1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月二十八日(土曜日)
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議事日程 第十九号
昭和三十年五月二十八日
午後一時開議
第一 昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算
昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算
昭和二十六年度政府関係機関決算報告書
第二 昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算
昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算
昭和二十七年度政府関係機関決算報告書
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○本日の会議に付した案件
沖繩における土地紛争問題についての緊急質問(山中貞則君提出)
海岸砂地地帯農業振興対策審議会
委員の選挙
飼料需給安定審議会委員の選挙
日程第一 昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算
昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算
昭和二十六年度政府関係機関決算報告書
日程第二 昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算
昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算
昭和二十七年度政府関係機関決算報告書
昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
昭和三十年分の所得税の予定納税及び予定申告の期限等の特例に関する法律案(内閣提出)
午後三時三十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
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沖繩における土地紛争問題についての緊急質問(山中貞則君提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/1
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002・大石武一
○大石武一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、山中貞則君提出、沖縄における土地紛争問題についての緊急質問を許可されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/2
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003・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 大石君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
沖繩における土地紛争問題についての緊急質問を許可いたします。山中貞則君。
〔山中貞則君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/4
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005・山中貞則
○山中貞則君 昨年春、米議会の下院外交委員数名が沖繩視察を行い、四月の米議会に沖繩基地の土地買収を建議いたしたのであります。その内容は、米国国防のため必要な基地用土地四万五千エーカーを直ちに買収して、現行貸借制下に起っている紛争を除去しようとするものであり、最近伝えられるところによれば、この案はその後五カ年ごとの借地料一括払いを前提とする九十九カ年租借案の形を整えつつある模様であります。この問題が伝えられるや、沖繩県民——私はあえて沖繩県民と呼びますが、沖繩県民は一大衝撃を受け、世論沸騰し、新聞論調はもちろんのこと、この無期限買い上げともいうべき米国の方針が含んでいる基本的問題としての領土権に対する憂慮が今や全島をおおっている状態であります。去る四月十三日には、全沖繩軍用地所有者大会が那覇市において開かれ、無期限買い上げに対して絶対に承服しないという決議をいたしました。一方、米国側としては、この問題の処理を急ぐために、来週上院における公聴会を開くことになり、琉球行政院比嘉主席は、全島民の悲痛な願いを一身に帯びて、去る二十六日渡米、公聴会に出席して意見を述べようといたしております。私は、このような背景のもとに、自由党を代表して、政府の沖繩に対する考え方について質問いたすものであります。
沖繩が日米両国に対して置かれておりまする立場は複雑かつ微妙なものでありますが、国際的に規定されているところは、サンフランシスコ講和条約第三条の「合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」という点にその基礎を置いておるわけであります。調印の際、英国全権は、これらの島々に対する日本の領土権に疑義を生じてはならない旨発言し、さらに、米全権のダレス氏は、日本の残存主権たる領土権を明らかに認め、日本の領土権を認めるという前提のもとに米国は司法、行政、立法三権を行使する旨を述べたのでありますが、これらに対し、日本の吉田全権は、沖繩がすみやかに日本に復帰できるよう万全の努力を希望する旨述べているのであります。残存主権としての領土権そのものに幾多の疑問なしとしないのでありますが、少くとも日ソ国交の重大なる課題となっております南樺太、千島列島とは明らかに立場を異にいたしているのでありまして政府は、日本領土としての沖繩、日本人としての住民という立場に立って、絶えず米国政府と緊密なる連絡をとるべき責任を持っておるものと言わなければなりません。
そこで、沖繩は現在どのような姿に置かれているかと申しますと、極端にこれを形づけてみますならば、軍事基地の実態が雄弁にこれを物語っているのであります。沖繩群島総面積に対して軍事基地の占める割合は一三・七六%、耕地面積に対するその割合はさらに高く、二二・六七%となっているのであります。このように沖繩は全面的変貌を遂げ、極東における不沈空母とさえ称せられているのであります。われわれはこの事実に対して可否を論ずる立場を持っておりませんし、さらにまた、現地の住民も、軍事基地そのものに対しては、一種の宿命と言いますか、あきらめをもってこれを受け入れ、土地の収用についてもこれを認めている立場に立っているのでありますが、問題は、土地収用をめぐっての、米国、ことに出先機関たる米国民政府の沖繩に対する考え方、すなわち、土地収用に当っての具体策であり、これに対する住民のがまんしきれない立場なのであります。
先般、米国現地民政府は、いかなる意図のもとであったか判然といたしませんが、内外新聞記者団を沖繩に招待いたしました。もちろん沖繩の軍事用地収用をめぐっての紛争に対する内外の世論を気にしてのことであろうことは、容易に想像されるところであります。その際それら新聞記者諸君によって報道されました沖繩のなまなましい姿は、私どもの胸を深く打つものがあったのであります。たとえば、収用土地所有者約四万四千名のうち三万八千百余名が訴願しており、解決いたしましたものはわずか四件だけという状態であること、訴願の内容は、現行賃貸料の年平均坪当り二円十二銭二厘を年坪当り二十一円三銭七厘にしてほしいというにあるのでありまして、この要求額年坪当り二十一円三銭七厘も、沖繩刑務所の囚人の食費が一日三十円ということを考えるならば、しごく当然のこととして解決するものと思われるにもかかわらず、一向に解決しないばかりでなく、伊江島においては、強制立ちのきをさせられた住民が、住むに家なく、耕すに土地なく、天幕暮しをしているということであります。これは極端なる一例かもしれませんが、このことは、要するに、米民政府が日本人の土地に対する愛着というものを民族的に理解し得ないことを示しているものと思われるのであります。UP通信ポーツ支局長は、視察の後、米側は理論的な土地価格に基き公正な地代解決をはかろうとしたが、地代のスケールは心理的な人間的な要因を保証するにはあまりに低過ぎると述べ、率直にこの問題を認めているのであります。
このようなできごとの上に起った今回の九十九カ年租借案は、現地住民にとり、もっと根本的な疑問、すなわち使用権、占有権、地益権が無期限に買い上げられた後の空文化された所有権は何ものをも意味しない無価値なものとなり、かつまた、講和条約においてダレス長官が日本に対し残存主権を認めると言明した事項を実質的に失わしめる可能性があることを最も心配して、言いかえるならば、この無期限租借は彼らの最も希望する日本復帰を実質上絶望ならしめるものではなかろうかという点に民族的動揺を来たしていることに重大な意義を持つものであります。
鳩山総理大臣は、去る三月二十四日の衆議院の本会議において、わが党の福田篤泰君の質問に対し、小笠原、沖繩の返還交渉はできるだけすみやかに行いたいと答えておられますが、その後交渉された事実があるのか、お答えを願いたいのであります。最近の鳩山総理の共産圏外交に対する異常なる熱中ぶりから見ますと、おそらく米国に対する沖繩返還交渉などはお忘れになっておられるものと思いますが、いかがでありますか。もしなされていないとしても、前に述べましたような事実をお聞きになったことくらいはもちろんおありと考えますので、沖繩の土地収用をめぐる紛争に対し、米国にどのような申し入れなり連絡なりをなされたか、承わりたいのであります。
総理は、非公式ではありますが、日ソ交渉に当って、日米行政協定を改正し、もしくは米軍に基地を貸与しないという条件をのめば、ソ連は南樺太、千島を返してくれるのではなかろうかと述べられた由でありますが、厳然たる日本領土で、明らかな日本人の住む沖繩では、行政協定そのものすら適用されない姿のまま放置されておることをお考えになったことがもしありまするならば、せめて沖繩県民にも日本本土並みの行政協定くらいは適用されるよう、さらに一歩進んでは、現地民最大の希望たる行政権の回復に対し何よりもまず努力をされるべきではないかと思うのであります。そして、沖繩の人々に対して、日本は決してわれわれを見捨てているのではないことを知らせて、希望のともしびを与えるとともに、米国が沖繩に対する政策を米国の基調とする人道主義に立ち戻って行うよう、総理は直ちに行動を開始されるべきであると思いますが、この点に関する総理の御決意を承わりたいのであります。
われわれは、ともすれば、日本領土に対する米軍の直接上陸の惨をまぬがれて戦争を終結したと思いがちでありますが、本土に直接上陸が行われなかった陰には、沖繩八十万の同胞が、その惨禍とともに、想起するだに悽惨な犠牲をささげたそのたまものがあることを厳粛に思わなければなりません。日本人全部が感謝を永久にささげねばならない沖繩の人々が、戦後十年、依然として戦争犠牲の姿を余儀なくせられているさえ忍びがたいことでありますのに、日本政府がもしこれらの人々に対し同胞としての立場をなおざりに考えるようなことがありましたならば、民族愛などというものは無意義なものとさえ言わなければならないと思うのであります。(拍手)総理は、国会議員としての長い御経歴から、この議場に沖繩県選出衆議院議員五名が総理とともに国政を議していたことを、よもやお忘れではなかろうと思うのであります。また、インド洋周辺では、領海侵犯のゆえをもって、インドやタイ国政府に逮捕された沖繩の人たちがたくさんあるのでありますが、それらの人々の保護、釈放交渉等について、法律によってのみの取扱いしかなし得ない日本の大公使館は、何らなすところなく傍観しているのみだというではありませんか。日本人という意識で、日本の出先にたよった沖繩の人々が、相談相手にもなってくれない祖国の実態を知ったとき、逮捕されたとき以上の衝撃を受けるであろうことは当然のことであります。このようなことも、同じ国民として、しかも、日本民族八千万のうち、ただ沖繩県民八十万のみが苦しんでいる痛ましい事実を、同胞愛を持ってあたたかく見守る政府の積極的外交があるならば、容易に解決でき得るはずだと思いますが、総理、外務大臣の見解を承わりたいのであります。
さらに、国民政府の蒋介石総統は、かつて、沖繩は元来中国領土である、従って、日本に返還することに反対はもちろんのこと、返還は当然中国になさるべきである旨を公けにいたしたのでありますが、これに対する総理の見解と、さらに具体的に外交上いかなる態度をおとりになる用意を持っておられるのか、お示しを願いたいのであります。
以上、要するに、本問題解決の根本は沖繩の日本復帰実現をはかることにあるのでありますが、それ以前の問題として、さしあたり本問題の審議に来週着手の米国議会に向って総理は何らかの具体的意志表示をされるべきであり、さらに行政権回復への積極的努力を共産圏外交同様の熱意をもって示さるべきであると思いますが、総理の決心と外務大臣の具体的方策をお示し願いたいのであります。私は実は重光外務大臣の御答弁は不必要と考えていたのでありますが、一昨日の本会議における日ソ国交問題についての御答弁で重光外務大臣の存在価値を再認識いたしましたので、本日は特別に御答弁を願うことにした次第であります。
以上数点お尋ねいたしましたが、これに対する御答弁には海を越えた南の島より八十万の同胞の祈りがかけられていることを十分意識してお答えあらんことを切望する次第であります。(拍手)
〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/5
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006・鳩山一郎
○国務大臣(鳩山一郎君) お答えをいたします。
沖繩に対して日本が領土主権を持っておるということは、世界の人々がみんな認識しておると思います。そうして、沖繩県民が日本にすみやかなる帰属を熱望しておることもよく承知しておりますので、たびたびアメリカに対してはそのことを申し込み、アメリカは十分これを承知しておるものと思うのであります。
国民政府あるいは中共政府が何か沖繩に対して領土権を主張しているようなお話がありましたが、そういうようなことに対しては、おそるることは少しもないと思います。(拍手)
地の点につきましては外務大臣から答弁をいたします。
〔国務大臣重光葵君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/6
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007・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 沖繩の問題につきましては、昨日るる御説明申し上げた通りでございますが、直接わが同胞の、すなわち沖繩同胞の福祉に関する土地問題等がたくさんございます。これらにつきましては、従来とも政府は重大な関心を持って米国政府の注意をそのつど喚起しておる状態でございます。
最近、御承知の通りに、米国におもむいた行政主席比嘉氏のことにつきましては、米国において、この行政主席が米国議会にも陳情するということでございます。これには十分の便宜を与えておりますが、われわれといたしましては、その目的を貫徹することを祈っておる次第でございます。
それから、土地の賃借料等の詳細のことについては、材料がございますが、一々申し上げません。
そうして、沖繩住民の、漁民の保護については、そのつど在外大公使館において十分の手当をいたしておるのでございまして、何もこれをかまいつけない、こういうお話は、これは事実に反しておることを私は申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/7
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008・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 山中君より再質問の要求があります。山中貞則君。
〔山中貞則君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/8
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009・山中貞則
○山中貞則君 私が緊急質問をわざわざ許さしていただきましたのは、来週米議会において本問題の公聴会が開かれることになり、琉球行政院の比嘉主席がわざわざ島民の輿望を受けて渡米しておることを前提にして申し上げたのでありますが、私は、総理のお口より、日本の意思として、アメリカの公聴会を開かんとするそのような状況に対して何らかの確然たる態度を表示せらるべきであるということを最も重点に置いて申し上げたわけであります。(拍手)総理には、自席でけっこうでございまするから、その問題について再度御答弁をお願いいたす次第でございます。
〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/9
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010・鳩山一郎
○国務大臣(鳩山一郎君) お答えをいたします。アメリカの議会が沖繩県民の熱望をよく聞き入れてくれることをこいねがっております。(拍手)
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011・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員の任期が満了いたしましたので、この際同委員の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/11
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012・大石武一
○大石武一君 海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/12
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013・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 大石君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。
議長は、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員に
赤澤 正道君 大森 玉木君
徳安 實藏君 川村 継義君
中崎 敏君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/14
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015・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) また、飼料需給安定審議会委員の任期が満了いたしましたので、この際同委員の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/15
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016・大石武一
○大石武一君 飼料需給安定審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/16
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017・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 大石君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。
議長は、飼料需給安定審議会委員に
遠藤 三郎君 内藤 友明君
足立 篤郎君 永井勝次郎君
西村 彰一君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第一、昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算、昭和二十六年度政府関係機関決算報告書、日程第二、昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和二十七年度政府関係機関決算報告書、右各件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長上林與市郎君。
〔上林與市郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/19
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020・上林與市郎
○上林與市郎君 ただいま議題となっております昭和二十六年度並びに昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算及び同政府関係機関決算報告書の六件につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、昭和二十六年度一般会計の決算額につきましては、歳入八千九百五十四億円余、歳出七千四百九十八億円余でありまして、差引一千四百五十六億円余の剰余を生じております。また、同年度における特別会計の数は三十四でありまして、各特別会計の決算額の合計は、歳入一兆四千億円余、歳出一兆二千七百五十億円余であります。これら一般会計、各特別会計相互の重複額等を控除調整した決算の純計額を概算いたしますと、歳入一兆六千五百三十二億円、歳出一兆五千九百五十二億円となる計算であります。さらに、同年度における政府関係機関の数は十九でありまして、決算額の合計は、収入五千九百四十五億円余、支出四千四百七十九億円余となっております。
次に、昭和二十七年度一般会計の決算額は、歳入一兆七百八十八億円余、歳出八千七百三十九億円余でありまして、差引二千四十八億円余の剰余を生じております。また、同年度における特別会計の数は三十五でありまして、各特別会計の決算額の合計は、歳入一兆三千四百九十九億円余、歳出一兆二千百三十六億円余となっております。これら一般会計、各特別会計相互の重複額等を控除調整した決算の純計額を概算いたしますと、歳入一兆七千八百十一億円、歳出一兆六千六百十億円となる計算であります。さらに、同年度における政府関係機関の数は九でありまして、その決算額の合計は、収入五千六百九十四億円余、支出四千百五十一億円余となっております。
以上が昭和二十六、二十七年度決算の概要でございますが、なお詳細については、それぞれの決算書をごらんいただきたいと思います。
決算委員会におきましては、昭和二十六年度決算については二十八年十二月第十八回国会以来、昭和二十七年度決算については昭和二十九年二月第十九回国会以来、会計検査院の検査報告等に基いて審議を重ねて参ったのでありますが、その詳細は速記録について御承知いただきたいと存じます。
以下、特に委員会において取り上げました重要事項につき簡単に御報告申し上げます。
第一は、関係職員の綱紀弛緩によって招いた経理の不当事項が随所に見られることであります。公金横領等の犯罪事件は、会計検査院の検査報告によれば、二十五年度の百九十三件、被害金額二億七百余万円に比較して、二十六年度七十二件、一億二千九百余万円、二十七年度四十五件、七千百余万円と、漸減しておりますが、他面、直営直轄工事の施行、物件の購入等にからんで、職員の不正、汚職等が発生している事例が数多く見られるのであります。
そのおもなるものは、農林省所管印旛沼手賀沼干拓事業所において、二十四年二月から二十六年度末に至る間、架空経理等により六千七百余万円を捻出し、工事代金のほか接待費、諸手当等に使用し、また一部を横領し、請負業者から収賄するなど、事業所長等九名が刑事事件を惹起した事件、また長崎大学における練習船購入にからむ事件、その他、厚生省国立津病院、運輸省各管区海上保安本部、建設省各地方建設局工事事務所、日本電信電話公社電気通信研究所等における経理紊乱あるいは架空経理において、他費目、特に交際費、食糧費、諸手当等への流用が見られます。これら経理の紊乱は、会計責任者等が故意に収支関係帳簿、支払い関係証拠書面等に事実に沿わない記載処理をしておるもので、不正行為のごとき個別的な犯罪行為と異なっていわば組織的な行為と言うべく、事件を惹起した官庁ないしは出先機関全体の綱紀弛緩によるものと認めざるを得ず、本委員会はこれに対し関係当局の猛省を促した次第であります。
このほか、国鉄大阪鉄道管理局において、被服洗濯代千五百余円の支払いに当り、支払い伝票を改ざんされて五百九十万余円を騙取され、今日に至るも真相の判明しない事件があります。かような失態は、最近における国鉄の運輸事故の頻発と並んで、国鉄部内全般の綱紀の弛緩、規律の頽廃を物語るものでありまして、全く奇怪かつ醜態の限りと申すべく、当局に事実の厳重なる究明を要求したのであります。また、物品の管理事務は現金の出納保管に比較して一般に軽視される風潮がありますが、その顕著なものは、保安庁において必要以上に多量の物品を購入して、大部分を倉庫に死蔵しておる事例のほか、調達庁の諸物品、食糧庁の麻袋、建設省の建設機械、国鉄、電信電話公社の諸需品の購入、出納保管等にずさんのはなはだしいものが見られます。これらは、ひっきょう、物品管理事務に対する熱意の欠除と責任観念の稀薄によるものと言わざるを得ず、政府に対し物品の経理につき特に厳正を期せられるよう要望いたした次第であります。
第二は、国庫補助金または国庫負担金の不当経理についてであります。国が国庫補助金または国庫負担金として地方公共団体等に交付した金額は、地方財政平衡交付金を除き、二十六年度千三百五十六億三千四百余万円、二十七年度二千二百四十八億八千二百余万円に上りますが、このうち農林省、運輸省及び建設省所管等の災害復旧補助金について、補助申請者がその事業費を過大に積算して査定を受け、あるいは災害を受けた事実の認められないもの、事業主体が正当な自己負担をしていないもの、はなはだしいのは架空の工事や二重の申請をして補助を受けたものなどの事例がきわめて多く、この他、各種補助金を通算して、その返納または減額を要するものとして検査院の指摘を受けたものは、二十六年度三億百余万円、二十七年度十三億五千六百余万円に達しております。しかも、この数字は、検査院の補助工事関係の実地検査がごく小範囲にしか及んでおらないこと、すなわち、農林省所管公共事業は全国工事現場の約六%、建設省所管災害復旧事業は同じく一〇ないし一五%にすぎないことを思えば、実際の不当経理、削減すべき補助金額により莫大なものと想像されるのであります。
災害復旧事業においては、緊急を要するため、水増しの補助申請に対して、いわゆる机上査定によるものが多く、このため事業費の査定が適正を欠き、各地方公共団体等は、補助金獲得競争に狂奔する一方、補助金交付事務に当る国の会計機関に、補助を受ける立場にある都道府県の吏員が当るのが通例であるため、過大交付に対する是正措置が十分にとられないきらいがあるのであります。市町村に対して負担能力の限界をはるかに超過すると認められるような多額の工事費を査定しながら、技術指導、資金手当等、適切なる対策を考慮しなかったため、不当な結果を招いたものとして、たとえば山口県佐波郡出雲村、同八坂村のごときは、いずれも人口五千ないし六千の寒村であるにかかわらず、二十六年災害に対する農林関係災害復旧事業費は、それぞれ七億八千四百余万円、五億三千五百余万円と膨大な事業計画が認められ、そのうち八ないし九割は国庫補助金を当てにしているのでありますが、事業の施行に当って必要以上の設計をしているもの、出来高が不足しているもの、あるいは地元負担の不足等が見られ、さらに補助金の一部残金を保留しているありさまであります。
検査院が指摘する、かような各種補助金の不当経理は、全国にわたって見られますが、委員会においては、これが絶滅の対策として、ます事業費査定を机上査定から現地査定に切りかえて、災害の実情を的確に把握すべきこと、次に、工事監督の責任が各都道府県知事にあり、補助金の支出負担行為担当官には各都道府県の土木部長、農地部長が当っている点にかんがみて、事業費の査定についても知事に相当の責任を負わせることが必要であるとの意見が述べられております。すなわち、補助金の交付事務は地方公務員に委任されているのでありますから、事業費の査定、工事の施行監督、成功認定と交付金の精算等について、中央地方の有機的な関係を一層緊密化して、所管の大臣なり国の監督権が補助金事務に関しては地方公務員の身分にも十分に及ぶよう、現行法規の不明確な部分を改正するなど、根本的な制度上の改善を要望した次第であります。
第三は、病変米の輸入、処分等に関する問題であります。すなわち、二十六年度以降輸入したビルマ米に有毒黄変米が多量混入していたため一般に配給することができず、これを低価に売り渡し、あるいは配給を中止している事態でありまして、二十六年度に輸入した四万五千余トン中、九千余トンの黄変米を発見し、これをアルコール等の原材料として、買い入れ価額四億九千余万円から一億九千余万円を値引きして売り渡しております。引き続き二十七年度に輸入した八万二千余トンには、五万七千余トンの黄変米が発見され、うち一万三千余トンは有毒黄変粒含有の率が高いため、買い入れ価額九億七千余万円から六億三千余万円を値引きして売り渡したのであります。病変米の毒性について、食糧庁は、二十七年三月、食糧研究所から配給不適の報告を受けたにもかかわらず、その混入防止について適切な処置をとらなかったため、その後も引き続いて輸入され、現在その総在庫数量は十五万一千余トン、買い入れ価額概算九十七億三千七百余万円のものが配給を中止されている状況であります。また、病変米の処分につきましては幾多公正を欠く点が見られ、二十六年度輸入のものは、通産省及び民間酒造会社に売り渡すのに、日本糧穀株式会社なる中間会社に随意契約で売却しているのでありますが、売り渡し価額トン当り約三万円は、このほかに指名競争契約によった分の平均三万二千余円よりも低価となっているばかりでなく、日本糧穀のごときものを介在させる必要も納得できなかったのであります。
なお、食糧庁は、外米の包装材料たる麻袋を、二十六年八月、三百万枚、買い入れ価額八億七千万円、二十七年十二月、五百万枚、四億六千五百万円で購入しておりますが、需給の状況を的確に把握せずして調達したため、年度内に使用するに至らず、いたずらに死蔵して、多額の保管料を民間倉庫会社に支払っており、また麻袋の市価も購入当時から漸次低落しておりますので、これらのことを考え合せると、国損額はさらに多額に上るものと思われます。
当委員会は、病変米による国損が二十七年度までの分ですでに八億円の巨額に達していること等を重視して、特に重点的に審議いたしましたが、その後二十八年度輸入の白色米にも有毒病変粒が混入していることが明らかとなり、しかも、農林、厚生両省の連絡緊密を欠き、一部病変米が主食に配給され、国民の保健上からも看過すべからざる事態と認められましたので、さらに政府の措置について追及した結果、二十九年八月二十三日、委員会の総意をもって大要次のごとく決議して、政府の善処を促したのであります。すなわち
一、政府は外米輸入契約に関し再検討を加え、損害の補償等につき善処すること
二、病変米の配給を中止し、再搗精その他の処理をし、再検査の上、学者の一致した意見により、これを処理すること
三、病変米の処分は公平適正を期し、かつ国損を最小限度にとどめること
四、政府は外米輸入に当り、病変米の輸入を防止するよう努力すること
等であります。その後、当局は、輸入契約に黄変粒混入の許容限度及び拒絶の限界を明記する等改善を加えたほか、管理技術上の対策を講じておられるようでありますが、なお十分とは言えず、今後とも、国際貿易上の問題として、これが解決に一段の努力を払われることを要望いたした次第であります。また、病変米の処分につきましては、これを再搗精の上主食配給に向け得るかいなか、厚生省における毒性研究の統一的結論をまって、農林当局においてさらに慎重に処理の方針を決定せられるよう要望いたしたのであります。
第四は、日本国有鉄道の土地建物の部外使用等に関する問題であります。国鉄の土地建物を部外に使用させている状況を見ますのに、承認前に使用させているもの、使用させながら料金を決定せず、あるいは徴収が決定していないもの、料金を改訂しないで放置しているもの、低価なもの、収納を遅延しているもの、契約に違反して転貸しているのに解約していないものなどが見られ、これらは国鉄の固定財産、特に高架下の管理に関する規定に不備な点があり、料金の決定について担当局所によって統一がないこと、担当者のふなれ、事務の緩慢等のため、固定財産管理が規定通り励行されていないことなどによるものと認められるのであります。そのおもなるものとしては、東京駅の鉄道会館、国際観光会館等、秋葉原駅の秋葉原会館、高円寺駅の高円寺復興協力会、札幌駅のステーション・デパート協同組合等、京都駅の観光デパート等があげられます。
当委員会は、これらのうち、鉄道会館について、二十八年第十六回国会以来、国政調査の対象として審議をいたし、二十八年十一月二日、国鉄の会計経理、固定資産の管理運用につき整備改善を行い、また民衆駅の建設運営に関して国鉄本来の使命を達成するに支障なきよう基本方針を確立する等、国鉄当局の善処を促す決議をいたしましたが、この詳細は、すでに二十八年十一月七日の本会議において御報告があったので、省略いたします。
これに対して、国鉄当局は、二十八年十一月臨時財産管理部を設けて、財産の管理に当らしめ、固定財産管理規程及び構内営業規則を改正して、部外使用の承認、使用料金及び営業料金の決定などについての規定を使用個所及び営業形態に則して明細にするとともに、構内営業料金、土地建物貸付料等は大体平均二倍程度に改訂しております。また、民衆駅については、改正規則に基く契約の更改を進めているとのことでありますが、なお不十分の点がきわめて多く、八重州口広場の整備、退職者の就職制限等については、ほとんど手をつけておらない状況でありますので、今後とも当委員会の決議の趣旨に沿って善処されることを要望いたした次第であります。
以上は昭和二十六、七年度決算について特に論議せられました重要事項でありますが、このほか、国政調査の対象として、二十九年二月以来、いわゆる造船融資問題を審議いたしました。すなわち、戦後、計画造船については、政府は国家資金を、政府関係機関たる日本開発銀行を通じて建造費の約七割を、残余は市中銀行が船会社に融資しているのでありますが、建造費の査定に当り、造船会社から船会社に建造代金の一部を割り戻すいわゆるリベートを含んでいるのではないか、すなわち、その分だけ水増しした建造費に対して融資しているのではないかということが問題とせられたのであります。また、政府は、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法により、造船資金の融資額については、市中銀行、開発銀行に対して利子補給金を支給することとなっておりますので、融資額の水増しがあれば利子補給額もそれだけかさむこととなり、二重の国損を招くのであります。
委員会の審議は、以上のほか、計画造船の船主選考の経緯等多岐にわたっておりますが、いまだ結論を得るに至っておらず、その詳細は次の機会に譲りたいと存じます。
以上、当委員会において特に重点的に審議いたしました諸問題を御報告いたしましたが、会計検査院が経理上不当と認めた事項及び是正させた事項として検査報告に指摘したものだけでも、二十六年度において千百九十八件、総額三十億五千八百余万円、二十七年度において千八百十三件、総額百二億九千余万円に上っているのであります。国の予算の執行にかくも多数の過誤、怠慢あるいは故意による不経済使用が見られ、職員の汚職犯罪などが発生して、莫大な国損を生じている事例が依然として跡を絶たないのはまことに遺憾でありまして、連年にわたる本院の警告にもかかわらず、政府の改善策がいまだに確立されていない感をわれわれ決算委員は抱かざるを得ません。当委員会においては、政府当局に対して、本院の警告、また決算委員会における各般にわたる審議に際して開陳された改善意見等を、今後の施策に十分に生かされることを強く要望いたした次第であります。しこうして、職員の教育、訓練を励行して資質の向上に努められるとともに、責任の追及をさらに厳重にして、信賞必罰、もって綱紀の振粛を期せられるよう要望いたしました。また、予算の執行、会計経理の検査に当る会計検査院に対しては、各委員から、検査院の検査はなまぬるいから、検査の機能をさらに発揮するため、機構、人員を拡充強化して、関係者の責任追及をさらに厳重にせよ等の意見が述べられておりまして、検査院がこれらの点に配意せられて、会計検査の効果の万全を期せられるよう、一そうの精励を要望いたした次第であります。
委員会は、去る五月九日をもって二十六、二十七両年度決算についての審議を終了し、同月二十四日採決に入るに当りまして、日本社会党細田委員から、会計検査院指摘の二十六、二十七両年度の不正不当事項について、それぞれ政府に対して将来の注意と善処を促す旨の動議が提出せられました。これに対して討論に入り、日本民主党を代表して椎名委員、自由党を代表して山中委員、日本社会党を代表して山田委員、吉田委員から、それぞれ動議の趣旨に賛成の御発言があった後、採決に入り、全員一致をもって細田委員の動議の通り議決いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/20
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021・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 各件を一括して採決いたします。各件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/21
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022・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって各件は委員長報告の通り決しました。
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昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
昭和三十年分の所得税の予定納税及び予定申告の期限等の特例に関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/22
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023・大石武一
○大石武一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案、昭和三十年分の所得税の予定納税及び予定申告の期限等の特例に関する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/23
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024・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 大石君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/24
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025・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案、昭和三十年分の所得税の予定納税及び予定申告の期限等の特例に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長松原喜之次君。
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〔松原喜之次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/25
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026・松原喜之次
○松原喜之次君 ただいま議題となりました昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
昭和二十八年度及び昭和二十九年度におきまして、国債の償還等に充てるための資金の繰り入れの特例といたしまして、国債の元金償還に充てるため一般会計から繰り入れるべき金額は、財政法第六条の規定による前々年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一相当額にとどめ、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定による前年度首国債総額の一万分の百十六の三分の一相当額の繰り入れは、これを要しないものとするとともに、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が政府に対し負う債務の償還元利金は国債整理基金特別会計に受け入れ、当該金額について一般会計から繰り入れがあったものとみなす特別の措置が講ぜられました。この特別措置は、昭和三十年度四、五月分の暫定予算の期間中延長されていたものでありまするが、本法案は、本年度を通じて引き続き右と同様の措置を講じようとするものであります。
次に、昭和三十年分の所得税の予定納税及び予定申告の期限等の特例に関する法律案について申し上げます。所得税の改正につきましては、政府からすでに所得税法の一部を改正する法律案が提出せられ、目下大蔵委員会で審議中でありますが、同法律案によれば、本年分の所得税の予定納税につきましても、七月より実施を予定せる改正後の所得税法によることを予定しております。しかるに、現行所得税法の規定によれば、予定納税額の通知は毎年六月十五日までに行うことになっており、これに応じて予定納税に関する各種の期限が定められておるのであります。本法律案は、この予定納税額の通知期限、その他六月及び七月に行われる予定納税に関する各種の期限を延期して、減税後の所得税額により予定納税を行うことができるようにしようというのであります。
以上の両法律案につきましては、審議の結果、本二十八日質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、両案とも全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/26
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027・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/27
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028・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案は委員長報告の通り可決いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X02019550528/28
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