1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十五日(水曜日)
午後一時四十一分開議
出席委員
委員長 世耕 弘一君
理事 山本 粂吉君 理事 三田村武夫君
理事 福井 盛太君 理事 古屋 貞雄君
理事 田中幾三郎君
椎名 隆君 高橋 禎一君
長井 源君 小林かなえ君
林 博君 生田 宏一君
横川 重次君 神近 市子君
佐竹 晴記君
出席政府委員
警 視 長
(警察庁刑事部
長) 中川 薫治君
法務政務次官 小泉 純也君
検 事
(大臣官房調査
課長) 位野木益雄君
法務事務官
(矯正局長) 中尾 文策君
文部事務官
(大臣官房総務
課長) 田中 彰君
委員外の出席者
文部事務官
(社会教育局社
会教育課長) 蒲生 芳郎君
厚生事務官
(児童局養護課
長) 渥美 節夫君
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局総
務課長) 磯崎 良誉君
判 事
(最高裁判所事
務総局人事局
長) 鈴木 忠一君
専 門 員 村 教三君
専 門 員 小木 貞一君
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六月十五日
委員石田博英君辞任につき、その補欠として今
松治郎君が議長の指名で委員に選任された。
本日の会議に付した案件
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五三号)
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出第九五号)
(予)
法務行政に関する件
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001・世耕弘一
○世耕委員長 これより会議を開きます。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を、一括して議題といたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。古屋貞雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/1
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002・古屋貞雄
○古屋委員 職員定員法の一部改正法案について御質問申し上げたいと思うのですが、この定員を減員する理由は、ここに御説明のように行政の簡素化だけにあるのですか。それとも予算の関係などもやはり相からまってなっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/2
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003・位野木益雄
○位野木政府委員 御承知のように、昨年行政機関職員を含めまして政府全般の職員の行政整理があったのであります。その理由は、行政事務の簡素化ももちろんございますが、今仰せられました予算の節減ということも、もちろん大きな理由になっております。裁判所の職員につきましても、昨年すでに四百二十名減少することにいたしまして、法案を提出してすでに成立したわけでありますが、ことしの分は、それに引き続きまして二百八十人をさらに整理しようというのであります。一般行政機関の職員につきましては、御承知のように昨年一回で整理を完了したのであります。これは例外もございますが、原則として昨年一回で整理を完了したのでありますが、裁判所の職員の分につきましては、これは去年一回だけで済まさずに、ことしに持ち越したのであります。その理由は、二回にした方が整理がしやすいということもございましたし、それから昨年大よその整理の規模は定めておったのでありますが、数を確定することができなかった。と申しますのは、その後の事務の状況などをにらみ合せて確定したいというふうなこともございまして、ことしに持ち越して二百八十人をさらに減少するということにいたしたのであります。整理の趣旨は、昨年の政府機関全般を通ずる定員の整理と全然同じものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/3
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004・古屋貞雄
○古屋委員 私ども実際に裁判所の事務に関与いたしまする者から考えますならば、一般行政官庁と違って非常に慎重に仕事をやらなくちゃならぬ関係から、裁判所の職員は他の行政官庁のように、右から左に簡単に補填がしにくい特殊な事情があると思う。というのは、普通の官庁の事務と違いまして複雑な関係、しかも総合的に裁判に関係をするような、あるいは検察審査会の事務にいたしましても、相当訓練をしてなれて参らなければ、その仕事の能率が上らないような特殊な性格がございますので、一般官庁と同じような行政整理をされる仲間入りをいたすというようなことについては、非常に私ども国民として考えさせられるのです。従いまして、今の御答弁によりますと、昨年の整理を本年に持ち越されてきたというような御説明がございましたが、昨年の改正のときにも、私どもは、特に裁判所の職員は普通行政官庁の職員とは違って特殊な訓練が必要なんだ。従ってかけがえが簡単には得られない。相当の間の訓練を必要とするような性格を持った仕事であるというような建前から、努めて減員しないようにという希望を申し上げておいた。なお実際上の裁判所の仕事から考えますと、司法事務がだんだんふえて参りまして、むしろ私どもはもう少し増員されて、敏速に裁判所の仕事を解決していただく。そうしなければ、一方においては国民生活の基礎となる経済事情が非常に急テンポに変って参っております。従って経済上の争いなどに対する仕事は、早く解決していただかなければ、裁判をしていただきましても目的を達することが非常に困難な状況に置かれている。従って裁判所の上告制度の機構改革などにも、相当に国民から要望がございますような関係からいたしまして、私どもはできれば裁判所の職員の減員をするような法律改正については、特段の考慮をいただきたい。かように昨年の改正のときも申し上げておったのでありますが、かような改正をいたします場合に、行政官庁と同じように、右から左に一律にやられるということについては、どうも私ども納得がいかないのですが、行政官庁の整理の条件と裁判所の職員の整理の条件は、やはり同じような条件になっているわけでしょうか、それとも何か特別に条件の変った点があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/4
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005・位野木益雄
○位野木政府委員 裁判所の事務が非常に特殊なものでありまして、特に本来の裁判事務の関係におきましては、事件も非常に増加いたしておりますので、一般行政機関並みにこの職員を整理するということは、適当でないことは仰せられる通りと思います。前回及び今回の整理を通じまして、本来の裁判事務に従事する裁判所職員は、これは減員の対象にいたしておらないのであります。ただ本来の裁判事務以外の司法行政事務と申しますか、一般行政機関の職員と同じような行政的な仕事をしている職員、これにつきましては、やはり一般の行政機関の職員とそう違った取扱いをするということはいかがかということが考えられます。そういう趣旨から、裁判所職員についても整理を行うことになったのであります。しかしながら裁判所の司法行政事務の整理についても、一般行政機関よりは整理率が低いのでありまして、昨年及び本年度の整理を通じまして、整理率は約三・四%、これを一般行政機関の整理率に比較いたしますと、一般行政機関の平均は四・七%、約五%近いことになっておりますので、整理率も相当低いということに相なっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/5
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006・古屋貞雄
○古屋委員 裁判所の職員定員法の一部改正はしばしば行われて参りましたが、その変遷の歴史ですか、変遷の経過ですか、どういうような理由で、どういう工合に減員されてきておるか、あるいは増員された場合もありましょうし、その変遷の要点だけをお示しをお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/6
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007・位野木益雄
○位野木政府委員 裁判所の職員につきまして、裁判所法及び裁判所職員定員法施行以来減員がありましたのは、昭和二二十六年の行政整理の際と今回の行政整理の際と二回きりでありまして、それ以外は、むしろ増員関係でしばしば改正を行なったということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/7
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008・古屋貞雄
○古屋委員 できますれば増員の当時はどんなパーセンテージで増員しておるか、それから減員されました。パーセンテージは二十六年はどの程度であったか、昨年度と今年のはただいま御説明がございましたので、二十六年のときのパーセンテージも参考までにお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/8
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009・位野木益雄
○位野木政府委員 増員の部分は、全般的に増員したということはないのでありまして、大体家庭裁判所の事務の関係というような、事務の増加に伴うものがおもなものであります。減員の方は昭和二十六年も非常に少いのであります。その数字は今手元にございませんが、あとでお手元にお届けいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/9
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010・古屋貞雄
○古屋委員 昨年は四百二十人の減員になっていまして、本年度は二百八十人なんですが、両方合せました減員をすることによってどのくらいの予算が節約されることになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/10
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011・位野木益雄
○位野木政府委員 約四千百五十五万円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/11
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012・古屋貞雄
○古屋委員 今回の改正の中で一番減員されて参りますのは、検察審査会の職員がだいぶ大きく減らされておるのですが、最近のように社会の生活が複雑になって参りまするし、いろいろと犯罪の内容も複雑になって参って、従って検察審査会は憲法で保障される人権擁護の建前から申しますならば、むしろもっと相当な人員をふやして、完璧を期するような、審査会のお仕事を敏速にしていただかなければならぬような状況になっていると考えられるのです。従いまして、特に今回の検察審査会の職員だけが二百八十名のうちの百八十九名ですか、非常にパーセンテージが多いのですが、何かこれには理由がございますのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/12
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013・位野木益雄
○位野木政府委員 検察審査会の機能というものは非常に尊重すべきものであって、これを育成すべきものであるということは御同感でございますが、今回の整理で、検察審査会関係の人員の整理が非常に多くなったということは、これに矛盾するようでございますが、これは決して検察審査会の事務を軽視しているという関係ではないのでありまして、裁判所の現在の事務の状況及び検察審査会の現在の事務の状況を比較いたしますと、どうしても検察審査会の方が比較的手がすいておる、事務に余裕があるということは現実の事実なんです。それで、職員の整理に際して、いかなる部門からいかなる人員を減らすかということを考えますときに、やはり検察審査会を入れまして裁判所の所管する機関全体の中からどういうふうな減らし方をすれば、全体としての機能を阻害することが最も少く済むか、人員の整理による影響を最も少くさせるにはどうすればいいかということを考えますと、自然そちらの方に行かざるを得なかったというふうな結果になって、こういうふうなことになったのであります。趣旨としては決してこれは軽視するということではございません。のみならず、専任の職員は一応検察審査会として別に定まってはおりますけれども、事務の繁閑に応じまして、裁判所の一般職員の応援、事務の手伝いというふうなこともいたすことができますし、またいたしておりますので、事務には支障がないということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/13
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014・古屋貞雄
○古屋委員 どうも今の御説明は実情とはおよそ反対のような御説明になると思うのです。実は検察審査会というものはだいぶ人がたくさん寄りますので、人の整理、人の集合、それに基くいろいろな調査ということになりますので、下調査や補助的な仕事が多い仕事なんです。従って私どもは、これだけよけい減らされる点については、今の御説明ではどうも納得がいかないのです。といいますのは、この仕事は、あまり熱心にやらずに大体の結論を早く出してしまえばそれでもできる仕事なんです。しかし非常に熱心に検察審査会がこの仕事を取り上げて、御調査願った結果の結論を出すということになりますと、相当労力が要る、こういうような性格を持っておる仕事でございますので、むしろ私どもはふやしていただかなければならぬ。そうして検察審査会の本質並びにその機構の目的についての宣伝が国民に行き届きまするならば、さらに忙しい業務になってくるのだという傾向がございますので、この点について、用人並びに給仕という数があまり多いのです。百十四人というのは用人並びに給仕でありますが、この点は私は非常にたくさんの人の集合を願い、たくさんの人の審査に基く仕事でありますから、やはりこれは人が要るのじゃないか、こう思いますが、これでもさしつかえないというお考えなのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/14
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015・位野木益雄
○位野木政府委員 ごもっともな点もあると存じますが、何と申しましても現実の事件の数はきわめて少いと申して差しつかえないと思うのでありまして、年間の検察審査会の受理件数は全国を通じまして千件余りということになっておりまして、多いところでも年間三十件程度でございまして、東京第二が最も多いのでありますが、二十四年に設立されまして以来の合計数が百三十件ということでございまして、最も多い年の二十六年が三十二件、二十七年が二十二件、二十八年が十七件、二十九年が十四件でございまして、件数が非常に少い。それから少いところでは年間一件もないところもございます。そういうふうな実情でございますから、常時職員を固定させて置いておくということは、やはり国家の財政状態等とも勘案いたしまして、現在のところではやはりこれは不適当ではなかろうかというふうに考えられますので、特にこれによって検察審査会の機能が阻害されるということはないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/15
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016・古屋貞雄
○古屋委員 そうしますと検察審査会を軽視したという意味ではないのでございますね。私はもっと検察審査会の機能なり活動が活発になって参りまして国民にそれを浸透させる面が相当あるのじゃないかと思うのでありますが、これはやはり軽視したという意味でなくての減員という御趣旨になるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/16
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017・位野木益雄
○位野木政府委員 仰せの通り軽視いたしたものではないのでありまして、将来件数がふえてくるということでございますれば、もちろん専任職員をさらに増加するというふうなことでまかなっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/17
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018・古屋貞雄
○古屋委員 ただいま本法の改正の理由の中に、主として司法行政事務の簡素化、かようなことがうたわれておりますが、この簡素化された具体的な事例はどういうことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/18
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019・位野木益雄
○位野木政府委員 今司法行政事務の簡素化として考えておりますことは、たとえば下級裁判所から提出させることになっております統計その他の報告事項の簡素化、あるいは訟廷課というものがございまして事件の受付とか証拠品の取扱い、記録の保存というような事務がございますが、そういうような今まで訟延課で扱っておった事務を裁判事務の方に統合するというふうにしまして、能率化をはかるというようなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/19
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020・古屋貞雄
○古屋委員 その点はよくわかりましたが、なおお尋ねしたいのは、これだけの職員が減って参ります場合に、どうもこういう下働きをする者が減って参りますと、裁判をする判事さんのお仕事の上に支障を来たすようなおそれがあるのではないかと懸念いたします。特にこの表を拝見しますと最高裁判所の技術雇四人、事務雇の九人、この十三人を減らすことによって、あるいは高等裁判所の九人、地方裁判所の四十五人を減員することによって、裁判の面に相当影響があるように考えられますが、かような点は影響がないという科学的な御調査でもなされた結果のものでありますか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/20
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021・位野木益雄
○位野木政府委員 御心配はまことにありがたいのでございますが、今回の整理の数は比較的少数でございまして、最高裁判所の技術雇の四人、これは技師の補助のようなことをやっておるわけであります。それが今二十九人おりまして、二十九人のうち四人を減らすということでございますが、これは一カ所に集まっておる人間でもございますので、この程度の整理ならばそれほど事務に支障を来たさないということを考えております。それから事務雇についても、最高裁判所の事務雇は九人でございますが、これも総数は最高裁判所に相当ございますから、さしたる支障を来たさない、これは各地方——東京地方裁判所、家庭裁判所あたりはいずれも合計としては四十五とか十七とか十ということになってたくさんございますが、全般的に割り当ててみますと、これは一人、あるいは一人に足りないということでございますので、事務にはさしたる影響はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/21
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022・古屋貞雄
○古屋委員 最初雇い入れます場合にはそれぞれ必要があって雇い入れておるのでございまして、ことにこれらの人は直接裁判に関係をする方たちであると私は信ずるのでございます。ただなぜ私がただいまのような御質問を申し上げたかと申しますと、最高裁判所では裁判官には全部秘書官がついておる、これを私はやめてもらいたいと思う。というのは、普通の行政官庁では訪問客も多いし、いろいろ雑務も多いのでありますから、秘書官が必要かもしれませんが、最高裁判所の判事を訪れるという人は、おそらく一年に数えるほどしかないと思う。判事さんのお仕事をお手伝いするという立場から申しますれば調査官もおる。こういうことを考えて参りますと、最高裁判所で最初に整理の対象になるべきものは秘書官である。しかるにこういうことをお考えにならずに、現在直接裁判に関係を持つ人々を整理される、直接裁判に関係なく、しかも最も高給をもらっておる秘書官の整理をなさらずに、かような方面の整理を行なっていくということはどうも見当違いではないか。しかも最近全国からの裁判所に対するいろいろとかくの批評は裁判がおくれて困る、結審をしてから半年も判決が回ってこない。それから裁判所に書類を出しましても、一回の口頭弁論が三月もかかる。こういうようなことで相当私どもが窓口に行き、係の者に尋ねますと事件が多過ぎるんだ。やはり人間には一定の能率そのものの限度があるもので、まことにやり切れないという方面もあるらしい。そういうことから考慮いたしますと、私は秘書官などをやめていただく、この制度をやめていただくようなことによって整理されていくというようなことが、むしろ裁判所の現在の事情といたしましては適切ではないか、こう考えるのですがいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/22
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023・位野木益雄
○位野木政府委員 最高裁判所の裁判官の秘書官でございますが、これは裁判事務以外の最高裁判所の裁判官の事務の補助をするという趣旨で、これは裁判所法の施行後になって、この国会でそういうふうなものを置く必要があるということで設けられたように記憶いたしております。なるほど裁判事務には直接関係いたしませんが、裁判事務以外にも、最高裁判所の裁判官といたしましては司法行政の最高の責任者としての責務もございますので、これはかなりあり得るわけでございまして、かりに秘書官という仕事は、そういう官職を特に置かなくても、何らかの意味のこういう仕事をする人が必要ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。第一線の裁判事務のもう少しの能率化及び職員の増強ということは仰せられる通り十分考慮しなければならないことと考えるのでありまして、今回の整理も裁判事務には影響を来たさないようにということを十分考慮いたしまして、この程度にとどめた次第であります。今後におきましても十分その点に努力をいたすということは当然と思われるのであります。この席にちょうど裁判所からもおいでになっておりますので、あるいは裁判所からもお答えいただければけっこうだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/23
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024・鈴木忠一
○鈴木最高裁判所説明員 ただいま位野木君から説明がございましたので多くつけ加えることはございませんですが、確かに裁判所の固有の事務として裁判事務を尊重すべきで、そうしてそれの職員を増加し、仕事を能率化して、裁判面においてスピードの実をあげなければならないという御意見はその通りで、これに対しては毛頭意見をさしはさむべき点がないと存じます。それでありますから、さいぜんも位野木君から説明がありましたように、この今回の整理について本裁判系統の書記官、書記官補、調査官というような官職の整理は全く除外をして、いわゆる行政事務面の職員のみを対象とし、そしてそれによって裁判面に対する影響というものは皆無かと御質問を受けますと、もちろん皆無とは言えませんけれども、現在の状態と比較してそう遅延とか阻害的な事実が起らない程度でやっていけるという見通しで、こういう案になっておるわけでございます。ただいま御質問になりました最高裁判所の秘書官を廃すということも考慮できるではないかというお説でございます。これはただいまも申し上げました裁判面のみを特に重点を置いて考慮いたしますと、そういうことも言えると思いますけれども、最高裁判所の裁判官も、やはり固有の裁判事務以外の行政事務もございますし、それから訪問者の話が出ましたけれども、一年に一回くらいのわずかな訪問ではないかというふうにおっしゃられましたが、私どもが最高裁判所の事務局におって見ておると、必ずしもそうではなく、やはりいろいろな方面から連絡もあるようでありますから、そういう方面の事務も片づけなければなりませんし、行政面の事務のみならずやはり裁判事務に若干連絡を持った書類の整理とか、参考書の編纂とか、そういう方面も調査官に一々頼むほどのことでない、さまつなことを、やはり裁判官の身近にあってやるような人間がどうしても必要な面があると存じますので、最高裁判所の秘書官の全廃というようなことは、ちょっと無理かと存じますけれども、なおそういう点についても考慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/24
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025・古屋貞雄
○古屋委員 私どもは将来裁判所の機構を改革される場合に、やはりそうした点を相当これは考慮していただかなければならぬと思いますので、どうか固有の裁判事務に関係のない、ただいま申したような秘書官に対する問題は今後人員整理の場合に考慮していただきたいということを要望いたしておきます。
なお最後にやめて参ります者に対する生活保障の問題なんですが、特に附則に書いてあるようなことがございまするが、これは定員外の職員として月給を支払ってやるという御意図のもとの規定でございましょうか。これ以外に特別に公務員としての退職手当というようなことについての問題は、原則としてはどうなっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/25
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026・位野木益雄
○位野木政府委員 今度整理される職員の手当でございますが、これは九月までに徐々に整理されていくということでありまして、退職後さらに月給を支払うということはないのであります。これは一般行政機関の職員の場合と同様なのであります。ただ退職手当が普通の場合に比べまして二倍支給されるというふうなことになっておるわけであります。なおつけ加えますが、このたびの裁判所の整理は、意に反してやるということまでの必要はない。任意の自然退職を待つ程度で十分可能ではなかろうかというふうに見込まれておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/26
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027・古屋貞雄
○古屋委員 申し上げるまでもなく、裁判所の職員の従来の給与が、他の行政官庁よりも少し低い状態に置かれておりますので、やめていかれる方たちの生活の保障ということは、特に御考慮を願わなければならぬことでありますが、大体ただいまの御説明で安心いたしましたのですが、特別にこの規定によってやめさせるというようなことをいたさなくても、本人の希望によって退職させるということでこの目的は達せられるという、ただいまの御答弁と承わってよいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/27
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028・位野木益雄
○位野木政府委員 さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/28
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029・古屋貞雄
○古屋委員 もしそういう場合にあらずして、やめさせるというようなことになりますならば、私どもは特段な御配慮を願って、そして生活の保障もある程度まででき得る範囲の措置をしていただくことを要望して、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/29
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030・世耕弘一
○世耕委員長 椎名隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/30
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031・椎名隆
○椎名(隆)委員 今の問題に関連してちょっと伺いたいと思うのですが、裁判事務に直接関係のない連中だけを減員する、そうすると裁判の審理はどうなりますか。審理するについて差しつかえを来たすか来たさないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/31
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032・位野木益雄
○位野木政府委員 裁判事務に直接携わっておる職員を今度の整理では整理しないというわけでございますから、裁判事務が今までよりも遅滞する、事件の処理が延びるという事態がこの整理によって引き起されることはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/32
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033・椎名隆
○椎名(隆)委員 今かりに私たちから秘書をとった場合、一切の仕事を自分自身がしなければならないとすれば、非常に事務は渋滞を来たすわけです。それと同じように、裁判事務に直接に関係する書記連中を助けていく人がなければ裁判事務というものは決して進行するものではないと思うのです。この点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/33
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034・位野木益雄
○位野木政府委員 その点はごもっともでございます。司方行政事務に携わる者と言いながら、やはり間接には裁判所の事務の一部を担当しておるのでありまするから、裁判事務に全然影響がないと言われますと、ないとは断定いたしかねると思うのでありますが、ただ裁判所内におきましては、裁判事務に直接従事する裁判官以外の職員といたしましては書記官がおります。書記官の系統のほかに事務官がおりまして、それは事務局の方に大体集まっておるわけでありますが、これは二つの系統に分れておるようでありまして、裁判事務の関係の職員を減員しない、そして行政事務の関係の職員だけを減員するということにいたします場合には、直接裁判事務の担当者自体には影響がないわけでございますから、その影響が比較的少い、大したものではないと考えられる、そういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/34
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035・椎名隆
○椎名(隆)委員 目下どこかの裁判所と直接減員について何か話し合ったことがありますか。たとえば東京地方裁判所とかあるいは千葉地方裁判所において、この庁においては何名何名減らすのだというようなことをその責任者と話し合ったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/35
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036・鈴木忠一
○鈴木最高裁判所説明員 この減員の法案が通った上、全国の定員と減員の実情を見て、そして甲の裁判所で何名、乙の裁判所で何名というような案を事務局で立てて、それを実行していいかどうか、実行できるかどうか。この程度で裁判事務に支障を来たすようなことはないのかということを現地と話し合って実行しておるのが今までのやり方です。でありますからこの法案が通って二百八十名の減員をするということが確定すれば、おそらく従来と同じようにそういう方法で減員することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/36
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037・椎名隆
○椎名(隆)委員 たとえば八日市場地方裁判所支部とかあるいは千葉の地方裁判所あたりへ行って事務があまりに進行しないので文句を言うわけです。文句を言うと、今でさえ人が少いのにこれ以上また減らされなければならないのかということをよく責任者が言うのです。あなた方は裁判所あたりへ直接行かないで、ただ単に文書のやりとりだけでそういうふうに決定なさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/37
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038・鈴木忠一
○鈴木最高裁判所説明員 もちろん文書のやりとりはいたします。けれども全国の裁判所の支部までに実情を一々調査して、現地へ臨んでなるほど多い少いというようなことは原則としてしません。それは各地方裁判所ないし家庭裁判所管内の単位でバランスをとって、そしてここが幾ら、かしこが幾らというようにやっております。ですからたとえば千葉の例をとりますれば、かりに千葉に減員の割当を二名というようなことになって、その二名をどういうように千葉管内で消化するかということになれば、それは千葉の地方裁判所ないし家庭裁判所の実情を千葉の裁判所で勘案をして、それでは八日市場以外のところを選ぼうとか、千葉自身を選ぼう、減そうというようなことをして落ちついておるのが今までのやり方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/38
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039・椎名隆
○椎名(隆)委員 そうすると、これだけの人員を減らしても事務には支障がないということになれば、今まで雇っておったのはいわばむだに雇っておったことになるのではないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/39
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040・鈴木忠一
○鈴木最高裁判所説明員 事務に支障がないというのは、言葉をかえて言えば、固有の裁判事務については支障がないということを私どもは確信しておるのです。御承知でもありましょうけれども、裁判所へおいでになりますと、書記官がいる部屋と、それから通常の別の事務官のいる部屋がございます。書記官のいる部屋には書記官、書記官補の下に雇がおり、雇見習いがおり、あるいは給仕がおります。そういう書記官の系統の部屋にいる今申し上げましたような人数の中で、たとえば給仕一人取る、雇を一人取る、こういう結果になれば、おそらく送達の事務とかいうような面からいって支障がすぐに生ずるでありましょう。これは言うまでもないことでありますけれども、書記系統でない方の、たとえば会計の方の事務とか、さいぜんも問題になりました検察審査会の事務であるとか、そういう裁判所の組織でありますから、因果関係をたどればみんな有機体に動いておるのですから、どっかが一つ欠ければ固有の裁判事務に影響があるじゃないかとおっしゃれば、それはないとは言えないと思います。しかしその因果関係もかなり直接した部分と遠い部分があると思います。たとえば検察審査会のごときは重要な役割をしておりますけれども、固有の裁判事務とはほとんど没交渉でございます。だからそういう点を若干減らしても国有の裁判事務で国民に迷惑をかけるようなことはないだろうというように考えおるわでけす。ですからこの減員によって、今まで要らない者を裁判所がいわば欲ばって定員を持っておったんだということにはならないように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/40
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041・椎名隆
○椎名(隆)委員 先ほど先輩古屋委員がおっしゃられた通り、裁判事務に携わっておる者は一朝一夕には養成できないのです。昔から法務省は予算を取るのは下手だということは全国一般の定評なんです。そうだとすれば、他の行政官庁において人員を減らすからといって、少くとも法務省関係は裁判という特殊な事務がある。国民の権利義務に非常に影響が大きいのです。他の行政官庁と同じように減らしていくというようなことのないように一つ御注意を願いたいと思います。
さらにお伺いいたしまするが、今度の簡易裁判所の管轄区域に関する問題でございますけれども、今度提案せられました管轄区域に関する問題は非常に厖大でありまして、事務当局は非常にお骨折りであったかと思いますが、この裁判所の管轄区域の変更はいかなる基準によってこういうふうな変更になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/41
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042・位野木益雄
○位野木政府委員 御承知のように裁判所の管轄区域は行政区画を基準にして定めております。今回の改正は行政区画の変更によって簡易裁判所の管轄区域の境界線に影響するところ、これを取り上げてその調整をとったわけでございます。行政区画になるべく一致させるという建前でいっておりますし、将来もその方が適当だというふうに考えて、原則として行政区画に一致さ起てある。ごく例外の場合には今までも行政区画の一部を別々の裁判所に管轄させるという場合もございましたが、そういう場合はごく例外の場合でございまして、原則としては行政区画が新しくできたら、新しくできた行政区画に従いまして、裁判所の管轄区域も変更するというふうな工合にいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/42
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043・椎名隆
○椎名(隆)委員 そうすると今度の管轄区域に関する法律の一部改正は、結局行政区画の変更によってその管轄が変ったので、それ以外の原因によって管轄を変更したというようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/43
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044・位野木益雄
○位野木政府委員 行政区画の変更に全然影響のない原因に基く変更というものは、今回の改正の中に含まれておりません。ただ厳密に申しまして、行政区画の変更が直接の原因にはなっていないというものは例外としてございます。これはたとえばある村がAという簡易裁判所の管轄に属しておった。ところがその村とそのA簡易裁判所の所在地に至る途中の村が今回の行政区画の変更によってB簡易裁判所の管轄区域の方に編入されたというふうになりまして、その村がやや孤立みたいな格好になるというふうな場合ができたのでありますが、そういうふうな場合にはやはり不自然ですから、同時にこの管轄をBの方へ変更してもらいたいという意向が強かったのでありますが、そういうような事態はございますが、全然関係のないものはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/44
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045・椎名隆
○椎名(隆)委員 今度の町村の合併は御承知の通り各県とも非常に勧めたんです。合併はできたがまだごたごたの余紛が残っているところがたくさんあるんです。その関係で管轄の変更もただ行政区画の変更があった、合併したんだけれども、そのごたごたがまだ出ておる。おらの方はまだ向うへ行かねえんだという連中も相当残っているんです。この法案の内容はそんなごたごたがあろうがなかろうが、そんなことは関係はないんだ。合併ができた以上それで管轄をきめるんだといって定めたのがありますか。あるいはごたごたがあるために裁判所の管轄区域の中に入らない、つまり裁判所の管轄のない地域というものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/45
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046・位野木益雄
○位野木政府委員 仰せの通り今度の市町村の合併は、市町村の合併促進法か何かの関係で相当府県あたりから勧奨されてできたものがある、その関係で地元に不満を残したままなされた合併があるということは十分承知いたしております。それを今度の法律改正については、十分考慮いたしたのでありますが、ただやはり裁判所の管轄区域も行政区画と一致させる方が好ましいということで、そういうふうになるべくいたしているので、部分的に合併に至るまでの経過において、ある部落の人はその合併についてはあまり積極的ではなかったというようなことがかりにございましても、これがおさまってしまいますればそれまでといいますか、それでもおさまっているということであれば、これは特に今直ちにその部落だけを切り離してどうするということまで考えることはむしろ不適当かと思いますので、ある程度の不満はこれはかりに過程においてあったといたしましてもやむを得ないというようなことも考えるのでありますが、今度の管轄変更についてはその点非常に神経質に調べたのであります。しかしながらその道中においてたとえばこういうのがございます。ある合併がございましたが、やや不自然な部分があるので現在の裁判区域とかそのほかそういう関係については現状のままを尊重してもらいたいということを町村間で了解の上で合併がなされたというふうなことが、九州の八幡の関係でございました。そういうふうなものは極力その趣旨を尊重いたしまして、裁判管轄は変更しないようにというふうなことにいたしまして、この町村合併の無理がそのまま反映するというふうなことは極力いたさないように配慮いたしたのでありまして、そういうふうなものはここに含まれておらないというふうに信じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/46
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047・椎名隆
○椎名(隆)委員 町村の合併によって町が新しい名前になったのがたくさんあるのです。それによって簡易裁判所の名称も変ったんだろうと思いますが、町は変った、しかしながら今まで通りの簡易裁判所の名前で残っているのがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/47
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048・位野木益雄
○位野木政府委員 そういうものはございます。それは神奈川県の三崎ほか七カ所ばかりございます。その原因は、ついでに詳しく申し上げますと、結局町名は変更になりましたけれども、やはりもとの名前の方が非常に世間に通っておる。新しい名前はまだ親しみが少いというので、地元が旧町名の方を存続することを希望するということでございまして、しかも関係機関、地元の間にもいずれも意見の不一致がないというふうな場合には、それを尊重して存置するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/48
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049・椎名隆
○椎名(隆)委員 そういうふうに変更しないのは、地元の意向を尊重して変更しないというが、しかしながら日本全般から見ると、たとえば三崎にあるのに川崎の裁判所、こういうことになると、ほかの連中も非常に迷惑する三崎にあるなら三崎の裁判所としてもらった方が通りもよい。将来、三崎にあるなら三崎の簡易裁判所と名前を変更するような御意向はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/49
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050・位野木益雄
○位野木政府委員 仰せられる通りでありまして、なるべく地名、町名と一致させることは好ましいのでありますが、将来地元においてもだんだんこういう地名になれてくるということも信じられますので、なるべく一致させるようにはいたしたい。ただ現状のままあまり変更するということは、少し時期尚早ということで一応現状のままでおるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/50
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051・世耕弘一
○世耕委員長 他に質疑がなければ、両案に対する質疑は一応これで終了することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/51
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052・世耕弘一
○世耕委員長 次に、法務行政に関する件について調査を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。三田村武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/52
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053・三田村武夫
○三田村委員 昨日の委員会で一応質疑を終了したことになっておりますが、この機会に少年法及び少年院法に関連して、最近特に論議の焦点になって参りました青少年不良化の問題について、二、三お伺いいたしたいと思うのであります。少年法及び少年院法の経過を見ますと、ほとんど毎年のように部分的改正が行われてきております。端的に申しますならば、行政的な事務的な便宜と申しますか、そういう立場からの改正がおおむね多いようにうかがわれるのであります。これは根本の対策というものをもっと真剣に考えなければならぬと思うのであります。きわめて問題が重要でありますがゆえに、本来ならば青少年問題に関係のある法務大臣、文部大臣、厚生大臣、各省の最高機関責任者に出席していただいて、根本的に掘り下げてみたいと思うのであります。しかし今日の当院及び参議院における法案の審議の状況からかんがみまして、なかなかそのことも困難なようにも思いますから、事務当局に対して少しばかりお伺いし、かつ意見を申し述べてみたいと思います。
全体を総括してお尋ねしてもよろしいが、まず警察庁の中川刑事部長にお伺いいたします。最近の青少年犯罪の傾向と、それに対する予防対策、これはどのようなものをお持ちになっておりますか。実はいろいろ立法的処置も行政的処置も逐次お進めになっておるようでございますが、問題の根本は、対策の前提になるものは、やはり原因をきわめることです。最近特にやかましい問題になって参りました青少年不良化防止、この問題に対しては、われわれ政治に志す者といたしましては、最も真剣に取り組まなければいけないと思います。これは一つの役所で全部行われておりませんので、率直に申しますと、だいぶ切れ切れになっているような気がする。この点は、またあとでまとめて関係当局に伺いますが、まず警察庁の方の直接第一線に立って青少年不良化の問題を取り扱っておられるその立場から、最近の青少年犯罪の傾向と、その予防に対して、どのような数字をお持ちになっており、また対策をお持ちになっておるか、まず御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/53
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054・中川薫治
○中川(薫)政府委員 仰せの通り、青少年問題の対策は大へん大きな問題だと思いまして、私ども警察に関する面につきましても、日夜この問題の対策に苦心しております。青少年問題というのは、最後には犯罪という形において出てくる面があろうかと思いますが、本来教育、道徳各般、さらに経済関係といいますか、失業の問題とか、そういうような問題がいろいろありますので、役所的に申しますと、一部局のみをもってしては問題を解決できないという根本的性格を持っているかと思うのであります。こういう点もありますので、政府機関としても、内閣に青少年問題協議会を設置されまして、文部、厚生、もちろん私どもも加わっておるのですが、そういう各省の関係者並びにこの面に関する学識経験者にお願いいたしまして、この問題の対策については、常時会合等を設けて協議、研究なさっていただいておるのであります。
まずお尋ねの犯罪現象でございますが、青少年問題の傾向を見るのに、犯罪の結果だけがすべてを現わすものでないという点を念頭に置きながら統計をとっておるのでございますが、私ども警察当局といたしまして一応青少年の犯した犯罪、この数はわれわれの統計の上にずっと出てきますので、それから申し上げてみたいと思います。
青少年の犯罪の大勢を知るのには何といっても刑法犯が中心になりますので、刑法犯の傾向を見て参りますると、こまかい数字もございますが、大局的の御質問でございますので、その傾向を一つ申し上げて御報告いたしたいと思います。犯罪件数を数字で申し上げますよりもパーセンテージで申し上げた方が、傾向の説明に便宜でございますので、一応私ども便宜のために昭和十六年の犯罪を一〇〇として指数をとって参りますと、その後の青少年の刑法犯の事犯で警察が事件を発見し、警察庁に送った事件は、昭和十七年一二六、昭和十八年一一六、十九年142、二十年一〇三、二十年はご承知の通り終戦の年でございます。二十一年二一二、二十二年一九八、二三年一三六、二十四年二五〇、二五年三〇〇、二十六年三一五、私どもの統計では青少年犯罪は昭和二十六年が現在のところ一番高い年になっております。それから二十七年に参りまして若干減る傾向が出て参りまして、二十七年が二七一、二十八年が二三九、二十九年の方はこの分類でしておりませんので別な報告がございますが、二十九年は二十八年に比し若干減っている、こういう傾向でございます。
一口にこれを申せば青少年犯罪はふえる一方をたどり、二十六年を一番ピークとし、漸次わずかながら減少の傾向が見受けられてきた。それが全刑法犯の状況でございまして、これが今までの日本の国の青少年問題の犯罪面における一つの傾向を知る数字だと思うのであります。
さらに最近のことに関連して申し上げてみたいと思うのであります。最近と申しますと本年は三十年でございますが、統計は一年を中心にして判断をすることが常でございますので、二十八年と二十九年度の関係の数字を申し上げまして御審議の御参考に供したいと思うのです。二十八年と二十九年の刑法犯の少年——少年と申しますのは二十才未満でございますが、二十才未満の件数は、全国を通じ二十八年は十二万六千強のところ、二十九年は十二万強、従って六千件くらい全体としては減っている、こういう傾向でございます。
ところが刑法犯と申しましても犯罪の態様等がいろいろありまして、その傾向は犯罪の態様によってみないとにわかに判断しにくいのですが、全体が減っておりますので刑法犯の罪種はおおむね減っておるのでありますが、逆にふえている事件を申しますと、わいせつの罪、これがふえている、それから殺人がふえている、それから強盗がふえている、強姦がふえている、こういう傾向でございます。従いまして殺人、強盗、強姦、わいせつの罪がふえておって、それ以外の罪種はおおむね減っておる。減っておる方が大きく作用しまして全体としては二十九年は二十八年に比し六千件ほど減っておる、こういうことでございます。
統計的に申し上げますと以上の通りでございまして、最近は二十六年をピークにして非常にふえておったけれども、全体として減る傾向が出てきた。ところが凶悪犯——ほかの犯罪でももちろん悪いのでありますが、青少年に対して最も残念に思われるような強盗、殺人、わいせつとかいった犯罪がふえておる傾向というのは、まことにわれわれ国民としては残念な状態であろう、こういうふうに考えられるのであります。傾向につきましてはそれ以外の数字その他によっていろいろ各省の御検討もあろうと思いますが、傾向として犯罪面から見ればおおむね以上のようなところが大要でございます。
それで対策でございますが、対策は先ほど御意見もありましたごとく、全般の国の施策の中の警察というものの役割を果すべく大いに努力すべきは当然であります。警察だけが一生懸命やるということも重要でございますけれども、ほかの官庁面と脈絡をとって総合的に解決した方がより効率的でありますので、先ほどの内閣に設置せられた協議会の決定に基くことはもとよりでありますが、常々文部省、厚生省、法務省、労働省、こういった関係部局とわれわれはしょっちゅう連絡を密にいたしまして、いろいろな施策を研究したしておるのであります。最近はいろいろ問題もたくさんございますが、覚醒剤によって中毒する、こういう状況が看取できますし、これはひとり青少年だけの問題ではございませんが、青少年環境浄化という点からいえば看過できない重要な事項だと考えまして、これは関係各省と一致した意見でございますが、関係各省共同でこの覚醒剤問題という具体的問題を取り上げて、青少年を悪くする根源の重要な要素をなしておる覚醒剤を日本からなくしてしまう、こういう決意を持ちましてお互いに事務的にいろいろ努力しておるのでございます。それで関係各省の非常な御協力にもよりまして、われわれも覚醒剤所持違反はもちろんでございますけれども、根本は密造等につきまして徹底した調査を行いまして覚醒剤という災いをなくしたい、こういうように考えておるのでありますが、これはひとりわれわれ政府部内にとどまらず、有力な政党等におかれまして非常に御熱心にやっていただくので、われわれそういう方面の驥尾に付しまして、こういった覚醒剤事犯の消滅に今後も大いに努力して参りたいと思っておるのであります。
それからもう一つの具体的の問題について、これは非常にむずかしい問題でございますが、わいせつ関係の出版物、映画等がありまして、刑法のわいせつ罪に該当すると認められるものにつきましては、これはわれわれ当然の義務として刑法のわいせつの罪としてどしどしやっておるのでございますが、刑法の罰条には当てはまらないけれども、子供に見せたらどうもよからぬ傾向があるというような点もあるのであります。こういった点は、もちろん下手な立法をいたしますと立法の乱用という点もございますので、必ずしも立様ということをあまり現在のところ考えないで、青少年問題協議会等におかれましても、関係業者等において十分こういった問題につきまして御理解いただきまして、できることなら自主的に青少年等に害を及ぼすような出版物の類は御遠慮願うということが好ましい事態と申しますか、そういう形で権力ずくめでやるということでなしに、そういう気風を助長する、こういう点を、内閣の青少年問題協議会等におかれまして重要な議題になさって御検討中でございますので、そういう点につきまして連絡を密にして、そういう不良文化財といっては失礼でありますが、不良な出版、青少年に害を及ぼすと思われるようなものにつきましての対策を、各省力を合せてこれをやる、これには何と申しましても役所だけの力ではだめでございますので、民間各団体の大いな努力を待ってしていきたい、こう思うのであります。それ以外にも、青少年問題は、広く言うと国の各層に通ずる問題でありますので、いろいろ対策もあろうと思いますが、問題が大きいだけに大きい対策もありますけれども、具体的問題を取り上げて参らぬと進歩がおそい、こういうこともありますので、私たちといたしましても、とりあえず覚醒剤の問題あるいは不良出版物を、必ずしも権力取締りということのみを目的としておりませんが、でき得るなら自主的にだんだん、少くとも害があるような出版物については何か適切な方途について御考慮をわずらわす、こういう点についていろいろ関係各省とともに努力している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/54
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055・三田村武夫
○三田村委員 ただいまの御説明で大体の傾向はわかりましたが、今の御説明によりますと、昭和十六年を一〇〇として傾向を見ますと、二十六年が約三倍、それから八年、九年少しこれが少くなってきている傾向にありますが、二十八年、二十九年を比較いたしますと、件数においては二十九年が少し減っています。犯罪の内容から検討するとさらに一層凶悪化してきているということが言えるわけであります。大体の傾向はそれでわかりました。詳しい資料でなくてけっこうでありますが、その内容の分析として、犯罪の傾向を見る一つの資料として、今一緒に御説明になりました中にあるいわゆる性犯罪ですね。昔から言う軟派ですね。これに属するものと、それから硬派、凶悪犯罪——殺人、強盗、強姦、それからいわゆる思想事件ですね、思想的な傾向を持ったものと大体この三つの内容に区分されると思いますが、そのパーセンテージと傾向はどんなことになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/55
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056・中川薫治
○中川(薫)政府委員 御質問の趣旨は非常によくわかるのですが、御質問の趣旨に沿うごときパーセントをここで直ちに数字で申し上げることはちょっと困難でございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/56
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057・三田村武夫
○三田村委員 傾向でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/57
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058・中川薫治
○中川(薫)政府委員 御質問の趣旨にぴったり当てはまるかどうか若干危惧を持つのでありますが、手元にあります数字につきまして御説明申し上げます。性的犯罪というもの、御質問の言葉でいえば軟派に属する犯罪を抽出して参りますと、昭和十六年を一〇〇として数字をずっと申し上げますと、十七年一五八、十八年一七七、十九年一六三、二十年一二〇、二十一年二一四、二十二年一〇五、二十三年一九六、二十四年三三五、二十五年四五六、二十六年四三一、二十七年五〇七、二十八年四四六、二十九年は、先ほども申したように二十八年に比しふえているのですが、今の十六年を一〇〇とした計算を今持ち合せませんので、パーセンテージの計算は今具体的に申し上げかねますが、二十九年は二十八年の四四六よりもふえておる、こういうことを申し上げます。
次に凶悪犯のパーセントを申し上げます。われわれの統計では、殺人、強盗、放火、強姦を凶悪犯といっておるのでありまして、強姦は一部軟派の関係との関連があろうと思いますが、ここでは強姦をも含めて、放火、強姦、強盗、殺人を凶悪犯の傾向として申し上げますと、十六年は一〇〇、十七年一〇二、十八年九六、十九年一〇七、二十年八七、二十一年三三九、二十二年三三〇、二十三年四七三、二十四年四四八、二十五年五〇〇、二十六年四三八、二十七年四五〇、二十八年三七一、二十九年四三九、こういう傾向でございます。
それから、御質問の第三点の思想関係といいますか、いろいろな社会問題等についていろいろ事件が起ったという点は御存じのように、今日は思想そのものを、少くとも警察が問題として取り上げることは適当でありませんので、その統計は作っていないのでありますから御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/58
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059・三田村武夫
○三田村委員 大体の傾向はわかりました。犯罪発生の原因がどこにあるかということは別途の問題でありまして、あるいは厚生省なり文部省なりに時間があればお尋ねいたしたいのでありますが、そこで今刑事部長も言われましたように、対策の問題です。最近のように青少年犯罪が大きな社会問題化して参りますと、どうしても取締り当局、すなわち警察当局としては、立法的処置ないしは行政的処置、権力を背景とした立法、行政の面に手が伸びていくのであります。伸びざるを得ない立場だと思います。しかし、これは今刑事部長もおっしゃった通りこういった青少年問題は、その背景に立法や行政で取り除くことのできない大きな社会的条件があるのです。その社会的条件をそのままにしておいて、行政的処置立法的処置を強力に進めますと、逆に反発する面が出てくる。それからこれが一つの口あけと申しますか、道あけになりまして、次々と同じ処置をとらなければならなくなる。たとえば先ほど申されました好ましからざる映画の影響、あるいは好ましからざる文書、出版物の影響、これは何とも放任しがたい気がいたします。けれどもこれに立法的処置、行政的処置を加えていきますと果てしがない、切りがないのです。そこに私が冒頭に申し上げました政府全体としての対策が要る。これはあるいは文部省で、厚生省で、あるいは法務省で全体を総合して、検挙の面に犯罪の面に出てくるそのもとを浄化していくという一つの運動と申しますか、手だてが要るのであります。でありますから警察当局としては非常に御苦心だとは思いますが、この青少年犯罪というものが大きな社会問題化してきたがゆえにその警察の立場からの責任を感ぜられるの余り、その世論にこたえる意味も加わっておりましょうが、行政的処置、ことに立法的処置にあまり重点を置かれないように私は希望したいのであります。われわれは戦争中その面における深刻な経験を持っております。戦争に勝たなければならないのだ、こういう絶対至上命令のためにこれも除け、あれも除け、ことごとく立法的処置に訴えられ、行政的処置に訴えられて、遂に国民はがんじがらめになり、あの悲惨な歴史的な日を迎えたということは、大きな教訓として忘れられないのであります。むしろ警察庁としましてはこういう貴重な材料をお持ちなんです。この材料を警察庁の立場から、つまり犯罪の検挙というふうな立場よりはむしろ予防の立場から、あるいは文部省あるいは厚生省あるいは法務省に、さらには政府自身の施策全般の面に強く押し出していただいて、この対策をどうするかということを一つ真剣にお考え願いたいと思うのであります。これは行政の便宜のために、青少年犯罪防止のために二つや三つの法律を作られるよりも、この方面に真剣に一つ取っ組んでいただきたいということを申し上げておくのであります。
きのうは少年院法の質疑を一応終りましたが、根本にあるものは少年院に収容されておるものをどのようにして矯正教育していくかということも重西でありますが、少年院に入ってくる者を少くするということが政治として一番必要であり、政府として一番考えなければならぬことである。入ってきた者はすでに社会的に見まして何としても一生大きなマイナスがつきまとうのであります。そういうことがないようにわれわれは考えなければならない。私は決してここで訓示がましいことを申し上げるのではないのでございますけれども、そういう立場から私お尋ねするのであります。文部省の方おいでになっておりますから、あわせてお尋ねいたしますが、この青少年の不良化防止という問題の根本は、今申し上げましたように社会的な悪条件を除くということなんです。これはこの面からいうと一番大きな力は教育なんです。教育は、社会教育と学校教育と二つに分れておるのでありますが、もちろん学校教育の面にも私は現在の教育の傾向を見れば必ずしも責任なしとは思いません。しかし最も大きな問題は、私は社会教育の面にあると思う。社会教育は、さらに広く踏み込んで家庭教育まで入らなければいけない。この面から考えますと、今の犯罪の統計から見ましても戦後著しく青少年犯罪というものがふえておる。これはもとより社会的、政治的、経済的条件が悪い。悪いけれども、そこの中にもう一つある大きなものは、これはもとより非常にいい面で、今後の新しい日本の中心にならなければなりませんが、あまりにも開放的な自由です。これは思想的に、つまり肉体的に精神的に成人化された者はいいのです。つまり人間としての基礎的なものを持っておる者はいいのですが、十四、五才から、もっとさかのぼれば、ほんとうに子供のときから全く開放的で、——これは学校だけではない、一般社会においても、家庭においても全く開放的である。まだ精神的にも肉体的にも不健全であるにかかわらずあまりにも開放的である。しかも個人の人格とか権利とかいうものをすなおに受け入れるだけの社会的条件がないのです。そこでまだ成熟しない者があまりにも開放的にならされておりますから、私は不良化の傾向が非常に多いのだと思う。こういう点について文部当局としてはどういうお考えを持っておられるか。この点についてはぜひともこの際お考えを願いたいと同時に、今の対策をお伺いいたしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/59
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060・中川薫治
○中川(薫)政府委員 これは文部省からお答えがあると思いますが、私は前段の部分についてお答えを申し上げたいと思います。ことごとくまことに三田村委員のおっしゃった通り思っておるのでございまして、私ども警察でございますので、確かに警察権という一つの権力を持っております。もちろん日本国憲法を初めとして法律によって厳重な制限を受けておりますけれども、まあ警察といえば一つの権力を持つ、こういうことになるわけでありますが、こういう法律や権力では解決できないところの問題があることはまことに同感でございます。何でもかんでも法律なり権力なりそういったことによって事を処理しようという考え方はほかの問題でも同様でございますが、ことさら青少年問題につきましては特に禁物でございまして、必要やむを得ない点につきましてはやむを得ないこともあるかと思いますが、根本は心のあり方と申しますか、最後には心の問題であろうと思うのであります。青少年の心の問題ということはお互いにわれわれ成人の心の問題が反映いたしますので、権力ずくでものを考えるという考え方は、根本的に間違っておるという御指摘の点は全く同感でございまして、今後ともこういう政府機関というものはとかく——警察が一番あり得ることでございますけれども、警察以外でもとかく権力というものが災いする懸念も相当多うございますので、政府機関も、そういう、お説のような根本精神を体して国民の心からなる盛り上りと申しますか、その盛り上りがすでに若き世代の青少年に非常に光明を与えてくる、こういう社会運動——という言葉は適当でないかもしれませんが、そういう雰囲気が醸成されるということが根本解決の道だと思います。それには、あるいは行政も関連し、経済も関連しましょうが、根本は、そういうことは全く同感でございまして、われわれも皆さんの有益な御意見に基きまして、驥尾に付してこの重要な青少年問題の解決に当るためにそういう心がまえで努力したいと思っておりますので、今後とも御指導願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/60
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061・田中彰
○田中(彰)政府委員 お答えを申し上げます、青少年の不良化防止につきましては、先ほど刑事部長からお話のありました通り、中央青少年問題協議会とも緊密な連絡をとりながら、防止対策について十分努力をいたしておるつもりでございます。
教育面におきまする対策としましては、ただいま御指摘の通り学校教育並びに社会教育の両面からこれが対策を講じなければならないのでありまして、学校教育の面におきましては、今特に重点的に対策を講じておりまする面としては、不就学ないし長期欠席児童に対する対策でございます。現在不就学、長期欠席児童は約三十二万ございますが、これらの生徒児竜に対しましては、あるいは就学、出席を督励いたしまするとか、あるいは児童生徒の保護者に対して、就学の義務を啓発いたしまするとか、あるいは学校における教師の生活指導を徹底いたしまするし、また一方教育扶助の充実等の経済的な援助を行うことによりまして、極力不就学ないし長期欠席児童生徒の就学を督励いたしておるわけでございます。これがためには、もちろんただいま申し上げましたように、学校はもとより、児童生徒の家庭、さらにPTAといったような関係機関、関係者が緊密な連絡をとりまして、これが対策を進めつつあるわけでございます。
ただいま申し上げましたのは、不就学とかあるいは長欠とかいったような特異な対策を申し上げたわけでありますが、一般児童生徒に対しましては、校外生活指導を徹底することによりまして、十分不良化防止の実をあげたいと思っておるわけであります。
さらに社会教育の面におきましては、これは学校教育の面におけると同様でありますが、すでに不良化した青少年、と申しますよりは、むしろ健全な青少年のよい性質を虫ばむところの社会的な悪い条件を除去いたしまして、青少年があらゆる機会に進んで教養を高める、健全性を強めるといったような十分教育的な環境を醸成すると申しますか、さような心がまえのもとに対策を考えておるわけでございまして、たとえば社会教育面におきましては、一つは青少年団体の育成、活動の促進でございます。現在青少年団体の活動に限らず、社会教育面において最も悩んでおりますところは、よい指導者を得がたいというところにその悩みがあるのでございます。ことに青少年団体の健全な育成をはかりまするためには、その指導者に人を後るかどうかということにかかっておると思うのであります。そこで青少年教育面の指導者を養成いたしますための講習会を中央におきまして毎年継続実施いたしまして、団体の活発な活動をはかっておるわけであります。この際特に申し上げておきたいと思いますのは、今年度の事業として青少年団体の活動を活発に促進いたしまするために、キャンプにおいて、あるいは旅行活動あるいは演劇とか膏薬とかいったような健全なレクリェーション、また図書館あるいは巡回文庫によりますところの読書指導、これらの面に十分意を用いますとともに、未組織な、つまり団体に入っておりません青少年につきましては、それぞれ適切な対策を講じまして、余暇の善導を行いたいと思っておるのでございます。
それから従来文部省におきましては各都道府県に児童愛護班と申しますものの結成を委嘱し、その活動を促進をしておるのであります。児童愛護班と申しますのは、たとえば民間の指導者に頼みまして、紙芝居でありますとかあるいは映画あるいは遊戯といったようなものをいたします余暇善用のための一つのグループ活動でございますが、たとえば東京都におきましては夏学校の子供たちを対象に緑陰子供クラブで相当の成果をあげておる実情でございます。
それからさらに先ほど御指摘の悪質な映画、図書といったようなもの、いわゆる不良の文化財から青少年を守りますために優良な映画を選定いたしまして、紙芝居、幻燈につきましても十分安心して子供たちに与えられるものを選奨しておるわけでございます。それから最後に申し上げておきたいのは、先ほども刑事犯罪の中でわいせつに関するものが比較的多くなっておるというお話がございましたが、文部省といたしましても純潔教育と申しておりますが、いわゆる性教育を社会教育における一つの大きな活動分野として取り上げまして、純潔教育の進め方という試案を最近得まして、学校教育、社会教育両面におきまして、あらゆる機会、あらゆる場所を利用いたしまして純潔教育の徹底——に努めたいと思っておる次第でございます。大体以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/61
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062・三田村武夫
○三田村委員 事務当局の御意見ですから、お述べになった通りだと思います。事務当局の方に政治的な主張をまじえて御質問申し上げても、これは無理でございますから、その点は差の控えますが、率直に申しますと、私は青少年の不良化防止という問題に対して、全体の調子が比較的冷淡じゃないかという気がするのです。事務的にお考えになれば今お述べになった通りです。しかしこれは事務的な考慮にすぎないので、根本の問題に触れてこないのです。青少年不良化防止というものは、学校教育の面から見ても社会教育の面から見ても、教育活動というものが社会環境にマッチしなければ意味がないのです。教育はその社会にまで踏み込み、その家庭にまで踏み込むということが、教育なんです。学校行政の面、文部省の社会教育局という局の行政面から見た見方では、ほんとうの社会教育にはならないのです。ほんとうの青少年不良化対策にはならないのです。私はかって南洋諸島が日本の委任統治であったころ視察に行ったことがあります。奥の奥に入って、日本の委任統治政治というものが果して島民に喜ばれておるか。教育の面からこれを調べてみたことがあるのです。これは向うの学校は国費で全部やるのです。裸じゃいけないというので、南洋庁の予算で着物を着せております。学校では着せているのです。ところが学校の門を出ると、その子供は脱いでしまって、ヤシの葉陰に突っ込んで帰る。家に帰るとみな裸なんです。だから学校では私たちが見に行くと、きれいに子供たちは南洋庁の支給した服を着て運動をやっております。非常に文化的な水準が高まったような気がするのです。しかし家庭に入ると裸なんです。家庭がそうなっていない。これは教育になりません。何か茶番劇になってしまいます。だから今文化国家とかあるいは教育の自由とか、言葉はきれいであり、われわれはもとより異論はありません。そうならなければなりませんが、その面からの中心テーマと申しますか、その面に目標を置いて常に文部行政活動というものが行われると、社会環境から浮いてしまうのです。社会環境から浮いた教育は教育になりません。レクリェーションもいろいろなことも必要でありますが、それだけでは教育環境は改善されない。社会環境は改善されない。これは政治の問題になりますから、ここで事務当局の方にはあまり多く申し上げませんが、私が少し熱心じゃないじゃないかと申し上げるのは、さっき中川刑事部長も、文部省の事務当局も御説明になりました通り、内閣に青少年問題対策の、これは法的機関じゃないが、機関があるようであります。私は新聞で見たのですが、ことしの一月十九日、二十日に総理大臣官邸で第四回青少年問題全国大会が開かれております。その席で、近ごろ青少年不良化防止のために各地でいろいろな立法的処置が講ぜられておりますが、全部ではありませんが、各地で施行されている青少年保護育成条例の行き過ぎというものが問題になっている。しかしどこでも一つの世論として青少年不良化防止の問題がやかましいのです、あるいは家庭において、教育の面からも、すべての面にやかましいものですから、何とかしなければならぬという気持においてこういう条例というものが各地にできるのです。大体その条例の基準は、目的は青少年の保護育成、福祉の増進、その条例に盛られておるものは、大体深夜の外出禁止とか、あるいは十八歳未満の者が物を持ってきても質屋は取ってはいかぬとか、あるいは買ってはいかぬとかいう規定とか、さっきお話のありました有害興行を見てはいかぬ、それから有害図書の販売を禁止する、射幸心を誘発する行為の禁止とか、淫行またはわいせつ行為を禁ずる、こういうことが条例に盛られております。これは世論の前にこたえるための一つの立法的処置だろうと思うのです。しかしこれは往々にして行き過ぎがある。行き過ぎがあるけれども、これから十年、二十年後の日本のあり方を考えた場合、だれでもまじめに心配をするのは青少年問題なんです。今はこれでいいのですが、十年、二十年の後に日本はどうなるかということを考えた場合の一番の悩みは青少年問題なんです。だからこういう処置をとらざるを得ないのだ。そこで中央においては、こういうように各地まちまちばらばらではいけないのだ、大きな教育上の問題であり、青少年対策上の基本的な問題であるから、一つ基準を示してもらいたいという要求があるのです、この一月十九日、二十日の第四回全国会議でこれをやっているのです。これは何かこの要求について文部当局なりあるいは厚生省あるいは法務省では具体的な問題をお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/62
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063・蒲生芳郎
○蒲生説明員 中央青少年問題協議会で取り扱っております大きな問題としましては、先ほどもお話ありました不良文化財をどう取り扱うかということで専門委員会ができまして、一応の結論が出されておりますが、その対策は、先ほどおっしゃいました通りに、直ちに立法的な措置をして、そうしてそれを法的に取り締るということでなくて大きく分けますと、一つはそうした有害な出版物でありますとか映画でありますとか、そういうものを青少年から排除するような国民運動を展開するように進めるということ、それからいま一つは、優良な出版物、映画というものの国としての選奨制度、これを強化していくということ、それからもう一つは、出版物、映画、新聞、放送、レコード、こういうようなものの関係業者の自粛をそれぞれ強硬に勧奨しよう、大きく分けましてこの三つの方策が結論として得られたわけでございます。その三つの方針に従いまして、関係各省がそれぞれの立場から進めていくということにいたしておりますが、文部省といたしましては、先ほど総務課長から説明を申し上げましたように、選奨制度でありますとか、あるいは特に家庭教育という立場からこれは全くごもっともでございまして、社会教育の根本は家庭教育だと私ども考えておりますが、これにつきましては家庭の中心であります婦人、母の自覚、そうしてそれを力を養うことがさしあたり一番必要であると考えまして、これも数年来続けておりますが、全国各ブロックごとに婦人の指導者の協議会をいたしておりますが、この協議会で必ず家庭教育、子供の扱い方、また不良文化財をどうするかというようなことについて、いろいろ論議をされております。文部省としても、学識経験のある者を講師に送りまして、できるだけそうした関心を高め広める機会を作っていきたい。今申しました婦人指導者の会議であるとか、社会教育研究大会も各県で例年やっておりますが、その際に必ずこうした家庭教育の方向なり、必要性を認識していただくというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/63
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064・三田村武夫
○三田村委員 もう少し掘り下げて伺いたいと思っておったのですが、委員長の御意向もあるようでありますから、きょうはこの程度にして、いずれまた懇談の機会を持ちたいと思います。
厚生省と、法務省の矯正局長がおられますから、簡単に一点ずつお伺いをしておきたいと思います。厚生省に対しては、不良化してしまった青少年、警察の手あるいは検察庁の手で問題になっておりますそういう人の厚生対策、これはどのようにお考えになっておりますか。これはいろいろあるのです。後にこの委員会に売春取締法なんかも出てくるようですが、これは法律で禁止しても意味のない場合があるのです。そういう場合の厚生対策をどのようにお考えになっておるか、これは、きわめて簡潔でよろしい。
それから、矯正局長にお尋ねいたしますが、きのうここで審議いたしました少年院の問題です。ここに犯罪を犯して少年院に収容されておる者がおるわけです。これに対する少年法の建前は強制した刑罰じゃない、矯正の効果です。そこで十八なり、十九なりのときから入ってきて、三年、四年、五年と二十三歳までおるのですが、それが出て行くときに、果してそれが矯正の目的を達しておるか。矯正の目的を達しないままで出てしまうのではないかという懸念があるのです。その点、体裁でなくて、率直にお答え願いたいのです。ただ法律ができたから、法律の建前、制度によって少年院を作って、家庭裁判所で一定の言い渡しを受け、少年院に収容しなければならないことになったから預かって、矯正教育をやっているということだけではなしに、果して少年院の目途とする矯正教育が達せられるかどうかということです。その点、簡潔でいいですから、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/64
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065・渥美節夫
○渥美説明員 厚生省におきましては、児童福祉の立場から、そういうふうな問題児または触法児童についての取扱いをいたしているわけでございますが、そういうふうに問題のあった子供あるいは十四歳未満で触法のような行為のあった子供については、絶えず児童福祉司なり、児童委員なり、社会福祉司、そういう児童福祉機関を通じて保護指導に当っておるわけなんです。
なお、特に施設に収容しなければならぬというような子供につきしては、現在全国に五十二カ所の教護院がありまして、そこにおいて十分なる教護をはかっておるわけなんであります。なお、教護院につきましても、現在相当老廃しておるような点もありますので、そういった点の整備拡充等に意を用いておる次第でございます。なお、そういうふうな教護院における教護技術の点については、絶えず教護技術の研究なり、あるいは教護職員に対する研修、資質の向上をはかって、子供の処週に万全を期したいと思っておるわけであります。
なお積極的には、そういう問題の子供については、子供クラブとか、母親会とか、母親クラブとか、そういうふうな地域的な活動を通じて、絶えずそういう子供に対しても向上をはかるとともに、遊園地とか、児童館というような児童厚生施設を根拠として指導に当っておる、こういうふうなことをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/65
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066・中尾文策
○中尾政府委員 ただいま少年院の成績についての御質問だと拝しますが、まことにお恥かしいことでございますが、実際のところを申し上げますと、あのりっぱな少年法が期待しているような少年院の効果は、現在までのところ上げることができないでおりまして、どれだけのものが少年院を出てからまた失敗するかという数が、とりあえず一応の御参考になると存じますがこれは実のところ刑務所を出たものについては指紋なども全部取ってございますので、正確な数がわかるのでございますが、少年院についてはそういうことをいたしておりませんので、ただわれわれにわかり得ることしかわかっておりません。それでこれはまだ正確に総合的に統計を取ったわけではございませんので、ただ個々の二、三の少年院について、気のついた数を取っているわけでありますが、それによりますと、昭和二十九年の十二月末日現在に少年院に入っておりました一万六百十七人の収容者について調査をいたしまして、それを百分率で申しますと、初めて入ってきたものが七四・八%、二度以上入ってきたものが二五・二%ということになっております。しかしあれだけの理想をもって作られた少年院で、私たちはもっともっと成績を上げなければならないわけであります。この二五%幾らというものは、ただ少年院に入っているものだけでありまして、もう一段上の刑務所に入っているものもあるのでありますから、この率として私たちの想像いたしますところでは、大体五割から六割の間のものが再び失敗しているんじゃないかというような推測をいたしております。これについてはいろいろ原因もございますし、聞いていただきたいこともございますが、いずれにしても、私どもの力がそこまで至らない実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/66
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067・三田村武夫
○三田村委員 これは果てしのない問題でありますから、いずれまた別の機会にいたしますが、最後に私文部当局、検察当局、特に文部当局に申し上げておきたい。この際大いに勇気を持っていただきたい。これはよき指導者云々という言葉がありましたが、青年教育にしてもあるいは児童教育にしても、一人や二人のよき指導者によって生まれるものじゃありません。教育そのものに勇気が要るのです。文部省が何も全部の教育を指導しろと私は言うのではない。そうでなくて、教育そのものの根本が何であるかということを文部省はお考え願いたい。これは私文部大臣に来てもらって別の機会にうんと申し上げようと思っているのですが、いつでしたか、奈良の高校の学生が先生に連れられて修学旅行に行って、どこか赤線区域に行ってけんかをおっ始めて、先生のところへ行ったら、先生は酔っぱらっておってどうにもならぬ、こういう事件も新聞にあった。近ごろ問題になっている日教組の対策でも、日教組そのものの行き方を全面的に肯定も否定もしない。しかしながら根底に何があるかというと、教育の問題があるのです。すなおに率直に、今大学に行っている学生諸君でも、戦後の今の情勢から見ると小学校から中学、高等学校、大学に行って十幾年学びの庭にあるのですが、諸君、君たちは何を目標に勉強するのだと聞くと、僕はこれを目標にして勉強するのだという人は遺憾ながらいないのです。人間完成のめどがない。そこに青少年不良化の根本の問題がある。これは文部省だけの責任じゃありませんが、これは一つこの問題に関係しておられる御当局の方々にぜひとも真剣にお考え願いたい。そのときそのときの行政上の便宜や行政庁としてのお立場だけでお考えになっておっては、いつまでたっても解決しません。皆さんはその立場立場であるいは局長に、あるいは次官に、あるいは大臣に自分の所管事務について強力に進言し、これを推進していかれる責任がある。どうぞ一つその立場から青少年の問題をことし、来年は適当な措置で済むかわかりませんが、これは十年後、二十年後に残す問題であります。そのときの責任をわれわれは考えなければならぬが、少くともわれわれ国民の代表として国会に席を持つ者は、今の問題よりもその将来十年、二十年の責任を考えてここで発言もし、法案を審議し、行政の監察もやらなければならぬ。どうもその点は、有能な方々ばかりでありますから上司に進言されて、大臣を鞭撻して正しい方向に青少年対策を持っていっていただきたい。われわれがせっかくここで法案の部分的修正をやりましても、根本的問題がためられませんと意味がない。それだけを私は申し上げたいのであります。
これで質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/67
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068・世耕弘一
○世耕委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は明十六日午前十時より開会いたします。
午後三時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02019550615/68
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