1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月五日(火曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 床次 徳二君 理事 江崎 真澄君
理事 高橋 等君 理事 森 三樹二君
理事 田原 春次君
大村 清一君 長井 源君
林 唯義君 保科善四郎君
眞崎 勝次君 粟山 博君
大坪 保雄君 小金 義照君
田中 正巳君 福井 順一君
船田 中君 茜ケ久保重光君
飛鳥田一雄君 下川儀太郎君
鈴木 義男君 吉田 賢一君
矢尾喜三郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 杉原 荒太君
出席政府委員
防衛政務次官 田中 久雄君
防衛庁次長 増原 恵吉君
委員外の出席者
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
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七月四日
委員長谷川保君辞任につき、その補欠として渡
邊惣藏君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員受田新吉君辞任につき、その補欠として矢
尾喜三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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七月一日
文官恩給の不均衡調整に関する請願(保科善四
郎君紹介)(第三〇七六号)
下級老齢軍人の恩給増額に関する請願(永山忠
則君紹介)(第三〇七七号)
恩給法の一部改正に関する請願(眞崎勝次君紹
介)(第三〇七八号)
富山県魚津市の地域給指定に関する請願(松岡
松平君紹介)(第三〇七九号)
岐阜県恵那市の地域給引上げの請願(纐纈彌三
君紹介)(第三〇八〇号)
進駐軍による被害補償促進に関する請願(林博
君紹介)(第三〇八一号)
愛知県小牧市の地域給引上げの請願(早稻田柳
右ェ門君紹介)(第三一四七号)
和歌山県海南市の地域給引上げの請願(坊秀男
君紹介)(第三一四八号)
東北地方各県に薪炭手当支給に関する請願(三
浦一雄君外一名紹介)(第三一四九号)
国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の
支給に関する法律の一部改正に関する請願(西
村力弥君外三名紹介)(第三一五〇号)
同月四日
恩給法の一部改正に関する請願(倉石忠雄君紹
介)(第三一九七号)
兵庫県阿弥陀村の地域給指定に関する請願(茜
ケ久保重光君紹介)(第三一九八号)
同(田中武夫君紹介)(第三一九九号)
岐阜県恵那市の地域給引上げの請願(楯兼次郎
君紹介)(第三二〇〇号)
秋田県能代市の地域給指定に関する請願(川俣
清音君紹介)(第三二〇一号)
秋田県能代市に薪炭手当支給に関する請願(川
俣清音君紹介)(第三二〇二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
自衛隊法の一部を改正する法律(内閣提出第八
一号)
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八二号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
自衛隊法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を継続いたします。茜ケ久保重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/1
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002・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 防衛問題に入る前に、防衛庁に一つ伺っておきたいことがあるのです。それは竹橋の旧近衛歩兵一連隊の跡でありますが、あそこに現在警察学校と学生会館があるのでありますが、その学生会館が何か防衛庁の自衛隊の使用に供されるというので、六百数十人の入っている学生諸君が、非常に昨年の暮れあたりから心配して、たびたび防衛庁に伺っているということですが、最近になりまして、どうもいよいよ追い出されるというので、非常な不安を感じている。それでそのままほうっておくと、またどうもおもしろくない現象が起るのではないかと思いますので、実はお伺いするのであります。学生会館の学生諸君を追い出すといっては語弊がありますが、あの元の兵舎をお使いになる意思があるのか、また元の兵舎をお使いになりませんでも、今の警察学校その他の周囲の建物を全部自衛隊でお使いになると、結局いろいろのトラブルを起す原因になるのではないかということをわれわれ心配しておるのでありますが、この点に対して一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/2
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003・杉原荒太
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。学生会館を使わしてもらう計画は今持っておらないのでございます。ただ防衛庁の、現在越中島に庁舎があるわけでございますが、あそこに業務隊がおりまして、一方防衛庁は今新しく庁舎を霞ケ関の方に建設中であります。移転することになりました場合に備えまして、あそこにおります業務隊をあの旧連隊跡の一部施設の中に収容したい、こういう考えを持っておるのでございます。学生会館の方はそういうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/3
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004・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そうしますと、全体のものをお使いになるのではなくて、一部をお使いになる。
それであそこで自衛隊が演習されるとか、そういうことはないわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/4
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005・杉原荒太
○杉原国務大臣 それは場所からいたしましても、そういう演習とかなんと
かいうことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/5
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006・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 これはお願いでありますが、あそこに住んでいる学生諸君は、家庭のあまり豊かでない諸君が非常に多いようでありまして、もしあそこを出されますと、ほんとうに非常な想像以上の困難があるようでありますが、防衛庁もそれをお含みの上善処してほしいと思います。
本論に入りますが、国防会議の議題あるいは防衛三法について、いろいろ同僚議員から質問があったのでありますが、私は、日米安全保障条約の規定によって、アメリカ駐留軍が日本の防衛に当っておるのでありますが、実際内乱とかあるいは外部から攻撃を受けた場合に、おそらく日本の自衛隊とアメリカ駐留軍とは、共同防衛に当るものと考えます。その際における具体的な本隊の行動について、アメリカ駐留軍と自衛隊との共同防衛に関する、何か特別な協約等がありますか。あったらお知らせ願いたい。るという、協議条項があるわけであります。あらかじめ敵対行為の態様がどういうものか予想することが困難でございますから、起った場合に協議することに相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/6
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007・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 特殊な外部から攻撃を受けるというような心配がないということを、いつかおっしゃいましたが、それでありますから、あらかじめ話し合いをしておくよりも、事が起ってからやるというのでありますが、現在のように割合平穏であるときならば、あるいはそれでもいいかもしれませんが、もちろん世界の情勢は、平和への大きな努力がなされておりますので、これは私ども当然のことだと思いますけれども、と申しましても、その自衛隊を増強されるということは、政府としては必ず外部から一つの侵略的な起りがあるものと考えてやっていらっしゃると思うのです。そうしますと、予告をされた侵略行為ならば、その事が起ったときに協定をされましても、あるいは間に合うかと存じますが、おそらく今後起るそういった問題は、今までの日本がアメリカの真珠湾を攻撃したああいった形よりも、もっと突発的と申しますか、予想しないとき予想しないところから起る可能性もあるかと思うのであります。そんな場合に、事が起ってから日米両方で共同防衛に対する具体的な取りきめをするというのでは、その面から見ると非常に不安と申しますか、あるいは共同防衛の実際的な運用をせられるのに支障があるのではないか、こう思うのでありますが、今長官の御答弁以上に具体的に進んでいないのか、あるいは発表はされないが、アメリカも日本の自衛隊に相当期待しているようでありますから、もうすでに具体的な戦略の上に話し合いがなされているのではないかと思うのでありますが、やはり今長官のお答えの範囲を出ないものかどうか、もう一回お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/7
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008・杉原荒太
○杉原国務大臣 先ほど申し上げました範囲を出ていない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/8
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009・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そうしますと、実際のそういったことに処する場合、たとえば共同防衛する場合に、最高指揮権者はだれか、あるいは指揮命令系統がどうなるかといったような具体的なことも全然話がないということでごさいましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/9
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010・杉原荒太
○杉原国務大臣 さようでございます。そして先ほども申し上げますように、第二十四条に規定しております、われわれが予想しておりますような事態が起りました際には、あるいはそういう問題が同時に含まれるかと思いますが、そういう場合には日本といたしましては日本の法制がございますから、その建前を前提にして考えなければならぬことだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/10
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011・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そういったことが起った場合に、いわゆる日米両軍が共同防衛に当るという場合に、長官としてはその際に——もちろん日本の自衛でありますから、私は日本の最高指揮者が日米両軍を統率すべきものと考えておるし、日本の国防会議によって決定されましたいろいろな作戦行動によって行われていくものと考えておりますが、長官としては、これは当然予想されることでありますが、将来のそういった場合に対してどういう考えを持っておるかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/11
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012・杉原荒太
○杉原国務大臣 現実問題としては、私は今そういうことはちょっと予想できませんですが、理論上の問題として考えますと、日本側といたしましては、御承知の通り、法に基いて自衛隊の最高指揮権は内閣を代表して総理大臣が持っておる、これは法律で規定いたしておりますから、その建前はどうしても堅持する必要があると思います。
さらに今御質問の中で、アメリカ側も日本側が指揮するかという点は、アメリカの軍隊の指揮権は当然ないわけでございますから、現実の必要が生じました場合に協議でやるよりほかなかろうかと思います。協議という場合でも、日本側といたしましては、日本の法の建前は当然の前提として考えておかねばならぬことだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/12
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013・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 今日までの政府側の御答弁の中でたびたび言われていますことは、日本の自衛隊は仮想敵国を考えていない。特に何べんか同僚委員から、ソ連や中共が仮想敵国でないのかという質問に対して、鳩山首相はあるいはそれを肯定するかのような答弁もされましたが、しかしそれは結局今後の対ソ、対中共の外交折衝上おもしろくないから、そういったことは言えないというような答弁をされました。しかし日本を防衛するためにおりますアメリカ駐畜軍の施設の状態やら、あるいは訓練の状況を見ておりますと、これは明らかにソ連ないしに中共、特にソ連を大きな仮想敵国としてやっておるということははっきりするのであります。いわゆる航空施設といい、あるいは——私は先般佐渡のレーダー基地に行って参りましたが、あのレーダー基地等は、アメリカの司令官の話によると、ソ連の国内におけるあらゆる航空関係の事柄が、もうあの金北山の頂上のレーダーによって手にとるようにわかるという。こういったことは明らかに対ソ戦を予想しての施設であるし、また今度拡張されんとする五つの飛行場も、これはやはり明らかに対ソ戦を予想しての施設と思うのであります。日本の国内における多数の軍在基地の施設を考え、あるいはアメリカ兵の訓練等を見ておりますと、先ほど指摘しましたように、何といってもアメリカ駐留軍は対ソ戦というものを完全に予想してやっている。こういうことでありますと、日本の自衛隊がいわゆる仮想敵国を全然持たないで、ソ連や中共というものを仮想敵国として考えてない訓練がもしなされたとしますならば、アメリカ駐留軍のこうした考えと日本の自衛隊の考え方が完全に矛盾すると私は思う。共同防衛という立場からそこにおかしな現象が生れてきて、これは将来容易ならぬものを予想されるのでありますが、これに対する長官の腹蔵ない信念を伺いたい。それは対ソ、対中共といえば問題もいろいろありましょうけれども、それはそれとして、やはり自衛隊を統率される長官としては、自衛隊の完全な訓練、今後の備えに対しては、それに対する確固たる態度と信念がなくてはならぬと私は思うのであります。一つこういった点について、はっきりした御見解を御表明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/13
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014・杉原荒太
○杉原国務大臣 自衛隊の任務は、御承知の通り、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つために、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛する、これが主たる任務でございます。従いまして自衛隊の根本の建前というものはそこにあるわけでございます。よその国を侵略するということでは決してない。しかしそういった侵略を受けた場合には、国土をあくまでも防衛する。そこに自衛隊の根本の精神があるわけでございます。しかもわが国というものは、あくまでもわれわれのりっぱな伝統を持ち、そしてまた民主主義日本を絶対にくずしてはならぬことだと思います。そういうわが国土、氏族の独立生存をあくまでも守っていく、そこを基本にしてやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/14
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015・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そういった長官の信念のほどはわかるのでありますが、しかし少くとも内乱の場合は別といたしましても、特定の外国が侵略してくる場合においては、私はそれぞれその国々のいわゆる軍事的ないろいろな具体的な方法があると思うのであります。アメリカにはアメリカの方式があり、かつての日本の軍隊には日本の軍隊としての方式がありました。ソ連、中共それぞれの国によっていわゆる戦略、戦術あるいは戦闘の方式等がおよそ違っておると思います。そうしますと、やはり日本が自衛隊によってアメリカと共同作戦をしながらそうした外敵から守るという点においては、相手の国のそういったいわゆる戦略、戦術その他戦闘方式等について相当な深い研究とそれに対する対策がなされなければ、ただ単に自衛隊が国を守るんだ、日本の民主主義を守るといって、一つのはっきりした目標なしに訓練されるということはあり得ないと思う。私どもはかってそういった場面に立った場合には、これは明らかにはっきりした目標を持って訓練され、また訓練したのであります。それだけに私は幾ら抽象的に——昔は天皇のためというのが一つのとんでもない目標がありましたけれども、今は長官はどのようなりっぱな方針を持って、民主主義を守るというための自衛隊の精神面の訓練をなされておるか存じませんが、私から考えますと、そういったことでは自衛隊のほんとうの、いわゆる自分の身を犠牲にしてやるというところまでは行き得ないんじゃないかと思う。そういった意味において、たびたび首相も長官もおっしゃるけれども、一つの仮想敵国というものがやはりあって、そうしてその国が攻めてきた場合にこれを撃退し、これから日本を守るというものがなければならぬと思うのでありますが、あくまでも長官は日本の自衛隊はそういうのでなくて、ただ日本の国土を守り、民主主義を守るというようなばく然たる一つのお考えか。そういった一つの方式で訓練をされていらっしゃるのか、もう一回お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/15
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016・杉原荒太
○杉原国務大臣 いろいろ御意見でございますが、私はこう考えておりますし、また事実そうやっておるのでありますが、よく自衛隊の士気といいますか、これをどういうふうにすれば士気が上るか、これは精神的な確立をやることが一番大事だ、それはその通りだと思います。その際におきまして私はこう考え、また自衛隊でやっておりますが、これは決して侵略するんじゃない。それではほんとうの道徳的勇気はかえってわかないので、わが国を侵略するものに対し、あくまでも日本を守るということで非常に道義的な士気も上るものだと考えております。そういう精神でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/16
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017・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 それはわかるのでありますよ。それはわかるのでありますが、しかしそれだけでは……。いわゆる戦争というものは相手があって、相手が攻めてきたものに対して防ぐのでありますから、ただいわゆる昔のようなやまと魂だけではアメリカに勝てずに、ずいぶんわれわれに無理なことを言われましたが、かつての大東亜戦争時代のあやまった指導でああいう結果になったのであります。しかしあのときはよかれあしかれ日本人というやつはえらい愛国心に燃えて米英撃滅、米英何ものぞということで、そういう意味においては非常に興奮したものです。それにしてもやはり相手の実際の戦略、戦術あるいは戦闘の力に屈伏したわけであります。従って今長官のおっしゃる国を守るのだ、攻めるのじゃないという、そのお気持は十分わかるのでありますが、それだけではほんとうの自衛隊としての目的は達しないと思う。具体的に相手がいろいろな方式をもって攻めてくるのですから、その場合よほど相手方の内容なりそういったものを御検討になって、それに対する具体的な対象のものを持ってかからなければ、自衛隊を幾ら増強されましてもとうてい国土を守ることはできないのじゃないか。そこで具体的にソ連、中共というものを仮想敵国とされませんでも、何か一つ攻めてくると思われる相手国のそういった状態を具体的に検討して、これに対して自衛隊が当っていくというような基本方針があるのじゃないか。それはどういうものかということをお聞きしているのであって、何か具体的な御答弁があってしかるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/17
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018・杉原荒太
○杉原国務大臣 ただいままで申し上げました以上のことを今申し上げることはできません。それ以上のことは私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/18
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019・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 なるたけこちらとしても刺戟しないように御質問しておるのでありますが、肝心のところへ行くと長官の御答弁がどうもぼけてくるのであります。私どもは御承知のように、自衛隊の増強、存立には反対でありますから、こういうことをあまり突っ込んでお聞きすることもどうかと思うのでありますが、しかし現実にはありますのですし、さらに増強の法案が出ているのであります。しかも政府ではどうしても日本国を守るために必要だといって自衛隊を増強なさる。そうしますとそうした根底にはそういったものがあってなさるものであろうと思うのであります。従ってそういう点をお聞きしなくちやならぬのでありますが、今の長官の御答弁ではどうもそれに対する明確な御答弁がないのでありますが、では質問の要旨を変えて参りますが、現在の日本の自衛隊の増強の御方針を見ておりますと、陸上自衛隊中心のように思うのでありますが、将来自衛隊をだんだん増強されるに当りましても、やはり陸上自衛隊重心主義でいらっしゃるのか、あるいは将来は海上自衛隊ないし航空自衛隊等を重心に考えていらっしゃるか。世界の情勢を見てみますとほとんど航空力に大きなウェートが持たれて、私どもニュース映画等でしか見られませんけれども、まことに航空兵力の発達というものは私どもの想像以上のものがあると思うのであります。こういった際に日本に攻撃を加えてくるであろうものは、おそらく陸上からするものよりも空からするものが非常に大きなものでなかろうかと思うのであります。それに対して現在のように陸上自衛隊中心で行かれますことが果して侵略はしないが国を守るというだけでも事足りるのかどうか、こういう意味において、現在はどうも降上自衛隊中心のようでありますが、将来においてもその方針を堅持されるのか、あるいはまた違った方向へお進みになる予定があるか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/19
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020・杉原荒太
○杉原国務大臣 今の御質問の点は、日本の防衛という上からいたしましても非常に大事な点だと思います。今日まで実際におきまして陸上自衛隊の方が主になってきておることも事実でございます。これにつきましては、陸におきましてもある程度の自衛力は必要でもあり、そうしてまたそれがアメリカ軍の撤退、ことに地上軍のなるべく早期の撤退ということ、これは日本人の国民感情からいたしまして、またそれが結果といたしましてはアメリカ側としてもそれを望んでおることだと私は承知いたしておるのであります。従いまして今日まで陸上自衛隊というものが増強されてきており、そうしてまた本年度の予算におきましても、現に御審議をお願いしておりますのも陸上自衛官の増勢を中心にして考えておる次第でございます。それから将来のことでありますが、これは非常に実はむ
ずかしいことだと思います。お説の通り今後の国の防衛というものは侵略というのではなくても、ほんとうに専守防衛というふうな上からいたしましても、航空のことというものがゆるがせにできない、防空ということがゆるがせにできぬということはお説の通りだと思います。ただ御承知の通り、防空の方は、——海もそうでありまするが、特に航空の方は、これは申すまでもないことでありますが、非常に金がかかることで、日本の財政力等からいたしますと、これは非常に考えなければならぬ問題だと思います。たとえば純防衛上の要請からいたしましては、相当の高度の必要性ということを見ましても、財政上からいたしますとそこに非常な制約ができてくる。航空の方は驚くべき金のかかることだといういとは、これはもう御承知の通りであります。そういう点を十分考えていかなければならぬことだと考えます。それからさらに、いずれにいたしましてもしかし日本といたしましては、率直に申しまして日本一国だけで、自衛といいましても、実は最小限の自衛すら日本の国力ではとうてい不可能だろうと思うのであります。それでそこにいろいろ御意見はありましょうけれども、そこに集団防衛の必要というものが生じてくると思うのであります。その集団防衛の態勢の中でそれじゃどういう部面が日本として必要であり、また可能であるか、そういう点などよく考えてやっていかなければならぬことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/20
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021・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そうしますと、現在の自衛隊の陸上自衛隊中心ということは、一応アメリカの陸上部隊を早く帰したいということが一つの理由になっておるようでありますし。航空自衛隊の増強は必要であるが、財政的な面からなかなかそうはいかぬということでありますが、まあそれはそれとして、現在の陸海空の自衛力の策定には何かそこに別な意味における基準というものがあってなさっていらっしゃるか。たとえば防衛庁の予算の面から考えてやっていらっしゃるか、あるいは今言ったアメリカの駐留軍を帰すということも一つの要因でありましょうが、何かそのほかに陸海空の自衛力の配分と申しますか、分野と申しますか、そういったものをきめる基準があるかどうか。あったら一つお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/21
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022・杉原荒太
○杉原国務大臣 そういうはっきりした基準というものは、理論上からしますとありたいものでありますが、現実にはなかなか困難でございます。それから日本の自衛隊の増強に当りましてもいろいろ重要な、要素というものを考えていかなければならない。その中には日本をほんとうに守るための要請という上からの考慮、それから今申しましたアメリカ駐留軍の撤退関係の考慮だとか、それから財政上の関係とか、そういったいろいろの複雑な重要な要素をあわせて考えていかなければならぬことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/22
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023・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 日米安全保障条約や行政協定等との関係について外務大臣にお尋ねする予定でおったのでありますが、本日外務大臣の御出席がありませんので後日に譲ったのでありますけれども、特に長官に一言お伺いしたいのは、将来のいわゆる戦争と申しますか、まあ結局は戦争ということになるのでありますが、日本に侵略をしようとする外国は、おそらく相当に強大な国であろうし、従って相当進んだ兵器を持っておる国だと考えなくちゃならぬと思うのであります。そういったものが侵略をしてくるというのでありますと、日本を防衛するという点においては今長官も御答弁でおっしゃったように、陸上自衛隊が何十万、何百万ありましても、これはとうていどうにもならぬということは、もう子供でもわかると私は思います。従いまして、もしほんとうに日本の現在の鳩山内閣が、自衛隊の増強によって日本を外国から守る、また守り得るところの確信を持つようになるには、私は容易ならぬものであると思うのであります。その点は御承知で、結局日本では独自で防衛できないから集団安全保障というようなことが考えられ、また集団安全保障の一つの点としてアメリカ——これは与国という言葉を使っておるのでありますが、アメリカの防衛力に相当依存するということはどうもはっきりしてきたのであります。そうなりますと、いわゆる陸上駐留軍はある程度の期間を置けばアメリカに引き揚げる可能性がありますが、日本の財政的な面から航空自衛隊がほとんど強大なものを持ち得ぬということになりますれば、アメリカの駐留軍は少くとも航空兵力に関する限り、あるいはそれと付随したいろいろな問題を持っておるものに限っては、ほとんど永久的に日本の国土から撤退ができぬというように考えられるのでありますが、これは私は日本の国民としてはゆゆしい問題であると思います。この点に非常に関心を持っておる。先般も私が長官にお聞きしたように、いわゆる民主党の公約であるアメリカ駐留軍を帰すためにも日本の再軍備をしなければならぬというので、今再軍備反対の諸君までも民主党に投票した、そういう国民も相当ある。現在私ども国会の外を回りますと、そういった質問なり、そういったことを聞かれるのであります。いつになったらアメリカ軍は帰るのか、ところが陸上のものは、ある程度帰っても、今の長官の御答弁なり政府の方針では、航空隊に限っては、これはおそらく永久に日本の国土から引き揚げることはできないという結論に達するのでありますが、この点に対する長官としてのはっきりした御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/23
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024・杉原荒太
○杉原国務大臣 アメリカ駐留軍の撤退につきまして、陸の場合よりも空の方がおそくなるということは、私も実際そうなると思います。それでは永久かといいますと、私は永久というふうには観測しておりません。それはもちろん今後の国際の情勢とか、それからまた今後のいわゆる集団自衛のあり方というものが平時からどれくらい国内に外国の軍隊があるのが適当かというような問題もあると思います。集団防衛だからといって、必ずしも平時から全部外国の中におらなければならぬということもないと思いますし、それから一方日本の航空自衛隊は、先ほど申しますように、日本の国力をもっていたしますと非常に金のかかる航空の方を自衛のためといえども、それに十分というようなことは、私はとうていできないと思います。そうだからといって、日本の防空の面にある程度の役には立ち得るというものは、相当年月はかかりますけれども、やはり作っていかなければならぬことだと思いますが、そういうことをあわせ考えまして、私は今後アメリカ側の空軍も永久におる、そういうふうには観測いたしておりません。しかしこれは陸に比べますと先ほど申しましたように、相当おくれるだろう、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/24
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025・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そうしますと、大体陸上軍は早期に帰るし、また航空部隊もそう長くはないということでありますが、日本の国防をあずかっていらっしゃる防衛長官としては陸上のアメリカ軍が撤退を完了する時期が大体今から何年後であって、さらにアメリカの、そのときは完全撤退と思いますが、航空部隊の引き揚げというのはおよそそれから何年後のどれくらい先には日本の国土から実に不愉快きわまるアメリカの兵隊たちが完全に引き揚げるものか、その大体の見通しぐらいはおつけになっているだろうし、また当然その義務があると思うのでありますが、一つざっくばらんに、防衛長官は陸上軍は大体今から何年後には完全引き揚げをする、航空隊もおよそこのくらいの時期には全部引き揚げるであろうというお見通しをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/25
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026・杉原荒太
○杉原国務大臣 大体の方向といたしましては、先ほどから申し上げますように、アメリカの地上部隊は相当早く引き揚げるようになるのじゃないか、もちろんこれは日本の自衛力の整備ということも関連を持ちますし、また国際情勢ということとも関連を持つわけでございますから、これはいついつというふうには申し上げることはできませんが、しかし少くとも地上軍に関します限りは、私はかなり早く期待できるじゃないかというふうに考えております。現に今日すでに約五千名の地上軍が撤退することに相なりましたのも、私はその傾向の一つの現われだ、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/26
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027・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 この間から防衛六カ年計画がだいぶん問題になっておりましたが、ついこれも何ともはっきりしないままに終っておるのでありますが、おそらくアメリカも、特に陸上軍などはそういつまでも日本に置きたくはなかろうと思うのであります。またアメリカ人自身も、国内でも相当いろいろな問題が出ておるようであります。そこでアメリカ当局と日本側と、そういったことに対して話し合いをするということは、私はあると思うのです。どうだ、一つ日本もそろそろこれくらいの兵力を持ったからアメリカ駐留軍はいなくても事足りるのじゃないか——日本の国民もだいぶんアメリカ兵にはあきあきしている。一部にはアメリカ兵のために相当ぼろいことをしている連中もあるようでありまして、こういう連中は別ですが、一般の国民はおそらくだれもあの不愉快なアメリカ兵の駐留を歓迎しているわけはないと思うのであります。ですから日本政府も責任を持ってアメリカに対して、もうそろそろ、こちらとしてもこういうことをやるのだから、帰ってもらいたい、またいつごろ帰れるかというような折衝は私はあってしかるべきだと思うのであります。いつまでもただ向う様ののんべんだらりしたのをこっちも指をくわえて見ておるというのでは、私は責任ある政府とは考えられません。そこで一つ今の長官の話では相当早くとおっしゃったが、何年ということはわかからない。もう戦争に負けてすでに十年たちます。いわゆる完全植民地なら別として、私どもは世界史をひもといても、しかもこんな進んだ現今において、敗戦後十年以上もその軍隊が駐留をして、四億一千万坪の土地と、三百六十五万坪の建物を押えられて、日本人が入れない。われわれ国民の代表である国会議員が、とにかく演習地に参りますと、機関銃を突きつけられて、国会議員が自分の国の領土内で歩くことができぬという状態なのである。これは私はまことに不届き千万だと思う。長官はどうか知りませんが、私は何回もそういうことに際会しておる。国会議員が自分の国の、しかも中心地を行くのに機関銃を突きつけられて、一々尋問されて、しかも相手の少佐か大尉くらいのいわゆるけちな下級軍人にいろいろなことを言われなければその中に入れないというような状態は、私はこれはもう独立国でないと思う。この間から盛んに鳩山首相も独立々々とおっしゃるが、私はこんなことでは独立と思えない。しかも日本国内に四億一千万坪です。これは日本国民の国民感情であります。私は一日も早くこういう状態をなくするために、政府はどんな努力も、どんなことでもしなければならぬと思うのです。それが割に早く帰るかもしれないとか、あるいはいつになったら帰るかわからぬといったような状態では、私はほんとうに信頼できる政府ではないと思う。実態はそうであります。だから政府はアメリカ当局とこういうことになるから一日も早く帰ってもらいたい、どのような状態にしたら帰れるのか、たとえば一歩譲って自衛隊を幾らに増強をしたらアメリカは帰るのか、航空力をどれくらい増強したらアメリカは帰るのか、こういった具体的なことについての話し合いがあってしかるべきだと思うのでありますが、そういった話し合いをしたことがあるかどうか。なさった結果は、アメリカはこれに対してどういう態度をもって返答をしたかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/27
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028・杉原荒太
○杉原国務大臣 今おっしゃいました御趣旨はよくわかります。実はそういう点からいたしまして自衛隊の増強ということも一つは重要な考慮として考えまして、そうして実は御審議を願っておる次第でございます。そうして私らがアメリカ側といろいろ接触いたしておりますことから総合してみまして、アメリカ側といたしましても、日米の友好関係維持という観点からいたしましても、今の撤兵というようなことにつきましては深く考慮をしておるものと私は看取いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/28
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029・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 私が聞いておるのは、あなたがただ単に想像したりあるいはパーティやその他でお会いになった感じじゃないんですよ。具体的に日本の政府がアメリカに対してそういったことについて責任ある交渉をし、折衝をいたしたかというのですよ。ただのんべんだらりとアメリカさんがすわり心地がいいのですわってそのままというのでは困る。国民もそれを要望しておる。従って政府として、いわゆる日本の自衛力をどれくらい増強したらアメリカは帰るのか、また帰らぬのか、そういうことについてアメリカ当局に公式な交渉をなさったのかどうか。しないならしないとおっしゃればいい。したらしたとおっしゃっていい。それに対してアメリカがどういうような態度をとったか、あるいは答弁をしたかということを聞いておるのです。あなたの主観や感じでごまかしては困る。私は具体的な事実を聞いているのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/29
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030・杉原荒太
○杉原国務大臣 アメリカ側との撤退についての交渉、こうおっしゃいますが、個々の場合につきましてはしております。それでは全体としてはいつになったら帰るか、そこまでの交渉はしておりません。実はそういうことの基礎といたしましても相当長期の計画を立てるということが必要だと私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/30
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031・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 はっきり申し上げて、日本の自衛隊の増強等もおそらく鳩山内閣独自ではおできにならないだろうと思う。これはおそらくアメリカの相当な示唆やいろいろなものがあると思う。またアメリカだってやっているに違いない。何べん聞いても六カ年計画もおわかりにならぬし、それじゃどれだけの自衛力を持ったらいいのか、あるいはどれだけお持ちになる気かと聞いても全然おわかりにならない。防衛計画に対しては全然自主性がないのです。アメリカとの関連において集団安全保障ということもおっしゃるし、アメリカの大きな協力を期待していらっしゃる。となりますと、アメリカ自身も日本の自衛隊増強にはまことに重大な関心と注意を持っておると思う。そうしますと、私は長期計画だって日本がお作りになって、それを出すのをアメリカがやっているというよりも、おそらくアメリカといろいろな折衝がなされておると思うのです。やはり個々の問題でなくて全体の問題から考えていかなければ、日本のこういった防衛上の問題の解釈はできないだろうと思う。私が内閣の責任者なら、何をおいても私はこれをやりますよ。こんなことはないのですから。日本の予算の編成がアメリカの防衛分担金の問題をきめなければ組めないというぶざまな状態なんです。よくも鳩山さんはのんきな顔をしていられると思う。ほんとうに日本の国民の感情と実際を見たら、一番重大な問題はアメリカの駐留軍であり、アメリカの日本に対する具体的な支配だと思うのです。これを一日も早く除去することが、当面の日本の最も大きな問題だと思う。国民の困窮もここに原因していると思うのです。こういう重大な問題に対して政府が全然御折衝にならぬということは私どもにはどうも理解がつかぬ。納得できぬ。今まではなさらなかったとおっしゃるのですが、では今後一つ早い機会にこういう問題を解決できませんまでも解決するための努力と申しますか、アメリカと正式な折衝をなさって——一応国民の前に民主党が公約した、一日も早く帰すためにも再軍備を強行しなくちゃならぬといって、ある程度国民の支持を受けられた民主党ないし民主党の鳩山内閣としては重大な責任であると思う。これはあるいは外務大臣ないし鳩山首相にお聞きすることだろうと思いますが、御両所がいらっしゃらぬから、私は本日の議題に供して防衛庁長官にお聞きするのです。そういう意味で早急にアメリカ当局と交渉なさる御意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/31
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032・杉原荒太
○杉原国務大臣 アメリカ軍の撤退の面からしましての国民感情というものは、これは共通だと思います。ただ私申し上げたいと思いますが、要するにこういうことを考えていかなければならぬと思います。それは日本の安全ということなんです。そこがやはり一つの基本だと私は思います。それからその安全を守るためには日本自身として、国力等から見ましてどれだけ一体可能であるか、そういう点もあわせてよく考えませんといけないことだと思います。それだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/32
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033・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そんなら長官は、アメリカ軍が帰ったのでは不安である、また自衛という点から考えなくちゃならぬとおっしゃいますが、そうしますと長官は相当近き将来にいわゆる有力な第三国が日本に対して侵略をするような危険性を予想されることと思うのであります。でなければアメリカ軍が早期に撤退すると危険あるということにはならぬ。すなわちその裏には、いわゆるアメリカ軍がいなければ何か近く第三国が、しかも強力な第三国が日本を侵略するという危険性をお感じになっておると思うのでありますが、現在アメリカ駐留軍がいなくなった場合に、いわゆる日本を侵略するであろうとお考えになるそういった国があるかどうか、あったらその国の名前を一つ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/33
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034・杉原荒太
○杉原国務大臣 今日の集団防衛におきましても第一義的に大事なことは、むしろ戦争とか侵略ということがない事態、それが実はこの防衛力などの非常に重要な意味だろうと思います。これは私の一意見じゃなく、イギリスの国防白書などでも、ディフェンスよりもディーターレントというところに重点があるのだ。これはまさしくそうだと思います。むしろ戦争の防止、平和の維持というところに主眼点があるだろうと思います。そういう点からいたしましても日本自身が何も世界の——それは防止するだけの力はございません、ございませんけれども、日本としてもある程度の備えというものは、これは平和の維持、戦争の防止という関連からいたしましても、やはり必要なことであろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/34
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035・宮澤胤勇
○宮澤委員長 下川儀太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/35
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036・下川儀太郎
○下川委員 ただいままでの質疑応答を聞いておりますと、はなはだ明確でございません。先般も江崎委員から防衛六カ年計画に関連しての質疑がなされましたが、今茜ケ久保君の聞いておることは、これはいつ撤退するのか、いつまで自衛隊を増強するのか。これが今日では従属的な軍隊なんだ。ところが従来から政府は、日本は日本人の手によっての防衛をするんだということを口々に言っておる。しかし現実的にはこれはもう奴隷的な、従属的な、軍隊に間違いない。それは日本人自身がいわゆる日本人の軍隊によって取り締られるのではなくて、向うの駐留軍の手によって常に取り締られておる。全くわれわれは濶歩することができない。そういう状態における今日の防衛態勢だ。だから茜ケ久保君の聞いておることは、いつ駐留軍が撤退するか、いわゆる一歩譲ってあなた方の防衛的な態勢を考えていっても、ほんとうに独立した軍隊を持てるのはいつなんだ、いつ撤退するのか、あるいはこの問題についてアメリカ政府とどのように交渉しておるのか、そういうことを聞いておるのです。ところがそれに対する答弁がない。この防衛六カ年計画というものは今日出た問題ではなくして、あなた方が鳩山内閣を作る、あるいは選挙に臨んでもそういうことをいろいろと話されておるし、あるいはこの委員会におきましても、最初からその問題をわれわれはあなたに質問しておる。防衛六カ年計画というものが打ち出されている以上はその根拠がなければならぬ。六カ年たてば駐留軍が撤退するのか、そうしてどの程度の軍隊を持ち、どの程度の防衛力がたくわえられるのか、こういう問題をわれわれは聞いておる。その基本的な問題は、まず第一に経済六カ年計画とにらみ合せてやるということがいろいろとうわさされている。もう一つは独自の軍隊、自衛隊ができる。日本人みずからで守り得る軍隊がそのころできる。それが大体六カ年くらいかかる。そのときには駐留軍は撤退する。いわゆる防衛六カ年計画にはおのずからめどがなけりゃならぬ、目標がなけりゃならぬ、その目標がはっきりしておらない。六カ年たったらどのように日本の防衛がなっていくのか、同時にまた従属的な軍隊から解放されて、日本人自体の軍隊がそのころには生まれるというような明確な答弁がなされるならば、一応またそれに対する新たなる問題が出てくる。そういうことが全然答弁されておらない。ですから江崎君にしろ、あるいはまた茜ケ久保君にしろ、ほとんどの質疑がそれに集中されてもその答弁がない。だからめどのないところに六カ年計画をいろいろ言うことが非常におかしいと思う。また国防会議においてもそうだ。国防会議においてもやはり防衛計画のいろいろな策定についての問題が出てきておる。あるいはまた今度提案されておる憲法調査会においても、やはり問題となってくるのは憲法第九条の変更ということである。いわば大っぴらな軍隊を持ち、大っぴらな軍隊を毎年々々増強して、そうして六カ年たてば日本を防衛するというようなそういう一つの意図が必ずあるに違いない。ところがその意図の内容というものを、われわれがこうして質問しても何ら得るところがない、いつも逃げている、これは非常に心外です。それら防衛六カ年計画なんということはうっちゃりにして新しく出発したらどうか。今度もまた自衛隊の増強が出ておるけれども、のんべんだらりに毎年々々増強していく。しかしその増強されていく自衛隊というものの本質を考えてみると、依然としてアメリカの従属軍隊の立場に立たされておる。日米安全保障条約あるいはまた行政協定というこの二本建のもとに日本の自衛隊というもの、あるいは国民というものはわれわれ側から見るならば奴隷的な立場に置かれておる。それをはねのけて、一個の独立国として——われわれがあなた方の立場に立って再軍備ということを考えても、独立のための軍隊とか、日本のための軍隊とか、日本のための防衛ではない。そういうことではなくして、このひもを断ち切るとか、あるいはまた外交折衝によってこれを解決するとか、日本は日本人みずからの手によって維持するという形の上においての防衛六カ年計画なら一応再軍備反対側のわれわれにおいてもわかるけれども、依然として毎年出てくる防衛予算というものは、アメリカの従属的なのんべんだらりの形においてなされておる。これがわれわれ非常に疑問です。だからあなた方がいつも口に言う日本は日本人の手によって独立的な自衛隊を作るんだ。そうしてまたいつも言う六カ年計画を作るんだ。いつのころ駐留軍は撤退し、いつのころあの行政協定というものを改訂する。そうして六カ年目の最後の年には独立された一つの立場が生まれてくるというめどがあなたの中に明確にされておらなければならぬ、政府中に明確にされておらなければならぬ、これをみんなで伺っているんです。日本にとって重大な問題ですです。ですからうそも隠しもなく、アメリカ側とこういう交渉をする。そしてわれわれは一年々々、こういう計画のもとに、ことしは何人駐留軍を引き払ってもらう、来年はまたこのくらい引き払ってもらう、また行政協定の面においても、われわれはこのくらいのものを毎年々々改革していくというような、一歩日本の独立に進むような計画をもって六カ年計画をするならばわわれれはうなずき得る、それが何もない。それを一つ明確に答弁してほしいと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/36
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037・杉原荒太
○杉原国務大臣 この六カ年計画におきまして、重要なねらいの一つとしてアメリカの駐留軍、ことに地上軍撤退ということは考えております。これは重要な要素として考えておりますし、またこの期間中に、少くとも地上軍というものは、日本側のある程度の全体の防衛力の増強に伴って撤退を期待することができる、私はその考え、またそうでなくてはならぬことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/37
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038・下川儀太郎
○下川委員 六ヵ年計画の中において、駐留軍は撤退することができるという自信をあなたは披瀝されたのでございますか、それを一つ明確に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/38
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039・杉原荒太
○杉原国務大臣 今申し上げましたように、この六カ年計画の重要なねらいの一つといたしまして、アメリカ駐留軍の撤退、ことに地上軍の撤退ということ、これは期待できると私は思っております。今後の空、海につきましては、これは日本側の増強の程度というようなこととあわせて考えなくてはならぬことだと思いますので、私その点についてはっきりとこうだということは申し上げることはできかねるのであります。そうしてまたこれは今後日本の国としてほんとうにどういうふうな集団防衛のあり方がいいのか、十分研究していかなければならぬことだと思います。しかしその場合にでも、将来ある姿といたしましては、たといかりに空、海がある程度残るといたしましても、そういうもののあり方は——これは私見でありますが、今と同じ基礎の、つまり行政協定などの基礎でなく、何と申しますか、日米の新たなる条約的基礎というものが必要だろう、そういうふうに私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/39
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040・森三樹二
○森(三)委員 関連して。杉原長官はただいま防衛六カ年計画においてということを話されましたが、あなたの構想の中に六カ年計画というものはやはりできているんだ、こう見なければならぬと私は思う。しかも六カ年計画において、大体アメリカの地上軍の撤退を目途としているんだという今御発言がなされました。地上軍が撤退できるという目途の上に立って防衛六カ年計画を立てておるということを今あなたはおっしゃった。それならば率直に、日本の地上軍は六年後には一体幾らにするのだ、あるいは海上、あるいは空軍等においても、自分はこのように六カ年計画というものを策定しておるのだということを、あなたはなぜ言わないか。それを言わないから、各委員諸君がやはり日本の防衛計画について——しかもこの防衛計画は国民経済に大きな影響があるのでありますから、その点について熱心に質疑をしておるのです。ところがそれをひた隠しのようにされるから、われわれはその政府の矛盾とそうして秘密主義をあくまでも国民の前に徹底的に究明しなければならぬ、こういう重大な責任を痛感すればこそ、あなたに何回となく質問を申し上げるんです。従って私はこの際どうしてもあなたはこの防衛六カ年計画というものを明確に、当委員会において発表される重大な責任が課せられておると思うのであります。もしこれができないならば、あなたは防衛長官たる地位を去らなければならぬと思うのです。あなたは口を開けば、防衛六カ年計画ということを現実に言っておる。その国務大臣として、防衛庁長官としての責任と言質というものを、あなたがみずから自覚しなければならない段階にすでに到達しておると思います。この際明確に防衛六カ年計画の全貌を述べられることが必要である、あなたの重大な政治責任の最後の段階に到達しておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/40
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041・杉原荒太
○杉原国務大臣 実はこの防衛に関する長期計画につきましては、前の自由党内閣時代からも、自由党内閣のある時期以後からは、いろいろ防衛庁においても研究を重ねてきておられたことだと思います。そうしてそれをまたさらに現内閣になりましても、それに引き続いて検討を加えてきております。御承知の通り、現政府といたしましては、この長期計画を立てるという方針も、すでに国会におきましても声明しておるところであります。ぜひ立てる責任があります。従いまして以前から非常な苦心をして研究しておられたことを、慎重の上に慎重を重ねてやらなければならぬことでございますから、さらに研究を重ねておるところでございます。また事実政府として責任を持って国会に対して、かくかくの内容でございますということを申し上げるところまで、至っていない現状でございますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/41
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042・森三樹二
○森(三)委員 長官は先ほど来、つまりアメリカの地上軍は六カ年後には撤退さすだけの考えを持っている、これに基いて国防六カ年計画というものを立てているんだということを、現に言われたのではないのですか。しからばこの国防六カ年計画というものは、すでに防衛庁長官は完全にこれは自分の責任においてできておる、私はかように断定せざるを得ません。それでなければあなたのさっき言ったことは失言じゃありませんか。地上軍は六年後には撤退してもらう、その計画でおると言われたことと、あなた矛盾を感じませんか。あなたはそれでは当委員会において事実無根のことを言ったわけですか、そんなことはないでしょう。当然国防六カ年計画というものができておるから、それに基いて六カ年計画の完了の後においては、アメリカ地上軍は撤退してもらうということになるんだ、こういうあなたは御発言をなさったのではないのですか。そうでなければ、あなたの言っていることは、まだできておらないということと、先ほどのアメリカ地上軍の撤退ということとは、おのずからそこに理論的に矛盾が生じてくると思う。そういう欺瞞的な答弁をこの委員会においてはされておるということは、防衛庁長官としての重大な政治的責任、この食言というものをわれわれはあくまでも違反しなければならぬと思う。これに対して、あなたの明快なる政治的な責任を持った御発言を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/42
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043・杉原荒太
○杉原国務大臣 先ほど申し上げましたように、アメリカ駐留軍の地上軍の撤退ということは、これを目途として、そうしてこれは六カ年計画の中の一つの重要な要素として案を立てていきたい、こういう趣旨で申し上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/43
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044・森三樹二
○森(三)委員 それならなおさらのこと重大であると思うのです。そういう目途でやっているとするならば、あなたがそういう御発言をなさる以上は、それには六カ年後においては、地上部隊というものは、これこれの数になるのである、たとえば三十万なら三十万になるんだ、海上においては何万になる、あるいは空軍としてはこれだけの設備を有する状態になると私は目下考えております、こういう答弁があってしかるべきじゃありませんか。ただ漠然と一国の防衛庁長官たるものが、ただ自分の描いている夢のような話を、当委員会になさるはずはありません。それならばもっとつっ込んでお話をしますが、各委員が防衛六カ年計画を明確にしろということをしばしば追及しておる。ところがあなたはその逃げ口上として、現在国防会議法案が出ておりますから、この国防会議法案が通過しましたあかつきにおいては、この国防会議に諮りまして、そして六カ年計画を立てられると思いますというような、こういう逃げ口上を言っておる。私はこれははなはだ矛盾をしておると思うのであります。この国防会議法案というものは、われわれ現在の国会の審議からするならば、とうてい成立の可能性はないと思います。先般国会は一カ月延長になりました。会期を大幅に一カ月も延長した。もうこれ以上はとうてい延長できない段階にきておると思いますが、今日のこの国会の審議の状況からいたしまして、私どもはこの国防会議法案というものは、とうてい通過の可能性はないと思うのであります。もしこれが通過できないというあかつきにおいては、防衛長官の政治的責任はますます重大となり、長官はみずから辞職せざるを得ない立場に追い込まれると思う。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/44
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045・杉原荒太
○杉原国務大臣 国防会議法案につきましては、今国会におきまして通過するように一つ御協力をお願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/45
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046・森三樹二
○森(三)委員 通らなかった場合にはどうします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/46
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047・杉原荒太
○杉原国務大臣 私はそういうことを今申し上げる時期じゃないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/47
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048・下川儀太郎
○下川委員 なかなか答弁が明確にされておらない。明確になったのは、ただ先ほどいわれた、六カ年計画の中に、いわゆる駐留軍が大体徹退し得るというあなたの確信だけなんです。今の森君の質問をそのまま受けとってお尋ねいたしますが、あなたの六カ年国防計画は、これはいわゆる思いつきなのか、それとも半ば進行しておるのか、あるいはできておるけれども発表の段階でないのか。こういう点を一つ明確にしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/48
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049・杉原荒太
○杉原国務大臣 そのいすれでもございません。最初の点は以前から、これは私らが就任します前から、まい現内閣以前からもいろいろと内部的には研究が重ねられてきておつたところでございます。そしてこれはさらに検討を要するものがありますので、現内閣になりましてからも検討いたしております。しかしこれは皆さんも御推察できましようが、いろいろな点から考えなければなりませんので、それはなるべく早くということを私らも考えておりますけれども、しかし事実まだ政府が責任をもってこうだと皆様に御報告申し上げるまでの成案を得ていない、こういうことを申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/49
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050・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 これは私がこの委員会で一番最初に質問したことなんですが、これはもう三カ月たっております。いまだに発展をしておらない。そこで、ここでいくら申し上げても長官の御答弁ではなかなか要領を得ませんから、私は百歩譲って一つ質問をします。ではいつまで待ったら、そのいわゆる全貌なるところの、国家の防衛計画というものが、本委員会に政府として責任をもって御発表になれますか。それくらいは私は聞かなければならぬと思うのです。いつまでもぐずぐずしていたのではどうしようもない。少くとも防衛長官としていわゆる何月何日とは申しません。どのくらい日時をかしたら当委員会に責任ある防衛計画を御発表になり得るか。この点だけは私はどうしても聞かなければ承知できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/50
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051・杉原荒太
○杉原国務大臣 非常にはっきりしたことの御要求でございますが、私はいつまでということは申し上げることはできません。しかしなるべくすみやかに結論を得たいと思ってせっかく努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/51
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052・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そうしますと、現内閣は自衛のためにいわゆる憲法の第九条をそのまま——この間鳩山さんは、九条は現状のままでも独立した日本は自衛のためには軍隊を持ってもいいという御答弁をなさっていらっしゃる。国防会議の審査のときにはっきりとそういったことをおっしゃりながらも、全然その鳩山内閣は防衛に対する定見もなければ、自信も確信もない。ただ自由党内閣がなしくずしに作ったこの変な軍隊とも何ともわからないものを受け継いだので、それを引き継いで何とか知らぬ間にしょい込んでやっておるということしか了解できませんが、そのような了解をしてもよろしゅうございますか。私は今までの少くとも国防会議の審議に対する鳩山さんの答弁それから長官の答弁、またこの防衛三法に対する審議の過程において、これほど熱心に各議員が、少くとも国民の代表としてお尋ねしていることに対して、そのような御答弁ではこれはおそらく私はだれも納得がいかぬと思う。納得のいかぬことを私どもはこれは当然審議はできないと思う。従いましてまた今言ったように、もう鳩山内閣は防衛ということについては全然無定見で、もうただもてあましている、どうにもならぬといってかぶとをお脱ぎになるならこれは別であります。私はそのようにしか理解できませんが、そのように理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/52
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053・杉原荒太
○杉原国務大臣 自由党内閣時代から防衛力の整備ということについては、非常に御苦心になってやってきておられたところでございます。そうしてそのあとの方の時期におきましては、やはり長期計画を立ててやっていく必要があるということを吉田総裁もまた自由党もお認めになって、非常な御苦心をして研究を重ねてきておられるところであります。そうしてその根本趣旨は、やはり国力に応じて日本の自衛力を整備する、そうして駐留軍の撤退ということもその間に重要な考慮として加えてやっていく、こういう御方針だったと思います。その基本的な点におきましては今日私らの考え方も全然同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/53
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054・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 先ほどのいわゆる防衛計画の発表について幾日ということはお答えできませんが、それではわれわれとしては、これはもうどうしても一ヵ月延ばした会期でありますから、今会期中には当然防衛計画の大綱を御発表になる責任があると思う。私どもはそれを要求する権利があると思う。従いまして私どもとしては、その防衛計画の大綱を今会期中に本委員会に御発表になることを強く要求いたしますが、それに対して長官はどのような御所見でおられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/54
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055・杉原荒太
○杉原国務大臣 先ほど申し上げた通りでございまして、なるべくすみやかに成案を得たいと私としては考えておりますが、それをいついつということは約束することはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/55
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056・下川儀太郎
○下川委員 杉原さんの答弁はあいまいもこです。今話を聞いておると、自由党時代から計画されておる、そうしていわばあなたが今度引き継いだ形になっておる。そうなると自由党から民主党の内閣へ移ったその過程にいわゆる六カ年計画というものが進んでおる。杉原さんがわからなければ増原次長さんがいらっしゃるのですから、次長さんはもう二代にわたっての長い間の女房役でございましょうから、その点明確にできる点だけをこの際御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/56
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057・増原恵吉
○増原政府委員 長官から申し上げておる通りでございまして、防衛力の整備についての長期の計画を前々から研究をいたしております。自由党内閣時代には一応五年という形で研究をいたしておったのでございますが、民主党内閣になりましてからは、経済六カ年計画と見合いまして六年という形で目下研究をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/57
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058・下川儀太郎
○下川委員 それならば自由党時代の五カ年計画は、私は大体プランができておると思うのです。それから引き続いて民主党の内閣になって六カ年計画になりましたが、私ははっきりしなくても、大体の、その過程におけるものがいろいろあると思うので、そういうものを一つ資料として御提供願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/58
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059・杉原荒太
○杉原国務大臣 それはもっと責任を持てるものができた上でないと提出できませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/59
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060・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 今の点は、私どもはあとで内閣委員会の議に付して、これは当然委員会として要求しなくちゃならぬと思うのです。今のままではいつになったらその防衛計画がわかるのか全然見当がつなかいようでは、防衛三法の審議も、あるいは国防会議の審議も不可能であります。従いまして、これは別途委員会の議に付して、政府に強行な決意を表明しなければならぬと思うので、その点は杉原長官も十二分に腹を据えて考えてもらいたい。そこで観点を変えて質問を続けます。アメリカ駐留軍の陸海空の現在の兵力の大要がわかったらこれを発表してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/60
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061・杉原荒太
○杉原国務大臣 アメリカの地上軍は約二個師団半でございましたが、最近約五千名撤退しております。空及び海の方につきましては私申し上げることはできません。両方ともわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/61
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062・田原春次
○田原委員 われわれが防衛庁三法を審議するその段階において、やはりいろいろ説明してもらわなければならぬ点があるのですが、どうしても長官は発表できぬというのでは、私ども審議上困るのであります。そこで私は休憩して一応理事会を開いてもらって議事の進行をよく協議願いたいことを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/62
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063・杉原荒太
○杉原国務大臣 今のアメリカ軍の勢力とか移動とかいうもので公けにされていないものにつきましては、これは発表できないことになっておりますから、私申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/63
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064・宮澤胤勇
○宮澤委員長 それではこの際休憩いたしまして、午後一時に再開いたします。
午前十一時五十九分休憩
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03419550705/64
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