1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十二日(火曜日)
午前十時三十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 石黒 忠篤君
理事
羽生 三七君
苫米地義三君
委員
平井 太郎君
梶原 茂嘉君
後藤 文夫君
佐藤 尚武君
佐多 忠隆君
曾祢 益君
須藤 五郎君
野村吉三郎君
衆議院議員
高岡 大輔君
国務大臣
外 務 大 臣 重光 葵君
政府委員
外務省アジア局
長 中川 融君
外務省欧米局長 千葉 皓君
外務省経済局長 湯川 盛夫君
外務省条約局長 下田 武三君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 信雄君
説明員
大蔵省理財局国
庫課長 高橋 俊英君
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本日の会議に付した案件
○在外公館等借入金整理準備審査会法
の一部を改正する法律案(衆議院提
出)
○関税及び貿易に関する一般協定への
日本国の加入条件に関する議定書へ
の署名について承認を求めるの件
(内閣送付、予備審査)
○国際情勢等に関する調査の件
(日ソ交渉及び日米行政協定に関す
る件)
○日華平和条約附属議定書第二項の有
効期間の延長に関する議定書の締結
について承認を求めるの件(内閣送
付、予備審査)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/0
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001・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) それでは、これより外務委員会を開きたいと思います。
在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案を議題にいたします。まず発議者より提案の理由の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/1
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002・高岡大輔
○衆議院議員(高岡大輔君) ただいま議題となりました在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
第五回国会において成立いたしました在外公館等借入金整理準備審査会法は、終戦に際して、日本より外国へ送金できなかったため、朝鮮、満州、中国等各地における在外公館、居留民会等が外務省の訓令に基き邦人救済費、引揚費等のために在留邦人から借り入れた資金は、政府がその性質にかんがみ、国の債務として確認することを目的とするものでありますが、借入金を提供した者は法律施行後百五十日以内に政令の定めるところにより、証拠書類を添えて外務大臣に対し借入金の確認を請求することになっているのであります。その後改正により請求権を失っているものについては、昭和二十七年六月三十日まで請求できるように措置されたのでありますが、なお引揚者の税関に預けた書類が、その後解除になり返還されて参りました中に、未請求の借入金関係の書類が多数含まれていること等確認未請求のものが現在相当数ありますので、この際、これら在外公館等借入金の確認請求の権利を失っている者に対して、昭和三十年十二月三十一日までに借入金の確認を請求することができるよう措置しようとするものであります。
以上が本法律案を提出した理由であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/2
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003・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 本案について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/3
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004・曾禰益
○曾祢益君 伺いますが、大体確認未請求の人のほかに、確認を請求して、あるいは断わられたとかいうのもあると思いますが、ここに「確認請求の権利を失っている者に対して」とありますのは、「確認請求の権利を失っている者」というのはやはり両方含むのかどうかということが第一点。
それから第二点はここに書いてありまするが、これは一つの例だと思いますが、税関に預けた書類がその後返ってきたから、確認の基礎資料というものが出てきたからという、これは一つ例に過ぎないだろうと思うのですが、つまりどれほどこれによって救われんとする人の種類と範囲、それから数、確認を再び請求するものもあるでありましょうし、事実未請求だったものもありましょう。ここに例を挙げておるように未請求だった人たちが請求する気持になるような書類が税関から返されたから出てきたとか、そうでない他の事由のものもあると思います。私は主として借入金、りっぱな証拠を持っている人は全部政府に対する債権を確認してやるのが法律の元来の趣旨であった。ただし、ただいたずらに何回も何回も延ばしていくということも適当でないと思います。どれほど実体的の必要があってのことかということをもう少し明確に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/4
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005・高岡大輔
○衆議院議員(高岡大輔君) これはただいま申し上げました通りに、終戦当時に外務省の訓令に基きまして出先機関が居留民から借りましたので、借りましたについては台帳を作ってございます。その牧はおおよそ十三万件ございます。そのうち今日まで支払ってありますのが大部分でございますが、今日残っております件数を申し上げますと、満州地区関係では一万九千八百二件、関東州地区関係では七百三十六件、朝鮮地区では一万四百二十六件、華北地区では七千八十一件、華中南北地区では四千二百五十件、合計四ガ二千二百九十五件となっております。ただしこのうちの件数でございまして、一人の人が二度も三度も貸しつけたという面がございます。政府といたしましては合計何万円でありましても、一応五万円で打ち切るという措置が行われております。その点は一つ御了承を願います。
それから今のお話でありましたが、なぜそんなに未請求のものがそれほど件数があるかという御質問でございますけれど、これは当時引き揚げて参りました方々は、いろいろの港にお着きになって、各地の税関で荷物を全部没収というか、一時預けられたと思います。ところが最近になりまして横浜で全部それらの荷物が一まとめにまとまりまして、一応審査の結果、聞くところによりますというと、昭和二十八年に漸く解除になって逐次荷物の返済を開始しておる。ところが二十七年六月三十日に期限が切れておるのでありますから、期限が切れた後に税関から荷物を引き取る。その荷物のうちにはもちろん貸しつけた債権者の書類等がございますので、何しろ引き揚げの場合にはわずかな紙きれでも非常な厳重な審査がありますために、そうした書類を一切はだ身につけて帰れないものが多かったのでありますが、そうした荷物が昭和二十八年、少し繰り返して申し上げますと、期限が切れた後に、税関から書類までほかの荷物と一緒に本人に返されたという現状でございます。これが大部分でございまして、中には今まで請求しましたけれども、わずかな期間でございましたので、自分の債権の書類がないために、証明書でございますとか、そういったような事務的承認等のこともあったのでありますが、それがなかなか見つからなかったということで、ただ団体長の証明とかいうことでは外務省の方の審査がなかなか思う通りにいかなかったというような未請求の分もございます。しかし大部分は外務省の方ではよくわかっております。その証拠書類がないためのものが大部分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/5
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006・曾禰益
○曾祢益君 この際政府の方に伺いたいのでありますが、この債権確認の措置とそれからそれに基く今高岡さんからお話があった五万円で打ち切りというような点、これは支払いは開始したのですか、どういう状況になっておりますか、概括御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/6
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007・中川融
○政府委員(中川融君) ただいま国会側で御提案になりまして御審議いただいておる法律案は請求権ありや否やの審査をする法律でございます。この審査いたしますものについて請求権ありと確認されたものにつきましての現実の支払い等につきましては、在外公館等借入金の返済実施に関する法律が昭和二十七年に施行されております。これに基きましてただいま高岡委員長が御説明いたしました通り最高一件当り五万円という限度をもって、一定の表に従いまして、各現地通貨を日本通貨に換算いたしまして、表がこの法律についておりますが、その表に従いまして換算いたしまして、政府で支払いを実施いたしております。従いましてただいままで確認された十三万件の請求権につきましては、本法律に従いまして支払いが行われておるのであります。支払いの事務は大蔵省が担当いたして支払っておるのでございます。大体支払いは順調に進んでおって現在ほとんど完了に近いことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/7
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008・曾禰益
○曾祢益君 もう一ぺん政府に伺いますが、十三万件がすでに確認された、それの支払いもまあ五万円を限度として、換算率の問題はありますが、それはほとんど完了しかけておる。そうして今度確認請求の期限を延ばしてやることによって大体何件くらいが確認されることになりそうか、予想はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/8
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009・中川融
○政府委員(中川融君) ただいま高岡委員長から御説明がありました中にございましたが、現地の民団等の書類によりまして約四万二千件に相当するものがまだ請求がない、権利があると思われながら請求していない方があるのであります。これはいろいろな理由があるのでありますが、この方々は理論的に言えば請求なされ得る方々でございます。従ってあるいは民団等の書類がない方があるのじゃないかと思いまして、四万円、五万円の方々は請求し得る地位にあるのじゃないかと考えております。しかしながら現実にはやはり証拠書類がないとか、いろいろなことでこれだけの数にはなってこないと思うのであります。理論的にはそれだけの数になる可能性があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/9
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010・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 これは政府の方に伺いますけれども、借入金の総額はどれほどになっておるのですか、すでに支払い済みのものがどれほどで、金額にしてどれくらい残っておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/10
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011・中川融
○政府委員(中川融君) この方は大蔵省が実施しておりまして、大蔵省所管になっておりますが、われわれが大蔵省から承知しておりますところでは、大体当初八億五千万円の予算を計上いたしまして、これを毎年継続して使えるという建前になっております。現在大体二億二千万円程度残っておるということでございます。大体六億三千万円ほどすでに支払っておる、これを十三万件で割ってみますと、平均五千円程度の支払い、かようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/11
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012・佐多忠隆
○佐多忠隆君 この十三万件というのは、政府の在外公館で記帳したものが十三万件あるわけですか、そうすると、そこはさっきのお話の通りに、理論的には請求し得るのだけれども、請求者が証拠書類を出さなければ渡せないということになるのですか、最後になって証拠書類はないけれども、台帳の上からははっきりしているというようなものが相当残ると思うのです。そういうものは支払いはやられないつもりなのかどうか、問題はむしろ証拠書類を出すということは、かりに台帳に記帳漏れがある、にもかかわらず証拠書類としては確実なものがあるから、台帳にはないけれども、証拠書類があるから、支払いをするということのための証拠書類として使うのがむしろ当然で、十三万件、記帳してあるのならば、証拠書類その他を出す必要もなしに支払われるものだという感じがします。それはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/12
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013・高岡大輔
○衆議院議員(高岡大輔君) お答え申し上げます。さっき申し上げました十三万件というのは帳簿に記帳してございますので、その点ははっきりしてあるのでありますが、ただここにいろいろな問題のありますのは、そのときのああいう状態が状態でありましたので、一面片方の方では、ほんとうに借りたつもりで借りたのでありますけれども、貸した方の側は、もうくれたような、半分くれたような気持でいるのでしょうか、また事実寄附なすった方も非常に多いのでございます。その寄附されたうちに、これだけは貸したという面もございますので、そういう面がとり混ってありますのではございますけれども、一応公館等が借り入れました件数というものははっきりしておるわけです。それでこれの今残っておりますその帳簿面から見ました残が四万二千件というものを今一応見ておるのでありますが、過般衆議院の委員会における政府側の答弁を聞きまするというと、今度はもう最終でございますので、はっきりした証拠があれば帳簿に漏れておるものでも支払うし、また帳簿の方ではっきりしておれば証拠がなくとも払いますということを、政府の当局の方ではおっしゃっておるのであります。すなわち明らかに帳簿にありますのは、最後でございますから、証拠はなくたって、本人の申し出によって支払う、また帳簿になくともはっきりした証拠がございますれば、これも最後ですから支払う意思を持っておるということを、政府の当局側は衆議院の委員会においては御答弁になっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/13
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014・佐多忠隆
○佐多忠隆君 その記帳されたもので寄附その他としてすでにそういう権利を意識的に放棄されたのは、これはまあ返さなければ返さないでもいいと思いますが、しかしそうでなくて、記帳はされている、しかし証拠物件がないというようなものは、今のお話の、通りに証拠物件のないにかかわらず、記帳を証拠として支払いをするという政府の措置は当然しかるべきものだと思いますが、その場合に今の御説明だと、本人からの申し出がなければそれをやらないのか、申し出がなくとも記帳されている以上、そうしてその人の所在地がはっきりしている以上は、政府の扱いとしては、配慮の届いた扱いとしては、むしろ通知してやって請求させるなりなんなりするという努力をするべきだと思いますが、それらの点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/14
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015・中川融
○政府委員(中川融君) 御指摘の点ごもっともと思うのでございますが、法律の建前から申しますと、やはり御本人が申請するということになっておるのであります。現実の扱いといたしましては、たとえ御本人が自分で気がつかないで申し出られないという場合におきまして、引揚団体等の関係から、そういう方がおられるということがわかりますれば、こちらから通知を差し上げまして、そうして御本人の注意を喚起するという措置はとっておるのでありますが、法律の建前ではやはり御本人が申請するという手続をとられることが前提となるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/15
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016・佐多忠隆
○佐多忠隆君 その手続上申請することが必要であるという点は、それでいいと思いますが、今もお話があったように、住所がわかり、それではっきりした連絡のつき得るものはなるべく連絡をつけて、請求をするような措置を喚起するというように、一つ思いやりのある配慮をしていただきたい。これは希望であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/16
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017・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 他に御質疑はございませんか。
それでは私からちょっと一つ。これは高岡さんの御提案で議員立法で来ておるのでありますが、今の御説明だと、政府は最後の決算的の好意として、非常に積極的の好意をもっておやりになるようでありますが、この提案が議員提案で出て来て、政府提案で出てこなかったということは、もし議員提案がなければ、このままになってしまったと思うのでありますが、その点はどうでありますか。どういうことで御提案にならなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/17
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018・高岡大輔
○衆議院議員(高岡大輔君) その点は衆議院の委員会におきましても御質問があったのでありますが、外務省としましては、これの予算措置等につきまして大蔵省と折衝しておられたのでありますけれども、外務省を初めとしてこのたびの予算措置にはいろいろと複雑なものがございまして、なかなかこの問題が予算の面からはっきり取り上げてくるだけの段階が、少しおくれておったのでございます。ところが一方関係者の方からは、私が引揚の特別委員長でありますためか、私のところへいろいろと陳情書が参りまして、私に強く要求されるところがございましたので、政府等にもいろいろ御意見等はからいましたけれども、政府の方でもほかのまたいろいろな重大問題の案件を控えておられますので、私の方では一応外務省の意向を参酌いたしまして、私の名前で本案を提出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/18
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019・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 大蔵省の国庫課長が御出席になりましたようでありますから国庫課長に伺いますが、政府はこの案に対して最後の措置として、かなり積極的に取扱いになるような衆議院における言明があったということでありますが、それは年度をわたって使用することを許されておる既定の金額内においてということになるんでありますか、それ以外にわたってもやることになるんでありますか、そこは大蔵省の方でいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/19
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020・高橋俊英
○説明員(高橋俊英君) お尋ねの点は予算上繰越金額でまかなうか、あるいは不足の場合に新しく財源を追加するかということであると思いますが、ただいま提案になりました法案によって支払いを要する金額は、外務省その他の推定によりますると、二億円をこえることはまあないだろう、つまり件数で申しまして五万件という推定でございます。それから金額としては一件当り四千円をこえることはまあないだろうとおっしゃいますので、従いまして二億円を上回ることはないだろうという見当でございます。繰越金も昨年度の決算を行いまして確定いたしまして、そのうちからなお今までの分で支払い未済の分が若干ございます。それを差し引きましてもなお二億円をこえる金額が新しい支払いに充て得るという見込みがついておるのでございます。従いまして、今度の措置によりまして、新しい予算を伴うかどうかが非常な問題点でございましたが、それが必要ないという見通しでございますので、私どもといたしましても今度の措置に対して心配はないだろうと考えておる次第であります。新しく予算を必要とするということになりますると、また問題は別でございまするが、一旦こういう御措置をおきめになりましてやった結果が予算を必要とするようになりますれば、それはやむを得ないことでありますので、その措置は重ねてやらざるを得ない。何らかの方法で資金手当てはしなければならんというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/20
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021・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 他に御質疑ございませんか。――御発言がないようでございますから質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/21
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022・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明かにしてお述ベを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論を終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/22
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023・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。在外公館等借入金整理準備審査会法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに御賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/23
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024・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容及び議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/24
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025・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。
それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方の順次御署名を願います。
多数意見者署名
苫米地義三 佐藤 尚武
野村吉三郎 後藤 文夫
梶原 茂嘉 曽祢 益
羽生 三七 佐多 忠隆
平井 太郎
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/25
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026・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 次に関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件を議題といたします。提案理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/26
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027・下田武三
○政府委員(下田武三君) ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明申し上げます。
わが国は、昭和二十七年七月に関税及び貿易に関する一般協定すなわちガットへの加入申請を行ったのでありますが、当時は米国が大規模な関税交渉は行わないとの方針をとっておりました関係もあり、わが国加入の前提となる関税交渉会議が開催されるに至らず、やむをえず一昨年の仮加入宣言によりまして暫定的制限的な参加を行ったことは御承知の通りであります。
しかしながら、政府といたしましては、もとより仮加入に満足するものではなく、わが国の通商貿易伸長の見地から一日も早く正式加入を実現すべく努力を続けてまいりました結果、昨年十月の第九回締約国団会議の決定に基き、本年二月二十一日からジュネーヴにおきまして関係国と関税交渉を行うこととなり、交渉参加国は、十七箇国の多きをかぞえたのであります。この交渉は、利害関係の複雑な関税に関する多角的な交渉でありますだけに、困難かつ長時日の折衝を必要といたしましたが、先般ようやく妥結するに至り、その結果に基きまして、わが国の加入条件を定めるこの議定書が作成された次第であります。
この議定書によりまして、わが国は、一般協定の締約国中わが国とガットの上においての関係にはいることを希望する国から、その国が現在までに行ってまいりました関税譲許の適用を受け、また、関税以外の各種の貿易制限についてもその無差別適用の利益を受けることとなるばかりでなく、ガット締約国団会議を通じて、国際貿易に関するわが国の発言権を確保することができるようになるのであり、かくしてわが国の通商上の利益を確保増進する上において多大の便益をうることになるわけであります。
この議定書への署名につきましては、国会開会中のことでもあり、本来ならば事前に御審議をわずらわしましたのち、署名を行うべきでありましたが、さきに本委員会にて御報告申し上げました通り、議定書附属の関税譲許表が最後まで確定するに至らず、署名開始期日である六月七日以前に国会に提出して御審議をわずらわしますことは、技術的にまったく不可能であったのでございます。
しかるに、この議定書は、もともとわが国の要請に基き、かつ、わが国の署名を当然の前提として作成されたものであり、さらに、他の締約国のすみやかな署名を促す意味におきましても、まっさきにわが国が署名することが絶対に必要と認められましたので、政府は、その責任におきまして署名が開始された六月七日にまっさきにこれに署名し、国会の承認は、憲法第七十三条三項ただし書の規定に従い、事後に求めることといたした次第でございます。
わが国の率先署名は、会議参加国の早期署名を促すこととなり、六月七日には、カナダ、デンマーク、フィンランド、イタリア、ペルー、スウェーデン及びウルグアイが、八日には、米国が、十日には、ドミニカ、ギリシア及びノールウェーが、十一日には、ニカラグアが、十三日には、チリが、三十日にはパキスタンが署名し、現在までに合計十四箇国の署名を獲得するに至ったのであります。
以上の事情を御了察下さいまして、御審議の上すみやかに御承認あらんことをお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/27
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028・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 本案についての御質疑はあとに譲りたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/28
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029・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) この際、申し上げておきますが、日舞平和条約について提案の理由を伺う順序にしておりましたが、本日は火曜日の定例日であるにかかわらず、衆議院のほうで外務委員会を開くことにして、移住関係の会社法案の審議を急ぎたいということでありまして、外務大臣の御出席をあちらに譲ってもらいたいという交渉が策議院の外務委員長からございました。議事進行の都合上やむを得ないことと思って承諾をいたしたわけであります。従って外務大臣のここにおいでのことはこれより三十分ということでございます。そのおつもりで御質問を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/29
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030・羽生三七
○羽生三七君 時間の制約があるようでありますから、簡単に要点をお伺いいたします。
きょうお尋ねしたい点は、主として行政協定の問題でありますが、その前に一言お伺いしたいことは、日ソ交渉が御承知のように、さきに二日にマリク全権がモスコーへ帰って以来、今日まで中止になっておるわけでありますが、けさの報道によると、また十五日から再開されるように聞いておりますが、内容をお尋ねする意思はありませんが、この際一体どういうふうに進んでおるのか、順調に予定通り進んでおるのか、その辺の消息をお差しつかえのない限り聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/30
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031・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 日ソ交渉につきましては、今日の事態は、前に御報告申し上げた事態からほとんど進んでおりません。すなわち、交渉が始まって、第一回の会合によって日本側の立場、主張を全面的にいたした。それに対して、その次の会合において、ソ連側はソ連側の立場、主張を全面的にいたした、こういうことを申し上げました。そうして日本側としては、抑留者の釈放ということをまず第一に解決をしてもらいたい、こういうことで強く主張をして、これを数回の会合にわたって繰り返したということも申し上げた通りであります。それから抑留者の返還の問題から、引き続いて領土の問題についても一部分の議論をしたということも申し上げたと思います。さようなときに、マリク・ソ連全権が急にモスコーに帰られたわけであります。これは二日でしたか、帰られて、その帰られたことは、すぐ日本側にソ連の全権代表部の方から通告を受けて、それがために会議は少しおくれるが、そのようにしてもらいたいということで、わが全権側においてもこれを了承したわけでございまして、十二、三日ごろに再開ができるという予定を持っておりました。ところがマリク全権の帰任が少しおくれたとみえて、十四日に帰任するから十五日に一つ再開してもらいたいということを、さらに向うから申し入れて参りました。これが現状であって、最近の消息でございます。そこで十五日から今度始まることと思います。
さてそれならば、日ソ交渉は今順調に進んでおるのであるか、または非常にそこにいわば危機がきておるのであるか、マリクが帰ったり、そういうことの今度は観測の問題になります。私はマリク全権が何ゆえにソ連に帰ったかということに対する憶測をいたすことはやめたいと思います。のみならず、私は憶測する何らの材料を持っておりません。もっともマリク全権のモスコーに帰ったということに対しては、評論家はいろいろな憶測をし、また評論をしておることは、これまた御承知の通りであります。これはもう種々雑多と申して差しつかえない。どれが正確な観測であると、こう判断をして御報告を申し上げるまでの、そういうふうな評論でなくして、種々雑多な評論がございます。そこでそれは人の説として省きたいと思います。それから私自身は何らの材料を持っていないということを今申し上げたのであります。すなわち私は表面通りの解釈をいたしております。それはソ連側の用件で帰っておる、そのソ連側の用件が何であるかということは私は知りません。しかし約束通りに帰ってきて、十五日から再開をしようと、こういうわけでありますから、この交渉は決して停頓とか危機がきておるとかいうふうに見ることは間違っておるものである。順調に常軌の通りに進んでおると、こう申し上げることが一番正当であると思います。それだから、今後すらすらと日本の思う通りにいくかということも行き過ぎだと思います。今後従来の通りの方針でわが方は進んでいったらよかろう、こういう観測を申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/31
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032・羽生三七
○羽生三七君 この件はこれ以上お尋ねすることはやめまして、次の問題に移りますが、御承知の安保条約に伴う日米行政協定が、昭和二十七年の四月ですか、発効して以来三年余になるわけですが、この間いろいろな問題があり、先般も補償問題等で私がお尋ねをし、また基地問題等で緊急質問もあり、いろいろ行政協定にからむいろいろな問題がありますが、きょうは主として同法の第二十五条の防衛分担金の問題でお尋ねをしたいと思うのであります。
ただお尋ねする前に私申し上げておきたいことは、私はイデオロギーをもととしてきょうお尋ねしているんじゃないのでありますから、それは御了解を願っておきます。
この防衛分担金は、毎年予算編成のつど問題が起って、これは日本に予算編成の自主性があるかないかというような議論にまで発展していることは、これは御承知の通りであります。また伝え聞くところによると、アメリカにも、一部こういう防衛分担金等、行政協定の中身について、やはり日本側と今後協調を保っていく意味からも、再検討した方がいいんではないかというような議論もあるやに伝え聞いておるわけであります。そこで私のお尋ねしたいことは、非常に具体的な問題になってくるんですが、この行政協定二十五条で、軍費の負担は(b)の規定で一億五千五百万ドルということになっておるわけでありますが、これはどういう基準で一億五千五百万ドルというものがきめられたのか、まずこの点からお尋ねしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/32
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033・下田武三
○政府委員(下田武三君) 事務的なことでございますから、私からお答え申し上げます。
私どもの承知しております限りにおきましては、当初行政協定下において負担をどう区分するかという協議をいたしましたときに、大体の見当として、これで日米の負担が半々になる。もとよりアメリカの軍事費や、ほかの被服とか給与とか、そういうものを度外視しまして、これはアメリカ軍人がどこにおりましてもかかる費用でありますから、これはアメリカが持つことにしまして、そうでなくて、日本に来ているものの負担を折半するという見当で算出いたしましたのがこの一億五千五百ドルということであると、そう聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/33
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034・羽生三七
○羽生三七君 そこでこの点について、この二十五条の中にある「定期的荷検討」というのが行われておるのかどうか。それから「定期的再検討」ということは、具体的にはどういうことなのか。これも大臣でなくてよろしゅうございますから、簡単にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/34
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035・下田武三
○政府委員(下田武三君) 定期的再検討は行われております。またこれは日本の会計年度に合わして再検討が行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/35
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036・羽生三七
○羽生三七君 そうすると、最初一億五千五百万ドルをきめた基準が、おおよそ日米の折半というところにあると考えた場合に、当時の事情からすると、私はアメリカの地上部隊を中心にこの折半という問題がきめられておると思うのです。ところがその後アメリカの駐留軍は、主として地上部隊ですが、非常に減っておるんじゃないか。これは具体的なことはまあ軍機に関係もあるでしょうからよくわかりませんが、ただ、私先日この議員の木村禧八郎君が本会議でやった討論の中で言っておる問題を一つ参考にしたいのであります。その木村君の言葉を引用いたしますと、アメリカ軍は減っております。その証拠には、在日米軍の預金のドル払い込みを見ましても、昭和二十七年度は四億三百万ドル、二十八年度も四億三百万ドル、二十九年度は二億三千五百万ドルになっておりまして、これを見てもアメリカ駐留軍の数が減っておるということは明白でありますと言っておるわけであります。そこでもし米地上部隊を基準にこの防衛分担金というものが日米折半できめられ、その半分が一億五千五百万ドルを意味するものであるならば、私はもし今私が申し上げた木村君の示した数字から推して、防衛分担金に関する問題は再検討を要する時期にきておるのではないか、こう解釈をするのでありますが、これはいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/36
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037・下田武三
○政府委員(下田武三君) 先ほど一億五千五百万ドルという当初の数字をはじき出す際に、折半という目安がありました事実を申し上げたのでございますが、実はその後の再検討の問題として、その年々の米軍の兵数が減れば、従って自動的の折半ではじき出すという、永久の、永久と申しますか、行政協定のその後の適用の基準として折半という原則はちっとも採用されていなかったわけでございます。のみならず、反対にこの行政協定の署名の際に、第二十五条に関する岡崎・ラスクの問答の中で、ラスクは、日本側が経費の減額を要請します手段として「合衆国は、そのような考慮を払おう。」と言っておりますが、そのあとで、「そのような要請をするに当って、共同及び相互的の防衛の努力のため必要とされる合衆国の経費も増加することについて妥当な考慮を払われるよう希望する。」と言いまして、岡崎代表はそれに異議を申しておられないのでありますが、つまり共同及び相互的の防衛の努力のため必要とされる経費というのは非常に広い意味になって参りまして、MSA援助、またMSA援助の前に、日本の自衛隊に供与されておりました膨大な陸上その他の兵器、これを日本に無償供与する、そういうような合衆国の負担もやはり考慮に入るということを当初から向うは言っておるのであります。もちろん在日米軍の数が減るということも、年々の定期的再検討を行います際の重要な項目であるかもしれませんけれども、兵数の減少のみが直ちに機械的に防衛分担金の減少をもたらすという関係にはない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/37
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038・羽生三七
○羽生三七君 実は今のお答えの点がこの次にお尋ねの点に関係があったんですが、たとえば地上部隊が減るかおりに空軍が増強される、そういうことになれば、それが地上部隊減少に伴って、防衛分担金が減るものに位置をかえて、空軍に関する費用というものが計上されてくるのかということもあるわけですが、それはとにかくとして、かりに防衛分担金が定期的再検討と関係して再検討されるということがあったとすれば、どういう条件のときに再検討されるんですか。今のお説で考えると、全然動きのない、永久的に変りのないもののようにもとれるのですが、もし再検討が可能であるとすれば、それはどういう条件のときに可能であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/38
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039・下田武三
○政府委員(下田武三君) その点も岡崎代表が締結の際に明らかにしておるのでありまするが、行政協定の前提となるものは、安保条約でございます。そこで安保条約で、日本が他国の脅威となるような軍隊は持たないけれども、しかしとにかく独立国として自衛力は残存するという方針を明示しております、そこで岡崎代表が、防衛分担金の減少を求める一番大きな理由としてあげておりますのが、「日本国が漸増的に「自国の防衛のため自ら責任を負う」ことあるべきに応じ、そのような防衛のための経費が増加するということにかんがみて」といっております。つまり日本としては自国の防衛をみずから負担する、そのための経費が多くなるということが、アメリカに対して分担金削減を求める一番大きな理由であると思うのであります。それに対してアメリカは、もっともであるからそれに応ずるという態度を示しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/39
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040・羽生三七
○羽生三七君 実は今やはりお答えの点に関連していろいろお尋ねしようと思って、杉原防衛庁長官の御出席をここへ求めておったわけであります。杉原さんから、衆議院の方の関係で、この次にということでありましたので、今私のお尋ねした問題は次回にいたします。
そこで大臣のこの席におられる時間がもうあまりないようでありますので、大臣にお伺いしたいと思うのは、ちょっと唐突なことになるかもしれませんが、外相近く渡米されることもあるよりに新聞等で伝え聞いておるのであります。最近では鳩山総理とか、それに岸さんや河野農相の名前をあげてきておりますけれども、私自身はそういう雑音はとにかくとして、外相が渡米されるとすれば、単なる親善旅行でないと思うんです。何か一定の目的をお持ちになって行くと思うんですが、主要なお考えはどこにあるんですか、それを一つお聞かせ願って、それから次にお尋ねしたいことがあるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/40
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041・重光葵
○国務大臣(重光葵君) まだ私は渡米するということは何もきまっておりませんが、この前のいきさつがありまして、アメリカ側も十分なときを前もつて知らしてくれるということになれば、非常に私の渡米も有意義だと思うし、非常に喜んで迎える、こういうような意思表示をして参りましたけれども、私どもといたしましても、まだ何もきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/41
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042・羽生三七
○羽生三七君 いや、何もおきまりになっておらなければ別にしいてお尋ねいたしませんが、おいでになる場合には、いい機会だから、日本の立場等を積極的に、いわゆる民主党内閣の自主外交を積極的に展開されるのがいいと思いますが、それはとにかくとして、外務省では、今行政協定について何か具体的に検討されておるのでありますか。この前は十八条3の問題について、いわゆる補償問題をお尋ねしたときに、外務大臣は研究したいというお誓えがあったのでありますが、まああの場合は、率直に申し上げて、私の質問の手前、ちょっと研究しましょうくらいに軽い意味で言われたんだと思いますけれども、今申し上げたような諸般の問題が行政協定にあり、二十五条の問題、十八条の3の問題、さらに最近では飛行場拡張等にからむ基地問題、これらは至るところで紛争が起っている。ここで行政協定の廃棄とか何とかいっても始まらぬ話でありますが、現在の立場に立って、やはり不必要な点は直していくという意味で、改訂すべき条項が非常に累積されてきたように思うのでありますが、真剣に日本が自主外交といいますか、新らしい立場に立ってこの問題に取り組まれて、御研究の上、もし外相が渡米されたら、この問題について十分お取り組みになる御意思があるかどうかをお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/42
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043・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 今私がアメリカへ行って、そういう方面のことを話し合いをする、交渉をするというようなことについては、私は、もとより渡米もきまっておらんわけでございますから、何も申し上げることはございません。もし申し上げたとすると、あとからいろいろな故障が起ってきますから申し上げません。これは不利益になります。それからまた私の頭の中にあることを軽はずみに、これは言うべきことじゃないと思います、こういう問題については……。しかし今お話しの点いろいろこれは日米の関係、行政協定にからんでいろいろな問題があるということは、お話しの通りであります。そこでこういう問題については、一体事態はどういうものであるか、またこういう問題について日米関係を円滑にするためにも、どういうふうなことをやったらやれるものか、またはやるべきであるか、こういうことは絶えず検討をいたしております。しかしそれだからといって、それが今交渉の爼上に上せる気持があるかとお尋ねになる場合においては、私はそういうことは一切きまっておらんと、こう申し上げます。しかし検討は絶えずしておると、こう申し上げることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/43
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044・羽生三七
○羽生三七君 いや、私まああまりくどいことを言うつもりはないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/44
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045・重光葵
○国務大臣(重光葵君) そこで私一つ申し上げておきます。そこで、それならば、こういうことを一つ考えたらよかろう、検討すべきだ、また検討じゃなく、こういうことの手段をとったらよかろうというようなことの御意見は、私は喜んで伺いたいと思います。これに関連をして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/45
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046・羽生三七
○羽生三七君 いや、先ほどのことを繰り返すことになるのですが、とにかく毎年予算編成のつどこの防衛分担金が問題になる。そうしてまあ一体外国に予算編成権があるかというような議論も出てくる。そういう問題のほかに、この前申し上げたように、最近一部解決したようでありますが、たとえば東海道の列車事故で、米軍のトラックと日本の汽車が衝突して、ああいう大被害をこうむっても、それは十八条3の規定で支払う必要がないというような議論が出て、そういう問題が三十二件も累積してきておる。最近飛行場の拡張について次々に問題が起って、至るところに紛争が起っている。これをずっと見ておりますと、それはまあ安保条約に基く義務と言ってしまえばそれまででありますが、しかし行政協定の面からかなり具体的に改訂し得る面もあるのじゃないかと思うし、また前自由党内閣時代にも裁判管轄権の問題で、行政協定を改訂した事実もあるのであります。ですから、私はやはり、これはいつもまあ本会議でいろいろ質問が起って問題を残しておるわけでありますが、こういうことを繰り返さないように、政府もこの辺で一つ本気にこの問題を研究されて、そうして具体的に……、親米とか反米ということでなしに、ほんとうにあるべき現在の段階をよく認識して、アメリカに改訂を申し込むべき点は率直に申し込まれる用意を、今日もう始められた方がいいんじゃないか、そういうことが私のきょうお尋ねしたい主題でありましたので、これは十分御検討おきをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/46
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047・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 非常によくわかりました。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/47
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048・羽生三七
○羽生三七君 実は私この問題はお尋ねしていくというと、杉原さんが出ていただかないと、それにほとんど関係する部分が大部分でありますので、私の外務大臣に対するお尋ねはきょうはこの程度にして、もし、時間がもう五分ばかりしかないようですが、ほかに他の委員の御発言があれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/48
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049・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 他に外務大臣に対して御質問ございませんか。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/49
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050・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) それでは次に、日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
まず提案の理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/50
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051・下田武三
○政府委員(下田武三君) ただいま議題となりました日華平和条約附属議定書第二項の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
わが国と中華民国との間の通商及び航海に関する事項は、昭和二十七年八月、日華平和条約が効力を生じまして以来、同条約附属議定書第二項の通商及び航海に関する取りきめによって律せられて参りました。この取りきめは、元来日華両国の間に通商航海条約が締結されるまでの暫定取りきめでありまして、その存続期間である一カ年が満了する際にさらに二年間延長されたのでありますが、その延長期間も来たる八月四日をもちまして効力を失うことになっております。一方、わが国と中華民国との間にはまだ通商航海条約が締結される段階に至っておりませんので、このたびこの取りきめの存続期間の荷延長につきまして中華民国政府と交渉いたしました結果、八月五日から一年間延長し、その後は三カ月間の予告期間をもって廃棄通告がなされない限り、そのつど自動的に一年間ずつ延長されること、及び正式の通商航海条約が締結された時はその効力を失うこととすることにつき意見が一致いたしました。よって七月二日、外務大臣と在本邦中華民国大使との間において、その旨の議定書に署名を了した次第であります。
この議定書を締結いたしますれば、日華両国は、従来と同様、それぞれ相手国の国民、産品及び船舶に対して、関税、課金等に関する最恵国待遇を、また、海運、航海及び輸入貨物について並びに自然人、法人及びその利益について最恵国待遇を与えることになるわけでありまして、このことは両国間の通商貿易関係の増進に資し、相互の利益に合致するゆえんと信じます。
よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/51
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052・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) 本件に関しまする質疑は後にあらためていたすことといたしまして、本日は質疑に入りません。
これで本日の外務委員会を閉じたいと思いますが、基地問題に連関をいたしまして、立川方面を視察をいたしたいから、それぞれ交渉をするようにということのお申し出が社会党の方からございまして、十四日の十時より御希望の方がおいでになるということに取り計らっております。そこで人数がよけいになりますれば、バス等を出さなければなりませんから、御希望の方は委員部の方へお申し出を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/52
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053・佐多忠隆
○佐多忠隆君 立川基地のみならず、いろいろな日米の関係で、いろいろな問題を持っておりますので、東京近郊のそういう関係の個所を逐次視察して、現状をはっきり認識をしておきたいと思いますので、今度は最初に立川地区をして、引き続き来週、その他でもけっこうでありますが、たとえば横須賀とか横浜の実情、その他も逐次視察ができるように取りはからっていただきたいと思います。これを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/53
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054・石黒忠篤
○委員長(石黒忠篤君) できるだけ御希望に沿うようにいたします。
それでは本日の外務委員会はこれをもって散会いたします。
午前十一時四十一分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102213968X01719550712/54
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