1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月三十日(月曜日)
午前十時五十分開議
出席小委員
小委員長 鈴木 善幸君
白浜 仁吉君 原 捨思君
田口長治郎君 赤路 友藏君
淡谷 悠藏君 佐竹 新市君
日野 吉夫君
出席政府委員
水産庁長官 前谷 重夫君
小委員外の出席者
議 員 松野 頼三君
議 員 芳賀 貢君
農林事務官
(水産庁漁政部
協同組合課長) 酒折 武弘君
農林事務官
(水産庁漁政部
漁業調整第一課
長) 長谷川善彦君
農 林 技 官
(水産庁漁政部
漁業調整第二課
長) 諏訪 光一君
農林事務官
(水産庁生産部
長) 増田 盛君
通商産業事務官
(通商局次長) 大堀 弘君
海上保安監
(警備救難部
長) 砂本 周一君
海上保安監
(警備救難部公
安課長) 高見 正夫君
専 門 員 徳久 三種君
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五月二十五日
川村善八郎君五月二十日委員辞任につき、委員
長の指名で小委員に補欠選任された。同日
淡谷悠藏君四月六日委員辞任につき、委員長の
指名で小委員に補欠選任された。
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本日の会議に付した案件
水産業協同組合法の改正案起草に関する件
韓国のりの輸入等に関する件
愛媛県今治沖における漁場の紛争事件に関する
件
マーシャル群島における原子核実験による被害
マグロ漁業者に対する融資問題に関する件
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001・鈴木善幸
○鈴木小委員長 これより農林水産委員会水産小委員会を開会いたします。
韓国ノリの輸入問題につきまして調査を進めます。
なおこの際お諮りいたします。小委員外の農林水産委員の発言につきましては、小委員長において適宜許可いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/1
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002・鈴木善幸
○鈴木小委員長 松野頼三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/2
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003・松野頼三
○松野頼三君 韓国からノリを毎年入れておるようですが、これは水産庁の方にお聞きするのですが、大体韓国からノリを輸入する数量とか必要性とかあるいは輸入価格という程度の基礎的なものを、簡単に要点だけちょっと御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/3
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004・前谷重夫
○前谷政府委員 本年度の内地のノリの生産は、これはまだ正確にはつかみ得ないわけでございますが、大体十三億、見方によりましては十四億、こういう見方がございますが、そういうふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/4
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005・松野頼三
○松野頼三君 単位は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/5
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006・前谷重夫
○前谷政府委員 億でございます。十三、四億枚が国内の生産じゃなかろうか、かように考えられます。従いまして、国内の価格は昨年度とほぼ同様で、これは種類、品質等によって個々の違いはございまするが、大体九十円から百円というところが国内の価格のようでございます。最近は出回り期に入りまして、幾分価格が低落をいたしておるように考えられます。この輸入につきましては、われわれ水産物全体といたしましては、国内で十分自給でき得るという考えのもとに、輸入ということについては考えておらないわけでございますが、特殊のもの、特に需給関係の逼迫いたしておるものにつきましては、国内の需給状況からいたしまして、その需給状況の判断のもとに一定数量を輸入するという考え方をとっておるわけでございます。韓国のノリにつきましては、過去の需給の状態及び価格の状態からいたしまして、三十年度といたしましては、大体ノリの生産時期をはずれました五月以降において輸入する、数量は大体一億枚程度が適当ではなかろうか、かように考えております。その他のものにつきましては、それぞれの個々の品物の需給によって決定いたしたい、原則はやはり国内で自給をして参るということが原則というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/6
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007・松野頼三
○松野頼三君 その五月以降に一億枚程度を国内に輸入するという方針はわかったのですが、その輸入方法とそれから大体値段の差がどれくらいか、輸入品が高いのか国内品が安いのか、その辺も一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/7
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008・前谷重夫
○前谷政府委員 私の方といたしましては、国内生産との調整上時期と数量とを限定してもらいたい、こういうことを通産省にお話しておるのでございます。従いましてその農林省の上要求いたしておりまする時期と数量を限定するという形におきまして、通産省は輸入方式を考えられておるわけでございます。その時期と数量とを限定するという建前からいたしますると、どうしても輸入方式については一定の制約が起ってくることは当然でございます。現在ではAAという方式がございますが、時期と数量を限定するという建前からいたしますと、外貨割当をやるという以外に方法はないのじゃないかということが通産当局の考え方でございます。輸入の価格につきましては、大体昨年度は一億枚で百万ドル、従いまして単位は百枚一ドルという形になっておったわけであります。現在の見通しからすると、幾分低目になるのではなかろうかというふうに考えております。ただ現実の輸入価格はどういうふうになるかということは、取引でございますのでちょっと私たちも見当がつきかねるわけでございますが、韓国ノリは、御承知のように韓国との輸出入のバランスを合せる、こういう意味におきまして、韓国側の輸出組合を通じておるという形になりますので、単なる需給上の価格だけではなく、韓国側の状況によって左右される場合が価格につきましては相当あるのであります。現在では幾分昨年度より下りぎみであるというふうに言われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/8
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009・松野頼三
○松野頼三君 今までは、大体一億枚程度のものを割当制で輸入するという方式を昨年まではとっておったのですか。今年も同様の方式で大体やるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/9
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010・前谷重夫
○前谷政府委員 先ほども申し上げましたように、水産庁といたしましては、国内生産との関係で数量と時期を限定してもらいたい、これを強く要求しておるわけでございます。従いまして数量と時期を限定するということになりますと、その要求を満たすためには、通産当職では外貨割当の方法でないとできないのではないか、こういうふうに承知いたしておりますが、こまかい外貨の割当の方式の問題につきましては、通産当局のお考えにもよることでありますが、われわれといたしましては、数量と時期を限定してもらいたい、それに合う方式をやってもらいたい、かように考えておりますので、大体通産当局の考え方は、外貨割当でやらなければその要求は満たし得ないのではないか、こういうことのようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/10
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011・松野頼三
○松野頼三君 通産省が来る前にもう一つ……。水産庁の立場で、昨年度この方法でやって不都合な点があったのか、あるいは大体順調にいっているのか、実績はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/11
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012・前谷重夫
○前谷政府委員 昨年度ノリの輸入につきましては、実は当初一億枚百万ドルという予定で参ったわけでございますが、買取制であるとか委託制であるとかいうふうな問題で三千万枚余りが輸入できなかった。つまり一ドルの単価で参りますと、それが上りましたために百万ドルでは一億枚が輸入し得なかった、かようになっております。しかし国内の生産に対する影響から申しますと、昨年度はそれによりまして国内の生産の方面に影響があったとは考えられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/12
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013・松野頼三
○松野頼三君 その三〇%ばかり輸入ができなかったというのはどういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/13
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014・前谷重夫
○前谷政府委員 これは先ほども申し上げましたように、私の方では金額あるいは数量を限定いたしておりますので、単価の値上りによりますと、その金額でもってはその数最が輸入し得なかった。これには輸入方式の問題といたしまして、買取制と委託制こういうふうな問題があって、それも一つの原因であったように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/14
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015・松野頼三
○松野頼三君 ただいまの水産庁長官の説明では、大体韓国の方は鮮国輸出組合から全量日本に輸出するわけでしょう。それに三〇%だけ特別扱いの値段が出なかったのか、この辺はどういうわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/15
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016・前谷重夫
○前谷政府委員 詳細は通産省当局の方が間違いないと思いますが、私聞いておりますのは、輸出組合にレジスターしますが、個々の取引は、韓国の輸出商社と日本の輸入商社の取引によることになっております。ただ金額に限度を置いておりますので、単価が上りますとおのずから輸入する数量が減って参る。単価が下れば輸入数量がふえる。そこで国内の生産の面におきまして、われわれの方におきましては、数量を限度に置いて考えておるわけでございますが、外貨の割当の面からいたしますと、その数量を価格面で表示いたしまするので、外貨の割当といたしましては百万ドル、こういうことに決定いたしますと、その百万ドルの範囲内で輸入するということになりまするので、価格が上りますとおのずから枚数が減って参る、こういう形になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/16
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017・鈴木善幸
○鈴木小委員長 ただいま通商局次長の大堀弘君がお見えになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/17
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018・松野頼三
○松野頼三君 今の質問を通商局から御返事いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/18
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019・大堀弘
○大堀説明員 私大へんおくれまして恐縮ですが、御質問の趣旨は、昨年下期に実施いたしました韓国ノリの輸入の際に積み上げの残りが出たという件についての御質問だと思います。昨年許可いたしました際に金額が百万ドル、数量では一億枚、こういう二つの輸入許可の条件、数量と金額両方を押えておきまして、大体去年の許可いたしますときの状況からいたしますと、一束当り一ドル程度であろうという判断でそういう許可をいたしたわけでございます。数量の点は特に国内の生産業者の生産に対する関係がございますので、金額だけでやるということにつきましては、従来とも御了解を得られない非常にむずかしい問題でございますので、外貨割詣の問題でございますから、金額でやることは原則でございますが、数量で押える、両方で押えて発表いたしたのでございます。しかしながらその実施の結果を見ましたところが、取引の方法が委託販売の方法によって行われたのでありまして、その結果として単価が非常に高くなった。一束当り一ドルくらいのものが何割か高くなりました。従いまして金額的に百万ドルのワクを越えなければ一億枚入れられない、こういう結果になったわけでございます。その当時いろいろ議論がございましたが、当時これは金額または数量で頭打ちをする制度であるということにおきまして、委託販売価格が向くなったために、入れる方の数社が量的に非常に少くなった。その結果三千数百万枚のものが大阪に滞貨するという結果になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/19
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020・松野頼三
○松野頼三君 ちょっとその説明が私もよくわからないのですが、委託販売ということは、だれの委託を受けてだれが販売をするのですか。委託販売という方式が昨年からあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/20
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021・大堀弘
○大堀説明員 結局向うの輸出者側のものになると思います。輸出者の方が委託をして、こちらの販売業者は売れるまで売ってきめる、こういう形になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/21
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022・松野頼三
○松野頼三君 そういう委託販売というものを通産省はその通り認められたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/22
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023・大堀弘
○大堀説明員 昨年はそれも差しつかえないということになったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/23
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024・松野頼三
○松野頼三君 そうすると、その外貨割当は、だれが外貨割当を受けるのですか、日本の商社なんですか。委託者なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/24
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025・大堀弘
○大堀説明員 これは輸入業者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/25
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026・松野頼三
○松野頼三君 そうすると輸入業者は朝鮮の委託を受けて販売する、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/26
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027・大堀弘
○大堀説明員 そういうことになっておるのです。はなはだ申しわけありませんが、法律関係のこまかい点は取引の内容になりますので、あとで調べてお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/27
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028・松野頼三
○松野頼三君 私は別に専門家じゃないからわからないが、話を聞いておって、朝鮮の業者の委託を受けて日本の市場を荒されるというような感じを受けるので、そういうものをあなた方が知らずに、ただ外貨割当をしてしまうのか、そういうものもちゃんと取引条件としてお宅の方で審査されるのであ、ろうか、そういう問題を審査せずに、委託販売だろうが何だろうがかまわない、ただ申請者によって外貨割当をする、そういう無責任なことをやられたかということを聞いている。それがどつちが悪いとかいいということはこれから先の話だ。御承知のようにこの問題で非常にたくさんの賛否両論がある。水産庁としても賛否両論があるように賛否両論がある。その所管をしてやっておって、委託販売というのは何だか知らないで、ことに外貨割当をして三〇%入ってこないというこの原因を追及もせずに、本年どうのこうのという、こういう論議を言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/28
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029・大堀弘
○大堀説明員 お言葉を返すようでありますが、これは取引方法としましてはコンサインメントで取引する、日本から輸出します場合でも結局、向うへ物を持って行って、売れたところで代金を回収する、こういう契約方式は取引としましては一般的には認められておるわけであります。それでこの場合に果して適当であったかどうかという点については、御意見の通り私の力も、果してそれが適当であったかどうか、これはあとになって反省してみますと問題があったかと思うのであります。方法といたしましては、普通の場合は、その輸入を許可されました金額の範囲内においては、取引の形態はよろしいでありましょうから、一体に特別に支障がある場合以外は方法は認められるわけであります。今後の問題といたしましてはあるいは売り切り、買い切りといった方法の方が、この場合には適当ではないかというふうにも考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/29
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030・松野頼三
○松野頼三君 そういう委託販売みたいな方式の輸入品で、日本に入るのは品目でどういうものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/30
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031・大堀弘
○大堀説明員 ちょっと私今よく記憶いたしてございませんが、これは輸出の場合等にはそういった必要がある場合は相当ある。たとえばカメラでありますとか、そういったものを輸出します場合に、コンサインメントを送りまして、向うで販売して、その代金を回収するという行き方もかなり行われておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/31
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032・松野頼三
○松野頼三君 では日本のカメラをどこに輸出しておるという例があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/32
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033・大堀弘
○大堀説明員 ただいまちょっとどことはっきり記憶いたしておりませんか、そういう例として申し上げたのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/33
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034・松野頼三
○松野頼三君 では逆に日本に輸入の場合に、そういう例がほかの商品にたくさんありますか。今度輸入の場合を聞いてみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/34
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035・大堀弘
○大堀説明員 ちょっと私も具体的に何についてだったか記憶ございませんが、よく調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/35
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036・松野頼三
○松野頼三君 別に私はあなたに答えられないのを無理に答えろという意味ではないのです。しかし少くとも委託販売ということは、朝鮮の業者から日本の方が委託をされて売るわけです。そうしてしかも値段というものは、向うに委託された以上日本は幾らかのコミッションはあるかもしれないけれども、結論において日本のノリのような場合、なるべく輸入というものを制限して、日本のコントロールの中において国内の生産業者を保護したいという意見なのです。それにもかかわらず、朝鮮の委託によって市場を勝手に荒されるというものが、しかも昨年実績はわずかだというふうなことをあなた方お考えにならずに今年の問題を解決しようというところが、私はどちらかといえば不親切だと思う。日本の外貨というものは一ドルといえども市要なものである。必要な製品が必要な値段で、いい時期に入るために通産省があるわけだ。通産省にとってはデリケートな小さな問題かもしれない。もっと聞くとあなたはまだわからないとおっしゃる。そういう通産省は何をしているのかという疑義を委員はみな持っている。私は委託販売の方式をどうのこうのというものではないけれども、非常に不正確な上におやりになっているということだけははっきりわかった。実績においても不正確だ。方式の算定も不正確、外貨もどっちかといえばロスじゃないか。こういう通産省に外貨を与えるということは危険ではないか。農林省の方が安全かもしれない。農林水産物としてやるなら、割当は農林省に与えた方が安全だと思う。ただいまの質疑応答だってそうだ。ちっともわからない。しかも成績がよくない。朝鮮の方の委託を受けるならば、日本の市場は朝鮮の委託者によって左右されるにきまっている。私の言っているのが間違っていたらいつでも反駁なさってけっこうです。これでいいのだろうか、悪いのだろうか。この方式で昨年の成績を見て、本年お宅の方に外貨を預けていいのだろうか、私は不安なのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/36
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037・大堀弘
○大堀説明員 実は輸入の全部の商品につきまして一応通商局が責任を負っている関係上、そういう製品につきまして輸入に関係しているわけでありますが、御承知のように工業生産品に関係ある工業原料等につきましては、別に内部の各担当所管もありますので、各担当の当局とも相談いたしております。また農林水産物に関係いたしますものは農林省と密接な連絡をとりまして協議いたしまして、了解を得て実施いたしております。こまかいものにつきまして若干悪い結果が出ている場合もあるかと思いますが、今般といたしましては十分に連絡をして実施いたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/37
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038・松野頼三
○松野頼三君 農林水産の方は全般やっていらっしゃるからわからない、これも一つの御答弁でしょう。何といったってたくさんの品物があるから、あなた方が一々覚えられないのはもっともだと思う。そうならばあなた方の仕事は過大だということになる。水産長官はちゃんと答えられる。こうなるとこの所管は通産省より農林省に置く方が妥当である。通産省としては零細な問題かもしれない。私どもそんな小さいことはわかりませんという答弁なら、私はあらためて質問しますけれども、少くとも当委員会では、当然そういうわからないところにこの所管を置くこと自身が非常に疑問だと思う。直ちにこれはもとにもどせということは言わないが、ただいまの質疑応答は速記録をごらんになればおわかりの通り、農林水産委員会としては速記録を読んで意思決定をされるまで、ずさんな行政はしばらく停止してもらいたい。この問題は各委員に諮って、今日できなければ、書面でもけっこうですから、この問題はどちらでやるのがいいか悪いか。大体通商局が悪い。通商局の行政がずさんで資料も内容もわからない。零細なことだというけれども、金額はたといわずかでありましても日本の外貨は尊重せられなければならない。水産小委員会はこれを第一に重要視しなければならない。私はこれ以上質疑をしたっておそらく答弁がないと思うから、この意思だけは十分お聞きの上、関係行政官庁にこの問題を委員長から御通達願って、これはもう一ぺんやりましましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/38
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039・佐竹新市
○佐竹(新)小委員 前谷長官にお尋ねします。水産物関係については、今局長が言うには全部連絡を取ってやっているというが、実際に連絡を取ってやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/39
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040・前谷重夫
○前谷政府委員 御承知のように輸出入の関係につきましては貿易為替管理法がございます。その中で農林水産物につきましてはその輸出入について農林省の同窓を必要とする場合は、そういう法律の規定によりまして当然その措置をとるわけです。われわれとしましても具体的な行政措置としましては、水産物の輸出入は同時に国内需給にも影響いたしますので、事前にいろいろ事務的な連絡をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/40
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041・松野頼三
○松野頼三君 水産庁長官に聞くが、そういう委託販売なんということを私も初めて聞いたんだが、水産庁としてはそういうこと御存じだったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/41
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042・前谷重夫
○前谷政府委員 水産庁の立場から申しますと、この輸出入の問題については、国内の生産流通関係にどういう影響があるかということを主として検討いたしているわけであります。もちろん国全体の立場として外貨使用の状況であるとかそういう点も検討すべきでありますが、われわれの主たる観点がそういうう関係を主として検討いたしておりますので、先ほど申し上げましたように、ノリにつきましては数量とか輸入の時期に主眼を置いているわけであります。個々のこまかい輸入の方式は専門担当官庁であります通産当局におまかせしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/42
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043・佐竹新市
○佐竹(新)小委員 具体的に言うと、たとえば朝鮮からノリを入れる場合に、向うからこちらに持って来て通商局の許可を取って現に売っている事実があるが、それはあなたの方に実際問題として連絡があるのですか。これはノリ業者の大きな問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/43
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044・前谷重夫
○前谷政府委員 ノリにつきましては、お話のように国内の生産に非常に垂要な関係がございます。私の方に、この前も、一月か二月ころに韓国貿易の面からして通産省から紹介がございました。これは土産時期が大体終りますのが四月でございますから、その前に国内の需給状況も不明確なときに輸入するのは困る、また輸入する場合には、国内の生産状況からしてこの程度の需要があるだろうということからその不足分を輸入するという意味におきまして、本年度においては四月以降に輸入する、それより前は生産関係から困る。それから数量は一億枚が妥当だ、こういうことを言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/44
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045・佐竹新市
○佐竹(新)小委員 一億枚が妥当というのはどういうところからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/45
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046・前谷重夫
○前谷政府委員 ノリの生産につきましては十三、四億枚の生産があるという推定をしております。需要関係がどうかということは、価格関係から具体的に判断するより方法がないわけですが、その生産状況、価格状況を見ますと、昨年度と価格においても大した差はないということでありますし、また国内のノリの価格が、大体食糧品は戦前に対して四百倍程度、ノリの場合は物価指数からしますとそれ以上に倍数が高くなっているという事情からいたしまして、生産団体の方の意見をお聞きしまして通産省に返答いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/46
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047・佐竹新市
○佐竹(新)小委員 実際問題として一億枚入れるということは無理じゃないか。水産庁の長官という、日本のノリ行政の生産を保護する立場からいって、それはどういうふうに考えておられますか。それを妥当だと考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/47
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048・前谷重夫
○前谷政府委員 ノリの生産状況その他から総体として見ますると、生産時期をはずすということ、数量につきましては、大体一億枚くらいの程度なら国内に対して大した影響はないのじゃなかろうか。また先ほど申し上げましたように、価格の関係はほかの水産物等の関係から見ますると、大体八百倍程度に物価指数はなっておりまして、これは小売の指数でございますが、小売の指数は相当高いということも見られますので、そういう点からいろいろ勘案いたしまして妥当なところではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/48
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049・佐竹新市
○佐竹(新)小委員 価格の点ですが、価格の点についてはあなたの方は調整されておりませんよ。あなたはそういうふうに言われますが、実際問題は価格は調整されておりません。それだけのものが入ることによってむしろ生産業者は困っておるのですよ。あなた方の方の役所の立場からいえば、そういう数字で説明されておられるけれども、実際問題としては困っておる。それはやっぱりあなた方の知らぬうちに、一つの通商局の方でルートとしてやっておるのです。たから私は、あまりそれ以上日本の生産業者の生活を圧迫してもらいたくないと思う。ぼくのところもいろいろ事情を聞いておりますが、私はこれ以上質問しようとは思わぬけれども、もしあなたの方でなんでしたら、入っておるノリと国内のノリ、そのルートはどういうふうにして——これはみんなすりかえてしまつておるのです。たとえば浅草ノリといって朝鮮ノリが入っておるのですよ。そういうようにいろいろ国内の生産業者を圧迫してまでも入れるというならどうかと思う。もう少し必要なものを入れるならいいのだが、国内の生産業者を圧迫してまで入れることに対しては、あなたの方でよく価格の問題、輸入の問題を調整するように、水産庁としてやはり業者を保護する立場から、もう少し真剣に考えてもらいたいと思う。資料を出せと言われるなら私は出しますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/49
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050・鈴木善幸
○鈴木小委員長 原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/50
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051・原捨思
○原(捨)小委員 ちょっと伺いますが、朝鮮ノリの輸入については国内のノリの生産の状況を勘案してやるというような答弁がありました。そこで四、五年以来の国内の生産状況はどうか。それから今後国内の生産がふえると考えておられますか。現在の線を当分たどっていくだろう、あろいは今後さらに生産がぐんと増すか、どういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/51
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052・前谷重夫
○前谷政府委員 ノリの生産の状態でございますが、戦後二十五年から七年くらいの状態を考えますと、大体十五、六億枚が生産ではなかったか、かように考えますが、二十九年度は非常に生産が減ったわけでございます。本年度は先ほど申し上げましたように、十三、四億枚程度ではなかろうか、かように考えておりますが、われわれといたしましては、今御審議願っておりまする予算におきましては、ノリの増殖についてはいろいろ技術指導なりその他の面において努力をいたしておるわけでございまして、国内の自給を高めて参る、こういう考え方につきましては、不十分かと言われまするが、われわれとしてはその予算面その他において努効いたしておるわけでございます。そういう生産面での努力と、それからその年におきまする生産状況、こういうものとのにらみ合せにおいて輸入を考えて参りたいという基本方式に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/52
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053・原捨思
○原(捨)小委員 私どもの見るところでは、国内の生産が今後年々ふえていく、かように考えておりますが、二十九年度の減産の原因はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/53
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054・前谷重夫
○前谷政府委員 一般に暖冬異変によってでございますが、二十九年度は減産しておる。本年度はそれよりはずっと回復して参るのではなかろうか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/54
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055・鈴木善幸
○鈴木小委員長 赤路君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/55
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056・赤路友藏
○赤路小委員 私の方からちょっと質問したいのですが、今松野委員が何か委託販売のことについて言われたんですが、どうもだいぶ憤慨しておられたようであります。そこで通産省の方にお聞きしたいのですが、輝国ノリ需給調幣協議会というものが昨年できて、そうして生産者と貿易業者、問屋、三者が寄って、この協議会をもって需給調整をはかるということになっておるようですが、この協議会の方から本年の二月下旬に本年度の韓国ノリ輸入についての答申が行っておるのですが、二月末に答申が行って今日までなお外貨割当がなされていない。何か理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/56
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057・大堀弘
○大堀説明員 その点につきましては、ノリの輸入につきましてノリの需給調整協議会というものができておりますが、これはお話のように生産業者と問屋、輸入業者と三者で結成しておるわけでございます。この意見を十分伺ってやって参りたい、お話のように二月に一億枚入れてもよろしい、入れてもらいたいという御意見があったものですから、そこで私どもとしましては、需給調幣協議会の御意見のうち一番大事な点は量を幾らにするか、これは国内の生産に直接影響がございますので、量を幾らにするかということが大事だと思います。ノリというのは生産期が十一月から四月までで、生産期にノリの輸入をするということは、これは非常に影響が大きいものでございますから、生産期が終りましてから入れるという考え方これも尊重しなければならぬと考えております。従いまして大体四月が終ってから五月ごろから入れるのが適当であろう、それで問題はもう一点ございますのは、先ほど来言われました輸入の方式の問題につきまして、いろいろ業界などで御意見があるわけでありますが、昨年実施いたしました際は、民間貿易開始以来の五カ年の輸入実績によりまして輸入割当をしたのでございます。しかしながら百パーセント輸入実績を尊重するかどうかということにつきましてはいろいろ御意見があるわけでありまして、一部の人が非常に大きな実績を持ってということについてもまた韓国の貿易のような国内貿易に類したような貿易の場合でありますと、相当やりたい方もあるわけでございます。それをとっていくということは行政としてはいろいろ考えなければならぬわけでありまして、これは輸入実績をどの程度ウエートを置くかということについては、われわれとしまして相当慎重に検討いたしまして、そういった面の見解の調整に相当時間がかかりまして今日まで遷延いたしておるわけであります。大体実績も尊重し、新しい人もやれる、両様の方法をとりましてやるのが適当ではないかと今日考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/57
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058・赤路友藏
○赤路小委員 先ほど来佐竹委員からも、原委員からも話があったのですが、国内の生産者の立場からいうと、韓国ノリの輸入ということはやめてもらいたいというのがほんとうだと思います。しかし将来はさておいて、現在の生産量の点から、あるいは需要量の点から見た場合、現在においてはある程度輸入はやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えられると思う。従ってその輸入についても、先ほど来水産庁長官が答弁しておりますように、生産者の立場を考えて時期と数量を限定していく。ここに問題があると思う。この点について通産省の方も十分水産庁と連絡をとっておやり願っておると思います。今の輸入方式の問題ですが、これは実績方式をとるかあるいは新しい商社を認めていくかということが問題点だということですか、ここで一つ根本的に御意見を伺ってみたいのですが、少くとも私がこの問題で過去においてタッチしてきた経験から参りますと、これはおそらく通産省の方でもそうだと思うのですが、毎年問題が起きる。おそらくことしどういう方式で決定するかは知りませんが、また来年何か問題を起すのではないか。こういうように外貨割当をめぐって大きく問題が起る原因は一体どこにあるとお考えになりますか。御答弁できたら一つ御答弁していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/58
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059・大堀弘
○大堀説明員 非常にむずかしい御質問でございますが、私の考えますところを申し上げますと、結局先ほど水産庁長官のお話がありましたように、一部の物資については非常に国内価格が高い、輸入価格が非常に低い、この場合に入れれば非常に利益が出る。こういうケースがあるわけであります。その場合にやはりだれが入れるかということが、非常に利害にからんで参りますから、意見としては非常にむずかしくなる、一言で申しますと大体そういうことではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/59
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060・赤路友藏
○赤路小委員 その通りだと思うのですが、率直に申し上げて、利潤が大き過ぎるということなんでしょう。だから砂糖にアリがひっつくようにひっつくんだと思う。そこに私はいろいろな問題がかもされてくると思う。おそらく通産省もこのことについては非常にお困りになっておると私は思います。そこでこれに対して、そういうような砂糖にアリがひっつくようなことのないような方法は考えられないかどうか。適正利潤で押えていって、そうしてその残ったものを——これはそういうことが許されておるかどうか知らないが、それを政府の方が吸い上げて、これを浅海増殖振興費に充てるなり、あるいは社会事業の方に回すなり、これの方があまり利権関係が伴わないで、外貨割当の面についてもやりやすいのではないか。そういう方法ができるかどうか、私はわかりません。これは御研究願わなければならぬのだが、そんなことはお考えになったことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/60
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061・大堀弘
○大堀説明員 御指摘の点、まことにごもっともだと思います。実は本国会に農林省と御相談の上で二つの法律案が出ておりますが、一つは砂糖の問題でございます、もう一つは特定物資の輸入に関する法律案でございますが、これは要するに今お話の点の、物によっては非常に過当な利潤が出ておりますが、そういうものについては国庫へ吸い上げまして、これは一般財政の資金へ入れていく、こういう考え方によっております。一つは砂糖、これは国内価格安定の問題ともからんでおりますので、若干複雑な法律だと思いますが、特定物資の方はもっぱら差益を国庫へ入れる、こういう考え方に立ちまして、現在のところ考えておりますのは、これもいろいろ問題がございましたケースでありますが、台湾のバナナやパイナップル関係、これにつきましては、この法律が施行されました場合はさっそくこの方式によりまして、適正利潤はもちろん十分顧慮いたしますが、過当な利潤は国庫へ入れていただく、こういう方式について国会の御審議をいただくことになっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/61
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062・赤路友藏
○赤路小委員 もうその問題は言いますまい。一般会計へ繰り入れてとんでもないことに使われても困る。当然使うべきところは限定されてこなければならぬと思います。将来のことだからこれ以上はこの問題には触れません。当面今年のものは何とかしなければならぬ。今年の輸入が、外貨割当が済むまでにそういう今のお考えのようなこともおそらくできないだろうと思います。今年のことは何とかしなければならぬのでありますが、これは通産省の方でも十分お考えになると思います。ただ一点私御注意を願っておきたいことは、現在大阪に昨年のものが約三千六百万枚程度残されておる。これは先ほど水産庁長官から御説明があった通りであります。これは正規のルートで入っておる。これは現在そのほかに神戸、福岡、唐津、この方面に密輸入品が三千七百万枚程度入っておるやに聞いておる。これはうなづけることだと思うのであります。昨年の韓国ノリの釜山における総在庫高が二億枚をたしか越えておったと思います。だから当然そういうようなことは私は考えられると思います。それを今度の外貨の割当にからんで、この密輸入されたものが正規のルートへ乗るような姿が出てくるとしますと、これは非常に厄介なことになると思います。そうなって参りますと、密輸入が自後ふえるということになりはせんか、やり方一つによっては密輸入の奨励ということになることを私はおそれるわけなのであります。それでこの点は十分通産省においては注意をして、あるいは言い過ぎかもしれませんが、あらゆる方面からの圧力もあろうかと思いますが、これに抗してでもこの線だけは守っていただかなければ大へんなことになると思います。私は御答弁は求めませんが、この点だけは御注意を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/62
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063・佐竹新市
○佐竹(新)小委員 密輸入で赤路君が言ったようなものをあなたの方で過去において許可しておりますか、しておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/63
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064・大堀弘
○大堀説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。私どもは密貿易品を許可いたしておりません。現在もお話のように、大阪の三千七百万枚は正当な方式によって入ってきたもので、たまたま先ほどお話がありましたように、委託販売の方式で金額が超過したので、入れられないのだ、これは今後輸入いたします場合は正式のシッパーがあるわけであります。正式のルートを経てきておるものでありまして、これは当然乗ってくると思います。それ以外は、実はお話のように各地に機帆船に船んでおるのではないかと思います。他に揚げておるものも若干あるということを聞いておりますけれども、これは通関いたしてないわけであります。そういうものが実は密輸出でこちらへ来てうろうろしておるのがあるということは伺っておりますが、これは朝鮮側のシッパーがないわけでありますから、無為替輸入の許可をしません限りは入ってこられないと私は考えておる次第であります。普通の方式で許可をいたしますれば、密輸入品と申しますか、まだ密輸入品はこちらへ入ってきてはおらぬと思いますが、その辺にうろうろして入ろうとねらっておるものは入る方法がない。これは私どもは入れる考えはありません。はっきり申し上げます。そういうことでございまして、ちょっとこの間も一件税関でひっかかったのがございます。それは何かほかの品名を詐称しまして通関しようとした。それが税関で、それはノリではないかというので私どもに照会してきまして、調べてみましたらノリでございました。これは税関でひっかかりました。こういうケースが一件ございましたが、他には、そんなことをやっておれば別でございますけれども、私の目の届いておる限りにおきましては密輸入を認めておることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/64
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065・日野吉夫
○日野小委員 ノリの輸入は、採算がよいから輸入されることはわかるが、何かリンクのような形で、朝鮮のノリを輸入しなければ雑貨を買わないとか、あるいは日本商品の何を買わないというようなことはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/65
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066・大堀弘
○大堀説明員 これは韓国の貿易のやり方でございますが、御承知のように昨年までは非常にこちらが出まして入れろものがないために、向うに債権が四千七百万ドル累積いたしたわけであります。こちらとしてもこれ以上累積することは非常に困ると思っておりますが、同時に韓国側もその点を考慮して、向うで一方的に調整をしておるようであります。その調整の仕方は、日本に対して物が出ましたならば、その限度で物を入れておる、あるいは九〇%とかいう率があるかもしれませんが、とにかく日本に出た範囲で輸入許可をする、こういう扱いをいたしておるようでありますが、これを出せばこれというような、いわゆろ個別バーター式のやり方ではないのではないかと思います。これはそういう意味で私どものカヘは響いておりませんが、全体としてはやはりでき得る限り輸入する、こういう扱いをしていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/66
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067・日野吉夫
○日野小委員 それで、今赤路君が言われたような事態があるとするならば、これは断固たる処置をとらなければならぬと思います。もし今お話のようなバーター制のようなひもがついていて制約を受けるということならば、これはまた考えなければならぬし、やりにくくなるので、もしそういうものが現実にないとするならば、一つ明確な方針を立てて、これは国内の産業擁護のためにも断固たる処置をとることが必要でないかと思うので、ちょっと伺ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/67
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068・鈴木善幸
○鈴木小委員長 それでは委員長からも二、三補足して水産当局にお尋ねしたいのであります。日本国内におけるノリの需給の適正数量と申しますか、大体どの程度の数量を需給の線で抑えようとなさっておるのか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/68
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069・前谷重夫
○前谷政府委員 ノリの需給の調整でございますが、先ほども申し上げましたように、生産関係はある程度つかみ得るわけでございますが、需要関係は配給統制をいたしておりませんので、どの程度にノリの需要があるか、これは非常にむずかしい問題でございます。われわれといたしましては、生産関係を土台にいたしまして、需要関係は過去の実績、また価格の推移等を考えまして、そうして輸入の数量を決定して参る。それには生産関係あるいは国内の流通関係のそれぞれの見通しなり意見もいろいろ聞きまして、そういう点から判断いたしまして、この程度に輸入しても国内に対してさして影響はないのじゃないか、影響があるかどうかというような点を検討して輸入することにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/69
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070・鈴木善幸
○鈴木小委員長 そういたしますと、大体目標というものはなくて、毎年その年における消費状況あるいは価格等をにらんでそのつど腰だめでおやりになっておる、こういうぐあいに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/70
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071・前谷重夫
○前谷政府委員 需給の関係につきましては、自由取引になっておりますので、もちろん的確な数字はつかみ得ないわけでございます。われわれといたしましては、できるだけ的確な需給の見通しを立てたいというので、関係流通生産方面の意見を聞くわけでございますが、やはりノリについては生産の事情も年によって相当異なって参りますし、また消費の事情も異なって参りますので、一定の長期の計画による輸入計画ということは立ち得ないので、その年度々々における実態を考えましてきめて参るという考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/71
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072・鈴木善幸
○鈴木小委員長 と申しますことは、昨年よりもことしは三〇%ないし四〇%の増産に国内はなっておる。しかし輸入の方は昨年も一億枚、ことしも一億枚と、内地の生産と何も関係なしにコンスタントでなさっておるように一見見えるわけでありますが、国内生産か逐次ふえて参った場合には、貴重な外貨でありますから、この輸入量をだんだん減らしていくとか、また毎年こういう外貨を使うよりは、むしろわずか二、三千万程度でよいのでありますから、浅海増殖等の費用を政府が助成することによって国内の生産はさらに増産される。そうしてなるたけこういうものを輸入をせぬでも国内でまかなっていく、こういう方向が正しいのではないかと考えるわけでありますが、今のように昨年よりも三、四〇%増産をしていながら、なお昨年同様に輸入をせぬければならぬという事情はどういう点にあるか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/72
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073・前谷重夫
○前谷政府委員 ただいま委員長のお話のように、水産庁といたしましては、ノリの国内におきまする生産確保と申しますか、自給度の向上につきましては、できる限りの努力をしておるわけでありまして、生産が上昇するのに応じまして、その生産面からだけ考えますと、輸入最は減少していく筋合いだと考えております。ただ同時に需要の状況がどうなろかということもやはり考えて参る必要がございます。たとえばノリの日銀小売り指数は、昭和二十六年には四七〇となっておりますが、三十九年には八一八というふうに価格関係も上っております。それは同時に消費の面における増加傾向でもあるのではなかろうかということも考えられますので、その消費面での状態も考えて参らなければならぬわけでございます。もちろんその需給をオーバーして、国内の増産が進むにつれて、需要が一定でありますれば、輸入をだんだん減らして参らなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/73
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074・鈴木善幸
○鈴木小委員長 現在の国内のノリの物価指数はわかりましたが、ノリ生産業者の経営の面から見て高いとお考えになっておるか。ノリ業者の経済状態から見て、どの程度の価格が適正であるか、その点一応めどをつけておられますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/74
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075・前谷重夫
○前谷政府委員 ただいま委員長の御指摘ございましたノリの生産費の問題につきましては、実はいろいろ私どもも検討しております。地域によって、また状態によって千差万別でつかみにくいという状態であります。しかしお話のように、われわれとしてもこれはある程度平均的な状態になるかもしれませんけれども、生産費の面を検討いたしまして、そうして生産費の面からも価格の関係が適正であるかどうかということは検討いたしたいと思いますが、まだなかなか資料等の面からいたしまして、的確に、生産費はこの程度であるから、この程度以下に価格が下れば生産面に影響があるということまでつかんでおらないのが現状でございますが、そういう面につきましてもう少し明確な資料をとるように努力いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/75
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076・鈴木善幸
○鈴木小委員長 次にちょっと二、三通商当局にお尋ねいたしたいのであります。三十年度の韓国ノリの輸入の外貨割当は、商社をさらにふやす御方針でありますか、昨年は九十社になっております。実績商社が十六社、九〇%の外貨の割当を受けておる。あとの残りの一〇%を新規商社七十四社に割当をなさって、非常に外貨の割当が細分化されておるようでありますが、さらに三十年度はこれをふやすやに承わっておるのでありますが、その辺はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/76
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077・大堀弘
○大堀説明員 昨年はお話しの通り九〇%実績商社、民貿開始以来の実績でありまして、一〇%につきましては新しい申請に対して按分して割り当てたわけであります。大体一口千三百五十ドルですかになりまして、非常に細分化されたわけでございますが、実績の内容につきましてはこれは従来かなり大きなところの数社が相当大きな取引をやっておりまして、昨年の実績によりましても、数社で過半数以上を取り扱っておるというような実績になっております。その点につきましていろいろ御意見がございますので、私どもとしましては、今回やります場合は実績の分と新規の分と半々くらいの線にいたしまして、しかも実績社に対しては一人当りの頭打ちを作りまして、一人が一割程度以上はいけない、こういう限度を設けました。従いまして頭打ちにひっかかるものが数社あるわけでございます。これらの点につきましてはいろいろの御意見がございますし、またいずれのお立場もごもっともだと思うのでございますが、先ほど来申し上げましたように、韓国貿易等につきましてはやはりやや国内取引に似たような形態で、外国貿易とは申しましても非常に相手方との距離が近いものでございますから、必ずしも実績絶対の原則、実績を非常に尊重するということもやや問題があるかと思います。そういった意味ではなはだ中間的な案ではございますが、そういうことにしていただくのが一番妥当ではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/77
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078・鈴木善幸
○鈴木小委員長 そういたしますと、百万ドルの外貨の半分を実績各社に割当てて、それからあとの五十万ドルを新規の中講者に、これはだれでも制限なしに受理されて、割当をされる御方針でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/78
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079・大堀弘
○大堀説明員 申請の分につきましては、一つは国内の資格でございますが、ノリの取扱い業者でなければいかぬ。つまりノリを輸入し、ノリを販売する、ノリの取扱い業者の資格が要る。この点は今までこれはよく——最百はそういうことはございませんが、貿易開始当時におきましてはいろいろガラボン制度、そういった制度がございまして、申請でやります場合には、極端な例をいえば床屋さんでもだれでも出てくる、こういう例があったのでございますが、そういうことは取引を況乱させる結果になりますから、ノリの取扱い業者に資格を限定するということが一点でございます。
それからさらに先方の輸出組合または商社からの発注、ファーム・オファーを取った人に対して資格を与える、こういう両面で、これはそういうことにいたしますれば、ちょっとそこらの人が出てきても直ちに注文を取ることはむずかしいことでありますから、そういう意味におきまして資格を限定いたしまして割当をやっていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/79
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080・鈴木善幸
○鈴木小委員長 ただいま韓国の輸出組合からファーム・オファーを取りつけたものというお話が出たのでありますが、私どもの調査しておるところでは、ファーム・オファーはある某一社にしかおそらく出さぬだろう、結果的にはそれが一商社に独占されるだろうということを聞いておるのでありますが、そういうことを通商局はお聞きになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/80
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081・大堀弘
○大堀説明員 相手方のことでございますから、絶対のことは私ども申し上げられませんが、私の方はどうも本制度によりました場合に、申請は割当額を相当上回った数量が出る、今までの例から申しましても相当多数の申請が出るだろう、それに対して按分で割り当てることにいたしましても、おそらく一社限りでくるということはないと思います。もう一つ申し上げますと、先ほど申し上げましたように、一人の取り分を制限しておりますから、一社にだけということは、そういう可能性は絶対ないとも私は断言できませんが、どうも私どもの過去の経験からいたしますと相当多数——それは何倍というのじゃなくて、相当大きな申請が出るものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/81
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082・鈴木善幸
○鈴木小委員長 お尋ねいたしますのは、昨年の輸入の際の委託販売価格が、通商局が一束一ドルの割合で出したのに、委託の場合にはそれにプラス・アルファがついておる。そのアルファを出して韓国の輸出組合に協力をした実績を有するある商社にだけファーム・オファーを出すというようなことを聞いておるのでありますが、もし韓国の組合が、そういう工合に出て参ってファーム・オファーが特定のものだけしかとれない、そのために今の外貨の割当が予定のようにいかないということが想定されるのでありますが、その場合の御措置は考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/82
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083・大堀弘
○大堀説明員 昨年の委託販売は、昨年やりました場合には需給調整協議会のイン・サイダー、アウト・サイダーとありまして、イン・サイダーの方はほとんど全部この委託販売方式を採られたわけです。実はアウト・サイダーの方は無為替輸入方式の扱いをされまして、委託販売された方は、その取扱いそのものにつきましてはあるいは日本の利益になったかならないかという議論をしますと、若干議論があるかと思いますけれども、一般の今までノリを取り扱っておられる皆さんは、全部委託販売方式を採られた、むしろアウト・サイダーの方が無為替輸入方式を採られまして、私どもは委託販売によって若干輸入量そのものが減りましたことは事実でございますけれども、それによって市場が非常に況乱したとかいう事態はないと私ども考えておる次第でございます。今後の問題といたしまして、私ども今後やります場合は、やはり売り切り、買い切りで仕切って買う方がよろしいのじゃないかというふうに考えておりまして、委託販売方式はやはり国内価格が高いものでございますから、値段をどんどんつり上げて買うという結果になることはやはり好ましくないということで、その点今後は売り切り買い切りがよろしいのではないかと考えておりますが、この制度によって先方でどういう操作をして参りますか、これは相手のあることでございますから何とも申し上げかねますが、私どもとしましては、これが集中的には行われない、やはり相当分散されまして多数の方に行くことになるのではないかというふうに情勢を判断いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/83
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084・鈴木善幸
○鈴木小委員長 私がお尋ねしておるのは、大堀さんの見通しとは違って、昨年からのいきさつからある特定の者だけに韓国輸出組合はファーム・オファーを出すような現実の動きがあるのでありますが、もしさようになった場合に、割当の一つの方式が、政府の今予定しておる条件がくずれてくるわけでありますが、そのくらいはファーム・オファーがなくても今度あらためて方針を変えて、テン・パーセントの限度で各社に割当をする、こういうことでもおやりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/84
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085・大堀弘
○大堀説明員 私ども半数は輸入実績を持っておる方に割当をするということをいたしておりますが、半数につきましてはファーム・オファーは必ずしも条件としない、これは実績によってその分までは取引をいたしまして、新し割当の、つまり競争の余地のあります分につきまして、これはファーム・オファーをとったものに対して、輸出組合だけでなく、輸出商礼からでも組合員からでもよろしい、こういうふうにいたしておりまして、まず私の判断でいきますと、御心配になるような結果は出ないだろうと考えておりますが、一応輸入方式といたしまして発表いたすのでありますから、発表いたしますと一応その方式によりまして出てきたものを機械的に審査をいたしまして、資格がありましたらそれによって按分してやる、情勢的にはそれよりほかによい方法はないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/85
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086・鈴木善幸
○鈴木小委員長 もう一点、通商当局は、輸入の際に外貨割当を細分化することは今後の通商政策上非常にまずい、なるだけ細分化したくないという方針をとってこられたようであります。特に本委員会が再三政府に要求しておりますところの漁業用燃油の外貨割当について、全国の生産者の代表である全漁連に対して石油の輸入外貨の割当をすべしということを、委員会決議をもって政府に要求しておるにかかわらず、外貨の細分化になるというようなことでこれを拒否しておる。一方このようにさらに九十社にも及んでおうノリの輸入商社を、さらに細分化しふやしていこうという御方針はどうも支離滅裂であって、われわれの了解に苦しむところなんですが、一体通商当局の外貨割当に対する基本的な態度はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/86
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087・大堀弘
○大堀説明員 今お話の御趣旨でありますが、一般論といたしましては、やはり外貨割当をあまりに細分化していきますことは、通商政策からいって好ましいことでないと考えております。それは特に海外の世界各地の取引と関連いたします大きなものにつきましては、あまりに細分化いたしますと、そこで取引条件が非常に混乱をし、あるいは相手国に乗ぜられる結果になりますし、一般論といたしましては私どもは今日でもやはり適当でないと考えておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、ノリのケースのような場合には、ほとんど内国取引に近い実態でございまして、やはり品物が特定されておりますので、こういうものにつきましてはまた一般原則論では参らないケースでありますので、一般論といたしましては先ほど申し上げた通りでありますが、ノリについてはやはり若干は細分されることはございましても、これはやむを得ないのではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/87
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088・鈴木善幸
○鈴木小委員長 そういたしますと、生産者が現在の漁業経済上三〇%以上の比重を持っており、漁業経済の安定の上から非常に必要だという漁業者の切実な問題、しかも国会が決議をして政府に要請しておる問題はこれを拒否しておいて、そあ他のものについては、ものによって適当にやっておる、われわれはこうしか了承できないのでありますが、この点はあらためて委員会で石油問題の際に当局の御方針を徹底的にお尋ねいたしたいと思うのであります。特に国民の漁業生産者がぜひ必要な輸入外貨の割出はめんどう見ないで、国内のノリ業者が論人してもらっては困るというようなものについては貴重な外貨の割当をやる、しかも商社をほとんどオープンで認めていく、こういうふうに生産者に対しては非常に冷淡であり、商業資本といいますか、流通業者といいますか、そういう面については輸入外貨の割当を非常にめんどう見ておる。こういう一貫した通商局の態度としかわれわれとしては見えないのでありますが、総輸出額の一割に近い、年間一億ドルの輸出外貨をかせいでおる漁業生産者の経済がこれ以上悪化しても、この外貨の面でめんどう見ないでいくというような当局の方針に対しては、当委員会は実は非常な不満を持っておるのでありまして、この点は今後の通商局の方針を強く反省していただきたい、こう思うわけであります。
最後に通商局及び水産出局は、この割り当てた外貨によって輸入された韓国ノリを国内で販売する時期、数量、あるいは価格、これが国内生産のノリの需給価格面に直接関係があるのでありますが、そのために昨年の六月に需給協議会を作っておる。この三十年度の外貨割当に当って割当をする場合に、割当を受けたものは需給協議会に全部参加せよ。そうして国内の生産者を圧迫しないように総合的にこの調整をはかっていくという、外貨割当の条件に需給協議会に必ず参加させるような条件をおつけになる御意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/88
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089・大堀弘
○大堀説明員 ただいまの御質問につきましては、新しく輸入割当を受けた方につきましても国内の生産業者、販売業者及び輸入業者の総合的な御意見の反映を可能ならしめるように行政指導を行いたいと考えております。今後の韓国ノリの輸入の円滑化及び国内の需給調整について政府の指示に従うように、輸入公表の際に条件をつけたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/89
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090・鈴木善幸
○鈴木小委員長 他に何か——それでは韓国ノリの輸入問題はこの程度にとどめます。
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091・鈴木善幸
○鈴木小委員長 次に先般愛媛県の今治沖におきまして漁場の紛争問題が惹起いたしたのでありますが、この調査を進めたいと存じます。
まずこの事件の概要につきまして水産庁及び海上保安庁から調査されたところの経過を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/91
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092・前谷重夫
○前谷政府委員 五月十八日に愛媛県の来島海峡におきますタイ漁場の紛争につきまして経過を申し上げたいと思います
五月十八日に四国の愛媛県の今治のところの来島海峡に面した、これは陸地の方でありますが、大浜の漁民約百名が、その向い側にございます大島の志津見沖合い海上におきまして操業中でございます志津見漁業協同組合その他の組合所属のローラ吾智網十隻を大浜へ連行いたしたわけでございます。これは御承知のように、ローラ吾縛網は県におきまして禁止区域を定めておるわけであります。その禁止区域の違反ということが理由のようでございます。さらに翌十九日の払暁におきまして、大浜の漁民約八十名が再び機帆船で少し離れました四坂島南方千五百メートルの海上で仮泊中の吾縛網漁船と紛争を起したわけでございます。さららにその夕刻に志津見漁業協同組合の所属船の方が、今度は来島海海峡の大鳥の南端で大浜の漁業協同組合の漁民と紛争を起したわけでございます。
このような状態でございますので、県におきましても、また海上保安庁におきましても、その警備にあるいは調停に当っておったわけでございますが、たまたま大浜の漁業組合の船の帰還がおくれまして、その際それが志津見の漁業組合側の復讐であるというふうに誤解いたしまして、ちょうど海上保安庁におきまして大浜の代表者と解決について懇談中、その間隙に約二百名の漁民が志津見海岸に上陸いたしまして、双方の漁民が衝突いたしまして、漁船、漁網、家屋等に損害が生じたわけでございます。二十一日以後は事態も平穏に返っておるわけでございますが、原因といたしましては禁止区域の違反ということが一方において考えられますと同時に、一本釣の大浜の漁業組合の漁民の誤解もあったという点がさらに事態の悪化を来たした理由だと考えております。これにつきましてはさっそく県にも事情の調査を依頼し、その後この原因等も調査をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/92
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093・鈴木善幸
○鈴木小委員長 海上保安庁の方から御報告をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/93
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094・砂本周一
○砂本説明員 海上における犯罪の防止、特に定めらました規則によりまして漁業の操業秩序を確保しなければならない海上保安庁といたしましては、先般起きました瀬戸内の今治沖合いでの漁業紛争から、関連いたしました集団的な暴行事件は、まことに遺憾しごくでございまして、問題をここまで発展させないで何とか措置ができたのではないか、こういったことをよく検討いたしまして、今後かかる不祥事件を再び起さないように十分努力するつもりでございます。
では、これから事件の概要を御報告申し上げますが、目下関係機関におきまして詳細を捜査中でございますので、後刻若干訂正する面があるかもしれませんが、ただいままで本庁へ参りました報告、情報を総合いたしまして、先ほど水産庁長官からの御報合とタブる面もございますけれども、御報告さしていただきます。愛媛県越智郡吉海町志津見沖合い、これは通称タテヤマ漁場と申しておるそうでございますが、この沖合いにおきまして一そう吾智網または二そう吾管網と申します漁法による違反操業が従来もたびたび行われておって、そのために今治市大浜漁業組合に属する一木釣業者たちが、自分たちの漁場が不当に荒されると考え、自分らの力でこれを守ろうか、こういった考えも動いておったようでございます。五月十八日午前八時ごろ、たまたま前申しました漁場において操業をしておりましたところの大浜漁業組合一本釣業者約二百名が、吾知網漁業の禁止されておる区域付近で操業中と思われる一そう吾智網漁船二隻を発見いたしまして、これを逮捕いたしました。そうして大浜に連行したのが今回の事件の発端でございます。その後大浜組合におきましては、自衛団と申しましょうか、自警団と申しましょうか、そういった意味合いのものを組織いたしまして、取締りに出動するぞ、こういった意味を、私どもの出先でございます今治警備救難署に連絡してきたのでございます。それでございますから、同署におきましては、ただちに署員をそれに同乗させて、こういった紛争の起らないように、また必要な取締りをする便宜上、それに同乗することを申し伝えたのでございますが、その当時組合幹部としてはこれを十分了承したようでございますが、若干組合員の中にはこれを聞き入れず、私どもの出先の係員が大浜に出向きましたときには、すでに出帆したあとであったようでございます。同日、十八日十四時ごろまでに、その出帆した大浜の漁船によりまして八隻の一そう吾智網漁船を逮捕いたしまして、同じく大浜に連行をいたしております。この違反容疑とみなされる漁業者の中の一人に対しまして、船を大浜に係留すると同時に、暴行を加え、全治二週間の傷害を与えた。こういう報告も参っております。
次に五月十九日、夜中の午前一時ごろでございますが、船名不詳の機帆船、約八十トン、これに乗船した大浜漁民約八十名は、四坂鳥南方千五百メートル付近におきまして潮待ちをしておる二そう吾郷網漁船第一、第二しあわせ丸——これの船主さんは吉海町志津見の人のようであります。約三トンばかりの船でありますが、これを急襲して、乗組員十名に暴行を加え、うち一名に左第七肋骨の亀裂甘折、全治約四週間の障害を与えた後に、漁具とかその他のものを押収しまして引き揚げております。
以上述べました大浜漁民の所為に憤激しました志津見の漁業君たちは、五月十九日十九時三十分ごろ、漁船四隻に十数名づつ分乗いたしまして、今治沖にコウゾウ磯というのがございますが、コウゾウ磯付近に操業中の大浜の一本釣漁船約百隻を襲いました。そうして九名に傷害を与える事件が発生したのでございます。右の志津見漁民の仕打に、これまた憤慨した大浜漁民が仕返しをするのではないかという形勢が見られましたので、引き続き海上の警戒を巡視船で強化しますと同時に、またすでに手配のなっておりました大浜におきましては、今治警察署員が六十名をもちまして厳重にその動きを警戒しておったのでございますが、そのすきを見て十九日二十一時三十分ごろ、約百名が手かぎ、つめざおといっ非常に解決の困難な問題が多々あるわけでございます。現実の問題といたしましてこの漁業につきましては、さらに県の方の事情を聞きまして、この禁止区域が妥当かどうか、また許可漁船数が、妥当かどうかというふうな点につきましては十分検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/94
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095・赤路友藏
○赤路小委員 今水産庁長官がおっしゃるように、これは単に今治の問題だけではなしに、瀬戸内海全体の問題として当然取り上げなければならぬ、そうなってきますと、禁止区域を現在なされておる、この線が妥当であるかないかということよりも、もっと根本的な問題を掘り下げて考えなければならぬのじゃないか、特に私は昨年来この瀬戸内各県を国政調査で回りまして、痛切にその点を感じておるわけであります。だから瀬戸内の漁業全般を再検討して、これに対する対策というものが当然取り上げられていかなければならぬはずなんです。私は当時も常に、少し口やかましいようですが、水産行政はその都度行政に陥っておる、ただ単に勘でだけ仕事をしようとするから、根本的な対策というものが立たないのじゃないか。特に瀬戸内の場合はその感を深くするわけであります。今度の予算を見ましても、この前に私本委員会で申し上げたのですが、沿岸漁業に対する処置というものはまことに微々たるものであって、ほんとうに予算全般を通じて、沿岸漁業ということを一体どういうふうにお考えになっておるのかということすらも言いたいのです。今度のこの問題はもちろん盛漁期を控えたところの漁民のエゴイズムというか、こういうことだけはわかるが、単にそれとだけでは律し切れないものを含んでおる。水産庁としては、ここで当然瀬戸内漁業の根本的な打開策というものを私は考えていかなければならぬと思うのです。そういうような面で、十分これと真剣になってお取り組みになる意思ありやなしや、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/95
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096・前谷重夫
○前谷政府委員 沿岸漁業全体の問題としては、われわれも昨年度から漁業転換の五カ年計当を立てまして、それを一つの目安といたしまして、いろいろな措置をとって参ったのであります。特に瀬戸内海の漁場につきましては、第一に取り上げるべき問題として小型底びきの問題を取り上げまして、この減船整理はほぼ本年度をもって見通しがつく、こういう状態になってきたわけでございます。ただ赤路委員の御指摘のように、そういう転換の問題だけでは解決し得ない問題があるのじゃなかろうか、こういう御指摘かと思います。私もさように考えますが、これはいろいろ個々の漁業の実態の問題、極端に申しますと経営の問題あるいは過剰の人口の問題等と関連して参りますので、われわれといたしましても、転換計画等の再検討も考えなければなりませんし、御指摘のありますように、さらに沿岸全体の的確な資料に基いた対策をとらなければならないということは、身にしみて感じておりますが、まだ調査を始める段階でございますので、その点御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/96
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097・田口長治郎
○田口小委員 来島海峡のタイ漁場の紛争の問題につきまして、海上保安庁からは将来こういう問題を起さないように最善の努力と注意をする、こういうようなお話で、その点はけっこうと思うのでございますが、ただこの種の紛争がひとり燧灘ばかりでなしに、ときどき全国で起るのでございますが、さような各地の状況をずっと調べてみますと、少くとも漁業者は実力行使に出る前に、でき得れば海上保安庁あたりに取り締ってもらいたい、こういうような気持から、これでは困るから何とか取り締ってくれ、こういうようなことを海上保安庁の出張所に再三申し出た場合に、ただちに手を打っていただかないで、じんぜん日を過ごすというようなことで、これではしようがないじゃないか、仕方がないから自分らでやろう、こういうようなことで、この実力行使の問題が起る場合が非常に多いわけなんですが、今回の事件では、あらかじめ漁業者の取締リについて、海上保安庁の出張所その他に対して漁業者が申し入れた、こういうようなことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/97
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098・砂本周一
○砂本説明員 先ほどちょっと触れましたように、これから自分たちで船を仕立ててみずから取締りに当るといった意味のことを通知して参りましたその事実はございますが、その以前におきまして、こういう事態が起ることを事前に通告があったということはまだ報告を受けておりません。それで、若干こうした大きい事件に発展することについての見通しを誤まっておったかもしれませんが、現地の責任者の報告によりますと、こうまではならないと思っておったようでございます。それから取締りの面だけでもってこうした漁業紛争が防止できるとは私ども考えていないのでございますが、私どものできます範囲におきまして、いろいろ関係方面と密接な連絡をとりまして、できるだけ防止したい、こういう意味で申し上げたのでございます。それからいろいろ厳重に過ぎるといった御意向もあるようでございます。それで今申しましたように、これらは事実といたしまして、取締りの規則の面で厳重に取締りが徹底しないから、業者自身で自衛手段を講ずるということも、私どもの立場としてはまことに遺憾しごくでございまして、いろいろ船艇の勢力、陸におります職員の数、こういったものも影響するのでございますが、なるべく今回のケースを十分参考といたしまして、最善を尽したい、こういう意味で申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/98
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099・田口長治郎
○田口小委員 この種の紛争を根本的に解決する方法として、ほかに徹底的な対策を講じなければならぬ。この問題は別の問題といたしまして、少くとも漁業の秩序を維持するために、禁止区域を作り、そうしてその線を守らせるという現状におきましては、やはりそれを守らせるように海上保安庁としても努力してもらわなければ困ると思うのです。ことに私らがいつも経験することは、目に余るものがあるから、海上保安庁その他に対して取り締ってくれ、こういうことを幾度も言うているにかかわらず、いろいろな理由によって取締りも何もしない。これではどうも自分らの仕事が上ったりじゃないか、やむを得ないということで、実力行使に出る場合が非常に多いわけなんです。その点も特に一つ気をつけていただいて、船のやりくりその他非常に困難な事情もありましょうけれども、少くともこの漁業者連中が役所なんかに行きたくないのに、わざわざ行ってお願いする場合は、やむにやまれないときなんですから、そのときは何か一つ役所で先手を打っていただくということになれば、こういう問題は割合に少くなるのじゃないか、こういうふうに考えるのですから、その点一つ出先の方にもよく徹底的に御注意を願いたい、こう考えるわけなんです。
それともう一つは、これは水産庁長官の問題と思うのですが、今の漁業法があまりに地先本位に偏しまして、慣行その他を割合に度外視してしまった。こういうような関係で、ある漁村では耕地も何もないから、どうしても漁で飯を食っていかなければならぬ。ある部落では耕地もあるし、漁は従だ、こういうような実情も無視して、地先本位の漁業調整ということに主眼を置いて制定したわけなんですが、そこに非常に無理があって、今日沿岸漁業の調整ということで、そこここに問題が起り、解決がむずかしい、こういうようなことになっておるのじゃないかという気持がするわけなんです。この点について水産庁では何かお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/99
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100・前谷重夫
○前谷政府委員 ただいまの田口委員のお話、そういう面もあろうかと思います。ただこの漁場の調整は、やはり両当事者から見ますと、それぞれの立場においては一つの死活の問題になるわけでございまして、その間に両者が納得ずくでこれを解決いたしませんと、一方において不満がありますと、今回のような事情も出て参りますので、そういう点は十分漁場調整に当っては注意をいたさなければならないと思うわけであります。大きく申し上げますれば、従来の考え方のように、だんだんに船その他漁具の整備に伴いまして、沿岸漁業を大きくしていくということも、一つの方向かと考えられますが、同時に地先、沿岸というものは、やはりそれの転換には限度がございますので、大きな要素として残って参りますので、実は私たちは地先の関係と沿岸の関係と、より進歩した漁場との関係をどうするかということに悩んでおる次第でございます。そういう点については十分検討いたしておりますが、特に来年度の漁業法の改正等におきましても、当然いろいろその問題は根本問題として考えられるわけでございます。非常になかなかむずかしい問題で、頭を悩ましておるのが、実は答弁にならないかもしれませんが、事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/100
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101・田口長治郎
○田口小委員 実は現行法を制定する場合に、沿岸漁業はやはり海を愛する部落民に預けた方が一番いい、こういう意味におきまして、地先漁民主義を極度にとってみたわけなんです。ところがその結果は、従来からそこらの海でどうしても飯を食わなければならぬという漁業者が非常に多いのに、その地先民は今までその海をあまり使っていなかった。しかし何だか自分らの権利になったので、将来発展して使うようになるかもしれないから、できるだけ一つ幅を広く取っておこう、そこに沿岸漁業の調整というものが非常にむずかしくなってくる。使わないところが広く取って、そうして従来から使っておってそれで生活をしておった漁民が、漁場が非常に狭くなってしまった。ここに全国の沿岸漁業の調整問題が紛争がたびたび起り、その紛争が解決しにくい、こういう根本問題が残っておるのじゃないかというような気もするわけなんです。今回の漁業法改正に際しましては、これらの点も十分御研究をお願いしまして、そうして沿岸漁業の調整というものは、何とかもう少し問題が起らないように、起っても解決が何とかできるように、そういう線を出してみなければならぬ、こういうふうにも考えるわけなんですから、一つ特に漁業法の改正に際しては、この点を十分御研究を願いたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/101
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102・日野吉夫
○日野小委員 これは何か暴行傷害を伴っていますか、検察庁から報告はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/102
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103・砂本周一
○砂本説明員 これは検察庁、警察、海上保安庁が当初から連絡をとっておりまして、検察庁は十分これに関係しておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/103
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104・日野吉夫
○日野小委員 現に捜査の状態はどの程度でございますか、報告はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/104
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105・砂本周一
○砂本説明員 では最近までの捜査の状況を電報によって申し上げます。十八日大浜漁民が逮捕いたしました吾智網違反、これは七件となっておりますが、いろいろ取扱いがあると思い童す。七件は五月二十一日愛媛県漁業調整規則違反被疑事件として、今治地検に出額を送致しております。それから五月二十一日午前三時三十分より十七時三十分までの間今治警救署で検察庁と警察と海上保安庁が協議いたしまして、その捜査方針をきめまして、そしてここに大綱を定めたわけで、陸と海ですから、いろいろ捜査の分担もあるかと思います。それから多数ありますが簡単に申しますと、なるべく任意捜査であまり強制的なことをしないで取り調べる、こういうことでございます。今のような事情で検察庁とは十分連絡はついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/105
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106・日野吉夫
○日野小委員 根本問題は、これは沿岸漁業の問題で十分研究しなければならぬが、とりあえず起った緊急状態で、検挙者、犠牲者を多く出すということは重大なことで、原因を探れば水産庁にもいろいろの責任の一半はあろうかと思われる。それで苛酷な取扱いをされると、この案件は多衆の威力を示して暴行脅迫という暴力行為などにひっかかる様相を持っている。そうなると、非常に重い刑罰をかけられるので、手を回して、捜査方針等の決定は一つ慣例に従って処断するような方針でもとっていますか。現地でだけでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/106
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107・前谷重夫
○前谷政府委員 この事件の善後処置の問題であります。刑事関係につきまして海上保安庁から御説明がございましたように、現地における警察当局の問題としておりまして、私たちはその原因等について県に対して調査を依頼しておる状態であります。従いまして刑事的な問題については特段に報告を受けておらないわけでございます。ただ私たちといたしましてはできるだけ早くその、原因を究明し、それが処断の参考になるような資料は作りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/107
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108・日野吉夫
○日野小委員 これはやはり現地にまかせつぱなしにしておくと、いろいろ法律の適用や解釈の問題で、非常に重大なあれが出てきますから、水産庁としてもこういう案件は、何も重大な意図があってやったのじゃなく、たまたま感情のもつれがこういうところに行っているので、今後かかる事態を引き起さないような十分な配慮をするからということで、申し入れでもして軽く扱われるように意見を述べるとか、そういう適切な方法をとられることが、漁民に対する親切な方法だと思うのでございますが、そうはからっていただきたいと思うのです。早い方がいいですよ。事件が進行して参ると非常に困難になりますから、そういうことを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/108
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109・鈴木善幸
○鈴木小委員長 それではただいま調査を進めました今治付近の漁業紛争の問題につきましては、漁業法の改正の問題、漁業取締りの問題あるいは漁業調整の問題等、各般に大きな示唆を与えておると思うのでありまして、関係当局におきましても、本事件を十分この真相を御調査になり、原因を究明をされまして、適切な今後の具体的な措置を一つ講じていただきたい。ただいま日野委員からお話がありました本事件の処理の問題につきましても、慎重な取扱いをいたしますように、関係方面に御連絡を特に御要望申しあげておきたいと思うのであります。
あと漁業共済や漁民厚生共済事業等をやるための水産業協同組合法の一部を改正する法律案の取扱いの問題、それからさらにビキニの補償問題、これに伴う融資特別措置の問題等、重要な案件が残っておりますので、午前中の審議はこの程度にとどめまして、午後一時半から委員会を再開して、引き続き審議を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/109
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110・鈴木善幸
○鈴木小委員長 大事な問題でありますから、ぜひ一つ委員各位の御勉強を願って、御出席を願いたいと思います。
それでは午前中はこの程度で休憩をいたします。
午後零時五十六分休憩
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午後二時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/110
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111・鈴木善幸
○鈴木小委員長 午前に引き続きまして、水産小委員会を開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/111
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112・原捨思
○原(捨)小委員 午前の問題に関連して一、二水産庁長官にお伺いしたいと思います。
今日の水産業にとりましては、幾多垂要な問題が山積しておると思いますが、沿岸漁業の育成ということも確かにその一つであると信じます。先ほど長官は、沿岸漁業に対して大ぎな関心をお持ちになっておるような御答弁がありましたが、これは非常にけっこうなことであると私は考えます。沿岸漁業の育成にとりましては、何と申しましても資源の維持、培養ということが中心にならなければならぬと思います。これはどうしてもやらなければならぬ最も大事な事業であると考えます。農業について申しますならば、あたかも土地改良、開墾、干拓というようなものに匹敵するきわめて重要な仕事だと考えます。先ほど赤路委員からも御指摘になりましたように、これを全国的に推し進めていくということを考えますと、現在のそれらの予算はきわめて些少だと思う。これを全国的にやります場合、非常に多額の経費を要すると思うのでありますが、長官はこの問題についてどういう御構想と御決意を持っておられますか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/112
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113・前谷重夫
○前谷政府委員 沿岸漁業の問題につきましては、その対策についていろいろ検討いたしておるわけでありますが、その対策といたしましても、制度的な問題、と同時に具体的な漁場の調整という問題、それとあわせまして沿岸漁業の増殖という点からの問題と、いろいろ対策があるわけでございます。先ほどいろいろ申し上げましたのは、そういう制度的な問題も十分に検討しなければなりませんし、具体的な調整の問題も検討いたさなければならないのでございます。またお話の沿岸の増殖という面についても考慮を払わなければならないことは当然でございます。本年度の予算といたしましては、水産増殖は昨年度より幾分減少いたしておりますが、浅海特に各府県においてもその効果を相当発揮いたしております魚礁設置等につきましては、昨年度よりも重点的にこれを見て参るという措置をとっておるわけであります。ただ本年度は総体の予算の関係上十分ではございませんが、予算措置については対策を立てますとともに、明年度以降において十分検討いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/113
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114・原捨思
○原(捨)小委員 沿岸漁業の育成についていろいろ対策があることは当然でありますが、私はやはり投石、魚礁設置あるいはつきいそというものが中心に考えられなければならない、かように考えるのであります。特にこの問題については、今後水産庁長官はどのように取り扱っていく方針でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/114
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115・前谷重夫
○前谷政府委員 お話のように浅海増殖といたしましては、つきいそ、魚礁設置、投石等がございますが、特に本年度におきましては、昨年度二千七百万円程度でありましたものが、約四千七百万円というように、全体の予算の執行といたしましては、魚礁設置に重点を置いておるわけであります。しかしただいまも申し上げましたように、全体の予算総額の関係上、本年度は十分とは申せないことはもちろんでございますので、今後沿岸漁業の転換等ともあわせまして、そういう浅海増殖については努力して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/115
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116・原捨思
○原(捨)小委員 もう一つお伺いいたしますが、現在水産増殖に関しましては三分の一の補助ということになっておるようであります。これは農業の関係の補助に比べてきわめて不利なものであると考えます。この補助率が適当だとお考えになっておりますか、今後これを何とか考えたいという御意思がありますか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/116
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117・前谷重夫
○前谷政府委員 この補助率の問題でございますが、これは効果の上り方の問題、府県の負担の問題というふうな関係もございまするし、また他の補助率との関係もございますが、御趣旨の点については十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/117
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118・原捨思
○原(捨)小委員 水産庁長官と私はいろいろ見解を異にしておりますが、この問題はこれで打ち切りますが、御承知の通り沿岸漁業は全国漁業者の八割がこれに従事しており、しかも最も低位な生活に甘んじ、しかも国民としての義務と使命を果しておる。われわれはこれに対して限りない愛情と尊敬を払わなければならぬ、かように考えております。この沿岸漁業育成の問題について特に長官といたしましては、もっと大きな構想と強い決意をもって臨んでいただくように希望申し上げておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/118
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119・鈴木善幸
○鈴木小委員長 それでは次に日程に掲げておりますところの水産業協同組合法の一部を改正する案件につきまして審議を進めたいと存じます。
御承知の通り水産業協同組合法の改正につきましては、政府におきましても漁業法の改正とにらみ合せまして、次の通常国会に改正法律案を提案される予定で、鋭意検討を進めておるようであります。また水産委員会におきましても、前々国会以来この問題を取り上げまして、国政調査その他各方面の意見を徴して審議を進めて参ったのでありますが、このたびはその根本的な改正とは離れまして、当面急いで改正をすべき二、三の問題がございますので、この点を特に取り上げまして調査を進めたいと存じます。
それは、御承知のように、全国を地区とする漁業協同組合連合会の特定事業について現在認可制度をとっているのでありますが、この問題をどう処理するかという問題について、漁業団体から強い要望もありますので、この点を取り上げたいと思います。
なお水産業協同組合共済会の事業の分野を拡張いたしまして、全漁民の非常に強い、多年の要望でありますところの漁民厚生共済、さらに漁業共済の事業、これらをやれるように協同組合法を改正をしてもらいたいということでございますので、この全漁連の特定事業の認可の問題と共済会の事業分野を拡張する問題、この点に重点を置きまして、この際調査を進めたいと存じます。
本件につきましては、立法上当然措置を講ずる必要があるのでありまして、私の手元におきまして小委員長試案を用意いたしておりますから、これを専門員から説明をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/119
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120・徳久三種
○徳久専門員 御説明申し上げます。現行条文と改正点とを対照したものがお手元に参っておると思いますので、これについて申し上げます。
第十一条のところの第二号に、現行条文では「組合員の貯金の受入」とありますのを、「組合員の貯金又は定期積金の受入」と、この「定期積金」というのを加えました。これは農業関係においてもさようになっておりますので、そのようにしたのであります。従って第八十七条の二号のところにも、そういう「又は定期積金」という字を入れました。
そして、ただいま委員長からお話がありました点は、それをめくりまして第二番品のページの2、3、4、つまり二項、三項、四項でありますが、これを全部削除いたしました。これは「全国を地区とする連合会は、前項の規定にかかわらず、同項第三号、」——第三号と申しますのは、「連合会を直接又は間接に構成する者(以下本章において「所属員」と総称する。)の事業に必要な物資の供給」。それから第四号は、その次の「所属員の事業に必要な共同利用に関する施設」。第五月は、「所属員の漁獲物その他の生産物の運搬、加工、保管又は販売」というのであります。それで第七号の事業は、「船だまり、船揚場、漁礁その他所属員の漁業に必要な設備に関する施設」——これを削除いたしたのでありますが、大体第六十四条におきまして、定款を定めるときは行政官庁の認可を受けることになっておりますので、この項を廃しましても、重複したような関係もあり、差しつかえないと思いますので、削除したのであります。
それからその次の第九十三条、これも第二号では「又は定期積金」という字を入れました。これで全漁連の力は終りまして、あとは共済会に関することであります。
第三枚目の表の第百条の二であります。そのうちの、現行法におきましては「その経営の安定及び改善を図るため、災害に因って受けることのある損害を相互に救済すること」というのを「水産業協同組合は、共済事業を行うことを目的として、」こういうふうにいたしました。
第百条の四におきまして、二行目からあります「会員がその事業の用に供する建物、」云々とありますのを、ずっと削りまして、下の方にありますように「共済会は、会員から共済掛金の支払を受け、共済事故の発生に関し、共済金を交付する事業を行うものとする。」こういうふうにいたしてあります。めくりまして二項、ここを現行法では「前項の規定の適用については、会員が第百条の六第二項第三号の規定による会員である場合には、その会員が、営む漁業又は水産加工業を会員の事業とする。」というのを、改正案では「共済会は、定款又は共済規程により、会長以外の者にその事業を利用させることができる。但し、一事業年度において、会員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において会員が利用する事業の分量の総額をこえてはならない。」こういたしました。
第百条の七の五、これを「共済事業の種類」といたしました。
その次には、財務についての省令への委任、第百条の九「前条に定めるものの外、共済会が、その財務を適正に処理するために従わなければならない準則は、省令で出定める。」
以上でありまして、あとは事務的のこと、また条文の整理のことでありますので、省略させていただきます。以上が要点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/120
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121・鈴木善幸
○鈴木小委員長 御意見なり御質疑がありますれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/121
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122・田口長治郎
○田口小委員 専門員にお伺いしますが、全国団体の事業の認可につきましては、農業協同組合連合会の事業についてはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/122
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123・徳久三種
○徳久専門員 同じだそうです。農協もこれで改正しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/123
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124・日野吉夫
○日野小委員 共済を許容するために改正するというのだが、貯金と定期積金の受け入れだけでこれをやる、これを入れればあと大体必要とする点がない、これだけでけっこうかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/124
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125・徳久三種
○徳久専門員 さしあたってはこれでけっこうだと思います。根本的の改正はすでに別に研究しつつありますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/125
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126・鈴木善幸
○鈴木小委員長 委員長からお答えいたしますが、定期積金の受け入れの条項がないために、組合で処理に非常に困っておりますので、今回とりあえずこの点もあわせて改正をしていこうということでありまして、大体この一部改正法律の問題は、田口委員から御質問がありました、全国漁業組合連合会の事業をやります場合、ある特定の事業をやる場合において、農業協同組合は一々政府の認可を受けるというような制約を何ら受けていないのに、水産業協同組合の方はそのつど認可を受けねばいかぬというやかましい規定になっておるわけであります。これは協同組合につきましては一般的に政府が監査もやり指導監督もいたしておりますから、個々の事業をやります場合に個々に認可を受けるというようなことは、協同組合の本質から見ても、むしろこれは避けた方がよろしい、農業協同組合法と同じように直した方がいいということで、この点を改正してはいかがか、こう考えておるわけであります。
それから第二点は、共済会の事業が御承知のように、水産業協同組合の系統団体の持っております倉庫でありますとか、事務所であすますとか、その他の施設に対する損害共済保険を現在やっておるわけでありますが、それを更生共済であるとか、あるいはさらに進んでは漁業共済の仕事をもできるように事業の範囲を広げる。こういう二点が大体主たる問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/126
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127・赤路友藏
○赤路小委員 ちょっと一点専門員にお尋ねいたします。第百条の四の二項の改正で、会員以外の者にその事業を利用させるということはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/127
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128・徳久三種
○徳久専門員 お答えいたします。この会員以外の者にというのは組合の職員及びその家族をさしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/128
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129・鈴木善幸
○鈴木小委員長 それではこの取扱いの問題につきまして御協議を申し上げたいと存じますが、ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/129
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130・鈴木善幸
○鈴木小委員長 では速記をとってください。それでは本案の取扱いにつきましては、委員各位の御意見に基きまして、ただいまお配りいたしました案を当小委員会の成案といたしまして小委員長から委員会に報告いたし、委員会において審議を促進してもらう、こうとりはからいたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/130
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131・鈴木善幸
○鈴木小委員長 さよう取り扱うことにいたします。
速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/131
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132・鈴木善幸
○鈴木小委員長 速記を始めて下さい。次に昭和二十九年のマーシャル群島における原子核実験による被害マグロ漁業者に対する補償並びに融資措置の問題につきまして御審議を願いたいと存じます。
一般的な問題につきましてまず水産当局に御質疑を願って、その後におきまして、小委員長の手元に試案の作成をいたしましてお手元に配付いたしておりますから、その試案を御審議願うことにいたしたいと存じます。赤路委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/132
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133・赤路友藏
○赤路小委員 これは試案をいただいておりますが、その前に委員長にちょっとお尋ねしておきたいと思います。実は二十七日の農林水産の本委員会で、河野農林大臣にビキニ水爆被害に対する補償について私は質問をしたのでありますが、当然この被害補償は政府の責任においてなされなければならない、こう私は考えております。政府が交渉過程において、二十五億という損害額を出して交渉をした事実は、この交渉の経過概要にも書かれておる。従ってその決定された七億二千万円との差額は政府が責任を持って補償すべきである。この決議があってこそ二百万ドルという金額でもって妥結を見たのだ、こういうふうに私は思ったから農林大臣の答弁を求めたのですが、農林大臣は自分の一個の考えとしては答弁ができないということであったので、それなれば一応帰って閣議ででも決定して、文書でいいから答弁をせいということを私は農林大臣に言っておいた。いまだにこの答弁書がきておりません。従って当然政府の責任においてこのビキニ水爆被害に対する補償はなすべきである。それを待っていられない。現在すでに業者は非常な窮境に追い込まれておる。この間の経過手続としてこういうような資金融通をするという意味にこれを解釈してよろしいかどうか、この点を一つ委員長にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/133
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134・鈴木善幸
○鈴木小委員長 ただいま赤路委員から発言がありましたように、政府がアメリカ側に対して要求しておりました補償額、特にこの際は流通業者はこれを一応のけまして、マグロ漁業者、生産者だけの分をまず取り上げて補償の道、救済の道を講じて参りたい、そういう考えでございます。このマグロ漁業者関係の被害につきまして政府がアメリカ側に要求しております額は、被害を受けました廃棄マグロ、それから航路迂回による損失、さらに値下りによる損害、これらを合せますと十二億一千万余りに相なるわけであります。これに対して政府が補償することに決定しております額は御承知の通り五億八千万円でございます。従いましてその差額六億三千万円というものを補償する必要があると思うのでありまして、この六億三千万円の補償不足額に対しましてただいま委員長試案としてお手元に配付しておりますような融資の特別措置が講ぜられますれば、大体十億の金、低利資金を一カ年融通することによって純益を一割五分あげてもらいまして、一億五千万円、これを二カ年間融資することにいたしまして三億、この三億の漁業利潤をあげてもらうことによって不足額六億三千万円からそれを差し引きますと三億三千万円のなお差額がございます。なおこの特別措置法では年金利の五分を政府から補償するような内容になっておりますので、年間、通年の金利補給額は五千万円、ニカ年にわたりますから一億、この一億を不足額の三億三千万円から差し引きますと、二億三千万円をなお政府が予算措置を講じて補償する必要がある。こういう計算に相なるわけでありまして、この二億三千万円は現在民主党と自由党との間で予算の組みかえあるいは修正、この問題で今折衝いたしておるのであります。その中に自由党の組みかえ案といたしまして二億三千万円の国の補償を予算措置をするということで目下両党間で交渉中であります。そういうことで融資と補償で両方かみ合せまして、政府がアメリカに要求した十二億一千万円のマグロ漁業者に対する被等額を全部これで補償する。こういう考え方で、その一環として提案した措置であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/134
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135・赤路友藏
○赤路小委員 まことにけっこうな案です。自由党と民主党がその話し合いをすることはこれは御自由です、これは私たちは何とも言いません。ただけっこうな案ではありますが、これが政府提案として出てくるならばなお筋が立つと思うのです。しかしながらこれはおそらく政府提案でなしに、小委員長が現在のマグロ漁業者の窮境を見た点からこういうような案が出されてきたと私は考える。まことにけっこうであり、感謝しなければならないところではありますが、筋としてはあくまでも政府の責任において措置すべき問題である。もしもこの特別措置法案なるものが審議され、そうしてこれが通過を見るということになると、このことによって当然政府が負わなければならない責任をぬぐい去られてしまう。政府がむしろ逃げを打つという形のものが出てくると私は考える。そこで、政府の責任は責任としてあくまでも追及されなければならぬのじゃないか。もちろん今の小委員長のお話から参りますと、融資の措置と、別途組みかえでもって補償金額が何ほどか出てくる。それによって生産者の損失額というものは当然解消されていく、こういうことだと思う。けっこうではありますが、筋だけは通しておきたい。そこで最初に申し上げましたように、この法案を審議することはけっこうですが、審議の前提として、事は急を要する特別の措置であり、しかもこれは経過措置としてやるのであって、このことによって政府の責任は全然なくなっていない。政府の責任はやはりあくまでも追及されていくべきものである。こういう理解の上に立ってこの審議を進めていただくというふうに考えてよろしいかどうか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/135
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136・鈴木善幸
○鈴木小委員長 お答えいたします。赤路委員のお説の通りであります。小委員長も野党第一党である自由党に所属いたしておりまして、小委員会がこのような案件を建設的に処理いたしますことは、決して政府の責任を看過いたしておるものではありません。現在のマグロ漁業界は、原爆の被害によりまして倒産一歩前の著しい状況に追い込まれており、かつ最近におけるカン詰あるいは冷凍マグロ等の輸出の不振の両面からの圧迫によりまして、日本の漁業の中枢をなすところの重要なるマグロ漁業がまさに瀕死の苦境に追い込まれておりますので、各派の力をここに結集いたしまして、何とかこの重要なるマグロ漁業を復興、立て直しをいたしたい。また今をおいてはその目的を達することはできないという緊急を要する事態でありますので、民主、自由両党の予算修正の折衝と並行いたしまして、各派の御協力を得て、この特別融資の措置を講ずることが適切であると考えまして提案をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/136
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137・赤路友藏
○赤路小委員 それでは水産庁にお尋ねいたします。
すでにここに特別措置法の原案が出ておるわけでありますが、政府提案にする意思があるかないか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/137
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138・前谷重夫
○前谷政府委員 ビキニの補償につきましては、先般四月末に政府といたしましての配分案を決定しまして、目下それに基きまして支払いを促進しておる次第であります。ただ御承知のように、法案の提出につきましては、それぞれ当初予定されたものがありまして、時間も限られておりまして、もうすでにその提出時期も済んでおるという事情もございますし、今これを政府提案でもってする特別融資の法案を提出する用意はいたしていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/138
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139・赤路友藏
○赤路小委員 今の御答弁では、政府側から提案するということは考えていないということですが、今まで現在の七億二千万円の配分にいろいろと御苦労なさったろうし、その方面に全精力をかけてきたというのがほんとうの姿ではないかと思う。ここまでは気が回らなかったというか、手が回らなかったと思います。しかし本来いうなれば、この法案は当然政府側から提案されてしかるべきものだと考える。特に所管官庁の長官である水産庁長官としては、農林大臣に対し、あるいは政府に対し、現在の漁業者のこの窮状というものはおわかりになっておるだろうから、説明をして、現在ここに出そうとしておるものを政府提案として出すように御努力を願う、そういうことはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/139
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140・前谷重夫
○前谷政府委員 ビキニの補償金の配分に対しましても、打合会におきましていろいろ検討をいたしたわけでございます。その際にはいろいろな議論が出たわけでございますが、諸般の事情からいたしまして、政府でもって一般財政からこれを補償するということは困難なような事情でございましたので、水産庁といたしましては、融資その他の点につきまして折衝をいたし、また努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/140
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141・原捨思
○原(捨)小委員 御承知の通り現在魚価は一般に非常な下落を見ております。その中でも特に影響が濃いのはカツオとマグロだと思います。マグロの問題がただいま問題になっておりますが、これらのことがいよいよ取り上げられるということになって非常に助かるのであります。御承知の通りカツオにしましても、マグロにしましても、最近の船は非常に大型化しておりますために、従って多額の漁業資金を要するのでありますが、それらの漁業がこうした値下りを示し、しかもその値下りは、当分続くと見なければならぬと思いますが、非常な困難にぶつかっておるわけでございます。このままでいくならば、必ず建造資金の償還というようなものが延滞してくる、そうなると結果においては漁業経営者の怠慢あるいは不誠意というようなことで片づけられてしまって、その後の金融に非常な障害を来たす、こういうふうに考えるのですが、これに対して生産費の低減をはかるとか、あるいは販売流通過程において何らかの魚価維持の手を打つとか、それらについて何かお考えがありますか、ちょっと伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/141
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142・前谷重夫
○前谷政府委員 原委員の御指摘のように、カツオ、マグロの昨年度の魚価と現在の魚価とにおきまして、著しい水準の違いが起っておるわけでございまして、実はわれわれもその点については非常に憂慮いたしておる、その原因はいろいろ検討いたしておるわけでございますが、一つは今後の輸出がどういうふうな状態で推移するであろうか、輸出の面における非常な悲観的な見通しも相当見込まれておるように考えられるわけでございます。そういう面からいたしまして水産物の相当部分、特にカツオ、マグロの相当部分が、輸出及びそのカン詰の状況いかんに国内の浜揚げ価格が左右されておる点が多々あると思いますので、私たちといたしましても、この輸出の面において打開の道がないか、さらに国別の見通し等も詳細に立てて、そして国別に対策等も立てていく、輸出の販路拡張ということにまず手をつけるべきじゃなかろうかということをいろいろ検討いたしておるわけでございます。その他御指摘の点もあろうかと思いますが、さしあたりはダンピングの問題等も話が起っておりますし、輸出面における相当大きな問題があろうかと思います。そういう点について検討をし対策を立てていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/142
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143・鈴木善幸
○鈴木小委員長 それでは委員各位にお諮りいたします。きょうはこの問題につきましては、お手元に配付いたしました委員長提案の昭和二十九年のマーシャル群島における原子核実験による被害マグロ漁業者に対する資金の融通に関する特別措置法案、これは小委員長から提案だけをいたしておきまして、この審議は次会に譲りたいと思います。
それでは本日の小委員会はこの程度で散会いたします。
午後三時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205029X00319550530/143
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