1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月二十六日(木曜日)
午後一時四十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 青木 一男君
理事
西川甚五郎君
山本 米治君
土田國太郎君
平林 剛君
委員
木内 四郎君
白井 勇君
藤野 繁雄君
宮澤 喜一君
小林 政夫君
岡 三郎君
菊川 孝夫君
野溝 勝君
政府委員
大蔵政務次官 藤枝 泉介君
大蔵大臣官房長 石田 正君
日本専売公社監
理官 宮川新一郎君
大蔵省主計局法
規課長 村上孝太郎君
大蔵省主税局長 渡辺喜久造君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 白石 正雄君
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本日の会議に付した案件
○交付税及び譲与税配付金特別会計法
の一部を改正する法律案(内閣送
付、予備審査)
○糸価安定特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○労働者災害補償保険特別会計法の一
部を改正する法律案(内閣送付、予
備審査)
○自動車損害賠償責任再保険特別会計
法案(内閣送付、予備審査)
○日本専売公社法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○昭和三十年分の所得税の予定納税及
び予定申告の期限等の特例に関する
法律案(内閣送付、予備審査)
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○租税特別措置法等の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○地方道路税法案(内閣送付、予備審
査)
○砂糖消費税法案(内閣送付、予備審
査)
○輸入品に対する内国消費税の徴収等
に関する法律案(内閣送付、予備審
査)
○国税徴収法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○関税定率法等の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/0
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001・青木一男
○委員長(青木一男君) ただいまより委員会を開会いたします。
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案、
糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案、
労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案、
自動車損害賠償責任再保険特別会計法案、
日本専売公社法の一部を改正する法律案、
昭和三十年分の所得税の予定納税及び予定申告の期限等の特例に関する法律案、
以上いずれも予備審査の六法律案を一括議題として、政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/1
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002・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案ほか五法律案につきまして、提案の理由を申し上げます。
最初に交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を申し上げます。
政府におきましては、今般、地方財政の現況にかんがみ、地方財源の充実確保をはかるための措置といたしまして、地方道路税を創設して、その収入額を道路に関する費用に充てるために、地方道路譲与税として都道府県等に譲与することとするとともに、本年度の日本専売公社の収益のうちから三十億円をさいて、たばこ専売特別地方配付金として地方交付税と同様の方法により地方に配付することとし、また、入場譲与税につきまして、その譲与時期及び譲与時期ごとに譲与すべき額を改めるほか、特に本年度に限り入場税収入の一割相当額を一般会計に繰り入れることをとりやめ、その全額を地方に譲与することとし、これらの措置に関しまして、今国会に、地方道路税法案、地方道路譲与税法案、日本専売公社法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案及び入場譲与税法の一部を改正する法律案を提案いたしているのでありますが、これに伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計法におきましても所要の改正を行うことといたした次第であります。
以下、改正の要点について御説明いたしますと、まず第一に、地方道路譲与税に関する制度の創設及び昭和三十年度のたばこ専売特別地方配付金に関する措置に伴いまして、地方道路税の収入及び日本専売公社から三十億円を限り納付される金額をこの会計の歳入とし、地方道路譲与税の譲与金及びたばこ専売特別地方配付金をこの会計の歳出として経理することとし、第二に、本年度の入場税収入の一割相当額の一般会計への繰入停止に伴い、本年度に限り、第五条の繰入に関する規定を適用しないこととし、第三に、譲与税の譲与時期のうち三月において譲与すべき金額中に同月に収納すべき税収入の見込額をも含めることとしたことに伴い、この会計において支払上現金に不足を生ずる場合も想定されますので、新たに、この会計に一時借入金又は国庫余裕金の繰替使用に関する制度を設けることといたしたのであります。
次に糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
今回の改正の第一点は、今国会において、別途御審議をお願いいたしております繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に伴うものであり、繭価維持のための補充措置として、政府は、最低価格による生糸の買い入れによるのみでは繭の価格が一定の額を下ることを防止することが困難であると認める場合において、農林大臣の指定する者が、農林大臣の承認を受け、一定の条件を遵守して、繭を一定期日まで保管したときは、その繭を、糸価安定特別会計において、買い入れ、その買い入れた繭を売り渡し、もしくは加工し、または生糸と交換することができることとするとともに、繭価維持のための助成の経費を支出することができることとする等の改正をしようとするものであります。
第二点は、従来、この会計においては、繭及び生糸の価格の異常な変動を防止するために、三十億円余の資金をもって、最低価格による生糸の買い入れまたは最高価格による生糸の売り渡しを行うこととしておりますが、繭及び生糸の価格の安定のため、この会計が必要とする数量の繭及び生糸を買い入れるには、その資金が不足することが予想されますので、今回、新たに、この会計において、支払上現金に不足があるときは、三十億円を限度として一時借入金等をすることができることとしようとするものであります。
なお、右の改正に伴い必要な規定の整備を行おうとするものであります。
次に労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
今回政府は、別途、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案を提出いたしまして、その御審議を願っているのでありますが、同法案は、このたび提出いたしました労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案と密接な関係のある法案でありますので、まず簡単に同法の骨子を申し上げますと、同法案は、けい肺を誘発するおそれのある粉じん作業すなわち土石または鉱物の掘さく、破砕、裁断等を行います場所等における作業に従事する労働者に対して、健康診断、けい肺の症状の決定等を行いまして、けい肺にかかった者の早期発見に努め、その者の病勢の悪化の防止をはかるために作業の転換を勧告し、この者に対しては転換給付を行い、さらに、けい肺及び外傷性脊髄障害にかかった者に対して療養の給付、休業給付等を行い、もって労働者の生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的としたものであります。
しかして、右特別保護法案を実施いたします場合においては、同法による転換給付、療養給付、休業給付等に関する政府の経理を明確にするため、その経理は、現行の労働者災害補償保険特別会計において行うこととするのが適当であると考えまして、同特別会計法について所要の改正をするため、この法律案を提出した次第であります。
次にこの改正法律案の概要について申し上げますと、
第一点は、現行法第一条においては、この特別会計の目的として労働者災害補償保険事業に関する経理をすることを規定していますが、これに今回のけい肺関係の経理をもこの会計において行うことを追加した点であります。
第二点としては、現行法第三条においては、この会計の歳入歳出の内容を規定しておりますが、これに、今回のけい肺関係にかかる歳入歳出となる事項を追加した点であります。
第三点は、先に申し上げました特別保護法案の施行後において最初に行わるべきけい肺健康診断、機能検査等に関する経費については、国が負担することになっていますが、それは経過的のものであるので、附則でこの会計の歳出とすることを定めた点であります。
次に自動車損害賠償責任再保険特別会計法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
今回政府は、自動車の運行によって人の生命または身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護をはかり、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的として、別途、自動車損害賠償保障法案を提出して御審議を願っているのでありますが、同法案によりますと、自動車の所有者は、特定のものを除き、その自動車損害賠償責任について保険会社と賠償責任保険契約を締結しなければならないことに定められており、政府は、右の保険者たる保険会社の保険責任を再保険するとともに、自動車損害賠償責任保険の範囲から除外された自動車事故の被害者の救済の一方策として、自動車損害賠償保険事業をも行うことになっているのでありまして、同法を実施することとなる場合には、政府の自動車損害賠償責任再保険事業及び自動車損害賠償保障事業の経理を明確にするため、一般会計と区分して新たに自動車損害賠償責任再保険特別会計を設けることが適当と考え、この法律案を提出した次第であります。
次にこの法律案の概略について申し上げますと、この会計におきましては、保険勘定、保障勘定及び業務勘定の三勘定に区分し、保険勘定におきましては、再保険料、自動車損害賠償保障法第四十六条の規定による保険会社からの保険代位等による納付金、借入金その他をもって歳入とし、再保険金、再保険料の払いもどし金、借入金の償還金及びその利子、一時借入金の利子、保障勘定への繰入金その他の諸費をもって歳出とし、保障勘定におきましては、自動車損害賠償保障事業賦課金、他の会計からの繰入金、保険勘定からの繰入金、自動車損害賠償保障法第七十六条の規定による代位等による収入金、同法第七十九条の規定による過怠金、借入金その他をもって歳入とし、同法第七十二条の規定による被害者等に対する支払金、業務勘定への繰入金、借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子その他の諸費をもって歳出とし、業務勘定におきましては、一般会計からの繰入金、保障勘定からの繰入金その他をもって歳入とし、自動車損害賠償責任再保険事業及び自動車損害賠償保障事業の業務の取扱に関する諸費をもって歳出とすることとし、その他、この会計の予算及び決算の作成並びにその提出に関する手続等、特別会計に必要な事項を規定しようとするものであります。
次に日本専売公社法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案は次の二点を骨子といたしているものであります。
第一は、本年度の地方財政の状況にかんがみまして、本年度に限り、たばこ専売特別地方配付金として、三十億円を、日本専売公社が、政府の交付税及び譲与税配付金特別会計に納付すべきことといたそうとするものであります。
第二は、たばこ専売法等において準用する国税犯則取締法に基く通告の処分により納付される金銭及び物品の取扱いは、従来国が日本専売公社の役職員に行わせていましたのを改めて、日本専売公社が国に代ってこれを行うこととし、これに関する所要の規定を設けることといたしております。
その他、所要の規定の整備をはかっておる次第であります。
最後に、昭和三十年分の所得税の予定納税及び予定申告の期限等の特例に関する法律案について、提案の理由を申し上げます。
所得税の改正につきましては、すでに所得税法の一部を改正する法律案を提出して御審議を願っているところでありますが、同法律案におきましては、本年七月から改正を実施することとし、本年分の所得税の予定納税につきましても、改正後の所得税法によることを予定しております。しかしながら、現行所得税法の規定によれば、予定納税額の通知は、毎年六月十五日までに行うこととし、これに応じて予定納税に関する各種の期限が定められておりますので、本法律案は、この予定納税額の通知期限、その他六月及び七月に行われる予定納税に関する各種の期限を変更して、減税後の所得税額により予定納税を行うことができるようにしようとするものであります。
以上、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案外五法律案につきまして、その提案の理由を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/2
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003・青木一男
○委員長(青木一男君) 次に、ただいまの六法案につきまして、順次事務当局より補足説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/3
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004・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) 補足説明を申し上げます。
最初に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
お手元に配りました新旧村照表をごらんになっていただきます。傍線がございますが、傍線の左を右のように改正したいという意味でございます。この交付税及び譲与税配付金特別会計と申します特別会計は、地方の自主的財源をここに集めまして、それを配付するという機能を営んでおりますが、その財源となりますところの、いろいろな収入源が、本年度におきましては、昨年の交付税及び入場税、及び二十九年度限りの揮発油税という三つの財源、そのうちの揮発油税だけは二十九年度限りでなくなりまして、その代りに、先ほど提案理由にありましたように、新しく地方道路譲与税というものが創設されます。これは地方道路税として国税で収納されたものを、地方道路譲与税として地方団体に配付するわけであります。約七十二億円の金額が計上されておりますが、この地方道路税の創設に伴いますところの歳入、及び地方道路税譲与金を配付しますための歳出の改正、こういう点が実体的にまず第一の問題になるわけでございます。
その次には、同時に提案されておりますところの専売公社法の改正の中にございますように、昨年十九国会で、大蔵大臣が約束されました、約三十億円の専売益金を地方に配付するという、その約束に基きまして、本年度これを、たばこ専売特別地方配付金といたしまして、地方公共団体に配付することになりまして、専売益金からこの特別会計に直接受け入れられることになっております。これは本来ならば、たばこ消費税として税金を地方に譲与することになるわけでございますが、今年は年度途中でございまして、税率その他の関係から、こういう形で特別に専売益金をこの特別会計に収納するという形になっております。これが実体的に第二の改正の主体をなしております。
第三の問題といたしましては、御存じのごとく、地方公共団体の財政的な窮乏その他にかんがみまして、昭和三十年度に限りまして、入場税の収入の十分の一、これは従来入場税収入の十分の一は一般会計に繰り入れることになっております。残りの十分の九が譲与税として地方に配付されることになっておったのでありますが、今年度に限りまして、その一般会計に繰り入れるべき十分の一も、これを地方公共団体に配付するということになっております。これが改正の第三点でございます。
他の改正は、これはまあ手続的なものでございまして、たとえば従来の譲与税の配付時期を、三月分は三、四、五とまとめまして、翌月の六月に地方公共団体に配付したのでございますが、今年度はそれをさらに繰り上げまして、一、二、三の三カ月を三月に配付するという形になっております。地方公共団体の資金繰り、あるいは財政状態を緩和するためでございますが、そのため三月分は、これは見込み額で配付するという形になっておりまして、その財源となりますものは、いまだ現金が、租税収納資金からこの特別会計に入っておりませんので、今度一時借入金、あるいは借入金借りかえという制度を恒久的に付置したわけであります。二十九年度限りに一時借入金の制度がございましたが、これは二十九年度限りの制度として、付則にうたわれておったわけでありますが、今度はこうした繰り入れ時期の改正の点から、恒久的な制度として本法に入れております。こういうような改正がおもなる点でございます。
逐条的に申し上げますが、第三条の歳入及び歳出のところで追加されておりますのは、今申し上げました地方道路税の新設ということによりますところの、歳入の科目がふえたという改正でございます。そのあとの「第十三条第三項ただし書の規定による一時借入金の借換による収入金」と申しますのは、これはただいま申し上げましたような一時借入金の年度越しの借りかえの制度を恒久化する結果、第三条の歳入の中に規定したというわけでございます。その次の歳出の面におきましては地方譲与税譲与金、従来は入場譲与税譲与金だけでございましたが、地方道路税譲与金が入りますので、それをくるめて、地方譲与税譲与金というような規定のいたし方をいたしまして、カッコの中で、入場譲与税の譲与金と、地方道路譲与税の譲与金に分れるというように改正をいたしました。
その次には歳出といたしまして、一時借入金の借りかえをした場合の償還金及び利子、あるいは一時借入金の利子というものを歳出にいたしました。これも先ほど申し上げましたような一時借入金制度の創設に伴うところの、本法の歳入歳出の規定でございます。
その次の十二条は、先ほど申し上げました三月分の譲与税を、三月に見込み額で地方に配付するということになりました結果、現金収入がなくても配付いたさなければなりません。そのため、一時借入金制度を創設した、しかも、それを年度越しに借りかえることにいたしております。
十三条は、その一時借入金及び借りかえの制度、一時借入金ができます会計は、一時借入金をする代りに、国庫余裕金を繰りかえ使用することができます。その規定が十三条に新しく置かれたのであります。その内容は例文でございますから、説明を省略いたします。
第十四条は、一時借入金制度を創設いたしました結果、国債整理基金特別会計への繰り入れの規定が、新しく必要として加わったわけでございますが、これも例文でございます。
その次の改正は、これは単に十三条を十五条にしたという整理だけでございます。
あとは付則にございます先ほど申し上げました、たばこ専売特別地方配付金という、新しい地方公共団体に対する配付金ができまして、そのソースが、専売益金から三十億今年度はさかれて、この特別会計に収入されるということを申し上げましたが、その規定がおもなるところでございます。
付則の各項について御説明を申し上げますと、第四項の「第五条の規定は、適用しない。」というのは、先ほど申し上げました入場税の十分の一を一般会計に繰り入れるという制度を今年やめました結果、第五条のその規定を停止するという意味でございます。次は、四項を五項に繰り上げました規定、及びその改正は、昭和二十九年度に限りまして、揮発油税の三分の一を揮発油譲与税として、この特別会計は地方団体に配付されるわけでありますが、その収入見込み額は決算と違っております。昭和二十九年度の予算では、揮発油税は二百三十七億円というような見込み方をいたしまして、その三分の一の七十九億円が、ガソリン譲与税として地方団体に配付されたわけでございますが、実際には二百九十億円ございます。従ってその三分の一の九十七億円は見込額に対しまして約十九億円ばかりの増加になるわけでございますが、それは今度できます地方の道路譲与税法の付則におきまして地方道路税とみなすという形で、昭和三十年度または三十一年度において一般会計からこの会計に繰り入れることとなったわけでございます。この新しくできました四項に五項を繰り上げた規定の改正の趣旨はそういう意味でございます。五項が削られましたのは、旧五項の規定は、この収入見込額がむしろ実績より多かった場合に、逆にこの特別会計から一般会計に返還する必要があったわけでございますが、現実には収入見込額に対して実績が増加しておりますので、この規定が事実上要らなくなったというわけから削除してございます。十一項は、これは非常に複雑な規定でございますが、この趣旨は、昭和三十年度限りの新しい歳入と、それから歳出の事項をここに追加しているのでございまして、その主力をなしますものは、先ほど申し上げました日本専売公社の益金を昭和三十年度の歳入とするということと、それからたばこ専売特別地方配付金を昭和三十年度の歳出とするという、臨時的に歳入歳出に、このたばこ専売益金の関係を追加するという改正でございます。
これで交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案の御説明を終ります。
次に糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案の御説明を申し上げます。
これもお手元に差し上げました新旧対照表を御覧になっていただきます。この特別会計法の改正のもとになりまする実体的な、実体法の改正は繭糸価格安定法という実体法ができまして、これは別途農林省から国会に提案されておるわけでございますが、その中で二つの点が非常に大きな改正となっております。その実体法の改正に伴いますところの特別会計法の改正がここに出ておるわけでございます。
まず第一点は、従来繭糸価格安定法の建前といたしましては、生糸が十九万円よりも安くなりますと、この会計で買い上げまして、それが二十三万円になりますと、この会計が売るという、十九万円から二十三万円の間の価格の安定帯に対して、この特別会計が生糸を買い入れ、あるいは売り払うという、てこ入れ操作によって価格安定の機能を営んでおったわけでございます。ところがこの生糸の価格の安定ということと、さらに繭の値段の安定ということも、これは相互に、相関的な関係にあるわけでございますが、繭糸価格安定法の目的といたしましては、この両者の価格の安定ということが目的となっておりまして、生糸の買い入れ、あるいは売り払いという操作だけで繭の価格の異常な低落というふうなものを直接的に防止し得ないときに、繭についてもこれを買い入れて、繭の価格の安定をも直接的に操作する手段が欲しいというわけで、繭糸価格安定法におきまして繭の買い入れについても新しく規定をすることになったわけでございます。その関係の改正が第一点でございます。これは具体的には、繭の価格が農林大臣が定める一定の価格を下ることになりますと、まず農業協同組合が乾繭の共同保管をするという形で、一定の数量を流通市場から引き揚げるという形でまず価格のてこ入れをするわけでございますが、しかも一定の期間、この農業協同組合の共同保管が続きましても価格がなかなかもとへ戻らない、従って共同保管をした乾繭が売り払えないというときに、この特別会計が購入するわけでございます。で、この購入した乾繭を、乾繭といたしましては長い貯蔵に耐えませんので、交換したり加工したり、あるいは貯蔵の直接の経費というものを支払ったり、この特別会計がいたさなければならぬわけであります。そうして一定の繭の価格が回復しましたときにこの特別会計としては売り払う、こういようなことになります。そうして、この繭の買い入れ、売り渡し、あるいは交換、加工、貯蔵という経費の出し入れが特別会計として新しく追加されるとともに、先ほど申し上げました農業協同組合の共同保管費というものにつきましても、その一部、たとえば金利、倉敷というものを補助することになっております。その補助制度が新しく追加になったという関係、これが繭の価格の安定のためにこの特別会計法を改正するという必要が生じたわけであります。
第二の点は、これは従来この特別会計の資金といたしましては一般会計から三十億の出資金がございまして、この三十億円の資金によりまして、繭、生糸の市場価格というものの、てこ入れを考えておったわけであります。そのときには今から五年ばかり前の経済条件を前提といたしまして計算をされておりましたので、現在の生糸の価格の値上り、あるいは生糸の生産量そのものの増加という点から、このてこ入れ資金が、買入れ資金が十分ではないというふうなことになって参りましたので、この際、新しく生糸価格あるいは繭価格に対するてこ入れのための資金としてはどの程度が妥当であるかという計算をし直しまして、新しく資金的な手当をしたわけであります。この資金的な手当といたしましては、証券の発行、あるいは一時借入金、さらにその一時借入金の借りかえ、あるいは借入金の制度というようなものによって約三十億円の資金を追加して、従来までありました三十億の一般会計からの出資金と合せまして、六十億円の資金で生糸あるいは繭価格の安定をはかりたい、こういうふうな改正をここでお願い申し上げておるわけであります。
まずこの六十億の資金的な基礎と申し上げます点は、これは非常にむずかしい数学的な結論でございますが、昭和二十四年の六月に生糸の統制が撤廃になりましてから以降の生糸の平均の糸価というものを、一体毎月の生糸の市場価格がどういうふうに変化しているか、その度数、分布の確率を求めまして、結論的に一五%以上の価格のズレが起った回数は大体約一〇%であるというふうな結論から、ここ数年間の生糸の生産量約三十万俵と見まして、その三十万俵の約一割の三万俵に対して十九億円をかけた五十七億円という一応計算をいたしております。これは生糸の買入れ資金といたしまして、従来の実績からある程度有効なものであるというふうな建前から、この三十億円の資金の追加という措置をお願いしておるわけであります。
この二つの点がおもなこの特別会計法の改正の理由でございます。
そこでお手元の新旧対照表で簡単に御説明申し上げますと、
第一条の改正は、繭の価格の維持のための直接的な買入れ手段、従ってその売り渡し、交換、加工等の機能が新しく加わったということと、先ほど申し上げました農業協同組合の共同保管費に対する助成金がこの会計として一つの機能的に加わった操作であるということを規定したわけでございます。
第四条の改正は、こうした改正に伴いますところの歳入及び歳出の科目が新しく追加されたものでございます。第五条も、これも繭の買入れの結果、在高明細表が新しく繭についても加わるという規定でございます。第六条の規定は、これは単に条文の整理でございまして、昭和二十七年の財政法の改正で、歳出につきましては款の区別というものはなくなったわけでございますが、その後、この特別会計をいじる機会がありませんでしたので、そのままになっておりましたのを整理したわけでございます。その次の第八条は、短期証券及び一時借入金の制度でございます。第九は、この新らしく創設されました短期証券及び一時借入金の年度内借換の規定でございます。第十に追加されましたのは、この一時借入金及び短期証券の年度越しの借換の規定でございます。
それから十一条は、これらの借入金、あるいは一時借入金、あるいは長期、短期の証券の限度を、通じて三十億円とするという限度額の規定でございます。第十二条は、こうした借入金制度が新らしくできました結果、その借入金の仕事を大蔵大臣が行うという条文でございます。十三条は、借入金に関する経費の支出に必要な金額は国債整理基金特別会計へ繰り入れなければならんということでございます。十四、十五、十六と、ずっとこれは条文の整理でございます。それから十六条は、生糸に加えまして繭の在高明細表をつけ加えなければならないという、これも単なる改正でございます。十七条、これも決算書に添えますところの繭の在高明細表を加えなければならないというだけの規定でございます。十八、十九、二十、これらもすべて条文の整理でございます。
それから付則の二項は、これはこの繭の在高明細表につきましては、大体、繭の購入が今年の春蚕あるいは夏秋蚕——、大体春蚕はアメリカのクリスマスに対する引合——需要になりますので、大体この夏秋蚕から適用になるといたしましても、現実の購入は来年度となるわけでございます。従ってここにございまするところの繭の在高明細表についての規定は、最初の繭の購入がもしあったといたしましても、昭和三十一年度になるということから、それぞれ適用になる年度の調整をいたしたわけでございます。これが付則の説明でございます。
その次の改正は、国庫余裕金の繰替使用に関する法律という法律でございまして、この法律によりまして一時借入金を許されておりますところの特別会計におきましては、一時借入金の代りに国庫余裕金を繰替使用することができるというふうな規定がございます、その中に糸価安定特別会計を加えたわけでございますが、だいぶ前になくなりました薪炭需給調節特別会計という、これは大きな赤字を出した特別会計ですが、これが整理にならずに残っておりましたので、この際にこれも削除して条文を整理しようというだけの規定でございます。これが糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案の御説明でございます。
その次に、労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案の説明を申し上げます。これもお手元に差し上げました新旧対照表をごらんになっていただきます。
これは先ほど参事官から御説明になりましたように、けい肺及びけい肺外傷性せき髄障害に関する特別保護法案という長い題名の法律案が別途に労働省から提案になっております。これによりますと、御存じのいわゆる「よろけ」と申しますか、けい肺という非常に悲惨な職業病でございますが、けい肺の関係と、それから、せき髄の障害、これも不治の病気でございますが、こういう二つの特殊な職業病に関しまして、従来の労働者の災害保険法あるいは労働基準法の原則をこえて療養給付、休業給付等を行い得るように、新しい保険制度を追加いたしております。その追加になりました保険制度を、従来ありました労働者災害補償保険特別会計において行います結果、労災保険特別会計法が改正になる、こういう関係でございます。
そのけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法の内容は、先ほどもちょっと提案理由で触れられましたけれども、大体中味は三つの点が大事なんでございまして、その一つは、先ほど申し上げましたように、従来の労働基準法あるいは労災保険法によりますと、疾病になりまして、その療養開始後三カ年を経過しましてもなお負傷あるいは疾病がなおらない場合には、千二百日分の打ち切り補償をしてその後は事業主は療養補償は行わなくもいいということになっております。この三カ年という期間は、大体普通の疾病あるいは負傷につきましてはその回復には十分な期間でございますが、けい肺というふうな、ちょうど現在適切な治療法がない深刻な職業病とか、あるいはせき髄障害のように治りましてもある程度以上にはよくならないというふうな、こういう病気につきましては、その後も二年間さらに療養給付を行う、この二年間の療養給付につきまして、その期間もし療養ができない場合には休業給付を行う、これは労働基準法にも規定してございますが、打ち切り前の休業補償相当額でございまして、普通平均賃金の百分の六十でございますが、そうした休業給付を行うという、その制度を新設したわけでございます。これは大体現在のところ、けい肺につきまして、この療養給付あるいは休業給付の適用の対象とされておりますのは約百九十一人、せき髄障害に関しては約二十四人、計二百人あまりの人がこの新しい制度の恩典を受けるわけでございます。
その次は転換給付と申しますか、具体的に申しますと、けい肺の第二傷度あるいは第三傷度——けい肺については第一傷度から第四傷度まで、四位の段階がございまして、第二傷度、第三傷度という程度のものになりますと、たとえば従来メタル山で、粉塵のある、さく岩機とかそうした仕事をしておった人を、今度は強制的に、坑外夫と申しますか、そうした粉塵に触れないような作業に転換させることになっております。その坑外夫としての転換は病気には非常によいわけでございますけれども、一方、賃金から申しますと、従って下るというようなことにもなりますので、そうした場合に、転換給付といたしまして平均賃金の約三十日分をこれに支給する、これは一回限りでございますが、そうした給付制度を新設しております。この給付制度が第二に新しく追加されたものであります。
第三には、一般にこうした粉塵作業から、たとえば遊離珪酸分が入ってけい肺を起すといったような、こういう病気は、必然的な職業病ではございますが、これを始終健康診断をして看視しておりますれば、ある程度防げるわけでありまして、こういうような遊離硅酸分が肺の中に入るという危険性のある粉塵作業をしておりますのは現在日本に約九万人の労働者があるということですが、その九万人の労働者については適切な事前の健康診断を行うということが必要でありまして、そうした健康診断を行うようになっております。そうした健康診断——最初の健康診断につきましては国が三分の一の経費の負担をするようになっておりまして、その経費がこの労災保険特別会計法から出るわけであります。
こうした三つの新しい制度につきまして特別会計法の改正をいたしておりまして、お手元に差し上げました新旧対照条文を見ていただきますと、これは非常に簡単でございますのであまり説明の要がないと思うのでありますが、第一条は今申し上げましたような従来の労働者災害補償保険事業のほかに、けい肺及びけい肺外傷性せき髄障害に関する特別保護法による給付に関する政府の経理を明確にするために、特別会計を設置するのだという、この特別会計の新らしく加わりました目的を規定しておるわけでございます。
その次には、この会計の歳入歳出について新らしい立法によるところの事項が追加になったことを規定しておるのでありまして、歳入としましては一般会計からの受入金、これはこの新らしい法律、特別保護法によりますところの給付金の三分の一というものを国が負担することになっておりまして、これを毎年一般会計から繰入れるわけでございます。これが新らしいこの特別会計の歳入になるわけであります。それから特別保護法によりますところの残りの三分の二につきましては、事業主が負担するわけでありますが、これも特別会計の新らしい歳入となるわけでございます。歳入面ではこの二つが加わりまして、歳出といたしましては、特別保護法による給付費、それから事業主の負担金の還付金、これはたとえば過誤納の場合などそれを返還します還付金、あとは従来通りでありますが、最後に業務取扱費、これは条文整理の一種でありまして、従来の事業取扱費という言葉がやや適切な表現ではございませんので、業務取扱というふうに変えたわけであります。
それから第四条は、これは借入金の規定でありまして、借入金の限度は、従来の労働者災害保険法だけでなく、今度の新らしい特別保護法のために必要な資金が不足する場合にこの借入金ができるのだという、借入金ができますところの限度額の中に新らしい特別保護法の給付費及び事業主負担金の還付金を入れたわけであります。そういう改正であります。
それからこの新旧対照条文に出ておりませんが、先ほど申し上げました事前における粉塵作業をやっております労働者に対する健康診断につきましてはこの法律の附則の二項に書いてございまして、「政府が行うけい肺健康診断、機能検査又は結核検査に要する経費は、労働者災害補償保険特別会計法第三条の規定にかかわらず、この会計の歳出とする。」、こういうふうになっておりますが、これを先ほど申し上げましたように、政府がけい肺になるおそれのある労働者の健康診断に関与しますのは最初の回だけでございますので、臨時的な歳出の科目としまして附則において規定しておるわけでございます。これが労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案の説明でございます。
最後に自動車損害賠償責任再保険特別会計法案の御説明を申し上げます。
これはお手元に法律案の全文が配付になっておると存じますが、この特別会計を新らしく創設しますゆえんのものは、先ほど政務次官からも申し上げましたように、別途自動車損害賠償保障法案なるものが運輸省からこの国会に提案になっております。その骨子となりますところのものは、最近における自動車の数の非常な激増、これはこの五年間に約三倍の百万台という非常に大きな数に達しておりますが、自動車の数が今や交通の不可欠な手段として用いられております半面、この交通事故の大部分というものは自動車によるところの事故というふうな状態になっております。たとえば昭和二十八年の交通事故の件数は八万件でございますが、その中で自動車の事故の件数が七万四千件、約九割三分を占めております。それから死傷者数も、全交通事故の六万四千八百二十四人という数に対しまして、自動車の死傷者数は五万八千九百十七人、約九〇%を占めておるというような状態になっておりまして、交通手段としての自動車というものが非常に重要性を持って参ります一方、それによるところの民生の安定というものはかなり阻害されておりまして、しかもこれは新聞などでよく御存じのように、ひき逃げという、相手が全然わからないということの結果、けがをした人あるいは死んだ人、遺族というものがその賠償を十分に受けられないというふうな、社会的な悲劇も起っております。この結果、今度自動車損害賠償保障法案なるものをこの国会に提出いたしまして、一方では賠償責任の適正化と申しますか、従来の民法の原則を越えまして、一種の無過失責任に近い自動車の事故によるところの賠償責任を負わせますと同時に、この賠償責任の適正化の裏付けといたしまして、そういう事故を起しました際に、それに十分な賠償能力を保険制度でもって獲得するというふうなことが、この自動車損害賠償保障法案の骨子でございます。国は保険の十分の六につきまして再保険制度を創設しまして、それをこの特別会計の保険勘定で経理することになっております。それから先ほど申し上げましたひき逃げというような、全然加害者がわからないという場合に、被害者が何ら適切な賠償を受けられないということによって起るところの悲惨事を救いますために、この特別会計に保障勘定なるものを設けまして、その保障勘定に、一定の自動車を持った者に対する賦課金を収入として集めまして、もしそういうひき逃げというふうな事態が起りました場合には、それに対する保障金を交付するという仕事をさせることを考えております。この特別会計といたしましては、この二つの再保険勘定と保障勘定が大きな意味を持つものでありまして、これら二つの事業を営むための業務関係の経理といたしまして、業務勘定が別個にございます。
特別会計法の内容は大体例文でございまして、あまり新らしい規定はございませんが、大体主要なところだけを申し上げますと、
第一条はこの特別会計を設置する目的をここに書いてあるわけでございます。自動車損害賠償保障法による自動車損害賠償責任保険事業(これは先ほど申し上げました保険勘定の仕事でございますが、)及び自動者損害賠償保障事業、これが先ほど申し上げましたひき逃げ等々の保険にかかわらない被害者に対する保障をやる勘定でございますが、この二つの事業に関する政府の経理を明確にするために、この特別会計を設置する。これは財政法十三条のいわゆる特別の事業を行う特別会計であるということをここに明示したわけでございます。
第二条は、この特別会計の管理、これが運輸大臣であるというだけの例文でございます。
その次は区分、これは特別会計の勘定が、先ほど申し上げましたような保険勘定、保障勘定、業務勘定の三つに区分されるという規定でございます。
まず保険勘定の歳入及び歳出は、一般の損害保険会社が、自動車の所有者または運転手、いわゆる被保険者と契約をいたしまして、そうして取りました保険料の中の百分の六十を、この特別会計に納付するわけでありまして、その納付されました再保険料と、その次に書いてございます法第四十六条の規定による納付金と申しますのは、第三者の過失で事故が起ったという場合には、保険会社は第三者に対して請求権を持っております。商法六百六十二条のいわゆる代理請求権でございますが、その行使によって一定の金額を収納しました場合には、その百分の六十を再保険会計たるこの特別会計の保険勘定に納付しなければならぬという規定がございまして、その納付金を言っているわけでございます。歳入としましては、そのほかに借入金及び付属雑収入がございまして、歳出としましては再保険金、これは事故が起りました場合に被害者に支払われますが、その支払い保険金額は一体幾らかということは、これは政令で定めるようになっておりますが、大体死亡した場合に一人三十万円、それから重傷の場合に十万円、軽傷の場合に三万円というふうな金額を予定しておるようであります。この保険金額を払いますときに、その百分の六十はこの特別会計の保険勘定から支払われるわけであります。そうした再保険金、これがこの保険勘定の歳出の大きなものでありまして、その他、法第四十五条の規定による再保険料の払い戻し、例えば、従来この保険の対象となっておりました自動車が廃車されるという場合に保険料を払い戻すという場合がありますが、そういう払い戻し金がそういう歳出として考えられる。そのほか借入金の償還、利子、あとは普通の特別会計歳出でございます。二項は先ほど申し上げました保障勘定、いわゆるひき逃げその他保険の対象となりませんところの事故に対する国が保障金の支払いをするための保障勘定でありますが、それには先ほど申し上げました保険金の中に、一部、これは交通事故のいろいろな確率から計算されるわけでありますが、ひき逃げ率といいますか、そういう部分を、この保険勘定へ再保険料を納めますと、その再保険料分の中にそうしたひき逃げ分が入っておるわけであります。これを保険勘定から保障勘定へ繰り入れることになります。その繰り入れる繰り入れ金は、「同勘定における保障金の支払財源に充てるため、予算に定めるところにより、再保険料のうち政令で定める金額を繰り入れるものとする。」そのひき逃げ料というのは政令で定めて、その政令で定められた金額を保険勘定から保障勘定に入れる、こういう規定でございます。
その次は保障勘定の歳入、歳出の規定でございますが、これを簡単に申し上げますと、保障勘定で払いますところの保障金と申しますものは、これはいわゆる保険の対象になりませんひき逃げとか、あるいは被保険者の悪意による事故とか、あるいはその自動車を運転する正当な権利のない者が、例えば他人の自動車を奪って乗っておるというふうな者が事故を起した場合に、それに対して保障金を支払うのがこの会計の歳出としては一番大きなものでありまして、歳入といたしましては、それに見合うところの賦課金というものを、これは保険会社がとります保険料の中から出て来るわけでありますが、その他、保険の対象からはずされますところの都道府県、公社、国等の自動車を所有しておるものが一定の賦課金として繰り入れるものを財源といたしておるという規定でございます。
それから第六条は、これは保険事業及び保障事業のための業務についてのいろいろな事務取扱費その他をこの業務勘定で取り扱うということの規定でございます。
第七条は歳入歳出予定計算書の作成及び送付、これも普通の特別会計と同じ例文でございます。
第八条は歳入歳出予算の区分。第九条は予算の作成及び提出。
第十条は利益及び損失の処理。この第十条が書いてございますところは、毎年出て来ますところの保険経理の尻というものはプラスとかあるいはマイナスとかいう形で出て来るわけでありますが、そうした損益勘定、利益または損失を生じましたときは、この特別会計でやっておりますところの保険事業の建前から申しまして、短期保険といたしましては、利益が出ればこれは保険料の引き下げということで被保険者あるいは保険契約者に還元する。損失を生じた場合には新らしく保険料率を引き上げまして保険採算がとれるような保険料制度にするわけでございますが、その間出ましたところのプラスまたはマイナスを積立金として整理しまして、積立金の益でその年度の損失が払えません場合は損失を繰越金として整理するという、この特別会計の短期保険としての性格から生じますところの利益および損失の処理を規定した規定でございます。
十一条の剰余金の繰入、十二条の歳入歳出決定計算書の作成及び送付、第十三条の歳入歳出決算の作成及び提出、これらはすべて例文でございます、十四条の余裕金の預託、これも普通の特別会計と変ったところはございません。十五条の借入金、十六条の一時借入金、及び十七条の借入金及び一時借入金の借入及び償還の事務、十八条の国債整理基金特別会計への繰り入れ、これらも全部例文でございます。第十九条に支出未済額の繰り越しの規定がございますが、これも通常の特別会計にある規定でございます。
付則の「退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律の一部を次のように改正する。」という規定は、いわゆる官吏が退職いたしました場合に、その退職手当が通常の失業保険の一定率と同じようになるようにということで、その差額を支給するようになっておりますが、その財源をそれぞれの特別会計から一般会計に繰り入れることになっておりまして、ほかの特別会計と同じように、特別会計におきましてもそうした繰り入れをしなければならんという規定をここに追加したわけでございます。
これをもちましてこの自動車損害賠償責任再保険特別会計法案の補足説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/4
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005・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 日本専売公社法の一部を改正する法律案につきまして補足説明を申し上げます。
この法律案の改正の要点は五点ございますが、まず第一に、第九条第四項の「葉たばこ」を「たばこ」に改める点でございます。日本専売公社法第九条は専売事業審議会について規定しておるのでございますが、その第四項におきまして「委員長及び委員は、学識経験のある者、葉たばこを耕作する者その他専売事業に直接関係を有する者及び公社の職員の中から、大蔵大臣が任命する。」と規定されておるのでございます。この「葉たばこを耕作する者」の「葉たばこ」という字でございますが、従来の用語からいたしますると、専売公社法あるいはたばこ専売法等におきましては、葉たばこは、たばこの葉をいうことになっておりまして、葉たばこを耕作する者というのは不適当でございますので、この際「たばこを耕作する者」と改めたいという点が第一点でございます。
次は、第十七条の二の削除と四十七条の二の削除の点でございます。第十七条の二は、公社の役職員がその離職する前五年間に臨時物資需給調整法に基く指定生産資材割当規則によりまする物資の割当事務に従事いたしておりまして、またはその事務を直接監督していた場合に、公社を離職したのち二年間割当の事務と密接な関係のある営利を目的とする会社または団体の役職員になることを制限をしていたものでございますが、この条文を削除することといたしましたのは、この離職後の就職制限の根拠となっておりましたいわゆる物調法が昭和二十七年三月三十一日をもって失効いたしまして、その後すでに二年を経過いたしておりまして、もはやこの規定は空文化しておるからでございます。なお四十七条の二は、この規定に違反して就職した者に対する罰則規定でありますので、合せて削除いたしまして、本改正法律案の付則第二項はこれらの規定の削除に伴う経過規定といたしまして設けたものでございます。
第三点は、四十三条の二十手の改正でございます。たばこ専売法等の違反者に対しましては国税犯則取締法を準用いたしまして通告の処分を行なっておるのでありますが、その通告の処分によりまして納付される金銭及び物品の取り扱いに関する事務は、従来大蔵大臣が指定する公社の役職員に行わせまして、しかもその事務の取り扱い手続は公社が大蔵大臣の承認を受けて定めることになっておるのでございます。すなわち現行法の建前によりますると、これらの金銭、物品は国の歳入に属すべきものでありまして、その意味では国の出納官吏が会計法、予決令、その他の関係法令に基いて行うべき国の事務であるにもかかわりませず、前述のごとく公社が定める手続によって行われるという矛盾がありますし、さらに現行の規定によりますと、これらの金銭、物品を忘失あるいは棄損いたしました際の弁償責任に関する規定にも不備がございますので、今回改正することといたしたのでございます。すなわちこれらの事務は一切公社がいわば下請機関のような形で国にかわって行うことといたしまして、公社はまず金銭、物品を受領し、翌月十五日までに当該金額及び物品の額に相当する金額を政府に納付すべきことといたした次第でございます。その際、物品の評価に関しましては別に政令で定めることといたしまして、金銭、物品を公社が受領したときに通告の旨が履行されたものとみなしまして通告処分を受けた違反者の免責時点を明かにした次第でございます。第五項にありまする当該金銭の額の納付は「公社の収入支出外とする」とありますか、通告処分によりまして公社が納付を受けました金銭あるいは物品の額に相当するものは翌月の十五日までに国庫に納付しなければならなくなっておりますので、公社の収入支出としないで、保管金として取り扱う方が取り扱い上便宜でありまするとともに、この事務は公社本来の事業に伴うものではございませんので、収入支出外として取り扱うことを明かにした次第でございます。
なお、通告によりまして納付された金銭及び物品が国庫に帰属する旨を定めておりました現行法第七十九条の九項は、本条の改正に伴いまして、これと抵触することになりまするので、附則三項によりましてこれを削除することといたした次第でございます。
第四点は五十四条の改正でございます。公社の役職員の災害補償の規定を第五十四条は規定しておるのでございますが、日本専売公社法制定当時におきましては、災害補償につきましては国家公務員災害補償法を準用する予定でございましたが、同法の公布がおくれまして、実際問題といたしましては、その後公共企業体等労働関係法第八条第二項の規定に従いまして災害補償に関する事務は、労働協約の内容といたしまして団体交渉にゆだねられてきておる次第でございます。その後、昭和二十五年国家公務員災害補償法が公布されましたが、もはやこの法律によることは実情に沿いませんので、この際、これを改めることといたしまして、ただ労働者災害補償保険法の適用を除外いたしております第二項のみを存置することといたした次第でございます。
第五点は、附則第五項乃至第七項に規定する事項でございます。これは先ほど法規課長から関連法に関連いたしまして説明がございましたが、地方交付税法は地方団体相互間の収入上の不均衡を調整するために、一定の財源を各地方団体の財源総額に比例いたしまして交付することを定めておるのでございますが、今回この法律の改正法附則第二項及び第三項におきまして、昭和三十年度に限りまして日本専売公社から交付税及び譲与税配付金特別会計に納付されまする金額、これは三十億円でありますが、この金額を加えて、今年度の交付税の総額を算出する旨及び当該金額はたばこ専売特別地方配付金として、特別交付税の交付の例により地方団体に交付する旨を規定いたしております。これに従いまして、今回日本専売公社法の一部を改正いたしまして、公社は昭和三十年度に限りまして当該特別会計に三十億円納付すべきこととしたのでございます。またこれは地方たばこ消費税の税率補正が決定されるまでの今回限りの臨時措置でございますので、専売納付金の納付の特例として公社法の附則に規定することといたした次第でございます。
第六項はこの三十億円は益金納付の一部でありまして、損失金ではございませんので、損益計算上損失金に算入しない旨明かにいたしまして、第七項におきまして三十年度の国庫納付金はこの三十億円だけ減額されることは当然でございますので、その旨を規定いたしたものでございます。
その他附則四項、五項は単純な条文の整理でございますので、御説明を省略さしていただきます。
簡単でございますが、以上をもちまして終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/5
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006・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 昭和三十年分の所得税の予定納税及び予定申告の期限等の特例に関する法律案につきまして内容の御説明を申し上げます。
この法律案は所得税法の各種の期限等につきまして、これを変更する旨を規定しておるのでございますが、まずその第一点は二十一条の四の第一項に掲げられております「六月十五日」という期日を「七月十日」に改めようとしておるのでございます。二十一条の四の第一項は、これは予定納税額の通知の規定でございます。御承知のように所得税法では七月一日から三十一日までの間に予定納税をすることになっておるのでございますが、これをあらかじめ政府はその額を六月十五日までに通知することに相なっておるわけでございます。従いまして現行法によりまする場合におきましては、六月十五日までに現行法によりまする税額を通知することに相なるわけでございますが、ただいま別途所得税法の一部を改正する法律案を提案いたしておりまして、これによりますると、三十年分につきましては減税をいたそうとしておるわけでございますので、従いましてこの一部改正法律案が成立いたしました暁におきましては、予定納税額も減税になるわけでございます。ところがただいまの状況では、一部改正法律案が六月十五日までに審議を終了いただけるかどうか、疑わしいような状況でございますので、もし本改正法律案の成立がおくれまする暁におきましては、六月十五日までに現行法によりまするところの税額を通知することに相なるわけでございまして、そういたしますと、所得税法の一部を改正する法律案が成立いたしますと、予定納税額は減税された額になりまするので、政府が六月十五日までに通知いたしました額とほんとうの改正の結果減税となりました額とが矛盾する、かような事態を招来するわけでございます。従いまして一応減税後の税額によることができるようにいたしますために、一応予定納税の通知の期日その他の期限を延期しておきまして、所得税法の一部を改正する法律案が成立いたしました暁におきまして、ただいま申しましたような矛盾がないようにいたそうというのが、この法律案を提出いたしました趣旨でございます。
そこでまず第一にただいま申しました「六月十五日」という通知の期日を「七月十日」に改めようとしておりますが、これは所得税法の一部を改正する法律案は七月一日から施行を一応目途といたしておりますので、少くともそのときまでには改正法案が成立する、かように予定いたしまして、その間に十日間くらいの余裕を見まして、「七月十日」に改めた次第でございます。それに伴いまして、二十一条の第一項は予定納税の期日でございますが、「七月一日から同月三十一日まで」となっておりますのを十五日間延期いたしまして「七月十六日から八月十五日まで」に改めようとしておるわけでございます。
それから二十一条の三のただし書の「七月三十一日」を「八月十五日」に改めておりまするのは、これは予定納税額等を通知いたします場合におきましては、予定納税額は御承知のように前年分の所得税の基礎となりましたところの事実をもとといたしまして、そうして計算いたしまするので、それらの事実につきまして、更正決定あるいは減額の更正の請求がありました場合におきまして、それに基いて適当な処分をした、かような場合におきまして、その額が変更をすることがございまするので、そのような事実が七月三十一日までに発生いたしました場合におきましては、その事実に基いて通知をすると、かような規定になっておりますので、この事実も、今申しましたような期限の延期に伴いまして八月十五日までに改正しようとするものでございます。
それから二十二条の二の第一項の「同月三十日」となっておりまするのを、「七月二十五日」に改めようとしておりまするのは、これは予定納税額につきまして減額申請ができるようになっておりますが、その期日を、減額の申請をなす期限を、同じような趣旨に基きまして、七月二十五日に変えようとするものでございます。
それから二十二条の二の第三項に「七月一日」及び「七月十五日」とありますのを、それぞれ「七月十六日」と「七月三十一日」に改めようとしておりまするのは、これは事業を営んでおりまするものが事業の休廃止をした、あるいは災害があったと、こういうような場合におきましては、予定納税額の減額の申請につきまして、その期日の特例が認められておりまするので、これを同じような趣旨で改正しようとするものでございます。
それから二十二条の二の第四項の「六月三十日」を「七月十六日」といたしておりまするのは、先ほどの通知の期日の改正に伴いまして所要の整理をはかろうとしておるわけでございます。
それから二十三条の第一項及び第三項の「七月一日」それから「同月三十一日」を、それぞれ「七月十六日」と「八月十五日」に改めようとしておるわけでございますが、これは御承知のように、二十三条の第一項は予定申告の規定でございまして、一定の条件に当りまするもの、つまり予定納税の義務がなくして一定の条件に当りまするものは、予定申告をする義務があるわけでございますが、その予定申告の期日の変更でございます。第三項の方は、予定申告の義務のないものにつきましても、任意に予定申告することができるという規定でございますが、これにつきましても、同様の趣旨に基きまして、期日の変更をしようとしておるわけでございます。
以上が法律案の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/6
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007・青木一男
○委員長(青木一男君) ただいま説明を聴取いたしました各法律案の審議は、次回に譲ることにいたしだいと思います。
なお、資料の御要求がございますれば、この際に御要求を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/7
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008・野溝勝
○野溝勝君 資料を一つ。特別会計、特別会計と、まあ特別会計ばかり相当あるのですが、一体特別会計の牧はどのくらいあるか。数とそれから前年度一般会計からこの特別会計へ繰り入れた赤字といいますか、額と、その特別会計の種類、これを一つ資料として御提示願いたい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/8
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009・青木一男
○委員長(青木一男君) それでは次に所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、地方道路税法案、砂糖消費税法案、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律案、国税徴収法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、以上八法律案を一括議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/9
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010・野溝勝
○野溝勝君 理事会はどういう打合せをしたかしらぬけれども、こう一緒に出されてもあれじゃないですか。審議上委員長と理事と話をして、順序よく、これとこれとをやろうといって整理してもらわなくちゃ困るな。七つも八つも一緒にやられちゃ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/10
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011・青木一男
○委員長(青木一男君) ちょっと申上げます。この議事の方法については、前に理事の諸君とも打合わせて、そういうふうにやっております。一つ一つきめますると、かえって制限を受けて、やはり税法なら税法一括の方がいいじゃないかという考えで、今までそういう進行をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/11
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012・野溝勝
○野溝勝君 それではいいが、質問は放射線的に出してもいいわけだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/12
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013・青木一男
○委員長(青木一男君) よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/13
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014・藤野繁雄
○藤野繁雄君 砂糖消費税法の第八条の「砂糖類の製造者」というものはどういうふうなものであるかということをお尋ねしたいと思うのであります。それは地方の実情をまず申上げてみまするというと、農家が作ったところのカンショは、ある一定の製造の免許を受けているところの場所に持っていって、各農家が個々にその機械を利用して砂糖を製造して持って帰る。であるから、砂糖類の製造者といえば、農家であるか、あるいはその機械を持っているものであるか、こういうふうなことなんです。もしこの第八条の「砂糖類の製造者」というものが、今申し上げたように、機械を所有しているものだったならば、その人のみの、自己又は同居の親族の用に供する砂糖のみが、免税になる、こういうことになるのじゃなかろうかと思うのであります。又十九条で、自家用の免税と、そういうふうなことになっているのでありますが、「第一種甲類の砂糖を製造する者」と、こう書いてあって、これも砂糖の製造者であって、農家ということが明らかでないのであります。その「砂糖を製造する者が自己又は同居の親族の用に供するためその製造場から」何々ということで、その量は政令で定めるということになっておるのでありますが、ここで問題は、製造業者、製造者というものは農家を示すものであるかどうか、こういうふうなことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/14
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015・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) お答えいたします。結論から申しますと、今お話しになりました農家がこの製造者に該当するというふうに一応われわれは解釈して御提案申上げております。今お話しのような事例で、サトウキビ類はもちろん農家が作って共同の施設へ持って参りまして、そこでまあ汁をとり、煮つめて砂糖にするといった場合に、委託を受けてそうした仕事をするものに製造者が委託をして、そうした砂糖を作ってもらう人が製造者かという点で、たしかに解釈的に多少の疑義がないとも限りませんけれども、われわれは御提案申上げました趣旨は、今の場合におきましては農家が製造者である。従いまして、自家用のつもりでサトウキビを作り、そうして搾汁をしてもらう、それがもっぱら自家用で、ある場合におきましては第八条に該当しますし、それから共同施設でもって作りまして、一部は販売する、一部は自家用にするという場合におきましては、そういう場合におきましては、その農家に対しましては第十九条で自家用分として一応考えられます分について、これは政令で一応その量は限定したいと思いますが、それは免除する、こういう考え方で御提案申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/15
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016・藤野繁雄
○藤野繁雄君 大体了承しましたが、もしそうしたならば、政令で定められるところの自己及び同居の親族の要に供する砂糖の量は、どのくらいの量をお考えであるか、その量を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/16
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017・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 実はこの量につきましては、もう少し検討しました上で、はっきりした数字をおきめ申し上げたいと思っておりますが、現在日本で消費されております砂糖を人口でもって大よそパー・ア・ヘッドに割りますと、年一人頭二十斤くらいになっているようでございます。どういうふうに、どの程度具体的に考えていくべきか、そうしたパー・ア・ヘッドの数量、あるいは農家が一体そのパー・ア・ヘッドよりも、パー・ア・ヘッドの数量よりも余分に使うものか、使わないものかなんといったような問題があろうと思いますが、一応そうしたような数字を考慮いたしまして、あまり無理でないところで適当にきめたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/17
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018・野溝勝
○野溝勝君 私はこの際、しろうとでございますから、二、三お伺いしておいて、予備審査でございますから、本審査の際にまたゆっくりお伺いをいたしますが、一体、先般政府から渡されました資料を見まするというと、砂糖会社が四億、五億、六億、七億、八億というべらぼうなもうけをしておるのでございますが、一体、昔は暴利取締令というものがあったのでございますけれども、こういうべらぼうな利得を得ているものに対して、政府は何とか、特に大蔵当局は財源の方面からこれを何とかしぼりあげようというか、吸収しようというかしれませんけれども、そういうことを考えたことが一回でもおありなんですか、この点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/18
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019・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) お話の点は確かに問題でございまして、いろいろ国会でもかつて御論議になったことでございますが、砂糖の問題につきましては、今度その問題を中心にしまして、政府部内におきましても相当の検討をいたしまして、そうして一つの成案を得ましたので御提案申し上げることになっておりますが、考え方といたしましては、砂糖については砂糖消費税も一応とっておりますし、従いまして値段を、どちらかといえばできるだけそうした負担はもちろん考慮に入れた上で安いところへきめる、こういうことが一つであり、同時にその値段に落ちつけました上で、砂糖会社があまり大きな利益を得ないような措置を講ずべきであると、こういう考え方がとらるべきじゃないかというふうに思っております。従いまして、いずれ具体的に提案になりましたらば、いろいろ国会で御審議願うことになると思いますが、今考えております構想は、農林大臣が一応安定帯価格といったようなものをきめ、これが砂糖のコストとか、それから砂糖と、ある意味において競合しますあめ、澱粉あるいはテンサイ糖の値段、こういうものも考え、そうして適正なと思われます安定帯価格をまずきめる。安定帯価格でございますから、一本ではございませんで、そこにある程度の幅をそこに持たす。そうして砂糖の値段は、この値段を目標に落ちつけることを目途におきますと同時に、その安定帯価格でもって売られました場合に、砂糖会社が特別に大きな利潤を得ます場合におきましては、一種の過超金のようなものとお考えになっていいと思いますが、それを国が徴収するということを現在考えております。予算等の方でも、そのために、砂糖だけではございませんので、ほかにバナナとか、パイナップルとか、そういったものも一応頭に入れておりますが、約七十億の歳入をその方に期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/19
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020・野溝勝
○野溝勝君 私はまあこれは本審査のときに逐条審議をしたいと思うのですが、一体前国会の際に、池田勇人君が関係をしている名古屋製糖会社の、税関の地域を提供されたり、外貨の割当を多く獲得したという問題について、本委員会にて質問をしたことがあるのでございますが、それと今回政府から渡された資料をにらみ合せると、その想像が具体化したような気がするのです。なぜかならば、今回の資料を見るというと、やはり池田勇人君の関係をしておる名古屋整糖が筆頭だ、利潤が多いことは。こういう点から見まして、まことに名古屋製糖のやり口といい、また政府のいわゆる権力が、何を援助をしているか、あるいは協力をしているということが裏書きされると思う。特に名古屋製糖なんというものは、最近のメーカーであります。名古屋製糖の生い立ちは戦後派であり、戦前派のメーカーをぽんとけ飛ばした。新興級の名糖が権力と結びついておるということは事実だ。私はこういう点について、こういうものを野放しにして、そのままおくということは、先ほど私が暴利取締法というものはないのか、あるいはこういうものに対して——政府はこんなちっぽけなものから、少しばかり、手工業的な、家庭工業程度の砂糖を作るものに注意、罰則ばかり適用して、こういうものからもっと吸収をするという法はないものかということを私が聞いたのも、こういうところに考え方があるのでございます。これらの点について、先ほど私はそういう意味を含めて質問はしたのです。さらに今主税局長等からお伺いいたしますると、税金をとっている、税金をとっているというけれども、確かに消費税は取っているに違いありません。今までも四百五、六十億取っている、よく記憶はありませんが、四百五、六十億だと思うが、それは消費税であります。私の聞かんとするのは、そういう莫大な利潤を得ているものから、そういうもののいわゆる吸い上げ方をもっと考えないか、こういうことを言うのでございます。これは今日は、今申しました通と、私はただ、本審査の際に一応私が質問する一つの所在といいましょうか、まあ感覚にとどめて置きたいと、こういう意味で質問しているのですから、今の主税局長のお話によるというと、ただそういう点については考えているというだけじゃよくわからんのでございますが、消費税の意味ではないのでございます。その利潤をとるものに対する考え方が、もっと具体的に言うならば、これに対する法人税に対してどういうふうにするとか、どうとかというようなことを一つ考えているかどうか、という意味でございますから、その点を一つお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/20
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021・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 私の説明が不十分でありましたために、十分私の申し上げたいことが御了解できなかったかと思いますが、私が申し上げておりますのも、実は消費税をとるという趣旨でそうした特別に加徴金をとるということを考えている意味ではございません。現在政府が用意しております法案は、砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律と、一応こういうような名前がつけられることを予想しておりますが、その目的といたしましては、砂糖の安定帯価格を作りまして、砂糖の価格の安定をはかると同時に、砂糖の輸入によって生ずる利益の一部、要するにもうかりすぎる分をこの分から徴収しよう、こういうことを予定しているわけでございまして、消費税のようにそれが消費者に転嫁されるということを予想しまして、そして税を徴収している、もうこれにつきましては、現に砂糖消費税があるわけでございまして、ただしかしそれだけではお話のように砂糖会社が、特に昨年の、最近はそれほどとも思いませんが、昨年におきまして過当な利益を得た。そこでそういう措置をそのままほうっておいては困る。もちろん現在普通の法人税はとっておりますが、これは砂糖会社独得の問題ではございません。砂糖会社独得の問題として何か考えるべきじゃないか。しかもそのよってきたるゆえんを考えてみますと、少くとも過去におきましては国内の需要に対しまして供給が少かった。それが為替の関係で外国から輸入するものでありましたために、十分輸入できない、そういうような需給のアンバランスから出てくる、いわば浮動的な、そこに利益がある。これをそのまま放置するのはおもしろくない。そこで一面におきましては、先ほど申しましたように安定帯価格という構想を出しまして、砂糖の値段が不当に上らないような措置を一面では考えたい。同時にその値段でもって押えてなおかつ砂糖会社がそうした特別な利潤を得ることが予想されるような場合におきましては、その分につきましては、これは普通の法人税とかそういうものでなくて、特別な加徴金をとりたいと、こういうことを考えまして、今申しましたような法案を用意し、この国会に近く提案になることを予定しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/21
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022・野溝勝
○野溝勝君 最後にもう一つお伺いしておくのですが、先ほど主税局長のお答えの中に、テンサイ糖も何も一括して砂糖に、というような意思表示があったらしいのでございますが、特に私は今砂糖の問題などは原糖にしても、砂糖にしても、精糖にしても、輸入が多いのです。日本でできる日本の産業、特に北海道のビートを中心にするテンサイは、これはやはり国内原料でございますから、これは昭和二十三年の一月から問題になって、政府におきましても保護政策を考えてきたくらいでございますので、これも輸入砂糖も、みそもくそも一緒に考えるというようなやり方はどうかと思いますので、この点に対する主税局長のお考えはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/22
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023・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) その点も実は先ほどの私の説明が不十分であったかと思います。私が先ほど申しましたのは、今度の法案の対象になりますのは、こういうふうに順序づけてお話申した方がいいと思いますが、今度の法案の対象に直接なりますのは、これはカンショで作った砂糖でございまして、輸入砂糖でございます。それだけが問題の対象になりまして、国内産のテンサイ糖とか、そういうものはそうした特別利潤の対象には考えておりません。私が先ほどテンサイ糖のことを申し上げましたのは、そうした輸入の砂糖の値段をきめる場合に、安定帯価格、できるだけ低い価格できめたいという場合におきまして、どういうものを考慮するかという場合におきましては、もちろんその砂糖のコストとか、そういうもの自体を片方で考慮しなければなりませんが、それとあわせまして、国内で産するテンサイ糖の値段でありますとか、あるいは澱粉、あめの値段というようなものも安定帯の価格をきめる場合において考慮の範囲に入ってくる。こういう意味におきまして、テンサイ糖の名前を実はあげたわけでございまして、今度のそうした特別措置の対象としてテンサイ糖を考えているというわけのものではないのであります。その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/23
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024・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今の砂糖の点に関連してお尋ねしておきたいのですが、農林大臣河野一郎氏が砂糖の専売制ということを言ってアドバルーンを上げたことがあるのですが、これは政府部内におきましても、砂糖の消費税との関係におきまして、これを専売益金にするというふうな計画もあなたの方でやられたことがあるのかどうか、ちょっとお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/24
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025・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 農林大臣が一応ある時期におきまして砂糖の専売制の構想をお出しになったということは、私実は新聞紙上では伺っております。しかしそれが政府部内の、たとえば対大蔵とか、いろいろな関係におきまして、各省間の話合いといったような問題として、それが具体的に議論されたことはわれわれ知っておりません。おそらくそういうことはなかったのじゃないかと存じます。農林省の中で一応のそういう案が出ましたが、省内で一応検討した結果、その案はまあ適当でないという考え方で、結局今言った安定帯の考え方、特別利潤を吸収するという考え方、それで現在当面している砂糖に対する世間の要請にこたえ得るのじゃないか、こういうふうな考え方でこの法案が立案されたものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/25
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026・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは、三十年度の税制改正の要綱を主税局長から提出になりました点についてお聞きしたいと思います。所得税につきまして、昭和三十二年の三月三十一日までの間に支払われる預貯金、公社債等の利子所得に対する所得税を免除する。それから三番目には配当所得に対する所得税の源泉徴収税率を百分の十に引き下げる、こういう構想が出されておりますが、毎年国税庁から発表されます例の長者番付といいますか、これは長者番付といって国税庁は発表するのじゃなかろうと思いますが、高額所得者が新聞にのるのです。長者番付、長者番付と俗にいうのですが、こういう連中はたいてい三あるいは二に該当する所得者じゃないでしょうか。たとえばことしの長者番付の筆頭は三洋電機の社長と西の方は松下幸之助、ナショナルともう一つラジオを売ってもうけたような連中が筆頭になっているが、これは会社を経営しているのであって、個人の企業じゃない。そうすると、全部これは会社の持株であるところの配当所得に課税されて、長者番付の筆頭になっていると思うのですが、これらを百分の十にすると五割の減税ということになるわけですね。この点について一つお伺いしておきたい。ということは、これはそれだけ税金がそうなればとにかく配当所得が多くなるということは言えるのですが、ところが総合課税されるから、あなたのほうではいいだろう、こういうふうにお考えになっておられるのか。そうすると、別に配当所得を百分の十に下げて、今度は総合課税するということになってくると、えらいプラス、マイナス影響はないということも言えるが、どういう意味でされるのかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/26
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027・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 理論的につめて申しますと、今お話しになりましたように一応源泉課税をした分は、総合課税をいたしましたそのあとにおきまして、結局先に源泉課税した分だけ差し引きますから、そういう意味におきまして実質的な意味の負担軽減というものはないのじゃないか、これは私はその通りだと思っております。それで今度源泉課税の税率をそれじゃ何の意味で下げたんだ、こういうような御議論が当然出てくるのだと思いますが、いろいろ見て参りますと、配当を受け取る場合におきまして、やはりあとの税金はもちろんあとの問題でありますが、手取りを幾ら受け取るかということが、やはり株主としては相当の関心の的になる問題でもございますし、同時に源泉の徴収の率というものによりまして、あるいはあとで返すような問題も出て参りますし、まあ一応手取りをできるだけ、朝三暮四というそしりがもちろんあるかもしれませんが、そうした問題を考慮いたしまして、やはり源泉の税率というものもある程度この際軽減した方がいいんじゃないだろうか、それがやはり株主に対しては少くとも心理的には相当のいい影響を与えるのではなかろうか、まあこういったようなねらいが主でございまして、今お話しになりましたような大納税者におきましては、これはどちらにいたしましても総合課税でもってかっちりつかまえられておりますから、少くともこういう分についてはこの源泉課税が、率が下ったということにおいては、納税の時期の問題はこれは変って参りますが、負担そのものとしては別に変りはない、こういうふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/27
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028・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじゃ百分の十に下げるというのは、どうも心理的影響を考えてあなたは下げる、これは減税でも何でもないので、見方によりますとごまかしだ。心理的影響を考えて、配当をもらうときには多ければいいからというので、株屋さんはあるいは歓迎するかもしれないが、実際的には大した影響はない。で、ほんとうはどういうところをねらっているのか、ちょっとわからないのですが、今の御説明では納得がいかんのでもう一ぺん、心理的影響だけで、株式相場はあまりこのごろはぴんとこないので、配当の源泉徴収率を下げるということになると、いかにも税金が下ったような気になるからそういうふうに下げるという、こういう心理的影響も考えておやりになっているのか、もう一つついでに……。それでなければ株式を所有しておっても、今株式の所有者でも相当私は本人の直接の名前ではなしに、偽名といっては何ですが、架空の人物で株式を所有している、こういうことが巷間盛んに行われているということをいわれているのですが、というのは一番わかりいい例は、本人は交通関係で電車の株を何株か持つと無料のバスをよこす。ところがそのパスだけでも売り買いができるので、そのパスは何々方の何のだれそれという名前にして、住所だけは実際の株式の所有者の住所にしておいてそのバスの売買をやっているということが、事実関西方面の電鉄関係の株主を調査してみるとそういうのが多いのでありまして、そういうのは確かに百分の十ということになってくると影響を受けるから、相当大株主でそういう架空の人間に株を持たしているという傾向があるのかどうか、これらも一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/28
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029・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 偽名で、架空の名前でもって株を持っている者があるかないかという第二のお尋ねでございますが、これは私は調べていけば、ある程度あるのじゃないか。同時に税務署におきましては、やはりその点について相当の調査に努力をしているということも申し上げ得ると思っております。それでまあそういう面につきましては、もちろん税務署におきましても十分に調査しまして、これは申告納税の分として課税していかなければならんと思います。
それで一体どの面でもってそれじゃ源泉課税の十五が十になることによって負担の問題が変るかという点でございますが、一応税法の上では先ほど申した通りでありますが、配当の支払調書などにおきましても、現在一回の配当金が三千円以上の場合だけわれわれの方で調査しております。従いましてそれ以下の小口の配当の場合におきましては、われわれの方で支払調書を取っておりませんから、従いましておのずからその分の課税というものもある程度、重箱のすみをほじくるような意味における課税は私はなされていないのじゃないかと思いますが、そういうような場合におきましては、源泉課税の十五が十になるということによりまして、まあ目こぼしといっては語弊があるかもしれませんが、おのずからそういう部面が出てくるのじゃないだろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/29
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030・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうするとこれは今度の政府の公約した平年度五百億の減税の中にはどのくらい見込まれているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/30
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031・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) これは初年度において特にいろいろな姿が出てくるのでございますが、源泉課税を十に下げますことによりまして、一応源泉徴収の方の関係におきまして約三十億減になります。それでこれはただし、たとえば個人の場合でございますと、これは先ほど申しました関係で、申告納税の方へはね返ってきまして、従ってこの源泉徴収された税額の控除をする額が減るわけでございますから、その分でもってこの三十億の減が、申告所得税の方で約十億近くこれが返って参ります。それからもう一つの問題としまして、現在源泉課税しております配当所得、これは個人だけでございますので、法人の分についても同じことをやっております。従って法人税の方に一応これがやはりはね返ってくるわけであります。これはしかし時期的なズレがございますものですから、法人税の方でもって約六億ほど本年度においてプラスになってくるということが予定されております。従いまして三十億のマイナスと、プラスの方が十五億、約十五億ほどこれで税収が減るだろうということを予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/31
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032・菊川孝夫
○菊川孝夫君 減るということは、結局少額の配当所得者がそれによって恩典というか、もうかる、こういうことになるんですか、高額所得者の方がもうかることになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/32
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033・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 先ほど申しましたように、法人関係はこれは大体元へ戻ってきますから、それでこれは時期的なズレのゆえに、今申しましたような六億二千万円という数字になって参りますが、平年度になれば、これはこれよりはるかに大きな数字になって戻ってくると思っております。それでこういう措置によりまして減収が出て参りますゆえんのものは、これは高額所得者の方は、私が先ほど申したような関係で、前に取られるものがあとで取られる、それだけの違いじゃないかと思っておりますが、三千円で支払調書の方を切っておりますから、まあその辺の小さな配当の場合において、源泉課税ならがっちりうまくつかまえられるものが、申告納税になるために、その分がおそらく総合にならないというところで消えていくという分がある程度考えられている、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/33
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034・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、高額の方では大したことはないということになってくると、今新聞でもよくいわれておりまする、株式市場に大衆が出動せぬものだから兜町はさびれているといっているんですが、そういうような繁栄策も考慮して考えられたのかね。こんなものにするよりも、もうほんとうに私はそこに三十億の金があれば、もっとほかの方へ減税することにした方がいいと思いますが、ちょっとあなたの方のねらいはどこをねらったのか、ちょっとわからんのですが、株式でも持とうかというのは、まさか日雇労働者は株式を持とうかという余裕もない。こんなところで減らすのならば、私の言いたいのは、第一の方の所得税の基礎控除額とか、こういうところである程度考慮した方がいいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点をいかがお考えか、どうもねらいがちょっとピントが狂っているように思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/34
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035・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 平年度の数字を申し上げますと、あるいは一つの御参考になるかと思いますが、平年度におきましては、源泉徴収の方でもって四十六億マイナスになりますが、個人の申告納税で十九億、それから法人税で十八億取り戻しがきますので、従いまして実際のこれによる減収というのは約八億程度を予定しております。で、それは大体どこに減収の原因があるかといいますと、先ほど申しましたように、まあ配当の小さな額の分がおそらくそこに十分把握できないんじゃないだろうかということで減収が出てくると思いますが、まあ減収が出るということは、別の面から言いますと、それだけ納税者としましては負担が軽くなる。まあどっちかといえば、われわれの方としまして考え方はいろいろあると思いますが、一応そうした小さな株主ですね、それがこうした関係で一応有利な立場に立ってくるんじゃないだろうか。まあ片方で預貯金のことも考えておりますので、それと並行しながら、やはりこういうことを考えていったらどうかという考え方で出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/35
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036・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これは預貯金の方とも関連してお伺いするんだが、これ二つ減らしますと、結局また今度はね返りは地方税にだいぶきますね。地方税については前年の所得税額の百分の十三でしたか、これも考慮は当然されているのでしょうね。この利子所得とそれから公社債の利子所得、これらはみな無税になり、配当所得も無税になる。そうすると、これは地方税にすぐ影響を及ぼすのですが、これらの点が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/36
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037・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 地方税の関係を御説明申し上げますと、一昨年の改正ですか、利子所得に関します限りにおきましては、これは分離課税にしておりまして、従いまして普通の総合課税からはずれちゃっております。で、従いまして実はそのときに地方税との問題があったわけでございますが、現在といたしましては、住民税の課税標準の中には利子所得が入っていないことになってしまっておりますものですから、従って現在におきましては、今度の措置によっての変化ということは実はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/37
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038・菊川孝夫
○菊川孝夫君 いや、地方税の納税申告書の用紙を見てみますと、利子課税、それから配当課税という欄のちゃんとある申告用紙が毎年これはきますよ。いや、それは渡辺さんおかしいぜ、地方税の方は今年も申告書はちゃんときておりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/38
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039・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 地方税法の関係で、その三百十三条でございますか、一応基準になっておりますのは、課税総所得金額を云々ということになっておりまして、結局課税総所得金額を受けてあるのでございますが、その場合におきまして、措置法の場合におきましては、これに対しまして他の所得とこれを区分して、一本の税率で課税する、こういう規定になっておりまして、われわれの一応考えておりますところでは、地方税の方の課税所得金額というのは、この利子所得を含まない課税所得金額じゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/39
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040・菊川孝夫
○菊川孝夫君 いや、それも入れてちゃんと申告書のそういう用紙が回ってきますわ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/40
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041・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) ちょっと私の説明の仕方がまずくて恐縮でございますが、住民税は御承知のようにオプション・ワン、オプション・ツー、オプション・スリーもございますが、オプション・ワン、オプション・ツー、これはワンの方は所得税の額を課税標準にしている。従いましてそこの所得税の額に分離した分が入っているか入っていないか、この点につきましては地方税法に実は規定がございまして、その措置法の第二条の二の規定によって徴収される所得税額は含まない、こういうふうな実は規定になっております。今の措置法の規定の二条の二でもって徴収される、要するに源泉課税だけで済ませられるその分は含まない、これは二百九十二条の第五号にそういう規定ができております。従いましてオプション・ワンで課税いたします場合においては、これは税務署の方の申告納税あるいは源泉徴収、そういった分だけが課税の基準になるわけでございます。いわゆる所得税の附加税のような姿で住民税が課税される場合におきましては、その源泉徴収せられる分は入りません。従いましてこれは先ほどの御答弁でいいと思います。ただオプション・ツーの場合におきましては、今の源泉徴収されるその分は別に除くという規定になっておりませんから、少くとも税法の上から見ますと、この分がやはり入ることになります。で、今度の国税の方は一応免除になりますが、この課税所得金額とオプション・ツーでもって所得金額をつかまえる場合におきましては、やはり国税の方は免ずることになりますが、その点について少くとも法律の上では変更がありません。ただまあ実際にこれが従来つかまえられていたかどうか、あるいは今後つかまえられるかどうかという問題は、これは別でございますが、法律の上におきましては、オプション・ワンの場合は従来もその百分の十五ですか、東京都の場合でございますと所得税の百分の十八というので一応住民税がかかりますが、そのときの所得税額の中にはこの分離課税になっていた利子に対しての分は入っておりませんし、これは先ほど申しました地方税法の二百九十二条の第五号にその規定がはっきり出ております。それからオプション・ツーで課税いたします場合は、これはそういう特別な規定はございませんので、従来におきましても、少くとも法律の建前としては入っておるはずであります。で、今度の場合におきましては一応課税所得金額の中に、まあ非課税になるから入らないという限りにおきましては、オプション・ツーの場合において、お話のように地方税と多少の連関を持つということは言い得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/41
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042・平林剛
○平林剛君 租税特別措置法の一部を改正する法律案に関連をしてお尋ねいたしますが、先回の委員会でも政府委員の方から説明がありましたが、どうもよくわかりませんので、もう一度あなたに質問いたします。
租税特別措置法全般につきまして政府では再検討なされておると思うのであります。これは先回の国会においても大蔵大臣は、税制全般について検討を加えるつもりでありますと答えておるわけであります。今日の税法の中で特に一般からも批判をされておりますのは租税特別措置法であります。政府は多分このことについて検討を加えておられると思うのでありますが、先回の委員会でお尋ねしたときには、別にその具体的なお答えがなかったのであります。私は一つあなたにきょうは、どういうふうな形で検討をされておるか、大蔵大臣が少くとも全般について検討をすると約束されてからかなり歳月が流れましたが、皆さんの御検討の現在の状況はいかがであるかということをお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/42
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043・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 租税特別措置法にずいぶんいろいろな規定が入っておりますが、この中にはまあ経済政策的な目的でいろいろ措置をとっているというのが非常に多いと思います。これはまあ私の個人的な考えかもしれませんが、現在国がある施策をしようといたしますと、まあ統制の時代と異りますから、どうしてもやはり何か国の方でインセンティブを与えようとしますれば、結局税金をまけてやるか、補助金を出すか、金融をつけてやるか、まあこういう三つの方法しか実はないわけでありまして、従いまして税法の建前からしますると、やはり私は基本的な考え方としては、租税の負担の公平と、担税力のあるところに一応税を負担してもらい、担税力のないところには税は負担してもらわない、これの一本やりの考え方でまあ行くべきものだというふうに思います。ただ国の政策全体を考えて参りますと、先ほど申し上げましたように、国が日本経済なら日本経済を右の方なり、左の方なり、ある程度一つの方向へ持っていこうとするならば、補助金を出すか、金融をつけるか、税金をまけるか、この三つの手段しかない。それで税だけの考え方からすれば、これはもし税をまけるくらいなら補助金を出したらどうか、私はこういう考え方もあり得ると思っておりますが、ただ同時に政府はそうした意味においてその三つの手段の中で、税だけは一切そういう手段に使ってもらってはいけない、使うことはいけない、こういう原則を立てるのもどうもちょっといかがか、補助金だけでまかない切れない面といいますか、補助金ではやり切れない面もやはりあるのではないか。税をやはりある程度まけるという方が全体とのインセンティブとしてかえって適当な場合もあるのではないか、こういう問題が実は私はあると思います。
そこで措置法につきまして現在いろいろな規定が出ておりますが、この場合におきまして、たとえばある合理化なら合理化の施設をしたらまあ短期に償却を認めてやる。これは要するに償却が短期に二分の一だけその年になるというだけでありまして、長い目で見れば、これはやはり負担する税は結局は負担するわけです。ただ要するに初期に早く償却ができるということによって、会社の堅実性を増す、これは補助金とだいぶ違った作用をしているわけであります。そんなわけで税には税独特の作用がありまして、それをある程度経済政策的な目的に利用するという主張があり、現在そんなのが多分に入ってきているわけであります。まあそういうような考え方をとって今までやって参ってきているのでございますが、しかしどうも本法は本法で片方にあって、租税措置法は租税措置法で、臨時的なものではありますが、あるというのは、租税特別措置法が非常に条文的に見ましても相当複雑な姿になっている。しかもいろいろな規定がごっちゃに入っている。こういう意味で租税特別措置法そのものについて再検討を要する。それから予算でございますと、毎年一応検討される問題でございますが、税法でございますと、どうも一ぺん規定が入ってしまいますと、とかくそれがあとは安易に続けられる。これはまあ時限法になっているものも相当ございまして、これは時限法を延ばすときに検討がさらにされますが、それにしましても安易に続けられるきらいがある。こういった意味からしまして、租税特別措置法などを中心にして、税全体について再検討をして参る、これはもうわれわれもいろいろお話もございますし、まあやっているわけでございます。
で私がさらに具体的にいたしまして、それじゃ今お前たちでどの点までやっているかという点でございますが、実はこういう問題は先ほど申しましたように、まあ負担公平を中心にした租税理論だけで割切れる問題でなくて、むしろそうした租税理論と経済政策的な要請とを、どこでどういうふうに調節するかという問題であろうと思っております。従いましてまあ主税局的な頭だけですと、結局その調節はまあむずかしいわけでございまして、従いまして大蔵大臣の御意向としまして、まあ前に一ぺん税制調査会をやったことがございますが、あのときの税制調査会のいろいろな答申は、今度の税制改正、それから前回の税制改正、この二回でかなり……、八割方とどなたかから御批判を受けましたが、相当取り入れられたと思っておりますが、しかしその上に立ちまして、今度の税法改正が行われた後におきまして一ぺんさらにあらためて税制調査会を開いて、そうしてもう一ぺん今度はその前回の税制調査会のあとを受けた姿における税制について検討してみたい、こういうのが大蔵大臣の意向でございます。従いまして一体その税制調査会はいつごろから開くとか、いろいろきょうも衆議院の方でも御質問がございましたが、まあ現在のところとしては、国会の方が一応一段落しましたら、至急人選を進めまして、この問題もこめた、税制全体につきましての検討をするための税制調査会を開催したい、大蔵省としてかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/43
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044・平林剛
○平林剛君 私は、あなたの責任ではないと思うけれども、大蔵大臣は、先回国民に約束した税制全般の検討についてはどうも積極的でない。その証拠が、この租税特別措置法の一部を改正する法律案をさっそく出してきたというところに、まだまだほんとうにこの税制の問題に真剣味が足りないという気がするわけです。もちろん租税特別措置法については、そのときの経済政策的な面が織り込まれるということはわかりますけれども、その法律案が成立した当時の情勢とかなり期間がたてば、また新しい情勢が出てきて、当然検討しなきゃならぬという時期がもうくると思うのです。現在も私は、今日のように所得税全般をやる場合には、所得税全般の改正をやっている場合には、まず第一にこれが素材にならにゃならぬ問題だと思う。そういう意味におきましても、政府としてもこれは検討してもらいたいと思っておるわけです。そこで大体この租税特別措置法は、この間何かの法律の中にも出ましたが、かたかなでまだ書いていることだし、それから右書きも……、新しい法律の形態も整えていないくらいですから、それじゃ政府はもっとこの問題についてもう一度新しい考え方で調べる方がいいと思っておるわけです。
まあそれは別にしまして、今度出された特別措置法の、特に今菊川、委員から御指摘になった点についてお尋ねをいたしますが、貯蓄の増強をはかるために、今回利子所得あるいは配当金に対する免税、もしくは軽減の措置が立てられておると思うのであります。そこで一つ経済政策的なものがどういう確信によって行われているかお尋ねしたいのですが、これは貯蓄の増強をはかる。しかもその措置として二カ年を限ってこの特別措置を講ずると言われましたが、二カ年後に貯蓄が大体どういう形になっているかという構想のもとにこれが提案をされているのか、そういう点が非常にあいまいなんであります。この点をあなたの見解としてですよ、この措置をとれば、全般の貯蓄はどの辺までになるという計画があって出されたのかどうか、そういうことをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/44
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045・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 租税特別措置法は実はひらがなになっております。これは戦後に一応できた法律であります。それまでも実はこういうような法律がございましたが、戦後に全部書き直しまして、そうしてこういうこととしたわけであります。ただまあこの前の大蔵大臣がお約束したのは、いつの国会でしたか、私、お話したのがいつの国会でしたか、よく覚えておりませんが、休会前でしょうか、その後におきまして御承知のように予算編成のこともございましたし、税法にしましても、正直に言いまして、そう一月か二月かでこの全体を検討するということは実は困難な事情にございまして、どうしてもこれはやはり私は、少くとも一年以上かからないとなかなか十分な検討はできないものじゃないだろうか。国会というのは御承知の通り予算と結びつきまして一定の時期がございます。明年度のために結論を得るためには、たとえば今年の十一月ぐらいまでにはもうある程度の結論が出ませんとだめですし、従いましてそんな意味で、まあ税制調査会にしましても、三月、四月でもってすぐ結論を出せということは私は相当無理じゃないだろうか。前回やりました税制調査会が、たしか国会が八月の七日ごろまでありましたために、それから終りまして、すぐ実は着手しまして、十一月の半ばに答申を出していただいたのですが、非常に勉強した税制調査会であると、まあ私幹事役をしておりまして、委員の方々の御労苦に非常に敬意を表したのでございますが、しかし今になって振り返ってみますと、どうもやはりほんとうに身が入った調査というわけにはいかなかった。たとえば、外部の方の相当突っ込んだ意見を聞くとか、あるいは広く意見を聞く、場合によっては実地についてもいろいろ調べる期間というのは、それぞれ御職業をお持ちの方でございますために、なかなか実はむずかしゅうございましたし、よその国の税制調査会をみましても、やはりある程度時日をかけております。日本の税制調査会でも、大正九年に行われましたのが、現在でもある意味において歴史的に有名な答申を出しておりますが、やはり二カ年の時日を過しております。そんなわけでございまして、やはり基本的に税制というものを特に見ていく場合におきましては、やはりある程度の時日が必要じゃないか。その意味におきまして、われわれ税制調査会で措置法などもこめまして根本的に検討していただくつもりでおりますが、やはりある程度の時日はかしていただきませんと、かえってまあつぎはぎ細工のようなものになってしまうのじゃないか、これだけをまず一応申し上げておきたいと思います。
それから第二の方の御質問の本論でございますが、一体今度の預金利子に対する課税をやめたことによって貯蓄がどういうふうにふえる見通しになっているか。これはまあ貯蓄の増加の見通しというのは、実は銀行局の意見などを聞いてみましても、なかなかむずかしい問題でございまして、もちろん過去の事例からいいましても、過去の税制におきましてもまあ相当大きな貯蓄の増加があるわけでございまして、この増加に対しまして、今度の措置をやることによってさらにプラスになる増加がどのくらいか。これは一応この措置をやるのがいいか、やらぬのがいいかということを判断する場合におきましては、過去においてこういう措置がなかった場合には相当の貯蓄が増加した、この措置をやるためにさらにプラスになる増加は幾ら、この数字が実は出ないとこの判断がむずかしい、できないわけでございますが、そのこと自身が実はなかなかむずかしい問題でございまして、現在銀行局の考えておりますところでは、去年の実績は七千六百億程度でございましたが、ことしどの程度目標をつけますか、これはちょっと人の話を申し上げるだけで非常に恐縮なんですが、この間銀行局長が大蔵委員会でもって答弁したのを、そばで聞いておりましたらば、まあ非常にその措置によりましてどれくらい貯蓄がふえるかということは、実はなかなか判断がむずかしいけれども、五百億ないし千億ぐらいふえるのじゃなかろうかということを言ってはおります。どうもわれわれもちょっと自分の専門でもございませんものですから、ずいぶん実は議論したのですが、その五百億ないし千億というのは、どれだけの根拠があるかということの意味においてのつめより方をしたのですが、どうも銀行局長としましても、なかなか貯蓄の増加の趨勢そのものが、一応過去の趨勢のいろいろなものである程度計算できるにしましても、これをやることによってプラスが一体幾らになるという数字になりますと、たしかにこれによって効果があるということは十分言えるにしましても、その効果の分が幾らだということになりますと、非常に計数的には申し上げにくいのじゃないだろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X00919550526/45
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046・青木一男
○委員長(青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。
午後四時八分散会
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