1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十七日(金曜日)
午後一時五十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 吉野 信次君
理事
古池 信三君
山川 良一君
三輪 貞治君
委員
上原 正吉君
深水 六郎君
河野 謙三君
海野 三朗君
栗山 良夫君
上條 愛一君
小松 正雄君
白川 一雄君
国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
政府委員
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業省石炭
局長 齋藤 正年君
通商産業省鉱山
局長 川上 為治君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員 内田源兵衞君
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本日の会議に付した案件
○石炭鉱業合理化臨時措置法案(内閣
送付、予備審査)
○重油ボイラーの設置の制限等に関す
る臨時措置に関する法律案(内閣送
付、予備審査)
○輸出入取引法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
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001・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それではこれより開会いたします。
きょうは、石炭鉱業合理化臨時措置法案、それから重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案、それから輸出入取引法の一部を改正する法律案、この三つを一括して議題に供したいと思いますが、通産大臣、幸いお見えになっておりますから、提案の説明を一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/1
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002・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) ただいま議題となりました石炭鉱業合理化臨時措置法案につきまして御説明申し上げます。
一昨年来、わが国の石炭鉱業は深刻な不況に悩まされておりますことは、周知の通りでありますが、この間、約二百の休廃止炭鉱と約九万人の炭鉱失業者とが発生したのであります。しかもなおその不況はとどまるところを知らざるありさまであります。わが国の石炭鉱業が、このような深刻な不況を招来した原因は多々ありますが、根本的には、わが石灰の生産費が高いことにあると申して誤まりがないと存じます。すなわち今日のわが国の石炭は、採掘条件の悪化、能率の低下等によりまして生産費の異常の騰貴を来たし、ここにすなわち割安な重油や外国炭が大幅に石炭の需要分野に進出することになったのであります。従ってわが石炭はこれらの輸入エネルギー源と競争するために企業採算を無視した価格において対抗せざるを得ない情勢に立ち至ったのであります。加うるに昭和二十八年下期以来のわが国経済界の不景気は石炭需要の減退を招来し、いよいよ石炭企業の困難をはなはだしくいたしたのであります。もしこの情勢に対し、今日抜本的対策を講ずることなく、現状のままに推移いたしますならば、わが国の石炭鉱業は衰滅の一途をたどり、容易ならざる事態を発生する懸念があります。
ここに、政府といたしましては、わが石炭の生産費を引き下げ、輸入エネルギー源と十分競争し得る石炭価格を合理的に形成せしめるための抜本的対策をとる必要を痛感し、鋭意検討を進めて参ったのでありますが、このたび漸く成案を得るに至りましたので、すなわちここに石炭鉱業合理化臨時措置法案を提出し、御審議を仰ぐことにいたした次第であります。
本案の目的は、第一章にその概要を記してあります通り、一定の計画に基いて縦坑開さく等の合理化工事を実施し、また坑口の開設を制限し、非能率炭鉱を整理いたす等の方法によりまして、石炭鉱業全体の合理化を図り、もって国民経済の健全なる発達に寄与することを目的とするものであります。またこの合理化の効果を炭価に反映せしめるための措置としては標準炭価を設定公表いたし、合理化の進捗に応じて逐次これを低下せしめるとともに、一時的な状況によって著しくこれを上回る石炭価格の生じた場合には価格引き下げの勧告を行う等の手段によってこれを一定水準にとどめようとする次第であります。
第二章には、石炭鉱業合理化計画についての規定を掲げました。ただいま述べました石炭鉱業合理化のための諸施策を総合的に実施するための措置といたしまして、通商産業大臣は、石炭鉱業合理化基本計画及び石炭鉱業合理化実施計画を策定公表することを定めました。石炭鉱業合理化基本計画は昭和三十年度から三十四年度までの長期計画でありまして、その定める事項といたしましては、合理化工事の概要、炭鉱整備計画の概要及び合理化の目標等であります。
次に石炭鉱業合理化実施計画は、石炭鉱業合理化基本計画を実施するための年度別計画であります。なお政府はこの合理化計画達成のために必要なる資金については、その責任として、これが確保につとめることを規定いたしました。
第三章は、石炭鉱業整備事業団についての規定であります。合理化工事の実施は必然的に炭鉱の操業度の向上をもたらしますので、これに伴って石炭の生産を需要に対応した適正規模に集約化するため、一面非能率炭鉱の整理を行う必要が生ずるのであります。この整理の実施機関として石炭鉱業整備事業団を設立いたします。この事業団は、合理化計画に定める整備基準に該当する炭鉱の採掘権及び鉱業施策をその事業主の申し出に応じ買収するのであります。その目標は大体三年間に、年産約三百万トンに相当する炭鉱を買収する予定であります。これに要する資金は約八十億円でありますが、この財源といたしましては、炭鉱の事業主から前年中の出炭量に応じて一律に徴収する納付金と、日本開発銀行及び中小企業金融公庫から貸付を受けている炭鉱主から徴収する納付金との二つをもって充てる計画であります。この後者の方は、開発銀行及び中小企業公庫の炭鉱向け貸付金の金利を引き下げまして、その引下額に相当する金額を徴収するのであります。またこの措置の実施によりまして発生する炭鉱離職者に対しましては、事業団から平均賃金の一月分に相当する金額を支払うほか、未払賃金がある場合には事業団が炭鉱の事業主にかわってこれを弁済できる措置を講じました。なおこの合理化計画の実施に伴って生ずる炭鉱離職者に対しては、それ以外の炭鉱失業者とあわせ、特に炭鉱地帯に諸種の事業を興してこれが配置転換を有効に実施する計画であります。
第四章は坑口の開設の制限についての規定であります。生産体制の集約化の措置といたしまして既存非能率炭鉱の整理を行うほかに、新規に非能率炭鉱の発生することを抑制するために、石炭の掘採を目的とする坑口の開設について許可制をしくことといたしました。この制度によりまして、既存の炭鉱の合理化を図るための坑口及び新規の炭鉱については高能率炭鉱の坑口以外は坑口の開設を評可しないことといたしました。ただし、この措置はその性質上必要最小限の期間にとどめるために特に三年間に限り実施することといたしました。
第五章は、石炭の販売価格及び生産数量の制限についての規定であります。上述の措置とともに生産費の引き下げが炭価に反映する措置を講ずることが国民経済に寄与するゆえんでありますので、合理化による生産費の低下に応じて毎年通商産業大臣は石炭鉱業審議会の意見を聞き標準炭価を決定公表いたします。そしてもし石炭の販売価格が、この標準炭価を著しくこえる場合にはその引き下げを勧告することにより炭価の合理的引き下げをはかる措置を講ずることといたしました。なおはなはだしい不況に悩んでいる石炭鉱業の現況にかんがみ、炭価が標準炭価を著しく下り、合理化計画の達成に重大な支障を生ずるような事態に対しましては、通商産業大臣の指示により生産数量及び販売価格の制限に関する共同行為を実施し得るように独占禁止法の例外措置を認めることといたしました。
第六章は、石炭鉱業審議会についての規定であります。通商産業省に石炭鉱業審議会を設置し、合理化計画、標準炭価、坑口の開設の制限等重要事項につきましては、これに諮問することといたしました。
以上のほかに第七章に、この法律案施上の補完規定とも申すべき雑則を、第八章に、この法律の違反行為に対する罰則をそれぞれ規定いたしております。
なお、本法はその目的にかんがみ、現在計画されている石炭鉱業の合理化が達成せられる五年後に廃止いたす所存でありますが、事業団につきましては、その保有する鉱区に関する鉱害賠償の処理に相当の期間を要しますので、その処理の終了するまで存続せしめ得るように例に本法の廃止法を定めることといたしました。
以上はなはだ簡単でありましたが、この法案の構成につきまして御説明申し上げた次第であります。
政府といたしましては、申すまでもなく一切の偏見を排し、公正無私の立場において考慮した結果、この法案こそ現在のわが石炭鉱業及び産業界の実態に即し、その健全なる発展をはかるため最も適切の策なりと信じて御審議を願う次第であります。何とぞ各位におかれましても政府の意の存するところを了とせられ、御協賛を賜わらんことを切に希望してやまない次第であります。
ただいま議題となりました重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
わが国におけるエネルギーの消費構成は、ここ数年来、石油需要の急激な増大に伴い著しく変化し、石油、特に重油消費の占める割合が相当大きくなって参っております。御承知のように、わが国のエネルギー資源の賦存状況は、石炭及び水力がその大部分を占め、石油の自給度はきわめて小さく石油需要のわずか数パーセントを満たすにすぎません。従いまして、最近の石油消費の著増は、一方においてわが国の国際収支上の負担を増大いたしますとともに、他方において国内におけるエネルギー資源、特に石炭その他の燃料資源の合理的な利用を促進する上からも好ましくない結果となっております。
このような傾向は、これをこのまま放置した場合におきましては、生産の上昇及び国民生活水準の向上に伴うエネルギー需要の増大傾向と相待って今後ますます激化するものと考えられ、ひいては国民経済の健全な運行に支障を来たすおそれがあると考える次第であります。
このため政府は、先にエネルギー総合対策を樹立し、エネルギー自給度の向上及び国際収支の改善の見地から国内資源の合理的かつ計画的な開発及び各種エネルギー資源の合理的使用を促進する方針のもとに、特に重油につきましては、所要の立法措置を講じてその消費分野を明確化し、経済上必ずしも重油の使用を必要としない部門、特にボイラー部門における重油の使用を極力抑制するとともに、他面、農林、水産、運輸その他の重油使用を不可欠とする部門に対しては、その供給の確保に努めることといたしたのであります。
法案の内容につきましては、御審議の途上逐次その詳細を御説明申し上げる所存でございますが、以下その概要を申し述べますならば、第一に、重油の使用を不可欠とする特殊な場合を除き、今後重油ボイラーの設置及び重油専焼ボイラーへの改造を制限することといたしたことであります。また、既設の重油ボイラーにつきましても、重油の使用を抑制するため必要がある場合には、重油の使用量を減少し、または重油ボイラー以外のボイラーに改造すべきことを指示し得るよう規定を設けるとともに、その改造に要する資金は、政府においてこれが確保に努力することとし、さらに租税特別措置法の
一部を改正して税法上の特例を設け、その改造費用の損金処理を認めることといたしたのであります。
次に、重油使用を不可欠とする緊要な用途に対する重油の供給を確保するための措置といたしましては、重油の販売業者等に対し重油の出荷または販売価格に関し必要な指示をなし得る旨を規定しております。なお、法案の附則において施行後十年以内に廃止する旨を規定し、これらの措置は、今後エネルギー総合対策の実施推進により、良質安価な国内燃料の供給が確保されるに至る間の臨時措置であることを明らかにいたしました。
以上が、この一法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同あらんことを切に希望する次第であります。
輸出入取引法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
輸出入取引法は、十七年八月に制定されて以来、今回が第二回目の改正になるわけでありますが、現行の輸出入取引法の沿革をたずねますと、最初は輸出取引法として、不公正な輸出取引を防止するとともに、一定の範囲において輸出業者の協定の締結及び輸出組合の設立を認めることにより、輸出取引の秩序の確立をはかることを目的として昭和二十七年八月に制定され、次いで翌昭和二十八年八月に至り、その一部を改正して、輸出業者の協定締結の範囲を拡大するとともに、輸入取引についても、輸出取引の場合に準じて、一定の要件のもとに、輸入業者の協定の締結及び輸入組合の設立を認め、さらにこれらの協定の実効を確保するため、いわゆるアウトサイダー規制に関する規定を設け、その題名も輸出入取引法と改めたのであります。
ところが、この改正案を施行しましてから今日に至るまで約二年を経過するうちに、わが国をめぐる変転きわまりない貿易取引の現実は、なお、一段とこの法律の規定の強化拡充を要するような事態を少なからず生ぜしめるに至ったのであります。すなわち、最近の輸出貿易の現状は、お互いに無用の競争を行ういわゆる過度競争の結果、必要以上の安値輸出を行う傾向がますます強くなり、一面においてわが国輸出品の市価を失墜させると同時に相手方の関係業界に不測の損害を与えることともなり、他面わが国としては得べかりし外貨の喪失という二重の国家的損失をこうむっているわけであります。
日本の貿易業界が輸出振興に涙ぐましい血のにじむような努力を払っておられる姿には深く感謝と敬意の念を禁じ得ないのでありますが、しかしながら、最近国際貿易の流れに顧み、かかる現象が続く限りにおいては日本の貿易の今後の発展にきわめて困難の度を加えることは必至であって、貿易を中心とする経済自立計画に重大なる支障を与えるものと深く憂慮せられるものであります。
従いまして、この際わが国の貿易の健全な発展をはかるのみならず、国際貿易に大いに寄与するためにも、今日のごときいたずらに無用の競争は極力避け、合理的なお互いの自主的協調にって輸出秩序の確立をはかることは焦眉の急務であると思われるのであります。
このたび提案致しました輸出入取引法の一部を改正する法律案は、このような事態に対処し、かかる協調輸出の確保をより一層容易ならしめようとするものありましてその主要な改正点は、次の通りであります。
第一に、不公正な輸出取引をした輸出業者に対し、その行為がわが国の輸出業者の国際的信用を著しく害すると認められるときは、通商産業大臣は、直ちに、貨物の輸出の停止を命じ得ることといたしました。
第一に、輸出業者の協定に対する制限を大幅に緩和し、特に狭義の輸出取引に関する協定につきましては、現行の認可制を廃して届出をもって足りることとし、その効果の急速なる実現を期することといたしております。
第一に、輸出業者の協定の締結が困難であり、あるいはその協定をもってしても、なおかつ輸出取引の秩序の確立が困難である場合には、必要な最小限度におきまして、生産業者または販売業者が輸出すべき貨物の国内取引に関する事項につき協定を締結する道を開きました。
第四に、特定の地域との輸出入の円滑な調整をはかるため、特に必要があると認められる地域、たとえば中共とかインドネシアとの貿易についてはそうであると考えられますが、その地域との輸出入の調整を主たる目的とする輸出入組合の設立を認めることといたしました。
第五に、輸出及び輸入に関するアウトサイダー規制命令につきましては、規制の範囲を若干拡大するとともに、その機動性を高めるよう所要の改正を加えました。なお、右に述べました輸出入の調整につきましても、これらに準じて、アウトサイダー規制ができるようにいたしております。
これを要するに、この法律案は、わが国貿易の特質と事情に即応するよう、輸出入取引法の規定を一段と整備拡充しようとするものでありまして、これが成立を見ますれば、必ずや公正にして、秩序ある輸出取引の体制を確立し、わが国貿易の対外的信用を高め、もって外国貿易の健全なる発展に寄与することを確信しております。
以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決もらんことを切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/2
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003・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 一通り説明を伺ったんですが、なかなか大法案であって、いろいろ各委員においても御質問があるだろうと思いますので、あまり一度にこまかい説明を聞いてもちょっと入りにくいと思うものですから、まず石炭鉱業合理化の臨時措置法案につきまして、今のお話では合理化して石炭を安くすると、こういうお話ですが、もう少しその具体的なことを承わりたいと思います。たとえば石炭のようなものは国際的商品でありますが、一体国際的商品の石炭というものの値段はどのくらいなものであるか、それに比べて今、大臣は高いとおっしゃったが、どの程度に高いのか、そうしてその高いものを国際的標準の値段に引き下げるために今のお話の合理化の計画、法案を読むと合理化計画というものは何だかこの法律が出てから石炭鉱業何とか審議会にかけて、それからやると、こういうのだけれども、それは表向きの話で、この法案を出す以上は政府としてすでに腹案というものは持ってなければならぬはずだろうと思います。そこで、非能率な山があるとおっしゃるが、一体非能率な山というのは、どの程度に非能率であっで、その山をどの程度に買いつぶすというか、強制的に買いつぶすことはできないようですけれども、それをやる。その場合の金を確保すると、こうおっしゃっておるのだが、その金のことも今、ちょっと御説明を伺いますと、金融機関から借りておる方の利子は下げる方は安くなりますけれでも、販売した数量によっての納付金というものは結局消費者の負担になるのだろうと思う。そういう非能率の山を買いつぶすのはけっこうだけれども、それに要する莫大な金を消費者に当分負担させるのだという、その金がすっかり弁済されるまでは石炭は下らないわけになるように思うのですが、だからある期間まで待たないと国際価格というものに競争する値段になるのやたらないのやら、そこら辺のことがよくわからぬと、法律を出して果して一体今、大臣がおっしゃるように、この法律を実施したことによって果して石炭というものが下って国際競争にたえるようになるのかならないのかということは、ちょっと抽象的な説明だけではわかりかねると思うのですが、各委員の方もこまかく入ってはいろいろ御質問があると思いますけれども、まずそういう大体のことを、こうすれば必ずこういうことになって、これだけの程度は下るのだ、こういう御腹案があるだろうと思いますが、もしそれがあれば政府委員の方からでけっこうですけれども、一応御説明を願ったらよくはないかと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/3
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004・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 私石炭局長の齋藤でございます。
まず、委員長からお話のございました石炭がどの程度高いかという問題、それに対して合理化をやることによってどの程度まで下げられるかという御質問に対してお答えをいたします。石炭の値段が高いとか安いとかいうことが問題になります場合に、その観点がごく大まかに分けまして三点くらいあるだろうと思います。
第一点は、国内の一般物価の水準、特に戦前の水準に比ベまして、石炭が特に上り過ぎているのじゃないか、それが第一点。
それから第二点は、国内の市場におきまして、競争する他の物資、すなわち重油でありますとか、あるいは輸入炭でありますとか、そういった他の競争物資に比べてどの程度高いかということ。
それから第三点は、これは委員長からもお話がございましたが、外国の同種のもの、すなわち外国における石炭のその市場における価格に比べてどうか、結局消費者の立場からいえば、その国で自分が使う状態と、外国の競争者がその国で使う状態とを比べまして、どの程度に径庭があるかという三つの観点があると思うのでありますが、今まで主としてかかる物価問題として論ぜられておりましたのは、最初の第一点と、最後の第三点の両方から問題になっておるようでございまして、この法案で取り上げられておりますのはむしろ第一点、すなわち国内におきまして他の競争燃料とどういう関係になっているかという点でございます。
順序に申しますと、第一点でございますが、すなわち戦前の物価水準に比べて現在どの程度高くなっておるかという点でございますが、御承知のように、一般物価は大体三百五、六十倍というところになっております。それに対しまして石炭の価格は、一時四百五、六十倍くらいまで騰貴いたしました。それがこの不況以来非常に下りまして、現状では大体三百八十倍程度、基準年次に比べましてそのくらいになっておりまして、なお若干高くなっておりますが、しかし一時炭価問題が非常にやかましかった時代に比べまして、かなり差がつまってきたと申してよろしいのではないかと思っております。しかしその価格をもって石炭鉱業を健全に経営し得る価格であるかどうかという点は全く別問題でございまして、従って必ずしもこれだけ差が縮小いたしましたことが、合理的に下ったのではないということは特に申し上げておきたいと思う次第であります。
それから第二点の、国内の競争燃料との関係でございます。これが現在の石炭不況の非常に大きな原因になったことは大臣の提案理由の御説明でも申し上げたのでありますが、これは数年前朝鮮事変が起りました直後のころは、海外からの運賃が非常に大きな要素になっておりまして、非常に高騰をしておりましたので、あまり問題が起らなかったのでありますが、朝鮮事変が終息いたしまして、海運運賃が下るに従って非常にこの問題がシリアスになって参ったわけであります。これが海運運賃が一番下りました一昨年から昨年の半ばころまでにかけまして、そのころは、輸入炭を、外国の原料炭を例にとりますと、京浜地区で千円程度国内炭が高いという状態であったわけであります。ところが最近はフレートがやや上昇をいたしましたことと、国内炭も当時に比べまして非常に下りましたので、現在の状況では大体京浜地区ではとんとん、京浜地区が一番競争上不利な状態でございますので 阪神以西、あるいは北海道、九州というような産炭地では、今のところ輸入炭に比べましては、国内炭の方が有利になっております。
それから重油との比較でございますが、これはカロリー当りで比較いたしますと、大体現在でも決して重油に比べて高くないのでございますが、ただ重油の方は、使用にいろいろ便利な点が多いわけでございまして、そのメリットをどの程度勘定に入れて計算するのが、使用者の立場から見て妥当であるかという点につきましては若干問題がございます。で、一応メリットを、同一カロリーの場合のメリットを、一〇〇に対して石炭七五程度に考えますと、京浜市場におきましては、現在千円程度石炭の方が高い、阪神市場におきましては、三百円程度なお石炭が高い、ただし北海道、九州というふうな産炭地におきましては、現在でも石炭の方が若干割安になっております。
それから第三の、外国国内市場価格との比較でございますが、一番、しばしば引き合いに出されます鉄鋼用の原料用炭につきまして申し上げますと、これはアメリカが極端に安いのでありまして、これは炉前価格で六ドル程度ということになっております。ただしこれは自然の条件その他が非常に日本と違いますので、これはちょっとわれわれの競争のこれからの目標にはならないのでございます。その次はイギリスで十ドル程度ということになっております。これもイギリスでは御存じのように、石炭は国営でございまして、従って配給も国が統制してやっておりますが、原料用の配給値段と、一般家庭用その他の、一般用の配給値段とは区別しておりますので、これが正確にコストを反映した価格かどうかちょっとわかりかねるのですが、いずれにしてもイギリス、アメリカとは比べものにならないのでありまして、その次が大陸——西ドイツ、フランス、ベルギーあたりでございますが、この辺が十三ドルから十六ドルくらいになっております。それで高い方は日本とほとんど変らない、日本は大体十七ドル程度、これは京浜の消費市場におきまする価格でございますが、十七ドル程度、従ってまず大陸の一番高いところ、
フランスに近いところ……日本の重工業の将来の発展という建前から申しますれば、西ドイツ並みの価格、すなわち十三ドルないし四ドル程度のところにまで引き下げるということが一応の目標でございます。これに対しまして、今度の合理化計画でどのくらいコストが下るかと申しますと、現在これが昭和二十九年の下期の平均のコストで約四十円、これは大手も中小も平均が約四千円、それを五カ年計画の完成後には、三千二百円程度に引き下げたい、すなわち現状に比べまして約二割程度引き下げたいという考え方でございます。そういたしますならば、先ほど申しました国内の他物価との関係、あるいは競争燃料との関係では十分バランスがとれて参りまして、外産の他国の国内価格と比べましてもまず西ドイツクラスということになる。それをわれわれは目標にしておりますし、その程度までは行き得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/4
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005・河野謙三
○河野謙三君 ちょっと私、通産大臣に伺いたいのですが、この方はしろうとでございますから、見当が違うかもしれませんけれども、私が承知しておるところでは、世界の燃料の一つの傾向というものは、固形燃料から液体燃料へと急速に移行しておると、こういうふうに聞いておりますが、これはあとで局長から数字でもお示し願えればなおけっこうですが、たとえばアメリカあたり特にその傾向が非常に強いということなんです。石炭が減って液体燃料が非常にふえて来ておる、このことによって産業界に非常に寄与しておる、産業界が合理化されておる、こういうように聞いておりますが、そういう事実はないんですか。私がここで通産大臣にそういういうことを伺いたいのは、石炭の合理化というものは、石炭の合理化だけじゃなくて、それが即日本の産業の合理化へとつながっているという信念でこれをやっておられるのか、それは単に石炭だけの合理化なのか、それを伺いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/5
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006・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) もちろんこれは石炭だけを助ければいい、その合理化ができればいいという意味ではなく、全体の産業の建前から考えております。私も実はしろうとでありますが、重油というものを使用してみると、なかなか使用がしやすいのでこたえられないところがありますから、そういう観点から申しますと、石油の供給の豊富の国においては、これはおそらく石炭から次第に重油に移る傾向を持っておるものと考えます。ところが日本においては、少くも当分の間もし重油によるとすれば、すべてこれはまずほとんど輸入に待たなければならぬ。国内の燃料といえば、これから石油も掘って見ることには考えておりますが、これはまだ掘ってみなければわからない。そこでさしずめのエネルギー源としてはやはり石炭に相当の重きを置かざるを得ない国情にあると思うのです。従って石炭を使用しても外国で重油を使用するのとあまり開きのない程度に石炭を合理化して、一般燃料の供給を確保したい、かような考えから石炭の合理化法案を考えたわけであります。なおまた、数字等につきましては、もし政府委員が知っておりますれば、政府委員からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/6
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007・河野謙三
○河野謙三君 じゃ、局長から伺いたいのですが、アメリカのみならず、世界の各工業国の傾向として固形燃料から液体燃料へと急速に移行しておる、この事実を前提にした場合、どういうわけでそうなかった。固形燃料よりも液体燃料の方がより産業の合理化にはその力がいいんだということなんですか。たとえばアメリカあたりの場合には、石炭もあるはずです。もちろん油もあります。両方ともあるんであります。ところが、石炭がどんどん減って油がどんどんふえて来たという傾向は、どういうところからそれは端を発しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/7
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008・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 河野委員からお話がありましたように、固形燃料から液体あるいは気体燃料への転換ということは、これはまあ大体世界的な趨勢のようでございます。アメリカのような国はそのために石炭の生産量が絶対的にも減少しております。これは非常に極端な国でありますが、ヨーロッパの国々でも、石炭の生産量もふえておりますが、それ以上に油の消費量がふえる。従ってエネルギーの総供給量の中で石炭のウエートがだんだん下って来るということは世界共通の現象でございます。これは結局油を例にとりますれば、油の価格が非常に安くなっている、特に戦後、第二次大戦以後近東地区の開発に伴いまして油の価格が非常に安くなったということが大きな原因でございますが、それと同時に、油の場合にはこれの管理が非常に楽である。石炭の場合には燃焼について相当手間がいろいろの意味でかかりますが、油の場合には燃焼の管理が非常に容易で、しかも正確にできますので、能率上油を使用するという場合も非常にふえたというのが大きな原因であります。ただ、これはもっと先のたとえば今後二十年でありますとか、あるいは三十年でありますとか、そういった非常に長期の見通しという問題になりますと、その場合には油の方は資源の供給力からいってその二十年、三十年先の非常に増大する需要はまかない切れない、その先にはまた原子力もその当時の需要をまかなうにはそう大きなウエートを持ち得ないということで、 また石炭系の燃料をふやさなきゃならぬというふうな見方もあるようでございます。しかし現在のところは、おっしゃるように、固体燃料のウエートが低下するということは世界的な傾向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/8
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009・河野謙三
○河野謙三君 御説明伺いますと、外国の事情、特にアメリカの事情等は、液体燃料に非常に移行して来たということは、各需要家方面からの要求によってそう変ったということですね。需要家の要求ということは、その方がより合理的である、その方がより能率的であるからということなんですね。そうであるとすれば、その傾向は日本においてもすでにこの二、三年そういう傾向が非常に顕著に現われておりますが、今後とも今回のような法的措置をとらなければその傾向がますます激しくなるわけですね。それをここで押えてくるわけですね。そこで私は通産大臣に伺いたいのですが、国内の資源である石炭を多少液体燃料に比較して多くても非能率であっても使わせるということは私は必要だと思うのですよ。ただ、それがどこまでそれを需要家に押しつけるかという一つのどこで綿を切るか。具体的に言うならば、国内の石炭というものを合理化とともに今後何十万トンを標にして行くんだ、この辺の一つお見通しをお持ちになっておられるかどうか。私はよく考えるのですが、塩の場合でも、高くていいなら、国内で全部需要量はできるはずですよ。国内でただ使用していれば一万三千円かかる。外国で買えば数千円で買える。しかし一々外国から買えば使いからといって買わしておけば切りがないから、高くても国内のものを使わせる。塩の外塩と内塩の関係がやはり石炭にもなくちゃいかぬと思う。その線は一体四十万トンですか、四千五百万トンですか、それとも三千五百万トンですか。合理化とともに量的にどこのところで押えて行くか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/9
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010・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) お話しのように確かに消費者の勝手に買わせればこれは今のところ重油の方が力が大きいことは明白です。まあ外貨の関係もあるし、あるいはまたとにかく、三十万人ですか、非常に従業者を持っておる石炭鉱業、これをそうかといって外国の重油に押しつぶさせてしまうということも日本の産業全体としては好ましくない状況を生じますので、そこで今度の合理化法案によりまして相当重油と競争のできるところへ日本の石炭鉱業を持って行こう。数量は例の経済六カ年計画によりまして、結局五年後には五千万トンということに一応数字を押えております。これもしかし私は実際は、需要の状況は今後経済界の繁栄の程度いかんによって動くのでありますから、すべての燃料を含めまして、どれだけの燃料が要るということは、大体今日は押えて五千万としておりますが、これは相当ふえる、私はふやさなけりゃならぬかと考えておりますが、まあただいまのところは一応五千万トンということを目標にしてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/10
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011・河野謙三
○河野謙三君 これは、私しろうとの意見でありますけれども、五十万トンということにかりに押えれば、結局需要家から見れば相当自分が希望しない固形燃料、石炭を押しつけられるという形が五千万トンという数字だと思うのですがね、ですからそういうことをして果して石炭の合理化が即産業の合理化につながるということは、私は言い切れないんじゃないか、こう思うんですが、その五千万トンか、四千五百万トンかという線は、これはまあ今ここで議論してもしようがない問題ですけれども、十分御検討を要する問題じゃないかと私はこう思うんです。それから、こまかい問題は別といたしまして、これは用語の問題ですが、重油の問題で、この重油でなければならぬ、要するに不可欠な産業についてという、この不可決というのは、どういうところに起因しておられますか。たとえば、まあ私の一番身近かなところでいえば、今国内のバスというものは大部分重油を使っておりますね、バスは……。ガソリンじゃなく、重油を使っていますね。一体これは、バスが重油を使うのは不可欠であるか、不可欠でないか、そういう意味で、一体不可欠というのはどういうところで線を、引いておるか、その不可欠の定義を説明していただきい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/11
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012・川上為治
○政府委員(川上為治君) 不可欠というのは、どうしても重油でなければ非常に困ると、たとえば水産関係の船舶でありますとか、そういうまあ内燃機関、そういうことになるわけでございます。今、お話のバスにつきましては、これはほとんど大部分軽油を使っておると思っておりますが、その軽油につきましては、この法律の対象外にいたしておりますので問題がないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/12
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013・河野謙三
○河野謙三君 これは、あなたが油の方の担当で、バスがほとんど軽油なんというのはとんでもない認識不足ですよ、それは……。そういう議論は別として、そうすると不可欠というのは絶対これでなければ他によってはまかなえないというものが不可欠だと、こういう厳格な意味だと私は思いますが、そうとすると、それによって重油の消費量というのはどれくらい減りますか、それによって出てくる重油の絶対必要量というのはどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/13
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014・川上為治
○政府委員(川上為治君) 大体、現在本年度におきましては、重油の消費量を五百十万キロリットル程度に考えておりますが、その五百十万キロリットルのうち、先ほど申し上げました水産関係、あるいはその船舶関係というようなものが大体百八十万ないし二百万近くございます。残りの三百数十万という中で、いわゆるボイラー関係のもの、これが大体百八十万ぐらいでございます。それ以外のものにつきましては、これはたとえば平炉でありますとか、そういう特定のいろいろな炉、こういうようなものにつきましては、私どもの方としましては、これは重油を使わせようという考えを持っておるのでありますが、今申し上げましたように、その重油のボイラー関係のもの、これが大体百八十万ぐらいであると思っておりますが、その百八十万の全部を、これを切りかえるということは、なかなかこれはいろいろ問題がありますので、むずかしいと思いますけれども、少くともそのうちの百万ぐらいはこれを転換さてしていくべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/14
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015・河野謙三
○河野謙三君 どうも、最初は非常に不可欠という問題がはっきりしたが、どうも二度目にはたいぶ不可欠でなくなって、あやしくなっちまっておるんですが、そこらにも問題がある。それはまたあとの機会にいたしますが、そうするとそこまでこの重油の規制を強行されました場合に、この価格等につきましては、今のようななまぬるい行政指導では価格の励行はできないと思いますが、何か価格についての特別の法的基礎を持った消費の規制と同時に、価格の規制を用意しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/15
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016・川上為治
○政府委員(川上為治君) 価格につきましては、この法律の第六条によりまして、価格についての指示をすることになっておりまして、価格が暴騰しましたとぎには、これを大体こういうような価格で販売すべきであるという指示をすることができるというように一考えております。この「指一本」というのは強制的な命令ではございませんので、これは法律的な罰則を伴わないのでありますけれども、私どもの方としましては、この指示によりまして、もしこれに従わないで、非常に高く販売するというような場合におきましには、外貨の調整その他の方で罰則的に措置を講じて、これが守られるような措置をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/16
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017・河野謙三
○河野謙三君 だんだん話がこまかくなりますから、ここでやめますが、ただ今、川上さんがおっしゃったように、一つの行政指導というようなことを今までやってこられたんでしょう。ところがさっぱりあなたのにらみがきてかないのです。これはあなたがお認めになるわけでしょう。それをまたやろうということを考えているのは、特に今度はこれだけ強行して、不可欠のものというのを強くしぼっていくということは、そんなことで一体一般の消費者にこたえるということはとんでもないことです。いずれ、これはあらためてもう少し細部にわたってお伺いしたいと思います。ほかの委員の方の御質問もありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/17
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018・上原正吉
○上原正吉君 関連してお伺いしたいのですが、重油も輸入物資ですから大切ですし、石炭も燃料としては化学工業の原料として大切なものになってくると思いますが、現在石炭が使われているのは動力源としてではなくて、ボイラーに使われるのが殆んど大部分だと思います。ボイラーには電力でも間に合うのですね。一番合理的な熱源は電力じゃないかと思うんですが、今おっしゃる三千二百円程度の石炭と競争し得る、ボイラーに使う熱源として使い得る三千二百円の石炭と競争し得る電力というものはどのくらいな値段のものがあるのでしょうか、御調査がありましたらお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/18
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019・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 現在熱源としての電気の値段というものは重油はもちろんのこと石炭に比べましても全然問題にならないほど高いものでございますから、今のところ熱源としての使った場合の電力の値段がどのくらいふえたという資料は持っておりません。少しぐらいの値段を引き下げ、あるいは重油、石炭の値段が上りましても、ボイラーの用途に電力競争相手になるということはちょっと考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/19
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020・上原正吉
○上原正吉君 そうしますと、電源はまあ開発しても、燃料としての石炭と重油とに競争し得る電力というものは考えられない、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/20
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021・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 水力電源の開発、特に貯水池式の電源の開発が行われますと、火力発電のかわりにそういった水力発電を使う、そういう意味で、火力発電の石炭の需要には非常に関係して参りますが、直接にボイラーには電力が問題になるということは当分考えられないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/21
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022・上原正吉
○上原正吉君 当分といいますと、電源開発をするための、その開発する何といいますか、源が、資源が、日本にはたくさんないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/22
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023・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 御存知のように未開発電源としましては、まだ相当あるわけでございますが、漸次開発費用が高くなりまして、最近では常時運転を前提として考えますれば、火力発電の方が安い——石炭を使った火力発電の方がむしろ安いということになっておるような状況でございますので、今後電力価格が異常に安くなるということはちょっと考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/23
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024・海野三朗
○海野三朗君 石炭がこういうふうに安くなれば、電力も安くなるんじゃないか、火力発電のほうが。そのどれくらい安くなるかということを私はお伺いしたい。四十円から三千二百円くらいになる、そうすれば火力発電の力がずっと安くつまり発電できるんじゃないか。そうすると、水力発電の場合よりもはるかに安い火力発電が得られるんじゃないか、こう考えるんですが、そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/24
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025・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 現在この三千二百円に下りますと、これは全体ひっくるめたコストでございますから、販売価格は品種によっても相当違います。また引き下げ率も運賃その他を含んだ最終利用者渡しの価格は必ずしもこの率で下るということにはならないわけでございますが、一応一律二〇%下ったといたしますと、現在電力のうちで石炭費の占めるウエートが二割くらいでございますので、全体として四%くらい販売コストとして下るということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/25
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026・海野三朗
○海野三朗君 火力発電では、石炭が大部分じゃないですか。それで値段からいうてもそれはあまりわずかの下り方ですが、大体それは正確なる計算ではないでしょうが、大体妥当のお答えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/26
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027・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) これは今、申し上げましたのは、火力発電だけではございませんで、全部の電力原価に対してこういう影響があるということで申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/27
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028・海野三朗
○海野三朗君 今、私がお伺いしたいのは、火力発電の場合だけではどれくらい安くなるか、石炭がこれだけ安くなれば、火力発電という、つまり水力発電を入れないで火力発電がどれだけ安くなりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/28
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029・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) これはただいま正確な新しいデータを持っておりませんが、古い発電所の場合に大体三分の二くらいの燃料費が石炭代である、従って三円として二割下って、六、七十銭くらいは一キロワットアワー当りのコストが下るということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/29
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030・栗山良夫
○栗山良夫君 今のようなのは、これはシビアな計算が出ておるんですから、こういう委員会で概数的な数字のことですからね、答弁されても私どもそういうふうに言われると議論が出てきてちょっと工合が悪いんですね。だからこれはやはり権威ある数字が出し得るわけですから、従ってそういう質問は資料を整えてから質問されるといいと思うし、御答弁をされるといいと思うんです。そうしませんと、同じ火力発電の炭価といっても、ボイラーの能率によっては、はなはだしく違うのです。炭価の差くらいじゃないのですから、そういうような最近の動き方等も見て、話を進められないというと、私とも聞いておって不可解に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/30
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031・海野三朗
○海野三朗君 それでは私は通産大臣にお伺いしたいのですが、以前には石炭の増産々々というて、まるで鳴り物入りで太鼓をたたいておった。そうかと思うとと、一方おいては、この重油、原油に対する関税を免除しておいて、それなもんだから油会社が大もうけをして、油会社はほんとうに油ぶとりしてしまった。そういうようなことを一方においてやっておいて、今度はこの石炭が困ったからというので、こういう法案を出されるのは、根本的なことを……私は今日までの政治の貧困と申しましょうか、どうも実に撞着したあり方であると考えられるのであります。関税の免除でも、昭和二十六年から法律にちゃんときまっておるのにもかかわらず、これを一割ずつ皆減税をやっている、そういうようなあり方できたのが、こういうふうな石炭の状態を来たした一つの原因で、あると私は考えるのでありますが、その点については、通産大臣はいかようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/31
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032・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) この戦後の日本の経済産業の向が——環境が非常に激しく変化をしたということが、確かに一つですが、だからそれに対応して根本方策をとり得なかったという悩みがあったのでありますが、それは事情はあるにしても、それは確かにお話のように今まで根本的な方策がとれずに、そのときどきの一応の間に合せの政策をとってきた、こういううらみはどうしてもあるのでありまして、政府としてはこれはまことに申しわけないわけであります。これは一つそうでなく、今度ぜひこの法案についても十分御審議を得まして、今後の日本の全体のエネルギーをどういうふうに持って行くかということについて御審議をわずらわしたいと思って、この法案を出したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/32
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033・海野三朗
○海野三朗君 ただいまの御答弁でどういうお考えになっていらっしゃるかがよくわかりましたが、ついでに原油に対する関税はどうなりましたか、皆一割減をやっている、あれはどうなりましたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/33
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034・川上為治
○政府委員(川上為治君) 従来原油あるいは重油等につきまして一割かけることになっておりまして、そのままになっておるのでありますが、今回原油につきましては二%、重油のうちでB重油、C重油につきましては六・五%かけるということで、現在衆議院の大蔵委員会におきましていろいろ審議をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/34
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035・海野三朗
○海野三朗君 どうしてそういうようなこそくな手段をおやりになるのですか、法律の定めるところに従って関税をおかけなすったらいいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/35
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036・川上為治
○政府委員(川上為治君) B、C軍油だけに特にかけることにいたしましたことは、これはやはりB、C重油が最も石炭と競合いたしておりますので、重油につきましては、ほとんど石炭とは競合いたしませんので、しかもA重油につきましては、その大部分が水産関係でありまして、水産関係につきましては、この際油の値段を上げるということはどうかと思うというような問題もございますので、石炭と最も競合するB、C重油だけに関税をかけるということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/36
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037・海野三朗
○海野三朗君 そういたしますと、その在来の関税を幾らかけるという法律の方が間違っておるわけでありますか。その法律を当てはめたらいいのじゃないですか、なぜ法で定めたところの関税をかけないか、それをかけられたいというならば、法律を改めたらいいじゃないか。いろいろこの関税の問題については各業者から猛烈な運動が表面上来ております、表面上……。ところがだんだん探索してみるというと、これはもう専門的に反対の陳情をやる専門家がいるのです。雇われているのです。そういうふうなところをもう少し政府が直視し、この法律の通りにやるか、やらないかというところにはっきり腹をおきめになったらいいじゃないかというふりに私は考えるのですが、その辺はいかようでございましょうか。かけるならかける、これはかけないなら法律を改めもということにされるのがほんとうである。法律はこうであるが、とにかく二%くらいというようなこそくなお考えじゃ私はいかないと、こう思うのですが、いかがなものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/37
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038・川上為治
○政府委員(川上為治君) 関税をかける、かけぬという問題につきましては、これは当時の二十六年ごろの事情と最近の事情が若干違っておりますけれども、そのつどこの問題につきましては、国会でいろいろ検討をされたのでありますが、国会でいろいろ検討されました結果、やはり一年延ばし、あるいはさらにまた一年延ばすということで今日まで来ているわけございます。また、今回はいろいろ政府におきましても検討いたしましたが、やはりこの際A重油とかそういうものにかけるということは水産関係その他の方一面に影響が相当おるということで、産業政策的に見ましてもB、C重油だけにかける方がよくはないかというふうに考えまして、B、C重油だけにかけることにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/38
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039・栗山良夫
○栗山良夫君 私はこまかい議論に入る前に政府のエネルギー政策というか、燃料政策というか、これの基本的な考え方を一つ承わっておきたいと思います。それは大体政府のこういった政策というものは極端な表現をすれば行ったり来たり、また行ったりという政策だと思います。今まで終戦後今日まで。なぜそういうことが表現できるかといいますと、終戦直後に炭鉱がほとんど壊滅状態になったときに、石炭がなくては産業復興上大へんだというので当時社会党内閣もあったわけですが、それ以来連続しで、出炭の増加ということには非常な努力を払ってきて、昨年もずいぶんこの委員会で議論しましたが、四千八百万トンベース、ほとんどもう一ぱいで、当時の愛知通産大臣は四十八百万トンベースというものを行きがかり上主張しなければならぬというような羽目に至っております。これが一つの石炭政策としてずっと続いておったルートであります。ところが片っ方に重油という便利なものがどんどん輸入をされ、これは需要の要求があるから入ってきたのですが、これはいろいろな矛盾が出てきておりますが、結局そういったような紆余曲折を経て今日まできておりますけれども、わが国全体のエネルギーの状況というものを考えると、これはまだこの委員会でも宿題に実は私はしてあるはずでありますが、昭和七十五年に一億七千万の人口になったときにこのエネルギーはどうして解決するかと質問したところが、四十年先の見通しは立たぬということでした。立たぬという、とではわれわれはしようがないから、今その作業をしてもらっております。そういうわけでありますから、日本の今後要するエネルギーの総量からいえば、石炭も重油も、輸入重油ももちろん含め、薪炭、ガス洗いざらいしても足りないということがはっきりしている、将来足りないということは。足りないということがはっきりしておりながら石炭もエネルギーの一翼だからどんどん使ったらよさそうなものなのにそれが売れない、従ってそういうような現状からこの問題を取り扱っていく場合には、私は二つの違った軌道の上を走っている問題を一つの軌道に乗せて解決しようとしているところに問題があると思う。一つは何かと申しますと、今、当面の石炭の不況で問題になっていることは、戦後開発してきた石灰の出炭量というものについて、出炭し得る能力というものはもうきまっているはずだから、その能力をなるべく全部保障しながら安定した出炭をするのには一体どうしたらいいかというところに私は一番苦しみがあるのだろうと思います。そうしてその苦しみの説明をするために石炭の価格を下げれば、重油と同じ価段にすれば石炭の方が少しは売れるだろう、重油は便利だけれども、その点は行政指導によって押えつけて石炭を買わせる、こういうような対策になっているところに私は問題があると思います。従ってそういう石炭の安定出炭をさせるということと、大きくエネルギー源として見た場合の考え方はやはり別な考え方で出していかないとうまくいかないと考える。それで石橋大臣にちょっとお伺いしたいのだが、どうか石炭問題の根本的な解決というのは石炭ヒモユールー燃料として使うか、工業原料として将来日本が使って安定出炭を保障していくか、この考え方が根本的にならないと私は解決しないと思うのです。それはある品質以上の高級炭についてはもう燃料としは使わせない、これは全部原料炭として特別な化学処理をやって他に用途を指定する、もしそのためのブラントの設備費というものが足りなければ、それは資金がなければ国がめんどうをみて作ってやる、そういったような考え方というものが必要であるかないかという点を一つデスカッシヨンをどうしてもする必要がある。燃料として使う場合には一定のカロリー以下の低質炭、亜炭まで含めて活用して、 エネルギーが足りないのだから百パーセント活用するようにしなければならない、 こういうふうにしなければならない。今のやり方でいくと不況になった、石炭が不況になった、従って亜炭もやめろ低質炭もやめろ、高級炭だけ掘る、それでエネルギーの足りないのは重油で補給していく、こういうことになれば地下に埋もれているところの重要なエネルギー源は眠ったままストックということになるだろうが、将来のエネルギーの足りない部分に対するストックといえばそうですが、それはあまりにも計画的ストックでない。従ってそういう考え方からいたしまして石炭というものを将来開発し、これを日本の産業経済に高度に利用していくためにはもう少し政策的に変った視野に立たなければいけないということが考えられる。先ほども石炭は非常に重油に対して使いにくいというお話がありましたが、なるほど使いにくいからそれを解決していく一つの方法としては、石炭をたくところの炉をやはり科学化して、もう山元では相当優秀な微粉炭をこしらえて、これは私のしろうとの思いつきだからお笑い下すってもけっこうですが、微粉炭を使ってこれを低質の炭とまぜてセメント袋の中に入れて全国に送り、ガスと同じようにバーナーで燃やすことができるようにすれば、こうすれば重油と同じように使うことができる、同じ利用価値が出て来る。火力発電研で、やっているあの燃やし方を小さなボイラーでもできないかどうか、そういうことが簡単に可能であるかどうかというデスカッションをする必要がある、従って今日政府が出されているこの対策というものは一口に言うと、あまりにも局面を急いで解決するということにきゅうきゅうとせられた結果、長い間の対策というものが十分織り込められないところに問題があるのじゃなか。通産大臣はそういうようなお考えを状に六カ年計画を立てておやりになろうというわけですから 一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/39
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040・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 私どもとしても石炭化学を興す。あるいは低質炭の利用をして発電をするというようなことを考えの中に入れておるわけであります。しかしそうかと申して、今それらによって現在の石炭鉱業の問題の解決がすぐにできるというわけに参りませんので、とにかく石炭鉱業の安定といとうことをお話のように一応当面の問題として、どうしても石炭鉱業の安定ということがまず第一に必要でありますから、 この中には、むろん石炭の今後の利用方法について考えておりますが、しかし同時に石炭鉱業の安定という観点から立案をいたしたわけであります。決し、お話のようなことを全然考慮の外にしておるわけではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/40
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041・栗山良夫
○栗山良夫君 私はなかなか急場に間に合わないと思います。それば石炭の液化一つやろうと思っても、なかなかできなかったわけですから、なかなか困難であろうと思いますが、しかし鳩山内閣の第、次六カ年計画の中にはないのですが第二次六カ年計画の中に入れる、それはやはりこういう計画というものがないと こういうものを審議するときに明るさというものがないじゃないでしょうか。これは私、一番根本の問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/41
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042・白川一雄
○白川一雄君 最近大手の炭鉱の決算の内容を見ましても、また株価から判断いたしましても、かなり危機をはらんでおるものだろうと想像されます。また中小炭鉱はより一そう悲惨な状態になっておる。原因はいろいろありましょうけれども、戦争中並びに戦後を通じまして、ただ出炭しろ、 出炭しろ、金が要るなら金を出してやるということで非常に奨励された。経済事情の変化もあったでありましょうけれども、結果から見ると、非常に指導の見通しも違ったのではないか。特に出炭を奨励する方法において、石炭というものは切羽の整備をしてやれば、当然出炭がふえるものであるのに、坑口から出も量だけをもって出炭というふうに考えていったものでありますから、坑内が非常に荒れてしまうという結果が起っておるのでありますが、そういうことが今日非常に一般炭鉱業の困難原因であろう、こういうふうに一考えまして、この法案を見ますと、やはりこの罪滅ぼしの一つとして救済的性格を非常に含んでおるのでないか、現在の困難な事情に対して、救済ということも必要であるということもよくわかりますし、またそうしなければ、この法律が通れば失業者が出るというが、それでなかったらより一そう悲惨な形で失業者が出るのじゃないか。合理化をするといいましても、縦坑を掘れば、これは当然また労働者が余ってくるということになりますので、これはまた労働大臣に、それによって生ずる失業者の処置ということについては、十分お聞きしなければならないと思うのでございますが、 この法案を見まして、この合理化という点において、生産の合理化と需給の合理化ということを分けて考えますと、生産の合理化というものは、縦坑を掘っただけでなかなか炭鉱というものは合理化できるものじゃないので、やはり水に対する処置から、輸送の関係から、資材の関係から、資金の関係、あらゆるものを総合して、ピークのない、バランスがとれた状態で初めて合理化というものができるはずなので、そこの具体的な規定が比較的薄いので、これからいくと救済だけに終って、五年済んだときには、現在の救済をしたということだけに終りはしないか、また大手筋のように残存する炭鉱にしましても、開発銀行に借入金を払って行かなければならない金額がむしろ多いというような数字にもなるかと思うのでありますが、そこへもってきて、 二十円ずつの納付金を払わなければならぬということになる、こういう負担をして行けは、現実に合理化の実というものがあがらなければ、観念では動かん、こう考えますと、生産の合理化、需給の合理化ということについては、もう少し具体的にお示し願わないと、不安にたえない思いがいたします。
また一面、先ほど河野委員からもお話がありましたように、石炭の運命、宿命というものが将来非常に暗いのじゃないかということを考えますと、そうあわてて埋蔵量の少い日本の石炭をたくさん掘ることに努力しないで、長く使って行くこともまた合理化の一つでないかというようなことも考えますると、この法律というものは非常に救済事業の性格を帯びておるように思うのでございますが、大臣の本会議の御答弁を速記録で拝見いたしますと、これは救済の性格は帯びていないということをおっしゃっておられるが、どうしても救済の性格が非常に強いのでないかと——われわれはこの法案を十分に研究してみたのでございますが、そういうふうに考えますので、大臣のこの点についての御意見をもう一度承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/42
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043・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) この案は、それはもう戦時中以来の石炭鉱業の無理な経営が積み重なって、今日の窮境に陥ったのでありますから、それを打開するという意味においては、見ようによっては救済とも考えられると思います。しかしわれわれのねらい、現在の炭鉱が困っているから、それを救済すればいいとこういう意味で、単に救済をねらっているのじゃなくて、救済には結局なるかもしれぬが、同時にその救済は今のお話のように、単に従坑ばかりじゃない、いろいろのほかの設備の改善も施さして、それからまた、いかにしてもあまりに生産費が高くて、今後持続することは困難だと認められ得る不良と申しますか、弱小と申しますか、そういう炭鉱はこの際これで整理をする、そうしてこの需給のバランスを安定させるようにいたしたい、こういうのでありますから、その結果が今までの炭鉱業が重ねてきたいろいろの悩みの解決に同時になりますから、その意味においては、救済と申せば救済に違いないのでありますが、ねらいは救済を主としたわけじゃなくて、日本の今後の石炭鉱業をどうして生かしていくか、こういうことに出ておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/43
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044・白川一雄
○白川一雄君 五カ年先の計画をばく然とした数字であげられて、今からこうなるのだと言われるだけでは、われわれも納得いかぬのではないか、というのは産業というものは申すまでもなく一つの生きもので、毎日呼吸しているようなものなんです。五ヵ年ならば、毎年々々の的確な生産計画というものと需給計画というものが、はっきり計画と実際とが一致するようなものを、だんだん飛び石のように踏みながら行かなければ、五年先の数字はどういうふうになるかしりませんけれども、その途中で息が切れてしまうことになりはしないかという心配をしますので、これは炭鉱……、御承知の方がたくさんあるのでこんなことを申し上げてもなんですが、縦坑だけを優秀なものにしても石炭増産必ずしも望めるものかどうかということについては私、疑問を持っておるのです。ただ一例を申し上げますと、満州の撫順炭鉱というのは御承知の通り、もうドイツのりっぱな縦坑の施設を買って、しかも露天掘りまで特って、 年間五千万トンほどの出炭をいたしておりましたが、イギリス人の経常にかかっておりました開れき炭鉱というものは設備が非常に貧弱なのでありますが、それをじっとながめておりますと、もうよどみのない、ピークの一つもない、流れるような姿にしておるというために、縦坑ばかりで年間六百七十万トンから出すという事実を見ましても、やはり総合性というものが非常に必要ではないか。で、われわれが非常に苦い経験をして苦しみましたことは、戦争中に当局の方の御視察があると必ず坑道をもう少し広くして、残っている石炭を出せとか、あるいはレールを、まくら木を、チャンネルをはずして、坑木にしろとか、一局部を一言って非常に強要されたものですが、もしそれをしたら出炭はおそらく半減してしまうという、総合性をはずして一局部を言いますので、縦坑だけどんどんりっぱにしてもほかの平均がとれなければピークの一番低い線の平均でしか石炭が出ないということになりますと、金をかけたものはデッド・ストックになるというのが炭鉱の性質じゃないかということを考えますと、これは資金から始まってすべてを水の流れるような計画にしませんと、予定の合理化の成果というものが上らないということになるのです。結果は、目的ではなかったけれども、一時的なカンフル注射のような援助だけに終って合理化はできないのじゃないか、石炭の面のみから産業を考えるということはできないので、聞くところによれば重油にしたために銑鉄の一トンが二千円以上も安くなっておるということを考えれば、日本の貿易産業その他から、ただ重油を使ったらいかぬといってもそこにおのずから規制の限度というものがあるということを考えれば、石炭だけに馬車馬式になって、ほかの産業を見ないというわけにはいかないのじゃないかということを考えますと、どうしても合理化、救済の面はのけて合理化という面の、もう少し具体的の現実的な政府委員等からの御説明を聞かぬというと、どうもこの法律案に不安がつきまといますので、この点具体的な年度別の生産計画並びに需給計画というものをお知らせ願えば仕合せだと、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/44
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045・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 小松君、今の関連ですか、今の答弁があるだろうと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/45
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046・小松正雄
○小松正雄君 関連しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/46
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047・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 答弁を先に聞きますか、政府側の答弁があるだろうと思うのですが、今の質問について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/47
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048・小松正雄
○小松正雄君 答弁があってからでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/48
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049・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) なお、こまかいことは政府委員から申し上げさせますが、今の御質問に対してごく一応のことを申し上げますと、これは計画は政府部内としては、一応立てておるわけでありますが、しかしほんとうの合理化の計画、ここにもありますように、審議会において専門家その他に集まっていただいて、そこで十分に練っていただいて、その案でやろう。そうして計画は二色ありまして、五カ年間を通じての全体の計画、それから年次別の計画を、これはむろん始まりから年次別もある程度作ります、年々やはり今年の計画、来年の計画というふうにして作っていきまして、これは事情も五年なり六年の間にはこの経済界の事情が変りますから、始まりから立てたものがそのままいけるというものでもありますまい。やはり年々翌年度の計画を十分立てて、そうして誤まりのないように期していきたい、かようなわけであります。今まあ、ごくあらましのことはむろん政府の腹案としては持っているわけでありますが、ほんとうにきめるのはさような方法できめたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/49
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050・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ちょっと、さっき私は冒頭にお願いしたのだが、値段の点は一応説明がありました。それからさっき私が申し上げた通りのような、今、大臣もおっしゃったように、結局合理化計画というものは、何とか審議会というものへかけるという建前になっておるけれども、しかしこの法案によってさっき政府委員の言われた通り、四千円のものが三千二百円と二割下ると、こういう目標を、そういう予定をされたのには、いわゆる不合理な山というものは何ぼを整理して、そうして縦坑はどの方面の縦坑は制限をして、どの方面をやるかという大体の計画がなければちょっとこの法案は出せないと思うのですけれども、白川委員の御質問もそれだろうと思うのですけれども、具体的に詳しい動かない数字という意味ではないと思いますけれども、今日でなくともいいと思いますが、とにかく現在の日本の石炭のうちにおいて能率の悪い山は幾つあって、これが標準生産にいかないからこれをどれだけ整理するのだ、するためにはどれだけの金が要るのだ、その金の金利はどうなって、あと一部分は消費者が負担するのだとか何とかいう、そういう大ざっぱな数字でもよろしゅうございますから、やはり一応御説明を願っておかないというと、何のためにこの法案を出すのかということがちょっとのみ込めないと思うのです。そこで私さっき申し上げたのですから、もしそういう意味でそう具体的な動かない数字はむろん法律の建前から何ですけれども、つまり四年なら四年の全体の計画というもの、それから年度別の大体の計画はこりだという腹案は一応御説明願った方がいいのじゃないか、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/50
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051・栗山良夫
○栗山良夫君 ちょっと議事進行について。
この法案は私は今国会における重要法案だと思います。それでまだいただいた資料も私よく勉強しておりませんし、それからこれをまじめに、しかも慎重に審議するためにはおそらく各委員からもそれぞれいろいろな資料がまだ御要求があろうかと私は思います。従って議事の進め方としましては、大へん御苦労ですけれども、委員長の方においてこの法案の持っておる性格ですね、性格を明らかにする質疑というものをまず最初にずっとおやりになって、それからこの法案をしからば実施する場合における細目の質疑というものを徹底的にこまかくやる、こういう工合に取りなしをしていただきたい。それでわれわれもそこまで腹がまえも今日はしておりませんし、提案理由も今日伺ったばかりでありますから、従って今日は適当なところで一つ打ち切っていただいて、そういう準備のできるようにしたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/51
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052・小松正雄
○小松正雄君 私は大臣に対しまして、この石炭鉱業合理化臨時措置法案は、もっともただいま栗山同僚よりも申されましたように、本委員会としては重要な法案なりと考えておるのと同時に、国民もこの法案をどういうふうにして通過するのか、どういうふうにして否決するのかと、こういうふうな二様な建前から見守っておろうと、かように考えまするときに、私は前国会に大臣が御就任せられたときに、小中炭鉱のあり方について詳細にお話を申し上げ、そうして次期内閣がこの鳩山首班の内閣として生まれた場合、大臣がこの通産大臣に就任しようとせまいと今日の中小炭鉱のあり方について決心をもったことによって法文化するかどうするかでこの救済方法を考えてやることを懇願した場合に、大臣は、はっきりさようになった場合は、自分が大臣になろうとなるまいと鳩山内閣が継続的に内閣を組織する場合においては、その趣旨に従ってその仰せられることについては、はっきり何とか形を表わして出ますということを言われておりましたから、私も実際にそうなって来るものなりと考えておりましたら、幸いにここに石炭鉱業合理化臨時措置法として提案せられましたが、これについてただいま大臣の提案理由の説明を伺っておりますと、救済であるか、あるいは企業整備統合であるか、どちらに重点を置いておるかがわからないような御答弁である。そこで重ねてお伺いしたいことは、この法案をもってあなたとしては企業を整備するということが目的であるか、あるいは救済的な意味において三百万トンが、今日の石炭の過剰になっている三百万トンの石炭の過剰をのけさえすればどうにか需給のバランスが合うような面において三百万トン過剰を押える意味において弱小炭鉱といいますか、小口炭鉱これらを買い付け、そうして名目通り三百万トンを規制しよう、こういう考え方におるのか。その二つの点について、まず御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/52
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053・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 先ほども申し上げましたように、この法案は救済なのか、それともどうなのかという両方割り切るということも無理と思うのであります。しかしながら単なる救済ではむろんございません。しかし、この結果が中小炭鉱のうちの経営の困難なものは買い上げてこれを整備しよう、その従業者にもできるだけの便宜を与えよう、こういうのでありますからその意味においては救済であると思います。しかし、それたけでは困るのでありまして、その結果日本の石炭鉱業というものが全体として生き返る、また他の産業にもいい影響を与える、こういう効果がなければ合理化をうたう理由がないのであります。つまり目的はやはり合理化が目的でありまして、その合理化の半面が一種の救済になる、こういう意味だと私は了解をしておるわけでございます。単なる救済であれば、たとえば今も中小炭鉱から要求が出ております。今、こういうものが出て来ればまた何とかなるかもしれないが、それまでの間中小炭鉱が非常に困る、何とかつなぎ資金がほしいというような話も出ておりますが、それはそれでただいま別途考究をして何とかつなぎ資金でも出してやれるようにしようと一つ考えております。救済は救済で必要なだけはやるつもりでおります、しかしその案そのものは単なる救済ではない、こういうふうに御了解を願うのが適当かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/53
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054・小松正雄
○小松正雄君 どちらにいたしましても、さっきも提案理由の中で大臣がこの法案を通過する場合においては、これに伴う経費ですね、たとえば三カ年内に目的を速成するということに立ってこれに対する費用八十億と見ておる、その八十億の中の四十億は中小企業、あるいは開発銀行か、これらから一応出資さして、その出資した金はまず半分の四十億、それらの金の金利をもってこの八十億の大半に充てる。それからなおまた残りの四十億は、しかも民間車業の残存炭鉱がトン当り幾らということでもって負担をしていくというようなあり方になっておると、かようにいたしまするならば、救済にこれはなるものではない。あるいはまた実際問題として整備統合して需給に合わせる、生産、需給、 これらをにらみ合せた合理的なあり方であろうと私は考えられないが、大臣はどう考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/54
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055・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) この御批評でありますが、しかしながら消極的に申しましても、今のままに石炭鉱業をほうって置けば中小山炭鉱は、中小炭鉱じゃない、ある人々はおそらく中小炭鉱よりも先に大炭鉱が倒れるだろうという人もありますが、とにかく炭鉱というものは今よりももっと惨たんたる状況に陥るのではないかと思うのであります。ですからこの案によって整理せざるを得ないものは適当な条件で整理してやる。それから残ったものはとにかく需給の安定をするように出炭の調整もいたして、それからまた炭価も合理的に下るということになれば、まあそれは整理のために八十億円の一部分は出炭量に応じて出してもらう、一部分は金利の引き下げの部分で出してもらうということになっておりますから、これは確かに出炭量に応じて何がしかの、二十円なり何なりの負担をしなければならぬことは事実でおりますが、しかしその結果が今の需給関係等において安定することとなれば当業者としても、それだけの負担をいたしてもさして苦痛じゃないのじゃないかと、かように考えます。これは全然残る炭鉱は何にも負担をせずにこれだけの整備をするということもこれまたなかなか社会的にもむずかしい問題があるだろうと思いますので、そこでそれだけの負担は残る炭鉱にしてもらおう。しかし全部の負担を残る炭鉱にしてもらうということはこれは相当重荷になるだろうと思いますから、そこでそれは金利を引き下げて、その金利引き下げがそれに当るようにしょう、かような考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/55
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056・小松正雄
○小松正雄君 いろいろ掘り下げて、何といいますか、御質問申し上げればとても長くかかると思いますから次回に譲りたいと思いますが、今、大臣のおっしゃることから考えますと、ここで私は過言かもしれませんが、その真意を明らかにしておきたいと思いますが、この鉱業法案によって、ある国民は炭鉱の景気の時代はどうだこうだ、ところが悪くなったら整備統合だの、あるいは買収だのというようなことでこの法案が出された、こういうふうに二様に考えておる国民があるわけなんですね。そこで大臣は国民の血税である税金をもってこれらの法案によってしようとされるのならそれば相当考えなくちゃならぬと思いますが、単に今も大臣が仰せられたように、この法案を施行する上の経費という八十億というものは残存する人たちからも半分出させる、半分は金利の引き下げをする、こういうことであるなら何にも私は憶することなくして、大臣ははっきりこういうことであるからしてやり遂げるという決心があるか、もし決心がないとなればただいまも大臣が仰せられておりまする、ある炭鉱は買い上げる、買い上げるということはどこから出るかということを私は言いたくなるわけで、そこで大臣は、今、あなたがおっしゃるように、自分はこうこうこういう炭鉱は買い上げてでも、この八十億の中で整理して目的を達するのだという強いお心がまえがあるのか、それをちょっと伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/56
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057・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) むろんその心がまえがありまして法案を出しておるわけであります。それから残る炭鉱も今、申すように、一部は金利引き下げで出してもらうということであります。なお、合理化のためには相当の政府資金を今後もつぎ込まなければならないのでありますから、そういう点も、残る炭鉱は相当の便益を受けることも実情であります。でありますから、全然その残る炭鉱だけの負担によってこの合理化をやるわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/57
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058・小松正雄
○小松正雄君 いろいろ話が違うような気持がいたしますが、まずまあ、こういう法案を出さなくてはならないという理由になったことは、たとえば現政府でなくても、前吉田内閣当時のあり方からして、たとえば石炭の需給がどれだけあればいいかというような、まあ燃料対策というものがなかったために、今日あなた方はそのあとを受けて、こういう何というか、跡始末をせなくちゃならない立場にあろうかと思うときには非常に私も気の毒に考えます、(笑声)全く……。が、しかしながら、その責任に立ってその理由を感知されて、そして、それでもってこの法案によって処理なさろうとすることである限りは、少くとも大臣はその責をになってですね、この法案に対して皆さんの御意見を尊重されてですね、すみやかに、国民の中で炭鉱にまあ援助するんだとかいうようなことのないように、あるいはその炭鉱の収入の多かった時代は知らんふりをしておったとかいうような誤解を招きつつあるこの法案でありまするからして、その点には大臣は真剣に一つ各位の意見をいれられて、そしてこの法案は、法案として出してあることについての内容は、国民に一々知らせ得なくとも、本日ただいま繰り返して申しますように、八十億という経費は国民の血税じゃないというあり方だけははっきり示してもらいたい。なお、これに関連いたしまして、私はまあ、二、三、ここであげておきたいと思いますけれども、時間の都合もございますので次に譲りたいと思います。たとえば石炭が高い、石炭が高いから引き下げるために縦坑を掘さくするのだと、こういうことを言われるときに、私も中小炭鉱として、決して中小炭鉱の石炭が商いとは思ってなかった、そういう理由もある、それはどういうところにあるかと申しますならば、結局申しますならば、たとえば中間搾取がもって、中間搾取ですね、たとえば商社ですね、生産業者と消費者と直結しておれば、まだまだ安い炭価でもって、電力にしろ、鉄道にしろおさまっておるということなんですね、中小弱体炭鉱は全然そういうところに恵まれてておらなかったので、それが原因で今日破産、倒産をして倒れてきておるわけでありまするし、それから、なおまた、これに関連いたしまして、失業対策の問題、あるいは私がここで率直に申しますと、縦坑が掘さくされ、機械が近代化される、五カ年計画で政府の金を出資して、そして援助資金を出して、計画的に石炭コストを下げるために、大炭鉱にそういうなにをやらしていく、これが完成いたしますと、即まあ五〇%は償却を認めるとか、あらゆる角度からそういう石炭コスト引き下げのために資金を出してやらしてお石ために、今日二十万、三十万の従業者がおりますが、これが今度は、今から二、三年たってこの中小炭鉱の整理にちょうど伴って、縦坑の掘さくが完成されて、そして進行とともに機械の近代化によっていくということになりますと、現在三十万使っておるものは五年たったら少くとも十万、十五万になるでしょう。そうならなかったら、そういう大きな金を投資してまでやる必要はないのじゃないか、かように考えまして、そうなってくれば、それらに対する失業者はどういうふうにするのかということも、そうしたいろいろこの法案について、私は審議の過程に立って質問を申し上げたいと思うのでございますけれども、時間がございませんので、本日はこれで終ります。とにかく大臣にさっき申し上げましたように、この法案については真剣な決心をもって、諸般の問題について対処されることを特にお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/58
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059・吉野信次
○委員長(吉野信次君) いかがでしょう、さっき栗山委員の議事進行の御発言もありましたので、これは相当重要法案でございますから、本日は、この法案に対する質疑はまあこの程度にしておきまして、なおさっき申したことについて、次回にまた適当なときに政府から説明を聞きまして、そしてもう少しこの法案の、何といいますか、性格ですれ、性格というものを確かめて、それから細部の審議に入ったらよかろうしと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/59
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060・河野謙三
○河野謙三君 この合理化措置法案は、石炭の流通過程の問題も当然入って、おりますか、流通過程も合理化の対象にしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/60
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061・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 先ほどのお話よくわかりました。今の河野さんの御質問は、この価格のことは入っておりますが、販売のことは入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/61
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062・河野謙三
○河野謙三君 私は対象になっていなくてもこの際資料をいただきたいと思いますが、御承知のようなこのこういう言葉が当るかどうか、コストの中に占める運賃ということが非常に大きいのですから、いわば運送鉱業と言っても私は余り過言でないと思います、そういう意味におきまして、この消費者価格までに至る運賃、 マージン、こういう流通過程のこの分析をしたものを一つ資料としていただきたいと思います。いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/62
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063・齋藤正年
○政府委員(齋藤正年君) 提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/63
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064・河野謙三
○河野謙三君 それから同様ない味で、油につきましても同様な資料をちょうだいいたしたいと思いますが、できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/64
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065・川上為治
○政府委員(川上為治君) 提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/65
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066・河野謙三
○河野謙三君 それからもう一つ、油につきまして、重油、軽油、油の品種別の外国の価格と日本の価格との価格差のこの対照したものをいただきたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/66
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067・川上為治
○政府委員(川上為治君) 外国の価格につきましては、現在いろいろ調べておりますが、なかなか正確なところが出て参っておりませんので、まあ大体大ざっぱなものでありますれば出せると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/67
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068・河野謙三
○河野謙三君 たとえば重油につきまして、アメリカの市場では重油は幾らである、日本の市場では幾ら、これはわかっておりますね。これぐらいのものはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/68
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069・川上為治
○政府委員(川上為治君) 実は小売価格とか、卸売価格とかそういう段階別の価格については十分の調査ができておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/69
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070・河野謙三
○河野謙三君 私が要求するのはそういうこまかいものではなくても、アメリカの製油業者の販売価格、これと日本の製油業者の販売価格、こういうものについての品種別の価格の対照表というようなものをいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/70
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071・川上為治
○政府委員(川上為治君) 大体御趣旨の程度のものが出せるかどうかわかりませんが、なるべくできる限りの資料は出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/71
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072・河野謙三
○河野謙三君 いいかげんのものをもらっても意味ないのですが、いただく以上は通産大臣の責任において出される資料ですから、責任を一持ったものを出していただきたいと思います。そういうものが私は通産省にないという、ことは不思議ですね。そういう調査がないということは不思議ですが、経審等にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/72
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073・川上為治
○政府委員(川上為治君) 私の方も最近におきましていろいろ各国の事情を調査いたしておりますけれども、なかなか正確な調査はできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/73
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074・河野謙三
○河野謙三君 これは他の委員の力に非常に御迷惑でもおりますが、ちょっと一言だけ質問いたしますけれども、私はそういうものを要求するのは、あなたのお耳に入っているでしょうが、同じ油で申しましても、外国と比較して、日本では重油の価格が非常に割高であって、石油の価格が割安である、こういう不合理な点を非常についているんです。逆に言うと、製油会社は重油でぼろもうけをして、軽油の方にそのもうけの一部をつぎ込んでいる、こういう格好になっている。こういうことはお認めになるんですか、それはどういう事実かということについて探求したいと思うのでございます。その事実はお認めになっているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/74
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075・川上為治
○政府委員(川上為治君) やはり国内におきまして重油が割高であって、ガソリンとか軽油についてはどちらかと申しますと、重油に比べますと割安であるということについては、私の方としましても認めております。先ほどお話がありました資料については私どもとしましては、できるだけのものを作って出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/75
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076・河野謙三
○河野謙三君 それでは資料をいただくということにして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/76
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077・海野三朗
○海野三朗君 通産大臣にお伺いしたいのですが、この法案のことにつきてましてはいろいろまだ皆さんの御意見もあることでありまして、そのよしあしは別問題としまして、とにかく石炭の合理ということに心を及ぼされたというそのお志に対しては私は敬意を表するものであります。今日、日本の中小企業、わけても小さい工場、そういうものを見ますというと、みな共倒れの状態でありまして、新聞を見るというと、家族みな毒をあふって子供を殺し、自分も死んでいるというのが枚挙にいとまがない現状でございましょう。石炭の方も困っておるのでありますけれども。そういう方面の小企業の方面も救わなければならないのじゃないかということを私思いまするので、そういう点についてはこの法案をお出しなさった御親切に対しては私は非常に敬意を表するものでありますが、そういう点はいかようにお考えになっていらっしゃるか、通商産業大臣の御所見を伺いたい。中小企業はほんとうに今、あの自殺するものまでひんぴんとして出ております。私はこれを思うと、その方面も何とかなさらなければいかぬのじゃないか、また将来それをしようというお考えがおありになるかどうか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/77
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078・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 中小企業をまとめて石炭合理化法案のようにやるという腹案は持っておりませんが、中小企業に対しては御承知のように、今の自殺をするというようなものはこくいわゆる零細企業に属する人が多いものと思いますが、こういう諸君に対してはいろいろ個々の事情がございましょうから、そこで相談所等によって、各地にあります相談所等でもって十分相談をしてもらって、そうしてそれぞれの事情に応じて打てるだけの手は打ってやる、あるいは金融をつける、その他の方法をやる、こういうことでやっておるわけであります。全体の中小企業をまとめて石炭合理化法案にあるようにこれを全部買い上げるとか何とかいうような措置は考えておりませんし、またこれは実際なかなか容易ならぬことだろうと思います。これは各地及び各企業の人情に応じて手を打つということは努めてやるようにしたいと思ってお石次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/78
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079・海野三朗
○海野三朗君 時間も大分過ぎましたから、私はまた後日に質問を留保いたしまして、本日はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/79
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080・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ちょっと速記
をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/80
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081・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を始めて。
それでは本日はこれで散会いたします。
午後三時五十六分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X01919550617/81
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