1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十九日(火曜日)
午後一時五十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小林 英三君
理事
加藤 武徳君
常岡 一郎君
竹中 勝男君
山下 義信君
委員
石原幹市郎君
榊原 亨君
谷口弥三郎君
横山 フク君
田村 文吉君
森田 義衞君
阿具根 登君
河合 義一君
相馬 助治君
有馬 英二君
長谷部ひろ君
衆議院議員
永山 忠則君
政府委員
厚生政務次官 紅露 みつ君
厚生省公衆衛生
局長 山口 正義君
厚生省医務局長 曾田 長宗君
厚生省医務局次
長 高田 浩運君
厚生省薬務局長 高田 正已君
厚生省保険局長 久下 勝次君
事務局側
常任委員会専門
員 多田 仁已君
法制局側
参事(第一部第
一課長) 中原 武夫君
衆議院法制局側
参事(第二部長) 鮫島 眞男君
説明員
大蔵省主計局主
計官 大村 筆雄君
厚生省保険局国
民健康保険課長 菅野 周光君
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本日の会議に付した案件
○国民健康保険法の一部を改正する法
律案(衆議院提出)
○あん摩師、はり師、きゆう師及び柔
道整復師法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○優生保護法の一部を改正する法律案
(谷口弥三郎君外四名発議)
○参考人の出頭に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/0
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001・小林英三
○委員長(小林英三君) ただいまから委員会を開きます。
最初に御報告をいたします。
前回の委員会の決定に基きまして、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整腹師法の一部を改正する法律案の審査に資するために、参考人から意見を徴することになりまして、その人選等につきましては、ただいま委員長理事打合会におきまして協議の結果、時日は七月の二十一日木曜日、午後一時といたしました。参考人につきましては、お手元にお配りしておりまするプリントの中から九人を選定をいたしました。なお、手続その他につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/1
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002・阿具根登
○阿具根登君 私、特別異議を申し上げるのではございませんけれども、まああらゆる法案の場合に、こういう参考人の方をお呼びすることはあると思いますが、九人というのは私は非常に多い数ではないかと思うのです。そうしますと、これが前例になりますと、今後の法案の審議に非常に私は差しつかえるのではないか。九人を選ばなければできなかった理由が私によくわからない。これはたとえば業者の代表の方があるいは三人とか四人とかいうのならわかるけれども、九人というのは多過ぎるように思いますが、それをちょっとお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/2
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003・小林英三
○委員長(小林英三君) 大体、呼びますのは、電気療法の研究者といたしまして、元横浜医科大学の講師の檜物一三という学者です。それから今度は指圧の研究者でありますが、元東京医科大学の教授藤井尚久という人、それからあん摩、はり、きゅう、柔道整復師中央審議会委員をしておりまして東大の医学部の整形外科の三木威勇治という人、この人は学者側として、そのほか医者の立場からしてこの問題をどう考えるかということにつきまして、日本医師会の会長の黒沢潤三さん、それからあん摩、はり、きゅうの業者の代表といたしまして、全日本鍼灸按マッサージ師会友長の小守という人、それから地方の京都のマッサージ師会長の関野さん、それから指圧の方の代表といたしまして、日本指圧協会長の浪越という人、それから埼玉県のやはり指圧の会長をいたしております小高君、この九人ということにしたんですが、まあもし多過ぎるということであれば、この委員会で御相談申し上げて、だれか減らしてもいいのですが、十五分ぐらいだから、大体まあ二時間半あったらできるのではないかと思いまして、午後ですから十分時間があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/3
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004・加藤武徳
○加藤武徳君 会期が短かくなっての今ですから、阿具根君の意見もわからないでもないんですが、まあせっかく理事会でおきめ願ったことですし、御了解を得て、理事会できめたように一つお進めを願いたい、かように考えますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/4
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005・阿具根登
○阿具根登君 了解。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/5
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006・小林英三
○委員長(小林英三君) 次に、国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/6
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007・石原幹市郎
○石原幹市郎君 一点だけ昨日ちょっと質問が残ったのでありますが、それは昨日もちょっと触れました問題でありまするが、この補助の予算が、精算してみた結果、二割相当額を下回った場合には、決算に基いてこれを精算することに今後なるわけでありまするが、普通のやり方でいえば、決算ができるのは、三十年度の予算であれば、来年の六月、あるいはそれ以後ということになるわけで、それからそれに基いて予算を組むということになりますと、つまり三十年度のものが三十二年度になって初めて精算されて補正されるということになるのでありまして、これは市町村が国保事業をやっていきます上に、翌々年になって初めてその補助が精算されるということでは、新しく事業を始めてきた所であるとか、その他非常に不都合を来たす事例がたくさん出てくると思うのであります。そこで私は大蔵当局に対しまして、大体この予算と実際の実績の相違の見通しというものは、翌年の予算が作られる前に大体の見通し、見当はつくのでありまするから、その見通しに基いて翌年度の当初予算にこれを計上していく、こういう措置をとってもらいたいのでありますが、とれるものかとれないものか、重ねてもう一度この点を伺っておきたいと思います。それからほかにもこういう予算が、精算の結果、実績と違ってきたという場合には補正するというようなほかに事例があるかないか。ある場合にはどういうふうな措置をとっているか、これもあわせて承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/7
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008・大村筆雄
○説明員(大村筆雄君) お答え申し上げます。国民保険をやっております団体から申しますと、ただいまのような御質問の御趣旨もごもっともかと存じますが、予算上の技術的の問題はともかくといたしまして、実際上の問題といたしますと、大体本年を例にとりますと、三十一年度の予算を編成いたします場合に、大体各省から大蔵省へ要求をお出しになりますのは八月末であります。今年は多少おくれると思いますが、それを政府部内において調整いたしまして、国会へ提出するのが大体一月の初めでございますが、その間、それまでの間に三十年度の決算見込みが果してどの程度できるかということになりますと、私どもで決算見込みがどうしてもほしいのは、九月か十月ごろ少くともほしいわけでありますが、今の五千余の団体から決算見込みをとっておりますると、昨日申し上げました通りに、非常に最近の統計的な資料は不備でございまして、またそれが全国的に集計されるのが非常に手間どっている状況でありまして、ほぼ数カ月は要するという状況でございます。従いまして十月ごろまでに本年度見込みを集めるということは、非常にこれは無理でございまして、どうしても三十一年の早くて三月か四月にならざるを得ないんじゃないか、かように考えております。しかもあまりラフな決算見込みを基礎にするということもいかがかと思われますので、しかも、もう少し統計書なんかはっきりするような段階になりましてから、できるだけ御趣旨のように持っていきたい、かように考えております。
それからこのような例はほかにはないかという御質問でございますが、たとえば生活保護費なんかにつきましては、本年度予算におきましても、一応約十億でございましたか、前年度の赤字見込みを計上いたしてございますが、これは生活保護費などは、おおむね県の段階、それから市でやっておりまして、割合最近ではこれの報告が早く、比較的確実なものが得られるようになって参りまして、しかも本年度は予算の編成がたまたま四月にずれたという関係もございまして、比較的決算見込みがつかみやすかったという点もございまして、十億程度前年度の赤字見込みを計上した例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/8
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009・石原幹市郎
○石原幹市郎君 これに関連して厚生当局にちょっと尋ねたいと思うのでありますが、その年度に新しく事業を開始するもの等に対しても補助をやらなければならぬわけでありますが、それは大体今まで聞いておりますところによると、九月ころくらいで締め切るというやり方をとっておられるようでありまするが、そういたしますると、九月前後ころに大体のその年の補助を使う見通しが立つのじゃないかと思うのでありますが、そういうことになれば、今の大村主計官からの説明によると、九月かあるいは十月ころまでに見通しがつけば翌年度の当初予算に計上できる。現に生活保護費のごときものについても、できるだけ便法はとっておるというお話でありましたので、できればわれわれもそういう措置をとってもらいたいと思うのでありますが、現在厚生省ではどうやっておるか。あるいはまた十月なら十月ごろにその見通しが立つものかどうか。一応承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/9
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010・菅野周光
○説明員(菅野周光君) 九月一日までに開始いたしました保険者に対しましては、当該年度の助成交付金等を出すように考えておりますのは、最大限、いろいろな申請あるいは手続、査定、さらに査定の結果の通知交付といった所要の一連の手続を進めまする最大限の物理的な限度だというなところでやっておるのでありまするが、それが完了するのが二月ないし三月くらいになるわけでございます。そういうような事情でございまして、全国の統計数字というものが集計せられますのが、非常に早く行って二カ月あるいは三カ月後になるのではないかというふうに考えられます。従ってこの精算をいたします場合に決算の推計を出す、これも程度問題でございまして、五カ月ないし六カ月くらいの推計数字を含めた決算見込みということになりますと、先ほど大蔵省からお話もあったような、非常にラフなものになるということにもなりますので、これはちょっと実際問題としてむずかしいのではないかというような気もいたします。統計数字については、いろいろ従来まだ不備な点もございましたし、内容的にも、あるいは出す時期等についても早くないというようなことで、これは私ども半年前から本腰を入れて整備する段階に入っておりますので、この法律が成立いたしまして、決算精算というような制度の建前になりますと、どうしてもできる限りのがっちりした数字、統計を各保険者に望まなければならないということで、これは私どもの大いに力を入れてやらなければならないところでございます。そういうようなことで、それの促進の状況等にもよりますが、当初予算に設けるということについては、必ずできるというようなことが言えるかどうかという点について、私どもも実はちょっと危惧を持っているような点もございます。ただ、非常にはっきりした要素が非常に大きく変ってきたというような場合には、あるいはその面について数字的な整備をいたしまして、予算編成の途中においてそれを突っ込んでいくというようなことも可能ではないかということも考えておりまして、これはその取扱い方等については、私ども大蔵当局とそのつど御相談の上でやっていったらどうかというような意見を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/10
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011・石原幹市郎
○石原幹市郎君 大体わかりました。そこで厚生当局に対しては、国民健康保険事業に対する統計組織等をできるだけ早く整備して、予算要求等に関連するいろいろな資料が早くでき上るような機構を作るように努力をしていただきたい。それから大蔵当局に対しては、実情に沿うように、なるべく早い機会に予算に盛れるように、できれば翌年度の当初予算に、それから補正予算等がありまする際には、必ずその補正予算でその問題を解決していくように、今後の善処を要望しまして、私の質問を終ります、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/11
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012・山下義信
○山下義信君 関連して伺いたいのですが、今の補助金の交付の方法ですね。過不足ができたときの話や、いろいろ念の入った御質問がありました。大村主計官からのお答えの中に、生活保護法の一例をお引きになって、こういうやり方もあるというお話ですが、私は昨日この席におりませんでしたので、もし重複したら御指摘を願いたい。一体この補助金は締めてみてあとから補助金を使うのですか。この生活保護法は、これは義務費であるけれども、出し方が違うのです。そして毎月出しておるのですから、先渡しもしておくのだし、足りなくても実際には現業の末端の執行機関は困らない。国保の方は補助がおくれてきたり、当初の予算額よりは違ってくると、その交付がおくれると非常に困るのですね。それで生活保護法の方は、それが相当の狂いが生じても実は困らないような交付の仕方になっておりますね。続けてみて、予算が足りなかったらずっとあと決算にきて払うというやり方になると、今御指摘のように大へんこれは研究もしなくっちゃならないし、せっかくの補助が行きどまることになって、保険者が困る期間が長いわけです。どういうふうな交付の仕方をなさるのか。政令その他でこまかくおきめのようだが、四半期ごとになるのか、または毎月か、毎月というのは結局一年分の統計が出てくると思うが、毎月のか、あるいは三カ月ごとの統計を出させるのか、補助金の交付のやり方というものがあろうと思うのですね。ですから理想的にいえば、毎月末の療養給付費の統計を見て、毎月ごとにやっていれば、当初の予算より見込みが非常に違っても、あとでそれが補正されても保険者の困る期間というのは短かい。これはどういうやり方をすることになっておりますか、建前は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/12
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013・大村筆雄
○説明員(大村筆雄君) お答え申し上げます。おそらくもう御承知だと思いますが、念のために御説明申し上げますと、ただいま予算において組んでございますのは、大体当該年度に見込まれます療養給付費の二割相当額を予算に交付金して計上してございます。ただそれを補助金として、助成交付金として国保の団体に出す場各は、その基準は五つほどございまして、これはそれぞれ交付をやっておる団体の事情が違うものでございますから、しかも今育成過程にあるものでございますから、その実情に応じて大体五つの基準を出してあるのでございますが、その基準のもととなる実績を、これは厚生省でおとりになっております。それが出ましたところで、年数回に分けて出すようにしておりますが、実はその実績の数字の確定を待っておりますとおくれるという点もございますのですから、場合によりましては、その前におよその見込みをして概算交付というようなこともやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/13
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014・山下義信
○山下義信君 わかりました。ですからいろいろな諸条件があるから、一律というわけにいかぬから、結局概算交付というのですか、そういうやり方があるわけですね、実際は。建前はいろいろ、ずっとあとに払っていくということよりほかに大体の原則としてはないわけですね。概算交付というやり方をしておるのですか、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/14
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015・田村文吉
○田村文吉君 関連した問題で伺いたいのですが、大体今の御説明はわかったのでありますが、法律の上で二割を下らざるというようなことできめておる例はまだ他にたくさんございますか。こえざるということを言うものは理由があるのですが、下らざるという法律は、大蔵大臣の意向次第によっては、一〇〇%やっても一いいし、一五〇%やってもいいのだ、こういうことにも解釈ができるのですね。ことに国民健康保険はまだ全国に全部が適用されているわけではないので、これから非常にふえるのです。ふえる場合において、一体下らざるというような条文をお作りになることは、これはたくさん例があるのですか、ほかに。ちょっと私主計官に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/15
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016・大村筆雄
○説明員(大村筆雄君) お答え申し上げます。私ども寡聞にして、ほかにこういうような例は実は承知いたしていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/16
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017・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 昨日来石原委員その他の御質問によって大体わかったのですが、この点を一つはっきりしておきたいと思うのです。国民健康保険の中には普通組合、特別組合などがございますが、特別組合の方もやはり同じように二割の国庫補助があるようになっているのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/17
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018・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 特別組合につきましても、同じく国民健康保険法に基きまして設立されておりますものでありますから、建前としては助成交付金の対象——つまりこの法律ができれば補助の対象になると考えております。ただしかしながら、実際の問題としては特別組合にもいろいろな形態なり、内容を持っているものがございます。おしなべて、特定の事業に関係しているものだけが、このことが建前になっている関係もございまして、保険料の徴収その他にも、一般の市町村の場合と比較いたしまして有利な条件にあるものが多いわけでございます。さような意味合いから考えまして、同じような率で補助を出すということはかえって実質的には不公平になるのではないかという考え方をいたしまして、一応計算その他は一般のものと同じような基礎でやりまするけれども、頭打ちを一割五分、最高額一割五分程度に現在のところは押えてやっておるのであります。これはまたこの法律に基く政令でも出します場合には、またあらためてこの問題は慎重に検討すべきものと考えますが、今までの助成交付金としては、さようなことでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/18
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019・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 ただいまのお話を聞きますと、これまでは一割五分というところにしてあるというのですが、今度は、先刻もお話のあるように、十分の二を下らざるものとするというのであれば、特別組合の方もやはりそういうふうに考えていいのでございますか。また同時に予算を出します場合にも、一応二割というところで組んで出すことができるのでございましょうか、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/19
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020・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 二割を下らざるものと申しますのは、全国的にみまして、全国の国民健康保険の保険者に対する補助金の総額が総療養給付費の二割を下らないという考え方に理解しております。現在もそういう考えでございます。実際に個々の保険者に補助金を交付いたします場合には、昨日来申し上げておりますように、一定の基準に基きまして差等をつけて交付しているわけでございます。従いましてある保険者には一割程度の補助金が行く、ある保険者には三割程度まで行くというような、その間のそれぞれの実情に応じた差をつけて、これが結局実質的に公平を期するゆえんではないかというような考え方でやっております。今申し上げました特別組合の場合には、そういうような総額として二割相当額がきまりました場合に、それを具体的に配賦いたします場合、頭打ちを一般市町村の場合には三割、特別組合の場合には一割五分、こういうふうにいたしておるという意味でございます。
予算は、大体助成交付金の従来の積算の基礎は、全国平均の国民健康保険の一点単価の受診率をかけまして、さらにそれに一件当りの点数をかけまして、そうして総被保険者数をかけた数字を出すわけでございます。これで医療費の総額が出て参ります。そのうちから結核公費負担のような当然差し引かるべきものは差し引いたものをその療養費の総額としまして、その二割相当額を予算に計上するというやり方をしているわけでございます。従いましてその場合の被保険者数には特別組合の被保険者も当然入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/20
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021・竹中勝男
○竹中勝男君 一点だけお伺いいたします、提案者の方とそれから厚生省当局とに。国民健康保険の療養費の二割国庫負担という、画期的といえば画期的な法律ができるわけですが、これによってまだ社会医療を受けていない三千万の国民に一体どういう計画をもってこういう法律案を作られたのか。すなわち三年計画とか五年計画というふうにして全国の市町村、すなわち全国民に社会医療制度を確立する上における国民健康保険の強化充実という点があると思うのです。提案理由にもそういう点が謳われておりますが、提案者はどういうふうにその点を考えておられますか。厚生省当局は、一体いつになったら、どれぐらいの年月のもとに全市町村にこれを普及できるというふうにお考えですか。この法律案を通す前に一応はっきりしておきたいと思うのです。この点お伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/21
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022・永山忠則
○衆議院議員(永山忠則君) 提案の際に各党いろいろ協議をいたしまして、ただいまの点が一番問題となりまして、国民健康保険法第二条を改正しまして、義務設置にいたしまして五カ年後にこの義務を課せるということにいたして、ぜひやってもらいたいというこの考え方を法案に取り入れて、計画性をもってやろうということに相当強く論議をされたのでございますが、義務設置をするということについては今回は見送って、行政的措置をもって五カ年ぐらいを基準にこれが計画性をもって指導しよう、その結果に即応してまた義務設置問題も考えよう、そうしてそれがために要する政府の費用は、生活保護へ転落するのを防止し、もしくは生活保護の医療救護の費用を国民健康保険の給付の二割の補助でもって転用するという方針を結局とっていけば、あまり政府の負担がかからずに全国民に及ぼすという結果になるだろうから、全国的に国民健康保険をやっております町村とやっていない町村とのこの統計を出しまして、政府はあるいは生活保護に出しておる費用を国民健康保険に回すことによって、これを全国民に及ぼすという——この統計等をもって義務設置等の関係も考慮しようというようなことで、一応今回の提案は法二条の義務設置を見送っておるわけでありますが、お説のような計画性をもっと五カ年ぐらいに全組織に及ぼすように努力しようという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/22
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023・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) ごく簡単に事情を申し上げまして私どもの考え方を申し上げたいと思いますが、現在と申しましても、昭和二十九年九月末現在の全国市町村の数が八千百八十になっております。そのうち四千八百四十六の市町村で国保をやっております。その普及率は五九・二%でございます。これを都市だけにとってみましても、全国都市数の五七%が昭和三十年四月現在において事業をいたしておるような事情でございます。全体としてはさようなことでございますが、各都道府県別の普及率が非常にまちまちでございまして、普及の程度の高い所は、山形県の九七・五%、滋賀県の九五・九%、埼玉県の九五・五%というように、ほとんど一〇〇%に近い普及を遂げておる所もありまするし、これに比較いたしまして、奈良県のごときは一八・七%の普及にすぎず、高知県がその次で二六・七%というような非常に普及率の低い所もあるわけでございます。全体といたしまして約六〇%程度に満たない普及でありますると同時に、各都道府県別に申し上げますと、二割に満たないような普及率の所もあるようなわけでございます。そこで私どもといたしましては、今永山先生から御説明がありましたのと結果において同じような基本方針をとっておるのでありますが、今日のこの段階におきまして、法律によって強制設置をするということが果していいかどうかということにつきまして、多少これは地域的にも判断を変えていかなければならない事情がありますると同時に、過去におきまして、国民健康保険が戦争中に非常に急速度の普及をいたしましたが、いろいろ内外の財政事情等ともからみ合いまして、終戦後にその大半が事業休止になって、ただいまそれを再開しつつあるという現状でございます。こういう仕事の性質上、やはり市町村民の十分な理解の上に仕事を発足いたしませんと、なかなかそれから先の事業の運営もうまくいかないのではないかというような考え方も加味いたしまして、ただいまのところとしては、今申し上げたような全体としての普及の状況にありますので、私どもとしても、全国的に通牒を出しまして、三年ないし五年計画で全県下に一応普及をする計画を立てさせまして、それに基いて現在強力な指導をさせておるような次第でございます。おそらく相当程度まで普及をして参りまして、ここまで行けばもう全国的に強制設置を命じても差しつかえないだろうという判断ができる時期が参りますれば、その時こそ、今永山先生のおっしゃったような強制設置をするような時期であろうと考えております。私どもの判断としましては、ただいまのところ、法律をもって強制をするのは少し早過ぎるのではないかというような判断で指導をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/23
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024・榊原亨
○榊原亨君 先ほどからの御当局のお話によりまして、大体この法案にきめられました補助金は五つの基準によって出されるということがはっきりしたのでございまするが、その基準を適用いたします資料は、各組合の御報告になりました報告書に基いてなさるのでありますか。その点をお聞きいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/24
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025・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) お話の通りでございます。大体予算が決定をいたしましたならば、早速全国に例年通牒を出しまして、そして申請の様式を示して交付条件の判断をするに必要な材料を出させるわけで、それによってそれの概算決定をいたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/25
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026・榊原亨
○榊原亨君 ただいままでに厚生当局のお手元に出ておりますこれらの資料は正しいと当局はお認めになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/26
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027・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 全体的に申し上げますと、遺憾ながらはなはだ正しくないものが相当ございまして、私どもの方も手元で是正をできるものはいたしますけれども、それができずにすでに会計検査院の検査報告にも相当の件数が指摘されておるような実情でございます。この点は昨日来申し上げておりますように、漸次、関係者の不注意なり、未熟等もあろうと思いますので、その点に指導を加えて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/27
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028・榊原亨
○榊原亨君 私は一年前にある県を訪れたことがあるのでございまするが、そこの民生部長と私同行いたしまして、各国民健康保健組合を回ったことがございます。ところがその民生部長の前では非常に運営がうまく行っているという御報告を組合当局がなさったにかかわらず、その民生部長が帰りますと、私に、あれはうそであります。それでは君どうしてうそを言うのか、と言いましたところが、ああいうことを出さぬと補助金がもらえませんからやむを得ずやっておるということを私は聞いたのでございます。こういうことが各組合に全部起っているとは私は申し上げないのでございまするが、少くともわが国の組合の一部両分において、遺憾ながらこういう現実の姿があるといたしますると、各組合のそういう御報告だけによって、これらの補助金が今の当局のお示しになる基準によってばらまかれるということにつきましては、多少の疑問がなければならぬと私は思うのであります。もしもそういう事実が御当局の取調べによってわかった場合には、これらの補助金について、いかなる処置をおとりになるか。ただその補助金を返せばいいというだけでありますか。それともどういう厳格なる罰則と申しますか、そういうものがどういうことで制裁が加えられるのでございましょうか。その点は何にも制裁はなさらぬというおつもりでありましょうか。その点を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/28
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029・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 先ほど申し上げました通り、はなはだ遺憾ながら補助金をたくさん取ろうとして基礎的な数字をごまかしてくる組合があり、また無意識に推定をして計算の間違い等をして出して参るものも中にはございます。そういう保険者が一郭分にあることは否定できないのでございます。この点につきましては、いずれにいたしましても、先ほど大蔵省からの御説明がありましたように、補助金を、財政事情も考えまして、できるだけ早期に概算払いをする建前をとっておりますが、必ずこれは決算を見まして精算をする建前にしております。従いまして決算を見た結果、さきに概算払いをしたものが不適当でありますれば、当然現在返還を命じておるわけであります。ただ現在のところといたしましては、そういう場合に、別段罰則というものもございませんで、あらかじめ概算払いをいたします際に、精算した結果過払いになったものだけは返納を命ずるということを明確に条件づけてやっておるわけであります。
なお念のために、私まだ不勉強でございますが、国会にも提案になったはずでございますが、補助金等の適正化に関する法律によりますと、その場合には強制徴収までできるような規定があるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/29
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030・榊原亨
○榊原亨君 この点は今当局がお話しになりましたように、補助金等の適正化に関する法律が別に考えられておるのでございましょうが、少くともそういう法律が出ませんでも、当局は、これらの組合の報告については厳正なるお調べを願って各種補助金をお出し願いたいと思うのであります。と申しますのは、私はこれらの組合に補助金を出すということには非常に賛成をしたいのでありますが、こういうことによって不正をいたしております組合にそういうものが流れまして、まじめな報告をしておるところの組合に薄くこれらの補助金が行くということについて、私どもは反対せざるを得ないのであります。その意味におきまして、もしこの法律が行われますならば、どうか一つ当局におきましては、この補助金の要求に対する報告につきましては厳重なるお調べをお願いいたしたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/30
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031・田村文吉
○田村文吉君 先刻大蔵当局の御答弁で、下らざるというような法案はほかには御承知ないということなんでありますが、こういう異常な立法をしなければならないということについて提案者は、なぜ二割なら二割ということをはっきりと押し出しておしまいになって、来年度足りないのならばまたふやすとか、あるいはまた二割の率を上げられるなら上げるというようなことをそのつどなさるがよいので、はっきりとした予算の伴わないような法案をお出しになるということは、私今後の財政上からいっても非常に不安にたえない。そういう点から提案者はなぜはっきりと二割という文字をお打ち出しにならなかったか。しかもその二割という数字は、大体厚生当局の方でも二割の見込みであり、大蔵当局も二割という計算で予算を組んでいる、こう言っていられるのでありますから、なぜはっきりと二割という数字をお打ち出しにならなかったか、これをちょっと提案者に聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/31
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032・永山忠則
○衆議院議員(永山忠則君) 厚生当局と御相談申し上げまして政府の義務負担にいたしましたので、いわゆる予算の範囲内の二割以内の補助というような旧来の考え方でなしに、二割を下ることを得ずということにいたしてございまして、二割ということにたっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/32
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033・田村文吉
○田村文吉君 ちょっとはっきりしないのですが、二割ということを大体予定しておいでになるならば、法律でもはっきり二割と書いたらいいじゃないか、こういうようなのが私の伺いたいところです。どうしても二割以上をおやりにならなければならぬ場合が起るということを想定された場合に、こんな形の変った法律を出さなければならぬのではないかと、こう私は思うのです。ですからどういう理由で、どうしても二割以上という——「下ラザル」という文字を入れなければならなかったか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/33
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034・永山忠則
○衆議院議員(永山忠則君) 二割以上でなしに、二割を下ることを得ずということになっておるわけであります。以上ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/34
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035・田村文吉
○田村文吉君 なぜそうしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/35
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036・永山忠則
○衆議院議員(永山忠則君) 全国の国民健康保険の医療費の総額の二割を下らないということにこの法案をいたしておるわけであります。これは厚生当局と相談いたしてやりました案であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/36
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037・田村文吉
○田村文吉君 厚生当局と御相談なすったかしりませんが、今大蔵当局に聞いてもかような立法例はあまり聞いたことはないとおっしゃる。そういうような二割を下らざるものを——二割以上の補助金をやるというような法律は私もあまりよく知らないのでございますが、ほかには例を聞いてない。そうすると一体大蔵大臣の手加減で四割にでもしようが、五割にでもしようが、六割にしようが、予算だけ盛っておけばいいのだということで手加減が自由勝手にできるというようなことは、非常に財政的に危険な考え方であります。なぜそういうことを押しておやりにならなければならない根本的に理由があったのか。もしあなたが、提案者の方でおわかりにならなければ、厚生当局と御相談になったというのですから、厚生当局の方からはっきりとその点について明示を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/37
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038・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) この点につきまして、実は提案者と正確な打ち合せをいたしたわけでございませんから私の理解いたしておりますところを——当っておりますかどうかわかりませんが、申し上げておきたい。ただ「下ラザルモノ」と書いてありまするのは、直接毎年度予算に計上いたします総額でありまして、私どもとしては、御指摘のように二割さえ出せば国の義務は果されるのでありますから、それで問題はないと思います。「下ラザルモノ」といたしました趣旨は、端数整理などの関係がございまして、つまり端数を切り捨てたために二割を下るようなことであってはいかぬので、結局二割を端数を切り捨てて補助するという意味じゃないのであります。御指摘のように四割にする、五割にする、六割にするということは、提案者自身も考えておられないでありましょうし、政府としても、今申し上げたような意味において下らないという意味がものをいうようになるのではないかと、さように私は理解をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/38
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039・田村文吉
○田村文吉君 きわめてそういう点ははっきりしないと思うのですが、今の数字の上で一文切れても下ったのじゃ問題になるからというような御心配をなさるという意味なら、日本の予算はできっこない、日本の予算は、幾ら幾らやるということで予算を立ててやるのでありまして、それを内輪であげることが普通でありますが、場合によってこれをこえた場合には補正予算を出すというようなことがあるのが当りまえなんです。それくらい予算というものに対しては厳重にやるべき性質のものであると思うのに、それを例のないようなことを一体厚生当局がこれでもよろしゅうございますとおのみになった、何かそれには深いこうこういう絶対避くべからざる理由があるから、これをせざるを得なかったのだという何か理由がなければ、かようなことはおかしいじゃないか、こう思うのですが、もう一ぺん一つ提案者の方から——提案者がもしどうしても何なら、厚生当局……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/39
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040・永山忠則
○衆議院議員(永山忠則君) 厚生当局の方で、二割というふうに書いてしまうということになりますと、やはり予算の範囲において二割ということになるので、二割ということを書きっぱなしということでは、やはり予算というものを抜きにしてはそこが成り立たないので、二割を下らないようにするという考えならそういう書き方が一番適切だということで、予算の範囲内の二割という、予算の範囲内を出でないという意味で、二割ということを強く縛りましたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/40
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041・田村文吉
○田村文吉君 そうすると万一、割合に保険組合が減ってきて、それで金が余る、大蔵省の予算が余る場合には三割やっても四割やってもいいのだ、こういうふうに解釈してもよろしいのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/41
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042・永山忠則
○衆議院議員(永山忠則君) 旧来、二割給付の補助だということを言われておるのでございますが、事実上大蔵省と厚生省とのそういう強い基準を設けまして、二割給付と言いながら実際は二割になっておりませんので、それで二割を下らないようにするという、強くそこが出ましたわけでございますが、予算は二割をこえるものを要求するという考え方ではないのでありますが、もちろん、これによりまして二割以上予算を政府が組んでくれるということになりますれば、これは二割以上のお返しをするということにはならぬのではないかというように考えられておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/42
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043・田村文吉
○田村文吉君 はなはだどうもこの点については納得いたしかねますから、もう少し私どもも前例を調べましてこの問題についての態度をきめたいと思います。質問はこれで打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/43
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044・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 ただいまのに関連してでございますが、先刻私が特別組合にも二割を補助されるかということを聞きました場合に、特別組合というのは、組合がりっぱと申しますか、零細な普通の小さい組合に比べては比較的資本的にも都合がいいからというような関係からでございますか、とにかく一般には三割をやっても特別組合には一割五分しか出しておらぬというようなことを言われたのですが、その一割五分というのに押えた何かはっきりした理由があるのでしょうか、その点いま一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/44
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045・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 今回の法律のこの書き方から、現在やっておりますような補助の仕方を私どもは是認されておると考えておるのであります。結局具体的に申しますと、二割と申しますのは、国民健康保険の保険者に対する補助金の総額が総給付費の二割になっていればよろしいという意味で、今度のABCDの保険者に対しましては、一定の交付要件によりまして計算をして補助金を出すわけであります。従いまして、一般の市町村に対しましても、現実に補助金が出ておりますものは、おおむね最低のものは一割前後、最高は三割で一応頭打ちをするという取扱いでございます。従いまして、一般の保険者でも、市町村がやっております場合でも、状況によりましては一割前後の補助金が行かない場合があるわけであります。問題は頭打ちを三割に押えているのを、片方は一割五分に押えているという違いがあるわけであります。そこで、なぜそういうことをしておるかということは、先ほどもごく概略のことを申し上げたのでありますが、一般的に申しますと、特別組合というのは、同一の事業または同一の業務でございますか、それに従事しておりますもののみをもって組織をする建前でございます。いろいろ業態が違い、従って生活の条件等が違う者が、ただそこに住んでいるということだけで一緒に扱われます市町村の行う国民健康保険の場合とはだいぶん趣きを異にしておりまして、従って、相互の結びつきも緊密でありましょうし、それに伴って保険料の徴収等の便宜につきましても、あるいは被保険者の協力の面におきましても、一般の普通組合とはよほど違った事情が考えられます。そういうふうに、一般的に好条件にありますと考えられますから、そういうところにそういう一般会計から出ます補助金を出します場合には、一般の地域保険ということを本来の建前としております国民健康保険、それに例外的にそういうもののない特別組合との関係につきましては、そこに何らかの差等を設けて然るべきじゃないかということが第一義的な考え方であります。具体的には、今申し上げた、実質上国民健康保険の経営上の実態において端的に差が認められると思うのであります。そういう意味であるから差をつけていいのじゃないかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/45
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046・小林英三
○委員長(小林英三君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/46
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047・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/47
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048・山下義信
○山下義信君 提案者に伺いますが、今問題になっておる二割を下らざるということは、二割としておいたならば、今まで二割の補助に当らぬということは、だんだんと医療費が増高してきて、初め予算したことがあとになって二割に当らぬということになって、結局医療費が増高してきて二割にスライドしないからということになるのであって、これはほんとうを言ったら、その年度にその補助金がぴたっと二割行かない。それが行かないものだから、だから二割を下らざるということは、ちょうど当該年度の医療費が増高しても二割になるように、あとからでも出して払わなければならぬということを予想して書いておる。二割の定義だとか、言葉の意義だとかということでなくて、予算の執行上、あとからでも払い得られるように提案者は考えられておるから二割を下らざるということを言う。今まで二割ということを言っておっても、医療費が意外に予算以上に増高する。当ててみるというと、一割とか一割五分にしか当らぬ。今度の払い方は一年のうちに払っても二年のうちに払っても、二割に当るようにする。これはあと払いの性質を持っているものだからそれを払わざるを得ない。だから交付の方法をどうする、あるいは条件をどうするということではなく、この補助金の本来のやり方はどうだということになれば、前払いでなければならない。概算払いというのは途中でやるんでしょう。結局この法律の補助金はあと払いでなければほんとうの補助金の出し方ができないのだから、そういうことで窮余の一策として、二割を下らざるということは、あとから考えてみても、その年の二割になるように、足らなければ継ぎ足して払え、こういう意味で「下ラザル」を入れたんでしょう。そういうことでしょう。提案者はほかへ行かなければならぬそうだから、その点を聞いておきますが、正直のところを答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/48
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049・永山忠則
○衆議院議員(永山忠則君) 実は今日本会議で戦犯釈放決議案の説明を私がやることになっておりますので、途中でやむを得ずほかの委員にかわらしてもらうかもしれませんことを御了承願いたいと思います。ただいまの山下先生のお話の通りでございます。加うるに、元来国民健康保険は社会党の方からも三割はどうしても出してもらわなければ、事実上赤字経済は克服できぬのだ、二割を下るようなことではいけないのだ、だから少しでもよけいならばより以上いいじゃないかということで、やはり保険経済を確立して将来の社会保障政策を確立する上においては、公費負担は国が三割、府県が一割、市町村が一割——五割負担というところまで持っていって府県及び市町村はこれを平衡交付金の対象にするというようにして、五割の公費負担へ持っていって、初めて全国にこれが普及していくんだ、だからして、二割を下らず、さらに多く出してもらうというならばより以上いいことになるから、二割を下ることはできぬという強い文句で要望しようということでございますし、ただいまお説のように、あとから補助を精算するのでございまして、不足いたしておりますものを二割へ精算を持っていくというような事実上の結果になるのでございますので、一つ御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/49
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050・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/50
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051・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/51
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052・石原幹市郎
○石原幹市郎君 先ほどからいろいろ問題になっておったのでありまするが、今度の改正の療養給付費に対する二割を「下ラザルモノトス」という字の解釈なんですが、「下ラザルモノトス」ということであれば、三割でも、四割でも幾らでもいいという疑問も出てくるし、予算に関係する法律でありまするから、そういう締めくくりのない法律でも工合が悪いのではないか。だから二割を「下ラザルモノトス」という書き方をしたことについて、これはどういう意味なのか、この点をこの際やっぱりはっきりしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/52
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053・鮫島眞男
○衆議院法制局参事(鮫島眞男君) これはまず文字から申し上げますと、十分の二に相当する額を下らないというのでございますから、その最低の線が十分の二である。しかし十分の二に限るという意味ではないのでございまして、十分の二をこえることもある。ただそういたしますと、結局この十分の二以上というのとまあ同じ意味を持つことにも一なるのでございますけれども、ただここで申し上げまする趣旨は、結局最小限度十分の二はどうしても国で負担するのであるということを言っただけでございます。もしこれを十分の二以上負担するというようなことになりますと、むしろその場合にはこの十分の三とか、十分の四とか、十分の五とかいうふうに、むしろ何といいますか、十分の二ということに重きが置かれませんで、なるべくよけいな割合で負担するのだということになりまして、その点がこの財政法との関係でどうかと、でございますから、まあそういうふうに十分の三、十分の四ということも、まあ予算が許しますならば、そういうことも場合によってはあってもいいことでございますけれども、ここではそういう十分の三とか、十分の四とか、そういう上のことを期待しているのではなくて、最小限度十分の二はどうしても国で負担するのだというその最小限度を強く打ち出すために、十分の二を下らざる額とすという表現を用いたのでございます。従いまして、結果としまして、それでは予算のいかんによりましては、十分の二でなくて十分の二以上のこともあり得ますけれども、しかし法が強く要求しているのは、最小限度十分の二であるという、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/53
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054・石原幹市郎
○石原幹市郎君 まあ大体それでわかるんでありますが、先ほどから問題になりました点は、そんな予算関係の法律で十分の三でも十分の四でもいいというような法律は、あまりそんなものは例がないのではないか、特に大村主計官もそういう例は寡聞にして聞いていないというような答弁があったりしまして非常に疑問が出たわけでありますが、こういう予算関係の法律であるから、それならなぜ十分の二なら十分の二と、十分の二に相当する金額を補助するものとすとか何とか——十分の二という二割なら二割ということではっきり書かなかったかという疑問が非常にわいたわけであります。意味はわれわれよくわかつたのでありますが、前々からずっと質問してこられた田村委員のときには、その点が非常に問題だったのですけれども、もう一度二割と書かないで、十分の二を下らないものとすと、わざわざ書いた気持ですね、つまり大蔵省、財政当局を索制するためにこの法律はできたのであるとか、その書いた気持をもう一回一つ話しておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/54
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055・鮫島眞男
○衆議院法制局参事(鮫島眞男君) これは結局予算の範囲内において負担するというのと同じ意味でございまして、ただその場合に、予算の範囲内においてそれでは十分の一でもよいのかというふうになってはこの法の趣旨が達せられませんので、予算の範囲内においてではあるけれども、しかしそれは十分の二は下ってはいけないのだ——ですから今申し上げましたように、この法文からすれば十分の二をこえることもあるわけでございますけれども、しかし法の趣旨は、かえってこの十分の二を下らざると申しました点は、予算の範囲内においてという意味もこれで十分現わしているつもりでございます。それから従来の法令には、こういう予算関係におきまして、予算の範囲内において何割以内、何割以上と、そういう規定があったように思うのでございますが、ここでもやはり予算の範囲内においてという意味でございまして、ただ最小限度十分の二は必ず国で負担するのだという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/55
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056・小林英三
○委員長(小林英三君) 本案について、他に御発言もないようでございまするが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/56
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057・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議はないと認めます。それでは討論に入ります。
御意見のおありの方は賛否を明らかにしお述べを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/57
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058・加藤武徳
○加藤武徳君 本案に対しましての討論は省略いたしまして、直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/58
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059・小林英三
○委員長(小林英三君) ただいま加藤君から、討論を省略して直ちに採決に入るという動議が出ました。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/59
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060・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議はないものと認めます。それでは国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、ただいまより採決いたします。本案を原案の通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/60
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061・小林英三
○委員長(小林英三君) 全員と認めます。よって本案は全会一致をもちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議におきまする口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/61
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062・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
それから、報告書には多数意見者の置名を付することになっておりますから、本案を可とせられました諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
加藤 武徳 河合 義一
阿具根 登 横山 フク
榊原 亨 谷口弥三郎
有馬 英二 森田 義衛
常岡 一郎 長谷部ひろ
相馬 助治 山下 義信
竹中 勝男 石原幹市郎
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/62
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063・小林英三
○委員長(小林英三君) 次に、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案を議題といたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/63
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064・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/64
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065・加藤武徳
○加藤武徳君 ただいま提案されているあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案でありまするが、早く審議を進めまして議了いたしていただきたい、かように思うのでありまするが、木曜日の午後参考人を呼びまして意見を聴取する、かような予定にもなっておるのでございますし、今日直ちに結論を出すということも困難かと、かように考えるわけでございまするが、本日は質疑者がまだないようでありますので、じんぜん時間を過ごすのもいかがかと考えますので、幸い優生保護法の一部を改正する法律案の提案者もお見えのようでございますから、委員長は優生保護法の一部を改正する法律案を議題に供していただきますように動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/65
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066・小林英三
○委員長(小林英三君) ただいま加藤君よりお聞きの通りの動議が出たのでありますが、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案の本日の質疑はこの程度にいたしまして、優生保護法の一部を改正する法律案を議題とすることに御異議ございまんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/66
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067・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないようでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/67
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068・小林英三
○委員長(小林英三君) それでは、優生保護法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。
〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/68
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069・竹中勝男
○竹中勝男君 資料がここに来ておりますが、この資料の目的に書いてあるのかもしれませんけれども、お尋ねいたしますが、助産婦が薬剤を使用していくというこの改正に対する一般の世論といいますか、国民の意見を徴されましたですか。すなわち妊産婦の意見というものをお聞きになりましたでしょうか、その点。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/69
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070・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 助産婦から薬をもらいたいというのは、これは受胎調節の指導を受けた婦人が特に申し出ておることでありまして、受胎調節の実地指導をいたしますというと、その婦人につきまして、あなたにはこの薬がいいとか、このゼリーがいいとか、錠剤がいいとかいうことを申しましても、助産婦が、その指導員が薬を持っておりませんというと、名前だけを教えておきますというと、どうもめんどうぐさがったり、あるいはよそへ行くのを恥しがったりしまして、よくせっかく指導いたしましても実施しておらぬ、この際に助産婦に、その指導員に薬をほんとうに持たせて、そうして実際にこれがいい、これは幾らだというような、そこですぐ販売ができるようになりますと、この指導が徹底するということになるので、これは至るところで、何とかして指導員から薬を買うことができぬかということを申しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/70
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071・竹中勝男
○竹中勝男君 その受胎調節の薬というものは、効果が確実なものなのですか。それから幾種類くらいありまするものですか。そうしてあるいは身体に害があるような薬もあるわけでしょうか。それから一般の労働階級の人たちが容易に買えるような価格であるものでしょうか。そういう点、非常に初歩のことを伺いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/71
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072・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 お答え申し上げます。この受胎調節用の避妊薬と申しますのはいろいろの種類がございますが、大別いたしまして、これにはあるいは錠剤、あるいはゼリー、またはスポンジとか、そのほかペッサリーというような用具その他があるのでありますが、一般に申しておりますのには、その錠剤などは、分泌物の比較的大い人にそれを用うるというと、容易にそれが都合よく分解をいたしまするけれども、分泌の少い方に錠剤を用いますというと、分解せずにそのままおるというようなことがありますために、そういう方には錠剤を用いない方がいいというようなことをよく指導しておるのであります。
なお、効果につきましては、大体普通顕微鏡下でそれらの薬を精子に当てて見ますというと、すぐ死んでしまうのでありますが、実際適当な場所にうまく入りますというと、効果は非常にあるんでございますけれども、使用が悪いために、実際の成績がよく上っておらぬのであります。従って雑誌とか人からちょっと聞いたくらいの程度の人がやったのと、指導員が実際に臨みまして、こういうような方法でやればいいというようなことを聞いてやったのでは、非常に成績が違います。慶応大学などでサンシーを使用した例から申しますと、大方九十何パーセントという効果が上っておるのでありますが、あるところでは三〇%くらいしか効果がなかったなどと申しておるのでありますが、これは一に使用法の教え方、あるいは使い方にも非常に関係しますから、ぜひとも指導員にそれらをやらしたいというふうなわけであります。
それから金額につきましては、まあかなりの——十個あるいは十五個が百円くらいいたしますので、かなりの金額になっております。従って私どもといたしましては、ぜひ生活保護法の適用者とか、あるいはボーダー・ラインの方には、国が無料で、あるいは低額でやらなければいかぬということをしきりに言っておりましたら、本年度は国もわれわれの申しておりました五分の一くらいの三千二百万円くらいの金を出しまして、少しまあ無料でやるようになっております。それから各工場などにおきましては、工場ではかなり工場の方が御研究していただいて、安くやらせるようになっておりますから、次第に使用範囲も広くなると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/72
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073・相馬助治
○相馬助治君 この現在は助産婦の方が用具の購入の取次販売は可能であって、薬剤の販売取次が不可能であるというふうになっていると思うのですが、現実の問題として、用具と薬剤とを併用しなければならないというような指導をしている場合などには、その薬剤と用具との関係が、実際問題としてはどういうふうに取り扱われておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/73
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074・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 用具はこれは今まででも指導員でありましょうと、あるいはその他の者でも、容易に買うことができるのですが、薬品の方は、それはたとえ指導員であっても、これまでは自分で買っても、それは販売することができなかった。ところが実際に使用いたしますのに、たとえばスポンジでありますとか、あるいはペッサリーというのは、それだけ用いたのではほとんど成績が上りませんので、これには薬品を、ゼリーをよくつけてそして使用しておる。そうすればほんとうに効果があるというようなわけでございますから、併用いたしております。また薬は薬だけでもやっておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/74
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075・相馬助治
○相馬助治君 ですから、そういうふうに実際に使っているということでなくて、現実に薬務局長の緩和通牒というのがありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/75
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076・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/76
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077・相馬助治
○相馬助治君 そこで現実に、ある種の薬剤は現行法でも取扱いが可能なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/77
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078・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 実は三年ほど前に、優生保護法の一部を改正をいたしまして、そして受胎調節実地指導員というのを作ることにいたしたのであります。その際からぜひ薬を指導員に販売をさせてくれということを、もう三年来申し出ておったのでありますが、どうしてもいけませんので、それではしょうがないから法律で変えんければならぬということをやかましく迫りよりましたら、昨年の五月十一日でございますか、薬務局長の緩和通牒が出たのであります。その緩和通牒と申しますのは、ほんの臨時的のものでございまして、ある場合に、ある特定の薬店から薬を買い求めることができるという範囲であります。しかもこの緩和規定なるものは、府県によっては、それが全然県の了解を得ずにやることができぬような状況にあるのであります。そこで今回全面的に薬品を指導員に販売できるようにさせたい、そうして徹底させたいというのが目的であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/78
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079・相馬助治
○相馬助治君 ちょっと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/79
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080・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/80
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081・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 速記を起して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/81
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082・竹中勝男
○竹中勝男君 薬務局関係の方見えられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/82
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083・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 薬務局長と公衆衛生局長がすぐ来ますから、しばらくお待ち下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/83
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084・竹中勝男
○竹中勝男君 じゃ来られてから…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/84
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085・森田義衞
○森田義衞君 しろうとでよくわかりませんが、現在の受胎調節の指導員が当然指導されるときに、器具なり薬なりお使いにならなければ指導がしようがないわけでありますね。それでその結果を見なければわからぬのだし、よければ今後その本人も大体そういったやり方をやろうと、こういう結果になっていくだろうと思うのです。そういったときに当然、何といいますか、そこらじゅうのちまたで売っている普通の薬ですね、そういったようなのを希望者にただ取り次ぐわけですよ。自分がその間に利益を得るとか何とかいうことがあれば、特殊の販売業者になりますけれども、そういった薬を売る便法その他を知らぬ人にちゃんと薬局へ行って買って、しかも売薬として認められたものを、ただそういった御婦人に取り次ぐことは取り締られておるのですか、そういった単なるそのことだけが。そんなのはどうも僕らの常識から言うと、どうも利益を得るわけでもないのに不思議な感じがするわけですが、そんな薬事法があるとすれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/85
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086・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 ただいまお尋ねの薬をある薬店で買うてきて、そうしていわゆる需要者に渡すということは、それはかまいません。しかしその指導員が薬を持っておって、自分が直接に販売することは許されぬ。そうするから、やはり指導員はある程度のいろいろの薬の種類を持っておって、そうして適応するところの薬をすぐその人々に販売すると目的を容易に達成するというので、こういうようなふうの法律改正を考えましたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/86
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087・榊原亨
○榊原亨君 ちょっと速記とめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/87
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088・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 速記とめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/88
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089・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 速記始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/89
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090・森田義衞
○森田義衞君 私薬事法知りませんから、常識上聞くのですが、つまりその需要者が需要者の意思によって、たとえばわれわれだって薬を買うとき、誰かに頼んで買ってきてもらう場合があります。それと同じような意味合いにおいて、よく知っている人だから、どこに売っているか知っているから、買ってきてもらうわけなんです。それまで販売の取次として大体取締りの対象になるかということなんです。ちょっと度が過ぎていやしないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/90
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091・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) ただいま森田先生がおっしゃいましたのは、二つ方法があるわけですね。一つは、単なる使者としてその中間に立っておる場合、この場合はおっしゃる通り、販売ではございません。そうでなくて、先ほど相馬先生がおっしゃいましたように、その間に多少のさやを取るという違いがございまして、利益がある程度ふところに入る、そうしてそれを不特定の者に対してしばしば繰り返す意思を持ってやる場合は、これは販売になるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/91
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092・相馬助治
○相馬助治君 こういう場合は販売になりますか。森田委員の質問に連関してお尋ねしたいのですが、その避妊薬を求めたいという某婦人が単に避妊薬をほしいと言った。ところがその助産婦はある会社のある特定の品物がいいと確信していたが故に、そのものばかり売った。——そのものばかりですよ。そうしますと、その商売かたきの別な方の会社の者がこの現実を告発した場合には、現在の薬事法からいうと、その助産婦はあれですか、刑事上の罪に落ちますか。薬事法違反の罪に落ちますか。利益でなくて今度はある特殊のものを売ったという場合に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/92
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093・竹中勝男
○竹中勝男君 私ちょっと急ぐものですから、薬務局の方に質問したいのでが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/93
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094・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 公衆衛生局から山口局長と小沢庶務課長が来ておりますが……。しばらくお待ちになられますか、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/94
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095・竹中勝男
○竹中勝男君 こういう点をお伺いいたしたいのですが、返事ができたらしていただきたい。提案者の方からでも、あるいは公衆衛生局の方からでもけっこうです。これは薬の小売商ですね、いわゆる薬局を抜きにして、製造業者と助産婦が取引するという形になるわけですね、商行為としては。そうしますと薬局業者の利益が、小売業者としての薬局業者といいますか、薬剤業者の利益の一部を侵害する結果になるということと、もう一つは、助産婦がそれだけの小売業者の、薬剤業者のおさめておる利益を得るという結果にもなるわけですが、それは助産婦が一部の小売業者が持っておる利益を得るということはそれは認めてもいいだろうと思いますけれども、ただ失う方の側から著しい反対が起らないだろうかと思うのですが、そういう点については、どういうふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/95
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096・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 ただいまお尋ねの通りでございまして、実は指導員が指導をいたしましたりしても、指導料というのはなかなか取れぬのでございます。指導料をもらうことができぬものですから、それで幾らかでも指導料のかわりになるようにと、第二には先刻来申しますように、受胎調節の目的達成という両方の面からメーカーから直接に買い入れて、そしてそれが販売授与のできるようにというのがこの法律であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/96
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097・竹中勝男
○竹中勝男君 それにつきまして、小売業者からの反対を予想されておりますか。その利益が侵されることになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/97
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098・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 まあ小売業者としては、それだけの面は収入が減るということになりますけれども、ただまあ薬局におきましては、避妊薬というものはほんの一部分であって、多数のほかの販売をし、授与しているのだから、この点だけを一つこらえてもらって指導員の方にやりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/98
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099・竹中勝男
○竹中勝男君 私はこういう点を、この優生保護法の一部改正のこの法律によって薬事法に重大な修正が加えられるのであるか、その修正は薬事法の本来の法律の目的に対してはそう重大な修正ではないか、どういうように提案者の方ではお考えになるのですか、これは薬務局長に実は聞きたいのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/99
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100・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 実は、先刻申しましたように、三年ほど前に優生保護法の一部改正をしました場合に、同時に薬事法も一部変えていただいて、そうして販売授与という点におきまして、たとえば厚生大臣が特に指定する薬品に限って指導員には販売授与させることができるという一項目を入れてもらおうと三年間いろいろやっておったのですが、どうしても薬事法をその点において変えることはなかなか困難である。それで先刻申しましたようなこの緩和規定くらいの点に置きたいというのです。
いま一つ、それからお答えしてみたいと思いますのは、この薬事法を考えずに優生保護法で薬事法をくずすのはけしからぬではないかというような反駁がむろんあるだろうということを想像しているのですが、実は刑法におきましては、今でも堕胎という罪があるのでございますから、その堕胎というものを優生保護法におきましては、優生保護法の範囲内におきまして、ある一定のワク内においては、人工妊娠中絶を優生保護法の指定医が行うことができる、それは堕胎にならぬ、それ以外の場合には堕胎になるというようなふうで、刑法の一部も優生保護法を作ったときに変えておるような関係もございますので、受胎調節、ことに人口問題とかいうふうな関係からいたしまして、優生保護法で示したる受胎調節実地指導員に限っては、厚生大臣の指定するある薬品のみについては販売授与できるというようなふうに、同じようなつもりで一部を改正するというようなふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/100
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101・竹中勝男
○竹中勝男君 それは薬務局長が見えられて、薬務局長からの御見解も伺いたいと思いますが、公衆衛生の立場から、助産婦が直接に薬を販売できるという制度は公衆衛生の上から何か問題がありますか。別に公衆衛生というような立場からは問題がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/101
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102・山口正義
○政府委員(山口正義君) お答え申し上げます。ただいまお尋ねの点は、助産婦が受胎調節に要する薬品を販売することで公衆衛生上害があるかどうかというお尋ねかと思うのでありますが、これは薬事法の建前でございますので、薬務局長からそういう点も含めてお答え申し上げるべきかと存ずるのでございます。私どもの立場といたしまして、現在昭和二十七年に優生保護法が改正になりまして、それ以後助産婦の方々に実地指導員としていろいろ御活躍いただいているわけでございますが、いろいろな隘路がございまして、今の状況が必ずしも満足すべき状況でない、その際にやはり先ほどから御議論になっております助産婦に薬品を取り扱わせる、販売させるかどうかということは別といたしまして、実地指導します場合に、取り扱わせた方がいいんじゃないかというような御議論がございまして、それで現在薬務局長から通牒が出て、そういう措置が行われているのでございますが、現実の問題として、それだけではなかなか趣旨を達せられないというような議論が出ているということも承知いたしているわけでございます。私どもとしましては、現実に助産婦の方々に薬品を取り扱っていただいているわけでございまして、これを販売ということになりましたときに、公衆衛生上の問題がどういうふうになるかということになりますと、これは薬事法の建前から考えるべき問題でありまして、私ども優生保護法を所管しておりますものの立場からは、ただいま申し上げたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/102
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103・竹中勝男
○竹中勝男君 局長のお考えは、助産婦が薬品を取り扱う方が妊娠調節あるいは受胎調節指導といいますか、人口計画、家族計画の上により効果的と思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/103
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104・山口正義
○政府委員(山口正義君) 先ほども申し上げましたように、助産婦の人たちが受胎調節の実地指導に行かれて、ただいろいろ口で指導される、また実地指導される場合に、薬品、器具等を持って、いっていろいろ実地指導される方がより効果的だというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/104
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105・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 竹中君に申し上げますが、ただいま薬務局長が出席をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/105
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106・竹中勝男
○竹中勝男君 来られて早々気の毒でありますが、この優生保護法の一部改正法律案によって改正されていく薬事法の改正が、薬事法本来のねらい、目的を、薬事法の性質を相当変えていくようなものになるのではないかという点を危惧しているのですが、局長の御見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/106
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107・高田正已
○政府委員(高田正已君) 薬事法におきましては、医薬品の販売につきましては、これは一定の要件を備えた者が登録をとって販売をするということに建前がなっておりまするので、このたび御審議になっておりまする法律案が通過いたしますると、その上におきましては相当に原則がくずれてくるということに相なるわけでございます。
なお、医薬品につきましてはさようなことでございまするが、用具につきましては、薬事法では——コンドームとかペッサリーとかいうものでございますが、さような用具につきましては、これは販売が自由になっておりまするので、どういう方が御販売になっても差しつかえがないというようなことに建前が相なっているわけでございます。
なおこの際御参考に、今日の何といいまするか、薬事法関係で避妊薬の取扱いについてとっておりまする措置をお話を申し上げますると御審議の御参考になるかと思うのでございまするが、今のように受胎調節の指導員が受胎調節の御指導をなさる場合に、指導を受ける方のお宅に行かれまして、コンドームとかペッサリーとか、さような用具を持っておいでになることは、これはもちろん販売が自由でございまするから、持っておいでになっても、販売をなすってもこれは自由である。あわせて避妊薬をお持ちになる場合におきましては、通牒におきまして——これはずっと前でございますが、避妊薬を持って行ってそれを実際に使って指導して、そうしてその代金をお取りになるということは、これは差しつかえないということに相なっております。さらに、しかし、それだけでは指導のときだけの避妊薬であって、自後、指導を受けた者が使いたい避妊薬を薬局あるいは薬店等に買いに行くには非常に工合が悪い、従って受胎調節の指導員を通じてこれが買えるような方法がとれないのであるかというふうないろいろ御質問なり御要望なりが先般の国会でございましたので、昨年のたしか五月であったかと存じまするが、通牒を出しまして、受胎調節指導員、ことに助産婦等が避妊薬を販売業者とそれから指導を受ける人との間に立って売買を、購入のあっせん、取次をいたすことは差しつかえない、こういうふうな趣旨の通牒を出したのでございます。これは医薬品の取次、あっせんということを一般的に認めますると、もぐりの業者が出て参りまするおそれが多分にございますので、一般的にはこれを認めておらないのでございまするが、受胎調節指導員の場合におきましては、さようなもぐりの業者になるおそれはないという善意の推定をいたしまして、それは販売業を営むわけではなくて、取次、あっせんをするのであるから差しつかえないというふうな趣旨の、まあさような意味をもった通牒でございます。従いましてその範囲のことにおきましては、現在の取り扱いにおきましても許されているわけでございます。ただ先般来、この通牒が十分地方に徹底しておらないというふうな御指摘があったのでございまするが、もしさようなことでありますれば、私どもといたしましては、その徹底をはかりたい、かように考えておるのでございます。せっかく諸先生方が御提出になりました本案につきまして、大へん恐縮な言い分でございまするけれども、さようなわけ合いでございまするので、できまするならば指導員であるから、登録も何もとらないで、医薬品の販売を法律上認めるというふうな、現在の法律の大勢を根本からくつがえさないで、何とか現在の法の範囲内におきまして、実際上の扱いにおいて、御趣旨のようなことが達成されないものであろうか。私どもはまあさような観点に立ってものを考えておる次第でございます。
御審議の御参考までに申し述べた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/107
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108・竹中勝男
○竹中勝男君 その点だけを私どもは問題にしておるわけなんですが、結果においては、助産婦が薬剤を持っていって、直接に指導を受けるところの者に渡すということによって人工調節の目的が達せられる、貧困の防止ができる、この点については効果を私どもは認めておるわけなんです。効果があると思いますけれども、ただ現在の法律で、薬事法によって薬剤士が薬剤を取り扱うという、この原則が根本からくずれるということが非常に危惧される点だと思います。と言いますのは、先ほどお伺いいたしましたように、医薬分業という考え方もはっきりしてきつつありますし、薬剤士というものの社会的な使命もはっきり重要性を加えてきておりますので、そういうときに一部の薬品ではありますけれども、薬剤士でないものが薬剤の取り扱い、販売をやるという例外を作っていくということに結果としてはなるわけですね。そうすると、薬局以外に薬の販売所ができるということに事実上はなるわけです。こういう点については、相当これは薬事法の根本的な変更になってくるのではないかと思われるわけです。この方が便利であるということは私もよくわかります。また効果があるということもよくわかります。それから優生保護の目的を達することはよくわかるわけですけれども、現在の薬剤士の販売権の一部を侵害するということ、すなわち利益の一部を、既得権であるところの利益の一部を侵害するという結果になるし、薬剤士以外のものが薬品の販売をやる、そしてその利益をおさめるということが、薬事法の根本的な改正になっていくという点が私は危惧されるのですが、薬務局長は、そういう点については、今言われたことに大体尽きるかと思いまするけれども、もう一度はっきり薬事法というものの建前と、また現在の薬剤士というものの社会的な位置というものから、重要性というものから、一部の薬剤士でないものが薬剤の販売をやる、あるいはそのうちに今度は婦人たちが買いに行くようになるかもしれない。そうすると新しい部分的な薬局ができるというような結果になるのじゃないかと、こういうふうに私は危惧するのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/108
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109・高田正已
○政府委員(高田正已君) 医薬品の販売につきましては、今竹中先生が御指摘のように、薬剤士がいたすことを本則といたしておりまするが、これら避妊薬等につきましては、私ども、昔からの言葉で薬種商と呼んでおります。いわゆる調剤をやらない、販売だけをやる薬種商並びに配置販売業というものがございます。こういうものにも、何と申しますか、例外的にといいますか、過渡的にといいますか、認めているわけでございます。ただ薬種商におきましても、それぞれ都道府県で考査、まあ俗に申します試験をいたしまして、登録をいたしておりますし、それから配置販売の形におきましても、これもそれぞれ一定の要件を備えたものを登録をいたしている、こういうふうな関係でございます。それで、しかしながらこの薬種商並びに配置販売というようなものは、これは薬剤士制度ができました当時から、すでに古くから存在をいたしておりまして、しかも薬剤士による薬局というものは全国に普及をいたしません関係上、この医薬品の供給ということについて、国民の保健衛生上の観点から、これら古くからある業態というものを、全然抹殺してしまいますることは、国民の保健衛生上適当でございませんので、本日でも認めている、かような格好になっているわけでございますが、御指摘のように本来のねらいといたしておりまするところは、薬剤士の薬局ということが一番理想であるわけでございます。さようなわけ合いでございまして、かりに、もし指導員が販売業者として法律上認められるということになりますと、今先生御指摘のように、自宅にも買いに行くというふうなことは起り得ることで、またそれが合法的なことになると思われます。そういうような事態を想定いたしましたので、薬局でございましても、それから医薬品の販売、いわゆる薬種商と申しまするさようなものに関しましても、それぞれこの店舗についての物的基準というようなものも定めまして、それに適合するものを登録をしているというふうなこともございまするので、それらと比較をいたしますると、そこに片手落ちの関係が出て参るというふうな事態も生ずるかと思うのでございます。従いまして、私どもの立場といたしましては、どなたでも別に拒否するわけではございませんが、登録基準に合ったような方が登録をして販売をするという、この原則を私どもは守って参りたいと、かように考えているわけでございます。ただ先ほども申し上げましたように、なお、先生も御指摘がございましたように、指導員の方々が避妊薬を持っていろいろ御指導になる、それから薬局、あるいは薬店等に買いに行くことが非常におっくうであって、受胎調節普及上非常に支障があるという実情は、十分私どもも承知いたし、また理解いたしまするので、それは先ほど申し上げましたような現行法のワクの中で何とか事態に即応したような措置をとりたい、さような気持を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/109
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110・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 ただいま竹中先生のお話のこの指導員に対しましては、指導員には実は助産婦なり保健婦なり看護婦の方々に講習をいたしまして、そうして指導員という名前をつけておるのでありまして、指導員は避妊薬に対しての知識はかなり持っておるのでございます。それから第二に、薬剤士とはむろん違いますが、薬局とも違いますし、いわゆる配置販売業者というのがあって、それらのものにおきましても、配置販売業者がしきりといろいろの薬品を売っておる。先刻来お話のございましたように、富山の配置販売者が方々に避妊薬を持って売っておるというような状況で必ずしもそう知識のない——避妊薬の知識を持っておる程度そこそこじゃないかと、こう思っておるのです。
それからなお指導員がやりますのは、もっぱら薬剤の販売を営業としておるわけではございませずに、ただ単に実地指導の補助としてやっておる程度のものでございますので、その配置販売業者とか何とかというものに対しましては、比重もよほど違うというようなふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/110
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111・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/111
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112・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 速記を起して下さい。
本案に対しまする本日の質疑はこの程度にいたしまして、残りは次回以後にいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/112
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113・加藤武徳
○理事(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十三分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X02819550719/113
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