1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十二日(火曜日)
午後一時二十五分開議
出席委員
委員長 宮澤 胤勇君
理事 高橋 禎一君 理事 辻 政信君
理事 床次 徳二君 理事 江崎 真澄君
理事 高橋 等君 理事 森 三樹二君
理事 田原 春次君
大村 清一君 林 唯義君
保科善四郎君 眞崎 勝次君
粟山 博君 山本 正一君
大橋 武夫君 田中 正巳君
田村 元君 船田 中君
松野 頼三君 茜ケ久保重光君
飛鳥田一雄君 石橋 政嗣君
下川儀太郎君 鈴木 義男君
中村 高一君 矢尾喜三郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 杉原 荒太君
出席政府委員
防衛政務次官 田中 久雄君
防衛庁次長 壇原 惠吉君
委員外の出席者
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
専 門 員 安倍 三郎君
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七月十二日
委員小金義照君辞任につき、その補欠として船
田中君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八一号)
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八二号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/0
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001・宮澤胤勇
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
自衛隊法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法の一部を改正する法律案、及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括議題として、質疑を継続いたします。
この際杉原国務大臣より発言を求められております。これを許します。杉原国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/1
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002・杉原荒太
○杉原国務大臣 この前の委員会におきまして、大橋、松野両委員から、防衛三カ年計画について案を示せ、こういう御要請がございました。六カ年計画につきましては、いろいろの困難によって遺憾ながらまだ成案を見るに至っていないということにつきましては、先般本委員会におきまして江崎委員の御質問に対してお答え申し上げたところでございます。三カ年の計画につきましては、本年度の予算において御審議をお願い申し上げました三十二年度にわたるジェット機の国内における組み立て生産の分は、計画が立ちましたので国会の御審議をお願いし、御承認を仰いだのであります。その他の部分につきましては、三カ年にわたっての計画というものは今日までまだ立てることができ得ない状態にある次第でございまして、その点御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/2
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003・宮澤胤勇
○宮澤委員長 松野頼三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/3
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004・松野頼三
○松野委員 昨日からきょうに引き続いて大臣にお尋ねいたしますが、大臣はもちろんこの法案は重要な法案だからぜひとも通したいというお考えなんでございましょうね。昨日の委員会の審議はごらんのように押し問答で、幾ら質問しても同じことで進まない。これがために一日流会という結果となったのであります。一つ本日は、われわれも一生懸命審議をやって参りますから、あなたの方でも一つ審議が進むような答弁をお願いいたします。
ただいまの答弁は、せっかく大臣が重要な発言をされるのだと思って私も拝聴しておりましたが、お聞きのように何ら重要性はないので、この問題は私はあとにいたします。なぜならば、われわれが常識的に考えますと、わが党内閣当時最も計画の立ちにくかったものは何かというと航空自衛隊なんです。航空部隊は自衛隊の中で一番あとから発足したという発祥の原因から言っても、航空部隊の発足ということが自衛隊における一番大きな難点だった。その航空部隊が三年先までわかっておって陸上がわからないということは、これは本末転倒もはなはだしい。われわれが内閣を作った当時の常識からいえば、あなたは何か隠している。一番計画が立ちにくく、航空が一番最後に発足したと同様に、航空部隊の計画は対外交渉においても問題が多かった。その方は三年先までわかっておって、一番わかりのいい陸と海がわかりにくいということは、あなたが何となしに国民の前に、またわれわれの前に大事なものを隠しているからじゃないのか。そこが本日までの審議が進まない原因なんです。六カ年計画がむずかしいなら三カ年計画をお示しなさいと昨日来言っている。ことにわかりいいのは陸と海のはずだ。ただいまは逆に空の方からお話になった。もっとわかりいい陸の方が話にくいということはありません。ことに本年の予算の対米交渉にあなたがこの問題をアメリカ側に説明しなかったという根拠はないはずだ。なぜこの委員会で隠すのか。できないならできない理由を、これはアメリカさんがこうだからできませんとおっしゃればいい。なぜ言えないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/4
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005・杉原荒太
○杉原国務大臣 三十二年度にわたりますF86とT33のアメリカ側からの部品等の供与による国内における組み立て生産の計画、この機数は先ほど申し上げました通りに、F86Fが約七十機、T33の方が約九十七機ということでございます。そうしてこれはアメリカ側との話し合いがなりますまでに、昨年の九月ごろからいろいろ経緯がございますが、一般にアメリカ側からの航空機の供与というものが、従来御承知の通り、完成機の供与を受けてきておる次第でございますが、日本側といたしましては、できることならばある程度日本側自身でも航空機の製造をしたいということを考えておりました。それからまたアメリカ側の方針といたしましても、完成機をいつまでも供与するということはそこに困難があるというようなことから、まずそれでは部品、治工具、そういうものを日本側に供与して、それによって日本の国内で生産していく、その間に徐々に日本側でもそういう飛行機を作り得る能力をだんだん作り上げていく、こういうことが日本側としても必要だ。そしてこれは申すまでもないことだと思います。航空機の防衛力というものは者ただ第一線機の数だけじゃないことは申し上げるまでもございません。まず航空機の生産力といいますか、そういうのが根底において必要なことは申すまでもございません。従いましてそういうふうな趣旨からいたしまして日本側の希望とそれからまたアメリカ側の希望も合致いたしましてそれじゃどの程度かということで、いろいろ話し合いがありました結果、アメリカ側としても今申し上げましたF86約七十機、それから、御承知の通り、F86Fのために絶対に必要なる練習機たるT33を約九十七機これを一括して日本側にその分だけの部品等の供与をしようということ、日本側としてもその程度のものを受けて、そしてこれを一挙にやろうとしますと、設備とか人とかを不当に大きくせにゃなりません。これでは非常に経済的になりません。それでこれを少し延ばしまして三カ年でやるという計画を立てた次第でございます。それじゃ日本の航空の防衛力を今後どれくらい増強するか、これは今松野委員のおっしゃいました通り、それは一番むずかしいことだと私も思います。いろいろな点から見まして、第一には、申し上げるまでもなく、防衛力そのものとしての価値が非常に多いにいたしましても、財政上の負担、またこれをやろうとしても一方技術的にも急にやれるものじゃない、またその要員等の養成にも相当長期を要する、そういうふうな事情にあることは申すまでもございません。そういうふうな次第でございまして、ちょうどアメリカ側からもそういう話もありまして、日本側としての希望も合致いたしましたので、さしあたりその分だけをやろうということに相なった次第でございます。
昨日私、大橋委員の御質問に対しまして一部ということを申し上げたのでありますが、その点私の申し上げたいと思う真意が、私の言葉のよくないために、私の言わんとする趣旨が少し徹底しなかったように思いますが、今後航空の防衛力はある程度増強していきたい、しかしそれじゃどの速度でまたどれぐらい——これは全般の財政負担等の関係からいたしましても、陸とか海とかとの関連も考えつつやっていかなければならぬことは申すまでもございません。従いまして三年にせよ、六年にせよ、航空自衛隊全体としての規模、内容等をどうするということはまだ成案を得るに至っておりませんが、しかしさしあたり先ほど申し上げました分については実施計画に移していこう、こういうことで御審議をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/5
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006・宮澤胤勇
○宮澤委員長 松野君、議長から委員会を休憩して本会議に入ってもらいたいという通告がありましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/6
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007・松野頼三
○松野委員 大臣、私の方は一生懸命審議を進めようと努力しているのですから、答弁の方も私の質問に合して答弁していただかないと困る。あなたのただいまの答弁の中の、航空機は三年計画で全体なんですか。やはりこれは三年計画の一部なんでしょう。あなたの答弁は何だか、昨日は一部といったけれども、一部じゃない、全体だとおっしゃる。それでは航空機は三年計画の全体なんですか。航空機もやはり三年計画の一部なんでしょう。そういうふうにしてむずかしい航空機のほとんどの問題を今日解決しておきながら、なぜあなたの方の大事な兵力の数字を明示されないのですか。あるいは世間では民主党は徴兵のために憲法改正をするという非難さえ受けておる。それはなぜかというならば、何十万ふやされるかわからないというこの疑惑が、今回あなたの方の憲法改正に対する疑惑なんです。五十万にするのか百万にするのかわからない、本年は三万、来年は三万ですか、同じ数字でいくのか、何年先までいくのか、これが今日最も大きな問題です。あるいは一時アメリカの要請では三十六万といわれた例もある。そういうところにいろいろな焦点が来ておるのだから、私は少くとも六年計画ができなければ、少くとも三年計画までは陸上はあと八万ふやしますというなら八万、数字が違ったからといってもこれは計画ですから、あえて私も主張しない。しかし最も大きな問題、この防衛庁の本日の改正案の最も焦点はそこなんです。今年だけ出せばよいのではない。最も大きな観点は、何年先どうなるかが大きな問題です。
それではもう一点別な方面からお伺いいたしますが、防衛特別委員会、すなわち自由党、改進党当時の防衛に対する一応の方針をきめたものは大臣は御存じですね。当時は自由党におられたからわが党と一緒です。御存じのはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/7
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008・杉原荒太
○杉原国務大臣 本年度の増強計画を御審議願いますためにも、相なるべくは長期の計画について政府として成案を得てそれをごらんいただきまして、その上で審議いただくというのが本来の筋合いと思うのでありますが、この委員会でたびたび申し上げておりますように、各種の困難がございますし、今日まで政府として責任をもって申し上げ得るまでの成案を得るに至らない点、私自身としても非常に残念に思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/8
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009・松野頼三
○松野委員 この中には御承知のように、これは当時改進党ですが、航空自衛隊一千五百機、人員九万、陸上自衛隊十万人、海上自衛隊十七万四百トン、人員四万人、これほど明示してある。これは一つの政党の政策とはいえ、政党でさえこれほど熱心なものを作っているのに、あなたの職責において何です。政党でさえこういう詳細なものを発表しているのに、その職にあるあなたが、いまだに一言半句も言わないということで責任が全うできますか。恥かしくはないか。これは言葉は失礼ですけれども、あなたは恥かしくはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/9
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010・杉原荒太
○杉原国務大臣 実は長期の計画ということは口にするほどやさしいことではないということは、初めからよくわかっておるところでございます。しかし、その方がむずかしくてもやはりよいと考えまして、政府といたしましてはそれを作るという方針でやってきておる次第でございます。しかし、今日まで各種の研究を重ねてきており、また自由党内閣時代に非常に御苦心になっていろいろ御研究に相なった、そういうものは非常に貴重なるものだと私は今でも存じております。なおこれからさらに研究を重ねまして、そうして政府がほんとうに責任を持って申し上げ得るような案を作るために努めたい、こう考えております。申し上げるまでもなく、国会に対して政府が申し上げるときには、非常に責任を持てるような案でなければならぬことは申すまでもございません。今日までその意味の成案を得ておりませんのを残念に思います。できましたならば、これはぜひ国会においても御審議を願わなければならぬと考えておる次第でございます。御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/10
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011・松野頼三
○松野委員 ただいまの言葉の中にもあるように、政府としては重大だ、改進党はこんなものを軽々に発表したのでありますが、改進党はいいのですが、政党はかまわぬが、政府は大事なんだ。言葉の端を取り上げるのではありませんが、しかし、もう一ぺんお伺いいたしましょう。大体これは十六万五千ということが書いてあるが、あなたの計画の中では十六万五千より上か下か。いわゆる三年計画の中では十六万五千より上か下か、それくらいは言えないことはないでしょう。これは改進党と自由党がともにやったこともある。これはわれわれの政党においても重要なものだ、これを参考にして、あなたは今日防衛計画が簡単にできないというならば、十六万五千より三年先に上か下かくらいは言ってもよいでしょう。あなたも政党人だ、大臣は特別な特別職ではない。政党は軽々に発表してもいいが内閣は大事だ、そんな侮辱した話があるか。それじゃ政党の案の方がりっぱじゃないか、十六万五千より上か下か、それくらいは言えそうなものだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/11
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012・杉原荒太
○杉原国務大臣 そういった点がきわめて困難でありますので、実は今日までもきめ得ない状態にある次第でございますから、数字的にどうということは遺憾ながらまだ申し上げ得ない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/12
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013・松野頼三
○松野委員 重ねてお伺いしますが、あなたのようにそうわからないわからないとばかり言われても審議は進まない。それではこの法案は、あなたが言うほどそれほど重要な法案じゃないのですか。ただいま政府で出しておられる防衛庁設置法の一部改正法律案は、その程度の答弁で通るような、重要な法案じゃないというのですか。それではこの法案に対するあなたの信念はどうですか。この法案が通らなければどういう支障を来たすか。それほど重要でないというならば、われわれは審議の過程においてもっと考えなくちゃならぬのだが、あなたが、その程度の答弁でもって今これを通せというならば、この法案が重要ではないということになる。不明確のままで通せということになる。どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/13
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014・杉原荒太
○杉原国務大臣 この長期の計画につきましては、たびたび申し上げている通りでございまして、これにつきましてはなお研究を重ねていきたいと思うのでありますが、遺憾ながらまだ今日までそれができませんので、三十年度につきましては、さしあたり三十年度分だけを切り離して計上いたしました次第でございます。これは、日本の用の防衛のために三十年度においてこ九だけのものはどうしても必要だと存じまして計上いたした次第でございまして、どうかこれを一つ御審議いただきまして、一日も早く成立させていただくようにお願いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/14
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015・松野頼三
○松野委員 それほどの御趣旨ならば、なぜ審議するような答弁をされて、審議するような材料をお出しにならないかというのです。これは本年は明細なものが出ておりまして、何百何十何人まで出ているが、来年何百何十何人まで出せというのではない、三年先に十六万五千人より上になるのか下になるのかというのです。そのくらいのことをあなたはお考えにならずに、本年だけ審議しろと言われても、そんなばかなことができるわけがない。国民の一番の疑惑はどれくらいのものを作るかということなんです。それがこの法案の重要な問題じゃないか。その重要な問題を抜きにしてこれを審議しろ審議しろというならば、これはただ眠っていて判を押せというにひとしい。断じてそんなことはできません。そんなめくら判を押すということは、党派を越えても断じてできません。その通りじゃないですか。あなたの答弁は、あとで自分で速記録をお読みなさい、おれでもこんなばかなことをよく言ったものだという時代がくるかもしれない。とにかくあなたの明示がない以上この法案の審議に入れない。入らなくていいという答弁をあなたはされている。それほど熱意があるならば、われわれの質問に対する明確な答弁をなさい。何千何百何十何人まで言わないでいいから、十六万五千より上か下か。十六万五千より上か下かというのは、自由党、改進党の当時作った政党の一つの試案があって、この上に立ってこの内閣はできており、当然この政党の基盤の上にあなたは立っているのであるが、それよりか上か下かも言わない。政党は勝手な放言をしていいが、内閣は大事だ。この委員会であなたがこの審議を進めるというならば、それを答えて下さい。それでなければわれわれはこの審議はできませんよ。答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/15
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016・杉原荒太
○杉原国務大臣 確かに、松野委員が先ほどからおっしゃいますように、漸増というが一体どれくらいになるのか、その辺のところがきわめて不明なので、そこにいろいろ国民が不安を持つ、その通りだと思います。従いまして、その点からも考えまして、実はこの長期計画というものはいろいろの困難な要素があるけれども、大体の一つの計画というものを立てた方がよいだろう、こういうところから実は長期計画というものを立てるということに相なっておる次第でございますが、おそらくもともとの趣旨が、日本はそう大きな、ことに攻撃的な態勢の軍備というようなことを考えておるのではなく、全く日本を守るために最小限度必要で、しかもそれがアメリカとの集団自衛というものを前提にしていたしたものでございますから、おそらくそう過当に大きなものではない。また能否の点からいたしましても、日本の国力、財政状態というようなものはそう無理じゃない。
それから今改進党の案についてのお話がございましたけれども、私よくあの事情は存じませんが、改進党に一つの特別の委員会ができて、その特別委員会の一つの案としてきまったように聞いております。改進党全体としての方針であったかどうかは私は存じませんが、その案は私も拝見いたしております。そうして、拝見しての私の個人的な一つの感想を申しますと、あれには航空の方を非常な重視されて、そうして実際の計画の数字の上でも航空というものが非常に多くなっているように思います。航空というもの、防空というものの価値ということは、おそらくだれしも今認めることだとは思いますが、一方財政状態その他の観点、また日本がただ自分の国一国だけで日本を守るということはとうてい考えられない。この辺のところからいたしまして、いろいろアメリカとの今後の共同防衛のあり方とか、そういう点も考えて計画をすることが適当じゃなかろうか、そういう点から見まして、私自身の一応の観測といたしましては、改進党案のこの航空の方は、あるいは日本の国力等からいたしまして少し負担が重過ぎるのじゃないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/16
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017・松野頼三
○松野委員 改進党のいわゆる五カ年計画の千五百機は多過ぎるということだけはわかった。それでは陸上自衛隊の十二万というのは、あなたの御感想はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/17
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018・杉原荒太
○杉原国務大臣 改進党のその特別委員会の案は、陸上勢力の構成について非常な特異な一つの案だと思います。たしかそれには中央軍というのと地方軍というのとに分けてその地方軍というものは非常に独自性のあるもののように私は拝見いたしております。そうしてそれを合せての勢力ということを考えておられて、私それを見まして、実際のただ数だけじゃなく、果してこれで地方軍の防衛力が一体どれくらい出るか、実は改進党の案を見ましても、非常にわかりにくいところがあるようでございます。従いましてそこの数字だけでこうということは非常に判断がしにくいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/18
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019・松野頼三
○松野委員 これはこのまま読みますから、その上で御答弁下さい。少しも私の意見を言わずに読みます。陸上自衛隊の中央軍九個師団基幹、うち五個師は機甲部隊、人員約十二万人、別に地方自衛隊として平時六個の幹部師団を置き、短期教育の任務に当らしむる、こういうわけなんです。ただいまの大臣の答弁と少し食い違っておる。もちろんお読み違いもけっこうです。十二万というのはいわゆる中央軍九個師団、こう書いてある。これについてはどうなんですか、こういうわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/19
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020・杉原荒太
○杉原国務大臣 いわゆる中央軍だけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/20
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021・松野頼三
○松野委員 中央軍九個師団基幹、うち五個師は機甲部隊、こう書いてあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/21
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022・杉原荒太
○杉原国務大臣 そうしてしかもそれは十二万の中に五つの地方部隊が入るように私は思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/22
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023・松野頼三
○松野委員 入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/23
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024・杉原荒太
○杉原国務大臣 十二万というのは、それを今後の計画と比較いたしますれば、御承知の通りすでに十三万に相なっておる次第でございますから、ちょっと比較にならないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/24
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025・松野頼三
○松野委員 別に地方自衛隊として平時六個師団の幹部師団を置く。この辺が少しふえてきているのです。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/25
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026・杉原荒太
○杉原国務大臣 そこが先ほど私申し上げた次第でございまして改進党の独創性といいますか、非常に特異な案だと思うのであります。それは私正確に理解しにくいようなところもありますけれども、一応その案から見ますと、まずいわゆる地方隊の常置すべき一つの部隊を設けて、そうしてさらにそれが今度志願者を養成する、こういうのを合せたもののようになっておるようでございまして、しかしその辺のところが、実はそういうのを合せてみて、それがほんとうの防衛力として一体どれくらいの勢力になり得るものか、たとえば中央軍との比較においてみますと、一方の一個師団が他方のどれくらいに当るか、その辺のところが実は私よく判断がしにくいと思っておりまして、比較はなかなか困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/26
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027・松野頼三
○松野委員 その次に今度は海上自衛隊の艦艇約十七万四百トン、人員約四万人、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/27
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028・杉原荒太
○杉原国務大臣 海上自衛隊の整備ということも日本の地理的の事情等から見まして、やはり私はある程度必要だと思います。しかもこれは主として護衛とか掃海とか港湾防備とか、そういった点からいたしまして、ある程度の増強は必要だと思いますが、しかし御承知の通り海の方は非常に経費もかかる、また要員の養成にも非常に長期を要する、こういう性質のものでありまするし、これを果して実際の防衛上の必要と、それから日本の財政力等とにらみ合せてどの程度にするか。これはもちろん他の陸上自衛隊、海上自衛隊の関連も考えなければならぬので総合的にきめなければならぬことでございますが、果して改進党のそこの案にあるようなことを六カ年計画で、必要はかりに認めても、一体現実にやれるかどうか、私は非常に疑問だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/28
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029・松野頼三
○松野委員 ただいまの答弁にありましたように、結局それでは金の問題であなたは六カ年計画と三カ年計画というものを発表されないのですか。もし発表するときには金の心配もされてあなたは発表されるのですか。計画というものはそういう精密なもので、あなたがただいままで発表されないというのは金の見通しがつかないから発表されないという新しい言葉を使われた。金の見通しがつかなければ絶対長期の防衛計画もできっこないじゃないか。あなたは防衛計画はただいま研究中だとおっしゃる。研究中のものは、それでは六年先の財政まであなたはお考えの上で研究されるのか、そうではないでしょう。自分の担当の防衛上の必要のために六カ年計画、三カ年計画を創案されておるはずである。だからあなたは逃げなくてもいい。ちゃんと書いてあるのだから、あなたの立場で日本の国を平和にし安全に守るための兵力として、海上はどの程度必要かということを聞いておるのです。金がない、金がないと言うが、金は大蔵大臣に聞きますから、あなたの立場としては御心配なしに、またわれわれも予算委員会で十分財政は審議するのですから、そのときに協力する。日本の国の安全と独立が一番大事なんだから、われわれはどんどん協力します。あなたの立場として最も大事なことは、日本の安全と独立を守ることである。それがために海上が必要である。必要にきまっておる。できておる。あなたが作ったのじゃない。自由党が作ったのです。従って今後これを増強しようという段階をあなたに聞いておる、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/29
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030・杉原荒太
○杉原国務大臣 これは私から特に申し上げるまでもないと思いますが、この防衛計画を作りますに当りましては考慮すべきファクターは、重要なファクターがいろいろあると思います。ただ単一のことだけできめられないことは言うまでもありません。防衛上の必要、それからいわゆる国力、財政力、また現実の問題といたしまして、アメリカ側との現状等の関係というようなこと、また先般の国際情勢とか、そういったいろいろの非常に重要な考慮を複合してそこに考えなければならぬことは、これはもう私から申し上げるまでもないことでございまして、そういう点からいたしまして、今おっしゃいました点のことは、防衛庁長官としては、ただ防衛上の必要だけ考えればいいという御趣旨じゃないと思いますけれども、当然のことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/30
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031・宮澤胤勇
○宮澤委員長 この際暫時休憩いたします。再開の時刻は本会議の模様によりましてあらためてアナウンスいたします。
午後一時五十九分休憩
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午後二時四十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/31
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032・宮澤胤勇
○宮澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
暑中の折柄、上着を脱いで質疑応答することにいたしましょう。松野頼三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/32
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033・松野頼三
○松野委員 先ほどの質疑に引き続いて防衛庁長官にお尋ねします。結局先ほど論議いたしましたのは、政府案は重要だ、政党案はどちらでもいいという発言から、それでは政党案の方をあなたに批判していただこうというところで会議が始まろうとした。従って私の論点は、第一点の航空自衛隊の保有の一千五百機、これは多過ぎる、これだけはわかった。陸上自衛隊の十五万、これも何だかあいまいだ。海上の方は十四万四百トン、これより上か下か、海上は必要だと思います。まことにあいまいもこたるものだった。航空だけは、あなたはそれほど御関心を持っておるなら、それでは航空だけは三年計画はあるのですか。あとの方は御関心がないようですが、航空だけはやるのですか。一千五百機が多いということならば、それでは千機ですか。航空だけは御構想がありそうだ。航空の構想が、一千五百機が多いというならば、千機より上か下か、これをお聞きしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/33
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034・杉原荒太
○杉原国務大臣 航空ということが防衛上きわめて大事であるということは、申すまでもないことと思います。従いまして、わが国といたしましても、今後ある程度の航空のことは整備していく必要があると思います。ただその際、特に考慮を要すると思いますことは、特に航空の方は先ほども申し上げましたように、日本の国力、財政力等からいたしましても、非常な制約が出てくることは申すまでもございません。それからまた、今後アメリカとの共同防衛の体制をとるというとき、それとの関係ということからいたしましても、それとの関連において、日本としての持つべき部分というようなことを考慮に入れて考えていかなければならぬことだと思います。そういう点からいたしまして、日本として、どれくらいのものを持つのが一体適当かということは、せっかく検討、研究を重ねておる次第でございまして、それではその保有機数はどれくらいという点につきましては、まだ結論を得るに至っていない次第でございます。それからさらに、先ほどもちょっと触れましたが、これはただ一千機の機数だけで航空の力というものにならないことは言うまでもないことでございますから、日本としてのある程度の航空機の生産力というようなことに関連して考えていかなければならぬことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/34
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035・松野頼三
○松野委員 航空は機数については言えないと言われると、人員の計画はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/35
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036・杉原荒太
○杉原国務大臣 人員につきましては、航空機の要員の養成ということが、まず先決問題として非常に大事なことだと思います。これを今後どれくらいの人数にするかということは、おのずからどれくらいの航空の防衛力を持つか、機数にしても、それがどれくらいのものになっていくか、またその機種等にもよりますし、その辺のところを考えてやっていかなければならぬことでございますから、まだ人数を幾り幾らというところまでの考え方をきめるに至っておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/36
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037・松野頼三
○松野委員 これはこの前も当委員会出たと思いますが、三月十四日発表した防衛庁の基本構想の防衛六カ年計画、陸上十八万、海上十二万、実用機七百機というこの御構想は、あなたの方は御存じですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/37
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038・杉原荒太
○杉原国務大臣 私の聞いておりますところでは、防衛庁において発表したとは今までないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/38
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039・松野頼三
○松野委員 この問題は相当詳細に出ております。これは新聞紙上のことですから、新聞はうそを書くというのですか。この新聞は全然虚偽だとおっしやるのですか。多少でも根拠があるならば、ある程度お示しを願いたいと思います。あなたとお話をしているとだんだん審議がおくれてしまう。この私闘は全然うそを書いたということでか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/39
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040・杉原荒太
○杉原国務大臣 私は新聞の記事についてかれこれ申し上げるのは差し控えたいと思います。ただはっきりと申し上げようと思いますことは、これは特に私確かめたのでありますけれども、防衛庁として発表したということはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/40
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041・松野頼三
○松野委員 防衛庁として発表したと言っておるのではない。こういう構想があなたの方にあるのかないのか、こんなものは全然ないのか、あるけれどもどこかから漏れたというのか、一時こういうものが試案としてあったのか、それを聞いておるのです。どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/41
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042・杉原荒太
○杉原国務大臣 今までずっと自由党内閣時代から研究を重ねてきておる、現内閣になってもさらに研究を重ねておる、こういうことでございまして、新聞記事をもとにしてかれこれ言うことは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/42
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043・松野頼三
○松野委員 私はあえて新聞の記事を言っておるのではない。新聞に出ておる十八万の陸上部隊、十二万の海上部隊、こういうものがあるかないかを聞いておる。ないということならば、この新聞はでたらめを書いておることになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/43
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044・杉原荒太
○杉原国務大臣 たびたび申し上げておりますように、防衛庁としても、申し上げることができるまでの成案をまだ得るに至っておらない次第でございますから、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/44
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045・松野頼三
○松野委員 十二万人の十五万トンというこの案は、成案は得ておらないが、こういう計算が一ぺんあったかなかったかということを聞いておるんですよ。成案を得ておらないということをたびたび聞いておる。成案の途中でこういう試案でもあったのかないのかということを聞いている。なかったならばこの新聞は大へんなうそを書いておるのです。成案がなければ試案でしょう。そうなんでしょう。こういうものがあったかないかを私は聞いておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/45
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046・杉原荒太
○杉原国務大臣 いろいろと今まで研究を重ねてきておりますが、この数字でこうだということを申し上げるようなものは、まだそこまで至っていない次第でございますから御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/46
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047・松野頼三
○松野委員 それではあなたは数字的な計算は一ぺんもしたことがありませんか。どういう資料に基こうとも、どういうことによろうとも、数字的研究は一ぺんもしたことがないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/47
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048・杉原荒太
○杉原国務大臣 それは研究でございますから、当然に数字的にも検討を加えて参っておる次第でございますが、まだ申し上げ得る程度の結論、成案を得るに至っていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/48
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049・松野頼三
○松野委員 あなたは成案は得ていないということはたびたび言われるが、そういう研究をしたと言われるその研究で、どの点が工合が悪くて、どうしてそれを発表されないのか、その論拠をお示し下さい。こういう数字を調べた、百万、五十万、三十万、二十万と調べた、しかし百万は財政上無理だろう、五十万はまだ無理だろう、二十万ならよさそうだ、そういう案が、研究された以上はありそうなものだ。研究されたならそういう数字が出ているはずだ。その数字の説明をすればいい。百万はまだ日本としては無理だ。五十万は財政上無理だ。三十万はどうだ。研究されたならその研究の中間報告をされたって、あなたに対する責任問題が起るものじゃない。だれにあなたは気がねをされているのか。内閣総理大臣に気がねされるのか、アメリカさんに気がねされるのか、国民に気がねされるのか、だれにあなたは気がねされているのか。それがきのうから今日までの論議の焦点です。ことにあなたは精鋭にして有効なものを作るとおっしゃっている。精鋭にして少数で最も有効な防衛力を作るというが、それでは五十万は精鋭にして少数ですか。それでどうなんです。そういうふうにして聞いていかなければあなたの答弁が出てこないから、今日この問題の論議がこんなに紛糾している。それではあなたの発表するところの精鋭にして少数——これはあなたの発表ですよ。精鋭にして少数にして最も有効なというならば、五十万という数字はどうなんです。一々どの部隊どの部隊ということは、あなたはいまだに成案を得ていないというならば、陸上部隊だけ聞きましょう。陸上部隊の三十万というというのはあなたが昨日から答弁されている少数にして精鋭にして有効な防衛力の範囲かどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/49
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050・杉原荒太
○杉原国務大臣 松野委員からのたびたびの御要求でございますが、まだ遺憾ながら数字的にこうだということは申し上げかねる段階でございますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/50
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051・松野頼三
○松野委員 しかしあなたは数字的に研究されたのは当然だとおっしゃる。その当然なものを私は聞いているのです。それをなおかつ発表できないというのは何のために発表できないか、理由でもおっしゃって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/51
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052・杉原荒太
○杉原国務大臣 私はこう信じております。政府が国会に対して言うときは、これはほんとうに政府として責任を持ち得るものでなければいかぬと思うのであります。それが国会を尊重するゆえんだと思います。そうでないものを申し上げるということは、私は決して国会に対する責任を果すゆえんでない、こう信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/52
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053・松野頼三
○松野委員 しかし、御承知のように、国会の審議を経ない重要な法案、予算というものはないのです。いかに内閣が信じたといえども、国会がこれを是なりとすれば予算は修正されるじゃないか。同様にわれわれだってやはり政党としての責任がある。あなたの責任ばかり重んじて、政党はかってに発表していいんだ、政党の方はいつ発表したっていいんだ、おれは責任があるという片半端な議論はやめにしていただきたい。あなたにも責任があると同時にわれわれも政党人として責任がある。対等じゃないですか。われわれの方が下であなたの方が上なのですか。責任においてそんなに上下があるはずはないじゃないですか。あなたの発言は不穏当だ。自分の方は大事だ、政党の方は自由だから発表してもいい、これは不穏当だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/53
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054・杉原荒太
○杉原国務大臣 私が申し上げております趣旨はそういうふうな趣旨でないことは当然でございまして、まだ政府としてほんとうに責任を持って申し上げるまでの成案を得ておりませんので、それを得ましたならばむろん国会にも御審議をお願いするということに相なるもの、そういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/54
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055・松野頼三
○松野委員 しかしあなたはつい先般当委員会で、成案ができなくても適宜発表いたしますということをここで公言されておる。全部が発表できなければ一部発表なさい。すでに航空機に関してはあなたは相当のことをおっしゃっておる。千五百機は多過ぎるということをおっしゃっておる。それじゃ千五百機以下だということは、航空機に関してはわかってきた。国民が一答関心が深いのは今度の憲法問題、防衛庁の論議をいたしましても、大体御承知のような現在の憲法の中で、われわれの方は軍隊と呼んでよろしいという統一解釈はすでにできておる。それでは現憲法内において何十万、何百万車隊を置かれるかということは全国民の不安なのです。あなたが進んで三十万、三十三万と数字が出なければ、三十万程度でよろしいなら三十万でよろしいとおっしゃればいい話なのです。これは全国民に対するあなたの義務じゃないか。成案ができなければできないところの構想を発表されることがあなたの国民に対する義務じゃないか。あなたの責任を追及しているのではない。全国民の疑惑をこの際この法案を通じてはっきりなさいというのです。あなたの方の答弁が無理なんだ。あなたは数字的研究はされたとおっしゃる。成案ができていない、それじゃ中間の素案であり、こういう構想もあると、二、三の構想を並べることは今日において可能なことじゃないか。あなたの方の責任は大事だ、一言半句もそれを言わない、政党はかってに数字を発表してもいいというわけには参りますまい。国会における審議は対等なのです。どうです、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/55
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056・杉原荒太
○杉原国務大臣 成案を得ましたならば適宜発表申し上げるつもりでござい出す。そのことは当委員会におきましても先般申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/56
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057・松野頼三
○松野委員 その程度でこの法案を通せというならば、この法案はいかにもずさんな上に基礎を置いた法案としか見られない。ほかの法案とは違いますよ。防衛庁の法案は各省設置法とは違うのですよ。防衛庁が三万本年人員をふやすというなら、来年はどうだということを聞くのは当りまえだ。ことに内閣はすでに来年度予算の構想を練っていらっしゃる。七月、八月といえば大蔵省では来年度の予算交渉を始める時期だ。来年の構想はわかっているはずだ。予算外契約を受けた三十二年まではわかっているはずだ。そこが今日この論議の焦点だ。政府の不誠意であり、あるいは国会軽視であり、しかもこの審議のずさんはあなたの責任じゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/57
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058・杉原荒太
○杉原国務大臣 本年の予算におきまして予算外契約の御承認を得ております分につきましては、はっきり申し上げた通りでございます。これについてははっきり来年度、再来年度の分にわたるものについても申し上げておるわけでございます。その他の点につきましては、本年度の増強計画に伴うこの法案の御審議をお願い申し上げておるような次第でございまして、来年度幾ら幾らというそういうようなことも、今これをこうだというふうにきめるところまでの段階に至っていない次第でございますことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/58
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059・松野頼三
○松野委員 防衛庁は本年の予算の折衝の際に、日米防衛分担金交渉の際に、日本の防衛計画の方針というものをアメリカ側に懇談された覚えはございませんか。あなたがされたことがなければ、外務大臣を通じて日本の少くとも本年以後の、いわゆる将来の三十一年、二年、三年に関して一言半句も——あなたはそれではアメリカ側に今と同じような答弁をされたのですか。いずれこの問題は、あなたでなければ外務大臣を呼んでお聞きするつもりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/59
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060・杉原荒太
○杉原国務大臣 折衝の任に当られた外務大臣から、この防衛計画につきましてはこういう趣旨で申しておられます。それは共同声明にありますこと、それから政府としてはこれから長期計画を立ててやっていく方針であるということを、その当時において、最近そういう方針にきめたということは先方にもはっきり申しておられます。そうしてそれは前後の関係を多少申し上げた方がいいと思いますが、分担金交渉の際にまず御承知の通り、安保条約に明示せられているように、日本側が日本の防衛について漸増的に責任を負うことを期待するということがございますが、それを受けて日本政府としては自衛力を漸増するということを基本的な方針としている、そうしてこれがために長期計画を立ててこれからやっていくということに最近方針をきめた。しかるに一方においては、日本の現実に直面している財政的の困難、ことに三十会計年度というものは、日本経済の安定上きわめて重大な時期であるから分担金の減額を要請する、こういうような筋合いで外務大臣からお話しに相なっておりまして、その結果アメリカ側でも了承してあの妥結を見るに至った次第でございます。詳細はもし何でしたら外務大臣からお聞き取りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/60
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061・松野頼三
○松野委員 結局アメリカ側にはあるような顔をして実はない、日本の国民にはないような顔をして実はあるのでしょう。それが本心じゃないですか。その将来の防衛計画がきまらないから防衛分担金がなかなか難航したことは事実なんです。これはわれわれも自由党内閣当時同じような悩みをずっとやってきている。やはりある程度の長期計画がなければ、アメリカと会計年度が違う、予算のズレが出てくる。また日米交渉におけるMSAの年度の会計も違う、ずれてくるが、年がら年じゅう日本の予算年度と同じにはアメリカは切れない。そのために二年なり三年なりの計画、方針というものがなければ外交交渉は進まぬことは事実なんです。あなたの言われている来年あるいは再来年までの三年間という予算外国庫契約をするならば、あなたは何らかその意図を伝えて交渉をやられたにきまっている。どの条文を見てもどの項目を見ても、それが過去の経験から行ってその通りなんだ。それをいい悪いを言っているのではない。それをあなたはなぜ隠すのか。今日は私は一番いい機会だと思う。先ほど三十六万という数字を出しましたけれども、ある時期には三十六万という数字が出た。しかし当時まだ日本の国力としてははなはだ微力で、とてもこれにたえる状況でないからというので、アメリカ側にそんなものは無理だと拒否した例も過去の内閣である。そのようにあらゆる面において、もう今日ぼつぼつ国民は陸上兵力を中心に——ことに憲法改正問題が出てくるならなおさらのこと、この時期に発表することがほんとうのあなたの内閣の姿でなければいけない。私は数字を発表せよといって、それによって大きい少いを論議して突っ込もうというのではない。今日これほどいい機会にあなたが発表しないその真意が那辺にあるか、われわれはこの法案について非常な疑惑を持つ。今日これほどいい機会はないと思う。ことにお宅の方と自由党の方とはある意味においては提携したことがある。しかしこれほどわれわれが真剣になって言うのに、お宅の方は、この問題が大事なときに、これは一民主党のみならず、将来ともに国民の上に大きな影響を持つものだ。従って日本の少数精鋭にしてしかも日本の国民を平和に安全を守るということはどの程度かということは、お互いに一応の概念というものを持っているはずだ。それを持ってあなたは長官に就任された以上、今度は技術的に防衛庁長官として数字をおはじきになるのが当然である。どこがきまらないのか。二十五万なら二十五万、二十五万の発表ができないのはアメリカの武器の問題があるから発表できません、これも一つの案でしょう。あるいは財政の問題があるからできません、これも一つの案でしょう。しかしあなたのように、この審議をわれわれを全然めくらにして通そうというところにこの問題の焦点があるのです。わからないならわからないで、どこができないならできないで焦点を言えばいい。国会は何もあなたをいじめる場所ではない。国民のために代表として大いに審議する場所だ。なぜあなたはそれを隠される。委員長、もうこういう状況では審議はできません。この状況では私は断じて審議できません。きのうから今日まで二日間一歩も進んだところがない。何ら政府の反省がない。一つも大臣の誠意が見られないじゃないか。私はこの状況ではこの審議は絶対に進めません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/61
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062・杉原荒太
○杉原国務大臣 ただいま松野委員の御質問のお言葉の中にもございましたが、そうしてまたこの間もこの委員会で申し上げましたが、まだ成案を得るに至っておりません。その理由といたしましては、一つにはアメリカ側の援助等の関係が非常に大きなものであるということは、この間も申し上げた通りでございます。また財政上の関係などは、ほんとうに慎重の上にも慎重を期していかなければならないことだと思います。そうして先ほど申し上げましたように、分担金交渉の際は、これからこの長期計画を立ててやっていくという、そういう方針を最近きめたということを重光大臣から先方に言っておられるのでありまして、先方としてもすでにきまっっているとか、決してそういうように言っていないことは当然なことでございます。なお重ねて申し上げますが、アメリカ側におきましてもいろいろと今研究をしていることと思います。私はそう申し上げることができます。そうしてそういう関係もよくあわせ考慮しまして、一つ政府はやっていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。一つよろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/62
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063・松野頼三
○松野委員 アメリカ軍の撤退を目標としてこの防衛計画を立てられていることは事実でございますね。一応数字は別として、アメリカ軍の撤退を目標にあなたは防衛計画を進められているのですね。その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/63
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064・杉原荒太
○杉原国務大臣 アメリカ軍の撤退とり関係ということは非常に重要なことだと思います。この防衛計画を立てます際も、とにかく日本の安全ということが根本でなくてはならぬことだと思います。その見地からすべて考えていくわけでありますが、その中においてアメリカ軍の逐次撤退、ことに地上宙の撤退を可能ならしめるということは、今度の計画を立てていきます際に、非常に重要なことであります、それがためにはただ撤退々々と言うだけでは私はいかぬと思う。日本の安全ということがやはり私は大事だと思います。それを中心に考えなければいかれと思いますが、その安全と矛盾しないところでアメリカの地上軍ができるだけ早く撤退するということが国民感情に一致しているし、またアメリカ軍も希望しているところであると、そう思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/64
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065・松野頼三
○松野委員 日本の安全の上に立ってなるべく早くアメリカに撤退を要求する、それに応じて自衛隊を増強する。この辺までははっきり私の意見とあなたの意見は進んだ。そこで、あなたが今日発表しないという理由は、いつアメリカが撤退するかわからないから計画は立たないという論拠だ。アメリカ側、アメリカ側とおっしゃると、それが根本方針なら、アメリカの計画がわからないからおれの方はそれでは計画が立たない、この論拠のほかにない。このほかに理由があるなら御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/65
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066・杉原荒太
○杉原国務大臣 もしその辺の論理的な関係を言いますならば逆だと思います。つまり日本側で一定の計画を立てることによって、向う側としてもその撤退の計画というものをさらに実行がやさしくなり得るものだと私はそう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/66
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067・松野頼三
○松野委員 そうでしょう。それだから私の言うのは、日本の計画を立てなければアメリカの撤退の計画は立たないじゃないかというのです。いつまでもアメリカにおってもらいたくないというのがあなたの本心でしょう。早く帰ってもらわなければならぬが、それには日本も計画を立てて、アメリカに撤退計画を立ててもらわなければならぬというのがほんとうの論拠じゃないか。その通りでしょう。あなたの計画が立たないから、アメリカはいつまでも撤退しない。あなたがいつまでも日本の国の独立と安全を保障するような計画を立てないから、日本はその状況にならない。早く立てなさい。いつまでもいつまでもあなたが発表しないから、いつまでもいつまでもアメリカ軍の撤退の計画も立たなければ、せっかく日本が独立して、そうしてわれわれの国をわれわれで守ろうという大きな日本国民の精神が沸いてこないじゃないか。みんなあなたの責任になってきた。早く立てなさい、大事なことです。それをいつまでも立てないからこの論議がある。日本の国民は大きな影響をこうむる。あなたの言葉を聞いていれば、まず防衛計画を立てて、日本の国の安全はこうして守るのだということをアメリカに示さないから、今日の不安定なんです。まことに恥しいことではありますまいか。いつまでも、いつまでも日本の国の真の力が出て来ない。露骨に言えば、あなたはある程度独立の阻害をしているのです。これほど私に言われれば、あなたも若僧に言われてくやしいと思うなら、お出しなさい。それに対して大いに敬意を払う。出さないから年中こんなことを言っている。くやしかったらお出しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/67
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068・杉原荒太
○杉原国務大臣 たびたび申し上げている通りでございますから、一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/68
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069・松野頼三
○松野委員 私は、この状況では、この法案の審議は断じてできません。二日間同じ答弁です。明らかにこの法案の通過に対する熱意を欠くのも政府であり、この法案の審議を真剣に考えないのも政府なんです。二日間私はじっくり汗を流してやったが、この状況では私は断じてできません。従って杉原防衛庁長官にわからなければ、いずれこれは別な方面に——総理大臣と外務大臣にその席に坐っていただいて、私はこの論議をもう一ぺんしなければならない。あなたができないというのなら、あなたに質問したって審議ができないので、これ以上の質疑は保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/69
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070・宮澤胤勇
○宮澤委員長 大橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/70
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071・大橋武夫
○大橋(武)委員 私は、昨日来の松野君に対する大臣の答弁を熱心に伺っておったのであります。しかるにその結果は、われわれの伺っております海の明年度、明後年度の計画、空の同様の計画、または陸上自衛隊の同様の計画について、何ら大臣からお答えがなかったのでございます。先ほどの御答弁は、昨日来宿題になっておった御答弁でございますから、よほど御研究の結果の御答弁のようでございますので、私どもは非常に熱心に伺っておりましたところ、三十二年度までのジェット機の計画は立っておるけれども、そのほかの計画は、何も立っていないのでございます、こういう答弁のように承わっておりますが、その通りでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/71
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072・杉原荒太
○杉原国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/72
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073・大橋武夫
○大橋(武)委員 ジェット機の計画が立って、その他の計画が立たないと言う。いかなる理由で、計画の一部ができながら、他の部分の計画ができないのでしょうか。どうしてそういう結果になっておりますか、その理由を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/73
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074・杉原荒太
○杉原国務大臣 その点につきましては、ジェット機の三十二年度までにわたる国内における組み立て生産というものは、どういうわけでこれがきまったかということを、御説明申し上げた方がいいと思います。これは今までも実は多少申し上げたのでありますけれども、日本側としても、航空の防衛力についてある程度これを整備する必要がある。それがために、従来アメリカ側からは、昨年などは主として練習機の供与を受けておりました。実用機といたしましては、昨年末までには輸送機を十機受けておりまして、あとは練習機ばかりでございます。それで防空上必要な戦闘機F86Fを日本としても保有したいと考えておりました。そこでさらに、これの登場の前段階の練習機としてこれに伴いますT33、こういうものをあわせて供与を受けたいと希望しておった次第でございます。そして、その問題について昨年の九月ごろからずっとアメリカ側と話をしております。それがだんだん——初めはこういう段階もございました。それはアメリカの域外発注によってこれを作ったらどうかという話の段階もございました。いろいろそういう段階を経まして、今年になりましてから、向う側としてはまず部品、治工具等また技術的の援助もして、今申しましたF86Fを約七十機、T33を約九十七機分を供与しよう。そうしてこれを日本側で組み立て生産する。そうすることによって日本の航空機の工業能力の培養にもなる。これは日本側として実は希望するところであります。そういうところからこの計画について話がまとまった次第でございます。アメリカ側としても、本年度というか、この六月末までの予算で予算措置をとりたいということを申しておりました。日本側ではまだ予算措置が済んでおりません。それだから予算の成立を条件とするということで、だんだん話を進めて参っておりました。そうして先般日本側で本年度の歳出予算には、それの輸送のためと、それから三十年度内に93を約九機、組み立てるという分と合せまして五億円、それからあとの部分は国家債務負担行為にいたしまして、これが約五十二億八千万円というものを予算外契約に計上いたした次第でございます。その御承認を得ましたので、今それの実施についていろいろ打ち合せをしているところでございます。その数はアメリカ側としてもこれだけ一括して供与しよう、また日本側としても国内で組み立て生産する以上、この程度の見通しなくしてはとうていこういう計画を実施に移すわけにいかぬ、こういうところから実はかためて三十二年度にわたるものをお願いした次第でございます。三十二年度にわたるものは、技術的な諸準備また経済的な企業規模とかをにらみ合せまして——それなら一度にすぐ作ればいいじゃないかといわれるかもしれませんが、もちろんそうは参りません。設備とか人員とかを一度にそれだけやることは実際的でございません。そういう点を考えまして、三十二年の六月までのものということに相なった次第でございます。
以上申し上げましたような事情で、三十二年度においては今申し上げましたF86Fが七十機、T33が九十七機、こういう計画を立てた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/74
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075・大橋武夫
○大橋(武)委員 ただいまお述べになりましたことは、予算書の説明でありまして、それはすでに国会を通過しておりますから、わかっております。私はそれを伺っているのではないので、この予算書の中に現われております三年間の航空機の発注計画、これは全体の防衛計画の一部であるわけです。これは大臣の昨日の御答弁においても、明白に三十二年までの防衛計画というものは、単に予算外国庫負担契約に現われているものだけではない、この部分はその一部にすぎないのである、こうはっきり昨日お述べになっております。従ってそれが一部であるならば、その一部に対する全部というものがあるわけでございまするから、その全部についてお示しをいただきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。この点についてはっきりしたお答えをいただきたいと存じます。
〔委員長退席、床次委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/75
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076・杉原荒太
○杉原国務大臣 このF86及びT33、特にF86が今後の日本の航空防衛力の中枢になるわけでございます。そうしてそれに絶対欠くことのできない練習機としてT33が相伴って必要なわけでございまして、現に三十年度におきましても約五十四機の完成機をアメリカから供与を期待いたしておる次第でございます。それからT33の方も約五十機というものをアメリカ側からの供与を期待いたしております。そういうわけでございまして、今後航空防衛力のある程度の漸増ということは考えておりますが、それでは年次別にして何を幾ら幾ら、それから六カ年について幾ら幾らというところまでの計画についての成案を得ていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/76
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077・大橋武夫
○大橋(武)委員 先月の末に当委員会におきまして私が大臣にお伺いいたしました当時、防衛計画というものの全体計画は総合関連性ある計画であり、陸海空の三部門にわたって相互に関連した総合的な計画であるこういうことをはっきりお述ベになっておるわけでございます。このことは各年度のいかなる部分の計画といえども、全体の計画とは不可分の関係にあるという意味にほかならないと思うのでございます。ある計画があって、これと不可分な全体の計画がないという道理はあり得ないわけなのでございますが、ただいまの大臣のお話によりますと、部分の計画はあるが、しかし全体の計画はないのだ、こういうお答えであります。それならば全体の計画がなくて、その一部分の計画がなぜ全体でなくて一部であるということを大臣がはっきりお述べになることができるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/77
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078・杉原荒太
○杉原国務大臣 純理論上から申しますと大橋先生の今おっしゃいましたような立論があるいは成り立つかと思います。また考え方としてそうだろうと思うのであります。しかし実際問題といたしまして具体的な計画が立ち得る部分と、そうでない部分とのいろいろの関係が生ずることは、これは実際上別にふしぎなことはないように思うのでありまして——もちろんこれができますならばそういうものは初めから一括してできるのがいいのでありますけれども、遺憾ながらそういう全体的のところまで参ることができませんでしたので、さしあたりこういったところから計画を立てた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/78
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079・大橋武夫
○大橋(武)委員 理論上と実際上とは違うという御説でございますが、それでは昭和三十一年並びに三十二年の予算外国庫負担契約に現われております漸増計画というものは、これは理論上全体計画の一部分なんですか、それとも実際上全体計画の一部分なんですか、どちらなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/79
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080・杉原荒太
○杉原国務大臣 この防衛力の漸増ということは考えておりますから、そういう点からいたしまして、三十二年度にわたります計画は、これは当然長期計画の中の一部として入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/80
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081・大橋武夫
○大橋(武)委員 それは理論上一部なんですか。それとも実際上一部なんですか。理論上の問題なんですか、実際上の問題なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/81
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082・杉原荒太
○杉原国務大臣 私には御質問の御趣旨があまりはっきりとはのみ込めないのですが、私の理解するところによりますと、これは今実際上そういうことに相なるものだ、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/82
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083・大橋武夫
○大橋(武)委員 三十一年、三十二年の航空機の漸増計画というものは、実際上全体計画の一部であるという注目すべき大臣のお話がございましたから、これは実際上の計画に基いてその一部であるからして、実際上一部であると言われたものだと思います。そうすれば全体計画というものはこれは実際上あるものでなければならぬ、実際上あるからこそ、単に理論上あるばかりでなく実際上全体があるからして、その全体に比べてこの部分がこの一部であるということは言えるものだと思うのでございます。私は実際上あるところのこの計画をぜひお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/83
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084・杉原荒太
○杉原国務大臣 これはこういう言葉の上で言うと非常にいろいろ論があると思いますが、長期計画ができます際は、当然にこれはその中に織り込まねばならぬ、こういう意味において申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/84
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085・大橋武夫
○大橋(武)委員 それは実際上の一部じゃなくして理論上り一部だということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/85
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086・杉原荒太
○杉原国務大臣 そういった意味においてはそうなると思いますが、その実際上、理論上という言葉が私にはどうもあまりはっきりしないわけでございまして、そう申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/86
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087・大橋武夫
○大橋(武)委員 理論上、実際上ははっきりしないと言われましたが、理論上、実際上ということは、これは私が言った言葉ではありませんよ。先ほどの質問におきましては、私は全体計画というものは総合関連性のある総合的な計画なんだということを前回の委員会において大臣が言っておられる、従って各年度のいかなる部分の計画といえども、これは全体計画と不可分のものである、こういう意味で述べられたものである、それ以外には理解できない。従ってこの航空機の計画というものは部分の計画であるからして、この一部分の計画に相応するところの全体計画というものは理論上なければならぬじゃないか、だから理論上なければならぬところの全体計画をお示しいただきたい、こう申し上げましたところが、大臣が言われますには、理論はまことにその通りであるが、実際上は必ずしもそうとは限らぬとこういうことであります。そこで私はそれならあなたがこの航空機の部分は全体の一部であると言われたのは、これは理論上のことであるか、実際上のことであるかということを私は承わったわけです。そうしたら実際上だとおっしゃった、実際上という以上は、これは実際に全体があり、その実際の全体の実際の部分であるからして、従ってこれは実際上の問題としてこれは部分であると、こう言われたことなんです。だからその実際上の全体をお示しいただきたい、これが私の質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/87
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088・杉原荒太
○杉原国務大臣 私はこういうことをきわめて当然なことだと思いますけれども、申し上げたいと思うのであります。長期の計画を立てたいと希望しております。そうしてまたそれがためにいろいろこれからも研究を重ねたいと思うのでありますが、実際問題といたしまして、まだその成案を得るところにまで至っていない。しかるに一方において、今のジェット機のごときは、先ほど申しましたようなことによりまして実施計画というものを立てることかできた、そうしてそのできたものは、六年計画、長期計画というものができます場合には、その中の一部として織り込むのは当然だ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/88
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089・大橋武夫
○大橋(武)委員 一体六年計画というものは、これからやるべき計画じゃないのですか。六年間にやる全体の計画というものがあって、そのうちの第一年にやる部分が今年度の計画、こういう意味じゃないのですか。そうじゃなくて、ことしは実際上あるものをやりていく、来年はまた来年で出たとこ勝負で適当な増強をやっていく、その次もやっていく、六年間積り積ってどこに行くかわからない、自然になった、それが六年計画というものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/89
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090・杉原荒太
○杉原国務大臣 先ほどからたびたび申し上げますように、何とか長期の計画を立てたい、しかし現在までにそれができない。しかるに一方において、現在立て得る計画として、本年の予算で御審議をお願いしました計画だけは立て得たのでございます。それで実施計画として国会にも御審議をお願いした次第でございます。それから、それといわゆる六カ年計画との関係でございますが、一応本来の筋合いといたしましては、それはまず六カ年計画というものを立てて、そうしてそれを基礎にしてやるのが筋に違いございませんし、またそうしたいと思ったのでございますが、またできませんでしたので、さしあたり必要と認め、またできる部分だけを切り離して計画を立てたような次第でございます。それはまた結果的に申しますと、今後六カ年計画を考えていく場合にはそれの一つの事実として織り込んでいくのは当然でございますから、そういう意味において申し上げている次第でございまして、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/90
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091・大橋武夫
○大橋(武)委員 どうも大臣のお答えは、実際的とか理論的とか言われまして、そのくせよく聞いてみますと、何が実際的で、何が理論的かよくわからない。それじゃ伺いましょう。ほんとうに大臣の仰せられるように、全体計画というものが全くない、ばく然たる計画にしても全然ないのだ、そういう状態であったとしたら、今度のこの予算外国庫負担契約の目的となっておりまする艦艇あるいは飛行機というような計画が、なぜ一体防衛折衝によってこつ然として現われてきたのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/91
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092・杉原荒太
○杉原国務大臣 これは私事実を申し上げますが、いわゆる防衛折衝の前からずっと話をしてきておったところでございます。ジェット機の生産のごときは、先ほどから申し上げますように、ずいぶん前からの、昨年からの話の続きとしてきておりまして、そうして本年に入りましてからなおこれが具体的になってきた次第でございます。だんだんそういうふうに発展して来た次第でございます。それから護衛艦四隻というものが今度予算の中にも入っておりますが、当初そのうちの二隻というものはアメリカの域外発注に実は期待いたしまして、そういう希望を向うにも通じておったのでございますが、それがだんだんあとになりまして、アメリカ側としてこれが供与を期待することはむずかしいということがわかりましたので、これを日本側の建造費という方に考えまして、そうして予算に計上し、御審議をお願いしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/92
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093・大橋武夫
○大橋(武)委員 そうすると、これは前々からこちらから向うへ話していたものが入ってきたというお話ですが、それなら一体全体計画がないのにどうしてこういうものを向うに前々から話していたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/93
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094・杉原荒太
○杉原国務大臣 これは従来も同様でございまして、ぜひ二年度においで必要だというものについてずうっと話して、アメリカ側の供与というものを受けてきておることは御承知の通りでございますから、その点は必ずしも全体計画というものとの関連というのみで、私そういうことにはならぬと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/94
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095・大橋武夫
○大橋(武)委員 そうすると、次年度に必要だというのは、全体どのくらいの船が要るということのわけがわからずに、ただばく然と次年度に必要な船の分量というものがおわかりになるのですか。実にすぐれた頭の持主であることに敬意を表するのですけれども、私どもとしては、日本としてはおよそこのくらいの船がなければならぬ、さしあたり来年はこの程度の船を整えよう、こういうことでなければ……。ばく然として無条件に来年度幾らの船が要るかということがやぶから棒にこつ然として考えられるというようなことは、もうこの世の事象としてはあり得ないことだと思うのです。大臣はやっぱりそういうふうに何にも計画がなくても、ばく然と、ただ来年幾ら要るということであって、果してその分量が適当かどうか、真に必要かどうかということを御判断できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/95
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096・杉原荒太
○杉原国務大臣 その点は、それこそ理論上から言いますとお説の通りだと思いますが、実際問題といたしましては、それじゃどれだけということを、はっきりその数量等をきめ得ない実際事情がございますから、さしあたり必要というところからきめていくのはこれはやむを得ないことだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/96
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097・大橋武夫
○大橋(武)委員 一体あなたのお答えは何ですか。あなたの今のお答えをもう一ぺん聞いていて下さい。こういうことをあなたは言われたんですよ。なるほどあなたの言われるところは理論上その通りだが、実際上数字をきめ得たい、だから来年度必要なものを注文します、とこういうのだ。一体意味がわかりますか。これは日本語ですか。数字がわからないものをどうして来年度の必要量が予算で要求できるのですか。だれかあなたの部下で日本語に翻訳できる人があったら、一つ大臣のお言葉を翻訳していただきたいですね。通訳を連れていらっしゃい、あなたはこれから。どうぞお答え下さい、通訳を通じて。何たる答えです、今の答えは。理論上はその通りだが、この数字はこの際きめかねる、だから来年入用なものを要求するのだ、そんなことはナンセンスじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/97
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098・杉原荒太
○杉原国務大臣 私の申し上げました趣旨が私の言い方のためにあるいは明瞭でなかったかと思いますが、先々の将来の長きにわたってのことについて、そういうことがわかっていなければ来年度というものは立てられぬじゃないかというふうな、たしか御趣旨の御質問だったと思います。それに対しまして私がお答え申し上げたいと思って申し上げた趣旨は、それは、筋合いはその通りだと思いますが、将来先々の数字と申しますか、そっちの方の数字でございまして、その方は実際上きめ得ない場合がある、しかし来年度は、前の先々のことは数字的にわからぬでも、来年度のことは実際上必要に基いてやっていかなければならぬ場合がある、こういうことを、実はきわめて平凡なことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/98
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099・大橋武夫
○大橋(武)委員 来年度のことはわかるが、それから先のことはわからないと言われますから、それでは来年度の分だけ一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/99
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100・杉原荒太
○杉原国務大臣 来年度におきましても、ある程度の増強ということは必要だと考えております。たびたび申し上げておりますが、来年度の具体的の数字的のことは、これはほんとうの実施計画でありまして、将来に立てる一つの目標的のものとも違う、ほんとうの実施計画でございます。そして一方、現在三十年度の分につきましての増勢について、今御審議をお願いいたしておるような事情でございまして、来年度の分が数字的にこれこれだということは、大へん遺憾でございますが、まだ申し上げ得るところまで至っていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/100
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101・大橋武夫
○大橋(武)委員 それでは伺いますが、予算外契約というものは、防衛折衝におきましては全体計画の一部として話し合いをされたものではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/101
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102・杉原荒太
○杉原国務大臣 それはそこまでのことではございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/102
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103・大橋武夫
○大橋(武)委員 それでは折衝におきましては、来年度の空の全体計画というものはなしに、ただ予算外契約だけが話し合いになった、こういう趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/103
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104・杉原荒太
○杉原国務大臣 それはそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/104
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105・大橋武夫
○大橋(武)委員 一体それではどういうきっかけでそういう話し合いになったのですか。これはこちらから言い出したのですか、向うから言い出したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/105
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106・杉原荒太
○杉原国務大臣 話のもともとの起りは、昨年の九月ごろから日本でF86の戦闘機を持ちたいということが話の起りで、それからいろいろと向う側との話し合いがあったのでございます。それがだんだん断続いたしておりました。向う側でもいろいろ研究しておったようでございまして、先ほども申し上げましたように、日本側としては当初の段階のときは、それを日本の域外発注という方式でということを考えておりましたけれども、あとの段階、ことしになりましてから、先ほど申し上げましたような方式でやる、こういうことに相なった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/106
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107・大橋武夫
○大橋(武)委員 そうすると、昨年はT幾つかがほしいという希望があって、それで話し合いが進んでいたわけですね。そうすると、今あなたは来年についてはどういうものがほしいと思っているのですか。その計画は今全然ないのですか。去年はこうして飛行機についての希望があったが、来年については予算外契約できまっている飛行機以外には何も希望がないのですか。その希望というのが、われわれの聞きたいと言っている全体計画ですよ。そういう希望すらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/107
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108・杉原荒太
○杉原国務大臣 来年におきましても、航空自衛隊の増強についてある程度の増強ということはしなければならぬと考えておりますが、それを数字的にいって今こうというところまでのものは、まだきめる段階に至っていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/108
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109・大橋武夫
○大橋(武)委員 数字的に言われなくてもよろしいです。大体のスケールがわかっているところでおっしゃって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/109
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110・杉原荒太
○杉原国務大臣 三十年度におきましては、先ほど申し上げたように航空自衛隊の増強の中の一番中枢的なものとして航空団を作る、これはアメリカ側から本年度完成機でもって供与を期待しておりますものをもって、これが中心で構成するわけでございますが、これで二隊をもって構成するわけでございまして、来年度におきましてもさらにこの航空団の方をもう少し増強したいということを考えておりますけれども、どの程度ということはまだきめ得ない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/110
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111・大橋武夫
○大橋(武)委員 そうすると、来年度においても航空部隊を何隊かふやしたいけれども、何隊ということはまだ今のところきめていない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/111
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112・杉原荒太
○杉原国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/112
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113・大橋武夫
○大橋(武)委員 それでは海についてはどういうことを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/113
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114・杉原荒太
○杉原国務大臣 海上自衛隊につきましても、ある程度増勢が必要だと思っておりますが、これも具体的のことはまだきめるに至っていない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/114
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115・大橋武夫
○大橋(武)委員 何を聞いてもまだきめるに至っていないというが、それでは私はことしの計画を聞こうと思います。ことしの計画をまずおっしゃって下さい。大ざっぱでいいです、人員だけでいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/115
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116・杉原荒太
○杉原国務大臣 陸につきましては、陸上自衛官が二万人、それから部隊職員、平服の方が約二千。それから海上自衛隊の方は、自衛官が三千五百八十三人で、平服職員の方が四百二十人、これを増員する。それから航空自衛隊の方は、自衛官が四千五十九人、職員の方が七百八人、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/116
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117・大橋武夫
○大橋(武)委員 ただいまお述べになりました計画というものは、大臣の御説明によると、理論上は全体計画の一部である。従って、理論上全体計画というものがあることは、これはもう大臣もお認めになっていることと思うが、その理論上の全体計画というものは、具体的に年次的に数字をもって説明する段階にはまだ今日なっておらぬでしょう。しかし、その全体計画についての大体の目標というものはあるだろうと思うのです。先ほど松野君が盛んに質問しておられましたが、たとえば陸上部隊については十八万にするか二十万にするか、あるいは海上自衛隊についてはどの程度の船を持つか、こういう目標というものがむろんなければならぬと思います。その目標がなければ、今年度の、大臣の提案しておられまするこの法案に盛られた計画というものが出てくるはずがない、だからその目標を伺いたいと思いますが、これについては依然としてお答えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/117
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118・杉原荒太
○杉原国務大臣 目標数字を立てたいと思いまして、実はいろいろ苦心いたしてきておるのでありますが、そしてまた筋合いといたしましては、これをこの国会において政府からむしろ進んでお示しして御審議をお願いするのが筋合いでございますけれども、遺憾ながらまだそれを得るに至っていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/118
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119・大橋武夫
○大橋(武)委員 具体的な計画がなくとも、少くとも陸海空の増強の目標というものはあるはずなんです。目標というものがなければ、ことしの増強計画というものの説明ができる道理はたいのです。ですから具体的なものは言えないにしても、大体この程度であるという増強の目標を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/119
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120・杉原荒太
○杉原国務大臣 実はそういうのをぜひ持ちたいと思いまして研究してきておるわけでございますが、たびたび申し上げますようにまだきめていない状況でございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/120
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121・大橋武夫
○大橋(武)委員 それでは私伺いますが、われわれはこの法案を今審議しておるわけなんです。この中に盛られている三万数千人の増員、これは日本の現状から見て果して適当であるかどうかということを判断するのがわれわれの仕事なんです。そこでなぜことしこれだけの数字をふやす必要があるかということを、一つ理論上、実際上説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/121
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122・杉原荒太
○杉原国務大臣 陸につきましては、わが国の自衛上必要とする最小限度、しかもそれにもまだいろいろの制約がございますが、このことにおきましても日本の独力だけでは自衛というものを全うすることはとうていむずかしいと思いますが、そういうふうな制約のもとに考えて自衛力を漸増していきたいということ、それとともにアメリカの地上軍の撤退ということは、なるべく早くこれが可能なような事態を作りたい、こういうふうな考慮が非常に強く働いておるわけであります。それから海につきましては、考え方といたしましては少くとも日本近海の海上交通の安全ということが大事でございますから、日本の地理的の関係からいたしましても、港湾、海峡等の安全、防備、護衛、掃海、そういう点は特に重要かこととして増強を考えていく場合に、一つの基礎的な考え方をなすものだと思いますが、そういう見地からいたしまして、本年も護衛艦を四隻、それから中型の掃海艇三隻を新規に建造する、そういうことを増勢計画の主要なものとして考えた次第であります。それから航空自衛隊につきましては、大橋委員特に御承知の通り、航空自衛隊は昨年発足したばかりでございまして、保有しております飛行機もまだ練習機ばかりで——と言っては言い過ぎになりますが、実用機としてはただ輸送機を十機、連絡機を一機持っておるような状態でございまして、これを練習機から実用機の練習段階、F86戦闘機の練習段階に持っていきたい。こういうところから実は本年度の計画を立てた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/122
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123・大橋武夫
○大橋(武)委員 今の大臣のお答えは、日本の自衛力漸増の必要性の抽象的な理由にはなりますけれども、本年度の計画に盛られたところの三万なる数字あるいは護衛艦四隻、飛行機何がし、これがなぜ本年度において必要にして十分なる量であるかという数学的の説明は全然ございません。この数字を決定された実際上、理論上の根拠というものは、そんな抽象的なことからは出てこない。一体日本の防衛のためにはどれだけのものが必要であるか、そうしてそのためには日本の資力の許す範囲において逐次増強する必要があるのだ、そこで増強するために今年度分の計画としてこれだけやることが日本の実情から見て適当だ、こういうことでなければ、われわれはこの案をなるほどと言って通すわけにいかない。あなたのようなお話では、われわれはとうていこの案を通すことができない。これは先ほどから松野君もしばしば申し上げておる通りでございます。とにかくこの法案の審議というものは数字の検討なのでありまして、この数字が適当であるかいなかということは、ある他の数字を標準にしてきめなければならない。われわれが大臣に伺いたいのは、この三万人の増員、護衛艦四隻というような、この案に盛られたいろいろな数字というものは、何を標準にして適当かどうかということをわれわれは判断したらいいのでしょうか。これをまず大臣にはっきり教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/123
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124・杉原荒太
○杉原国務大臣 先ほど申し上げましたようなところから、その必要から判断したわけでございまして、今いろいろ筋道のことをおっしゃいましたが、それは筋合いとしては大橋先生のおっしやる通りのことだろうと思います。一つの長期計画を立てて、それからそれを基礎にしてやるのが本来の筋合いであると思います。それが実はまだ立ち得ませんので、本年度はさしあたりそれをもとにしてやった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/124
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125・大橋武夫
○大橋(武)委員 私がはっきり申し上げておきたい点は、前回の当委員会におきまして、大臣が盛んに振りまいておられました防衛六カ年計画、これは今のところ具体的な数字で示す段階ではない、こういうお答えを了承いたしております。従って私はここで六カ年計画の年次的な数字を出してくれということは一度も由しておるつもりはないのです。ただ今回の法案というものは、防衛力増強のための法案なんですから、増強という法案であるとすれば、現在の日本の防衛力というものが必要量に足りないのだ。
〔床次委員長代理退席、委員長着席〕
足りないから、必要量に近づけるために何がしかでもここでふやそうというのがこの案の内容だと思う。従ってこの案の内容が果して適当かどうかということは、その必要量というものに比して現状がまだはるかに達していない段階である。増強の要がこれだけあるのだ、こういうことでなければ、説明がつかない。なるほど今までのものでは少いかもしれませんが、しかしかりにあなたの持っておられる増強の目標というものが、陸上部隊においては十二万というようなことであったとすれば、今度の法案というものは多過ぎると言わなければならぬ。その多過ぎるのか少な過ぎるのかということをきめるのが、この法案の審議に当ってのたった一つ大事な点なんです。ですからこの問題については少くとも日本の防衛という立場から見て、大臣が必要であるとお考えになっておられるおおよその目標というものは必ずお示しいただかなければならぬものだと、こう私は考えておるわけなのでございます。先ほどから大臣は責任をもって国会に示す数字はまだできていない、こうおっしゃっておりますが、今日の日本の段階において、あなたが絶対いかなることがあろうともこれだけは必ず実行できるであろう、首をかけて保証するような数字が出るかどうか、これは私は困難だと思っております。従ってあなたが全責任をもってお示しになることのできない数字であろうとも、少くともわれわれがこの法案を審議し、どの程度の増強が今日の日本として必要であるかということを判断するに必要なだけの数字は、何らかの形によってお示しをいただかなければならぬ、こう思うわけなのであります。さもなければ、われわれはめいめい勝手の数字をもってこれは多過ぎるとか、少な過ぎるとか言わなければならぬ。しかしそういうことについては何といっても政府がその責任にあるわけですから、あなたの方で責任を持ってお集めになった程度のもので、われわれが審議の資料とするに足るところの防衛計画の大よその目標というもの、これを一つ大臣もよくお考えになりまして、適当なる機会にお示し下さることをお願いいたす次第なのでございます。この点につきましてはぜひ一つ大臣は関係の方々と十分御相談になりまして、すみやかにお示しをいただきたい。むろん絶対的の動かないものであるというようなものは日本の現状から見てお示し願えるとは思っておりません。しかしわれわれが法案を審議するに当ってこれだけ増加しても決して本年度としては多過ぎないのだという程度のものは、どうしてもお示しをいただきたいと思うわけなのでございます。ことに聞くところによりますと、毎年の防衛折衝においては、これは政府として決定した案ではないけれどもというただし書きをつけて、ある程度の防衛力増強についての見込みの数字というものはその都度アメリカに対しても示されておるものと聞いております。またそれがなければ防衛折衝というものは成り立つはずはない。あなた方が防衛分担金を減らしてもらうためにお示しになる数字をそのままなまのものでよろしい、とにかく日本の防衛費を負担する国民の前にぜひお示しいただきたい、こう私は考えておるのでございます。私がこのことを申しますのは、決してむずかしいことを言ってあなた方の今後のお仕事の上に困難を招こうという考えを持って言っておるのでは決してございません。今日の日本の段階においては、少くとも日本が最近数カ年のうちに保有すべき防衛力の大よその目標をこの際国民に示すことは最も必要なことである、こう私は考えておるのであります。このことは防衛問題に対する国民の関心を高める上からいっても必要である、官僚的な秘密主義のべールというものはこの防衛に対する国民の協力を得るゆえんでは私は断じてないと思うのでございます。ことに政府が一定の目標を示さないために民間においてはいろいろな臆測が流れておる。あるいは数十万というような地上部隊が必要なんじゃないか、そうするとこれがためにはどうしても徴兵制度というものが必要になるであろう、従って憲法改正になれば必ず徴兵が行われるであろうというような風評がまことしやかに伝えられておる。私はこうした社会不安を除く上からいっても、政府がもうこの辺の時期において、大体の目標——これはむろん見当でよろしい、大体の見当なりともお示しになるということが必要だ、こういうふうに私は考える。従ってこういう意味において、あしたは当委員会は休みだそうでございますが、この問題は非常に重大な問題であり、また日本の防衛を強化する上からいっても最も賢明なる方法であると私は真にそう思っておりますから、大臣も次会の委員会までにこの辺のところを十分お考え下己いまして、次会の委員会において適当なる御答弁を賜わることを切にお願いいたす次第であります。これをもつしあとの質問を保留いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/125
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126・宮澤胤勇
○宮澤委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。
午後四時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204889X03919550712/126
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