1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十七日(水曜日)
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議事日程 第四十七号
昭和三十年七月二十七日
午後一時開議
第一 日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
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●本日の会議に付した案件
日程第一 日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
国防会議の構成等に関する法律案(内閣提出)
日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案(内閣提出)
接収不動産に関する借地借家臨時処理法案(福井盛太君外六名提出)
午後一時五十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
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002・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第一、日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。委員長の報告を求めます。逓信委員長松前重義君。
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〔松前重義君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/2
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003・松前重義
○松前重義君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和二十八年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書に関し、逓信委員会における審議の経過並びにその結果の概略を御報告申し上げます。
本件は、放送法第四十条第三項の規定に基き、会計検査院の検査を経て、内閣より去る一月二十二日提出されたものであります。
本議案の内容を要約いたしますると、日本放送協会の昭和二十八年度の損益計算は、事業収入、ラジオ関係六十八億五千三百余万円、テレビジョン関係千四百余万円、事業支出、ラジオ関係六十六億九千五百余万円、テレビジョン関係三億七千六百余万円でありまして、差引、ラジオ関係では一億五千八百余万円の剰余、テレビジョン関係では三億六千百余万円の欠損となっております。
次に、協会の昭和二十八年度末現在における資産は五十六億六千三百余万円、負債は三十四億九百余万円でありまして、差引資本計上額二十二億五千四百余万円でございます。これらの添付の説明書に対照してみまするに、予算に比較して、事業収支においては、約四%の収入増、約〇・一%の支出減となっており、また、前年度末に比較いたしまして、資産約一八%、負債約四六%をそれぞれ増加し、資本計上額約八%を減少しているのであります。
なお、本件には会計検査院において特に記述すべき意見はない旨の検査結果が添付されております。
逓信委員会におきましては、去る三月二十三日、本議案の再付託を受けまして以来、しばしば会議を開き、郵政省並びに会計検査院当局より説明を聴取し、また参考人として日本放送協会の会長及び理事の出席を求めて質疑を行う等、慎重審議を遂げたのであります。
質疑応答の詳細につきましては会議録に譲ることといたしまするが、特に申し添えておきたいと存じますることは、昭和二十八年七月、放送協会が、その本部に隣接する約五百七十坪の所有の土地を年額約八十九万円をもって財団法人ラジオ・サービス・センターに賃貸し、これに建築費約一億三千五百万円の三階建鉄筋コンクリート作りのビルディングを新築いたさせまして、その大部分を協会が賃借し、保証金八千五百万円を差し入れ、借家料年額約千八百万円を支払っているという事実でありまして、会計検査院当局が委員会において述べた意見としては、この場合協会が自己所有の土地にみずから所要の建物を建築した方が採算上も有利であり、本件契約において建物の所有がラジオ・サービス・センターに帰属することは、協会としてみずから不利益な措置をとったものと認めるという見解であり、委員会における多数委員の意見もまた同様でありました。これに対する協会側の答弁としては、テレビジョン・スタジオの増設等急速な必要に迫られたのと、建築費予算がなかったために、やむを得ずかかる措置をとったのであるが、会計検査院の批判はもっともであり、おそくも昭和三十一年度以降の二カ年間にこれが買収を完了することとして、必要な予算措置を講ずる考えである旨を言明したのであります。また、前に申し述べましたラジオ・サービス・センターは文部省の主管に属する財団法人でありますが、この法人の事業目的からいって、郵政省の主管ないし郵政省、文部省の共管にすることが適当ではないかという質疑に対して、政府は、十分検討の上、もし変更を可とするならば所要の措置をとる旨を答弁いたしております。
かくして、委員会は、七月二十六日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって本議案については異議なきものと議決した次第であります。
これをもって御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/4
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005・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本件は委員長報告の通り決しました。
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国防会議の構成等に関する法律案
(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/5
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006・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、国防会議の構成等に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/6
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007・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/7
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008・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
国防会議の構成等に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長宮澤胤勇君。
〔宮澤胤勇君登壇]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/8
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009・宮澤胤勇
○宮澤胤勇君 ただいま議題となりました国防会議の、構成等に関する法律案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。
本案は、六月二日本会議に上程せられ、質疑が行なわれた上で当委員会に付託された関係もありますので、法案の内容について申し上げることは、重複を避ける意味でこれを省略することにいたしたいと存じます。何とぞ御了承を願います。
六月十六日政府の説明を聞き、直ちに質疑に入り、翌十七日及び二十七日の三日間にわたって鳩山首相及び関係大臣に質疑を重ね、さらに七月二十二日より質疑を続行し、二十五日には公聴会を開くなど、慎重に審査を行なったのであります。これらの詳細につきましては、何とぞ会議録によって御承知をお願い申し上げます。
七月二十六日、本案に対し、自由党の江崎委員外七名の提案によって、国防会議の議員に民間人を加えることは、内閣責任制の建前をとっておる憲法上疑義があるばかりでなく、機密保持の上からも適当でないとして、民間人を議員に充てる規定を削除する旨の修正案が提出されたのであります。よってこの修正案について提案者及び政府に対し質疑を行い、さらに鳩山首相に対して総括的な質疑を行い、翌二十七日修正案及び原案を一括して討論に入りましたところ、石橋委員及び矢尾委員は、日本社会党をそれぞれ代表して、修正案及び原案にいずれも反対の意見を述べられ、田村委員は自由党を、保科委員は日本民主党をそれぞれ代表して、修正案及び修正部分を除く原案にいずれも賛成の意見を述べられたものであります。
採決の結果、多数をもって修正案の通り修正議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/9
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010・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより討論に入ります。下川儀太郎君。
〔下川儀太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/10
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011・下川儀太郎
○下川儀太郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国防会議構成法案に対して反対の意を表せんとするものであります。(拍手)
私は、討議に当って痛感することは、今日ジュネーヴにおける四巨頭会談の結果が、よしんば最後的な結論は得ずとも、国際危機の緩和と、世界諸民族に平和ヘの希望を与えたことは、偉大なる事実として何人もいなむ者はないということであります。(拍手)なかんずく、会議の中に軍縮のことが論及されたことは、われわれの最大の喜びとするところでありますが、翻って今日の日本の国会の場において、およそ巨頭会談とほど遠い再軍備のための自衛隊の増強、国防会議という反動法案を審議しなければならないその愚かしさと不幸を、全国民とともに、しみじみと嘆くものでございます。(拍手)国防会議、その名は実におごそかにして雄大でありますが、その実質たるや、アメリカのセコハン兵器に、同じくアメリカの軍服をまとい、アメリカの軍事顧問団に指導されておるみじめな自衛隊を根幹とする、いわばアメリカのための参謀本部にひとしいものであると断定するものであります。(拍手)また、その設置の論拠たるや、枯れ尾花におびえるたぐいにひとしく、風車にいどむドン・キホーテのごとく、平和の流れに逆らうがごとき姿は、まさに世界のナンセンスでございましょう。(拍手)
すなわち、今日まで、われわれは、防衛諸問題について、吉田内閣以来、その理論的根拠を憲法違反として追究して参りました。鳩山総理も、在野当時は、自衛隊は憲法違反と激しく吉田内閣を攻撃しながら、みずからがその任に当ると、たちまち豹変して、吉田内閣以上の防衛計画をあえてなし、世論の動向によって憲法の解釈を変えたとうそぶき、節を曲げて憲法をじゅうりんしたことは、まさに総理の汚点として、憲法史上永遠に残るでございましょう。(拍手)しかしながら、今なお総理に政治的な良心と疑義があればこそ、憲法改正によって自衛隊を合法化しようとし、その前提として憲法調査会を設置しようとしたことは明らかであり、まさに語るに落ちるの例のごとく、自衛隊の憲法違反はすでにして総理みずから責任を感じておることと察せられます。(拍手)
従って、われわれは、国防会議法案の審議も、当然憲法違反として、議論の余地はございません。試みに防衛に関する政府の理論的な根拠を追及いたしますと、依然として、吉田内閣同様、自衛のためには軍隊が必要であるの一語に尽きる、きわめてあいまいもこたる答弁のみに終始し、その自衛なるものの本質の具体的な説明をなし得ません。しかも、自衛隊法には明らかに日本の平和と独立を守るためとあり、また直接侵略、間接侵略に出動するとある以上は、当然防衛の対象があらねばなりません。もちろん、政府がアメリカと共同防衛をしている今日、必然的に問題になってくるのはソ連、中国でありましょう。また、自衛隊の教育方針が反共を根本理念としておることは事実でありまするから、いずれにせよ、防衛のほこ先はこれらの共産主義国に向けられております。しからば、この二つの国が今日どう日本を侵略しようとしているのか。むしろ、現実はその逆であり、いずれも戦争終了と友好関係を熱望している事実に照らしても、侵略の意図はございません。いわんや、四巨頭会談が示すごとく、人類の不幸を除去するための話し合いがなされておるときに、いたずらに見えざる影におびえて国民の血税を浪費することは、愚昧なる政治家の最たるものと言わざるを得ません。(拍手)
なお、今日、日ソ交渉が行われるとき、その相手国を仮想敵国として防衛計画を立つるがごときは、ふところにドスをのんでの取引であると言わざるを得ません。また、口を開けば中ソを侵略の対象とされるが、この際国民として考えるべきことは、中ソを侵略扱いする前に、たとい安保条約の結果とはいえ、すでにして、日本が、沖繩を初め全国土が、永遠の軍事基地として植民地化されておる、その実態を知るべきでございましょう。(拍手)いわば共同防衛に名をかりた侵略行為であり、それらの真の国土防衛を論ぜずして、侵略者の圧力に抗しかねて中ソヘの防衛計画に主眼を置くことは、みずから日本人の名をはずかしめるにふさわしいものでございます。(拍手)アメリカにはネコのごとく、日本人にはトラのごとくとは、辻政信君の言でございまするが、政府、与党の中にもその声あり、いわんや国民の声はがくがくたるものがございます。(拍手)
今にして政府は民族的な自覚の上に政治を行わねば、かつてのインド、ビルマの轍を踏まなければなりません。過ぐる年、われわれがインドに旅したとき、当時サンフランシスコ会議のあとでございましたが、ネールは、アジアの平和に言及し、アジアの復興と発展は、インドと中国と日本との結合によって欧米諸国家と不可侵条約を結び、全アジアの産業開発によってかつての全被圧迫民族を幸福にすべきであると説き、そのあとで、中国はソ連の中国からアジアへ帰り、日本はアメリカの日本からアジアへ帰れと言われたが、すでにしてインドと中国は平和五原則による提携がなり、ひとり日本だけがアジアの孤児としてアメリカに追随している姿は、魂なき日本の政治家の責任として、激しい怒りをわれわれは感ずるものでございます。(拍手)
しかし、われわれは、決して反米、ソ連一辺倒を主張するものではございません。問題は日本の自主性の確立でございます。両陣営の中に、国土と民族のそこないなき対等の立場に立つ中立外交こそが、今日の日本を救う唯一無二の自衛の道であるとわれわれは考えます。(拍手)幾ばくの軍隊、幼稚きわまる国防会議をもってしても、しょせん原水爆の敵ではなく、いずれにくみしても戦略的な犠牲になるのは必定であり、むしろ、平和憲法を守りつつ、今日の国際情勢の中にその信を高めることが最大の自衛の武器であることを、強く主張するものでございます。(拍手)
また、質疑の中において今、なお、保守党の中には、竹島問題等をとらえて防衛計画の理論的根拠とし、あえて韓国との武力抗争をも示唆せんとする者がありますが、その政治感覚の低級なること、まさに十八世紀の野武士的な言であり、(拍手)みずから日本外交の拙劣さを暴露しておるものでございます。その陰にひそむ軍国主義者の残存を察知することができます。これらの知性なき政治家群によって生まれる防衛計画の実体は推して知るべきでございましょう。
かつて木村防衛庁長官時代に竹島問題が紛擾したとき、ある漫画誌が、アメリカ製のフリゲート艦に乗った李承晩大統領、同じくアメリカのフリゲート艦に乗った木村防衛庁長官とが竹島沖で対峙した姿を描き、その横に、どっちが李承晩だ、共食いはよせと書いてありましたが、まことに至言でございました。(拍手)今日いずれの政権もアメリカの落し子的な存在であることを思うときに、いたずらなる扇動に酔うことなく、むしろ、その背後にあって両国を踊らせておる戦争の挑発者を発見して徹底的に追及することが、われわれの自衛の道でございます。(拍手)
また、間接侵略が論議されましたが、しょせん、暴力革命及び矯激なる思想の台頭はすべて飢餓と失業がもたらすものであり、今日のごとき再軍備の増強によって国民生活を脅かしておる政府並びに保守党諸君に、それを論ずる資格はございません。ます間接侵略を説く前に、むしろ、みずからが、今日の日本の状態をよく考えて、再軍備よりも民生安定のために予算を組むベきでございましょう。
なお、最後に、若干国防会議の法案の内容に触れまするが、この法案は、最初の政府案は閣僚五名、民間人五名の構成でありました。この民間人五名を挿入したことは、たとい保守党であっても、民主主義政治の原則に基いて、政府の独裁性と行き過ぎを批判し除去することにあったと思います。また、みずから民主主義政治家をもって任ずる鳩山総理の信念であったでございましょう。ところが、自由党の修正案は、その説明によると、民間人の機密漏洩と、政府と対決する場合民間人に敗れることを考慮して、全面的に民間人五名を削除されたものであります。これは、同じ保守党の中にあっても、実に重大なる対決であります。すなわち、一方は民主主義を重んじ、一方は政府の独裁性を主張しております。従って、当然その性格からすれば最後まで対決をしなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 下川君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/12
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013・下川儀太郎
○下川儀太郎君 はい。——それが、今日では、政府並びに民主党は自由党の修正案をうのみにしてきておりますが、いかに国防会議法案を通過させる手段とはいえ、その性格を骨抜きにされ、自由党の軍門に下ったことは、その節操と権威のなさ、まさに総辞職に値するものでございます。(拍手)
以上、われわれは、そのやみ取引の政治行為の醜さを痛憤するとともに、政府案並びに修正案に対しましては、いずれも再軍備の法案であり憲法違反と防衛に対する見解の相違の立場から、断固反対を主張するものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 小金義照君。
〔小金義照君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/14
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015・小金義照
○小金義照君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする国防会議の構成等に関する法律案につきまして、いささか所見を述べて、修正案及び修正部分を除く原案に賛成の意を表せんとするものであります。
戦争終結以来まさに満十カ年、桑港条約発効以来三年数カ月、わが国はこれからの相当年月の間を独立の完成に国をあげて努力しなければならないということについては、異論のないところであります。すなわち、国民精神を作興することはもとよりのことでありますが、国土の開発、国内資源の利用の拡大をはかり、各種産業を振興し、諸外国との国交を厚くして、貿易、特に輸出貿易を盛んにし、雇用を増大して、わが国の自立経済を達成し、国家財政を豊かにするとともに、国内の治安を維持し、国土の防衛を全うして、もって福祉国家としての実をあげ、民生を安定せしめることであります。
世界の平和は、いわば力のバランスの上に立っておる平和でありまして各国が相応の自衛力を持つことによって維持されているのが現実の平和の姿であります。今後は、国際連合の方針により、集団安全保障の形において維持されていくべきものでありましょう。従ってわが国が、集団安全保障機構の一員として世界の平和に貢献するためには、自分の国は自分で防衛するだけの準備を持つことは当然の国際的義務であると申さなければなりません。(拍手)御承知の通り、現在の日本は、日米安全保障条約並びにこれに基く行政協定によって防衛されているのでありますが、かくのごとく自国の防衛について他国に依存することは、独立国としてまことに忍びがたいところでありまして、一日も早く自主的な国防体制を実現することが国民の強い要望となるのは、きわめて当然のことと申さなければなりません。(拍手)
自由党は、日米安全保障条約を尊重し、憲法及び国家財政の許す範囲において、しかも国民生活を圧迫することなく、着々と自衛力の増強に努めてきたことは、御案内の通りであります。しこうして、自衛隊は、警察予備隊として出発して以来今日まで、その設置目的に向って忠実に進んできております。しかるに、防衛庁ないし自衛隊の運営には遺憾の点なきにしもあらずと言われる節がございまして会計検査院その他から指摘されるまでもなく、深い反省と自戒とを要望するものであります。
鳩山内閣は、この防衛問題については、幸いに吉田内閣の政策を踏襲して、自衛力の漸増をはかり、その一環として本法律案を提出するに至ったのでありますが、申すまでもなく、国防会議は国防の根本的重要会議体でありまして、これが構成とその運営いかんは国家及び民族の運命に重大な関係を持つものであります。あるいは、防衛関係法律は憲法違反であり、従って国防会議もまた違憲であるとなす説がありますが、これに同調することのできないのは、今さらここにあらためて申し上げるまでもないことであります。あるいは、また、国際情勢は今や過日の四大強国のジュネーヴにおける巨頭会談によってその緊張は緩和され、一段と戦争回避の方向に進んでおり、わが国の内外の情勢また現実に憂慮すべきものがない今日、あえて本案の成立を急ぐ必要は認めないという論議もありますが、国際情勢について軽々に楽観することは厳に慎しむべきであり、また、近隣諸国の軍備等についても思いをいたさなければなりません。独立国の自衛を軽視し、国土の防衛の任に当る自衛隊をいたずらに外国軍隊のアクセサリーなりと卑下するがごときは、断じて独立国民のとらざるところであります。(拍手)
わが党は、国防会議の構成につきまして、修正案の要旨に示されたるごとく、根本的には内閣責任制の立場を尊重する等の見地から、この際その構成員より民間人を除外すべきものであると認めまして、修正案をとるべしとなすものであります。
なお、国防会議設置の目的は、政治が軍事に優先することでなければならないと思うのでありますが、この法律案にはこれらに関して何ら規定するところなく、また、諮問事項として規定せられている国防の基本方針、防衛計画の大綱、防衛関連産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否等はきわめて重大な事項であるから、慎重の上にも慎重を期するためにこの国防会議を設置するのであると答弁しながら、政府はその策定立案の責任者をさえ明瞭に答えていないのであります。また、本案の提出に当って政府の呼号した防衛六カ年計画については、何らその具体的方途をさえ示すことあたわず、さらに、内閣総理大臣官房に設置せらるべき国防会議事務局については、その事務局の性格、構成、使命等を明確に示さないのみならず、関係各省庁の協力を求むる限度さえ明確を欠いているのであります。
これを要するに、本法案はわれわれを十分納得せしむるものとは言い得ないのでありまするが、政府が可及的すみやかに防衛六カ年計画を策定し、これを国防会議に付議し、すみやかに防衛力漸増の実をあげて独立の完成に寄与するということを総理大臣みずからが確約せられ、また事務局についても、総理大臣みずからがその運営の実績に徴してすみやかに善処するとの確言がありましたので、これらの言明を信頼して、修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 田万廣文君。
〔田万廣文君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/16
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017・田万廣文
○田万廣文君 私は、日本社会党を代表して、議題となりました国防会議の構成等に関する法律案並びに自由党修正案に対し反対の意を表明するものでございます。(拍手)
本法案は防衛庁設置法第四十三条に基くものでありますが、御承知の通り、わが党は、防衛庁設置法に対しましては、平和憲法擁護の立場から、強く正面より反対いたしたのであります。従って、国防会議法に対してもこの基本的態度から反対をするものであり、さらに進んで、私は、国防会議の性格とわが国の防衛態勢の本質に関し、その根本的な誤まりと思われる点を指摘いたしたいのであります。
まず、その第一は、わが国の防衛態勢に果して自主性ありやということであります。現に、本年度予算編成に当りまして、防衛分担金削減の日米折衝は難航をきわめ、そのために日本の予算編成が停滞するという事態が生じたことは、各位の記憶にまだ新たなるものがあると思うのであります。しかも、その交渉の結果、分担金削減分はそっくりそのまま防衛費の増額に振り向けられ、あまつさえ、来年度からは防衛費増額という大きな義務を負わされたことを忘れてはならぬのであります。(拍手)この事実は鳩山内閣の自主性喪失ということを端的に表明したものであり、これでは、日本の自衛隊なるものがいずこの軍隊なりやという疑問を投げかけられましても、いたし方がないと申さねばならぬのであります。(拍手)かかる状態に手を触れずして国防会議を設置すれば、日本の防衛態勢、防衛計画が全くアメリカ側の手に握られ、その利益のために左右されるおそれなしとしないのであります。しかるに、政府は、この重大なる点に関しては何らの反省もなく、ひたすら国防会議の設置を急いでおるのが実情でございます。憲法を軽視し、国政を誤まるもまたはなはだしいと申さねばならぬのであります。(拍手)
反対の第二の理由は、国防会議の権限に関してでございます。御承知のように、国防会議は、防衛計画、防衛出動、その他一国の国防のすべての重要問題を審議する重大なる責務と強大なる権能を持つことになっておるのであります。従ってこの会議を構成する各大臣の顔ぶれを見ますると、これは、閣内にさらに内閣を設け、かつて戦前の五相会議のごとく、それが内閣の一切の重要問題を決定し、内閣連帯性の原則を踏みにじるおそれありと言わざるを得ないのであります。自由党修正案はこの点を最も露骨に露呈しておるものと言わざるを得ないのであります。
これに関連して指摘いたしたい一点があります。それは、昨年の防衛庁設置法において、文官優位の原則が完全に破壊されたという事実でございます。これは、われわれが、当時、過去の統帥権独立の亡霊を地下から呼び起すものといたしまして、はなはだしく強く反対した一点でございまするが、それ以降の動きを見ておりますると、遺憾ながら、われわれの指摘したことがまさしく適中したものと言わざるを得ないのであります。
かかる状態のもとにおいて、内閣の中に国防会議の事務局を設置いたしましても、実際問題の処理に当っては、結局軍人の意向に左右されることになるのは火を見るよりも明らかであるのであります。(拍手)現に、ジュネーヴ会議に際しまして、鳩山総理は、今後の国際情勢の推移に応じて防衛計画に検討を加えるということを言明されたのでありまするが、これに対し、防衛庁側は、防衛力漸増計画に変化なしと主張いたしたのであります。一国の総理が言明したことと全く相反することを、一事務当局によって堂々と発表されておる。かくのごときはその前兆と申すべきであり、また、内閣の威信、政府の責任いずこにありやと断せざるを得ないところでございます。われわれは、近衛内閣の日支事変不拡大方針が軍部によって踏みにじられ、ついには無謀なる太平洋戦争に突入した苦い経験を持っておるのでございます。この苦い苦脳を、現世に、またわれわれの子孫にも再び繰り返させないためにも、本法案には強く反対せざるを得ないのでございます。
第三の理由は、最近のジュネーヴ会議をめぐる国際情勢の動きであります。同会議については全世界の新聞報道は口をそろえて、それが大きく平和に貢献したことをほめたたえております。アイゼンハワー大統領も、社会体制、国家形態にかかわりなく平和共存の可能性を認め、人類の滅亡を意味する原子力戦争の回避を強調しております。また、近く極東における国際紛争を解決するためにも国際会議が開かれる動きが強くなっておることは、皆さんも御承知のところでございます。かくのごとく平和を求める全世界の人類の念願がはっきりと表明されておる状況下におきまして、何がゆえに、多大の経費を投じ、あえて国民生活を犠牲にしてまで軍を増強し、軍事力のみを強化せんとするものであるか、われわれの最も了解に苦しむところでございます。(拍手)しかも、それ自身世界の思潮に逆らうこともまたはなはだしいものがあるのでありまして、時代錯誤もここに至っては、まことに噴飯千万と言わざるを得ないのでございます。
最後に申し上げたいことは、この法案は、新聞にも報ぜられております通り、自由党、民主党両党の合同の具に供せられておるとの疑いがきわめて濃厚な点でございます。(拍手)再軍備を互いに胸中に抱く自由、民主両党といたしましては、けだし、政策協定という美名のもとに本法案がその橋渡し的役割を果すのに好題目であるということは、否定できないところであろうと思います。(拍手)政府は、国防会議に民間人を加えると決定しておきながら、自由党の修正に腰が砕け、与党民主党もこれに同調いたしまして、あたかもこれが政府案であるかのごとく口をぬぐっておるごとき態度は、まことに笑止千万と言わざるを得ないのでございます。かかる政党間の取引の対象と見られるごとき本法案並びに自由党修正案には、いずれも反対せざるを得ないのでございます。(拍手)
祖国の平和と民族独立のために各位の良識に訴え、本法案並びに自由党修正案に強く反対されることを期待し、また希望しつつ、反対討論を終りたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕
〔各員投票〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
投票を計算いたさせます。
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/19
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020・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
〔事務総長朗読〕
投票総数 三百六十六
可とする者(白票) 二百三十
〔拍手〕
否とする者(青票) 百三十六
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/20
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021・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 右の結果、本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
—————————————
本案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
阿左美廣治君 赤城 宗徳君
赤澤 正道君 秋田 大助君
有田 喜一君 有馬 英治君
安藤 覺君 安藤 正純君
五十嵐吉藏君 井出一太郎君
池田 清志君 池田正之輔君
石坂 繁君 石田 博英君
一萬田尚登君 稻葉 修君
今井 耕君 今松 治郎君
宇田 耕一君 宇都宮徳馬君
植原悦二郎君 植村 武一君
臼井 莊一君 遠藤 三郎君
小笠 公韶君 小川 半次君
大石 武一君 大倉 三郎君
大高 康君 大橋 忠一君
大村 清一君 大森 玉木君
荻野 豊平君 加藤 高藏君
加藤常太郎君 上林山榮吉君
亀山 孝一君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 川崎 秀二君
川島正次郎君 菅 太郎君
菅野和太郎君 木村 文男君
菊池 義郎君 岸 信介君
北 れい吉君 北村徳太郎君
吉川 久衛君 草野一郎平君
楠美 省吾君 小泉 純也君
小島 徹三君 河野 金昇君
河本 敏夫君 高村 坂彦君
纐纈 彌三君 佐々木秀世君
佐伯 宗義君 齋藤 憲三君
櫻内 義雄君 笹本 一雄君
笹山茂太郎君 薩摩 雄次君
志賀健次郎君 椎名悦三郎君
椎名 隆君 重政 誠之君
島村 一郎君 白浜 仁吉君
須磨彌吉郎君 杉浦 武雄君
鈴木周次郎君 砂田 重政君
世耕 弘一君 園田 直君
田中 龍夫君 田中 久雄君
高岡 大輔君 高木 松吉君
高橋 禎一君 高見 三郎君
竹内 俊吉君 竹山祐太郎君
千葉 三郎君 辻 政信君
渡海元三郎君 徳田與吉郎君
床次 徳二君 中川 俊思君
中嶋 太郎君 中曽根康弘君
中村 梅吉君 中村三之丞君
中村 寅太君 中村庸一郎君
中山 榮一君 夏堀源三郎君
並木 芳雄君 楢橋 渡君
南條 徳男君 丹羽 兵助君
根本龍太郎君 長谷川四郎君
鳩山 一郎君 濱地 文平君
濱野 清吾君 林 唯義君
林 博君 原 捨思君
平塚常次郎君 廣川 弘禪君
廣瀬 正雄君 藤枝 泉介君
藤本 捨助君 淵上房太郎君
古井 喜實君 古島 義英君
保科善四郎君 坊 秀男君
堀内 一雄君 本名 武君
眞崎 勝次君 眞鍋 儀十君
前田房之助君 牧野 良三君
松浦周太郎君 松浦 東介君
松岡 松平君 松澤 雄藏君
松田竹千代君 松田 鐵藏君
松永 東君 松村 謙三君
松本 瀧藏君 三浦 一雄君
三木 武夫君 三田村武夫君
宮澤 胤勇君 村松 久義君
粟山 博君 森 清君
森下 國雄君 山口 好一君
山村新治郎君 山本 勝市君
山本 正一君 山本 利壽君
横井 太郎君 米田 吉盛君
早稻田柳右エ門君 亘 四郎君
相川 勝六君 逢澤 寛君
愛知 揆一君 青木 正君
荒舩清十郎君 伊藤 郷一君
石井光次郎君 植木庚子郎君
内田 常雄君 内海 安吉君
江崎 真澄君 小笠原三九郎君
越智 茂君 大坪 保雄君
大野 伴睦君 大橋 武夫君
大平 正芳君 太田 正孝君
奧村又十郎君 加藤 精三君
加藤鐐五郎君 神田 博君
川野 芳滿君 北澤 直吉君
久野 忠治君 熊谷 憲一君
小金 義照君 小平 久雄君
小西 寅松君 小林かなえ君
小山 長規君 佐藤 榮作君
周東 英雄君 助川 良平君
薄田 美朝君 瀬戸山三男君
田子 一民君 田中伊三次君
田中 角榮君 田中 正巳君
田村 元君 高橋 等君
竹尾 弌君 中馬 辰猪君
塚田十一郎君 徳安 實藏君
中垣 國男君 中山 マサ君
仲川房次郎君 永山 忠則君
灘尾 弘吉君 二階堂 進君
野澤 清人君 馬場 元治君
橋本登美三郎君 橋本 龍伍君
畠山 鶴吉君 八田 貞義君
平野 三郎君 福井 順一君
福井 盛太君 福田 篤泰君
福永 一臣君 福永 健司君
古川 丈吉君 堀川 恭平君
前尾繁三郎君 松野 頼三君
松山 義雄君 南 好雄君
村上 勇君 八木 一郎君
山口喜久一郎君 山崎 巖君
山下 春江君 山中 貞則君
横川 重次君 吉田 重延君
否とする議員の氏名
阿部 五郎君 青野 武一君
赤路 友藏君 茜ケ久保重光君
足鹿 覺君 飛鳥田一雄君
有馬 輝武君 淡谷 悠藏君
井岡 大治君 井谷 正吉君
井手 以誠君 伊藤 好道君
猪俣 浩三君 石田 宥全君
石橋 政嗣君 石村 英雄君
稻村 隆一君 岡本 隆一君
加賀田 進君 加藤 清二君
風見 章君 片島 港君
勝間田清一君 上林與市郎君
神近 市子君 川村 継義君
河野 正君 北山 愛郎君
久保田鶴松君 栗原 俊夫君
小松 幹君 五島 虎雄君
佐々木更三君 佐藤觀次郎君
櫻井 奎夫君 島上善五郎君
下川儀太郎君 鈴木茂三郎君
田中 武夫君 多賀谷真稔君
高津 正道君 滝井 義高君
楯 兼次郎君 辻原 弘市君
中村 英男君 永井勝次郎君
成田 知巳君 西村 力弥君
野原 覺君 芳賀 貢君
長谷川 保君 原 茂君
原 彪君 福田 昌子君
古屋 貞雄君 帆足 計君
穗積 七郎君 細迫 兼光君
正木 清君 松原喜之次君
三鍋 義三君 武藤運十郎君
森 三樹二君 森島 守人君
森本 靖君 八百板 正君
八木 一男君 八木 昇君
安平 鹿一君 柳田 秀一君
山口丈太郎君 山崎 始男君
山田 長司君 山花 秀雄君
山本 幸一君 横錢 重吉君
横路 節雄君 横山 利秋君
和田 博雄君 渡辺 惣蔵君
淺沼稻次郎君 井上 良二君
井堀 繁雄君 伊瀬幸太郎君
伊藤卯四郎君 池田 禎治君
稲富 稜人君 今澄 勇君
今村 等君 受田 新吉君
大西 正道君 大矢 省三君
春日 一幸君 片山 哲君
川島 金次君 川俣 清音君
河上丈太郎君 菊地養之輔君
小牧 次生君 河野 密君
佐竹 新市君 佐竹 晴記君
杉山元治郎君 鈴木 義男君
田中幾三郎君 田原 春次君
田万 廣文君 竹谷源太郎君
戸叶 里子君 中崎 敏君
中島 巖君 中村 高一君
中村 時雄君 西村 榮一君
西村 彰一君 日野 吉夫君
平岡忠次郎君 平田 ヒデ君
細田 綱吉君 前田榮之助君
松井 政吉君 松尾トシ子君
松岡 駒吉君 松平 忠久君
三宅 正一君 三輪 壽壯君
水谷長三郎君 門司 亮君
矢尾喜三郎君 山口シヅエ君
山下 榮二君 吉川 兼光君
吉田 賢一君 石野 久男君
久保田 豊君 中原 健次君
————◇—————
日華平和条約附属議定書第二項の
有効期間の延長に関する議定書
の締結について承認を求むるの
件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/21
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022・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんこと望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/22
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023・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/23
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024・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長植原悦二郎君。
〔植原悦二郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/24
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025・植原悦二郎
○植原悦二郎君 ただいま議題となりました日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
わが国と中華民国との間の通商及び航海に関する事項は、昭和二十七年八月日華平和条約附属議定書の通商及び航海に関する取りきめによって律せられて参りました。この取りきめの存続期間は、八月四日に効力を失うことになっておりますので、このたびこの取りきめの存続期間の延長につきまして中華民国政府と交渉の結果、八月五日から一年間延長し、その後は、三カ月間の予告期間をもって廃棄通告がなされない限り、そのつど自動的に一年間ずつ延長されることにつき意見が一致いたし、七月二日、両国間に、その旨の議定書が東京において署名されました。
本案件は、七月四日本委員会に付託されましたので、七月六日から本二十七日まで慎重審議を重ねました。
討論に入りまして、各党代表からそれぞれ賛否の意見が表明されましたが、これらの詳細については会議録によって御承知を願いたいと思います。
続いて採決の結果、本件は多数をもってこれを承認すべきものと議決いたしたのであります。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/25
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026・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより討論に入ります。細迫兼光君。
〔細迫兼光君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/26
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027・細迫兼光
○細迫兼光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました問題について反対の討論をしようとするものであります。(拍手)
この問題は、ただいま委員長から報告がありましたように、附属議定書の第二項という(a)、(b)、(c)、(d)のわずか四項目の有効期間を延長しようという小さな問題でありますが、ここに、われわれは、台湾問題及び中国問題につきまして再検討をする機会を得たのでありまして慎重にここで考え直さなければ相ならぬと思うのであります。
ただいま台湾との通商問題はどうなっておるかといえば、先刻御承知のように、相当よろしいお得意先ではございまするが、その内容を見ますれば、これまたよく御承知の通り、たとえば硫安をとってみますれば、これに売っている値段は六十ドルそこそこ、一方、中国本土、中共の方では六十三ドルから四ドルといと高い値段で買うてくれているのでありますが、この安い方の台湾に向って三十万トンに及ぼうという多量の硫安を売り込んで、高い方の中共の方にはわずかな見本程度のものしか売っていないという状況。しかも、その見返り物資を見ますれば、御承知のように、台湾からは砂糖、バナナ、米というようなものであります。砂糖なども、キューバなどから取り寄せる方が幾ら安いかしれない。バナナなどは、これは無理になくてもよろしい、必需品ではないのであります。また、中共の方から見ますれば、ここからは塩、大豆、米というような生活必需品が見返り物資として提供せられる。こういうような状態でありまして、現状でもこうでありますが、将来を見ますれば、ますますこの問題は非常に大きな差額を生ずるのであります。現在、中共は、非常な建設事業に邁進しておりますがゆえに、幾らでも物資が必要だ。工場では一本のくぎでもより多くほしいという状況であるのであります。こういう状態でありますがゆえに、まことに商売にならない商売をやっておる、ばかばかしい商売をやっておるというのが現状であります。(拍手)今日、保守合同の新政策では、自主積極外交とか経済自立というようなことがあげられているようでありますが、このような状況では、これは経済自立が泣くであろうと言わざるを得ないのであります。(拍手)
一体なぜこういうばかばかしいことになったかといえば、これは、ダレスに骨を抜かれてしまって、目が見えなくなった、小さい台湾だけが目に見えて、その向うの大きな中国本土というものは目に見えなくなった、こういうことから、こんなばかばかしい現状が生まれてきておるのであります。そして、台湾が中共の一部であるというこの大筋を踏みはずしたところからこういう結果が出ておるのでありまして、もうすでにディーン・アチソン、元の国務長官でも、合衆国もその他の連合国も台湾が中国領であることについて疑いを持ったことはないと言っております。また、イギリスのストラチェイ氏も次のように言っております。もし台湾が中国の一部でないとすると、蒋介石は一体どういう権利でそこに居すわっているのかと。まことに台湾は中国の一部でありまして、そこに起っている紛争は、中国の中の国内問題である。こういう大きな筋を踏みはずした結果、今日のような不合理な、ばかばかしい商売をするような結果になっているのであります。かつて、近衛さんは、蒋介石を相手にせずと言って大失敗をいたしましたが、保守党の政府が蒋介石ばかりを今度は相手にして、また大失敗の上塗りをしております。(拍手)
今や、ここに、台湾、中国問題について、われわれは深刻に再検討を加えなければなりません。そうして、これこそ鳩山内閣の選挙における公約であったではありませんか。もちろん、台湾とも親善に友好に商売をすることはけっこうであります。でありまするが、中国本土をこそ正面の本格的な相手として、わが産業の、わが貿易の相手国として、ここに大きく方向転換をしなければならぬ段階に私は来ていると確信して疑わないのであります。(拍手)しかるに、相変らず台湾とだけやっていこうとする。
これは、ただいま私が申しました、この将来とらなければならない大きな筋道に逆行するところの、逆コースに踏み込んでいる案件であるのであります。これは、決して経済自立への道でもなく、完全雇用ヘの道でもなく、また自主独立外交への道でもないのでありまして、われわれはこれにどうしても反対せざるを得ない次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/27
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028・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 北澤直吉君。
〔北澤直吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/28
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029・北澤直吉
○北澤直吉君 私は、自由党を代表し、ただいま議題となりました日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件に対し、次の理由によりまして賛成の意を表明せんとするものであります。
第一は、日本と中華民国国民政府との間にはいまだ通商航海条約の締結を見るに至っておらず、両国間の通商貿易関係はこの議定書によって規律せられておる次第でありますが、日本、台湾間の貿易は、日本全体の貿易において重要な地位を占めております。試みに、昨年の両国間貿易の実績を、日本と中共とのそれと比較してみますならば、日本から台湾への輸出は六千四百四十五万ドル、台湾から日本への輸入が六千三百二十九万ドルであるに対しまして、日本から中共への輸出は約二千万ドル、中共から日本への輸入は約四千万ドルでありまして、貿易の実績から見ますならば、台湾貿易は中共貿易よりもはるかに大であるのであります。また、本議定書に反対する者の中には、台湾貿易は、商業採算上も不利であって、国民経済に有害であると言う者もあるのでありまするが、これは認識不足もはなはだしいのであります。値段の点については多少是正すべき点もありますけれども、日本に安定した市場を提供しまする台湾貿易は、日本経済にとっても重要なものでありますことは明らかでございます。
第二は、社会党両派は、国民政府承認反対の立場からこの議定書に反対しておりまするが、イデオロギーの相違によって、中共貿易には賛成であるが、台湾貿易には反対であるということは、日本の経済自立上最も大事な正常貿易の増進の重要性を認識せざるもはなはだしいものと言わなければなりません。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
イデオロギーのいかんを問わず、いかなる国ともできるだけ貿易の増進をはかって、一日もすみやかに日本経済の自立を達成することは、今日急務中の急務であります。かくしてこそ、初めて日本の名実伴う独立体制の完成が可能となるわけであります。
第三は、この議定書に反対する者の中には、この議定書の親とも言うべき日華平和条約は吉田自由党内閣が米国から圧迫されて締結したのであるとか、あるいは、国民政府は領土を持っておらないから日華平和条約は無効である、こう言う者があるのでありまするが、サンフランシスコ平和条約におきましては、日本が国民政府あるいは中共政権のいずれと平和条約を結ぶかは全然日本の選択にまかされたわけでありまして、日本は、この選択権に基いて、当時の国際情勢を勘案し、自主的に国民政府と条約を結んだわけでございまして、米国の圧迫によるものと言うがごときは、牽強付会の議論というか、しからずんば、何事によらずアメリカのひもつきとかあるいはアメリカの圧迫によるものとなす、敗戦に基く劣等感のしからしむるところと言わなければなりません。日華平和条約を無効となす議論は、この条約を有効として多数をもって承認を与えました日本の国会の権威を否定するものでありまして、きわめて不穏当な議論と言わなければなりません。国民政府は、今日におきましても世界の多数の国から中国の代表政府として承認せられ、英国その他中共を承認する諸国でさえも、国際連合においては、国民政府を中国を代表する政府として認めておるわけであります。
以上が私の本議定書に賛成する理由でありまするが、この機会に次の数点について政府に要望を申し述べます。
第一は、政府は、台湾貿易の重要性を認めながらも、中共と取引する日本商社に対する台湾側の圧迫等の問題を解決することができないで困っておるようでありまするが、これは鳩山内閣の二また外交、二面外交のジレンマがここに現われたわけでありまして、要するに、鳩山内閣の中共に対する、あるいは承認するがごとき、あるいは承認せざるがごとき、政策の不明確なところから種々の誤解を与えておる結果であります。この際政府の対中共方針を明確ならしめることを要望するのであります。
第二は、台湾側の日本商社に対する圧迫は最恵国待遇に関する日華条約附属議定書の規定の違反でありますことは明瞭でありまするから、厳重に国民政府と交渉をして、わが方の満足するがごとき解決をはかられんことを要望します。
第三は、政府は、日華平和条約に基いて、台湾にありまする日本の在外資産の処理について国民政府と交渉中とのことでありますが、重大な日本人の在外資産に関する問題でありまするから、至急解決することを要望いたします。
第四は、日本から台湾ヘ輸出する物品、たとえば硫安のごときは、台湾以外に輸出する場合よりも値段が安い、また、台湾から日本に輸入する物品、たとえば砂糖のようなものは、他国から輸入する場合に比べて値段が高いのでありますが、今後におきましては、この値段の不合理なものについてはぜひとも是正するよう要望いたすわけであります。以上をもって私の賛成討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/29
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030・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 松平忠久君。
〔松平忠久君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/30
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031・松平忠久
○松平忠久君 ただいま議題となりました日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、私は日本社会党を代表いたしまして反対の意見を申し述べんとするものであります。(拍手)
そもそも、この日華平和条約なるものは、いわゆる吉田・ダレス書簡の遺産とも言うべきものでありまして、中国大陸を追われて台湾の一孤島に残存政権として跼蹐しておるところの蒋介石政権を中国の正統政府と認めて、これとの間に締結された条約であって、われわれは当時すでに断固としてこの条約に反対して参ったのであります。従って、その附属議定書についても反対、またこれが延長に関しても、今回政府のとる措置に対してあくまで反対するものでありますが、以下、その理由を申し述べたいと存じます。
第一は、政治的の理由であります。すなわち、先ほど申しました通りに、この日華平和条約、これが、当時の実情を無視して、ダレスの強引な仕打ちによって、吉田総理がこれに屈服して締結を余儀なくされた条約であるからであります。日本が、条約締結の相手として、中共政府、すなわち中国大陸を統一して六億の人民の上に支配権を持つ中国人民共和国政府を選ぶべきであるか、あるいは台湾に逃げ込んだ八百万人の島民の上にかつかつ政権を維持しておるところの蒋介石政権を中国政府の正統政府として選ぶべきであろかは、サンフランシスコ条約によって日本の選択にまかされておったことは事実でありますが、日本としては、この六億の人口を持ち、国際法上の要件を具備している中共政府を選ぶべきことは当然でありまして、英国を初めとして、東亜においても、インド、ビルマ、インドネシア等も、この厳然たる事実を基礎として、中共政府を正統政府として承認し、これとの間に国交を回復しておるのであります。従って、日本としては、利害関係の最も密接な中国大陸のこの六億の人民を支配する政府を相手とすべきであって、これは当然のことであります。当時、吉田政府は、アメリカのこの強引な政策に屈服して、あえて八百万の人口しか支配していないところの国民政府を相手としたことは、きわめて不自然と言わなければなりません。(拍手)アメリカ側の利益に合致することがすなわち日本の利益であるかのごとき錯覚に陥って、かかる措置に出たのでありまして、当時われわれが断固として友対した理由も、きわめて当然のことと言わねばなりません。
仄聞するところによりますと、当時、吉田政府は、国民政府を相手に条約を締結すると同時に、中共政府にも事実上の承認を与えるところの手段として、上海に日本政府の連絡事務所を持とうとする考えを政府の一部には持っておった事実があるのであります。この上海に日本政府の連絡事務所を持とうとする考え方は、やはりアメリカヘの気がねから、やみからやみに葬られてしまったことは、あまりにも日本の外交の隷属性を暴露しておるものであって、遺憾、憤激にたえないところであります。(拍手)
第二の理由も政治的な理由であります。すなわち、世界情勢の転換期に入り、冷戦の緩和、東西貿易の緩和が行われんとしており、世界における新しい秩序の正常化が行われんとしておるこの際において、当然中共との貿易の増進並びに日中国交回復への前進について努力が払われなければならないのであります。にもかかわらず、これらへの前進をはばむがごとき措置、すなわちこの議定書の延長のごとく自動的に一年間ずつ延長されるというがごとき措置は、世界情勢の変化に逆行すると言わなければならないのであります。鳩山内閣は、成立直後において大いに自主外交を高揚し、中ソ両国との国交の回復を声を大にして国民の前に公約して総選挙に臨み、その結果第一党になったが、第二次鳩山内閣成立後においては、アメリカの圧力によるものか、あるいはアメリカへの気がねによるものかわかりませんが、中共との国交回復は全く忘れてしまい、これをたな上げにしておるのであります。日中貿易の促進についても、全く公約を裏切って、日中貿易協定の締結について袖手傍観、非協力の態度に終始しておったことは明らかであります。かくのごときは、明らかに公約違反であって、国民を欺瞞して投票をかすめとったものであり、政府、与党みずからきわめて悪質な選挙運動に終始しておったと言わなければならぬのであります。(拍手)これは、自主独立どころではなく、吉田内閣と何ら選ぶところのない隷属外交であります。すなわち、国民を瞞着してきた政府は、世界情勢の変化の前に立ちながら、再びこれに目をおおい、時代の流れに逆行せんとする考え方が露骨に現われておるのでありまして、われわれが断固として反対するゆえんであります。
第三の理由は、経済的な理由であります。ただいま、北澤君は、イデオロギーによって貿易を云々することは困るということを述べられましたけれども、イデオロギーによって貿易に制限を加えんとしておるのは、自由党内閣、自由党の諸君であります。(拍手)政府は、日台間の貿易総額九千万ドルは、わが国貿易の中でもきわめて重きをなしておる、こういうことを言われておる。それは事実でありますけれども、中共と日本との貿易よりもはるかにウエートがあるがごとき印象を国民に押しつけんとしておることは、きわめて幼稚な考え方と言わなければなりません。(拍手)
日中貿易は、人為的な制限によって現在のような貿易額になっておるのであります。このことは、ほとんどだれしも知っておる事実である。ところが、日台貿易の内容はどういうものであるかということは、国民はよく知っておりません。すなわち、一例を申しましても、先ほどここで細道君が申されましたが、貴重な硫安にいたしましても、安く買う台湾へは二十万トン以上も多く売って、高く買う中共へは十万トン以下にしてしまう、こういう政策をとっておる。まことに不合理な、コマーシャル・べースを離れた貿易が行われておるのであります。(拍手)すなわち、トン五十八ギルないし六十ドルによって台湾へは二十五万トン以上の硫安を売っておる。その見返りとして、米は中共米よりも高いものを買っておるし、またバナナや高い砂糖を買ってきておる。これで一体コマーシャル・ベースと言われるかどうか。中共は六十四ドルで現在硫安を買っておりますが、その見返りとしては、日本で必要な米、大豆、塩を入れなければならぬのであります。それに対して十万トンそこそこしか出さない。こういうやり方をしておる。すなわち、安く買う台湾へよけい売って、高く買う中共へは少くする。入れるものは、安く入れるところの中共その他からのものを少くして、高い台湾のものを買っておる。これが君らの言うところのコマーシャル、ベースということであります。貿易はコマーシャル・べースによることは当然であるけれども、この日台貿易は一体どこがコマーシャル・べースというべきであるか。売るものは安く、買うものは高い。台湾からは高く買って、安く売る国がほかにあるのに、そこへはやらずにおる。かくのごとくして国内の硫安の値段に影響があって、農民の買う硫安の値段が高くなるという一つの原因も、今やっておるところの日台貿易において、硫安の値段を出血輸出にして売っておるというところにあるということを銘記しなければならぬのであります。(拍手)かくのごとき貿易協定は一体どういうわけであるのか、全く了解に苦しむところであります。
しかも、禁輸されていない物資の中共輸出に対して、台湾側からじゃまをしてくる。この台湾に対して厳重なる反省を求めなければならないにもかかわらず、政府は何らこれに対して厳重なる反省を求めておりません。のみならず、このことは、自由党政府の時代におきましても、かかる理不尽なやり方に対しましてほとんど何らの手を打っていなかった事実を想起しなければならないのであります。
以上の見解に基き、すなわち、政治的、経済的理由に基いて、この議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について、遺憾ながら不承認を表明する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/31
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032・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/32
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033・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/33
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034・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/34
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035・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/35
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036・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員長田中角榮君。
〔田中角榮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/36
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037・田中角榮
○田中角榮君 ただいま議題となりました重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案の、商工委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
わが国のエネルギー資源の賦存状況は、石炭及び水力がその大部分を占めておるのでありますが、ここ数年来、石油需要の急激な増大に伴い、わが国におけるエネルギー構成は著しく変化し、石油、特に重油消費の占める割合が年を迫って大きくなってきたのであります。しかし、このような傾向は、石油の自給度のきわめて小さいわが国におきましては、必然的に国際収支上の負担を増大いたしまするとともに、一方において、国内エネルギー資源、特に石炭その他の燃料資源の合理的使用を促進する上からも考慮を要するものがある結果となっております。
本法案は、右のごとき現下の燃料事情にかんがみ、さきに政府が立案したエネルギー総合対策の方針に基き、重油の消費分野を明確化し、特にボイラー部門における重油の使用を相当強力に抑制するとともに、他面、農林、水産、運輸等、重油の使用を不可欠とする部門にその供給を確保すること等に関連して相当強力な行政権限を規定したものであります。
本法律案は、五月三十一日商工委員会に付託されましたので、六月八日政府委員より提案理由を聴取いたしました。本法律案の審議は、六月二十四日以来数回にわたり、きわめて熱心に行われましたが、その詳細につきましては会議録を御参照願います。
七月二十七日、南好雄君外二十六名より本法律案に対する修正案が提出されましたので、同日修正案に対する審議を行いました。
七月二十七日をもって本法律案に関する一切の審議が終了いたしましたので)質疑、討論を打ち切り、採決いたしましたところ、本法律案は多数をもって修正すべきものと議決した次第であります。
なお、南好雄君外二十六名提出にかかる修正案の趣旨は、本法律案の有効期間を五年以内に改めるとともに、原案第四条の規定に基き通商産業大臣が既設の重油ボイラーの改造、重油の使用制限などにつき指示を行う場合には、当該企業の合理化や操業度の維持向上、輸出の振興などに悪影響を与うることのないよう、一定の基準に従って慎重に行うように改めたことであり、また、いわゆる官僚統制を強化するおそれのある原案第六条の規定を、緊急な用途に対する重油の確保のため必要とする行政措置に関する規定に改めたこと等であります。
以上をもって報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/37
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038・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/38
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039・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって本案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/39
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040・長谷川四郎
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、福井盛太君外六名提出、接収不動産に関する借地借家臨時処理法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/40
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041・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議あ。ませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/41
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042・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
接収不動産に関する借地借家臨時処理法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長世耕弘一君。
〔世耕弘一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/42
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043・世耕弘一
○世耕弘一君 ただいま議題となりました接収不動産に関する借地借家臨時処理法案について、提案の要旨及び委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
終戦直後、旧連合国占領軍の進駐を見るや、占領軍は直ちに不動産の接収を開始したのであります。この不動産接収は戦後の非常処置であったのにもかかわらず、日本国政府は土地工作物使用令のほかは特別の法律を設けませんでした。これがため、民法における賃貸借の規定や借地借家法等では、接収解除後の不動産に関する権利者間の紛争は処理し得られなかったのであります。すでに平和条約発効後、駐留軍に対する不動産の提供につきましては、行政協定に基く土地使用等の法律による不動産の提供が根拠法となっておるわけであります。従いまして、戦災地との対比からも、接収地に対する権利の調整のため何らかの臨時特例法による解決が必要であるというのが、この法律案の提出理由であります。
次に、この法律案のおもなる内容について申し上げますと、第一に、接収当時借地をしていた者は、解除後敷地の優先借り受けができる。接収当時借家していた者は、原則として解除後建物の優先借り受けができないことになっております。第二に、接収当時の土地や建物の所有者は、解除後自己使用する場合や、すでに権原により自己または第三者が使用している場合には、接収当時の賃借人の優先借り受けを拒否することができることになっております。第三に、その他の規定の多くは、借地において互いに利害の相反する賃借人と所有者との権利を調整した規定であります。すなわち、賃借人の承諾の擬制や、優先借受権の存続期間や、土地使用の義務や、催告による賃借権の消滅などは、いずれもその両者調節の規定であります。第四に、接収とは何ぞやの問題がありますので、その定義を掲げ、かつ、この法律の目的を条文の冒頭に掲げております。第五に、強制疎開地にして後に接収せられた地域についてこの法律を適用し、借地人に救済の手を伸ばしております。
さて、本法案は、法務委員会においては、去る第十三国会より立案、検討に着手し、自来第十四国会、第十五国会を経て第十八国会まで継続審議となり、第十九国会においては衆議院は全会一致をもって通過いたしましたが、その後の衆議院解散によりまして、参議院にて廃案となったものであります。
今国会におきましては、福井盛太君外六名の提出者及び七十二名の賛成者をもって提案され、去る二十五日提案理由の説明があり、二十六日政府及び弁護士会の意見を聴取いたしました。政府からは、法務省事務次官より内閣官房長官あて提出した本案に反対する旨の意見書を読み上げて、反対の意思表示がありました。また、弁護士連合会からも、時期がおくれたとの理由で、反対の意見が述べられました。
本法案の内容については、第十三国会以来何回も提案され、すでに申し上げました通り、第十九国会においては衆議院を通過しておるくらいに熟知されておりますので、単に二、三の質問がありましただけで討論に入り、民主兄山本粂吉君より討論を省略したい旨の発言がありました。
かくて、採決いたしましたところ、提出者の原案通り全会一致をもって可伏された次第であります。右、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/43
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044・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/44
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045・杉山元治郎
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告の通り可決いたしました。
明二十八日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205254X04819550727/45
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