1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月七日(木曜日)
午前十時二十五分開議
出席委員
委員長 綱島 正興君
理事 安藤 覺君 理事 白浜 仁吉君
理事 松浦 東介君 理事 中馬 辰猪君
理事 足鹿 覺君 理事 稲富 稜人君
安藤 覺君 五十嵐吉藏君
井出一太郎君 伊東 岩男君
石坂 繁君 大森 玉木君
加藤常太郎君 木村 文男君
小枝 一雄君 笹山茂太郎君
原 捨思君 本名 武君
久野 忠治君 助川 良平君
松野 頼三君 淡谷 悠藏君
井谷 正吉君 石田 宥全君
楯 兼次郎君 芳賀 貢君
伊瀬幸太郎君 川俣 清音君
佐竹 新市君 中村 時雄君
日野 吉夫君 久保田 豊君
出席政府委員
農林政務次官 吉川 久衛君
農林事務官
(蚕糸局長) 塩見友之助君
委員外の出席者
農林事務官
(蚕糸局糸政課
長) 大戸 元長君
農林事務官
(蚕糸局繭糸課
長) 小船 清君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
専 門 員 徳久 三種君
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七月七日
委員田口長治郎君、中馬辰猪君及び山本幸一君
辞任につき、その補欠として久野忠治君、戸塚
九一郎君及び淡谷悠藏君が議長の指名で委員に
選任された。
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七月六日
伝貧研究所設置の請願(小林かなえ君紹介)(第三
六〇一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七一号)
東北地方の豪雨による農林漁業被害状況につい
て、派遣委員より報告聴取
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001・綱島正興
○綱島委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題といたしまして審査を進めます。この際繭糸に関する小委員会の委員長より発言を求めております。これを許します。中馬辰猪君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/1
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002・中馬辰猪
○中馬委員 去る七月四日蚕糸に関する小委員会を開会いたし、蚕糸業当面の諸問題について検討いたしましたので、その概要を御報告申し上げます。
まず、農林省塩見蚕糸局長から、最近におきまする蚕糸業の概要、すなわち桑園面積、養蚕戸数、繭生産額、生糸生産高、生糸輸出高等につきまして説明があり、さらに今後における見通しといたしまして、生糸に対する競争繊維である人絹、化繊類が大企業生産により価格が非常に安定しております関係上、生糸についても価格をできるだけ安定させる必要がある。現在本農林水産委員会において審議中の繭糸価格安定法の一部改正案も、この趣旨に基き、価格の安定を通じて輸出の増進を期していること、また最近アメリカにおける生糸の消費量は、全消費繊維の千分の一という状態にありますが、化繊等との交織の研究も進んでおり、需要は漸次増加するものと思われるので、ここ数年後には、十万俵程度の輸出を確保できるのではないかということ、また玉糸も二十五年ごろから輸出が急に伸びたし、最近は一万俵を上回るほどになっており、戦前は一千俵程度でありましたので、この玉糸の輸出の増大は戦後における一つの特徴と考えられ、今後一段とこれが輸出を増進するために、一般生糸と同様繭糸価格安定法による買い上げの対象に加えるようにいたしたい等の見解を述べられました。
政府側の説明後、出席の各委員から御発言があり、特に繭糸価格安定法改正案にも言及せられ、去る第十九国会に提出せられた改正案と、今次提出案との相違点、輸出適格生糸の買い入れ保管を行う生糸保管会社の性格、機能等の点について政府側にただされ、これに対し政府側から、第十九国会提出の改正案におきましては団体協約に関する規定があり、今般はこの規定を削除いたしましたのは、蚕糸業法十五条の二の協定等に関する規定で解決し得るので、その必要を認めなくなったこと、生糸保管会社は、一般営利法人であるが、本法の規定により公的性格を持ち、適格生糸の保管を行い、六ヵ月程度を経過後は政府に売り渡すもので、いわばアメリカのCCCのごとき性格を有するものである旨の説明がありました。
なお各委員から今後とも一段と輸出を振興することの必要性が強調せられ、このために海外における消費促進の大宣伝を行うべきこと、また画期的な廉価生産政策を推進するために、肥料その他についての助成政策をとるべきではないかと御意見の御開陳もございました。詳細の点につきましては、速記録が間もなくでき上ると存じますので、それについてごらん願いたいと存じます。
以上簡略ながら蚕糸小委員会の審議経過につき中間御報告を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/2
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003・綱島正興
○綱島委員長 なお質疑を進めますが、質疑の通告がありますのでこれを許します。楯兼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/3
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004・楯兼次郎
○楯委員 二、三質問をいたしたいと思います。私どもこの法案を通読をいたしますと、最高価格を押えるということに重点が置かれておるわけでありますが、私どもしろうとでありますが、一読をして考えますことは、むしろこの最低価格を保証をするということが、養蚕家あるいは生糸業者にとって重要ではないか、こういうふうに考えるわけであります。あなたの方で出されました統計資料を見てみますと、大体ここ数年の生糸価格の平均は二十二万円になっております。こういうような実績を見ますと、特に私がただいま申し上げました最低価格の引き上げ、最高価格はそのままにしておいた方が、業者にとって、あるいは養蚕家にとって利益である、こう考えられますが、この点どういうような見解で出されたか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/4
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005・塩見友之助
○塩見政府委員 この法案では最高価格、最低価格とも、その異常なる価格になった場合を押える、こういう考え方でいっております。現実には、最高価格の方はものを持ちませんと押えはむずかしいわけでありまして、現在までの運用上では、どちらかというとものを持っていなかった関係からして、最高価格の方が押えにくくて、禁止価格さえも突破したことが二回ある。最低価格の方は買い入れ資金を持っておれば比較的押えやすい、こういう状態にあるわけでございます。最低価格の方が養蚕、製糸等の現状からみると、できるだけ守ってやりたい、こういう考え方は私どもも当然持っていい考え方でございますが、これはやはり海外の売れるか売れないかという問題等もございますので、それでその範囲でもって法律及び政令で規定されておる、こういう状態にありますが、今般の改正では、ある程度最低価格の方もより強化される、むしろ最高価格よりも最低価格の方が強化される、こう考えていただいていいのではないかというふうに考えられます。糸につきましても、輸出のための適格生糸を民間の保管会社で保管するという建前になっておりますが、その価格は特別価格で買える。現在のところアメリカで売れる価格というのを見ますと、大体四ドル五十セントぐらいでございますから、それをこちらの方へ直しますと大体二十一万円見当というところになります。そういうふうな価格で買い入れることになりますと、間接には今までほとんど支持されておらなかった王糸のようなもの、あれは一般買い入れでは認められておらない品種ですけれども、輸出適格生糸の買い入れによりまして最低価格が作られたと同じような効果をなす、こういう形にもなりまして、糸の方についてもそういう点がより強化される。それから繭につきましては、現在までは大体現行法の第十一条というので、繭価維持のための特別措置というのがございます。これはこの法文にもございますように、必要な措置を行うというだけが書いてあるのでありまして、現在世界的に不況の状態が出て参るような状態では、また繭の増産も逐次行われるような状態のもとでは、この程度の不明確な措置では、なかなか農民は安心して増産にいそしめない、こういう状態にもございますので、この必要措置というものを、今般の改正案でははっきりと明定したわけでございます。これは一定数量をたな上げいたしまして、それで繭価の維持をはかろう、そのたな上げした場合の繭につきましては、金利、倉敷等を全額補助して、売れるだけ売れるように努力して、売れなくて残った分は政府で買い上げるというふうな形で、二段がまえにいたしまして、前の法律よりもより強化した形において、最低繭価を保持しよう、こういう建前になっておりますので、むしろ場合によっては、実際の運用上では最低価格の方は、今までよりもしっかり固められるという結果になるのではないか、こう考えておるわけでございます。
ちょっと速記をとめていただいて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/5
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006・綱島正興
○綱島委員長 それでは速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/6
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007・綱島正興
○綱島委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/7
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008・楯兼次郎
○楯委員 私は反対をするために質問をしておるのではないわけです。ここで少し疑義がありますので、その疑義を専門家のあなた方に解明をしていただければいいわけです。それで先ほど申し上げましたように、ここ数年の平均を見てみますると、大体二十二万円になっておるわけです。そうすると、せっかく改正をお出しになったこの法案の、価格の差額というものがあまりに大きいのではないか、こういうことを言っておるのです。突き詰めて参りますと、平均が二十二万円であるので、最低の方を少し上げるということの方が主になるのではないか、こういうふうに考えるわけです。最高を抑えるというようなことについては、アメリカ市場に対していろいろな影響があるとすれば、その点は触れませんが、繭の生産費等から見まして、最低価格があまりに低い、こういうふうに考えるわけです。あなたの方の統計を私も見たのでありますけれども、一体繭の生産費価格というものを幾らに見ておるのか、十九万円では大体どのくらいか、この点を一つお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/8
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009・塩見友之助
○塩見政府委員 ここ数年間の平均を調べますると大体二十二万円になる、こういうお話ですが、大体そのくらいの見当になるかと思います。これは朝鮮動乱以降非常なインフレと、それから繭糸課税問題が起りましたこと、それから砂糖のリンク制をしきまして、それで為替のプラス面を当生糸の方へ反映したというような三つの条件がありまして、禁止価格を二度も突破しました。その関係で海外市場にマイナスの影響を与えて、輸出の方も、せっかく伸びかかったものが一時非常に停滞し、落ちた。こういう数字になっておりまして、そういうような数字を含んだ値段を考えまして二十二万幾らになります。ところがそれは禁止価格を突破しておりますし、そのためにせっかく伸びかかった輸出が足踏みをしまして、輸出が減じたような状態でございまして、それが非常に輸出振興上困る、これが一つのねらいでございまして、それでやはり最高価格については禁止価格を二度も突破したような期間の価格というものを基準にしてやるのは少し無理がある、もうちょっと輸出を伸ばすという点からいって、また輸出を伸ばしますれば、それだけ養蚕農家もこれによってたくさん利益を得られるわけですから、そっちの方の要望を主体に考えるべきではないか、こう考えますと、二十二万円を中心の値にして考えるのは幾らか高いような感じを持ちます。それから繭の生産費の方は、これは大体政令、規則等によりまして、生産費調査によりまして、できました数字の大体八五%を最低の価格にいたしまして、そしてこの法令にありますように、第三条と思いますが、繭の生産費の額に生糸の製造及び販売費を加えたものと、それから物価参酌費というものをにらみ合せまして、生産費の方を基準にして、片一方は参酌事項にしております。それで決定するわけでありますが、繭の生産費につきましては政令、規則によって生産費調査の方式を詳しくきめておりますが、それによって大体統計調査部の方でやってもらっております。その項目は必要があればお手元にお配りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/9
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010・楯兼次郎
○楯委員 最低価格になぜ私が固執するかといいますと、やはりそこから始まってこなければ恒久的なといいますか、将来生糸が発展をしていく根本が成り立たない、こう思うわけです。繭の生産費を見ましても、大体二十七年度はあなた方の統計で千五百五十八円です、二十八年度は千九百三十九円、こういうふうにずっと上っておるわけです。ところが十九万円では大体千三百円くらいになるのじゃないか、こう思うわけです。ここをもう少しあなた方が考えて、恒久的な、養蚕家にもう少し有利な徹底した方策をとっていかなければだめじゃないか、こういうふうに考えて質問をしておるのです。私はいなかへ参りまして、一体去年の桑は一貫目幾らしたか、こう聞いたところが、去年は非常にいろいろな条件が重なって、一貫目九十五円で買ったと言いました。九十五円で買えば、すでに一貫目の繭の生産に要する桑を二十貫として千三百円、もう桑代だけで十九万円の生産費を突破しておる。そういう実情では、全国の養蚕家というものは納得しないではないか、こう考えるわけです。この点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/10
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011・塩見友之助
○塩見政府委員 この法律では、先ほどちょっと申し上げましたように、最高最低価格を、異常なる価格の騰落を防止するためにきめておる、こういう関係から、最低価格の方も異常なる価格を押える、こういう建前になっておりまして、現在政令で大体八五%を異常というふうにきめられておる、こういう状態でございまするので、実際の繭の生産費のその程度のものは食い込むくらいなところで最低価格はきまっておるという状態でございます。二十八年度に凍霜害等がありまして、それで一万二千掛を越しました。お手元の前にお配りした資料にございまするが、そういう状態でこれは非常に高い価格でございましたわけですけれども、これは猛烈な凍霜害であったために、非常に繭が不足した、こういう形になっております。それで遺憾ながら二十九年度の方は九千六百掛前後、大体一年を通じますると六百掛台できまっております。ことに去年の春繭のごときは九千五、六十掛というふうなところまで落ちたわけであります。それで農家の方は、こういうふうに非常に上ることもいいけれども、非常に下るという点で増産意欲には非常にマイナスになるという状態にありまするので、今般のも最低繭価の方をしっかり固める必要があるだろう、こう考えてこういう法案を出したわけでございまするが、今度の生産費では、二十九年度にきめましたものよりも、約四%見当繭の生産費は高騰しております。製糸の方の加工費は約三%くらい落ちております。そういう関係から見まして、二十九年度でいきますると、最低繭価の支持価格は糸と同じように八五%見当というところを押えますると、八千六百掛から七、八百掛くらいの間でございますが、今年度のは八千九百掛から九千掛というふうに上るわけでございます。先ほど御質問のありました十九万円見合いになると千三百円くらいじゃないかというのは、生糸の加工費を製糸屋はフルに百パーセント取れるという算定に立ちますると、その程度まで落ちるわけですけれども、われわれの考え方は、やはり繭生産費を基準にいたしますので、製糸の方も同じくその場合には損失をこうむり得る、繭の方と同等だというふうな考え方に立ってきめるべきであります。そういう意味からいって、改正法におきましても生産費を基準にするという書さ方をしておりまするが、そういうやり方でやりますると、現在の十九万円見合いで考えて、今計算しますと千四百十六円くらいという見当になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/11
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012・楯兼次郎
○楯委員 繰り返すようでありますが、どうもその点は私は納得ができないわけです。もしアメリカ市場等の関係でそういう操作ができないということになれば、この改正法案にもう少し養蚕家に有利なる補助政策というものがうたわれなくてはならない、こういうふうに考えるわけです。ところが十一条あたりを読んで見ましても、どうも補助政策が中途半端で、徹底をしておらないというふうに考えられるわけですが、この十一条の改正によってどれだけ養蚕家が恩典を受けるのか、一つ具体的に説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/12
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013・塩見友之助
○塩見政府委員 これは最低繭価を、先ほど申しましたように、本法の第二条にございます異常なる価格が出現した場合を押えるわけでございまして、最低繭価を支持するという立場をとっておるわけでございます。最低価格につきましては第十一条によりまして、繭値が最低繭価を下るおそれがある場合には、農業団体と政府の方と協議いたしまして、適当な数量を大体算定いたしまして、その数量を一部たな上げをやる。これは繭価が回復するまではずっと長期にわたってたな上げをしておく、こういう考え方でありまして、このたな上げする繭につきましては金利、倉敷等全額補助金を出す、こういう考え方をとっております。製糸の方は、どういたしましても端境期に向いますれば、繭を金利、倉敷かけて持っておるわけでありますから、コストはどうしても製糸の方はそれだけかかるわけであります。その分は養蚕の団体の方に全額の補助をやりますから、端境期に向えば必ず値は上ってくるということが考えられるわけで、ことに半年以上も長期の保管をやりますれば、半年間では相当繭の値が上ったり下ったりいたしますが、上るチャンスがたびたびある、最低繭価以上になるということは、今までの経験からいっても何回か来得るわけでして、最低繭価以上で全額の補助金をもらえば農業団体の方は十分に売れる、こう考えておるわけであります。非常に条件が悪くて、糸価の方が振わないというので、端境になってもなかなか売れないというふうなことになりますれば、そのときは繭質も痛みましょうし、それからことにつゆを越すというのは危険ですから、そのときは政府がその保管で残った繭を全量最低繭価で買い取るわけです。それで団体の方の保管が失敗しないようにするわけでございますので、最低繭価に関する限りは、これでまず万全の措置がとられる、こう考えております。現実にことしの繭の掛目協定を見ましても、製糸の方では、大体政府が全額補助金を出し、また最低繭価で売れないような危険があれば政府が買い取る、こういうような方針であるならばというので、掛目協定のときに、出発から最低繭価以上の言い値を製糸の方は持ち出す、こういうような形をとっておりまして、法律はもちろんまだ施行されておらないわけですけれども、方針がそういうところにきまっておるわけですから、すでにそういう影響が出ておる、こういうふうに考えるわけで、最低繭価に関する限りは、これによりましてまず失敗するようなことはないと考えております。問題は、あるいはその最低繭価では不満なんで、最低繭価以上幾らくらいまでの値段に上げられるかという問題になりますると、これは現在の法律では、その分に対しては市況その他売手買手の状態によって取引をやってもらうことになっておりまするので、そのときの情勢々々によりまして繭価がきまる、こういう形になるわけでございまするが、最低繭価に関する限りはこれによって十分確保できる、こう信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/13
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014・楯兼次郎
○楯委員 少し私はわからないのですが、もし最低価格を割っておる場合には、養蚕家が農業協同組合連合会に売り渡すときに最低価格で売り渡す。そういうことができるわけですか。つまり売って、そこで最低価格の金をもらえるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/14
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015・塩見友之助
○塩見政府委員 これは団体の方で共同保管をやるわけでございます。それで最低価格で団体が買い取ってしまう、あとの乾繭の方でうまくいったり失敗したり、あるいはこれだけの強力な措置をやるならば、おそらく最低繭価以上に売れるでしょう。そのときにそれ以上に売れたもうけは組合のものにしてしまうというふうな買い取り販売をやるのではなくて、組合がやる場合には、おそらくあとの値段の方が高く売れれば、それだけは還元する、こういう形態をとると思います。ただしその場合の内渡しを当然しなければならない、養蚕家の方も現金収入として大事なものですから、この場合の内渡しとしては、かたく見て最低繭価以内にとどまる、こう考えます。現在の製糸がやっておりまする内渡し金は、昨年が大体千百円程度、本年が千二百円、それから組合製糸に対する融資につきましても、中金等の融資は一貫当り千二百円という融資になっております。それは現在千五百円以上はどうせしておるわけですから、かなり低いわけです。全部八割を相当割った融資になっております。前渡しも何も七割という程度になっておるわけです。しかしながら政府がこういうふうに勧めて、農業団体の方で乾繭保管をやってもらって、全額補助してまで繭価を維持しよう、こういう事態になりましては、政府としては当然それの方をできるだけ強化する必要もございますので、現在考えておりますのは、組合製糸に対する金融機関の融資以上の融資をこれについてはやってもらいたい、すなわち繭を担保といたしまして、それで千二百円なら千二百円は融資してもらう、その上に信用保証基金というのをことしの予算で三千二百万円計上してございますが、それに養蚕団体の方もさらに自分らも金を出して加える、政府の補助金三千二百万円に、民間団体の方も、現在自分らも金を出そう、こういうふうな方針で動いております。おそらく七、八千万円程度の信用保証基金ができると思います。それによりまして繭を担保として、たとえば七五%なら七五%金融を受けますと、その上一〇%なら一〇%は信用保証基金の保証によって融資をしてもらう、こういう話し合いで農林中金その他の方と話は進めておるわけで、大体そういう形になると思います。この乾繭共同保管をやった場合に、内渡し金はおそらく最低繭価に大体近いところまで渡せるのじゃないか、ただ乾繭中に盗難があるとか変質をするとか、うまくやったところはもうかりましょうけれども、まずくやったところは、そういうふうな意味の危険負担は負うてもらわなければならないことになります。しかしながら大体のところは、最低価格一ぱいで売るということではなくて、チャンスを見れば必ず最低価格以上に売れると思います。半年も保管しておれば、そういうふうな利益がございますので、内渡し金は最低価格に近いもので内渡しをやってももらって、あとの精算は、私の方では、これだけの長期の保管をやり、しかも全額金利、倉敷を補助してやれば、必ず最低価格以上に売れるから、それ以上のものは農家の手取りとしては必ず還元できる、こういうふうに確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/15
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016・楯兼次郎
○楯委員 そこで一つ疑問があるわけですが、非常に金に詰まった養蚕家が内金としてもらう、ただしあなたの説明では、将来必ず最低より高くなる、こういうふうなことをおっしゃっておりますが、そういう保証は私はないと思う、だから現金に困っておる農家は、少しばかり安くても、そのときに売って金を握りたい、こういうのが今の全国養蚕家の心理じゃないか、そこの状態の割り切り方が、少し私どもには甘いというか、あいまいにとれるわけですが、そういうおそれはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/16
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017・塩見友之助
○塩見政府委員 そういうふうな御疑念も米麦等をお考えになればあるいは起き得ると思います。それではほんとうに農家が一番都会がいいことを考えれば、政府が全部買ってしまうというふうな形が一番都合がいいかと思います。それでこの繭糸価格安定法をやる場合にも、そういう点が問題になったようでございまするが、やはり過去からずっと来ておりまする実際の状態は、繭は商品としては役人、国家が管理していくのには非常に不便なものであります。値段も高い上に非常に品質がよくなったり悪くなったり、しかも乾繭をしなければ貯蔵できないわけです。その乾繭の技術は政府も持っておりませんし、農業団体もほとんど持っておらない。実際は乾繭の設備、技術等は大体において製糸家が持っておる。製糸家が持っておる乾繭の技術、それから設備、倉庫等が、やはり現実には一番能率がいいわけであります。それからそれを製糸と切り離して持つとなりますと、とにかくボイラーを使うにしても、それを管理する人にしても、いろいろな点でコストがかかりまして、製糸の方が製糸と兼ねてやっている設備と比べまして、どうしてもコストが上る。こういう不利な点がございまして、なかなか乾繭設備の方は伸びないという状態にあるわけでございまするので、それで繭を買い入れるということはずいぶん検討はされておるわけですけれども、そこまで踏み切れない、こういう状態にあります。全国的に繭を買い入れるとなりますれば、非常に散らばっております。検収その他に相当な経費もかかります。食管のような非常に膨大なものを持っており、年に五十億や六十億くらいの経費は平気だ。こういうものと違いまして、この特別会計では、基金の借り入れ総額は三十億という状態でありまして、定員は現在二十二名でございます。食管の大体は千分の一というふうな数字でございます。全国各地に散在している繭を買い入れるとなりますれば、やはり相当な膨大な人員を持ちませんと、会計法上の問題のないような買い入れはとうていできないわけでございまして、それで糸を買う、原則として糸で間接的に繭の値段を維持していこう、こういう建前をとっておるわけでございます。今般も、やはり糸でもってできるだけ維持したい。しかしながらそれではどうも不十分な点があるので、その点を、いざという非常事態には特別会計の二十二人以内に限らず、蚕糸局あげて農業団体と協力をして乾繭共同保管の方を完遂するという腹組みで、それでごく非常事態が来た場合の措置として、繭まで買い入れるという腹をきめたわけでございます。そういうふうに農民の希望は、あるいは全部政府が買ってくれれば一番便利でいいというのかもわかりませんが、それは予算上相当なコストもかかりまするし、そのために常時定員を持っておるというわけには参りませんし、それだけの国費を使うならば、やはり団体あたりに活動してもらって、その国費の部分を団体の方で十分利用できるような形態に持っていった方が、より農民のためにはなる効果のある処置かできるのじゃないか。それから最低価格以上になるということだけは、私の方は自信を持っております。盗難とか、非常な下手な乾繭をやって保管中に品質を低下させた、こういうことがありますれば別ですけれども、通常の管理をやれば、半年間も保管しておれば、必ず相当な値は出し得る、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/17
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018・安藤覺
○安藤(覺)委員 ただいまの局長の御答弁中私ちょっとお尋ねしたいと思う点があったのであります。直接的には糸によって目的を達する、やむを得ぬときに繭を買い上げて値段の維持をするのだ、今度はさらに一歩を進めて、前回は糸だけであったのを、今回は繭に範囲を拡大して積極性を示したのだ、こういうお話でございますが、しかしただいまの御説明のような心組みであられると、本来の繭の値段の維持のための直接的効果というのはきわめて薄くなるのじゃないかという感じが非常にする。と同時にもう一つ、この法律が通ると、養蚕農民はことごとく、この法律があたかも天の神のごとくすべてに効果があると考えまして、非常に買い上げてもらうことの熱望が強くなるのじゃないか。それなのに今局長のお答えになっておられたような態度であり、程度でありますと、養蚕農民をあとから失望させる結果になりはしないかと思いますが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/18
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019・塩見友之助
○塩見政府委員 この法律は先ほど申し上げましたように、本法の第一条にございますように、異常なる価格に対して政府は措置をとる、糸も繭も両方とも政府が買い上げるというのは、非常に条件の悪い価格というときでございます。ですからとにかく糸も今まで買い上げができておりません。しかしながら二十万近くになりますと、警戒して売りがこないというような形で、大体二十万円割ってもう二週間くらい、十九万円までは全然こない。こういう形で現実には糸は維持されております。それで政府が買い上げるという腹をきめておることは、価格の支持には、間接には十九万円ではなく、それ以上のところを常に牽制して押えておるという形になります。これは最低価格で売っては製糸家は損なわけです。繭も同様に最低価格で政府に買われるということは養蚕農民としては非常に不利なわけでありまして、なるべくそれ以上の価格で高く売ることが有利なわけであります。最低価格で売ろうとは考えない。ただしかしながら、これだけの全額の補助金を出して共同保管をやる、それで売り切れなければ政府が買い上げるという二段がまえで、他の農産物にないような乾繭共同保管の保護をやっております。そういう形でいきますれば、最低繭価というものは、先ほどからたびたび申し上げますように、十分保持できる。最低繭価以上の相当のところを維持できる、こう考えます。今年の繭価協定は、この法律はまだ通っておらないわけでありますが、もうすでに製糸の方は初めから最低繭価以上のものを出すというので、抜かないうちに宝刀として最低繭価は保持されておる、そういう形になっております。本法が通りますれば、当然そういう方法で繭価協定の場合には最低繭価以上ということはいち早くきまる。非常に市況が悪くて、どうしても、そこまで維持できない製糸家の状態であれば別ですけれども、大体の状態のときは、常にその最低繭価以上、それだけは掛目協定の前にそれ以上に買うという出だしで話はつく、こういうふうに見られます。これは私だけでなく、専門家の諸君もそう言っておられますし、今年は数年にない状態で、初めから最低繭価以上の値を製糸家は出す。こういう形でありまして、農民の方は最低繭価で売るのが望みではなくて、常にその価格以上で売れるという状態が現出することが望みであって、その効果は十分達成できるという自信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/19
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020・安藤覺
○安藤(覺)委員 どうも局長のこの法案に対する御信頼は、非常にお強いようでけっこうでありますが、商売というものはちょいちょい法律の裏をくぐるものでございます。そう御期待通りにいけばけっこうでありますが、なお多くの御質問を申し上げたいのですが、関連でありますから、御遠慮申し上げまして、この場合は終らせていただきまして、後ほどまた時間をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/20
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021・楯兼次郎
○楯委員 十二条の三ですが、「契約に係る買入又は補助の金額の限度は」というこの限度の金額ですが、これをわれわれが読んでみますと、適用になる場合があるし、ならない場合があり、非常に明確でない条文のようにとれますが、具体的にはどういうことなのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/21
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022・塩見友之助
○塩見政府委員 この十二条の三は、御質問の通り非常におわかりにくいところがありますけれども、これは売金の総ワクを基金が三十億、借入が三十億、六十億余りと大体押えております。今年度の予算はそういうふうに一応取ってあるわけであります。その場合に今までは第二条等によりまするところの最低糸価に見合った場合の糸の買い入れだけであったわけであります。今般はこの会計の支出は、それのほかに第九条の二によりまするところの糸の特別買い入れがございまするし、乾繭共同保管をやった場合の政府の繭の買い入れがございます。それからもう一つ乾繭共同保管の補助金というふうなものが三つだけよけい加わるわけであります。これを大蔵省としては、個々の項目につきまして限度を幾ら幾らというふうにきめたいという希望を当初持っておったようでございますが、そういうふうな操作は困る。総額六十数億の中で、中をやりくりするというふうな形で考えてもらいたい、こういうようなために第十二条の三において、おもにはその四つの項目ですね、それが六十数億の中で大体やりくりできる。六十数億の予算ではやれないというふうな場合になれば、これは国会の議決を経まして予算額を増加してもらうなり、借り入れ限度をふやしてもらうなり、そういう措置をとるというふうな形で、これは国費を相当の額使うものでございますので、大きいところは現在の資金の倍以上というところに持っていったわけでございますが、その内部の操作をそういうふうに仕分けて書いてあるために、こういうふうな規定になるわけでございます。大体の内容はおもに四つのものと、それからあと特別会計の事務費というのがございます。これはわずかなものでございます。そういうものを六十数億の中でやりくりできる、そうなりますると、この乾繭共同保管をやった場合の繭の買い入れの契約を政府でやります。その限度ももし糸等を相当額買ってあれば、その範囲内においてやらなければならぬ、こういうふうな形になるわけでございまして、そういうふうな総ワクを六十数億で固めるためにこういうふうな規定が作られた、こういう形になっております。一番私らが心配いたしますのは、非常に繭の状態が悪くて、それで相当量乾繭共同保管をやらなければならぬ。しかも市況が悪くてその繭が売れなくて、政府が相当大量を買わなければならぬ、こういう事態になりました場合に、このコクの中でやれるかどうかということでございますが、これは乾繭共同保管は、春繭をやりましても秋繭をやりましても、どうせそういう事態では半年以上持つわけでございます。そうすると、大体一月ごろには大見当もつきまして、売れるか売れないかきまってくるということになりますれば、当然そのころには通常国会等もありまするし、期間的な余裕も数ヵ月あるわけですから、借り入れ限度をふやしてもらうとかそういう措置をとりまして、必要な農業団体が持っておる量に見合うくらいの資金の増額は、そういう非常事態においては当然国会の御承認も得られるだろう、こう考えておりますし、その期間的な余裕は十分あるのでございまするから、そういう点についての支障は、実行上は大体問題なくできると考えておるわけでございます。そうその契約やその他の限度が繭については詰められておるということはございません。輸出適格生糸については、大体それ自体を数量的にしぼろう、こういう考え方でございます。大体一万俵見当を現在大蔵省とは打ち合せております。民間もその程度あればいいだろう、こうなっております。繭につきましては、その状態次第で量が少くても抑えられる、相当危険を冒しても大量をやってもらわなければ繭価が維持できにくいという非常事態もございましょう。繭につきましては、その点は十分予算の増額その他によって修正する余地は、通常国会の時期に必ずできるわけでございまするので、その懸念は、六十億じゃとても足らぬ、百億くらい要る、こうなりましても処置はつく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/22
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023・楯兼次郎
○楯委員 局長の説明は、この法案を作ったから、この法案を納得させるための説明であるというふうにしかとれないわけです。われわれが考えると、たとえば買い入れ、補助の金額は分けることがむずかしいとしても、これは何らかの基本線の金額を固めておかなくちゃいけない、こう思うのです。それから今あなたの言われた事務費ですね、事務費というものは私は年度予算が立つと思うのです。われわれしろうとでわかりませんけれども、少くともアンバランスのないように、お互いに利益を受けるように最低限度の金額はきめて、その上に立って操作をすべきが常識だ、こういうふうに考えるわけです。あなたはほんとうに初めから全体をひっくるめて、その一番大きい六十何億のワクの中で操作をすることが至当である、こうお考えになって改正をしたのか、あるいはそうじゃなくて、最低の各目別といいますか、項目別の金額をきめて交渉をされた結果こういうふうになったのか、どちらでしょう。われわれ考えると、これは最低限度の全額は分けておかなくちゃ非常に片寄ってくる、こういうふうに考えるわけですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/23
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024・塩見友之助
○塩見政府委員 特別会計の総ワクというものは、それは多々ますます弁ずるわけでございまして、今一概に幾らということは確定的なことは申せません。事態が非常に悪ければよけい要るし、そうでなければ現在の三十億でもやり得る、こういう状態にあります。今のところは一文も使ってないわけです。民間の方の意見等を徴しまして、倍にすればもう非常にがっちりと押えられる。倍にすれば糸としては三万俵買えるわけです。全生産額の一割以上買えるわけですから、そのくらいのものを持てば、相当需給の調整はきくということはございます。それから特別会計の建前からして、十二条の三にありますところのこの六項目だけは、どうしても特別会計の中でまかなわなければならぬ。人件事務費というものを特別会計の外でまかなうわけにいかないものですから、どうしてもその中に入れなければならぬ。こういう形にありますので規定しているわけです。ただ事務費の方は、六十八億くらいの見当の中で、わずかに二千万円以下というような額でございますから、これは規定としてはその中でもって控除しておかなければならぬわけですけれども、乾繭共同保管やその他の補助金に影響の及ぶようなことはない、こういうふうに自信を持っております。ですから、春になりまして乾繭共同保管をやらなければならぬ事態にでもなれば、ほとんど主力はそこに打ち込んでいく、こういう形になりましょう。そういうふうな形ですから、それで足らないということになれば、一、二、三月に十分——半年持った上でそれを増額するチャンスは十分ございます、だから無理やりにこれをこじつけているという形でなくて、私の方はこれでやれるという自信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/24
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025・石田宥全
○石田(宥)委員 関連して。繭の価格の問題については、従来の製糸だけでなしに繭に及ぶというその趣旨はよくわかるのですが、現在全国的に見まして、養蚕組合の支配下にある乾繭施設というものはどの程度でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/25
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026・塩見友之助
○塩見政府委員 繭の共同保管に必要な施設としての食蚕団体の傘下にありますものは、現在全国乾繭販売農業協同組合連合会傘下の組合所有のものが、全国で七十六カ所ございます。乾繭機は百十三台、一昼夜の乾繭能力が約二十六万貫と、それから所属の繭倉庫が九十五棟、保管能力が約二百九十万貫という程度でございます。これはある県もない県もございまして、幾らか偏在しております。だから全国的に最低繭価維持のために乾繭共同保管をやるとなりますと、この設備が必ずしも、場所の関係から運賃その他がよけいかかるという関係から、これだけによったのではやれないような県もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/26
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027・石田宥全
○石田(宥)委員 ただいまの報告の通りの実情だといたしますと、県によってはほとんど製糸家のものになっておるということが言えるので、それからまた、ただいま報告になりました乾繭施設の百十三ですか、そのような数字の施設が、果して現実に養蚕農協の施設であるか、あるいはまた名目は全販連、または養蚕連の施設であっても、現実には製糸家の支配下にあるかということは、私は大きな問題だと思うのです。名目だけが養蚕農民のものであり、全販連のものであっても、事実は製糸家の支配下にあるともいうのが相当見受けられるのではないかと思うのですが、そういう内容はおわかりでないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/27
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028・塩見友之助
○塩見政府委員 いろいろと前に調査をしたものがございますが、その内容につきまして、これは製糸家の支配下にあるとか、これは養連の完全な支配下にあるというふうな明瞭な区分けの整理は、必ずしもまだできておりません。おっしゃる通りに、事実上経済的には製糸の方に売らなければならない関係でございますので、そういう区分は相当あると思います。われわれも一戸々々の倉庫について聞いておるのもありますし、製糸家が実際の内容を握っておるのもありますが、詳細な数字は持っておりませんので、御懸念の点のような状態にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/28
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029・石田宥全
○石田(宥)委員 最近長い間蚕糸業は振わなかったのでありまして、乾繭並びに保管の施設は相当老朽をしておると思う。それがために完全なる乾繭保管というようなものが果してできるかどうか、私はここに大きな疑問を持つのですが、御心配ございませんか。
〔委員長退席、中馬委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/29
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030・塩見友之助
○塩見政府委員 非常に専門的なことで、私らも腹をきめますときに一番心配したのはそれでございまして、現在の状態そのままで乾繭共同保管に入りますれば、相当危険な状態にあると存じます。現在農林漁業金融公庫の方で、乾繭施設に対しては協同組合の方に融資をしておりますので、幾らかずつ整備はされまするが、先ほど申したように、何といっても製糸の方は製糸工程で使うボイラーででもできるのですけれども、片方はそれだけで年間の動く期間も非常に限られるという関係でコストが高くなり、施設の方にぶち込みたくても、経済的には低利融資の道はありますが、しかし十分やれるという自信がないものだから、修理も十分できておらぬというようなこともございまして、実際今年すぐに、あるいは来年でもこれに入るといったような場合には、この農協連傘下の乾繭倉庫だけで十分なことができるかという、偏在の問題と、もう一つそういうふうな点からいって、そこのところをしっかり固めませんとできない、こう考えております。この点は農業団体における下部においても相当その問題が出まして、それで製糸の持っておる乾繭施設倉庫を強制徴収するというような意見も出ましたけれども、しかしそういうふうなことはどうせ補償がいるわけです。しかし私有財産でございますし、そういうようなことをやらなくても、話し合いでできるのではないかというので、養蚕団体の方で共同乾繭、共同保管をやる場合にには、製糸の方はお貸しいたしますというように大体中央の方で話し合いがついております。それだけでも私らの方としては、養蚕団体が乾繭保管をやる場合に、下手な乾繭工程を経て品質を損するとか、盗難にあうとか、いろいろ被害をこうむっては困るわけですから、この法案が通りますれば、政府も県も協力いたしまして金融する。農中なり県の信連が一番利害関係が多いわけですから、養蚕団体と一緒になって、各県で乾繭共同保管をする場合には、どの倉庫を利用するというような形で指定倉庫式に倉庫を利用するならば政府は補助金を出そう、それからその繭を買おうというような形で、そして団体で協力いたしまして、間違いのない倉庫を指定して押えて、場合によれば、農業団体の倉庫等がない県におきましては、事前に農業団体の方で信連、中金がこの倉庫ならば危くないというもの押えて、いざやるというときには貸すという契約をしていくとか、そういう形で一方は固めるという形によりまして、現在農協連等が持っておりますそういう倉庫や施設の不備は補って参りたい。それが幾らか進みまして、それで農協の方でも施設に金を借りて強化しよう、こういう気になりますれば、その道は十分現在開けておりますし、それが大きく必要がありますれば、公庫の融資のワクをふやしてもよろしいと思っております。現在数億のワクは持っております。幾らかずつ改修あるいは新設が行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/30
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031・石田宥全
○石田(宥)委員 今、局長の説明の通りで、乾繭施設というものは、年間きわめて短期間の使用でありますから、ほかのものと違って、借入金によって施設をするということは採算がとれないのです。従って農民の負担によって補助や助成をもらって設備をしましても、結果においては製糸家のものになってしまうのです。これは過去の経験が物語っておるのです。従ってほかの共同施設のような考え方では維持管理ができない。どうしても政府が、特に外貨の関係もあり、輸出の大宗なのであるから、これは特別な措置を願わなければだめだ。それから今、御説明を聞いてはっきりしたわけですが、たとえば乾繭保管をやるという場合に、農民の手にない製糸家のものを使うということになりますと、そうでなくてさえも繭に対しては、大製糸資本の支配下に日本の製糸業界は牛耳られておって、しかも現実に今の半統制のような情勢にありますから、深刻な対立があるのです。繭の価格の決定についても検定という措置はあるけれども、この検定自体がどこまで信憑性があるかということに疑問が持たれるほど製糸家と養蚕農家の間の利害関係というものは、感情対立にまで及んでおる。その場合にあなた方が中間に入られて、製糸家の乾繭または保管施設を養蚕農家が使うという場合は、もう一歩製糸家の支配に入るということなんです。従って私は、この法案というものは、そういう場合においても、かりに百歩を譲って養蚕農家が乾繭または保管の施設を持っておる場合といえども、たとえばことしのように、昨年製糸家が若干の赤字を生んでおる、また海外市場に必ずしも芳ばしくないというときに、一面においては製糸家の金融が非常に困難だ。そういうふうに三拍子そろっておるようなときに、製糸資本家は得たり賢しとして、養蚕家を誘導して乾繭保管をさせておけば自分たちは困難な資金繰りをする必要がない。こういうことになって、製糸資本家の施設をそっくり提供して、自分は資金繰りの困難も免れ、危険性も免れて、結果においては製糸家にサービスをする結果になる、こういうものではないか。またかりにもっと角度を変えて、それを政府が買い上げをした場合においても同様のことがいえる。政府が買い上げるでしょう、政府が買い上げておいて、そして採算がとれる限度で製糸家にやれば、製糸家はやはり資金繰りも困難せずに、危険負担もなしに、きわめて順調に工賃かせぎができる。うまくいけば相場の値上りで相当の利潤が得られる危険率は直接政府または養蚕家に負担させて、自分たちは定まった一つの工賃かせぎと利益がせしめられるという、結局製糸家擁護法というところに落ちるのではないか。こういうことを私は心配するのですが、その点についてはどうお考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/31
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032・塩見友之助
○塩見政府委員 製糸の倉庫を借りる場合でありましても、これは前もって予約をして利用するという契約をしておくわけでございまして、そこに入れたものをその製糸家に渡すというふうなことは、もちろん予約はできないわけです。政府が買いました場合にも、これはもちろん入札という形が原則になります。ただその製糸家が比較的運賃が少くて済みますから、買うときに有利でしょう。ほかのものよりよく、早く買える、こういう状態にはなると思います。それから一つの問題としましては、大製糸擁護になりはしないかということでございますが、これは現在のように独占禁止法でもって、共同行為ができないような状態のもとで、その資本だけが利用するという形にはなりません。もちろんそういう事態のものでは製糸の方にもプラスがいく場合も考えられますが、主としては養蚕家がこれによって大体最低繭価を確保できる、こういうことになると思い出す、現実に。前の法案で乾繭共同保管の補助金だけがあって、政府買い上げがついていなかった場合には、私の感じとしては、これはどうせ補助金をもらって売らなければならないのだからという考え方からして、かなりなれ合い的な考え方があったようであります。しかしながらそれが最後までふんばる、最低繭価以上でなければ、とにかく政府が買うのだから、こういう腹をきめました段階においては、乾繭共同保管をやる方も、最低繭価以上に値をできるだけ上げて売ろう、こういう意思になりますし、政府で買うのですからそれ以下で売るなんということはできないわけです。それから製糸の方も、現在の共同行為ができないような状態では、やはり自分の工場にできるだけ引けば、たとえば今七割運転しているところも、八割運転すれば一割はコストが実際現実に下るのであります、競争力を持ちますから。繭を買うところの競争は現在相当激しいのです。四百貫ちょっとくらいしか今みな一かま当り食っておりませんけれども、目標としては六百貫食いたい。まだ百貫も二百貫も食いたい。それで各県で競争で買っている。こういう状態のもとでは、倉庫を貸してもらったところに必ず売るという条件づきで倉庫は借りないですから、それがなければやはり競争は相当激しい。そういう形で繭価の方も維持していける、こう思います。運用を下手にやりまして、政府においても団体においてもそういう点に対する注意を閑却すれば、おっしゃるような欠陥を生じないということは保証できませんが、まあ政府のやり方が買うという態度をきめました段階においては、やりにくくなっております。ですから前の法案より最低繭価については非常に効果が強くなっている。農民の立場が強化されている。補助金だけでいきました場合には、そのおそれが現在の場合よりも相当大きい、こう考えております。現に製糸家団体の方でも、政府が腹をきめて最後に買うというところまできめるなら、養蚕家の方も自信を持って本気でこれをやるだろう、本気でやろうというものと大げんかをやるのはたいへんだから、そんなら繭価協定で最低繭価以上ということを自分らは腹をきめて出そう、それ以上のところで繭価協定をやろう、こういう態度になってきているのであります。私の方は、その意味においては間接的な効果として相当大きいものが出ていると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/32
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033・石田宥全
○石田(宥)委員 独占禁止法があってというお話ですが、その点相当私は疑問があると思います。それから現実には各府県の養蚕農業連合会というものと製糸家との間が、ややもすると県連が大製糸資本となれ合いで、しかも県当局がこれにまた迎合をして、事実上ほとんど独占事業化している。現実には局長よく御承知の通りなのです。国の法律のほかに、県ではまたそれぞれ規則を作ってその統制を厳重にしているのです。その統制というものが結局製糸資本の利益のための統制になっている。これはもう私しろうとではないからよく実情を知っているんですよ。この点にも問題があるが、今の補助金というような問題も、これは形だけはあるいは養蚕農業の名前にして、そうしてその補助金は製糸家が取って、製糸家がこれを利用する。それでも養蚕農家が救われるなら私はいいと思う。そうじゃなしに、この法律によると、まるまるそっくり製糸家に利用されるおそれが多分にある。私は新潟県ですが、新潟県の実情というものは、過去において私ども何十年それがために製糸資本家と戦ってきているけれども、なかなかこれは容易なことじゃない。もう現金にかつえている農民ですから自由自在になるのですよ。だから政府がそれだけの親心があるならば、もっと積極的な乾繭施設というものを特別に、養蚕農家というか組合のものにして、維持管理ができるような一つの保護政策が何といっても根本的な問題だ。それなしに——私は具体的に申し上げるのは遠慮したいと思っておりましたけれども、たとえば新潟県の北蒲原郡地方などでは、農民が血の出るような金を出し合って乾繭設備を作ったものがいつのまにやら製糸家のものになってしまっている。今度一つの製糸家がその地域全体の施設をちゃんと握ってしまえば、その地域の養蚕農民はもう、膨大な繭の産地ですが、その製糸家と取り組む以外に適当な販売ができない。もっと高く買うところの製糸資本家がありますよ、他府県に。けけども乾繭施設を持たないために、長野県や群馬県まで生繭で運搬しなければならないのですよ。こんな一体矛盾した話はないのです。それでも乾繭施設を使わなければならないということになって、製糸家に屈服して安売りをしなければならない。こういう現状のままにこの法律が実施されて、果して一体どこが救われるか。救われるべき何ものもない結果においてはいたずらに製糸資本家を利得せしめるだけです。だからその親心があれば、乾繭施設に対してもっと積極的な政策が必要であると同時に、今直ちに今年度の養蚕農家を救うには、私は便法として臨時立法でもいいが、今私が申しましたような特殊地帯においては、ちゃんともう検定の施設もあるのであるから、——これでもわれわれは疑惑があるけれども一応検定というものがあるのだから、これは生繭で政府が買い上げができないか。また生繭で政府が預って、そうして政府の責任において乾繭または保管をするというならこれは話がわかる。養蚕農民のものとして乾繭または保管をするということは、事実において養蚕農家を救うゆえんではないのではないか。われわれは長い過去の経験からそう考えるのです。それについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/33
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034・塩見友之助
○塩見政府委員 この乾繭共同保管によって最低繭価を確保するのが目的でございますから、最低繭価は十分確保できる。繭価協定の場合に、これだけの施設をやる腹があれば、よほどの事態が起らない限り最低繭価以上の値を製糸家は出す、こう私は考えております。事は最低繭価です。最低繭価以上にどれだけ上げていくかというふうな問題は、これはこの法律では規定はないわけです。今おっしゃったような経済的な強弱関係、それから団体の団結が強化されているかどうか、あるいはその団体の共同的な行為に対して政府がどれだけの援助と助成をやっているか等によってきまりましょうから、最低繭価の確保というような点についてはこれで効果は達成できると私は思う。その結果は、養蚕農家は最低繭価より補助金を減らしたような安い値で買われているということではない。この補助金というのは、やはり養蚕農家の手取りの中に十分入る、こういうふうに考えられる。あとの繭の取引については、おっしゃるような点は過去においてもいろいろむずかしい問題がございましたが、私まだ半年くらいですからそう経験がないわけです。けれども、現場の方にも全然歩かないわけで、そういう実情はあるいは石田委員よりは私の方が知らないかもわからない、おそらくそうかもわかりませんが、そういう点があろうかということは考えられますが、本法でねらっているのは最低繭価でありますから、それに関する限りの効果は十分期待できる。それ以上、あとは繭価協定なり繭の取引でどういうふうに持っていくかということについては、まだまだやるべき施策はあると思います。この点については、この法律ではそこまでは及んでいないわけです。最高最低の価格、繭価のその範囲内においての維持というものを建前にしておる関係から、できるだけおっしゃるような点についての施設は強化する必要がございましょうし、現在大体公庫の方の融資という形になっておりますが、幾分は出ております。しかしそれだけでは十分でないかもしれません。あるいは繭取引の方向としましては、組合製糸の方向であるとか、あるいはスタンプ手形等が打ち切られる状態に、金融の正常化の線と伴いましてなっていきましょう。その場合に、やはり製糸が資金難になることは繭の値段を落される一つの原因でもございますから、その場合に、どうしても農業団体の方へ金融をつけていかなければならぬということになりましょう。それらも検討しておりますが、そういう場合に果して組合製糸のような形態だけとるかというと、そうでもなくて、あるいは場合によると委託製糸というふうな形態が当然考えられる、こう考えられます。そうすると糸の売り値の危険を、ある程度農家の方で、プラスの面においてもマイナスの面においても負担するという形態等も考えられるかもわかりませんし、乾繭保管という一線だけでなくて、それらの点もあわせて考えられて、繭価のことは考慮さるべきものと思います。ただ乾繭倉庫だけを非常に膨大な経費を使って補助して、維持し切れるものかどうか、これはそれが維持し切れるような地帯もございましょう、製糸家その他の関係から申しまして、非常に有利な関係にある地帯もあり、また幾らいっても、そんなところへ金を使うくらいならこっちの方へ金を使う方がいいというような地帯がございましょう。地帯々々によって幾らかその性質が違ってくるのではないかと思いますので、そこいらの点について、最低繭価の維持だけでなくて、その上にどういうふうな形で養蚕農民を保護するかという点については、もうちょっと幅広く検討してみないと結論は出にくいと思います。製糸との関係で、組合製糸あるいは委託製糸、いろいろな点について問題はかなりあろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/34
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035・石田宥全
○石田(宥)委員 関連ですから大体この程度にしたいと思いますが、今の掛目協定の問題などでは、最低の限界線あたりで協定が実施できるできないということになると、いろいろ複雑な関係で、私はかえって養蚕家に不利な線が出てくるおそれもあるんじゃないかと思うのです。それを一つ御注意願いたいし、それから養蚕農協の県連合会あるいは国の団体も、これは養蚕農家の組合だから、養蚕農家の利益を代表する機関だということは常識的に考えられると思うのです。しかし必ずしもそうでないということが、これは複雑な問題を生むのです。どうしても養蚕農協というようなものの運営が、ちょっと特異なものですから、製糸家から何らかの形で補助、助成がないと非常に運営が困難だというような事情があるのです。局長は新しいとすれば、まだよくおわかりにならないかもしれないが、そこで、養蚕団体の役員というものは、ややもすると製糸資本家とぐるになって、養蚕農民の利益を裏切るような行為をしばしばしておる。(「その通り」)それで同時に先ほども申し上げましたように県当局がそれの裏書きをして、県規則などを作って養蚕農民を束縛するようなことをどこでもやっておる。この点は私どもはどうしても許せない。従って、それに反撃する運動、反抗する運動が至るところに起るけれども、それを県の規則とかあるいは国の法令によって抑えてやってきておるのが現状なんですから、この点一つ局長は十分留意せられまして、養蚕農民の利益というものと団体の代表の言うこととは必ずしも一致するものではないということを、十分一つ御検討の上善処せられたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/35
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036・中馬辰猪
○中馬委員長代理 日野委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/36
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037・日野吉夫
○日野委員 ちょっと二、三お尋ねしたいのです。日本の養蚕業の将来の重大なことですが、アメリカの可燃性繊維の輸入禁止、この処置がとられて、その後それに対する運動をやっていたが、経過はどうであるか。これは輸出産業としての生糸の将来に重大な関係があるので、その経過を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/37
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038・塩見友之助
○塩見政府委員 織物の方は、通産省になっておりますので、通産省ないしは外務省の方でいろいろ今処置をしております。私らの方は、間接に新聞その他で大体情報をとっておる程度でございまするが、まだ結着は見ておりませんが、かなりにこちらの方の要望に沿った線でいきそうな形になっておるように見受けております。最近の状態では、まだ向うの国会で審議しておる、こういう最中であります。かなりまだこちらの要望の線で通るのじゃないかと思いますが、詳細は外務省あるいは通産省の方に出てもらわなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/38
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039・日野吉夫
○日野委員 管轄は通産省かもしれませが、本案は輸出適格生糸の確保が重点でありまして、これはほかの省が担当しているといなとにかかわらず、そのことに無関心でこの法案の審議は進められない。これは進行状態は一応明確になると思うので、いずれそのことはあとの機会に十分お調べになって、それを伺うことにいたしますが、まずそのことによって、日本の輸出産業としての養蚕業というものの将来が一応決定される、こういうことから重大だと思うので、それは一つ十分お調べ願いたいと思うわけであります。それはまたあとで聞きます。そこでこれは、この法案の、支持価格買上制という、今後とられるであろう農産物価格の重大な問題と関連をして参りますが、法文には、必要がある場合は最低価格をこえる価格で買い入れることができる、こう規定してある。しかし今局長の答弁を聞いていると、結局この支持価格というのは、生産費と関係なしに、糸価の逆算によってきめられた最低価格で買い上げるというように聞えるのであるが、その関係はどうなっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/39
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040・塩見友之助
○塩見政府委員 繭価の方でございますか、繭の方でございますね。——これはこの十一条にもございまするが、「生産費の額を基準とし、」——基準は生産費になっておりまして、生糸の最低価格及び物価その他の経済事情は参酌事項になっておるわけでございまして、政府の買上価格は生産費基準でございます。糸価から逆算という形ではございません。
〔中馬委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/40
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041・日野吉夫
○日野委員 法文にはそう出ているけれども、実際買い上げられる価格というのは、糸価逆算の最低価格で押えられないかという一つの心配があるので、この点を明確にしておきたいと思うのです。
もう一つは、今石田委員からもこのことが言われておるのですが、農林大臣の指定する農業協同組合連合会が、あらかじめ農林大臣の承認を受けて、繭の出回り調節による最低繭価維持のために自主的に保管をしたときは、保管に要する経費について特別会計から補助金を出す、こういう規定で、説明によると政府が金利、倉敷の全額を補助する、こういうふうに言われているのでありますが、これは非常にあいまいな規定じゃないか。むしろこういう危険のある場合は、倉敷や金利を補助するという形でなく、政府が積極的に保管命令とかあるいは保管処置とか、そういう処置をとる、あるいは生糸を直接国が買い上げる——全く完備しない保管機関、こういうものを利用すると、そこにはよく乾繭の工場が火災を起したとか、あるいは不可抗力のいろいろの災害なども予想されるので、こういう規定をもっと明確にして、やはりなま繭で政府が買い上げるという処置はとれないものかどうか、そういうことを立法に当って考えてみなかったかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/41
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042・塩見友之助
○塩見政府委員 ただいまの御質問の点は、この法案での一番基本的な問題の一つと思います。先ほども御質問がございましたが、これは過去からの検討もされておりまするが、私らも検討しました結果、やはり繭は糸と違いまして、糸になりますると、政府の定員等もそう膨大なものでなくて買えまするが、繭になりますと、どうしても地方に非常に散在しておりますし、どうしても乾繭工程を経ないと、あと政府が保管できませんので、そういうふうな関係からして、生繭で買いましても、政府としてこれは途中乾繭をやって、乾繭にして持たなければならぬ。そういうふうな形を散在した繭につきまして政府がとるとなりますと、どうしても相当膨大な職員を持ちませんとできないわけでございまして、現在の二十二人でやっておるというふうな建前やまたそれが網糸価格安定法の方でそういうふうなテクニカル点もございまして、糸でまず維持する、それから糸と見合ったような価格以下に繭を落すというようなことがあれば、間接に糸を通じて繭を維持していくというこの法の建前がくずれるわけですから、それについては万全な措置をとるというふうな形で、補足するという形をとっておるわけであります。これを繭を買うという建前にしますれば、本法の形を根本的に考え直さなければなりません。そうなりますると、相当な職員数を持たなければなりませんし、現在の状態からして、そういう政府が買わなければならないという事態についてだけ置くような職員を膨大に持つということが適当かどうかというふうなところも考えなければならないわけでございますので、その点は踏み切りきれない状態でございます。それはいろいろの点で検討も進み、それだけの職員が置かれて、それが国民の税負担において活動しても、十分それだけの効果があるという見きわめがつきませんと、それだけの職員数は持てないような——相当な数の職員になります、品物の性質がむずかしいことと、非常に散在しております、そういう点で踏み切りきれない、こういうことでございます。農民の要望として、政府で買ってくれれば一番よい、これはよくわかるのでありますが、相当膨大な負担になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/42
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043・日野吉夫
○日野委員 これは将来に属する問題ですが、石田君からも指摘されましたように、農林大臣が指定する農業協同組合連合会、これも現実の状態においては、真に生産農民の利害代表機関であるかどうかにはずいぶん疑問が持たれる、こういう関係から、農林大臣と農業団体の代表、あるいはここには必ず独占資本としての製糸家が参加する、このあたりできめられる、こういうあいまいな法規で運営されると、実際の生産農民の利益になるかどうかということについて、われわれは大きな疑問を持たざるを得ない、そういう点から、今のようなことをお尋ねするのですが、できれば今言ったように、政府が直接生産農民の生繭をそのまま買い上げることが、一番農民保護の政策になる。予算と陣容が許すならば、将来はやはりそうした方向に持っていくべきだと思うのですが、これらに対して、今局長の説明を聞けば、将来はそういうことに考えるというふうにもとれないことはないから、将来の問題としてこれは考慮してもらいたい。今実際は、僕は宮城県ですが、宮城県は県南が養蚕地帯で、ここでは製糸業者とこの中に県が入って、県の役人が製糸会社との関係において、生産農民等のためにあまり利益にならない方法で集荷、保管等のことが行われておるので問題を起している。実はこの法律の出る前に、養蚕団体の代表と製糸家の代表からいろいろの事情を聞いて、将来これはアメリカが実施しているような一つの支持価格制度で養蚕家を保護しなければならないということを僕は言ったのですが、この法案では現に石田君から指摘されたように、独占資本の支配から生産農民を切り離すというすっきりした姿が一つも出ていない。依然として独占資本の支配のもとに置かれる養蚕農民の保護としては、きわめてわれわれは不安が残されておると思う。やはり安全な独占資本からの離脱が規定されてない。しかもこの運営は農林大臣の定める条件、この条件が作られる場合も、やはり養蚕団体の代表あるいは製糸次等の意見が多く反映されると考えられるので、この条件を作る場合に考えられた養蚕農民保護のための規定が設けられなければならない。今のところこの法律を実施するに当って、直接養蚕農民の保護のために何か政府がこういう条件の保護を考えておられる点があれば、一応伺っておきたい。十分この点は用意してかからなければ、今言った危険に陥ると思うので、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/43
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044・塩見友之助
○塩見政府委員 これは先ほどから申し上げましたような、最低繭価を維持するというふうな点で効果は十分あると思いまするし、最低繭価維持のために乾繭共同保管に入ります場合に、製糸家の意見は別に徴する必要はないと思います。政府としては、乾繭共同保管をやろうというふうな農業団体と協議をしてきめればいいわけでございます。その場合にやはり乾繭共同保管をした繭は、最後には政府が買う場合があるわけでありますから、政府が買って持っている間に盗難にあうとかあるいは変質するとか、そういうふうなことは政府も自分の責任でございまするし、農業団体がやっていた倉庫から政府が買った場合に、ほかの倉庫へ移すということはコストがかかるばかりでございますから、それはなるべく同じ倉庫がいいわけでございまして、そういうような倉庫の条件とか数量であるとかいう点について、農業団体とだけ協議をすればいいわけでありまして、製糸と協議をするような考え方は今のところは持っておらないわけでございます。あとこういうものの金融の点については、中金等の資金が不足する場合には、国庫余裕金なりあるいは国家のその他の資金まで活用して、政府としては資金を十分潤沢ならしめることが必要でございますので、そういう措置等ももちろんとらなければなりませんし、そういうふうな点について農業団体と政府の方とで協議してきめるということで、製糸の意見を聞くというつもりは全然持っておらないわけであります。これは最低繭価の問題でございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/44
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045・日野吉夫
○日野委員 局長は製糸業者と協議する必要がないということを口をきわめて言うけれども、この法律の中には、長期にわたって保管するような場合にはこれは生糸に加工して保有する、あるいは生糸と交換ができる、こういうことになっているし、あなたたちが相談の相手にしようと思おうが思うまいが、製糸業者はこれらの問題について、積極的にあなた方に意見を申し述べたり、自分たちの支配確立のためには非常に熱心にかかるので、どうしてもわれわれの恐れるのは、そういう意見の反映が生産農民の利益を圧迫する危険がありますから、そういう点のないように十分配慮を願いたい。こう申し上げておるのです。大体私らは一応支持価格制というものの確立のために、ステップ台として一応これは考えておるが、そういう危険に陥らないように、実施に当って十分なる配慮をお願して、私の質問を打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/45
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046・塩見友之助
○塩見政府委員 これは養蚕農民のための最低繭価の確保でございますから、目的はそういうところでございますから、おっしゃるような方向で運用すべきだ、こう考えております。それから交換あるいは加工というのは政府の手に入ってからのことでございますが、その繭を売るだけでは、団体の方が政府の方に売ってくる場合に売りにくいし、最低繭価で売れないから売っててくるわけでありますが、その場合に政府としては、また市場に出したら値を落すので、政府としては委託加工をするとか、交換という形で市場の繭に悪影響を及ぼさないためにやる。そこらの点であるいはおっしゃるような間接に委託製糸でやると、いろいろな点が加わるかもしれません。政府が持てば政府はある程度力がありますから、その点に対して養蚕農民よりはそう無理はきかせないでやれる。こう思います。そこだけは政府がかわって入る。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/46
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047・安藤覺
○安藤(覺)委員 これは局長の言葉じりをとるわけでもない。また━━━━━━のまねをするわけではないのでありますが、さっき以来ちょっと気になるのでありますが、局長はこの法律は糸を保護する、糸を保護するから繭にいくのだ、こうおっしゃるのですが、安定法の第一条には「生糸の輸出の増進及び蚕糸業の経営」ということが書いてあります。生糸の輸出ということはむろん第一条件で、大事なことですが、あと蚕糸業の一つの一列のものになっておる。生糸だけというと製糸業者だけの保護という感じが強く出てきます。養蚕農家、蚕業家というものの保護というものは非常に薄くなります。これはあえてあなたのお考えのほどをたださなくてもけっこうでありますが、こういうことでいくと観念が錯倒してしまう心配がありはしないかと思います。これは十分御承知のことで、かようなことを申し上げて大へん御無礼でありますが、ちょっと御忠言申し上げるだけであります。
それからこれは巷間非常に聞くのですが、今の糸の最低最高の間が少し幅が広過ぎる。これは安定させるためのこうした法律なのですから、言葉をかえて言いますと、投機の対象にはなっておるけれども、できるだけ大幅の投機対象にしないということのために、十九万から二十三万ということでできておる、ところが現実にはこれでも非常に幅が広過ぎる。これが一つ。もう一つは、現在の最低価格の十九万というもの、これが低過ぎやしないか。私は与党の立場で時間を早めなければなりませんから、えらいごたごたしたことは聞きませんが、一体十九万ということを考えていくときに、繭の生産費というものが果してどういうふうに計算されるのか、これでいって養蚕農民の健全な生産費というものが出ておるかどうか、考えを変えてみますと、養蚕地帯というものは水田地帯ではないわけなんです。畑地もしくは山添い地帯なんです。水田地帯は米をとる、米のとれない所、畑地あるいは山地添いのような所が多く養蚕農家です。その養蚕農家は蚕からとった繭を売って、稲作地帯でできた米を買って食べるわけなんです。ところが今いろいろな資料を出して見せて下さいとかあるいはそれについてどうこう言おうとは思いませんが、一体米の生産費あるいは米の価格というものと繭の生産費、価格というものと均衡がとれているかどうか、繭の生産費というものはかなり立ちおくれておるのじゃないか、こういうことが考えられるわけであります。こまかいことは今日は聞きません。そこで結論にいきますが、どうでありましょうか、この十九万というのが一つには投機対象になりやすい、幅が広過ぎる、同時に、一つには繭の生産費が安く見積られ過ぎておる、これを引き上げる、この二つの目的に合致させるために十九万と二十万——今ここではともかくも、次期の国会等においてはこの法律を修正して引き上げるお考えをお持ちになることはできませんかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/47
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048・塩見友之助
○塩見政府委員 この最低糸価の問題は繭糸価格安定審議会に諮りまして、この法規にあるような基準によって諮問してきめる、こういう形になっておりまして、来年度のことをここで私が、そういうふうな調査あるいは資料等も持たずに、大きい逹観的な、政治的な意味で米とのつり合いから上げたらどうかということは、局長限りでとうていお答えできるような問題ではありません。御趣旨は私の方もわからないわけではございませんが、この問題は大き過ぎてちょっと即答がしかねるわけであります。
なおことしの十九万円は全員一致できまったわけでございまして、アメリカの市況等も考えなければなりませんので、また十九万円というのが現実には糸価として二十万を割っても二週間と持たないというくらいの強い線です。今般のこれらの措置が加わりますと、十九万円に維持したということは、より高いところに実際の糸価が維持されたという形になることとも思います。そこらの動きを相当見つめませんと、そこらの結論は簡単にはしにくいのじゃないかと思いますが、問題は何分にも大き過ぎ、ここでは局長で答えられる問題ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/48
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049・安藤覺
○安藤(覺)委員 先ほど私冗談ごとにふだん言っている言葉をつい使いまして、川俣氏の氏名をちょっと━━━━━━しまいました。それを取り消します。
それから次にお尋ねいたしたいのは、ただいまの局長の力では答えにくいということでありますが、そのあなたがこれをなさるとかなさらぬとかいうことの御答弁はいただかぬでけっこうですが、先ほど私が申し上げましたような意味において、あなたはこれをどう御判断になるか、と同時に、今年は一人の異議もなく十九万円にきまったということでありましたが、相当これは強い声になっておることの事実をお認め願うと同時に、来年に対するあなたの意欲ともいうべきものを一つお聞かせ願えませんでしょうか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/49
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050・塩見友之助
○塩見政府委員 アメリカ等の買手の方の状態をよほど見きわめないと、そういうことはしにくいわけでありますが、私は最低糸価、最低繭価というふうなものだけでなくして、事実上の取引の値段がやはり糸につきましても安定するということは大事だろう、こういう関係からして第九条の改正をやりました。この改正が行われますれば、輸出糸については上げ足もにぶりますし、下げ足もにぶります。ですから幅としましては十九万から二十三万——ある数ヵ月をとればここらで動いており、ある数ヵ月をとればここらで動いておる、こういう形でやはり半年一年と長期の波は相当ございますから、数ヵ月たてば狭いところで動いておるのですけれども、一年を通じた価格になりますと、ある幅をとっておかないと、自由な取引という点で阻害が起りやすい、幅はある程度あっても事実上上げ足、下げ足が鈍くて、割合その時期々々としては安定しておる、景気がよければ二十三万に近いところ、悪ければ下の方で、こういう形は取引上現在の状態ではやむを得ないじゃないか、そうなりますと今の値幅が広過ぎる、こう言えるかどうかという点はちょっと断定できないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/50
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051・安藤覺
○安藤(覺)委員 先ほど石田委員からもお尋ねになっておったのでありましたが、全国における協同組合経営の乾繭所あるいは倉庫等の散布状態でございますが、その場合のお答えに、組合経営の倉庫あるいは乾繭所の全然存在しないところもあるということであります。そういうところでは付近の製系家の所有するところの乾繭所に予約委託されるなりなんなりされるでありましょうが、そうした場合、先ほど石田委員あるいは日野委員から言うておりました養蚕農家保護のためのものが、ともすると製糸資本家の擁護ということになってしまうじゃないかという心配は、ただに石田委員あるいは日野委員だけの心配じゃないと思います。われわれにおいてもえてしてそういうことがありがちじゃないか、起りがちじゃないかという懸念が出て参ります。つきましては現在組合等で保有しております倉庫あるいは乾繭所等の完全なものは言うまでもありませんが、老廃腐朽して使用にたえないものあるいは全然その設備のない地方に対しては、ここまで足を踏み出されたら、もう一歩踏み込まれて、国立の乾繭所あるいは倉庫というようなものを、せめて繭検定所の存在する場所等においては相当中心地をなしておると思いますから、こういった所へこうした設備をなさるというところまでの御熱意はお持ちになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/51
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052・塩見友之助
○塩見政府委員 国立の乾繭所を持つとなりますれば、やはりそれに従事する職員も相当要りましょう。現在蚕糸の方はあるいは非常に軽く見過ぎておるという点もあるかもしれませんが、定員等もわずかな定員でございます。特別会計もわずかに二十人、乾繭所数カ所作っても、それではとても運営はできない、こういう状態でございますし、そういうふうに役人が商売の間に入りまして——乾繭所ぐらいを管理したり何かするのはまだいいかもしれませんが、繭をどういう程度のかわかし方をするか、急速にかわかすか、ゆるゆるかわかすか、そういう技術等もなかなかむずかしいようでございますし、取引の値段等も相当問題で、繭を管理するとなりますと、向かない役人がそういう商売にある程度入るわけでございまして、思わない欠損を来たすという危険もございますし、取引だけできれば、円滑迅速にとにかく売手と買手の間がつながればいい、国家の官吏というような、かた苦しい特別会計に縛られた自由のきかないものが、取引の段階に、一段階入るのはいろいろな意味で円滑慎重な取引が阻害されますので、そこらも検討してみたい、こう考えております。今のところはそういう段階は持ちますが、倉庫は資金的な金利その他の面で援助という段階にとどまっておりますが、先ほど社会党の方からも御質問があったような、そこの最後のあれを踏み切るかどうかという点で、踏み切る確信を今持っておらぬ、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/52
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053・安藤覺
○安藤(覺)委員 現在この法律案のもとにおきましては、ただいまの御説明のようでけっこうであろうと存じますが、先ほどの御説明によりましても、またこの全体の空気といたしましても、アメリカに対する生糸の売れ行きについては相当明るさが見られておるわけでございます。従いますれば、本年のところはともかくといたしましても、将来にわたってこの明るさが持たれるということであるならば、来年度あたりは一つ踏み切ってみられることがいいのではないか。もう一つには、ただいま国立の乾繭所あるいは倉庫というようなものについて、役人がそこめで立ち入ることが果してどうであるかというお言葉でございましたけれども、これは繭を買うということをすでにあなた方おきめになっておる。これが一つの商売です。利益を見ない商売なんですが、保護のための商売なんです。乾繭ということは国の繭を乾繭されていいのです。そうすると生繭を買ってその場でやられてもいい、あるいは委託を受けられてもいい。だからその技術等については、法科大学卒業生をわざわざ試験でとって入れなくていいので、民間におる技術者を雇えばいいのです。定員をふやすのは国会の承認を経てやればわけはないのでありますから、そんなに困難なことはない、ただ踏み切り一つではないか、私はこう思う。ここまでいかなければ、このあなたの発案はまことにけっこうな発案なんで、私たち感激しておるのでありますが、このせっかく発案せられたものが、仏作って魂入れず、画龍点睛を欠きはしないかと私は考えますが、これは来年度において、こういう段階まで踏み切っていただきたい、こう考えます。
それから次に、これも石田委員からちょっと触れておられましたが、繭検定所といふものは現状においてどんな仕事をしておりますか、それを二つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/53
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054・塩見友之助
○塩見政府委員 これは昔、御存じの通りでございますが、製糸の方で一方的に繭の品質を調べまして、これは糸目はどれくらい、解舒はどれくらいということを適当にあれしまして、一方的に、だからこの値段だ、こういうふうにやっておりましたものを、それでは農民のために不公平であるというような関係からして、それで政府の方で立案いたしまして、検定方法等も検討を十分加えました上で、その県に繭の検定をやらせるというような形で、繭から糸がどれだけとれるか、また糸をとる場合の質であるとか、あるいは加工費に関係します解舒のよしあしとかいうものを大体点数をつけまして、それでこの繭はこういう性質の繭だ、こうことで糸になった場合に原料の繭としてどれくらいの価値があるかというような性質まですべて出るような大体の建前で検定が行われておる。こういうな性質のもので行います。切歩検定とかその他簡易の方法がありますが、これはその繭のほんとうの価値出ないので、かなりめんどくさい方法をとっております。糸をどんどん繰りまして、それで一定の繭からどの程度の糸が現実に出たか、それから太さ、細さのふりがどれだけあるかというような点におきましてはみな検討してみまして、それから解舒がいいか悪いかという点も見ます。そういうふうな点なんかがすべて見られる、すべて糸になった場合に、原料繭としてどのくらいの価値があるかという性質が見られるような、かなり手の込んだ検定で、米とか麦のようにさしを入れるとか実入りとか水分とかいう簡単でない検定、いろいろ製糸がやるところの検定、それから県でやるところの検定というふうに差が幾らか出ておることがありますが、これは第三者であるところの県の検定ということを建前にしてやっていった方が、検定方法というものを持たない農民にとっては有利な方法ですから、そういうことに対して県に補助金を出すという形であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/54
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055・安藤覺
○安藤(覺)委員 その検定の場合においては、これは公開になっておりますか。代表者だけでそれ以外には入れないようにしておりますか。個々の養蚕農家がちょっと立ち寄ってみたいといって、立ち寄れるようなことになっておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/55
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056・塩見友之助
○塩見政府委員 これは別に立ち会いを拒否しているわけではございません。県の検定所でやっているわけですから、疑問があれば質問されれば、それに対しましては文書で回答するというふうな建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/56
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057・安藤覺
○安藤(覺)委員 検定法を制定された精神は、まことに今局長の説明された通りで、むしろ養蚕農家を保護する意味になっておるのでありますが、先ほど石田委員は言葉少くちょっと触れておられたが、悲しいことには、せっかくの意図にかかわらず、養蚕農家はこれについて非常に疑いを持っておるのであります。また養蚕農家が口走るようなことは行われていないと私は思っております。にもかかわらず、養蚕農家それ自体は非常な疑いを持っている。そうして団体の幹部と検定所の役人と一緒になって、繭の掛目を養蚕農家に不利に計算して出すというようなことを非常に多く口走るのであります。これは何とかして公正に行われているのだということを、一つには官吏、公吏の名誉のためにも、一つには農民たちの生産意欲を増進し、かつせっかく苦労して作り上げたということに対する喜びを全的に持たせるために、何らかの御処置をお講じになることが必要じゃないか。それは単に検定所の吏員を戒めるというようなことだけではないのであります。そのほかに、何らかの演出方法なり何なりにおいて、公正に行われているのだということを信じさせるようにされる必要があるのではないか。その一つとしては、掛目協定の協議が、これは熱心に団体側が、また製糸側なら製糸側として、それぞれの立場から自己の主張を譲らないから時間がかかるのであって、これこそむしろ養蚕農民に対する団体代表とすれば忠実なわけなのであります。ところがあまりにも時間がかかります。本年のごときは割合早いようでありますが、長いときには一ヵ月以上二ヵ月にもわたる、あるいは三月にもわたるということがあるようであります。そうすると養蚕農民はこれをどう言うかといいますと、早いうちは値がいい、だんだん下るときを見てきめるのだ、こういうことさえ言うのです。同時にまた一ヵ月、二ヵ月、三ヵ月とかかって、内渡金だけ七割なり八割なり渡しておいて、あとの金を渡さない、これは買い上げる方の側になってみれば、一カ所にまとまっているので、この金利だけでも大きいので、意識してあの金利をもうけさせるために長引かしているのだということさえ言うのです。こうしたことなどが、やはり先ほど申し上げた検定所の問題にもからまってくると思うのであります。ここらを一つ何とか御工夫なさることがまた必要じゃないか、かようにも考えるのです。御答弁をいただかなくてもけっこうですが、この点を心に必ずとめられて、演出を御工夫下さることが必要じゃないかと私思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/57
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058・塩見友之助
○塩見政府委員 製糸工程を経て繭の価値をきめるために、製糸の設備や操糸方法等について、製糸家の方は日進月歩で進みますが、検定所の方がおくれているという点もございました。それで本年度をもって全国全部自動操糸機に切りかえします。多条操糸機に切りかえます。そういう点で製糸家の持っておる設備と違いないような設備で検定をやる、こういうことになりますが、それらの点についても、幾らか違った機械でやっておりますれば、農民の疑いが起きるかもわかりませんが、そういう疑問の点は、できるだけ御趣旨に沿って注意をして参りたい、こう存じます。またなお製糸の方から申しますと、やはり文句は出ておるのでございまして、原料の選び方や何かについて、農民に有利過ぎるというような文句が出ております。両方から文句が出ておりますから、その点は私の方も幾らか公平にいっておるのかと思っておりますが、なおそういういろいろ問題になり得る点は、そういう点が起らないように、また農民にそういうふうな点について疑念が起らないような努力は、われわれの方としても極カ努めて参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/58
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059・安藤覺
○安藤(覺)委員 両方からいろいろ不満があるということによって公正さが保たれているだろうということは、やはり一つの証左にはなります。しかし私は決してその官吏のよごれているということを疑うものじゃないのです。ただこれをわからせるということについて努力が足らない結果疑惑を持つ、疑惑を持つ結果無用な紛争を起し、そして生産意欲を減らさせてしまうということになるのをおそれるのです。この点は一つ特に御留意願いたいと思います。
それから先ほど来、ただいまもそうでありますが、予算の少さによって生産を保護しもしくはその生産意欲を増進させることについて支障を来しておるというお言葉がございましたのですが、もしそれ、まさしくあるいは養蚕農家にしても米作農家にしてもそれらの生産者の利益になり、そしてその人人を喜ばせて生産を増進させることができる予算でありますならば、われわれ議員といたしましては、その生産者たちの直接の利益になるということにおいてこれに協賛するにやぶさかでない。むしろ皆様方の力強いバックになって予算獲得に努力することを誓うものであります。どうか一つ、あまり予算の少いことに、あるいは予算のとれないことに嘆きを持たれておじ気を持たれずに、勇敢に御要求願いたい。ただ問題は、生産者の利益だという名においてあるいは形において、事実はとんでもないところにその利益が飛んでいってしまうのでは、われわれは困るのであります。そうでない限りにおいてわれわれはあくまで努力いたしますから、どうか局長勇気を持って要求していただきたい。おそらく農林委員会におきましては、与野党なく一致してあなたを力強くバックするでありましょうことを私はここにお約束していいと思います。どうか一つその点お含み置きを願いたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/59
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060・綱島正興
○綱島委員長 それでは午前中はこれくらいにして、午後は一時半より再開をいたします。
これにて休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
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午後一時五十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/60
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061・綱島正興
○綱島委員長 これより午前に引き続いて会議を開きます。
最初に、東北地方水害による農林水産業の被害状況について委員を派遣して調査をいたしましたが、この機会にその調査報告を求めることといたします。小枝一雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/61
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062・小枝一雄
○小枝委員 去る六月二十四日から二十六日にわたって東北地方を襲った梅雨前線がもたらした豪雨による農林関係の被害状況調査のため、自由党から鈴木委員、両派社会党からそれぞれ淡谷委員、伊瀬委員、民主党から私の四名、そのほかに地元関係議員の参加を得、また専門室からは喜田調査員が随行し、農林省からは徳永農産課長、あるいは仙台農地事務局長が同行いたしまして、去る七月一日から昨六日早朝帰着まで、六人日間にわたって山形県、秋田県、青森県及び岩手県の四県の被害の実情を調査するとともに、被災地の関係者の慰問をいたして参ったのであります。なお今回の調査に当っては、建設委員会の調査も同時に行われたのでありまして、山形、秋田の両県については同道して調査をいたした次第であります。以下調査結果の概要について御報告申し上げます。
まず当時の気象状況は、太平洋の高気圧が強く西に張り出し、一方またオホーツク海の高気圧が停滞していたため、この地方の梅雨前線が活発化して、二十四日午後から二十六日午前にかけて豪雨をもたらし、平野地帯におきまして二百ミリ、山間地帯におきましては三百ミリ以上の降雨量を示したもので、この地方においては昭和二十二年以来の大きな被害をこうむる結果となった次第でございます。
また今回の被害の特徴といたしましては、短時日の降雨である関係からいたしまして、河川の本流のはんらん等による被害は少く、これら本流に注ぐ支流あるいはその支流に注ぐ小河川等中小河川の被害が多い点であります。すなわち本流からの分岐点近くにおいて、中小河川の堤防あるいは護岸の決壊による被害がすこぶる多かったことであります。たとえば山形県におきましては、最上川の支流である鮭川の決壊による被害であり、また今回の豪雨で最大の損害を受けておる秋田県下におきましても、本荘地方におきましては子吉川の支流である鮎川のはんらんであり、あるいは雄物川の支流である鞠子川の堤防決壊等による被害がこれであります。かくのごとく中小河川による災害であった関係から、特定の地域は別としまして、被害地域の減水も割合に早く、また局地点の被害といたしまして最小限に損害を食いとめ得たことは、農民諸君の適切なる措置とともに不幸中の幸いであったと存ずる次第でございます。
次に各県の調査に基く被害の内容につきましては、各位のお手元に配付いたしました通りでありまして、農作物の被害が最も多く、二十八億六千万円、農地及び農業施設十七億四千万円、その他であり、合計四十九億五千万円に及んでいる次第であります。なおこれら四県のうち秋田県が約二十七億七千万円で、全体の六割近くの最大の被害をこうむっているのであります。これが各県における被害状況につきましては、整理いたしました各県の被害事情及び被害写真等によって御了承を願うこととし、各地方は省略させていただきます。なおこの向いの壁に大体の当時の被害の地図を掲示いたしてありますから、後ほどごらんを願いたいと思います。
特に三日間における降雨量が百ミリ以内であるにもかかわらず、かかる被害を受けた青森県については、これまでの施策の適否、今後防災施設等について特に考慮すべきものでありましょうし、また秋田県八郎潟周辺の長期冠水による被害についても、現在調査中の干拓計画等との関連において、根本的に考慮すべきものであろうし、岩手県一の関市付近における被害については、北上川の上流地帯における降雨による河川のはんらん被害であり、この地方がちょうど北上川の狭搾部に位置し、一つの遊水地帯をなしておるという特殊地形である関係から、あのような想像を越えた増水を来したものであり、これが根本対策なくしては被害の防除は不可能でありましょうし、過去の実績からしても、三年一作という農民諸君の心情は察するに余りあるものがあります。これが対策については、総合的に適切なる根本的対比策が早期に樹立きれ、実行されることを願ってやまない次第であります。最後に各地において知事初め地元関係者から強く要望されました点のおもなものについて申し上げますと、次の通りであります。
一、本年、四、五月の凍霜害及び水害に対する措置と同様低利資金の特別融通措置を講ぜられたいこと。
二、農地及び農業用施設災害の査定をすみやかにして国庫補助金の交付の迅速を期するとともに、それまでの間におけるつなぎ融資を直ちに実施されたいこと。
三、今回の災害地域は日本でも有数の庄内米あるいは秋田米の産地であり、米作一本に生きる農家でありますので、これが被災農地の代作として、ソバ、大豆等の種子の確保につきあっせんをするとともに購入費の助成をされたいこと。
四、水害の後には当然予想されるいもち等の病虫害の防除について薬剤の購入費の助成をされたいこと。五、災害非補助事業分についての農林漁業金融公庫融資のワクを確保されたいこと。等であります。
以上簡単でありますが、御報告申し上げるとともに、被災農作物がその後順調に回復され、被害が最小限にとどまらんことを願って御報告を終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/62
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063・綱島正興
○綱島委員長 なお引き続いて繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/63
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064・足鹿覺
○足鹿委員 お尋ねしたい点は、繭の再生産を補償する問題を中心にいたしまして、なかんずく独占形態をとっておる現在の日本の製糸業に対して、養蚕農家の利益をいかにして守っていくかという方策につきましてこの機会にお尋ねいたしたいのであります。
あとで逐条的なことをお尋ねいたしますが、そういう立場から一般的な点についてお伺いをいたしますと、よほど前の国会でありましたが、ただいま改正法律策が出ておりますこの繭糸価格安定法の審査をいたしました際に、当初政府は糸価安定法として出した。私は当時農林委員の一人といたしまして、糸価の安定よりもまず繭価の安定をはからなければならないという見地から、遂に各派の同調を得て繭糸価格安定法と修正議決して現在に至っておるのであります。しかるに政府は、その後この立法の趣旨にかなうような施策を果して講じたかと申しますと、われわれは必ずしもそうは思っていないのであります。現在の塩見局長は、赴任早々非常な勉強をなさいまして御努力になっておることを認めまして、前のことを引き合いに出してあなたを攻撃し、追及するというわけではありませんが、少くとも今までの蚕糸局の態度を見ておりますと、いわゆる一部の独占資本の利益を守っていくために、いかに合理的に繭価格を押えるかといったような考えのもとに動いておられるのではないかというような懸念すら起るような態度が見えた。この点について私は、前の二代の局長にわたってずいぶん激しく言った記憶を持っておるのでありますが、今後はそういうことのないように希望いたします。つきましては、本年の四月二十七日ごろと記憶しますが、繭糸課長通牒なるものが出ておるように伺いますが、それはどういう趣旨のものでありますか。その通牒の写しがあれば、資料として御提出願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/64
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065・塩見友之助
○塩見政府委員 これは群馬県における二十九年度の養繭処理方式が、公正取引委員会において独禁法にひっかかる部分があるというふうな通知がございまして、それに関連いたしまして各県の方に、こういう点について問題があるのだというふうな注意を喚起いたしたわけでございます。その内容につきましては、繭糸課長からお聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/65
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066・小船清
○小船説明員 ただいまお尋ねの四月二十七日付で蚕糸局繭糸課長から各県の部長に対して出しましたものは、昨年の春繭の群馬県における処理の方式につきまして、公正取引委員会におきまして独禁法に違反するという忠告が県知事に対してありまして、今後指導を十分注意するようにということでございまして、その旨蚕糸局として公正取引委員会の通知を受けましたので、さっそく全国にわたりまして、このようなことのないように注意を促したものでございます。そのうちの重点につきましては、その後本年の蚕繭処理方針といたしまして繭糸局として要点を再度指示いたしてありますけれども、とりあえず早急に課長名をもって地方に通達いたしたものであります。
その内容といたしますところは、まず第一は、公正取引委員会の指摘になりましたように、現在の蚕糸業法の第十五条の二に繭価の協定が独禁法の除外になっておりますけれども、この規定におきます範囲を逸脱いたしまして、農業団体の申し込みを受けない需要者におきましても繭価協定に参画するようなことがないようにということが第一点でございます。
第二点は、その繭価協定に関連して参るわけでございますけれども、繭の購入数量に関しまして需要者におきましてその過不足を調整する場合に、需要者の共同行為というようなことになりますと独禁法に違反するわけでありまして、このようなことがないようにということでございます。その際に繭の需要者におきます数量が適当に入るために、たとえば繭糸業者に対しまして、すなわち繭売買業者に対しまして、一定の法的な資格を持たない組合等に県内の繭の売買の扱いを組織的に行わせるというようなことになりますと、これは法的に独占禁止法に違反するおそれがあるということでございます。
おもな内容は以上の点でございまして、この点について各県に注意を促したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/66
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067・足鹿覺
○足鹿委員 ただいまの繭糸課長名をもって出された通牒の写しを資料として御配付を願います。
先ほど塩見局長は、同僚委員の質疑に答えられて、独禁法の規定によって繭の生産者の利益を襲断するようなことはできないということになっておると言われましたが、先般の独禁法改正によって蚕糸業法第十五条の二において独禁法の除外を受けておる需要者間における繭価の協定は、除外例によって認められておる。従って繭の取引というものは——いつも言っているのですが、需要者の方が非常な有利な立場に立っておる。そうして供給者である養蚕家の方は常に下位にある。このものが対等の取引ということは常にあり得ないのです。従って国家の行政は、このものを常に対等の立場に置くような行政指導が行われなければならないと思う。かくのごとき独禁法に触れないようにというあなた方が通牒を出されたほど、従来の日本の蚕糸局の運営は偏しておったのです。そうでしょう。こういう通牒を出さなければならなかったという事実は、すなわち過去において繭価の協定に名をかって、事実上においては上位にあるものが下位にあるものに対して、強者が弱者と対等の立場に立って協定を結びました場合に、常に弱者の場合は不利になる。この事実を隠蔽して、そうして繭価協定の美名のもとに、独禁法違反の行為をあえてやっておった。そういった点から私は一つの事例として、過去における日本の蚕糸当局の運営が、必ずしも養蚕農民のためによかれかしと思ってやっておらない点が多々あったことは、この一事で私は指摘しておきたい。今後かかる通牒を出さなければならないような事態なきことを保せられますかどうか。それと、これは資料として出していただきたいのでありますが、ことしの中央における繭価協定と、地方の繭価協定はどういうふうに差がついておりますか。口頭でもけっこうです、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/67
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068・塩見友之助
○塩見政府委員 ただいま御指摘のような事実がございましたことは、末端における現実の運営において違反の事実があったわけでございますから、そういう点についての、ほんとうに対等で公平な形での繭価協定あるいはそういうものが実行されたかどうかということに対しては、御指摘の通り問題があると思います。それで公取からも公式にはっきりした通知を受けたわけですから、私の方といたしましては、先ほど繭糸課長が申したように、現在の法規では、農業団体の方から申し込みを受けた相手方でなければ協定ができないわけでありますし、それからもう一つは数量協定のごときものはできないわけでありますから、そういうふうなものに入るというふうなことは厳重に通知をしておりますし、課長会議を数回開きまして、そういうことは詳細に説明をしておるわけであります。今後誤まったような方向をとりますれば、ただちに中央としては警告を発したいと思っております。ただ問題としては、協定というのは当事者がやる話し合いでございますから、当事者がその警告を軽く考えるとかどうとかいうことがありますれば、それは通牒だけで現実が全部通牒通りに行われるかということに対しては問題がありますので、そういう点については十分中央の方でも注意いたしまして、そういうふうな事実がないように県を督励いたしまして、法規に従って、法を逸脱しないように注意したいと思います。本年度の繭価協定その他については繭糸課長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/68
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069・小船清
○小船説明員 ただいまの繭価協定に関する本年の状況でございますが、繭価に関します協定は独禁法で除外されておりますので、中央におきまして、おもなる養蚕県の農民団体の会長と、おもなる需要者、主として東京に本社のあります方々が集まりまして、繭価に関する予備折衝みたいな、あるいは研究のごときものを行いまして、そしてその結果を地方に情報として流しまして、地方におきまする繭価協定があまり時日を要したりしないように、円滑に行くように対処する。こういう意味合いで、中央の繭価に関する打ち合せがあるということの情報を、蚕糸局といたしまして利用いたしましたので、これはその意味におきまして当事者の問題でございますから、県といたしまして、その結果についてただ報告を受けておるにすぎないものでございます。それによりますと、御承知のように本年の繭価につきましては、養蚕側におきましての要求と、製糸側におきまする要求とが、当初相当開いておったようでありますが、その後いろいろと折衡の結果、約百掛程度に縮まりまして、九千四百掛ないし九千五百掛という線で行くのが、今日の糸価、つまり二十万六千円を前提とした場合に、大体妥当ではないか、そういうことに大体両当事者において話し合いができた、こういうことが地方に流されたわけでございます。その結果地方に参考資料として流れました結果もありますか、従来に比べまして、特に前年に比べまして、約一ヵ月ぐらい早く春繭につきまして協定が結ばれて妥結いたしたようでございます。蚕糸局には各県からの通知がございますけれども、まだ正式に参ったものはあまりございませんで、いろいろな情報を得ておるところでございますが、それによりますと、県によりまして相当な差があるわけでございまして、しかも県によりましては集荷指導費の差額というものが相当ございまして、これを掛目に換算する場合もあり、また換算しない場合もございます。従いまして大体どの見当ということを大ざっぱに申し上げることは、かえって誤解を招く心配があろうかと思いますけれども、大体金額に換算いたしますと、手取り千六百円前後のところで妥結しておるようにわれわれは情報をつかんでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/69
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070・足鹿覺
○足鹿委員 私はそういうことを聞いておるのではない。私の聞いておるのは、中央における研究であろうと、調査であろうと、打ち合せであろうと、指導要領であろうと、中央において一つの協定類似のことをおやりになっておる。そのものよりも、地方の協定が常に上回っておる。これは今年の場合事実ですよ。その事実を率直に数字でお出しなさいということを言っておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/70
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071・小船清
○小船説明員 その数字につきましては、さっそく取りまとめましてお知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/71
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072・足鹿覺
○足鹿委員 大体政府が御提出になっておる資料は、私どもはこういう日本の蚕糸業の概観についてはもちろん必要ですが、これは蚕糸年鑑ももらっておりますし、いろいろな年鑑を見れば一目してわかる。われわれのほんとうに審議に必要な資料というものは、これから申しますような生きた資料をわれわれは欲しておる。常に出される資料というものは的をはずれておって、審議の資料にはならないとは言いませんが、もう少し核心に触れたわれわれの欲する資料を少し御準備願いたい思う。特に私がただいま申し上げた資料は非常に重要でありますので、即刻私の質問中に一つ出していただきたい。手配をお願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/72
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073・塩見友之助
○塩見政府委員 大体まだ各県からの報告は正式なものはございません。それでいろいろな情報で確かめておりますが、中央で九千四百掛から九千五百掛というふうなものを参考資料としてきめたようでございますが、地方の方では大体それより高いところが多い。その九千四百掛から九千五百掛というふうなところで中央で協議をしたときの糸価は、二十万六千円の糸価を前提としてということになっておるようでございますが、その後の糸価は現に二十一万七千円ぐらい、割合に例年と違いまして、この端境期に糸価は強調を呈しておりますので、それも各県の方では織り込んだように考えられますが、全体として御指摘のように、県によりましてはその協定より落ちたような県もあるようでございますが、それ以上の県が多いようでございます。九千五百掛を越しておるという県が相当ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/73
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074・足鹿覺
○足鹿委員 とにかく繭価協定は何人のためになされるかということは、どちらにもいいことをしますが、まず繭価協定というものは、先ほど私が当初述べたように、独占資本で強者の立場にあるものと、なまものをかかえて早く売らなければならぬ金詰まりの農民の立場のものとを対等にするために、繭価協定というものは、弱い者の立場に立つのが私は繭価協定の趣旨だろうと思う。ところが常に中央でなさるよりも、糸価の変動等もありますが、地方協定の方が常に上回っておるということは、私は繭価の協定の方法等についてももう少し、法律も法律でありますが、運営上、指導上、局長はさらに御検討にならねばならない問題が伏在しておる、かように思うのです。その点を指摘すれば事足りるのでありまして、その点については十分、従来蚕糸局のとってきたありようはあなたはとらないで、新たなる角度に立って、敢然たる態度をもって、独占資本のこの弱いところに対するところのいろいろな形においての圧迫を排除してもらいたい。今局長の御答弁を聞いておりますと、協定は申し込みによって行われるのだと言われるが、相手がちゃんときまっておるのであって、それ以外の者には、先ほどどなたかからも質問があったように、実際問題としては売ろうにも売れないのです。だから協定を申し込む相手というものは、申し込んで初めて協定ができると言われるが、協定に応ぜざるを得ない立場に農民が追い込まれておる。ここをやはり通り一ぺんに考えられますと、この協定そのものが私はナンセンスになると思う。むしろ養蚕農民の利益を抑圧して、結果は独占資本に奉仕するような結果になる、こういうことを私は言いたいのであります。申し込み主義による繭価協定と言われるけれども、相手がきまっているのであって、ほかのものと取引ができない状態です。等一技術員の指導を受けておる、桑園肥料の援助を受けてそのひもがくっついておる。あらゆるところから農民は、ほかへ持っていこうにも持っていけない立場に置かれて、しかも繭そのものを出してしまって、現物を渡してしまったら、繭検定所の意図によっていわゆる価格が最終的にきめられる。そのあとで据えせんを食わされるような立場に置かせられておる。従って実際の繭価協定の運営というものが、法律も大事であるけれども、実際上はこれが私は一番大事なことだと思う。ややもすれば県当局は一部の者と意思を通じたり、陰に陽に、ありとあらゆるところから養蚕業者の圧迫をするような、結果においては製糸資本に奉仕するような事態が従来あった。ただいま群馬県におけるところの事例によってあなた方が警告を各都道府県当局に出されたような行為が、これはたまたま群馬県から上っておりますが、これに類する、いなこれより以上のことが起きておるということは、もう公知の事実です。それに目をおおって、きれいごとを言っておったのでは、この問題は片がつかないと私は思う。私は、しっかりといわゆる腹をきめて、局長が今後この繭糸価問題について、日本の蚕糸業の問題について取り組んでもらいたい、かように思うのです。それで、私はこの問題については、その資料をいただいてから、またあとでお尋ねいたします。
次に、繭の最低価格はどこを目ざしておきめになるつもりでありますか。いわゆる繭糸価格安定法に基く施行令第三条には、大体その基準を二通り示しておりますが、私どもの今まで見ているところによれば、事実上において私はこの趣旨に合っているかどうか、疑わしいと思う。いわゆる生糸価格があって、まずこれから製糸業者の加工賃を引く、次に諸掛りも引く、イコール繭の価格というシステムが実際上においてとられておるのではないか。そうではなしに、繭の生産を補償する価格プラス製糸業者の加工賃プラス諸掛りイコール生糸価格、こういう価格構成が、これは理想論であるといわれるかもしれませんが、これが貫かれない限りはほんとうの養蚕の振興ということはあり得ません。養蚕の振興なくして輸出生糸の振興その他もあり得ないと私は思っております。そういう点において施行令第三条の規定を見ますると、「標準生糸の最係価格は、繭の生産費の額に生糸の製造及び販売に要する費用の額を加えて得た額を基準とし、その八割五分に相当する額を下らない範囲内において、」云々という、いわゆる八割五分というものに一つの目安が置いてあるようであります。ところがバルクラインを八割五分に置くということは必ずしも低くはないでしょう。しかし、現在の日本の養蚕の場合におきまして、大体一般の声としては九〇%がやはり妥当ではないかという声の方が強い。それを五%切っておる。またときによっては、昨年の事例を聞きますと八四%であったようにも聞いております。現在の日本の養蚕技術はほとんど最高水準にまでいっておりまして、これをいかに合理化しても、現在の貧困な蚕糸政策をもってしては、コストの引き下げは私は至難なことではなかろうかと思う。従って私といたしましては、やはり生産費の九割を下らざるところに一つの目安と線を置いて、これをもって一つの最低の生産費と見なしていくべきではないかと考えるのでありますが、少くとも政府はこの八割五分というものをどこまでも堅持していくお考えであるのか、それとも今後どういうふうにこの点については対処していかれるおつもりであるのか、大体局長の御所信を承わりたい。これはおそらく大臣か次官がいいとは思いますが、これは非常に大事な問題であろうと思うのでどの辺を押えていきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/74
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075・塩見友之助
○塩見政府委員 これは先ほど安藤委員からも御質問がございましたが、来年度以降の問題になりますと非常に大きい問題でございますので、私単独ではとうていお答えできないような重要な問題になりますが、私の感じといたしましては、本年度の状態から見ますと、市況その他あらゆる観点から見まして十九万円というところが適当と、これは繭糸価格安定審議会でも全員がそういうふうに見られたわけですけれども、考えております。これをもうちょっと値幅を狭めた方がいいじゃないかというふうな御意見も安藤委員から出ましたが、そういう要求もございます。ございますが、やはり最近における糸価の動きを、私わずか半年でございますがずっと毎日見ておりますが、一年間を通じますと幅は相当動きます。またそれを動すだけの理由があるように感ぜられますので、短期を見ますれば幅は狭くてもいいけれども、一年を通じますとやはり幅はある程度とった方がいいのではないか、こういう感じで、現在のところは今の値幅で——事実上糸の方が三ヵ月間をとると非常に狭いところで安定している。しかし景気がよければ上の方はある程度までいける、悪いときには下の方へいくという幅は、今程度の幅はあってもいいのではないか。繭糸価格安定法の第二条にありますのも、異常なる価格のときに政府は出るわけですから、異常なる価格というのはやはりあの程度の幅が必要なのではないか、こういうふうに考えております。そういう関係から申しますと、九割ということになりますとさらに一万円以上上る、こういうふうな形になりますので、売れる方その他の方を見合いました場合に適当かどうかということについては、なお疑問を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/75
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076・綱島正興
○綱島委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/76
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077・綱島正興
○綱島委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/77
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078・松野頼三
○松野委員 今、局長は、審議会の答申が満場一致だ、満場一致だと盛んに言うけれども、それは私の記憶にして間違いなければ、昨年の三月か四月のはずです。当時はたしか二十五万とか二十八万とかいう高値を呼んでおったときで、そういう相場に立って十八万を十九万にしようじゃないかというので引き上げたのです。今、あなたは満場一致、満場一致と盛んに言われるので、いかにもつい最近審議会が開かれて満場一致をしたような錯覚を起しがちですが、それは昨年の高値のときのことです。今日は逆に底値なのです。その当時の状況と今日とでは、だいぶ情勢が違いますので、その点は注意して御答弁していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/78
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079・塩見友之助
○塩見政府委員 ちょっと速記をとめさせて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/79
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080・綱島正興
○綱島委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/80
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081・綱島正興
○綱島委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/81
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082・助川良平
○助川委員 政務次官にお伺いいたしておきたい。ただいま局長から審議会の一致の意見で十九万円に線を引いたと答弁されておられるが、なるほど審議会は全会一致でさような決定をなされたと思います。ただ問題は、審議会で決定された基礎になる資料と申しますか、繭生産費調査について見ますと、一千六百八十一円というのが今回審議会に提案された基礎になる繭生産費の価格のようでございます。ところが統計調査部で繭生産費を調査されたものを見ますと、一千八百三十一円というのが統計調査部の数字のように承知をいたしておるのでございます。従って審議会で満場一致の結論を出されたのは一千六百八十一円という蚕糸局統計による数字を基本にされて結論を出されたのであって、統計調査部の資料が正しい資料であるという前提に立って論拠を進めていきますならば、当然審議会においてもそういうふうな満場一致の結論は出なかった、さように私は考えるのでございます。そこで政務次官は統計調査部の調査資料と蚕糸局の調査資料に対してどういうお考えを持っておられるか。さらにまた蚕糸局の統計が正しいものである、そのようにお考えになられるならば、経済局なり畜産局なりそれぞれの担当局の統計調査の方が正しい調査であって、統計調査部の調査資料は根拠として取り上げる値打のないものである、さようにお考えになっておるのであるか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/82
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083・吉川久衛
○吉川政府委員 ただいまの御質疑に対してでございますが、蚕糸局の資料というよりも、統計調査部の資料によって、統計調査部と話し合って出た数字を審議会にかけたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/83
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084・助川良平
○助川委員 話があって出されたそうですが、統計調査部の資料によりますと千八百三十一円と記入されてございます。一方蚕糸局のは千六百八十一円というふうに記載されておりますので、どこに話し合いがなされたのか了解がつきません。千八百三十一円はあくまでも千八百三十一円以外の何ものでもない。蚕糸局の千六百八十一円もやはり千六百八十一円である。決して話し合いをされた数字ではないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/84
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085・吉川久衛
○吉川政府委員 詳しい事情は私よく存じませんので事務当局からかわって答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/85
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086・大戸元長
○大戸説明員 この最低価格決定の基礎資料となっております蚕糸局で繭糸価格を審議会に発表いたしました千六百八十一円というのは、統計調査部において調査しました調査数字に若干の修正を加えております。これは毎年そういうふうにいたしております。と申しますのは、繭糸価格安定法施行規則によりまして、いろいろなこまかい細目の計算の仕方が出ておるわけでございまして、それに基いて統計調査部からの数字について修正を行なったのでございます。その修正が、たとえば本年の数字についてどのように行われたかということを若干の例を示して申しますと、費用合計におきまして、たとえば千六百六十五円というのが統計調査部の費用合計でございますが、この費用合計の中の各費目は同じでございます。ただ統計調査部で出しております、たとえば建物費でありますとか、——建物の償却でございます。それから桑園の整園費でありますとか、そういうものの償却の仕方が、総計調査部におきましては定額償却になっておりますのを、この繭糸価格安定審議会に出しました資料では、定率償却に計算をし直しておるのが、割合に大きな数字の一つであります。それから他に、たとえば費用合計から副産収入を差し引くのでございます。蚕糸局の方で審議会に使っておりますところの副産収入は、その調査年次における副産収入の価格ではなくて、その三ヵ年前からの平均の副産収入価格を差し引いております。そのような点もありまして、統計調査部で出てきた数字をそのまま用いておらない、若干の修正を施して用いておるという点から差が出てきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/86
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087・塩見友之助
○塩見政府委員 その点つけ加えますと、従来から繭糸の価格につきましては、繭の計算方法と製糸の方の計算方法と歩調をそろえてやってくれ、こういうふうな要求が委員会で要求されまして、専門委員会で昨年私来る前ですけれども、数ヵ月間かかって検討したわけです。統計調査部の方でもとを出しますのは、統計調査部として一つの基準にするような意味で、生産費調査をやるという一つのきめがあって、それにのっとってやっております。こっちの方は安定価格の決定をするためにやるわけですけれども、製糸の方の計算方法、養蚕の方の計算方法、これがちぐはぐであっては困る。だから償却なら償却は、同じく定率でやるなら定率でやってもらいたい。それから玉繭とか、くず繭、あるいは生糸の方でいえばきびそ、びす等のいろいろの副産物でございますが、それの計算方法も、値段が毎年非常に動くわけですから、そういうものは三年平均にした方がいいじゃないかということで、両方とも三年平均にしておる。こういうふうな関係から、加工費の方と繭の生産費の方とは、計算方法をできるだけ同じような基準によってやる、こういうふうな形で修正が行われるわけです。修正の計算等は全部統計調査部の方でやってもらっておりますが、大体そういうところです。この生産費を私今年初めてやってみたんですけれども、生産費でありますと、前年の生産費をとって、翌年の価格の上値、下値をきめるわけなんです。前年は凍霜害等で非常に不作だった。そうすると繭の生産費というのは非常に高くなります。翌年はそれをとりますと、値段が相当上る。その年が上らないで、翌年が上る。それから今年のように割合に豊作ですと、ことしの生産費は幾らか低目に出ましょう。ことしの最低、最高価格ではなくて、どうしてもそれによって来年のが上る。こういうふうな点があるわけです。ですからそういうやり方は、凍霜害等を見ますと、ちょっとやり方としては不合理なんです。それで前年の生産費は最近の生産費ですから、どうしてもそれをとると翌年の生産費が上る。いろいろ分析してみますと、作、不作が非常に影響するのです。作の悪かった年が支持価格が上るのではなくして、その翌年のが前年のをとりますと上るというような矛盾があるのです。ですから生産費方式をとりますと、どうしてもほんとうをいいますと原単位計算をきちっとやって、数年間のものを原単位で見まして、そして物価の値上り、値下り等を最近の数字で調整しまして、それで数字をはじくのでないと安定した数字が出にくいわけです、現に二十八年の凍霜害の年などは、その年の生産費は非常に高い。それで二十九年がそれになっては非常におかしい数字になるという関係から、二十七年の私の来る前ですけれども、物価その他で修正したというようなやり方をとっておりますが、おそらく今年の分はまだ——二十九年が凍霜害の量は少かったが、あったわけですから、幾らかそういう点で高目に出ていますけれども、今年の方が低く出るということになると、来年のやつがこのままの方式をとりますと落ちるというふうな形、前年の生産費をとって、翌年の支持価格をきめるという点に問題は残っておると思います。その点につきましては今のところは副産物の値上り、値下りが非常にひどいものですから、副産物だけは審議会は一致しまして昨年も問題にしましたので、三年平均ということになっておりますけれども、本物の糸なり繭なりそのものを、その点ではその前の年だけの生産費で翌年きめるのはいいかどうかということは疑問であります。それから今検討中でありますが、これはやり方としては原単位計算で三年間くらいとっていく方が、より合理的な数字が出るのではないか、そこらは相当時間がかかりますから、来てからでは間に合はないので、問題だけ残しまして今年は決定したのですが、そういう点の問題はございます。統計調査部の数字だけがいいかどうかはその点で問題は残っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/87
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088・足鹿覺
○足鹿委員 生産費問題でたまたま助川君の関連質問が入ったから私も言いますが、米の場合をよくごらんになったらいい。二十九年の統計調査部の米の生産費というものは五千八百三十八円ですから、あなたは常識では判断できぬじゃないですか。去年でも九千二百円の基本米価ですよ、そのものを政府は出しておるのです。ですから政府の機構の中にある米の生産費が、たとい全国によって公定があれ、五千八百三十八円と九千二百円と、これくらいの程度のものですよ。統計調査部の生産費調査というものは、そういう一事から見ましても、あなた方が統計調査部の資料をどのように勘案をされるかということについては、米の消費から見て想像がつく。従って局長はいろいろな構想を持っておられるようだが、統計についてはあなたの責任ではない。あなたは最近着任されたわけですから、今後どうされるか、いわゆるどこを目安として最低価格をとるか、その最低価格の基準となるべきものは繭の生産費でいかなければならぬが、その算式は一体どういうふうにするのか、またその決定方式というものはどういうふうにしてされるのかということが、私はこれから質問しょうと思っておったところなんです。
そこで話のついでに申し上げますが、審議会というものの構成、運用は一体どういうふうになっておりますか、審議会の構成メンバーというものはどういうふうになっておりますか、年何回くらい開いておりますか、やった会合はどういうふうな成果を上げておりますか、簡単に要領だけ答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/88
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089・塩見友之助
○塩見政府委員 これは審議会の方が、法律にございますように養蚕、製糸その他学識経験者二十人以内をもって構成するようになっておりまして、現在の委員は養蚕関係が六名、製糸関係が五名、その他学識経験者が九名ということになって構成されております。学識経験者の中には輸出の専門家、問屋の方あるいは織物の消費者、輸出織物、蚕種、そういうふうな人たちも入っておるのでございます。
それから大体一回は最高、最低価格をきめるためにどうしてもやらなければならないわけですが、去年は二回、本年はこの三月と五月と二回開きました。この法案が通りますれば、相当回数は多くなると思います。一ぺんきめました価格を動かす場合にも多くなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/89
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090・足鹿覺
○足鹿委員 そこでお伺いいたしますが、それにお諮りになったものをもって今後は政府の買い入れ価格も御決定になるわけでしょうね。そうでしょう。——そうしますと、今局長が言われるようなどこを目安として価格を決定するか、その生産費調査の算定方式はどういうふうにするか、そういうふうなことをその審議会あるいは審議会外に何か特殊な機関でも作って速急におやりになる用意があって言われるのでありますか。ここで、まあそうしたらよかろうというお考えでありますか。私どもの見ておるところによりますと、この審議会に出てくる生産費は、あなた方はなかなか検討しておられるそうだが、加工賃は製糸から出てきたものはうのみにしておられるという話もあります。加工賃についてはどういうふうにしておられますか。私がさっき言ったように、まず生糸価格、引く加工賃、引く諸掛、出てきたものが繭の生産費で、これに合せるような一つの算式がとられておるのではないかという疑いも持たれる。大体、審議会に出された肝心かなめの資料は、私どものこの審議の参考にもらいたかったのですが、そういうものもいただいておりませんし、ただ生産費だけの算定方式でなしに、問題はウエートが加工賃にかかっていやしないか、加工賃を最大限度確保する、生産費の分はなるべく統計数字を使って刻んでいく、私は悪意に解釈したくありませんが、ややもすればそういうことになりがちである。私どもの聞いておるところによりますと、加工賃の一つの諮問案が出るまでには、ずいぶん長い時間を要するそうですが——局長の在任当時でありません。この安定法ができてからのことですが、今から数年前の話であります。なかなかそこら辺は複雑なような話を聞いております。加工賃の場合は、製糸業者から出てきたものをどういうふうな検討を経て、一つの妥当なものとしてお認めになるのですか。これは生産費の調査と同様に大事なことですよ。いわゆる機械化操糸というのが最近入ってきておりますが、ああいうところにいけば、うんとコストは下ってくるでしょう。ところが旧来のような手で繰っておるような製糸は加工賃も相当高まるでしょう。この加工賃についてもピンからキリまであるでしょう。おそらく繭の生産費よりもその開きは各社によって大きいと思う。どこを標準にして、どういう方法にして、この加工賃の妥当なものを算定しておられるか、その歴史的な数字はどういうふうになっておるか、そういうものもあわせて資料としてもらえますか。とりあえず御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/90
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091・塩見友之助
○塩見政府委員 この価格決定方式の研究につきましては、繭糸価格安定審議会には専門委員を置けることになっております。昨年やりました検討も、専門委員によって検討をしてもらいまして、大体その意見をとりまして、それで計算をやっていったのでございます。今度専門委員を全部入れかえまして、沢の方の専門委員になっておられるような人たちに相当数入ってもらいまして、それで生産費の見方をどういうふうに持っていくかという点について専門委員を任命いたしまして、この間の決定以後ずっと検討中なんであります。機構上そういうふうな形でできております。
それからもう一つの加工費の問題ですが、これは五十工場を大体指定しまして、それで毎月の帳簿をつけさしておるわけです。その帳簿をとりまして、個々の費目について疑念があるような部分がございますれば、これは蚕糸局の方から現場の方へ出張させまして、それで数字を検討して、減らすものは減らすというふうな形で——大体減らす方向でございます。大体当事者の数字は上の方へ出がちでございますから、そういう点は全部できるだけ訂正をいたしまして、それで数字を作る、こういう形をとっております。期間的にいうと、大体前年の十二月末までの数字をつかむというふうな関係から、決算その他の関係があって数字が出るのがおくれがちなものですから、それでぎりぎりに間に合うような形で、その検討が安全に行われ得るかどうか、時間的に問題がありますので、来年度以降は十一月までにして、一ヵ月間検討の余裕をとろう、こういうふうな考え方をしております。そういうふうな点については個々の費目について検討はして、直すべきものは直す、こういうふうな方法をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/91
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092・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、大体出てきた加工賃のどこに線を引かれておりますか。繭の場合は八五%、去年は八四だったという話ですが、出てきた生産費の八四しか補償しない、加工賃はまるまるとるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/92
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093・塩見友之助
○塩見政府委員 これは法律及び政令にありますように、生産費も全額を一応はじく、加工費も全額をはじく、それから販売費もはじく、全部足しましたもの、それの八五%、ですから繭の方も同じ比率で落され、加工費もその他全部が八五%に抑えられるわけでありまして、繭だけを八五%に落して、それで加工費はまるまるとるというようなことはやっておりません。繭価協定等をやります場合には、製糸業者の方は現在の糸価から自分の加工費だけはまるまるとる、だから繭値はこれだけで売れということを言います。それから農民団体の方はおれの方の生産費はこれだけだから、これを基準にしてやれというところから出発して、途中で折れ合うわけです。製糸の主張は、自分の利益から言うと一番都合がいいように、自分は損しないで、繭の方でかぶってくれ、こういう要求がまず出るのです。きまるのは、その中間できまってくるわけです。政府の方の計算は、全部その点は同じように一五%落すものは落す、こうなっております。それから製糸の方は五十工場の工場別に見ますと、生産費は今お話の通りに相当なふれがございます。養蚕ほどはひどくありませんが、高い方と低い方とでは、それに近いふれがございます。それで数量の方も含めました全平均をとっております。工場の単価の平均じゃなくて、数量の総和平均をとりまして、大体それを支持価格にしております。ですから自動操糸機の工場なんかで、非常に大きい数量をやっておる工場が一つ入ってきますと、加工費はかなり落ちてくる、数量の少い方のウエートはそれだけ軽くなってくる、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/93
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094・足鹿覺
○足鹿委員 要するに加重平均ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/94
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095・塩見友之助
○塩見政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/95
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096・足鹿覺
○足鹿委員 そこで加工賃の最高最低、生産費の最高最低はどういうふうな数字になりますか。そういったような数字を資料として私はほしいのです。たとえばその加重平均したものの八五をおとりになるというのですけれども、その作業の過程にあって、いろいろな計数を使って、修正加工が行われるのですよ。これは米価の場合も同じです。ですからそこのところは一体どうなるか。われわれは価格安定を検討しておるので、これは一つ繭糸価格安定法ができてから今日までの生産費の推移あるいは加工賃の推移、そうしたようなものをお出し願いたい。蚕糸業の概観というようなものは資料としていつでもちょうだいできる。ですからこういう機会にそういう実のある検討をしたいと思いますので、それも一つ出していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/96
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097・塩見友之助
○塩見政府委員 お出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/97
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098・足鹿覺
○足鹿委員 それではそれをお願いいたします。
そこで今度お尋ね申し上げたいのは、生糸の輸出問題を考えた場合には、コストの引き下げということが一番大事なことでしょう。繭の場合だってコストの引き下げが大事なことです。そこに蚕糸政策のまた大きな重点があると思う。コスト引き下げに対しては、いわゆる加工賃なら加工賃のコスト引き下げに対しては、どういう指導方針をもって臨んでおりますか。それに対しては予算的にはどういう裏づけをやっておりますか。また繭の生産費の合理的な引き下げについて、どういうことをやっておりますか。この間の修正で二千八百万円あなた方はもらったのでしょう。あの内容はどういうふうに使おうとしておりますか、いわゆる蚕糸政策というもののコスト引き下げの目標がどこに置いてあるのか、あの予算を見るとわれわれはちょっとわかりません。繭に補助をするとかいろいろなことはありますが、それを総合して下げるのでしょうが、重点は一体何ですか。アメリカの相場というものを局長が一枚看板に言われますと、買手のないものをわれわれはやたらに買い入れ価格を上げろと言って、輸出に支障が生ずるような責任を負いたくないから、それを御符のように言われるとちょっとたじろぐのだが、実際においては、コストを下げていく積極的な施策が講じられれば、アメリカさんが何ぼ安いことを言ったって平気なんだ。だから問題はそういう施策というものを一面に考えないで、ただ今までの日本の蚕糸政策というものは、生糸の振興という美名のもとに輸出の振興、外貨獲得の美名のもとに、養蚕のみを押えるだけ押えていくという方向にあったのではないかと思われる。大きな転換があって繭の生産コストが著しく下っていく、こういう画期的な施策を打つなら打つということで出てこねば、いつまでたってもこの問題は私は片がつかぬと思う。勢い養蚕家は、自分たちが引き合う繭価ということで大騒ぎをやって戦わざるを得ないのです。そうでしょう。製糸界においては、いろいろな新しい労働問題を起すくらい大きな旋風が技術改善で起きている。ところが養蚕界というものは、五%コストを引き下げるにしたって容易ならぬことだろうと思うのです。農家の自家労力というものが生産費のほとんど大部分を占めている、米の場合と同じです。従ってこれの引き下げということは実際上において困難だ。結局においてアメリカの相場はジリ安だということになれば、どこにしわが寄ってくるかといえば養蚕のみにしわが寄ってこざるを得ない、ここにコストを引き下げるについては、大きな蚕糸政策の今までのようなマンネリズムからの転換が起きない限り、私は一部の買い上げ制度、これが悪いとは言いません。この法策は今悪いとは言いませんが、これでは片がつかぬのではないか、二千八百万円を経費としてどういうことをお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/98
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099・塩見友之助
○塩見政府委員 御指摘の点は私も同感で、全く基本問題としてわれわれとして十分努力していかなければならない線だと思います。製糸の方のコスト引き下げにつきましては、今大きく問題になっておるのは自動繰糸機でございます。それの研究等には補助金が出ておりますが、融資等についてはできるだけの努力はして参るつもりでおりますが、そういうふうな点についてまだ自動繰糸機もほんとうに完成の域に達しているかどうか、かなりいいところまで現在は行って、コスト引き下げになる、こう思いますが、なお問題が幾らか残っておるように考えられますので、ほかにもまだやるべきことはあると思います。金利も相当高いです。これはスタンプの金利で行っている場合には、ほかの産業に比べまして割合に悪くない状態でございますが、そういう点と、製糸業の方については、今のところはこれといって決定的なものは持っておらない状態でございますが、これは御指摘の通りに今後とも検討し、一番大事な、冗費になっておるようなところだけは切っていくということをわれわれの方としては努力するつもりであります。
それから一番大きいのは、繭の方が七割五分ですから何といっても問題でありますが、これは過去においてはほとんど蚕の方に重点が置かれていた、こういう傾向がございます。予算もそういう部分が非常に多いわけですけれども、やはり戦後においては、農民としてはほかの農産物の方も作らなければ経営的にはやっていけない、昔のように桑園ならばほかの農産物の畑を食っても引き合うほどの値段ではございませんので、桑園の面積をそう伸ばすわけにはいかないというふうな形になっております。やはり現在のコストの引き下げにもよりますが、桑園の能率の増進ということは一番大きな問題ではないか、こういうふうに考えられます。それをやりますのにはやはり現在一番のネックは、戦時中からずっと改植をしていない老朽化桑園がございますので、それの改植をできるだけ助成をやって促進をする。その改植が桑の葉がとれるまでにはやり二年半ないし三年かかります。それが今般普及して参りたいという早仕立法によりますれば一年短縮されますから、その期間だけ農家の方としては改植の負担がずっと減るのです。そのかわり病虫害の防除をやらせませんと、少し高く刈りまして、そこに虫がつくのを押えなければいけないわけでありますが、そういう早仕立をやるための病虫害の防除及びその方法等について補助していかなければならぬというので、老朽桑園の改植というのに二千八百万円の補助金をプラスして使っていく。大体こういうことの御要求がございますので、私の方もそう考えてそこへ持っていきたい、こう考えておるわけであります。そのほかには一般的に支出も含めまして、いい蚕種でもって飼育法も間違いない方法で稚蚕共同飼育から稚蚕共同桑園をもちまして共同化して、大体コストも引き下げながら技術の方も間違いない技術を入れるという予算が六千万円ばかりございます。それで模範展示的に村を押えてそういうふうないい飼育法の普及をやっていく、こういう仕事をやっております。それ以外は一般的に技術指導書、蚕業技術員というのが稚蚕の飼育法から何からずっと全行程について技術普及をやっていくという形になっておりますが、ここでは蚕作の安定それからある程度桑園の能率の増進というようなことがやはり大事なことだ。こう見ておりますと蚕の掃き立てなどが十五グラムも二十グラムでも農家の方で働く人員が一人減るかというと減らすようなことはないわけで、桑の量がふえれば農家の方としてはそれだけ働く人間がよけい働けて、それだけふところ工合もよくしなる。こういう関係でそこを縛っておるのはどうも桑のように考えられます。桑園能率の問題は戦前と違いまして、蚕だけやっておるという形ではなくて、どうしても桑園の能率を増進していく、ほかの作物にそう食い込まなくてよくしていくということが今ではかなり重点ではないかと思っておりますが、そのほかただいま御指摘の点については価格だけでなくて、そういう競争力をつけて農民が合理的に競争できるようにしていくことは、もっともっと努力して参らなければならないと存じますが、今のところはその程度以上には案としてはまだ固まっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/99
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100・足鹿覺
○足鹿委員 コストの引き下げについてはほとんど手放し、見送りという状態ですね。六千万円や七千万円ではとてもらちがあかない。ただ輸出品でありますから、われわれはむちゃなことを言ってその取引に重大な支障を来たすようなことは考えておりませんが、まずこの基本というものは、国内の養蚕農家が安んじて増産ができるような態勢をととのえていく上に輸出があるのであって、輸出があって養蚕農家があるのではない。そこに今までの考え方が逆になっておった。そういう面からやはりコストを下げていくことに対して画期的な手が打たれなければならぬとするならば、当面の問題としては流通機構の改善問題、そうしてそれによる不公正取引を除去していくということに結局おちつかざるを得ない。流通機構の改善をするということであれば、牛乳の場合、乳業資本である酪農の場合と同様に、なま繭を取り扱っておるいわゆる養蚕農家といわゆる全国で指折りというわずかしかない大資本を相手の取引でありますから、必ずしも従来の取引が公正妥当であるとは考えられない。いかような指導を加えましても、それが困難なことであってもやはり生繭の取引から乾繭取引の方向へやはり一つの方向を打ち出していかなければこの問題は片がつかぬと思うが、局長はどうですか。どうもこの間からの話を聞いておると、農業協同組合なんかがやることは、乾繭はなかなか技術的にむずかしい。今日もあなたはどなたかの質問に答えてそういうことを言っておりますが、むずかしいといっても、製糸場のつぶれたところの技術者を連れてくればできるのだし、昔も乾繭工場はありましたし、産業協同組合当時われわれもやったことがあるのです。ですからそう一がいにこれを投げて、製糸場に付属した乾繭場がいいんだと簡単に割り切ってしまうということは少し早計だと思う。やはりそういう不公正取引の素因をなすような、生繭をいつまでも持っておればガになって立ってしまう。従ってできたらさっそく送ってしまって、あとで値段をきめられる、こういうことでしょう。検定所にしても、何千の農家の繭を一々繭の性質に従って乾燥するのじゃないでしょう。一ぺんに乾燥してしまうのです。そして結局糸歩といって、国の委託で県営の検定所を作り、その糸歩によって繭の格付をしているのでしょう。だから協同組合の乾繭がそんなに困難だと言うことはできないと思う。それだったら、今の検定所の繭の乾燥なんてでたらめですよ。品種の違ったものを同じ操作でやっているじゃありませんか。局長はどうも共同乾繭施設というものに対して非常に危惧を持っておられるが、やはり養蚕農家の武器になるものは、ある一つの抵抗を示すに足る条件は整えていかなければならぬ。いわみる流通機構を改善していくためには、その条件を整備していかなければならぬ。乾繭施設に対して政府がどのような手を打つか、あるいは乾繭をやっているものにどういう資金的な裏づけをして、農家をして耐えさせるかというようなことが総合されて、一面には生産コストはなかなか下らないが、総合的に全体としてはコストも下り、不公正取引の素因を除去していくことができる、こういうことにならなければ私はよくならないと思う。局長はどうもまだ生繭中心主義であり、転換についても製糸乾燥に重点を置いておられるが、一つそういう頭を切りかえて、共同乾繭施設に対して国が大きく政策を転換して、現在繭の取引の単位は生繭であるが、将来は乾繭取引にこれを切りかえていくのだというように、政策を切りかえる必要があるのじゃないかと思うのです。この間からの局長のお話を聞いておりますと、どうもこの点あなたはまだ割り切っておられない。これを割り切らなければ、いつも行ったり戻ったりしますよ。やはりそういう困難なこともやらなければならぬと思う。このいただいた資料では、昭和二十六年にたった千三百四十八貫しか乾繭取引はできておりません。戦争中あるいは戦後において、乾繭施設というものはほとんどなくなってしまった。これから作っていくということはなかなか困難だと思いますが、やはり政府がそういうふうに頭を切りかえていくなら、私は不可能なことではないと思う。そういうふうにしていくことによって流通機構を是正し、生産者の利益を正当な合理的手段によってカバーできるし、価格等も何人も反対することのないような、合理的な一つの方法だと思うのですが、その点について局長はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/100
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101・塩見友之助
○塩見政府委員 先ほども御説明いたしましたが、ただいま御指摘の通り、乾繭取引が非常に農民を保護し有利な条件を来たすという期待はもちろんございまして、それがあるということは私も確信しておりますが、一般的に全国的に乾繭取引が最も農民を保護する道として適当だという考え方には至りません。やはり組合製糸のような形態もありましょうし、場合によれば委託製糸式な考え方も起りましょう。乾繭取引ということについてはいろいろ検討してみましたし、また過去における経験者からの意見もいろいろ聞いてみましたし調べもいたしましたけれども、まだとてもふん切りがつかない、かなりむずかしい仕事であるというふうに現在の段階としては考えております。その方法も、組合製糸の方法もありましょうし、委託製糸等におけるやり方もありましょうし、方法はもう少し幅広く考えてみませんと、乾繭設備をもって乾繭工程を農業団体がやっていくにはかなり問題があるように考えまして、まだ踏み切れないような状態です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/101
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102・足鹿覺
○足鹿委員 踏み切れないそうですが、私は踏み切るべきだと思う。直ちにそれが芽をふいて大きな成果が上ることは期待できますまい。これはおそらく相当長期にわたって長い目で見なければならないと思う。しかしそれをちゅうちょ逡巡するときではない。一つ原則的に生繭で取引をする、しかも検定所に持っていく、検定所は一律な煮繭検定をやっておりますよ。それで出てきた糸歩というものを農民は押しつけられて、農民は全然その内容にはタッチできないで納得させられているのです。そういったことから見ると、乾燥技術の点をこの間局長は言っておられたが、乾燥技術などそう大したことではないのです。製糸業者のつぶれたところの乾燥技術屋を頼んできてもいいのだし、やろうと思えばやれますよ。またその間においては乾繭施設を別な面に転用して活用していく方法も出てくるでしょう。問題は、国の施策なり、またこの施設に呼応して商業機関に対してどういうふうにその指導に当っていくか、そういう方向に私は進んで踏み切る段階が来ておると思う。もうほかに取引方法の改善の基礎的諸条件といったようなものがありますか。私はおそらくないと思いますよ。しかも今度は生産繭量の八%ないし一〇%をあなた方は買い上げて、これで繭の最低価格を保証しようというお考え方なんでしょう。それで専門家の意見を聞いてみると、それじゃとてもだめだ、いざというときにきき目がないということは、常識的にもそう言っております。あなた方が提案されておって、それじゃ危ないだろうということはおっしゃらないでしょうが、どの方面の意見を聞いても、八%や一〇%ではとてもだめだ、やはり二五%程度のものを必要とする。乾繭は今のところでないとすれば、政府の買い上げてくれる繭の量を、少くとも全生産量の二五%内外のものを買い上げるがための資金操作も手当も、あなた方もする。こういうことが裏づけとならない限り、法律をいじくり回してみても運用上において私は欠陥が起ると思う。あなたは乾繭ということに対してはまだ懐疑的な立場をとっておられるとするならば、現在当面しておる取引条件を改善して、合理的に繭価の最低価格を守って、暴利を防いでいくためには、その数量をもっと上げて、それに対するところの資金措置もこの際考えていくということが、とりあえずの対策としてはとられなければならないのじゃないですか。当初われわれが聞いておったよりも、あなたの御努力によって相当程度法案は改善されておることは、私は認めますが、そういった点でまだまだ右顧左眄しておられる点が多分にありはしないか。やはり養蚕農家というものをまず守っていくという腹をきめた上に立って断々固として進まなければ、——私は八%ないし一〇%の買上量が二五%になったって悪いはずはない。量をふやしていくことは農民にいい影響こそたくさんありますが、しかし片一方需要者の面から見れば困った事態もありましょう。一つの政策を実行して、最低価格を保証して安定帯を確保していこうということであるならば、やはり効果のある手段方法を選ばなければならないのです。それに対して資金操作もちゃんと裏づけをしていく、こういうことがなされれば——もちろん不十分ではあるけれども、流通上における改善策がとられていくのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/102
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103・塩見友之助
○塩見政府委員 最低繭価を保持するための買上数量としては、乾繭共同保管をやったもので最低繭価で売れないものを買い上げるわけですから、その数字は、現在の繭の需給状態が、ここ五年十年たって相当増産されますならば別ですけれども、そう多きを要しない。最低繭価以上もっともっと高い値段を作り上げるための共同保管ということになれば、それは相当な数量が入り用かとも思います。しかしながらそうでなくて、最低繭価保持のための共同保管の数量は、それほどよけいは要らないだろう、こう考えております。それで現在の定員のままで買い上げまで踏み切ったわけであります。そういう点はその年の糸価の状態、生産の状況等とも見合わなければきめにくいことでありますから、何も七、八%ときまったわけではなくて、非常に条件が悪ければ、おっしゃるような数字にもなりましょうし、それからまた条件がよければ、もっと多い数字のたな上げでも事が解決するのではなかろうか、こう思っておりまして、現在その程度のところは確保する。最低繭価以上の繭値をどれだけ上げていくかというふうな部分についての政府の施策については、この法文では、特に協定をしたり、施設を強化するというようなことは、やっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/103
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104・足鹿覺
○足鹿委員 あとの質問者の都合もあるので、——私はこの条文を書く条文ごとにいろいろただしたいことがたくさんあります。今まではほとんど基本的な問題についてのみお尋ね申し上げた。非常に委員長は審議を急いでおられますが、まだ私は一ぱいあるのです。けれども川俣委員が急いでをりますので、逐条的な点についてはあすの
午前中でも許していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/104
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105・綱島正興
○綱島委員長 今日は三時半から本会議が開かれるそうですから、ここはやめて行かなければならぬでしょう。幾らかおくれるでしょうが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/105
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106・足鹿覺
○足鹿委員 それでは逐条的な問題についてまずお尋ねいたしますが、簡潔に御答弁願いたい。九条の二の「農林大臣の指定する者を相手方として、」云々とあるが、その農林大臣の指定する者とは一体だれですか。
それから第九条の二の二項の「政府の買入価格は、政令で定めるところにより、」云々とありますが、今政府が買い入れるとすればどんな価格になりますか。
それから三項の「生糸の輸出を確保するために必要と認められる一定数量を」云々とありますが、いかなる場合何俵くらいを必要と認めますか。
四項で「前項の一定数量は、政令で定める。」とありますが、その政令はどういうものでありますか。以上が第九条の二に対するところの私の質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/106
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107・塩見友之助
○塩見政府委員 「農林大臣の指定する者」というのは、法律的には数は幾らでもいいわけでございますが、現在民間の方で考えておりますのは、できるだけこの会社のコストも低めた方がいいというので、製糸の方も玉糸の方も、一緒になって保管会社を大体作りたいという希望で動いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/107
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108・足鹿覺
○足鹿委員 どんなものを作るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/108
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109・塩見友之助
○塩見政府委員 民間会社です。大体資本金は一億見当のものを予定しておるようでございますが、その程度の普通の会社でございます。特殊会社ではございません。これは政府との契約によりまして、政府の方としては、その会社が買い入れるものは輸出適格生糸に限る。それからそれはCCC式に買い戻し条件をつけて、それで買い入れさせる。それから最高価格になりましたならば、その糸は必ず輸出に向ける。それから買い戻す場合には、その糸は輸出に向けなければ国内に流してはいかぬ、こういうふうな条件をつけて、それで買い入れさせるわけです。一定の期間、大体六ヵ月ぐらいを予定しておりますが、六ヵ月かかって買い戻しがなかったような場合には、政府が買い取る、こういうふうな形でこれは民間会社でやっていきますが、契約条件等につきましては、先ほど申しましたような条件が会社と国との間の契約で行われまして、それだけの条件のもとで公的に働いてもらう、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/109
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110・足鹿覺
○足鹿委員 その点だけですが、その会社は政府の法的監督権はありますか。政府とどういう関係になって、また一般の養蚕業者とはどういう関係になりますか。そういう会社のできることは非常に重要なことですね。一種の半国策会社的な性格を持つものですが、一体その内容をもっと資料としてでも出される責任があるのじゃないですか。質問を待つまでもなく、これは当然やらなければならぬことじゃないですか。ちょうど硫安の需給安定法のときの輸出会社のような、あれに似たようなものですか。政府との関係、あるいは一般養蚕業者との関係はどうなるのですか。その組織構成は一体どういうふうなものをもって作られるか、もう少し詳しく資料として出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/110
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111・塩見友之助
○塩見政府委員 御要求によりまして資料として出してもよろしゅうございますが、問題は、政府の指定をする場合に、そういうふうな本法の趣旨にのっとったような条件をつけます。それから買い入れの予約の契約を要しますから、その場合に先ほど申し上げたような条件をつけるわけです。大体会社としては民間の会社で、法律ができましたならば、どういうふうな形でそれを作るかということは、大体これは製糸の方が一番関心を持っておるわけですから、普通の機械製糸、それから玉糸等が相談して作り上げる、こう存じます。いろいろ案を作って検討中のようでございます。その案は必要によりましてはこちらの方でお見せしてもよろしゅうございますが、われわれの方であれを指定するときに、それらの条件等は検討して参らなければならないと思っております。事前の相談のある部分についてはもちろんいろいろの意見は申し上げております。これは過去のことでございますが、やはり養蚕界の方で不況が起りましたときに、政府の特別会計ができる前に、保管会社あるいは清算会社という名前でできておりますが、そういう民間の会社が、非常に糸価が落ちたときに自分らで自主的な保管をやって買い上げていくという形をとりまして、それでその民間の保管機関で持ち切れなくなったときに、政府の特別会計ができまして、それが買い取っていく、こういう形で糸価の安定をはかっております。今般の場合には、特別会計の方が先にできて、そういうふうな機関はないわけでございます。政府としては市場に悪影響のないような形で、それを上値ささえの糸は持てるかというと、それはなかなか持てない。それは政府のような強力なものが買い出動すれば、その値が必ず市場を動かしますから、なかなかそれはできない。過去においても民間会社が自主的に下値のときに保管しておって、それが動かなくなったときに政府が買い上げる、こういう形をとったわけでございます。今般の場合は、それを初めから一緒に作っていくという形で、その会社を通じて買い上げるという考え方で、大体昔の保管会社のようなものをお考え願えばいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/111
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112・綱島正興
○綱島委員長 足鹿委員にちょっと申し上げますが、もう間もなく本会議が開かれて、何か懲罰動議が出て記名投票があるそうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/112
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113・足鹿覺
○足鹿委員 私が質疑しておって、どうも政府の資料の出し方なり、説明の方も少し不親切だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/113
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114・綱島正興
○綱島委員長 どうせこの時間では間に合わないと思います。今の資料の問題もあり、今日はここらで打ち切って、明日また審議したいと思うのです。今日はこれで散会して、ちょっと理事会を開いて相談しましょう。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X03619550707/114
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