1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月三十日(土曜日)
午前十一時三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小林 英三君
理事
加藤 武徳君
常岡 一郎君
竹中 勝男君
山下 義信君
委員
榊原 亨君
高野 一夫君
谷口弥三郎君
横山 フク君
田村 文吉君
森田 義衞君
藤田 進君
山本 經勝君
湯山 勇君
相馬 助治君
有馬 英二君
寺本 広作君
長谷部廣子君
衆議院議員
大石 武一君
植村 武一君
国務大臣
厚 生 大 臣 川崎 秀二君
政府委員
厚生政務次官 紅露 みつ君
厚生省公衆衛生
局環境衛生部長 楠本 正康君
厚生省医務局長 曾田 長宗君
厚生省児童局長 太宰 博邦君
厚生省保険局長 久下 勝次君
事務局側
常任委員会専門
員 多田 仁己君
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本日の会議に付した案件
○小委員長の報告
○母子福祉資金の貸付等に関する法律
の一部を改正する法律案(衆議院提
出)
○クリーニング業法の一部を改正する
法律案(衆議院提出)
○健康保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○厚生年金保険法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○船員保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
○継続審査要求に関する件
○委員派遣要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/0
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001・小林英三
○委員長(小林英三君) 委員会を開きます。
社会保障に関する調査を議題といたしまして、そ族昆虫類駆除に関する小委員長の報告を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/1
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002・高野一夫
○高野一夫君 報告を申し上げます。
去る十八日の本委員会におきまして、そ族昆虫類駆除に関する小委員会が設置せられて、委員長より七名の小委員が指名せられましたが、二十二日の小委員会において私が小委員長に互選せられました。
二十六日に開催せられました第二回の小委員会におきましては、そ族昆虫類の実害に関する現状資料並びに高野試案にかかる立法案についての構想を説明いたしまして、小委員会の審議運営について各委員の意見の交換を行なったのであります。
次いで、三十日の第三回小委員会におきましては、会期末のことでもありまするし、十分なる審議を尽すことができませでしたが、本問題の重要性にかんがみまして、小委員会としては本問題はこれを継続して調査する必要があるものと決定いたした次第であります。
以上報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/2
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003・小林英三
○委員長(小林英三君) ただいまの小委員長の報告を了承することにいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/3
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004・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議はないものと認めます。小委員長の報告はこれを了承することに決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/4
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005・小林英三
○委員長(小林英三君) この際お諮りいたします。社会保障制度に関する調査、労働情勢に関する調査、いずれも従来も調査して参りましたが、ただいま会期も切迫し、会期中に調査を完了することは困難でありますので、参議院規則第五十三条によりまして、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/5
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006・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたします。
なお、要求書の内容及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/6
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007・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/7
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008・小林英三
○委員長(小林英三君) なお調査事件が議長の承認があった場合、閉会中におきまする委員派遣をすることといたしまして、その人選、調査地、調査事項等は委員長に御一任せられたいと存じまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/8
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009・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/9
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010・小林英三
○委員長(小林英三君) ただいまより戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案(参第九号)、社会福祉事業等の施設に関する措置法案(参第二一号)、調査改善法案(参第二七号)、以上三法案につきましてお諮りいたします。これらの法案はいずれも目下審査中でございまするが、会期も切迫いたし、会期中に審査を終了することは困難と存じまするから、本院規則第五十三条によりまして、継続審査要求書を議長あて提出いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/10
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011・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。よってさよう決定いたしたいと思います。
なお、要求書の内容及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/11
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012・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議がないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/12
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013・小林英三
○委員長(小林英三君) 次に、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/13
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014・竹中勝男
○竹中勝男君 今の貸付状態の何か報告書がありますか。現在の貸付状態……。
児童局長にお伺いしたいんですが、一般的な貸付状態及びその効果といいますか、それから今度の法律案にありますように、六カ月間の据置ということが必要だというその点について少し御説明を願いたい。今までの返済状態ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/14
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015・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) この法律が国会で制定せられましてから、実施になりましてすでに二年を経過しております。端的に申し上げますと、この法律を制定していただいたために、全国の母子家庭が非常な明るさを覚えた。また勇気ずけられた。これはしばしば母子家庭の集まりなどにおきましても直接耳にしておりますし、また府県の当局からの報告によっても明らかになっておるところであります。またその効果につきまして、大体私どもとして一番懸念しておりました点は、こういう時勢のもとにこの資金を活用して、果して商売がうまく成り立っていっているだろうか。まあこれはなかなか測定も困難でございますが、ただこの金を借りた母子家庭のこの償還の成績というものからもある一端がうかがえるのじゃないか。その償還の成績はただいままでに入ったところでは、二十八年度に貸しました分については、その同年度末に八一%の償還になっております。それから二十九年度の分につきましては、三十三件分でございますので全部とは申せませんが、やはり七八%強というわけで、いずれにしましても、当該年度の末において八〇%近くの償還を見ている。これはこの法律が制定されます前に、一時的に国民金融公庫の方から貸付を実施して、五億ほど実施しておりまして、その成績などを聞きましても、非常に償還率がいい。おそらく一番今までの償還率のいいものの中の一つではないだろうか。それだけに母子家庭の人たちがこの法律を作っていただいたことに感謝しておると同時に、元気づけられておる、またそれが効果があがっておるということを示すものだと考えております。さような点からいたしまして、今後その貸付の際の事業をどういう事業を選ぶかというような面について、指導さえあやまちなくいたしますならば、この制度は伸びていくだろうということをばく然とながら考えております。
それからこの法律の改正案のことでございますが、第一点の、大学に就学しております者に対する貸付を、二千円以内というのを三千円以内にする。大体この法律が例の日本育英会とほぼ内容において同じような内容でもって進んできておるのでありますが、育英会の方でそのうちの一部の者、特に必要のありまする者に限りまして、二千円以内を三千円以内にまで引き上げるということを今年度から実施しておるのであります。それで母子家庭の方からも、ぜひこちらの方も一部の者についてそれを三千円に引き上げてもらいたいという要望があったわけでございますが、さような点から検討してみますると、確かに母子家庭の子供たちで、この資金を借りて大学に進んでおります者の中には、やはり下宿住いをしておるとか、あるいは遠く家を離れて住んでいるとかいうようなことで、自宅から通学している生徒と比べてやはり経費のかかるという者もあることも事実でございますし、その場合にその子供たちを育英会の方の制度に切りかえるということもこれは実際問題としてできないことでございますので、やはり同様に、本法律の中においてさようなワクを広げていただくということは非常にけっこうなことであるというふうに考えております。
それから第五条の第二点の方で、事業継続資金というものにつきまして、この法律制定の際には、据置期間というものは事業継続資金についてはなかったのでありますが、それをこのたび六カ月までのこれの据置期間を設ける、こういう御趣旨のように存じますが、これは一番最初の法制定のときに特にこの据置期間が事業継続資金についてなかったというのは、一私どもの承わっているところによりますれば、この事業継続資金というものはまあ運転資金みたいなもので、従って常に回転しているから、これはまあすぐ翌月からでもそれは回収しようと思えばできるのではないかというような気持であったかと、まあ私どもは推察しているわけであります。しかし最近の実際の実情を一、二聞いてみますると、やはり一時的に事業が思わしくなくなったというような場合に、この事業継続資金によって立ち直る、そういうような場合においては、やはり若干の据置期間を設けた方がいいという声が相当強いのであります。純理論的に申しますると多少疑問の点もありまするが、実際の実情は確かにそういう点もあろうかと存ずるわけであります。従いまして、もしこの法案が国会で御審議して通過いたしますならば、私どもとしては忠実にその線に沿ってできるだけ善処して参りたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/15
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016・竹中勝男
○竹中勝男君 償還状態が大へんいいということはけっこうなことで、いいにもかかわらず、さらに六カ月の据置期間を設けたということも私どもは賛成なんですけれども、この償還状態がいいということの逆には、相当母子貸付金を借りる場合に資格の審査といいますか、条件の審査というものが非常にめんどうなために、もうなかなか金は借りられないのだというような観念を植え付けられて、ある府県によっては、この貸し出しが少いので余っているというような所もあるということも聞いている。実際まあ償還が非常に率がいいということの裏には、非常に厳格に償還できるような者だけに貸しているというような、ほんとうに困っている者に行っていないおそれがあるのじゃないかというふうに私どもは考えられるのですが、この点については局長はどういうふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/16
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017・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) この貸付が非常にきびしいじゃないかという御説でありますが、私どもの方でも一、二そういうことも承わっております。しかしそれはだんだん、その道の専門家と申しますかに聞いてみますると、やはりこういう貸付の制度というものは、果してその貸付することによってその効果が上るかどうかということをいろんな点から吟味して、気の毒な人がある、何かしたい、金を貸してくれというので、すぐ無条件に貸すというわけにもやはり参らない点があるわけでございます。さような点から、ある程度しぼられてくることはやむを得ないだろうと思う。ただ、これが純粋の金融機関などになりますと、そのしぼり方がきわめて窮屈と申しますか、きついだろうと思いますが、その点はやはり一つの民生事業の分野において母子世帯の更生というところに考えを持ちながらこれを審査しているわけでありますから、その点はくれぐれも地方には注意しております。やはり最初の一、二年でございますので、その間においては一体どうなるかということ、いろんな点から心配した向きもあると思いますが、これが明らかになって参りますにつれて、そういう御懸念の点も漸次解消して参るか、また解消していかなければならない、かように考えておるわけであります。
それから府県の財政の方で余っておっても貸さないということでありますが、これはまあ何と申しますか、時期的に一軒母子世帯があって、すぐそれに貸すというわけにも参らないので、やはりある程度まとまったところで、県の児童福祉審議会にかけて審査してやりますから、まあそういう時期的なズレがあるので、私はそうじゃないかと思うのでありますが、あるいは県当局の方が他の財政的な面でございますか、御承知の通り近ごろ地方財政が非常に苦しくなりまして、予算化したものの現金がなかなかうまく回転しないというような面もあって、あるいはさような点から多少ズレというようなことも考えられるかと思います。なおこういう点については極力地方に話して、善処して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/17
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018・竹中勝男
○竹中勝男君 母子家庭については非常にありがたい法律で、どんどんこれを利用さして現在の窮状を緩和していかなくちゃならないと思います。局長の言われたように、なかなかこれは金銭に関することでむづかしいところです。けれども、まあ一般のものについての信用金庫や銀行とは違うわけですから、ある程度は償還が困難なことも見越してやらなければこれは効果がないと思いますので、その点は特に児童局において地方の出先に十分注意していただきたいと思います。実は私の知っている母子家庭で、下宿をやるために、自分の家を多少修理するために申し込んだのですけれども、なかなかはかどらないで、もう半年たってもこれができないというので、ついほかから金を借りて、私が保証人になったようなこともあるわけです。こういうことを私よく見ておって、必ず返ってくるだろうと思うのですけれども、あまり普通の銀行よりも厳格にやられるものだから、根気を切らしてしまっておる例がある。東京都にも相当それが私の所へ来ておるのもありますから、ぜひそういう点は、今度さらによくなるわけですから、御注意願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/18
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019・横山フク
○横山フク君 二千円を三千円に増額するということは、今の物価高で私大へんけっこうだと思います。ただし、予算の総額がきまっておりますときには、貸付対象人員が減ることになるだろうと思いますが、その点に対しましてはどういうお考えなんでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/19
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020・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 私の方から便宜お答え申し上げますが、御承知の通り、今年度御協賛いただきました予算ではまるく五億という数字が入っております。実際の運営は、県府の当局が同額の五億を組みまして、それでこちらの五億と合せて特別会計に十億入れまして、それを運転して貸し付ける、こういうことになるわけでありますが、最近の情勢を見ますると、なかなかそちらの方の見合う五億の額を果して府県が予算化し得るかどうかという、これはまあよほど私どもが地方に強く指導してやりませんとむずかしいのじゃないかというような状況であります。私どもとしましてはそちらの方を非常に心配しております。
今お尋ねの員数の方が減る、額がふえることによって結局貸付のあれが減るのじゃないかという御懸念の点は、これはごもっともだと思いますが、大体大ざっぱにはじいてみますと、約大学でもって、この資金の今度の改正が通りました場合に、恩典を受けます者が約七百人くらいかと私どもは推計しております。そうしますと、それによります年間の所要額がせいぜい四百万円くらいでございますので、さような点からいたしますると、これが他の方に大きく響くというほどのことはない。そういう響ことよりも、やはりこういうふうにほんとうに三千円ほど借りたいのだという人が救われることによって、母子家庭の方がよほど喜ぶのじゃないか。そちらの方が大きいのじゃないかという見通しを持っておるわけであります。さようなわけで、御懸念の点は、私ども一応さほど影響はないというふうに申し上げて差しつかえないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/20
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021・横山フク
○横山フク君 今のお話で、教育資金としては四百万円で、大した支障はないということはわかりますけれども、五億で、府県が同額を持って十億ですと、一県平均にしても二千万円、少い所はもう少し少いし、大きい所でもう少し大きくなるでしょうが、平均して二千万円、その額として、母子家庭を対象としたら、そう大きなものではないと思います。それだけで消化し切れない、そうして余るという形は、そこに何らか隘路があると思います。先ほど竹中先生のおっしゃったことと同じで、府県の同額を持ち切れないというような形も相当あると思いますが、今後そういう方面においていま少し児童局の方から各府県の方にいろいろと御指導といいますか、督励といいますか、していただいて、ほんとうに困る人たちのところに楽に貸付のできるような、もちろん返済ということもあるでしょうけれども、そういう点からして御尽力願いたいと思うのでございます。私の知っているところでも、借りたいけれどもなかなか煩瑣でございますし、府県の方の査定も厳重でございますし、思うように東京都の方でも借りられないことの苦情を再三聞いている例もございますので、なおこういう点、ことに地方の財政的に窮乏した現在ではなおさらそういう点があるのじゃないかと思います。今後これらの点について十二分に督励方をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/21
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022・山本經勝
○山本經勝君 ちょっとお伺いしたいのですが、生業資金というのは、貸付対象、人員その他実態はどういう状況でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/22
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023・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 生業資金と申しますのは、母子家庭のお母さんが何か新しく事業を始めたい。事業と申しましても、金額からいたしまして当然ごくささやかな、たとえばミシンを買って洋裁を始めるとか、あるいは技能を修得して何かパーマネント屋を始めるというような程度のことでございますが、そういう場合に貸し付ける資金でございます。大体今年度の予算では、生業資金の分が金額で申しますと、国の五億の中の二億三千万円ほど、約二分の一程度の額をそれに充ててあります。員数からいたしますと、一万二千人ほどのものがそれに予定しているようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/23
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024・山本經勝
○山本經勝君 先ほどの奨学資金ではなく、修学資金の貸付あるいは生業資金の貸付等、これらの現在の貸付人員、そういうようなものは明確にわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/24
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025・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) お手元に差しあげたかと思いますが、その中の「昭和二十八年度母子福祉資金の申込及び貸付状況」というのがございますが、そこに申込と貸付決定状況、それからその比率というようなものが出ております。ございましょうか。種類が多くて、それから員数がまちまちでございますから、表を差しあげたと思いますが、今ちょっと調べておりますから……。
それから二十九年度分については実は少し、十二県ほどまだ未集計のところがございますが、残りの分でもって推計いたしましたが、同じような表を作ってございます。後刻差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/25
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026・湯山勇
○湯山勇君 この中でですね、修学資金貸付対象になっておるもので、医師法に規定する実地修練、インターンをやっておるものの数はどれくらいになりますか。それに対して本法を適用された場合に、年額どのくらいの増になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/26
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027・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 実はそういう細部のものはまだ報告をとっておりませんものですから、ただいまのところはわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/27
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028・湯山勇
○湯山勇君 それじゃ、この今の四百万という算定基礎は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/28
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029・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) これは三十年度の、私どもの予算に予定いたしました修学資金のうちの大学の部で、それから継続でございますね、新規というものじゃなく、継続の部、それを母子家庭と直していただきました親のない子供、両方込めまして、二千二百八十人という数学に一応なる見通しでございます。それに対しまして、約三分の一というものをかけまして、七百六十人ほどのものを出しまして、それは育英会の方がやはり今年度の計画におきまして、三千円を貸し付ける人員を大体三分の一、こういうふうに見ておると考えますが、私どもの方も一応それに従って、ラフでございますが、推算したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/29
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030・湯山勇
○湯山勇君 提案者の方はこの数は把握していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/30
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031・植村武一
○衆議院議員(植村武一君) 私の方でも、大体、児童局の方で集めました資料に基いておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/31
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032・湯山勇
○湯山勇君 特にお尋ねしたいのは、従来から実地修練、インターンをやっておる学生の生活、それからこれの処遇については、当委員会においてもしばしば問題になったことは御存知の通りであります。で、こういう機会に、これは普通に大学に在学しておる者と非常に生活条件が違いますし、ことに母子家庭あるいは親のない子供にとっては、インターンをやることは非常に大きな負担だと思うのです。そこで、ほかの育英資金であれば、これはあるいは同率にしてもという理由も納得できると思うのですけれども、こういうインターンなどの場合は本法のようなもので特に考えてやらなければならないのではないかと私は考えるのですが、提案者、並びに厚生省ではどういうようにお考えでございましょうか。提案者の方、どういうふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/32
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033・植村武一
○衆議院議員(植村武一君) 今のお話の点、私どももまことにごもっともと推測しておりますが、ただこれを事務的にどういうふうに取り扱うか、ちょっとこれは児童局の方でお答えを一応願って、私どもの提案者としての趣旨は全く御同感であることを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/33
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034・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 実はインターンの関係の資料は、今までのところちょっと持ち合せがないわけで、大学の学部の学生の生活費を文部省で調べたのがございますけれども、インターンのやつは実はないものでございますから、ちょっと手元にないから、これはまあいずれどっち道、この貸付を受けておるものの実態を調べる必要がございますから、早急に調べてみたいと思います。そういうものを離れまして、この制度がもし実施されるようになりますれば、当然一般の学生については二千円以内、それから特別の必要度の高い者については三千円以内と、こういうことになるわけでございまして、その特別の必要度の高い者といいますものの中には、先ほどちょっと言いましたような家を離れて、遠く笈を負って勉学しておる者というようなものも入りましょうし、また今御指摘のようなインターンをしておる人の生活というものを調べてみましても、そういうものがかかるというのならば当然入ってくる。まあさようにも考えられますが、これはさっそく調査いたしまして、できるだけ御期待に沿うように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/34
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035・湯山勇
○湯山勇君 なお、この問題につきましては、あとで厚生大臣かなにかお見えになりましたときに、もうちょっと質問させていただきたいと思いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/35
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036・田村文吉
○田村文吉君 おそく参りましたので、御質疑がすでにありましたのを重複するかどうかしりませんが、この問題については政府の御当局としては、ほかのかようなものの種類の増額をしてやるとかというようなものとの均衡が失われていくようなことはないか。もう一つは、この問題については文部省の育英資金の関係等々とよく連絡がおとりになれておるかどうか。提案者の方で、もしそういうことがとれておるということがおわかりならば、知らせていただきたいし、そうでない場合は当局の方から一つ御答弁を願いたいと思います。
総じて、こういうようなよくしてあげるというようなことは悪いことではないにきまっておるのですが、ただそれぞれのものは均衡というものがあるのですから、ただ一概に——政府提案であるんならば、私はその辺をしんしゃくして出されたものと考えるのですが、議員立法には、ややもすれば均衡を失うようなものが多い。多いから、私は特にその点についての政府当局の御答弁を伺いたいと思う。場合によると、実は私は大臣からこれをはっきりと伺いたいと思う。一応局長さんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/36
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037・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) それじゃ、政府当局への御質問と存じますので、私からお答えいたします。
この法案の提案になられました植村先生ともお打ち合せいたしました、それから私どもの方で検討もいたしましたその結果として申し上げられますことは、同様な種類の他の貸付資金との間の均衡は、これで破れるということはないと存じます。先ほど実は申し上げたのでありますが、二千円を三千円に引き上げるということは、育英会の方ではすでに今年度二千円以内というものを三千円以内といたしまして、特に必要のある者については三千円以内とする、こういうことになっております。それを母子家庭の方でも、母子家庭の子供がこの貸付資金を受けて大学に行っている場合に、やはりそういうような均衡を、今までむしろとれていないから、開いてくれという要望がございました。それに沿って御提案いただいたことかと存じますが、さようなことから、これは均衡は十分とれていると私どもは考えております。
それから事業継続資金の方の据置期間六カ月の問題でございますが、実は事業継続資金というものがあまり他の同じようなものにはないわけであります。むしろ、しいて探しますと、国民金融公庫でございますか、あそこで生業資金という中に一本にして貸し付けてあって、その中には事業継続資金と思われるようなものも入っておるようでありますが、それがやはり生業資金というワクの中で貸し付けていくものでありますから、やはり据置期間がそちらの方にあるというようなこともあるものでございますから、こちらで六カ月の据置期間を設けていただいても、その間の均衡も破れることはないと、まあかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/37
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038・田村文吉
○田村文吉君 私は福祉事業というものは非常に政府としてゆるがせにすることのできない問題なんでありますから、さような不均衡ありとしたら、政府が率先して提案をしてさような問題を是正すべきだ。議員のあれを待つまでもなく、朝から晩までその問題を研究していらっしやる当局が出すべきものではないか。それをなぜそういう問題をほったらかしておいて、あとで議員立法が出てくると、均衡がとれておりますと、こういうような答弁でお逃げになる。もしそれが正しいものならば、政府御当局としての御親切が足りないのではないか、こういうことを申し上げたいのでありますが、今さらになって、均衡がとれておりますでは、どうも私は合点がいかない。
それからもう一つ、予算の点はよろしいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/38
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039・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 政府提案でできなかったことは、大へん申しわけなく思っております。政府部内として意見が固まらなかった点もありましたので、政府立法として出すことができなかった。将来は極力注意して参りたいと存じます。
それから予算の関係でございますが、これは大体この改正のために増額になると思われる金額は、先ほど申し上げましたように、約四百万円ぐらいと計算しております。そして現在のところは、国の予算として五億円を先般御決議いただいておりますので、実際運用面からいたしますと、まあ五億円という数字でございます。その中のこまかい数字と申しますか、四百万円ほどのものはその中で運用としてまかない、それから地方もまあ同額を組んで、特別会計に入れるわけでございますが、むしろ今の状況でございますると、地方がなかなか国の五億に見合う額、同額の五億でございますが、それを予算化し切れないような懸念がありますから、よほど私どもいろいろ激励しませんと、それもむずかしいような状態でございます。いろいろな点を考えてみまして、この四百万円のことについては、大体現在の五億の予算を組んでいただいておるわけであります。その中で今年はやっていけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/39
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040・田村文吉
○田村文吉君 政府部内においても意見の成熟を見なかったというお話でありますが、それは一体どういうような点で議論がまとまらなかったのでありますか。全然お考えにならなかったのか、お考えになったか。部内においてまたいろいろのこういう考えもあるという意見もあったりして、この意見が成熟するに至らなかった、こういう意味でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/40
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041・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 重ねてのあれでありますから申し上げますが、意見が熟さなかったという点は、もちろんその前に議論があったことが前提でありますが、その際に一つの意見は、育英会の育英資金というものがあるから、もしそういう母子家庭の子供でも三千円を借りたいならば、そちらに行けばいいじゃないかという意見があった。それに対しまして一方の意見といたしまして、母子福祉資金を借りていた者がそれを三千円にしてもらいたい、またそういう必要性があると認められた場合に、それを育英会の資金に切りかえるという必要性はないじゃないか。もちろんこちらの方を改正して同じ条件にしたならば、こちらの資金でもってしてあげたらいいじゃないかということで、実はそれについて衆議院の方から御提案になるまでの間には、政府としては意見の一致をしなかった。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/41
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042・田村文吉
○田村文吉君 ただいま御答弁願ったようなことは、どこの役所にもありがちなことだろうと思う、私念のためにそこで提案者に伺いたいのですが、なぜ育英資金の方でこの問題を解決なさろうとしないのであるか。私どもはなるべくこういうようなものが複雑になることを——同じ一つの育英事業についても、母子福祉の方でいくものもあり、文部省の育英資金の予算の方でいくものもあるというようなことは、われわれ統制をとっていく上においてもおもしろくないと思う。そういう御議論が政府部内で出るのは当然だと思う。どうもそういう複雑化することになるべくならないように、福祉事業は母子福祉についてはそのプロパーとしてできるだけのことをやっていく、こういうことになることを私は念願するのでありますが、こういう児童、学生に資金を貸与してやるということは、国家で厳として文部省できめた育英資金制度というものがあるし、なぜその方に強くやるようなことができなかったのか、こういうことを思うのでありますが、提案者側のその点についての御所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/42
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043・植村武一
○衆議院議員(植村武一君) お答えを申し上げます。育英会の奨学金と母子福祉資金の修学金との貸付の対象の、何といいますか、生徒といいますか学生といいますか、多少私は違うのじゃないかと思います。育英会で漏れた学生を母子家庭の対象とする、修学金の方で救っていく、こういうことが私どものねらいであり、またそうなければならないと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/43
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044・小林英三
○委員長(小林英三君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/44
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045・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記開始。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/45
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046・田村文吉
○田村文吉君 私は今御答弁のございましたように、あるいは十なら十のケースを作った場合に、そこから漏れるものは一つあるかもしれません、二つあるかもしれません、こういうようなことはあり得ると思うのです。けれども、国の大きな行政の面からいきますと、そういうようなものは統一してやられるということが望ましいことです。議員立法でこういう問題までおやりになるという考え方自体が、どうもこの問題だけで言うのじゃありませんが、会期のしまいに限ってこういう問題がいつも回ってくることは、非常に不愉快である。しかしこういう考えからいって、これだけの人はどうしても母子福祉の方でいかなければ抜けるのですと、こういうはっきりした何か根拠、何かあれがありますか。育英資金の方ではどうしてもいけない。これだけは母子福祉でいかなければどうしても助ける道はないのですか。またそういう人はぜひそういう修学をさせる必要があるのかどうか。そういう点について何か根拠がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/46
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047・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 私の方から便宜お答えいたしますが、この育英会一本でやるべきだという御意見のようでありますが、すでに母子福祉資金の貸付等に関する法律が出まして、その中にやはり修学資金というようなものが入っております。そうしてそれが育英会と調節均衡のとれた額でもって貸付を実施しております。私どもは、政府当局といたしましては、この御制定の趣旨はやはり単なる英才教育という面ばかりのみに徹しないで、やはり母子福祉という、母子家庭の福祉という面を十二分に考慮したあたたかい立法だというふうに承わっております。その中には具体的な事項といたしまして、母子家庭の中でも優秀な者はあるいは育英会の方で借りられる道も開かれましょうが、中にはまた、そちらの方の選に漏れるような者でも、いろいろな点から考慮いたしまして、やはり上の学校に入った場合に貸付を実施してやった方がいいと判断せられるような場合もあろうかと、かような点からいたしまして、向うよりも幅が若干広いような気もいたします。しかし根本の趣旨は、母子家庭の福祉というものについて考えていっているのではないか、かように考えておるわけであります。
そこで、育英会の方が三千円になりました場合に、こちらの方が相変らず二千円以内であるということにつきまして、私ども母子家庭の人からの声として聞いておりますのは、せっかく母子福祉資金を借りて大学に行っておったものが、また必要があって三千円借りたいと思うそのときに、こちらの制度でもって今までお借りしておったのだから、こちらの制度で道を開くようにしていただきたい、こういう声は聞いておりますが、それも私はなるほどと考えているようなわけでありますので、いろいろ御質問ありましたと思いますが、御質問の趣旨も私どもわかるのでございますけれども、一応今の建前が、すでにそういうふうにして母子家庭の修学資金の道が開かれておりますので、そういうような点で御了承いただけたらという感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/47
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048・田村文吉
○田村文吉君 資料をいただいているか知りませんが、育英会の総支給人員はどのくらいになっておりますか。母子福祉の方で御貸与になっている人数はどのくらいになっておりますか。御答弁になったと思いますが、もし……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/48
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049・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 母子資金の方のは昭和二十八年度から実施しておりますので、これは実はお手元に差し上げたのでありますが、あるいはなかったらあとから差し上げますが、大体修学資金が、大学だけ申し上げますと、千四百人ほどの申し込みがありまして、九百十五人が大学のあれを受けております。二十八年度でございます。それから二十九年度の方は若干推計が入っておりますが、二千百五十人でございますかというものが決定を受けている、こういうことであります。それから育英会の方は、ちょっと育英会の人員の方は今わかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/49
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050・田村文吉
○田村文吉君 大よそどのくらいですか。何%くらいになっておりますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/50
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051・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 人員は出ておりませんので、金額が出ておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/51
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052・田村文吉
○田村文吉君 母子福祉の方が育英会に対して何%ぐらいになっておりますか。予算からいうと、非常に違いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/52
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053・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 予算からいたしますと、向うは約二十九億何千万円ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/53
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054・田村文吉
○田村文吉君 約三十億ですから、それに対してあなたの方は、母子福祉で貸与の金高は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/54
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055・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) これは今年度で約二億三千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/55
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056・田村文吉
○田村文吉君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/56
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057・山本經勝
○山本經勝君 実はすでに予算もきまっているのだから、この予算のワクの中でということに結局なるのでしょうが、実は私たちも直接母子福祉の関係の資金について相談を受けたことがあるのです。先ほど竹中先生からも御質問になっておったのですが、「昭和二十八年度母子福祉資金申込及び貸付状況」という表を見ますと、大体申し込みに対する半分程度に実際は貸し付けられているという状況なんですが、これは貸し付ける一定の基準とか、あるいは何か標準になるような規定がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/57
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058・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 特に法律的に貸付の基準とかあるいは査定の基準というようなものはございませんが、大体やはり通牒で、何と申しますか、ごく基本的な平凡なことしかうたっておりませんが、やはり地方では母子家庭から資金を借りたいという申し出がありましても、果してその母子家庭がこういう資金の貸付を受けることによって自立更生するだけの条件が熟しておるかどうか、あるいはまた精神的な面あるいは生活的な面とかで、まだまだ相当整理してからでなければ、立ち直るという段階に進みかねるような家庭もあろうかと思います。まあそういう点はやはり地方でもって個々のケース、ケースに当って十分に審査してやるようにと、特に貸付でございまするから、やりっ放しではございませんので、やはり償還というものを考えなければいけない。もちろん、それには社会事業という分野から当然の制約がありまして、あたたかい気持で借さなければならぬということは当然入って参りますけれども、やはりそれにいたしましても、自立更生ができ、それから償還が可能であるというような者を選んで貸す。従いまして、個々の査定が五〇%ほどになっております。その内容はおのおのいろいろありますけれども、やはり一つにおいては、こういう制度が作られたというので、すぐ喜んで出してきた。しかしだんだん個々のケースを当ってみますと、まだこれを貸し付けるというのには早いとか、あるいは国の財政と同額なものを地方が組み入れるわけでありますけれども、そういう財源に比較して、初年度でありますから希望が非常に多かったというようなことで、全部の人が出したが、全部を初年度でまかない切れないという点もあって、落ちている、かように考えるわけであります。
しかしながら、これが年を追って参りますると、漸次こういう貸付の制度の趣旨も母子家庭にだんだんわかって参ります。それからまた審査の方も指導の面で、どういう者に貸し付けたらいいかということがわかって参りまして、それから財源の点からいたしましても、かつての償還金が再び新しい貸付の財源として戻って参ったりして、漸次ふえて参ります。さような点からいって、この五〇%というような査定率と申しますか、これは逐次向上していくものと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/58
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059・山本經勝
○山本經勝君 そうしますと、大体その貸付申込者の実態を、それぞれ異なるでしょうが、生業資金であれ、あるいは学資であれ、結局その実情に応じて一定の標準があるのでなくて、そのときどきの実情によって判定される、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/59
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060・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) まあ大体根本的な気持が通じ合いますれば、あとはそのケース、ケースを見て、それから自分のところの財源とのにらみ合せできめる、こういうふうに参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/60
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061・山下義信
○山下義信君 今の山本君の御質問の貸付の基準をどういうふうにやっているかということは、これは非常に大事なことで、一つまあ政府の方も、今のように別に、一般的な気をつけろというような通牒では意味がないので、これはこの母子福祉資金の貸付の法律の性格がよく徹底して、対象者を選ぶ基準というものが、その方針を織り込んだ基準というか、そういうものをはっきりしておく必要があると思う。われわれはこの法律を作るときに、これがいわゆる高利貸し的な、金貸し的なような性格であっちゃならぬということをよく申し上げておるので、つまり返せる見込みだとか、あるいはこれは健全な経営をする見込みがあるとかいったようなしっかりした、金を貸しても大丈夫だというような対象者を選ぶということは、これは金貸し根性の選ぶ方だ。福祉ということになると、返せる力の、先ほど竹中委員が指摘されました返せる力のないような哀れな状態の者に貸していかなければならない。普通の金貸しからみれば、これはとても貸せる相手じゃないといったような者が本法の対象でなくちゃ、この法は福祉法じゃない。われわれは金貸し法を作ったのではないですから、そんな信用かどうだ——だから、私はその後の様子を心配しているのですが、保証人があるとかないとかいうような、そういう償還の確実性とか、あるいは金を貸したら確かにやっていけそうだとか、そういうような金貸しのような選考方針があるんじゃ、私はこういう法律はやめたがいい。これは全く精神が抜けてしまう。ですから、この法が福祉法であるという趣旨が徹底するような基準の選び方というものも私は決定しなければいかぬと思う。そういうような基準なくして、その都度その都度、ケース、ケースで見計らって適宜やっているというのじゃ、私は不徹底と思うが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/61
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062・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) お答えいたします。根本的な気持としては、今山下先生の御指摘の通りで、私どももその気持からはずれた運営なり指示は絶対にしておらぬつもりであります。あくまでこの母子家庭の更生を助けるという意味で運営して参る。ただ、やはり何と申しますか、金貸し根性になって資金が必ず返ってくるということを考えるのではございませんで、要するにそれによって自立更生ができる、やはりまあ自立更生できれば資金の方も返ってくると、さような意味で、先ほど八〇%の償還率があるということはつまりこの制度が成功しておるということ、実を持っているというふうに私どもは考えているわけでありますが、そういう主義であくまでその家庭が貸付を受けることによって自立する、そしてそれが必ずうまく成功するという方向においてこれを指導して参りたい。従いまして、選択の基準などにつきましても、やはりその家庭がいろいろな意味で、精神的に、またいろいろな環境的にも、立ち上るような条件が熟しているというところにこれを貸さないと、やはりそれがほんとうにその家庭の更生にならない場合もあろうかと、抽象的なお答えで恐縮でありますが、そういうような点はやはり最初によほどよくその家庭を調べまして、精神面その他の指導を要するならば、いろいろな機関を通じて指導して、そういう条件を整えて、それからこの貸付金によって更生させる、こういうふうにしているわけであります。
この基準を作るようにというお話でありますが、できるだけ検討して早く作りたいと思いますが、ただいままでのところでは、やはりいろいろなケース、ケースを見て、そしてそれを検討してみた上でないと、いい基準もできないかというような考えで、基本的な線については、厚生次官から通牒をいたしましたその線に沿って、運営をしているわけでありますから、将来できるだけいい基準を早く作りたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/62
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063・山下義信
○山下義信君 これはすべり出してまだ間がないですから、完全な調査とか統計とか、実績とかいうものについての具体的な資料も得がたいかもしれませんが、私は貸した金額、それから何人に貸したか、どれだけ戻ったのかという今のこれもけっこうです。これはどうしたって一応要ることですから、私は政府にお願いをしておきますから、適当なときに資料を整えて当委員会、われわれ委員会にいただきたい。というのは、かりに八万申し込みをして四万幾らか、五〇何%か貸している。つまり約四万近いものには貸すことができなかったが、その申し込みに応ずることのできなかったケースのこれを一つ、どういう欠格状況であったという、貸すことのできなかった方をこれを一ぺん検討してみていただきたい。それで貸すことのできる適格者というのは、これは調べる必要がない事柄だから、むしろはねつけてしまった、貸付をしなかったというケースはどういうものであったか、こういうふるいおっことした四万人でいて助けたいと思う。われわれは。それはどういうケースであったかという御調査を至急していただいて、そして資料をわれわれにあとで御報告願いたい。それで私がもう一つ聞きたいと思うのは、心配になるのは、法律を作ったときもよくお願いしておいたのですが、一体申し込んで現金を交付した、貸したまでのおよその所要日数というのはどのくらいかかっているか、全国的に見てですね。大体どのくらいで貸して、今わかっておれば御答弁願うが、そういうことを知りたいと思うのです。どのくらいのスピードでこれを運用なさっているかということが知りたい、これはあとでもよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/63
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064・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 今の落ちたケース、その理由はさっそく調べます。
それから申し込んでから貸付決定まで、これはまあ地方の福祉事務所を通じて県の方に集計して、県で、事務的な再審査をして、児童福祉審議会にかけるというような関係がありまして、その審議会にかけて公平に査定するというわけでありますが、ただいま順調にやって、やはり一月ぐらいかかっているかと思いますが、なおその点も一緒に調べまして、後刻正確にお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/64
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065・山下義信
○山下義信君 それは横山委員が指摘をされましたが、私も同感なんです。これはもう時間がありませんから後日の問題に残しておきますが、福祉事務所の事務の取扱い方については非常に問題がある。それを私は一つごく親切丁寧に窓口でやるようにしなければ、われわれの耳に入るのはいろいろな苦情が入りますので、横山委員と同じように、私は厚生当局に一つ特段の御配慮をお願いしておきます。
それから先ほど問題に出ておりました育英会とのバランスをとったというのですね。湯山委員からも指摘されていたのですが、バランスをとるなら、金額だけでなしに貸付の種類、それから貸付の対象は、先ほど御答弁がありましたように、育英会というのは御承知のように成績がクラスで十番以内というような基準があり、学校長の内申で、成績優秀な者というようなことになっているので、こちらはそういう基準以外のものを扱うという点でもいろいろ性格、条件もあるでしょう。今の金額のバランスというだけじゃ意味をなさぬので、育英会の方では、湯山委員が御指摘になったインターンですね、私の手元にある昭和二十八年度の資料では、インターン生に貸しているのが千四百五十七名育英会では貸している。それから通信教育ですね、これに奨学資金を出しているのが四百一名、これは私の手元にあるのでは育英会が出している対象は二十八年度で総計二十万六十四名になっているのですが、そのうちでインターンが千五百名、通信教育にまで出しているのですね。それならなおさらじゃありませんか。貧乏人の、学校に行けない、通信教育、講義録で勉強したいという者こそ、この母子福祉家庭の修学資金のいい対象じゃありませんか。ことにインターンならなおさらです。このインターンという範囲を広げてこそ——いわゆる医学生だけでなくても、厚生省の許可事項になっている美容師のインターンもあれば、理髪師のインターンもある。そういうところまで広げてこそ、ほんとうの対象の最も望ましい私は範囲だと思うのです。ですから、こういう研究が未熟で、ただ金額が向うが三千円だから、こちらが二千円じゃ育英会との金額がそろわぬから、三千円というような直し方じゃ、御研究が、私は失礼でありますが、提案者は足らないと思う。この母子福祉法を衆議院の方で手を入れて、未亡人会の御要望におこたえになるなら、政府とよく御研究になって、そしてほんとうの母子福祉資金の貸付法の法律の性質も御調査になって、いっそ手を入れるならば、ただ金額というそういうことでなしに、貸付の範囲内その他も十分御研究なさいまして、遺憾のないようにしていただきたい。私はこの点を申し上げておきますが、そういうふうに貸付範囲をお広げになるというようなお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/65
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066・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 便宜私の方から申し上げます。これは現在の制度のもとで、修学資金では高等学校、大学、それからいわゆるインターン、これはこの貸付でよろしいということに私の方ですでに指示してございます。それから通信教育というようなものについては、これは今含めておりません。私どもの方では実はこの通信、それは今のところでは含んでおらないのでありまして、これは湯山先生にも、植村先生にもちょっと私から申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/66
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067・山下義信
○山下義信君 今後検討なさいますか。今後そういう点十分検討なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/67
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068・植村武一
○衆議院議員(植村武一君) 御趣旨の点ごもっともでございます。よく研究をし、また政府当局とも連絡をとって、御趣旨に沿うように善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/68
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069・山下義信
○山下義信君 私はむしろ児童局長のお答えを得たいと思います。その点を研究しますか、今後。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/69
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070・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 今お答えしましたように、あとは通信教育とかいう点が残っております。これは若干でございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/70
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071・竹中勝男
○竹中勝男君 議事進行。こういう各派共同で、賛成でこちらへ回ってきておる、しかも今までの審議の過程から見ましても、これは特にどうしても出さなくちゃならない法律の案であると私どもは考えておりますが、できるだけまあこの日程の通りに、母子福祉資金貸付金の法律とクリーニングの法律はなるたけ早く一つ上げていただいて、健康保険に関しては相当私どもは慎重にこれは審議する必要があると思いますので、そういう点をお考えいただいて、なるたけ一つもう採決に私はしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/71
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072・湯山勇
○湯山勇君 さっきの保留している質問、医務局長が見えておりますから、医務局長にお尋ねします。今提案者の方へお尋ねしまして、特にインターン等について考慮の余地がある。今回は考えられなかったけれども、考えなくちゃならぬという御言明があったわけであります。で、インターンのための宿泊施設等については先般お伺いいたしましたが、今度はこういう母子家庭を含めてインターンの学生について、その生活等をよくするために何らかの対策を持っておられるか。あるいは先般当委員会で審議した以降において、何か学生のためになるようなことを実施しておられるか。そういうことがよくできれば、あるいはこの貸付金は同じ額であってもいいかと思いますけれども、国の方での格別の措置がなされていないとすれば、これは十分御検討願わなければならない問題だと思いますので、その辺あわせて一つ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/72
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073・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) インターンと申しましても、私関係いたしておりますのは、主たるものは医学関係のインターンでございますが、これにつきましてはいろいろな経済的な援助の方法を考えてみておるのでございます。全面的には食事あるいは宿泊、及びごく簡単な仕事をいたします上での被服関係という程度のものを、全員に給したいというふうに考えておるのでありますが、これは大蔵省と今まで折衝して参りました経緯からいきますと、必ずしも可能であるかどうかということは今のところ申し上げかねる状態であります。こういうようにこれが実現いたしません限りにおいては、インターン生は相当経済的にやはり困窮いたしているものが相当多いということは認めざるを得ないと思います。それからまたかりにこの制度が認められたといたしましても、いろいろな書籍費といったようなところまで万般の経費を給与するということは考えられませんので、やはりインターンを十分に実効が上るように、実施するということのために、経済的に困るというような家庭の事情のもとにインターンをしておる者もあろうというふうに考えられます。またそのほか宿舎を提供いたしますとしても、これは必ずしも全員に一挙には参りません。またインターンに対して各施設に私どもからも慫慂いたしまして、施設から幾らかの給与が与えられるところはそのような措置をとってもらいたいということをいい、一〇数%の施設では給付を行っておる所もあるのでありますが、しかしこれも全般にわたっておりませんので、私どもとしましては医学関係のインターンはやはり何らかの形でこのインターン制度として以外からも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/73
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074・小林英三
○委員長(小林英三君) 簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/74
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075・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 援助を必要とするものが相当あるというふうに考えております。御承知のように、育英会からはインターン生の定員のほぼ半数に当るものに対して、月々二千四、五百円だと思いましたが、この程度の給付を行うというような措置をとっていただいておるような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/75
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076・小林英三
○委員長(小林英三君) これにて質疑は終了いたしたものとみなして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/76
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077・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
なお、お諮りいたしますが、討論を省略いたしまして、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/77
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078・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
それでは、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして採決をいたします。本案を原案の通り可決することに御賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/78
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079・小林英三
○委員長(小林英三君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議におきまする口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/79
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080・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案に賛成の諸君は順次御署名を願います。
多数意見者署名
竹中 勝男 湯山 勇
山本 經勝 長谷部ひろ
加藤 武徳 榊原 亨
常岡 一郎 山下 義信
横山 フク 有馬 英二
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/80
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081・小林英三
○委員長(小林英三君) なお、この際お諮りいたしますが、そ族昆虫類駆除に関する小委員会は閉会中も継続してこれを実施することにし、その数、氏名等は現在の通りといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/81
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082・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/82
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083・小林英三
○委員長(小林英三君) クリーニング業法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/83
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084・加藤武徳
○加藤武徳君 法案の内容もほとんど各委員おわかりのことでもございましょうし、先ほど竹中委員の御提案のあったなるべく早く議了いたしたい、かように思うことでございますから、御異議ないものと、あるいは尽きたものと、かように御判断願って、直ちに議事をお進め願いたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/84
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085・小林英三
○委員長(小林英三君) ただいまの加藤君の御意見に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/85
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086・小林英三
○委員長(小林英三君) それでは、本案につきましては質疑は尽きたものとみなして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/86
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087・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
なお、討論は省略いたしまして、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/87
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088・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
これよりクリーニング業法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案を原案の通り可決することに御賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/88
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089・小林英三
○委員長(小林英三君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもちまして、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議におきます口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/89
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090・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられる諸君は順次御署名を願います。
多数意見者署名
竹中 勝男 湯山 勇
山本 經勝 長谷部ひろ
加藤 武徳 榊原 亨
常岡 一郎 山下 義信
横山 フク 有馬 英二発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/90
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091・小林英三
○委員長(小林英三君) 暫時休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後四時四十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/91
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092・小林英三
○委員長(小林英三君) それでは、休憩前に引き続きまして会議を開きます。
健康保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、右三案を議題といたします。
提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/92
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093・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) ただいま議題になりました健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。
具体的な提案理由に入ります前に、当面いたしております健康保険の諸問題と、これの処理対策につき御説明いたしたいと思います。
健康保険制度は、昭和二年実施以来わが国社会保険の中核として、労働者の生活に不可決の制度として親しまれ、その制度内容も逐年充実を重ねてきておりますが、昭和二十八年度の末に至りまして相次く医療費の増嵩が収入を上回り、特に昨年に入って以来保険経済はきわめて困難な事態に立ち至ったのであります。この情勢に対処して、政府は昨秋来被保険者の報酬の実態把握、不正請求、不正受診、不正受給の排除、保険料収納率の向上等の行政措置を強化し、極力財政の健全化をはかって参りましたが、それにもかかわらず政府管掌健康保険においては、昭和二十九年度約四十億円の赤字が生じ、昭和三十年度においてはその赤字額がさらに約六十億円と見込まれるに至ったのであります。医学の進歩と国民の保健衛生思想の向上とに伴い、医療費が逐年増加する趨勢にありますことは、やむを得ないことでありますが、問題はこの医療費をいかにしてまかなうかにあります。社会保険の従来の仕組みの中において、この医療費の増嵩をまかなうに足る保険料収入が確保されるならば問題は簡単でありますが、今日の健康保険の情勢は、従来の制度のままで毎年増嵩する医療費に対処することがきわめて困難な情勢にあると考えられるのであります。従って、健康保険制度の将来にわたっての恒久的な発展を期するためには、この際、本制度の根本的な検討が必要であると考えられ、引き続き調査研究を重ねている次第であります。しかしながら、問題はきわめて重大であり、かつ広範にわたりますため、その結論を得るまでにはなお若干の日時を必要としますので、昭和三十年度の予算の編成に際しましては、さしあたり当面収支の均衡のとれる財政措置を講ずることといたしたのであります。すなわち、昭和三十年度の予算におきましては、前年度と今年度との赤字見込総額約百億円に対し、七十億円については、国の財政的援助によって解決することとし、残りの約三十億円については、保険経済自体において収入増加の措置を講ずることといたしたのであります。保険経済自体における収入増加措置といたしましては、法律に認められている範囲内における保険料率の引き上げを中心として、若干の法律改正を考慮した次第であります。
以上申し述べましたように、当面の健康保険の財政的措置といたしましては、予算措置及び行政措置によりまして、赤字の大部分を解消することとし、あわせて健康保険法の一部身改正することにより、これに対処することといたしたのであります。
この法律案は主として右の趣旨に基き提案いたしたのでありますが、改正の機会に従来から問題がありました点について制度の不備を是正し、その他制度の合理化をはかるために、若干の改正を行わんとするものであります。
で、政府原案は衆議院において本日修正を見まして、その内容は、
第一に、厚生大臣または都道府県知事の検査に関する規定を整備すること。
第二に、継続給付資格期間を一年に延長すること。
第三に、不正受給者に対して損失を補てんさせる措置を講ずること。
第四に、第三者の行為によって発した事故につき受給権者が損害賠償を受けたときは、保険者は保険給付の責を免かれること。等であります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
この際、あわせて衆議院におきまする——、ただいま修正案の提案理由が説明されると思うのでありますが、衆議院において修正をされた点は、標準報酬等級の改訂、あるいは立入り検査規定の、診療所におけるところの立入りの規定の削除、ないしは被扶養者の範囲の現行法通りだというようなものを含みまして、これを端的に申し上げるならば、今回提案いたしました法律のうちの主軸は修正せられたのであります。従いまして、政府といたしましては、この修正によりまして相当に経済的なマイナスをこうむることになったわけでありまして、せっかくの赤字対策のうち、すでに大部分のものは予算措置並びに保険料収入によって、すでに四月上旬において決定いたし、その補充といたしましてこの法案を出しておるのでありますが、この法案のうちの大部分はこれを削除されたわけでありまして、残りは、継続給付のものはこれは後年度に相当に響きますが、わずかなものになった次第であります。政府といたしましては非常な大きな修正を受けましたのでありまするから、従って予算に相当の打撃はありますけれども、幸いにいたしまして、健康勘定特別会計におきましては九億の予備費がありまするので、この削減によりまして落された分は四億でありまするから、なお若干の余裕がありまするので、衆議院の修正に同意をいたした次第であります。こういうこともあわせてこの際に表明をいたしておきたいと思うのであります。
次に、ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
船員保険制度は、昭和十五年実施以来、船員の生活を守るために重要な役割を果しておる制度でありますが、その疾病給付面の財政は、数年来、療養の給付及び傷病手当金に要する費用が増加の一途を辿っておりますため、収支の均衡は悪化を来たして参りました。よって昨年五月保険料率の改正を行なったのでありますが、その後も支出の増加は著しく、昭和二十九年度におきましてもまた赤字を生ずるに至ったのであります。これに対処して政府は昨秋来行政措置として報酬の実態把握、不正請求、不正受診、不正受給の排除、保険料収納率の向上等に努め、財政の健全化をはかってきておりますが、将来にわたって、恒久的な解決をはかるためには、医療保険制度の根本的な検討が必要であると考えられ、引き続き調査研究を重ねている次第であります。しかしながら、この結論を得るまでにはなお若干の日時を必要としますので、さしあたって、昭和三十年度の予算におきましては、昭和二十九年度中に生じた赤字及び昭和三十年度中に生ずべき赤字のうち、船員法に規定する災害保障相当分を除いたものについては、一般会計からの財政援助によるのほか、保険料率の引き上げ及び給付の節減をはかる等の措置によって対処することといたしたのであります。
この法律案は右の方針に即応して所要の改正を行わんとするものでありますが、改正点の第一は、職務外の療養の給付、傷病手当金等を被保険者の資格喪失後において受けるためには、資格喪失前の一年間に三月以上被保険者であることを要することといたすものであります。健康保険においては、これと同様の制度がとられておりますが、船員保険におきましても、今回新たにこの制度を設けることといたし、被保険者間の公平をはかるとともに、支出の節減をはかろうとするものであります。
その第二は、傷病手当金について所要の改正を行わんとするものでありますが、職務外の傷病手当金につきまして最初の三日間は待期期間として支給せず、四日目からこれを支給することといたし、同じく職務外の傷病手当金であって被扶養者のない者が入院中に支給される金額を、一日につき標準報酬日額の百分の六十から百分の四十といたすものであります。これを第一と同様被保険者問の公平と支出の節減に資することとに立脚したものであり、健康保険においても実施いたしておるものであります。
改正の第三は、疾病給付所要財源に充てるため、保険料率を千分の九引き上げることであります。これは以上の改正を行いましてもなお生ずべき財源の不足分に充てるため、やむを得ず実施いたそうとするものであります。
なお、行政庁の質問検査あるいは不正受診の防止等につきまして、この度の健康保険法の一部改正案と同様の改正を行おうとするものであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に、ただいま議題となりました厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案は、現行の厚生年金保険法の施行前に被保険者の資格を喪失した女子に対する脱退手当金の支給条件を緩和いたしますとともに、規定の整備を行いますことを内容としているものでありますが、この法律案に規定しております改正点の第一は、現行の厚生年金保険法の施行前に被保険者の資格を喪失した女子の一部に対しても脱退手当金を支給しようとするものであります。同様の事情にある男子に対しましては、現行の厚生年金保険法により支給できるようになっておりますので、これと均衡をとります必要上、女子に対する脱退手当金支給の根拠規定を設けようとするものであります。
その第二は、規定の整備を行うことであります。現行の厚生年金保険法は、その施行より一年になりますが、この間の経過を検討いたしますに、多少規定の明確を欠く面がありますので、これを明らかにし、解釈上の問題が起ることを避けますため、所要の規定の整備を行うものであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/93
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094・小林英三
○委員長(小林英三君) 次に衆議院の修正点につきまして説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/94
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095・大石武一
○衆議院議員(大石武一君) 本日衆議院の社会労働委員会におきまして、いろいろの点を修正いたし、衆議院を通過したわけでございますが、その修正点に関して簡単にその理由を御説明申し上げます。
衆議院における健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法の一部を改正する法律案に対する修正理由を簡単に御説明申し上げます。いずれもこの三案とも相同じような個所の修正でございますので、一括して簡単に御説明申し上げます。
第一番目には、被扶養者の範囲の制限に関する規定を削除いたしました。これは健康保険法では第一条でございますが、このように被扶養者の範囲の制限に関する規定を削除いたしましたのは、財政的な現状から制限を行うという政府原案の考え方には一応納得できる点もございますが、三親等というような機械的な線によって制限を行いますことは現在の国民の生活の実態に沿わない点が認められますので、これを削除した次第でございます。
次に、標準報酬の等級改訂に関する規定を削除いたしました。これは健康保険法の第三条でございます。これは第一に、健康保険におきましては、すでに六月分の保険料から料率の引き上げを行なっておりまして、一部の被保険者につきましては、この際この標準報酬の等級額といたしますことは、二重の負担増になるわけでございますし、また第二に、現在すでに政府は健康保険の根本改正を実施すべくその作業に着手しておりますので、これを実施する際に、このような問題をあわせて考えた方がよかろうという見地から、あえてこの削除を行なった次第でございます。
次は「診療施設其ノ他ノ施設ニ立入リ」云々という、これは健康保険法の第九条の二でございますが、このような「診療施設其ノ他ノ施設ニ立入リ」、これは県なり厚生省の係官が診療施設に立ち入って検査をできるということでございますが、この「立入リ」という字句を削除いたしましたのは、ことさらにこの規定を入れることによってかえって保険医の協力を得ることが困難となるおそれがございましたので、これを削除した次第でございます。
以上が修正の簡単な理由でございます。
実はこの修正点を簡単に御説明申し上げましたが、この政府原案から見れば、非常に大きい修正でございますが、このような修正を最終日のきょうにわかに衆議院において修正をし、何にもほとんど審議の期間もないような状態において参議院にお送りしましたことは、まことに申しわけない次第でございますが、これは明らかに私ども与党の議員の非常に努力の足りない点でございますが、いろいろな客観的事情もございまして、事ここに至りまして、皆様に対してはまことに申しわけない次第でございますが、何とぞ十分御審議賜わりますようお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/95
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096・田村文吉
○田村文吉君 質疑に入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/96
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097・小林英三
○委員長(小林英三君) 質疑に入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/97
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098・竹中勝男
○竹中勝男君 健康保険は健康保険でやりますか、総括してやりますか、どういたしましょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/98
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099・加藤武徳
○加藤武徳君 健康保険法と船員保険法と厚生年金保険法はおのおの関連を持つ法案ですから、私は三案を一緒に御質疑をしてもらった方がいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/99
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100・小林英三
○委員長(小林英三君) いかがでしょう……。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/100
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101・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/101
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102・山下義信
○山下義信君 ただいま田村委員から質疑にお入りになりますかと委員長にお尋ねになった。言いかえると、本案を、従来の例によって審議を開始するかというお尋ねであったと思うのですが、従って審議のやり方について三法案をどうするかということをお諮り中なんですが、その前に根本的に、質疑に入るということはつまり本院が審議を取り扱うかどうかということになってくるので、基本的にはこれはとうてい審議ができないという見通しになれば、根本的な対策を御相談なさる余地があるんじゃないかと思います。私は、先にこの法案の御相談をお話になって、質疑をやってみよう、審議をやってみようということに本委員会の総意が一決すれば、その成り行いのいかんはともかくとして、一応審議の軌道に乗るということになる。一体本案の審議は当院はどういうふうに扱うかという基本的なことは、委員会の態度を決定になる議事進行の先決問題だと思いますが、私はそういうことのお話を先になさったらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/102
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103・田村文吉
○田村文吉君 ただいまの山下委員の御説ごもっともなんですが、とにもかくにも衆議院から修正された法案が回付されたのでありますから、その問題について審議を始めるということは当然なことだろうと思うのであります。ただ時間的に、今すぐこれから質問に入るのか、あるいはその前に御協議でもあって理事会で御相談なさってなさるのか、こういうことを伺いたい意味で私はお尋ねしたのであります。審議を始めるというのは私は参議院の当然の義務としてやるべきであると思うのです。ただ時間的に、すぐやるのかどうかということを私はお尋ねしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/103
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104・小林英三
○委員長(小林英三君) ちょっと、今の山下君の御意見もさることでありますが、たとえば継続審議にするかあるいはどうするかという、いろいろな問題があると思いますが、これは時間の関係もありますが、たとえば継続審議にしたいという皆さんの御意見でありましても、これは一応審議を進めてみて、時間の関係上、その上で継続審議にするということもあり得るわけでありまして、いずれにいたしましても、質問をお始めになりますか、お始めになりませんかということが問題だろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/104
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105・山下義信
○山下義信君 私のさいぜんの発言の中の、審議に入るか入らないかということをまず御相談なさったらどうかということは、取り消します。やはりこれは審議に入る。従って、今一応審議に入るということを委員長が御宣告なさって、私としては、議事の進行、質疑のいろいろな形、そういうような諸般の相談のために、とりあえず暫時の間休憩していただいて、理事会に移していただきたい、かように考えるのですが、お諮り願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/105
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106・小林英三
○委員長(小林英三君) 今山下君からお聞きの通りの御意見が出たのでありますが、山下君の御意見は、この際委員長理事打合会をいたしまして、この三法案の今後の取扱いをどうするかということをまず諮りたい、こういうのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/106
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107・加藤武徳
○加藤武徳君 できるだけ議事を進めていただきたい、かような希望を持っておりますが、各会派の意向がおおかたの方向へ向っておらずして審議を進めても、かえって時間的にもロスが多いのじゃないか、かようにも思うわけですから、山下議員の提案に私は賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/107
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108・小林英三
○委員長(小林英三君) 他に御意見ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/108
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109・田村文吉
○田村文吉君 このまま休憩して、理事会に入ることに賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/109
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110・小林英三
○委員長(小林英三君) それではそういたします。暫時休憩いたします。
午後五時十五分休憩
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午後六時七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/110
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111・小林英三
○委員長(小林英三君) 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
先ほど休憩いたしましてから以来、別室におきましてただいままで委員長理事打合会をいたしまして、三法案の問題につきまして本日の委員会における取扱い方等につきまして慎重に御相談をしておったのでございますが、衆議院におきましてはこれらの法案の審議につきましては七月十三日から七月二十九日まで約十七日間にわたって熱心な審議を続けられており、ことに最初の一週間ぐらいは午前、午後にわたって当該委員会において審議が行われておったのでありますが、きょうはわれわれも午前中に回ってくれば何とかまた努力をいたしたいというような考えを持っておったのであります。何分にも三時半にこちらに送付されてきましたので、各理事諸君におかれましてもいろいろ御意見もあったのでありますが、とにかくただいまから審議を、質問をお願いするといたしまして、できるだけ努力をいたしまして、適当な時間に休憩をいたしまして食事をいたし、その後さらに、その間の質疑応答の模様も照し合せまして、委員長理事打合会等でその後において三法案の取扱い等についても取りきめをいたしたい、こういうことに決定いたしましたので、ただいまからこの三法案を一括いたしまして質疑をお願いいたし、適当な時間に一応休憩いたしましてさらに検討いたしたいと、こういうことにまとまりましたから、どうか一つ御了承をお願いいたしたいと思います。
それでは、ただいまからこの三法案につきまして質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/111
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112・相馬助治
○相馬助治君 民主党並びに鳩山内閣はたびたび、社会保障制度を推進させてそれを完備するということを公約として発表されておりましたし、川崎厚生大臣も、何らかの機会に社会保険制度を抜本的に研究し、これを完備したい意思を持っておる旨の御発言があるやに承わっております。しかるところ、この健康保険法の一部を改正する法律案として、いわゆるその一部を改正する法律案を提案に及んだのでございまするが、全般的に社会保険制度についての構想はどのようにお持ちになっており、その構想の中における今般の改正はどのような位置を占めるのであるか、この際承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/112
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113・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 民主党におきましては社会保障制度の中核は社会保険制度の充実にあるという考え方を堅持をいたしております。本年は、御承知のごとく、一昨年以来のデフレ経済のもとにおきまして、非常に経済の収縮したときであります。従いまして、社会現象といたしましては最もそのへこみを受けたのは、私の考えるところでは、失業者の激増であろうと思うのであります。従いまして、失業対策を中心とする社会保障政策という形で総選挙に鳩山内閣は臨み、これをもって今回の選挙における大きなスローガンとし、また昨年の末におきまして、第一次鳩山内閣の予算編成の大綱には、住宅政策と並びまして失業対策を中心とする社会保障ということが明確にうたわれておったのであります。しかし私は三月に厚生大臣に就任をいたしますると同時に、最初の閣議におきまして、失業対策を中心とする社会保障ということはきわめてウィークではないか。もっと前進をしてやはり社会保険を強化をするということを並列的に行なってこそ、初めて社会保障の発展があり得るということを、閣議の席上でも力説をいたしまして、その字句の挿入かたをさらに求めたのでありますが、すでにして大綱が決定いたしておりましたあとでありましただけに、これを根本から変更することは困難でありました。しかし私といたしましては社会保障制度の中心母体はあくまでも社会保険の拡充にあると、かように考えておった次第であります。
しこうしてこの今回提案を見ました健康保険法改正、並びに本年の春の健康保険の予算措置、並びにこれに対するところの対策というものとどういう関係にあるか、こういうお話であると思いまするけれども、私は社会保険の拡充の中におきまする最も一番重点を置くべきものは、一応今日の態勢としては、健康保険ではないか。もとより、将来の展望を見ますると、国民健康保険というものは国民全体を対象として行われておるのであり、その部面にこそ大きく保険の伸びを確信しなければならぬ、かように考えまするけれども、歴史の古いかつ労働者を相手といたしまして実施をされておりまする健康保険の充実ということが、第一に掲げられなければならぬと思います。ただ、非常な不幸な事態は、昭和二十八年度から二十九年度へかけまして、健康保険の中におきましては、ひとり政府管掌といわず、組合管掌においても赤字が増大し、政府管掌におきましては昨年度四十億、本年度におきましては六十億の赤字が見込まれるような非常なる事態に突入をいたしましたため、そのゆえをもって、とりあえず、健康保険の危機を打開をしなければならぬ、健康保険の崩壊の危機というものを食いとめてかなければならなぬ、こういう考え方を持った次第であります。
物事には、発展する前にはやはり、危機に到達をしておる財政状況を先に考えなければならない。非常に悲劇的な場面にあるのが今日の社会保険の実情であると思うのでありまして、従って、今回の対策は決して積極的な対策ではございません。はっきり申し上げておきまするけれども、積極的にこれを伸長する対策でないことは明らかであります。しかし、もしこれを看過をいたしまするならば、健康保険のみならず、社会保険全体に非常に大きなる危機を招来して、それこそ根底から崩壊をする非常なる危機に到達をいたしておるのでありまするから、その面の対策といたしまして、はなはだ社会保障の前進ということの見地からいたしますれば、私としては非常に残念ではありまするけれども、このような対策をとらなければならないことに相なったと思うのであります。
はなはだ長く論述をいたしまして恐縮でありまするが、最初の御質問でありまするから、私の信念を申し上げまして、御参考に供する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/113
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114・相馬助治
○相馬助治君 川崎厚生大臣が社会保険制度の、特に保険経済の基礎の面において悲劇的な段階において就任しているということに対しては、同情を禁じ得ません。しかし私はこの際突っ込んで問わなければならないと思いますことは、政府が奨励しておるように、社会保険制度というものはいよいよ普及してくる。しかも保険医療の内容というものはいよいよ向上してくる。必然的に医療給付費というものはいよいよ増嵩の一途を辿る。これは何人も予想せられるところであって、しかしてこの際赤字が出たとするならば、その赤字を解消しようと政府自体が考えると、これにもわれわれは反対するものではありません。ただ問題はその方法です。従いまして、心ならずもこういう改正案を出したと、こういうことですが、そうしますと、社会保険制度を守るための最低のやむを得ざる今般の政府の提案であったと、かように本員は了解すべきかと思うのですが、私の了解は誤まっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/114
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115・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 大体において御趣旨の通りでございます。これに多少つけ加えますれば、今回、御承知のごとく、健康保険の赤字百億に対しまして、両年度を通じて百億に対しましては、元来は保険の収支の均衡が破れたということは保険者自体に責任があるのじゃないかというような考え方で、保険自体の経済の中において持つべきだという議論がありますが、私は今日健康保険がかくのごとく伸張してきて、しかも医療費が増大をいたしたということは、たびたび申しておりまするけれども、決して悲しむべき現象ではなしに、わが国の医療費が伸びたということはそれだけ国民の健康に対するところの関心が高くなった。そうしてとにかくも日本人の平均年令が伸びておるというようなことを参照いたしますれば、やはり社会保障の実態というものが伸びておるということを意味するのでありまするから、これに対する措置としてはやはり国が責任を持って、ことに政府の管掌のことでありまするから、一応責任を持つ態勢をとるべきであるといこうことをちょうど予算編成のときに党内において力説をするばかりでなしに、党内の諸君の非常な御賛成を得まして、十億の国庫負担並びに六十億の融資を取ることができたわけであります。しかしながら、赤字は百億以上に上りますために、これに対して被保険者自体持っていただかなければならぬという意味で、千分の六十から六十五にするところの保険料率の改訂を行いまして、大体今回の赤字対策としては一応これで終止符を打ちたいというのが私の考え方であったのでありますが、なお十数億程度の費用がないと予備費の運営に困る。やはり保険経済が五百億ほどのふくらみになっております。その中において予備費が一文もないということになりますると、これまた財政収支が非常にこわれますので、今回提案いたしました健康保険の改正なるものはその補充的措置として行なったものであることもつけ加えて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/115
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116・相馬助治
○相馬助治君 御所見は承わりましたが、そこで一点たださなければならないことは、この赤字は埋めなくてはならない。それは私どもも認めます。そこで赤字を埋める絶好のチャンスが先般あったと思うのです。それは何かと申しますると、鳩山内閣が当初予算を両院に提出された後に、自由党がこれに対して修正意見を持たれた。そうしてしかも自由党と民主党が合意の点に達して修正されたものは、何に幾ら出すというのではなくて、トータルがきまって、逆にその増加分の配分をやった。これはいまだあのような形において予算が修正されたことは例が少いと思うのです。あの際真に健康保険の、いや社会保険制度を守ろうと鳩山内閣が熱意を持つならば、しかも川崎厚生大臣が、社会保険制度を守ることがあなた自身の厚生大臣としての任務のうちの最大なるものであるという意図を持つならば、職をかけてもあの際赤字解消の費用を、あの自由党と民主党の政治的取引の中において獲得すべきであったと思うのでございまするが、これに対しては厚生大臣はどのように今日御見解をお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/116
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117・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 自民両党の修正の際に、健康保険を修正すべきであるという考えは、遺憾ながら党内においては全く地を払っておったように感じております。また自由党においても、諸種の原案の中にも健康保険の問題につきましては、赤字対策としてさらに何らかの付加をすべきであるというような提案はありませんでしたが、私自身といたしましては、でき得る限りこの機会においてやりたいというので申し出はいたしましたけれども、他にも重要な歳出項目の増大がありまして、これらは顧慮を払われなかった次第でありまして、かような点ははなはだ遺憾でありますけれども、絶好の機会を逸しましたことは率直に認めるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/117
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118・相馬助治
○相馬助治君 非常に率直な御見解なので、私はそのことを深く責めません。要するに、法改正によって、厚生大臣としては、何とか社会保険制度を守ろうとして、最低やむを得ざる要求として、本法案を出したのだと私は了解します。また私の先ほどの質問に対してさように答えられておりますが、それならば、私はここで声を大にしてあなたにお尋ねしなくてはならないことは、そのような最低な、しかもどうしてもやらなければならない法改正に対して、衆議院において、その改正の要点の中心ともいうべき点が大修正を加えられた。しかもその修正は、与党民主党の議員の賛成をも得て加えられておるのであって、野党が結束して与党を責める形において修正しておるのじゃないことは大臣御承知の通り。こういう段階に参った場合には、私はいろいろな道があろうと思います。一つは、趣旨が透徹しないのであるからとしてその修正案にどうしても政府自体としては妥協せずに、何らかの形において戦うべき道もありましょうし、またいろいろありましょうが、とにかくここで一体厚生大臣としては、この衆議院の大修正に対してどのような御見解をお持ちであるか、率直に一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/118
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119・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 確かに標準報酬が今回の一つの根幹であることだけは間違いございません。目に見える額といたしましては、今回の改正によりまして、年間三億六千万円の費用というものが削られるわけでありますから、わずかに六、七億に上りまする今回の改正によって得られるところの財政の増大を、少くとも今年度の計数にいたしますれば、半分以上落されたのでありまするから、いわゆる財政の収支均衡策のために作った法律の改正案の大半を葬られたということになるのであって、この点は全く不面目でございます。しかしながら健康保険法改正というものが通らなかった場合を考えますと、これは先般来私は全国の保険出張所長を集めまして、今まで非常に赤字で悩んでおって、そしてますます赤字を出さんとする際に、とにもかくにも国庫の負担ができる、あるいは融資も昨年度は御承知のように最初から融資をしたわけでもございません。国庫の余裕金を借りておいて、ただ日を一日延ばしに延ばしておったというのが今までの状態でありますが、本年度は当初において融資額が決定をしておるようなことから、非常に保険出張所長などは意気込みまして、収納率の引き上げも、ただいままでは九一くらいまでを目標にしておったのを、とにかく九三%以上までに引き上げるという非常なる協力と熱意を見せてくれておるのであります。そのことの士気にも影響いたしますし、またこの法案の中におきまして、衆議院が御修正にならなかった個所には継続給付が残っております。資格喪失後の継続給付は、平年度におきまして六億六千万円であります。私の見ておりますこれからの後の日本の経済の動きいかんによりましては、毎年十数億の額に上るようた大きな財源にもなりますし、その他監査の規定なども、立ち入り検査の立ち入りということは除かれましたけれども、なお相当に残っておる部分もございますし、その他の点などを考えあわせますと、やはりわれわれといたしましては、予備費が三億六千万円程度落ちたけれども、この案全体を生かす意味におきまして、修正に同調せざるを得なかったのであります。すなわち、失いましたものは確かに十の中で六を失ったかもしれませんが、さらに残った四が将来の延びというものを加えますと、これは相当に大きなものでありまして、ことにこの資格喪失後の継続給付の問題につきましては、私は標準報酬以上に重大視しておる点もあるのであります。かような意味合いをもちまして、何とぞこの案が参議院におきまして修正案にでも御賛成をいただければ、その後におけるところの健康保険財政というものは明るい展望の道を見出すことができる、こういうふうに信念をいたしておるので、同調をいたしたということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/119
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120・山本經勝
○山本經勝君 大臣にお伺いしたいのは、やはり根本問題なのですが、かつて大臣の方で諮問機関として持っております社会保険審議会に御諮問をなさって、そして保険の赤字処理その他の強化について御意見を問われたように聞いております。そこで承わるところによりますと、労使双方、公益、こういった各側の委員構成でございますが、その審議会の一致した意見の答申があった。ところがこの答申と政府の方の御見解とは非常に対立しておったということを承わっておるのですが、これは私は今の論議になっておりますような保険制度の根本的の改革、あるいは当面する財政の面から見て重大な危機、こういうものを乗り切るためにどうしても政府だけではいかぬので、関係しております労使双方、公益の三者構成でもって作られた広範な良識を結集してなさなければならぬ、こういうふうに考えるのですが、この点で政府当局と意見が対立したというのはどういう事柄であったのか。またその答申案の内容等について御説明をいただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/120
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121・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 今ここに答申案の内容を持っておりませんが、私は大体承知いたしておりますので、アウト・ラインだけ申し上げておきたいと思います。今回社会保険審議会に対しましては健康保険法第二十二条によりまして諮問をいたしたのでございます。国会にかける前に諮問をいたしましてこれが答申々得んといたしたのでありますが、労使双方におきましては、今回の措置に、すなわち標準報酬の等級改訂ということについては非常な反対がありました。これは標準報酬を引き上げるということになりますと退職金にも影響いたして参りますし、また最初厚生省の原案として出しました標準報酬の頭打ちは七万円という額であったのであります。これは従来の三万六千円の第二十二級と思いまするが、これをさらに三万六千円の上を積んで四千円ずつ引き上げまして、そうして七万円という線で出したのであります。これはこれだけの赤字を出した以上は、やはり保険経済自体の中において、保険の精神でありまする相互扶助、社会連帯という観念からいたしまして、多く富んでおる者が貧しい者の欠点を救うという見地から、最初は青天井でもよろしいじゃないか、すなわち十万円の標準報酬というものも設けてよいのではないかという議論もあったのでありますが、公務員の共済組合等の関係を見まして、公務員の最高俸給額が七万二千円でありまするから、まず七万円ぐらいが妥当であろうというので出したのであります。
それと社会保険審議会におきまして最も議論になりましたものは、この七万円ということになりますれば、まず大会社の部長級というところだろうと大体思いますが、この人々の収入に対しまして相当な費用がかかるわけでございます。そこで日経連を初めといたしまする経営者団体が非常にこの点に反対をされて、それが日経連の所属会員である社会保険審議会の委員の人々に反映をいたし、まずここにおきまして非常な反対運動が出たのであります。これとちょうど軌を一にいたしまして労働者側の方におきましても料率の引き上げということを今回他の措置において行なっておりまして、これは厚生大臣の権限で行なったのでありますが、これについて非常に御反対がありまして、労使はそれぞれ違った理由のもとに御反対があったのでありまするけれども、社会保険審議会全体の答申としては、それぞれに反対である、こういう答申が出たのが大体の実情でございます。
しかしそれに対しまして学識経験者並びに中立の委員におきましては、健康保険が当面をしておりまするこの危機に対して、ただ反対をしておってはならぬ、何らかやはり対策を立てなければならぬ、政府の七万円という頭打ちはやや行き過ぎのように思うけれども、これを引き下げて適当なる水準においてきめることは何ら反対すべきものではないのではないかという意味の御発言が所々にありまして、最後には一部少数意見として、政府案に対しただ反対するということについては反対である、——大へんややこしくなりまするが、学者らしい御結論でありまして、政府案の原案には自分らも反対であるが、しかし政府案に対して反対をして——ただ破壊的に反対をするということでは自分らは反対である、こういう見地から何らかこの標準報酬を引き下げて実施をしたらどうかということで、継続給付あるいはその他については御賛成でありまして、そうして標準報酬の頭打ちを少しく下げてみようというような議論がありましたので、今回の改正の趣旨をずっと見てみますると、労使の双方が反対されることは私などもよくわかるのであります。すなわち赤字が出まして国が一部を負担をし、被保険者も負担をする、最後にはやはり物価の変動に応じて今度標準報酬を変えたのでありますが、そのことの負担がじかに自分たちのからだにかかるわけでありまするから、御反対の理由はわかりますけれども、第三者の立場に立っておる学識経験者などから、政府の原案には反対だが、もう少しく下げて実施をすることはむしろ進んでやるべきではないか、こういう御議論がありましたので、七万円を四万八千円に下げて提案をいたしたのが、政府の衆議院に提案をいたしました原案であったということもあわせて御報告を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/121
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122・山本經勝
○山本經勝君 この赤字がこれは来年度の予想を加えて百億ということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/122
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123・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 昨年度が四十億でございます。本年度見込みが六十億で、百億であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/123
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124・山本經勝
○山本經勝君 そうしますと、この案の説明要旨の中にも出ておるようですが、赤字の原因でございますね、この赤字の原因について具体的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/124
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125・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 健康保険の赤字はもとより医療給付費が増大をしたことが原因でございます。その一番大きな原因と申しまするのは、やはりいわゆる結核関係の費用が非常に増大をいたしたということが言えると思うのであります。特に最近における結核医療費の増大は非常に著しいものがありまして、医療給付費の総額の三五%を占めまして、被保険者の本人の入院分の医療給付費におきましては六二%を占めておりまして、これが健康保険の赤字の第一原因といわれておるのであります。また昭和二十八年以来健康保険の充実のための施策としてとられて参りました、一昨年の十月に国会において御可決になりました給付期間の延長あるいは点数の引き上げ、抗生物質の採用、こういうことがこの医療費の増大の原因の一つとなっておると見れば間違いない、かように思っております。しこうしてこれに加えまして、やはり乱診乱給というものが一部にあったこと、これはしばしば論ぜられることでありますが、これも赤字の原因の一つであろう、しかしこれはさきに述べました大きな要素から見れば比重は少いということもあわせて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/125
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126・山本經勝
○山本經勝君 今大臣のお話を承わりますというと、つまり健康保険の中で結核関係、つまり医療給付費の増大というものの中で結核関係の増大が非常に顕著である、しかもそれが三五%を占めておると言われるのですが、そういう状態はこれは他のたとえば結核関係の患者というふうにはっきりと限定した具体的な数字が出るものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/126
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127・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 私の方で時折精密な調査をいたしておりますのであります。これは非常に手数がかかりますために、毎月々々の経費につきまして詳細に検討して参るわけには参りません。一番新しい数字——精密調査の数字といたしまして、今大臣からも大体のことを申し上げたのでございますが、昭和二十八年の十月にそういう意味合いにおきまして、十月一カ月間の支払い費用の内容につきまして精密に調査をいたしてみたのでございます。その結果を敷衍をいたしまして申し上げてみたいと思います。
この調査の結果出て参りました数字は、政府管掌健康保険の全体の数字に対して結核の占めておりまする割合を各要素に区分して計算をしてみておるのであります。それを申し上げますると、まず入院につきましては、先ほども申し上げましたように被保険者分と被扶養者分、家族分と分けて申し上げますと、被扶養者の分につきましては、全医療費の金額におきまして六二・二%、件数におきまして五〇・三%を占めておるのであります。それから家族の分につきまして申し上げますと、件数におきまして二六・六%、金額におきまして四二・二%を占めております。それから入院外、すなわち主として外来と申せばよろしいのでございますが、この分につきましては、被保険者分の件数が九・五%、金額にして一八・九%、それから家族の分が、件数にいたしまして五・六%、金額にいたしまして一七・三%でございます。こういうふうに入院外と被保険者、被扶養者それぞれの分におきまして違っておりまするが、全体として総費用に対する結核の占める割合は、先ほど大臣から申上げた通り三五%に当っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/127
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128・相馬助治
○相馬助治君 この際衆議院の修正者にお尋ねしたいのですが、私はこの健康保険法の一部を改正する政府提案の法律案をよく読んでみますと、賛否の態度は暫らくここで申し上げませんが、かなり気を配った法律案だと、かように見たのです。そこでこの改正要点でありまする標準報酬について大修正を加えた、すなわち現行通りにとどめ置いたということは、現行がよろしいという積極的な意思なのか、それとも今回の政府提案の等級区分はいけないという意思を含んでいるのか、それともそれらのことを離れて政治的理由によるのか、その点について率直な見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/128
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129・大石武一
○衆議院議員(大石武一君) お答えいたします。ただいま私に対して率直な意見を発表せいという御質問でございますので、率直にいきさつを申し上げたいと思います。
この政府提案の標準報酬の問題は、私は必ずしもこれは悪いとは考えておりません。相当に考えた案であると思います。ただし、たとえば船員保険のような漁船に関する部分であるとか、そういう部分に関しては多少の議論なり意見もございますけれども、大体においてはよく考えた案であると思っております。しかし、なぜこれをあえて削ったかと申しますと、私はこの健康保険の根本的な赤字解消発展の土台というものは、これだけではとても救われないと思うのでございます。今度の政府提案では根本的な赤字解消にはならないと思います。やはりもっとほかにいろいろな意見がございます。たとえば国家の負担をもっと増すとか、あるいは被保険者の一部負担を増すとかいろいろの問題がございます。そのような問題をあわせて考えて、そうしてこういうたとえばこの標準報酬の格上げといいますか、そういうものを一切ひっくるめて初めて根本的対策ができると思うのであります。でありますから近い将来において根本的な案ができ上るという政府の方針でありますし、その際にあわせてやった方が私は根本的な対策としてむしろやりいいのではないか。これだけ取り上げていくより、総合的ないろいろの問題をあわせて考えてやった方が非常にやりいいということを考えたのが一つの原因でございます。
もう一つは、率直に申しますと、この政府の健康保険法の一部改正の法案を通すことが、これが政府のために非常にやりいい、政府としては赤字を解消することについてスムーズに運営ができるという方針で出したのでありますから、何とかして、不十分でありますけれども、この案を通したいと思ったのであります。ところが、御承知のことと思いますからくどいことは申し上げませんが、客観情勢がこの法案の通過を非常にはばんでおりまして、そうしてやむを得ずこのような標準報酬を削除することがこの案の通過がなめらかになる、しかしこの標準報酬を削りましても、なお先ほど厚生大臣が言われましたように、相当にいろいろと赤字対策に役立つ分がありますので、私どももあえてこれを削りたいとは思いませんが、客観情勢を考えてこれを削って近い将来にもっと根本的な問題を取り上げるときにあわせ考えた方がよかろうという考えで削ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/129
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130・相馬助治
○相馬助治君 率直に話せと言うて率直に言うたのにあげ足をとるようでまことに恐縮ですが、日本の社会保険制度の推進のためにやはり私はただしたいので大石さんに再度伺いたいと思います。私はそういう答弁があるのではないかと予想しましたがゆえに、先ほど厚生大臣に質問をいたしました。厚生大臣はきわめて率直に、抜本的に社会保険制度を完備したいけれども、しかも今回の修正は積極的な意思を持ってやるわけではないけれども、最低社会保険経済の現況を守るために万やむを得ずにこの提案をしたという苦衷を含めた発言をされております。あなたは失礼ですけれども、民主党所属の代議士と承知いたしております。そういたしますと、これは抜本的にやるときに修正すればいいのだと、だからこの際標準報酬には触れたくないのだと、こういうことでは本院に対してあなたたちは——あなたたちとは、発議者は審査を要求し、この衆議院修正通りすみやかなる可決を望むという態度で出てくるのにはいささか矛盾ありと考えるのですが、これは私の考え方が間違いでございましようか。率直に、私の考え方が間違いなら間違いでよろしいですから、一つその間のお気持を聞かせていただきたいというのが第一点。
第二点は、政府原案はなかなか成立しがたい客観的条件があったとのお話でございますが、大体想像がつかないでもございませんが、差しつかえなかったならば、大石議員個人のやや主観的な素材に基く発言でけっこうでございますから、客観的条件なるものの内容をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/130
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131・大石武一
○衆議院議員(大石武一君) お答えいたします。私の答弁に言葉が足りなかったか、まあ不十分な点がございまして、相馬委員に十分な御理解をいただけなかったのでございます……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/131
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132・相馬助治
○相馬助治君 ちょっと速記を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/132
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133・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/133
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134・小林英三
○委員長(小林英三君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/134
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135・大石武一
○衆議院議員(大石武一君) 第一点と第二点と一緒にしてお答えいたしたいと思います。この答弁には、私民主党の議員であるという個人の私見が相当入っておりますことをお許し願いたいと思います。
私どもは何とかしてこの政府原案を通したいと考えておりました。せっかく厚生省で考えて政府が出したものでありますから、何とかこれを通過さしたいと念願いたしておりましたが、私どもの努力が足りないこともありましたでしょう、野党の協力を得ることができなかったのであります。いろいろと今まで努力いたしましたが、ついに今日まで野党の協力を——御承知のように衆議院におきましては民主党は過半数に達しておりませんので、野党の協力を得なければこの法案を通過させることができない次第であります。いろいろと折衝いたしました結果、大体ここに持って参りましたこの修正案程度の修正をすれば野党の一部の協力は得られるという見通しがついたのでございます。そこで初めて、政府にはまことに気の毒であります、ことに厚生大臣に対しては非常に済まなかったのでございますが、この修正をすることによって通るという見通しがつきましたので、涙をのんでこの修正案を民主党から出したわけであります。実際与党が政府の提案に対して大修正を加えるということは、まことにこれは形の上ではおかしな形でございますけれども、これによって多少でも政府の考えている意図が実現できるとすれば、それよりほかないと考えたわけでございます。そうして、このような修正案を作ったのでございますが、でありますから、この標準報酬を実は削りたくないのでございます。これが形の上では、この法案の半分くらいの——わかりませんが、半分近くの価値を持っているのじゃなかろうかと思うのでございます。でありますが、今のような客観的情勢によりまして、あえてここで涙をのんで削ったわけでございます。この削る場合には、やはり、まあ表向きは、今秋の気持を申し上げたんでありますが、表向きは何らか削るだけの理由がなければ、単なる客観的情勢と申しましても、なかなかこれは表向きの理由になりにくいのでありますが、実は今、へ理屈になりますけれども、この根本的な問題とあわせ考えてもよかろうという理屈をあえてつけまして申し上げている次第でございまして、ほんとうの気持は削りたくないのでございますけれども、通過させるためにはやむを得ないという気持で、厚生当局の意思に反してあえてこのような修正をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/135
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136・相馬助治
○相馬助治君 一点だけ。御発言の内容については、私は私なりに、わが党はわが党なりの見解と、これに反駁する用意もありますけれども、率直な御発言でその問の事情はよくわかりました。私はこの際一言触れておきたいと思いますことは、衆議院が修正をして、その真の事情をわれわれに説明せずに、何やらもったいぶったことを言うて、非常に短期間に、審議の時間のないところに大きな修正を持ち込んでくる最近の傾向に対して、私はひそかに腹立たしさを感じていたやさきなんで、率直にお尋ねをしたのでございます。御発言の態度並びにその率直な点につきましては、私は心から敬意を大石委員に払います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/136
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137・田村文吉
○田村文吉君 厚生大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、先般来、総合的に社会保障についてのお考えをお持ちになっているので私は非常にけっこうだと思うのです。そこで、今度の健康保険の改正のもとをなすものは何かというと、つまり損害が多いと、その損害が多いもとは何かというと、結核から来ている損害が実は多いのじゃないか、この結核の問題は、ひとり健康保険だけでない。同じ健康保険の中でも、健康保険組合——各会社がやっている健康保険組合でも非常に大きな負担になっておる。それから地方自治体でも今結核に対しては非常な支出をしている。国家はむろん莫大の支出をしているわけなんです。私はこの際ちょうど川崎厚生大臣がまあ御就任になって、この実行力の強い大臣になって、今後しかし両党の合同等でどういうことになるかもしれませんけれども、この十年間くらいの間に日本から結核というものを退治してしまうと、こういうくらいの総合的な大きな考えのもとに、現在でも結核対策審議会ですか、何か会があるようでありまするが、大きな一つ対策をお立てになっていくことが、今日日本としてはもう必要欠くべからざる状態になっているのじゃないかと、で、一面においてハエや蚊を退治するというような運動もこれと非常に関連もありますし、また大きな大事なことではございますが、今までむろん結核に対しては、各国会でも政府でも非常に努力はしておられますが、それを一つ一本にまとめて大きな組織として動くような方法を考えられないか。また国民の動き方もそれを一つ一本にまとめていくような点があり得るのじゃないかと、そういうふうに考えるのでありますが、厚生大臣のこれに対する所信を伺いたいのであります。私はそういうことを非常に希望するのでありまするが、所信はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/137
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138・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 先ほど以来御質問の際にも答弁をいたしておりますように、今日健康保険が赤字を出しましたところの大きな原因と申しますのは、結核の医療費というものが非常に大きくなったということが言えると思うのであります。そのパーセントも先ほど申し上げたような数字に上っておりまして、医療給付の中の、ものによっては六二%というような、入院患者の場合は六二%というような費用を結核にとられておるというようなことで推移をいたしておる関係で、この際結核対策というものに対して抜本的な施策を講じなければならぬことはもとよりでございます。結核予防法もあり、また結核の公費負担というようなこともすでに法律その他によって決定をされておりながら、地方行政との関係をもちまして、十分なる施策が行われておらぬということは、はなはだいかんといたしております。そこで論者の中には、この際、たとえば国費をもって健康保険に対する負担をしろ、いわゆる一割ないしは二割負担というものを実施をする際においても、費用が重なるけれども、むしろ結核というものに対してのみ補助をするというようなことをいたしたらどうかというようなことを言う者もありまするし、またさらに、結核保険というものをこの際創設して、そして他の病気とこれを切り離して処置をするということになるならば、健康保険自体も非常に健全であり、結核に対するところの公費負担ということになるならば、国民も納得しやすいのではないか。こういう議論をされる方がありまして、私などもその議論には耳を傾けるものがあるのであります。たとえば諸外国の例におきましても、これはヨーロッパのイタリアであるとか、あるいは南米のチリーなどでは、結核保険というものを創設をいたしまして、非常にイタリアのごときは成績を上げておるようなものもあります。気候風土なども非常に似ておりまする関係で、そういうものを創設したらどうかということには私どもも非常に心が動いておるのでありまするけれども、保険の統合というような点からいたして果してどういうものであろうかというような観点もありまして、今日結核保険を創設することは時期尚早であるということが、大体多くの社会保険関係者において論述をされておるところであります。そのような意味合いで、しかし相当にこういう問題について議論が高まってきておりまする関係で、将来結核に対する総合的な研究機関というようなものを設けて、そして健康保険の内部における結核対策というものに対して特別の対策を立てるばかりでなく、結核全般にわたっての対策を整備するというお説はごもっともでありまするから、十分に研究をいたして善処いたしたい、かように感じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/138
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139・田村文吉
○田村文吉君 私の意見を申し上げるようで恐縮でございますが、国民健康保険もなかなか自治体でようやっていけないという困難な状況であり、やはり大きな問題は結核でありますので、私は政府に次から次と資料を出していただく予定でおりますが、一体日本の国民は結核に対してどれくらいの費用を出しているだろうかということは、これは寄せてみたら大へんな数字だと思うのです。そこで、そういうものが非有効に使われたんでは残念なんでございますから、私はそれを一本にまとめて、そして結核保険なり、結核に対する大きな対策をこの際もり立てて、十年なり二十年の間には、日本から結核という文字を消してしまう、こういうような大きな抱負を持っていることが政治の一番大事な問題じゃないか、こういうふうに考えますので、ひとり健康保険という小さなワクに入らぬで、国民健康保険しかり、また健康保険組合もしかり、その他の社会施設、保障等の問題全部を合せて、結核の問題は一つ、結核と戦うというような方針で、私はこの際川崎大臣はいつまでもおいでにならんかもしらぬが、政府が制度を立てて、一つ十年の間に日本から結核というものを退治する、こういうような方針をお立てになっておったならば、私は川崎厚生大臣の功績というものは末代に残る功績になるのだ、こういうふうに考えますので、私はそういう点について御熱意があるかないか伺ってみたいと、こう思ったのです。前言を敷衍するようでありますけれども、その意味で大臣の抱負を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/139
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140・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 今お言葉のうちにありました結核対策に対する資料を出せということでありまするので、これはお手元に近々に提出いたしたいと思っております。政府管掌の健康保険の結核に対する費用だけで百三十六億五千万円に上っておるというようなことであります。その他御承知のごとく本年度予算におきましても、結核対策費としての勘定もあるのであります。御指摘の通り国民健康保険に対するものもあれば、さらにまた各種の制度におきましてこれは相当に大きく取り上げられておりますが、これが一貫した対策によって推進をされることが望ましいということはお説の通りであります。今日——昨年の調査によりますれば、二百九十二万といわれておる結核患者、これが今後の調査によりましてどのような度合いになりまするかは別といたしまして、ベッドも足りなければ、あるいはその他の施策も非常に不十分であることは、私は厚生大臣として非常にじくじたるものがあるのであります。従いまして社会保障制度の推進に当りまして、結核対策というものを一番大きく取り上げて邁進をしなければならないことは御指摘の通りであります。熱意どころではなくして、結核に対する白書などというものも将来は用意をして、そうして国民に対しこれを徹底せしめるばかりでなく、でき得る限り近い機会、少くともこの五、六年の間に結核対策というものを充実をいたしまするならば、結核国であるとかあるいは肺病国であるというような印象をもって世界に不名誉なる名前を売ったというわが国の結核も次第に減少するものと思いまするので、この点に対しては十分鋭意努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/140
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141・田村文吉
○田村文吉君 私も御趣旨はわかるのですが、そういう大きなオルガニゼーションを作って、この際川崎厚生大臣は来年度の予算にまでもこういうものを積み立てて、そうしてこれをあとへ残していく、こういうところまでお進みにならぬでは、どうも概念的では、日本の国民全部がそれをこいねがっておることには違いない、それから先刻御説明のございました二百億程度でございますか、私はもし詳細に計算するならば、日本の国民が結核に対して払っている負担というものは、おそらくは一千億にもなっているのじゃないか、こういうようなことを私は考えておりますので、単に政府の予算に出ている数字だけじゃないのです。実際国民が払っている結核に対する負担というものは、おそらくは一千億に近いものに達しているのではないか、そうするならばこれを有効に使うようにする、それには一つのオルガニゼーションを作りまして、そうして今後組織というものによってこれを動かしていくという必要がある、そこまでやるという意気込みがおありになるなら、四、五年なんてのんきなことをお言いにならないで、まずそのオルガニゼーションを作るお気持はおありになりませんかどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/141
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142・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) ただいま私が少しく早口で申し上げましたので、御理解になり得なかった点もあるのは、全く私の言葉の言い回しが悪かったと思っております。ただいま述べました数字は、政府管掌の健康保険だけでも百三十六億でありますから、お説の通り国民健康保険あるいは健康保険組合のもの、そうして結核対策費、こういうものを累算していきますと、おそらく千億に近い費用がとられておるだろうということは、私も大体お説のごとくだと思っております。またそういう概念的なものでなしに、実際の対策として結核対策を総合的に立てろ、こういうことでございますが、これらは今回健康保険の根本的対策として委任しておることではありまするが、七人委員会等におきましても、健康保険の現状とともに結核の現状につきましても十分なる分析をいたしてくれておりますので、これらの意見をもあわせまして、従来の対策と並行しつつ、必ず近い将来におきまして、総合的な対策を立て、これを三十一年度予算の上に盛り込むことの熱意は決して減じておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/142
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143・田村文吉
○田村文吉君 そこで私は大臣の御答弁でなくてけっこうなのでありますが、在来国民健康保険及び組織労働者関係の健康保険、こういうようなもの及び官庁における共済組合などですね、こういうようなものがばらばらになっていること自体が、早くいえば国民に対しては非常に不公平な扱いになっているのじゃないか、こう私は思いますのででき得れば早くこれが統合されることがいいのだ、そのことはさっき申し上げた結核対策に対する大きな一つのテーマとしても問題になる、しかしそういうことをすることが非常に困難であるので、当局もお考えにはなったが、事実なかなかできぬということじゃないかと思うのですが、在来それをおやりになろうとお考えになってもできないという大きな障害は何でありますか、事務局の方でけっこうですから一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/143
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144・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) 厚生省内におきまして御指摘の問題を従来たびたび論議をしておりますので、そのおもな点につきまして私から——私も関与をいたしておりますので、御参考に供したいと思います。
結核対策をお話の通り推進すべきであるということは、厚生省内部の関係者全部の一致した意見ではございます。ただ具体的にそれをどういう方向で持っていくかということにつきましては、いつも行き詰まりますものは、一つは財源の問題でございます。一つは、先生もおっしゃいました組織機構の問題でございます。いろいろ各省に関係が分れておりまするような関係なども、そういう意味でやはり一つ機構の問題と申し上げられるのであります。たとえば結核保険というようなことがよくいわれますが、これも結論になり得ませんのは、結局現在の各種社会保険から結核を切り離して別の保険を作るといいますと、それらの保険に関係のない数千万人の国民を同一の範疇に入れていかなければならない、こういう点からの非常な困難が伴ってくるということが話題に上りまして、結局財政的な面からも、技術的な面からも相当な困難があるということでございました。
それからそういうようなことで、結局厚生省内部におきまして、従来何年か繰り返し繰り返し論議をいたしまして、とりあえず当面の対策として適当であろうという結論で、すでに昭和三十年度の予算要求にも強く打ち出した線は、結局現在の結核予防法に基く公費負担制度の内容を充実をいたしますと同時に、現行の公費負担制度というものは国費と地方費との両者において同額ずつの負担になっておるという点が、地方財政の困難な点から差しさわりになっておるように思いまするので、この国費と地方費との負担割合を変えまして、国費の負担割合を増すというような点で検討をしたらどうか、またそういう数字も出しまして予算要求をいたしたわけでございます。また一方、地方財政の同じような事情から、社会保険に対する公費負担が実際は行われておらない実情であります。これも問題は結局地方財政の困難な事情に伴いまするので、予算上の措置といたしましては、たとえば健康保険のようなものには直接国庫の負担に繰り入れてもらうというような措置で、一方におきましては健康保険財政の助けになり、一方におきましては結核対策の実質的な推進になる方法を考えてみたらどうかというのが、はなはだ現在では不十分な考えではございまするけれども、厚生省事務当局として到達いたしました結論でございます。
それ以上の根本的な対策につきましては、引き続いてただいま相談をいたしておりますような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/144
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145・田村文吉
○田村文吉君 私は参考に申し上げたいのでありますが、なかなか各会社等において負担している結核に対する費用は莫大なものです。こういうものをまとめてお出ししてもよろしいから、これを統一的に国なら国が思い切ってやる、こういうことができるのだと、こういうことは先刻大臣に一つの例証として申し上げたわけなんです。そこで、そういう点について、まあ大臣も来年度の予算にはということですが、ただ結核対策費の百二十億を百五十億にしたとか、あるいは二百億にしたとかいうことでは私は満足をするものではない。根本的な対策をお立てなさい、こういう意味でございますから、私の希望は、大臣もそういう御意味で御答弁なすったものと考えているのですが、確めておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/145
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146・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 確かにお説の通りでありまして、単に予算の獲得とかいうことでなしに、総合的対策を立てまして、ただいまおそらく大会社の健康保険組合、あるいは大会社といわず大中小会社がやっております対策には相当大きな対策もありますので、こういうものを国の高いところから総合的に大きい対策を立てるということが一番大きな問題であろうかと思いますので、そういう趣旨で答弁をいたしておったということもあわせてお答えを申し上げておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/146
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147・田村文吉
○田村文吉君 今申し上げた言葉が足らなかったのですが、早いことをいえば、今の健康保険の保険料率も、結核なら結核に対して政府がこういう対策をとってくれるということになれば、保険料は半分でもよい、千分の六十が千分の二十でもそろばんに引き合う、また各会社は、健康保険組合でも非常に料率を半分以下にする、そういうことになりますと、それだけ金が浮いてくる、そういう金はもう出してもいいのだ、ただ政府が統一した仕事をやりなさい、こういう意味のことでございますから、ちょっと言葉が足らなかったから申し上げます。
それから私は大臣と今度の提案者にお伺いいたしたいのですが、今度の健康保険の法案が出ましたのに対しまして、いわゆる経営者の側の方からも非難がある、それから労働組合の側の方からも非難が出たという点については、どの点が経営者側としては不満であり、どの点が労働者側としては不満であったか、この点の相違点があるから修正をしたのだと、こういう御意思もあると思うのです。で、大臣自体はどういう点についての不満をお聞きになったか。それからあわせて提案者の方から、どういう点が同じ考えであったかどうか、そういう点についての御答弁を一ついただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/147
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148・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 社会保険審議会、すなわち厚生大臣の諮問機関として社会保険のことを議しております社会保険審議会におきましては、大体次のようなことで経営者側は反対をせられておったのであります。すなわち今回の健康保険法改正の中の標準報酬の頭打ちを七万円にしたことは絶対に妥当ではない、これが行われれば保険料率の引き上げと二重にダブって、いわゆる会社の相当な地位にあるものの打撃はかなり大きく響くものと考えざるを得ない。またと同時に日本経済の運営に対するところに相当な影響を及ぼす、退職金制度にも影響を及ぼすのであるから、従ってこれについて賛成することはできないというのが、大体の経営者側の方の反対の理由であったと承知をいたしているのであります。一方労働者側におきましては、健康保険の料率を引き上げたことは——料率を引き上げますれば、これによって受けるところの打撃は事業主側も労働者則もおおむね半々でありまするから、やはり自分の俸給に相当な影響を受けることに相なるのであります。そのような意味合いから労働者側においては、特に健康保険の料率引き上げに反対、経営者側におきましては、標準報酬の設定ということに反対の主点を置かれたのであります。もとより継続給付の問題あるいは扶養家族の問題等につきましても多少の御反対がありましたが、これらはそう大きな反対ではなかったのであります。
これが審議会におきまする経過でございまして、先ほども御答弁申し上げたのでありますが、その際におきまして学識経験者よりなっておりまする中立の委員の方々からは、政府の原案には反対ではあるが、しかし政府が措置をしようとしているところは、今日の健康保険の財政から見てその趣旨は十分にくみ取ることができるのであるから、従って標準報酬の七万円のごときは妥当ではないが、これを若干減少して、今日の状況に照らしつつ実施をするならば、むしろこれを推進すべきである。すなわち政府案にただ反対ということでは建設的ではない、標準報酬の頭打ちを少しく訂正をするならば、むしろ推進すべきであるというのが、労使双方に関係しない中立側の方々の意見の大部分でございました。これを参照いたしまして、政府といたしましては、七万円の頭打ちを四万八千円の訂正をして出したのが衆議院の原案である。しこうして今日ではそれを全額落されるということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/148
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149・大石武一
○衆議院議員(大石武一君) お答えいたします。経営者並びに労働者側の反対意見は、ただいま厚生大臣から申し上げましたから私から申し上げません。私どもはそれのみを考えまして修正をいたしたのではございません。それにも一理はございますが、それだけではやはりこの修正をいたす理由にはならないと思います。いずれは根本的な対策を立てることが一番重大な問題だと思います。そのためにも厚生大臣は努力しまして、今までのように十億円の国庫の負担を六十億円の融資を得た、これは厚生大臣の努力だと思います。それ以上は日本の経済の事情ではできなかったのだろうと思います。それ以外にも、そのように国庫の補助であるとか、あるいは一部負担であるとか、いろいろな問題があって、そういうものを総合して初めて根本対策になるだろうと思いますが、それが十分でなかったということは、この法案の欠点だろうと思います。まあそれが表向きの理由でございますが、ほんとうの理由は、先ほど相馬委員に申し上げましたように、どんなに削っても、なお少しでも政府の報酬を助けてやりたいという、こういう気持から客観的情勢を考えまして、このような修正をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/149
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150・小林英三
○委員長(小林英三君) この辺で夕食をいたしまして、八時から委員長理事打合会をいたしまして、委員会は八時十分に再開をいたしたいと思いますから、どうか時間までに御参集を願いたいと思います。
暫時休憩いたします。
午後七時十八分休憩
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午後八時十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/150
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151・小林英三
○委員長(小林英三君) 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
ただいま健康保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案の三案はいずれも目下当委員会において審議中でございまするが、ただいま別室におきまして委員長理事打合会を開きました結果、次のような結論を得たのでございます。すなわち、ただいま会期もきわめて切迫いたしておりまして、この会期中に右三案の審査を完了することはきわめて困難でございまするので、この際継続審議に移すことを適当と認めるという結論に達したのでございます。つきましては、本院規則第五十三条によりまして、右三案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じまするが、御異議がございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/151
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152・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議ないと認めまして、さよう決定をいたします。
なお、要求書の内容及びその手続等につきましては、すべて委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214410X03619550730/152
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153・小林英三
○委員長(小林英三君) 御異議はないものと認めます。
それでは暫時休憩をいたします。
午後八時十六分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
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