1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年五月十三日(金曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 佐藤觀次郎君
理事 伊東 岩男君 理事 並木 芳雄君
理事 坂田 道太君 理事 竹尾 弌君
理事 辻原 弘市君 理事 三宅 正一君
纐纈 彌三君 杉浦 武雄君
永山 忠則君 河野 正君
島上善五郎君 野原 覺君
大西 正道君 小牧 次生君
平田 ヒデ君
出席政府委員
文部政務次官 寺本 広作君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 緒方 信一君
文部事務官
(大学学術局
長) 稲田 清助君
運輸事務官
(船員局長) 武田 元君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局財務課長) 天城 勲君
運 輸 技 官
(船員局教育課
長) 富田 正久君
専 門 員 石井 勗君
専 門 員 横田重左衞門君
—————————————
五月十日
委員荒舩清十郎君及び山中貞則君辞任につき、
その補欠として仲川房次郎君及び池田勇人君が
議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
委員大西正道君辞任につき、その補欠として竹
谷源太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十三日
委員竹谷源太郎君及び米田吉盛君辞任につき、
その補欠として大西正道君及び北村徳太郎君が
議長の指名で委員に選任された。
—————————————
同月十日
公立学校施設の危機打開に関する請願(木村文
男君外三名紹介)(第四七一号)
同(廣瀬正雄君紹介)(第四七二号)
同(池田正之輔君外二名紹介)(第四七三号)
同(川崎秀二君外三名紹介)(第四七四号)
同(早川崇君外二名紹介)(第四七五号)
同(植木庚子郎君紹介)(第四七六号)
愛時運動促進に関する請願(成田知巳君紹介)
(第五〇七号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
委員派遣承認申請に関する件
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一七号)
学校教育に関する件
社会教育に関する件
教育制度に関する件
教育施設に関する件
文化財に関する件
紫雲丸沈没に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/0
-
001・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 これより会議を開き
ます。
国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を行います。辻原弘市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/1
-
002・辻原弘市
○辻原委員 設置法に関係いたしまして、神戸の商船大学に付置されております海技専門学院の問題について文部省側の見解をただしておきたいと思いますが、これは本年度の予算の中にも関係を持つ問題でありますので、この機会に運輸省側の意見を若干ただしておきたいと思います。
最初にお伺いいたしたい点は、聞くところによれば神戸商船大学に併設されている海技専門学院を本年度の計画として芦屋市に移転をするというようなプランを進めているようであるが、これは事実かどうか、それに伴う予算措置はどうなっているか、この点をまず聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/2
-
003・武田元
○武田政府委員 ただいまお話のございました神戸海技専門学院を芦屋に移転をいたしまして、一部不足校舎を新宮いたしたい。これがために必要な予算措置を講じております。この機会にその予算措置を講ずるに至りました経緯につきましてちょっと簡単にお話申し上げたいのでございます。この海技専門学院と申しますのは既成船員の素質の向上と各階級の海技免状の特有者を確保する、いわば船員の需給調節のために設けられました運輸省所管の船員の再教育機関であります。この学院はこれまで神戸商船大学の施設を共用しまして、いわば同大学の校内で間借り生活をして参ったのでございますが、大学の学年進行に伴いまして現在の校舎が非常に著しく狭隘になった、他に施設を求めなければならない状態に立ち至ったのでございますが、元来海技専門学院と商船大学というのは教育の目的と対象が違う、すなわち大学は高等学校を卒業した者を教育する、いわゆる新人教育でありますが、海技専門学院と申しますのは一たん海上に出て働いて来た人々を再教育するというので、教育の目的も違いますし、また学生の年令、経歴が非常に違うわけでございます。そういうことで従来海技専門学院といたしましては同居、間借り生活をしておったために教育の実施管理上いろいろ支障があったわけであります。こういう点からも考えまして、現在芦屋市に海技専門学院の学生の寮、校舎の一部がございます。教育はこれを利用しております。深江と芦屋と二カ所に分れて教育をやっておったのでありますが、この際芦屋市の施設を全面的に活用して、同地に一部不足校舎を新営する予算措置を講ずることにいたしておるのであります。この措置は、地元の海技専門学院から要望がございまして、運輸省内に運輸大臣の諮問機関として船員教育審議会というのがございますが、この船員教育審議会に諮りましたところ、そういう措置を講ずるべきであるという答申もありましたものですから、その線に沿いまして、ただいま申しましたような措置を講じた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/3
-
004・辻原弘市
○辻原委員 今局長から分離新営に至った経緯の話があったわけでありますが、その前に、これが昭和二十七年以降併設の形で神戸に設けられたその当時、国会におきましても、衆議院においては小委員会を構成し、参議院においても各党の間でいろいろな議論の結果、これは一応併設の形で神戸商船大学を設立するという決定を見ておったのであります。ただその場合に、併設がいい、あるいはこの海技専門学院と神戸商船大学が別個に存在することが望ましいとか、そういう議論によってこれは結着がついたものではなかったのであります、当時の速記録なり、当時の経過を見ましても、衆参両院を通じての文部委員会の意向なり、野党の要望としては、これは海員に関する問題ではあるが、やはり船員を養成する教育機関の問題である、商船大学は文部省の所管として設立されるのであるから、でき得べくんばこの際、施設その他の便益の問題から申しても、あるいは養成機関を統一するという問題から申しても、将来にわたってやはりこれを一本化して行くことが望ましいのではないか、こういう経緯があって、そのことが当時、これは主として参議院でありますけれども、各党の最終的結論を見出す場合の付帯的な要望事項になっておった、こう私は了解しておるのです。しかし、自来今日に至って、そういう要望とは全く逆な、分離をして新営をするということになった点については、われわれとしては、いささかふに落ちないのであります。というのは、そういうふうな教育機関を一本化するということについて、文部省としてどれだけの努力をやってきたのかという点について疑念を持たざるを得ないからである。そこで、これは運輸省の局長にお伺いするというよりも運輸省全体として——こういう海員養成の問題について、現在文部省の所管と運輸省の所管に分れておるのですが、今のあなたの御説明によると、何か本来教育と再教育と違いがあるから分離して、それぞれの所管によってやった方が望ましいという意見に聞こえるのですが、運輸省としては、そういうような意向であるのかどうか、一つその方針についてただしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/4
-
005・武田元
○武田政府委員 お話のございましたように、どちらも船員教育機関であるということは共通性があるのでございますから、その共通性の上に立って相互に緊密な協力をしていくということはもちろん必要なことでございまして、この点につきましては、従来神戸商船大学、海技専門学院の間において十分緊密な協力をして参ったのでございます。ただ、最初に申し上げましたように、同じ船員教育機関ではありますけれども、教育目的が違う、また対象が違うという点にかんがみまして、同じ船員教育機関であるが、その特殊性、自主性というものを相互に認め合って、その認識の上に立って相互に緊密なる協力をしていくということが必要なのではないかと考えておるわけであります。分離いたしましても、私どもといたしましては、深江と芦屋は従来通り教育するのに不便を来たさない程度の近接地であり、今後とも両校がお互いに自主性を尊重しながら十分相互協力ができると信じておる次第で、これがためには、文部省当局と十分協議をいたしまして必要な措置を講じたい、かように思っております。たとえば定員の問題、教材、備品の問題、あるいは教官の官舎の問題等いろいろございますが、これらの問題につきましては、基本的な線については文部当局と了解済みでございますが、今後なお細部につきまして十分協議をし、また地元学院、大学の意向も取り入れまして、従来通り相互協力を確保したい、運輸省といたしましては、大学側の教育に御迷惑にならない、支障を来たさないよう十分打ち合せの上具体的措置を講じたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/5
-
006・辻原弘市
○辻原委員 今細部の点等については文部省と十分打ち合せをして万遺憾なきようにしたいという通り一ぺんの答えでありますが、これは文部省、運輸省という形でどう所管のあれをうまく調整していくかという問題よりも、すでに昨日の衆議院の本会議においても船員再教育の問題を大きく取り上げ、運輸省自体の責任問題も今後追及されるような段階にあるわけであります。従ってわれわれとしては、相当の国費を投じ、今喫緊の問題とされている船員教育の問題について、最も効率的に、最もロスのないようにその成果をあげていくにはどうするかという観点でこの問題を取り上げて考えたいと思っております。一所管省の問題に限定してこの問題をお伺いしているのではないのであります。そのことをあらかじめ申し上げておきます。
今のお話によれば、やはり船員教育については再教育と本来教育とを問わず、やはり有無相通じて一体的運営のできることが最も望ましいという方針を明示されている。とすれば、これは先ほど私が申し上げたように、ともかく所管は一応別であるけれども、実際の教育の場としては、一体の形で、できるだけ有無相通ずるというようなそういう姿において今日までそれが続けられてきたわけであります。そこで、今までやってきた学院の中で一体どういうような不便が起り、どういうふうな欠陥が生じたために今急に相当の国費をかけてこれを分離しようというのか。その点については先ほど若干御説明があったのですが、あなたの先ほど申し述べられたのではどうも了解がいかない。さっき著しく狭隘になってきたという話があった。そこで私はお伺いするのでありますが、現在本来教育に使用している校舎、これは大学の定員があることですから、三百なら三百の定員で、これ以上おそらく急激にどうかして行くということは、本来教育の部面ではあり得ないだろうと私は判断する。そこで問題となるのは、あなたの方の所管でやっておられるところの船員再教育の問題でありますが、そうした場合に、現在の深江における使用教室はどの程度狭隘になる見込みであるのか、それと最近あなた方でやっておられる海技専門学院の再教育の定員状況は一体設立以来どういうふうな傾向を示しているか、あなたのお説によれば非常に狭隘になったからというお話でありましたが、二十七年以降漸次就学人員が増大していなければならぬと思うが、そういう傾向があるのかどうか、この点をまずお聞かせ願いたい。
それともう一つついでに聞いておきますけれども、これはいわゆる学校に収容してやるのと、私の聞く範囲によると、もう一つ通信教育、いわゆるスクーリング、面接教育というものがある時期に行われている。そういう場合の臨時的な収容定員の問題も事足りているかどうかということも検討されなければならぬと思うのだが、それとも非常に最近激増するような傾向にあるのか、その二点について、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/6
-
007・武田元
○武田政府委員 校舎の問題でございますが、現在大学の施設を借りております坪数は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/7
-
008・辻原弘市
○辻原委員 坪数はよろしいから、二十七年以降定員がどういうふうに変遷しているか、定員について増減があるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/8
-
009・武田元
○武田政府委員 二十七年以降、海技専門学院の方の定員は増減ございません。ただ大学側の方が学年進行で逐次学生定員が増加して参って、本三十年度になりますると、大学は四年制になりまして百五十名さらにふえるということで、そういうことになりますと、大学側に今まで借りておりました施設を、大学側としても利用しなくてはいかぬといったような状況に立ち至っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/9
-
010・辻原弘市
○辻原委員 大学側の話は文部省に伺います。あなたの方の先ほどの説明によって、海技専門学院の使用すべき校舎が著しく狭隘になってきたという説明があった。そこで狭くなったという限り、あなたの方の収容定員が増大してこなければあなたの方の分離すべき理由が生まれないと私は申し上げている。今のお話によると増大していない。これは遠慮してお話にならなかったのですか。増大していないどころか、減っておりますよ。申し上げますと非常に減っております。こういうところにもいわゆる運輸省の、何というか、船員再教育についての何らかの方向を示唆しているのではないかと実はひがんで見るのです。しかしこれは戦後急速に船を失って、いわゆる高等船員が散らばってくる。そのために再教育をしなければならぬ数が多かった。しかしだんだん落ちついて、ある程度船ができてきた。そうして船に乗る人が確保されてきた。従って再教育の数が減ったと言われるかもしれませんが、しかし、今後どう考えてみても資質向上のための再教育を画期的にやるということ以外には、急激に一般的現象として増員してくる傾向はないと思う。とすればあなたのお話のように四年制の完成年度に至って大学の本来教育において非常に教室が狭隘になってくる。とすればこれは文部省、大学自体の問題ではないですか。そこで稻田局長に伺いますが、今まで運輸省としては遠慮されているわけですよ。いわゆる大学の方の、文部省所管の方で非常に人員がふくれてきて狭くなりそうなので、私の方は御遠慮しましょうという見解らしい。そういうことになれば、当然それ以前に、あなたの方で狭くなることについての何らかの措置を必要とするが、その措置について、何らか御相談がありましたか。狭くなったので校舎を増築してもらうとか、ないしは運輸省側とかけ合ってもらって、大学の意向として、この際どこかへ海技専門学院の方を移ってもらうか、遠慮してくれという要求が大学の方からあったのか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/10
-
011・稲田清助
○稲田政府委員 格別その点について打ち合せはなかったと思います。われわれとしては、ただいま船員局長がお話しになりましたように、教育運営の点からみて一緒に置くのが望ましいか、離した方がよいかという問題と、運輸省側でやっている再教育が深江市と二カ所に分れている点が非常に不便であるという点に重点があると思います。一応現在の財政状況、施設の状況よりあそこで当分の間再教育をやるということで出発したから、できる見込みできたのであります。ただあそこを再教育だけで使ってきたのを大学と両方になったから、再教育をやられる上において教室が狭いと思われるのももっともだと思います。ですからこれはものの見方ですが、当初の計画がずさんで途中で破綻を来たしたのかという御質問であれば、必ずしもそうではなかったということをお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/11
-
012・辻原弘市
○辻原委員 今の文部省のお答えも、どうでもいいというように受け取れる。分離してもいいけれども、従来通りやっていっていけないことはない。問題は、二千三百六十万という相当額の予算を計上して、特に昨今官庁あるいは学校等の新築、新営造等については相当窮屈な目にあっているわけです。この間同じような問題で、学芸大学昇格の問題に至って、その必要性は認めるけれども、予算の問題でとてもそういうことは実現することはできないなんていうことに結果としてなっている。必要とあれば二千三百万かかろうがあるいは三千万、一億かかろうが、国としては当然これはやらなければならぬ。さような予算はわれわれとても絶対こばむものではないわけです。ただ一体さまでの必要があるかどうか、そうした方がより効果が上るかどうかという点に立って考えた場合、十分その理由についてわれわれは究明する責任があると思います。先ほど第一にあげられた狭隘であるという理由については、今文部省の見解をただしてみても、何らそういう一つの緊急性を持つ要求、要望がこなかった。とすればあなたの方では増員の見込みがない。しかしそうなるだろうという判断に基いて新築、新営造されるというけれども、本来要求しなければならぬ大学側の文部省側も、何らその点についてはかくかくの方針でやってもらいたいということを明示していないわけだ。そうすると狭隘であるという理由についてはいささかそれが薄弱のように見受けると同時に、これは必要によっては現地を見なければ的確なことはわかりませんけれども、ただ当初の出発から今日までの経過を見まして、全然現在の大学の中に余力ある施設がないとは申せない。その点についてはこまかい点は私は省きますけれども、従って狭いから分離するのだという理由については全然了解できません。第二の教育目的が異なるからこの再教育機関は海技専門学院が分離すべきものと判断する、こういうことは出発の当時から問題になったことなのだ。教育目的が異なるがゆえに、本来教育と再教育の違いからこれを別個にやっていくとすれば、思想統一の上からいっても出発当時から明確にしておかなければならなかった問題で、これを明確にしていなかったとなれば、運輸当局も文部当局もまことにその設立当時怠慢であったということです。それともう一つは、全国各所に設置されているところのこの養成機関は全部その方針でやられるのかやられないのか、この点もついでに伺っておきたい。東京にも商船大学があるはずだ。東京における商船大学の海技専門学院というこの再教育機関は、現在商船大学の付置機関として存在しているではありませんか。これも分離するのですか、これも養成目的が違うから、神戸商船大学と同じように分離すべきが至当であると運輸省は判断されている。そうすると、これは分離されて文部省から独立させなければならぬという問題が発生するが、これは一体どうなのか、この点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/12
-
013・武田元
○武田政府委員 私どもは先ほど申し上げましたように、一時的な理由と再教育の特異性と海運の現状から考えまして、海難事故の防止と、運航能率の増進のために、再教育に力を入れていきたいという考えで進んで参っておるのでありますが、今後新人教育機関は分離する方針であるかどうかという御指摘でございましたが、私の方の所管しております再教育機関といたしましては、海技専門学院が全国でただ一つの機関でございます。東京の海務学院のことについては、これは文部省の所管でございますので、詳しく存じませんが、私の伺っております範囲では、海技専門学院といささか性格を異にするものである、大学院的な存在である、学の蘊奥をきわめるための機関であると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/13
-
014・辻原弘市
○辻原委員 稻田局長にちょっと聞きますが、東京における海務学院は、これは再教育をやっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/14
-
015・稲田清助
○稲田政府委員 非常に質が違うのであります。一ぺん職場についた人がいないわけでもないのでありますが、神戸でおやりになるのは、運輸省が船主協会その他と相談して、現に就航しております船員を集めている。東京でやっておりますのは、どっちかというと学問研究のためにやりたいという人が入って参りますので、そうした意図的に計画的に集めてやるという方法とは非常に違うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/15
-
016・辻原弘市
○辻原委員 私はそういう議論が形式的にみれば出てくると思うのです。だから最初に申し上げておる。その所管によって同じ教育系統の中の分野を分けて、そしてけっこうだという考え方は、こういう際に持ってもらいたくない。学問的に蘊奥をきわめていこうが、これを技術的に追究していこうが、要するに船員教育である。一度船員の実務に関係されて、さらに東京の海務学院に入ってこられる人も、これはやはりひとしく再教育の範疇に入る。だから一応所管を分けておるから、また多少その目的が違うということにおいて、文部省の所管になったり、運輸省の所管になっておるけれども、しかしそれは必ずしもそういうふうに分けなくてもこれはやれる問題なんです。だから神戸の海技専門学院という問題についても、同じようにその中で学問の蘊奥をきわめてもいい。所管が運輸省にあるから技術が主なんだということはおかしいのです。しかしその問題はこれは形式的に申していきますと、あなた方の説もそれは一理のないこともありませんから、これ以上申し上げませんけれども、ただ教育目的が再教育で違うのだから、校舎を分けて別の所へ持っていかなければならぬという理論にまでは発展する理由がない。教育目的が多少違うんだから、一応これは学問の蘊奥をきわめる本来の教育、それと同時にそれに付置されるところの養成機関については、これは文部省の所管にゆだねましょう。しかし主として技術面、再教育の臨時的な海員養成をやるんだから、これは運輸省がその面については所管していきましょう。こういうお考え方までは私は一応わかるのです。しかしそこから先、目的が違うのだから別の所へ移してやらなければならぬという理由にはならないということを申し上げる。なぜならば、あなたも先ほど言われたように、できる限り施設その他はともかく戦後十年まだまだ不十分で貧弱な日本ですから、何とか有無相通じてやるような形に持っていかなければならぬということを先ほど言われておる。だから目的が違っても、施設を共用するとか、あるいはできるだけ空いている校舎を使う。同じように海員教育であるならば、その方が便利だということは常識的に言えるわけです。従って目的が違うから、この際分けて別のところにそれを設置しなければならぬということにはこれまたどうも合点がいきません。
それからもう一つは、年令構成が非常に異なるから、それで分けた方がよろしいんだというお話です。これもちょっとどうですかな。そうすると各所に付置研究機関があるはずです。運輸省だってここだけじゃないでしょう。そういう場合に年令構成の違うということは、それは生活環境が違うこと、それは比較的年の若い商船大学の方の生徒に悪影響を与えてはいかぬとか、あるいは指導の方針が多少違ってくるからという教育的意味からだろうと思います。そうすると東京の場合だって同じことが言えるでしょう。もう二十七年から四年近くやってきたのですから、ある程度の弊害が具体的に生れてこなければならぬと思うのですが、そういうこともあまり聞きません。また教育機関は必ずしも船員養成のみならず、その他いろいろな教育機関があります。大学でもその通り、大学にもいわゆる研究科を設けて、そしてどんどん再教育の形でやっておる。その場合にも年令構成が違うから支障があるんだと言えば、若干の問題はあるかもしれないが、しかしとりたててそれが分離する一つの理由になるほどの弊害をもたらしておるように私は思っていないのですが、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/16
-
017・武田元
○武田政府委員 私の方はその点につきましては、先に申し上げた通りの見解を持っておるのです。もう一つ申し上げたいのは、現在芦屋に寮と校舎の一部がございます。それでそこから深江の方に学生が通学しておるのです。非常に不便であったわけなんですが、御承知のように船員教育というものは、寮生活というものが学校における教育の一部をなしておるものですが、教育を徹底するためには一カ所に寮と校舎と事務所と庁舎を一括して確保することがどうしても必要じゃないかと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/17
-
018・辻原弘市
○辻原委員 一般論としては確かにお説のようなことが言えるだろうと思います。また芦屋に確かに寮があるようです。一部最近教室使用等もいたしておるようであります。そうなれば私は今度具体的に一つ話をしたいのです。なぜ芦屋に持っていったのです。寮があるから持っていったのですか。私は例を申し上げますが、現在深江の方で大学と学院の方と使っておる比率を見ましても、むしろ学院の方が相当量深江の教室も使っておる。そこが実際の教育では主体になっておるように思う。もう一つはあなたの言われるように、日常起居するところと勉強するところとなるべく近づけた方が教育上も便利だし、生活にも便利だということが言える。それならば寮のあるところに持っていくがいいか、もう一つは日常就学しているところに持っていくがいいか、これは二つの意見が出る。その場合に寮のある芦屋へ持っていったというのは何かほかに特別の理由があるのかないのか。もしくは現在の深江にそういう不足を告げる校舎施設等について拡充をする余地が全然ないのかどうか、この点を一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/18
-
019・武田元
○武田政府委員 たまたま学生寮と校舎の一部、現在利用しておる施設を学院が芦屋に持っておりましたこと、それから距離的の関係を見ましても、深江と芦屋では約二キロ程度で、電車で参りますと十五分程度の地域でございまして、今後大学が協力をする上においてもさしたる不便を来たさない適当な地であると考えまして、芦屋へ移転する方針に定めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/19
-
020・辻原弘市
○辻原委員 電車で十五分ばかりで行けるなら別だ。寮が離れておってもさしつかえないじゃないですか。どうですか。近いから有無相通ずることができるのだとあなたが言われるならば、学校の教室その他の施設についても多少の交流を考えられ、共同利用も考えておられるのだと思う。そういうことで共同利用をする場合に、通って来なくちゃならぬ、あるいは借りなくちゃならぬ、そういうことの不便さよりも、むしろ寮から毎日通学し、帰る、この程度の不便をしんぼうすることの方が普通じゃないでしょうか。僕はそう思うのですが、寮を一緒にくっつけてそこに学校を建てるが、やはり深江の商船大学の方とも有無相通ずる教育をやらなければならぬし、施設も多少利用させてもらわなければならぬとあなたは言われる。そうすると結局勉強するために通って来なくちゃならぬ。それならば芦屋の寮から深江に通われる方がむしろ画然として、私生活というものと学校生活というものがある点で切り離されて、その方が、特に船員の再教育なんですから、あなたの言われるように年令も相当高い人なんですから、学校ではいわゆる大人ですね。それに集団的教育をなにするというのにも、年令構成の上から考慮を払う必要があるとするならば、学校と私生活を離しておく方がいいのじゃないでしょうか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/20
-
021・武田元
○武田政府委員 ただいまあるいは寮だけのように申し上げたかもしれませんが、寮のみならず、校舎の一部も芦屋にございまして、そこでも一部教育を実施しております。やはり校舎と寮と庁舎というものが一体でなければ教育実施上どうもうまくいかないのじゃないか。どうしても同一地域に一体的に施設を確保することが必要じゃないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/21
-
022・辻原弘市
○辻原委員 そこであなたは、教室を現在芦屋の方で使っておる、寮の方の問題は大したことじゃないというふうに意見が変ってきたわけですが、教室は現在芦屋の方で使用しておる。だからいっそ教室のあるところに持ってきた方が便利だ、こう言われるのですが、ところが最近の学院の収容定員を見ると二十七年から激減していますよ。昭和二十九年の百六十八名、三十年が百五十四名、こう減ってきている。二十七年に対比すれば二百六十九名、年次ずっと減ってきておる。百五十四名を収容するのです。そうすると本来の大学校舎に余力がないかというと、二教室あいていますよ。現在芦屋でやっているいわゆる修学を深江に移しても、私は収容できるのじゃないかと思う。全然一ぱいで、はみ出て、どっかの小学校でも借りて、特別な施設を借りてやらなければならぬというなら別だけれども、これを入れて狭隘になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/22
-
023・富田正久
○富田説明員 その点に関しましては、多少定員の波はございますが、クラス建が非常に多いのでございまして、たとい百五十とか二百とかいいましても、これは一人一坪でいいとか、半坪でいいとかいうようなで計算教室の坪数が出るのではございませんで、クラスが十二クラスになっておりますから、どうしても人数だけでクラス定数を計算できないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/23
-
024・辻原弘市
○辻原委員 しかしそれは現在やっている教育の中で深江で使用している部分が大体折半、ないしあなたの方が少しよけい使われている程度のものでしょう、そうじゃないですか。そこでかりにそれはあなたの論に従いましょう。確かに数だけでもって一教室あればいいとか、二教室あればいいとかいうことは言えないのですけれども、しかし大部分は現在深江で持っている大学の校舎の中の相当部分を使用している。その中のごく一部分だけが現在芦屋でやられている。しかもその大学校舎の中で、まだどの程度充足できるかは、あなたの方が専門的に詳しいから私は意見を申し上げませんけれども、しかしともかく収容できる場所がある。だからかりにそれを持ってきて、ここへ収容せしめたとするならば、その不足分というのは、よしあったとしてもきわめて小部分だと私は思う。とするならば、あえて新築造営に二千数百万の予算をもってやらなければならぬというその根本理由は一体何なのか。もし有無相通ずることが必要であり、しかも多少不足を告げているということならば、ここで何も文部省あるいは運輸省とこだわらなくてもいい、大学もこだわらなくてもいい、学院の施設として新しくその不足分だけの教室施設というものを増築すれば事足りるのじゃないか。なおそのために、これは特殊な教育でありますから、そういう特別な教育施設が必要とあらば、それに重点を置いてうんと金をかければよろしいのじゃないか、こう私は判断する。あまり時間をとりますから、これ以上申し上げませんけれども、さらに特にあなた方の方で常日ごろ強調されているように、一般教育とは違ったこういう技術専門教育なんですから、いわゆる特殊な施設がいるとならば、商船大学あるいは海技専門学院という性格から見て、やはりできる限り海に接近して港湾施設等を十分利用できる場所がぜひ必要なんです。芦屋と深江は十五分で行けるからといえばそれまでの話だけれども、より近いということが条件であるならば、むしろ深江の方であっていいじゃないかということが私は言えると思う。それともう一つは、深江の方に、かりにそういうふうな増築の場合でも余力がないならばいざ知らず、私が調べた範囲によると、現在深江にも相当坪数があるのじゃないか。あなた方の新築造営をやられる計画は、建設省の官庁営繕の予算からひっくり返してみますと、約四百坪の計画を持っておる。ところが現在深江には優に一千坪に近いあき地があるじゃないですか。おそらくそこに相当の増築造営計画を進められても何ら支障を来たさない、しかも海に近い、同時に教育が一体的にやれる絶好の条件を備えておりながら、多額の予算をかけてこれをあえて分離しなければならぬということは、どうも今までの御説明では、私としてはちょっと了解がいきません。しかしあまりこまかい問題について申し上げておりますと、他の質問もありますから、私はきょうはこれで打ち切りますけれども、しかしもう少し現地に当っても克明な調査をして、その上で——決してこれはあなた方を責めておるのじゃございません。今非常に叫ばれている船員教育を一体的にして、十分その効果を上げる金があるならば、その金をどんどん有効に使ってもらいたい。二千数百万あれば練習船の一隻くらいできると思う。さらに施設が必要であればその金を充当する。そのかわり校舎施設というようなものは有無相通じて、商船大学、海技専門学院、こういうものが交互に交流して使えるならば、できるだけそうしてもらいたい。そうしておいて、現在商船大学にも持っていない、同時に専門学院にも持っていないいろいろな実習施設、こういうものをどんどんつくってもらって、紫雲丸事件のようなものを起さないでもらいたいということを申し上げておきたい。本日は私はこれでとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/24
-
025・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 それに関連いたしまして野原覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/25
-
026・野原覺
○野原(覺)委員 関連いたしまして私も質問いたしたいと思いますが、同時にただいまは国立学校設置法についての質疑であろうと思いますから、この点についても伺いたいと思います。まず第一に尋ねたいことは、文部省の所轄外の学校というものは一体どのくらいあるか。ただいま同僚の辻原君がお尋ねいたしております運輸省関係だけでも四つないし五つあるように私は思うのでございますが、これは文部当局に質問をいたします。学校というものは文部省が所轄しておるものだと思っておったところが、聞いてみますと文部省所轄外がずいぶんたくさんあるようです。従ってそういうような学校はどのくらいあるのか、どの省にはこういうものがあるということをお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/26
-
027・稲田清助
○稲田政府委員 学校とおっしゃいますと、非常に広範囲な御質問でありまして、その全般についてはむろん調査をしないとお答えしにくいのでありますけれども、今論議になっておりましたようないわゆる高等教育機関でありますと、私の記憶いたしますところは、保安大学校、海上保安大学校、地方自治大学校及び警察大学校、これだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/27
-
028・野原覺
○野原(覺)委員 これは一体文部省のそういうことに関する所管を扱っておる局長は、稻田局長であるかどなたであるか知りませんけれども、何かものがなければ、こういうことで答弁ができないということでは私は困る。文部省の所轄外の学校は、運輸省においてはこれだけ、自治庁関係ではこれだけのものがあるという明確なる答弁を、このくらい簡単な質問に対しては答えていただきたいと思います。ところがそれがない。そこで私は重ねてお尋ねをいたしますが、日本電信電話公社の中央電気通信学園というのが電電公社にあるわけですが、これはやはり学校でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/28
-
029・稲田清助
○稲田政府委員 先ほどは正確にお答えしなかったのでありますけれども、学校と申しますると、これは文部省所管のものに限るのでございます。御質問はおそらくそうでなく、学校類似のものという御質問だと拝承してお答えしておるのであります。その意味においては学校ではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/29
-
030・野原覺
○野原(覺)委員 厳密に私どもが学校という場合には、これは学校教育法に規定された学校であるということは私も承知いたしております。それは文部省の所轄である。ところが問題は、辻原君が質問いたしましたように、学校の類似のもので事実学校教育をやっておるのです。たとえば自治庁の自治大学にいたしましても、それからただいま問題になっております運輸省の海技専門学院にしても、海員学校にしても、航空大学校にしても、学校教育をやはりやっておる。ところがせっかく法律を私どもはこしらえて、学校とはこれこれのものだと規定しておきながら、実はその法を破るようなことが他の省において行われておるのです。一体こういうことは今日の学校教育の体系の上から見てもおもしろくないと私は思うのですが、これに対する文部当局の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/30
-
031・稲田清助
○稲田政府委員 基本的に申しますと、大体こういうことであろうと思います。多くのいわゆる他省所管の学校類似の施設というものは、再教育の施設でございます。再教育につきましては、身分を握りあるいは身分に非常に緊密な関係を持っております官庁が所轄して運営するのが便利である、こういうような次第で、たとえば警察大学校であるとか自治大学校であるというような教育施設が存在するのだろうと思います。あるいは直接非常に緊密な関係を持っての計画養成であります。そこを出る者が一般社会に散ずるのでなくて、特定の計画のもとに特定に就職せしめるという点に非常に密接であります養成である場合には他省所管になり、それ以外の場合で、一般に機会均等に学生を集めて、卒業生をまた一般に自由に選職、進学せしめるというのが文部省所管になる、多く考えればこういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/31
-
032・野原覺
○野原(覺)委員 一般的に言って、各省が再教育をするところが各省所管の学校類似のものである、こうあなたは申されますけれども、農林省の水産講習所というのは再教育だけでなしに基礎教育をやっておるように私は承知するのでございます。そうなるとあなたの御答弁はちょっと変って参ると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/32
-
033・稲田清助
○稲田政府委員 沿革的の問題でございまして、御承知のように水産講習所に二つございましたが、一つは文部省所管になって水産大学となったのであります。第二水産講習所はまだ旧制のまま当分の間存続するという状態で今日に来たっております。これにつきましても、当事者には文部省所管になって大学になりたいという意向もございまするし、この問題については目下水産庁当局と話合い中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/33
-
034・野原覺
○野原(覺)委員 農林省の水産講習所一つを突っついてみてもそういうように問題が出てきた。私はあなた方がおそらくきょう答弁をしないかもわからぬと思ったから調査をした。これをみな突っつきますと一時間や二時間はかかりまして、他の諸君に迷惑をかけてもいけませんからぼつぼつお尋ねいたしますが、学校とはこれだということで文部省がほんとうに一つの教育体系で統轄してやろうというときに、こういう学校類似のものというような逃げ方を各省に許しておいていいかどうか、私は大きな疑問を持つのです。一体こういう点について文部省は検討したことがあるのかないのか。私は文部大臣がおれば大臣の所信をここで伺いたいと思うのでございますけれども、こういうものをいつまでも野放しに、各省勝手にやりなさい、あなたのところは学校教育法だけに縛られなかったらいいのです。だからどんどんやりなさいと言って、ここに私あげますとこういうものが約三十ほどありますけれども、せっかく私ども文部委員会あるいは文部当局において学校教育というものを厳密に考えて行こうとするのに、それ大学校だ、それ専門学校だというものをどんどん勝手ばらばらに各省で作ってやられるということは、日本の教育振興の上から見てもおもしろくないと思う。このことに対して文部当局としては一体将来これをこのままにほうっておくつもりなのか。これについては中央教育審議会もあるのだし、その他各般の有識者の意見、あるいは当文部委員会等のわれわれの意見をも聞いて、早急に検討する用意があるのかないのか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/34
-
035・稲田清助
○稲田政府委員 数年前文部省といたしましては根本的にこの点を検討いたしまして各省と折衝いたしました結果、商船大学、水産大学、電波大学、商船高等学校、電波高等学校等を各省から文部省所管に移した次第でございます。その際の方針といたしまして、先ほど申し上げましたように、他省所管において身分を有する者の再教育であるとか、他省所管関係の事業と非常に密接な再教育施設であって、学校類似の施設は他省に残すことにいたしたのであります。なお記憶いたしますところでは、例外といたしまして目下研究中である第二水産講習所、これは依然農林省に経過的に置いております。今後といえどもこういうような方針でありまして、先ほどお答えしましたように、一般から募集し、一般社会に送り出すような教育施設は、これは文部省所管にとどめることに今後といえども努力し、他省と折衝いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/35
-
036・野原覺
○野原(覺)委員 この問題については数年前になさったと申しておりますけれども、私が一、二指摘した通り、あなたの答弁にも現われておる通りに、なお問題がたくさんございます。ほうっておけばおもしろいもので、おもしろいというのか、遺憾と申しまするか、各省というものはなわ張り根性を出してどんどんやる。たとえば保育所というものは厚生省の所管、幼稚園は文部省の所管、なるほど保育ということになると予算の関係もあって厚生省がやるかもしれませんけれども、事実上は幼児教育なんです。それをやはりやっておる。そうなれば同じ政府の機関でありながら、一体こういう点について——一つの集団的な、児童生徒を集めて教え育てるというこの教育の場というものは、これはせっかく学校教育法がある限りは、厳密な意味においてやはり学校でなすべきではないか。こういう点についての根本的な検討を一な早急にやって、このような事態の混乱が起こらないようにいたしてもらいたいということを要望しておきます。
そこで第二の国立学校設置法に関する質問でございますが、この前の文部委員会で辻原委員それから竹尾委員から昨年末の学芸大学の問題で質問がございました。これに対して局長から御答弁があったのであすけれども、私は遺憾ながらあの御答弁には満足することができないのであります。そこで念のために昨年末この衆議院の文部委員会が上げました決議を、これは短こうございますから読み上げましてお尋ねをいたします。「義務教育教員の需給関係、教授力の現況にかんがみ、政府は学芸大学、学芸学部、教育学部等の国立教員養成機関の拡充、運営について、十分各地方の歴史、沿革等の特殊事情を勘案することとし、苟くも各都道府県後期課程一ケ所というが如き劃一主義の現状に捉われず、各地の実状に即するよう措置すべきである。」こう書いてある。これが満場一致なのである。これは自由党から社会党まですべて一人の反対もなしに十二月七日の文部委員会がこれを決定して、そうして私どもが文部当局に要望した。こういうことが一体どういうわけで、学芸大学に関しては今回のこの国立学校設置法の中に一つも盛られなかったのか、もう一ぺん御答弁いただきたいと思います。文部当局はこの決議を一体どこまで真剣にお考えになられたのか。真剣に考えましたけれどもできませんでしたというならば、もう少し具体的に誠意のある、あなた方が考えておること、考えてなければないで、率直に御答弁いただいたならばいいのでありますが、一つお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/36
-
037・稲田清助
○稲田政府委員 この決議につきましては、当日の旧文部委員会におきまして政務次官からお答え申しましたように、文部当局としては決議の御趣旨を十分尊重して善処するということでございまして、われわれといたしましても、この決議の実現につきましてはその後種々考究もし、調査もして参ったわけであります。第一これらにつきまして、おおよそどの程度中央的に予算が必要であるかというような点につきまして、学芸学部の施設の基準等を適用いたしまして、現在の施設に加えてどの程度の施設の充実が要るか、また学芸学部基準に照らし合せまして、どの程度の教授力を整備する必要があるか。従って経常費として、また定員的にもどのくらいな費用が要るかということを即座に研究し始めて、一応の調査の結果は得たわけであります。しかしその費用等が関連する学部全体といたしまして非常に膨大でありますので、今回の予算編成にも盛り込むことができなかった点と、この問題はなお地方におきましても、相当地方の間において意見の対立もございます。またこれを大学のこととしていたしまする場合には、大学の教授会の完全な同意と協力を得る必要等がございます。それらにつきましては大学の意見を聞き、またわれわれといたしましても地方の意見が一つに帰着することを念願しつつ今日に至っておりますけれども、今日御審議の予算にこの点について盛り込むことを得なかったことは遺憾に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/37
-
038・野原覺
○野原(覺)委員 意見の対立があるところもあると私も聞いております。ところが意見の対立のない府県もある。これはその府県がもうすべて了解をしておるところもあるということも聞いておる。そうなると意見の対立のない、しかも該当府県の教員の需給関係から見て、あるいはその歴史的な沿革の上から見て、そのことがその府県における教育政策の上からも都合がいい、あらゆる面で工合がいいんだ、こういう陳情をあなたのところに関係者が誠意を持ってなさっておると私は承わっておるのですが、そういうところまで除外をされたというのはどういうわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/38
-
039・稲田清助
○稲田政府委員 そういう御意見につきましても傾聴いたしておる次第でございます。ただ今日まで私どもといたしましては、やはりこの決議がなされました前後に起って参りました各地の問題というものは、やはり一連の性質を有するものであると考えております。従いましてこの一部を実施するにいたしましても、われわれとしては全体を見通してかからなければならぬ責任を有しておると存ずる次第であります。そういう意味で私どもといたしましては、なお結論を得ておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/39
-
040・野原覺
○野原(覺)委員 全体についての見通しが立つまではあなたは着手なさらない、そういうことですか。これは大へんな問題なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/40
-
041・稲田清助
○稲田政府委員 将来のことを申したのではなくて、なぜこの予算に盛らなかったかという点について申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/41
-
042・野原覺
○野原(覺)委員 私はただいまの答弁を承わってまことに憤慨にたえないわけですが、私ども衆議院の文部委員会がこういう決議を上げておる。しかも満場一致上げておる。この上ったときか上る前からか知りませんが、もう局長は、あるいは文部当局はせせら笑っておるのじゃないか。上げるなら勝手に上げなさい、そういうことはできませんよ。そういうようなお考えであるとしたならばこれは大へんな問題です。一体どうなんですか。あなたの今の答弁を聞いておると、意見の対立があるというところに重点があった。竹尾委員、辻原委員のこの前の質問に対してもやはり問題があると思うということだ。予算というものは、一つや二つの大学を初めから校舎を建てる必要はないのですから——校舎はもう現実にあるのだ、鉄筋コンクリートのりっぱな、大学にあってふさわしい敷地や校舎まである。だからして予算というものは、その人件費とかその他いろいろ考えれば、その該当府県は協力をするのにやぶさかでないとまで言っておる。だから予算の面でやろうと思えば、こういうことは何でもないことだ。頭からこういうことをもうやらないという腹で、私どもの満場一致の決議に臨んでおられるのではないかと私は思う。そうでないとすればそうでない点をお示し願いたい。私はそういうような態度でございませんというならばそれを示して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/42
-
043・稲田清助
○稲田政府委員 当局といたしましては、当時政務次官から十分言明せられました方針をもって答弁をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/43
-
044・野原覺
○野原(覺)委員 この問題は、きょうは大臣もおりませんから、一局長にこういう事務的な問題でやりとりしてもどうも話も進展いたしませんので、私どもはあらためてこの文部委員会等で——この問題については旧文部委員会の決議とはいいながら、これはやはり文部委員会の満場一致の意思決定でもあったことでございますから、態度を理事会等においても諮って、予算の修正とか何らかの措置をとるであろうということを申し上げて、この点に対する質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/44
-
045・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 それに関連いたしまして竹尾弌君から発言を求められております。竹尾弌君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/45
-
046・竹尾弌
○竹尾委員 神戸商船大学のだれか係官、ここに出て下さい。——この局長さんは当時の主管局長である山口さんのずっとあとですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/46
-
047・武田元
○武田政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/47
-
048・竹尾弌
○竹尾委員 私は辻原委員の質問は遅参しましてよくわからなかったのですが、この問題はどうですか、総括的に考えて運輸省と文部省のセクショナリズム、そういうことになると私は考えるのだが、そう思いませんか。まず結論から先に聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/48
-
049・武田元
○武田政府委員 先ほども申し上げたのでございますが、両方とも同じ船員教育機関でございますから、その共通性に立って相互に協力していくということは従来からやって参っておりますし、今後も緊密な協力を保たねばならぬと考えておりますのですが、ただ大学と学院とは教育目的が異なり、また対象である学生の年令、履歴も格段の差がありますから、その点相互に特殊性、自主性を認め合って協力していくという基本的な考え方をもって進んでいきたい、そういうふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/49
-
050・竹尾弌
○竹尾委員 それがいけないのです。私どもが商船大学を作ったときに、海技専門学院からも山口局長、海上保安庁長官になったあの方が来られ、それから当時の課長、私の記憶が間違っているかもしれませんが、清宮君でしたか、再三来たのです。そしてこれは教育の目的が多少違うが、これはもともと旧制の神戸高等商船を一方においては復活させ、それから再教育機関もそこに加えて協調していこう、こういうことでできたのです。それはあなたがいかに抗弁してもだめなんだ。それを芦屋の方に持っていくなんということ自体が協力の精神に反する。これは絶対にいかぬ。しかも実際問題として二千何百万という予算は、われわれもセクショナリズムとしかとれない。そういう質問が出たかどうかわからぬけれども、一体その海技専門学院は現在幾人いるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/50
-
051・武田元
○武田政府委員 定員としましては、本科、特修科三百名、それから通信教育、面接教育でございますが、四百六十八名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/51
-
052・竹尾弌
○竹尾委員 それがわれわれには納得がいかない。もしそういうことをあなた方がおっしゃるなら調査しますよ。うそを言ってはいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/52
-
053・武田元
○武田政府委員 定員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/53
-
054・竹尾弌
○竹尾委員 定員ではだめです。実際に今やっている人を聞くのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/54
-
055・武田元
○武田政府委員 現在入学試験をいたしまして入りましたものは百五十四名でございます。それから面接教育は、定員が四百六十八名でございますが、日々状況によって違いますから、今手元に正確な数字はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/55
-
056・竹尾弌
○竹尾委員 これはあなたの言い分とすれば、通信教育の希望者も多いし、それから海技専門に来る学生も多いから、それで校舎の狭隘であるとかなんとかかんとかいうことで独立しなければならぬ、これはあなた方の言い分ですけれども、しかし実際の定員が三百名あるところで百五十四名しかないようなものに、しかも芦屋の方に独立の校舎を建ててやろうという考え方が、私はどうもおかしいと思うのです。この点どうですか。作るときにはそういうことではなかった。これは稻田局長もそこにおられますが、文部省も反対したのです。それをわれわれは大いにがんばって議員立法で通した大学だ。議員がその趨勢に応じて作ってやったのだ。そこにいる局長もこれには責任がある。私はそんなことを言っていじめたくないけれども、そういういきさつを経てきた学校でありまして、あなた方が今そういうふうに校舎を分離して、そうして商船大学は三十年度で完成するのだが、寄付も集まらぬ、校舎もだめだということで、あなた方の持っている設備をみんな向うに持っていってしまう、こういうことになると、これは問題ですよ。あなた方は持っているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/56
-
057・武田元
○武田政府委員 設備、教材、器具等は持って参りません。それから定員につきましても、従来通り技術員四名を深江施設へ配置して、併任の措置を講じたい。芦屋に引き揚げるということは考えておりません。要するに大学側の方に御迷惑をかけるようなことをしないように十分文部当局と打ち合せをいたすことになっております。全くセクショナリズムというような考え方でございませんで、海技専門学院当局から現在芦屋にある学生寮、校舎の一部と一体に庁舎を確保して、教育の実施を徹底いたしたいという要望がございましたので、その要望を船員教育審議会に諮りましたところ、その線に沿うべきであるという答申がございましたので、その答申に基きまして措置を講じた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/57
-
058・竹尾弌
○竹尾委員 それはあなた方の言い分で、いかにあなた方がそうおっしゃられても、百五十何名かの、しかも一年ぐらいの再教育をするものに、わざわざそういうところまで校舎を持っていってやるなんということ自体がいけないのだ。今のあなたの答弁に関する限りの結論としてはそういう必要はない。今商船大学というりっぱなものを作りつつあるのだから、その設備、その施設を利用して一緒になってこそ再教育の実も上るのじゃないですか。あなたは御存じないかもしれぬが、これはそういうことを条件にして——条件に近い話合いで作った大学なんです。それを今になって予算をぶんどって、しかもこの緊縮予算の中から二千何百万も持っていって——これは去年その移転費かなんかは皆使ってしまったのじゃないですか。どうなんです。今この予算書をひっくり返してみているのですけれども、そういうことをやっちゃいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/58
-
059・武田元
○武田政府委員 移転費は暫定予算に成立しましたものを使いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/59
-
060・竹尾弌
○竹尾委員 それは去年使ってしまったのでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/60
-
061・武田元
○武田政府委員 本年度の暫定予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/61
-
062・竹尾弌
○竹尾委員 それはあとで調べますが、もう移転費か何かまでとって移って、そうして既成事実を作って承認させようとしている、こういうふうにとられてもこれは弁解の余地がないじゃありませんか。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/62
-
063・武田元
○武田政府委員 一部仮移転をしました。これは暫定予算で仮移転をしましたので、本格的には新年度予算が通りましてからと思っておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/63
-
064・竹尾弌
○竹尾委員 そういうことは文部省にもほとんど話合いがなかったのじゃないかと思うし、話合いをする必要がないということがあなた方の言い分かもしれないが、もともとそういうことで出発したものではないのですから、それは当然緊密な連絡のもとに、しかも商船大学がこれから立ち上るか上らぬかということは三十年度にかかっているのだから、そういうときにこういうことをされるということは実にけしからぬと思う。これはもうあなた方のセクショナリズムがここにはっきり現われているのだ。そういうことでは船員の再教育だって決してよくないですよ。学生だって三百名の定員のところに百五十名いないじゃありませんか。通信教育だって四百名採るところを一カ月にわずか十名か十五名だ。そういうところに厖大な予算を使って、そうして新しく建て直そうなどということが私はどうも承服できません。もう一度答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/64
-
065・武田元
○武田政府委員 過去のいきさつを十分存じませんが、われわれは、海難事故の防止あるいは船舶の運航能率の増進という見地から、既成船員の再教育をしたいという誠心誠意の考え方からこういう措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/65
-
066・竹尾弌
○竹尾委員 そういうあなたのおっしゃる大目的を貫徹させるのであれば、商船大学と一体となってやらなければできないですよ。過去のいきさつは御存じないとおっしゃるかもしれぬけれども、そういう過去のいきさつを御存じなくて現在の結論は出るはずがないのだ。それはそんなことを言うてもだめだよ。ですから過去のいきさつを十分考えられて、まだおそくないですから、こういうことをやらずに、一つ善処していただきたい。もしあなた方がどうしてもやるというなら、私らは、ここに政務次官がおられるから、民主党との話し合いでこんなものは削ってしまうよ。実際のところどうですか。
〔「予算の問題だから運輸大臣を呼ばなければだめだよ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/66
-
067・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 この問題につきましては運輸大臣を呼びまして、あらためて審議を続行します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/67
-
068・辻原弘市
○辻原委員 ただいまいろいろ経過を御承知ないというお話でもありますし、それから問題を十分に調べておらなかった点もあるかと思いますが、御答弁は一つ基礎に基いて誤まりのないようにしていただきたい。先ほどからのお答えの中にも誤まったというと語弊がありますけれども、ちょいちょいそういう点がありますから、十分的確にお調べ願って、正しい資料を当委員会にもお出し願いたい。その上に立ってわれわれは判断いたしたいと思っておりますから、それをお願いしておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/68
-
069・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次に学校教育に関する件その他四件について寺本政務次官並びに政府当局に質疑を行います。
なおこの際、文部当局より紫雲丸沈没事件について発言を求められております。これを許します。財務課長天城勲君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/69
-
070・天城勲
○天城説明員 私おととい大臣の命を受けまして、紫雲丸の遭難状況の調査のために現場に出張を命ぜられまして、もう一人の事務官と二人で参りましたが、今朝帰って参りましたので、とりあえず現地の状況を御報告いたしたいと思います。
遭難の事情その他につきましては、新聞紙その他で報道されておりますし、また私たちの参りました目的も、事故そのものを全般的に調査するわけでもございませんで、今度の事件に不幸にして小中学校の修学旅行団が被害者として多数入っておるという立場から、そちらの面の調査に参ったわけでございます。従いまして、他の点は時間の関係から省略させていただきまして、学校の子供たちの遭難状況について御報告申し上げたいと存じます。
今度の紫雲丸に乗船いたしておりました修学旅行団は、高知県、愛媛県、広島県、島根県の四県の小、中学校の子供で、合計三百四十七名でございますが、きのうの正午までの状況では百九名の死者ないし行方不明になっております。その後遺体がどんどん上っておりまして、なおただいま入った電報では、十五、六名が行方不明で、あとは遺体が上ってきております。私十一日の夜着いたのでありますけれども、とりあえず関係のところをいろいろ調査してみましたが、やはり中心は子供たちの場所、四校の児童の避難先並びにその関係者のところを一々回って、大臣から申し伝えられました弔意を表しつつ事情を聴取したのでありますが、当時はまだ非常な混乱状態でありまして、かつ、ちょうどそれより若干前に父兄が郷里からかけつけたので、各旅館とも混乱いたしておりました。先生方や関係者に、冷静にその当時の事情を伺ったり、あるいは修学旅行という立場から今度の遭難事件に対する御意見を伺う状態にはまだ至っておりませんでしたので、このことは少し時間を置いて冷静になられてから伺おうと思って、もう一人の事務官が残って、現在修学旅行の面からいろいろの調査を進めております。当時私の会った先生の中には、もう絶対に子供を再び連れてはよこしませんというような非常に興奮した状態でありまして、自分の娘さんをなくされた校長先生もおったり何かしたような状況で、詳しい状況を聴取する段階ではございませんでした。ただ地元の香川県及び高知市、高松市が非常に手早くいろいろな処置をとって下さっておりました。それから、最初病院にもかなり入ったようでありますが、私昨日の昼出てくるときには、子供がまた二十二、三名残っておりましたが、院長さんのお話では、診断の結果重傷あるいは重患というような子供はおらないということで、そういう状態は見受けられませんでした。けが、骨折等が若干ありますが、あとは一時のショックと、それから一時の高熱のあとを静養しておるような状態でありました。学校の方においては、生存の児童はほとんど学校に帰っておりますし、あとの遺体の方も、それぞれ納棺したまま故郷に向って運ばれておるような状態であります。とりあえず概況の報告を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/70
-
071・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 大西正道君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/71
-
072・大西正道
○大西委員 私は、今回の紫雲丸の遭難の問題につきまして、一般の問題についてはもうここではお伺いいたしません。今報告のありました学童の問題のみに限って若干お伺いいたします。
まずお伺いしたいのは、今の報告によりますと、学童が三百四十七名中百九名遭難したということですが、一般の乗船された方の遭難と学童の遭難との比率がどのようになっているか、ちょっと御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/72
-
073・天城勲
○天城説明員 一般の乗船者の数は、これは新聞等で報告されておりますが、乗船名簿がないために正確な数字が管理局に伺ってもわかりませんので、あるいは動くのじゃないかと思うのです。従いまして私が出てくるときに聞いた数では、乗っていた人が九百八十五名という数字をいただいてきたのでございますけれども、その中で死者が百二十九、行方不明が約八十という数字がございますから、二百ちょっとくらいじゃないかと思います。そのうち子供が三百七十四のうちの百九でございますから、児童生徒の遭難の方が率からいくと多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/73
-
074・大西正道
○大西委員 学童の遭難の率が多いということはわれわれとしては非常に重大に考えなければならぬと思います。この乗っておった学童ですが、高知、広島、愛媛その他、四県と言われましたが、一体その小、中学校の生徒は中学校が何人で小学校が何名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/74
-
075・天城勲
○天城説明員 高知市の南海中学校だけが中学校でございまして、中学の三年生ですが、生徒が百十七名、引率教員が四名の百二十一名、あとは愛媛も広島も島根も全部小学校の六年生でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/75
-
076・大西正道
○大西委員 船が沈没してからいろいろ救援作業が行われたと思うのですが、文部省としては、早々の間ではあるけれども、特に子供達に対して何か特別な救援の措置を講じられたかどうかということについては御調査になりませんでしたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/76
-
077・天城勲
○天城説明員 これは先ほどもちょっと申したのでございますけれども、国鉄の方で対策本部が設けられ、それから香川県の方では災害救助法が発動になって遭難者の救助に当っておりますが、ことに子供の遭難者が多いということで、香川県の教育委員会、高松市の教育委員会が子供のためだけに特別な班を作りまして、捜査から収容、それから父兄との連絡などをその中で特に手厚くやっている状況を一応伺いましたし、見て参りました。それから小さなことでございますけれども、海につかったということで、これは子供だけでありませんが、気を使って甘味類を配るとか、キャラメルを配給するとかいうことをやって非常に喜ばれておったような状況でございますが、特に教育委員会が子供たちのことに尽力してくれている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/77
-
078・大西正道
○大西委員 文部省としては救難の場合の措置は、もちろん事前に何らかの準備がなければできなかったと思うのでありますが、今の報告のように事後において地元のPTAとか、そのほかが自発的にやっているほか、文部省としては教育委員会その他に何か督励をして措置を講じられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/78
-
079・緒方信一
○緒方政府委員 文部省といたしましては事故が発生しました直後、私の初中局長の名前で岡山と香川の教育委員会に対しまして、修学旅行の児童生徒の遭難者に対しまする処置について十分尽力してくれるように依頼の電報を発した次第であります。それと同時に本省からも課長と課長補佐二人を派遣した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/79
-
080・大西正道
○大西委員 その点は予算の伴う問題であるかもしれませんが、できるだけ一つ手を打っていただきたい、こういうことを私は要望しておきます。
次にお聞きしたいのは、修学旅行のことです。これまでにいろいろな交通事故等がありました。今のお話では学校は中学校が一校で、あとの三校は小学校であるそうであります。修学旅行に対する文部省としての一つの規定と申しますか、基準というものがあるはずだと思うのでありますが、今回の遭難に際しまして、学校の生徒が連絡船に乗って、どこへ行っておったかは私はわかりませんけれども、文部省の考えているような修学旅行の基準等を逸脱したものがあったのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/80
-
081・緒方信一
○緒方政府委員 文部省といたしましては従来修学旅行に対しまして各県の教育委員会に対して通達をいたしまして、これが計画の樹立あるいは実施につきまして、教育的な観点から申しても、また児童生徒の安全を守るという建前から申しても、適切に実施されますように指導をいたして参っております。従来もたびたび通達等を出したのでございますが、特に昨年度相模湖の事件等いろいろございましたので、特に本年の四月に、旅行シーズンに入ります前に、相当詳細な通達を教育委員会に出しまして指導、助言をいたしました。ただしかし、直接にこれを運営し指導していくのは学校の設置者であります都道府県ないし市町村の教育委員会でございまして、文部省はこれに対して指導していく立場でございますので、全国画一的な基準を定めて指導するという建前は従来とっておりません。計画の樹立その他につきましていろいろな心得べき事項を本省は考えまして、相当詳細にわたって指導いたしたのでございます。それに基きまして各県の教育委員会あるいは市町村教育委員会等でそれぞれ実情に応じた基準を多くのところでは立てております。これは各地の実情もございますので一がいには申されませんが、宿泊旅行の日数の制限あるいは行き先の制限、引率者の制限、あるいはまた参加率のきめ方、何パーセント以上、ほとんど全数に近い者が参加しなければそういう計画は認めない、こういうようないろいろな基準を立てているところが多いようでございます。このたびの関係の学校につきましては、まだ詳細に申し上げるまでに至っておりませんけれども、調べましたところによりますと、大体各地できめました基準の範囲内ではあるように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/81
-
082・大西正道
○大西委員 もう少しそこを突っ込んでお聞きしたいのです。それでは高知、広島、愛媛等から文部省の通達に基いて基準の通知が来ていると思います。それは文部省といたしましても通達の趣旨に基いて大体妥当なものだと認めておられるのだろうと私は思うのでありますが、今回の場合、わずか四校でありまするから、どこからどこまで、日程はどうで、またつき添いはどうであるというようなことはもう調査ができているはずだと思うのですが、文部省の認めた妥当だと考える基準に照らして無理のないものであったかどうか、これはもう調査ができておるだろうと思いますから一つ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/82
-
083・緒方信一
○緒方政府委員 ただいま申し上げましたように、文部省が具体的に旅行期間を定める、さようなきめ方はいたしておらぬわけでございまして、各県の定めた基準に照らしていかがかということに、第一段階としてはなると思います。そこで、大体調べました概要を申しますと、愛媛県の庄内小学校では一泊二日ということでございます。それがその途中で遭難した。それから広島県の木ノ江南小学校では、二泊三日ということで、これは広島から四国に渡りまして、高松、屋島を経て、そして岡山、倉敷に出て帰ろうとして、そこで遭難をしたということになっております。ちょっと申し落しましたが、愛媛県の庄内小学校では、愛媛から高松に参りまして、そして修学旅行の一つとして連絡船に乗せて瀬戸内海を見て引き返そう、こういう計画であったのでございます。それから広島県の松江の川津小学校でありますが、これは二泊三日でございます。これは松江から四国に渡りまして、屋島、高松を経て岡山に帰るという途中で遭難したというわけでございます。それから高知県の南海中学校は四泊五日という計画であって、目的地は近畿地方——大阪、京都方面に行って、帰り道は関西汽船の船に乗って帰ろう、こういう計画であったのであります。そこで大体各県がきめております基準の範囲内ではあるように見うけられる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/83
-
084・大西正道
○大西委員 私がここでなぜこういうことを言うかと申しますと、大体御推察がつくと思うのですが、今回の不祥事件の原因が、ただ霧が非常に深くて、国鉄の責任であるというようなことのみ以外に、たとえば無理な旅行をやらしておる。それを文部省も、各県から報告した基準が非常に無理であったということも訂正をしないで、そうしてなおこういうことが起ったということになりますと、その責任が非常に大きく他の方へ影響いたしますから、この点を私は聞いておるのです。それで小学校の二泊三日、中学校の五泊七日という、こういう問題については私はここではいい、悪いということは申し上げませんけれども、大体こういうことについては、修学旅行としては文部省も認め、あるいは県の教育委員会等もこの程度なれば学童の心身の状況その他からいって妥当であると認めたものであるというふうな、一般的なあなたの結論は出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/84
-
085・緒方信一
○緒方政府委員 従来各県のきめました基準を見てみますと、小学校では一泊二日ないし二泊三日というようなことに相なっております。そこで、これが妥当であるかどうかという点につきましては、各地の実情もございましょう。都会地といなかの方では一がいには言いないと思うのでありますが、なおこれらにつきましては、従来は先ほど申しましたように、指導の方針を、たとえば旅行地の選び方につきましては、そういたずらに遠隔地を選ぶということは避けるように、あるいはまた教育的観点から、行き先地を選ぶべきであって、行楽地のようなところをいたずらに選ぶことをしないようにということを示してあるわけでございまして、何泊何日というような基準を文部省が示しておるわけではございません。しかしなお今後におきましては、私どもさらに研究をいたしてみたいと存じます。それからなお高知県の方は、これはお話もございましたが四泊五日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/85
-
086・大西正道
○大西委員 次に補償と申しますか、こういう難を受けた方に対するいろいろな弔慰金と申しますか、そういうものが従来の例によれば出ておりますね。これに対して、新聞で見ますと、遭難した人、おとなに対してと学童に対しては多少額が違うとか違わないとか、そういうふうなことが出ておりましたが、こういうことについてはどういうような見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/86
-
087・緒方信一
○緒方政府委員 ただいまお尋ねの補償の点につきましては、私どもまだよく調べておりませんので、なな今後調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/87
-
088・大西正道
○大西委員 額はわからなくてもあなたの考えとしては、そういう差別をつけるべきかどうかということについてはどうですか。私は当然こういう問題はそういう差別をつけるべきでないと思いますが、いかがですか、あなたの考えでよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/88
-
089・緒方信一
○緒方政府委員 これは従来の事例等もございましょうし、私まだ全然調べておりませんので、さらに十分調査いたしました上でお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/89
-
090・大西正道
○大西委員 そこでお伺いしたのは、この前相模湖の事件が起りましたり、また今回のこの大量の不祥事件であります。そのほかにも交通事故以外に、学校における理科の実験によって被害を受けたものとか、いろいろ学校教育の面におきまして学童の受ける被害というものは非常に多いのです。私はこの点は非常に憂慮すべき問題だと思っている。一方で社会保障の問題が非常に論議されるのに、特別にわれわれおとなから守られなければならぬ子供が、こうして被害があるというようなことにつきましては、私はこういう学校教育の面におけるところの災害補償については、特別の立法措置を講じてでも、十分こういうものを援護する必要があると思うのでありますが、この点については、今直ちにこれをどうということは予算措置その他の問題から言えないと思いますが、そういう問題について、文部省としては学童災害補償法というようなものを作って、そうして一方ではこういう災害を未然に防ぐための努力をやる、一方には、不幸にしてこういうものがあった場合には、十分なる援護の手を差し伸べるべきであると思うのでありますが、そういうことについての研究をしてみたいという意向はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/90
-
091・緒方信一
○緒方政府委員 ただいまお話のような考え方あるいは主張は、現に各方面にもあるようでありまして、私的確に申し上げる資料を持ちませんが、一、二の地方では、県か市の段階で、学童の災害の補償といったような制度を研究しているようでございます。しかしこれは一般の社会保障の問題との関連等もございますので、ちょっと制度としてそれを立てるということは、いろいろ問題があると思います。いろいろな意見もございましたが、それらもよく聞きまして研究をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/91
-
092・大西正道
○大西委員 おそらくそういう問題については積極的に研究したいというような御意向が表明されると思っておったのでありますが、やらないということになりますと、今回のこういう不祥事件が起きても、これは文部省としては、一応の釈明はするけれども、応急的にも大したことはできないし、恒久的にもこういうような問題に対しての十分な措置が考えられておらぬ、こういうことになると思うのであります。今のあなたの答弁を聞きましても、私はあまりいろいろな救援の措置については一々だめを押しませんでしたけれども、お伺いしたところ、一向何もないようであります。おそらくこういうことを契機に、恒久的な学童の災害を補償する、そういうことをこの際一つあらためて考えておいていただきたい、研究をしていただきたい。こういうことを私は考えるのです。そうでなくんば、今課長の報告にもあったように、父兄はもううかうか子供を遠足や旅行には出さないということを真剣に考えております。これは大へんなる不安です。こういう問題を除去するためにも、私はいささか調査してあるのですが、一年間に今申しましたような学童の災害が起きる件数から見ても、補償のやり方にもよりますが、それに要する経費がそう多くなくても十分父兄を安心させることができると思う。それをあなたは簡単に、そういう問題については各県でやっておるが、まだ研究の気持はないというようなことでなしに、一つ積極的に考えてやって下さい、お願いしておきます。
私はこの質問を終るに際しまして、百何名かの多くのなくなった学童の方方に対して、ほんとうに心から哀悼の意を表したいと思うのであります。いろいろな面から打つべき手は残されておると思いますから、そういう意味でどうぞ一つ手を打っていただきたいと思います。
私は別な質問がありますが、これはこれで一応終らしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/92
-
093・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/93
-
094・河野正
○河野(正)委員 質問いたします内容につきましてはただいま大西委員から質問がございましたので、私は重複しない範囲におきまして若干質問をいたしたいと思います。
今度の紫雲丸事件はまことに不幸な事件でございまして、私ども全く敬弔の念を深くするのでございますが、先ほど御報告がありました数字を見て参りましても、一般の乗船人に対しまする死亡者あるいは行方不明者というものは大体二〇%程度でございますけれども、学童の被害は非常に大きな比率を示して参っております。私どもが拝聞いたしますところの事例におきましても、一番大きな犠牲をこうむりましたある小学校では、六十六名乗船いたしまして行方不明になった者あるいは死亡いたした者、そういった者が三十二名に及んでおると聞いております。そういたしますると、その被害率というものは大体五〇%という高い率を示して参るわけでございますが、一般乗客の被害に対しまして学童が非常に大きな被害をこうむった。ことにこういった被害が、遭難が夜間あるいは冬というような悪天候の状態の中で起ったとしますならば、おそらく学童は全滅の被害をこうむったのでなかろうかというような考えも持つわけでございますが、今度の遭難におきまして学童がこのように非常に大きな被害をこうむりました原因が一体どこにあるのか、それにつきまして当局はどういうふうにお考えになっておるか、その一点をまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/94
-
095・天城勲
○天城説明員 私もその点非常に不審に思いまして、不審と申しますか何か特別の事情があるかと思って関係者にいろいろ伺ったのでありますけれども、非常に断片的で総合的な判断というわけには参りませんが、宇高丸と衝突をして、紫雲丸から宇高丸に飛び移った人もかなりあるような話を聞きました。そのときに紫雲丸の方が高いので、まあ飛びおりるという状態が多かったと思いますけれども、それは小さい子にはできないし、また中学校でも女の子にはほとんどそれができなかったということも聞いております。それから、全体として学童の中でも女の子の罹災率が非常に高いのでございますが、これはまだ詳細にわかりませんけれども、何と申しますか船室の方に女の子たちがおとなしく入っていたために、船が短時間に沈んだので船体の中に入ったままなくなったというようなこととか、あるいは今言ったような十分な操作ができなかったとか、また病院におる子も女の子が非常に多いのでありますけれども、女の子がショックの受け方が強いということを医者も言っておりまして、二十二、三名の児童のうち男の子は一人か二人で、あとは全部女の子という状態でありました。これらは断片的なことでありますが、これらを総合的に判断したらどういうことになるか、まだ結論的には申し上げられませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/95
-
096・河野正
○河野(正)委員 このたび不祥事件が起りまして学童が非常に大きな不幸をこうむったわけでありますが、その犠牲を単に犠牲として終らしめることのないためには、まず今後そういった不祥事態が起らないためにも、私はやはりその原因がどうして起ったかということをすみやかに結論づけられることが必要ではなかろうかと考えます。
それから第二点の質問といたしまして私が考えますことは、過ぐる相模湖の事件がございまして、その後文部省から各都道府県教育委員会に対しまして、一応修学旅行を改善するようにというふうな趣旨の通達が行われておるということでございますが、単にこのような平面的な、機械的な通達を行なっておけばそれで責任が回避されるのだというふうな考え方に立って今日までやって参ったために、今度のような最も不幸な事態が起った、かように言いましても過言ではなかろうかと私は考えております。そういった立場で私は御質問するわけでございますが、今まで当局は、たびたび交通事故その他の事故が起った場合に、その直接責任というものは各都道府県の教育委員会にあるのだというふうな考え方をとられるから、こういった事件がたびたび繰り返されておるのではなかろうかというような一つの大きな危惧を持っておるのでございますが、それに対しまして当局はどのような考えを持っておられるか御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/96
-
097・緒方信一
○緒方政府委員 私ども一片の通達を出して、それで事終れりという考え方は絶対にありません。従来におきましても通達も出し、あるいは事務的な話でございますけれども教育委員会の部課長会議あるいは教育長会議等におきましても、特に昨年の相模湖事件にかんがみまして十分に指導を強化してもらうように話し合いをしております。かような事件が起りまして、大きな教育計画全般につきましての指導の責任はもとより私ども十分に感じておる次第であります。ただ私の申し上げますことは、それ自体の直接の運営実施という責任は学校にあり、教育委員会にある、かようなことを申し上げたわけであります。もちろん私ども、指導の責任を十分感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/97
-
098・河野正
○河野(正)委員 ただいま責任を感ずるというようなお話でございましたが、過ぐる相模湖の事件もございましたし、引き続きまして今度の事件も起った、ケースから申し上げますと、今日国会で問題になっておりますところの洞爺丸事件に引き続いて今回の紫雲丸事件ということで、政治的な責任が非常に追及されておるわけであります。私は当局におきましてもそういった責任が存在するものとかように確信いたすのでありますが、この点に対しましてどの程度の責任をお感じになっているのかお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/98
-
099・緒方信一
○緒方政府委員 今後とも、先ほど来お話がありましたような修学旅行の基準等につきましても研究いたしまして、さらに指導を強化していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/99
-
100・河野正
○河野(正)委員 ただいまの答弁につきましてはまことに不満足でございます。と申しますのは、私が第二点の質問として御指摘申しましたように、事故が起った後においては単なる一片の通達で事足れりというお考えがあるので、引き続いて次々とあらゆる事件が起って参った、かように私は考えておるのであります。そういう立場から申し上げますと、ただいまの答弁では今後ともそういった指導を強化いたしますというようなことでございますので、そういった責任というものは、今日まで行われて参りました責任のとり方と全く同一でございまして、そのような責任のとり方をやるから次々と不祥事件が続発いたして参る、かように確信しておりますので、今日までとられたような責任のとり方では事足りない。また今日たくさんの不幸な子供たちが遭難を受けたわけでございますが、そういった不幸な犠牲者に対しましてもさらに大きな責任を感じてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/100
-
101・緒方信一
○緒方政府委員 いたいけな小さい児童、生徒がかような悲惨な事故によりまして多数犠牲になりましたことは、これはまことに悲しむべきことでありまして、私どもも衷心より遺憾に存じておる次第でございます。私どもといたしましては、同じことを繰返すようでございますけれども、こういうことを二度と起さぬようにさらに指導の全面につきまして検討いたして参りたいと存じます。ただこれはもう少し詳しく調査いたしませんと、確定的なことはあるいは申し上げられないかもしれませんが、このたびの事故は、そこに乗っておりました修学旅行をやりました学校の側の手落ちといったようなものが、果して大きな要素になっておったかどうかという点は、今私の感じといたしましてはそれほど大きな原因じゃなかったような気がいたします。たまたまああいう事件が起りまして、非常なことでございましたけれども、そのために多数の生徒が犠牲になったということではなかろうかと存じております。これはあの事故の原因等につきましても調査中でございましょうから、調査の完了を待ちませんと確定的なことを申し上げかねるかもしれませんけれども、さらに私ども調査もいたしたいと思います。私ども自体といたしましてもこれは十分に考えて、さらに研究を進めて事故の起らぬように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/101
-
102・河野正
○河野(正)委員 ただいまの答弁につきましてはまことに不満足でございます。と申しますのは、今度の不祥事件については指導上の欠陥はなかったというような御答弁でございますけれども、指導上の欠陥があったからこそ、先ほど申し上げましたような非常に高い被害率が生れて参ったものと私は確信いたしております。そういった立場から申し上げますならば、もし指導力が完璧なものであったならば、被害を最小限度に食いとめ得た、かように確信するわけでございます。少くとも今日たくさんな不幸な被害者が出たわけでございますが、そういった子供たちの犠牲者のためにも、責任の所在を明らかにして、今後こういった不祥事件が絶対に起らないように努めていただきたいということを最後につけ加えまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/102
-
103・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/103
-
104・永山忠則
○永山委員 今回の不祥事件に多数の学童が犠牲になっておりますことに対しまして、まことに哀悼にたえない次第でございまして、委員長、この際三十秒黙祷を全員起立してやっていただくことをお願いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/104
-
105・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 今永山君から児童のために三十秒の黙祷をささげるという動議が出ましたが、いかがでございましょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/105
-
106・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 黙祷。
〔総員起立黙祷〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/106
-
107・永山忠則
○永山委員 この不祥事に対しましてまことに哀悼にたえないものでございますが、文部大臣は大臣の名においてこの不幸な人々に対してとりあえずどういう形の御弔意をおとりになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/107
-
108・緒方信一
○緒方政府委員 とりあえずの措置といたしましては、先ほど御報告申し上げましたように事件発生後直ちに課長一名、課長補佐一名を現地に急派いたしまして、遭難をいたしました関係者に対しまして一々ごあいさつを申し上げ、お見舞を申し上げ、さらにまた犠牲になりました方々に対しましては深甚の弔意を表して参った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/108
-
109・永山忠則
○永山委員 文部大臣は直接代理官をおつかわしになっただけでなしに、弔意を表されるものでございまして、あるいは何か弔電またはお供え物、こういったような関係は——国鉄当局もお供えはいたしておるのでございますが、こういう点をどういうように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/109
-
110・緒方信一
○緒方政府委員 これは申し落しましたけれども、係官を急派いたしますと同時に、また現場におきましては遺体安置所におきまして花輪等をお供えいたしまして、弔意を表した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/110
-
111・永山忠則
○永山委員 文部大臣の弔電は打ってございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/111
-
112・緒方信一
○緒方政府委員 これは先ほど御報告申し上げましたように、すでに故郷に続々帰っておりまして、これから各学校におきまして合同慰霊祭等も行われることになっておるように伺います。さような際におきまして、文部省としまして、大臣といたされましても、弔意その他手厚い処置をとりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/112
-
113・永山忠則
○永山委員 文部大臣はただいまのところでは直接個々には現地において弔意を表するためお供えであるとか、あるいは個々に御弔意の電文等は送ってない、ただ今後各学校等で合同葬の際に花輪もしくは弔意を贈るという程度でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/113
-
114・緒方信一
○緒方政府委員 現地におきます遺体安置所に対しましても花輪をお供えいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/114
-
115・永山忠則
○永山委員 遺体安置所だけでありまして、個々には特別にまだおやりになってないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/115
-
116・緒方信一
○緒方政府委員 個々にはまだその運びには至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/116
-
117・永山忠則
○永山委員 私はその点は非常に遺憾だと思うのでございまして、とりあえずでも個々の犠牲者に対しまして大臣の弔意の表徴があるべきであると考えますので、今からでもおそくはございませんので、これに対して御考慮を願いたいと考えておるものでございます。同時に広島県の児童もまことに残念に存じておるのでございますが、先刻の御報告には広島県の方の教育委員会に何かの御指示でございましたか、ちょっとお言葉がなかったようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/117
-
118・緒方信一
○緒方政府委員 先ほど御報告申し上げましたのは、現地の関係の岡山、香川県の教育委員会に対しまして、その措置につきまして指示をいたしたわけでございますが、広島県に対しましては今後合同葬の予定等につきまして御報告してもらうようには連絡いたしてありますが、その当時といたしましては現場におきまする処置としての依頼並びに指示をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/118
-
119・永山忠則
○永山委員 各学校の教育委員会並びに県の委員会等に対しても、まことに重大なる不祥事件でございまするので、文部当局としては、弔意を表せられると同時に、これに対して万全の措置をとるように文部省当局から御指示をされるような御注意があってほしいと考えるのでございますが、直ちにでもこの点を特に御考慮願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/119
-
120・緒方信一
○緒方政府委員 ただいまの御趣旨に対しまして十分連絡をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/120
-
121・永山忠則
○永山委員 かように申し上げますことは、文部当局が運輸その他の関係当局以上に重大なる地位を持っておりまするから、特に他の省以上に関心を持っていかれるということでなくては、教育行政にあずかっている者の態度として適当でない、こう考えて申し上げた次第でございますが、さらに先刻も触れられておりましたが、学童の方が被害率が多いということに対しまして、ある新聞では衝突のときに逆に船へ舞いもどって入り込んだというようなことがいわれておる。これは生存者の言葉でございますが、こういったような原因等もよく御調査をされねばならぬと思うのでございますが、これらの点は現地ではどういうようなことをやっておったようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/121
-
122・天城勲
○天城説明員 どういう事態であって、指導法が全体としてよかったか悪かったかというような判断には、まだ少し調査を続けなければならぬと思って、もう一人残っておりますが、私もそういう話は現地で聞きました。荷物をとりに部屋へ戻ったのがいた、先生がそれをとめたけれども行ったのもいたという話も聞きました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/122
-
123・永山忠則
○永山委員 そこで、各校の修学旅行に対しまして、非常事態に対処する指導方針が確立いたしていないということが、こういうような急場の場合において犠牲者を多くするということが強くいわれておるのでございますから、特にこの原因調査を深くされまして、将来におきまして修学旅行をする場合における非常事態に対する対処の方途に対して十分御指示をさるべきであると考えておるのでございます。なおこの旅行の際において指導監督に当る先生等の関係者は、大体どのくらいの人数に対してどのくらい、たとえば遠距離または宿泊という場合における指導監督者はどういうような率を適当とするかといったような点については、これまで御指示をされたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/123
-
124・緒方信一
○緒方政府委員 先ほど来お答え申し上げましたように、文部省といたしましては、そこまでの基準はきめておらないのでございまして、これは各学校の教育委員会におきまして大体の基準をきめているのが実情のように見受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/124
-
125・永山忠則
○永山委員 それでは非常事態における非常措置等に対して万全を期すといったような概念的な指導はできておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/125
-
126・緒方信一
○緒方政府委員 先ほど申しましたこの四月に出しました通達の中にも、不慮のできごとの場合におけるいろいろの処置について十分考えておくようにという項目や、あるいは引率に当る教師の心得というようなものも相当具体的に示したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/126
-
127・永山忠則
○永山委員 この事件を契機としまして、文部当局として犠牲者の冥福を祈る意味におきましても、今後こういったことがないように一段の留意をさるべきであると思うのでございますが、なお文部大臣は国鉄当局に対して何か申し入れなりあるいは働きをされたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/127
-
128・緒方信一
○緒方政府委員 私事務的にお答え申し上げますと、事件発生当時直ちに私の方の係官を国鉄に派しまして、連絡その他の点につきまして遺憾なきを期したつもりでありますが、大臣自身として閣議等でなさったことについては、私ども伺っておりませんので、ちょっとお答えを申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/128
-
129・永山忠則
○永山委員 不幸なるこの大事件に対して文部大臣の関心がきわめて薄いように世間にとられるようなことがあっては、われわれ委員会としても申訳ないし、事務当局としても申訳ないと考えるのでございます。本日この重大な事件に対して文部当局の御発表をなさる場合においては、大臣はわずかでもいいから出席して、——次官がおられるのに、副大臣をあまり軽く見過ぎると、かえってこちらの権威をそこなうようなあれもあるかもしれませんが、しかしきわめて重大でございまして、この事件で犠牲になりました学童の父兄及び家族は全く悲痛にたえない思いをいたしておるのでございますので、こういった場合におきましては大臣直接——事務官の皆さんを軽く言うのではありませんが、次官が行きますとかこの問題に対して文部当局が弔意を表しているということがわかるような態勢をとるべきだと思いますが、そういう点が欠けておるのではないかと思うのでありまして、全く遺憾にたえないのでございます。私どもも当委員会も責任ないとは申しませんが、運輸委員会寺本委員会本事件に対しての委員会が開かれたのでございますが、時期をずれて文部委員会がこの発表を受けるということについては、非常に残念に思っておるような次第でございますので、殉難者に対してまた今後の対策につきましては、誤まりなきようにお願いいたしたいと同時に、委員長に申し上げるのでございますが、本委員会はどういう形においてこの犠牲者に弔意を表されますか、その方途は皆さんとどういうように御相談になっておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/129
-
130・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ただいま永山君からいろいろ御注意や御注文がございましたが、ただいま文部大臣は参議院の本会議に出ておりまして、あとで出席されるということでございますが、とりあえず文部大臣の代理として、紫雲丸沈没事件につきましてわざわざ現地へ派遣された天城勲君の話を聞いてくれということで、ここへちょっと顔を出されております。ただいま永山君から御注意がございましたように、まことに遺憾な事件でございまして、われわれ文部委員会といたしましても、非常に哀悼の意を表して、ただいま黙祷をささげたわけでありまして、いずれその問題につきましては、理事会などでよく相談して善処いたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/130
-
131・寺本廣作
○寺本政府委員 ただいまこの事件についての文部大臣の立場については、一応委員長からもお話がございました。事件が発生しました当日、衆議院の予算総会に質問が出まして、文部大臣のお考えは一応表明してございますが、きょう参議院の本会議でも質問が出るはずでございまして、ただいまそちらに伺っております。事件が発生いたしまして大臣は非常に事態を憂慮されまして、先ほど政府委員から申し上げました通り、現地の関係県であります香川、岡山両県の教育委員会に依頼の電報を差し上げました。また一番現地に近い京都へ出ておりました天城課長に特命を出しまして、現地に急派させましたような状況でございます。
なお旅行計画が妥当であったかどうかということにつきましては、まだ今日までのところ、詳細な事情はわかっておりませんが、これも大臣は関心を持たれまして調査を命ぜられております。なお天城課長がけさ帰ってきまして、私ども文部省の責任者として、大臣以下詳細な報告を聞いて検討する余裕はなかったのでございます。当文部委員会がこの問題をお取り上げになるだろうということで、なまのままでございますが、それをお聞き取りいただきたいということで、参議院の本会議から大臣が直接委員長のところへ断わりに参ったような事情でございまして、そこいらの事情をお聞き取りの上、大臣がこの事件については重大な関心を持って善処いたしておる事情を御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/131
-
132・永山忠則
○永山委員 大臣並びに委員長が、弔意とまた今後の対策について一段の御研究を願うことをお願い申し上げまして、私は一応本件に対する質疑を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/132
-
133・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 野原覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/133
-
134・野原覺
○野原(覺)委員 時間がありませんから一、二点だけ伺います。この修学旅行について基準を設けていない府県がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/134
-
135・緒方信一
○緒方政府委員 若干あるように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/135
-
136・野原覺
○野原(覺)委員 その若干の府県名は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/136
-
137・緒方信一
○緒方政府委員 ここに資料を持っておりますが、あとで申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/137
-
138・野原覺
○野原(覺)委員 基準を設けることが望ましい。文部省は、基準すら設けていない、ほったらかしだ、一週間旅行しようと十日旅行しようとほったらかしだというような教育委員会が若干あるということが今になってわかったのではなかろうかと思う。一体今日まで教育委員会に対してどういう指導をやってきておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/138
-
139・緒方信一
○緒方政府委員 これは先ほども申しましたように、書面の上では通達を出してやっております。こちらの考え方を伝えまして適初な指導を学校に対して加えるよう指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/139
-
140・野原覺
○野原(覺)委員 そこでこれは委員長にお願いをしておきます。委員長から文部当局に対して、次の委員会に次の資料を一つ御提示になるようにお願いしたい。その資料は、各都道府県の修学旅行に関する基準及びその基準を設けた期日、その基準をどろなわ式に作られて報告されたのでは私ども了解できませんから、その表を次の委員会に御提出なるよう委員長に要求しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/140
-
141・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ただいま野原君より提案がありましたように、児童のたびたびの事件がございますので、この際すべてこれを地方の教育委員会の責任にしないで、文部省としても、この際資料を十分検討されてお出し願うことを委員長よりお願いいたします。次に竹尾弌君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/141
-
142・竹尾弌
○竹尾委員 簡単率直にお尋ねをいたしたいのであります。この事件は、あなたが局長になられてから、相模湖のような大きな事件ではなかったけれども、私の県で修学旅行をして汽車の中からびんを投げつけられてけがをしたという事件が起りまして、私非常に重大だと思って、当時の——今もそうでしょうが、天坊国鉄副総裁にここに来ていただいて大いに質問したことがある。そのときも私は文部省にお願いして十分気をつけるようにということを申し上げたと思いますが、こういうような事件がまた起ってしまった。旅行してはいかぬということはちょっと言いかねると思いますし、また私どもの記憶からみても、ほかの子供のときのことは忘れてしまったが、旅行のことだけはやはり覚えている。何かやはり修学旅行はいいところがあるので、これを全廃せよということは実にいかぬと思いますが、あまりがんぜない小学生に二泊とか三泊なんていうようなことはちょっといかぬと思うのです。そこでこれはまず親の身になって考えなければならぬ。これは大へんです。わが子のことだから、かわいいからみなやります。ところが小づかいや何かを調べてみると、五千円から一万円かかるそうだ。それであの生活保護法の適用を受けている家庭でも、子供のことだから実に苦労をしてやるのです。そのときは御承知のように、くつだ、カバンだ、魔法びんだ、水筒だとみな買わなければならぬ。莫大な費用なんだ。親の身にとっては大へんです。校長先生に私は御同情申し上げると同時に、引率の先生にしても大へんです。一人か二人しかついて行かない。帰るまでは命を預かっているのですから大へんです。それで責任はみな学校にかぶさってしまう。文部省や大きなところは、責任をとれといってもなかなか簡単にとれないかもしれないけれども、そういう点で非常に欠陥があるので、長い旅行は制限したらいいと思う。皆さんの御質問もあったと思いますが、そういう点で十分御注意を願いたい。私らは年を取っているから、ほんとうのことを言うと、子供など旅行にはやらせたくない。私は休ませることに賛成だけれども、そういう私の牽強付会な、頑迷固陋な考え方はいけないかもしれないが、とにかく旅行といえば子供はうれしがります、キヤツキャツと言って行くのですが、そういう点にやはり何かけがのもとがあるので、十分注意されるとともに、文部省全体としても、都道府県にまかせずに、これは皆さんお尋ねの通りですが、何か基準を作って、できるだけ効果の多い、そしてあまりひまのかからない、あぶなくないような旅行をさせるならばさせていただきたい。こういうことは、二、三年前の事件が起ってから常に私の頭にこびりついておる問題でして、その点につきまして、これは意地の悪いお尋ねではありませんから、政務次官、文部当局の副大臣として、当局大臣にかわって御答弁願いたい。これ一点だけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/142
-
143・寺本廣作
○寺本政府委員 ごもっともな御意見だと存じます。本年四月に出しました初中局長の都道府県教育委員会、都道府県知事に対する修学旅行に関する通牒に、お話の御趣旨に沿うようなことは、だいぶこまかに、親切に書いてあると考えます。乗りものの安全を期するように、またいたずらに遠くまで出かけないで、修学旅行の実効が上るようなところを手近なところで選ぶという点とか、父兄の負担が過重にならないように、できるだけみんながそろって行けるような旅行計画にするようにというようなことを、府県の教育委員会までは、指導、助言という形で事こまかに申し入れをしてございます。ただ、二泊三日とか三泊四日というのは長過ぎるのではないかというお話でございますが、これは現地の事情もいろいろございましょうから、画一的な基準を設けるのはどうだろうかということで、そこまでは書いてございません。なおこまかに各府県の基準を見て、文部省がこれは長過ぎるじゃないかというようなことまで立ち入るとなれば、文部省として指揮、監督というところまで踏み入ることになりはしないだろうかということで、文部省としては幾分控え目な立場で手を尽しておるつもりでございます。しかし、今度のような事件が起りまして、ただいま天城君からの報告では、学童の犠牲が非常に多かった原因が断片的に報告がございましたが、なお旅行計画などの詳細が、今度の事故と関連しまして批判の対象になりましょうから、そこいらの事項を取り上げて、やはり文部省がもう少し積極的に具体的にそういう計画には立ち入るべきだという皆さんの御意見もございますれば、その点もう一歩進めて、旅行計画に関する指導、助言を積極的にやりたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/143
-
144・竹尾弌
○竹尾委員 その趣旨を徹底させていただきたい。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/144
-
145・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 並木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/145
-
146・並木芳雄
○並木委員 私は、天城課長の報告がなまだといわれますから質問したいのですが、先生はいかがだったのでしょうか。この事件の原因は国鉄にあるということはもうはっきりしているのですから、そのことを教育委員会とか学校当局に責めるのは酷であると思いますが、私は、事件が発生した後先生と児童との関係はどうであったかということに文部委員として一番関心を寄せているものですが、殉職された先生はおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/146
-
147・天城勲
○天城説明員 先ほど、修学旅行団として三百四十七名と申し上げましたが、そのうちで引率の先生は二十名でございます。五名犠牲になられまして、現在まだ一体遺体が上らないというようなことでございますが、この五名の先生のうち四名は女の先生でありまして、男の先生が一人でございます。そのほかに、けがをされて病院に入院中の先生が一人おられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/147
-
148・並木芳雄
○並木委員 明細にどの学校で、どういう名前で、年令は幾つと、それを言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/148
-
149・天城勲
○天城説明員 最初に学校だけ申し上げます。高知には先生の事故はございません。それから愛媛県の庄内小学校もございません。広島の木江南の小学校で先生が三名犠牲になられました。内、男一人、女二人でございます。それから島根の川津小学校で、男一人、女一人の、二人。要するに五名でございます。実は、この表の中で一々出てくるものに、わかったところをチェックしたものですから、不明なところが残っております。名簿だけはわかっておるのでありますけれども、一々見ないとわからないのでありますが、先生だけについてでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/149
-
150・並木芳雄
○並木委員 とりあえず先生だけ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/150
-
151・天城勲
○天城説明員 広島では、井上信行という先生と中島ユキエという先生の二人がわかっております。これは校長さんから伺ったのですけれども、井上先生は一たん船に上られたのですけれども、子供を探してまた海に入って行かれまして……。この先生は海の育ち、島育ちで、泳ぎが非常に上手な先生なんだがと言って、校長さんは非常に嘆いておられました。あとは、名前はあるのでございますけれども、はっきりいたしませんです。いずれこれはあとからも情報が入りますから逐一申し上げますが、今わかっているのは、はっきりしているのはそれだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/151
-
152・並木芳雄
○並木委員 それから、今も竹尾委員から提案があり、ほかの方々からもお話があったのですが、今後の対策が非常に重要になって参りました。そこで私は、こんなふうに分類して考えたらどうかと思うのです。長泊りをする旅行で、今竹尾さんからお話がありましたが、その点が一つと、それから小学校と中学校とを分けて、中学校の場合には海上旅行もよいけれども、小学校の場合には見合せるというような指導方針が立たないものかどうか。それから同じ中学の場合でも、女子と男子に分けるとか、そういうことについては今まで文部省として全然指導しておりませんでしたか。もししていないとすれば、今後この事件にかんがみて、さしあたりでも海上の旅行を見合せるようにするということを考えておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/152
-
153・緒方信一
○緒方政府委員 従来の指導といたしましては、先ほど政務次官からもお答えがありましたように、第一の期間の点につきましては、日程について無理のないように、経済負担等も考えまして、無理のないようにして下さいとう程度の指導でございます。それから各県の基準の作り方を見ますと、ただいまのお話のように小、中学校を区別して作っております。ただ男女の区別は大体見られないようでございます。それから交通機関につきましては、安全についての指導はいたしておりますけれども、特別に船に乗ることについて、船に乗らないようにといったような指導はただいまいたしておりません。これは先ほども申し上げましたように、愛媛県の庄内小学校では連絡船に乗せようというのがそのことであったようでございます。これはもう少し調べませんとはっきりは申し上げられませんが、宇野から引き返すというのですから、おそらくそういうことだったろうと思います。安全な連絡船に乗せるということでありますから、おそらく計画といたしましては、そう無理な計画じゃないと考えたことだろうと思います。それで船についての指導については、今後一つ十分研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/153
-
154・並木芳雄
○並木委員 それで私は今後の参考にする必要がありますから、天城課長にお尋ねしておきますが、学校別、男女別に数字をゆっくり読み上げてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/154
-
155・天城勲
○天城説明員 それでは学校別の数字を最初に申し上げます。高知県の高知市の南海中学校、生徒百十七名、教員四名計百二十一名、それから二番目に愛媛県の庄内小学校、児童七十七名、教員四名、父兄二名、計八十三名、広島県木ノ江南小学校、児童九十七名、教員七名、計百四名、島根県松江の川津小学校、児童五十八名、教員五名、父兄三名、計六十六名でございます。これは五月十二日の午後零時現在のものであります。その後のものもありますが整理が不十分なので、これで申し上げます。高知の中学校で生徒の死者十九名、行方不明九名でございます。それから愛媛の庄内小学校で児童の死者十九名、行方不明十一名、父兄の行方不明一名でございます。それから広島の木ノ江南小学校においては、児童の死者十二名、行方不明十名、教員の死者が二名、行方不明一名、松江の川津小学校の児童の死者が十三名、行方不明が八名、教員の行方不明が二名、父兄の死亡者が一名、合計しますと死者が当時六十六名で行方不明四十三名となっておりましたが、先ほどの電報で遺体が上ったのがさらに十数名となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/155
-
156・並木芳雄
○並木委員 男女別に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/156
-
157・天城勲
○天城説明員 南海中学でその後に二十という数字が出ております。これは女子であります。庄内小学校で二十三といううち女子の二十、男子の三。広島の木ノ江南小学校、これは十六名、うち女子十五名、男子一名。川津小学校十七という数字で男子五名、女子十二名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/157
-
158・竹尾弌
○竹尾委員 簡単に一問だけ。ただいま男と女を別にしたらどうか、こういう御意見でしたが、これは私はやはりごもっともな点があろうと思うのです。小学校、中学校は一緒でも大体間違いないかもしれないのですが、一番間違いの多いのは高等学校。大学になると物心がついておるから間違いはあまり起らないと思います。なぜそういうことを申し上げるかといいますと、この間小松川高校の生徒が那須で遭難した。あのときは校長さんがとめたのだそうだけれども、どうしても山登りがしたいというようなことで出かけて行った。あの十七人が一晩どこか行方不明になったのです。ところがあの中には女の子が七、八名いたという話です。一晩おそらく……。そんなばかなことはないはずなんだが、親としては大へんなことです。そして一緒に帰ってて来たらしいのです。こういう問題が起りますから、やはり指導助言をされる場合に、共学の高等学校で一緒に旅行してはいけないということも問題になるかもしれないが、そういう点も十分一つ御考慮願いましてお願い申したい。これは御同感であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/158
-
159・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 この際委員長より天城課長にちょっとお尋ねいたしますが、先生と生徒の関係で、新聞の発表によりますと、井上信行という先生が、子供が沈みかけたときに船室に入って行った、驚いてそれを助けに行ってなくなったというお話がありました。現地では船に乗った場合に先生がどういう指導をしておったのか、これは文部省に関連がありますので、そういうことについての簡単な調査報告をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/159
-
160・天城勲
○天城説明員 私参りまして最初会ったころにはまだ非常に混乱しておりまして、父兄がたくさん来ておられまして、悲しみ、絶望のような状態でありましたので、先生方に一々その間の詳細な事情をお聞きするには、ちょっと私の気持として忍びないくらいな状況でありました。簡単な話合いの中で伺うだけでありましたが、先ほど申したような状況でございます。その後いろいろな処置が進んで参っておりますので、実は今御質問のような点、それから旅行計画の詳細等について、もう一人事務官が残って調査しておりますので、その報告が参ってからでないと、その点一番初めから問題にしておりました点ですが、はっきりいたさない状況でございます。ただ先生に断片的に聞いた中で、子供の中で救命胴衣を持ちないし着て水に入った者がたくさんいる。これはどの先生がどう指揮されたか具体的に聞きませんでしたけれども、水につかった子供で救命胴衣を持ったり着たりしている者が相当あったということを救助本部の人から聞きました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/160
-
161・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 なお本件はなかなか重大な問題でございますので、詳細な報告を文書をもって当委員会に提出されたいことをお願いいたします。なお質疑があると存じますが、大分時間が経過いたしましたのでこの程度にいたします。ちょっと速記をとめて……。
〔速記中止〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/161
-
162・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 速記を始めて。委員派遣承認申請に関してお諮りいたします。本委員会といたしまして、国立学校設置法の一部を改正する法律案に関連して、神戸商船大学並びに大阪市立大学の実情を調査するため委員を派遣いたしたいと存じますので、この旨議長に承認申請いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/162
-
163・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なければ、さように決定いたします。なお、派遣委員の人数、人選、期間等につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/163
-
164・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれをもって散会いたします。
午後一時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X00719550513/164
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。