1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十八日(月曜日)
午前十一時十一分開議
出席委員
委員長 綱島 正興君
理事 白浜 仁吉君 理事 松浦 東介君
理事 鈴木 善幸君 理事 中馬 辰猪君
理事 足鹿 覺君 理事 稲富 稜人君
赤澤 正道君 安藤 覺君
五十嵐吉藏君 井出一太郎君
伊東 岩男君 石坂 繁君
大森 玉木君 加藤常太郎君
木村 文男君 楠美 省吾君
小枝 一雄君 笹山茂太郎君
原 捨思君 川村善八郎君
田口長治郎君 平野 三郎君
松野 頼三君 松山 義雄君
赤路 友藏君 淡谷 悠藏君
井谷 正吉君 井手 以誠君
石田 宥全君 芳賀 貢君
伊瀬幸太郎君 今澄 勇君
川俣 清音君 小牧 次生君
日野 吉夫君 久保田 豊君
出席国務大臣
外 務 大 臣 重光 葵君
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
農 林 大 臣 河野 一郎君
国 務 大 臣 大久保留次郎君
出席政府委員
総理府事務官
(北海道開発庁
企画室主幹) 柏原益次郎君
外務事務官
(アジア局長) 中川 融君
外務事務官
(条約局長) 下田 武三君
大蔵事務官
(主計局次長) 原 純夫君
農林政務次官 吉川 久衛君
水産庁長官 前谷 重夫君
委員外の出席者
総理府技官
(北海道開発庁
農林水産課長) 金子 満君
農林事務官
(大臣官房総務
課長) 檜垣 好文君
農 林 技 官
(農地局建設部
災害復旧課長) 大塚 常治君
農林事務官
(水産庁漁政部
長) 岡本 貞良君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
専 門 員 徳久 三種君
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七月十六日
委員山本利壽君辞任につき、その補欠として加
藤常太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
委員中村寅太君、足立篤郎君、楯兼次郎君、小
平忠君及び佐竹新市君辞任につき、その補欠と
して安藤覺君、松野頼三君、井手以誠君、小牧
次生君及び今澄勇君が議長の指名で委員に選任
された。
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本日の会議に付した案件
天災による被害農林漁業者等に対する資金の融
通に関する暫定措置法案(楢橋渡君外二百七十
二名提出、衆法第四〇号)
台風常襲地帯における農林水産業の災害防除に
関する特別措置法案(楢橋渡君外二百七十二名
提出、衆法第四一号)
七月上旬の北海道地方の豪雨による農林漁業被
害状況について派遣委員より調査報告聴取
農林漁業災害対策に関する件
公海における漁船の拿捕及び韓国における漁民
の抑留問題に関する件
韓国抑留漁民の早期送還対策等に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/0
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001・綱島正興
○綱島委員長 これより委員会を開きます。農林漁業災害に関する件、北海道災害の調査報告を求めます。伊東岩男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/1
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002・伊東岩男
○伊東(岩)委員 北海道の水害調査団一行を代表いたしまして御報告を申し上げます。内容が複雑でございまするので、若干時間をとりますけれども、特にごしんぼう願います。
今般北海道上川、空知、留萌並びに日高地方に襲いました水害につき、われわれ調査団一行は、去る十一日から十四日まで四日間にわたり、二班に分かれて現地調査を行なって参りましたので、ここにその概要を御報告申し上げたいと存じます。
われわれ調査団は、民主党伊東、本名両委員、自由党青木委員、社会党井谷、芳賀両委員、同じく社会党川俣、日野両委員、事務局から藤井専門員、中山調査員が随行いたし、二班に分かれまして、第一班は日高方面を、第二班は、上川、空知、留萌方面の調査を行いました。十一日午前七時羽田を出発、同十一時札幌到着、田中知事以下道庁当局並びに道議会、市町村長代表の方々から被害状況に関する説明を伺い、また陳情を受けた後、現地調査に出発いたしました。
第一班は、本名、青木、井谷、川俣の四委員に藤井専門員を加えた五名をもって調査に当ることとし、なお水害調査のついでをもって、かねて懸案となっておりました風倒木の処理状況等をもあわせて調査することといたしておりましたので、順路上まず札幌営林局管内の風倒木被害状況を見るため、錦岡、苫小牧、恵庭、三営林署管内を視察の上、宿泊、翌十二日早朝日高方面に向い、門別役場にて日高支庁長から管内被害の概略の説明聴取の上、新冠、静内、三石、荻伏、浦河等の各町村役場において説明を聞き、また陳情を受けた上、実地調査を行いました。特に新冠川につきましては、トラックにて約十キロほど上流にさかのぼり、その間の被害状況をつぶさに視察いたしました。
日高支庁管内の各河川は六月末から七月にかけて相当の降雨があり、満水状況にありましたところ、本月三日から翌四日にかけて約十二時間に百数十ミリの降雨があり、奥地山岳部は二百ミリを越えるところもあるほどの豪雨で、しかも日高山脈が海岸近くに迫っております関係上、各河川はいずれも流れが急で、かつ流域が比較的短かく、その上奥地の森林は戦後の乱伐及び昨年の風倒木等のため、その保水性の喪失によりまして、急激に出水いたし、河川をはんらんさせ、堤防の決壊、道路の流失、農地の埋没等を引き起し、死者行方不明合せて三十三名に上り、その他土木、産業、住家等の各般にわたり莫大な損害を与え、日高支庁管内のみで被害額は二十七億五千万円に上り、全道被害総額の約三分の一を占めております。
日高地方におきまして、かくのごとく被害を大ならしめた原因として考えられることは、第一に、河川がいわゆる原始河川でありまして、ほとんど改修等をせられたことがなく、かつ最近開拓者がこの付近に入植して、相当に川幅を狭くしたこと、第二に、奥地における風倒木、乱伐等により森林の保水力を減殺したこと、第三に、奥地における降雨量が特にはなはだしく、十二時間中に二百ミリ以上が集中して降り、土砂あるいは風倒木等を押し流し、これが堤防、橋梁等に対する破壊力を強めたこと、第四に、河川が一般に急流であること等であろうと存じます。
なお、今般水害により濁水を海中遠くに流出、この地帯の特産物であるコンブ、フノリ、ギンナン草礁を土砂をもって埋没いたし、多大の損害をこうむり、これら埋没礁の増設復旧に九千万円以上を要するものと見込まれ、これに対する国庫補助を強く要望されておりました。
次に第二班の調査について申し上げます。第二班は伊東、芳賀、日野の三委員に中山調査員及び農林省農地局小野事務官を加えた五名をもって編成、主として空知、上川及び留萌の三支庁管内の農作物及び農林水産業施設災害並びに風倒木の被害等につきまして現地調査を行いました。第一班の御報告の際にも申し上げましたごとく、去る七月三日から四日にかけての大雨は、石狩川上流で二百四ミリ、留萌支庁管内では最二百五十ミリに達し、さらに奥地山岳部におきましては、それ以上に上ったものもあったと推定せられ、当地方におきましては近年まれに見る豪雨でありました。このため、石狩川本、支流を初め天塩川、留萌管内の各河川はいずれも大はんらんを起し、各所に堤防、道路の決壊、橋梁の流失、農作物の冠浸水、耕地の埋没、農林水産業の施設の損壊等多大の損失をこうむり、これらの被害総額は六十数億円と推算せられております。また今次水害のため災害救助法の適用を受けた市町村は全道で二市二十四町村に達しておりますが、このうち空知管内七町村、上川管内一市九町村、留萌管内一市三町村、計二十一市町村に上っている事実によっても、被害の激烈さが御想像願えると存じます。私たちは札幌から旭川に至る石狩川沿線、旭川より和寒、剣渕、士別、多寄、風連、名寄に至る間の天塩川並びに石狩川支流の地域、並びに留萌支庁管内小河川流域の被害状況をつぶさに調査いたし、さらに層雲峡方面におきまする風倒木の被害状況につきましても実地調査を遂げたのであります。御承知のごとく、石狩川は石狩山系に源を発し、石狩平野を蛇行して日本海に注いでおり、本道最大の河川ではありますが、日高方面におきまする諸河川と同様に、原始河川の様相が濃厚でありまして、改修はほとんど施行されておりません。また天塩川及び留萌管内の小河川に至りましては、いずれも原始河川そのままの姿を呈しており、これらの事実が今次水害の被害を特に激甚にした理由であると考えられますので、本道におきまする水害対策といたしましては、河川改修に重点を置くべきこと造林の促進に期すべきことを特に痛感いたしました。なおまた開拓者の入植に当りましては、河川との関係を十分に考慮いたし、治水上に支障を与えないよう配慮するとともに、出水等の場合損害をこうむり、または万が一にも犠牲者を出すこと等のなきよう格段の注意を払う必要があると存じます。
七月十一日現在、北海道庁の調査によりますと、今次水害の被害概況は、死者二十一名、行方不明二十五名、負傷者七十七名で人的被害の合計は百二十三名、流失、埋没田畑六千百九十八町、冠水五万一千十町歩、これらの被害金額は三十三億一千七百六十四万円、農業用施設被害四億七千六百九十四万円、林業被害四億九千二百三十八万円、水産被害九千五百万円、その他土木、商工、鉱業等の被害を合算いたしますると、実に九十五億五千八百万円に達するのであります。
次に、現地側の要望事項といたしましては、各般にわたり詳細な陳情がございましたが、私どもが特に速急に実現を期すべきものと考えましたのは、
一、被害農家の再生産を確保するため、肥料、種苗、飼料等の生産資材の購入資金その他農業経営に必要な資金、並びに農業協同組合の所有または管理する肥料等の在庫品の流失、損壊等により被害を受けたものの再購入に必要な経営資金の融通に関する特別措置を講ぜられたこと。
二、本道は昭和二十八年の冷水害、昨二十九年の台風及び冷害を受け、本年さらに今次水害となり、連年災害を受け、しかも一毛作地帯であります関係上、災害による打撃は他の地域に比して特に深刻でありますので、従来災害を受け経営資金の融通を受けたもので、本年さらに災害をこうむり、本年度分償還金の償還困難なものについては、猶予の措置を講ぜられたいこと、なおこの金額を道庁側は約一億九千九百万円程度と推定しております。
三、前に申し上げましたごとく、今次水害により日高地方におきましては、コンブ、フノリ、ギンナン草礁が多大の被害を受けましたので、これらの養殖施設の復旧について農地等と同様の国庫補助を受けられるよう農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法花の一部改正を行われたいこと。
四、被害農林漁業者に資金融通を行う場合、その融通資金から旧債を差し引かれることのないよう特段の考慮を払われたいこと。
五、自家食糧の不足する被害農家に対しては、昨年冷害の例にならない、政府手持ち食糧を特別価格で払い下げる立法措置を講ぜられたいこと。及び昨二十九年の冷害被害農家で、特別価格により米麦の売り渡しを受けた農家で、今次水害によりその代金回収の困難なものについては、代金納入期限の延長をはかられたいこと。
六、農林水産業施設の復旧事業については、つなぎ資金融資の方途を講ぜられたいこと。
七、農業共済金の早期支払いを実施せられたいこと。
八、被災地における橋梁その他公共または共同利用施設の復旧、家屋の復興資材として、市町村に対し国有林風倒木を特別価格で払い下げを実施するとともに、売払い代金について無利子、無担保により一カ年間の延納措置を講ぜられたいこと。でございます。なお北海道は一毛作地帯でございまして、被害耕地の代作、跡作もほとんど不可能に近く、ただわずかにソバ、あるいは大根等の蔬菜だけがかろうじて跡作が可能であろうとせられている状況にございますので、同じ被害でありましても、他の二毛作、三毛作の可能な地帯に比して、その及ぼす影響ははるかに深刻でございます。従いましてこれら代作、または跡作用種苗の確保に格段の措置を講じまするとともに、飼料作物が冠浸水により不足している農家も相当多い状況でありますので、なかんずく、粗飼料の供給確保に意を注ぐ等、あらゆる努力を払いまして、本年中にできるだけ被害農家の収入をはかることが肝要であります。
北海道は昭和二十七年十勝沖震災以来、冷害、風水害等の天災年々相続き、被災農林漁家の困窮は想像に絶するものがあろうと存じますので、以上申し上げました諸対策をすみやかに、実現せられまして、これら被災者の経営の維持安定を期するとともに、本道農林水産業生産力の維持向上に資せられんことを希望いたし、以上簡単でありますが、私の報告を終ります。
なお風倒木の被害に関しましては、別の機会に林業小委員長から御報告があると存じますので、ここでは省略いたします。
以上御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/2
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003・川村善八郎
○川村(善)委員 ただいま伊東団長から北海道の災害につきましてるる御報告があり、さらに対策についての御意見が発表されたのであります。私はお伺いする前に、本農林水産委員会から北海道の災害調査のために、この炎暑にもかかわりませず、わざわざおいで下さいまして詳細御調査下され、本日御報告下さいましたことにつきまして、北海道出身の議員としまして心から感謝の意を表する次第でございます。
ただいまの御報告によりますと、その被害は甚大であることは、もうすでに皆様御承知のことであります。この災害の復旧、さらに再生産の面でいろいろ御意見がありましたが、この際一点だけ大久保開発庁長官にお伺いしたいことは、御承知の通り今度の豪雨による災害地帯は、昭和二十七年以来地震による災害あるいは暴風雨による災害、さらに今度の水害等で連続四カ年にわたっての災害地帯でございます。従いまして罹災者はどん底まで追い込まれていることは申し上げるまでもございません。この災害復旧と、さらに営農あるいは漁業の復活等につきましては相当に努力を続けなければならぬことは申すまでもございませんが、幸い今回農林水産委員会が天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案を議員提出いたしまして、今審議中であります。この内容はまことにわれわれの期待に沿うものでございますけれども、遺憾ながらこうした連続災害にあっておる地帯の処置については、いささか欠けておるような点があるのであります。そこで私この連続災害を受けておる地帯に対しましては、別な方法をとらなければならぬじゃないか。要するに前に借りてありまする資金の延納の処置等につきましても、伊東団長からその措置をとれと言っておりますし、利息の補給等についてもその意見を述べられておるのでございますが、私もかように考えます。すなわちこの法律が通りまして、融通は受けるのでありましょう。また金利も安いものを使われるでありましょう。しかしながらこれは三年の返済期間で六分五厘の利子でありますから、他の資金融通よりははるかにその原典に浴しておることは申し上げるまでもございませんが、この連続災害にあった地帯に対しましては、さらに何か延納の措置なりあるいはもう少し長期の返済期間を設けるなり、あるいは利子も特別に安くしてやるといったような方法を考えなければならぬじゃないか。なかんずく北海道に入っておりますところの開拓者については、さらに特別の措置をとらねばならぬのじゃないか、かように私は思っておりますが、大久保長官はいかがお考えですか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/3
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004・大久保留次郎
○大久保国務大臣 ただいま川村さんから御懇切な御意見がありました。なおまた今回北海道の災害につきましては、当委員会より特に委員の各位が北海直の実地について視察されまして、ただいま御報告を伊東さんから詳しく受けまして、まことに利益するところが多かったのであります。まず私は冒頭におきまして、委員の皆様並びに当委員会に対して感謝の言葉を捧げたいと存じます。まことにありがとうございました。
なお川村さんのお話でありますが、これは伊東さんの救済の意見の中にも大分入ったものがございましたが、さらに本月の十五日に北海道の長官が自分が出てこられまして、各方面についての意見をまとめて持って参りました。これはあるいは当委員会に出ているかとも存じますが、まず第一番として立法措置というのがあります。第二番として財政措置、第三番として金融措置、第四番としてその他の措置という項目のもとに数十項目についてのこまかい要求書が参っております。これは私の方ばかりでなく大蔵省、農林省及び建設省その他にも配付になっておるものと存じます。私どもはただいま委員長の報告の通り、できるだけの力を尽して達成しなければならぬ。ことに北海道はここ数年来たびたびの災害にあっておりますので、みずから立ち上る力が薄いと存じます。この点もよく頭に入れまして、さっきの調査団長の報告及び北海道庁の出しました要望書をよく研究しまして、できるだけ早く目的を達するようにいたしたいと存じます。
なおその中でも北海道庁が特に急いでおります融資が約十億ございます。これはぜひ早くやってもらいたいというので急いでおります。この融資につきましては、もうすでに大蔵省が査定に入っております。おそらく事実二、三日中にこの十億についての融資額の査定は決定を見ることと存じております。この点も御報告申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/4
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005・川村善八郎
○川村(善)委員 委員長もお聞きの通り、伊東調査団長からは詳細に御報告があり、さらにこれに対する対策についての要望意見もあったのであります。さらに大久保北海道開発庁長官からもいろいろとこれに対する御意見や私の質問に対するお答えがあったのであります。そこで委員長にお願い申したいことは、ただいま本委員会に提案になっておりまする天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案がございます。その内容を見ますと、先ほども申しましたように、われわれの意図するところが十分織り込まれておるのでございます。だが北海道の今度の災害地帯は、委員長も御承知でもございましょうが、二十七年以来連続的に災害を受けておりまして、生活はもちろん困っておる地帯もございますが、前にお借りをいたしました、いわゆる融通を受けました資金等も、期間が来ましてもとうてい払えない実情になっておるのでございます。そこで今提案になっておりまするところの法案の内容を見ますると、なるほど償還期間は三年以内とするということと、利息は六分五厘、こういうような恩典がございますけれども、さらにその上に、こうした北海道の災害地帯のような連続的に災害を受けておる地帯の延納の措置等が、特に織り込まれておれば大へんけっこうだと思います。先ほども北海道の知事並びに代表から、いろいろとその事情をわれわれは陳情を受けて参ったのでございますが、まことにその通りでありますので、できるならばこの天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置案の中に、いわゆる連続的の災害を受けておる地帯の延納の措置の一項を入れていただければ大へんけっこうだと思いますので、できるならばこの法案を通過させる場合に、一つ修正をいたしまして、その一項を入れていただきたいことをどうぞお願い申し上げて、私の質問を結ぶ次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/5
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006・綱島正興
○綱島委員長 川俣委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/6
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007・川俣清音
○川俣委員 この際大久保国務大臣に二点お尋ねをいたしたいと思います。先般私の質問に対して、実施官庁であるかあるいは企画官庁であるかということについて、答弁が非常にあいまいであったのであります。今さらここであらためて聞くことはないと思います。それはおそらく質問があったあとにおいて御研究になりましたでしょうから、今あらためてここでお聞きいたしません。ただ問題は、実際問題として、新冠川の国道にかかっておりまする橋が流失いたしまして、いまだに仮橋さえできてない状態です。私どもか参りましたのは九日ですが……。それでは一体その準備をしていないのかと申しますると、開発局の出張事務所なるものができております。あるいは請負師ですでに仮橋を工事請負をした者がおるのです。ところが一度仮橋を作っても、上流の方の河水統制をしてもらわなければ、また流れるのだからかけない、こういうことなんです。仮橋というものは流れるからかけないとか、そういうことでおそらく委託されたのではないのじゃないかと思う。われわれが現地における監督者であるところの、あなたの下部組織の開発局の出張所に説明を求めるように招致をいたしたのでありますが、逃げて姿を現わしません。これは不正きわまるものです。上流の水勢を変えなければならない、これは道費河川であるから道庁がやるべきであるのに、それを仮橋をかけないというようなことは、もしもあなたが言われるような企画官庁であるならば、道庁に道費河川の上流はすみやかに切りかえて元の本流に直すべきだというような指示があってしかるべきだと思う。あるいは実施官庁であるならば、あなた方の方で請け負わした請負人がおりながら、人夫が多数おりながら、器材を運んでおりながら、再び流れるおそれがあるからかけないということになったら、仮橋の必要はないのじゃないか。仮橋でありますからそれは流れるかもしれません。しかし流れるまでもかけなければならぬ義務をあなたは持っておられるのではないかと思う。一体監督者を置いておいて、われわれ調査に行ったときに逃げさせたというのはどういうわけか。行方かわからぬ。いやしくも公務員である以上は、行き先が明らかでなければならぬ。どこに行ったかわからぬというようなことがありますか。病欠でもあるなら別です。出張でもしておるなら別です。監督の者がどこに行ったかわからぬというようなことで十分にあなたの仕事ができると思っておりますか、この点明らかに御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/7
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008・大久保留次郎
○大久保国務大臣 今回の災害の中で一番ひどかったのは、何といっても新冠川を中心とした地点であるようであります。私は現地に行きませんけれども、写真で見ても実にひどい、一番ひどかったと思うのであります。人の死傷も、道路の損壊も、橋梁のこわれたのもここが一番ひどいので、道庁としては総力をあげてこれをやっておるという二、三日前参った知事が来ての話でありましたけれども、ただいまのような落度があるとすれば、さっそく今日電報なり電話なり手配いたします。そうしてあなたの満足がいきますような措置を講じたいと思います。どうか御安心を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/8
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009・川俣清音
○川俣委員 私が満足するのではない。私は帰ってきているからいいですよ。決して青葉じりをとらえるのではない。国道ですから交通のひんぱんのところなんです。少くとも徒歩で連絡できるような仮橋くらいはすみやかに作ってやるのが至当だと思う。流れるから作らぬということになったら、北海道のどこでも流れないような橋はめったにない、いずれかは流れるような橋が多い。仮橋でありますからそれは永久橋を作れというのではない。徒歩連絡、リヤカーの連絡くらいできるような仮橋をたくさん作ってやるということが応急処置なんです。これくらいできなければならぬではないですか、しかも請負師がおる、人夫もある。上流の河川統制をしなければもう一ぺん流れるからやめておくんだというようなことでは、請け負わせた意味はないのじゃないか。それは綱紀の頽廃ですよ。しかもその責任を追及されると思ってかどうか知らぬが、責任者の行方がわからぬというようなことは、はなはだもってけしからぬと思う。最善の努力をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/9
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010・大久保留次郎
○大久保国務大臣 至急に調査してただいま申した通り措置をとりますから御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/10
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011・川俣清音
○川俣委員 次に北海道に参りまして各町村長からの陳情の中に、すでに災害が起きた、過年度災害に対して、町村が責任をもって立てかえ工事をいたして竣工いたしたものに対して、いまだに国の交付金が参らないということでさらに今後立てかえ工事をいたす場合における苦衷を訴えておったわけです。この一部の中には非常に誤解があることは私どもも認めます。第一次の査定でその査定通りということで立てかえ工事をやったのが、再査定によって減額されておるのを知らずに、まだ来るものという誤解をしておる向きもないわけではないようであります。しかしながら今後起ってくるべき問題として非常に注意しなければならぬ問題は、最近大蔵当局が財務当局に対しまして出した通牒なるものがあるそうであります。これは今までは財務局が大体認定したものを、認定書と申しますか、県あるいは町村の工事に対して大体査定認定を与えた書類を添付して中央にこれを出す、こういう形式で大蔵省の認定をつけておる。ところが最近大蔵省の査定があるまでは現地の財務局が勝手に認定してはいかぬという通牒を出したということなんです。これは実にけしからぬことだと思う。中央でもって大蔵当局が現地の状態もわからないで、何のために一体財務局というものを置くのだ、財務局は現地を見てこの工事の見積りが正しいか、正しくないかという判断をさせるために、地方に財務局並びに財務部を各県に置いているわけです。実態調査のためにです。実態調査が当てにならない、大蔵省の査定がなければ認定してはいけないというような通牒を出されたというように聞いているのですが、大久保国務大臣はこれをお認めになりますかどうか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/11
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012・大久保留次郎
○大久保国務大臣 その通知を出しましたかどうですか、それは私はよく存じませんですけれども、北海道の災害に限ってなるべく早くやりたいというので、場合によっては財務局の査定いかんに関係なく本省において査定をしようとする意向であるということを言っておりました。従ってさきに申しました通り、もうすでに北海道庁からも土木災害についての申請は来ております。もう大蔵省の査定に入っております。二、三日中にそれもきまることと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/12
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013・川俣清音
○川俣委員 これが開発庁長官のような答弁でありますならば、真実のものでありますならばあえて私はこれを問題にしない。ところが大蔵省に交渉してみますると、財務部の認定を受けてない、すみやかにとってこなければならぬじゃないか、一方ではこう言い、また財務部に対しては、本省の査定あるまでは認定するな、こういうようなことをやっていろいろ事をおくらせる一つの手段として使われておるのではないかという懸念があるわけです。すみやかに処置するために財務部の意見よりも、まず建設省なり農林省の意見を聞いて、そして大づかみにつかんで査定をするという最も緊急処置としてやられるのでありますならば私はあえて了承する。すみやかにしてしかるべきだと思う。しかしながらこれは国務大臣が行かれれば別ですが、道庁の者や各府県の者が行った場合に、財務部の認定がないじゃないか、書類が完備してないじゃないか、こういうことでのがれる、一方においてはそういう通牒を出して、査定があるまでは認定するな、これはとんでもないことなんです。すみやかに調査をしろと命ずるならば別です。こっちが査定するなんて、大蔵省は査定できるわけはないじゃないか、現地の認定なしに査定なんかできるはずはない。ですから査定が認定があるまで便法として大蔵省はこういう方法を講ずるというならばけっこうなんです。この点どちらと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/13
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014・大久保留次郎
○大久保国務大臣 さき申しました通り、そういう通牒を出したかどうかわかりませんが、要するに目的は、早く融資が決定できればいいだろうと思います。この点はよく含んでさっそく大蔵省に申し入れます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/14
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015・川俣清音
○川俣委員 新冠川のはんらんの原因をわれわれはどういうふうに見てきたかと申しますと、あれは旧御料地でありまして、森林がうっそうとして茂っておった。ここに開拓が入った。新冠川の下流の状態を見ますと、土砂というよりも、あるいは堆積というよりも、むしろ泥土であります。
〔委員長退席、足鹿委員長代理着席〕
この上流をつぶさに見ますと、開墾された人々が地勢にうとくいたしまして、小さな沢あたりも埋めて開畑をいたしておるところがあるわけであります。小さな沢でありますから、たまった水が畑を一丈も一文五尺も侵して本流に流し込んでおるというような状態で、新冠川の河口を見ますと、砂でなくて土が相当上っておる。私ども九日、十日に参りましても、まだ海が泥海になっておる。これでいかに上流の泥土が流れ入ったかということがわかる。従ってほんとうは開墾いたします場合におきましては、これは原始河川でありますけれども、先に川の形態を考え、それから道路計画をし、その上に入植させるというような方法をとって参りませんければ、地勢に暗い者が、河を調べて、小さな川などで時には水がかれていて、これはもう川の価値がないのだということで、せっかくそこを畑にしたのが多く流されておる。こういう状態を見ますと、これは入植の指導、開拓の指導が非常にまずかったのではないか、開拓者にはとにかく一定の土地を与えればいいのだ、こういうことで非常に無責任に与えたのではないかということが懸念される。ところが一方旧御料地時代からその地方におりました者は、そういう水害を巧みにのがれるような場所と――これは前からおったせいもありましょうが、住宅の配置からいきましても、あるいは土地の条件からいいましても、非常に水害を免れるような状態の場所におる。こういうことから見ましても、無責任な入植が行われたのではないか、こういう感じがいたすのでありますが、将来北海道のような広範な地域に対する開拓者の入植等については、こういう点についてどのように御指導になるお考えでありますか、もしお考えがありますれば、この際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/15
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016・大久保留次郎
○大久保国務大臣 北海道におきます入植者の扱い、これはほんとうをいえば農林省の所管で、入植課というのがありますが、ここでやっております。ここから北海道の道庁に向って指図をしておるような実況でありまして、横から私があまり意見を言うのもどうかと思いますから、その点は農林省の方からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/16
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017・川俣清音
○川俣委員 これは決して言葉じりをとらえるのではない。前は北海道開発計画をおやりになる、こういう御答弁でありましたから、計画であれば将来の計画がなければならぬはずだ、こういうのです。実施官庁ということになりますれば、これはまた別でございます。農林省が入植の方あるいは開拓の方をやっておることは十分この農林委員会は存じております。従ってそういう言葉じりをとらえるのではなくて、やはり一つの北海道開発計画というものの中には、どういう入植の仕方をさすべきかということがなければならぬはずじゃないか。どういう実施をするかということは農林省がおやりになる、あるいは北海道が委託を受けてやるということがあり得ると思うのですが、もしもこの点御答弁ができれば御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/17
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018・大久保留次郎
○大久保国務大臣 いや、ここに農林省の方が見えていますから、農林省の見えているところであまり出過ぎるのもいかがかと思ってそう言ったのでございますか、計画をするときには何戸ぐらいここに入れるという相談は当然ございます。いよいよ実地の調査になりますと、さっき話しました通り、農林省から北海道庁に向ってやるのでありますけれども、いずれにせよ、目的は北海道の開発と人口の増殖にあるのでありますから、なるべくよい人が行って、よい農業の発展ができますように十分に注意いたします。と同時に、ことに今後機械公団その他によって北海直の石狩その他か開発されることになるのでありますから、ここに入植する人の入選については、より一そう人選の正確を期さなければならぬと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/18
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019・川俣清音
○川俣委員 私の質問を誤解されておるのです。まず河川に対する対策を講じ、あるいは道路計画を立てて、その上に適地に入植をはからなければだめではないか、そういう基本方針くらいは立てられないか、こう申し上げておるのです。原始河川の上流に、あるいは下流に土地があるから、これを開拓するんだというような、無方針な、災害が再び起るような状態を助長するような開拓の仕方は好ましくないのではないか。原始河川――これは原始河川といいましても、あそこが御料地であった場合には、大した災害を与えてなかったようである。過去の河川の歴史を見ましても、あれほど荒れたことはない。あの上流にあれだけの雨が降りましても、荒れたことがなかったということは、御料地としての管理が、河川を荒らさないような処置をとっておったからである。そこに入植が行われるといたしますれば、河というものは、原始河川のままでおかれないという状態が生まれることは、あまりにも明らかであった。その対策を怠っておったのではないか。従って上流地帯にうっそうたる森林資源を持っておって、表土が荒れていない場合と、荒れつつある場合とは、河川に対して異なった処置を講じなければならないことは初めからわかっておる。従って入植者を入れる場合においては、近代的な堤防を築いて、川の統制をはかっていくというような計画をすみやかに入植と同時に、開拓と同町に並行して行わしめる、それから道路もこれと並行して行うということにならなければならないのではないか。旧河川のところへ国道を作る、それはちょうど水勢がそこへ行く場所にわざわざ道路を作っておるというような場合もなきにしもあらずです。従って道路計画も河川計画もやはり並行的に考えながら開墾、開拓というものを考えていかなければ、今後再び災害を繰り返すおそれがある。これは新冠川を見ての感じです。これからの開発計画の中にそういう点を入れていかないと、いたずらに入植者あるいは開拓者に犠牲をかけなければならぬ、開拓者ばかりでなく、下流における従来から住まいをしておる人々にも迷惑をかけなければならないというような結果になるのではないかということをおそれるがゆえに、この際計画を明らかにすべきではないか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/19
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020・大久保留次郎
○大久保国務大臣 よく意味がわかりました。従来の入植は、あるいはそういう弊害があったところがあるかとも存じますが、今回の新冠の洪水を一つの参考にして、河川の改修なり、道路の改築なり、あるいは治山治水、いろいろ総合的に研究した結果、なるべく適地に入れるという方針をとりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/20
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021・木村文男
○木村(文)委員 川俣委員からいろいろお尋ねがあったようでありますが、こういうような質疑が出るということの根本は、開発庁のいわゆる機構あるいはまたそのあり方、こういったようなところが私は一番問題であろうと思う。大久保大臣どんなにいいお考えを持っておられても、その根本の問題を究明しないでは、その計画は関係庁には徹底しないと私は思う。そこで私の研究をいたしました、またこれまでいろいろ試案を作ってみたり何かしたことから考えてみますと、究極のところは開発庁が実施官庁になるということであると思う。もしかりに実施官庁になれないとするならば、これにかわるべきところの何らかの法的な国としての措置を、大久保大臣の政治力をもってしてでなければ私はできないと思うのです。大いに期待をかけますがゆえにあえて私は発言をいたしたのであります。おそらくこのためにどんなに大久保長官の下に働いておられる役所の人々が悩んでおるだろうかということを、私はまのあたりに見まして、同情にたえないのであります。大久保大臣は実施官庁にするだけの決意を持っておられるかどうか、これが一つ。
いま一つは、もしそれができないとするならば、開発庁の使命を果し得ない、こういう私の見解でありますから、もしそれにかわるべきところの臨時的な措置でもいいから、公的な面を持つところの措置を講ずるお考えがあるかどうか、これが第二点。
第三点として私のお尋ねすることは、大久保大臣でなく農林政務次官に尋ねたいと思いますが、農林政務次官は昨年以来おそらくこの問題にも触れておられると私は思う。ことに長い間農林委員をしておられた吉川次官でありますから、このこともよく御心配されておったはずであります。従いまして今その衡にあるのでありますから、この問題についての協力の面を持つかどうか、またそれを持たせることによって、北海道は日本の経済の面から見ても、また防衛の面から見ても、現在の日本としては宝庫であるとともに国防上の重要なる地点である、また漁業の面から特に私は考えさせられる。こういう面から考えまして政務次官は、大久保大臣にもし決意があるとするならば、これに対する協力の御意思があるかどうか。この三点についてお尋ね申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/21
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022・大久保留次郎
○大久保国務大臣 開発庁の機構の問題につきましては、各方面から問題が起りまして、質問も始終受けております。私の考えは、あなたの言われる通りやはり実施官庁にする目的をもって進めなければならぬ、こういう考えを持っております。今日の開発庁は、計画をして予算をとるけれども、予算の執行は自分でやらない。農業の関係は農林省がやる、土木、河川、港湾等の関係は建設省あるいは運輸省がやる。だから浮き上った官庁というような感じがする。そこでこの予算をとった以上は、信念を持ってこの予算執行に当り、そして国のために尽すというのが公務員の本領でなければならぬ。ところが今日の制度においては遺憾ながらこれができていない。しかしながら今日の実際の様子を見ますると、北海道には北海道庁という自治体が発達しております。これも無視できない。また中央におきましては今申しました通り、農林省は全国の農業を目的として計画しておるのでありまして、この点も無視できない。建設省も全国の河川、港湾、道路を目的としておるのだからこれも無視できないというような点も考慮に入れなければならぬので、何らかの方法を発見して実施官庁たる実質をあげたいという希望を持っております。この点だけお答え申し上げておきたいと思います。そのほか第二点は、第一点の付属のようなものでありますから、この考えだけ申し上げれば、従って第二点もこの中に包含されることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/22
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023・吉川久衛
○吉川政府委員 木村委員の御指摘のようなことは、かねがね私ども感じておりましたので、私なりに、この問題はもっと明確にしていく必要があるのではないかと考えていろいろと検討をいたしておるような次第でございます。御案内の通り政府が一つでありますから、そこは有機的にうまく事が運ばれていくはずでございますが、現実は必ずしもそうでないことが、木村委員の御指摘のような問題も出てくるのでありますから、十分検討をして善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/23
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024・木村文男
○木村(文)委員 政務次官の非常に御理解あるお話によりまして、私も力強く感じたのであります。そこでその暫定的な措置というのが、法的な効力を持たなければその実績をあげ得ないので、私は長官に対して第二点の質疑を出したのであります。今政務次官は、緊密なる連絡と密接なる協力が必要であるということを認めておられる。そしてまたそれが円滑を欠いておる点も認めておられるようである。そこで私はそれを懸念いたしまして、はなはだ短かい時間でございましたが、できるだけのことと思いまして残してきた仕事があるのであります。それは各省の連絡協議会というものをすみやかに設置するよう当時の企画室主幹に命令をいたしたのでありますが、それが果してどういうように運営されておるか、その後すでに四カ月も経ておりますから、この点について私は主幹に対してその答弁を求めたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/24
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025・大久保留次郎
○大久保国務大臣 今主幹にお話がありましたが、私この間関係した事柄でありますから、一応私から御説明申し上げます。
開発庁の内規として各省のおもなる次官を相談役と申しますか、顧問というような制度にして、ときどき集合を願って事務の連絡、事務の打ち合せをするということになっておったのであります。これは北海道開発庁始まって以来そういうことになっておったというだけで、一ぺんも実施していなかったのであります。これはまことに残念で、あなたの言われた通りであります。そこで一カ月ばかり前に、各省次官全部に集まってもらいまして、この中には顧問とか嘱託とかいうようなことができない方もありますが、それは補佐役として出てもらうという理屈をつけて、各省の次官全部に集まっていただきまして、北海道の開発のために尽してもらいたい。ことにただいまの計画、来年度の計画についての大体のお話を申し上げて了解を求めておるような次第であります。幾分なりとも融和協調の上に便ずるところがあると信じます。御参考までに私から申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/25
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026・木村文男
○木村(文)委員 私今のお話を聞きまして大へん満足でございますが、ただ今のお話では、思想的な統一といいますか調整といいますか、その面で終るだろうと思います。それでは私は真の実績を上げ得ないと思うのでありまして、これを事務的に技術的に解決したいというのが私の念願であります。またそうでなければ決して実績は上らないと思います。もちろん当時法的な措置を講ずる機構がございませんでしたから、私は何とかこれを一つ機構的に考えなければならぬというので考えたのが、とりあえずの申し合せ的な――大臣の許可を得てやったことでありますが、その申し合せ的なことでもいいから、ここに覚書でも取りかわして、連絡協議会といったような何か名称をつけて機構化する、そしてこれをほんとうに運営の面の軌道に乗せるというところにねらいがあるのでありますが、その後事務的にどうなっているか主幹にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/26
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027・柏原益次郎
○柏原政府委員 ただいま木村委員からお尋ねになりました、事務的に連絡を密にするということはどういうように進んでおるかというお尋ねでございますが、木村委員が私の方の政務次官をしておられましたときにそういったお話がございまして、私もその意を受けまして、関係の課長とも十分相談をいたしまして、その中にただいま大臣からお話がありました通り、各省の次官その他直接関係のない省庁の局長その他にもお集まりを願いまして、北海道の開発その他事務の運営についてよく相談しょうということになったのでございます。それにつきましてただいま木村先生から、それでは思想的な面に終るのではないかというお話がございましたが、その点は私は否定はいたしません。そういったことに流れやすいきらいはございます。それでどうしても事務的にがっちりした機構を作らなくてはならぬのではないかということは、私そういった御趣旨を十分尊重しておるのでございますが、その後関係の問題について具体的に問題が起りました場合には、関係の各省と十分連絡をとりまして、いろいろ会同なども開きまして、事実上そういった目的が達し得られますようにやってきているのでございます。ただいまのところでは、お話のような機構的にがっちりしたものはまだできておりませんが、今やっております事実上の連絡会議だけで十分でないということになりますれば、機構的にも十分がっちりしたものを作って、緊密化をはかっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/27
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028・足鹿覺
○足鹿委員長代理 午後は一時半に大蔵大臣が出席されるそうですから、そのおつもりで御出席を願います。それでは一時半まで休憩いたします。
午後零時十四分休憩
――――◇―――――
午後二時十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/28
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029・安藤覺
○安藤(覺)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。東北、北海道、九州等を中心とする農林、漁業災害対策の問題について午前に引き続き調査を進めます。質疑を続けます。小枝一雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/29
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030・小枝一雄
○小枝委員 大蔵大臣に、今回各地に起りました水害の対策について御所見を伺いたいと思います。
私は実は先般六月二十四日から二十六日にわたった東北地方の梅雨前線による豪雨の調査に同僚委員とともに参りました。そのときにまた九州、北海道と相次いで深刻な災害が起りまして、一日も早くこれを復旧いたし、また農業については農民をして再生産の態勢につかさせなければならぬと思うのであります。実は先般の東北災害につきましても山形、秋田、青森、岩手の四県を視察調査いたしまして、特にこの地方は中小河川の流域が破壊いたしまして、これに伴う農業災害が実に激甚をきわめております。なお九州、北海道等につきましてもそれぞれ調査団が派遣されまして、詳しくこれは当委員会に報告されておるのであります。それについて特に地方の強い要望であり、またわれわれもそれを行うことによって災害対策ができ上るものであると信じます点は、まず今年の四、五月の凍霜害及び水害に対する措置と同様な低利資金の特別措置を講じなければならぬということであります。第二は、農地及び農業用施設災害の査定をすみやかにして国庫補助金の交付を迅速にするとともに、それまでの間におけるつなぎ融資を直ちに実施することであると思うのであります。第三は、今回の災害地域は日本でも有数の米産地であるという点から考えまして、これらの代用作としてのソバ、大豆、種子等の確保につきましてあっせんをするとともに、購入費を助成せられたい。第四としては、水害の次に当然予想されるいもち等の稲作についての病虫害の防除について薬剤の購入費を助成せられたい。第五といたしましては、災害防除事業分についての農林漁業金融公庫融資のワクを確保せられたい。こういうことが地元といたしましての熱烈なる政府に対する希望であるのであります。
これらの問題につきまして、すでに災害が起りましてから十数日を経過いたしておる状態でございまして、あるいは二十日も過ぎておるところもあるのでございますが、政府当局といたしましては対策がすでに立てられてなければならぬと私は考える。そこで大蔵当局といたしましてどういう対策をお持ちになっておるか。なおこれらの対策につきましては東北、北海道、九州等とともに一つの立法措置を講じまして、それぞれ以前の災害と同様な対策をとらなければならぬとわれわれは考えておるのであります。大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/30
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031・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 各地に風水害がありました。まことに御同情にたえないのでありますが、大蔵省といたしましては、まずとりあえず今お話のありましたつなぎ融資を迅速にして上げたい、かように考えまして、これはすでに実行したものもありますが、従来のように大蔵省が現地で調査いたし、一方また建設省も御調査をする、そういうようなものを寄せ集めて、またいろいろと長い時間を打ち合せるというようなことを今回は取りやめまして、大体建設省一本にしまして、ここから資料並びに写真が来た場合に、それに基いて査定をしまして、とりあえず早く、あとでゆっくりやるものはやってよろしいから、とりあえず概算的に出す、こういうような方針でとりあえずいたしております。
なおその他のいろいろな項目についてお話がありましたが、これはそれぞれ所管省において十分調査もなさって、大蔵省に関係のあることについては御相談がある、かように考えているようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/31
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032・安藤覺
○安藤(覺)委員長代理 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/32
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033・芳賀貢
○芳賀委員 まず大蔵大臣にお伺いしたい点は、今まで毎年のように災害があるわけですが、自由党の内閣の時代においては、必ず激甚なる災害に対しては、政府は災害対策本部を設けて国務大臣が本部長に当って、各省ごとの災害に関係のある対策を統一して、そうして迅速なる復旧等に対する処置に出ておった、これが前例であります。ところが民主党内閣の場合においては、これは先日私は質問したわけでありますが、今次の春以来の災害等に対して、何ら政府の統一ある災害対策というものが講ぜられていないのであります。これの一番基本的問題としては、すでに水害だけに一例をとっても、六月の上旬には九州、六月の中旬には東北四県の大水害、それから七月の上旬には北海道の水害、こういうふうに相次いで水害が起きている。しかも例年よりも水害が早く来ているのでありますが、今後こういうような不幸な災害というものが相次いで起きないとも限らぬわけですから、このような大きな災害に対しては当然政府の責任において災害対策本部等を設けて、統一ある施策を行われることが非常に問題の処理の上からいっても、均衡のとれた対策を講ずるという場合にも、非常に効果的であるというふうに考えているわけでありますが、この際大蔵大臣の御所信をお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/33
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034・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ごもっともな御意見であるのでありますが、これは情勢の次第にもよることと存じます。今回はそういうふうにしなくても、かえって迅速にやった方がよかろう、やれるだろうということで、むろん関係官庁と十分連絡はとっているのであります。なお今後の情勢によってはお説のようなふうにした方がよいとも思います。今のところまだそこまで政府としては考えていないわけであります。
〔安藤(覺)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/34
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035・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、今後は問題を迅速に解決するためには、災害対策本部のようなものを設けなくても、各省ごとに大蔵省が積極的に話し合いをして、そうして処理をしていくというわけですか。――そこでお尋ねをしたいのは、今までなぜ災害対策本部等を設けてやったかというと、これは災害に対する大蔵当局の態度が非常に冷淡過酷であるということが今まで言われておった。各省ごとに折衝した場合はなかなか思うようにいかないわけです。それで一応連合軍を形成して、そうして災害対策本部なるものを設けて、大蔵省に対しても積極的に財政の支出等をやらせるようにというところに今まで災害対策本部を設けた一つの理由もあったというふうに考えるわけです。ただいまの大臣のお話によりますと、今度は今までと態度を変えて、大蔵当局は災害の処理に対しては積極的に動く、そういうお考えですか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/35
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036・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今日のところでは、建設省並びに農林省中心でよかろうということになっております。大蔵省としましては、むろんこれらの省から御相談がありますれば、迅速に事柄を処理していく、こういう態度をとっております。話し合いでうまくやっていこう、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大臣の災害に対する認識は、今年度の春以来おおよそどのくらいの被害額が全国的に累積しておるか、その点は大ざっぱに把握されておると思うのですが、これを一応公共土木関係とかあるいは農業関係の災害とか、そういうふうに大別して御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/37
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038・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 数字に基いて申し上げた方がいいと思いますから、政府委員からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/38
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039・原純夫
○原政府委員 七月十日現在の数字をただいま持っております。刻々新しいのが入るわけでありますが、これで申し上げますと、建設省関係では、中心になります土木災害の被害が九十八億円、その他特殊災害、直轄土木災害を含めまして百二十億円、運輸省関係では港湾でありますが四億円、農林省関係では合計で五十九億円、総合計が百八十四億円というふうになっております。
なお昨年と比較して申し上げますと、昨年の七月十日現在というのはないのでございますが、公共土木のただいまの九十八億円に対比されますものが、五月以前の災害、六月の災害、これを合せまして百七億になっております。七月の災害は六十八億になっております。その一部が加わって対比される。同時に七月十日現在といいましても報告が到着、未到着がありますから、ほぼ昨年に近いかどうかというくらいのところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/39
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040・芳賀貢
○芳賀委員 それでは具体的な点になりますが、今、原次長から御報告になった災害に対して、当然政府の責任においてこれを処理するような問題もあるわけですが、現在までどの程度具体的に、災害に対しての対策あるいは先ほどもお話のあったようなつなぎ融資の問題とかいうものを実行に移されているか、その点をできるだけ詳細に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/40
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041・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 大蔵省としましては、関係官庁の要請に応じまして、つなぎ資金を出しております。また営農資金をお世話する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/41
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042・芳賀貢
○芳賀委員 数字をあげて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/42
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043・原純夫
○原政府委員 数字のことでありますから私から御説明いたします。つなぎ資金は、先般一億一千五百万円出しております。営農資金につきましては、御承知の通りある時期までの分についてはすでに政府提案をいたしております。その後災害が加わりましたので、政府提案の金額四億幾らの限度額を置いておりますが、それを御修正いただこうと思っておりましたが、ちょうど議員立法で同種の法律案をしばらく長い期間についてきめようというふうな動きがありますので、そうなりますと政令指定でできる。これは御承知の通り被害の統計を見まして計数が自然に査定されて参りますので、それによろうといふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/43
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044・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま原次長から、当委員会に今付託になっておる天災等による農林災害の融資の問題が出たのですが、そういたしますと、大蔵当局はあの法律案は通過することを期待しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/44
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045・原純夫
○原政府委員 その通りでございます。営農資金の関係の法律案に、政府もはっきり同意を申し上げて、通過しても異存はないというふうに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/45
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046・芳賀貢
○芳賀委員 大蔵省は今まで議員立法に対して賛成の旨を表明したことは一度もなかった。今度の場合は、まだ当委員会で審議が始まったくらいの程度です。特に与党の民主党はこれに対しては同調できないというような意思を伝えておる。大蔵当局が融資法案だけに対し、ことさらに賛成とか期待を持っておるというのは、何か理由があるのだと思うのですが、その理由なるものを一応参考までに述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/46
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047・原純夫
○原政府委員 反対が多ければ必ず反対というのは非常におかしなことで、少数でもよければいい。従って賛成しておるのであります。この営農資金は、今まで随時災害がありますれば政府側で相談して出しておりました線とほとんど同じ原案であります。それでこれには御同意申し上げておるのであります。同意の例は、先般の積雪寒冷地帯の延長法も同意いたしております。なお営農資金ではだいぶ御修正のようなお話もありますから、御修正の際は国会法第五十七条の三によりまして、なお意見を聞いていただきたいと思います。原案は、はっきり政府は御同意申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/47
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048・芳賀貢
○芳賀委員 だいぶ大蔵省も前進したように考えておるのですが、そこで大蔵当局に聞きたい点は、昭和三十年度の災害査定基準というのは、これは大体大蔵省が中心になってきめられると思うのですが、現在その査定基準はできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/48
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049・原純夫
○原政府委員 査定基準といいますか、何といいますか、形の上できちんとした文書にした式のものではございませんが、御記憶の二十八年災を中心にして、だいぶ水増し不正があるという声が強く、検査院や行政管理庁の指摘もございましたし、また財政当局といたしましても、ああいう大災害の際は、率直に言って、あまりぜいたくな復旧工事をやられてはとてもかなわないという意見も申し上げて参りました。いろいろ実地について所管当局が一緒に御勉強した結果、大体そういう点について意見が一致してきて、二十八年災の再査定額も固まりましたし、また今後どうやるかということについても、大体関係各省の感覚が一致してきておるというふうな状態になっております。文書ではっきり要領というふうな形にはいたしてなかったかと思いますが、大体そういう状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/49
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050・芳賀貢
○芳賀委員 私の承知している範囲では、大蔵当局がこの査定基準に対する態度が未決定であったために、特に本年度の災害の調査等に対しては、これは全く放置されておる。こういう事実を私は聞いておるわけです。それは大蔵当局は否定することはできないと思うのですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/50
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051・原純夫
○原政府委員 大蔵省が方針について異議をとなえているから査定が始まらないということではないと思います。御存じの通り査定には相当の日数と人員を要しますので、それの陣立てをして各省が出かけられる。その陣立てが若干日数を要することであろうと思うわけで、決して基準がきまらぬために出られないというようなことではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/51
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052・芳賀貢
○芳賀委員 出られないというわけじゃないのですが、出ても無意味になるのです。一番肝心な大蔵当局の態度が未決定の場合は、関係省だけが出て現地を調査してもこれは最終決定にならないわけです。ですからこの際大蔵当局はいつまでに態度をおきめになるか。ことしの災害はもう全部ほおかぶりで過すのかどうか。その点は大蔵大臣を通じて明らかになさったらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/52
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053・綱島正興
○綱島委員長 この際お諮りをいたします。ただいま天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案及び台風常襲地帯における農林水産業の災害防除に関する特別措置法案の両案を一括して議題といたし、審議を進めることにいたしたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/53
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054・綱島正興
○綱島委員長 ではその通りきめました。以下これを含んで御審議を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/54
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055・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今のお話の何は、やり方が関係省と一致いたしましたから、迅速にやれると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/55
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056・芳賀貢
○芳賀委員 大事な点なんです。災害の査定はできないのです。では態度はきまったというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/56
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057・原純夫
○原政府委員 そうでございます。御心配はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/57
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058・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、今次災害等に対して、われわれは委員会を代表して各地の調査を行なったのでありますが、各地においてことごとく一致していわれる点は、今までの災害に対する国の補助金の交付が非常におくれておる。たとえば二十八年災害等に対しても、ある地方においては全然交付がないということも聞いておるわけです。それでいろいろ内容を掘り下げた場合に、現地において承知しておる補助金のまだこない額と、大蔵当局が未交付になっているという額とが必ずしも一致しておらないわけです。この点は将来地方議会の、特に地方財政の面等に対して非常な迷惑をかけるようなことになると思うのです。都道府県や町村においては、まだこれだけ中央からもらい分があるということを考えておる。ところが大蔵当局に言わすと、もうそれほどはないのだ。もう大部分終っておるのではないかということもあるらしいのです。そこで申し上げておきたい点は、これは査定をする場合も、農林省あるいは建設省と大蔵省の出先である地方の財務部は、必ず共同して、立ち会って最終査定をやっているはずなんです。それが最終的なものであるというふうに地方では考えておるのですが、その後に大蔵省が大蔵省独自の立場において、もう一つ別な最終的な査定を行なっているかどうか、その点が非常に不明確でありますが、この際明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/58
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059・原純夫
○原政府委員 昭和二十八年度の問題で大分経緯がある問題でございますから、私から答えさせていただきたいと思います。二十八年災につきましては、千五百六十五億というような数字があり、後二十九年度予算では千百億あまりに査定するというようなことがあり、従ってただいま芳賀委員のおっしゃいましたように、現地において査定結果と思っておられた額と非常に違ってきた。そこで数字を徹底的にきちんとしなければいかぬということで、一年間、関係各省と私どもといろいろ実地にも勉強いたしましたし、議論もいたしました結果、最終的に今回まとまりまして、そのまとまりました各省の査定額をもとにして三十年度予算は組んであるということでございます。まあそれでも各地方は当初の査定額でいってもらいたいという考えがおありになるために、そうやってできました再査定額が当初の査定額より下回るというものが多いので、おっしゃるような不満が出るわけでございますが、これは先刻来御承知のように、検査院がある程度調べたら非常に多額の不正不当が出た。行政管理庁でも相当額の不正不当が出たというようなこと、ああいうえらい、近年においてはいわば未曽有の大災害の年でありますから、請求者の側も非常に混乱する、勢い間違いも起るし不正も入るし、不当も入るということで、そういう意味でやはり洗いなおす必要はある。人間の能力から申しましても、限られた通常の年の災害の査定をする、しかもそれは全部でなくて、三割四割という程度の調査をするという前提でございます査定官が、あの大量の仕事を処理するのはとても、人力をもって二、三カ月の間にやるというようなことは絶対にできないことであります。そういうような意味で見直しということは当然であったわけでありますが、さらに大蔵省側といたしましては、復旧いたします場合に、これはおもに建設関係でありますが、農業施設でもあると思います。原形復旧かあるいは超過工事まで認めるかという段になりますと、われわれ超過工事もある程度認めて、再度災害にやられないようにという気持には同感でありますけれども、財政力と財政需要、つまり前古未曽有の大災害が起きた年の災害復旧を、もう二度と災害にやられないようなりっぱなものにしようというようなことは、とても財政上できないというようなことで、いわゆる超過工事についても最低限がまんできるところでやってほしいというような、われわれの立場からする御要望も申し上げてあります。それらのゆえに再査定を行われ、いろいろ議論が行われまして、各省の査定額がきまったということでありますので、この再査定額は、厳密に申しまして、個々の箇所を全部見て再査定したというのではございませんで、ある程度は想定も入っておりますから、今後各県等においてこまかい作業が必要だと思いますが、そういう趣旨のものでありますので、地方も新しい査定額の線において御納得願うようにいたしたい、御納得願える実質的な理由は立てて数字を出してあるつもりでございますので、さよう御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/59
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060・綱島正興
○綱島委員長 芳賀委員、もう大体割当ての時間が来ておりますから、そのお含みで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/60
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061・芳賀貢
○芳賀委員 もう一つ。地方に対しては実に重大なことになると思う。もちろん今原次長の言われた通り、二十八年災を中心とした全国の災害復旧工事の中では、不正に類するようなものもないということはいえないと思うのです。しかしたまたまそういう事例があることによって、全体の災害の内容というものはこれに類するのだというような判断のもとに、一律に今の段階になってまた圧縮するということになると非常に混乱が起きると思う。すでに災害復旧の大部分は完了しているわけです。地方負担分以外は交付金が来ないことによって、起債であるとかあるいは借入金の方式によって、一応は地元側が交付金が来るまでの間立てかえてあるような形をとっている。これに伴う金利等も相当膨大なものであろうと私は考えている。しかも都道府県等においても、その交付金の配分等によっていろいろな尺度を設けて、逐次それは支払っていると思いますが、中にはまだ全然交付を受けていないような町村もあるわけです。そういうことになって、今になってもう一回別な基準でやり直すなんということになると、これは非常に末端に対して大きな混乱と、収拾することのできないような事態を惹起するのではないか。これは当然大蔵省当局としても察知されていると思う。特に災害復旧が終った場合には、当然現地において工事の適否等に対して検定等も行なっているわけです。ですから正確な事業を行なった者に対しては、これは最初の約束通り、当然国の責任において支弁するものは支弁するということで片をつけて、今後の災害等においては、もちろんそういうような不正が起きないような万般の措置を講ずるということが大事であります。また既往にさかのぼって二十八年等の災害を全部別な観点からこれをやり直すということになると、これは了承できないようなことになると思うのですが、その点は特に責任のある大蔵大臣から御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/61
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062・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お話はごもっともでありますが、私の考えでは、特に実情と違ったことを、大蔵省が沿わないことをやっているとも思っておりません。またそのやり方については、前もってやはりそういうふうにお約束にしてあって変えることになる、かように承知いたしております。
〔委員長退席、鈴木(善)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/62
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063・芳賀貢
○芳賀委員 最初の約束通りのことを現地が工事の施行上完全にやっているものに対しては、当然支払いすべきではないか。それも不正だとみなすわけにはいかないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/63
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064・原純夫
○原政府委員 昨年の春よりもっと前でございます。昨年の一月に二十九年度予算を提出いたしました際に、大蔵省は二十八年災について非常に重大な関心を持つ、われわれの緊急調査によりましても、また検査院、行政管理庁等の調査によりましても、単に一%とか二%とかいうのじゃないのです。五%、一〇%あるいはさらに多い額が問題になっておりますので、予算においては相当切った査定をいたして、各省は一応査定した額に責任を持つのだから、これは引き受けないだろう。しかし実行上各省とお打ち合せをして、もう一度見直してもらって査定額を出しますということは、去年の一月すでに申し上げてあるのでございます。もちろん申し上げました際に、地方が当初に査定を受けました額と違うというので、だいぶ御意見があったことは承知いたしておりますが、同時にいわばそういう意味のお断わりは非常に早くからしてあった。何せ二千億になるか千七百億になるかという非常に大きな財政上の問題でもありますし、またその間における不正、不当の問題も、これはきわめて重大な問題でございますから、非常に早目から私どもは申し上げたようなわけで、もちろんそれで御満足いかないで、だいぶ御不満の気持が出て、いろいろごたつきました点については恐縮に存じますけれども、われわれの気持はそういうことで、決して不当に災害の国庫負担法の趣旨を曲げようというつもりではなくて、財政も苦しい、災害も前古未曽有の災害であった、そういう際であるから調べ直してというふうに申し上げたので、まあ現地の期待に反するような点が多々出たと思いますが、これはやはり苦しいところですから、お互いにがまんしていただくよりいたし方がないというように思いますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/64
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065・芳賀貢
○芳賀委員 それで今まで未交付になっている分は一律に切り捨てるということになると、順にすでにもう行っている分は、場合によるとまた返還さすというような事態も出るし、これで打ち切りになったのだということになって、あとは全然もらえぬというような事態も出てくる。最初からそういうことが考慮されないで今まで逐次年度別に補助金が出ているのですから。ようやく今日二十五年災ぐらいまでが全国的に見ると片づいたようなことなんです。ですから末端に行くと、まだ十分その整理ができておらぬと思う。こういうことは、当然原次長が言われたような点は、早期に地方の行政庁にその内容を明らかにして、そうして末端においても混乱の起きないようにしておかぬと、今ごろになってすぱっとやってしまうということは、いかにも勇ましいことではあるけれども、地方財政に及ぼす影響というものは甚大であると思いますのでこの点は十分慎重を期せられるべきであると考えております。そういうことが原因になって今回の災害復旧等に対しても、なかなか地元は積極的にやらぬのですよ。まだどういうふうになるかわからぬということでは、いつまでたっても災害の復旧はできませんので、この点も現地において安心して復旧できるような、そういう指導を大蔵省が中心になっておやりになる必要があります。これは必ずやりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/65
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066・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 よく承わっておきまして十分注意いたすようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/66
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067・川俣清音
○川俣委員 この際大蔵大臣に数点お尋ねいたしたい。一つは今度東北並びに北海道に被害を与えました豪雨の被害についてでございますが、従来とってこられましたのは、地方財政局または財務部の認定を受けたものでなければ処理されなかったようでございます。今度も大体そういう方針をとっておられるかのごとくに見られるふしもありますが、また逆に、本省が査定をするのであるからして、本省の査定前に認定をしてはいけないという通牒を各財務部に発送されたというようであります。これはすみやかにつなぎ資金を出したいという意味でこういう通牒を出されたのか、あるいはだんだんとこのつなぎ資金をおくらすための一つの方便として使われているのであるかという疑問が生じているわけであります。そこで、これはすみやかにその査定をする必要があるからこういう通牒を出されたのか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/67
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068・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 つなぎ資金を迅速に出す、こういう措置として出したのに間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/68
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069・川俣清音
○川俣委員 つなぎ資金をすみやかに出すために中央で査定をした、こういうことのようでありますが、それでは一体どういうわけで財務部というものを置いて、その実地調査というようなことをさせているのですか。将来その必要があるためにやられるのか、あるいは今はただ便法的な、第一次つなぎ資金としてやられるのであるかどうかという点が第一点。もう一点は、すでに秋田、山形等の災害が起きましてから約一カ月間経過している。これらに対していまだ十分な査定ができない、ということは怠慢じゃないか。中央で査定するならば、おそらく農林省の意見とか建設省の意見を聞いてきめられるのでありますから、これは信頼度の問題だと思う。同じ役所内の信頼度の問題だと思う。もっと早く査定ができ得べきはずだった。地方からの現地の調査を待たなければならないというのならおくれる理由が成り立つ。ところが今度はそうじゃない、早く出すのだということになったら、建設省なり農林省の調査がもうすでに終っておるのですから、これを査定されればもっと早くできなければならぬはずだが、いまだにその態度がはっきりしておりませんのはどういうわけでありますか。この二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/69
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070・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 応急工事については財務部が立ち会っていないのでありまして、本復旧工事には立ち会わせる、こういうような態度をとっております。従いましてつなぎ融資については建設省の調査、写真等によってすみやかに出す、こういうふうにいたしております。具体的にどういうふうに取り運んでおりますかは、政府委員から説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/70
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071・原純夫
○原政府委員 事務的な運びがいろいろございますので、私から補足して申し上げますが、つなぎ融資の対象となりますのは、応急に復旧しなければならぬという工事であります。これは急ぐ際でありますから、あまり詳しいものはとれない、各地から被害個所の写真と、それからごく簡単な図面のついた応急復旧工事の仕様書をとりまして、そして中央で建設省、それから大蔵省もその査定に立ち会わしていただいておりますが、それを見て、これはやらなければいかぬ、これはあと回しというふうなことで、つなぎ資金の方はやっております。本復旧工事の方は各省が査定官を動員して、現地に出して査定をして、そしてこの際は財務局部の係官を立ち合わしていただくということにいたしております。この方は、各省はこの段取りを極力急いでやっておいでになることと思いますが、ただいまも伺いますと、農林関係はまだ最近までは出ていないというお話でありますが、これは今までの陣容からいいますと、相当手が込む仕事なんであります。先ほど二十八年災について申し上げましたけれども、三年ぐらい前は全部査定しないで、大部分は机上査定というようなことによっておられたのですが、だいぶ検査院あるいはその他から不当がある、不正があるという指摘がありますので、最近は極力全部実地査定をしたいという考え方でやっております関係上、各省も非常に早く完了してしまうというわけにはいかない。やはり一年間ずっと通じて、普通の年の災害査定ができるというようなこと、非常に大きな災害がありますと、場合によって翌年に見直さなければならぬというようなことであろうと思います。そういうようなわけで、各省はせっかく人員を極力有効に使って、できるだけ考えておいでになる。それが災害があったらすぐそこに飛んで参るということにはならないという場合が、場合によったらあるというふうにお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/71
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072・川俣清音
○川俣委員 第一は、私はつなぎ資金を問題にしている。つなぎ資金でありますから、これは復旧工事でありません。応急手当をする上に必要なつなぎ資金、または一時流用すべき、将来補助金の対象となるべきものに対するつなぎ資金でありますから、これが減額査定ができないからといって弊害が起きた例はないと思う。このつなぎ資金については会計検査院から一つも指摘されたことはないと思う。問題は、原形復旧等について問題が起きている、あるいは災害復旧についての現実の執行について起きているのでありままして、つなぎ資金等について出し過ぎたからといって、これを応急工事以外に使ったというような批難事項は、かつて私は聞いておらないのであります。従って私が今問題にしておるのは、すみやかにつなぎ資金を出さなければならぬのじゃないか、すでに事北地方においては一カ月を経過しておるじゃないか。それを今だにちゅうちょされておるのはどういう理由だ、こういうことを聞いている。その計算の方法じゃない。将来補助金として出るべき、または国でやるべきものとしての応急処置としてのつなぎ資金をすみやかに出されたらどうか。これは何分の一かです。不正工事を行わせるような大きな金額のものじゃない。それをなぜちゅうちょされておるか、こういうことです。査定が非常に困難だということはないはずだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/72
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073・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは実際の問題になりますが、私としてはたびたび申し上げますように、お話のようなつなぎ融資である、しかもそれは内輪に概算したらよかろう、ですから私はなるべく早く出すように申し渡してあるのですが、出ていないということになれば、そういうことはないはずですが、よく調査をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/73
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074・川俣清音
○川俣委員 これは政府の預金部運用の資金または公庫融資等の手続等がおくれておるがためであるかもしれません。しかし政府の腹がはっきりいたしませんがために、公庫融資等も結局おくれておることになるのではないかと思います。大臣からすみやかにやるように命じておる、これは実行ができますならば、信頼に足り得るのでありますが、実行ができていないというと、食言したということになりますから、すみやかにこれが達成できるように取り計らっていただきたい。
もう一点は、先ほど芳賀委員から指摘されました再査定の問題です。これは確かに今まで会計検査院から指摘されたことは、まことに遺憾にたえないのです。これは再査定をしたから批難事項がなくなるというものではないようです。むしろ大蔵省が財政上から一律に再査定したというところに問題が起きておる。実態に即して再査定するのではなくて、予算面から一割天引きとか二割天引きとかいうようなことをやるから、うまくやった方が非常に割がよかった。一方においては財政の面の非常な負担をかぶられなければならないという不公平が、再査定の中に起きておる。これの方がむしろ問題です。もし実態に即して再査定されたならば、あんな批難事項は起るはずはないわけです。ところが財政上一律にやられるものですから、うまくやった方はうまくいった。下手なところは下手なままに再査定を受けたという結果になりまして、国の政策としてはまことにまずい結果になっておるのではないかという反省の必要があると思うが、原次長はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/74
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075・原純夫
○原政府委員 ただいま川俣委員のお話の点は、川俣委員どういうふうなことでおっしゃっておるのか、川俣委員のお言葉としては実は伺いかねるのでありますが、再査定を一律にやっておるということはございません。これは個々の事業につきまして見て、これはだめであるから全部お断わりするというのもございます。新聞にありましたように、沈まなかった船を沈んだようにして融資してくれというのは全部お断わりしますが、必要なものは全部もとの案通りやるものもございます。いずれもそれぞれの事案に従って、削るベきものは削り、認めるべきものは認めるということをいたしておるのであります。ただ再査定の件数が土木で十万、農地で二十万というのが普通なんで、二十八年災あたりは、もっと多いわけでありますから、中央で全部を完全にやり切るわけにはいかぬということから、たとえばある県についてサンプルを相当数とりまして、そうしてこのサンプルについて、今申したような決して一律でない査定をやる。そうして出た数字をもとにして他に及ぼして考えるということはいたしておりますから、それを県の方でその率で一律にやるんだというふうに考えたら、おっしゃるようなことになりますが、決してそういう気持でなく、個々のいわば功罪に従って再査定をするということでありますので、これは、おそらく県でそういう県単位にある率を使いましたのが誤解を生んだと思いますが、これは決してそういうふうに最後までやるということでなくて、個々にやるという趣旨でありますから、一つそういうように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/75
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076・川俣清音
○川俣委員 これは決してあなたの答弁を反駁する意味じゃないのです。ないけれども、それでは船がなかったのをあったようにこしらえたというのは再査定じゃありませんよ。見間違いの査定であって再査定ではありません。とんでもないことです。会計検査院に指摘されてからあなたの方でわかったので、これは再査定なんていうものじゃありません。一体あなたの方は、今日財政的にこうしなければならないという上からの判断をあまり下し過ぎるのです。結果的に二割になることは私はやむを得ないと思います。結果的に一割削減することも、なったことはやむを得ないと思う。あなたが頭から二割だ一割だという印象を受けて、実施官庁がその査定になるべく合せるようにするために、ここに問題が起きてくるのです。再査定を突破するようにこしらえている。査定突破のために、査定を受けるためにあえてそれを作るところにむしろ問題が出てきている、というのは、あなたの方の陣容はほんとうに再査定をするだけの陣容を持っておりませんよ。それは何といったって建設省の出先機関なり農林省の出先機関をどうしてあなた方が指導をするかというところに重きを置かれますならば、こういう問題ができてこなかったはずなんです。上手に大蔵省を突破することだけが念頭にあって、その査定を十分させるということなしに書類上うまく通すということが起ってくるから非常な不公平が起ってくるということを私はここに指摘しているのです。実態を把握するということに重点を置かなければならぬじゃないか。あなたは財政上に重きを置いて、実態把握ということはあとのつけたりになっている。これを逆にしていかなければならぬのじゃないか、この点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/76
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077・原純夫
○原政府委員 おっしゃる通りだと思います。率直に申して二十九年度予算を組みましたとき、つまり昨年一月でございますが、提出しました案においては財政上の見地もあり、非常に大ざっぱな、何割は机上査定だからこれは一〇%削るという式のことをやりました。従ってわれわれも最後までそれで行けるという自信がなかったから、各省大臣は御承知になりません。しかし財政の見地からいうと一応こういう推測ができるから、これでやる、しかしこれで最後までやれとは言いません。私どもはっきり申し上げております。これは関係省と御一緒にもう一度調べていただいて、そうして落ちつくところでやっていただく、査定権は各省大臣にあるというふうにはっきり申し上げておるのでございます。その後約一年間、私どもの出先もまた各省の出先も非常に御勉強いただいて、その取りましたサンプルは、もって全貌をうかがうに足るだけのサンプルを取って再調査をいたしました。従いまして各省もそれだけのサンプルをとった結果であるならば、それから全貌を推測されてもよろしいという前提で、今回三十年度予算の基礎といたしました二十八年災の被害額につきましては、むしろ各省がそういうふうに改めるとおっしゃられたものであって、これはやはりおっしゃる通り大原則についていろいろ御議論申し上げて、各省がそれではこうやるというふうに言われた数字であるということになっておりますので、その辺は前後いろいろぎくしゃくいたしました点はまことに申しわけなく、おわびいたしますが、何分前古例のないような災害の年であり、ちょうど一兆という予算で国際経済を乗り切るという年でございましたので、一つあしからず御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/77
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078・川俣清音
○川俣委員 そういうふうに今後やられるならば、時間がないからあえて追及いたしません。しかし実施官庁にもっと責任を持たして、大蔵省は出すときには非常に渋るけれども、それを実施官庁がどんなふうに使っておるかという監督が少し足りないのではないか。むしろせっかくなけなしの金を出したのだから、どのくらいの有効度合で使われておるかということを考察して将来の予算を組むということにならないと、出すときだけつぼめておいて、それが効果的に現われないということだったら何にもならないのではないか。そこで次にもう一つお伺いしたいのは、原形復旧の問題ですが、水勢が変ると原形復旧ではとうてい頭首工を作り得ない場合がたくさんあります。橋の場合は別にいたしましても、橋の場合は橋幅が変るとか、川幅が変るとかいうことまで起きて参りますし、農業に最も関係の深い取り入れ口は、水勢が変ると木樋であったのが今度は木樋ではカーブがとれないために、どうしてもコンクリートでやらなければならぬ事態が起きてくる。水勢が変るのですから、取り入れ口は水の勢いでこれを作っていかなければならない。この方向で作っていかなければならない。それにはカーブもつけていかなければならない、落差の点も見なければならないので、必ず変ってくるのが川の勢いでありますから、それに即応するものでなければ頭首工にならない。原形復旧ということをやられましても、せっかくの経済効果が現われなくなる。どうして経済効果を現わすかということが一つと、むだな経費をかけないということも一つ、経済効果が現われないような予算の裏づけではだめだと思うのです。この点についても御考慮願いたい。それから国有財産の中の森林資源が最も荒廃をいたしておりまして、この復旧がすみやかに行われなければなりませんが、特別会計なるがゆえになかなか大蔵省の了解得をられないで、事務が遅滞しておるような向きもありますから、この点についても一つ十分御配慮願いたいと思う。時間がありませんから意見だけ述べますが、これを実施されますならばそれを信頼いたしますし、もしもやらなかった場合にはあらためてここにおいでを願わなければならぬ事態が生ずることをあらかじめ御承知の上で、私の質問をこの程度で打ち切っておきます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/78
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079・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 それでは外務大臣もお見えになりましたから、一昨日に引き続きまして公海における漁船の拿捕及び韓国における漁民の抑留問題について調資を進めます。田口長治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/79
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080・田口長治郎
○田口委員 私は韓国抑留漁民の早期送還の問題と李承晩ラインの問題につきまして、外務大臣に一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。
昭和二十六年一月に李承晩が韓国周辺にラインの設定をいたしまして、このラインの設定につきましては、事公海の問題でありますし、はなはだしきは沿岸から二百マイルも離れておるというところにラインをしておるのでありますが、これは国際法上から申しましても、わが方としては断じて認めることのできない線と思うのでありますが、これに対しまして外務大臣はいかような御見解でおられるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/80
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081・重光葵
○重光国務大臣 私もさように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/81
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082・田口長治郎
○田口委員 そういたしますと、あの海域におきまして日本の漁業者が現在漁業をしておりますことは、日本漁民の正常なる操業であり、韓国に対して何も気がねをするような漁業ではない、こういうふうに私らは考えておるのでございますが、これに対しまして韓国政府は、しかも公海の上で正常に仕事しておる日本の漁民を拿捕抑留いたしまして、二十九年の七月以降のことを考えてみましても、いまなほ二百七十六名の日本の漁夫が韓国に抑留をされている。しかも一昨日以来韓国からの帰還者を参考人として当委員会においていろいろ調べてみたのでありますが、食事にしても、居住関係にしても、あるいは衛生方面にしても、病気の場合の治療にしても、まことに言語道断でございまして、人道的にどうしても許されないような状態において抑留されておる。当然仕事をして差しつかえない場所で拿捕されて、そうしてさような状態で抑留されておる。私どもは、中共に米国の飛行士がたった十一人抑留された問題に対して、米国がいかように努力し、いかように世界の世論を喚起してこれが早期送還について努力したかということと、二百七十六名も韓国におってみじめな生活をしておる日本国民がおるのに、日本の政府がこの問題に対してあまりに無関心でおるような状態と比較した場合において、何だか日本が独立国かどうかということも疑わしくなるような気持がするのでございますが、この二百七十六名の抑留者の早期送還について、政府としては今日までいかような具体的な努力をされたか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/82
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083・重光葵
○重光国務大臣 この問題は、実は私どもも今お話の通りのように感じておるのでありまして、日本側としてはまことに遺憾なできごとと思っております。むろん日本側としては、これは公海の漁業としてやっておるわけで、公海で漁業をするということは当然のこととしておるわけでございます。不幸にして韓国側はこれと意見を異にしておるから、ここに国際紛糾が出てくるわけであります。この国際紛争は、結局関係国間の交渉によってこれを解決するよりはかに方法はございません。解決する前に韓国が一方的にわが漁民を逮捕しもしくは船をつかまえて、韓国の法令によってこれを処断するということは、われわれは認めるわけに参りません。これに対しては、お話の通り人命に関することでもあり、人道問題でもありますから、この問題は特に重要視しなければなりません。そこでわが方といたしましては、そういう事件の起るたびごとに韓国に対して厳重な抗議をし、抗議だけではなくすぐ、釈放するように、また不法なことに対しては賠償もしてもらわなければならぬということで、厳重に申し込んでおるのでございます。それは事件の起ったつどやると同時に、また概括的にもこのことを常に交渉しておるのでふります。御承知の通り、韓国との間の関係を正常化するということは最も必要なことでございます。そこで政府としては、韓国との関係の正常化について非常に力を尽して交渉を続けておったのでございます。最近はその交渉が順調に進まないままに、まだ継続はいたしておりますけれども、これには非常な努力と忍耐を要する状況であることはまことに遺憾でございます。そこで今質問をされました漁夫の問題については、あくまでも全体の交渉問題、国交問題とは別に、この問題はこの問題として解決すべくあらゆる努力を尽してみたいと思いますし、その方針で進んでおるわけでございます。最近はつかまえられた漁夫のうちで未成年者は帰すというような通報を受けておりますが、未成年者はむろんのこと、全体の漁夫の釈放が一日もすみやかに行われるように、直ちに先方に督促をしてみるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/83
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084・田口長治郎
○田口委員 この抑留されておる二百七十六名の内訳を調べてみますと、この中にはすでに裁判の決定による服役が終って解放されている人や未成年者がまだ百人も残っておるということであります。すでに刑の終った者や未成年者をなおとめておく、しかもその期間はもう六カ月、八カ月、一年にならんとしておる。こういうことが日本の国民としてはどうしてもわかりません。昨年十月中共に国会議員一同が行って、やはり漁夫の抑留の問題その他についていろいろ折衝してみたのでありますが、単に書類の往復だとかあるいは出先官憲に口頭で形式的に抗議を申し込むとかいうようなことでは、かかる問題はとうてい解決しないと思います。中共の問題も、幾たびか民間からもあるいは国会議員も行ったのでございますが、いろいろ調べてみますと、下の方の人にばかり話して上の方に一つも話が通じておりません。結局周恩来総理と会って初めて問題が解決したような実情から考えまして――韓国の実情は多少違いますけれども、日本に駐在しておる金公使その他にだけ話をされては、実際のことが李承晩大統領になかなか通じないと思う。こういうような点から、私は民間かあるいは政府かあるいは国会か、こういう方面から李承晩大統領と直接に折衝することだけが問題を解決する唯一の手でないかと考える。李承晩ラインの問題その他につきましては、日韓間のいろいろなほかの問題との関連もありましょうが、刑が終った人をなお抑留をしておる、あるいは未成年者を抑留しておる、あるいは抑留者の生活をみじめな状態に置いておる。こういうようなことは、大統領と直接に話ができれば必ず大統領は話がわかると私は思う。さような点から申しまして、私は外務大臣でも、あるいは政務次官でも、あるいは国会からでも、このみじめな漁業者を一日も早く送還するために、韓国に一度行ってみる、こういうような道を開かれることも一つの方法ではないか、こういうように考えるのでございますが、この点について外務大臣はどうお考えでございますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/84
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085・重光葵
○重光国務大臣 ごもっともでございます。私どももただ東京におります韓国の代表部――金公使が代表されておりますが、この代表部を通じてのみすべてやる、その道しか公けには開かれておりませんけれども、それだけじゃ満足するわけに参りません。そこで直接に話す、――さような道をとる以外にいろいろな方法は考えており、また実行しております。おりますが、今日までこの問題についてどうも思う通りの効果をあげ得ないことは事実でございまして、今お話のようにわれわれとしては、非常に不当な待遇を日本国民が受けておる、こういうことはまことに不満にたえないわけでございます。従いましてさらに直接日本から出かけて行くということは、これも検討を要する点もございましょう。しかし十分一つそういうようなことも考えてみまして、そしていやしくも効果ある手段と思われることはとってみたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/85
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086・田口長治郎
○田口委員 今さしあたりの問題は、あのみじめな生活をしておるあの生活を、ある程度改善をする問題であると思うのでございますが、韓国には日本赤十字のようなそういった団体はないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/86
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087・重光葵
○重光国務大臣 韓国赤十字はあるのです。そこでかような団体を通じても、待遇の改善、もしくは手っとり早く申し上げれば、差し入れ物とか何とかいうものも十分配慮しなければならぬ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/87
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088・田口長治郎
○田口委員 この抑留されておる家族から、多少でも生活を楽にするために、いろいろな慰問品を今日まで送っておるところがあるのでございますが、韓国ではこの慰問品に対しまして関税をかける。この品物は非常にありがたいけれども、払う金を持たない、こういうことで非常に困っておるのでございますが、これは何か政府が中に入って、関税がかからないようにして、慰問品を送る方法を講じていただくか、あるいは日赤と韓国の赤十字との連絡をとるか、このみじめな生活を緩和することにさしあたり何かの手を打っていただきたいと思うのでございますが、同時にかかる抑留者を一日も早く送還させていただきますように、何か新しい手を政府におきましてもぜひ考えていただきたい、かように考えるのでございます。
それからこれらの問題の根本は、結局李承晩ラインにあるのでございまして、この李承晩ラインの問題の解決ということにつきましては、日韓会談再開ということについて御心配になっておると思いますが、これも先ほどの外務大臣のお話のよりに、いつ再開できるかはっきり見通しもつかない。しかも私らが知るところによりますと、北鮮との関係で非常に気分が悪化してしまっておる。むしろ日韓会談の再開が北鮮問題で阻害されてしまった、こうようようなうわさも聞く次第でございますが、これは政府としても一日も早く再開していただく方法を講じていただきますとして、民間から一つ団体ででも韓国に乗り込んで、これは中共の場合と事情は非常に違うと思います。中共は全然政府と政府との折衝面がないのでございますから、やむを得ず民間で折衝したわけなのでございますが、しかし政府同士の話ということになりますと、話が非常にかたくなる関係もあります。私は民間同士の話、こういうことも一つの行き方でないか、かように考える次第でございます。もし民間でさような計画をいたしました場合において、政府としてはできるだけ便宜を供与していただきまして、これは物質的にどうだという意味ではございませんが、いろいろ折衝その他についてお願いする点も出てくると思うのでございますが、さようなときに政府としてどういう処遇をとっていただけますか、お伺いいたしたいと思います。
〔鈴木(善)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/88
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089・重光葵
○重光国務大臣 民間代表も私はけっこうな思いつきだと思っております。ただ実際代表の人物等の選定に至っては、これは相当困難があるかと思いますが、民間代表は私はけっこうだと思います。さような何か民間代表を送るという案が出ますときには、十分にこれは考究をいたしまして、われわれのなし得る便宜供与は十分いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/89
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090・田口長治郎
○田口委員 ほんとうは外務大臣でも一度行っていただくことになれば、人道上許されないような抑留の問題だけは解決するのじゃないか。いろいろ財産権の請求その他もありますけれども、それはあとに回すといたしまして、ほんとうにわれわれが考えて、これはひどい。こういう問題だけは、李承晩大統領もよくわかると思うのでございますが、外務大臣自身がお出かけになって、この非人道的な問題を解決する、かような熱意をお持ちでございますかどうか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/90
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091・重光葵
○重光国務大臣 その熱意の点は十分持っておると私は申し上げたいのでございます。ただ外務大臣が行くべきかどうかというようなことは、また向うの状況を考慮に入れなければなりませんから、今御即答はできません。すべての状況が許す場合において、私の努力がそういう方面に向けられるべきであるということになれば、私は少しも異存はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/91
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092・田口長治郎
○田口委員 私は李ラインの撤廃だとか何だとか、財産権その他とからまっている問願については、ちょっと大臣が行かれても無理だと思うのでございますが、ただ人道上許されない現状の問題だけでも――これはおそらく李承晩大統領も知らないと思うのです。従って直接にひざを突き合せて話すことのできる人が行きますと、その問題だけは解決すると思うのです。ぜひ一つ外務大臣も、この当面の問題だけでも解決するというようなさような意味におきまして、一度行っていただけるような、さような研究をぜひしていただきたいと思います。
〔委員長退席、鈴木(善)委員長代理着席〕
この程度で質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/92
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093・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 赤路友藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/93
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094・赤路友藏
○赤路委員 外務大臣にお尋ねいたしますが、一昨日当委員会において私は外務大臣の出席を求めた。当日中川局長がお見えになっておって、一般論については種々質問がございまして、一応の御答弁は得ておるわけなんでございますが、一昨日のこの委員会における質問の内容その他について、中川局長との間に打ち合せができておるかどうか、この点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/94
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095・中川融
○中川(融)政府委員 私から便宜お答え申し上げます。一昨日のこの委員会での御審議の模様は逐一大臣に御報告いたしてございます。従ってその内容は大臣御承知でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/95
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096・赤路友藏
○赤路委員 中川局長から今大臣に報告してあるということであります。大臣がもし一昨日の委員会のこの事情を報告を受けておるとするなれば、本日出てもらったことは意義がないと思う。今までの大臣の御答弁を開いておりますと、一昨日中川さんから聞いたことからは一歩も前進しておりません。私たちはそういうことをこの段階でお聞きしているのではありません。先ほど田口委員が申しましたように、二十六年の一月に李ラインの設定があってからすでに四年を経過しておる。しかも日韓会談が決烈いたしましたのが一昨年の十月なんです。今日まで努力しておる、やっておるんだということだけでは解決がつかない。単なる事務的な答弁では解決がつかない。だからこそ本日は大臣の御出席をあえて強く要望したわけなんです。今も田口委員がおっしゃいましたように、また大臣もお考えになっておるように、今日問題にしておるのは、日韓会談はもちろんではありますが、現に抑留されておる、しかも観点は違いましょう、韓国側の方では李ラインを設定して、これを侵したものは国内法に照らしてやる、こう言っている。われわれはあくまでも認めないと言っておる。双方によって観点の相違がある。かりに一歩譲って向うの国内法によって刑が執行されたとしても、刑が満了したなれば当然帰国さしてしかるべきである、それをあえて抑留しておるということは、これは人道問題である。その点十分御承知のはずです。単に十分検討するとか考えるとかいう段階ではありません。あまりにも考え方がのんき過ぎる。非常に無理なことを申し上げるかもしれません。私たちはこの問題が起ったときから、常にこの問題と取っ組んできた。今質問をされた田口委員、参議院の秋山君、私と、かつて吉田内閣時代、もう外交交渉の、単に外務省の一事務官によって本問題の解決の方途は見出せない、少くとももうこの段階では、政府の責任者がみずから乗り込んで行って対決すべきときであるというので、総理官邸に行って緒方さんに懇々と話をしたことがある。そのときの緒方副総理の答弁は、今ちょうどあなたのおっしゃるのと同じことだ。相手のあることであるから、なお十分それらの点については検討してということなのだ。そのことが今日なおかような問題を起しておる原因になっておる。私は一昨日、まことに中川さんにお気の毒であったが、もう事務当局の手ではどうにもならぬ段階に来ておる。ここで政治的にこれを解決をつけるよりほかに道はないのじゃないか――今田口委員は、この際思い切って大臣みずからが出かけろ、こういうことを言っている。私も同感であります。少くとも政府の責任のある人が出かけていってこの問題を解決つけなければ、解決は私はつかぬと思う。もしも今までのような状態の交渉が依然として行われていって、そうして解決がつくならば、もうついていなければならぬはずだ。鳩山内閣が成立して、その直後において新聞発表等を見た。あるいはその直後金公使自体も、おそらく鳩山内閣の成立によって日韓会談は明るい見通しが出てくるということを新聞に発表しておる。この新聞発表を見たときに関係の諸君は明るい希望を持ったんですよ。ところが今日までどうですか。悪化はしておるが、決して前進はしておりません。この事態は寸刻を許さない。大臣もお聞きになっておるかもしれない。農林政務次官がおられ、水産長官がおられる。悪くするとこの八月からの漁期は集団失業という事態が起ってくることも予想されるのですよ。座して死ぬよりも拿捕された方がいいというこの気持をあなた方はわからない。あまりにも私はのんびりし過ぎていると思う。もう少し私は誠意のある御答弁が本日は聞けると思った。事前にお打ち合せがなければやむを得ません。少くともアジア局長が答弁するように、事前に打ち合せがあったとするなれば、もっと大臣は具体的に、おれはこう考えておるということをはっきりここで言ってもらいたい。私はそれを要求する。どうです。御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/96
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097・重光葵
○重光国務大臣 今のお話のお気持は、私も全然それは御了解申し上げます。この問題はほんとうに長引いておる問題で、まことに残念しごくであるのでございます。鳩山内閣成立後に日韓関係を全面的に調整をいたしたい、こういう考え方をもってずっと内交渉を進めてきたわけです。こういう問題を分けの会議でやったってできることではございません。そこで内交渉を進めてきたのでございます。非常にそれには明るい見通しをもって進めてきたのでございます。これは事実でございます。そして私も、私の代理者も先方側と非常に密接な連絡を持ち、話し合いを持って進めて参りました。
そこで、これは実は私はできることだと考えておりました。ところがその後韓国側においても、どういうものか日本側の態度について誤解を持ってきたということも事実でございます。その誤解につきましては、十分これを了解せしめるべく努力をいたしました。実は今日の段階はその努力を続けておれる段階であるのでございます。けれどもさてそれですぐこれが見通しがつき、また好転しておる、こう申し上げることは、遺憾ながら今はできないのでございます。そこで私は、ぜひこの努力を続けていって、そして全体の見通しがつくように好転せしめたいと実は思っておるのでございます。しかるにその実を結ばない前にかような漁夫の抑留という問題が重なり合って、そして今申されるようなお気持を表示されることになりました。その気持は実はそのまま私もそう思う。しかしながら私といたしましては、韓国とは重要な間柄でございますから、この問題についてはあくまでも本筋に乗せていって、そして両方の理解を進めるようにあらゆる努力を尽したい、こう思ってやっておるわけでございます。この私の説明については、おそらく先ほどの御質問の趣旨からすれば御満足はいけますまい。しかし私はどうしてもこれを好転せしめるべく努力をしたいと思います。それにつきましては、従来の関係もございますので、従来の関係はたどっていかねばなりません。しかしそのほかにもいい方法があるならば、何なりとも私は努力してやってみたい、こういう気持を持っております。しかしそれを一々具体化してこうする、ああするということを今ここで申し上げてもいかがかと思います。ただ私はそういう気持で進んでおるわけでございます。それだけはどうぞおくみ取りをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/97
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098・赤路友藏
○赤路委員 今の大臣の答弁は誠意あるものと私は認めます。また曙光の見えておったということも事実であろうと私は思います。中川さんからも説明を聞きました。今大臣のおっしゃった、先方に何か誤解があるために、せっかく好転しておったものが今日のような状態に足踏みをしなければならないようなことになった。おそらくそれらの点をあっせんするためにアリソン大使が行ったのではないかと思う。その結果どうであるかということは別にいたしましょう。ただそういうような誤解かあると大臣がおっしゃるならば、そうした誤解をまず解くということが第一の問題だと思う。それに対して従来とも努力をされておるということは、大臣の今の御答弁でよくわかります。努力をせられておるが、なおこれが十分でない、今後努力をしようとおっしゃるその努力をする方法です。誤解があればその誤解をほんとうに端的に、率直に解いていくというみずから出馬する決意をここでしていいのではないか。大臣に前のことを申し上げるのは私はどうかと思いますが、あの李ラインで九十何隻一挙に拿捕されたときに、時の吉田内閣の岡崎外務大臣は、この重大な問題をそのまま放っておいて南方へ行った。これは御承知の通りです。われわれはあのときに口をすっぱくして、事の緩急を考えてもらいたい、現に九十何隻拿捕されている。賠償の問題はここ一カ月や二カ月ずれたってどうということはないでしょう。かりにもこの九十何隻という船が拿捕されている人命の問題ではないか。まずこれからどうして解決しないのか。むずかしい問題には手をつけないでもって、そういう方へ飛んで行ってしまうというようなことでは、この地域に依存する漁民の諸君あるいはそれに関連を持つ業者の諸君は気の毒なものである――気の毒だけでは私は解決がつく問題ではないと思っています。新聞紙上によりますと、大臣は九月には渡米されるというようなことが言われております。真偽は存じません。私の申し上げたいのは、この問題のほんとうに基本的な問題の話し合いというものは、少くともそう長い時日を要するものではない。大臣が思い切って朝鮮へ行って李承晩と話し合いをしてもらうなら、私は二、三日で大体話の本筋はできるのではないか。それからあとは事務官僚の諸君によってやっていただいてけっこうです。その根本的な問題だけをまず話し合いをしてくるというくらいの熱意をここで出していただいていいのではないか。私は大臣の今の御答弁、大臣の誠意を決して疑うものではありません。努力されてきたことも十分承知いたしております。承知しながら私はあえてこれを言っておる。ここでもしも大臣が踏み切っていただかなければ、おそらくいつの日にだれが踏み切りますか。この漁期中には解決はつきませんよ。もう追い詰められ、追い詰められている諸君が、集団出漁を続けて大量拿捕が出たら、一体どうなります。この事態を考えていただきたい。私の言うことがはったりや何かだとお思いになるなら、現地の諸君を呼んでお聞き願ってもけっこう。水産庁長官もおりますからお聞き下さい。そうした空気がすでにあるのです。大臣のお忙しいこともわかる。しかしながら二日、三日、飛行機で飛んで行ってやれないことはないと思う。ぜひそういう決意を大臣にしていただきたい。もう今までと同じような答弁を聞きたくない。無理を承知の上で私たちは言っておる。
〔「当りまえなことだよ、行かない方が無理じゃないか」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/98
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099・重光葵
○重光国務大臣 お話の点は十分に検討しまして、最も効果的の方法を一つ考えることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/99
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100・赤路友藏
○赤路委員 もうこれ以上大臣に申し上げても、この場ではこれ以上の御答弁は得られないと思います。しかし本問題が解決つくまでは、いつでも私は食い下るということだけは申し上げておきます。これで私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/100
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101・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/101
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102・今澄勇
○今澄委員 外務大臣にお聞きしたいのは、李承晩ラインの問題、在外財産請求権の問題、竹島の問題等韓国の間にいろいろあるが、とにかく二百数十名の抑留者の問題を、これらの基本的な問題と同時に解決をせられる方針であるか、それとも抑留者の問題は別個の人道問題だから、これを別に切り離して交渉をやられる方針であるか、このどちらの方針を外務省がとっているか、明瞭な答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/102
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103・重光葵
○重光国務大臣 この問題は別個の問題として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/103
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104・今澄勇
○今澄委員 しからば、別個の問題として抑留者の問題だけを交渉せられるという話でありましたが、具体的には政府から韓国に対して、この抑留者の問題を解決すべく何らかの申し入れあるいは釈放等の強硬な申し入れをなさいましたならば、これまで行われた政府の韓国に対する外交的処置を、ここで一つお答えを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/104
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105・中川融
○中川(融)政府委員 ただいま大臣からも御報告いたしました通り、日本漁船の拿捕事件が起るごとに、その船の釈放と同時に抑留船員の釈放を要求しておるのでございます。なおこれらの船員の方が非常に多勢たまりまして、しかも刑期を終えて釈放されあるいは刑を課せられない人までが半年も帰ってこないという状況が起きましたについては、これまた韓国に対しまして文書による抗議をいたしますと同時に、さらにこれは何回となく――何回と申していいかわからないくらい何回となく、口頭をもって代表部の職員を招致いたしまして、これが釈放の要求をしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/105
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106・今澄勇
○今澄委員 私はそういった抽象的なことをおっしゃっておられるからだめだと思うのです。少くとも吉田内閣のときにおいてすら、自由党の皆さんもおられるけれども、いろいろ問題になって、抑留せられた船員が大量に釈放せられて帰ってきたことは事実です。これは下関から北九州、南九州、長崎にかけて大挙一ぺん帰ってきた、その後だんだんたまったのです。鳩山内閣成立の後、政府の名において韓国にそういうことを一体申し入れになったことがあるかどうか。外務大臣はそれがわからぬのですか。そういう重大な問題を外務大臣が、何月何日鳩山内閣は韓国に対してこのような申し入れをしたことについて、韓国からかくのごとき返事があったという、もし別個の問題として交渉せられるならば、ここに答弁がなければならぬ。私は外務大臣にお伺いをいたします。自分は存じないのか、あったのか。それを一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/106
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107・重光葵
○重光国務大臣 それは先ほどからお答え申し上げておるように、非常にたくさんございます。その何を一々取り調べをして、そうしてそれを一つ発表することに取り計います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/107
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108・今澄勇
○今澄委員 ある発表でなしに、ここで今別個に抑留者の問題だけは交渉しておるというお話なんだから、その別個に交渉した結果は、現在の段階においてはこうなっておるという御発表がなければならぬ。ある発表というようなそんなことはありません。外務大臣に、局長とお打ち合せになってもいいから、この抑留者の問題についてどういう現状になっているかということを、明らかに報告してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/108
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109・中川融
○中川(融)政府委員 現状におきましては、韓国側は約六カ月ほど抑留船員の釈放を実施していなかったのでありますが、最近未成年者七名の釈放を実施したのであります。なおこれは内報でございますが、残余の未成年者船員についても近く何らかの措置をとるということを申しております。その他一般に船員の問題については自分の方でも考えておるからということの内報がございます。従ってその結果を早く実現するように、さらに促進したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/109
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110・今澄勇
○今澄委員 大分事態が明らかになりましたが、今度の総選挙の第二次鳩山内閣成立以来今日まで、韓国の抑留船員についての政府側からの正式な経過の発表といえば、今局長がなされたその言葉だけが先にもあとにもただ一つの発表なんです。私は未成年者の帰還は知っておりますが、とにかく刑を終えてまだ向うに残っている者に対しては、万国赤十字に韓国も加盟したことであるから、万国赤十字社を通じてこの問題を韓国に連絡をとるとか、あるいはMRAの世界大会には韓国の代表も行っておったのであって、日本をおとずれると同時にその中にはまた韓国に行った者もある。どうかこういうものには、あらゆる方面に情報を求めて、外務省が努力されたならば、こんなにおくれるということはなかったと思うのです。今局長が報告せられました、半年たったが近く一般船員についても韓国側が考慮しておるというその向うからの内報は、韓国の政府からですか、それとも東京の代表部からですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/110
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111・中川融
○中川(融)政府委員 在京代表部の職員からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/111
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112・今澄勇
○今澄委員 その代表部の職員からの意思の発表は、大体韓国政府の内意であると外務大臣はおとりになっておるのかどうか、外務大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/112
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113・重光葵
○重光国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/113
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114・今澄勇
○今澄委員 そこで、この李承晩ラインに関する全般的な問題もさることながら、先般、新聞の報ずるところによれば、韓国側からいろいろ言っておるが、日本側の譲歩がないので日本に対しては門戸を閉鎖しなければならぬということを向うの外交の責任者が言っておるが、これは正式に日本政府に通達があったものか、ただ向うの声明だけなのか、あるいはこの韓国代表者の発育に対して政府はどういうふうな考えを持っておられるのか、外務大臣から御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/114
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115・重光葵
○重光国務大臣 さようなことは正式には何も開いておりません。新聞情報にはいろいろございます。これに対しては、日本側としては、さような韓国側の主張は認めることはできぬということを、やはり新聞に説明をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/115
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116・今澄勇
○今澄委員 まあそれで、引揚者の問題については、韓国の発表は韓国政府の発表であると、政府の方で認めておられるのであるから、事態はやや好転したものと認めて深くは追及しませんが、もう一つお伺いしておきたいのは、国会議員団がもし韓国に行きたいという場合には、政府はこれに対する旅券を出すかどうか、あるいは民間代表が行きたいという場合にも、これに対する旅券を出すかどうか。旅券を出した際にヴィザが問題になるが、その韓国の受け入れ態勢について政府の助言と協力を求めることができるかどうかという点について、一つ率直な御答弁を外務大臣から願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/116
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117・重光葵
○重光国務大臣 私は韓国政府の措置については何も申し上げることはできません。しかしながらさような場合においては、できるだけのあっせんをしてさしつかえないと、こういうことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/117
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118・今澄勇
○今澄委員 時間もないことでありますから、水産庁長官に対して李承晩ラインに関する国内漁業態勢の確立と国際的な立場について、これは外務大臣はお忙しいでしょうから、大臣が退席されたあとで、水産関係の質問を留保することにして、今までの大臣の答弁により、外務省はぜひ一つこの際、日本の井上漁業等は、韓国の漁船を救って六十名近くも韓国に送り帰しておるという事実もあるのであるから、これらの事実も示されて、十分善処方を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/118
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119・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 久保田委員、大臣には重要な御用件があるそうでありまして、あと数分だけというお話でありますが、大臣に関する質問だけを簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/119
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120・久保田豊
○久保田(豊)委員 時間が非常に制約されておりますので、意を尽しませんが、要点だけ一つ質問さしていただきたい。それは李承晩ラインの問題にも非常に大きな影響を間接に持っておる問題ですが、去る二月十四日に、長崎県の生月島の沖合で、日本の第六あけぼの丸という漁船が、韓国のフリゲート軍艦に追突を受けて沈没しております。そして二十一名の者が死亡しておる。これに対する外交的な経過は局長からお伺いいたしました。これに連関して一番問題になるのは、過般もお伺いしたのでありますが、韓国の軍艦が、いわゆる日本のアメリカの占領治下に、占領というのは、アメリカの軍港へ、日本の許可なくして、占領時代と同様に入っておるという事実があります。これは過般質問した場合にも、中川局長も認めざるを得なくなって、認めておる。日本の漁業者を追っ払うとか、あるいは拿捕する、それと同じような不当な行動を向うの軍艦などはしておるのであります。これは行政協定なり何なりに基いてそうなっておるのか。そういう不当な外国の軍艦が、公海であれ何であれ、日本の近海を通り、しかも日本の国土にあります港の中に入ってくるのに、日本政府に一言も断わりもなしにどしどし入ってくる。こういう扱いを受けておるということ自体に、問題の焦点が一つあると思う。こういう点から改めなければならぬと思うのですが、これは日米行政協定上日本側の当然負うべき義務であるのか、それとも米軍の占領時代から引き続く慣習を、そのままこっちが容認をしておるのか、あるいはその間に別個の、国民に知らされない何らかの外交上のいろいろな問題があるのかどうか。これについて外務省としては、今までアメリカなり韓国に対してどのような措置をとって参ったか、この点をまず第一に明確に御答弁をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/120
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121・重光葵
○重光国務大臣 お答えします。従来占領時代は御承知の通りに、韓国の軍隊も米国側と申しますか、連合軍側の管理のもとにあって、そうしてそのために米国の管理する軍艦として日本の港に入っておったことは事実でございます。これは占領中のことであります。しかしながらさようなことは、行政協定からいっても、継続すべきでないという結論に日本側は到達したのでございます。そこでそういうことをやめてもらいたいということを交渉いたしまして、大体米国側もそういう日本側の解釈は正当である、こういうふうにこれを認めて、そういうことは事実その後だんだんなくなってきておる状況でございます。今後はそういうことがありましたならば、ぜひこれはやめてもらうべく交渉をし、かつまたその交渉は、おそらくこちらの考え通りになる見込みを持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/121
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122・久保田豊
○久保田(豊)委員 どうも今の御答弁はまだ明確でありませんが、時間がありませんから、この問題はこれ以上お聞きすることをやめます。
その次に、この前の委員会並びに本日の委員会において、抑留者の問題あるいは李承晩ラインの問題について、いろいろ各同僚委員から御質問があったのですが、これに対しまして外務省の御答弁がなかなかはっきりしない。私は民間の人をやることももちろんいいと思うが、まず第一に外務大臣が行って交渉に当るべきだと思うのであります。しかしそうしてもなかなかうまくいかないと私は思う。問題のよって来たる根本はどこにあるかといえば、要するに日本なり、あるいは韓国なり、あるいはアジア全体に対するアメリカの政策に根本があると思います。その一番要点は、韓国側が最近急に不当な行動をするようになってきたということは、要するに鳩山内閣がこの前の吉田内閣と違って、少くとも中国との間に貿易の交渉を開こうというような動きになってきておる。また同時に北鮮との間に、これは内閣の方針ではありませんけれども、国民の大きな要望として、また向う側の平和政策として、当然国交が開かれなくちゃならぬようないろいろの具体的な事実が出てきておる。過般日本の民間代表が行って、向うの当局者といろいろの交渉あるいは話し合いをして参ってきておる。これらのことは、そのこと自体をとれば、一つも日本にとって不利なことはありません。日本にとって非常に有利で、当然この段階においては日本の政府としても取り上ぐべき問題であります。これはアジアの情勢が変ってきておる。その変ってきておる中に、日本も今の内閣を含めて、不十分ではありますけれども、その方向へ動いておる。その方向へ動けば動くほど、中国と日本との貿易交渉の場合において、台湾政府との関係が問題になる。その台湾政府を動かしておるところのアメリカの政策、そういうものがありますから、北鮮あるいは中国なりソビエトと日本との関係が正常化してくればくるほど、南鮮としてはやきもちをやいて、あっちこっちつら当てをするのは当然の話である。これは私は二つ問題があると思う。日本政府としてこれらの問題全体を含めて、アメリカとどういう交渉をするかということが根本の問題だと思う。
次に、今日の李承晩政府は、だれが見ましても、一本立ちの政府と見ている人は一人もありません。アメリカの突っかい棒だけで立っておるということは、世界公知の事実です。この李承晩政府の政策を基本的に変える道は、アメリカと日本がどういう折衝をするかということが第一の問題だと思う。第二の要点は、日本政府は単なる話し合いあるいは外交上の話し合いということでなく、政府全体として、今後南鮮に対してどのような基本的な態度で対処していくか、この基本的な態度を確立して、あらゆる面から南鮮側の日本国内に対しまする不当な対策、あるいは特に李承晩ライン等による不等な対策を変えさせていく、この道しかないと思います。聞くところによりますと、過般アリソン大使が朝鮮に行かれた際、日本の外務省からもいろいろ話がありまして、いろいろのあっせんをされたということでありますが、日本政府としてはアメリカ側に対して、今日韓国問題について、特に当面の問題について、どのような基本的方針で当っておるか。また具体的にどのようなことをやっておるのかということを、単なる言いのがれでなく、はっきりお聞きをしたい。最近のいろいろなそういう情勢に対して、政府としては単なる外交交渉で、情勢がうまく好転するのを持つというようなことでなく、基本的にどういうふうに方策を講じておられるか。これをもう少し突っ込んでお聞きしたいのですが、時間がありませんから、概略的にだけお聞きをいたしておきたいと思います。御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/122
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123・重光葵
○重光国務大臣 私もごく簡潔にお答えいたします。
韓国、すなわち事実上南鮮になりますが、韓国との関係は、日本の地理的の関係から見ても、特に重要なものに考えて、韓国との関係を正常化するということが、日本にとって非常に必要である、こう考えております。そうしてそのことは、日本と韓国との国において交渉、決定すべき問題だと考えております。もちろん国際関係のことでございますから、二国間の関係はその他の国際情勢に非常に響き、また国際情勢が二国間の関係に影響を持つということは、当然のことであります。アメリカは日韓両国の間に正常関係ができてくることを非常に希望しておることは当然のことであります。これはアメリカの利益にも合するわけでございます。日本も日韓関係を正常関係に復したい。しかしそれはアメリカによってこの関係を正常化するというよりも、日本と韓国との間において、二国間の交渉によってこの目的を達したい、私はこう考えておるのでございます。アリソン大使が京城に行って云々というお話がありましたが、これはわが方から仲介を頼むというようなことは一切しておらないのでございます。アリソン大使としては、朝鮮に行った以上は、朝鮮の側から見た日韓関係についていろいろ先方と意見の交換をしたことは事実のようでございます。しかしながらそれはアメリカの関係でございます。私はさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/123
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124・久保田豊
○久保田(豊)委員 なるほど今の外務大臣の御答弁は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/124
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125・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/125
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126・久保田豊
○久保田(豊)委員 一応表面の話としてはそれだけだと思います。それ以上は話はできない、こういうことになるかもしれませんが、今の現実の韓国とアメリカとの関係、韓国と日本との関係、特に韓国の成立の基礎は御承知の通りであります。私は日本との関係の正常化については、アメリカ側がもう少しはっきりした態度をとることが根本であろうと思います。そういった点について、特に緊密な関係を両国に対して持っておるアメリカに対して、日本側がいろいろな希望なり要求に基いてこの調整、あっせんをさせるということは、これは日本として当然やっていい問題でないかと考えます。ただ向う側の考えによって、アメリカにまかしておるというような性質の問題でもなかろうと思うのであります。こういう点について今お答えのように、アリソンさんが今度向うに行かれた。それはアリソンさんの考え通りで、日本側の政府と何らの交渉なしに向うでやられたというようなことはおそらくなかろうと私は考えますが、これらの点についてもう一回明確な御答弁をいただきたいということと、さらにもう一つの点は、韓国との関係の正常化という問題は、もちろんお骨折りをいただかなければならぬ問題でありますが、それにしては日本の今までのあらゆる面からの韓国に対しますこの問題の処理が、今各委員からも御指摘がありました通り、あまりに不徹底である。むしろこちらが積極性を持っておるかどうかということさえ疑われる。過般の会議でも、たとえば日本の漁船を保護すべき海上保安庁の船の配置等につきましても、またその動かし方等についても、決してこれは日本の漁船を積極的にあの公海におきまして守って参ろうという態勢ではないようであります。またそのほか外交交渉におきましても、日本が取り上げようとすれば、いろいろな方策はあろうと思う。経済上の諸問題の調整という観点から問題を取り上げてもよかろうし、あらゆる面があろうと思います。そういう国のすべての施策を総合的にやって、初めて私はこれらの問題がある程度効果を上げてくると思う。ところがそういう点が、日本側としては単なる外交交渉、向うのお天気の変るのを待っているような状態である。この天気は変りっこありません。少くとも今のアジアの全体の情勢、その中で日本が基本的に動いていく道は、中国なりその他と手を握っていくよりほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/126
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127・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 久保田委員、簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/127
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128・久保田豊
○久保田(豊)委員 しかもアジア全体の方向が、アメリカの戦争政策とは逆な方向に動いていることは事実であります。この方向に動いている限り、向うの天気が変って日本と積極的に手を結ぼうということは、韓国自体としてはあり得ないと思う。こういう点をはっきりいたして、どうしても対アメリカ交渉、対韓国交渉というものを、もっとはっきりした見通しのある線に立って、強力に押すよりほかはないと思いますが、もう一回御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/128
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129・重光葵
○重光国務大臣 私はその基本的な問題については、先ほどの御答弁を繰り返すよりほかに方法はございません。私は、韓国に対しましても、また中共に対しましても、日ソ交渉につきましても、やはり日本独自の見地に立ってすべて交渉を進めていくことが基本的である、こう考えております。むろんアメリカとの連絡、アメリカとのある意味の協調は、これは非常に重要でございますから、韓国の問題についても、アメリカの意見を聞くとか、もしくはアメリカといろいろな情報を交換するとかいうことは、これは必要でございましょう。お話の通りでございます。それは努めたいと思っております。しかし基本的の外交交渉ということについては、両国の間にこれを処理すべき問題だ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/129
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130・川俣清音
○川俣委員 私この際関連して一点だけお尋ねいたしたいと思います。この人道問題を解決する上に、韓国側に誤解のあることが、外交打開の大きな障害になっておるという答弁でございましたが、その通りですか、あらためてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/130
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131・重光葵
○重光国務大臣 私はさような答弁はいたしませなかった。私の答弁は、日韓両国の国交を正常化する全般の問題について申し上げたのでございます。この問題は先ほど御説明をしておる通りに、別個の、引き離した問題として、交渉を進めております。この問題だけは、ほかの問題にわずらわされずして、できるだけの解決方法を講じたい、こう考えてやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/131
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132・川俣清音
○川俣委員 この人道問題解決の上に、どこに障害があるかという赤路君の質問に対して、韓国側に遺憾ながら誤解があるということが、外交交渉の上に大きな障害になっておる、こういうように御答弁になったと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/132
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133・重光葵
○重光国務大臣 私の誤解と申し述べましたのは、日韓双方の関係の全般を処理することに関係しておるのでございます。この問題に特に関係しておると申し上げたわけではございません。それは全体の問題に関係があれば、間接には関係がないとは申されますまい。しかしながらこの問題はこの問題として、私は何とか別に人道問題として交渉に当りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/133
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134・川俣清音
○川俣委員 交渉が進展しないのはどこに障害があるかという質問に対して、あなたがお答えになった。
それじゃあらためてお尋ねいたしますが、この人道問題を解決する上に、何らか障害があるのですか、ないのですか。あるから外交がこう停頓しておるのじゃないか。何があるのです。なぜこういう人道問題を解決する上に進渉しない点があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/134
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135・重光葵
○重光国務大臣 遺憾ながら韓国において、こららの要求を認めてくれないのです。それが障害になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/135
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136・川俣清音
○川俣委員 こちら側の意見を認めてくれないというようなことで、外務大臣は責任をのがれることは許されない。わが方の意見を伝達するということが、外務省の役目じゃないのですか。国民の意思を、日本の意思を韓国側に伝えることが、あなた方の任務じゃないのですか。この任務を怠っておいて、外交なんてありますか。伝達できないというなら、おやめになったらどうですか。この伝達ができないような状態で、何で外交が打開されるのです。もう一度御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/136
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137・重光葵
○重光国務大臣 日本側の意向は十分に伝達をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/137
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138・川俣清音
○川俣委員 日本の意思を、国民の意思を忠実に伝えるというのが外交の初歩です。われわれ外交官でなくとも、このくらいのことは知っております。大臣よりよく知っておる。わが方の意思を伝えるために、外務省を経費をかけて置くのじゃないですか。その経費をむだに使って、伝達できない、打開ができないということはどういうわけです。それは能力がないということじゃないのですか。伝達したけれども、打開できないというなら、何かそこに問題がなければならぬ。その問題は何です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/138
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139・重光葵
○重光国務大臣 わが方の意思を十分伝達して、それをどんどん向うが聞いてくれるならば、これはもう問題はありません。しかしどうしてもこれが解決をできないところに非常な困難があるわけでありますから、あしからず……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/139
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140・川俣清音
○川俣委員 これは聞いてくれないで下っていては、人道問題ですよ。他の条約の問題とは違うのです。世界各国において、人道問題を解決つけられないというような外交が一体ありますか。他の困難な問題は別です。世界が、人類平和を唱えないものはないときに、この人道問題を片づけられないというような外交だったら、情ないじゃないですか。ほかの困難な貿易の問題、条約の問題は別問題です。少くとも人道問題さえ解決つかないというのでは外務省はあってもなくても同じじゃないですか。実に情ないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/140
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141・重光葵
○重光国務大臣 御意見はつつしんで承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/141
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142・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 松野委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/142
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143・松野頼三
○松野委員 この委員会の空気で御承知のように、あなたの軟弱外交に対しては非常に不満なんです。あなたが伝達するというけれども、だれを通じて伝達されたのですか。あなたが韓国の外務大臣とお会いになったことがあるのか、あるいは韓国に行かれようという意思があるか。あるいは行こうとしたけれども断わられたのか。はっきりと御答弁を願いたい。この委員会はあなたに対して非常に不満なんです。交渉はだれを通じておやりになったか。あなたが就任以来、韓国政府と、この問題について、だれを通じておやりになったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/143
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144・重光葵
○重光国務大臣 韓国政府の代表部がここにございます。日本が外国に大使館を持って、大使館を通じてやるのと同じように代表部を通じてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/144
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145・松野頼三
○松野委員 それではあなたはこの問題で韓国の大使と日本で何回お会いになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/145
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146・重光葵
○重光国務大臣 それは私も記憶しませんが、たびたび会いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/146
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147・松野頼三
○松野委員 それほどあなたが韓国政府と熱心にやられていまだに妥結しなければ、あなたが韓国に交渉に行くのが当然だ。出先機関でわからなければ本国に乗り込むのが当りまえだ。なぜあなたは行かれることにちゅうちょされるのか。それ以上のいい方法があるならば、どういう方法でされるか。自分か行くよりもっといい方法があるとおっしゃる、もっといい方法とは何ですか。あなたが行かなくてももっといい方法があれば、解決の道にはけっこうだ。もっといい方法とは何だ、具体にお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/147
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148・重光葵
○重光国務大臣 それはいろいろ研究しなければなりません。そういうなんですぐ外務大臣が飛び出していてっ、すぐそれでできるものならば、これはむろんそういうふうにやらなければなるまい。しかしそれはよほどお考えを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/148
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149・松野頼三
○松野委員 今からお考えになっている――いろいろあるなら、それを具体的におやりなさいよ。みんなが熱心にやって、緊急な場合、人道上の問題でもあるし、毎日々々待っているこの状況をごらんになって、あなたは今ごろお考えになるとは何だ。そのほかに方法があるならばおやりになればいい。なければ、全国民の要望なんだから、さっそく向うに行って、おれはぜひともこういう問題で交渉したいとおっしゃるのが当りまえじゃないですか。今から考えているという態度は何ですか、竹島の問題とか領土の問題ならば、また別個の問題であるけれども、この問題はどこの世界に発表しても悪い問題じゃない。考えているとは一体何です。さっそくあなたが行って――まず行って具体案を作るのはあなたの仕事じゃないか。東京で考えなくたって、実行に移しなさいよ。それじゃ考えるというのは、どういう構想があるかおっしゃい。これもある、これもある、これもある、二つや三つおありだろうから、ここでおっしゃい。答弁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/149
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150・重光葵
○重光国務大臣 それは、さような方法について十分に考究をいたします。考究いたした上で実行に移したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/150
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151・松野頼三
○松野委員 御考慮はたびたび聞いている。御考慮じゃ承知できないから、今日この状況なんだ。こういうことも考慮したい、こういうことも考慮したいということをおっしゃればいい。私は一々あげを足とって責任を問うのじゃない。おそらくあなたの頭にはあるだろうけれども、全国民には何もわかっていない。その態度が官僚的外交だといわれても仕方がない。お宅の方の政党の公約にも出ているじゃないか。東南アジアとの善隣、そのために最も有効な国交の回復をするということは、あなたの外交方針にもあるし、党の公約にもあるし、それで選挙を戦ってきたのじゃないか。今日のこの答弁は何だ。考えておる考えておると、盛んに考えておるということを言われておるが、じゃなぜ選挙のときに考えておるということを言わないのか。これは全国民に対する非常な不信ですよ。これもやった、これもやったが失敗したというなら、われわれもそれを打開するように導いていく立場にあるから、協力する。こんなものは党派を越えての話です。一つずつおっしゃいなさいよ。そうしてわれわれの協力が必要なら、いつでも国会全員協力する。これが世間にいうわが党の明るい外交方針なんです。一つくらいおっしゃいなさい。これもやったが失敗した。韓国の大使にあなたがどこで会って、どういう交渉をしたという話くらいしなければ、この問題は解決しませんよ。具体的な話をなさい。私は声が大きいけれども、あえてあなたをおどかしておる意味じゃない。これほど私は熱心なんだ。一つずつおっしゃいなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/151
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152・重光葵
○重光国務大臣 今お話しの通りに、われわれは日韓関係を正常化したいという、それは初めからの、選挙の公約も何も、あらゆる努力をして実行したい、こう思ってきておるのでありまして、その経路については、先ほど御説明申し上げた通りであります。しかしそれならば、今外務大臣が向うへ行って、向うの政府とこれを交渉をするということは、今申し上げる段取りではない、こういうことを申し上げておるのでありまして、これは当然のことだろうと私は思います。しかしいろいろなことについて、最も効果的な方法を考えなければならぬ、こう私は申し上げておるのであります。まだいい方法があるかもしれない、先ほどのお話の民間団体を出すということも一つの方法でありましょう。あらゆる手を尽さなければならぬと思っております。さようなことを十分検討する猶予は与えていただきたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/152
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153・松野頼三
○松野委員 猶予の問題は、もう時期はすでに過ぎておる。民間代表の話は、もう重光外交は不信だ、民間代表でも送らなければだめだという意向が強いのです。あなたの立場は逆なんですよ。あなたは李承晩ラインを認めておるのか、認めてないならば、なぜ重光ラインでもお作りにならないのか。あなたは李承晩ラインは勝手に黙認しておきながら、交渉はそのままほうっておく、これで交渉が解決するか。何が解決するんもですか。こんな問題は、もう時期は過ぎておる。できないなら、できないからよろしく国民に頼む、国会に頼む、これも一つの方法だろう。あなたのように優柔不断の今日の外交では、大きな失敗もするだろうけれども、まずあなたが最初に直接会って交渉の糸口をつけることは、これはもう今日の世男の常識じゃないか。東南アジアの方のAA会議には、政府も熱心で、政府代表が行かれた、それよりももっと緊迫したこの問題になぜ政府代表をお出しにならないか、なぜあなたが自分で行かれないか。おれが行かぬでももっといい具体案かあるからこれでやるというなら、その具体案をお出しなさい。それ以外に何の解決する道があるか。もう考える時期は過ぎております。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/153
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154・重光葵
○重光国務大臣 御趣旨のあるところを十分に私は伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/154
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155・松野頼三
○松野委員 御趣旨があるならば、あなたはおやりになるのですね。この問題を無視するのか、おやりになるのか、どっちです。行かれますか。糸口がつかなければ、いよいよ自分で乗り込んでいく決心かあるのですか。善処する善処するという政治的言葉では解決できない。絶対に行くのか行かないのか、どっちなんです。あいまいな答弁は、今日はもう不必要なんです。わかりませんならわかりません。善処しますでは、今日の状況はもうだめなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/155
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156・重光葵
○重光国務大臣 十分伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/156
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157・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 この際、田口長治郎君より発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/157
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158・田口長治郎
○田口委員 私は、この際韓国抑留漁民早期送還対策等に関する件につきまして、各派共同をもって本会の決議をいたしたいと思うその動議を提出するものでございます。
理由につきましては、ただいままでの質疑応答によってはっきりしておりますから、案文を朗読いたします。
韓国抑留漁民の早期送還対策等に関する件
現在韓国によって、李ライン侵犯のかどで昭和二十九年七月以来拿捕抑留されている本邦の漁船乗組員は、二七六名に上つているが、そのうち韓国側の一方的裁判によつて体刑を課せられ、既に刑期を終えて釈放された者及び未成年者約一〇〇名すら未だ送還されていない。然も仄聞するところによれば、悲惨極まる抑留生活を続けておる由である。これは国際法上の違反であるのみならず、人道問題上許すべからざる事である。
よつて政府は、速かにこれが解決のため適当な措置を講ずべきである。
右決議する。
どうか皆さんにお諮り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/158
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159・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 ただいまの田口君の提案に関し、御意見があれば発言を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/159
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160・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 御意見がなければお諮りいたします。田口君提案の韓国抑留漁民の早期送還対策等に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/160
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161・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお本件の議長に対する報告並びに政府に対する送付等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/161
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162・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 それではさよう取り計らいます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/162
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163・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 今澄委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/163
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164・今澄勇
○今澄委員 私は水産庁の長官に二、三点お聞きをしたいと思います。かような李承晩ラインの問題等々でわが日本の中国、九州以西の漁業は非常な苦難に当面をいたしておるわけであります。日本のこれらの漁業に対する水産庁のやり方は、その生活難に対しても非常に傍観的な態度で、われわれまことに見ておれないのであります。今日その一例をあげてみると、中型まき網漁業等においても非常に問題が出ております。李承晩ラインに伴うこれらの問題について、水産庁が何らかの措置をおとりになっておるかどうか。なおこれらの中型漁業に対して漁場の問題等非常に紛争を生じておるが、どういう態度をおとりになっておるのか、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/164
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165・前谷重夫
○前谷政府委員 ただいまのお話のように、李承晩ラインによる関係業者の困難は御指摘の通りであります。この点に関しましては、御承知のように拿捕漁船に対しましては特殊保険を講じますと同時に、また船員に対しましては給与保険の制度を実施しておる次第でございます。そのほか一般的な漁業転換を促進するように努力いたしております。しかし御指摘のように、その漁業転換につきましてはなかなか困難な点がございます。今年度におきましては新たに新漁場開発の費用をとりまして、まき綱につきましても新漁場開発等を予定して準備を進めておる次第であります。なお現在のまき網に対する漁場の紛争が御承知のようにあるわけであります。この点につきましては非常に困難な問題であります。と申しますのは関係業者の意見がいろいろ対立しておりますので、その点検計いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/165
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166・今澄勇
○今澄委員 それで私は時間がないから一問でやめますが、日本の国内におけるこれらの問題は、やはり当農林委員会で一応これを明らかにして、そうして天下の世論に訴え、水産庁のやり方を批判する必要があると思うが、今日は法案を前にして時間がないから詳細な質問は次回に譲ります。だが、これらの中型まき網に対して今転換の操業を許しております。これに後期の操業を許すかどうか、これらの問題は政治問題として予算委員会で取り上げたいと思います。水産庁はこういう問題が大きな政治問題とならぬ間に理論と、実際的な解決を尊重せられるならば、この問題について態度をおきめ願いたいと思います。これらのいろいろな情勢については長官はすでに御承知の通りであると思いますが、この中型まき網漁業に対する転換の問題について、水産庁長官はどういう考え方をしていらっしゃいますか、一つ答弁をお伺いして私は質問を留保し、他の機会に申したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/166
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167・前谷重夫
○前谷政府委員 この点につきましては、御指摘の点はおそらく鳥取、島根の問題だと思いますが、これは御承知のように各方面の関係するところも非常に多うございますし、また完全に意見の違いもございますので、水産庁といたしましてはそういう意見を十分聞きまして、慎重に検討いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/167
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168・鈴木善幸
○鈴木(善)委員長代理 暫時休憩いたします。
午後四時三十七分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04319550718/168
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