1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二日(木曜日)
午前十時三十分開会
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出席者は左の通り。
委員長 石黒 忠篤君
理事
小滝 彬君
羽生 三七君
委員
草葉 隆圓君
梶原 茂嘉君
後藤 文夫君
佐藤 尚武君
佐多 忠隆君
曾祢 益君
苫米地義三君
政府委員
調達庁総務部長 丸山 佶君
外務政務次官 園田 直君
外務大臣官房長 津島 久大君
外務省参事官 寺岡 洪平君
外務省アジア局
長 中川 融君
外務省経済局長 湯川 盛夫君
外務省条約局長 下田 武三君
運輸省鉄道監督
局長 植田 純一君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 信雄君
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本日の会議に付した案件
○婦人の参政権に関する条約の批准に
ついて承認を求めるの件(内閣提
出、衆議院送付)
○関税及び貿易に関する一般協定のあ
る締約国と日本国との通商関係の規
制に関する千九百五十三年十月三十
四日の宣言の有効期間を延長するた
めの議定書への署名について承認を
求めるの件(内閣提出、衆議院送
付)
○国際情勢等に関する調査の件(国際
情勢等に関する件)
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001・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) それではただいまから外務委員会を開会いたします。
婦人の参政権に関する条約の批准について承認を求めるの件を議題といたします。本件につきましては、一昨日の委員会において質疑は終了いたしておりますので、ただちに討論に入りたいと存じます。御意見のおありの方は賛否を明かにしてお述べを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/1
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002・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 私は本条約に賛成するものでありますが、わが国の憲法との関係で、憲法第十四条の規定の、すべて国民は、法の下に平等であって、性別によって政治的、経済的、または社会的関係において差別されない、というこの憲法の規定の範囲に本条約の内容が包摂されるものであるという理解において賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/2
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003・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 他に御発言ありませんか。御意見も別にないようでありますから、討論は終結いたしたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/3
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004・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。婦人の参政権に関する条約の批准について承認を求めるの件、これを問題に供します。本件を原案通り承認することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/4
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005・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 全会一致でございます。よって本件は全会一致をもって原案通り承認すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容及び議長に提出すべき報告の作成その他事後の手続につきましては、慣例によってこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/5
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006・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから本件を承認された方の順次御署名を願います。
多数意見者署名
草葉 隆圓 小滝 彬
佐藤 尚武 苫米地義三
梶原 茂嘉 後藤 文人
佐多 忠隆 羽生 三七
曽祢 益
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/6
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007・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 次に、関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長するための議定言への署名について承認を求めるの件を議題にいたします。
本件について質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/7
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008・小滝彬
○小滝彬君 すでに質疑が行われたそうでありまするから、私あるいは重複する点があるかもしれませんが、その場合は政府委員の方で簡単に答えていただくか、または議事録を参照するようにということを申していただいて差しつかえないと思います。
最近の新聞では非常に見通しが明るいというように事務総長も述べておるようでありますが、これまでの報道では、ベネルックス諸国の帰趨いかんにかかわるというようにも報ぜられておったようであります。一体この見通しはどういうようになっておるのか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/8
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009・下田武三
○政府委員(下田武三君) ベネルックス諸国は遺憾ながら三十五条の援用ということにきまりそうでございます。つまり日本がガットの正式締約国になることには反対しないけれども、日本とそれぞれの諸国との間にはガットに基く一切の最恵国待遇の規定を適用しないという態度に出でたように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/9
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010・小滝彬
○小滝彬君 一体仮加入の場合はこれに賛成しない国との間には最恵国待遇の問題は起らないように私了解しておるのですが、今正式加入した場合は、これに反対の国にも、一応三十五条を適用しない限りは、すべて最恵国の待遇が受けられることになるというふうに考えておりますが、それで差しつかえないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/10
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011・下田武三
○政府委員(下田武三君) 仰せの通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/11
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012・小滝彬
○小滝彬君 しかりとすれば、今度加入の効果というものは、何としても複関税先度を設けておる国に対して一番利益があるわけで、シングル・タックスの場合には事実上日本に均霑さしておるから効果はない。その例として一番大きいのはフランスだと思う。フランス、オーストリア、いろいろあると思います。ブラジルもしかり。ところがベネルックスの方で三十五条を援用する、あるいはイギリス側も今度日本が正式加入を認められるということになれば、三十五条の援用ということをしやしないかと思う。そういう情勢であれば、フランスも結局そういうやり方をしやしないかと思いますが、その辺はゼネバで現に交渉しておる連中もおることであって、外務省は相当詳しく情報を握っておられると思うのですが、その辺の見通しはいかがですか。これは係りの課長でも詳しく知った人に説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/12
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013・下田武三
○政府委員(下田武三君) フランスは三十五条の援用をいたしまして日本の正式加入は認めるという態度すらとっておりません。つまり日本の正式加入自体に反対でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/13
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014・小滝彬
○小滝彬君 フランスが反対であるのは私も先刻承知しておりますが、結局正式加入になれば、フランスの方も日本に対して最恵国待遇を与えなければならなくなる。そうなれば、こういう例がどんどん出てくると、複関税制度の国で、しかも日本の入って来るのをあまり好まない国はこの例をとらえて全部そうなりはしないか。そういう見通しが相当強くなったのではないかという点を質問したわけです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/14
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015・下田武三
○政府委員(下田武三君) その点は経済局がおりませんので私はっきり申し上げられませんが、私は仰せの通りだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/15
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016・小滝彬
○小滝彬君 これは経済関係のことであるのに経済局の責任の局長が、大臣も今日は出ていない。政務次官は出ておるが、政務次官から説明していただければいいが、これは外務省の態度はふまじめじゃないかと思いますが、委員長いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/16
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017・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 委員長も同感でございます。(「全員同感でございます。」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/17
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018・小滝彬
○小滝彬君 そこで次にお伺いしたいのは、一体どの程度の、交渉中に情報を得ておるか。これは大した秘密もないことだと思う。この仮加入を延長するしということは、結局これから先できるということを一応前提としてこれは審議しておるのだから、ゼネバにおける交渉が一体どの程度になっておるかということは、当然われわれとして知っておかなければならん問題だと思うのです。そこで一体どの程度の譲許になったか、日本の輸出アイテムの中でどういう品目に対して、インドはどの程度の譲許を与えそうなのか。あるいはアメリカの方はどうなっておるかというような点も一応はわれわれに示していただきたいと思います。あるいはこれはもう示されたかもしれませんが、これをお伺いしたいのが第一点。もう一つはそれに対応して日本の方もいろいろ関税上の譲許をしなければならんだろう。現にアメリカの方は自動車の輸入関税のことを言っておるようですが、この大体のあらましの経過というものは、当然この条約の審議に当って外務省から進んで説明せられるべきだと思うんですが、その辺をお伺いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/18
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019・園田直
○政府委員(園田直君) ただいまの件は近日中にまとめて報告いたすつもりで準備をいたしております。それまでしばらく御猶予を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/19
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020・小滝彬
○小滝彬君 今申しましたように、これはおそらく曽祢君あたりも同感と思いますが、これは正式加入というものを一応前提として、まあそのうちなんだろうから、これをやってくれということである以上、これまでの経緯がそう何日も調べなくても外務省には資料があるはずであります。そうして政務次官がお答えできなければ、係の人は毎日のようにジュネーブとの間に電報の往復もしておると思います。それが何ゆえ今発表できないのか。ことに本日これを採決しようという段階に至りまして、そのあとでいただくということはいかがかと思います。従って大体のところでいいから、そう正確なものでなくても。私は何もこれを政治的に利用しようというわけでもないんですから、一つわれわれに実体を示すという意味で、係の課長さんでも事務官でもけっこうですが、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/20
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021・下田武三
○政府委員(下田武三君) 目下ジュネーブで行なっております関税交渉は御承知のように二月の二十一日から開始されております。何分関係国との多角的交渉でございますのと、各国との税率引き下げには非常に複雑な利害関係を持っておりますために、交渉はきわめて困難かつ長時日を要したのでございまするが、最近に至りまして、十数カ国との間におおむね妥結の見通しを得るに至りました。しかしながら御承知のようにジュネーブの会議は、何と申しまするか、その場で即決を要します。そのためにわが方からは、外務省のみならず、大蔵省はもちろん、農林省、通産省の関税部長を初め、責任をもってきめられる程度の官吏を多数派遣いたしまして、そうして現地でそれぞれの国との間の取り引きをいたしましてまとめて参っておるわけでございます。従いまして本省に一々この税率はどう下げるがいいかという請訓してやる交渉になっておりません。従いましてまことに妙な話でございまするが、中央は実はつんぼさじきに置かれまして、そのかわり現地に全権を任せまして、その場で相手国の態度に応じてきめるというやり方に出ておりますので、ただいま具体的に何の品目はどう下ったというようなことは、実は申し上げる資料を私ども持っておらないわけでございます。これはできるだけ早く揃えましてお目にかけたいと思います。ただいまの現状はそういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/21
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022・曾禰益
○曾祢益君 今小瀧君が御質問になった点はきわめてごもっともなんで、従って私はこの前その譲許交渉の概要を一つ文書にしてお知らせ願いたいと申したんですが、その文書はここにありますが、きわめて簡単過ぎるわけです。ただその場合に、外務省当局のお話では、これは特にアメリカ政府と議会との非常にデリケートな関係があるので、すっかり話が済むまで、内容が漏れるとアメリカの議会を刺激して、できる関税引き下げ譲許がおぼつかなくなるおそれがあるから、従って内容についてはこの段階では一つごかんべんを願いたい、こういうお話だったと思う。その点はお互いに、われわれ委員としてもそういうこともあろうと思うので、少くとも秘密会とかなんとかじゃなくて、公開の委員会で詳細を伺うことは差し控えようと思った。だが、ただいまの小瀧委員の御質問に対する条約局長のお話だと、現地で相当な裁量決定をやっているので、現地でどういうことをやったか一々わからない。これは余りお答えにならないと思う。少くともやった結果がこうなったというおもなるものは随時、その都度でなくしても、随時取りまとめてでも、当然報告がなされてなければならない。ただ決定が一々本省に訓令を仰がないということだけを言っておられるのじゃなくて、私の質問に対する内容が、細かいことが言えないという御答弁とは全然違った角度からお話しなんですが、ただいまの小瀧委員に対するお答えでは、少くとも私がこの間一応引き下った格好になったことからいうと、これは引き下れない。そういう現地できめたことなら、きめたおもなる点がどうなっておるということを発表されるのが当然ではないか。現に巷間では、もう一週間ぐらい前の話ですが、もう譲許の交渉が妥結している。それを政府が隠しているのはけしからぬということで、私のところにも民間の人から陳情みたいなことがあって、私は正直に、今のところは必ずしも政府の秘密主義だけではないと思われる節もあって、円満にアメリカの方を引き下げさせることが何といっても重要なのであるから、その交渉のさなかに、交渉の目的に反するような結果を招いてはいけないという顧慮もあると心得ておる、こういうふうに説明しておったわけなんですが、その辺がどうも今の御答弁を伺っているとおかしくなってきたのですが、もう一遍はっきりと、この際概括的に、少くとも日本のおもなる輸出品目の今後の輸出の可能性の増大ということに関連して、形式的にもお話し願えるかどうか、はっきりお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/22
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023・園田直
○政府委員(園田直君) ただいまの問題は、ただいま曽祢委員がおっしゃいました通りの理由でございまして、非常に正式加入の最後の段階におけるいろいろ微妙な関係がありまするので、これについていろいろな問題等をどのような形式でどのような御相談すればいいかというようなことについても、ただいま考えているところなのでございまして、現地に対してはいろいろ訓令をいたして指示をしますし、ある程度の資料も持っておりますけれども、今おっしゃいましたような理由で、いろいろ考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/23
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024・羽生三七
○羽生三七君 今、曾禰さんと小瀧さんとの御質問の関連ですが、特にアメリカとの関係で、何かお話によるというと、アメリカの議会の関係もあり、あまり明らかにすることはどうこうというお話のようでありますが、私どもの承知しておる範囲では、アメリカの議会の関係は、このクーパー法案が最初上程されて、それが下院で通って、それが今度は上院でジョージ共和党議員の提出した修正案が可決されて、修正案として可決されて、それが、両院協議会になってジョージ修正案で通ってしまった、そういうように承知しておるのであります。そうすると、もうアメリカとの関係は片付いてしまって、ここで御発言になっても、一向相手を刺戟するとかしないとかいうことは起らないということに思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/24
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025・下田武三
○政府委員(下田武三君) 御指摘のジョージ修正案はまだアメリカの議会を通過いたしておりません。私どもが気をもんでおりますのは、御承知のように、今までの通商互恵法は今度の十一日で切れてしまいますので、一応その前にジョージ修正案でも——この際仕方がございませんから、ジョージ修正案でもいいから一応十一日の前に通ってもらいたいということを切望いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/25
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026・小滝彬
○小滝彬君 条約局長や政務次官の答弁に私は不満なんです。というのは、今電報でということを言ったのは私が悪かったかも知れませんが、ジュネーブはSASなんか通っておるところで、報告書なんかは二日くらいしたらくるのですから、それがないということは、何か言い逃れのような気がしますが、私も曽祢君も外交関係のことは長い間取り扱っているので、そういう対外関係を考えて質問しているのですが、大体のこういう点もあるのだというくらいの説明はしていただけなかったら、僕は、承服できないので、その点を言っておるのであって、税率をどうするのだというようなことを、ここでつっつこうという考えではございません。ことに外務省の諸君によく申し上げておきたいのは、あるいは衆議院の外務委員会はいかがかしりませんけれども、参議院の外務委員会においてはみな熱心に皆さんに質問して、何もここであげ足を取ろうという考えでやっているものではない。まじめに審議しているのだから、外務省の方でもこういう経済法案が出る限りは、相当専門の委員も外務委員会にはおるのだということを承知の上で、ここでまじめに答弁に当っていただかねばならない、これはおそらく委員長も同感だろうと思います。まあしかし、今は発表できないと言うならば、私はこの問題はさらにつっこんだことを申し上げません。二、三日のうちにわれわれに知らして差しつかえないものがあって、納得できるものがあるとすれば、書面が出るとすれば、それを待つよりはかなかろうと思います。ところで先ほど委員会の始まります前に、委員長とも話したのですが、この正式加入がどれだけ日本に利益か知らんという話が出ておりました。私はまあこれは個々の税率を変えてもらうということも重大だが、しかし特に日本がこういう機関に入って平等の立場で貿易ができる、こういう道徳的な効果が非常に大きいものだろうと思いますが、しかしこういう加入について特に大事なことは、先ほどから言っておる今度の関税交渉というものが非常に意義があるので、この際によく折衝してもらわなければならない、その意味でどの程度の努力を払われておるかを聞きたかったわけです。ただ私は日本の立場として、非常に不利なものがあると思う。それは日本の不当競争とか、あるいは意匠の盗用とかいうような問題だけでなしに、日本の関税法そのものがこういう交渉に不利なものではなかろうかと思うわけです。先ほどの国会でたしかに一応形式的には複関税制になったわけであります。なんか一カ条ぐらい設けて、この条約に関係のない国には倍額の税をかけるというような条項がある。しかしこれは実際問題に適用するということになると、なかなか適用しにくいのです。だからフランス系の国がやっているような複関税制が必要じゃないか。大体一応複関税制のような格好の条項は設けられましたが、今後日本の関税についてはどういういき方をしようとしておられるのか。きょうは大蔵省の人はみえておられないようですが、外務省自体、日本の関税の制度についてどういう考えを持っているか。これはこのガット審議に重要な基本的問題なんで、その点、係から説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/26
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027・下田武三
○政府委員(下田武三君) 外務省といたしましては、まだ講和発効前に、独立回復後の日本の関税政策をどうすべきかという問題を検討いたしまして、やはり仰せのようにフランス式の複関税制度をとるべきである。そうしないとガットを初め、諸外国との関税交渉に際しまして、わが方の立場が非常に不利になるということを主張して参ったのであります。しかし遺憾ながら今日までのところ、この複関税制度に全面的の賛成を関係省から得ておりません。しかし仰せになりました先般の関税法の改正はそれに向って一歩を進めたことは明らかでございます。これはしかし、将来はだんだん仰せのような方向に国として進まざるを得ないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/27
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028・小滝彬
○小滝彬君 私はこれは実は条約局長から明快なる答弁を得ようとして聞いているのでなしに、そういう常識的なことでなしに、もっと経済関係をやっている局長、また局内の意向というようなものをまじめに聞きたかったのですが、見えておりませんから、私はもうこれでこの質問は打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/28
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029・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 経済局長、すぐみえるそうですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/29
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030・小滝彬
○小滝彬君 審議の都合があるでしょうから、私の質問のために待ってもらわないで、どんどん進められるように願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/30
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031・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 審議の都合は、待ちまして差しつかえないと委員長は認めますから、すみやかにおいでを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/31
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032・下田武三
○政府委員(下田武三君) 先ほど小瀧委員及び曽祢委員から御追及のありました、外務省側が現地の関税交渉の内容を知ってないはずはない、現地交渉でまかしたにしても報告は聞いているはずだという仰せでございましたが、内幕を申し上げますと、萩原主席全権は非常に強引なやり方をされまして、アメリカの全権等と打ち合せられた結果だと思うのでありますが、日本にも——アメリカも非常に困るけれども、日本にも関係省がたくさんある。だから精密に報告したら、長い間には漏れる危険があるから、お互いに直前まで報告しないでいようじゃないかという約束をしたわけです。アメリカの全権その他とされておりまして、まあ、現地の心配はもっともだと思うのでありますが、萩原全権がすべてを御破産にしないための御心配からと思いますが、非常に異例なやり方をされておりまして、ただいまのところぼつぼつきつつありますが、まだとても全部を本当に知らないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/32
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033・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) それじゃ、経済局長が見えましたから、経済局長から小瀧委員の御質問に対して答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/33
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034・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) 複関税制度をとれるかとれないかという問題につきましては、現在複関税制をとろうと思えばとり得るというふうになっております。ただ実際にそれをとるか、そういう複関税を設けるかどうかということについては、これはまた相手国から復讐を受けるというような意見もありますから、実際にそういう制度を発動するかどうかということについては慎重に考慮してきめたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/34
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035・小滝彬
○小滝彬君 私が質問したのは、今の一カ条というのは、実際問題としてはあれはなかなか適用できなくなる。日本は原料の輸入国だから複関税制度を設けるということは非常にむずかしい点があるということはよくわかる。しかし今度の交渉でも、おそらく萩原君は困っただろうと思うが、今後の関係もあるので、もう少し複関税制度というものを、ただあの一カ条でなしに、もっとフランス式なエラボレートなものを考える必要がありやしないか。しかし今度はガットに正式に入ると、そういう自由が束縛されるのかどうか。方向としては、外務省の経済交渉に当っている諸君はどういう考え方をしておるかというような点が実は聞きたかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/35
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036・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) 複関税制度をとればとれるということはただいまお話した通りでありますが、今後実際にそれではそういう制度を発動するかどうかということは、いろんな事情を考えなければなりませんから、今すぐにそれを実際に発動するのは、いろいろな場合を考えてきめたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/36
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037・小滝彬
○小滝彬君 発動するというのは、あなたの言うのは、倍額にするとかという条項があるはずだが、それを条約のないところへ実施するかしないかということは、今後のことでなければならぬということですが、私の言うのはそうでなしに、基本的にあの一カ条を修正して、もっと詳しいものにした方がいいという考え方は、現在交渉に当っている諸君としては起らないか、また内々事務当局でそういう点を調査さしているかどうか。大蔵省とも連絡があるかどうかということを聞いているわけです。倍額にするというのは実際問題として非常にむずかしいのだ。非条約国へ適用する場合、日本の国内事情もあるし、だから実際に発動しようとすれば、あれを変えなければいかぬ。それについてほんとうに事務に当っている諸君の立場から言うと、どういう気持なのかという点が私の質問点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/37
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038・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) 複関税制度はとることはできるのですが、ただそのこまかい規定を設けるかどうかという点につきましては、今すぐそういうものを作るということは考えておりません。
それからもう一つ、その三十五条を適用したような国に対して、複関税を場合によってとるということを考えておりますが、たださしあたりは、平和条約との関係で、先方が最恵国待遇を与えている場合には複関税制をとるということはできません。これも同範囲のものを与えなければならないという規定がありますので、そういった国については、今すぐ問題にはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/38
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039・小滝彬
○小滝彬君 実際問題としてはいろいろな困難があるだろう。それを助ける意味から三十五条を援用してきた。特に日本に対して不利な待遇を与えるものには、すぐ、あまり国内に大きな悪影響を及ぼすことなしに、そうした報復的な意味、報復関税の条文もあるのですから。しかしそういう複関税制度へすぐ追い込まれるというような措置は、少くとも事務当局としては研究をしておいてもらわなければならないと思います。しかしこれは打ち切ります。
そこで、一つこれに関連してお伺いしたいのは、ブラジルが仮加入するとか、しないとかという問題で、相当交渉の経緯があったと思います。これについては経済局長でなくても、係官でもいいのですが、ブラジルとの関係はどうなっているかを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/39
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040・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) ブラジルは仮加入宣言の延長の方には、これは署名をいたしましたが、この関税交渉には加わらないことになりました。タリフ・ネゴシェーションの方にはいろいろ経緯があったのですが、結局ガット加入の全体の問題のときに考えるということで、今回はその交渉に参加しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/40
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041・小滝彬
○小滝彬君 それは正式に日本が加入したときにタリフ・ネゴシェーションをやろうという意味ですか、今の答弁は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/41
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042・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) それは関税交渉をやらないということでありますが、あと今後はガット全体に対する態度、つまり日本の加入に賛成するかしないか、あるいはするにしても、無条件でするのか、あるいはその三十五条を援用する、そういったような全体の問題は、これはあとできめる。しかし今度の関税交渉そのものには参加しない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/42
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043・小滝彬
○小滝彬君 先ほどの質問にも申し上げたように、結局このガット加入の効果というのは、複関税制度をとっている国との関係において、非常に効果があると思うのですが、今のこの十数カ国が、大体日本の加入を認めるだろうと言われておるその十数カ国で、短関税制度の国はどういう国があるかお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/43
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044・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) ただいま関税交渉をやっております国の中では、複関税の国がカナダ、ドミニカ、ペルー、それだけだと思います。もちろんフランスのような国は複関税でありますが、今度の関税交渉には入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/44
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045・小滝彬
○小滝彬君 そうすると、今の交渉の実益ということは、まあ一にかかってどれだけ譲許を得るかというところにあるのだろうと思いますが、その辺はぜひ、もう末期に近ずいて、萩原全権に最善を尽してもらいたいと思います。
ところで一体ガットの規約そのものについて根本的に考え直そうという意向が相当あるようですし、またそれが審議の対象になったようにも聞いておりますが、その辺については今どういうようなゼネバでは状況であるかを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/45
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046・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) ガットの規約改正につきましては、先般の第九回の締約国会議でガット規約のレビューをして、その結果大きな改正の概要といったものが大よそ五つございます。
第一は、関税問題でありますが、今年の六月末で据置期間が終る現在のガット関税譲許表について、その据置期間をば一九五七年の十二月三十一日まで延長して、さらにそのあとは三年ごとに自動的に延長するということになりまして、もっとも締約国が関税率の一部の修正ないし撤回を希望する場合は、更新期間の初めにおいて関税税率を再交渉する権限を求めることができる。これが一つの点であります。
その次に、輸出入の数量制限であります。これは今度やはりぜひ、会議の結果できましたOTCが発足後間もなく、国際収支上の理由に基づいて行われている一切の数量制限を再検討する。その後もこの制限を継続している国とは毎年協議する。こういったものがあります。
それから第三には、未開発国の特例、これは未開発国は新規産業保護のため関税の再交渉、または輸入制限を行うことができる。こういった一つの特例が入ります。
それから第四点としましては、輸出補助制度であります。締約国は、第一次三品、つまり農工三品等については正常の貿易量以上を獲得しようとする輸出補助を行う義務を課せられる。その他の三品、工業品等については、一九五五年一月以降新規の補助や補助の増加は認められず、五七年一月までに輸出補助を撤廃するかどうかを決定するため再検討を行う、こういうことがあります。
それから第五は、これはガットと別個の条約として貿易協力機構、OTCという機構を設置して、まあこの機構に総会、執行委員会、事務局を置く、こういったようなことがきまりました。こういった点がこの前の締約国会議においてレビューされて改正をもくろまれている点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/46
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047・小滝彬
○小滝彬君 今も指摘された項目の中の一つの輸出補助制度は、前から論議されておった問題があるのですが、今度の交渉での日本のリンク制度というようなものは、優先外貨制度もその一つですが、ああいうのは審議の途中で相当外国の注目を引いたかどうか。今まで通貨基金の方ではこの問題を取り上げたこともあるようですが、今度の交渉ではこれが相当大きくクローズアップしたか。この一辺の情報は、差しつかえない限りお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/47
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048・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) いろいろなリンク制度の点は、ガットの締約国、この前の会議では直接には問題になりませんでした。IMFの方では問題になりました。しかしいずれこういったふうにガットの方がきまりますれば、いろいろ日本としても考えなければならんことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/48
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049・佐多忠隆
○佐多忠隆君 ちょっと今のに関連して。論議されたうちに、輸出補助の禁止の問題の条項があったようですが、これに対しては日本はどういう態度をとられたのか、あるいはとられるのか。第一次製品は補助を出さぬとか、あるいは五五年までのやつはそれまでとして、それ以降は禁止されるとかいうような、その問題についてはどういう態度をとられたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/49
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050・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) これは当時の日本側代表としては、現在のものをば続けると、現在とあまりこの程度ならば変化はない。ただ、現在やっているものをばすぐやめろということは困る、こういうことは申しましたが、こういった現状のものが大体認められるということであれば、まず差しつかえないと、こういった考えで対処いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/50
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051・佐多忠隆
○佐多忠隆君 ただ、その点は、日本から見ればそういうことでしょうが、アジア、アフリカの後進諸国から見れば、後進国だけを押えるような形になる。非常にそういう意味では先進諸国、特に欧米諸国がおくれた国だけの手足を縛るような結果にならないのかどうか。そういう配慮はされたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/51
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052・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) ただいま御指摘の点については、これは輸出補助制度については、大体こういうことであれしまして、後進国の点については未開発国の特例とか、あるいはその他後進国に関するいろいろな特例といったもので大体バランスがとれるじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/52
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053・小滝彬
○小滝彬君 最後に一つお伺いしておきたいのですが、先ほどから大体のこまかい話し合いの見通しとかいうものについては詳細な報告も得ていないということを条約局長から承わったわけなんです。しかし経済局長としては大体の大筋はつかんでおられなければならない、職責上当然のことだと思うのです。詳細は今述べられないとしても、今度の交渉で対米貿易が非常にふえることを予期するとか、あるいはその他の国ではどういう方面に効果があるという大局的なその利益について、また見通しについては御承知のはずと思うので、その点について一つ忌憚のないところを、大体の見通しを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/53
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054・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) まあこういうマルティラテラル・ベイシスで行われている交渉でありまして、まあ大体の、相当程度いろいろな話が固まっておりますが、ただまたその一角が変りますと全部に影響するというような場合もありますので、まあどこまできまったかというようなことをなかなか申し上げにくいわけでありますが、それからこれで非常にまた日本がどこかの国から譲許を得たというようなことが表に出ますと、そこの国が当然また事前にいろいろな妨害を受けるというわけで、そういうことも今の段階では申し上げるのを差し控えたいのでありますが、しかし私の考えとしましては、全体として相当に、これは総合的に見て日本にとって有利なものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/54
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055・曾禰益
○曾祢益君 大体譲許は、これは今の段階で漏れると工合が悪いということはわかるんですが、まあある段階になれば交渉が妥結する。そうなれば結局発表するわけですね。その際にもちろん各国の国内で日本のあれに、三品に十分特典を与えることが必ず起り得るわけです。そういう場合に各国によって、たとえばアメリカでは法律が通っていれば、個別譲許が延長か何かしてあれば、この譲許それ自身は議会に諮らなくてもいい、あるいはある国ではこの譲許そのものが協定として議会にかかるとか、そういう点は国々によって違うと思うんですが、いずれにしても協定が、譲許の話し合いが済んだら、その国内的の措置についてもまた議会に出すとか、出さないということが起ると思うんです。それは国によってどういうふうになっておりますか。おもな国、たとえばアメリカの場合には個別譲許が延長される法律が通れば、この譲許それ自身はもう議会の問題でなくて、アドミニストラティブ・アグリメントとして、行政でできる。たとえばそれがほかのカナダの場合はどうか、その点は大体どうですか、おもな国は……。いずれにしても秘密にしておくわけにはいかんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/55
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056・湯川盛夫
○政府委員(湯川盛夫君) 全部についてまあ即座に資料がございませんが、アメリカはただいまおっしゃった通りであります。議会にどうしてもかけるのはドイツ、イタリーがそうだと思いますが、あとことによったらカナダも同じかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/56
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057・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 他に御質疑はございませんか……。質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/57
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058・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/58
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059・小滝彬
○小滝彬君 私はこの承認を求めるの件に賛成いたします。しかしそれは趣旨上は結構なものであるとして賛成するのでありまして、先ほどからの政府の答弁は、われわれにはっきりした見通しを与えてくれないので、果してこの暫定的な延長で、その間に日本の正式加入ができるかどうか。またどれだけの利益を日本にもたらすかということについても、十分な満足のゆく答弁を得られないことは遺憾に存じます。しかしせっかくゼネバで代表団が努力していることでもありますので、今経済局長が述べた、相当期待し得るという言葉を信頼いたしまして、これに賛成するものでありまするから、今後いよいよ最終段階にきた代表団が、十分その成果を上げるように、外務省当局においてもこれからぜひとも連絡をして、間違いのないりっぱな成果を上げ得るよう努力せられんことを希望して、この希望条件を付して賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/59
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060・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/60
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061・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長するための議定書への署名について承認を求めるの件を問題に供します。本件を原案通り承認することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/61
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062・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 全会一致でございます。よって本件は全会一致をもって原案通り承認すべきものと決定いたしました。
なお本会議における口頭報告の内容及び議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によってこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/62
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063・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本件を承認せられた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
草葉 隆圓 小滝 彬
佐藤 尚武 苫米地義三
梶原 茂嘉 後藤 文夫
佐多 忠隆 曽祢 益
羽生 三七
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/63
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064・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) なおこの際に、委員長から外務当局に一言申し上げておきます。
本委員会で政務次官初め諸君が御承知になりましたように、本委員会から外務省の連関事項がたくさんこれから参るのでありますから、本日の会議で特に外務省出身の委員の方から、外務省の本委員会に対する答弁のための出席がはなはだ不満である、委員長はどう思うかというお言葉まで出たような次第で、委員長はこれに対して同感を表したような次第であります。この件を外務大臣に十分御報告になりまして、将来のことを御注意をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/64
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065・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/65
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066・羽生三七
○羽生三七君 きょうは外務大臣の出席はないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/66
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067・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 本日は総理大臣及び外務大臣の出席を要求いたしましたが、総理大臣は、先ほど官房長官が参られて、国会にいかにしても出席ができないからということでありました。よって委員長は、総理大臣出席可能の最も早い機会に御出席を願いたい、そうしてそれをできるだけ前もって委員長に報告をしていただきたいということを申し入れておきました。外務大臣は本日はイタリア大使の親任状の奉呈でありますが、提出について出席ができない、こういう報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/67
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068・羽生三七
○羽生三七君 実は外務大臣が来ないと、私のお尋ねしたい問題は、行政協定の問題に関係してくるので、外務大臣自身からお答え願いたいと思いますが、ただ、次回にお尋ねをするための参考に、関係政府委員が出ていられるようでありますので、簡単に一言だけお尋ねをしておきます。
それはまあ一部新聞にも報道されておりますが、先日東海道で列車が米軍のトラックと衝突をして、非常に多数の犠牲者を出したことは御承知の通りでありますが、この場合に損害補償という問題が起るわけでありますが、何か開くところによると、アメリカ側では、国鉄その他の公社は、これは政府機関であるから、損害補償の責任はないという立場をとっておるようでありますが、これは行政協定の関係であります、立場をとっておるようでありますが、事実今伝えられておるようなことになっておるのかどうか。その辺の事情だけを今日は承わっておけばよろしいので、その点だけお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/68
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069・丸山佶
○政府委員(丸山佶君) ただいまのお尋ねにお答えいたします。
アメリカ側に法律上の責任があるということがわかりますというと、これは補償の対象になるものと私は考えておりますが、それは一般の人の問題でありまして、御指摘の通りに、国鉄そのものの損害に関しましては問題がございます。そのいきさつは次の通りでございまして、行政協定の発効の二十七年の当初に、国鉄あるいは電電公社、ああいう公社の性格に関しまして、これを行政協定十八条の政府の機関、すなわち、その職員は政府の職員であるや、あるいはその財産は国有の財産であるやということに若干の疑義がございましたが、当時、外務省、法務省等の御意見を参照しまして、実施に当る調達庁としましては、相手の軍機関とも話合いまして、これは政府機関ではない、従って従業員も政府の職員ではない、財産も国有財産とは別のものであると、こういう見解のもとに、その後国鉄の被害をこうむりましたものは補償をいたして参りました。ところが昨年の七月ころになりまして、米軍のジャッジ・アドボケート、法務官の方から異議が出まして、これはちょっとその後の研究によればおかしい。行政協定の十八条の三項、三項というものが今の補償の規定、つまり駐留軍当局が第三者に被害を与えた場合はこれこれの手続でやる、こういうことなんです。それから一項と二項は、今のように両方当事者が政府機関である職員である場合、あるいは被害物件が軍隊のもの、または日本側の国有財産である場合には、双方で請求権を放棄する、これが一項、二項でございますが、国鉄の場合は、やはりどうも一項、二項の方に該当であると自分でも考える。今まで三項でやってきたことはどうも間違いじゃないか。こういう議論を展開いたしましたので、再三その問題に対する討議を行なったわけでございます。
その概要を申し上げますと、向う側がそう言い出した点は、要約しますと三点ほどあるのでございますが、第一点は、その軍と国鉄との輸送契約に関しまして、国鉄側は、一般に軍が日本の商社その他と契約をする、その契約条項の適用は工合悪い。やはり日本政府との間の契約のような条項をとりたい。こういう主張をして、それについては軍側ではいろいろ疑義があったんではあるが、本国政府にも請訓して、実はそういうものを契約の方式にしておる。こういうことが一つの点。それから二点には、国鉄の運営、管理には、政府の任命する委員会のもとにあって、首脳部の人事あるいは予算も国会の審議を経るとか、こういうもので、非常に政府の指揮監査と申しますか、その点が非常に強い。それから第三には、土地収用法あるいは、道路運送法、その他いろいろな法律上において、国鉄のやる仕事には、一般の国の行政機関が行うと同様ないろいろの特権と申しますか、特殊の権利を持っておる。こういうところから見るというと、実質的には国と同じものではないか。従ってその職員も財産も、国の職員あるいは国の財産と考えていいのじゃないか。そもそもその当初に公社を作ったときも、何も特別な売買行為その他があったのではなくて、国の機関をそっくりそのまま移管して公社にできておるので、名目の変更に過ぎない。実質論からいって、これは国のもの、従って従業員も国の職員と見るのが至当じゃないか。要約しますというと、かような理論の立脚のもとに、従来のように十八条三項の補償の対象とするということには疑義を持つということでございます。これに関しまして、わが方といたしましては、まず特別な法律において特別な地位を国鉄に与えておる、行政機関と同じような地位を与えておるという問題に関しましては、これは国鉄の行う事業が、非常に公共性の強い事業である。こういう必要から、特別にその面に限ってそういうものを与えたので、何も公社そのものの性格をそれによって全般的に云々さるべきものでない。それから国の人事あるいは予算等についての干渉というか、監督、そういう方面の強いというものも、やはり同様に公共性、公益、こういう観点から、特に国が強く監督する必要がある。こういうことからそういう措置をとっておるだけであって、公社そのものの性格が、それによって国のものと同じだ、あるいは国の一部である、こういうことではないので、ある。
一番問題は、今の輸送契約の問題でございますが、御承知かと思いますが、軍が日本で行なっておるいろいろ調達関係等の契約を、一般に特需契約と申しておりますが、その中で国鉄側が特にその特需契約の一般条項とは違って、米軍が政府を相手にする契約を希望して、その通りにしたという事情のおもなる点は、一般の特需契約である標準条項によりますというと、当事者間に紛争が起きますというと、一次的には米軍の契約担当官が決定をする。そうしてその決定に不服であるならば、相手方は米軍内部にあるところの訴願委員会、普通にBCAと言っておりますが、ボード・オブ・コントラクト・アッピールという機関が軍側にございまして、その訴願委員会に提訴をする。そうしてその提訴をした場合に、紛争の金額によって差異はございますが、ある程度の金額であれば、それがファイナルになる。最終決定では異議の申し立てがない。こういうような一般の特需契約の中には条項があるのでございますが、そういう点はどうも工合悪い。もし紛争が起きた場合には、国鉄の特殊の地位にかんがみまして、合同委員会の中に契約調停委員会という分科会がございますが、そういうところによって、調停で解決することが望ましいというようなこと、それからもう一点気づきますところは、契約終了後も何年間は軍側ではその相手の会計監査というようなことに権限を持つというような条項があるのでございます。これもしごく都合が悪い、こういう条項は改正をしてもらいたい、こういうような、つまり一般の特需契約の条項では国鉄としては工合が悪いというような点を配慮しまして、そうして事が政府を相手にする契約にはそういうものがございませんので、そういうような契約条項にしろという主張で、結局そのとおりになったわけでございますが、それをまあ軍側は強く、日本側の態度は、国鉄をやはり行政機関の一部とみなすべきではないかというような根拠になったようであります。それに関しましては、それは今なっておる契約が、政府対政府契約の条項と同じに扱っておるようになったかもしれないが、いずれにせよ、それは双方当事者の間で合意を見たところの契約である。何も政府の一部であるから、そういう契約にしたということではない。契約は双方の自由意見によって合致するところでありますから、一方が、軍側は一般特需の条項を主張しましても、こちら側は、その点は工合悪い、これをこういうふうに変えてくれと、こういうことでもって、結局まあそういうふうになったのであるならば、それが普通の契約であるので、何も政府の一部であるからとしてそういうことにしたのでないと、こういう反論をいたしておきました。
こういう工合にしまして、約半年間いろいろもみにもんでおるのでございますが、実はいまだその問題が決定いたしませんので、従ってこれは実施官庁である調達庁と、それから向うの実施機関であるものの間だけでは片づかぬ。もう少し高級のレベルでもって解決していただくのがよろしいと、まあその時期であるということでございますので、その方法といたしまして、まず合同委員会に持ち上げて審議していただく、それでも解決せざれば、なおまた一般の外交交渉、こういう方面に持っていくのがいいと、こういうふうに調達庁としましては結論を出して、先般その準備をいたし、また今、実はその合同委員会の中の民事裁判管轄権の日本側の委員の手元で、それに基づく資料、その質疑応答上のデータ等をそろえておりますので、近く合同委員会にかかるような段取りになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/69
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070・羽生三七
○羽生三七君 今日は事情だけがわかればよろしいので、いずれ先ほど申し上げましたように、行政協定に関係してくる問題であるし、今の御報告を承わっても、もっと政治的な折衝をしなければならぬ段階に来ておると思いますので、今日はこの程度でけっこうでございます。他日外務大臣出席の際に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/70
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071・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) それでは、この件については追ってまた外務大臣に御質問するということにいたします。
本日は前回の後に、須藤委員から、濃縮ウランと日ソ交渉、米軍基地等に関して、総理においでいただきたいということでありまして、そうして外務省の二案件が明日本会議にかかるために、定日でありませんでしたけれども、皆様においでを願って委員会を開いたのであります。しかるに総理は先ほど申し上げたように都合が悪くて出られない。それで都合のよい最も早い機会においでを願うことに申し入れております。その際に、定日にあらざる日が都合がいいということでございましたら開きたいと思いますが、よろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/71
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072・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) そうして総理に対する御質疑の方は、事項を示して、委員部の方へお申し込みを願いたいと思います。そうしますと時間の割り振りをいたします。こちらの出席の時間に応じて割り振りをいたします。
それから外務大臣に出席の御要求が羽生委員からありましたが、これは先ほど申し上げましたような理由で御出席がありません。また外務大臣出席のときにという御質問が残っておるようであり、外務大臣には大体都合のつく限り委員会に出ていただきたいというふうに私は思いますですから、これの御出席が、もし総理大臣と同日にできるようでありましたら、御出席願うことにいたします。
それに連関して御質問のある方は、この間の理事会では、総理大臣に限って、時間が少いだろうから、こういうことで理事会の御相談をしておきましたから、外務大臣にも、できれば御質問の点を通知しておく方が親切だと思いますから、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/72
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073・小滝彬
○小滝彬君 ちょっと散会する前に一つ政務次官にお伺いしておきたいのですが、きょうの新聞には、ジェット機の生産に関する協定が近くできるということです。その七割はアメリカが持つ、三割は日本が持つということになっておりますが、あれは一体、財政資金を要するものなのか、それとも市中融資でやろうとするのか、予算の面から見ますと非常に困難がある。あれは一体どういう構想で進まれるのか、ごく概括的なことでけっこうですから、お話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/73
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074・園田直
○政府委員(園田直君) 今のお話は、近く話がまとまるような模様になっております。資金の問題は、ごく一部が財政資金になって、その大部分は一般の市中資金になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/74
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075・小滝彬
○小滝彬君 その一部財政資金というのは、予算の面に、もう今年度の予算面に現われておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/75
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076・園田直
○政府委員(園田直君) 約五億入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/76
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077・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) それでは本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X00719550602/77
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