1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十三日(木曜日)
午前十時二十九分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 床次 徳二君 理事 江崎 真澄君
理事 森 三樹二君 理事 田原 春次君
大村 清一君 長井 源君
保科善四郎君 眞崎 勝次君
粟山 博君 山本 正一君
大坪 保雄君 小金 義照君
田中 正巳君 田村 元君
船田 中君 福井 順一君
茜ケ久保重光君 飛鳥田一雄君
石橋 政嗣君 下川儀太郎君
川俣 清音君 鈴木 義男君
中村 高一君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 松田竹千代君
出席政府委員
行政管理政務次
官 森 清君
総理府事務官
(行政管理庁管
理部長) 岡部 史郎君
郵政政務次官 早稻田柳右エ門君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房文書
課長) 齋藤 誠君
農林事務官
(食糧庁総務部
総務課長) 村田 豊三君
郵政技官
(大臣官房電気
通信監理官) 平山 温君
会計検査院長 東谷傳次郎君
会計検査院事務
総長 池田 直君
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
専 門 員 遠山信一郎君
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六月十八日
委員松岡松平君辞任につき、その補欠として松
本俊一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員福井順一君辞任につき、その補欠として保
利茂君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
委員保利茂君及び田原春次君辞任につき、その
補欠として福井順一君及び堂森芳夫君が議長の
指名で委員に選任された。
同月二十二日
委員松本俊一君及び堂森芳夫君辞任につき、そ
の補欠として松岡松平君及び田原春次君が議長
の指名で委員に選任された。
同月二十三日
委員矢尾喜三郎君辞任につき、その補欠として
川俣清音君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事田原春次君委員辞任につき、その補欠とし
て同君が理事に当選した。
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六月二十日
郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三三号)
同月二十二日
建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五七号)(参議院送付)
同月二十日
養護教諭の恩給不合理是正に関する請願(杉村
沖治郎君紹介)(第二三九〇号)
石川県珠洲市飯田地区の地域給指定に関する請
願(徳田與吉郎君紹介)(第二四〇九号)
群馬県藤岡市の地域給引上げの請願(中曽根康
弘君紹介)(第二四一〇号)
島根県益田市合併地区の地域給指定に関する請
願(中崎敏君紹介)(第二四一一号)
岡山県津山市の地域給引上げ等の請願(小枝一
雄君紹介)(第二四七八号)
岐阜県御嵩町の地域給指定に関する請願(纐纈
彌三君紹介)(第二四七九号)
宮城県岩沼町玉浦地区の地域給指定に関する請
願(菊地養之輔君紹介)(第二四八〇号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
会計検査院法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三七九号)
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五二号)
郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
会計検査院法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対する質疑は終了いたしております。
本案に対し田原春次君より修正案が提出されております。その趣旨説明を求めます。田原春次君。
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会計検査院法の一部を改正する法律案に対する修正案
会計検査院法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第三十七条の改正に関する部分の次に次のように加える。
第二十三条第一項に次の一号を加える。
八、国が資本金の全部を出資している公庫又は銀行から貸付金を受けているものの当該貸付金にかかる会計
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/1
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002・田原春次
○田原委員 今回内閣より提出されました会計検査院法の一部を改正する法律案に対しまして、左右両派社会党では次のごとく修正すべきものと決定いたしましたので、この修正案を本委員会に提出いたします。
簡単にその趣旨を御説明申し上げます。
会計検査院法第三十七条の改正に関する部分の次に、次のように加えるように修正することを私どもは主張するのであります。第二十三条第一項に次の一号を加える。「八国が資本金の全部を出資している公庫又は銀行から貸付金を受けているものの当該貸付金にかかる会計」これであります。
以下簡単に理由を申し上げます。
現在会計検査院が検査し得る公庫または銀行は日本開発銀行、日本輸出入銀行、公庫の方では国民金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、住宅金融公庫等があるのでありますが、これはこれらの銀行または公庫にまでしか会計検査はできないのでありまして、これらの銀行または公庫が貸し付けておりまする相手の会社等の経理状況につきましては、その相手方が承諾をしなければ立ち入り検査ができないことになっておる。従っていわゆる政治借款、もしくはその他世上の疑惑を招くような使途をいたしましても、それは貸し付けた銀行と、貸し付けを受けた相手方との間における関係としかならない。それでこの際政府が会計検査院法の一部を改正するなら、すべからくこの点まで徹底するようにすることが国民としては当然の改正だろうと考えております。しかるに今回の政府の原案にはこれがありませんから、第八として、特に先ほど述べましたような一項を加えたいというのが趣旨であります。ただし実際は、しからば国民金融公庫で三十万円の融資を受けた者あるいはその他低額融資者の一々にわたってまで会計検査院が調査し得るか。これは検査官の検査能力、数の問題になりますので、実際にこの修正案が通った場合は、たとえばかりに一口一億円以上にするとか、何かそこはまた運用の面において考えてもらいたいと思いますけれども、世上で伝えられますところの某炭鉱会社が開発銀行から四十億の融資を受けて、しかもその大半は選挙資金に使ったというような疑惑がありますので、これを国民の前に明瞭にすることは今後必要であると考えるわけであります。
かような意味でこの法律に対する修正案を出したのでございますから、願わくは各委員におかれても賛成していただきまして、この機会にこの一項目を加えていただきたい。
以上が提案の理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/2
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003・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。討論の通告があります。高橋禎一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/3
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004・高橋禎一
○高橋(禎)委員 私は会計検査院法の一部を改正する法律案は、政府提出の原案に賛成をし、社会党両派より共同提案にかかる修正案には、反対をいたすものであります。
原案につきましては、これまでの委員会において質疑応答が尽されておりまして、政府の答弁するところを私ども了承いたす次第でありまして、これについて多くを述べる必要はないと考えるものであります。ただ修正案につきましては、提案者の御説明のございましたように、公庫または銀行から貸付を受けたものの当該貸付金にかかる会計というものを、十分適正になされなければならぬということは、私どもも同感であるわけであります。世上、公庫または銀行から貸付を受けたところのものについて、いろいろ疑惑があるなど伝えられておるのでありますが、しかし過般の委員会において、政府委員よりも答弁のございましたように、それらについてもどこまでも厳正を維持しなければならないというので、公庫、銀行の会計の検査を厳重にし、しかもその際貸付金に関する会計についても、公庫あるいは銀行を通じて、貸付を受けたるものとの間の書類等を、承諾を得て提出せしめて、それらの点について十分事実上の検査をしておる。従って現在のところ会計検査の目的は達しておるものである。こういうことが明らかにされたわけでありまして、いろいろこれについては研究すべき問題もあると思いますけれども、現在の会計検査院の人員なりあるいはまた予算の面なり等からも考え、特に貸付金に関する会計とは申しましても、貸付を受けたるものの会計全体を見なければわからないというような面もございますので、それをこの際会計検査院が、全般的な検査をするということになると、また一面貸付を受けたるものの事業経営なり、あるいは一般信用等に関して、いたずらに疑惑を招く等のことによって、そこに予測することのできない問題も起るということも懸念されるわけなのでございまして、私は現在の段階においては、まずまず会計検査院の言を信じ、しかもさらに会計検査院の公庫並びに銀行の貸付金に関する会計という点に、さらに鋭い目を投じていただいて、会計の厳正を期していただくということに信頼を置きまして、この際はまた修正案の趣旨のごとき立法をする段階でない、こういうふうに考えますので、修正案に対しては反対をいたす次第でございます。各委員におかれまして今申し述べましたように、政府原案に対し賛成、修正案には反対ということに御賛成を得たいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/4
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005・宮澤胤勇
○宮澤委員長 田中正巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/5
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006・田中正巳
○田中(正)委員 このたび提出されました会計検査院法の一部を改正する法律案につきましては、政府原案につきましては、それぞれ現下の必要的要請にこたえたものと思いまして、これについて私どもは賛成をいたしたいと思います。しかしながらただいま提案になりました一部修正案につきましては、国が資本金の全部を支出しておる公庫または銀行からの貸付金を受けておるものについて、当該貸付金にかかる会計を、検査するようにという御趣旨だそうでございますが、これらの公庫または銀行というものは、一応企業体の性格を持っておりますので、今後かような制度が生まれた場合においては、私ども一面において憂えることは、その銀行なり公庫の責任の明確性と経営の自主性ということがそこなわれるというような一面を持つことを憂えるものであります。もちろんこれらの公庫または銀行は、国が全額出資していることにかんがみて、その経営の内容特に貸付については、他の金融機関以上に慎重にこれを実施しなければならないことはもちろんでありまして、かようなる点をわれわれは特段と希望するものでありますが、半面かようなるものについて、一々これらを検査することによって、会計検査院の機能が分散化し、従来の会計検査院の機能が疎略になることがあってはいけないということも私ども考えるのであります。かようなる意味におきまして私どもはこの会計検査院法の一部を改正する法律案の政府原案に賛成し、修正案に対しましては反対の意を表明いたしたいと存ずるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/6
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007・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。まず本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/7
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008・宮澤胤勇
○宮澤委員長 起立少数。よって本修正案は否決いたしました。
次に政府原案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。「総員起立」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/8
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009・宮澤胤勇
○宮澤委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/9
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010・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑は一応終了いたしておりますが、川俣委員より特に補充質疑の通告がありますから、これを許します。簡単に願います。川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/10
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011・川俣清音
○川俣委員 大体質疑は終っておるそうでございますので、簡単にお尋ねいたしますから、そのつもりで御答弁を願いたいと存じます。特に私は農林省関係の定員についてお尋ねいたしたいのでございますが、それは討論の際必要でございますので、詳しく御答弁を願いたいと思います。
岡部管理部長は去る国会の定員法の改正の場合におきまして、将来来たるべき修正の機会においては、法律の趣旨に従って、その事業量と相待って根本的な修正を加えると約束しておられるはずでありますが、今度の中にそれらの意思が入っておるかどうか、これが第一点です。
特に問題になりますのは、農産物検査法において、明らかに検査官でなければ、しかも身分を証明すべき身分証明書を持たなければ検査できない法律上の制約を受けておるにかかわらず、現在はそれが疎略になっておるわけであります。しかも一方食糧管理法に基きまして政府が独占購買をいたしておるわけであります。収量されたものは政府に納めなければならないという食管法の規定があるわけであります。しかもそれは検査米でなければならないという規定が厳存いたしておるのであります。ところが一方の法律においては明らかに規定があるにかかわらず、予算上の制約または定員法の制約によって、この厳存しておる法律を無視するようなことは相ならぬと考えるが、この点についての御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/11
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012・岡部史郎
○岡部政府委員 ただいま川俣委員から二点につきましてお尋ねがございましたので、逐次お答え申し上げます。
まず第一点につきまして、各省の定員の合理化是正という点について、各省の事務量にマッチしたように定員を是正するよう努力したかというお尋ねでございますが、この点につきましては、このたびの定員法の改正案の作成に当りましても、各省とできるだけ密接な打ち合せをいたしまして、及ばずながらその点につきまして是正の努力を払ってきた次第でありますが、率直に申しまして、それが十分な効果を発揮したかと申しますと、必ずしもそうも言い切れない次第であります。と申しますのは、根本的にこの定員をどうきめていくかということは、公務員制度の根本にもつながる問題でございますので、結局は現在内閣にあります公務員制度調査会の結論を待って根本的に是正するよりほかはない、この公務員制度調査会の結論もそう長いことはないと思われますので、それを待つという態度を政府としてとっております。それ以外にさしあたりこの三十年度におきまする業務量の増減に応じまして定員の是正の措置を講じまして御審議をいただいている、こういう状況でございますので、第一点につきましてはこの程度で一つ御了承をお願いしだいと思います。
第二点につきましては、先般の国会におきましても、川俣委員から熱心に御質疑があったことでございまして、これまた公務員制度の根本につながるきわめて根の深い問題でございます。私どもこれにつきましてはかなり長時間検討を重ねた次第でございますが、これも結局最終的には今の公務員制度をどう変えるかという点につながってくる問題でございますので、根本的にはそれに待つよりほかはあるまい、こう考えますので、公務員制度調査会におきましてこの問題を特に取り上げていただきまして検討しておる次第であります。これにつきましては後の機会におきまして、こういう検討を重ねているのだという資料をお手元に差し上げてもよろしいかと思っておりますが、それはさておきまして、しからば現在検査員制度というものはどうなっているかと申しますと、結局農産物検査法の第九条に基きまして、農産物の検査は検査官がこれを行うということになっているわけであります。しからばこの検査官はどういうものかと申しますと、これは同条の第二項に基きまして、食糧事務所長が食糧事務所の職員から指名するということに相なっておるわけであります。従いまして何人を検査官にするかということは食糧事務所長の権限に属する問題であります。すなわちこれを純粋に法律論として考えますと、現在の検査法の建前からいえば、農産物検査官として所長が指名をするのには、必ずしも食糧事務所に勤務する農林技官に限る必要がない、こういうような結論に政府部内といたしましては――農林省、法制局、行政管理庁はさしあたりそういう見解に一致しているわけであります。従いまして食糧事務所長が農林技官以外の職員を、検査の能力ありとして検査官に指定いたしますならば、その者は明らかに農産物検査法上の権限を執行できるというような解釈を政府部内としてはとる、そして実際そういう能力があるかどうかということは、食糧事務所長の判定にまかせるほかないというようなことに今落ちついておりますので、その点お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/12
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013・川俣清音
○川俣委員 岡部君の答弁の中にみずから矛盾があるのです。それだけの人間が必要だということは、一方において認めておる答弁だ。要らないという答弁になっていない。必要だと認めておいたものをなぜ定員に加えないのか、こう言うのです。必要じゃないというなら別です。事業量として必要だという答弁じゃないですか。これが第一点です。
もう一つは、それを避けるために、現に行われておるのは、任命しない者が実際は検査している。だからたとえば米検の者は、正式の検査員の名前をもって検査証を渡す。自分の責任の判を別に押して、二つ押して検査しておる。これは明らかに任命せられていない者が検査するために、正式の検査員にあらざる者が代行しておるわけだ。農産物検査法ではそんなことは許されておりません。代位行為は許されていないが、実際は代位行為をしておる。これが二点。もう一つは、あなたは定員を減らす減らすと言うけれども、国の予算の中において、一方に検定協会なるものを作って首切ったものを補充しているじゃないですか。これはどういうわけなんですか。予算削減のためにやるならば、検定協会などにトン当り六十数円の金を補加いたしまして、わざわざ首になった者をそこに収容する必要はないじゃないですか。しかも国の予算の中です。このために国の予算が四億も使われる。一方で減らして、一方で同じ経費でまかなっているのはどういうわけですか。どこに根拠があるか。何のために減員するのです。予算削減のためだとすれば、一方で予算はちゃんと出しておる。この矛盾をどう説明なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/13
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014・岡部史郎
○岡部政府委員 重ねてお答え申し上げます。まず定員の問題についてでございますが、御承知の通り食糧庁の今年度の総定員は二万五千四百四十四人に達しておるのでありますが、そのうち食糧検査に従事する職員は、定員法内で二万二千人でございます。それでこの定員法上の定員というのは、できるだけその役所の恒常的な、季節によって増減のないコンスタントな職員を一つ押えよう、こういう考えに立っているわけなんです。これは各省を通じてそういう考えでございますので、季節による変動のピークをとらえて定員の中に織り込むということは、これは定員法の趣旨でないと私考えておる次第でございます。そう考えて参りますと、どうしてもこの食糧検査というような、季節によってピークが非常に上ったり下ったりするものにつきまして、ピークを定員の中に全部織り込むということは困難なことであろうと思います。そういう意味において、どうしてもある程度まで定員からはずれる臨時の職員というものを検査事務に従事させるということは、これはやむを得ざる措置ではなかろうかと考えます。そのような職員として本年度常勤労務者二千八百人が予算上認められているのであります。これにつきましては先ほど申し上げました趣旨で、堂々と検査事務に従事させて差しつかえないことで、また従事させることが適当だ、こう考えておるのであります。その根本は、要するに定員法の立て方をどう考えるかということに連なっている問題だと思います。
第二点の問題におきましては、これはそういう趣旨でございますから、できるだけ検査所長が検査証を発行し、検査証を持った本人の名前において検査せしめるのが適当なやり方でございまして、場合によりましては、その検査官を補佐させるということは考えられると思いますが、他人の名義を用いて検査するというようなことが、これは不適当な、むしろあり得べからざることだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/14
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015・川俣清音
○川俣委員 簡単にいたしますが、これはあなたが定員法を非常に重要視して、それに合せるための今の答弁なんです。一方農産物検査法はそういう建前でできていないのです。検査法規に従った定員にするのか、定員内で検査法規を直すのか、どっちをとるのかという問題なんですが、法律がある以上、法律に基いた行為を行政府として考えなければならないのが原則です。だからこの法律を改正してしかる後に定員を考えるなら別ですが、あなたの方は逆で、定員法の手前上法律を曲げていこうとするところに、行政官として最も慎しまなければならぬところの問題が出てきている。その便法としてわざわざ検定協会というような財団法人を作らして、検査をさせるというような邪道に陥っているのじゃありませんか。これは定員法は無理だということなんです。無理でなければそういう結果が現われるわけがない。検査法に基く規格検査、しかも時に応じては住居にまで入って、人がいようといまいと検査する資格を持っている者の代位行為をやるということは、許されることじゃないじゃありませんか。今まで検察官の場合でも代位行為は許されていない。その検察官とほとんど同じような、あえて住居に入ってもいいような権限を一方において与えているじゃありませんか。そういうことはやめたらいい。一方においてそれだけの権限を与えて法律上擁護しているなら、擁護されたような身分のもとにおいて擁護されなければならないことは明らかだ。定員法が重大なのかこの法律が重大なのか。もし法律を改正してやるなら別です。改正もしないで、定員法という便宜的な方法によって講ぜられることはまかりならぬ、こういうことです。それでもなおやろうとするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/15
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016・岡部史郎
○岡部政府委員 お答え申し上げます。定員法の建前といたしましては、あくまで各省がそれぞれの実体法に基きまして、行政を執行するのに必要欠くべからざる定員を法律に掲げて、それによって国会の御審議を仰いでその数をきめる。こういう趣旨であろうと存じますので、その趣旨に基きまして私ども定員法の運営を考えて参っております。今後もそのつもりでおりますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/16
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017・川俣清音
○川俣委員 それじゃ農林省にお聞きしますが、今の食糧管理法並びに農産物検査法に従って、それで定員を要求しているのですか。それではなぜ地方事務所長が便宜的な方法を講ずそのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/17
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018・村田豊三
○村田説明員 ただいま行なっております農産物検査法に基いて行う規格の検査は、御承知のように、米麦等の主要食糧を中心に、そのほかの農産物等もございますけれども、これらには豊凶によりましても、多少の農産物の出回りの多い少いはございましょうけれども、すでに過去の検査の大体コンスタントな実績等があるわけでございます。従いまして必要最低限度の正規職員による検査官というものは、ここ数年来大体において固定していると私どもも理解いたしているわけであります。なお御承知のように、そうした検査ではありますけれども、農産物か季節的なものでありますだけに、季節的にかなり仕事の繁閑があることも御承知の通りでございまして、それらの繁閑をある程度調節する意味で、先ほど来御論議になっております常勤労務者の問題あるいは非常勤職員の問題が出ているのではなかろうかと存じます。それらは建前は一応正規の検査官のやります検査の補助員という建前で、しかも常時的な補助員と、全くの季節的な臨時的な補助員との二様の職員がただいま食糧庁のそれぞれの末端に存在しておりまして、検査を実施しているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/18
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019・川俣清音
○川俣委員 そういうように食糧庁がだらしがないからいかぬのです。あなた方食糧庁は何に基いて検査する資格を持っているのです。農産物検査法に基いて検査する資格を持っているだけです。食糧庁が持っているのじゃないですよ。とんでもない間違いをしないで下さい。農産物検査法に基いて検査する資格を持っているだけで、それ以外に検査する資格は持っていないじゃないですか。あなたは一体どの法律の根拠に基いて検査する資格を持っているのですか。おそらく農産物検査法以外には検面する資格を持つわけには行きますまい。この法律の根拠以外には持ち得ないはずです。この法律の根拠に基ずかないで便宜的にやるなんということは許されるわけはないのです。もう一度答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/19
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020・村田豊三
○村田説明員 御指摘の通り、農産物の検査は農産物検査法に基いて実施いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/20
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021・川俣清音
○川俣委員 検査法の中には補助員というようなものに検査させるということはありません。あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/21
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022・村田豊三
○村田説明員 検査法の中にはそういう補助員が検査するという規定は、法文の表面上には出て参っておらないことと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/22
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023・川俣清音
○川俣委員 表面上出ないものをあえてやるというのはどこから出ているのです。これは検査官の資格を持っている職員の中からという意味でしよう。資格のない職員ということではないでしよう。しかも職員というからには、それだけの事業量に必要とするものをあなた方は置いているはずなんです。事業量がなくて、そのために定員を減ずるということは、これはもちろんのことです。必要だと一方で認めていながら便宜的なことをやるということは許されない、こういうことです。人の財産の価値判断をするようなことが便宜的にやられてはたまったものではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/23
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024・齋藤誠
○齋藤説明員 今の川俣先生の御質問でございますが、検査法上は検査官が検査するということになっておりますけれども、その検査官が定員の職員であるかそうでないかということにつきましては、先ほど行政管理庁からも御答弁がございましたように、われわれといたしましてはいろいろ各省とこの点について法律上の解釈につきまして論議いたしました結果、この職員については、定員の職員のみならず、常勤職員等ももちろん公務員であり、職員である、従ってその職員の中から検査官を選んで、これをして検査を行わしめるということは違法ではないという解釈になっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/24
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025・川俣清音
○川俣委員 そういたしますと、いわゆる常勤労務者といいますか、この職員と、定員法の職員とは違わないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/25
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026・岡部史郎
○岡部政府委員 常勤労務者と定員法内の職員とどの程度まで違うのか、こうおっしゃられますと、実は常勤労務者も級別定数の適用も受け、身分も保障されるというような状態で、実質的にはほとんど違いがございません。むしろ私どもが公務員制度としておそれるところは、常勤労務者、あるいは常勤的非常勤と称して役所の便宜上採用されながら、それがいつの間にか恒久的な職員となるということは、他面において公務員制度本来のメリット・システムをくぐる形にもなるのではないかと思いますので、そういう点をおそれるのでありますが、現実には常勤労務者というものは定員法上の職員と処遇の点においてはほとんどかわりがないと言ってよろしゅうございます。しからばなぜこれを定員法の中に入れないのかという反問がおありだろうと思うのですが、これが問題なのでございまして、あくまで定員法の中にはその役所の恒常的な本来あるべき姿の業務量にふさわしい職員だけを入れよう、季節によって変動するものだけは何とかこれを除外しておく方がいいのではないかという考え方に立っております。そもそも常勤労務者というものは二ヵ月以内の期間を限って雇用される臨時の職員であります。これが逐次延びていっていることは事実でありますが、建前はそのようになっております。あくまで季節によって業務量の増減するものは常勤労務者で押えていくべきではなかろうか、これらはいろいろ問題がありますので、根本は公務員制度全般についての結論を待って処置したい、こういうような考えなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/26
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027・川俣清音
○川俣委員 そういう二カ月で交代するような不安定な者に、人の住居に入って検査してもいいという資格を許すことはどうなんです。そういう資格を与えなければいい。問題はそこなんです。身分のはっきりしない者に、人の留守宅に入って財産を調べてもいいなんてどうして出てくるのです。一方の食管法がなければいいのです、任意検査ならばいいのですが、今強制検査の建前をとっている。みずから強制検査の建前をとっておって、しかも重要な権威を与えている者が不安定な地位でいいということはどこから出てくる。だから食管法を変えるなり、あるいは農産物検査法を変えるなら別です。変えないで定員内でこの問題を処理するところに無理がある。それならば食管法を変えたらいいだろう、あるいは農産物検査法を変えたらいいだろう。変えないでおいて、あえて定員のもとに法律を無視するような行為は許されないということは当りまえのことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/27
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028・岡部史郎
○岡部政府委員 お答えいたします。これにつきましては、先ほど来申し上げます通り、根本問題があることは私は否定いたしません。それにつきましては今後解決に努力いたしたいと思いますが、今御指摘の期間の問題につきましては、私国家が公けの権威をもって権限を付与する以上は、たとえ一日の身分を与えても、それは公権力の執行に何ら差しつかえないものであろうと考えますので、二ヵ月あるいは半年の身分しか与えないから公務の執行に差しつかえがあるとは必ずしも言えないのではなかろうか、もちろん恒久的な身分を持っていた方が望ましいとは思いますが、仕事の関係でいろいろなことがあり得る、短期間の検査もあり得るのではなかろうかと考えます。その点御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/28
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029・川俣清音
○川俣委員 これは了承できない。人の家に無断で入るという権限がある、二カ月たてばこの間の検査官はやめているかもしれない、こんな身分のあいまいなことではいけないじゃないですか。検査官が来ても、農村において今検査する資格を持っているかどうか検査する人はない。この問あったからいいだろうと思っておったら、もう身分の喪失という問題が起きてくるじゃないですか。そうすると法律の威信に関するじゃないですか。これが一つ。
なぜ首切った者を検定協会などへ入れてその予算を出しているかどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/29
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030・岡部史郎
○岡部政府委員 第一点につきましては、仕事の性質によりまして、私は短期間のものもあるだろうと思うのです。短期間の身分があり、その身分に基いて職務を執行する以上は、たとい将来やめてもその者が行なった行為につきましては国家が全責任を負うべき問題でありまして、その点は当然やむを得ないことではなかろうかと思います。検定協会云々とおっしゃられますが、これは農林省と直接関係のない問題でありまして、また定員法にも直接関係のない問題であろうと存じますので、私からお答え申し上げることは許していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/30
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031・川俣清音
○川俣委員 検定協会には食糧庁から約四億余の金が出ておる。それは、農林省と関係がないと言うが、財団法人だから関係ないとおっしゃられれば関係ないかもしれない。だが、わざわざ四億数千万円の金を出して補助をしておる、それも法律に基かないで補助をしておるのです。これが単に外国から入ってくる輸入食糧等の場合において、この検査にも当っておる、あるいは雑穀の検査にも当っておるというだけならば別でありますが、この間アズキの取引でごたごたが起つたときにも、その検査に立ち会っているのはこの検定協会です。検定協会が委嘱を受けてやっておる。全く農産物検査法というものを無視された形になっている。これが定員で詰められていくものだからそのはけ場所に使っている、明らかにそうなんです。こういうことは失業救済として私も悪いとは思いません。失業救済なら失業救済でいいのですが、一方で削っておいて、一方でふやしていくというのはおかしいじゃないかと思う。一方で削った者を失業救済として救っていくものなら、何もそんなことをしなくてもいいのじゃないかということが一つの問題です。もう一つは、これはこの前も明らかにしたのですが、林野は独立会計の企業体制を取っている。ですから今切っておくことが必要であろうというような場合でも、定員法の束縛を受けたりすることもあります。この前も指摘したように、一体山に入っている人夫の計算などは、やはり支払官がしなければならないはずです。それが受取りを取るときには支払官の名前になっておりますけれども、実際に金を払うのは、山の中に一々行かない者がおりまして、これを常勤作業員と言っておりますが、この者が支払っておる。これは出納官になり得ないはずです。しかも国の財産を、どれくらいの木が切り出されたか、あるいは何石であるかという査定をするのにも常勤作業員を使っている。一方会計検査院はやかましくて、国の財産を査定する者はこれだけの資格かなければならないとやかましく言っておるのに、一方においては常勤作業員を使っていて、常勤作業員にはそれだけの資格がないものだから、わざわざ出納官吏の名前まで借りてきておる。判を押したのをちゃんと持っていて、自分の判を押して支払いをしておる。実際上の責任はだれかというと、形式上はそれらの支払官で、あろうと思いますが、現実の姿はそうじゃありません。どのくらいの作業をしたのか、木を何石切ったのかという国の財産の判定が、常勤作業員によって行われておる。これは現実にあったことですが、こんなことをさせていいのかどうか。そこにいろいろな問題が起ってくると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/31
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032・岡部史郎
○岡部政府委員 なお十分研究して、できるだけ御趣旨の点を尊重して努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/32
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033・川俣清音
○川俣委員 それから、実際はこういう現場というものは定員法があるために作業能率が下っておる。新陳代謝が行われない。そのためにどれだけ作業能率が下っておるか、作業能率を上げるための方法が、現在は低下させるためにしか使われていない。全く最初の趣旨とは変った形のものが出ているわけです。それでも一度定員法が作られるとそれでなければならないということでやっている、そう考えていることが私は最もいかぬことだと思う。たとえば農林省の関係で統計調査員もそうです。これなども中には優秀な者もおりますが、非常に沈滞し切った者もおるのです。これは前の農業会を整理したために、あそこに収容したわけですが、それだから仕事の向きに合わない者までも抱えておかなければならない。こういう点など定員法がもっと融通がきけば、仕事のできぬ者は新しい人を入れて、それと同時に交代させることができるわけです。みんな林野庁あたりの古い者がおって、それで元の方が詰まっておる、そのために能率の低下はおびただしいものがある。一方からいうと大学の卒業生が失業者として何人もいるわけです。もちろん私はその中の優秀な者まで首切っていいなどと言っておるのではない。しかし少くとももう少し機動力のあるような考え方をしなければいかぬと思う。それをしないで沈滞させているのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/33
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034・岡部史郎
○岡部政府委員 その点につきましては、御意見ごもっともと存じますので、できるだけそういう方向に努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/34
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035・川俣清音
○川俣委員 この前もごもっともと言うけれども、少しもやっていない。もっともだと言うのならそれを実行しなければだめだ。実行しないでごもっともなんていうことはないですよ。(笑声)それができなければあなたはやめるというくらいの覚悟を持たなければならぬ。それなら信用しますよ。いつも委員会を切り抜けられればいいというのじゃ許しがたい。もう一ぺん政務次官からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/35
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036・森清
○森(清)政府委員 川俣さんの今御指摘のことは、われわれも十分考えておるのでありまして、実はこの問題につきましては公務員制度調査会で検討中でございますので、その結論を待って至急に善処いたしたい、そしてその結論もおそらく遠からず出ることと思いますので、早急に御趣旨に沿うような方向に持っていきたいと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/36
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037・宮澤胤勇
○宮澤委員長 それではこれより討論に入ります。通告がありますので、順次これを許します。石橋政嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/37
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038・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私は両派社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりまして行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に反対の意見を述べんとするものであります。
政府は、本案提出に当り、この法律案は、昭和三十年度における各行政機関の事業予定計画に即応して必要やむを得ない事務の増加に伴う所要の増員を行うとともに、業務の廃止及び減少に伴う余剰定員の縮減を行い、行政機関全般の定員の適正化をはかろうとするものである、このように述べているのでありますが、政府はこのような内容をもってして、はたして定員の適正化がはかれるものとほんとう考えているのであるかどうか疑わざるを得ないのであります。定員の適正化は、まず根本となる行政機構、行政事務の整備から始められなければならないことは言をまたないのでありまして、このような事務的な人員の増減はますます不合理性を深めこそすれ、決して適正化を進めるものではないのであります。ともあれ総選挙に当りまして、行政機構の改革、行政事務の簡素能率化を公約した民主党が、一たび政権を担当するや、官僚攻勢に屈してか、逆にかくのごとく機構の拡大をはからなければならなくなったというのも、これは確かに皮肉な現象であると言えます。確かに航空技術研究所、原子力室、賠償部、移住局、横浜移住あっせん所、失業対策部等の新設拡張は、個々に取り出してみれば、それぞれ時代の脚光を浴びるにたる必然性を持った措置であると言えますが、これは皮肉な観察を下すならば、何人も反対しがたいものを選んで機構の拡大と定員の増加をはかっておる、こういう見方もできるわけであります。当初にも申し上げた通り、これらの機構拡大の措置が万全のものであるかいなかは、機構全般を通じて検討し初めて結論を下し得るものと考えております。しかるに政府は現在この点についての強い意欲は全然見られず、ただ一時のがれに公務員制度調査会の答申を待って考慮すると称しているにすぎないのであります。このようなことでは戦後著しく複雑となり膨大となった行政機構の事務の簡素化をはかるなどといった公約は日暮れてなお道遠しといわなければならないと思います。
それだけではなく、この法案を通覧して思うことは、今や法によって定員を定めんとすることの意義がいかに薄弱となっているかということであります。ただいま川俣委員からもるる御説明があったのでありますが、今回の改正案によりますと、行政機関の職員の定数は六十三万六千三百三十二名に達するわけでありますが、これはあくまで定員内職員のことであり、この外郭には優にこの数に匹敵するいわゆる定員外職員が存在するということであります。これら定員外職員の中には、当然定員法の規制を受くべきはずのものでありながら、単に法規の関係上適用を除外されている多数のいわゆる常勤労務者、あるいは常勤的非常勤職員と称されている者がおるのであります。しかも常勤労務者のうち三万三千四百十五名の者は、三十年度予算の中でも公然と予算定員として認められております。定員法の定員と関係なく、あるいは随時交流を可能とするところにこのような膨大な職員をかかえていて、定員を法律で定めることに何の意義があるかと私は言いたいのであります。このような法軽視の悪習を政府みずからが作り出すことは全く言語道断であります。政府はよろしくこれら日陰者的取扱いを受けている職員を、一日も早く日の当る場所に引き上げるような措置をとるべきであると思います。さもなければ今や定員法は行政職員の員数を規制すると、いう本来の目的を遠く離れて、職員の中に定員外、定員内という二極の職員を作り、定員外職員をして劣悪な労働条件のもとに自由に駆使せんとするためにのみ存在する、このようなそしりを甘んじて受けさせなくてはならないと私は思うのであります。はしなくもこの法案審議中に紛争を惹起した恩給局の職員の問題が、実は大学卒業で日給二百七十五円という者が、その労働条件にあったということをわれわれは十分に考慮しなくてはならないと思います。現在約六十万人に達するというこれら定員外職員のうち、約五十万人は農林省関係機関に属するものということであります。一例を農地局にとってみましても、その職員のうち約三割は事務関係の職務に携わり、用地の買収、補償事務、会計経理事務、資材の購入、その他一般事務を行なっており、約六〇%は測量を実施し、工事の計画、設計を行い、また工事施行の監督など、土木技術面に携わっているのであります。これら職員の中には実質的に係長級の職務を行なっておる者すらおり、小使い、寮母等の雑役に従事する者はその一割にも満たないことを知るべきであります。学歴を見ましても、七割以上の者が旧制中学以上を卒業しており、勤続年数もまた一年以上が約七割、二年以上が約三割ということであります。このようにすべての面で定員内職員と異なるところのない人たちを、何ゆえに定員の外に置いて、差別的な取扱いをしなければならないか、われわれの最も了解に苦しむところであります。定員法もまた業務遂行の合理的運営並びに能率的推進のためにこそ必要なのでありまして、われわれはこの法が一日も早く、このような本来の姿に戻ることを強く要求し、かかる変則的な姿に堕した本法案に反対しようとするものであります。
次いで法案の細部にわたる検討を加えますならば、次のような不合理と欺瞞性を指摘しなくてはなりません。
まず第一は、この法律に基いて本年新たに整理される者は昨年度の臨時待命制度、本年度のいわゆる指名退職制度の適用から除外されており、公平の原則にもとるということであります。これについて政府は昨年の整理の方針と本年とでは実情が異なると申すのでありますが、整理をする側の実情がどう異なろうと、整理をされる者にとって首を切られるということに二つはないのであります。本年はまた配置転換によって実出血を伴わない、このようにも申しております。しかし政府の提出いたしました配置転換計画なるもののずさんさあるいは過去の実績から推してみましても、われわれはその信憑性を疑わざるを得ないのであります。政府はよろしく本年度においても申し出のあった者については同様の取扱いをすべきである、このように考えるものであります。
第二は、この法律の持つ欺瞞性を糾弾しなくてはなりません。御承知の通り、昨年の整理に際しましては、職員の意に反し、すなわち強制的に臨時待命を命じ、あるいは職員の申し出に基いて臨時待命を承認することができました。結局強制と任意の二本建で整理に臨んだのであります。ところが本案の示す指名退職制度の適用に当りましては、本人の申し出一本というきわめて穏当な形をとっているのであります。これは果して真実そのままのものでありましょうか。この法案が国会において審議されているさなかに、実は行政機関職員定員法の一部を改正する法律が成立した際には、同法附則第十項の規定による申し入れをいたします。なお同法附則第十項で指名された上は、同法附則第十二項に定める期間の末日において離職することを申し添えますと書かれた書類に署名捺印を強制し、あまつさえこれを拒否した場合には、国家公務員法第七十八条によって免官処分の措置をとるかもしれないなどと威嚇している事実があるのであります。このような卑劣な、しかも国会を無視した行為が法案審議中に行われたということは、法成立後の陰険な強制手段の数々を想像させずにはおかないのであります。さらにこの法案は、国家公務員法の定めるところにより、指名退職制度適用の手続等は人事院規則によらなければならないと規定しているにもかかわらず、かかる行為を行なっていることは明らかに国家公務員法違反であり、徹底的に究明されるべきだと考えております。少くともわれわれは職員の申し出が少いときはどうするのかという重大な一点をごまかしたこのような法案を絶対に認めることはできません。
第三、昨年の定員法の改正によって整理されることになりました被整理者のうち、本年度以降の整理計画に含まれるものは、この指名退職制度の適用を受けることになるわけでありますが、この制度は昨年の臨時待命制度と全く同等なもので、なければならないにもかかわらず、その待命期間が昨年に比し短縮されようとしていることであります。すなわち昨年は待命期間は法定事項として明記されていたのでありますが、今回はこれの制定を政令に委任しており、その案によればそれぞれ一カ月間の短縮を行おうとしているのであります。この点について政府は、本予算は六月から施行されるものだという予定で、指名退職制度の実施も六月からの実施を予定していたが、不幸にして六月も暫定予算となったため、この法律も七月一日から施行することになった。しかし予算額との関係もあるので、この指名退職制度は形式的には七月一日からするけれども、実質的には六月一日から実施しているので、六月一日から起算すれば昨年の待命期間と同じになるというのであります。このような国会を無視し、法律を軽視した欺瞞性と便宜主義をわれわれは絶対に許すことができないのであります。われわれは法律の権威を守るという点におきましても、かかる法案に賛成することはできません。
最後に、私たちはこの法律に基いて整理が行われたときに、表面化して参ります労働強化の面を考慮するとき、本法案に対し強く反対せざるを得ないのであります。一例を建設省関係にとってみますと、今回工事量の減少を理由に、営繕局関係職員二百数十名の者が整理をされることとなるわけでありますが、これは果して妥当な措置と言えるでありましょうか。なぜならば建設省営繕局関係職員は、昭和二十七年度以降実に一人当り一千万円になんなんとする工事量を消化しているのでありまして、そのために常に過重労働と工事の質の低下に悩んできているのであります。にもかかわらずこの線を実績として、この程度までの負担能力はあるものとして、事業量の減少を理由に人員整理を断行し、引き続き過重労働の苦しみと工事の質の低下という二重の悩みを継続的に負わせるということは、国家のためにも不利益をもたらすものと言って過言でないのであります。ほかの部局におきましては、一人当り二百万円程度が通常の工事負担量となっていることを私たちは十分に知っておく必要があると思います。われわれはこのような観点に立ち必然的に労働強化をもたらす整理に反対するものであります。
以上申し述べた理由に基いて私たちは本法案に強く反対するものでありますが、何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
これにて討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/38
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039・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/39
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040・宮澤胤勇
○宮澤委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決するに決しました。
なお本日議決いたしました二案に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に一任願いとう存じますが御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/40
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041・宮澤胤勇
○宮澤委員長 なければさよう決します。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/41
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042・宮澤胤勇
○宮澤委員長 次に郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府より提案理由の説明を求めます。松田郵政大臣。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/42
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043・松田竹千代
○松田国務大臣 ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
さきに日本国とビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定が成立して以来、この協定の実施に伴う関連事務が具体化して参りましたし、また、近い将来において、その他の国々とも賠償等の協定が成立いたしますならば、それに伴う関連事務も生じてくるものと考えられます。一方最近東南アジア諸国に対する諸種の集団的技術援助活動が活発化し、また個々の国からの技術援助の要請も少くない実情であります。これらの情勢にかんがみ、郵政省設置法の一部を改正して、郵政省の所掌事務にかかる賠償及び国際協力関係事務の処理に関する規定を整備しようとするものであります。その内容は、郵政省の権限として所掌事務にかかる賠償及び国際協力に関する事務を行うことを加え、これらの事務の取りまとめを大臣官房の所掌事務として加えようとするものであります。
何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/43
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044・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより質疑に入ります。通告があります。田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/44
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045・田原春次
○田原委員 松田郵政大臣は長く外国にも居住しておって、その経験から見て、さだめし郵政事務に対しては、過去の郵政大臣に比べて画期的に民主化とかサービスとかいろいろな点において改正があるものと期待しておったのであります。しかるに本日出ました一部の改正案は、まだわれわれの期待するほどの改正がないように思いますので、この機会に四、五点質問をしてみたいと思います。
第一点は、切手販売及びポスト設置の簡素化についてであります。御承知のように、外国ではホテル、薬局、列車内、船内、あるいは病院内等において随時切手が買えますし、またポストもたくさんある。ところが日本におきましては、一つのポストから次のポストまでに八百メートルの制限がありまして、また新設申請等に対しては最近かなりよくなっておりますものの、なお非常に手続がめんどうであり、しばしば予算が伴わないということで新設がおくれておる。御承知のように。人口は年々百二十万ずつふえておる。それから戦後海外からも六百万から帰っておるのでありまして、新たに住宅街ができ、十数町も歩いて行かなければ切手も買えないところが全国で多いのであります。これに対して設置内規があるならばこれを急速に改正いたしまして、要望のあるところについてはどこでも、隣にある場所でもポストができるようにしてもらいたい。また切手の販売がはなはだ不便である。一例をあげますと、たとえば電報は各駅のホームに受けるところがあります。また各駅に郵便を入れる箱がありますけれども、切手を売っていないのです。列車内にも売っていない。列車食堂で売りますものは高級のものでありまして、旅行者が列車中で思い出してはがきを買って、次の駅で入れようとしましてもそれができない、そういうこまかい問題については、これはサービスを主として郵政省ではやるべきではないか。もしまた既存のポストと現在郵便切手の販売を許された業者を保護するという考えでおっては間違いであります。決してそういう既存のポストや販売所の設置場所に近接してやれという意味ではないのであります。まず第一点は、ポスト設置及び切手販売の手続の簡素化についてもっと急速にサービス本位に改める必要があると思うが、これに対して御意見はどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/45
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046・松田竹千代
○松田国務大臣 おっしゃるように郵政省の仕事の大部分は、すべて国民諸君が日常生活をより便利にしていくということが多いのでございます。従ってお説のように切手の販売にいたしましてもポストの増設にいたしましても、予算が許されるならばどんどんこれを設置していきたいという気持が十分ございます。しかしそれらの点も、第一は予算の問題であり、均衡のことをおっしゃいましたが、わが国のポスト、郵便局、切手の販売、またその他のデリバリーの点などにつきましても、外国人はひとしく日本の郵政事務のきわめて便利になっておることをむしろ推奨されておるような状態でございます。なおこれをもって決して足れりとはいたしておりません。できるだけサービスを改善して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/46
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047・田原春次
○田原委員 私が聞くのは、郵政省所管で電話の新設の場合には寄付という例もあって、電柱等の寄付の申し込みをさせたり、公債等を買わせます。電話においてそういう例があるならば、切手販売所並びにポストについても、予算を伴うかもしれませんが、なお必要最小限度の費用は町内会であるとか、あるいは列車内――列車内は別ですけれども、ホームの売店等に寄付をさせてやっていいと思うのでございますが、この点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/47
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048・松田竹千代
○松田国務大臣 今おっしゃったような問題については、もっと簡単ないろいろ新らしい思いつきかどんどんやりたいと思うようなことがたくさんございますけれども、しかし制度としてこれを永続してその実効を上げていくためには、単に思いつきによってのみ進めていくというわけにも参りませんので、それらのことを十分にいろいろな方面から調査研究いたしまして、制度というものを改善していかなければならぬと考えますので、いろいろ不備な点も考えられるのでございますが、一々これを満たすに至っておらないという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/48
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049・田原春次
○田原委員 たとえば同じサービス機関でも、運輸省所管の国鉄等は、鉄道建設審議会あるいは運賃の審議会等もありまして、十分民意を問う機関もあるわけです。従って郵政事務についても、特にこういう国民の便利というサービスの、面の施設に対しては、そういう審議会のごときものを地方の郵政局単位にでも作って、ここには設けるべきである、しかし費用がない、しからば地元で負担しようというふうにさせればもう少しできると思う。さようなことは政治的でなく、ほんとうに国民生活のサービスの面における新しい構想としてこれを進めてはどうかと思いますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/49
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050・松田竹千代
○松田国務大臣 郵政省におきましても、郵政審議会というものがございまして、四十人の委員をもって広く学識経験者を集めて、そうして郵政事務に関するあらゆる問題の御審議を願い、研究調査をやって、現に今もやっておるよう次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/50
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051・田原春次
○田原委員 そういう学識経験者というのはたいてい東京に住んでおりまして、便利な所におるのでありますが、私の言うのは、地方のおかみさんだとか通勤着とかいう、ほんとうに便利な所はポストがなくて、十町も行かなければならぬ所のことなんです。それで私は中央にあるのもいいけれども、地方の郵政局単位にもっと小型のものを作って、いつでも御要求に応ずるなごやかな便利な機関がほしい。これは希望にしておきます。
第二点は、配達夫の待遇の問題であります。松田さん御承知のように、アメリカでは三十年も四十年も配達をしておる老配達夫がおりまして、その人の給料は郵便局長より上であるというふうに聞いております。年六十にして郵便物を持っていなかの村を、昔は馬車で行っておったが、最近は自動車で走っております。クリスマスなどになると、へんぴな村の人のため買物の代理の役目をしたりして地方の人々の間に親切につながっている。聞いてみますと、私はもう四十年以上やっておりますが、郵便配達夫以上になろうとは思っておりませんし、この付近の付近の住民の皆さんにサービスすればいいと思っていると言う。ところが日本は官等俸給令というような制約がありまして、郵便配達夫のいただきます最高給与というものはきまっておる。私は、大学出の若手の高文をとった郵便局長よりか、その下に使われておる配達夫の方が二倍もよけいに取るという状況の方が好ましいと思います。そこでこれは俸給令、給与等の規則の改正にもなりますけれども、現場の人々が安んじて一生現場でやれるということのためには、位は低くても給料は高いというくらいにしなければならぬ。日本の行政官庁の一番の欠点は、官等俸給令の制限があり、昇進のためには他に栄転しなければならないし、栄転の決定には学力等の制限があって、配達夫には栄転の道はないのです。ほかの省はいざしらず、郵政省のようなサービス機関については、松田さんが大臣である間に、思い切って最末端の現場の集配人諸君の待隅をよくして、そうして一生喜んで、どこにも転勤をせずそこでやれるというふうにしたらどうか、現にアメリカにそういう例があるくらいだ、こういう意味で私は質問しておるのでありますが、どうでしょう、何か思い切った工夫はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/51
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052・松田竹千代
○松田国務大臣 まことに結構なお考えと思うのであります。しかしアメリカの例は必ずしもとってもって直ちに日本に移し得ないようなものもいろいろあろうかと思います。彼に一長あればまた一短あるのでありまして、わが国の制度にも一短あればまた一長がある。たとえば郵便物の配達のごときも、日本は山の奥のほんのぽちっとある一軒家にまで一々配達してやっているということは、ちょっと私の知るところにおいてはアメリカにも見られない状況でございまして、なかなかあれもこれもと考えますと、いろいろやることはありますけれども、日本の今日の郵政事務は、長い伝統とそして制度の上に健全に築き上げられて参ったものでありまして、長い歴史のもとにできて参ったものでありまして、相当の治績をあげているものは、他にいいものがあるからといって、直ちにいろいろ新しいものを設置するというところまで参らぬ。私もいい思いつきとしては、これこそはと思うようなものもないではございません。まあしかしいろいろと研究してどんどん進めていくこと、これならば大丈夫、これこそはやらなければならぬと納得いたしましたものは断固としてやる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/52
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053・田原春次
○田原委員 この内閣がどのくらい続くか予想できませんが、やがて私の尊敬する松田国務大臣がほんとうに十分用意をして、断固としてやるときになって内閣がかわっておるというようなことでは、まことに残念であります。事は多少拙速でありましてもよろしゅうございますから、松田郵政大臣の時代にこういうことがあったと、日本郵政史の中の何ページかを残すためには、一番こまかいこういうサービス問題を取り上げてもらいたい。これは友人の一人として特に希望して、質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/53
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054・宮澤胤勇
○宮澤委員長 長井源君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/54
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055・長井源
○長井委員 簡単にお尋ねをしおきたいことがございます。それは郵政大臣の電電公社に対する監督権の問題でございます。これは六月十九日の産業経済新聞でありますが――その他にも似寄りの記事がございましたが、「大当りのサービス電話」「面白いほどもうかる「電電公社」」「今度はニュースを」という見出しで大きく扱われておる電電公社の実情でございます。電話の時報サービス、「天気予報サービスも十二都市で一日二十五万通話を下らない。これらの料金は少くとも一日二百二十五万円、年間八億二千万円も転がり込むので、電電公社では笑いの止まらぬありさま。そこで同公社では現在東京だけの時報サービスを主要都市に拡張、さらに十月からはニュース・サービス、それに各種の室内サービスにまで電話を利用して大いにもうけようとの計画を進めている。」十二都市で七百三十回線を使うということが書いてある。こういう特殊のサービスに対しましては、郵政大臣と電電公社との間に何らかの連絡があるか、あるいは協定でもあったのでございますか、この点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/55
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056・松田竹千代
○松田国務大臣 郵政省におきましては、電気通信監理官がおりまして、電電公社とは常に緊密な連絡をとってやっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/56
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057・長井源
○長井委員 そうすると今読み上げたような特殊サービスについても、すでに連絡があったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/57
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058・平山温
○平山説明員 お答えいたします。今お話がありました天気予報サービス、時報サービス等につきまして、郵政省と電電公社とどういう連絡があったかというお話だと思いますが、日本電信電話公社がやります本来の業務は、あくまで、公衆電気通信業務でございますが、日本電信電話公社法の定めるところによりまして、電電公社は公衆電気通信業務と、それに付帯する業務をやれるということに法律で規定されております。そこで今御指摘の天気予報サービス、時報サービスは、その付帯業務として電電公社がやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/58
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059・長井源
○長井委員 あなたのところに連絡はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/59
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060・平山温
○平山説明員 連絡はございますが、法律的に申しますと、いわば認可事項という関係のものではございません。実質的な業務上の連絡を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/60
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061・長井源
○長井委員 そうすると、この新聞に書いてあるホット・ニュースをやるというようなことについても、何も連絡がないのが普通ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/61
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062・平山温
○平山説明員 今私どもが承知しておりますのは、天気予報サービス、時報サービス、これは承知しておりますが、ニュースについてやるかどうか、またそれにいつからやるかどうかというようなことについては、電電公社からまだ何らの連絡も受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/62
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063・長井源
○長井委員 電電公社の武田という企画課長の話もここにあげられておりますが、こういうことをやるのだと新聞に書いておる。私は電電公社の仕事の本質は通信網の完備である、こう思っておるのであります。しかもこういう特殊サービスによりまして金をもうけることを電電公社が覚えてしまいますと、これはもう手に負えないことになってくると思うのです。将来は、いわゆる運輸大臣が国鉄一家をもてあましておるように、郵政大臣もおそらく電電一家を作り上げてしまって、どうにも動きのとれないようなことも起らないとも限らないと思うのであります。ことに電電公社の本来の仕事でありますところの通信網の完成ということは、末端に至るほど大切なのであります。神経が末端でしっかり働きませんと、中心だけで働いてあるようなことであったら、頭でっかちで、脳溢血になってしまって、不具的な状態になるのであります。それですから、まず第一に、国土の端々まで通信網の完成ということに力を入れなくてはならないと思うのであります。それがただ単に十二都市くらいで、大へんな特殊サービスを始めるということについては、郵政大臣もよほど監督の目を光らせてもらわないと、国鉄のような結果になってしまって、動きのとれないようなことになってくると、思うのであります。それで、この際特にこれらの事柄が郵政省の方と全然関係なく、付帯事業としてやれるということでありますならば、われわれは保護立法を考えて、郵政大臣の権限の強化がいま少しく電電公社にも及ぶようにしなければならぬと考えておるのであります。それらの点に関しては、何か御所見がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/63
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064・松田竹千代
○松田国務大臣 お説のように、公社はサービスの点についていろいろのこともやるということについては、必ずしもそういうようなことではございませんで、自由にやっておるということはありましょう。本来公社の建前といたしまして、できる限り、通信関係の事業を大いに伸ばしてやって、そのためにはそこに自主性を持たしてやっていかなければならぬ、これが、むしろその仕事を完成せしめるゆえんであるというような建前で公社法もできておるわけでございまして、従ってただいまのところでは、郵政大省の監督権というものは、必ずしも非常に強いものではございません。しかし今申し上げたような事情であります。
なお、御承知のように、全国的に、この通信の業務を進めて、そうして国民の要望にこたえていくということをやりますためには、どうしても電信電話等の基礎設備をまずやらなければできないわけでございます。ところがこれはなかなか外部資金を予算の上で十分認められなければ、一々要望を満たしていくというところまでいかないのでございます。そこでどうしてもある程度の仕事は自己資金をもってやっていかなければならぬ。そこに昨年度も五カ年計画に基きまして電話を十四万個かけとるいうのを十八万以上になっておるというようなわけでありまして、そういう直接のサービスで、自己資金でまかなわれる程度のものはできるだけやっていこうとするところに、今おっしゃるように、いろいろな工夫をしてやっていこう、それがもうけ事業、こういうようなことを考えられるのでございますけれども、電電公社というものの性質、すなわち、公共性の非常に強いものであり、従って決して企業本位にばかりいくべきものではないということは、おっしゃる通りであると思いまして、それらの点につきましては、十分に監督して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/64
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065・江崎真澄
○江崎委員 関連してちょっとお尋ねしたいのですが、先ほど田原君からお話のありました切手販売所の数の問題であります。昔の戦争前の通念でいくと、ポストのあるところには必ずはがき、切手販売所を見つけるという形であったわけです。それがだんだんなくなり、しかも駅の売店というような場所は、切手販売所としてはきわめて適切な場所であるにもかかわらず、これがない。これは問題としてはこまかい問題ですが、一般民生に非常に影響のある問題でございますから、なぜこれを引き上げることになったか。これは普通の民間の場合ですと、いろいろ経理上の問題とか、保証の問題とかきっと条件があると思いますが、駅の売店、特にそれが鉄道の弘済会ですか、そういうような単位の場合を通じてならば、比較的不安もないように思いますが、どうして少くなったか。またこれをふやし得ることになれば、松田善政ということになると思いますので、今ここで承わらなくてもけっこうですが、御調査賜わりまして、できれば先ほどの田原君の質問の線に沿っていただくことが非常にいいことだと思いますので、御質問とともに、強く御要望を申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/65
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066・松田竹千代
○松田国務大臣 その問題は非常にいいことであって、そうむずかしい問題ではないと考えます。また戦前におきましては、電信と郵便の方が一緒になっておりまして、郵便局に行けば何でもととのうという建前であったのが、戦後二つにそれが分れて参ったために非常に、不便を感じていることも承知いたしております。今のところは、それらもなお一緒にできるところはという考え方で、公社の方にも要請しているような次第でありまして、ただいまの問題はそうむずかしいことではないと私は考えておりますが、他にどういう支障があるか、よく研究しまして、できるだけ早くそういう御趣旨に沿いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/66
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067・宮澤胤勇
○宮澤委員長 森君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/67
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068・森三樹二
○森(三)委員 郵政大臣にお尋ねします。今回提出された郵政省設置法の一部を改正する法律案の第四条十四の四に、「所掌事務に係る賠償及び国際協力に関する事務を行うこと。」とありますが、この「所掌事務に係る賠償及び国際協力」の範囲は、直接協定に基いて日本政府がこれらの問題を処理するのですか。さしあたり郵政省としては、日本のこの賠償及び国際協力という面において、どういうことをおやりになるのか御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/68
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069・松田竹千代
○松田国務大臣 今の説明でもちょっと申し上げておきましたが、御承知のように、国際電信電話の点もありますし、またこうした機械、設備といったようなもののプラント輸出ということも、賠償にからんで考えられるのではないか。またアメリカの対外活動本部におきましては、日本をアジアのトレーニング・センターということに指定しているわけでありまして、現に電電公社の方に、そういう方面の専門的知識を実習するために三名の研修生を受け入れるという話もきてじきに実施するのではないか。そういうこともございまして、今後これらの点がだんだんと実施されるようになりますと、いろいろの点で考えられることは、現在考えられていること以外にふえてくるのではないかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/69
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070・森三樹二
○森(三)委員 電信電話機械等の賠償問題があるというのですが、そういうものは、通産省の所管になるような気がするのですが、あなたの郵政省でそれをやるというのは、その所管の関係はどうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/70
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071・松田竹千代
○松田国務大臣 監理官に一つ詳しく説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/71
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072・平山温
○平山説明員 今の御質問に対しましてお答え申し上げます。ビルマの賠償の例について申し上げますと、役務とか生産物の提供をやるわけですが、その種類がどういうものかということについては、協定の附属書の中に電気通信施設の復旧ということが書かれております。施設の復旧につきましてこの内容をどういうものにするかということは両国間の政府の合意を得た上で最後的にきまるように書かれておりますが、その場合にどういうことが予想されるかと申しますと、先ほどお話がありましたように、ただ機械だけを出すということでなしに、たとえばビルマのどこかの町の一局の電話局をどうするかという設計上の問題もございます。それから技術者のトレーニングの問題もございます。あるいは修理工場を作るというような問題もございます。こういったものに関連いたしますと、通産省の所管しております生産行政だけの範囲の外のものがあると思います。そういった面につきまして、日本政府として実施をやっていきます場合に、郵政省かこの所掌する今の電気通信なら電気通信の場合に、今のようなことにつきましていろいろ協力する必要がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/72
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073・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 今大臣の説明の中に、日本はアジアのトレーニング・センターにするというような御説明がちょっとあったように聞えたのですが、もう少しそれを詳しく説明していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/73
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074・平山温
○平山説明員 今私が申し上げましたのは、主として賠償関係の問題についてどういう協力が予想されるかということについて申し上げましたが、もう一つ国際協力というものがございますが、これはいろいろございまして、アメリカの対外活動本部FOAの関係のものとか、あるいはこの間東京で会議がありましたアジアの極東経済委員会、エカフェの問題とか、国連の技術援助の関係の問題とか、コロンボ計画の問題とか、いろいろございます。この中にやはり電気通信の問題がございまして、電気通信に関しましては、電電公社に世界的に見てもかなりりっぱなものと考えられますトレーニング。スクールがありますので、そういったところに東南アジアの諸国の方が来てトレニングを受けて帰られた方もございますし、また現に来る計画になっておる方もあるわけでございます。その問題に関連してのお話だったと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/74
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075・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それは何か国際協定でそういうことがきまったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/75
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076・平山温
○平山説明員 国際協定ではっきりきまったというものではございませんが、そういうような空気といいますか、東南アジアの諸国の中にそういう空気があるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/76
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077・森三樹二
○森(三)委員 残余の質疑はまた次会にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/77
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078・宮澤胤勇
○宮澤委員長 この際お諮りいたします。去る二十一日田原春次君が委員を辞任せられました結果、理事に欠員を生じたので、補欠選任を行いたいと存じますが、先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/78
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079・宮澤胤勇
○宮澤委員長 なければ、さように決します。田原春次君を理事に補欠指名いたします。
次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X02519550623/79
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