1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十八日(木曜日)
午前十一時九分開会
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出席者は右の通り。
委員長 吉野 信次君
理事
古池 信三君
高橋 衛君
山川 良一君
三輪 貞治君
委員
上原 正吉君
小野 義夫君
深水 六郎君
松平 勇雄君
加藤 正人君
上林 忠次君
河野 謙三君
海野 三朗君
栗山 良夫君
藤田 進君
上條 愛一君
小松 正雄君
白川 一雄君
苫米地義三君
衆議院議員
山手 滿男君
国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
通商産業省通商
局次長 大堀 弘君
通商産業省鉱山
局長 川上 為治君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員 内田源兵衛君
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本日の会議に付した案件
○輸出入取引法の一部を改正する法律
案(衆議院提出)
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001・吉野信次
○委員長(吉野信次君) これより開会いたします。
本日は輸出入取引法の一部を改正する法律案、まずこれを議題に供して、前回に引き続いて質問をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/1
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002・海野三朗
○海野三朗君 今回の改正によりまして、輸出入組合ができて、主として中国を目的として輸出入取引が調整されることになっておるのでありますが、この日中貿易を調整する考え方の性格が、今回の大豆の問題にも明確に現われておると思うのです。それで政府が折に触れて出す考え方は、この大豆を商社十数社に制限する考えを持っておることであり、しかもこの輸出入取引法は、貿易会社のメーカーないし需要家との協調締結を認め、これによってアウトサイダーを一切締め出すことを可能にしているように思うのであります。こういうふうなことは、まず第一に日中貿易拡大均衡ということを政府が看板にしておるのでありますが、その大豆関係の七十八社の団結をやめて、十数社にし、これらの商社を対立させる結果となると私は思うのでありますが、まずこの点についての通産大臣の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/2
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003・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 海野さんの御質問でありますが、この法案は決して日中、中共貿易だけを目当てにしておるものではございません。輸出入組合というものはこれは実はほかの方に、この間からの私及び政府委員からの答弁にもありましたように、たとえばインドネシアでありますとか、あるいは中近東でありますとかいうところにも必要がありますので、全面的の制度として御審議願っておる。たまたまその中共貿易が今ほかの方から問題になっておるものですから、中共貿易に特に皆さん御発言がありますのですが、中共貿易を目ざしておるものではございません。またどこの国に対しましても、貿易を制限しよう、貿易を縮小しようという目的でかようなことをやるのではございませんで、ただ繰り返して申し上げますように、過当の競争のために輸出に支障を来たす、あるいは輸入に支障を来たすということが今までの例でございますから、そういうのを一つ業者の自主的な話し合いによって何とか調整していきたい、かような目的で業者の自発的な意思によって輸出入組合なり、あるいは輸出組合なり、輸入組合なりを作ってもらいたい、かようになりますから、政府が強制的に、業者がまとまらないものを強制的に組合を作らせるとか何とかいう考えは持っておりません。従って特にある大きな業者だけを保護して小さな業者に締め出しを食わせる、かような考えもむろん持っておりません。どうぞその点は誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/3
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004・海野三朗
○海野三朗君 それでは大豆関係の七十八社、そういうものと大商社との対立が生じないとおっしゃるのでありますか。今日まで日中貿易拡大に協力しておりました大豆関係の七十八社の団結がくずれることになりはしませんか。十数社に制限するというようなことから、従ってまた今日までやってきたこのこまい関係の大豆関係の全体を含めた七十八社の団結そういうものがどういう、ふうになっていきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/4
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005・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 大豆の問題につきましては、こまかいことは政府委員から御説明を申し上げますが、今のところでは、どうしても政府が、ある場合には相当の何といいますか、行政指導をしなければならぬような立場にあります。しかしながらこの輸出入組合ができれば、これは政府はこの輸出入組合と連絡して必要なお手伝いはしますけれども、輸出入組合自身が自発的にみずから必要な統制を行うのでありますから、御心配のようなことはないと私は存じております。なお大豆の問題については、こまかいことは政府委員から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/5
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006・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 大豆につきましては、御承知のように相当いろいろのいきさつがございまして、七十八社に対しまして先方の進出口公司の方から発注があったのでありますが、値段が相当高いわけであります。当初四十三ポンドというような値段で参ったのであります。それで、輸入実績社に対しまして割当をする値段につきましては相当値段を下げなければ輸入を認めない、こういう条件を出したのでございますが、商社をしぼりました点につきましては、これはいろいろ御批判があったわけでございますが、私どもといたしましては、一応新規の方を入れていくという建前をとりました場合には、相当競争が激しくなって参りまして、結局値段を引き下げるということは困難になる、値段が高くなれば結局中共大豆を入れるということは各国との競争から見てむずかしくなる。従いまして実績社という見解をもちまして、業界の状況を見て値段の引き下げの関係を容易にするという点におきまして実施したわけでございます。結果におきましては、相当値段の引き下げもございましたので、昨日割当を完了いたしましたのでありますが、結果におきましては、七十八社の相当多数の方も業界の話し合いによりましてほぼ解決がついておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/6
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007・海野三朗
○海野三朗君 ただいま通産大臣は、中国を目ざしたのではないとおっしゃるけれども、実際は中国及びインドネシアに対する貿易に影響するところが非常に大きい結果になっておるのであります。それにもかかわらず、中共を考えたのではないと逃げ口上をお使いになるけれども、その結果は、この中共に対してまとめて一本化、そういうふうなことで調整をはかるのだと言われますけれども、この中共に対しての調整をはかる結果はどうなるかと申しますれば、明らかにこの輸出の縮小均衡ということになると思うのであります。御趣意は中国を目がけてしたのじゃないとおっしゃるけれども、その結果は、そういうことになると中国に対する縮小均衡という結果を招く、それが今度の法案のねらいであると私は考えますが、通産大臣は、これはそうじゃないとおっしゃるけれども、事実そういう結果になっておるじゃありませんか。これはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/7
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008・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) われわれは貿易を縮小しようという意思はありませんのみならず、できるだけ拡大したいのでありますが、同時に、お話の均衡ということも忘れられないのです。ただ輸出しっぱなしでもって、たとえばインドネシアなども一つの例でありますが、輸出をしていって債権がたまるということも、これは日本の今の経済としては耐えられません。そうかといって、拡大するからといって輸入が非常にふえて、年々歳々現金の支払いをしなければならぬということもこれも困りますから、できるだけ均衡を保つということはこれはやむを得ない措置と存じます。しかし均衡を保ちつつ、なお拡大をするという道は決してないではない、かように考えます。その意味においても輸出入組合のようなものがありまして、そしてメーカーとも連絡をして、そうして輸出品の適当な選択をしてその努力をする、輸入業者と輸出業者とが協力をしてやって参るということが拡大の道にもなり、同時に均衡をできるだけ保つ道にもなる、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/8
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009・海野三朗
○海野三朗君 日中貿易は現在輸出入不均衡であって、この一年約二千万ドルの入超となっておるようでありますが、その原因は何であるかと申しますと、全くこれは日本側の輸出制限にあるのでございましょう。この輸出制限というものは、過日も私がココムの問題で再三政府に答弁な要求したのでありますけれども、このココムのワクによって輸出が制限されておるところが内地の方では必要なる品物がたくさんあるがために、入超となっておるのであります。それをやらせないようにしようというお考えであるならば、その不足分はどこから入れようとなさっておるのであるか、必要なものは必要で、どうしても使わなければならない。たとえば大豆とかあるいは製鉄原料とか、そういうものがありますが、そういうものはどこから今度は中共の代りに持ってこようとお考えになっておるのでありますか。その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/9
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010・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) これは一々の品物については、ここで私は申し上げる趣旨ではございませんが、たとえば大豆のごときは品質その他いろいろな関係もございましょうが、とにかくアメリカ大豆も相当輸入ができる、こういうわけでありますから、万やむを得ず、なるべくわれわれは中共の大豆を輸入したい、それに対して日本の製品を中国へ輸出したいのでありますが、しかし万やむを得なければ、これはまあアメリカ大豆を入れるということになると思います。しかし繰り返して申し上げますが、決してそのただ輸入制限して、それで貿易を縮小したいという考えなどは毛頭持っておらないのでありますから、その点だけは一つ誤解のないようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/10
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011・海野三朗
○海野三朗君 西欧の各国は日本側が輸出禁止されておる貨物を中国向けに輸出しておって、西独はたとえば鋼管のような、あるいは厚板等の鋼材をも出しておるのであります。また最近英国は上海の街頭電車を建設したので、その架線がこれを改める時期にきておるという理由で大量の銅線を特別認可を得て輸出しておる有様であります。しかるにわが日本のみが何ゆえにココムのあれに縛られて、ココムのワクをうのみにしておるのでありますか。その点については通産大臣のほんとうに偽わりなき一つ御信念を承わりたい。過日も私がるるここで申し上げましたように、このココムのワクは各国ともつまり自由諸国の約定によって縛られておるのであるという御答弁でありましたけれども、そのワクをわれわれができるだけ広げていかなければならないし、またある特殊のものに対しては時期を限ってでも品物を出すようにしていただかなければ、国内は八千数百万の人がこの国土にうごめいておる、食いつ食われつしておるのが今日の状態である。そうして今まであまり例を見なかったところのあの誘拐事件のようなものも起る。どこまでこの犯罪が伸びていくか、これは結局するところ国民が暮しに困るからなんです。私は食うに困るからであるという一事に尽きると思う。でこれを緩和し、生き抜くためにはどうしてもこのココムのワクで縛られたところの範囲を何としても広げてもらわなければならない。西欧各国のこの何でさえも日本が取り扱われていないで、日本のみが何ゆえにココムで縛られておるのであるか、私はこの点についても外務大臣に強く質問をしなければならないと思っておるのでありますが、こういうことに関しては本当にわれわれ同胞の、この間の誘拐事件であの子供を誘拐したあのおやじをつかまえてみるというと、もう涙流れるものがある。こういうふうなみじめなことはどこから出てきておるかといえば、われわれ国民が生活苦にあえいでおるからであると私は思う。こういうことを考えてみますときに、このココムのワク、また中共の窓口一本にするというて縮小均衡の方向に向けて行かんとするこの法案に対しては、どうも私どもが納得いかないのであります。こういう点に対しては、通産大臣の偽りなき一つ御所信を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/11
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012・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 御質問の点もしばしばお答え申し上げたと思いますが、ココムの禁輸に対しては決してわれわれは捨てているわけじゃございません。これはできるだけこれを解除するように努力しておりますが、残念ながら全般的の解除ということは今の情勢ではまだできませんので、それで日本としましてもケース・バイ・ケースでそのときどきの特別の解除を受けておる、これはそうしてある程度のこの禁止の中のものも輸出しておるのであります。これは日本だけじゃない、各国ともそれをやっておりますから、従って日本が輸出せず、ほかの国が特別の解除を受けて、日本はそれを受けなかったというものもあるかもしれません。しかし、その代り各国が解除を受けずに日本だけが解除を受けたものもあるのであります。こういうわけでございますので、決して私どもはこれを捨てているわけではございません。繰り返して申し上げますように、あらゆる方法を通して貿易の拡大をはかっていきたい、かようなことが本案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/12
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013・三輪貞治
○三輪貞治君 今のに関連して、この前大臣が御答弁で、ココムリストの解除については大体西欧並みになったということを言われたときに、私は特に西独と英国を限って特に甲類物資について西独、英国はどういうふうに解除されているか、あるいは実際貿易の品日数量はどうなっているかということについて資料の提出を求めておりまして、御了解になっておりますが、御提出できるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/13
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014・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) それは大変恐縮でございますが、この西欧並みになりましたということは、昨年までソビエトに対します輸出と中共に対します輸出と、リストのもとが違うわけでございますので、チャイナ・リストにつきましても、日本が中共に出し出す場合と、ヨーロッパが中共に出します場合について昨年の夏まで差がついておったわけでございます。これが十数回の折衝によりまして、昨年の夏に中共向けの輸出禁止としましては、各国並みになりましたので、現在でもソビエトに対します輸出品目と中共に対します輸出品目とは現在でも差はあるわけでございまして、その範囲内におきましては、各国と日本と同等の待遇を受けているというのが現状でございますので、資料の点につきましてははなはだ申しかねるのでありますが、ココムの話し合いによりまして、品目の内容につきましても、個々の解除につきましても、発表しないという約束になっておりますので、大変申しかねるのでございますが、資料の提出だけはお許しをいただきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/14
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015・三輪貞治
○三輪貞治君 それではなぜ一昨日でしたか、私が資料の提出を求めたときに、そういう御答弁をなさらないのですか。ちゃんと出すと言うておられたのですが、しかもそういうものは民間にもあるのです、実際。英国なり西ドイツはどういう貿易をやっているかということはわかっているわけです。それを出せないのですか。ただ会期がないから早く審議したいということは別なんです。これは出すと言われたんですから出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/15
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016・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) それは今政府委員から申し上げましたように、あのリストは出さないことになっております。ただ日本でもそれぞれの業者にはその当該の品目と申しますか、についてはこれは実際貿易上必要でありますから、内示はしておるという程度のことはやっておりますが、一般的にリストを出すということばいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/16
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017・海野三朗
○海野三朗君 私がお伺いしたことに対する答弁がありませんので、重ねてお伺いいたしますが、西欧並みになったというそういうふうな御答弁を過日承わったのでありますが、実情は西欧並みになっていないじゃありませんか。日本側が輸出禁止している貨物を中国向けに西欧各国は出しているじゃないですか。西独は鋼管を出している、スティールパイプを出している。また厚板などの鋼材も出しているじゃないですか。これは西独の中国向け輸出実績品目というものを見れば明らかに書いてある。また英国は上海の電車を建設するので、その架線を改めなければならないというので大量に銅線を特別に認可を得て輸出しているのであります。これに対してどういうふうにごらんになっているのでありますか、それを私はお伺いをいたしたい。それらを日本は西欧並みになっていないじゃありませんか。にほんのみがこれを出せない、鋼管を出すことができない、厚板も出せない、しかも西独がどんどん出しているのに日本のみがこれをどうしてだせないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/17
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018・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 現在においてはそういうことはないと私は確信しているのであります。その場合々々の特別の許可というものは日本もとっておりますし、西欧諸国もこれをとっているのでありましょう。また品物は先ほど申しましたように、必ずしも日本とほかの国と同じものを同じように出しているのじゃないので、まあこれはさっき申しましたようにリストを公表しておりませんから、お互いにわからないことではありますけれども、しかしながら西独が特に今お話のようなパイプとか、あるいは厚板とか、あるいは何か電車とか、船だとかというものを中共にやみならどうかしりませんけれども、公けに出しているとは私ども思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/18
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019・海野三朗
○海野三朗君 そこです、私がお尋ねしていのは。この西独の中国向け輸出実績品目というのに明らかに載っている、そういうことを大臣は御存じないのですか。明らかに公表されている。西独からパイプを出している、ブラック・シートを出している、そういうことが明らかに中国向け輸出実績品目の中に載っている。そういうことも御承知なくて、そういうことはないはずなんだ、知らないとおっしゃるのは遺憾だと私は思う。まことにこれは情ないことである。これは会期末になって何も私はこの法案に対してじゃまをしようとか何とかと考えているのじゃないんですよ。今日本人が食うか食われるかの立場に立っているのだ、慎重にこれは考えてごらんなさい。これはちゃんと資料が提出されている。それであるのにただ日本はそういうことは知らないといりような御答弁ではばなはだもって私は了解いかないのでまります。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/19
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020・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 私ども承知いたしております資料につきましては、西独が昨年の前半に鋼材厚板を輸出いたしております。これは鋼材の禁止決定の際の世渡的な措置といたしまして、禁止前に契約いたしたものが例外的に輸出を認められた。それ以外のものについては私どもはそういうものはないと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/20
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021・海野三朗
○海野三朗君 今の英国の場合はいかがですか。最近英国は上海の街頭電車を建設したので、その架線がこれは改めなければいけないというので、大量の銅線を特別に認可をもらって上海にイギリスが出しているじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/21
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022・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 私どもの承知いたしております限りにおいては、英国で銅線の輸出をした事実はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/22
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023・海野三朗
○海野三朗君 そこが私は通産省は不勉強だと言うのです。ココムについて勉強しておりますというようなことはうそだと思う。事実こういう資料が提出されているのでありますから、それを知らないとおっしゃるのは私は納得がいかないのであります。通商局次長はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/23
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024・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 私どもは各国の問題につきましても十分に調査いたしておりますが、英国が公武に銅線の輸出をしたという事実はないと確信いたしておりします。もしこれはやみか何かでありましたならばこれは何とも捕捉いたしかねますが、正式の許可を得て銅線を輸出したという事実はないと確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/24
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025・海野三朗
○海野三朗君 この輸出実績の資料はやはり通産省でお調べになっておりますか。イギリスの中国向け輸出実績の資料はよくお調べになっているのですか。通産省で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/25
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026・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 私ども調査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/26
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027・海野三朗
○海野三朗君 御調査になっておりますか。調査しているとおっしゃるが、私どもの方には詳しい資料が入っているのです。通産省の通商局次長としてそんなぼんやりしたことではどうしようもない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/27
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028・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 通産省としてはむろん勉強してそういうことは最大漏らさず調査しているのでありますが、しかしながら海野委員が特別の資料をお持ちであるなら、一つその資料をどういう資料でありますか、拝借願えるなり、あるいはその名前をお知らせ願えれば、なお一つよく研究いたしまして、もしほんとうにイギリスなりが、そういうことをやっているというなら、われわれの方もそれを材料にしてココムになお談判することにいたします。一つ資料をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/28
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029・栗山良夫
○栗山良夫君 ただいまの海野君の大臣に対する質問の中で、西ドイツは鋼材を中共に輸出しているというリストをあげて質問になったのだが、通産大臣が答えて、みやで輸出をしたということがあれば別だが、正規にはそういうものはないという御答弁がありました。ところが今政府委員の方においては昨年だが、例外的に輸出をしたということがある、こういう工合に認めます、これは政府委員の答えられた例外的な輸出をしたという事実があったことは通産大臣が答えられたやみ輸出の中に入るのでしょうかどうか、それを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/29
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030・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 政府委員の答えましたのは特免でありますから、やみ輸出じゃありません。私の申しましたのは、ココム・リストの公式なものについて日本と西独等と特別の差はない、しかしながら先ほども二度ほど繰り返して申しましたように、各国ともその事情によってケース・バイ・ケースで特別の許可を受けておりますから、日本は外国の出せないものの許可を受けている場合があるし、また外国は場合によっては日本が許可を受けていないものを出すこともあり得る、その一つのケースで、今政府委員が申しました昨年の上半期に幾らかの鉄材を出したというのはその一つのケースだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/30
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031・栗山良夫
○栗山良夫君 今中共貿易が問題になりますときには、いつでもココムの制限というのがその論議の対象になっているわけであります。日本の場合を考えますと、ココムで一番強い制限を受けているのは戦略物資と申しますか、要するに鋼材等のようなものが一番制限のウェイトが強いわけです。ところが国内の産業界の情勢では、貿易の振興をやるのにはどうしてもそういう鋼材等を輸出いたしたいという声が強いわけです。従ってどれだけでもいいから出したいという熱望があって、この委員会でも初めからそういう空気に包まれて質疑が行われておるのです。ところがたまたまこの問題になるというと、政府側の答弁は非常に気魄がない。ココムの制限というものについて緩和の努力をするということは言葉の上ではおっしゃるけれども、世界各国のいろいろな情勢からただいま質疑が行われたように展開していきますと、執意のないことが明白になってくる。特免であろうと何であろうと、わが国から中共へ実質的にココムの制限を緩和するような状況において輸出がされていくということは望ましいことです。ところが通産大臣はただいま西独の問題では、闇じゃない、特免だ、それの出たことは事実だと、こういう具合にあっさり聞き流しをする程度の話をしておられますが、そこが一番問題点だと私は思います。従って通産省の過去の努力において、ココムの制限を事実的に特免でよろしいですから、緩和してそうして輸出を達成せられた実績がありましたならば、それを一つ細かくおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/31
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032・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) そういう熱がないというおしかりでありますが、そんなことは絶対ないのです。これはもうほんとうに一生懸命やっております。で、現に数から言えば、日本は特免を受けた数がこの一月までの成績においてもおそらくは一番多いと思います。が、むろんああいう制限があっていいとは思っておりませんから、これはなお今後強力にやりたいとは考えておりまするが、今までも怠っておったことはないと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/32
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033・栗山良夫
○栗山良夫君 特免を受けられた主要品目を少しお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/33
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034・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) これは件数だけは申し上げてもいいかと思いますが、主要品目を申し上げることはちょっと困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/34
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035・栗山良夫
○栗山良夫君 それも私実に奇怪に存じまするが、ドイツの方はそういう特免を受けた品目が日本にまでも知れている。公けにせられた資料にちゃんと載っておるという。今、海野君のお話しだと、イギリスのことまでも載っておる。おそらくこれも特免でしょう。日本だけがどうして発表できないのです。西独は発表できるが、日本はできない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/35
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036・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) この海野さんのに多分貿易の何か数字でございしょう。特免を受けたとか何とかいう資料じゃないのじゃありませんか。特免を受けた、どこの国が何の特免を受けたということは、公表をしないという約束になっておりますから、その約束が正しいか正しくないかはむろん議論の余地がございますが、現在のところではとにかくそういう約束になっておりますので、お互いに発表しないということになっております。おそらく西独あたりでもそういう今度何の特免を幾ら受けたという発表はしておらないのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/36
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037・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、この西独の方のそういう特免品目に対する内容の公開というものは西独ではやっていない、どこかほかの国でやったということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/37
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038・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) いや、それは資料を拝見しませんからわかりませんが、多分輸出すれば、日本の輸出もどこかで貿易表に載りますから、その貿易表の数字に表われると思います。しかしそれが特免品であるかどうかということの発表ではないと、まあ想像でありますが、これは資料を拝見しなければわかりませんが、そう考えるのであります。だから日本から中共へもし特免品が輸出されれば、それは日本の貿易表に載るか、中共の貿易表に載るか、何かそういう貿易表に載ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/38
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039・三輪貞治
○三輪貞治君 今伺っておると、西独なりイギリスの貿易実績の資料が出せないということは、特免についてだけそういう協定があるので出せないということであって、貿易実績は出せるのですね。西独、イギリスの貿易実績は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/39
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040・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) もちろん出せるのであります。われわれの方におきましても、貿易実績は拠出いたします。問題は何を禁止しておって、何を解除しておるかと、その禁止の中の何が解除になったかということが問題の点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/40
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041・三輪貞治
○三輪貞治君 貿易実績が出されれば大かたわかってくるわけです。実際にやっておるわけですからね。それを一つ出して下さい。それでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/41
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042・栗山良夫
○栗山良夫君 おそらくドイツでもココムの制限によって鋼材などは普通は出せないはずだと思います。だからこそ通産大臣は特免だろう、特免だとおっしゃったのですね。だろうでなくて特免だとおっしゃった。従って、そういうものが海野委員の話によるというと、それは数量まで出ているのかどうか知りませんが、とにかく名前があげられておるわけです。それで今の質疑を伺っておりますと、どうもぴたっと割り切れないところがありますので、もう少しこの点は明らかにしておく必要が私はあろうと思います。
ちょっと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/42
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043・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/43
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044・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/44
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045・海野三朗
○海野三朗君 いろいろ大臣からまじめな御答弁がありますが、このココムのワクに対しまして、日本のみが何ゆえにこのA級物資、いわゆる鉄材を少しも入れられないのであるか、西独の方からはずんずん入っておる、こういうことば火のないところから煙は出るはずがない。ただむちゃくちゃにこれは想像でこの資料が出てきておるのではありません。西独の中共向け輸出実績資料というふうなものにこれはちゃんと載っております。鋼管も厚板も行っている。それからまた最近イギリスはこういうふうに特免をおいて造船を、多量の造船を中国に出している。こういうレポートが入っておるわけです。そうすると、それに対して当局はそういうことがないと、いまだかって知らないのだというようなお話しでありまするが、そこからして、もう私はココムの制限緩和に対する通産省の誠意のほどが私は疑われるのであります。まことに私は情ないと思うのはここなんです。こういうふうにほんとにちゃんとレポートが来ているのにもかかわらず、一向御存じないとこうおっしゃるのでありますから、私のこのココムのワクに対しましても、いわゆる特認を要請するとか何とかの方法で、大阪附近の今ブラック・シートの業者、この間も数十名の労働者がこの国会に押しかけて、何としてもこのブラック・シートでも品物が余って出せないから何とかしてくれと言ってきておる。こういうふうなものは何とかこの特認、いわゆる特別に出すことに努力をされなければならないのじゃないか、私はそういうふうに思うのですが、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/45
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046・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) これは先ほどから申し上げますように、もうおしかりを受けるまでもなく、われわれは特認でも何でもいいからぜひ出したいと考えておりますからやりますが、今のドイツの鋼材というものは、われわれの方の資料によりますと、昨年の始まりごろ一万トン程度出たらしいのであります。これはちょうど、その鉄材の禁止になりましたのは昨年の春だそうであります。始まりだそうであります。ちょうどその境目の過渡期の処置として特認が受けられたのじゃないかと、かように考えておるわけであります。これはその特認のことは各国とも発表しておりませんが、むろん日本の代表君もココムに参っておりますし、通産省自身からも人が出ておりますから、ですから内報はあるわけでありまして、大体もし特認があって目ぼしいものが出れば、われわれの方にもその報道はあるべきものと存じておりますが、今自分の手元にあります限りにおいては、昨年の始まり西独から若干の鋼材が出たということは承知いたしておりますか、これは特認であります。今の英国の問題については承知いたしておりませんから、もしこれが事実でありますなら、これは調べまして、さっそくこちらでもそのように処置をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/46
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047・海野三朗
○海野三朗君 この間富士製鉄の永野社長のお話しには、全面的に独禁法をやめてもらいたいのだというような御意見がありました。これは私どもが考えましても、国を相手に出す場合には、これはもう当然一つのカルテルと申しますか、何と申しますか、一つの組合を作って、そうしてやる必要があると思うのです。この点はよくわかります。しかしながら今日まで常に買いたたかれたとか、あるいは高く売りつけられたということは聞くのでありますけれども、この輸入の場合にも輸出の場合にも、大商社がそんなくらいなことはもう電話で常に話し合ってやっておったわけではありませんか。これは通産当局に一つお伺いいたします。買いたたかれるとか何とかと言いますけれども、中共向けの場合であるならば、大商社がみな電話で相談して今までやっておったのでありませんか。この点一つお伺いいたしておきます。ですから事実は、もう実際に組合を作るまでもなく、実際はそういう点についても何らの痛痒を感じていないのではないかとというこを私はお伺いします。すでにちゃんと相談ができてやっておるのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/47
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048・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 中共につきましては、特にひどく買いたたかれておるということもないと思いますが、値段が高かったというのは最近の例にかんがみましても大豆の例が現実の例でございます。非常に高かったことは事実でございます。向うが下げて参ったことも事実でございます。雑貨その他につきましても、かなりこちらから売りにくいものにつきましては、これは相当やはりたたかれておるということもございます。しかしながら全般的にむちゃくちゃにたたかれているということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/48
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049・三輪貞治
○三輪貞治君 関連しまして。高かったとおっしゃいますが、たとえば、では具体的に米の輸入実態について一つ御説明願いたい。米の輸入実態、これはわれわれの持っておる資料によると、粛山米ですね、結局内地米と全く同等の品質と思われる粛山米並びに東北米等において百六十八ドル、百五十六ドルという価格で入れている。にもかかわらず、その他の地域において、ある場合には百七十六というような価格で入れておる実績があるわけなんです。そうしてみれば非常に高かったということは、大豆についての一例だけでおっしゃって全部を言われてははなはだ全体の把握にわれわれ困るわけであって、米の輸入の実態について一つ御説明を願いたい。関係商社の受け入れ態勢についても同時に御説明願えれば幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/49
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050・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 米の点につきましては、ただいまお話の通り私どもも高いと考えておりません。塩につきましても適当な値段でございます。決して高いと考えておりません。先ほど申しましたのは、たまたま大豆だけを申し上げたのでありまして、それで全体が高いと申し上げたわけではございません。大豆は非常に高かったと申し上げたのであります。塩、米等は非常に適当な値段でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/50
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051・海野三朗
○海野三朗君 中国の鉄鉱原料についてでありますが、今鉄鉱石や石灰、マグネシヤ、クリンカー、それから滑石とか螢石の日本到着価格は国際価格に比して安い。従って鉄鉱メーカーはこの点より利益を得ておるわけでありますが、国際価格より安い。つまり入超であるからといって、均衡ということを叫ばれるときに当ってはこれらが制限されることにもなりましょうから、そうすると結局国家として損な結果になるのではありませんか。これが一つと、中国米、中国の塩が安い、日本到着の値段が安いのでありますが、それはよく御承知のことと思うのですが、これを窓口一本にして一そう均衡をはかるということになると非常なる損を来たす、この点はいかようにお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/51
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052・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 鉄鉱石等につきましては、現在検討中の問題でございまして、まだ結論は出ておりませんが、もちろん品質がよく価格が適正でございますれば、輸入することが適当であると思います。均衡という点につきましては、均衡させるために必ずしも輸入を無理に押えるという考えではございません。やはり必要なものは入れて参りますが、しかしながら入れるについては、やはりこちらのものもできるだけ買ってもらうということをあわせて努力いたしまして、できるだけ拡大均衡に持っていきたいというのがねらいでございます。結局均衡のために必要なものを無理に押えて、輸入を抑制するという気持はもっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/52
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053・海野三朗
○海野三朗君 ただいま次長からの御答弁では、輸入するものを押える意思がないとおっしゃるけれども、均衡という建前からしますると、自然とそれは制限を受けることになってくるのがこれは常識なんです。それを制限しないでやりますとおっしゃるけれども、それは当っていないと私は思うのです。大豆につきましても、品質の点から考えましたならば、米国大豆より一〇%高くても差しつかえない、品物がいいから。国内相場を上げれば従来の価格で十分採算がとれていく。今年度の上半期の、五万トンについても同様に、私がいろいろ説明申し上げないでもよくあなたが御存じであると存じますが、そういうふうな品物がやすい、そういうものをそのままにして入れておいて均衡をはかる、それはどうも私は納得いかないのでありまするが、そのほかのもので、ほかの品物を買わせるというけれども、ほかの雑貨のごときものは中共の方では品物を欲しないと言っている。欲しいのはつまり鉄材である、こういうことを言ってきているのであります。そういう点についてはどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/53
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054・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 均衡ということにつきましては、お話必ずしも一対一の均衡という解釈にはなりませんので、場合によりますれば、十対七、極端な場合には十対一という場合でも、一応輸出と輸入とのバランスをとりながら貿易を考えていく、一応の輸出と輸入の見合いをとっていくという趣旨でございまして、必ずしも厳格な意味の一対一という意味ではございません。私どもも中共に対しまして現に相当輸入超過になっております。大豆につきましても、値段が安ければこれは相当入れて差しつかえない。下期以降はグローバル方式になりますし、これはアメリカ大豆が相当値段が下っておりますから、中共大豆がそれに競争して価段を下げて参りますれば、これは相当たくさん入っても差しつかえないわけであります。そういうふうに考えておるわけでございまして、輸出の点につきましては、やはりなかなか品目のバラエティが多いわけでございますから、必ずしも絶対にはむずかしいもの、特認につきましてもすれすれのものと、いろいろあるわけでありますが、われわれとしましては、先方の要求も考慮しながら、できるだけ日本のものをよけい出し得るように折衝もいたし、努力もいたしているわけでございます。できるだけそういう意味におきまして拡大に持っていきたい、輸出の方も伸ばすようにいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/54
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055・海野三朗
○海野三朗君 そういたしますと、輸出の均衡をはかるという言葉が大体おかしいことになってくる。向うから買う品物は安い品物を買って、こちらから売る方の品物に対してなるべく努力をして輸出するように持っていく、こう言われるのであればいいのでありますが、輸出制限、どうしてもこれは制限されてくる結果になると私は思うのですが、そういう点に対してのあなたの方ではまた行政措置をお考えになっているのですか、どうなんですか。これはどうしても中共貿易というものが輸出均衡という美名のもとに、この輸出が極度に制限されることは明らかなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/55
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056・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) それは原則論でありますから私から申し上げますが、御承知のように貿易は結局全体として、日本なら日本の貿易が世界各国に対して全体としてのバランスを保つということは絶対必要でありますが、同時に今日のように通貨の交換性のない場合はこれはやむを得ませんから、やはり各国ごとのある程度のバランスを保たれる、中共から日本はなるほどほしい物はたくさんありますから、無制限に買えば相当の輸入超過になる。そうすると、その支払いは何でするかと言えば、日本からの輸出品で、中共に対する輸出品でするか、あるいは貨幣でするか、そうすると、ポンドなりドルなりをほかでかせいで、それを中共に払わなければならない。それだけの貿易をほかで十分できる見込みがあれば安心してやりますが、現在の世界の情勢では各国ともやはりなかなかむずかしい制限をしておりまして、輸出入のバランスということを各国ともやかましく言っているので、現に英国あたりでもやかましく言っておるのでありまして、今悩んでおるわけであります。こういうわけでありますから、なかなかよそでかせいで、その金をふんだんにある国へ払うということも手ばなしにはできかねる。ただしお話のように、中共からの輸入品というものは日本はほしいのでありますから、できるだけ中共のごときについては輸入超過になりましても、がまんをして貨幣で支払うという方法はとり得るのでありますが、そうかと言って手ばなしにはできませんから、やはり中共にも日本からできるだけ買ってもらう、ただしそこに先ほど御指摘のココムの制限がありますので、残念ながら中共の欲する物を日本がふんだんに輸出をすることができないという悩みもございますから、これの解除に今後とも十分努力をいたさなければなりませんが、現状においては今申し上げたようなわけでありますから、これはバランスと言いましても、何も局長も申しましたように、やかましく一厘一銭もバランスを保たなければならないという意味ではございませんが、しかしできるだけ中共の貿易についてもバランスを保つということを一面おいて考えるということは私は必要であろう、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/56
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057・三輪貞治
○三輪貞治君 今非常にはっきりおっしゃいましたので、その点について御質問を申し上げます。海野さんからの御質問にもありましたように、第二十三条の一項によって非常な縮小均衡になりやしないかということをわれわれはおそれておるわけです。事実甲類において逆トーマス方式を今堅持しておる状態においては、先に輸入して、その輸出が実はココムの制限においてできていない。だからこの場合調整すれば必ずこれは縮小になることはきまっておる、その場合。だからココムのリストのワクを広げて輸出を増すか、それでなければ今あなたのおっしゃったようにドルかポンドで支払うかでなければならぬということははっきりしておる。しかしあなたの場合はそのあとが悪い。あなたはどちらでやるかということはおっしゃらない、そういう方法がありますがと言う。そうしますと、アメリカの方で実際入超になっておる現状ですから、その入超のしわ寄せが中共貿易にいって、ココムのリストの解除にもいかないし、ポンドでもドルでも支払わない、その場合の一体調整は縮小以外にとれますか、それについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/57
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058・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) それはお話のように、ココムの解除もできない、それから支払う通貨もない、こう言えばどうしても縮小になるだろう、それは論理的にその通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/58
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059・三輪貞治
○三輪貞治君 だから両方に努力することによって縮小均衡にしないと、こうはつきりおっしゃっていただきたいのです。それは二十三にちかの日経でしたか毎日でしたか、ちょっとわかりませんが、あなたが中共貿易についての新方針を御発表になっております。従来の逆トーマス方式を中心とした個別バーターの方式から、協定年度を通ずる総合バーター方式に切りかえてもいいという方針をきめたと、こういうようにおっしゃるので、これは非常に進歩なんです。そこでわれわれがもう一つ心配するのは、それだけでは拡大均衡になる保証にはならないので、私がさっき申しましたように、ココム・リストのワクを外すことに努力をする、それができない場合、それをカバーしてドルなりポンドなりで支払う。現にポンドはある。ドルで割当てておる商社に対して、どうもドルが窮屈であるからポンドでやってくれという交渉も実はあるのですから、ポンドでやれば縮小均衡にならないので、その点をはっきりおっしゃれば、非常にその点に対するわれわれの憂いはなくなるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/59
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060・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) それはお説の通りですね。ココムの解除に努力することはむろんでありますが、これは相手のあることですから、今必ず解除ができますというお約束もできません。今年度あたりの外貨事情によれば、ポンドのある程度の余裕もできましょうから、私はその点で中共からの輸入にはよほど便利だと思いますけれども、さっきから繰り返しますように、各国ごとのバランスということを全然ほうっちやって中共からなるべく輸入、できるだけ輸入する、こっちから輸出するものはココムの解除ができるまではしようがないというほどの態度も実はとりかねるものでありますから、できるだけ中共にも買ってもらいたい、かようなわけで今までば逆トーマス方式とか何とかめんどうなことを言っておりましたが、しかしこの間からいろいろなお話がありましたから、できるだけ貿易が緩加できるように全体である程度のバランスがとれればいいのじゃないかということでやろうとしましたら、たまたまそれと行き違いに向うから今までの方式でよろしいという返事がございましたので、それで今のところでは向うの言う通りにして今まで通りの方式で貿易を進めていこう、かようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/60
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061・三輪貞治
○三輪貞治君 入超は何も先ほどから申しますように、対中国貿易だけでないので、アメリカの場合はどれくらい入超になっているのですか。
それからアメリカの場合には調整しないで、なぜ中国貿易だけを調整しようとするか。その意図を一つはっきり言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/61
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062・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) アメリカの場合は、昨年でございますが、八億四千万ドルの輸入でありますが、輸出が二億七千万ドル、非常な入超でございます。輸出の内容は御承知のように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/62
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063・三輪貞治
○三輪貞治君 内容はいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/63
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064・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) これは現在のところ特需収入でドル収入がございますので、ドルのバランスは一応はとれている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/64
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065・三輪貞治
○三輪貞治君 それから先ほどあなたが今までの答弁をまるきり翻して、今までは二十三条の一項というのは中国を対象にしたものであるというふうにおっしゃっておったのです。また事実そうなんです。一項は中国を対象とし、二項はインドネシアを対象としていることは明らかなんです。しかしけさはどういう入れ知恵があったか知らぬが、きょうはそうでないということをおっしゃった。どういうふうにこれは一日の間に変ってきたのですか。中国、インドネシア以外のどことの輸出入組合を予想されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/65
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066・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) この点につきましては二十三条全体といたしましては、先般来申し上げたのは中共の場合、インドネシアの場合が当面例として考えられる、それ以外に中近東、中南米地帯につきましても貿易の関係から申しますと、先方が決済の関係その他で、あるいは価格の関係でこういった措置が必要とされるとも考えられる点もありますから、制度といたしましては、やはり全体に対しましてやれる制度となっているわけであります。最初から例として申し上げているわけではございません。御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/66
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067・三輪貞治
○三輪貞治君 この点もう少しありますが、私海野さんの関連質問ですからどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/67
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068・海野三朗
○海野三朗君 このたびの法案について、第一号の条項にあります行政指導の理念をうたっておられるのはどういうわけでありますか。これが第一点と、それから国内の金融品目のリストを通産省は明確に公表していない。その都度教えてやるというような態度をとっておられるのです。これはどういうわけでありますか。これを先ずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/68
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069・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 第二段のリストの問題につきましては、この金融リストにつきましては公表しないというアンダー・スタンディングでお互いにやっております。約束に基きまして公表しておらないわけであります。
第一点の点につきまして、大へん恐縮でございますが、ちょっと私聞きそらしましたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/69
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070・海野三朗
○海野三朗君 第一号の条項に違反するような協定が結ばれて、そうして組織法の中に行政指導の理念をうたっておられるのでありますが……。
それからもう一つ二十二条の中に「全国を通じて一個とする。」というこれはそうされるというと、全国一本にすれば東京がどうしたって中心になる。それでは地方のものが困るじゃないかというふうに考えるが、そういう点はどういうふうにお考えになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/70
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071・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) ただいまの全国一本の点でございますが、この点につきましては、現在ございます商品別の組合の例を申し上げましても、雑貨輸出組合というような組合につきましては、相当全国の多数の業者を包含しておるわけでございます。実は各地区別に結成されておりましたものを非常に業界のまとまりの関係上不便である、むしろ一本にしたいというので昨年度合体をいたしまして一本になりましたのであります。むろん各地域には支部がありまして、支部ごとにもまとまりがございます。また業界ごとに部会の結成がございまして、それぞれの業界につきましては、また独得の地域がございますから、それぞれの地方のまた実情を即した業界の意見というものも相談ができるわけでございます。そういった運用で、本部は東京にございましても、業界といたしましてはむしろ経費の負担その他から考えまして、必ずしも不便ではないというふうに私ども承わっております。そういったような運用がこの場合におきましても同様に、東京にありしましても、あるいは地方に必要なところへ支部を置くなり、部会等につきましてはまたそれぞれの工合のいい地点に置かれるということも十分考慮されるわけであります。
最初の御質問の点、ちょっと私も御質問の趣旨がまだ了解できないので恐縮でございますが、この輸出入組合の結成の際の認可の条件につきまして、二十三条の二項に一号から五号まで掲げてございますが、これらの理由につきましては、行政運用の基準になるわけでございまして、こういった貿易の健全な発展を期するものであるということであります。また二号等につきましては、輸出業者、関係事業者、国内の商社等に対して非常な悪影響を及ぼすというような場合、あるいは輸出入商社の国際的信用を害するおそれがあるというような場合には、これは認可が与えられないわけでございます。そういう点は十分認可の際にここにありますような各号に照らしまして、適当かどうかを行政官庁として判断をいたして認可処分をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/71
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072・海野三朗
○海野三朗君 全国を通じて一個にするということは、つまり東京中心になることです。東京が中心であれば、地方に支部があるから一向差しつかえないと、こうおっしゃるけれども、自然と地方の貿易業者の活動が不利益にならざるを得ないのですね。すべてが東京を中心にやっておるということが、地方に対しては非常な差別待遇をしておるということになるので、この点についてはこれでよろしいとお考えであろうか。私どもはこれでは困るというふうに考えている。つまり地方々々の通商局管内に一個ずつ置くというふうなことにでもしなければ、神方の貿易業者の活動が不利とならざるを得ない。つまり東京と地方の業者に平等の機会を与えるということには東京中心一個であればならない、そういうように私は考えられるのでありまするが、通産省としてはどういうふうにお考えになりますか。従って全国で一個になるというと、その組合の運営というもはの横暴になりはせんか、そういうふうな弊害は必ず起ってくると思うが、その点はどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/72
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073・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) ただいま御指摘の点は、組合の運用の実態的な面についての御意見かと存じますが、法律上の建前といたしましては、ただだいま指摘いたしました二十三条の二項の四号におきまして、第五条第二項第一号乃至四号から六号までの各号の規定を準用いたしておりますが、その中に組合の不当な差別的取扱いをしてはならぬという規定が入っております。法律上におきましては、組合が平等の原則によりまして、加入その他脱退についても不当な取扱いをしてはいかぬという原則がございます。組合員の議決権につきましても、各員一票という点からして同様でありますが、実態上の問題につきましては、いろいろ御心配のような、東京にあれば自然東京の幹部が若干いいことをして、地方の人が不便になるというような運用上の御心配があることは、私どももそういったことが生じませんように組合の監督上十分注意をして参りたいと考えておりますが、そういった面の弊害につきましては、組合がもしできました場合は、その運用上、監督上十分注意をしていきたいと存じますが、かりに地域別に組合ができました場合には、なるほどその地域といたしましては、それぞれの立場で自分の立場の主張を十分できるという得点もあるかと存じますけれども、業界といたしましては、商品別にもやはり全国の業態の利害の問題がございます。先方とのネゴシェーションの場合におきましても、協調してやる方が有利な場合が多いかと思います。そういう点につきましては、むしろ一本の方が業界としても有利ではないか、かように考えられる点がある。これはなかなか両面の見方もあるかと思いますけれども、私はやりますならば、やはり全国一本で運用して参りまして、弊害の点は十分運用上気をつけて参るというのがよろしいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/73
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074・海野三朗
○海野三朗君 それは見解の相違でありますからこれ以上言いませんが、今日までの日本の政治のあり方を見ますと、全部が東京中心なんです。急行列車にいたしましても、皆東京をめがけて走っている。(笑声)実際そうなんです。私は地方にいるからことにその感々深くするのですが、東京を中心にして急行列車が走っている。従ってすべてが東京中心になってしまっている。これは一国の文化の発展上はなはだよろしくない現象であると私は思う。このたびのこともまたへ全国一本にするというような考え自体が、今の急行列車を東京中心に走らせようとする考えと何ら変らない。従ってこれは行政指導でやると言われるけれども、なかなかそこまでは今日までの実績上そういうことは言うべくして行い得ないと思うのでありまして、これは通産当局とは見解の相違ですから仕方ありませんが、私はどうしてもこれは地方に通商局を中心にして管内に一個を作るようにしていかなければならないのではないか。そうでなければ地方の貿易業者の活動が不利益になる。従って下請などはもう問題にされないことになってしまう、こういうふうに考えるのでありますが、やはりこの法案が絶対百パーセントよろしいとお考えになっていらっしゃるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/74
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075・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 現状におきましては、その辺が最も適当であると、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/75
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076・海野三朗
○海野三朗君 もう一つ、先ほどのあれを公表なさらない理由をちょっと伺いたい。ココムの禁輸品目を明示されない理由はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/76
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077・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 先ほど申し上げましたように、禁輸品目の内容につきましては公表しないというココムのアンダースタンディングがあるわけであります。了解があるわけであります。各国がその了解に基いて実施いたしておるわけであります。わが国もその意味におきまして公表しない建前で運用いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/77
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078・栗山良夫
○栗山良夫君 今のは逆に全部輸出許可の申請をしてみれば、いいものか、悪いものかわかるわけですね。そういうふうに了解してよろしいですか。禁止されるものと、許可されるものと、全項目にわたる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/78
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079・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 仰せの通りわかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/79
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080・栗山良夫
○栗山良夫君 そういうことであなたは言明されないけれども、みんなは大体知っておるわけですね、一般の業界としては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/80
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081・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 業界といたしましてはいろいろ過去の経験によりまして、ほぼ見当はつけておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/81
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082・栗山良夫
○栗山良夫君 それならおっしゃったらどうですか、そんならそういうことを前置きにしておっしゃった方が、みんなが苦労をして調べ上げなくても、簡単にわかるわけです。そういう前置きでおっしゃったらばいい。通俗的にはこういうことに相になっておるということをおっしゃればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/82
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083・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) これはおのずからわかるのは……。実際どういうわけで禁止しておるのか、少しおかしな点もあるのでありますが、しかしとにかく発表しないという約吏をしておるのを、公式の席上で発表するということは、これは政府としてはいたしかねますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/83
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084・栗山良夫
○栗山良夫君 懇談会ではどうですか、懇談会では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/84
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085・海野三朗
○海野三朗君 私はそこがおかしいというのですよ。国内で禁輸品目の発表をしないという約束があるから公表しないと、こう言われるのです。しからばまことに不親切なものですよ、そんなことでは通産省は民間のあれをよく監督してやれないじゃないか。売れるかもしれないと思って作っている人もある。売れないような品物なら、これはココムの約条によってこれこれの品目は禁輸である、これこれのものは発表してはいけないというから発表いたしませんといえばいい、私は何か教える方法がそこにあるのじゃないか。業者に対してはもう少し親切にやらなければいけないのですよ。発表するなと言ったら発表しない。こういうものを出したい、いやそれはいけない……待ちかまえておって、出てきたら首をちょん切ってやろうという考えじゃ、どうも私は、もう少し親切が必要じゃないかと思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/85
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086・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) これは先ほどから申し上げますように、そのことの是非はとにかく、国としてさような約束をしておりますから、公の席上で申して、それが新聞等に出ることは困ります。それから業者がおのずから知ることは、これは商売上からやむを得ないことばかりではなく、必要なことであります。われわれとしてもその点については業者が実際に支障なからしむるようには努力しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/86
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087・上林忠次
○上林忠次君 ちょっと関連して……、国内の業者に、日本に許可されておる品目はこれこれだという全品目を出さないのですか、国内の業者に対して。それは出さないとすると、バーター取引をやるときに、これは出すのがこれで、入れるのはこれだということが何にもできない、少くとも私は先ほど聞いておりますのは、外国の許可品目まではわからない、公表できない、内地のやつは。日本に対する分はわかっておるのだ、出てきたときにこれはいかんのだ、そういうやみ討ち的なことじゃなしに、国内の業者にはすっかりわかっていなければならぬ。そうでないと輸入がふえて、輸出が足らんといったって、輸出に充てるべき品目がわからないようじゃ、よけいに受け取る方は少くなってくる。そのようなことは、これは各業者、全般の業者に出し得るものはこれだけだということぐらいわかっていないと、バーターの根底がこわれてしまう。そこで輸入が多くて輸出のバランスがこわれてしまうということは、おかしいじゃないですか。そんな話ですか、私は外国のやつはわからんと思うけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/87
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088・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 現状は、業界からかりにこういうものが禁止になっているかどうかということが照会ございますれば、電話でも私どもはすぐにお答えできるわけでございます。これはむしろ問題は禁止の品目が許可に、特認として残されて出せるか出せないかということにつきましては、先ほど来大臣からもお話ございましたようにむずかしいことでありますが、禁止でないものが禁止かと思い、そのために輸出ができなかったという例は私どもはこれは絶対にないと思っております。そのために業者が輸出できなかったということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/88
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089・上林忠次
○上林忠次君 そういうことならどうして公表しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/89
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090・栗山良夫
○栗山良夫君 ココムの制限を緩和するとか撤廃するとかいうことは、これはある意味では政治問題です。だからこの委員会でも初めから熱心にやっているわけですが、その一番重要な審議をしている委員会が全然わからない。何も見当がつかなくて、一つ一つの業者が通産省に電話でもよいから聞きにくれば教えてやる、こういう不親切きわまる通産行政というものは私はないと思う。従って通産省としては許可品目は明確にここで申し上げることができんならできんという、あるいは禁止品目については公開の席上速記をつけて言うことができないということであるならば、あるいは懇談会で述べていただく、あるいはその他もっと適当な方法で述べていただく、何らかの形をとっていただいて、参議院の商工委員会が熱望しているのだから答えるように一つ善処願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/90
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091・小松正雄
○小松正雄君 関連して。栗山委員がおっしゃられるように、何かの形でということになりますれば、委員長において、たとえば大臣はここではっきり言いたいけれども、いろいろ他に漏れるおそれがある、こういうことでありますから、傍聴人あるいは議事以外の関係者に一応退場していただいて、そうして委員だけにははっきり言ってもらうということにお取り計らいを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/91
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092・三輪貞治
○三輪貞治君 それについて……、まだその前提なんですが、公表していけないということは、国会の審議の資料に出してもいけないということを含むのですか。これはもともとアメリカのバトル法という法律が基準になっている。外国の法律によって作られている。そういう協定はおそらくアメリカの国会で審議されていると思うのです。何も公表されていないことはない。それを日本の国会が最も影響を受ける法律を審議する場合に、それさえも発表できないというのは、これは一体大臣どうですか、屈辱的なものであるとお考えになりませんか。われわれはそんなことで審議できませんよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/92
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093・栗山良夫
○栗山良夫君 あまりむずかしくお考えにならないで、暑いことですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/93
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094・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) いやむずかしく考えるわけでもありませんが、これはともかく外交問題でありますから、外務省と相談してやらないと、ちょっと私から発表しかねるのです。一応そういうことですから、外務省と打ち合せまして、し発表ができるものなら……。しかしこれはおそらく公表するということは、やはりこれが間違っておるか間違っていないか知らんけれども、公表しないということになっているものを日本だけが勝手に公表する、新聞にどんどん出てしまうということも困るでしょうと思いますから、これは何らかの形で皆さんだけに一つ見ていただくというようなことは取り計らえるものなら取り計らいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/94
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095・三輪貞治
○三輪貞治君 議事進行なんですが、時間にもなりましたし、大臣が外務大臣と折衝されるというのだから、この辺で休憩をして、あらためてその結果を待って御公表としてもらうなり、その他の処置についてお諮りしていただく、そういう私は動議を出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/95
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096・吉野信次
○委員長(吉野信次君) これは皆さんのお考えですけれども、しかしこの法案についてほかの点にも御質問があるだろうと思うのです。何もその問題だけが質問の全部じゃないと私は承知しますが、やはりほかの問題でおありになれば、もう少しお続けになったらいかがでしょうか。
速記をとめて下さい。
午後零時三十一分速記中止
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午後零時五十分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/96
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097・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を始めて。
それでは暫時休憩いたします。
午後零時五十一分休憩
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午後二時二十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/97
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098・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それではこれより開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/98
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099・小松正雄
○小松正雄君 私はこの輸出入取引法改正法案につきまして、大臣に二、三点お伺いしてみたいと思うのです。と申しますのは、意匠法に基いて登録された場合は、不可侵の権利を持つものであり、また法上の権利を持たない場合の生産業者といたしましても、生産技術とともに重要な要素を持っておるのでありますから、単に仲介者のあの感覚のみにまかしておくべきものではない、かように考えますが、大臣はどういうふうにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/99
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100・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) ちょっと御趣旨がよくわからないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/100
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101・小松正雄
○小松正雄君 意匠法に基いて登録された場合には、不可侵の権利を持つものである。しかしながら法上の権利を持たない場合の生産業者であっても、今まで続けてきた生産の、生産をやった業者の立場からは、その技術というものは非常に重要な要素を持っているのではないか、こういうことを思いますときに、単に仲介者のそういった感覚のみにまかしておってよいものであるかということである。それをもう一つ続けて言いましょう。と申しますのはこれはこういうことになりますると、昔の卸問屋といいますか、問屋権のような生産時代に逆行する憂いもないとは言えない。なおバイヤーに意匠権を左右される結果となるとした場合に、このことを避けて生産者とあるいは輸出業者との間における重要な契約をするようにした方がよいのじゃないか、かように私は考えるが、大臣はどういうふうに考えられるかということです。大臣じゃなくてもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/101
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102・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) ただいまの御質問の御趣旨は、結局意匠権なり特許権なりを持っているような方が、今回の協定によってこの権利を非常に侵害されるような結果にならないかという御趣旨かと存じますが、私どもも協定の問題につきましては、あるいは数量の協定なり、価格の協定なりいたしますが、個人の意匠権なり特許権というものは、それぞれの権利として十分尊重されるような建前になっておりますので、そういう御心配のような結果は出ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/102
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103・小松正雄
○小松正雄君 それから輸出に関する協定でありますが、輸出業者のみに主体を置いた今度の法というようなことのように私は了解するのでありまするが、輸出業者と生産業者と対等に扱うようなことにされた方がよいのじゃないか、かように考えますが、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/103
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104・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 今回の改正法律案の建前といたしまして、五条の規定、五条の二の規定、五条の三の規定とございまして、五条の規定は主として輸出業者の協定の規定でございますが、五条の三の規定は生産業者が生産業者として輸出すべき貨物について協定することができるわけでございますので、対等に協定ができるという建前になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/104
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105・小松正雄
○小松正雄君 そこで輸出入組合の設立の目的は、輸出入均衡の是正にのみ置かれて、現在の不均衡は米国のバトル法によるココム・リストに基いているのであるからして、組合設立によってこれを是正しょうとなさっても、決して是正ができないのじゃないか。こう考えますときに、私は全国一本の組合では中小業者の圧迫となるばかりではないか、かように考えますが、どのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/105
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106・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 今朝ほども御説明申し上げました通り、輸出の問題につきましては、現在禁輸品目があるわけでございまして、その限りおいてはあらゆる商品が自由に輸出ができるわけではございませんが、現在の輸出可能品目及び現在輸入しております品目につきましてできるだけ拡大均衡に持ってゆくという趣旨におきましても、輸出入組合というものが組織されました場合には、それ相応の効果が得られるのではないか、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/106
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107・小松正雄
○小松正雄君 私はそれを認める場合に一本にしてしまうということではなくて、ブロックごとでもいいし、地減別の組合というものができて、それによってなされるということにされた方がいいのではないかと考えますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/107
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108・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 地域別に結成するという御意見もあるかと思いますのですが、業界全体といたしまして各商品ごとの集りということもございますし、商品ごとにやはり業界全体がまとまって参りました方が、交渉いたします場合に有利な取引ができるわけでございます。また地域別に分れておりますと、業者といたしましても組合費の負担その他におきまして負担が非常に多くなる場合がございまして、全国一本の方が適当ではないかと私どもの方は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/108
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109・小松正雄
○小松正雄君 それから輸出入取引審議会のメンバーの問題でございまするが、これは通産省令によって決定をする際に、中小業者の意見を入れて、聴取してやるべきだと、かように考えますときに、この法文に明らかにしていないということを私どもは非常に遺憾に思うわけでありますが、その意味において組合の届出等をする場合にどうしてもこれは少数の意見をつけ加えて大臣は諸般の問題について処理されるということにされた方がいいのではないか、なお私はそういうようにしてもらいたい、かよりに考えますが、どういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/109
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110・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 御質問は現在あります輸出入のあの審議会でございます。ずいぶんたくさんの人数が現在百数十人の委員でございますが、今でも中小業者は入っていると思いますが、なお御趣意はごもっともでございますので、今後委員の選任をいたします場合には、十分注意をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/110
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111・小松正雄
○小松正雄君 輸出に対しての承認申請でございますが、これは輸出組合を経て提出させる場合に、中小業者が不当に圧迫されるような憂いがあめ、かように考えますときに、特にこの場合に組合が申請者を調査するというようなことがありますが、あまりにも申請をする中小企業者に対して、組合が一々調査したことによって通産省にその申達をするというような仕組みになっておるようでありますが、こういうことになると、誠実な中小商工業者であっても、その意見の中に組合が疑義を持っておるような、要するにまあ言葉をかえていいますと、でたらめなことを通産省の方にその意見の中に織り入れてするというような場合になりますと、正常なことをやっておる中小商工業者がその線からはみ出されるというようなおそれがありますが、その点について大臣はどのようにお考えになられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/111
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112・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 私からお答えいたします。承認申請の際に組合経由という規定がございますが、組合の運営そのものを民主化しまして、中小企業に対して圧迫にならぬようなことに十分監督をいたす考えでございますが、この場合といえども、もちろん通産大臣に承認の権限がございますので、運用上万全を期して参りたいと考えております。特にこの点につきましては、中小企業という考えではございません。法のねらっておりますのは、現在アウト・サイダーで非常にまあ怪しげな取引が行われておる場合も多いわけでありまして、こういったものを法の目的として取り締って参りたいというねらいであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/112
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113・小松正雄
○小松正雄君 次に、この衆議院から修正されて参りました第三十四条中の「公正取引委員会に協議し」とあるのを、私は政府が出されておりました政府原案の通りに、その「同意を得」てということに戻した方が私はいいんじゃないか、かようなことを考えまするときに、政府として、大臣として元に戻す、要するに政府が提案された原案の通りに、この部分だけは衆議院から修正されたが、出した通りに私はした方がいいと思うが、大臣はどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/113
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114・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 原案でございますから、むろん原案に反対する理由はございませんが、しかし衆議院で修正されました「同意」を「協議」に直しても実際上支障はないとこれは考えております。これは初めこの法文を作るときに、公正取引委員会とも十分連絡して原案を作ったんでありまして、「同意」のときには、むろん同意がなければ通産大臣は処置することができませんが、しかしそうかといって公正取引委員会がこの輸出入の実況に反したようなことでがんばって同意をしないということは、これはむろんないのでありまして、そういう了解は十分公正取引委員会の方とも話し合いが
つきまして条項ができたと思います。その後衆議院で「協議」にされました場合にも、今度は逆に「協議」だからして、公正取引委員会の同意がなくても通産大臣が勝手にやれるという、まあ法文の上からはちょっとそうなるのでありますが、しかしわれわれとしてはむろんそういうことをやるつもりはありませんし、前の「同意」の場合と、実質においては同じ運営ができるということで衆議院に私の方からも、また公正取引委員長のほうからも答弁をされたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/114
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115・小松正雄
○小松正雄君 ただいままで、私あげて、お伺いをいたしましたように、この法案については非常に中小商工業者と申しますか、中小業者の方に圧迫が加えられてくるというようなおそれが多分にある一部分をお伺いしたわけでありますが、総括して、先日の参考人の供述の中で、この中小商工業者の集まりである羽賀貿易株式会社というのがありまして、この社長の供述の中にあることを伺いますと、今回の輸出入取引法、これが改正されなくても、従来こまいこういった羽賀貿易という名のつく中小商工業者が集まって、終戦後今日までの長い間に、政府としてどうしても中共貿易の進展にに対して、まあ何と申しますか努力しておられたことに対して、自分たちの力でようやくどうにかこうにかやっていけるようになってきたとき、こういうこのが出てきて、一人一票の力でもって諸般の貿易に対して権利を獲得することは、中小商工業者が多いからできるじゃないかという点にもなってくるが、つずめ合せると、大企業がこの中に入ってきて、中共との貿易関係に対して取り組む場合に、どうしても大きな大手商社がいろいろなことをもくろんで一つの議題として出した場合に、中小商工業者としてはものを言いきれないというような現状が多いということからいたしますのも加えまして、何としても一本化するということでなくて、できれば中小商工業者はこの中共の貿易はまかしてもらいたいというようなお話しもあったわけでありまするが、私もそういうことを聞きますときに、少くとも中共向けの輸出入の貿易に関しては、この中小商業者でもって、やらしていただいても、決して貿易に支障をきたすということはなかろうと思うのでありますが、大臣はそういう御決意があるかないか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/115
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116・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) この法案は、むろん中小商業者を特に圧迫しようという意思を持っておるのじゃなくて、むしろ私どもから言えば、中小商業者もこの組合の中に入って、公正な取扱いを受けて、また自分たちの主張も主張してやれるんですから、かえってやりようによっては保護になるんじゃないかと実は考えておるのでありますが、まあ組合運営の場合において、とかく組合員が発言しないで、それで一部のボスにいいように牛耳られるというようなことがずいぶん諸方にありますから、もしそういうふうな運営が行われると、それはその方々が心配されるような結果になりますが、これは組合員各自がそのことに目ざめておやりになるならば、そういうことは絶対に起らないというふうに私どもは考えておるわけであります。むろん政府といたしましてはできるだけの指導もいたしまして、公正なる民主的の運営が行われるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/116
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117・小松正雄
○小松正雄君 今、大臣の御答弁につきましては、私がただいま質問の中で申し上げましたように、この運営については、一人一票であるからして、業者別としては中小企業者がこの組合の中に相当数が多いから、まあ中小商工業者の意見が相当通っていくんじゃないか、これは法的に考えまするときにはそうであろうと思いますが、何を申しましても大きな資本に対して、こまかいものがぶち当るということもできないということがあるということを、仮定でなくて、実際問題としてそうだということを参考人も言っていることでありますし、それともう一つは、今日までの長い間に、中小商工業者で中共貿易の伸張と申しますか、進展と申しますかには、相当政府の意図しないことであっても、それをまあ克服して、終戦後今日までの長い間に何とか開拓をしてきた。そこでこういうものができ上ってくると、それに一本化されるとそれに付随していかなければならぬ、こういうことになるので、今までそういう経験を持ってきた中小商工業者でまとめあげてあるこの貿易商社に全体的に中共の貿易をさせて運営をされるようにしてもらいたいということを言われておったが、その点について大臣はどういうふうにお考えになっておるか、そういうふうにしてやってくれるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/117
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118・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) これもなかなかむずかしいことで大企業ではいけない、中小企業者に中共貿易を独占さす、こういうわけにも参らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/118
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119・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/119
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120・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/120
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121・栗山良夫
○栗山良夫君 私はこの際公正取引委員会の御所信を二、三承わっておきたいと思います。この法律案に直接関係はありませんが、最近のわが国における産業経済の動向について公正取引委員会はどういう分析をし、どういう判断を下して、独占禁止法の番人であらせられる公正取引委員会が対処せられておるか、そのことについて伺いたいとおもいます。
私の考えを率直に申しまするというと、わが国の産業経済がその発展途上におきまして内外の諸情勢の影響を受けて非常に困難な状況下にあることは率直に認めます。特に貿易が、政府の説明によりますというと黒字を示し、そして非常に好況であるかのごとくに伝えられておりますが、わが国の九千万に近い国民に十分な国民所得を与えるためにはなお不足であることは申すまでもありません。それは最近における失業問題、あるいは労働市場がだんだん狭められておりますことを見ましても、これは事実が証明しておるのであります。そういう産業経済界の困難な時期に際会しまして、これを切り抜ける一つの方策として、ただいまわが国の産業経済の中に流れておる強い傾向として私は次のような一応の分析をいたします。それは生産におきましても、あるいは流通機構においても、あるいはまた流通機構のうち、こと貿易に関する問題におきましても、それぞれ系列強化と申しまするか、あるいは部門の隻中化と申しますか、とにかく生産でありまするならば、生産の系列的な集中、あるいは貿易におきましても商社におきましても、こういう工合にして重点的に強化をせられつつあるやに私は考えるのでありますが、公正取引委員会は最近のわが国の産業経済というものが資本集中までも含めまして、そういう傾向にあると御判断になりますか。あるいはそれと逆に独占禁止法が示しておりまするような経済民主化の方向に向っておるとお考えになるか、この点の御所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/121
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122・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) わが国におきます独占禁止法のあり方につきましては、公正取引委員会といたしましても従前からいろいろ考えておるわけでございますが、御承知の二十八年の独占禁止法のかなりな大改正によりまして、大体いわばアメリカ流の独占禁止法がわが国の実情に即するようになったというふうに私どもは見ておるわけでございます。従いまして、この線の中におきましてただいま御指摘になりましたような系列化、あるいは集中化ということが現に行われておりますることは、皆様の御承知の通りでございまして、この系列化なり集中化は、ある意味におきまして戦後の非常に乱れております生産、あるいは流通機構をある程度合理化するという面があることはもちろんでございまして、この点はわれわれも認めるのにやぶさかでございませんが、しかしこれがだんだん進みまして、いわゆる独占禁止法の改正法の後におきまする線に触れて参るということになりますれば、結局それはわが国全体の立場から考えまして、それが生産なり流通機構の上におきまして、好ましい形であるかどうかということになれば、独占禁止法の観点からいたしまして、そこには限度があるというふうに考えておるわけでございます。従いましてこのただいまの系列化なり集中化がもう一歩進みました場合におきましては、その線が果してわが国の経済のために適切であるかどうかということは、独占禁止法の線に照しまして、厳重に監視して参りたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/122
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123・栗山良夫
○栗山良夫君 大体ただいまの御説明によりますと、生産の集中あるいは資本の集中等の集中が行われているということはお認めいただいた。またただいまの独占禁止法の範壽においてはこれを行うのに一定の限度がある。もしこの限度を越えるようなことがあれば、好ましくない情勢が起きる。こういう工合におっしゃったのでありますがわれわれもその好ましくない情勢が、いつどういう工合にどこで起きるかということについて非常に心配をいたしておるのであります。このうち最も端的に指摘できますることは、元来独占禁止法のねらっておるところは、経済の民主化でありますから、特定の力が特定の部面に大きく作用をいたしまして、自由な取引というものに制肘を加えることを排除しようというのが目的であったわけでありますが、その排除をしなければならぬのは、力を持っておりますところのやはり部門々々における大きい産業であり、あるいは流通部門の大商社を指摘しなければならぬわけであります。ところが最近におきましては、この独占禁止法というものをさらに弱化させていきますというと、そのはね返り、工合の悪い点というのが中小商工業の上に全面的に押し出してくるのではないかということを私は心配しております。もちろん中小企業に対しましても、中小企業安定法等を通じて若干のカルテル行為が許されることになっておりますが、元来が弱い部門でありまするから、この部門のカルテル行為を若干ゆるめたといたしましても、それよりももっと強い、そしてもっとスピードを持っておりまする大企業の方を許していきますと、相対的に中小企業というものは圧迫をせられてくる。こういう結論になろうかと思いますが、ただいまのあなたのお話をさらに掘り下げまして、わが国の産業経済の中にある位置を持っておる中小企業というものを見ましたときに、これをどういう工合に御判断になるか、これをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/123
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124・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) わが国の中小企業のあり方につきましては、いろいろな考え方があると存じますが、少くとも公正取引委員会の関係いたします範囲におきましては、この中小企業が不当に大企業に圧迫されるということにつきましては、公正取引委員会といたしましても、いろいろな独占禁止法の規定によりまして、そのような結果が出ませんように、十分留意をして参っておるつもりでございまするし、また将来もその方針でいきたいと考えておるわけでございます。御承知のように二十八年の改正の際にも、あるいは不況の場合、あるいは合理化の必要上、あるいは輸出入関係等におきましてある程度のカルテル行為もこれを認めるということになったわけでございまするが、その際にいろいろ心配されますことは、そのカルテルのはね返りがいわゆる中小企業その他の関連事業所に及ぶおもしろくない結果でございまして、もちろん法文の上にはそれを保障するためにいろいろな工夫がなされているわけでございますが、現実の問題といたしまして、果してその法律の規定するような弊害を伴わないところの、よいカルテルのみが結成されるかどうかということについては、非常な疑念があるわけでございまして、この点は私どもの役所の重要な仕事の一つといたしまして、ただいま申されました中小企業の利益の擁護という点は、今後も十分に留点をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/124
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125・栗山良夫
○栗山良夫君 大体中小企業に対する御心配の点も、私は私なりにあなたのお考えを理解いたしました。問題はあなたが衆議院における本法律案の審議の過程で、議員の質問に対して答えられました点を伺いまするというと、原案に対する衆議院の修正案において、公正取引委員会の権限を著しく剥奪をしたことにつきまして、あなたは絶対に承服いたしかねるという意味の強い発言をされたやに聞いております。おそらくただいまの御発言からいえば、その点は私もうなずけるわけでありますが、その強い発言をされました意味は、今あなたがお話しになりましたような理由が中心になっておっしゃっておりますのか。あるいは形式的な、事務的な法律運用の立場からさようなことをおっしゃるのか、実際的な日本経済の民主化なりあるいは中小商工業の発展をはばむがごとき結果を招来するので御反対になったのか、この点を明確にして御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/125
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126・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) ただいまの御質疑の点は、衆議院におきまする修正のうちで、特にカルテルの認可、通産大臣の認可に当りまして、公正取引委員会の同意を必要とすることになっておりました原案を、協議で足るものとしました点に関すると思うのでございますが、この点につきましてはとかくにこれは通産省と公正取引委員会の権限争いのごとくに申されておるのでございますが、しかしこれはこの改正案を作りますまでの間におきまして、通産省と公正取引委員会がいろいろ折衝して参りました間におきましても、またその後の修正案に対して私がいろいろ申し上げました点も、これは一にこういう独占禁止法の基本的な考え方からいたしまして、ここでわれわれの考えておりますことを十分に貫こうという場合には、やはり原案の方が好ましいという、こういう観点から申し上げておるわけでございまして、決して権限争いというような、そういうけちなことを考えているわけではございません。衆議院でも申し上げましたように、このカルナルを認めまする要件の中に、きわめて独占禁止法的な部分がございまして、特にその中で国内の関係事業者、または一般消費者の利益を不当に害するおそれのあるようなカルテルにつきましては、公取はあくまでもそれを阻止する、こういう観点からいたしまして、同意の方が公取の意見が十分に尊重せられるその保障があるという意味におきまして、政府の原案の方が私はよろしいということを申し上げたわけでございまして、もちろんこの「国内の関係事業者」という中には中小企業が入りますし、なおほかの要件に「その内容が不当に差別的でないこと」ということもございますが、これはやはり一つのカルテルの中で中小企業と大企業との間に差別がございますことば好ましいことではない。これをやはりそうでなくするためには、公正取引委員会としては「同意」という線で強く不都合のないように見守って参りたい、こういう実質的な理由から申しておったわけでございますが、しかしこれはすでに御承知のように、公取の意向は通産大臣において十分に尊正するという言明もございましたし、また衆議院におきましては、社会党は形式上は反対されましたが、私の観察いたしておりまするところでは、ほとんど実質上の全員一致をもちまして公正取引委員会の意見を尊重し、私的独占禁止法の精神を阻害しないようにという、こういう附帯決議もございましたので、実質的には「同意」と同じことになるというふうに考えまして、この衆議院の修正案にあえて異議を申さなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/126
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127・栗山良夫
○栗山良夫君 この取引法案が国会に提出されましてから当初のうちは、よく法案の内容が関係者に徹底しなかったのか、あまりに賛否の声が国会に届いて参りませんでした。ところがだんだんにその審議を進めておりまする間にはっきりした態度が、それぞれの立場において表明をせられて参りましたので、私どもも大体おおよその動向というものを理解をいたしておるのであります。特に公正取引委員会としては、この問題に対する日本国内の各方面の動向なり意向というものを十二分に察知せられておると私は考えるのでありますが、その中でただいまこの取引法案に賛成をし、また衆議院の修正案に対して全面的な賛成をしておられるのが主として大産業に関係する方々であり、取引法の政府提出原案そのものにも若干の異論を唱え、特に衆議院の修正案に対しましては烈しく反対をしておられる部面が、中小商工業者の立場をとる方々が多いということにつきまして、あなたはどういう工合にお考えになりましょうか。私どもはさような工合に理解をいたしているのでありますが、この理解が公正取引委員会でごらんになっている場合に間違っているかどうか、その通りであるかどうか、これを御所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/127
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128・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) この法律のでき工合といたしましては、これはいろいろの批判の余地がまだございますけれども、しかしこの法律がこの文字通りに正当に行われますならば、ただいま申されましたように、中小企業関係の方々が心配しておられるような事態は生じないはずでございますが、しかしこれはやはり法律の規定いたしますところと現実に行われますところは、必ずしもその通りに参らないということはすべての場合においてそうでございまして、従いまして、中小企業関係の方がいろいろ御心配になるのも、私といたしましては無理からぬことと考えておるわけでございます。しかしながらこの点は前回に三輪委員から私に対して御質疑がございましたときにお答え申しましたように、私どもはこの法律によって与えられておりまする権限を十分に用いまして、この法律の実施の結果そのしわが中小企業等の方に寄ったり、その他の不都合をきたすことのないように、万全の処置をする覚悟であるということを申し上げた次第でございまして、この点は繰り返しまして栗山委員に対してもはっきりここで申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/128
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129・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで問題になるのは、先ほどあなたは「同意」という言葉が「協議」という言葉に変えられたこのことについては、通産大臣の言明によって、「同意」とほとんど変わらない運営が行われるというので、自分は安心をしているというお話がございましたが、それほどまでにはっきりしていることであれば、何もしいて言葉を変える必要はない、全然ないわけである。ところが口でそういうことは言われておりますが、行わんとすることは「同意」を「協議」に変えようということであろうと私は思います。この点は、一昨々日、私がこの当委員会に出席いたしておりましたときの通産大臣の言明でも、この委員会でもし明白に「同意」を「協議」に変えることによってカルテル行為が自由奔放にできるのだ、中小商工業者には相当な圧迫を加えるのだということを、正直に質問に答えて述べられるならば、いかに参議院の商工委員会でもそう簡単によろしいというわけにはいかない。そこで言棄のあやとして、私はそういう工合に述べられたものと理解せざるを得ない。特に法律行為として、むずかしい言葉を解釈しながら運用される最後の場面においては、そういうことにならざるを得ないわけです。そういう工合に一応の見通しが持てるときに、あなたは独禁法の番人として、公正取引委員会の権威を保って、そうして今君明になったことを確実に実行される法律的な根拠というものはどこにあるか。「同意」と「協議」とは法律用語としては確実にこれは区別されている。通産大臣がいかにここで言明されようとも、実際に実行されていくときに、「同意」と「協議」を使い分けまして、「協議」はあくまで「協議」であるとして押し切られたときに、あなたはそれに対して法律的にいかなる根拠によってこれを守ろうとせられるか、その点をはっきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/129
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130・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) これは先日も申し上げたのでございますが、この認可に対する「同意」、「協議」の問題は、結局カルテルが発足いたしまする際の問題でございまして、なるほどこの面におきまして「同点」が「協議」となりましたことは、形式的に独禁法的な観点から申しますと、ゆるんだことになるのでございますが、しかしこのカルテルの弊害を防ぎまする道は、この法律の上から申しましても、この一点だけではございませんで、このカルテルが不公正な取引方法、これは独禁法にその規定がございまするが、それに該当いたしまする場合には、独占禁止法の適用除外ということになっておりませんので、もし最初からそういうことでございますれば、これは直ちに独占禁法が発動し得ることになっております。これはもちろんそれには一つの手続が前提となっておりまするが、そういうことになっておりまするのと、それからカルテルが発足いたしましたあとに、いろいろそれが、たとえば中小企業の利益を害するおそれがあるということがはっきりわかって参りました場合には、これもやはり公正取引委員会の権限といたしまして、そういう不都合なカルテルの変更なり、取消しを一応通産大臣に申し出まして、その申し出後一カ月たちますと、そのカルテルに対しましては独占禁止法の適用がある、こういうふうなかまえになっておるのでございまして、従いまして、法律的に申しまして、この入口が多少形式的にゆるみましたと申しましても、なお独占禁止法が動きまする余地が相当あるのでございます。要はそういう道があるにかかわらず、公正取引委員会がそれをあえて用いないという問題、すなわち前回も申し上げましたような公正取引委員会の決意と能力の問題にかかるというふうに思うのでございます。法律的な建前としましては、そういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/130
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131・栗山良夫
○栗山良夫君 私は今おっしゃった一番最後のところを重要視しております。独禁法というものがはっきりとした権威を持っておるときには、あなたのおっしゃったことがそのまま文字通り運用せられると思います。しかし今とうとうとして日本の国内を取り巻いておりまするものは、独禁法を骨抜きにしようという思想が風靡している。従って川の中にありまする岩にいたしましても、平水のときならば十分に耐え得られるものでありましても、とうとうとして一たび洪水になったときは、その岩は耐えられなくてころがらなければならぬということを、われわれ日常体験しているということであります。そういう工合にただいまの国内の風潮がなっておりまするときに、独禁法そのものを一段でも弱化させたときには、その余勢をかって独禁法そのものの運用というものは非常に困難になる。公正取引委員会としては責任が持てなくなるのじゃないか。そういう政治的な経済的なものの背景についてあなたはどういう工合にお考えになっておるか、この点伺いたいと思いましす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/131
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132・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 独占禁止法に関しましては、制定以来今日に至るまで弱めようという傾向がございますことは率直に認めなければならぬと思います。しかしいわゆるものには限度がございまして、私どもの独占禁止法が果して国民経済のためにプラスになるか、マイナスになるかという点につきましては、だんだん国民一般も考えてきてくれておるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。国民の支持があります限りは、私どもといたしましてはこの法律の適用に勇気をもって邁進して参りたい。これは常に私どもが内部におって語り合っておることでありまして、もし輸出入取引法、その他の関係におきまして、独占禁止法の規定なりあるいはその施行の方法がゆるむということになりますれば、そこにおのずから鋭い批判が起ってくるというふうに考えておるわけでございます。ただいま御懸念のような点は、まさしく私どもも同様な憂いを持っております。しかし今後の私どもの仕事の上におきましてただいま申されたことをよく考えまして十分に善処して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/132
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133・栗山良夫
○栗山良夫君 通産大臣に伺います。ただいまお聞き及びの通りでありますが、「同意」という言葉と「協議」という言葉についての定義、これを運用する腹がまえにつきましては、この前の委員会で大臣から直接私はお聞きしております。しかし重ねて私はただしておきたいと思いますが、公正取引委員会の方では、今おっしゃった通りに、衆議院の、議院修正によって「同意」という言葉が「協議」という言葉に変えられたけれども、通産大臣の真意を探れば、「同意」と「協議」は全く言葉が変ったけれども、同意と同じ精神で運用したいということを誠意をもって言われておる。それで安心をしておるということを言明せられました。従って果して通産大臣はその通りであるかどうか、これを伺っておきたいと思います。衆議院におきましていかに議院修正が行われようとも、それを運用せられるのは通産省当局でありますから、従って通産省当局の信念というものがはっきりしておりますれば、私どももまた安心できるわけであります。ところがもしこれがぐらつくようなことがありますれば重大なことでありますので、これは念には念を入れて伺っておきたいと思うのであります。そこでこの問題を私は率直に伺います。これは協議というものは整わなければならない、ところが協議は整わなくても、通産省が公正取引会に相談されたときに協議が整わなくても、通産省は法律的にはこれを強行し得る力を持っておるわけです。この言葉はそういう意味であります。「同点」を「協議」にかえたときに、そこに真意があると思う。しかし通産大臣は運用において協議が整わないときには絶対にこれを行わない、こういう強い御決意を持っておられるかどうか。ここを明白に簡単でよろしゅうございますから、御答弁を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/133
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134・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 私どもの原案は、「同意」なんですから、「同意」でありましても何らの異論はない。従って「協議」と変りましても、違う処置をとるつもりはございません。不幸にして協議が整わない、私はそういうことはめったにないと思いますが、万一そういうことがありました場合に、協議が整わないときに、それをしいて強行しょうということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/134
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135・栗山良夫
○栗山良夫君 それでは山手代議士に伺いますが、公正取引委員会もそういう所信であり、通産省当局も提案者もそういう所信である。このことは衆議院の審議の適程を通じて十二分に読みとれておったはずでありますけれども、あえてあなたが「同意」を「協議」に変えて提案せられましたところの精神がどこにあるか、これを明白にせられたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/135
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136・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) この法律の改正案はいわゆる貿易を振興しよう、振興し得るような態勢を整えさせようというのがこの法律改正のねらいであろうと思います。ということは一面から言うと、確かに独禁法の緩和規定を作ろうということもあることは当然でございます。この貿易振興の問題でこういうことをやることは、非常にデリケートな問題で、独禁法との調和をどういうところに見つけるかということで、いろいろ私どもも議論をしたところでございますが、やはりこの際は独禁法を緩和して貿易振興をさらに飛躍させようという見地に立って、通商産業大臣が協議をして公取の意見も聞いておれば、そんなむちゃなことはやらないのだから、貿易の振興に役立つように自動的に商機を逸しないように認可ができるようにさしてやろう、こういうことが大勢を支配いたしましてああいう修正をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/136
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137・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで貿易の振興にだれ一人反対する者はありません。これはわが国の国民所得を増大いたしますためには、至上命令と申しても過言でないものです。ただ、貿易の振興だけを口にしておりまして、その陰に隠れて多くの中小商工業者が苦難の道を歩まなければならぬようになることをわれわれはおそれるわけです。あなたはかって中小企業者の大会があったときに私も同席いたしましたが、中小企業振興擁護のために熱弁をふるわれたことがある。ところが今出されておるところの取引法の全貌を審議して参りますというと、公正取引委員会ではっきり言明せられた通りに、中小商工業は下手をしますと相当な不況に入る、こういうことを言明せられておる。それであなたの貿易振興ということについては私も全く同意見であります。しかし大企業と中小商工業との立場をどういう工合にお取り扱いになっておるか。もう少し中小商工業というものについての深い思いやりがなければ、あなたが外で熱弁をふるわれても、それは青年の演説会にすぎない。こういう工合に極観してもはばからないと思うのでありますが、その点はどう考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/137
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138・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) さっき公収の委員長から御説明がございましたように、この修正案が通りましても、もしも中小企業に差別的な待遇をするとか、中小企業に不利益な事態をもたらすような協定をしておったということになりますと、すぐ公取の方から注意を喚起いたしまして、その協定の変更を命じたり、あるいは取消しを要求をしたりいたしまして、その協定をつぶしてしまうことができるわけであります。これは当然のことでありますし、また例の不公正な取引が行われまするというと、これはまた相当な独禁法の規定の発動があるわけでございまして、私どもはそう通商産業大臣は中小企業に差別的な評価が行われたり、不利益になるような協定の認可は万々いたすまいと思いますが、もしそういうことがあったとすれば、そういう保障の規定がありまするから、おそらく中小企業の方にそう不利益をもたらすことはあるまいということでこの修正をいたしました。特にこの規定は認可が二十日間のああいう修正をいたしまして、二十日間認可がされなかった場合には、認可されたものとみなすという規定が初めに修正の中に入ってきたものでありまするから、当然通商産業大臣はやはり協議をして、むずかしい法律議論なんかでやって日にちを徒浪しておる間に、一月も一月半もかかるということでは非常に困るから、それではまあ大体通商産業大臣が公平に見てよかろうということになれば、公取と協議をして二十日間以内に自動的に認可をしていく、こういうことにした方が、初めの方とうしろの方との釣り合いがとれるだろう、こういうこともいろいろ勘案をいたしまして、これは修正をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/138
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139・栗山良夫
○栗山良夫君 重ねて伺いますが、あなたの御意見は御意見でけっこうですが、衆議院で修正せられたことについて、厳正なる批判機関であるところの一般商業新聞、毎日その他の商業新聞が衆議院の修正案というものは行き過ぎであるということをはっきりと論説をもって書いております。こういうことについてあなたは修正を可決決定せられたあとどういう御心境であられるか、さらにもう一つは、今この問題についてそれぞれ国会についても陳情があっておりまするが、特に中小商工業者からは相当に熱心に、そして相当な深刻な陳情がきております。こういう陳情に対してあなたの今お話を聞いておるというと、中小企業にそう大して影響を与えぬとおっしゃる。それほど与えないほどの修正であるならば、中小商工業者にいたずらな不安と動揺を与えることを避けて、なぜ政府提案程度にとどめられなかったか、政府提案と衆議院の修正案と実際において大差ないということであるならば、どこの依頼によって面子を立ててああいうことをせられたのか、私はその点が非常に理解しにくいのです。言葉の表現が私大へん下手でありますから、十分私の意のあるところをあなたにお伝えできませんが、大体御理解いただいたと思いますので、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/139
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140・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 衆議院でもこの法案を審議をいたします当時、多数の参考人を招致をいたしまして、参考意見を聞き、いろいろまあ質疑もいたしまして、しかる後にこの修正案を作ったわけでありますが、今お話しのように二、三中小企業者の方々から困るという意見も二、三参考意見の中にあったのでございますが、それは主として例の輸出入組合のいわゆる中共貿易等の関係において、言いかえるならば何と申しますか、この修正とは関係のない部分においての御議論が中心であり、そのほかの問題点につきましては、ほとんど大都分の参考人がむしろもう少し日本の貿易がやりやすいようにしてくれろという意見が圧倒的のようであったと私は感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/140
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141・栗山良夫
○栗山良夫君 それでよくわかりました。実は私きょう特に委員長にお願いして発言を求めているゆえんのものは、先ほども申し上げました通りに、本法律案が国会へ提出せられました当初においては、院外からのほとんど批判というものはなかったのです。だんだん審議をしている間に、幾何級数的に批判の声というものは高くなって参りました。私の手元に参っているものでも、ごく近々有力なる中小企業の団体からそういう声が出ております。従ってかような意味においては衆議院における審議というものに対して院外における関係諸団体、関係業者の熱意が足らなかったといえば足らなかったといえます。早く勉強しなかったという点が指摘されればできるかもしれません。しかしそういうことが歴然としてきた以上は、当参議院においては幸いにしてこれは先議ではございません。後議でありましてまだ時間的な余裕があるのでありますから、中小商工業の立場というものを十分に考えて対処しなければならぬ、こういう工合に私は考えるわけです。そこで通産大臣にもう一つ重ねて伺います。この問題を扱いまするには、やはり中小商工業というものの日本の産業経済に占めておるポジションというものをはっきり確認しておかないというと、問題が間違うのです。そこで通産大臣というものは国内生産において、あるいは貿易において、日本の中小商工業が果しております役割というもの、あるいは産業界におけるところのポジションというものをどの程度に評価せられておるか、これを伺いたいと思います。たとえば一例を申しますならば、国内生産だけを考えれば中小商工業はその業種において九五%をこえており、生産高において七〇%をこえておる。おそらく貿易においてもこういう高い比率をもって相当な役割をしていることと思いますが、そういう認識を通商産業大臣はお持ちになっておるか。中小商工業に対するところの御所信と、現在のポジションに対する御所信というものを一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/141
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142・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 中小企業が国内で果している役割は、今あなたがおっしゃった生産についての数字は私も存じております。また国内商業における位置も中小というよりは、小の方が大部分だということを知っております。それから貿易においても相当中小商業者が活躍しておることも知っております。生産の部面において、ことにわれわれは強く中小企業の重要性ということは尊重をしなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/142
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143・栗山良夫
○栗山良夫君 実は私の手元に持っておりまする資料の一つに、昭和三十年七月一日付で経済団体連合会から輸出入取引法に対して修正の要請書が各方面へ出ております。私の承知しておるところによるというと、経団連は昨年十月の二十日付で輸出入取引法改正に関する意見というものを建議をし、その後もこれに沿って通産省、公取と懇談して同法の改正を促進せられて、今回国会に上程された法案の内容については不満な点が多いということを理由にして、三十年七月一日付で修正要望を衆参両院の商工委員会の委員長、民主党、自由党及び参議院の緑風会の政務調査会ならびに政府関係閣僚、公正取引委員長に建議をせられております。こういうことを私どもは……、私どもは相談を受けたわけではありませんから知りませんが、そういう事実を承知いたしております。こういうことは間違いないだろうか、これを一つ伺いたいと思います。公正取引委員会、それから参議院の商工委員長、通産大臣、それから山手代議士、それぞれこういうことを要望として受けられたかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/143
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144・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) ここにも書類がございますが、輸出入取引法改正法案に対する修正要望というものが経団連から出ていることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/144
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145・栗山良夫
○栗山良夫君 公正取引委員長……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/145
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146・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 正確に日時等は覚えておりませんが、そういうものが提出されておることは事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/146
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147・栗山良夫
○栗山良夫君 吉野委員長にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/147
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148・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 来ているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/148
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149・栗山良夫
○栗山良夫君 山手代議士いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/149
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150・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) たくさん書類をもらっておりますので、どうだつたかはっきりしておりませんが、来ておったように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/150
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151・栗山良夫
○栗山良夫君 この修正要望を見ますと、あなたが修正をされた衆議院の修正要綱は、ほとんど工合よく漏らさずに載っておりますがね、これは偶然の一致と理解すべきですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/151
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152・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) たしか一回来ておったのを私は見たことはありますが、今よく正確に覚えておりませんが、関西経団連かなんかの要求書は、私どもの修正案とは非常に違ったものであったと思います。それは今はっきりよく覚えていないのですが、経団連の方の御希望は、いわゆる国内取引等についても、輸出業者の届出で済ますようなふうに、ごく簡略にしてくれというふうなあれだったと思いますが、私どもは、やはりあなたの御心配になるような点もあるので、これはやはり認可は残した方がよろしいと、しかし認可は残すが、認可ということで、かつ公取と同点やなんかが要って非常にきびしい国際商売戦の方で、日本が不利なようなことになるのでは困るから、そういう経済団体の意向なんかは無視をして認可を残して、そのかわり二十日間の規定を設けて商機を逸しないように、正確な認可をさせよう、こういうことでやったのでありまして、非常なこれは相違があると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/152
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153・栗山良夫
○栗山良夫君 経団連から非常に強い要請があり、相違はあるでしょう、それは業者の言う通りにそのままのんで法律にするということは、これはまあ常識上できない。できないですが、政府提案よりもとにかく修正を相当いろいろやられたことだけは事実です。その要請の根拠というものは、これはまああなたにお尋ねいたしませんが、われわれはこういうところが一つの修正のよりどころになっている、こういう工合に私は理解します。ただ経団連という団体は、あなたよく御存じかどうか、これは中小企業団体連盟が脱退をしましてからは、ほとんどこれは大企業の集団である。パルプ運命、セメント連合、日本石炭、繊維工業、鉄鋼連盟、造船工業会とか、これはあげればきりがありませんが、そういうとにかく大産業の人たちの団体なんです。従ってここから出る要請というものは、中小企業者の声というものは入っていないと見なければならぬ。そういうふうにあなたは理解されますか、山手代議士。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/153
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154・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 経団連の構成からくるあれはそういうことが言えると思いますが、この修正をいたしますについては、さっきも申し上げましたように、国会に参考人も呼び、いろいろな関係方面の意見も聞いてこれでやった方がわが国の貿易の振興のためにはよろしかろうと、中小企業にさまで迷惑をかけることもあるまいという確信をいたして修正をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/154
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155・栗山良夫
○栗山良夫君 そこでですね、衆議院修正案と、経団連との修正要望とは、何ら関係のないように、こうきわめて軽くおっしゃっても、これは私は将来いろいろ問題になる点もあろうかと思いますから、その修正要望というものを参考のために一ぺん読み上げておきます。
こういう工合にまことに工合のいい要望が出ております。おそらく衆議院といえども、これをそのまま法制化して修正されていないことは、私も知っております。知っておりますが、こういう強い要望の根拠の上にああいうものができ上ってきたということは否定すべくもない、これは一つの事実であろうと私は見るわけです。
そこで先ほど申し上げましたように、各業者からの要望というものが非常におくれて参りました。そうして工合がだんだんと悪いということがわかって参ったというので、最近私の手元にもいろいろな要望が来ておりますが、その中にはこういうのがあります。これは七月二十六日付であります。まだごく近々です。出された人は、社団法人日本中小企業団体連盟、これは連盟の印が判然と押してあります。そうして輸出入取引法の一部を改正する法律案の衆議院修正案に関する要望というのが出ております。これは衆議院の修正案に対する要望、どうか一つ、よく聞いて下さい。
輸出入取引法の一部を改正する法律案は中小企業界に多大の影響を有するものと予想せられますので本連盟ではここにこれに関する意見書を作成、要望致した次第で御座いますが、今回衆議院を通過致しました修正案は(一)輸出商品の国内取引に関するメーカー間の協定を条件に制限を付することなく認可すること、(二)協定の認可申請後二十日以内に認可、不認可の処分をしなければ協定は自動的に発効すること、(三)通商産業大臣の国内取引についての協定認可には公正取引委員会との「協議」をもって足り「同意」を必要とせざること等により右意見書において強く排除方を要望致しました大商社、大メーカー等のカルテル行為の助長と独占禁止法の大幅緩和とが図られようとしております。かかる修正は政府原案はもとより本連盟の意見書の要望事項とはその精神において全く相反するものであります。さなきだに大企業からの各種しわ寄せにより危殆に頻する中小企業界に対しさらに大企業のカルテル行為の新たなる脅威を加重せんとするものであり何卒参議院におかれましては中小企業界の窮状を御賢察賜わり本修正案を阻止せられんことをここに要望する次第であります。
こういう工合になっておるのであります。これが日本中小企業団体連盟、これは皆さんが御承知のように、もと経団連の中にありました団体であります。この団体からこういう衆議院修正案に対する要望書が出ておるということは、これは看過することは私はできないと思います。さらにそのほか中共貿易等を中心として熱心に考えられておりますところの団体ですね。そういうものについてはたくさん来ております。たとえば輸出入取引改正阻止協議会でおるとか、関西中小企業日中貿易協議会とか、いろんなところからさらに具体的な原案についての要望書というものが来ております。ところがおそらくこれらの意見というものは衆議院の審議中には十分委員会の審議の中に入らなかった、こういうものであろうと私は思います。関西中小企業日中貿易協議会、これの要望書は七月の十八日付になっております。それを見ますると、
現在国会において審議されております「輸出入取引法一部改正に関する法律案」に関し、其の要綱並に改正法案の内容について慎重に検討いたしました結果、右改正法案は平等互恵の原則に基く日中貿易の発展にとって好ましからざるものであると共に、この改正法案が万一通過するときは、特に朝鮮戦争勃発以降日中貿易促進のためにいばらの途をきり拓いてきた関西中小企業は、大商社の一方的進出によって著しく不利を蒙むると共に、日本の貿易において中小企業の果して居る役割が圧迫され、ひいては現在の日本経済機構をささえている中小企業が立行かなくなる原因となると考えます。
しかも同法案は中小企業と日中貿易にとって、重大な影響があるにもかかわらず、その内容は、中小業者一般にはあまり知られておらず、法案賛成者といえども、法案のもたらす影響と結果について、充分検討の余裕もなく賛成している現状であります。
このような時期に於て業者のなっとくと審議のための時間的余裕を与えずに成立させようとの動きさえある事は極めて遺憾であり、民主主義の原則に反するものであると考えます。
何率われわれの意のある所を御賢察の上少くとも本改正法案の審議を次期国会まで延期し、業者に充分検討の時間を与えられるよう御要望申上げます。こういう工合であります。そこでその他まだたくさん名古屋からも来ておりまするし、いろんなところから来ておりますが、二、三の例を申し上げました。でこれらの原案あるいは衆議院修正案に対する反対の要望というものはごく最近出ております。従って通産大臣はこの法律案の審議というものを本国会において急ぐことなく、臨時国会は十月ごろには召集されそうでありまするから、それまで引き延ばしてもう少しかすに時間を与えて、大企業も中小商工業も納得し満足をして、そうして日本の貿易振興に全業者が協力することができるような、そういう民主的な措置をおとりになる用意はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/155
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156・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 日本の貿易の現状は、この法律の実行の早いことを私は利益と考えておりますから、どうか一つこの国会においてこれが成立して実行されることを希望します。延ばす意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/156
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157・栗山良夫
○栗山良夫君 先ほど申し上げましたような中小商工業者の立場というものは、これらが要望しておることというのは、完全な杞憂だとそういうことは心配するに及ばない、そういう前提のもとにあなたはただいまの御発言があったのですか。やはり私が質問しておりますことは、中小商工業というものの立場を心配するがゆえに、中小商工業者がそういうことを要望しておるから、それでその意見をもう少し法律的に検討するために、もう少しそういうことに若干の時間的余裕を与えたらどうかということを申し上げた。ところが日本貿易振興のためには即刻必要だとおっしゃるのですが、貿易振興は先ほど申し上げている通り、だれも反対していないのです。中小商工業が非第に苦しくなるということについて心配しておる。で中小商工業者というものは日本中小企業団体連盟を初め、ごく最近になってそういう正式に要望書、陳情書というものを国会に出されておるわけです。その声を聞いてやる雅量というものをお持ちにならないかということを申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/157
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158・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 中小商業者の希望も十分参酌する意思は持っておりますが、今の段階においては大体誤解である。これを実行する間に、実施のやり方にむろんよります、よりますけれども、その法律が中小企業者を特に圧迫するということを私はどうしても考えられない。そうじゃないと思う。やはり中小企業者もそれはこの中には大小業者も入っておりますが、とにかく日本貿易業者全体の利益を擁護するために、やはりこの法律できめたくらいの組合を作ってやるということが最も適当だと考えております。われわれは初めから中小企業君を除外するなどという意思はむろん持っておりませんし、また法律の建前から申しましてもそういうことにはならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/158
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159・栗山良夫
○栗山良夫君 そこが見解の相違なんで、公正取引委員会の方では冒頭の私の質問に答えられまして、生産の集中なり、あるいは資本の集中なり、あるいは流通関係の集中なりというものが行われているということを明白にせられている。これは私の見解と同じことを公正取引委員会の見解として述べられたわけです。そういうことが行われれば、これは中小企業というものは非常な苦境な立場に立つことは間違いないことなんです。これは議論の余地はありません。そういうことが戦争前にあったから、独占禁止法というものが終戦後日本において行われた。従ってそれはもうはっきりしているわけです。そういうことがあるから中小企業者はおそれているわけですから、従って中小商工業者の利益というものはそういう心配はありません、誤解でありますと、こういう工合にあなたが言い切られるならば、それは誤解であった、間違いであったということの法的な裏づけというものをしてやらなければ、ちっとも中小商工業者は安心できない、ただここで通産大臣が幾ら大きな声を出されても、それはちっとも安心にならない。法的な裏づけというものをしなければならない、これは公正取引委員会も認めているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/159
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160・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 先ほど公正取引委員長が言われたのは、近年の日本の産業界の傾向が、系列化あるいは集中化の状況を示しているということをあなたがおっしゃった通り、それを認めたのであります。この輸出入取引法を実行すれば、さらに中小企業者が困難をするということは、私は委員長からは伺わなかったと思います。それだから今のは全体の傾向でありまして、全体の傾向はそうでありましょうが、輸出入取引法というものはそういう意図でもって作られたのではなくて、これは組合がうまくいけば、むしろ商社が合併されるかわりに、中小商業者も一緒になって組合をもって貿易するということだから、かえって私は中小企業者にとってはいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/160
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161・栗山良夫
○栗山良夫君 通産省の考えというものは非常に形式的な考え方が多いんです。たとえば私読み上げるのはよしまするけれども、七月十六日付で名古屋商工会議所から来ております、また名古屋貿易会から来ている陳情書というものは原案に賛成する部分もだいぶあります。ありますが、その中に一つ非常に心配していることが掲げてあります。それはどういうことかというと、やはり中小商工業者です。輸出入組合の団体加入についてという項がありまして、輸出入組合の事業の中心は輸出入の調整に重点が置かれるのにかんがみ、ややもすればこれが運営は総合大商社中心に偏するきらいなきにしもあらず、従ってこれが運営上中小商社にも機会を与うる方途としては、品種別輸出入組合の団体加入を認めることとすることにより、その組合の経験と機能を十分活用し、乱売防止に資するよう修正を考慮せられたいと、中小企業者の立場からはっきり掲げている。これは先ほど私が読み上げたのと違いまして、本法案に対して全面的な反対の陳情ではありません。その中に中小企業の問題として特にこれを大きく取り上げているのであります。従ってあなたは先ほど中小企業者が心配するのは誤解だ、通産省の親心というものをよく知らないから、そういうことを言っているので大丈夫だとおっしゃるけれども、これらの要望を出してきている人たちというものは、貿易の実務に従事している専門家です。長い間貿易に対して苦労をし抜いてきている人だ。これは戦争前から大商社との競合によって苦労をし抜いてきている人たちが、これは大へんだ、こんなことをやられては大へんだというので、もう国会もいよいよ幕々引こうという寸前になって大ぜいの人が寄って相談をして、ちょっとおかしいというので気づいてまとめてここへ持ってきた。従って通産省が幾ら今力説されたってその心配というものは消えないと思う。先ほども指摘したように、経団連の主張というものはどういうことが根拠で行われているかということは明白だから、もし必要とあらば私は経団連のメンバーを申します。会社の名前を全部読み上げます。そういうものなんです。一つでも中小企業が入っておりますか。そういう関係だから、経団連の希望というものを大幅に聞かれたから、中小企業者の希望ももう少し聞くゆとりを持っていただきたい。もう時間的余裕がありませんから、会期もあと十五日も延ばすことはできないから、次の臨時国会まで継続審議とせられた方がかえって貿易の振興上よくはないか。あなたは先ほど中小企業の貿易に占める立場というものは相当ウエイトの重いものだということをここでお答えになったのだから、その重い中小企業者というものをどうして考えていただけないのか、私はそこのところが賢明なる石橋通商産業大臣のお言葉としては理解しにくい。中小企業者の希望というものを聞いてやるゆとりはないのか。ではもう一つこういう工合に逆に質問しましょう。後ほどになってこんな中小企業者の声が出たのだが、通産省は原案を提出する前に中小企業者と打合せが十分でなかった、こういう非難を受けてもやむを得ないと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/161
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162・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) その点につきましては、原案作成につきましては、すでに昨年の九月通商審議会、これは先ほど申しましたように各関係方面百人以上が参加しておりまして、そちらの意見を伺いまして、それ以外にもわれわれといたしましては貿易関係団体、各業界の意見を十分承わりまして、大勢といたしましては、ぜひこの際輸出入取引法を改正願いたいという御希望によりまして作成いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/162
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163・栗山良夫
○栗山良夫君 どういうところへ相談をされたのですか。実際相談をされた相手は……。今ごろになってこういう要望書が出てくる状態なのだから、中小企業団体等についてどういうところに具体的に相談されたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/163
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164・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) もちろん貿易会あるいは地方の商工会議所、そういった各地区のたとえば神戸、大阪あたりのそういった業界の集りにもたびたび相談申し上げております。私どもは一般の声としては、ぜひこの際こういった改正が必要であるという強い御希望があったと了承しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/164
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165・栗山良夫
○栗山良夫君 私が御質問しているのは、ばく然たるそういう相談相手ではなしに、中小商工業の専門団体のどういう団体に御相談になったかということを聞いているのです。もう今になって専門団体からたくさん意見が出ているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/165
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166・三輪貞治
○三輪貞治君 これに関連して……。山手代議士の力で修正をされる場合に、もし中小企業に対していささかでも不当な影響を与えるのではないかというような御心配をされたことがありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/166
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167・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) この法案の審議をいたします過程におきまして、中小企業との関係はどうであろうかとか、あるいは中小企業の貿易業者なんかも呼びまして、そういうものの活動のし工合はどうであろうかというようなことが、政府との間において質疑応答をしておりまする間に、順次明らかになって参りましたし、さっき申しました参考人を招致いたしまして、いろいろ意見の開陳を求めたのでありますが、多数の参考人は賛意を表しておられました。ただ二、三の方々から、日中貿易の関係でいろいろ議論もあったように聞いておりますが、私は決定的にこれは中小企業のためにやってはいかん法律だというふうには了解をしておりません。しかしそれにいたしましても衆議院を通過させますときに、念を入れてああいう附帯決議をつけておりまするし、十分中小企業の立場は尊重されるものと私どもは確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/167
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168・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 特に中小企業の団体に対して御意見を承わったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/168
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169・栗山良夫
○栗山良夫君 それだからこういうことが出てくるのです。相談していないから知らなかったわけです。国会で修正法律案が出ている、国会において自分の毎日やっている仕事を議題にしてこれができたあとの貿易というもののやり方を頭に想像してみると、これは大へんなことになるというのでこういうものが出てきた。山手代議士に伺いますが、日本中小企業団体連盟から衆議院の修正案というのはまっぴらごめんだ、それだからこれを阻止してもらいたいという陳情が出ておりますが、日本中小企業団体連盟というのは、これは有力な中小企業の専門団体ですが、ここにこういう意見があなたの修正案に対してあるということを御存じでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/169
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170・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 私はそれは今初めて承わるのでありますが、いろいろこの中小企業団体の方でも誤解もあろうと思いまするし、さっきからその説明を申し上げておりますように、決してこれは野放しになったわけではない、そういう協定が発足をいたしますときに、発足をしやすい、あるいはそういう発足をしても公取の方はすでに協議を受けておりますから、中小企業団体に不利であるとか差別待遇をするということになると、すぐ手が打たれるのでありますから、私はそういう要望はあってもその要望は話し合えば十分理解していただける、誤解はとけるものと私は確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/170
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171・栗山良夫
○栗山良夫君 それは言葉のやりとりだけで、もうそれ以上どうしようもありませんけれども、たとえばここに見えている加藤議員でもですよ、一番最初にここで質疑応答があったときにはまつ先に質問に立たれて政府にどういう攻撃をせられましたか、速記録をごらんなさい。激しい攻撃をされた。こんな法律では貿易は絶対にできないこう言って攻撃をされたが、衆議院の修正案が通ってからは非常に御満足だと見えて、ちっとも御質問なさらない。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/171
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172・加藤正人
○加藤正人君 いや、まだしますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/172
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173・栗山良夫
○栗山良夫君 この一事を見てもはっきりしておるではありませんか。それはまあいいです。私は悪いとは言いませんけれども、あまりこれでは中小企業の声を取り上げないということはかわいそうです。私はそう思いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/173
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174・三輪貞治
○三輪貞治君 私は山手代議士にお伺いしますが、戦前においてカルテルというものが一般の消費者並びに中小企業者に対してどういう影響を与えていたものであるか、一つあなたのお知りになっている限りをお述べ願いたい。その場合に中小企業をつぶすためにとか、一般消費者のために悪かれと言うて、表向きにそういうことをうたってなさったカルテルというのはないのです。中小企業のことは心配して、一般の消費者には迷惑を与えないということでいつもカルテルが行われておる。しかしカルテルが悪であるということは、いつも一本の柱が通っておるわけです。その結果カルテルというものは中小企業なり、消費者に生産の集中、値段のつり上げ等で悪い影響だけしか与えておらないのです。どうです、あなたの今度の改正案はこのカルテルを貿易というものに限ってやろうとしておられるのですが、貿易に関するカルテルは、別にわれわれは反対しているのではない。しかし貿易カルテル即国内カルテルにならないという保証がない。だからこういう質問をしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/174
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175・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 戦前はいろいろそういうカルテルの弊害も相当にあったことは事実であると思います。特に大企業が今日の敗戦後の日本とは話にならんほど集中をいたしておりましたし、いろいろ弊害もあったろうと思いますが、終戦後ば御承知のような独禁法等もできますし、新しい非常に整備された消費者、中小企業者なんかの立場を擁護するような法律が整備して出されておりますので、そういう点からいたしますと、ほとんど完璧に近かった。ただしかしそういういい面もあったけれども、片方においてそういうことばかりやっておっては動きがとれない。そのためにこのきびしい国際貿易合戦において日本が非常に不利な状態になっておったことも、またいなめない事実でありまして、この法律の改正ばそういう貿易振興という立場と、それからカルテルなんかによる弊害から守るための独占禁止法との間を、どういうふうにうまく調和をしていくかという問題であろうと思いますが、この際これは単に国内の消費物資のカルテルではありませんので、外国へ売り出す品物についてのカルテルでございますから、ある程度のことは私は許したらよかろう、特に中小企業は組合に入りましても、何といいますか、表決権は大企業と対等な一対一でありますから、相当私はばらばらでやるよりか、中小企業としてはその組合において主張すべきものは主張できる点も、こういう協定やなんかを通じて相当にあろうと思いますので、あながち中小企業のために不利なことばかりでは私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/175
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176・三輪貞治
○三輪貞治君 今おっしゃったようにカルテルと独禁法の調和をどこでするかということであるために、協議ということがよく使われておったと思う。そうなるとあなたの方では、カルテルの方が少し重味がかかっちゃって独禁法の方が従的な立場になる。協議ということに改められておるから、われわれこういうことを質問しておるのです。あなたのおっしゃる通りであれば、カルテルと独禁法をどこで調和するか、その調整のためならば同意という言葉は許されてよかった。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/176
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177・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) これは独禁法というものは厳として存在しておりまして、ただ例外的に、輸出貨物について外国と太刀打ちの必要上、こういう独禁法の例外規定を認めようということで、ごく限られた小さなワクで協定をさすことにするわけでありますから、独禁法が厳として、あるいはさっき公取委員長からもお話がありましたような法的な保証も裏打ちがあるのでありますから、その点については十二分に保証されておると思いますので、心配ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/177
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178・三輪貞治
○三輪貞治君 独禁法が厳として存在するということを申しますけれども、それは昔のことです。今はもうたくさんの法律で、中小企業安定法、この法律、あるいは中小企業等協同組合法とか漁業関係の法律その他で、もうだんだん穴があけられて、独禁法の治外法権が広まってきておる。だからそういう心配をしておるのであって、あなたの言われるように独禁法が厳として存在してだるのであれば、あるいはそういう質問はしなくていいわけです。それから今のお言葉の中に国外向けの貿易だけを対象としておるのであるから、国内向けのものについて心配する必要はないとおっしゃるが、輸出品と国内向けとの、同じ品物について区別はどこでされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/178
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179・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) それは品物で区別するということでなくて、一定の取引が行われるわけでありますから、その取引についてのカルテルでございますから、その点は私どもは一つ一つの取引を問題にしていくべきものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/179
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180・三輪貞治
○三輪貞治君 それから中日貿易についてちょっとお伺いしておきますが、政府は今度の改正によりまして、対中国のための輸出入組合という民間団体を作れと言うのですが、中共貿易に関しましては、現在ある民間団体の現況と、それに対して政府は一体どういう指導なり、援助を実際的に行われてきたか、その点を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/180
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181・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 現在中共貿易をやっております団体としましては、一つは日中貿易会という団体でございます。これには主として実際やっておる方が入っております。最近協定交渉の際に国際貿易促進協会、もちろん私設でございますが、これが一つの団体を結成しております。現在のところこれは公式の政府の法規に基いた団体ではございませんので、われわれとしましては別段今監督はいたしておりません。個々の取引につきまして、外貨割当なり、あるいは輸出承認の際に個々の商社が通産局の方に申請をいたしますが、情報その他の連絡はございますが、団体に対する監督といたしましては特別の監督はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/181
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182・三輪貞治
○三輪貞治君 ほかの国との貿易と違いまして、非常に国際政治の微妙な関係の中において、曲りなりにも中共貿易が今日まで伸びてきたということについて、今おっしゃった日中貿易会並びに国際貿易促進協会、こういうものが果した役割をどういうふうに評価されておりますか、さらに今後これらの団体はどういうことをしていったらいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/182
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183・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 実際の貿易取引におきましては、個々の商社が団体を結成しておるわけではありません。団体がまとまって先方と交渉をしておる、その結果貿易がかなり発展をしてきております事実は了承いたします。私どもも相当努力を払っていることに対しては敬意を払っております。今後の問題としましては、これは私設団体でありますから、政府としましては、特別の監督あるいは干渉ということはできないことになっております。私どもは先般申し上げましたが、輸出入組合でも結成されます場合に、当然こういった団体が中心になりまして業界を広く包括されて、もし組合を作ります場合には、そういった形で結成されるものと思いますけれども、現在のままの団体で参りますれば、これは私的団体でありますから、政府といたしましては、特別の監督なり干渉はできないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/183
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184・三輪貞治
○三輪貞治君 今度の法律改正について輸出入組合を作ろうという構想についてあなたの方の、まあ御用団体という言葉はどうかと思いまするが、そういうような政府関係の日本貿易会についてはかなりの連絡をとっておられる事実がある。しかし日中貿易会、国際貿易促進協会とはどういう連絡をこの間におとりになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/184
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185・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 私どもとしましては、現在のところ民間の団体に対しましてどうという具体的な話し合いはいたしておりません。民間の間でいろいろ話し合いをされておるということは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/185
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186・三輪貞治
○三輪貞治君 それでは日本貿易会はすでに輸出入組合成立についての何か準備会を開いてやっておるということば御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/186
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187・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 私どもは聞いております範囲では、国際貿易促進協会、日中貿易会、日本貿易会等の間において新しい組合結成についての話し合いをしておるということは伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/187
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188・三輪貞治
○三輪貞治君 それはあなたの方とは全然関係はないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/188
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189・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/189
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190・三輪貞治
○三輪貞治君 それでは今度の中国貿易代表囲に対する政府補助金を国際貿易促進協会あて出してその際に、日本貿易会を通じて輸出入組合成立について協力を条件としたような事実はございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/190
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191・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) そういう政府から金を交付した事実はございません。従いましてそういった条件をつけたということもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/191
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192・三輪貞治
○三輪貞治君 それから今までの御答弁の中で、たびたび買いたたきをされる、あるいは不当の条件で買わされたというようなお話もありました。前に大臣のときにお話があったときに、私は米について質問しましたが、米はなるほど加州米その他よりも安いというようなお話がございましたが、たとえば一つの種類をあげてお尋ねいたしますと、中国にかなり行っているペニシリンあるいは硫安というものはどういう条件で、ほかの方に出すものと、非常に悪い条件で買いたたかれて出ておりますか。それとも有利な条件で出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/192
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193・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 硫安につきましてもペニシリンにつきましても、取引の条件自身については、特にほかより不利な条件とは考えられません。大体適当な条件で出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/193
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194・三輪貞治
○三輪貞治君 それではもっと詳細に説明して下さい。韓国向け、台湾向けはどれぐらいに出ている。それに対して中国はどうだ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/194
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195・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 硫安につきましては、韓国向けはFOBのもとにございますが、トン六十四、五ドルで出ておりますが、最近は硫安の国際市況もよろしいものでありますから、大体そういった市況でおおむね六十ドル以上で、もちろん各地域によりまして値段も違います。運賃も違いますから条件も違っておりますが、中共向けにつきましても、大体それに近いような値段で売られるものと思っております。現在まだ折衝中でございますから、最近の値段につきましては、中共の方は決定いたしておりませんが、ほぼそういった値段で売れるものと思っております。ペニシリンにつきましては、中共向けが主体でございますので、その他の地域につきましてはあまり輸出がございませんので、目下比較できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/195
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196・三輪貞治
○三輪貞治君 台湾向けの硫安のFOBは五十八ドル余りであり、朝鮮は六十三ドル以下で、中国は六十四ドル十セントで出ているという実績があります。かように有利なものは、実際の数量の許可をみてみますというと、これは中国に対しては台湾、韓国よりも割当ては少くなっている。これは一体どういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/196
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197・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) それは台湾に対しましては、硫安の輸出が非常に困難な時代から相当量の買付けをやっております相当古い長期のお得意になっているのであります。従いましてこういった取引先に対しましては、一般の値段がよくなったからといって、一挙に値段を上げてしまう、あるいは条件が悪いからといって、ほかの方へ売り先を変えてしまうということは商買の、これは民間の方の事業でありますが、取引としても必ずしも適当でない。通商政策からいいましても、そういうやり方は適当なことではない。昨年までは五十八ドル以下でありますが、本年度は六十ドル以上に改正されると思います。ほぼ各地とも売りいい条件、同じような条件で取引ができるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/197
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198・三輪貞治
○三輪貞治君 われわれは今度の改正で、かなり官僚的な統制と申しますか、色彩が強くなるということをば憂慮するわけでありますが、過去においてお役所がそういう指導をして失敗したという例もなきにしもあらずだと思うのです。たとえば今年一月に台湾と過燐酸石灰を三十三ドル七十七セントで契約をしたとき、CTCのほうで高いといって怒ったのでありますが、通産省の化学肥料部の某課長は、台湾が買ってくれたら、よそにはこれ以下では絶対売らない、こういう言明を台湾に対して与えている。業者ではこの課長の名前をとって石井公約とよんで非常に憤慨をしていたという事実があるのであります。それが中国とは約三十二ドルで契約をしている。事実上石井公約なるものは三十三ドル七十七セント以下では売らないと言っているのですから、これに対して現にそれを一ドル七十七セントを切って契約しているわけであります。それに対して石井氏は、輸出申請の認可を拒否しているというような事実があります。官僚が指導すると、必ずしも貿易の伸張に口でおっしゃるように役に立たないという実例もあるわけなんであって、われわれはそういう点を、決して今の民間の窓口でやっていることが非常に買いたたかれ、しかも不利な条件で買い、貿易上損失を招いているというふうに見ていない。中国の貿易というものはほかの国の貿易と違いまして、るる質問、答弁等でも明らかになっておりまするように、これは国際的な政治の関係が非常に強く反映いたしまして、一方に貿易促進の運動をしながら、一方にその実務をやっていくというような特殊な貿易伸張の形態をとっている。それが果して、今すでにこういう輸出入組合といったものに切りかえたらいいか、もう少しこういう状態で伸ばしていって、貿易促進の運動とともに貿易の実務の拡大をはかっていくという方法がいいかということについては、これは意見の相違ではありまするけれども、時期尚早ではないかというふうに感ずるわけですが、その点今のような民間の窓口一本化の状態で行われていることではすでに限度であって、これ以上の、将来の貿易の伸張のためには、輸出入組合のようなものが必要であるという、はっきりした御信念をこの際承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/198
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199・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) ちょっと誤解があるかと思いますが、現在は中国に対して今輸出も輸入も全部政府の許可にかかっておりまして、いわゆる官僚統制、完全な管理貿易をやっているわけであります。日中貿易会という団体がありますが、これは私的団体でございますので、この団体の協定をそのまま承認するということは、政府としてはちょっと承認いたしかねるのが現状でございます。輸出入組合が結成されまして、これが公的な一応法律に基いた団体であるということになりますれば、その内容はかりに日中貿易会と同じものであるといたしましても、これは一応公式な処置によります協定も、法律に基いた協定でございますから、従いましてその場合は管理貿易体制を緩和いたしまして、そういった民間の自主的な運営にまかしていくという方向に切りかえることができるのではないか、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/199
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200・海野三朗
○海野三朗君 今のにちょっと関連して伺いたい。そういたしますと、民間では勝手に中共とは貿易が許されていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/200
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201・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) お話しの通り、現在では輸出も輸入もいずれも政府の許可にかかっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/201
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202・海野三朗
○海野三朗君 届出制になっているのですか。許可によってやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/202
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203・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 許可でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/203
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204・三輪貞治
○三輪貞治君 先ほどから栗山委員から中小企業に対する不当なる影響ということを、るる御心配になってお述べになっておりましたが、輸出入取引審議会という諮問機関がございますが、これには中小企業者の代表は現在入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/204
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205・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 取引委員会には中小企業の代表、代表という形ではございませんが、商工会議所の会頭なり、あるいは中小のメーカーなり貿易商社なり多数入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/205
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206・三輪貞治
○三輪貞治君 これは質問ではないのですが、大へん時間を取りましたので、恐縮ですが、先ほどのお答え、お約束でもありましたので、西独並びに英国の中国向け貿易の状況、これはココム・リストの問題でなければ御報告できるということでしたから、この点と、それからココム・リストの問題につきましては、外務省との間で協議をして、できれば御報告をしたいということでございましたのでそれがどうなったのか、その点はけじめを一つつけておきませんと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/206
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207・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 資料は印刷物がそろいましたら必ずお届けいたします。外務省の方とは先ほどから連絡をとっておりますが、まだ連絡がつきませんので、連絡つき次第申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/207
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208・藤田進
○藤田進君 今の点でココム・リストの関係ですが、午前中の御答弁では商社等から尋ねてくれば、たとえばそれは電話であっても、支障のないようにそれが許されるかどうかを知らせてあげる、また知らせる方針だと言われていると思うのですが、それは間違いないですね。電話等で商社が聞いてくれば、知らせてやる。私はそうであれば問題がないように思うし、そこらどういうやり方か、われわれ知りたいと思う場合には、うまく通産大臣の方で取り運びができなければ、商社を通じて電話ででもまた聞いて知ることになるわけですが、一回に何品目ぐらいずつお知らせいただけるのですか。ずっと書いて、これどうか、これどうかということでもいいのか、不思議に思うのですね、そういうことでならいいのに、ほかの方法じゃまずいということですね。相当な品目を書いて、電話でこれどうか、これどうかと言えば、お答え願えることになるのですか。一回に何品目以上言えないとか、そういうことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/208
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209・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 別段制限はございませんけれども、通常取引をやっておって必要があるという意味でお聞きになりたいと思えば、必要な範囲でお知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/209
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210・藤田進
○藤田進君 そうすると、特定商社で、必要がないと思えば教えないことがあるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/210
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211・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) これは電話のことでございますから、もし何か特別の目的を持って聞いておられると思えば、あるいは失礼することがあるかと思いますけれども、実際に商売を、やっておいでになって、こういったものがどうかということになれば、それは必要な範囲においてお知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/211
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212・藤田進
○藤田進君 これは外務大臣等との協議の上で善処される方向で、これから折衝があるだろうと思いますから、この点それまで留保しておきます。
続いてですが、衆議院の修正提案者の山手さんの方にお伺いしたいのですが、先ほど来栗山委員の方からもるる事情を説明しながら質疑があったわけですが、それのお答えが修正案について中小企業諸団体、なかんづく日中連ですね、日本中小企業団体連盟、これは有力な団体であると思いますが、会長は参議院議員の豊田さんがおやりになっているように私は記憶しておりますが、話し合えば十分納得してくれる自信があるとおっしゃいますけれども、私はさっきも会っていろいろ意見を聞いたわけですが、会長はなかなか納得されていないように思うわけです。しかし衆議院の修正せられる段階では、参考人等の意見を聞いてまとめたとおっしゃっておりますが、実情は参考人の意見としては原案を中心にいろいろ意見が出されている、これは速記録を見れば明白なわけですが、出されているのであって、中小企業諸団体はいわばこの法案に対する態度なり、ましてや衆議院のかような修正案に対する態度を団体という自体で考えると、早急に出すことができないままに、いわば立ちおくれの感があって、ようやく今ごろ七月二十六日になって、そういった形で意見が集約して出てきていると思う。そうであればここで二院制でもあるので、衆議院はかような実情の中に修正せられたが、参議院ではこの時点に立って中小企業の意見もかようなことであるし、また二十日間の協議の問題を通じて、通産大臣の答弁は、これは修正しない前と事実上運営において変りがないというような御答弁でもあるしするならば、これはやはり参議院においてしかるべく原案に復するということも、あえて提案者とされても反対はないのだろうが、これは原案であるがゆえに、あるいは修正案であるがゆえに、最後まで固執するという態度は政府もとっておられない。政府みずからが提案理由を説明し、その審議と可決を要求せられた原案についても、まあやむを得ないだろうというような態度もとり得る今の事態でありますから、山手さんとしてもあまり固執せられることはないのじゃないかと一応、私見てそんなに思うわけですが、その点の御意見いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/212
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213・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) さっきから私はよく存じ上げておりませんが、いろいろ皆様方の御熱心な御意見が出ておりましたが、その裏打ちになるような参議院修正案が、すなわち中小企業の立場を重んずるような条項を挿入するとか、あるいは二十日間という期限、調査期間に関する修正を加えるとかというふうないろいろ参議院の皆様方の御意思があるやに承わっております。私どもいろいろ英知を集めてさらにいいものにしたいのは当然でございまして、もし参議院の御意思がそういうように決定されますならば、私個人としては十二分にそういう参議院の皆様方の御意思を尊重をするように、衆議院に帰って努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/213
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214・藤田進
○藤田進君 それで率直に事情を勘案しますと、やはり中小企業連盟等の意見は段階を踏んで民主的な決定に持ち込まれるわけで、そういうような時間をとって七月二十六日にやっておるわけですね。ですからそういう結論が出るということは、明確には予想せられないままにこういう修正ができたと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/214
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215・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 私は現在でもこの法案が通ったからということで、すぐに中小企業者の皆様方に非常な不利益になってくるというふうなことは考えたくないのでございますし、またさっきも申し上げましたように、よくこの法案の趣旨を説明をし、また通産当局をして運用を誤まらしめないようにしなければいかぬし、大臣もそうすると言っておられますから、私どもは万々間違いはないと思いますので、まああの当時、確かに衆議院で修正をいたしました当時、全部そうした声が出そろっておらなかったうらみもあろうと思いますけれども、そう皆様方が何といいますか、御心配になるような事態にはならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/215
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216・栗山良夫
○栗山良夫君 先ほど衆議院の修正案の提案者である山手代議士は、参議院のこの委員会で、中小企業の立場を考えて何がしかの決定があれば、衆議院の方において各会派をまとめてその意向が衆議院でも決定されるように努力をする、こういう発言がありまして、そこでこれは大へん謙虚な御態度で私は敬服をいたしますが、その中で、先ほどもお聞き及びのように、独禁法の問題で、同意と協議というものは、あなたのお考えはだいぶ違うようですけれども、公取と通産大臣との間では、かりに同意が協議にかわっても同じように取り扱う。協議がととのわない場合でも、通産省は公取を排除して、ととのわないからといって投げやりにして、通産省の考えを強行することはない、こういうふうにはっきり言明されました。そうすると、もうこれは同意も協議も同じなんだ、政府は提案者としてこういう考え方を持っておる。従って当参議院の委員会が協議を同意に新しい観点に立ってかえたとき、あなたはそれを含めて御努力なさいますか、衆議院の方で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/216
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217・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 今の点はきわめて重大な点でございまして、そういうふうに御修正にならないようにお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/217
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218・栗山良夫
○栗山良夫君 どうも私はわからないのですが、先ほどお話をしておる間には、ちっとも重大でないように聞こえるのですが、いよいよせんじつめて問題がこういうふうになると、重大だとおっしゃる。だから何か歯に何かかかったような気持なんですが、もしそういうような御発言であれば、この問題だけでけっこうですから、もう少し時間をかけて論議しなければならないと思います。どうしてそう重大なんですかね。今お聞き及びの通りなんですよ。通産大臣それは間違いないわけでしょうね。その協議がととのわないときでも決して公取を退けて通産大臣は強行しない、こういう工合におっしゃったのですが、それは腹の底からそういうふうな工合にお約束を願ったわけですね、当委員会に対して。そうすると、監督をする方の公取と、実行する方の通産大臣とが完全に意見が一致しておるわけですから、それならばいたずらに中小商工業者を刺戟するような言葉を使う必要はちっともないと思う。またこれは国際的にもこれは若干影響がありますから、同意にして置いた方がいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/218
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219・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 今私が申し上げましたのは、衆議院の修正はわずかの点の修正でございまして、ただ修正案の中としては、それが取られますとほとんど修正した意味もございませんし、そういう意味で衆議院の修正案を生かすという意味で、その点は一つ残しておいていただきたい。中小企業の問題なんかに対するきのう、さっきの、これを尊重するというふうな御修正につきましては、もちろん私どもは御同意申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/219
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220・栗山良夫
○栗山良夫君 私はもう一ぺん重ねて伺いますがね、技術上、同意と協議とは、運用の面において全然差等をつけないと、こういう工合に言っておられるのに、今の山手さんのお話を聞いておるというと、衆議院のわずかな修正の中でも、同意を協議にかえたということは、一番ウエィトが重いのだ。だからこれだけは一つなくなさないでほしいと、こうおっしゃるのですが、そうすると、あとは面子の問題ですか。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/220
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221・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) そうではございません。初めに二十日という期間を設けしましたものですから、公取との関係で法律論そのほかが繰り返されておりますと、同意が得られないような場合がしょっちゅう出てきて、そのために認可がおりないということになりますので、通商産業大臣はさっきから御答弁がありましたような状態を十二分に考慮をして裁量をするわけでございまするから、私どもはその点は公取の立場も十二分にしんしゃくされるわけであって、間違いはなかろうと思いますし、初めの二十日のまくら言葉を受けてこの同意というものがなければ、法律論そのほかで公取の関係で不認可のケースがあまり多くなり過ぎると、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/221
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222・栗山良夫
○栗山良夫君 それでやはり重大なんですよ。山手代議士の御発言は、協議がととのわないときは、通産大臣のお考えによって強行するということです。通産大臣は強行しないとおっしゃる。公取は強行しないということで理解しておると、こうおっしゃる。これは全然考えが違いますよ。これではやはりこの委員会としては慎重ならざるを得ないのです。これははっきりして下さい、その点は。通商産業大臣、これは一番重要なところなんですから、まことに恐縮ですけれども、衆議院の修正案とあなたのお考えとが明確に違うということを、もう一ぺん、恐縮ですけれども明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/222
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223・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) ただこれは協議と同意とはニュアンスが違うから、協議ということになれば、文字の上からいえば、協議をする通産大臣の方に最後の決定権がある。同意ならば、最後の決定権は公取にある。これだけの違いでありますから、実際の運用においては、先ほど申し上げましたように、同意といっても、立法の趣旨が立法の趣旨でありますから、公取の委員長は最初から同意といっても御心配するようにやかましいことを言わないだろう。それからまたわれわれの方も持っていくときに、公取の方がのめないことを持っていくつもりはありませんし、ただ公取としては法律の、俗にいえば、番人であるというので、ずっとこまかい点までいろいろ言いますから、時間の関係は相当かかる場合がございましょう。ですから、そこで今山手議員が言われるように、二十日という制限があるのに対して、やはり協議という方が言葉としては適当である。運用においては先ほど私が申したことに間違いございません。公取がほんとうに不同意であるものを、これを強行するなんというつもりはございませんが、しかしこのニュアンスが違いますから、公取の受け取り方もこれは同意のときはどこまでも頑張るであろうし、協議ならまあ相当の妥協性を持つというようなことはあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/223
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224・栗山良夫
○栗山良夫君 それはおかしいですよ。それじゃ公取という独禁法の番人が、協議という言葉に変えたので、形の上でどうせ反対をしたところで、通産大臣が最後には職権で行う、それだからあまりしつこく言ったってしょうがないから、あきらめて御自由になさいとこういう工合に言わせるための字だとしか考えられない。そうでしょう、それじゃこの法律案としてはまことにおもしろいので、同意と協議とをもうすこしりっぱに解釈するならば、公取の方はその同点という言葉を残しておいて、そして公取の方はここで論議をせられた精神というものは十分尊重され、二十日間という日数も出たことだから、あまり割り切ってアカデミックに考えないで、同意であるけれども、そこは若干ゆとりを持って協議に近い意向で運用していくというのならわかりますよ。わかりますがまるで羊頭狗肉の政策で国民の前は協議だけれども同意と同じようにやりますという工合に繰り返して言っておる。いよいよ個々の問題になるというと協議である、公取の方はお黙りなさいというやり方では、これはやはり法律を審議するわれわれとしては少し誠実を欠きやしないか。これはもう山手代議士がほんとうのことをおっしゃったから、事態は明らかになりましたがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/224
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225・藤田進
○藤田進君 それで私今の修正案と答弁と突き合せてみますというと、かなり困難な、あるいは不可能なことを通産大臣は御答弁になっているように伺えてなりませんので、協議というふうに変ったが実質上この協議を同意とひとしい処理をするということだと思うのです。これはどういうことかと言えば、やはり今も言われたように公取委の意見を十二分に尊重して、いやしくもこの協議が整わないような場台には認可をするということのないようにやっていきたい、こういうことだと思うのですね。ところが一方においては二十月間という期限がついていて、いやおうなしにこれはもうきまってしまうというものが一つある、こうなってくるわけです。これが提案者ではやむを得ない、それはそういうふうにしないと、商機を逸すると今おっしゃるわけです。ところが今ここに通産大臣おそらくお考えになっているでしょうが、これは修正者と全く相矛盾した結果になると、私は心配……、商機を逸する点から見れば、あり得るのはこの同種法律においてよく弊害も出ている事例もありますが、一旦不認可、却下をしておいて時機を待つというようなことも運営上あり得ると思うのです。二十日間を待たないまでも二十日間では困る。このままでは認可になってしまうからあと二、三日あるけれども一応不認可の処置をしておこう、あるいはよくやる書類不備その他にかこつけて付せん却下その他いろいろな措置をすることにするか、しないと二十日というものがすうつと迫ってきますから、ここの矛盾をすなおに二十日間というこのきげんをそのまま実効あらしめれば、公取との協議なり、そういったものがうまくいかない、こういうことになると思うのですが、この点がわかりますれば、その点をどういうふうに実際の運用としてお取り計らいになるか、お聞かせ願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/225
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226・大堀弘
○政府委員(大堀弘君) 二十日間の期限ということは、二十日間認可がない場合認可とみなす、みなすというのは二十日で期限を切りました場合に、法律技術といたしましてこれはそういう前例もありますから、そういうことになるわけであります。その場合に行政官庁といたしまして、これを放っておいて二十日間の期限が過ぎたから有効だというような措置をとるということは、私どもとしては通例そういう措置は考えていないわけであります。これは二十日間措置を怠った場合には有効になる。二十日間の間に行政官庁としてはこれは認可すべきかどうかということを急いで審査をして、二十日間の間に認可、不認可の処分をきめるというのが本来の建前になると思います。大臣のおっしゃる意味も、結局問題が非常にむずかしい問題が公取が、絶対に協議に応じられない重大なものだというようなケースがありました場合には、おそらくこれは認可処分を受けるケースになるだろう、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/226
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227・藤田進
○藤田進君 そうしますと公取の場合は通常の場合はそうではないのですが、事案によってはどうしてもうまくいかないというものをわれわれ予想して言っているわけです。また修正者の方もそういうケースがあり得るし、という前提に立っているわけです。あるという前提に立って終始しているので、そういう場合は修正者の説明される趣旨とは違って自動的に認可になるというよりも、今の御答弁では不認可にしておく、そういうものは……。こういうことになれば私はむしろ修正者にお伺いしたいのですが、元通りなまじっかこういう期限をつけない形でおいた方が商機を逆に逸しないので、その間には運営としては公取におかれても、また通産当局におかれても事案の迅速な処理はされるということなんだから、この方が、やはり原案の方がいいということに落ちつくようにならんだろうかと思うのですが、あまり面子にこだわらないでざっくばらんにお願いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/227
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228・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 従来間々あったのでありますが、許可になるものか、許可にならないものかわからないために、外国との折衝もああだとか、こうだとかいう電報を取りかわしたようなことで、あとから苦情が出るとか、いろいろなことがあって、商売をおやりの方はお困りのケースも相当あったようでありますから、不認可なら不認可、認可をするなら認可をする、国内の取引ですとお互いに日本人同士ですから、日本の役所の関係で、公取がやかましいとか、いろいろなことがあってすぐ了解がつくのでありますが、外国との関係ではやはり早く入れるか入れないかをはっきりさしてやった方がいいように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/228
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229・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ちょっと速記をとめて。
午後四時四十八分速記中止
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午後五時十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/229
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230・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を始めて。
ほかに御発言はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/230
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231・藤田進
○藤田進君 私はどうしても大体通産大臣の協議と同意に関する解釈としてはそれを了解はしませんが、一応の意義というものを釈明されたいと思うのです。山手さんの方の修正された側はどう解釈するか。たとえば御承知のように学界でも同点並びに協議約款については諸説あるわけです。また判例を調べてもこれまた必ずしも一致しておりません。ニュアンスが違う。まあ一つだけ例を申し上げれば、同意と協議というものはこれは同義語であるのか。協議というのは同意を前提とした協議であるという説もあるし、あなたは一体どの説を採用してこの修正をなされたのか、これを一つ聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/231
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232・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) さっきも申し上げましたように、私どもは片一方で貿易振興をやりたいし、片一方で中小企業の立場も大いに擁護していきたいということで、あたかも相矛盾する二つの命題を両方ともやっていかなければならぬというところに非常な苦心があるわけでありますが、そこでその調和については、さっきから通産大臣なり、公取の委員長がるる御説明になったように、十二分にうまくいく、調和ができるという確信を持っております。ただ、この際はニュアンスとしては、やはり貿易振興をやらせようということがこの法律改正の趣旨でございますから、やはり貿易振興の見地から通産大臣に、ニュアンスとしては多少許認可にウエートを置くというふうに考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/232
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233・藤田進
○藤田進君 それはどういうことなんですか。同意と協議の解釈をどうつかむか、つかみにくいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/233
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234・栗山良夫
○栗山良夫君 これは法律の言葉としては私は前にも土地収用法なんかに使ってある。古い法律ですが、それにも記憶がありますが、協議をしなければならない、協議が整わなかったときはどうする、こういうふうにはっきり書いてあるのです。それが足らないんですよ。つまり表現の仕方としてはずるいわけだ。協議をしなければならぬ、協議が整わなかったときには相談をかけた方の意見にきめるとか何とかということがあるのです。あるいは御破算にするとか、いろいろあるのだけれども、これには書いてない。だから私はしっこく質問しているのです。これは決して常識で言っているのじゃない、法律にちゃんとあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/234
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235・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 今のお話でございますが、個人間の財産の移動等に関しまして宙ぶらりんにするわけにもいきませんし、いろいろそういう規定が要ると思いますが、これはいわゆる行政処分でございますし、その点はさっきからいろいろ話が出ておりますように、ニュアンスの問題、あるいはそのときの情勢によって行政官庁が内閣の責任において十二分に間違いのないような判断を下して、断を下せばこれはよろしいので、この法律の規定の通りでいいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/235
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236・海野三朗
○海野三朗君 協議と同意、つまり意見が合わないときには、つまり通産大臣がこれをやると、こういうことであると思うのです。私は何のために公取委を置いているのか。公取委を置いているならば十分公収委に与えた権限、主張というものを尊重してやらなければならないじゃないか。今の協議にするならば、つまり通産省の御用委員会であるかもしれない、公取委というものは……。私はそういう考え方そのことが大体間違っていると思う。つまり学校教育にしてもそうです。今日の文教にいたしましても御用教育をしている。私は、それは小さいことのようであるけれども、国の大方針を誤まる氷山の一角と私は考えられる。今日の学校教育におきましても、どの教科書を見たって軍事基地という言葉は一言も使っていない。そこでだんだん文教という方面も御用教育をさせるような方向に向いている。今公取委が厳として存在している以上は、いわゆる公取委が与えられたる範囲内においては正しく判断していくべきはずでありますから、これは十分尊重しなければならない。そういう意味から考えますと、協議では私はいけないと思う。私はやはりあくまでもこの公取委の持っているところの権限を尊重してやらなければならない。御用公取委になってはならない。私はそう考えるのでありますが、通産大臣はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/236
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237・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 同意と協議についてはいろいろの御議論がありまして、なかなかむずかしいのですが、私は原案でない修正でありますが、二十日の期限をつけたことは非常にいいと思っております。実際許可がいつまでも、いつまでも延びるということは確かによくないことでありますから、二十日間の期限を付せられたということは適当である。また事務当局に聞きましても、二十日間あれば、その間に扱いをつける見込みがあるということでありますから、実際的でもあるし、いいと思います。そうすると、平仄を合せるために協議ということにしたという山手議員の説明がやはり適当だと思います。しかしながら運営においては、先ほど申しましたように、同意の場合でも公取委員長は最初から同意だからといっておれの方はむやみにがんばるというようなことはないという、いわばそういう約束のもとの同意です。今度協議の場合においては、それと逆に一応文字の上で決定権は通産大臣にあるようでありますが、さりとて通産大臣が公取委の意見を無視して勝手にするというようなことはございません。こういう約束を申しております次第でありますから、どうか一つ、この衆議院修正案に原案者がそういうことを言うのはおかしいが……(「原業者がそういうことを言うのはおかしい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/237
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238・藤田進
○藤田進君 それはおかしい。いつからそういう御心境になったか。今まではもとより修正案については政府は提案者でないのだが、政府原案に異論がないから昨日来通産大臣はいろいろな説明をされて、修正されてもやむを得ざる措置として了解せられていたにかかわらず、今の御発言は、懇談でも何でもないので、二十日の方がいいのだ、そんなずさんなものを出して提案理由を説明して主張してこられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/238
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239・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) それは私は衆議院の修正案に賛成して参ったのでありますから、これを原案提出者としては、原案を衆議院において支持した、これは当然のことであります。しかしながら今皆さんのいろいろのお話の中から考えまして二十日間の期限を付けたのはいいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/239
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240・栗山良夫
○栗山良夫君 今の通産大臣の発言は重大です。原案提案者としては、あくまでも通産省提出の原案を閣議決定された閣僚の一人として、政府原案に対しては最も忠実でなければならぬ。それですから政府原案に対して忠実な発言をせられる。ことに衆議院において院議をもって修正せられたことについては、政府の関与するところではない。従って衆議院が院議をもって修正したことについては、原案者である内閣並びに閣僚の一人である通産大臣は、院議を尊重して、その修正案について運用を誤まりなきを期するということを言明することはよろしいけれども、進んで修正案について、あたかも通産大臣は賛成であったごとき発言をせられるということは、これは穏当を欠きます。従って、今休憩の動議が出ておりましたが、休憩中に通産大臣は一つ慎重にお考えを願いたい。そして、ただいまの発言は、速記録を見て取り消しをせられたい。もし取り消しをなさらなければ、僕らこの問題についてもう少し議論をして、通産大臣の所信を徹底的にたださなければいかぬ。これは行政府と、そして国会とのけじめを、一線をはずしてしまうものである。われわれは国会議員として了承できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/240
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241・小松正雄
○小松正雄君 関連して。私はさっき大臣に対して一項目あげて衆議院の修正の中についてただしましたのに、それは衆議院修正中の第三十四条中の公正取引委員会に協議するを、政府原案は同意を得てということになっておるが、これに戻す考え方はないか。原案というものを自分が出したんだからそれに戻すことの方がいいんじゃないか。こうお尋ねいたしましたところ、大臣は、全くそうだ、原案の方がいいのだ、こう思うけれども、衆議院の方で修正されたので、いかんせんというような答弁があったのであります。これはもう速記録を調べればわかる。それが今あなたはあたかも、栗山委員からも指摘されたように、始まりからあなたの方の何といいますか、党の人と話し合いというか、今の自由歳の人との話し合いかしらぬが、インチキなようなやり方で、自分は原案を出しておるが、これはお前の方でこういうふうにやってくれ、こういうようなことに初めから話し合われておったようにも受け取れると思います。そこで今栗山委員からも言われましたように、私があなたにただしたことをもう一ぺん繰り返してなにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/241
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242・栗山良夫
○栗山良夫君 もう一ぺん言ってもだめです。速記録を今すぐわれわれの手元に見せてもらって、私も一ぺん読み直しますか、ら大臣も読んでもらって、そうして私どもが受け取った通りの発言であれば、私は了承できません。それはやはり行政府と国会とのけじめをなくする。よろしくない。悪例を残しますから、その点善処を望望いたします。速記録を取り寄せていただいて、その間休憩して研究する時間を与えて下さい。それはだめです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/242
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243・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それでは暫時休憩いたします。
午後五時二十四分休憩
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午後五時五十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/243
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244・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それでは休憩前に引き続きまして質問を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/244
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245・海野三朗
○海野三朗君 先ほど私がお伺いしましたことについての山手議員の御所信を承わりたい。先ほど申しましたことは時間がたっているからお忘れになったかもしれませんが、この協議ということと同意ということの問題です。非常に少さいことのように考えられるかも知れませんけれども、非常にこれは重大なる意義があると思います。いざという場合には公取委を踏みにじっても通産大臣がこれをやり得るということを含められておるのがこの協議であると思う。そういたしますと、つまり公取委というものは御用公取委になる。そういうことであっては日本の将来にもこれは影響する大問題であると思います。今日文教方面を見ましても、御用教育をなさんとしておる事柄がたくさん見受けられる。たとえば軍事基地というような言葉が学校の教科書のどこを探したってない。これは何であるかというと、日本の教育、つまり青年をしてそういうよりに誤まらしめようという方向に動いておるものと見える。そこで私はこのたびのこの協議ということに対しましても、やはり公取委は与えられたる自分の職権と申しますか、この法律の範囲をよく遵守して、あくまでもこれを守っていかなければならない、私はそう考える。都合によっては公取委の考えがぐらりぐらりするようなことがあってはそれこそ一大事であると思いますから、協議ではならない。やはり同点でなくちゃいけないというふうに私は思いまするので、この点に対しまして山手議員の御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/245
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246・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) ちょっと、先ほど私が衆議院の本案に対する修正に対しまして申しました発言は、衆議院の院議を尊重する意味でありましたが、速記録を調べてみましたところが、はなはだ言い過ぎの点がございましたので、取り消さしていただきます、どうか御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/246
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247・栗山良夫
○栗山良夫君 今の速記録そこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/247
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248・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ございますようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/248
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249・栗山良夫
○栗山良夫君 ちょっとそれ見せて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/249
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250・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) ただいまお尋ねの点でございますが、先般もお答えをいたしましたように、国際的なこの貿易の面におきましては、指導的にこういう許認可の問題を解決してやる必要があるのでございますが、これは通産省が受け取って公取と相談をするとかいろいろ手数がかかっておりますと商機を逸するわけでありまして、とりあえず協議をする程度で公取にもその実態を知らせておいて、まあ通産大臣が妥当と思うものはそのカルテルを発足させよう、こういうことでございます。ただしかしながら、そのカルテルが中小企業者に不当に不利益であるとか差別待遇をするということがありましたならばもちろん公取は第五条の第一項の規定もございますし、そういう不当なカルテルに対しましては変更を命じたり、取り消しをさしたりする権能を持っております。不公正な取引でございますと、独禁法の規定に従いまして当然処置をし得るのでありますから、公取の権威は何ら失墜するものでないし、独占禁止法の建前というものは全然くずれるものじやございませんが、ただカルテルを発足さす場合に、そういう協定をさす場合に、とにかくいたずらにだらだら一月も二月も長く引っぱっていたのでは、商売の関係でございますから、無理があるので一応通産大臣の責任において発足さしてやろう。それはすぐ公取に協議をいたしておりますから、実態はわかっておりますから、公取は独自の見解に従って発足したものを検討をしてどんどんやっていくということは、今のような規定を適用されることは何ら差しつかえないのでありますから、私は公正取引委員会が政府の御用委員会になったということは全然考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/250
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251・海野三朗
○海野三朗君 ただいまのことにつきまして、公取の委員長の御所信を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/251
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252・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) ただいまの同意か協議かという問題と、それから二十日たちますと自動的に認可ということになる問題と二つがちょっとからみ合っておりますが、同意と協議の問題につきましては、私どもといたしましては、建前は政府の原案が正しいとは思っておりますが、しかし実際問題といたしましては、協議の場合でございましても、公正取引委員会の意見が事実上尊重せられるということについて相当の自信を持っておりますので、修正案のものでも差しつかえないというふうに一応考えております。
それから二十日の点でございますが、これはいわゆる事務的な問題といたしまして、申請がございましたものがすぐに公正取引委員会の方へ書類が回って参りますれば、大体の場合において二十日ということで処理できるかと思いますが、これはやはり場合によりますと二十日では少し期間が短かいという点もあるかと存じますが、これらの点はやはり事務的な問題といたしまして、今までも通産省の方と具体的な打ち合せをいたしませんと、円滑な運用が多少困難ではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/252
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253・海野三朗
○海野三朗君 もう少しそのところを私ははっきりお伺いしたいのでありますが、先ほども申しましたように、公取の方の意見と通産省当局の意見と合わないような場合には、公取が踏みにじられる場合があると思うのでありますが、そういう場合には、やはり公取としてはどういう態度をおとりになるのですか。与えられたる法律の範囲内において……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/253
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254・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) これはこの規定から申しますと、意見を無視しても認可が効力を生ずるという結果になるかと思いますが、不幸にしてそういうふうな場合がございますれば、その後のカルテルの動きにつきましては、公正取引委員会といたしましてはきわめて厳格な態度で臨むのは当然のことと思いますので、そうなりますれば自然に、先ほど山手議員から申されましたように、公取の残されておりますその後の手続によりまして、不当なカルテルの是正ということができるのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/254
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255・海野三朗
○海野三朗君 その法律の範囲を厳に守っていただかなければならない。通産大臣の意見と合わないような場合が出てきましたときに、つまり協議であるということで踏みにじられるおそれがあると私は申しておる。そうでないと公取というものがせっかく存在しておりながら、その機能が十分発揮せられないというような事態が起ってきはしないか。そういう際にやはり公取は公取としてあくまでも自分の所信を披瀝し、これを断行するだけの御決意を持ってもらわなければならない。それでなければ公取の存在の意義はないと私は思うのでありますが、そういう点に対しての御所信はいかがなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/255
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256・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) その点につきましては、昨日三輪委員、本日栗山委員にはっきりお答えいたした通り、公正取引委員会といたしましては、この改正されました輸出入取引法によって与えられました権限を十分に良心をもちまして行使いたしまして、御心配のような不当な結果が持ち来たされぬようにいたしたいという決意を持っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/256
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257・栗山良夫
○栗山良夫君 ただいま通産大臣が先ほどの発言について取り消しをする旨述べられましたが、どこをどういう工合に取り消しをせられるのか。私、今これを読んでおるのだけれども、よくわからないのですが、大分長いのですが、——ちょっと速記を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/257
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258・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/258
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259・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/259
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260・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 同意と協議につきましてはいろいろの御議論がありまして、なかなかむずかしいのでありますが、私は衆議院修正の協議になりましても、先ほど申し上げました通り、実際の運用においては同意と書かれておる場合と同じように取り扱うつもりで、そのことは公取委員長ともしばしば話し合いをしておる次第でありますから、どうかその点については御懸念のないようにお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/260
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261・海野三朗
○海野三朗君 私は山手議員にもう一つお伺いしたい。協議になさった趣意はどこにありますか。先ほど私は伺ったけれども、ぴんとこないんです。同意でいいじゃないですか。それをわざわざ修正して協議となさった理由はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/261
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262・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 先ほどもお話を申し上げましたように、できるだけ商機を逸しさせぬように、二十日間の期限を付して、二十日間以内に認可か、不認可の決定をさすようにということに前段の方でしたわけでありますが、そういたしますと、公取は経済問題が中心というよりか、いわば準司法的な機関でもございますので、法律論だけで、従来にも間々例がありましたように、一月も二月も長くかかる、同意を与える与えぬで長く議論をしているということでは、実際の商売において支障があった例がたくさんありますので、そういうことをなくするために、二十日間に対応して、とりあえず通産大臣が協隣だけをして、通帳大臣の認定によって認可すべきものと考えれば認可をする、こういうことであります。さらに協議——同意を得ておりませんが、さっきも言いましたように、これが不当なカルテルでありまするというと、公取はあとから当然これの取り消しを命じたり、変更を命じたりということになるのでありまして、一にかかって貿易振興の見地からそういうことにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/262
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263・海野三朗
○海野三朗君 ただいまのお話を承わっておりますと、こういうことになる。公取はどう言おうと貿易の方が急ぐからちょっと黙っておれという意味がだいぶここに含まれていると考えられるのでありますが、そういうことはちょっとおかしいと思うんですが、いかがですか。貿易の方が急ぐためには、公取の方で何と言おうと早くやってしまう、そういう意味が多分に含まれておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/263
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264・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) まあその点につきましては、いろいろ議論もあるだろうと思いますが、通産大臣は十分に公取の立場を尊重していただくことと思いますし、衆議院の方でも付帯決議をそういう趣旨でつけておりますし、大体うまくいくであろう、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/264
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265・海野三朗
○海野三朗君 私は法というものはあくまでも守らなければならないというように考えております。これを守らざるがゆえに、今日の関税問題にしましても、油の問題にしましても、何事でありますか。国法をもってきめてあるやつを免除いたしましたり何かしていることは、ことごとく法というものを蔑視しておる観念からそうなっているのであろうと思うので、これは国民教育上ゆゆしき大事をはらんでおると私は思う。そういう意味から考えましても、あくまでもやはり公取委というものは尊重していかなければならない。さしあたって貿易の方が先だから、まあ公取の方はちょっと黙っておれというような態度がみじんもあってはならないと私は思うのであります。法はあくまでもこれを順守すべきものである。この法を順守しないということは、関税の問題、油の問題なんぞもたくさん問題がある。私は立法の府にあってあくまでこの法律というものを死守しなければならない、こう考えておるのでありますが、山手議員のお考えいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/265
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266・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 私も全然同意見でございまして、そのために独禁法の例外規定、やむを得ざる例外規定としまして、この立法措置を政府がして参ったので、それをまあ修正をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/266
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267・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ちょっと藤田委員に申し上げますが、さっきの速記のことについて御注意がございましたが、その後委員長におきまして調べましたのですけれども、藤田委員——海野委員でしたか、に対する御答弁の中で、少し工合が悪い個所があるようですから、やはりこれも同様の趣旨で取り消していただいた方がよくはないか、こう思いますので、ちょっと通産大臣に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/267
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268・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) ただいま委員長のお話のように、あとあれから藤田さんかだれかから御質問がありまして、それに対して私の答えた中に、同じ趣旨のことが小し繰り返してありますから、その点の取り消しをさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/268
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269・藤田進
○藤田進君 それはどこからどここまどうなっておるかわかりませんが、不穏当というか、言い過ぎと思われたのが取り消されるわけですが、それを念を押しておけばこれで明白になると思うのですが、要するに、先ほどの問題点一つは、そのまま復唱いたしませんが、趣旨としては、修正案の二十日間という日時の定めはこれは至当であって、原案よりよろしい、自分はそれは賛成だと言われたと思うのですが、しかしこれをお取り消しになった以上、通産大臣に質問いたしますが、そうではなく、やっぱり原案が正しく、二十日間をつけるということではないのだ、自分の気持がですね、そういうことに気持がもとに返ったのかどうか、そこをはっきりしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/269
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270・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) その点は前から実は公取といろいろと事務的折衝をいたしておりまして、同意という場合においても、同意が得られないからといっていつまでもいつまでも長く延ばすというようなことはお互いに——というよりは公取の方ではしないつもりだと言っていいかどうかしれませんが、話し合いがありました。だから私の頭の中では同意でありましても、まあ二十日ぐらいの期限はむろん切られるものと、そのくらいの間には処置ができるものと考えておったものですから、そこでそれを文章の上に現わして二十日ということにする、私としては賛成、と言っては言葉が悪うございますが、異論がない、こういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/270
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271・藤田進
○藤田進君 そうすると、前と同じことになっちまうわけです。法律に明定するわけですね、今度の修正案は。あなたがお出しになってわれわれに審議さして、私どもはまじめにあなたの原案を支持したやに見える立場から質疑を展開してきたんですが、今の段階で二十日というものを法に明定すべきでないとする原案を出されているのに、今度はっきりと出てきたのですね、その方が正しいという、こういうことについてどうなのかお問いしているわけです。明定すべきか、すべきでないか、それをただしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/271
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272・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) それは原案者としては原案でいいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/272
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273・栗山良夫
○栗山良夫君 ちょっと懇談会というと言葉が大き過ぎますが、ややそれに近いことになりましたから、もう少し記録を明確にしておく意味において、山手代議士にもう一言だけ伺っておきます。通産大臣の考え方というものは、これではっきりいたしました。おそらくこの委員会で議事をスムーズに進行させるために、そういう発言をなさったものとも私は考えません。信念を持って通産大臣はただいまの御答弁があったものと私は確信をいたします。従ってそういうことから考えるというと、山手代議士が同意を協議にお変えになった真意というものは、大臣の今言明せられたこととだいぶ違うのじゃないかと思うのですがね、先ほどもちょっと答弁がありましたが。ですからもう一度山手代議士から、大へん失礼ですけれども、この委員会の締めくくりをつける意味において、一つ率直に所信を表明しておかれたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/273
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274・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 率直にお答えをいたしますが、これは実にこの貿易振興のために、できるだけやりよいようにしてあげようということでこういうことにしたわけであります。従来公取と通産省の間で、まあ業者としましては、通産省でおよそ了解が得られても、公取でまたいろいろひっかかるというようなことが起きて、商売を迅速にやらなきゃいかぬ場合に困っておったという事例も聞いておりまするし、何とか早くやらした方がいいだろうという考えで、私どもはそういうふうに修正をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/274
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275・栗山良夫
○栗山良夫君 それで早くやらしていいということは、協議がととのわないようなときには、通産大臣はそのととのわないままに放棄するのではなくして、通産大臣が、法律できめておる職権に基いておやりなさいと、こういう意味のことですか、衆議院の修正案というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/275
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276・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 法文をまつ正面に解釈をいたしますと、そういうこの味が出てくると思いますが、しかしさっきから申し上げておりますように、公取の意向を無視して、言いかえれば、公取が協議を受けた場合に、反対をしておるような、明確にこれはだめですと言い切っておるような問題を、通産大臣が無理をしてもし認可をしたといたしますと、すぐこの規定によりましてそのカルテルの変更を命ぜられたり、公取委員長が独自の立場で取り消しを要求することができるようになりまして、通産大臣は万々そういうふうな公取をむちゃくちゃな立場に追い込んでまで認可をすることは私どもはあるまいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/276
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277・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで私はどうしてもわからないのは、なぜ同意を協議に変えられたかという真意なんですが、たとえば衆議院の修正案を可決決定せられて、おまけに付帯決議がついているわけですが、付帯決議には要するに、通産大臣は公正取引委員会の意見を十分に尊重して、独占禁止法の法律の精神をそこなわないように留意しろと、こう書いてある。これをこのまま読めば、公取と協議がととのう範囲内においてやれと、こういうことなんです、これを翻訳すれば。そうすると、同意を協議に変えられたというのは、実質的な効果というものは何にもないんです。ないのになぜお変えになったか、こういうところにわれわれ非常な疑問を持つんです。先ほどもその点は言いましたがね、特にそうしたらあなたは最初は何でもないことだとおっしゃった。で、しようがないから、ではいよいよ参議院で修正をするときにこれは手を入れるかもしれない、そうしたところが、重大なるそれは変更だからやめてもらいたい、こういうお話、さっぱりわからないんだね。どういうわけです、それは。もう少し頭の悪い僕らによくわかるように説明していただきたい。あるときには簡単だとおっしゃるし、あるときは重大だとおっしゃる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/277
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278・山手滿男
○衆議院議員(山手滿男君) 公取という準司法的な機関が初めから商売の前面に押し出されたようなことで、司法機関のようなものが商売の内容の審議をする、こういうようなことは必要あるまいと。これは公取の立場は十二分に尊重してやらなければいかぬし、無理を言ってはいかぬが、商売は商売として外国との関係ですから、どんどんやらせた方がいいと、スタートだけはさした方がいい、こういう考えでございます。で、重大だと申しましたのは、この修正案はまあ中心になるものはこの二十日間ということと、それから同意を協議に変更したということが一つになってこの修正案の骨になる。片一方がとられますとちょっと二十日間というのもくずれていきますから、そういう意味でそういう言葉を使ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/278
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279・苫米地義三
○苫米地義三君 だいぶ長時間にわたって熱心に質疑応答が続けられましたが、ほぼ尽されたような感じもいたしますので、この辺で質疑を打ち切りをしていただいたらどうかと思いますので、私から質疑打ち切りの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/279
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280・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ただいまの苫米地君の動議に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/280
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281・海野三朗
○海野三朗君 それは委員長、はっきり衆議院の修正案についてはどうも納得がいかないんです。まるで意味がないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/281
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282・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それだから、今動議が出ていますから、それで委員長はただいまの苫米地君の動議に御賛成がありますかといって伺っておるところです。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/282
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283・吉野信次
○委員長(吉野信次君) そうすると、その動議が成立いたしました。それではこれにて質疑を打ち切ることにいたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/283
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284・吉野信次
○委員長(吉野信次君) それでは速記始めて。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにして、お述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/284
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285・三輪貞治
○三輪貞治君 私は、ただいま議題となつておりまする輸出入取引法の一部を改正する法律案に対しまして、後に述べます修正案を提出いたしまして、修正案を除く原案に対して賛成するものであります。
そもそもわれわれがこの法律の改正案に対します考え方を申しますると、われわれの修正がいれられない限りにおいては反対なのでございます。その反対の大きな二つの理由は、第一に、カルテルの強化による中小企業及び一般消費者の利益を圧迫しないかという点と、第二点は、輸出入調整法を直ちに中国貿易に適用することに関する点でございます。
初めのこのカルテの強化、独禁法の緩和の問題でございますが、これは一昨日公取委員長にもただし、また本日栗山委員からも同様趣旨の御質問がございましたように、この修正は戦後の経済民主化の大黒柱といわれました、経済憲法とまでうたわれました独占禁止法に大きな穴をあけるものとして注目をいたしておるところでございます。もともとこの輸出入取引法はアメリカにおけるカルテル禁止の唯一の例外となっておりまするウエッブ・ポメリン法にならって、貿易部門では一定の条件のもとでカルテル行為を独禁法の例外として認めていこうとすもるのでございます。世界貿易競争の激化に対応するため、今回さらにカルテル結成をやりやすくする通産省からの改正案が出されたわけでございまするが、この改正原案に対し経団連、あるいは財界からはもっと条件を緩和すべきだという修正の意見が出ておりまして、この財界の意見を大かた取り入れて民自の共同修正案なるものが出されたように思うわけでございます。そうしてこの結果、輸出商品に関する限り、貿易業者でもメーカーでもほとんど無条件にカルテル結成の申請ができるようになりました。認可申請をして二十日以内に通産大臣が認可、不認可をきめなければ自助的に効力を発生するという事実上の届出制が実現することになったのでございます。またその場合、通産大臣は公正取引委員会に協議をすれば足りるのでございまして、同意を得る必要もなくなったのでありますから、これは一昨日明らかにされましたように、また衆議院の商工委員会ではっきりその態度を表明されたように、横田公取委員長が非常なこれに対すろ批判をされ、反対の立場をとられたことも当然であるわけであります。貿易商品の取扱い分野に関しましては、独禁法の治外法権が拡大をされたようなものでありまして、法律の制定以来、後退に次ぐ後退をいたして参りました独禁法は、ここにまたしても重大なる譲歩をするということになった次第でございます。われわれもアメリカ直輸入の独禁法がそのまま日本経済にぴったりしたものでないということ、先ほど来の委員長の御意見にもございましたように、これは異議のないところであります。現に独禁法は制定以来、経済の実態に合うように各方面の緩和、手直しがそのために行われているのであります。カルテルに関するものだけを見ましても、独禁法自体の改正によって不況カルテル、合理化カルテルが認められました。単独法で独禁法の例外を認められたものといたしましては、今回のこの改正案あるいは海上運送法、中小企業安定法などによるカルテルがあり、このほかに独禁法の除外などに関する法律で一括して認められたものに中小企業等協同組合法並びに水産業協同組合法なるもののカルテルがあるのであります。このように独禁法もすでに貿易とか中小企業の部門で不況、合理化に対処する特殊の場合は例外を認めていたわけでございますが、従来はこうした際のカルテル認可の条件もなかなか厳格でありまして、一応カルテルは悪であるという根本理念が貫かれたように思うのであります。そこで独禁法を除いたいわゆる地下カルテルがあちこちに作られたり、石炭や繊維のように合理化カルテルが結成されるようになって参りましたが、さらに最近のように不況がひどくなりますと、各方面でカルテル結成の必要が痛感されるようになって、今国会にもわれわれが今から取り組もうといたしております石炭合理化法、今回の輸出入取引法の改正案、中小企業安定法の改正案を提案するに至っているのであります。そして財界の一部にはもっと進んでこうした部分的な緩和ではなくて独禁法自体の廃止あるいは大幅緩和を望む声も高くなっておるのでございまして、今回の輸出入取引法における民自共同修正案はまさにこうした財界の攻勢の第一波とでも解釈されなくはないのでございます。あまりにも厳格なカルテルを実施することによりまして、かえって地下カルテルを作らせるというようなことは過去の歴史においてもたくさんそれを知るのでございまするが、いわんや底の浅い日本経済で過剰生産の悩みの深い業界といたしまして、カルテル以外に救いの道はないのだ、だから一応カルテルは認めてそのうちで公共の利益に著しく反する悪いカルテルだけを禁止すれば足りるのではないかという意見も一応成り立つかもしれません。しかしわれわれはたびたび質問の過程において申し上げましたように、戦前においてカルテルの消費者並びに一般中小企業者に対するおそろしい影響をよく知っておるわけであります。今後のカルテルによる生産の集中並びに価格のつり上げ等が行われないという保証は何ら今までの質疑においても明らかになっておらないのでございます。公共の利益と経済力の充実ということがて経済基盤の薄弱な日本でとかく背反する傾向の多いことはわれわれも認めるのでございますが、しかしやはり優先されねばならないのは消費者の利益、広い国民層の利益でなければならぬと思うのでございます。そのためには現行の不況カルテル、合理化カルテルの認可申請の手続をもう少し緩和するとか、例外的なやむを得ないカルテルは認めるといたしましても、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進しようとする独禁法の根本理念だけはくずさないで生かしていかなければならないということは、これはひとり私だけの意見でなくして、たびたびの質疑においてもくどくどしくそのことが申されておるのでございます。かような意味におきましても、今回のこの民自共同修正案のごときは少し行き過ぎておる。こんな調子では日本の経済民主化もお題目に終るのではないかというふうに心配をいたしておるのでございます。
さらに第二の、さっき申しました輸出入調整法な直ちに中国貿易に適用することの問題でございまするが、今回の対中国輸出入組合設立とその取引の協定を目的といたしました構想は、これは昨年の七月、当時の吉田内閣の新経済政策の一部として発表になりました。ところが二十九年の九月通産大臣の諮問機関である輸出入取引審議会、その会員は八幡製鉄、富士製鉄、日立、東芝、三井物産、三菱商事、関西五綿等の経団連関係者ですか、これらが今度の地域別組合の大幅な改正を提案いたしました。またこれに基いて通産局では、去年の九月二十九日に輸出入取引法改正方針を発表いたしました。その後通産省は継団連、日本商工会議所、日本貿易会を中心にこの案を練り、この六月十六日に議会に提出という運びになったものであります。先ほどの御答弁では、このような民間団体との協議はされてなかったということは言明されましたけれども、われわれはそれをそのまま信ずるわけにはいかないのであります。これは通産省の御説明によりますというと、特定地域の輸出入を均衡させるためといい、また対中国貿易の窓口として全国一本の輸出入組合を作ることを掲げておりますけれども、法案をだんだん検討してみまするというと、さらに重要な問題といたしまして、日本産業のさき申しました資本系列化、すなわちカルテル化とその上に君臨する強力な官僚統制を目ざして出されていることが感じられてならないのでございます。
御承知のように、今春第三次日中貿易締結のために訪日いたしました中国貿易代表団歓迎及び協定締結に当りましては、政府はもちろん前記経団連、日商、日本貿易会は決して協力的ではなかったのであります。非協力的であったばかりでなく、妨害とさえも感じられる行動のあったことは皆さんがすでに御承知のところでございます。しかるに日中貿易促進発展に今日まで努力してきました日本国際貿易促進協会、さらに日中貿易会等には全く相談がなされずに、前に申しましたように、非協力と妨害さえも試みた経団連、日商、日本貿易会の提案によって今度の修正案が出されてきておることは、われわれとして警戒と不安を余儀なくせられておるところであるのであります。
さらに先もちょっと申しました官僚統制の拡大のおそれがあるという点でございますが、現行法におきましても輸出入に関して通産省令によるアウトサイダー規制ができることになっておりまして、修正案においてはその規制の範囲が一そう拡大され強化されようとしておるのでございます。すなわち協定締結の範囲が国内取引の面にまで及ぶことになるのではないかというおそれをわれわれは抱くのでありまして、その点はたびたびただしましたが、納得すべき御答弁を得ておらないのでございます。品質あるいは規格によってこれをば輸出品と国内品との区別をするということを申されておりますけれども、これは過去の実例に徴しましても、そのまま実行されるとは信じがたいのでございます。また協定締結、ないし組合員の順守事項の規定による規制が、その種々の事情で困難な場合には、通産省令によって規制することができるし、通産省令による規制が諸種の配慮から好ましくないときには、輸出の承認制の方針で規制することができるようになっております。しかもこの法律は、体刑に至るまでの罰則をもって官僚権力統制の実行を保障しようといたしておるのでありまして、要するに法案の前段では、いわゆる良主統制的な形をとっておりまするが、後段においては官僚統制の拡大が用意されておるのでありまして、全く政府の方針いかんでは、いかなる統制も行い得るように数段がまえの用意がなされている。かように考えるのでございます。
次に、この法律案に基いてできる輸出入組合設立について、通産省の説明によりますると、中国貿易の入超と、インドネシアの焦げつきとを口実にいたしまして、まず中国及びインドネシアを対象としてこれを作ろうとされているのでございまするが、これは質疑の間で十分にただしましたように、まず第一に、組合設立の目的は、現在の輸出入不均衡を是正することにあるとされておりまするが、現在すでに中国貿易は平等互恵の原則に基いて、バック・ツー・バックのバーター、取引が原則となっておりまして、正常な取引が行われておれば決して輸出入の不均衡は起らないのであります。実際入超の結果に相なっておりまする原因は、輸入は、日本経済の必要に応じて輸入いたしますけれども、輸出においては、日本経済の可能と要求を踏みにじりまして、広範囲にわたる輸出禁止を行なっているためであるのでございまして、その品目さえもわれわれには発表になっておらないのであります。中国が建設資材を中心に巨額の輸入希望を表明しており、日本の業界でもこれに応ずる要求と能力が広く深く存在しているにかかわらず、人為的な禁輸政策が第三国の干渉によって行われておりまして、この人為的障害を取り除かずして均衡をはかるとすれば、それは必ず縮小均衡の道をたどることは必然でございます。ポンド、あるいはドルの支払いをもって入超を防ぐという決意がなく、しかも一方において、この厳重なるココムの範囲の拡大に対しまして、吉田内閣から変って以来、はとんど改変はなされておらない実情等を考えますると、われわれは幾ら拡大均衡になるのだ、縮小均衡にならないという御書明をいただきましても、それをそのまま信ずることができない次第でございます。
その他いろいろございまするが、それらはその都度質疑をいたしまして、速記録にもございまするので、時間の関係等でこまごましくいろんな点について申し上げることを控えまするけれども、とにかく中国貿易は今まで民間団体である日中貿易会、あるいは国際貿促等が中心になって、困難なる中で、一方拡張推進の運動をなしてきたのでございまして、そのときには、政府は非常な冷淡な態度でひより見をし、あるいはほかのところに気を使っておったのであります。それがある程度かような軌道に乗ろうとしてきているやさきに、これを輸出入組合という一本化をいたしまして、官僚統制を強化するということは、われわれは決してその時宜を得たものではない。かような結論に達して、この点この法律案に実は反対をいたしているところでございます。
そこで先ほど委員長からお諮りのございましたように、この法律案に対しまして、以下述べまする修正案を提出いたしまして、皆様方の御賛同を得たいのでございます。まず、それを読み上げます。
以上が修正点でございます。
以下簡単に以上の修正点に対して御説明を申し上げますると、第五条の二の三項、四項、国内取引に関する協定の点でございますが、これは民自修正案は、認可申請を受理してから二十日以内に通産大臣がその協定の認可不認可の処分をせねばならない。その期間内に処分ができぬときは認可があったものと認めるものとするものでございますが、これは事実上届出制を実施するのと変りません。輸出取引のみならず、国内取引までも協定を事由に独占化を容易にするものであります。これを政府原案に引き戻し、公取委によって厳重に認可の条件を規律する必要があるという理由に基くのであります。
第五条三の第二項は、民自修正案は、前項規定を準用いたしまして、二十日を限って事実上の届出制を行いまして、その面についても独占化を容易にしておりますが、われわれは前項同様政府原案に引き戻し、認可条件を規定いたしまして慎重を期し、公取委の同意を必要とする認可制を堅持しようという意図に基くものであります。
第二十三条第一項第一号の削除は、中国地域を対象とする輸出入組合を現状においては不必要とする趣旨に基くものでございます。
第二十四条の追加の点でございますが、これは輸出入組合員の資格につきまして、過去の実績主義では自然大手筋中心となる危険がございますし、わが国の貿易は輸出入とも戦前以下の状態にあります。今後拡大されねばならないときでございますが、過去の実績を云々することは、新規業者の進出を阻害し、また戦前実績があり、経験深いものでありましても、現在いまだ営業の段階に至っていないものの復帰を不能にしてしまうおそれもございますし、かつ中小企業者は大手筋の圧力に屈してしまう等の点を考えまして、実績中心を排除いたしまして、新規に中小の企業が自由に加入し、正当な利益が保障されるように規定されねばならぬと考えたからでございます。
第三十四条の修正は、政府原案は同意となっていたにもかかわらず、民自修正案を協議にいたしまして、公正取引委員会を完全に締め出し、それを骨抜きにしたものでございまして、ただいまの修正案は不当な独占はあくまでも排撃する立場から、唯一の監視機関である公正取引委員会の正常な活動を確保せんとするものであります。従って本条項を政府原案の通りに戻すという趣旨でございます。
第三十八条はいわゆる中小企業者の意見の聴取でございますが、輸出に関する命令、輸入に関する命令、輸出入に関する命令、すなわちアウトサイダーの規制を行う場合におきまして、協定の変更を命ずる場合、中小企業者の意見を特に尊重し、その利益をはかる必要があると考えます。実際に大企業によって一方的に運営されるのではないかという危惧を持ちますが故に、これは行政指導によって民主的に運営されるように処理されなければならぬと思うのでございます。さらに申請に基くアウトサイダーの規制を行う場合、単にいわゆる提出書類を免許するだけでなく、当事者及び関係中小商社、メーカー等から直接意見を聴取し、命令の制定、改廃に慎重を期すべきであるという趣旨に基くものであります。
以上の理由によりまして、先ほど大へんくどうございましたが、読み上げました修正案を提出し、修正部分を除く原案に賛成いたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/285
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286・小松正雄
○小松正雄君 私は、ただいま提案されました三輪委員の修正案に賛成し、なお修正部分を除く他の部分に対して賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/286
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287・古池信三
○古池信三君 私は、自由党を代表いたしまして、本法案につきまして、次に述べまする修正を加えて、かつ付帯決議を付しまして賛意を表するものであります。
わが国の現状にかんがみまして、貿易の伸張がいかに重大なるものであるかということは申し述べるまでもないのでございます。近年国をあげて輸出の振興に努力をして参った結果、逐年輸出額が増加して参っておりますることはまことに御同慶にたえない次第でございますけれども、最近のいろいろの情勢を見ますると、その中には個個の業者の間において無用の競争が非常に激しくなって参りました。値下げ競争が行われて参っているのであります。本来の、事業の合理化によりましてコストを下げていく競争ならけっこうでありまするけれども、そうでなくただ売らんがために無用の安値競争をするということは、これは本来の貿易の正常化を非常に阻害するものでありまして、これによって貿易業者はもとより、これに関連する生産業者等にも非常に重大なる損害を与え、かつまた相手国の業者に対しても不測の不利益を与えるものであることはこれまた申すまでもないのであります。かような状態を放置しておきまするならば、わが国の貿易は漸次正常の軌道をはずしまして、はなはだ不健全な方面に向っていくおそれがあるのでございます。
そこでこの際あくまでも貿易の正常なる形において、公正なる競争によって健全なる発達をはかっていこうという意味合いにおきまして、今回輸出入取引法の改正案が提案されたことはまことに機宜に適した措置と言わざるを得ないと考えます。またわが国の輸出入の現情から申しまして、場合によってその輸出及び輸入の額におきまして、ある程度国家が調整をはかっていくということも、当然のことであろうと思うのであります。
かような意味におきまして、この改正案の提案自体につきましては、われわれ大いに賛成を表する次第であります。ただその中におきましては、いろいろと今までの審議の過程におきまして、貴重なる意見も委員の中から発表せられ、また重要なる質疑もございましたから、この法律の実施の場合において、政府は行政運営におきまして、これらの質疑の内容あるいは意見につきまして十分なる翫味を遂げられまして、万遺漏のない措置を構じてもらいたいということを強く要望する次第であります。
そこで私は修正案につきまして簡単に説明を申し上げます。
ただいまお手元にお配りしてございます一枚の刷り物が私の提案いたしまする修正案でございます。
輸出入取引法の一部を改正する法律案に対する修正案
輸出入取引法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第三章の改正規定のうち第五条第二項第六号中「国内の関係事業者」を「国内の関係中小企業者その他の関係事業者」に改め、第五条の二に次の一項を加える。
5 通商産業大臣が第一項の認可を申請に関し申請者に報告を求めたときは、その日からその報告を通商産業大臣が受理するまでの期間は、これを第三項の期間に算入しない。
第三章の改正規定のうち第五条の三第二項中「第四項まで」を「第五項まで」に改める。
第十一条に二項を加える規定中「第四項まで」を「第五項まで」に改める。
以上が修正案でございます。
その内容について簡単に申し上げますと、審議の間におきましても、この改正案の実施によって、わが国の中小企業者が不当に利益を害されはしないか、こういう心配が委員のうちから出ておったことは御承知の通りであります。私どももこれによっていたずらに大事業者をのみ利せしめ、中小企業者の利益を不当に圧迫するというようなことがあってはならないと考えます。よってこの法律のほかに第五条の第二項第六号にはっきりと「国内の関係中小企業者その他の関係事業者」と改めまして、中小企業者を例示としてはつきりここにうたおうという趣旨でございます。これによって法律の文面におきましても、中小企業者の利益を不当に害しないということをはっきりいたした次第であります。
修正の第二点は、衆議院送付修正案によりまして、政府は認可の申請がありましてから、二十日の間に認可または不認可の処分をしなければならない。右の期間内に処分をしなかった場合にはその期間が満了した日の翌日から、その申請にかかる協定については認可があったものとみなすという二カ条が修正されて追加されたのであります。よく考えてみますというと、業者が認可の申請をいたしましても、これに対して政府としてはいろいろ報告を求める必要が実際上出てくると思うのであります。その報告を求め、業者からその報告を政府に提出するまでの間というものは、これは当然この二十日間の期間の算定の上においてこれを入れるということは実際問題としていかがか、実際に即さないのではないかということを心配いたすのであります。従いましてそういう報告に要する期間は、この衆議院修正案の中の二十日間とは別に考える、すなわちその二十日の期間には算入しないということをここにはっきりいたしておくことが業者のためにも、また政府がその事務を正確にとる上からいいましても必要であろう、かように考えましたのでこの修正第二点を挿入した次第であります。
以下「第三章の改正規定のうち第五条の三第二項中」云々、「第十一条に二項を加える規定中「第四項まで」云云、この二つの事項は、これは法文の整理上必要でありまして、かように「第五項まで」というふうに改めた次第であります。
以上が私の修正案の概要でございます。御賛成をいただきたいと考えます。
次にただいまお手元にお配りしてございまする付帯決議の案について御説明申し上げます。
先ほど来各委員の質疑、意見の中にもございましたように、この取引法の改正によって、いわゆる独禁法の適用除外が拡大されてきたわけであります。しかしながら、あくまで独禁法の精神はやはりこれを尊重し、侵害してはならないと考えまする点が一つ、次に、先ほど法文の中は改正は加えましたけれども、あくまでも中小企業者の利益は政府は守ってもらいたいという強い希望が一つと、さらにまた第三といたしましては、輸出入組合が設立され運営するに当りまして、十分に政府は関係業者の意見を聞いて万遺憾のない措置を講じてもらいたいという希望と、同時に特定地域の輸出入の不均衡の生じたような場合におきましても、直ちに第二十三条第一項第一号の適用をする場合に十分に配慮を加えた上で万遺憾漏のない措置を講じてもらいたい。あくまでも輸出入の総額の均衡を得るということが必要でありまするけれども、これが縮小均衡にはならないように、拡大均衡に導くように十分な配慮を願いたいということ、以上の三一点でございます。
一応付帯決議案を朗読いたします。
輸出入取引法改正案附帯決議案
一、通商産業大臣は、本法の実施に当つて公正取引委員会の意見を尊重し、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の精神を害せざるよ留意すること。
一、政府は、本法による認可等の処分をなすに当つては、消費者並びに関係事業者特に中小企業者の利益を害せごるよう充分なる配慮を加えること。
一、政府は、輸出入組合の設立並びに運営については充分に関係業界の意見を聴き、指導上万全の措置を講ずるとともに、特定地域との輸出入不均衡の原因が、わが国産業にとつて重要なる原料ないし国民生活上重要なる貨物の輸入に係る場合においては、第二十三条第一項第一号の適用に関し充分なる配慮を加えること。
以上でございます。御賛成あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/287
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288・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ほかに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/288
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289・加藤正人
○加藤正人君 私は、ただいま提出されました社会党の修正案には反対します。しかして自由党提出の修正案並びに修正部分を除き衆議院送付案及び自由党提出の付帯決議案に賛成の意を表するものであります。
今やわが国の多年にわたる待望でありましたガットヘの加入もいよいよ目前のこととなって参りました。また国際経済は通貨の自由化を目ざしまして、前提となる貿易及び為替の自由化が着々と推進せられまして、国際経済はいよいよ熾烈化し、本格化しつつある今日、わが国の貿易の秩序を確立し、輸出の伸張をはかるべきことがまさに焦眉の急務と申さねばなりません。この意味におきまして、今回輸出入取引法が相当大幅に改正せられる意義はまことに大なるものがございます。政府のかかる意図に対しまして、私は大いにこれを多とするものでございます。しかしながらせっかくのこの政府の意図にもかかわらず、政府の原案はなおきわめて微温的であり、不満なる点が少くないのでございます。そのよつてきたるゆえんは、この法律に規定せられておる輸出入取引というものが現在の輸出入取引の実態に合致せず、実際とかけ離れているということ、つまり法律と実際が遊離しておるところに胚胎しておると申さねばなりません。本法が昭和二十七年に制定せられまして以来ここに三カ年、いまだに何ら見るべき実効を上げ得なかったのもけだしこの点に原因をしているものであります。今回の改正案をもっていたしましても、なおこの根本原因に触れるところがきわめて少いのであります。すなわち法律で規定しておる輸出取引の実態、つまり現在の輸出業者というものは、戦前のように自己の責任において相当のストックを持ち、これを有利なときに有利な条件に従って売りさばくという商社活動を行う実力を今日では全然持ち合せておらず、いわばその日その日のマージンをかせぐというのがその実態であります。今日では価格、品質、納期その他一切の取引内容は輸出業者だけでは決定できません。輸出業者と生産業者とが常に表裏一体の形において輸出取引が行われておるのが現状でございます。中には鉄鋼のように、実際の商談そのものもメーカーが行なっておるような場合も多く、またクレームの最終の責任も多くの場合メーカーがしょい込むことになっておるのでありまして、このことはわが国の重要輸出産業たる鉄鋼、繊維はもちろん、ミシン、自転車、陶磁器、雑貨等すべてそうなのでございます。このように今日の輸出取引の実態がそのまま正しく法律の上に反映していない結果、せっかくメーカーの協定を新たに認めておきながら、それはあくまでも補完的な立場にすぎない。輸出業者の協定だけでは実効が上らない場合等に限られておる等、そこに階段的差別が設けられており、また輸出業者の場合の届出制に反して、メーカーの場合は認可制であるというようなことになっております。これでは何よりも商機を失せず臨機応変的な機動性を最も必要とする輸出取引に当って、輸出業者と生産業者が真に表裏一体の形において熾烈な海外競争に拮抗していくことはとうてい不可能であることは明白であるばかりでなく、本法の第一議的な目的である過当競争の防止そのものも、前述したように現在の輸出業者がいわばその日その日のマージンかせぎに終始している限りにおいては勢い売らんかなが第一となりがちであることは否定はできません。この意味において法の第一義的目的をすら達することはとうてい期待しがたいのであります。かかる観点から今回衆議院において、メーカーのメーカー協定の場合に、前述いたしましたような段階的差別を除去して、輸出業者の場合と同列において協定が締結できることとしたこと、また通産大臣の認可に二十日の期限を付したこと及び公取の合点を協議に改めたこと等は、決してこれだけで十分だとは言われないといたしましても、現段階においてはまずまず妥当な修正であると申さねばならないのであります。
なお本委員会の質疑を通じまして明らかになったことは、本改正が中小企業を不当に圧迫するのではないかという懸念が各方面に非常に強いということであります。私はどうもその点がよく了解できがたいのでありますが、もしそれらの意見に従ってメーカーの協定を認めないということにすれば果してどうなりますか、この場合には国内業者の間の過当な競争が続き、投げ売り競争が依然として継続されるわけでありまするが、このような競争において大企業が有利か中小企業が有利か、今さら指摘するまでもないところであり、要するに食うか食われるかの競争になってしまうわけけであります。従ってこのような共食い競争を防止し、輸出の秩序を確立せんとするものでありますから、当然に関連中小企業の利益にも合致するはずであります。万一にもそのような心配が現実に起るようなときにはこれを是正する権限が政府に与えられているのでありまするから、全くこれは杞憂にすぎないと言い得るのであります。しかしながら私をして言わしめるならば、このような観念論からいたしておる心配も実は現実には多いわけでありますから、この意味におきまして、ただいま自由党の修正案が提出された次第でありまして、この点においては賛成をいたすわけであります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/289
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290・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ほかに御発言がなければ、討論は終結したものと見てよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/290
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291・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 御異議がないと認めます。
それではこれより採決に入ります。まず三輪君の討論中にありました両派社会党共同提案にかかる修正案を問題に供します。
右修正案に賛成の方の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/291
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292・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 少数でございます。よって両派社会党共同提案にかかる修正案は否決されました。
次に古池君の討論中にありました修正案を問題に供します。
古池君の提出の修正案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/292
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293・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 多数でございます。よって古池君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた衆議院送付案を問題に供します。
修正部分を除いた衆議院送付案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/293
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294・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 多数でございます。よって本案は多数をもって修正すべきものと議決せられました。
次に、古池君の述べられました付帯決議案を議題に供します。
付帯決議案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/294
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295・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 多数でございます。よって古池君提出の付帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/295
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296・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 非常に御熱心な御審議をいただきましてありがとうございました。幸いに御可決をいただき、厚くお礼申し上げます。
なお付帯決議につきましては、政府といたしまして、実行いたすことに努力をいたすことを申し上げまして、お礼にかえる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/296
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297・吉野信次
○委員長(吉野信次君) なお、本会議における口頭報告の内容、議長に対する報告書の作成その他の手続につきましては、慣例によって委員長におまかせを願いたいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/297
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298・吉野信次
○委員長(吉野信次君) ではさよう決定いたします。
多数意見者の署名をまたお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/298
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299・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/299
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300・吉野信次
○委員長(吉野信次君) 速記を初めて。
それでは本日は、これにて解散いたします。
午後七時二十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214461X03519550728/300
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