1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月三日(金曜日)
午後二時二十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 吉野 信次君
理事
古池 信三君
高橋 衛君
山川 良一君
委員
小野 義夫君
深水 六郎君
河野 謙三君
海野 三朗君
苫米地義三君
石川 清一君
政府委員
通商産業政務次
官 島村 一郎君
中小企業庁長官 記内 角一君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員 内田源兵衛君
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本日の会議に付した案件
○中小企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○商工組合中央金庫法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○中小企業信用保険法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
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001・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それではこれより委員会を開会いたします。
本日は、中小企業の金融関係に関する三法案を議題に供します。質問を続行いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/1
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002・海野三朗
○海野三朗君 この中小企業金融公庫は、この命を政府が貸して地方の中小工業を助けるという趣意のもとにやられたわけでありますが、その結果を見まするというと、銀行——たとえば二、三のある種の銀行においては、銀行預金を抱き合せでなければ金を貸さないということも私は非常に耳痛く聞くのであります。つまりその銀行からふだん金を借りていないやつには金を貸さない、金を借りておるところには抱き合せをして政府のつまり資金を貸す。貸した以上には自分の銀行のやつは月掛でぴりぴりとる。銀行は損をしないが、業者としては一般に救われていない。ことに貸し出した方面を、まだその資料については詳しくその後の状況を伺っておりませんが、中小企業を救うのに、あるいは旅館業に金を出したり、あるいは少し中小企業と趣きを異にしている方面へ、金を、間違いなく入ってくる方面にきり銀行は出さない。そういう傾向が顕著に感じられるのであります。それで私は、地方に、中小企業金融公庫などにしましても、出張店を置く必要があるのではないか。どうしても私はその必要を思うものであって、銀行まかせにしては地方の業者は救われないと思うのでありますが、その辺に対しては、政府当局としてはいかようにお考えになっていらっしゃるか。その点の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/2
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003・記内角一
○政府委員(記内角一君) 御指摘のようなことも間々耳にいたしますので、われわれといたしましてはそういうことのないように、いわゆる監査部というものを公庫の中に設けまして貸付先の実情等も調べまして、そういう弊害のないように努めて参っておるわけでありますが、今後ともこれを励行して参りたいと思っております。ただそれにつきましても、今お話のような各地方に支店を設けたらどうかという御意見でございますが、実は本年度の計画といたしましても、現在ありまする東京の本所、大阪の支所のほかに札幌、名古屋、福岡という面に支店を設けまして、ここで代理貸付につきましてのいろいろな相談あるいは指導、さらに貸した金の管理、監査というふうな業務を担当させますと同時に、一部補完的に面接貸しも実施したいというふうに考えておるわけであります。ただこれを全国的に支店網を設けてやるということになりますというと、膨大な陣容を必要といたします。またたとえば各府県、全国に散在しております中小業者と取引しようといたしますれば、県に一カ所くらいの支店を設けたのではその支店の近所にあります都市については何とかまかなって参りまするけれども、それと遠隔の地にある所ではなかなか取引もむずかしいということで、どうしても中小業者の身近にある店舗でなければ活用が困難だということにもなろうかと思うのであります。それかといってそういうふうな支店を各方面に設けるというようなことも採算上もできませんし、また人の問題、手数の問題等から考えましてもほとんど不可能でございます。従いまして全国に散在するこれらの業者に対しましては、やはり直接貸しでなくて、間接の代理貸しという面を中心にいたしまして、ただ支店等が漸次整備いたしますればそこを中心に、根城にいたしまして、足らざるところを補う意味で直接貸しもやって参りたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/3
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004・海野三朗
○海野三朗君 この銀行まかせにしておられるのでは私はいけないと思うのでありますが、それもやはり在来通り銀行まかせにおやりにたるお考えでありますか。抱き合せをやったりなんかしてそういうふうなところが非常に多い。従って中小商工業者があまり救われていない。今までその利益を得ておるものは銀行から始終金を借りておるところでごく特殊なものきり救われていないのです。それをどういうふうにするか。その点についての私は御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/4
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005・記内角一
○政府委員(記内角一君) そういう弊害も見受けられるのでございまして、ことに昨年の金融引き締め以来と申しますものは、いわゆる銀行におきましては従来の取引先に対してすら資金を引き揚げる、あるいは取引を取りやめるというふうな傾向も出ておりますので、新しい取引先に対して取引を始めるということを非常に警戒しておる、いやがっておるということは争えない事実でございます。ただこの公庫の資金の取り扱いにつきましては、そういうふうな旧来の取引先だけに限定すべきでなくて、新規の取引も大いに活発化して参らなければなりません。そういう面に対しましては、今後われわれといたしましてできるだけいわゆる融資あっせんという方面を各府県その他と連絡いたしながらやって参りたい、もし金融機関の責任が重くなるというようなことでいやがる面に対しましては例の甲方式でなくて乙方式で、金融機関の負担の軽い方式でこれを融資するようにして参りたいというふうに考えておる次第でございます。なお同じ金融機関につきまして銀行方面はそういうふうな気配が多いわけでありますが、相互銀行とか信用金庫と申す方面はもともとまあこれは預金を集めながらまた新しい取引を始めるという性格で伸びて参ってきております。こういう方面は比較的新規の取引も多いように見受けられますので、たとえば資金の割当というような面におきましても大銀行よりも地方銀行、地方銀行よりも相互銀行、あるいは信用金庫というふうに中小企業に縁故の深い、あるいは中小企業の新規取引を比較的多くおくりになっている方面に資金をよけいに割り当てるというふうな考え方のもとにやって参りたいというふうに考えております。ただ幸いと申しましょうか、最近各銀行ともいわゆる日銀からのオーバー・ボロウイングも漸次解消して参りまして、新しい取引も逐次手持ち資金が余裕ができるのに応じまして始まりかけたような気配もうかがわれまするので、これらの機運もわれわれとしては大いにつかみながら今まで以上に公庫の資金はもちろんのこと、銀行自身の貸し出しにつきましても新規の貸し出しをするようにというふうに話を進めて参るつもりでございます。寄り寄り銀行協会等とも打ち合せをいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/5
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006・海野三朗
○海野三朗君 私がもう一つお伺いしたいのは、その銀行がたとえば金を貸す際に、自分の方の銀行の金を抱き合せで貸すのです。それで抱き合せで貸しまして、それで自分の方の金だけは月掛でびりびり取っちゃうのです。両方抱き合せでないと貸さないのです。そういうふうなことは今までよくお調べになっておられますか。銀行の貸し付け状態を詳しくお調べになったことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/6
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007・記内角一
○政府委員(記内角一君) 銀行の貸し出し状況も調べて参っておりますが、今の並行して貸し出しておるということでございますが、われわれはむしろ中小金融公庫の資金源も限度がございますので、でき得べくんば自己資金に余裕がありまする限り、これをあわせて貸すというふうなことも考えてもらいたいというふうにも話しておりますので、その限りにおいてはさして問題はないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただその際にいわゆる両建預金というふうな面で、貸した形にしておいてその相当部分、あるいは大部分を預金に振りかえて、現実の貸し付けは非常に少いというふうな非難も間々耳にいたすわけでございます。そういう際につきましては先ほど申し上げました公庫自身の監査部というところが直接銀行に出向きまして、あるいは個々の業者につきましてその実情を調べ、そういうことの起らないように措置して参っておるわけでございます。今後ともこういう線をさらに督励して参りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/7
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008・海野三朗
○海野三朗君 この前これは鉄鋼に関係した工場でありますが、東京都下のある銀行について、私は都民銀行の方に紹介をしてやったことがあります。で、その工場の持主というのは工学士で、それで都民銀行を通じてやるのにその書類を作らせたのであります。それは青写真で四十八枚、すばらしい努力をしてまず青写真でしっかり作った。つまり製品はこれだけ、月々の注文はこれだけ、こういうふうであるからしてこれで七百万ほど融通してもらいたいというのがございました。ところがその後都民銀行の方はどういうふうであったかというと、それは非常にもうけが少いという理由で都民銀行の方から金を出さない、そういうことで、もうけが少いといって都民銀行は逃げた。それは銀行の立場から言えばこれは不確実であると言われれば仕方かたいのでありますけれども、青写真で四十八枚も全部を調べ上げさせ、機械から従業員から何から、経理状態を全部調べきせておきながら、それを都民銀行が金をとうとう貸さなかったのであります。私はそういう際に当って思いますことは、どういうところに金を出すかというと、間違いないところ、たとえば旅館業とか生きた金のすぐ入って来るところ、あるいは会社とかそういうふうなところには間違いなく金が入るから銀行は貸すのである。それで実際工業方面の必要なる方面、救ってもらわなければならない方面にはこう金があまり流れていないのであります。私は非常にこの点について金の貸し方、このあり方について遺憾に思うのでありますから、なるべくこの出張店というものを、そう一がいに全国に置けと私は主張するものではありませんけれども、逐次何ぼかずつ店を出して、そうして貸し付けるようにされたならばいいのではないか、こういうふうに思うのでありますが、そういうことについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、御所見を私は伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/8
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009・記内角一
○政府委員(記内角一君) 支店の面につきましては先ほど申し上げましたように、もともとの建前が簡素な形でこれを実行して、あとは代理貸しでいくという建前にもなっております。現実の問題といたしましても全国に支店を持つというところまでいくのには大へんな人数、経費を要するのでございます。われわれといたしましては全国的な店舗を持つというところまでは考えておらないわけであります。ある程度のブロック別に必要の程度に応じまして最小限度の店舗を持ち、陣容を固めて参りたいというふうに考えておるわけであります。
なお、御指摘のような不急不要な方面に賞金が流れるということはまことに遺憾なことであります。今まではともするとそういうふうなきらいも間々耳にいたしますので、たとえば旅館業等につきましても最近では厳重な審査をいたしまして、特に相手方ももともと一般の旅館ではございませんので、いわゆる観光ホテルというふうなものを中心にして外人が宿泊する。しかもそれも衛生保安というふうなものに限定をいたしまして融資をいたして参ってきたわけであります。今後ともこういう方面をさらに厳重に監視して参りたいと思います。またそれ以外の方面におきましてもできるだけ、同じ生産業といいましても、たとえばパチンコ機械を作る業者も同じく生産業でございまするし、またいわゆる輸出品を作っている業者も製造業であります。同じく製造業でありまして。それぞれ種類も内容も違って参るわけであります。そういう方面につきましてもできる限り有効な方面に活用できますように、いずれにしましても資金量も限定されておりますので、そういう方面の注意を喚起したい。でき得べくんばそういうような一種の、一応の基準と申しますか、そういうものもこしらえてみたいというふうなことで検討いたしておる次第でございます。いずれにいたしましてもそういう精神をよく公庫にも、また公庫の代理店にも浸透させまして御指摘のような遺憾の点のないように措置して参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/9
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010・海野三朗
○海野三朗君 もう一つ私はお願いをしておきたいのは貸し付けたお金の回収状況がパーセンテージにしましてどんなふうになっておりますか。それと、その後の業種別の貸付状況を資料で拝見したいと思いますので、この次までどうかそれをお願いいたします。業種別に対しての貸し出したやつ、そうしてその回収率の状況。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/10
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011・記内角一
○政府委員(記内角一君) 業種別の貸し出し状況は最近のをお手元にお配りしたかと存じておりますが、なおよく調べましてできるだけ最近のをまとめましてご配布申し上げたいと思います。
回収率につきましては、なかなかこの回収率というものをどういうふうに見るかむずかしい面もございますが、お手元には貸出高と回収高と残高というものをお配りしてございます。商工中金についてそれをやっておりますが、公庫につきましても最初に御配付申し上げました中小企業の金融資料という中にある程度のものはあるはずでございますが、なお最近のものを取り調べて御提出申し上げるようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/11
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012・河野謙三
○河野謙三君 今の海野さんの質問に関連するのですが、私がこの前に要求いたしました商工中金の回収状況の資料いただきましたがね、これでは私がお願いした資料にならないのです。これは回収状況ということですから回収がいいか悪いかということなんです。従って貸出残ですね、残の中に期日経過がどうあるかという貸出残の内容ですね、これがほしいのですが、その資料はいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/12
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013・記内角一
○政府委員(記内角一君) あるいは三月末の決算が終っておりますのでその程度のところであればできるかと思いますが、できるだけ努力いたしまして御提出申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/13
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014・河野謙三
○河野謙三君 それからもう一つ、あなたの方の支所といいますか支店別の貸出回収調査表というのをいただきましたが、これに基いてちょっとお尋ねしたいのですが、この前の御説明ですと、東京の営業所といいますか、営業部といいますか、これは東京支店と考えていただけばいいと、こういうことでございましたが、そういう本店の営業所、営業部というようなものを東京支店と考えていただきました資料を拝見いたしますと、あまりに本店の営業部、すなわち東京支店に属するものに貸し出しが片寄っておるように思いますが、これはどういうことでしょう。特に二十九年の三月末の残高と三十年の三月末の残高を比較してみますと全国では四百六十四億に対して五百三十五億ですか、約七十億増加しておるのですが、その七十億の増加のうち実に三十二億というものは東京の営業所で増加しておる、しかもこの貸出件数、貸出先というものを見ますと東京の方は貸出件数、貸出先というものはほかから比べまして非常に件数が少い、件数がだんだん少くなっていって、逆に一件当りの貸出金額がふえておると、こういう傾向になっておるのですが、私が考えますのにこういう特殊金融というものはなるべく件数が多く、一口当りの貸出金額が少いということがむしろ理想じゃないかと思うのですが、大口に片寄る、こういう傾向につきましてはどういうふうにお考えになっておるか、以上お尋ねいたしました点について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/14
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015・記内角一
○政府委員(記内角一君) 東京には比較的連合会等もございますので、そういう面で貸し出しがどうしてもふえて参るということになろうかと思うのでございますが、たとえば大阪の例を見ていただきますと六十億でございまして、三月末現在の残高を見ますと東京は百二十億に対して大阪は六十億、神戸が二十六億、札幌が二十四億というふうな率になっております。これを中小企業金融公庫の貸出残高などについて見ましても大阪の四十億に対しまして東京は七十一億というふうになっております。まあ今までの例から見まして、その程度のバランスがある程度あるようにうかがわれるのでございます。
なお貸出残高の一口当りの、一組合当りの平均等を毎月調べておりますが、去年と、ことしと若干ふえておりますが、去年の三月が六百七十万に対しましてことしの三月は七百四十万というふうになっております。これは組合でございます。それで直接貸しになりますると、いわゆる個人の、個々の企業者に対する、直接組合員に対する貸付になりますと、貸出先は去年の百五十万に対してことしは百七十万というふうに相なっております。まあこの辺でありますればあまり大きく片寄っておるというふうにもうかがわれないのであります。
なお、われわれといたしまして特に大口の貸出先につきましては毎月の状況を報告さしておりまして、常時ある程度の監督もいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/15
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016・河野謙三
○河野謙三君 私がお尋ねしている点には問題点が二つあると思うのです。この前にも申し上げましたが、この種の金融というものは私の考えではむしろ小売業に重点を置いて、卸の方には第二義的に考えるということであるべきだと、これは私の独断かもしれません、私の意見かもしれません、私はそう考える。ところがこの貸付状況を見ますと、今お話のように東京が多い。東京が多いのは連合会があるからだ、連合会というのは大体卸の連合会なんです。これは。卸業者に厚くて、それだけ小売業者には反対に少い、こういう傾向になっているわけなんです。しかもその傾向がこの一年間の昭和二十九年の三月と三十年の三月と比較しますと、この傾向が非常に大きく出てきている。今申し上げましたように東京は件数が二十九年の三月には三千百九十三件であったものが逆に減って二千七百三十六件になっておる。金額は八十八億であったものが百二十億になっておる。これは明らかに貸し出しの方針が卸業中心といいますか、中小企業の中の比較的大きなものにのみ重点がかかっているのですよ、零細なものはだんだんこの犠牲になっておる、こういうことに私はこの数字によれば拝見せざるを得ないと思うのです。これは趣旨が違うのじゃないか、こう思うのですが、これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/16
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017・記内角一
○政府委員(記内角一君) この件数と申しますのは、たとえば手形の枚数、あるいは証書貸付の枚数等でございまして、貸しておる相手先になりますと、その前にございます貸出先数、それで見ますと去年の七百九十一、一組合、もしくは一企業に対しまして、今年は八百九十二というふうに、各組合増加いたしておりますのでございます。従いまして件数の多寡は手形の枚数その他で移動ございますが、貸出先自体につきましてはまあ逐次ふえて参りておるという事情に相なっております。われわれといたしまして、できるだけ先生のご指摘のないように今後とも指導して参りたいと思います。
なお、小売の関係につきましては、例の国民金融公庫が相当貸し出しをいたしております。去年におきましても四百億をこえておる状態でございますが、そのうちの約六割以上が小売商、物品販売業ということに相なっております。この面で個々の小売商につきましては相当カバーされて参っておる。中金につきましては主として組合を通じて貸しておるというふうに御承知おきを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/17
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018・河野謙三
○河野謙三君 私がお尋ねしていることは大体おわかりと思いますが、問題は通産省の考え方ですよ。これが小売に重点を置くのか、卸に重点を置くのかということなんです。東京のことを問題にしておりますが、東京ということは言葉をかえれば卸ということなんです。その東京に卸がふえていくということは、それだけ小売の方に回す金が少くなる。でありますから、この営業所別、私はこういう表をいただきましたのは、こういう東京にだんだん片寄ってくる傾向を逆に東京からたくさんの各県にある支所にこの資金の貸付件数なり、貸付先なりをもっと分散できないものかどうか、分散するということは即私は小売の方にもっと卸よりも金が回るという結論に私はなると思うので、それを申し上げているのです。私は単に東京が片寄っておるということを問題にするのじゃない、東京に片寄っておるというのは、あるいは中小企業の中の比較的金融についていろいろな力を持っておる人にさらに商工中金の命を貸しておる、こういうことになると私は思うのです。ほんとうに金に困っているのは地方のいわゆる中小企業の中の小企業なんです。それにやるためにはどうしても私は各府県にあるところの支所にもう少し貸し出す件数をふやし、この方面に積極的にこの業務というものを私は考えてもらわなければいかぬのじゃないか、こう思うのですが、これはむしろしつこいか。もし私の考え方に御同意ならば過去わずか一年の傾向を見てごらんなさい。すみやかに監督官庁である通産省が商工中金の傾向を変えさすように御指導を願わなければ、現に今は六月でありますが、この三十年の三月から四、五、六の間にこの傾向がもっとひどくなっているということを断定できるのであります。三十一年の三月に来年の表をもらってごらんなさい、もっとひどくなっている。これでいいかどうか。私がこういうふうに申し上げますのは、具体的にわれわれはこの種の金融について依頼を受けます。受けますけれどもなかなか横浜だとか静岡だとかいういなかに行くと取付けない、東京に出れば取付けやすいというんです。こういうことはよくないと思うのです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/18
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019・記内角一
○政府委員(記内角一君) そういう点になりますればわれわれもまことに遺憾に存ずるわけでありまして、できるだけそういうことのないように指導して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/19
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020・河野謙三
○河野謙三君 はなはだ失礼な、ぶしつけかもしれませんが、来年の三月にこういう表をもらうときに、さらに三月に限らずことしの暮に私はこういう表をいただきたいと思いますが、そのときにこの傾向が、今あなたのお考えが数字で現われるようにぜひ責任を持っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/20
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021・海野三朗
○海野三朗君 企業庁長官にお伺いするのですが、あなたは地方の中小企業の現状をよく視察しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/21
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022・記内角一
○政府委員(記内角一君) 私どもできるだけ機会を求めて出向いておりまするし、また何と申しましても私どもの仕事は私ども自身が直接いたしますよりも各府県庁とよく連絡をいたしましてこの方々に働いていただくことが中心でありまして、各部長、課長いずれもときどき出回っておりますので、私個人も出て参りまするし、またこういう部下の者にも出ました際にはよく地方の実情を勉強してくるように注意をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/22
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023・海野三朗
○海野三朗君 私は一週間ほど前に山形市の業者に会っていろいろ話を聞いたのでありますが、このままであればもうみな全滅してしまうのです。山形にはこの小企業の機械工場がずいぶんありますが、もう金の融通に困って銀行は出し渋っておるし、こういう状態でありまするとほとんどもう地方の中小工業はみなつぶれてしまいますね。で、私はもう少し、東京ばかりにいらっしゃると地方のことはよくおわかりにならないのじゃないかと思うのですが、努めてそういう状況をよく御視察願って業者の声を直接私は聞いていただきたいと思うのです。私は先ほど申しました、くどく申すようでありまするが、小口のものは救われてないんですよ。救われていない、救われているものがありましてもそれは銀行とのつまり結びつきでもって貸しておるので、ほんとうに因っておるのは中小商工業者が多いのです。たとえば職工にしましても、五十人くらい使っておるとか、あるいは三十人くらい使っておるというようなところで、もう何ともしょうがない。もうほとんど仕事を休むより仕方がない。首を切るといったって、首を切れないという地方の現状でありますから、それは親しく政府当局の人たちが率直に地方に出て見ていただきたいと私は思うのです。そういうものに対しては強く私は要望いたしておきます。その点についても、政府当局のまたお考えも、なお御決意をも伺っておきたいと思います。出店を作るというと、困るという。それはもっともなんですが、それだからといって、一つも作らないということではなしに、逐次何ぼかずつやはり地方の出店を作ってもらう必要がある。そういうことに対しても、政府当局はほんとうに考えていただかなければならぬのじゃないかというふうに私は思うのですが、そういうことに対しては企業庁長官どんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/23
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024・記内角一
○政府委員(記内角一君) 中小企業、特に小の方はどこでも困っておることは単に地方ばかりではございませんで、中央と申しますか、東京、大阪というふうな大都会の方面もさらに競争が激しくて、相当な困り方をいたしておるわけであります。その中におきましても、たとえば資金の面を見ましても、注文があるにもかかわらず金がないから、金に困っておるという面もございますが、金があっても注文がなくなって困っておるというところもあるわけでございます。その困り方につきましても、いろいろ変化がございまするので、それらの業種、業態によって適切な手を打って参らなければならないことと存じておるわけでございます。そういう点につきましても、われわれ単に東京におるばかりでは用は達しないわけで、あらゆる機会をつかまえまして、よく地方の実情等も認識するように努めて参りたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/24
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025・海野三朗
○海野三朗君 ちょっともう一言言わして下さい。この、地方の業者が非常に困る、つまりみんなが食えなくなるから思想的にも私は非常に危険になってくるんだと思うのです。それでどうもこの食えないし、背に腹はかえられないというときになると、何を考え出すかわからない。ここに思想の危機と申しますか、ひそんでおるのでありますから、単に中小企業を救うということは簡単なようでありますけれども、これは国民思想を善導するという意味からも、非常に重大な責任が私はあると考えます。食えないから、八つ当りになるからというので、共産党みたいなものに走ってしまうようなやつ、多く大ていそうなんですよ。ちゃんと仕事があって、何とか暮していけさえすれば、頼まれたってそんなことになる者はないのです。結局生活に困る、つまりそういう点から考えますと、中小企業庁あたりなどは私は非常に大きな責任があるのじゃないか。この中小企業を生かしていくためには、そういうふうに私は考えまするがゆえに、努めて小企業の方にも十分御留意あることを私から切に要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/25
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026・河野謙三
○河野謙三君 この機会にちょっと、直接この問題ではありませんけれども、中小企業の問題について一つ長官に伺いたいのですが、中小企業の育成ということにつきましては、何と申しましても、これは協同組合ということから私は出発しなければいかぬと思うのです。ところが日本の協同組合というものはどうもとかく形は協同組合はできてても、いわゆる協同組合を取り巻くボスの食いものになるというのが大体の現在までの協同組合の歴史ですよ。その根源は結局どこにあるかというと、組合員個々がはっきりとした自我の上に立って、利己心を持って、その組合員の利己心を持ち、自我を持ったところの組合員というものの上に、初めて協同組合主義というものは成り立つと思うのです。ただ協同組合の形を作って、そうして今度はこの組合を通じて、金を貸してやると言いましても、これじゃ最終の目的を達するわけにはいかないのです。そういことについてこういう中小企業の金融機関を作って、中小企業を大いに助けよう、大いに発達をはかろうということをお考えになるのはけっこうですけれども、それと同時に、もう少し根本的に協同組合の発達育成のためにはいかなる政府は措置をとるべきかという問題がもっと根本的な大きな問題だと思う。こういう通産省が掲げておる中小企業の育成、ことに協同組合の育成ということにつきまして、現在どういうふうな方策をとっておられるか、これは私はこの機会に少し話が横道にそれましたが、伺いたいと思います。そうでなければ、ただ、いたずらにこういう金融をどうしてやる、やれ資材をどうしてやるといったところで、協同組合そのものがぐらついておっては何にもならない。これは一面大きく言えば協同組合だけの問題ではなくて、国民一人々々、もっと外国のようにはっきりと自我を持たせるということが、私は日本の政治力を確立する上からいっても、ここに出発点があると思う。自我のない国民の上にすべての政治の堕落もあれば、経済の貧困もあると思う。中小企業の貧困もあると思う。こういう点につきまして、その政治とか何とかというのは別問題として、中小企業育成につきまして、特に協同組合の助長、発達、これにつきましてどういうふうなお考えをもって、現在どういう施策をとっておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/26
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027・記内角一
○政府委員(記内角一君) 今の協同組合は、御承知の通りいわゆる同志的結合と申しますか、気の合った者同士が集まって組合を作るということを根本の原則にいたしております。その意味におきましては、先生の言われる、自我をはっきり認識して、お互いにここでやっておったのではいたずらに競争倒れになり、しかも大企業その他と対抗しても、個人々々の力では非常に弱い、それが一緒になって初めて大きな力になり得るのだという考え方のもとに力を合せる、これを協同というものの中心にいたしておるわけでございます。われわれそういうことをモットーといたしておるわけでございます。ただ、ともいたしますると、中小企業は自我が進み過ぎて利己にだけ走って、おれだけは、一番偉いのだというような、お山の大将式なもので、一人だけで走っていく気配が相当強いのでございます。その辺を押えていきながら、しかも協同によって初めてほんとうの力が出てくるということの精神が肝要であろうと思います。従いまして組合を作るにつきましても、強制的にこれを作るとか、あるいはある一定の地区の者は全部強制的に加入させるとかいうふうなことではなくて、特定の地域につきましても幾つかの気の合った者同士で組合を作るというようなことを基本の建前といたしておる次第でございます。ただ、そういう建前で組合を作りましても、なかなかその組合自身がうまく参りません。やはり組合を作ったありがたみということがはっきり出てくるようでなければならないと思います。そういう意味合いにおきましては個々の業者の自覚を促す意味におきまして、組合員の各種の研究会とか、講習会とか、あるいは組合の役員、理事者の講習会とかいうふうなものも実施いたしておりますし、予算に盛られておりますように、古くからやっております共同施設の補助金を出しまして、共同で何らかの設備をしてこれを利用する、これによって大企業に負けないようなコストの引き下げができるような方法も講じておる次第でございます。各種の手を講じまして、協同組合がほんとうに協同組合らしい組合としての活動をする、またそれを通じて組合員がほんとうに協同組合をありがたく思う、またこれによって初めて組合員個々の企業者が仕事を継続し、繁栄していくのだという確信をし得るような方向に指導をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/27
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028・河野謙三
○河野謙三君 どうも私は少し積極性がないと思うのですよ。たとえば農村関係と比較してみると、農村関係には前には指導農業組合、現在は中央会というのですが、これがあって協同組合の育成指導ということが、政府がやるのみならず農村の団体そのものによって、しかも政府から補助をもらってやっておりますね。そうして協同組合の結成を大いに助長し、またでき上った協同組合については監査もやるし、指導もやるし、やっておりますね。こういうことが、むしろ農村関係よりも、通産省が担当しておるところの中小企業の方にもっとより以上私は力を注がれていいのじゃないか、またその必要が起っているのじゃないか、こう思うのですがね。それについて、これはあなたの責任じゃありませんけれども、予算的の措置も大してない、また組織そのものもほとんどできていない。こういうことについては、それではいかにあなたが中小企業の育成を担当されましても、これはもう私はどうにもならんと思うのですがね。私は決してあなたに文句を言うのじゃなくて、あなたが予算とか、民主党内閣とか、そんなものとは離れて、あなたが思う存分に、おれにものを言わしてみたら、ものをやらしてみたらこういうふうにしたいのだということを、この際政務次官がおられるが、かまわないから一つ遠慮しないで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/28
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029・記内角一
○政府委員(記内角一君) ご指摘の点、その通りでございまして、われわれ協同組合の中央会というものをぜひ作りたいということで前々からその方向で動いておりましたが、機運熟しまして今度の国会にもうすでに閣議決定を経まして数日中に協同組合法の改正、その中に中央、地方に中央会を組織しまして、今御指摘のような活発な活動をさして参りたいというふうに考えております。ただ予算の問題につきましては、実は御案内かと存じますが、農業協同組合中央会を作ります際に、予算があるいはとれたり、とれなかったり、いろいろないざこざがありましたけれども、それは結局計上されたけれども、中央会は構成がむずかしくて長い間延ばされて、翌年になって設立を見たというふうないきさつなどもあった関係もありまして、法律がはっきりしておらない、また中央会もできておらないときに予算化するのはおもしろくないというふうな意向もございまして一般会計の予算には計上いたしておりません。法律ができ、中央会が正式にできました暁につきましては、予備金、あるいは必要に応じましては補正予算等で必要な経費を補助し、来年度からは正式にこれを計上して運用して参りたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/29
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030・河野謙三
○河野謙三君 まあ、いずれその法案を拝見してからでも、わかることですが、大体今の中央会の構想というものを大づかみにもうちょっと突っ込んで説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/30
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031・記内角一
○政府委員(記内角一君) 中央会は中央と地方に分けまして、地方は各府県に一つずつ作らせる。で、もうすでに実は事実上の中央会というようなものができておるわけでありますが、正式に中央会というものがございましたり、協同組合協会といいものがございましたり、あるいは日本中小企業団体連合というふうな名前でやっているところもございますが、事実上はあるわけでございますが、これを母体にいたしまして中央会を正式に作るわけでございます。その会員はその管内に事務所を有する組合、これは事業協同組合も、企業協同組合も、信用協同組合も全部加入し得るようにいたしてあります。そのほかに定款で定めるものは、たとえば組合までいきませんが、一つの団体があるとか、あるいは個々の企業者で有名なものがあるというふうなものにつきましては、これを会員として扱うことができるように相なっております。ただしこれは強制加入ではございませんで、加入、脱退は自由になっておりまして、役員等は平等の選挙権を持って選挙するというふうに相なっております。全国中央会は、この各府県に作られます中央会と、全国を地区とします組合もしくは連台会、それから協同組合の形をとりませんで、いろいろ何とか工業会というふうな、実質上中小企業の団体であって、協同組合、あるいは連合会と同様の活動をしているものもございますので、こういうものも定款の定めるところによって加入させるということにいたしております。全国中央会ができました際には、各府県の中央会は、全部これに強制的に加入させるということに相なっております。ただし全国中央会は、やはり何と申しましても地方中火会が中心になりまして、これを組織するというのを建前にいたしまする関係上議決権、投票権等におきましては、一般は平等に一票でございますが、府県中央会に限りましては、五十分の一をこえない範囲において、二票以上投票権、議決権を持つことができる。これは定款で定めることに相なりますが、全国四十六幾らになりますか都道府県がございまして、それぞれが全体の五十分の一ずつで二票以上持つことができるというようなことによりまして、万一連台会なり、あるいはそれ以上の団体が多数発生いたしまして、むしろその方が議決権、頭数が多いというようなことがありましても、やはり地方の中央会が、議決権あるいは投票権の面においては、絶対的な力を持ち得るような体制を整えたいというふうに考えているのでございます。事業自身につきましては、大体農業協同組合にありますようなものと大同小異でございますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/31
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032・河野謙三
○河野謙三君 ありがとうございました。いずれ法案を拝見したとき、またいろいろお尋ねしたいと思います。どうぞ一日も早く本法案が回ってくるようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/32
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033・海野三朗
○海野三朗君 私、政務次官にお伺いしたいのですが、労働基準法で中小工業者が非常に困っているんです。その労基法も非常にやかましく言われるので、仕事に非常に困っている。無理な点があるのですが、たとえば米を運ぶのに一俵一六貫ある、その米を運びますのに酒田などにおきましては、船から倉庫まで持ってくるのに約二町ほどありますが、十四、五ぐらいの女の子がなわ一本で一六貫のやつを、ひょっと背中に上げて運んでくるのです。これは労基法違反なんです。十四、五の小さいものですから。ところが、それは十六貫もあるのですが、それを何の苦なしに運んでくるのです。これは一つの例でありますが、そういうふうにさして苦しみなしにやっていく事柄がたくさんあるのですが、労働基準法から、やかましく言うとこれはいけない。それで困っている点がたくさんありますから、この労働基準法を改める、一部改正する法案を出そうというお考えがありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/33
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034・島村一郎
○政府委員(島村一郎君) 御承知のように、これは参議院におかれましても衆議院におきましても、労働三法はしばしば問題になるところでございまして、今御指摘の基準法の問題につきまして考えましても、これを厳格にやりましたら、日本の農業は成り立にないのであろうと私は考えます。でありますから、いろいろの点改正を要すべきであろうと存じますが、今御指摘のような問題を考えますというと、子供の深夜作業、あるいは夜中に乾いた麦が雨にかかりそうな場合、一家総動員で取り入れをしますような状況、あれなどを考えましても、これはもちろんそういう点改正を要するであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/34
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035・海野三朗
○海野三朗君 近くその改正法案をお出しになる御計画がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/35
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036・島村一郎
○政府委員(島村一郎君) まだ閣議でそういうことが話題に上っておるかどうか承知いたしません。しかしながら閣僚といたしましても必ずそういう点についてはお考えがあるだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/36
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037・海野三朗
○海野三朗君 これはさっそく一部改める法案を出していただきたいということをお願いしておくことが一つ。
それから中小企業の方、たとえば工場なんぞで仕事がないという工場がずいぶんたくさんあるのです。そういうふうな工場に対しての、いわゆる何と申しますか、失業すれば失業保険というものがもらえるからよいでありましょうが、その工場に対しての失業保険というようなものはあってもしかるべきものじゃないかと私は思うのですが、そういう点ほどういうふうにお考えになっていますか。
それから同じ仕事にしましても、たとえば、電気、この商売はまことにけっこうな商売であって、悪ければ、電気の料金を払わなければぽつっと送電をしない、送電線を切ってしまう。それですからして、何はさておいてもまず電気の方の料金だけは払わなければならぬ。ところが中小商工業者は品物が高ければ売れないのであるし、そこに非常に損な立場にある、この中小企業に対してはこのままでいいとお考えになっているか、これに対してまた何か手を打たなければならないとお考えになっているか、もし構想がおありになりましたならば、今日のこの中小工業を救う御所見を一つ承わりたい。このままでいきましたならば日本の大部分の中小企業がみな参ってしまう。工場に対しても失業保険というようなものもあってもいいじゃないかと考えられるのですが、これに対しての御所見はいかがなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/37
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038・島村一郎
○政府委員(島村一郎君) 先ほどのお問いに対しましては、ひとり農村だけの問題を取り上げて申しましたけれども、これは広く商業にいたしましても工業にいたしましても、いわゆる日本の産業というような大げさな問題で考えて参りますと、ただいまの基準法が果して日本の国情に沿うかどうかというようなことば深く考えなければならない。深く考えるより改正をすみやかにすべきであると私は考えておるのでございます。そういう点からいたしまして、あるいは労働者の日常の生活上にも、あるいは働きたいと思いましても八時間で縛られるというようなこともございますようでありますから、物価の問題、すべての問題から考えてこれば改正を要すべきものだと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/38
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039・海野三朗
○海野三朗君 中小企業の仕事がないというものに対しての、つまり失業保険に類似した助成というようなものがあってしかるべきだと思うのですが、その点についてはいかようにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/39
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040・島村一郎
○政府委員(島村一郎君) 実は失業保険の問題にしても相当考えを要する問題であろうと考えます。なぜかと申しまするのに、私がかりに失業をいたしております。そういう場合に遊んでいれば、失業してそのままでおれば保険金がもらえる、どこかに就職口でも見つけているのかというと決してそうでなく、ほんとうに遊んでいるような、はなはだ見にくい姿の方もおありになるようであります。こういうようなことでありますから、あの保険法についてももう一度深く検討を要するであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/40
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041・海野三朗
○海野三朗君 私は業者を言うのであります。たとえば工場ですよ、工場が仕事がない、職工はおるのだけれども、仕事がない、つまり工場が失職しているわけです。その工場に対しての失業保険に類したものがあってもいいのじゃないか、こういうふうに考えるのですが……。工場自身が商売がないのだ、注文がないのだ、手がそろっているけれども、そうするとちょうど人間にたとえてみると、それが失職している状態に当るので、そういうような工場を救うところの方法があってもいいのじゃないか、これを私は伺っているのです。その点に対してはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/41
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042・記内角一
○政府委員(記内角一君) そういうふうな話もしばしば耳にして私どもも研究しているのでありますが、何分にも仕事のあるときは業者というものは非常に張り切ってやっておりますので、失業あるいは今言ったようなことは頭に置かないで仕事をやっておりまして、仕事がなくなったときにあわてるというふうなことが非常に多いのでございまして、そういうふうな事例から考えますと、あらかじめ保険料を払っておいてそういう際の危険に備えるというような考え方が行われるかどうか。また行われる場合には、保険という形でいくよりも、日ごろからそれに備えて自分で自家保険と申しますか、そういう努力をするということになるのではないかというふうな点もございますし、またこの保険をつけるにいたしましても、たとえば失業保険になりますと、大体賃金、それもいわゆる生活費に相当する賃金というふうなことで、保険の金高あたりもほぼ推算がついて参るのでございますが、営業主体、企業主体の保険ということになりますと、どの程度までを保険の範囲に扱うべきか、保険の金高をどれだけに扱うべきかというふうな問題も非常に厄介な問題に相なるわけであります。いろいろ検討はいたしておりますが、まだ具体的にこれでいけるのだというふうな確信も得ておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/42
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043・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/43
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044・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を始めて下さい。
ほかに御質問もございませんでしたら、本日はこれで散会いたします。
午後三時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01419550603/44
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