1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年五月十二日(木曜日)
午後一時三十七分開会
—————————————
委員の異動
三月三十日委員小松正雄君辞任につ
き、その補欠として三木治朗君を議長
において指名した。
三月三十一日委員三木治朗君辞任につ
き、その補欠として小松正雄君を議長
において指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 吉野 信次君
理事
高橋 衛君
山川 良一君
三輪 貞治君
委員
上原 正吉君
小野 義夫君
深水 六郎君
松平 勇雄君
加藤 正人君
上林 忠次君
海野 三朗君
藤田 進君
苫米地義三君
国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
政府委員
経済審議庁総務
部会計課長 塚本 茂君
通商産業政務次
官 島村 一郎君
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業大臣官
房会計課長 出雲井正雄君
通商産業省通商
局長 板垣 修君
説明員
総理府事務官
(経済審議庁計
画部国土調査課
勤務) 吉井 啓次君
—————————————
本日の会議に附した案件
○ニッケル製錬事業助成臨時措置法を
廃止する法律案(内閣提出)
○計量法等の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○中小企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○商工組合中央金庫法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○自転車競技法等の臨時特例に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣
送付、予備審査)
○経済自立方策に関する調査の件
(昭和三十年度通商産業省及び経済
審議庁関係予算に関する件)
○本委員会の運営に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/0
-
001・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それではこれから委員会を開会いたします。
ただいままで当委員会の審査付託になっております法律案が五件ございます。ニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案、計量法等の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案、こう五つございますから、これを一括上程いたしまして、政府の方から順次提案の理由の御説明をまずもってお伺いいたしたいと思います。
念のために申し上げておきますけれども、計量法と自転車の二つの法案は六月一日から実施ということになっておりますものですから、五月中に上げなくちゃならない法案です。ニッケルの方は期限はございませんけれども、参議院の方が先議になっておりますから、そういう関係で、これも自然急がなければならないということになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/1
-
002・三輪貞治
○三輪貞治君 その御説明を聞く前に、実は三月末の委員会で、今度の国会に提出する予定であるという法案の御説明を受けたわけです。それがだんだん減っちゃって、今お話の五つの法案になっておるわけですが、その他のものは一体どうなっておるのか。特にはっきり五月中旬に提出すると言っておられた石油開発特殊会社法なんか消えてしまっているですね。そういう経緯等も一つ御説明願わないと納得できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/2
-
003・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) お尋ねの案件でございますが、実ははなはだ遺憾でございますが、少し準備がおくれましたもので、目下提案いたしてありますものは、先ほど委員長が申されました五件でありますが、近くかねて御案内いたしました法案を二十日までに四件ばかり提案いたす予定であります。なお自後月末までの間に残余の四件ばかり提案いたしたいと思います。
それからお尋ねの石油の関係の法案でございまするが、これはちょっと御報告がおくれましたが、予算審議の過程におきまして特殊会社を作りまして石油の開発を促進した方がいいかどうか、なお若干検討を要すべきものがあるというふうな結論に達しまして、とりあえず予算原案といたしましては補助金の形で提出いたしまして、引き続きこの問題につきましても十分検討したいと思っております。ただいまはその法案を提出する予定になっておりません。そういう関係でございますから目下準備がおくれているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/3
-
004・三輪貞治
○三輪貞治君 これはそう簡単に御説明を承わっただけではちょっと了承できませんが、大臣の時間の都合もありましょうから、提案理由の御説明を伺ってあとでまた伺うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/4
-
005・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) ただいま上程せられましたニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案の提案理由を御説明いたします。
政府は、昭和二十六年、朝鮮動乱の勃発による世界的なニッケルの不足に対処し、国内におけるニッケルの増産をはかるべく、同年六月、ニッケル製錬事業助成臨時措置法の制定を待って、同法の助成を受ける事業者を指定し、指定業者が不測の事態によってこうむる損失に対し一定額を限度として国家補償を行うこと等を内容とした育成に乗り出したのでありますが、その後、わが国におけるニッケルの生産は、年を追って順調な伸張を示し、同法の目的としたニッケルの増産は、今日において完全に達成されるとともに、品質的にも国際水準に比し何ら遜色のない純良な製品が生産され、また最近では西欧諸国の旺盛な需要にこたえ、多量の国産ニッケルを輸出する等わが国のニッケル製錬事業は、今後同法の助成を待つことなく自立し得る見通しがつきましたので、ここに同法を廃止することにいたしたいと考えます。
以上の趣旨をおくみ取りいただきまして、慎重御審議の上、本法律案を可決せられますようお願いいたす次第であります。
次にここに計量法等の一部を改正する法律案を提出いたしました理由について御説明申し上げます。
計量法が施行せられましてから約三年余を経過いたしまして、この間関係政省令も整備され、計量行政も次第に充実して参りました。しかしながら他面わが国の財政及び経済の現状から一方において検定、取締り等の計量行政の実務を担当する地方公共団体がその業務を遂行するに当って幾多の問題を生ずるに至り、他方計量法によって追加されました計量器のうち一部のものについて検定等の態勢の整備が困難となるにいたりました。このような事態に対処いたしますために関係諸規定を整備する必要が生じましたので、ここに計量法等の一部を改正する法律案を提出いたしました次第であります。
この法律案のおもな改正点の第一は、計量法を改正して従来国が全額収納しておりました手数料のうち地方公共団体の行う事業の許可検定等の手数料を当該地方公共団体の収入とすることとしたことであります。第二は、計量法施行法を改正して同法第五十七条の規定により本年九月から検定を開始することとなっている十一種の計量器について検定等の開始を三年間延期することとしたことであります。なお、そのほかに行政の簡素化をはかるため事業許可の対象となる設備の範囲及び比較検査の対象となる計量器の種類を限定する等若干の条文改正を行うことといたしました。
以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容の概略であります。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
引き続きまして中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
まず提案の理由について御説明申し上げます。中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金を供給するために昭和二十八年八月に設立されたのでありますが、本年三月末までに三百三十九億五千四百万円余の貸し出しを行い、中小企業の振興に貢献し来たっておるのであります。
しかしながら、中小企業の合理化、近代化を促進し、その振興をはかる上において中小企業金融公庫の果す役割はいよいよ重要でありますので、この際中小企業金融公庫法の一部を改正し、もってその機能を拡充強化いたしたいと考える次第であります。これが本法案を提案した理由であります。
次に本法案の概略を御説明申し上げます。第一は、資本金の増加であります。政府の一般会計からの出資金は、現在百五十五億円でありますが、今回新たに十五億円を出資し、資本金を百七十億円に増加するものであります。
第二は、役員の増加であります。公庫の業務は、資金量の増大に伴い、毎年増加しておりますが、本年度よりは、これに加え、新たに一部直接貸付を実施する予定でありますので、これら業務量の増大に対処するため役員の増加をはかるものであります。
第三は、業務上の現金を郵便振替貯金とし、または銀行に預け入れることができるようにすることでありまして、直接貸付の実施に伴い、元利金の回収等を円滑ならしめるための措置であります。
第四は、日本開発銀行からの承継債権で整理の必要上従来同行からの借入金として扱って来たもののうち六十九億三千四百万円を産業投資特別会計から公庫への出資金に振りかえることであります。
なお、これに伴い附則において日本開発銀行の資本金及び産業投資特別会計からの日本開発銀行に対する出資金を、それぞれ同額減額する等所要の規定を設けております。
第五は、公庫の商工組合中央金庫に対する貸付金の返済期限を延長することであります。商工組合中央金庫に対する法定貸付金の返済期限は本年八月に到来するのでありますが、同金庫の資金繰り状況にかんがみ、これを政令で定める時期まで延長しようとするものであります。
以上が法案の内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。
続いて商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
商工組合中央金庫は、中小企業等協同組合の系統金融機関として、中小企業金融の重要な一翼をになっておるのでございますが、最近の金融事情にかんがみ、同金庫に対し、政府より十億円を出資して、その機能の強化をはかり、もって中小企業金融の円滑化に資することといたしたいと考え、本法案を提案した次第であります。
商工組合中央金庫は、戦前政府、民間それぞれ同額の出資をもって発足したのでありますが、その後数々の経緯を経まして、現在では政府出資二百十万円、対日援助見返資金による優先出資三億七千二百万円、組合よりの出資十二億九千七百九十万円合計十六億七千二百万円の資本金となっているのであります。
御承知の通り、商工組合中央金庫は、その原資の相当部分を商工債券の発行によりまかなっておるのでありますが、現在のまま進みますと、商工債券も遠からずその発行限度に達しますので、この際政府出資を十億円増額いたしまして商工債券発行の基盤を強化いたしますとともに、将来の民間出資増額の基礎を与え、もって組合金融の確保、中小企業組織化の一そうの推進をはからんとするものであります。
以上が本法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。
続きまして自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
現行の自転車競技法等の臨時特例に関する法律は、昨年第十九国会において御審議を願って成立したものでありますが、その際附帯決議として同法は暫定措置としては、やむを得ない制度であるが、その機構、措置については政府はすみやかにこれを是正するよう要請せられた次第でございました。政府といたしましては、この要請に基きまして種々検討を加えました結果、改正の方針といたしましては、現在自転車競技法に基き通商産業大臣の諮問機関として設置されております競輪運営審議会におきまして、競輪に関する基本問題、たとえば将来における競輪のあり方のごとき問題を調査審議できる措置を講じますとともに、その結論が得られますまでは、自転車振興会連合会等の業務及び会計に関する規定を整備した上、この法律の建前は当分の間、存続せしめることといたした次第だございます。
次に、本法案によります改正の内容につきまして御説明申し上げますと、改正点の第一は自転車振興会連合会等は、この法律によります納入金を財源といたしまして、主務大臣が定める計画及び指示に基き、関係の業務を行うことになっておるのでありますが、主務大臣が計画を定めます場合、現在では事実上、関係業界及び一般学識経験者の中から委員を選び、その意見に基いて計画を定めておりますのを改めまして、本法案におきましては、法律上の制度として機械工業振興協議会を設けまして、主務大臣は、この協議会に諮問しなければならないものとすることとし、主務大臣の定める計画の妥当性を確保することが一つであります。第二は、商工組合中央金庫が自転車振興会連合会等から委託された業務に関する会計につきまして、その運営の万全を期するため、予算に準じて、必ず会計検査院の検査を受けさせることといたしました。このほか、前に申し上げました通り、競輪運営審議会において競輪の制度に関する重要事項を審議し得るよう特例措置を講じますとともに、この法律を当分の間効力を有することといたしたのであります。
また、これに伴いまして法律の題名を「自転車競技法等の特例に関する法律」と改正いたした次第であります。
以上が、本法案によります改正点の概要でございます。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/5
-
006・吉野信次
○委員長(吉野信次君) お聞きの通り、これは五件でございますので、これを順次審議するわけですが、その前にもしお差しつかえなければ、この予算の関係で、これは予算委員会の問題ですけれども、商工並びに経済審議庁の関係のやつをもしお差しつかえなければこの際政府から一通り経済自立の政策の観点から説明を伺っておいた方がいいじゃないですか、どうです。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/6
-
007・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それでは一つ予算関係につきまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/7
-
008・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) それでは通産省所管になっております予算の概要を御説明いたしたいと存じます。お手元に一般会計の推移説明という表題のものがございまするが、それによりまして御説明いたしたいと思います。
通産省所管の本年度の一般会計の総額は七十四億四千一百万円でございます。
一枚おめくりを願いまして最初の貿易振興費という項目から概要を御説明いたしたいと思います。貿易振興費の最初の項目にあります国際見本市等参加補助の経費でございますが、これは昨年来引き続いてやっておりまするものでございまするが、外国におきまして国際見本市を開催したものでございまするが、それに対しまして日本側の業者が出品いたしますもののその経費の補助でございます。本年度はトロントほか七ヵ所、合計八ヵ所におきまして見本市に参加いたしたいと考えております。それからなおアメリカの有力な百貨店が、アメリカの国内におきまして日本商品の見本市を開催する計画がございまして、これは相当ドル輸出に効果があると考えられますので、これに対しまする参加の補助もいたしたいと思います。それからなおわが国におきまして現在は東京で国際見本市を開いておりまするが、明年は大阪において開催いたす予定でございます。その大阪におきまするものの開催の準備もございまするので、今年度においてその経費の一部を計上いたしております。なお、この日本におきまする国際見本市は昨年五月大阪におきまして、それから本年五月東京においてやっておりまするが、今後毎年東京、大阪交互に一年ずつ開いて参りたいと考えております。
それからその次の貿易斡旋所の補助でございます。これは昨年来貿易斡旋所、いわゆるトレード・センターと申しまするものをアメリカに二ヵ所、それからカナダに一ヵ所、合計三ヵ所持っております。この経費の補助を続けて参りたいと考えております。サンフランシスコ、あるいはニューヨークにおきましては相当このトレード・センターが日本商品の紹介にあずかって効果があるように聞いております。今後ともこの種の施設を続けて参りたいと考えております。なお、この費目の中で今年新しく、東南アジア方面におきましては農業機械、あるいは軽エンジンと申しますか、そういうような軽い機械類の需要が相当ございますので、そういう機械類の宣伝、修理等を兼ねましたサービス・センターを本年は開いて参りたいと思いまして、とりあえずラングーンに今年度一ヵ所いたしたいと考えております。その経費もこの中に入っております。
それからその次に海外紹介宣伝費でございますが、これはこの両三年来各種の方法によりまして日本商品の海外宣伝を行なっておりまして、たとえば各種のカタログを買い上げて、それぞれの方面に配りますとか、あるいは日本商品の製作過程等を示しまする映画を作製いたしましてこれを海外にいろいろな機会に展覧させますとか、あるいは外国のいろいろな雑誌等にこの日本商品の広告を出しますとか、というふうなことをやっておりまして、これも今年続けて参りますが、今年新しく生糸、絹織物の関係も現在ニューヨークにも一ヵ所ございまするが、さらにその固定した施設のほかに機動的にドル市場におきまして生糸、絹織物の関係の宣伝も行なって参りたいと考えております。これら所要の経費を合せまして一億八千七百万円計上いたしております。
それから海外市場調査補助、これは御案内と存じまするが、一昨年来この日本貿易振興会、いわゆるジェトロとも申しまする機構を作りまして海外各地に通信員等を置きましてマーケットの状況を調査しております。この関係の事業を今年も拡充して続けて参りたいと考えておりまして、この経費の補助を計上しております。
それからその次に重機械類輸出振興費補助でございますが、これは昨年度におきまして重機械類、ことにプラントもの輸出宣伝を行いますために東南アジアに四ヵ所、南米に二ヵ所合計六ヵ所の相談室という形の紹介宣伝あっせん施設を持っております。この経費も今年増加いたしまして、プラント輸出の振興をはかりますとともに、新しくプラント輸出のたとえばいろいろな事前の調査費、あるいは事後のいろいろなサービスに要しまする経費、たとえばこの入札がありまする際にそれに応ずる入札に要する経費の一部でありますとか、あるいはあとでいろいろ修理等の問題がございましたときの、それに要しまする経費の一部の補助というような形で新しく重機械輸出につきましてもそういうふうに相談室を離れました振興施設も本年から始めたいと考えているわけであります。
それからその次に中小企業輸出振興補助についてでございますが、これは本年新しく計上した費目でございますが、この内容はおもに雑貨類等を中心にいたしまして、日本の意匠がいかにもまあ海外の嗜好に合わなくて見劣りがするというような批判も相当ございますし、せっかくいい腕を持ちながら相手方の好みがわからないままにいわば的はずれのものを作っているというふうな懸念もだいぶございますので、そういう見地からデザイン中心にいろいろな問題を考えたいと思いまして、一つは意匠の改善にいろいろ先方の専門家を呼んだり、あるいはこちらから出かけたりというふうな経費の補助、あるいは日本商品と直接競争いたしまする関係にあります品物の見本を取り寄せまして、そういうものを模倣するというと言葉が悪いわけですが、そういうものをお手本にしまして十分太刀打ちできる商品を作らせたい、あるいは新しい商品の試作を行わせたい、こういうことでいろいろ中小企業に持に関係の深い雑貨系統の輸出振興をはかりたいと考えております。
その次の農機具の点につきましては、これは前年と同様でございますから省略しまして、その次の費目の海外意匠権等侵害防止対策費でございますが、これは一昨年でございますか、いろいろロンドンあたりから問題が起りまして、日本の陶磁器、あるいは繊維製品等がイギリスにあるデザインを侵害しておるというクレームが相当来ております。これはいろいろ先方にも日本の現状に対する理解の不十分の点もございますが、日本側におきましてもイギリスの商習慣等につきまして十分に了知しなかったこともございますし、なお先方におきますいろいろなデザイン等につきまして現実のいわば現物をあまり知らなかった例もございますから、そういうふうな品物をむしろ日本に集めまして、そうしてそれと同じ、あるいは類似のデザイン等で輸出いたしますものをできるだけ抑制しまして、そういうクレームの起らないようにしたいというふうな関係で新しくいろいろな機関を設けておりますが、そういうものに対する経費でございます。
それから国際商事仲裁委員会の経費、これは前年と同様でございます。
それからICC東京総会補助でございますが、これは国際商工会議所の東京総会が、本年もう四、五日しますと東京で開催いたすことになっております。これはいろいろ海外の商工業に関係あります人が日本に参りまして、日本の産業なり商品の実態を調査して参ることでございますから、外貨獲得、輸出振興につきまして相当な寄与を及ぼすと認められますので、特にその経費の一部を本年度限り認めたいと考えている次第でございます。
それから最後の輸出会議の運営費でございまするが、これは昨年来事あるごとに申し上げたと思いまするが、輸出振興の一つの方策といたしまして、各業界の下からの盛り上る輸出意欲を行政上に反映いたしまして、施策に万全を期したいと考えております。そのために業種ごとの輸出会議というものを設けまして、業界々々のいろいろな固有の問題がございまするから、そういう問題を取り上げて解決し、なお対輸出の目標というものを定めて、この目標を目安に官庁あるいは民間ともに協力したらどうかというような、いわゆる輸出目標制度、輸出ターゲットというシステムも海外にもあることでございますから、日本でも採用したらどうかというので、この輸出目標を作成し、これを達成するためのいろいろな方策等も考究いたしたわけでございます。その日本の輸出会議の運営の経費、合計いたしまして昨年の輸出振興費は三億一千万円でございましたが、今年は幸いにいたしまして八億九千七百万円、約三倍に拡張することができまして、これをもちまして通産省といたしましては何とかして目標の輸出を完遂いたしたいと考えたわけでございます。
その次の費目は、産業基盤の強化ということでまとめておりますが、これは一言で言いますと、国内の重要産業に対します経費でございまして、実はこの方面のことは後刻御説明いたしまするが、財政投資の方にも相当食い込んでいるわけでございまするから、一般会計のものといたしましてはこの程度でございます。
最初の国産原油増産補助でございます。これは先ほど御指摘下さいましたが、石油開発五ヵ年計画のラインに沿いまして、本年度はその第一年度として特に計画を詳密にし、経費の増額を折衝して参ったわけでございます。一応補助金といたしまして三億円計上いたしておりまするが、これは実は増産計画を遂行いたしますために、試掘あるいは探査のための特殊な対策機構を作った方がいいではないかということで、そういう構想のもとに法案も一応準備いたしまするし、予算の関係も要求して参ったわけでございますが、いろいろ折衝の過程におきまして、これもなおもう少し練る必要があるのじゃないかというふうなことに相なりまして、とりあえず補助金ということで計上しておりまするが、なおわれわれとしましては、この関係の機構の問題はもう少し具体的に掘り下げまして検討いたしまして、早く成案を得たいと考えている次第でございます。
その次の重要鉱物探査補助でございます。この費目は実は二つ入っておりまして、普通の鉱物の試掘、採鉱、奨励という系統の経費は累年ございましたが、本年は特に砂鉄あるいは銅、あるいはほかの鉄資源等に重点を置きまして、一応二千万円計上いたしたのでございます。なお昨年度まで計上いたして参りました金鉱業対策費でございます。これは御案内のように国際通貨基金に加入いたしておりまする関係上、金を買い上げます値段は一グラム四百五円という国際価格になるわけでございます。そういたしますると、現在日本の金鉱業の現状からいたしますと採算が合いませんので、大多数の山が引き合わないで、大部分が休鉱、廃山のやむなきに至るものも相当あるようであります。昨年度はそういう状況で一応八千五百万円の経費を計上いたしまして、なお、金の国の買いあげ数量を産金量の百分の二十七まで減少いたしましたが、なかなか昨年来の状況を見て参りますると、この程度でもなおかつ休山廃鉱の山も相当出てくるような情勢でございますからいろいろ検討いたしましたが、結局自由金の方の値段が現在マーケットが五百円を相当上回っておるのでありますから、さらに自由金に販売し得る量をふやしていった方が、むしろ金鉱業の維持助成としましては適当ではないかという結論になりまして、むしろ予算的措置よりも国の買い上げの比率を百分の五にまで引き下げまして、百分の九十五という残余を自由金として販売いたさせました方が、かえって経済的なベースに乗って適当な確保ができるのではないかという結論に達しまして、今年度はその関係の経費は一応削除しております。そういう関係で(2)の項目は二十九年度に比較いたしますると、一挙に八千万円余り減っておることになっておるのであります。これは金鉱業対策費を削った結果であります。
それから(3)の重要機械国産化補助であります。これは一昨年来続けておりますが、輸入機械をできるだけ国産化いたしたいということで、機種を選びましてこれを国産化いたしますように補助金として機械のメーカーに交付いたしております。相当功績も上っておりますので、今年度もこれを続けて参りたいと考えております。
それから(4)の生産性向上対策補助でありますが、これはあるいは御承知かと存じまするが、アメリカに法律でありましたか行政命令でありましたかよく記憶しておりませんが、生産性対策のために各国といろいろ人を交換いたし合いまして、そうしてお互いにプロダクティヴィテーを向上いたします工作につきまして、現状を見、あるいは現地について指導をするというような企てが数年前からありました。現にイギリスは、これは四年か五年前かと思いますが、英米間に協定を結びまして、イギリスから相当多数の経営者あるいは技術者あるいは労働組合の人たちがアメリカに参りまして、重要な業種につきまして相当詳細にアメリカの高い生産技術を勉強して帰って参りました。その報告も相当厚いものになって日本にも参っておりますが、そこで日本といたしましても相当日本のおくれた設備、あるいは立ちおくれた技術ではとうてい世界の工業技術の水準に追いついていけませんので、これは何とかしてこのアメリカの企てに乗って参った方がいいというような民間の声も起りました。われわれといたしましてもそれに全面的に賛成いたしまして、この三月に日本生産性対策本部というものができまして、そうして両国政府間の交換公文によりまして、このアメリカと日本との間におきまして生産性向上対策のために相互にチームを派遣し合って、お互いの知識の交換、あるいは指導等に遺憾なきを期しようというふうなことに相なりましたので、その生産性対策本部に対しまする経費の補助五千万円でございますが、なおこれは後刻説明いたしますが、財政投資の方でも一億五千万円の経費をこれに貸し付けまして、この関係の仕事を進めて参りたいと考えておるのであります。
それからその次の機械関係の(5)(6)(7)の費目でございますが、これは一応輸入補助の方は国産化の方とにらみ合せまして昨年度からやめております。自転車業者の関係は先ほどお触れになりました競輪法関係の方の経費でまかなって参る、こういうふうなことになったわけであります。それからその次のページの中小企業対策でございます。中小企業対策といたしましては財政投資にも相当計上いたしておりまするが、一般会計の方といたしましても第一の協同組合共同施設補助、これはこの数年来続けて参っておりまする組合の共同施設の補助でございます。本年度若干増額しております。
それからその次の中小企業振興指導費補助、これは主として府県におきまする事務費等の補助でございます。これも昨年より増額いたしております。
それから三番目のは今年新しく設けました費目でございますが、中小企業の関係はいろいろな点におきまして、中小企業者が一体どこへ話を持ち込んで一体どういうふうにしたらいいかわからないというようで、相談の窓口が一番必要なようでございますから、今まで商工会議所、あるいは府県等におきまして全国でいろいろな相談所というような施設を持っておりますが、これがいかにも経費の関係もありますせいか、なかなか十分な活動ができないわけでございますから、この際この窓口を活用する意味におきまして、国としまして積極的に補助して、中小企業者をして十分な相談に乗らせようというふうな計画を立てまして、現在全国で六百数十ヵ所ありますもののうちで百数十ヵ所選びまして、ことに事業者の数の多い土地を中心にいたしましてその関係の経費を補助して参りまして中小企業者のかけ込みどころを、活を入れようというふうな次第の経費でございます。
四番目の水害の利子補給の関係は、これは昨年の法律の改正に伴いますものの利子補給。
それから四番目の技術振興対策費でございますが、最初の科学技術研究補助でございます。これも昨年来続けて参っております工業化試験補助と鉱工業技術研究の補助とでございますが、今年度は若干減額いたしましたが、これはその次にありまする科学研究所の補助と裏打ちになるわけでございます。上の費目の方は今年度は少し重点的に改正いたしまして、ものになる研究につきましては相当思い切って補助して早く実を結ばしたらいいじゃないかというふうな気持で運用したく考えております。
二番目の科学研究所の補助でございます。この科研につきましては昨年もいろいろ、(1)の費目からテーマによりまして補助いたしているものもございまして、本年は特にこの科研が従来の理化学研究所からの伝統もございまするが、最近いろいろあの施設によりまする総合研究の成果も相当上りつつあるようでございまするから、国としましてもこういうふうないろんな研究所、いろんな研究室、いろんな部門を総合的に、かつ機動的に活用できますよう、こういう研究所をもう少し力を入れて参ったらどうかというふうなことで、特記いたしまして一億の補助金を計上いたした次第でございます。
それから三番目の原子力平和利用研究でございます。これは昨年の予算におきまして二億三千七百万円ほど原子力の平和利用の経費ということで国会審議の過程において追加挿入された経費でございます。昨年はこの関係の経費を、初年度でございまするから主としてこの実験用小型原子炉の築造ということを目標にいたしまして、その最初のステップでありまする原子炉の設計、あるいは構造等の一般的な研究、それから重水、あるいは石墨あるいはウラニウムといったものの燃料、あるいは材料等の試験研究、それからなお海外において一体原子力の平和利用として、どういうふうな施設を持ち、どういう点に重点を置いて現実に研究なり、あるいは利用が進められつつあるかという実態をつまびらかにする必要もございまするので、そういう関係の海外出張の旅費等に使用いたしたわけでございますが、まあ初年度の関係もございまして六千万円余り使用いたしまして一億六千万円余りを本年度に繰り越しておる次第でございます。これは繰り越し明許を受けておりまするので、本年度にこの残額の一億六千万円が使用できるわけでございますが、なお本年度といたしましてはこの繰り越しと合せまして、さらにこの原子炉の設計と構造、あるいは運転等の問題をもう少し具体的に進めまして、早く具体的な炉の設計に取りかかる必要もございます。それから材料、燃料等ももう少し工業化の段階に進める必要もございまするから、そういう経費を含めまして二億円要求しておるわけでございます。なお、この全般の構造といたしましては、小型の実験用の原子炉を五ヵ年計画で築造ということで進めて参っておりまするが、まあ所要経費五ヵ年間で約二十億前後を要するかと存じております。その間にいろいろ海外におきまする原子力の平和利用のテンポも相当めざましいものがございまして、濃縮ウラニウムの問題でありますとか、いろいろわれわれといたしましてももう少しテンポを上げて実験の施設を進めて参る必要があるかと存じております。本年度におきましてもそういうふうな情勢とにらみ合せまして、この経費を有効に使用して参りたいと考えているわけでございます。
それから四番目の試験所特別研究費でございますが、これは現在通産省管下にございまする十一の試験所の研究費でございまして、これは特にテーマを重点的に選びまして、現在の経済施策に合いまするように使用して参りたく考えております。
それから五番目の発明実施化試験補助であります。これは特許発明を受けましたものがいたずらにこの権利を持ちましてこれを実施化する運びにならないものも相当ございますのでこれを何とかして実施できまするように資金関係の援助をいたしたいという考えで貸付金の方をむしろ補助金の方に振りかえましてテンポを早めて参ろうという考えであります。
それから(7)の外国出願補助、これは出願補助としておりますが貸付金でございます。これは今年度新しく計上いたしましたが、これは現在この日本におきまして相当優秀な特許発明を登録しておりながら海外に対してそれを登録いたしまして検利保護を期することにおきましていろいろな関係の経費、殊に外国におきまするといろいろな経費を多額に要しましてせっかくの優秀な発明もどうも経費の関係で足踏みをしているという実例も相当ございますので、これははなはだ遺憾でございまするから貸付金という形でこれを援助して参りたいと考えております。なお、これは初年度でございますから金額の関係は少なうございますが、今年度の実績を見ましてさらに明年度以降は増額して参りたいと考えておるわけであります。
以上大体おもな項目の御説明でございまして、総計といたしまして七十四億四千百万円、昨年度に比べましてまあ六億六千万円弱の増加でございます。
それから次に財政投資に移りまする前に特別会計の問題でございますが、現在通産省所管の特別会計はアルコール専売事業以下四つございます。この関係では特に申し上げることはございませんが、一つだけアルコール専売事業におきまして暫定予算の際に仲裁裁定を受けました地域給の問題が解決いたしませんで一応公労法の規定によりまして国会の議決をお願いしたわけでありますが、本予算におきましては一年分ほど仲裁裁定通りの地域給を計上いたしましたのでこの議案は自然消滅になったかと存じております。御参考までに申し上げておく次第でございます。
それから財政投資の方でございまするが、ちょっと資料がおくれておりまするので、途中ほかの省の方の御説明をお願いいたしまして、また資料が参りましてから引き続きまして御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/8
-
009・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 大臣もおられますので大臣に対して何か今までのことで……、あるいはさっきの提案の……。以上の説明ありましたけれども、だいぶこの前に出した何からいうと数が少いし、そういう問題もありますので、もし大臣に対して何かなければあと経審の方から説明させますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/9
-
010・海野三朗
○海野三朗君 ただいまの説明の中でこの科研に対する補助一億円というのは、これはあまりに少いじゃないですか。私はこの科研がこの前株式会社になるというときには非常に反対したのです。しかし米軍から言われたというので、仁科君がどうしても株式会社の方に賛成してくれということでありました。それは二十二年だったと思います。ところがその後二、三年にしてもうけた金で研究するということはできなくなりました。そうして科研というのは、御承知のように斯道の大家がたくさん寄っておるので、いわば国の宝です。それでここでどうしてもこの補助を出して研究をさせるべきものだと思うんですが、これに対して一億円なんというのは、ほんとうに私は非常に少いと思うのですが、通産大臣はこの科学技術の研究に対していかなる所信を持っておられるか、その点私はお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/10
-
011・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) ごもっともの通りでございまして、私も一億円なんというのは非常に少なすぎる、もう少し多くほしかったのでありますが、何しろ今年の財政全体の計画の上から、どうしてもそれ以上のものが回って参りませんので、まあやむを得ず今年は一億円でがまんをした、かような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/11
-
012・海野三朗
○海野三朗君 あるいは自転車の方でももうけてとか何とか、ほかの方からでももう少しこれには金を回すようなことはお考えになっていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/12
-
013・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 科研に対しまして御指摘のように一億円では十分とは申せませんので、いろいろテーマによりまして、あるいは文部省関係の補助金、あるいは御指摘ありました競輪と申しまするか、あの関係からもテーマによりまして若干は補助できるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/13
-
014・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 資料が来たようですから引き続きどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/14
-
015・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) それでは引き続きまして通産省に関係ありまする三十年度の財所投融資計画を御説明したいと思います。
お手元にそういう表題の一枚刷りが御配付してありまするが、これをごらん願いまする前に、一般的に御説明いたしますると、一番上の横の欄に一般会計、産投会計、資金運用部、簡保資金これまで在来あるそれぞれの会計の名称でございます。
次の特殊物資納付金処理という特別会計を新しく設置いたしました。これは年末来いろいろ問題がございました砂糖でありますとか、あるいはバナナ、パイ・カンその他この輸入をある程度抑えておりまする結果、いろいろ多額な差益ができまする物資があるわけであります。これを在来赤字輸出のまあ補償というふうな形にも一部を使用いたしましていろいろ海外諸国の非難も浴びておりまするし、これをむしろ国に吸収いたしまして、有効な方面に利用した方がいいではないかというふうな議に相なりまして、その関係を輸入の際に差益を納付せしめまして、そうしてこの財政投融資の方に使用いたそうということで、その見積り七十億を計上いたしておるわけでございます。
それからその次の見返円でございますが、これは正確に言いますと、例の余剰農産物の見返円の特別会計からの支出でございます。これは二百十四億を見積っておるわけでございます。
それからあとは公募債、自己資金等特別会計の御説明は要らないかと存じております。
それで通産省関係の政府機関といたしましては、第一に日本開発銀行でございます。これは昨年度は財政資金から三百二十億、それから自己資金から二百七十五億、合計五百九十五億の投資を行なったわけでございますが、本年は若干の自己資金の増も見込みますので、財政の方の金を少しあんばいいたしまして、総額におきまして昨年同様五百九十五億というふうに計上いたしております。この投資の対象は一応予定しておりますのは電力関係、ことに九つの電力会社がございますが、これを二百八十億と予定しております。それから海運、これは計画造船の件でございますが、百六十億、それからその他の石炭、鉄鋼、硫安、機械等でございまするが、これらにつきましては通産省といたしましてはまだ打ち合せを十分きめておりませんが、昨年度よりそれぞれ増加した額を計上したいと考えております。ことに石炭につきましては昨年度来いろいろ縦坑開発によりましてコストを下げ、日本の輸出商品の単価を安くするんだというふうな世論的な声でもございまするから、ぜひこの縦坑開発計画を今年度以降五カ年間に完成いたしまして、石炭のコストを一そう下げたいと考えております。石炭につきましては相当重点的にこの開発銀行の融資を行いたい、こういうふうに考えております。その他鉄につきましてもいろいろ合理化計画の第二次の段階のものを一部取り入れたいと考えております。
それから輸出入銀行のことでございます。これは昨年度は財政の方から五十億、一般自己資金の方から二百三十七億、合計二百八十七億でございましたが、昨年末以来船舶輸出を中心に相当のプラント輸出契約ができておりますので、その関係の融資が相当本年に殺到いたしますから、本年は特に財政関係からの繰り入れをふやしまして、自己資金と合せまして四百八億というベースで行いたいと考えております。
それから中小企業金融公庫でございますが、これは昨年は財政から百三十億、自己資金から八十五億、合計二百十五億でございました。本年はこの昨年よりも更に中小企業金融の方は全きを期する必要があると存じまして、大体の目標を月平均二十億円を上回るベースに持って行きたいと考えております。その関係で自己資金も相当ふえて参っておりますが、なお財政の方も若干これよりは減っておりますけれども、大体この辺で昨年以上の融資が十分できるものだと考えております。
それから電源開発会社でございます。これはちょうど今年、明年あたりが開発計画の資金のピークになりまして、相当多額の経費を要しまするので、本年は昨年よりも財政からの繰り入れも五十億円余りふやしまして三百一億と一応予定しております。なおこれだけの資金では現在の工事計画も相当遅延を免れませんし、ひいては原価高ということになりまするので、これは市中金融の道をつけまして既定の計画通り進めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
それから商工中金でございますが、この機関は政府出資が戦前に二百万円余りの出資を行なったきりで、あと一部の優先株式による出資等もございましたが、大部分は民間出資でございます。ところが民間出資はそう多くは望めませんので、他方商工債券の発行限度の方もそろそろ明年を越しますると詰まって参りまして、この機会に資本金をふやして参りませんと明年一月以降の債券発行も押えぎみになりますので、これは一つこの際政府出資を行いまして債券の発行限度をふやすことが適切だろうということで十億を出資いたしたのでございます。これはやりくりとしましてはちょうど商工中金から中小企業公庫に貸し付けております金が二十億あります。それをいわば直接返すわけではございませんが、経済的に返すと同じ効果を生じますように中小公庫に対しまする一般会計の出資を減らしてその分だけ商工中金に振りかえ、そうして商工中金に債務を返すという形で処理したわけでございます。
それからその次の国民金融公庫でございます。これは昨年は財政から百十一億、自己資金の二百九十四億、合計四百五億でまかなって来たのでございまするが、相当この関係の資金需要も旺盛でございまするから、さらに資金のベースといたしまして五十五億円ほど増加いたしまして、月平均四十億近い投資を行いたいと考えておるのでございます。
それから金融債でございますが、これはいろいろ昨年は百九十億の引き受けを財政資金でまかなったのでございまするが、本年は資金運用部、あるいは簡保資金等の財源の関係もございまして、昨年より二十億を下回るというふうな計画に相なって来た次第でございます。この関係の資金は債券発行銀行でありまする日本興業銀行、日本長期信用銀行、それから農林中金、商工中金という関係の利付債券の集計になるわけでございます。
それから生産性本部でございます。これは先ほど御説明いたしました日本生産性本部に対しまする経費のこれは援助でございます。具体的には余剰農産物の見返円資金からの貸付になるわけでございます。長期の金でこの仕事をまかなわせようというような計画でございます。
以上をもちまして大体財政投融資の関係で通産省に直接関係の深いものの御説明を終ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/15
-
016・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それでは経審関係を総務部の会計課長から伺うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/16
-
017・塚本茂
○政府委員(塚本茂君) それでは経審の今年度の提出予算についての概況を申し上げます。
経済審議庁の予算は御案内でございましょうけれども、ほとんど全部が事務費でございまして、前年度に比べて特に目新しいものはないという状態でございます。で、総額は三億四千七百七万六千円でございまして前年度の総額三億二千七百六十七万四千円に比べますと千九百四十万二千円だけふえております。で、これは後刻御説明申し上げます国富調査が新しく加わりました関係でふえたのでありまして、全般的には各省並みに減っております。以下お手元に配付しました表に基きまして順次御説明を申し上げたいと存じます。
この経済審議庁といたしましては目下経済審議庁を経済企画庁に直したい、こういう考えを持っております。しかしながらその経済審議庁を経済企画庁に直すというだけで人員の増もそれから予算の増も考えておりません。ただその際に——その際と言っては非常に語弊があるのでございますが、原子力の利用準備室というものを新たに作りたいと、こう考えておりますので、その方の関係の人員が四名だけふえるということになります。従いましてこの人件費関係の方は人員が四名ふえる分だけがふえておると、こういうことでございます。
そのあと各事項に入りますけれども、事項についてもほとんど例年きまりきった事務費ばかりでございまして、本年度は一般の職員旅費が一五%減、それから庁費が一五%減、それから交際費が二〇%減、こういうような各省共通の節約で前年度よりも減らしてございます。
調整部の肥料審議会の経費でございますが、これは肥料の需給調整のためと販売価格等を審議する審議会でございまして、これも今申し上げたような減り方をしております。
次に経済動向観測経費、これは日本の経済動向を半年ないし一年先のことを見通す作業でございますが、これも同様に減っております。
以下経済の基本政策計画立案及び総合調整経費、これも同じことでございます。ただその次にございます労働対策連絡協議会、調弁価格連絡協議会は、これは表面上ふえておるように見えますが、労働対策連絡協議会の経費は昨年は九ヵ月の予算でありましたし、調弁価格連絡協議会の経費は昨年は十ヵ月でございましたので、それを換算しますと何がしの計算になります。
次は計画部の特別経費でございますが、この長期経済計画策定経費と申しますのは現在やっておりますような六ヵ年計画を作るとかいうような長期にわたる計画をする経費でございます。
次に総合国力分析測定経費と申しますのは、防衛力を中心とする総合国力を分析する経費でございます。これはいずれも一般原則に従って減っております。
次に原子力調査会の経費でございますが、これは昨年は十ヵ月予算でございますのでこれも実質的には同じような減り方でございます。
次に調査部の特別経費でございますが、これは内外経済事情調査の経費と申しますのは、経済月報であるとか、海外経済月報、経済白書等を作る経費でございます。
次に経済統計作成経費と申しますのは、英文経済統計月報であるとか、年報であるとか、それから経済時報であるとか、海外経済統計月報であるとか、エカフエ地域の統計月報であるとかいうものを作る経費であります。
次の戦後経済史編さん経費と申しますのは、これは安定本部時代のまあいわば経済施策史というものを、この際資料が逸散しないうちに作っておこうという経費であります。
以上はいずれも一般原則に従って前年度より減っております。
次に国富調査の経費でございますが、これは昭和十年以来、この国富調査というものは一ぺんも実施されていないのでありまして、本年から新たにこの仕事をやろう、こう考えておるのであります。で、これは国、地方で公共物、一般財産、それから物品会計規則の資産というものを調べる仕事と、それから企業の中で国、地方、法人、漁家、その他というものを、やはり同じような性質のものを調べる仕事。それから公益団体、あるいは家計の手持財のうち耐久財、半耐久財を調べる仕事でありますが、これらのうちで本年度はとりあえず法人関係の調べだけをやりたい。で、一方法人をとりまして、再評価したものの固定資産と再評価後の増減した固定資産とたなおろし資産というものを調査いたしたい、かような考えでございます。その経費として二千八百九十八万五千円、本年度要求しておりますが、なおこのほかに統計局の方でも——集計費は統計局のほうについております。
次に国民所得の関係の経費でございますが、これは国民所得の調査報告であるとか、あるいは国民所得の資料年報、国民所得の解説資料というものを作る経費でございます。
次に国会図書館でありますが、これは各省共通に本年度はふえております。
次に計画部の中の国土開発の経費でありますが、まず初めに電源開発の基本計画の企画立案総合調整の経費であります。これは開発の基本計画であるとか、費用の配分であるとか、開発の担当者の決定であるとか、水利権、水没地の補償であるとかということを調査の上審議するための経費でございます。
次は特殊土壌地帯開発に要する経費でございますが、これは日本の特殊土壌の災害防除、それから経済利用ということを調査審議する経費でございます。
それから次に国土総合開発の経費でございますが、これは全国計画であるとか、特殊地域の計画であるとか、地方計画であるとか、府県計画、あるいは水の制度を研究するというようなことに要する経費でございます。
次に離島振興対策の経費でありますが、これは日本にたくさんあります離島の経済の後進性を振興したい、後進性を是正して、その島を振興させたい、こういうための計画を立てる経費でございます。
以上いずれもこの仕事は経済審議庁としてはここ二、三年来やって来まして、大体この事務の内容が固まっておりますので、それで前年度を基礎にして、先ほど申し上げたような減らし方によって、一律にこれは減っております。
次に土地調査の経費であります。で、この土地調査は、この基準点測量というのが、これは建設省所管の地理調査所の方で使う経費でございます。この経費はこれも一般的に、一般原則に従って減っておりますが、昨年度は二千四百点の基準三角点を作るという経費でございましたが、今年度はこの経費で千七百点を作りたい、かように考えて計上しておる次第でございます。
次は土地分類調査でございますが、これは地形だとか、表層地質だとか、土壌だとか、細部を調査する経費でございますが、昨年これは地方でその調査をする経費は、補助金という、補助費というかっこうで計上されたのでありますが、本年はそれを委託費に直して、計上してございます。
次に水調査の経費でございます。で、これは降水量の調査とか、水位、流量、用排水、地下水、流砂の状況、水質、水温、積雪の調査、水利慣行の調査というようなことを調査するのでございますが、これも土地分類調査と同じように、地方に使う経費は、昨年は補助金でありましたが、本年度は委託費で計上してございます。
次は地籍調査の経費でございます。これは国土調査法の第九条に基く府県市町村が行いますところの地籍調査に対する補助金でございます。で、昨年は六百三十方キロをやったのですが、本年度はこの経費で五百五十方キロを作りたい、かように考えて計上してある次第でございます。
以上冒頭に申し上げましたように、経済審議庁の経費というものは、例年もうきまりきったものでございまして、前年度から、何は何パーセント減るということで、ほとんど簡単にこう計数的にはじき出されている種類のものでございまして、特に申し上げるという事項はあまりないのでございます。
以上簡単でございますが、経済審議庁の本年度の経費の内容について御説明をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/17
-
018・海野三朗
○海野三朗君 この水調査の経費ですね。これをちょっとお伺いしたのですが、この水調査と言いますときは、水質の調査ですが、この水は非常に大切なものであって、工業用水にいたしましても、それから飲料水にいたしましても、これは非常に大切なものであると思うのですが、経費を大へん減らしてあるのですね。これはそういう方面についての御認識が浅いからこういうことになっておるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/18
-
019・吉井啓次
○説明員(吉井啓次君) 国土調査の方でやっております水の調査は水系別調査でございまして、一つの川、たとえば鬼怒川ですと、鬼怒川の全部につきまして一貫した調査をやるのでございますが、そのうち今御質問の水質の調査というものは、現在各大学の先生、その他専門家の方々がこの国土総合開発審議会の中の水分科会というのがございますが、そこで御審議願っております水質の調査は、現実の問題としてはまだ準則というのが出ておりませんものですから、研究段階でやっておりますので、事業として実は手をつけておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/19
-
020・海野三朗
○海野三朗君 一番大事なのは、工業用水でありますが、そのうちでボイラーの水質というものは、非常にボイラーの寿命にも影響するし、水経済にも影響するし、それから卑近な例でありますが、灘の酒がなぜいいか、あれは水によるのであって、全く水質のいかんによるので、工業上の価値としても重要であるし、またあらゆる点からして非常に水を調査するということが大事なのであると思うのに、この経費を減らしておられるというのはどうも私はおかしいのじゃないか。経審としてはこういうところに力を入れてやられるのがほんとうじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/20
-
021・吉野信次
○委員長(吉野信次君) そういう水質の調査が入っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/21
-
022・塚本茂
○政府委員(塚本茂君) 入っておりますけれども、これは国土調査法に基く水の調査でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/22
-
023・吉井啓次
○説明員(吉井啓次君) 絶対額が非常に少いので、はなはだ御質問の趣旨に合うような調査まで手が伸びないでいるのでございますが、御質問の通りに、事務当局といたしましては、できるだけ努力いたしまして、早く水質調査の準則も作りまして、その事業を確立いたして行きたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/23
-
024・海野三朗
○海野三朗君 私はそういうところにいわゆる経済審議庁の存在の価値があるのであって、こういうふうな事務費とか、ただこれを羅列されたのでは、経審の足が浮き上っているのじゃないか、実際から見ると。私はそれを言うのです。経済審議庁というものが、足が浮き上ってはいけない。ただずっと羅列されただけでやられるなら、これはだれだってやれるのです。そういうことじゃなしに、ほんとうに現段階にお
いてやらなければならない仕事、それの方には力をどういうふうに注ぐか、不必要なところはどうするということが欠けておっちゃいけないのだ、実際に即しなければならない。私はこの見地に立って経済審議庁というものがほんとうに意義があるのじゃないか。私はこういうふうに考えておるのでありまして、その点については経済審議庁としてはどんなふうに考えておるのでありますか。何がゆえに経済審議庁が存在するのか、その意義を考えてみたならば、たとえばこれは一つの例でありますけれども、水質調査なんというものは実は重大なものなんです。ボイラーなんぞでも、水の性質によってエフィシェンシーが非常に違って来るし、ボイラーの寿命にも関係するのです。非常に響くところが大きいのです。そういう大事な、つまりネックを握っているのが水質でありますから、こういう方面にこそ力をお注ぎになるのが経済審議庁としてお歩みなさる道ではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、御所見はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/24
-
025・三輪貞治
○三輪貞治君 これは関連してですが、とてもこれぐらいの経費で水の調査ができるはずはないのです。たとえば衛生上に関する問題だったら厚生省でやっているとか、農業用の水の重要性もございますし、それは農林省でやるとか、工業用水の方は通産省でやるとか、これは分れているのじゃないですかどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/25
-
026・吉井啓次
○説明員(吉井啓次君) 御質問の点は、建設省で水理調査費というのがございまして、一般非公共用の普通予算で組んでおります。それから通産省では電気関係に非常に関係がございますものですから、水力課という方でやはり予算を計上いたしております。それから、御承知の通り気象台で降水量の調査をやっております。ところがそういった仕事はばらばらでございまして、一つの川を一貫して眺めておりませんものですから、穴があるわけです。その穴をふさいで一つの川を全般的に眺めてデータを出すのが国土調査の水調査でございまして、向うでやっているデータはもちろんいただいてこの中に織り込んで参ります。そして不足したものを調査するというふうな仕方で現在実施いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/26
-
027・三輪貞治
○三輪貞治君 だからそういう総合的な、各専門の分野で、各省でやっているのを、抜けているところを調整する意味で経審でやられるのであったならば、こういうことではできないのじゃないかということを海野さん言っておられるわけですね。私はかつて予算委員会で水政策に対して、水の行政というものを一元化してやる必要があるのではないかということを唱えたことがあるのです。そういうことについてもっと責任のある立場の人でお答えのできる人はおられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/27
-
028・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 今日は長官も見えてないし、それからあなたの方としては、新聞で見たのだけれども、今度は経済企画庁ですか名前を変えるのだというお話でもあるから、一体ここへ長官が一ぺん出て来られて、そういう企画庁か経審かなんかしらんが、この役所を運営する基本方針について一応御説明を伺ったらどうでしょうか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)どうしても責任の人が来てやられたらいいと思うから、そのことをお伝え願いたい。そうして近く長官に今のような問頭も総合的にお伺いすることにいたしたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/28
-
029・海野三朗
○海野三朗君 私もそれは大賛成であります。とにかく経審の存在の意義が非常に薄いのでありますから、私はそれも考えたい、どうぞそういう工合にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/29
-
030・三輪貞治
○三輪貞治君 私は商工委員会に経審の方が包含されて初めてのわけですが、何かわからなかったのですが、こういうふうにずっと説明を聞きますと、全く海野さんが指摘されるように、なにかあまり実を入れた仕事がされてないのじゃないかという感じ、こんなことで一体できるだろうかという感じもする。ですから長官に一度出てもらって、そういう基本的な構想についてお伺いする機会があったら大へんいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/30
-
031・吉野信次
○委員長(吉野信次君) そうしたいと思います。ことに六ヵ年計画とかなんとかいう大へん大きい計画も掲げておられるから、これじゃ一つも連絡もないですから、一つそうしたいと思います。
なお、今日、以上の説明をお聞きしましたが、いろいろ御質問があると思います。どうしてもこの審議の仕方を理事会の方できめなければならんと思います。それでさっきちょっと申し上げましたが、これからのわれわれの委員会の日取りなどについて、これは理事会で御相談するわけですけれども、便宜、今日御出席になっておる理事の方に、さっきちょっと打ち合せをしたのですが、もし皆さんさして御異議がなければ、衆議院の方も一週間三日やっておるそうですから、こちらもそれに合せまして、来週から、火曜日と木曜日と金曜日、その日に午後一時から、一応皆さんお差しつかえなければ、この商工委員会の常例の委員会を開く日取りというふうにおきめ願ったらどうかと思います。いかがでございましょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/31
-
032・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それじゃ大体そういうことにいたしたいと思います。
なお、今日お話がありましたことにつきまして、まだ御質問があればむろんやっていただいていいと思いますけれども、まあ、いずれどうせ詳しく一件々々について、もう少し掘り下げたやはり質問もいたしたいと思いますから、それで皆さんの御都合はどうですか。
ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/32
-
033・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/33
-
034・三輪貞治
○三輪貞治君 これはもう少し詳しく聞きたいと思うのですが、たださっき御説明の中で、国産原油の増産補助の問題について、もう少し練る必要がある、だからなるべく早く練り上げて成案を得たい、こういう簡単な御説明だったのですが、一体どこを練る必要があって、どういう成案が得られる見込みがあるのですか。その点僕の方では、もしあなたの方でできないなら、議員立法でやったらどうかという意見も出て来ているわけです。だからそういうことを検討する参考に、一体どこを練る必要があって、どういう成案を得られる見込みがあるのか、ちょっと聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/34
-
035・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 問題点といたしましては、特殊会社にいたします際に、現在の帝国石油会社にそのまま政府出資をいたして、特殊会社といたしましての監督を加えて参った方がいいか、あるいは別の特殊会社を作りまして、それに試掘の関係を専念させた方がいいかという問題が一つあります。かりに帝石の方をそのまま特殊会社といたします際に、現在政府株が六百五、六十万株ございますが、そのほかに新しく現金出資をいたしますときに、法律上の問題といたしましては、この前の大日本航空を日航にいたしました際のように、簡単な法律上の制度で移りかえができるかどうかという問題が一つございます。これは法律問題でございますが、株主総会の特別議決云々という問題もございまして、その点の実は見きわめがつきにくいという難点が若干ございます。
それから別の会社を作るという案でだいぶ検討してみました。その際の問題といたしましては、現在大部分の石油試掘鉱区を帝石が持っております。帝石が鉱業権者でございますが、その鉱区を新しい特殊会社の方にどういう形で利用さすか、譲渡するか、あるいは租鉱権という一種の鉱業権の賃貸借でございますが、そういう形の方がいいか、そういう際の評価をどうするか。それからさらに進みまして、試掘をしまして、当りまして採油します際に、採油は、これは帝石の採油技術を利用した方がいいかと考えられまするが、特殊会社の方が自分の仕事として投資いたしまして得た結果をそのまま帝石に利用さすということもこれも困りますので、帝石から採油しました原油に対しまして、ある割合で、何と言いますか、利益を繰り戻さす必要があると思います。その際の比率とか、あるいは方法とか、ことにそれを加工いたします際の問題があるわけです。
それからもう一つは、かりに鉱業権を借りるだけで、つまり租鉱権だけで試掘いたしました際、金融上の十分な便宜が特殊会社は得られるかどうか。つまり担保になるかどうかという問題です。社債の発行の際、あるいは借入金の場合ですね、いろいろありますが、そういう点等考えますると、なかなかむずかしい法律問題でございます。
それから最後に五ヵ年計画なり、あるいは一定期間で事業終了ということも一応予想されるわけでございますが、その際に資本金に相当する資産を食いつぶすわけでございますから、これは政府株ばかりではございません民間株も入ると思いますが、そういう際の株主が出資しました株券は一体どうなるのか、その他いろいろな問題を考えてみまして、実は予算の編成終了までに十分な結論を得ませんでしたので、一応補助金という形で計上いたしまして、しかし補助金といたしますると、具体的に申しますれば補助率という問題もございます。これは三億円の補助助金を交付するとなりますると、補助率は現在試掘に直接要しました経費の五〇%でございまするから、少くとも補助金の交付を受けた会社としましては三億円の金の問題がございます。さらにそれに付帯いたしまする道路を作るとか、なんだかんだという経費がいろいろかかると思います。そうしますと、今度は自己資金分の調達という問題が起ります。実はあれこれ考えますと、どうも出資の方がいいではないかということをわれわれは当初から考えております。また今でもその考えを捨てておりません。ただ具体的にどういう会社をどういう組織で作るかということになりますと、こまかい点までつめて考えてみますと、なかなか法律的な難点も相当ございますし、また構想自体も十分できていない点もございますので、一応問題を後日に残したというかっこうにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/35
-
036・三輪貞治
○三輪貞治君 それから特殊会社を作る場合に、新たに民間の資本が加わるということを考えた場合に、今の精油をやっている石油会社、特に外国資本が入っている会社が出資をしたいというようなことも必ず起ってくると思いますが、これについてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/36
-
037・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) その点は現在の精製会社は、過半数の会社が外国資本が五〇%、あるいは特殊の会社におきましては五五%程度まで入っていることは御承知の通りでございますが、これはしかし現存精製会社から新しい会社に出資いたしますとしても関係は間接でございますから、外国資本の株主権を利用しまして、試掘会社の運営に直接どうこうということはこれはないかと考えております。なお政府が出資いたしますれば、政府としましても特殊会社法に基きまする監督権のほかに、株主権としての監督権もあると思います。その点はあまり心配はないじゃないかというふうに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/37
-
038・三輪貞治
○三輪貞治君 それからこの補助は国産原油の開発に限るわけですけれども、将来この国産原油の開発をする、そういう会社が外国の石油資源を開発するというような計画を持つ場合もあると思う。また現に昨年度調査をされておる事例もございます。そういう場合の助成ということは通産省としては考えられておりますか。たとえば去年帝石がビルマの調査をしましたが、これはどういうふうな話し合いになっておるのかしりませんが、合弁会社なり、あるいは賠償なりでやるのか、とにかく何らかの形でこれを開発するという場合に、かなり始めるまでに調査の費用が要ると思いますが、それでなくてさえも石油産業のうちにはもうかる部分が精製会社に持たれておって、一番資本を要する部分だけを、そういう特殊な会社が自分の金でそういう海外の資源調査までやり得るかということは問題になると思いますが、そういう場合の助成はこれはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/38
-
039・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 海外資源の開発関係で国が直接助成するということは、これはなかなか対外関係等もありましてむずかしいのじゃないかと考えております。ただビルマのように、賠償協定、あるいは経済協力協定というものができております地域におきましては、これは賠償関係でありますれば、その関係の経費が、これは両方の話し合いによりまして、日本の賠償負担から出すべしと相なりますれば、その関係から出ることと思います。また経済協力の方では、これは調査費、あるいは試掘費等は、それに基きまして採油企業を始めます会社のおそらく資本勘定になるだろうと考えますから、それで経済協力は両方の……ビルマの関係は現任の話し合いでは五〇%ずつの持ち合いになっておりますから、その関係で処理できるかと考えております。
その他の地域に対しましては、先ほど申し上げましたように、特殊の、あるいは補助金とかいうようなことではこれはちょっといろいろな関係もあって厄介ではないかと考えております。その関係で要します、たとえば人間の渡航費、あるいは資材のいわば輸出という形になりますれば、輸出金融でありますれば輸出入銀行で貸し付けますとか、あるいは渡航費等につきましては、現在外務省所管で東南アジア経済協力補助費、これはそういうふうな技術者の渡航に対しましてある程度の補助を出すようなふうになっております。そういうような、いわばやや間接的な形の方が対外的にはとりやすいかと思います。これも特別の協定や取りきめが両国間でできますれば、あるいは会社と向うの政府との契約でそういう点が比較的難点がなくてできますればこれはやさしいと思います。ごく抽象的に考えますと、ちょっいとろいろな問題があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/39
-
040・海野三朗
○海野三朗君 ただいまのに関連してですが、石油の開発については、外資導入に対してはこういうふうにお考えになっておりますか。外資導入、外国の人で資本を出したいという人がありましたときは、それを受け入れるのですか、あまり受け入れないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/40
-
041・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) その点実はわれわれもまだ具体的な話もありませんのであまり検討しておりませんが、この場で思いつきました意見といたしましては、外囲資本の入り方にもよるかと存じておりますが、普通のクレジットの形でありますれば、そう問題もないかと思っております。株式の形で入って資本参加ということになりますと、一般の資本導入の関係で、現在外資審議会等で一応持株比率は五〇%をこえない方がいいではないかというふうな基準で考えておるようでございますから、まあそういうふうな一般的な基準で考えてみたらどうかと思っております。しかしこれも現実にそういうことのケースにぶつかりませんと的確なお答えはむずかしいと思います。今思いつきましたこととしましてはその程度のことに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/41
-
042・海野三朗
○海野三朗君 つまり外国資本の導入は歓迎していらっしゃるかどうかという意見をお伺いしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/42
-
043・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) もしそういうふうな資本の流入が、今申し上げましたような基準で考えられます問題がありますれば、これは拒む必要はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/43
-
044・海野三朗
○海野三朗君 先ほどあなたの御説明の、一般会計予算貿易振興費といってここにたくさん並べておりますが、この前の委員会で私がカーボン・ブラックのことをお伺いいたしました際に、それは外務省を通じてその輸出の品目を増してもらうことに努力しておるから、いま一ヵ月たったならば大体わかるであろうという石橋通産大臣のお答えでありましたが、その後カーボン・ブラックの中共に対する輸出はどういうふうになっておりましょうか。それとピッチ・コークスについてはやはり中共に輸出できないのか。それは向うでは戦略物資であると言ってこれを禁止せられておるのでありましょうけれども、そうするとその業者が立たない、今日本では業者が立っていかない。そういう場合に、これは輸出できないんだと言っておられたのでは、政府は何らかその業者に対する補償がなければならないのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、そういう点についてはどういうものでありましょうか。これは売っちゃならない、売っちゃならないと言ったって、職工がちゃんとおって仕事をやっておるので、その品物を向うに売っちゃならないというようなことを言われたって、そういう規則は、背に腹はかえられない、やめてしまったらいいのじゃないかというほど重大に私は思うので、もしそれを輸出してはいけないということであるならば、政府は何らかの方策をもってその業者を救わなければならないのじゃないかと、こういうふうに私は考えますが、そういう点については官房長はどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/44
-
045・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 御指摘の品物のカーボン・ブラック、あるいはピッチ・コークスともに中共、ソ連圏向けはたしか禁輸品目に入っておるかと存じております。なお、これは少し厳格に調べてみたいと思っておりますが、多分そうではないかと思っております。そこで禁輸品目の緩和につきましては累次大臣から申し上げておりまする通り、パリのココムと言いまするか、正確に言いますればチャイナ・コミッティと言うのが正確だそうでありますが、そこを中心にしょっちゅう緩和の交渉をしておるのでありますが、この年を越しましてからなかなか品目の解除ができておりません。これは昨年の六月ころまでに一応中共、北鮮向けの禁輸リストは今までは日本がほかの国とだいぶ違っておりましたのが、だいぶ緩和されて、日本も西欧並みになったということでございまするが、なおソ連圏向け等はだいぶ品目の差もございまするから、できるだけソ連圏向けのものに合わせまするように、こちらからも奨励いたしまして、現地でもしょっちゅうやっておりまするが、これは日本ひとりだけのことではございません。加盟国が十ヵ国ございますから、その話し合いになると思います。残念ながらその後まだ解除の報に接しておりません。ただ衆議院の方でもいろいろ御質問がございましたが、特別な個々の契約によりまして禁輸品目の中でもバーター等の関係で、そのケースだけをのかして参るというふうな制度もございまして、特にこれを特認品目と呼んでおりますが、これらの手続の方法もありますることは、これはこの前申し上げた通りであります。昨年の暮以来、今年にかけまして、化学製品の関係は、特に有機薬品が中心でございますが、だいぶ品目も特に認められて来ました。その関係の貿易だけは一応輸出許可を与えております。カーボン・ブラック、ピッチ・コークスにつきましては、現在その運びになっていないのじゃないかと思っております。なお、われわれとしましては、できるだけこれは差しつかえないものであれば輸出したいという希望は捨てておりませんので、その関係の努力は進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/45
-
046・海野三朗
○海野三朗君 私はその責任があるのではないかということを一つお伺いするのです。そういうふうに、品物を売っちゃならないと言われると商売は上ったりになっちゃう。それで会社はつぶれてしまう。そういうときに、売っちゃならぬと言う以上には、やはり国家が補償するだけの考えがなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。売れてさえいけばその会社は立っていくのでありますけれども、設備でも何でも今急にこわすわけにもいかないし、それを売っちゃならぬと言われるのであれば、政府が何とかそれを助けていかなければならぬのじゃないかというふうに思うのですが、全く無責任ではあり得ないのじゃないか、まあ私はこう思うのです。あなたは常識からお考えになってどういうふうにお考えになりますか、そういうことについては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/46
-
047・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) これはお言葉を返すようですが、政府から、それは中共向けに輸出してもいいとか、あるいは中共向けがけっこうだろうというふうな指導をしておりますと、これは政府といたしましても責任を持たなければならぬというのは当然だと思いまするけれども、御承知のように、禁輸品目は正式に公表されておりませんけれども、内面指導といたしまして、こういう品物を中共向けに輸出する際は、これは禁止されておるということはある程度業界の方には徹底いたしまするように指導はいたしておるつもりでございます。またその関係の輸出の契約等も、そういうことであればまあしない方が無難ではないかと、こういうふうには考えて指導しているわけでございます。ただカーボン・ブラックの方は、御承知のように、最近ゴムの関係が少し景気が悪いようでございます。あるいはいろいろ滞貨もふえまして、困難な問題があると思います。直接政府がそれに対しまして、金融上のできる範囲の面倒は施しましても、すぐそれを政府の責任においてどうするというのは、これはちょっとむずかしいではないかというふうに考えております。ほかにもいろいろ中共関係には戦前、あるいは戦後の、朝鮮事変前取引関係のありましたものでも、金融措置でだいぶ抑えられておるものがあるようでございます。これらを政府が直接どうするというのは、これは措置としてはむずかしいかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/47
-
048・上林忠次
○上林忠次君 石油の話が出まして、私もちろんしろうとですから、大ざっぱなお答えだけでけっこうなんですが、大体日本の石油資源なんというのは少いのだと、これは開発するには相当金がかかる、コストが高くなる、そういうことになりますと、外国から安いのが入ってくる、とってもやっていけない、この調整は今でもやっておると思いますが、輸入の品物と国産の品物との価格調整はやっておられると思いますが、どんなことをやっておられるか知らぬ、そういうような現状も簡単にお話願いたいですが、大体こういうふうな少い資源を開発するには相当の金がかかる、それに対して補助を出す。先ほどのような半額の補助を出してボーリングをやらす、こういうことをやっていきましても、とっても日本の生産費が高くなって、国産の石油製造業者はやっていけないのじゃないか。それに対しては外資も入れていくというような話も出ましたが、私は石油においては外資導入をしないと石油の資源は開発できないのか、あるいは国内の力だけで、民族資本だけで開発ができるのか、それに対しては外国の輸入品と同様な措置をとるのか、どうせ安いのが入ってくるのですから、これとの措置ですが、そういうふうなことを考えますと、五〇%の補助なんていうのは、これは国でやったらどうか、補助を出して業者にやらせずに、国の仕事としてボーリングをやるのだ、あとの措置はなるべく外資を入れずに、日本の民族資本でこの石油の開発をやっていく、この事業を支えていくということでやってもらいたい。もしこれが外資を入れますならば、日本の弱小な企業者はすぐ倒れてしまう。これはいろいろなほかの業種でも先例はたくさんありますが、とてもやっていけない、太刀打ちができない。こういうようなことを考えますと、ボーリングだけは国の力でやったらどうかということと、外資導入はなるべくやめて、民族資本を保護していくということを考えなくちゃならぬ。かような点につきまして、そういうような価格の調整はどういう工合にするか、輸入品との価格調整はどういうふうにするか。また先ほどちょいちょい話が出ましたが、外資導入に対しては、どの程度この業界に外資を入れていくかというお考えですか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/48
-
049・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 今、現在国産原油の価格はたしかキロリッター当り六千五、六百円で、国内の精製業者に渡しているかと思っております。輸入の原油は正確に存じませんし、種類によって違いますが、たしか四千円台ではないかと思っております。これは現在のところおもに出ます地帯が日本海岸の方でございまするから、あの方面に井戸を持っております会社に対しましては、輸入原油によりまする利益と推されますものでカバーできるように、ある程度国産原油を使用いたします量に応じまして、輸入原油の割当量をふやすという形で操作いたしております。それでなぜそういうふうに高くなるかという問題がございますが、これは私、詳細に実は検討しておりませんので、的確なことはあるいは申し上げられかねるかと思いますが、試掘関係の経費、これは結局一種の仮勘定みたいなことで処理して、あとで当りました際に償却で落すわけであります。その関係の利息が多くて高くなりますものが相当あると思いますが、同時に国内の一会社によります産油量が少いものですから、しかもこの井戸の能率のいい、たくさん油の出る井戸が少いという関係で、相当高くなっているのじゃないかと思っております。それで実はこの開発五ヵ年計画を立てました際に、仮に将来五ヵ年後に百万キロリッター程度出るようになるといたしまして、一体原油のコストがどうなるだろうかと、いろいろ検討いたしております。これはその当る率、あるいはどの程度に能率のいい井戸が当るかという問題も非常に関係いたしますので、相当まあ推量の要素も入りますが、やはり百万キロリッター程度まで出るような規模になれば、これは償却の割掛も安くなりますし、その他の一般管理費等の割安も手伝いまして、まあ五千円台以下になるのじゃないか。うまくいけば四千円台になるのじゃないかというふうに一応見ております。これも試掘の結果いかんによりますので、的確に申し上げられませんが、何とか輸入原油に対抗はできませんけれども、しかし現在よりは相当安くなるのじゃないだろうかと、こういうふうに考えます。
他方近くこれも国会の御審議を煩わしまするが、例の原油、あるいは重油の輸入関税の問題もあります。これも関税定率法では従価一割になっております。それが毎年々々免税になっております。これも国産原油の増産という点もからみまして少し上げたらどうかと思って本年御提案いたしますのは、原油が二%、それからB、C重油で六%という率で、まあ一部の税復活をお願いしようかと考えております。これは暫定措置でございますので、あるいは国産原油増産奨励のために、もう少しもとのところにまで戻すべきだという御意見も相当あったかと思いますが、その点はさらに試掘計画の実施状況ともにらみ合せまして検討したいと考えております。いずれにいたしましても、そういうようなまあ輸入原油の方の運賃の関係、あるいは関税関係からくる値上り、それから国産原油の方の増産による値下りというものの現在の幅は相当縮まるかと思いますが、これは同じような程度にいかん。そういうような操作で、現在のところは、ある程度は輸入原油の操作によりまして国産原油の使用を奨励して参る、こういう状況です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/49
-
050・上林忠次
○上林忠次君 国の負担で合理化をやる、そこまでいった方が手っとり早く開発できるのじゃないかと思います。ここまでお考えになりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/50
-
051・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 今のお話は国の直接の機構、たとえば特別会計とか、あるいは公社とかがやったらというお話だと思いますが、これはいろいろ検討してみましたが、結局特別会計、これは実際上だれかの委託になりますので、むしろ公社となりますが、公社も確かにいろいろな点で利点があったと存じておりますが、ただ予算でその支出まで相当制約を受けますということ、従って弾力性、機動性がないということと、それからもう一つは、やはり現在ある民間の精製会社の資本力をある程度活用する方がいいのではないか。結局問題は資金の量になります。そうしますと、やはり特殊会社にして、現在の各社からも出資を認めまして、そうして資金の量をふやして仕事をスピード・アップする、そうして所要の産油量に持っていった方が、大きな目で見てかえっていいのじゃないかということで、株式会社形態で、しかも国が相当監督できる形態の方がいいだろうというので、特殊会社という構想を一応検討をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/51
-
052・上林忠次
○上林忠次君 今のに関連して。ただいままで、六月まで免税になっておる輸入原油並びに重油類ですね。関税復活のお話がございましたが、その場合、それを理由にして値上げをされるおそれがある。それをさせない何か手を打つ御用意があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/52
-
053・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) これはざっくばらんに申し上げまして、一般的に値上りを阻止する方法は実はないと思っております。ただ、この一番被害と申しますか、値上りの被害を受けますところは、大体はこの原油系統の内燃機関、あるいはボイラー、あるいはその他の発生炉系統の設備を持っておられる業界だろうと思います。そのうちで特にこの漁業用のものにつきましては、現在も相当地域で価格がまちまちで、いろいろな漁業方面からの意見、陳情等もございますので、漁業方面だけは何とか値上りを来たさないような行政指導で行いたいということで具体策を農林省と打ち合せてやっております。まあ大体案としては関税賦課前の価格で、現実に、末端の小売業者から漁業組合へ渡り得るような方法を講じたいと考えております。実はその関係もありまして、重油の種類のうちでA、BC、三つありますが、そのうちAはほとんど水産業、機帆船用でございます。これは今度一応関税復活を行わず免税のまま、それからB、C重油の中でB重油の約三割程度のものが西の方面の水産業者が主として使っておりますが、その点を何とかいま申し上げましたような関税による値上げを直接受けないような措置を講じたい、こういうふうに考えております。従いましてしわが寄りますのがC重油、あるいはB重油の陸上用重油です。これはできるだけ値上げの幅を小さくしたいとは考えておりまするが、現在でも輸送経路の関係とか、あるいは取引量の関係等で絶対額におきましては陸上用が割合安いのでございます。これは、取引が大きいとか、あるいは受け入れの方法がタンク渡しとかいうことで、これはドラムカン渡しの漁船とはだいぶ違うのは当然でございます。それもございまするから現在の比較的割安ということは言葉が悪いですけれども絶対額のそう高くない陸上用重油につきましてはあるいはこれは若干の値上げはやむを得ないかと思っております。関税価格全部を石油輸入業者、あるいは精製業者で負担をするということはこれはちょっと困難ではないかと思っております。関税額も本年度で十億ちょっと上回るかと思っております。また平年度に直しますと二十億近くなるかと思っておりまするが、これはそのまま全部を輸入業者、精製業者が転嫁しないで自分で負担してしまうということでかえって片一方のいろんな行政指導を円滑に行い得ないようなことになりますので、ある程度これはやむを得ないかと思っておりまするが、しかしできるだけ小幅にとまるように十分な注意をいたしたいと考えております。その関係で実は重油の消費調整に関しまする法律案も御審議を煩わしたいと考えております。その関税賦課の影響をできるだけ小幅にとどめますために、法律の規定といたしまして状況によっては価格の騰貴が著しい場合にはある程度の指示を行い得るような規定も入れたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/53
-
054・三輪貞治
○三輪貞治君 今の質問、特に私がするのはさっきちょっと申しましたように石油会社の大部分のものが五〇%もの外国資本で占められているというような実情でありまするから、一方で二十億とって、一方でそれ以上の価格値上げによる利潤を向うへ持って行かれたら何のために関税をとられるかわからない、こういうふうにならないとも限らないのです。一昨年の十月でしたか油の一般的な値上げがございましたね、トン当り千五百円くらいでしょうか、それによる外国資本の得た利益は莫大なものになったというふうにわれわれ聞いているわけです。そういう結果になると結局一方でわずかにとって、また別の形でとられるということにならざるを得ないとも限りません。いま一つ十分な御注意を願って、特に漁業関係からわれわれも毎日のように陳情を受けているわけで、その点、関税をとるのは賛成だが、そのことを考えて、またちょっと思いとどまっている点もあるわけです。十分一つ御検討願って適切な措置をとって頂きたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/54
-
055・海野三朗
○海野三朗君 私がお伺いしたいのは原油及び重油に対する関税が国法でもってきめられているにもかからずこの原油及び重油、油に関してだけの関税を何ゆえに特別措置を講じているのであるか。これはもしその特別措置を年々講じなければならないものであるとするならば、むしろ法律を改正すべきものである、私はそう思うのです。ちゃんと法律に規定されておるにもかかわらず、今年度一年だけ一年だけといって、これを延期しているところに我我が納得できないものがあるのです。でこの無税にしておったところの額は二十九年度においては実に七十九億に上るのです。それを一方は漁船の方の油とかなんとか言いますけれども、その運動者をよく調べてみますと専門にかかっておるのです。これは消費者がやっておるのではない。これを商売にやっている。商売に陳情書、請願書をみな出して、それで各業界の名前をずっと羅列しておるけれども、そういうことにごまかされては私はいけないのじゃないか。これははっきり見きわめなければならない。そうして一割だけ上ったからそれで消費者にどれだけ響いているかという現実の姿を眺めるときに、魚をとる場合におきましても、油の消費量よりも魚をとる方がはるかに大きいわけですから、一割くらいの値を上げても大したことはない。値を上げるというときになると上げないようにといって専門にかかっておる人間がおるのですよ。その機構を見ると実に国民をばかにしたやり方であって、これほど金がないと言っているにもかかわらず、ちゃんと法をきめて、これは二割、これは三割というけれども、一割ずつ天引き頭からへずっていくということは僕は実に国民をばかにしたやり方と考える。これは法律に従って課すべきものである。もし特別な措置を年一年、二十六年から七、八、九、十年の六月までにやるというのならば法律を改正した方がいいのです。むしろ法律を改正した方がいいのです。それを法律も改正しないで、特別なる措置、特別なる措置と言っているのなら、今日一般勤労大衆の勤労所得を特別措置法をもって減らしていったらいいじゃないか、私はそういうふうに考える。私はこれは正しくないと考えるのでありますが、ほんとうにまじめに考えて、どういうふうにお考えになりますか。官房長……。これは規則の上できまっている。きまっているのなら、なぜ実行しないか、実行できないくらいなら法律を改正した方がいいのだ、こういうふうに私は思う。これが正しいのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/55
-
056・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 二十六年のときの免税措置は当時の状況といたしましては、実はこういう事情ではなかったかと存じております。当時朝鮮事変後の状況で、相当船運賃が上昇いたしております。たしか現在の三倍近いタンカー・レートではなかったかと存じております。そういたしますと、私の記憶でも当時マル公制度をやっておりましたが、重油のシフ価格が一万円をこしておったと、こう存じております。これは関税抜きで一万円をこしておると思います。そういうふうな状況でありまするので、それにさらに一割の従価、一割の関税をかけますと、相当国内の油の需要家が重大な影響をこうむる。それでとりあえずまあ一年一年ということで免税措置が講ぜられたものと、こういうふうに了承しております。もちろんその間にありまして国産原油の云々という問題もございましたが、しかし油の輸入価格が高いということも強く働いておると思います。現在は船運賃も相当下って参っておりまするし、ことにタンカー・レートがなかなか落ちこんだまま回復しておりませんし、シフ価格も七千円を下回っておるようでございます。そういう状況でありますればわれわれとしましてはもとの従価一割にこれを復活いたしましても、そう極端な影響はあるいはないではないだろうか。まあ、魚価に対しまする影響その他もございまするが、そう極端な影響はないのではないか。むしろ関税復活に伴いまして、現在は自由市場でございまするので、中間あるいは末端等におきまして、だんだん値上げの転嫁の幅が大きくなって参るというのがむしろ問題じゃないかというふうに考えております。しかしいろいろ情勢を見て参りますと、陸上の需要者にいたしましても相当重油を多量に使っておりまする業種におきましては、あるいは利益金の三分の一も飛んでしまうとか、あるいは配当がみななくなるとかいうふうなお話も実は承わっているわけであります。実は通産省といたしましても、一方では輸出振興のためにコストの低下ということも唱導して参っておりますし、一方では国産原油の増産助成、あるいは石炭鉱業の維持というような問題、両方板ばさ、みになっているわけであります。経済情勢の動きもございまするので、そう船運賃が下ったからといってこれをこの際もとに戻すということはこれは急激な変動を与えますので、一挙にいたしますのもどうかと存じますので、とりあえず先ほど申し上げましたような率で事を運んで参りたいというふうな結論になったわけであります。まあ、関税の問題はなかなか一本の考え方で割り切れませんで、われわれも実は非常に苦労しております。経済情勢の状況に応じてある程度の弾力性は要るのではないかと思っております。まあ、今年度は原油の二%、B、C重油の六%という復活で進んで参りたいというふうに実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/56
-
057・海野三朗
○海野三朗君 私がお伺いいたしたいというのは、法律に定められているものをなぜ実行できないのか。これを実行なさるのがほんとうじゃないか。それを今漸進的に二%とか、三%とか、そんなことではなまぬるいじゃないか。法律の順守をおやりになるだけの決意がないかということを私はお伺いしている。そのあり方が正しいあり方ではないと私は考えるのでありますが、現段階ではやむを得ないというふうに言っているのだけれども、そういうこと自体間違っているのじゃないかというのです。その御答をいただきたい。法律に定められているのだからそれを順守すべきじゃないか。ことに石油だけ税金の特別措置を講ずるということ、そのことが大体間違っている。それなら砂糖の方も減税したらいいじゃないか。勤労所得の減税も考慮したらいいじゃないか。石油ばかりが必需物資じゃありません。そのほかほとんどわれわれの生活に不必要なものというのはないと言ってもいい。石油だけ何ゆえに免税しておられるのか。そのあり方が私は間違っているのじゃないかということをお伺いしている。そのあり方が間違っているのじゃないか。今の通産省としての考えもそれは正しい考え方じゃないのじゃないか。それは間違っている考え方じゃないかと、私は思いますが、これは官房長いかがお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/57
-
058・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 御意見でございますが、現在毎年々々の免税、あるいは減税措置を受けておりますものは、石油関係のほかに相当多数の機械類、それから染料、それから若干の食糧等がございます。まあ、それぞれの理由でそういうような措置を受けているようであります。これもまあ関税定率法の固有の率を加減しているわけでありますが、これはやはり国会の御審議を経ました立法でもございますので、まあ毎年々々延ばしているのはこれはあまりすっきりした措置ではございませんけれども、しかし一方いろいろ申し上げましよたうに、関税率を一律に固定さしまして経済活動の基盤を動かさないでおくというのもこれもあまり固定した考え方かも存じません、やはりある程度経済情勢の変動に応じまして弾力性のある運営をいたすのが、これはむしろ適当じゃないかというふうに思っております。実はどちらも法律できまっておることでございますし、ただ形が毎年々々がいいか、あるいは二年、三年ときざんでやった方がいいかというふうな問題は、現在ではあまり固定した率一本で行かない方が、むしろ経済界の実態に合うのじゃないか、実はこういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/58
-
059・海野三朗
○海野三朗君 私はこのことについては石橋通産大臣に質問を保留いたしまして、今日はこれで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/59
-
060・上林忠次
○上林忠次君 先ほどお尋ねしましたことに対しては、はっきりしたまだ返答をいただいておりませんが、大体日本の石油を開発するのに外資を導入しないとできないのか、この問題まだお答えいただいておりません。先ほども私言いますように、何とかわれわれの力でできるものなら日本人の資本でやりたい、関税を引き上げたり、いろいろなことをしてやるような、日本の生産品であるなら特に外資が入っちゃ困る、むだな利潤を壟断されちまう。日本に残るべき利潤を外国へ取られちまうということになりますので、もしこの仕事が電源開発のような相当な資金が要るのだと、とても外資に頼らないと開発ができないというようなものなら入れなくちゃならない。日本でできるものなら、日本人の民族資本でできるものなら、何とか国内に利益をとどめたいというところから行きますと、この石油の開発がわれわれの力だけでできないのかどうか、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/60
-
061・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 石油試掘に要しまする経費は、五ヵ年計画と一応考えております構想で申しますると、五年間に約百億でございます。これは直接試掘に要しまする経費で、中味は今お話がありましたが、ボーリングとか、あるいはその次の現実に油層を当てましてから穴を掘りますもの、それから二次採油と申しまして、すでに採油しましたあとの層をもう一ぺん探るという、大体三つの費目になりますが、百億でありまするから、私は外資、ことにこの外国からの資金的な援助はなくともやれないものではないだろうと思っております。国内の財政からの投資なり、あるいは民間資本を動員するなりいたしますれば、百億という金は現在の規模といたしましてはそう目をむくような大きな金ではございません。これは施策がよければ調達できる金だと存じております。ただ採油のいろいろな機械類でありますとか、あるいは器具等につきましては、あるいはこれは外国の技術的な提携なり、あるいは導入をはかった方がいい場合もあるかと存じます。金としましては、必ずしも外国から仰がなくてもできないものではないと思っております。しかし先ほども申しましたように、もしそういうような日本の石油採掘業に投資しようという希望者がありますときには、その条件が合えばこれを断わるまでの必要もないじゃないかという程度におきまして、積極的に現在国内で石油採掘に対しまする外資の導入を要望しているという声もあまり聞きませんし、また外からそういう働きかけがあるとも聞いておりません。われわれとしましては、現在の段階では日本国内における円資金の調達でやろういうふうに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/61
-
062・上林忠次
○上林忠次君 先ほど僕は、何か三輪さんですか何かの話で、五〇%もすでに外資が入っているじゃないか、石油業界にですね。入れる必要がなかったらどうしてそんなものを入れたか。これまで外国の油が大部分使われているので、採掘の方にはそう金もかけておらんじゃないか。この石油資源の開拓なんていうのは、平時からやかましく言われた問題ですし、今ごろになってようよう補助を出してボーリングをやるというところに来たのですが、前から言われておる問題で、それをそのままにしておいて片一方外資を入れて、外国の石油を輸入して国内の需給操作をやっていると、そういうふうな仕事じゃないかと思うのですが、そんなところへすでに五〇%も外資が入っておる。これは国の石油政策としては失敗ではないか。どうしてそんな必要もない外資を入れて、われわれの業界の利益を壟断されるか。先ほどのお話では、また輸入の関税まで上げる、そうして日本業界を保護するならいいが、外資の入った、外国の資本による業界を保護するというようなことになるならこれはまた困ったことである。なぜそういうような外資をこういうところへ入れたか、それほど入れないと石油の資源の開発はできないのかどうか、できないことがないならどうして入れたのか、すでに入っているというのはどうしてか。五〇%も入っておるかどうかしりませんが、先ほど私はすでに五〇%も入っているじゃないかということを聞きましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/62
-
063・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 現在の石油精製業に外資が入っておりまするこの経緯につきましては、これはあるいは御承知かと存じまするが、相当長いいきさつのある話でございます。御案内のように戦前におきましても日本におきましてはイギリスのシェル系とアメリカのスタンダード系の相当争いがありまして、当時は国内におきまして、精製業があまり発達いたしませんで、むしろ直接販売の方に進出いたしたわけでございます。いろんな、 シェルとか、ペガサスとかいうマークが町で見られたのは御承知だと思います。それで戦争になりまして、一応そういう関係の資本が敵産という形で管理の態勢に入ったわけでありますが、戦後の占領管理下におきまして、一つはそういうふうな敵産として管理いたしてあるものの解除という問題、それからもう一つは世界の石油業の大勢が、これは戦争中にアラビア方面の原油が非常にふえまして、そうしていろんな石油資本の争いの結果、精油所をむしろ消費地の近くに持つべしというのが世界の石油界の大勢になりまして、従って大きなタンカーで大きなマーケットに運んで、そこで精油をして配給すると、これが世界の大勢になって来たんです。そこへまあ日本が戦後新しいマーケットとして登場いたしまして、前から若干の外国資本の問題があるところへ結びつきまして、国内の精油所の復興、あるいは拡充ということが日程に上って来ました際に、そういう態勢と、それから戦前からの資産のつながりということをもちまして外国資本が急速に入ったわけでございます。それも当時、ざっくばらんに申し上げますれば占領当時で外資法といったものも十分に制定運用されていない時代で、いわば占領軍の仲介あっせんによりまして国内の精製業者が結びついていった。それもまあ資本参加という形が大部分で、それプラス技術提携、あるいは貸付金債権という形で、資金的な援助、技術的な援助を得たわけでございまするが、当時はいわば運転資金にも窮する時代でございましたので、設備の復興資金のみならず原油の代金をもって株式投資に振りかえるというような措置も行われまして、その結果としましては、資本的には外国資本の参加率が急速に上って参りまして、また戦前外国資本の入ってなかった会社に対しましても、外資提携ができ上るという状態ができまして、まあ現在のように大多数の会社におきまして、多くは五五%、少いのは五〇%以下でございまするが、資本参加を見ている、重役陣も若干の外国人が入っておる。それからそのほかに相当多額の外国債務をしょっているというのが実は現在の状態でございます。決してこれは望ましい状態ではないかもしれませんが、まあ当時の荒廃しました石油精製業、あるいは技術的にも、あるいは規模的にも非常におくれておりました日本の精製業がどうにかこうにか現在一千万キロ程度の能力を持っておりまするが、これはおそらく世界の石油精製業と比しましても相当な規模の精製設備能力で、これを持ち得まして、しかも一応技術的にもどうやら水準まで近づきつつあるというのは、これは一つはやはり外国資本の提携もあったわけでございます。ただ外国資本でございまするから、お話のようにいろいろな株式配当、あるいは債務の返済という形である程度の海外輸送金の起りますことはこれはやむを得ませんが、同時にそれだけの事業の規模を持っておりますので、これは国内の関連産業、あるいは雇用の上にも若干のプラスになっておることはこれまた争われないことでありますし、またいろいろ日本の国内にある、また日本の国の法律のもとにおきまする会社形態でございますので、これは然らざる会社と同じように日本政府の監督に入るのですから、その辺は一利一害があると存じております。弊害ばかりではないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/63
-
064・吉野信次
○委員長(吉野信次君) いかがでしょう。御質問もまだおありになるかもしれませんが、何でしたら今日はこの程度にいたしまして……。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後四時十二分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X00419550512/64
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。