1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十一日(月曜日)
午後一時二十七分開会
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委員の異動
七月十一日委員松岡平市君及び山本經
勝君辞任につき、その補欠として関根
久藏君及び吉田法晴君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小林 英三君
理事
加藤 武徳君
常岡 一郎君
竹中 勝男君
山下 義信君
委員
榊原 亨君
高野 一夫君
谷口弥三郎君
森田 義衞君
阿具根 登君
河合 義一君
吉田 法晴君
有馬 英二君
長谷部廣子君
衆議院議員
山下 春江君
大石 武一君
国務大臣
厚 生 大 臣 川崎 秀二君
政府委員
厚生政務次官 紅露 みつ君
厚生省医務局長 曾田 長宗君
厚生省医務局次
長 高田 浩運君
厚生省薬務局長 高田 正巳君
厚生省保険局長 久下 勝次君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
常任委員会専門
員 高戸義太郎君
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本日の会議に付した案件
○国民健康保険法の一部を改正する法
律案(衆議院提出)
○医師国家試験予備試験の受験資格の
特例に関する法律案(衆議院提出)
○あん摩師、はり師、きゆう師及び柔
道整復師法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○毒物及び劇物取締法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○歯科技工法案(内閣提出)
○歯科衛生士法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
○連合審査会に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/0
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001・小林英三
○委員長(小林英三君) ただいまから委員会を開会いたします。
国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/1
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002・山下春江
○衆議院議員(山下春江君) ただいま上程されました国民健康保険法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
国民健康保険は市町村の区域を単位とする医療社会保険でございまして、職域を単位とする健康保険と相並んで、医療社会保険制度の両輪をなしているものであることは御承知の通りでございますが、現在全国市町村の約六割を占める四千六百の市町村がこれを行なっており、その被保険者数は二千六百万人をこえている現状でございます。
しかしながら、本事業も一時は全国市町村のほとんど全部、約一万三百五十の市町村に普及いたしたにかかわらず、終戦後の社会的経済的混乱のため、保険財政破綻を来たし事業を休廃止する保険者が続出いたし、約四千の市町村において行われるにすぎないというような、まさに制度崩壊の危機に直面したのでございます。
そのため昭和二十三年には、従来の組合により行う建前を改め、市町村公営を原則とすることとして制度の根本的改革をはかり、さらに昭和二十六年には保険税を創設して保険財政の確立をはかる方途を講ずる等の措置がなされたのでございますが、依然大部分の保険者におきましては、医療費の急激な増高等のため事業を休廃止するものがあとを絶たず、事業を存続するものにおいても保険給付の内容を制限いたし、辛うじて休廃止を免れているものが非常に多かったのでございます。
そのような国民健康保険の現状に対し、昭和二十八年度に至り、初めて療養給付費に対する二割の国庫補助が実現いたし、助成交付金として約四十億八千万円が交付され、昭和二十九年度におきましても同様二割の療養給付費補助として約四十七億二千万円が交付されまして、ようやく保険財政の破綻を回避することができ、逐次事業内容を改善向上する保険者も見受けられるようになるとともにこの補助金の実現により初めて事業を開始する保険者が増加しつつあるようになったことは、本事業の持つ社会的重要性にかんがみまことに喜ばしいことでございます。
ところが、反面、この療養給付費補助金は、そもそも交付するといなとは国の任意であるとともに、その補助率二割ということも、従来予算上の措置として実現されているにすぎないものであるため、財政事情によりあるいは補助率の引き下げ等のなされ得ることはもちろん、場合によっては全額削減されることすらあり得るわけでございまして、このことが全国保険者及び事業開始を志す市町村に対してきわめて大きな不安動揺を与えていることは疑いのないところでございます。
そのことは国民健康保険の事務の執行に要する費用、保健婦を設置するに要する費用につきましても、それぞれその全額及び三分の一額を補助することになっておるにかかわらず、同様の事情にあるわけでございます。
以上のような事情を考えますとき、そもそも国民健康保険は、市町村の責任にのみこれをゆだねるべきものではなく、国、都道府県及び市町村がともどもに責任をにない合うことによりその伸展を期すべき性格の事業なることを思えば、これらの国庫補助金は、当然国が市町村に対する責務として支出すべき性格のものなることは申すに及ばず、かつまた、補助率も法律上明定されておるべきものでございまして、そのような建前を早急に実現することが、名実ともに福祉国家たるべき喫緊の前提なることを確信いたすものでございます。
次に、この法律案の内容について概略を申し上げますならば、保険者に対する国庫補助金のうち、療養の給付、保健婦並びに事務の執行に要するそれぞれの費用に対して交付する補助金につきましては、国の義務的支出といたすとともに、療養給付費に対する補助については、毎年その総額が補助を受けた年度における療養給付費総額の二割を下るを得ないことを法律上保障することといたしておりますし、保健婦に要する費用及び事務の執行に要する費用に対する国庫補助金の各保険者に対する補助率は、それぞれ三分の一及び全額である旨を法律に明文化することといたし、交付要件及び具体的な交付方法につきましては、政令にゆだねることといたしております。
以上のほか、国庫は政令の定めるところにより、予算の範囲内におきまして補助金を交付しまたは貸付金を貸し付けることができるものといたしているのでありますが、さらに、現行法におきまして、都道府県及び市町村は国民健康保険に要する費用について補助金を交付することができることとなっておりますのを、貸付金の貸付をも行うことができるものといたしております。
この法律案を提出する理由並びにその内容の概略は以上の通りでございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/2
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003・小林英三
○委員長(小林英三君) 本案の質疑は次回以後にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/3
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004・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/4
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005・小林英三
○委員長(小林英三君) 次に、医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案を議題といたします。
提案者の提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/5
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006・大石武一
○衆議院議員(大石武一君) ただいま議題となりました医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
現在医師または歯科医師になるためには、国家試験に合格しなければならないことは申すまでもないことでありますが、
一、従前大陸特に満州方面向けの医師の養成を目的とした学校を卒業した者
二、正規の日本の医学校または歯科医学校を出てはいないが、朝鮮、中華民国、蒙疆、マライ、シンガポール等の現地において免許を受けて医業または歯科医業を営んでいて、終戦により引き揚げた者のためには、国民医療法施行令特例の試験による救済等が講ぜられたのでありますが、この試験を受けて二度とも合格しなかった者
三、朝鮮及び満州国におきまして医師または歯科医師試験の第一部の試験に合格した者
四、終戦後の医学教育制度の改革により廃校となった医学専門学校において第四学年の課程を修了した者に対しましては、それぞれ医師国家試験予備試験又は歯科医師国家試験予備試験に合格し、さらに医師国家試験を受けて医師または歯科医師になる道が開かれているのであります。
しかしながら現在、医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験に合格しなかった者は、昭和二十八年三月二十三日以降ソビエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満州または中国本土より引き揚げた者を除いては、医師国家試験予備試験については、昭和二十九年十二月二十六日以降は試験を受けることができなくなり、歯科医師国家試験予備試験については、本年八月二十四日以降は試験を受けることができなくなるのであります。これらの者の多くは引揚者であって、経済的にも同情すべき立場にあり、また年令的にも転業を困難とする者も少くないので、今回医師国家試験予備試験または歯科医師国家試験予備試験の実施期間を延長して、これらの人々の将来に希望を持たせることが適当と存じて本法律案を提出いたした次第でございます。
何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/6
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007・小林英三
○委員長(小林英三君) 本案に対しまする質疑は次回以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/7
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008・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/8
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009・小林英三
○委員長(小林英三君) 次に、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案を議題といたします。
提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/9
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010・紅露みつ
○政府委員(紅露みつ君) ただいま議題となりましたあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
現在、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師以外には、何人も医業類似行為を業としてはならず、ただ、昭和二十二年末、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の公布の際、引き続き三ヵ月以上医業類似行為を業としていた者で、同法施行後三ヵ月以内に一定の事項を届け出た者に対してのみ、経過的措置として、なお昭和三十年末まで、当該医業類似行為を業とすることが認められているのでありますが、今回の改正は、この経過措置が本年末をもって打ち切られることになりますので、これに対する措置を講ずることを目的としております。
改正のおもな点は、従来、医業類似行為の一種として取り扱われてきました指圧は、原理の上からも、施術の方法におきましても、あん摩の業務に含めることができ、かつ妥当であると考えられるに至りましたので、この際、これをあん摩に含まれるものといたしますとともに、現在医業類似行為を行うことを本年末まで認められているいわゆる既存業者に対し、期限を三年間延長し、同時に、その間にあん摩師試験の受験資格を認め、これに合格したときは、あん摩師の免許を受けることができることにいたしたのであります。
以上が、この法律案を提出するおもな理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/10
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011・小林英三
○委員長(小林英三君) 本案に対しまする質疑は次回以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし一と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/11
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012・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/12
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013・小林英三
○委員長(小林英三君) 次に、毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/13
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014・榊原亨
○榊原亨君 御提出になりました法律案の第三条の二に「毒物若しくは劇物の製造業者又は学術研究のため特定毒物を製造し、」ということがございますが、「学術研究のため特定毒物を製造し」というような場合には、もちろん、この法律によりますと、届出によって許可を得なければならぬことだと思いますが、その許可を得る条件はどんな条件でありますか、承わらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/14
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015・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 三条の二の特定毒物研究者の許可の条件でございますが、第六条の二に条文を新たに起しておりまして、ここにその点につきまして書いてございます。第六条の二は、ごらんいただきまするように、第一項は「特定毒物研究者の許可を受けようとする者は、主たる研究所の所在地の都道府県知事を経て、厚生大臣に申請書を出さなければならない。」、第二項は「毒物に関し相当の知識を持ち、かつ、学術研究上特定毒物を製造し、又は使用することを必要とする者でなければ、特定毒物研究者の許可を与えてはならない。」、それから三項に参りましては、かような次に書かれてあるような者に対しては許可を与えない。絶対に欠格条件でございます。さような者が一号から四号まで例挙してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/15
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016・榊原亨
○榊原亨君 第六条の二にありまする——ことに六条の二の三項ありまするこの条件以外の者でございますれば、いつでも許可を得ることができるのでありますか、お尋ねいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/16
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017・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 六条の二の三項は、これは欠格条件でございまして、こういう者には絶対に許可を与えてはならないということでございまして、これに当らない者は全部許可するかどうかということでございまするが、そこは、許可は六条の二の第二項によって裁量ということが若干行われるものと、そうして差しつかえないものというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/17
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018・榊原亨
○榊原亨君 私のお尋ねいたしておりますのは、その条件は何でありますかということをお尋ねいたしたいのであります。と申しますのは、たとえば麻薬の使用者、研究者の場合でございまして、私自身経験いたしたのでありまするが、私の研究所で麻薬を使用いたしまして動物を麻痺させまして実験をいたそうといたしまして、麻薬使用者の許可願いを私は出したのであります。ところが、これは大学病院、あるいはその他の官公立の研究機関でなければ、これを許可することはできないということで、私自身非常な障害を——研究上の障害を起しました。その後非常に私どもいろいろ陳情運動をいたしまして、私はその毒物実験をやる麻薬研究者になったのでありますが、かような明らかにわが国の学術の進歩発達のために研究をいたさんとする者が、いろいろ陳情をいたしましてお願いをしなければ、その許可を得られないというようなことでございますならば、今後の日本の学術研究について非常な差しさわりが出ると考えるのであります。ただいまお尋ねいたしますると、なるほど、六条の二には欠格条件はある。それ以上はいろいろ考えてみなければならぬというお話でございまするというと、各研究者が、これらの問題と真剣に取り組もうといたしましても、いろいろその環境において、これは許すとか、許さぬとかというようなことになりまして、非常にこの方面の研究も支障を来たすと思うのでありまするが、一体厚生省は、これらに対しまして、どういう条件ならば許可するということをこの際はっきりとこの場で明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/18
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019・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 麻薬研究者の具体的な事例をお引きになりましての御質問でございまするが、麻薬研究者の免許は都道府県知事がやるということになっておりまして、今、なぜさようなむずかしいことを申し上げたか、その辺の事情をつまびらかにいたしませんのでございますけれども、特定毒物の研究者の許可は、法律に書いてございまするように、直接厚生大臣がやりますけれども、その際に、今御指摘の官公立のものでなければいけないとかというふうなことは、私ども絶対に考えておりません。相当の知識を持っておるということが認定できる、また製造し、または使用することを必要とする者であるというふうに認定をし、さらにそれらの申請者のいろいろな諸般の事情を調査いたしまして、それに適当であると認めた場合には、それは公けのものでございましょうと、私のものでございましょうと、区別ないたさないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/19
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020・榊原亨
○榊原亨君 この法律の目的は、毒物、劇物の誤用なり、あるいはその他につきまして弊害が起る場合を取り締ることだと思うのでありまするが、従いまして、これらの研究者につきましては、簡単なる届出その他によりまして事情がわかりましたならば、いろいろ、とやかく文句をつけずにすみやかに許可されるような措置を講ぜられたいと存じます。
次にお尋ねいたしたいのでありまするが、六条の二の三項に——ただいまの項でありますが、そこに「おし、つんぼ、盲又は色盲」ということがあるのでありまするが、そういたしますると、これはそういう申請をいたしましたら健康診断をされると思うのでありますが、どこで、いつ、だれによってされるかということをはっきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/20
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021・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) これと似たような条文は、ほかの法令にもたくさんあるわけでございますが、免許を与えたり、あるいは許可を与えまする厚生大臣なり、都道府県知事なりがみずから診断をいたすのではなくして、他の場合におきましても、医師の診断書というものをつけて扱っておるようでございます。で、さような扱いに相なるものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/21
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022・榊原亨
○榊原亨君 そういたしますると、普通一般の医師の診断書によって、これらの者でないという診断書があれば、適格条件として許可になるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/22
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023・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) さようなことに相なると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/23
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024・榊原亨
○榊原亨君 ここで問題になりますのは、色盲でありまするが、色盲には御承知の通りいろいろ種類と程度があると思うのでありまするが、色盲と名のつきましたものは、もう全然この場合には許可されないということになるのでありますか、その点をはっきり一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/24
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025・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) これは色盲というものの解釈が非常に専門的にむずかしいという御指摘でございまするが、あるいはさようなことかも存じませんけれども、色盲と普通に、医学通念上と申しまするか、社会通念上と申しまするか、そういうふうな通念上色盲といわれるような者は工合が悪いと、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/25
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026・榊原亨
○榊原亨君 その点がまだはっきり私はのみ込めないのでありまするが、たとえば、これは要するところ、これらの薬品に色をつけるとかいうことであって、それの識別ができない、あるいは誤りを生じやすいというところに、この色盲という点があるのではないかと思うのであります。そういたしまするならば、それらの色彩の鑑別ができる程度のものであればいいのか。それらの識別ができても医学上色盲ということであればもう全部いかないのか。これは法文からいたしますれば、全部いかないと私は思うのでありまするが、その点のことも一つあとに疑義があるといけませんから、はっきりさしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/26
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027・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 法文の一応の解釈は先ほど申し上げましたようなことであろうと存じまするが、今のような御質問になりますると、具体的なケース、ケースの認定になるかと思うのでありまして、さような場合には、今御指摘のように、この法律の立法趣旨あるいは法律の目的といたしておりまするところを十分に考えまして、それらと照らし合せてこの法文にいわゆる色盲というものの判断をいたすべきかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/27
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028・高野一夫
○高野一夫君 そのただいまの色盲の問題ですが、この薬品やら化学的な学問をやる学校では、学科の試験に合格し、そのほかの一切の健康診断の結果合格いたしましても、色盲である限りは、たとえば赤と緑なら赤と緑だけの色盲であるという場合にも、一切許可しないということですか。薬学なんかでも、色盲である場合には絶対に入学を許しません。それは単なる二つの色の錯誤を起す色盲でありましても、やはり非常な支障を来たすのでありまして、これは化学薬品を扱う資格がない。特殊毒物などについては、十分お調べになって、厳格におやりになることを私は希望する。とんでもないことが起ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/28
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029・榊原亨
○榊原亨君 たとえば医師となりますのには、医学校の試験におきましては色盲であれば合格させないということがあるのでありますが、この点を一つはっきりさせておいていただきませんと、あとから問題になると私は思うのです。ただいまお答えができなければ、次回でもけっこうでありますから、この点の御見解をはっきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/29
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030・高田正巳
○政府委員(高田正巳君) 法文の解釈といたしましては、私が先ほど申し上げましたように、医学通念上といいますか、色盲と称せらるる者はいけないという意味であるということを申し上げたのであります。そのあとで榊原先生から法律の趣旨とするところを十分勘案して運用をするのではないかというふうな御質問があって、高野先生から先ほどのようなお話があったのでありますが、私が法律の趣旨とするところを十分に考えて運用しなければならないと申し上げましたことは、特定毒物というものがどういうふうなものであるかということを十分に研究をいたして、特定毒物の取締りのための条文であるということを考えながら運用をいたしていくというのでございまするので、かりに高野先生のようなものであるといたしますれば、それが私の申し上げた法律の立法趣旨に従って運用をいたしていくということに相なるかと思うのであります。それらの点につきましては、なお私どもさらに研究をいたしたいと思いますが、一口に申し上げれば、最初に申し上げましたように、医学通念上色盲と称せられる者、こういうふうに申し上げて差しつかえないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/30
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031・小林英三
○委員長(小林英三君) 本案に対しまする本日の質疑はこの程度にいたしまして、次に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/31
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032・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。
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033・小林英三
○委員長(小林英三君) 次に、歯科技工法案を議題といたしまして、御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/33
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034・加藤武徳
○加藤武徳君 前回の委員会で歯科技工法案についての提案理由の説明を伺ったのでありまするが、私はこの法案について数点の質疑を行いたいと、かように思います。
まず第一点は、いわゆる歯科技工については、法案の第二条に明記しておられるようでありまするが、まず、この歯科技工について、法案の案文に書いてあることのみならず、さらに若干詳細な御説明をお願いをしたいと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/34
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035・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 本案の趣旨は一通り提案説明で申し上げたわけでございますが、この一番ねらいといたしますところは、歯科の診療の中に含まれておりまする特に技工の問題というものが、仕事といたしましても、近時ますますふえて参っております。歯科医師の実際に行なっておりまする診療の中でも、時間的に見ても、また経費の上から見ましても、相当大きな部分を占めるようになってきておるわけであります。そうして、この歯科の技工と申しますものは、もちろん歯科医師が責任を持ってやっておるのでありますが、その一部分は、歯科医師が他の技術者の補助を得て行うというような状況が、徐々と申しますか、だんだんに発展して参っておるわけであります。そうして一部からは、必ずしも歯科医師が直接に指示監督をいたさずとも、非常に熟練した者、また素養のある者であるならば、一定の命令指示をいたしました後、自分が責任を持ってこれを行うこともできるという性質のものであるというふうに考えられて参っておるのであります。それに対しまして他面においては、さように熟練いたした者にはある程度まかせられるけれども、さればといって、これを無制限にというようなことになりますと、いろいろ例をあげますならば、たとえば義歯というようなものについて用いますいろいろの材質というものについて、でき上ってしまうと、これを十分にその良否を検査するというようなことが絶対に不可能とは言えないまでも、きわめて困難になるというような事情がありますために、よほど基礎的な技能を修得したものでなければ、まかし切るというわけにもいきかねるというような事情が出て参りまして、他面歯科診療に対する需要が非常にふえて参っておりまして、歯科医師もきわめてわずかには増加して参っておるのでありますけれども、人口の増加、あるいは今日の歯科診療に対する国民の要望と申しますか、これの向上というものにこたえることが、今日においてはいささか不満足な状態にあるというようなところから、歯科医師が今日やっております仕事のうちでも、この介補者にまかし得るというような仕事がありますならば、その歯科診療の介補者にその仕事の責任を持ってもらう。他面におきまして、その責任を負い得るだけの教育をし、その資格をはっきりいたさなければならぬということが、この法案を提出いたしました一つの背景になっておるわけでございまして、いろいろそれに応じてこまかい規定をいたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/35
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036・加藤武徳
○加藤武徳君 ところで、いわゆる歯科技工は、歯科医師のやりまする歯科診療の一部を分担せしめるという考え方であるか、従って歯科診療のワク内における一部分担の考え方か、あるいは歯科技工士を作り、さらに行く行くの問題としては、歯科技工を診療の一部から切り離した考え方に発展させようという基本的な態度であるか、その点についての御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/36
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037・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 結論を先に申し上げますれば、私どもといたしましては、歯科技工は歯科診療の一部である、歯科診療のうちに含めらるべきものであるという考え方をいたしておるわけであります。多少付言して申しますならば、今日の歯科教育、歯科医の教育というものにおきましては、その内容に、大きい意味で技工に属する仕事、科目というものに非常に多くの時間を費されておるというような状況からも、これは歯科医の教育のうちに含まれておるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/37
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038・榊原亨
○榊原亨君 ただいま加藤委員の御質問に対する御当局のお答えとされまして、歯科技工が歯科診療の一部であるというお答えがあったように承わったのでありますが、そういたしますると、この診療の一部分であるものを歯科技工士におまかせになるというようなことですか。私が了解いたしておりましたのは、さようなことではないと思うのであります。たとえば義歯なら義歯というものを作りますまでは、これは歯科技工でありまして、作りましたその義歯を直接人体に当てはめますところで初めて治療というものができる。その治療をいたします一つの器械器具を作るというのが歯科技工と私は考えておるのでありますが、歯科技工を診療の一部とお考えですか。そういたしますと、これはまた医薬分業と同じ問題が起る。その点ははっきり一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/38
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039・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 法律的な事柄にもわたりますので、便宜私からお答え申上げたいと存じます。歯科技工が広い意味の、つまり通俗的な意味での歯科診療の一部であるというふうに考えられることは当然でございますが、法律的にいういわゆる歯科医療——歯科医師でなければ歯科医療を行なってはならないという意味での歯科医療、この中には含まないと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/39
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040・榊原亨
○榊原亨君 この際はっきりさせておきたいのでありまするが、お出しになりました法律案におけるところの歯科技工と申しますのは、歯科診療を行いますために必要なその器具を作成する技術でありまして、診療そのものではない、できました器具を人体に当てはめますというところにおいて初めて治療ということが行われて参るのであります。従いましてここの法律にいいます歯科技工といいますのは、歯科診療の外にあって、ただし歯科診療に必要なる器具を作るということだと私は思うのでありますが、さようでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/40
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041・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 法律的にシヴィアに考えればお話の通りでございます。ただ通俗的に考えますというと、技工という部門は、歯科診療ないし歯科診療のうちでは相当重要な部分を占めていることは、これは十分御承知の通りでございまして、その意味において、世間的にいわゆる通俗的に考えれば、これは歯科診療のうちの重要な一部分を担当するものであるというふうには言われると思いますけれども、厳密ないわゆる法律的な観念として考えれば、歯科医療あるいはこれに即応する言葉で表わされるところのものとしては含まれない、さように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/41
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042・加藤武徳
○加藤武徳君 私が危惧をいたしておりました点を榊原委員から御指摘になられましたので、この点での質疑はあらためてしたくはないと、かように思うのでありますが、御承知の世上医薬分業の問題がずいぶんと論議をされております。そのやさきの法案でありますだけに、直接間接に関係を持ちまするものは、果して歯科技工がどのような重さを持つかにずいぶんと関心を持っておると、この点だけを私はつけ加えておきます。
次に、資料によりますると、ただいま歯科医師は約二万数千名、かように承わっておりまするが、歯科技工のいわゆる技工士あるいは技工所、これは歯科治療の進展の度合いに随伴いたしまして、その数等も逐次変ってゆく、かように了解をいたすものでありまするが、資料によりますると、ただいまの歯科技工士は大体六千名、かように相なっておるようでありまするが、この通りでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/42
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043・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/43
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044・加藤武徳
○加藤武徳君 ところで、歯科医師が二万八千名で、技工士が六千名、かような数字でございますると、歯科医師四人ないし五人に対しまして一人、かような割合の歯科技工士の数でございますが、今後の歯科治療上、この程度の均衡でよろしい、かような考え方か、あるいはこの法律を制定いたしまするこれを契機といたしまして、さらに飛躍的な数の増加等をはかろうとなさっておられるか、この点についての御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/44
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045・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話の通りに歯科医師と、それから歯科技工士との業務上の関連というのは、非常に重要な問題でございます。これに関連をして、結局両者の数のバランスをどうとっていくかということが、実際上の問題としては今後非常に重要な問題になってくると思います。先ほどお話のありましたように、診療に従事しておりまする歯科医師約二万八千、それから技工士、技工に携っておる者が約六千ということでございますが、私どもの見方では、今日の六千という数字はやはりまだ少きに失する、それで現在の状態におきますと、大体年々五十名ずつの新しい技工士が、卒業をして試験を受ける、そういうふうな数字になっておりますけれども、これではなおまだ少いと考えられますので、この辺の増加ということも今後考えていかなくちゃならぬと思います。ただしかし先ほど申し上げましたように、数のバランスの問題は非常に重要な問題でございますので、これを野放図に広げるということは、これは避けなければならない問題でございます。さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/45
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046・加藤武徳
○加藤武徳君 ところで、今後年々五十名、かように言われたのでありまするが、法案の第十四条に受験資格につきましての規定を設けまして、第一号、第二号、第三号、第四号、かように四項目列挙しておられるようでありまするが、第三号、第四号はさして私は問題はない、かように考えまするが、第一号の「文部大臣の指定した歯科技工士学校を卒業した者」、第二の「厚生大臣の指定した歯科技工士養成所を卒業した者」、このいわゆる両建で教習を経ました者を厚生省としては、いかような措置によって歯科医師の数と均衡を保とうとなさっておられるか、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/46
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047・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 学校及び養成所の指定が二本に分れておりますので、従いましてこれを適当な数に調整をするにつきましては、両省十分連絡を緊密にしてやっていかなければならないことは申すまでもございません。その点は理屈から申し上げれば、一本よりも二本の方が統制がとりにくいという点はこれはあろうかと思いますけれども、しかし医師にしましても、あるいは歯科医師にしましても、その他医療関係者の教育につきましては、文部省と厚生省とは緊密な連絡をとってやっておりますので、この点につきましても十分連絡を密にして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/47
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048・加藤武徳
○加藤武徳君 歯科医師については、国家試験の方法によって厚生省が一本に数をかちっと握る、ところが技工士についてはそうでない形をとりますると、なるほど、理論的には今高田次長の言われたように、厚生、文部両省で話し合いをしつつ統制はできるとは言いながら、実際問題としては二元化することは好ましくないのじゃないか、かように思っておるわけでございまするが、それはむしろ私は文部省当局にただしたい、かように思ったのでありまするが、厚生省として、二元化の今の法案の姿がよろしいか、あるいはでき得べくんば一元化して厚生省の所管下に置きたい、この方が好ましいか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/48
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049・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 大へん私の方としてはお答えしにくい御質問でございますが、御承知のように教育の関係は、学校教育の関係は、これは文部省が管理をするというのが、つまり両省の分担でございますし、医師、歯科医師その他すべてと申しますか、ほとんど全部のそういった医療関係者及びこれの補助者というものが文部大臣の指定した学校、厚生大臣の指定した養成所で、そして厚生大臣なりあるいは知事の試験を受けてその身分を獲得するというしかけになっております。試験と申しましても、これは定員を——たとえば入学試験のごとく定員をきめての試験ではございませんで、ある程度のそれ相当の知識、経験を有しているかどうかということについてのいわゆるテストでございますので、従って試験によってその増減をかげんするということは、従来も考えておりませんし、今後も考うべきではないと思います。その意味において、増減の根本的な要因となるものは、どうしてもいわゆる養成所なり学校なりの卒業生を何名にするかということに一にかかっているといって差しつかえないと思います。その点、たとえば医師なり歯科医師の数については、これはほとんどと申しますか、全部文部大臣の管理をしておる大学を出た者がこれにはまってくるわけでございます。その意味からすれば隔靴掻痒の感があることは、これは申すまでもないことだと思います。今まではたとえば看護婦にしましても、助産婦にしましても、あるいは保健婦にしましても、いわゆるふやすこと一方の政策をとればいい、そういう関係でございましたので、文部、厚生の間に意見の扞格を来たしておることは一つもなかったわけでございます。そういうような事情であるということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/49
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050・加藤武徳
○加藤武徳君 わかりました。また、ちょっと話が元へ戻りますが、先ほど榊原委員に対しまする曾田局長なり高田次長の答弁ではっきりいたしますように、歯科技工は、いわゆる歯科診療のなるほど一部ではあるが、必ずしも割り切った形ではないわけなんで、従って歯科技工は、いわゆる対外的な患者に直接接触する面ではない、どういう表現がいいか、一般国民の、あるいは患者の直接対象となるような立場ではない、かように了解するわけでありますが、ところで、にもかかわらず、今日まで歯科技工士がいわゆる歯科治療に類似いたしました行為を行いましたために法にかかる、歯科医師法違反として問われる、かような例が間々あったように私は聞いておるのでありまするが、この点についての厚生省にもし資料があればお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/50
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051・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話のように、歯科技工の職分というものは、患者に直接いたしまして印象採得であるとか試適であるとか、そういった行為を行なってはならないことは当然のことでございまして、しかしお話のようにまま間違いを起す者もなきにしもあらず、また将来もそういうことも杞憂に終るかもしれませんが、考えられないこともありませんので、念のための規定といたしまして、この法律の二十条に、そういったことをやってはいけないという意味の規定を置いた次第でございます。お話のように、過去において残念ながら、歯科技工に携わっておる人たちが歯科医療に携わり、すなわち歯科医師法違反をやって問題になった例がありますが、これは別に資料として御提出さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/51
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052・加藤武徳
○加藤武徳君 歯科技工の業務上の注意事項については、今言われたように、第二十条に記載してはございまするが、ところで、対外的な関係はない、かようには言いながら、実際問題としては、やがて資料をいただけばはっきりいたすように、歯科医師法違反で問われたような例が間々ある、多々ある、かように考えるのでありますが、ところで、かようなおそれがあれば、歯科技工が対外的に自己の業務を知らしめる際の制約というか、この点についての条章が見当らぬ、かように見るわけであります。ところで、医師につきましても、歯科医師につきましても、医療法等におきまして制約を設けておるわけでありまするが、私は医療法の第六十九条をただいま抜粋してここに持っておりまするが、この規定と同様な規定をこの法案に盛り込む必要がありはせんだろうか、かように考えておるわけでありまするが、この点についての厚生省の御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/52
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053・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) ただいまお話がございましたように、本来歯科技工に携わる人たちは歯科医師との関係を生ずるわけです。一般大衆、いわゆる患者との関係は生じないわけでございますから、理屈から申し上げましても、その広告するところも歯科医師を対象とした広告でとどまるべきだし、それでまた十二分であるというふうに常識的に考えられますけれども、過去における実情等から判断をいたしまして、まま間違った広告等がなされるということになりますと、これは歯科医療の方に及ぼす弊害がきわめて大なるものがあると考えられるのでございます。一応、現在はそういうような不心得な方はおられないとは思いますけれども、実はその点も十分心配をいたしましたのでございますけれども、その広告上の制限も、何らかの規定を置きたいということも考えてみたのでございますけれども、現段階においてこの種の職務を行う——先ほど来申し上げましたようなこの種の職務を取り扱う者に、そこまで立ち入って法律上の制限を加えることは法制上いかがであろうかというような疑義もありましたので、一応ここには載せないで御提案申し上げたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/53
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054・加藤武徳
○加藤武徳君 次に、私は指示書のことにつきまして若干お伺いいたしたい。法案の第十八条には「歯科医師又は歯科技工士は、厚生省令で定める事項を記載した歯科医師の指示書によらなければ、業として歯科技工を行ってはならない。」、かようになっておりまするが、私はちょうだいいたしました資料で、厚生省令で定めるいわゆる記載事項、この点につきましてのあれを繰ってみたのでありますが、見当らないようでありますが、いわゆる指示書はいかようなことを記載せしめようという腹案でありまするか、この点をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/54
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055・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 省令で記載をいたしたいと考えておりますことは、内容的な部分といたしましては、設計、作成方法、それから使用材料、どういう材料を使うかというようなことを内容的に考えております。そのほか、もちろん歯科医師の名称でありますとか、あるいは年月日であるとか、そういったことは当然書かせるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/55
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056・加藤武徳
○加藤武徳君 第十八条についてはわかりましたが、第十九条につきまして、指示書の保存年限は二ヵ年、かように定めてあるようでありまするが、保存の義務者はだれなんですか。「病院、診療所又は技工所の管理者は、」云々ということで、これは指示書を出しました病院なり診療所あるいは歯科医師、これが保存の義務者でありますか。あるいは歯科技工士あるいは歯科技工所、これが保存の義務者でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/56
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057・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 発行者ではございませんで、実際に製作をする所の管理者、従って受け取った者と申しますか、技工所の管理者ということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/57
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058・加藤武徳
○加藤武徳君 そうですと、第十九条は「病院、診療所」この文字は不必要なので、歯科技工所の管理者あるいは歯科技工士、かように表現することによって足りるのじゃないですか。この表現ですと、病院なりあるいは診療所の管理者が、ということに受け取れるわけでありますが、病院に勤務しておる歯科医師が指示書を同じ病院内の歯科技工士あるいは歯科技工所に渡して作らせました場合に、その指示書の管理者は、なるほど病院内ではあるが、病院とは異なる歯科技工士あるいは歯科技工所、これが保存の義務者になるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/58
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059・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 例をあげて申し上げたいと思いますが、歯科医師を歯科技工所の管理者に対して指示書を発行いたしまして、そしてそこの技工所で作って納める場合には、歯科技工所の管理者が保存の義務がある。それから病院なり診療所なりにおきまして歯科医師が患者を見まして、指示書を製作をして、そこに働いておりまする技工士に作らせる場合におきましては、そこの病院なり診療所なりの管理者が保存の責任者になる、と申しますのは、結局文書その他につきましては、これは病院、診療所におきましては、すべて管理者に最後の責任を負わせている、そういう医療関係の法律上の建前にいたしましておりますので、個人に持たせないで管理者に責任を持たせる、そういう仕組みにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/59
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060・加藤武徳
○加藤武徳君 ところで今までは指示書を作成せずに義歯等を作らせておったのに、今度のこの法律で新たに指示書を作らしめるといたしますならば、これが医療費に響いてくるかどうかという問題、これは医薬分業の問題で処方箋について議論があると同じような議論が起きやせんだろうか、かように考えるわけでありますが、指示書の作成費等について、何がしかを考えておられるかどうか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/60
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061・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) この指示書をば、結局歯科医師があるいは自分でやる、あるいは仕事の一部を人に頼んでやるわけでありまして、いわゆる両者の関係に存する文書でございますし、それからいわゆる処方箋というのは、これはそこに第三者が介入するわけでございますが、その点が処方箋の場合と違うと思いますし、もともと正確に技工を行いますにつきましては、その間の関係を正確にし、間違いがないようにするためには、当然こういったことは歯科医師等としてはやるべきことでございますので、このために歯科医療に必要な医療費が高くなるということは、これは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/61
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062・加藤武徳
○加藤武徳君 その点なんですが、処方箋についても同じ議論があるわけです。今までだって診察しているじゃないか、その診察の結果を紙に書くだけなんだから、これは処方箋料を別個に取らなくていいじゃないかという議論と、やはりこれを取らなければいけないのだ、こういう議論があると同じように、今日までは指示書を必要としなかったわけですね。ところがこの法律によって新しく歯科医師が今おっしゃったような、材料はこれを使え、型ほこうなんだ、またこういう方法でやれということを詳細に文書にしたためるといたしますならば、歯科医師は当然文書を作成いたしまするそのエネルギー等に対して代償を考えるということはあり得るわけなんであって、今日まで作らなくてよかった指示書を作るということによって医療費が高くなりやせんだろうか、かりにその指示書の代金としては要求しなくても、治療代にこれが含まれることによって、患者は今まで以上にプラス・アルファの代金を払わなければならぬ場合が起きやせんだろうか、その点をお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/62
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063・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 一応御心配の点はごもっともだと思いますが、こういうふうにお考えいただいたらいいかと思いますが、たとえば医師にしましても、歯科医師にしましても、患者を見た場合、カルテを書かなければならない、これは法律上の規定になっているわけでございます。このカルテにつきましては、結局患者との関係は何らの直接関係は生じない、業務上の必要に基いて作ることを法律上義務づけているわけでありますけれども、これについて、いわゆる医療報酬上のカルテの製作ということについての医療報酬上の考慮はまあ払われていないわけであります。ただ診療の内容に伴っての医療費というものが考慮に払われている、この指示書についても同じようなふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/63
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064・加藤武徳
○加藤武徳君 それでは最後にお伺いいたしまするが、指示書につきましては、例外の措置を設けることなく、いかなる場合にも指示書を出せ、かような建前になっておるようでありますが、同じ病院なりあるいは同じ診療所で特にかたわらに技工士を置いて治療を行なっておりまするような場合に、繁雑な——繁雑というか設計なりあるいは作成方法なり、材料を文書に記載いたしますることは、これは相当に繁雑が予想されるわけでありますが、その場合をも指示書の作成を義務づけることがどうだろうか、むしろ同一病院なり同一診療所内においては、口頭によって伝えることがより一そう正確で迅速だ、かような場合も考え得るのでありますが、この点についての例外の措置を設ける方がいい、かようにお考えであるかどうか、この点について最後にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/64
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065・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話のように、同一の病院なり診療所内における医師と技工士との関係につきましては、外の方に技工を依頼する場合と、便否の問題からすれば、多少違いがあることはお話の通りであります。そういう点も考慮いたしまして、省令で定めます場合におきましては、その辺無用の繁雑にならないように、十分便宜な取扱いができるように省令で規定をいたしたい、かように実は考えておった次第であります。この点は従来の取扱いといたしましても、たとえば処方箋とひっ比べるのは適当ではないかもしれませんけれども、処方箋の場合におきましても、そういう点は相当考慮されておったようであります。その点は省令の規定の場合におきまして、十分考慮したいつもりではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/65
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066・加藤武徳
○加藤武徳君 御趣旨はよくわかりましたが、私については若干の意見がございますが、聞き残しましたので、保存義務の点につきましてもう一回。指示書を歯科医師が出しまして、歯科技工に渡し、そして作成いたしましたものとともに歯科医師に返しまして、むしろ保存義務は歯科医師に負わせた方が適当ではないか、かようにも考えられるわけです。というのは、決して歯科技工を疑ったりまた指示書なくして作成するというような場合があるとは考えられないのですが、しかし発行いたしました者に返しまして保存せしめるという措置がよくはないか、かように思うわけでありまするが、あくまで第十九条のように、指示書は技工士なりあるいは技工所に保存せしめる方がいいとお考えになるのですか、最後に一点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/66
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067・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) この点は、実際上の取締りということを初めから考えるのもいかがかと思いまするけれども、その辺も考え合せて御提案申し上げているように、受けた方に保存義務を負わせる、そういうふうに実はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/67
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068・高野一夫
○高野一夫君 私簡単なことで二、三伺いたいのですが、第十四条の受験資格、先ほど加藤さんからの御質問にございました通りに、文部大臣と厚生大臣の指定の学校と養成所がある、これは現在幾つくらいあって、年々双方ともにどのくらいの卒業生が出ることになるのか。同時になぜこの二つに分れておるのか、どっちか一方に統制しようと思えば統制できると思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/68
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069・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 現在ありますのは、いわゆる事実上の養成機関でございまして、従ってこの養成機関を出ればどういうような特典なり効果があるというふうな、そういう関係が生じておりませんので、従って事実上、いわば養成をしているという機関があるだけでございまして、従ってこれが学校であるとか、あるいは養成所であるとかいうふうにまで、いわば分化してはっきりと分れていないわけであります。現在ありますのは東京医科歯科大学歯学部の付属の歯科技工学校それが一つ、それから日本大学歯学部付属の歯科技工士養成所——これは養成所という名前を使っておりますが——それから在団法人愛歯会技工士養成所——これは療成所になっております。この三つがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/69
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070・高野一夫
○高野一夫君 そうすると全国でわずか三つしかないというわけですか。厚生大臣の指定した養成所というのは財団法人愛歯会だけですか。あと学校になるのは全部文部大臣の指定になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/70
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071・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) これは現在まだ指定をいたしたわけのものでもございません。指定以前の現実の姿がかようになっておるということでございますので、これを指定するということになりますというと、このおのおのが、自分は学校になろう、自分は養成所になろうというふうに、それ相当の設備なりあるいは人員をそろえて、いずれかに振り分けて、あるいは現在御提案申し上げておる法律によりますと、学校であれば文部大臣の方に、養成所であれば厚生大臣の方に来るわけでございます。しかして学校ということになりますと、いわゆる学校教育法という法律上のいろいろの諸条件を満足しなければなりませんので、それ以外のものは養成所ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/71
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072・高野一夫
○高野一夫君 しからば十四条の「文部大臣の指定した」あるいは「厚生大臣の指定した」というのは、今後のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/72
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073・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/73
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074・高野一夫
○高野一夫君 今後こうしたいというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/74
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075・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/75
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076・高野一夫
○高野一夫君 そこで引き続いて伺いますが、しからば文部大臣の指定した学校の方をふやそうということになるのか、厚生大臣の指定した養成所がふえることを希望するわけですか。今後試験も受けなければならぬわけでしょうが、今後の方針としてはどういうふうにやるべき問題と考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/76
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077・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) これは学校ということになりますと、学校教育法によって規定をいたしております学校としてのいろいろの必須要件を満足させなければなりませんし、養成所であれば、そういったことにはある程度こだわりなく、つまり養成の実効を上げる、厚生大臣の要求する条件を満足すれば、それでよろしいということになるわけでございます。その意味からすれば、学校になる方がよけい条件が重くなるというふうにお考えいただいてけっこうだと思いますが、その辺をどちらが妥当であるかということにつきましては、これは別に現在考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/77
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078・高野一夫
○高野一夫君 しからば第三章の試験に戻りますが、試験のやり方、内容は厚生大臣が省令できめるということになっていたと思うのでありますが、政令で定める。そうすると養成所を出てもこの試験が受けられる、学校を出ても試験が受けられるということになるのです。そうすると程度は、学校より養成所の設備は簡単で済むし、そうすると勉強することも簡単で済むわけだが、その養成所でたくさんである、その程度の試験、そういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/78
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079・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) これはこの法律だけでなく、たとえば看護婦にいたしましても、あるいは保健婦にいたしましても、その他もろもろの医療関係の補助者等について、これと大体において同じ形になっておるのでございますが、学校の関係であれば文部大臣、養成所の関係であればこれは厚生大臣、その辺学校にしても養成所にしても目的は一つであるから、同じように取り扱ったらいいのじゃないかというような御議論もごもっともと思いますけれども、政府としては学校教育の関係は、一応文部大臣の所管ということになっております関係上、法律上の取扱いとしても、今申し上げたようなことになっておるわけでございます。ただいずれにいたしましても、学校にいたしましても、それから養成所にいたしましても、これこれの基準を備えなければならないというふうな、いわゆる指定規則は、もちろんこれはこさえるわけでございますし、これはほかの看護婦等も同じでございますが、その条件によって統制をとって参りますので、その間学校だから上、この方面の技術について上、養成所だから下というふうにはならないわけで、その間の統制は十分それによってとれては参るわけでございます。ただ先ほど来お話があっておりますように、これがどんどん数がふえるということになりますと、その辺に一つの問題が起る可能性もなきにしもあらずということは一応考えられますが、今までのところは、いわゆる養成所の指定規則ということで統制をとって、両者緊密にやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/79
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080・高野一夫
○高野一夫君 今の問題は、私はまだ伺いたいのでありますが、ちょっと私自身先を急ぐことがございますので、次にもう一点だけ伺っておきたいと思います。第二十一条の歯科技工所の開設ですね、これは別に管理者が定めるわけでありますから、当然何人といえどもこれを開設することができる、こういう意味に解してよろしゅうございますか。それが一点と、それから第二条の第三項の歯科技工所の開設でありますが、病院又は診療所内において歯科技工所を開設するというような場合はどうなるのか。ここに何か変な文句が書いてあるのでありますが、診療所が、歯科医師を開業している者が、自分のところに来た歯科の患者に対して、歯科技工を自分のところでやるということと、同時に別な診療所あるいは病院に行って指示書をもらった患者が、そこの病院、診療所から指示書を受けて、その診療所の歯科医師が技工がうまいからといってそれを受ける、こういうこともできるわけですが、その二つの場合はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/80
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081・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 第一点につきましては、お話の通りにだれでも届け出得る。それでこれは管理者を置かなくちゃなりませんから、けっこうである、そういうことになっております。
それから第二点につきましては、歯科医師が自分のところの患者に関連をして技工をやらせるというのであるならば、これは技工所にはならない、従って二十一条の届出は不必要である。ただまあほかの方の技工をそこで盛んに請負ってこさえるということになりますというと、二十一条による技工所としてあわせて届けなければならない、そういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/81
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082・榊原亨
○榊原亨君 この法律の二条にございます「歯科技工」というのは、ここにある通りでございましょうが、結局金属を溶かしたり、いろいろそういうことをすることでございますですか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/82
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083・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 金属を溶かしますこともその中の一つでございますが、終局としてここに書いてありますように、補てつ物、充てん物又は矯正装置を作成、修理、加工するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/83
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084・榊原亨
○榊原亨君 そういたしますると、第四条のめくらの人にほこれはできない。ところがおしだとかつんぼとか色盲とか——先の問題にあるのでありますが、おしとかつんぼの人が、これが身ぶり手ぶりで合うとか合わぬとか歯科医師と話をする、こういうことはやはりはなはだむずかしいことではないかと思いますが、めくらの人以外の人であれば、色盲でもおしでもつんぼでもできるのでありますか、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/84
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085・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) これは、医師、歯科医師のように、直接患者に接触をいたしましてやるものと違いまして、いわばその補助的な業務をやるわけでございますので、資格の制限等については、最大限度いわゆる寛大にすることがこれは望ましいと思いますが、そういう意味におきまして、まあ今お話のような身体上欠陥のある方でも、意思の疎通方法というものはこれはあるわけでございますから、それらの人はよろしいとして、ただ目の見えない方だけは何としてもこれはむずかしいのじゃないかということで、これだけを欠格要件として規定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/85
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086・榊原亨
○榊原亨君 そういたしますると、金属を溶かすということ、るつぼの中において溶かすということにいたしましても、どの点まで溶けたかということは、やはりその金属の溶けた色を見なければわからぬわけですが、色盲でもそれができるのでございましょうか。私はそれはよくわかりませんが、また歯科医師の指示書と申しましても、その指示書については、いろいろこまかい点を注意して、こういうものを作ってくれという指示がされると思うのでありますが、そのときつんぼでございますれば、なかなかこれはむずかしいと思うのでありますが、おしとかつんぼとか色盲とかいうものがありましても、それができるということにつきましては、私多大の疑問を持っておるのでありますが、もう一度念のために、それでもよろしいというお考えでございますか、当局の御意見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/86
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087・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話のように、言語あるいは聴覚等に欠陥のある人たちは、それらの欠陥のない人と比べて仕事を行なっていきます上において、相当不便なりあるいはハンディキャップがあることは、これはまぬがれないことだと思います。ただ、それらをもって絶対的にいわゆる締め出すというふうに考えるほどのことはないじゃないか、かような考え方のもとに、まあ絶対的に欠格者と考えられますのは、ごくしぼって考えて規定した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/87
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088・榊原亨
○榊原亨君 そういたしますると、そういうめくらさんでなければできるというような程度の業務と当局はお考えになっておると思うのでありますが、それにもかかわらず、二十四条におきましては、歯科技工所の構造設備について、強い制限がつけられておるのであります。これが先ほどのめくらでなければ、めくらの者はできないという、そのほかの方はおしでもつんぼでもいいというその考えに比べまして、二十四条の歯科技工所の構造設備が不完全であってはいかぬ、あるいは歯科技工所はこういう設備を持たなければならぬというような、いろいろ省令でおきめになると思うのでありますが、これがやはり官僚統制と申しますか、いろいろしなくてもいいことまでもこまごまとそういうことが規定されるというようなことになりますと、今問題になりました四条の御当局のお考えと比べて、これはどういうものでございましょう。この歯科技工所の構造設備というものはどういうものをお考えになっておられるのでありましょうか、その点について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/88
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089・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 二十四条の構造設備に関連をいたしましては、たとえば医療法に書いてありますような式で事こまかに書くということは、これは省令で規定をするということは考えておりませんで、二十四条については、施行の命令はないと考えております。この二十四条の規定を適用いたしまして、衛生上有害なものとなるおそれがあると認めるときは、改善すべきものと都道府県知事が具体的に命ずることができる、その規定が二十四条の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/89
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090・榊原亨
○榊原亨君 省令でおきめにならぬといたしますと、大体その構造が不完全であるというのは、どういうものが不完全であるというお考えでありますか。あるいは衛生上有害になるものが作られるおそれがあるというのは、具体的にどういう場合でありますか。それをどうして、こういうお考えがあるのでしょうか。まあそう大したことはないと思うのですが、そういうことは具体的にどういうことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/90
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091・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 今お話のように大したことはないというふうにお考えいただいて結論としてはけっこうだと思いますけれども、ここでは不完全であって、これこれで矯正装置が衛生上有害なものとなるおそれがあると認めるときは、これに引っかかってくるわけでございますから、従ってその完全であるか不完全であるかということは、衛生上有害なものとなるおそれがあるかないかということが判断の基準でございますし、その意味できわめて軽いと申しますか、そういうふうに御了承いただいてけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/91
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092・加藤武徳
○加藤武徳君 今のことに関連してですが、どうです。第四条なり第五条の書き方ですね、第二章の免許のところで、第四条では、今榊原委員の御指摘のように、めくらには免許やらないぞ、それから第五条で次の者はやらぬことがあるぞというので、悪いことをした者とそれから精神異常者やあへん中毒者、これもあげておるのですが、むしろ第四条なり第五条のかような規定は、法律に明示をすることなく、試験の制度なんですから、各都道府県の試験を行いまする際に、適当にかようなことを勘案して措置をなさる、かような措置がよろしいのであって、第四条なり第五条にややことさららしい特異な印象を受けるような表現をなさることをお避けになった方がよろしいとはお思いにならぬでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/92
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093・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) その立場の人たちから見れば、なるほど四条、五条というのは、いわば目ざわりになる規定でございまして、特に四条なんかにつきましては、お気の毒な人たちから見れば、特に目ざわりになる規定だというふうに思います。私どもも今お話のような気持でおりますけれども、ただ法律上の問題として申しますと、試験で法律の根拠をおかないで、この人は不適当だから落すということになりますと、これはやはり行政上の越権措置になりますし、従って四条なり五条というものの根拠規定がありませんというと、いかに目が見えない、あるいは精神病にかかっているということで不適当だと思いましても、試験では、通ればこれを落すだけの理由がないわけでございますから、その辺からどうしてもこの四条、五条のような、目ざわりにはなりますけれども、規定を置かなければなりませんし、それからまた第八条において免許の取り消しの規定がございますが、そういったことも好ましいことではございませんけれども、関連をしてくるわけでございまして、その意味においてやむを得ずこの四条、五条の規定を置かなければならないというふうに考えておりますが、この点はこの法律のみならず、医療関係者の、先ほど来申し上げております医療に関係した人たちの身分に関連をしては、こういった欠格事由あるいは総体的な欠格事由というものを法律に規定いたしまして、官庁の試験における自由裁量の範囲をしぼっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/93
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094・山下義信
○山下義信君 私はこの法案をまだべついたしましただけで、深く検討していないのであります。ただいまのところでは大して伺うところもないように思うのですが、念のために政府当局の御所見を伺っておきたいと思うのは、これは新しい法律だ、この種の現実の業務を行う者その他事実は存在しておりましても、法律としては新しい。従ってこの法律を作ることによって、すなわちこの種の業務に関する新たなる規定を作ることによって、この業態の将来に及ぼす影響をどういうふうに政府は見ておるか、またどういう影響を期待しておるか、ただ今日の現状を新しい法律で規制したというだけじゃ意味をなさぬ。こういう法律によって新たに規制することによって、その種の業界にあるいは業者に相当大きな好影響を期待するのでなけらねば、私は意味をなさぬと思う。それで政府はこの法律ができたらどういう変化がある、またその道の発展というか、それがどういうふうになってゆくということを予想しておられるかということを私は承わっておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/94
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095・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) この法案を提出いたしましたのは、ただ単に現状をこの法律に移すということだけではございませんで、それ以上にこの利点を私どもは予想いたしておるわけであります。そのうちのおもなものを申し上げるといたしますれば、一つは、歯科医師の何と申しますか、診療の能率と申しますか、従いまして結局内容の向上ということにも間接には資することと思いますが、これが一つでございます。すなわち歯科医師がある程度の教育を与えました介補者をつけますならば、いわゆる補綴業務と申しますか、かような診療が非常に能率よく進められる。また今日までもある程度のこの人たちの援助を得ておったわけではありますけれども、十分な資格規定というものがございませんために、もちろんできました義歯等を患者に装着いたしますのは、歯科医師自身が責任をもっていたすわけでありますが、その際に、その材質あるいは構造等がかようなものの基本的な作成原則というものに合致しておるかどうかということについて非常に慎重な検査を要する。これが基本的な教育を受けました者の介補を受けておるということになりますと、そういう検査をいたしますときに、比較的安心してこれが行えるというような点が一つでございます。そうして、しかも十分資格のあるある程度信頼のおける介補者ができるということによって、歯科医師の診療業務が非常に円滑に迅速に進むということが期待される。それからその次には、これは妙なことを申すということになるかもしれませんが、従来歯科医師の、先ほどからも問題になりましたが、狭い意味での歯科医師でなければできない診療業務というものと、歯科医師が必ずしもみずからやらなくとも歯科診療の実体に大きな支障を来たさない、すなわち物を作る業務というものとの関係が明確なようで必ずしもこれがはっきりしない、特に法文化されておらなかった。従来の裁判等におきます判決例等によっては、ある程度の区別が出ておったのでありますが、これがはっきりと法定されておらないというところから、ともいたしますと、本来の歯科医師でなければ行うことのできない義歯等の型をとる、あるいは設計をする、あるいはでき上りましたものを具体的に患者の口の中に装着するというようなことが、歯自身を作ります技工士に侵される。というより事例が従来からもございました。さようなことがないようにこれをはっきりと法文化して参り、歯科医師でなければ背負い切れない責任というものと技工士にまかせ得る業務というものを明確にいたしてさような混淆を避けたいというふうに考えました、さようなことがおもな原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/95
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096・山下義信
○山下義信君 わかりました。
次にお尋ねしたいと思うのですが、この免許の、従って試験も都道府県知事の施行にしたというのはどういう理由ですか。
それから私は関連して次回までに資料をお願いしておきたいと思いますが、その医療並びに衛生関係で、知事限りにおいて試験を執行しあるいは免許を与える種類の厚生省所管の業務、厚生大臣の免許、認許可による業務、二種類のものを資料として出していただきたい。これは資料として要求します。
それからこの歯科技工士の都道府県知事の免許にした理由。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/96
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097・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 端的に申し上げますと、医師とか歯科医師とか、そういうものにつきましては、これは厚生大臣、それからその補助者につきましては、一般的には大体都道府県知事の試験、免許というような考え方で、実は大よその見当としては進んでおるのでございます。ただ御承知のように、たとえば看護婦につきましては、看護婦は厚生大臣、准看護婦は都道府県知事、そういうふうに多少教育程度を加味して振り分けておるのでございますが、たとえばレントゲン技師等については厚生大臣というふうで、初めに申し上げました筋は必ずしも通ってはおりませんけれども、気持としては、そういうふうな振り分け方で、ただ、まあ現実の問題として補助者のうちでも教育程度の高いものは厚生大臣、そういうふうになっている次第でございます。この歯科技工士につきましては、広い意味の歯科診療の補助的な役割を果すわけでございますし、その他の今までの例とも勘案いたしまして、都道府県知事ということに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/97
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098・山下義信
○山下義信君 その知事の権限にするか、厚生大臣の権限にしておくか、従って試験も地方の試験にするか国家試験にしておくかということも、そのもののある程度格、つけになるのですね。今の御答弁は、例をあげてその区分をお示しになったのですが、ある意味においてはそのものの資格というか、軽重さというか、格づけになるような気がするのです。それですから、これはどういう基準で振り分けをするかということは非常に考えてやらなければならない。しかもこういう新しい制度ですね、全国的な制度、これを知事限りでいいかどうかということも、私はもっと理由をこの機会に聞かしてもらわなければならぬ。それですから歯科技工士、これをほんの入歯屋という、ちょっとした程度のところで知事が監督をしていればそれでいいのだというふうな程度にこれを扱うか、治療の補助をやらせるのではなくて、少くとも歯科治療の、診療の中では歯科技工というものは重要な部分を占めるのであって、その方面における非常な発展的な向上も期待するのだと、ただ単にその技工士とか技師とか、そういったようないわゆる入れ歯の職人であったというようなものをぐっと引き上げて、ぐっとわが国の歯科診療の上に積極的に筋を立てて積極的に発展させるのだという、重要視するのだということになれば、厚生大臣の権限も監督もよほど考えなければならない。それで一応知事の認可、知事の試験の程度においてこれをしたというのでありますが、これは必ずしも軽く見たというのではありますまい。先ほどこの法律の目的、期待を相当に当局は高く期待されておるのでありますから、軽く見たというのではないと思いますが、これは次回にまたあらためて伺う、それで法律の中を通して知事の認可にしてある、知事の試験にしてある、知事の監督にしてある、それをどの程度厚生大臣が監督することになっておりますか。この法律ではこれをちょっと見るともう知事限りで何でもかでも片づけさせるようにできておる。厚生大臣の監督というものが私が見ると少し薄いように思うのですが、さほど中央において厚生大臣が相当二重に監督していくという必要はない、大体知事にまかしておけばよろしいというお見込みであったのでしょうか、どうでしょうか。どの程度まで厚生大臣が監督しておることにこの法律はなっておるか、大づかみに御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/98
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099・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 具体的な厚生大臣の権限として規定しておりますのは、十四条におきます養成所の指定、養成所の指定というのは結局いい技工士が作られるかあるいはそうでないかという最もキー・ポイントになるわけでありますので、これは大臣の権限といたしております。それから次に試験につきまして、それらを出た人たちの試験につきましては十二条の三項におきまして、歯科医師試験審議会の委員の方々に指導をさせることができるということの権限を規定いたしておるのでございますが、従って試験のやり方等につきまして、実質上必要があれば関与するという建前になっております。従ってこれらの人たちの養成ないし教育及び試験、そういった最もキー・ポイントと見られるものにつきましては、厚生大臣の権限を規定しておりまして、その他の事柄につきましては、これはほかのこういったたぐいの法律につきましても同じでございますが、原則として、都道府県知事の権限といたしまして、都道府県知事に対しましては、厚生大臣の一般的な指導、監督の権限に基きまして、事実上の指導をやっていく、そういうような建前にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/99
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100・山下義信
○山下義信君 私が見ますと、今御指摘のようなところには関係があるようですが、全体を通じて厚生大臣が監督しているという非常に強い指導をしておるという面がないようで、これは何かお考えがあったのだろうと思うのですが、たとえばヒヤリングですね。ヒヤリングをやるようなことは、まあ最近新しい立法でこうして民主的な規定が出ておる。これは何をヒヤリングをするのかと思うて見ると、いろいろ処分をするときにやるのですね。これは大事なことですね。業務を停止させたり認可を取り消したりいろいろやる。このヒヤリングは知事限りということであります。言いかえると一審限りですね。この制度はこれで知事限りがやる処分の場合でも、二審制度で知事の決定に不服のある場合には厚生大臣に行く場合がある、そういう事例は他にあるのですね、御承知の通り。これは知事限りにしておる。こういうような重大なような場合に、訴えを一方的に知事だけで最後のなにをさせて、厚生大臣がもし全体の監督者なら厚生大臣まで異議の申し立てをさせることが——この歯科技工士に関する限りは、この法律は最終の監督者というのは厚生大臣だぞということがはっきりするのですが、このヒヤリング、大事な営業開始だとか、免許の取り消しだとかいうようなことが、知事限りで最終審判にさせてしまうということは、何か特別の理由でもあったんでしょうか。どういう意味で——こういう大事なことにでも厚生大臣が姿を現わしてないですね。ですからそういう意味で、私は大へんそういう点の、まあ厚生大臣といえば厚生省ですが、つまり本省のこれが力をこめて指導監督する形が法律の中に出ていないということを申し上げるのですが、何か知事の一審限りにした特別の理由がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/100
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101・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) このいわゆる聴聞に関しまする規定は、御承知のように、ほかのこの種の法律に規定をしてございますが、大体それと同じような形になっておるのでございます。これは御承知のように、処分を受けた者のいわゆる権利の保護、被処分者の保護の規定でございますので、この規定によって手続を経て処分を受けて、なお不服がある場合におきましては、訴願による道もございますし、さらにそれによって不満足な場合には行政訴訟という道もございますので、まあ、これは、いわゆるお話のお言葉を借りれば、一審ということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/101
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102・山下義信
○山下義信君 先ほどお話が出ましたが、この歯科医師試験審議会の委員がですね、「試験の基準に関して、歯科技工士試験審議会を指導させることができる。」とあるのですね。これは、こういう立法例が他にありますか。つまりこれは、言葉をかえることですね、厚生大臣がさせるのでありますから、させるでしょうが、法律の上から見ると、歯科医師試験の試験委員は、結局このことに関する限りは、知事を指導することができるのですね。歯科技工士試験審議会というのは、知事の監督下に属しておるのでありますから、知事を指導することができる、これは、こういう立法例が他にあることになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/102
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103・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) これは、保健婦助産婦看護婦法におきまする准看護婦の試験に関連をして、これと同じような規定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/103
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104・山下義信
○山下義信君 先ほどお話のありました指示書ですね、これは加藤委員の御質問のときには、この指示書というのは、歯科医師に発行義務があるような質疑応答がされておりましたが、法律の上ではそういう義務が見当らぬようでありますね、これは発行義務がありますか。法律の上ではこれは義務づけられていないんでしょうか。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/104
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105・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 発行の義務は、お話のようにございません。ただこれがなければ、いわゆる技工の施行ができないわけでございますから、その意味から、実質上技工を頼もうとすれば、義務づけられておると見て差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/105
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106・山下義信
○山下義信君 もう一つ伺っておきますのは、経過規定における特例技工士ですね、経過規定における特例技工士と本文における歯科技工士とのこの二者の扱いの上に非常に大きな何か差があるところがあったら教えておいて下さい。これは法律を読んでもわからぬ、全部同じですか。経過規定で、名称を特例技工士というだけで、何もほかに変りはないのか、多少歯科技工士、特例技工士について扱いに差があるのか、教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/106
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107・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 実質上は特別の差はございません。ただ法律上の、まあ、立法技術として、大へんごらんになりにくいような、非常にめんどくさい規定になりましたけれども、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/107
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108・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 私も一言お伺いしたいと思いますが、ただいま特例技工士という話が出ましたが、特例技工所というのは、今現在、先刻来のお話によりますと六千ばかり技工士がおる。その方々を、この法が適用されたらさっそく特例技工士という名前で三十五年まで、いわゆる技工の仕事ができるというようなふうにやられる気持ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/108
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109・高野一夫
○高野一夫君 関連して。この付則の中に、今の谷口委員のお話のあったこの特例技工士なんかは、従来の既得権を認めて歯科技工士としての仕事を与えよう、させよう、こういうことだろうと思います。ところが、これはいつの日にかなくなるべき性質のものだと思うのでありますが、こういう場合にわざわざ特例技工士なるそういう名称を置かなければならぬ理由がどこにあるのですか。ただ従来こういうものは既得権として認めて、歯科技工士として認めるというのなら、従来にもいろいろな法律で付則に経過規定として置いてあるように思うが、わざわざここに特例技工士なる特殊の名称を置かなければならないということはどういうことでございますか。それとあわせて御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/109
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110・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 谷口先生の御質問の点につきまして、お説の通りでございます。それから高野先生のお話のように特例技工士という特別の名前をつける必要は、これは好ましくないわけでございますけれども、ただ法律を書く上からいたしまして、こういうことを使いませんというと、非常にさらに繁雑になりますので、便宜法文をある程度簡便に書くための言葉としてこういう言葉を使ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/110
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111・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 ただいまの、現在技工士としてやっておられる方を特例技工士というという、私はよくわかりますが、すでに何年か技工士としてやっておったものは既得権としてこの際技工士にするというお気持は全然ないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/111
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112・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) これは、谷口先生が関係をいたされましたエキス線の関係においても同じでございますけれども、従来から事実上やっておったというだけで、そのまま認めるということは、この法律制定の趣旨からいたしましてもいかがかと考えますので、やはり試験という過程を経てそこで分けるということが必要だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/112
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113・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 まあ、診療エキス線技師あたりの万の試験を受けますときと同様に、一応試験をするというお話でございますが、この試験は、これによりますと年に一回以上おやりになるというお話でございますが、これは各府県に同様にずっと一回ずつおやりになるのですか。それともあるところは二回とか三回とかおやりになりますような場合もあるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/113
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114・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 大体まあこの種の試験の通例といたしまして、法律上の条文に一年に一回以上という規定になっておりますが、実際上の取り計らいとしては、春、秋二回というふうに常識的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/114
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115・高野一夫
○高野一夫君 この特例技工士は試験はないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/115
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116・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 試験を受けて、それで通らなければ五年後には仕事ができない、そういう意味での試験はございます。しかし五年間の範囲内であればこれは試験をなしに、試験に通らなくてもやれるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/116
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117・高野一夫
○高野一夫君 それならますます特例技工士なんという特殊な名称を置く必要を認めない。五年間の間は既得権として認める、そうしてできる仕事というものは、特例技工士であろうと歯科技工士であろうと、内容においてはごうも変りない。しかも五年の間に試験を受ければこれは歯科技工士になる。これは一体何の区別がありますか。わざわざこういう名称を置くこと自身がかえって非常に複雑化する、こういうふうに私は思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/117
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118・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話のように、こういういかにも特別といいますか、別のもののようなまあ誤解を起させるおそれもなきにしもあらずと思われます名称を用いることは、私どもも実はいかがかと思っておりますが、ただ法律を書きます便宜と申しますか、これを、こういう特別の簡単な五字の言葉を使いませんと非常にたくさんの言葉を使わなくちゃなりませんし、その結果、全体として非常にわかりにくい法文になるのでございますので、条文整理上こういった格好にしただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/118
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119・高野一夫
○高野一夫君 もう一つ伺いますが、それじゃ別個の法律で、少くとも厚生省所管の法律でこういうような書き方をした法律がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/119
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120・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) その人についてこういった名称を使ったのはちょっと記憶にありませんが、もしありましたらまた後日お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/120
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121・高野一夫
○高野一夫君 私の承知している限りにおいては、かつてこういう例はないと思う。従ってたとえば五年なら五年間は既得権として認める、五年以内において試験を受けたらば正式のものになると、こういうだけであって、私は簡単に条文に表わせるのじゃないかと思う。こういう暫定的なものを特例事項としてわざわざ名称を置くということが、後日解釈を複雑化する。そうして、お客さんからいえば、特例技工士は何であって歯科技工士は何であるかわかりませんよ、一々法律を見るわけじゃありませんから。それは歯科医師から見ればわかると思いますが……。この点十分一つ私は検討を加える必要がありはしないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/121
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122・長谷部廣子
○長谷部廣子君 私も、今高野先生がおっしゃいましたように、特例技工士なんという特別な名称をつけるということはどうもおかしいと思うのですよ。そうして今、五年間のうちに試験が受からなかったらその資格は全然もうなくなるのだとおっしゃいましたね。私おかしいと思うのです。というのは、これは一つの例でございますけれども、私がこの間友人に久しぶりで会ったのです。そしたらその友人が急に美人になっていたわけなんです。それで目も変ってないし鼻も同じだし、どこが変っているのだろうかと思ってその顔をしみじみ見ましたら、入れ歯が変っていたわけなんです。で、私は技工士というものをこれは一つの芸術家だと思うのです。それで新しくこの過程を経てきた人が熟練してそこまで達成できたならば、これはほんとうに理想だと思いますけれども、現在までそういうことに専念している、そういう特殊の技術を持っている人が、まあ学科試験というのですか、それをとにかく五年間のうちに受けて通らなかって、そういう仕事ができなくなるということは、私は大きな矛盾だと考えるのですが、それをどういうふうにお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/122
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123・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) まあ本来この法律を作ります趣旨が、歯科技工の今お話しになりましたような重要性を十分考慮いたしまして、そういう重要な仕事をやり得る人間というものをやはりある程度以上の水準に置こうということが一つのねらいでございます。もしそれが必要がないということであるならば、これは何もこの法律を作る必要はなくして、現在通りにおのがじしやっておればそれでけっこうなわけでございます。この法律を作ります趣旨は、今申し上げたようなことでございます。従いまして、この法律を作ります——まあ卒然としてと申しますか、その人の一生の上から見れば、卒然としてこの法律が出てきたわけでございますが、そこで現在やっておった人たちとそれからこの法律を実施する関係を、つなぎをどうするかということで、まあ今の特例技工士の問題が出てきているわけでございますが、それで今やっておる人、すなわち何らかの形においてこの仕事に今携わっておる人たちを全部しからばそのまま認めるということになりますと、極端なものの言い方をしますると、それじゃ特別のこういう法律を作る必要はないじゃないかという言い方も、反論として出てくるだろうと思うのです。なるほど、現在この仕事に携わっておられる方の中には、今お話のようにりっぱなお仕事をなされる方もあろうし、そうでない方もおられるであろうと思いますし、これを今日ただいまこれを振り分けて、これから以上はよろしい、これから以下はだめだということになりますれば、その人の立場から見れば、あまりにも急な働きをするわけでございますから、その後の猶予期間というものは五年間置いて、それでその間に現在やっておる人たちで、適当な人から一つほんとうの免状を受けていただく、そういうふうな意味で、五年間というふうにいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/123
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124・小林英三
○委員長(小林英三君) 本案に対しまする本日の質疑はこの程度にいたしまして、次回風後に移したいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/124
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125・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/125
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126・小林英三
○委員長(小林英三君) 次は、歯科衛生士法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/126
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127・高野一夫
○高野一夫君 この政府原案によりまするところの歯科……これは衛生婦に直っておりますが、これは別問題といたしまして、この歯科衛生士が——この仕事をする者を女子に限るということになっておりますが、こういうことは条文として差しつかえないのですか。業務をやらせるに当って、男子に限る、女子に限るというようなことを法律で制定して差しつかえないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/127
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128・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) これは差しつかえございません。例としましても、保健婦助産婦看護婦法にもございます。その他にも一、二あろうと承知いたします。ただこれを女子だけに限って、ほかの者には絶対にやらせないのだということになりますというと、これは憲法上の疑義も生ずるかと思いますが、その点は付則の方におきまして、その場合に男子にも認めるという趣旨にいたしております。これは法律上差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/128
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129・山下義信
○山下義信君 私はこの際、法案を離れて一つ伺っておきたいのですが、実は歯科衛生士のことは、現状をよく存じないのです。存じないですから、ある意味においてはまだ認識が足りませんし、議論をする資格はないかもしれません。しかしこの名称の変更をあるいは要望し、あるいは反対し、いろいろとわれわれはお話を聞いておる。ただ単にその名称の好悪あるいは好ききれいというような適不適のことなれば、これは議論にはならぬと考えておったのですが、しかし最近聞くところによると、歯科衛生士という今の業務は、主として歯科における予防衛生の活動をやっているのだというのですね。そうして歯科衛生士とういうのはそれが主目的で置かれてあるのだ、こういうのです。そうして現在の歯科衛生士諸君は、われわれはいわゆる歯科医療に関する——専門語でいうと何と申し上げたらよろしゅうございましょう、それに関する予防衛生活動という非常に高度な仕事をするのだというので、その学校に入り、その業務をプライドを持ってやってきた。ところが今度の改正案を見ると、何だか歯医者の手伝いをさせられているようだ、ちょうど看護婦の仕事と同じ、医者の手伝いをする、治療の一部を補助するといって、その仕事の内容がまた非常に向上すると私は考えておったところが、何だ、歯医者の手伝いなんというのは、看護婦扱いのようなことをするのだ、私は歯科予防衛生活動の、そういう重要な仕事をするのだ、歯医者の手伝いごとき、看護婦の——言葉が悪いけれども、看護婦のようなことに何だか仕事が下るように考える、従って歯科衛生婦という名称になるのは、いつか横山さんの御指摘になった、何とおっしゃったか、下るような気がしていやだというような議論がある。これは非常に奇異な感に打たれる。しからば歯科疾患に関するわが国の予防衛生を担任するという非常に大きな仕事をする、それでは幾ばくの学問をするのかと聞いたら、一年だというのですね。それで今のやっている予防衛生活動というものは非営に高い高度のものなのか、今回法律が企図しておる歯科治療の一部を補助するという、この仕事を広げ、高めたことが程度が高くなるのかということを、一つここではっきりと当局は私は言明してもらいたい、私の質問に答えていただきたいと思う。私が誤解しているのか、あやまちか、今度は低くなるのか高くなるのか、今やっておる予防衛生というのは非常に高い業務で今度歯医者の手伝いをするのは低くなるのか、一つその辺を私ははっきりと答えを得ておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/129
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130・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 歯科衛生士の今までの仕事は、今お話がありましたように、歯石の除去あるいは薬物の塗布、いわゆる歯科疾患の予防の上からいったら重要な仕事であるということはお話の通りでございます。一方歯科診療の補助という業務につきましては、すでに御承知のように、これは従来看護婦の仕事となっておったのでございますが、その看護婦の教育程度等は、これも御承知の通りでございますが、高等学校を出て三年の教育を受けて、さらに試験を受けて厚生大臣の免許を受けるということになっております。もちろんいわゆる准看護婦というのがございまして、その関係の者も仕事ができるようになっておりますが、そういった意味で従来看護婦が行なっておりました歯科診療の補助という業務は相当、それ相当の高度の教育を受けておった人たちが携わっておったことは事実でございますし、これは非常に重要な業務でございまして、そのためにまあ地位が上るとか下るということではなしに、むしろ従来の歯科衛生士としてやっておりました仕事に重要な一部分が加わるというふうにお考えいただいてけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/130
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131・山下義信
○山下義信君 私が名称に対しまする私の一つ判断を下す資料としてもう一つ聞いておきたい。歯医者の手伝いをするというようなことは、別に広げてもらったり高めてもらったりする必要はない、今まで通り歯石の除去というのですか、予防衛生みたいなことでええのじゃ。それで歯科衛生士という名前の方が「士」じゃからええのじゃ、こういう意見の者には今の程度にとどまっておりたい、今の名称をかたく必死と握っておりたい、こういう者には歯科衛生士というものを置いておいて、そうしてさらに高度な高いものを一つやりたいという者には歯科衛生婦というものにし、名称を二つにしたら議論がなくていいと思うが、そうやると何か困りますか、できませんか、どうですか、これは仮定ですよ。こういうことを考えたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/131
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132・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 今お話のような考えは、実は不敏にして今まで考えたことはなかったのでございます。ただそういうようないわゆる二本建にすることが適当であるかどうかということについては、これは慎重に考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/132
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133・加藤武徳
○加藤武徳君 今の山下委員の御質問を私は表から聞きたいのですけれども、今までの歯科衛生士の場合は、歯科衛生のみを取り扱っておった。今回のこの改正で歯科診療の補助もやらせるのだ、かような内容を付加したその機会に「者」であったものをそうじゃなく「女子」に変えるのだ、こういうことと、「士」ではなくて衛生婦なんだ、まあこれが今度の改正の中心なんですが、今まで通りの歯科衛生のみに関する業務であったら「者」を「女子」に変え、あるいは衛生士を衛生婦に変える必要はないのだというお考えか、あるいは今まで通りのものであっても変える必要があったのか、こういう考え方か、この点……。といいますのは、ここで新たな業務を付加したために歯科診療の補助をおやりになるのは、今まで以上に御婦人でなきゃいけないんだ、男子では工合が悪いんだ、だから「者」というのを「女子」に変えて、そうして「士」を「婦」に変えるんだ、こういうお気持であるのかどうか。従って内容が変ったから、今までの業務にさらに付加されたからここで女子という点を強く打ち出して大原則は女子なんだ、こういうことにされるのか。山下委員の御質問を私は表から聞いたわけですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/133
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134・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 率直に申し上げますが、従来の業務につきましても、前回も申し上げましたように、女子とすることがむしろ適当であるし、そうすべきであったと思います。ただ立法早々の間に行われましたので、その間の十分な考慮なくしてこういう形になっておるのでございます。それで、それに加えて今度新しいいわゆる看護婦の業務の一部分を行うのでますます女子とすることをはっきりこの機会に規定をするというふうにいたしたいと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/134
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135・加藤武徳
○加藤武徳君 よくわかりましたが、あなたは両またかけての御答弁なのでして、かりに両またかかっておるとして、重さはどちらにかかるのですか。ここで業務を付加したことに重点を置いての名称の変更であるか、あるいはさような業務の付加をしない場合でも当然改正したい、かような意欲を持っておられたか、この両者の重さはどちらにかけておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/135
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136・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) まあどちらが重いかどちらが軽いか、これは一がいには言えないと思いますけれども、従来とも適当な機会があればこれは変えるべきだ、少くとも私自身はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/136
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137・高野一夫
○高野一夫君 現在の歯科衛生士はわずか六百人くらいだという話をかつてどこからか聞いたことがあるのですが、まあそんな程度のものでありますか。それから今後どの程度これが必要なものであるか、そうして従来とも、この法律ができてから今日まで、わずか六百人くらいしか歯科衛生士になるような希望者はなかったのか、あるいは希望者はあるけれどもなれないのか、今後どの程度までこれをふやしていった方がいいのか、またふえる可能性があるかどうか、この辺のことを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/137
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138・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 現在の数は、今お話の通りでございます。それでこの数は現在の日本における歯科疾患及びその疾患の予防に関連をした仕事に関連をしてはあまりにも少いと思います。これはある程度、この制度が創設をされましてからいまだ十年にも満ちませんので、その関係もあろうかと思いますけれども、しかし一面において、数の問題はいわば需要と供給との関係というものもございますし、そういった意味からいたしましても、従来のいわゆる歯科衛生十一本の姿の需要供給と申しますか、その辺は必ずしも所期のごとく行ってなかったというふうには私は感じております。と申し上げるのは、まあそれが一つは今度改正の一半の理由でございますが、まあ歯科医師の方にしてみれば、この歯科衛生士とそれから片一方まあ歯科診療の補助をさせるために看護婦を雇わなければならない、これは経済的にも相当な負担でございますし、その観点から需要が必ずしも伸びないという点もあったと私ども理解をいたしておったのでございますが、この点を今度のように業務を改正することによりまして、その辺の不便を一面において除去し、それによっていわゆる歯科衛生婦に対する需要が増し、一面において歯科医師のいわゆる診療の補助についての不便を除くと同時に、一面においてもっと伸びなければならない、もっと日本の歯科衛生の分野において働いてもらわなければならないと思っておりましたいわゆる歯科衛生士の従来の仕事、歯石の除去でありますとか、薬物の塗布でありますとか、そういったような方面がたくさんの人によって可能にされる、そういった事態を早く招来いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/138
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139・高野一夫
○高野一夫君 そうしますと従来通りの衛生士の仕事ではどうも一向ふえない、需要がない、そこで今度この看護婦、保健婦の仕事を与えればふえる可能性がある、かようなお話のように受け取ったのでありますが、もしもさような意味で保健婦、看護婦の仕事を与えるために、歯科診療に関する限りは、そういう仕事を与えるためにふえるとするならば、歯科診療の面に働くべき保健婦なりあるいは看護婦というものの職域といいますか、それが多分に侵される懸念がありはしないかと思うけれども、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/139
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140・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 御承知のように看護婦の数は、現在の病院、診療所側のいわゆる需要に比べまして数は十分とは申せませんで、今後さらに馬力をかけてふやさなければならない、そういうような客観情勢でございますので、向うの、そちらの方の領分を取りに行って摩擦を起す、そういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/140
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141・高野一夫
○高野一夫君 これで打ち切るつもりだったのですが、もう一つ。それじゃ看護婦、保健婦をふやせばいいのであって、衛生士をふやしてそうして看護婦が足りないからそれを補うということは、これは私は考え方がおかしいと思う。歯科衛生士の本業というものは、口腔に関する予防的の仕事である、これが本業である。そこで便宜上、ここに保健婦、看護婦、助産婦の仕事をさせよう、こういうことになるわけなんですが、もしもそういう方面の看護婦に人が足りないというならば、それをふやす方法を考える、これは衛生士は衛生士で、衛生士のほんとうの歯科衛生における口腔の予防、歯石の除去その他の仕事に専念させる、こういうことの方が筋道が立つのじゃないかしらんと思うけれども、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/141
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142・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 従来努力の過程というものはそういうことであったのでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、現実の問題として、歯科業務をやっていく、あるいは歯科診療所を開設をしてやっていく上からいたしまして、看護婦を雇って歯科診療の補助をやっていけば、その方面はこれはそれで十分でございますけれども、しかしながら従来技工士がやっておりました仕事を現在の看護婦等の教育を受けているものにやらせるということは、これは技術的にも学識的にもできないことでございますので、従いましてその方面については別個にまた歯科衛生士を雇わなければならない、そういうことになるわけでございます。そういたしますというと、実際問題として、歯科診療所を経営をしていく上からいっても、これは相当経費の上からいっても負担がございますし、反面、従来の歯科衛生士につきまして、もちろんいわゆる患者のベッドにつき添っての世話という教育、はこれは受けておりませんけれども、歯科診療の補助という仕事につきましては、ある程度それを可能にするような教育を受けておりますので、その方面は現在の教育程度でその業務をプラスをしてかまわないというふうな状態でございますので、従いまして、そういたしますというと、この従来の歯科衛生士を雇えば、一面においては薬物の塗布であるとか、あるいは歯石の除去であるとか、そういった仕事にも役に立つし、一面においては歯科診療の補助にも役に立つ、そういうようなことでますます従来伸び悩みがちであった歯科衛生士の需要というものが、そういう格好で伸びてくる、その結果としていわゆる歯科疾患の予防ということが相当伸びる、そういうことをまあ見込んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/142
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143・高野一夫
○高野一夫君 今お話を伺っていると、私は単なる便宜主義にしか受け取れない。そうして一方の方は保健婦助産婦看護婦法なるりっぱな法律があるわけです。そこで単なるそういう便宜主義をもって、この歯科衛生士法によってこの別個の保健婦助産婦看護婦法の一部をくずすと申しますか、何と申しますか、これに触れるようなそういう立法の措置の仕方をするということが適当であるかどうかということは、私はこれは十分検討する必要があると思います。まあきょうでなくてもけっこうですけれども、この次にでも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/143
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144・山下義信
○山下義信君 議事進行について。私は政府に要望しますが、政府の御答弁は、これは前回以来、本日も私の質問にも加藤委員の質問にも、また今の高野委員の質問にも、御答弁が実ははっきりしない。いつまでも質問も要領を得ぬし、何というか、議論ではまだないけれども、議論の段階ではないけれども、堂々めぐりしているけれども、はっきり一つ答弁して下さい。それだけ要望します。つまり、言いかえれば、歯科衛生士というものを、それを歯科衛生婦というものに名称だけを変えようとするのじゃなしに、その業務をちょっとプラスするというだけではなしに、歯科衛生婦という新しい制度をほんとうは作り上げようとするのかどうか。それで、歯科衛生士というものがおるから、これを捨てて置くわけにいかぬからこの人も歯科衛生婦という資格のあるようにして、つまり現実に歯科衛生士が今五百人か六百人おられるのだから、それを歯科看護婦というものの資格のあるようにしていくということも言い得られるでしょう。どういうふうに——歯科衛生婦というものを創設していくねらいというものと、現在の歯科衛生士というものの扱っているものと、これは私は一つものを、一つ方向に向いておるものを、これを業務を少しプラスし、少し資格を上げるのかと思ったところが、私の質問にも依然はっきりとお答えにならぬのだが、歯科衛生士という六百人のものの向いておる向きが違う。今度の歯科看護婦というものの業務をなさんとする方向なり、職分なり、向きが違う。それで、これははっきりしておいてもらわぬと、同じ方向に向いておるものを名称を変えるのだ、名称を変えるのだとかたがたして、それの御説明というものは私は要領を得ぬと思う。承わるところによると、歯科衛生士というのは、何かあかを取るとか、薬をお塗りになるとかということで、予防衛生方面で学校とか何とかという方面にも御活動になる。歯科衛生看護婦というのは治療に今度はタッチしていこうというのですよ。ですから歯科衛生士が今活動しているところの分野と、それから今度歯科看護婦というものが御活動せんとする分野とは違うじゃありませんか。同じ分野で同じ職域でもってただ資格の内容を名称だけを変えるがごとき印象を受ける説明をわれわれになさるのですけれども、今の六百人の歯科衛生士という人たちの働いておられる分野というものと、今度歯科診療補助なりにタッチさせようとする、今度大いに活動しようとする職域分野は非常に私は違うと思うのです。それを同じ方向のように御答弁なさっておられるが、私の認識が違うのかどうか。あとの皆さんの御質問におそらく関連すると思うので、政府からはっきり御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/144
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145・竹中勝男
○竹中勝男君 関連して。まあ厚生大臣も医務局長もおられるから、やっぱり山下委員が今言われたことに関連することですが、私は二十年か二十五年ほど前にローチェスターというところにおったことがあるんです。アメリカの。あそこにイーストマンという写真機のあのおやじさんが、イーストマン・デンタル・ディスベンサリーという歯科の治療病院をこしらえて、そこに私の友人がおってそこをよく知っておるんですが、そこは相当しっかりした学校が付設されていまして、おそらくその時分で二年ぐらいの学校で、初めて歯科衛生婦を養成しておったんです。二十五年ほど前に。そして学校及び幼稚園、そういうところにどんどん衛生婦を派遣するために歯科衛生婦を養成しておったというように記憶しておるのですが、日本でもそれは非常に必要だと思うのです。歯の衛生ということを厚生省が本格的にやる、本格的に乗り出すべきだと思うのです。これは健康の基礎になるだろうと——私は歯のことはわからないけれども、思うのですが、その方向に行くのでしたら、その目的のための改正でしたら、歯科衛生婦という新しい法律及び名称ができていくということには賛成なんです。ところが、現在の一年程度の看護婦よりも修業年限が低いもので看護婦が今までやっておった業務を、歯科医師が看護婦を雇うことは経済的の負担の上からも、負担が過重であるからという医務局の方の御答弁であったのを見ると、これは歯科衛生の向上よりもむしろ程度が低くなる点があるんじゃないかということをおそれるのです。それでそういう意味においては、現在の歯科衛生士をそのまま別に改正する必要もないように思われる、ただこれを女子の新しい職域として保健婦、看護婦、助産婦、そういうような点まで引き上げていこうという法律であるならば、私は歯科衛生婦という新しい名称と同時に、新しい積極的な歯科衛生の向上、予防医学だとか公衆衛生という立場から、これは積極化していくという点であるならば、私はこの名称の変革も、改正も非常にいいことだと私は思う。それなしにただ便宜的に現在のものを看護婦よりも歯科衛生婦の方が使いやすいからとか、あるいは男の衛生士があまり多いとまがいの行為が起るような危険性もあるからという便宜主義でもってこの法律が改正されるということは、私は、どうもあまり積極性がない、むしろ歯科医療を低下さすように思われてならないのですが、医務局長でも、厚生大臣がせっかくおられるのですから、歯科衛生に対するもっと積極的な施策、すなわち歯科衛生婦というものによって、積極的に歯科衛生をやられる意思があるのかどうかということをお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/145
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146・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) かなり根本的な疑念についての御質問でございますが、御疑問に対して的確な御答弁ができるかどうかわかりませんが、一応お答えさせていただきますれば、私どもとしましては、今の歯科衛生士あるいは看護婦それから保健婦、かようなものの教育につきまして、率直に申し上げますれば、二つの方向がございます。もっと近いものを申し上げれば、看護婦と保健婦なんであります。戦争前には御承知のように、看護婦の資格のない保健婦というものが認められておったんであります。今日におきましては看護婦の基礎的な教育を受けておらなかったならば、保健婦の仕事はできないというふうに考えられて、看護婦の教育をまず受けて、その上に保健婦の教育を一年なり何なり受けて資格を得るという建前になっております。最近におきましては、いわゆる浸透教育と申しまして、この看護婦の教育とそれから保健婦の教育とを一緒に基礎的な、あるいは共通的な教育を行いまして、そして四年間なら四年間の教育を経ました暁に初めて看護婦の受験資格及び保健婦の受験資格も出てくる、同時にそのかわり生ずるというような教育、この方にかえって妙味があるのではないか、と申しますのは、いわゆる疾病の治療と予防というものがきわめて密接にこまかく入り乱れておりまして、単なる治療あるいは単なる予防というような教育は、この分野においてはきわめて困難であるというような考え方があります。はなはだわき道に参りまして恐縮でございますけれども、これは医学の教育におきましても、二つの議論といいますか、学派と申しますか、こういうようなものがあるわけでありますが、予防と治療というものはこれは分けるべきものではないという考えがございます。少くともそれぞれ主として担当するのは、いずれを担当するかという区別をいたしましても、両方の知識を少くとも基礎的な点においては兼ね備えておかなければ、予防の面あるいは治療の面を主として担当するとしても、十分なことができないというふうに考えられておるような次第であります。それで本論に返りますれば、この歯科の面におきましても、従前は歯科の予防という面を担当します者として一応歯科衛生士を考えたのであります。そうしてこの診療の介補という面におきましては、これは一般の看護婦がこの歯科においても診療介補を行う最も適当なものだというふうに二本建に考えておったのであります。ところが先ほど来次長からも説明申し上げましたように、実情はどうかと申しますと、この看護婦が広く一般の診療介補の技術を身につけておるのでありますから、非常に限定されました歯科の診療介補に招きましてもとかく希望をいたさない。またこれは全般としまして、他の一般医療におきましても看護婦が不足しておるという事情もあると思うのでありますが、事実歯科医師の方ではこの看護婦を希望いたしましても、現実においてはなかなかこれが得られないというような状況であります。また他面におきまして、歯科衛生士は非常に何と申しますか、非常に明るいと申すか、高い希望をもって作り出された制度でございますけれども、この歯科衛生士の活用というものが、これも十分にその活動の分野が開けて参りかねておるきらいがあるというようなことで、これはただ予防だけをやるので、すでに虫歯になったものは指導力も何にもないというような工合に世間からとられますと、非常に予防という面においても十分な力を伸ばすことができない。事実はいかがと申しますれば、生理解剖等基礎的な学問はやっておるのであります。むしろ歯科衛生士は大体高等学校を出て学校に入るわけであります。看護婦もさようでありますけれども、准看護婦等は中学校卒業で教育を受けることになっておりまして、准看護婦よりは高い基礎的な教育をもってこの術をおさめておるものであります。従いまして、この基礎的な知識は決して准看護婦に劣っておるものではございません。その上に歯科診療につきましての知識というようなものでございますと、一般の看護婦あるいは准看護婦の教育におきましては、歯科診療にさかれます具体的な時間というものはきわめてわずかなんであります。むしろその時間よりも歯科衛生士の方が現実にもよけいな経験を経ておる。もちろん診療介補者としての特殊な教育ではございませんから、幾分ねらいにズレはございますけれども、このいわゆる歯科の臨床関係の仕事といたしましても、かなりな時間をとり得るということになって参りますので、さように考えますれば、この歯科衛生士にこの診療介補を行うのだということで、その力をつけるだけの時間は優にとれるのでありまして、また基礎も備わっておるのであります。こういたしますれば、歯科診療に限る限りは、診療介補のことが今日の高等学校を出て勉強する歯科衛生士の人たちには優にこなしていける力がつくというふうに考えておりまして、またさようになりますれば、この疾病予防の点についても十分な知識を持ち、そして診療介補についても、決して一般の看護婦には歯科に限る限りは劣りはせずむしろまさった力を、技能を持った人がここに養成できるというような意味におきまして、この二つの——先ほど御質問がございましたが、二つの種類の職種を作って参ると言いましても、その基礎的な教育や基本的な技術におきましても、非常に多くの部分が重複いたすのであります。それに若干ずつこの特殊な教育を加えますれば、この歯科予防といたしましても、また歯科診療としても、十分何といいますか、成果を上げるだけの技能を備えられ得るというふうに考えましたところで、これを一つにまとめることの方が今日の実情に合っておる。歯科の治療及び予防という両面を進めていく上には、この考え方はきわめて適切であろうというふうに私どもは判断した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/146
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147・高野一夫
○高野一夫君 ちょっと医務局長に伺いますが、しからばなぜ保健婦助産婦看護婦法の中にこういう除外例を設けられなかったか。保健婦助産婦看護婦法の中に、歯科診療に関する限りは、こうこうこうというふうに歯科衛生の一つの仕事をさせる、こういうような除外例をもとの法律の中に置くならば、まだ筋道としてわかるけれども、もとの法律はそのままほったらかしておいて、そしてその法律にたよるところの保健婦、助産婦、看護婦というものは、その法律で定めたる領域を持った一つの仕事が自分たちはできると、こう思っておる。ところが歯科衛生士法を見れば、あにはからんや歯科診療に関する限りは、その仕事の一部がこっちの方でやられているのだそうだ、やってもかまわないのだそうだ、こういうことになるわけでありまして、それを一つの法律できめておいて、本業をこっちできめておいて、それを別個の法律でもってそれをくずすということは、僕はどうかと思う。その前の看護婦法の中に除外例を設けて、そうして歯科診療に関する限りは、こうこうにしても差しつかえないと、こういうふうな規則にすることが、私は筋道だと思うが、その点はどうですか。簡単に一つ。あなたのは長いから、簡単に一つ。簡潔にやって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/147
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148・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 私の考えておりますのは、普通の看護婦は歯科診療の介補もできるというふうに考えておるのであります。この歯科衛生婦はこの歯科疾患の予防業務ということもあわせて歯科に限って診療介補ができる、一般の診療介補はできないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/148
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149・阿具根登
○阿具根登君 ちょっと今の答弁はおかしいのです。まず、僕も簡単に質問しますが、この歯科衛生士を作られる場合には、医師のほかに予防士としてこれを作って、そのほかにまた看護婦は従前通りおる。ところが看護婦が集まらないようになる、当然です。婦は口の中に手を入れることはできないでしょう。そうすると、看護婦はおらないようになるのだと思うのだが、今のやつでは科をやってもいいということに言われたのです。ひっくり返していえば、看護婦は三年間の教育を受けてきて看護婦になってきておる。ところが限られた歯科だから行き手もない。またその上に一年間学校へ行った衛生士がおったならば勤めるのもおもしろくないだろう。そこで考え方は、今度はその一年間の衛生士に看護婦までの仕事をさしたならば、そうすれば非常に予防衛生も発達するのであろうし、衛生士も非常に今後の活躍場面が広がってくるだろう、こういうことで私は歯科衛生士を衛生婦にするというふうなことになったと思うのだが、そうすればその点からいけば、何かこの歯科衛生婦というのは保健婦、助産婦、看護婦よりも下だと、そうすれば口腔衛生というものは下でいいのだと、こういうことになるのだと思う。そうじゃないとするならば、ほとんど先ほどの保健婦でも看護婦を通った人でなければできないということならば、看護婦にこの歯科衛生士的なことをさせるならば、すでに一般看護を卒業しておった人ならば、高等学校を卒業した人だけの人が一年で習得する仕事ならば、おそらくその半分ぐらいでできるのじゃなかろうか、こういうふうなことも成り立りわけですが、どういうふうですか、その関係は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/149
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150・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 私がお答え申し上げましたこととただいま言われましたことと、ちょっと食い違いがあるのじゃないかと私は思うのでございますが、それは一般の看護婦であります。その看護婦は口の中に手を入れて歯科の手伝いができるというような御表現をなさいましたが、歯科衛生婦の仕事のうち、診療介補の部分だけが一般の看護婦にも許されるという意味でございまして、歯科衛生士の仕事は一般の看護婦はできませんでございます。さように私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/150
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151・阿具根登
○阿具根登君 そうすれば逆に行けば、歯科の看護婦は一般看護婦の免状を持たなくてもできるのだ、こういうことになるわけなんですね。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/151
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152・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 今回の歯科衛生婦の免状を持っております限りはできます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/152
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153・阿具根登
○阿具根登君 そういうことになるのですね。そうすると、歯科に関する看護婦というものは一般看護婦がやらなくてもいい。それだけの経験を持たなくてもよろしい。一年間予防医学というか、歯石とかあるいは衛生とか、それだけ習っておけばいいのだ、看護婦は勤まるのだ、こういうことになりますね。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/153
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154・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) ちょっと御質問の意味をつかみがねましたのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/154
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155・阿具根登
○阿具根登君 私は、口にしても目にしても看護婦というものは、やはり一通りの看護婦の技量を持っておる人がやるべきだという観念をもって話をしておるものです。で、あなた方の意見を聞いておれば、この歯科の看護婦については、一般看護婦並みの仕事ができなくても、それだけの教養を受けておらなくても、衛生的な教育だけ受けておれば十分勤まるのだ、一年間でよろしい、こういう結果になりますが、そうですかと聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/155
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156・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 私どもといたしましては、歯科のいわゆる歯科診療というものに関する限りは支障がない。ただし、ちょっとつけ加えて申し上げますが、一般の看護婦の場合におきましては、この一つの大きい仕事は、むしろ入院患者につきまして、お医者様がそばについておられずに、いわゆるある程度の独立性を持った看護業務というものの責任を持たされる。歯科の場合におきましては、さようなことはきわめて少いのでありまして、いわゆるお医者さんのお手伝いをして診療室で仕事に従事するというような意味におきまして、ただいま申し上げましたような差異が出てくる。実際問題としましては、それで支障がないというふうに判断いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/156
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157・阿具根登
○阿具根登君 そうすれば、これを作られた目的というものは、今まで三段階にあったものを二段階にして、看護婦は一般治療に当るようにして、そうして歯科の看護婦は衛生士におまかせするのだ、こういうことで考えられたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/157
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158・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/158
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159・竹中勝男
○竹中勝男君 そうすればどうも歯科医療に関する限りは非常に後退してくるのじゃないか、こういうように考えられるのです。看護婦よりも修業年限が三分の一のもので歯科医療はやっていくということであれば、歯科医療というものが非常に低くなるのじゃないか。たとえば私は歯医者に行くのは大きらいで、注射など持ってこられると、そのとき気が遠くなって卒倒するような気がするのですが、そういうときに生理だとか、衛生だとか、一般の看護の技術を持たない者、口の中のことだけ知っているという人では患者は非常に心細いと思うのです。のみならず、これが学校だとか、幼稚園だとか、外国で歯科衛生婦がやっておるように、一通り衛生の話をして、それから歯の磨き方の練習までさしています。それからあらゆる衛生の講話をしております。歯科に関することが中心ですけれども、保健婦のやるようなことまでやっているようにその口腔衛生を一般的にもっと高めていこうとするには、どうも歯科に関する限りは低くなるおそれがあるというふうに考えるのですけれども、これは専門のお医者さんの方がそれでいけると言われれば私はそうであると考えるよりほかないのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/159
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160・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) いわゆる正規の看護婦は高等学校を卒業しましてから三年間の教育を受ける。この歯科衛生婦は高等学校を卒業しましてから一年以上ということになっておりますが、とにかく三年の教育を受けなければ許されなかった仕事が一年で許されるということになるならば、後退ではないかというようなお話であるというふうに考えるのでありますが、先ほど申しましたように、三年間教育を受けると申しましても、実際に歯科の診療介補の部分というものにさかれる時間というものはきわめて限定されておるのであります。他のことに多くの時間が費されております。それからもう一つは、先ほど申しましたように、歯科の場合にはいわゆるベッド・サイド・ナーシングというものがほとんどないのでありまして、結局診療室における介補ということになって参りますということ、それからもう一つは、今日におきましても准看護婦程度の教育を受けましたものでこの診療介補は許されておるわけであります。特にこの点につきましても、今申し上げましたような入院患者に関するベッド・サイド・ナーシングになりますと、特に仕事に独立性が出て参ります関係から、こまかく正規の看護婦の指示を受けなければなりませんのですが、診療室勤務のような場合には、それで大きな支障を生じていないというような事情がございますので、私どもは、この実情に合せまして決して診療の内容を落すというようなことにはならない、また歯科衛生婦の今後の教育におきましても、従来の歯科衛生士の教育よりも後退させるという考え方は持っておりません。
なお、ちなみに申し上げますが、国によりましては歯科看護につきましては、一般看護と多少特殊のものがあるというような考え方で、デンタル・ナースというものを別に制度としてきめておるところもございます。一般看護と歯科の看護というものには、今のような事情から申しましても、ある程度の差異があるということは認めてよろしいのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/160
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161・榊原亨
○榊原亨君 議事進行。大体先ほどから政府のおっしゃることは行きつ戻りつしておるわけでありますので、これは次回にされまして、一つそこの辺のところを統一されましてやっていただきまして、今日はこの程度でいかがでございましょうか。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/161
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162・小林英三
○委員長(小林英三君) 本案に対しまする質疑はこの次に譲りまして、次の議題に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/162
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163・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないようでありますので、そのようにいたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/163
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164・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記を始めて。
次に、連合審査会に関しましてお諮りいたします。
恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(衆第二八号)及び恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(参第一二号)に関しまして、内閣委員会と連合審査会を開くことにいたし、内閣委員会に申し入れることといたします。内閣委員会におきまして決定した場合におきましては、本委員会においても決定したことといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02419550711/164
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165・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。それではさように決定をいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十九分散会
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