1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十六日(火曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 佐藤觀次郎君
理事 赤城 宗徳君 理事 伊東 岩男君
理事 並木 芳雄君 理事 坂田 道太君
理事 竹尾 弌君 理事 辻原 弘市君
高村 坂彦君 杉浦 武雄君
藤本 捨助君 山口 好一君
米田 吉盛君 永山 忠則君
加賀田 進君 河野 正君
島上善五郎君 野原 覺君
山崎 始男君 大西 正道君
小牧 次生君 平田 ヒデ君
小林 信一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 松村 謙三君
出席政府委員
文部政務次官 寺本 広作君
文部事務官
(大学学術局
長) 稻田 清助君
文部事務官
(管理局長) 小林 行雄君
委員外の出席者
議 員 纐纈 彌三君
参議院議員 吉田 萬次君
参 考 人
(京都大学教
授) 井上 吉之君
参 考 人
(京都大学学
生) 高橋 正立君
専 門 員 石井 勗君
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七月二十三日
委員高村坂彦君及び小牧次生君辞任につき、そ
の補欠として木崎茂男君及び西村彰一君が議長
の指名で委員に選任された。
同月二十五日
委員木崎茂男君辞任につき、その補欠として高
村坂彦君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員高村坂彦君及び西村彰一君辞任につき、そ
の補欠として纐纈彌三君及び松本七郎君が議長
の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員纐纈彌三君、田口長治郎君、島上善五郎君、
松本七郎君及び大西正道君辞任につきその補欠
として高村坂彦君、荒舩清十郎君、加賀田進君、
小牧次生君及び木下哲君が議長の指名で委員に
選任された。
同日
委員加賀田進君辞任につき、その補欠として島
上善五郎君が議長の指名で委員に選任された。
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七月二十二日
女子教育職員の産前産後の休暇中における学校
教育の正常な実施の確保に関する法律案(木村
守江君外六名提出、参法第二三号)(予)
女子教育職員の産前産後の休暇中における学校
教育の正常な実施の確保に関する法律案(参議
院提出、参法第二三号)
同月二十二日
教科書編成所設置の請願(加藤精三君紹介)(
第四三七〇号)
学校保健法制定に関する請願(久野忠治君紹
介)(第四四一九号)
電波通信高等学校設立の請願(渡邊良夫君紹
介)(第四四三九号)
竹野小学校此代分校にへき地教育振興法適用の
請願(川崎末五郎君紹介)(第四四五九号)
上宮津小学校辛皮分校にへき地教育振興法適用
の請願(川崎末五郎君紹介)(第四四六〇号)
市原野小学校にへき地教育振興法適用の請願(
川崎末五郎君紹介)(第四四六一号)
豊栄小学校力石分校にへき地教育振興法適用の
請願(川崎末五郎君紹介)(第四四六二号)
中川小学校外三箇校にへき地教育振興法適用の
請願(川崎末五郎君紹介)(第四四六三号)
精華小学校第一分校及び第二分校にへき地教育
振興法適用の請願(川崎末五郎君紹介)(第四
四六四号)
俊明小学校北原分校にへき地教育振興法適用の
請願(川崎末五郎君紹介)(第四四六五号)
俊明小学校橋谷分校にへき地教育振興法適用の
請願(川崎末五郎君紹介)(第四四六六号)
野間小学校味土野小学校にへき地教育振興法適
用の請願外一件(川崎末五郎君紹介)(第四四
六七号)
中上林小学校五泉分校にへき地教育振興法適用
の請願外一件(川崎末五郎君紹介)(第四四六
八号)
奥上林小学校老富分校にへき地教育振興法適用
の請願外一件(川崎末五郎君紹介)(第四四六
九号)
川合小学校大原分校にへき地教育振興法適用の
請願外一件(川崎末五郎君紹介)(第四四七〇
号)
八桝小学校及び花脊第二中学校にへき地教育振
興法適用の請願外一件(川崎末五郎君紹介)
(第四四七一号)
田井小学校にへき地教育振興法適用の請願外一
件(川崎末五郎君紹介)(第四四七二号)
青井小学校にへき地教育振興法適用の請願外一
件(川崎末五郎君紹介)(第四四七三号)
静原小学校にへき地教育振興法適用の請願外一
件(川崎末五郎君紹介)(第四四七四号)
志楽小学校松尾分校にへき地教育振興法適用の
請願外一件(川崎末五郎君紹介)(第四四七五
号)
上宇川小学校にへき地教育振興法適用の請願外
一件(川崎末五郎君紹介)(第四四七六号)
東八田小学校於与岐分校及び黒谷分校にへき地
教育振興法適用の請願外二件(川崎末五郎君紹
介)(第四四七七号)
下宇川小学校袖志分校にへき地教育振興法適用
の請願(川崎末五郎君紹介)(第四四七八号)
大丹生小学校にへき地教育振興法適用の請願外
一件(川崎末五郎君紹介)(第四四七九号)
丸山小学校及び大浦中学校丸山分校にへき地教
育振興法適用の請願外一件(川崎末五郎君紹
介)(第四四八〇号)
野原小学校にへき地教育振興法適用の請願外一
件(川崎末五郎君紹介)(第四四八一号)
下粟野小学校外二箇分校にへき地教育振興法適
用の請願外一件(川崎末五郎君紹介)(第四四
八二号)
同月二十五日
公立学校事務職員に教育公務員特例法適用の請
願(小林信一君紹介)(第四四九六号)
学校保健法制定に関する請願(江崎真澄君紹
介)(第四四九七号)
原小学校にへき地教育振興法適用の請願外一件
(川崎末五郎君紹介)(第四五六六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇一号)
私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法
律案(赤城宗徳君外三名提出、衆法第六五号)
女子教育職員の産前滝後の休暇中における学校
教育の正常な実施の確保に関する法律案(参議
院提出、参法第二三号)
学校教育に関する件(京都大学事件)について
参考人より意見聴取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/0
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001・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/1
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002・野原覺
○野原委員 危険校舎の問題について、管理局長にお尋ねいたしますが、危険校舎が今日一体どれだけあるかということは、各方面の統計がばらばらでございます。文部省は、この危険校舎の数を、昭和二十九年度末現在でよろしゅうございますから、本年ただいまであれば、なおけっこうでございますけれども、小学校、中学校、高等学校の別にその危険校舎の坪数、それをお示し願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/2
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003・小林行雄
○小林(行)政府委員 危険校舎の坪数でございますが、御承知のように文部省といたしましては、危険校舎改築促進臨時措置法によりまして、耐力度調査をやっております。危険度の度合を調べるということで、耐力度調査というものを法令の根拠のもとにやっておるのでありまして、本年度の分はまだ集計ができておりませんが、昨年度の耐力度調査の結果によりますと、耐力度調査は御承知のように、最も安全な校舎が一万点、それから非常に危険な校舎が零点ということで耐力度調査を行なっておるのでありますが、この結果によりますと、小、中学校で申しますと五千点、木造としては大高五千点というのを一応基準にいたしまして、五千点以下のものが一応危険であるというふうに考えておるのでございますが、その五千点以下の危険校舎が、小、中学校では大体百九十一万坪という数字になっております。ただし、この百九十一万坪は、いわゆる小学校〇・九坪、中学校一・〇八坪といった基準のことを考えておりませんので、この小学校〇・九、中学校一・〇八の基準でとりますと、大体百四十三万坪、それから昨年中に行われました約二十万坪の危険校舎の改築を差し引きまして、大体百万坪程度が現在小、中学校では危険校舎であり、それから高等学校では大体二十二万坪程度が危険校舎である、こういう数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/3
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004・野原覺
○野原委員 そういたしますと、その危険校舎というのは、校舎の耐用年限ということによって、これは毎年老朽になって、その坪数が増大していく、このように考えられるわけでございますが、毎年危険校舎が増大していく坪数は、大体どのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/4
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005・小林行雄
○小林(行)政府委員 御承知のように、危険校舎は年々危険度が進行していくわけでございまして、単に府県から一応危険校舎であるとして報告されたものがございます。それは非常にラフな数字でございまして、いわゆる耐力度調査を実施した結果でない坪数でございまして、それによりますと、小学校、中学校ともに、耐力度調査をやりました結果に比べまして、かなり大きい数字が出ております。これはしかし、法令の基礎に基いて耐力度調査を行なった数字から比べまして、文部省としましては信用できない数字でございまして、たとえば小学校では二百十三万坪、中学校では二十五万坪といったような一応の報告が出ておりますけれども、府県の教育委員会が、耐力度調査をせずに報告されたものでありますので、これについては文部省としては信用しておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/5
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006・野原覺
○野原委員 私が尋ねましたのは、毎年危険校舎の増大する坪数は、大体において義務制の場合は何万坪、高等学校はどのくらいということが、今日建てられてある木造建築その他から推定できるはずだと思うんです。その推定ができなければ、文部省の言う三カ年計画とか、五ヵ年計画というものは、これは全く意味がない。現在ある危険校舎の建坪を解消するだけでなくて、やはり増大していく危険校舎の建坪数ということが考慮されて、私は年次計画も立てられておると思うのですが、重ねてその点についてお尋ねいたしますとともに、一体危険校舎の場合は、不正常授業の場合と同様に、年次計画を持っておるのか、それは何年計画になって本年度の予算が組まれたかということも質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/6
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007・小林行雄
○小林(行)政府委員 危険度の進行につきましては、年々の災害等が非常に大きな影響を持っております。従って文部省としては、危険度が何%ずつ年々進行していくというような推計は、現在のところいたしておりませんで、耐力度調査の結果を信用しまして、耐力度調査を行なった現在において危険校舎の坪数何坪というのを基本に、一応の計画を立てていく、こういう方針にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/7
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008・野原覺
○野原委員 どうも答弁が、私の焦点から故意か偶然か知りませんが、はずそうはずそうとするような意図のもとになされておるように思われてしようがない。そこで、私はさらにお尋ねいたしますが、本年度の危険校舎の改築費の補助金は、当初政府原案では二十億六千八百万円、これだけであったと思うのでございますが、その後修正になって一億円増額されておる。そうなりますと、二十一億六千八百四十三万九千円というのが、本年度の危険校舎改築費補助である。このように予算の上ではなっておるわけであります。一体この二十一億六千八百万円という補助金は、どれだけの危険校舎の坪数を解消できるのでございますか、まずその点からお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/8
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009・小林行雄
○小林(行)政府委員 本年度の予算につきましては、当初は十九億八千万でございまして、修正後二十一億六千八百万になったわけでございますが、この予算によりまして、大体二十万坪の危険校舎を解消する予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/9
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010・野原覺
○野原委員 そうなりますと、一体危険校舎につきましては、これは衆参両院とも十六国会以来、年次計画の要望を文部当局にやってきたわけでございますが、あなたの方では、一体何年計画でこの危険校舎の解消を考えていらっしゃるのか。これはもとより完全に解消することは、年々増大していきまするから不可能でございますけれども、しかしながら解消の目途というものがあるはずだと思う。一体その辺をどう御理解の上で予算をお立てになっていらっしゃるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/10
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011・小林行雄
○小林(行)政府委員 これは御承知のように、国の財政の規模等にも非常に関係のあることでございまして、文部省としましては、危険校舎でありますので、できるだけこれに予算を投入して、早い期間に解消したいとは思っておりますが、現在の状況で参りますと、今後危険度が進行するということは一応度外視しても、現在の予算の状況で、これはちょうど大体予算の五分の一になっておりますので、昭和三十年度を入れて五ヵ年で、現在ある危険校舎は解消できるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/11
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012・野原覺
○野原委員 その場合は、高等学校を含んでおると私ども解釈いたしますが、その通りでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/12
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013・小林行雄
○小林(行)政府委員 高等学校の分につきましては、本年度から実は予算が初めて加えられたものでございまして、従って高等学校については、いわゆる年次計画というものがまだ実ははっきりしておりません。高等学校につきましても、危険校舎であります以上、できるだけやはり予算を多くとって、早く解消したいとは思っておりますが、一応五ヵ年といった年次計画の中には、高等学校分は本年度の予算においては除かれておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/13
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014・野原覺
○野原委員 危険校舎の建坪の総数は、あなたの先ほどの御答弁によりますと、義務制百四十三万坪、そうでございましたね。高等学校は二十二万坪だ、こういう算定をなさっておる。ところが本年度の予算の二十一億六千八百万円というのは、三分の一の補助率と計算して二十万坪である。こういうことであれは、一体私は、来年度から二十一億円というような金額では、五ヵ年計画では解消できないのではないか。年々増大していくわけでございますから、それに対する御答弁はないのでありますけれども、ただいまある危険校舎だけでも、百四十三万を二十万で割ったとすれば、七ヵ年計画、それに高等学校の分が入ってくる。こういうことになると、五ヵ年計画ということなれば、一体来年度、再来年度において、どれだけの予算を文部当局としては考えていらっしゃるか。その点について自信があるのかないのか。ただ単に五カ年計画で本年度はこれだけであるということでなしに、解消できる具体的な構想、そういうものを一つ御説明願いたのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/14
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015・小林行雄
○小林(行)政府委員 お尋ねの中に、百四十三万という数字がございますけれども、百四十三万坪は、いはゆる基準までの坪数を計算したのが百四十三万でございまして、その後二十九年度内に、約二十万坪が二十九年度の予算で解消実施されておるはずでありますので、大体文部省としては、基準までをとりますと、百二十三万坪という数字を考えておるのでございます。御承知のように、この危険校舎というものを五千点にするか、あるいは四千五百点にするかということで、かなり数字が違って参りますが、その点の見解の相違ということも、実はあるのでございますが、なお文部省としましては、五千点になりますにいたしましても、あるいは場合によって四千五百点になるにいたしましても、やはり現在ある危険校舎は、三十一年から四ヵ年の年次計画で、できれば解消したい、三十年度を入れて、五ヵ年間で解消したいということで、明年度の予算も、これで編成するつもりでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/15
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016・野原覺
○野原委員 来年度も二十一億円程度だ、この程度であれば、五ヵ年で解消できるという計算が、私にのみ込めないのですが、高等学校をひっくるめた年次計画ということになりますと、二十一億円の五倍、百億円か百五億円程度では、今日の危険校舎の解消はとてもできないし、しかも年々木造校舎は危険の度合いを増大していくということになりますと、これは容易でないわけでございますが、その辺はどうお考えになりますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/16
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017・小林行雄
○小林(行)政府委員 三十一年度から四ヵ年計画で解消するということになりますれば、やはりこの二十億ではもちろん足らないことになります。文部省としては、この二十億というような数字で予算折衝をするつもりではありませんで、構想としては、それをもちろん上回る数字になると思いますが、大体今後四年間程度で解消するような予算を組みたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/17
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018・野原覺
○野原委員 補助率についてお尋ねいたしますが、昨年度、昭和二十九年度におきましては、予算はたしか十九億八千万円です。この十九億八千万円の補助率は、法律に示しておりまするように、正確に三分の一で補助金をお出しになられたかどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/18
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019・小林行雄
○小林(行)政府委員 この十九億六千三百万円でありますが、これは法律に定めてあります通り、三分の一で補助をいたしておるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/19
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020・野原覺
○野原委員 そうなりますと、危険校舎の全体の坪数が補助の対象になった場合と、それでもあなたの方の補助金の出し方が少いものだから、設置義務者といたしましては、校舎の危険度を黙過できないので、起債によってその危険校舎の救済をやっておる学校もございます。補助金はもらえない、起債ももらえないというところは、自力でもってこの危険校舎を解消するように、努力しておる町村もあるわけでございますが、一体昭和二十九年度の約二十億円に近いこの金というものは、どれだけの坪数を補助対象にしたのか、どれだけの坪数が補助対象になって三分の一の金を出したかどうか、これが一点。もう一つは、起債だけの対象となった学校の坪数、補助金を文部省が出さないために、都道府県、市町村が、起債によって危険校舎をなくするようにした、その対象の坪数、その点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/20
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021・小林行雄
○小林(行)政府委員 この補助金には一定のワクがございまして、やはり改築を希望される学校あるいは市町村がかなり多いものですから、申請の通り満配するということができなかったわけでございます。従ってその補助金をもらえない分について、起債あるいは自力建築というようなものが相当あったと思われております。文部省の十九億六千万の補助は、大体十八万五千坪に対して補助されたものでございまして、それ以外に各市町村等で、起債あるいは市町村の自力で建築されたものが大体十三万二千坪程度あったものと推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/21
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022・野原覺
○野原委員 そうなりますと、もう一度そこをこまかにお尋ねいたしますが、ある特定の学校が危険校舎であるという場合に、その特定の学校の全体の坪数について補助金を一方では出していらっしゃる。ところが、隣村の学校は危険校舎であるが、その隣村の学校に対しては補助金は一部分出しており、残りの一部分は起債によらしめておる。文部省ではこういうような仕打をなさっておられると私は思うのでございますか、これは間違いございませんか。そういう事実はあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/22
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023・小林行雄
○小林(行)政府委員 この危険校舎の改築の財源関係は、各市町村非常に千差万別でございまして、また危険校舎といわれておる校舎にも、いろいろその危険度の度合が非常に違いますので、文部省としては、大体危険度が高いものからできるだけ解消していくという一つの方針を持っております。危険校舎改築に当っては、御承知のように自治庁の関係で起債が認められておるのでありまして、補助に見合う起債があるわけであります。起債によって、ある程度起債能力があって、それで改築できるものは、補助金の方のワクがかなり制限されておりますので、起債の方も相伴わせて、両々相まって校舎の改築をできるだけ促進していくという方針でございます。従ってある町村では、危険校舎の申請に対して満配されるというものも起りますし、場合によっては、その一部分が起債でまかなわれるというものも生ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/23
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024・野原覺
○野原委員 私は、どうもその点で文部省の財源措置に不合理な面があるように患われてならないのです。ある部分に対しては三分の一の補助を出される、ところがある部分に対しては起債でいかれる、そしてある部分に対しては地方公共団体の自己資金によってのみまかなう危険校舎もあるわけなんですね。そういう点が、実はせっかく国が予算を組んでおきながら、どうもこの予算の財源措置、配分措置というものに対して、地方自治団体が不満を唱えておるわけでございますが、自己資金によって危険校舎が今日どれだけまかなわれておるとお考えになっておられますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/24
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025・小林行雄
○小林(行)政府委員 先ほどお答え申しましたように、補助で改築を行いましたものは十八万五千坪でございまして、起債その他で行いましたものが、大体十三万二千坪、その十三万二千坪のうち、起債のみで行なったものが約六万坪でございます。従って差引自力と申しますか、自己資金で改築を行いましたものが、約七万二千坪程度であろう、こういうふうに推定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/25
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026・野原覺
○野原委員 そうなりますと、自己資金によって改築いたしました七万二千坪というものは、補助金によって改築いたしました十八万五千坪よりも、その危険度は少い。危険度が少いから文部省はほうっておいたのだ、こういうことになりますのかどうか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/26
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027・小林行雄
○小林(行)政府委員 御承知のように危険校舎の予算の配分につきましては、一応県の方ヘワクをお示しいたしまして、県の方が文部省よりは管下の危険校舎の実態というものをよく御承知になっておりますので、県の御指導のもとに一応配分を実施するということにいたしておるのでございます。文部省といたしましては、先ほど来申しますように、大体危険度の高いものから校舎の改築を実施してもらいたいという希望を府県に申し上げておるのでございます。ただその場合に、その危険校舎を持っております市町村の財政力ということになりますと、いろいろでございまして、従って、起債を起すにも、起債の能力がないというものもございます。あるいは補助をもらわなくとも、自力でやり得るというものもございますのでその辺は文部省の方で、自力建設のものは危険度が低いというふうに一概に認定したわけではございません。各市町村の財政力等の関係から、こういうふうになってきておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/27
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028・野原覺
○野原委員 それではお尋ねいたしますか、現にワクをあなたの力でお与えになりますときに、その与えるところの基準、これは各県の危険坪数に比例をして、その金の配分をしていらっしゃるのかどうか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/28
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029・小林行雄
○小林(行)政府委員 従来は、大体、この耐力度調査というようなものを完全に行なっておりませんでしたので、大体その県下の木造の校舎の坪数等を見まして、それによって配分しておったのであります。本年度以降は、その危険校舎の耐力度調査というものが進んで参りましたので、危険校舎の耐力度調査に基く危険坪数というものを重要な一つの標準にしまして、それに基いて配分するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/29
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030・野原覺
○野原委員 文部省が考えておる五ヵ年という年次計画は、自己資金の分をも含めた年次計画になっておりますか。同じように二十九年度は九万坪に近い自己資金による改修がされておるわけです。あなたの方は補助金だけの年次計画で五ヵ年ということになれば、従来の行き方で参りますと、自己資金によっても何がしか解消されるわけでございますから、これはまことに好結果を来たすわけでございますが、自己資金の分をもどれだけ推定された年次計画であるのかないのか、その辺いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/30
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031・小林行雄
○小林(行)政府委員 文部省で年度計画というふうに考えておりますのは、大体補助金だけのものを考えておるのでありまして、それ以外に自力で改築をされるという分はそれにプラスされる。プラスされて、それだけ促進されることにはなりますが、一応文部省として年度計画的に考えておりますのは、この補助を伴う分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/31
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032・野原覺
○野原委員 これをもって、私は質問を終りますが、要望いたしておきます。危険校舎にいたしましても、不正常授業の解消にいたしましても、市町村、都道府県は必死であります。非常な赤字に悩んでおって、御承知のように昭和二十九年度に至りますと、自治庁の中間発表によれば、六百億に近い赤字が出る。こういうような市町村自治体であるから、地方財政再建促進特別措置法も出したのだ、こういう説明をここにいたされておるわけでございますから、校舎の問題くらい市町村長、都道府県教育委員会の悩んでおる問題はありません。従って私どもとしては、限られた、こういう二十一億というようなまことに微々たる予算で、数千万の学童、生徒を教育する建物の金としては、はなはだ不十分でありますけれども、しかしその不十分な金といえども、財源措置をいたします場合には、公平なる配分、公平なる措置、合理的なる財源措置ということをぜひともやっていただきたい。このことは一つ文部当局として、政務次官にも要望いたしておきます。このことを私は切にお願いしてやまないのであります。以上で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/32
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033・小林信一
○小林(信)委員 ただいまの質問の中にもあったのですが、高等学校の問題について重ねてお伺いいたします。時間がございませんから、私の方で申し上げますことを一つまとめて御説明願いますが、本年度の高等学校分として計上される額は幾らで、それはどれくらいの坪数を解消するつもりか、実際の高等学校の危険校舎はどれくらいに推定しておるか。その全部を解消するには、どれくらいの額と年限を文部省としては用意しておるのか。これくらいの、現在の文部省で予定しておる計上額で、毎年これを踏襲して行くのか。本年は当初であるからわずかの予算であって、来年度からは相当の予算を計上するのか、とにかく高等学校対策に対しての文部省のまとめての御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/33
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034・小林行雄
○小林(行)政府委員 お答え申し上げます。本年度の高等学校分の予算は、一億五千万でございます。これは当初、原案は大体八千四百万でございましたが、修正で六千五百万程度加わりまして、一億五千万になったのでございます。大体これで本年度解消する坪数は、一万坪程度というふうに考えております。
それから二番目の危険校舎の坪数でございますが、これは耐力度調査の結果に基きますと、大体二十二万坪程度ということになります。この二十二万坪を現在の一億五千万円の予算で、すなわち一万坪程度を逐次解消していくというようなことになりますれば、そういう計算をしますれば、二十年程度の長い期間を要するということになって、これでは全然問題にならないのでございます。文部省としては、もちろんお尋ねの趣旨もそこにあると思いますが、できるだけこの高等学校の方にも、義務制と合せまして、予算を相当とりまして、この解消を促進していきたい、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/34
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035・小林信一
○小林(信)委員 そこで文部省にお願いをするのですが、今最後にお話しになりましたように、文部省の調査されたものであっても、二十二万坪ですから、現在のような形でもって参りますと、相当長期にわたるわけなんです。実際においては今まで中、小学校の分に対しては、各都道府県において重点を置いたために、高等学校の危険校舎というものが極度に悪くなっておるのじゃないかと思うのですが、こういう状態のときに、二十年というふうな時日を要することは、これは妥当でない。もっと短期間にこれを解消しなければならぬというくらいでは、せっかくこの法案に用意された目的を達しないと思うのです。実は私の県の事情を申し上げても、どこの高等学校も腐朽して、危険というよりも使用に耐えない状態になっておるわけなんです。そこで地元の人たちが——一応これは県の方の意向もあるのですが、地元でもって相当額の負担をするならば、県も相当な額を計上して、これを改築するとかあるいは補修するという約束をしたのです。ところが地元でもって相当な額を計上して、そして県知事のところに持ってきた。ところが県の方の財政は非常に芳しいから、お約束を果すことができないということを言って、困っているのが現状です。しかも県下の大多数の高等学校に及んでおるわけです。地元ではある程度の熱意を示しても、県の財政が約束を果すことができないで、非常に問題になっておるのです。そういう事態からしても、この問題は早急にということでなくて、重点的に来年度あたりは文部省が積極的に当ってもらわなければ、とうてい地方の実情を救い得ないと思う。ましてこういう法律が出た以上は、そういうように地元負担で、地方負担でもってやろうという態度も、できるならば国の補助をもらおうじゃないかということで、これは延ばしていくおそれがあるのです。それを延ばしておいたら、自然にまかしておいたら、これは非常にどこの校舎も腐朽度が増してきて、ますます危険な状態になると思うのです。そういう意味からして、私は文部省としてはこの際——ことし計上したものは、修正されたからこそ一億五千万であるけれども、当初のような微々たる予算計上でいったら、実際には即しないと思う。そこで今のようなお話を承わったのですが、もう少し進んだ御計画があるならば、それをお伺いしたいのです。
もう一つ、これが一億五千万で一万坪の危険校舎を解消するというお話ですが、坪単価等については、中、小学校と変らないのですか、あるいは特別に考慮されておりますか、その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/35
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036・小林行雄
○小林(行)政府委員 高等学校の危険校舎の改築の坪単価は、小、中学校より多少高めに予定をいたしております。大体小、中学校の関係は、予算単価は小、中学校の方は二万七千円で、鉄筋が五万五千円ということでございますが、高等学校の方は二万九千二百円、それから鉄筋の方は五万七千九百円、義務制の分に比べて、多少高めに予算を組んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/36
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037・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ほかに御質疑ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/37
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038・竹尾弌
○竹尾委員 三つばかり簡単にお尋ねいたします。この高校学校の危険校舎の改築を補助の対象とするということは長年の要望で、まことにこれが通るということはけっこうなことです。ところでそのほかに非義務制の、たとえば幼稚園とかそういうものに対して、補助の対象になるように努力をしていただきたい。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/38
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039・小林行雄
○小林(行)政府委員 今お話の中に幼稚園という……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/39
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040・竹尾弌
○竹尾委員 たとえばです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/40
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041・小林行雄
○小林(行)政府委員 大体私どもやはり義務制関係が最重点になるように実は考えております。しかし高等学校も義務制ではありませんけれども、学校教育上きわめて重要な意義を持っておりますので、本年度から新たに補助の対象に加えたいということにいたしたのであります。幼稚園、その他にも、公立のものもございまして、それぞれ危険校舎もあることと思いますが、国の財政の都合もございますので、今直ちにこれを予算獲得をして、補助の対象にするということには参らぬかと思いますが、将来の問題としては、やはり研究をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/41
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042・竹尾弌
○竹尾委員 今度は町村合併に関連しますが、合併の町村におきまして、小、中学校の統合整備、あるいは危険校舎の改築というようなことは、御承知のように重要な問題になっております。ところがこれがためには、地方の建築計画というようなものは莫大なる額に上っておると思いますが、これは御承知のようにきわめて強い要望です。そこで町村合併促進法の制定当時、法の第二十九条ですかの趣旨の説明におきまして、別ワクを予算に計上したい、こういうことをうたっておりますけれども、あなた方当局は、この点についてどういう措置を講じられておりましょうか。この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/42
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043・小林行雄
○小林(行)政府委員 町村合併は、御承知のように国の大きな政策として実施されたものでございまして、この町村合併の際に、学校統合等が一つの条件になっておる。あるいは計画の重要事項になっておるということも相当ございます。文部省といたしましては、従来は、ほかの条件が大体同じような場合には、町村合併に伴う学校統合というものを優先的に取り扱うという方針で、現在まできておったのでございます。しかし実際問題としては、この程度ではなかなか合併町村の学校統合に対しての御要望に沿い得ませんので、将来はこの学校統合の際には、従来の予算配分に伴って新しい基準を作りたい。またそれに伴って、必要であれば予算上も別のワクを作るということについても研究をしたい。いずれにいたしましても、他の配分と異なった基準を作りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/43
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044・竹尾弌
○竹尾委員 町村合併に伴って、小、中学校の統合整備を実施しますれば、適正規模の学級編成というようなものが合理的になされまして、これに伴って経常的な経費の節約もとにかく相当にできて、莫大な節約ができるかもしれない。赤字にあえぐ地方財政の救済の上からも、これは多大のプラスになると思います。そして、ひいては町村合併促進法の本旨にもとにかく沿うものであると考えております。従いましてこの種の建築に対しましては、特別の処置を講ずる必要があると思いますが、その点もう一度お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/44
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045・小林行雄
○小林(行)政府委員 御説の通りのことだと思っております。大体町村合併によりまして、学校が整備統合されるということになりますと、学校運営そのものが、非常にある程度の規模を持って参ります関係上、うまくいく。それから経費の面からいたしましても、人件費その他いろいろな経費の点で節約されるということでございますので、やはり文部省といたしましては、合併に伴う学校統合というものを、これを重視して、できるだけそういったものを促進するように予算配分も行なって参りたい。従ってそれが実際予算面上に、促進されるような新しい予算配分の基準とか、あるいは予算上の別ワクということについても十分研究し、実際努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/45
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046・竹尾弌
○竹尾委員 この建築ですね。これは木造と鉄筋と両方あるのですが、鉄筋——鉄骨ですか、鉄筋の要望が非常に強いし、国家百年の大計から、鉄筋にした方がよろしいと思います。この点についてお伺いいたします。これが最後です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/46
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047・小林行雄
○小林(行)政府委員 校舎建築の場合の木造、あるいは鉄筋の問題でございますが、わが国の木材の利用の節約という面からいたしましても、また校舎建築そのものの本質的な耐用、その他の面からみましても、鉄筋の方がよろしいということはお話の通りで、申し上げるまでもないことだと思っております。文部省といたしましても、現在の鉄筋と木造の比率は一五%と八五%という数字でございまして、これでは鉄筋の御要望に対してきわめて不十分でございますので、できるだけ鉄筋の比率を引き上げたいということで努力をいたしております。現在は一五%程度で、非常に残念なことでございますが、将来はできるだけこの鉄筋構造の比率を引き上げて参りたい。実際予算面上にも鉄筋の比率を高めるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/47
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048・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 関連して、辻原弘市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/48
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049・辻原弘市
○辻原委員 今の鉄筋の比率の問題ですが、高めたいと、こうおっしゃるんですが、どの程度に高めたいか、具体的におっしゃっていただきたいということと、それから二十九年の実績で大体どの程度のパーセンテージになっているか、それと全国的に鉄筋の比率の最高はパーセンテージでいうと各都道府県で最高がどの程度、最低がどの程度ということを一ぺんちょっとおっしゃっていただきたい。それがわからなければ全国平均でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/49
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050・小林行雄
○小林(行)政府委員 お答え申します。これは昨年、二十九年度の実績でございますが、これはいろいろ補助金の種類によって違っておりますが、実績から申しますと、中学校の場合は木造が八二・三%、鉄筋が一七・三%、それからあと鉄骨が多少ございます。それから戦災小学校の場合には大体木造が六八%、鉄筋が三一%、それから不正常の場合には木造が八〇%、鉄筋が一八%、こういったような数字でございます。危険校舎は木造が八五%、鉄筋が一三%、鉄骨が二%という数字になっております。来年度の計画でございますが、これは一応予算を編成してみなければわかりませんけれども、私ども事務の方といたしましては一応二〇%ないし二五%程度には引き上げたいということで、いろいろ今操作をしておりまして、まだはっきり申し上げる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/50
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051・辻原弘市
○辻原委員 鉄筋の問題で、比率の点の数字が出て、大体明らかにされましたが、全国平均からいうと一七、八%、来年度実施目標として二〇%ないし二五%ということになっておりますが、方法を改めれば相当鉄筋の充足は大きくなると思いますので、私は最低三〇%程度が妥当ではないかという考えを持ちます。同時に現在、優先順位が防火地域ということになっておりますが、よく考えてみますと、鉄筋の耐用が火事のそれよりも、むしろ暴風とかあるいは水害とか、こういった地域の方が、よりその効用が高いように思われる。従ってここらで、のんべんだらり防火地域ということで今日までやってきたのでございますが、それでは私は最近の時宜に適しないと思うので、優先順位を、防火地域はけっこうでありますが、同時に新しくそういった比率を、防災地というものを頭に入れられて、これらも合せて防火地域と同じように優先的に取り扱われるような措置を、この機会におとりになるお考えはないかどうか、この点を明らかにしておいていただきたい。
次に鉄筋の問題ではありませんが、時間がありませんので簡単に申し上げておきます。それは、いろいろと不正常あるいは危険校舎の説明がありました。まことにけっこうなことでありますが、同時に考えてもらわなければならぬのは、都会地とそれからいなか、山間こういうところ、あるいは地域によりまして、校舎建築に対する充足の度合が非常に違ってきておる。今までいろいろな形で補助金を出して今日までやって参りました。各地々々によって、あるいは小学校はほぼ整備ができておる。危険校舎は大体整備ができてきておる。しかしなお今度は講堂その他の集会所に非常に不足を来たしておる。そういったところを重点にやりたいとか、いろいろあります。そういう場合に、集会所に対する適切な考えというものは、いまだかつて出てこないのであります。寒冷積雪地帯以外に、集会所はほとんど手をつけられていない。しかし昨今の、特に高等学校あたりの状況から見れば、これも一般教室、特別教室と同じ程度のウェイトを持って重要視しなければならぬと思います。従ってここらで、中学校に対しては寒冷積雪地帯のあのワクを何とか拡充するなりの方法を講じて、屋内体操場に対する特別の措置を講じてもらいたいということが一点。同時に小学校等に対しても現在補助のみならず、起債の方法がその対象外になっておりますが、それを少くとも起債程度は充足できるような措置を、これは政府部内において協議され、決定されて私はしかるべきものであろうと思いますので、その点を特別に一つ考慮していただきたい。同時に高等学校におけるこの集会所の効用というものは、他に比してより重大であると思いますので、昨今各地の状況を見れば、この点に対する負担が相当大きくなっております。従って高等学校の屋内体操場というものを、いかなる形において起債もしくは補助の対象に考慮しているか。これも研究問題として、少くとも来年の予算編成の後においては、何らかの形において解決のできるよう、この点は強く文部省に要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/51
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052・小林行雄
○小林(行)政府委員 鉄筋の補助金を配分する場合の配分の重点でございますが、これはただいまお話がございましたように、従来は防火地域あるいは準防火地域を第一順位にいたしまして、それ以外の個々の災害のきわめて多い、災害の頻度が高い地域には、できるだけ鉄筋の御要望に沿うということで従来もやっております。今後もこの方針はもちろん変えないで、災害多発地帯には、できるだけ鉄筋の校舎を建てるということで参りたい、こういうふうに考えております。それからお尋ねのございました各補助金の費目の間のアンバランスと申しますか、それはすでに古くからやっておりますものについては、かなり改築等も進行しております点もありますので、だんだんそういう点はあろうかと思います。しかし全体計画等もございますので、それを一概にやめるというようなことはできないかと思いますが、ただいまお話の中にもございましたような、いわゆる屋内運動場につきましては、これは本年の予算を編成する際にも、実は文部省としましてはできるだけの努力はいたしたのでございますが、予算の都合上、本年度はできなかったのでありますけれども、明年度以降におきましても、いわゆる積寒地帯以外の、その他の地域の集会所と申しますか、屋内運動場につきましても、十分力を入れて参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/52
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053・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ほかに御質疑はありませんか。——これにて本案に対する質疑は終了いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/53
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054・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
次に本案を討論に付します。討論の通告も別にないようでございますから、討論を省略し、直ちに採決したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/54
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055・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/55
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056・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)
なお永山君より本案に対し付帯決議を付するの動議が提出されております。趣旨の説明を許します。永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/56
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057・永山忠則
○永山委員 危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案に対する付帯決議を申し上げます。
本委員会は危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法案について次の付帯決議を附して賛成するものでございます。
一、危険校舎改築費の国庫補助予算の計上にあたっては、危険校舎の実態に即して、合理的な年次計画を立て、早急に、その解消を図ること。
二、鉄筋、鉄骨建築に関する地方の強い要望に鑑み、国家的見地からその予算措置にあたっては、現在の鉄筋比率を大巾に引き上げること。
三、町村合併に伴う公立学校施設の統合整備のための建築に対しては、地方の需要を充たすに足る規模の立法、予算及び起債等の特別の措置を緊急に講ずること。
四、幼児教育の重要性に鑑み、公立幼稚園の危険校舎をも、速かに、国庫補助の対象とするよう措置すること。
右附帯決議を要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/57
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058・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 永山君の動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/58
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059・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 起立総員。よって永山君の動議は可決いたしました。よって本案は付帯決議を付して原案の通り議決いたしました。
なお本案議決に伴う委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/59
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060・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。さよう決します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/60
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061・小牧次生
○小牧委員 ただいま危険校舎に高等学校の校舎を国庫補助の対象に加えるという法案と、さらにこれに付帯いたしまして付帯決議の決定を見たわけでありますが、これに関連いたしまして先ほど同僚野原議員からでございましたか、高等学校の危険校舎が現在全国相当数に上っておる、それについて本年度の予算は約一億五千万円くらいが計上されておる、こういうことについて管理局長から事務的な御答弁と申しますか、御見解の発表が先ほどあったわけでありますが、この際松村文部大臣にお伺い申し上げたいのであります。
この一億五千万円は御承知の通り高等学校の危険校舎の坪数に比較いたしまして非常に少い金額であるわけであります。しかしながら本年度初めてこれが計上されて頭を出したということはまことに喜ぶべきことだと考えております。従って今後これをもとといたしまして、でき得る限り早く高等学校の危険校舎を改修して参らなければならないということはもとより当然でございますが、ただできる限り早くこれを解消するというだけでは、私どもも十分納得できないのでございまして、この際来年度の予算編成に当りまして少くとも五、六億円以上の予算が編成されなければならない、されるべきである、さように私は考えるのでございますが、これに対する松村文部大臣の現在のお考えを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/61
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062・松村謙三
○松村国務大臣 今年の予算は全くお話の通りにわずかのものでございまして、これで満足いたすものではございません。今年は初めて高等学校の老朽校舎にも国が助成する道を開いたというにすぎないのでございまして、およそ今後高等学校の老朽校舎と認めるものはざっと二十万坪ぐらいはあるのでございまして、今年の一億五千万円ではその二十分の一の一万坪しかできない、そういうところでございますので、明年度の予算の編成に当りましても、できるだけその予算を増額いたして、これらの危険校舎がすみやかに解消できるように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/62
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063・小牧次生
○小牧委員 ただいまできるだけ努力したいというお話でございますが、先ほどの義務制の危険校舎の解消のための年次計画の説明にあたりまして、文部当局では大体三十年度より五ヵ年計画というような御答弁があったように記憶いたしておりますが、そうなりますと高等学校関係におきましてもやはりこれに並行いたしまして五ヵ年計画ということに相なるものと私は考えるわけであります。従いまして高等学校の危険坪数が二十万坪あるいは二十二万坪、こういうふうに説明されておりますが、かりに五ヵ年計画ということになりますと平均四、五万坪、一年度少くとも四万坪、こういう計算になるわけでございますが、これを基準といたしまして、松村文部大臣におかれましては、これに見合うところの予算を来年度ぜひとも御計上願いたい。でなければ義務制の五カ年計画に高等学校の危険校舎の解消は非常に立ちおくれを見るという結果に相なるわけでございますので、もう一度義務制の五ヵ年計画と同じように並行して高等学校の危険校舎の解消も促進するということを、ここで一つはっきりと言明をしていただきたい、かようにお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/63
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064・松村謙三
○松村国務大臣 できるだけそういう目標で具現できますように努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/64
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065・永山忠則
○永山委員 関連して……。ただいまの付帯決議に関しまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/65
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066・松村謙三
○松村国務大臣 これは第一、第二に対しましてはこの御趣旨に沿うて、やりたい、こういうふうに考えております。第三の町村合併に伴う統合整備のための建築に対しましては、これは自治庁ともよく協議をいたして、研究をして、具現をするようにいたす覚悟でございます。なお四の幼稚園の危険校舎、これは一つ十分の資料も集めまして研究をいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/66
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067・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次に女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案を議題といたします。これより本案の提案理由の説明を聴取いたします。参議院議員吉田萬次君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/67
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068・吉田萬次
○吉田(萬)参議院議員 ただいま議題となりました女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案につきまして、その提案理由並びに内容のおもなる点を御説明申し上げます。
今日国公立の高等学校以下の教育を担当しております教育職員は約六十三万人を数えますが、そのうち女教師の数は二十一方六千人であり、これらのうち、年々出産をする人々は相当数に上るわけであります。
これら女教師の産前産後の休暇については、現在労働基準法第六十五条において、十二週間の休暇をとり得ることになっております。これは母体胎児の健康並びに嬰児の発育上、重要な規定でありまして、婦人の保護に関する条約である母性保護条約においても認めているところであります。
しかるにこれら女教師の休暇の実態は、十二週に満たない者が相当数に上っており、六ないし七週の休暇は珍しくないありさまであります。これに比して、昭和二十八年度の一般事業場における婦人労働者の産前産後の休暇状況を労働省発表の資料について見ますと、産前休暇日数は平均三十二・六日、産後休暇日数は平均四十三・六日で、合計いたしますと七十六・二日、約十一週となっております。従って、これに関する労働基準法違反件数も少く、昭和二十九年度においては十九件であり、昭和二十四年度の八十五件を頂点として、逐次減少している状況であります。
思うに、これら両者の休暇日数のはなはだしい差異は、教育職員の職場の特殊性に基くものと考えられます。すなわち、第一に、女教師が休暇をとる場合に、他の事業場と異なって適当なかわりをする職員が直ちに得がたいこと、第二に、教育という仕事は一日も放置できない特殊性を持つものである関係上、当該教師は、合併授業、自習等の措置をできるだけ避けるように努めること、第三に、地方公務員である教育職員の場合、労働基準監督官の職務は、人事委員会もしくは地方公共団体の長が行うことになっていること、第四に、地方財政の一般的窮乏が、女教師の休暇のための補助教師を十分に採用する余裕がないこと等に基くものと推察されます。しかし事態をこのままに放置しておくことは、女教師の母体、胎児を保護する立場からまことに遺憾であり、さらには教育の正常な実施の遂行がはなはだ危ぶまれるのであります。
この点に関し、国及び地方公共団体に対して、高等学校以下の学校教育の正常な実施についての必要な財政的措置を講ずるよう努めさせるとともに、女教師の産前産後の休暇をとる場合において、その休暇中、当該学校の教育職員の職務を行わせるため教育職員の臨時的任用に関し規定を設ける等、教育の正常な実施の推進を期して、ここに本法案を提出いたした次第であります。
次に本法案の内容のおもなる点について御説明申し上げます。
まず第一点は、この法律における学校とは、小学校、中学校、高等学校、盲学校、ろう学校及び養護学校であること、教育職員とは、校長、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、常勤の講師及び寮母をいうことと明らかに定義いたしました。
第二点としては、国及び地方公共団体の任務といたしまして、国立または公立の学校に勤務する女子教育職員が産前産後の休暇をとる場合において、当該学校における学校教育の正常な実施を確保するため、必要な財政的措置を講ずるよう努めねばならぬという規定を掲げました。
第三点の規定は、国立または公立の学校において女子教育職員が産前産後の休暇をとる場合、任命権者はその休暇中において、学校教育の正常な実施が困難となると認める期間を任用の期間として、臨時的に教育職員を任用しなければならないことにいたしております。
なお、都道府県が給与負担をいたしまする市町村立の学校におきましての臨時的任用についての期間の認定は、市町村教育委員会の申し出により、市町村教育委員会と都道府県教育委員会とが協議して行うということといたしております。
第四点といたしましては、臨時任用をされた教育職員は、市町村立学校職員給与負担法第三条に規定する都道府県定数条例による定員のわく外にすることを明らかにいたしました。なお、関係法令につき所要の改正を加えたほか、施行期日は昭和三十一年四月一日といたし、所要経費が来年度予算に計上されるのを待って施行することといたしております。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/68
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069・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 本案に関する質疑は次会にいたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/69
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070・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次に、私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑を行います。永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/70
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071・永山忠則
○永山委員 この法案に関連したことでございまして、この問題とは関係はちょっと薄うございますが私立学校の入学試験の問題でございます。国家は、私学振興会並びに本法案のように、私立学校振興に非常に力を入れているわけでございますが、最近においてはもうそういうことはないと存じますけれども、特別寄付をする者を入学さすとかいったようなうわさのある学校もありましたし、芸術大学、いわゆる旧美術学校の油絵をやる方面におきましては、その学校の先生に習いに行った者でなければなかなか合格させないといったようなうわさをかつては聞いておるわけでございます。私立学校の権威のためにも入学試験というものはきわめて厳正公平にやらねばならぬと思うのでございますが、これらに対して文部当局は——ただいまにおいてはそういうことは解消いたしておると思うのでございますけれども、一つ一段の御指導を願うと同時に私立学校が各自自粛をいたして、私立学校の権威保持のために努力するよう計らっていただきたいと思うのでありまして、この場合一言それについての意見をお聞きいたしておく次第でございます。文部当局の御意見を承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/71
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072・松村謙三
○松村国務大臣 お話の通りの弊害がございまして、今もなお時たまそういううわさを聞きますことは——もちろん私立学校の全体ではございませんで、一部ではありますけれども、そういううわさを聞きますことは遺憾でございます。それにつきましては、文部省といたしまして、できるだけ私学の方々に自主的にこういう弊害を除いてもらうことを期待いたしておりますのと同時に、国が私学に、だんだん助成する度が強くなって参りますれば、自然にこれらのものを解消することを条件として措置もでき得ると思いまして、漸次そういう方向へ向けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/72
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073・永山忠則
○永山委員 次に入学試験の関係は、公、私立学校、官立学校は総合的に計画性を持ってやるように特に御指導をしていただきまして、学校の試験を受ける者が、希望に応じまして合理的に受験できるような構想を立てて御指導を願いたいと思いますが、御意見はいかがでありましょう。それに対する御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/73
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074・松村謙三
○松村国務大臣 稲葉大学局長からお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/74
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075・稻田清助
○稻田政府委員 お話のように、入学試験は大学教育及び高等学校教育の両方に影響するところが非常に大きいのでございますので、大学の教授及び高等学校長、その他高等学校教育の関係者よりなる入学試験改善協議会というものを設けておりまして、いろいろ試験問題のやり方なり、あるいはまたその他全般を考究中でございまして、御趣意に沿うように、なるべく早く実現いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/75
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076・永山忠則
○永山委員 今官立及び公、私立大学の先生の待遇改善に一段の力を入れていただきまして、待遇は少くとも最高峯の待遇までいくように、さらにまた研究費も税の対象にならざる研究費を出しまして、面子ともに最高学府の名を、国家最高の指導者の権威を持って自負することができるように、待遇の改善に向って一段の構想を練っていただきまして、その結果に応じまして権勢にこびず、また金力に屈せずして、真に権威のある地位を保持されるように期待をいたすものでありますが、大臣の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/76
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077・松村謙三
○松村国務大臣 国立の学校に対しましては、さしあたり当座の研究費が非常に少いのでございまして、次の年度においてはその増額に努めたい、こういう考えを持っております。これも待遇改善の一つでございます。私学につきましても、できるだけこれらの線に沿うように努力をいたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/77
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078・辻原弘市
○辻原委員 この機会に大臣の御見解を承わっておきたいのでありますが、それは私立学校共済組合、それから公立学校共済組合といわず、長期給付の面においては相当の余裕金があると思います。現在私の知る範囲では、公立学校がこの長期給付の余裕金をもって、組合員の福利厚生施設に充当しているのであります。その点については画期的な制度でして、組合員から非常に歓迎をもって迎えられておりますが、私立学校の面においては、現在そういった余裕金の運用はいかようになさっていらっしゃるのか。福利厚生施設の現況は一体どうであるのか。公立学校のそれと比較いたしまして遜色がないかどうか、この点をお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/78
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079・小林行雄
○小林(行)政府委員 御承知のように、私学共済組合は昨年の正月発足したのでございまして、今日現在で一年半でございまして、従ってまだ福利厚生施設というようなことには現在手が及んでおらないのでございます。将来これは共済組合の性格から申しまして、当然やはり組合員に対する福利施設、厚生施設を持たなければならぬとは考えておりますが、そういった際の財源といたしましては、私学振興会からあるいは助成をしてもらうとか、あるいは長期経費の積立金から借り入れるというような方法が考えられると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/79
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080・辻原弘市
○辻原委員 公立共済が始まった当時を回想いたして見ますると、二年度においても当時約六十万近い組合員があったと思いますが、その当時長期給付においては四億程度の余裕金が確保せられておったように考えます。現在私立共済には大体六万人くらいと推定されますか、その九分の一といたしましても二年度、三年度には相当福利施設に充当し得る余裕金ができますので、これはちょうど今時分からおやりなさるのが適切な時期かと思いますので、この点は文部省でも特に留意せられて、公立共済に比較して遜色のないような福利施設に充当するように、これはお願い申し上げておきますと同時に、もう一つ御注文申し上げておきたいのは、もし公立共済の福利施設、保養所、宿泊所、病院等いろいろあると思います。そういった私立共済の福利厚生施設ができるまで、これを便宜的に私立共済に公立共済と同じ程度に使用せしめることが可能ならばそうしていただきたい。もしそれが不可能とならば福利厚生施設を早急に、計画的におやりになっていただきたいということを、これまた希望としてお願い申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/80
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081・小林行雄
○小林(行)政府委員 御指摘の通りまだ発足以来一年半でありますけれども、共済組合の発足の趣旨から申しましても、やはり保養所なり、あるいは、宿泊所、あるいは診療機関というようなものをできるだけ早急に持ちたいと考えております。共済組合の方にもいろいろお考えがありますが、文部省も十分その線に沿うて応援して、福利施設あるいは厚生施設を作るように努力をいたしたいと考えております。公正共済の方のそういった福利施設の使用につきましては、現在突然でございますので果してできるかどうか確たる答弁はできませんが、この点につきましても十分連絡し、研究したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/81
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082・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 米田吉盛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/82
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083・米田吉盛
○米田委員 私は与党でありますが、特に速記にはっきりさせておきたいと思いまして質疑をしておきたいと思います。先般大臣が新しくは大学の設置、各学部の増設もやらないという意味の御発表があったのでありますが、これは、どういう理由でそういうようなお考えになったのか、まず承わりたい。それからこれにはやや同様な考えを私学に対しても持っているというような御発表があったやに聞いたのでありますが、この二つの点をあわせてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/83
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084・松村謙三
○松村国務大臣 第一は、今大学の制度はむしろ内容の充実に全力をあぐべきであると考えておりますので、新たなる大学の設置は原則としてこれをしばらくとめておきたい。もちろん必要なものはこれは別ですが、原則としてはとめていこうと考えております。それから私学につきましても、設置の審査の基準を高めませんと、やはり名は大学であっても実はそれに沿わないものが乱立されるおそれも出て参りますので、そういう意味において察査の面を厳重にいいたしたい、こういうふりに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/84
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085・米田吉盛
○米田委員 内容の充実ということはわれわれも大いに賛成するものでありますが、これと関連いたしまして、日本の教育の基本体系として、たとえば法文科卒業生の数と理工科の卒業生の数というようなことについて文部省はどのような考え方を持っておられるか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/85
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086・稻田清助
○稻田政府委員 国立大学の年々の入学定員は約五万でありますが、そのうち二万三千が教員養成学校であります。それから一万七千が理工農医といういわゆる理工系であります。それから残りの一万が法経文のいわゆる文科系でございます。従いまして文科系が全体の約五分の一程度でございます。文部省がこういう入学定員を持っておりますのは、もちろん旧制の学校のいろいろな組織を転換いたしました点に原因するところが大部分でありますけれども、一面私立の大学その他の状況も勘案いたし、また年々の就職等の状況から見まして、社会の要請等も考慮しているようなわけであります。現在のところこの二、三年来の就職状況等から見ますれば、いずれの種類の学生につきましても就職というような点から考えますれば、入学定員をそう増加するというような必要は感じないのであります。一面入学難というような問題もありますので、将来十分研究して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/86
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087・米田吉盛
○米田委員 就職の問題を多少御考慮になって増加しないようなお口ぶりに聞えたのですか、申すまでもなく学問は就職と直接からまないで大学そのものをお考えになるべきだと私は思います。これはもちろんおわかりのことだと思いますが、予算が十分とれないとか、あるいは就職がむずかしいからということで学校の設置ということに制肘があってはならぬと思います。そういう点いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/87
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088・稻田清助
○稻田政府委員 非常な長い目で考えました場合に、日本の文化向上なりあるいは技術向上というような点を考えました場合には、さしあたりの就職難その他を考慮するよりも、もっと遠大なことを考うべき問題だとは思いますけれども、何と申しましても現在十三万くらい卒業いたしますうちで約九万が切実なる就職希望者であり、しかも現実に就職し得るものが七五%にすぎないというようなことから考えますれば、あまり遠大な計画をもってこの際どしどし入学定員を増すというようなことも私どもといたしましてはちゅうちょせられるのであります。しかし大学というものは相当永久的なものでありますから、必ずしもごく手近い先ばかりではなく、計画を立てます場合には遠い先まで見通さなければならぬというような点につきましては、われわれも十分注意いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/88
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089・米田吉盛
○米田委員 私はこの就職難は今の教育の内容にあると思うのです。これは先般日本経営者団体連盟からも文部省に要望書が出たと思うのです。それの中にもたしかうたってあったと思いますし、一般の識者の間でも大体これは常識になっておりますので、特に新しく申し上げる必要もないと思いますか、就職のできるような内容の人間を作るということが必要なんで、この面は思想の面からもその他の能力の面からも考えなければならぬと私は思います。だから就職難だからという点はあまり考慮に入れないように大学というものを考えていだたきたい。それからこのごろ大学が多いということをよく聞くのですが、文部省ではそういうようにお考えになっているのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/89
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090・稻田清助
○稻田政府委員 大学の数は多いように私ども思うのであります。非常に小さい大学が全国的に大へん多いというのは日本の特色であろうと思います。大学生の数が多いかどうかという点につきましては、外国と比較いたしますれば同じ年令層の一五%がアメリカにおいて高等教育を受ける、日本におきましては五%強が受ける、そういうような点から見ますれば、一般に同年令層のうち大学その他高等教育を受ける人間が日本において必ずしも過多とは考えないのであります。しかし先ほど来のお話にありますように、いろいろ社会の要求いたしまするような種類と、それから大学で教育いたしまする各専門別その他におきましても、相当食い違い等がありまして、ものを計画的に考えまする場合には、大学生の数の多い、少いというような点は、それぞれの専門というような点から考えましても、将来これは考究しなければならぬ問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/90
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091・米田吉盛
○米田委員 御承知のようになるほど大学の数は多いことになりましたが、元の高等学校教育、専門学校以上の教育機関というものが大体そのまま大学になったのですから、大学生が極端にふえたとはわれわれ考えられない。だからこの点はよく世間で間違って駅弁大学というようなことを言いますけれども、昔からそこにはそれだけの専門学校があったわけであります。こういう意味からいえば、なるほど急に大学と名のつくものにはなったけれども、高等教育機関であったという点では大して変りはないと思う。そういうような観点と、それから日本がこれからどうしても立ち上っていくためには、御承知のようにドイツもそうですけれども、経済的に非常に苦しいときにこそ教育に国の基本方針を置くということが大切だと思う。これはドイツもそれによって成功し、日本も明治の初年にそれで成功している。だから今非常に財政難ではありますけれども、内容の充実はもちろんおろそかにしてはならぬが、同時にそういう面から国の根本を教育に置いて力強くスタートする、これはまさに副総理であると言われる松村大臣でなければできないことだと実は私は期待をしているわけなんです。内容の充実はわれわれは賛成であります。それは十分おやりになるとともに、今大学の数が必ずしも多いとは私は思わぬ、この点をお考え願いたいと思う。それから特に法分科の系統のものは、金がないというときでありますから、この際大幅にある程度私学にやらす、そうして非常に金のかかるような理工科というようなものを主として、——これは主としてですから絶無ではありません。主として国立が当っていく、こういうようなことをやれば、財政を効率的にまかなうことができるのではないか、こういう点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/91
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092・松村謙三
○松村国務大臣 お話でございますが、なるほど専門学校が大学に昇格したこともありますけれども、しかし昇格されれば大学の形をそろえなければならぬ。そこに、内容の充実というものに非常な経費を要し、努力を要するわけでございまして、ある科目は不足をすることがあるかもしれませんが、全面的に見て、日本ほど大学の多いところはありません。そういう意味から申しまして、大学の新設は厳重な規制を加えて、原則としては、必要なものは増しましても、ただ単に今日のような大学を乱設するといってもいいくらいの形になっておりますことは、これはとめませんと、今日の国力から申しまして、とうていできないことでございますので、私どもは当分は大学の内容の充実というところへ全力を注ぎたい。お話の法科、文科系統のものはこれは私学に移して、理科、系統のものを国でやるようにということは、これは十分考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/92
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093・米田吉盛
○米田委員 内容の充実ということですが、私は必ずしも数は多いとは思わぬ。国立の立場としても私はそう考えておるものですから、これは強く議論はいたしませんが、一体分化国家というものは、希望する者が、入学できる国家でなければ文化国家じゃないと思うのです。大学に入りたいけれども、大学は狭き門で入れない、そういう分化国家というものは私はないと思う。金がないからそれはできないのだ、それなら、これはだれでもやる文部行政だと思う。金がないときに教育に国の基本を置いて、先ほど言うように立ち上るということが、われわれの知っておる幾つかの国でも、それで成功しているわけでありますから、この点は安きにつかないことを私は特に切望するものであります。
それから新しくできるものに対して、相当基準を高めて認可をせられるということは、これは度合いの問題でありまして、一説によると、大体今まで大きな大学は各種の設備ができてみんな認可をとった、そこでもうあとからたくさん私立の学校なんかができることは欲しないというような考えで、この辺で大いに基準を高めよう、そして乱設ということはどうかと思いますが、私立の新しい大学のできることをはばもう、こういうような考え方もあると聞いておるのですが、私立の大学などは、基準の程度いかんでこれをあまり極端に高くやれば全然できなくなるわけであります。そういうことをやればまさに今の疑いが的中するわけであります。大きな大学はそれでけっこうでありましょうが、後進大学としては後進の道をはばまれるという結果にもなるわけであります。ことに大学院などについては、私どもの審査したところによると、今までの古い大学でかなりいかがわしいものでも大学院にパスさせた。それが今なお完全な力強いものにはなっていないのがすこぶる多いと思う。そういうものがあるにかかわらず、それだから悪くてもいいというわけではありませんが、そういうものが一方にあるにかかわらず、それよりも多少上回る程度の基準を充足しているような、あとからの大学が大学院を置くとか、あるいは大学の学部、学科を設置するとか、新しく大学を作るという場合には、従来よりもやや高まった基準はけっこうでありますが、その度合いというものはよほど考えていただかないと将来全然できなくなる。そうすればもう既設の大学の既得権だけを擁護して、ごく少数の大学だけしかできないことになり、後進をはばむというような結果になります。これを実はおそれるわけであります。こういう点は一つ十分御留意を願いたいと思います。この点について御見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/93
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094・稻田清助
○稻田政府委員 昭和二十四年に旧制の専門学校を大学に切りかえました際には、短期大学の制度もございませんでしたので、その関係もありまして非常に楽な基準で認可いたしたようであります。大学基準に達しないものについては多くの条件をつけて、後年度において条件充足を期待いたしたのでありますが、その後の状況を見ますと、国立私立を通じて、この条件充足がなかなか十分にいっていないのであります。その点あらゆる方面から御指摘もございますので、今後は認可いたします場合に条件をつけてやるということよりも、むしろ十分内容が充実いたしたものを認めるようにした方がよいのじゃないかというような大方の御意見もありまして、今後認可いたします場合には認可基準を高くする、国立については増設を抑止する、こういうような方針をとって参ってきておるわけであります。何と申しましても私どもは拡張よりも内容の充実という点に責任を感じますので、先ほど来お答え申し上げておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/94
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095・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 小牧次生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/95
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096・小牧次生
○小牧委員 この際提案者に二、三質問申し上げたいと思います。先ほどの辻原委員の御質問に対する管理局長の答弁によって、共済組合の現況が若干わかったわけでありますが、これに関連いたしまして、共済組合の福利厚生事業の資金をどういうふうにするつもりであるか、まずこの点をお伺い申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/96
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097・赤城宗徳
○赤城委員 この資金につきましては、短期給付あるいは長期給付の余裕金を借り入れて行うべきであると思っております。特に私学振興会などの助成金を得て福利厚生事業を充実させることが可能である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/97
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098・小牧次生
○小牧委員 これはまだ生まれて間もないわけでありますが、共済組合の資金は若干あると私は考えておりますが、その資金はどのように運営されておるのかお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/98
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099・赤城宗徳
○赤城委員 御承知の通り、それは法律の定めるところによりまして、二割以上は現金または短期の預貯金として保有しており、この残りは公債とか信託とかで運用しておるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/99
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100・小牧次生
○小牧委員 私学共済組合の事業あるいは施設等に対しまして、私学振興会の剰余金の中から助成がなされることになっておるわけでございますが、この関係から見まして、私学共済組合に余裕の金があった場合に、これを私学振興会に貸し付けるというようなことも一応もっともに考えられるわけでございますが、これにつきまして提案者の御意見をお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/100
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101・赤城宗徳
○赤城委員 御意見のように私学共済組合と私学振興会とは密接な関係がありますので、組合運営上差しつかえない範囲内においては、御説のようなことも考えられるべき問題であると思っております。しかし当面の問題としては、組合員の福利厚生事業ということが私学共済組合の一翼でありますから、その方面に重点を置いて、その充実に全力を向けることも必要だ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/101
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102・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 この際国会法第五十七条の規定により、内閣に対し、本案に対して意見を述べる機会を与えることにいたします。松村文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/102
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103・松村謙三
○松村国務大臣 本案につきましては、政府といたして特に同意をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/103
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104・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 他に質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/104
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105・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
なお討論の通告も別にないようでありますから、討論を省略して直ちに採決を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/105
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106・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
これより採決を行います。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/106
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107・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 起立総員。よって原案の通り可決いたしました。
小牧次生君より本案に対し付帯決議を付する動議が提出されております。趣旨説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/107
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108・小牧次生
○小牧委員 ただいま私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして私どもは賛成をいたしたわけでございますが、私学共済組合の健全なる発達と広い意味からの私立学校の振興ということにつきまして、次のような付帯決議を提案いたしまして、各位の御審議の上御賛成を得まして、政府の善処方を要望いたしたいと思います。
私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案に関する付帯決議案
本委員会は、私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案について、次の付帯決議を附して賛成する。
一 私立学校教職員共済組合は、組合員の福祉を増進するための福利及び厚生に関する事業の推進につとめること。
二 私立学校教職員共済組合の長期経理における余裕金は、組合の運営上に支障がない限り、私立学校振興会に貸し付けて運用すること。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/108
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109・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 小牧次生君の動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/109
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110・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 起立総員、よって小牧次生君の動議は可決せられました。よって本案は付帯決議を付して原案の通り議決せられました。
なお、ただいま議決せられました法律案に関する委員会報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/110
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111・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/111
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112・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次に参考人の指名をいたしたいと思います。京都大学教授井上吉之君、京都大学生高橋正立君の両君を、学校教育に関する件に関連して、京都大学事件の参考人として指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/112
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113・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
この際一言ごあいさつ申し上げます。参考人の方々には御多忙中のところ、遠路わざわざ当委員会のためにおいでをいただきましてありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/113
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114・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 これより学校教育に関する件に関連して京都大学事件につき、参考人の方々よりそれぞれの立場からこの事件に対する御意見を聴取することにいたします。
なお念のため参考人の方に申し上げますが、衆議院規則の定めるところにより、参考人の方々が発言しようとするときは、必ず委員長の許可を受けていただきたい。また委員は参考人に対して質疑をすることができますが、参考人の方々は委員に質疑することができないことになっておりますから、あらかじめ御承知おき願いたいと思います。
それではまず学生の代表として高橋正立君にお願いいたします。高橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/114
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115・高橋正立
○高橋参考人 私元同学会の委員長をやっておりました高橋と申します。六月三日に京都大学に起きました、いわゆる事件と申しますか、あれは私たち学生としても非常に残念な事件であったと考えている次第であります。しかしこの事件は京都大学にとって非常に不幸な事件でありましたが、その中には京都大学が持っているいろいろな問題が現われていると思うのです。私たちとしては、この事件を契機として、そういったわざわいを転じて福として、よりよい自治的な大学を作っていくように努力したいと考えているのです。
次に、その日の記念祭をめぐりますそういった経過を簡単に御報告いたします。今度の事件は新聞やラジオを通じて盛んに報道されておりますが、私たちとしてはなはだ残念でありますのは、その新聞やラジオで、まず第一に暴行が事実であるかのごとくに伝えられていること。第二にこれがいわゆる過激分子の扇動による計画的な事件であるかのごとき印象を与えるような報道がなされている。そして世間では非常に誤解を持っておられる。これは私たちとして非常に残念に思っている点であります。たとえば衆議院の法務委員会におきまして、これは六月六日だったと思いますけれども、公安調査庁の中村第五課長が御報告をなさいまして、京大の同学会は共産党の指令で再建されたものである、こういう御報告をなさっております。これに対してこちらに今いらっしゃっております井上先生も、当時学生部長でいらっしゃいましたが、非常に憤慨していらっしゃいました。その点については井上先生の方からも御発言があると思いますけれども、同学会は全学の学生投票によって圧倒的支持のもとに再建された全学自治組織でありまして、決して一党一派とか、そういった政治的な背景を持った団体ではありません。あくまでも全学生の自治組織であって、全学生の支持の上において成り立った組織であるということをはっきりさせたいと思います。
次に創立記念祭の件であります。六月十八日は、京都大学が創立されてことしで満五十八年になります。それで創立記念祭に、私たち全学生が、教授の先生方や職員の方々、教授の先生方の御家族、またわれわれが下宿でお世話になっている方々、そういう方々を招いて、盛大に、そうしてまた楽しく、長い間京大が築き上げてきました学問の伝統とが、そういうものを振り返り、今後どういうふうに学問を伸ばしていくか、こういったことを考える契機にしたいと思ったわけであります。それで大体五月の初旬に創立記念祭を行う計画を立てまして、その大綱を決定し、それを一般の学生の討議にかけていったわけであります。そして次々に具体的なプランが出て参りましたが、一方同学会の執行部の方といたしましては、創立記念祭を大体十八日の記念日を中心といたしまして、三日間にわたりまして開催する計画を立て、それを大学の方に許可を要請したわけであります。ところがそれが思わぬ障害と申しますか、そういったものにぶつかりました。と申しますのは、これは大学当局の態度として示されたわけであります。私たちは最初六月七日に、記念祭を行いたいという要望を要望書として大学の方に提出して、評議会の審議をお願いしたわけであります。それで五月二十四日に評議会が開かれまして、その前日の五月二十三日に同学会代表が総長先生にお会いいたしまして、創立記念祭の趣旨とか大体の計画をお話ししたわけであります。そのときに先生の方の意向として示されたことは創立記念祭は大学当局が祝う式典で十分であり、学生が何も創立を祝う必要はない。創立を祝いたければ大学の式典に出ればそれでよろしい、これが基本的な態度でありました。そしてことしはしかたがないから認めるけれども、来年はこれを禁止する。それで創立記念祭のそういった式典にレクリエーション的なもの——これは言葉は悪いけれどもと言われましたが、レクリエーション的なものを加えるのは厳粛さをそこねる、そういうふうに説明されたわけであります。そうしてことしは認めるが、それでは具体的な内容は何かと言われたわけであります。それでこちらは大体のプランをいろいろ御説明いたしたわけでありますが、そのときに、たとえば前夜祭といたしましてフォーク・ダンスの計画をしておりました。そうしたらそのフォーク・ダンスはいけない、これは高校生や中学生がやるもので、大学生としてふさわしくない、それにまた去年講習会の実績がある、そういうようなことでとにかくフォーク・ダンスそのものがいけない、こういうふうな発言がありました。それからもう一つ学生ゼミナールというものがあります。これは全国に二つありまして、関西学生ゼミナール、全国学生哲学会というのがありますが、ちょうど京大が準備校になっておりました関係、それとまた期日がちょうど分化祭の期日と大体一致していました関係で、協賛行事としてこの中に組み入れようとしたわけであります。しかしそういった他校との交流は大学生として必要ない、京大生は京大の中で勉強しておればよろしい、君らはひよっこで未熟である、こういうふうにおっしゃったわけであります。そのときは非常に会見時間が短かかったわけでありまして、三十分か四十分で、大体そういった総長の意向をお聞きするぐらいですぐ打ち切ったわけであります。そのときに園遊会そのときにはカーニバルという言葉を使っておりましたけれども、大体京大では創立記念祭を祝しまして、戦前は一月早めの五月十八日にやっていたらしいのですけれども、園遊会というものをやっておりました。私たちはそういう伝統を復活して、現在教授の先生方との接触が非常に少いので、何とかお互いにかみしもを脱いで話し合える機会を持ちたい、そういうきっかけを作りたいという意味で園遊会の復活を計画いたしました。それには教授の先生方、その御家族、また学生、職員、学生の家族そういった方を招待してやるつもりであったわけなんです。それが総長の方では、そういった問題は、具体的なプランを学生部の方と相談をしてほしい、そういうふうな発言がありました。それでその会見を終ったわけであります。ところが学生部はその後私たちの方でまだ具体的なプランを全然出さないうちに学生部委員会——これは学生部長の諮問機関でありますが、これを開いたわけであります。これが大体五月の二十七日だと思います。そのときに私たちがそれを聞きまして、学生部委員の方々に面会したいと申し入れましたが、断わられたので、学生部の職員を通じまして、私たちはまだ具体的な計画を立てていない、それで今後具体的な計画については学生部と十分話し合って計画を立てるつもりであるから、きょうの学生部委員会で早急な決定をなさることは避けてほしい、こういうふうに申し入れたのであります。しかし学生部委員会ではその要望を退けまして、スポーツを除く屋外集会を全面的に禁止するという今まで全然前例のないような決定をしたわけであります。それでその後連日のように交渉を持たれたわけでありますけれども、とにかく学生部委員会で決定されたことであるとの一点ばりで、私たちが学生部委員の方々と話し合える機会を持ってほしいと要望いたしましたが、すでに決定済みである、こういった理由で全部拒否されて、私たちとしてはただ学生部がそういった態度をとる限り問題は全然進展しない、総長先生が四日からお出かけになりますか、もう一度総長先生にわれわれの要望といったものをまとめてお話して、それからまた御意見なりどういった理由かということをもう少し話し合おう、そうしたらまた十分理解していただけるのではないか、そしてその上で教授の先生方とお話合いをして創立記念祭を持てるようにしていきたい、こういうふうに考えたわけであります。そして学生部に総長先生との会見を申し込んだわけでありますが、学生部はこれを拒否し続けましたので、直接秘書課の方を通じて申し込んで、やっと六月三日に会えることになったのであります。従って総長が出立される前日をわざわざ僕らが選んだようにとられている向きもありますけれども、そういったいきさつでありますので、御了承を願いたいと思います。
そこで三日に会見することになりましたが、これは一時から約一時間の約束でありました。それでまず最初に僕から申し上げたのでありますが、きょうはとにかく交渉という形じゃなくて、私たちの要望といったものを一応お話したい、それに対して先生の御意見も十分お聞きしたい、その上でお話し合いをしていくつもりである。総長先生も了承されまして、話が進んだわけであります。それで第一に、私たち学生の方では、創立記念祭を全学あげて盛大に祝いたい、こういうふうに希望しております、こうした学生の要望を先生どのようにお考えになりますか、こういうふうなお話をしたわけであります。総長先生は、私は学生の要望をになって総長になったのではない、学生から一票も票をもらってない、従って学生の要望は聞かない、結果として聞くこともあるかもしれない、こういうふうな発言をされました。これは僕らもそれ以上議論しても仕方がないので、次に問題を移しまして、この前の総長先生のお話では、園遊会については学生部と十分話し合ってきめてくれということでありましたけれども、学生部がわれわれと全然話し合わないで一方的に禁止を決定してしまった、これについては学生部と総長先生との間に食い違いがあるのじゃないか、これを、どういうふうにお考えですかと申しましたが、その点については特にお答えにならないで、学生部の禁止決定の理由を大体繰り返してお述べになりました。それから第三に、学生ゼミナールの問題でありますが、学生ゼミナールというのは私たちの自主的な研究活動であって、こういった自主的な研究活動を伸ばすということを教育者としてどういうふうにお考えになりますか、こういう御質問をしたわけであります。そしてそのときに私たちは、現にやっております経済学部とか、文学部とか、そういった他の学部、他の学校とのインターゼミの例なんかを出して非常に実績を上げているということをるるお話申し上げたわけでありますが、先生の方ではとにかく私は法学部のことしか知らない、そういうことは必要ない、そういった御発言で、それで大体約束の一時間が来たので、私が先生のお考えは大体どういうお考えかということは一応わかりましたけれども、私たちは納得できません、こういうふうに申し上げた。それでどうぞお大事に行っていらっしゃいと申し上げて、そのときの会見を終ったわけであります。そうしたらそのとき、分校の学生を主体といたしましてコーラスなんかをやっている学生の代表が、その会談の結果を持って階段の下——総長室は二階にありますので、その階段の下で待っておったわけです。それに対して同学会の方のへ会見に参加した代表が報告をいたしておりました。そのときに学生の方としては、学生の要望といったものは大学行政の中に一顧だに顧みられないということは非常に残念である、総長先生にもう一度われわれ自身がお会いしてお話したい、そういうような要望が出されておったわけであります。ちょうどそのころ、総長先生が別な階段から帰ろうとされて、実際に階段をおりて建物の外に出られたわけでありますが、階段の下におりました学生数名が最初見つけまして、待って下さいとこれを追った形になったわけです。そうしてそのときに総長のまわりには、守衛、事務職員が約十名足らずですか、五、六名くらいおりまして、それで学生数名が追いかけて行ったわけです。しかし事務職員にさえぎられて総長に近づくことはできなかったわけです。そしてさらに守衛の数はふえまして、総長を取り巻いている上に、近寄る学生を他の守衛とか事務職員が突き飛ばすというような状態があったわけです。僕もその場を目撃していたわけであります。しかしそれまで、守衛とか事務職員が近寄る学生を追い払っている状態はありましたけれども、別に小ぜり合いとかそういったものは特になく、僕自身としてはそれを制止する必要というものは全然感じなかったわけです。そうしてそのときに、新聞記者、事務職員、それから厚生課長なんかたくさんいらっしゃったわけでありますが、その状態のあとで、十一時半の記者会見におきまして、暴行がそのときにあったというお話が総長の口から出たわけであります。しかしそのときにぼく自身目撃しておりまして、また学生の他の目撃者の話を総合しても、公然そういう事実はなかったのです。またもう一つ、そのときに大学側の守衛とか事務職員、それから新聞記者、こういった人たちも目撃しておりながら、しかも暴行の事実は全然目撃していないのです。それでこれは当日の京都地方に配られた朝日新聞をごらんになるとわかると思いますけれども、朝日新聞の第一報では、そういった総長の退去を阻止しようとしたことすら記事になっていなかったのであります。記者が見ていながら全然そういった雰囲気を感じなかったということ、これは一つの証拠になるのじゃないかと思います。しかし朝日新聞は、その後第二報以降におきましては、デスクの方で書き加えまして、暴行があったということを書き加えております。これは僕らにとって非常に誤解を生じたわけでありますが、その当日おりました他の新聞の記者も非常に憤慨いたしまして、朝日はけしからぬということを言っております。大体当日のいわゆる暴行事件と言われるのはそういった事情であります。
また最近総長がお帰りになりまして、筋骨三本折れていたということでありますが、しかし筋骨三本折れていたというのは、相当な衝激がそのときに加えられたと考えてよろしいので、そうすると何か突き飛ばされたとか何とかいうことがあっただろうと思います。しかしそういうことをだれも目撃していない。僕らとしては、そういった総長の筋骨が折れたということは、どうしたかげんで折れているのか全然見当がつかないので、非常に不可解に思っておるわけです。
それからすぐまた元の場所の引き返しまして、最初総長先生に会わしていただきたいということを申しておりましたけれども、そうしたら学生部の方では、そういったわれわれの要望を総長先生の方に伝えるのに約一時間近くもかかっておりました。そうして伝えていただいて、その返事が来るのが非常に長くかかったわけです。私たちが一つの提案をして、それに対する回答が長くかかったために、ずっと交渉が長引いたわけです。私たちとしては、いつまでも総長先生にお会いをしたいということを申したのではないので、大体二へんほどお会いしたいという要望が拒否されましたので、ついに五項目の決議をいたしまして、総長先生はもっと気軽に学生と話し合っていただきたい。また全学あげて創立記念祭を祝うのを支持していただきたい。屋外集会を全面的に禁止する決定を撤回していただきたい。学生ゼミナールのような自主的な活動を延ばすように努力していただきたい。それから外遊なさった後は総長代理を拘束しないでいただきたい、こういうことを口頭の伝達でけっこうですから御返事いただきたい。そうするとその返事をすることをしばらくしてから拒否されたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/115
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116・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 高橋君、十分か十五分ということになっております。あと質疑がありますので、焦点だけやって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/116
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117・高橋正立
○高橋参考人 そうしてそのときそういう交渉を続けまして、最後に僕たち、総長先生についてはとやかく言わない、学生委員会を開いて園遊会が可能であるかどうかを両方が具体的なデータを持ち寄ってお話し合いをしたい。われわれはそれに出た結論については責任を持って従います、こういう提案を七時にいたしました。それで九時にその回答が参りまして、学生部委員会に君らのあれを報告する、すぐ解散しなければ不法集会と認めて適当な処置をとるということでありました。それで交渉は全然決裂という形になったわけでありますが、学生の方は二階に上りまして、ただし総長室のとびらには手をかけるなというあれで、全然手をかけないで、その場で交渉を続けておったわけであります。そうしてわれわれの方では各部長先生とかいろいろな教授の先生方に調停を依頼している間に、警官隊の実力行使があった。大体当日の経過はこういった事情であります。
それで次の日の午前中に、同学会解散が、正式の部長は二人だけしか出席していない代理の補導会議で決定されております。一方私たちの方といたしましては、当日の午後真相報告会を開きまして、そのときに、そこにお配りしてあります「真実を訴える」の第一ページのちょっと下の方をごらんになるとわかるのでありますが、私たちは暴行の事実はなかったことを確信している。しかし総長先生が名前もあげていらっしゃるのであったら、その名前を公表してほしい、われわれもそれを糾明して、もし事実であればわれわれとしてもそれを糾弾して徹底的に反省しなければならない、こういう決意をして慎重な態度で臨みました。そうして創立記念祭も、現在許可されているものについては、これを盛大に行う。許可されていないものについては、話し合ってできるだけ可能な形で持てるようにしていただきたい。それから今後予想される同学会の弾圧に対しては反対する。それから今度の問題に対しては教授の先生方との話し合いが非常に不足していたためであり、また今後教授の先生方と話し合い、学生の間で話し合って、みんなが納得できる線、全学が統一できる線で今度の問題を収拾していきたい、こういう線を立てたわけであります。しかしあくる日の補導会議では、同学会の解散を非常に早急に決定いたしまして、これを発表いたしました。私たちの方では、その立てました方針に基きまして、同学会の解散は全学学生が決定すべきことであって、大学当局が一方的に決定すべきものではない、学生自身が決定すべきものである、そういった意味で全学の学生の討議を徹底的に行うよう呼びかけたわけであります。それで学生の方では、各クラスとかゼミナールとか教室でどんどん討議が進みまして、その大体一致できます点といたしましては、同学会の解散は非常に不当である、同学会を基本的には支持する、そして今後十分に話し合って事態を解決していただきたい。そういった線が大体学生の方の意向でありまして、そういった方針に基いて教授の先生方との話し合いが進んでおりました。しかし一方警察の方がいわゆる暴行事件としての捜査を開始しまして、これは直ちに京都地検の服部公安部長が担当して捜査を始めたわけです。それで最高検察庁と連絡をとりながら進められていったわけですが、七日にはいわゆる暴行容疑として学生一人が召喚され、次いで逮捕され、そして二十日ごろになったらさらに同学会の副委員長まで逮捕されるような状態になったわけです。そしてこの経過を見ておりますと、京都地検としては初めは事件とすることについては非常に慎重な態度をもって臨むと言いながら、最高検察庁の指示でどんどん強硬な方針に変って参りました。一方私たちは大学当局に対して、そのような外部権力が入ってくる事態は、私たちが話し合いによって、問題を教育的な観点が大学内の問題として処理していくことに非常に障害を与える。私たちとしては先生方と十分話し合って教育の場として京都大学を変えていきたい。こういった点で話し合いをいたしまして、ここに来ていらっしゃいます井上先生も学校を代表されて、最高検察庁の方に、寛大なる処置をとってもらいたいというふうにお申し入れになりました。しかし最高検察庁の方では、それすらもけりまして、二十八日でありますか、この二人を暴力行為等処罰に関する法律違反、傷害罪、住居不法侵入でこれを起訴いたしました。そして現在に至っておるわけであります。
私たちとしては、総長と学生が法廷で相争うことは、京都大学のためにとって非常に好ましくない。まして、無実の罪にとわれている二人の学生にとっても、精神的痛手は非常なものである。また一方、総長先生としても、この事件にそういった立場に立たれることはやはり損をされる。総長先生自身も何か外部の大きな政治的な意図のもとに利用されているのじゃないかという感じも持つわけなんです。従って私たちとしては、学内で十分解決できる問題に対して、外部からそういう干渉をすることはおもしろくない。しかし、現在起訴されている状態にあっては、その公判を通じて真実を明らかにしていくことが非常に大切である。そして、その中でほんとうに学園の自治を破壊しているのはだれであるかということがはっきりされるであろう。その点が第一。それと並行して、やはり教授の先生方とも話し合って、今後の学生補導の問題とか、大学をどうしていったらいいか、そういう点についてお話し合いをして、大学をほんとうの教育の場として返していきたい。現在事務当局の発言権が非常に強くて、教授の発言権が非常に弱い。そのために、教育的な面が大学行政の上に現われてこない。そういった点を先生方と話し合って改めていきたい。大学を教育の本来の場として取り返していくために、今後十分先生方と話し合っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/117
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118・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ただいま高橋参考人の発言がありましたので、質疑を許します。辻原弘市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/118
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119・辻原弘市
○辻原委員 簡単に、今説明のありました高橋君にお伺いします。
われわれは、先般も当委員会でこの京都大学の問題についてお聞きをいたしましたが、その後さらに、京都地検によって逮捕され云々の問題が発生いたしまして、聞けば聞くほど、このような問題が大学の内部に発生したということについては、全く遺憾のきわみであります。ましてや、当委員会にわざわざおいでを願って、この種の問題で学校側また学生側の皆さんの意見を聞いて、私どもがこの問題に対して一応の見解を持たなければならぬというような事態にまで問題が発展しておりますことは、これまたわれわれとしては非常に残念に思うわけであります。私たちとしては、大学における教授と学生の立場というものは、少くともそういった形で相争うものではなくて、学生は大学の自治という立場における学問追求のために全力をあげる。同時に教授の側においては、単に学生という観念だけではなくて、少くとも自分の子供に対して教育を施し、あるいはその成長を見守るのと同じ愛情の上に立って、学校の教育は行われなければならぬ。そういう形において京大の教育が行われ、学生の自治活動が行われておるとするならば、今回のようなこの種の問題は発生しなかったであろうし、またよし多少の紛争問題が起きましても、今日のような発展の仕方はいたしておらなかっただろうと思います。これは、この問題に関係しておる京大の皆さんに率直に申し上げたい気持であります。
前置きはそれくらいにして、事件の概要は、いろいろの面から私どもお聞きいたしました。また高橋君からも、るる経過についての御説明をいただきました。なおあらためて、私がこの経過の詳細についてお伺いをいたしましても、それは学生の意見であるとして、従来の経過から申しまして、後日学校側においてそれを率直に認められるとは、私は考えません。しかし、問題の発端なり経過は、私はひどく単純ではないかと思うのです。今高橋君が、何かこの問題について、総長みずからが外部的な勢力に左右せられているのではないかというふうな危惧をあなたが持たれておると同様に、われわれも、なぜこのような問題をこういう形に発展させなければならぬかという点について、何かしらすっきりしないものがあるのであります。そこであなたにお伺いいたしたいのは、学生ゼミナール、あるいは創立記念祭、こういった行事が発端になっておりますが、この行事は、あなた方がほんとうに学校の創立を祝い、あるいは学生としてのそういった一つの純粋な催しを中心にして学校側に要請せられたか、そういう点については、学生の自治活動として、何か学内集会規定というようなものがあったようでありますが、その開催について正当な手続をもって総長に、あるいは当該管理をする学生部長等にお話し合いをなさったものであるかどうか、この点をいま一度はっきり承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/119
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120・高橋正立
○高橋参考人 抽象的に申し上げますより、具体的な例を引いて申し上げた方がわかりやすいと思います。たとえば関西医学生ゼミナールというのは、結局京大の外で持たれることになりましたけれども、これなんか、たとえばテーマは医学の発達における生理学の果す役割、疾病との戦いにおける予防医学の役割、医学教育制度について医学生の当面せる問題とか、こういった問題を取り上げて、京大とか関西医大とか府立医大とかの先生方を講師といたしまして開いた会合である。実際に持たれた会合でありまして、医学部の学生委員の先生もそこに御出席なさって、こういう会合ならば今後ぜひ学内で持たせるようにしなければいけない、そういう御発言もなさっております。
それから学内集会規定にこういったものが触れるという問題でありますけれども、しかし学内集会規定というのは非常に解釈に幅がありまして、最近はこれが非常に峻厳に適用されております。それで学生ゼミナールも——昨年においては文学ゼミナールが実際に許可されて開かれておったのです。それが今年になって医学ゼミナールについても、哲学ゼミナールについても、結局同学会が入っちゃいけないという理由だけで禁止されたわけであります。私たちといたしましては、正当に手続を経まして、ことに哲学ゼミナールについては、二月からそういった話を進めておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/120
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121・辻原弘市
○辻原委員 聞くところによれば、京大においては学問集会規程というものがあって、それに抵触する云々ということで、その種の集会は禁止されたといういきさつから問題が発生しているようでありますが、同様の催しが、あるいは京都内にあるその他の同志社とか立命館とかいったところで催されたように聞きますが、同じような種類のものがその他の大学においてその前後に催されたいきさつがあったのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/121
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122・高橋正立
○高橋参考人 この関西医学生ゼミナールというのは、ちょうど京大の創立記念祭は十八日でありますけれども、会場を移しただけで、十八日と十九日京都府立医大において開かれております。それからまた全国哲学会総会が六月十八日、十九日、二十日、三日間にわたって、立命館大学及び同志社大学で各学校の教授先生を集めて持たれております。それで別に何らの混乱も起っておりません。
それからもう一つ、先ほど申し忘れましたけれども、いわゆる集会規程を適用すれば、単に規則上の問題のように聞えますけれども、この学生哲学会総会を許可してほしいと大体二月ごろから申し込んでおりました学生代表に対して、学生部の方では、創立記念祭での行事として持てば許可できる可能性があるが、ただしその場合に同学会の援助を受けたら一切許可できないからというようなつもりでおってくれ、こういうようなことを話しておった。従ってそこに私どもとして、単に学内集会規程で厳格に規定づけられた以上は、一つの政治的配慮がなされておるという疑いをどうしても打ち消すことができないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/122
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123・辻原弘市
○辻原委員 何か普通の形のその種の集会でおっても、同学会との関係がなければ学校が許可をしたのではないか。また許可をするというような学校の意思も事前に漏らされたというふうな話であります。この問題が発生するまでに、学校と同窓会との間に何かそういったような行き違いとか紛争があったのかどうか、一ぺんその点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/123
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124・高橋正立
○高橋参考人 紛争といたしましてはっきりいたしておりますのは、昨年の十一月の秋季分化祭のときでありますか、「歌と踊りの会」を許可してほしいというのに対して、学外者を入れたらいけない、そういったので禁止されたわけであります。しかしその前に学外者を入れなかったら農学部のグランドでやってよろしいということでありましたけれども、その交渉を続けておりました最中に、当時の田中学生部長が逃げてしまわれたわけです。それでどこへ行かれたかわからなくなって、事実上交渉が打ち切られた。ところが開始の予定時間が迫ってくるのでそのまま学生が集まってきまして、実際に「歌や踊りの集会」が行われた。手数百名の学生、また他の大学の女子学生とか、そういった学生が参加いたしまして行われたわけであります。この点に対してはあとで告示第七号というのが出まして、非常に反省を求める、そうして今後そういうことがないように、あればそういった創立記念祭行事とかいうものについて今後考慮するというようなこと、また同学会そのものについても存立について考慮するというようなことが出されたわけです。しかしそれがあとで総長先生とわれわれとお話し合いをいたしましたときに、君らは規則を破ったことは認めるかとおっしゃる、われわれは認めます、しかし学外者を入れてきわめて秩序整然と行われたことを認めて下さいますか、よしそれは認めよう、そういったことはおっしゃったわけであります。従って他の学外者を入れたから混乱が起るのだ、あるいは今度の場合学外者が入るということが禁止の理由である、われわれとしては学外者を入れない——その学外者が入ることを理由として禁止されたわけであります。紛争としてはそれがありますけれども、ただ紛争とかいう以上に、大学の方としては同学会というものは一つの、あるいは学生運動というものが一つのじゃまものではなかったかということが考えられるのであります。というのは四月の二十八日の第十九回学術会議の席上におきまして、留学費の増額の問題が出たらしいのです。そのときに滝川先生が御発言になりましたのは、現在留学費用のワクが非常に少い、京大でもそのワクが少いので行ける人数が少く、その結果として年をとった人だけが行けるようになっておる。そうすれば京大では現在学生運動があるが、これは学生みずから進んでやるものではなくして、背後から若い教官が糸を引くのであって、そういった教官はきまっていなか者だ、こういった教官を海外へ出す必要がある。そういったような発言をなされたそうです。そのときには都留重人先生が何か冗談にまぎらわされたそうでありますが、そういった点で、私としては、大学の方で同学会そのものが非常にじゃまものになっていたのではないかということを感ずるわけであります。そして昨年あたりから、とにかく今まで許可されてきたものすらもどんどん禁止してくるというふうな状態があって、われわれとしても警戒しておったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/124
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125・辻原弘市
○辻原委員 いろいろお聞きいたしましても時間のかかるごとでありますから、最後にまとめてお伺いしておきます。いろいろ今回の問題に至るまで若干の行き違いがあったようですが、しかしそれぞれ非は非として認められた態度はりっぱであると私は思う。ぜひそうあっていただきたいと思う。同様に今回の問題においても学問の自治を守り、健全な学生運動を発展さすためには、それはいかなる圧迫があっても、あなた方としては清純な青年の意気を基礎にしてどんどん活動を進めていただきたい。ただし同時にそれが目的を逸脱したような学生運動になったり、あるいはみずからの非も率直に認められないような形では、これは学生である以前に青年としても適格性を欠く。従ってそういう点については非は非として率直に認められる点は認められていって、そうしてともに先生と学生なんですからよく話し合えばわかると思う。話せばわかるという言葉がありますが、現在のこの問題の状態は話す段階にもまだ至っていない、もっと率直に胸襟を開いて、あなた方も萎縮をしないでとっぷり学校側と話し合って、その中であなた方が自分たちもとしてみずから認めなければならぬ非があるならば認めて、今後の学生活動の方向の参考にされたらいいと私は思う。そういう点について私が今申し上げましたような見解に立って、今回学会は解散されておるようでありますが、あるいは再組織されるかないしは同学会の解散を学校側と話し合ってあらためて取り消していただくか、いろいろの方法があろうかと思いますが、そういう点について率直に正しい議論の上に立って話し合う。あなた方は全体として——あなた御自身だけではなくして、現在の同学会そのものをどうこうする気持があるかどうか。いたずらに他力本願にならないで、学生自治会というものが、あなた方京大の学生の中核体自身が、自主独立の考え方において問題を解決しなければならぬという態度がなければならぬ。そういう点についてお考えをお持ち合せになっておるかどうかを、一つこの機会に承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/125
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126・高橋正立
○高橋参考人 今の御発言、私たちとしても非常に賛成であります。と申しますのは、私たちは今度の事件が起りましたあとでいろいろクラスとか、ゼミナールあるいは教室とかで討議をしていったわけであります。そうしてその結論を出しましたことは、私たちとしても非常に反省すべき点がある。それを認めた上で先生方とも今後の問題について十分話し合っていきたい、お話し合いをしたいから十分それに応じていただきたいということを申し上げて、その上で話し合いを続けてきたわけであります。今、少し誤解になっておられますが、私たちは教授の先生方とは全然対立していない。大学というところは教授の先生方と学生、それから事務局というものが非常なウェートを占めておるわけでありまして、この前のあの文教委員会におきまして田中学生部長の御発言にもありますように、今度の創立記念祭で予算の関係上事務局に認めてもらうためには、この前のああいった分化祭の規模でなければならない、そういうふうな発言があったと思います。そういうふうに創立記念祭とか、そういったようた純粋に教育的な観点からなさるべきものに対して、事務局の発言が非常に強いといった関係で、私たちがむしろ対立するのはその事務局を中心といたしました官僚と申しますか、そういったものと主として対立することが多いのでありまして、そういった問題に対して教授は全然発言権を持っていないということであります。たとえば学生処分の問題でありますけれども、これに対しても、一般の教授は全然発言権を持っておりません。こうした状態がああいった事件を起す非常なもとになるのではないか。従って私たちとしては、先生方と十分話し合って、先生方はもっと勇気を出して私たちと一緒に考え、一緒に行動していただきたい、こういった点で話し合いを進めようとしているわけであります。そうして自治活動につきましてもみんな納得できる点で、みんながほんとうに支持できるものを今後じみちにこしらえて、再建の道を歩んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/126
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127・高村坂彦
○高村委員 関連質問。いろいろ参考人の方からお話を承わりましたが、一番初めにお話があった中に、何か中村という公安調査庁の方ですか、過激な思想ということを言われた。それに対して自分たちもそういうことを非常に憤慨しておると言われたのですが、過激な思想ということはどういうふうに解しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/127
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128・高橋正立
○高橋参考人 僕はその発言は過激な思想というふうに申し上げたのじゃなくて、中村第五課長が同学会は共産党の指令によって再建されたんだ、こういうふうに報告されておりますが、そのことを申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/128
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129・高村坂彦
○高村委員 同学会は全学連とは関係がないのでございますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/129
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130・高橋正立
○高橋参考人 同学会は全学連に加盟しております。従って一構成団体として関係を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/130
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131・高村坂彦
○高村委員 参考人にちょっとお尋ねしますが、全学連のいろいろな出版物その他を私ども見てみますと、文書なんかは共産党的に見えるんですが、あなた方はそう見えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/131
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132・高橋正立
○高橋参考人 それはやはり見解の問題になっていくんじゃないかと思います。僕らとしては、全学連はいわば全国の非常に数多くの大学の団体がこれに加盟しておるわけでありまして、いろいろなニュアンスがそこに寄り集まってできているんです。従ってその機関紙なんかを見ましても、いろいろな色彩が多様に出ておるのであります。一定の色彩だけが強く出ているというのは、僕としてはちょっと理解しがたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/132
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133・高村坂彦
○高村委員 私実は今いただいた「反戦自由の伝統と同学会の歴史」というところをちょっと読んでみて感じましたが、これを見ますと片山潜らの労働組合期成会が階級意識を持ったものである、こう書いてあるところをずっと見ていくと、これは専門家が見れば同学会というものが一つの思想的ないわゆるバック・ボーンを持っておるということが明らかに看取されるんです。そういうことは随所に出ている。たとえば学生は生活権の擁護と教育復興とを標傍して勇敢に闘争を展開していた、こういうことを言っておりますが、この教育復興運動というのは当時共産党が提唱した運動です。これは御承知であるかどうか知りませんが、これは明らかである。それから原爆展と天皇事件のところなんかをずっと見ましても、天皇の車とともに君が代行進曲が聞こえたとき、学生の間からは平和の歌が起り——平和の歌の必ずも共産党とは私は思いませんが、そういうふうにだいぶ違った党派的な立場をとってきておる。天皇への公開質問状というものをここにも書いてございますが、これなんかも必ずしもその内容自体には共産党的とも書いてないし、何も書いてございませんが、同学会がそういった動きの中心になっておるということはもうはっきり書いてあるんです。そうするとこの同学会というものは、世間から何か一つの思想的な考えを持って——少くとも指導的な立場に立っている者が動いている、こういうふうに見られてもしかたがないんじゃないかと私は思うんですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/133
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134・高橋正立
○高橋参考人 最初の片山潜などという問題でありますが、それはただ京大をめぐる一つの情勢の歴史を書いたものでありまして、同学会の成立は昭和十六年であります。それで同学会そのものもいろいう性質が変化しております。最初はそこにも書いてありますように、出陣学徒にお守りを送る同学会であったんです。そういった時代もあったわけなんです。いろいろな時代を経ておりますが、しかし常に一貫して学生の自治組織としての立場を堅持しております。全学生がその会員でありまして、全学生の意思によってそれが動かされておるのでありまして、ただ一部の共産党によって動かされているとか、そういったものではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/134
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135・高村坂彦
○高村委員 それにつきましては先般この委員会に参考人として京大からお見えになった輔導部長さんの話では、同学会というものがほんとうに民主的組織でないというところに問題があるんだ、大部分の学生は同学会というものに関心を持っておらぬ、それで一部のそういうことに非常に思想的と申しますか、そういう人が動かしておるから間違いがあるんだということを証言されたのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/135
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136・高橋正立
○高橋参考人 大学側の、たとえば解散告示にも、自治能力を喪失したというような言葉を使ってありますけれども、しかしその後における各クラスとか、全学的な学生の意向は動議となって、あるいは決議となって出て参っております。それには全部一貫して圧倒的に出ておりますところは、あくまでも同学会はわれわれの自治組織であった、そうしてわれわれはもちろん非常に不十分な点はあったかもしれませんけれども、基本的にはこれを支持している、これが全学生の大体一致できる点として出て参っております。従って皮肉ではありますが、大学当局が自治能力を喪失したと認めたあとにおいて、同学会は全学生の意思をまとめる上において完全な機能を果しておった、こういった事態が現出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/136
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137・高村坂彦
○高村委員 そこになりますと、これは見解の相違になるんじゃないかと思いますが、私はこれは実際学問の場で、こういった自治活動と申しますか、そういうことを非常に熱心にやる人があるが、多くの者は無関心だというのが実情だろうと思う。これはひとり京大だけではなくして昔から大体そうなんで、こういった同学会といったような組織が全学生の団体意志を受けた動きをしているにもかかわらず、実際は多くの人は無関心で、悪く言えば自分の勉強ばかりやっておるということもあろうし、あるいはカフエーへ行ってコーヒーを飲む者もあろうし、中にはこういうことに非常に熱心になってストックフォルムのアッピールとかそういうことが随所に書いてありますが、それはベルリン・アッピールとか、そういう運動にうき身をやつしている者もあるだろう。ところが署名運動などをやっている人たちが動きの中心になるということで、どうも一つの思想運動的な、あるいは左翼運動的な色彩を強く持っておる、ほんとうに今申しましたように、学生がお互いに寄り集まった自治組織としてほんとうの内容がないのではないか、こういう疑いを持つのではないか、それはどうかしれませんけれども……。そこで私はお願いしたいのは、この前輔導部長のお話にもございましたが、どうか全学生の意思が反映して、そうしてほんとうに民主的な組織としてこうした学校の団体というものが今後運営されてまた進んでいくように、そうあればけっこうですが、私は特にお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/137
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138・高橋正立
○高橋参考人 今の御発言でありますが、私たちとしても向学会が今まで完全に十分に学生の要望にこたえてきた、そういうふうに考えているわけではございません。それは私たち五月の初めの代議員会におきましても、そういった執行部が十分力が強くない、学生の要望に十分こたえきれないということが問題にたりまして、そうしてわれわれとして、同学会がほんとうにみなのものとして育っていくためにはどうすればよいかという討議を始めたわけです。しかしそれは決して解散とかそういったことによってなされるものではなくて、もっと平和的に全体の話合いの上に初めてなされるものである、そうして今お話し下さいましたそういった趣旨に従いまして、私たちも今後努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/138
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139・野原覺
○野原委員 私は前の方の御質問になりました点についての重複を避けて、簡単にお尋ねいたします。問題は今回の創立記念祭の事件で、学生諸君が滝川総長に暴力をふるったかふるわないかということが大きく取り上げられておるわけでございますが、参考人はかつて同学会の最高の責任者であります。その同学会が、解散はされておりますけれども、総長に対して事いやしくも学生が暴力をふるうべきではない、こういうように私どもは考えておりますがゆえにお尋ねをいたしますが、やはりその後いろいろ調査をした結果、もし暴行を働いたとすればこれは許せない、こういう批判が学生諸君の間にあるやに聞いておりますから、あなた方がその後調査をした結果、滝川総長に対してなぐるとか、けるとか、いわんや肋骨を折るというような、そういうむちゃくちゃな暴行というものを働いたのか働いていないのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/139
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140・高橋正立
○高橋参考人 その点私たちとしても最初は、もし事実であればきわめて遺憾なことであるという態度で望んだわけでございます。しかしその後調査いたしまして、学生側も、ことにあとで名前をあげられました人々、あるいはその周囲におった人々の証言、それからさらにその当日目撃いたしておりました新聞記者、ラジオ記者、それから学校側の職員とかそういった方々、あるいは新聞記事に現われたこと等を詳細に検討したわけでございますが、遺憾ながら学生が総長に手を触れ得たかどうか、からだに触れ得たかどうかさえ疑問でありまして、いわんやなぐるとかけるとか、そういったことは絶対なかったと私は確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/140
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141・野原覺
○野原委員 この点は総長の方は、暴力をふるわれたのだ、足が痛いのだ、肋骨を折られたのだと今ごろ言われておるわけでございまして、これは裁判にかかっておりますから、裁判がどういう判定をするか私ども大きな関心を持っておるのでありますが、聞くところによれば、三上隆君と伊多波君という二人の学生が起訴になっておるようであります。一体この三上君と伊多波君はかねて、どういうふうな考え方、どういうふうな行動を学内でとられてきておったか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/141
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142・高橋正立
○高橋参考人 三上君についてまずお答えいたしますけれども、三上君は文学部の哲学科の学生でありまして、僕が知っています範囲内では、大体実存主義的な考え方を持っている人です。それで純粋なものの考え方をする人です。全然うそはつけない人です。それからまた新聞なんかによりますとクリスチャンであったということ、あるいは両親がいませんで、幼年学校におったこともありますし、また自衛隊におったこともあるというように、非常に変化と申しますか、いろいろな経過を経て、苦労してきた人でありまして、そう一時に激高してどうこうするというような人ではもちろんありません。それからまた伊多波君という人は、法学部の学生でありまして、第三回生でありますが、水爆問題協議会というのがありまして、昨年いわゆるビキニ水爆の問題がありましたときなんか、京大ではそういった水爆の恐しさというものを全国民に知らせる義務がわれわれ学徒としてある。そういった観点で水爆展開催運動というのをやったわけです。その責任者としてそういう点について献身的にやってきた人であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/142
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143・野原覺
○野原委員 ただいまも同僚委員からも御質問がありましたように、解散になった同学会というのは赤の団体ではないのか、こういう素朴な——はなはだ失礼な言葉でありますけれども、そういう率直なと申しますか批判がやはりあるわけです。そこで私は、起訴になったこの二人は思想傾向はどうなっているか、たとえば今の三上君は、あなたの今の御答弁によると、クリスチャン、あるいはカトリックであったとも聞いておりますが、共産主義思想というようなものについてかねてどういうような批判を持っていらっしゃる方か、これは参考までにお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/143
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144・高橋正立
○高橋参考人 三上君についてでありますが、そういった共産主義者かどうかという御心配があるようでありますけれども、それがどういうふうに問題と関連するかわかりませんが、三上君という人は、僕が知る限りにおいては、共産主義に対しては非常に批判的な態度をとっておった人です。これははっきり言えるのです。それから伊多波君については僕はあまりはっきり知らないのです。ただ問題は、同学会が赤の団体であるかどうかという点でありますが、同学会はあくまでも全学生の選挙で選ばれてできておるわけでありまして、たとえば国会議員の方々が選挙で選ばれて出ていらっしゃるのと全く同じことでありまして、従って同学会は全学生の団体としてあるのでありまして、その中の一人、二人の思想が全体をリードし得る組織では絶対にありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/144
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145・野原覺
○野原委員 私は歴史と伝統のある京都大学の学生諸君の良識を信頼いたしております。その学生諸君によって作られた同学会、その中に共産党員が一人や二人、五人、十人あってもいいので、これは学生諸君の純粋な考え方からすれば——われわれの学生時代を振りかえってみてもそういう時代はあった。それは今日でも私どもにもあるわけです。だから私はそういうことをとやかく申しておるのではなくて、同学会というものは、少くとも今日までの京都大学の学生諸君であればこれをりっぱに運営したであろうということを確信いたしておるのであります。そこでさらにお尋ねをいたしますが、あの事件がありましてから非常な混乱状態に陥って、あっという間に滝川総長が——総長代理でございますか、アテネに行ったあとかわかりませんが、同学会の解散をやっておられる。一体生徒諸君に対して大学当局は、どういうことを解散理由として示されておるか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/145
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146・高橋正立
○高橋参考人 それに対しては、新聞などでは、暴力をふるったという点で発表しておりますが、しかし告示として正式に発表いたしました文書では、自治能力を喪失したということで発表いたしております。しかし私たちはそういったことにはあくまでもその構成員である同学会員が判断すべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/146
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147・野原覺
○野原委員 委員長にお尋ねいたしますが、実は本会議が始まって、委員長報告があるわけです。本日は採決もないんですけれども、ここで暫時休憩しなければ運営ができないんじゃないかと思うのです。なお私どもは先生に対してたくさん質問を持っておりますので、その間の運営はどうなるのか、委員長の所見をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/147
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148・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 今町原君から休憩の動議が出ていますが、(「動議じゃない、委員長の所見だ」と呼ぶ者あり)委員長は、実はこの部屋が逓信委員会で一時から使うことになっておって、今待っておられるわけで、実は参考人の話を簡単に終って打ち切りたいと思っております。いろいろ質疑があればまた皆様方に御相談の上においてやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/148
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149・野原覺
○野原委員 実は私ども、本日は学生諸君よりも、むしろ大学の最高責任者でございます滝川先生にお越しいただいて、総長からその御心境なり御見解なりを聞きたい、かように考えておるわけであります。ところが総長がどうしても御出席になれないので、総長代理として先生がお見えになっておりますから、これは総長代理としての先生の御意見を聞き、なお私どもがかねて疑問に思っております大学運営あるいは今日当面の問題等についてもお尋ねをいたさなければならない。少くとも文教委員会が参考人を喚問した以上、まことにずさんな審査の状態では、文教委員会の権威にも関係いたしますので、委員長としてはしかるべき部屋を早急にお求めいただいて、この質問を継続されんことを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/149
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150・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 実は滝川総長の方から手紙が参りまして、本日は肋骨が痛むので、どうしても出席ができないからということで、京都大学医学部の付属病院の主治医の近藤さんの診断書がきておるわけでございまして、はなはだ残念でございますけれども、そういう経過になったわけでございます。そこで今野原君から議事を続けてくれという御意見がありましたが、もうわずかの時間でございますから、私は委員長報告をしなければなりませんので、委員長を辻原君にかわっていただきまして、このまま続行いたしたいと思いますが、いかがですか。
〔委員長退席、辻原委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/150
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151・辻原弘市
○辻原委員長代理 次に井上参考人より意見を承わります。参考人井上吉之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/151
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152・井上吉之
○井上参考人 滝川総長を御召喚になりまして、御当人は来たかったのでございますが、先ほども申されましたように肋骨不完全骨折が二つ、それから完全骨折が一つありまして、総長事務を辛うじてとる程度にはいいのですけれども、乗りものなどに乗ると振動が非常にこたえるらしい、自動車に乗らずに歩いて通っているような現状でありますので、かわりまして農学部長をいたしております私が代理で参った次第でございます。
今度の事件につきましていろいろ皆様方に御心配をかけ、京都大学としてもみっともないし、暑い中をこうして皆様方に討議していただくということを大へん申しわけなく存ずる次第であります。すでに田中学生部長が米まして、その詳細は議事録にもあることと存じますが、本質的に私の所見を申させていただきますならば、先ほどからもお話がありましたように、先生と学生は親と子ではないかというような言葉の通りに、ことにうちの学生はかわいいのであります。先生も学生も自治的に学園を守っていくという点においてはむろん異存はないのでございますが、ただ教育基本法から申しますと、大学は政治的に中立であらねばならぬ、こういう建前に立っております。従って、吉田内閣打倒というようなビラが電信柱に張られてもいけないし、共産主義打倒というようなビラが学内に張られてもいけないのであります。そういう点において、京都大学は敢然と政治的中立を守るという決心のもとに総長以下があるわけであります。従って、たとえて申しますと、今度の事件は単に許せ許さないのつまらない事件ではないかといわれるが、仰せの通りつまらない事件でありますが、国家の教育機関を預かっている京都大学の総長としては、一種の家主、一種の差配でございますが、その差配が招かない客を断わることはその権限にあると思うのでございます。また、差配が喜んで招く客を喜んで門をあけて引き入れるということも当然であると思うのであります。そういう意味において、今度の園遊会あるいは学生の歌と踊りの会をやるというようなことが、和気あいあいのうちに大学内でやれたならば何の心配もないのであります。事実至るところで大学ではそれを許しているのであります。学生のゼミナールを許さないのは、東京大学と京都大学だけが日本で許さないのでありますが、そこに教育的見地をもってやっているのであって、皆さん御了承願いたいのでございます。
そこで、今度の事件の同学会は、今高橋君が申しましたように、私がかつて学生部長を兼務いたしておりましたときに再建したのでございまして、そのときには、総合大学はどうしても全学の自治組織を持つべきであるという信念のもとにやったのでございます。他の大学では持たないところもあるし、持っているところもあるようでございますが、京都大学ではほんとうに学生が中心になり、学生によって運営される全学自治組織があってこそ学内活動を盛んにし、また学生が社会に出て活動するトレーニングを教室以外にみずから訓練をするために全学自治組織が必要だということで、同学会というものを建設したのであります。
ところが御存じのごとくとうとうたる社会の流れで、先ほどからも問題になりましたように、共産主義的な学生もありましょうし、非常に保守的な学生もおりましょうが、とにかくその内閣というか、中心の中央執行委員というようなものの選挙に当っても、いつも左翼的な学生が熱心であるのであります。左翼的な学生が熱心であるということは別に非難することはできないのでありまして、現在のような社会に存在する学生の生活をいかにして打破し、いかによりよき日本を作るべきかという熱情は、むしろ左派の学生に多いように私ども印象いたしております。そのような学生が熱心にやるあまり、そこに持ってきて八〇%以上は、先ほどもお話がありましたように、関心を持たないことはないが、おれは先頭をとらぬでもいいのだ、まあマージャンでもやっておる方が事なかれ主義だ、勉強第一主義だというようないろいろな学生がおりまして、そういう無関心な学生が多いものですから、工学部のごとき多数の学生を擁しておるところでも、十六票獲得すれば代議員になれるというような現状である。またその同学会は全学のメンバーであるのに、二〇%余りしか会費が集まらないというような現状であったことは、まぎれもない事実でございます。従って少数の中央を占めておる同学会の学生が、同学会の名において全学を代表しているとしていろいろな行動をするということもあり得るわけでございます。こういう点ははなはだ残念でありまして、何とかして全学の輿望の上に立つ同学会にしたいということを平素願っておるのでありますが、それが必ずしもできたとは申せません。そういうことに今度の事件のもとがございまして、すでに去年の秋に大学の指令するように踊りの会ができなかった。また踊りの会をすれば何ゆえに学外者を好まないかという問題は非常に御疑問と思われるのですが、そういうことをとうとうと許しておるならば、大へん大学が特殊の政治思想の宣伝機関のようになるきらいがある、こういうことに総長は心配をしたわけであります。由米学生の催しに対しては学生部というものが主になってこれをジャッジし、また学生にアドヴァイスしておるのであります。今度の事件につきましては、率直に申しまして学生部の運用のテクニックに確かにまずいところがあったことは私は認めざるを得ないと思います。これは総長も認めておる次第でありますが、そういう運用がまずいにいたしましても、ただ大学当局といたしましては、学生部を中心にして間違いの起ることをむしろ憂えた、と申しますのは、園遊会をやる、あるいは踊りの会をやるというときに、ときによるとこの八月にポーランドのワルソーで開かれる世界青年平和友好会の京大版にするというようなビラを流しておる。園遊会をするならば、国鉄とか私鉄とかの笠踊りとかなんとかの踊りを招聘してきてそれをやるというようなことがビラに書かれておりました。こういう点を見ると、学校当局としては少し神経質であるかもしれないけれども、やはりこれに慎重なる態度をもって臨むというようなことが今度の事件の発端をなしておるのじゃないかと思います。この点は学校当局として、学校を預かる者として、ことに学生部長とか学生課長という人は、平教授のわれわれから見ると、必要以上に神経質になるというのが今の時代でございます。その点、ああいうおそれを間違って起してしまったということをはなはだ遺徳に存ずる次第でございます。
時間がないようでございますが、要するにあとから御質問に答えるとしても、今度の事件の一連性についていろいろな疑問が従来あるようでございますが、根本義は大学が国家機関を預かっておる借家の差配としての責任をもって、あるいは学生に気に入らぬこともしたかもしれないが、とにかくそうしていかねば、京都大学というものは、それこそ学校の自治、学問の発展はできないという信念を持っておる次第でございます。ちょっとそれだけ申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/152
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153・辻原弘市
○辻原委員長代理 これよりただいまの参考人に対する質疑を許します。野原覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/153
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154・野原覺
○野原委員 井上先生にお尋ねいたしますが、ただいま率直なる井上先生の御見解の開陳がありましたことに対して、私は拝聴いたしておったわけでございますが、まずお尋ねいたしたい第一点は、この学生諸君が創立記念祭の許可を大学に願い出た。これに対して大学当局がこれを許さなかった。というのは、かねてから同学会の行動なりあるいは創立記念祭に対する同学会の計画なりが、あまりにも左翼的であるということに理由があるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/154
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155・井上吉之
○井上参考人 お答えいたします。あまりに左翼的というよりも、そういう催しをすることによって、京都市内における左翼分子が入り込んできて、何だか知らぬが、せっかくの教育の場があたかも共産主義の宣伝の場になるようなことが起りはしないだろうか。これは確証をもって言うわけではございませんが、そういうことを危惧したわけでございます。それと、その前年の昨年の秋の催しにおけることが当時の学生部の指導精神に非常に影響を及ぼしたのじゃないかと思います。従って今度の記念祭に関する行事に関しては、スポーツ以外、戸外の催しはやめた方がいいといったような少し厳格なような態度に出たのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/155
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156・野原覺
○野原委員 そのためには、左翼分子が創立記念祭を契機として学内に入ってきておもしろくない、こういうようなおそれがあると大学当局が判断をした場合には、当然同学会の諸君と、むしろ大学の方から積極的に話し合いをしていろいろ意見の交換もして、せっかく学生諸君が喜んで記念祭典の行事を持とうというのを抑えつける方向をとらないで、むしろ指導の側に立っていくべきではないかと私は思うのでございますが、その辺はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/156
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157・井上吉之
○井上参考人 おっしゃる通りでございます。それで二月、三月、四月ごろから、学生部の言い分でいえば、何度も学生代表を呼んで懇談をした、アドヴァイスをした、こういうことを言っております。総長に面会したのは五月になってからでございますけれども、それまでに何度もそれをやりますし、学生もまた個人だけでは十分でないために、各学部から一名ずつ教官が出まして、学生部委員会というものがございます。その学生部委員会というものが招集されまして、学生部長から数回相談をして、その結果を学生諸君に伝えておる。ただこのごろの学生諸君は自分で結論を出したことを徹底的に根強く——話し合いをして中間的に落ちつくということはむしろまれでございます。結論を自分で持ってそれを押していくという習慣が多少ございます。若いから無理はないのでございます。そこで先ほど私が申しましたように、そういう学生をうまくコントロールするためにはやはりテクニックというものが要るのでございます。そのテクニックについて私が学生部長をしてうまくやったというのじゃございませんけれども、やはり今の学生部に若干下手なところがあったのじゃないだろうかということを一学部長として私は思っておる次第でございます。
〔辻原委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/157
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158・野原覺
○野原委員 私の聞くところによりますと、京都大学は従来から文化祭というものを持っていらっしゃる。しかもその分化祭典におきましては、京都の学内を常に開放されて、そうしてたとえば歴史ある文学部あるいは法学部、医学部、これらの学部の施設あるいは研究の実績、こういうものを市民に、その分化祭を機会に開放する。同時に同志社大学とか立命館大学とかあるいはその他近郊の大学の学生諸君にも呼びかけて、京都大学がなるほどほんとうに歴史的な自由主義の殿堂として今日まで戦ってきた、そういうようなところを学生諸君に見せるということによって、京都大学の文化祭というものは、どこの祭典よりも非常に意義が深いということを私ども実はかねてから聞いておったのであります。従って今回の同学会のこうした催しがむしろよその大学の学生諸君に呼びかけ、それから市民にもアピールしていく、こういうやり方は、まことに歴史的な当然のやり方ではないかと私どもは考えておる。これに対して、この前田中学生部長がお見えになって、いろいろあの方に御質問をしたときも、実は納得がいかなかったのでございますが、胸襟を開いて、学生部長なり適当な輔導の責任者の方々がこれらの役員諸君とほんとうに打ち解けた話し合いをされるということよりも、たまたま去年の秋にこういうことがあったからけしからぬ、またやるのではないか、とにかく指導者どもはこれは急進分子だ、こういうような先入観を持って不逞のやから扱いにするような考え方が、滝川総長なり輔導の責任者たちに私はあったのではないかと思うのです。井上先生は滝川さんではございませんから、あまりこういうことを先生に突っ込んで申し上げてもどうかと思いまするけれども、私は同学会を再建された先生にもここで申し上げたいことは、そういうような考え方で学生に臨むようなことでは、学生諸君は反発してくるのです。純粋であるだけに、何だ、こういうことになってくるのが私は常ではないかと思うのですが、この不逞のやから扱いにする考え方というものが果してなかったと言い切れるかどうか、どういう御反省を大学当局が今日までなさっていらっしやいますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/158
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159・井上吉之
○井上参考人 今の御質問は少し行き過ぎでございまして、急進分子、不逞のやからというようなことになったらいいのですが、ならないのです。大学は甘いのです。むしろ甘いのが現状です。今度の記念祭のときに伝統ある京都大学を開放したらいいじゃないか、その通りです。開放するのです。ただ禁止したのは屋外の催し、踊りとか園遊会とかいうのはいけない、そのうちでもスポーツはよろしい、全学をあげて、教職員が走りっこをやるのはよろしいということで許しておる。従って屋内の集会は全部許可する方針であったのであります。
それから学生諸君にもう少しというお話でございましたけれども、実は滝川総長は園遊会はやろうじゃないかという考えであったのでございます。ただ、従来六月十八日というのは、私ども学生時代の記憶がありますが、大体雨の日が多いのです。従って一月前の五月の半ばに創立記念祝日というものを催したことがあるのです。あるときには、荒木寅三郎さんが総長のときには、大園遊会をやったり、ペイジェントをやったり、たびたびしたことがあるのです。学内開放をいたしまして、私ども農学部ですが、農学部は果物のはしりを並べて、いろいろな品種を集めて説明したりというようなことが和気あいあいのうちにあったわけです。従って今年と去年はいけないというのは、時期が悪いということと、いろいろな理由がございまして、学長は乗り気にならなかった、こういうわけでございまして、決してやらないというのではない。園遊会のごときも、この話が出たのは一月足らず前でございまして、折詰一つ準備をするのも大へんだし、夏はものが腐りやすいという衛生的のこともありますから、秋の分化祭のときにこれを回したらどうかという意見も、学生部は持ったのであります。この出発点は、決してそんなむちゃなことではなかったと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/159
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160・野原覺
○野原委員 そこでお尋ねいたしますが、あの事件がありましてから二日たったか、たたないかの非常な混乱のさ中に、総長は同学会を解散されて、直ちにアテネに、国際法学者会議でありますかに御出発なさっていらっしゃるのでありますが、このことは、私はあまりに早計ではないかと考える。いやしくも同学会というものが全学自治の団体として存在するものを、単にそのことがあったからというので、十分な検討の時間も持たないで、あのどさくさの中に総長御自身がほんとうに独断——と言っていいのかどうか、これは井上先生の御見解も聞きたいのでありますけれども、京都大学には教授会があるはずです。助教授の諸君もいらっしゃるはずです。名誉教授の諸君もいらっしゃるはずです。そういう良識ある人々の意見をお聞きになって解散されたのかどうか、この点いかがでございますか、総長の独断でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/160
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161・井上吉之
○井上参考人 お答えします。総長はすでに東京へ出発いたしておりまして、京都大学では総長が不在の場合は年長学部長が代行するということになっておりまして、その点からいいますと医学部長をしておる内野教授でありますが、偶然内野教授はぜんそく持ちでありまして、三、四日ほどぜんそくを発しまして入院されまして、それで総長代理がおらなかったのであります。ところが、ほんとういえば私がその次の総長代理にならなくちゃならないが、ちょうど私は全国国立大学の農学部長会議がございまして、当時東京に参っておりました。それでその次の人たちが寄りまして、——京都大学では輔専に関する会議は輔導会議というのがありまして、これは大てい学部長が兼務いたして、学部長によって輔導会議というものをやっております。学部長に差しつかえがあれば先任評議員、古参の評議員教授が代理をやるわけでありますが、そういう人たちが寄りまして、同学会解散のことを討議したわけでございます。それで事件のあった翌日に同学会を解散するのはばかに早いじゃないかということでありますけれども、この理由は、去年の秋の事件のときに、これでは学生自治はやれないじゃないか。学生自身フォーク・ダンスをやるならやってよかろうということで、去年は、こっちのグラウンドでやれ、正面を取っておいてやろうということで約束しておいて、別のグラウンド、その別のグラウンドは町に便利なところですが、そのグラウンドで学生は夕方、本グラウンドに行く前に練習さしてくれということで、それが本練習になりまして、夜の九時、十時ころまでやった。その間こっちに移動せよということを大学は言ったが、学生が聞かなかった。これは学生が若いからというので、責任者を処罰しないが、同学会という自治会が大学と約束したにかかわらず、そういうことを習慣づけることは教育上おもしろくない、だから言うこと通りに、することはしなくちゃいけないじゃないかという反省を促すために告示を大学が出しまして、そしてこういうことが重なるようでは同学会を解散せざるを得ない。学生に自治の資格があると認めがたいという警告を去年発しておるのであります。その引き続きの事件でありますから、このたびは割合早く結論が出て解敢ということになったんだろうと思います。私の個人のことを言うて失礼でありますが、私は同学会を作ってやった責任者でありますから、その席におれば、それはもう少し待とうじゃないか、中央執行委員が申しわけないといって、むしろ自決さして、辞職さすべきでないかという感覚を持っておったのであります。何しろ不在でありまして、そういうことにきまったのであります。決して滝川総長の独断でやったのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/161
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162・野原覺
○野原委員 私は井上先生個人の御見解としてお述べになりましたことに関しては、まことに同感です。過去において警告を出されたことがあったかなかったかはともかくとして、いやしくも全学の自治会の解散という重大なことを、あの事件の起った一日か二日のほんとうにどさくさの混乱の中にやるべきでない。私はこういうやり方、学生の気持、それから学校内の自治団体に対する考え方というものを実は疑わずにおれぬのであります。そこで次にお尋ねをいたしますが、当時学生部長が直ちに辞表を出されておられる。それから総長代理は今井上先生のお話を伺いましても、御病気でいらっしゃって十分なお仕事はできない、こういうようなときに滝川先生がアテネの法学者会議にどうしても出なければならぬといって出発されたということが私どもまだ了解できない。国際法学者会議はなるほど重大でございましょう。先生は国際的に有名な方でいらっしゃいますから、この会議には出なくてはならぬかもしれぬけれども、同学会を解散しなければならぬ、しもかああいうような事態が起って非常な決意を持っていらっしゃる最高責任者の総長が、なぜあえて踏みとどまって、大学の粛正をやるならばやるし、それから同学会についても自分の考えを述べるなら述べるということをなさらなかったか。この点について井上さんとしてはどのようなお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/162
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163・井上吉之
○井上参考人 聞くところによると、東京へ来られまして、文部大臣にもやめようかやめまいか御相談になった、しかしながら学術会議で選ばれた代表としてアテネに行かれることについて、こういう一大学内の事件で総長が予定を変更してやめたというようなことは、国際的にも聞えが悪かろうからいらっしゃる方がいいだろうというように文部大臣も言われるし、大学内においてもそういう声はあったのであります。それで総長自身は相当考えられたのです。総長代理が病気であり、総長が留守するとおっしゃいますけれども、京都大学の三百五十人の教授はみんな私はりっぱな教育者だと思います。総長が欠席されても総長代理が病気されても、はばかりながらりっぱな人がたくさんいるから、京都大学の運営上には支障はなかったろうと思います。この点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/163
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164・野原覺
○野原委員 私は文部大臣に相談するまでもないと思う。滝川先生ほどの見識を持たれた方が、自分が京都大学を預っておりながら、これをほったらかしにして——ほったらかしといっても私はあえて過言ではないと思う。そしてアテネに出ていかれるような、こういうやり方については私は総長の責任を疑いたくなる。本日は文部大臣が出席しておりませんので、この点は私は文部大臣にお尋ねいたしたかったのでございますけれども、大臣代理として大学局長がそこにおられますし、あなたは大臣補佐役として、大学の問題についてはあなたの意見が松村文部大臣を動かしているに違いない、だから申し上げますが、一体どういうわけでこれだけの事件を引き起しているその責任者の滝川総長をアテネにやったのか、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/164
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165・稻田清助
○稻田政府委員 ただいまの点でありますが、私の承知しております点から申し上げますれば、滝川総長は行こうか行くまいかと迷って大臣に相談をせられたのではない、滝川総長御自身としてはいらっしゃる御意思を持っていらっしゃって、大臣にお会いになったと私は考えます。そして大臣の意見も滝川総長の御意見も一致して、あの際はアテネにおける国際学術会議に出席すべきであるという点に一致したのだと思います。一致したゆえんは、一面においてこの学術会議が国際的に非常に重要なものである、もう日が迫っておって、滝川幸辰氏が行かない場合には非常にその処理に困るというような状態のあった点が一点。それからいま一点は、国立大学の管理機構は決して一人の総長がいないからといって機能がとまるような機構ではありません。最高のことを決するのに評議会がある。評議会を運営すべき学則があり、賢明な教授初め教員がそろっておられる。ことに学生の輔導の問題につきましては、最高の評議会と構成を一にする輔導会議というものがあるわけであって、滝川幸辰氏もそういう機構があるから安必して行かれたのだと私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/165
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166・野原覺
○野原委員 あなたは滝川総長がそう考えたのだろうというような御答弁でございますが、あなた自身もそう考えておったとしたら重大問題です。というのはいやしくも大学の学術局長は大学の運営については行政的の責任を持ってもらわなければならぬと私は思います。文部大臣が大学の運営その他には直接責任はなくても、やはり監督の立場から法制的にも指導、助言その他最終的には文部大臣としても大きな関心を持ってもらわなければならぬのであります。そのとき滝川総長がやってきて——これはこの前松村文部大臣がこの委員会で申されたことでございますが、その国際法学者会議に行くことは私はとめなかった、こういうことも言われているのです。私はこの国際法学者会議というものがどういうものか知りませんけれども、日本の有数な京都大学の浮沈に関するような大きな問題、これは浮沈に関しないと言えばそれまででございますけれども、今日京都大学数千の学生諸君にとっては——これが大きく全国的に報道され、問題視され、しかも二人の学生は起訴されている、八人の学生は大学から懲戒処分になっている、そうして同学会が解散をされる。こういうような事態を総長御自身は引き起していないのだ、あるいは同学会がけしからぬ、学生がやったのだ、こう言われるかもしれませんけれども、やはり総長は教育者でなければならぬ。学者であると同時に教育者なんだ、しかも責任者なんだ。その総長が京大をほったらかしにする、あるいは補導機構その他があってできるかもわかりませんけれども、やはりこういう非常事態的な問題が起った場合には、私は踏みとどまるべきではないかと思う。文部大臣は滝川総長に対し、あなたが法学者会議に行くのももとよりわかるけれども、この際責任者として京大再建のために残ってくれぬか、今あなたがいらっしゃれば困るじゃないかということのアドバイスくらいは、私はなさるべきであると思うが、なぜそれをやらなかったか、大学局長はそういう輔佐をなぜしなかったか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/166
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167・稻田清助
○稻田政府委員 同じことを繰り返しますけれども、私といたしましても、当時滝川幸辰氏がとどまれば京都大学の処理という問題については、これは完全だと思います。しかしながら一方において海外に行かなければならぬという要請も欠くべからざる問題だと思います。その場合に、私自身として考えましても、一面大学におきましてはさっき申し上げましたように、れっきとした管理機構があるわけであります。大学の自治機構があるわけであります。従いまして総長がやむなく海外に渡航されましても、大学そのものの運行は支障がないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/167
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168・野原覺
○野原委員 私はあなたは助言的な立場で、京大再建のために踏みとどまっていただくべきではないかというような発言でもすべきではないかということを言っている。それをやっていないのです。このことは他日文部大臣に対して適当な機会に申し上げたいと思います。
井上先生にお尋ねいたします。聞くところによると滝川総長は肋骨を三本折られたそうでございますが、ほんとうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/168
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169・井上吉之
○井上参考人 ほんとうでございまして、本日も出席すべきところをできないものでありますから、整形外科の部長の診断書を出しておられる次第でございます。委員長の方にいっているはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/169
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170・野原覺
○野原委員 私のあとに加賀田委員がいるようでありますから、もう適当な機会で加賀田委員にかわろうと思いますが、なお井上さんにお尋ねします。総長はアテネの国際法学者会議その他外国旅行を何十日間なさいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/170
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171・井上吉之
○井上参考人 出発から終りまで四十三日です。十五日に羽田に帰ってこられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/171
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172・野原覺
○野原委員 その肋骨を折られたという自覚症状を覚えられたのはいつでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/172
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173・井上吉之
○井上参考人 実は出発までは、足をけられましたところが青く見えまして、それで痛くて飛行機に乗るときに階段でちょっと不自由するというような格好で出発された。そのときはそう横腹の痛いことは意識しなかったらしいのですが、飛行機の上でくしゃみをしたときに、非常に疼痛を覚えられました。それから深い呼吸をすると痛い。痛い痛いでずっと旅行されてきた。そして京都に帰った翌日に、一応とにかくレントゲン撮影をしてみよう、痛いのがなおらないというので撮影してみたところが、十一、十二、十三の肋骨三本にひびが入っているということがわかりました。そして十一、十二の二本は旅行中に自然に不完全癒着をしている、一本はまだ離れているわけであります。従って自動車なんかでうしろにもたれると痛いという状態であります。それを見た近藤教授の話では、もしこの旅行前に診断ができたら絶対に旅行は禁止する、むしろ旅行中に肋膜なんか起して倒れなかったのが不思議であるというような批評をしているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/173
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174・野原覺
○野原委員 アテネの方から、あるいは外国旅行をなさっていらっしゃる総長から京都大学にいろいろ音信があったと思うのですが、その音信の中に——肋骨三本といえばこれは重大です。私だったら動けません。これはどうもお医者さんを呼んできて聞かないとわからぬのでございますけれども、そういう世界的な法学者の会議においでになられて、聞くところによればドイツ等では新聞記者ことごとくに日本の学生はどうも野蛮だ、そして乱暴で困るのだというようなことをおくめんもなく談話をなさり、責任を果されて元気に羽田にお帰りになっていらっしゃる。肋骨三本折られて熱も出ないものかどうか、井上さんは農学者であつで医学者でございませんから、はなはだ失礼でありますけれども、どうもそこのところは私は了解に苦しむのです。その診断された近藤先生はそのレントゲン写真なるものを今日社会的に公開されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/174
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175・井上吉之
○井上参考人 公開してもおりますし、それからこちらに診断書も出しておるし、御自身も診た医者もびっくりしたわけです。おそらく三本のうちの二本はひびが入っていて、元気で旅行しているうちにうまく癒着してしまったのですね。そうして一本がぶらぶらしているという状態で御自身も驚かれたのです。これなら旅行どころじゃなかったと千載一遇の好機に旅行してきたということになるようでございます。詳細は医学者をお呼びになって聞いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/175
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176・野原覺
○野原委員 まあこれらの問題はやがて裁判等もございまするからはっきりしようかと思いますけれども、まことにあまりにも奇蹟といえば奇蹟です。肋骨三本折られて外国を元気で旅行されて、羽田にも元気で帰っていらっしゃって、そして京都駅で新聞記者に談話を発表するときになったら肋骨三本折られたんだ。私はこういうことが人間のからだであり得るのかどうか、これは後学のためにお医者さんに一つ聞いてみたいと思うのであります。
そこであとに辻原委員なりあるいは加賀田委員がおられますから私は適当な機会でやめたいと思いますが、最後に、一体大学の教授会としてはどういうような御所見を持っておられますか。また教授会全体の意思とともに、教授の中の各先生のお考えというものもお知りでございましたら承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/176
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177・井上吉之
○井上参考人 御存じのように大学は各学部に分かれておりまして、各部が教授会議をもって学部の自治をやっておるわけでございます。従って私ずいぶん顔も広いのですけれども、一々医学部はこう、理学部はこう、農学部はこうということはちょっと責任を持って申しかねます。ただ学部の教授会の意思を代表したのが評議会であり、また各部長の会議であります。だから大学の最高コミッティーというものは各学部から学部長とほか二名の教授、つまり各学部から三名によって編成されておる評議会であります。だから大学の重要な問題は全部評議会にかけられるのであります。その評議会の空気は、学生が理由いかんにしても、総長が出発しようという前日に数時間軟禁をし、また負傷させるというような暴力がだれから見ても教育の場としては恥ずかしいことである、教育の場としてはわれわれますます自粛自戒して、輔導に対してはなお一そう輔導部の強化もやらなくちゃならないし、また輔導のためのいろいろな会議もやらなくちゃいけないという意見、同時に学生に対しても厳然たる態度に出なかったならば、今日本の青年はとうとうとして労働者も学生もこんなになってしまう。この事態を一体どう見ているだろうか。次の世代を引き受けてもらう学生、ことに最高学府の学生の輔導というものは一そうの関心を持たなければいけないのだというようなことを考えておるのであります。
同時にもう少しつけ加えて言わしていただくならば、高等学校、中学校からの輔導と一貫したものを持たなければ大学の輔導はできないんだ、高等学校の先生が夏休みの賞与が少いから県庁や歩道ですわり込みをやっている、こういう事実を見ている高等学校の生徒が大学へ来て、総長室の前ですわり込むのは当りまえの世相でございます。また文部省で、指令を受けているとは言いませんけれども、大学の学生の輔導のために文部省学術局に学生課というものがあるだけであります。むしろ中学校、高等学校、大学、次の日本をになうインターナショナルの青年を養成するためには、当然文部省に大学局というものを作らるべきであろう、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/177
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178・野原覺
○野原委員 学生に対する批判もあるでございましょうが、私はたくさんの教授の中には今回の事件の当事者であるところの滝川総長に対する批判を持っていらっしゃる方もあるに違いないと思うのです。私は持っておりますが、そういうような教授の御所見等をお聞きになったことはございましょうか。あれば一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/178
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179・井上吉之
○井上参考人 むずかしい御質問だと思います。私個人も滝川総長に対して私なりの批判を持っております。大学三百五十人の教授それぞれの思想、いろいろの批判を持っているのは事実であります。これを大別するならば、ちょうど新聞等の批判と同じでありまして、総長と学生は校長さんと生徒さんだから、親と子のような関係であるじゃないか、またいつかも議事録を読んでみましたら、キリストの、右の腕をたたかれたら左の腕を出せ、こういう気持で、足らざるところは神に祈るべきだというキリスト教的に考えられる人もあるでしょう。また現在の世相は、一般に学生においては先生と弟子といっても、たとえば法学部だけならばとにかくとして、全学をあげたならば、総長が手を上げても、総長の顔を覚えない、おじぎをしない学生もある次第であります。昔の寺小屋式にひざを交えて人格を形式するというような時代ではないのであります。従って今日の子弟の関係は昔とは別だとはっきり割り切った考えを持った人もあるわけであります。そのようにやはりいろいろな批判があるのでありまして、今度の事件に関しても学生を処罰する必要はないという考え方の人もあるでしょう。それらを総合したものが評議会であり各部長会議であり、さらに懲戒に関しては懲戒委員会というものが編成されてやったわけであります。その総意でああいうような処罰の懲戒の結果になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/179
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180・野原覺
○野原委員 私は二人の学生が起訴されている、あるいは他の学生も懲戒処分にかけられておるやに承わっておるのでございますが、最も遺憾なことは、学内の問題として処理しなければならぬことが実は裁判ざたにまでなっているということであります。この点について井上先生としてはどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/180
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181・井上吉之
○井上参考人 むずかしい御質問ですが、総長の不在中に検察庁に二人の学生が逮捕されたという問題につきまして、これは率直に申しますが、滝川先生は刑法の教授であります。従って正当防衛とはいかなることか、暴力とはいかなることかということを学生の前で講義をした先生であります。同時に総長という教育者であります。その留守番をやっている私がいろいろ考えた結果、総長の個人の性格から、自分がやられるのに自分の目で冷静に見て、三上という学生は赤いネクタイをして、しまのズボンをはいて、おそろしい目をして私の前にやってきて、右足で左足をけったのだと詳細に記憶しておりました。さすが法律家だと私は尊敬しております。しかしそういうことを法廷で言うということは大衆がどう見るか、校長さんと生徒さんとが法廷で争っているじゃないかということで、そういうことは教育上非常におもしろくない。また大学はそういうふらちな行為をした者を、高橋君もその一人でありますが、断固として停学処分にしたのであります。だからもういい、これ以上法廷でやっていただく必要はないのだ、大学のことは大学にまかしていただきたい、むしろ今後来たるべき輔導の方法、いかにして学生を指導すべきかということをわれわれは深刻に考えればいいのである。そういう意味で私、最高検察庁へ参り、またこの議事堂へ来て政府委員室で松村文部大臣とも十分間お会いしたのです。そして京都大学の総意である不起訴にするか、起訴猶予にするかということに一はだ脱いでくれとお願いいたしましたが、文部大臣も私の気持を了としてくださいました。最高検察庁では検事総長はお留守でしたが、清原次長検事がおられましたので、この方にお目にかかって、私どもの考えているところを申しました。いずれ最高会議において決定せられるのだから、今のところはお話を承わっておきます、よくわかりましたというわけでさようならをしたんですが、遺憾ながら会議の結果起訴ときまったわけでございます。それが今までの成り行きでございます。だから私としては裁判ざたになるということははなはだ遺憾に存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/181
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182・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 この部屋で逓信委員会が一時から開かれますので、もう向うで待っておられます。野原君、時間でありますから加賀田君に譲っていただきたいと思います。一つ御了承願います。加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/182
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183・加賀田進
○加賀田委員 時間がきておりますので、簡単に井上さんに二、三点質問いたしたいと思いますが、質問の内容に入る前に、井上学部長は四月二十八日の第十九回学術会議に御出席なされたかどうか、これを御質問したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/183
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184・井上吉之
○井上参考人 私は出席いたしませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/184
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185・加賀田進
○加賀田委員 出席しないとすれば、その席上の滝川総長の発言は御存じないと思いますが、あとでもしお聞きになっておったのならちょっとお尋ねしておきたいと思います。
四月二十八日の第十九回学術会議で滝川総長は、同学会の存在は非常に困るのだ、いわゆる左翼的な運動をして実に自主性を失っておる、しかもその原因は若い教官が非常にこれを扇動するという傾向があるので、こういう若い教官を留学さして同学会を正常な姿に戻したい、こういうような発言があったと私は聞いておりますが、井上部長はそういうことを事後お聞きになったかどうかということをお伺いし、引き続いて高橋参考人にもお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/185
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186・井上吉之
○井上参考人 私は聞いておりませんけれども、滝川総長という方は、先ほど高橋君がいろいろ説明しておりますが、末端的におもしろくというか、あるいははっきりとものを言う方でございます。深い含みよりも先んじたところのちょっと矯激な言葉を使われることがあるのです。従って滝川さん自身も、若い教員を外国に出したり、学生が扇動されるなんということは思っておられないだろうと思います。またほんとうに祖国愛に燃えている人が外国を見て思想が変るとか、一方を見て思想が変るとか、そんなへなちょこな教官はないはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/186
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187・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ちょっと加賀田君に申し上げますが、理事会で、両者を尋問的に聞くことは絶対にやめるということになっておりますから、そういう尋問的な質問はしないようにして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/187
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188・高橋正立
○高橋参考人 それは当時の新聞、それから京大で出しております学園新聞にはっきり記事として出ておりましたし、またそのあとで学園新聞の記者が総長に会見しまして、そのときの説明を詳しく聞いております。それがやはり学園新聞の記事として、正確な日にちは記憶しておりませんが、五月の初めの学園新聞にはっきり出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/188
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189・加賀田進
○加賀田委員 井上さんは学部長として総長の代理をなされた方ですが、こういう重大な発言を関知せられぬということは実に残念だと思うのです。実はそういう思想がこの問題の大きく発展するに至った重大な原因になったのではないかと思います。極端に言えば、時期あらば同学会を解散するという条件を何かの折につかみたいということが、四月二十八日の発言の際にうかがわれたということを感じたのですが、その後において、学校当局としては全般的に同学会を解散したいという思想が非常に濃厚になったのではないかというような疑いを持つのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/189
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190・井上吉之
○井上参考人 今のは少し杞憂だと思います。大学の学部々々においてもそういう気分はございません。同学会が少しくらい矯激なことをやっても、そういうことには割合に弾力があるわけなんです。総長がかりにそういうことを言ったとしても、そういうことで大学じゅうの空気が同学会解散に傾いていたということは絶対ありません。それは私が保証します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/190
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191・加賀田進
○加賀田委員 井上さんは、そういう総長の意思に基いて大学が運営されるのではなくして、各会議において決定された結果によって運営されるのであるからそういうことはないという御答弁であります。それでお尋ねいたしますが、今も野原委員の説明に基いて、井上参考人が最高裁判所に行かれたのはたしか六月二十五日か二十六日だと私は記憶いたしておりますが、そのときに、やはり今御発言になったように、学内の問題だから自治的に学内で解決いたしたい、できるだけ最高裁判所としては不起訴あるいは起訴猶予ということにして問題を解決いたしたいと言った。私もそう聞いておるわけです。しかし外遊から帰って参りました総長は、依然としてこの問題は警察の問題であり検察庁の問題だからわれわれとしては関知しない、こういう非常に冷淡な態度をとっていることが各新聞に発表されております。せっかく留守中に井上さんがそうして最高裁判所まで行って、問題を穏便に解決しようとして努力されておる。これは総長の留守中とはいえども大学全般の空気であったのに、帰ってきたときに、われわれはそういう問題は関知しないのだ、それは検察庁や警察の自由にまかすのだ、こういうような冷淡な態度を新聞に発表しておるということは、そういうようにして、いわゆる総長の意思に基いて大学が運営されるのではなくして、全般の意思の多数によって動かされるということが、根底からくつがえされておるような印象を受けるのですが、その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/191
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192・井上吉之
○井上参考人 総長が羽田へ帰りましたと同時に、検察庁で起訴猶予、不起訴にする方が私はいいように思う、あなたの意思はどうか知らぬが、そういう運動をしますと率直に申しましたら、それもよかろう。大体総長が出発する前に、これは起訴をされるかもしれぬが、その点についてどうだと言って京都の検事がすでに総長に聞いておるのです。総長はそのときに、いや検察庁は司法権の独立でもってみずから調べて、これが起訴に値すれば起訴されたらいいし、起訴に値しないのだったら不起訴にされたらいい。これは滝川さんが非常に冷淡だとか冷厳だというよりも、滝川さんの法律学者としての性格だと思う。従ってこれらが浸透して悪化したというよりも、よくやってくれた、こういう態度でございます。新聞社は誘導尋問がみな上手ですから、堂々とおれは法廷で言う。しかし聞いておると、そう堂々とは言わぬのだけれども、堂々という形容詞を入れればいかにもりっぱに堂々となってくる。そういうような傾向もあって、新聞は少しおもしろく、エグギザジャレートした、強化した書き方があるのではないか。滝川個人はそれほどのことはない。ただ法律学者のことだから、検察庁の御意思でおやりになるならやられて、その結果無罪になってもけっこうだ、何も学生をぜひ有罪にしなければならぬということは考えていない、こういう立場ではないかと思います。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/192
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193・加賀田進
○加賀田委員 その説明通りであれば非常にけっこうだと思うのです。
それでは京都駅で井上さんがお会いして、そういう経過報告と同時に、総長からそういう運動をしたことに対して賛同するとの発言があったように聞きましたが、今でも大学当局としては、できるだけそういうことを穏便に解決したいという意思と、それから今後ともそういう努力をする意思を持っておるかどうか。もちろんこれは純理論的にいえば、司法権を持っておるのだから、大学は何と言おうが司法権をもって何でもできる、こういう御発言もあったのですが、先ほどの御発言のように、あたたかい手を差し伸べてこの問題を解決していくのが大学当局としてのとるべき道だ。だからそういう問題については、今なおそういう意思を持っておるかどうか、今後もそういう意思に基いて行動されるかどうか、その点を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/193
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194・井上吉之
○井上参考人 おっしゃる通りでございまして、もちろん意思を持っておりまして、事実おそらくもう実刑は課さないだろう。かりに有罪になっても執行猶予はつくだろう、またつくべく努力したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/194
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195・加賀田進
○加賀田委員 それからさいぜん肋骨を三本折られた問題で、野原君からいろいろ質問がありましたが、新聞によりますと、腰が痛いということで、世界法学者会議に出席中にそういう感じがあったと言っておりますが、井上さんのお話では横腹が痛いというような御発言ですが、せきをしたら腰が痛くなった、それから各会議あるいはギリシャ、イタリア、ドイツに回ったときには、自動車へ乗ると腰が痛いと思っていたというお話でしたが、最近は横腹に変更されたのか、ちょっとお聞きしておきたいといと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/195
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196・井上吉之
○井上参考人 私は医者ではありませんから、私が診断したわけではありませんが、腰も横腹もわれわれから言えば助骨の端のところだと思っております。これは診断書がきておりますから、診断書の御発表を委員長に請願されて、医学的立場から見たのをごらんになることが一番いいのではないと思います。私どもしろうとでございます。今ばんそうこうの大きいのを張りましてぶらぶら離れているのを固定している最中らしい。固定してしまうといいらしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/196
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197・加賀田進
○加賀田委員 新聞その他で私の知った範囲では、外遊中に腰が痛いというのを感じたということだったのですが、今井上参考人の話では、横腹が痛いという発言をされたので、総長としては最近横腹が痛いと言い出したのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/197
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198・井上吉之
○井上参考人 それは私よくわからない。横腹と腰の差が、どの辺から腰といいどの辺からを横腹というのか、肋骨に番号があって十、十一、十二の三つの助骨が離れておった。二本だけは癒着した。一本はまだ離れておる、こういう実情らしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/198
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199・加賀田進
○加賀田委員 井上さんは三月三日にもあるいは輔導会議のときにも出張中で、内容については御質問いたしましても無理だろうと思うので、質問は省略いたしたいと思いますが、最後に同学会の問題で再建問題について質問いたしたいと思います。
大学当局としては、同学会の今度の問題あるいは昨年の十一月の事件等に対して非常に批判的であり、同学会が正常な姿に戻ることを望んで解散を命じたと思うのですけれども、今度起った問題、十一月の問題は別といたしましても、学生側としてはやはり自治組織として同学会をどうしても作りたいという意見が非常に強いと思うのです。一般共同社会に出たときの人間としての修練の場所として、やはりそうした組織を持っていろいろな運営あるいは行事をやっていくことも私は必要だと思うのです。そういう意味で今後同学会という名前は別といたしまして、そういう自治組織を学生が作ろうとする場合、その目的組織等が非常に民主的であり、なお自治組織としての目的を達するというようなことが確認されたとしたら、学校当局が今後これを承認するというだけの寛容な気持があるかどうか、また井上さん自体の意見をも伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/199
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200・井上吉之
○井上参考人 現段階の京都大学の空気は、一般的に見ましたら同学会再建はまだ尚早だ、もう少し時期を見て、学生の反省もずいぶん出ておりますが、規則の上においても少し時期を待たなければいけない。尚早論が一番有力です。私個人では、総合大学が大きい大学であればあるほど全学的な自治組織というものは必要であると思います。これはりっぱな一つの完全教育の一斑だと思います。ボールドの前ばかりの講義ではいけません。むしろ全学的な組織が非常にうまく運用されてこそ大学教育は完全にいくのだ。そういう点は東京大学とは見解を異にしておりまして、東大にはそういうものはない。京都大学はそういうものがある方がいいという建前で、初めは学友会といったのですが、最近は同学会として、私はずっと関係しておりましたが、今解散しておることは非常に残念ですが、いつかは全学的な自治組織が生まれてこなければならない、生まれさせなければならない、こういうふうに私個人は考えております。しかし現在の空気では尚早という状態です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/200
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201・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 米田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/201
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202・米田吉盛
○米田委員 簡単に井上教授にお伺いいたします。今高橋君が、今度いろいろああいう闘争をやったのは、大学を本来の教育の場として取り戻すためである。それには事務の方が大へん発言が強くて学生の処分についても教授の発言でなく、実は事務の方の発言がイニシヤをとってやられるのだ、こういう発言がございましたが、これは事実でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/202
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203・井上吉之
○井上参考人 これは、学生の高橋君は愛する弟子の一人でございますが、それの見解がそう印象づけただけでございまして、事実大学の運営におきましてもそういうことはございません。組織の上におきましても事務官に大学が牛耳られたらアカデミック・フリーダムというものはゼロでございます。京都大学の長年の歴史はそういうことがないことを裏づけていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/203
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204・米田吉盛
○米田委員 それから「京大生活のしおり」これはごらんになっておると思いますが、これらの「あいさつ」というところに「官僚支配の強化、教育予算の削減とあいまって学問の軍事化、御用化がおし進められています。」その前にもあとにもこういったような書き方、先ほど同僚の高村君が質問いたしましたような偏向な思想の持ち主でなければ使わないような言葉が随所に表われている。天皇の問題のところにも表われているのですが、こういうような記事の事実をお認めになるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/204
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205・井上吉之
○井上参考人 事実を認める部分もありますし、認めない部分もあります。そういう言葉の使い方が先ほどどなたかが御質問になりましたように、共産党の新聞にあるような言葉を使うのが、学生はそんなに好きなんです。それが革新派であり進歩派であるように見えるのです。一つのゼスチュアである。従って学生時代にずいぶん矯激なことを言い、矯激な思想の持ち主だと思うような子が、卒業して社会に出て会社員になると、非常に温順な保守派になる場合が多いのです。若いときにはそういうことが好きなんです。そういう言葉を使うことが何だか青年らしいと思っているのです。その点は大学当局はおおらかに見るベきだと思います。ただそういうことによって学生のとる行動が大学の規則を守らず、集会規定を打ち破るということは看過できない。悪法といえども順法精神を涵養することが今の大学教育に非常に必要だと思います。そういう点でときどき衝突が起るのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/205
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206・米田吉盛
○米田委員 大へんおおらかな点はある意味においてはけっこうだと思います。しかしそのあまりにおおらかな結果今度の事件が起ったのではないかと思う。世間では京大が学生自治会赤化の本山であるように考えて、大へん迷惑がっておる向きも私聞くのであります。そこでこのしおりというのは学校でお出しになっている便覧と並んで学生のトラの巻のような性格のものだろうと思うのであります。そのしおりの中に名はしおりにかりて実は偏向思想の宣伝と見られる節が、われわれが公平に見る場合にはあまりに多いのです。こういうものを出していることを今のようなおおらかなお気持のためでしょうが、放っておかれるからこそ、さっきから総長をけったとかなぐったとか、折れたとか折れないとか変なことを言っておりますが、天下東西を通じてこんなばかな事件は私はないと思う。そういう問題が起ったのはこんなところから出発しているのではないか。それから思想が極端な左翼であって、それから出発したいろいろの行動というものは表面に表われた行動だけで律しては私はいけないと思います。そういうことを考えていきますと、今同学会というものは解散されているとおっしゃるが、その学生の大部分在籍しておるわけですから、いずれ何らかの形で学校といいますかあなた方の訓育の裏をかいていろいろの目的を達するだろうと想像するのであります。こういうようなものは来年から学生便覧の中に一括なさって、もっと学校の権威ある、だれが見ても学園の中立性を守りそうな筋で書いたものをお出しになる御意思があるかどうか、総長や学生部長でないからどうも言えぬとおっしゃるならばそれまででありますが、私が京大にむすこを入れようという今日、これらの点に非常な恨みを抱いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/206
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207・井上吉之
○井上参考人 お説ごもっともでございます。このしおりは大学で公認をしておるのではないのです。それだからこれは大学が持ってきたのではないのです。これはあなたはそうおっしゃいますけれども、今の社会層はとうとうと動いておるのです。従って右か左か言い切れない点がある。だからある方面から言えば、お前は非常に右に寛大じゃないか、またある方面から言えば、お前は非常に左に寛大じゃないかという意見も両方から出ておるような始末ですが、大学輔導ということがいかに困難であるかという事実を示しておるのです。その点は御了解願いたいと思うのです。われわれはあくまでも政治的に中立な、むしろ学生が政治に関すること——選挙権を持っておりますから、個人の思想は何を持とうがよろしいが、団体としての行動は中正でなければならぬということを極言してやっておるわけであります。その点の苦衷も了としていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/207
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208・米田吉盛
○米田委員 大へん遠方からおいで願って御迷惑ですが、同学会というのは今まで公認せられておった、それが出しているものを学校は知らぬとおっしゃるのは無理ですよ。滝川さんも法律学者だからどういう気か知りませんが、詭弁です。同学会という学校公認の自治会がこういうものを出しておる、これはやはりだれが考えても中正を失しておりますよ。右翼なんか一つもありはしない。必要のないようなことがこれによって教育、宣伝、訓練されておる。だからこういう学校公認の団体が出すパンフレットその他のものをもっと中正なものに学校がアドヴァイスなさって、そこまで持っていかなければならない。総長をけったとかなぐったとか、天下に忌わしい問題が起るのはそこから出発しておるのです。ところが大学が甘過ぎるとおっしゃったのはまさにその通りだと思います。これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/208
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209・井上吉之
○井上参考人 おっしゃるそのしおりも、同学会のような出版が——矯激なことまでやらしたのかというと、それが実際なんです。非常に範囲が広く、そういう点は今の社会と大学は一緒です。その点を御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/209
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210・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 ちょっと委員長より井上参考人にお願いしたいのですが、いろいろ世間ではうわさもあるし、それから滝川総長じかから言葉を聞かなければどうも判断がつかないというような事件がありまして、わざわざ総長をお呼びしたのですが、病気のために出られないということでまことに残念でありますが、どうもわれわれが外部の新聞記者なんかに聞きますと、総長は日本の学生が乱暴をしたということをシンガポールやアテネの会議で言われたということを友人から聞いたのですが、国際的に関係あるということで、非常に井上先生も御心配なさっております。自分の学校の生徒がどういうことをしたか知らないが、どこまでが真相かわからないが、乱暴したことを外国まで行ってしゃべられることについては非常に遺憾に思います。もう一つは学生の身分の問題でありますが、学校は、乱暴したのだから処分してもしようがないといわれますが、年若い学生である、きょうも参考人として高橋君が来ておりますが、非常にまじめで、せっかく京大に入っておられるので、特に中には両親がないために苦労して京大に入ったまじめの人もある、こういう人の境遇を考えると、学校は処分すればいいが、この人たちはこれから世の中を渡らなければならない責任があるわけであります。そういう点で京大事件を二度も取り上げたといういろいろの事情もありますけれども、やはりもう少し愛情のある形で努力していただきたいという考えを持っているのでありますが、その点井上先生もなかなか同情あるお言葉もあるのでありますが、学校ではそういうことについて多少寛大の処置をとられるような方法も御考慮願えるかどうかということを、ちょっと委員長からお尋ねいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/210
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211・井上吉之
○井上参考人 仰せられるまでなく、私たちこの問題でこういうところへこの暑いのに引っぱり出されただけでも、ずいぶん私は処罰を受けたような気がしますが、おっしゃる通り大学は寛大の処置をとらんがために憂慮しておった。ただ先ほども申し上げましたように、滝川教授は、総長は非常にものをはっきり言われる人であるから、ともすればそれがきつく伝えられているということであって、ほんとうに裸になった滝川という人は、私心やすいのだが、そんなにきつい人じゃないのであります。起訴されておりますけれども、今委員長が仰せられたような方向に大学ができるだけ寛大の、法廷の問題になりましても、そこをうまく寛大な措置のできるように努力は続けたいと思っております。その点御安心願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/211
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212・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 滝川教授は昔滝川事件を起した人であります。今はそのときの文部大臣が総理大臣になっているような次第でありますから、今昔の感にたえないわけであります。どうかそういう点も十分お認め願って、将来学生のためにもぜひ一つ寛大の処置を考えていただきたいということをお願い申し上げておきます。
なお参考人の方々には非常に暑さの折からわざわざ遠いところからおいでになり、しかも長時間非常に貴重な御意見をお述べいただきまして、厚くお礼を申し上げます。
次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。
午後二時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X02919550726/212
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