1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十九日(金曜日)
午後二時二十三分開会
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委員氏名
建設委員
委員長 石川 榮一君
理事 石井 桂君
理事 赤木 正雄君
理事 近藤 信一君
理事 武藤 常介君
石原幹市郎君
小沢久太郎君
酒井 利雄君
西岡 ハル君
宮本 邦彦君
横川 信夫君
北 勝太郎君
村上 義一君
大和 與一君
河合 義一君
田中 一君
永井純一郎君
深川タマエ君
遠藤 柳作君
運輸委員
委員長 加藤シヅエ君
理事 仁田 竹一君
理事 早川 愼一君
理事 重盛 壽治君
入交 太藏君
岡田 信次君
川村 松助君
黒川 武雄君
一松 政二君
山縣 勝見君
井野 碩哉君
高木 正夫君
三木與吉郎君
内村 清次君
大倉 精一君
小酒井義男君
片岡 文重君
小柳 牧衞君
平林 太一君
三浦 義男君
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出席者は左の通り。
建設委員
委員長 石川 榮一君
理事
石井 桂君
赤木 正雄君
近藤 信一君
武藤 常介君
委員
石原幹市郎君
小沢久太郎君
西岡 ハル君
酒井 利雄君
宮本 邦彦君
横川 信夫君
北 勝太郎君
村上 義一君
田中 一君
永井純一郎君
運輸委員
委員長 加藤シヅエ君
理事
早川 愼一君
委員
岡田 信次君
川村 松助君
一松 政二君
高木 正夫君
三木與吉郎君
小酒井義男君
片岡 文重君
平林 太一君
衆議院議員
小澤佐重喜君
竹谷源太郎君
楯 兼次郎君
松浦周太郎君
三宅 正一君
政府委員
運輸省自動車局
業務部長 岡本 悟君
建設省道路局長 富樫 凱一君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
建設省計画局総
合計画課長 落合 林吉君
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本日の会議に付した案件
○国土開発縦貫自動車道建設法案(衆
議院提出)
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〔建設委員長石川榮一君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/0
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001・石川榮一
○委員長(石川榮一君) ただいまから建設、運輸委員会連合審査会を開会いたします。
慣例によりまして私が委員長の職務を行わせていただきますが、何分の御協力をお願いいたします。
国土開発縦貫自動車道建設法案を議題に供します。
まず議事の進め方についてお諮りをいたしますが、本案の提案理由並びに内容の詳細な説明を衆議院の提出者から聴取をいたしまして、そのあとで、提出者並びに政府へ御質疑を願うようにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/1
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002・石川榮一
○委員長(石川榮一君) それでは、さように取り計らいます。
それでは、提出者から提案理由並びに内容の詳細な御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/2
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003・小澤佐重喜
○衆議院議員(小澤佐重喜君) ただいま議題に供されました国土開発縦貫自動車道建設法案の提案趣旨の説明をいたしたいと思います。以下五つの点にわたり順を追うて申し述べます。
第一に、国土を縦貫する高速幹線自動車道を開設しようとすることであります。
その規模は、北海道より九州に至る延長約三千キロでございまして、わが国土の重要地域を最短距離、最短時間で結ぶととむにへ既開発及び未開発の地域を貫通させます。
これを二十カ年計画により完成することを期しております。国力の進展によりまして、これより短期間に実現いたしますならば幸いであります。
この高速幹線自動車道は、「もっぱら自動車の交通の用に供する道」たる自動車道でございまして、「一般交通に供する道」たる道路とは異なることであります。
普通の道路は、混交交通でありますから、自動車交通は、平均時速二十キロないし四十キロを出ることができません。のみならず、最近の自動車交通は、高速化に加えて大型化、長距離化の方向に発展しておりますので、従来の道路上を走るだけでは、その交通需要が充足されないのであります。どうしても自動車の専用路線が必要となるのであります。自動車道においては、その速度も三倍の時速六十キロないし百二十キロの高速で走ることができるのみならず、一車一キロ当りの経費もはるかに低減されまして、低運賃、長距離輸送が可能となるのであります。
第二に、この高速幹線自動車道を幹線としまして、これに接続する主要な道路または一般自動車道、合計延長約二千五百キロの整備を促進し、その組み合せによりまして、「高速自動車交通網」を、新たに、形成しようとすることであります。
これは、前述のごとき自動車交通の発展に対処するとともにその利便を最高度に利用するため、わが国における陸上交通上、従来の道路網及び鉄道網に加えまして、いわば第三陸上交通路たる高速自動車交通網の確立が急務であると考えるからであります。
これによりまして、近代的陸上交通網の体系を完成し、陸上交通調整をはかり、それぞれの交通手段の適正な整備による効用発揮を期待したいのであります。
第三に、この新たな高速自動車交通網を完成することによりまして、従来加担のいかなる。手段によりましても達成することができなかった国土の普遍的開発、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大をはかろうとすることであります。
これが、本法案を提出いたしました窮極にして最大の目的でございます。
従いまして、高速幹線自動車道の建設、支線と捻るべき主要な道路または一般自動車道の整備と相待ちまして、沿線地帯における資源の開発、耕地牧野草地の改良、鉱工業の立地条件整備、新都市及び新農村の建設等につきまして、総合的な実施を意図しているのでございます。
これによりまして、現在、遅々として進まない国土総合開発の施策の展開をはかりたいものと考えるものであります。
高速自動車交通によりますならば、第一に、従来の三分の一乃至二分の一の時間で、国内各地域間が連絡されるとともに、東京または大阪から国内重要都市にすべて半日ないし一日行程で達することができることとなり、第二に、同一距離について、従来の六〇%以下の輸送コストで済むようになるのでございます。
このことが、国土の普遍的開発、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大の基本条件となるのであります。今、東京——青森間高速幹線自動車道たる東北自動車道が開設されます血らば、東京から現在国道で福島に着く時間すなわち十時間前後で、青森に着いてしまい、同様に、大阪——門司——鹿児島間高速幹線自動車道たる中国及び九州自動車道が開設されますならば、大阪から現在国道で広島に着く時間すなわち十五時間前後で鹿児島に着いてしまうこととなります。
そこで、従来、多かれ少かれ、経済僻遠の地として、産業の立地振興も容易に達せられなかった北海道、東北、中部、裏日本、四国、南九州等の地方も新たな交通利便の経済地域としてよみがえることとなるのでございます。
これらの地方は、幸い、土地、資源、電源等に恵まれているのでありますから、いわば条件がそろったと言えるのであります。
またわが国土は狭小といいながら、なおその二〇%足らずの平野地帯に人口が蝟集しまして、残りの山地高原地帯の土地利用度はきわめて低い状況であります。これら山地高原地帯といえども新たな交通利便がもたらされますならば、広範な範囲にわたって、人の住むに値する領域となるのであります。
高速自動車交通網は道路網、鉄道網が人口をおっていよいよ平野地帯に錯綜しているのに対しまして、これら未開後進の山地高原地帯をも縦横断するのでありますから、国土のこの残された地帯に向って国民生活領域を拡大してゆき、外に失った領土を文字通り、内に求めることとなるのでございます。
以上によりまして、わが国民経済の地域的偏在である人口、産業施設の大都市地区への過集中、地方経済の貧困が逐次解消されてゆき、国土の普遍的開発が達成され、ここに、国内各地域がそれぞれ繁栄する真に民主的国家が育成されるのであります。
かかる事態を、何か夢物語りと感ぜられますならば、明治時代における道路網、大正時代における鉄道網の整備が、わが国の政治、経済、社会、文化の上に及ぼした影響を見のがすものであります。
今日、昭和の後半におきまして、高速自動車交通網の完成を期しまするゆえんは、この歴史的な事態をさらに発展させたいからにほかならないのであります。
第四に、以上の施策によりまして、わが国民経済の拡大発展のための最も重要な基盤が造成されることとなるのでありますが、これらの施策に要しまする経費は、今日及び将来の国民の努力によりまして、国民経済規模の中において十分にまかない得るものであることを確信いたしまして提案いたしたことでございます。
すなわち、高速幹線自動車道の建設に要しまする経費は、年間約二百億円ないし三百億円でございます。
この額はたとえば政府の研究いたしました「昭和四十年迄の総合開発の構想」中で必要と認められている公共投融資の年平均額の六%程度であり、また、現在同様に産業発展の基盤造成として重点的な財政投融資している電源開発事業の年経費を下回っている額であります。
その他の総合開発事業に要しまする経費は、総合的重点的財政投融資によってまかない得べきものと考えます。
第五に、わが国民経済の拡大発展への過程におきまして、国民の完全雇用を期するためには、相当大規模な就労対策事業の継続的実施が必要と考えるのでありますが、以上の事業は、その最も有効な事業であることであります。
以上申し述べましたかかる画期的な施策の実施に当りましては、政府は、関係者の知能を集め、また関係部局の技術その他の粋を集め、緊密な協力によって、後世に悔いない成果をあげることを期待しておるのであります。
以上、本法案の提案趣旨の説明をいたしましたが、何とぞ慎重審議の上、すみやかに決定せられんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/3
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004・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) ただいま小澤衆議院議員から提案趣旨の説明がございましたが、私がつけ加えまして、建設の要綱について簡単に御説明申し上げたいと思います。
第一に、この自動車道の建設の目的は、国土の普遍的開発をはかり、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大を期しますとともに、産業発展の不可欠の基盤である近代高速交通体系を新たに形成させるため、国土を縦貫する高速幹線自動車道を開設し、及びこれと関連して新都市及び新農村の建設等を促進することを目的とするものでございます。
第二に、計画の概要を申し上げますると、まず、北海道から九州に至る約三千キロ延長の高速幹線自動車道をもって国土を縦貫させ、重要経済地域を最短距離、最短時間で結ぶとともに、既開発及び未開発の地帯を貫通させようとするものであります。次に、国土開発縦貫自動車道とこれを称しまして、国がまず建設するということを原則といたします。総事業費は約六千五百億円、ただし、一部について一般自動車道事業として民間に免許することもできるという建前になっておるのでございます。さらに、国土開発縦貫自動車道を幹線路線といたしまして、表裏の日本に肋骨状に連絡する、主要道路または一般自動車道合計延長約二千五百キロを整備いたしまして、幹線とあわせて高速自動車交通網を作り上げる。この所要経費約一千二百億円でございます。次に、以上の高速自動車交通網配置図につきましては、お手元に差し上げました図面の通りでありまするから、ごらんをお願いしたいのでございます。これらの自動車道の建設と並行いたしまして、沿線地帯の資源開発、耕地牧野草地の改良、鉱工業立地条件の整備、新都市及び新農村建設等の開発事業の計画的実施を促進するものでございます。最後に、農耕地の潰廃をできるだけ避けまして実施をいたしまするが、移転等のやむなき住民に対しましては、定住地設定等の新しいやり方の補償事業を同時に行わんとするものでございます。
さて第三に、計画実施による経済社会的効果を申し上げまするに、第一に、わが国土の縦に長く、及び背稜山脈の存在が、近代高速交通を妨げていたのに対しまして、時間、距離を従来の三分の一に短縮し、重要都市に東京からすべて一日以内の行程で到着できることと相なるのでございます。第二に、近代高速交通路として、輸送コストの引き下げ及び物資交流の迅速化によりまして、産業発展の基盤となることであります。第三に、交通が利便になりますることによって、電源及び資源地帯に適地産業を立地させることができ、鉱工業の立地条件の適正化による企業合理化の促進に寄与することができると思うのでございます。第四に、沿線地帯における開拓適地、牧野草地の開発により、酪農牧畜中心の農業生産の画期的振興を期することができ、総合的な食糧増産をはかり、国際収支の圧迫を緩和するとともに、増加する農村二三男をここに吸収せんとするものであります。第五に、交通の利便によって大都市圏に衛星都市を、また地方に産業都市を建設し、人口の大都市への過度の集中を防止することができるのであります。第六に、国際観光ルートの完成による外貨収入の増加を期待することができることであります。なお最後に、この事業はきわめて有効な就労対策事業となると存ずるのであります。
第四番目に、実施の方法について申し上げますると、国土開発縦貫自動車道建設と、これに連絡する道路または一般自動車道の整備、沿線の開発事業等について、国が総合計画を樹立いたしまして、これに基く効率的な実施をはかるのであります。次に、国土開発縦貫自動車道については、昭和三十一年度から二十ヵ年計画によるものとし、年間約二百億ないし三百億の財政投融資をはかってやりたい、このように提案者としては考えておる次第でございます。次に、国土開発縦貫自動車道建設法の制定によりまして、予定線及び建設線の決定、継続予算制の実施、資金融通等をはかっていかなければなりません。次に、日本国有自動車道公社というようなものを設立いたしまして、国土開発縦貫自動車道にかかわる国営自動車道事業、同じく自動車運送事業及び関連開発事業の能率的経営に当らしめることがよいのではないかと考えておるのでございます。次に、第一期事業として東京——大阪間いわゆる中央自動車道四百五十キロを昭和三十年度に調査をいたしまして、昭和三十一年度から三十五年度、すなわち五カ年の事業計画によって実施をし、その事業費総額約一千三百五十億円を予定いたしておる次第でございます。次に、地方青年を大規模に組織をいたしまして、技術的訓練を与えつつ近代的土木施工に当らしめ、能率的なりっぱな工事を行わしめますとともに、有為な地方青年の就労自立対策に資せんとするものであります。
第五番目は、財源の問題でございますが、電源開発に引き続くところの産業発展のための重点事業として、国家としてもこの事業に財政融投資をすることが妥当であると考えるのでございます。次に、国土開発従貫自動車道事業債券の発行によりまして、民間その他の資本の導入をしてこの財源に充てんとするものでございます。また、この一同速自動車道ができますると、自動車一台について一キロ当り二十円前後は輸送コストが安くなりますので、一キロ当り五円ないし十円程度の有料制にすることもあえて至難ではないのでございまして、これによりまして十五年くらいで十分に資金の償還ができるような財政計画も立つ次第でございます。また、国家といたしましては、十万にも上る完全失業者もある今日、就労対策事業として莫大の現在国費を投じておるのでございまするが、これらの就労対策事業としての財政融投資をこの国土縦貫自動車道に投資ができる次第でございます。
このように、日本の現在に課せられた最大の課題は、いかにして日本の自立経済を達成するかということと年々増大する莫大なる労働人口にいかにして就職の機会を与えるかということが、われわれの非常に大きな問題でございまするが、これらの問題解決にはこの事業こそ最も適切であり、また日本の将来を明るくする仕事ではないかと存ずる次第でございまして、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決せられるようにお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/4
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005・石川榮一
○委員長(石川榮一君) それでは、これから御質疑を願いたいと存じますが、ただいま政府に出席を要請しておりますが、今出席しておりますのは建設省の富樫道路局長、運輸省自動車局の岡本業務部長の両氏が出席しており、主管大臣の竹山建設大臣、三木運輸大臣も間もなく出席する手配になっております。それから提案者の方からは、今御説明願いました小澤、竹谷両衆議院議員のほか、松浦、楯、三宅、この三君が御出席になっております。
そこで、建設委員会における今までの経過を一応申し上げますが、この法案に対しましては、本委員会は七月八一日に予備審査として付託せられました。七月二十一日に、本日と同様に、提案者から提案理由の説明並びに要綱の詳細説明等を聴取いたしました。二
十六日には学界その他の各界の権威のある方々を七名参考人として招致いたしまして、それらの意見を聴取いたしました。で、昨日衆議院は本案を可決いたしまして、本委員会に本付託として参ったわけであります。以上が今までの経過であります。
御質疑のおありの方は逐次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/5
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006・早川愼一
○早川愼一君 提案者にお伺いたしますが、大体ただいままで、提案理由並びに要綱等について、大へんけっこうなことばかりお伺いしたのであります。巷間伝えるところによれば、これは非常にけっこうな案であるが、絵にかいたもちのようなもので、なかなか、実施ということの方に重点があるように思われる。しかるにかかわらず実施の関係は、ただいま御説明がありましたが法案を見ますというと、実は最も重大な問題であります日本国有自動車道公社というものについては、何ら触れるところがない。どういうものができるのかも、それもわからない。でありますから、われわれの第一に質問申し上げたいことは、なぜこの基本法を先にして、その他の法案をそろえてお出しにならなかったか。基本法だけが差し迫って必要な理由をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/6
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007・三宅正一
○衆議院議員(三宅正一君) 初め起案者側におきましても、関連の法律、公社法その他を用意いたしたのであります。しかし、世話人等におきまして、いろいろ相談をいたしまして、何にいたしましてもこれは、政治家の勘から考えても、構想としてこれは必要なことはわかりきっておる。ただ問題は、それこそ農林の関係にももちろん関係がありますし、非常に各省に大きな関係があって、そういう意味においては内閣に審議会を作りまして、それで審議会でさらに議を練っていただいて、できるならば公社の形等における建設はどういう形態でやるかというやうなことは国の財政事情ともにらみ合せまして、政府提案等をさせることが適当ではないかと考えまして、まずこの基本法を通し、そうして審議会を作りまして、それでさらに関係官庁との連絡等も十分に内閣の責任においてできまして、それから出すように持っていった方が適切ではないか、こういう感覚をもちまして、公社法その他はあとにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/7
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008・早川愼一
○早川愼一君 そういたしますとこの法案は、審議会を作ってそれからまあ実施計画ができる、こういうふうに解釈して、とりあえずは審議会を作る案と、こういうふうに了解して差しつかえないわけですか。
なお重ねてお伺いいたしますが、しからば、本法案に別表が定められてあります。こういうふうに、調査の結果、確実に発着地点もしくは経過地点というものをはっきりされた理由をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/8
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009・三宅正一
○衆議院議員(三宅正一君) 審議会の関係は今申し上げた通りであります。それでしかるに別表において通過地点その他を大体予定しているのはどういう意味かという御質問のようでありますが、私どもとしては、基本的に国土を縦貫いたしまして、表日本、裏日本を最短距離で結び、非常に細長い日本の国土をまるい国土として円形化すという、交通政策の上からやるという見地からいたしましては、これは大局におきまして、主要都市及び裏日本、表日本、鹿児島——北海道に至る縦貫線を最短距離で結ぶという観点におきまして、ぺ一パー・ロケーションとそれから日本の中央道の関係は、これは相当に調査も進んでおる関係もございますので、そういう路線を設定することが、将来へんに政治的な意味をもちまして、こっちへ行け、あっちへ行けというやうな、あめのように引き伸ばされてしまっては幹線道路としては意義をなさぬという意味におきまして、これを出しておるという状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/9
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010・早川愼一
○早川愼一君 なお、これは政府にあるいはお伺いしなければなりませんが、いわゆる政府の道路の建設事業につきまして今までの五カ年計画がありますが、その他日本全体の総合計画の上にお言ましても、政府は経済審議庁でいろいろ、今後の五カ年の日本の根本経済の建前をいろいろと計画されており、それとの関連はいかにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/10
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011・三宅正一
○衆議院議員(三宅正一君) われわれの感覚からゆきますと、提案の説明趣意書にも書いてございますように、明治におきまして道路網ができ、大正におきまして鉄道網ができ、そうして今や自動車専用道路を第三道路として国としても考えなければならぬ段階にきている。今後交通で、百キロ飛べる所を二十キロばかりで飛ばしておったのでは、ことに幹線をつなぐのに問題にならない。この段階になってきて、国といたしますれば、在来の道路計画、在来の鉄道建設計画、とれと第三の自動車幹線道路計画というものを大きく調整する必要がある段階に私はなっていると思うのであります。そういう意味におきまして、審議会等においてそういう大局的な見地に立った調整はもとより必要であるけれども、ともかく国土の二割しか開発しておらぬので、平坦地から奥地に向って開発しながら、表日本、裏日本をつなぐ、こういう基本的構想というものはどうしても必要であろうという観点に立ちまして、そういう見地でこの案を出しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/11
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012・赤木正雄
○赤木正雄君 いずれ建設委員会としてはまた別に審議する機会もあろうかと思いますけれども、今もう一度、早川さんの質問に関連してお尋ねしたい。予定路線をすでに別表にあげておられます。この点は私非常に不可能なんです。なるほど、方々に散在してはいけないから、北から南に一つの線を設ける、その趣旨はわかりますが、予定路線をあげておられる以上には、各地に対しても相当な調査ができない、こういうことはないはずです。どういう点までこの予定路線をおあげなさるについて調査したのですか。全然調査なしに、これをただいいかげんの考えでおあげになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/12
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013・三宅正一
○衆議院議員(三宅正一君) 中央道のことにつきましては、私どもも実は見に行って知っております。そうして建設省におきましても、技術的にどうかという点で、小澤さんのときに審議会等を作られた例もあります。御承知の通りだと思いますが、その他の点につきましてはペーパー・ロケーションで、これは私どもの承知している範囲におきましては、鉄道等の予定線もそういうことでやりまして、さらに詳しく調べるということを拝承いたしておるのでありますが、要するに、私どもといたしましては、一つは日本の未開発の資源地帯をずっと通す、もう一つは重要都市の間を最短距離で結ぶ。その線に立って、もとより北海道だとか東北道等につきましてはペーパー・ロケーションでありますけれども、これが適当であろう、そういう意味におきまして、どこどこ付近ということで、さらに実施計画等においては技術的にある程度変るところはあるだろうけれども、大局においては大体そういうことでできるのじゃないかという観点に立ってやっておるわけであります。なお、ほかの諸君からも一つ、専門でありませんので不徹底かもしれませんから、答弁をしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/13
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014・赤木正雄
○赤木正雄君 それならば、三宅さんも現地を回ったそうですが、静岡県の安倍郡井川村付近から飯田付近に参る線であります。この経過地点でありますが、これは申すまでもなく南アルプスであります。私は南アルプスをテントを持って一週間かかって縦断したことがあります。また横断したこともあります。建設省当局もここにおいでになるらしいのでありますが、一体建設省当局は果してこういう所はできるようなお考えでありますか、あるいは踏査なさったのですか、それから私、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/14
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015・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) ただいまお尋ねの路線につきましは、昨年建設省に中央道調査審議会が設けられまして、小澤前建設大臣が主催されまして調査審議を進めたわけでございます。そこで、ただいまお話しの山梨から南アルプスを越えて飯田に出ます線につきましても調査をいたしたわけでございますが、調査の資料にたりましたものは主として五万分の一の地形図でございます。一部は一万分の一の地形図を利用いたしましたが、一万分の一の地形図が全線についてなかったのでございますから、五万分の一の地形図を利用いたしまして、それによって一応の路線を検討いたしたわけでございます。そこでこれはぺ−パー・ロケーションの範囲を出ねいものであり、また実際に現地を建設省においては踏査したことのないものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/15
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016・赤木正雄
○赤木正雄君 今の建設当局の御答弁で、大体図面の上からお考えになったもので、実地踏査もされていないということがはっきりしました。そういたしますと、図面の上からお考えになりましても、まあ御承知ないかもしれませんが、果してあの赤石山脈をトンネルで抜けるというふうなことが——大体あそこは相当高い土地でもあるし、あるいは道路自体もきわめて少いと思います。これは私が実際よく現場に行って縦横に回りましたから、私の考えが必ずしも当っているとも思いませんが、そういう体験を持っておりますから言うのであります。それに対して建設当局は率直にどういうふうなお考えをお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/16
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017・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 中央道調査審議会におきまして審議されました結果は、これはぺ−パー・ロケーションではありますが、技術的には不可能でないという結論が出たわけでございます。トンネルの長いものもできます。また換気の必要も起りますが、これは工費の問題でございまして、技術的には不可能ではないという結論が出たのでございます。
御参考のために、このとき検討されました工費を申し上げますが、私ども建設省側でこの五万分の一の図面から検討いたしました結果は、二千億から二千百億かかるということだったわけでございますが、一方、もう一つの調査からいたしますと、約一千四百億でできるということになっておりまして、この両者の間に相当の関連があるわけでございます。この開きは、用いた資料がはなはだ精度の低いものでありますので、こういう結果が出たことと思われます。そこで、全体について一万分の一の地形図を作るということで調査審議会は休会になりまして、現在に至っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/17
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018・赤木正雄
○赤木正雄君 今のお話では、実際施行ができるというふうなお話でありますから、私は詳細にその状況を御説明願いたい。ただし、ここに資料をお持ちでないと思いますから、この次の機会でもけっこうですから、その審議会の結果、どういう方法でこれができるか、詳細に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/18
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019・石川榮一
○委員長(石川榮一君) その資料が出せますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/19
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020・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 調査いたしました資料はございますが、詳細には、ただいま申し上げましたようなことで、用いました資料が限られておりますので、詳細の御注文に応じられますかどうか。調査いたしたものはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/20
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021・石川榮一
○委員長(石川榮一君) ですから、今まで中央審議会でおやりになりましたその資料に基いての御説明をしてもらえばいいわけです。それでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/21
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022・赤木正雄
○赤木正雄君 詳細、その審議会でどういうふうな検討をされたか、あるいは是々非々もあったと思うから、そのすべてのことについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/22
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023・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 調査審議会において問題になりました点は、資料として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/23
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024・小沢久太郎
○小沢久太郎君 先ほどから別表が問題になっているようでございますが、私もとの別表につきまして御質問いたしたいと思います。この別表は、日本の北海道から九州の果てまで行っております。日本の国土に比すると、相当こまかい経過地点をとっております。私はこの縦貫自動車道路が今後の日本において必要であるということは、これは認めることにおいてやぶさかではございません。しかし、なぜこういう地点をとったのか。これはぺ−パー・プランでとったということはわれわれは了承できません。これが一番いいのだ、つまり縦貫道路は国土総合開発の一番先駆者であり、これが国土総合開発的に見て一番いいのだ、これをすれば新しい農村ができる、あるいは新しい都市ができる、そうしてまたこういう経済効果があるということがわからなければ、多額の金をこれにつぎ込むことはできません。そういう意味におきまして、どういう意味でこういうとこをおとりになったのか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/24
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025・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) 中央道に関しましては、さっき三宅議員から申し上げました通り、赤石山系の地質あるいは断層状況、そういう点までについてボーリングをやったりなんかしたのではございませんから、結局ペーパー・ロケーションといえばそうでございますけれども、早川の上流から赤石山系九キロのトンネルを出て大井川の上流へ出て、それからまた赤石山系を七キロメートルで貫いて、飯田地方の遠山川の上流のうまくトンネルの抜けられる地帯へ出て、結局最高九百四十メートルのところで赤石山系を貫くという方法で、われわれ昨年の夏実地にこのトンネルの入口になるべき所まで調査をしておるわけでございます。むろん、われわれも技術者でございませんので、その他詳細につきましては断言できませんが、まず中央道審議会において中央道の方は技術的にも可能であるというような結論が得られておるのでございまして、中央道は相当の調査がございます。しかしながら東北、北海道、あるいは九州、中国という方面に至りますると、御承知の通り、まだぺ−パー・ロケーションでございまして、実地上踏査いたしまして線を引いたわけではございませんから、必ずしもこの線をあくまで固執しなければならぬということには参らぬのでございまするが、しかしながらわれわれ議員としての提案者の立場において、このような調査を癒すにはやはり相当の金の要することであり、日数も要することでございますが、しかしながら、現在の日本の全体的な国土の状況、人口あるいは産業経済の状態等がら判断をいたしまして、別表に掲ぐるような路線程度はきめておきまして、そうしてその詳細や具体的な計画につきましては、すなわち基本計画につきましてはその専門家も集めた自動車道建設審議会において十分調査をして、基本計画を定めるという法律の建前になっておる。
しからば、すべての路線をその建設審議会の立案にまかしてもよいのではないかという議論も起ってくるわけでございまするが、しかしながら、何といっても、この法律の骨子となるものは国土を縦貫する自動車道でございまして、それが大体どこを通るかという目安がなければ法律の内容がからっぽになるのでございます。中央道は確信がありますが、その他の点についてはいろいろ御議論も起るかと思いますが、しかし、大体から見まして、引いた路線は大過はないと信じております。ことにこの路線のきめ方は一県に一ヵ所くらいを指定したにとどまるのでございまして、しかも何々市付近あるいは何々町付近というふうに、五里離れても三里離れても付近でございまして、大体通過地点の大まかな指示をしておる。しかもそれらは、同時に、その地方の資源の開発あるいは都市と都市との連絡上妥当であり、しかも表日本と裏日本を肋骨支線道路でもって連絡するのでございますから、それらの点も勘案いたしまして路線の決定をいたした次第でございまして、やはりこの程度の路線の決定をいたしまして、その詳細具体案は建設審議会において慎重な調査、測量によって企画することが妥当である。しかしながら、全然白紙委任では不適当でございまして、大体の大まかな点を、間違いのないところを指示するという意味合いにおいて、別表の路線を原案して提出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/25
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026・小沢久太郎
○小沢久太郎君 ただいま中央道につきまして、奥地まで入られましてこれを踏査されたということにつきましては、私敬意を表する次第でございます。それからただいま技術的に可能であるということを仰せられましたが、これは技術的に可能なことは私は承知しております。問題は、これが経済的に可能であるかないかということでございます。技術的に、幾らでも金をかければ、現在において不可能なことは私はそうはないと思います。問題は、この国の経費が多端なときに、これを経済的に少い金をどう入れるというところに私は問題があると思う。仄聞するところによりますと、東京から神戸間におきましても、中央道路の案もある、あるいは東海道の案もあると、こういう点についてもよく調べて、一番それがいいという所に金をかけなければならぬ。金が少いときに、あっちもかけるこっちもかけるということは、日本のような貧乏国としてやることではない。日本で一番欠けておることは調査をしないことです。調査をしないで仕事をするから、必ず段取りが狂う。そのために幾ら損をしておるかわからぬ。ですから、私は調査は幾らしても結局得だと思うのであります。建設省でとの中央道につきましても経済的に調べられたこともあるでありましようし、あるいは東海道について経済的に調べられたととがあるのでありましようし、これがどういうふうな結論に達せられたか、あるいはどういうふうな調査をせられたか、説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/26
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027・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) この中央道の工費が莫大になりまして、技術的には可能であっても経済的に引き合わないということになりましては、おっしゃる通り、まことに困るわけでございまして、この点につきましては、これは実地の工事費の調査をしなければ確たることは申し上げかねるのでございますが、東海道と中央道につきまして申し上げますと、東海道は、私の承っておるところでは、米国の技術者も使って、千四百八十億という費用が去年あたり工費として計算されておるようでございます。中央道も大体同じくらいでで承るとわれわれは考えております。で、距離にいたしまして、中央道は約五十キロ短いのでございます。しこうしてトンネルがむろん長いので、五十三キロ、東海道は三十二キロで、約二十キロ東海道よりも中央道は隧道が長く、しかもそれが長大トンネルになるのではございまするが、しかしながら、やはり五キロ前後の長大トンネルを東海道においても二、三は作らなければならない。ただ、中央道は数が多いつそうして、全体として二十キロ長いにすぎない。ところが、東海道は橋梁が非常に長くなります。との橋梁は大体一キロ十二億円くらいかかる。隧道は、ヴェンチレーション等の費用を加えなければ、三、四億くらいでできるというようなことを考えますと、工費においては隧道が橋梁費よりも三分の一くらいでできるということになりますと、五十キロの距離が短いこと、そうして隧道は長いけれども橋梁は短いということによって、中央道は経費も少くなるという点から勘案しまして、大体東海道と同じくらいの費用でできるとわれわれは信じておる次第でございます。問題は、名古屋以西は同じであり、結局、名古屋−東京間が問題になるのでございますが、ここにおいて五十キロ東海道の方が長い。やはり箱根の山も越さなければならぬ。東海道は平坦のように見えますけれども、相当たくさんのトンネルも掘らなければならないのでございまして、その五十キロの区間ということを考えまするならば、大体東海道よりも工事が難儀のためにかかる費用は、その距離が短いということで大体カバーできると考えておる次第でございます。二千億あるいは三千億というふうに、東海道に比べまして著しく工費が高くかかるとは考えておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/27
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028・小沢久太郎
○小沢久太郎君 このコストが一番問題になるといることは、これは当然でございますが、そのほかに、つまり経済調査が私は必要だと思います。ただ道路を作るだけなら、これは問題はありません。道路は結局方便でありますから、いかなる経済目的のために作るかということが必要でありまして、これについて建設省では調査をしているはずでございます。二、三年前から調査をしているはずでございますが、それがどの程度までになっているか、それを御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/28
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029・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) お尋ねのありました東海道線と言われております、現在の東海道に沿います高速自動車道路の調査は、建設省で二十七年ごろから始めておりまして、現在までに六千万円ほど使っております。これで大体全線の実測を終りまして、なお本年において比較線の調査並びに地質の調査を実施いたしたい考えでございます。この東海道線は主として、現在の東海道線の交通の輻湊を緩和しようというところから計画されたものでございますが、全体にわたりまして経済効果の点も調査いたしております。結論的に申しますと、この東海道線は有料道路でございますが、約千五百億くらいの資金をかけまして、二十年くらいで償却できるであろうという計画になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/29
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030・小沢久太郎
○小沢久太郎君 私がただいま、東海道と山の中の道路を申し上げましたのは、私が結論として東海道がよろしいということを申し上げておるのではありません。ただ、そういう結論のついていないのに経過地点を掲げるのはどうかという問題でございまして、これは東海道だけではございません。ほかの地点においてももっともっとよく調査して、ほんとうにいい地点をあげていただきたいと思うから、申し上げるのでございます。たとえばこの三条に、「国においで建設すべき自動車道の予定の予定路線は、別表に掲げる」というのでございますが、結局との予定路線だけを調査してやるのでございますか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/30
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031・楯兼次郎
○衆議院議員(楯兼次郎君) 私の方の考え方は、幹線としては別表に載っておる通りであります。そこへ、先ほど提案者からも御説明があったと思いますが、肋骨状の支線を二千五百キロ出すということになっております。それは別表の中に載っておりません。ただ、幹線のみは別表において規定をしておかなければ、こういうところで私そういうことを言っていいか悪いか存じませんが、実際白紙では、法案が通りましても、なかなかきまらないのではないか。しまいには、極端なことを申し上げますと、二キロで到達するところが、いろいろな関係で十キロもかかってしまう、うねうねになってしまう、そういうようなことを提案者の方ではおそれておるのでありまして、これはやはり予定路線というものを決定をしておかなければ、目的を達することが非常に時日がかかり、困難ではないかという考え方であります。それからいま一つは、先ほど来御説明がありましたが、なおつけ加えて申し上げますると、やはり縦貫道路でありまするから、最短距離を最短の時間で通るというととが第一でありまするが、何といいましても、各都市を結ぶということが次に考えられなければならないことだと思います。その都市を結びながら、なおかつ資源開発を行わなければならないというような点を加味して考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/31
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032・小沢久太郎
○小沢久太郎君 この道路の路線の選び方とかそれから結び方、それは私これまでずっとやっておりましたから、あなたに御説明を受けないでも大体知っておりますが、路線を選ぶのにこういうふうにしておかなければ困るのだというのですが、私はこれを十分に調査をされてあるならばそれはけっこうだと思います。しかし、先ほど承われば、何も調査していない、ペーパープランで、大体ここら辺だろうということのようでございます。そういう線で一応きめてしまう。そうしてその線に従って一キロか二キロの幅を調査してその路線をきめてしまうというと、これが私はほんとうに将来にガンを残すと思うので、われわれは今貧乏してほんとうに少い金を有効に利用しなければならないということになれば、調査を十分にして、ほんとうにいい路線を選ぶということを、どうしてもそういうふうに国がしなければならぬと思うが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/32
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033・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) お答えいたします。先ほどから御質問の要旨は、経済的効果がどうかという点と、今から路線をきめないで調査した上できめたらどうかという二点だと思います。
まだ、経済効果の問題について、わが国のとるべき方向はいろいろありますが、現在国土総合開発計画による十九地域が指定されておりまして、それの開発計画がいろいろ進んでおります。また私どもの住む北海道にいたしましても、第二期拓植計画以来いろいろな計画を立てましたが、これが遅々として進んでおりません。私どもは、人口がふえてゆく。人口、食糧問題を解決するためには、やはり未開発国土の総合開発計画を完成する以外にわれわれの国としてはとることはできないと思うのです。この点について、アメリカのTVAなんかの問題も、一つの河川を処理したことによってあれだけの経済効果をあげております。わが国では北上川もありあるいは利根川もある、この一つの河川だけでああいう効果をあげるととはできないと思うのです。やはり国土を総合的に、未利用、未開発の所を縦貫する道路を作ることによって、これが総合開発が自然にできてゆく。今できておるところの十九地域の総合開発計画、手のついておるところも、これも実は極端にいえばペーパー・プランなんです。けれども、運輸交通の完成のない限り、ああいう計画を立てましても、その効果はないと思うのです。それで私どもは未利用、未開発の資源の総合開発計画をするのについては、どうしても今計画しておりますような縦貫道路の背稜山脈を貫くという一つの画期的な仕事によって、これが行われてゆくものと確信するのです。しかし、これが仰せになりますように最小の犠牲によって最大の効果を現わすことは当然でありますから、これを調査を完了してから考えるといいましても、御指摘になりましたように、国は貧乏であり、またいろいろな事業に手をつけねければなりませんから、法律案二を何にも作らないでこのわれわれの今の目的を達成する審議を進めようとしても、なかなかできません。そこでこの法案を作りまして、われわれがこの地方を通したい、この背稜山脈を縦貫さしたい、こういう気持を現わした土に、それを重点にして一つ調査をしてもらう、審議会において調査をしてもらうそれが御指摘になりましたような最も経済的な路線によって調査をしてもらう、それで初めて国費を投ずるという考え方を持っておるのでありまして、ただここに示しておりますから、これをそのまま、審議も調査も不十分なままにやる考えは持っておりません。御説明になりましたようにこの法律案が通りましたならば、審議機関を早急に作りまして、第一期工事計画のところから綿密な調査に基いて、最も資金の効果の上る方向によって実施していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/33
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034・小沢久太郎
○小沢久太郎君 この国土総合開発、それから最近はこの開発のための道路の先駆性ということに対しまして、今松浦先生も仰せられたことですが、それは私も全く同感であります。これまでは日本の総合開発は大体水系によって開発してきました。しかし、それがまだまだ十分に開発できないというのは私も遺憾に思っておるのでありますが、最近になりましては結局、全体の国土を開発するためには、まず道路が中心になってきた。水系から道路に移るべきだということは、全くお説の通りであります。私はこの案に対して、趣旨に対しましては全く賛成でございます。ただ問題は、少い金でほんとうによくするためには、どうしたらいいかということを私は申し上げておるのであります。それがためには、一応先ほど申し上げましたようなペーパー・プランのような路線をきめずに、きめてしまえばそれに拘泥されるのです。ですから、私はまず心の中にきめるのはいいけれども、やはり調査するときにはいろいろ比較線をきめるものです。一本ぽつんと、何にもやらずきめてしまって、それで調査しても、いい調査はできません。比較線をつくって、比較線のうち工費の安い、地質のいい所、工費は少しくらいかかるけれども、経済的に非常にいいという、あらゆることを調査しなければ、ほんとうにきまるものではないです。そういうような方途のとれるようにしたらどうかということを申し上げておるのであります。
そういう意味において私は伺いたいのですが、この別表をきめてしまいますと、その線に従って調査し、測量し、設計する、それによって仕事をしてもらうということになるのですか、それとも、比較線でもとりまして、比較線によっていろいろ検討して、その比較線によって一番いいやつをやるというふうにされるのですか、どういうふうにされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/34
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035・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) 場所によっては比較線をやりまして検討する場合もありますが、私の経験を申し上げますと、鉄道を敷く場合に、私の地方に一つの例があります。それはもちろん鉄道の審議会によって審議検討されて、測量した結果敷くのでありますが、五里も六里も湾曲して、なべ弦のように回して、最短路離を走らず、今非常に困っておる線がある。たとえていうなら、東京から山梨を通って長野を横断して京都に出るという計画を持っておるにもかかわらず、それを示しておかなければ、東海道の海岸線を通って行ってもいいのではないかということになるのでは、われわれは国土総合開発に対する今御指摘になりましたような開発計画に沿わないものでございますから、これはやはりペーパー・プランではありますが、努めて背稜山脈を縦貫するという考え方を別表の上に現わしたのであって、あの通りに一つのその場所を全然はずしてはならないというあまり強く規定したものではありません。御指摘になりましたように、たとえていうならば、富士山の右を通る方がいいか、左を通る方がいいかというような場合に、それは比較線において、工費が安くて経済の利用価値の多い方面を通るのでありますが、われわれの指定しておる背稜山脈をはずして、とんでもない方面に持って行かれてしまったんでは、この総合開発計画には結びつきがつきませんから、一応別表としてこれを指定したのでありまして、それも先ほどどなたかの御答弁がありましたが、その「付近」という文字を現わしておりますことは、同じ別表でも相当融通性がある。その中で最短距離であって、経済的価値が上って、また資金の効率の上るという方向に変更することはわれわれはいいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/35
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036・小沢久太郎
○小沢久太郎君 たとえば、こういうふうにしておかなければ、そこからここに行くのに、ぐるりと回っていくというようなことがあって、非常に弊害があるから、こういうふうに回されたというお話しでございましたが、これは審議会があり、そこでいろいろ学識経験者あるいは衆参両院議員がいてそれを審議する。そういう人が審議して、どうして正しいことが行われないのでしょうか、それを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/36
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037・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) 審議会があるから、もちろんそれは差しつかえないと思いますけれども、われわれのやろうと思う方向は、つまり精神はここにあるということを示しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/37
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038・赤木正雄
○赤木正雄君 私は精神はよくわかります。しかし、その精神だけではいけません。やはり物的の裏づけがなければいけません。それがためには十分調査する、そういうふうにしたいというのが私で、この法律の精神に対しましては私は満腔の敬意を表するものであります。こういうふうにして、国がほんとうに開発をされるということを望むのです。「私はこの点につきましては、経済企画庁長官あるいは大蔵大臣に意見を聞きたいと思うのですが、いつでもよろしゅうございますから、大臣の出席を要求します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/38
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039・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/39
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040・赤木正雄
○赤木正雄君 関連して……。さっきの松浦先生の御答弁がありましたが、この国土開発縦貫自動車道建設法の目的にある通り、「産業発展の不可欠の基盤たる高速自動車交通網」云々と、「国土を縦貫する高速幹線自動車道」また「新都市及び新農村の建設」こういう目的をはっきり示しておくならば、経過地点をあげない方がかえって合理的でもあり、また目的を達する路線が決定されると思う。そういう観点から、あるいは今鉄道の例でお話しがありましたが、との目的に合うようにこの道を作る。それは審議会で決定すればいいのでありますから、目的がはっきりするならば、むろん、そう特に山中を通るものを海岸に行こうということもないように思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/40
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041・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) お説のようなことは考えられますが、われわれが今まで考えておる点は、やはり別表の範囲内において審議会で決定してもらいたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/41
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042・赤木正雄
○赤木正雄君 そこは非常に私の考えと提案者の考えが相違する点であります。私はむしろ別表のない方が経済的に、しかも目的に達するようなことができるように思います。しかし、これは見解の相違でありますから、いつまでも議論しておってもしようがありませんが、私も、先ほど小沢委員の要求された通り、これはいずれ審議会ができましても、これに伴う計画の予算ができなければ何にもなりませんから、その観点から、大蔵大臣、また国土総合開発に非常な責任を持っておられる経済企画庁長官の御出席を要求します。ことに経済企画庁長官としては、先ほどの十九地区の地方総合開発計画については相当の腹案を持っておられますが、私もあの委員をやっておりましたから、なるほど十分な調査もできないで、それが委員会に付議されておるとともよくありまして、多少私はあれについてはいい結果と思いません。そういう観点で、一体日本の国土をどうするか、そういうような大きな観点から長官の意見を聞きたい、こういう意味で長官の御出席をいつかの機会にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/42
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043・石川榮一
○委員長(石川榮一君) ただいま小沢君からの要請がありましたから、経済企画庁長官と大蔵大臣に今出席の要求をしております。建設大臣と運輸大臣は、いろいろ御相談なすっておったらしいですが、今のところ出られないというような回答があった。これは政治的な考慮が相当あるのではないかと思っておるのですが、いずれは出ていただけると思っておりますが、大蔵大臣と企画庁長官には今要請をしております。ですから、その両国務大臣に対する質疑をあと回しにしておきまして、提案者並びに建設、運輸の事務当局を相手に、御質疑のある方はお続け願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/43
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044・早川愼一
○早川愼一君 提案者に一つお伺いします。先ほど御説明があった国土開発縦貫自動車道建設要綱の中に、この律と同時に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/44
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045・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 早川さん、どうです、前の方に出てきていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/45
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046・早川愼一
○早川愼一君 大きい声でやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/46
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047・石川榮一
○委員長(石川榮一君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/47
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048・早川愼一
○早川愼一君 日本国有自動車道公社というものを設立せられるような要綱になっておりますが、これは法案には出ておらぬ。これは今後、何か、先ほど審議会でそういうこともきめるかのように御説明がありましたが、そういたしますと、この建設は一体どこがやるのですか。自動車道公社というものはこれは運営をやるのですか、公社として。建設は国が直接やる、こういうふうになっておるのでありますか、その点をお伺いしたい。なお各国の例等によりまして御研究になりましたととがありますか。ドイツではいわゆるアウト・バーンというものができているのでありますが、あれには一つの会社、国有鉄道の一部としてああいうものを建設されたように伺っておりますが、それは御企画になったことがあるのでありますか。その点をあわせて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/48
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049・楯兼次郎
○衆議院議員(楯兼次郎君) その仕事を建設をし、運営をするために、一応私どもといたしましては、先ほど提案がありましたように、自動車道公社という構想を考えておりました。しかし、まだ調査機関もできないのに、そういう法案を出すという段階ではないというので、一応案はございまするけれども、今国会には提案いたしてござまません。
それで、一体想定をすればどういうことになるかといいますると、自動車道でございまするから、今ありまする法案というものは道路運送法によって運営をされる、規制をされる、こういうことになるだろうと思います。道路運送法によって自動車道なりあるいは自動車事業というものが行われるものとすれば、今の法規では運輸、建設の共管事項になっております。
それから諸外国の例はどうかという御質問でございまするが、私が聞いておりまするところでは、ドイツあるいは米国等におきましては、交通省というような所でこれらを一括運営をし管理をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/49
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050・早川愼一
○早川愼一君 さらに最後に、この第議院の付帯決議がありまして、その第一項に「政府は、本法に基く審議会の庶務を建設省において行うよう処置すること。」こういう付帯条件がつきましたが、これは特に何か理由があっておつけになりましたかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/50
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051・楯兼次郎
○衆議院議員(楯兼次郎君) 主として当然道路のことであるので、建設省がその調査機関中主としてこの仕事を受け持つのだという、そういう御要請だろうと解釈いたしております。
それから付帯事項の中に、第二番目に、「道路行政の」……ちょっと字句は忘れましたが、検討をし一元化せというような御要請がございます。本自動車道の運営をするに当てはまる今日の日本のいわゆる道路運送法の法規では、少しどうかと私ども考えておりますので、当然将来はこれらの国道を建設をし運営をするために、国会においてこれらの法規の改正を行わなければならないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/51
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052・平林太一
○平林太一君 先ほど来赤木君、小沢君等から、調査という問題について、非常に慎重かつ峻厳な御質疑があったのでありますけれども、私の承知する範囲におきましては、本道路に対しましては、調査及び検討に対する事柄に対しましては、いまだわが国の道路建設の過去の歴史の過程におきまして、まれに見るところの民間調査が行われておる、かように私は信じでおるので、この際その点を明らかにせられたいと思います。本道路に対しまして民間の篤志家が多年にわたって自費を投じておる。国土総合開発の観点に立って、ししとしてこれを調査せられたということを承知いたしておりますが、提案者におきましては、おそらくこの民間の篤志家の調査というものについて相当に調査資料とせられておると思いますが、その点を、なお詳細を明らかにせられたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/52
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053・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) この法案の表現といいますか、構想というものは、今仰せられた沼津の田中清一氏が多年にわたって私財をたくさん投じて研究したそれの構想も採用いたしまして、全国に拡大してこの法案となったものでございますが、実は昨年の第十九国会に国土開発中央道事業法案として、東京——神戸間の分につきまして法案を衆議院に提出がありまして、これが衆議院において数回審議検討せられ、また参議院の方においても予備審査が行われましたが、会期がなくなりましたので、継続審査に移されて当時の経済安定委員会で衆議院においては実地の調査をされておるのでございます。それが今国会において、衆議院の各派共同の一致した意見となりまして、四百三十名に上る、大臣並びに政務次官を除いた全員の共同提案をもって提出されて、昨日可決になったのでございまするが、この法案の構想は田中清一氏が多年にわたって研究され努力せられたこれを非常な参考としておりまするし、またその調査の資料等は十分この法案作成上に利用をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/53
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054・平林太一
○平林太一君 その点、私も予測いたしておりましたことが、調査事項に対していろいろ慎重を期せられたということが了承できたのであります。従いまして、との調査ということに対しますれば、当然総合開発に対してこれを断行するために、国土に対するただいま問題となっておりまする経済的価値というものが私は最も重要なものとして考らえれますが、田中案なるものが技術的にきわめて多年慎重にこれが検討された結果、立案せられたそれを採用せられて、これをわが国力の経済力というものと検討比較して、その比重を決定せられたことは私は承知いたすのであります。それでありますから、もはや、路線の問題に対しましてこの経過をとってあるのでありまするから、これを断行するということに対しで、国の持っておりまする経済上の力を技術的に最も効果あらしめるような方途を、いわゆる予算措置におきまして技術的に最も最善、最良のような方法をとるべきであるということがこれは承知せられるのでありまするが、道路局長にその点をただしておきたいと思いまするが、これは二十カ年計画という、きわめてこれまたわが国の道路対策といたしましてはいまだ未曽有と申していいくらいね長年月を予定されたわけで、これも非常に大事をとられた処置をとられておる。従いまして、ただいま年間二百億あるいは三百億というような所要の経費というものがここに算出せられておりまするが、今日、わが国の財政投融資の本年におきましては三千二百億ないしは三千三百億というようなものから考えてみましても、この二百億、三百億というものは必ずしも膨大なものでないということは私はうなずかれるのであります。このことに限りまして、かくのごとき画期的のこの道路のことに対しまして、従いまして、特に予算上の二百億、三百億というものが可能であるということに対しまして、あらためて提案者から、最もこの点に重点を置かれて提案者といたしましてはお考えになられたことと思いますから、これに対する具体的な一つ御答弁を承わってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/54
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055・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) ただいまの御意見、全く同感でございまして、ほかの国土開発計画にしましても年々三千数百億の財政投融資をいたすことになっており、先ほど小沢委員から趣旨説明において申し上げました通り、大体平均、中央道についでいいますると、一年に二百四十五億でございまするが、一カ年の国土開発に要する公共公益事業の総財政投融資、国家が投資、融資する金額に対しましてわずかに六・三%にすぎないのでございまして、従いまして、国家がこれをやろうと決意をすればこれは必ず実行ができる。わざわざ外債あるいは民間融資を待たなくとも、国家がやろうと強い決意を持てば可能なことであると、かように考える次第でございます。
なお、これまた小澤委員から先ほど御説明もありましたが、電源開発ももはやコスト高となって行き詰まりとなっており、昭和三十年度におきましては御承知の四百五十億ばかり、電源開発会社並びに公営の発電事業のために、国家が四百五十億ばかり財政融投資をいたしまするが、二、三年後には一カ年に百六十六億という予定を今いたしておるのでございます。そうしますると、それだけで約三百億に近い余裕ができてくるのでございまするから、現在の重点財政融投資事業である電源開発をこの自動車道に振り向けると、ゆうゆうと三百億の財源が出てくる。しかもこの道路ができまするならば、コスト高で引き合わなくなった電源開発が今度は非常に安いコストで可能となるという好結果ももたらすのではないか。かような観点から、国家がこの画期的な事業を必ずやるという決意をもって臨めば、この事業は財政的にも可能であると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/55
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056・赤木正雄
○赤木正雄君 さきの御答弁の中に、例の田中清一氏の案を仰せられました。私の聞いている範囲におきましては、田中氏の調査したのは、東京から名古屋へ行く案が主でありました。従って、この全体の案にあるごとき、北海道から東京に来る案、あるいは神戸からして西に行く四国、九州、それは田中案にはまだ私は調査していないように聞いていますが、あるいは聞き間違いかもしれませんので、田中氏はその点調査して、つまりこの全体について田中君は調査したものか、これは調査した、しないということについて、非常に大きな問題でありますから、はっきり御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/56
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057・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) 中央道以外につきましては、完全な資料を整えた調査を田中清一氏はまだしていないことは事実であると私も思います。ただ、この東北、北海道、あるいは中国、九州というふうに、田中氏自身、もしくはそのもとで働いている人たちが、相当実地に踏査をしていることは事実でございます。しかしながら、今回の九州なり、中国なり、東北なり、北海道の路線の決定に当りましては、田中氏の案というわけではございません。これは私ども提案者がぺ−パー・ロケーションによりまして、五万分の一の地図を用い、平面並びに縦断の一応の路線のぺ−パー・ロケーションをやっているものでございまして、おっしゃるように、田中氏の案をこの中央道以外については採用しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/57
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058・赤木正雄
○赤木正雄君 たとえて申しますと、七の衆議院建設委員会でおつけになりました付帯決議を見ましても、その第三に、「政府は、九州自動車道の路線については、関係各県において研究企画されている路線を考慮して善処すること。」この一項を見ましても、十分調査していないということははっきりいたしますので、田中氏の特に調査した東京から名古屋までをもって、全体が調査をしているように誤解されては大へん困る向きもありますので、その点を重ねて私は質問しているのです。その田中氏の調査は、この全体の路線からいうならば、最も交通に今まで困っている東海道線を主としてやったものだ、こういうふうに私は了解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/58
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059・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) その点は、私も赤木委員のおっしゃる通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/59
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060・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 経済企画庁長官は、歯痛のためにただいまお医者に行っているそうで、すぐ参られません。大蔵大臣は今見つけて、折衝中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/60
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061・小酒井義男
○小酒井義男君 私は少し法律案とは離れますけれども、衆議院の先生方にちょっとお尋ねをしたいのですが、実は運輸委員会に今一つかかっておる案件があるのですが一それを審議しておりますと、どうも政府の部内の意見の統一がせられないままで、衆議院で議決せられて、送り込まれているような事実がある。きょうも一番関係の深い建設大臣あるいは運輸大臣が、先ほどの委員長の報告でありますと、何か政治的な考慮でもあって出られないのではないかというような発言があったのですが、衆議院でこういう相当大きい法律案を可決されるときに、政府との折衝をどういうふうに見ておられるのか。これは特に与党である関係の政党の発議者になっていられる方が一番関係が深いと思うのですが、この法律案に対して、従来どういうふうの政府との間の折衝を続けてきておるのか、その経過を一つ参考までにお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/61
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062・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) これは御指摘のように、いろいろこの所管の問題についてあったのでありますが、それで表題に掲げますように、自動車道という言葉を使ってあります。それで政府の部内においてはいろいろ考え方がありましたが、衆議院四百三十人の、ほとんど全議員の提案になっておるのでありますから、審議の過程におきましても、これに対する所管その他の問題についていろいろ議論がありましたから、結局衆議院全体の意見のように原案で行こう、こういうことで、結局付帯条件がついて、今お話がついたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/62
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063・小酒井義男
○小酒井義男君 そうしますと、関係の各大臣も、こちらへ送り込まれたものに対しては、それぞれ賛成をしておられるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/63
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064・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) 完全な話し合いがついたかどうかはよくわかりません。しかしながら、衆議院の全員の提案によった原案は、これは賛成せられるものであると思います。しこうして、その名前に対しましても自動車道路といたしたのでございますから、との点御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/64
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065・片岡文重
○片岡文重君 大体私のお尋ねしようとする主点については、すでに同僚議員から尽されておりますが、なおその他の点について二、三お尋ねしておきたいと思いますが、今小酒井君からも指摘せられました通り、松浦議員の御説明ではありますけれども、衆議院におけるほとんど全議員の署名を得て可決されて本院に回付されました法案で、なおかつ政府部内の不統一のために、私どもとしてはその審議にほとんど支障を来たしておるといっても過言ではないようなものが、現に例としてないわけではございません。で、問題になっておりまする国土開発縦貫自動車道の建設法案のごときは、法律を作成する点についてはきわめて容易でありましょう。しかし、これを現実に目的を達成せしめて、わが国の経済開発に貢献せしめるまでに持っていくことは、実に容易ならざる困難が前途に横たわっておるものと考えまするので、この衆議院における各議員諸君の雄大な理想をそのまま具現化しようとする遠大な構想を持つところの、この法案を可決せられましたならば、政府は非常な熱意をもって協力一致してやらなければ、その目的を達成することはできないと私は思うのです。従って、まず何をおいても政府部内におけるところの関係各大臣、各省の緊密な連絡と積極的な達成への意欲が、具体内に約束づけられなければならない、こう思うのですけれども、私どもとしてはその点若干の疑義なきを得ない。そこで、特に本日はこの法案の審議に入るに先立って、私は政府の関係各大臣の責任ある言明をお聞きしたかったのですけれども、それがで営ませんので、まことに残念ですが、以下それ以外の諸点について二、三提案者の各位にお尋ねをしたいと思うのであります。まず第一は、この法案の目的とするところは、私どもも賛意を表するにやぶさかではございません。きわめてけっとうな案であり、いずれはかかる法案が提案される機会を持ったであろうと考えられまするので、時期としては必ずしもかれこれ言うべきことではないと考えるのでありますけれども、問題は、先ほどどなたかも指摘されましたけれども、経済的効果に問題があると思うのであります。特に現在のわが国における道路の状態は、御承知の通り、きわめて悪い。ひとり道路ばかりでなく、国鉄等国の経済的根幹をなす交通網がきわめて不満足な状態におかれておって、しかもこれを十分に目的に役立たせるような状態に改修することができ得ない状態なんで、そういうときに多額の経費をこれにつぎ込んで、この縦貫自動車道を建設しようとされるのでありますが、この場合、今日のこれら損壊しておるところの道路、鉄道等に対して、何らかタイアップした改修、改善的の方法をお考えになったことがあられるのかどうか、この点。これが一点。
それからこの縦貫自動車道は、従貫的幹線の完成もさることながら、むしろこの支線となる、いわゆる発議者諸君のお言葉をもってすれば、いわゆる肋骨支線の完成がこの自動車道の効果を一そう充実せしめるものであり、見ようによっては、この肋骨支線の完成がなければ、企図しておるところの成果を十分に発揮し得ないと思うのですけれども、との肋骨支線の工事は直ちに、幹線の工事と同時に着手されるのかどうか。もし着手されないとするならば、現在その肋骨支線として考えておられる路線の、たとえそれがペーパー・ロケーションであったとしても、調査がなされておられるのであるかどうか。まず、この点を二点お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/65
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066・楯兼次郎
○衆議院議員(楯兼次郎君) あとでほかの提案者から補足をしていただきたいと思いますが、他の交通機関との関連でありますが、私どもこの自動車道というものは、陸上において道路、鉄道に次ぐいわゆる第三陸上交通機関というふうに考えております。従って、競合をしてはねらないということを提案者一同は考えておるわけであります。道路網と鉄道網、それにこの自動車網をうまく関連を持たしていかなければならない、こういうふうに考えております。一例を申し上げますると、片岡委員も御承知であろうと思いますが、すでに東海道あたりの輸送というものは限度にきておると思います。もしこの法案が通過をいたしまして、完成をいたします年が今日より六年後でございます。六年後には全国の貨物輸送量大体六億トンに近い数があるわけでありますが、鉄道と自動車との比率を比べてみますると、自動車が約倍にもなんなんとするような量を持っておるわけであります。従って、今日の状態をもって約十年後を想定いたしますると、どうしても東海道あたりに対しまして鉄道を複々線にするか、あるいは自動車道を建設をしなければ、輸送をすることができない、こういうような結論が出て参ると思います。従って、どうせ輸送機関を建設しなければならないのであるならば、先ほど申し上げましたような三者関連をする交通体系というものを形成する意味からも、中央道に自動車道というものを設けなければならない。これはその原因の大半にはならないと思いますが、われわれ提案者が考えておりまする一つのねらいであります。従って、今新しい新線建設も、あの別表を見ますると、百二十くらいの個所に及んでおるのでありまするが、この法案が通過し、自動車道が建設をされる、こういうことになりますると、当然鉄道でなければ経済開発のできない個所は別といたしましても、自動車道で所期の目的を達成することができるというような個所においては、自動車道並びに新しい鉄道というものを勘案し、調整をしていかなければならない、こういうふうに考えております。道路網と鉄道、自動車道はこれは競合することなく、日本の陸上交通の三つの基点として関連をさしていかなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/66
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067・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) 先ほど御指摘になりました両省大臣の問題でありますが、今御心配いただきましたようなそう深刻なものではないと思います。党といたしましては、まずこれに対する署名をするかどうかというときに、党議を決定いたしました。それから審議過程におきましても、二回党議を決定いたしております。先ほど申しましたように、四百三十名の提案であり、党はたびたび党議を決定しておりますし、その場合に、総務会には大臣御出席のことでございましたから、原案でいくならば、そう大へんな御心配のようなことはなかろうと思っております。相当積極的にこれの実施に対しての熱意はあられることと思います。これが全然党議にも諮らず、ただ希望者だけが調印をいたしまして提案したものではなくて、最初にこれを出すか出さぬかというときに、全員署名することを承認し、審議過程にお呑ましても二回党議をやっておりますから、党議で決定したことは、党の大臣でありますから、両相ともとの案に御賛成のことと私は思っておりますから、御心配のような、そのためにとの実施に支障を来たすというようなことは万々なかろうと思っております。
それから経済の問題でございますが、先ほど竹谷君からもお話がありましたが、今三千数百億の投融資をしておるから、それでその方から出せば簡単だという御答弁もありましたが、それは今の現状においてはそう簡単でな
いと私は思います。それはそれぞれの産業開発のために振り向けられておっ
て、日本の産業計画がそれによって規格づけられておりますから、その方を減らせば、それだけ予定通り産業が発展しないということはいうまでもないことでございますけれども、これらの三千数百億の金を投じていくことによりまして、日本の経済が現在よりも上っていくのでなければ用に立たぬことでございますから、今の日本の経済が現在よりも上昇線に向っていくということを目標にいたしますというと、現在よりも来年度はさらに二百億、三百億というものが財政投融資の上において弾力性をさらに持ってくるということが、私は一つの考え方であると思います。今の仕事を縮めて、それをもって縦貫道路の方に出すということでは、一方の経済が予定通り進捗いたしませんから、これは日本経済が上昇線に向っていく、それによって投融資量もふえていくということが一つの目標でなければならぬと思うのです。同時に、一、二年これを行なっていくととによりまして、これによる経済開発によってさらに国力が増していくということも、かねて考えなければなりません。その後に、先ほど竹谷君の御指摘いたしました電源開発が一応その時分に終る。その分の支出は、そのときにたって初めてその方に向けられるという考え方を持たなければならぬと思っておりまして、これは日本の財政経済の関係から見て、そう簡単に、やすやすとはできるものではない。非常な熱意をもって政府も議員もこれに協力しなければならない状態であるということは、御指摘の通りだと思います。
それからバック・ボーンになる縦貫道路とそれに対する肋骨の問題でありますが、これは今御指摘になりましたが、肋骨を先に作って、それを結ぶ縦貫道路を作った方がいいじゃないかという御指摘でございますが、肋骨の直線コースの短距離ハイ・スピードのものができなければこれは今のままで肋骨をやりましても、それは従来の交通によるものだけになりまして、また北海道では所々に山を縦貫した肋骨道路を作っております。けれども、それは従来の交通によるものでありますから、通る人もあまりないし、作ってもこわれてしまういうような例は少くないです。今まで北海道の開発計画による新道は、山を縦貫したのはおおむねいい結果はありません。これはどこに欠陥があるかといえば、御指摘になりましたように、従来の悪い道路に連結しておりますから、それを作っても効率が上らない。そこで、どなたか先ほどドイツのことはどうだということでございましたが、昨年行ってみまして、ドイツは肋骨よりもやはり幹線に重点を置いております。その肋骨の林道のごときは全部アスファルトの道路で、アスファルト道路で縦貫道路がありますから、鉄道その他で輸送するよりも非常に効率が上っておるドイツの林業を調べるならば、道路を先に見る方がいいのであります。どの山に行くのにもアスファルトの道路もしくはバラスの道路、これは自動車でどんどん山の中に入っていかれる。日本の林道の橋の落ちたようなものでなく、一本の間伐丸太を伐りましても、運賃その他が非常に安く上るから、それが再造林の上に大きな影響を与えまして、ああいう結果になります。私はやはり短距離でも、ある一基点からその終着駅までの、都市と都市を結んだ一つの幹線ができましたならば、それと並行して肋骨道路を作るべきである。肋骨道路を先に作って縦貫道路をあとから結ぶというのは、これは肋骨道路を発展させるゆえんではない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/67
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068・片岡文重
○片岡文重君 私の質問が悪かったかどうかわかりませんが、ちょっと誤解されておられるようです。私は肋骨を先に作れというのではないのです。もちろん幹線を先に作ることが必要なことには同感なのです。しかしながら、幹線の工事にのみ専念しておって肋骨がそれに追随していかなかったときには、その幹線の効果というものは著しく減殺されるであろう。従って、でき得るならば、可能の局限において、肋骨を並行して工事を進めていったらいいじゃないか。そのためには、少くともこの幹線を別表として計上された程度の調査というものはなされておるべきだと思う。その程度の調査はなされておるかどうか、こういうことをお尋ねしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/68
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069・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) 私の聞き間違いでした。それはそのようにいたさなければならぬと思っております。同時に、肋骨道路を作らなければ幹線のまた意義もないと思います。肋骨道路を経済都市に接近することによって、資源の総合開発の上に非常な経済効果がありますから、その経済効果のある所に次の路線を延ばす財源も生まれてくるということになりますので、これはやはり並行して、御指摘のようにしなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/69
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070・片岡文重
○片岡文重君 そうしますと、調査という方面についてはすでに進めておられるのですか、それとも、その点についてはまだ手をつけておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/70
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071・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) 先ほど御指摘がありましたように、現在の幹線道路も一応ペーパーの上でやったということでございますから、その方がきまらないのに、肋骨線の方まで手は及んでおりません。これはいろいろ先ほどから御質問がございましたが、一応別表による幹線道路に対する審議会の議を経て、その上に技術的な、あるいは資金の効率の非常に高い線において、肋骨もともに並行して御研究願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/71
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072・片岡文重
○片岡文重君 いま一点。先ほども経済的な面についての御答弁でありますが、私のお尋ねをいたしておりましたのは、結局総合国民資金計画の立場から、少い資金を重点的に集中しあるいは配分するという資金の根本問題に立って、この法案の目的とする工事を——工事といいますか、道路を考えてみました場合に、いろいろと問題が起ってくる、こう私は思うのです。そういう点から先ほどお尋ねをしたのですが、たとえば先ほど楯議員も、東海道線について御指摘されましたけれども、国鉄の北方幹線の増強であるとか、あるいは電化の問題であるとか、首都の交通の緩和であるとか、いろいろと問題が起ってくるはずです。で、競合するものについては極力避けられるということについては同感です。これは避けなければならないし、この自動車道本来の目的からいって、これを競合していったのでは意味をなさない。けっこうですけれども、これを今日の国家財政の窮屈な中にあってこの莫大な資金を即刻投じていくということが、果して時期的に考えてどうであろうか、こういう点についてお尋ねしたのでありまして、従って、この交通政策という点からだけ考えても、経済的に果してそれらの鉄道、道路というようねものは、今日の少くとも改善状態にとどめておいても、この自動車道には直ちに着手すべきである、こういうふうにお考えになるならば、そのお考えになられるところの根拠をお聞かせいただきたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/72
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073・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) 先ほど答弁をすることを落しましたが、現在の道路は決して、諸外国の道路に比べて、よいと思われるところはないのであります。まあどうにか比べがっくというのは東京と横浜の間の道路くらいなものでありまして、あとは現在の道路ももっともっと積極的にこれを直していかねければ、とうてい日本の産業なり交通を満足させることはできないということは、御指摘の通りであります。従いまして、現在建設省で持っておられますところの道路網の拡充計画というものは、この財源に手をつけるという考えは毛頭持っておりません。これは従来通りょりももっとスピードをもって、全国の道路を拡充しなければならないと思っております。この上にプラスこの道路をやりたい、その財源は先ほど申し上げましたように、財政の投融資をだんだんとやっていきますことによって産業が発達するから、日本の国力は上ってこなきゃならない。むしろこの日本の国力がこれによって衰微していくようでありますれば、この道路の財源は出てこないと思うのです。そうしてこの道路を作るという計画と並行して、さらに産業がもっと発達していくというようなことで一つ行うことによって、次がまた進展していくというような考えでありまして、今の道路網拡充計画のうちの財源をさいてこれへ持っていくなんということは、全然考えておりません。これをもっと拡発して、諸外国の道路に負けないような道路、そんな道路を作ることは急にはできませんが、先年も東京から自分の家まで自動車に乗って行ったところが、仙台まではどうやら道路らしいのでありますが、仙台から青森までの間というものは、馬車のわだちで、通ることのできない道路なんです。バラスも入っていないというような国道を敷いておいて、これを縦貫道路だけをやればいいという考えは毛頭持っておりません。これはどうしてもそれ以外の財源を財政経済の上から生み出して、そうしてこれをやりたい、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/73
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074・赤木正雄
○赤木正雄君 現在の道路をなるべく拡充強化せなきゃいかぬという御意見で、私もそう思います。財政投融資がかりに十分であるならばとにかく、今の道路を十分道路らしい道路にすることが、現在の日本の経済に利する、そういうふうな観点はお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/74
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075・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) それも一説であります。もちろん、その方が日本の産業、交通を発展させるためにいいとも考えられますが、一つの国家として、その次に発展すべき計画なしではいけない。それと並行して、今後の住宅、食糧問題を解決し、日本の文化を向上させるためには、こういう案も並行してゆくのだということの方が、よりいいことであると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/75
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076・赤木正雄
○赤木正雄君 それも進歩したまことにりっぱなお考えです。けれども、かりに汽車のことを考えましても、まず、今も言っておりましたが、東京から大阪までは非常に旅客の数も多いし、従って客車の数も多い、路線もたくさんある。それに反して、だんだん東北線あるいは四国の方の線になると、これは線路も小さいし——線路は同じ幅員ですけれども、客車も少い。そういろ観点から見ますと、このままにしておきますと、北海道から九州まで百キロから百二十キロ出すこの道を作るということ、そのものはもうすでに今汽車の例を見ても、非常に輻湊すべき所には、これはこれに応じたやはり線路も作るのが当りまえである。理想からいえば、北海道から九州の端まで、この案に書いてあるようなこともいいかしれませんが、日本の今日の経済にそれが果してマッチするのかどうか、こういうことを疑問に思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/76
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077・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) これは非常にむずかしい御質問でありまして、簡単に片づかないと思うのですが、この鉄道輸送の輻湊しておる今日に、これを全線複線にして、もっと高度化した交通機関にするということの方が先決じゃないかという御指摘でありますが、なるほどその面の交通のことだけを考えれば、そうであります。私どもはプラス国土の総合開発というものが、日本の民族が御承知のように輸入に依存しておるというような現状の打開の一つの方策としては、未開発の資源を開くという線も交通と並行して、そうしてこれを行なっていくということが、一面にあってほしい。これが今のような汽車の交通だけを盛んにいたしましても、奥地の開発は、先ほど御指摘になりましたように、水系による開発だけであって、それも背稜山脈からというならば、総合的に何ら開発されていない。地下資源におきましても地上資源におきましても、あるいは林木におきましても、果樹老齢樹はそのまま朽ちております。それを適度に伐採することによって、この天然更新を適当にすることによりまして、林力はますます旺盛になるということはわかっておるが、あの背稜山脈にあるものを持ってきたものは、持ってくる経費の方が木材そのものよりも高くなって、ああいうような宝を腐らしておるというような、これは林木だけの話でありますが、鉱石その他に対しましても、自分に鉄道をつけることはできない、あるいは自分にケーブルカーをつけることはできないが、そういうものが通ったならば、その鉱石は易々として運び出される。それによっで輸入を防渇することができるというような、反面に交通のこの輻湊したものを緩和すると同時に、反面にそういった積極的に国土を開発するということも一つの国策として立ててほしいというようなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/77
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078・石井桂
○石井桂君 私ははなはだ素朴な質問でございますが、提案者から御意見を承わりたいと思います。
去る二十六日の参考人はいずれもその道でりっぱな方とされている方なんでありますが、それらの方々の御意見のうちで、総合開発の点について意見をお述べになりました鈴木さんの御意見の中に、こういうことがあげられております。日本の工場は港湾に立地して発達してきた、本法案にいうごとき縦貫道路によりどの程度の産業開発が期待し得るかは疑問であるということなんでありまして、私はその疑問であるという方が疑問であるという意見の持ち主なんです。しかし、そういう御意見がりっぱな方々から言われているところを見ますと、この法案の説明に欠けているところ、あるいは宣伝の足りないところが、ずいぶんあるだろうと私は存じます。そういう点と、もう一つは、交通問題についての御意見を述べられた近藤謙三郎さんの御意見に、現在の東海道は一日一万台、これは一分になおすと七台に当りますが、そういう交通量で苦しんでいますけれども、中央道に至っては閑散な交通しかないという皮肉な現象が生じようと、こういうふうに述べられておりまして、おそらくそれは未完成のことを想像されておるのかとも存じますが、そういう方面でヘビが道路で昼寝をしているだろうという表現をしておられます。そういう点は私どもは想像に苦しむ形なんでありますが、いずれも斯界の権威者であります。その権威者がそういう意見を発表しておられますが、その御意見に疑問がありますので、提案者並びに建設省当局から、そういうことに対する一つお考えを承われば、大へん幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/78
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079・松浦周太郎
○衆議院議員(松浦周太郎君) これは先ほどからいろいろおしかりを受けておりますように、ほんとうのペーパー・プランでありまして、それに対する経済的な効率あるいは産業発達につきましても、綿密な資料を皆様のお手元に差し上げてやるべきでありますが、それがないのでありますから、そういう御質問や御意見の出ることは当然のことと思うのであります。そこで先進地のやってきたところを考えますと、デンバーからコロラド・スプリンまで約百五十キロくらいのあの砂漠地帯のようね所に、アメリカが道路をつけました。四、五年前参りましたときに、その道路を走ってみました。あのコロラド・スプリンの周囲は、御承知のように、火山地帯であって、しかも砂漠そのもののような所であります。ところが、その道路がつきましたことによって土地改良がだんだんと行われまして、そうしてアメリカのことでありますから、あの景勝地てあるから、あっちにたくさんの別荘もできた。ところが、見のがすことのできないことは、スプリンの周囲はそれほどでもございませんが、あの広漠たる野原に、今ホルスタインの牛が群をなして住んでおります。それはあの道路がつくことによってあの牧場が開発されたと言っております。道路がつく前に、ここにこれほど牧畜が盛んになるとは考えていなかったと、当時君たちは言っております。それと同時に、あの広漠たる原野に、りっぱな農村の家がどんどんできつつあります。もちろん政府がとの土地改良に対しましては、大規模の計画をもって土地改良をやっておりますから、当然のことではありますが、そういうようなところを見ますと、日本の背稜山脈を通じた関係においては幾多の資源がある。言いかえるならば、現在は国土の約三分の一しか開かれておらぬ。残った七割というものは、ひとり農耕地ばかりではありません、総合的な産業の資源として取り入れますならば、今御指摘になりましたような道路に昼寝をするというよりも、常識でありますが、そういう超スピートを出すことのできるりっぱな道路ができましたならば、むしろ今輻湊しておるところの自動車道路は、そっちの方が昼寝をして、できた縦貫道路の方が押すな押すなの盛況をきわめるのではないかと、われわれはこう考えております。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/79
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080・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) 私も先般参議院建設委員会における参考人の御意見を拝聴したのでございまするが、その場合、港湾、海岸を中心として日本は発達した、原料も海からくる、山の中に道路を作ってもさっぱり立地しないのではないかという御意見の開陳がございましたが、今松浦君からお話があったように、全然逆だろうとわれわれは考えます。今まで日本は、原料中の大部分を海外に依存した。今度はこの縦貫道によりまして国内の土地資源を極度に利用しょうというのでございまして、山の中から宝を探そうというのでございます。従って、そこで得られたる電力、原料資源を用いて、精密機械工業なりあるいは化学工業なりを発達させて、今まで人のなかった所に植民をして、そして海岸の人間が過度に婿集した地帯の入口を分散しようというところに、今回の法案の大きなねらいがございますので、この点、先般の参考人の御意見とはわれわれは全然違うのでございまして、なおまた、今松浦君からお話しになりました通り、今までの道路というものは人を追うて道路をつけたということを、先ほど小澤議員からも趣旨説明のとき申し上げた通りであります。今回の道路は、この道路を作ってそこに人を引きつけましで、今まで道路が押すな押すなで繁盛した所がむしろ人口稀薄になる、それが今回の法案の大きなねらいでございます。東海道は今非常に人口が多い、今道路が狭隘をつげておるがら、東海道に弾丸道路を作らなければならないということが政府において初め考えられておったことは、御承知の踊りでございますが、そのとき、第二国道を作りますならばまた人が集まってきて、第三国道、第四国道も作らねければならない。そして国道や人口の集中、する所ばかり集中して産業が発達し、結局日本の人口並びに産業が偏在することによって、日本はちんばな自立経済しか営まれない、アンバランスになると思うのでありまして、これを逆に持っていこうというのが今回の法律のねらいでございます。それから自動車交通量の問題でございますが、これは建設省が調査したところに基きまして、この中央道が五年後に完成した後における東海道からの転換交通量、並びにこの地帯が開発せられることによって誘発せられる増加交通路等を計算いたしまして、一万台以上の中央道の通過自動車がある、このような推定をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/80
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081・楯兼次郎
○衆議院議員(楯兼次郎君) ただいま竹谷議員から御説明がございましたが、私どもで持っております数字を御参考までに申し上げてみたいと思います。私も先日の公聴会に少し出席をいたしました。今日浜松付近が一日七百台であるので、ぺんぺん草がはえるであろうという御陳述がございましたが、これはやはり建設省の方でも調査をされておると思うのでありますが、中央道が完成されました三十六年においては、東京−名古屋間が東海道から転換をして参りますのが三千八百台と、見込んでおります。それから誘発交通量がこれに加わるわけであります。東京−名古屋でございますと、距離が五十キロ短かくなります。従って、中間には用がないわけでございますから、当然中央道の方にこれは吸収されてくる、こういうようなこれは想定でありますので、ほかに御意見もあるかと思いますが、相当数字をもって考えておるわけでございます。
それからやはり想定でありますが、今の私見では、大体トラックの場合、自動車道路ができますると、一キロ二十円の人件費なり、あるいは管理費なり、あるいは償却費なりの軽減節約になると考えております。従って、三千台トラックが転換をいたしましたと仮定をいたしますると、年間国全体の節約額が二百二十億トラックだけでも浮いてくる。そういうふうに考えまして、いろいろ産業開発の面ももちろんございますが、さしあたって平均二十キロくらいしか走れないところのこの国道では、非常に国家的な損だ、こういうふうに考えておるわけでございます。
それからまた一説には、いわゆる今の道路を相当高度に修理をしてやったらどうか、こういうようなお話もございまするが混淆交通ではやはり自動車としての性能を発揮することができませんので、これは当然自動車道として別に設けなくては、建設しなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/81
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082・石井桂
○石井桂君 建設省から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/82
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083・落合林吉
○説明員(落合林吉君) ただいま提案者の方から御説明がありましたことと、私の申し上げますことと、若干違う点があるのでございますが、これは先般建設省にこの中央道調査審議会ができましたときに、いろいろと民間の方の調査と官庁関係の調査とございまして、その調整がまだ全部済んでおりませんので、若干の違う点があるかもわかりませんですが、経済調査の方は建設省の計画局で担当いたしましたので、その結果を御報告申し上げます。
主として調査いたしましたのは、東京から牧田間の三百七十キロの区間についてでございます。もちろん東京から名古屋を経て神戸までに至ります全区間を調査したのでございますが、そのうち東京——牧田間が比較的交通量の少い所でございます。そとで今後五年くらいに工事が完成いたします場合の、完成当時におきまする交通量は一日三千六百八十台でございます。そのうち通過交通量は二千五百六十台でございます。全交通量の約七〇%が通過交通量でございまして、三〇%ぐらいが地元から開発されました物資を運ぶわけでございます。この物資の中には、現在道路のない所で発生します木材等もございますし、現在道路のあります所から輸送需要が生じますものも含めまして、大体通過しない貨物が三〇%くらい、通過する貨物が七〇%くらいということに想定いたしたわけでございます。
その後、この道路を作りましてから後に、沿線が相当開発されるものと考えまして、沿線に誘発されると思われまする工業を地元の県の方と一緒に共同調査をいたしますと、大体これは縦貫道路を作っただけで開発されるわけでは決してございませんが、縦貫道路を作りましたのを契機といたしまして、この沿線の都市、村落の立地条件が——それに並行して相当な金をかけまして、立地条件が改善されたという場合を考えますと、大体沿線に五十万くらいな人口の収容力が増加する都市あるいは農村等が新興されるのではないかという工合に想像いたしまして、その後の、それが完成しました際の輸送需要は相当ふえまして、それが五年ぐらいに完成いたすものと仮定いたしますと、この場合の一番交通量の少い区間の交通量が四千二百五十台に想定されたのでございます。そのうち、やはり通過交通量は三千三十二台でございます。ここでも同じように、通過交通路線としての機能が七〇%で、開発的な道路の機能が三〇%であるということになりました。
なお、この十分な調査をする時間がありませんでした理由としましては、私どもは二十八年に国土総合開発関係の調査費を国会で補正予算で三千万円ほどふやしていただきましたのを契機といたしまして、現在この法案の予定計画になっております中央道路の沿線、それから九州の縦貫道路、これは法案と少し違いますが、中央の飛弾から小林にまっすぐに抜ける縦貫道路、それから東北の二戸高原を通りますところの縦貫道路、このようなものの調査を開始したわけでございます。それで、その調査を開始しますときの目標は、私ども総合開発を担当しておりまする関係から、資源開発と後進地域の開発、こういうふうなものを建前にいたしましたので、資源開発道路の調査をやったわけでございます。資源開発道路の調査をやりましたところが、中央道路につきましては、資源開発の道路——私どもが想定をいたしておりましたのは、箱根の現在の国道程度のものを資源開発道路として考えておったわけでございますが、先ほど申し上げました建設省の中央道調査審議会が始まりましてから、私たちの構想とは別に、これを高速自動車道路という工合にして結論を出すように命ぜられましたので、それから再調査を始めましたような次第でございまするので、まだ完全に最終的な結論が出ていないわけでございます。そこで、先ほど提案の先生方から申されたことと、それから私が現在申しましたことと、若干の違いがあります点が一つと、それから先ほど先生方が申されたのは、おそらく交通量の一番少い所でなく、東京から交通量の非常に多い名古屋から神戸間をくるめられた平均等について申されたその違いもあろうかと思いますので、つけ加えて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/83
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084・岡田信次
○岡田信次君 私一言お尋ねいたしたいのですが、この法律は、目的にも書いてございます通り、国土の普遍的開発、画期的な産業の立地振興及び国民生活の領域の拡大ということが大目的だと思うのでありますが、そういたしますると、この沿線三千キロにわたる農地の改良なり、あるいは新都市、新農村の建設なり、これらに要するところの経費は大体どのくらいになっておるかということをお考えになりましたか。また、それに対して概略の計画をお立てになっておるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/84
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085・竹谷源太郎
○衆議院議員(竹谷源太郎君) 全国的な普遍的な国土開発の調査はまだできておりません。これは建設審議会において、経済企画庁なり、あるいは農林省なり、通産省なり、その他関係行政庁の総力をあげて調査をし、そうして検討せられることになると思うのでございますが、大まかに見まして。しかしながら、たとえば農耕地につきまして見ますならば、日本は今わずかに五百万町歩、国土全体のわずかに一五%が農耕地として利用されておるにすぎない。しかるに約七〇%は山林におおわれまして、しかもその山林に六十億石の材積石数があるそうでございますが、そのうち四〇%の二十四億石しか利用せられず、他の残りの三十六億石は、先ほど松浦君からもお話がございました通り、いたずらに朽ち果てているという現状でございます。このような森林資源は大々的に開発せられると思うのでございます。赤石山系の大井川上流だけについて見ましても、大体一年間に二百万石の用材が伐り出せる。一石千円としましても、二十億円という膨大なる森林資源が得られるわけでございます。
農耕地につきましてわれわれ概括的に考えますことは、農林省の調査によりましても、大体三百万町歩は現在のところ開墾可能であると言われております。その三百万町歩を、全国についていえば農耕地を広げたい。そうすれば、現在の五百万町歩と加えまして八百万町歩になりまして、大体日本の食糧の自給が可能である。
また、地下資源についてはむろんまだ探鉱されておらないようでございまするから、どの程度の資源があるかは、今後の調査に待たねばなりませんけれども、むろんそう豊かな鉱石ではございませんが、日本にはいろいろな種類の鉱石の存在することは御案内の通りでございまして、交通至便な、開発に便利なこの道路ができますならば、これらの地下資源も非常に利用価値が高まってくる。
また、電力につきましては、山岳地帯をこの道路が貫通をしまするから、ダム・アップをいたしまして、低コストで電源の開発ができまするし、またこれによって、上流で水をせきとめまして、治山治水の非常な効果を上げ得るのではないか。
それから御案内のように、精密機械工業は海岸地帯の塩分の多い、ごみの多い、また水分の多い所よりも、高原地帯の塩分の少い、ごみの少い、また空気のよい所の方がむしろよいのだそうでございまして、そのようなもの、あるいは化学工業、そうしたいろいろな工業の中小都市を作りまして、人口の分散をする。またこの道路は観光的に見まして、非常に世界的にも優秀なものとなるであろうと思うのでございまするが、この観光資源として外貨獲得上にも献貢するところ甚大ではないか。
まあいろいろな多目的の経済開発、そして人口の再配分、また完全雇用への道といたしまして、今ここに一々については数字を今後の調査に待たなければなりませんが、非常に甚大なる経済的社会的効果があるのではないかと存じておるのであります。
〔田中一君「議事進行」と述ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/85
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086・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 岡田君。
〔田中一君「議事進行はすべての案件に先議します。」と述ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/86
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087・石川榮一
○委員長(石川榮一君) それじゃ、岡田君待って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/87
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088・田中一
○田中一君 ただいま連絡がありまして、記名採決になりますから、暫時休憩して、それが済んでから再開していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/88
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089・石川榮一
○委員長(石川榮一君) ここでお諮りいたします。私の手元にもそれが参っておりまして、今、岡田君が質問をして、再質問をしているようですから、今取り計ったところでありますが、本会議中でありまして、今、防衛三法案の討論に入っております。間もなく採決になると思います。その観点から、この委員会も出席をしなければならぬことになっておりますが、ここでお諮りいたしますが、この御熱心な質疑を通しまして、およそ提案者の抱懐しますところの御意見はよくおわかりだと思います。今日この程度で連合審査会はよろしゅうございましょうか、特に運輸委員の諸君にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/89
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090・田中一
○田中一君 岡田君の質疑が続行中ですから、暫時休憩をして、次に続けていただきたい。岡田君が発言を求めでおりますから。(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/90
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091・石川榮一
○委員長(石川榮一君) それでは暫時、休憩いたします。
午後四時四十三分休憩
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午後六時二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/91
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092・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 休憩前に引き続きまして、ただいまから連合審査会を再開いたします。
岡田委員から発言を求められておりましたから、岡田君から質疑をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/92
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093・岡田信次
○岡田信次君 私の先ほどの質問に対しまして、竹谷議員の御答弁がはなはだ見当違いなので、もう一ぺんお伺いいたしたいのであります。と申しますることは、今回のこの道路計画が、幹線として全体で三千キロ、その費用が六千五百億、私はとても六千五百億でできるとは考えません。しかしこれは別問題といたしまして、三千キロの線を作るのに、数千億の金が要る。今度はこの線に沿うて新都市を作ったり、あるいは新農村を作り、さらに工場を作ったり、農地を開発したり、森林を開くというのは、これでは済まないと思うので、非常な面積になる。これに要する経費はどのくらいになりますか。またそれを何年、何十年くらいでもって実現する計画をお立てになったのかどうかという点を、お伺いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/93
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094・小澤佐重喜
○衆議院議員(小澤佐重喜君) お話のような点も相当提案者は検討をいたしましたが、しかし、何しろ今経済効果の点において申し上げました通り、建設省で調べた場合、あるいは議員が調べた場合、あるいは田中清一君が調べた場合、みな違った結論が出てくるのであります。従って、お話のような線を、今こういうような場所で、はっきりこれとれというようなことを申し上げるだけの資料はないのでございまして、ただこの肋骨線の点につきましては、先ほど提案理由の説明でも申し上げました通り、大体二千五百億のものはかかるだろう。しかしきわめてこの計算もラフなものでございまして、これらの点は審議会で厳密に調査して、そうして線を出してもらいたいというのがこの法案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/94
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095・赤木正雄
○赤木正雄君 議事進行。まだ質疑があるかもしれませんが、まだ明日もありますから、連合委員会をなさるなさらぬは、これは運輸委員会の意向もありましょう。きょうはもう)とにかくこれで打ち切って、やるならあすに願いたい。(「賛成」と呼ぶものあり)ことに、各大臣の要求をしましたが、大臣が来ない以上は、質問できないのです。そういう観点もありますから、きょうはこれで打ち切ってしまって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/95
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096・石川榮一
○委員長(石川榮一君) ただいま赤木君からの発言でありますが、今日はこの程度で散会いたしまして、連合審査会を開く開かぬを相談いたしたいのですが、その連合審査会を開いてやりますか、との程度で所管の建設委員会におまかせが願えますか、運輸委員会の方、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/96
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097・田中一
○田中一君 私は、ここに運輸委員長が見えておりますから、運輸委員会の方の意思は、今ここで、今日は運輸委員会の方の要請にこたえて連合委員会を持ったわけですから、これは建設委員会の意思じやないんです。従って、赤木君の提案には反対です。運輸委員長もおりますから、運輸委員会の諸君のお話し合いの上で、今日もう少しこの委員会を継続するなら継続するという意思表示をしていただきまして、明日連合委員会を開くなら開くというような、運輸委員会の意思を、委員長の方でお話し合い願いたいと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/97
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098・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 別に、田中君の御意見がございました。この委員会をもっと続行しろということ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/98
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099・田中一
○田中一君 いや、そうじゃない。この委員会は運輸委員会の申し入れによって開いた委員会ですから、今日、もしもう少し質疑があるからやってくれという運輸委員会の意思があるなら、当然継続すべきものだと思います。また明日一定の時間に、第二回の委員会を持ちたいというなら、その点について運輸委員長並びに建設委員長と御相談願って、当委員会で諮っていただきたい。建設委員の側から、この委員会の打ち切り、並びに打ち切り動議をするということに対しては、反対です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/99
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100・赤木正雄
○赤木正雄君 私は動議を出しましたが、何らいなやということはありません。委員長がしかるべく諮って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/100
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101・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 速記を中止して。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/101
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102・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 速記をつけて。
建設、運輸連合審査会は、この程度で質疑を打ち切って御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/102
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103・石川榮一
○委員長(石川榮一君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。
連合審査会はこれをもって散会いたします。
午後六時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214137X00119550729/103
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