もひねり出す妙手があるなら、せめて鉄道くらいはこの機会にこういう予算の組み合せのときにやるべきじゃないか。もし政府の一兆円予算のワクでだめだとすれば、これこそ鉄道公債というような、何かかわるべき方法を考えてやるべきじゃないかと思う。ちっとも着手していないために、かえって民主党はだめだというようなことになってきている。だから実行する積極性を持つ意味におきまして、鉄道審議会に出ます新線要望の声は、北海道にもあります、中部地方にもありますが、全部これを実行に移す、そのための難点は政治力で解決してもらいたい。そういう問題についてのお考えを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/22
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023・三木武夫
○三木国務大臣 一昨年でありましたか、鉄道建設審議会で三十線の新線を決定した。そしてすでに七線が完了して、二十三線の、北海道から九州まで全国的な新線の計画が鉄道建設審議会で決定を見たわけであります。その二十三線について一体予算の裏付があるかというと、予算の裏付が伴っていない。しかし二十三線の新線をやるということは審議会でも通り、また運輸大臣もそのようにきめまして、各地で盛大な祝賀会も行われて、鉄道の開通をみな非常に待ちわびている。しかし予算は幾らつくかというと、自由党内閣の時代においても二十五億、それで補正をしてようやく三十億、この内閣でももう少し鉄道建設の予算を取って、私はこの残っている二十三線を早急に片づけたい。これは運輸大臣としては前の内閣の遺産相続を受けているようなもので、ほかの新線をやりたくても、この二十三線があるために、予算が取れないとなかなかこの二十三線というものは片づかない。こういうことで非常に予算が少いために、二十三線も、全部ではございませんが、そのうちのある線をようやく細々と工事を続けていっているという状態で、今御質問の中にもありましたが、今後の新線建設というものは、予算がこのような状態であるとなかなか進みませんから、何かやはり構想を新たにして新線というものを考えていくことが必要だ、こう私も考えております。それで新線建設というものに対しては、少し考えを新たにしてこれを処理するというようなことで検討を加えておるのでございます。
御指摘の川崎線につきましては、石炭の合理化の上からいってもこれは必要な線であるということは、われわれも全く田原さんと同意見でございます。しかしこの川崎線を手をつけるためには、すでに二十三線という未成線があるわけですから、この中に川崎線を入れませんと、今年度の鉄道建設の予算を使うわけにいかないわけです。川崎線に対してこれを建設すべしという世論も非常に起っておりますし、政府部内においても、川崎線はやるべきであるという非常に強い意見がございますので、近く鉄道建設審議会を開きまして、そうして川崎線の問題を建設審議会に付議したい。どうしても政党内閣のときに、建設審議会の意見を尊重して鉄道の新線を決定いたしませんと、いろいろな弊害が起ってくるものですから、どうしても鉄道建設審議会がその必要を認めるということでないと、この問題は解決をしない。また今までも鉄道建設審議会の意見を尊重して新線をやってきているのですから、この鉄道建設審議会に川崎線の問題も付議したいと私は考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/23
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024・田原春次
○田原委員 次は運輸省の港湾現場職員の減員の問題に対する対策を聞きたいと思う。問題は舞鶴、佐世保、下関等、数カ所にわたりまして、事業縮小か何かに伴いまして、現場の技官級以下のものが馘首される予定の通告を受けておりまして、これが非常な不安を各家庭に与えております。その数は多くはありません。そこで先ほど川島自治庁長官に聞いたのもそういう意味です。一定の技術を持っているものは、その技術を生かすために、他省の方にも渡りをつけた総合的な配置転換でないと困るわけです。港湾作業に詳しい人はほかの仕事に変えてはなりません。そういうことで大へん心配していろいろ陳情を受けております。それで至急にこの問題については、こまかい問題はまたあとでお尋ねする機会もあろうかと思いますが、全般として見まして、運輸省で減員しないような建前から配置転換を省内もしくは他省に交渉していく方針を進めてもらいたい。これに対する大臣の見解を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/24
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025・三木武夫
○三木国務大臣 港湾労務者はやはり特殊な労務者であって、今田原さんの御指摘になったのは非常勤の人だと思います。常勤をしておる港湾労務者が仕事がないということはありません。今年度の予算の規模で常勤労務者は仕事が継続できるわけです。しかしずっと続いて働いておるのですけれども、雇用契約としては、一カ月ぐらいの短期で働いておる非常勤の労務者があるわけです。この人たちが問題であります。予算も今度五億円港湾の予算がふえたのですけれども、しかし全体としては必ずしも満足する予算ではございませんので、地方の港湾の仕事を委託いたしますとか、あるいはどうしてもいけない場合には配置転換等をして非常勤の労務者にも多数の失業者を出さないような最善の方法を講じたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/25
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026・田原春次
○田原委員 この点についてはなお私の方も調べて、正確な点についての質問はあらためていたしたいと思います。
次は国鉄職員のベース・アップの問題ですが、これはどういうふうになっているのか、今後どういうふうにするのか、大臣の方針を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/26
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027・三木武夫
○三木国務大臣 国鉄の方から私のところに国鉄のベース・アップの問題で新しい要求が起っておるという報告はまだ受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/27
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028・田原春次
○田原委員 夏季手当の問題については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/28
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029・三木武夫
○三木国務大臣 夏季手当の問題についてはいろいろ私自身が労働組合の代表者とも会いましたが、ベース・アップの問題は一週間ぐらい前に会ったときにも言いませんでした。夏季手当につきましては、これは公務員、公共企業体全体といろいろ関連性を持つものですから、政府の方でこの夏季手当の問題について今検討を加えておるわけであります。ばらばらになってくるとこれは問題が起って参りますので、統一した夏季手当に対する政府の処置をいたしたいということで、ただいま官房長官と給与問題の担当大臣であります大久保国務大臣が中心になって検討を加えておるわけでありまして、近く結論が出るものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/29
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030・田原春次
○田原委員 夏季手当の問題については、われわれの方からも単独臨時立法として〇・二五の問題も出してあるし、それからこれが通らぬ場合を想定して本予算が通ったならば暮れの手当の中から繰り上げ支給のやり方ができないかという両方の線で官房長官と会見しておるわけです。この機会に、運輸省関係としては鉄道も含めて非常に多いからはっきりした大臣の方針を聞かしてもらいたい。むろん相当の予算を伴うことは承知の上でありますが、この捻出方法なり、またいつごろまでに政府の態度がきまるのか。きょうはすでに六月八日でありまして、大体からいえば、民間会社は六月十四、五日までには一応支給されるわけで、すでに支給されたところもあります。毎年の恒例でいつもごたごたしなければ出さぬというのはよろしくない。この内閣としては初めての夏季手当並びに勤勉手当に対する態度でありますから、ぜひ本月の中旬までに確たる方針をきめてもらいたいが、なおまた〇・二五を確実に当然出すべきものと思うが、いつごろまでにきめるかという大臣の見解をこの機会に明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/30
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031・三木武夫
○三木国務大臣 〇・二五の問題は予算が伴うものでございますから、これは内閣全体の問題で、運輸省だけで解決できるという問題でございませんので、この処置は政府に一任をしてあるという状態であります。大体いつごろまでに結論が出るかということは、田原さんも十五日ごろまでには結論を出すようにというお話でございましたが、できるだけそういう御希望に沿うように努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/31
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032・田原春次
○田原委員 まだ多少ありますけれども、いずれ他の機会に譲ることにいたしまして、きょうの質問はこれで打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/32
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033・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければこれにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/33
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034・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
〔委員長退席、高橋(禎)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/34
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035・高橋禎一
○高橋(禎)委員長代理 茜ヶ久保重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/35
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036・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 文部大臣にちょっとお尋ねしたいことがあるのです。きょうの議題とはちょっとかわりますけれども、ぜひこの際お聞きしたいのでございます。と申しますのは、全国にあります大学の附属学校であります。特に小、中学校が老朽になりまして非常な困難を来しておるのであります。先般、大学の、特に病院等を中心とした校舎その他に鉄筋にやりかえるというような新聞発表を拝見いたしましたが、この附属学校の施設に対して新築とか、思い切った改築等の御用意があるかどうかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/36
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037・松村謙三
○松村国務大臣 それでは、事務的なことをまず大学局長から申し上げまして、あと私が補足することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/37
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038・稲田清助
○稲田政府委員 ただいまの点でございますが、付属学校につきまして非常に老朽校舎の多いことも承知いたしておりまして、この点心痛いたしておるのでございますが、文部省所管の各学校につきましての営繕は、戦災復旧がまた完全に直らないという程度でございまして、ようやく本年に至りまして、大学本校の老朽校舎の一部に着手するというような状態でございます。なるべく将来早い機会に付属学校にも及びたいと念願いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/38
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039・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 問題は少し具体的になりますが、実は私は群馬大学の付属学校に関係しておりますが、学校当局が校舎を改築、新築すると文部省に陳情しておるし、相当話が進んでおる。そこで問題は、地元負担が問題になりますから、今から父兄が地元負担金の積み立てをしなければならぬということで、現にPTAが、いわゆる校舎新築のために地元負担金用意として月額一人当り百円の積み立てをしておる。このことは、おそらく全国的な傾向だと思うのでありますが、見通しがあってやることか、文部省当局が何かそういった示唆を学校当局に与えてやったことか、あるいは学校が独自でやっているのか。もし示唆を与えたならば見通しがありましょうし、全然示唆がないならば、これは学校当局の非常な行き過ぎだと思うのであります。それでなくても付属学校は教育費の負担が過重でありまして、そういった点非常に遺憾と考えておりますので、この点に対するはっきりした見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/39
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040・稲田清助
○稲田政府委員 一般に国立学校の施設でございますから、これは国費をもって建てることが建前でございます。私どもも緩急前後の順序を考えまして漸次国費をもって実現する計画を持っておるわけであります。ところが地方において、その学校に特別に関心を持っておる方々が、あるいは資料を集め、あるいは地方費によって寄付をするから、順序を狂わせて早く国費を注ぎ込んで同時に建ってもらいたいというような、申し入れのある場合がよくあるのであります。これらの場合といえども、国の方の立場から寄付を求めましたり、あるいはそういう計画を最初から寄付に依存するというようなことで出発することはありませんでしたし、今の場合もそういう事実はないと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/40
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041・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 しからば、付属学校校舎の新築等の予定は全然ないというふうに了解してよいでありましょうか、あるいはここ数年内には付属学校も鉄筋等の恒久資材をもって新築される見通しがあるかどうか、一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/41
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042・松村謙三
○松村国務大臣 詳しいことは稲田君からお答えをいたさせますが、私どもの計画として持っておりますことは、義務教育の老朽校舎等も大体のめどを持ってやっておるわけです。三年ないし四年の間に全国の老朽校舎を一応解消したい、こういう考えを持っております。もちろん大学の付属高等学校だとか中学校あたり、大学それ自身のあれもやはり年度的に考えて、これらの整備を期したいと考えまして、実はこれを経済六年計画の中に織り込みたいと思いまして、私は、高碕長官にも、一つ計画的にこれを織り込んでくれないか、生産面でなくて消費面であるけれども、これはどうあってもやはりあの経済計画のうちに組み入れて考えるべきだと思うがという話をいたして、長官の了解は得てあるわけです。これを事務的に移して、どういう形に現われるかということを直ちに折衝をいたして、次の年度から具現をいたしたい、こういうふうに私は考え、その方針で処理をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/42
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043・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 稲田局長から具体的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/43
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044・稲田清助
○稲田政府委員 ただいま直ちに実施し得るかという御質問につきましては、他の予定いたしております計画の実施、これがいろいろ変って参ることがあろうと思いますが、それらと関連いたしまして、なるべく早い機会に実施し得るように研究いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/44
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045・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 お願いしたいことは、地方におりますと、非常な揣摩憶測なり、あるいは文部省の、それはどんな下級の仕事をしていらっしゃる方でも責任はあるわけですが、ちょっとした言葉によって、関係者なり父兄というものは非常に動揺いたしまして、思わぬ結果を来たすのでございます。私ども国家の財政の状況をよく知っておりますから、御無理は申し上げませんが、ただそういうことで教育上いろいろな問題を起したり、あるいは父兄によけいな負担等のかからないように、適切な処置をぜひお願いしたいと思います。これで私の質問を終ります。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/45
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046・高橋禎一
○高橋(禎)委員長代理 田原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/46
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047・田原春次
○田原委員 私は、この機会に、文部行政について、特に松村文部大臣に二、三お伺いしたいと思います。松村文部大臣は党内で重きをなし、副総理級で入っておると思うのです。そうしますと、重きをなしているのだから、文部行政の中においても、自然予算の獲得、制度の改廃等について一生懸命なさねばならぬと思います。その意味でお尋ねしますから、大臣の教育行政に対する施政方針をやるつもりでやってもらいたいと思います。
項目は数項目あります。第一は、官立学校の地方分散とでもいうような問題であります。御承知のように、東京に国立の大学が十数校ありまして、地方に七十数校あるわけですが、教授が地方に行かないというようなこと、それから地方の学校は歴史が浅いということ、従って卒業生が少くて、卒業生の就職の便利が悪いということ、いろいろな原因がありまして、同じ国立大学に入るにしても、中央の大学にのみ特に志願者が多いという傾向になっておることは御承知の通りであります。地方の父兄からいいますと、理想をいえば、自宅から通学できる区域に国立大学があってほしいが、それが非常に少いのです。また、地方にあります現在の大学も、設置科目が少くてその要望に応じられない。こういう点から、みな東京に集まるわけです。ところが、諸外国の国立大学の配置を見ますと、むしろあべこべになっておって、地方の小都市に国立大学があって、中央の大都市には少い。これはイギリスしかり、アメリカしかり。このことは、およそ官立大学、国費でもって経営する大学というものは、国費でなければ研究のできないような科目か、あるいは国立大学でなければ存在し得ないような地域でなければならぬと思う。原則としてはそうでしょう。すなわち天文学などは私学ではできないから、国立大学でやるのは当然だろうと思う。それから大都会ならば学生の数が多いから、私学でも経営が楽であるが、小さな町ではそれはできません。こういう意味で、現在東京にあります東京大学、あるいは東京工業大学、あるいは東京教育大学、あるいは一橋大学、こういうような大学が東京に競合しております。みな一流の大学です。ところが、同じ税金でやっておりながら、東京大学の工学部の卒業生と東京工業大学の卒業生は、卒業後就職戦線においておのおの激しい派閥抗争をしておる。あるいは、東京大学文学部の卒業生と、東京文理大学ですか、教育大学ですか知りませんが、高等師範系統とは、卒業後就職で非常に対立している。はなはだしきは、東京大学医学部卒業生と、東京医科歯科大学の卒業生が就職戦線で対立している。国家の費用で子弟を教育するのに、同じ市内に共通する科目の学部を二つ以上持っておるということは、まことに天下の珍だと思う。反面、札幌であるとか仙台とかの大学は歴史もあるから別だが、それ以外に、あるいは高知でありますとか、あるいは青森でありますとか、あるいは山形であるとか、あるいは富山であるとかいうように、地方にできております国立大学では、図書館の図書数さえ少いということである。これは非常に大きい問題ですから、容易なことではまとまらないかもしれませんが、せっかくあなたが大臣になっているのだから、これに対する一つの大方針をきめたらどうか、その時期ではないかと私は思うのであります。東京の国立諸大学の学部を適宜地方の大学に配置転換あるいは分属せしめていったらどうか。そうして、国立大学とは地方におっても学べるものであるという観念を植えつけるようにしてもらいたい。そのためには、教授等が地方に行きたがらなければ、待遇等を考慮してやるようにしたらどうかと思うのです。この、東京にある国立諸大学の地方の国立大学への分散、この点をまずお尋ねしておきたい。そういう考えは実行不可能なものでありましょうか、また、こういう計画には興味がないでありましょうか、あなたとしてはどう考えておられますか、まずそれを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/47
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048・松村謙三
○松村国務大臣 確かにお話しは一つの見方であろうと思います。しかしながら、大学というものは大体長い沿革を持っているわけでございまして、その整理はなかなか困難でありますが、近来、戦後の大学制度で、ほとんど各府県に一つずつの総合大学ができているという現状でございます。そこで、今もなおかつ大学の設置がいろいろ無制限に拡充せられる形がありますので、これをどこかで押えませんととても国力に耐えない状態まで参っておるのでございます。それで今のお話しですが、東京の設備のある大学を地方へ分散するということは、事実においてはなかなか困難で実行はできませんが、御趣旨のようにいたしますのには、今日各府県にある大学の設備をよくいたしまして、そうしてこれにうんと特色を持たしてやりますと、ちょうど御趣旨と同じ結果を来たすということになると考えまして、私どもは、これから新しい大学を抑制いたしまして、現在できている地方の大学の内容の充実に力を入れる、こういうことをして特色を発揮せしめた方がよろしくないかというような考えを持ち、その方針で今後内容の整備充実をはかるように努力をいたしているのであります。たとえば繊維に関する工学は福井県のような繊維の盛んなところで特色を持たしたものに力を入れますとか、これはただ一例で、福井でやるという意味ではございませんが、とにかくそういうふうに特色を持ち、それが全国的にずっと調和を持てるような形に大学を整理して、そして内容を充実していく、今日、今お話のような御趣旨を貫徹するのには、まずその方法が一等近道ではなかろうかと考えまして、そういうやり方をいたしたいということで、大学局あたりの方針も大体そういうことで進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/48
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049・田原春次
○田原委員 ただいまのお話のような方針も確かに一つのやり方でありますから、これもいかぬとは申しませんが、今度父兄の側から見ますと、今東京に概略十五、六万くらいの学生がおるのじゃないかと思う。この中で東京都で生まれた者をかりに一割と見ましても、十三万くらいは、地方から学ぶために東京に来て下宿しておる。平均六千円から一万円の学資を使っておるのではないかと思います。従って地方の父兄が給料をもらっても、そのうちから六千円なり一万円の金を毎月東京へ送っているわけです。従って東京では家賃も高くなるし、東京の商店は盛んになりますが、これは地方の収入を東京が搾取していることになる。東京の人口の分散とかいろいろいわれますが、大学が東京に偏在することが大きな一つの原因でございますので、今あなたのおっしゃるような案をお進めになるならば、今後原子力の研究であるとか、航空機の研究というような科目を新しく作る場合には、まず地方の国立大学にこれを作る。学校の教育制度に対する東京の世論は、東京大学をグラデュエート・コースにする。大学院にする。そしてアンダー・グラデュエートの大学本科の教育は地方の大学にやらしたらどうかという案も出ている。これは二年制の短期大学にいろいろからんでおるのでありますが、今あなたの御意見と私どもの希望を合せますならば、漸次そういう形にしていったならば、大学院でありますと在学学生も少くて済みます。それから地方の大学にそれだけ行くことになります。このためには運用面で東京の大学の将来正規の教授になる直前の助教授級は、まず地方のへんぴな地の大学の助教授を二年くらい、一種の講師の交流と申しますか、国内派遣と申しますか、そういうことで地方におりながら東京の一流の大学の新鋭な教授から直接講義を受けられるという便宜もあれば、多少は地方に行く人もある。今は何だか一種の劣等感を持っております。同じ国立大学でも東大にはかなわぬという感じを持っておる。そういうことは、同じ国費を使う場合はあまりえこひいき過ぎると思います。この点でも希望を申し上げておきます。むろん就職面等に問題があるわけでありますが、従ってこれは希望として申し上げております。
第二点は学校制度について半年進級制というものがあります。一年に二回入学、二回卒業という問題は、かつて日本において試みたことはありませんが、世界各国の大学、高等学校、小学校はやっておるのであります。九月から二月までが前半学年、三月から八月までが後半学年で、同じ科目、同じ授業を二度繰り返すわけです。従って落第するという場合にでも半年で済むわけであります。それから転校の自由もあります。これは従来やられておりませんので、日本の大学では四月に入学いたしまして、日本史なら日本史を古代史から現代史まで週二時間一応翌年の三月までやります。途中で講師が死ぬとか学生が退学するということで打切られません。従って学期制ではありますが、学期制の意味ではなく、ただ休暇に入るというだけです。これが前半学年で講義を終らせて後半学年で受けるということにすれば、大学生に非常にいいのではないか、最近科目制度で二重制度になったところもありますが、小学校、中学校、高等学校、大学に至るまで年二回、半年進級制度というものを採用してはどうか。これははなはだしく費用を伴うものであるかどうであるかということについてよくわかりませんが、文部省側の見解を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/49
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050・松村謙三
○松村国務大臣 今御質問の中で新しい研究講座などは地方に分散したならばどうか、こういうお話でございまして、これはごもっともでございます。そういうことを心がけましょうが、ただ原子の問題のごとき総合的の研究を要するものはやはり全く新しいところへ持っていってやるわけにも参りません。また東京大学などもお話の通りもう学科がずいぶん目一ぱいになっておりますので、これらのことについても、大体お考えのようなふうに、新しいものについてはできるだけ分散を考えたいと思いますが、それは総合的研究の事情の許す限りにおいてそういうふうに考えているわけであります。
それから東京へ集中する、下宿料が高くて、これではやっていけないというお話もごもっともでございますが、これは政府としても相当に考えがあることと思うのでございます。それですから今度予算の修正で育英資金などの方の増額もありますので、その一部をもって学生寮を建設省とも連絡をいたして相当に作りたいと考えます。そうすると、普通の下宿よりも相当に安くあがることは、現に各府県が東京で学生寮を作っております成績から見ましても、四千円もしくはそれよりももう少し安い程度でまかなっていっておる実情でありますので、こういう面に学生を収容する施設を作ったならば、学生の修学に非常に便宜じゃなかろうかと思って、そういう考えを今日立ててやっているわけでございます。
それから今お話の最後の点につきましては、私実はしろうとでしっかりわかりませんので、大学局長から説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/50
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051・稲田清助
○稲田政府委員 ただいまのお話の点は、在学年限短縮というような点から見ても、あるいは教育の能率化というような点から見ても、非常に考え得る計画でありますので、文部省におきましても、教育改革の長い歴史におきまして、刷新審議会その他において常に議題として取り上げて検討いたした問題であるように聞いております。ただ問題といたしますことは、何としても教育の施設が二重に要るわけであります。教室が二倍要る、これが財政の負担にたえられない。一ぺんできてしまった上におきましては非常に有意義なものだと思いますけれども、その点が六・三の建築でも今悩んでいるような現状でございますので、われわれといたしましては組み切れない問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/51
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052・田原春次
○田原委員 今までの御両所の御答弁の中でいろいろ議論したい点もあるのですが、たとえば学生寮を作ることも、それはほとんど東京に作ることになるので、やはり私は東京の学校の分散にはならないと思いますが、これは専門ではありませんから、文教委員会で聞く機会もありましょう。それから設備が倍かかるからということでございますけれども、それは確かに倍かけても予算があるのでありますからいいと思うのです。そこで、それには夜学部というものを官立大学で考えたらいいと思うのです。私学はほとんどすべてやっておりますが、たしか神戸経済大学が夜学部をやっておると思います。国家の費用で教育をするのに昼に限るということはちっともないので、優秀な学生で昼間働いている者もありますから、夜学の機会が私学にしかないということはおかしい。教室の不足ということは、教室の時間的の最大の利用方法の道を考えろということを申し上げているのです。これは意見です。
それから次は外国留学生の問題でありますが、戦前主として北米それから一部中南米等海外生まれのいわゆる二世の内地留学生は戦争の勃発の年に約三千人おったと思います。私はそういうことに関連のある団体に関係しておるのでよく知っております。また政府では松本瀧藏君がよく知っております。しかるに終戦後、戦時中十年空間があったこともありますが、来ておりません。最近国際学友会ですか、外務省の方では多少の努力をしております。主としてこれは東京都内に海外のインドネシアその他の純粋な第三国人の入学が進んでおります。海外で生まれた二世、三世、すでにハワイでは四世にもなっております。特にブラジルあたりでは相当多いのでありますが、御承知のように、ポルトガル語で向うの公立学校を出て、英語がよくわからないなどいろいろな関係で内地留学の機会がない。将来の日本文化の海外の伸展を考えると、海外在留日本人の子弟に日本語による日本文化を正当に理解させる力を持たせる。アメリカではサンフランシスコにおいてもニューヨークにおきましても、中国人はすでに五世、六世に入っておりますが、いまなお漢字の日刊新聞を持っておるのです。このことは向うで生まれた子供にやはりむずかしい支那語の教育をしておる証拠であります。日本では敗戦という関係もありましたが、一ころ北米、太平洋沿岸の三州にわたりまして二百くらいの日本人学校がありましたが、今はほとんどとだえております。それからペルーあたりもこれを禁止しておるようでありますが、向うに定着しております父兄から考えますと、自分のせがれに日本語を教えて、日本のよい教育をさせたいということを考える。ところが入学に対して受け入れの便宜というものが十分考えられておりません。一律一体に他の日本で生まれた日本人の学生と入学試験等でまぜられたのではたまりません。これも東京偏在では困りますから、気候のよい中国、四国、九州方面とか、あるいは関東方面でも特殊な一流高校といったようなところへ海外から日本人の二世、三世の内地留学生の特殊な指導のできる学生課長のようなものを置き、また余裕があれば寄宿舎を作る、もしくはまたその付近の個人のうちに家庭的に勉強させる機会を積極的に作ってもらいたい。このためには、外務省その他の機関も考えられるのでありますが、やはり文部省の中に海外日本人子弟の入学のあっせん、それから保証人になるとか、また途中で学資が切れたならば何とか続けさせるというための親切な機関があってしかるべきであると思います。もし文部省になければ、強力なる民間機関を作ることをあっせんすべきであると思いますが、こういうことにつきましての従来の文部省の方針を伺いたいと思います。
〔高橋(禎)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/52
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053・稲田清助
○稲田政府委員 ただいまお話の前半の問題でありますが、勤労青年学徒に対する夜間施設の教育の問題であります。今日の状況といたしまして、国立大学に付置いたしておりまする夜間の学部がすでに六百学部あります。それから夜間の短期大学がすでに十九学部あるわけであります。
それから第二のお話の留学生の受け入れの問題でありますが、今日文部省といたしまして力を入れておりますことは、南方諸地域あるいは香港その他の中国関係の留学生を受け入れる問題、それからいま一つは日本人留学生を先方の公費をもって受け入れてくれております欧州各国の留学生と、交換的に日本に受け入れる問題にこのところ力を入れておるわけであります。これらの宿舎その他非常に経費がかかり、準備を要しますので、なかなか伸びにくい状況であるわけでございます。ただいま御指摘の海外におります日本人の子弟の内地における教育という問題も非常に大切の問題であると考えますので、今実施いたしておりまする受け入れの問題と関連いたしまして、将来考究すべき問題だと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/53
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054・田原春次
○田原委員 それはおいおいまた文部省のおやりになる時期を見まして、われわれもいろいろ要望したいと思いますので、打ち切ります。
次は学校給食の問題でありますが、今度日本学校給食会法ができますが、問題は、生活保護法を受ける家庭の子供は給食はできますが、これに準ずる程度のもので困っておる人が相当多い。今一日一食十円見当の給食でございましてもこれが払えないものがある。だんだんたまりますと、一体どこが負担するかということになりますと、PTAにも負担ができない。学校の校長個人が負担するわけにもいかない、そういう気の毒の生徒が相当多いのであります。そこでこれに対する財的の処置をどういうふうにおやりになるつもりであるか。これをやりませんと学校に来なくなる。そこでやはり恥かしい思いをさせぬようにしてやる必要があるのです。このような極貧者の次に位するようなものに対する問題をどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/54
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055・松村謙三
○松村国務大臣 その問題は、実際私どもも何らかの措置を必要とすると考えておりますが、こういう問題は文部省だけで解決はできませんので、厚生省の施設と相待ってやらなくてはなりません。そういう意味において、厚生省ともいろいろ連絡をとってやっていく考えでございます。またそのほかに給食が非常にいい結果を来たしておりますので、これを充実いたして、そして学生の共同訓練それから食生活の改善、さらに農村の酪農の振興と結びつけていくというようないろいろな意味から申しまして、この給食会法案が通りますならば、一つ広い意味において給食の全体の検討をしてやった方がよかろうということが文教委員会でも問題となり、三宅正一君なんかがしきりとそう申します。それで一つ委員会を作ってこれをすべて検討する。それは文部省ばかりじゃございません。厚生省も農林省も、それから国会内のいろいろの方々にもお加わわりを願って、今お話にあるような問題もあわせて検討いたして万全を期したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/55
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056・田原春次
○田原委員 次に最後にお尋ねいたしますのは、文部省の体育行政の問題であります。これはこの設置法の第六条を見ますと、初等中等教育局、大学学術局、社会教育局、調査局、管理局とありまして、体育関係のものはどこにもない。いかに文部省が不熱心かということを意味するじゃないかと思います。かつて戦前にはたしか局があったように記憶いたします。今日のように青少年のスポーツ奨励による心身の訓練、公衆道徳並びに青少年時代の体育の発達ということが考えられるときはないと思います。これは絶対に必要なものであります。このことは英米等の国においても、またソ連や中共におきましても、あるいはインドのようなところにおきましても、至るところ非常に膨大な費用をもちましてアマチュア・スポーツ、特に学生スポーツというものを奨励しておるが、文部省にはその誠意のかけらも見られぬということはまことに残念に思います。これは不熱心であるとは思いませんが、各省設置法においてそういう機会がなかったものと解釈いたします。国会におきましては国会スポーツの会というようなものを作っておりまして、自由党、民主党、左派社会党、右派社会党から、それぞれスポーツ関係の興味なり、体験を持った者が集まって会合をしておる、きょうもやるのですが……。われわれはアマチュア・スポーツの一元的調整——官僚統制ではなく、アジャストする、開催地などいろいろなものを調整する、それかろプロ・スポーツについても各所において行われておりまして、おのおの同じ日に、同じ時間にやったりして、何ら横の連絡がなく、かえって見る方では困っている。これらに対しても適当にそれを調整する。これは内閣委員会においても各委員の間で論議されて、何かの機会に各委員の意見がまとまるものと思って非常に喜んでいる。それで文部省に承わっておきたいのですけれども、文部省は五つの局しか置けないなら、ある一局を他の局に統合して、次代の青年を作るのですから、今のやり方も一理あると思うのですけれども体育局を置いて、そこに熱心の度合いを示すべきじゃないか。この間も厚生大臣がここに見えましたときに、スポーツ行政について聞きましたら、私の方でやりますと言われたが、二、三日して新聞を見ましたら、文部省から横やりが入って、文部省はおれの方でやると言って管轄争いをやっているじゃないか。むしろ統一してレクリエーションの面からも、体育の面からも、どの面から見ても必要なのですからやらせたいのですが、文部省が特に体育局を設けなかった理由はどこにあるか、こういう点を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/56
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057・松村謙三
○松村国務大臣 それにつきましては私も意見を持っているわけでございます。局がないといって、文部省が体育に不熱心であるというような意味では毛頭ございません。これはむしろ私個人の意見としてお聞き取りを願った方がいいかもしれませんが、私は文部省がスポーツを奨励することは、これは非常にけっこうです。しかしながら僕はそんなスポーツを管理するというような考え方は実はとらぬのです。これまで、やはり文部省あたりもそうであったかもしれませんけれども、私はスポーツはほんとうに朗らかな気分で、これらの人たちが自由にやるところにその価値があるのであって、これを役所が管理いたしまして、どういうことをしてはいけない、こういうふうにやっちゃいけないというようなことになりますと、角をためて牛を殺す。現に田原さんもよく御存じですが、戦時中あの非常時に入ってから、スポーツというものはまるきり統制せられてしまいまして、そしてほんとうに自由闊達な姿が全然なくなった。私が戦後厚生省をお預かりしたときにも、一番初めに、もうスポーツについては厚生省なり政府は関与せぬから自由におやりなさいと言ったのは、実はあの戦時中のスポーツというものはほんとうのスポーツの姿じゃないと考えた。そこで今局を設けてこれを健全な意味において奨励するということは、私どもは決して異存はない。けれどもその局を作って、だんだんスポーツを政府の手で統制していくというような考え方は、私はよくないと思う。やはり自由にしておいた方がよろしい。現によく聞きますのは、中学校や高等学校の試合などもこういうふうにしちやいかぬ、ああいうふうにしちゃいかぬというようなことをあまりやかましく言い過ぎるとさえいわれているわけでございまして、もしも別種の意味からしてスポーツの隆昌をはかる局なり課なりというものを拡充していくということなら私はきわめて賛成でありますが、これを管理するというがごとき考え方はできるだけやめたい、こういうふうに考えて指導をいたしておるわけでございまして、この点は御了承を願います。なお詳細なことについては局長からお答えもいたしましょう。
なおちょっとこの際に申し上げておきたいと思いますが、実は今度の予算におきまして社会教育費を新たに七千万円計上を願ったのでございます。これは主としてその主力を青少年の訓育の面に注ぎたいと思います。その考え方は、大体スポーツを中心といたしましてこれによって明朗な精神、健全な肉体を得たいということでそれをやりたい、まずことしあたりは夏季にテント生活なども各府県でやらせまして、それはやはり共同生活とスポーツを基礎といたしたやり方で始めたい、こういうふうに考えております。詳しいことは局長からもお話しいたしましょうが、決して文部省は体育に冷淡ではないのでございます。さよう御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/57
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058・宮澤胤勇
○宮澤委員長 石橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/58
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059・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは定員法関係の一部について文部省の方に御質問いたしたいと思います。政府委員の方からでけっこうでございます。
昨年のいわゆる定員法の改正によりまして、文部省関係においては——三カ年間にわたって計画的に整理することになっておったわけでございます。この年次計画によって整理される部分につきましては、今回指名退職制度というものが適用されることになったわけでございますが、文部省関係だけ本年度の被整理者についてこの適用がないのはどういうわけであるか御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/59
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060・清水康平
○清水説明員 本年六月三十日までに国立学校につきましては六百八十二名が定員法上整理すべきものになっております。ところが幸か不幸か現在の国立学校の現員を見ますと——現員と申しましても五月一日現在でございますが、教官はもちろん事務職員を含めまして千六百三十五人が欠員になっておるわけでございます。それにはもちろん教官の恣意による欠員もございますが、各大学の職員のうちに自主的におやめになった方もあり、あるいは私どもが他に配置転換をいたしました者もありまして、この定員法が出ますときにはすでに欠員があったのでございまして、これにもし指名退職の人数を入れましても、実際的に見ますと、意味がないのじゃないだろうかというふうに考えます。文部省のその点につきましては、二年度目については指名退職の意味がございません。しかしながら来年の三月三十一日までに定員法上整理すべき定員は六百八十一名になっているわけでございます。これは今後の自主的な退職もありましょうけれども、この点につきましては指名退職制度があるわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/60
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061・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ちょっとこまかくなるのでありますけれども、本年度分、七月三十一日までに一カ月間は余裕があるわけでございますが、この中で国立学校の職員の分として一人適用者があるように見えるのですが、この点はどういう人であるか、ちょっとお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/61
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062・稲田清助
○稲田政府委員 本年の七月における国立学校職員の定員が六万一千四百四十五人であって、八月一日にそれが六万一千四百四十四人に落ちますのは、一名外務省所管に移すからであります。これは海外の学術関係のアタッシェといったような仕事におきまして、学術情報を海外において集める、こういう人の定員を外務省所管に置きますのに照応して、国立学校の方から人を移す、こういうような意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/62
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063・宮澤胤勇
○宮澤委員長 ほかに御質疑ございませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれをもって終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/63
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064・宮澤胤勇
○宮澤委員長 なおこの際お諮りいたします。去る六月三日矢尾喜三郎君が委員を辞任せられました結果、地域給に関する小委員に欠員が生じましたので、その補欠選任を行いたいと存じますが、その選任につきましては委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/64
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065・宮澤胤勇
○宮澤委員長 なければ、さよう決します。地域給に関する小委員に矢尾喜三郎君を補欠指名いたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X01919550608/65
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