1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年七月一日(金曜日)
午後一時五十七分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 加藤シヅエ君
理事
仁田 竹一君
早川 愼一君
木島 虎藏君
委員
入交 太藏君
岡田 信次君
川村 松助君
黒川 武雄君
一松 政二君
山縣 勝見君
三木與吉郎君
内村 清次君
大倉 精一君
片岡 文重君
平林 太一君
三浦 義男君
国務大臣
運 輸 大 臣 三木 武夫君
政府委員
運輸大臣官房長 山内 公猷君
運輸省海運局長 粟澤 一男君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
—————————————
本日の会議に付した案件
○請願に関する件
○海上運送法の一部を改正する法律案
(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/0
-
001・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) これより運輸委員会を開会いたします。
請願審査に関する件を議題といたします。
速記をとめて下さい。
午後一時五十八分速記中止
—————・—————
午後三時二十九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/1
-
002・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) それでは、速記を起して下さい。
海上運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑はございませんか。——別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/2
-
003・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないものと認めます。
この際お諮りいたしますが、仁田委員から委員長の手元に修正案が提出されておりますので、本修正案を議題といたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/3
-
004・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。それでは、仁田委員より修正案の趣旨説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/4
-
005・仁田竹一
○仁田竹一君 私は、海上運送法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案を提出いたしたいと思います。
まず案文を朗読いたします。
海上運送法の一部を改正する法律案に対する修正案
海上運送法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第二条第二項の改正規定を削る。
第四条の改正規定中第五号及び第六号を次のように改める。
五 当該事業の経理的基礎が確実性を有すること。
六 当該事業の開始によつて港湾(河川を含む。)における船舶交通の安全に支障を生ずるおそれのないものであること。
第十九条の見出し及び同条第一項の改正規定を削る。
第二十条の次に七条を加える改正規定のうち、第二十一条第一項の規定中「及び特定の者の需要に応じ、特定の範囲の人の運送をする不定期航路事業」を「、特定の者の需要に応じ、特定の範囲の人の運送をする不定期航路事業及び省令の定めるところにより、短期間人の運送をする不定期航路事業」に改め、同条第二項の規定中「第三号」を「第二号、第三号及び第五号」に改める。
以上であります。その要旨を簡単に申し上げますと、
まず第一は、旅客定期航路事業の免許基準にかかるものでありまして、原案は、事業の的確な遂行能力及び事業開始の公益上から見た支障の有無を審査するよう、免許基準を改めようとしているのでありまするが、これらの基準はいずれもきわめて抽象的な概念でありまして、かかる規定は往々にして行政庁による法の恣意的運用を許すおそれもありまするので、事業者の能力に関する基準につきましては、より具体的な現行法の定めを存置いたしますとともに、公益上の支障の有無に関する基準につきましては、政府当局の意図するところを考慮いたしまして、より具体的に表現したことであります。
第二は、旅客不定期航路事業にかかわる修正でありまして、この事業と臨時の旅客輸送との区別が不明確でありまするので、許可制の適用を受けない臨時の旅客運送の範囲を省令において定めることにいたします。なお、不定期航路事業の性格にかんがみまして、許可基準を緩和したことであります。
第三は、旅客定期航路事業者に対する改善命令にかかる修正でありまして、原案では船舶その他の輸送施設の改善を新しく命令事項にしようとしておるのでありまするが、船舶の安全性の確保につきましては別途船舶安全法の規定もあり、この法律でも第十六条の規定がありまするし、また桟橋、待合所等の輸送施設の改善のごときは港湾の公共施設になっているものもあり、また事業者の施設は事業者の良識に待つべきものであって、法律をもって強制することは妥当ではないと考えまするので、サービス改善命令につきましては改正をとりやめ、現行通りとしたことであります。
第四は、船舶運航事業の定義にかかるものでありまして、法の適用を有償の船舶運航事業に限定しようとする改正は、実際には有償でありながら無償と称して法の適用を免れる者を生ぜしめるおそれがありまするので、この改正をとりやめたことであります。
以上が修正案の要旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/5
-
006・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) それでは、ただいまの修正案に対して質疑のおありの方は、どうぞ質疑をお願いいたします。御質疑はございませんか。
別に御発言もなければ、修正案に対する質疑は尽きたものと認め、これより原案並びに修正案について討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/6
-
007・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明かにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/7
-
008・大倉精一
○大倉精一君 私はただいまの修正案に賛成するものでありますが、次のような付帯決議を付して賛成をしたいと存じております。従って、付帯決議の案文について御説明申し上げたいと思います。
まず付帯決議案を朗読いたします。
一、政府は旅客不定期航路事業が概ね零細な事業者により経営されている現情に鑑み、本法施行に際してはこれら事業者が不利益を受くることなきよう特段の配慮をなすべきである。
二、政府は、旅客不定期航路事業の取締りに藉口して、旅客の臨時輸送に対し不当な拘束を加えないよう、第二十一条の短期間とは三十日程度に定むる等同条省令の制定その他行政措置については適切なる考慮を加え以って法の円滑なる運用を期すべきである。
以上、決議案に対しまして提案理由の説明を申し上げます。
従来、この事業はおおむね零細な事業者によりまして、しかも合法的に経営されている実情でありまするが、この改正案によりまして、旅客不定期航路事業者は許可を要することになります。従いまして、これらの従来の事業者がこの改正法案によりまして一方的に不当な不利益を受けるおそれなしとしないと存ずるのであります。従ってかようなことのないよう法の運用をすることが望ましいと存じます。
また、旅客不定期航路事業と旅客の臨時輸送との区別は、改正法上必ずしも明確ではないので、政府は旅客不定期航路事業の取締りに藉口して、旅客の臨時輸送に対し拘束を加えるおそれなしとしません。本法案の審議において、政府委員より、広告、宣伝の方法を用いて、一定の航路と日時とを定め継続反復して旅客輸送を行うも、その期間が三十日以内の場合には、旅客不定期航路事業と認めないとの趣旨の答弁がありました。
法の円滑なる運用を期するため、以上の決議をせられることを動議として提出したいと思います。御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/8
-
009・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) ほかにございませんか。——他に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/9
-
010・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより海上運送法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、討論中にありました仁田委員提出の修正案を問題に供します。仁田委員提出の修正案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/10
-
011・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 全会一致でございます。よって、仁田委員提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/11
-
012・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。
次に、討論中に述べられました大倉委員提出の付帯決議案を議題といたします。大倉委員提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/12
-
013・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 全会一致でございます。よって大倉委員提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による委員長の口頭報告の内容、同七十二条による報告書の作成等、自後の手続は慣例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/13
-
014・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。
次に、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますので、順次御署名を願います。
多数意見者署名
仁田 竹一 早川 愼一
木島 虎藏 入交 太藏
岡田 信次 川村 松助
黒川 武雄 一松 政二
山縣 勝見 三木與吉郎
内村 清次 大倉 精一
片岡 文重 三浦 義男
平林 太一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/14
-
015・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 今、大臣から付帯決議について発言を求められておられますから、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/15
-
016・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) ただいまの付帯決議の趣旨はごもっともなことなので、付帯決議の趣旨を尊重いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/16
-
017・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/17
-
018・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 速記を起して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/18
-
019・片岡文重
○片岡文重君 実は、さっき今二十二回の国会に対する運輸委員会関係の請願の審議をしたわけですが、その中に傷痍軍人に国鉄無賃乗車証交付復活の請願というのが出されております。これについていろいろ傷痍軍人の諸君の意向を伺いますと、戦前に交付されておりましたような階級による等級差をつけることはしないで、症状による階級差、重傷者を特に二等にして、あとは三等によるものでけっこうである、ぜひ交付されるようにという請願の趣きであります。
しかるに、国鉄当局について、この請願の内容による乗車証の交付をした場合にどの程度の影響を受けるのかということを内々尋ねてみましたところが、この傷痍軍人による無賃乗車証の交付だけで大体四、五億の収入減になる。さらにこの傷痍軍人に国鉄無賃乗車証を交付すれば、当然靖国の遺児、それから未亡人等の春秋二回の大祭参拝の往復無賃乗車証も問題になってくるであろう。それらを勘案すると、どうしても年間二十億程度の減収になるのではなかろうか。従って、国鉄の今日の財政状態をもってしては、直ちに国鉄だけの負担においてこれを発行するということは非常な苦痛である。従って、もし無賃乗車証を交付されるならば、国鉄としては異存はないが、その減収に対する補償をぜひ国家において考慮してほしいというようなことで、私的な意見として私に述べられましたことについて、運輸大臣はどういうようにお考えになっておられるか。御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/19
-
020・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 傷痍軍人の方々はお気の毒な方々でございますから、無料乗車券を出せという御議論はわかるのであります。しかし、御承知のように、ほかにもやはりこういう問題、今靖国の参拝の方々の問題が出て参りましたが、ほかの均衡もとらなければならないし、そういう点で、やはりこういう社会政策的ないろいろな考慮が全部国鉄にしわ寄せられるということは、財政上の見地から非常に困難があるわけでございます。現在は五割引を傷痍軍人の方にはしている、これをさらに無賃パスということでございますが、まあ今申しましたように、何かこれをほかの経費でそういう経費を出すようなことになって、そうしで、国鉄の無賃パスを発行せよということにでもならない限りは、そういう請願の趣旨はよくわかるのですが、国鉄財政の現状からいって、どうもこれを国鉄に私もぜひやるようにということは無理でないかという感じがいたしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/20
-
021・片岡文重
○片岡文重君 大臣の御意向は大体わかりましたが、しからば、政府としては最近の時期において、その費用をいずれから出すかは別として、国鉄にそれほどの負担をかけないで、かつ優待乗車証を何とかしょうという措置をとる考えは持っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/21
-
022・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) まだこの問題は、ごだごだして、そこまで行っていないのです。これはやはりいろいろな面でなかなか、一体それならどういう経費で出すか、社会保障なども一つ拡充していこうといっているわけですが、これは社会保障という意味でもないでしょうが、なかなかまだ、これが政府の方で無賃乗車券を発行しようという方針のもとで、財源をどこにするかという段階にまで行っていない問題でございます。いろいろそういう御要望がございますから、検討はいたしますけれども、まだそれを出すのだという方針のもとで検討をするという段階ではないということを、御了承を願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/22
-
023・加藤シヅエ
○委員長(加藤シヅエ君) 本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213830X02319550701/23
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。