1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月十日(火曜日)
午後一時三十八分開会
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委員の異動
四月十三日委員木内四郎君辞任につ
き、その補欠として伊能芳雄君を議長
において指名した。
四月十四日委員伊能芳雄君辞任につ
き、その補欠として木内四郎君を議長
において指名した。
四月二十二日委員平林太一君辞任につ
き、その補欠として木村禧八郎君を議
長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 青木 一男君
理事
西川甚五郎君
山本 米治君
土田國太郎君
平林 剛君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
藤野 繁雄君
宮澤 喜一君
片柳 眞吉君
小林 政夫君
杉山 昌作君
前田 久吉君
岡 三郎君
野溝 勝君
中川 幸平君
政府委員
大蔵政務次官 藤枝 泉介君
大蔵省主計局法
規課長 村上孝太郎君
大蔵省主税局長 渡辺喜久造君
大蔵省理財局長 阪田 泰二君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 白石 正雄君
大蔵省銀行局特
殊金融課長 加治木俊道君
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本日の会議に付した案件
○農業共済再保険特別会計の歳入不足
をうめるための一般会計からの繰入
金に関する法律案(内閣送付、予備
審査)
○昭和二十九年の台風及び冷害による
被害農家に対して米麦を特別価格で
売り渡したことにより食糧管理特別
会計に生ずる損失をうめるための一
般会計からの繰入金に関する法律案
(内閣送付、予備審査)
○漁船再保険特別会計における給与保
険の再保険事業について生じた損失
をうめるための一般会計からの繰入
金に関する法律案(内閣送付、予備
審査)
○あへん特別会計法案(内閣送付、予
備審査)
○臨時通貨法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○国民金融公庫法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/0
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001・青木一男
○委員長(青木一男君) これより大蔵委員会を開きます。
農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案、昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案、あへん特別会計法案、臨時通貨法の一部を改正する法律案、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、以上いずれも予備審査の八法案を一括議題として、提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/1
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002・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) ただいま議題となりました農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案外七法律案につきまして、その提案の理由を説明申し上げたいと存じます。
最初に、農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。
昭和二十九年度におきまして風水害、冷害等が異常に発生しましたため、農業共済再保険特別会計の農業勘定における再保険金の支払いが増加し、同勘定において多額の歳入不足が生ずる結果となったのであります。そこでこの歳入不足をうめるために、昭和三十年度において一般会計から、二十八億円を限度としてこの会計の農業勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。なお、この繰入金につきましては、将来、この会計の農業勘定において決算上の剰余を生じた場合には、再保険金支払基金勘定に繰り入れるべき金額を控除して、その残額を一般会計に繰りもどさなければならないことといたしております。
次に、昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。
食糧管理特別会計におきましては、昭和二十九年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律に基き、米麦等を生産する農家で、台風並に冷害による著しい減収のため、その生産にかかわる米麦等がその農家の飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けた者に対し米麦を特別価格で売り渡したことによりまして約一億二千万円の損失が生ずることが見込まれるのであります。この損失をうめるため、昭和三十年度におきまして、一般会計から一億二千万円を限度として、この会計に繰り入れることができることとしようとするものであります。
第三に、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。漁船乗組員給与保険法の規定により漁船の乗組員の抑留を保険事故とする給与保険につきまして、昭和二十九年度において保険事故が異常に発生いたしましたため、第二十回臨時国会において成立いたしました漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からする繰入金に関する法律によりまして、とりあえず、一昨年十二月一日から昨年十月十五日までの間における損失をうめるため、一般会計からこの会計の給与保険勘定に千五百万円を繰り入れることができることといたしたのでありますが、その後も引き続き保険事故か異常に発生し、さらに、本年三月三十一日までに約七百万円の損失を生じたのであります。今回、この損失をうめるため、昭和三十年度におきまして、一般会計から七百万円を限度としてこの会計の給与保険勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。第四に、あへん特別会計法案につきまして申し上げます。今回、政府は、あへん法の規定により政府が行うあへんの収納、輸入、または売り渡しの事業に関する経理を一般会計と区分して行うため、新たにあへん特別会計を設けることが適当と考え、この法律案を提出した次第であります。
この法律案の内容の概略について申し上げますと、この会計におきましては、一般会計からこの会計に引き継がれるあへんの金額及び一般会計からの繰入金に相当する金額をもってその資本とし、あへんの売払代金、一般会計からの繰入金、けしの栽培許可に関する手数料及び附属雑収入をもって歳入とし、あへんの収納または輸入の代金、事務取扱費、災害補償金、都道府県への交付金、一時借入金の利子、その他の諸費をもって歳出とすることとし、その他、この会計の予算及び決算の作成並びにその提出に関する手続等特別会計に必要な事項を規定しようとするものであります。
第五に、臨時通貨法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
現在臨時通貨法上認められている補助貨幣は十円を最高の額面とするものでありまして、この系列をもってしては現在の経済取引の実情に即応し得ないうらみがありますので、同法の一部を改正し、新たに五十円の臨時補助貨幣を加えんとするものであります。次に、この五十円の臨時補助貨幣は千円を限度として法貨として適用する旨の規定を設けました。
次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、申し上げます。
国民金融公庫は、昭和二十四年六月に資本金十三億円をもって発足したのでありますが、その後たびたびの増資を行うとともに資金運用部資金の導入に努め、昭和三十年三月末では、資本金は百九十五億円、資金運用部借入金は百六十九億円、ほかに更生資金貸付基金三十一億円、計三百八十五億円の資金量を保有し、公庫発足以来本年三月までに千百七十五億円に上る貸付を行い、国民大衆の資金需要に応えてきたのでありますが、公庫に対する資金需要は、本年度においても相当の額に達することが予想されますので、昭和三十年度におきまして一般会計から二十億円を公庫に対して出資することとし、これに伴って公庫法第五条の資本金百九十五億円を二百十五億円に改めることとしたのであります。このほか昭和三十年度におきましては、資金運用部から八十五億円の借入が予定されていますので、これに既往貸付金の回収金三百九十五億円を加えて五百億円の資金が確保されることになり、同年度中における資金運用部に対する返済金三十八億円を差し引いても、なお、四百六十二億円の貸付が可能であると考えております。
最後に、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案について提案の理由を説明申し上げます。
現在の国民租税負担の状況に顧みまして、政府はこの際勤労者、中小企業者、農民等の低額所得者の負担軽減を中心として直接税の軽減をはかるとともに、資本蓄積の促進に資する等のために所要の措置を講ずることとするほか、地方道路財源の充実をはかる等のため、必要と認められる税制の改正を行い、これにより平年度約五百億円、初年度約三百億円の減税を行うことといたしております。このうち、所得税及び法人税に関する部分につきまして、ここに改正法律案を提出した次第であります。
以下順次二法律案についてその大要を申し上げます。
第一に、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
所得税につきましては、まず、基礎控除額を七万円から八万円に引き上げることといたしております。これによりまして、たとえば、給与所得者につきましては、夫婦及び子供三人の場合、給与の平均月額一万九千円程度までは所得税を負担しなくてもよいことになるのであります。
次に、税率につきましては、現行の税率が急激に累進して負担を加重する結果となっておりますので、これを緩和することといたしております。すなわち、今回の税制改正の趣旨に顧み、現行の税率適用区分のうち、課税所得二百万円を超える部分に対する税率については現行通り据え置くこととし、おおむね課税所得百万円までの部分について緩和をはかることとし、負担の軽減をはかることといたしております。
次に、給与所得控除の限度額は現在四万五千円となっているのでありますが、これでは給与の金額が年額三十万円の場合にすでに控除の限度に達することとなり、必ずしも実情に即しないと認められますので、これを六万円に引き上げることといたしまして、給与所得者の負担軽減に資することといたしております。
次に、資本蓄積の促進に資するため、生命保険料控除の限度額を一万二千円から一万五千円に引き上げることとするとともに、この際生命保険料控除制度についてその適正化をはかることといたしました、すなわち、保険期間が五年未満の短期の生存保険の保険料を本制度の対象から除外することとし、契約者配当金はこれを支払保険料から差し引くなど所要の措置を講ずることといたしております。なお、資本蓄積の促進に資するための措置といたしましては、別途御審議を願う租税特別措置法の改正により、臨時に預貯金、公社債等の利子課税の免除並びに配当所得に対する源泉徴収税率の引き下げを行うこととする予定であります。
さらに、青色申告者に対する専従者控除の限度額を、基礎控除額と同様に引き上げることといたしております。
これらの改正は、本年七月一日から実施することとしておりますので、昭和三十年分の所得税につきましては、月数按分により計算した初年度分の控除及び税率を定めておりますが、給与所得に対する源泉徴収につきましては、本年七月一日以降に支給される給与から、平年度計算による改正後の控除税率によって行うことといたしております。
以上に申し述べました控除及び税率の改正により、所得税の負担は相当軽減されることになるのであります。たとえば、給与所得者について申し上げますと、月収一万円の独身者は、現在の三百九十九円の負担が二百三十六円になって、四割余の減税となり、月収二万円の夫婦者は、現在の千四百七十六円の負担が千百八十九円になって、一割九分余の減税となり、月収三万円の夫婦及び子供三人の者は、現在の二千三百九十九円の負担が千九百二円になって二割余の減税となります。また、たとえば夫婦及び子供三人の事業所得者について見ますと、平年度におきまして、年所得三十万円の場合には、現在の二万六千七百円の負担が二万三千円になって、一割三分余の減税となり、年所得五十万円の場合には、現在の九万四千百円の負担が八万一千九百円になって、一割二分余の減税となるのであります。
第二に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。法人税につきましては、企業の資本蓄積の強化に資するため、普通法人に対する税率を百分の四十二から百分の四十に引き下げることとするとともに、解散した法人が継続しまたは合併することとなった場合における法人税の課税関係を明確にする等の改正を行うことといたしております。なお、別途租税特別措置法の改正により、輸出の振興をはかるため、輸出所得控除の限度額の引き上げ、住宅建設の促進に資するため、新築貸家に対する特別償却額の引き上げ等、所要の軽減措置を講ずることを予定いたしております。
このほか、所得税における外国税額の控除、法人税における配当金の益金不算入等について、その適用条件を緩和し、期限後申告の場合にもこれを認めることとするとともに、調整組合及び酒類業組合については、その性格に顧み、収益事業による所得以外の所得に対しては法人税を課税しないこととする等、各税法の規定について所要の整備簡素化をはかっております。
以上二法律案につきまして提案の理由と内容の概略を申し上げましたが、右に申し上げた措置により、本年度、所得税におきまして約二百三十億円、法人税におきまして約四十四億円のそれぞれ減収が見込まれるのであります。
以上ただいま議題となりました八法律案についてその提案の理由を申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/2
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003・青木一男
○委員長(青木一男君) 事務当局よりなお補充して説明する必要がございますればこの際……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/3
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004・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) ただいま提案理由の説明のありました八つの法律案の中で、農業共済再保険特別会計、食糧管理特別会計、漁船再保険特別会計の三特別会計に対しまする繰り入れ法案と、あへん特別会計法案の概略を御説明申し上げます。
お手元に差し上げましたガリ版刷りの資料がございますが、順序がそろっておりませんので、私の申し上げるように重ねていただきまして、それについて御説明いたします。農業共済再保険特別会計につきましては、横に長い収支見込表というのと、それから参照条文がございますが、これを一括していただきたいと思います。それからその次の食糧管理特別会計に関しまする繰り入れ法案の資料といたしましては、参照条文、昭和二十九年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律というのがございます。その次に一枚紙の、数字が横に書いてございます、米麦特別売却に伴う損失額積算基礎というのがございます。それを一緒にしていただきたい。それから三番目の漁船再保険特別会計に関しましては、これも横に長い、昭和二十九年度給与保険損失補てん金繰入算出基礎という、数字を説明いたしましたのと、参照条文、漁船乗組員給与法(抄)というのがございます。これを一括していただきたい。残りがあへん法、これはあへん特別会計法案の関係の資料でございます。
最初の三本の繰り入れ法案は、毎年同じようなものを御審議願っておるわけでございますが、本年度におきましても、昨年のそれぞれ損失につきまして一般会計から繰り入れをさせていただくという法律案を提出いたしております。農業共済再保険特別会計におきましては、昭和二十八年度は約百八十億円に達する大きな再保険金の支払い不足を生じましたが、昭和二十九年度におきましても約二十八億円の不足が見込まれ、かつ今後再保険金の支払いにつきまして、なお未定で交渉中の県が四県ばかりございます。これは水稲についてでございますが、奈良、熊本、宮崎、鹿児島という四県につきましてはまだ交渉中でございますので、それが決定いたしますと、ある程度増加するかと思うのでございますが、現在の段階で決定いたしました損失は約二十八億円と見積られるわけであります。お手元に差し上げました昭和二十九年度農業共済再保険特別会計農業勘定収支見込表という表がございますが、その一番左の欄に区分が書いてございますが、支払共済金(見込)と書いてございますのは、先ほど申上げましたように水稲につきまして四県ばかり、おもに九州の県でございますが、再保険金の支払いについてまだ決定いたしておらぬところがございますので、その点から見込みという数字になっておりますが、百三十七億四千八百八十七万九千円、それに陸稲、麦、蚕を足しまして、一番右の計が百七十億三千二百三万八千円、こういう支払共済金の見込額になっております。その下の欄に金額、被害率がございますが、水稲につきましては八・〇九%、予算上では五・九九八と見込んだわけでございますが、実際の被害率は八・〇九となっております。それから陸稲につきましては、予算上一七・七五七と見込みましたものが一三・七八%、これは金額が幾らか予算よりは減少しております。それから麦、蚕と、こういうふうな順になるわけであります。その支払共済金の約九〇%が支払保険金になるわけでございまして、それが三番目のところに書いてございます数字でございます。水稲におきましては百二十三億七千三百万円、合計しまして百五十三億二千八百万円、こういうふうになっております。この支払保険金に対しまして、共済組合の連合会が負担いたしますところの通常標準被害額というのがその下の欄に書いてございまして、水稲におきまして四十六億五千五百万円、総計で六十六億、これを支払保険金から差し引きました、その下の欄の水稲におきまして七十七億一千八百万円、総計八十七億二千三百万円というのが再保険金の要支払額になるわけでございます。それに対しまして、予算上見込んでおりますところの水稲におきまして四十七億八千三百万円、総計におきまして五十九億三千百万円で、二十七億九千百万円というものが再保険金の不足額になるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、まだ奈良、熊本、宮崎、鹿児島の四県におきまして再保険金の金額が決定しておりませんので、その点はまだ未定でございますが、一応確定いたしました二十八億円というものをこの際繰り入れさしていただくという法案を提出したわけでございます。これが第一番の農業共済再保険特別会計に対する繰り入れ法案の説明でございます。
その次が食糧管理特別会計に対する繰り入れの法律案でございますが、それはお手元にございます参照条文にございますように、去年の八月及び九月におきましてありました災害並びに昨年の冷害によるところの被害農家が飯米に不足する場合に、それに対して米及び麦をその参照条文の四条にございますように、「当該米麦の購入価格がおおむね左の各号に掲げる額となるように農林大臣が定める。」、これは大体生産者価格でございますが、生産者価格でもって売り渡すということの結果、食管に出ますところの赤字に対して補てんするという繰り入れ法律案でございます。その金額の基礎は、先ほど申し上げました「米麦特別売却に伴う損失額積算基礎」という一枚の表がございますが、大体対象農家は約十万戸と見積られております。そうしてそれに対して米穀一万八千精米トン、それから麦類四千百三十八原麦トンを、今申し上げましたような生産者価格に大体近い価格で払い下げるという結果起きる損失でございます。
まず、損失額というところで、米のほうの損失額の御説明を申上げますが、内地米のところに、カッコの中に一万百十五円という数字がございますが、これが小売値段でございまして、これで売れば食管は損をしないわけでございますが、先ほどの法律の第四条におきまして規定されておりますように、生産者価格におおむね近い価格というわけで、それからマイナスの小さなカッコの価格で売るわけでございますので、九千百二十円というのは生産者価格、生産者から買い取る価格でございます。百七十五円が包装代、マイナス百円と申しますのは、この米が飯米として売られます際に、おおむね小売の段階でもって買えますように、卸のところから小売までの運賃を逆に差し引いているわけでございます。この運賃をかけても、農家の買いますときの価格が生産者価格に近づくようにと、こういうわけでございます。これを差し引きました差額に対して、売り渡しますところの石数をかけた損害が八千五十一万六千円、こういうことになるわけでございます。
外米のほうはこれはポンド建でございますが、この価格は今申し上げましたように、小売価格とそれから生産者価格の差額という点では同じであります。ただいわゆる生産者価格に相当するところに五万四千三百七十円という数字がございますが、これは外米が内地産米に対しまして約八六%の格差にあるという点で計算いたしております。ここに包装代が載っかっておりませんのは、価格の建て方が外米におきましては包装代を差し引いて計算されている関係であります。この関係で三千二百九十四万円、合せまして一億一千三百万円というのが、米の安売りから生じます損害となるわけであります。
それから二番目の麦類もやはり同じような計算の仕方をしておりますが、売却予定数量は約四千トン、これに対しまして小売値段の千七百二十円と、それから生産者価格の千六百十二円に包装代を足して、卸から小売への運賃を差し引いた金額というものでもってこの差額を積算いたしております。あれはすべて五二・五キロの一俵当りの価格でございますので、四千百三十八トンの原麦トンにかけますときには五二・五という指数をかけているわけでございます。これによって約六百五十四万二千円の損失が見込まれているわけでございます。合せて一億千三百四十五万七千円ということで、一億二千万の金額を積算したわけでございます。
それから第三番目は、漁船再保険特別会計の赤字でございますが、これはお手元に差し上げました資料の「給与保険損失補てん金繰入算出基礎」という表を見ていただきます。昨年の補正予算におきまして千五百万円の繰り入れをしたわけでございますが、これは昭和二十八年の十二月一日から昭和二十九年の十月十五日までの給与保険勘定に生じました損失に対して補てんしたわけであります。その後も依然として抑留者が増加いたしまして、今年度、すなわち昭和三十年三月三十一日までの間にさらに七百万円の赤字を生じたということに対する繰り入れでございます。で、大体この保険関係の船員の抑留状況をちょっと前提として申し上げますと、二十九年当初におきまして約二百八十五人の抑留者が繰り越されたわけでございますが、それにさらに新しく二十九年度におきましては七百四人の抑留人員が増加しました。それに対して帰還されました人間が七百三十五人ということで、差し引き二百五十四人の残留人員をみております。この抑留及び帰還の数字から給与勘定の赤字というものが出てくるわけでございます。一番左の一番上に(イ)というところで「再保険金等支払」という見出しがございます。そこで三千九百二十万六千五百五十五円、これが昭和二十九年度におきますところの給与保険の支払総額でございます。この中で支出金額が三千九百万円、支出未済、その他と分れております。支出未済というのは、三月二十五日と二十八日にソ連に約五隻の船が新しく抑留されまして、その四十七人の乗組員の方に対する給与保険の支払が、債務は確定いたしましたが、支出が間に合わなかったという関係であります。これは当然四月の出納整理期間で出ておるわけでございます。それから「再保険料の収入」は、その次の(ロ)というところでございますが、二千九十六万九百五十四円、その中で収入済額、収入未済額でありますが、収入未済額は、これは宗谷漁船保険組合と長崎遠洋保険組合の保険料がまだ納入されておらんのでありますが、これも四月の整理期間中にはこれは納入されると見込まれております。合せて約二十二万八千円でございます。この保険料収入に前年度よりの未経過保険料の繰り越しがございます。この未経過の再保険の繰り越しが二百十一万円、それと本年度収入されました再保険料の収入でありましても来年度へ繰り越さねばならん未経過再保険料がございます。それが下にございます四百三十八万二千円であります。この四百三十八万二千円の積算の基礎はその右側の註の(イ)というところに書いてございます。この再保険料収入と、それから再保険金等の支払いとの差額がこの下にありますところの二千五十一万七千四百四十六円というふうな数字になるわけであります。(ハ)のところにA—Bと書いてあります、この二千五十一万七千四百四十六円に対しまして、昨年度の補正で先ほど申し上げました千五百万円という数字を繰り入れましたが、その千五百万円の中で、二十九年度分の不足と申しますのが、そこに書いてあります(ニ)の一千二十二万円というDの数字であります。これはすでに繰り入れておるわけであります。これを差引いて、さらに前年度積立金よりの補てんをその下の三百十七万四千円、これを差し引きますというと、結局このたび繰り入れを必要とする金額が一番下の(ヘ)というところでございますが、C−(D十E)七百十二万二千五百四十一円とこうなるわけであります。これをとりまして七百万円と、こういう数字になっておるわけでございます。これが漁船再保険特別会計に対するものであります。
それから最後にあへん特別会計法案の御説明を申し上げます。これは法案の本文を読んでいただきますが、御存じのように昨年十九国会におきまして法律第七十一号としましてあへん法が成立いたしまして、この法律によりまして国内産のあへんの収納、輸入または売り渡し等につきまして国が専属権を持つことになっております。でこれに基きまして、国は外国から輸入しますところのあへんと、それから国内で産出されますあへんとをそれぞれ価格の異るものを平準化いたしまして、その加重平均価格でもって国内に売るわけであります。いわばこれは財政法の第十三条の一つの事業でありまして、そうした経理を一般会計と区分しておくためにこの特別会計を設置するというのがこのあへん特別会計法の理由であります。
第一条にその設置の理由が書いてありますが、これは先ほど申し上げたことで大体御了解をいただきたいと思います。第二条の管理は、厚生大臣が管理するという例文であります。第三条の資本という規定がございますが、あへん特別会計はいわば国内産のあへん、あるいは輸入あへんが入ります間の時期的なズレにつきましても、この会計が常に一定の手持をしておりまして、それによって医療用その他に不足のないようにするという意味から申しまして、この特別会計に一定の資本を持たせようということで第三条の規定が生れておるわけでございます。そこに書いてございますように昭和三十年七月一日において一般会計からこの会計に引き継いだあへんというのが約五トンと見込まれております。それからその次に一般会計からの繰入金に相当する金額をもって購入するあへん、これが大体七トン半、三千五百万円予算上一般会計から繰り入れることになっております。
第四条はこの特別会計の歳入と歳出をどういうものにするかということの説明がついておるわけでありますが、歳入といたしましては、あへんの売り渡し代金、一般会計からの繰り入れ、これはさっきの資本の……、それからあへん法第四十六条の規定による手数料、これはあへんの国内栽培者があへんを栽培しようとしますときには許可を申請する必要があるのでございますが、その際に手数料を納めることになっております。その手数料収入をこの会計の歳入にする。それから附属雑収、これには恩給の納付金等が該当するわけであります。それから歳出としましては、国内産あへんの収納の代金、あるいは外国から買いますところのあへんの購入代金、それから事務取扱費、その次に「同法第三十三条の規定による災害補償金」と書いてございますのは、あへんの国内栽培者が不作によって平年度収納代金の十分の七を下回るときは、それと収納代金額との差額の二分の一を補償するという規定があへん法第三十三条にございますが、この災害補償費、それから「同法第四十七条の規定による交付金」、これは府県知事があへんの栽培関係につきましていろんな事務を代行いたしますが、その事務費用の交付というのがあります。こういうものが歳出のおもなものでございます。その他一時借入金の利子等々がここの第四条に規定しております歳出の中身でございます。第二項の「前項に規定する一般会計からの繰入金は、この会計の資本に充てるため、予算の定めるところにより、この会計に繰り入れるものとする。」というのは、先ほどの第三条に申し上げました資本として繰り入れるという意味だと、こういう規定でございます。
それから第五条は、これも特別会計の例文でございます。歳入歳出予定計算書を作成して大蔵大臣に送付する。その際にはこの特別会計としましては貸借対照表とか損益計算書はつけなければならん。それで、これは先ほど申し上げました資本というものを持つ会計でございますので、歳入歳出面は剰余金が相当出る場合がございます。というのは手持のあへんを売りまして年を越す場合にはその分だけが剰余金になるわけでございますけれども、これは現実の意味における損益計算から申しまして、たとえ損益計算に赤字が出ても、剰余金で出るという可能性がありますので、単なる歳入歳出の表だけではなくて、バランス・シートを出すように、損益計算をするようにという規定でございます。
その次の第六条、これも例文でございまして「歳入歳出予算は、歳入にあっては、その性質に従って款及び項に、歳出にあっては、その目的に従って項に区分する。」という規定でございます。第七条は、これも例文でございまして、一般会計の予算と一緒にこの会計の予算を作成して提出する。
それから第八条の規定は、これは損益処理、この会計において、損益計算上利益を生じたときにはこれを積立金に組み入れて、損失を生じたときにはその積立金からこれを補てんする。これは先ほど申し上げましたように特別会計といたしましては、安い外国から輸入しますあへんと国内産の高いあへんとをプール平均しまして、それによって国内のあへんの売り渡し価格をきめるわけでございますが、その国内産の数量及び外国から輸入する数量の見込み額が違う場合、あるいは外国産のあへん購入価格が違います場合には、そのプール価格に黒字ができて参りますが、これを積立金に入れて調整するという規定でございます。
それからその次の第九条は、これも普通の例文でありまして、決算上剰余金を生じたときは翌年度の歳入に繰り入れる。その他十条、十一条、十二条、十三条、すべて例文でございまして、他の特別会計と変ったものはございません。それから十四条、十五条についても同じでございます。
それでこの特別会計法を施行しますについて附則において必要なことが二、三あげてございますが、その一つ、厚生省設置法にあへん特別会計の経理を行うように規定しましたことと、それからこのあへん特別会計には職員が一人入っておりますが、この一人につきましての、退職手当支給の財源に充てるための一般会計への繰入金の規定を適用するために、その法律にあへん特別会計を加える、こういう規定でございます。
以上をもちまして、簡単でございますが説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/4
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005・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) ただいま提案になっております臨時通貨法の一部を改正する法律案、この御説明を簡単に申し上げます。
第二条の改正で、「十円」とありますのは「五十円、十円」というふうに直すことになっておりますが、これは臨時通貨法二条によりまして発行することのできる臨時補助貨幣の種類を変えたわけであります。この現在の二条によりますと、十円、五円、一円、それから五十銭、十銭、五銭、それから一銭と七種類の補助貨幣を発行できることになっておるのでありますが、それに今度は五十円を追加しようと、こういうことにいたしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/5
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006・野溝勝
○野溝勝君 資料がない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/6
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007・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) これは簡単でございますので、法案だけで……。
臨時通貨法の規定によりますと、十円から一銭までの七種類の規定が現在あるわけでありますが、現状におきましては、一円未満の補助貨幣につきましては、一昨年こちらでも御審議を経まして、小額通貨の整理の法律によりまして、一円未満の五十銭、十銭の通貨は現在通用を禁止されておるわけであります。なお一円の通貨はこの法律ではやはりそのとき発行しておりました一円の黄銅貨幣が鋳潰点になりましたので、これも通用禁止いたしましたので、現状といたしましては一円の補助貨幣は流通していない。一円につきましては日本銀行券だけが流通している、こういう形になっておるわけであります。それで一円のことにつきましてちょっと申し上げますと、一円の日本銀行券におきましては、何といいましてもそういう小額な通貨をああいう紙幣でやるということはいろいろ不便な点もございますので、実情等も考えまして、一円の通貨はまあ補助貨幣にする、こういうことにいたしまして、新たに一円の補助貨幣を作って、大体この六月初めごろから順次に日本銀行券の一円券と置きかえるようにいたして参りたい。これは臨時通貨法に一円という規定がございますので、そういうふうにいたして参るということで、現在手続を進めておるわけであります。そういうふうに一円の方はいたしましたが、なお取引の方の実情を見ますと、やはり現在の五十円の日銀券、これが現在四月末で二十八億八千万くらい流通いたしているわけでありますが、印刷能力の制約等がありまして、十分な量を出すことができません。なおやはりこういう小額な紙幣でありますので、非常にまあ耐久力が乏しく、わずかに八、九カ月くらいで使えなくなってしまう、平均してそれくらいで回収しております状態でありまして、このたびこの法律を改正いたしまして、五十円硬貨を発行して取引の便宜をはかりたい、こういうふうな考えでございます。
それから第三条の改正といたしまして「五十円ノ臨時補助貨幣八千円迄、」というふうに改めることになっておりますが、これは同時に他の補助貨もすべて硬貨としての強制通用限度を、その名目価格の二十倍ということにいたしておりますので、今回の五十円も同様に二十倍、千円ということにいたそうと、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/7
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008・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案について簡単に補足御説明申し上げます。
これはすでに提案理由説明書で政務次官から申し上げたところを、あえてつけ加える要はないと思いますが、大体現在国民金融公庫の総運用資金は四百億程度になっておりますので、その間の回収金もほぼ四百億程度の回収がある。従って大体一年一回転するような状況でありますので、相当の資金量を要し、一応回収金だけでもほぼ格好のつく程度のものになったのでありますが、なおかつこういった国民金融公庫の貸し出し対象となるそういった層からの要求が依然として増加の傾向にありますので、本三十年度は、前年度の実績を約五十億程度上回る貸付金ができるように、出資及び資金運用部からの借入金を予定いたしたのであります。出資のほうは法律事項になっておりますので、二十億円出資の増加をいたしまして、これを既往の出資額百九十五億円に加えまして、二百十五億円の出資といたしたわけであります。
以上簡単でありますが、御説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/8
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009・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 所得税法の一部を改正する法律案と、法人税法の一部を改正する法律案につきまして、内容の御説明を申し上げます。お手元に新旧対照表をお配りしておりますので、これによりまして、一応順を追って御説明いたしたいと思います。
まず所得税でございますが、二ページのところの、第三条の十二項に「調整組合及び同連合会、酒造組合及び同連合会、酒造組合中央会、酒販組合及び同連合会、酒販組合中央会、」こういうものを加えることといたしております。これはあとで御説明申し上げますが、法人税法の改正におきまして、これらの法人はただいままで普通法人として取り扱って来ておったのでありますが、これを公益法人として取り扱うように改正を予定しておりますので、それに伴いまして、所得税におきましても非課税法人とするという改正でございます。
次は第五条関係でございますが、これはいわゆる配当所得とみなして課税する場合の規定であります。これに一号を追加しようとしているわけでございます。これは解散いたしました法人につきまして、今回また法人税法におきまして一つの規定を設けようとしておりますので、それに関連いたしまして、所得税におきましてもここに規定を設けている次第でございます。解散いたしました法人につきましては、その清算中におきまして、その清算所得を課税するということになっているわけでございますが、この清算中の法人が、継続の決議をいたしまして、再び生き返ると、こういう例が最近あるわけでございます。ところが現在の法人税法におきましては、これに関しまする規定が明確を欠いておりますので、この際その点を明確にしようとしているわけでございますが、そこで所得税におきましても、その継続の決議をして、法人がいわば生き返った場合におきまして、清算中に一部分配をしておったといたしますと、これに資本金額等をまず分配したものだとして取り扱っておりまするので、生き返った場合は、元の資本金額で生き返る、そういたしますと税法上の資本金額と、生き返った場合の資本金額等に差が出て参りますので、その差額につきましては、これをみなし配当として取り扱う、こういうことで課税関係を明らかにしようとしておるわけでございます。なお法人税の説明のときにこの点につきましてはもう少し詳しく申し上げます。
次は第八条関係でございますが、五項におきまして、これは規定の整備でございますが、勤労学生の定義のところで、一時所得の条項を削った問題でありますが、これは一時所得は勤労に基いて得た所得というようには考えられませんので、その点の規定の整備をはかったわけでございます。
次は第十一条の六でございますが、対照表の九ページになっておりますが、十一条の六で、御承知のように生命保険料控除の規定でございまして、今回資本蓄積の見地から生命保険料の控除の限度額を一万二千円から一万五千円に引き上げるということを予定いたしております。同時にこれに関しまして生命保険の控除の適用制度につきましてその適正化をはかるために二、三の改正を行おうとしているわけであります。その第一点は、生命保険料につきまして所得税法上所得控除の特別の措置を講じておりますということは、生命保険料というものが長期貯蓄の意義を有すると、こういう点を考慮いたしたものでもあるわけでございまするが、この点を考慮いたしますと、きわめて短期のものにつきましては、所得控除の制度を適用することは必ずしも適当でないと考えられるわけであります。そういう意味で現在一年とか三年とかの短期の貯蓄性の性質を有するところの生命保険契約が存在しておるようでございますので、このようなものにつきましては、この際適用を排除しようというものでございます。規定といたしましては、「保険期間が五年に満たない生命保険契約について支払った保険料で命令で定めるものを除く。」という規定にいたしておるわけでございます。五年に満たないものとは、四年のものは実際に存在いたしませんので、三年以下の貯蓄保険というものが大体この対象となるわけでございます。もう一つは、生命保険契約につきましては、いわゆる契約者配当金として支払われておる事実があるわけでございます。この剰余金の分配につきましては、これもまた現在課税上必ずしも……明確を欠いておるわけでありまして、これはいろいろの考え方もあり得ると思うわけでありますが、一応生命保険料の払い戻しと、かように考えることが適当ではないかと思うわけでございます。そういたしますと、契約者配当金といたしまして剰余金の分配が行われた場合におきましては、それだけ生命保険料の払い込みが減少することになるわけでございまするので、所得控除の適用の対象といたしましても、その額だけはこれを差し引くということが適当であろうかと考えまして、今回改正をいたそうとしているわけであります。ただ剰余金の分配は、いつの分の払い戻しかというような議論も出てくるわけでありますが、これは配当があったときのそのときの保険料から差し引くということにして取り扱おうということを考えておるわけでございます。
それから十三条関係は、これは税率の改正でございます。
それから二十五条の四の第二項を今回設けておるわけでございますが、ただいままでのところは、外国税額の控除、それから変動所得の平均課税の選択、これは期限内の申告でなければ認めないということに取り扱っておりますが、外国税額の控除は、外国に一度払った税額の控除でございまして、これを期限後、期限前で区別するということは必ずしも適当でないと考えられまするので、この際、期限後申告においても認めるというように条件の緩和をはかろうとするものでございます。
十四ページ、第二十六条の確定申告の規定の第四項で若干の改正をしているわけでございますが、これは先ほど申し上げました生命保険料の控除の適用に関しまして、その実際の運用が必ずしも適正を得ているというように考えられませんので、その運用の適正を期する意味で、生命保険料を払ったその日時、金額等につきまして、これを証する書類を添付せしめる、あるいは呈示せしめるということにいたしまして、その適正化をはかろうとしているものでございます。
十六ページで、二十七条の関係でございますが、これは確定申告書を提出する場合に明細書を添付して出せという意味のことを予定申告の場合と同様に規定しようとしているわけでございます。
二十八条の二の関係でございますが、これは先ほど申し上げました外国税額の控除の関係と関連いたしまして、やはり繰り越し控除、それから雑損控除等の規定の適用の緩和をはかろうとする点と、それから生命保険料の適用に関しまして書類の提出を求めようとしている関係を同じように改正していることでございます。
三十六条の改正は、これは字句の点におきまして若干の整備をはかったものでございまして、実質的には大した問題はございません。
二十ページの三十六条の二でございますが、これは外国税額の控除を期限後申告におきましても認めるように改正することに伴いまして、その還付加算金の起算点を、ただいままでは申告期限から起算するということになっておりますので、それを提出の日というように改正しようとしているわけでございます。
二十六ページの六十一条の三の二項の関係は、先ほど申しました清算中の法人が継続をしたという場合におきまして、みなし配当の規定を設けましたことに伴いまして、この資料を提出するという意味におきまして、そのような法人は、政府と各株主、出資者に対しまして一定の事項の通知をしなければならないという規定を設けているわけでございます。
以上が所得税法の本文の改正でございまして、以上の改正に関連いたしまして、附則で若干の経過規定を設けております。附則の第四項は、三十年分につきましては、税率の改正、あるいは基礎控除の改正につきまして、初年度の特別の額を規定している関係の規定でございます。
第七項でございますが、これは先ほど五年未満の貯蓄的な生命保険契約につきましては、所得控除の適用を排除するという改正をしようとしているわけでございますが、すでにこの法律が施行になるまでに契約がなされているものにつきましては、既得権を尊重するという意味から、なおしばらくの間その適用を受けさせようという規定でございまして、現在は三年の契約期間のものが存在しておりまするので、それにつきましては、既得権を尊重するという意味から、三十三年までの所得税につきましては、なお従前通りに取り扱うという意味の規定でございます。
それから八項は、予定納税額、御承知のように予定納税額は前年分の所得税を基礎といたしまして予定納税額が定まることになっておりまするので、今回三十年分の所得税につきまして減税をいたしまするので、その減税の関係上、七月の予定納税額をやはり減額をしたところで予定納税していただくというようになるような改正をしているわけでございます。
あとは給与所得の源泉徴収につきましては、十二項で七月以降の分につきまして新法を適用するということ、それから退職所得につきましては六月三十日までの分につきましては旧法でとり、七月以降の分につきましては新法でとる。同時に旧法でとられた分につきましては、この法律が施行になりまして、三カ月以内に申し出ることによって、その差額を還付してやるという規定を設けているわけであります。
それから二十項にちょっと特別の規定を設けているわけでございますが、これは二十九年の改正によりまして、漁獲、原稿料というようないわゆる変動所得につきましての平均課税の取扱い方法を改正したわけでございます。この改正の趣旨は、御承知のように従来四年間にわたりまして調整をするというような複雑な規定であったわけでございますので、これを当年限りのものに打ち切るという改正であったわけであります。従いましてそれに伴いまして、従前から変動所得の取扱いを受けまして、なお今後調整すべき分が残つているようなものにつきましても同時に打ち切るということでやつたわけでございまするか、実情を調べてみますと、退職所得のようなものが従前平均課税の取扱いを受けているものがございまして、このようなものにつきましては、当年におきまして所得の生ずるということがあまり予想せられませんので、そういったものにつきまして調整の方法を将来にわたって打ち切ることがやや過酷になるというような事例も存在するようでございますので、こういったものを救済する意味におきまして、今回二十九年において打ち切られたものにつきましても、一回限り調整を認めようというのがこの二十項の規定でございます。この内容は相当複雑になっておりまするので、また御質問に応じて後刻御説明申し上げたいと考えております。
それから次は法人税法の改正の関係でございますが、まず第五条でございますが、これは先ほど申しました調整組合及び酒造組合等につきまして、今回公益法人として取り扱うという意味の改正でございます。調整組合はその事業の内容は、生産の調整その他のいわば一種の行政的な機能を営んでいるわけでございまして、いわゆる販売事業、生産事業といったような、そういった営利事業の一部を営んでいるというようには考えられませんので、従来普通法人として取り扱ってきたわけでございますが、必ずしもその考え方は適当でないということが考えられますし、かつまた出資も持たない、従って剰余金の分配もないと、こういう点もあわせ考えまして、収益事業を営めば
これにつきましては課税をするが、それ以外のものにつきましては、つまり調整組合の本来の事業につきましては課税をしない、こういう趣旨で公益法人として取り扱おうとしているわけでございます。酒類業組合につきましても同様の趣旨で、納税の協力というような点から設けられた組合でもございますので、調整組合と同一の取扱いをしようとしているわけでございます。特に酒類業組合につきましては、従来民法第三十四条の法人として公益法人としての取扱いをなされておった経緯もございますので、今回こういった改正を考慮したわけでございます。
それから第五条の二でございますが、これは清算中の法人が継続した場合の、先ほどの問題でございます。清算中の法人が解散をいたしますと、清算所得に対する課税を行うことになっておりまして、各事業年度の法人税は課税をしない。これが従来の五条の二の規定でございます。これは清算所得として一括して課税をいたしますので、各事業年度の法人税は課税しない、こういう趣旨でございますが、この清算中の法人が復活いたしますと、清算所得に対する課税というものが確定的に行われませんので、従いましてその清算中におきまして生じた事業年度の所得というものは課税をのがれてしまうということになるわけでございます。従いまして、継続したり合併をして、いわば法人が生き返ったという場合におきましては、やはり各事業年度の法人税を課税するというのが適当であるというのでただし書を設けたのでございます。
それから七条の事業年度の規定の改正は、清算中の法人が継続した場合につきましては、その事業年度の規定を合併の場合と同じように区切って考えるという意味の規定でございます。
九条の六項において設けておりまする改正は、特別法人の事業分量分配金の損金算入に関する規定の適用を期限後申告の場合におきましても認めるように条件の緩和をはかっている改正でございます。
それから九条の六の第二項の第五号に、先ほどの清算中の法人の生き返った場合におきまするみなし配当の規定を設けております。これは所得税のほうで申しましたみなし配当の規定と相関連した規定でございまして、清算中におきまして、法人が一部の分配をいたしますと、その分配はまず資本金額からなされたものとして取り扱っておるわけでございます。ところが生き返りますというと、これは考え方といたしましては、元の資本金額で生き返るわけでございますので、従いまして、資本金額から分配したと、かように考えられた額だけ、いわば税務の計算上は資本金が減少しているわけでございますので、会社の生き返る場合の資本金額と、税務の資本金額とを合致せしめる必要があるわけでございます。従いまして、今まで資本金額等から分配したとかように考えられたものが、いわば利益金額等から分配したものというふうに考え直す必要があるという意味におきまして、税務の計算の資本金額と、会社の計算の資本金額と、その差額につきましては、資本組み入れがあったものと考えまして、いわばその点におきましては配当所得と同じような所得がその当時に生じたものであると、かような考えで処理したいというのがこの規定でございます。
四十五ページの九条の九は、還付金等の益金の不算入は、従来の規定の整備でございまして、地方税等につきまして、若干規定が漏れておったと考えられる点がございますので、その点の整備をはかったわけでございます。
それから十二条の二の六項に、同じように、また清算中の法人に関連いたしました規定を設けておるわけでございますが、先ほど五条の二で、清算中の法人につきましては、各事業年度の法人税は課税しないと、こういう五条の二の規定があることを申し上げたわけでございますが、同時に法人が解散した場合におきましては、清算所得についての課税をするという規定はございますが、それ以外につきましては規定がないわけでございます。そこで十七条の三の規定、四十八ページでございますが、十七条の三におきまして、清算中の法人が継続または合併によって生き返ったという場合におきましては、どのような課税をするかという規定を設けたわけでございます。これは清算中の法人につきましては、各事業年度の法人税は課税しないけれども、一応清算所得に対しまする予納額として、各事業年度が来るごとに税を一応納付しておけ、その税はあとで清算所得に対する税額が確定いたしました場合において差し引くという、かような規定になっております。また一部分配がありました場合におきましては、その一部分配に伴うところの清算所得と考えられるものにつきまして税を納付しておけという、この二つの問題は、いずれも予納として納めるものでありまして、本来の税ではないと、現行規定はなっておるわけでございますが、今回、継続したようなものにつきましては、この点を明確にいたしまして、その予納として納めた税が、実は本来納むべき税であると、かように規定しておるのが、この十七条の三でございます。それで、それに関連いたしまして、一部分配をいたしましたような場合における清算所得の考え方を、それを六項において規定したわけでございます。
それから十九条の関係は、中間申告規定の改正でございますが、十九条と二十条の改正規定は、中間申告は事業年度が六カ月を超える場合におきましては、必ず中間申告をするということになっておりますが、法人が初めて設立せられたというような場合に、たとえば最初の事業年度が七カ月というような場合におきましては、六カ月で決算をして、それからさらにまた七カ月たちますというと、また決算をしなければならぬというような繁雑が予想せられますので、八カ月以下というような場合におきましては、中間申告は一応省略するということで、事務の簡素化をはかったわけでございます。
あと二十六条の五と、二十六条の六、これらはやはり還付関係につきまして若干規定の条件の緩和をはかった規定でございます。
なお二十六条の九の、最後の六十二ページのところに、相当長い条文を置いておりますが、これはやはり清算中の法人に関連したものでございまして、清算中の各事業年度において一応予納額として納める、この予納額として納める税から外国税額とか、それから所得税額というようなものは控除することになっておるわけでございますが、その場合に、これらの税額は、最後に清算所得に対する税額がきまりました場合におきましては、その清算所得の税額から控除する、あるいは還付すると、かようになっておるわけでございます。ところが、これが継続をいたしました場合におきましては、その還付の規定がございませんので、これもやはり同じように還付をする必要があるという意味におきまして、長々と規定を設けておるわけでございます。以上が本文の内容でございますが、附則におきまして、若干の経過規定を設けております。第二項は、法人税率を四十二から四十に引き下げる、この引き下げたものの適用関係は、昭和三十年の七月一日以降に事業年度が終るものから適用する。事業年度において適用区分を時期的に区分をしておるという規定でございます。
それから三項は、さようでございますが、中間申告が七月一日より前に来るというものにつきましては、中間申告は従来のままである。それから四項は、中間申告の規定に関連いたしまして、中間申告では、前事業年度の法人税の半分を納めるということになっておりますので、その前事業年度は四二%の税率であったわけでございますので、そのままにしておきますというと、四二%で納めたものの半分ということになりますので、これはやはり四〇%の分修正すべきであろうという意味におきまして、そういった経過規定を設けておるわけでございます。
それから七項以下に設けておりまする規定は、先ほど長々と申しております清算中の法人の関連につきまして、いろいろの経過的な規定を設けておるわけでございまして、清算所得の課税関係は、従来から再三変更になってきておるわけでございます。御承知のように二十五年のシャウプ改正によりまして、清算所得の課税は一度なくなったわけでございますが、それが二十八年の改正によりまして、現行のように復活したわけでございます。また二十年、それから二十二年、このころにつきましても、清算所得の課税関係は改正になっておるわけでございます。数回にわたって改正になっておりまして、しかもその適用関係は、解散した当時の税法の適用がある、かようになっておりまするので、現在、清算中の法人として存在しておりまするところの法人につきましては、各種の規定の適用があるわけでございます。従いましてこの際、復活に関する規定を設けるにつきましては、それぞれの法人につきまして適当な規定を設ける必要があるという意味で、ここに各種の規定を設けておるわけでございます。
その主たるものについて申し上げますと、二十五年から二十八年までの間に解散いたしました法人につきましては、シャウプ勧告で、清算所得に対する課税がなくなっておりまするので、何ら課税が今まで行われていない。従いまして二十五年から二十八年までの間のその事業年度の間に生じた所得につきましては、法人税を課税をするという意味の規定を設けると同時に、その後に分配せられて、そうしてその分配の部分につきまして、四十六の清算所得に対する税率の適用があったというものにつきましては、その四十六という中で、いわば各事業年度の法人税がとられておるような計算になっておりますので、そういった点を控除して調整をはかるというような規定とか、さらに二十二年ごろに解散になりまして、そのころの規定の適用を受けておるようなものにつきましては、やはり各事業年度の法人税をさらに課税をするという意味の規定というようなものを設けておるわけでございまして、さらに二十二年以前に解散をしたというような法人につきましては、また各種のその当時の規定がございますので、これは事例もきわめてまれであろうと考えられまするし、非常に規定が複雑になりますので、一応以上御説明しました趣旨に応じまして、適当な規定を政令で設けようという意味で、必要な事項は政令で定めるという意味の規定を設けておるわけでございます。
なお閉鎖機関令によりましては、今まで申し上げましたことに類した規定が設けられておったわけでございますが、この際法人税法でこのような規定を設けましたので、閉鎖機関令の方の規定を削りまして、そうして法人税法で全部処理をするということにいたしましたのが十四項、十五項の規定でございます。
以上で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/9
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010・青木一男
○委員長(青木一男君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/10
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011・青木一男
○委員長(青木一男君) 速記開始。
質疑は次回に譲りますが、この際何か御発言がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/11
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012・平林剛
○平林剛君 資料の要求をいたします。租税に関する特別措置を講じた法律の成立した時期と、大体その特別措置を講じたために減収になる見込みの数、あるいはそれ以外のものでもよろしゅうございますが、そういったものを一目で見てわかるような一覧表を御提出願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/12
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013・青木一男
○委員長(青木一男君) ほかに資料の要求がございますれば、いずれそのときに要求をいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00519550510/13
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