1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月六日(金曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 佐藤觀次郎君
理事 赤城 宗徳君 理事 坂田 道太君
理事 竹尾 弌君 理事 辻原 弘市君
理事 三宅 正一君
纐纈 彌三君 高村 坂彦君
杉浦 武雄君 米田 吉盛君
久野 忠治君 永山 忠則君
河野 正君 野原 覺君
木下 哲君 小牧 次生君
出席国務大臣
文 部 大 臣 松村 謙三君
出席政府委員
文部政務次官 寺本 広作君
文部事務官
(大臣官房会計
課長) 北岡 健二君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 緒方 信一君
文部事務官
(大学学術局
長) 稲田 清助君
文部事務官
(社会教育局
長) 寺中 作雄君
文部事務官
(管理局長) 小林 行雄君
委員外の出席者
専 門 員 石井つとむ君
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四月三十日
委員仲川房次郎君辞任につき、その補欠として
久野忠治君が議長の指名で委員に選任された。
同月六日
理事坂田道太君委員辞任につき、その補欠とし
て同君が理事に当選した。
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同月二十八日
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一七号)
公立学校施設の整備促進に関する請願(高木松
吉君外一名紹介)(第二六二号)
九州大学第二分校移転後に工業専修大学設立の
請願(楢橋渡君紹介)(第二六三号)
長野県に東京天文台の七十四インチ反射望遠鏡
設置の請願(倉石忠雄君紹介)(第二七四号)
博物館等に対する国庫補助金確保に関する請願
(野依秀市君紹介)(第三一六号)
青年学級運営費国庫補助増額等に関する請願(
野依秀市君紹介)(第三二一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一七号)
文教行政に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/0
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001・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
理事の補欠選挙を行います。理事坂田道太君が去る四月六日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。理事の選挙は、その手続を省略して、委員長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/1
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002・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議がなければ、再び委員になられました坂田道太君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/2
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003・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次に国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を聴取いたします。松村文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/3
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004・松村謙三
○松村国務大臣 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
この法律案は、昭和三十年度予算に照応して関係条文を改正するものでありまして、国立大学の学部の分離、公立大学の国立大学への移管、大学院の開設、国立大学に夜間の短期大学部の併置、国立大学の附置研究施設の設置等について規定するのであります。
改正の第一点は、弘前大学及び佐賀大学に農学部を、大阪大学に薬学部を開設し、香川県立農科大学を香川大学の農学部として、鹿児島県立大学の医学部及び工学部を鹿児島大学の医学部及び工学部として移管いたすものであります。
改正の第二点は、医学及び歯学の大学学部の学年進行に伴い、現在大学院を持つ大学のほかに九大学に大学院を開設いたすものでございます。
改正の第三点は、茨城大学に短期大学部を併置し、静岡大学に県立の静岡法経短期大学を短期大学部として吸収併置いたすものであります。
改正の第四点は、東京大学に共同利用の研究施設として原子核研究所を設けることでございます。
以上が本法案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/4
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005・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次に文教行政に関する件を議題といたします。松村文部大臣並びに政府委員に対する質疑を行います。辻原弘市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/5
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006・辻原弘市
○辻原委員 大臣に二、三点、前会お尋ね申し上げました点にも関連をいたしますが、その後の経過をお聞きいたさねばならぬ点もありまするので、お尋ねいたしたいと思います。
第一にお尋ねいたしたいのは、本日の毎日新聞でありましたか、例の新生活運動に対する政府の方針がやや明瞭に出ておりましたが、この間私も申し上げておきましたように、新生活運動という名でもって、各都道府県でいろいろな試みが行われておりますが、政府はどういうような考え方でこれを推進しようとするのか。同時にまた文部当局としては、この問題を取り扱うのに、どういう具体的な推進方法をやられていこうとするのであるか、この点をお尋ねいたしておいたのでありますが、特にその際に私が申し上げておきましたのは、文部行政の中でこの問題を取り上げられる場合、昨今学校教育と関連をして社会教育の重要性、さらに青少年の環境の中から、頽廃的な文化を取り除くというような意味合いにおける文化行政というものが、きわめて重大ではないかということを私は申し上げておいたのであります。それについて、その後やや民間有識者等の意見を聴取されて、具体的な方法も立案せられておるようでありますが、そういった部面についての文部省としての具体策、これを一つお聞かせを願いたいと思います。もちろんその前提として、大臣がしばしば言われる、かかる運動は決して民主党なりあるいは政府が、太鼓をたたいて、お題目入りで強制すべきものではないということは、これは当然でありますので、そういった方向ではなく、一般国民大衆の中から盛り上るような、そういう意欲を持った推進方法を、どういうふうにして展開されようとしておるのであるか、その具体的内容を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/6
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007・松村謙三
○松村国務大臣 お答えをいたします。実はあの新生活運動につきましては、これは最初から政府の全体の考え方といたしまして、今日においてその必要があるからぜひやろうじゃないかということでございます。そういう意味から申しますと、総理府にその予算をとっておいた方が妥当であるかもしれませんでしたけれども、あそこには受け入れの機関がございません。私の方には社会局という受け入れの局もありますので、それで予算を私の方へとった、こういう経過があるわけでございます。それでこの予算としては一億二千万円くらいの予算でございますが、そのうち五千万円をその新生活運動に充てまして、あとの七千万円をもって、これは文部省の社会教育に充てる。こういう考え方であります。従いまして、新生活運動につきまして私から申し上げることが妥当であるかどうかは、これは別といたしますが、しかしその計画には参画をいたしておりますから私から申し上げますが、それにつきましては、すでに申し上げました通りに、これを文部省の考えだけでやるということも考えておりませず、またわれわれの所属の政党だけの仕事としても考えていませず、政府だけの仕事としても考えておりません。ことにへたをやりますと、一種の翼賛体制のような形が出てくると、われわれの素志ではございませんので、それで呼びかけはいたしますけれども、純然たる民間団体でやっていただきまして、それが盛り上って一つの生活を粛正する国民運動となってくれることを期待をいたし、希望をいたしておるわけでございます。それに向ってこれらの予算を補助をいたして、その効果を十分発揮していただきたいというような構想を持っております。たとえば言論界、宗教、教育、婦女子の団体、あらゆる面の代表者に呼びかけて、そういう機構をつくってやっていただきたい、こういうのがただいま政府としての考え方でございます。それならばどういうことをやるかということにつきましては、民主党の方でもいろいろ練ってもおります。それから文部省といたしましても、全然構想がないわけではございませんが、しかし、そういうふうに民間の団体として発足してもらうということになりますと、そのときに、こういうこととこういうことと、こういうことをやってくれというような注文を政府からつけるのが妥当であるかどうかということを考えてみますと、あまりこまかいことをさしいって、政府からこういうことでやってくれというのは妥当ではなくて、そのでき上った団体で協議をしてもらって、すでにそういう生活改善の別々の団体が幾つも幾つもできておることは御承知の通りですから、そういうものを加えて、そしてこれらの新たにできる結合の団体で、そういう当面さしあたってやるべきことを研究してやってもらう、こういうことにいたした方が、一等なめらかに出立するゆえんじゃないかと考えているわけでございます。文部省といたしましては、社会局という機関もございますので、それらの下働きをせよ、お手伝いをせよということならば、それは私の方では十分やる用意を持っておりますが、大体の構想といたしましては、今申したような考えをもって、これは文部省というよりも、政府としてそういう考えを持っておるわけでございます。
それから社会教育の面につきましては、これは文部省の責任において十分効果を上げるようにやって行く考えでございまして、七千万円の予算をお願いいたしておりますが、これをどういうふうに活用して行くかということは、現在いろいろ原局において研究中でございます。この間もそういう方面の権威者と申しますか、代表者のような方々を、一部でございましたけれどもお集まりを願って、いろいろの意見を承わった。これからもいろいろこういう研究をいたしてやって行きたいと思うのでございます。この委員会におかせられましても、いろいろの御意見もございますならば、十分承わりまして善処をいたしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/7
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008・辻原弘市
○辻原委員 この運動を通じて、一番私どもとしては警戒をしなければならぬ点というのは、大臣も言われるように、官制的な運動であってはならないということであります。しかし実際問題として、運動を片や推進し、しかもそれを相当の考え方を持って文部省がやられる場合に、かりにそういうような精神であっても、具体的に運動を推進していく過程に、どうしても官制的ならざるを得ない点が出てくるのじゃないか。今お話のありましたように、文部省としては具体的な構想をもって民間団体に運動を推進してもらうというような行き方をとらないで、あるいは五千万円の補助金を配分するには条件を付するようなことはいたしたくないというような大臣の考え方であったように思うのです。それをわれわれとしては終始していただきたいと思うのであります。しかし、そうするなら、一体文部省がこれをある程度所管をして具体的に遂行する場合に、どんなやり方をやるのかという点で、非常にわれわれとしてはつかみどころのないような考え方に立つと思うのですが、そういう点を十分さらにお考えをいただきたいと思うのと、それから今民主党の方でだれだれ私案、だれだれ私案といったような形で、この生活運動の具体的方針というものを取りまとめられておるようでございますが、そうすれば、そういう方針が党として確定して、それを文部省が受けて、これを具体的に推進するというような経緯になれば、今、さきに大臣が言われたような、自主的な民間団体の形の運動というものが若干阻害されてくるのではないかという懸念もあるのでありますが、こういう点については、大臣のいわゆる党の生活運動の方針というものと、それから文部省自体が考えられておる一つの構想というものと、それに加えて運動全体の構想としては、民間団体なり国民大衆の一つの盛り上る姿においてそれをやっていこうというものとの、この三者の関係は非常にむずかしい問題ですが、どういうふうに処理されようとするのか、そこらの点を明らかにしておいていただきたいと思います。それが一つです。
それからもう一つ申し上げておきたいのは、補助金の配分の問題に当っては、やはり最初の考え方は何ら注文をつけないということであったが、しかし、今後これをそれぞれ各種団体に配分をするというときには、何かの規格、基準というものを作って配分するのが通例であるように思うし、それが一番簡便なやり方だと、これは一つの慣習からわれわれは考えるのでありますが、そういう行き方に堕してくる危険がないかどうか。全然条件をつけないで、ほんとうに民間団体が自主的にやったもので、必要とする経費を、文部省が五千万円の範囲内でそれぞれ補助していくという考え方で終始される決心が大臣におありなさるのか、やはりある程度事務当局にまかして、そうしてこの民間団体のそれぞれの運動の中の、文部省の考えている構想とマッチしたものについてのみ補助するというような形態に進むのか、ここらあたりも一つ明らかにしておいていただきたいと思うのであります。
同時に、民間団体の中で私が懸念する問題は、これはかつて青年団活動あるいは青年学級の育成強化という問題の際にわれわれも申し上げておいたのでありますが、やはり自主的な青年団の活動ないしは婦人団体の活動等はできるだけ——現在の青年団あたりの動きを注目してみましても、やはり官制的な行き方を廃しよう、あくまでも自主的な民主的な運営で終始したいという希望が漸次強まっておると思うのでありますが、そういう際に、やはり新生活運動と銘打ってやる限りにおいて、民間団体の中での青年団あるいは婦人団体あるいはその他民主団体の活動は、相当ウエートを置いておられると思うのでありますが、こういった場合に、やはり青年団に補助金を交付する、あるいは婦人団体に補助金を交付するといったような問題が派生してきたときに、そこにおのずから何かの規制が生れはしないか、こういう点は具体的に大臣としてはどうお考えなさるか、以上の三点について御見解を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/8
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009・松村謙三
○松村国務大臣 お答えをいたします。新生活運動につきましては先刻申し上げたような考え方でございまして、これは一つ各党の間で御懇談を願って、御賛成でありますならば白紙の状態で御相談を願って、そうして超党派的に御相談を下さったその結果によって発足するということが、最もよくないかとも考えておるようなわけでございます。もしもそういう形で発足できますならば、今かれこれ御心配になっている点などはもうなくなるだろうというように考えております。それから文部省として何かひもをつけて助成などをするのではないかというお考えでございますが、そういう考え方は毛頭持っておりません。いやしくもそのことが妥当であると見ますならば、それはかれこれ条件をつけないで、その団体を信頼してやっていきたい。いわんやそれが超党派的に成り立つようなことが幸いにできますならば、なおなおのことであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/9
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010・辻原弘市
○辻原委員 国民全体からの盛り上るような形の運動であれば、われわれもとかくを申し上げるわけもありませんし、双手をあげて賛成をいたしたい。どうかそういうような形でお考えを願いたい。そうでなければ、事新しくこういう問題を、こういうような銘を打ってやる行き方は、かえって有害ではないかという気さえすらいたしておりますので、そういう場合には、そうではなくして、従来の若干陥没している社会教育について、もっと勇敢に力を注いでいかれるというようなことの方が、実効を上げられる近道ではないかというふうにも考えられますから、あわせて社会教育について文部省の御努力をお願いいたしたいと思うのです。承われば、一億二千万円のうち七千万は従来の社会教育部面に大きく作用さしていくというお話でありますが、その中で一体今社会教育として、どの点に力点を注げばその効果が上るというふうに大臣はお考えになっていられるのか、この点を参考に承わっておきたいと思います。七千万円をどう重点的に社会教育に投じられようとしておられるか、この点を一つ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/10
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011・松村謙三
○松村国務大臣 実は先刻も申しました通りに、各方面のその道の専門家にこの間寄っていただいて、いろいろ話合いをいたしたのです。その話を聞きましても、今お話の重点とするところもやはり考えてやらなくちゃならぬと思っておりますが、その考え方の、決定的な考え方がまだまとまっておりませんので、今研究中でございますから、いましばらく一つ時日をおかしいただいて、まとまった御返答を申し上げたいと思います。今まとまらない考え方を申し上げましてもならぬと思いますから、しばらく御猶予を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/11
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012・辻原弘市
○辻原委員 しばらく時をかせというお話でございますので、重ねてお尋ねはいたしませんが、時間は相当おかしおいたつもりでございますから、ここらあたりで一つ方針を明確にしておいていただきたいと思います。社会教育と申す場合には、これは範囲が非常に広うございますので、その重点の置き方というものは、これは具体的にはなかなかむずかしいと思いますけれども、ただ私は、最も卑近な問題を一つ大臣にお話申し上げておきたいのであります。それは、どれをとらまえてどういうふうにやれば効果があるというようなことは、実際問題としてわれわれも考えるだけでありまして、これはむずかしいのでありますが、ただ、せっかく今日まで社会教育の一つの中心、センターとして育成して来ましたいわゆる公民館活動が、最近においてどうも停滞しておるような現象を見受けるのであります。その一番大きな原因はやはり施設の問題にもあると思います。せっかく公民館の活動をやろうとしましても、施設に対する何らの国家的援助もないというようなことが停頓の原因になって、各種団体がこの公民館を中心にしていろいろな知識の社会教育活動を展開しようとしても、それをやるすべがない、こういうような状況であります。そういった点について、私はことしの予算では相当期待を申し上げておったのでありますけれども、公民館に対する助成、育成の方法が割合と看過されているように思いますので、こういう点について、今後の予算使途の問題の中で十分考慮しておいていただきたいと考えます。その点社会教育のあれとして申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/12
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013・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 関連して三宅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/13
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014・三宅正一
○三宅委員 大臣にちょっとお伺いします。新生活運動についてまだ非常に漠然としたお話しかないのでありますが、たとえばヒロポンの弊害の撲滅運動というようなことであれば、これはまあ日本の青少年をほとんどむしばんでしまって問題にならないことであり、これを憂慮して、たとえば東大の内村教授などを中心にして一生懸命ヒロポン撲滅運動をやっておられるわけでありますが、私考えますのに、こういう問題は、当然お互いが予算がなくてもやらなければならぬ問題ですから、大きな一つの課題だと思うのです。そういうことはきっといろいろの方面にあるだろうと思うのでありますが、今まで、たとえば私は例としてヒロポンのことを申し上げたのだが、そういうようなことについて、大体何と何とが大きな項目だというようなことは内部できっと話が出ているだろうと思います。お互いに協力するという立場であれば有効にやらなければ何にもなりませんから、その辺のことについて、たとえば項目としてはどういう項目が非常に大きな問題だというような話し合いが、この間の有識者を集められた会合でもあったかもしれませんし、文部省としてもお考えになっているかもしれませんし、その他新生活運動を企画された党の方面においてもお考えがあると思いますので、そういう点について、たとえば項目についても、こんなことは非常に必要じゃないかというようなお考えがありましたならば、この際聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/14
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015・松村謙三
○松村国務大臣 お答えをいたします。先ほども申し上げました通りに、ここに政府なり党なりが何か注文をつけますと、この話がすなおに成り立たないと思いまして、あちらこちらにそういうような案が出ますけれども、そういうことをきめちゃだめだ、大綱だけで、その民間の団体ができるにまかせてやるようにしないと、ただ名前だけをかりるような形になっていかないからといって、具体的の研究はむしろ私はあまり聞いていないのでございます。またやらないようにと申しておるようなわけでございまして、これらのことは、具体的にこういうことを考えているというようなことは、無責任な話はできるかもしれませんが、責任を持って大体この程度のことをということはちょっとここでお答え申すまでに参っていない、その気分は先刻申したような次第でありまして、ただいまお話のような点はもちろんのことでございますけれども、これこれと私の方で明示するところまでには至っていない、またそれは好ましいことではないというふうに御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/15
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016・三宅正一
○三宅委員 私は大臣が翼賛運動などの苦い経験でこりておられることはようわかります。わかりますけれども、いやしくも国費を五千万円でも、ともかく予算に計上しまして——私がさらに心配することは、たとえば五千万円予算があるということで、インチキな企画者が一つそいつを食ってやろうというつもりで名目だけつくって、全く案がなしに出ますれば、変な団体に食われてしまう危険性も私はないとはいえぬと思うのであります。確かに注文をつける、ひもをつけるということは悪いに違いないけれども、国費ですから、会飲費に全部使われてしまって、ほとんど実効が上らなかったということでは、これはまた問題になりますので、そういう意味におきましては、いやしくも新生活運動ということを構想せられて、そうして一兆円予算の中で非常に必要な土地改良費やいろいろなものが削られておるというときに、かりにたとい五千万円というわずかな金額であっても計上されます限りは、今日までに方々からこういうことはどうだろうか、ああいうことはどうだろうかという話があったに違いないと思うのであります。押しつける立場じゃなしに、日本の新生活運動として今の時弊を匡救するのに、ヒロポンの問題を一つ私は思いつきで申し上げたのですけれども、だれが考えてみても、これはやらなければならぬという面が必ずあると思う。そういう話については、私は所管課においても、あるいは閣議の席上においても、あるいはまた民間の熱心な団体からも話がきておると思うのであります。それで押しつけるとかそういう意味でなしに、こういう問題は大きい問題として各党の了解があるならばやりたいのだというような腹案はお持ちになっておると思うし、お持ちにならずに一つ新しい機軸でやってみようということだと、私はまたほんとうの思いつきで役に立たぬと思うのでありますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/16
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017・松村謙三
○松村国務大臣 何らの用意なくして予算をとるというのはどういうものかというお話でございますが、それは今日になってみますと、国民の生活を改善する、締め直しをするということは、おそらく輿論としてだれしも痛感することであろうと思いますので、それをやりたいということ。そうしてそのやり方につきましては、予算に盛って、そしてそういう団体もでき、よく話し合いをして、その費途を誤まらないようにするということができるのでありまして、たとえば科学振興費として予算をとりまして、それをさらにいろいろの審議会へかけてあとでその分配に誤まりなきを期する、ああいうやり方でこれもやっていけるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。もちろんこれまでいろいろこういうことにやったらいい、ああいうことにやったらいいという意見は、これはお話の通りにたくさんお話を承わりました。けれども今ここに具体的にこれこれ、これこれのことをまずやるのだということを政府がきめてかかるということは、これは先刻申しました趣旨から申してどういうものかと思いまして、ただやらねばならぬことであるということには私どもは強い関心を持っておりますが、そのやり方は全く白紙の状態で、新しい団体におまかせしていいんじゃなかろうか。もちろんまず第一に衣食住の改善等から始めて行かなくちゃなりませんけれども、これらのやり方等については、その新しい団体にまかせてやっていいんじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/17
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018・三宅正一
○三宅委員 どうも答弁に満足しないのです。心構えは大臣の言われた心構えを一応了承いたしますが、今も大臣の言っておられる通り、それぞれ新生活運動の必要を痛感している面からいろいろ話もあったということでありますから、それでは主管の局長から承わりますが、一体どういうような提案があったか、これを一つ。今までこういうことが閣議にも出たり、新聞にも出たり、委員会でも話をされたりして、その結果現われてきた運動としては何がよかろうじゃないかという大きな項目としての意見等の具申のありました部分について報告を受けたいと思います。これが一つ。
それからもう一つは、各党に相談してやるのだというお話を今承わったのですが、これは具体的には予算が成立したあとにお考えになるのか。そんなことをしておればおそくなってしまうことになりますが、あるいはどういう形態で、たとえば各党の政調会等に賛同を願ってやられるのか、あるいは衣食住に一番関係がある文教、社会労働、農林等の関係の委員会の委員長、理事等で相談をしてもらうのか、その辺の構想はどうなっているか、この二点について。一つは主管の局長から、一体今までの申し入れ等がどういうふうになったかということ、それからもう一つは、各党との話し合いをどういうふうにやられる腹案を持っておられるか、その点は大臣から御答弁を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/18
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019・松村謙三
○松村国務大臣 お答えをいたしますが、各党への呼びかけをどういうふうにするかということは、まだきめてはおりませんが、ひっきょうこれは文部省というよりも、政府全体としてもやりたいと考えております。その時期でございますが、時期はこの予算ができてからあとというような考えではございません。できるだけ早い機会にそういう手続をやって、ほんとうに各派の間に御了解を得たい、こういうふうに考えております。このような考え方からいたしまして、今現局の局長からもお話はいたしますが、局といたしましては、社会教育の方は一生懸命やっておりますけれども、この方はそういう政府全体の関連のあるものでありますから、それとあわせ考えまして、全体の構想のもとにやっていますから、現局といたしまして、そこはまだ深い研究をいたしていないということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/19
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020・寺中作雄
○寺中政府委員 新生活運動の具体的計画につきましては、大臣がただいまお答えになった通りでございます。いろいろな方面における計画の申し入れ等につきましては、公式には別に受けておりません。ただ現在いろいろ各地方の府県において、あるいは各自主的な団体におきまして、私の方ではこういう新生活運動の計画をもってやっておるというような現状の報告につきましては、私の方でも相当調査をいたしておりまして、もしそういうものが御参考になるようでございましたら、申し上げてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/20
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021・三宅正一
○三宅委員 ちょっとそれを聞かせて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/21
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022・寺中作雄
○寺中政府委員 各都道府県におきましても、衣食住の改善というような意味で、あるいは迷信の打破であるとか、あるいは封建的な冠婚葬祭の制度の改善であるとか、いろいろ多岐にわたる運動をいたしておるのでありまして、相当活発に行われておるものといたしましても、二十数府県くらいのものが予算をとりまして相当の運動をいたしております。これは地方自治との関係におきまして、あるいは村づくり連動というような形式で行われておるところもございますし、あるいは婦人団体等が中心になって衣生活の改善、あるいは食生活の改善ということを特に取り上げて力を入れておるというようなものもある次第であります。それから民間団体といたしましては、たとえば主婦連合会というようなものが、物価の適正化の運動、あるいは消費生活の合理化の運動というようなことを主として問題にして新生活運動をやっております。あるいは全国の友の会であるとか、あるいは日本青年団協議会であるとか、生活科学化協会であるとか、人口問題研究会とか、日本産業関係、つまり日経連であるとか、これは新生活運動の会というものを特別に設置いたしてやっておりますが、また全国社会福祉協議会というようなところも、新生活運動に沿うような計画を立ててやっております。大体そんなようなところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/22
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023・辻原弘市
○辻原委員 新生活運動については、なおしばらくの時間をかせという話でありますが、少くとも文部省自体としても、具体的な構想は当委員会に近い機会にお示しを願いたい。次に大臣もお急ぎのようでありますので、簡単にお聞きしておきたいと思います。それは学校給食の問題でありますが、何か文部省の方でも、今国会に給食法の改正法案を提出されるようなお心組みがあるようでありますが、内容をちらっとお聞きしてみますと、対象を中学校に拡大するということ。それから貧困児童の問題を取り上げられておるようでありまして、けっこうでありますけれども、しかし私が考えますのに、これは学校給食を推進する根本策ではないということであります。たとえば貧困児童が二十万おるとかいうような話でありますが、これを六百万の対象に実施している中で割ってみますと、一学級当り一人あるいは二人、どういうふうにこれを選定するかというようなことになりますと、とんでもない問題が発生すると思います。そういうことの中で、従来のように生活援護を受けておる子供であるならばこれははっきりいたしますけれども、一体困って金の払えぬ、最も貧乏な子供はだれであるかを、その学級の中で選定しようということになれば、これは学校給食の目的が一面そがれる。そういうことでは、ほんとうに子供が同じ環境の中で、同じ条件で教育を遂行するという教育効果の中に、重要な影響を与える問題でもあると思う。そういうようなやり方よりも、私たちが在来から言っておるように、少くともミルク給食あたりを全額負担にして、いわゆる完全給食に近づけるような線で努力をなさらないかという点を強調して、大臣の御見解を承わっておきたいと思います。この問題は今まで相当長い間大蔵当局との間に問題をかもしてきた問題でありますので、学校給食ということだけでは、なかなか政府としても文部省としても、予算獲得に難航を示されると思いますが、この前に三宅委員からもお話があったように、やはりわれわれとしては地域のいわゆる酪農振興という問題と結び合わすところに、学校給食の非常な振興策が生れるのではないかということを、実際の体験からわれわれは考えておりますので、この点はこの前大臣としても非常に賛成の意向を示されましたし、超党派的な形で、何か委員会かあるいは各党との相談の上で遂行していきたいという一つのお考えもお示しになられた記憶も私にありますので、早急にこれを実現の形に移されるお心組みがあるかどうか、承わっておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/23
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024・松村謙三
○松村国務大臣 今のお話でございますが、私も痛切に何とか一つやらなくちゃいかぬということを感ずるのでありますが、二、三日前でしたが、きのうもこどもの日の材料にするのだといって、名古屋の放送局の催しで、名古屋の子供たちと東京の私との間に初め問答をいたして、いろいろの無邪気な話もありましたけれども、中にどうも給食で腹が減ってどうにもならぬというだけのことで事を訴えますから、君方、給食というものはどういう意義を持っているのか知っているかねというと、いや何も知らない、ただ腹が減ってしょうがないというだけのことだ。やはりあの子供たちにも給食というものの意義を自覚せしめ、そうして有効にやらせるということさえもまだできていないような状況にありますので、どうか一つこれはぜひ改善しなくてはならない、それで先に三宅さんの申されました、ああいう委員会のようなものをぜひやりたいと思っていたのでありますが、ちょうど休会中でもありましたし、皆さんお忙しい中でもありましたから、まだ手をつけておりませんけれども、その後国会も開会せられましたからさっそく御相談をお願いいたしまして、その委員会と申しますか、あるいはこの委員会が非公式で全部御参加下すったような形にいたしますかの御相談をいたして、早急一つ取りかかりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/24
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025・辻原弘市
○辻原委員 ただこの委員会だけでなくして、やはり関係の各委員会とも連携を持って、一つ強力な形で推進していただきたいと思います。というのは、私も地方で今酪農の問題などで困っている問題を最近見たり、自分としてもそれに対する意見を述べたりしてきているのでありますが、御承知のようにいわゆる農村の酪農の経営の中で、乳製品についてはほとんど最近経営状態はゼロであります。牛乳を抱えてどこにはかすかということで弱っている現状であります。協同組合なら協同組合あたりで市乳に切りかえて、その市乳をその地域の学童給食用に回すということになれば、少々大きな酪農組合でも日に二石、三石と生産しているところはまれであるのでありますから、普通の農村であれば、そうすることによって大体その地域の学校給食に充てられ、文務省が考えている中学まで及ぼすということになれば、優に現在の二倍、三倍の乳牛を増加していっても、市乳の販路だけは確保できるであろう、そうすれば一般家庭の乳価の引下げなどに問題を転嫁しておりますが、自然に適正価格が学童給食を通じて生れてくる、そこに中間搾取のない、しかも新鮮な牛乳が地方に出回るということになって参りますので、そうこれの運営はむずかしい問題がないと私は思う。そこまできております、だから一つ積極的にこの際推進していただきたいと考えます。
それから将来出てくるであろう法案について若干意見を申し上げましたが、繰り返して申し上げておきますけれども、中学校に範囲を拡大していくということもけっこうであります。なお貧困家庭に国費の負担額を増していくということもけっこうであります。しかしそれだけでやろうとする考え方は、これは全く末節の行き方であるということを私は申し上げておきたい。そうでなしに、少くとも現在の完全給食目標について、これはそれに対する国費負担、全額負担に近づくということに努力すれば、勢い貧困家庭の問題も解消されていきますから、そういう方向で貧困家庭を救済し、そういう形で対象人員を拡大していくという基本方針をとられたい。そうでなければ肝心かなめの問題が忘れられて、枝葉が茂っていくかっこうになりますから、実施していくのに問題が片づかない。どうかその点を一つ御留意を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/25
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026・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 関連して野原君より発言を求められておりますから、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/26
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027・野原覺
○野原(覺)委員 ただいま辻原委員から学校給食についての質疑があったわけですが、私は文部省がこの問題で予算を要求されておりますから、調査ができておると思うのでお尋ねをするのですが、今日貧困児童家庭が、貧困のために給食代をどうしても負担することができない。そういう子供が大都会において特に多いのです。そのために大阪市のある小学校のごときは、半数近い者が給食を受けることができない。こうなりますると、学校給食の施設そのものが実は大きな問題を投げかけておる。こういう点で文部省が全国の統計調査をなされておるかどうか、なされておるとすれば、どの程度の者が経済的負担に耐えることができなくて、学校給食を受けていないかというような、そういう統計の結果を御説明願いたい。私はその結果の説明いかんによって、このことはあらためて質問したい点があるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/27
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028・小林行雄
○小林政府委員 いわゆる生活保護法の適用を受けております子供ではありませんけれども、それに近い準要保護児童の数でございますが、もちろんこれは文部省といたしましても、だんだん調べてはおりますけれども、その調べる調査の現在によりまして、かなり実は変動をいたしております。大まかな数字を申し上げますと、現在の小学校等における六百万の給食の児童に対しまして、四%の二十四、五万程度が準要保護児童に当るものと考えられております。しかしこの二十四、五万が、必ずしも全部が全部給食費の全額を負担することができないというのじゃございませんので、中には、その一部分は負担できるけれども、全額はできないという者も、実は入っておる数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/28
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029・野原覺
○野原(覺)委員 きわめて漠とした回答で、私が質問をするための資料になりません。六百万の学童のうちに、たとえば大都市、中都市、小都市、こういうように分けて、生活保護法の保護児童はどれだけで、それから準保護児童と目される者はどれだけで、そうして経済的負担に耐えることのできないために給食を受けてない子供はこういう数字になるというような、詳細な資料の提示を私は要求いたします。これはできるだけすみやかにこの委員会に御提示願いたい。その上でこの問題は質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/29
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030・辻原弘市
○辻原委員 次に、こまかい点は事務当局にお伺いいたすとしまして、学童給食の問題も私は新生活運動の中に入ると思いますが、以下お尋ねする学校図書館、子供の良書の指導という問題、これもやはり新生活運動に入ると思うのです。昨今非常に問題になっているし、われわれも痛感している問題ですが、これはヒロポン禍と並び称せられておるように、不良図書がはんらんをして、この面から学童あるいは中学、高等学校あたりの生徒が非常にその影響を受けて、頽廃的な気風を持っている部面も少くない。こういう点についてどういうような具体的な方法でやっていったらいいかというようなことを、かねがね考えておるわけなのですが、昨今出版協会ですか、図書関係の自主的な運動で、その追放の方法が試みられておるようでありますけれども、この点についての文部省としての具体的な方法というものを考えておいていただかなければならぬ。その問題を通じて、やはり相当な役割を果すであろうと考えられるのは、先般成立を見ました学校図書館法でありますが、この学校図書館を通じて子供たちによい書物を供給すると同時に、よい書物を十分読ませる習慣をつけることによって、私は町にはんらんしているような、いわゆるエロ・グロ文化といわれるそういうものから遠ざけることができるのじゃないかと思います。しかしながら、その後この法律が成立いたしましてからの文部省の力の入れ方、あるいは省令等に盛られているこの学校図書館運営の方法といったものに、相当あきたらぬ点があるのでありますが、この際大臣にお伺いしておきたい一点は、先ほど申しました学校図書館を通じて、いわゆるエロ・グロの図書を追放するという考えに立って、いま少し学校図書館の運営に万全を期せられるというお考えをお持ちなさらないか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/30
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031・松村謙三
○松村国務大臣 しごくごもっともなことでして、それには相当に力を入れてやりたいと考えているわけでございます。新生活運動は別といたしましても、私の方の主管をいたします社会教育の面からいっても、この点に重点を置いてやろうという構想を持っております。この間いろいろの人の意見を聞いた際にも、近来出版社の側においても大いに自粛の考えを持ってやっている。ちょうどアンデルセンの百五十年のこういう機会に、一つ子供に対する本だけでももう少しいいものを出そうじゃないかというような話し合いもできつつあるということで、非常に私どもも喜んでいるわけでございます。そこで考えられることは、良書を推薦するという形、もしくは検定するというようなことが、弊がなくしてやり得ますならば、これは最もいい。文部省が検定するというような強い形でなくて、良書を推薦するような方法もとれないものかということを、一つ考えております。これまた全く未定の、未熟な考え方でございます。それからもう一つは、地方の学校図書館に、良書も何も新たな本を買い入れる力のないような図書館が多うございますから、それで巡回図書館を各府県でやっていただいて、これに回す本を厳選してやってみたらどうか、こういうような案を原局でも考えているようでございまして、それらの構想をよく練って、良書を読ませ、悪書を撃退するというやり方で効果を上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/31
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032・辻原弘市
○辻原委員 細部の点は事務当局にお伺いをいたしますが、一、二大臣にお話を申し上げておきたい点は、今言ったように、問題は生徒、児童に対する学校図書館を通じての読書指導にあると思います。この点がうまくいけば、相当効果を上げられるのじゃないか。たとえば、今調べてみますと、全国で、いわゆる最近はんらんしている貸本屋というのが約八千軒あります。その種類を見てみると、貸本屋で漫画を取り扱っているのが約七割、雑誌、この中にはいわゆるいかがわしいのが相当入っているが、これが二割、その他講談本とかいろいろな小説類が約一割。この八千軒が、いわゆる貸本屋の営業としては非常に実績を上げているわけなんで、出版社はこの貸本屋を対象にしただけで、十分出版が成り立つわけであります。こういうところに大きな盲点がある。だからこの貸本屋に生徒、児童が向いている眼を、学校図書館の良書にどうして眼を向けさせるかということが、一つの大きな問題であろうと思います。その具体的な問題として図書館法制定以来の問題の中に考えられることは、これはあとで事務当局から聞きますけれども、大臣もお考えいただきたいのは、何といっても法律をつくる際にわれわれも十分力説をしておきました、実際の指導に当るいわゆる司書教諭という先生の資格、資質、こういったものを形式的じゃなくて実質的にどう上げるかという点、これは出発早々でありますので、厳格にしては十分学校図質館の体裁を備えることができないというので落しているのだろうと思いますけれども、これは若干考慮する必要があるということが一点。
それからもう一つは、先般来からも予算削減の問題でいろいろいたしましたので、そういう点の影響もありますが、やはり十分その司書教諭なり学校全体がこれは良書と見て購入できるだけのいわゆる予算単価を与えていないということ、相当いいものであれば選定をして買い入れるだけの予算単価、それから援助を与えておく必要があるんじゃないか、こういうところに私は問題があると思う。それも一つお考え願いたい。いま一つは、これは事務的にどういうことになっておるか、私も詳しくは知りませんけれども、フルにこの図書館を利用することが第一、それをあまり事務的に、率直に言えば役所式になって、事前監査、事後監査というものにこだわって、ただ図書を美しく保存しておかなければならぬという考え方でおったのでは、これは利用できない。どうもそういうきらいがあるんじゃないか。あとでいわゆる監査がきびしいから、保存さえ厳重にしておけばあとで学校としては無難なんだということで、結局図書を活用しない、こういう傾向が現われて来ておるのではないか、この点も一つ十分考えられて、図書指導をやるためにはどういうふうにすれば効果が上るかという点で、一つ再検討を願いたいということを大臣に要望いたしておきたいと思います。
それで学校図書館の問題について若干事務当局から詳しく伺います。私が申し上げた趣旨はそうなんです。完全な図書指導を行うためには、このせっかくできた図書館をどう運営するかという問題。その第一点は司書教諭の問題なんですが、司書教諭の履修すべき単位の問題で、本来の八単位を二単位に切り下げておる理由は、おそらく得られにくいからだろうと思います。この単位取得の資格は厳格にやっているんじゃないかと思いますが、この点についてどうお考えになっておるか。それから単価の点を引き上げられる心組みがないか。それから先ほど申しましたような物品監査に対する取扱いを、他の物品監査とは違う意味を学校図書については考えられる必要があると思いますが、この点について国が補助したんだから、物品監査はもちろん厳重にやらなければいけませんけれども、しかし厳重にやる余り、利用されないような厳重さを示したのではいけないと思いますので、この点何か運営に対する御考慮があると思いますが、具体策はないか、その三点について伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/32
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033・緒方信一
○緒方政府委員 第一点、司書教諭の問題でありますが、これは御承知のように、教諭を持っていない、そのためには講習をして資格を与える。その資格を与えるために文部省令で司書教諭講習規程を定めておるわけでありますが、先ほどお話もございましたように、現在さしあたり充足するためにはなるべく手っとり早くやらなければならぬという関係もございまして、本来ならば八単位の資格であるべき者に対しまして、従来の経験とか、あるいは大学における単位をとっておるといったような者に対しましては、この単位を軽減する規定をきめておるわけでございます。これにはいろいろと段階がございまして、たとえば大学で単位をとっておる者、あるいはまた従来経験を持っておる者につきましては、その経験年数によっていろいろと変えておるわけでございまして、その点は厳重にやっておるつもりでございます。ただ一番有利な経験を持っておる者が、今お話の二単位に相なっておるわけでございまして、当面の私どもの計画といたしましては、一応の基準をきめまして、小、中、高等学校、そのほかに必要最小限度の司書教諭をなるべく早く充足しよう、こういうことで一番最低の講習を今現に行なっておるような次第であります。この点についていろいろ御意見かございまして、私どもも今後いろいろと努力していきたいと思いますけれども、現在考えておりまする計画といたしましては、五カ年計画といたしまして、二十九年度から始めておりますが、一万二千人を一応充足する。これは小学校につきましては十二学級以上の学校、中学につきましては九学級以上の学校、高等学校、盲ろう、養護学校につきましては各学校にそれぞれ一名を充足する、この計画をとりあえずやっておる次第であります。その際対象とする者につきましては、従来の経験からして二単位をもって充足し得る者を充てておる、こういう状況であります。お説の通りに司書教諭の質は十分考えなければならぬことでありますので、今後十分検討いたし、努力いたしたいと思います。
次の単価の問題でございますが、これは二十九年度の配分の基準が三十年度の予算の算定基準にも相なっております。そこでこれは小、中、高等学校によって単価は違いますけれども、たとえば小学校におきましては百五十円、これは平均が百五十円であります。これは学校に備うべき本によりまして安いものもあり、高いものもある。先ほどお話がございましたように、学校図書館にりっぱな本を充実いたしまして、児童、生徒の学習の参考あるいは教養のための指導としなければなりませんわけでございますので、単価はできますならばなるべく十分に考うべきでございますが、財政等の関係もありまして、二十九年度の配分については百五十円、三十年度の予算の算定につきましても百五十円でございます。これにつきましては私どももただいま学校図書館で充足しております本等を詳細に調べております。これも御承知のように、政令できめましたが、文部大臣と大蔵大臣と協議してきめることになっておりますので、今後につきましてはさらに実情等も調査して検討しなければならぬと考えております。
それから第三点の、監査がやかましくて、本の活用ができない点があるのではないかというお話でありますが、私実はまだはっきりと実情を承知しておらぬわけでございますが、お話がございましたように、これは国庫負担金で充足いたした備品でございますから、十分監査いたさなければならぬと思いますけれども、そのために活用が阻害されるということがあってはもちろんいけないと思います。いろいろと学校図書館の利用等につきましては関係の問題の研究協議会等もいたしまして、今後とも十分進めたいと思っております。従来もやっておりますけれども、本年もどうしてもこれを実施いたしまして、その活用に、読書指導等に遺漏のないようにいたしたいと思います。そういう面につきましての監査の問題も考えたいと思いますので、今後とも実情を十分調査いたしまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/33
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034・辻原弘市
○辻原委員 あと施設について若干お伺いしておきたいと思います。本年度の危険校舎の改築費補助予算が、相当危険坪数の増加にもかかわらず前年度とほぼ同額しか見込まれておりませんので、おそらくこれに対する配分の基準が実情に沿わないような形で行われてくるんじゃないかということが心配の一点なんです。昨年度までの配分基準を見ますると、大体耐用年数その他実際の危険度合い、こういうものを総合勘案されて補助配分をされておったようでありますが、何か聞くところによれば、本年度から危険度合いの点数制を採用されるような話を聞いたのです。これは事実でしょうか。三千点以上の総合点数を持ったもののみを対象にするというようにちょっとお聞きしたのですが、その点をお聞かせ願いたいと思います。
第二は、鉄筋比率がようやくわれわれの希望が充足されまして、三割まで引き上げられたことは非常にけっこうだと思いますけれども、その中で、やはり従来の配分の問題は、防火地域第一優先ということでやられておるようでありますが、一五%から倍になりましたので、おそらくそれについてはだんだん地方にまで充足されると思うのですが、従来のように防火地域を第一にされて、そして単価等についての取扱いも、その間に差等を設けられるということはやはり今後も続けられるつもりであるかどうか。これは相当長い間防火地域中心でやってきましたので、その点の充足はほぼ——もちろんこれは全部ではありませんけれども、希望の出ている点についての大体のところは他の地域に比較して相当量考慮されてきたと思うのであります。ここらあたりで鉄筋ワクの取扱いについても、一応防火、防火といえば今度は水防地域の問題も出てきますし、あるいはその他災害予防等から鉄筋校舎の必要等も生れてきますし、いろいろの理由が生れてくるわけでありますから、一応差等をつけないで取り扱われるということの方が妥当性があるのじゃないか。同時に、そうすれば鉄筋校舎に対する一般の認識ももっと深まってくるのじゃないかと思います。この点についてどう考えられておるか。これをお伺いしておきたい。
それから第三点は、例の屋内体操場の補助についての問題であります。相当期待を持って見ておったわけでありますけれども、やはり積雪寒冷地帯に限定されたような形でそのまま終っておるようでありますが、これも大体積雪寒冷地帯に対する充足度合いは相当進捗いたしておるようにも思いまするので、この際やはり中学校については、実際問題としてもう高度の域に達しているのじゃないか、屋内体操場の域に建築の重点が移行しつつあるのじゃないかと思いますので、ここらあたりでワク撤廃を強硬に考えられてもいい時期じゃないかと思いますが、一体それができなかった理由はどういうところにあるのでしょうか。この三点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/34
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035・小林行雄
○小林政府委員 お答え申し上げます。危険校舎の判定基準の問題に関連いたしまして、従来と違ったやり方をするのでなかろうかということで、点数制の問題をお取り上げになりましたが、御承知のことだと思いますが、この危険校舎の改築の問題は数年前から実は始めておりますけれども、当初この判定基準というものはそう科学的なものでなしにスタートをしたのでございます。しかし昨年度新しい法律もできまして、判定基準も確たるものにしなければならぬということで、法律なり政令でその条項が実はあるわけでございます。文部省といたしましても科学的な合理的な的確な判定基準を得たいというので、実は昨年から研究をいたしております。これは具体的に申しますと、建築学会等の意見も聞きまして、その意見に基いて一応できました判定基準の案を各府県で実は調査をいたしているのでございます。しかし現在までのところ、その調査で一応の数字は出ましたけれども、どの辺までが危険校舎に該当するといったようなはっきりした数字がまだ出ておりません。いましばらくしないと確たるものが出ないと思いますので、本年度はできればこの新しい基準によりたいと思いますけれども、さしあたって従来と同様なことでいかざるを得ないのではなかろうかと考えております。従って構造上危険度の最も著しいものから配分をしていくということにならざるを得ないと思っております。
第二番目の鉄筋校舎の比率の問題でございますが、御指摘のように、従来は大体防火地域を第一優先にいたしております。ただいまのお説でございますと、防火地域も大体充足してきたのではなかろうかということでございますが、しかし実情は必ずしもそこまでいっておらぬと思います。もちろん設置者の希望によりまして、防火地域以外におきましても鉄筋を場合によれば認めるということの取扱いは従来もいたしておりますが、今後もできる範囲内ではこういった方面の御希望も十分取り入れて参りたいと思っております。
それから第三の屋体の問題でございます。中学校の屋体問題でございますが、これはただいまお話の通り従来は積雪寒冷地帯の屋体ということでやっております。一般のその他の地域についての屋体の建築の補助についてだんだん御希望のあることは承知いたしておりますが、何分にも現在まだ中学校の積寒地域の不足坪数が約二十万坪程度ある状況でございまして、本年度は予算のワク等もございまして、本年度の金額では大体三万坪程度しかできない状況でございますので、文部省といたしましては、将来できれば予算を十分取りまして、その他の地域の方にも建築の補助配分ができるようにいたしたいとは思っておりますけれども、本年度においてはその点はなかなか困難ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/35
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036・辻原弘市
○辻原委員 鉄筋ワクの単価差等の問題です。これはいろいろな実際の配分の技術上の問題だろうと思いますが、優先順位は、今お話のようでありまするならばこれはやむを得ないと思いますけれども、昨今の地方財政から考えたときに、やはりできる限り補助をして十分その町村が立ち得られるだけの補助単価は確保してもらいたいと思いますので、それを防火地域と非防火地域との間に大きな落差をつけないような形に御努力を願いたいと思います。それから屋体の問題では、全国的な希望が今陸続とあがってきておりますので、せめて今お話のような形でいくと、二十万坪の寒冷地帯のものが一応充足されるまで待つということになれは、今の程度の補助でありますと、全く十年河清ですから、そうでなしに、やはり並行的に、完全に積雪寒冷地帯と同様にということは若干欲深い考えにもなりますので、何か起債等の措置だけでも、積雪寒冷地帯以外のところに考慮されるような折衝を文部省としてはおやりになるのが至当ではないかと私は考えます。それはあまりといえば差がひど過ぎるわけです。だから補助までは無理であるならば、何かそこに起債等の形において地方が立ち行くように——この点の父兄負担、あるいは町村の財政に及ぼす影響は実に甚大です。最近の情勢から見ますと、町村の財政難の一つの原因にもなりつつあるし、そういうことから一つ御考慮願いたいと思います。
それからもう一点、これから考慮してもらいたい点でありますが、今度これらの施設法案の改正案を出されるようでありますけれども、その中で最近私が考えますことは、この町村合併が促進されて、校舎移転の問題が今後相当——まあ町村合併はことしの九月で一応第一次は終るわけでありますが、その後引き続いて行われるようであります。また学校施設の移転問題、移置問題などというものは、これはこれからなんですから、その場合に一番困るのは、校舎に対する考慮はあるけれども、校地に対する考慮が何ら払われていない。これはかつて災害特別立法の中で関係してこの問題を取り上げただけであって、その後これは忘れられてしまっておるようでありますが、校地に対する買収、移転等についての考慮というものも、これは適当な機会に十分一つ考慮して、それを算定の基準の中に包括することができないかどうかを御研究願いたいと思います。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/36
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037・小林行雄
○小林政府委員 鉄筋比率に関連しまして単価差等の問題でございますが、文部省としましては、現在の木材の消費というもの、これは政府全体で木材の節約をできるだけやっておりますが、少くするという建前から、必ずしも防火地域だけに限らず、将来学校の建物は、できるならば鉄筋あるいは鉄骨に持っていきたいというので努力をしておる次第であります。
単価の差等の問題につきましては、防火地域とその他の地域があまりに開きがあり過ぎるのではなかろうかということでございますが、その点は十分研究いたします。
それからその他の地域における屋体の問題でございますが、これはただいま御指摘の通り、いわゆる積寒地帯とその他の地域との間にも、場所によっては非常に微妙な差しかないところがあることは承知いたしております。ただこれは将来の問題として、できるならばそういった方面にもできるだけ早い機会にこの施設の補助金が行くように、拡張するように研究をいたしたいと思います。
それから町村合併促進ということに関連いたしまして、学校施設の補助金の問題でございますが、これはただいま御指摘の通り、町村合併の際には学校施設ということがきわめて重要なことになっておりますので、文部省といたしましても何とかこの町村合併の際に、学校施設を新たに建てあるいは移築するというような場合には、特別の単位として取り扱うようなことにしなければならぬのではなかろうかということで、場合によってはそういった面についても多少の考慮を払った例も実はございます。ただ最後にお話のございました校地の問題につきましては、従来そこまで考えがいっておりません。ただいまお話のございました通り、昨年の災害のときに、校地の災害について国から補助金が出たのでございます。町村合併に当って校地までもみるというところまでは現在至っておりませんが、もしこれが全国的な要望というようなことでありまするならば、その点も将来十分に考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/37
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038・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 本日はこれにて散会いたします。
次会は公報をもってお知らせいたします。
午前十一時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00519550506/38
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