1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年七月二十七日(水曜日)
午前十時十八分開議
出席委員
委員長 綱島 正興君
理事 安藤 覺君 理事 白濱 仁吉君
理事 松浦 東介君 理事 鈴木 善幸君
理事 中馬 辰猪君 理事 足鹿 覺君
理事 稲富 稜人君
赤澤 正造君 五十嵐吉藏君
井出一太郎君 伊東 岩男君
石坂 繁君 大森 玉木君
木村 文男君 楠美 省吾君
小枝 一雄君 笹山茂太郎君
丹羽 兵助君 原 捨思君
本名 武君 足立 篤郎君
大野 市郎君 川村善八郎君
助川 良平君 田口長治郎君
平野 三郎君 松山 義雄君
赤路 友藏君 淡谷 悠藏君
井谷 正吉君 石田 宥全君
芳賀 貢君 伊瀬幸太郎君
川俣 清音君 佐竹 新市君
中村 時雄君 日野 吉夫君
松平 忠久君 久保田 豊君
出席国務大臣
外 務 大 臣 重光 葵君
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
農 林 大 臣 河野 一郎君
国 務 大 臣 大久保留次郎君
国 務 大 臣 高碕達之助君
出席政府委員
北海道開発政務
次官 松田 鐵藏君
総理府事務官
(北海道開発庁
企画室主幹) 柏原益次郎君
総理府事務官
(経済企画庁長
官官房長) 酒井 俊彦君
総理府事務官
(経済企画庁計
画部長) 佐々木義武君
外務事務官
(条約局長) 下田 武三君
大蔵事務官
(主計局次長) 原 純夫君
農林政務次官 吉川 久衛君
農林事務官
(農地局長) 渡部 伍良君
委員外の出席者
農 林 技 官
(農地局計画部
長) 和田栄太郎君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
―――――――――――――
七月二十六日
委員井手以誠君辞任につき、その補欠として小
松幹君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員石田宥全君及び佐竹新市君辞任につき、そ
の補欠として小川豊明君及び松平忠久君が議長
の指名で委員に選任された。
―――――――――――――
七月二十六日
砂糖価格安定法案(井上良二君外六名提出、衆
法第六九号)
六月十四日
昭和二十八年六、七月の大水害による農業災害
復旧に関する請願(眞崎勝次君紹介)(第二二
五一号)
七月二十六日
砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関
する法律案の一部改正等に関する請願(牧野良
三君紹介)(第四五七五号)
鷹の巣に貯水池建設に関する請願(三宅正一君
紹介)(第四六〇八号)
雪の観音郷開拓助成に関する請願(加藤精三君
紹介)(第四六〇九号)
亜熱帯園試験場を宮崎県南部地図に設置の請願
(伊東岩男君紹介)(第四六一一号)
国産麻産業助成に関する請願(和田博雄君紹
介)(第四六一二号)
同(小山長規君紹介)(第四六一三号)
の審査を本委員会に付託された。
同 日
牛価対策確立に関する陳情書
(第四二五号)
食生活の安定に関する陳情書
(第四二六号)
飼料需給安定法に基く飼料の確保等に関する陳
情書(第四二七号)
青森県の水害対策確立に関する陳情書
(第四二八号)
台風常襲地帯における農林水産業の災害防除に
関する法律制定に関する陳情書外一件
(第四三
九号)
同外一件(
第四六七号)
漁港整備促進に関する陳情書
(第四四七号)
駐留軍等の施設、用地に接収された地域の農業
再建整備に関する法律制定に関する陳情書
(第四五七号)
伝貧研究所設置の陳情書
(第四五八号)
野猪駆除費等国庫補助に関する陳情書
(第四五九号)
昭和三十年度積雪寒冷単作地帯農業振興予算増
額に関する陳情書
(第四六〇号)
積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の期限延長に
関する陳情書
(第四六一号)
競馬法の一部改正に関する陳情書
(第四七一号)
農地改革の行過ぎ最正に関する陳情書
(第四八七号)
本巣村玉ねぎ被害対策確立に関する陳情書
(第四八八
号)
砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関
する法律制定反対に関する陳情書外二十三件
(第四九〇号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
愛知用水公団法案(内閣提出第一三四号)
農地開発機械公団法案(内閣提出第一四六号)
昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家
に対する米麦の売渡の特例に関する法律案(綱
島正興君外七名提出、衆法第六八号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/0
-
001・綱島正興
○綱島委員長 これより会議を開きます。
愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案を一括して議題といたし、質疑を継続いたします。質疑の通告がございますから、これを許します。足鹿賢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/1
-
002・足鹿覺
○足鹿委員 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、本愛知用水公団法案は、外資導入による国土の開発、なかんずく農業関係におきましては初めてのケースでありまして、今後に及ぼす影響はきわめて大なるものがあろうと思うのであります。つきましては、その資金計画等について特に慎重なる態度をもって臨まなければならないことは、大蔵大臣も十分御承知のことであろうと思うのであります。そこでこの資金計画について主としてお尋ねを申し上げるのでありますが、当初われわれがこの問題を聞いた際においては、世銀の資金導入は当初二千万ドルを予想されておったのでありますが、それが一千万ドルに減ぜられた。すなわち七十二億がその半額の三十六億に減じた。その経緯は、どういう経緯によってかくのごとき事能を生じたのか。このことは国の総予算との関係も当然出てきますので、その間における経過並びに大蔵大臣のとられた措置について、この際明らかにしてもらいたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/2
-
003・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えしますが、今お話になりました二千万ドル、これは愛知用水だけで二千万ドルでは初めの交渉はなかったのであります。食糧増産に二千万ドル、愛知用水では初めから千万ドル、そういうことでいっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/3
-
004・足鹿覺
○足鹿委員 それでは他の三六億はその関係外のものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/4
-
005・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そうでございます。ほかの未開墾地の開墾とか、そういうふうないろいろな用途に使うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/5
-
006・足鹿覺
○足鹿委員 さらにもう一点明らかにしておきたいことは、資金計画のその資金源が、余剰農産物の見返り円に基いておる。ところが余剰農産物協定は、毎年これを更新するという形になっておる。政府は米及び綿花の来年度受け入れについて、これを中止するというような態度を最近きめたといわれておりますが、もしそういうふうになりまするならば、ただちにその資金源に対して狂いが生じてくるのではないか。そうした場合に、一般総予算との関係において、また国費負担分が多くなってくる。多くなれば、当然一般の土地改良関係の経費に、この愛知用水関係の資金源の減少が、その面で多くなっていく結果になりはしないかということが、非常に重大な問題になっておるのであります。その点について、余剰農産物に移動を生じた場合に、大蔵大臣としてはその資金源において、他の一般の土地改良事業等に食い込まないという責任ある答弁ができるかどうか。その点等について明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/6
-
007・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この愛知用水の場合におきまして、世銀の借款は三十六億になっております。これに対応して出資金が要ります。これは愛知用水の場合には、必ず余剰農産物がなくても国内円資金で考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておったのでありますが、その辺に非常にいろいろと世銀あたりではどうだろうかというような疑問を持っておったようであります。それで今面余剰農産物が成立いたしまして、はっきり一応円資金をもってやる、こういうことになりました。それから来年度の余剰農産物の買い入れですが、これは今米や綿花を除けばすぐにそれだけ減りはしないか、こういう御心配もあったようですが、これはそうではなくて、米は東南アジア等いろいろな関係において、こういう形でもって入れない方がいいだろう。綿花もこれは商業的に十分に入れられるものなんです。民間的なクレジットでも綿花を入れることは容易であるし、それからメキシコ綿あたりはむしろ米綿と比べれば一割ぐらい使いような状況でありますから、こういう形で米や綿花を入れることは控えた方がよくはないか、こういう考えで今新しい余剰農産物の折衝には一つ折衝してみよう、こういう程度でございます。従いましてこういうものが減れば、ほかのものをやはり入れる、こういうふうになると思っておるのですが、どういうものを入れるか、私は今具体的には承知をしておりませんが、これは主として農林大臣が農業政策といいますか、あるいは食糧政策その他の上からお考んになって、御腹案があるだろう、かように考えております。
それからもう一つの一番主要な点と思われる、こういう余剰農産物なんかの受け入れがないという場合に、一体この大きな計画の実行についてどう考えるか、またこれをやるとすれば、他の一般の食糧増産費の上に食い込んでいくというおそれがないかという点だと存じますが、この点については、これは今の見通しでは、実際問題としてはおそらく来年、三十一年度においても余剰農産物の受け入れがありましょう。三年ぐらいは私は、当然あるだろう、こう思っておりますれども、先になりますれば、今ここで大蔵大臣として将来のお約束をいろいろするわけには、率直に申し上げて、なかなかいきかねるのであります。これにつきましては関係者大臣とも相談をいたしまして、それについての考え方を政府として御答弁することになっております。これは参議院の農林水産委員会に対して、政府としての回答を書類をもってたしかすることになっております。きょうあたり、あるいはもうすでにしたかもしれません。大体この点について私の関する限りでは、今言うたような場合におきまして、資金の調達には相当の困難が伴うと思われますが、財政の許す限り一定の食糧増産事業に影響を及ぼさないように努力いたしたい、こういうふうに考えておりまして、これはやはりそのときの情勢もありますから、今から三年先のことを大蔵大臣として容易に確言はいたしかねますが、食糧増産の必要についてはだれもが考えるところで、できるだけ御協力たしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/7
-
008・足鹿覺
○足鹿委員 大蔵大臣の御答弁を聞いておりますと、もし資金計画に狂いがあっても、食糧増産、土地改良等には影響を及ぼさないように努力する、こいう御方針であることはわかりますが、しかし長期にわたっては今から何とも言えないという御答弁のようであります。しかし計画を見ますと、これは御存じのように、六ヵ年計画になっておるのです。大体において世銀の三十六倍のものが、本年度において七億七千四百万円、以下ずっと年次別に貸金計画が載っておる。ですから、先のことは予想がつかぬと言われるが、そうしますと、資金計画がそういう行き当りばったりというと言い過ぎかもしれませんが、あまり確信のないようなことで、ある場合には、この事業そのものの今後の運びにも、私は非常な不安と動揺がくると思うのです。ですから、そういう点については、はっきり政府としても根本的な対策を立てて、いやしくも用水関係の公団という政府の国営事業の代行機関的なものすら作ってやるのでありますから、当然その点については、努力するとか何とかということでなしに、他の一般の食糧増産関係には断じて影響を及ぼさない、こうやはり確言をさるべきではないかと思う。たとえば、先般私どもは現地の調査に行ったのですが、その当時現地においてわれわれが、受益者負担は一体どういう程度になるかということを話したところが、反当年償還額ははっきりわからぬが、大体において平均二千八九百円くらいになるだろうという話だった。ところが今日資料をもらいますと、平均が二千五百八十という資料が出ておる。そうすると、いわゆる年償還額もなるべく低い方がよろしい、よろしいが、今までの資金投入額と反当増加純収との関係からいきますと、大体二千八、九百円になります。それを二千五百円だといたしますと、これまた現在の償還に基く資金計画に大きな誤差が出てきやしないか、こういう点も考えられます。ですから、なるべく反当の年償還額というものは低いにこしたことはないが、それに見合うように当初からも反当の増加純収益というものが見られて、資金計画に狂いのないことを特にやらなければならないのではないかと思うのです。あらゆる面から見まして、余剰農産物の点においても、これは一年ばったりのものであって、一つも見通しがない。また農民等の反当年償還額についても、そのときそのときで、二、三日のうちに政府の基準数字がいろいろと移り変ってくる、こういう状態で、この大きな事業が果してスムーズに進行できるかどうか、そういった不安を私どもは持たざるを得ないのです。ですからこの点については、三大臣が御出席になったようでありますから、特にはっきりと、他の一般の食糧増産関係、土地改良等には、余剰農産物等による資金源に移動を生じても、影響は及ぼさない、こう三人の大臣が当然断言さるべきものだ。しかし六年先まで今の内閣が続くか続かぬか、これはわかりませんから、この内閣に関する限り、その資金源に移動が生じても、断じて他の食糧増産関係には影響を及ぼさない、こうはっきり確約すべきではないかと思う。これは農林大臣にもあとでお尋ねいたしますが、この間現地で話を聞くと、反当年償還額は二千八、九百円になる、こういう話です。今日の資料は二千五百八十円ということになっている。もっと下げるならば、これはなおよろしい。そういった点について、この法案自体がまだ非常に熟さない、非常に過渡的なものを特に急いで出されたという印象をわれわれは強くするのです。そういう点について大蔵大臣は先ほど、先のことは先のことで、悪影響を及ぼさないように努力するというようなお話でありますが、努力をするのはあたり前なのです。当然国費との関係あるいは何らかの預金部資金を入れてくれば、それだけのコストがまた変ってきますし、高くなれば国の利子補給等町を行えば、当然これは一般会計で見積っていかなければなりませんし、一般予算との関係があらゆる面から出てくる。そういう点について、もう少しはっきりとした確信のある御答弁を私は承わりたい、この点いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/8
-
009・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 愛知用水その他の計画、これは継続で計画されたものであります。これはやり遂げなくてはならぬ。その場合に数年先においてほかの一般の食糧増産費をどうするかということは、私責任ある者として、それはもう絶対影響なしにやるということを確言をすることは、だれでも困難じゃないかと思うのです。なぜかといえば、愛知用水その他の計画というものは、やはりこれは食糧増産計画なので、こういうものを一切含めて、またその計画の結果がどういう成果をあげるかというようなことも一切含めて、全部がこれは農業に関係することなのでありますから、何も一方をやる場合に、一方については必ずこういうふうに、これまた工業資金か何かに出るとかいうなら、これは一方を確保する点がありますけれども、農業政策というものはやはり全体として考える必要がある。また国の財政その他全体が三年先とか四年先とか考えなくてはならない。従来はこれがなかったのですが、数年先にわたる財政計画というものを今後考えていかなくてはならぬと思っておりますので、そういうことをいろいろ考える場合に、今この点だけをつまみ上げて、国民に向って確言をするということは、非常に困難であると私は思う。また実際そうしても変る可能性があり得るので、私としては先ほど申しましたように、財政の許す限りそういう影響のないように格段の努力を払う、これも私は非常に食糧増産の必要性を感ずる結果、ほんとうに力を注いでおるわけですので、そういう点については一つ御了承を願って、みんなで疑うなんかせずに、日本の国も貧乏なのですから、みんなで力を合せて、そうしないと、工業の方は工業、ほかの部門はやはりいろいろと異論があり得ると思う。ですからこれは国全体のバランスの上で考えていかなくてはならぬ問題だ。そしてまた一般食糧増産費にしても、今後いろいろ新しい工夫が起るかもしれぬと思う。三年先になれば新しい工夫も起ったり、また従来の計画において考え直さなければならぬものも起ってくるかもしれぬと思う。いろいろありますから、そうきびしくおっしゃらずに、一つ一緒になっていくというふうにどうぞお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/9
-
010・綱島正興
○綱島委員長 十一時半から参議院が大蔵関係の法案を本会議に上程するそうです。それに呼ばれておりますのでということですから、そのお含みで、また別にも大蔵大臣に質問者もあるようですから、大蔵大臣もあまり長く同じことをおっしやらずに、能率的にお進めを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/10
-
011・足鹿覺
○足鹿委員 愛知用水公団は公社に準ずる、実際上は国営事業の内容を持つものなんです。従ってその資金源はいろいろなところから仰ぐが、実際においては国家が直接手を下してやるのを一つの公団方式でもって一応やられるにすぎない。従って資金計画に移動がきても、政府の責任において農民負担の増加を来たしたり、受益者の負担の増加を来たすようなことのなく、補償の措置さえとれば、私ども、それにとやかく言うわけのものではない。今のような大蔵大臣の御答弁を聞いておって、果して私どもがそれで納得できるかというと、これはちょっと私ども、納得できないあなたのお気持は大体一応はわかりますけれども、やはり政府の責任においてやることであるから、地元の受益者の負担の増額等千については何ら懸念はない、こういうことの大蔵大臣としての御所信の表明があれば、他の資金計画等に移動が少々あっても、われわれはそれに対してとやかく言うものではない。その言明をなぜなさらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/11
-
012・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 愛知用水は国営とか県営、団体営といろいろあるが、そういうものを今後一緒にしてやります。従って負担はきわめて公正にやっていく、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/12
-
013・原純夫
○原政府委員 負担の問題は非常に込み入った点がございますので、私から補足して申し上げたいと思います。
おっしゃる通り農民の負担が不当に重くならないようにということはもちろん考えております。ただ一つには、従来から土地改良等の負担論については、たとえばりっぱな干拓地が三千円、五千円で売られるということは不当であるという議論もございますし、本年の愛知用水の事業は、今までほとんどやっておりませんでした野菜畑の畑地灌漑、主食以外の利益の相当多いところをやる、中には果樹もあるというようなこともございますので、負担論については新しい型として新しく例を開くというような問題もございました。それらのために私ども財政の立場から若干の御意見を申し上げて、農林省もいろいろ御研究になり、結果ただいまの案に落ちついたわけです。これは私どもとしましても――農林省ももちろん御同感と思いますが、十分練られたところで、おっしやる公正妥当なという趣旨が通っておると思いますので、つけ加えて申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/13
-
014・足鹿覺
○足鹿委員 それからもう一点、水没地並びに導水路等による犠牲者がたくさん出る、あるいは犠牲農地、犠牲の施設等が出るわけです。ところが先日私どもは現地へ視察に参りまして奇異な感じを受けましたことは、木曽の国有林があの水没地点にずいぶんだくさんある。そこから用材を運搬する森林鉄道が約十七キロばかり水没関係でやられるので、これをつけかえていかなければならないという問題が起きている。これは国の施設が犠牲になるわけでありますが、それらすべての各種各様の被害と申しますか、補償を要する事態がたくさん出てきている。ところがこの問題については、話を聞くと、地元の市町村とは話がついておると政府の事務当局は言っておるが、現地へ行ってみると、今まで何の話もない。どんどん測量を始める、ボーリングをやっているという悲痛な現地の陳情がある。また不思議なことには、名古屋営林局長がわれわれ衆議院の視察団に対して陳情をする。労働組合が陳情をするのはわかるが、営林局長が、同じ農林省の所管内の局長がわれわれに陳情する。それは特に運搬施設等についての陳情です。そうすると、政府部内において、特に農林関係の中にあってこの補償等の関係については、まだ完全な成案がないと判断せざるを得ない。このように同じ政府部内から国会に向って陳情をするようなずさんきわまる事態をわれわれは見たわけですが、補償その他の点については大蔵大臣としてはどういうように御検討になっておりますか。大体私どもとしては納得がいかない。その点についてはっきり御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/14
-
015・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私、そのことは今初めて承わりますので、調査をいたしたいと思います。この補償については予算に計上してあると思います。従いまして農林大臣がこれに対して考慮なさっている、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/15
-
016・足鹿覺
○足鹿委員 予算には計上してあるでしょう。なしにこんなことはやれない。ただその額等について調整がついていないと見ているのです。同じ政府部内の行政庁の出先がわれわれに陳情するがごときは、これは全く認識することができない。一体どういう気持なのか。いろいろ聞いてみると、事情はあるようです。そのことは調整が宗全についていないということを端的に物語っている。そうすると、大蔵大臣はその補償問題等については全然ノー・タッチで、農林大臣の言う通りにその言い分をあなたは今後も通しますか。この補償問題はなかなかむずかしいですよ。軽くこれを考えたらなかなかできない。この事業はいかに国策といえども、いわゆる一部の農民を泣かせるものであって、一方においてはどんなに万歳を言う多数の農民があっても事はおさまらないと思う。いやしくも数千の人聞がその郷土を追われるような事態が出るわけでありますから、この点については補償問題は受益者の負担問題については今後の問題でありますが、当面最も緊急に解決しなければならぬ問題ではないですか。大蔵大臣は補償は予算に載っていると言われるが、それは当然なことなんです。その調整の点については主管大臣である農林大臣に一切おまかせになる、こういうことで今度の予算の運営については今後おやりになるということであれば、これはまた別ですが、大蔵当局としては今後の問題については何も御異存はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/16
-
017・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 あなた方に陳情とか、いろいろなさった出先のことについては一応調べてみます。
それから農林大臣に補償費をまかせるかということでありますが、補償については一定の基準があるのでありまして、その基準に基請いて農林大臣がおやりになると思います。また特別なことがあれば農林大臣から御相談がありましょう。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/17
-
018・足鹿覺
○足鹿委員 それは一つの基準というもの、水没地の家屋の移転、あるいは耕地の補償等については他に類例があるでしょう。しかし森林鉄道の補償というようなことは今まで類例がないでしよう。これは被害を受けるのは国営事業の森林鉄道が犠牲になるのです。話に聞くととても膨大な金額です。他の基準というようなものはおそらくないと思う。そういうものは他に類例もありませんし、一体農林当局なり閣僚間において、宗全に意見の一致を見ているのですか。お調べになるまでもなく、一昨日現地でちゃんと陳情を聞いているのですから、これは事実ですから……。この二百万、三百万のこまかい農業予算等についても、いろいろ大蔵当局はずいぶんやかましく御監督なり、査察をしておられるようですが、こういった問題についてはきわめて不案内のようなお話であります。それでいいのですか。たとえば森林鉄道という一つの具体的な――これは一億や二億の少少の金ではないのです。とても高額な話と聞いておるのです。これはどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/18
-
019・河野一郎
○河野国務大臣 それら必要の処置は、計画につきまして支障のないように準備をするようにいたしておりますから、実際公団が発足いたしまして実行することになりますれば、これらを指導して善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/19
-
020・足鹿覺
○足鹿委員 昨日も他の同僚委員から質問があったのですが、とにかく間違いのないように善処するの一点ばりの答弁です。河野さん、間違いのないように善処するというのはおざなりの答弁であって、問題は会期切迫してこれをどうするかという具体的な審議に入っているのです。そういう抽象的なことでこの委員会を切り抜けられるなんてことは私はもってのほかだと思います。もっと具体的な資料を出してもらいたい。もし必要があれば秘密会にして、その内容をはっきりなさい。それでなければわれわれはこの審議を進めるわけには参りません。話はついているわけだ。必要ならば秘密会にしたってよろしい。もっと具体的にお話あってしかるべきですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/20
-
021・河野一郎
○河野国務大臣 ただいまの森林鉄道のことにつきましては、後刻林野庁の長官から詳細に説明をさせるようにいたします。その他の補償の点につきましては、御承知の通り地元の水没地関係等のことにつきましては、さきにも申し上げました通りに、佐久間ダム等の例によってこれを物質的には解決をいたそうと考えておりますし、さらにまた今後の営農関係等に支障のないように、これらにつきましては適当な場所において適当に経営のできるように、親切に取扱いをして参るように指導をいたして参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/21
-
022・足鹿覺
○足鹿委員 それはもちろんその通りなんですよ。おっしゃる通りです。それ以外の御答弁はあろうとは私ども想像しないのです。問題は具体的に、たとえば土地を失い住居を水没によって失う農民が他の地区へ移住をする。これに対しては受け入れ措置等について万全を期せられるることは当然なんです。しかし一面において耕地は失うが家だけは残るという農家もあるのです。耕地の半分を失う者も出てくる。現地について見ますと、ほとんどあの地帯は、実際問題として森林に依存しておる。営農ということはもちろん必要であるが、森林に依存しておる。従って耕地を全部補償してもらってもそれだけでは食えない。従ってこの森林労務に長年従事して生計を立てておる現地のいろいろな声を欄いてみると、他へ移住する者の受け入れの保証、また現地に残った者の営農その他生活上の脅威を受けないための措置ということについて、国有林の払い下げの用意があるやいなやということは一つの問題になっておる。これは自治庁の長官がお見えになれば別に聞きますが、村の財政も王滝村はほとんど参ってしまうという話です。あとの三岳村は水没農家というものはごく少数ですから、直接大きな村政への影響はないと思いますが、王滝村自体はほとんど村政が成り立たないような事態になってくる。そうした場合に地方自治体そのものとその住民に対する措置というものは、移住の農家と同様にその措置が講じられなければならぬ。ところがやるといってみても限られておる。現地へ行くと、農林省の事務当局は、酪農を奨励して牛を入れて営農をやるように考えているなんていうような、きわめて雑駁な話です。ところが、それでは酪農をやるだけの必要な森林その他の資源があるかというと、必ずしもそうではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/22
-
023・綱島正興
○綱島委員 足鹿委員、なるべく大臣に集中して、根本方針だけにして、事務的なことは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/23
-
024・足鹿覺
○足鹿委員 事務的ではない。根本なんです。そういう点について、大蔵大臣なり農林大臣は、事前に完全な意見の一致を見ておるはずなんです。だからその基本的な対策資料を出してもらいたい。その問題について、こういう点についてはこういうふうにきめておるが、しかしそういう現地の声があるならば、これはこういうふうに考えてもいいとか、もう少し大蔵大臣としては、財政を預かられておる関係から、責任のある措置等も聞かないと、おそらくこの問題は、かりに何ぼ法案を通しても、実際問題について行き詰まっていきますよ。だから私どもはこの問題について、まず現地の調査をしなければおそらく審議をすることはできないだろう、こういう見地から、この間四日間にわたり調査をやってきたのです。ですからそれに対する確たる政府の所信と対策、措置というものの基本と、その根拠が明らかにされなければ、この審議は停頓せざるを得ないと思うのです。現地においてもその資料の提供を幾たびか私どもは要求しておるが、その問題については極秘を要するという話です。秘密を要するならば、外部にこれが漏れて事業に支障があるということであれば、秘密裡に、そのために必要な措置をとればよろしいのであるが、基本的な問題については、やはり明らかにしてもらわなければだめだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/24
-
025・河野一郎
○河野国務大臣 私は足鹿さんのおっしゃることがよく理解できないのですが、基本的な問題、基本的な問題とおっしゃいますけれども、基本的な問題といたしましては、こういうものについてはおよそ前例もあれば、他にもこれに基準としてとるべき例がある。たとえば私が申し上げました通りに、近接したところに佐久間ダムの前例がある。農林省その他政府としては、国営開墾その他電源開発等においてこういう事業をやっております。そういうものに例をとりまして、これを現地に当てはめて、そうして現地の住民諸君の理解と協力を得てやるべきものであって、これに必要な予算は当然とるべきものである、こと私は考えるのであります。基準とおっしゃいますが、基準はそういう基準でやるのであって、なおこれは個々についてお話し合いをしなければならないし、御納得も得なければいけません。昨日も参議院で土地収用法その他のことを考えろということでございましたから、そういうことを考えずに、完全なる理解協力を得ることに、われわれといたしましては万全の努力を払って解決をして参る所存でございますと私はお答えいたしました。そういう決意をもって臨むのでございまして、別に秘密会で申し上げなければならぬことも考えておりませんし、あくまでもわれわれは、地元の方に非常に御迷惑をかけるのでございまするから、この御迷惑をかけることに対する賠償、さらに先ほど申しました通りに、物質的賠償にとどまらずに、精神的にも、あらゆる面において御協力御納得を得てやるべきものなりと考えておるのであります。これに資金が必要であれば、むろん大蔵大臣がこれに御異存があろうとは私は考えておりません。これは政府一体となって解決しなければならぬことであります。必要な処置はとって、円満に遂行すべきものと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/25
-
026・綱島正興
○綱島委員長 足鹿委員、大蔵大臣は参議院の本会議に呼ばれておりますから、なるべく大蔵大臣を主に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/26
-
027・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、佐久間ダムの一つの先例があるということを盛んにいわれるのでありますが、その佐久間ダムの補償関係の資料をただちに出してもらいたい。何も秘密を要しないというなら、用意しておるだろうと思う。それが基準だというなら、その点においては大蔵大臣も――その佐久間ダムの補償が妥当であるかどうかということは私どもは存じません。検討してみなければわかりませんが、大蔵大臣はそれを基準としての一つの話し合いはしておる、こういうわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/27
-
028・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 佐久間ダムに限りませんが、こういう事例が幾多ありましょう。今度この場合をきめる場合にそういういろいろな事例を考えて、そして一番適応した公正な補償ができるように、こういうふうに私は考えております。一方がどうだから、すぐそのまま一方に持っていく、そういうことは考えておりません。これは一例でありますから……。これは結局国民負担になるのでありますから、全体の税金でまかなうことになるのでありますから、国民負担、全体の国民の立場も考えなければなりません。最も公正な補償を私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/28
-
029・足鹿覺
○足鹿委員 まだ質疑はありますが、大蔵大臣に対して他の同僚委員から御質問もあろうと思いますので、一応この辺で留保しておきます。あとの問題はまた後ほどいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/29
-
030・綱島正興
○綱島委員長 関連質問の申し出が二つありますけれども、川俣委員が順序ですから、一応川俣委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/30
-
031・川俣清音
○川俣委員 私はこの際大蔵大臣にのみ限って三点ほどお尋ねいたします。
第一点は、こういう事業はいわゆる継続事業として予算支出をしなければならないものだと思うわけです。そうでないと、これは六年で完成できる予算が裏づけになりませんと、七年になり八年になりということになりますと、経済効果が非常に薄くなるばかりでなく、負担が増大して参りますために、主としてこういうものを必要とするところから、財政法の改正をいたしまして、継続事業費という新しい制度を認めることになったわけでありますが、こういう事業については、継続事業質的支出をなさるお考えでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/31
-
032・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お説のように、これは継続事業でやりまして、なるべく計画通りに実現をはかりたいと考えておりますが、これを継続費にいたす考えは今のところはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/32
-
033・川俣清音
○川俣委員 公団自体は六年の一つの事業計画を立てて事業を営むわけであります。これの裏づけをいたすべき国の支出または財政上の支出は、これに見合った継続事業費的支出が行われなければならないと思うが、その点はどうか、こうお聞きしている。どうもあなたの答弁は少しはずれている。そういう予算の組み方をされますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/33
-
034・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私の考えは、一応これは継続的に五ヵ年なら五ヵ年で完成をさせる、こういうふうに考えておりますが、これに限りませんが、このほかにも似たような計画が北海道その他東北方面にも起っております。いろいろの点もあります。それで所要額がなかなか大きいものですから、やはり全体との調整も考えるという意味において毎年考えていく、こういうふうに今私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/34
-
035・川俣清音
○川俣委員 そういたしますと、この事業全体を大蔵省は必ずしもお認めになっておるわけでない、これは六ヵ年計画で経済効果の現われるような計画なんです。これを国の予算上から、この計画と別な支出計画が考えられるということになりますと、この計画と国の財政計画とは違ったことが出てくる、こういうことがあなたの言葉から出ているわけです。違わないというならば、国の一定の支出であるところの継続事業費でお出しになってもいいじゃないか。ところがそれでは国の予算の制約を受けるから継続事業費的支出はしない、こういうお考えだとしますれば、この事業は六年間に達成することが必ずしも可能ではないということを財政面から主張される、こういうことになるのでありますか、どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/35
-
036・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この六ヵ年の計画に関しては、それが必ず実現をするという考えを財政的に持っておるのでありますが、これはやはりそういうふうな効果をねらっておっても、毎年一応考えてみる、こういうふうな措置をとることは財政当局としてやむを得ない考え方であると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/36
-
037・川俣清音
○川俣委員 ですから国の財政を主にして考えてみると、六年では完成できないということがあなたの頭の中で予想されるということです。なぜかというと、継続事業費的支出はしないということになると、――継続事業費的支出を裏づけするならば、六年で完成できるということになるのです。その裏つけをしないということになると、六年では完成できないということをあなた自身がお認めになるのではないか、国の財政状態によって所要額があるいは出ないかもしれぬ、こういうことになるのですから、国の財政の全体の見合いによって予算的支出をする、そっちが重点であるということになると、六年ではできないということを明らかにしておる。もし六年でいいということになりますと、継続事業費的支出をここに公約されてもいいことになる。それをしないということは、六年間に完成できないということをみずから大蔵省がお認めになることではございませんか、いずれですかと聞いておる。明確に答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/37
-
038・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 六年の計画を認めぬというのではありませんで、これはいいのでありますが、しかしそれだからといって継続費にしなくてはならぬというわけでもないのでありまして、毎年考えても私は差しつかえない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/38
-
039・川俣清音
○川俣委員 大蔵大臣、少し考え違いをしておる。継続事業費的支出をするということは、義務を負うということである。六年間に完成させるという義務を負うということが継続事業費的支出である、こういうことになるわけです。義務を負わないということになると、それはこの事業よりも国の財政ということを主体に考える、こうなるわけです。国の財政を主体に考えれば、六年ではできないかもしれぬということになる。どうしてもこれは六年間で完成するという決意でありますならば、財政上どんなやりくりをしてもやるということになれば、継続事業費としてお出しになればよい。その負担が負いたくないということになると、六年間ではできないということになるのは明らかであります。子供でもわかる。そんなむずかしい議論ではない。どっちをとるかということを聞いておる。私はいろいろな国の財政状態からいって、あなたの言葉から六年間ではできないということが想像される。やるというなら、継続事業費でやるのが当然である。大蔵大臣でなくてもほかの大臣でもこれはわかりますよ。むずかしいことを議論しておるのではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/39
-
040・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私はそういうふうに結論を飛躍されぬでもいいと思うのです。六年で完成するという、そういう予算も考えるが、それかといって、財政当局が毎年全体の財政上の関係も考えて、それを考えるゆとりをそこに残しておくということもやむを得ないと思う。それだからといって、六年でできないと言い切ることもおかしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/40
-
041・平野三郎
○平野委員 時間がありませんので、大蔵大臣に限ってお尋ね申し上げますが、先ほどの足鹿委員の質問に関連して、森林軌道の問題でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/41
-
042・川俣清音
○川俣委員 今の私の問題に関連するということだったから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/42
-
043・平野三郎
○平野委員 川俣委員の御質問にも関連しまして、お尋ね申し上げるのですが、森林軌道が水没をいたしまするが、これに対する補償は愛知用水公団で補償されるのか、あるいは国有林特別会計でされるのか、まずその点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/43
-
044・河野一郎
○河野国務大臣 公団でやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/44
-
045・川俣清音
○川俣委員 第二点は、大蔵省はすべての事業をやる場合に、経済効果がすみやかに現われることを重点に予算配置をする、こういうふうに常に表現されておる。この緊縮の予算の中においては経済効果の最もすみやかに現われるもの、しかも経済効果の著しいものでなければなるべく予算はつけない、こういう方針をとっておられるのですが、これも今までと変りないと思う。そこに関連してこの六年が七年になり、財政上八年になるかもしれぬということになると、これは経済効果の現われ方が非常におそい事業なのです。もっと国の中においては、食糧増産の上から見ますと経済効果のすみやかに現われる問題はたくさんある。おそい方を今度は先にして、早い方をあとにするというのはどういうわけなのですか。大蔵省はこの問題に限って急に態度をお変えになったのかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/45
-
046・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この愛知用水の経済効果についてでありますが、これについては前の政府等におきましても、世界銀行の人なんかを招いて長い間十分研究をして、そうして具体的な計画になりまして、こういうときに外資の援助もある、こういうことでこれはやっておるのでありまして、その経済効果については、総体的にいろいろな点を考えてみると、やはりこれはやるべきだ、こういうふうな結論になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/46
-
047・川俣清音
○川俣委員 何人が見ましても、農政上から見てこれは経済効果がおそいということは明らかである。もっと早くこの食糧増産の上に寄与でき、効果がすみやかに現われるものがあることは何人も認めておる。これがすみやかに完成するならば確かに効果が現われることはわれわれも認める。ところが継続事業費でない、いつ効果が現われるかわからないというような計画だということになりますと、今財政上困難なときにこんなものに多大の金をつぎ込むことはどうかということは、当然大蔵当局から疑念として持ち出されなければならぬはずだと思う。これは議論する時間がないからこの程度にしておきます。
次にお尋ねしたい。これは従来の通りの国営事業としないで、公団にこの事業をやらせるということになります。それに大蔵省も同意されたのですが、どういう剛山なのですか。従来の国営事業より公団の方がよろしいというふうに同意されました大蔵省の見解はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/47
-
048・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は公団式でやるのが最も効果的であるというふうに考えまして同意をしたわけでありまして、なぜ公団式にすれば最も効果的であるかは農林大臣から詳しく御説明があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/48
-
049・川俣清音
○川俣委員 これは大へんな問題です。国営事業でやった方がよろしいか、公団でやった方がよろしいか、それは農地法にも触れる基本の問題なのです。今まで農地法を作って、国が多大の経費をかけて自作農民にしました理由のものも、この公団制度によってその趣旨が侵されていくというような用大なことなのです。それなのにあまり検討も加えられずに、国営事業でなく、公団でよいというふうに簡単に同意されたという理由が薄弱でありますが、もう少し明らかに大蔵当局の見解を伺いたい。農林大臣の見解はあとでよろしい。大蔵当局の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/49
-
050・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは全体に関係がありますから、私が公団になった理由を御説明申し上げます。これはひとり農林関係の仕事だけでなく、水道あるいは工業用水等、あるいは電力、いろいろな方面の関係事業がこれに包含されておりますから、これは公団ですることが一番穏当だろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/50
-
051・芳賀貢
○芳賀委員 関連して大蔵大臣にお尋ねいたしますが、愛知用水公団も、それから農業機械公団の場合においてもシステムは大体同じなのですね。特に特色のある点は、どちらも外国資本に依存しておる。世界銀行の借款により、余剰農産物の円資金のもとに依存しておるというところに問題があると思う。そこでこれが六ヵ年計画でこの半ば長期的な事業を実施する場合においては、明確な財政的裏づけというものが果して確立されておるかどうかというところに問題があると考えるわけであります。それで政府のお出しになった計画書等によっても、昭和三十年度の分は明らかになっておるけれども、三十年度以降はこれだけ必要であるということが示されておるに過ぎない。そこでお尋ねしたい点は、たとえば世界銀行の借款の場合においては、すでに正式の借款の契約等が締結されておると思うわけですが、その内容は今お示しになることができますか。
〔委員長退席、中馬委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/51
-
052・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この世界銀行の借款はまだできていないのでありまして、今度公団ができてから初めて公団が対象になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/52
-
053・芳賀貢
○芳賀委員 借款の契約はできておらないのですね。これは未確定のものであると考えて差しつかえないのですか。海のものとも、山のものともわからぬもので仕事がどうしてやれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/53
-
054・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 打ち合せは済んでおるのであります。ただ公団ができた上で正式にそうなる、そういうふうに御了解を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/54
-
055・芳賀貢
○芳賀委員 そうであるならば、今の段階における打ち合せの内容というものを具体的にお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/55
-
056・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 打ち合せがまだ全部済んでおるというわけではない。大体今進行しておる。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/56
-
057・芳賀貢
○芳賀委員 それはいつ済むのですか。大体今年中ですか、来年ですか。その打ち合せは、これは実に重大じゃありませんか。法案だけ出して、全然中身のないような空疎な計画であり、財政的な措置でもって、法律だけ今国会中に通したいというのはけしからぬ。いつまでに世銀との借款の契約を結ぶのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/57
-
058・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 公団ができますころには、大体の打ち合せが済みまして、借款もできる、かようにお考え下さって間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/58
-
059・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、世銀の態度は、この二つの法案が成立したならば、急速に借款の取りきめをやる、こういう条件がついているのですか。この法律が通らなければ話し合いは進められないと、向うは言っておるのですか、その点はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/59
-
060・河野一郎
○河野国務大臣 今の点は、大体世銀との下打ち合せはできておりまして、公団が発足いたしますれば、公団との間に取りきめをするということであります。借り入れの主体がまだ確定いたしておりませんから、結論は出していない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/60
-
061・芳賀貢
○芳賀委員 財政的な問題はむしろ農林大臣の方が先ばしって答弁なさっておるようでありますが、これは大蔵大臣は政府を代表して答弁をする能力を失ったのですか。
次にお尋ねしたい点は、余剰農産物の資金融通特別会計法というものが、二十二日の衆議院本会議においては成立しておるわけです。これによりますと、一応余剰農産物の資金融通特別会計は、余剰農産物二百十四億の見返り円をこの特別会計へ納めて、そうして業務を営むということになっておる。ですからこれは当然その歳入歳出の計画というものをすでに整えておると思う。そこでお尋ねしたい点は、アメリカの余剰小麦を押しつけられて、その売上代金をもってこれに充てるということになっておる。そうしますと問題は、特別会計ができ、公団ができて、事業を始める場合においては、当然資金の需要が必要になってくるわけです。そういう場合に、この特別会計はいつから具体的に回転ができるのか。たとえば北海道の機械公団の場合においては、すでに降雪期前に幹線道路等を作って、機械がそこへ入るようにしなければならぬ。これは小麦が売れてからこの金ができるのだということになると、これも非常に不確定な財源だということになるわけですが、この見返り円関係の特別会計は、具体的にいつごろ樹立して、これが運用できるようになるか、その点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/61
-
062・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 いろいろおしかりを受けたのですが、実は世銀との関係は農林省でおやりになっておるから、農林省が詳しいのであります。それからいつ発足するかという問題は、これは法律が通りますれば、五十億の借り入れ限度まですぐできる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/62
-
063・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、その特別会計は五十億の借り入れを行って、そうして業務を開始するということなんですね。
それからもう一点お伺いしたいことは、これは愛知用水にしても、北海道あるいは上北の農業開発にしても、これも究極の目的は食糧増産を目途としてやるわけですね。ところがたとえば世銀の借款は、ほとんど向うの時代おくれな機械を売りつけられることになる。一方において余剰農産物、これもまたアメリカの余った小麦を高い値段で押しつけられておる。こういう一つの特殊性を持っているのです。この一つの特殊性と、日本の意図しておる国内における食糧の自給度の達成、こういうものとは、非常に対蹠的であるというふうに私は考えておる。しかし問題は、ただ世銀の金を借りて機械さえ入れればいいということではなくて、とにかく営農設計というものが完全にできて、将来開墾ができ上って、そこに入植した者が発令に農業者として自立できるという見通しが先に成り立たなければ、この事業というものは進めることができぬと思います。こういう今度の公団方式というものが、果して営業設計を具体的に確立したそういう見通しの上に立ってこの計画を進めようとするのか、とにもかにくも機械を入れて開墾だけすれば、あとはもうどうなってもかまわぬというような考えで、これを進めていこうとせられるのか、この点は非常に重大な問題であるので、特に財政当局の立場における見解を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/63
-
064・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そういうことは十分考えてやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/64
-
065・芳賀貢
○芳賀委員 先ほど他の委員も繰り返して発言されたわけですが、この世銀借款にいたしましても、余剰農産物の資金にいたしましても、これは外国の資金に依存しておるわけです。ですから相手があって話し合いの上で借金をしなければ、これはやれぬことになるわけです。六カ年の長期にわたって確実にこの計画の裏づけになるために、常にこちらの希望通りに、外国のこのような特質のある資金を確実に導入されるかどうかということに対する見通しは、どういうように持っておられるか。これが中途半端になると重大な問題になると思う。この点は現在の政府の責任において、所見を明確にされる必要があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/65
-
066・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私としましても、今農林省でお考えになっておる三百億円、こういうふうな計画で愛知用水をやるということについては、十分資金的に見通しを持ってやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/66
-
067・中馬辰猪
○中馬委員長代理 久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/67
-
068・久保田豊
○久保田(豊)委員 大蔵大臣に二、三点御質問いたしたいと思います。
第一に、さっきのお話一では、この事業に対する資金の一計画あるいは予算の計画は、継続事業的には考えておらぬということです。しかしながらそんなばかなことはないと思う。世銀が金を貸すときに、これは十年たっても十五年たってもいいというというような金の貸し方をするはずがない。それでは公団というものは成り立たない。また同時に農民の負担というものは、始終非常なでこぼこが出て参ります。従って大蔵大臣としては、少くともこれに関連する予算この予算は百十七億でありますが、補助金予算、これだけは絶対六年間に出すという決心がなければ、この仕事はできないはずですし、世銀にうそを言うことになる。この点が第一点。
第二点は、今政府資金として出すべき予定のものが百四十九億、これは大体において政府の当初の計画では、余剰農産物の売り渡し代金を例の余剰農産物の特別会計に入れて、これから出すという計画だろうと思う。この点について問題が一つあると思う。それは何かというと、第一期と今年の二百十四億については、これはおそらくアメリカとの話し合いの上だという今までの説明ですが、農業関係においてはわずか三十億、電源開発は百八十億ということになっておる。こういうことではおそらく一般の他の農業土木関係の予算を次年度以降食い込まざるを得ないと思う。本年度においてさらに六千何万ドルの余剰農産物の受け入れ計画をしておる。政府としては来年度においても有利ならやるということを、ほぼ農林大臣も大蔵大臣も言っておる。少くとも日本の農業にアメリカの余剰農産物を持ってきて――これは農林大臣の見解だとそうではないが、われわれ農民からいえば、直接であれ、間接であれ、これは日本農業に対する圧迫になる。この圧迫をあえて忍ぶというのは、こういう金がまだその罪滅ぼしというか、何というか、穴埋めに多少とも使えるならいい。ところが最近の情勢では、農業関係にもなるべく入れる、同時にある面においてはこれを兵器産業の方にも振り向ける、農林大臣は肥料の合理化資金にもこの方を振り向けたらどうかということを発表したと新聞にも出ておる。こういう日本の農業に対する大きな圧迫を土台にしてできた金が、日本の農業の進展には何ら役立たない。そのうちの一部だけがおすそ分けになる。しかもそれらの計画が今の大蔵大臣のお話では、その年その年の予算によって決定をするのだ、こんなことで、こういう日本で初めてのあらゆる面においてよいにせよ悪いにせよ大きな意味を持つ農業土木大事業というものが、そういうふらふらな不安定な計画のもとには成り立たぬと思う。この点について私は大蔵大臣にはっきりお伺いする。第一点はさっき他の同僚委員からも聞かれたように、これは少くとも六ヵ年計画で、形はどうであれ実質的にはいわゆる継続事業費的な支出をしてもらわなければならぬ。その内容は少くとも国の補助金の百十七億はこれにはまたあとで触れますが、少くとも現在予定している百十七億についてはこれは出さなければならぬ。また同時にあとの百四十九億の資金についても、アメリカの余剰農産物の受け入れがあった場合に、これを本年度ぐらいに、三十億ぐらいに切るのか、あるいは百四十九億というものを今後二年間に優先してこれに振り当てるという措置をとるのか、あるいはそうでなければ、それ以外の一般の農業の土地改良その他についての資金の圧迫をせずにはっきり確保するのか、この三点を明確にしていただかなければこの計画は画餅に帰するおそれがあると思う。大きな犠牲と同時に大きな希望を乗せたこの事業が根本から財政計画的にだめになる。この点を一つはっきり大蔵大臣から――他の点についてはまた別に保留いたしましてあとでもう少し詳しく閥きますが、大蔵大臣から特に御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/68
-
069・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 継続事業的に考えていく、これは異論はないのであります。これは先ほどから申した通りであります。ただ継続費ということにはしない、こういうふうに申し上げただけで、従いまして、これは継続事業的に考えて六ヵ年で完成いたしますように努力を払っていく、こういうふうに申し上げたのであります。
それから余剰農産物等の財源の配分に関することでありますが、今年は三十億が食糧増産費に向けられることになっておりますが、これは具体的に農業の方にも計画がすぐに差し込んでいく、愛知用水等のために必要なのでああいうふうになったのであります。これは高碕君が直接交渉の任に当ったのですから一そう詳しいと思いますが、私はそういうふうに考える。特に電源開発に百八十二億入れましたが、これは今年電源開発に非常にピークがきまして資金がいるという点、同時にまた電源開発ということと食糧増産ということが、無関係のものであってはならぬだろう、こういうふうに考えておるのであります。そういう意味であります。しかし来年度におきましてはしばしば私ども農林大臣を初め、経企長官――経企長官は今直接に交渉に当られているようでありますが、少しこういうふうな配分については考え直してもらわなくらやならないというふうにいたして、大体できるだけ御希望のような線に沿っていくだろうと私も考えているわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/69
-
070・川俣清音
○川俣委員 一点だけ。この事業は非常に画期的な事業でありますために、水利権の問題について検討しなければならないと思うのです。それは日本の水利権の慣習は下流にあった。ところが世界の法律を見ますると水源地にある。水源で下流に売るという建前をとっておる。従って水利権を持っておるところは治山治水の責任を持っておる。ところが日本は下流に水利権がありますために上流の水源地に対する治山治水の費用は水利権を持っておるものが負担してない、これは国が負担している。そこでこの治山治水を完備しなければこの事業が成り立たないのでありまするから、治山治水事業を当然含んだ計画が立てられなければこの事業というものは完成しないと思う。その点はあとで経企長官に尋ねます。そこで大蔵省は、この水源地の治山治水についてどれだけの経費を注ぎ込む予定をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/70
-
071・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これはその関係大臣からいろいろと御計画が出、御相談もありましょうから、そのときに一つ考えることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/71
-
072・川俣清音
○川俣委員 この濁川という一番大きな水源地になっておる所は、前々から治山治水の要求が出ておるのですが、大蔵省はいつも削減をしておるのです。それで土砂が流れてきて、もうあそこの関西電力のダムが二つだめになっているのですよ。もしもこれが決壊すると、今のこのダムに土砂が流れてくることは明瞭なんです、三十二年のときに流れておるのですから。これにたまってくるのです。この治山治水をやらない計画というものは机上の空論みたいなものです。砂上の楼閣といわれるようなものです。金をかけて何ら意味をなさないダムを作ることになります。従って治山治水をおやりになる計画がこれに伴うのでなければ、完璧なものとは言われないはずなんです。予算をお作りになって、この経費を公団に持たせるか国が持つかということをおきめにならなければならぬと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/72
-
073・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは関係各省ともよく話し合いをしまして考えてみることにいたします。お説の点はよく承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/73
-
074・川俣清音
○川俣委員 私の聞いておるのは、公団に負担させるつもりなのかあるいは国が負担をするつもりなのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/74
-
075・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それは私の考えでは国が負担することになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/75
-
076・久保田豊
○久保田(豊)委員 大蔵大臣にこれは抽象的な問題でありますが、一つ心がまえをお聞きしておきたいと思います。それは何かというと、今度のこの事業で、日本の土地改良事業というものの内容、規模が一変しておると思う。従いまして、今後この手の国営その他でやります大きな事業というものは、外国の新しい、日本にはかってなかったような機械が入ってきて、規模も大きくなってやるようになる。必ずなる。これがまた日本の農業土木の大きな進歩になると私は思う。従ってこの種の事業が今度出る場合におきましては、いずれもこれに似たような大きな資金の、しかも継続的な必要が必ず起ってくる。日本の土地改良の現状では、そういうふうな面が一面あると同時に、小規模の土地改良もどしどしやらなければ増産効果は出てこない。そこで、こういう手の事業が今後どしどし出てくると――また出てくることはいいことでありますが、これに対してはっきりした、資金需要を国内的にまかなっていくというお気持と同時に、そっちに金がかかるから小規模のところを切って落すということになったら、日本の農業生産力の発展というものはいびつになってしまう、この二点をどう調和していくか、これが大蔵当局に対する質問です。農林大臣はもちろんこんなことは考えておると思うし、経企長官も、これだけのことをやるならこのくらいのことは考えなければ困ると思う。従ってこれは結局、今年の予算を見てもわかる通り、大蔵大臣のこういうことに対するわかり工合だと思う。はなはだ失礼な言い分ですが、今までの御答弁を聞いたところでは、百姓のことはよくわからぬようです。日本の農業全体の方向をどっちに持っていったらいいかわからぬようです。うしろにおられる大蔵省のお役人さんもよくわからぬようです。こういう日本の農業土木の持っていき方に対する大きな変化が、この事業を契機にして起る。機械公団についても同じであります。これに対して、今までのような農業土木に対する査定方針でなく、確固とした方針をお持ちになっておるのかどうか。今までのようにちょっとむずかしいことになれば、農林大臣の方が詳しいからそっちで聞いてくれ、アメカリとの交渉は高碕経企長官がやっているからそつちで聞いてくれ、私はできるだけ金を出すつもりだ。こんな程度の認識では困る。この点をはっきり、抽象的な論議になりますけれども、大蔵大臣にお尋ねをし、また確かめておきたいと思う。いずれのお考えをおとりになりますか。はっきり御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/76
-
077・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御注意を受けまして大へんありがとうございますが、私としてもむろん日本の農業の将来について確固たる方針がないわけではありません。しかしやはりそれぞれの所管がありますから、答弁等については最も効果的に御答弁を願った方がよかろうという意味でただ申し上げたのであります。何も私が答弁を回避したわけではございません。なお御注意のように、十分今後勉強いたします。
〔中馬委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/77
-
078・綱島正興
○綱島委員長 芳賀君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/78
-
079・芳賀貢
○芳賀委員 経企長官にお尋ねいたします。今回の愛知用水並びに農業開発機械公団については、やはり六ヵ年計画なんですね。それと政府の持っておられる長期経済六ヵ年計画とは不可分の関係があると思う。かかる画期的な構想を持った農業開発の将来に対する見通しと、長期経済六ヵ年計画との関連の中において、これは単に愛知用水並びに北海道の篠津、根釧、青森の上北の開発だけにとどまるとは考えられない。これを一つの基盤にして、その成果の上に立って今後どこまでこれを拡大発展させるという計画というものは当然あると思うのです。ですからそういう点に対する長官の計画の内容に対する、できるだけ具体的な説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/79
-
080・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまの御質問でございますが、経済六ヵ年計画におきましては、六ヵ年後に米麦換算として千三百万石を作らなければならぬ。この計画は曲げることはできないのであります。ところがこの計画を遂行しますにつきましては、根本的に言えば土地を作るということは非常にけっこうなことでありますが、これには大へん大きな金がかかりまして、かりに一石について三万円かかっても四千億という大きな金がかかるわけであります。国家財政の許す限りにおきましては、造地計画から作るのが当然だと思いますが、その財政が許さないときには、やはり国の食糧増産ということを中止するわけにはいきませんから、そのときにはできるだけ金のかからない方針をとって、予定通り増産をいたすべきものだと存ずるわけであります。今回の愛知用水の問題につきましては、これは非常に大きな初めての計画でありますし、同時に開発機械公団、これは農業土木の新しい一つのエポックを作るものだと存じますか、こういうふうなことによりまして、もし耕地を造成することが安く上る、また知期間に上るということになれば、これは非常にいい結果をもたらすものだと存じまして、これには大きな期待を持ってやっておるわけでございます。先ほど大蔵大臣に対する御質問に、世界銀行の取引ということがありましたが、これは一回きりのものでありまして、大体一千万ドルを借りることになっておりますが、これの機械は古い機械を押しつけられるだろう、こういうふうな御心配があったようでありますが、御承知の世界銀行というのはアメリカの銀行ではありません。あれは世界の銀行でありまして、日本も大きな株主の一人でありまして、彼が機械を買う場合には、世界の優秀なものを入札によって買う、こういうことが規則になっておりますから、これは決して悪い古い機械を押しつけられるという心配は全然ないと考えます。日本でできるものは日本でできますが、日本でできないようなりっぱな機械をこの世界銀行の借款によって持って参りますれば、これは日本の農業土木に対する一つの大きな革命を来たす、こう存じておるわけなんであります。そういう意味におきまして、この愛知用水公団にいたしましても、今度の開発機械公団にいたしましても、食糧増産六ヵ年計画に対する食糧増産の一つの手段といたしましては、非常に重要なる役割をするものとして、これを認めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/80
-
081・芳賀貢
○芳賀委員 特にここでお尋ねしたいのは、機械開墾の問題なんですが、機械化による一つの開墾形式というものは公団が主体になってやるわけであります。そこで政府の率直なる見解をお伺いしたいのですが、今日におけるこういう未開発地帯のいろいろな立地的な条件は、非常に劣悪だということは否定できないわけであります。こういう地域を開発するという場合においては、これはやはり構想を大きく転換さして、国営的な、国家が責任を持ってこれを開墾するというような構想の上に立った機械化開発というようなところまでいかなければ、ただ一応世銀の借款によって機械を買って、あとのやり方というものはほとんど受益者の負担で、国の負担分というようなものは既存の形式を採用するというようなことでは、徹底したやり方はできないのではないかというふうに考えるわけです。ですからその辺を十分御検討になってやっておるかどうか。それでお伺いしたいのは、たとえば北海道における根釧地区の機械開墾の場合においては、これは試験地区としてやられるのか、これはもう見通しが完全にあるから、いわゆるパイロット・フアームとしてやるのか、かかる見解というものはどこにあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/81
-
082・高碕達之助
○高碕国務大臣 さしあたりの問題といたしまして、北海道にはパイロット・プランとしてやってみる考えであります。それから御説のごとく、開発機械公団というものは単に機械を持っておるだけでありますが、これの運営につきましては、今のお話のごとく、まだどうしても国家としてやらなければならぬということになれば、その場合には別の公団を作って、国家の、施設をもってやるべきものだと私は考えておりますが、今はそこまではまだ計画はいたしておりませんが、さしあたりの問題として、アメリカの機械を持ってきてやればどの程度にいくだろうかということを知りたい、こう存じまして、パイロット・プランでやりたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/82
-
083・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、世銀の借款は、長官の御説明によると、一回限りでこれをとどめる。そうなるとあと問題になるのは、余剰農産物の円資金をどの程度に長期計画を立てて借り入れする考えでおるか。この六ヵ年計画の中ではどういう構想を持っておるか。余剰農産物に依存するという度合いは、これは今後の食糧増産の推移と非常に関係があるわけです。食糧増産の実が上れば、余剰農産物をそれほど買い付ける必要がないという必然的な結果が出てくる。そういう場合には、その余剰農産物に依存することはできないような条件がだんだん国内に醸成されるわけですが、その六ヵ年計画内における見通しとか、そういうものはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/83
-
084・高碕達之助
○高碕国務大臣 余剰農産物の買入れという問題は、資金計画とは切り離して考えていきたい。従いまして日本の全体といたしまして食糧が絶対輸入しなければならぬものだ、こういうことの前提のもとに、その必要欠くべからざるものを持ってくる、これが主眼でございまして、幸いにこれによって見返り資金が得られますれば、これは長期に低金利に借りられますから、こういう方面の農業開発等に充当いたしたいと存じます。これがない場合においてはどうするか、こういう問題でございますが、そのときには、食糧増産ということはこれを中止するわけにはいかないのでありますから、この資金のよけいかからないような方法で短期的に効率の上る方面に変えても食糧増産は遂行いたしたいと存じますが、幸いに見返り資金が本年も来年も、また明三年も得られますれば、この計画遂行については非常に容易になって参ります。同時にまた多少金はかかっても干拓をするとか、そういった愛知用水に準じたようなものもやっていけるだろう、こう存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/84
-
085・芳賀貢
○芳賀委員 ただいまの長官の御説明によると、たとえば見返り資金のこの公団に対する投入分は、これは原則的なものではないということなんですね。たまたま今年度は財政上余剰農産物の円資金をこれに用いるけれども、これは必ずしもこの方式でいかなければならぬという原則的なものではなくて、こういう資金に依存しなくても、これは長期にわたってこういうような一つの構想のもとに農業開発をやるのだ、そういうふうに理解して差しつかえないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/85
-
086・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまのお話の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/86
-
087・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、先ほど各委員からお話のあった、これは長期に継続して行う農業開発の事業であるということが立証されるわけですね。それに付随する費用は、これを継続費と解して差しつかえないのでありますか。大蔵大臣は、事業は継続だけれども、支出は継続費にならぬと育ったけれども、継続して行う事業に付随する費用の支出はやはり継続費であるというように解釈して差しつかえないと思うのですが、長官の御見解はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/87
-
088・高碕達之助
○高碕国務大臣 これを法律的に継続費でどうこうということについて、三年、四年、六年先をどうやるのかと言われる御質問には、これは財政当局としては答えられないのだろうと存じますが、しかしこの計画を実行いたしますためには、どこまでもこれを遂行し得るように努力していきたい。それで特に愛知用水のごときは、もう着手した以上はこれをどうしても継続していく。その結果食糧増産の方の資金を食い込むというふうなことのないように努力していきたい、こう存ずるわけであります。従いましてあるいは新しい造地をするというような方面に新しく着手することは、これは困難だと思いますけれども、できるだけ資金の要しない――かりに余剰農産物ができないという場合には、できるだけ資金を要しない方面によって食糧増産は遂行していきたい、こう存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/88
-
089・芳賀貢
○芳賀委員 余剰農産物の資金に依存することがない時代ができても、その場合においても食糧増産費に食い込まないというのはどういうことですか。それは従来よりも食糧増産費を積極的に増額して、そのワク内においてやるということなんですか。既存の実績の中でそれを食込むようなことはしないけれども、今までよりは必要量をふやして、そうしてその食糧増産費の中においてもこれを継続するという、そういうお考えなんでか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/89
-
090・高碕達之助
○高碕国務大臣 それは愛知用水自身が食糧増産の一翼をなしておるわけでございますから、ただいまお話の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/90
-
091・芳賀貢
○芳賀委員 ですから食糧増産と切り離すとか何とかいう問題ではないのですよ。もう少し拡大された構想が今生まれてきておるわけです。そうじゃないのですか。これを食い込まないとかいうことになるから、非常に論理が不明確になると思う。さらに今後たとえば八郎潟の干拓の問題であるとか、いろいろの大きな開発事業というものが行われると思うのです。ですからそういうものをやはりこういう公団方式のような形の中において、これを効果的に推進するというような、そういう計画を持っておられるか、それは結局食糧増産費、全体の中における一つの計画であるというように考えて差しつかえないのですか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/91
-
092・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまお話のごとく、これはそういう新しい計画が立つような時期になりまして、これを実行し得るような時期になれば、これはもちろん全体の食糧増産計画の一部であると認めていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/92
-
093・綱島正興
○綱島委員長 中村委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/93
-
094・中村時雄
○中村(時)委員 私は経済的な面を点お聞きして、それから総合的な面を二、三お聞きしてみたいと思います。
まず第一に、今度の本借款の一億ドルというものに対しましては、少くとも御承知のように、グラント分が一千五百万ドル、それから買付分の七〇%、すなわち五千九百五十万ドル、円貨換算にして、二百十四億、それがわが方の借款となり、三〇%、すなわち二千五百五十万ドル、円貨にいたしまして九十一億円、これが大体米側の使用に充てられておるわけてありますが、その借款の使用用途がアメリカ側からは、電源開発は百八十二億、農業開発は三十億、生産性本部へ一億五千万、こういうひもがつけられて、宗全に自主性がない。おまけにアメリカ側で使用するという用途の中には、日本の農産物の買い付けに対する使用用途としてこれがあげられておる。そうなってくると、日本の農産物の使用用途となっておる以上は、この一億ドルの借款に対しては、今後もこれを継続していく意思を持っていらっしゃるかどうか、これを第一にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/94
-
095・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまお話の本年の借款分のうち、百八十三億五千万、それから三十億、一億五千万、こう三つにわけた大体の大ワクにつきましては、アメリカ側と話し合ったのでありますが、これを各部に振り分けることにつきましては、全部これは日本側だけでやっておるわけであります。これは必ずしも自主性がないわけじゃありません。初めの借款をするときには、これを大ワクで何に使うかというだけの話はいたしましたけれども、これは決してアメリカから、こうやれ、ああやれと言われたこともなく、こちらから申し入れただけであります。
それから引き続きまして今後の交渉につきまして、多少考えていきたいと思いますことは、本年度の借款につきましては、米が相当多かったのであります。この米につきましては、幸いに日本も豊作であるし、また東南アジアとの貿易関係等におきまして、できるだけこの米を東南アジアから持ってきたい、こういうような考えで今後アメリカからは余剰農産物として米はもらわないようにしたい、こう存じております。また品種といたしましては、日本の畜産業におきまして、どうしても飼料が足りない、こういうふうな関係から、飼料のようなものを少し入れてもらいたい、こういうようなことをただいま折衝しておるのでありまして、幸いにこちらの希望がいれられば、当然これは本年もやっていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/95
-
096・中村時雄
○中村(時)委員 米の問題であるとか、あるいはアメリカの綿花の問題、あるいは小麦が軟質であって、硬質が非常に不足しておるとか、そういうような側々の具体的な問題については、いずれ農林大臣に対してお聞きをしたいと私も思っております。そこで私のお聞きしていることは、こういう条件で相当の時期、おそらく五年くらいの計画を立てなくちゃならぬと思いますが、その間における借款を依然として継続されるかどうかということをお開きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/96
-
097・高碕達之助
○高碕国務大臣 私どもの条件がいれられしますれば、大体三年間は継続していきたい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/97
-
098・中村時雄
○中村(時)委員 内容は別として今後三ヵ年くらいはこれを継続していきたいという御希望でいらっしゃいますか。その一点はっきりしていただきたい。
次に第二点として愛知用水の問題に入るのですが、この愛知用水事業計画というものは、最上流のダム地点からダム、発電設備と下流用水との関係において、計画上非常に多くのずれがあるであろうということはいろいろ指摘されておるわけでありますが、それに対しまして農林省あるいは建設省、通産省、経済企画庁、これらが十分話し合った結果における立案であるかどうかということをお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/98
-
099・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまお話のごとく建設省、農林省、経済企画庁、各関係官庁がよく打ち合せました結果の計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/99
-
100・中村時雄
○中村(時)委員 しっこくお尋ねいたしませんが、あなたは責任を持ってその発言ができますか。十分打ち合せをし、あなたも参画をし、そしてこの計画を十分検討した上であなたはこの計画を考えたのだ、こうおっしゃることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/100
-
101・高碕達之助
○高碕国務大臣 今後この問題につきましては、公団ができますれば、実行機関があるわけでありますから、そのときにはさらに十分検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/101
-
102・中村時雄
○中村(時)委員 私の言うのは、公団ができた結果十分審議をするということでなくして、農林大臣あるいはそのほかのたとえば建設大臣であるとか、すべての方々が集まって、十分計画をなさってこの計画を発案したものかどうかということをお聞きしておる。あなたは責任を持ってそれが十分相談したものだと言えるかどうかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/102
-
103・高碕達之助
○高碕国務大臣 大体の根本方針につきましては各省はよく打ち合しております。細部につきましてはまだそこまで検討しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/103
-
104・中村時雄
○中村(時)委員 おそらくあなたはその計画の中に、十分細部にわたっては入っていらっしゃらなかったと私も思います。それを非常に正直におっしゃったから私もこれ以上追及はやめます。
第二点として、このダム地点は地質上心配ないかどうか。これは御存じのように、以前においては自発時代に適当でないという断定が下されておったと思う。私にはそういう記憶がある。そこであなたがそういう細部にわたっての云々ということはわからないとおっしゃればそれまでですが、このダム地点に対して、地質上あなたは責任を持ってこの計画が実行できるかどうかということをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/104
-
105・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまお話のごとく、その問題はよく初めから聞いております。それでこれと同じような事実が美幌にあるわけです。美幌のダムの問題、この両方のダムはほぼよく似ておる。地質もいろいろ検討いたしまして、ボーリングもやってみた結果、従前のコンクリートだけでやるグラヴィティのダムだけでは非常に危険がある。どうしてもこれはロックフィルといいまして、岩を積み重ねて非常に大きなダムを作らなければ、非常に大きな危険がある。こうい結論にただいまなっておるわけでありまして、今後はこの美幌のダムと並行いたしまして、今回のダムをロックフイルでやる、これならば安心ができるであろう、こういうふうしな考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/105
-
106・中村時雄
○中村(時)委員 それであなたのお考えそのものと、建設省の方も大体そういうお考えで同一歩調をとっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/106
-
107・高碕達之助
○高碕国務大臣 建設省も同一歩調であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/107
-
108・中村時雄
○中村(時)委員 発電所はこの地点に建設が可能であるかということが一点。私は抽象的なことは聞きません。それから私は、これは相当な落差があると思います。相当の落差があると思われるが、発電機が計画通りつけられるものかどうか。この計画でいきますと、一基になっております。これに対してどういうお考えを持っていらっしゃいますか。もう一点は発電書の設計建設をだれに今後やらすのか。もう一点は、この計画書に出ておる金額で十分できるのか。この四点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/108
-
109・高碕達之助
○高碕国務大臣 細目の問題にわたりましては私は今ここで御答弁することはできません。細目の点につきましては、私自身ここでお答えする数字を持っておりませんから、その関係者からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/109
-
110・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 発電機は七千キロのを二基つけることにしております。これらの工費はただいまのところでは公団が融資いたしまして、関西電力に建設させるという予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/110
-
111・中村時雄
○中村(時)委員 当初からこの計画は二基をつける計画であったかどうか。あるいはこの二基をつけるとすれば、この計画通りの金額であなたはできるという責任を持てるかどうか、これは農地局長にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/111
-
112・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 ただいまの計画はそうなっておりますが、御承知のようにただいまは基本計画の段階でありまして、これをもとにしまして実施設計をやるわけであります。そのときに最も効率あるように、一基にしたらよいか、二基にしたらよいかということをきめます。そのために資金に予備費というものを取っておるので、これは実施設計をやって最終的にきめるがよい、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/112
-
113・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 今農地局長の中村君への御答弁に、関西電力でやらす、こういう御答弁でありましたが、もし関西電力がこれを引き受けなかった場合にはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/113
-
114・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 関西電力との話では、関西電力でやってもらうという話にただいまなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/114
-
115・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 それは了解がついておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/115
-
116・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/116
-
117・中村時雄
○中村(時)委員 これは企画庁長官の方でありますからお尋ねいたしますが、その事業が完成したとして、計画通りの水量、すなわち電力及び用水を含めておるわけでありますが、その水量が大体得られるという確信を持っていらっしゃるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/117
-
118・高碕達之助
○高碕国務大臣 電力及び水量につきましては、私どもは現在の計画を信じておりますから、これは確信を持ち得ると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/118
-
119・中村時雄
○中村(時)委員 計画の中にそういうような計画があったからそう言えるでしょうが実際にいろいろなダムを見てみますと、渇水時期になると大へんな問題が起るというのが現状です。その渇水時期になっても計画通りの水か得られるかどうか、それをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/119
-
120・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいままでの私の経験から申しますれば、十年一回くらいの大きな渇水が出たときはどうかと存じますけれども、平年ではこれは初めの計画通りに、それだけの水量を持続していくことはできる。こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/120
-
121・中村時雄
○中村(時)委員 私の言っておるのは、その渇水の時期に何らかの方法をとってこの渇水時期を防ぐような方法はないかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/121
-
122・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 昨日も伊瀬委員のお話があって、説切を簡単申し上げておきましたが、最近の十ヵ年の統計、それから過去四十年の統計を見ましても、十年に一回、最近には十年に二回ありましたが、これら電力用水、しては、私どもは最も苦心した管理規律を今立案中であります。われわれの方としましては、ちょうど統計を見ますと、八月末から九月の初めでありますので、番水制度をやれば、各方面にそうひどい迷惑をかけることなく切り抜けることができる、こういう成算を持っておるのであります。今までの統計による渇水程度をもとにしておりますが、それ以上の渇水はちょっと予想できないだろうと思います。最近の十ヵ年間の渇水が最近で一審大きいと思います。大体そういう考えでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/122
-
123・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 昨日の私の質問に対して、五年に一回の渇水があるということを御答弁なさったのですが、そうすると、食糧増産を目途としやっていくこの公団が、五年に一回の旱害があるということになると、その耕作農民に対して一体どういうような施設をなさっておるか。水がなかったら枯死するよりほかに方法がない水稲であります。必ず九月に渇水がくるということはさまっていない。その点われわれは不安でならないので、はっきりしたその辺に対する御処置を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/123
-
124・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 昨日御説明申し上げましたように、四十年の統計によりますと、十年に一回であります。最近十ヵ年で異常渇水は二回あったのであります。これは今ダムを作るときの統計のとり方について、週期説その他いろいろありまして、それに対する対策というものもいろいろ方法が考えられておるのであります。われわれのところでは、統計によりますと、先ほど申し上げましたように、八月末から九の初めでありまして、大体畑地の灌漑は八月で済んでしまう。従って番水制度、水を順々に引いていく制度、ありますが、これの徹底によって十分切り抜けられる、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/124
-
125・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 いろいろな方法があるとおっしやるが、必ず渇水は九月ということに限られていない。たとえば七月とか八月に渇水があった場合にはどうなさるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/125
-
126・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 これはそのためにダム作るのでありまして、豊水期、すなわち雪解け、三月、四月、五月、これは必ず水が今の統計を見てもあるのであります。池が満水にならないということは予想しておらないのであります。従いましてその後渇水が来ましても、八月、九月ごろに水が不足する場合が出てくる。その場合をどういうふうに切り抜けるか。最も必要な田植え水には水不足ということは予想しておりません。現在までの統計では、そういうことはあり得ない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/126
-
127・中村時雄
○中村(時)委員 非常にずさんなことがだんだん出てきそうなんですが、次にこの計画によると、相当電力を増加できるようになっておりますが、果してその通りできるかどうか。余剰電力となって出てくる場合があるかないか。この点を一つ。それと関連いたしまして、放流計画はどういうような計画をしておるか、その点をあとで明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/127
-
128・高碕達之助
○高碕国務大臣 電力は総合的に考えていきますが、余剰電力が出た場合も、これは電力会社が責任を持って処理することに相なりますから、この公団の方におきましてはその心配はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/128
-
129・中村時雄
○中村(時)委員 心配はないというのは、余剰電力となって出てこないということに考えておっていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/129
-
130・高碕達之助
○高碕国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/130
-
131・中村時雄
○中村(時)委員 次にこの計画が完成したときに、渇水時の農業用水、その他既設の発電所に現在より減少が生じないかどうか、いつも順調に下流の発電所にいい影響を及ぼすように書いてありますが、果してそれが責任をもって考えられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/131
-
132・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは木曽川の上流ですから、上流において水をためる。そこで、水を貯蔵するということになれば、従ってそれだけの貯蔵された水は、下流の発電所においていい影響を受けることは事実でありますから、これによって悪い影響を受けることは考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/132
-
133・中村時雄
○中村(時)委員 私の言っておるのは、この計画書を見ていきますと、上流に発電をして、順次流していっていい影響がある、こういうことを言っておる。ただその場合に、既設の発電所に対して現在より減少が生じないかどうかということをお聞きしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/133
-
134・高碕達之助
○高碕国務大臣 現在より減少するということは考えられぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/134
-
135・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 この計画書の第六ページを見ましても、堰堤、水路、発電所等の工事費は三百億となっておるのでありますが、これが計画通りに工事が完成することができるとお思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/135
-
136・高碕達之助
○高碕国務大臣 予定通り完成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/136
-
137・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 大体可能であるというような御答弁でございますが、たとえば新設の水力発電所のごときは、この計画書によれば最大の出力一万四千キロで、工事費は八億六千七百万円となっておるのであります。キロ当りの単価は約六万円となっていますが、現在建設されておる発電所はこうように安い建設がされておると思われるか、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/137
-
138・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは少し安過ぎると思いますが、これは発電所だけで、堰堤の方は入っておりませんから、そういうふうになると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/138
-
139・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 今の答弁でははなはだ自信のないような御答弁で、われわれは工事に対して安いことは、希望いたしますが、これは計画がきわめてずさんであるということを今率直にお認めなさったと思うのでございます。これでこの事業計画通り完全に実施できるとお思いでしょうか、どうでしょうか、これに対する確信のほどをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/139
-
140・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは当局におきまして、十分各方面の数字を検討いたしました結果やったのでありますから、これは必ず実行できると私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/140
-
141・綱島正興
○綱島委員長 久保農君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/141
-
142・久保田豊
○久保田(豊)委員 それでは企画庁長官に数点お尋ねたいたしたいと思うのであります。その第一は、あなたはこれから本年度、また来年度も引き続いて余剰農産物の交渉をアメリカとやられることになっておるわけです。そこでさっき大蔵大臣にもお伺いいたしたのでありますが、今日は議論はやめますが、少くとも今後二年間に政府は出資を予定をいたしておりまする百四十九億の資金を、この愛知用水に優先して投ずるお考えがあるのかどうか、あるいはこれよりほかに回すようなお考えであるのかどうか、同時にこれに対してアメリカ側からはっきりした了承が得られるのかどうか、この前の今年の余剰農産物のあれでは、日本側の申し入れに大体基いてアメリカが了承した、こういうふうに自主性を持っておるように言っておられますが、果してこのように今後二ヵ年続けられるかどうか、要するに余剰農産物が今後数年続くとして、百四十九億の政府の当然担当すべきこれだけの資金を優先確保できるかどうか。それに対してアメリカ側が了承するかどうか、これに対するお答えをいただきたいのが一点。もう一点は、この計画は、あとで申し上げますが、全体が日本では非常に画期的な計画であります。しかるにこれに対しまする政府の補助の態度というものは、大体において従来の農林省の基準を一歩も出ておりません。国営の開墾事業は三分の二とか何とかいう従来の域を一歩も出ておらない。これは私は不当だと思う。少くともこの全工事のうちの堰堤工事もしくは主要排水路については、これは金額国庫負担すべきが当然だと思う。その前提に立つならば、私はこの百十七億というものは当然少きに失すると思う。これだけの大工事をやって、しかもこれは主として国家的な利益であります。あとで私はその点はるる詳しく申し上げますが、主として国家的な利益であります。住民の利益はもちろんでありますが、これによって利益するのは国家であります。その国家が、これだけの大事業をやる場合に、そのすべてを国家負担をするべきだとは私も申しません。このうちには国営の部分あり、県営の部分あり、団体営の部分あり、さらに個人が負担すべき部分も相当ありますが、こういう場合に一番基本になるダム工事並びに主要幹線配水路についての費用というものは、私は全額国家が当然補助すべきものと考えるが、この点についてあなたはどうお考えになっておるか。これはあとで農林大臣にお聞きするつもりでありますが、この点がこの工事の経費の負担について相当重要な点をなしておりますので、この二点についてはっきりした大臣のお考えと今後の見通しを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/142
-
143・高碕達之助
○高碕国務大臣 余剰農産物を受け入れますことにつきましては、目下来年度の分を折衝いたしておりますが、こちらの条件がかないますればさ来年度もやっていきたいと思いますが、これによって使えます資金の主要な道につきましては、本国会におきましてるる各方面からの御意見もありましたからできるだけこれを農業方面に持っていくということにつきまして、まずもってアメリカ側からの了解を得るということは考えておるわけであります。これを得られるか得られないかということは、買うか買わぬかという大きな問題になるわけであります。これは相当大きなファクターとしてやっておりますからただいま久保田委員のおっしゃったようなことに相なるべく持っていきたいと存じますが、資金全体の計画といたしまして、しからば余剰農産物から出たものを百四十九億の中へ優先的に持っていくかということは、こういうことは、ただいま持っていくということははっきり申し上げかねますが、そういうふうに沿うようにやっていきたいと考えておるわけなんであります。
それから第二の問題につきましては、これはお話のごとく、国家といたしますれば今回の事業は画期的な事業であるから、これは従前の例と離れて、ある程度国庫負担をしてもらいたいという感じはいたしますが、何しろ切り詰めたる国家の財政でありますから、財政の許される範囲におきましてはなるべく御期待に沿いるように交渉を考えたいと存じております。お話のごとく新しい画期的な事業を起すのでありますから、今の久保田委員の御意見のごときは最も尊重すべき御意見として私は拝聴いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/143
-
144・中村時雄
○中村(時)委員 私は長官の人格を尊重したから概念的に大まかにこれを聞いている。ところがあなたが実際細部にわたってほんとうにこの計画はずさんであるということの現わし方をあなた自身が発表している。たとえば今の電気の工事に対して、この計画は三百億を割っている。それに対して伊瀬委員からの説明であなたはほんとうにそれではよく見たら安過ぎるということに今ごろ気がついている。こういう計画なんですよ。私はあなたの人格を尊重するからこういうことを一々指摘せずして、概念的にきわめて大まかに聞いている。それだけにあなた自身が良識を持ち、良心を持って答弁されている、こういうふうに考えているからこそこまかい数字の問題とかあるいは今後問題になってくるであろうところの牧尾橋の問題とか、こういう個々の問題を取り除いておるのです。だからあなた自身が良心を持って、ほんとうにこういう計画のずさんさを十分知ってもらわなくちゃ困るのです。あなた自身が今さら三百億で安過ぎる、これはだれでも安過ぎると思うはずです。私たちも思っている。思っているけれどもぴしゃっと押えたらあなた自身が大へんなことになるから言ってないだけの話です。だからそれに対してあなたが今後どういう考えを持っていらっしゃるのか、最後にお聞きするわけです。今後どういうふうにこれと真剣に取り組もうとしていらっしゃるか、その点だけをお聞きしてあと個々の問題に対しては農林関係にお尋ねしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/144
-
145・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいま御質問の通りでございまして、私はこの問題は初めから計画には参画いたしておりますが、大まかな計画につきましては相談をいたしておりますけれども、細部につきましてははなはだ勉強の足りなかったということは、はっきりここで申し上げますが、なおそういうふうな点につきましては十分各方面で、電力の問題については通産省、農業の関係については農林省においてこれを検討いたしておりますし、私はその検討は証しいものだと思ってのんでいるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/145
-
146・綱島正興
○綱島委員長 ちょっと申し上げます。外務大臣がただいま見えましたが、外務大臣は会期末で非常に忙しくておられるので、なるべく二時くらいまでにひまをもらいたいと申し出ておられます。そこで委員会は少し勉強して、皆さんに無理をしいて済みませんけれども、二時までに外務大臣の方を終えてもらいたい、どうぞそのおつもりで、企画長官の方はなるべく早くお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/146
-
147・川俣清音
○川俣委員 企画長官にお尋ねしたいのですが、関西電力が今まで運営しておりまするダム効率が非常に低下いたしました。特に濁川流域を中心としたダムが、もうほとんどダム効果が上っておりません。特に御岳山の山麓が非常に荒れております。これは国有林でありますけれども荒れておりまして、昔から荒れておるので濁川という名前がついておる。土砂の流出量が非常に多いのです。大体牧尾橋ダムは、関西電力の要所々々においてダムでとられた水の排水を牧尾橋ダムへ集めるというような計画です。最も関西電力が目をつけておりますのは、日本一安全だといわれておりまする三浦貯水池にダムを作ってこれから導線で御岳の発電所に持っていくという導線計画なんです。これは必ずしも不可ではない。途中で小さな流域をみな押えてダム・サイトにしておるわけです。これは貯水ダムになっておる。これを御丘の発電所に導線で持っていく。ところがこの貯水池が、みな効果がなくなってくると、ときどき堆砂しておりましたものを今まで牧尾橋のダムの作られる貯水池に流しておった。これは二十三年以来ダム効率が非常に低下したのは、最近また上ったりしておりますのは、ダムの中にあります堆積土を流したということは明らかなんです。今後こういうものを流さないということになってくると、御岳の発電所の貯水ダムがみな効率がなくなって参りますと、この発電所がだめになってくる。この発電所を有効ならしめようとすると、牧尾橋のダムを厖大な経費をかけて作るわけですが、ここに堆砂が出てくる。この効率が、想定にもよりまするけれども、発電所の方の堆積を流してくると、十年後には牧尾橋のダムのダム効率が低下するという危険が出てきておるわけです。どっちに重点を置くかという問題が出てきておるわけです。こういう検討がどうも今までなされていないようです。そういたしますと、これに生命をかけて、これに期待をして貯水ダムを作るわけですが、この効率がなくなると、下流の計画というものは全くだめになる。どっちを主にするのだということについての考えを、企画長官が今判断をしておかなくてはならない問題ですが、こういうことを検討されましたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/147
-
148・高碕達之助
○高碕国務大臣 私はまだ現場は見ておりませんが、この前に三浦のダムを拝見いたしまして、そのときに牧尾橋の問題につきましては、関西電力の連中の意見を聞いて、ただいまのお話のような意見をその当時聞いておったのであります。これは非常に工事は困難だろう、こういうようなことは考えておりまして、私はちょっとそのときの結論は、ダムを作るよりもまず山に木を植えることだ、治山治水を優先しなければならぬ。これは一つ君らの方でも大いに考えてくれといって、関西電力の連中にもいろいろお話ししたのであります。これはどうしても自由経済でやりて、そろばん玉だけでやると、これはいけない。どうしてもやってくれないということになりますと、今度は国家がこれだけの金をかけて、あれだけのダムを作るということになると、私は現地をよく見なければわかりませんが、この公団にこの費用を持たすということは無理だと思います。国家が別途に治山治水の方面から考えてこれをやっていくということは、国家の財産を保有する一番重要な問題だと存じまして、よく現地を調べました上で何いたしたいと思いますが、このことにつきましては、また事務当局からお話しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/148
-
149・川俣清音
○川俣委員 長官はなかなか正直におっしゃる。その通りなんです。それでこの計画というものはここから出発していかなければならない。どっちに主力を置くという判断がない計画というものは無計画と同じなんです。ここが急所なんです。その判断がつかないと、公社を作りましたって、公社の運営というものはだめになる。どんな有能な人材を持っていっても、この問題は解決はつかない。今にしてこの問題を解決つけなければ、つける方法いかんによりましては公社というものは成り立たない。どうつけるかによって成り立たない。そうすると関西電力に犠牲を払わせるか、または牧尾橋ダムに重点を置くかということなんです。関西電力が三浦貯水池を獲得したためにあるいはある程度の犠牲を負うということが出てくるかもしれません。しかしながらこれは天災でも受けますとこの幾つか点在しておりますダムは堅固なものではありません。長官は行かれないというが、これはダムができない前とできたあとの空中写真がありますからよくわかる。歩いたよりももっと明確にわかります。それをなぜ今判断しておかないのです。公社法を出される以上は、当然あなたが判断して決断を下しておかなければならぬ。どういうふうに長官は決断を下したか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/149
-
150・高碕達之助
○高碕国務大臣 これはすでに相当の計画を農林省で立てておりますから、農地局長からお話しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/150
-
151・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 お話の点その通りでありまして全流域が三百四平方キロありますが、その中の各渓流を調べまして、今の濁川の問題だけが非常に問題になるのであります。あとはわれわれの点からいって、手を打っても大体いいのじゃないかと思っております。これは国有林地の中でありますので、林野庁とも十分打ち合せまして、これの対策については万全を期していきたい、要するに土砂が流れない砂防工事、あるいは木を植える、こういうことをやってもらう、そういうことで話を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/151
-
152・川俣清音
○川俣委員 これは今年度でも予算をつくべきなんです。こういう公社計画があるのは、今始まった計画ではないので、法律としては少くとも昨年度から今年度にかけて手入れを加えなければならぬ。総合開発をやるからには、そこに重点を置かなければならぬはずなんだ。そこに重点を置かないで、何かちょっとうま味のある仕事をする部分だけに重点を置いて、うま味の消される大きな重点をはずしておる。先ほども私が申し上げたように、アメリカをあなたは回ってこられたでしょう。私どもの文献によりますと、日本は下流に水利権がある。従って下流の水利権には上流の治山治水についての責任がない形になっておる。これは日本の水利権というものは原始河川時代の慣習法ですから……。ところが諸外国では下流の灌漑用水として、工業用水としてあるいは電力用として、上流の水を下流に売っていのるです。その契約しただけの水量を送らなければ損害賠償の責任を負わなければならぬ。常に上流の水源地帯は、これに対して、国であろうと、公共団体であろうと、私有地であろうと、みずからの責任で治山治水をして、そうし下流に水を供給する、売るという形式をとっておられることは、あなた御承知の通りなんです。こういう近代的な設備をするということになると、ここでもう割り切らなければならない時代になってきた。それを掘り切らないで、この大きな計画を立てたところに――根本問題を解決しないで、今来での慣習をそのまま用いていくとするならば、この計画というものは成り立たない計画なんだ。そこで流山治水計画とこの牧尾橋ダム計画というものが一貫していかなければならぬ。公団がやるのか国がやるのか、国がやるとすれば――ここでこの事業を国がやるということになると別ですが、公団がやるというからには、この治山治水の責任、負担を、受益者負担として、この公団が負うべきものじゃないか。この水を持っていったからには受益者負担というものがあるのですよ。そうでしょう。その源泉についての受益者負担がないというのはどういうわけですか。もうこれだけ厖大なことをやろうというからには、すでに上流の水源地に対して、わずか流れてくる水源地に対して、当然負担を負われていくという計画でなければならぬはずなんだ。それは別の国の計画だと、切り離すところに、この公団の本質が成り立っていないのです。計画じゃないのですよ。計画だというからにはみずからこれを負担する。またこの公団法の法律に、この国有林はこれだけの治山治水対策を講じなければならないという義務を負わしても、財政支出をそこにつぎ込ませるという責任を果しておられるなら、確かにこれは一貫した計画です。十年足らずで牧尾橋ダムがだめになることが明らかにわかっていながら、なぜそんな厖大な経費をかけるのです。この点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/152
-
153・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまの御説は私はごもっともだと存じますが、治山治水の費用を全部公団にかけるということは、私は公団の負担力、ひいては農民の負担力に影響いたしますから、これはどうかと思いますが、幸いに国有林でありますから、同じ農林省の所管でやっておることでありますから、この濁川の問題につきましては、農林省は急速にこの植林計画あるいは治山治水計顧を立てるということに相なっておりますから、その点につきましては私は御心配ないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/153
-
154・川俣清音
○川俣委員 これがかりに国営事業なら別ですよ。あなたは公団の方がよろしいというのですから、経費をかけた分だけは受益者に負担させるという公団方式をとった、従ってこの公団がみずからある程度責任を負うという態勢がとられた計画で事業が果してできるかできないかということを考えなければならない本質なんです。こういう厖大な組織であり計画でありますならば、みずから負担して、この治山治水計画をやって、しこうしてなお経済効果が上るかどうかということをみずから判断しなければならない。国がやるからいいじゃないか、これはやはり国の財政支出ですよ。従ってこれだけの財政支出を別個にかけてこの公団経営をしていくのですから、それには公団経営というものを別に考えないで、これだけの国の財政支出を伴ってなおやって価値あるものかどうかという判断を国の財政の面からはしていかなければならぬ。あなたは公団の総裁じゃないのだから、企画庁長官なんだから……。そこで国がこういう別個に特別な治山治水対策を請じながら、なおこれをやらして経済効果があるのかどうかという最高の、判断はこの際企画長官がやらなければならぬはずだ。その判断をおやりになりますかどうか。やらなければ今後すみやかにやらなければならぬが、やったあとにおいて公団が成り立つか成り立たないかという検討をしなければならないと思いますが、私はあなたの判断を打つまで、この公団に対する可否は判断ができないということになるのですが、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/154
-
155・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは牧尾橋のダムができるかできないかということの問題でなくて、濁川のような川があって、山の木がはげておる。それによって治山治水ができていないということは別途に国家として考えなければならぬ問題でありますから、かりにダムができなくても当然やらなければならぬ仕事だと私は存じます。そういう意味におきまして、これを並行的に計画をしていくということは必ずしも不当でないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/155
-
156・川俣清音
○川俣委員 これは企画長官ちょっと違います……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/156
-
157・綱島正興
○綱島委員長 御議論の分れておるのは、それを一致させるということはできないから、まだ質問があとにありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/157
-
158・川俣清音
○川俣委員 企画長官、牧尾ダムがこれほど大きな計画でない場合の治山治水対策と、こうした貯水量を得ようとした場合の治山治水対策とは違うのです。そこでこの対策がない限りは判断ができないということを申し上げておる。あなたがこの判断を下されるまで、この公団に対する態度は留保しなければならないということになる。こういうことを申し上げて、意見は他の機会に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/158
-
159・綱島正興
○綱島委員長 ちょっとお伺いいたしますが、久保田委員は企画庁長官ですか――外務大臣が二時までのお約束ですから、簡単にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/159
-
160・久保田豊
○久保田(豊)委員 なるべく簡単にやります。企画庁長官に伺いますが、私ども現地で説明を受けましたときには、要すに今度の牧尾橋ダムの流域の総面積は三百平方キロになり、しかも三浦ダムの実験によりますと、土砂の流出量が非常に少い。この三浦ダムから推定をいたしますと、八十年ないし百年でこの牧尾橋ダムの埋没量は六百万トンぐらいだ、そうしますと、これは大したことはないということを聞かされて安心をいたしたのであります。ところが今同僚委員の質問に、あなたは、いかにもこのダムが十年ぐらいで埋没してしまう、従ってそれの補強としての森林計画を、これは公団がやるか国がやるか、何らかの形において治山治水計画をやる、こういうふうな御答弁でありました。こういうふうに最高の方が現地の判断とまるで違った考えでおるということでは、私はこの事業の将来が非常に不安定になると思う。このいずれがほんとうですか。現地におります技術者の、少くとも百年間は大丈夫だ、少くとも今の国有林事業の形態がそのまま合理的に運用される限り、大体において百年間は牧尾橋ダムが埋没することはないという判断が正しいのか。あなたのおっしゃるように、いろいろな関係からいって十年ぐらいでだめになる、これから大いに治山治水をやるのだという判断が正しいのか。いずれが正しいのか。まずこの点を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/160
-
161・高碕達之助
○高碕国務大臣 私は十年先にこのままで置いておいたらだめになるとは申しません。大体今までの計画によりますと、三%ぐらい埋もれたといっております。私が申し上げたことは、この治山治水というものはダムの建設と別途に考えていかなければならぬ問題であって、これは国家として非常に重要な問題である。そういうわけでありますから、せっかくあそこにダムができるのでありますから、そういう時期を考えまして、なるべく早くあの方面の治山治水をやらす、順序を振りかえてやってもらう、こういう考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/161
-
162・久保田豊
○久保田(豊)委員 時間がありませんから、その点の追及はやめますが、もう一点は、この牧尾橋ダムの問題に連関いたしまして、この事業の特殊性は、農業と発電用の水と、それから工事ないしは水道用の水とが総合されておるところに問題があります。そこでこの負担区分をどうするかという問題が一つの大きな問題である。その前提として、これによります発電量がどのくらいふえてくるかということが一つの大きな問題であります。この点について、私はいささか疑問に思いますのでお伺いをいたします。ただし私はしろうとでありますから、あまり専門語のむずかしいことを言われてもわかりませんから、しろうとにわかるような御説明をいただきたいと思うのであります。
第一はこの牧尾橋ダムによります発電量は、大体において牧尾橋ダムに直接できます発電所の新規の発電量が三千四百四十万キロワットアワー、それから既設のものがこれから下流に大体十二あります。実際は十三ありますけれども、一つは関係ありませんから申し上げませんが、十二ある。その十二の既設の発電所の増電量が大体六千二百六十万キロワットアワー、両方合せて九千七百万キロワットアワー、こういうことになっておる。ところがどうもこれはしろうと考えでは、実は牧尾橋ダムによる下流の既設発電所の増電量が少し過小評価ではないかという疑いがあるわけであります。その理由をしろうとなりにあげてみます。これを決定されましたのは、二十九年の六月二十三日付の農林省、建設省その他中部配電まで入れて、三者の協定によって水利計算の基準に関する申し合せ事項ということによって行われておる。しかももらいました資料によりますと、この発電量の決定は、大体において各発露所の取水地点における自流の計算、しかもこれは流域計算と握流量の算術計算、これを基準にして算定をされたもののようであります。これが果して正しいかどうかということは私どもには疑問であります。なぜかというと、第一は、これはアメリカとかあるいは中国とか、あるいはソビエトのような場合には、ダムの持つ貯留率といいますか、水をためるのが非常に多い。千倍とか三千倍とかで、非常に多い。日本の場合には、地形が非常に急峻でありますから、ダムを作っても貯留効率というものは非常に小さい、二百か三百であります。従ってこういうダムにためられました水は、外国の場合においては非常に物理的に大きなものであるが経済的には安くなる。日本の場合には物理的には小さくて、経済的には逆に高くなる、当然のことであります。これを申し合せ事項のように算術計算でやっていいかどうかということが第一の問題であります。こういう点の再検討が行われておるかどうかという点をまず第一にお伺いしたい。
それから牧尾橋下流の十二のダム、そのうちの七つは水路式であり、五つがダム式であります。このうちで現地で聞きましたところによりますと、丸山ダムだけがわずかに千五、六百万トンの貯留量を持っておる、あとのダムは貯留量はそう大したことはない。水路式はもちろんないことは明らかである。こういう非常に貯留量の少いものの上に大きなものを作るわけです。従ってこれの効率は算術計第では私は出ないと思う。流域と握流量の算術計算で出るはずはない。農林省からいただきました資料によりますと、ダムの運用は、農業水利の確保ということが重点になっております。しかしながら年間を通じて見た場合には、必ずしもそうではない。むしろ発電用の水の確保、調節ということが重点をなしておる。それはなぜかというと、二月から五月までは、農業用水は貯水時期でありますから、これは発電にはほとんど関係ない。大きな力を発揮してこないと思う。しかしながら六から九月までは農業用の放水時期、しかしこの時期は同時に相当雨量も多い。従って農業用の放水は少くとも下派のダムにつきましては相当の効率をあげながら、しかも最末端のはね上りにいって初めてこれが農業用として生かされてくるということになる。さらにそれ以降の十月以降になりますと、来年の二月渇水期においてはほとんど電力用としてそのダムが使われる、こういうことになっております。これはこれで私はよろしいと思う。よろしいと思うが、その結果このダムの全体的な効率というものは、気持はどうであれ、現実においてはむしろ電力用のダムとしての役割の方が大きいのじゃないか。こういう点を果してはっきり計算に入れておるかどうか。その具体的の立証としては、ダムの貯留水の年間配分を見ますと、大体農業用水としては八千二十四万トンであります。それから工業並びに水道用としては千三百七十九万トンであります。さらに電力用水としては二億四千三百七十二万トンを使うことになっておる。これだけの条件があって、なおかつ新規の発電量が前のようなこういう計算によってわずかに六千幾らというふうなばかなことはどう考えてもない。ある専門家に聞きますと、少くとも実際の発電量としては一万五千くらいのものは当然予想されていいのだ、こういうことを育っておる人もあります。その真偽は私どもまだわからない。わからないが、いずれにしてもそういう点がある。しろうと考えでみましても、このダムの全体の効率とこの運用の方式からいくと、どうしても関西電力ないしは通産省にしてやられているように私どもは思う。この点はどうかという点が第二点。これはいわゆる算術計算的なアロケーションは現地で聞きました。しかし私はこういう以上の点から見てどうも納得がいかない。もう一度はっきりしたものを出していただきたい。
それからこういう発電の増電量に対しまする査定から非常に農業用水が割高になっておる。この用水の負担区分がちょっと私どもには解せない。農林省からもらったこの資料書によりますと、大体において二百八十何億という金をどうやったかというと、農業については四十八億円いわゆる増産分の所得がある。この査定も相当問題であります。これはあとで詳しく突っ込んでお聞きしたいと思いますが、これは別として、一応四十八億、それからそのほかの必要経費を差し引いて二十何億というものが出ておる。さらに電力用についてはキロ当り四円幾らという売電単価を土台にしてやっておる。また工業用水その他についても現在の売水価格を土台にしてそれにそれぞれの利率をかけて、それが農業用の場合は六%、電力用の場合は九%、工業用あるいは水道用の場合は六%と聞かされましたが、こういうことでもって大体において妥当投資額というものをきめて、そうしてそれを専用施設の価格を引いてやられておる。その結果はどういうことになるかというと、ダムの水路は片方は二億四千万トン以上使う。片方は八千万トンしか使わない。にもかかわらず、ダム建設費に対しまする負担はどうかというと、八十何パーセントというものが農業関係費の負担になっておる。電力関係はわずかに一五%しかない。こういう結果になってきております。水道用のはわずかに四・〇五%ということになる。水路負担についても工業用水あるいは水道用水と農業用水との比率は九五%に四・八%、こういう変な比率になっておる。これはどうもわれわれしろうとには解せない。もう一つは、少くとも現在では新しく発電をする場合には、電力の点で言いますならば、ダムを含めてやる場合は少くとも一キロ当り十五万円から二十万円かかっておる。ところがこれはこういう関係からいきますから非常に電力負担分というものは少い。この農林省の資料書を見ますと、専用と共用と両方合せてわずかに十八億五千三百万円、そのうち七億幾らというものは発電所そのものの建設費であります。ほとんどダムの建設費は十億円にしか及ばない、こういうことになります。こういう費用負担区分のやり方というものは、農業に不利であって電力に対して、は非常に有利である。その結果はどうなるかといいますと、御承知の通り大体ダムの貯水量一トン当りの各使用別の単価を農林省からいただいたのによりますと、農業関係は一トン当り年間平均六十二円六十一銭のコストのものしか使われない。ところが水道用、工業用は十九円四十二銭、電力用は四円五銭、こういう単価の大きな不均衡が出てくる。これは今のように大体において所得を現状を中心にして査定をして、それに利率をかけて妥当役資額というのを出してそれから専用施設の経費を引いてやるからこういうことになると思います。こんなばかなことはない。私はなぜこの点を強く言うかというと、今後日本において大規模に持たれる多目的ダムは、多くは電力あるいは工業用、農業用、大体において幾つかの目的を持った場合。従って当然その間において費用負担の区分をどうするかという問題が必ず基本的問題となって参ります。これはもしこのままいくならば、今後農業は特に水道用あるいは工業用水、電力用水は御承知の通りこれを握っておるのはほとんど独占資本で、価格操作は自分の採算においてできます。ところが農業はそうではない。これはあとでもって私はこの効用を詳しく申し上げたいと思いますから、これは別にいたします。農業は自分で作ったものを自分でその価格をきめられない、ほとんど人様にきめてもらう。しかもそれが今日においては多くの場合原価を切っておる。農民の生活の犠牲においてやっておるのであります。その農業は六十二円幾らの水を使っておる。電力はこれと同じダムから出る水でわずかに四円五銭、こういうばかな費用負担を土台にした計画で今後多目的ダムをやられるのでは、日本の農業の発展というものは非常に困難になると思う。こういう点について、私は事務的な説明は現地で聞きましたが、納得いきません。学者的ないろいろなことを言われますけれども、現実には違っておると思います。そこでこれらに対して御説明をいただきたいのと同時に、発電量をどういうものを根拠にして出したか、納得のいくようなほんとうに実情に合った統計を明らかにしていただきたい。それからこの費用負担区分、これはどういうわけでこういうやり方をせられたか。なるほどこれは簡単でありましょうが、これでは納得がいきません。と同時にこれをさらに再検討する御意思があるかどうか、問題は再検討する御意思があるかないかということが根本であります。私どもは日本の農民の立場から、日本農業を守る立場からしますれば、これではどうしても農民のためにやる事業計画ではないと判断せざるを得ないのであります。この点に対して長官として、総合的見地からどのようなお考えをお持ちになっておるか、はっきりお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/162
-
163・高碕達之助
○高碕国務大臣 多目的ダムにつきましてはただいま久保田さん御指摘のような問題はたくさんありまして、今回の分につきましても、従前の例に従いまして大体それぞれ各方面の関係者の了解を得ておるようなわけなのであります。私も久保田さんの御意見と考えを同じうするのでありまして、特に工業用水につきましてはこれはもっと大きな負担をかけていいと存じますことは、現在東京におきましても、名古屋におきましても、大阪におきましても同様でありますが、工業用水に地下水を使っておるわけであります。地下水を多く使う結果土地の沈下が非常に大きな問題になりまして、それが沈下するために大きな防波堤を作らなければならぬ。この地下水を使うということにつきましては根本的に考え直して、工業用水をほかから持って来なければならぬ。そういうようなことから考えますと、私は工業用水の負担力というものをもっとふやさなければならぬ、そんなふうにも思っておるわけであります。電力の問題につきましては、私は、久保田さんはしろうとだとおっしゃるけれども、なかなかくろうとのいろいろの御質問があったようでありますが、このことつきましては従前までやっておりましたことにつきまして、後ほど農地局長から御説明いたすことにいたしま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/163
-
164・久保田豊
○久保田(豊)委員 農地局長の説明の前に、私は結論として、これは再検討願わなければらぬ。発電量にしても、それから負担区分にしても、再検討願う、これが一番この問題の中心点だと思いますが、その御意思がありやいなや、もう一ぺん明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/164
-
165・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまアロケーションをきめておりますのは、電源開発法の第六条第二項によりまする政令、総理府令、各省の申し合せ事項、こういうふうなことによってやっておるのであります。これを根本的に変えるということについては、相当まだ問題があると存じますが、これはどうしても公団ができました上において、実際的に再検討する必要があると私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/165
-
166・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 ただいまお話になった農業用のトン当りの水の値、電力、水道、それぞれの値がいかにもバランスがとれてないじゃないか、こういうお話でありますが、私の方では一方からいいますと、現在の農業水で一トン当りの水を計算するとどのくらいになるか、工業用水あるいは水道の料金がどのくらいであるか、電力、発電用の水の一トン当りの費用がどのくらいであるか、そういうものから一応逆算しまして、そうして大体の見当をつけながら計算していっておるのであります。こういうふうに違う大きい理由は、農業では施設を一年間持っておるけれども、実際使用する時期は非常に短い。電力、水道はこれを大体年にならして使うことになっております。こういうふうな関係から、そういうことになるのであろうと思います。計算の過程等につきましては、先ほど申し上げました通りに、現在の水道料金なり、電力料金なり、農業の水の使用価格、そういうものから逆算して、大体のバランスをとってきておのるであります。現在のところでは、ただいま長官からも申し上げました、このアロケーションの政令による以外には方法がないのであります。これをさらに根本的に改めることについては、もう少し広く事例を拾いまして、果して従来の実際やっているのが妥当であるかどうかというところまで入らなければならぬと思います。現在のところはこの政令によるほかにない。この政令によるとこういう結果が出てくる、こういうこと以上にただいま説明申し上げることができないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/166
-
167・久保田豊
○久保田(豊)委員 現在の政令によるアロケーションでは困るということです。それを農林省がうのみにしておる。なるほどあなたの言う通り、農業関係は年がら年じゅう水を使うわけではない。しかも施設は膨大です。それを短期の水に全部ぶっかけては農業の生産物がどんどん農民の自由に売れるならいい。これが原価計算にどんどん入ってくればいい。ところがそうでないのです。この計画は、農業や工業や水道から発電所まで含めた総合計画で総合性を持っているところにあれがある。それを今の電力中心の多目的ダムを中心にして、このアロケーションをそのまま持ってきて、こういうことにやられたのでは今後だめだ。そこで実情といろいろなこういうケースがあって、新しい検討をしなければ、日本農業はこういう大きな金を入れてもらってやっても、基本的な発展の条件はとれないのじゃないか。それを農林省が頭からうのみにして、これでけっこうでございますということで計算すれば、こういうことになる。これを根本的に再検討しろというのが私どもの意見です。この点を間違わないように願いたい。現在の政令によるアロケーションがどうということは、現地でさんざん聞いておるのです。だからよくこの点は基本的に検討して、――今答えろと言っても無理な話ですから、それは申し上げませんが、もうこれでこの分は済んだのだというお考えでおられるのは、これはまっぴらだと思う。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/167
-
168・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、分担される各事業の収益、それから現在どうやっておるかというようなデータをもう少し寄せまして、十分検討いたしまして、確信を持った上、この政令を直すなら直すというふうにやりたいと思います。お話の点はわれわれかねてからやってきておるのであります。この政令をやるときまでにはそういうデータがありません。その後にこれをこう直せということまで残念ながらいっていないのであります。お話の点われわれかねがねから思っておるところでございますから、さらにスピードをかけてデータを収集いたしまして、できるだけ早い機会にそういうことができるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/168
-
169・中村時雄
○中村(時)委員 それでは外務大臣にお聞きいたします。実は先ほど高碕長官は、この余剰農産物に対しまして、将来三年間はこの契約をやっていきたいという考え方を発表されたのであります。この計画の樹立ということになりますと、少くとも今後五年間に五百億以上の投資をするという計画がこれに入ってきておる。そうすると五年間くらいというものは、この余剰農産物の問題は、他の事情は別といたしまして、今のままの状態からいけば、五年間くらいの契約ができない限りにおいては、たとえばほかの土地改良であるとか、暗渠排水であるとか、他の農業用のいろいろな施設に対する問題が、これと相関連して行われてくる。すなわちその方が三年間で打ち切られたとすれば、二年間における経費はどのような考え方をもってこれをまかなうかということが、まず第一点。第二点は、外務大臣はこの余剰農産物に対する契約は、今後どのような方向でお考えになっていらっしゃるのかというのが第二点、この二つをまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/169
-
170・重光葵
○重光国務大臣 お尋ねの要点は、この計画を進める上において、将来余剰農産物の同じような借款をやる方針であるかどうかということに帰着しはしないかと思います。これは今回の借款は本年度ということに相なっております。これはそのつどそのつど考慮しなければならぬ問題であることには違いありません。しかし御承知の通り、アメリカでも将来三年間でしたか、これは大統領に権限が与えられておるわけでございまして、そういうことは本年度と同様に将来も考えられ得るわけでございますから、条件についてはこれはいろいろ考慮しなければならぬことが将来も起ってきましょう。しかし条件さえ整えば、この借款は成立せしめて、この事業にその方面からの支障のないようにいたしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/170
-
171・中村時雄
○中村(時)委員 そういたしますと、この計画に基いていくと、大体五年間に五百億以上の金が要る。そこでこの借款から求められてきた使用用途ははっきりしておる。そうでございましょう。たとえば電源開発に八十二億、農地開発に三十二億、こういうふうにはっきりしておる。そこで今の公団の計画を当てはめて、五年間に五百億ぐらい、こういうふうになっておりますから、条件がこのままの状態で推移するならば、この借款は五年間ぐらいの間は行いたいという御希望に解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/171
-
172・重光葵
○重光国務大臣 さように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/172
-
173・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると外務大臣は、この借款を今後五年間行なっていきたい、これは重要な発言なんです。高碕長官は三年間、文部大臣は以前大島君の発言に対しまして、こういうような問題はやりたくない、しかも高碕長官は農業に及ぼすところの圧迫が非常に大きいから、でき得ればこういうことは考えたくないというのが本心だという。一体これじゃ一つの考え方がばらばらなんです。そういうばらばらなものを目安にしてこの資金をこの方向に当てはめようというような考え方になってくると、基本がないのにかかわらずただ単なる計画をするというそしりを免れない。そこで少くともそれができないという結果が出た場合におけるところの資金のやりくりを、どういうふうになさるお考えを持っていらっしゃるかをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/173
-
174・重光葵
○重光国務大臣 今の点については、私どもの考え方を申し上げたのでございますが、この点については過日私は政府の意向として予算委員会でございましたか御答弁を申し上げておきました。それはこの事業を中途にしてやめるようなことのないように、そのためにも将来の借款は、これは条件にもよるけれども成立せしめる、そして事業計画に不都合のないようにしたい、こういうことを御答弁申し上げておきました。われわれのところでは大体将来は五年――しかし三年ぐらいのことを考えておるのでございます。しかし五年を考えていないと断言する必要はありません。事業計画に支障のないように一つこの方面も配慮していきたい、こういう考えをもって進んでいっているわけでございます。それからまた、万一の場合に借款ができないというときにどうするか、こういうことにつきましても、私はこういうことをすなわち万一余剰農産物受け入れが不可能になった場合におきましても、政府といたしましてはこの事業をやりとげる方針で進んで参ります。こういうことを申し上げておきましたが、大体そういう覚悟でもって進んでいくことを御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/174
-
175・中村時雄
○中村(時)委員 今三ヵ年の計画は考えられる、こうおっしゃったのですが、この計画からいうとどうしても五年ぐらいになるわけでしょう。そこで二年間というものが足りないとすると、政府の方で何とかしていきたい、こういうふうなお考え方だ、こうおっしゃるのですか、そうじゃないのですか。――それじゃどういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/175
-
176・重光葵
○重光国務大臣 私は借款を五年とはっきり申しましたが、大体先方は三年の権限を持っておるのだからその三年の計画としてははっきり持っておるが、五年は持っておらぬということを申し上げるわけじゃない、それはそのときに考えてしかるべきだ、しかし五年の計画は支障を生ぜしめないという方針でこの借款の問題も措置しょう、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/176
-
177・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると外務大臣は大統領の権限における年限の問題を一つ取り上げていらっしゃる、そういうことなんですね。だからでき得ればこれが完遂されるまで五年なら五年間というものを条約でやっていきたい。こういうお考えなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/177
-
178・重光葵
○重光国務大臣 そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/178
-
179・中村時雄
○中村(時)委員 そうしますと私お尋ねしたいのですが、今いったように政府部内におきましても、この余剰農産物に対するいろいろな考え方があるのです。またこの貸付業務の当面の責任者である通産省の内部においても、綿花や米に対してはその中心に有力な買い入れ中止論が台頭しているようなわけなのです。しかもまたそれだけではありません。綿花について今契約の内容を見てみますと、綿花についてはその受け入れがわが国の綿業界の不振を非常に激化せしめておる。また同時に莫大な損失をもたらすということは、もうすでにこれはわかっておることなんです。すなわち余剰綿花を正常輸入のワク外で買いつけるということによって過剰生産に拍車をかけて、合成繊維の増産をはばみ、あるいは品質粗悪な米綿のために日本品の声価が外国で失墜してきている、こういうことが行われておるのであります。またエジプト綿と比較してみますと非常に高値になっておる。たとえば一俵を輸入するごとに二十ドルの損失が出ている。十七万五千俵受け入れですから十二億六千万円の損失を与えておる、このような状態になっておる。こういうよな条約の内容を現実にあなたはお考えになって条約を結んでいらっしゃるのですか、今後ともこういう条件があるにかかわらず、依然としてそういう条件のもとにこの借款を行おうとするのを第一点としてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/179
-
180・重光葵
○重光国務大臣 今回の借款についても、今お話のあるような批判と申しますか非難と申しますか、そういうことを伺いました。これは国会においても私は伺いました。私はその非難について、これに対する私自身の自信を持った判断を下す知識を実は十分に持っておりません。しかしながら各同僚の答弁等をしさいに聞いてみますると、その点についてはおのおの説明があるようでございました。私といたしましては、日本にとってむろん受け入れられない条件で借款を成立せしめるということはこれはできません。できませんが、将来のことにつきましても、関係の閣僚ととくと相談をして意見を聞いてみますと、今日から予見をし得る範囲内においては、日本の受け入れられる条件で進み得るという見込のようでありますから、その意見は私としては非常に尊重すべきである、こう考えておる次第でございます。今綿花のお話もございましたが、これはしかし私はここで自分自身として詳細にこの説明を申し上げる地位におりませんけれども、今回の借款につきましても、さようないろいろな、米の問題もよく聞きました、綿花の問題、大豆の問題、いろいろ意見があるようでございます。しかしながらそれを総合しまして、それをこのくらい受け入れて借款を成立せしめてしかるべきものである、その条件は決して不利益でないということで借款を成立せしめたわけでございます。大体将来の借款を私がやりたいという見込みも、愛知用水等の事業の計画を進めたいということがむろん根本になるわけでありますが、しかしわが方の受け入れる条件も受け入れがたいものでないという大体の見込みにおいて申し上げておるわけでございます。その点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/180
-
181・中村時雄
○中村(時)委員 私は外務大臣のような頭脳明敏な、しかも経験の豊富な方が、その内容のいかんということを具体的にわからずしてこの借款を結ぶところに非常に危険があると思う。何も綿花だけじゃない。たとえば小麦にいたしましても、カナダにおけるマニトバのような硬質ではない、これは軟質が入っている。そういうような内容を十分あなたが御承知でなくしてこの借款をされるところにただ単に金を借りればいいというところに非常に大きな過誤があり、また問題があろうと思う。今後そういうような考え方、現実の一つのそういう条約の内容の問題もあり、しかもそれらが日本の農業に及ぶところの大きな影響という問題もあるわけです。そういうことを一々あなたに言ったところで話になりませんから、申しませんけれども、そういう条約を結ぶ以上は少くともその内容を十分に審議されたい、こういうことを私はお願いしたい。同時に基本的には、そういうような結果から及ぼす影響というものを無視して依然として行われるならば、われわれはあくまでも反対せねばならぬ、こういう考え方になっておる。もちろんそれは内容の問題になりますが、その内容というものをあなた方が同じようにこういうふうな方向でとられるということになれば、それを継ぎ足していきますと、たとえばアメリカの日本に対するいろいろな搾取の問題も出てくるでしょう。そういうふうにして日本の方に余剰農産物をどんどん売りつけていくという内容もあるのじゃないかという、あなた方から見ればくだらない邪推かもしれませんが、そういう考え方が出てくるわけなんです。だからそれだけにその取扱いの内容については非常に重要な問題だと思う。今後においてあなたが条約を結ばれる場合、そこまで――民主党がいつまでも内閣を持っておるとも思いませんけれども、そういうようなことを考えられた結果、今後責任ある方向をとっていただきたいということをお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/181
-
182・重光葵
○重光国務大臣 御意見のあるところは十分に拝聴いたしました。私もそうでなければならぬと思っております。ただ私が申し上げたのは、大豆と小麦を先ほど申しましたが、小麦と米、こういう問題についてどういう関係を持つかということは、これは私は主として主任閣僚の意見を尊重していきたい、こう思っておるのであります。むろん責任を持って条約を締結する以上は、私自身としても十分勉強しなければなりません。おそらく勉強が足りない点を指摘されるということであれば、私はまことにその通りに考えますけれども、将来十分に一つそういう点を検討した上で進めていかなければならぬ、こういう点においては全然御同感でございます。私もそう努めたいと思います。ただ全体の考え方として、愛知用水の将来の計画も資金関係について支障のないようにしていきたいという一般的、概括的の方向について私の考え方を先ほどは申し上げたわけでございます。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/182
-
183・中村時雄
○中村(時)委員 この条約におけるところの使用用途について、アメリカ側からの発言が非常に強いということを私たち聞かされておるのであります。少くとも民主党は自主性を高く評価されて選挙に臨まれた。そこでその自主性に基いてやられたかというと、どっこいそうはいかなかった。そこでその自主性をとるという意味において、今後は少くともこの条約に関する限り、その資金の内容においてほんとうに――あなた方になるか、あるいはほかの内閣になるか知りませんが、その資金の計画なり用途なりについて、ほんとうに自主性のある内容をもって契約をやるだけの決意をもってやってもらいたい。ただ依然として向うから押しつけられて、ああだ、こうだという線に沿って云々されるのではなくて、みずからがその使用用途をはっきりと明確に打ち出されるだけの決意をもって条約をしてもらいたいという考えを持っておりますが、一体今後外務大臣はどういう考え方を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/183
-
184・重光葵
○重光国務大臣 その点に対する御注文、まことにその通りだと思います。自主性のない金を借りたって、それは実際には身につきません。私もそういう金を借りることは、ほんとうは好きではありません。しかしながらこちらに非常に重要な使途がある場合に、その大まかなことについて合議を遂げて、その範囲内において十分に自分の思うままにこれを使用し得るという自主性を確保してやらなければならないと思っておるわけであります。その点については、特に将来のことをというように御言明に相なりましたようでございますが、その御趣旨については私もその通りと考えておりますので、将来も努力してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/184
-
185・中村時雄
○中村(時)委員 今のお話であなたの考え方だけは私どもなるほどと思うのですが、過去におけるところの実態は、あなたの考え方とは相反して、まことに自主性のない方向をとっておりまして、これも実証されたわけです。願わくは今申しました内容と、今後における問題と同時に閣内におけるところの思想の統一、これだけはぜひやっていただきたい。たとえば高碕長官のおっしゃったように三年間で限定、あるいは松村文部大臣のように、こういう問題を打ち切りたいという御意見、そういうことが出てくるごとに、われわれとしては一つの計画だけは、この法案ならこの法案に対する各大臣の意見を調節されていないと、なぜこういうものが出てくるかという考え方が基本的には出てくるわけです。そういうことをよく注意して今後ともやっていただきたいということをお願いいたしまして、外務大臣に対する質問は一応これで取りやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/185
-
186・重光葵
○重光国務大臣 そのお考えについては、私どももその通りに努力します。それはそうでなければならない。それからまた各大臣の間の意見が違うということを指摘されましたが、私が責任を持って国会で御答弁をいたしました通りに、文部大臣の考え方、そのほかの考え方が、輪廓においては決して違っておるのではないということを申し上げました。これは政府の説明でございます。しかしそういうような印象を議員、国会に与えたということは、これは決して政府のプラスでないことは当然のことでありまして、かようなことのないように将来も大いに努力するということを私はここに申し上げておきます。今の御趣旨はつつしんで拝聴いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/186
-
187・綱島正興
○綱島委員長 これにて午前中は休憩いたします。
午後一時二十七分休憩
――――◇―――――
午後三時四十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/187
-
188・綱島正興
○綱島委員長 午前に引き続いて会議を開きます。
愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案を一括して議題といたし、質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/188
-
189・芳賀貢
○芳賀委員 この際、農地開発機械公団の問題につきまして、北海道開発長官が見えておりますので、大久保長官に若干質問いたしたいと思うのであります。
開発庁は今度の農地開発機械公団と何か直接的な、間接的な関連はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/189
-
190・大久保留次郎
○大久保国務大臣 機械公団によって処理します土地が北海道に二個所ありますが、ちょうど開発の方針と農業の奨励の目的が合致しますので、農林省と協力して進めております。法文の上におきましては、農林大臣が執行機関として責任を負っておりますが、私はまた北海道の開発という任務がありますので、法文の上においては現われておりませんけれども、農林大臣と私の間において協定を作りまして、実質的に公団のおもなる人事と予算関係につきまして互いに協力してやるという約束ができております。こういう意味におきまして関係を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/190
-
191・芳賀貢
○芳賀委員 機械公団法案では、公団は明らかに農林大臣の所管になっておるわけです。ただ、今開発庁長官も言われた通り、開発庁の任務というものは、当然北海道の開発にある。そのために生れておるのです。それで北海道の開発をやるための機械公団ができた場合に、この法律によると明らかに農林大臣の所管になっておるのだが、何か文書の取りかわしをしたということを言っておりますが、農林大臣とあなたの間に覚書かなんかの形で取りかわしたのですか。そういうことであれば、覚書の内容は、資料の形をもって御提示願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/191
-
192・大久保留次郎
○大久保国務大臣 私と農林大臣の間において、文書によって交換しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/192
-
193・芳賀貢
○芳賀委員 ですから、それは両大臣の間における覚書と解釈して差しつかえないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/193
-
194・大久保留次郎
○大久保国務大臣 覚書です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/194
-
195・芳賀貢
○芳賀委員 その覚書を、資料の形でも差しつかえありませんから御提出願いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/195
-
196・大久保留次郎
○大久保国務大臣 原文は今持ち合せませんが、趣旨はおもなる人事、ことに理事その他の役員の任免と予算についてはお互いに相談してやる、こういうことになっております。原文は後刻取り寄せます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/196
-
197・芳賀貢
○芳賀委員 そこでお尋ねしたい点は、北海道開発庁というものがあって、専任の国務大臣が長官になっておられる。しかもこの開発庁は、北海道の開発のための企画、立案をやるというところに重点がある。こういう場合にこそ開発庁がこの公団を所管することを当然と思いませんか。何か農林大臣に書いてもらって、それで満足するという程度でいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/197
-
198・大久保留次郎
○大久保国務大臣 その問題は、この前から問題になりましたいわゆる実施機関か云々という議論のわかれるところと思います。現在の制度においては、開発は実施機関ではない。計画はするけれども、実施機関は農林省です。あるいは建設省であり、あるいは運輸省という工合になって、港湾の問題になると運輸省に予算を回して、運輸省が執行機関になります。農林省の事業になると、農林省に予算を配賦して農林省が執行機関になります。今度の公団を作るについてもいろいろ議論がありました。しかし公団を作っても、機械を貸しつけるとか開墾事業をすることは行政の執行に当ることになるので、その仕事を農林省に譲ったわけであります。ですから、今日の制度においてはやむを得ない。立法論としての議論はいろいろありますけれども、今日の制度においてはやむを得ない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/198
-
199・芳賀貢
○芳賀委員 そこでお尋ねしますが、この機械公団の事業計画の内容、それは開発庁はあまり関知しておらぬわけですね。これは農林省が主体になって調査並びに立案計画をするというように考えてよいわけですか。――そうなると、結論的には、開発庁は機械公団に関する限り一応たな上げの形になっていると判断できるわけですが、大久保長官はそれで満足されておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/199
-
200・大久保留次郎
○大久保国務大臣 さき申しました通り、官制上そうなっており、法制局の解釈もそうなっておりますので、今の制度においてはやむを得ないと思います。実際上の執行の面は農林省であります。さき申しました通り、実施機関でないからやむを得ないのでありますけれども、その間の行政の円滑を期すために、私と農林大臣との間において覚書の交換をして、おもなる人事、予算についてはお互いに相談してやることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/200
-
201・芳賀貢
○芳賀委員 そういうことは法律的根拠の上においては無価値のものであるというように考えられるのです。あなたは実施官庁でなければこれはやむを得ぬというのですが、企画庁でしょう。機械公団の事業の企画等やればやれないことはないと思うのですが、それはやらなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/201
-
202・大久保留次郎
○大久保国務大臣 その問題はさき申しました通りでありますが、実は今回法制局の意見を求めたのです。その結果、法制局長官も、農林大臣を表面にうたった方が適当であるという意見であったので、そうしました。将来立法上どうするということは別個の問題であります。現在の法制のもとにおいてはやむを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/202
-
203・芳賀貢
○芳賀委員 実施官庁でないということはわかっておるのです。ですが、この機械公団が行う北海道の農地開発事業の企画とか立案は、開発庁がやっても別に法制上疑義がないので、こういう計画を今までやったことがあるかないかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/203
-
204・大久保留次郎
○大久保国務大臣 機械公団を作って、外国の開墾の機械を日本に持って来て、大げさに開墾をやろうとするのは、日本の農業の歴史の上において初めての計画であります。まだこういう実例はないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/204
-
205・芳賀貢
○芳賀委員 そういうことを聞いておるのではないのです。北海道の開発の一環として、農地の開発はやはり北海道開発庁のやる分野になるのではないですか。企画等をやっていく場合においては、農地関係は全然切り離したのですか。そういう計画が今まで全然行われていないということは非常に奇怪千万なんです。企画官庁ということを言っていながら、それでは何の企画を今までやっておるのか、建設関係だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/205
-
206・大久保留次郎
○大久保国務大臣 私が初めてというのは、計画が初めてという意味じゃないのです。アメリカから開墾の機械を入れて公団を作ってやるということが初めてというのです。アメリカから機械を入れてやるということが初めてだということで、計画そのものは初めてじゃないわけです。現に石狩の平野のように、計画は私の方で計画し、農林省が実施機関としてやっておるところがあるのです。ほかの例はたくさんあります。ただ機械をアメリカから入れるということが新しい点ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/206
-
207・芳賀貢
○芳賀委員 長官、開発というのは機械を買ってくるのが開発じゃないのですよ。機械はもちろん開発の手段にはなるけれども、北海道の総合開発は――開発の手段は機械による場合もいろいろあると思いますけれども、どういう計画で未墾地の開発とか建設をやるかということが開発の計画であるというふうに考える。その計画を実施する場合においては、機械によった方が能率も上るし経済的であるというその手段としての方法論はあるかもしれませんが、その農地開発の計画というものは当然北海道開発庁にはおありになると私は信じておるわけなのですが、それがないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/207
-
208・大久保留次郎
○大久保国務大臣 その計画についてはもちろん農林省と相談してやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/208
-
209・芳賀貢
○芳賀委員 今のお話では最初のお話と違うんじゃないですか。開発庁は企画官庁で実施官庁ではないから、企画をして、それの予算を獲得して実施面に対しては農林省あるいは建設省に対してそれをゆだねるということをあなたは開発庁の性格として今まで説明をしてきたのです。ですから計画というものは、当然これは開発庁の責任において立てても何も差しつかえないと思うのですが、そういうことにお気づきになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/209
-
210・大久保留次郎
○大久保国務大臣 それは理論的にはそうでありますけれども、実際の部面になりますると、私の方の人の数が――農林省では人の数が多いのであります。これを極力利用して、利用するというと語弊がありますけれども、相談機関として使うことは一向差しつかえないと思います。だから計画はとにもかくにも私の方が相談してやります。実施は農林省にまかせて頼む、こういう形でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/210
-
211・芳賀貢
○芳賀委員 これは大久保長官に繰り返してお尋ねしてもちょっと無理な点があると思うので、ちょうど柏原主幹が来ておられますから、大臣の答えられない点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/211
-
212・柏原益次郎
○柏原政府委員 ただいま大臣が申し上げましたことと私の申し上げることと大体趣旨は同じだと思いますが、表現の仕方が多少まずいところがあると思いますから私敷衍いたします。開発計画につきまして総合的な計画は北海道開発庁長官がこれをきめるということになっております。しかしそれに基きまして今度の機械公団でやりますところの事業対象、そういったものに基きまする計画につきまして開発庁といたしまして一応計画を立ててきておったのであります。計画が固まりましてそれの具体的な実施の一段階になりましたので、これは開発法の建前からいたしまして、農林省の所管であるということで具体的な問題の進め方といたしましては農林省がこれをやっていくというような格好になっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/212
-
213・芳賀貢
○芳賀委員 農林大臣が御出席になっておるのでお尋ねしますが、私は主として機械公団の関係についてお尋ねしたいと思います。先ほど大久保長官にお尋ねしたところが、この機械公団に関して農林大臣との間に覚書を取りかわしておるというお話があったのであります。これはこの法律の内容を見ると、機械公団は明らかに農林大臣の所管になっておるわけであります。それを何のために開発庁長官と文書の交換等をしなければならぬかというその裏面の内容がちょっと理解に苦しむのですが、ちょうどお二人ともお見えになっておるので、この際そういう点について一応御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/213
-
214・河野一郎
○河野国務大臣 大久保さんからお答えになりました通りに、企画立案は開発庁長官の方でおやりになりまして、私の方は実施官庁でございますから、その間の連絡をうまくやりますために、双方の間に十分事務の調整をいたしておるこういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/214
-
215・芳賀貢
○芳賀委員 農林大臣の御説明によると、むしろ大久保大臣より開発庁はどういうものであるかということが一応わかってきたように思います。これは企画官庁であるから、北海道の農地開発の問題にしても開発庁と北海道知事が十分相談して立案されたものを農林省が、最終的に検討するとは思いますけれども、それを実施に移すこういう方式なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/215
-
216・河野一郎
○河野国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/216
-
217・芳賀貢
○芳賀委員 これは午前中大蔵大臣にもちょっとお尋ねしたのですが、実際問題としてこの機械公団を今後運営する場合においては、当然その公団の業務的な一番基盤になる財政面、これは世界銀行の借款と余剰農産物の特別会計からの借り入れこの二つになると思います。この場合世界銀行からの借款というものは世銀から直接公団が借り入れをして借款を締結するという形になるのか、その間に政府が介入してそれから公団に貸しつけるということになるのか、その経路はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/217
-
218・河野一郎
○河野国務大臣 これは愛知川水の場合と同様に、政府においてあっせんをいたします。これは現在までにおいて説明をし、世銀は十分な調査をいたしました。機械公団が設立いたしましたらば、機械公団において世銀から借りるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/218
-
219・芳賀貢
○芳賀委員 この点に対しては午前中も農林大臣にお伺いしたのですが、この順序が、法律ができてから世銀と最終的な借款の取りきめをするというお話ですが、むしろこの借款の正式な契約が整った後に、法案が成立するというのが順序としては妥当ではないかと考えるわけです。それで世銀の借款が成立しない理由というものが何か横たわっておるのかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/219
-
220・河野一郎
○河野国務大臣 借り主が愛知用水公団であり機械公団でありますから、借り入れ主が法律によって設立されませんときまって参りません。そこで借りるまでの大筋の打ち合せ、調査は現在までに了解を得ておるわけであります。そこで最終的には今申し上げますように、この法律が成立いたしましてそこで愛知用水の公団、機械公団ができましてそうして今度は最終的に世銀と公団との当事者の間で貸借の最終的な決定をするという順序になるわけでございますから、この法案を提出いたしますまでに資金措置といたしまして一応の見通しをつけておかなければなりませんから、必要なる処置は政府として今日まで進めて参ったわけでございます。最終的には申し上げましたように、向うにはこれこれこういう公団を作って、こういう組織で、こういうふうにやるから、これに貸してやってくれという話をつけてあります。そこで今その通り大体これができ上りますれば、それが借り主になって世銀と話をしますれば、世銀の方では資金を貸してくれる、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/220
-
221・芳賀貢
○芳賀委員 ただいまの御説明によりますと、世銀の方では、この資料によれば、七月十二日現在のこの計画書を見ますれば、大体了承して、こちらの方で予定した借款は成立するという見通しはついておるのですか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/221
-
222・河野一郎
○河野国務大臣 七月二十二日だそうでありますが、要するに世銀の方から参りまして詳細の打ち合せをいたしまして、そこで私どもといたしましては、世銀の代表者と話し合いまして、その通りいくならば金を貸そうということの大体の見通しはつけてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/222
-
223・芳賀貢
○芳賀委員 次に公団の借り入れ対象になる余剰農産物の資金特別会計ですね。余剰農産物の場合、円で返済するときは利子が四分ですね。この特別会計から公団が借り入れする場合は、その利率等はどのようなことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/223
-
224・河野一郎
○河野国務大臣 四分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/224
-
225・芳賀貢
○芳賀委員 四分そのままで公団へ来るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/225
-
226・河野一郎
○河野国務大臣 そのままでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/226
-
227・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、機械開墾をやる場合に、六ヵ年計画になっておるわけですね。これに対する資金的計画は、当然年次別にはっきりした見通しが立てられて、確立されておらないと、この機械開墾の場合は、愛知用水の開発と違って最終年度に到達しなければ事業の所期の目的はとうていできないというところに一つの問題がある。特に根釧地区の開発の場合にはそうだと思うのです。ですからこれは具体的に昭和三十年度以降の資金計画というものは年次別に立てられておらなければならぬと考えるわけであります。それが政府のお出しになった資料と説明によれば、三十一年度以降これだけ要るということだけであって、年次別の内容が明らかになっていないわけなんです。こういう点に今後機械化開発をやる場合の不安というものがあるわけです。ですからこの際、これの内容を明らかにしておかれる必要があると思うのでありますが、大臣において御承知の範囲の説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/227
-
228・河野一郎
○河野国務大臣 お手元に差し上げてありまする農地開発機械化公団の概要の資料のうち七ページに、年次別の予算がついております。それに対して午前中にも企画庁長官、大蔵大臣等からいろいろお話申し上げたのでございますが、この機会に私としての考えを申し上げておきます。政府といたしましては、昨日も閣議におきまして愛知用水、機械公団、この両農地開発事業の今後の予算の裏づけにつきまして慎重に検討いたしました次第でございます。その際に、今後余剰農産物関係の資金について万一欠くるところがありましても、この両公団の事業は必ず完成するということの申し合せをいたしてあります。
次に御質問が当然あると思いますから、これもっけ加えて申し上げておきますが、この両公団の事業を遂行いたしますその影響が他の農地開発の予算に影響を与えるようなことがあっては、全国各地の事業に非常な悪影響を及ぼしますので、そういうことの絶対にないようにという強い御要望が議員各位から熱烈にあるわけでございます。そこで政府といたしましても、この点については特に強く私は大蔵当局に要望いたしてありまするし、それが企画庁長官から政府の態度として申し上げましたようなことになっているわけでございます。これは必ずあの線において実行して参るように、われわれが責任をとっております以上はやる。先ほどお話のありました通り、三年、五年先のことは、われわれの申したことがなかなかそうなりにくいかもしれませんか、ここにおいでの皆さんが強くそういうことを御要望になるのでありますから、各党一致の要望であるので、どの党派が政局を担当されましても必ず実現できるものと考えまするし、われわれがやります以上は責任を持ってやるということを申し上げて差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/228
-
229・足鹿覺
○足鹿委員 関連して。けさほど大蔵大臣が本委員会に見えまして、同僚足鹿委員、川俣委員等からこの問題について追及が行われたのでありますが、ただいま農林大臣からお答えがありましたように、昨日ですか、閣議で御決定になったというならば、大蔵大臣御自身が財政面の責任者として、ただいま農林大臣のお答えになったようなはっきりとした御答弁がなぜなかったか、私は非常にけげんに思います。今朝の大蔵大臣の御答弁は、速記等でお調べになればわかりますが、まことにぬらりくらりとしてあいまいもこたる答弁しかわれわれは伺えなかった。それが閣議で今農林大臣のおっしゃったような――農林大臣も閣僚の一人でありますから、連帯の責任をお持ちになっておられますので、それを信用しないというわけではありませんが、大蔵大臣のけさほどの答弁がなぜあんなにはっきりしなかったかということを私は不思議に思うのです。なおただいま農林大臣は、将来にわたってこういう大がかりな仕事をやることによって他の土地改良その他に迷惑はかけないということを政府においても確認したのだというお話でございます。ところがまだなまなましい記憶が残っているわけでありますが、本年度予算案を民主党内閣が国会に提案なさったときに、去年の実行予算と比べてもなおかつ百十六億円も農林水産関係で予算が削減されている。特に土地改良の問題については私も農林委員会で大臣に質問したことがありますが、大臣の土地改良に対する熱意は非常に薄い。むしろもっと突っ込んで言えば、土地改良そのものをきらっているのではないか、金をかけてまで土地改良をやくても、自由に食糧は買える段階にきているのだと考えているのではないか。もちろん日本国内の生産費を下げることは大臣もお考えになっていらっしゃるようでありますが、あの当時の新聞その他に出ました報道を見ますと、農林大臣自身が土地改良に莫大な投資をするということは、むしろむだが多いのではないかというような考えを持っていらっしゃるように聞こえましたので、私がその点を突っ込んだときに、大臣は説明していわく、なるほど額面では減っているけれども、愛知公団その他があることであるから、こういうものを合せれば決して減っておりませんというような説明をなすっていらっしゃる。それはただいまの答弁とつじつまが合わないと思う。私どもは従来全国でやっている土地改良その他にひびが入らないように、これは世界銀行やら余剰物資やら、そういう恩恵もありますので、プラスこの愛知公団、機械公団というもので土地改良がよけい促進されて、日本の増産態勢がそれだけ整備されのだ、しからば歓迎したいという気持でいるわけだ。ところが大臣自身が愛知用水その他の計画があるのでこういうものを合せれば減っていないのだという説明をされますと、これは明らかに今までの既定の土地改良予算を食うのだということを大臣自身がせんだってお認めになっていらっしゃるのでただいまのお話と非常に食い違っておりますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/229
-
230・河野一郎
○河野国務大臣 これはこういうふうに御了承願いたいのであります。第二のただいまの方からお答えいたします。私はこの議会が始まりました最初にお答えを申し上げました際に、ことしは一兆円予算でやるのでございますから、土地改良費におきましては、多少減額いたしておりますが、これは明年においてこれを補うという目途のもとに今年は減らしておるのでございます。こういうことを申しておることを御了承願えると思います。そこで金額が減っているんじゃないか、減っているんじゃないかというお話でございますから、金額としてはたとえば愛知用水のようなものを加えればというのであって、私は初めから愛知用水を台にしてお答えを申したつもりはない、このことは御了解願えると思います。私は決して初めから、私の方から愛知用水を加えて今年は多いんだ、多いんだということを申したつもりはないのでありまして、初めにお答えを申し上げたときは、今年は減っておりますけれども、これは明年において、今年の減っておる分は拡大均衡の予算を編成するのでありますから、その際にやっても間に合うという考えのもとに、今年は一時減らしておると私は申し上げたつもりであります。この点はそういう意味では、たとえばこの公団の問題にいたしましても、この両公団を編成いたしますにつきまして、最初は愛知用水だけでございましたから、三十億で発足するというつもりでありましたものを、中途から両公団にこれを分割いたしましたために、十億不足になっておりますので、この十億は明年度においてこれは埋めるということを、この問題もそういうふうにきめておりますことも、これは参議院でございましたか、政府が発表いたしておる通りであります。私その点においては御了解願えると思うのでございます。
そこで次に最初の御質問でございますがこれはこういうところに実は意見の不明確な点が起ってくるのでございます。それは増産六ヵ年計画によりますと、明年三十一年度は六百八十億という数字が出ておるのであります。これは経済企画庁において企画いたしております数字が六百八十億になっておるのでございまして、この六百八十億につきましては、大蔵当局と経済企画庁との間に具体的に数字の最終的決定になっておらないのでございます。農林省もこの間に処していろいろ事務の調整をいたしておるのでございまして、私といたしましては、この六百八十億は、今申し上げまする通りに、愛知用水、機械化公団を加えて明年度予算の上におきまして、土地改良費は六百八十億を必ず実行するんだということの今政府部内においての決定を見ていないのであります。しかしこれはなるべくその線に近ずくようにしなければいけないということは、固く私どもは主張いたしておるのでございますけれども、この点についての最終的決定は、事務的計数的な打ち合せはいたしておりません。そこで問題になって参りますのは、大蔵大臣の主張いたします主張が不明確であるというのは、今の六百八十億を確実に明年度予算に編成するかどうかということについて、大蔵大臣は答弁が不明確になっておるのでございまして、私から具体的に申し上げますれば、少くとも今までわれわれがやって参りました土地改定費、すなわち今年で申しますれば、一般会計の二百六十億プラス百億で三百六十億、この一般会計から出します、二百六十億、これは愛知用水その他公団の分とは別であります。この既定計画を縮小してやるようなことは絶対にいたしませんということははっきり申し上げることができるのでありまして、それを拡大いたしまして、愛知用水その他の今回の企画いたしております機械公団、八郎潟まで加えて、これが六百八十億になるということの最終的決定はいたしておりませんから、その問題について大蔵当局との間に明確になっていないというのでございまして、その点は今私の申し上げたように、御了承いただけば、私は決して不明確なことを言う必要はないのでございます。その点についての最小限度の責任は明確に負えるということを申し上げて御了解を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/230
-
231・足立篤郎
○足立委員 農林大臣の御弁解は伺っておきましょう。しかし私が一番心配をすることは、ことしの民主党内閣でお出しになった農林関係予算はまことに少い額である。特に土地改良増産対策につきましては、農林大臣はどういう根本的なお考えを持っていらっしゃるかどうかということは別にして、現実数字になって現われたものは非常に少なかった。これでは農村の発展もないし、食糧の自給さえもできない。農林省自身がお作りになった五ヵ年計画等と比べましても、この数字とは問題にならないわけであります。私が心配しますのは、大蔵省あたりの財政当局は、えてして前年度を基準にしてということをやりがちなんです。そうなると来年度にいきまして、今年のあの少い予算を基準にして、別に愛知用水公団あるいはその他のものがこれを食ってはいない、従ってこれでいいんじゃないかということで片づけられたのでは、けさほどから質問も出ております通り、こういった公団のやります仕事は、非常に効果がおそいのです。緊急間に合せなければならぬ増産対策というものは、差し迫っておるわけですからこの点ただいまの農林大臣の御答弁は、これはことしは特別一兆円というので縛られて非常に窮屈だ、来年はこれは元へ戻してといいますか、従来の一つの基準がありますから、少くともこういう線までは復活してその上愛知用水公団その他、本日審議されております法案によってできるであろうものについての予算は、その中のものを食わない、これは別だというふうに解釈して差しつかえないですか、この点を念を押しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/231
-
232・河野一郎
○河野国務大臣 私もそういう考えでやるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/232
-
233・川俣清音
○川俣委員 関連して。最初から六ヵ年計画でおやりになるという実施方法、しかもこれが一番経済効果が上るということで立てられたこの計画、これに対しては大蔵大臣は、これを実施するならば、継続費的支出をしなければならないのではないか、こういう質問に対しまして、そういう考えはないと御説明になった。それはなぜかというと、国の財政面から、そうできるかできないかわからない、農林大臣の今説明されるような協定ができておるということになれば、継続費的事業としての支出ができることになる。これは各庁とか何とかに相談しないでも、これはほんとうに実施するということになれば、継続費で年度割で組んでいかれますならば、あとの内閣はその責任を負わねばならないし、国会もまた責任を負わなければならないわけです。はっきりそうされておいたらどうなんですか、大蔵大臣との間に話がつきますならば。将来の内閣に対して責任を負わせたくないというならば別問題です。ここであえて六ヵ年計画という経済効果をねらって、これだけのものを作られるからには、あとの内閣もまたこれに準じてほしいという熱望がなければならぬはずだと思う。そうすれば第一年度、第二年度という継続費の支出の方があるわけです。これが将来の内閣に対する義務を負わせる、どうしてこれをとられない。大蔵大臣はそれをとりたくないのです。そうすると六ヵ年でできない、明かにできない。ほんとうにやろうと思えば継続費なんです。ほんとうにそういう協定を結ばれたならば、継続費的支出をされてもいいはずなんです。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/233
-
234・河野一郎
○河野国務大臣 私も川俣さんと全く同じ意見でございます。そういうふうにすべきものと思います。しかし戦前は予算外国庫の負担の契約をいたしまして、いずれもそういうふうにやって参ったことも私も了承しております。しかし戦後の予算の組み方が、今川俣さんおっしゃられるようなものは、ごく一部に建設省関係にあるそうであります。しかし農林省関係の土地改良費は、いずれもそういうことになっておりません。しかしいないことがいいと私は考えません。でございますから、これは総括的に今後研究して、従来やっておりまする国営開墾にいたしましても、大規模で、しかも相当長年月にわたるものが、いずれもその年度、その年度の予算でやって参っておりますから、これは私はいずれもいいとは思いません。思いませんから、今御趣旨の点は十分私としても同意見であります。しかるべき機会に私もそういうふうになるように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/234
-
235・川俣清音
○川俣委員 戦後確かに継続費的な面が削られておったのです。ところが財政法の改正案を出されまして、参議院の審議及び衆議院の審議を見ますと、当時の農林省の総務課長、大蔵省の主計局長が出まして、何ゆえに継続費が必要なのか、この法律を改正する必要がどこから起ってきたかという質問に対しまして、こういう公団とは申しませんけれども、国が長期的に事業をやってすみやかに経済効果を上げるには継続費的支出をしなければ目的が達成できないために、財政法の改正を行うのであるという説明をした。農林省は具体的に例をあげてやっておられます。たとえば試験場であるとか国営開墾の事業であるとか、こういう具体的な例をあげて、この支出のために、この効果をあげるために改正してほしいという要望をなされておるのです。ただ今まで実施されていないのです。それに対して参議院及び衆議院の一部から、将来にわたって国会の審議権をあまり無視するようなことのないようにという議論が行われておりますけれども、それをなお押し切って、必要の前にはぜひとも改正の必要があるということを強調されて財政法の改正が行われておるはずです。その当時の主張をそのままとられれば、私の意見の通りにならなければならぬはずです。この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/235
-
236・河野一郎
○河野国務大臣 私も全く同じ意見でございます。ただ私も予算の編成中に大臣になりましたものですから、そう急に、農林省だけやるわけにもいきません。明年度の予算の編成に当りましては極力そういうことを主張していくつもりであります。しかしこれは何と申しましても、予算の編成の上に財政の五ヵ年計画なり何ヵ年計画なりというものの基礎がはっきり立ちまして、その中に長期の予算外の国庫負担契約をして、そして継続費の制度を作っていくということにならなければ、農林省だけ申しましてもなかなかいきかねると思うのでございます。全体の財政政策にわたってやらなければならぬことでございますから、むろん御趣旨の点は私も全く同感でございます。大いにその点に向って努力いたすことが必要であろうと私も考えますし、そうすることによって土地改良その他が所定の年限に完成することがぜひ必要なことでございまして、従来の土地改良等がただだらだらと長くなっておりますことは、いずれも今お話のようなところに欠ける点があるからだと思いますので、私もぜひその実現に全力をあげていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/236
-
237・芳賀貢
○芳賀委員 機械公団の点でもう少しお尋ねしておきたいのです。これは本来ならば委員会等において現地調査をやって明らかにしてもらいたいと思うのですが、もう会期も迫っておりますので、質疑を通じてもう少し明らかにしておきたいと考えます。
第一にお尋ねしたい点は、この機械公団の方式でいくと、機械を導入して開墾作業だけは非常に進んでいくわけです。ところがその開墾と同時に入植計画と営農設計がこれに伴わないと、機械による開発だけがずっと先行してしまって、あとから営農設計がついていけないという事態が必ず生ずると思うわけです。そういうギャップが出た場合においては、所期の目的は決して達せられないような結果になるわけです。しかもこの公団方式というものは入植者あるいは受益者に対して相当負担を背負わしておるわけです。ですからこの計画が進捗するということは、結局ここに入植した人たちが経済的な力をたくわえて経済能力を持つというところまで十分に指導していかなければならぬわけですが、公団の場合においてはそこまで手の届いた業務とか指導とかは行えないわけです。ですからこの点は非常に問題があると思うわけですが、こういう機械開墾事業の非常にスピーディな問題と、それから営農設計の緩慢な度合いをどういうように調整してこれを指導するのかというような点に対して、細心な配慮が要ると思うのであります。この点に対する大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/237
-
238・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通りこの機械公団は機械を便ってどんどん土地をひっくり返して開墾していくのが使命でございます。そういうふうにして造成せられました土地に対する入植、営農の指導ということは、直接農林省がやることになっておりますから、土地ができるのを待ちかまえてそれに対する必要な処置はとるというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/238
-
239・芳賀貢
○芳賀委員 次に公団が開墾を行う場合、これは第一次開墾、第二次開墾というものに区分されるわけでありますが、これを合せると町当り約十万円程度の経費がかかることになる。ところが今まで北海道等における未墾地開発による開墾の経費は大体七万五千円くらいであげておるわけです。そういたしますと、今までの開墾よりも公団方式による開墾の方が町当り二、三万円コストが高くなるわけです。しかもここで問題になるのは、今までの開墾の場合は入植者が自力開墾のような形で、開墾に対する国の補助金を受けて、それが入植者の生活を一部ささえるというようなことにもなっておったわけであります。今回の場合においては、入植者は前提として公団に対して開墾をまかせるというようなことになるので、これは開墾面に対しては入植者は全然タッチできないのです。できないということは開墾に対する国の補助金等を生活の資に回すことは全然できないことになるわけであります。こういうようにしてむしろ機械化でやることの方が開墾の経費が高まるというようなことは、これはどこに原因があるかというと、結局これは世銀からの借款によって外国から機械を買わなければならぬということに約束されておるからです。この開墾の機械等は別に外国から買ってこなくても、実際問題としては国産のトラクターとか開墾機械で十分事足りるわけです。こういう具体的な問題を掘り下げるに従って、たとえば開墾の経費一つ取り上げてもこれは高きに失するというようなことになる。それから入植者は全く公団に開墾を依頼するというようなことから、入植して経済的に自営できるという時間的な面が相当長期にわたるのではないかというふうに考えられるわけです。そういう点の調整というか処理というか、どういうふうな形でやっていくか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/239
-
240・河野一郎
○河野国務大臣 ただいまお尋ねになりましたのは二つの点だと思うのであります。一つは国内でできる機械でやればよろしいのを、向うから機械を持って参るから単価が高くつくじゃないかということが一点。もう一点は、入植する人が開墾の資金で当分の間は生活しつつ開墾するということになるけれども、今度はでき上ったものへ入っていくというのでは、最初において生活に困難を来たすのじゃないかという二点と思うのです。
そこで第一の点は、御承知の通り国内にあります程度の機械でやっておるのは、従来もやっておるし、今後も私はやってよろしいと思うのであります。しかし今度のは、御承知の通り相当大規模な機械を持って参せまして、これによって一気に掘り起して、そうして土壌のある程度改良までこれでできるようにしていこうということでございまして、たびたび申し上げますように、これはテスト・ケースでございますが、しかしテスト・ケースと申して、決してこれが失敗するというようなことでなしに、相当の検討は加えました結果のことでございます。そこで経費が高くつく、安くつくということにつきましては、従来の七万五千円は、それからあとで土壌の改良でございますとか、いろいろな施設がなおあとに残るわけでございます。今回の分は、御指摘のように、従来の分に比べれば、大規模に大きな機械を使ってやる今度の方が、結果においては経費は安くつくような計算をいたしておるわけでございます。
そこで第二の点の資金の問題でございますが、入植いたしました者につきましては、御指摘のような点があると考えますから、最初に当分の間の営農資金の貸付をいたしまして、この営農資金によって、一方においてそこに固定して参れるように配意して参れるように配意をして参るということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/240
-
241・芳賀貢
○芳賀委員 この点は大臣の御判断がちょっと甘過ぎるのではないかと思う。具体的な点は農地局長にさらに尋ねたいと思いますが、ここで問題になります点は、特に根釧地区の開墾の場合なんです。篠津地区はいいとしても、根釧地区というのは御承知かもしれませんが北海道においても生産条件が非常に低位なんです。ここでは通例の農業経営というのはなかなかやれない地区なんです。ここをあえてこうした地区に選定しておやりになるわけですが、これは大臣の今の御説明によると、テスト・ファームとしてやる、そういうことならばまだいいのです。ところがこれは午前中もお尋ねしたのですが、テストではなくて。パイロットファームとしてやるということになれば、とにかく段階を経て、これに自信を得て先発地区としてこれをやるのだということになるので、非常に問題があると思うのですが、これは農林大臣が今言われたように、一つのテスト・ファームとしてこれをやるのであるか。パイロットファームとしてやるか。これは方針を明確にしてもらわぬと、テスト的にやる場合においては、場合によっては失敗することもあり得るということで覚悟してやるわけですが、これは既定計画としてどんどん進めるのだということになると、途中において失敗するということは許せぬと思う。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/241
-
242・河野一郎
○河野国務大臣 私はテスト・ケースと申しましたけれども、決してこれは単なるテストケースではないのでございまして、あらゆる角度から検討いたしましてこれを実施するのでございまして、途中で失敗するというようなことは聞えておりません。必ずこれは成功するものなりという、あらゆる角度からの検討の結果そういう確信を持って実行するわけでございます。しかし何を申しましても、新しく持って参ります大規模の機械を運転することによって、そうして大規模な従来なかなか困難と想定されましたところをやるわけでございますから、いろいろ問題は起るかもしれない、それらについては十分な調査検討を加えてあるわけでございます。これをやることによって、今御指摘のようなことにはなるまいと思います。さればと申して、これを始めたから来年もどこをやる、次もどこをやるというようなことを今直ちに考えておるわけではない。十分あらゆる角度から注意を加えまして、そうしてやって参りたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/242
-
243・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、根釧地区の場合は大体二百四十七戸程度の入植を計画している。これは開墾経費あるいは関連補助事業等全部合せて、これを戸数で割ると一戸当り六百二十万円くらいになるというように承知しています。これはもちろん国の負担、地元負担とかいろいろありますが、それらを負担したものを全部入れて、一戸当りどれくらいになるかということになると、そういうことになります。この地区においては当然特殊条件としては、酪農等による農業経営でなかったらこれは維持できないわけです。ですから非常に多額の財政的の投下が行われなければこの地区においての営農は将来成り立たないということになる。ですから国が全額負担を行う建設工事とか、いろいろ国の直轄事業的に工事は国の負担でやるのはいいとしても、これは必然的に地元負担額というものは出てくるわけです。これらの篠津地区あるいは根釧地区を入れると、地元負担額は二百四十億以上に及ぶということになるわけです。ですから政府の方針を立てられてかかる機械公団の方式により開発を進める一方には、厖大なる地元負担というものはそこから生まれてくるということになるわけです。ですからこのような開発によって入植した農家というものは、十年くらいたっても経済的な、地元における担税力というものはなかなか出てこないわけです。そういうような点からこれが地方公共団体の財政面を圧迫するような不安もないともいえないわけです。ですからこのような画期的な機械開発を進める場合における地元に対して出血を与えないというような、一方における具体的な配慮はどうしても必要だというように考えるわけでですが、これに対してはどういうふうな処理をなさるお考えであるか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/243
-
244・河野一郎
○河野国務大臣 その点はとくと注意をいたしまして、御趣旨のようなことにならぬように十分注意をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/244
-
245・芳賀貢
○芳賀委員 これは善処されるといいますが、これは何か補助金とかいろいろな面の政府の負担分等の負担率の改正等をやらなければ、抽象的に善処するという形では実効があがらないと思いますが、これは機械開墾等に伴う地元負担分に対しては特別の措置を講ずる、そういう意味で大臣は御発言になったかどうか。その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/245
-
246・河野一郎
○河野国務大臣 御指摘の点につきましては、地元北海道との間に十分の連絡をとりまして、この計画を立てたのでございますので、遺憾ないと聞えますが、なお御趣旨の点につきまして十分将来注意して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/246
-
247・芳賀貢
○芳賀委員 大臣にはもう一点くらいで終りにしたいと思います。
もう一点は篠津地区の開発計画、これは未墾地地区を三千町歩、畑地を六千何百町歩開田する。ですからこの開発によって一万町歩くらいの開田が行われるわけです。これをやるためにはうんと運河を掘鑿して、そうして石狩川から水を取り入れるということになるわけです。石狩川の下流においてこれを行うわけでありますが、その水量の三分の二程度が潅漑用水として取り入れられるということになるわけです。そういたしますと必然的に本流における水量が、それから河口に向っては非常に減るわけです。水量が減るということは、水位がずっと低下するということになるわけです。水位の低下によって下流における既存の灌漑用水等における悪影響というものは、当然生れてくると私は考えるわけですが、具体的にどの程度水位が下るということを明確に立証する資料は今正確のものを私持ち合わせておりませんが、石狩川の河口においては水の流れは緩慢になっておる。極端に水位が下るような場合には、逆に海水がさかのぼるというようなことにもなるわけです。そうなるとこの運河によって膨大な水量をそこに取り入れることによって、下流の既存の水出の権益に対して悪影響を及ぼすようなことがありはしないかということが非常に危惧されるわけでありますが、こういう点に対して、計画を立てる場合において細心の検討が払われておりますか、そういう不安は全然ありませんかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/247
-
248・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、あらゆる角度から検討を加えまして研究を済ましてあるのであります。しかしなお将来におきまして、この点は愛知用水の場合にも同様でございますが、この事業の遂行によりまして既存の利用度に影響を及ぼすようなことがありますれば、これにつきましては、万全、なる対策を立てて、早急にこれらの被害の起らないようにいたすことは当然でございます。ぜひそうしなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/248
-
249・芳賀貢
○芳賀委員 ただいままでの質疑を通じて、これはただ単に機械公団だけができて、開墾をやって、それで所期の目的が達成できるということはないということが明らかになった。ですからこれは、開墾とあわせて営農の設計等が具体的に進み、しかも地元に対する悪影響等を及ぼさないというようなことを完全に現地において具体的に行うためには、何らかの政策、たとえば農林当局とかあるいは開発庁あるいは道庁であるとか、地元の公共団体であるとか、あるいは土地改良区とか、そういうような、これに密切な関係を持っておる機関が、何か統一化されたようなそういう運営のための、たとえば委員会であっても何でも差しつかえないわけでありますが、そういうようなことで委員会方式的なものを立てて、万遺憾ないようにやるというようなお考え等があれば、この機会に明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/249
-
250・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、非常に適切なことと考えます。考えますが、現在は各地元に事業所を作りまして、その事業所においてそれらの意見の調整をはかってるやということになっておりますが、なお私どもといたしましては検討を加えまして、御指摘の点を十分研究いたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/250
-
251・芳賀貢
○芳賀委員 今大臣の言われた事業所というのは、これは明らかに公団の現地における事業所ということになると考えるわけです。なおお尋ねしたい点は、今まで立てられた計画の内容というものは、農林省当局が独自の立場で作られた計画ではないというふうに私は考えておるわけです。大久保長官は全然これに関知しておらぬようなことを言われましたが、おそらくこれは、北海道庁であるとか開発庁当局、それらの機関がいろいろ御相談になったり、あるいは熟議されて、大体こういうような方式でいくのが計画としては最終的に妥当であるというような結論が出て、初めてこうすることになったのではないかと私は判断しておるわけでありますが、それはどうなんですか、あくまでも農林当局独自の案というふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/251
-
252・河野一郎
○河野国務大臣 それはそうじゃないのでございまして、地元の道もしくは開発庁、これらで十分検討されまして、それに農林省も加わって立てた案でございます。決して農林省が独自に進むというようなことは考えておりませんし、また御指摘の点、私もごもっともと考えております。ただ私の申しましたのは、中央におきましては中央で、先ほど最初にお話がありました通りに、両事務当局の間に申し合せ、約束があるのかというようなお話があったくらいで、これらの事務上の連絡につきましては、最も緊密な連絡をはかっておりまするし、また出先のことを私は申し上げたのでありまして、出先におきましても、それぞれの事業所と地元との間に緊密な連絡をはかっていくように今考えておりますが、その程度で万一不十分である場合には、御指摘のように委員会その他の処置も必要じゃないか、この点につきましては私は別に考えてみたいということをお答え申し上げたわけであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/252
-
253・芳賀貢
○芳賀委員 次に、これは農林大臣からでなくともいいのですが、公団のやる業務の内容は、機械を保有してみずから開墾をやる場合もある、あるいはまた開発庁であるとか他の事業団体等に機械を貸すけれども、また逆に委託を受けてやる場合もあるというようなのは、非常に何か交錯したような仕事のやり方が察せられるわけです。特にこれは建設工事等の付帯事業もあると思いますが、特に公団と開発局との間における仕事のそういう交錯というものは、どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/253
-
254・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 お話の点は、まずこの地区で公団が機械開墾をやる、これが原則であります。その周辺に農家がありますから、これの希望があれば一緒にその委託を受けてやる、それから北海道では冬場機械が遊んでおりますから、遊んでいる間に本州等の地区で機械開墾をやってもらいたいということであれば、それに出ていってやってやって、こういうような内容になっております。これを実際やるのには開発庁なり農林省の事務局なり県なり、打ち合せてやる考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/254
-
255・芳賀貢
○芳賀委員 その場合現地における開発局と公団というものは、これは具体的にいうとどういう関係に置かれるのでありますか。公団は農林省の所管のもとにあるわけですね。それから開発局というのは内地府県における農地事務局とは、ちょっと似ているようではあるけれども性格が違うわけですね。総理府の所管ですね。そうじゃないですか。そういう点でこれは北海道では多年にわたって問題がある機構なんです。今度の機械開発の場合においても、こういう関連性を最初から明確にして割り切っておく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/255
-
256・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 北海道における開発局は国営事業をやっておるのであります。開墾事業の方はむしろ道の営農指導とマッチしてやっておるわけであります。従って従来の方針に従って公団が開発局とは、開発局の開墾建設事業とマッチするように、道とは営農とマッチするように連絡をとりながら機械開墾をやるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/256
-
257・芳賀貢
○芳賀委員 全国的な趨勢と思いますが、戦後開拓事業がずっと進められております。開拓農家が政府資金やいろいろな資金を借りているけれども、この返済の成績というのは非常に芳ばしくないということはいうまでもないのです。ですから今度の場合、当然これは機械開発によるところの入植者が相当力をたくわえないと、返済能力が出てこないということになる。特に根釧原野の場合においては、いろいろなあそこの冬作物別の反収等年次別にだんだんお出しになっているが、あれはすでに御承知と思いますが、北海道においては一番条件の悪い地区なんです。ですから作物の成育上の一つの条件として、その地区における積算温度というものは重大な関係があると思います。水稲まで行かないにいたしましても、そういう点においてあの地区は、作物は一つの限られたワク内においてしか成育もできないし、収穫もできないということになっているので、私たちがあの計画書をながめた場合においては、非常に収量の見方等が甘くできているのです。特に三年とか五年に一度は災害、たとえば冷害とか風水害、そういうような災害によるところの分というものは、あの中には考慮されておらないように見受けられるわけです。ですから収穫面の計画が非常に甘くなっていると、結局それによって実際の所得はそれに到達しないということになって、返済能力が最初からないことが明らかな地区に開墾をやって、そこに入植させるという問題が出てくるわけですが、そういうような具体的な計画の内容については、万全なものであるというようにはどうしても考えられないわけですが、この仕事を急に進めるためにつじつまの合うような計画を作ったのではないかというようなことも推測されるのですが、そういうずさんな一夜作りの計画であるということになると、非常にこれは危険なことになる。そういう点はどうですか、心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/257
-
258・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 その点はわれわれが最も苦心した点でありまして、北海道大学の先生、それからあの地方に従来入植している成功者、たとえば中村先生、そういう人をわずらわして、作物の種類、耕作の方法、肥培管理、それからさらに根本的には農具の処理、そういうものについて非常に長く検討を加えてきたのであります。その結果現在のような計画を立てておりますので、私どもとしてはこれでいける、こういうふうに確信を持っておりますけれども、さらにこの点はただいま申し上げましたような、各方面の今後の実際に当っての指導をお願いすることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/258
-
259・芳賀貢
○芳賀委員 そこでもう一つ発展して考えられる問題は、たとえば根釧地区において、ああいう僻遠な地区に大体二百五十戸とか六十戸とかいう開墾地を設けて、そこに近代的な入植をやらせる。住宅にしても、畜舎にしても必要な家畜の導入であるとか、診療所であるとか、学校であるとか、そこだけは非常に文化的な近代的な部落が形成されるとしても、もう五年も七年も前からその周辺において開拓者となってそこへ入植している人たちがおるのです。完全にみずから人間的に生き得る水準にまで行っていない人たちが、その周辺には散在しているということもこれは考慮に入れなければならぬと思うのです。それは農政全体の問題として、この小さな地区だけに一戸当りにして六百何十万という物量的なものを投じて、あと今まで散在している開拓者に対しては何ら十分なる施策が及んでいないというようなことは、これは放置できない現象になるのではないかというふうに考えますが、今後はこの機械開発のこの方式を一つの基点にして、あと放置された、何年も苦しんでいる開拓農家等をこの水準まで引き上げるというような施策を同時的に行うという、そういう計画は、これは農林大臣どうですか。そこだけがりっぱになって、そのほかは非常にみじめだという現象が出た場合――この計画がうまく行けばそういうことになる、失敗すれば別ですよ。そういうときのおくれたものを引き上げる農政上の具体策というものは、今から用点しておく必要があると思いますが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/259
-
260・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 その点はやはり私ども検討を加えてきておるのであります。このパイロット・ファームができますと、その周辺につきましては、先ほど申し上げましたように、おくれている開墾作業、そういうものも相当の援助ができると思うのであります。しかしさらにまたお話がありますように、急に近代的な開拓地ができるというところまではなかなか手が届かないのでありまして、たとえば最初の設計では、最初から暖房家屋という計画がありましたが、それではとても金がかかってできませんので、最小限の暖房施設を備えるというふうなこと、診療所等についても、初めからりっぱなものを作るというわけにいきません。いずれにしましても、従来のやり方では牛の頭数をどのくらいにしたらいいか、あるいは肥培管理をどういうふうにしたらいいかということについて、十分うまく行っていないところとか、それの模範という意味でやるのであります。それがある程度目鼻がつけば、それに準じて他の地区にも及ぼしていきたい、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/260
-
261・綱島正興
○綱島委員長 伊瀬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/261
-
262・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 昨日農林大臣に本事業の遂行によりまして、渇水時の木曽川の発電所に悪影響を及ぼして関西方面の電力事情に悪影響を及ぼさないかということを質問したのでございますが、これに対してそういう心配は要らないというような御答弁でございました。私は電気に対してしろうとでございますから、大臣の御答弁を全く信用してもいいのでございますが、たまたま昨日の商工委員会の小委員会において私の危惧しておるようなことが――関西電力株式会社の森という副社長が参考人として意見を陳述しておるのでありますが、こういう意見書を提出しております。「公団事業と当社既設発電所水利権との関係につき申し述べたいと思うのであります。この問題は、主として渇水時において発生することが考えられるのでありますが、農業用水の必要性が強調されるの余り、万一にも当社の三浦ダム、その他電力用水の流用等のため、わが国生産力の心臓部でありますところの関西地区における電力事情に悪影響を及ぼすようなことがあるといたしますならば、当社はもとより、関西の需用家にとりましてゆゆしい問題となるのであります。」というようなことが書いてありますが、昨日の農地局長の答弁では七月の六日、七日において関西電力と十分な了解ができたかのごときお話でございましたが、一体そういうような了解ができておるとするならば、森副社長は、こういうような意見は出されぬと思うのでありますが、この関係について詳しく一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/262
-
263・河野一郎
○河野国務大臣 昨日その点についてお尋ねがございましたが、御承知の通り、そういう渇水は過去の統計によりますれば、五年に一ぺんないしは十年に一ぺんあるという数字が出ておるようでございます。従ってこれらに備えるために、この計画を根本からどういうふうにするということなしに、その対策は対策として、それらの関西の需用家に迷惑を来たし、不安を与えないように十分打ち合せをいたしまして、善処する必要があるだろうと思います。これにつきましては御趣旨の点を十分考慮いたしまして、これら電力関係者との間に完全な意見の一致を見るように善後措置を講ずる必要があると思いますから、遅滞なくこれについては善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/263
-
264・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 今の大臣御答弁ではっきりしたのでございますが、それではまだ関西電力との間には完全なる了解ができていないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/264
-
265・河野一郎
○河野国務大臣 昨日も事務当局からお答えいたしましたように、そういう事態が起ったらば電力側に不安を与えないように既定の出力を出しまして、そうしてそれを農地側において水の輪番制等をとって善処して参るようにするということに一応了解はなっておりますけれども、私はそれでは不十分だと思います。そういう事態が起りました場合には、どうしても用水優先になることは、これは当りまえだと思います。でございますから、その点につきましてはさらに一段と考慮を払いまして、そうして電力側との問に完全に意見の一致を見るようにする必要があると思いますので、私といたしましては、ただいまお答え申し上げておりますように、一応の電力側との間には打ち合を済ませまして、そうしてそういう事態の起りました際には、電力側には優先的にやるようになっておる、またそれをやったところで営農には支障はないという一応のデータを持っておるということでございますけれども、私はそういう事態が起りました際には、どうしても農業用水優先ということになると思うのであります。でございますから、これにつきまして、さらに一段と私は、その事態に対処するために電力側との間にこの事態に対応する打ち合せをする必要があると思いますということをお答えを申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/265
-
266・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 これはどうもますますおかしいと思うのです。これがわれわれ関西の者としては一番心配するところなんです。これは五年に一ぺん起るやら、十年に一ぺん起るやらわからぬ、こうおっしゃるけれども、起って停電が現われた関西方面にとっては、これはしんぼうのできぬことなんです。大臣はまだこういう問題は十分な了解もなさらずに、本事業の遂行をやられるというのがどうも私には納得ができぬのです。昨日の事務当局の御説明によると了解ができていると言う。しかし、おそらく通産省との了解はできておっても、直接電力会社との了解はできていないと思うのでございます。一体この点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/266
-
267・河野一郎
○河野国務大臣 今のお話でございますけれども、決してその用水は全部がゼロというのではないのでございまして、そういう場合に多少出力が落ちる場合があるかもしれぬ、こういうことでございまして、そういう渇水川にはゼロになってしまうというような統計は、私は出ていないと思うのであります。もちろんそれは今申し上げますように、渇水期に当って平常通りに出しても、こちらの方で輪番制をとればよろしいんじゃないかという程度のことでございますから、決してゼロになることはない。その場合には火力発電所もあることでございます。その間につきましては、御承知の通り、渇水というものはふだんでもあるのでございますから、最善の努力、最善の注意はいたしておりまするけれども、その上にも私はそういうふうなことに対しては、用意をしておく必要があるだらうということを申し上げたのでございまして、今お話のように、そういうふうにすれば、ゼロになってしまう、それでまつ暗になってしまうというような事態ではない、これはそういうふうに御了承願って、しかもそれに対して十分な措置をさらにとっておく必要がある、こういうふうに申し上げるのでありまして、これを農村の方の水はなくしても、電力の方は従来通りに持っていくんだというようなことの答弁は、私はできないのでございます。でございますから、私は火力の発電であるとかその他の処置によって、これに対する補強はすべきものだというふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/267
-
268・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 それはますますおかしい。大体大臣は既得権というものをどういうように考えられておるのか。私は、この工事をやられるにつきまして、関西方面の電力には少しも悪影響を及ぼさない、この範囲におけるところのいわゆる既得権を確認された上において、事業を遂行するのが当然だと思うのでございますが、それがまだ了解もついていないのに、こういうことをやられる。こういうことになると、本事業の計画自体が、根本的にわれわれは検討を要する問題だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/268
-
269・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通り、用水はごく下の方で取るのでございますから、関西が、これで水を取ってしまって、渇水期にはまつ暗になってしまうということじゃないと思うのでございます。大体の出力はあるのでございますから、しかもその水を利用するのは下の方で利用するのでございますから、全然影響なしとは申しません、極端な例をおとりになるならば、そういうこともあるかもしれませんけれども、私はそういう場合に処しても、ただそのままでよろしいというようには考えていない。これについては十分の処置をとる必要があろうと思うのでありますが、念には念を入れてやることには努力するつもりでおりますということを申し上げておるのであります。一応の答弁としては、昨日事務当局から申し上げましたように、出力には影響のないように、地元として輪番制等によって大体いけるというデータは持っておるというのでございますから、それが今既得権々々々ということを申されますけれども、既得権はもちろん既得権でございます。しかし国家全体の食糧増産のために利用しよう、しかも関西の方面は、火力発電その他によって補強する道は他に絶対ないのではないのでございますから、それらによって補うなら補うでいいじゃないかという考え方で、私はやっておるのでございます。五年に一ぺん、十年に一ぺんのために、この用水の利用度を減額するということは、国家全体の利益の立場からとるべきではないというように考えるのでございまして、むろん今私が申し上げましたことによって、最善の努力はして、これに対処して参ればよろしいんじゃなかろうかと、多少独断であるかもしれませんが、お答え申し上げるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/269
-
270・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 そうすると、昨日事務当局から言われた、完全な了解が七月七日、八日にできている、その了解事項を一ぺん発表していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/270
-
271・河野一郎
○河野国務大臣 それは七月七日打ち合せをいたしまして、十四日両者の間に意見の一致を見ているそうでございます。それをさらにその後希望意見として、そういう意見が述べられておるということでございますから、その希望意見に対しましては、私は決して拒否しようという考えは持っていない。その点に対しては十分善処して、これに対する対策は講ずる必要があるということをお答え申し上げたのでございます、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/271
-
272・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 了解事項を一応ここで朗読をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/272
-
273・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 農地局長と公益事業局長で次のようなことを申し合せて、これには関西電力も一緒に参加しております。
その第一点は、「兼山取水口」用水の取り入れ口でございます、「よりの取水は、牧尾橋堰堤の貯溜分よりの放流量及び兼山での河川流量が兼山発電所最大使用水量以上で溢流を生ずる場合における溢流量の合計量の範囲内で取水するものとする。ただし兼山発電所及び今渡発電所において使用しない場合」これは発電所の故障とか修理で休む場合でありますが、「並びに下流既得水利に支障を与えない場合は、それに」上に申しましたことに「かかわらず、そのつど協議の上兼山取水品より取水できるものとし、なお非灌漑期間における上水道、工業用水の所要水量に関しては、今渡発電所堰堤操作規程に抵触しない限り兼山から取水できるものとする。」これは非灌漑地域のため池にとるために、そういう用意をしておるのでございます。
第三点は、「牧尾橋堰堤における貯溜については、」牧尾橋堰堤にどういうふうに水をためるかということについては「今渡発電所堰堤操作規程に抵触しないよう実施するものとする。」
それから「牧尾橋堰堤における貯溜及び放流並びに兼山取水品による取水の計画については、両者の協議が成立しない限り変更しないものとする。」こうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/273
-
274・久保田豊
○久保田(豊)委員 大臣にお伺いいたします。どうも今の大臣の答弁ではますます不安になってくる。大体考え方が逆ではないか。牧尾橋を作って、年間の貯流量は大体三億二、三千万になる。それだけの放流量は上の方で調整して、それを下の十二の発電所に流す、一部農業用水に使いながら、その水は同時に発電量になるんです。大臣はそういう事項までまだ御存じないで、関西側の電力が減るだろうというようなことは大きな間違いである。私が午前中申し上げたのは、この農林省の計画で、あの電源開発法に基くアロケーションで、単なる算術計算でやったこの九千七百万キロワット・アワーという発電量は、実情からいうと少な過ぎる。その配分のアロケーションの根本的なことをやらなければならぬ。
もう一つは、電力用の負担と農業用の負担をとにかく見てごらんなさい。ダムにおきまして、農業が八〇%背負っておる。それから電力はわずかに一五%、しかも使い水はどうかといえば、年間農業はわずかに八千万、電力の方は一億四千万。農業の八千万というのも電力に使えるのです。現に使っておる。そういう結果どういうことになるかというと、結論としては、農業では同じ一トンの水を使うのに、この地区の連中は少くとも原価は六十二円かかる、ところが電力会社は四円でこれを使う、こういうべらぼうなことになっておる。これを農林省は平素何とか言って、今のところしようがありません、こう言われておる、こんなでたらめな計算はやり直せと言っている。まるで農林大臣の認識は錯倒している。この点をまず農林大臣に聞きたい。これは事務当局も悪い。大臣もあの地域へ行かれればわかるのですから、大臣は認識を改めていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/274
-
275・河野一郎
○河野国務大臣 その点は私も全く同感であります。同感でございますが、こういう問題を運営して参りますには、いやしくも各方面に支障があってはなりませんから、そこで支障のないように、将来に問題を残さぬようにすべて解決して参りたいという考えからお答えを申し上げておるのでありまして、伊瀬さんからそういう御発言がなければ私もああいう答弁はいたさぬのであります。でありますから、すべてどういう点についても支障があるということはいけませんから、その支障についてはすべての問題を解決して参りたいということでお答え申し上げたのでございまして、どうかその点は誤解がないようにお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/275
-
276・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 今朗読されました了解事項ですが、あれが完全に守られればわれわれはよいのであります。電力会社の副社長がこういう発言をするからには、これに対してまだ了解ができていないとわれわれは考えるのですから、この点をはっきりしておけば、私はこの点に対しては了解ができると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/276
-
277・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま申し上げました通りに、了解事項に対しては、また希望事項もあるようでありますから、私といたしましては、それぞれの問題については具体的にこれが解決に当って、将来に支障のないように善処して参りたい、こういう考えでありますので御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/277
-
278・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 次に事業計画の内容について簡単に質問するのでありますが、六月二十二日付の計画の内容によりますと、関係各部内の経済効果については、関係者と十分協議の上作成されたものであると考えますが、この点どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/278
-
279・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 関係各省と十分協議をとげております。ただし申し上げますがこれは概算でありますから、この概算に基きまして設計を進めていって、最後の締めは、工事ができてから、振り返ってはっきりした数字になる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/279
-
280・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 大体今の御答弁で協議の上作成されているということでございますが、たとえば電力部門においても計画通りの経済効果は期待できないように聞いておるのでございますが、どの程度に協議をされて作成されておるのか、その点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/280
-
281・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 これはダムの貯流、放流、それによる使用状況というものをもとにしまして公益事業局と十分な打ち合せをいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/281
-
282・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 説明された事項、については大体了承できるのでございますが、経済効果にそごを来たすようなことがあれば本計画の遂行上支障を来たすと思われるので、さらに十分関係部内で協議の上了解を得られて実施されるように期待をするものでありますが、この点に関して重ねて御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/282
-
283・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 申すまでもなく計画を実施に移す場合にはしょっちゅう関係各省を計画の進度に応じて協議を進めなければいけないのでありまして、この点は法律にも、関係各省の大臣の同点を得なければならないということになっておりますので、これは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/283
-
284・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 その点は大体それで了承いたしますが、最後に一つ聞いておきたいことは、この事業遂行に当りまして、地元が強力な反対をしているようでございます。現に今日もこういう請願書をわれわれに配付されたのでございますが、この間現地を調査された議員各位の意見を聞いてみましても、地元長野県においての水没地帯あるいはその他の問題に対して強力な反対があるようでございます。そこでそういう反対があってまだ十分了解できていないにもかかわらず、この計画をその了解がなくても強行される意思があるのかどうか、これを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/284
-
285・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 ただいまの点は先般来大臣からしばしば御答弁申し上げました通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/285
-
286・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 それではその反対が十分了解できるまではやれないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/286
-
287・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 誠意を持って地元の御納得を得るように努めた上で実施するつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/287
-
288・松平忠久
○松平委員 関連して。誠意を持って地元の水没地帯の農村に対して折衝をするというようなお答えでありました。これは大臣から御答弁願いたいのでありますが、大体どういうような具体的の考え方で地元との折衝に当られるのか。従来の佐久問などにおける地元の水没家屋に対する補償の問題でもそうですが、大体事業費の一割から一割五分程度が補償に回っておるというのが今までの例であったように思います。従ってこの三百四億の中に補償料としてあるものは、ここにあります雑費とかいうようなものを合計して三十数億でありますが、そういうものを充てるつもりであるのか、あるいは別にこの補償料の額をきめておられるのか、この点がポイントだと思います。誠意というものは、ただ精神的の誠意だけではなくて、やはり地元民を納得せしめるためには相当物質的な補償というものがなければ満足できないと思います。この点が本事業の遂行に当っての難点であると思いますが、この点について大臣のお考えを一つ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/288
-
289・河野一郎
○河野国務大臣 ごもっともな御質問でございまして、この点については、私どもとしては先ほどもお答え申し上げましたが、近接の例で佐久間ダムの先例もありますし、その他全国のそれらに関連するいろいろな先例もございますので、これらを十分考慮勘案いたしまして、物質的にも地元の諸君の御納得を得て事業を遂行するようにしたい。それから精神的面においても、これら各関係の万々の御納得を得ていくことに最善の努力を払って参るということでございまして、もちろんその間次の営農等に支障のないように、それらにつきましても同時に処置していき、別個に最善の計画を立てて、そうして将来にわたって十分なる安心感を与えるように努力して参りたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/289
-
290・松平忠久
○松平委員 今大臣の御答弁で、誠意を持って地元と折衝するというお話でありました。大体あれらの地区を見ますのに、もともと耕地面積が比較的少いのでありまして、その少い耕地面積が水没するということになりますと、その営農形態が非常に違った方向にいかなければならないと思うのであります。すなわち主として国有林の地帯にありますから、山をもって生活しなければならないことになるのじゃないかと思うのであります。しかもあの木曽川流域は全般に耕地面積が少いということから、全般において山に生活の基、礎を求めていくということになるのでありまして、その具体的措置としては結局水没者並びにその残存部落が学校を維持し、あるいは役場を維持していき、普通の部落と同じような生活程度を維持していくためには、きわめて自治体として困難な立場にあるので、それらを勘案して見ると、どうしてもこれは国有林の払い下げということになるのではないかと思うのであります。従ってこれは農地局だけでやれる問題ではなくて、結局林野庁の協力を得なければならぬと思うのであります。従ってこれを林野庁側にどういうふうに一体農地局は話をされておるのか、農林大臣としてはそれをどう把握しておられるのか、林野庁はこれに対して、国有林の払い下げ等について確約しておるのかどうか、私はそれがポイントであろうと思うのでありますが、その点を一つお聞かせ願いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/290
-
291・河野一郎
○河野国務大臣 直ちにどの程度の国有林の払い下げをするかというような具体的のことについては、よく取り調ベをいたしますが、大体におきまして国有林の利用を最大限にいたすことに配慮をいたしたい。今お話しのように田畑の非常に少いところでございますから、これの犠牲に対しましては、将来にわたって残存されまする方々には、営農の基礎の立らますように十分努力いたしますとともに、またそれによって水没なさらぬ方も、他に転出される方々につきましては、優先的に他の方面において入植その他の点について考える必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/291
-
292・松平忠久
○松平委員 その点に関連して現地調査の際に、国有林の操車場があるけれども、この操車場はぜひつぶさないでほしいという陳情が営林局長からあったわけであります。八百八十メートルということになりますと、少し上流の方に土砂がたまるということになれば、この操車場の操作が困難になるのではないか、こういうふうに考えますので、それを八百五十メートル程度に下げるということを聞いておりますけれども、その点と、もう一つは操車場を中心とした材木の搬出について、従来通り上松町を中心としたところの搬出方法をとられるように私は聞いておるのでありますけれども、それには相当莫大な費用もかかる。しかしあえてその莫大な軌道のつけかえをしても既定の計画をやっていかれる。そうして地民の生活の維持について農林省はあくまで協力していく、そういう方針をとっておられるかどうかということを、念のためにお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/292
-
293・河野一郎
○河野国務大臣 具体的なことにつきましては局長から答弁させますが、総括的には先ほどお答え申し上げました通りに、よって起る被害、影響につきましては、これに対する補償もしくは対策につきましては万遺憾なきを期するように努力するつもりであります。具体的には局長より答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/293
-
294・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 ただいま森林軌道の操車場並びに軌道のつけかえの問題の御質問でありますが、操車場は八百八十三メートルのところにあります。従いまして水位は八百八十メートルでありますので、三メートルの余裕がありますが、これが洪水時、あるいは風の強いときに彼等の危険がありますので、護岸――防壁を作ることにいたしております。さらに軌道のつけかえにつきましては約十四キロになりますが、これは運搬を停止することなくつけかえを完了して、従来の森林軌道の運営と何らの変りのないようにいたすことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/294
-
295・久保田豊
○久保田(豊)委員 この際農林大臣に二、三お聞きをいたしたいと思います。
その第一点は、今回の愛知用水に連関いたしまして、木曽川水系の総合的な利用計画について、農林省の考え方のうらに一、二多少不十分な点がありはしないか、もう一度再検討を必要とするのではないか、こういう点であります。これは上流部については治山治水その他によって問題が解決するような条件があります。しかし問題は下流の農業用水、工業用水その他がこのダムによって、今回の計画によって直接ではありませんけれども、実は非常に危惧される状態が出ております。と申しますのは、さっきも局長の述べましたもののうちに、問題が今渡ダムのいわゆる放水量といいますか、常時放水量が一番問題であります。大体今渡ダムの取扱い規程によりますと、常時百トンの水を保証しなければならぬことになっておる。実際にはこれが七十六トンしかないという常流量の計算になっておる。ところが現在下流におきます四つの用水があります。これは大臣は御承知がないと思いまするけれども、木津とか、宮田あるいは羽島とか、あるいは佐屋川、こういう四つの用水の許可水量が六十一トンであります。それに工業用水が大体において三トン幾らかあります。そうすると六十七、八トンになります。実際に七十何トンからの渇水期においては、これがその直接の影響はないとしても、私は相当不安になると思う。しかも上流に今度の電力会社のダムができましたために、要するに河床がどんどん沈下をいたしまして、それから河心が変ってきておる、こういうことで四つの用水ともに、これはもう許可量の取水ができなくなっている。この問題は非常に大きな問題で、約二万町歩に及ぶ問題であります。これを合同してやろうという計画もあります。これも考えなければならぬ。さらに同時に岐阜県側に約三千町歩ばかりの新しく水を必要とするところがあります。木曽川の最末端に、いわゆる地盤沈下地帯に約千五百町歩の落水利用の地帯があります。これらもやはり将来においては水をやらなければならぬ。将来名古屋近辺を中心とする工業の発展、今度の愛知用水によるところの工業用水、こういうものと連関してみますと、私はここにもう一度基本的な大きな再検討が必要であろうと思う。特に農林省としてはこの点については詳細な検討が必要のように私は思う。特に現在のところでは、愛知用水によって直接下流の用水関係に被害は及ぼさない。影響は及ぼさないという、そういう計画になっております。一応私はこの技術的な計画を信用いたしますが、将来におきまする上流地帯の集水量や何かが相当変ってきますと、その場合においては、せっかくこれで三万三千町歩を生かしたと思っても、片方において、下流一帯の二万数千町歩を殺すということになる。工業の発展を阻害するということになっては、これは問題になりません。この点について農林省としてはもう一歩突っ込んで――この愛知用水の計画を変更しろというのではございません。これはこれでけっこうだと私は考えますが、この点についてはもう一度根本的な再検討をして、そうして四用水の方向なり何なりというものを基本的に総合的に検討いたしませんと、この解決は大きな困難だと思いますが、この点について大臣はどんなふうにお考えになっておりますか。まず第一点にお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/295
-
296・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通り今回の愛知用水の計画は、木曽川の流域の開発に対する一部のものでございまして、御指摘のように将来にわたって全木曽川の水域の利用発展のために考究しなければなりませんことは御意見の通りと私は考えます。従いまして、この愛知用水の問題が順次解決いたし、またそれに伴うて、流域が水位が低下するというようなことのために、御指摘のような、現在の用水関係に支障を来たすようなこがありますれば、これに対して対応する補強措置、もしくは改善策を遅滞なく講じなければならぬと考えております。あわせて岐阜県内におきます水の利用を必要といたしております地区に対する問題についても、改めてこれに対して具題的な計画を立てて、機会あればこれが実施することが適切だと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/296
-
297・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一点、今度の愛知用水の農業開発計画の重点は、知多半島を中心とする約三万三千町歩――畑地が約一万六千町歩余、水田が大体一万六千町歩余、町方合わせて三万三千町歩でありますが、水田の開発はそうめんどうはないと思いますが、地形を見て特に問題と思うのは畑地灌漑であります。これは大臣に聞いても少し無理かと思いますが、この地帯に行ってみますと、大体小さな丘陵地帯であります。しかもこれの畑地灌漑をやろといううことは日本では初めてのことであります。小規模の十町歩や十五町歩の畑地灌漑は、農林省でも技術的にも経済的にも自信があろうと思う。しかしながら一万六千町歩に及ぶ畑地灌漑を、あの地形でどういうふうにして開墾と合せてやるかという点は、農林省は計画ができておらぬと思う。まず第一に考えられることは、農林省の計画を見ますと、畑地灌漑に要する水量は、大体において水田の三分の一程度を見ているようです。しかしながらあの地帯の畑地潅漑は、従来日本で考えられておったようなうね間灌漑ではとてもだめだと思う。そうすれば、あの地形の中において、果して新しい畑地灌漑なり何なりをやるということの自信がおありになるかどうか。同時にこれは、農林省の従来の言葉で言えば、土地の区画整理を大規模にやらなければ、あの地帯では畑地灌漑の効果は上って参りません。これらについての具体的方針なり自信があるかどうか。同時にこのことはきょう農林省からもらいました資料によりますと、大体一万二千七百円の負担になっております。これについてはあとで詳しく触れようと思うのですが、これは区画整理を十分にやって、しかもうね間灌漑でない新しい形態の――どういう形態が適当かは別問題でありますが、この畑地灌漑を全般的にやろうとすれば、畑地開墾についての経費は莫大なものである。これらの点から見て、農林省から出した計画については私はまだこれは確定しておられないと思うのですが、農林省としては、従来のような、ただ国会を通そうというので、三万三千町歩の受益面積があって、そこから四十九億円の年所得があるというような、机上のでたらめな計画では、百姓は満足しません。この点について農林省は十分徹底した調査研究、実施をしてもらいたい。農林省が今度世銀から借りて持ってくる機械を見ましても、開墾の機械はありますが、畑地灌漑についての機械は一つもないことを見てみても、どうしてやるんですか。あの地帯においてうね間灌漑なんてことをやったら、畑はだめになりますよ。作る土は全部流れてしまいます。この点については大臣に質問するのは無理ですから、大臣にもこういう問題があるということを頭に入れておいていただいて、事務当局から聴取したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/297
-
298・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 御指摘の通りこの地帯の畑地灌漑には、われわれも非常に苦心しておるのであります。原則論は緩傾斜の所はうね間灌漑ということを考えております。また急傾斜の所はこれはある程度の段階においてならしまして、スプリンクラーでやろうという計画で進んでおります。このことにつきましては、私の方で二人の技術者を外国に派遣いたしまして、畑地灌漑の例を調べさせておりますし、現に世銀から畑地潅漑のエキスパートが来て、先般われわれが行ったのと前後して、さらに詳細に示唆をしていただいております。なおよく検討を加えた上で、遺憾のないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/298
-
299・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一ぺん畑地灌漑あるいは開田開畑について確かめておきたい点は、大体これによりますと、約五千何町歩の未開発地のうち三千町歩は新しく開田開畑をする。こういう計画になっておる。これはおそらくまとまった土地はこういくのだろうと思う。この土地は政府が未墾地を買い上げてやるのか、それとも他人の土地を持っていって政府がやるのか。これはおそらく自力では開墾ができないと思う。そのためにこそ新しい開墾機械か何かを入れて計画をされている。こういう点について政府の方針はどうなっておるか。今後の開墾予定地は全部買い上げてやるのか、あるいはまとまった所だけ買い上げて、ばらばらな小さな所は個人にやらせようというのか。それで畑地灌漑というのが果してうまくいくかどうか。こういう点も、畑地の区画整理と連関してどういうふうに考えておるか、この点を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/299
-
300・渡部伍良
○渡部(伍)政府委員 開墾は従来の例によりまして、原則として政府が買い上げまして、これに公団で開墾をさせる、こういうふうな考えをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/300
-
301・久保田豊
○久保田(豊)委員 今度の計画で私どもが一番大きな関心を持っておりますことは、増産効果もさることながら、この地帯の農民がこれによって生活が非常に楽になるか、農業が進歩するかという点であります。ぎりぎり結着の点はどこにあるかということの一点は、負担能力、償還能力と実際の償還額との関係であります。私どもが当初一番心配しておりましたのは、この点であります。農林省でもらいましたこの資料を見ますと、平均二千五百八十円ということになっております。ところがこれには隠しがあります。この裏にただし書きが書いてあります。農民負担が反当三千七十円と書いてある。両方合せますと五千六百五十円になります。反当ですよ。いいですか。反当の負担が五千六百五十円です。公団負担といわゆる農民負担でこれだけになる。これは国の補助費を差し引いたものだ、そう理解しております。ところがこれよりほかにまだあります。これはあとでお聞きしますが、要するに公団の水利管理ぼある段階までで、末端は土地改良区によるようになっております。土地改良区の水利費も相当かかる。少くともあの辺で聞きますと、どうしても反当三百円は見なければならぬ。そうしますと大体反当六千円、こういう大きな負担が、ここに現われた程度の増産効果によってできるかどうか、これが一番根本であります。これは無理だろうと私は思う。なぜむりであろうと言うとか申しますと、農林省の二十七年度の全国平均にしましても、農民の経済余力はわずかであります。大体において五反歩未満では、全国で一番いい条件でしょうが、約九千円であります。一町歩以下のものは一万五千円であります。いいですか、一戸当りですよ。さらに今度は災害地の高率補助を適用する場合の農民の負担能力は幾らかというと、一戸当り五千八百円です。これは一町一反の農家であります。こういうことになっておる。ところがこの地帯は、大体聞いてみますと、田畑合せましてほぼ七反から八反の平均であります。そのうちで六千円の負担をするいたしますと、一万八千円あるいは二万円ということになる。この負担ができるかどうかという点が一番根本の問題であります。私どもの判断では、水が来て耕地はよくなる、しかしとれたものの値段がどうなるかわかりません。もう一つの点は、この地帯の農家に聞いてみ、ますと、畑地灌漑をして一審何を欲するかというと、陸稻を作って自家飯米を確保したいというのが根本であります。そういたしますと、なるほど陸稲はとれて、大きな意味においては経済収入になりましょうが、しかしながら現金収入にはなりません。こういう状態の中で、私は反当六千円になるような負担というものはなかなか困難だと考える。なるほどこれは十五年間であります。最初の十年間で、あとの五年間はその半分になるといたしましても、これは非常に無理な計画であると思う。この実態が明らかになりまして、特に開墾計画が、さっき言いましたように五ヵ年間で完全にできないということになれば、個々の農家の方は負担はますます増してきます。こういうことになりますと、このほかに増産による税金の負担分が反当五百円になります。公団経費、これは常年度になったら大体三億何がしというものは公団経費として農民が負担しなければならぬ。これを見ますと、これが反当七百円になります。こういう負担がこういう地帯の農民にできるかどうか。私はまず農林大臣に、あなたはこういう事実をお考えになって、その上に立ってこの計画をお進めになっているのかどうか、この点をはっきりお伺いいたしておきたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/301
-
302・河野一郎
○河野国務大臣 今お示しになりました数字は、もちろんそういう場合も出て参ります。たとえば自力で開墾を進めます分を、今言うようなことでやります場合には、そういう負担をしなければならぬようになりますが、一方において、それをやることによって、収益の増をそこにお示しいたしておりますように九千何百円ということになりますので、その差額内において負担が可能であるというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/302
-
303・久保田豊
○久保田(豊)委員 これはどうも驚き入った御答弁です。なるほど計算づらでは、これによりますと、反当平均七千二百円の収益増になります。しかしこれはたたじゃありませんよ。肥料もかかっているし、農機具もかかっている。それだけのものをやるには、農民も自分でも食わなければならぬ。ただじゃない。七千二百円に対して、なるほど最初の十ヵ年には違いありませんが、六千円以上の負担がどうしてもかかる。税金やその他のものを入れれば、私はもっとよけいになると思う。この事実から見て、私は少くとも二戸当り二万円ないし三方円という負担はとうていできないものと思う。これを平均して七千三百円の収益増があるから、その中から六千円は十年に返せるのだということは、百姓の暮しを何も知らない者の言う言葉である。農林大臣の言う言葉じゃありません。そんなべらぼうなことはありません。なお七千三百円というのはいわゆる原価計算して、経費を差っ引いて、これだけ純益が残るというのではありません。これは純収益となっておりますけれども、私はそういう答弁では不十分だと思いますが、もう一度はっきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/303
-
304・河野一郎
○河野国務大臣 今申しましたように、三千円の負担を加える場合は、その収益は九千四百円となっております。あなたのおっしやるように、支出の方では一番多い数字をおとりになりまして、収益の方では平均した収益でお比べになりますれば、七千二百円ということになりますけれども、七千二百円は平均の収益の増でございまして、今私が申しますように三千円の開墾費を分割払いをするという場合には、九千四百円という数字に一応しているわけでございまして、これは今御指摘のような点も十分考慮いたさなければならぬと思いますけれども、総括して、私はこの計画は、これらの注意すべき点はいろいろあると思いますけれども、なるべく支出の面においてこれを節約するようにいたしまして、そうして農家の負担を軽減するように努力をいたさなければならぬことはもちろんでございます。しかしいずれにいたしましても、この事業を遂行することによりまして食糧の増産に寄与する面も非常に多いし、ないしはまたこの地帯が非常に開発せられて、将来にわたって非常に有利な地域になるということは御了承いただけると思いますので、問題は、これが運営に当って地民の負担の軽減になるように、あらゆる角度から御指摘になりました点を考慮いたしまして、十分努力する必要があるということは、私も同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/304
-
305・久保田豊
○久保田(豊)委員 私は今の農林大臣の御答弁では満足できません。かりに九千四百円増収方があったとしても、それから六千円以上引かれて、そうしてその償還をするということは、農民の暮しの実態とおよそかけ離れた暴論であります。しかしこれ以上申し上げてもしようがないと思います。ただ問題の経費を節約するといっても、そう大したことはありません。そこで私は、この農民負担を一番少くする基本的な要素が三つあると思う。その一つはさっき問題になりました電力と農業との負担区分なり何なりをどうするかという根本の問題であります。これは午前中に私申し上げましたので、詳しくあとでもって事務当局からお聞き取りいただきたいと思いますが、今あるいわゆる電源開発によるアロケーション、これは要するに電力会社がもうかるようなアロケーションです。ここでは実態はそうでない。さっきから私が申し上げておりますが、今度牧尾橋ダムによって、大体において三千四百立米近くの水が出る。その水は大部分電力が利用するのであります。そうすると今の九千七百万キロワット・アワーという発電量といいますが、特に下流発電所の発電量が六千七百万キロワット・アワーというようなばかなことは、どうしてもしろうと考えでは出てきません。これをもう一度検討し直す必要がある。
もう一つは、負担区分のきめ方が逆であります。大体において現在の発電単価なり、あるいは水道の売水単価を土台にして、そうしてずつてやってくる。そうしてそれを今の利潤率から逆算して、そうしてそれから専用施設の経費を差っ引いてやる。その結果はどうなるかというと、たとえば水路についても九〇%から九五%が農業負担であります。ダムについてはどうかというと、八〇%以上がいわゆる農業負担であって、ダムの貯水を一番活用するところの電力会社は非常に少い。その結果農民は、結論として一トンについて、さっきも申しましたように六十二円以上の水を使わせられる。電力会社は四円幾ら、水道が十八円幾ら、こういうばかな点を、今の規定にとらわれずに、農林省としては根本的にこの三つの関係を再検討されて、農民の負担を合理化することが第一点と考えます。こういう点は日本の農業の発展ということの基本的な問題になろうと思う。ですから真剣に一つこれを再検討をお願いしたい。この点から経費の負担減を考えていくことが第一点と考えるが、これに対する大臣の御意見はどうか。
もう一点は、今度のような大きな計画に対して、農林省の国庫補助は従来通りの基準によっております。従来通りの基準でもって、何らこれに対して特別の措置を講じておりません。これでは無理だ。このような大きな、しかも利益の帰するところ、大部分は国家的な仕事におきまして、少くとも私はダムやあるいは幹線水路、こういうものの建設費は全額国庫負担をいたして、支線とかそれ以下のものについてこそ従来通りの基準でやる。特に水田、畑地なら畑地の灌漑に対して、新しい施設をすると、相当私は金がかかると思う。これらについても新しい補助を当然考えるべき段階に来ていると思う。百十七億という国家の補助は、単に従来の規定をそのまま援用しているのであって、それ以外の経費はほとんど大部分が、電力会社も水道も何も負担せずに、農民が負担していかなければならぬ。その結果が今申しましたように、総合しますと年間六千円以上の負担になる。これは償還能力をはるかにこえたものであります。私はこの三点について国庫補助というものを、少くともダムの総建設費やあるいは主要幹線の総建設費、あるいは今問題の出ておりまする王滝村その他の補償関係の経費――これも相当ばかにならぬものだろうと思いますが、これをこの事業の原価計算に入れるということは間違いだ。これはぜひ農林省として思いを新たにして、この点は国家の全額補助に切りかえるべきものだと私は考えます。そうしなければ日本の農業というものが今度の計画の意図するような近代化の方向へ進むことはとうてい困難だ。末端の農民は必ずでき上ってからあとで泣くという結果になると思います。この三点について大臣の御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/305
-
306・河野一郎
○河野国務大臣 お答えいたします。第一の点につきましては、私は決して、農業関係の負担を重くして工業関係に薄くしょうという考えは持っておりませんが、御承知の通りすでにこれは過去の法令によりまして負担分がきまっておりますものを、今これによって採用しておるということでございまして、御指摘のような点については今後十分考慮しなければならぬことは私も同感でございます。しかし今一応計画を立てるに当りましては、過去の法令に従ってこの案を立てるというよりほかに仕方がありませんので、現在そういうふうにやっております。しかし少くともこれがいよいよ具体的に効果を上げるというときまでには十分に検討をしてみる必要があると思っております。
第二の点につきましては、御承知の通り全国各地におきまして国営開墾その他実施いたしておりますが、これらと同率の補助以上のことをやれということでございますけれども、今日の国家財政の現状におきましては、この地区の開墾に対して土地利用の点について特別に厚くして他の方に優先するということは、これに関連するところもなかなか多うございますので、一挙にそこまでやるということは困難だと私は考えます。他の利用すべき土地は全部利用が終りまして、そうしてこういうところに手をつけて地元負担に耐えかねるところでも国家的見地に立って必要上やむを得ずやるということであれば、その段階に至りました際はともかくといたしまして、今日の段階は、久保田委員の御指摘になりますように、一挙に踏み切ることはなかなか困難ではないかと思うのであります。ただしこの事業を遂行いたしまして、将来におきましては所期の収益を上げることができないとか、地元の負担が収益に比べて非常に過重であるとかいうような場合には、あらためて考慮せられる問題だと私は思うのでございまして、事業の当初に当って御指摘のようにして参るということは、なかなか事情が許さぬのではなかろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/306
-
307・久保田豊
○久保田(豊)委員 時間がありませんから最後にもう一点だけ……。今の御答弁ではまだ十分でありません。農林省としても特にこの二点は十分まじめに御研究を願いたいと思います。
もう一点は公団の運営なり機構の問題であります。この公団が約三万三千町歩の農業の土地、並びに農民の生活に持ちまする力というものは莫大であって、水の管理の権利を根本から全部持っておる。それから災害その他のあった場合におきまする災害復旧の権利をみな持っておる。開墾の権利も持っておる。そのほかあらゆる権利を持っておる。しかも事業負担はどしどし取り立てるということになっております。しかもその任免はほとんど農林大臣の一存でいくようになっております総裁、副総裁、並びに理事五名、監事二名、こういう組織になっております。しかも公団の管理は末端には届きません。農林省から出されました答申書によりましても、末端においては六十幾つかの支線ができます。村別になるかどうなるかわかりませんが、いずれにいたしましても土地改良区を作って、結局これを使って実際の仕事をするほかにはない、こういう仕組みになっております。しかもこの公団が起業いたしますところの負担は、公団の経費二億何千万というものを含めまして――建設費は四億かかりますがこれはよろしいとして二億何千万、反当にして約七百円、これまでを含めてやる。しかも公団の人事から給与からほとんど総裁と農林大臣が握ることになっておる。特に私の心配するのは、この水の配分、管理の問題、これは農民にとってこの際最も基本線であります。これが官僚機構によって動かされた場合においてはいろいろなトラブルも出て、公団自体も困難をするだろうし、農民自体も非常に困る。そこで私はこの三つの関係をどう調整するお考えか、少くとも今日のような形において総裁は農林大臣が任命する、副総裁以下は総裁が農林大臣の許可を受けて任命する、この形態でいいかもしれない。しかし私はこの理事、役員の中に末端の農民の代表、つまり連関土地改良区の代表が少くとも半分近く入っておらないことには、この公団の運用というものはうまくいかないと思う。またそうすることによって初めてこの公団から官僚性というものをある程度払拭して、農民とほんとうに血のつながる組織になると私は思うが、あなたはこれに対してどういうふうなお考えを持っておられるか。少くともこの条文に現われた範囲においては――私は口が悪いから大臣はおきらいになりましょうが、これは全くアメリカ資本に結びついた一部の勢力が、官僚機構のもとでがっちり三万三千町歩、四万何千人の農民の上にあぐらをかくという結果になる。こういうことでは私は意味がないと思う。この弊害を除く道は、どうしても職員機構の上においてある程度民主的な運営をする。その土台としては、最低限の必要として責任職員の中に土地改良区から選出された者を何らかの形において任命することを法律でもって保証することがぜひ必要だと考えるが、この点について大臣はどうお考えか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/307
-
308・河野一郎
○河野国務大臣 私は今の久保田さんのお話とは所見を異にいたしまして、職員の点につきましてはこの事業の遂行に最も必要な人事が適当であって、運用、管理につきましてはもちろん地元の意見を十分尊重しなければなりません。そのために農林大臣としてこの公団の監督を十分して参るということでございまして、官僚機構でありますと、官僚が云々というようなことは絶対にさせないようにするつもりでございます。大体職員等につきましては、事業を遂行する上に必要な最小限度でやって参ることが妥当であって、地元の代表者を入れてそうしてやるという必要はないのではないか。しかもこれは御承知の通り五ヵ年間でありまして、一応事業が完遂いたしますれば地方の事業に縮小いたしまして、あとは地元と十分関連を持っていくのでございますから、今お話のようなことにはならないと考えております。職員は大体技術者を主にいたしまして、この事業の完遂に必要な人事をやって参るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/308
-
309・久保田豊
○久保田(豊)委員 時間がありませんからもう一点だけ……。今農林大臣からるる御意見を聞きましたが、どうも農林大臣はこういう土地改良区の農民のほんとうの生きた関係を御存じないのじゃないか。これは土地改良事業と特に今度の公団の持ちまする農民に対する支配力、こういうものと連関して、ぜひ一つ法律をお考え直していただきたいと思います。これ以上は議論になりますので多くは申しませんが、法律施行の過程においてもその後においても、この公団の農民に対する支配力は非常に大きな影響を持つものでありますので、この点は事務当局とも十分お打ち合せの上、もう一度再検討を願いたい。これだけを申し上げまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/309
-
310・河野一郎
○河野国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、この事業の遂行につきましては、私の責任において役員を任命し、監督して参る。それについて遺憾がありますれば議会等において十分責任をとることになりますので、これらの地方の代表もしくは不平等につきまして、遺憾の点がありますれば、十分に議会から御監督願うということで足りるかと思うのでございまして、その土地の農家の代表の方を役員に入れるという必要はないのではないかというふうに考えておりますから、どうかその点で御了解を願いたいと思います。今後とも十分な御監督を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/310
-
311・綱島正興
○綱島委員長 川俣委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/311
-
312・川俣清音
○川俣委員 時間がありませんから、簡単に三点だけお尋ねいたします。
第一点は、午前中の質問において企画庁長官から、このたびの計画は発電所の出力と農業用水とのどちらに主点を置いて計画をするのだ、またどういう調整をするのだ、こういう質問をいたしましたに対しまして、まだ十分検討しておらない、こういう答弁であったのであります。従いましてその答弁がない限りにおきましては、本公団に対する態度は保留するということを私は申し述べておるのであります。この際農林大臣から、どちらを主点にして、計画された用水をどのようなふうに運用していくつもりであるか、この点をお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/312
-
313・河野一郎
○河野国務大臣 これは農林大臣所管におきまして役員の任命もいたしまするし、農林大臣の監督下においてこの公団の運営もして参りますということで御理解願えますように、土地改良もしくは増産ということに重点を置いてこの事業を遂行して参る、その副作用として電力でありますとか、工業用水でございますとかいうものが発生し、水道とかいうものを利用して参るということで御了解願えればよろしいのじゃなかろうか、あくまでも土地改良、増産ということに重点を置いてやって参る、他は余剰のものを利用するということでお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/313
-
314・川俣清音
○川俣委員 牧尾橋ダムへたまった水を利用するのに、主として農業用水に使うというような御答弁であります。ところが関西発電がこの地区に事業を開始いたしましたのは終戦後、二十三年なのです。将来灌漑用水のダムができては困るというところから、実はあわてて作った計画なのです。全く二十三年のどさくさまぎれに政府が許可したものです。従って上流地帯の状態等を十分調査して、発電能力、発電出力を常時どのくらいにできるか、あるいはこのダム効率はどの程度のものかというような検討も何もせずにやっておる。この上流地帯というものは荒れておりまして、年々莫大な治山治水経費をかけなければ、完全な出力を現わすことができるような、ダム効率を現わすことができるような状態にはないわけです。それはちょうどこの牧尾橋ダムに入るべきこの流水を半分以上独占いたしまして計画されたものです。日本で一番安定しておるのは三浦貯水池なのです。日本一の安定した貯水池です。旱魃にもあわないし、あるいは水害をもこうむらないという一番安定した貯水池です。これだけは非常に安全でありましょうが、この牧尾橋ダムは非常に不安定なものです。なぜかと申しますと、関西発電がこの沢目に入りまして発電所ダムを持っております。このダムはもう自然に土砂に埋もれて、ほとんど貯水能力を失っておる。貯水能力を失ったということで下流の土砂が低下してきた。このことは、ここにいわゆる堆積ができたということなのです。ここに堆積ができたから下流が低下した。もはやこのダムは土砂で満ばいしておる。そこで渇水特は活用できないようなものである。常時貯水力を持たない。そこで渇水期は関西電力で問題になっておる。これは無計画であった。それはこのような上流を見きわめないでやったための渇水時における当然な障害なのです。これは牧尾橋ダムを作るとか作らないとかいうことによらない。牧尾橋ダムによって恩恵を受けるとすれば、これは余徳なわけです。余徳であるから負担が過重であってもいいはずだし、また当然な負担をかけてもいいはずなのです。従来持っているから既得権だというふうな認め方をすることは間違いじゃないか。もう一つは、この計画全体からいいますと、先ほど申し上げたアメリカのようなのは、水源地の方が電力会社にトン当り幾ら、農業用水は幾ら、工業用水は幾ら、水道用水は幾ら、公共性の高いものほど、また収益率の悪いものほど安く売っておるというような状態です。そのかわりに自分が水を常時売るのであるからして、売る方が治山治水をやっておる。今度の計画は国が別に治山治水の計画をやらなければ、牧尾橋ダムというものは十年においてもう貯水能力を失うような状態である。だからこの計画というものは国の財政支出、いわゆの公団に対する財政支出、治山治水に対する財政支出、相待った計画を立てなければこの能力というものは発揮できなくなる。そこで一貫性を持った計画を今にして立てなければ、公団の運命というものは瞬時にして能力を失っていく、これに対する所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/314
-
315・河野一郎
○河野国務大臣 御説の点十分今後検討いたしまして、そしてこれから関西電力との間にも十分なる調整を行なって参りたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/315
-
316・川俣清音
○川俣委員 これは大臣、調整じゃだめなのですよ。もし関西電力の出力を認めるということになると、ここに入っておる土砂を工事のときに下へ流されるのです。既得権だというとその土砂を流すのです。これは一回流しておるのです。一回流した分が牧尾橋ダムで堆積になっておる。ですからここは土砂が全部埋まっている。堆積、堆砂ができるわけである。能力をなくする。既得権がないのだということで能力をなくすれば砂防ダムである。関西電力のダムが貯水ダムでなく、砂防ダムであれば、牧尾橋ダムというものは安全なものである。既得権を持っておるものだということになれであそこに貯水能力があるということになって、あそこにたまっておる堆積を流すと、牧尾橋ダムは全部引き受けなければならぬ。だから既得権を認めることを強く言うと、これは土砂を引き受けなければならぬ。土砂引き受けダムだということになる。金をかけて関西電力の持っておる土砂を引き受けるためのダムであるということになる。これでは計画になりませんよ。そこは調整の問題ではないのです。既得権を持っておるという考え方をするか、あるいはどさくさまぎれにやったのであるからこれは既得権がないと見て、しかしながら関西電力は関西方面における公共用のものとしてあらためて認めていくかどうか。現にもう能力は失っておるのです。これは航空写真で明らかになっておる。能力を失っておる。それを調べられないで能力があるあるなどと言うけれども、実際に渇水期に心配しておるのは、自分のダムが能力を失っておるから心配しておるのです。この点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/316
-
317・河野一郎
○河野国務大臣 ただいま川俣委員の御指摘になりました点につきましては、十分調査いたしましてよく勉強します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/317
-
318・川俣清音
○川俣委員 まだ逐条的にお尋ねしなければならぬ点がありますが、これは明日に譲ることにいたしまして、大臣に対する質問はもう一点で終ることにいたします。それは世銀から借ります融資というのは機械なんです。ところが愛知用水並びに機械公団に世銀から受ける機械の半分以上は、日本の工業能力からして十分作り得るものなんです。それをわざわざ世銀から借りられるのだからということで借りるということになると、日本の工業を圧迫する。日本の工業を発展させる基礎になっておるのは日本の農業です。農業が機械工業を発展させる以外に日本では機械工業の発展の余地はないわけです。農業が大きくその機械工業の発展に役立っており、購買力になっておる。それを世銀からみな持ってくることになりまして、日本の工業の発展の基礎をなしている農業の購売力を失ってしまいますならば、これは日本の産業構造の上から非常な大きな打撃を与えるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/318
-
319・河野一郎
○河野国務大臣 必要なる機械につきましては、必要の最小限度を持ってくるつもりでございまして、こちらの方で間に合うものについては持ってくるつもりはないのでございます。なお万万こちらでできるものであっても、最小限度そういう場合があるとすれば、耐久力等について多少考慮の余地がある場合にはあるかもしれませんが、私といたしましては、必要の最小限度持ってくることにかたくきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/319
-
320・芳賀貢
○芳賀委員 なお具体的に本法案を審議する関係上資料の要求をしておきます。第一は機械公団が世銀との借款によって購入する機械の一覧表、それと国内で調達するものの種別と価格、機械公団でやるところの北海道の開発の篠津地区、根釧地区、それから北上地区、この事業地区別の負担区分を明確にする資料、それから地区ごとに関連補助事業が当然あるわけですが、この関連補助事業として予想される工事別の補助率の一覧表、もう一つは先ほど開発庁長官にお願いしておいた両大臣の覚書の内容を、文書にしてあすの朝までに提出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/320
-
321・中村時雄
○中村(時)委員 芳賀委員の資料要求に関連して、牧尾橋ダムの地質調査をやった経過並びに地質調査書を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/321
-
322・綱島正興
○綱島委員長 ちょっと芳賀委員にお尋ねしますが、役所は今の資料をできるだけ作るでしょうが、あるいは十分に間に合わぬものも多少はできてくるのじゃなかろうかと思うのです。われわれか出張している留守中に、資料のことについてはだいぶ御検討を願ったのだそうですから、できるだけやるということで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/322
-
323・芳賀貢
○芳賀委員 これはすぐできるはずの資料で、用意してあると思うのですけれども、できるだけお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/323
-
324・中村時雄
○中村(時)委員 ぼくの資料もぜひともなければならぬ資料ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/324
-
325・綱島正興
○綱島委員長 それでは愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案の質疑は今日はこれにて打ち切ります。
〔委員長退席、中馬委員長代理着席〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/325
-
326・中馬辰猪
○中馬委員長代理 次に昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案を議題となし、提案理由の説明を求めます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/326
-
327・綱島正興
○綱島委員長 昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
本年六月及び七月に東北並びに北海道を襲いました水害によりまして、その保有している米麦が流失、埋没もしくは腐敗等により、あるいはまた水害による著しい減収により飲用食糧に事欠く農家が多数生じている状態でありますので、これら飯米不足の被害農家に対しまして、飯用食糧確保の方途を講じまして、安んじて生業に精励することができるようにいたす必要がございますので、昭和二十八年六月及び七月の大水害、または同年並びに翌二十九年の冷害等の場合にとられました米麦の売り渡しの特例措置にならいまして、政府所有の米穀、麦及び麦製品を特別価格で売り渡し、もって、被害農家の再生産確保に寄与いたす目的をもった、本法案を提出いたす次第であります。
次に本法案の内容の要旨を御説明申し上げます。まず第一に、この法律に基き米麦の売り渡しを受ける被害農家とは、本年六月及び七月の水害により、その生産にかかる所有米麦を流失、埋没もしくは腐敗し、または著しい減収のため、その農家の飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けたものとすること。
次に政府は、その必要とする米麦を都道府県に売り渡し、都道府県は、市町村を通じて被害農家に米麦を売り渡すこととする間接的な方法をとりましたこと、及び政府の売り渡し価格は、被害農家の購入価格がおおむね生産者が政府に売り渡した場合の基本価格となるように定めましたことであります。
以上が本案の提出の理由並びに内容の概要でございます。慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
〔中馬委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/327
-
328・綱島正興
○綱島委員長 本日はこれにて散会いたしまして、明日は午前九時半より理事会、十時より委員会を開き、今日に継続いたしまして、今日議題となりましたものの審議を進めることにいたします。
午後六時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205007X04819550727/328
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。