1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月九日(土曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 床次 徳二君
理事 江崎 真澄君 理事 高橋 等君
理事 森 三樹二君 理事 田原 春次君
大村 清一君 林 唯義君
保科善四郎君 眞崎 勝次君
粟山 博君 山本 正一君
大坪 保雄君 田中 正巳君
田村 元君 茜ケ久保重光君
飛鳥田一雄君 石橋 政嗣君
下川儀太郎君 渡辺 惣蔵君
鈴木 義男君 中村 高一君
矢尾喜三郎君
出席国務大臣
外 務 大 臣 重光 葵君
国 務 大 臣 杉原 荒太君
出席政府委員
防衛庁次長 増原 恵吉君
防衛庁参事官
(防衛局長) 林 一夫君
防衛庁参事官
(人事局長) 加藤 陽三君
外務事務官
(条約局長) 下田 武三君
委員外の出席者
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
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七月七日
委員長谷川保君辞任につき、その補欠として渡
邊惣藏君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
委員高村坂彦君、福井順一君及び受田新吉君辞
任につき、その補欠として長井源君、大橋武夫
君及び矢尾喜三郎君が議長の指名で委員に選任
された。
同月九日
委員船田中君辞任につき、その補欠として松野
頼三君が議長の指名で委員に選任された。
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七月八日
養護教諭の恩給不合理是正に関する請願(楯兼
次郎君紹介)(第三六〇七号)
同(小牧次生君紹介)(第三六〇八号)
恩給法の一部を改正する法律の一部改正に関す
る請願(神田博君紹介)(第三六〇九号)
兵庫県別所村の地域給指定に関する請願(田中
武夫君紹介)(第三六一〇号)
茨城県常陸太田市の地域給指定に関する請願(
塚原俊郎君紹介)(第三六一一号)
代々木基地駐留軍宿舎の入舎反対に関する請願
(風見章君外二名紹介)(第三六一四号)
金鵄勲章年金復活に関する請願(中曽根康弘君
紹介)(第三六五〇号)
の審査を本委員会に付託された。
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同月七日
北海道苫前町の地域給指定に関する陳情書
(第三
二〇号)
宮城県古川市外七箇町村の寒冷地手当引上げの
陳情書
(第三二一号)
新潟飛行場拡張反対に関する陳情書
(第三二五
号)
静岡県御殿場市の地域給引上げの陳情書
(第三四七号)
伊丹飛行場拡張反対に関する陳情書
(第三九六号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した案件
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八一号)
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八二号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
自衛隊法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を継続いたします。茜ケ久保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/1
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002・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 一昨日の委員会の最後に、長官から私どもが要求をしている防衛六ヵ年計画に対する政府の所信とかいわれるものを朗読されたのでありますが、朗読されたままで行方がわからなくなって、実は質問の機会を逸したのでありまして、もう一回政府の所信を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/2
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003・杉原荒太
○杉原国務大臣 それではさらに申し上げます。防衛力の整備につきましては、一定計画のもとに国力に応じて自衛力の漸増を行い、逐次米駐留軍特に地上軍の撤退を可能ならしむるようにすることを適当と考えております。従って経済力との関係上、経済六ヵ年計画に見合った防衛計画を樹立することがよいと考えて参った次第でございます。この意味におきまして防衛六ヵ年計画という言葉をしばしば使って参ったのでございますが、この計画樹立のため種々資料の収集、研究を重ねるに従い、せめて仮案でも作ろうと試みたのでありますが、各種の困難もあり、実のところ今日に至るまで責任を持って申し上げるまでの成案を得るに至っていない次第でございます。この点御了承を賜わりたいのであります。
ただいま提案しております三十年度増勢計画も六ヵ年計画の一環として作成するのが本来の筋合いとは思うのでありますが、ただいま申し上げましたごとく、六ヵ年計画についてはいまだ成案を得ておりませんので、とりあえず三十年度分を切り離し計上した次第でございます。防衛計画に関しましてはさらに研究を進め、成案を得ましたならば適宜発表いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/3
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004・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 この問題は当内閣委員会の成立以来問題になっておることであり、各委員も非常に熱心にお伺いしているのでありますが、一向に政府の御答弁は進展しないというのが現実であります。ただいまの長官の御発表を聞いておりましても、私どもにいたしますれば、今までの答弁の具体化でもなければ、またより誠意のある答弁とも考え得ないのであります。ただそのうちで一言私が今聞いておって感じたことは、アメリカの地上軍の撤退を目途としてやるという御答弁でございましたが、私どもはもう何回となくアメリカ駐留軍の一日も早い完全撤退を要望しており、さらに何回か御質問申し上げましたように、全アメリカ駐留軍の撤退が、どのような国内の自衛体制の確立ないしは国際情勢の変化等によってあり得るかという質問に対しまして、確たる答弁がなかったのであります。先般来地上軍の撤退に対しては、一応の目途があり、六ヵ年計画が地上軍の撤退を目途としているということは、やや判明したかの感があるのでありますが、ただいまの御説明にも地上軍の撤退という言葉が出て参りました。そうしますと、空軍や海軍の撤退というものは、いわゆるわが国の防衛計画の中には含まれていないのかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/4
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005・杉原荒太
○杉原国務大臣 ごもっともの点に触れておると思います。率直に申しまして、私今後のわが国の国力からいたしまして、六ヵ年以内にこの点についてどの程度までのことが一体期待できるかについて非常に研究を要する問題があると思っております。しかしその間におきましても、空、海の方もある程度の整備ということは考えておりますので、その関係からいたしまして、アメリカの空軍及び海軍のある部分の撤退ということは期待しておりますし、またそうしたいと思っております。それを一体どの程度にするか、またなり得るかというような点、これは日本側の整備等の状況と見合うわけでございまして、申すまでもなく、特に空及び海の方につきましては、これは財政力からいたしましても、また要員の養成というような上から申しましても、非常に長期を要することであります。そういう点からいたしまして、今後の空及び海の点についてのアメリカ側との関係を一体どういうふうにやっていくか、その間非常に苦心を要するところだと思います。それからまたこれからの国際情勢の推移ということにも、非常にこれは大きな関係を持つわけでございます。それからもう一つは、アメリカ側とのいわゆる集団防衛といいますか、その建前でいくといたしましても、その方法として、平和時において一体日本の国内にいつまでもアメリカの軍がおることが適当か、また必要であるかどうかというような点、そういうふうな点などは、今後の研究問題というふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/5
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006・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 私は別に外務大臣に条約その他についての質問を予定しておりますので、そういった関連は防衛庁長官にはお伺いしませんが、端的に申し上げまして、地上軍の撤退は、国防六ヵ年計画の遂行と平行して漸次減少されて、目途としては数年後には地上軍の撤退が可能である。しかし海空においては、現在の日本の財政上の見解、あるいは国際的な関連等から勘案して、ほとんど半永久的にアメリカの空軍や海軍は日本に駐留するというように理解してもよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/6
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007・杉原荒太
○杉原国務大臣 その辺のところは、ただいまも申し上げましたように、必ずしも半永久的というふうにばかり考える必要はないんじゃないかと私思います。それからただいま申し上げましたごとく、同じく集団防衛といいますか、共同防衛といいますか、そういう建前でいくといたしましても、平時から相当多量にいつまでもとどまっておらねばならぬかどうか、こういう点などはよほど今後の研究問題だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/7
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008・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 半永久的でないとおっしゃるならば、大体陸上部隊の撤退が一応のめどが出ます以上は、地上部隊ほどはっきりした点でなくても、政府としてあるいは防衛庁関係として、希望意見としても、大体どのくらいの期間内にはアメリカの空軍、海軍も撤退してもらうような措置をしたいという、そういった見通というか、あるいはさらに譲歩しますならば、希望的な期間というものもここに発表できないものかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/8
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009・杉原荒太
○杉原国務大臣 六ヵ年計画によって日本側の空及び海の方が相当程度整備いたしますならば、私は空におきましても、ことに日本の直接防衛に現に当っておりますアメリカの空軍、それから海軍でも、日本の直接防衛に当っておりますようなもののある部分については、これは撤退を期待し得るだろう、またそういうふうにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。なお今の点につきましては、非常にむずかしい問題でございますが、少しつけ加えますが、こういう点はただ日本側だけでいろいろ考えてもきまらぬわけでございますが、実は率直に申しまして、この計画をもう少し研究を進めまして、そうして日本政府としてのある程度の固まった案というか、腹がまえがもう少し固まりましたならば、アメリカ側ともやはり援助の関係もあります。またそういった情勢等の関係もございます、いろいろ共同に考えなければならぬ点があるように思いますので、実はアメリカ側ともむしろ率直に話してやっていった方がいいのではないかというふうに、私は私見として考えておる次第でございます。そういたしますれば、今御質問の点などにつきましても、もう少しははっきりした御答弁ができるような段階に至ることを実は希望いたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/9
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010・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 防衛六ヵ年計画につきましては、同僚の飛鳥田君からさらに具体的な資料によって質問がせられる予定でありますから、私はその点についてはこれ以上触れませんが、少くとも日本の国民の現在の感情というものは、経済的な窮乏に対する苦痛、そういったものももちろんございますが、しかし何より一番大きいのは、アメリカ駐留軍の与える国民感情が非常に大きいと思うのであります。いろいろな例をあげればたくさんございますが、日本を共同防衛するというアメリカ軍が、先般も申しましたように、現在においては日本の国民を非常に苦しめる結果に陥っている。これは長官はどのようにお考えか存じませんが、私どもが全国を回りまして、特に基地周辺を回りまして感じますことは、非常な反米的な国民感情の盛り上りであります。といたしますと、そういった日本を防衛するためにおるというアメリカ軍が、かえって日本の国内情勢を非常に混乱させるような素因を作りつつある感じがするのであります。そういたしますと、国民として現在一番重大関心は、先ほどから私がお伺いしている、アメリカ駐留軍は一体いつになったら帰るのだろうか、もちろん一日も早く帰ってもらいたい、しかしその全然見当のつかぬところに非常な焦燥があるわけであります。今長官の御答弁を聞いておりますと、結局地上軍の一応のめどがついただけで、全アメリカ駐留軍の完全撤退ということは、私のほとんど半永久的という言葉に対しては、何かそうでないような御答弁ではございましたが、しかしどう考えましても、今の長官の御答弁や政府の態度等を聞いておりますと、私どもからすれば半永久的という言葉を使わざるを得ないという情勢にあるのであります。従いまして、この点についてぜひ防衛庁長官はこういった国民感情をよく了承されまして最善の努力をしてもらいたいと思うのであります。
それから関連して質問しますが、観点を変えまして、現在のアメリカ駐留軍の兵力その他によって、現在の日本の状態からして、外敵があった場合には大体これを防衛し得るという御見解かどうか。現在日本にありますアメリカ軍の陸海空の兵力によって日本の防衛は可能であるかどうか、こういう点の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/10
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011・杉原荒太
○杉原国務大臣 御質問の点、実は現在の情勢からいたしまして、ごく近い将来において現実に日本の防衛力をいわゆる直接侵略に対して発動せにゃならぬという事態は、私今のところはちょっとないと思っておるわけでございます。今御質問の点は非常にむずかしいわけでございますが、直接侵略などの態様にもよることでございますから、これは軽く断定することは非常に困難なことだと思いますけれども、現在のアメリカの駐留軍と日本の自衛隊を合せたものによって日本を守るよりほかいたし方がないものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/11
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012・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 私は答弁になっていないと思うのでありますが、アメリカの駐留軍が日本の共同防衛に当るという観点から、実力を持って駐留する以上は、私の観点からすれば、現在アメリカが日本に保有する陸海空の兵力とわが国の自衛隊との総合した兵力によって、直接侵略に対して完全な防衛ができるという確信がなければならぬと思うのであります。そういう確信のもとにアメリカ駐留軍は駐留しているのか、あるいはまたもしそうでなかったならば、一定の期間アメリカ本国その他から増援する期間を予定しておるのか、アメリカが日本に日米安全保障条約による共同防衛という立場からいる以上は、確固たる考えがなければならぬと思うのです。ただ防衛できるかできぬか、そんなことでは相ならぬと思うのであります。従いまして防衛庁長官とされましても、たといアメリカ駐留軍の関係でありましょうとも、そういった点が明確にならぬ限り、国民には納得できません。従いまして私はもう一ぺんお伺いしますが、現在アメリカの駐留軍は、日本の自衛隊とともに直接侵略に対して完全にこれを防衛し得る兵力としてあるのか。あるいはそれはただ単に一時の防衛の期間を相当して、やがては本国ないしはその他の地点から増援部隊が来るのを待つ程度のものか、この点を私は明確に御答弁願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/12
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013・杉原荒太
○杉原国務大臣 その点は侵略の規模等によりますから、一がいに断定はできないと思いますが、場合によってはさらに他の方面からの支援というようなことも必要があるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/13
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014・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 もし増援の必要があるという仮定がありましても、先ほどからお聞きしている日本の防衛計画というものは、現在の日本の自衛隊と現在のアメリカ駐留軍との兵力の総合したものが、日本のいわゆる内乱ないしは直接侵略に対する防衛力としての一応のめどになるのではないかと思うのでありますが、その点に対する防衛庁長官の御所見を承わりたい。自衛隊の現状とアメリカ駐留軍が陸海空おるこの兵力との合算されたものが、一応日本の直接侵略に対する防衛への一つのめどになるのではないかと思うのでありますが、この点に対する所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/14
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015・杉原荒太
○杉原国務大臣 私は自分の感じを率直に申し上げますと、それは相当のものじゃないかと思うのですが、日本といたしましては空とか海とかにつきましてそれだけの力をみずから備えるということはなかなか困難なことで、そこまで期待はなかなかむずかしい、こういう感じがいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/15
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016・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 むずかしい、むずかしいでなくて、一つのめどに私はなるのじゃないかと思うのであります。それはできるできないは別ですよ。しかし一応アメリカ駐留軍がアメリカのあらゆる総合された戦略戦術内容から要る兵力でありますから、日本の防衛に当る大臣として、このくらいは現在の日本の防衛という建前から自衛力としての一つのめどになるということは言えないか、できるできないはまた別であります。それはお答えできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/16
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017・杉原荒太
○杉原国務大臣 ごもっともな御質問でございますが、私先ほど申し上げました以上のことはちょっと申し上げられません。もう少し研究いたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/17
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018・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 外務大臣に日本の自衛力と日米安全保障条約並びに行政協定に関する点について二、三お尋ねしたいと存じます。御承知のように、私どもはもちろんこの日米安全保障条約にはまっこうから反対しておりましたし、現在も反対であることは変りございません。しかしこれが現実に存在をし、さらに日本の今問題になっておる自衛力増強との関連性が非常に強いので質問いたすわけでありますが、重光外務大臣の率直、大胆な御答弁を要請したいのであります。日米安全保障条約はその前文において、日本の自衛力がないからアメリカ軍がそれにかわって駐留するといっておることは、これは明文に明らかであります。それならば日本の自衛力がある程度できたならば、日米安全保障条約の内容が変るか。あるいは一応日本の自衛力は直接侵略に対してある程度対抗できるという状態になったならば、日米安全保障条約は当然廃棄されてしかるべきであると思うが、外務大臣の御所見を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/18
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019・重光葵
○重光国務大臣 お話の通り、安全保障条約は日本の自衛力の不足ということを前提としておることは明らかでございます。従いまして日本の自衛力が完備する上においては、これは当然変更を受けべき性質のものでございます。但し条約の変更をどうするか、こういうことは、これは二国間の条約でありますから、合意を要します。しかしその場合においては当然合意が成立することだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/19
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020・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 しからば外務大臣は日本の自衛力がどれくらい増強されたならば、この安保条約を廃棄される要因となるとお考えになっておるか。これは防衛庁長官の専門でありますが、私はやはり外務大臣としてもこの条約の責任者としてそれくらいのことはおわかりにならなければならぬと思うのであります。日本のいわゆる自衛力がどの程度に増強されたならば、日米安全保障条約の廃棄が可能であるか、あるいはその時期等について明確な御答弁かできたらお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/20
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021・重光葵
○重光国務大臣 自衛力がどのくらいな程度に至れば自衛力が完全に備わるか、こういう御質問のようであります。これは主として国際情勢を判断して、国内の力、外国の力等全部を判断してきめなければならぬ問題であって、これはそのときそのときで一定の考え方はありましょうけれども、はっきりした科学的の算定は私はできないと思います。これは従来ともそうであります。各国ともどの国も何でもこれだけあれば自衛力は十分だと考えるのは、むしろ主観的の満足によってこれは決定するのであろうと思います。また国力の点をも勘案しなければならぬとこう思うのであります。そこで安保条約の変更をすることのできるような自衛力の増強がどこまでできたかということは、これは十分にすべての四囲の情勢を判断して検討しなければならぬわけであります。今日から何個師団あったらいいとかどれだけの軍かおったらいいということは、今決定することはできぬと思います。さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/21
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022・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 外相の答弁を聞いておりますと、安保条約はこれは永久的に、廃棄はできないと考えるのであります。と申しますのは、日本は——私どもは完全な独立国とは考えることはできませんが、一応総理大臣も外務大臣も口を開けば独立日本とおっしゃっておる。独立した日本と唱える。その独立した日本には、自分の国を守る自衛力の限界というものをはっきりとおつかみになって、これだけの自衛力ができたんだから、もはやアメリカ駐留軍の日本在留は必要ないという、私は一つの確固たるものがなくてはならぬと思うのであります。今の外務大臣の御答弁のように、客観的情勢、国際的情勢というようないろいろなことを言っておったら、いつまでたってもアメリカ駐留軍が帰る時期はこないと私は思う。従って日米安保条約は、日本の独立を非常に阻害し、おそらく外務大臣としてもいろいろ不愉快な点があると思う。かって堂々たる外交をされた昔の重光大使時代と比べて、現在の独立日本の外務大臣としての重光外務大臣は、私はアメリカ等に対する折衝の過程においては、あなたとしてもいろいろな苦しいことがあると思うのです。国民はこういった苦しい状態を永久に脱却することができないというように結論づけられなければならぬと思うのでありますが、そんなことでは困るのであります。やはり皆さんはりっぱにアメリカ駐留軍を帰すためにということで自衛力の漸増に邁進をしていらっしゃるのですから、これだけのものがあったら、これだけになれば完全にアメリカ駐留軍を帰し、日米安全保障条約を廃棄できるという一つの見通しと確固たる態度がなくてはならぬと私は思うのでありますが、外相のこれに対する確固たる御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/22
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023・重光葵
○重光国務大臣 私は今言われた御趣旨については少しも気持において御異存はございません。日本の独立の完成ということはこれはぜひやらなければならぬ。それがために自衛力の増強ということもわれわれは推進しなければならぬ、こう思っておるわけであって何もわれわれが必要以上の軍隊を持っていこうとか軍国主義に返ろうとか、そういう考えは毛頭ないわけであまりす。しかし自衛力だけは国家の独立の完成として持たなければならぬ。そこでそれが十分増強ができれば、今日では日本ひとりでこれは判断するわけにもいかぬと思う。というのは、もうすでに条約上においても共同防衛の責任も持っておるわけですから、自衛力がどれくらいな程度になれば米軍が撤退をし得るかというようなことは、これは十分に意見の交換をして決定し得る問題だと思います。そうしてその時期はなるべく早く、こさせなければいかぬ。少しでも早くさせなければいかぬし、またアメリカとしても少しでも早くアメリカ軍を撤退したい、こういう意思表示は絶えずしておるのでありますから、私はこの点の意見は合致するものと思うのであります。ただし、それじゃ今日の自衛力をどれだけにしたらばその意見が合致するかということを今意思表示をしろ、こうおっしゃれば、私は今そういうことを申し上げることはこれはほんとうにできないと申し上げるよりほかにしようがない。われわれはそのために国防会議も急いで、十分に専門的の知識も集めてその判断を正確にいたそうと努力をいたしておるわけであります。そうして少しでも早くその時期がくるようにまた外交上の仕回しも考えておるわけであります。そこで私の気持としては、決して永久に日本が外国軍隊の駐留を必要とするような事態は持ち来さぬように一生懸命やらなければならぬ、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/23
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024・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 日米安全保障条約の前文では、今言うように、日本の自衛力がないから駐留軍を置くということを明記しておきながら、その第四条を見ますと、まことに私どもは理解に困難な点が多々出てくるのであります。第四条の「国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置」こういうことがあるのであります。読んでみればわかったような気もいたしますが、具体的には何ら把握できない。おそらく国民のだれもがそうだと思うのです。この「国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置」ということは具体的にどういうことか、これを一つわかりやすく外務大臣から御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/24
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025・重光葵
○重光国務大臣 私は、これは国際連合を中心とした、また国際連合の措置として集団安全機構のごときものができることを予想しておるのだと、こう思います。しかし条約がこしらえられたときの事情も今私はよく記憶いたしておりませんから、条約局長からその条約上の解釈は説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/25
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026・下田武三
○下田政府委員 ただいま外務大臣からお答えがありましたように、第四条は国連との関連における安保条約の効力の終了の問題を規定したものでございます。二つの問題がございまして、一つは国際連合による措置、たとえて申しますと、これは現実問題としては可能性が非常に薄いのでございますが、国連憲章が当初考えておりました国際的の警察軍というような警察軍による国際的平和の維持、そういうような理想的な当初の考えがかりに実現いたしますれば、こういう個別的なものは必要ないということは当然だろうと思います。
それから第二の問題は、国連憲章の第五十一条に規定しておりますが、個別的集団安全保障措置、それがただいまの安保条約は不平等な義務を課しております。つまり米側のみが一方的に大きい責任を負っておるわけでありますが、それがまた何らかの違った形の五十一条に基く個別的集団安全保障措置、そういうようなものができましたならば、これは安保条約の存在の理由もなくなるわけでありまして、その二つの場合を予想いたしまして、その際にはこの条約は効力を終了するということをきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/26
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027・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 第四条の後段に「又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じ」という条文があります。これが今の条約局長の御説明と思いますが、そうしますと外務大臣にお伺いしますが、前段の国際連合憲章による「国際連合の措置」というものが期待できないとなりますと、次の段の「又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと」アメリカ並びに日本の合意が成立した場合にこの条約の効力が失するのでありますが、この前段は今の条約局長の御説明でほとんど不可能のようであります。後段の個別的な集団安全保障の具体的な事実というものはどういう形でいつごろ生まれる見通しであるか、こういう点を私はやはり明確にしてもらいませんと、日米安全保障条約は先ほどから指摘するように、永久に日本をアメリカの支配下に置くという条約と何ら変らない、こう思わざるを得ないのであります。われわれとしても絶対これは承服できないことでありまして、何とかしてこういうものは一日も早く廃棄されなければならぬのでありますが、この条文からする何か廃棄への一つの具体的な事実がどのようにして生まれ、どのようにしてまた生れるような努力がなされておるかお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/27
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028・重光葵
○重光国務大臣 つまり安全保障条約のごときものがなくなっていく時期を早くしたい、こういう御趣旨はわれわれも同感であるということは申し上げた通りでありますが、それに向うためにどういう手段をとっておるか、こういうことを今御質問があったと思うのです、集団安全保障条約の後段のときに、私はこれはそう簡単にいかぬと思います。というのは今の米車が撤退し得るような時期を早めるための手段としては、これは先ほど論じ尽したような、日本の自衛力を増強するということが国内的には主たる原因でなければ、ならぬ。そこでこれに向って努力をしたい。またしつつあることを申し上げておったわけであります。しかし外国の個別的もしくは集団的の安全保障を日本の防衛力に組織をする、こういうことは国際的に、今東アの情勢を見て、容易にこれはそれに向って進み得ない問題だ、こう考えております。
御承知の通りに、集団安全保障といえば、極東方面、東ア方面におけるいわゆるSEATOの組織とか、またこれは組織はできておりませんけれども、NEATOの組織とかいわれておることが実際的の問題になります。しかしさような問題について、今日本が自分の国力を整備せずして、さようなところに突き進んでいくということは、世界情勢の全般から考えてみても、日本の将来の大きな見地から考えてみても、今そういうことはよほど慎重な考慮を要し、注意深く進まなければならぬ、従いましてそれではほかにどういう集団安全保障条約が日本の進むべき道に開かれているか、こう申しますと、具体的には今外交措置として進むべきさような目前の事態は発展いたしておらぬと思います。これは将来はわかりません。従いましてさような集団もしくは個別的集団的安全保障組織に今進んでいったらよかろう、そういうことを早くして、そうして日本における米軍撤退の道を早く進めたらよかろう、もしくは安全保障条約の廃棄の事態を作り出すようにしたらどうかというお話しにつきましては、私はこれは慎重に考えなければならぬ、また事態を待たなければならぬ、こう申し上げるよりほかに道はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/28
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029・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 安保条約の前文によりますと、日本の自衛力がある程度できればアメリカ駐留軍は帰るような印象も受けますが、いわゆるこの条約には御承知のように期限がございません。これについてはまた別途御質問いたしますが、第四条において二つのことを一応明示して効力失効の要因としておりますが、下田条約局長の御答弁による前段の国際連合による処置はもう全然不可能、さらに後段の個別的な集団安全保障についても、外務大臣の御答弁を聞いているとなかなか容易ならぬ、とても私どもの想像する期間においては不可能という結論になりますが、先ほど私は防衛長官に、アメリカの駐留軍の日本在留はほとんど半永久的なのではないかという御質問をいたしましたが、そんなことはないという御答弁でありましたし、といって別にどのくらいという期間の御明示もなかったのでありますが、今外務大臣の御答弁を日米安全保障条約の条文からお聞きしていると、これは容易ならぬことだろうと私は思うのです。おそらく率直に申し上げて、アメリカ駐留軍はほとんど半永久的どころか永久的に日本に在留するものという結論に到達せざるを得ない、こう思うのであります。しかも、今もこちらで民主党側から声がありましたが、日米安全保障条約を廃棄するには、日本の自衛力を増強する以外にない、社会党が反対するから、こういう声がありました。外相も御承知のように、民主党は選挙で堂々とアメリカ駐留軍を一日も早く帰するためにもわれわれは日本の再軍備を強化していく、いわゆる自衛力を持たなければならぬと言っておる。そういっておることは国民を明らかに私は欺いておると思うのであります。今の外務大臣の御答弁によりますと、たとい日本が日本自体の自衛力をある程度増強いたしたとしましても、いわゆる国際情勢あるいは集団安全保障等の体制がりっぱにでき上らぬ限り、この日米安全保障条約の廃棄は不可能であり、さらにそれに基いて日本に在留しているアメリカ駐留軍の撤退は不可能であるという結論に到達いたさざるを得ませんが、この点に対する責任ある御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/29
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030・重光葵
○重光国務大臣 私はそういうことは少しも申し上げておりません。私は日本が自衛力を増強して、自術力というのは私に言わせれば、ただ兵隊の数だけじゃない、その他日本の経済力も含んでおるというふうに考えるわけでございます。その他また国内のいろいろな施設も、これは考えておかなきゃいかぬ。私は社会保障の問題すらそういう方面に入れたい感じを持っておるわけでありますが、とにかくりっぱにそこまでいけばアメリカとの安保条約等の撤廃という時期も来ると思うておるのであります。しかし今御質問は、なぜそれでは安保条約の第四条の後半によって個別的の集団もしくは集団的の安全保障体制をお前は外交上こしらえるように進んでいかないかという御質問でありましたから、これはなかなか容易なこっちゃない。たとえばSEATOにしてもNEATOにしても、これは国内の議論としても、社会党は絶対反対でしょう。そういうような問題については、今私はよほど考慮を要する、また私自身においても、これはなかなかそういうことにいくべき問題じゃない。しかしながら、それかといって、安全保障条約の変更をするような時期は来ないとは私は少しも申し上げません。これは今申し上げる通りに、日本の国内態勢等が安全保障の目的にかなうような時期が来たら、必ず米国との間において合意が成立するものだ、私はそう考えております。これはなるべく早く来させたい、こういう考え方であり、また努力いかんによっては来させ得ると、こう考えておることを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/30
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031・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 端的に一つお伺いしますが、では外務大臣としては、日本が自衛力をある程度増強しても、この日米安全保障条約は廃棄できないというふうに理解してもよろしいかどうか、この点を一つはっきりお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/31
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032・重光葵
○重光国務大臣 これは前の説明を繰り返すだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/32
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033・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 できるかできぬかはっきりお答え下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/33
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034・重光葵
○重光国務大臣 できるのです。それはできます。それは、できるように努力しなければならぬと私は申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/34
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035・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そうしますと、第四条の規定というものとはどういうふうに関連してくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/35
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036・下田武三
○下田政府委員 先ほどの私の第四条に関します御説明が不十分でありますために申訳なかったのでありますが、実は前文につきまして御指摘になりました問題と、第四条の問題とは同じことなのであります。このことをはっきりいたしますためには日本とイタリアとの場合を比較してみるとよくわかると思うのでありますが、日本は負けまして丸裸にされてしまったわけであります。イタリアは、御承知のように、バドリオ政権というものが最後に協力いたしましたので、軍備を持つことが許されておる。そこでイタリアの場合にはいきなりNATOに入ってしまったわけであります。つまり安保条約で言いますところの第四条の個別的、集団的安全保障体制に入ってしまった。ところが日本はイタリアと違いまして丸裸にされてしまいましたから、この丸裸にされてしまった国をとりあえずアメリカの力で守るというのが安保条約でありますから、もしも日本自身にこの守る力ができましたら、イタリアと同じようなことになるわけでありますから、第四条に入るわけであります。でありますから、前文のもしも日本自身で守る力があれば、安保条約も変るという問題と、それから第四条の個別的、集団的安全保障体制に入るという問題とは、実は全然同じことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/36
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037・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 それはおかしいと思うのです。外務大臣は先ほど来、集団安全保障をどういうふうに具体的にやるかという質問に対して、むずかしい、日本としてはなかなかできないということをはっきりとおっしゃった。それはどうしたのです。集団安全保障条約に入るのはむずかしい、なかなか容易じゃないとおっしゃっておりながら、片方において自衛隊を作ったら廃棄できるかと聞いたらできるとおっしゃっておる、これは大きな矛盾があると思います。それでは私は具体的にお聞きいたしますが、集団安全保障条約を作る場合に、どこの国とどこの国と作るのか。現に日本はない財政の中から膨大な財政を出して再軍備をやっておる。それが国民の前にいつどうなるかわからぬようなことでどうします。私の心配するのは、片一方で非常な財政の苦痛の中から相当な軍備をしながら、依然としてアメリカ駐留軍は帰らぬという状態が実際に予想される、こういう状態になった場合に国民はどうなるか、そこを私は聞いておる。そこで集団安全保障条約を作るのはむずかしいとおっしゃったが、しかし外務大臣が自主的な外務大臣なら、むずかしいだろうけれども日本としてはこういう国とこういう状態の安全保障体制を作るという構想なり、抱負なりがあって私はしかるべきだと思う。先ほど来大臣はむずかしい、むずかしいの一点ばりなのです。むずかしければできないということと同じことなのです。その点について外務大臣のはっきりとした確信をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/37
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038・重光葵
○重光国務大臣 今お話の点は、私が先ほどから申し上げる通りに、気持はよくわかります。お気持は私も全く同じのように感じます。そこで、ここは内閣委員会で外務委員会ではありませんから、外交の問題もないでありましょうが、今お話の通りに、日本が独立を完成して安保条約を変えるような時期をなるたけ早く来させたい、これはもうその通りでございます。そこで、それならば外交上の方面においても、ここに書いてある通りに個別的または集団的安全保障体制を築くべく、どこの国とどうするかということぐらいは、お前考えていそうなものじゃないか、こういうことに今の御質問は帰着すると思いますが、それはなかなか容易なことじゃないのです。私ら今たといどういう案なり構想なりがありましても、私の口からそれを言うということは、私の今の地位からはできないのです。しかしながらもちろん国際関係をできるだけ緩和するように持ってきて、軍備も少くて済むように持ってくるということが平和外交の基礎観念でありまして、それをやらなければならぬ、またそうやっておるつもりであるのであります。そこで共産国に対してもわれわれは手を伸ばそうとしておるような状況ですが、しかしながらどういう国とどういう工合の交渉をやるかということは私は申し上げることはできません。できませんけれども、少しでも国際関係を緩和するように持っていって、そして軍備のごときものもできるだけ少くて済むように持っていかなければならぬ、こういうことを常に考えております。しかしそれからといって安全保障条約の中の組織にどう入るかといっても、それは先ほど申し上げたように、現にいわれておるCIATO、NIATOあたりに対してどうしようかということは、まだその時期は今早いと思っております。この点についておそらくあなた方の御意見と全然一致するのではないかと思うくらいであります。さようなことによりまして国際関係は少しでも緩和しなければいかぬ、大局的においても、また局地的においても緩和しなければいかぬ、それと同時に自衛力を増強していくということによってもう米国の駐留軍の重要性が少くなるように持っていかなければならぬ、かようなことが競合をして初めて安保条約の改訂もしくは変更ということの時期に到達して、そうして両方の、日米両国の意見がそこに合致し得ると私は思うのであります。その時期を少しでも早くもたらさなければならぬと思って外交もやっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/38
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039・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 その点外務大臣の御答弁はまだほんとうに納得参りませんが、先ほど来のお約束で外務委員会においでになるそうですから、先に進みますが、先ほど来申し上げておりますように、安保条約は効力の期限がございません。ただ第四条で抽象的な言葉で廃棄できるということがございますが、私どもの承知する限りにおいては、国際条約というものは一方の当事国が成規の手続を経て相手方に廃棄の通告をすれば一年後に効力を発生する、自然にその条約は廃棄されるものと考えておりますが、この安保条約に対しましてもいわゆるその関係が存在し得るものと考えていいかどうか。いわゆる日本が国内的な成規の手続を完了してアメリカにこの廃棄方を通告しますれば一年後にこの日米安全保障条約は、アメリカの意思にかかわらず効力を失するものと理解していいかどうか、この点を一つ外務大臣にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/39
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040・重光葵
○重光国務大臣 条約は関係両国の合意によってできたものでございますから、これは条約に規定がなければ一方的に廃棄するということはできません。安保条約も一方的に廃棄する規定はございません。それでありますから、これは日本だけで廃棄するわけにはいきません。しかしながらこういうことはできます。もうここまでくれば心配ないのだから一つこれはやめようじゃないかといって、話し合いによってやめることはできます。またそうしなければならぬことだと思います。かような問題を意見の合意もなくして一方的にどんどん廃棄していったら国際関係は非常に危険になります。日本にとっても非常に危険な事態になります。私はこれは努力いかんによってはそう時をかけないで、互いに合意をしてこういうことは変えようじゃないかという時期が来得ることだ、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/40
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041・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 私はこれは重大なことだと思うのであります。もし一般の条約と違って、これはその規定がないから、一方的に廃棄ができぬということになりますと、その点、外務大臣の側のものと、われわれとの立場上の相違があるのでありますが、私どもは現在のアメリカ駐留軍の国内におけるいろんな行動あるいはあらゆる措置等から考えまして、ただ単にアメリカが好意的に日本の防衛に当るということだけでは、どうにも了解できません。明らかにアメリカは日本をアメリカの前進基地として、アメリカ自体の防衛に日本が重点がある、こういうふうに了解せざるを得ない点が多々あるのであります。たとえば今問題になっている五つの飛行場の拡張につきましても、全くあの関係住民が死のふちに追い込まれるような大きな騒動をしている。これは外務大臣も現地へいらっしゃればよくわかるのであります。日本の防衛を担当するというアメリカ駐留軍が、日本全国八百ヵ所、四億一千万坪の土地を使用して、私は先般申しましたが、国会議員が、アメリカの機関銃を突きつけられて尋問を受けなければ、中に入れぬという、こういった状態があります。さらに多くの国民を泣かせている。今からまた泣かせつつある。もしほんとうにアメリカ軍が日本を守るという、そういった親切な見解があるなら、このように全国の国民を泣かせ、反米思想を充満させて、どこまでもまるで被支配民族のような形で私は押しつけることはなかろうと思うのです。ところが実際はそうなんです。となりますと、私どもはどう善意に解しましても、アメリカ駐留軍のこの状態というものは、日本を守るというよりも、アメリカの防衛に対して、ただ単に日本を基地として使うということの方が、大きなウエイトがあるように考えざるを得ないのであります。そうなりますと、今外務大臣は、もうこの辺で安保条約の廃棄もよろしいのじゃないかという合意の上でこれを廃棄するということになるとおっしゃいますけれども、正直のところを申し上げて、私はそういう事態は、米ソのこの対立が続く限りにおいてはあり得ないと思わざるを得ません。国民もそう思っている。これに対して外務大臣の率直な、しかも偽わらざる所信を披瀝していただきたいと思う。でなかったならば、残念ながら実態は、私ども国会議員としてこういった討論をすること自身も、アメリカのあやつる糸の上にサル芝居をするような形にならざるを得ないのであります。それでは私はならぬと思う。私は何も反米思想から言うのではありません。日本民族をほんとうの民族自立の姿に取り戻し、そして日本自身の平和な姿を私どもの手によって作り上げたいから、こういったことを申し上げる。また国民もそう願っておる。少くとも現在四億一千万坪、八百ヵ所の軍事基地がありますが、この基地の中に国会議員のバッジをつけて行くのに、機関銃を突きつけられて尋問をされるような形が、今から先も何年も続いていいと外務大臣はお考えになるかどうか。こういう状態では私どもは相ならぬと思うのであります。従いまして、アメリカ駐留軍の状態、今後外務大臣がほんとうに日本の民族的良心にかけて、こういったことに対するはっきりした御所見を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/41
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042・重光葵
○重光国務大臣 今表示された精神的の方面は、先ほどから申すように私も非常に共鳴を申し上げます。しかし御議論の筋は、私は遺憾ながら御同感の意を表するわけに参りません。これはどの党派といわず、日本が米国との間において共同防衛の責任をともに負担しているわけでございます。これはだれが条約に反対したとか、また賛成したとかいうことではない。今日においては日本の意思としてそうなっている。そこで条約によって義務を負うたことを果すということは、これは日本としては男らしく果さなければならぬと私は思う。それが国際信用の基礎であって、そしてまた日本独立完成の基礎になる、私はこう思います。ところが、その条約の義務を果す上において、いろいろ個々別々の問題について困難が生じている。特に飛行場の問題について、その地方の住民と、米軍当局もしくは日本の関係当局との間において非常に困難な事態があることは、私ままことに残念なことであるが、これは認めなければならぬ。これもなるだけその困難を少くして、そうして大局について日本の果さんとする義務を果すようにしむけていくように努力することは、これは実に必要だと思う。そこでその困難もなるべく少くしなければならね。絶対にないとは言えません。結局は飛行基地を拡張する、土地を取られる人は影響を受けるのであります。しかしながら、その物質的に、もしくは精神的に受ける影響をできるだけ少くするという措置は、これはとり得ることだと私は思う。また政府としてもそれはあくまでもとらなければならぬ。またいろいろ誤解があれば、誤解を取り除き、了解を進めていかなければならぬ。これは衷心から思います。しかしかようなことがあるから、アメリカ軍がすべて日本のことは全然度外視して、アメリカ一国の利己的の考えからきている、こういうふうには私は考えられません。もしそうであったならば、安保条約も行政協定も、根底からこわれるわけでございます。おそらく安保条約や行政協定の締結に反対された方々は、そのときからその必要を認めない、その感情を今日も持っておられて、飛行場の問題という方面にその感情をもって適用されるんじゃないかと私は思うけれども、それはごもっともな点はございますが、いやしくも日本国としてこれを負担している義務もしくは責任は十分に果して、また権利は主張していく、こういうことによって進めていかなければならぬと思うのであります。そこで、行政協定によってはすべてが義務ではない、日本としても主張すべき権利はそこにあるのでありますから、それを十分に主張し、また義務は果していく、こういうことによって合同委員会等によって話し合いをすることになっているのでありますから、私は正々堂々と男らしく進んでいくべきだと考えているのであります。お気持においては私はその通りに共鳴をするものであります。ぜひ日本の独立完成のために最善の努力を尽したいと思っているのであります。御議論の筋に至っては、私はやや所見を異にするものであることを申し上げなければならぬのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/42
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043・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 外務大臣のお答えを伺っておりますと、精神においては共鳴できるということでありますが、ただ私どもはかって安保条約の締結に反対をしたから、その反対をした手前上現在もそのようなことをしているというのではないのであります。反対をするには反対をするだけの理由があって反対をしておるのであります。しかし現在はその結果生まれる日本の国内情勢というものを私どもは現実に把握しておる。あの状態がこのまま続いたならば、先ほどから申し上げるように、日本は独立どころか——これは外務大臣は一番御承知だと思うんです。私どもはアメリカとの直接折衝はございませんからまだいいのですが、あなたは常にアメリカその他と折衝していらっしゃる、この過程を通じて、先ほど言った、あなたが戦争前の日本の外交官として堂々と列国に接しておられたときと、いまや鳩山内閣の外務大臣として、いわゆる日米安全保障条約下にある日本の外務大臣としてアメリカに御折衝になる、この違いというものは非常な違いだと思う。従ってあなたが民族的良心をほんとうにお持ちなら、おそらく耐え得ないことがあるだろうと考えます。国民もやはり同じ気持を持っているのであります。あなたは正々党々とおっしゃるが、これを正々堂々とアメリカ当局にやっていただくのは、鳩山総理大臣並びに副総理、外務大臣である重光さんがそれをやっていただかなければならぬのです。あなた方は正々堂々と日本の主張がすべきところをがんと主張していただきますならば、私はあのような問題もあのような形で現われぬでも済むんじゃないかと思う。また済まさなければならぬと思う。これに対して私は重光外務大臣に強く当るよりも、これはここに自由党の諸君がおられますけれども、吉田首相兼外務大臣のあまりにも対アメリカ軟弱外交の責めを大いに責めなければならぬと思います。これは別であります。しかしそれはそれとして現実は重光さんは鳩山内閣の外交の責任者である。もし御都合がよかったならばぜひあの基地の関係を見てもらいたい。見てもらって、現実に日本の国民がどのような状態で泣いておるのか。死を目前に押しつけられておる状態を見たならば、いくら条約は尊重しなくちゃならぬと申しましょうとも、その精神において外務大臣がおっしゃるように正々堂々とアメリカに対して反駁もし、要求もして、日本国民の損害、苦しみをこれ以上しないような確固たる態度を外務大臣にとっていただくように要望せざるを得ないのであります。どうか今後外務大臣がおっしゃったような態度と気持で、一つアメリカに対して日本国民を代表して堂々と御折衝を願いたいと思います。そういった必ずやれるという御決意のほどをここでもう一ぺん御表明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/43
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044・重光葵
○重光国務大臣 御趣旨はよくわかりました。私の考え方は先ほど申し上げた通りでありますから、一つそれで御了承を得ていきたいと思います。御要望の筋は私も十分に考慮し、またよくわかっておりますから、どうか御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/44
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045・宮澤胤勇
○宮澤委員長 森君。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/45
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046・森三樹二
○森(三)委員 ただいも茜ケ久保君からも質問されましたが、日本の基地拡張の問題につきましては、私どもはやはり現地の住民の要望も現地に参りましてつぶさに調査をしたのであります。もちろんわれわれは現在の段階において、国際条約に基くところのこの行政協定の義務履行のために政府がやっておられることもわからぬわけではありませんけれども、どうも政府の方針はわれわれ国民の代表として納得しかねるものがある、すなわちアメリカの要求によって基地拡張を認めなければならないという段階においては、何らこれに対して日本側としてはこれを阻止し、できるだけこれを守るという努力に欠けておるというような非常に私は強い意識に立っておるのでありますが、これに関連いたしまして、私は沖縄の島におきまして、新聞にもこれは堂々と発表されておりますが、アメリカが三万二千エーカーの土地を買収し、そうして農民の耕作権というものは全部喪失する、しかも非常に安い価格で買収されておる、そのために現地の農民は身をもってこれに反対をいたしました。しかも沖縄の比嘉主席はアメリカへ参りましてアメリカの国会に陳情した、ところがアメリカの国会においてはこの比嘉主席の要求を非常に了といたしまして、現地に調査団を派遣するということまでも決議をされておるのであります。私どもは当委員会におきましても、国会開会中といえどもあの沖縄の七十万の島民の生活を守るために、われわれは現地調査の要求をいたしておるのでありますが、まだ具体化いたしておりません。われわれは国会終了後はぜひとも各党の代表が沖縄に参りまして、現地をつぶさに調査しなければならぬと思っておるのであります。しかも外務大臣もおわかりと思うのでありますが、現地の農民が三十数名逮捕されまして、これに対しましては懲役三ヵ月の裁判が行われておる。私は昨年も沖縄の島を調査いたしましたが、私は日本の国民として実際の収入、生活状況からいたしまして、沖縄の島民ほど困窮しておる国民はないと思うのであります。平和条約によりまして、もちろん沖縄の領土そのものは信託統治の形にはなっておりますけれども、しかし私はあの七十万の島民は国籍においては日本の国籍を持ち、日本人であることには間違いないと思うのであります。われわれは日本の国会の代表を送りこの事態を十分究明して、やはりわれわれはこの島民の生活を守るということは絶対に必要であると考えておるのであります。これに関しまして重光外務大臣は、この島民の生活そうしてまた沖縄の農民の耕地の買収等について、これを保護してやるということについて、アメリカ側に折衝されることが当然であると私は思うのでありますが、そうした折衝をなさったことがあるかどうか、まずそれに対する御所見をお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/46
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047・重光葵
○重光国務大臣 沖縄の問題が今お話に出ました。私は沖縄の問題についてきょうは十分に詳細な準備をして参りませんでした。しかしながらこれは重要な問題でありますから、私の頭にあることについて申し上げます。なお詳細についてはお入り用ならばこれは別途なにいたしてもさしつかえありません。
そこで沖縄の問題でありますが、沖縄に対して米国が行政、伺法すべての統治の権限を持っておるということも御承知でございましょう。これは条約の結果であります。しかしながらアメリカといたしては、沖縄の潜在主権、残存主権は日本にあるとこう思っておる、従いましてアメリカの権力があそこから撤退をする場合においては、当然沖縄は日本に復帰するものだとわれわれは考えております。さようなわけでありますから、島民も民族としてはむろんのこと国籍としては日本人だとわれわれは考えてこれを保護する態度に出ておるわけでございます。従いまして沖縄においてアメリカがいろいろな条約上の権限に基いて施設をする、こういうことは日本としてはこれに異議を差しはさむわけに参りません。しかしながら沖縄島民がいろいろなことについて要望を持っておる、また希望を持っておる、こういうことはしてもらいたくない、こういうことはしてもらいたい、土地の問題についてはいかにも当分らの利益が害されておる、こういうことになります。これは沖縄人がそういう考え方を持っている。これに対しては日本政府としては、これは直接にそれに介入するわけにはいきません。しかしながらこの沖縄を統治しておる米国に対して、そういうことに対する反省を求め、そうしてそういう島民の苦情を十分に聞いて、要望を満たしてくれるように、日本側はアメリカ側に強く要請することはできることであります。またしなければならぬと思って、これはやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/47
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048・森三樹二
○森(三)委員 やっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/48
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049・重光葵
○重光国務大臣 絶えずやっております。絶えずやっておりまして、その効果は相当ありました。そして人を派するとか、アメリカ側の態度が変ってくるとかいうことは——アメリカ側は決してそれを忌避しておるわけではございません。日本側のそういうことは、一つ十分聞くという態度をとっております。そこで比嘉主席がアメリカに行くことになった。アメリカに行っても、日本側はそれに便宜を与え、あらゆる助力をいたしたわけであります。主席は帰途東京に寄りまして、それに対して私に感謝の意を表し、また事情をつぶさに報告して参りました。お話の通りです。主席のワシントンにおける陳情と申しますか、要求と申しますか、それに対しては、アメリカ側も非常に考慮を払っておることは事実であります。それで主席自身もそれに対して満足を表しておるような状況でございます。こういうわけでございますから、沖縄の問題については、わが方において、むろん実情は十分に知らなければなりません。そしてその実情に基いて必要な助力は、また要望達成のためには、日本として外交上の措置は十分にとらなければならぬ、また引き続いてとるということにいたしております。私はこれは相当効果があるように考えておりますということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/49
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050・宮澤胤勇
○宮澤委員長 森君に申し上げますが、外務委員会が散会しないで待っておりますから、この次の機会に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/50
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051・森三樹二
○森(三)委員 私はたくさん聞きたいけれども、簡単に質問いたしますが、われわれ個人がアメリカの領土を旅行している間に、われわれの財産権や、生命権を侵害された場合は、日本政府は当然日本人の生命、財産を守るだけの兼務があって、アメリカ政府に対して抗議を申し込むのは当然です。従って沖縄の住民に対しても、日本の政府としては、島民の生命、財産権を保護するのは当然であります。今後も一つ十分にやっていただきたいと同時に、われわれ国会代表団は、国会終了後現地調査に参ります。これに対して重光外務大臣は十分一つ、この派遣団に対して支援を願いたいということを希望いたしておきます。
それからさらに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/51
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052・宮澤胤勇
○宮澤委員長 そのくらいにして、あとは保留していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/52
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053・森三樹二
○森(三)委員 それでは保留いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/53
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054・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 引き続いて防衛庁長官にあと二、三点お伺いいたします。日本の自衛隊はその成立当時から、文官優先主義をとっておられることは、いろいろ発表された通りでありますが、今日大分元軍人が隊に入られて、ややもすると文官優先という基本方針がぐらつくという点が非常に心配される。さらにまた、旧軍人と文官との諸君の間にいろいろなあっれき等を生じて、自衛隊の統率に相当の問題があるというようなことも聞くのでありますが、文官優先の基本方針はあくまでも貫いていかれる決意であるか。さらに現在そういった文官と武官とのあつれきの問題は、どのように処理されておるか。さらにまた文官優位という具体的な状態をどのような方向でもって持続していかれる考えであるか。この点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/54
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055・杉原荒太
○杉原国務大臣 いわゆる文官優位という言葉で言い現わされておりますことは、具体的には今組織面で現われておりますのは、内局、これが基本方針について長官の補佐に当るという制度になっておることを主として具体的に指しておるのだと思います。現在でも内局においてはやはりそうなっております。ただ私常に考えるのでありますが、いわゆる文官優位といいますか、これらの言葉が果して適当かどうかわかりませんが、一番大事なことは——いわゆる端的にはっきり言うために、軍事という言葉を使いますが、軍事に対する政治の優位、これがやはり一番大事なことだと思う。そこから実は発しておることだと思います。つまり軍事に対する政治の優位ということが主眼であって、あまり形式的にのみとらわれるべきものじゃないだろうと思います。
それから旧軍人と文官とのいわゆるあつれきということ、これは自衛隊内におきましては、そういう点につきましては特に互いによく心してやっておる次第でございます。実際問題といたしましても、将来もそういう点は大事な点でございますから、特にそういう点慎重に考慮して今後もやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/55
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056・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 非常に方向転換をして伺いますが、現在自衛隊で使用しておる兵器の種類並びにその数量を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/56
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057・杉原荒太
○杉原国務大臣 陸上自衛隊におきましては、予備隊時代から保安隊、現在の自衛隊に至るまで、主要装備品の大部分はアメリカからの供与によるものでございます。これは小火器、砲、特車、車両、ジープというようなもの、それから飛行機、これも今日まで大部分はアメリカから供与を受けたものでございます。航空自衛隊は昨年七月一日に発足いたしましてから、まだ実は日も浅いのでありまして、主として練習機で、実用機といたしましては、輸送機が十機ほどございます。練習機が大部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/57
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058・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 あとで資料として出していただきたいと思います。大体今の御答弁で、大部分がアメリカの兵器に依存をしているようでありますが、日本においてはこれは作れないのか。あるいはアメリカが、いわゆる私どもの言葉で言えば、使い古しの兵器を日本に押しつけているということなんでありますが、今後も日本の自衛隊の使う兵器は、アメリカの古兵器に依存するのか、日本で作るのか、この点を一つはっきりお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/58
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059・杉原荒太
○杉原国務大臣 今日まで大部分アメリカからの供与に依存してきたことは事実でございますが、ことに陸の場合におきましては非常におもなる部分がやはりアメリカ側に期待せざる得ないことだと思っております。しかしそれにしましても、たとえば車両類とか通信機類とか、そういうものは日本側でなるべくこれを作っていく、こういう大体の考えであります。そのわけといたしましては、何分主として財政上の関係でございますが、非常に金がかかりますし、そういう点からいたしましてそうなっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/59
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060・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 先ほど来あるいは先般来の私の質問に対しまして、長官は今別に直接侵略の危険というものは感じないというお答えでございましたが、そうしますと自衛隊法の自衛隊の行動の目的の中に、内乱ということが強くいわれております。この内乱に対する防衛というのが自衛隊の任務の相当大きなウエートを持っておりますが、長官は日本の現在の国内情勢の内乱というものが起り得る素因があるとお考えかどうか。もし起る素因があるとすれば、どういうような点から日本の内乱が起る可能性があるという分析をしていらっしゃるのか。これは逃げ口上ではなくて、自衛隊を作る大きな一つの素因でありますから、はっきりした、今までのような、いわゆる何かしらわかったようでわからぬような御答弁でなく、あるとかないとか、あればどういうところにそういった素因があるかということを一つ明確にここでしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/60
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061・杉原荒太
○杉原国務大臣 自衛隊は、その主たる任務の一つとして、直接侵略に対するとともに、間接侵略に対する面も持っていることは法に規定しているところでございます。そうしてまた法によって規定せられておるところでございますから、これはある特定の時期だけを見て、そこでそういう危険があるとかないとか、そういうことではないと思います。しからば現在すぐ大規模な内乱——ことに間接侵略、外国の教唆また干渉等によって、大規模の内乱、それがいわゆる間接侵略だと思いますが、現在私はその危険が現存しておると思っておりません。将来のことはにわかに予断しがたいところであります。どうということを断定申し上げることはだれしもできないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/61
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062・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 外国の直接侵略が、ほとんど最近の情勢においてあるという見通しもつかず、さらにいわゆる軍隊を出動しなければ鎮圧できないような内乱等も起るような可能性もないという現段階において、しからばなぜ国費の大きな部分を使って自衛隊というものをしゃにむに増強しなければならぬかという点が、私どもには納得がいかないのです。この三十年度の予算においても、二万何千人という膨大なものが持たれている。やはり一方においては社会保障費、教育費あるいはその他の重大な予算がどんどん削られていく反面において、こういった皆さん方がいつ使うのだか、用もないようなものを、しかもアメリカの中古、余ったそんな兵器を押しつけられて、膨大な国費を使って無理やりにこうした増強を推し進めなければならぬ原因は見当りません。先ほど外務大臣にもお聞きしたように、いわゆる日米安保条約も、このくらいの自衛隊の増強ではとうてい発揮できるものとは考えられないといたしますと、私どもは何のためにこのように苦しんで膨大な予算を作っていかなければならぬかということが全然了解できないのでありますが、一つこれに対する長官の所信を承わりたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/62
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063・杉原荒太
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。自衛隊は、先ほども申し上げまするように、わが国を直接侵略、間接侵略から防衛するということを主たる任務としている。そういう任務を与えられている。しかも現在において眼前に直接侵略、間接侵略の危険は予想せられていない。それになぜふやすか、こういうことでございますが、それはいろいろ御意見、御観測等もあることと思います。とにかく国防そのものの性質からいたしまして、自衛隊の任務そのものの性質からいたしまして、今すぐそういうことはなくても、万一の場合には国を守ることに役立つというものでなければ防衛力の意味をなさぬと思う。ところがこれは一朝一夕にしてそういうものはできるものでない。これはかねてからの無事のときから相当な用意をしておかなければ万一の役に立たない。もう一つはもともとが防衛力そのもののむしろ第一義的の任務としては、現実にそれの発動がなくて済む、むしろそのためにそういった事態が起らないような、結果的に見るとさようなことになることに防衛力の意義が非常にあるのじゃないかと思う。そういった意味合いからいたしまして、またそれと現在の日本の国力、国民の生活状態、財政状態、そういう点など十分考えてやらなければならぬことは当然のことでありまして、その点についてすなわち多い少いの御見解の差はあると思います。さような意味合いにおきまして、実は自衛隊の増強ということを考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/63
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064・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 最後にもう一点お伺いします。それは今長官もおっしゃるように、現在は直接、間接の侵略の危険はないが、まあいつ起るかもわからない事態に備えてやるというお言葉でございます。私どもは特に内乱と申しますか、国内における不安状態の情勢というものを分析いたしますと、それはいろいろな素因がございましょうが、国民の生活苦と申しますか、貧困だと思います。国民の極端な貧困からで、これは世界の歴史上、内乱あるいは間接侵略の大きな素因でございます。ところが日本の現在の経済情勢下においてだんだん増強されるであろう自衛隊の、この財政負担というものは、私は国民生活の上に非常に重圧となって現われるのは当然であります。これがいわゆる六ヵ年計画の全部はわかりませんが、六ヵ年計画というものはかりに全面的に実施されましたあとにおける日本の防衛、自衛に対する負担というものは、まことに大きなものになるであろうと思う。さらに一方においては今の私の質疑応答から見ますと、アメリカ駐留軍は何とおっしゃっても半永久的に帰る見通しはないと断定せざるを得ない。一方においては国民の生活苦かだんだん大きくなり、一方においてはアメリカが依然として支配的な態度をとっておりますならば、これは、どんなに日本が内乱を鎮圧するための軍隊をお作りになっても、そのこと自身が、いわゆる内乱を鎮圧するための道具である自衛隊を作ること自身が、内乱を起すための素因を作ることとしか理解できません。世界の革命の歴史をひもといて参りますと、どこでも、内乱を鎮圧するという軍隊が——軍隊の構成員はほとんど貧困家庭の子弟であります。いわゆる兵隊たちは貧困家庭の子弟が大部分である。その兵隊たちの家庭である、自分たちの親や兄弟の貧困からくる内乱がもし起ったとした場合、私が今までの歴史から見ますと、いわゆる内乱を鎮圧する軍隊が逆に内乱の先頭になって、革命の大きな役割を果すというのが、世界革命史の一つの特徴であります。日本は特別だとおっしゃるかもわかりませんけれども、私は、今や自衛隊のこの無謀なと申しましょうか、無計画な増強というものがむしろ逆な作用をしている、内乱を将来起すであろう素因を作る危険性が多分にあるということを感ずるのでありますが、この点に対する長官の明確な御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/64
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065・杉原荒太
○杉原国務大臣 いわゆる間接侵略、内乱というものの一番の大きな素因は、国民生活が非常に窮迫した事態こそがそれなんだというお説、私も同感でございます。さればこそ、そういう点を最もよく考えてやっていかなければならぬことだと思います。前から、これは今度の内閣に限ったことではございませんが、いわゆる国力に相応したということを言っておるのは、実はそこのところをさしておることだと思います。今後といえども、要するに国家国民の安全ということ、生活の安定というような基礎がなくして防衛はあり得ないということは、申すまでもないことでございます。従いまして、いわゆる長期計画、六ヵ年計画といいます場合にも、その点を深く考えてやっていく考えでございます。そういう点からいたしまして、一つは今後の国民所得とか、単に国民所得だけでなく、もっと基礎をなすいわゆる国富との関係、いろいろそういう点を考えてやっていかなければならぬ。この測定というのは具体的に非常にむずかしい点でございますけれども、そういう点になるべく無理のないようにということを考え、一つにはそういう点から実はこの計画というものがそう早急に決定しないというような事情もある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/65
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066・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 問題は大分違いますが、この間同僚の大橋委員から質問されました場合に、民兵制度というものがちょっと問題になりましたが、そのことと関連があるのかどうかわかりませんが、今全国的に旧軍人の諸君が元の在郷軍人会を中心に、郷友会あるいはその他の名前によって相当活発な動きが出て参りました。端的にいえば、旧在郷軍人会の復活というような動きが非常に活発になって参りましたが、このことが、長官からおっしゃった民兵制度というものと何らかの関連性があるのではないかといったような考え方がなされております。同時に、いわゆる一部のかつての上級将校の諸君がその力を結集して、先ほど申しました自衛隊の中の文官優位といったようなものに対して、大きな反撃を持ち込むといったようなことも言われておりますが、こういったいわゆる旧在郷軍人会の動きは、民兵制度ないしは自衛力の今後の問題と何らかの関係があるかどうか、わかっただけのことを長官からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/66
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067・杉原荒太
○杉原国務大臣 その点はっきり申し上げますが、何ら関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/67
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068・宮澤胤勇
○宮澤委員長 飛鳥田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/68
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069・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 茜ケ久保君の質問に関連してちょっと伺いたいのですが、自衛隊には現在秘密と称すべきものがありますかありませんか、ごく簡単にお教えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/69
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070・杉原荒太
○杉原国務大臣 それはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/70
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071・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 もし秘密がないとすれば、その自衛隊は日本人のためのものであるかアメリカ人のためのものであるか、これをお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/71
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072・杉原荒太
○杉原国務大臣 日本人のためであることは申し上げるまでもないことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/72
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073・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 もしそうだとすれば、自衛隊が大きくなる、いわゆる増強せられていく、こういうことに関する計画がアメリカの政府に対して示されて、日本の国民、国会に対して示されないという理由を教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/73
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074・杉原荒太
○杉原国務大臣 それはどういうことをさしておられるのかわかりませんが、一概に申し上げることはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/74
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075・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 じゃ具体的に申し上げます。この三月に、防衛分担金交渉に際してアメリカ政府に、あなた方日本の政府は防衛六ケ年計画というものを提案せられて、討議の資料にせられた。しかるに日本の国会が何べんこれをあなた方に請求せられようとこれを公表せられない。すなわち六ケ年計画はアメリカ政府に示されて日本の国会に示されない。今のお答えによると、自衛隊は日本人のためのものであってアメリカ人のものではない、こういうことですから、なぜ示されないのか、その理由を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/75
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076・杉原荒太
○杉原国務大臣 防衛分担金交渉の際、自衛力増強の問題に関連いたしまして、日本政府としては六ヵ年計画を立ててやっていくつもりである、そういう方針であるということは向う側にもはっきり申しました。しかしまだ日本政府として六ヵ年計画というものができておりませんので、そういうのを示してはおらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/76
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077・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 その言葉が誤まりないとすれば、新聞その他にアメリカに対して提案せられたということを報道いたしておりますのはうそですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/77
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078・杉原荒太
○杉原国務大臣 私は新聞の記事についてかれこれ申し上げるつもりはないのでありますが、その提示の点についての事実は先ほど申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/78
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079・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 私は実は偶然のことからある一つの文書を見せていただいたのですが、それには明確に日本の政府がアメリカ軍に提案したと書いてあるのです。それはうそですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/79
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080・杉原荒太
○杉原国務大臣 私はその文書がどういう文書か——そういうものを提示したというような、そういう文書をどういうことでおっしゃいますか、よくわかりませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/80
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081・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それじゃ概略申し上げます。昭和三十年六月七日にアメリカ合衆国の井口大使から重光大臣に対してあてた報告書の中にその言葉が出ているのですが、もし何ならば全部お見せ申し上げてもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/81
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082・杉原荒太
○杉原国務大臣 私そのようなものは存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/82
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083・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それは各大臣に配付せられていると私は思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/83
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084・杉原荒太
○杉原国務大臣 私それを存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/84
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085・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それではそこを一つ読んでみましょう。「防衛予算交渉の際日本側より提案せる六ヵ年計画程度の現実的計画に同調し、これが着実なる具体化を期すべきであるとの政策漸時固りつつありとの印象を受ける次第である。」こういうふうに書いてあるのですが、これをもってしますと、少くとも井口さんはうそを報告してこられたのではない、政府は少くとも米軍に対して六ヵ年計画を提示せられた、こう私たちは考えざるを得ないのですが、アメリカの政府に対して提示したものがなぜわれわれ国会に対して提示できないのか。私たちはこの点について非常な不信を持たざるを得ないわけです。自衛隊を増強するしないということに関しては、少くともこの国会が責任を持っているはずです。この責任を持った国会にその場その場のごまかしで過ごしてしまうというようなことは、とうてい許さるべきことではありません。もしあなた方もまじめ、私たちも誠実にものを考えようとするならば、今回二万人増強しようとするこのことについて総合的な計画を検討し、その総合的な計画が正しいものかどうかを十分調べた上で、今の二万人増強が妥当であるかどうかを考えるのが誠実なんです。あなた方もこれを提案すべき義務があるはずです。全然ないとこの間からおっしゃっておられるので、私たちも考えておったのですが、こうしてみますと、あることは明確になった。明確であるにもかかわらず御提示にならない。これではわれわれを侮辱するものではないか。国会はいいかげんに鼻の先である、ないといってあしらっておけばいいではないか、こういうふうにしかとれないのですが、明確にこのように米政府に対して提案をせられたという事実があるにもかかわらず、日本の国会にお示しにならない理由をもう一度伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/85
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086・杉原荒太
○杉原国務大臣 政府といたしましては、今までたびたび申し上げておりますように、今日までこの六ヵ年計画の成案を得るに至っておりませんでございますから、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/86
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087・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 押し問答のようですが、成案を得るに至っていないものを提案せられたというのはおかしいと思うのです。そこで一歩譲って安全なる成案を得ておられないと、かりにあなたのおっしゃるようであったとしても、全然防衛分担金交渉についてこれが議題に出なかったとはあなたもおっしゃり得ないだろうと思います。そこで出ました範囲で、あなた方がお話になりました資料を、そのままの形でけっこうですから、この国会にお示しをいただきたい、こう私は考えますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/87
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088・杉原荒太
○杉原国務大臣 分担金交渉の際の六ヵ年計画に関する点の話と申しますのは、先ほど申し上げたところに尽きるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/88
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089・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 はなはだ失礼ですが、あまり子供っぽいことをおっしゃってもそれは通りませんよ。少くともこの防衛分担金の交渉の問題、この問題は日本の自衛隊を増強する問題と引きかえ、少くとも日本の自衛隊を増強してくれれば防衛分担金は削ってよろしいということであったことは、日本国民周知の事実です。それにもかかわらず増強の計画なり具体的な数字を出さないで防衛分担金の交渉が進んだなどとおっしゃっても、それは小学校の生徒か何かならごまかせますが、少くとも国民は納得をいたしません。百何十億削る、こういうことが議題になる限る、それではそっちはどのくらいに増強するか、どういう計画なんだ、こういうことを聞かないでうん、よろしいなどというほどばかな交渉などというものはあるはずはないわけです。そこで少くとも詳細な数字のやりとりがあったであろうことはこれは否定のできない事実です。それをしもあなたは何も話が出なかったなどと言ってお通りになるか。なるほど私たちの数は今、国会の中で少数です。あるいは数にものを言わして通り過ぎられるかもしれません、だがしかし何年か後にこの速記録を日本国民が見たときに一体どう考えるか、こういうことを考えていただきたい。御忠告申し上げます。恥を後世にお残しにならないように、強い言葉ですが申し上げます。どうぞもう一度、そんな子供だましでない明確な御答弁を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/89
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090・杉原荒太
○杉原国務大臣 その点につきましては先ほどから申し上げておる通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/90
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091・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでは方面を変えまして、吉田内閣が防衛五ヵ年計画を立案されて、これが昨年の九月に第九次案というものにまとまっている。これは事実です。その後それでは鳩山内閣が成立して以来、いわゆる吉田内閣の防衛庁の第九次案以後に具体的な数字をおいじりになったことがあるのかないのか、この点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/91
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092・杉原荒太
○杉原国務大臣 防衛力の整備の問題につきましては、以前からいろいろ防衛庁内部においては研究を重ねてきたのは事実でございます。鳩山内閣ができました後もさらに研究を重ねてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/92
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093・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 その研究は一度も何らかの結論に達したことがないのですか、あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/93
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094・杉原荒太
○杉原国務大臣 結論には達しておりませんのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/94
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095・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 最後に申し上げますが、もしこの増強問題に関して一度も成案に達しないで、なおかつ場当り式に増強をせられるとあなたがせられるならば、それはあなたの重大なる政治的な過失になりますぞ。それでよろしいのですか。もうこれ以上伺いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/95
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096・杉原荒太
○杉原国務大臣 私の政治責任のことは私自身が考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/96
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097・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/97
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098・宮澤胤勇
○宮澤委員長 それではこの際暫時休憩いたしまして、午後二時より再開いたします。
午後零時四十九分休憩
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午後二時二十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/98
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099・宮澤胤勇
○宮澤委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑を継続いたします。中村高一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/99
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100・中村高一
○中村(高)委員 防衛庁長官にお尋ねいたしますが、今飛行場の拡張問題で各地で問題が起っておりますが、あの飛行場は、各地で拡張された後に——現在もそうかもしれませんが、自衛隊の方で共同で使用しておるように見えるのですが、先日も立川の飛行場には日の丸のついておるジェット機が相当ありまして、日の丸がついておるのでありますから、むろんこれは自衛隊で使用しておるものだと思うのですが、日本の自衛隊の飛行機は米軍の飛行場を共同で使用しておるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/100
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101・杉原荒太
○杉原国務大臣 今問題になっておりますアメリカ側の使用します拡張する飛行場の中につきましては、立川の飛行場を日本の輸送機が一時使用さしてもらっておったことがございます。そのほか今問題になっております拡張飛行場について共同使用という計画はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/101
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102・中村高一
○中村(高)委員 そうすると今までに米軍の飛行場を自衛隊の方で使用しておるのは立川だけだというのでしょうか。臨時に使用さしてもらっておるというのですか。また立川は今後は使用しないのかどうか。われわれが行ったときには、日の丸のある飛行機が、四、五台あったようですけれども、一時そういうものは使ったけれども、今後は米軍の飛行場は使わないというのですか。その辺をはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/102
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103・杉原荒太
○杉原国務大臣 立川の飛行場につきましては先ほど申し上げた通り、一時使っておりましたが、現在もう使っておりません。今までつまり輸送隊の一部が使っておりましたが、これから使う計画はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/103
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104・中村高一
○中村(高)委員 これから使われるのだということが相当に考えられて、住民の諸君などもそういうふうに思っておるようなところもあるのですが、はっきりいたしませんけれども、そうすると将来一体これは、米軍が今非常に方々の飛行場を拡張しておりますけれども、全部いつまでもこの飛行場を維持していくのかどうかこれもわかりませんが、将来日本の自衛隊がいわゆる漸増計画に基いて増強されて参りますと、むろん飛行場というものは必要になってくることは明らかであります。そうすると自衛隊の飛行場というものは将来自衛隊独自の飛行場をまた持たれるのか、それとも米軍が拡張しておりますこの飛行場を、やがては返してもらって、そうしてそれを日本の航空自衛隊の方で使用するということになるのか、日本の方では飛行場を、自衛隊の方としてどういう計画をお持ちになっておられるのか、はっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/104
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105・杉原荒太
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。一般的の方針といたしましては、自衛隊で必要とするものにつきましては、新しく作るよりも米軍側で使っておるもののうちで使用できるものは使用できるようにというふうに方針として考えております。そうしてまた現にたとえば焼津の飛行場のようなものはすでに解除してもらって日本側で使っておりますが、現在問題になっております拡張飛行場につきましては、現在の計画としてこれを今使うというところには至っていない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/105
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106・中村高一
○中村(高)委員 今私の言葉があまり今拡張問題を起しておる飛行場のことだけを言ったので、あるいは用心深く考えておられるようでありますけれども、私の質問したいのは、今拡張しつつあるというようなことではなくして、現在米軍が使用しております飛行場が何十ヵ所ありますか、四十ヵ所くらいあるだろうと思うのです。これははっきり何ヵ所あるかお答えを願ってからでもいいのですが、このほかに自衛隊としてもだんだん増強されてくれば飛行場が足りなくなるのだろうと思うのですが、今後はやはり自衛隊独自の飛行場を作るのか、それともわれわれから考えまするならば、米軍にそんなにたくさんの飛行場は要らないのでありますからして、米軍が拡張したほかに、またぞろ日本の自衛隊が飛行場を作るというようなことはやってもらいたくないのでありますが、米軍の飛行場を共同使用させてくれろとか、あるいは返してもらいたいとか、そういうことによって自衛隊の今後の増強に備えるという計画があるかどうかということをお尋ねしておるので、今度の拡張のことではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/106
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107・杉原荒太
○杉原国務大臣 御質問の御趣旨わかりました。方針といたしましては、先ほども申しましたように、なるべく新しく作るよりも米軍が従来使用しておったものの中から使えるものは使う、こういう方針で考えております。そして現在一部共用いたしておりますものの中には、防府、築城、松島、それからもう一つ三保があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/107
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108・中村高一
○中村(高)委員 そうすると今後もそういうふうにして共同使用をする方がむろん便宜でもあるし、その方が手っとり早く使えるのであります。そうすると今四ヵ所を共同で使用しておるということなんですが、今後は米軍の飛行場を共同使用するものが相当増加してくると見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/108
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109・杉原荒太
○杉原国務大臣 その点はあるいはふえるかもしれませんが、向う側でもう必要がなくなったというところにつきましては、むしろ解除してもらう。その中でもし自衛隊が必要な場合には、それを自衛隊で使用することができるようにしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/109
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110・中村高一
○中村(高)委員 返してもらうということになればむろんけっこうでありますけれども、それは何ですか、政府でそんな方針がきまっておるのではなくて、そういうふうにした方がよいと思われるというあなたの施政方針だと思うのです。かりに今ある飛行場を米軍が返すというような場合があったとして、それはむしろ自衛隊の方で使いたいというのがほんとうだろうと思うのですが、政府としてはもし米軍の飛行場が要らなくなったら、また民間にどんどん返還するという御方針があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/110
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111・杉原荒太
○杉原国務大臣 それはもちろん自衛隊の方でも必要を認めないというもので、しかも向うの解除できるというものは、当然民間のものは民間にというふうになる筋合いのものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/111
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112・中村高一
○中村(高)委員 筋合いというのが私は聞きたいのです。もうアメリカの方で要らなくなれば民間に返すという筋合いというのは、政府でそういう方針があるのか、それともあなたのお考えでそうした方がいいと思われるというのかと私は聞いておるのでありまして、もしあなたのお考えだというならば、それほど聞いてみても仕方がないのでありますが、もし返すのだということになりますならば、これは政治問題としてわれわれは米軍に交渉して返してもらう必要がある、と思うのはあまりに飛行場の数が多いからでありまして、そういうことを尋ねておるのでありますが、現在日本で米軍の使用いたしておる飛行場というのは実際はどのくらいありますか、それを先にお答え願って、それから一つあとの質問を続けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/112
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113・杉原荒太
○杉原国務大臣 約四十近くだったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/113
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114・中村高一
○中村(高)委員 そうすると、今後は要らなくなれば——四十個所もわれわれは要らないんだと思っておるのでありまして、どういう意味でそういうたくさんの飛行場を維持せられるかさえ私たちは不思議に思っておるのであります。ジェット機のようなこういう非常に高速力の飛行機、性能のある飛行機が出てきたのに、こんな日本のような島に四十ヵ所も飛行場を持たなければならぬという理由が私たちには考えられないのです。この間私たちが立川、横田の飛行場の視察に行くと言って行ったわけです。ところがそこに横田の長官が、あなた方国会を出たというから、今私はジェット飛行機で九州から来たんだと言って先に来ておられる。私たちが自動車で行ったときにはあなた方が出たというから今ジェット機で九州からやってきたんだと言う。こんな速力の時代になって四十何ヵ所も一体何で必要なのか、われわれにもわからないのでありますけれども、そうすると今拡張をするということに対してさえもあれだけの問題が起っておるのでありますから、これが整理できて返されるということであれば非常にわれわれは幸いだと思っておるのであります。幸いにして今長官はアメリカが要らないと言えば民間に返すと言われるのでありますから、まことにけっこうなことであります。われわれはどうもこんなにたくさん必要はないと思っておりますから、返還の要請を今後やる必要があると思いまするけれども、そういう場合には政府でも協力してもらえるかどうか、もう一度お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/114
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115・杉原荒太
○杉原国務大臣 担当の調達局の方といたしましてもそういうのをなるべく整理したいという方針でやっておるものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/115
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116・中村高一
○中村(高)委員 それからこの問題はあまり時間を食うといけませんから、ほかの問題をちょっとお尋ねいたしますが、予備自衛官の制度が昨年かできまして、その後予備自衛官は現在どういう状況になっておりますか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/116
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117・杉原荒太
○杉原国務大臣 お答えいたします。予備自衛官の五月十日現在のことを申し上げます。志願しております者が四千百三十五名となっております。うちすでに任用いたしました者が三千二百七十三名であります。なお少し増加の状況の一つの説明になると思いますが、六月一日現在は志願しております者が四千三百二名、うち任用が三千五百三名、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/117
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118・中村高一
○中村(高)委員 これは昨年の法定の員数は一万五千名だったと思います。予算関係などでは一万五千名用意されておるものだと思いますけれども、そうすると、今のところはまだ志願者が四千何ぼで、実際の採用は三千五百というのですか。一万五千名までは採るのですか。それとも今年はもっと計画がふえておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/118
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119・杉原荒太
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。三十年度におきましては、予算におきまして約五千名を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/119
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120・中村高一
○中村(高)委員 前には一律に予備自衛官には手当として月千円を支給して、あとは訓練される場合には、一日に七十円とかいうのでありますけれども、ことしの予算でも、予備自衛官を志願した者はやはり月千円ずつくれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/120
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121・杉原荒太
○杉原国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/121
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122・中村高一
○中村(高)委員 一万五千名という計画であって、ことしは五千名という予定だというのでありますが、そうすると、むろん今後は一万五千名までは増加するという計画だと思うのでありますけれども、ことし五千名採って、あとの一万名はどういう計画になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/122
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123・杉原荒太
○杉原国務大臣 法律定員が一万五千名になっておりまして、現実問題といたしましても本年内にそれだけということも期待できませんし、今年は五千人分を予算として見ている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/123
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124・中村高一
○中村(高)委員 そうすると、一万五千名の志願者があれば、ことし中でも一万五千名にしてもいいんだが、ことしはそんなに一ぺんに募集しても、五千名ぐらいしかできないだろうからという、実際の数を五千名くらいに予定しておられるのか。それとも、志願者さえあれば一万五千名にしてもいいというのか、その辺のところがまことに計画性がないように思われて、何のためにそれじゃ予備自衛官というものを一万五千名なら一万五千名計画したのか。的確な目標も何もなくて、ことしは五千名も予備自衛官を置いたならば、大した問題も起りそうもないからいいというのやら、そんないいかげんなものであるなら、予備自衛官など養成する必要もなさそうだし、どうしても予備自衛官が計画の上に一万五千名要るというのでありますならば、努力をして、場合によったならば金額をふやすとかなんとかいうようなことをやっても集めるのがほんとうだと思うのでありますけれども、今話を聞いてみると、まるでたよりない自衛官でありまして、そんなものであるならば、なくてもいいので、何も国費を使ってやる必要はないと思う。一体その計画で一万五千名というものが絶対に必要だというのやら、それとも五千名でもいいというのやら、あまりどうも確信のない態度でありまするので、そんなことなら、予備自衛官というものは一切なくしてしまう方がいいように思いますけれども、一体これはどういう計画なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/124
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125・杉原荒太
○杉原国務大臣 本年は予算の関係がございまして、五千名以上ということは計画いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/125
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126・中村高一
○中村(高)委員 私の聞いているのは、今年の五千名を聞いているんじゃなくて、予備自衛官というものが必要であるということでこういう制度を作ったのでありましょうから、それならば一体どれくらい予備自衛官というものを今後置こうというのか。おそらくこれは万一の場合に現役の自衛隊では不足なものを、予備として置いておいてその不足を充実させるということが目的だと思うのでありますけれども、自衛隊の方は今年のこの防衛の増強計画を見ましても、陸は何名、海は何名、空は何名といって計画的にだんだん増強してきているのに、おそらくそれに見合うものが予備自衛官だと思うのでありますけれども、片一方の方は予算の関係上今年は五千だというのですが、それならば今後予備自衛官というものはどれくらいあればいいというのか。あまり必要がないものであるならば、認めることもないと思うのでありますけれども、もう少し具体的に、今年は五千名で、来年は何名募集しようというのか、再来年は何名募集しようというのか、自衛隊が増加すると同じようにふやしていこうというのか、予備自衛官というのはそんなに現代と同じようにふやしていかなければならぬことはないとかいう見通しがあるだろうと思うのでありますが、何の見通しもなくて五千名という予備自衛官の養成をするのかどうか、そこを私は聞いているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/126
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127・杉原荒太
○杉原国務大臣 予備のものは私は相当必要だと思います。これはどこの制度でもそうだと思うのですが、実は予備の力がないということが、日本の今の自衛力の第一の欠陥とすら言ってもいいんじゃないかと私は思うのです。そういう予備の必要性というところから考えまして、現在の制度におきましては、法律で一万五千名だけの定員を認めていただいているわけでございます。従いまして、現在のところその範囲内におきまして、毎年の予算、それから実際の獲得し得る点など、実績から見まして予算を組んでいる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/127
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128・中村高一
○中村(高)委員 そうすると、来年度の計画あるいは将来の予備自衛官の計画というようなものは今はないと承わってよろしいのですか。今年のだけは五千名ということがわかるが、今後はそのときの空気で、必要があれば増強しよう、そういう趣旨と承わりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/128
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129・杉原荒太
○杉原国務大臣 そこは二つにわけて考える必要があると思うのです。来年におきましても幾らかの予算措置をとってふやすようにしていきたい、こう考えております。来年あたりまでは、法律定員で一万五千名認めておりますから、その範囲内において、実際の志願の実績等を見ましてやっていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/129
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130・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 今の五千名というお話ですが、実際は千五百名しか集まらなかったという報道があるのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/130
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131・杉原荒太
○杉原国務大臣 それはただいま中村委員にお答え申し上げたのでございますが、六月一日現在で志願者が四千三百二名ございまして、すでに任用しておりますものが三千五百三名、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/131
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132・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうすると、五千名の定員に対して、今のお話でも三千五百名しか集まらない、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/132
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133・杉原荒太
○杉原国務大臣 これは今申し上げますように、六月一日現在で志願者が四千三百二名でございまして、実際は志願したものはほとんど大部分任用することになるわけで、現在手続が済んだものが三千五百三名、こういうことになっている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/133
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134・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、いつまでが締め切りで五千名ができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/134
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135・杉原荒太
○杉原国務大臣 締め切りというものはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/135
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136・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 しかしそれは本年度ということじゃないですか。本年度という締め切りがあるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/136
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137・杉原荒太
○杉原国務大臣 そういう意味においてはもちろんそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/137
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138・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 これは新聞によるのですが、「現役自衛官その他に全く不評判で、応募者が極端に少く、将来も危ぶまれる状況であったために、とりあえず千五百名の採用にわずか一日間の訓練を行うにとどまった」こういうようなことがいわれているのですが、将来も法律定員二万名を十分あなた方は満たしていき得る自信があるかどうか、またその人々に対してどのような訓練計画を持っていらっしゃるか、こういうことも一つ聞かしていただければけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/138
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139・杉原荒太
○杉原国務大臣 これはいろいろな変化がございますが、当初希望しておりましたよりも非常に少かったことはございます。これにはいろいろな原因も推察されますが、最近の状況から見ますと、それに比較しますとかなりよくなっておる趨勢にあるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/139
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140・中村高一
○中村(高)委員 もう一つお尋ねしておきますが、アメリカの顧問団の分として日本の政府で払っております金は、現在どのくらい払っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/140
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141・杉原荒太
○杉原国務大臣 正確な数字は今私は頭にございませんが、約三億五千万円くらいの程度だったと記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/141
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142・中村高一
○中村(高)委員 そうするとその三億五千万円の顧問団費というものは、これは日本だけで顧問団の費用は全部払っているのではなくて、米軍も半分か負担しているのだろうと思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/142
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143・杉原荒太
○杉原国務大臣 俸給などはもちろん向うで払っておりまして、顧問団に必要な経費は全額をこっちが持っておるわけではございません。そうしてこれは、いわゆるMSA協定ができました際に、向うとの間に協定がございまして、直接に物的の施設などで提供しますものなどもあわせ考慮して、大体三億幾らの金の範囲内でという協定がたしかことしの春までございますが、それでやってきておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/143
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144・中村高一
○中村(高)委員 顧問団が最初は何か六百五十名とかで出発して、政府ではことしから三百名とかに減らす目標だといわれておりましたが、今日現在で顧問団の人数はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/144
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145・杉原荒太
○杉原国務大臣 約三百九名くらいだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/145
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146・中村高一
○中村(高)委員 この顧問団というのは大した用がなくて、実際においてはほとんど仕事もないのだそうでありますけれども、率直に言ってこういうものには帰ってもらうということによってだいぶ日本も助かるし、なければならぬほどのものだとみんな見ていないようでありますけれども、そういうことの交渉はもっとおやりになってもいいと思うのですけれども、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/146
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147・杉原荒太
○杉原国務大臣 このいわゆる軍事顧問団と申しますのは、御承知の通り、いわゆるMSA援助を受けております国には、世界各国に全部同様の任務を持ったものがいるわけでございまして、今のいわゆる顧問団というのは、その身分等もアメリカ大使館にありまして、以前占領中におりましたのとは性格が変るわけでございます。そうしてその任務はもっぱらMSA援助によって援助業務をやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/147
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148・宮澤胤勇
○宮澤委員長 田原春次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/148
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149・田原春次
○田原委員 私は大体二点伺いたい。第一は防衛訓練に度するもの、第二点は防衛目標に関するものであります。最初にお尋ねいたしますが、陸上、海上、航空の将校並びに下士官の定員はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/149
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150・加藤陽三
○加藤政府委員 御説明申し上げます。陸上自衛官の方で申しますと、総数十三万の中で幹部が一万四千百九十四名であります。それから一等陸曹以下三等陸士までの合計は十一万五千八百六名、海上自衛官で申しますと、幹部が二千二百二十九名、一等海曹以下三等海士までの合計が一万三千五百七十九名、航空自衛官で申しますと、幹部が千三百八十三名、一等空曹から三等空士までの合計が四千九百四名となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/150
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151・田原春次
○田原委員 引き続き加藤政府委員に聞きますが、陸上、海上、航空の幹部のうち、戦前の正規の陸海軍の将校であった者と新たに自衛隊に採用された者との数の比率はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/151
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152・加藤陽三
○加藤政府委員 正確な数字はちょっと手元に狩っておりませんが、正規陸海軍将校の比率は、陸上自衛隊の幹部の中で約三割五分、海上自衛隊の方は八割五部、航空自衛隊の方は約六割というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/152
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153・田原春次
○田原委員 この陸上、海上、航空の幹部以下の一般隊員の入隊時における学力はどんなものでしょうか。大学、高等学校、新制中学と大別して、どういうようなものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/153
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154・加藤陽三
○加藤政府委員 ただいまの一般隊員の募集の条件は新制中学卒業以上ということにしております。最近の募集の状況を見ますと、約四割が高等学校卒業生でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/154
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155・田原春次
○田原委員 入隊時に思想調査か何かやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/155
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156・加藤陽三
○加藤政府委員 思想調査はやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/156
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157・田原春次
○田原委員 在隊時における高級技術の訓練には、少くとも大学卒業以上の者でないと、近代戦の高級技術はできないと思いますが、幹部以外の人々の隊内における教育は何を目標としておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/157
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158・加藤陽三
○加藤政府委員 航空幹部につきましては、現在採用しておりますのは、昔の陸海軍の航空関係の経験のある将校であった者、あるいは大学の卒業生、それから昨年から高等学校の卒業生のうちから、操縦学生というものを採用いたしました。こういうふうな者で、将来航空機の操縦に当る職員を作っていきたいと思っております。隊内の教育と申しますか、そういうふうな技術をもちろん教えるわけでございます。曹以下については、曹以下として技術の補助のようなこと、それから一般的な肉体的な作業などが多いわけでございます。技術の面の教育は、もちろんいたしております。それから使命について十分なる自覚を持って、責任を完遂するようにというふうな教育をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/158
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159・田原春次
○田原委員 曹以下の者の除隊時における指導力といいますか、大体ただ二年過ぎたら帰すということになっておりますが、そういう陸上、海上、航空等の部隊における指導能力は、どの程度に二年間教育しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/159
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160・加藤陽三
○加藤政府委員 陸上自衛隊について申し上げますと、二年間に一応の教育は終りまして、役に立つようにしてはおるわけであります。その際、任用期間が来ました際に、継続して採用されることを希望する者が相当おるのであります。任期満了者の大体七割は、継続任用を希望しております。継続任用を希望する者については、適格者をあらためて二年間の任期をもって採用しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/160
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161・田原春次
○田原委員 その継続任用というのは、資格はどういうことになるのですか。第三年目、第四年目は階級が上っていって、昔でいう下士官か何かになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/161
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162・加藤陽三
○加藤政府委員 任用期間のありますのは、御承知かと思いますが、陸士長以下、昔でいいますと、一般の兵隊でございます。陸曹以上になりますと、任用期間がないわけであります。二年の任用期間が終りまして、また継続任用をいたしますと、もうあと二年の間に陸曹等になります者も相当ございます。全部が全部陸曹等になるというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/162
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163・田原春次
○田原委員 在隊間に除隊後の仕事にリンクしたような教育か何かをやっておりますか。たとえば自動車の運転とか、あるいは海上の者は機関士とか、航海士とか、除隊後に一般社会に復帰してからの職業上のリンクというものは考慮されて教育していますか。単に陸上、海上等の専門技術だけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/163
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164・加藤陽三
○加藤政府委員 任用期間が満了して一般社会に出ましてから、技術を手につけておくことは、私どもも非常に望ましいことだと思っております。お話にも出ましたが、自動車の操縦などは、非常は希望者が多ございます。現在でも陸上自衛隊で公安委員会の免許をとっておる者が二万六、七千名と承知しております。そういうふうなことは、私どもとしても大いに奨励しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/164
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165・田原春次
○田原委員 前の中村委員も質問しておりました米国軍事顧問団のことですが、これは各隊に配置されておるのですか。何か実科訓練の指導をしているのですか。将校指導をしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/165
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166・増原恵吉
○増原政府委員 先ほど長官から申しましたように、現在いわゆる軍事顧問団と呼んでおりますのは、MSA協定に基いてできたものでありまして、主たる任務は、MSA協定によって供与されます武器等が、供与の目的のようにうまく使われているかどうかを観察する仕事でございます。従いまして訓練その他について指導するとかなんとかいうことは、任務として持っておりません。現在おります顧問団は、大部分が東京におりまして、あとは方面総監部のある北海道の札幌におります。それから四管区総監部のある福岡、それから富士学校という富士山のところに学校がありますが、その三ヵ所だけに十名内外の顧問団がいるわけでございます。事実上の問題は、いろいろ米軍の使っている演習場をこちらも臨時共用として使いたい、あるいはいろいろ調べものがあるときに向うの方から本を取り寄せてもらうとか、適当な知識を援助してもらう、そういうことをやってもらっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/166
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167・田原春次
○田原委員 曹以下の一般公募の自衛隊員の学力を高等学校卒業以上くらいにして、二ヵ年の在学にして、いわば短期大学程度に仕上げて、指導者を目標とする教育はやっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/167
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168・増原恵吉
○増原政府委員 ただいまのところ、やはり隊員は新制中学卒業というところが適当であると考えまして、その標準を変えることはただいまのところ必要はないかと考えております。高等学校卒業という程度のところでとりますのは、操縦学生とかあるいはその他の比較的技術を要するようなもので、しばらくすれば曹の階級になって下級幹部になるというふうなものは、そういう要件で採用するものもございます。一般隊員はやはり新制中学卒業程度というところがよかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/168
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169・田原春次
○田原委員 自衛力については漸増方針をとるということがしばしば言われているので、先般来この委員会でも、杉原長官はあるいは昔の民兵に似たような構想のことを一部漏らしたのですが、予備自衛官制度を設けたのは、民兵のようなものの指導者にするというつもりでありますか。かりに民兵もしくはこれに似たような構想が実現した場合を想像すると、現在の自衛隊員の学力を高めて、一人々々が下級将校程度の力を持っているところの、一種の精兵主義でないといけない。その点はどうですか。自衛隊は自衛隊で二年間教育する。それからも希望者は在隊してよろしい。それじゃ数が足りぬからというので、自衛隊員をふやす。ふやすについては国力の限度があるから、民兵のようなことも考えようというふうな考えを持っているとすれば、その民兵をだれが指導するのか。別に民兵指導官を設ける構想であったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/169
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170・杉原荒太
○杉原国務大臣 この間私、民兵的な郷士防衛隊といいますか、そういうことに触れたのでありますが、民主党の内部においても、そういう構想を持っている方もございます。ところがこれをいろいろと研究してみますと、なかなかむずかしい点が非常にあるように思っているわけでございます。いろいろの困難があると思いますが、第一日本の現在の社会情勢のもとにおいて、果して実際上そういう志願者が集まるかどうかというような点もございます。また今の自衛隊の漸増という場合におきまして、何しろまだ自衛隊の内部の幹部などの養成が非常に重点になっておりますが、そういう点からして、その指導の任に当るものをそっちにさく余裕があり得るかどうかという問題もあると思います。従いましていろいろ構想としては民主党内部にもそういう構想を持っておられる方がございますが、もちろん外国の制度も一応調査してみる必要があると思って調査もしてみたわけでございますが、御承知の通り、外国の政治というものは、いろいろの沿革、それから社会的基盤も違いますし、それからまた外国の正規軍との関係、一般のそういうものとの関連というようなところから、単に民兵というものだけを取り離して考えるというわけにいかない条件もあると思います。ことに日本の実情というものも考えなければなりませんので、この民兵について、一つの着想としてはわからぬ点もないわけでございますけれども、実際問題としては非常に困難なものがあるのではないかというふうに私考えております。しかし、なおこの点は研究いたしてみたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/170
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171・田原春次
○田原委員 各部隊における犯罪もしくは規則違反者等について尋ねたい。入隊後において思想調査をしないということでしたが、入隊後隊員が共産党員であるということで、何か強制除隊をさせるとか、そういう処置をやったことがございますか。党員であっても隊規を守ればそのまま在隊せしめるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/171
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172・加藤陽三
○加藤政府委員 共産党員たるゆえをもって除隊せしめたということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/172
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173・田原春次
○田原委員 陸上、海上、航空の、いわゆる幹部の中に共産党員がおるといわれておりますが、この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/173
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174・加藤陽三
○加藤政府委員 私は、共産党員がおるという報告には接しておらないのであります。共産党員といえども、御承知の通り現在の国家公務員法、自衛隊法によりますれば、欠格条項には触れておりません。私どもとしては措置し得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/174
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175・田原春次
○田原委員 一昨年、陸上自衛隊の佐官以上の、つまり高級将校の演習が北海道の帯広で計画されまして、これが八月に発表されましたが、その発表される二日くらい前に、共産党の軍事機関誌「赤い星」に、帯広における演習計画というのが詳細に出たのを記憶しております。これは少くとも今の三等陸佐以上の現役の中に共産党員がおらなければわからない極秘の計画だといわれておりますが、その事実があったかどうか、これをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/175
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176・林一夫
○林(一)政府委員 そのような事実があったかどうかまだ正確に存じておりませんが、共産党員が隊内におるやのうわさはちょいちょい聞いております。けれども、隊員にして党員であるかというようなことはなかなかわからないことであります。あるといううわさはちょいちょい聞いております。また外部の党員からの隊員に対する働きかけは相当あるようであります。そのような事例は、宣伝やいろいろな方法によって隊員に働きかけるとか、あるいは隊内組織を作る活動とか、潜入工作とかいろいろあるのでありますが、二十九年度で数百件、六百名くらいに上っておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/176
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177・田原春次
○田原委員 隊内における犯罪または規則違反というのは、どういう点でございますか、一般の刑事犯罪は別としまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/177
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178・加藤陽三
○加藤政府委員 隊員の規則違反と申しますと、やはり帰隊すべき時間に遅れるとか、あるいは無断で休暇を取るというのが一番多いのであります。そのほかにはやはり一般の犯罪等と同じように物を盗む、窃盗あるいは暴行、傷害というのが多いのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/178
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179・田原春次
○田原委員 上官反抗罪あるいは反乱罪というような実例があったかどうかそういう事例が起った場合にどういう措置をするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/179
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180・加藤陽三
○加藤政府委員 抗命罪につきましては、御承知だろうと思いますが、自衛隊法の中に、治安出動をした場合あるいは防衛出動がありました場合には刑罰を科することになっておるのであります。一般的な場合は、集団的な抗命につきましては処罰の対象になっておるのでありますけれども、今までのところ実例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/180
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181・田原春次
○田原委員 次は第二点の防衛目標についてお尋ねいたします。現在のところ杉原長官のもとにある防衛目標はどこに置いております。防衛とはむろん日本を防衛するのでありましょうが、攻めてくるのはどこの国ですか。何を目標にして防衛しているのですか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/181
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182・杉原荒太
○杉原国務大臣 わが国の今の防衛の建前といたしまして、法律上からいたしましても非常にはっきりいたしておりますことは、あくまでもわが国が受身で、侵略を受けた場合にこれを守る、いやしくも、名目のいかんにかかわらず、外に出て行って侵略するということでないことははっきりいたしておりますのでございます。特にここが自分のところの仮想敵国だというふうにきめてのそういうふうな考え方ではございません。ただし、日本を守るということだけは——あくまでも侵略に対しては守るということで考えておる次第であります。言葉は少し固苦しいかもしれませんが、専守防衛、もっぱら守る、これはあくまでも守る、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/182
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183・田原春次
○田原委員 防衛とは具体的に何を防衛するのですか。人間を防衛するのですか領土を防衛するのですか、あるいは独立なら独立という国家の形に対する侵害を防衛しようというのですか、あるいはそのすべてをさすのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/183
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184・杉原荒太
○杉原国務大臣 これはわが国の平和と独立を守る、国の安全を保つということが法律にも明定されておるわけでございまして、その中には——おのずから国の構成要素たるべき領土とか、国民とか、それから政治的な独立の日本として、一つの国として欠くべからざる要素、そういうものはあくまでも守る、こういうことだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/184
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185・田原春次
○田原委員 そうすると、さしあたっての仮想敵はどこです。何十ヵ国でもすべて音なしの構えで防衛するというのですか、数ヵ所仮定しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/185
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186・杉原荒太
○杉原国務大臣 これは何十ヵ国と大へんむずかしいのでありますが、この点につきましては、今までも申し上げておるところで一つどうか御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/186
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187・田原春次
○田原委員 かつて熊澤蕃山が孔孟の学を塾生に講じた。講義半ばにして、もし孔子を大将とし、孟子を参謀として日本を攻めてきたらお前たちはどうするか、こう聞いたと。ころが塾生は、ぽかんとして、答えがなかった。蕃山先生いわく、そのときは、その孔子と孟子の軍を撃破するのが孔孟の学である、と喝破していることをわれわれは聞いております。今日防衛目標も明らかにされず、世界八十余ヵ国を仮想敵国とするかどうか存じませんが、もし米国が日本を侵略した場合には、現在の自衛隊が敢然として米国と一戦を交える。すなわち、蕃山先生の教えに従いまして、たとい孔孟であろうとも、軍事顧問団から教えてもらっておっても、相手の国が暴逆不理に来たならば直ちにこれを撃破するという御意思があるかどうか。熊澤蕃山先生の教えを守るか守らぬか、あなたは葉隠れ精神の方だが、どっちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/187
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188・杉原荒太
○杉原国務大臣 その精神におきましては熊澤蕃山先生と同じ精神でなければならぬことだと思います。しかし現実問題として、私はアメリカが侵略してくるというようなことは想像しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/188
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189・田原春次
○田原委員 アメリカは侵略しないということは、すでに侵略しておるから侵略しないというのですか。これ以上必要はないからだというのですか。御承知のように、飛行場の問題にいたしてましも、その他、たとえば横須賀市内におけるいろいろな刑事犯にいたしましても、そこにはもう独立という形もないほどの圧迫を受けておる。従ってきょうから日本を攻めるぞといってくれば侵略であるかどうか。あなたは防衛とは平和と独立を守ると言っておる。平和と独立を守るというならば、平和を害し、あるいは独立を害するものであったならば、これは侵略者であると認めなければならぬと思いますが、そう規定してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/189
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190・杉原荒太
○杉原国務大臣 いろいろ御意見でございますが、私はアメリカが今日本を侵略しておるとは考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/190
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191・田原春次
○田原委員 杉原さんは外交官でありますから、外交のことはむろんおわかりだということを前提としてお尋ねいたしますが、日本の平和と独立を守る上において、現在考えられておる世界的な思想の中には、第三勢力論という考え方、それから平和地域論という考え方があるのです。すなわち御承知のように、大別してソ連圏を一つの流れとし、英米圏を一つの流れとした思想上の二勢力がここにあることは事実でございます。このいずれにも属せず、日本の平和と独立を守ることがもし自衛隊の目標であるならば、第三勢力論をもって進むべきものと思うか、あるいはインドのネールのような考え方に同調して、平和地域を設定して、ここでは戦争をさせないという考え方に持っていくのか、単に貧弱な十数万くらいの、聞いてみれば、中学卒業後一年間ぐらいの教育をしてもって足れりという程度の勢力で、世界八十四ヵ国を敵とするようなものはできないのであります。あなたがよりによって防衛庁長官になったというゆえんは、あなたが外交官であり、防衛庁長官として使えるということで鳩山さんはしたのではないかと思う。あなたの国際平和に対する立場、従ってそれは日本の平和と独立を守る立場から、この二つの、平和地域設定論と第三勢力論に対して賛成か、反対か、防衛庁長官としての考え方を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/191
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192・杉原荒太
○杉原国務大臣 その点につきましては、それぞれの国が置かれている地位によってかなり変ると思います。私は現在日本の置かれております地位からいたしますれば、やはり目標はあくまでも世界の平和、その世界の平和というものがなければ、各国の平和というものも困難だと思いますから、目標はあくまでも世界の平和でございます。戦争の防止、平和の維持ということが大きな目標だと思います。それではその方法としてはどういう方策をとるかということにつきましては、これはそれぞれ置かれている国の事情によってもかなり違うと思います。日本の場合におきましては、これはいわゆる自由諸国との協調ということが、やはり一つの基本線として考えることが適当であると思う。しかしそうだから、それでは他のところといたずらに対立を激しくするかというとそうじゃない。そうじゃなく、実情に即してできるだけこれを調整をはかっていくというふうな外交方策がとらるべきであろうと、これは私の私見としてそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/192
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193・田原春次
○田原委員 それならばややインドのネールの考えに近づいていると思う。すなわち御承知のように、インドも全般としては共産圏ではありません、しかしながら考え方は、第三次大戦を防止するということで進んでおって、争いになる部門ごとに調整していくように努力している。ですから、日本も、今不幸にして民主党内閣においては、米国の影響下に置かれているけれども、近い将来独立の完成とともに、その影響を払拭してりっぱな独立国になると同時に、近辺の国の指導精神や経済組織が違おうが違うまいが、北鮮ともソ連とも中共とも仲よくやっていくという建前であるならば、ここに怪しげなる、また貧弱なるいささかの申し訳ばかりの自衛隊の勢力を増強することなく、進んで世界に対して平和のあっせん役となって、みずからその指導者となっていくという気魄こそ望ましいと思う。ただ受持らが防衛庁であるから防衛のことしかやらないということではいかぬと思いますが、この点についてはどうお考えになりますか。長官の所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/193
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194・杉原荒太
○杉原国務大臣 大へん私の今の任務と範囲を出た、外務大臣がお答えした方が適当かと思うような御質問でありますが、私の先ほど申し上げました趣旨は、現在の日本の置かれている国際的地位からいたしまして、対外政策として一つの堅持すべき基本線はしっかりと持っておらなければならぬということであります。そうして何でも一本調子にしていくべきものではないと思う。その基本線は決してくずすべきではなくて、実際に即して調整し得るところは調整していくというふうな方針をとっていくのが、日本としては適当だろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/194
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195・田原春次
○田原委員 次に前の質問に戻って補足します。十数万の新制中学卒業生で二年程度の教育ではいつまでたっても兵力不足だというので、次から次へと増員、増隊を要求されてくると思う。そこで考え方ですが、これは私は賛成するというのではないが、ドイツが第一次大戦のあと十万の警察兵を許容されたことは御承知の通りであります。しかるに青年に対しては、アルバイツ・ディンストのような、勤労青年奉公隊のごとき訓練をしておった。ふたをあけてみれば、この十万の警察兵は、一人々々が少尉、中尉、大尉程度の実力を持っておったという実例があります。必ずしも日本の自衛隊をそうしてくれというのではありません。仮想敵国もはっきりわからずに、同時に数ヵ国相異なる方面の侵略も不可能ではないというときにおいて、せっかく自衛隊をお持ちになるならば、自衛隊の入隊時における学力をもっと高めて、除隊時においては、そういう自衛能力においては相当の指導力を持つと同時に、社会にリンクする仕事——体操科の教員になるとか、あるいは警部補とか、機関士、航海士のような社会にリンクする仕事ができるなら、全国の優秀な青年が入っていけるのではないか。そういうことを与えませんから、二年間入っておれば、帰ってくるときには六万円もらえるというようなことから、つい四、五日前の東京の新聞にも、除隊した自衛隊の諸君が一緒になって自動車強盗をやったということが出ている。これは反面からいうならば、杉原長官のもとにおいて自衛隊は強盗教育をやっているということになると思う。(笑声)強盗が出たということは事実だ。そういうようなあやふやな目標をもってやるから、青年が失望をする。そこでいうならば、お前たちは、日本の独立擁護の戦士である、相手がアメリカであろうとイギリスであろうと、またソ連であろうと中共であろうと、断固として日本の独立を守るのだという気魄を与えることが必要だ。しかも入隊時における学力をもっと引き上げていくならば、優秀な青年が集まって、りっぱな多くの青少年のあこがれの的になると思うが、目標を持たないで入っている。気がねしてアメリカとは絶対戦争しないといえば、入ってくる自衛隊の諸君が失望してくると思う。自衛隊の教育を現在以上の費用をかけずに、そうして現在以上の数をふやさずに、しかも自衛目的を達するような教育程度の切りかえをやるようなお考えがあるかどうかを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/195
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196・杉原荒太
○杉原国務大臣 今の実情からいたしまして入隊時の学力程度を高等学校以上にすぐしてしまうかどうかの点は、私直ちにそうするということは申し上げられませんけれども、今田原議員のおっしゃいました根本の趣旨ということは、非常に傾聴すべきだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/196
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197・田原春次
○田原委員 傾聴した以上はこれが実現に向って努力することこそ、傾聴の意味があると思います。私はあなたが在職中にそういうふうに自衛隊を切りかえて、不覇独立の精神を持たして、日本民族の独立の線に向って、自衛隊を持っていくというならば——それでも今の予算は少し多過ぎるから、これを半分くらいにして、今述べたようにするならばよろしゅうございます。
以上私の意見をつけ加えてきょうは終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/197
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198・江崎真澄
○江崎委員 関連してお伺いいたしますが、先ほどの田原委員の御質問の、いわゆる共産党員に対する措置の問題につきまして、どうもはっきりしたお答えがなかったように思います。これはもし共産党員に対する対策なしということならば、容易にならぬことだと私は思う。それはどんなふうでしょう、これを少しはっきり承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/198
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199・加藤陽三
○加藤政府委員 先ほどお答え申し上げました通り、ただいまの法律によりましては、共産党員といえども、失格者ではないのであります。隊員の採用につきまして、われわれといたしましては、共産党員たるがゆえにとらない、共産党員たるがゆえに排除、除隊させるというようなことはいたしておりません。しかしながら自衛隊は間接及び直接の侵略に対して、わが国を防衛するという責任を持っておるものでございますから、その職務の適格性にかんがみまして、適当でないと思われる者は、これはどんどん在隊者でも処分いたし、また採用の際にも、多くのり適格者をとるようにいたしております。その点につきましては、役に立つように十分の配意をいたしておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/199
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200・江崎真澄
○江崎委員 これは昨年のいつでしたか、私聞き漏らしましたが、アカハタか何かに、機密漏洩ですか、そういうような場面に当られたときに、隊内の共産党に対する調査とか、その他いろいろな御注意を払われた事実はありますかどうか。具体的にその辺承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/200
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201・林一夫
○林(一)政府委員 今の具体的な事例のことについては、手元に資料を持っておりませんが、隊内における共産党の破壊活動については、もちろん絶えず目を注ぎ、そのようなことのないように十分注意はいたしておるわけであります。なかなかこういうことは証拠をつかむことがむずかしいので、十分注意はいたしておりまして、よく調べております。そのような結果、先ほど申し上げましたように、二十九年中にいろいろの態様によって、隊内に工作の働きかけをしておった、その件数が六百余件に及んでおるわけであります。十分に調査はいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/201
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202・江崎真澄
○江崎委員 今のお説はごもっともな一応お説ですが、大体各省とも党員の数というようなことはわかりませんが、ごく左翼的な思想を持つ職員の数というものは、どこの省でもおよその目安というものはつけておるはずであります。特に自衛隊内にどの程度のそういう潜在分子がおるかというようなことについてお調べになったことがおりますか。あるいはそれくらいの見通しというものをお考えになったことがあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/202
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203・林一夫
○林(一)政府委員 これはなかなか見方によっていろいろの行き方があると思うのです。はっきりした数字とかあるいは大体の数字もわかっていないような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/203
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204・江崎真澄
○江崎委員 これはわれわれがいわゆる仮想防衛対象という言葉で表現しましたが、いうところの仮想敵国、これをお尋ねしておりますのは、またゆえなきにあらずなんで、結局目標のない防衛計画というものがあるかどうか、しかも今言われるように、これはむろん内部的には御如才なくあるいはやっておられるかもしれませんが、あるいはそういったことについてあいまいもことして、まかり通らなければならぬというような自衛隊精神というものは、少くとも一朝有事の際には、ものの役に立たぬものであるということは言い切れるのではないか、非常に不安でいたし方がありません。なるがゆえにわれわれは防衛対象はどこかということで今日に至ったのでありますが、先ほどの田原委員の質問についても、何らのお答えがありません。われわれに対しても、お答えがありません。そこでこの内閣の米ソに対する両面外交のあり方というものが、特に自衛隊の意思、方向というものをあいまいならしめるとしたならば、これは私は大へん内閣として大責任だと思うわけです。一体この辺について指導方針というか方向というか、こういうものを長官どうお考えでしょう、場当りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/204
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205・杉原荒太
○杉原国務大臣 非常にごもっともな御質問だと思います。あくまでも民主主義日本を守るということは、これはもちろん根本として必要だ、そういう趣旨でやっていきたいと思います。そしてまた何か先ほどからの政府委員の答弁に対して、あいまいなようなお感じがあったのではないか、私自身もそう思うのですが、そういう点は一つ誤まりないようにやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/205
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206・江崎真澄
○江崎委員 これは杉原長官の御答弁の方がむしろはっきりした線が出ておると思う、民主主義を身上としていく。そうすると、民主主義を破壊する行動に出る分子については、当然厳重にこれを取り締り、厳重にこれを馘首していくというような決意はおありでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/206
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207・杉原荒太
○杉原国務大臣 民主主義の体制を破壊する行動に出るというようなものに対しては、これは隊員としてもちろんそういうことに対しては、最も大事な点でございますから、その点は根本として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/207
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208・江崎真澄
○江崎委員 これは防衛庁長官の御答弁の方が筋である、どうもさっき林さんのおっしゃられるようなことですと、一向どうも無方針で、自衛隊の意思、方向もなければ何もない。もし防衛庁長官の今言われるような方向がはっきりしておるというのであるならば、林さんのおっしゃる御答弁というものは、非常にあいまいです。そういう点はすべからく委員会ではっきりとしていただかぬと、われわれは防衛三法案を審議していく上にわれわれ自身が混迷に陥るわけです。いささか今の民主主義を破壊する分子に対する警戒というか、また研究、調査というか、そういう点において遺憾な点があるような感がするのですが、大丈夫ですか、その点一つ具体的に承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/208
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209・林一夫
○林(一)政府委員 先ほど私が申し上げたのは、はなはだあいまいでございました。私が申し上げたいと思いましたのは、このような組織あるいは民主主義を破壊するような行動は、積極的に調査して取り締っていかなければならぬ、こういうふうに考えております。そのつもりでやっております。言葉を返すようですが、私が先ほど申し上げましたのは、隊内における党員がどのくらいあるかという点でございます。これが実はあいまいもことしてはっきりつかんでいないのであります。その方の調査とか対策というものは、十分講じてやっていくつもりでありますし、従来もやっておりますから、一つその点で御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/209
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210・江崎真澄
○江崎委員 その調査を十分いたしてもらいたいということを私はむしろ申し上げたので、民主主義を破壊する活動につながる分子、これを調査せずして、これを一向どうも顔を見ただけではわからぬ、まるで下町の人相見のような話だけでは、これははなはだ危険千万だと思うわけです。この点については防衛庁がむしろはっきり方向を打ち出しておられるのですから、遠慮会釈なく、もっと積極的にどんどん調査を願って万遺憾なきを期していただかぬと、われわれはこういうあいまいもことした、しかも意思方向のはっきりしないような隊員の増強ということでは、これは逆に御協賛できぬような形になるわけでございまして、この点は十分将来にかけて御留意を賜わりたい、むしろ最も近い機会に、一体そういう傾向のものはどれくらいあるのか、またどういう形でそういうものが現在動きつつあるかといったようなことについての傾向調書といったようなものも私ども拝見する機会があれば大へんけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/210
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211・宮澤胤勇
○宮澤委員長 大坪保雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/211
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212・大坪保雄
○大坪委員 私は、大分時間も迫りましたから、一、二点について長官にお尋ねしてみたいと思います。防衛庁設置法の第五条十五の「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合において行動する」ということが自衛隊の任務だろうと思うのでありますが、権限として書かれてございます。これは大体どういう場合が適合するだろうとお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/212
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213・杉原荒太
○杉原国務大臣 これはこういうふうに解しております。普通に海上における人命財産の保護につきましては海上保安庁が当っておるわけでございます。その海上保安庁の保護だけでは足りない、それだけでは目的を達しないというふうな場合を予想しての規定だと私解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/213
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214・大坪保雄
○大坪委員 海上保安庁の職務権限を確実に申し上げるほど私は明確な知識を持っておりませんが、何か第五条の十五に適応するような事態で、かつて海上自衛隊が出動をしたというようなことがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/214
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215・杉原荒太
○杉原国務大臣 現在までございませんでございます。それから元ほど抽象的に申し上げましたが、現実にあるかどうかわかりませんが、たとえば相当有力な海賊があったとか、そういう場合などは一つの該当する場合じゃないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/215
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216・大坪保雄
○大坪委員 それでお尋ね申し上げたいと思いますが、御承知のように韓国は昭和二十七年の一月だったと思いますが、いわゆる李承晩ラインというものの宣言をいたしております。これは韓国の沿岸の魚族の保護ということが主たる目的のように掲げられておるように私は伺っておるのでありますが、この李承晩ラインというものは、私どもの聞いたところによりますと、狭いところで二十二、三海里、広いところは百二十ないし百四、五十海里もあるような非常に広域なものであります。これは私ども——私どもといって、世界のおおよそ文明国人といっていいのでありますが、今日国際公法上のとりきめ、ないし慣例からしまして非常に不当なもののように思われる。これが特に宣言をなした目的といいましょうか、その目標というものは、日本の漁民に対する封鎖であると見なければならぬと思います。この李承晩ラインの設置以来——あの辺の日本と朝鮮の間の海域は、魚族のきわめて繁殖しておるところであって、要するに漁場として非常に優秀なところである。従いまして多くの漁民が従来出漁いたしておる。その出漁いたしておる漁船が、この李承晩ラインの宣言以来というものは、特に多く拿捕され、漁民は拉致され、中には銃撃を受けて死んだ者もあるような状態であるわけであります。李承晩ラインというものは韓国の李承晩氏が勝手にきめたことであって、今日の国際法の原則ないし慣例というものを無視してきめたものである。日本側からいえば、もちろんのことであるけれども、世界の文明人が見ても、これはもう当然公海上だと思われるところであるのに、自分の領域内としていろいろの処置をしておる。特に日本の漁船を拿捕し、中には銃撃を加えて殺し、また多くの者を拉致し、監禁をしておる。これは日本人の生命財産に非常な危険がある。そうしてこのことは今日やまっておらないのであって、現に行われつつある。明日にも起らぬとも限らぬと思うのであります。こっち側から見れば公海上である。どこに持っていっても当然公海だといわれる公海上だと思うのでありますが、そういうところで機関銃等を擬して、あるいは軍艦、あるいは警備船かしれませんけれども、機関銃等を擬して、承知しなければこれを拉致するということは、一種の、今長官のお話になった海賊行為じゃないかと私は思うのでありますが、しからばそういうものに対しては、日本の海上保安庁の警備船のごときものは、これを排撃して日本の漁船の保護、要するに生命財産の保護をなすことはできないのであるか。これは当然この防衛庁設置法第五条十五によって私は防衛出動がなされてもいいことじゃないかというように思うのでありますが、その点についていかにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/216
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217・杉原荒太
○杉原国務大臣 いわゆる李承晩ラインなるものができて、そうしてここにいろいろの紛争事件が起っておる。これは非常に遺憾しごくなことでございます。そうして今大坪先生のおっしゃいました漁民の保護という点について、いかなる方法をもってするか。理論上から申しますならば、あるいは自衛隊法のこの規定に基くところにもあるいは該当し得るとすら解していいかと思うのでありますが、実際問題といたしましてこれの解決の方法という点は、いろいろ複雑に考えなければならぬところがあるだろうと思います。それで今まで政府としては日韓間の外交折衝の問題として外交的手段をもってこれが解決をはかるという方針で来ておるところであります。自衛隊のこういう場合の発動ということは、これに伴う結果からいたしまして、果してそれが全局の上から見まして適当であるかどうかという点は、なお考慮を要する問題である。こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/217
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218・大坪保雄
○大坪委員 今長官の御答弁によりますと、外交上の支障が起るかもしれぬ、困難な事態が生ずるかもしれぬ。従って事柄は外交上の折衝にまかせた方がいいのである、こういうようにお答えになったかと思うのでありますが、違いましたら御訂正を願いたい。そう思うのでありますが、そういたしますと、あそこはサバが非常に多いそうであります。サバの出漁は八月あたりからどんどん始まる、漁民はやはり公海上だと思って出漁するであろう。そうするともう間もなくやはり日本人の生命財産に大きな危害が加えられる、侵害が及んでくるわけでありますが、やはり外交上の支障が生ずるからというので、海上自衛隊としてはやはり黙って見ておった方がいい、こういうことでございましょうか。これは先刻来長官がたびたびお答えになりましたように、およそ日本人の生命財産の侵害に対しては、言葉を強めて、あくまでも断固として守る、こう仰せられたのであります。外交上の支障ということは私どももちろんある程度考えられる。今日の海上自衛隊の実力というものもある程度私どもは考えます。しかしながら、これは外交折衝にした方がいい、さわらぬ神にたたりなしということで見送っておいでになるのであるか、今後もしばらくお見送りになるつもりであるのか、その点をもう一ぺんお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/218
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219・杉原荒太
○杉原国務大臣 自衛隊をこれに出動せしめることの適否については、率直に申しましてまだ私疑問を持っております。しかし決してこれを国としてただ放置しておくべきものじゃないんです。これはあくまでも強く外交手段を尽すべきものであるというふうに考えます。そしてこれは私の領分を少し超えると思いますけれども、私見だけをちょっと申し述べることを許していただきますならば、その外交手段といたしましても、いわゆる李承晩ラインの問題というものを、単に李承晩ラインの問題だけ切り離して解決するというような外交方式をとるか、あるいは他の日韓間の問題とも関連せしめつつやった方がかえって李承晩ライン問題の解決に資するか、その辺のところはこちらとしても対策を考える必要があるのじゃないか、これは私見でございますが、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/219
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220・大坪保雄
○大坪委員 外交上のことをここであれこれ論議することは私も適当でないと思います。しかしながら事柄は急迫しているわけなんです。それでは長官にお伺いいたしますが、海上保安庁の警備船が何かで、日本の漁民が李承晩ラインで、たとえば朝鮮の駆逐艦なり警備艦に現に目の前で拿捕されつつある、そういうものを保護する力があるとお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/220
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221・杉原荒太
○杉原国務大臣 海上保安庁で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/221
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222・大坪保雄
○大坪委員 つけ加えますが、海上保安庁の警備船ではとうてい不可能だと私は思うんです。これははっきりしておる。しからばやはりそれより力のある、そうして本来日本人の生命財産を外敵の侵害から守ることを任務とする自衛隊の活動が必要であると私は思うわけでありますが、それができるかできないか、今やることが適当であるかどうかはしばらくおくといたしまして、これは自衛隊の活動の範疇に入ると長官はお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/222
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223・杉原荒太
○杉原国務大臣 非常にむずかしい問題でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/223
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224・大坪保雄
○大坪委員 お答えしにくいかもしれぬけれども、事態ははっきりしているんです。範疇に入るかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/224
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225・杉原荒太
○杉原国務大臣 範疇には入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/225
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226・大坪保雄
○大坪委員 これはあまり追及するのは私も酷だと思いますからいたしませんが、範疇に入ればやはり行動するということでなければならぬ。しかも自衛隊の隊員の覚悟としては、前々からそうでありますけれども、先刻長官は特に語気を強めて、あえて守る、こういうことを仰せられておる。それを日本の国民はたよりにしているわけなんですが、それが現実にできないんです。今何千人の者が抑留されています。まだ二百七十六人というものが残っているというのです。ゆえなく帰されない。船は九十一隻だそうです。しかも最近の待遇はきわめて悪い。これは漏れ聞くところだからわかりませんけれども、どうも鳩山内閣が北鮮と何かいんぎんを通ずるような気配が見えたということにいささかつむじを曲げたのじゃないかと思いますけれども、李承晩氏が、日韓会談において外交交渉が相当回復するところまでいかなければ、これは人質として置いて帰さないのだということを言っているということです。これは地方の新聞等にも載っておる。これは東京あたりにおっては非常に遠いことのように思われますけれども、現に朝鮮に抑留されている二百七十六人の人はもちろんのこと、この人たちを生活の支柱としている家族、あるいはその父兄、これらの心情を思うときに、私どもは現に同胞か理不尽にやられておるのに、いつまでも安閑として見のがしておけるかと思うわけです。私は自衛隊は力が足りないと思うが、海上自衛隊の方々は、たとえば公海上で韓国の軍艦なり警備船が日本の漁船を不法不当に拿捕する状況があれば、これに対しては排撃する行動に出なければいかぬ。出なければ私は片づかぬと思うのであります。その出る実力をやはり持たなければいかぬ。私はそういう点にかんがみて、一体防衛庁は兵力の増強ということを御計画になっているのかどうか、そういう点を実は心配もし、疑いたいのであります。再軍備反対とか自衛隊増強に反対する議論があるのです。左派の両君は反対するけれども、現実にわれわれの同胞が、世界万人常識のある文明人なら何らの異論のない公海上で日々理不尽にあるいは銃撃され拉致されておる。一体これをほうっておいていいと思うかどうかということであります。それにはそれを救うだけの、現実にこの権利の侵害を排除するだけの力を養うことが必要だと思う。そういう点について一体海上自衛隊の増強ということをお考えになっておりますか、その点を一つお伺い申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/226
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227・杉原荒太
○杉原国務大臣 今のお説の御趣旨は私も同様に考えます。そしてこれがむしろ現実にはその実力の発動なくしてそういう事態が起らぬようにいたしたい。こちらのある程度の実力というものは私は持つべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/227
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228・大坪保雄
○大坪委員 この点は私は問題を提起するという程度で質問を続けることはやめたいと思います。しかし目標がどこにあるか、ここにあるか、私どもは実は非常に心配なんです。先般総理にもお伺いしたのですが、総理もあいまいもことしていた。私は第一に防衛庁は鳩山総理の教育からやり直すべきだと思っております。しかしここでかれこれ言ってみても仕方がございませんが、現実にわれわれの同胞が生命財産を侵害されている。これを守るということをまず第一の目標にするくらいの気持で増強方策についてはお力添えを願いたい、こう思う次第でございます。おそらく海上自衛隊の諸君も切歯扼腕しておると思う。あなた方もそうだろうの思うのです。
次にもう一つこれも簡単にお伺い申し上げたいと思います。今度九州方面に方面部隊などをお置きになるようです。これはいろいろ御事情もあろうと思いますが、たとえば具体的な問題を取り上げて、対馬に外敵の直接侵略があったと仮定して、対馬の防衛は大体自衛隊でまかない得る状態でございましょうか。あるいは日米共同防衛の関係で米軍の出動を待つ、それこれ合せていいのでありますが、防衛は今日のところ大丈夫できるという自信を防衛庁の幹部の方はお持ちであるか、その点を代表的に長官から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/228
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229・杉原荒太
○杉原国務大臣 日米の共同の力をもってすればできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/229
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230・大坪保雄
○大坪委員 もう一点お伺いを申し上げたいと思います。私は国土の防衛というようなことは、十五万、二十万の自衛隊の力だけではとうていこれはできないと思います。これはどういう直接侵略があるか、あるいは間接侵略があるか、なかなか総じてみればいろいろの場合があるわけでありますけれども、とにかく日本に対する直接侵略があるとかあるいは外国の煽動、干渉等による直接侵略があると仮定いたしましても、今日の自衛隊の力だけではなかなか私はいかぬ、その背後に国民全体の——これは何人かの除外例はやむを得ませんが、国民全体の力で国土を守るという防衛精神にある程度徹しておらねばいかぬと私は思うのです。これに対しては、やはり終戦後非常に国民の思想が変っておりますから、守るに値いしない国であるなどといって、私どもは非常にりっぱな、世界に類例のないような景色のいいりっぱな国であると思っておりますが、そういうことを言って守ろうという考えなどとうていありません。絶対そういうばかげたことをやるべきでない、損をするからやるべきでないという考え方を持ち、放言をする者があるわけでありますが、これでは国土は守れない、国民に対する防衛思想の普及と申しますか啓発と申しましょうか、そういう点については長官はいかようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/230
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231・杉原荒太
○杉原国務大臣 今大坪委員のおっしゃいましたことは、私はほんとうに根本的に日本の防衛ということを考える場合、大事な点だと思います。またそういう点につきまして日本で非常にこれから努力を要する点があると思っております。そしてこれは防衛庁自体としても深く考えなければならぬところでございます。同時にこれは防衛庁の力だけでできぬ、いろいろな各方面の協力を願わなければならぬことだと思います。実は私今考えておりますのは、防衛庁としてそれじゃ具体的にどういう手段、方法でやるかというのを具体的に考えて参りますと、一つは今までの実績から考えまして、募集に当る地方連絡部というものを置いてあるところと置いてないところでは募集の実績というものが非常に違います。今確か全国に十七ヵ所ございますが、これを実は私、来年度はもっと募集の個所をふやしたいと思っております。これはまた予算等の関係で——実はその啓発、宣伝をやるための手段としての、たとえば映写機だとか、いろいろああいうのが実際は非常に有効なのでございますが、そういうような設備等も非常に自衛隊の方自体としては不十分であります。そういうのが非常に予算の制約からきているのでございますけれども、こういうのが私は非常に大事だと思いまして、来年度におきましてはそういう点は一つぜひ予算なとも相当認めていただきたいというふうに私はそう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/231
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232・大坪保雄
○大坪委員 ただいまの長官の御答弁は、大体自衛隊員の募集について、それに関連してのことのようであります。私の申し上げましたのは、一般国民大衆のことであります。隊員さんが何かやって下さるからいいのだというような考え方では十分でない、ましていわんや自衛隊なんというものはよけいなものであって、あれは国民の穀つぶしである、ああいうものをやめて、その費用でもって売春禁止法などを早く作った方がよいというような考え方もあるようです。非常に自衛隊に対して白眼視をする者が多いわけであります。こういうことでありますれば、自衛隊員だけでどんなに努力してもかたがつかぬのみならず、そういう人たちはやはり国土を守ろうという気持はおよそないと見なければならぬ。それでは私は困ると思うのであります。一般国民に一体どういうようにしたら自衛精神を持っていただくようになるか、そういう点についてどうお考えでございますか、または何かそれについて具体的なお考えでもお持ちになっておりますかということをお尋ねしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/232
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233・杉原荒太
○杉原国務大臣 確かにいろいろな方法が考えられなければならぬわけでございます。たとえば、今特に日本をめぐる国際の情勢というようなものがどういう状態にあるか、各国が自分の国を守るためにいかに努力しているかとか、そういうふうなことなど、また世界の情勢の今後の趨勢につきまして、必ずしもそう甘い情勢判断ばかりできぬ面もあるというようなことをいろいろ考えなければならぬと思います。実行手段としまして私は今すぐなかなか名案は浮ばぬのでありますけれども、しかしそういう点なおよく研究していきたいと思います。先ほど申しました募集に関連することでも、これは直接には募集でございますが、これは、実はそれに伴っての自衛隊として現実になし得るものでかなり有効な方法じゃないかと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/233
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234・大坪保雄
○大坪委員 ただいまの長官の御答弁の中に、国際情勢等も国民に説くことが必要である、なかなか情勢判断はそう甘いことばかりも考えておられぬというお話しでございました。最近新聞紙等で現われてくる世界情勢に関する報道記事等は、大体平和の方向に向おうとしておる。軍縮等もソ連あたり主張し出してきておるというようなことで、もうおよそ戦争とか侵略というものは、武器によるものはないじゃないかというような考え方が、私は相当一般国民の中にぴまんしつつあるんじゃないかと思うのであります。ほんとうに世界が平和になればこれに越したことはない、鳩山総理が大体そういうお考えのようで、私どもは実に甘いのに感心いたしておるのでありますが、幸いに長官は必ずしもそうでもないようであるから、どうか鳩山総理を一つそういう線、御教育を願いたいと思うのであります。同時に、そういうあなたのお考えで隊員も指導されるし、国民にも訴えていただくようにしていただきたい。以上御希望を申し上げまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/234
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235・江崎真澄
○江崎委員 これは私余分なことを申し上げるようですが、防衛庁の幹部各世もこの委員会へ出ていらっしゃって両面外交をやっていらっしゃる。社会党の諸君は済んだらすぐ帰ってしまったようでありますけれども、その質問に対しても、たとえば何ら共産主義対策なしだとか、あるいは今憲法調査会ももうじきかかるのですよ。かけていよいよ憲法改正しようといって、この内閣が一つの方向をはっきり打ち出しているのに、今の法文の上からの御答弁をたまわる。そういう形だというと、この審議はほんとうになかなか進みません。しからば六ヵ年計画はなしとして、まあやむを得まいかということでわれわれが民主党の諸君と同調しようと思えば、今日は飛鳥田委員から、わが日本側から提示せる六ヵ年計画云々というような怪文書を写真十数葉のもので提示せられて事の真偽を議論しなければならぬといったような、これも逃げ腰で答弁をするというようなことでは、われわれは一体どこまで協力して、またどこまで追究していいか、はなはだ御協力の仕方がない。こういうことでは、われわれは残念ながら完全野党の線を打ち出してほんとうにこれは議論するよりしかたがないことになります。そんな二万も三万もここで兵員を増強しようというときに、その指導方針もなければ、意思方向もない、法文通りで、共産党対策もない、民主主義を破壊するその対策も持たぬというような御答弁をぬけぬけと社会党の諸君にやっておられて、一体われわれ黙っておれますか。これははっきりおっしゃったがよろしい。そんなことは遠慮要りません。社会党の諸君が帰ってしまって残念ですが、むしろおった方がよい、そんなことに遠慮しながら両面外交的答弁をなさっておるならば、われわれは意地の悪いアメリカにならざるを得ぬことになるかもしれない。ほんとうですよ。ですからこれは一つ自衛隊としての方向をはっきりして下さい。そうでなかったら、私は隊員の士気を大きく阻喪し、影響するところがあることも考えられると思うのです。
以上、私幹部諸士に要望をいたしましたが、どうぞ委員長におかれても、答弁においてはっきりするところははっきりせられ、また自分の意思に沿わないと思う点については、これはやはりわれわれ民主党、自由党は理解する点は理解して傾聴しておるのですから、そういうときにまであいまいもことした逃げ腰答弁をしておられると、今度は逆にわれわれが了解できぬということになってくるのでありますから、少くともこの際、秘密保持といいながら、真偽のほどは知りませんが、いよいよこの防衛三法の審議を開始しようという朝には、朝日新聞のトップに、まだ大蔵省との折衝が始まっておらぬのに、来年度の防衛計画の大綱なんというようなものが抜かれてみたり——そんなことはあなた方の責任じゃないでしょう。真実とあるいは離れているということも言い得るでしょうけれども、事ごとにそういったこと、あるいは防衛六ヵ年計画はないと言ったとたんに、妙な写真や怪文書が現われるというようなこと、これは真偽のほどはわかりませんが、しかしそれにしても、今私もつぶさにあの写真を見ておると、あれは一応まことしやかなものですよ。そういうことは、この審議をほんとうに遅延させることになると思う。どうぞこの点は一つ委員長におかれても、政府与党の委員長であられますから、十分御折衝あって、われわれ保守陣営の者が満足して聞ける答弁がなされるならば、これは一つすみやかに、防衛三法は予算関係法案でありますから通したいと思います。そうでないと、いよいよこれは混乱に陥ってしまいますから、この点十分御注意をいただきたいと思いますし、委員長からも、特に御注意を喚起していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/235
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236・宮澤胤勇
○宮澤委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後四時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03719550709/236
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