1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十日(月曜日)
午前十一時十三分開議
出席委員
委員長 世耕 弘一君
理事 福井 盛太君 理事 古屋 貞雄君
理事 田中幾三郎君
今松 治郎君 椎名 隆君
高木 松吉君 長井 源君
林 博君 古島 義英君
生田 宏一君 横川 重次君
細迫 兼光君 淺沼稻次郎君
細田 綱吉君 志賀 義雄君
出席国務大臣
法 務 大 臣 花村 四郎君
出席政府委員
検 事
(大臣官房調査
課長) 位野木益雄君
法務事務官
(矯正局長) 中尾 文策君
法務事務官
(入国管理局
長) 内田 藤雄君
委員外の出席者
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局総
務課長) 磯崎 良誉君
判 事
(最高裁判所事
務総局人事局
長) 鈴木 忠一君
専 門 員 村 教三君
専 門 員 小木 貞一君
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本日の会議に付した案件
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五三号)
出入国管理令の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇六号)
法務行政に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/0
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001・世耕弘一
○世耕委員長 これより法務委員会を開会いたします。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の質疑はすでに終了いたしておりますので、これより討論採決を行いますが、討論は省略して直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/1
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002・世耕弘一
○世耕委員長 御異議なしと認めまして直ちに採決を行います。裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/2
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003・世耕弘一
○世耕委員長 起立多数。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本案についての委員会報告書の作成については委員長に御一任を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/3
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004・世耕弘一
○世耕委員長 次に日程追加をいたしまして、法務行政に関する件について調査を行います。発言の通告がありますのでこれを許します。古屋貞雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/4
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005・古屋貞雄
○古屋委員 実は私から御質問申し上げたいのは、三鷹事件の竹内の裁判が明後日に追っておることになっております。この事件は相当議論のある事件だし、国民が審理の内容について十分承知をしないけれども、こういうような重要な、重大犯人に対する裁判については非常な疑義がありますので、こういう事件については裁判所の態度並びに検察庁の態度といたしましては、法務大臣も努めて国民の納得の行くような方法、順序を経ていただきたい。裁判のことでありますから、裁判の内容に対してわれわれかれこれは申しませんけれども、裁判所並びに裁判所の運営に関係する法務省といたしましても、心がまえといたしましてはなるべく国民の納得のいくような態度、納得をいかせるための手続も努めて慎重にやっていただきたい。かような心がまえを法務大臣がお持ちになって御配慮を願えるかどうかというようなことでございますが、その点御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/5
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006・花村四郎
○花村国務大臣 古屋君のお説まことにごもっともでありまして、公正に行われますよう最善の注意をいたしたいと存じます。しかし裁判所のことは裁判所でしかるべく最善の方途を講じていくととであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/6
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007・細迫兼光
○細迫委員 同じ問題について法務大臣に……、お互い法律、裁判について詳しくその手続等に通じておる者はさほどにも思いませんけれど、一般国民は法務省も裁判所も検察庁も実はごっちゃにして考えておる。しこうして法務大臣といたしましては、やはり裁判の威信、法の威信を保って、権威あるものに印象づけていくということも非常に重大な一つの使命だと思っております。この三鷹事件はいろいろ不思議な問題も含んでおる。たとえば事件の発生する三十分前にきょうは大事件が起るぞという電話が駅前の交番にかかってきた。そして検察庁でも特別に宿直を二人にふやして宿直しておったというような、前に何か事が起ることがわかっておったような形勢も見えるような事件でありまして、いろいろと疑惑もあります。何といっても竹内という被告は原因はどうであっても自白したということが根本のことでありまして、その責任もずいぶん重いことでございまして、何も裁判所、検察庁あるいは警察方面にだけいろいろな疑惑のしわ寄せがせられることも不当なことでありますが、とにかく事は死刑ということになっておりまするので、尽せるだけの手続を慎重に、というのは、つまり最高裁の裁判におきましても、弁論を開いて最終判決をしてくれというのが被告の希望になっております。言いたいことだけは少くも言わせてということ、これはやがて国民に対しても慎重な態度をできるだけとったのだということを印象づけしめるよい方法だと思うのであります。これも裁判所がやることでありますから、法務大臣どうしろということは、事情を知った人にはすぐわかることですが、一応知らない人にはわかりません。法務大臣あるいはその指揮下にある人々も、この裁判を延ばして、弁論を開いた上で判決をするということに御協力、つまりそういう方針で裁判所にも働きかけるということは、いろいろな手続によって、裁判所の当事者である検事もおるわけですから可能だと思うのであります。そういうことをやっていただきたいと思うのでありますが、法務大臣のお考えはどうでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/7
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008・花村四郎
○花村国務大臣 裁判の審理進行に関すること、は、御承知のように、もつぱら裁判所の権限に属しておりまするので、従って私どもといたしましてどうこう申し上げるわけには参りませんが、しかし重大なる事件であるだけに、あくまでも慎重に、しかも公正に、何ら社会から疑惑を受けないように事件を進行していくべく心がけなければならぬということは当然なことでありまして、検察官といたしましても、その地位の重大性にかんがみ、最善を尽していくことであらうと思いまするが、私もなおこの問題に対しましては一そう格段なる注意をして、そうして最善の方途を講じたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/8
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009・世耕弘一
○世耕委員長 志賀義雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/9
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010・志賀義雄
○志賀(義)委員 ただいま花村法務大臣から、この事件については細心の注意をして、最善の努力をしたいと言われました。そのようにぜひとも希望するものでありますが、なお世耕委員長以下、当法務委員会の委員諸君においても、この問題について十分今後関心を持っていただきたいと思うのは、今から半年前に判決言い渡しをしようとして、これを中止したことがあります。しかるに六カ月たった今日になって、同じような手続で判決言い渡しをやるということを通告してきたのでありますが、そうなると、そもそも半年の間何が行われておったのか。結局もとに帰っておるではないかということで、国民の間にも非常に疑惑が起っておるのであります。
そこでこの事件につきましては、ただいま細迫委員も申されましたように、世間に非常に疑惑があるのでありまして、およそ八点ほどあります。それを簡単に申し上げますと、第一点は、今細迫委員が申された三十分前に三鷹駅前の交番に、今夜共産党が大事件を起すから警戒せよと三鷹本署から電話があった。これはすべて関係当事者の証言が公判廷で行われておるのであります。その他の国鉄の管理部、保線区などにもそのようなことがあったのであります。また検察庁、国鉄当局でも、事前にこの事故を知って警戒態勢にあったのです。当の三鷹電車区にだけはこれが、あの暴走電車の事件の起ったところには何の前もっての注意がないのでありますが、この点が非常に疑問とされておるし、第二点は、証拠の保全が行われなかったという点。第三点は、読売新聞にも出ておりましたが、紙ひもが本人の言っているところと違っておるのであります。しかもこの紙ひもは、日本製のものではないのであります。さらに第四点は、検出されたと当時検察庁が発表された指紋が、審理においては一回も証拠として持ち出されておらない。警視庁の鑑識課に証人を申請しても、それが取り上げられなかったということがあります。第五点は、パンタグラフが二っ上ったということであります。その一っのパンタグラフはだれが上げたかという点がはっきりしておりません。第六点は、竹内君が事件発生当時電車区構内のふろに同僚と一緒に入っておったということが、一緒に入っておった同僚の名前までもあげて証人に申請しているのに、それが却下されております。第七は、自白云々ということでありますが、これは私どもは長い間拷問その他の事件について知っております。この自白というものは、往々強制によってなされるものであります。その強制が拷問ということさえ伴うのもであり、現にこの三鷹事件の無罪になった他の被告に対しても脅迫等が行われておって、ありもしないことが供述されておるのでありまして、これについては、裁判長が空中樓閣とさえ検察庁に対して言っていることがあるのであります。第八点は、高相会議に中座して後に犯行に加わったということになっておりますが、無罪判決をされた人々の前の裁判からみても、これが事実無根のことであったのであります。こういうように八点にわたって非常に疑問があるのでありますから、今ここで弁論も聞かずに判決言い渡しをする、そうしてもしもこれが刑事訴訟法に従って上告を棄却するということになりますと、あとは今度は花村法務大臣がその署名をする回り合せになってくるのであります、こういう弁論を行われずに、花村法務大臣はいつかは署名しなければならない。そのときのお気持はどういうものであろうかということは、私も十分にお察しするのであります。そういうわけでありますから、ただいまおっしゃったことを考えまして、世耕委員長も御尽力下さって、当法務委員会において今後この問題を研究されるとともに、ただいま古屋、細迫両委員から言われたような手続を法務大臣にもとっていただきたいと思うのでありますが、その点について、法務大臣から簡単でも一言だけおっしゃっていただきたいと思います。こういうように非常に疑問が多いのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/10
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011・花村四郎
○花村国務大臣 事件の内容につきましては、これは裁判所がその与えられた権限に基いて公正に裁いていくことであろうと思いますので、立法府において、その裁判の内容についてとやかく言うことは適当でないと考えますので、そういう批判は控えたいと思います。しかし検察庁といたしましては、あくまでも厳正なる立場に立って、そのなすべき職権を公正に運営していくということによって、世の誤解ないしはそしりを受けないという態度でいくべきことは当然でありまして、ことに本件のごとき、天下を衝動せしめた重大なる事案に関しましては、特にそういう念を深くするものでございますから、従ってあくまでも慎重な態度で進みたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/11
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012・志賀義雄
○志賀(義)委員 委員長に一言要望いたしたいと思いますが、ただいま申し上げたことで尽きておるのでありますが、竹内君に五人の子供がありまして、美矢子ちゃんというのが一年生だそうでありますが、三鷹市立第三小学校の教職員一同が「父母のみなさま」というので訴えておるのでありますが、「その職員室に何も知らないような顔をした美矢子ちゃんの出入りしている姿もみかけられたのです。」こういうふうなことが書いてあります。また「私たちの第三小学校にはあの暴走電車で亡くなられた方々のお子さんも通っておられるのです。この様に全く対称的な運命を背負わされた子供さんたちの姿は私たちの胸をえぐります。その遺族の方々のお苦しみに私たちはやっぱり思いをよせられてしまうのです。」こういうふうに申されておるのであります。これは今三鷹市においては全市をあげての問題になっております。そうして国鉄従業員その他全国でも、この問題は国民全体が非常に注目しておるのでありますから、世耕委員長においても、特にこの法務委員会を運営する上において、今後ともこの問題について十分考慮を払っていただくことをお願いしまして、私の発言を終る次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/12
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013・世耕弘一
○世耕委員長 志賀君にお答えします。裁判のことは、厳粛にしかも公正に行われるということが、本来の使命だと考えます。ただし神様じゃないから判断を誤まることも、各国の例もあることであります。花村法務大臣もこの趣旨に基いて、慎重を期しておられるようであります。
なお本日、日程を変更してあなたの御熱意のあるところを、この機会に発言を求めていただいたことも、本委員会としては丁重に取り扱ったつもりでありますから、御了承願いたい。
なおこの上とも本件ばかりじゃなしに、他の件に関しましても、特に人権に関する限り、あくまでも慎重を期したい。かように考えておりますから、御協力を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/13
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014・世耕弘一
○世耕委員長 次に出入国管理令の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行います。古屋貞雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/14
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015・古屋貞雄
○古屋委員 私は前会総論的な質問を申し上げたのですが、幸いに法務大臣がいらっしやいますので、法務大臣にお尋ねをしたり、お願いをしたりしたいと思うのですが、御承知の通り、出入国管理令はポツダム政令に基く規定でございまして、平和条約の発効によって当然にこれは法律になった。従って法律でございますけれども、国会において審議された事実がないわけです。今回たまたま当委員会でその一部改正が提案されて審議されておりますので、この際法務大臣にお願いしたいのは、法律でございますから、原則的に国会が十分に意を尽して審議すべきものである。従って今後全面的にこれが改正をされ、ほんとうに国会において審議された立法であるという姿にいたしたいということを私ども考えておるわけであります。従いまして法務省といたしましては、全面的に再検討されて、改正される意思があるのかどうか。さらに私どもの要求するように、立法でございますから、国会の審議を十分尽すような手続をとるべきだと思うのですが、そういう点においての準備ができておるか。そういう手続をするお考えがあるかどうかを、幸い法務大臣がおられますからお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/15
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016・花村四郎
○花村国務大臣 古屋君の御質問にお答えします。出入国管理令の内容に対しましては、いろいろの方面から考えまして、改正すべき点もあるやに考えられまして、前国会におきましても法務委員会で御承知のごとく、出入国管理令改正に関する小委員会を設けて、そしてあらゆる検討を加えて参ったのでありますが、いまだ結論は出ておりませんが、法務省といたしましても各面を検討いたしまして、改正すべき点はあくまでも時代に沿うように改正をしていきたい、さように考えまして目下検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/16
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017・古屋貞雄
○古屋委員 そこで私は今度は各論に入ってお尋ねしたいのですが、今回の改正の五十四条の二項なんです。仮放免の保証金の額についての問題です。これによりますと、千円から三十万円までというように改正されるのですが、これはどんな基準で定めたのか、その点を承わりたいことと、仮放免中に逃亡などで保証金を沒取したような数は、過去においてどんな状況になっておったか。この二点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/17
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018・内田藤雄
○内田政府委員 ただいまの質問にお答えを申し上げますが、仮放免の保証金は、本人の出頭を保証するに足りる相当の金額ということで考えておるわけでございますが、その場合、その本人の身分、信用度、資産、それからその場合の仮放免の理由、たとえて申しますならば、病気のための仮放免であるかないかというようなこと、それからなおまだ事案が決定いたしますまでの仮放免と、すでに退令というようなものがきまったあとでの仮放免とでは、また差もあろうと思いますが、要するに本人の出頭が保証されると認められる確度できめて参っております。それから第二点でございますが、昭和二十九年の四月から昭和三十年の五月までに没取いたしました保証金の総額は、七百三十四万五千五百円でございます。件数で申し上げますと、約二百二十件でございまして、そのうち逃亡によりまして全額没取いたしましたのが二百七件、そのほかは条件違反、つまり居住地の変更というようなことを届け出しなかったということによります一部の沒取でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/18
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019・古屋貞雄
○古屋委員 今の御説明は大体わかったのですが、千円から三十万円と規定した、こういう基準はどんなことに基準を置いてきめたのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/19
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020・内田藤雄
○内田政府委員 なぜ三十万円というふうにしたかということは、大体その程度までで保証の目的が達し得ると考えたからだと存じます。それから最低の方も従来五千円でございましたのを、先般法務省令を改正いたしまして千円でもいいというように実はいたしたわけなのでございます。それは従来の運営にかんがみまして、件数で申し上げますと、実は五千円というのが一番多くて、それから五万円、一万円というような順序になっておりますが、五千円でもなお仮放免はしたいが金がないというような事態が起りまして、気の毒だと考えられるような事例がございましたので、これを千円までに下げるようにいたしたわけでございます。大体実例は今申し上げたようなことで、五千円、五万円、一万円というような順序でやっておりますが、中にはやはり十万円程度の件数も相当ございますし、また十五万円、三十万円という件も三件ほどございます。大体三十万円から千円ということで運用されておりますが、しかしさらに今回の法令改正によりまして、ある確実な保護団体に頼むような場合、保証書をもってかえるようになお拡大いたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/20
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021・古屋貞雄
○古屋委員 その点はなかなか御説明がむずかしいだろうと思うのですが、そこでいま一つお尋ねしたいことは、約一年の間に二百二十件保証金を納めさせて仮放免したのですが、その中で二百七件というような大きな数が沒取されているらしいのです。しばしば、登録を持っております第三国人から不平を申しておりますのは、ふろへ行くとか、夕方の散歩であるとか何かの場合に警察につかまって、登録証明を持っていない、こういうような場合でずいぶん不自由をしておるというような事実を聞いておるのですけれども、やはりそういう工合に、あまりしゃくし定木の解釈をする関係上、二百七件というような大きな数の沒取をしなければならぬような事情が起きているのじゃないかと思うのです。この点は実情に沿うような解釈と取締りをやられているのか。どうも第三国人から申しますと、まことにしゃくし定木をやられるので困っておる。ふろに行こうとしてちょっと忘れていけばそれでつかまって警察に引つぱられてしまう。私どもはしばしばそんな不平を聞いておるのですが、この場合はどういうような態度の取締りをやっておられましょうか、また沒取手続をされておるのですか。基準はどんなことになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/21
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022・内田藤雄
○内田政府委員 古屋委員の御質問の問題は、むしろ外国人登録法の適用の問題に関する御不満の問題ではなかろうかと存じます。これは私どもも往々耳にいたしておる事柄でございますが、御承知のようにあの登録というのは二年に一ぺん切りかえをいたすことになっておりますが、その切りかえに当りまして、なるべく切りかえをさせるようにしむけるわけでございます。そのもとはそういう善意から出ていることなんでございますが、往々にしてその切りかえを勧奨するつもりでやりました行為の際に、不携帯だということに基いて時折これを理由にして警察に引っぱるというようなこともないではないように聞いております。その点は少くともわれわれとしてそういうことを意図しておらないことはもちろんのことでございますし、当時、去年の秋でございましたが、その切りかえに当りましてそういう不平を聞きましたときにも、直ちに警察の首脳部の方に連絡いたしましたところが、警察当局におきましてもそういうことを命令しているとか、あるいはそういうことを企図しているというようなことはないというふうに当時も聞いておるところでございます。それでその問題と、ここに出ております仮放免の逃亡ということとは、ちょっと関係がないように思うのでございますが、われわれの方が仮放免にいたしますのは、ただいま申し上げましたように、出頭を保証するに足るという額をきめてやっておるつもりでございますが、しかし何分にも数も相当多いことでございますし、またしばしばこの委員会などでも問題になっておりますように、われわれといたしまして無用に収容を長く続けるというようなことは、本人のためのみならず、私どもの方といたしましてもはなはだ心苦しいことでございますので、その辺を見合いまして仮放免にいたすのでございますが、それがやはり逃亡ということになって現われてくる場合が相当多いのでございます。それで今私具体的に個々のケースを申し上げるだけの準備をいたしておりませんが、一つの、割合に大きな例で申し上げますと、先般興安丸で日本の引揚者を迎えに参りますときに、中国本土への帰国希望者というものが百二十八名でございました。そうしてこの人人は帰る前に一度仮放免してもらいたい、そうして帰国の準備をさせたいからという東京華僑総会の方からの申し出がございまして、われわれといたしましてもこれは相当ごもっともなる御要求だと思いまして、そう措置いたしたのでございます。ところが遺憾ながらその結果ははなはだ予期に反しまして、実際興安丸が出ますときに、集まって参りました者はわずか三十三名でございまして、ほとんど百人近い人人が実は逃亡という形になってしまったのでございます。そうしてその後この人々はまた漸次収容いたしておりますが、現在なお六十九名ほどの人が逃亡ということになっております。こういうのは一番顕著な大量に逃亡が現われた例でございます。それをひいてお考えいただきますと、ここにかなりの数にはなっておりますが、一般的にはそう多くもないということを御了解いただけるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/22
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023・古屋貞雄
○古屋委員 私がただいま御質問申し上げたのは、そういうような形式的な御解釈が行われておるかどうかということなんですが、実は移転をした場合に、すぐ即刻届出をしなければならぬ。ちょっとした旅行であるから、すぐ帰るような場合につかまったというような場合を、ただいまの御質問の例にあげたのですが、そういうような場合に、本人の意思は、十分注意したつもりなんだけれども、実際の手続は行わずに、ついわずかばかりの手違いで沒取されるというようなことが行われておるという不平を聞くわけなんであります。こういうような点について十分に実情に沿うような御解釈を願って慎重にやっていただきたい、かように私は考えておるわけであります。さようお願いいたします。
それからもう一つは保護団体でございますが、保護団体などにつきましては、どんな基準に基き、どんな考えで保護団体をおきめになるか知りませんけれども、ちょっとめんどうになりますのは、台湾におきましても二つ華僑総会がある、朝鮮におきましても二つの団体があるというような場合に、そういう代表的な団体は大体全部をお認めになるようなお考えで改正が行われておるのかどうか、この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/23
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024・内田藤雄
○内田政府委員 現在までの実情を申し上げますと、保護団体としてわれわれが仮放免の対象にして参りましたのは、善隣厚生会という団体でございます。実はこの問題につきましては、先般解散になりました旧民戦の兄弟のような団体でございましょうが、解放救援会という団体がございまして、この問題につきましてわれわれの方にいろいろ言ってこられた例もございます。私どもはその際に率直に申し上げたことでございますが、われわれはしいて形式をとやかく申すつもりはございませんのですが、今日御承知のように北鮮と韓国というふうに分れておりますために、われわれの行政に当りましても非常に微妙な問題がございまして、その取扱いいかんによりましては、われわれの行政全般に非常な支障を来たすというようなこともございますので、できる限り政治的な色のついた、あるいは御本人はついておらぬとおっしゃいましても、世間一般が見ました場合にそういう色がついていると思われるような団体に関与されたくない、こういう希望は持っております。しかしそれ以外に格別にわれわれが団体を特にえり分けて何かいたすというような考えは毛頭持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/24
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025・古屋貞雄
○古屋委員 私が今のような御質問を申し上げたのは——いろいろと私どもも不平を承わっておるのは、ことに朝鮮の問題なんですが、朝鮮人の国籍の問題で日本の政府がこういうような非常に大事な手続などでいろいろ便宜を与える団体を作って、そういう便宜を与える団体の執行のもとに、御本人の自由決定をどちらにか導くような政策的な意味でいろいろの処置が行われるというような不平を承わるわけです。たとえば国籍を韓国政府にきめなければならぬとか、いろいろなデリケートな問題がお説のように台湾の方たちにも朝鮮の方たちにもあるものですから、こういうような保護団体について相当の便宜を与える御決定については、ただいま御説明のようなことを固くお守りを願いたい、かようなために私御質問申し上げた次第ですので、その点は十分に御考慮願っておきめ願いたい、かように思います。
なお附則の第二項ですが、新設規定によって今後の手数料が免除されることになるようですが、どのくらい予想されてこの附則が出ておるわけですか。それから国庫に対する予算の歳入減に対する見通しはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/25
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026・内田藤雄
○内田政府委員 お手元に提出してございます資料の三十ページを見ていただきますと、そこに昭和二十九年末までの数字が出ております。それによりますと三万七千八百七十五となっておりますが、おそらくこの六月ごろまでには四万五千くらいにふえておるかと推定いたします。それでこの人々が問題になるわけでございますが、本年切りかえを要します人は、ごく大ざっぱに申しまして、三年間でこういう数字でございますから、この三分の一と申していいわけでございましょうが、実際のところ少いので、今年しなければならないのは大体八千というふうに踏んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/26
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027・古屋貞雄
○古屋委員 もう一点、これはあとへ戻るようですけれども、「保証書には、保証金額及びいつでもその保証金を納付する旨を記載しなければならない。」こういう規定が新設されることになるのですが、保証金を納付せねばならないいときというのは、どんなときのことをおさしになっていうのか、この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/27
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028・内田藤雄
○内田政府委員 大体は逃亡と認定されるような場合だと思いますが、それ以外に条件の違反が非常に重大であるという場合にも、場合によっては該当することがあろうかと思います。大体われわれといたしましては、裁判所、刑事訴訟法の方でやっております例などを参照いたしまして、それに準じた考えでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/28
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029・世耕弘一
○世耕委員長 他に御質疑はありませんか。——椎名君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/29
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030・椎名隆
○椎名(隆)委員 ちょっとお伺いしますが、運転手の場合などには、違反を犯した場合には免許証に一々書き込まれますが、それと同じように、朝鮮人あたりが罪を犯したときには登録証に犯罪を書き込みますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/30
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031・内田藤雄
○内田政府委員 書き込んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/31
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032・椎名隆
○椎名(隆)委員 そうすると朝鮮人が罪を犯した場合に、その罪を犯したことはどんなところで調べるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/32
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033・内田藤雄
○内田政府委員 登録証の本来の目的から言いましても、登録証にそういうものを書き込むことが妥当かどうか非常に疑問に存じます。それは、そうでなくても登録というものが何か犯罪の捜査と関係があるのではないかというような非難も出ておるのでございまして、われわれといたしましては、そういうつもりでやっておるのでないということを公式にも数度声明いたしておることでございますし、その犯罪者であるかどうかの調査は別途にやるべきものであると考える次第でございまして、登録書をそういうような意味に使いますことは、われわれとしては妥当だとは考えません。しかし犯罪者がありましたときに、それが前科のある人であるかないかというようなことは、これは通常の日本人の場合でもそうでございますが、いろいろな方法によってわかるわけでございまして、登録証にそれを書き込まなくとも、別途の方法によりまして、ある程度目的は達成できるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/33
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034・椎名隆
○椎名(隆)委員 それからこの登録証の書きかえに当って、たとえばこの朝鮮人がもと強盗、強姦のような罪を犯した、あるいは十年なり七年なりの刑を終えて今は釈放せられておるその連中が登録の書きかえをするに際して、そういう犯罪等を対照することなく、ただ漫然と書きかえるかどうか、あるいは前に犯罪をこの人間が犯したかどうかを調べてから後に書きかえをするようなことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/34
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035・内田藤雄
○内田政府委員 在留資格の更新をいたしますような場合でございますと、つまり成規の査証などで入ってきておるような人の場合には、そういうこともある程度考慮いたしております。しかし主として問題になります戦前からずっと日本に在留しております人につきましての登録の書きかえというのは、これは在留資格をまた延ばすというのではないわけなのでございまして、純然たる登録なのでございます。その場合にはただいまおっしゃいましたようなことはやっておりません。またこれは非常な、六十万に近い人が全国の市町村の窓口において登録を行うのでございまして、これを一々そういう角度で検討するということは実際上不可能であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/35
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036・椎名隆
○椎名(隆)委員 そうすると、いかなる犯罪を犯しても、やはり日本に在留するだけの——前にいさえすればいられるのだということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/36
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037・内田藤雄
○内田政府委員 特別にわれわれが入管令の条項に照らしまして退去いたさなければならないと考えました者以外の人々につきましては、その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/37
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038・椎名隆
○椎名(隆)委員 一番最初に入国を許可するときに、朝鮮人なりあるいは台湾人なりに対して指紋のようなものをとりますかとりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/38
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039・内田藤雄
○内田政府委員 入国を許可する場合には、何らそういう措置はとっておりません。ただ今回四月二十七日から指紋に関する政令が有効になりました結果、新しく入国して参りました外国人は二カ月以内に登録をいたすのでございますが、その際に一指の指紋をとることになっております。それから登録証を喪失いたしまして、再度登録証を要求して参ります場合には全部の指紋をとることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/39
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040・椎名隆
○椎名(隆)委員 はなはだ遺憾なことではありますが、ヒロポンあるいは酒税法違反等から見て参りますと、朝鮮人は非常に多いのです。その他凶悪犯罪についても加担しておる点がたくさんある。将来入国を許可するときに、いわゆる在留を許可するときに、朝鮮人等の指紋をとる御意向がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/40
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041・内田藤雄
○内田政府委員 これは一つの御意見でありまして、現にそういうことを実行しておる国もあるということを聞いておりますが、現在私どもといたしましてはそこまでやろうという考えではまだおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/41
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042・古屋貞雄
○古屋委員 実は不法入国者、その他の旅行目的で日本に入ってきた外国人について在留許可をいたしまする緩和の規定が本件でございますから、将来かような場合が非常にふえて参ると思うのです。のみならず、法務大臣はそのとき小委員長なんですが、昨年の当法務委員会の出入国管理令の小委員会で決議いたしましたときの要望に沿うような手続を現在なさっておるようでございます。法務大臣の在留認可の場合については、やはり各方面の意見をも徴して一つの諮問機関をこしらえて慎重にやられるということが、非常に好ましいことであると同時に、外国の人たちに対する親善の面においても非常に大事ではないかと思うのでありまして、将来改正されるような場合には一つの諮問機関をおこしらえになるようなお考えがあるのかどうか。そういたしまして、諮問機関によって諮問されて、大臣がさらに在留認可をする、かように慎重に取り扱うことが非常に大切だと思のでありますが、大臣のお考えはどうであるかを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/42
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043・花村四郎
○花村国務大臣 古屋君のお説まことにごもっともでありますので、法務省としてもその点に思いをいたし、目下研究いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/43
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044・世耕弘一
○世耕委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205206X02419550620/44
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